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2017年3月22日 第3回 臨床開発環境整備推進会議 議事録

○日時

平成29年3月22日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)クリニカル・イノベーション・ネットワークの基本方針・工程表
(2)横串研究班の研究概要報告
(3)疾患登録システム構築班の研究概要報告
(4)NC-WG・PMDAの取組状況報告
(5)平成28年度採択課題及び平成29年度予算案報告
(6)その他(各業界からの意見等)

○議事

○研究開発振興課長 それでは、定刻となりましたので、第3回臨床開発環境整備推進会議を始めさせていただきたいと思います。事務局を務めます厚生労働省医政局研究開発振興課長の森光です。よろしくお願いいたします。最初に出席者を御紹介いたします。本日は構成員、オブザーバーのほか、参考人として、AMEDで支援をしておりますCIN関係の各研究班より、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の武田所長、それから国立がん研究センター研究支援センター柴田部長、群馬大学大学院林教授の代理としてお越しいただいております。国立がん研究センター東病院の大津病院長、名古屋大学大学院の祖父江特任教授、国立精神・神経医療研究センター中村室長、日本脳神経外科学会の嘉山理事長に御参加いただいております。

 なお、前回の会議より構成員に変更はありません。事務局には異動がありましたが、紹介は省略させていただきますので、お手元の構成員の名簿並びに座席表を御確認ください。

 続いて、資料の確認をいたします。よろしいでしょうか。資料1「クリニカル・イノベーション・ネットワークの基本方針・工程表()」という資料になります。それから資料2-1「武田参考人提出資料」、資料2-2「林参考人提出資料」です。なお、資料2-2につきましては、机上配布のみの資料、A4の両面が1枚になりますが、メインテーブルに着席の構成員、オブザーバー、参加人、並びに随行者の席にのみお配りしております。事務局後方の傍聴席にはお配りしておりませんので、御了解いただきたいと思います。それから資料3-1「大津参考人提出資料」、資料3-2「祖父江参考人提出資料」、資料3-3「中村参考人提出資料」、資料3-4「嘉山参考人提出資料」、資料4-1NC-WGの実施状況報告」になります。資料4-2「独立行政法人医薬品医療機器総合機構提出資料」、資料5「平成28年度採択課題及び平成29年度予算案報告」の資料が付いております。また、参考資料として14までありますので、御確認をいただきたいと思います。資料の過不足等ありましたら、事務局までお知らせください。

 これより議事に入りますので、円滑な議事進行のため、撮影につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。

 それでは、まず冒頭に医政局長の神田より御挨拶させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神田医政局長 皆様、おはようございます。本日は御多用のところ、御参集賜りまして誠にありがとうございます。この推進会議の座長を務めさせていただいております厚生労働省医政局長の神田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。この臨床開発環境の整備推進会議というものは、クリニカル・イノベーション・ネットワークについて具体的な方策を検討する、また、それ以外の臨床開発環境の整備を進めるということで、平成278月に設けられたもので、本日で3回目となります。

 もともとこのクリニカル・イノベーション・ネットワークというものは、非常に開発費用が掛かるという中で、できるだけ効率的に医薬品や医療機器の開発を進めていただく。そういう環境整備をするということで産学官が連携して取り組むプロジェクトという位置付けです。日本再興戦略2016にも位置付けられたものであります。始まって少しずつ具体的なレジストリの構築ですとか、それを使った研究は進んでおりますが、今後、より実践的に使っていただけるようなレジストリにしていく必要があると考えております。

 この意義といたしましては、レジストリを使って、市場性調査をするとか、患者リクルートをするということにとどまらず、治験対照薬や市販後の安全性調査にも使っていただけるように、できるだけ実用性の高いものにしていく必要があると考えております。本日はそういう観点からクリニカル・イノベーション・ネットワークについての基本方針ですとか、工程表について御議論を賜れればと思っております。

 そのほか、今年度から開始いたしましたレジストリ関係の研究班ですとか、ナショナルセンター、PMDAの取組状況についても御紹介させていただくことにしております。実り多い機会になりますように、簡単ではありますが、御挨拶とさせていただきます。忌憚のない御意見を賜れればと考えております。よろしくお願い申し上げます。

○研究開発振興課長 それでは、議題1)のクリニカル・イノベーション・ネットワークの基本方針・工程表につきまして、議論を始めたいと思います。まず事務局より説明をいたします。

○事務局 それでは、資料1を御覧ください。クリニカル・イノベーション・ネットワークの基本方針、工程表案について説明します。表紙の次の1ページを御覧ください。CINの基本方針の案は、前回のこの推進会議の場において、理念のようなものがないのかというような御指摘を構成員のほうから頂いておりましたので、そういったものを踏まえ、今回、案としてお示しして、本日、御了承いただければというものになります。

 まず目標ですけれども、レギュラトリーサイエンスに基づいて、この疾患登録システムを活用した革新的な医薬品等の開発環境を整備することによって、我が国の医薬品・医療機器等の開発競争力を強化する。2つ目のポツとしては、透明性及び個人情報に配慮した上で、診療で得られるリアルワールドデータを収集・解析する体制・システムを整備し、創薬やいろいろな場で有効に活用するもの。以上により、新薬等を速やかに国民に提供することを通じて、健康寿命を延伸するといったものが目標です。

 そのための基本方針として、次の3つを掲げております。まず基本方針でのポツのところですが、疾患登録システムを活用した効率的な治験・市販後調査・臨床研究体制の構築を推進し、我が国発の医薬品・医療機器等の開発を促進するために以下の取組を行うことで、

1) 我が国で整備が進む疾患登録システムに関する情報を整備するとともに、治験・市販後調査・臨床研究を推進するための課題解決を行う体制を構築する。

2)レギュラトリーサイエンス研究に基づき、海外の規制当局の動向も踏まえて、疾患登録システムを治験・市販後調査に活用するための国際連携等の環境整備を行う。疾患登録システムの要件(用途別)及び信頼性基準の確立とそれに基づいて、薬事承認・再審査に疾患登録システムを用いるためのガイドラインを策定する。

3)検証結果を踏まえ、受益者負担による疾患登録システムの維持管理体制を構築していくといったものが基本方針としております。

 次のページ、年次ごとの重点項目を記載しております。本CIN(クリニカル・イノベーション・ネットワーク)は、2016年平成28年度の事業から予算措置として行っておりますので、2016年から2020年までの5か年間において年次計画として掲げております。まず、今年度に関しては連携体制の整備ということで、横串で研究いただく武田班、林班の設置、それから、後ほど御紹介いたしますが、ナショナルセンターのワーキング、PMDAのワーキング、それからAMEDにおけるシンポジウムの開催、こういったものに取り組んでおります。

4月からの来年度、2017年度はレギュラトリーサイエンスに基づいた疾患登録システムの構築ということで、後ほど各先生方から紹介を頂きますけれども、2016年度に採択した新たな疾患登録システムの構築に関する研究を、より進めていくことが2017年度の重点項目と考えております。

2018年度が更なる治験と臨床研究の推進ということで、医薬局が作成するガイドライン、この作成に資するような検証的な臨床研究・治験というものを実施できればと思っております。

2019年度は、この疾患登録システムの自立化に向けた検討をしていきたいと思います。ですから、ターゲット化に向けた疾患登録システムのデータの登録等、企業のほうがこういうものであれば使いたいと思うような、民間の資金を活用したような疾患登録システムの維持運営がいかにできるかということを検討していくことが目標です。

2020年はガイドライン等の作成ということで、レギュラトリーサイエンスに基づき、疾患登録システムを活用した治験・臨床研究に関するガイドライン等の作成ということにしております。

 以上、説明してきたようなことをロードマップにしたものが次のページです。3ページを御覧ください。2020年度までのロードマップとして書いております。一番上には、本推進会議の開催の時期等が書いております。大きく3つの柱に分けており、オレンジ色の所が疾患登録システムの構築・活用ということで、レジストリを作っていこうというものです。真ん中のピンクの所が治験ネットワークの構築・国際展開ということです。最後の3段目、レギュラトリーサイエンスということです。

 年度ごとに書いておりますが、右側に指標があります。もともとこのCINが自民党のアクションに採択されたときに、KPIという形で、幾つか記載がされております。上のレジストリ関係に関しては、15疾患についてここに書いているような人数を目指すというものが、指標、KPIとして設置されています。それから、真ん中の治験ネットワークの構築につきましては、2020年度までに、こういった治験、臨床研究を20件、最後のレギュラトリーサイエンスに関しては、ガイドラインの策定5件を目指して、ここに書いたようなロードマップで進めていくことになります。

 全部を紹介するには時間もありませんので、中心になっていくところだけを今日は紹介します。一番上の疾患登録システムの構築、ここで言っている疾患登録システムは患者リクルート等に資するようなレジストリということで、ナショナルセンター(NC)が既に構築しているものを、技術的な運営を目指して改良していくといったものになっております。そして、新たなレジストリというものが上から3番目にありますが、これが市販後調査や治験の対照群として使っていこうかということで、本日も研究代表者の先生に御参集いただいて、研究概要を紹介していただきます。この「新たなレジストリの構築」というものに、2016年度から2018年度までの3か年で市販後調査や治験対照群に活用できないかということをPMDAにも御協力いただき、構築していく。ここが今CINの目玉となるところです。さらに2番目の検証的臨床試験というものを2018年度から行い、この新たなレジストリと検証試験でのデータの突合を図って、そういった成果を踏まえて、実際のガイドラインとして市販後調査や再審査にレジストリのデータが使えるのか。それをガイドライン化していくことが2020年度までの、本CINの最終的な目標となっております。

 以上、簡単ではありましたが、基本方針と工程表について説明いたしました。

○研究開発振興課長 ただいまのCIN基本方針・工程表の案に関する説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。

 それでは、僭越ですが、PMDAの近藤先生、何かありましたら、御意見を頂ければと思います。

○近藤構成員 ありがとうございます。しっかりとした理念を作っていただきまして、目標が明確であると。何のためにやるか明確になったということで、しかも国際展開をしっかりと見据えているということで、これは本当に実現していかなければならないというミッションでございますので、これが皆様方に共有できれば有り難いなと思うところです。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございます。ほかにありませんでしょうか。それでは、資料の案1で、基本方針・工程表につきまして御了承いただいたということで進めさせていただきます。

 続いて、議題2)の横串研究班の研究概要報告に移りたいと思います。AMED臨床研究・治験推進研究事業と医薬品等規制調和・評価研究事業の、それぞれの研究事業におきまして、CIN構想を加速させることを目標とした各レジストリ関連研究の横串を刺す研究が行われております。まずは臨床研究・治験推進研究事業で、疾患登録システム及び治験ネットワークの連携等に関する研究を実施していただいております、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の武田所長から、現在の検討内容について、御説明をお願いしたいと思います。武田先生、よろしくお願いいたします。

○武田参考人 ただいま御指名を頂きました参考人、NCNP神経研究所長の武田です。今、CINの基本構想が出てまいりましたけれども、その中の横串研究班の1つの主任を務めておりますので、活動状況を簡単に説明させていただこうと思います。

 資料2-1を見ていただければと思います。表紙には今日お話する内容を書かせていただいております。次のページにCINの進捗というものが出てまいりますけれども、この左上にありますのは、当初、厚生労働省のほうから出ましたCINの全体構想です。これも先ほど御紹介がありましたが、平成27年度、各ナショナルセンターを中心にしまして、それぞれの疾患領域でワーキンググループが設置されております。それに加えて、そこに横串を刺すために厚生労働省によりCINの特別研究班が構成されまして、これで要点整理をさせていただいたわけですが、その主任研究者を、私が務めさせていただきました。

 その半年未満の活動の中で、私ども特研班から提言をさせていただきまして、やや右に目を移していただきますと、そこに提言の内容を書いております。すなわち、総論といたしましては、どこにどういったレジストリがあるか分からないという強い声がありましたので、そういった声に応えるために、ワンストップ・サービスを実現するような、中央支援センターを準備していく必要がある。

 もう1つは、やはり目標が医薬品・医療機器の開発と承認申請ということにありますので、そのときに、ここでは“Good Registry Practice”と書いておりますけれども、登録項目の標準化をする必要がある。また、各論といたしましては、先ほどの基本理念の目標を達成するために、特に治験対照群としての活用、あるいは製造販売後調査ということを意識したレジストリを準備して、こういった開発を促進する必要があるということを申し上げた次第です。

 それについては、AMEDのほうで非常によく応えていただきました。2ページ目になりますけれども、これが現在行われているCIN研究班の全体の構想を示しております。やはり縦軸が一番大事でありまして、こういった構想に基づいて、医薬品及び医療機器の開発を、レジストリを出発点として進めていくという4つの研究班がAMEDにより公募され、28年度採択を見ております。その向こうには、企業の皆さんがいらっしゃいますし、患者さん、国民がいると考えております。一方、それらの構想に対しまして、横串を刺す研究班が2つありまして、私が担当しておりますのは、CINの促進の仕組みに対して横断的な課題に挑む研究班です。この後、新たな試験デザイン、信頼性基準、これにはPMDAの皆さんとの連携を欠かすことができませんけれども、その研究班のほうからもお話があると思います。また、私たちの活動の中で、既に構成されておりましたレジストリのガイダンスに関する、厚生労働省の研究班とも連携をすることができましたし、AMEDの難病研究課により行われていたレジストリ実態調査とも連携ができたところです。

 それでは、私たちの研究班が何をやるかということです。3ページ目を見ていただければと思います。これが当初、AMEDから提示されました私たちの研究班の課題です。昨年秋からこの研究班は発足しておりまして、その課題は4つあります。

1つ目が疾患登録システムに関わる情報収集及び情報公開。2番目が登録システムだけではなくて、治験ネットワークとの連携。特に、レジストリと臨床研究ネットワークとの関連では、コンソーシアムが構想されています。3番目が、個人情報保護法の改定に関わるレジストリに対する影響の解析。4番目が、レジストリを維持していく上では非常に重要な費用負担のあり方に関する検討、この4点です。

 このうち、平成28年度には1番目と3番目に重点を絞って活動させていただいております。すなわち、1番目に関しましては、ワンストップ機能としてのレジストリのリスト化の提案をできればAMEDにより29年度の研究班として公募・採択していただくべく活動しております。また、3番目について個人情報保護法の改定に伴いまして、指針等が出てまいりますので、特にレジストリについて、どういったことが肝要かということを整理させていただいております。

 そこで、次の4ページ、5ページ目で、この2つについて、ごく簡単に活動の状況を申し述べさせていただきます。1つ目が4ページ目で、これはワンストップ・サービスの一環ですが、やはり、どこに行けばどういうレジストリがあるかが分からないので、疾患レジストリのリスト化ということをさせていただきたいと考えています。これについて、内外の調査をしていますと、2つほど海外で前例があり、真ん中の上のほうに書いておりますが、主に米国で展開を見ているRoPR、その右に、主に欧州において展開を見ているPARENTというものの活動があることがはっきりしてまいりました。

 そういった所の情報を参考にしつつ、例えば既に我が国では、難病について、AMEDの難病研究課のほうでレジストリの実態調査がありましたので、66の疾患についての情報を同意の上、頂くことができております。もちろん6ナショナルセンターで行われているレジストリについては、アンケートができておりますので、こういった土台を基にして、レジストリの基本情報を集め、リストを作成することを御提案申し上げたいと考えています。

 しかし、このとき注意することが1つだけありまして、これは決してレジストリの個別患者情報収集ではありません。そうではなくて、どういったレジストリがどこにあるかということを、いわば電話帳のようにリスト化するということを、第一の目標とさせていただいております。

 もう1つの進歩が5ページ目にあります。これは皆さん御存じのように、個情法の改定がありまして、その結果として人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(医学系指針)をどのように改定していくかということが、非常に大きな問題でした。これについては、昨年の秋の状況を思い出していただきますと、これはレジストリにダイレクトに関連いたしますけれども、特に医学系研究に関しては、オプトアウトということが認められなくて、全て再同意を取らなければいけないのではないかという懸念がありました。また、第2番目に、これは民間のクリニックや医療機関、あるいは企業といったものが学術研究機関として認められるかどうかという恐れもありました。また第3番目に、この改定が行われていく際に、従来あったような経過措置のようなことがないのではないかということが懸念されていたところです。

 その結果として、これは日本医学会、各学会、また6ナショナルセンターの理事長、私ども研究班、それから非常に多くの皆様から、パブコメが寄せられたと伺っております。その数は通常の1015倍であったと聞いておりますけれども、その結果としまして、こういった主要なレジストリに関する個情法及び医学系研究の指針の改訂に対する恐れは、ほぼなくなったと考えております。

 ただ、その改定の要点ですが、これはレジストリに関連したことでも6点ほど要点があります。それは5月末の施行に向けて、更に準備を検討させていただきたいと、私どもは思っている次第です。

 それらを受けまして、次にまとめになりますけれども、ロードマップを示しております。これも冒頭に御紹介がありました、昨年の秋から、私ども研究班が整理した4点があるわけですけれども、例えば、領域によっては、疾患登録システム及び治験ネットワークの連携、コンソーシアムのようなことを念頭に置く必要があります。それから登録システムを維持していく上では、これはどのように費用を負担していただくかということが大きな課題となります。その上で、2017年の目標の1つとして、個人情報保護法の改定に対応した国民の意識調査というものを行わせていただきたいと思っております。

 これについては、我が国の医学系研究の倫理の専門家が、私たちの分担研究者あるいは研究協力者にそろっておりますので、進めたいと思っております。なお、将来の目標につきましては、実はレジストリはこのように縦方向で、先ほど提示された目標をクリアしていくことが一番大事ですけれども、同時にレジストリの普及、あるいは連携といったことが大事と思いますので、もしお時間がありましたら、意見を述べさせていただこうと思います。私からの発表は以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。続いて、「医薬品等規制調和・評価研究事業」の「患者レジストリデータを用い、臨床研究の効率化を目指すレギュラトリーサイエンス研究」について群馬大学の林教授の代理で、国立がん研究センター研究支援センター、柴田生物統計部長から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○柴田参考人 国立がん研究センター生物統計部の柴田と申します。先ほど御紹介頂きましたように、本日、群馬大学教授の林邦彦先生が御欠席ですので代理で御説明いたします。

 資料2-2です。患者レジストリデータを活用した臨床開発効率化のための研究デザインの開発を行う研究班ですが、当研究班の検討状況を御報告いたします。まず、1ページで、班の位置付けについては、先ほど武田先生のお話の中で御説明頂いた内容と重複いたしますので省略いたします。

 当研究班では治験の対照群としての患者レジストリの活用あるいは製造・販売後調査、安全対策等への活用に関し、検討が必要な事項を取り扱うということで、患者レジストリを利用した臨床開発の促進と効率化を目指した取組を行っております。

2ページです。そのような取組の中で課題について整理しますと、既に御出席の先生方には御案内のところと存じますが、難病、希少疾患、医療機器、手術などの領域においては、疾患の重篤性や対象患者数の限界など、理由は様々ですが、通常のランダム化比較試験の実施が困難であることが多いという状況があります。一方で、1-arm試験では、結果の解釈が困難であるという問題も生じます。そういう状況でPMDAでの審査の際などに、事後的に外部対照データを持って来るということは、現実的に収集困難であることも多いですし、その時点で比較可能性が低いことが問題となることも生じ得ます。海外に目を向けますと、患者登録データを利用した臨床開発の事例等もあるようです。

 このような状況ですので、これらの領域での臨床開発の促進と効率化のために、何らかの手立てが必要であると考えます。既にPMDAや厚労省の方々の薬事承認申請における判断というものは、柔軟に取り扱われており、希少疾病や難病であるとか様々な領域において、杓子定規でないエビデンスの評価がなされていることは、武田先生の特別研究班での調査内容でも明らかになっております。そのようなものを、より広く開発に携わっている研究者であるとか、企業の方に理解していただくことで、安心して研究開発が進められるということが必要であると考えています。そういうものに対するガイダンスや指針、一定の考え方を記すものが必要であろうというのが当研究班で取り組んでいる課題になります。その観点から、「臨床研究デザインと解析法に関する検討」や、もう1つ大きな柱としてデータあるいは情報の「信頼性基準の考え方」をまとめようとしております。

 本日はその後者について御説明いたします。念のために1つ確認ですが、患者レジストリデータの活用を今回のこの会議のコンテクストで考えると、3ページに示している(1)"代替"あるいは"承認データの補完"という意味での活用が主となります。一方で、患者レジストリデータというのは、何のために収集されているのかというそもそも論に立ち返ってみますと、"Ture"な情報源としてのリアルワールドエビデンスを集めるために収集されているという側面もあります。

 信頼性に関する考え方の文書をまとめるに当たり、代替あるいは承認データ補完という観点のみにスコープが当てられ、患者レジストリの在り方を歪めてしまうことがあっては本末転倒であるということで、研究班でもきちんとこの3つ目の"Ture"な情報源としてのリアルワールドエビデンスとしての患者レジストリというものがある、それが土台となり薬事承認申請への活用に当たり、承認データの補完や代替の情報源としてリアルワールドエビデンスの活用が生じることが重要であるということを信頼性基準に関する考え方の中でも明確にしようというディスカッションがなされております。

 少し前後しましたが、その代替・承認データ補完・Tureな情報源というのは何かというのを改めて御説明いたしますが、先ほどお話した大規模なRCTが難しい領域で患者レジストリデータを活用するということは、本来、可能であれば理想的にはRCTができればいいわけですので、それの代替の情報源としてリアルワールドエビデンスを活用しようという考え方になります。

 一方、有効性や安全性に関するkeyとなるデータはありますが、臨床データパッケージが小規模になりがちな希少疾病等の薬事承認申請においては、そのデータを補完するための情報が必要になります。そのような状況での活用、患者レジストリデータの活用がこちらにある承認データ補完の使い方になります。これが行われるということは、承認のハードルが下がり得るという意味で新規治療薬の薬事承認に貢献するものであると考えております。

 一方でRCTにも限界があります。適格基準を厳密に縛り、評価方法を絞り込むことにより、日常診療で生じる問題が拾い出せなくなるということがあります。そういう意味でRCTは必要ではあるが、RCTとは別の観点での情報収集の仕組みが必要で、そのような"Ture"な情報源としてのリアルワールドエビデンスというのも研究開発上、重要な役割を担っているということは否定できないことですので、そのようなデータの使い方もあるというのを改めて明確にした上で、今回の研究班ではその上の2つ、代替あるいは承認データ補完として活用する場合の信頼性基準に関して議論をしております。

4ページは、信頼性基準についてはまだ案の段階ではありますが、通常の治験における信頼性の考え方との比較をお示しいたします。左上にPMDAのホームページから引用したシェーマを示しております。信頼性に関してはGCP実地調査と適合性書面調査という切り口で検討されるところですが、レジストリに関しては、この治験依頼者の部分が2つに分かれてしまいます。医療機関と患者レジストリを保有しておられる研究者の先生方との間の関係だけでなく、それを薬事承認申請等に使われる製薬企業の申請者との間の関係、またそこと製薬企業と承認申請資料コンテンツとの間の関係という形で注目すべきところが3つに分かれてしまいますので、その3つに分けた上で、それぞれのプロセスでどういうことを検討しなければならないのかという考え方を整理しようという方向で、今現在、論点を整理しております。

 机上配布資料2-25ページです。信頼性基準の考え方として本日詳細な文書を御提示することはできませんが、現時点で12ページ弱の文書を研究班の中で検討しております。その活用方法の内容に応じて、先ほどお示しした3つの切り口で、どのようなことを検討しなくてはならないのかというのが変わってくるであろうという整理をしております。

 問題となるのは、(4)希少疾病等の通常の治験等による開発が困難な領域における治験等の対照群として活用する場合と、(5)製造販売後調査に用いる場合になります。(4)を大きく2つに分け検討しております。1つは平均値であるとか、そのような要約統計量のみを活用する場合と、一人一人の患者さんのデータを活用する場合で、信頼性基準のハードルが変わってくるのではないかという形で線引きをしております。要約統計量として活用するのみであるならば、比較的軽めのハードル、一方で、一人一人の患者さんのIndividual patient dataを活用する場合、可能な場合はSDVSource document verification)をするなど、少しハードルを高める必要があるかと考えております。一方で、研究班の中でのディスカッションにおいては、もともと治験の実施が困難であるという状況で患者レジストリデータを活用することを前提とした議論が始まっていることを踏まえ、全ての患者さんに対し治験と同水準のSDV等を求めるのは難しいであろうということは、ほぼコンセンサスとして得られております。可能な場合SDVを行うという条件を書いております。一方で、疾患の特異性、レジストリの特殊性に応じて、そのSDVが可能な場合という縛りを付けても困難な場合には、なぜそれが困難なのかというのを、科学的に理由を説明することが必要であると指摘する形でバックアップすることを考えております。

 上段のレジストリ保有者と製薬企業との関係については、一定の取決めをした上でデータを活用する必要があると考えているところですが、特に治験の対照群であるとか、製造販売後調査といった薬事承認申請に関わる活用を行う場合には、一定の少し重い取決めを交す必要があるのではないかと考えている次第です。

 最後の6ページは、患者レジストリデータベースについて当研究班で取り組んでいるものとは別に、医療情報データベースを薬事承認申請等に活用するという議論が平行して進んでおり、その線引きをシェーマにしたものです。オレンジ色の「別途検討されているガイダンス」は、主にレセプトデータ、MID-NET等を指すものとお考えください。ここのオレンジ色の部分は、別途、当研究班で検討しているものとは異なるものとして検討が進んでおりますが、注意していただきたいのは、レジストリ保有者に求められる要件は異なり得ますが、それらを活用する申請者、製薬企業等の方に求められる要件は同一になるように足並を揃えた文書となることを考えつつ、議論を進めている次第です。私からの御説明は以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。ただいまの横串研究班の2つの研究概要報告について御意見、御質問等ありましたらお願いいたします。御質問等でも結構です。

○末松構成員 この後の発表とも重なるところもあるのですが、今までの御発表で1つどうしても確認しておきたいことがあります。最初にロードマップが出てきて、森光さんがこれでよろしいでしょうかと言ったことの質問で申し訳ないのですが、ナショナルセンターが患者さんのレジストリをしっかりまとめる役割を果たすということについて、我々の期待も大変大きいものです。しかし、ロードマップの最後の段階で、ほかの国公私立の大学病院あるいは地域の有力な中核病院、こういうところが臨床研究をデザインするときに、でき上がったレジストリを活用して、お互いにどこに何のデータがあって、それぞれの大学病院の発想で研究ができるようになると。そういう達成の定義というか、そこをこの場ではっきりしておかないといけないのではないかと。僕は当然そうあるべきだと思っています。

 健康医療戦略や中長期計画の改定をしたときに、「広域連携、分散統合」というキーワードがあり、誤解を恐れずに申し上げると、ナショナルセンターがデータを集めてナショナルセンターの目的にしか使えない、そういうレジストリになるのは、恐らくやっていただいている先生方にはそういうお気持ちは全くないと思うのですが、それを最初にはっきりしておかないと、本当に国全体として意味のあるレジストリもできないし、悉皆性のあるレジストリを作る上で学会の役割は極めて重要なので、そういったところはそうですと、誰かに言ってもらわないと、私は言っているのですが。ということで、御意見を頂きたいということです。

○研究開発振興課長 御意見ありますか、武田先生何かありましたら。

○武田参考人 参考人の武田です。私が答えるのが適切かどうかは別として、私どもの意見を申し上げたいと思います。ただ今、末松構成員の御指摘の点は私どもも十分に考えております。資料2-14ページで、私が最後に、ワンストップ・サービスは「レジストリの個別患者情報収集ではない」ということを一言付け加えさせていただいております。私たちが考えているレジストリのリストはネーションワイドなもので、決してNCに利するというものではありません。臨床研究中核病院を主体としたその他の先生方に利するということがなければ、こういったレジストリのリストを作っていく意味はないだろうと思います。このワンストップ・サービス自体がどこに置かれるかということもまだ分からないわけですが、それにしてもリスト化するのであって、決して登録の個別情報自体を集めるのではないということを明言しているわけです。

 もう1つ御指摘がありましたように、2020年にどういった目標を掲げるかということは極めて大事だと思い、それは私どもの研究班ですぐに申し上げるべきところではないと思いますので控えておきますが、私たちの3年間の活動の中では十分検討させていただきたいと思っている次第です。以上です。

○研究開発振興課長 はい、ほかにありますか。

○近藤構成員 末松先生、武田先生がおっしゃったことは非常に大事で、恐らくナショナルセンターがレジストリを作る上では、基本的にはwin-winの関係。つまり、なるべく多くの疾患がそこに統一されていくということは、とても大変なことだろうと思いますし、そのための活用についてはナショナルセンターだけではなく、参加した者、又はそれ以外の者も含め多くの所が利活用できるような仕組みにして初めてレジストリの価値が出てくるものだと思います。ナショナルセンターにおいてはその仲介をするぐらいのつもりでいていただいたほうがいいだろうと思います。

○研究開発振興課長 ほかによろしいでしょうか。事務局から少し補足をさせていただきます。武田先生のこの研究の平成29年度に向けてのお話があったかと思いますが、平成29年度の予算ということで一番最後に御報告をさせていただくことにしておりましたが、この平成29年度には、正にレジストリのカタログのようなものを作る事業、また、それをオープンにした形でいろいろな研究者の方にそれを参照していただき、どこに行けばどういうデータがあるのかを、正にワンストップ・サービスという形で提供していただけるような事業をしたいと考えております。

 またできましたら、その中にはどこまでオープンにするのか、今はクローズだけどいつになれば研究者に対して情報が提供できるのかということも含め、是非、情報としてカタログの中に入れていくことも含めて入れていただきたいと事務局では思っております。何かありましたら。よろしいでしょうか。

 続いて、議題3)の疾患登録システム構築班の研究概要報告に移らせていただきます。現在、AMEDの「臨床研究・治験推進研究事業」と「医療機器開発推進研究事業」において、併せて4つのレジストリ構築研究が進められております。順に御紹介をさせていただきます。まず、国立がん研究センター東病院の大津病院長からSCRUM-Japanに関する研究の御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大津参考人 よろしくお願いいたします。国立がんセンター東病院の大津でございます。資料の3-1を御覧ください。我々のSCRUM-Japanの概要が1ページの所に示しております。製薬企業15社、全国の240施設の参加によりまして、先端的なNGSのパネルでゲノム解析を行い、その結果に応じていわゆる希少フラクションの対照症例を現時点での数ですが、肺がん24、消化器がん11、のべ35試験で登録を促進しているという図式です。一番右の表が、昨年末段階での4,522例の肺がん・消化器がんでの内訳で、御覧のとおりです。

2ページ目、新薬の治験の登録の状況ですが、現在までに150例のいわゆる希少フラクションの対照症例を何らかの治験に登録しておりまして、この取組の中で、既に肺がんで3試験が終了して、効能追加の承認申請に進んでおります。特に真ん中の赤字で書いてありますVandetanibの所は、我々のところで医師主導治験として行ったデータでの申請を予定して、その準備を今しているところです。同時にROS1RET等の新しい標的遺伝子の、これはがんセンターで発見した遺伝子も含んでいますが、その診断薬の診断法の開発も進めておりまして、コンパニオン診断薬としての申請もされる予定です。

3ページ目、AMEDと厚労省等の御支援をいただきまして、現在いろいろな研究班の集合体に成長しております。既に一番左上になりますが、オンラインでの臨床ゲノムデータの共有を開始。これは先ほど末松理事長からもお話ございましたとおり、我々が独占するわけではなく、もう既に企業15社、それからセキュリティが確認された20施設に既にオンラインでデータの共有を図っております。毎月1,000件を超えるアクセスがあります。あと、間もなく30施設を更に拡大する予定です。もう1つ、患者レジストリ、この班ですが、この対応構築を既に開始しております。それは後ほど。それからもう1つは、人材教育の研究班も既にスタートして、e-ランニングのシステムと、それから人材のトレーニングシステムのカリキュラムを既に策定したところです。

4ページ目、このレジストリの研究班に関しましては、昨年の秋に採択いただいてから、PMDA、そしてAMED林班、それから武田班と様々な協議を行いまして、そこが経緯ですが、データの収集項目、それから収集範囲を策定しまして、信頼性保証部も先ほど柴田先生からお話あったデータの質の担保等に既にSOPの作成を進めています。CDISCの標準化も既に取組をスタートし、今年中には何とか完成させる予定です。

5ページ目。我々が目指しておりますのは、新薬の承認申請の評価資料となる治験対照群分のレジストリの構築です。既にベースとなるレジストリは構築されていますので、正に新薬の承認申請に使うための対照群のデータを収集するということで考えております。対照となる希少フラクションは、研究者の御意見と企業側の御意見をお伺いして近々、承認申請が見込まれる疾患、フラクションに関して、肺がん、消化器がん、御覧のとおりに選定いたしました。既に得ているデータからどの位の症例になるかということで、第2期のSCRUM-Japan4月からスタートしますが、第2期に合わせて前向きにこのレジストリのデータを集める予定です。第2期の見込みでいきますと、肺がんと消化器がん、この希少フラクション対照群の策定は、約400のデータをレジストリに対して集めると。第1期の今まで集積されたものに関して、今レトロスペクティブな調査をかけておりますが、これがちょっとどの辺まで使えるか今一つ問題になっております。それも同様に集めると。レトロに集める分を含めるとその倍の症例数になります。もう1つ、このレジストリに絡ませた医師主導治験として、間もなくスタートする予定ですが、HER2大腸がんの症例、医師主導治験に関しては、これはもう前向きに最初からプロトコルに組み込んだ形で、比較対照群、ヒストリアルのデータをナチュラルヒストリーデータを前向きに治験と合わせた形で収集するということを間もなくスタートいたします。

6ページ目。御承知のとおり申請データを作りますので、そうなると国際標準であるCDISCの対応が必要になりますので、その標準化の作業を進めております。申請に、評価に持っていくデータに関してはCDISCのデータを持っていくと。これを作ることが今、海外、欧米、それから韓国でも大規模なデータ集積が始まっていますが、そういったところと将来的なデータ統合する上では、CDISCでの標準化というのが必須だと思います。逆に言うと、そこができているデータは多分、現時点では我々以外に世界にはないと思いますので、その作業を進めて行きたいと考えております。

7ページ目。今後の予定に関しましては3段階で考えています。1つは、4月から始まる前向きのレジストリのプロトコル。これは、既にプロトコルはほぼ完成しまして、研究者のレビューに回っています。この後、申請データとして出しますので、施設との契約を全て取って進める予定です。それから、今までの集積例に関しましては、レトロスペクティブな調査をかけているところでして、恐らく参考資料程度になると思いますが、それを提出する予定です。後はこれから開始される医師主導治験では、医師主導治験に合わせてナチュラルヒストリーデータを同時に集めると。3段階のパターンで進めていく予定です。いずれにしても、そのデータの質の保証をしっかり取ることによって、我々日本がこの分野でリードできるようなデータにしていきたいと考えております。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして、名古屋大学大学院の祖父江特任教授から、JaCALSに関する研究の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○祖父江参考人 今御紹介いただきました、名古屋大学の祖父江でございます。資料の32ですが、私どもは御紹介いただきましたように、筋萎縮性側索硬化症という神経の非常に難病ですが、このALSの疾患登録システムの開発を行っております。

1ページ目。ALSというのは皆さんよく御存じだと思いますが、進行性の運動ニューロン疾患で、平均3年から5年で死亡するという難病です。我国で大体1万人位の患者さんがおられます。その中で特に重要なのは、孤発性の遺伝的な背景のないALS90から95%位を占めておりまして、この治療開発が非常に置き去りにされていることです。そこに書いてありますように、1994年以後100近い、実は治験が世界的には行われているのです。ただほとんど失敗でして、これは同じ神経性疾患のアルツハイマー病などと非常によく似ておりまして、こういう神経変性疾患のdisease-modifying therapy(DMT)というのは、まだほとんど成功例がないというのが現状です。これをどう克服するかということが下に書いてありまして、1つの方向でありますが、1つは患者レジストリ・コホートに基づく生体試料とか、オミックス型のビックデータ解析が非常に重要な方向になるだろうと考えられております。それから2番目は、正にCINのリアルワールドデータを有効に活用する創薬促進の流れというのが非常に重要ではないかということです。

2ページ目は、私どものJaCALSのレジストリの説明ですが、主に、孤発性のALSをレジストリしておりまして、臨床データを3か月ごとに、前向きに92%の経過、フォローアップ率でして、これは世界的にも最も高いフォローアップ率だと思います。それから遺伝子と不死化細胞、これは一部ですが、iPSにトランスファーしております。それと生体試料リソースを含みまして、現在約1,340例がレジストリされております。全国31の施設に御協力いただいておりまして、これまでの成果は下に書いてございますが、経過・予後を規定する臨床的及び遺伝子的な因子の幾つかを同定しておりますし、創薬シーズも一部見付かってきております。それから後で御説明しますが、PMSでの有効性の検証ということにも使えることが見い出されてきております。

3ページ目。神経変性疾患は、なかなかうまくレジストリが進んでいるものが少ないのですが、うまくいっているポイントの1つは、このCRCさんによる患者さんへの電話調査が、このフォローアップ率を非常に高めている、あるいはそのデータの信頼度を高めているということで、これが非常に重要な要素ではないかと考えております。下に、そのALSFRS-Rというふうに書いてありますが、これはALSの患者さんに対する定量的な運動指標です。図が出ておりますが、専門医のとったスコアが横軸に出て、CRCさんの電話調査が縦軸ですが、非常にいい相関、級内相関係数が0.97ということです。ですからこれをもって電話調査をやっているということです。

4ページ目は現在までのJaCALSの患者レジストリシステムです。主に紙ベースでやっておりまして、リアルタイム性が悪いとか、業務量が多い、信頼性を今後更に高めることが望まれるということがございます。

5ページ目が、今後の、新JaCALS、あるいはJaCALS2というふうに言っておりますが、今構築しているレジストリシステムです。Web化してクラウドに全部入れるということです。ER/ES指針、あるいはGPSP基準をクリアしたより信頼性の高いものを実現する方向で、今行っておりますし、それからセキュリティのレベルアップも行っております。

6ページです。今後やっていこうという、アカデミア・企業の共同化の構造を示しています。上のほうの赤い太いバーがございますが、これが今お話したCRCなどによる電話調査でして、これを基本にするということです。これはアカデミアで、これがefficacyを見ていこうと。今まで例えば製販後調査で見ていた主なものは、副作用が主でありまして、このefficacyをあまり見てこなかったのですね。これを見られるようにしようと。このefficacyというものを製販後調査でも検討していこうというのがこの大きなもくろみです。下の橙色の所の(2)が、現在までやっている企業の薬剤あるいはAE、検査という項目でして、これはこのまま続けていただこうと。アカデミアのefficacyの電話調査と合わせることによって、更にレベルの高い効果というものを見ていけないかというのがもくろみです。

7ページ目。例えばの実例でして、ラジカットという薬の例を示しております。先ほどから申し上げておりますように、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSを含めてですが、本当の意味のディジーズモディファイセラピー薬というのはまだ開発に成功しておりません。例えば左の図に書いてあります第3相試験は、非常に差が小さいのですね、6か月位で見ると。けれどもこれをリアルワールドに持っていって、市販後調査で、例えば5年から7年というふうに見ることによって、本当にこの薬が効果があるのかどうかを見ていこうというのが1つの大きなもくろみです。その1つの例として、ラジカットというALSに対する最近承認されたお薬がございますので、それで検証していこうということを今やっております。

8ページ目。今までのお話のまとめ、あるいは今後の展望です。1つは、もちろんこういうことをやることによって、リアルタイムの適正な患者のリクルートができるということ。それから今も例として出しましたが、PMSでの長期有効性の検証、それから(3)(4)(5)は一般的な話がそこに書いてございます。それから新JaCALSとしての取組は、その下に書いてありますので、御覧いただければと思います。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。続きまして、国立精神・神経医療研究センターの中村室長から、Remudyに関する研究の説明をお願いいたします。

○中村参考人 国立精神・神経医療研究センターの中村でございます。資料3-3を用いて御説明させていただきます。1ページを御覧ください。我々研究班の目標・ねらい、及び研究実施体制を示しています。我々の目標といたしましては、特に医薬品開発が困難と考えられている難病・希少疾患領域において、より効率的な開発促進の基盤整備としてのレジストリシステムを構築することを目標としています。我々は既に筋ジストロフィー患者登録システム(Remudy)というものを構築していますので、それを発展させて、以下の3ポイント、研究者、電子化医療情報、患者自身それぞれからの医療情報を収集し、規制要件に対して、システムの構造を階層化して対応し、運営・管理を一元化することを目標とし、それにより、実施可能性、リクルートから治験対照群、製造販売後調査までの利用を想定したシステムを目指しています。

 研究実施体制といたしましては以下のとおりで、国立精神・神経医療研究センターを中心として、データマネージメント、患者登録システムの構築、臨床研究ネットワークや生物統計、医学倫理の専門家を交じえて、また、既にこれまで筋ジストロフィー領域の国際共同治験などの経験のある研究施設と共同研究をしています。

2ページを御覧ください。こちらに、これまでのRemudyの実績と課題、今回の研究班の目指すものを図示しています。Remudyは既にMDCTNという臨床研究ネットワークとの連携を含めて、CINでも議論されている実施可能性調査や治験リクルート、治験計画作成においては既に実績がございます。既に日本で行われている企業治験等を含めて10程度のリクルートを実施していますし、国際共同治験のほうも経験しています。また、先ほどAMEDの理事長の先生からございましたように、ナショナルセンターだけではございませんで、世界の企業も含めて、また日本中の研究者との共同研究の実績もございます。ただ、これまでのRemudyの構築は患者さん自身が登録するものでして、以下、赤で示しています治験対照群の検討、製造販売後調査、安全性対策といった、今回、新しくCINで求められているところに十分対応しているものではないことも認識しています。そこで、その規制要件や登録項目、医療現場での負担、実施可能性や継続性、製薬企業とのコンソーシアムの検討を含めて、今回の3年間の研究班で検討させていただきたいと考えています。

 次の3ページ、4ページで我々の検討について御説明させていただきます。まず、構築するレジストリシステムの概念図です。少し込み入って申し訳ありませんが、左下のRemudyと書いてある所がこれまでのシステムです。患者さんが直接、我々のナショナルセンターに情報を登録するといったシステムでした。ただ、それではこれまでの登録項目、後で御説明します登録項目であるとか、信頼性保証のところはクリアできていませんし、治験対照群、製造販売後に資するようなシステムではありませんでした。それを改修する目的で参加医療機関にも参加いただき、治験研究情報の入力(Web入力)、また、左上部分の電子的医療情報を更に今回のシステムに拡張し、右の統合プラットフォームというものを作成し、これを運用することを考えています。そして、この統合プラットフォームの運用を、これまでMDCTNと臨床研究ネットワークと、Remudyという筋ジストロフィーのレジストリシステムの事務局が2つありましたが、なるべくこれを統合的に連携して運用することも考えています。

4ページを御覧ください。今回のCINのレジストリにおいて重要な点のもう1点は、登録項目及び信頼性の検討だと考えています。図の左下の部分、自然歴研究を踏まえた登録項目(データ収集項目)CRFの設計を御覧ください。こちらが今回、我々が収集しようとしている登録項目です。左下の図の更に下、(AMED申請書より、基本情報)という所は基本的に日常診療等で収集される情報ですが、筋ジストロフィー領域では、日常診療で収集できない登録項目も含めての自然歴研究が必要となっています。その項目が、左下の図で右側の一覧の所です。我々は臨床医とも検討し、海外でのAccelerated approvalを取得した薬剤に対するFDAからの指摘等も考慮し、また、CDISCの中でのセラピューティックエリアスタンダード(TAS)といった所にも注目していて、そこを含めて以下の項目を収集することとしています。

 もう1点、今回、CINの中で求められているのがレジストリデータの信頼性であると考えています。それが右下の図です。レジストリデータも、先ほど柴田先生から御説明がありましたように臨床研究、更に治験レベルやPMSで求められるレベルは異なっていると思いますので、これらを階層化して情報収集することを考えています。また、運用プロセスに関してはSOPの体系が重要で、これは既に我々は体系化されたSOPを検討しています。さらにデータベースシステムはCSVや、いわゆるER/ES,PART11への対応を考えています。これらに関しては既にCIN林班やPMDA信頼性保証部との緊密な連携の下に実施させていただいています。

 最後の5ページを御覧ください。こちらがロードマップになっています。私がこれまで説明してきましたことを検討し、この3年間のロードマップが以下になります。既に今年度、201610月から研究を実施していて研究班会議を2回、PMDAとの意見交換や実際に筋ジストロフィー関連開発企業との意見交換会も実施しています。それらを基に今年度はシステムの仕様を決定し、事務局の内容を検討、更に先ほどの共同機関4施設の施設調査を実施しています。これらを基に2017年からシステムの構築、事務局設立、更に各施設での登録を開始したいと考えています。以上になります。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。最後となりますが、日本脳神経外科学会の嘉山理事長より、医療機器レジストリの構築研究について御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○嘉山参考人 日本脳神経外科学会の嘉山でございます。資料3-4を御覧ください。1ページから3ページには、もちろん日本にもないのですが、医療機器のレジストリングのシステムを構築することにモチベーションを持ったものが載っています。1ページは、当時、東京大学の脳外科にいて、その後、自治医大の教授になった渡辺先生で、世界で最初にナビゲーションシステムを作ったのですが、結局、世界に売れるまでいかなかったのです。今回、AMEDの末松先生とPMDAの近藤先生と厚生労働省が、このような日本挙げての医療産業を創生しようということで私どもは本当に感激しています。結局、これが成らなかった理由はいろいろあって、今日、やっているような会議もなかったし、1人で奮闘して結局は埋もれていったのですが、世界は今、3ページにありますように5億ドルくらいの市場になっているわけです。2ページは医療機器で、御存じのようにメドトロニックが1位、日本は18位にテルモがきて、やっと日本独自の内視鏡というのが世界に売り出され、これが医療機器では唯一です。CTMRIは別ですけれども、一応、これぐらいかなという感じがしていて、何としても日本の医療機器を発展させたいということが、私ども日本脳神経外科学会のモチベーションです。

4ページを見てください。従来のお薬ですと毒性試験から始まり第3相試験まで、こういうのは方法論が基本的に確立していますが、医療機器は使いながら開拓していかなければいけないところがあって、ランダマイズド・クリニカルトライアルなんてとてもできないわけです。したがって、今までのお薬とは違うような研究をしなければいけない。現在、私どもはこの2年間で厚生労働省あるいはPMDAと組んで、フォトダイナミックセラピーという、励起物質と顕微鏡を使ったがん治療の機器の市販後調査もやっています。あと、Pipelineフローダイバーター、動脈瘤の機器の市販後調査も全部終わって、今、データの収集になっています。そういうようなことをやっている経験がありますので、多分、そういうことで末松先生が我々にやれとおっしゃったのではないかと思います。あと手術件数が、私ども日本脳神経外科学会は年間20万症例、ほとんど悉皆性が100%に近い症例の登録をしています。これは他の基本診療科と比べてもずば抜けた悉皆率です。この20万の手術にどのような医療機器が使われているか。特に日本の弱いところは治療系の消耗品です。CTMRIの診断機器は日本は輸出でも勝っているのですが、圧倒的に負けているのは普段使っている消耗品です。大体、医療の中で消耗品は6割ですから、それをやろうとしているわけです。5ページを見てください。これは最後のまとめになるので5ページは飛ばします。

6ページ、これは先ほどお話した従来の市販後調査のやり方が左側のブルーの所です。我々が考えているのはコンソーシアムを作り、日本脳神経外科学会がデータも集めるし、データを自分で持ち、第三者委員会を作ってそこでデータの解析もする。従来は企業が病院と直接結び付いて、企業のほうが出向いて行って市販後調査をしていたわけですが、それではデータの凸凹と信頼性がアキラス以外は低くなりますので、学会が全てデータをということ。データのレジストリという話が先ほどから出ていますが、正確度も学会でやるとクリーアップもできますから、そういう意味で従来とは全く違うものができると思います。

7ページは連携組織とデータの入力のイメージです。私どもが独自にデータベースを持ちます。このデータベースの中身は次に説明させていただきますが、独自のデータベースをPMDAや企業、あと病気というか、そこのディマンドを我々が集めながらどういうデータベースを作るかを、今、研究しているところです。

 どういうふうに構築するかというと、10ページ、11ページ、12ページを見てください。これが脳外科で一般的に、例えば12ページは動脈瘤の手術のときに使う機器ですが、その上にありますように1回の手術で180品目です。全部を計算すると2,200万の医療機器を使って私どもは手術をしているわけです。先ほどの20万件の手術症例が全部これに結び付くのです。イメージしていただければお分かりのように、これを全部入れていたら大変なことになるのでフィージビリティがありません。我々がこれから研究しなければいけないと思っているのは、このような医療機器をどうやって登録するのか。これは世界でもどうやっていいか分かっていないのです。あと、これは使ったときにカルテには一切出てこないデータですが、電カルで出てこない医療機器の不具合、例えばカーブがもうちょっとあったらいいとか、もうちょっと柔らかいほうがいいとか、機器はそういうことで売れますから、その不具合の情報をどうやって抽出するか。これはゲハイムですけれどもアイデアはあります。ですから、この機器を使って20万件の手術とこれを合わせてレジストリを作ろうと考えています。

 どうやって実際にレジストリをするかというと、8ページに戻ってください。私ども日本脳神経外科学会は約1万人の会員、7,500人の専門医がいますが、全ての会員のデータベースを持っています。そのデータベースを基にして誰が、どの病気に、どういう機器を使って、その結果がどうだったかというレジストリを作ろうと考えていて、1年目は一番下の基本データベースという専門医制度に絡ませたことですけれども、我々の会員のデータベースを作って、2年目、3年目で武田班、林班と一緒に連携し、いろいろ教えていただきながら、個人の医師のやった行為と医療機具の登録をしていく予定でいます。

14ページは、どうやってこれだけのデータを使ったり、あるいは社会貢献するのかということになりますが、先ほどお話したようにコンソーシアムを立ち上げます。そのとき学会のホームページにデータの中身と項目は全部立てるようにしまして、あとは企業のほうから手挙げ方式で手を挙げていただいて、我々がほしいデータをお出しすると。ワンストップで企業がほしいものもそれで分かる。あるいは機器ですからワンアームで研究しなければいけないものが多いので、アカデミアとしてはワンアームのデータもすぐ出せる。あるいはヒストリカルデータも出せるということを、手挙げ方式でやっていただくというふうに考えています。15ページは、PMDAAMEDとの話合いで出てきた一般的なことが書いてあります。

16ページは今後のスケジュールですが、最終的には先ほどの8ページにあるような一階建て、二階建て、三階建てで1年、2年、3年と計画していて、来年1年間で基礎データ、つまり会員がどのような手術をして、どういう機器を使ったか分かるような会員のデータを、来年1年間で構築します。2年目は、その会員と機器との間の結び付けをやります。3番目は、それを分析するときにどうしたらいいかを研究していこうと考えています。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。ただいま、4つのレジストリ構築研究に関する御説明を頂きました。これにつきまして御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。

○末松構成員 資料3-2の祖父江先生からの御発表のことで、是非、伺いたいことがあります。実際に非常に予後が不良の疾患で患者さんが亡くなり、また新しく診断が付いて入って来られるところを、ネーションワイドで拾うのには相当の御苦労があると思います。質問は、正しくパワーポイントでも明解に書いていただいているのですが、4ページと5ページのコントラストの所です。紙ベースでもぎりぎりのところでリニューアル、情報の更新をされていると思いますが、実際にここに参加している医療機関の数を考えると、人海戦術と言うほどの人もたくさんおられないのではないかと思います。Webを使って次世代のものを使っていくところについて伺いたいのですが、この手のレジストリをWebでやる方法と、まだ実際の取組としては非常に少ないのですが、一部の大学病院でレジストリという意味ではなく、データベースに近いものでSINET5という学術研究用のインフラストラクチャーが日本にはあって、これは使いにくい部分もないわけではないけれども、恐らく日本のような国土で非常に高密度・高速情報の共有を複数の大学で情報が共有でき、インターネットから隔離されている。そういうところでメリットも相当あると思います。今後、JaCALSをどういうふうにリアルタイム性を上げていくのか。それから、恐らく祖父江先生のお志だと3か月という更新のタイミングというのは、もっと短くならないのかということも平素、お考えだと思います。その辺、御意見を伺えたらと思います。

○祖父江参考人 ありがとうございます。正に今、先生がおっしゃった日本国全体が1つのユニットになって、全てのデータが一括化して出てくるという状態ができれば、それが一番理想的だと思います。今、先生がおっしゃったSINET5というのは私は深くは存じ上げていませんが、それは理想型で我々もそのことをずっと議論しました。例えばALSだけは例外的にやれないか、疾患ごとにやれないだろうかということも議論しましたけれども、当座、恐らく5年単位ぐらいは無理ではないかという結論で、こういうクラウド型のWebで構築して、今、動き始めているところなのですが、先生がおっしゃったように、それが最後のファイナルではないと思います。将来的にはこういうレジストリというものの悉皆性を伴ったアウトプットを高めていくことになると、行き着く所は、先生がおっしゃったような形が本当の意味で理想的なものではないかと思います。これは、全ての疾患に一律に作るのはなかなか難しいと思いますので、例えば心臓外科の手術の後など非常に特化したものについて作るとか、ALSのような希少疾患について作るとか、疾患ごとにやっていくというのもひとつの手かなと思っています。

○末松構成員 大変貴重な御意見、ありがとうございます。実際にこういう非常に難しい疾患のレジストリの共通の問題を抽出して、例えば膵臓がんなどは見つかってから数か月しかないとか、あとプリオン病などもありますけれども、そういうところで課題を抽出して、どういうふうにネーションワイドでやるかというニーズが非常に高まっているので、今、先生がおっしゃったような考え方で、我々のほうの仕事も進めていきたいと思います。ありがとうございます。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。ほかにございませんか。よろしいでしょうか。次の御説明の後に、もう一度御質問の時間を設けたいと思いますので次に進ませていただきます。それでは、議題4)NC-WG、それからPMDAの取組状況の報告に進みたいと思います。まず、本推進会議の下に設置されました各ナショナユセンター及び医薬基盤・健康・栄養研究所が担当します、合計7つのWGにつきまして、現在の検討状況と今後の予定について事務局より御報告させていただきます。

○事務局 資料4-1を御覧ください。タイトルはNC-WGと書いていますが、NCだけでなく医薬基盤・健康・栄養研究所も含めた7つのWGについてまとめています。裏面の1枚でまとめていますが、前回の会議の際には、それぞれのWGから個別の御紹介も頂いていますので、その点で大体のWGの状況は既に共有理解がされていると思いますから、前回の会議からの進捗と今後の予定についてまとめています。

 この表の真ん中に、前回会議からの進捗ということで、それぞれのWGの状況を書いています。NCがんWGNC循環器WGに関しては、WG会議という形では開催していませんが、企業とのそれぞれ個別の会談を進めています。また、それ以外にも循環器のほうでは脳卒中領域の臨床試験ネットワークの企業向け説明会を実施し、これがWGの代わりという形で進めているところです。また、がんのほうですが、先ほど大津先生からも御紹介いただいたSCRUM-Japanとか、あるいは今後、発表があると思いますけれども、がんの患者さん向けに、あるいは企業向けの治験・臨床研究検索サイトを立ち上げて、これを運用しているところです。

NC精神神経WGですが、こちらはWG会議の開催とともに、実際の筋ジストロフィーの臨床開発等に関する意見交換会を実施したり、あるいはデータベースの集約化のような内部の会議を実施したりしています。

NC国際WGですが、こちらもWG会議を開催しています。先ほどの精神神経もそうですが、会議のほうには、各製薬協といった業界の方々も含めての御参加をお願いしているところです。それに加えて企業との個別の会談も進めているところです。

NC成育WGも、WG会議を業界の方をお呼びして、場所は製薬協で行っていますが、実施しているところです。企業との個別会談も実施しています。

NC長寿WGですが、WGという形ではありませんけれども、規模を多少縮めて小さいSWGという形での開催をしています。こういった小規模なものも含め、関係の方を絞っての会議という形でも行っていますし、併せて業界団体との会談等も実施しているところです。

 最後、難病WGですが、こちらはナショナルセンターではなく医薬基盤・健康・栄養研究所です。こちらのほうでWGを開催するとともに、難病のデータベース登録等に関して進めている状況です。

 今後の予定を右側に書いています。それぞれの所で、それぞれの疾患の状況に合わせての検討をしています。がんWGでは症例登録等を進めるとか治験の実施という形で、より具体のところを進めさせていただきたいと考えています。

 循環器WGに関しては、引き続き、個別の会談において企業との間で取組を実施するということで、市販後調査や治験の実施に向けた検討を進めていくことになっています。

 精神神経WGは、WGを定期的に開催するとともに、企業との個別の面談とかSWGを進めたいということ。また、本日も中村先生等から御紹介がありましたRemudyとか、あるいは精神疾患のRoMCoのようなものを通じたレジストリの開発を進めたいと思っています。

 国際WGですが、国際WGは企業との個別会談も引き続きしていくとともに、バイオバンクの事務局も中央事務局を持っている状況がありますので、それらも連携した形でのレジストリとなるような充実を図っていきたいと考えています。

 成育WGは、成育のWGを引き続き開催するとともに、小児用の医薬品等の開発に関して、企業導出のための規程の整備を進めていきたいと考えています。

 長寿WGに関してもWG、それから先ほど申し上げたようなSWGを、今後、開催することを予定しています。

 最後、難病WGですが、コンソーシアムの構築ということで、これは難病関係のコンソーシアムですけれども、これに向けて企業、団体等との協議を進めていく形の活動を進めていくことになっています。

 これらのCINWGですが、皆様方にも御協力を頂きましてWG等を開催していますが、今後とも引き続き行っていくとともに、個別の企業との連携もありますので、是非、積極的に各WGのほうとも連絡を取り合っていただきたいと思っていますので、御協力をよろしくお願いいたします。

○研究開発振興課長 続きまして、PMDAの取組につきまして近藤理事長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○近藤構成員 よろしくお願いします。改めて申すまでもなくPMDAは、医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質、有効性、安全性を評価し、市販後の安全対策を取るという建前で、このCINに対しての協力関係をお話したいと思います。

 まず従来のレジストリの多くは、上の囲みにありますように、医薬品・医療機器等の開発に際しまして、1つ目に、治験実施可能性の調査であるとか、2つ目に、患者のリクルートであるとか、3つ目に、治験計画の作成等に用いられてきたわけです。一方、CINでは、それらに加えまして、平成28年度にAMEDの新規採択事業においても検討されているように、データの精度を上げること等により、承認申請、再審査申請に用いることが可能なリアルワールドデータの収集を目指しているところです。これにより収集されたデータの医薬品・医療機器等の開発や製造販売後の安全対策等への活用を期待して、PMDAも課題解決に協力しているところです。

 次のスライドを御覧ください。PMDA全体でCIN関連事業に対応するために、PMDA内に横断的基準作成等プロジェクトチームの1つといたしまして、CIN対応WGを昨年2月に設置いたしました。このCIN対応WGにはPMDA内の関係各部から参加しておりまして、AMEDの研究班等に協力いたしまして、1つには、臨床試験デザイン・疫学手法の検討、2つ目には、信頼性基準等の検討、3つ目には、データ収集項目等の検討などを行っているところです。このように、今まではCIN6つのナショナルセンターが中心でしたが、更に加えて、精神・神経センター、名古屋大学、国立がん研究センター、日本脳神経外科学会、これは医療機器に関するものですが、新たにこういう4つの課題を加えて10のポイントで、林班、武田班と連携して新規事業が拡大しているところです。

 次のスライドをお願いします。リアルワールドデータの活用への問題です。医療情報データを扱うMID-NETの経験から申し上げますと、データの質の確認が極めて重要です。安定的なデータ品質を確保するためには、医療機関側の独自の運用等に左右されないようなデータの真の標準化が必要であると考えております。また、データ利活用の取扱いルールを明確化しておくことも活用促進には必要であると考えております。

 次のスライドを御覧ください。これはMID-NETのデータの品質管理に向けた取組についてです。現在、MID-NETでは、参加医療機関の御尽力により、データ品質管理を実施することで非常に高い信頼性を維持しております。しかしながら、当初、病院情報システムとMID-NETとのデータ一致性は非常に低く、左側の品質管理前にありますように、処方データでは僅か67%、検体検査データでは55.8%でした。これらの差異は、データの送信や受領のプロセスにおける様々な課題によって生じていたものです。医療機関で入力されたデータが正しくても共通であるデータベースの品質管理は極めて必要という教訓を踏まえまして、データの信頼性基準等を検討しているところです。

 次のスライドを御覧ください。今後のスケジュールです。今後は平成30年度までの対応が極めて重要と考えております。今後とも、関係機関と協力しつつ、国際的な動向も意識して取り組んでまいりたいと思っております。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。ただいま、7つのWG並びにPMDAの取組状況に関しての御説明を頂きました。これに関しまして御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。また、ナショナルセンターのWGに関しましてナショナルセンターから御出席の先生方から補足等がございましたら、併せてお願いしたいと思います。

○水澤構成員 国立精神・神経医療研究センターの水澤でございます。今、いろいろ御発表があって分かりますように、昨年、前回から比べて大きく進捗したと思っております。

1つ、追加というか希望です。先ほど武田所長から話があったロードマップにも書いてあるのですが、国民の意識調査をするといったことが提言としてあるのですが、そういうことのほかに、理解を深めるための啓発といったものを積極的に進めていくのがいいのではないかと思っております。先ほどちょっと触れていただきましたが、例えば、今お話したALSという病気は非常に難病です。が、もっと難病というか、プリオン病といった、本当にお薬も全くないという病気もあります。そういうときの、レジストリの組み方は非常に難しいものがあります。それから、疾患によっては健常人の方々のレジストリといったことも念頭に置いていく必要があります。ですから、国民全般の理解を得る、国民の中には患者さんたちも入ってくると思いますが、そういった視点を持っていったほうがいいのではないかと思っています。コメントです。

○研究開発振興課長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。

○末松構成員 近藤理事長のプレゼンテーションの資料で、もし情報があれば教えていただきたいと思います。3ページの「リアルワールドデータ利活用の課題」です。この質問は近藤理事長というよりも、むしろ各医療機関の先生方から伺えれば非常に有り難いです。この3ページの絵の、医療機関ABCDとあって、PMDAと連携してこのデータベースのデータの質の担保をやるときに、恐らく、各医療機関側でこれをどういうスタッフがやっていて、その人の手当が一体どうなっているのかというのは、ファンディング機関としてはどうしても聞いておく必要があったので伺いましたが、いかがなものなのでしょうか。

○研究開発振興課長 もし良ければ、事務局で御存じの方がいらっしゃれば、MID-NET

PMDA PMDA信頼性保証部の廣瀬と申します。基本的には、医療の情報そのものは、病院の方、医療機関の担当課が取り扱われていたのですが、このMID-NETの構築という中では、そこにシステムを担当される方を置いて、どのデータがどこにひも付くかということをマッピングしながら各データベースに格納していったということです。ですが、場所もさることながら、例えば薬剤でしたら、1日の投薬量なのか1回量なのかとか、検査値でしたら、単位がmgなのかとか、そういう数値がコンピューター上で統合する際には非常に問題となっております。実は、1つの病院である限りにはそこはぶれないのですが、10ぐらいの病院を統合いたしましたので、そこの統合のルール化をきちんとするというのがなかなか難しかったという状況です。

○末松構成員 ありがとうございます。今のお答えでよく分かりました。恐らく、今日この会議で議論されている、これから扱おうとしているデータをいろいろ考えていくときに、一部の病院ではそういうものを設けている所もあると思うのですが、いわゆる普通の電子カルテ屋さんの会社の人では絶対に無理な仕事なので、チーフ・インフォメーション・オフィサーみたいなものを置いて病院長のガバナンスの下で、データをどうハンドルするかとか、レジストリをどのように持続、更新していくかとか。これは人が付いていないと絶対にできないことだと思うのですが、その辺の厚労省のお考えはどうなのかと森光さんに振りたいのですが、いかがでしょうか。

○研究開発振興課長 実は、人の配置の話は難しい話ですが、電子カルテの内容をどのような形でこういう研究とか地域の連携という形の中で使っていくかといった際に、先ほどMID-NETの経験の中で言われたように、そこが非常に難しい、困難な点だと言われております。ですので検査の部分等についても、一つ一つ、厚生労働省の標準というのを作っていっておりますし、それがある程度まではもう出来ております。ただ、本当にその細部のところ、処方の形というようなところについてはまだまだ、すみません、正直これからどのような形にしていくかということだと思っております。それも、特に厚生労働省としてデータヘルスという形で今回進めておりますので、そういう視点で、どうデータを1つにしていくかというところは非常に大きな課題だと思っています。また、病院の中の人の配置というようなところについては、すみません、まだこれからということでの検討になると思います。

○末松構成員 恐らく、薬剤部とか、いわゆる狭い意味のelectric health recordをハンドルしているベンダーも含んだスタッフとかがほとんどの病院ではみんなばらばらの部署で動いていて、そこをインテグレートするようなミッドフォワードがいないと、このサッカーはなかなか点数が入らないのではないかと思いましたので、ちょっと指摘させていただきました。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。

○小川構成員 国立循環器病研究センターの小川でございます。今の点にも少し関係するのですが、循環器病センターでは疾患登録システム、SS-MIXというのは全国の国立大学とか国立病院にほとんど入っているのですが、それを用いまして脳卒中のデータバンクというのを今、循環器病センターに持ってきているわけですが、マックドクターズという多目的臨床データ登録システムというのを介しましてデータなどは自動転記できまして、手入力に比べて非常に軽減できるようなシステムが出来ております。

 それから、これはごく最近なので言うのが少し早すぎるかもしれませんが、検査データの構造データは、大体、読み込めるようになっています。あと、電子カルテに関してですが、病歴であるとか看護記録、そういうものに関しまして、循環器の疾患で特有なことがあって出来やすいということもあると思うのですが、AIを用いてそのデータの重要な情報を自動的に抽出するシステムの研究を始めておりまして、非常にスムーズにいっております。これができますと、電子カルテ、これはどの電子カルテからでも読み込めますので、治験などにも効率的に活用できるビッグデータの構築ができると思っております。私たちは実際、循環器学会と、先ほど末松先生と近藤先生もおっしゃいましたが、全国的な……はこのCINというのではないのですが、学会と協力して、循環器学会、日本全国の1,300の病院の全部のデータが入っておりまして、その解析も今、一緒にやっているところです。CINと直接は関係ないのですが、そういう全国的な登録システムはやっております。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。そうしましたら、次の話題に進めさせていただきます。議題5)です。平成28年度採択課題及び平成29年度予算案の報告につきまして、事務局より説明させていただきます。

○事務局 資料5を御覧ください。表紙をめくっていただきまして、1枚目にクリニカル・イノベーション・ネットワークの構築に関します平成29年度の予算案の金額が記載されています。この1枚目と2枚目は似たようなスライドが並んでおりますが、1枚目のほうが、今回、コア事業と呼ばせていただきます疾患登録情報を活用した臨床開発インフラの整備ということで、レジストリに直接関連するような事業の分をコア事業と呼ばせていただいています。こちらの分が平成28年度予算の7.6億円から20.7億円と、倍増以上の予算案としての計上をしております。2ページの所がその他のCINの関連事業です。こちらは、23億円が27.6億円の増額要求、CINの全体になりますと、平成28年度が30.6億円だったところが平成29年度予算案では48.3億円というような形の増額の要求を今しているような状況です。

 戻っていただきまして、1ページ目を御覧ください。コア事業という所が真ん中にありますが、今回、レジストリ関連の臨床研究、治験、こういったものに関して呼ばせていただきます。大きく(1)から(5)まであります。(1)が難病のデータベースの構築で、これが、1.1億円だったものが7.1億円で6億円の増額です。それから、本日、先生方から頂きました、医薬品のレジストリを作っていこう、こういったものとか、(3)の医療機器のレジストリを作っていこう、こういったところも増額しております。それから、後ほど紹介しますが、(4)のワンストップ・サービスの提供というところが0.3億円で新規の予算要求をしております。(5)はレギュラトリーサイエンスの手法の研究ということで、こちらは0.2億円で増減なしとなっております。

2枚目を御覧ください。レジストリ以外のCINの関連事業で、産学連携研究とか、治験・臨床研究のような環境の整備、人材育成、国際展開等についての予算です。大きく(6)から(13)まで記載しておりますが、(6)(7)が産学間連携の創薬等の推進、(8)から(10)までが治験や臨床研究の環境整備に関するもので、臨床研究中核病院の体制の充実といったものが含まれております。(11)が人材育成で、生物統計家の人材育成ということです。こちらの200万円というのは会議費だけで200万円となっておりますが、再掲させていただいています臨床研究・医師主導治験の研究事業の中では10.6億円の内数ということで、それなりの金額を掛けて生物統計家の人材育成に引き続き取り組んでいきます。(12)(13)は国際展開ということで、国際共同治験の推進ということで、PMDAのアジア薬事トレーニングセンター、国立国際医療研究センターにおける国際連携型グローバル臨床研究ネットワーク拠点形成というものをインハウスの研究で2.2億円の新規の要求というような形になっております。こういった形で平成29年度も、本年度以上の予算を掛けましてCINの実現に向けて取り組んでいく予定となっております。

 続いて、3ページを御覧ください。こちらが平成28年度に採択したコア事業、レジストリ関連の研究の取組の採択状況です。真ん中にあります、新たな「疾患登録システムの構築」というのが、本日、先生方より御紹介いただきました、医薬品が3課題、医療機器が1課題となっております。上にあります「疾患登録システムを活用した臨床研究・治験の推進」というのは既存の患者リクルートに利するようなレジストリを使った研究ということで、医薬品が5課題、医療機器が1課題、ここに書いてありますようなものを採択しています。それから下の2つが、いわゆる横串研究班と呼ばせていただいております研究課題2課題で、本日、御紹介いただきました武田班と林班という形が採択の状況になっております。

 続いて、4枚目を御覧ください。クリニカル・イノベーション・ネットワーク推進支援事業ということで、こちらが3,400万円での新規事業となっております。「課題・現状」というのが真ん中にありますが、武田先生より御紹介いただきましたが、今、レジストリが利用目的に応じて必要な情報が整理されていないので利活用のしやすさという意味では課題があると。それから、(2)にありますが、どこにどのようなレジストリがあるのかという、ここが判然としないというような御指摘がございます。こうしたものに対応するために、「対応方針」の(1)(2)とありますが、利用目的ごとにレジストリ情報を収集、整理いただいて、治験・臨床研究等のコーディネートを行うワンストップ・サービスを提供するという事業です。右側に流れ、下に絵がありますが、レジストリ情報を集めて、まずはホームページのポータルサイトみたいなものを運用いただく、さらに、相談窓口を設置いただいて、研究者あるいは企業から、こういったレジストリがどこかにないですか、というような相談があったときに御相談に応じていただく。こういった事業を実施する予定です。

 以上が予算の概要ですが、最後に、アメリカにおきましてもCIN関連で動きがありましたので、簡単に紹介させていただきます。

5ページ目を御覧ください。御参考までということで、米国での動きを記載しております。FDAにおきましても、承認プロセスを加速化し、連邦政府の資金を増額することで新たな医療の導入を加速させる法案(21st Century Cures Act)が平成28127日に賛成94反対5で上院を通過し、オバマ大統領が1213日付けで署名、発行しております。

6ページ目を御覧ください。この21世紀の医療法の中では、高騰する医薬品の研究開発費、二重盲検比較試験に代わる効率的な開発法の必要性、こういったものが指摘されております。

 最後の7ページ目を御覧ください。その中に「REAL WORLD EVIDENCE」という言葉がありまして、アメリカも「REAL WORLD EVIDENCE」を活用して、先ほど話しましたような、二重盲検比較試験に代わるような効率的な開発ができないかというようなことに取り組んでいくということになっております。定義等はここに書いてあるものですが、時間の関係上、省略させていただきます。アメリカでも、こういった実医療における診療情報、こういったものを活用した開発の効率化に取り組んでいくという動きがあるということを簡単に紹介させていただきました。以上です。

○研究開発振興課長 ただいまの説明につきまして御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。

○末松構成員 度々すみません。これはこの予算案に関連したことなのですが、この41日から、今日は大島次長がいらっしゃっているのですが、健康・医療戦略室の御高配を頂いて調整費というお金の改革の一環としてルール変更を1つ、重要なことをやります。今日御発表された先生方の課題も当然対象になると思うのですが、現在AMEDとしては、この調整費枠を使ってCIN関連事業は、この前、大臣技術総括班からも御依頼がありましたので、是非しっかりと支援をしていきたい。

 それから、ルール変更の内容です。今まで調整費は1年しか使えなかったのです。調整費は、大体、5月の後半と10月の末、11月辺りになってしまうのですが、2回に配分されていました。後半に配分されていたお金は3月末までに使わなければいけないお金だったので、事実上、人件費には全く使えなかったのです。今回、目的と条件をある程度満たせばということはあるのですが、研究の加速や拡充に使える調整費については、1年目に決まったことを2年目まで延ばしてお金を使うことができることを前提とできるようになりました。この結果、例えば、今後この臨床研究の環境整備に外国のノウハウを日本に積極的に導入するようなときに、これを伝えるのは人間しかいませんので、その人の渡航費や一部の人件費を1年間使ったりということがこのルールによって可能になります。こういう使い方ができるのかということをお問い合わせいただければ、私どもで御相談に乗るということです。

 この調整費の平成29年度の合言葉は、先ほど言いましたが「広域連携・分散統合」です。既存のナショナルセンターあるいは国立の有力な病院等で採択課題をお持ちの所が更に、ハブ・アンド・スポークですね、大津先生たちがやられているように、周りの病院を巻き込んで更に研究の充実をしたいというようなときに、この調整費を有効に使っていただくと大変良いのではないかと思いましたので、付け加えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○研究開発振興課長 大変有意義な情報をありがとうございました。そうしましたら時間も迫っておりますので、議題6)その他(各業界からの意見)に移りたいと思います。ここまでは、平成28年度におけるCINの取組状況、平成29年度の予算等についての御説明、議論をさせていただきました。ここからは、疾患登録システムを活用した取組に限らず、治験・臨床研究の環境整備の推進に関しまして広く御意見を伺いたいと思います。各業界団体から御出席いただいております。また、オブザーバーとして臨床研究中核病院の先生にも御出席いただいております。是非、御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。是非お願いいたします。

○手代木構成員 ありがとうございます。日本製薬工業協会の手代木でございます。冒頭のお話の中で、CINについては基本方針等も明確にしていただき、そういう意味では、我々産業界もこの方向性がますますクリアになったという点では、本当にいいお話をしていただいたと思います。「21st Century Cures Act」で明確なように、やはり研究開発の効率がグローバルに極めて低いということを、業界として、どのように改善していくかというのは課題になっております、アメリカでもそれを必死になってやっているところです。その意味では、我が国もまだまだ国際的に勝てる状況にいるのではないかという認識の下で、このプロジェクトについては、業界としても非常に大きな期待をさせていただいているところです。本日、武田班、林班の横串研究が非常に大きな進展をしていることについて、心強く思っているところです。

 少し現実的なお話をさせていただきます。業界としては、この国民の健康寿命の延伸というミッションを100パーセント理解、賛同する上で、現実的には、費用ですとか、タスクですとか、業務ですとか、これを提供する我々の資源とリターンの関係が本当にどうなっていくのかということは、今後の非常に大きな課題という認識です。武田先生からのアンケート調査で、我々業界の意見も少しずつお話はさせていただきたいと思っております。この辺り、業界のコミットメントと我々の業界としての効率化、これが本当に出てくるのかということについて、我々として注視せざるを得ないということです。

 その上で、これも林班のお話にございましたとおり、レセプト、MID-NETCIN等の連関を含めて、我々産業界も、使いやすいデータを御提供していただくことは大事だと思っております。その上で、例えば先駆け審査指定制度の更なる活用とか、早期承認を経て、例えばMID-NET、あるいは、CIN、リアルワールドデータを含めての安全性、有効性の確認等を駆使して、何とか効率を上げるということに業界も努力してまいりたいと思います。我々も、ICH-GCP等の刷新等で、できる限りこの効率化に対しての推進をさせていただきたいと思っておりますので、今後とも、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

○研究開発振興課長 ありがとうございました。

○原澤構成員 日本医療機器産業連合会から代理出席しております原澤でございます。今日は非常に重要なCINの事柄につきましてお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。冒頭、いわゆる基本方針と行程表という所で非常に明確に、何をすべきか、あるいはどこをアウトカムとするのかというのがはっきりしたことは大変良かったと思っております。

 私どもが扱う医療機器分野は、嘉山先生からお話がございましたように、非常に多岐にわたっております。また、医療機器そのものだけではなくて、手技とか、そういう諸々の事柄も入ってくる。そういう中では、CINでは、やはりリアルワールドデータでは、本質的な問題とされているデータの質が問題になるわけですが、それをいかにクリアしながらやっていくかというのが大きな課題になると思っております。そういった中では、冒頭、横串研究というところで話がございましたように、全体を見える化していただいて、カタログなり、あるいはワンストップ・サービスなりというような方法で、産業側から見ますと非常に使いやすい環境が整えられつつあるのではないかということで、非常に期待しております。今後、私ども産業側も、是非この取組に協力していきたいと思います。

 アメリカの状況等も御紹介いただきましたが、産業として、当然ながら経済面を考えるわけです。医療機器といいますのは、御承知のように非常に品種が多くて、なおかつ、数が少ないというところでは、これから、経済評価あるいは安全性評価を真剣にやらなくてはいけないわけですが、その中で、治験で非常に金が掛かるとなると大変でして、大きな流れとして市販後データを有効に使うというのは、私どもも、是非推進していくべきところであろうと思っております。

 私ども自身としましても、現在、データというものを短期ではなくて、やはり長期にフォローすべきだろうというところで、UDIとか、様々な手法を使って取り組もうとしておりますので、是非、先生方に協力して、推進したいと思います。よろしくお願いいたします。

○研究開発振興課長 ありがとうございます。再生の関係で何かありますか。

○横川構成員 では1つだけ。今日、いろいろ勉強させていただきました。1つは細胞を使った領域で、ALSなどのところでは既にiPS化したりして、そういうことに取り組んでいらっしゃるということで、こういうところからいろいろな成果が早く出たらいいなと、再生医療業界としても非常に盛り上がると思って期待しております。

 それから、最後、事務局から21世紀のアメリカの御紹介がありましたが、再生医療分野は、日本のレギュラトリーが非常にアドバンスで世界からも非常に注目されたのですが、御紹介があったように、アメリカ等も非常に追い付いてきて、これからは、レギュラトリーだけではなくて製品開発において行政や学会と協力して、日本のこの分野のアドバンスを是非、維持、発展させていきたいと、業界としても努力したいと思っています。以上です。

○研究開発振興課長 ありがとうございます。何か、臨床中核病院の先生方から御意見等がありましたら。よろしいですか。そうしましたら、全体として、本日の議論を通して追加の御発言等がございましたら。よろしいでしょうか。そうしましたら、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○事務局 本日の議事録につきましては、作成し次第、構成員、オブザーバー、参考人の皆様方に御確認いただき、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、次回会合の日程、開催場所等につきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。

○研究開発振興課長 今日は有意義な御意見を頂きまして、どうもありがとうございました。以上をもちまして本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

 

 


(了)

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