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2017年8月21日 第2回「中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会」議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成29年8月21日(月) 10:00~12:00


○場所

経済産業省別館 9階944会議室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)


○出席者

植松氏、小野木氏、柴田氏、高松氏、竹内氏、立石氏、原氏、前田氏、安永氏

○議題

(1)自治体からのヒアリング
(2)企業の働き方改革の取り組み紹介
(3)中小企業・小規模事業者における「働き方改革」実現に向けた対策(案)

○議事

○奈尾労働政策担当参事官 会議開始の前に、事務局のほうからお知らせでございます。

 まず、お手元の資料を確認させていただきたいのですが、本検討会はペーパーレス化に取り組んでございますので、皆様方の机上にiPadが配付されているかと思います。使い方につきましては、机上に資料を配付してございますが、もし御不明な点などありましたら、お近くの事務局職員までお申しつけいただければと思います。

 お手元のiPadでございますが、本日使用します会議資料が表示されているか御確認をさせていただきたいと思います。右のほうに四角のボタンがあって、これを押すとホームページになりまして、それを右側にスライドしていただきますと、真ん中あたりの右側に青いファイルエクスプローラーというものがありまして、そこの中に入っております。

 資料1が「開催要項(修正案)」、資料2-1から5までが各県提出資料、資料3が株式会社エムワンさん御提出資料、参考資料1と2として「その他自治体からの提出資料」「委員からの提出資料」。資料として、中小企業・小規模事業者における「働き方改革」実現に向けた対策(案)について、番号で言うと11番が机上配付の扱いでございます。

 以上、お揃いかどうか御確認いただきまして、不足等ありましたら、お手数ですけれども事務局にお申しつけいただければと思います。

○佐藤座長 資料というかiPadですけれども、使い方とかはよろしいですか。

 それでは、ただいまから第2回「中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会」を始めさせていただきます。

 お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。

 本日は、川野先生、北浦先生、藻谷先生におかれましては、所用により欠席と伺っております。伊藤先生の代理として高橋先生、若林先生の代理として石倉先生にそれぞれ御出席いただいております。

 また、本日より新しく本検討会委員に御就任いただきました委員を御紹介させていただきます。資料1「開催要項(修正案)」の別紙をご覧ください。

 株式会社エムワン人事部課長、柴田佐織様。

 日本政策金融公庫総合研究所小規模企業研究第一グループ主席研究員、竹内英二様。

 それでは、早速ですが議事に入らせていただきます。

 今日は、議題(1)、(2)にありますように、最初にヒアリングをやらせていただきます。ヒアリングにつきましては、自治体の他、本日、委員に御就任いただきました柴田先生よりお話を伺うこととしたいと思います。

 ヒアリングについては、後で御説明しますけれども、秋田県産業労働部雇用労働政策課長の高橋博英様、広島県産業労働部長の海田智浩様、山口県商工労働部次長総括働き方改革担当の中野恵様、高知県商工労働部副部長の麻岡誠司様、大分県商工労働部長の神崎忠彦様、後でそれぞれお話を伺うことになります。

 また、北海道、岩手県、茨城県、三重県、京都府、鳥取県、鹿児島県につきましては、今回、御出席いただいておりませんが、現在の取り組み状況について資料をいただいております。

 それでは、ヒアリングを始めたいと思います。まず、今、御紹介した都道府県の方からプレゼンしていただいて、その後、株式会社エムワンの柴田様からお話をいただくことにしたいと思います。

 恐縮ですが、お一人10分以内で御報告いただいて、まとめて最後、質疑としたいと思います。

 初めに、高橋様からお願いいたします。

 事前に資料2-1がありますので、秋田県提出資料を開いてお話を伺っていただければと思います。よろしくお願いします。

○秋田県高橋雇用労働政策課長 皆様、おはようございます。秋田県雇用労働政策課長の高橋と申します。

 最初のプレゼンということで、大変恐縮でございますが、どうかよろしくお願いします。

 ただ、出鼻をくじいて大変申しわけないのですが、1点お詫びと1点お断りがございます。お詫びのほうは、先月下旬、本県では大雨に見舞われまして、大きな被害を受けて、本日、実は臨時議会が開催されていまして、災害復旧のための補正予算が審議されております。その審議の関係で、私どもの部長、次長が出席できず、私は課長ですが出席させていただきました。どうかよろしくお願いいたします。

 もう一点は、他県の皆様の発表が、既に組織なりを設置して現在取り組んでいらっしゃること、さらにそれに基づいて、これから取り組もうとしていらっしゃることを発表なさるようですが、私どもの今日の話は、これから会議を設置しようということで、むしろ設置に至った危機感であるとか経緯といったお話になってしまうと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、限られた時間でございますので、お話を始めます。

 資料をご覧ください。上のほうに青字で1番、2番とページを打ってございます。まず「1 秋田県の人口減少対策について」です。どこの自治体におきましても、現在、人口減少対策が喫緊の課題ということですが、全国一早いスピードで人口減少が続く本県にとっても、人口減少は非常に重大な課題でございまして、右上にありますとおり、実は100万人からずっと減ってきて、この4月に、ついに100万人の大台を切ったということで、地元では大きな話題になりましたし、また、県としても非常に危機感を感じているところでございます。

 これに対しまして、平成27年度に「あきた未来総合戦略」という人口減少のための対策をつくりまして、4つの柱、下のほうの(3)は自然減対策、(4)はいわゆる共助と言われるような対策ですけれども、社会減のための対策として、産業労働部として産業振興の対策をやっておりますし、移住・定住関係、Uターン、Iターンは各県で手がけていらっしゃると思いますけれども、秋田県の場合はAターンと言いまして、「秋田」と「ALLTURN」をかけまして、よくあります首都圏で求職者に登録いただいて、地元企業のほうでは求人を出していただく。このマッチングを図るという事業を行っております。

 2をご覧ください。左上のグラフなのですけれども、Aターン登録と就職者数の推移ということで、大体1,000人を超えるような就職者数、このAターン登録に基づいた就職を目標にしておりますが、なかなかこれが実績どおりに行っておりません。青い字が新規の登録者数でございまして、こちらは少しふえておりますけれども、実際のマッチングなり県内への就職に至るところが、頑張っているけれどもなかなか思うように行っていないところです。

 上の右側の表は、県内の高校卒業者の、オレンジのところは県内就職、青い棒は県外就職、それから緑の折れ線グラフが県内就職率です。この県内就職率を高めようと頑張っております。29年3月卒時点では66%ということですが、75くらいの目標を設定しておりますが、これもなかなか苦戦しているところです。

 下の2つの表は、人手不足とよく言われておりますけれども、左側のほうは求人はふえているし、求職が非常に減ってきている。人口減少と相まって、本県におきまして人手不足が懸念されるような現状にございます。

 次は、働き方改革を担って進めていくところの中小企業の現状でございますけれども、左側にありますとおり、これもどこの県でも同じだと思いますが、有効求人倍率、倒産件数等は最近、好転しておりますけれども、その下のところが本県の場合、残念ながらネガティブな数字が続いておりまして、開業率が低迷している。後継者の不在率も高い。経営者の平均年齢も上がっているという状況にございます。

 こうした中で、右側にありますとおり、中小企業の数も減少しておりまして、右下の表にありますような人口減少から始まるような負の流れ、少子高齢化が進行して、中小企業活動が停滞し、また雇用の減少につながるという流れを何とか遅くするために、さまざまな中小企業振興施策を講じている状況でございます。

 次のページをご覧ください。4番は、秋田県と全国、それから東京都との賃金の比較でございます。賃金構造基本統計調査に基づいた月額賃金を、産業全体と各業種別に挙げておりますけれども、全国を100とした場合の秋田県の月額賃金の指数で言いますと、初任給額でいずれも大体9割程度、それから下のほうが所定内給与になっておりますけれども、こちらが7~8割程度といった賃金水準になっております。

 次のページは、労働時間と女性管理職の収入割合ですけれども、年間総労働時間につきましても全国を上回っている。少しずつ減ってはきていますけれども、まだ全国には追いつかずに、長時間労働が続いている現状ですし、下のほうは県の調査によるものですけれども、県内企業における役員から係長相当職に至るまで、全体の働き手を100とした場合、どれぐらいの比率になるかということで見た場合に、女性の役員は1.4、部長相当職は0.5ということで、まだまだ女性の活躍の余地があり、このところを高めていかなければならないところでございます。

 次のページをご覧ください。「秋田いきいきワーク推進会議」についてですが、これは各都道府県、現在、全てにおいて厚生労働省の本省からのお声かけで、各労働局なりが働き方改革と申しますか、就労条件の改善等を検討するための会議を設置しておりまして、本県におきましても、4番にありますとおり秋田労働局が主催いたしまして、いきいきと働き続けられる環境づくりということで、労使や行政機関等が意見を述べ合うための会議で、ここにあるような長時間労働防止等の就労改善あるいは女性の活躍推進等について、年に1回程度の会議を開催して、問題点等について話し合いをしています。

 委員の構成は、ここにありますとおり、各界のトップの方に就任していただいて、認識を共有している状況でございます。

 下のほうにあります「これまでの活動実績」といたしましては、また次のところでも出てきますけれども、年度に1回ずつ、全体の会議を行いまして、それとは別に、秋田労働局におきまして、こういった会議に提供する資料作成等のために、28年度において労働実態調査ということでアンケート調査を行っております。それから、その後にこういった働き方改革の趣旨等を県内の企業等を回りまして広報、周知活動を行っております。

 また、その過程において、アンケート調査を補完するような実態のヒアリング調査あるいは先進的な取り組み事例を収集しているという現状にございます。

 8ページは、労働局が行いました労働実態調査の結果から抜粋したものでございます。事業主の調査と労働者の調査を行っております。事業主の調査の中の1項目ですけれども、人材採用があなたの会社ではできていますかという質問に対しまして、上の左側で「必要な人材を十分採用できている」「必要な要件の幅を広げて募集するなどしてある程度採用できている」を足しますと49.7%。一方で、「必要な人材が余り採用できていない」「必要な人材がほとんど採用できていない」を足しますと51%ということで、数は拮抗しておりますけれども、だんだん右側の採用できていないというところが多くなってくるのかなと思っております。

 また、それによる弊害につきましても、「退職者の補充が十分にできていない」とか「業務の拡大・転換・向上が困難になってきている」といったことがありまして、下のほうにありますのは、こういった状況を受けまして、非正社員の正社員転換を進めている、あるいはこれから進めようとしているというところが約7割に上っているという現状にございます。

 9ページは、働いている方の調査でございます。上が労働者全体、下がパート、アルバイト、契約社員等に対してのアンケートの回答でございます。

 上のほうにつきましては、先ほど、本県は全国レベルに比べましても賃金水準が非常に低いというお話をしましたけれども、賃金を上げてほしいというところ。また、パートにおきましても、賃金であるとかボーナス、退職金などという経済的な要求が第一です。その次に、人員増であるとか職場環境の改善が続いております。

10ページは「秋田いきいきワーク推進会議」のこれまでの会議の開催状況と、これから設置しようとしております「秋田県公労使会議」の関係について説明した資料でございます。

 先ほど御説明しましたとおり、いきいきワーク推進会議は平成27年度末に設置いたしまして、これまで年度に1回ずつ会議を開催しておりますほか、労働局では上の真ん中にありますような活動を行っている。県庁も協力して行っておりますけれども、このような状況でございます。

 右側の赤字にありますとおり、皆様の議論の中で、働き方改革を進めるためには、企業を支援する産業振興施策が一体不可分だと。これも一緒にやっていかなければいけないという意見であるとか、全体の皆さんが集まって話をすることに意味があるのだけれども、業種ごとに、共通した土俵の中で話をして、ある程度、課題を浮き彫りにしながら取り組んでいく必要があるのではないかといった意見がございました。

 そこで、平成29年度はいきいきワークの会議は、11月に第3回目の会議として全体会議を行う予定でございまして、先ほど御説明したような労働局の取り組みも、その準備として行われております。

 それを受けまして、県庁といたしまして秋田県公労使会議を設置することにいたしました。これは、左側にありますとおり、先ほど来ありますような中小企業等の賃金等の処遇面、就労環境の改善に向けて協議すること。それから、人口の社会減緩和のために魅力ある環境づくりを推進するということで、本県におきまして製造業と商業・サービス業の2つの業種において、関係者で議論していこうと。そして、業種別に論点について話し合いをし、来年の1月ころには労働局と協力しまして、一般県民向けのシンポジウムを開催して普及していこうといったことを考えております。

 なぜ、この2業種になったのかということは、業種別で考えた場合に、これ以外に主要業種といいますと福祉、建設関係がございますけれども、実はこの2つの業種につきましては、本県の県庁の中で、担い手不足の危機感から、公労使というのは働いているという枠組みは別にいたしまして、関係機関の皆様でそういった検討する設置会議が既に立ち上げられているということで、また、我々は産業労働部ということで、この2つの業種について特化して会議を開催しようということで設置したものでございます。

 最後のページでございますけれども、冒頭でお話しいたしましたとおり、これから行うことの説明になりますけれども、「1 目的」は、ここにありますとおり「製造業」「商業・サービス業」の2業種別に課題を掘り下げた協議を行う。こうした協議の結果により、可能な限り魅力ある職場づくりの拡大であるとか、若年者の県内就職促進等につなげる。

 「2 協議事項」といたしましては、ここにありますような就労関係整備であるとか、女性の活躍推進といったことをテーマとして協議したいと思っております。

 「3 委員の構成」につきまして、経営者のところが、よくありますのは商工団体の代表者等に入っていただくのですが、我々はあくまで経営者の生の声を聞きたいということで、実際の社長であるとか人事関係の役員という方を代表の方としていただく

 あとは、労働者は労働組合の役員。有識者につきましては、経営コンサルタントや労務士はよくありますけれども、先ほどお話ししたような商工団体、銀行等の金融機関といった方には、むしろ有識者として入っていただいて、議論に参加していただきます。

 座長は、県の産業労働部長が務めて、その関係者の皆様に話を振っていくという形で話を進めます。未来創造部は、秋田県庁で人口減少の対策をするために独自に設置した部でございまして、この関係の部の2人の部長が参加しながら、こういった議論を進めていくということでございます。

 「4 開催回数」のところで、今年度中に2業種別に2回開催したいと思っておりますが、第1回の会議は来月、立て続けにこの2つの業種について行う予定でございます。

 こういった議論を経まして、ある程度、他の中小企業に対して、出された意見を普及させていったり、さらにシンポジウム等で幅広く県内にこの働き方改革の取り組みを推進していきたいといったような内容で考えておりますのが、秋田県の現時点での状況でございます。

 以上で説明を終わらせていただきます。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。

 次に、広島県の海田様お願いします。

 資料は2-2をあけていただければと思います。お願いします。

○広島県海田産業労働部長 広島県商工労働局産業労働部長の海田でございます。本日は、このような発表の場を設置していただきまして、ありがとうございます。

 広島県の働き方改革の取り組みについてでございます。この資料は、県内の企業向けにつくった資料を抜粋していますので、表現がそういう表現になってございますので、そこを御了承ください。

 次のページでございます。広島県では、平成2710月に「ひろしま未来チャレンジビジョン」を改定いたしまして、「仕事でチャレンジ!暮らしをエンジョイ!活気あふれる広島県」、仕事も暮らしも、どちらも諦めない欲張りなライフスタイルの実現を目指して取り組んでいるところでございます。

 次のページでございます。そういう中で、新たな施策領域といたしまして「働き方改革」ということで目標に掲げてございますが、県民一人一人が仕事と暮らしのどちらも諦めることなく、質の高い働き方を追求できる環境づくりをしようということで、下のとおりそれぞれ目標を、働き方改革を実施している企業の割合を平成32年には80%とか、就労働時間60時間以上の雇用者の割合を6.1%とか、女性の活躍、生産性向上それぞれ目標を定めているところでございます。

 次のページをお願いします。そういう中で、28年4月に県庁内ではございますが局横断的な推進体制ということで「働き方改革推進チーム」を設置いたしまして、職場の環境づくりと生産性の向上の一体的推進と機運の醸成、県庁内の取り組みを一体的にやろうということで立ち上げたところでございます。

 そういう中で、28年度は働き方改革の実態調査とコンサルの有効性の検証を行いながら、企業の取り組みに応じた支援策の検討を行ってまいりました。

 次のページをお願いいたします。そういう中で、今年度からは働き方改革と女性活躍が表裏一体といいますか密接不可分な関係から、働き方改革推進・働く女性応援課という専属の課を設置いたしまして、チーム名も働き方改革推進・働く女性応援チームに再編いたしまして、働き方改革と女性の働きやすさ日本一の実現を目指した取り組みを一体的に取り組んでいるところでございます。

 実質、働き方改革の取り組みを、実行初年度ということで今、取り組んでいるところでございます。

 次のページ、「県内企業の働き方改革は?」という現状でございます。

 7ページでございます。そういう中で、昨年、県内企業の働き方改革の取り組み状況を初めて調査いたしました。従業員数31人以上の企業、約3,100社を対象に、41%の回答をいただいたところでございます。

 その結果は8ページでございます。経営者の意識と取り組みの進捗状況で分類しますと、赤字になりますが、経営者の意識が左側にありまして、働き方改革を認知していない、意義を感じていないという未認知企業が20.7%、その隣、共感企業という表現を使っていますが、働き方改革の意義に共感しているが、取り組みに未着手という企業が43.8%。

 しくみ、行動、成果が出ているものが実施企業ということで35%ございますが、実施企業の中でも、進捗度合いが違うということで、ここも3つに分けてございます。実施度Cからいきますと、仕組みをつくり、取り組みを始めているところが実施度C。実施度Bは、PDCAを回しながら成果が出始めている。実施度Aとしましては、成果が出ており、組織風土としても定着しているということで、3段階で分類したところでございます。

 次のページをお願いします。それをピラミッドであらわした図でございます。

10ページをお願いいたします。働き方改革の取り組みの内容でございますが、分析しますと、女性や高齢者など働く人が求める多様な働き方、フレックスタイムとか短時間勤務、在宅勤務などが低調という状況の結果になってございます。

11ページをお願いいたします。経営者の意識としては75%以上が意義を感じている。ただ、実施企業は35.5%。見ていただくとわかりますように、実施度が高いほど、取り組みができている企業ほど経営者の意識も高いという結果になっております。

12ページをお願いします。取り組む上での課題の第1位は「業務量に対する適正要員確保」が6割あります。人材確保が大きな課題ではありますが、本当に負のスパイラルに陥っているのではないですかということで、問題提起をしているところでございます。

13ページをお願いいたします。従業員の意識の把握状況につきましても、共感が7割、実施度Cでも5割、やはり従業員の意識を把握していない。従業員の意識をしっかり把握しないと、働き方改革は進みませんということをグラフであらわしております。

14ページをお願いいたします。働き方改革に取り組んでいる企業では、さまざまな効果が出ている。女性活躍や人材確保、企業イメージの向上も効果として上がっています。

15ページをお願いいたします。労働時間や休暇を見ましても、取り組みが進んでいる企業ほど労働時間の短縮、休暇取得率が向上している。

16ページをお願いいたします。経常利益と新卒採用充足率も、取り組みが進んでいる企業ほど良好です。ただし、新卒採用者の充足率は企業規模との相関がございますが、経常利益のほうは相関関係がございません。

17ページをお願いします。生産性関連指標も、取り組みが進んでいる企業ほど良好という結果が出ております。

18ページでございます。課題でございますが、先ほど言いましたが「業務量に対する適正要員の確保」や「従業員・管理職の意識改革」が共通課題でございますが、取り組み方法やノウハウの不足も結果として高い課題になってございます。

19ページです。それを実施度から見ての全体では35.6%ですが、やはり共感企業が40.4%で高い状況でございます。この辺が、行政として後押しできるのではないかと考えているところでございます。

20ページをお願いします。労働時間の短縮に取り組む上での課題でございますが、社外の影響を受ける課題や困難な課題もある一方、仕事の進め方に無駄があるなど、社内だけで取り組める課題も多くあるという結果になってございます。

21ページをお願いいたします。従業員規模や業種別でもさまざまな課題がある。従業員規模で見たら、やはり従業員が多い大企業ほど実施ができている。業種別で見ますと、運輸業の未認知が多いという結果が出ていますし、右側にございますけれども、業界によってさまざまな課題があるという結果になっております。

22ページでございます。働き方改革は、大手企業だけではございません。率からすると少ないのですが、数からすると今回の調査では一番多かった、中小でもできるところはやっていますということで、取り組んでいる企業もあるという結果になってございます。

24ページをお願いします。そういう中で、取り組み状況でございますが、「ねらい」に書いてございますように、優良事例の創出・見える化によりまして、県内の取り組みの裾野を広げていく、ワンランク上に上げていただくことの行動の後押し。これならば我が社もできるというようなものをどんどん見せていきたいと考えているところで、しっかり情報発信なり機運の醸成をやっていきたいと考えております。

25ページでございます。実際の見える化・情報発信の取り組みの一つでございます。働き方改革実践企業認定制度というもの、今年度、経済団体に全県的な認定制度をつくっていただきましたので、その優良認定企業の取り組み事例を優良事例として見える化・情報発信することで促進していきたい。年2回認定いたしまして、今年度、50社認定していただこう。平成32年までに300社認定して、これならば我が社もできるというのをどんどん出していきたいと考えてございます。

 下にありますが、従業員の意識調査の方法や優良企業の取り組み事例等を盛り込んだマニュアルを作成し、県内企業にも提供する予定でございます。

26ページをお願いいたします。見える化のもう一つとしまして、中小企業に専門コンサルを派遣いたしまして、身近なモデル企業の創出を行いたい。今年度、5社行う予定でございますが、2年間で10社、教材になるような中小企業を業種別、従業員別で創出しまして、先ほど言いました実施度Bになるような企業をつくっていきたいと考えてございます。

 実はこれは1社25万かかりますが、参加する企業には25万円負担していただきまして取り組んでいただく。成功しますと、25万円を奨励金として払うという格好で考えているところでございます。

27ページでございます。そのほかの行動の後押しとしまして、経営者層への働きかけ、経営者トップに対する勉強会とか、県庁内に推進員を3名配置していますので、直接アプローチする。

28ページをお願いします。また、初期段階の現状把握や分析、改善提案を実施していくための外部アドバイザーの派遣、また、トップだけでなく、県内企業のナンバー2といいますか、経営者層、人事担当者も対象にした人材育成支援の研修を行うこととしております。

29ページでございます。女性活躍についても、これまで研究会、報告会、出前講座、セミナーで働く女性の応援をやってまいりました。

30ページでございます。キャリアアップを支援する研修を開始するなど見直しをするとともに、女性活躍につきましても先進的で活用度の高い取り組み事例を収集し、広く発信していこうと考えております。

31ページでございます。一方、イクボスの輪という格好で、イクボスの輪をどんどん広げていきます。

32ページでございます。広島県では、誰もが働きやすい職場づくりを目指す経営者「イクボス同盟ひろしま」を設けておりまして、現在、125名に参加していただきまして、イクボスの輪をどんどん広げていく取り組みをしております。

33ページでございます。勉強会とかワークショップとか成果発表会などをやっていくこととしております。

34ページでございます。県内の機運醸成という格好で「働き方改革推進・働く女性応援会議ひろしま」という組織を立ち上げてございますが、これは平成281026日に発足となっていますが、もともと「働く女性応援会議ひろしま」というものがございました。これを発展、改組させまして「働き方改革推進・働く女性応援会議ひろしま」といたしまして、構成団体の中に金融機関と教育機関を新たに加えまして、働き方改革推進。これは行政のほうも全市町入っていまして、県内全体で取り組む構成団体としております。

 この中で、企業への情報発信とか企業の取組促進とかフォーラムの開催などをやることとしてございます。

35ページでございます。大きなイベントとしまして9月9日にフォーラム「WIT2017」という、働き方改革と働く女性のフォーラムを、昨年、三重県のほうで女性活躍をテーマとして「WIT2016」をやりましたのを、そのバトンを受けて、広島で今年度やることとしています。

 これを契機にしまして、県内でもいろいろな関連イベントをやりながら、機運醸成をしていくこととしております。

36ページ、生産性の向上でございます。これについても、世代別の人材育成の施策、それから37ページでございますが、多様な人材が集まるイノベーションの場の創出、38ページでございますが、企業の成果に応じた支援という格好で、生産性の向上に取り組んでいるところでございます。

39ページでございます。サービス産業の生産性向上支援という格好で、労働生産性が低いサービス産業は、県内で総生産の7割を占めますので、この生産性向上のために、意識改革とかIT利活用のセミナーとか相談会をやることとしております。

 一方、人材確保の観点から、若い人に中小企業にどんどん就職していただきたいということで、特に広島県では、UIJなどの3番目にございますが、第2新卒向けの転出抑制・転入促進という格好で、今年度初の取り組みでございますが、3年以内に辞めた方をメーンに対象としまして、8月1415日のお盆の期間に第2新卒に向けました中小企業50社に集まってもらいますふるさと広島での転職フェアを開催したところでございます。

 そのほか、人手不足産業における現場人材確保対策連絡会議を行っているところでございます。

 最後になりますが、企業も「働き方」で選ばれる時代でございます。働き方改革は待ったなしということで、働き方改革をやることによりまして、社員の満足度の生産性アップ、企業価値の向上、多様な人材確保ということで、働き方の好循環をつくっていきたいということで、広島県ではしっかりこういうことで企業の後押しをやっていくこととしております。

 以上でございます。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。

 次に、山口県の中野様から御報告をいただきます。

 資料は2-3をあけていただければと思います。

○山口県中野商工労働部次長 本日は、山口県の働き方改革の取り組みを紹介する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。私は、山口県商工労働部次長の中野でございます。

 商工労働部次長ということで、部内の総括とあわせまして、働き方改革担当という命も受けておりまして、県内の働き方改革の取りまとめをしている立場でございます。

 まず、山口県の現状について御説明いたします。グラフが2つございますけれども、まず左のほう、人口減少なのですけれども、山口県の人口は昭和60年には160万人だったのですが、現在は140万人ということで、30年間で20万人減少しています。

 この人口減少の内容を年齢階級別に見ますと、15歳から29歳までの若い世代を中心とする大都市圏への人口流出が著しくて、特に男性よりも女性の流出が多いというのが特徴でございます。

 右のグラフですけれども、労働力率につきましても、女性の25歳から34歳までの年齢層で全国平均を下回っているというのが特徴でございます。

 この理由として指摘されているのが、内閣府の調査によりますと、固定的な役割分担意識と申しますか、男性は外で働き、女性は家庭を守るというような意識を持つ人の割合が山口県は49.2%ということで、全国で3番目に高いということでございまして、この辺が根底にあるのかなということでございます。こういった意識を変えていく。女性が希望する業職種と求人のミスマッチを解消していくことで、女性の労働力率が低い状況を打破していきたいと考えております。

 また、資料にはございませんけれども、本県の企業の状況ですが、瀬戸内海側にコンビナートが形成されておりまして、素材型産業を中心に大企業もあるわけなのですけれども、全体で4万2,000社ほどございまして、99.9%が中小企業という状況でございます。地域経済、雇用を支える重要な中小企業なのですけれども、今後、さらに人口減少が進んでいく中で、経済規模の縮小による影響が懸念されているところでございます。

 次の資料をご覧ください。こうした中、山口県では国の地方創生推進交付金を活用しながら、地方創生の柱の一つとして、働き方改革に積極的に取り組んでいるところでございます。

 左のほうですが、まず、働き方改革を全県的に進めるための体制としまして、村岡知事をトップとする「やまぐち働き方改革推進会議」を去年の8月、国の実現会議より先に立ち上げたという状況でございます。この推進会議は、労働団体、経営者団体を初めとしまして、金融機関、大学、山口労働局などの行政機関等15団体、16名の委員で構成されております。これまでに3回ほど開催いたしまして、昨年12月には、右側にございます「やまぐち働き方改革宣言」を行いました。この宣言によりまして、推進会議の設立を県民に広くアピールするとともに、機運を高めようということでございます。

 左下にありますが、昨年9月に「やまぐち働き方改革支援センター」を開設いたしました。働き方改革に関する企業の課題解決を支援するためのいろいろな相談に応じようということでございます。このセンターは、山口県の若者就職支援センターの中に開設しておりますので、若者の定着やマッチング支援と働き方改革の取り組みを一体的に進めることが特徴でございます。

 このセンターには、社会保険労務士を含む2名の専任アドバイザーを配置しておりまして、開設以来、約10カ月なのですけれども、160社余りの企業を訪問いたしまして、個別の企業の状況に応じて業務の効率化等に向けた職場環境づくりなどについて提案をしているところでございます。

 次の資料をお願いします。山口県の働き方改革の主な取り組みについて御紹介いたします。

 働き方改革の実現に向けた課題は非常に多岐にわたるわけなのですけれども、今年度、推進会議では「長時間労働の縮減」と「女性が活躍できる職場環境づくり」の2つを重点テーマとして設定いたしまして、取り組みを進めているところでございます。

 まず、全県的な機運醸成としまして、長時間労働の縮減に向けた年次有給休暇の取得促進キャンペーンを今、実施しております。年休の取得促進は、中小企業か大企業かとか、従業員か管理者かといったものを問わず、会社全体で誰もが取り組むことができる。また、業務の効率化やマネジメントの向上に向けた企業の具体的な取り組みに直結するテーマでございますので、今回、キャンペーンのテーマに選んで実施しております。

 このキャンペーンでは、県内事業所の自由参加方式といたしまして、あらかじめ年休の取得目標を定めて申し込んでいただきます。そして、基準を満たす業績を上げられた事業所については、今、年明けを予定しておりますが、そのお名前を新聞やホームページで公表し、働き方改革に積極的な企業ということで広くPRすることとしております。

 現在、推進会議の構成団体が総力を挙げて、県内事業所に取り組みへの参加を呼びかけているところでございます。

 次の資料をお願いいたします。働き方改革について、中小企業の皆さんとお話をしますと、働き方改革が必要ということは総論ではわかるのですけれども、人手不足という現実の中で、具体的にうちに何が取り組めるのか教えてほしいという声をよくお聞きします。そこで、県内の企業において、働き方改革が生産性の向上につながった身近な成功事例をぜひつくりたい。その取り組みを、広く波及させていくことが必要ではないかと考えました。

 このため、今年度の新規事業といたしまして、まず、企業内で働き方改革を先頭になって推進する職場リーダーを養成しようということで、今、講座を開いております。10月頃までにこの講座を終えまして、そのうちの数社には、別途コンサルタントを派遣いたしまして、徹底的に取り組んでいただく。そういった成果を中間報告、最終報告という形で2回、公開で発表してもらうこととしておりまして、これを身近な成功事例として企業の皆様に広く紹介し、自分たちにもできるのだという意識を持っていただきたいと考えているところでございます。

 次に、本県では、働き方改革に積極的に取り組み、すぐれた業績を有する企業を「誰もが活躍できるやまぐちの企業」として認定する制度を新設いたしました。この制度では、働きやすい職場環境づくりや出産、育児、介護と仕事との両立支援、若者、女性、高齢者、障害者など多様な人材の活用と、企業のチャレンジ精神のある取り組みあるいは労働生産性の向上に向けた取り組みなど、幅広い評価項目を設けまして、一定数以上の項目を達成した企業を認定することとしております。第1回の認定は、今年今年の11月頃に行う予定でございます。

 この認定企業に対しましては、民間就活サイトで企業情報の発信をするとか、大都市圏での転職フェアへの出展をサポートするとか、人材確保を強力に支援することとしております。

 次の資料をお願いします。冒頭、説明しましたように、本県の課題であります女性の活躍促進に向けまして、仕事と家庭の両立支援に加えまして、子育て中の女性を対象とする再就職支援に力を入れております。職場体験やスキルアップ研修、マッチングイベントの開催など、幅広く取り組んでいるところです。

 女性を含む若者の県内就職を促進するために、右のほうですけれども、県内中小企業の魅力情報を県内外に積極的に発信するということで、PR動画やリーフレットを作成しております。また、保護者を対象としたハンドブックや企業見学ツアーの開催、インターンシップの推進、大学との就職支援協定の締結といったもので、本県では、若者のマッチング支援まで含めた幅広い働き方改革に取り組んでいるところでございます。

 本県の取り組みの主な概要は、以上でございます。

 山口県では、知事を先頭に、全力で働き方改革の取り組みを進めておりますので、今後とも引き続き国の御支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。

 次に、高知県の麻岡様から御報告をお願いいたします。

 資料は2-4をご覧いただければと思います。

○高知県麻岡商工労働部副部長 高知県商工労働部の麻岡と申します。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、冒頭、私どもだけ紙ベースの資料をお配りさせていただいております。3、4枚でという制限をまともに信じてしまって、これを出さないと説明ができないかなということで出させていただきました。

 高知県では、この表紙をご覧いただいたらわかりますが、これは第3期ということで、今年が9年目となりますが、知事の任期にあわせて1期、2期という形で、3期目の2年目の計画書になります。

 産業振興計画の中には、いわゆる働き方改革の含む商工労働行政以外に、一次産業ですとか三次産業を含めて、どのような形で振興していくかを書かせていただいております。

 紙ベースのものを1ページだけ説明をさせていただきたいのですが、7、8ページをお開きいただけますでしょうか。産業振興計画の基本的な考え方ということで、四国の中でも太平洋を向いて開けている高知県では、いわゆる地産外商というのがなかなか今まで停滞をしておりました。上のほうで横に説明させていただきますが、その中で、地産の強化、外商の推進、人材の確保、大きく言えばこの3つに取り組んできております。地産外商を続けることによって、人材の確保もしていこうということで、こういうイメージの、真ん中の右の計画の構成というところで書かせていただいていますが、県庁のほうで取り組む産業成長戦略と地域アクションプランの2つで構成をされております。

 紙ではなくて画面のほうをご覧いただきたいのですが、2ページになりますが、このページは書き込みがかなり多くて見にくいと思いますが、商工業分野の展開イメージということで、先ほど言いましたように「地産」のさらなる強化、「外商」のさらなる拡大、下に行って、地産外商の成果を「拡大再生産」へということで、特に今回の働き方改革ですとか人材の確保の部分に着目いたしましたら、柱2に「事業者の持続的発展の支援」ということで「1 事業戦略策定等への支援」と書かせていただいています。これにつきましては、高知県は中小企業が多くございますので、企業が事業戦略自体を策定されていないケース、大半が取り組まれていない状態でございます。県が直接支援というよりは、産業支援団体の高知県産業振興センターのほうで事業戦略の策定、磨き上げ、それの支援を昨年度から始めております。

 次の「2 地域の事業者の経営力強化」に、商工会及び商工会議所の連携による経営計画の策定と書いてございますが、これにつきましては、商工会、商工会議所それぞれ、中小企業の地域の事業者の経営計画の策定をやるようになっておりますけれども、私ども県のほうも今年度から、それを側面支援できないかということで支援をさえていただいております。

 少し飛びまして、下側左になりますが「柱5 産業人材の育成・確保」の部分でございます。「5 事業者の維持・発展に向けた人材の定着・確保対策の推進」ということで、ここに大きく、29年度の新規で3つ施策を書かせていただいていますが、これについては後ほど、次のペーパーで説明をさせていただきます。

 次のページをお願いいたします。人手不足が生じている背景ということで、左上に概要で囲ませていただいている部分の個々の説明が、右手ですとか下半分になります。上の右手をご覧いただきましたら、黒い線が平成12年から平成27年まで、なだらかに下降曲線を描いていますが、これが高知県の生産年齢人口でございます。

 その他の指標については、見にくいと思いますけれども、大体、下側の横の表に平成21年から高知県産業振興計画スタートのあたりを契機に、上から言いましたら観光消費額であるとか県外観光客入れ込み数であるとか、そういうさまざまな経済指標が、ものによっては急激に上昇したり、ものによってはなだらかに上昇しているような線を描いております。

 次に左下、完全失業率の低下とともに、求職者も減少ということで、これにつきましても、47都道府県の中で多分、有効求人倍率が1.0というのを超えて1年以上というのが史上最長といいますか、県レベルで言いましたら高知県は、一昨年の11月から1.1を超えておりまして、今現在も1.13だったと思いますが、やっとと言うと言い方があれですが、有効求人倍率が上昇して、その中で日銀の高知支店長さんのお話といいますか言葉を借りれば、今、高知県というのは完全雇用状態と言われております。言いましたら、職に就くべき人間は、もう就いているのではないかということをおっしゃっているのです。その中で、ここに直接出てきませんが、離職対策ですとか女性の就職支援を県としてどうやっていくかというのが今現在の私どもの課題となっております。

 次のページをお願いいたします。表題に「拡大再生産の好循環を実現するための3つの取り組み」ということで、これにつきましても1担い手の育成・確保が下にずっと書いている内容でして、小さく右に書いておりますけれども、2地域産業クラスターの形成ですとか、3企業や新事業転換の促進につきましては、紙ベースのほうに詳細を書いておりますので、後でご覧いただければと思います。

 担い手の育成・確保につきましては、赤字の「1 本県産業を担う人材の育成・確保」ということで、産業人材につきましては土佐まるごとビジネスアカデミー、もじって土佐MBAと呼んでおりますが、これを独自にといいますか、県がこういう講座を開くことによって、そこでこういう人材を育成していこうということをやっております。

 黄色で書いております「2県内の人材の確保・定着」につきまして、一番下に丸新で3つ書いておりますけれども、事業者の維持・発展に向けた人材の定着・確保の推進ということで、この3つの施策をやっていくと書かせていただいております。

 下半分が「2 移住施策とも連携した担い手確保対策」ということで、移住というのは各県取り組まれておりまして、私ども高知県も取り組んでおりますが、ちょうど中ごろぐらいに、赤字の丸新で、ピンク色で抜き出している部分。「移住」と「UIターン」と「中核人材確保」の業務の一体的な展開ということで、ここでは新組織の設立は検討中と書いておりますが、この組織を今年10月に新たに立ち上げることになっております。

 そこでは、この3つの業務を一体的に展開することによって、求人に対して、いかに休職者をマッチングさせていくか。それを取り組むように考えております。

 次のページをお願い致します。この次のページが、今回の説明に当たって新たに書き起こしたペーパーでございまして、あまりできはよくないのですけれども、左の「人手不足の背景として…」と書いている「悪循環」と書いている部分ですが、これが経営者の意識がまだまだ低い企業は、こういう形でますます人手不足になっていくよというのを、私どもが説明する際の資料になっております。

 一番右端になりますが、「好循環」と書いております太陽のマークをつけて矢印を回しているものですけれども、労働環境・労働条件を改善したら、従業員のモチベーションアップなり、従業員が定着し、ますます求人も増加していく。最終的にはこういう姿を目指すために、29年度に何をするかということで書いているのが真ん中の欄でございまして、冒頭申し上げましたように、事業戦略ですとか経営計画の策定支援まで踏み込んでいる県さんというのは、さほどないのではないかと思いながら、私どもは小さい県でございますので、企業さんに全てをお願いしても、なかなか難しい部分もございますから、県も一体的にそういうものを支援していこうということでやらせていただいております。

 ここで書かせていただいていますのは、経営計画策定に向けたいろいろな支援をするために、官民共同のセミナーの実施を今年度、全部で12回ぐらいになりますが、高知県は横に長いものですから、東部、中部、西部という形で分けて実施をするように考えております。

 こういうセミナーをやることによって、全ての企業さんがということにはならないでしょうけれども、まずは経営者の方に気付いていただく。また、新入社員の皆さんには、離職しないように、いわば社会人というのがどういうものかという部分についても、セミナーを開かせていただいて意識づけをしていく。こういう地道な活動自体を今年度、実施をしているところでございます。

 最後に、ペーパーには関係ないのですが、先日、8月16日だったと思いますけれども、日経新聞のほうに厚生労働省さんの新しい助成の加算の記事がございました。読む限り厚生労働省さんの制度自体は、なかなか県が絡むという話にはならないと思うのですが、これから先、御検討されるいろいろな制度につきましては、先ほど申しましたように、私どもは事業戦略とか経営計画とかいう部分で企業さんとかなりフェースツーフェースでやっている部分もございまして、顔が見えるような支援策を御検討いただければと思います。

 簡単ですが、以上でございます。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。

 次に、大分県の神崎様から御説明いただきたいと思います。

 資料は2-5を見ていただければと思います。

○大分県神崎商工労働部長 大分県の神崎でございます。このようなプレゼンの機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 資料2ページでございます。大分県では、昨年12月に大分県働き方改革推進会議を設置しております。会議の構成で特徴的なものは、委員14名いらっしゃいますけれども、うち6名が女性ということで、まさに女性の働きやすい職場、女性活躍という視点での議論を積極的にしてまいりました。

 ここには書いてございませんけれども、もちろん今回の会議は知事をヘッドとしておりまして、知事、労働局長が参画する形で進めてきております。

 昨年12月から4回ほど会議を開催いたしました。先週でございますけれども8月17日、「おおいた働き方改革共同宣言」という宣言を取りまとめております。宣言のほうでは、まさに宣言らしく、抽象的なことも書いておりますけれども、抽象的なことだけを書いても意味がありませんので、目標ということで、具体的な数値目標を掲げております。

 これは下のほうに書いてございますけれども、1つ目が一般労働者の年間総労働時間です。グラフを見ていただきますと、上のほうが大分県の折れ線になっておりますけれども、全国平均よりも高い総労働時間を全国平均以下にするという目標を、平成32年度までに達成しようという目標を掲げております。

 そのほか「2.年次有給休暇取得率」「3.男性の育児休業取得率」「4.25歳~44歳女性の就業率」ということで、それぞれ目標を掲げておりますけれども、こちらの数値目標は、国のほうで「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を既におまとめになっていらっしゃいますので、これをベースに同じものを設定しております。今後、法律改正等々で国の目標も変わってくる場合には、それに合わせて県の目標も変えていこうと考えております。

 次のページをご覧ください。ここでは、大分県内で働き方改革に先進的に取り組んでいる事例を書いております。左のほうの岡病院の事例を御説明しますと、実態として、残業代が生活給に組み込まれているようなケースもある中で、岡病院では超過勤務時間を削減するかわりに、浮いた残業代を賞与として職員に還元するというモチベーションも付与されております。

 その結果、残業時間も削減されましたし、年次有給休暇の取得率も大きくアップしている状況になっております。

 次のページをご覧ください。こちらが、大分県でいろいろな働き方改革推進の施策をまとめているものでございます。いろいろな取り組みをやってきているところではございますけれども、なかなかこういった取り組みだけでは、働き方改革は厳しいところがございます。そこで幾つか、県内の働き方改革推進に当たって抱える課題をその次のページ以降で御説明したいと思います。

 5ページです。3つほど書いております。1つ目が「小規模事業者に配慮した働き方改革の推進」。2つ目が、中小・小規模事業者は、働き方改革を進めていく上で生産性向上というのが大事になってまいりますけれども、このノウハウが不足している、これをどう解決していくか。そして、3つ目が「人手不足」です。働き方改革を進めるためには人手が必要であります。でも、なかなか人手不足になっている。人手不足で働き方改革が進まないと、さらに人手が集まらないという悪循環に陥っているのが現状でございます。これをどう解決していくのかという3点について、課題を整理するとともに、政府への御要望という形で、具体的にお願いしたいと考えております。

 6ページでございます。「小規模事業者に配慮した働き方改革の推進」ですが、左のほうをご覧になっていただきますと、県内の事業所のうち、従業員が20人未満、いわゆる小規模事業者が9割を占めております。下のほうに書いてございますけれども、先ほど申し上げた会議の中でも、小規模事業者はなかなか働き方改革に取り組む余裕がないですとか、悪循環に陥ってしまうといった課題がございます。右のほうをご覧になっていただきますと、小規模事業者ほど労働時間が長い。上のほうの折れ線が5人以上の事業所の総労働時間数、下のほうの折れ線が30人以上の総労働時間数ということで、小規模事業所は総労働時間が長いという課題を抱えております。

 こういった中で一つ御要望でございますけれども、政府のほうでは残業規制等々の法案の準備をされていると伺っておりますけれども、ぜひともこの働き方改革の法案の施行日につきましては、小規模事業者に配慮して、十分な準備期間、例えば大企業と同時施行ではなくて、一定のタイムラグをあけていただくといったような御配慮をいただけるとありがたいと考えてございます。

 続きまして、7ページでございます。ここでポイントを2つ書いてございますけれども、まず【ポイント1】「『働き方改革』を小規模事業者に浸透させるには、商工団体の経営指導員による支援が重要」と書いてございます。下のほうに棒グラフで、最も役に立った支援機関で商工会、商工会議所という声が挙がっておりますけれども、私自身、支部ももちろんですけれども、県内各地の商工会、商工会議所を回りました。あるいは、県内の小規模事業者の方々とも相当数お話をしましたけれども、小規模事業者の方々が一番頼りにされているのは経営指導員の方です。例えば、その他の専門家の方が派遣でアドバイスをしても、なかなか小規模事業者の実態もわからないというところもあって、アドバイスよりも、常日頃コミュニケーションをとっている指導員の方々が働き方改革をアドバイスしていく。これが重要ではないかと考えております。

 課題への対応を下に書いてございますけれども、地域の商工団体が「働き方改革」も含めて伴走型で支援することが大事ではないかと思っております。

 では、商工団体の経営指導員をやればいいではないかということになるわけでございますが、次の【ポイント2】でございます。指導員の方々は、環境の変化あるいは業務量増という中で、なかなかそういった余裕が既に全くないといったところでございます。

 下のほうに書いてございますけれども、まず、役割の変化ということで申し上げますと、これまでの単発的な記帳や税務指導、点の支援から、事業計画の策定や着実な実施を支援していくという「伴走型」の支援、面的支援に、今、役割が変わってきております。実質的に、業務量ということで見ていきましても、最近、指導員の人数が減ってきている中で、大分県の場合、経営指導員1人当たりの会員数を見ても、ここ10年ぐらいで10社以上ふえてきています。

 また、小規模事業者持続化補助金支援件数と書いてございます。補助金の申請支援もやってきているわけでございますけれども、平成26年度の276件から、平成28年度の1,000件超えに至るまで、相当の業務量の増になってきております。

 その下に、棒グラフと折れ線グラフが書いてございますが、まず、折れ線グラフが、県内の商工団体の指導員の職員数となっております。棒グラフのほうが、少ないほうと多いほうがございます。少ないほうが商工団体向けの交付税措置、多いほうが、県が商工団体向けに人件費等で予算措置している金額でございます。

 これを見ていただきますと、私ども大分県は、交付税措置以上に大体1.2億円を毎年、予算措置してきております。これがほとんど経営指導員の人件費となっているわけでございます。大分県としてこういう取り組みをやってきておりますけれども、これ以上、職員数を増やすまでの財政措置はなかなか難しいところでございます。

 この交付税の制度上、全県が指導員の方をふやせば交付税措置もふえるわけでございますけれども、大分県単独で指導員を追加で雇って人件費をふやしても、47都道府県にまぶされてしまいますので、なかなか交付税措置の拡充につながらないというところで、厳しい状況でございます。

 そこで、政府への御要望でございますけれども、働き方改革推進のために、ぜひとも指導員に係る交付税措置を拡充していただきたいという要望でございます。

 続きまして、8ページでございます。生産性向上の話でございますけれども、左の棒グラフ、下の折れ線グラフを見ていただきますと、大分県は、労働生産性は残念ながら低い水準になってきております。全国で言いますと37位でございます。

 働き方改革を進めるためには、生産性の向上が必要なわけでございますけれども、どうやって取り組んだらいいのか。あるいは、生産性向上のためにIT化と言われるわけでございますけれども、これにどう取り組むのかはなかなか難しいところでございます。

 そこで、政府への御要望といたしまして、右下、生産性向上に向けた取り組み支援の強化というところで、ここは一例としてものづくり補助金と書いてございますけれども、それ以外にも、小規模事業者持続化補助金ですとかITの補助金といった生産性向上に資する補助制度の継続強化をお願いしたいと考えております。

 また、現場の改善活動です。いろいろな工場というところだと改善活動が大事になってまいりますけれども、こういうところの企業ニーズを踏まえた専門家派遣の強化といったところもお願いしたいと考えてございます。

 続きまして、9ページでございます。「人手不足」でございます。左の上に書いてございます。今年の6月の就業地別の有効求人倍率は、大分県は1.55倍と過去最高値を更新してございます。人手が確保できないと、なかなか働き方改革を進める余裕がないといったのが実態でございまして、右側の円グラフ、県内企業の従業員の過不足感でございますけれども、不足とやや不足を合わせますと64.3%、昨年から比較しますと10ポイントも上昇しているところでございます。

10ページをご覧いただきますと、左側が、県内の高校生の進学先でございますけれども、県内に進学等々される方が大体3割ぐらい、福岡県に進学される方が大体4分の1、そして残り関東、九州、近畿等々になるわけでございます。

 では、本県の高校生の進学先の約4分の1を占める福岡県に進学された方は、どこに就職しているのかというのを見ますと、右側の円グラフでございますが、県内に戻っていらっしゃるのは3割ぐらい、その他九州あるいは九州圏外に行かれる方が7割というような県外に流出する状況が続いてきております。

 こういった中、私ども大分県では、ここには書いてございませんけれども、県内の高校生が卒業するタイミングで、学生登録制度という形でメールアドレスですとか住所とか、そういう連絡先を登録してもらって、県外に進学した後のいろいろな県内の就職情報等々を発信する取り組みですとか、奨学金の返還支援制度ということで、県内の企業さんに就職されれば、奨学金の半分を県が支援するといった取り組みを進めておりまして、6月に発表したのですけれども、今後3年間で県内就職を1万8,500人確保するという数値目標を掲げて頑張っているところでございます。

 しかし、課題は山積しておりまして、下のほうに要望事項を書いてございますけれども、若者のUターン対策に対する財政支援をぜひとも拡充をお願いしたいと考えてございます。

 大分県からの説明は以上といたします。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。

 自治体からの報告はここまでということで、あと提出されている資料はありますが、それは見ていただければと思います。

 次に、エムワンの柴田様から御説明いただければと思います。資料3を見ていただければと思います。よろしくお願いします。

○柴田委員 エムワンの人事の柴田です。よろしくお願いします。

 2ページに行っていただきまして、まず、会社の概要ですが、三重県の松阪市に本社があります。三重県の南勢地区にありますので、非常に学生を採りにくい状況になっております。三重県は大学が少なくて、学生が名古屋や大阪に出ていってしまう状況があります。

 次のページをお願いします。地方の中小企業は、どこでも慢性的な人手不足ですけれども、私が今回、三重県の「ワーク・ライフ・バランス推進サポート事業」に取り組もうと思ったきっかけは同時に2名の女性が妊娠してしまって、2人とも復帰したいと言われたことがきっかけです。これが2015年の働き方改革を始めたきっかけになります。

 次のページをお願いします。取り組み店舗は全員女性で、しかも4月入社の新入社員が1名入った店舗です。それから、この店舗で育児休業の社員が1名出たことから、こちらの店舗で取り組みをしようと決めました。

 次のページをお願いします。取り組み前は、皆さん否定的な意見も多くて、ワーク・ライフ・バランスとはそもそも何だろうとか、今より忙しくならないのかとか、そんなことよりも育児休業に入る人がいるので人を増やしてほしいというようなネガティブな発想の意見も出ていました。

 次のページをお願いします。ですが、毎週1回カエル会議というものをやりまして、1名減っても有給消化を100%できるようにするということを全員が目標にして行いました。

 まず、属人化している業務内容を全て洗い出して、個人個人のスキルがどの程度あるのかスキルマップを作成しました。これが全員◎になるまでやり続けるということと、有給消化シートも見える化しまして、誰がいつ有給をどれぐらいとっているかも見えるようにしました。取っていない方には、管理職が有給をとるように促進することを行いました。

 それから、休みの日にやりたいことリストを皆さんで共有して、一緒に働いている人たちが何に興味を持っているかを共感できるようなワークを行ったり、ライフロールというもので5年後、10年後、自分はどういう働き方をしているのだろう、どういう生活をしているのだろうということを全員で共有して想像するというようなワークを行ったりもしました。

 次のページをお願いします。その結果、こちらの店舗は1名減りましたが、10月の決算時には調剤売り上げも上がりましたし、患者数も増加しました。有給消化もほぼとれるようになりましたので、皆さん月に約2日は休んでいるという状況で、この結果になりました。

 次のページをお願いします。次は採用活動に生かそうということで、2年目は学校の説明会や学生さんに会ったときに、ワーク・ライフ・バランスの取り組みをお伝えすることにしました。その結果前年と比べてエントリーが約5倍、内定者も今まで4名採るのが必死だったのですが、11名という結果になりました。3年目、キャリアセンターでお話をさせていただき、大学や学生にアピールしたことで、ホームページのPV数も大幅にアップしました。当社は三重県が本社ですけれども、今年度は大阪と愛知県からも学生が来てくれるようになりました。一番楽になったのは、採用活動が早く終わるようになったことと、質のいい学生さんが確保できたことです。

 社長がやりたくても、今まで全く取り組めなかった新しいビジネスが、4月に入ってまだ半年たっていない新入社員発信でもう始まったということもあります。

 次のページをお願いします。私がこの会社に入ったのは2014年なのですが、当時社員は23人しかおりませんでした。今は43名で、社員構成比も1.8倍になっています。今年も既に採用は終わっていて、4名の入社が確定しています。

 次のページをお願いします。今回の働き方改革でとても感じたのは、トップの方と社員の対話がすごく大事だということ。社員の承認欲求が満たされると、どんどん自発的に動いて、お給料もあがりました。社長には、今回の取組で結果が出たら必ず賞与を約束してくださいということを最初にお願いして行った結果が、この成果に繋がったと思います。

 次のページをお願いします。こちらは社員がみずから企画したイベントです。社長は一切口出ししていません。アピタというショッピングモールで健康イベントをやりました。当初、社長は50人ぐらいしか来ないのではないかと言っていましたけれども、約200名の方にお越しいただきましたし、こどもの城というところで薬剤師をふやそうということで始めた薬剤師体験のイベントも、新入社員の方々に実施していただき成功しました。あと、陳列コンクールに応募して準グランプリをとったり。すべて社員の皆さんが自主的に企画していただいたイベントばかりです。

 一番変化があったのは、出口舞さんです。これは三重県の最終報告会のときに本人が作成した資料ですが、二十歳のときにうちの会社に入社しまして、それまでは家と仕事の往復だけでしたけれども、ワーク・ライフ・バランスの取組が始まりまして、まず意識改革が起こり、異業種交流会に参加したり、講演会やセミナーに出かけたり、本を読むようになったりしました。30歳までに結婚したいと言っていましたが、異業種交流会やいろいろなところに出かけていくことで彼氏もできましたし、この10月に結婚も決まりました。出口さんが当初描いた夢がかなっている状態です。

 次のページをお願いします。彼女を見ていて思ったのが、人はプライベートが充実すると、本当に人生が良い方へ変わるのだなと感じたので、ここに良い例としてご紹介させていただきました。今まで海外旅行に行ったこともありません。それよりも、有給があってもお金を使いたくないから出かけたくないとか、そういう考えの方だったのが、タイへボランティアにも行って、考え方が変わってきましたし、自分たちでイベントを企画したのも彼女の発案でもあります。

 あと、登録販売者という資格が薬局にはあるのですけれども、こちらの資格も取ったことで手当がついて、売れる商品もが多くなり、店舗の売り上げが上がったということで、結婚も決まりましたし、出口さんがとても良い例だなと思ってご紹介させていただきました。

 最後のページですけれども、最後に、私が2015年から2年間やってみて、働き方改革でとても重要だなと思ったのは、優秀な中小企業の社長さんほど、口出ししたくなってしまうと思いますので、そこは我慢して、まず社長の意識改革をしていただくこと。私がこの事業に応募して、社長を口説いて、社長も一緒に取り組んでほしいとお願いをしました。その結果、社員さんの自主性が回復したということです。

 やったことは本当に簡単で、属人化していた業務を見える化したことと、有給をとれるために何をしたらいいかをこつこつとずっとやり続けただけです。その結果、有給取得というプロセスもありましたけれども、皆さん当初目標である有給消化もできるようになりましたし、モチベーションが上がって、自分の役割がきちんと見えた。今は、社長が言わなくても、自分たちから自発的に動けるようになりました。これが中小企業が働き方改革で得る一番大きなメリットの一つだと思います。

 あと、私が来るまでほとんど新入社員が採れなかったのが、今では私はほぼ採用活動をしなくても、社員のみなさんがゼミの後輩や大学の後輩に声をかけてくれて、自分たちから学生を引っ張ってきてくれるというとても好循環な状態になりました。

 私からの発表は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。

 これまで自治体と、最後はエムワンさん、企業で働き方改革が社員の生活改革にもつながり、好循環に結びついているというお話を伺いました。

 この後、もう一つ議事があるのであれですけれども、せっかく御報告いただきましたので、余り時間はとれませんが、もう少しここを聞きたいとか、これはどうなのかとか、今までの自治体なりエムワンさんの報告について御質問があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 安永さん、どうぞ。

○安永委員 大分県の神崎商工労働部長に質問させていただきたいと思います。

 6ページ目のスライドで、政府への要望として、労働基準法の施行に当たり、小規模事業者に配慮した十分な準備期間の確保が必要ということで、大企業と中小企業の施行日を分けてもいいのではないかというお話がありました。しかし、小規模事業者ほど労働時間が長いという問題意識がある中で、そのような配慮は矛盾するのではないかと思っております。そのような配慮を行えば結果として、大規模と中小の差がまた開いてしまうのではないかという問題意識を持ちます。

 それにより若い人たちが中小企業を就職先として敬遠してしまう、なかなか中小企業に応募しないことに繋がってしまうのではないかと思いますが、いかが思われますか。

○佐藤座長 可能な範囲でお願いします。

○大分県神崎商工労働部長 御質問ありがとうございます。

 ロジカルにはおっしゃるとおりではあるのですけれども、では、実際に今、地場の中小小規模事業者が、はい、明日から大企業と一緒にやりなさいと言ってできるかというと、それは厳しいのではないかというのが私自身、県内多くの中小・小規模事業者の方々とお話しした率直な印象でございます。

 やはり今回の働き方改革は、看板倒れで終わってはいけないと思っていまして、確実に実行されるということをしっかり担保することが一番大事です。多少1、2年おくれるかもしれませんけれども、それがしっかり実現できるということが、私自身、一番大事なことと思っておりますので、そこは実態に御配慮いただきながら、確実に今回の目標は達成する。これが大事なことではないかなと考えております。

○佐藤座長 よろしいですか。

 ほかに御質問ありますか。よろしいですか。

 それでは、この後、議題(2)中小企業・小規模事業者の働き方改革・人不足対応に向けた政府の取り組み状況について、今、用意していただいた案がありますので、事務局から御説明いただければと思います。資料は11を開いていただければと思います。

 よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 厚生労働省労働政策担当参事官の奈尾と申します。よろしくお願いいたします。

 資料については11番でございまして、中小企業・小規模事業者における働き方改革実現に向けた対策(案)ということで、現段階の方向性についてまとめさせていただいたものでございます。

 資料をめくっていただきますと9ページまでございますが、まず2、3ページが全体の考え方です。考え方の概略を申しますと、働き方改革は一億総活躍の最大の鍵であって、長時間労働、不合理な待遇差を放置しておくと、人材確保、人材育成にも支障が出てくるといったことで、進めていく必要があるということと、特に働き方改革は、我が国の雇用の7割は中小企業・小規模事業者ですので、そこで着実に実施することが必要であるということです。

 人手不足の現状は、先ほど各都道府県から御報告等ございましたけれども、人手不足の解消と生産性の向上で企業の変革を経まして、魅力ある職場づくりという好循環につなげていく必要があります。

 先ほど、高知県さんのプレゼンにもございましたが、悪循環に陥ってしまうと、かえって人手不足に拍車がかかってしまう状況もあるようですので、そういった問題意識も踏まえて進めていく必要があるということです。

 3ページをご覧いただきたいと思いますが、中小企業・小規模事業者において働き方改革を進めていくポイントがありますけれども、まず1つ目が中小企業・小規模事業者に対しても理解の浸透を図るということと、賃金制度と事業所内の環境の整備であるとか取引状況の改善、生産性等の向上は、大企業との賃金格差の解消を図っていく必要があるといったことで、国としても支援を行うことが必要であるという全体の考え方がございます。

 次に4ページでございますが、対策の方向性として5点書いています。これが全体像でして、まず、4ページの1番ですが「働き方改革」の理解を図った上で、相談に応じて支援を届けることが、まず総論です。これについては、国でもやるし、あるいは地方自治体の取り組みも支援するということです。

 2、3、4ですけれども、2が社内環境整備の支援を行うということでして、これは次のページ以降で御説明いたしますけれども、働き方改革に対して必要な取り組みを支援、助成するというものです。

 3でございますが、働き方改革の実現に向けた取引条件の改善、生産性向上についての支援策です。

 4が、現在の人手不足の対応の支援の強化です。人手不足については、今後、当分の間は続くと見込まれておりますので、そういう中で働き方改革が着実に実施されるように、対策とあわせて人手不足の対応も支援するものでありまして、2~4については、言ってみれば一体的に進めるものでございます。

 5が、業種別の取り組みでございまして、この2~4は横断的にやるといたしました場合の縦軸といいますか業種別の支援、取り組み策です。業種に応じまして、取り組みは必要な特性があると思いますので、特性において支援するというのが5番です。

 これを前提といたしまして各論といいますか、5ページ以降に、それぞれの項目に応じた現段階の案が書いてございます。

 まず、5ページですが、相談支援体制等でございます。(1)ですが、働き方改革の理解の促進と相談支援でございまして、まず1つ目といたしまして、非正規と正規の処遇格差の課題あるいは時間外労働の上限規制への対応について、全都道府県に働き方改革推進支援センターといったものを新たに設定することを考えております。

 そこでは、専門家による個別相談、企業による個別相談ももちろんやりますけれども、各地域の商工団体あるいはよろず支援拠点等とも連携しまして、例えば商工会、商工会議所、中央会等と御協力しながらセミナーをやったり、あるいは出張相談をする。それから、専門家の個別相談とあわせて、コンサルティング支援をするといったことを考えてございます。

 2つ目の施策でありますが、よろず支援拠点に人手不足アドバイザーを設置して、特に人手不足についての相談体制を強化したいと考えております。

 (2)でありますが、ちょっと色合いが違ったものでありますけれども、地域活性化雇用創造プロジェクトというものが現在ございまして、そこで都道府県が主体になって取り組んでいただく雇用の創出策について助成を行っているものでございますけれども、特に中小企業・小規模事業者の働き方改革の支援を行った場合には、額の特例ができないかと考えております。

 こういった(1)、(2)で相談支援体制あるいは都道府県と一体となっての支援ということで取り組んでいければというものです。

 次に6ページですが、社内環境整備の支援が何点かあります。2番の(1)ですけれども、特に時間外規制に対応いたしまして、就業規則を変えたり、新たなタイムカードを導入したり、ICTを導入するような場合について、現在、中小企業の業種を限定して行っているわけではありますけれども、今後は、参加企業を支援する中小企業団体についても支援が行われればと考えております。

 (2)でありますが、同一労働同一賃金関係でして、先ほど、相談支援の話は5ページで申し上げましたけれども、これは業種別にいろいろ特性があるのではないかということで、業種別に少しどういった対応をすれば効果的かという議論をいただいた上で、マニュアルを業種別につくっていきたいというのが1つ目です。あわせまして、労働局においては、当然ながら相談支援に力を入れていきたいというものでございます。

 (2)の2つ目の四角でございますけれども、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善については現在、キャリアアップ助成金を当省においてやっているわけでありますが、今年度660億ほどの規模がございますけれども、これをさらに拡充いたして、支援を取り組んでいきたいと思っています。

 このキャリアアップ助成金については、原則として中小企業には大企業の3分の4倍の助成額になっているわけでございますけれども、こういった助成金を活用しながら、正社員化等に取り組んでいきたいというものです。

 (3)ですが、長時間労働の抑制とあわせまして、社員の健康維持管理、促進が重要かと思っておりまして、全国に産業保健総合支援センターが置かれていますけれども、そちらのほうで産業医、保健師で各企業を個別訪問する。これを拡充するでありますとか、あるいは事業者とか労働者向けのセミナーといったもの、それから、産業医、産業保健スタッフ向けの専門研修をやっておりますけれども、これらを拡充していきたいと思っております。

 次に、7ページですが、取引条件改善、生産性向上でして、これがセットでないと働き方改革もうまく機能しないのではないかという問題意識でございます。まず、7ページの3番の(1)でございますが、下請法違反等でございまして、昨年9月に「未来志向型の取引慣行に向けて」というものを出しまして、そこを受けて昨年末に公正取引委員会のほうで13年ぶりに運用基準を抜本改正したわけでございますが、そこで例えば、不適正な原価低減活動とか金型の保管コスト押しつけといったことを厳正に対処していくといったことでやっているわけです。

 この運用基準については、通報制度がございますけれども、その通報制度の対応を含めて対処をしていくものが一つです。

 2つ目でありますけれども、親企業が好調なときでも値下げの要請が下請に来るといったお話もよく聞くわけでございまして、今後、そのしわ寄せが来ていないかというのを下請Gメンによる企業ヒアリングによって、本格的にヒアリングを実施して確認していきたいというものです。

 (2)ですが、賃上げと生産性、経営力向上の支援でございまして、まず、1つ目が相談支援の充実と生産性向上です。例えば、中小企業・小規模事業者で生産性を導入して、その導入機器の費用がかかるとか、それとあわせて企業内の最賃を一定程度上げる場合の助成を行いたいというものです。

 2つ目ですが、生産性向上とか賃上げにつながるような人事評価制度、賃金制度を整備、実施した場合、さらに目標を達成した場合。目標というのは生産性を向上したり、離職率低下、賃金アップでありますけれども、達成すると一定の上限額の助成をするものでございます。

 3つ目でございますが、転職者、再就職者の雇用、採用拡大です。特に、全く新規に中途採用を行った場合の助成ですとか、転職者を受け入れて、能力開発、賃金アップをした場合に助成を行うといったことで、付加価値の高い産業への転職等を行いたいというものです。

 4点目については、生産性向上についての計画を作成して、設備投資とか人材育成確保で生産性の向上をするといった場合に、例えば、政府系金融機関の低利融資でありますとか、固定資産税の低減といったことで支援を行うものです。

 下から2つですが、これは金融機関との連携ですけれども、例えば中小企業の方が金融機関から融資を受ける場合、利子が発生するわけですけれども、一定の計画等を作成して、労働生産性が向上したりする場合、あるいは離職率が低下する場合に、利子補給分見合いで助成ができないかというのが下から2つ目です。これは新規です。

 一番下ですが、中小企業支援機関伴走組織としてクラウド等を活用した業務改善を進める。先ほど、都道府県のプレゼンにもございましたけれども、伴走型の業務改善が必要だということです。

 特に各種事務手続が煩瑣であるという声もよく聞きますので、そちらについては効率化したいというものです。

 次に、8ページですが、人手不足対応の支援です。大きく3点ございます。(1)ですが女性、高齢者向けでして、(1)の上から3つが女性関係です。要点だけ申しますと、現在、女性の2544歳の就業率は約73%弱でございますが、これを平成34年度末までに80%に持っていくべく、保育の受け皿を整備するといったことです。

 それから、コンサルティングや助成措置等も活用するとか、女性活躍推進法によって行動計画を策定されたところに対しては助成を行うといったことです。

 高齢者については、4つ目の四角でございますが、現在、ハローワークに110カ所ほど生涯現役支援窓口を置いていまして、そこで仕事の相談支援のみならず、例えば年金といった生活面での相談、援助にも応じることで、就労を促進していくといったものをやっておりますけれども、この箇所数を数十カ所増加したいと思っております。

 それから、65歳以上の、例えば定年引き上げ、定年廃止とか、継続雇用援助といった制度をつくった場合に助成金がありますが、そういった助成を行うこととか、あるいは高齢期に身体機能が低下いたしますので、それを補うような機器を導入した場合に助成するといったことで、高齢者の活躍を支援したいというものが(1)です。

 (2)ですが、マッチング対策ということで、ハローワークでも、人材確保対策コーナーを置いていますけれども、例えばそちらで求人を出したけれども充足しない場合にどうしたらいいかといった相談をよくいただくわけですが、そこに個別でそういった企業にふさわしい求人を開拓したり、あるいは面談会をセッティングしたりといったことでマッチング支援を進めるというのが1つ目です。

 2つ目ですけれども、各地域の商工団体、支援機関と連携した上で、地域のニーズに応じたマッチングセミナー等を実施する。既に人手不足対応ガイドラインがありますけれども、それを横展開していきたいといったものです。

 それから、雇用管理制度導入等を通じて離職率の低下に取り組んだ場合には、助成を行うというものです。

 (3)ですが、人材育成、活用でして、現在も企業内訓練に対して支援しているわけですが、生産性向上人材育成支援センターを創設した上で、例えば企業が金融機関にいろいろ御相談される場面もあるかと思いますけれども、金融機関に相談したときに、どういう人材がいたらもっといいのかといったことを相談される場合も多いと思うのですが、そういったところに対して訓練を紹介したり、あるいは人材育成について個別相談を行ったりといったことで、事業主支援を実施するというのが1つ目でございます。

 それから、子育て女性のリカレント教育です。先ほどの(1)と重複いたしますけれども、子育て女性が育児等で一旦仕事を離れてまた戻る場合の教育のあり方とか、そういった教育に対して支援する専門実践教育訓練給付がありますけれども、この給付率を引、さらに活用のための要件を緩和するといったこととあわせて、女性の学び直しを支援するというのが2つ目です。

 3つ目は、全国に9つの中小企業大学校がありますけれども、そこで中小企業者の方や中小企業を支援する方への研修等を充実したいというのが最後です。

 最後、9ページですけれども、業種別の取り組みでして、まず(1)ですが、例えば運輸業や建設業は、今年6月までに労働政策審議会で議論した際にも時間外規制については5年ほど猶予を置くべきだといった建議が出ているところです。

 自動車運転については、長時間労働是正のための制度見直し支援措置を当然やるわけですが、特にトラック運送事業については具体的な改善策の入った改善ハンドブック、ガイドラインの作成をしたり、それから新規に荷主向けのパンフレットをつくる。取引条件適正化のために荷主に向けたパンフレットを作成したりということを考えてございます。

 建設業についても、5年の猶予が適切とされたところですけれども、関係者で構成する協議会を設置して、下請にしわ寄せが来ないような適切な工期設定、生産性の向上についてのガイドライン等を策定していきたいといったものです。

 3つ目は、情報サービス業でございますが、情報サービス、IT業界については年間総労働時間が長いという傾向がございますので、そこでまず実態を把握した上で改善方策をする。30年度からは、例えば企業の個別訪問についてコンサルティングができればということを考えてございます。

 最後、(2)ですが、生産性向上、経営力強化について、一定の業種については事業分野別の指針の作成、例えば生活衛生業といったところの指針を策定していくとか、あるいは事業分野別の経営力向上推進機関の拡大を進める。それから、生産性向上を図った場合に、日本政策金融公庫における低利融資等を実施するものです。

 生活衛生業は、特に中小零細企業が多いということで、最低賃金の引き上げとかに対して必要な経営力を高める。それから、経営の健全化を高めるためのセミナー、個別相談等を実施していきたいといったものです。

 経済産業省あるいは当省、それから自治体とで、それぞれできることは何かということを、スクラムを組んで一体的に取り組んでいければということで現在、考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○佐藤座長 どうもありがとうございました。

 現時点の働き方改革実現に向けた対策(案)ということで、今日の御報告や皆さんの意見を含めてバージョンアップしていくものです。

 それでは、この後、委員の皆さんから御意見を伺いたいのですが、今、1139分です。もちろん少し延びるのはやむを得ないかと思っていますが、一応、働き方改革ということで、会議を長くやればいいわけではないので、できれば余り延びないで終えられればと思います。

 ただ、皆さんの意見も伺わなければいけないということで、このようにさせていただければと思います。今日、委員の方が11人いらっしゃいます。一人2分でも22分です。ですから、1順目は長くても2分までで、もちろん、意見がないという方も歓迎ですけれども、今日全員から御意見を伺えるようにさせていただければと思います。

 最初、今日初めて御出席の竹内委員に伺って、立石委員は余りお時間がないということですから続いて、その後は手挙げ方式で行きたいと思います。

 まず、竹内委員からお願いします。

○竹内委員 ちょうど今、私どもでも、いろいろな調査を行っているのですが、働き方改革ということを考えたときに、最初にやらなければいけないのは生産性向上なのだろうということがありまして、それをやらないことには働き方を変えられない企業が少なくありません。

 例えば、非正規社員を正社員にする、賃金を引き上げると言っても、飲食店などサービス産業の多くは、仕事の繁閑が非常に激しくて正社員を雇用しにくいとか、社員の勤務時間は長くても実際には稼働していない時間がたくさんあるので賃金を上げられないといったことがあります。仕事のやり方そのものを見直していかないと、先に進めないと思います。

 東京商工会議所でも生産性向上の話をしているのですけれども、そこでも、生産性を向上させるには、新しい事業をつくっていくことが重要だと考えています。新製品を開発するなり新製品をサービスするなり、あるいは全く業種を転換していくなりして、儲ける仕組みをしっかりとつくることをまずやっていかないことには、働き方改革も実行できないと思います。

○佐藤座長 単に働き方だけではなく、ビジネスモデルみたいなものを変えなければいけないことも出てくるのではないかと。

○竹内委員 とりわけ小規模な企業はそうだと思います。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。立石委員、お願いします。

○立石委員 私の提出資料の最後の17ページを見ていただけますでしょうか。

 前回でも申し上げましたように、今回の議論の中で、中小・小規模企業と考えた場合、基本法が二つあるから、中小企業と小規模企業を分けて考えるという論点、これが大事だということは外せない点だと思っています。

 その観点から、上の黒ポツから行きますけれども、結局、事業承継というものを働き方とセットに考えていかないといけない。そもそも働く場所がなくなるという大変な問題になろうと思います。

 2ポツ目の中で、こうした中で、大企業と異なり、特に社長が多くの業務をこなす小規模事業者については、「従業員の働き方改革」だけではなく、「経営者の働き方改革」を進めるべきではないかと。小さい企業ほど、社長が何もかもやっています。この現実をよく踏まえて議論しないと、社員の方々の労働環境を整えるだけにしてしまうと、最終的なしわ寄せが社長に行く。これが大きな問題であると思います。この論点は、この3ポツに書いています。

 次に、赤文字に行きます。小規模事業者であっても、経営を見直し、クラウド等を用いて業務改善に取り組むことで利益を向上することができる。改善の余地が大変大きいのが中小企業というよりも小規模企業だと思っています。中小企業はある程度進んでいますが、小規模事業者はほとんど進んでいません。改善がないということは、だめではなく、ここに大きな伸びしろがあって、これこそがまさしく生産性向上を飛躍的に成長させる大きな要因であると思っております。

 中小企業・小規模事業者の働き方改革、生産性向上のためには、経営改善や、経営革新が欠かせない。経営の診断ができる社労士や中小企業診断士等の専門家による経営者に対するアドバイスが必要です。社労士の方は社労士の方としての業務領域がある。しかしながら、なかなか生産性向上売り上げ拡大は、得意ではない方がいらっしゃいます。ですから、この双方を踏まえた方々もしくは2人いらっしゃっても結構なのですが、こういう方々にいろいろアドバイスをいただくのが大きな転換になるのではないかと考えています。

 そのため、働き方改革の実現には、既に厳しい環境に置かれている地域の経営支援体制についても配慮が必要不可欠です。大分県の方がおっしゃっていましたように、今、商工会、商工会議所、中央会等々の支援機関の経営指導員や職員の方々が完全に疲弊しています。なぜかというと、業務が余りにも増えたということです。大分県の資料にもありましたように、経営指導員の方々が超過勤務、実はブラックになっているという現実があるのです。

 私は、この5年間で1,000カ所以上回っています。数万人の経営者、後継者、支援者の方々のお声を聞いております。生の声です。5年前にはなかった労働環境になりました。これは、中企庁の政策がうまく回ったということですけれども、その結果、今、非常に業務がふえた。ここへの対策は急務です。これがなければ、この対策はできませんので、そこも御理解いただけたらと思います。

 また、各種支援策についてはリソースが限られる中小企業・小規模事業者も活用できるよう、手続に伴う事務負担は、先ほど言ったことと一緒ですので、御配慮ください。内閣府でも言ったのですが、事務手続の効率化は非常に大事です。この中には、小規模になればなるほど税と社会保障の2つの効率化が絶対に必要です。ここで事務処理等の人がかなりとられています。

 そして、この中の議論をするときに、小規模になればなるほどIT弱者であるという議論はもうやめたほうがいいです。それは、民間の意見というのはし、50代後半、60代、70代、以上の方々が中心になっていることが多いです。しかし、私の資料にもありますように、大半が最低限のパソコン、スマホぐらいは使える方がほとんどです。この方々をIT弱者と言っていて、行政手続き資料をアナログ的なペーパーベースが大事という論点にしてしまうと難しいです。

 わかりやすいのは、資料メールでもらった。ExcelWordでつくった。それを、そのままメール返信すればいいものを、あえてプリントアウトして認め印を押して、それをPDFで送れということをやっています。このようなことが非常に多いです。こういうところを改善していくことのほうが、急務で有り大事かと思っております。

 大体そういうことでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。

 経営者の働き方改革は伸びしろが結構あるということで、柴田委員との報告ともかなり重なるかなと思います。この後は、手挙げで。

 では、小野木委員。

○小野木委員 全国商工会連合会の立場からお話ししたいと思います。

 先ほど、高知県の提出の資料、あるいは大分県の資料のお話をお聞きさせていただきましたが、特に皆さんの自治体でのいろいろな提案あるいは中小・小規模企業の実態を把握していたのではないかと思っております。

 ただ、商工会連合会といたしましては、人手不足の解消に向けた取り組みが必要と考えておりますが、まず一つは、誰しもこれはわかるとおりでありますが、生産性の向上となれば、機械装置やロボットだとかそういうものも必要な条件になります。

 しかし、小規模の方々がロボットを使うといいますと、1,000万単位あるいは2,000万単位の物件になる。そうなりますと、なかなかそれがペイできない。理屈はわかっても、なかなか手が届かない部分があろうかと思います。

 また、Uターン、Iターンといった強化も必要でありますが、どこの自治体も一生懸命宣伝をしたとしても、同じ人口の中であるので、簡単に言うとコップの水をどちらに持っていくかといったレベルで、決して水がいっぱいふえるわけではない。だとすれば、それは限界でしょう。だとすれば、前回の会議のときにも申したように、88カ国もの海外に日本語学校があるわけですから、今から岩盤規制を外して家庭環境を調べ、そして小中高の日本語学校に入学された方々が、永住できるような制度にしていかないと、幾らコップの水をどちらに盛っても、増えるわけでもない。今、一生懸命お金を使っても、労働人口が増えないので、これは力を入れて検討してもらいたいと思っております。

 また、中小企業事業者の取り組みを早期から効果的に推進していくためには、日常的な接点を持っている商工会あるいは商工会議所の指導員の増強が必要であります。人口が減ったから職員を減らせということではありますけれども、すぐれた指導員の確保のためにも、大分県の資料にもあったように、ぜひ自治体に対する補助金の面での御協力をお願いしたい。

 お金がないからできないということになってしまいますから、ぜひ、すぐれたメンバーを現場に出してもらう。そのような補助金制度を強力にお願いしたいと思っております。

 よろしくお願いします。

○佐藤座長 ほとんど全員発言ということですね。そちらから行きましょうか。発言がある方は、植松さんから順にということにしましょう。

○植松委員 先ほどの立石委員の発言にも関連しますが、現在の助成金制度は中小企業にはわかりづらく、使いづらい面もあると思っております。具体的には、種類が多い、利用するための条件が細かい、制度の説明資料のページ数が多く制度そのものを理解するまで大変な労力がかかる、といった点です。

 社労士、コンサル等をうまく活用できている企業は、制度をしっかり活用できていますけれども、そうでない企業には十分に浸透していない、という二極化の問題が発生しております。また、何とか制度を理解できたとしても、申請書類の作成に手間がかかるということも使いづらい要因だと思っております。

 各種制度を新設する場合には、中小企業の方が、誰の手も借りず独力で手続ができるような、簡素な制度を意識していただきたいと思います。金融機関としましては、理解しやすく、わかりやすい制度で、伝わりやすいパンフレット、チラシがあれば、中小企業への制度周知を行いやすいと思います。

 併せて、助成金の支給までの期間の短縮およびITを活用した申請書類作成の効率化を検討いただきたいです。例えば、労働関係助成金について、申請から支給までにかかる時間は、都道府県の労働局で支給要件等の確認に2~3週間、金融機関への意見照会で2週間、支給事務で2週間、都合約2カ月かかる。また、申請書類の提出は紙に限定されておりますが、ITを活用して紙で作成する作業を削減し、即時とまではいかなくても、ボタン一つで申請書類の作成が完了するよう、希望いたします。

 もう一点、企業の生産性向上の課題を発見するソリューションを活用してはどうかと思っております。例えば、行動分析学を活用し、簡単なアンケートを行い、企業の課題を浮き彫りにする手法がございまして、こういったサービスを提供している民間企業がございます。個別のコンサルティングは、かなり時間もかかりますし、コストもかかるので、こうした手法を組み合わせて、効率的に中小企業の生産性向上・働き方改革を広めていくことが必要なのではないかなと思っております。

○佐藤座長 柴田委員はございますか。

○柴田委員 一つは、中小企業大学校は一番近いところで瀬戸にあるのですが、不便で三重県からだとなかなか通えません。もう少し通いやすいようなところにしていただきたい。中小企業ははっきり言って教育制度も整っていません。私がこの会社に来るまで教育研修や、人材育成というのはなかったです。瀬戸へ研修に行ってきてと言っても、店舗に余裕がないので通えない状態にあると思います。

 その辺をもう一度考えていただきたいということと、立石さんがおっしゃった、社長が何もかもをやっているというのは、まさに当社もそうでした。当社は、私が来るまで社長がお一人で何もかも全部やっていました。

社長の業務もパンクしていて、人がいないときは、社長が薬剤師ですので店舗応援に行っていました。労務も給与も経理も全部ご自分でされていました。ですので、当月の数字が4カ月ぐらいしないと出てこないというような状態で、すぐに次の手が打てない。予算という考え方もなかったです。

メインバンクは百五銀行さんなのですが、百五銀行さんとも話して、会計ソフトを自社に導入し、労務管理も以前は手書きのタイムカードだったのですが、それも全部やめて、クラウドに変更しました。銀行に相談して、IT化を進めた結果、経理は今は私が担当してますが、半月で月次の数字が出せるようになりましたし、労務管理も皆さんの手間が減りました。一番減ったのは社長と社員の方の業務です。毎回自分のタイムカードをチェックしなくてもよくなりましたし、給与計算していただいている社労士先生のところもデータで管理できるようになりました。中小の社長さんはITが苦手とかではなく、導入後は社長の仕事も楽になりましたし、社長は今、空いた時間に店舗を回ったり、本来の課題解決ができる時間と新しいことができる時間が増えました。ITはぜひ導入していただくと良いと思います。

○佐藤座長 改善の余地が大きいという話ですね。

 高松委員。

○高松委員 ありがとうございます。

 参事官から対策案を御提案いただいたので、その中から3つほど話をさせていただきます。

 1点目は5ページです。中小企業への支援体制の強化という案について、相談しやすい環境を整備していただくというのは非常にいいことだと思っておりますので、方向性自体は賛成しております。しかし、ここで言う、仮称ですが「働き方改革推進支援センター」につきましては、委託で行うのか、仮に委託で行うとしても、どのような委託先を選定するかは非常に重要になってくると思います。

 先ほど山口県さんからは、「やまぐち働き方改革支援センター」は社労士を含むアドバイザー2名の体制だという話が、大分県さんからは、経営指導員の支援が必要という話が出ておりました。そういうものもヒアリングをさせていただいた中で、「働き方改革推進支援センター」に配置する専門家あるいはアドバイザーの質を担保していくことが必要であるということを一つお願いしておきたいというのが1点目です。

 2つ目は、6ページの社内環境整備等の支援についてです。(2)の「同一労働同一賃金マニュアル」の作成について、業界の特性に応じたマニュアルをつくっていくというお話を参事官からいただきました。例えば具体的な策定スケジュールとか、あるいは具体的にどういう業界に対してつくっていくのかということがもしあれば、後でお聞きしたいというのが2つ目です。

 3つ目です。特に自治体のヒアリングの中でも、労働安全衛生の関係は、なかなか今日のヒアリングではお聞きできませんでしたが、「働き方改革」を進める上でも、産業医あるいは産業保健機能の強化というのは、非常に重要だと思っております。

 特に最近では、メンタルヘルスの関係あるいは仕事と治療の両立支援の関係とか、厚労省におかれましても、いろいろと取り組みを進めているところですので注目しています。今回の検討会のメンバーに医師会の方が入っておられませんが、以前から、医師会さんから長年にわたって衛生委員会の設置や産業医選任義務の対象を50名未満の事業場から30名未満にすべきだという話が出ています。50人未満の事業場においては努力義務にはなっておりますが、なかなか経済的な観点から、中小企業において対応を打つというのは難しいと聞いております。そういう中で、昨年、労働者健康安全機構が合併されて、そこの取り組みの中でも、中小企業への派遣指導の話等が出ております。これも、かなり多くの事業所を訪問をするという目標値が公開されているのを拝見しています。しかし、実際に、既に計画としてはありますが、どのように評価されていらして、さらに、ここに支援すると書いてあるところの強化を、どう強化するかについて、しっかりと我々にもお聞かせいただきながら、働き方の中で重要な労働安全衛生に対しての視点を向けていただきたいと思います。これは意見というより要望です。

 以上です。

○佐藤座長 今、ちょうど12時ということで、もし、もう出る予定がある人がいれば、先に。

 では前田委員、安永委員という順番にしましょう。お願いします。

○前田委員 御配慮いただきありがとうございます。

 各県からの発表をお伺いいたしまして、経営指導員も含めた全国の商工会議所の役割・重要性につきまして、改めて認識をした次第です。さらに努力を続けていきたいと思っています。

 働き方改革を成功に導く要諦は、経営トップのコミットメントとリーダーシップです。これがなければ、女性活躍推進など働き方の改革はなかなか前に進まないだろうと思います。

 先ほど、事務局より、中小企業・小規模事業者の働き方改革実現に向けた対策についてご説明がございましたが、商工会議所といたしましては、その基本的な考え方に賛同しておりますので、厚生労働省、中小企業庁の連携のもと、支援策の輻輳感、あるいは手続の煩雑さが起こらないように、是非推進していただきたくお願い申しあげます。

 働き方改革は、まさに働く方々の生きがいの創出につながっていくものですがもっと突き詰めて考えますと、個人の幸福とは何かということを改めて考えるきっかけを与えてくれるものだと思います。いわゆる個人の生活、仕事、結婚などの価値観や習慣に関わるものでありますので、本日、各県の発表にもありましたが、働き方改革が定着していくためには、公労使それぞれの努力を前提としても、尚、しばらくの時間を要するだろうと思います。

 したがって、本日議論されている支援策につきましても、この検討会において継続的に効果検証を図っていただき、適宜見直し・改善していくというPDCAサイクルを整備することが重要だと思います。

 最後に、働き改革に向けた商工会議所の取り組みをご紹介申し上げます。何と言っても中小企業の最大の経営課題は人手不足です。そういった観点から、中小企業向けにさまざまな支援を行っておりますが、直近では来月の9月20日、産業雇用安定センターと協定を結びまして、企業における人材確保の推進を図っていきます。また、中小企業庁にて取りまとめられました人手不足対応ガイドラインや事例集について、その周知にも取り組んでいく所存でございます。私からは以上です。

○安永委員 出る予定はないですが、いいですか。

○佐藤座長 では、戻って原委員。

○原委員 参考資料2の2をご覧いただければと思います。私自身も、本当に何もかも自分でやってしまう経営者のタイプで、昨日もずっと仕事をしていたのですけれども、これはぜひ働き方改革していただきたい。

 提案資料に簡単にまとめたので、ポイントだけ御説明しますが、この働き方改革という観点は、会社の企業側から見ると雇い方改革というイメージもあると思っています。そのような中で、結構いろいろな経営者と話していると、割と負担感、つまり社会にこういうことが必要なのはわかるけれども、結局、全部しわ寄せが企業に来ているのではないかという話をよく聞きます。そのようなことはないとは思う反面、その気持ちもわかります。定年延長のときなどもよくこのような意見を聞きました。

 その背景は、ここ二十数年で100万事業者が減っているという過酷な経営環境下で、何とか生き残りを図っていかなければいけない中で、さらに負担増、コストアップを強いられているような感覚があるようです。ですから、これは企業の負担ではなくて受益だというところを徹底して出していくしかないかなと思います。

 受益とは、別に助成金をもらうということだけではなく、本当の意味で生産性が向上するということです。そして未来に勝ち抜ける、生き抜けるようになるということと、もう一つ、多様な人材を活用できるようになって、人材不足対策と、その人材の質による高度な経営が可能になるという具体的なメリットを、本当に企業が享受できるということです。それをしっかり伝えていくべきだなと思っています。

 その意味で、これからの施策と委員会のことについて少しお話しします。

 まず、こういう委員会が立ち上がって議論するのはとてもいいことなので、先ほどの施策予定も拝見しましたが、かなりいろいろ網羅されていると思っていますし、各自治体の対策も相当いろいろなことをされているというのがわかるので、これをいかに効果的に連携させていくかがポイントです。バラバラに行っているだけでは、効果は十分に出ないでしょう。

 支援施策のポイントとして第一に、企業の負担が効果に繋がるものであるということです。その際には労働生産性と資本生産性の観点で、人材の質の向上とか業務プロセス改善の議論もあわせてやっていくことが大事です。

 第二のポイントとして支援の対象について、旧態依然とした考えから脱するべきと思います。先ほどから社長にしわ寄せが来ていると言われますが、実は中小企業の中間管理職も相当しわ寄せが来ます。現場の一般社員は残業規制に守られている中で早目に帰れるかもしれない。経営者は自分がやるか、もしくは目標を管理者に押しつけていくことになったとき、板挟みになるのは中間管理者です。ここについてもいろいろ対策が必要になると思います。

 加えていえば、働き方の多様化という議論が欠落している感じがしております。特にシニア人材などと話していると、ネットワークとかノウハウを持った人ほどフリーのような働き方で、いろいろな企業の経営とかかわりたいという方は明らかに増えています。特に、企業から求められる質の高いと方ほどそういう傾向があるので、こういう人材を活用していくためには、多様な働き方がもはや不可欠で、兼業・副業やフリーランスなどをこの働き方改革の中でどう入れていくかという議論が必要です。

 第三のポイントとして、施策の高い投資効果を実現させることですが、そのポイントは実行度だと思います。現在の課題解決としてだけでなく、未来の社会づくりへの投資としていきたいものです。施策がしっかりしていても、その実行で失敗するケースはとても多いですね。PDCAというのは、明らかにP、DよりもC、Aのほうが難しいし重要なのです。ですから、この施策を今後どうやっていくかを検討してモニタリングする場が必要ではないかと思っていますので、その辺は御検討いただければと思います。

 以上です。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。

 どうぞ。

○安永委員 安永です。

 資料の7ページに、取引問題を挙げていただいております。中小企業の「働き方改革」に関して、取引問題は重要な観点だと思っています。私どもも労働組合として春闘において賃上げに取り組む中で、中小企業の労使に対して取引会社から賃上げするぐらいならば取引価格を抑えろとか、時間外勤務は目いっぱいできるようにしておけとか、そういうプレッシャーがあるという話をよく聞きます。具体的に言葉に発せされなくても、取引先である大企業から忖度であるとか暗黙のプレッシャーを受けながら、中小企業は大変な努力をされているわけですが、中小企業が大手を超えられないということになると、もともと格差がありますので、格差は広がっていくばかりになってしまいますし、長時間労働のしわ寄せも中小企業が負うようになります。

 昨年あたりから、私どもとしては人手不足感もあって、このままだとサプライチェーンが切れてしまうということを、大企業にも訴えかけをしています。賃上げの上げ幅などについても、中小企業が大手を上回ることがあっても、それは認め合うことを社会全体でやっていかないと成果は出ませんよねというような訴えかけをさせていただいて、その成果は出つつあると思っております。

 ただ、これはB to Bの場合です。サービス産業はもともと生産性が低いという指摘を受けているわけですが、B to Cの場合、24時間営業であるとか定休日がないといった問題をどう改善していくか。この問題解決無くして、なかなか「働き方改革」を進めることは難しいと思います。

 私たちは労働者として、イコール消費者として、サービスはイコール無料という間違った文化ではなく、倫理的な消費活動をやろうという呼びかけをさせていただこうと思っております。行政のほうも、社会全体に対してその倫理的な消費活動のあり方などについての訴えかけなどをしていただければと思います。

 2点目として、今回、示していただいた助成制度は数多くありますが、新たな制度なのか改善をした制度なのか、今までどおりの制度なのかが少し見えにくいので、そこを整理していただくと意見も言いやすいのではないかと思います。

 それから、キャリアアップ助成金のように、事業主都合による離職者を発生させていないことが受給条件の一つになっていることもあると思いますが、ただ、有期契約労働者の雇い止めを行わないことは条件に入っていないと思います。今回の「働き方改革」が、全ての働く人のための「働き方改革」であるとするならば、そうものも含めた検討も必要になってくると思います。

 以上です。

○佐藤座長 高橋委員。

○伊藤委員代理全国中小企業団体中央会専務理事高橋様 全国中央会の専務の高橋でございます。今日は代理で出ております。

 3点申し上げたいのですが、その前に一つ、お役所のほうから出された資料の3ページに、そういう変な意味ではないだろうと思うのですけれども、長時間労働の是正については、労働者を雇用する企業が対象であり、小規模の事業者は対象となるけれども留意が必要である。この意味がよくわからないのです。というのは、間違って捉えるのではないかという心配があります。大企業、中堅、中小のしわ寄せを零細企業が負うことができますねと読む人も出てくるおそれがある。要は、建設業の場合に、従業員ではだめだけれども、一人親方にすれば、一人親方は自営業だから、お前は24時間働けとか、請負契約でできるぞという話になるおそれを非常に感じているわけでございます。ここは書き方の問題だと思いますけれども、まさかそのようにとる人はいないだろうとは思いますが、ちょっと御注意をいただきたい。

 先ほどからお話に出ていますように、相当、中小企業にしわ寄せをさせようという動きがございまして、現在、我々のほうにも言ってくるところがありますので、そこは御注意いただきたいと思います。

 申し上げたい3点でございます。一つは、いろいろ今後の事業をおやりになるということで、予算等々でおやりになるのでしょうけれども、大体、今までなさっていた事業にプラスアルファという感じだろうと思うのですが、先ほど、話がありましたように、難しくてよくわからない。私も、今日は中小企業施策利用ガイドマップを見て、キャリアアップの補助金などを見ると、何だかよくわからないということがあって、特定の人が知っていればいいというつもりはないのでしょうけれども、悪いことに使われないように要件を定めているのだと思いますが、それがよくわからない。本当に相談に乗ってくれるのかどうかということ。先ほど、時間がものすごくかかるという話もございましたけれども、そういうところをもう一度見直しをしていただきたいと思っています。

 我々としては、ワンストップで施策が利用できる。業務の見直しと改善にうまく役立つ。労働時間を減らすのではなくて、その中で自分たちの行っているプロセスが、どう違っているかを確認できるようなことができる。そのためには、企業診断が大切です。診断士の制度が最近余り使われていないように思いますけれども、高度化融資のときには大変使われていた診断士の制度ですが、社会保険労務士の方がいろいろおやりになることと違った意味で、こういう方々が今、商工会議所とか商工会、中央会にも診断士がいますけれども、また、自営でやっている方がいらっしゃいますが、そういう方をもう一度活用できるのかどうかということを御判断いただきたいと思います。

 2番目に、先ほど山口県、高知県の方からお話がありましたけれども、若者の人材確保のためということで、中小企業の魅力の発信などもございました。これは、私の見識が間違っていなければ小学校、中学校は市町村、高等学校からと私立は県だったと思いますけれども、県だけではなく市町村、上部である文部科学省と中小企業庁、厚生労働省が協力して、何らかの対応をとっていただきたいと思っているところであります。

 それから、業種別の取り組みというのが非常に大事でございまして、私どもは業種別の中小企業団体の集まりでございますので、これについてはお役所と一緒になって協力してやってまいりたいということを申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○佐藤座長 最後になりましたが、石倉さんお願いします。

○若林委員代理全国社会保険労務士会連合会石倉様 本日、代理で出席しております社労士会連合会の石倉でございます。

 今日、社労士の名前が大分出ましたので、まずはいろいろなところで御活用いただけるように、我々のほうとしても会員のしっかりした研修等には取り組んでいきたいということを明確にさせていただきたいと思います。

 その中で、この働き方改革は、さまざまな施策が出てきているわけでありますけれども、その施策をどう取り組んでいくか、もしくは支援組織がどのようにプレゼンをしていくかの前に、それぞれの企業で自分のところの職場環境がどうなっているのかということを経営側と従業員で、中小・小規模のところであれば、先ほどエムワンさんが御報告でありましたけれども、そのような形で自分たちがプレーヤーとしてその企業についてどのように改善するところがあるかを見つけていく。それによって、使える施策を導入していく。このようなプロセスを組んでいかない限り、実効性が上がる働き方改革になっていかないだろうな。

 例えば、その部分での健康経営。従業員の健康を経営資源として考えるような、それによって生産性が向上するところにも繋がっていくことになりますし、さまざまな部分で、施策の前段階で、取り組む前に一度、企業内を、職場環境を見直すような仕掛けができれば、もっと実効性が上がるものになっていくだろうと考えております。

 ぜひ、そういった部分で我々もお手伝いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 どうもありがとうございます。

 まだまだ御意見が出るかなと思いますけれども、時間も1215分ですので、一応、今日御意見を伺うのはここまでにさせていただければと思います。

 今日、都道府県の報告や皆さんの御意見を踏まえて、先ほどの中小企業・小規模事業者における働き方改革実現に向けた対策は案ですので、これを事務局とも相談して、次のバージョンをつくらせていただいて、また皆さんの御意見を伺うというようなことをさせていただければと思います。その点については、少しお任せいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 今後、今日伺えなかった都道府県とかについては、個別にヒアリングしていただくことになるかと思います。その点もよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から連絡があればよろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 まず、支援策につきましては、今ほど佐藤座長からお話がありましたとおりでございますけれども、取りまとめが済み次第、事務局のほうで、構成員の皆様方に御照会、御確認させていただきたいと思っております。

 また、今後の会議等につきましては、事務局から追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 それでは、少し時間が過ぎましたけれども、まだまだ本当は御意見を出し切れていないことがあるかと思いますが、活発な御意見をどうもありがとうございました。


(了)

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