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2017年9月15日 第53回医療部会

医政局総務課

○日時

平成29年9月15日(金)10時00分~12時00分


○場所

三田共用会議所 大会議室


○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第53回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数が24名で、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、荒井委員、岩田委員、遠藤委員、久喜委員から御欠席との御連絡をいただいております。20名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達しておりますことをまずは御報告申し上げます。

 なお、山口委員、山崎委員からは、若干おくれる旨の御連絡をいただいております。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1-1及び1-2、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料1-1、1-2、参考資料2をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 カメラの方はここまでお願いいたします。

(報道関係者退室)

○医療政策企画官 以降の進行は永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 最初に、欠席の荒井委員の代理としまして、一松参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、議題に移ります。まず、次期診療報酬改定の基本方針について、事務局から説明をお願いいたします。

○医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。

 資料1-1、1-2に沿いまして、事務局より説明をさせていただきます。

 まず、資料1-1をごらんください。1ページ目が、今回の進め方のシートでございます。例年どおりの進め方を考えているということでございます。このような形で診療報酬改定の基本方針を定める方式になりましてから、過去6回、基本方針の策定をいただいておりまして、今回が7回目になります。

 そのときの進め方でございますが、まず、資料の左側をごらんいただきますと、社会保障審議会医療保険部会と医療部会におきまして、秋以降、基本方針の御議論をいただき、12月ごろを目途に策定をお願いしたいと考えております。並行しまして、その下に参りますが、内閣の予算編成過程の中で診療報酬改定の改定率が決定されまして、その2つを受けまして、年が明けまして1月ごろに中医協に対して改定率と基本方針を踏まえて改定案の調査・審議を行い、諮問が行われ、答申を経て設定される。こんな進め方でございまして、例年どおりの進め方を考えているということでございます。

 続きまして、資料1-2は基本方針の検討についてでございます。基本方針は1枚目のシートでもごらんいただきましたように、本医療部会、医療保険部会の双方で御議論いただいて進めることを考えておりますが、1枚目の上の四角囲みにございますとおり、これまでの基本方針において、改定に係る基本的な考え方、基本認識を記した後に、重点課題、改定の視点等を定めて方向性を規定する。そんな記載ぶりでこれまで作成をお願いしているところでございます。改定の視点につきましては、初回の平成18年以降のさまざまな状況の変化の中でも、基本的には継続をする形で作成をいただいてきたという経緯がございます。

 また、今回は6年に一度の同時改定でもございますし、包括ケアということを考えましたときに、節目でもありますので、そういったことにも御留意いただければということでございます。この中で医療従事者の負担軽減については、位置づけを少しずつ変えながら継続的にテーマとして取り上げられてきたこともございますので、こういった点も御留意いただければということでございます。

 今回はいわば初回の議論、キックオフでございますので、事務局としては、まず、考えられるものを素材として御用意いたしましたが、先生方の大所高所からのお話をいただきまして、次回以降の本格的な議論に備えていきたいと考えております。

 下の「(1)改定に当たっての基本認識」でございます。ここについては、今回は3点を大きく添えさせていただいております。1つ目は、健康寿命の延伸、人生100年時代を見据えた社会ということで書かせていただいております。これまでの基本方針の中でも、国民一人一人の状態に応じた質が高くて効率的な医療の実現をしていくということ、国民皆保険の堅持をしていくということは重ねて触れられているところでございます。また、本年の骨太の方針等々におきましても、健康寿命の延伸や人生100年時代についての言及がございます。こういった点を踏まえまして、基本認識として触れてはどうかということで、1点目でございます。

 2点目は包括ケアの関係でございます。これも近年の基本方針の中で継続的に触れられているところでございます。右側に添えておりますとおり、将来を見据えた提供体制の構築、イノベーションの推進。切れ目のない提供体制ということもこのあたりにございますし、また、包括ケアの概念の中には介護も当然入ってまいりますので、診療報酬と介護報酬の連携もあるかと存じます。

3点目が医療・介護現場の新たな働き方の実現、制度に対する納得感の向上ということで、触れさせていただいております。これまでの基本方針におきましても、内閣の方針であります骨太の方針等々についての言及がございますし、その中で、医療資源の配分の関係、適切な医業経営の確保といったことは、形を変えながら触れられているところでございますし、あわせて制度の持続性を支える医療従事者の方々の働き方に関する点も、この文脈の中に入ってくるのかなということで、添えさせていただいているところでございます。

 続きまして、2ページでございます。先ほどの基本認識を踏まえて、これはあくまでも初回の議論に備えた例示として置かせていただいているという性質のものでございますが、視点としては4点、置かせていただいております。

 1つ目が、冒頭にもございましたが、包括ケアの推進と医療機能の分化・強化・連携でございます。内容が多岐にわたりますので、一つ一つの説明は割愛させていただきますが、右側にございますように、これまで医療部会、医療保険部会、過去の基本方針で触れられておりますような論点、今回は同時改定だということもございますので、あわせて右側にありますようなテーマが、テーマとしては考えられるのかなと事務局としては考えておりますが、こういったテーマにそぐう形での例を、肉づけをしていきたいと考えております。

 2点目の例は、新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療を実現・充実する視点でございます。これまで累次の基本方針の中で、あるいは中医協等におきましても、質が高い、安心・安全ということに関して、さまざまな議論が積み重ねられてきていると考えておりまして、そういったテーマについては、こういったテーマの中で取り上げていくことでいかがかということで、2点目でございます。

3点目が医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点でございます。累次の基本方針の中でそれぞれごとに触れられている点ではございますが、改めましてチーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化といった点を重ね合わせまして、左側にあるような視点に役立てるような取り組みをこの中に記載していくことが考えられるのではないかということで、3点目でございます。

 また、4点目でございますが、効率化・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高めていくということもあるのかなと考えております。右側にありますように、これまでの議論の中で、あるいは諮問会議等々で取り上げられているテーマもございますが、効率性、適正化に関する論点についてもさまざま言及がされているところでございます。

 こういった点も取り上げるということで、全体としては制度の納得性を確保していくことに資するものとして挙げてはどうかということで考えております。

 3ページ目は過去の改定におきます基本方針の視点の例等々を添えさせていただいております。左側からずっとごらんいただきますと、改定の視点については比較的継続的に取り上げられているということがごらんいただけるのではないかと考えております。

 なお、参考資料1-1で前回の基本方針、参考資料1-2で参考資料を添えさせていただいておりますので、あわせて御参照いただければと存じます。

 事務局からは、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 御質問、御意見をいただきますが、本日の医療部会では、個別の報酬項目への要望というよりも、大局的な視点からの御意見、御議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 邉見委員、つぎに中川委員。邉

○邉見委員 以前にも、前回の改定のときにも申し上げましたけれども、一番上の平成29年社会保障審議会の中に、医療保険部会、医療部会とありますが、過去の改定では、いつも医療保険部会が先に開催されています。医療のことを討論して、それを支えるのが医療保険部会だろうと私はずっと思っておりますので、先に医療保険部会で、これぐらいの財源あるいはこれぐらいしかないということで医療を論ずるのは本末転倒であろうかとずっと思っております。

 いつも当局の答えは、集まる人数とか日程の関係でこうなりましたというのですが、そんなに偉い保険担当の財政、金融の方の人より、医者のほうが暇なのではないかと思ったりもするのです。こんなことはないかもわかりませんが、時々は医療部会を優先する年もあってほしいと思います。

○永井部会長 ただいまの点、いかがでしょうか。

 事務局。

○総務課長 医政局総務課長でございます。今の邉見先生の御意見でございますけれども、かねてよりそういう御意見を頂戴していることは承知しているところでございます。ただ、今、先生からまさに御指摘があったとおりなのですが、医療部会の委員の先生方はお忙しい先生が多いために、皆さんの日程を調整するのも、私どもは苦慮しているところでございまして、大変恐縮でございますが、今回も、そういった委員の皆様の日程調整の関係でそうなったということで御理解を賜れば、大変ありがたいと思っております。

 医療保険と医療提供体制は、まさにこれは一体不可分のものであろうかと思っております。当然それぞれの部会での議論はしっかりとなされた上で、それを最終的に診療報酬改定基本方針という形に反映させるということが重要だろうと思っておりますので、私どもとしてもしっかりと日程の調整をさせていただきながら、医療保険部会での議論も、私どもの医療部会の議論がちゃんと反映されるようにしたいと思いますので、先生方の御理解を賜ればありがたいと思っております。

○永井部会長 中川委員。

○中川委員 具体的な議論の前に確認したいことがあります。

12日に日本経済新聞のインタビューで、総理が、社会保障が高齢者に偏っていると。全世代にするのだとおっしゃったという報道があります。もちろん御存じだと思います。

 社会保障・税一体改革で消費税財源を充てる対象は、それまでの高齢者3経費から少子化と医療を全世代にする、いわゆる社会保障4経費に変わりました。このときに、社会保障は高齢者偏重から全世代に既に変わっていると認識しているのですが、あえてこの時期に総理が高齢者に偏り過ぎていると、全世代にするのだと発言された真意といいますか、どういう意味があるのか、少し役所のほうで、事務局で専門的に解説していただけませんか。どうも読み切れないのです。どなたでも結構です。

○永井部会長 いかがでしょうか。

○医政局長 中川先生から御質問をいただいているところでございますが、総理のインタビューにつきましては、私どももインタビュー記事を読んだ以上のことは承知しておりません。政府といたしましては、中川先生から御指摘がありましたように、社会保障・税一体改革を進めるという方針は変わっておりませんので、御指摘のありました4経費、医療、介護、年金、子育てに新たな財源を充てつつ、社会保障の充実を図っていくという方針には変わりがないものと承知しております。

○永井部会長 はい。

○中川委員 明確なお答えがないようですが、無理な質問をしているというのはわかって聞いているのですけれども、なぜ聞くかというと、次の改定にも極めて重大な影響があると思うのです。その記事を見ると、例えばこども保険であるとか教育だとか、そういう一般財源といいますか、消費税財源ではなくて国債という話も出てきています。日本の社会保障に対する財源のあり方として、大きくさらに転換をするのかどうかということは、見きわめが大事ではないかと思うので聞いているのです。

 これ以上聞いてもお答えいただけそうもないので言いませんが、基本方針を議論するに当たって、こういう総理の発言の真意がわからない以上、それに振り回されることなく議論していただきたい。また、座長からもおっしゃいましたが、各論の、診療報酬項目の細かい議論ではなくて大局的な議論をしていただきたいと委員としてお願いいたします。

○永井部会長 加納委員、菊池委員、どうぞ。

○加納委員 ありがとうございます。診療報酬を決めていくに当たって、もう一つ大事なのが、医療現場の経営状況だと思うのですが、一つは、医療経済実態調査が多分、例年ですと11月ごろに発表されるかと思うのです。もう一つ、前から申し上げています福祉医療機構、ここは民間病院が主体ですけれども、病院総数でいきますと1,800ぐらいの病院の生データを彼らは把握していまして、それを報告していただくということが例年続いております。

 恐らく早ければ9月末にそれが出てくるのではないかと思うのですが、ぜひとも確認した上で、診療報酬の改定の流れを決めていただきたいと思うのです。というのは、今のところ、どうも平成28年度の診療報酬改定はかなり厳しくて、急性期の一般病院の経常利益率がかなり下がっているといううわさが出ております。医療崩壊とかたらい回しとか、いっとき社会問題になりました平成19年のときは、実は、WAMの経常利益率が一番下がってゼロとなったときであります。こういうことが起こらないように、ぜひとも医療現場の実態を確認して、診療報酬改定を進めていただきたいと思いますので、そういったデータをぜひとも使っていただきたいというお願いでございます。

○永井部会長 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 まず、改定に当たっての基本認識の3点及び改定の基本的視点4点と、そこに例示されている内容についてはおおむね賛成です。 特に基本的視点に医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点が挙げられましたことは、医療現場の勤務環境の厳しさ、看護職員については夜勤の深刻さなどを改善するには非常に重要な視点と考えます。この働き方改革を推進することは、離職を防止し、医療従事者を確保するという観点からも重要と思います。

 次に、2ページの具体的方向性に関連して、3点意見を申し上げます。

 1つ目は、地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化・連携に関する視点についてです。3項目のポツの訪問看護には、医療と生活、医療と介護をつなぐ連携の役割もありますので、この拡充を進めるべきと考えます。退院後の在宅療養や看取りなどのニーズは増大しており、24時間365日、在宅療養者を支えるためには機能強化型の訪問看護ステーションをさらにふやしていく必要があると思います。高齢者だけではなく、医療的ケアを必要とする小児の在宅医療を支えるためにも必要です。

 2つ目は、外来医療の強化や重症化予防に関してです。今後、糖尿病を初めとする生活習慣病の重症化予防のためには、例えば予防を目的とした指導や相談支援の拡充が必要です。そのためにも、受診中断者など重症化しそうな対象者を早期に把握し、効果的に対応するために医療機関が自治体や保険者とも協働する地域連携が必要になると思います。

最後に、視点の3つ目、医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点の中に挙げられておりますチーム医療の推進についてです。チーム医療の推進は、負担軽減という観点からも重要ですけれども、患者にとって効率的な医療提供体制という観点からも重要と考えております。この点で、看護の立場から言いますと、特定行為研修を修了した看護師の活用を進めていくことで、より効率的かつ効果的にチーム医療を推進することができると思います。研修修了者は専門性を生かして看護実践を行っております。これまで医師が行っていたカテーテルの交換などを、研修修了者が、患者の状態が手順書の範囲にきちんとおさまっているかどうかも適切に判断しながら実施するということで、患者の医療処置をタイムリーに行って、その苦痛を早目に軽減することができます。また、移動が大変な在宅療養者の場合には、外来に通うこと自体に大変な思いをされますが、研修修了者が関わることで、外来に通わずに済むこともあります。このような活動には、医師の側からも、外来を中断せずに済むようになったとか、外来中に病棟に呼ばれることが明らかに少なくなったという評価もいただいています。チーム医療の推進をぜひ進める方向で検討していただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 一松参考人。

○一松参考人 本日は、荒井知事の代理で出席させていただいております。奈良県副知事の一松と申します。よろしくお願い申し上げます。2点、申し上げたいと思います。

 まず、基本方針でございますけれども、人生100年時代を見据えた社会の実現なども記載されているわけでございますが、都道府県にとりまして、より切実な問題は、平成30年度におきまして、診療報酬、介護報酬の同時改定に合わせまして、医療費適正化計画、保健医療計画など、惑星直列的な計画の策定や制度改正に直面しているということでございます。特に重要と考えておりますのは、国民健康保険の都道府県単位化でございまして、都道府県によって方針や実情は異なりますが、どこの都道府県でも負担水準の議論を市町村と真剣にさせていただいている段階と認識しております。

 こうした中で、保険料水準の統一を目指す当県なども含めまして、医療費の伸び率と保険料の負担水準がよりストレートにリンクする状況になりつつありまして、端的に申し上げれば、この年末に見込みと異なる形で医療費の上昇が生じる状況になりますと、もう一段の保険料負担増を県民にお願いしなければならなくなるという状況が生じておりまして、他の都道府県においても同様と考えております。

 したがいまして、国民健康保険の都道府県単位化といったほかの重要な制度改正とのリンクも、こうした視点なり基本方針の中で明確に書き込んでいただいて、そこにも目配りすることを意識した診療報酬改定にしていただきたいというのが1点でございます。

 2点目は、ただいまの点とも関係いたします。地方六団体では、従来本年5月の緊急要請を含めまして、地域別の診療報酬などにつきましては、慎重対応を求めてまいりましたが、必ずしもそうは言っていられない状況になってきていると認識しております。国民健康保険の都道府県単位化などで、真剣に保険料負担の水準と向き合う都道府県ほど、地域医療構想や医療費適正化計画の着実な実行を意識せざるを得なくなる状況になっていると思います。

 したがいまして、診療報酬の全国一律の体系やその水準につきまして、都道府県の目指す方向とそごが生じるといったことが、生じないと思っておりますが、万が一生じた場合には、何らかの対応を検討せざるを得なくなるのかなと思っております。全国知事会内でも問題提起していかなければならないと思っておりますが、少なくとも本県では知事のもとで設けました有識者会議などにおきまして、高齢者の医療の確保に関する法律第14条を含めまして議題に乗せているという事実がございます。

 基本方針におきましても、都道府県の負担増の抑制すなわち医療費適正化に向けたガバナンス発揮に資する診療報酬体系の検討といった視点ぐらいは、考慮要素として考えていただいてもいいのかなと思っております。

 以上2点、申し上げました。ありがとうございました。

○永井部会長 平川委員、猪口委員、本多委員。

○平川委員 ありがとうございます。診療報酬改定に向けた検討について、何点か意見を述べさせていただきます。

 最初に(1)の基本認識に書かれております2つ目の例に、地域包括ケアシステムの構築が書かれております。これは大変重要なことでありますけれども、人口減少と少子高齢化が同時に進行する中にありまして、制度の持続可能性を確保する観点も必要だと考えております。1つ目の例には、質が高く効率的な医療の実現という記載があります。この質が高く効率的な医療の実現は、地域包括ケアシステム構築においても重要なポイントだと思いますので、切れ目のない良質で効率的な医療・介護の提供体制の構築ということで検討すべきだと考えております。

 また、医療従事者の勤務環境の改善です。政府が働き方改革を進めておりますけれども、医療従事者が置き去りにされることなく改善を進めていくのは当然のことであると考えております。医師や看護職員を初めとする医療従事者に過重労働を強いるような医療提供体制であってはならないと考えておりますし、勤務医 紛れもなく労働者でありますので、 労働基準法上 の労働時間規制が適用されることを大前提とすべきと考えておりますし、看護職員 については 、夜勤負担の改善が以前からの課題でありますので、こうした勤務環境の改善 多職種の連携 の推進 について しっかり議論していくべきだと考えております。

 また、レセプト電子請求と診療明細書の無料発行の関係であります。書かれていない項目として、2つ目の例に書かれた患者にとって安心・安全で納得できて、将来の新しいニーズにも対応できる質の高い医療を実現・充実する視点に関連しまして、レセプト電子請求のさらなる推進と全ての医療機関における診療明細書の無料発行の推進は極めて重要なことだと考えております。医療の透明化と、結果的には安心で質の高い医療の発展や患者の納得性を確保することにつながると考えておりますので、これについてもしっかりと検討課題にしていただくようにお願いしたいと思います。

 最後に、診療報酬と介護報酬のダブル改定、加えて医療計画と介護保険事業計画の策定という大変大きなテーマが今回改定と同時に大きな課題になっているかと思います。ただ、本来であれば、社会保障と税の一体改革が進み、それなりに財源を確保した上でこれらの改革が進められるべきであったものが、残念ながら2度にわたる消費税の延期という中で、本来であればもう少し政策的にやれることがあったものが、財源が厳しい中で同時改定を迎えることは、大変残念に思っています。我々としましては、社会保障・税一体改革をしっかり進めるべきであると考えておりますので、意見として言わせていただきます。

 以上です。

○永井部会長 猪口委員。

○猪口委員 ありがとうございます。猪口です。

 先ほども少し出ましたが、現在、病院の経営は本当に年々厳しくなっております。そして、診療報酬そのものは、改定のたびに複雑かつ非常に難しいものにどんどん変わっていっているわけです。ここはもう人手不足、医療の効率的な運営、もちろん質を確保した上ですけれども、そのためには、診療報酬をIT等も駆使した上での効率化、診療報酬そのものの簡素化、そういうものがないと、これ以上複雑になりますと、もう対応がどんどん厳しくなっていくと思います。ぜひ次の診療報酬改定においても、そういう視点で進めていただきたいと思っております。

○永井部会長 本多委員。

○本多委員 改定に当たっての基本認識に関係するところですが、現在の日本では、人口が大幅に減ってきており、その中で生涯医療費の大半を費やす高齢者が急増している状況です。一方では、高齢者の医療費の半分以上を支えている若年労働者の人口が減少に向かっているという視点を、基本方針に明記していただきたいと思います。仮に医療費がこのまま増えなくても、生産年齢人口が減ると、1人当たりの保険料負担が急速に膨らんでいくという視点はぜひ明記していただきたいと思います。

○永井部会長 楠岡委員、次いで相澤委員、釜萢委員、どうぞ。

○楠岡委員  現在の医療の現場においては、医師を初めとして医療従事者にかなり業務負担がかかっているのは間違いないことであり、特に昨今、医師への業務負担が過剰なことが問題になっております。これの解決法としまして、いろいろな業務を移管していくあるいは分担していくということが提案されております。この中で今、労働基準法の改正の話がございますが、医師に関してはしばらく猶予期間があるとなっております 。しかし 、やはり医師の働き方を初めとした改革は喫緊の課題であると考えております。

 これを解決するには、先ほど申しましたそういう業務移管等がございますけれども、基本的に今までの診療報酬は患者に直結する医療提供に対して評価されていて、患者と直接かかわりがないような、あるいは間接的なものに関しては、余り評価されていないという状況がございました。唯一例外的なものは、例えば医師の事務補助のようなもので、これは患者には直結しませんけれども、結果的に患者へのサービス向上になっておりますし、また、医師の業務がかなり改善されたという実感がありますし、現場の医師からも評価されているところでございます。

 今回の改定で、タスクシフト等に関しましても、こういう業務、医療提供に直結しない部分への評価も含めて診療報酬改定を考えていただかないと、タスクシフト等を導入しようとしても財源がなくて、実際にできないというジレンマに現場として陥ってしまいますので、ぜひこの点の御配慮をお願いしたいと思っております。

○永井部会長 相澤委員、釜萢委員、井上委員。

○相澤委員 これまでに発言があった方と重複するところもあるのですが、一つ大切なのは、75歳以上の御高齢者が2025年から急増するということと、少子化というこの2点は、これからのさまざまなことを考えていく上でどうしても欠かせないことだと思うのです。

 その視点を、ぜひ基本認識として持たないといけないのだろうと思います。そうなりますと、それに見合った診療報酬体系あるいは医療改革をしなければいけなくて、そのために今、診療報酬が基本としている、例えば施設基準だとか何かをそろえれば、それで点数が来るということを抜本的に見直していかないと、非常に厳しい状況になってくると思うのです。我々は、実際に患者の状態をきちんと見て、そこに合った医療をするわけで、それに対して手当てをしていただきたいということをお願いしているわけですが、ぜひその視点を入れていただきたいと思います。

 もう一つは、厚労省が、病院が大変だろうなということでいろいろなチーム医療とか、あるいは連携とかに関して診療報酬の点数をつけてくださるのですが、そのたびに、こういう医師をそろえなさい、こういう研修を終わった看護師をそろえなさい、そういう施設基準が物すごくたくさんありまして、病院の医師の負担ばかりではなくて、事務系の負担はかなり多いものがあります。例えば看護師が1人産休に入るたびに、その名前を書きかえて、また厚生局に届け出をしなければいけない。この施設基準を中心にやっているために、病院には物すごい負担がかかっているということを御理解いただいて、その邉の簡素化というか簡略化というか、そういうことをお願いしていきたいと思っています。

 もう一つは、ここで医療従事者の負担軽減と言っていますが、恐らく負担軽減は医療提供体制のあり方あるいは医療・介護の提供のあり方そのものによって大きく変わるのだろうと思っています。そこを余り重要視せずに、ただ、一時的な医療従事者あるいは介護者の負担を減らすための継ぎはぎ的な手当てをしていますと、もともと何をやっていたのか、今は全然わからない状況になりつつあるような気がします。一度ここできちんとした整理をするということは、すごく大事なことだと思いますので、ぜひそのような視点を持っていただきたいと思います。

 ちょっと長くなって申しわけありません。それともう一つ、医療・介護の同時改定は、こういうチャンスはないと思うのです。問題は、御高齢者の方は介護が必要な方で医療が必要になり、医療が必要な人が介護になってくる。そこで診療報酬と介護報酬が入り乱れて、非常に使いにくくなっている。例えば訪問看護などを含めても、そこが極めて複雑怪奇になっていまして、こういうビッグチャンスなので、そこを少し整理してもらって、現場が使いやすくしていただけると非常にありがたいと思います。

 以上、少し長くなりました。

○永井部会長 だんだん時間が押してきました。要点をお願いします。釜萢委員、井上委員、安部委員。

○釜萢委員  国全体として働き方改革に取り組んでいるわけで、医療の従事者も当然でありますけれども、医療従事者が過重労働のために健康被害を生じるような事態は何とも避けなければいけないのですが、一方で、改革を推し進めることによって、これまで提供できた医療の体制を維持できないということも当然起こってくるわけでありまして、そこに対して医療を受ける国民の皆さんがどのように判断なさるかというところをしっかり踏まえなければならないと思います。

 業務の移管もうたわれるわけですけれども、医療安全の点から、医療を受ける側がそれを十分理解し容認しているかどうか。そして、これまで提供できていたような、例えば救急医療の体制が維持できなくなることに対して理解を得られるのかどうか。そのあたりをしっかり踏まえて、余り性急に方向を決めず、影響を十分考えた対応が必要であろうと強く感じます。

○永井部会長 井上委員、どうぞ。

井上委員  ありがとうございます。今回の改定は、まず、2025年以降を見据えたものでなければいけないということと、医療と介護の同時改定ということで、まず、医療と介護の連携の一層の推進は非常に重要なテーマになると思います。ここをシームレスに構築していくということ、そして医療機能の分化・連携を図っていくということとが重要となります。こうしたことを実現する上で、もう一度自助・共助・公助という精神を見直して、一層メリハリのある報酬体系を目指していくことが重要だと思います。

 これに関連しまして、資料の基本認識のところでございますけれども、持続可能性ということをもう少し強調してタイトルに入れることが重要ではないかと考えます。また、前回の改定のときに、経済成長、財政健全化との調和という項目があり、今回も是非柱として立てていただきたいと思います。やはり、制度自体が経済に及ぼす影響はますます大きくなっており、今や社会保障費に係る事業主負担は法人税負担よりも大きくなっていることからも、引き続きこの視点は重要です。最後に、2018年度は経済・財政再生計画の集中改革期間の最後の年、3年目に当たりますので、来年度も引き続き社会保障関係費の自然増を毎年5,000億円とする目安を達成することが重要でありまして、今後の改定においても、そのあたりの精神を踏まえて行っていただきたいと思います。

○永井部会長 安部委員、山口委員、どうぞ。

○安部委員 資料1-2でございますが、改定に当たっての基本認識、改定の基本的視点と具体的な方向性については、おおむねこれでよろしいと私は考えております。中身を見せていただきますと、前回の改定も含めて、これまでの改定での基本的な考え方は継承されているということもございますので、今後、具体的な改定に当たっての基本方針の例とか方向性の例については、前回改定の検証結果もそろそろ10月ぐらいになれば出てくるわけでございますので、その結果も踏まえて議論する必要があると考えております。

 同時改定でございますので、医療・介護の分担と連携が非常に重要なテーマだと認識しておるのですが、例を見ると、医療・介護連携と1行だけ書いてあります。医療部会での議論と介護保険部会での議論をどのように整合性をとって同調していくかということについては、スケジュール上のイメージが見えないところがありますので、今後、お示しいただければと思います。

○永井部会長 山口委員。

○山口委員 ありがとうございます。先ほどから、診療報酬が複雑化しているというお話がございますけれども、本当に改定ごとにますます複雑になってきて、一般の患者の立場で言いますと、理解をすることがどんどんできなくなってきているような印象を強く持っておりますので、私も簡素化はぜひ取り組んでいただきたいと思っています。

 今回の改定に当たっての基本認識を見てみますと、例えば2つ目に、どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会の実現とある。非常に耳ざわりはいいのですけれども、果たして本当に実現できるのだろうかというのが正直な思いでもございますし、例えば2ページの「(2)改定の基本的視点と具体的方向性」を見ていましても、地域包括ケアシステム推進のための多職種連携とか、質の高い在宅医療・訪問看護の確保あるいは希望に応じたみとりの推進。これを幾ら望んだとしても、できない地域が現実にある。そういう地域の格差が広がってきていると思っています。

 そういうことを考えたときに、実際にどこでも実現ということが不可能だとしたら、実現できない地域でどのような診療報酬改定の努力をすることによって実現に近づくのかということを国民にわかりやすく説明あるいは提示するようなことを努力していただきたい。国民から見ると、診療報酬が余りにもかけ離れた存在になっているように思いますので、そこの見直しをぜひ図っていただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 最後に山崎委員、どうぞ。

山崎委員 いつも診療報酬の前の年の10月ごろに、診療報酬基本方針をここで検討するということが行われるのですけれども、そもそも社会保障審議会医療部会の先生方は、それぞれの分野の専門であって、社会保障についてどれぐらい認識があるのかということになると、細かい認識はそんなにないだろうと思うのです。したがって、共通の、同じぐらいの認識の状態でこういうことを審議するならわかりますけれども、社会保障自体がどれだけ大変な状態にあるかというような基本認識は、一回ここで きちんと 30 分とか1時間、話を聞いて勉強して、その中で検討するということをしませんと、自分の守備範囲だけの検討になってしまうのではないかと思うのです。

 実は、先だってちょっと勉強したのですが、税収は平成2年、国債を発行するのに、国債というのは、4条公債といって財政法の4条公債と、あとは特例公債という2つを発行しているわけですけれども、4条公債を発行した平成2年の税収が五十数兆円あったのです。今年度の平成 29 年度 の税収見込みは五十数兆円でほとんど変わっていないのです。ということは、税収がここ27年間、ほとんどふえていないのに、高齢化によって高齢者を中心とした社会保障の伸びが大きくなるので、特例公債をどんどん発行して赤字の計画を組んでするということになってしまっていて、このまま行ったらはねるのは当たり前なのです。

 したがって、現在の状態はどの程度の赤字で、この制度のまま維持をしたら、2025年にはこういう世界になってしまうのだというような、そういうことをきちんと勉強しておいて、診療報酬の中で診療報酬の問題点はどういう問題点があって、平成30年度の診療報酬改定についてはこの問題点のうちのABCDを中心にやりましょうとか、そういう何か系統立った考え方が必要ではないかと思います。

○永井部会長 わかりました。参考資料にもございますので、後ほど少し触れていただければと思います。また御意見がおありでしたら、事務局にお寄せいただくこととして、事務局におかれましては、ただいまの議論を踏まえて必要な対応をお願いいたします。

 続いて、議題2に参ります。医療部会における今後の主要な検討テーマについて、説明をお願いいたします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。お手元の資料2に沿いまして御説明申し上げます。現段階で想定される、医療部会で御検討をお願いすることになる今後の主要な検討テーマということで、簡単に表で整理をさせていただきました。

 大きく4つの柱にしておりますが、1つは、地域の医療提供体制のあるべき姿(地域医療構想等)の推進でございます。この関連では、一つは医療計画の関係でございます。これにつきましては、今度、第7次医療計画の策定に向けて検討を進めているところでございますが、8月までに7次医療計画の策定に向けた指針の改正などを行いまして、各都道府県にお示ししているところでございます。引き続き地域医療構想の達成に向けた取り組みにつきまして、地域医療計画の見直し等に関する検討会において議論を行っているところでございます。今後、この検討会におきまして、地域医療構想調整会議における検討の進め方あるいは今後の病床機能報告制度のあり方などにつきまして議論を進めてまいる予定としているところでございます。

 同じこの紙の2番目でございますが、医師偏在対策でございます。医師偏在につきましては、平成20年度以降医学部定員を増員して進めてまいっておりますが、なお、地域での医師不足は解消できていない状況でございます。このため、現在、医師需給分科会におきまして、医師の確保策、地域偏在対策などの議論をお願いしているところでございます。今後でございますが、医師需給分科会で法改正を視野に置きながら、年末に向けて医師偏在対策の具体的な検討を進めていくということで、これにつきましてもまた御相談してまいりたいと思っております。

 専門医の関係でございます。現在、平成30年度の研修開始に向けて議論が行われております専門医研修につきましては、地域の医療関係者の皆様から、医師偏在の懸念が強くお示しされているところでございます。このため、地域医療に求められる専門医制度のあり方につきまして、今後の医師養成のあり方と地域医療に関する検討会で議論を行っているところでございます。今後、この検討会でさらに医師養成のあり方、地域医療についての検討を進めることを予定しているところでございます。

2ページ目に参ります。次の柱は、医師の働き方改革でございます。医師の働き方改革につきまして、 本年 3月に働き方改革実行計画が働き方改革実現会議に おいて 決定 されました。 医師につきましては時間外労働規制の対象とはいたしますが、医師法に基づく 応召 義務といった特殊性があることを踏まえた対応が必要でございますので、今度の臨時国会に労働基準法の改正を提案 する予定で すけれども、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することになっております。

 具体的な規制の中身につきましては、今後、医師の働き方改革に関する検討会におきまして、この8月から検討を開始したところでございます。この検討会の場におきましては、実行計画策定から2年後を目途に具体的な時間外労働規制のあり方、労働時間の短縮策などにつきまして御議論をいただいて、結論を得ることにしております。今後、この検討会におきましては、平成30年の年明けを目途に中間整理という形で整理していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、3ページ目は3つ目の柱でございますが、先般の通常国会におきまして、医療法の改正が成立したところでございます。これを踏まえまして施行業務が3点出ております。1つは、特定機能病院におけるガバナンス体制の強化で、これにつきましては公布日(6月)から起算して1年以内に施行することになっております。このため、特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会で議論を行うことを予定しており、具体的には病院における適切な意思決定を行うための体制や管理者に求められる資質、選任方法などにつきまして御議論をお願いする予定にしております。その上で、また医療部会にも御報告したいと考えております。

 医療に関する広告規制の見直しも今回の医療法改正の中でなされているところでございます。これにつきましても、公布日から1年以内の施行になっておりまして、今後、医療情報の提供内容のあり方に関する検討会において具体的な議論を進めてまいる予定にしております。

 3つ目は、検体検査の精度の確保についてです。これにつきましては、今後、1年6月以内の施行ということになっておりまして、今後、検討会を立ち上げて具体的な議論を行っていく予定にしております。

 いずれにしましても、省令改正などが必要になってまいりますので、それぞれの検討会で議論がある程度整理されましたら、医療部会に御報告して、御議論を頂戴することを予定しております。

 最後に4ページ目になります。これも先般の通常国会での法律改正関連でございますが、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が成立したところでございます。この中で、介護医療院が創設されることが決まったところでございます。これに関連いたしまして、医療部会におきましても幾つか医療法の関連で整理する必要があるということで、次の資料3で詳しく御説明申し上げますが、その議論を今後、お願いしたいと思っております。これは施行が来年4月でございますので、この秋にある程度整理をして、省令改正などを進めていきたいと考えているところでございます。

 概要は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

 平川委員。

○平川委員  1点質問がありまして、医師の働き方改革に関して検討会がスタートしておりますけれども、医療部会における議論と働き方改革に関する検討会における議論は、その関係性やそれぞれの検討会、この部会の位置づけなどについて、もう一回説明をしていただきたいと思います。

○永井部会長 よろしくお願いします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。働き方改革の関係につきましては、まずは具体的な実態の状況などを踏まえつつ、いろいろなデータも踏まえながら、医師の働き方改革に関する検討会において御議論を中心的に進めていただきたいと思っております。

 その上で、今、申し上げましたように、今度の年明けを目途に中間整理を予定しておりますので、中間整理がなされた段階で一旦医療部会にも御報告申し上げて、御意見を頂戴しながら、具体的なあり方の議論を進めていくような流れになるのではないかと考えております。

○永井部会長 はい。

○平川委員 このテーマは政府の働き方改革実行計画を踏まえたものでありますので、ぜひともその線に沿って検討を行っていただきたいと思っております。以上です。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員  医師の働き方改革についてですが、個々の医師の時間外の問題、上限の問題等々があるのは重々承知した上で、現在、救急医療、産科医療の場において、果たしてこれを厳しく適用すると、それぞれの地域の救急医療等が崩壊してしまう可能性がかなりあります。働き方の、個々の働き方以上に医療提供体制、特に救急の現場、お産の現場等をちゃんと守っていくためにはどうすればよいかという視点で議論を進めていただきたいと思っております。

○永井部会長 邉見委員、一松参考人。

○邉見委員 今、猪口先生がおっしゃいましたけれども、大変大きな問題です。地域はもともと医師数あるいは看護師数は全部足りませんので、本当に政府が言っているような、ほかの、例えば夜間バスツアーの事故とかあるいは電通のようなもの、外食産業のようなものと一緒に、医療の現場にしゃくし定規的な、一律的な労働基準監督署の監察が入れば、地域医療は滅びるのが目に見えております。

 これは今、我々自治体病院協議会では、1,000ぐらいの病院で、49.7%の回収率でまとめました。近々に報告する予定ですけれども、ほとんどの病院が診療時間を落とすか、あるいはサービスを落とすか、質を落とすわけにはいきませんので量を落とすということになる、あるいは夜間救急はしない等の、新潟市民病院がやったのと同じようなことをやらなくてはいけなくなります。新潟市民病院は、人口70万以上の政令指定都市で周りにいっぱい医療施設があるからああいうことができますけれども、人口5万以下ぐらいの中小都市においてそういうことをやれば、そこの地域の医療はもたないと思います。

 まず、4つぐらい大きな問題がありまして、医師の労働は、今の労働基準監督署でいえば、院内にいる時間はみんな労働ということになっておりますが、研修、研究、自己研さん、待機等々特殊なものが皆あります。普通の労働者であれば、作業服に着がえるときからが労働だと。待機も皆労働だということになっていますが、医師の場合はそれを全部当てはめるのはどうかと。例えば臨終を待っているとき、本当は死なないかもわからない。次の日も、帰ったら呼び出せる。臨終に立ち会ってあげたいという人も、みんな労働になってしまうのかどうかとか、難しい問題があります。学会発表の準備をしているとかね。

 もう一つは、これは先ほどの奈良県の副知事のところでの問題でありましたが、当直と夜間勤務。当直は電話番ぐらいであって、いろいろ働くのは夜間勤務と最高裁で出ているわけですけれども、これももう一度考え直さないと、病院はいろいろ工夫して、夜10時までは夜間勤務で10時以後は当直だとか、一晩を3回にも分けているところもあります。もう午前2時以後は当直だとか、それまでは時間外手当、夜勤であるとか、具体的なことを一々、労基には現場のことを知っていただかないといけないだろうと思います。

 もう一つの大きな問題は、日本国では主治医制が金科玉条になっておりまして、あの先生に診てもらいたいというものがありますので、複数主治医制、グループ主治医制は余り好まれません。これが大変負担になっております。

 もう一つは医師法19条の応招義務です。これは診療を請われれば特別の理由のない限り否めない。拒んではいけない。これは法律ですので、お酒を飲んでいるとか、本人が病人であるとかではない限り拒めないですね。私は超過勤務がいっぱいですからと言えないので、応招義務免除の範囲を広げていかない限り、これは難しいと思っております。

 もう一つは、医師特有の教育を受けたかもわかりませんが、患者へのサービス過剰があります。例えば患者の家族は働いております。働いた後に患者の状態を聞きたい。手術のインフォームド・コンセントを受けたいと言えば、その方の勤務が終わった6時、7時になりますので、こういうこともありますので、いろいろなことで考えてやらないと、現場が混乱する。サービスの低下も起こるということは、先ほど釜萢先生がおっしゃったように、国民一般社会の啓発も必要だろうと思います。

○永井部会長 一松参考人。

○一松参考人 3点申し上げたいと思います。

 1点目でございますが、地域医療構想の推進についてでございます。地域医療構想調整会議の開催などによりまして、都道府県と医療機関との話し合いを進めていくことも重要でございますが、さらに一歩進めまして、都道府県と地域金融機関が連携してデータや認識を共有していくことが、地域金融機関に求められております事業性評価を実のあるものにしていく上でも、地域一体として地域医療構想を推進していく上でも重要と考えております。当県ではそのような取り組みを始めておりまして、全国知事会の会議でも、こうした取り組みの重要性に係る指摘が有識者からなされていることから、今後、他の都道府県にも紹介し、関係省庁にも問題提起していきたいと思っています。これは御紹介でございます。

 2点目は、地域医療介護総合確保基金についてでございます。全国的に効果的な活用が必ずしも図られていないのではないかということが次第に明らかになっているように思われます。一方で、実際に医療機関が地域医療構想の実現に向けまして機能転換しようとする場合に、余剰人員の問題や医療提供体制の変更に現場が対応できるまでに一定の期間を要するため、業績悪化が伴うという御指摘がございます。また、医療機関が進んで統合までなさる場合には、除却損などの会計上の損失も大きなものがございます。

 そうであればこそ、先ほどの地域金融機関による適切な支援が重要になりますが、地域医療介護総合確保基金のほうでも、こうした問題にも対処できるようにされたほうが、機能分化を促進するという趣旨になじむのではないか、効果的な活用につながるのではないかと思っております。これは予算やその執行上の問題でございますので、検討テーマに必ずしもなじまないかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。

 3点目は先ほども申し上げた都道府県のガバナンスの強化の観点でございまして、ほかの場でも議論されているのかもしれませんが、都道府県の意見を踏まえるということが大前提になると思いますが、検討の視点としては重要ではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、前回の当部会でも、私どもの荒井知事から御紹介申し上げましたとおり、全国知事会で地域医療研究会を設けさせていただいて、47都道府県の医療担当者で議論させていただいております。今後とも幅広く議論していきたいと思いますので、厚労省におかれましても、サポートをお願いしたいと思います。

以上でございます。ありがとうございました。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 今の御発言でお聞きしたいのですが、金融機関に、どこからデータを提示するということですか。

○一松参考人 もちろん、まずは地域医療構想調整会議などにおきまして医療機関とさまざまなデータを共有していくというのが先の話になりますが、そもそも当然金融機関でもさまざまなデータをお持ちなのです。それは当然守秘義務で出されないのですけれども、大きな認識は共有しなければなりません。例えば奈良県における2025年の医療需要がこうなるので、県はこういう話し合いをしていますという大きな認識から、今は共有を始めている段階です。具体的なデータはもちろん県のほうで整理して、出せるような段階になったところで金融機関とも情報共有していきたい。そういう段階でございます。

○中川委員 金融機関とデータを共有するとおっしゃいますが、地域医療構想において各医療機関が自主的に判断しようというときに、それを金融機関、その医療機関のメインバンクが支援するかどうかの判断材料にするということです。

 そのときのデータは、地域医療構想区域ごとの、例えば調整会議で出したデータを金融機関に見せるといっても、その段階で各医療機関のメインバンクは山ほどあるのです。ちょっとそれは現実的な表現ではないと思います。各医療機関、それぞれの医療機関が様々な形で病床機能を転換しようとするときに、自分のメインバンクから資金の提供、融資を引き出すときには、それぞれ個別の問題ですので、ちょっとそれは飛び過ぎているかなという気がして、気をつけたほうがいいと思います。

 それと、地域医療構想、今後の主要の検討テーマで地域医療計画の中に地域医療調整会議における検討の進め方といった記載がありますが、私は早急に医政局、特に地域医療計画課にやってほしいことがあります。これは地域医療構想ワーキンググループでも何度も申し上げましたが、回復期病床が不足しているという間違った認識が全国の都道府県に蔓延しているのです。

 医政局長は先日の講演で正しい御発言をしていただいて、本当に感謝しているのですが、回復期の病床の必要量は医療資源投入量から見た回復期の患者数ですから、それは各病床機能に全部存在する患者を拾い上げているのです。そこで回復期の病床の必要量という数を出しているわけで、回復期という看板のついた病床を設けなさいという意味では全くないのです。何度も申し上げてきたように、病床機能報告制度の病床数と病床の必要量を単純に比較して、回復期が足りないと言っているのです。それは事務局もよくおわかりだと思うけれども、このまま放っておくと、医療介護総合確保基金の中にもどんどん出てきます。たくさん出てきます。回復期病床に転換したら基金を使えるという事業がたくさん出てきているのですけれども、早く何とかしないと、必要もない回リハ病棟が山ほどできるとか、地域包括ケア病棟が必要もないのにどんどんでき過ぎるとか、大変な間違いを起こしてしまう。これは緊急事態だと思います。

 ぜひ何か、全国の都道府県に厚労省医政局からアナウンスできないか。課長通知もしくは局長名で何か出すかとか、そういう緊急事態だと思うのです。ぜひこれはやっていただきたい。御検討ください。いかがですか。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  地域医療計画課長でございます。今の御指摘の点に関しましては、医療部会のみならず、他の検討会や地域医療構想のワーキングでも御指摘をいただいておるところでございます。

 我々といたしましても、特に病床機能報告の回復期の考え方については、御指摘のような誤解という点もありえますので、今回の病床機能報告から、各医療機関が分かっていただけるように、全ての患者が回復期の状態であるというものではそもそもないということであるとか、リハビリをやっていることが回復期ということではないなどについて、病床機能報告の記載要領を含めて明確に記載したものを配布するということにしております。

 それに加えまして、我々も様々な関係学会や関係団体の講演もしくは勉強会などでもお話をする機会がございますので、そういう機会を捉えてきちんと今のような御指摘に応えるような形で周知してまいりたいと思っているところでございます。

○永井部会長 手短にお願いします。

○中川委員 課長、それでは、今と余り変わらない。例えば関係団体の講演とか、そういうものはごく一部の人しか聞いていませんから、全国に周知徹底するということが緊急事態だと思います。地域医療構想のそもそもの趣旨は構想区域ごとの不足する病床機能の手当てですから、過剰な病床機能の転換や削減ではないのです。まずはそこに立ち返ってやってもらわないと、手おくれになってしまうと思う。

 ぜひ何らかの紙を出すとか、何らかの行動をしてほしいと思いますが、いかがですか。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  繰り返しになりますが、病床機能報告の今年度の記載要領から、既に新たな取組みをしております。それを現場で見ていただいて、さらに分かりにくいでありますとか、様々な課題がありましたら、別に講演会や説明会にこだわっているわけではございませんので、可能なことはやってまいりたいと思いますが、まずは今年度、都道府県を通じて現場にお配りする際に、内容をしっかり読んでいただいて、誤解のないように周知するというのは検討していきます。

○中川委員 しつこいようですけれども、病床機能報告制度の仕組み自体が、回復期という報告は少なく出るようになってしまっているのです。その点については関与した我々にも責任がないとは言いません。ですから、少々のアナウンスでは改善されないと思います。そもそも単純に比較してはいけないということを繰り返し言わなければいけない。回復期の医療需要、患者は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期まで全部に存在するという認識を徹底しなければいけないのです。その徹底するという作業をぜひしてください。

地域医療計画課長  病床機能報告に関係する対応のことだけを御説明しましたが、くりかえし強い御要望もいただきましたので、さらに何かできないか少し検討させていただきたいと思います。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 今の中川委員がおっしゃるとおりで、やはり我々が一番困っているのは、回復期の理解の仕方ですので、ぜひとも明らかに皆さん方が理解できるような説明をしていただきたいと思います。

 質問は、先ほど、これも中川委員がおっしゃった、一松参考人の金融機関の話でございます。先ほど私が申し上げた福祉医療機構ですが、そこから我々民間病院が借り入れを起こすときにメーンで借りることもあれば、銀行からもあります。我々自身、本当に銀行というところは状況によって手のひらを返すみたいに姿勢を変えるさまを経験しております。そういう意味で、先ほどの一松参考人がおっしゃっている内容は、我々にとりまして非常に危険な話かなと思いましたので、奈良県がそういう姿勢なのかどうかということも含めて、確認させていただきたいと思いますし、全く同意できないような内容だと考えております。

 もう一点だけよろしいですか。働き方に関するところですが、これは平成30年の年明けに中間整理をするということであります。先ほどから邉見委員、多くの委員がおっしゃっているように、医療現場に関しましては、本当に理解をしていただいて、そういう中間答申が出るように、議論をしっかりとしてから出していただくようにお願いしたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 相澤委員、手短にお願いします。

○相澤委員 一つは医療計画にしろ医師偏在の対策にしろ、専門医の問題にしろ、地域に会議が開かれているのですが、会議という形ばかりで形骸化していて、実質の会議が行われていないことが多くの県で見られます。そういう場合に、厚労省がぜひ指導していただかないと、何も先へ進まないので、病院団体が何も知らないままどんどん先に行ってしまう。結果だけが来るという、これは本当にけしからん話だと私は思っているので、ぜひ何とかしていただきたいということが第1点。

医師の働き方改革はぜひ慎重に進めていって、医療が崩壊しないようにしていただきたいということ。最後の介護医療院ですが、これに関しては、ぜひ今、そこに入院しておられる方が、行く先がなくなって難民となるということだけは絶対に阻止する。この姿勢だけはぜひ守って進めていただきたいというぐあいに強く要望したいと思います。

 以上です。

○永井部会長 阿真委員、木戸委員、手短にお願いします。

○阿真委員  医師の働き方改革についてなのですけれども、もともと足りていない地域で一刀両断に進めたら地域医療が崩壊してしまうということもよく理解したのですが、人口の割合も大きく変化して、特に地方であれば高齢化、過疎であるとか等々も、もっと進んでいる地域もあって、地域医療のために 個々 が犠牲になるようなやり方で、それこそもつのかなという疑問もあります。私たちは、質を落とされるのはとても困りますけれども、質を落とさずにサービスや量を減らす、不便を受け入れるというのはできることではないかと思うので、国民に理解を促すというのはとても大切なことではないかと思います。

 慎重にとおっしゃっていることには、私もそのように思いますが、これだけ教育も個々の生き方を尊重するような時代で、医師だけが犠牲になるようなやり方で大丈夫かなと思うので、そこも考えていただきたいと思います。

○永井部会長 最後に木戸委員、どうぞ。

○木戸委員 手短にお話しさせていただきます。地域医療介護総合確保基金の話が出ていますけれども、今の医療勤務環境改善支援センターとか、地域医療支援センターとか、そういった枠組みがありますが、それぞれがあまりうまく連携していない印象があります。それらの効果を発揮させるためには、やはり医療機関側が自主的に勤務環境改善の取り組みをしやすいように、有機的な連携や活用方法についてもぜひ議論を進めていただきたいと思います。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、次の議題に参りたいと思います。今年度に成立した改正介護保険法の施行に関して、医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例について、事務局から説明をお願いいたします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。資料3に沿いまして御説明申し上げます。

 1ページをごらんいただきますと、先般成立いたしました介護保険法等の一部改正法に関連しまして、医療法のほうでも一定の整理が必要なものがございました。このうち1番、2番、5番につきましては、法律改正の中で一定の法律の手当てがなされてきておりますので、今後、整理を要するものは、3番の医師の宿直規定の見直しの関係、4番の医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例の関係、あとは6番の療養病床等の看護配置の経過措置の延長の関係。この3点が今後、厚生労働省令で必要な規定を詳細に定める必要がございますので、この点について今後、医療部会におきまして先生方の御議論を頂戴したいと考えております。

 このうち、今回は4番の医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例の関係を2ページ以降で御議論をお願いしたいと思っております。

2ページでございますが、医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例の関係で、現在、医療法におきましては、疾病の治療をなす場所であって病院または診療所ではないもの。これにつきましては、病院あるいは診療所と名乗ることは認めないということが医療法上規定されております。

 今回、介護医療院が新設されますけれども、これは介護保険法上の施設になりまして、もし一定の法的な措置がなされなければ、今の法体系のもとでは、医療法上は病院、診療所ではないということになってまいりますので、名称中に転換前の病院あるいは診療所の名称を含めることができないことになってしまいます。このため、先般の法改正の中で、特例として法的な措置がなされまして、都道府県などが介護医療院の開設の許可に当たりましては、病院、診療所から転換する介護医療院に限ってその名称の中で、転換前の病院や診療所の名称を含めることを認めるということが措置されております。

 このような特例を認めました考え方でございますけれども、以下、3点整理をしておりますが、1つは、介護保険法上、新たに創設されます介護医療院は、医療を提供する施設だという位置づけになっております。2番目でございますが、転換前の病院、診療所におきましては、既にそれぞれの地域に定着した経営がなされておりますので、地域の住民の皆さんから見ますと、引き続き医療を提供する施設ということには変わりがないということがございます。また、これまで地域住民の皆様から転換前の病院、診療所については信頼、信用が得られておりますので、そういったことを保護することによって、介護医療院を経営する経営者の方々にとってみれば、介護医療院に転換しやすい環境がつくられるのではないかということでございます。

 こういった3点の理由から、次の3ページにございますけれども、法律改正の附則第14条におきまして、介護医療院の名称の経過措置が設けられたところでございます。いろいろと括弧書きがあって大変わかりにくくなっておりますが、要は、法律が施行される前に、現に病院、診療所を開設していて、その名称の中で「病院」、「診療所」などといった文字を用いているところが、その病院、診療所を廃止あるいは一部を減少させて介護医療院を開設するといった場合に、介護医療院の名称の中に「介護医療院」という文字を使うこと、また、一定の省令で定める要件に該当するものである間は、医療法の先ほどの原則の規定にかかわらず介護医療院の名称の中に「病院」、「診療所」といった文字を使うことができるということを法律の附則上、手当てがされているということでございます。

 具体的には「介護医療院」という文字を使うことが必須でございますが、そのほか一定の要件を省令で定めることになっておりまして、その要件を具体的にどうするかが今回の御相談事項になります。

 4ページをおめくりいただきますと、具体的な考え方をどうするかを事務的に御提案させていただいております。(1)にございますように、医療機関から介護医療院に転換するときは、原則として従前の名称を継続的に使用することができるということであろうかとは思っておりますが、一方で、名称につきましては、医療・介護のサービスを実際に受ける利用者の視点から見ますと、実態に合わない名称につきましては、これを認めるというのは適当ではないとも考えられますので、そういった考え方で判断するようにしたらどうだろうかということでございます。

 この場合、一つは法令に基づいて一定の医療を担う病院、診療所というものがございます。例えば地域医療支援病院といった区分があるわけでございますけれども、そういった名称を継続的に引き続き介護医療院の名称の中に含めることは認めないようにしてはどうかというのが(1)でございます。(2)は、予算事業に基づいて、例えば休日夜間急患センターといった名称を病院、診療所の中に従前入れているところもございますが、そういったものを介護医療院の名称に含めるのは誤解が生じますので、そういったことは認めないようにしてはどうかということでございます。3番目としては、その他実態に合わない呼称あるいは患者に事実誤認を生じさせるおそれのある文字につきましては、介護医療院の名称に含めることは認めないようにしてはどうだろうかということでございます。

 次の5ページに例を入れておりますけれども、下半分に表を入れておりますが、例えば○○病院あるいは△△医院といった名称で、これを○○病院介護医療院と改める。あるいは介護医療院○○病院、△△医院といった名称にする。こういったことは継続的に可能だということになりますが、その下、地域医療支援病院○○病院といった名称だった場合には、「地域医療支援病院」という呼称そのものを残すのは実態に合わないということで不適切だろうということでございます。そういった場合には、例えばでございますけれども、○○病院介護医療院といった使い方になるのではないかということでございます。その下の○○救急救命センターがもし○○介護医療院に転換するといった場合には、○○救急救命センター介護医療院というものは実態にそぐわないということになってまいりますので、そういった名称は不適切ではないかということでございます。

 ただ、4ページの(2)に戻らせていただきますが、一方で、一定の事情がある場合には、継続的な名称を認めることも必要ではないかということでございます。例えば病院が病床の一部を転換して、従前の病院が引き続き本来の業務を継続する。その転換したものが介護医療院になるといった場合には、患者に事実誤認を生じさせる可能性は低いと考えられますので、継続的にそのまま使用できるようにしたらどうだろうかというのがこの御提案の整理案でございます。

 字面を見ますとわかりにくいところが多少ございますが、一応そういった形で整理をさせていただいたらどうかという提案でございます。

 御意見のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。

 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 介護医療院は新たな介護保険施設であり、慢性期の医療を提供する施設であると同時に、日常生活上の世話、介護を一体的に提供する生活施設でもあります。その趣旨を利用者、家族に伝えるためには、今後、広報・周知活動が重要になると思います。

 名称につきましては、事務局の提案に賛同した上で、記載の仕方にへの配慮が必要と考えます。機能や性格がまだ十分に知られていないと思いますので、並列で○○病院介護医療院とか、○○クリニック介護医療院と並べてしまうと、利用者にとっては通常の病院やクリニックとどう違うのかわからずに誤認を生じる可能性があるかと思います。例えば介護医療院の文字を大きくして目立たせるなど、誤認が生じないような表示方法にすることが必要と考えます。

 以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは法律上介護医療院というものが決まってしまったので、今さら異を唱えることはできないのですが、そもそも介護医療院と言われたときに、一体何をするところなのだろうというのが一般的には全く理解不能な名称だと思っています。

 そういうことからしますと、今回、御提案いただいている分については御提案どおりでいいとは思いますけれども、その前に、今、菊池委員からも御意見があったように、介護医療院という名前自体の説明です。それをまずは一般の方が周知するぐらいまで持っていかないと、どんな工夫をしたとしても事実誤認は避けて通れないのではないかと思いますので、法律上介護医療院というものが存在することになった以上は、それがどういう役割を持っているかをきちんと国民全体に知らせるような工夫をしていただきたいと思います。

○永井部会長 猪口委員。

○猪口委員 介護医療院はこれからの問題なので、できるだけわかりやすく整理をしていただきたいということと、例えば、現在でもケア・ミックス型の病院、要するに、急性期と療養を両方持っている病院は数多くあります。その療養の部分の一部を介護医療院にするということは十分考えられるので、この場合はもともとの何々病院でないと全部が変わってしまったようになるわけです。今の条件だと、その場合も何々病院介護医療院とつけなければいけないわけです。

 でも、病院の性質としては全然変わっていないので、ですから、一部転換の場合にはもとの名称をそのまま使えるというようにしないと、性格があらわされなくなってしまいますので、そこは柔軟にやっていただけないものでしょうか。

○永井部会長 先に中川委員。

○中川委員 私も、今の猪口委員の意見に賛成です。介護医療院への転換は病棟単位ですね。どうですか。病棟単位で間違いないですね。

 そうなると、今だって、ケア・ミックスでは、○○病院医療療養病床などと言わないではないですか。そういうことになれば、これは猪口委員の言うとおりにするべきだと思います。いかがですか。

○永井部会長 事務局、お願いします。

○総務課長 今の御指摘でございますけれども、一応施設の類型としては、介護医療院となりますので、これについては別途都道府県において開設の許可の手続が必要になってまいります。このため、その際に、介護医療院としての名称を届け出ることは一つ必要になってまいりますので、そういった観点で、今回の法律上の措置を踏まえて名称の中に介護医療院という名称を付していただくことは、どうしても制度上必須であろうかと思っております。これは法律上経過措置の附則にございますので、そこは満たしていただく必要があろうかと思います。

 恐らく今の猪口委員や中川委員の御指摘は、そういったものをどのように掲げていくのかというところの課題であろうかと思いますので、具体的にどのようにやるべきなのかということは、皆様のいろいろな御意見をお聞きしながら整理をさせていただきたいと思っております。

○永井部会長 邉見委員、どうぞ。

○邉見委員 この名前を一般市民、地域住民に理解していただくのは、非常に難しいだろうと思います。私は平成10年に老健を市民病院に併設しました。全くわからなくて、養老院だとか、いろいろなことを言われて、5年ぐらいかかりました。やはりこういう新しい形態の施設をつくるときには、名前が非常に、工夫も要るのだろうと思いますけれども、できたものの周知徹底は、市の広報を使うとか、老人会に行くとか、いろいろあると思いますが、やはり国の大きな広報機関が大事だと思います。

○永井部会長 加納委員。

○加納委員 そもそも療養病棟を持っている病院は、日本の病院の大体半分だと思っております。その半分のうち、併設型が86%位で、単独型は少ないわけです。その病院がもし介護医療院を持とうと思ったら、病院の名称の中に介護医療院を入れなければいけないというのは、かなりのハードルになってしまうのではないかと思います。

 たしかお願いしたのは、療養棟という名称にして病棟扱いとすることで、一部として認識するという形だったと思います。その病院名や本体まで介護医療院の名称をつけるというのは、転換に対してかなりの抵抗要素になるのではないかと私は思いますので、これはもう一度方法的に考えていただきたいかなと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 事務局、何か今の点について。

○総務課長 今のお尋ねについてですが、私どもの説明が不十分だったのかも知れませんが、介護医療院に転換する本体の病院につきましては、当然従来どおりの名称を維持できるというのが前提でございます。あくまでも介護医療院に転換する部分の名称について、「介護医療院」が必要になるということで御説明いたしました。

○加納委員 そういう意味では、単独型という意味ですか。

○総務課長 この御提案の中で申し上げておりますのは、まず、丸々転換する場合には「介護医療院」ということが当然必要になってまいりますし、一部を転換する場合、その一部を転換したものについては介護医療院という性格の施設になってまいりますので、そういった意味で「介護医療院」という名称がその部分についてはついてくるということになります。

 あくまでも本体の医療機関については、引き続き医療機関としての役割を果たしておられますので、病院あるいは診療所の名称はそのままという意味でございます。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 総務課長、今の話は、○○病院というものと○○病院介護医療院と、看板を2つつけるということですか。課長の説明は、例えば半分だけ介護医療院にした場合、看板を2つつけるという意味ですか。

○総務課長 私どもはそういうイメージで考えております。

○中川委員 2つですか。

○総務課長 はい。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 従来介護療養病棟を持っていても、そういう変換は必要なかったかなと思うのですけれども、名称を2つ書くなどというのは、ちょっとどうかという感じがしますし、2つかかげるとかなり転換に対する阻害要素になるのではないかと思うのです。

○永井部会長 どうぞ。

○総務課長 先ほども御議論がありましたとおり、制度上の施設の名称という意味においては介護医療院というものにどうしてもなりますので、そこは必要だということは、1点、確認をさせていただきたいと思っております。

 その上で、それをどのように掲示していくのかという点については、また先生方のいろいろな御議論を踏まえながら、一方で、患者に対してもわかりやすくするにはどうするべきなのかといった視点なども踏まえつつ検討していく必要があるかなと思っております。

○永井部会長 手短にお願いします。

○加納委員 しつこくて申しわけないのですけれども、あくまでも先ほど申しましたように、86%ぐらいはケア・ミックスなのです。本体に病棟の一部として療養病棟で持っているわけですから、今、おっしゃっているような内容での名称等の仕組みも含めて、我々現場としてはかなりの違和感を覚えるということで、もう一度改善できるところであれば、ぜひともこれは再考していただきたいかなと思います。

○永井部会長 ありがとうございました。

 まだ御議論があろうかと思いますが、お寄せいただくことにしまして、事務局でも必要な対応をお願いいたします。

 では、次の議題に参ります。医療計画の見直し等に関する対応状況について、御説明をお願いいたします。

地域医療計画課長  地域医療計画課長でございます。資料4と参考資料2を用いまして御説明を申し上げます。

 医療計画の見直しの検討に関しましては、その都度、医療部会にも報告をさせていただいております。1枚めくっていただきまして、第50回、第51回、第52回にそれぞれ報告をさせていただきまして、関係する通知等を既に発出しておるところでございます。

 参考資料2にその通知が付いておりますが、今回はその御報告をしておりませんものが1つありますので、それを簡単に御説明申し上げます。

 2ページ以降は「地域医療構想を踏まえた『公的医療機関等2025プラン』策定について」というものでございます。

 3ページ目に「公立病院改革の推進について」という資料がございます。公立病院に関しましては、新公立病院改革ガイドラインに基づきまして、平成28年度中に各公立病院が改革プランを立てまして、それに基づいて運営をしていくということになっているところでございます。

 4ページ目ですが、新公立病院改革ガイドラインの中に、地域医療構想との関係について触れた部分がございまして、各公立病院でガイドラインに基づきましてプランを立てるわけでございますけれども、そのプランが、これから、各地域で御議論する地域医療構想と整合をとっていただくということで、この地域医療構想調整会議での合意事項と各病院が作りましたプランに齟齬が生じた場合には、速やかに病院が作ったプランのほうを変えるということがガイドラインの中に書かれているところでございます。

 5ページ目ですが、医療計画の検討会等で公立病院ではこうしたプランを策定することになっていますということを御紹介した際に、公的医療機関、国立病院機構等の病院などもこういった考え方、プランを何か作るべきではないかという御意見も出ていたところでございます。

 6ページ目に参ります。そもそも地域医療構想調整会議の議論の進め方の中にも、救急、災害の議論をしていただく中の例示として、民間病院のそういった機能を担うところもそうですが、公的医療機関、国立病院機構の各医療機関、公的公立病院もございます。また、地域医療支援病院や特定機能病院といったものも議論に参加していただくということも書かせていただいております。

 7ページでございますが、閣議決定の中で地域医療構想も集中的に議論を進めていくということもございますので、そのようなことも踏まえて、8ページでございます。

 地域医療構想のワーキングの中で、公的医療機関、共済組合、健保組合、地域医療支援機構等は、地域医療構想の達成を図るために知事権限の行使という視点からは、公立病院と並びであるということ。国立病院機構や労働者健康安全機構については、地域の医療確保の一定の役割を果たすことが期待されていること。地域医療支援病院や特定機能病院は、地域でのいろいろな会議のメンバーでもありますので、公立病院がプランを立てるという形を参考にしまして「公的医療機関等2025プラン」というものの作成を求めるということをお願いしているところでございます。

 内容としましては、参考資料2の63ページ以降に、通知も付けておりまして、具体的にどんな様式かとか、記載要綱を示させていただいているところでございますけれども、概要としては資料4の9ページにありますが、どういう機能を担っているのか、もしくは今後、どうしていくのかというようなことを、様々に書いていただく。こんな内容になっております。これに関しましては、策定されたものについては、調整会議で公立病院のほうは既にプランを立てていただいているということだと思いますので、調整会議で議論の俎上にしていただくということだと思っておりますし、各病院が策定した2025プランも同じく調整会議の議論に使っていただくということを考えております。

 また、10ページ目の点線の四角囲みの3つ目のでございますけれども、公立とか公的等以外にも、民間の医療機関でもこういったプランを立てていただき、議論で使っていただくことも望ましいということで書かせていただいておりまして、これは地域によって様々な取組みをしていただくようなことを考えているところでございます。

 駆け足でございますが、御説明は以上でございます。

○永井部会長 それでは、加納委員、楠岡委員。

○加納委員 6ページにありますが、先ほど説明がありましたように、構想区域における医療機関の役割の明確化の中に、救急医療等のポツが3つ並んでいます。これは順番をいろいろ議論したときに、優先順位ではないという話をしているわけなのですが、この議論の中で、ガイドライン等による地域医療構想の中での役割を先に席決めするようなことがないように、ぜひともお願いしたい。それは再確認であります。

 もう一点ですが、今回、公的病院の中に地域医療支援病院が入ったわけなのですが、これは確認なのですけれども、公的病院に対しては知事の権限があって、場合によっては命令がきくという範疇に、地域医療支援病院が入ってしまったのかどうかということです。地域医療支援病院の中には民間病院がかなりあり、大阪ですと半分近く入っているかなと思うのですが、そういったところも対象になったのかどうかという確認をお願いしたいと思います。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  お答えいたします。

 1点目のことでございますが、それは地域できちんと議論していただくということでお願いしているところでございます。

 2点目でございますが、これは法的な位置づけを変えるということではなく、プランを作っていただく対象としては地域医療支援病院が入っているということでございますので、知事の権限、公的命令、民間が要請となっているという関係が変わったということではございません。

○永井部会長 楠岡委員。

○楠岡委員 プランの作成に関してですが、先ほど相澤委員からも御指摘がありましたように、都道府県での取り組みが非常にばらばらの状態です。公的医療機関あるいは我々のような国立病院機構は本部のほうへ直接お話をいただいておりますので、各病院には徹底しておりますけれども、先ほどありました地域医療支援病院あるいは特定機能病院の場合には、必ずしもそれが徹底していないというか、県によっては関係者を集めて説明会を開いているところもあれば、それぞれ独自にというような、非常にばらつきがあります。このままでは、設立母体によって、地域医療構想会議でプランの言うならば練度、密度が違うということになってしまいます。この点邉に関しましてもしっかり見ていただいて、我々もせっかくプランをつくる以上、それが活用されるような場にしていただきたいと思います。

○永井部会長 中川委員。

○中川委員 2025プランは、私が地域医療構想のワーキンググループでお願いして、医政局の極めて迅速な対応で実行していただきました。ありがとうございました。高く評価したいと思います。 非常にすばらしい政策だと思いますが、公立病院の新改革プランと、公的医療機関等の新しいプランが、全国の地域医療構想調整会議にまず、提示されているのかどうかの確認と、調整会議の方向性とそごが生じた場合に、公的医療機関等のプランのほうを修正することが徹底されているのかどうか。この2点を確認する何らかの仕組みを医政局でつくっていただきたいと思います。構想区域ごととなると、非常に温度差があると思うのです。公的医療機関等からプランが出てきたら、昔のように、これに従わなければならないのだと思い込んでいるところもあると思うので、そうではないことを徹底をしていただきたいと思います。よろしくお願いし生ます。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  同様の御質問をいただいたと思っておりまして、まず、全国的なばらつきと地域のばらつきの両方が考えられると思います。我々としましては、進捗状況を全体的にお問い合わせして、まずは確認していくのと、あとは御指摘のとおり、きちんと活用されているかも含めて、しっかり確認をしてまいりたいと思っております。

○永井部会長 島崎委員、どうぞ。

○島崎委員 「公的医療機関等2025プラン」の対象として地域医療支援病院を含めているということについては、私も必要だと思います。その上で一言申し上げたいと思いますが、御案内のことだと思いますけれども、地域医療支援病院の配置状況が都道府県によって全く違っています。地域医療支援病院が存在しない二次医療圏が数多く存在するというか、むしろ数的に言うと3分の2が存在していないのが実態です。逆に、一つの二次医療圏に10以上、私の記憶だと最大の二次医療圏でたしか13あったのではないかと思いますけれども、そういうところも見られるわけです。地域医療支援病院に対しては、単にそういう名称を医療法上与えているだけではなく、診療報酬上もかなり高い点数がついています。そうしますと、非常に著しい偏在があるということは、医療財源あるいは医療資源の配分という観点からも、私は問題があるのではないかとかねがね思っております。地域医療支援病院のあり方をどうするかということについては、そもそもこの制度を創設した当初のイメージと相当違ってしまっておりますので、率直に申し上げると、特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会で、もう一回きちんと議論をし直したほうがよいように思います。

 以上は意見ですが、少なくとも今回「公的医療機関等2025プラン」の策定に当たって、都道府県としても地域医療支援病院を単純に存続させるということではなくて、その承認の是非も含めてきちんとその後、どういう役割を果たしているのかということについてはきちんと見直していただきたい。この点について、もしご所見があればお聞かせいただきたいと思います。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  大変重要な御指摘をいただいておるところでございます。今後、県を通じて2025プランもいろいろと使っていただきますけれども、様々な地域の課題が浮き彫りになるところもあると思いますので、我々としては、政策に使えるようなものは使ってまいりたいと思っているところでございます。

○永井部会長 最後に楠岡委員。

○楠岡委員 先ほど中川委員からの御指摘がありました、要するに、地域医療構想と公的、その他の病院のプランとの整合性の問題なのですけれども、最初に言いましたように、かなり地域によってまちまちです。まさに鶏と卵みたいな形になっていて、構想が定まっていないところで病院側はどうしていいかわからない、あるいはプランができても構想が後からできてそれに応じてプランの修正を行うということでは、手間が余分にかかってしまうようなところがあります。構想とプランのすりあわせ邉がうまくいくように、単にぐるぐる同じところを回るようなことはないように、ぜひお願いしたいと思っています。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、また御意見は後ほどお寄せいただくことにいたしまして、最後の議題に参ります。平成30年度の医政局関連予算について説明をお願いいたします。

○総務課長 医政局総務課長でございます。資料5によりまして、御説明申し上げたいと思います。

 この8月末で平成30年度の概算要求を財務省に提出したところでございますが、そのうち医政局分につきまして、時間も限られておりますので、新規事業など、主な事業を中心に御説明申し上げたいと思います。

 ごらんいただいております1ページ目では、概算要求額としては全体で2,0126,000万ほどでございまして、対前年度比113.7%ということで、242億円ほどの増加になっているところでございます。

 おめくりいただきまして1ページでございます。主要施策ということで、まずは「1.医療介護提供体制改革の実現及び医師・看護師等の働き方改革の推進」でございますが、まず「(1)地域医療構想の達成に向けた取組の推進」ということで、地域医療介護総合確保基金の要求をしております。これにつきましては、予算編成過程で検討する事項要求になっておりますが、骨太2017におきまして、個別の病院名や転換する病床等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進するということがされておりますことから、引き続き、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 2ページ目は「(2)働き方改革実行計画(H29.3)を踏まえた取組の推進」ということで、まず、1番に医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援ということで、8億円ほどを挙げているところでございます。平成22年度以降の医学部の臨時定員増によります地域枠での入学生は、2年間の臨床研修を経まして、平成30年度から地域医療に従事されることになってまいります。こういった若手医師を初めとして医師不足地域に派遣される医師などのキャリア形成あるいは勤務負担の軽減が図られますように、休日代替医師の派遣、あるいは複数医師によるグループ診療、テレビ電話を活用した診療支援などをモデル的に実施するものでございます。

その下の2番目は、医療従事者の勤務環境の改善でございます。働き方改革実行計画におきましては、医師につきましても時間外労働規制の対象にするということにされております関係で、先ほど来御議論がありましたように、医師の働き方改革に関する検討会をこの8月から開催しております。これと並行いたしまして、各都道府県に設置しております医療勤務環境改善支援センターが各地域でより効率的・効果的な支援を行えますように、36協定の締結状況や特別条項、あるいは実際の超勤時間など、労働法規上の課題などを中心に実態調査を行うというものでございます。

 3ページに参ります。「2.質が高く効率的な医療提供体制の確保」ということで、まず「(1)救急・周産期医療などの体制整備」でございます。このうち2番目のドクターヘリの導入促進でございますが、今年度末に鳥取県においてドクターヘリの運航を開始する予定でございます。平成30年度は石川県が新たに導入を予定しております関係で、機数増ということで、必要な経費を計上しているところでございます。

 4ページは小児・周産期医療体制の充実でございます。地域におきます産科医療機関の確保を図るために、産科医師あるいは分娩取扱施設が存在しないような二次医療圏、または分娩取扱施設が少ない地域におきまして、新規開設などを行う分娩取扱施設の施設・設備整備などの事業を実施するものでございます。

 その下の4番はへき地保健医療対策の推進です。これにつきましては、メディカルジェットの運航に必要な経費の支援や僻地医療拠点病院以外の医療機関から僻地診療所に対する医師などの派遣といった新たな支援など、僻地の医療提供体制のさらなる充実を図るというものでございます。

 次の5ページは、災害医療体制の充実になります。首都直下地震あるいは南海トラフ地震といった巨大地震におきましては、被災地への医療支援が長期間、広範囲になることが想定されるところでございます。そういったときには、まずはDMATの活動がございますが、その活動が終了した後、病院、避難所などにおきまして医療支援を行う医療チームの養成や拡充、あるいはDMATとの円滑な引き継ぎを行うことが重要な課題と考えております。このため、JMATなどに所属する医師、看護師、業務調整員などの養成研修などに必要な経費の支援など、災害医療体制のさらなる充実を図るというものでございます。

 次に「(2)地域医療確保対策の推進」でございます。6ページでございますが、2番に専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取り組みを挙げております。新たな専門医の仕組みが円滑に導入されますように、都道府県協議会や日本専門医機構に対する支援に加えまして、新たに地域医療支援センターのキャリア支援プログラムに基づいた研修医療機関への指導医の派遣、あるいは日本専門医機構におきまして医師偏在対策の観点から行われます研修プログラムのチェックなどを実施するものでございます。

 4番でございますが、歯科口腔保健の推進でございます。歯科口腔保健医療の充実を図りますために、8020運動、口腔保健推進事業の拡充のほか、新たに歯科健診に係ります調査研修を行うモデル事業あるいは口腔機能管理などに関する研修事業を実施するものでございます。

 続きまして「(3)医療安全の推進」の関係で、7ページに移っていただきます。1番に、実践的手術手技向上研修事業の推進経費を計上しております。海外におきましては、手術手技の向上のために御遺体を利用したサージカルトレーニングが幅広く行われておりまして、内視鏡などによります手術には大変有効であるということがございますので、日本におきましても広く普及させて、手術手技の向上を図ることができますように、新たにサージカルトレーニングを実施する機関への設備整備等に対する支援を行うこととあわせて、全国的な研修体制の構築を行うものでございます。

 続きまして、8ページは「3.医療分野の研究開発の促進及び医療関連産業の活性化」ということで、まずは「(1)医療分野の研究開発の促進等」でございます。1番は臨床研究法施行に伴う質の高い臨床研究の推進でございます。これにつきましては、臨床研究法が本年4月に公布されまして、その体制整備として、臨床研究の概要及び結果などを登録、公開するための公的なデータベースの構築などを図るものでございます。

 その下でございますが、2番はクリニカル・イノベーション・ネットワークの構想の推進でございます。CIN構想をより一層推進するために、収集いたしましたレジストリ情報の登録項目の精査をいたしまして、企業やアカデミア、患者団体などの開発ニーズに応じた情報整理を実施するものでございます。

 9ページに参りまして「(2)高い創薬力を持つ産業構図への転換」でございます。1番に医療系ベンチャーの育成支援事業がございます。これにつきましては、企業、研究機関、医療機関などのキーパーソンとベンチャーのマッチングに資する場ということで、ジャパン・ヘルスケア・ベンチャー・サミット2018を、今後、開催したいということでございます。これは本年10月にも開催する予定としておりますが、来年度も引き続き実施するということでございます。新たに医療系ベンチャーの市場化戦略支援ということで、マーケティング調査あるいは知財の支援のためのプログラム策定などを実施するものでございます。

 3番にバイオ医薬品の開発促進事業がございます。骨太2017におきまして、2020年度末までにバイオシミラーの品目数の倍増を目指すことがされているところでございます。製薬企業の社員などに対しますバイオ医薬品の製造技術などに関する研修、医療従事者に対するセミナーの開催や患者、国民に対してのリーフレットの作成といったことで普及を図ってまいるものでございます。

10ページは「(3)医療の国際展開の推進」で、1番に外国人の患者受け入れに資する医療機関認証制度などの推進事業がございます。これにつきましては、インバウンドを具体的に推進するために医療通訳の配置などの支援に加えまして、外国人患者の受け入れ体制の裾野拡大の支援を実施するというものでございます。

 それから、各種施策の一つとして、11ページの3番にございますが、保健医療記録共有サービス実証事業がございます。これは厚生労働大臣のもとにデータヘルス改革推進本部を立ち上げまして、健康、医療、介護のデータの有機的な連結に向けまして、ICTインフラの抜本改革などを具体化いたしますデータヘルス改革推進計画を進めているところでございます。そういった中で、患者の状況を把握し、過去の健診データや治療履歴などを踏まえた最適な診療の選択肢を提供できる保健医療記録共有サービスを構築して、2020年度からの本格稼働を目指して、運用面、技術面での課題検討、実証を進めていくというものでございます。

 以上、非常に駆け足、簡単でございましたけれども、医政局の平成30年度概算要求の概要を御紹介させていただきました。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

○中川委員 申しわけないのですけれども、先ほどの資料に戻っていいですか。

○永井部会長 手短にお願いします。

○中川委員 参考資料2なのですが、これは2025プランの例なのですけれども、77ページの「(2)今後持つべき病床機能」の具体例に、2つ目のポツの「回復期機能を提供する病棟の整備について検討する等」という項目。こういうものがあると、やはり回復期が足りないのかということに拍車をかけるのです。

 それと78ページの(1)の、枠の下のポツの4つ目で(具体例)の1つ目。「地域に不足する回復期機能を提供するため、7階A病棟を急性期から回復期に変更」とある。これは具体例として余り適切ではないと思うので、何らかの対処をしていただけませんか。間違った一般常識化している、回復期が不足しているということに拍車をかけるような気がするのです。

○永井部会長 はい。

地域医療計画課長  先ほどの回復期機能をきちんと理解していただくのが重要であるという議論の一環の御指摘と思いますので、併せて検討させていただきたいと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

○永井部会長 では、概算要求についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。ございませんでしたら、後ほど御意見をお寄せいただくことにしていただきたいと思います。

 それでは、用意した議題は以上でございます。事務局におかれましては、本日、いろいろな御意見が出ましたので、それを踏まえて必要な対応をお願いいたします。

 では、連絡事項等をお願いいたします。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、改めて御連絡させていただきます。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。

 本日は、これまでとさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。

 


(了)

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