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2017年9月7日 第57回先進医療会議

○日時

平成29年9月7日(木)16:00~16:55


○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)


○出席者

【構成員等】
宮坂座長 五十嵐構成員 石川構成員 梅村構成員 柴田構成員
福井構成員 藤原構成員 山口構成員 山本構成員 横井構成員
【事務局】
医療課企画官 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療迅速評価専門官
保険医療企画調査室長 先進医療専門官 他

○議題

 1 新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて
   (報告)
   (先-1)(別紙1)
 2 新規技術(8月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)について
   (先-2)(別紙2)
 3 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
   (先-3)(別紙3)
 4 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
   (先-4-1)(先-4-2)
 5 先進医療Bの取り下げについて
   (先-5)
 6 がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目および基本的な要件(案)
   (先-6)
 7 その他
   (先-7-1)(先-7-2)(先-7-3)

○議事

16:00開会




 

○宮坂座長

 ただいまより、「先進医療会議」を開催いたします。

 先生方の出欠状況ですが、本日は、福田構成員より御欠席との連絡をいただいております。欠席されます福田構成員からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。

 次に、事務局の異動がありましたので、事務局より紹介をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 古元重和医療課企画官でございます。

 中井清人医療機器審査管理課長でございます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 資料の確認を事務局からお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 頭撮りについてはここまでにさせていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第、そして、おめくりいただきますと座席表、その次に構成員名簿をおめくりいただきます。

 次に、先-1、「先進医療の新規届出技術について(7月受理分)」としている横紙の資料がございます。こちらに、別紙1-1、1-2がついてございます。

 続きまして、先-2、「先進医療の新規届出技術について(8月受理分)」としている横紙の資料がございます。こちらに別紙2-1、2-2がついてございます。

 次に先-3、「先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等について」という横紙の資料がございます。こちらに別紙3がついてございます。

 続きまして、先-4-1として、「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術の総括報告書に関する評価について」としている、左上、ホチキスどめの資料がございます。さらにおめくりいただきまして、先-4-2として、「内視鏡下手術用ロボットを用いた内視鏡下咽喉頭切除術の総括報告書に関する評価について」としている、左上、ホチキスどめの資料がございます。

 次に、先-5、「先進医療Bの取下げについて」としている横紙の資料がございます。

 次に、先-6、「がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目および基本的な要件の検討について(案)」としている横紙の資料がございます。

 最後に、その他として、「申請医療機関からの報告について」としている資料が先-7-1から先-7-3までございます。

 資料の確認は以上でございます。資料について、不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡ください。

 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は、会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただきますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○宮坂座長

 資料等についてはよろしいでしょうか。

 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしておりますが、その結果について、事務局から報告をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。

 梅村構成員より、先進医療Bとして評価を行う、整理番号116の技術について御報告がありました。梅村構成員におかれましては、本技術が自ら所属する保険医療機関と関連がある医療機関において実施していた医療技術でありますことから、先進医療会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになっております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについての報告資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 新規技術(7月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて、資料、先-1に従って御説明申し上げます。こちらは先月既に持ち回り開催におきまして振り分けていただいた技術の御報告になっております。

 7月に受理した技術は、整理番号84、「切除およびラジオ波治療困難な難治性肝細胞癌に対する不可逆電気穿孔法治療」の1件でございます。

 こちらの適応症につきましては、両括弧内に記載されております条件を満たす肝細胞癌となっておりまして、かかる費用につきましては、資料にお示ししたとおりでございます。

 本技術に関しまして、別紙1-2をごらんいただきますと、本技術で使用する医療機器が未承認でございまして、持ち回り開催にて、先進医療Bとして振り分けていただきました。

 御報告は以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問ございますでしょうか。

 対象は肝細胞がんで、一定の肝機能を満たして、肝切除とラジオ波照射療法の適応とならないものということです。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、新規技術(8月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け案についての資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 新規技術(8月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けについて、資料先-2に従って御説明申し上げます。

 8月に受理した技術は、整理番号85、「Birt-Hogg-DubeBHD)症候群の遺伝子診断」の1件でございます。こちらの適応症につきましては、BHD症候群及びBHD症候群を疑われる気胸・肺膿疱・皮膚腫瘍・腎腫瘍の患者となっており、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。

 本技術に関しまして、別紙2-2をごらんいただきますと、本技術で使用する未承認ながら体外診断用医薬品を用いる医療技術ということで、先進医療Aとして振り分け案を作成しております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 どうぞ。

○福井構成員

 私、うっかりしておりまして、利益相反の届出をしていなかったです。私、横浜市立大学の理事をしておりますので、この案件につきましては審議から外させていただきます。

○宮坂座長

 わかりました。後でこれはやりますので、そのときに退席をしていただくと。

 今の85番のBHD症候群の遺伝子診断ということですけれども、何か御質問ございますでしょうか。

○宮坂座長

 ありがとうございました。この点、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。それでは、先進医療Aとして振り分けたいと思います。

 次に、事務局から、先進医療技術審査部会において承認された新規技術に対する事前評価結果等についての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 資料先-3をごらんください。先ほど御説明いたしましたとおり、整理番号116の技術に関しましては、梅村先生に関しましては、当該技術に関する検討及び事前評価に加わられないということになりますので、お願いいたします。

 今回御審議いただきます技術は、整理番号116、「バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生治療」でございます。

 適応症につきましては、バージャー病による重症虚血肢となっており、かかる費用については資料にお示ししたとおりでございます。

 こちらの事前評価に関しましては山本構成員にお願いしてございまして、総評として「適」の御評価を頂戴しております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 事前評価を山本構成員にお願いしておりますので、山本構成員より技術の内容及び評価結果についての御説明をお願いします。

○山本構成員

 山本でございます。別紙3をごらんください。

 まず、技術の概要ですけれども、1枚おめくりいただきまして、3ページ目に(概要)がございます。本技術は、対象が閉塞性血栓血管炎、バージャー病と呼ばれる病気ですが、それが対象で、自家骨髄単核球細胞を、虚血患側肢の膝下以遠の骨格筋内に移植することで血管の再生を促す治療法である。本技術の有効性及び安全性について単群試験で検証する。

 対象患者は、そこにございますが、一定以上の重症度を有するバージャー病患者さんでございまして、主要評価項目は、その患側の下肢のSPP値、これは皮膚還流圧ですけれども、の登録時から移植後6カ月の変化量を見る。副次に6分間歩行距離等々をとるということです。

 安全性評価としては、全生存期間と有害事象を見ます。予定試験期間が3年間、うち登録期間が2年間で、予定症例数は25例です。

 効果としましては、従来の治療で改善が得られない症例に対して、自己の骨髄液中から取り出した、骨髄単核球細胞を虚血下肢の骨格筋内に移植することで、末梢血管の新生・増殖を促す。それに伴い、虚血に伴う安静時疼痛や潰瘍の改善を目指す治療である。

 費用ですが、総費用は842,532円で、うち先進医療にかかる費用は25900円。全額患者負担となる。

 申請医療機関が京都府立医科大学附属病院で、協力医療機関は、今のところ、なしということになってございます。

 審議ですけれども、そのまま3ページの下に、第1回審議がことしの2月16日でございました。

 1枚おめくりいただきまして、4ページで、このときに、継続になったので、次が同じくことしの5月18日の審査部会で再度審議されまして、そこで「適」ということになりました。

 ちょっとスキームがございますので、この同じ別紙3の後ろのほうで、続き番号のページでは51ページに当たりますが、この技術の概要を示したシェーマがございます。実際には、特に培養するようなものではございませんで、対象の患者様に全身麻酔をまずかけて、全身麻酔下で、手術室で骨髄液を採取します。それを600㎖採取して、そのまま分離濃縮を、細胞培養加工施設ということですが、こちらは分離装置にかけて分離する。そのままこれを手術室に戻して、全麻下の患者さんの患肢のほうに、治療前、血管形成とありますが、黒い点々がありますけれども、その虚血肢の膝下のところに複数箇所の骨格筋内に打ち込むということでございます。かなり痛みを伴うので、全身麻酔下で全てやってしまうということのようです。

 その裏側に保険収載までのロードマップが示してありますけれども、29年3月31日ですので、平成28年度末までは先進医療Aということで実施されておりました。それが先進医療Bへ移行するということで、今回新たに申請がなされたものでございます。これの結果が出てから論文作成し、それから学会要望、保険収載と進みたいということでございます。

 こちらはPMDAにも確認を研究者のほうでされているようですが、特段、未承認、適応外のものは含んでいないので、技術としてある程度確立した形で保険収載を要望していくという形と聞いております。

 すみません。1ページ目に戻っていただきまして、適格性の評価をいたしました。まず、社会的妥当性ですが、倫理的問題等は、今回、臨床試験として整理していただいておりますので、ないと判断しました。

 それから、現時点での普及性ですが、この先進医療Aでやられただけなので、罹患率、有病率から勘案して、普及はしていないと判断しました。

 効率性ですけれども、こちらを行うことで下肢の大切断が免れるのであれば、やや効率的ではないかと考えます。ただし、根本的な治療ではございませんので、大切断を免れる、それから、痛み等々を軽減する、そして、QOLADLを保つというのが目的になるかと存じます。

 将来の保険収載の必要性ですけれども、今回の臨床試験計画に沿って当該試験が完遂し、有効性と安全性に関して肯定的な結果が得られた場合には、保険収載を検討できる可能性は生じると考えておりますので、一応Aとはしておりますが、先進医療Bで上がるものは全てこういうことを言わざるを得ない状況かと思います。

 総合判定としましては、「適」といたしました。

 技術部会におきまして、臨床試験計画に関してかなり吟味をされまして、当初は比較試験として出てきたのですけれども、いろんな議論の結果、単群試験として行うということにされましたし、主要評価項目等々もかなり見直しをしていただきまして、説明文書に関しても全面書き直しぐらいまで書き直されておりますので、そういう意味では、臨床試験計画としてはかなり詰めた状況になっているのではないかと思っております。

 以上でございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問ございますでしょうか。

 これは今までは先進医療Aとしてやっていた。それから、前のときはたしか、末梢閉塞性動脈疾患としてASOも入っていたはずですけれども、ASOは余り効果が上がらないということで、バージャーのほうが効果が見られるということで、さらに3年、先進医療Bとして続けて、25例、そして、これは53ページにありますけれども、協力医療機関はないのですけれども、予定協力医療機関として5つあって、ここで患者さんを集積しようということですね。ですから、3年かければこれだけの症例は集まってくる可能性は十分あると思いますけれども、何か御意見ございますでしょうか。

○福井構成員

 質問というか、ちょっと疑問に思ったのですけれども、52ページの図にも書いてありますように、中にも書いてありますけれども、主要評価項目が、このSPP値を見ていて、何となく、より望ましいのは、やはり患者さんにとって最も影響のある疼痛であり、大切断の有無であり、生存等でありというのを主要評価項目に持ってこられるものならそのほうが研究としてはいいのではないかなあと思いました。でも、いろいろディスカッションした中で最終的にはこれが望ましいということになったようですので、これはこれで仕方ないかなあとも思います。

 単なる感想です。

○宮坂座長

 先生、何か。

○山本構成員

 本当に先生のおっしゃるとおり、比較試験でやるべきなのか、単群でやるべきなのか、それから、どちらにしても、主要評価項目をどこに置くべきなのかというところが、継続審議になって、その後で何度も何度もやりとりがあった一番の議論の焦点でございまして、最初出されていたのは比較試験でした。そのときも、ただ、SPP値を主要評価項目でしたけれども、たしかSPP30でカットオフにして、それを超えた人がふえるということでした。

 ただ、議論の途中で、結局、何カ月か見た上で症状が全く変わらないという方を対象にするということで、それを比較試験で置くということにちょっと倫理的な問題、それから、実際、試験が成立するかどうかという実務的な問題もありましたので、これは技術部会の審査担当になられた先生方から、どちらかというと単群試験でやったらどうかというお話が出たと読んでおります。

 それから、おっしゃったように、大切断とか、生存とか疼痛というのが望ましいと思いますが、結局、比較ではないというところで、そのあたりのアウトカムがとりにくいというので、結局、単群であれば、こういうハードエンドポイントといいますか、数値で示せるデータを出すべきだろうということになって、SPP値の変化を見るということになっております。SPP30を超えないとやはりその後の虚血の症状の改善というのが認められないということもありまして、かなり申請された先生のほうでは30を超えるというところをもって指標にしたいということもありましたけれども、非常に悪い方が上がるのか、ちょっと悪い方がちょっと上がるのかというところが結局見えなくなるという議論もあって、結局、このところに変化量を見るというところで指標は落ちついているということがございます。福井先生の御指摘は全くそのとおりでございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

 これはなかなかプラセボ対象のコントロールを置くのは倫理的に難しいと思うのですね。30未満の人を選んで、うまくいけば30以上に上がる、それをセカンダリーエンドポイントに入れるという、そこは一応やっているので、これはしようがないかなと思いますけれども、ほかにはいかがでしょうか。

○福井構成員

 今の論点で、例えばこういう先進医療Bでやる場合には、ヒストリカルコンパリゾンはもう認めないということで、この対象とする群の中というか、対象とする患者だけで何かしら比較をしない限りはだめという、そういう考えでしたか。

○山本構成員

 いや、ヒストリカルコンパリゾンを認めている計画もございました。

○宮坂座長

 ありますけれども、かなり最近、医療環境が変わってきていて、これは先進医療Aでずうっと前にやっているやつなので、ヒストリカルコントロール、どれと比べるか、なかなか難しいですよね。

○山本構成員

 こちらでは、3カ月ぐらい以上、症状が固定して、改善が見込めない方を実際に組み入れるというふうに、たしか申請者からは回答が得られていたと思います。

○宮坂座長

 これは実際にはきちんと症例を選んでやれば効くので、むしろ早くきちんとさっさとやって評価をしたほうがいいと私自身は思いますけれどもね。

 よろしいでしょうか。

 それでは、構成員の評価結果どおりの決定としたいと存じますけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 それでは、そのようにさせていただきます。

 それでは、次に事務局から先進医療Bの総括報告書に関する評価についての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 今回、2件の先進医療技術の総括報告書が提出されております。まずは先-4-1をごらんください。今回、告示番号35として、先進医療Bで実施されていた内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術について、藤田保健衛生大学病院から総括報告書の提出がありまして、8月24日に行われました先進医療技術審査部会において評価が行われたところでございます。

 技術の概要でございますけれども、1ページの中ほどをごらんください。本試験は、内視鏡的切除の適応外とされた「術前診断でD1+又はD2郭清を伴う噴門側胃切除、幽門側胃切除又は胃全摘で根治手術が可能なcStageI又はIIの胃癌」を対象といたしまして、多施設共同臨床試験として内視鏡下手術用ロボット、da Vinci Surgical Systemを用いた胃切除術を施行して、その有効性、安全性及び経済性を評価いたしました。

 総括報告書に関する一色構成員からの御評価については、4ページ以降をごらんください。有効性については、E「その他」、コメント欄には、今回の主要評価項目は安全性の項目であり、有効性の指標が無再発生存期間とするならば、現時点では評価不能であると評価されております。

 安全性については、Bの「あまり問題なし」、技術的成熟度については、Bの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」との御評価です。

 5ページ最上部にあります総合的なコメント欄をごらんいただきますと、本技術導入の目的である合併症の克服という意味は現時点では達成できており、有用な手術であると評価します。しかしながら、副次評価項目については、ヒストリカルデータとの比較がなされていないことから、各項目の値がどのように評価されるかについて考察が十分とは言えず、説得性に欠ける、とされております。

 副担当の山中構成員からの御評価は、5ページの中ほどをごらんください。有効性については、C、「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」。安全性については、Bの「あまり問題なし」。技術的成熟度に関しても、B、「当該の分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とされております。

 副担当の笹子構成員からの御評価は、6ページ中ほどをごらんください。有効性については、B、「従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である」。安全性に関しては、「あまり問題なし」、技術的成熟度に関しては、B、「当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」ということでございます。

 有効性のコメント欄におきましては、「合併症の少なさを有効性とするなら、価格に見合う合併症の減少を価格精算して評価すべきである」とございます。

 御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問ございますでしょうか。

 これは、先進医療技術審査部会の座長、山口先生ですが、何か先生のほうからございますでしょうか。

○山口構成員

 先-4-1の1ページをちょっとごらんいただけますか。これはダヴィンチの手術ですけれども、対象が割と早期のステージI、あるいはIIの根治術が可能な胃がんであります。いろんなダヴィンチの手術がありますけれども、その有効性というのはなかなか、RCTだと出てきておりません。出てきそうなところはやはり合併症ではないかということで、そこに着目しているわけです。早期の胃がんの腹腔鏡手術でも合併症は結構あるので、それを、これを使えば減らせるのではないかということです。主要評価項目はClavien-Dindo分類という、手術の術後の合併症を、グレード分類し、そのグレードがIII以上の発生率を比較しております。

 問題は、その対象がヒストリカルのデータということです。腹腔鏡の手術はまだ発展途上であり、胃がん学会のガイドラインでもまだ標準的な治療としては広くアクセプトされているわけではありません。ただ技術的には、年々よくなっているというのが現状です。例えば膵液瘻という合併症があるのですけれども、以前は多かったのですけれども、最近見るとすごくそのパーセンテージも減ってきています。このように変動するヒストリカルデータを用いた研究をどのように解釈したらいいのかというと、これはなかなか問題があるということが1つ。

 それから、この参加施設というのは腹腔鏡手術では先進的なところで、かなり技術力の高い先生がやっているということがあります。一方で、ヒストリカルのデータというのは、これはいろんな技術レベルの方がやった手術で、これだけをもってデフィニットにすごいとは言えないのではないかと思います。しかし、一応試験計画では主要評価項目が、合併症の発生率を、ヒストリカルデータと比較するということで、最終的にはロボットでは2.45%の発生率、一方でヒストリカル6.4%だったので、ヒストリカルのデータに比べると有意にこれはよくなったということは間違いない事実かと思います。

 ただ、その有効性、つまり、再発率が減ったとか、手術のクオリティに関しては、まだまだ出ていませんので、これは不明ということです。これは先ほど一色先生の御指摘ありましたように、短期の合併症については、ヒストリカルデータよりもいいということ以上のことは言えないという意見であります。

 あと、技術委員の笹子先生からかなり手厳しい、6ページをごらんいただきますと、試験のベースの仮説に問題があるとか、かなり根本的なところを指摘されております。ごもっともかと思うのですけれども、この案件が上がってきたときは、ダヴィンチを早く実用化してある程度検討しないと、そのまま何年も何年も何もできない状態だと結局は技術が評価できないということで、このような試験の組み方になったのだと思います。

 ただ、今回、きちっとプライマリーエンドポイントに関しては有意の差を持ってよいということで出たわけですので、合併症が少ないという点に関しては有効であるといえます。ただ、この手術が例えばがんの手術として有効であるかどうかは5年なり待たないとわからないという結論かと思います。

 以上です。

○宮坂座長

 ありがとうございました。価格のことが出ていました。ロボット、非常に高価なわけですけれども、そこの議論というのは何かございましたか。

○山口構成員

 これは一応医療費の合計も出ていますので、これも従来のものに比べて幾らぐらい高いと。合併症がこれぐらい減ったので、その合併症の減ったコストがこれぐらいで、どのぐらい相殺されたということをきちっと評価して保険収載すべきかどうか決めるべきだと。これも笹子先生の御指摘のとおりだと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ほかに何か御質問ございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 それでは、事務局から2つ目の先進医療Bの総括報告書に関する評価についての御説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、先-4-2をごらんください。今回、告示番号41として、先進医療Bで実施されておりました内視鏡下手術用ロボットを用いた内視鏡下咽喉頭切除術につきまして、京都大学医学部附属病院から総括報告書の提出がございまして、こちらも8月24日に行われました先進医療技術審査部会において御評価が行われたところでございます。

 技術の概要でございますが、1ページの中ほどをごらんください。本試験は、T分類は、Tis/1/2 N0及びM0の中咽頭癌、下咽頭癌及び喉頭癌を対象といたしまして、多施設共同の単アーム臨床試験として、内視鏡下手術用ロボット、da Vinciサージカルシステムを用いた手術を施行しまして、その手術病理標本の断端陽性率、手術完遂割合、患者QOL、有害事象などを御評価しております。予定症例数20例といたしまして、17例で試験は終了となりました。

 総括報告書に関する伊藤構成員からの御評価については、4ページ以降をごらんください。有効性についてはC、「従来の医療技術を用いるのと、同程度である」。安全性については、Bの「あまり問題なし」、技術的成熟度については、Aの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」との御評価です。

 5ページの最下段にございます総合的なコメント欄をごらんいただきますと、本試験は、内視鏡下手術用ロボットを用いた内視鏡下の咽喉頭切除術が、従来治療法である経口的手術療法や(化学)放射線療法または放射線療法単独に劣らないとは言えない結果となっております。内視鏡下手術用ロボット技術の練度の上昇とともに評価が変わる可能性は否定しないということです。

 副担当の大門構成員からの御評価は、7ページの中ほどをごらんください。有効性については、C、「従来の医療技術を用いるのと同程度である」。安全性については、Bの「あまり問題なし」。技術的成熟度については、Aの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」との御評価です。

 御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について何か御質問ございますでしょうか。

 これは20例を予定していて、17例しかできなかったというところは何かコメントありましたか。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 医療機関のほうからは、予定研究機関の終了時に17例に終わってしまいまして、それ以上は研究費などの問題により継続が難しかったということで、17例で試験は終了しておりますが、その時点で17例でも評価に足りるという医療機関側の御評価はあったようでございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。御質問ございますでしょうか。

 これも、山口先生、何かコメントございますか。

○山口構成員

 これもダヴィンチの手術なのですけれども、20例の予定でした。向こうの事務局に問い合わせたときに、20例終わりましたよということを一度報告されて、その後で、いや、違いましたということがあり、これは非常に問題になりました。それが1つです。けれども、このエンドポイントは、結局、手術の病理標本の断端の陽性の率なのですが、不明が2名ありました。不明というのは臨床的には陽性と扱わざるを得ないと思うのですけれども、これを入れると当初の目標を下回るということで、この手術は普通の手術に比べて劣ってないということを示せないということになりました。残念ですけれども、そういう結果を受け入れざるを得ないと思います。

 それとあと、2例は重篤な合併症がありまして、2例ではありますけれども、窒息とかあるので、安全性に関しても、従来のものに比べて格段にいいかどうかはわからないということもあります。したがって今回の試験では、残念ながら、このエンドポイントに関して有効性を証明できなかった、非劣性を証明できなかったということかと思います。

 

○宮坂座長

 ありがとうございました。たしか意識消失と窒息の2例で重篤な有害事象としたということですね。ほかに何かございますでしょうか。

 これは報告書としてお認めいただくということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 次に、事務局から、先進医療Bの取下げについての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは先-5をごらんください。大臣告示されております先進医療Bの2つの技術について、取下げの申請がございました。

 告示番号2番の「経カテーテル大動脈弁植込み術」、告示番号39番の「上肢カッティングガイド及び上肢カスタムメイドプレートを用いた上肢骨変形矯正術」の2件でございます。

 取下げ理由としましては、いずれにおいても、予定症例数満了の上の試験期間終了でございます。いずれも、今後、総括報告書を提出予定でございます。

 以上でございます。よろしくお願いします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。何か御質問ございますでしょうか。

 この告示番号2のほうは、しかも、企業治験も同時に行われているのですね。ですから、もうこれ以上症例が入ってこないということもありますよね。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 次に、事務局から、がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目および基本的な要件(案)についての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 それでは、先-6をごらんください。本年6月に開催されました第54回「先進医療会議」におきまして、がんゲノム医療技術の取り扱い等について御対応を検討する必要があるということ。また、詳細については先進医療技術審査部会において検討していただくことにつきまして御了承を頂戴しました。

 がん遺伝子パネル検査を用いた技術を先進医療として実施するための必須項目及び基本的な要件の案、スケジュールに関しまして、先月の先進医療技術審査部会で御審議いただきましたので、今回、御報告をさせていただきます。

 1ページ目に関しましては、これまでの経緯及び今後のスケジュールの概略についてまとめてございます。今回、次のページにございます要件をごらんいただく前に、まず、今回、先進医療で遺伝子パネル検査を実施するに当たりまして、必須項目及び基本的な要件を作成するに至った経緯と具体的な申請受理に向けてのスケジュールを簡単に復習させていただければと思っております。

 まず、3ページ目をごらんください。遺伝子パネル検査は、既にがんを発症した患者さんのがんの検体を対象としまして、ゲノム遺伝子の変異であったり、コピー数変化、融合遺伝子の検出等々を行うことを目的とした検査でございます。

 がんの遺伝子パネルは、現時点では薬事承認を得たものがございませんので、申請されてくるものは全て薬事承認を目指したプロトコールになると想定されております。そのため、その薬事承認に資するデータを収集するために、一つの遺伝子パネルについて申請医療機関からは一つのパネルプロトコールが申請されることを想定しております。

 さらに、独自プロトコールと記載しておりますけれども、この青い部分ですけれども、この遺伝子パネル検査の結果判明した遺伝子異常を対象としまして、医薬品を用いた治験や先進医療がさらに個別に計画されることが想定されております。

 現在、がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会などで考えられてございますのが、ゲノム情報は可能な限り1カ所に集めて、そしてレポジトリと申しますけれども、そういうところで将来的に日本国民の遺伝子検査結果が幅広く把握できるようにすること、また、遺伝カウンセリングの充実をこの医療機関においては必要とすることなどなど、遺伝子パネル検査を行うについても、必要となる項目はプロトコールに含めていただく必要があると認識しております。

 そのため、今回のようなパネルプロトコールの必須項目及び基本的な要件の案を定めるに至りました。遺伝子パネル検査の申請可能医療機関に関しては、今後全国で指定されますがんゲノム医療中核拠点病院、現時点では仮称でございますけれども、そちらに沿ったものになると考えております。

 申請に関するスケジュールは4枚目をごらんください。このイメージ図を見ながらお聞きいただきますと幸いです。まず、申請書類の審査の開始に関しましては、がんゲノム医療中核拠点病院の、今、現時点仮称のほうの要件が決定以後に、おおむね11月以降になるものと想定してございます。

 ただし、申請を希望している医療機関においては、使用するパネルの種類等に関して、9月中をめどに事務局まで御連絡いただきまして、相談受付を開始することとしてはどうかと考えております。これは11月ごろに一斉に審査を開始しまして、迅速に先進医療として開始するための措置と考えております。

 続きまして2ページ目にお移りいただきまして、パネルプロトコールの必須項目及び基本的な要件の(案)について御説明させていただきます。

 マル1からマル8までの大項目を現在必須項目として整理しております。マル1は患者の選択基準、マル2は遺伝子パネルの基本要件、マル3は有効性の評価の内容、マル4は検査の実施、マル5は施設の要件、マル6は患者への説明・同意、結果返却の内容、マル7が先進医療実施組織外への情報提供について、マル8が情報管理という項目になっております。

 現在、がんゲノム医療中核拠点病院に関しましてはこちらが申請医療機関の指定要件になると考えておりますけれども、別の会議体で検討中でございまして、具体的内容が決定しない状況ではございますので、マル5以外の要件が今回定まってきたという整理でございます。

 以上が先進医療技術審査部会で承認されまして、今回、先進医療会議におきましても、この要件(案)を御了承いただきたいということで御提案させていただきます。

 御説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問ございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 がんゲノム医療中核拠点病院というのはまだ指定要件が決まってない。それが決まれば4ページのような流れで、スケジュールで動いていく。それで、またいずれ申請があれば、この先進医療会議で各プロトコールを審査するということになると思いますけれども。

 どうぞ。

○石川構成員

 教えてもらいたいのですけれども、このプロトコールのほうのマル6の(2)より下に「データの再利活用(二次利用)の同意」ということが出てくるのですが、二次利用というのはどういうことがイメージされるのでしょうか、ちょっと教えていただきたいのですけれども。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 先ほど申し上げましたがんゲノム医療コンソーシアム懇談会におきましては、まずは国として患者さんの遺伝子データを蓄積して、国民のデータとして集めていくということ、それを日本人のデータとして利活用していくということが言われております。

 現時点では、具体的な利活用の内容に関しては、データベースの作成等々におきましても同時に検討されているところではございまして、具体的な、本当に商業ベースで使えるかどうかも含めた話し合いに関してはまだまだというところで考えてございます。

○石川構成員

 その上の(1)の「参加の同意」のところには、一次利用が患者さん御自身の診察に関わるものと。これはもちろんわかりますよね。その次に、データの再利用と書いてある。ここのイメージがちゃんとないと、同意がどのようにされるとか、それから、レポジトリの、どうやって保存するか、そのときにナンバリングすると思うのですけれども、そのナンバリングの対照表はどうするのかとか、そういった問題というのが出てくるのではないでしょうかね。ここはだから、もしこのプロトコールをちゃんと完成させるということであれば、そこのところはもう少し踏み込んで、二次利用というのはこういうものだということで説明しないとだめだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○藤原構成員

 これは山口先生と私と、後で技術審査部会のほうで検討しましたので。二次利用のところは、今、石川先生が御懸念されているように、実際は今どのように活用されるかはっきり決まってないところがありますよね。ただ、このゲノムの関係のもの、情報レポジトリというのが、日本全国の人たちから集められるのですけれども、それを将来的にどう使うことが想定されているかというと、例えば新しい体外診断薬、新しいゲノム診断薬が出てきたら、そのレポジトリのデータをもとにその診断薬が商品化できるかどうかの試験に多分使えるでしょうし、それから、日本人の患者さんの遺伝子変異が、こういうタイプが多いので、将来的に何年か経った後にどういう病気がふえてくるということを長期的にフォローするような新しい研究にも使えるでしょうし、このゲノム、このレポジトリがどのようにつくられるかはまだはっきりしてない中で、これから多分いろんなアイデアが出されて使われることになりますし、先ほど事務局が言ったように、私も最初に言いましたけれども、このデータを民間企業が使うというようなことももしかしたらあるかもしれませんと。そこはまだはっきりしてないというのが私の理解なのです。

 だから、そのために同意をしっかり分けて、1回目の患者さんのところの同意は今回の先進医療Bの中でしっかり同意をとってやるというところはいいのですけれども、2つ目まで、どこに使ってもいいですよということを1回目のこの先進医療Bの中で同意をとるのはおかしくて、ちゃんとレポジトリの使い方がみんなで議論されて、決まったところで、2回目のところは2段階同意と書いてありますけれども、別途しっかり説明して、どのように使いますということを再度説明の同意をとっていくというスケジュールにしてあるので、先進医療Bの段階、この1段階目の同意のところで2つ目のところを詳しく説明するというところまでは多分いかないだろうと思っています。だから、レポジトリに登録しますよというところまで、そこまでは御了承くださいねというところで、先進医療Bはまずは完結するのではないかと思います。

○宮坂座長

 どうぞ。

○石川構成員

 今の御説明ですと、もちろん詳細はわからないということですけれども、例えば今のパネル遺伝子検査というのは、幾つかの要するに遺伝子の部分の検査セットみたいな感じでということを僕ら聞いているのですけれども、そうすると、例えばこのがんについてはこの遺伝子セットで検査するということですよね。しかし、保存するときはその人の全ゲノム情報みたいなものも、将来もっと解析すればですけれども、その段階では解析できてなくても、将来的には解析できるように、全ゲノムの保存をするわけですよね。

○藤原構成員

 私どもの理解では、そこは詳細に決まっているのですかね。多分、出てくるデータというのは、ホールゲノムでなくて、一部のデータの集積と考えて、ホールゲノムはホールゲノムで別にまた集積されると思っていたのですけれども、そこはどうなのですか。

○宮坂座長

 でも、DNAとしては保存されるわけでしょう。

○藤原構成員

 そうですね。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 今回御審議いただいているのが遺伝子パネル検査に関する要件でもございまして、基本的には、ターゲットシークエンスとして特定の遺伝子変異を評価したものの、変異のデータを集積していくという考えであると思ってございます。将来的には、全エクソームであったり全ゲノムの検査の考えについても、もしかしたら御審議させていただく中でそういった要件も御検討させていただかなくてはいけないかとは思うのですけれども、現時点ではそこまではちょっと踏み込んでいないという認識でございます。

○石川構成員

 わかりました。では、それはそれでいいと思うのですけれども、先ほど言いましたように、例えば東北大学のゲノムの15万人データとか、そういったものも今まであるわけですよね。そのときの同意のとり方っていつも問題になりますので、これはもちろん、そのときにとった患者さんはもう亡くなっていたりとか、十分に同意をとられてなかったりとか、いろいろなことがあると思うのですね。ですから、これは医療・医学の発展のことを押しとどめるわけではないので、ぜひそのところをきちんと踏まえて、いろいろなことを踏まえてやっていただきたい。今までの個人情報保護の問題のいろんなこと、それを踏まえてやっていただきたいと思います。

 特に、先ほどちょっと藤原先生もおっしゃいましたけれども、何か新しい病気が出てきたら、それはまた活用しようとかいうときに、別の病気だとかそういったものにいろいろ利用するという、ビッグデータがありますので、そこにビッグデータがあるからそれを利用するということを安易にできるかどうかということについても、法的な側面からもきちっとしてもらいたいと思うのですね。

 そうでないと、10年後に結構大きなビッグデータになったときに、それをどのように使うのか、また再三議論しなければいけないことになってしまいますので、今からきちんとそこは同意の問題だとかやっていただきたい。特にレポジトリに保存するときにどうするのか。第二次利用するときには、そこはその番号がくっついたままでいくのだけれども、その番号表の管理は誰がやっているのかとか、そのようなこともきちっと考えて計画していただきたいと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○山口構成員

 石川先生のおっしゃるとおりなのですけれども、ここに書いてあるように、シンプルであることが望ましいのですよね。これをシンプルにやろうと思ったら、1段階で全部やってしまえばいいのですけれども、それはできない状況ですよね。むしろ明確に分けて、きちっと話をしやすいところはきっちりやって、その次のステップは2段階目でやるということを言っていることだと思います。

○宮坂座長

 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 それでは、この御説明は以上として、その次に、事務局から「その他」として資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 今回、先進医療Bとして実施しております技術に関しまして、申請医療機関から報告の遅延と誤認識による御報告がございましたので、申請医療機関から再発防止策等が報告されまして、7月に開催されました先進医療技術審査部会で審議されまして、了承されました。今回はそちらについて御報告を申し上げます。

 まず、先-7-1をごらんください。東京大学医学部附属病院におきまして、告示番号54の胆道がんを対象としたFOLFIRINOX療法について計画変更を行いまして、院内の倫理審査委員会では改定が了承されております。しかしながら、その後、変更後のプロトコールに関して、事務局及び先進医療技術審査部会に報告されぬまま、変更されたプロトコールで実施されてしまっていたということです。今後、東京大学医学部附属病院としては、臨床研究支援体制を強化していく予定と承知しております。

 次に、先-7-2をごらんください。先ほど御審議いただきまして、山口先生からもコメントを頂戴しました告示番号41の内視鏡下の手術用ロボットを用いた内視鏡下咽喉頭切除術でございますけれども、取下げが申請された際に、予定症例数満了したかどうか、先進医療技術審査部会の事務局が問い合わせております。その際に、京都大学医学部附属病院におきましては、事務担当者が、実施責任者、院内の研究事務局には未確認のまま、予定症例数を満了したと返答してしまっておりました。

 また、前回の先進医療会議でも御報告させていただいたのですけれども、告示番号19の術前ホルモン療法及びゾレドロン酸投与の併用療法におきましても、予定症例数に満たずに試験は終了してしまったということもございました。これらを踏まえまして、京都大学におきましては、関係者での情報共有に注意していくこと、さらに予定症例数を先進医療に関しても満了できるよう、今後も努力していくという御報告でございます。

 最後に、先-7-3をごらんください。慶應義塾大学病院におきまして、告示番号67の関節リューマチを対象としてヒドロキシクロロキン療法が実施されております。プロトコールにおいては、3例終了した後に継続の可否に係る審議を院内で実施しまして、先進医療技術審査部会に報告し、試験継続について了承された上で、4例目以降は実施するという予定でございました。しかしながら、部会に報告する前に4例目と5例目の投与が開始されてしまったとのことです。今後、再発防止策として、慶應義塾大学病院におきましては、臨床研究支援体制を強化していく予定と承知してございます。

 御報告は以上になります。

○宮坂座長

 ありがとうございました。今の点、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○宮坂座長

 それでは、本日の議論は以上としたいと思います。

 次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。

○医療課長補佐

 事務局でございます。

 次回の開催につきましては、平成2910月5日木曜日、4時からを予定しております。場所については別途御連絡させていただきます。

 本日はありがとうございます。

○宮坂座長

 ありがとうございました。

 それでは、第57回「先進医療会議」を終了したいと思います。御協力ありがとうございました。

 


(了)

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