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2018年7月23日 第7回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG 議事録

○日時

平成30年7月23日(月) 12:56~14:57

 

○場所

厚生労働省 統総大会議室(11階)
 

○出席者

菊池座長、岩崎委員、藤森委員、山田委員

○議事

 

○政策評価官室長補佐
定刻の1時より少しだけ早いのですが、委員の先生おそろいになりましたので、ただいまから「第7回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG」を開催いたします。政策評価の担当をしております宮崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆さまにおかれましては、お忙しい中、そして正に暑い最中にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですけれども、平野委員が所用により欠席されております。
本日の議事進行につきましては、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
大変暑い中、今日が暑さのピークではないかと思いますけれども、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は議事次第にありますように、3つのテーマの実績評価書(案)について委員の皆さまに御議論いただきたいと存じます。
配布資料及び平成30年度に実施する政策評価についての進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
事務局より御説明いたします。まず、資料の確認ですが、お手元の配布資料は1つにとじておりますが、上から議事次第、参集者名簿です。資料本体は、今回の議事「平成30年度に実施する政策評価について」に関しましては、資料1-1と資料1-2が1つセットで、資料3-2までです。資料1-1、資料2-1、資料3-1はそれぞれ本WGで議論いただく実績評価書(案)となっています、この縦置きの、評価書というものです。それに説明させていただく添付資料が付いています。資料1-2、2-2、3-2として、実績評価書の後に添付資料が付いております。今回3つのテーマがありますので、評価書と説明資料のセットが3セットになります。
資料3-2の後に参考資料1から5まで続いており、参考資料1は政策評価の実施予定表、参考資料2はこの有識者会議の開催要項、参考資料3が政策評価の基本的な枠組みを定めています厚生労働省における政策評価に関する基本計画となっております。参考資料4は、各実績評価書というのは目標に基づいて評価を行うのですが、目標を立てたときの事前分析表になります。事前分析というのは、目的や目標を達成するための指標、達成手段などを事前に想定して整理した表になります。この事前分析表は、平成29年度が評価対象の年度になりますので、目標を立てる前、29年度の直前に作成しております。参考までに御説明ですけれども、この事前分析表の中で目標の番号などを振っているのですが、それが実績評価書と番号だけはずれています。目標の中身は変わっておりません。29年9月、ちょうど1年前に厚生労働省における労働部局を中心とする組織再編がありましたので、目標の番号がちょっとずれていますが、中身は変わっておりません。
それから最後に、参考資料5を付けております。これは後ほど事務局から報告させていただきますが、3月に有識者会議の全体会議を行ったときに、先生方からいろいろ御意見を頂き、目標の設定について検討いただきたいという御意見を多数いただきましたので、それを今現在どのように対応しているかを整理させていただいた表になります。資料の不足がありましたら事務局にお伝えいただけますか。よろしいでしょうか。
引き続き議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は議議にあります(1)の1~3の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行いまして御議論いただきます。1つのテーマの所要時間ですが、大体30分程度を予定しております。30分の内訳ですが、まず、担当課より約15分、それからテーマによっては20分程度御説明いただきまして、その後、15分程度で御質問、御意見を頂くという流れで進めていただければと思います。今回は実績評価書、政策評価のほうを議事としておりますので、特に測定指標の実績値とか評価結果と今後の方向性を中心に御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上になります。
 
○菊池座長
ありがとうございます。それでは議事の(1)平成30年度に実施する政策評価について、その1つ目のテーマ、「社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保を推進するとともに、福祉サービスの質の向上を図ること」につきまして、担当課から15分~20分程度で説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長の石垣でございます。本日は先生方の貴重なお時間を頂きましてありがとうございます。この後、用意されています資料1-1、資料1-2に沿って御説明させていただきます。まず、実績評価書様式とある資料1-1です。施策の目標名は今御紹介がありました「社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保を推進するとともに、福祉サービスの質の向上を図ること」ということで、要は福祉サービスの人材確保の関係で、質と量と両面で求められている部分がありますので、それについて御説明いたします。
施策の背景・枠組みですが、3つの○で書いています。先生方もかなり御案内のこともあろうかと思いますけれども、今、人口減少社会で、もともと人手が少なくなっているところに、高齢化社会で介護の必要な方が増えているということで、介護人材の確保です。これについては政府としても3つ目の○ですが、「ニッポン一億総活躍プラン」などの各種計画、後ほども御説明いたしますけれども、そうしたところに様々な目標を立てて事業を実施しているところです。予算額などは過去平成26年から御覧のとおりの状況です。多額の予算を頂いておりまして、順次執行しているところです。施策に関する内閣の重要政策ですが、これもいろいろとありますけれども、第192回国会の安倍総理大臣の所信表明演説を、平成28年9月のものですが、抜粋させていただいて説明しております。「介護離職ゼロ」を目指して50万人分の介護の受皿を前倒しして整備する、それから技術や経験に応じた給料アップの仕組みなどを作る、そういったものを書いております。
次から測定指標になりますが、資料1-2を御覧いただきまして、全体の状況と施策の取組状況など、ある程度御説明させていただいてからのほうが、測定指標のお話を御理解いただきやすいかと思いますので、途中で恐縮ですが資料1-2を御説明させていただき、1-1に戻らせていただきたいと思います。1ページ、第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数についての所です。ちょうど今年4月から3年間にわたる第7期の介護保険の事業計画を立てていまして、こちらで昨年度まで使っていました介護事業の必要人数の推計がかなり変更されていますので、これを御説明いたします。第7期の介護保険事業計画のサービスの見込み量について、各都道府県でどのぐらいの施設整備、あるいは介護サービスの整備をするのかを私どもで集めまして、今度はそれを基に配置基準などでどれぐらいの人員が必要になるのか。その必要なサービス量に基づき、それに対してどのぐらいの人員がいないとサービスができないのかを出しているのが、介護人材の必要数についての推計です。真ん中辺りの図表の一番左側ですが、平成28年度には約190万人、介護のサービスに従事している方がいらっしゃるという状況です。そこから2020年度あるいは第9期までの計画期間、2025年度辺りにおいて、どのぐらいの施設などのサービスの整備をするか。それに伴って人がどれぐらい要るかをここに掲げていまして、2020年度には約26万人、現状より約26万人、人が必要になるのではないか。2025年度には一番右側の、約55万人必要になるのではないかということで、その9年間で55万人ですので、平均的にならせばという話になりますが、6万人ぐらいずつ増やしていく必要があろうかということになります。ただ、ここについては、どうしても毎年の景気の状況の変動や各都道府県での個別のいろいろな事情もありますので、直線的に増やせるかどうか、需要が全く均一に伸びるかどうかというところはありますけれども、おおまかに中長期でならすと2025年度までに55万人という形で、かなり人が必要になるというのが目下の状況です。
これに対して、スライドの2枚目です。総合的な介護人材確保対策として、主な取組を書いております。他産業とも競争しながら人集めをする必要があるということですので、職場に魅力があって、働く条件としても魅力がないと、一般論として介護労働に従事していただけないということがありますので、様々な対策を講じております。左側上から、介護職員の処遇改善です。これまで平成21年度から累次処遇改善加算という形で介護に携わる労働者の月平均額の形ですが、5万円以上の改善をしております。これについては今後、右側ですが、消費税率の引上げの時期などに伴い、経験年数が10年以上の方に更に月8万円以上の改善をするなどの予定をしており、こうしたもので処遇を改善していきたいということです。
2つ目は多様な人材の確保・育成ということで、介護福祉士を目指す方あるいは再就職する方に、貸付の形ですが、一定期間就職しますと返済が免除になりますので、ある意味助成金的な形で取り組んでおります。これも今後については未経験の人材に参入していただきやすいように研修などを行い、参入を容易にすることで確保を促進していきたいと考えております。
3つ目ですが、介護の職場は大変きつい職場だという印象も強いですので、ここについて介護ロボットの導入やICTなどの情報機器の導入で、職員の方の負担を減らしていく。あるいは保育施設などを整備し、子育てをしながらでも働いていただける、こうしたことに取り組むことによって職場に入っていただきやすく、なるべく定着していただけるようにしていく。こういったものは今後についても進めていきたいと考えております。
4つ目に介護の職場の魅力向上です。なかなか大変な職場という事実も半面ありつつ、それ以上にイメージが悪いということが業界の方からも、あるいは学生の方からも言われておりますので、こういうところを改善していくために、学生の方はもちろんのこと、保護者や各種の学校の進路指導の担当者などの理解を促進し、確保していきたいと。一番下ですが、外国人材の受入れ、最近、骨太の方針にも盛り込まれたりしましたので、非常に注目が集まっておりますけれども、こうしたものについても国内の状況もよく踏まえながら取り組んでまいりたいということで行っております。
後ほどの目標、実績評価書様式にも関わってきますので、3ページ目の地域医療介護総合確保基金の説明を若干させていただきます。介護の人材確保については国だけではなくて、各都道府県などの御努力も必要ということもあり、地域医療介護総合確保基金という枠組みで、左側の流れ図になりますが、国としても3分の2予算を出して、都道府県からも3分の1御負担を頂き、市町村の御協力も頂きながら、各地で介護労働者の確保のための事業を行っております。
4ページになりますが、一口に介護人材の確保と言っても都市部とその地方部、あるいは確保したい人材の状況などによっても取組が全く変わってくるものですから、国としては4ページのように、メニューとして左側から、参入の促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善と、大きくメニューを提示しまして、この中から各地の事情に応じて都道府県や市町村で事業をやっていただくということで取り組んでおります。この中では、左側の参入促進、量の確保という部分もあり、真ん中の質の向上として、研修などをしっかりやっていただくことで頭数だけではなくて、資質の高い人材を育てていくことも必要だということで取り組んでおります。あと環境・処遇の改善で、他業種との競争の中で比較的いい人材にも集まっていただきたいと考えております。
5ページ以下は細かい事業の説明になりますので、後ほど必要に応じて御紹介させていただければと考えております。
恐縮ですが、資料1-1にお戻りいただければと思います。真ん中から下の、測定指標の所です。まず、指標1、先ほどこの4月から新しい推計を出しまして、それに基づくと2020年度までに26万人、2025年までに55万人不足するというお話を申し上げました。現行では、この指標の選定理由及び目標値の設定の根拠の所ですが、「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいて、2年前の時点で、2020年代初頭までに25万人確保することというようなことで記載のとおり目標を定めていました。これについて上から3つ目のポツですが、先ほど申し上げたような、最近の推計に基づいて状況などは変わってきているという状況です。下の実績値ですが、平成25年度を基準にして、そこから毎年の実績を書いております。状況に応じて少し凸凹はしていますけれども、6万人から7万人ぐらいずつ、人材の確保ができてきている状況です。平成32年度の目標値216万人に向けて取組としては達成をしてきている。今の状況であれば、確保ができてきているかと考えております。
次に指標2は、先ほど御紹介しました、地域医療介護総合確保基金による介護人材の質の向上のための取組を実施する都道府県数です。この目標については上から2行目、経済・財政再生アクション・プログラムのほうで、平成30年度までに47都道府県全てで資質の向上に資するような取組をしっかりと取り組んでいただくということが目標になっており、それが達成できるようにと取り組んできております。平成27年度以降、毎年私どもでもよく状況確認をしておりますが、取り組んでいただけているという状況で、目標に対しては達成と考えております。
続いて指標3です。基金の計画目標に対する研修受講人数などの達成率です。これについても経済・財政再生アクション・プログラムに書かれた目標を達成するということで取り組んでいるところですが、実績値についても28年度は達成できているという状況ですので、これも目標に対しては達成と考えております。
続いて評価の結果と今後の方向性です。総合判定ですが、目標については全て達成しておりますので、判定の結果としては私どもはAと考えております。介護人材の確保が現状で十分かということでは、まだまだこれから引き続きしっかり取組をしていく必要があるということですが、中間点としての刻みというか、努力している状況としては計画に沿って目標を達成してきていますので、そういうことで私どもとしては判定を考えております。
施策の分析についてですが、先ほど2025年までを見据えた場合に約55万人ということで、年間平均6万人程度必要ということですが、過去3年間の介護職員の確保数を見ますと、約6.4万人ですので、非常に厳しくぎりぎりのところではありますが、達成しております。今後ともしっかり予算を投入しまして、各都道府県や市町村とも連携をしまして、取組を進めていくことかと考えております。
効率性の評価ですが、予算で配布されたものの中で効果の上がるような事業の選定、あるいはいろいろな好事例の都道府県との共有などにより、効率的な予算の執行にも努めておりまして、予算の範囲内で事業をしておりますので、効率的に機能していると評価をしております。
現状分析としては、介護人材の確保をこのように進めてきてはおりますけれども、介護関係の求人倍率は毎年どんどんと倍率という意味では厳しくなってきており、人手不足の状況については非常に厳しい状況が続いていると考えております。ですので、先ほど御説明いたしました国内の参入の促進、質の向上に加えて、これからは外国人の受入れというのも比較的進んでまいると思いますので、そうした取組も含めて精一杯努力をしてまいりたいと考えております。
予算要求や税制の改正、機構・定員などについては、31年度の予算要求に向けて現在まだ内部で調整中ですので、こういったものを行った後に記載させていただきたいと考えております。雑駁ではありますが、説明としては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
それでは、ただいまの御説明について委員の皆様から御意見をお願いいたします。
 
○山田委員
施策目標が福祉サービスの質の向上ということで、前にも議論があったようにも記憶していますが、とにかく質というのは捉えるのが難しいと。ただし、一番究極の質の指標としては、例えば介護施設における虐待件数といったものがどのように推移しているかという、発生率みたいなもので捉えられるはずではないかというのを、前に議論した記憶があります。その結果、福祉サービスの質としては指標2と指標3ということで、やや迂遠な指標が出てきております。やはりこれですと、47都道府県、47都道府県、47都道府県ということで、福祉のサービスの質の向上をどう捉えるかということで、非常に御苦労なさったとは拝察いたしますが、これですと国民に対して、この政策評価をするときに、この数値を開示して、果たしてこれが福祉サービスの質の向上を測っていると、そう主張するのは、ちょっと。一般国民の立場に立ったときに、必ずしも直接的な指標ではないように思うのです。ですから、もう少し何かそういったものがないのか。繰り返しになりますが、究極に悪い介護の質の指標としては、施設で虐待がどれぐらい起こったのか。要するに、その施設で人がどれぐらい介護されているのかが分かれば、発生率が計算できるはずですので、発生しているのか、件数の推移といったものが、質を捉えるには相応しいものではないか。若しくは、この110%が100%というのもあれですが、もう少し質に直接関係するような訓練や教育といったものを精査していただいて、それを受講している、若しくは受講が終わった人が何パーセントかというのでないと、非常に御苦労されて選択されているとは思うのですが、一般国民の立場に立ったときに、少し分かりにくいかなという気がいたします。これをもって、全て目標が達成されている、Aと書かれているのですが、そもそも福祉サービスの向上が図られていると言い切ってしまっていいのかというのは、専門家としては正直、肝心の指標でよく分からないので難しいかなと思っています。私からは以上です。
 
○社会・援護局
どうもありがとうございます。専門家の先生には釈迦に説法で大変恐縮な部分もありますが、確かにおっしゃるとおり、実施している所の数だけで大括りに見えるようなところで、果たして質がしっかり確保できたのかを、アウトカムで確認ができるのかということだと思うのです。私どもとしても、今後引き続き努力はしなければいけないなと思うのですが、難しいのが地域によってもかなり差があるところではないかと思っております。虐待の件数が低下するというのは、介護サービスを実施する上で非常に重要な1つの指標だとは思うのですが、それを取り上げるだけではなくて、もっと介護の質というのは利用者全般の方の満足や滞在のしやすさなど、いろいろなものがあると思うのです。そのような設定の仕方が一律難しいのではないかと思います。
それから最初に言いかけましたが、地域差がかなりあると思っております。例えば資格についても何か1つの資格といったときにも、いろいろな事情で地域で差があったりするときに、なかなかそれが取りにくいと。それから、介護の人材を育成する仕組みにしても、都道府県の方が県内の事情を見た上で事業メニューを決めていきますので、そこについていろいろと申し上げるのが難しいというところもあります。一概にこの指標でやれればというものがないところが非常に難しいです。ただ、先生がおっしゃったように、もう少し評価の仕方がないのかということについては、我々もどのような指標があるのかについては、今後検討はしてみたいと思いますが、実質難しいところもあるかなという状況です。
 
○山田委員
市町村によって、ばらつきが大きいというお話でした。そうであれば、やはり社会保険という形で介護保険の制度があるわけですから、そうした市町村の格差をなくしていこうと。もちろん市町村の特性にはいろいろと応じていきつつも、何かしら統一の指標で、ばらつきをなくしていくようなことを考えたときに、繰り返しにはなりますが、全ての指標を網羅することは、このようなコンパクトなものでは難しいと思うのです。虐待の発生率は、指標としては私はものすごく重要だと思っております。発生件数ではなくて、発生確率です。もちろん、いろいろな施設の構成の市町村ごとの違いといったものをそこに加味しなければいけませんが、そういったものが発生するというのは、最も深刻な指標として、やはり勘案していただかなくてはいけないと思います。このような47都道府県といったもので、果たしてこの質が本当に表現できているのかというと、私は専門家としては疑問に思っています。
また満足度がいいかどうか、満足度を取るのが難しいと。もちろん認知症の方もいらっしゃいますし、そういった方の満足度はどうするのかというのもあります。しかも必ずしも、その満足度が高いとはならない、例えば自分でいろいろと洋服を畳まなくてはいけないとか、料理に参加するとか、今は認知症のグループホームを想定して申し上げていますが、その場合は必ずしも満足度としては高くないかもしれないけれども、いろいろな要介護度が低くなる、若しくは維持されるということでは大きいかもしれません。そうすると、満足度というのはもちろん駄目であって、例えばどれぐらいインプットに対して要介護度が改善されたかも、重要な質のコントロールです。
47都道府県というのは、国民に説明するときには、これで納得しますかと言ったら、ほとんどの方は納得しないと思いますので、もう少し工夫、改善の余地を考えていただきたいと思います。私も具体的なことを一切言っていないわけではなくて、具体的なことを申し上げて提案しておりますので、一朝一夕でやるのは難しいかもしれませんが、検討していただければと思います。よろしくお願いします。
 
○社会・援護局
虐待の発生率も重要な指標だということは、先生がおっしゃるとおりだと思っていますし、私どもも全く否定はいたしません。それが、職員の質とリンクしたような形でここに書きますと、職員の質が悪いことだけで虐待の率が左右されるのかと、そうかというと、なかなかそういうことでもないと思います。指標の設定の仕方などを具体的に考えると、満足度についても難しい面もありますし、課題はいろいろとあろうかなと思います。御指摘の趣旨はごもっともだと思いますので、私どもとしてどのような指標を設定することができるのか、できないのかを、よく検討はしていきたいと思います。
 
○山田委員
今のお話は、職員の質と虐待の発生確率が必ずしもリンクしないということですが、少なくとも医療経済学や国際的に認められた分野では、例えば医療事故と医療のサービスの質は相関しているということを前提に研究が行われております。もちろん他の要素もあります。しかし、リンクしている部分、相関が非常に高いというのは強いわけで、他の要素が少し含まれているからそれを使うべきではないという話にはならないと思います。
 
○社会・援護局
学問として相関性があることを否定するわけではないですが、私どもは行政の立場ですので、そういうもので評価しているというところだけがくっ付いた形で、今度は福祉の現場にそういうものを見せること自体がどうなのかという部分もあります。学問的に連携があることを否定するかしないかということと、そういうものを目標と設定の中で見せることによって現場に与える影響のようなものは、それは個々に考える必要もあるかと思います。いずれにしても、いろいろと工夫をして、よく考えていきたいと思います。
 
○菊池座長
今、山田委員が最初から繰り返し言っておられますが、指標として何を取るかはさておき、国民に対してどう説明するかということをおっしゃっております。今、課長は福祉の現場にどう見せるかとおっしゃいましたが、そこは何のために政策評価をやっているのかという、そもそもの趣旨に立ち戻ってお考えいただくと、幾つかありますが、重要な1つのポイントとして、やはり公費の適正な使用を国民に対してどのようにきちんと説明するかという、説明責任は確実にあるわけです。福祉の現場にどう見せるかということと、政策評価をどう捉えるかというのは、もちろん無関係ではないと思いますが、やはり政策評価の大本の趣旨をお考えいただくならば、山田委員がお話しておられるように、国民に対してどう説明をするのか。しかも47都道府県が続いていて、きちんと達成しているのでAなのです、あるいは100%ですということを、それではないのではないかというお話を繰り返しなさっているわけですので、そのことと福祉の現場にどう見せるかを、政策評価において同列にお考えになるということについては、少しお考えいただいたほうがいいのではないかと私からも申し上げておきます。
具体的な指標については山田委員から御提案がありましたが、それはまた御検討いただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 
○藤森委員
私も今、山田委員からお話のあった指標2と指標3についての目標の設定は、どうなのだろうかと思っておりました。やはり、取組を実施する都道府県数というよりも、それによって、地域医療介護総合確保基金によって、この介護人材の質がどのように向上したのかという改善度を示すものが、指標2では必要だと思います。それから指標3も同じように、研修を受講したことによってどういう効果があったのかという改善度を示すものが必要ではないかと思っております。
地域差もあるでしょうが、改善度を、国民に対して説明していく必要があると思います。指標は別途御検討していただければよいのですが、細かな指標をまとめることもできるかもしれませんし、いろいろなやり方があるのではないかと思います。その辺りは今後御検討いただければと思っております。
それから、指標1の介護職員数に関してですが、景気が良くなっている段階で毎年6万人増やすことは、容易ではないと認識しており、御尽力されていることを感じております。細かな話になって恐縮ですが、頂いたレジュメの2ページに様々な総合的な介護人材の確保対策という形で大きな柱を挙げていただいて、とても大切なところだと思っております。この中で、難しいとは思いますが、どの辺りが一番効いているのかといった寄与度のようなものを示すことはできないでしょうか。合わせ技でやっているので何とも言えないということかもしれませんが、どこに御尽力されていて効いてきたのかという点があれば、お話いただければと思います。
最後に質問なのですが、予算の執行率を見ますと、平成28年度と29年度が77%、82%となっており、他の所は99%になっております。この執行率が減っているのはなぜなのかを質問させていただければと思います。以上です。
 
○社会・援護局
この寄与度というのは……で説明がなかなか難しいですが、やはり総合的に前に進めているところです。すみません、はっきりとこの施策ということは、なかなか言いづらいところではあります。
 
○社会・援護局
本当は政策評価という意味で言えば、何が一番寄与度が高いのかをよく見ていかなければいけないというのは、御指摘のとおりだと思います。ただ、現実には、人がなぜこの職種に就職したのかというのは、もともとの思いもあったりして、いろいろと難しいところはあります。何が効果があったのかという意味ではよく分析する必要はあると思いますので、そこは寄与度という形できちんと分析できるかどうかはあれですが、何が効果があったのかについては我々としても関係の方々にもお聞きして、よく確認をしていきたいとは思っております。
予算の執行率ですが、恐縮ですが確たることはなかなか申し上げられませんので、よく確認してみたいと思います。恐らくですが、平成28年度、29年度に補正予算を組んでおります。その中で、翌年度以降に繰り越せるような基金的なものの予算を積んでいると、翌年度以降も使えると、もともと何年度間かで使うことを想定して、そのときに予算で取っていることがありますので、そうすると執行率が下がっているということなのかなと思います。よく確認をして詳しく分かるようでしたら、追って必要な資料などを御提供させていただければと思います。
 
○菊池座長
最後の点に関しては、後ほど事務局で御確認をよろしくお願いいたします。そのほかいかがでしょうか。
 
○岩崎委員
私は、この会議に出させていただくのが今回初めてで、要領がよく分かっていない部分もあるかもしれませんが、施策目標の所で「社会福祉に関する事業に従事する人材」となっているわけですが、出ている資料では、ほとんど介護の人材のことが中心ですよね。ただ、介護人材と同じように高齢者領域だけではなくて、児童でも障害者の領域でも、人材不足に悩んでいる所があります。いろいろな加算等を頂いて何とか給与を上げる対策を講じていただいているのは分かるのですが、やはり、魅力ある社会福祉の仕事というようなところで言いますと、介護の人材の質の向上ももちろん重要なのですが、やはり社会福祉法人等では引っ張っていく、リーダーシップをもってやっていくソーシャルワーカー等の専門職の質の向上、あるいは定着が重要です。そこに優秀な人材がいないことが、施設風土や意欲の関係、いわばモチベーションをどう維持するかというところに、非常に大きく関わってくると思います。確かに目先では介護の人材は足りなくて困難を抱えているのは重々分かるのですが、長い目で見ていただくと、もう少し取り上げられる人材に幅を持たせていただけないだろうかということです。
それから、その延長線上ではありますが、実際に就職を目前にした学生や学校を回られることももちろん必要ですが、本当に日本の将来を考えたときに、これは省庁をまたぐことで難しいとなるのだと思いますが、福祉に関する教育がきちんと行われないと、社会的な評価が低い福祉の仕事というところを脱却することが難しいと、いつも考えております。ですので、自分が実践している現場では、そのようなことを訴えて、いろいろな学校で使っていただける教材作りに携わらせていただいています。ですので、国には将来福祉の仕事をする人たちが尊敬されるような下地づくりを少しお考えいただければ、有り難いと思います。
 
○社会・援護局
政策目標の立て方は、参考資料3の中の12ページからになります。私どもの政策目標も含めて、いろいろな政策目標を立てており、この中から評価のものが選ばれています。もちろん先生がおっしゃったように、福祉の介護という特定に決まったところではなくて、ソーシャルワーク的なところ全般、子供も障害者も含めて必要なのですが、例えば、16ページの基本目標のⅦの施策大目標1の1-1に、保育の関係で言いますと、例えば保育の受け皿拡大と保育人材の確保とあります。政策的に大きなものは介護は介護、保育は保育ということで、役所の都合で別々に項目を立てさせていただいております。それはそれで、また別途御議論がなされるのかなと思っております。切り分けではなくて、もともとのソーシャルワークの機能が何の福祉のものについても重要だということは、おっしゃるとおりです。私どもとしても、ここには出てこない話なのですが、社会福祉士の養成課程のカリキュラムの見直しや、介護福祉士の養成課程のカリキュラムの見直しには取り組んでおりますので、そういった中でしっかりとやっていきたいと思っております。
それから福祉の教育のところですが、文科省とも連携をしております。文科省も福祉人材の教育が大事だということで、例えば今までは入っていなかったのですが、中学生の科目の中に、しっかり介護について教育をするということを、最近は指導要領の中に入れております。しかも若いうちから介護の重要性は教育していくという枠組みで、この2、3年取り組み始めております。就職間際になってから言ってもなかなか皆さんの考えも変わらないと思いますので、早いうちからそういうことは今後とも努力していきたいと思います。
 
○社会・援護局
施策の紹介です。資料の6ページですが、今年度から基金事業のメニューとして設けたものです。左下ですが、中学校や高校に対して、介護の養成施設の方々の御協力を頂きながら、介護に関する魅力のPRや、出前講座の実施をメニューとして位置付けて、都道府県の皆様に御協力していただこうと考えております。こうした施策を通じて、若者の皆さんに対する普及・啓発に努めていきたいと考えております。
 
○岩崎委員
ありがとうございます。おっしゃっていただいたようなことは、なかなか義務にはなり得ていないと現場の先生方も言っておりますので、より小さい頃からの教育、できれば小学校にも是非同様の状況を作っていただけるように、お願いいたします。
 
○菊池座長
今、岩崎委員からありましたが、確かにⅧの2-1が福祉・介護人材なのですよね。医療や保育は他で立っていますが、ここで介護だけでいいのかというのは、これは事務局の仕切りとも関係すると思いますが、ここをどう考えるのか。介護だけでいいのかということですね。
 
○政策評価官室長補佐
結論からしますと、今年、指標を追加することは可能です。とは言っても、喫緊の課題ということで指標を選んでいるのですが、ここ数年を見据えたときに目標に合った指標として追加が可能かは、検討させていただきたいと思います。今年は、平成29年3月に立てた目標で評価となっていますので、恐縮ですが既定路線の中でのこういう評価書を作らせていただきました。来年度以降の目標としてどうするかは、また省内で検討させていただければと思います。
 
○菊池座長
ほかにはいかがでしょうか。私から1点質問いたします。先ほどの課長のお話の中で、地域格差が問題なのだという趣旨のお話がありました。そうであれば、例えば何か都道府県ごとの目標値があるとすれば、あるいは都市部と地域など、そういうことの達成度合いを測る余地はないのでしょうか。
 
○社会・援護局
私の申し上げたのが格差という言い方でしたら、恐縮ですが、必要とされるものが地域によって違う、もちろん差もあるのですが、その上で必要とされるものが違うと。例えば、極端な話かもしれませんが、なるべく家で介護サービスを受けたいので在宅でいること自体が望まれる地域ですと、在宅サービスを充実することに向けたいろいろなサービスの整備が必要になると思います。そうではなくて、ある地域では施設に入ってもらってサービスをするほうが、その地域の皆さんにとっていいという話になりますと、今度は施設型中心のサービスに向けた取組を何かすることになると。そうすると、ではどちらの割合が高いから、どちらがいいとか悪いという話でもないものですから、それを一概になかなか評価がしにくいという地域差があるのではないかと。1つ例示を挙げるとすると、そういう話があるのかなと。どちらがいいとか悪いとかではありませんし、あるいは外国人介護士を受け入れることについても、受け入れることに抵抗のない地域もあれば、そういう者でない人で人材を確保したい地域もあると思います。もちろん、先生方からいろいろとお話がありましたので、47都道府県ということでいいかどうかという問題はあるのですが、そこをどう指標化してうまく評価していくのかは、いろいろと技術的に難しいなと思うところはあります。
 
○菊池座長
分かりました。私の感覚で言いますと、極端な例ですが福島県にずっと入っていますが、とにかく人がいないと。南相馬市では、専門学校の卒業生は、1人も地元に就職しないと。極端に人がいない地域が、どうも地方にはありそうだな、都市部とちょっと違うのではないかという皮膚感覚なのですが、なかなか難しいということですね。
 
○山田委員
でも、今おっしゃったような地域で足りないか、足りているかというのは、今の菊池先生のお話ですと差があるわけですから、そういうものはやはり見せなくてはいけないと思います。それから、課長がおっしゃった地域によっては施設介護中心が求められているということで、クラスター化が先験的にできるのであればクラスター化した上で、ここでは足りている、足りていないという出し方はいかようにもできるはずです。以前に議論したような記憶があるのですが、やはり47都道府県というのは、国民への情報の開示の仕方としては、専門家の立場からすると、かなり不親切ではないかと思います。ですから、必ず次回は47都道府県とか100%というのが入らないように、この指標は必ず入れ替えていただきたいというのが、強い要望です。
 
○菊池座長
政策評価の意義は幾つかあります。先ほど1つ述べましたが、所管課がこういう方向に施策を進めたいという前向きな問題意識を、ある意味では積極的に少し見せていく機会でもあるのですよね。後ろ向きではなくて、むしろ前向きにこれを使っていく面もあるので、だからといって指標として何を出すかというのはとても難しいとは思うのですが、そういった前向きな政策評価の使い方もありますので、是非工夫をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、これで終わります。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。お忙しいところ、どうもありがとうございました。
 
○社会・援護局
ありがとうございました。
(メインテーブル交替)
 
○菊池座長
それでは、次のテーマに移りたいと思います。続きまして、「戦傷病者、戦没者遺族等に対して、援護年金の支給、療養の給付等の援護を行うこと」について、担当局から15~20分程度で御説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局
社会・援護局援護・業務課審査室長の橋本と申します。よろしくお願いいたします。それでは、評価書様式に沿って説明いたします。資料2-1の実績評価書を御覧ください。今回、実績評価の対象としている施策の概要ですが、大きく分けて2つございます。1つ目ですが、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護として、軍人軍属等で公務上負傷した方や死亡した方の御遺族への援護年金等の支給、軍人軍属等で公務上負傷した方への療養給付、戦没者の御遺族等に対する特別給付金等の支給を行っております。
お手元に、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく支援についてのペーパーをお配りしております。補足的に御説明させていただきます。こちらの1枚ものになります。援護法は、軍人、軍属又は準軍属という国と雇用又は雇用類似の関係にあった者が、戦争公務により負傷・り病し、これにより障害の状態になり又は死亡した場合に、国が使用者としての立場から、国家補償の精神に基づき、障害者本人に障害年金を、死亡した者の遺族に遺族年金又は遺族給与金及び弔慰金を支給する制度です。これらの給付を称して援護年金と呼んでおります。援護法で対象としている方々は、この表の右側の点線にあります、軍属、準軍属です。左側の軍人のほとんどの方は恩給法の対象で総務省の所管となります。ただし、恩給法上の遺族につきましては、死亡者と生計関係を有している戸籍上の妻、子、父母、祖父母に限られるため、こちらに書いてあります軍人のうち恩給法の非該当者のみ、援護法の対象としています。いわゆる内縁の妻といった方につきましては、恩給法の給付の対象となりませんので、援護法で実態に着目して内縁の妻を認めております。あと、中段のほうですが、援護法の対象ということで、軍属、準軍属、こうした例示を掲げております。
下段ですが、給付内容ということで、障害年金につきましては、受給者が933人、平均年齢が87.9歳です。遺族年金と遺族給与金との違いですが、遺族年金は軍人軍属に給する年金で、右側の準軍属に対しては、遺族給与金と呼んでおります。こうした配偶者等の遺族に対しての給付、受給者ということで、4,265人、平均年齢が92.4歳となっており、かなり高齢であることが分かります。
評価書に戻りまして、施策の概要ですが、2つ目になります。こちらは戦中・戦後の労苦継承ということで、平成11年3月に開設された昭和館で、戦没者遺児をはじめとする戦没者遺族が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦に係る歴史的資料を収集、保存することにより、次世代にその労苦を知る機会を提供しております。また、平成18年3月に開設されたしょうけい館においては、戦傷病者が戦地で体験した労苦並びに戦傷病者及びその家族が体験した戦中・戦後の労苦を次世代に伝えております。こうした戦傷病者、戦没者の遺族等に対して、高齢化が進む中、依然として多くの方が援護を受けているため、援護法に基づく事務の迅速かつ適切な処理を行うことが課題ですし、また、戦中・戦後の労苦を体験した方々が少なくなっている中、先の大戦の記憶を風化させることなく次世代に語り継いでいくことが課題であることを、評価書の施策の背景・枠組み、予算等々で書いております。
この施策目標を達成するために3つの指標を設定しております。指標1は援護年金等の裁定事務に関し、受給者等の高齢化が進んでいることに鑑み、その裁定を迅速に行うことが重要と考え、請求受付後6か月以内に裁定を行った件数の割合を指標として用いています。なお、目標値につきましては、過去5年間を平均して処理状況が92%であることから、これ以上に設定を行っております。
指標2及び3は、昭和館、しょうけい館とも展示施設ですので、指標としては入館者の増減をもって毎年の目標としております。より多くの方々が昭和館、しょうけい館に来館することが、戦没者遺族、戦傷病者及びその家族が体験した戦中・戦後の労苦を次世代に伝えることにつながると考え、入館者数を測定指標として設定し、前年度以上の入館者数を目標としております。
次に、次のページになりますけれども、総合判定です。全ての測定目標において、目標値をクリアしていたため、Aとしました。また、施策の有効性、効率性についても、指標1の請求から裁定に至るまでのシステムによる一元管理をはじめ、指標2、3では、新聞広告、雑誌等による広報活動や、企画展の開催など、予算が限られている中で毎年減らしながらも、できるだけの効果を維持することで、効果的な、効率的な実施に努めているところです。各指標の達成状況につきましては、資料2-2の添付資料に補足しておりますので、御参考にしていただければと思います。
最後に、今年で戦後73年を迎えようとしております。戦傷病者、戦没者遺族等は、先に述べましたとおり、高齢化が加速し、施策の対象者が年々減少していますが、引き続き着実な援護の実施が求められています。また、戦中・戦後の労苦の記憶を風化させることのないよう、昭和館、しょうけい館の活動を通じて、確実に次世代に伝えていくことが必要と考えております。したがって、平成30年度においても、このような施策を引き続き取り組んでいきたいと思っております。私からの説明は以上でございます。
 
○菊池座長
ありがとうございました。このテーマにつきまして、先ほどとは少し異なって、これから新たに発展を展開をしていくというものとは、また少し違った性格のものですので、なかなか目標の立て方等難しい面があると思いますが、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様から御意見等頂ければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 
○藤森委員
そうですね、受給者の皆様が高齢化される中で、処理目標を毎年度93%、請求の受付後6か月以内の裁定という目標を置くのは、迅速に対応しようということであり、国民にとっても分かりやすく、妥当ではないかと思います。それから、入館者数の増減をもって毎年の目標としておりますが、国民の立場で見ると、費用対効果みたいなものも情報として求められているのではないかと思います。先ほど予算が限られている中で御尽力されているという話がございましたけれども、それぞれ昭和館、しょうけい館の維持費がどれぐらいで、また入館者数を増やすために広告宣伝にどの程度使われているのかというところも、もしあれば教えていただければと思います。こうした点を目標に設定してほしいということではなくて、情報として必要ではないかと思っております。
 
○社会・援護局
広報活動としては、新聞広告ですとか、広報誌等の活用もしているところでございますが、先ほども申し上げましたが、老人クラブとか、小・中学校など、小・中学校については広報誌の配布がありますけれども、こちらからも文部科学省のほうに、社会科の担当教諭の会議・会合等で、昭和館、しょうけい館のパンフレット等を配布したりと、そういうところはやっております。
 
○藤森委員
特に数字的なところはございませんか。
 
○社会・援護局
来館者数に広報活動がどれぐらい結びついているかということではなくてですか。
 
○山田委員
維持費が大体ざっくりこの予算のどれくらいかというのを、藤森委員はお尋ねかと理解いたしましたが。大体ざっくりと、もちろん細かい数値をお持ちだと思うので。
 
○社会・援護局
予算額が平成30年度につきましては、昭和館の委託費については、約4億7,000万円です。しょうけい館につきましては、1億7,700万円程度です。
 
○社会・援護局
予算額については、大体今の昭和館が4億5,000万前後、しょうけい館が1億7,000万~1億8,000万前後でここ数年は推移しているところです。入館者数については純粋な広報活動の成果だけでなくマスコミの取上げ方による影響が大きいのが現状です。平成27年度などは70周年ということで、こちらからの働き掛け以上に入館者が増加したところがありますので、そういった盛り上がりがないところでいかに入館者を増やすかというところが、広報活動の重要性なのかなと考えております。
 
○菊池座長
ほかはいかがでしょうか。山田委員、何か。
 
○山田委員
直接関係ないのですが、この障害年金の972万円というのは年額ですか。
 
○社会・援護局
そうです。こちらは年額になります。一番高い額です。
 
○山田委員
関係ないのですが、どういう仕組み、これ制度の仕組みに係ってくる。
 
○社会・援護局
こちらは旧恩給法の別表で、障害の等差というのがあり、一番高いのが特別項症から始まります。それで、1項症、2項症、3項症、4項症、5項症、6項症、1款症。それで、軽度の障害になりますと、2款症、3款症、4款症、5款症になります。ここで言っている972万9,100円につきましては、年額になりまして、主立った障害となりますと、在籍中の発症によるハンセン氏病です。そういう方々に対しては一番高い給付となります。あとは、手を切断すると、こちらは第5項症となりまして、金額に直して年額約250万。その障害の等差に応じて年額が定められてという状況でございます。こちらが先ほど言いました、旧恩給法別表の第一の2及び3に掲げている内容です。
 
○山田委員
ありがとうございます。
 
○菊池座長
よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いいたします。どうも御苦労さまでした。
(メインテーブル交替)
 
○菊池座長
それでは、次のテーマに移ります。「高齢期の所得保障の重層化を図るため、私的年金制度の適切な整備及び運営を図ること」について、担当から15~20分程度で御説明をお願いいたします。
 
○年金局
高齢期の所得保障の重層化を図るため、私的年金制度の整備及び運営を図ることという施策ですが、概要にありますとおり、私的年金制度の普及・拡大を進めて、公的年金と相まって所得保障の重層化を図るという施策です。制度が幾つかに分かれておりますので、資料3-2で御用意させていただいたポンチ絵で、制度の概要や最近の取組などを御説明したいと思います。
評価様式の後ろにあるパワーポイントの横向きの資料を御覧ください。1ページ、公的年金と相まってと申しましたが、御案内のように公的年金として国民年金の基礎年金、厚生年金保険と黄色い所がありますが、その上乗せ、補完するために個人や企業が任意で導入・加入するという私的年金制度を幾つか用意しています。色でいいますと、オレンジがいわゆる企業年金で、企業が従業員のためにやる企業年金、上にiDeCoとありますが、上の帯や左の柱、青い所が、個人が加入する個人型の年金ということで、我々は両制度を併せて私的年金と呼んでいます。それらの制度をまとめて、この施策として講じております。
今、言いました企業年金、個人年金は、この2ページの枝分れ図から言うと、一番左に企業が実施、個人が加入とありますが、上が企業年金、下が個人年金と、私が言ったものに該当します。その中でも一番右の制度ベースでは、厚生年金基金や確定給付企業年金などがあります。この緑の所はいわば確定給付型という給付建ての、後ほど精査する年金です。真ん中の赤の2つは確定拠出年金といって、それが企業年金としてやっている企業型と、個人が加入するものに分かれています。国民年金基金という個人がやっている別の年金もあります。一番下の所がサラリーマンでない自営業者など、要は厚生年金がない方なので、その2階、3階を兼ねて入っていただく私的年金となっております。
3ページです。今、給付建てとか給付型と言いましたが、個人と企業という分け方のほかに、企業年金と私的年金は確定給付型と確定拠出型に分かれます。違いですが、確定給付型は給付をあらかじめ約束し、それに向けて掛金を拠出し運用するというもので、特に企業年金で行われていると、企業が運用し給付に必要な資産を積み立てる必要があるという責任を負っているものです。下のDCは確定拠出型で、確定拠出型のほうは拠出を決めた上で、それを加入者個人が運用する。我が国の制度でいうと、企業型で確定拠出年金という場合にも、お金を出すのは企業ですが運用するのは個人です。加入者自らが運用し、その運用結果で給付が決まるということで給付は決まっていないと。こういう大きな違いがあります。こうしますと、確定給付型ですと、事業主に積立責任が生じ、積立不足を生じると追加拠出等の負担があるということでリスクを事業主が負っていると。下のもので言うと、事業主にリスクはないけれども加入者が自己責任で結果を得る、という大きな違いがあります。
4ページです。両制度の掛金と給付の細かい制度の比較ですが、実は在職中に積み立てて高齢期でもらうという点はほぼ共通で、今言ったように運用の仕方が違うというところです。税制上の優遇もほぼ共通です。掛金が損金算入だったり、個人に対しては控除が効いたりということで、税制上の優遇が非常に大きなものとして、政策的に支援しているものです。これらの制度について、ここ2、3年の間に公的年金がマクロ経済スライドの導入などで給付調整がされ得るという背景もあり、個人のライフスタイルも多様化する中で、私的年金をもっと充実させようという議論をしてまいりました。そこで、ここ2年ぐらい前に制度改正をし、今ちょうど実施してきたという状況です。
5ページが確定拠出年金の制度改正の経緯です。ここ最近の話で言いますと、下から6つ目の平成28年5月という所です。改正確定拠出年金法の成立ということで法改正をし、法が成立し、段階的に幾つかの改正事項を施行しており、今年の5月に最後の内容が施行されたという段階です。
詳細はこれから御説明しますので、6ページ以降を御覧ください。確定拠出年金の改正ですが、やはり企業年金として行っていただく場合にも、より普及・拡大しようと、中小企業を中心に、私的年金制度はいろいろな意味で負担がありますから、我々の普及がまた十分ではないと思っており、普及・拡大のための施策を講じております。
1の1、2は、いずれも中小企業という言葉が書いてありますが、中小企業が導入しやすいような制度改善をいたしました。この制度は今年5月に施行されたばかりです。2の1ですが、個人に目を転じて、転職等をされる方も増えたりということで、実は個人ができる個人型確定拠出年金というのは、これまで対象者が限られていたのですが、これまでできなかった対象者も加入可能にし、ほぼ全国民ができるように大幅に広げました。これは、それに先立ち、昨年29年1月に実施しております。3ですが、確定拠出年金は個人が運用しますので、個人の運用を支援するための様々な制度改善も行っております。
7ページは、中小企業に確定拠出年金をやっていただく場合の支援ということですが、1つの例として7ページを御紹介します。右下の図を見ていただきますと、これは、iDeCoという個人型の確定拠出年金です。そこに会社が自分の会社の掛金も上乗せできるという、自ら企業年金制度として仕組まなくても個人があるところに上乗せすることも可能にし、もちろん、企業でやってもいいのですが、こういう選択肢も設けて、より中小企業が取り組みやすいような施策などをこの5月に導入しています。これから導入が進めばいいと思っているところです。
8ページは省略し、9ページを御覧ください。今度は個人サイドの拡大で御紹介したiDeCoという個人型の確定拠出年金です。個人が自分で掛金を掛け運用するこの制度については、9ページの緑の部分の方が、これまでは対象ではありませんでした。ですが、全員が対象になるように緑の部分も対象にしたということで、具体的には第3号被保険者と公的年金でいう専業主婦等の方、厚生年金保険の対象になるサラリーマンだけれども企業年金がある方、これまで企業年金をやっていると個人型はできなかったのですが、できるようになりました。あと公務員ということで広げております。これでほぼ6千万人以上の方が対象にはなりました。
10ページは、iDeCoというものが、もともと対象者が限られたこともあり、非常に利用が少なかったのですが、平成29年1月に拡大する前後から集中的に広報をし、昨年度も含めて強力に広報をしたということを縷々書いております。それが10、11ページ辺りです。
13ページを御覧ください。今までの御説明は、確定拠出年金という、確定拠出型の会社よりも個人のリスク、負担が多いもの、それの制度の改善でした。他方、確定給付企業年金という、企業に運用責任がある年金制度の改正です。従来型の私的年金でいうと、この企業年金が主流でしたし、確定給付企業年金をやっている場合のほうが多いのですが、これも一言で言いますと、バブルの崩壊後、運用環境の変化や企業会計の基準が厳しくなったこと等があり、なかなか会社がこのような確定給付型の運用責任を負うような施策、制度というのは負担が重くなってきており、導入も減りつつありました。このため、なるべく柔軟な形で制度を運営できるような形で数年、改正しております。これは法律改正までは不要だったので法律ではないのですが、政令等の改正で、この13ページの下から3行目ぐらいからあるリスク対応掛金など、リスクに対応できるように少し柔軟な運営ができる制度や、一番下の行にあるガバナンスの改善をして足腰を強くしていただくという改正をしてまいりました。
14ページが、その確定給付企業年金の制度のリスクに対応できるような制度改正で、少し細かいので、細かい説明は省略しますが、要は確定給付ですから、本来、確定された給付のために積み立てる責任が企業にあり、不足するとその都度、それを埋めなければいけない責任があります。しかし、不足したときではなく不足する前からリスクを見越して積んでおくことができることや、それと、あらかじめリスクを見越して積むプラス、それでも給付が足りないときには給付調整もできてしまうということも、厳重な労使合意を求めた上で可能とするリスク分担型企業年金というものも作りました。これは去年の1月から、iDeCoの拡大と同じ時期に実施しております。これによって、確定給付型の負担が大きくて手をこまねく企業などにも少しやっていただけるかなという期待で、柔軟に選択肢を設けたものです。
最後、15ページ以降が、もう1つ確定給付企業年金のガバナンス改革をしたということです。企業年金は正に集団で運用しますので、一般企業もそうですが、やはりガバナンスが非常に大事です。特にこの運用環境の変化にあって、オルタナティブを含めいろいろな運用をこれから工夫しなければならない時代になってきていますので、運用基本方針の策定を努力義務から義務付けとしたり等々の改正をし、これもこの4月からルールを強化しております。詳細は省略しますが、16ページや18ページにもルールが書いてあり、要は資産運用についてきちんと説明責任を果たしたり気を付けたりすることを求める改正をしてまいりました。それから、会計面をきちんとチェックするという改正をしてまいりました。ここ2、3年こういう改正をし、何とか中小企業年金や個人年金の利用が減らないようにという趣旨でやっているというのが、我が施策の現状です。
そのことを前提に実績評価書を見ていただき、今日の御議論である表の下の測定指標を御覧ください。任意の制度であることは前提にしつつ、やはり制度の利用者が広がることが必要だと思います。確定拠出年金、確定企業年金、国民年金基金は自営業者のための上乗せ基金ですが、この加入者数の延べの合計をこれまで測定しようとしてまいりました。実績としては平成24年から平成28年まで何とか増えてはいますが、確定拠出年金はまだ増えているのですが、確定給付型は運用の難しさから、そんなに増える状況ではなく、ですのでうちも、とんとんかなとヒヤヒヤしながら見てきたということです。平成28年度までの計画期間では、何とかぎりぎり減らないようにということで、前年度以上という目標にはしていたのですが、本会議での御指摘も頂き、平成29年度以降はそれまでの伸びを見て、伸び分ぐらいは毎年増えていくというぐらいの目標に切り替えて数字を入れるようになってきております。
肝心の平成29年度の最新数字ですが、一部の制度の数が出切れておらず集計中となっております。分かっている数字だけ見ますと、法改正をした、例えばiDeCoの拡大をしたばかりなどもあり、何とか増えている感じはしますけれども、まだ最終確定は出ておりませんが、増えてはいるかと思います。
次に、評価結果と今後の方向性です。そういうことで数が不十分で大変申し訳ないのですが、目標度合いの測定結果は2,目標達成ということかと思っております。総合判定はA、目標達成ということで、前期から少しずつ伸びているということと、ここには書いてありませんが、最新の数も、分かっている数だけで見ると、伸びているかなということで達成ということです。
施策の分析ですが、有効性の評価です。もともと私的年金は拡充をして、もっと利用していただきたいと思っていたわけで、その中、法改正をした代表のものを載せていますが、平成29年1月から法改正により、個人型確定拠出年金の範囲を拡大し、広報もやってきましたので、順調に伸びているということで、そこから制度改正もしましたし、有効に機能していると思います。平成29年1月の制度改正はiDeCoの拡大なのですが、その他の改正が今年に入っての施行だったりするので、なかなかそこの効果としてどうかというと、これからかなと思っている部分はありますが、是非、効果は出したいと思っています。
効率性ということでは、先ほど細かい説明は省いてしまいましたが、当課は実は行政経費はもともと余りない課です。国民年金基金の分に一部国家補助が入っている関係で、億単位であるのですが、数千万という中で、一般会計ですから、なかなか厳しい。その中で広報も本当はいっぱいお金を得てやりたいのですが、難しいので、何とか必要な予算要求はしつつ、別途、確定拠出年金はもともと民間と協力するような制度ですので、金融機関なども絡んでおります、そういうことで、企業等からの協賛金を募ったり、実施団体でそれを使って広報をしたり、政府広報などお金の掛からない広報などもかなり積極的に打ちました。そういうことで、今はiDeCoも増えているということで、効率的にはできているかなと思っております。
現状分析ですが、私的年金が重要だということで、普及は何とか少しずつ進んでいるということと、今回、制度改正でいろいろして選択肢は拡大したつもりですので、それを更に浸透させるということで、引き続きこの路線でいきたいと思っております。
次期目標等への反映の方向性はそういう趣旨で、この平成29年度以降は、前年度からの一定数の増加ということを目標値として、……平成29年度は50万人に増加、残りは40万人ずつ増加という感じなのですが、その一定数の増加を足していく目標値というものは堅持したいと思います。非常に今、我々は拡大基調のようにしたいのですが、選択肢は有しても、なかなか確定給付型を中心に運用環境などが変わると、企業もやることに躊躇しますので、我々が施策として選択肢を広げるから必ず増えるというものでもない世界なのがつらいところです。何が起こるか分からないという状況の中で、ヒヤヒヤしながら実績を見ているというのが実情です。少しずつ増えるという目標で、引き続き見ていきたいと思っております。以上です。
 
○菊池座長
ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、御質問等はありますか。
 
○山田委員
昨年の3月に議論した、加入者数の目標値を入れていただくということで御対応いただきまして、ありがとうございます。今の御説明の資料の1ページで、企業年金制度等に加入している者の割合が23.8%とあります。「企業年金制度等」と「加入者等」とありますけれども、これは2ページのものが全部、「企業年金制度等の仕組み」と書かれているので全部。で、しかも※にありますが、複数の制度に加入している加入者数を控除したのですね。これはかなり複雑な計算をやっていらっしゃるということですね。
 
○年金局
そうです。多分、推計を使いました。重複加入というのは、なかなかきれいな数字に見えないものですから、確かアンケート調査から取ったデータに、重複想定というのをして計算しています。
 
○山田委員
きちんと推計されていると。私もずっと気になっていたことなのです。重複加入者がどれくらいいるのか、それを除いて果たしてどれくらいの人たちが企業年金制度等に加入しているのかというのは、政策効果を確認するために、非常に重要な数字だと思ったのです。それを出していただいているということで、非常に勉強になりました。
その上で今後の話になるのですけれども、いろいろな推計の手法などで、例えば確定給付型を進めていくということであるのだったら、やはり確定給付についても、今回ではなく、推計手法が確定した暁には、どれだけ割合として入っているのかというものも頂きたい。
その上でさらに前回の菊池委員の発言では、適格退職年金がなくなった後、その人たちは一体どこに行っているのかと。その人たちがどこに行っているかというのは必ずしも必要ではなく、むしろ所得階層によってどういうように加入しているかというのを、平成30年度ではなく、今後の指標として、そういうものも御検討いただければというお願いをしたいと思います。
 
○年金局
ちょっと難しい。個人ベースではなかなか見えない、制度ベースで適年から移行とかなら分かりますし、あるのですけれども、確定給付企業年金をやっていても、会社の中で一定の割合の方は対象にしていなかったりするので、個人ベースでつかむのはなかなか現実には難しいのですが、おっしゃっていることは本来、分析しなければいけないとは思っております。ありがとうございます。
 
○藤森委員
多様な方々がいらっしゃいますので、一概には言えませんけれども、高齢者の所得保障というときに私などが気になるのは、第1号被保険者で、高齢期になってから1階立て部分を受けられる方々が、貧困に陥りやすいということです。【参考】指標2という、測定指標の下を見ますと、国民年金基金の受給者は上がっていますね。これはiDeCoの影響なのかどうかが、今ひとつ分からない。理由が何なのだろうと思ったのです。
 
○年金局
国民年金基金とiDeCoは別の制度なので、iDeCoと数は連動しないのです。この制度自体、平成3年にできた制度で、要は成熟度が上がると言うのでしょうか、だんだんと受給年齢になった方々が増えている段階なのです。ですから皆さん、そういう年頃になられた方が増えているというだけと言えばだけです。もちろん新たな加入者もいます。結局、こういう年金制度というのは、初めから、20代で入ると60歳までもらえませんので、30~40年は受給者が余り出ないのです。
 
○藤森委員
成熟度なのですね。この国民年金の基礎年金のみを受給される中で、どの程度の方々が国民年金基金を受給されているか、割合が分かればと思います。
 
○年金局
年金基金は今、ざっくり言いますと、自営業者等が900万人ぐらいいると思うので、年金基金に入っている人が40万人ぐらいですから、だから5%もいないです。iDeCoのほうが10何万人だったので、確定拠出年金はもともと入っていたのですけれども、最近増えてきました。ですから両方を合わせると、まだ100万人いかないような感じです。確かにもっと入っていただけるといいとは思うのですが。
 
○岩崎委員
中小事業主の納付制度ですが、非常に規模の小さい会社だと、老後の年金も当然給与に比例するから、若干少な目になるということで、こういう手当てをされるのはいいと思うのです。もし途中でお辞めになった場合でも、そもそも御自分が掛けていらっしゃることが前提なので、別に制度上大きな影響は受けないということで理解してよろしいでしょうか。
 
○年金局
ないです。7ページの部分については、もともと個人が自分で掛けているものというベースがあるので、その会社を辞められてしまったら、事業主の掛金はなくなってしまいますが、個人が持っているものはそのまま続けられます。
 
○岩崎委員
そのような仕組みということですね。今でも結構、いろいろなお金を事業者も負担していますが、本人も負担していますよね。更にこれに加入して同意するということは、金額にもよるのでしょうけれども、更に手取りの金額が減るということになりますよね。そういった辺りで、どのぐらいの加入を見込んでいらっしゃるのでしょうか。
 
○年金局
特に幾らというのはないのです。このiDeCoという個人型確定拠出年金というのは、もともと限度額があって、サラリーマンの方だと、多くて月2万円とか2万3,000円などです。実は、1か月5,000円からできるのです。ですから、うちでも「無理なく」と言っており、5,000円とか1万円でもやっていただく意味があるかなと思っています。うちが幾らというのは推奨していません。
 
○岩崎委員
まだ始まったばかりで、どれぐらいの見通しというのは特に考えていらっしゃらないのですか。
 
○年金局
そうですね。この制度自体、全く新しい制度ですから。もともと根っこにある個人が入るiDeCoというのは、今はもう80万人ぐらいになっていて、多分1人が月1万円とか2万円とか掛けていらっしゃるのです。そこに会社がどれだけ上乗せしてくれるか、中小企業にどれだけ使ってもらえるか。周知は一生懸命しているところです。
 
○菊池座長
国としては確定拠出に力を入れるというスタンスではないので、確定拠出、確定給付のどちらかに焦点を、あるいは両方に焦点を置いて、それぞれ減ったか増えたかというのは、なかなか指標にしづらいのでしょうね。
 
○年金局
そうですね。もちろん政策的にどちらがというのはないですし、どちらもというか、それぞれの状況に応じて、各企業や個人に考えていただくしかないと思っています。実際に、確定給付から確定拠出へのシフトが生じたというのは事実です。かといって確定給付も「本当はやりたいんだ」と言う企業もいらっしゃるので、なるべく柔軟にできるように、リスクヘッジのやり方をいろいろ考えたり、努力をしていきたいということです。
 
○菊池座長
指標の立て方はなかなか難しいというのは、今日も議論しました。例えば施策の現状分析の所、iDeCoの普及促進、中小企業への普及などが課題であるという御認識でいらっしゃるわけですから。ただし、指標として立てる以上は継続性というか、比較対照できないと指標とは言えないというところがあるので、その辺が難しいのです。しかし新たな政策目標が出てきた場合には、やはりそれを指標として立てる必要性もありますよね。これも事務局に対する質問でもあるわけですが。DBかDCかというところは、なかなか評価できないとしても、iDeCoを進めるというのは政府としても間違のない方向性ですよね。例えば、こういうものを指標として立てるのはどうですか。
 
○年金局
おっしゃるとおり、ここはいつも悩むのです。確かに可能な人に比べるとまだまだ入る余地があるのですけれども、個人が運用するという点で、市場などを見て躊躇する方もいらっしゃるのです。もちろん、こちらもなるべく安心して運用できるような支援は精一杯しているのです。しかし、個人がやるがゆえに、目標で引っ張り上げることができるのかなというのは、正直悩んでいるところです。去年、制度拡大を自活したので、確かにバーッとは増えたのですが、本当に増え続けてくれるのか。もちろん頑張るのですけれども、NISAとかいろいろな制度がある中で、iDeCoのほうが更にものすごく増えてくれるのかは、個人のライフプランに関する考え方によるところもあるので、難しいなというのは正直あります。怖いというのが率直なところです。
 
○岩崎委員
先ほどは申し上げにくかったのですけれども、中小企業がこの事務を行うというときに、労組の了解を得なければいけなかったり、これを更に給与計算に乗せたりしなければいけないですよね。そこに対しては企業の労力を持ち出すという形ですよね。
 
○年金局
事務負担などですかね。
 
○岩崎委員
そうですね。そういう辺りで、ちょっとしんどい仕組みというように映るかなと思ったのです。
 
○年金局
そうですね。実は、8ページのほうが更に面倒くさいのです。本来の企業年金としてやっていて、企業がお金も出して、事務も全部やって、書類も全部そろえてという制度を少し簡易化しましょうというものも、実は用意しているのです。7ページは、書類もそんなに要らないですとか、規約を作らなくてもいいですというように、更に中小企業の負担が軽いバージョンとして作ってきてもらいました。それでも確かに事務はあります、天引きしないといけませんし。しかし、企業の支援で更に個人の所得も豊かになりますので、やはり雇用関係がある中では、企業としても従業員のことを考えてほしいという思いなのです。思いがある加入者がいるのであれば、簡単なところから入れるようにという。
 
○岩崎委員
一番簡単なバージョンということですよね。
 
○年金局
これがそうです。
 
○菊池座長
指標の立て方がなかなか難しいのは分かりました。さりとて国としても、高齢期の所得保障の重層化を図るという大きな目標がある中で、iDeCoの普及促進とか、国民年金基金も受給者数ではなく加入者数をいかに増やすかといった目標を立てて施策を推進するというのも、政策評価の1つの役割、意味だとすれば、それを立ててやっていくことに政策評価を活用していただきたいというのが、こちら側の思いとしてあります。
 
○年金局
もちろん、おっしゃるとおり、もっとやっていかなければいけないと思っています。
 
○菊池座長
よろしいでしょうか。では、ありがとうございます。それでは本日の議論を踏まえ、実績評価書への反映をお願いいたします。どうも御苦労さまでした。
 
○年金局
どうもありがとうございました。
(年金局退室)
 
○菊池座長
続いて議事次第の(2)その他として事務局より報告事項があるようですので、よろしくお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
本日は3つのテーマについて、いろいろ御意見を頂いて、どうもありがとうございました。私からは参考資料5について、御報告をさせていただきたいと思います。御報告の前に、参考資料5の性格にも関係するのですけれども、今日は評価のタイミングではあったのですが、目標・指標設定に関して、幾つか御意見を頂きました。すぐに対応できるものもあれば、担当課へ1回持ち帰ってというお話もありました。福祉人材の話だと、障害福祉の人材でどう目標を作っていくのか、介護人材の基金の目標は立っていたけれども、もう少し直接的な質の向上につながるような指標にできないか、という御意見を頂きました。また、最後の企業年金・私的年金に関しては、制度が始まってまだ推計中で、数値を作っているというところもありますが、もう少し属性とか、iDeCoに着目した指標の設定ができないかという御意見を頂きました。
そういった意見は、会が年に2回しかないということもありますし、目標というのは政策の動向を見ながら追加していくという性格もあるので、事務局としても数年単位で引き継いでいかないといけないという意識を新たにしているところです。そのため、参考資料5では前回の会議で頂いた指摘事項を、現在はどういうように対応しているかということを整理させていただいております。これは3月に頂いたものですので、平成30年度の事前分析表の目標についてということではあったのですけれども、まず平成30年度の目標の中でどう対応しているかというのを、現時点でまとめさせていただいております。
ここは福祉・年金WGですので、参考資料5の整理票は、福祉・年金の分野での指摘事項を整理したものです。指摘事項を左にして、現時点でどのような取扱いになっているかを右に書いております。指標の追加や修正がすぐにできた部分もありますので、裏面は対応済みとしています。1ページは現在、統計を調べてみたけれども、すぐに使えるものがないということです。調査や統計というものは、数年のうちに変わったり追加したりということがあるので、引き続き検討中というか、研究させていただきたいという回答になっております。前回の3月の会議でも、その前の会議の指摘事項をこのようにまとめております。事務局としては次の目標ということで引き継いでいくのですけれども、会議資料としてもその時点の状況を御報告させていただいており、これを1つの目安として順次、目標の追加をやっていきたいと思っております。
もともと政策評価の目標というのは、5年を1つの枠組みで作っていますので、割と中長期的な宿題もありますけれども、やはり記録として残していくことが重要ですし、ここに書かせていただいたとおり、1つずつ改善しているところもあります。今は評価のタイミングなので、目標の結果ということで、少し性格が変わってしまうのですけれども、こういった整理票ということで記録し、ホームページに公開することを節目に改善を図っていきたいと思っております。以上、御報告です。
 
○菊池座長
それでは、これで本日予定している議事は終了となります。今日はいろいろと御議論いただきまして、先生方、どうもありがとうございました。
 
○山田委員
今、参考資料5について御説明いただいたところで、私も正にこれを是非お願いしたいと思っていたところに、この資料が出てきて大変有り難いと思います。今日も評価の日だったわけですが、1年半前に議論したことが反映されていなくて、そのまま出てきてしまっている部分がありますので、参考資料5のような形で、どの部分を修正していただきたいかという委員の意見を、きちんとまとめていただくことで、今後引き継がれ、反映されていくのではないかと期待しております。引き続きよろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
どうも御意見、ありがとうございます。ほかにありませんか。よろしいですか。本日も熱心かつ有意義な御議論を頂きまして、どうもありがとうございました。それでは事務局より、本日の議論の取扱いの説明をお願いいたします。
 
○政策評価官室長補佐
本日はどうもありがとうございました。本日の実績評価書の議論の結果などは、「学識経験を有する者の知見の活用」という所で記録をさせていただきます。あと、予算要求について書く所が未記載ですので、この辺りを全部埋めた上で、8月末に公表するということで作業をしたいと思います。加えて、今後の指標追加や目標の検討に関する御意見については、評価書とは別途、整理票の基となるようなものを省内で共有して、対応を進めていきたいと思っております。事務局からの御報告は以上です。
 
○菊池座長
ということで、今後とも御協力を頂ければ幸いでございます。忌憚のない御意見をよろしくお願いいたします。今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(了)

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