ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会> 第2回今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会(2017年5月25日)




2017年5月25日 第2回今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会

○議事

○堀岡医事課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 桐野構成員、南学構成員、山口構成員、荒井構成員は、本日所用により御欠席との連絡をいただいております。

 荒井構成員の代理で、林部長に今回御参加していただいています。

 また、邉見構成員、堀構成員は所用によりおくれての御出席と御連絡をいただいております。

 本日の会議には、文部科学省医学教育課の森課長及び佐々木企画官に御参加をいただいております。

 参考人といたしまして、日本専門医機構から副理事長の方でございまして、整備指針を御担当いただいている山下副理事長。

 日本内科学会から、宮崎先生、鈴木先生に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。

 以降の議事運営にいたしましては、座長にお願いいたします。遠藤先生、よろしくお願いいたします。

○遠藤座長 それでは、議事に移らせていただきます。

 まず事務局より、配付されている資料の確認をお願いしたいと思います。

○堀岡医事課長補佐 資料の確認をさせていただきます。

 上から議事次第、座席表、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料3。

 また、参考資料といたしまして参考資料1~6がございます。

 それとは別に机上配付資料といたしまして、資料2-2及び奈良県荒井知事からの「専門医制度の実施に伴う地域医療の確保に関する意見」という資料を御用意させていただいております。

 また、これらのほか、構成員限りで吉村構成員提出資料を机上に配付していただいております。この資料につきましては、日本専門医機構から会議後回収させていただきたいというお話がございましたので、会議後に回収をさせていただきます。

 不足している資料などがございましたら事務局にお申しつけください。

 なお、マスコミの方々の撮影はここまでとさせていただきます。

 それでは、遠藤座長、引き続きお願いいたします。

○遠藤座長 資料はよろしゅうございますか。

 それでは、議事を進めていきたいと思います。本日用意されております議題は、「新たな専門医の仕組みにおける地域医療への配慮に関する学会の取組み」「前回の議論を踏まえた日本専門医機構の対応」及び「都道府県協議会」の3つでございます。

 まずは地域医療への配慮に関する学会の取り組みについて、日本内科学会より御説明をいただき、その後、皆様から御意見、御質問等をいただければと思います。

 それでは、日本内科学会より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮崎参考人 私は内科学会認定制度審議会の副会長、宮崎と申します。

 資料1-1をごらんください。私ども内科学会で今回の新しい制度に対する取り組みについて御説明をさせていただきます。

 1ページ目にございます内科領域の現状というところをごらんください。そもそも論でございますが、新しい専門医制度におきまして、私ども内科学会の基本的な考え方を最初に御説明申し上げます。

 内科領域におきましては、サイエンスの進歩といいますか、科学が進歩するにしたがって細分化という現象が起こってまいりました。そこに示しております呼吸器とか消化器と書いてあるのは、いわゆる臓器別専門医というくくりになるかと思いますが、このような細分化が進んでいるという状況でございます。これ自体は決して悪いことではないのですが、これに伴いまして、それぞれの臓器別専門医がふえるかわりに、それを統合する立場のジェネラルなフィジシャンという立場の医師が不足しているのではないかという懸念がございました。

 特に2025年問題でございますが、我が国の高齢化に伴いまして、高齢化した患者さんは1つの問題ではなくて複数の問題が併存するという現象が予測されますので、そのような臓器別の専門医だけでは対応できないということが予測され、そのことを懸念いたしまして、幅広い内科研修の充実を目指してこの制度設計に取り組んでまいりました。つまり、このこと自体は地域のニーズに、地域医療といいますとか、地域における医師の不足というものを1人の医師が1つの臓器を診るのではなくて、1人の医師が複数の臓器を診られるようになる。そのような内科医を育成することがそもそも地域医療に対する配慮ではなかったかと考えてございます。

 次のページをごらんください。そこで現状の制度を御説明させていただきますと、内科に関しましては内科認定医と総合内科専門医という2本立ての専門医制度になってございます。それを新しい制度におきましては一本化して、内科専門医に統一するというふうにしております。

 ではその内科認定医というのはどのようなものかといいますと、現行制度でございますが、初期研修を2年やりまして、その後内科の1年の研修をすることによって医師になってからトータル3年後に受験資格が発生するというような制度でございます。これは基本的には不足しているのではないか。研修期間としては短過ぎる。内科のジェネラルなフイジシャンを育成するには不足しているのではないかという懸念がございます。

 しかも内科研修というのは臓器別の専門医病棟の単一病棟で行われることが多いことを考えますと、ジェネラルというそもそも論から見た内科専門医の医師像というものを達成するためには、このままでは難しい。ジェネラルな内科研修のためには、複数の施設等は研修として取り入れるべきではないかと考えられました。これも地域医療に対する配慮ということもあわせ持った考え方かと思います。

 また、内科専門医研修の目標と修了要件というのは、ここに本がございますが、内科専門研修カリキュラムというかなり分厚いものでございます。内科領域というのは大変広い領域ですので、これをジェネラルな内科医として全て完璧にこなすというのはまず難しいということを考え、そこに領域疾患群という概念で分類するという考え方を導入いたしました。疾患群というのは、例えば循環器でありましたら弁膜症という一括として僧帽弁の弁膜症だとか大動脈弁膜症という複数の弁膜症がありますが、それらを1つのくくりとして疾患群としました。このような「疾患群」という概念を全ての内科領域に対して持たせまして、全内科領域を70の疾患群として設定しました。そして少なくとも70の疾患群をそれぞれ少なくとも1例は経験するというような制度設計にいたしまして、全般的な能力を持つ内科専門医を育成しようというようにいたしました。ただ、余りにも領域が広うございますので、修了要件としましては56疾患以上の経験を積めば受験資格が発生するというようにしております。

 もう一点は、これまで病棟、すなわち入院患者のみを経験するというような立場でございましたが、今回の制度におきましては、外来の症例も経験症例として認めるというようにいたしました。この意味は外来、すなわち地域の医療との接点をより多く持たせることが背景にございます。入院して受け身の立場での研修ではなくて、外来を通じて地域の医療を肌で感じることも重要だろう。もう一点は、疾患そのものが従来の入院疾患から外来疾患に変貌したというような疾患もふえてきているということもございます。いずれにしても、外来症例を経験として認めるというふうにいたしました。

 その他の要件といたしましては、学会発表とかJMECCという救命救急講習会の事項等々が必須要件としてございます。

 最後に、この要件の中には単に医師だけの評価ではなくてメディカルスタッフあるいは技師さん、あるいは事務系職員等の360度の評価に基づいて、医師としての適性に問題がないかということもチェックすることにしてございます。

 次のページをごらんください。今、御説明申し上げましたように、内科専門医の新しい制度設計は、専門医の質の担保をするということがそもそもの趣旨でございます。しかしながら、これとともに地域の医療に対する配慮というものも、そもそも論から存在していたということを御説明申し上げました。プログラムを募集するに際に、当初の厳しい基準ではプログラム数が200300ぐらいになるのではないかという予想がございました。また時を同じくして昨年2月の日本医師会の声明を受けまして、地域の医療の崩壊をさらに悪化させないようなさらなる配慮等が必要であるということもございました。

 そこで、この制度設計の中に特別連携施設という施設をそもそも入れていましたが、この特別連携施設の数及び要件をふやす方向で制度設計を加えております。施設基準を少し緩和したわけです。この特別連携施設について御説明申し上げますと、現在の内科学会の仕組みにおきましても義務年限を要する自治医大等の卒業生であるとか、地域枠で入学した医学部の学生等が、卒業した後の研修施設が都道府県等によって指定されているという現状がございます。そうしますと、必ずしも指導医がいないようなところでの研修があり得るので、そのような学生さん、卒業生に対する配慮としまして、日本内科学会においては一定の要件を満たせば、指導医がいなくても研修として認めるという制度が現状ございます。この制度を発展させましたのが特別連携施設でございます。

 これを拡充することによりまして、2016年の段階で523のプログラムが応募してきたということでございます。これは現在の制度の教育施設及び教育関連施設の総数からしますと2.4倍、すなわち2,937の施設がプログラムの中に入ることになりました。大幅に研修する施設がふえたということでございます。

2017年について、さらに日本内科学会認定医制度審議会でプログラムの検討を3回行いまして、そのたびに徐々にそのプログラムがよりベターなものになってきたと考えておるのですが、最終的には545のプログラムの申請となってございます。

 ここでプログラムについての御説明でございますが、基幹施設という言葉と連携施設という言葉だけを聞くと、基幹施設が非常に大きな施設であって、連携施設がそのサテライトのようにぽつぽつ存在しているというイメージがあるかもしれませんが、それが6ページの下の部分でございます。しかし、実は内科の専門医制度においてはこのようなイメージではなく、次のページをごらんください。8ページの上に書いてあるのが基幹施設と連携施設の新しい内科専門医制度におけますイメージ図で示されているとおり、必ずしも基幹施設が非常に巨大な施設であって、残りはサテライトということではございません。連携施設の中にも大きな病院もあるし、あるいは小さな診療所等も特別連携施設として入ることもございます。必ずしも小さいからといって基幹施設にはなれないということではございません。

 なお、8ページの上の右に書いてございますけれども、このようなプログラムの数が545までふえている最大のポイントは、日本では大学病院が約90100ぐらいですので、545のプログラムの大部分は市中病院が手を挙げて、この新しい内科専門医制度のプログラムの基幹施設となっているというのがおわかりになろうかと思います。逆に大学病院が連携施設になることもございます。

 この後で述べますけれども、このようなプログラムを維持するために、私どもはJ-OSLERというWebを用いた新しい研修制度を構築してございます。これは後ほど御説明申し上げます。

 現行制度の施設の分布につきましては8ページの下にありますのが現行制度でございます。赤で塗ってあるところが研修施設のない二次医療圏でございます。これが新しい制度におきましては9ページをごらんください。上にございますように当初、最終的には愛知のごく一部に二次医療圏の1カ所だけ研修施設がなかった地域がございましたが、その地域におきましても最終的に研修施設ができましたので、日本全国全ての地域におきまして研修ができるという体制が整いました。全部で344の医療圏がございますが、全てに研修施設がございます。

 その下にございますのがプログラムの各都道府県別の分布でございます。そして、その右側にございますのが病床の数別の基幹施設の分布でございます。病床数が大体400前後の施設が非常に多いということになっております。恐らく大学病院等になりますと700800以上の病院が大部分ですので、先ほど説明申し上げましたように、一般市中病院が基幹施設の大部分を占めていることを示しています。

12ページ、その施設の中の分布を連携施設と基幹施設と特別連携施設という緑で囲った部分が新しい制度でございます。現行制度と違うのは、その特別連携施設の数が大変ふえたということを示してございます。一番下の欄に研修施設の合計がございますが、現行制度200施設から約3,000施設までふえております。

 ここまでが新しい内科専門医制度の地域医療に対する配慮の説明でございます。

 引き続きまして、今度は個々の専攻医に対するキャリア形成についての配慮を御説明いたします。内科専門医、先ほど申し上げましたように、そもそも論でジェネラルなフィジシャンを育成するということが地域医療にももちろん好影響を及ぼすであろうし、内科のサブスペシャリティに進む先生方の基盤としても重要だと考えておりまして、個々の専攻医に対する配慮を御説明申し上げます。

 まず第1に、これはプログラム制をとっておりますので、一定の計画された年次、場所によって研修を行うというのが基本的なスタンスでございます。しかしながら、それだけでは各地域によっては対応できないような地域が多々ございますので、このプログラムに関しては非常にフレキシブルに対応するようにいたしました。すなわち多様な研修コースを設定して、それぞれの地域にフィットするようなコースをそれぞれのプログラムで工夫できるように整備基準を変えてございます。このことによりまして、個々の専攻医の自分自身の医師としての人生設計の中で専門医を取得するというときに安心してできる。特に女性医師の方など出産等で空白ができるというような先生方が大変ふえておりますので、そのような先生方に対して、あるいは留学するなど、必ずしも継続して研修するのではなく、中断する状況があったとしても十分専門医資格が取れるというような仕組みにしてございます。これを可能にしているのがJ-OSLERという、先ほど少しコメントいたしましたWeb上の研修システムでございます。このJ-OSLERを用いますと常に履歴、ログがずっと残っていて、なおかつそのステップ、ステップで評価が加わっていきますので、質の高い研修が行われたということが証明できるというシステムになってございます。

 もし早目に、非常に短期間で専門医資格を取りたいという方もおられるかと思いますが、そのような方に対しては初期研修の研修実績も、卒業後2年間の内科の指導医が行われた研修に関しましては、研修実績として認めるというふうにしてございます。これも配慮の1つでございます。

14ページ、そのような多様なコースと今、申し上げましたけれども、14ページの一番上にございます内科標準タイプという図をごらんください。これが基本的には標準的な考え方でございます。初期研修2年終わって3年間の内科研修を行って、その後サブスペシャリティ研修を行うというのが標準的な考え方だと思いますが、これに対して多様なコースというものが下段に書いてございますサブスペシャリティ重点タイプ。これは内科研修期間中に1年~2年間、臓器別の専門医制度の研修も並行して行っても構わないというようなことを見込んでございます。

14ページの下にございます内科・サブスペ混合タイプと書いてありますけれども、これを4年以上という期間で臓器別の内科専門医プラス臓器別専門医の両方を同時並行的に研修するというようなコースでございます。このようにそれぞれの領域、循環器とか呼吸器とか、あるいはリウマチとかさまざまな内科のサブスペ領域は13+1の多様な領域がございますので、そのような専門医制度をサブスペもあわせ持って多様なコースが形成されているということでございます。

 次のページをごらんください。いずれのコースにおきましてもフレキシビリティーはあるものの、内科研修の修了要件は同じでございますので、研修の質を保つのは当然でございます。そもそもの趣旨としてよい研修、内科専門医を育成するための新制度設計でございますので、研修の質を保つというのは当然でございますが、それはJ-OSLERを用いることによって客観的に評価できるということになります。

 ここで資料1-2にこの後のサマリーを書いてございますが、カリキュラム制という言葉について説明をしておきます。私が説明しましたのはプログラム制という先ほどのコース、多様なコースがあると申し上げました。カリキュラム制というのはどういうことなのかと申し上げますと、基本的には場所と年次を特定しない研修をカリキュラム制と理解されるわけですが、プログラム制であったとしても先ほど申し上げました出産など個々の事情によって研修の空白ができたときには、必ずしも予定の3年間では終わらないことは当然あり得えます。だからといってプログラム制のコースに入った方が、それで専門医が取れないということは当然ないわけでございます。先ほどのJ-OSLERを用いれば、その研修の質が担保されているという期間も明示されますので、期間は延びるけれども、質は保つということが担保される。すなわちこれが一種のカリキュラム制と見なすこともできるのではないかと考えています。

 したがって、カリキュラム制という言葉を強調するというよりは、プログラム制をフレキシブルに運用することで、カリキュラム制とほぼ同等の研修ができると考えてございます。

16ページの下からJ-OSLERについての説明を申し上げます。J-OSLERのイメージ図でございますけれども、基本的に研修の内容は内科の専門医の研修の方法として、例えば外科の専門医等はNCDという手術を実行したという実績を研修の必須要件とするわけですが、内科の専門医の医師像としましては、内科専門医は手術をする専門医ではございませんので、診断と薬物治療をメーンとする内科的治療をあわせ持った専門医となります。そのような医師のプロセスを証明する。外科の先生は手術をすることによってその能力を証明するわけですが、内科の専門医は患者さんを受け持ってマネージしたことを外科の手術の経験と同等のように見なすわけです。それをJ-OSLERWeb上で行うことにいたしました。従来は途中プロセスがなかなか証明できないということがございましたが、このJ-OSLERを用いることによって研修期間中のプロセスを証明できるということが大きなポイントでございます。すなわち症例の登録を行って、病歴の要約を提出して、技能・技術を指導医が評価するということをいたします。これらのことを一元的にWeb上で行うことになります。

17のスライドをごらんください。これらのことは一応インターネットを介して行うことになっておりますが、個人の情報あるいはセキュリティーということについては万全を期しております。

 スライド18でありますが、研修状況を可視化し、プログラムの指導医と専攻医の双方が同一のWeb上でやりとりをする。評価に加えて改善を求めることができるということになります。

 スライド19でございますが、このJ-OSLERの可視化というのは最終的には360度評価と申し上げました、プログラム指導医と専攻医だけではなくて、研修にかかわる多職種の評価が含まれることになっております。

 また、20ページに書いてございますように、指導医と専攻医につきましてはそれぞれマイページというものを持つことになります。そのマイページに書かれている内容は全て専攻医が持って移動できることになります。すなわちサブスペ領域の研修に移行した場合には、その履歴をマイページから抽出して持っていくことができることになります。

 この部分がキャリアパスに関する説明でございます。

 以上、新しい内科専門医制度におきます地域医療に対する配慮と専攻医のキャリアパスに対する配慮について説明をいたしました。

 これまで申し上げたことは、資料1-2に文言としてサマライズしてございます。

 以上でございます。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御報告に関して御意見、御質問等があれば承りたいと思います。それでは、立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 市長会から参りました相馬市長でございます。

 前回の議論で、我々地域医療の立場でいろいろ申し上げたところが内科学会の方針には相当盛り込まれているといいますか、私どもとしては大変御配慮をいただいて、特に200床以下の中小病院でも志のある者が専門医の道が開けるということに対して、非常に敬意を持ってお話を聞いておりました。

 私はこの専門医の議論で最初にこの専門医機構の細則を読んだときに、これは排除の論理だと思ったのです。つまり全員が専門医を取るべきである。そのためにはこれこれこうしなくてはならない。そのハードルが高いということは、しっかりした優等生以外は排除するという理屈に思えたのです。それだと地域医療はたちいかないというのが最初の私の感想でした。

 今回の内科学会の今の指針の中で私が非常に評価できると思うのは、「これはどうぞ皆さん頑張って内科の専門医を取ってください。内科の専門医を要領よく養成したい。」そういう希望が見てとれます。そういった意味では、我々地域社会で一番必要とするのはジェネラルな内科医ですから、非常に道が開けて大変これは共感に値するものと思っております。

 ですが、若干申し上げたいところもございます。問題は評価の部分なのです。その他の評価のところで論文ということがございました。この論文は一体誰が評価するんだという問題も出てまいりますし、地域医療に従事する医師にとって、そういう医師が欲しいという我々の現在の対策の状況、方向性にとって私は論文を課すことはどう考えても間尺に合わない気がするのです。それが地域医療とどういう関係があるのか。それは大学でみんなで1つの研究をやりましょうということであれば、あなたはこの論文の発表者になりなさいみたいなことはできるのだけれども、これは地方の病院にあってはなかなか困難であります。

 今後ますますジェネラルな内科のドクターが必要になってくると思うのです。それに対してどうぞなってくださいという方針、そういう方向性というのが必要だと思う。その際に論文というのはどうしてもなじまないような気がするのです。

 もう一つ、このパラメディカルも含めたいろいろな方々の360度の評価となりましたけれども、これも人格的に立派な人だけが内科専門医になるということでは私はおかしいと思うのです。そういう人になってもらいたいと思いますが、私は特に問題のない人であれば、よいのではと。これは理想論に過ぎる部分があるのではないかと思います。

 もう一つ、今回私が非常に評価しているのは、初期研修の場にこの議論が入り込んでいるということです。これはここで議論すべきことではないのですが、我々全国市長会に対して医学部長会の皆さんから反論でございますという文書が届きました。我々は厚生労働大臣に御要望申し上げたことであって、我々が医学部長会の皆さんからの反論に直接どうこうとお答えする立場ではないと思うのですが、その文書には非常に私が共感するところがありました。こういう状況ができた、あるいは改善しなければならない大きな問題として初期研修制度が問題なのだというような記述がございました。私も全くそのとおりだと思うのです。初期研修制度のスタートから12年になりますが、初期研修制度が果たして日本の医療にとってどれほど大きな役割を果たしてきたのか。国家予算も使って研修医の人件費もある程度出しているわけですから、そこでこの初期研修制度をあれだけ大騒ぎして、あれだけみんなで議論をしただけの効果が果たしてあるのだろうかということを地域医療の観点から非常に感じるわけなのです。

 だとしたら、そもそも論になりますが、初期研修制度をもう少し改善することを考えるべきだと思うのです。そこから議論が始まらないといけない。つまり1階部分が、がたがたで耐震構造が果たしてどうかといったときに、2階を上に載せて果たしていいのかという観点もあろうかと思います。ですから今回、内科学会の今の案の中に、初期研修の中でサブスペの部分についてもというところがありましたけれども、初期研修のあり方等々をPDCAサイクルをもって私は日本全体として考え直す必要があるのではないか、さらにそこで必要なものがあれば、改善をしながら今後の医療のために役立つというような改革も必要ではないかと思いますので、これは一般論になりますが、この際、御提言申し上げたいと思います。ただ、初期研修自体をもっと有意義に過ごそうというような試みでもありますから、その点に言及されていることについては大変評価させていただきたい。そのように思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 非常に好意的な基本的な評価をいただいた上で、幾つかの問題点の御指摘をされたということであります。

 また、初期研修の話も出されましたけれども、当検討会は卒前教育と卒後教育について議論をするということでありますので、当然そういう議論にもなり得ると私は理解しております。

 それでは、関連でまず内科学会から何らかのコメントがあればと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○宮崎参考人 大変ありがたいコメントありがとうございました。

 先ほどの御指摘の論文の件でございますけれども、要件は学会発表または論文でありまして、論文でなければならないということはございません。現状を申し上げますと、多くの内科学会等の地方会におきまして、症例報告というものをしていることが大部分を占めてございます。このようなアカデミズムといいますか、科学的考え方といいますか、そういう発表というものは内科のジェネラルな医師の基本、出発点として3年間のうちに2回程度は経験していただいたほうが、我が国の内科領域の発展においては裾野が広くなるのではないかと考えて、このような設定をしてございます。

 もう一点は360度評価でございますが、昨今、医療事故とか訴訟というようなこと、接遇とかそういうも要因となって紛争が起こっていることも多いかと思います。そのような際に医師の適格性といいますか、医師からの評価だけではなくて、メディカルスタッフの人からの評価、経験した症例の内容だけではなくて、つまり日ごろからの態度とかいうようなことも評価していただいたほうが、それこそ地域の医師として活躍していただくための素養として有意義なのではないかと考えてございます。

 初期研修に関しては、そのとおりかと考えてございます。

○鈴木参考人 補足をさせてください。内科学会の鈴木でございます。

 まず学術発表または論文発表、これはハードルが高いのではないかという御指摘はごもっともだと思いますが、先ほど御説明申し上げましたJ-OSLERという研修のプロセスを記録していくものによって、これは到達が難しいということがはっきりとすれば、この条件を柔軟に対応していくことが可能になると思います。ですので先ほど御指摘いただきましたいわゆるPDCAサイクルをここでも回すことができると考えてございます。

360度評価に関しましても、これは指導医が指導をするための道具にもなるというふうに考えていますので、形成的な評価をすることを念頭に置いております。

 初期研修に関しては、内科の専門医になるという方々のみになりますが、初期研修の症例を我々のJ-OSLERというシステムに登録してくださった場合には、どのような初期研修が行われているかということを将来的に評価することができるのではないかと企図してございます。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 関連で山下参考人にお話を伺います。

○山下参考人 整備指針をつくるのを担当させていただいた担当者として、理事会の議論を経たということでありますが、今、内科学会から論文を課するということの意味を言っていただきました。先生方よく御存じだと思いますけれども、これはもちろん基礎研究というものもいいのですが、宮崎先生がおっしゃったように症例報告を書く意味をぜひお考えいただきたいという意味で入れさせていただきました。これは若い医師がいろいろなデータをもとにある患者さんの病態を考えて、ゆっくりと考える機会をつくろうということで、これは内科学会お考えになった。機構としてもほかの学会もそれを十分に意味をわきまえた上で入れております。これはハードルを高くするというよりは、教育をする、すぐれた医師を育成するための非常に大きな大事なプロセスであるということで理解をしております。要するに論文を書くというのは学術的な意味づけを考えていただきたいというのが1つ。

 もう一つは、今、宮崎先生からお話がありましたけれども、要するにいろいろな地方会なり学会なり、私は眼科ですけれども、眼科のいろいろな学会を見ていますと、地域の病院の方々が一生懸命論文を書いておられます。症例報告にしてもです。そういうものをエンカレッジすることは、若い医師が成長していく、臨床医として成長していく非常に重要なプロセスであると思いますので、これは指針の中に入れさせていただいております。

 補足説明です。以上であります。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 何人かの方が手を挙げておられますが、とりあえず立谷構成員から簡潔に1つ御対応をお願いします。

○立谷構成員 論文を絶対条件にするのと症例発表は全然違うのです。私は思うのですが、最終的な評価のときの加点の条件にすればよいのではないか。専門医の試験になるかどういう形になるか、多分試験になると思うのですが、そのときの入り口での条件にする必要はないのではないか。これは症例発表でも論文でも、優秀な論文が出たとしたらそれは当然歓迎すべきことですけれども、それを条件にするのは問題だと思うのです。これは加点制度にして、それをポイントとして認めるというようにすれば、私は入り口論として理解できるのですが、論文の場合は論文を出してもボツになることもあるし、採用されることもあるのです。ですからそれが専門医のスキルの絶対条件ではないと考えます。私は「どうぞ専門医になってください。」、そういう姿勢が必要ではないかと思うのです。日本の医療のためにです。ですから私は振り落とすような形には絶対になってほしくないと思いますし、そういった意味ではポイント制にしてくれればよいのかなと思います。御提言させていただきます。

○遠藤座長 御意見として承りました。

 あと、先ほど手を挙げていた順番で、私の認識では加納構成員、尾身構成員、渋谷構成員の順番だと思いますので、それでお願いします。

○加納構成員 今、内科学会の説明をお聞きしまして、非常に地域医療に対しての配慮がなされた回答をなさったなということで、非常に評価したいと思います。

 評価システムの中心になっているJ-OSLERなのですが、これは本当にICTを活用して今回の専門医制度の中で中心的な役割を担っていこうというシステムをつくられたわけなのですが、ICTというとやはり費用がかかるというのを我々は電子カルテ等も含めて問題視しているところなのです。そうなると、これは内科学会だけではなくて他の学会でも使えるようなシステムなのでしょうか。また、費用の点では内科学会はこの18学会の中で一番大きな学会ですし、もしかしたら一番裕福な学会かもしれませんので、こういうことができたということであれば、今後ほかの学会がこれに追随してできるかどうか、ということが問題になってくるのではないかと思いますので、その点を教えていただきたいのが1点です。

 次にお聞きしていましたら、サブスペに関するいろいろな配慮が今回出ているかなということで、最短では混合型は4年間ということなのですが、これは機構にお聞きしたいのですが、例えば内科だけではなくて他の外科学会等でも、こういう形で今後考えていくということなのか、こういうことが他の学会でもサブスペとして認められるものであるということが決まった上で、こういう形で展開されているのか、それを教えていただきたいと思います。その2点を教えていただければと思います。

○遠藤座長 内科学会にお聞きしたいということですか。

○加納構成員 まずは内科学会が運営されているJ-OSLERというものについてです。

○遠藤座長 では内科学会としてお答えできる範囲も当然あるかと思いますが

○宮崎参考人 J-OSLERについてのみお答えいたします。

J-OSLERに関しては、御指摘のように大変お金がかかります。なおかつメンテナンスにも費用がかかりますので、これを使用するに際しては専攻医からある程度使用料を徴収して運営したいと考えてございます。

 そして、サブスペ領域に関しては内科の13領域については既に投げかけまして、このJ-OSLERに乗っかるような形で各サブスペの専門医の研修制度を設計できるように声かけはしてございます。ただし、領域によっては非常に大幅な改変が必要な場合は、それなりにお金がかかってしまいますので、領域によって価格は相当変わってくる。必要なお金は変わってくるということになります。

 他の領域につきましては、全く別になると思います。

○遠藤座長 関連でお願いします。

○鈴木参考人 他の基本領域の学会でJ-OSLERを御使用いただけるかどうかという御質問でよろしゅうございましょうか。これは内科学会のカリキュラムに準じてつくってございますので、ここに内科専門研修プログラム、こちら持ってまいりましたが、こちらにある疾病等々に関しての登録は、他の学会の先生方であってもお使いになられることは可能だとは思います。ただし、その他の手技でありますとか外科的な手術でありますとか、そういったものの登録を想定してございませんので、少し仕様が変わってしまうだろうと思います。ですから内科的な領域に関しての援用という可能性はあるかもしれませんが、基本的には内科専門医向けであるということで御理解いただきたいと思います。

○遠藤座長 後者の質問については機構に対する御質問ということで、どうぞ。

○加納構成員 もう一点です。ということは、懸念されることは18J-OSLER的なものをつくらなければいけないのかとか、そうなればまた我々はICTの進歩で、いろいろな形で便利にはなるのですが、逆にベンダーに対する負担とか、また新しい医師にまで負担を求めてそのようなことをしなければいけなくなってしまいます。ですから、これはもしかしたら専門医機構で一括してやればもっと運営とか費用的なものも安くなって、また、専門医として負担が少なくなるとか、そういう可能性があればということもお聞きしたかったのですが。

○遠藤座長 それでは、もう一度、内科学会に戻ります。

○宮崎参考人 データに関しては、サブスペ等についてはテキストファイルで書くことができます。ですのでJ-OSLERで蓄積しましたデータを他のそれぞれの学会の専門医制度のシステムに対しては提供できるという格好になります。新たにそこで別またはJ-OSLERのシステムをつくるということは選択できるというふうになってございます。極端なことを言いますと、現状で行われている各サブスペ領域の専門医制度を紙ベースでやっているようなところも多かろうと思いますが、それを継続することもできる。ただ、そのときには内科のデータはテキストファイルで提供しますということになります。金銭としては、新たにつくればそれなりのお金がかかるけれども、現状を維持するというのであれば、それも可能だと選択できるという格好になってございます。

○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 ということは、専門医機構としてもしかしたら一括して運営できる可能性も出てくるのかどうか、ということなるかと思いますが、どうでしょう。

○吉村構成員 今、内科の話です。これは内科学会がやっておられることなので、多分これは敷衍できると思います。外科系につきましては御承知のようにNCDNational Clinical Database)というものがございまして、これは当初は外科学会がやっておりましたが、2~3年前から全ての領域に解放されて、外科学会から離れた、独立した組織でやっておりまして、現在、外科では外科学会、心臓、呼吸器、小児、乳腺とか内分泌が全て入っております。さらに他領域についても今度泌尿器だったかな、どこかが入る予定でございますので、多分NCDにつきましては外科系の領域は全て入れることができると考えております。このNCDのデータでもって専門医の認定がされるということではないかと思います。

○遠藤座長 では関連で山下参考人、お願いいたします。

○山下参考人 アプライはできると思います。ただ、私は眼科なのですけれども、NCDに利用できるのではないかと思って検討したのですけれども、全く違うのです。件数も今、白内障の手術は百数十万件あります。そういう状態でNCDにアプライするというのはほぼ不可能でありまして、それは各学会でお決めいただく。ここに呼ばれたのは整備指針をということで先ほど堀岡先生から言われたので言いますと、制度的に言いますと各学会がそれぞれの対応に応じてプランを立てることになっておりますので、今のJ-OSLERにしてもNCDにしても、いろいろなオプションがあって、それを使っていただくのは結構ですが、機構としてそれをオーソライズするというのは、現時点ではなかなか難しかろうと思っておりますし、人手、予算を考えまして、手挙げしてもらうということであればいいのですけれども、こちらからお進めするというのは不可能かなと思っております。

 以上です。

○加納構成員 サブスペに関してはどうでしょうか。

○吉村構成員 サブスペにつきましては現在、呼吸器、心臓、小児、さらに消化器、内分泌外科と乳腺外科については並行研修をお認めしております。近々多分放射線科につきましても診断治療で並行研修になる見込みでございます。

○加納構成員 ということは、こういうタイプで各学会も検討できるという形で進んでいるということで理解してよろしいでしょうか。

○吉村構成員 そういうことです。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ではお待たせしました。尾身構成員、お願いします。

○尾身構成員 まず内科学会の地域医療への配慮という点で、私も心より敬意を表したいと思います。

 8ページと9ページの地図があって、二次医療圏ごとの状況を見てもらったので、これについてはかなり改善だと思うのですけれども、実は私は2つ内科学会のサゼスチョンがありまして、10ページの地図の下の欄の右下の小さいボックスを見ますと、大体300以上のベッドに大多数が集中しているわけです。これは釈迦に説法でありますけれども、日本の医療を支えているかなりの部分がいわゆる中小病院というベッド数300、まさにここの37と5のところなのです。

 先ほど内科学会の先生のお話で、3ページにスライドを説明していただいたときに、なるべく1つの病院ではなくて複数の病院というお話がありましたね。私もそれは大賛成なので、もし可能であれば300床以下のところだけでやるということはあり得ないと思うので、ここの部分のプロポーションというか割合をもう少し、実は私はJCHOという独立行政法人の経営をしていますけれども、結構小さい病院のところ、ベッド数200300のところが今、一番、もちろん大学病院とか大病院でも医師不足がありますが、ここが最も厳しい状況に直面しているので、ここの分布をもう少し300床以下のところにシフトしていただけないかなというのが、地域医療を実践している人の多くの気持ちだと思います。それが1点目です。

 2点目ですが、今回、研修の質を担保しながら内科の場合は総合的なジェネラリスト、幅の広い診断能力を持つ医師を育てたいということで、この点で実は私がお聞きしたいと同時にサゼスチョンは、一方で19番目の総合診療のところがあるのだけれども、これは私が間違っていたらごめんなさい。内科のここの部分と総合診療の部分が必ずしも緊密な連携をしているというわけではないのだと思うのです。恐らく国民の側からすると、この内科のほうも総合診療も両方大事なのです。この幅の広いジェネラリスト的な医師を育てるという意味で、この2つの科が実際にもちろんプログラムは違うわけですけれども、実質的なプログラム、研修の段階で何か協力できる、するということが恐らく国民にとってはベネフィットがあるので、ぜひそういうことを少し考えていただければと思います。

 以上、2つの提案でございます。

○遠藤座長 これは御意見として承ればよろしゅうございますか。何かコメントが必要ですか

○尾身構成員 特に1番目のほうは考えていただければ。2番目のほうはどういうことができるか考えてくださいという話であります。

○遠藤座長 わかりました。

 では関連して内科学会、お願いいたします。

○宮崎参考人 先ほどの10ページのスライド3、200300床までの37という数字でございますが、これは基幹施設の数でございまして、実際には200300の一番多い中小病院というのは、連携施設としてはプログラムの中に組み込まれてございます。ですので決して300床未満の病院が研修に参加していないということではございません。と申しますのは11ページにその分布がございますが、基幹施設の役割というのはプログラム全体を管理するという役割も必要でございますので、やはり200300施設だと事務系の能力といいますか、キャパシティーという面でなかなか難しい面があると推測しております。もちろんスタートした暁には、それぞれのプログラムの特殊性というものを打ち出すことによって、専攻医がたくさん来る。たとえ小さい基幹施設であっても特徴があって魅力的であれば、ふえていくというふうになろうかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 内科と総合診療科との内容について何かもしあれば。

○宮崎参考人 それについては吉村先生のマターかもしれませんけれども、現在、総合診療専門医のプログラム及びカリキュラムについて、内科部分が3年間のうちの約1年程度、6~12カ月という期間の議論がございましたが、総合診療専門研修にも内科の研修がございます。その内科の研修に関しまして、先ほどのJ-OSLERを使用していただいて、総合診療専門医の研修に際して、内科研修部分に関して内科学会は全面的に協力すると表明しておりまして、それは恐らくもう確定しているのではないかと思います。ですので緊密な連携も行っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、お待たせいたしました。渋谷構成員、お願いします。

○渋谷構成員 きょうは宮崎先生、鈴木先生にお話を伺って、私が一番懸念していた国際標準の質の担保という点で非常に明快なコメントをいただきましたし、立谷市長もおっしゃっていたように、私としては大学以外でもきちんと専門医を養成できるということをデータを持って示していただいたことと、国際標準の専門医の養成は日本でも可能だということは、1つはJ-OSLERという目に見える客観的なデータベースがあるということは非常に大事だと思います。

 先ほど山下先生が、それは専門医機構の仕事ではないとおっしゃっていましたが、私は逆に専門医機構こそ、各学会にそうしたデータベース、つまり、きちんと目に見えて客観的に判断できるようなベンチマークできるようなデータベースをきちんと確立するように求めるとか、ないところはその努力をしてもらうとか、そうしたものをやるべきだと思います。あるいはミニマルなチェックストをつくるとか、そういうものがまさに専門医機構の役割ではないかと私は思います。

 そうした面からすると、きょうの内科学会のプレゼンでは、今回のこうしたデータに基づいたきちんと大学以外でもちゃんと基幹病院で専門医を養成できる仕組み、それから、客観的にそれをトラックする仕組みが示され、それらがあるからこそプログラム制のみならず、カリキュラム制がある意味ではフレキシブルな制度として成り立つわけです。それらはお互い関連しているわけです。そうしたものを専門医機構というのは、ほかの学会でも本当にそれはできているのかということをきちんと見ることが役割であって、眼科は外科と症例数が違うからNCDの様なデータベース馴染まないとか、そういう話ではなくて、ではどういうデータベースが、眼科領域では客観的な指標としてカリキュラム制あるいはプログラム制を柔軟に、その人の生活に合ったキャリア形成のために使えるのか。そうした議論を専門医機構はすべきだと思います。

 それから、立谷市長と少し意見が違うのですが、私は症例報告2例ぐらいは許してあげてもいいのではないかと思いますし、1個の症例から深掘りして学ぶということと、ある程度プレゼンさせることも経験になりますので、論文を書くというのはまた少しハードルが高いかもしれませんけれども、その辺のオプションというのは少しあってもいいのかなというのは個人的に思います。それ以外は立谷市長がおっしゃったように、かなり内科学会というのは今回、専門医制度のベンチマークとしては非常に勉強になりましたし、本当に御尽力に感謝したいと思います。ありがとうございました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、お名前が出ましたので山下参考人、手短にお願いいたします。

○山下参考人 渋谷先生、私の言い方が悪かったので訂正させていただきますけれども、なくていいというのではなくて、J-OSLERとかNCDというものをぜひ使わなければいけないということは言いませんということでありまして、各学会でどのようにして評価するかというのは現実問題として持っているわけです。眼科学会でも持っております。それをNCDのパターンに合わせるのはかなり難しいということを申し上げたので、それは各学会できちんともちろんどのように評価して、どのようにというのをやっている。それを機構としてこのようなことはいろいろな取り組みがありますよというものを情報提供することはもちろんやぶさかではありませんが、1つのデータベースの中に統一するということは現時点では不可能と考えておりますので、要するにNCDの中に例えば眼科がぜひ入ってくださいと言われても、それは困りますので、それに関しては少なくとも学会が考えていただければ。ぜひ入りたいというのであればどうぞ。だけれども、我々とするとそれを構成要件として要求することはありません。そのようなことを言いたかったわけであります。

 以上です。

○渋谷構成員 私の質問は、専門医機構の役割をデータベースとか客観的な評価に対して専門医機構がちゃんとしたアドバイスをすべきであるというサゼスチョンをしたわけで、眼科学会としてできないというコメントとは少し違うと思います。

○山下参考人 済みません、私は眼科学会に属しているのでごちゃごちゃになりましたけれども、専門医機構としてはこのような要件でやってくださいというものをお願いしているわけで、そのデータベースのつくり方とか何とかということに関しては、それはこれまでの学会でやっていただいたことを我々は検証するということでやらせていただいております。ある程度のレベルをきちんと保っていただく。これは平成25年の高久先生のあり方委員会で、国民に対して説明できるようにしてくださいということがあったものですから、それに合わせて理事会でこの数年間ずっとやってきたわけです。それを機構としてこういう条件は必要ですよということは我々の責務だと思っておりますが、それはやります。しかし、その形式としてJ-OSLERとかNCDを使ってくださいということは、なかなか言いませんということを言っております。

○渋谷構成員 もちろんNCDを全部には当てはめることは難しいと思いますけれども、そうしたデータベースのあり方、少なくともこうした要件、それから、プログラム制またはカリキュラム制のどちらに進んでもトラックして、きちんと質を担保するというのは、専門医機構としてはガイドラインみたいなものを出さなければいけないと思いますけれども、その辺に関してはちゃんと指針というか、そうした方向性はあるでしょうか。

○山下参考人 それに関しては私が今どうこうということは言えませんので、これは本当に基本的な問題だと思うので、理事長のもとで基本問題検討委員会できちんと検討して、渋谷先生がおっしゃることは非常によくわかります。どんなパターンでもいいんですねという話をしているわけではなくて、それは学会がみんなで汗をかいてつくっていくというのが基本的な専門医機構のあり方ですから、必要に応じて基本問題検討委員会ではぜひ検討させていただきたいと思います。御指導ありがとうございました。

○渋谷構成員 何でデータベースにこだわるかというと、別にデータベースで無理してお金をかけてSEさんに公共のお金をあげるという意味ではないですよ。そんなのクラウドでつくれば幾らでも安くできるので。そうではなくて先ほど申し上げたように、これがプログラム制、カリキュラム制を並行に並べたときにちゃんと症例などがトラックできて、第三者が客観的に質を担保できる。専門医機構は前回、吉村理事長がおっしゃったように、専門医の質を担保するということを明確に強調されましたけれども、そのためにはそうしたものがなければいけないし、カリキュラム制とプログラム制を並列にして基幹病院が市中病院でもできるということをちゃんと見せて、大学医局イコール質の担保ではなくて、市中病院でも質の担保はできるということをちゃんと見るためには、そうしたデータベースで可視化する。そうしたものを明確にしていただかないと、単にそれは将来やりますというポーズだけではなくて、それこそ専門医機構の役割ではないかと私自身は思っています。

○遠藤座長 わかりました。非常に重要な御意見を承ったのですが、まだ大事なアジェンダが相当残っておりますので、それとあとお二方が手を挙げておられますので、できるだけ初めての方に回したいと思いますので、新井構成員、山内構成員の順番で、恐縮ですけれども、手短な御発言でお願いしたいと思います。

○新井構成員 全国医学部長病院長会議の新井でございます。

 きょう内科学会のシステムをお聞きして、本当に質の担保と地域医療への配慮、両方を両立させるすばらしいものを見せていただいたと敬意を表します。

 先ほど立谷構成員から御指摘があった、初期研修制度が地域医療の崩壊につながったというのは、まさに私どもも同感でございます。今この専門医制度については初期研修にまで踏み込むという話がございましたけれども、私どもとしてはぜひ卒前教育まで踏み込んで、卒前と卒後がシームレスにつながるような議論を期待します。今の初期研修の一部を卒前教育に前倒しできるのではないか、そうすることによってより効率的に、かつ、質の高い医師の育成が可能なのではないかと思って今、各方面と検討しているところでございます。まさに立谷構成員の御指摘そのとおりだと思います。

 あと、論文に関しては、論文ということではなくて症例報告ということで1つの症例に対峙したときの医師の考え方、こういう意味では必要だろうし、あるいはプロフェッショナリズムとか倫理観の寛容というのも、ぜひ専門医制度の中に組み込んでいただきたいというのが私どもの要望であります。

 最後は、先ほどのデータベースの件でございますけれども、これは私の今の全国医学部長病院長会議の立場ではなくて、脳神経学会の立場で申し上げますと、NCDにデータベースを構築した場合に、これを学会に移行するのに個人情報の問題がございまして、非常に難しい、困難に直面しております。したがいまして、やはりデータベースは学会が持つべきであろう。それに対して機構が第三者的に資金援助していただければ最高にいいのですけれども、資金援助あるいはデータの構築の仕方をある程度フォーマット化するとか、そのような形で側方から援助していただくというのが理想だろうと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 お待たせしました。山内構成員、どうぞ。

○山内構成員 まず内科学会の取り組みのお話を聞かせていただきまして、専門医制度と言ってもそれぞれの科で違うと思いますし、具体的に非常にイメージすることができまして、特にカリキュラム制とかJ-OSLERというもので、例えば本当に女性医師とかは結婚とか出産などでプログラムを移らなければいけない事情が非常にありますので、不安に思っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃったと思うのです。そういった中でこのJ-OSLERというシステムで自分の症例をキャリーアウト、持っていけるということは非常にすばらしい取り組みだと思いました。

 それを踏まえまして、ただ、このJ-OSLERというデータベースに関して、先ほど専攻医がお金を払ってということでおっしゃっていて、それで主役は専攻医です。専攻医の目線で考えてみますと、私は外科医ですからNCDが今、学会の登録と一緒になって非常に感謝しております。というのは学会の登録をして、NCDを登録して、院内がん登録をして、非常に専攻医がデータベースの入力に費やしている時間が物すごくかかっております。今、働き方改革で時間も制約しなければいけないので、お金の負担も致し方ないとは思いますけれども、できるだけ専攻医の負担を減らしていただきたいということは非常に願います。

 その上で、今、新井構成員も個人情報の問題とかあると言ったのですけれども、これはむしろ厚労省とか国に対する要望だとは思うのですが、今、非常にこれだけAIとかそういったシステムがどんどん進んできていて、例えば本当にNCDがあって、NCDのおかげで今データを用いた論文というか、きちんとした研究もできるようになってきているのです。そういったものも海外に対抗できるようなデータベースを用いた研究というものも、日本から発信していかなければいけませんので、今のJ-OSLERは単に個々の登録だけだと思うのです。最低限の登録をすればいい程度で終わってしまっていて、私ども例えば乳腺の領域だとNCDで外科の登録が義務づけられています。ですから手術をした患者さんは全て登録されますけれども、抗がん剤は登録を義務づけられていませんので、外科医が抗がん剤まで、放射線治療までフォローしなければデータが全て成り立たないのです。

 そういった意味で、内科の領域から例えば症例の全登録とかいうシステムもきちんとしていけば、データベースができ上がって、国が例えば個人の患者さんにひもづいたデータベースというものを将来的に構築できれば、それで日本のデータがもっともっと発信できますし、この専門医制度を機会に機構のほうでのデータベースということもありましたけれども、プログラムが変わったり、サブスペになるたびにまた別なデータベースに入れなければいけないという専攻医の本当にそういう負担を少しでも軽くするように、あと、日本からのデータの発信ができるように、そういったことも考えた上で将来的にはデータベースの構築というものをオールジャパンというか、国がということだと思うのですけれども、考えていただければと思っております。

 あと、初期研修ということの御批判というか、それももちろんありましたが、初期研修のPDCAサイクルを回すということでおっしゃっていただいて、初期研修の制度になって、すごく応募のあれが完全にいろいろな意味でシフトしたと思うのです。研修医の応募の仕方が。それがどのような原因で地方から離れて都心に来たのかとか、どのように動いたのかという、研修医の動向というものを分析することも非常に大切だと思いますので、それがどういう研修医の意向で動いたのかということも、ぜひ初期研修のPDCAサイクルを回すときには考えていただきたいと思っております。

 以上です。済みません、長くなりました。

○遠藤座長 後者の問題につきましては、基本的にはこの検討会の検討ミッションの中に含まれていると私は理解しておりますので、またそういうときに御発言をいただければと思います。

 まだ御意見あるかと思いますけれども、少し先に進ませていただきたいと思います。よろしゅうございますか。内科学会の皆様、地域医療及びキャリア形成について十分な配慮をされているというような高評価を得られたのではないかと私は思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、事務局及び吉村構成員から、前回の議論を踏まえた日本専門医機構の対応について御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 資料2-1をごらんください。事務連絡と記載のあるものです。

 前回、4月24日の検討会におきまして、遠藤座長より事務局はいただいた御意見を整理し、それらを専門医機構にお伝えし、しかるべき対応がとられるよう努力をしていただきたいとの御指摘をいただきました。この御指摘に基づきまして、事務局において前回の検討会での皆様の御意見を整理させていただき、この事務連絡の形で5月10日付で専門医機構にお伝えしまして、専門医制度新整備指針の修正も含めた対応について御検討をお願いしたものでございます。

 ページをおめくりいただきまして裏面の別添と書いてあるものですが、こちら皆様の御意見をまとめさせていただいておりまして、1点目が専門医取得は義務づけではないこと。2点目が地域医療従事者や女性医師等に配慮したカリキュラム制の設置が必要であること。3点目は研修の中心は大学病院のみではなく、地域の中核病院等であること。4点目が下線部になりますが、都道府県協議会に市町村を含めるとともに、専門医機構または専門研修基幹施設が研修プログラムの運用状況を各都道府県協議会に報告し、各都道府県が地域医療の確保の観点からの意見を申し述べることができるものとするなど、継続的に地域医療の確保が可能となる仕組みとすること。この4点をまとめさせていただいております。

 続いての参考資料1、2は前回の資料をつけたものでございます。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、吉村構成員、引き続きお願いいたします。

○吉村構成員 資料2-2をごらんいただきたいと思います。

 先ほど厚生労働省から御説明がございましたように、5月10日付で医事課長から私宛てに検討会における論点について対応するようにという文書をいただきました。機構の中でいろいろ検討いたしまして、本日、資料2-2にございますように、その検討結果について御報告したいと思います。

 なお、別添としまして、別紙につきまして検討会の結果に基づきまして、整備指針をこのようにしたらどうかという確認ペーパーのようなものでございますが、これもつけてございます。

 それでは、早速資料2-2を御説明したいと思います。

めくっていただきまして、「専門医に関する対応方針の主な内容について」でございます。

 「1.専門医取得の義務づけについて」ということですが、。専門医取得は義務づけていないことを整備指針に明記する。

 現在の整備指針でございます。今後、新たに医学部を卒業し診療に携わる医師は、原則としていずれかの専門領域を選択し、その基本領域学会の専門研修を受けることを基本とするが、専門医制度は法的に規制されるべきものではなく、基本領域学会専門医については、適正な基準のもとに施行されるべきである。よく読めばおわかりいただけるかと思いますが、わかりやすくということで改訂案の要点でございます。

 現在、医学部を卒業し診療に携わる医師の多くは、いずれかの専門領域を選択し、その基本領域学会の専門研修を受けているという実態があるが、専門医は全ての医師が取得しなければならないものではなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられるものである。また、医師として国民に信頼される安全・安心な医療を提供するための専門研修は、適正に施行されるべきである。

 「2.地域医療従事者や女性医師等への配慮について」。

 対応方針は、地域医療従事者や女性医師等に配慮したカリキュラム制の設置を整備指針に明記する。

 現在の整備指針は、基本領域学会専門医の研修では、原則として研修プログラム制による研修を行う。

 改訂案の要点でございます。基本領域学会専門医の研修では、研修プログラム制が原則だが、専門医取得を希望する義務年限を有する医科大学卒業生、地域医療従事者や、出産、育児等により休職・離職を選択した女性医師等、介護、留学など相当の合理的理由がある医師等は、研修カリキュラム制による専門研修を行う等、柔軟な対応を行う。研修カリキュラム制における研修年限の上限は特に設定しないが、少なくとも研修プログラム制で必要とされる研修期間を必要とする。

 「3.大学病院と市中病院について」。

 対応方針は、研修の中心は大学病院のみではなく、地域の中核病院等であることを整備指針に明記。

 改訂案の要点でございます。専門医となるのに必要となる全般的、幅広い疾患の症例の豊富な市中病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする必要がある。連携病院で採用した専攻医については、専攻医の希望があった場合、でき得る限り長期間連携病院における研修期間を設定するなど、柔軟なプログラムを作成する。

 「4.都道府県協議会について」。

 対応方針は、都道府県協議会に市町村を含め、研修プログラム承認後も地域医療の確保の動向を機構が協議会に情報提供し、協議会が意見を提出した際は、研修プログラムを改善することを整備指針に明記。

 改訂案の要点は、機構は、各領域の研修プログラムを承認するに際して、都道府県、市町村、医師会、大学、病院団体等からなる各都道府県協議会と事前に協議し決定する。研修プログラム承認後も、機構は、連携施設等の医師配置の状況を含む研修プログラムの運用実績を当該基本領域学会と協議ののち、各都道府県協議会に情報提供する。協議会は、必要があれば意見を提出し、それを受けて、機構は、研修プログラムを協議会と協議し、関係学会と調整を行い、改善を行うという対応でございます。

 これに基づきまして、机上にお配りいたしました専門医制度新整備指針等の見直しについて、これはまだ案でございまして、理事会で決定したものではございませんが、一応、原案は理事会でも検討しております。改正するということになったものを本日おつけしております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 前回の検討会でさまざまな御意見が出されましたので、それに対して十分な御配慮をいただいた形の修文案、修文の内容について簡潔にまとめたものの御報告をされたということであります。

 御意見等をいただければと思います。いかがでございましょうか。それでは、渋谷構成員、お願いいたします。

○渋谷構成員 前回のコメントを反映していただいて、本当にありがたいと思うのですが、1点だけ、2番目の地域医療従事者や女性医師等の配慮に関して、カリキュラム制の設置を整備指針に明記と書いてありますが、前回、理事長からプレゼンがありましたように、例えば整形外科などにおいてはほとんどプログラム制であって、ほぼその場が大学中心になっているというデータを見た記憶があるのですけれども、きょうの内科学会ではやはり市中病院がかなり大半を占めている。もちろん数が違うというのもあるのですが、ほかの学会においてもそうしたデータ、プログラム制とカリキュラム制の割合、それから、大学病院と市中病院の割合というのは前回、提示がもし可能ならと申し上げたのですけれども、そうした面に関してはデータというのは今回でなくてもいいのですが、次回でもお願いできるのでしょうか。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。それでは、林参考人、お願いいたします。

○林代理人 今回も荒井構成員は欠席となってしまいまして、まことに申しわけございません。僭越でございますけれども、荒井から資料を預かってまいりましたので、机上配付資料としてお配りしているものをごらんいただければと思います。

 先ほども初期研修について何人かの構成員がコメントされておりましたが、私どもも2枚目のグラフにございますように、初期研修についての制度の変更があったときに、医師の配置について大きな影響があったと認識をしてございます。これは三師調査で3034歳の勤務医指数の変化を見たものでございますけれども、例えば奈良県でありますと約25%ぐらいこの10年間に減っているということで、それが右の都会の県に移られているということかと思います。

 一方で下のグラフは医育機関の勤務医師数でございまして、これは医科大学、医学部の勤務医師数でございますけれども、医師が減っている県でもそういったところには医師がふえているような場合もあるということで、医学部、医科大学の影響力は非常に大きいということを感じております。

 こういったことを踏まえまして改めて意見を出させていただいております。先ほど吉村構成員からお話がございましたように、前回の意見を一部反映していただいたことにつきまして、感謝を申し上げます。4の都道府県協議会のところでございます。いただいている御意見、改訂案を拝読いたしますと、機構を通じて連携施設と都道府県をつないでいただくというような形になってございます。専門医機構としては、そういった形を最大限御配慮いただいたものと理解をしておるのですけれども、実際に県でこれを運用しようと思いますと、非常にローカルなこと、どこの病院に何人配置していただくかとか、そういう非常に細かい議論になるのではないかと思います。また、連携施設の数は先ほどの内科学会からもお話がございましたが、非常に膨大な数でございます。そうしたことを考えますと、できれば直接基幹施設、連携施設から都道府県協議会に情報のやりとりができるような仕組みを御検討いただけないかというふうに考えております。

 後から御説明があるのかもわかりませんが、資料3の裏側に都道府県協議会について国からも通知が出てございまして、都道府県協議会でしっかりと県内の調整をするようにという通知を県のほうにいただいておりますけれども、これをしっかり実効性あるものにするためにも、基幹施設あるいは連携施設側に都道府県協議会にしっかり参画する、あるいは協力する旨を何らか位置づけていただけると、実効性が上がるのではないかと思います。奈良県は県立医科大学でございますが、そうではないところは非常に敷居が高いところもございますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。また、研修プログラムについてだけでなく、連携施設の医師配置状況についても協議できるようにお願い申し上げたいと思います。

 その他、幾つかコメントをさせていただいています。自治医大の医師の配置でありますとか、あるいは地域枠の運用、先ほど内科学会の御説明の中にも御配慮いただいている旨の御説明がございましたが、各学会、特に総合診療を含めまして、引き続き十分な御配慮をお願い申し上げたいと考えております。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 これは御意見として、うかがってよろしいですか、どなたかからコメントは求められますか。

○林代理人 お願いでございます。専門医機構にというお願いといいますか、あるいは大学等も含まれますので厚生労働省、文部科学省も含めて一緒になって考えていただければというお願いでございます。

○遠藤座長 了解いたしました。御意見として承りました。

 ほかにどなたか御意見ございますか。それでは、山内構成員、お願いいたします。

○山内構成員 先ほどの改訂案に関しての確認で、この対応方針の2番目のところなのですけれども、女性医師などへの配慮についてという形で、カリキュラム制の柔軟な対応を行っていただけるという文言を入れていただけるということで、女性医師で先ほど申し上げましたように結婚や出産などでプログラム下にどうしてもいられない場合のことの対応として非常にありがたい改訂だと思うのですが、ただ、これでやはり専攻医の立場から見て、例えば女性医師の専攻医がいて、あるプログラムに入って、それで出産をすることになって、そのプログラムを移らなければいけない、例えばそういった事情などがあってとか、結婚で移らなければいけないといったときに、それをプログラム制からカリキュラム制に変えることができるということになるのだと思うのですけれども、その場合、そういうことは余りないと思うのですけれども、例えばプログラムの上の方が「プログラム制でなければだめだ」という形で、カリキュラム制に柔軟な対応を行うという指針は出されてはいるのですけれども、それをどこが許可をしてというような、そこら辺のところの具体的な例えば御本人が専門医機構にお手紙を書けば、アメリカとかであればそういった事情があるとACGMEとか、そういうオートノミーの第三者機関にきちんと手紙を出して認めてもらうというようなこともできたりということもありますので、そういった形で機構に例えば本人が手紙を書いて、機構が認めてくれれば、それをできるのかということ。プログラムの中で例えば万が一ですけれども、そういった形で移ってはいけないと言われたりする状況になったりすることはいけないので、その辺のところが柔軟な対応を行うというだけの指針だと、非常にそういったケースが出てきたらいけないなと思いましたもので、もう少し具体的な記載をしていただくのか、具体的な手順というか、もう少し柔軟な対応を行うべきであるという書き方とか、御配慮をいただけたらなとは思いました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 まずそれにつきましては、そういう御要望だということでよろしゅうございますか。

 では吉村構成員、お願いいたします。

○吉村構成員 ぜひ細則で定めたいと思います。ただいまの御意見は大変大事なことですので、できないでは困りますので、手順について具体的に考えたいと思います。

○遠藤座長 御検討よろしくお願いします。

 それでは、加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 吉村理事長から運用規則という形で出していただいたのですが、専門医制度のもう一つ大きな問題は、専門医を取ってからの更新の問題だと思っているのです。というのは専門医になってもなかなかプログラムに沿った専門医制度の中で動いていないと更新ができないというシステムであれば、いつまでたっても先ほどから立谷構成員もおっしゃっている我々のような市中の中小病院を含めた地域に専門医が出てきません。外科の専門医も出てこない。整形外科医の専門医も出てこないという形になってしまいますので、どの部分かに更新に関してもしっかりと明記をしていただいて、更新内容のチェック、及び女性医師も含めて更新が引き続きできるような形のことを確認するような指針を、ぜひとも書いていただきたいかなと思うのですが、どうでしょうか。

○遠藤座長 どうでしょうかということですので、コメントをお願いします。

○吉村構成員 このプログラム制は、現在のところですけれども、初期研修を終了して最初に行うときだけでございます。更新はもちろんプログラムはございませんし、カリキュラムでよろしいと思います。また、更新に当たって地域で活躍してもらえる先生方に過度な負担がないようにという方針を出しております。もちろん更新は全く別のことではないかと思います。

○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 確かに別なことかもしれませんが、更新というものの内容をしっかりと専門医機構でチェックしていただかないと、各学会がまた厳しい更新システムをつくってしまえば、全く市中病院に専門医が出てきません。例えば整形外科医がいない病院がずっと続くという状況も場合によっては考えられますので、そこらは更新についてしっかり専門医機構でプログラムをチェックしていただかなければいけないのではないかということでの発言でございます。

○遠藤座長 吉村構成員、お願いします。

○吉村構成員 専門医の更新に関する補足説明というものがきちんと出ております。多分、内科学会からも更新については御意見があろうかと思うのですが、いかがですか。

○遠藤座長 では内科学会、よろしくお願いします。

○宮崎参考人 更新に関しましては、単位制を用いて5年間に一定の単位数を獲得すると更新をするという形で認めてございます。今後の新制度はそうなるわけですが、移行期における現在専門医を持っている方についての移行処置というのは別途更新ということで、準備します。恐らく10年ぐらいしますと新しい制度の更新へと一本化されていくと思います。それは単位制度で学会の受講とか、米国と同じようにCMEクレジットをもって更新するというふうになってございます。これは専門医機構でも更新に関する委員会である程度議論されたと記憶してございます。

○遠藤座長 吉村構成員、何かコメントございますか。

○吉村構成員 専門医の更新につきましては先ほど申しましたように、更新に関する補足説明というものをしっかり書いてございます。指針の中にも更新に当たって地域医療への配慮ということで、地域で活躍している現場の医療に過剰な負担のないように、本補足説明に沿った柔軟な専門医の更新をきちんとすると明記してございます。よろしいでしょうか。更新についてはもちろん指針にも書いてございます。

○遠藤座長 加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 しつこく言わせていただいているのは、実はある学会の更新はまだまだ厳しくなっているということを聞いておりまして、そうすると先ほどから問題になっているプログラムの範疇でしか医師が動かないようなことになってしうというとんでもない状況になるのではないかということを懸念しての発言でございますので、そこはしっかりと改めて確認していただきたいなと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 お手を挙げられていた押淵構成員、お願いします。

○押淵構成員 先ほどの奈良県の知事様の御発言を受けて、私も発言をさせていただきたいと思っております。

 私は全国のとりわけ医師不足地域あるいは医療資源の乏しい地域の施設の診療を担っている国保診療施設の代表者としての意見を述べさせていだきます。

 超高齢社会がいち早く訪れた地域の国保診療施設の守備する地域ケアシステムとしての概念ができ上がり、超高齢社会の日本の地域ケアシステムにふさわしいモデルとして提唱してまいりました。そこに働く医師こそ第19番目として位置づけられました総合診療専門医の姿そのものだと考えています。

 総合診療専門医の必要性を提唱されてこられた有識者の方々からは、これからの日本の医療を支える総合診療専門医は、地域包括ケアシステムの構築のためにも10万人を要するんだという言葉で主張なされているところであります。

 地域包括ケアシステムの構築がこれからも日本の地域ケアの基本であり、その地域ケアシステムを駆動する、推進する医師像こそ総合診療専門医そのものであると思います。これまで地域包括ケアシステムをつくり上げてきましたへき地、離島、中山間地域の地域ケアを担ってきた医師が指導医となり、次世代を担う医師を中山間地域あるいは離島、へき地への医療提供体制が困難な地域の現場で育ててこそ、質の高い地域包括ケアシステムを駆動できる専攻医を育成できると思います。

 そういう意味では厳しいプログラム制だけでなく、専攻期間中に習得できる、かつ、資格を取得できるようなカリキュラム制も併存させるべきだと主張したいと思っております。間口の広い設計が求められると思っております。

 医師の地域偏在が取りざたされて久しいと思いますが、一向に改善の兆しはなく、私たちの守備する地域は医師が極端に減っていく上に、残った医師の高齢化が著しいところでありますので、これは看過できない事態であります。加えて、言わずもがなでもありましょうが、国民皆保険制度で成り立っている日本の医療制度では、国民は医療保険税を負担する義務を有しますが、一方で病気の軽重の程度に応じた医療を受ける権利を有しております。日本国民にとって教育を受ける権利、あるいは生活の安全を保障される権利を得るためには、教員が児童数に応じて配置されたり、人口に応じた警察が配置されるのと同じように、医師の適正配置が国民皆保険制度を守るためにも最も重要と考えております。

 プロフェッショナル・オートノミーの崇高な理念が私たちのような地域で実現するのを待っているうちに、へき地、離島、中山間地域の医師不足は深刻化する一方で、最も待ち望まれている総合診療専門医の活躍する地域は消滅寸前であります。専門医制度は医師の地域偏在、専門家偏在を助長するという懸念がありますので、制度のスタートから最も育成するにふさわしい我々が守備する地域での育成を阻害する制度とならないように切望したいと思っております。医師を育てるのにふさわしいオン・ザ・ジョブ・トレーニングの地域での専攻が可能な制度を望みたいと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 では山内構成員、山下参考人、お願いします。

○山内構成員 今、非常に大事なところの指摘をいただいて、それで先ほどの指摘ともかぶるのですけれども、今、いろいろなことで専攻医の要件に関しては非常に考えていただいて、いろいろな形で改訂していただいたのですけれども、今度は先ほどもお話が出ました専門医の更新の件と、指導医に関して今、本当におっしゃっていただいたように、あと先ほど立谷構成員がおっしゃいましたように、学術論文というものがハードルが高くなっていると思うのです。例えば地域に指導医は必要です。指導医がいなければ専攻医は集まってきません。その中で指針の14ページには専門研修、指導医のところに関しましては、指導医の要件については各基本領域学会が定め、機構の承認を得るというふうにだけ書いてあるのですけれども、例えば学会によっては今は学会の専門医という形になっておりますので、学会の専門医の指導医は例えば論文の数が6本以上とか、そういった非常に学術的な面が重要視されていると思うのです。

 その条件のままでいくと地域の病院で本当にオン・ザ・ジョブ・トレーニングをみんなにして、現場で頑張っていらっしゃる指導医というか専門医の更新をしなければいけない先生や、専門医のこれから指導医を取ろうとなさっていらっしゃる先生方が指導医をとれなくて、指導医がいないので今度は幾ら連携施設があってもそれがまたできなくなったりというような問題が起こることを非常に懸念して、あくまでも私はこの専攻医制度とかこれがなされたのは、臨床におけるクオリティー、学術も非常に大事ですけれども、学術とのバランスも大事ですが、でもまずは臨床におけるクオリティーの国民に見える化と、臨床におけるクオリティーをある程度保つということが目的だと思いますので、その専攻医の更新や専門研修の指導医に関する要件に関しても、できるだけ臨床寄りの地域のそういった先生方が、それをキープできるような案件ということもまた考慮していただければなと思っております。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、山下参考人。

○山下参考人 今、山内先生がおっしゃったことに関しては十分に今、検討中であります。先生おっしゃるとおりなのです。やはり指導医をかなり今度の機構の議論の中で、前よりは少し取得しやすくした学会がかなりたくさんあります。そういう人たちをまずキープするというのが1つ。

 もう一つは、そうは言っても押淵先生がおっしゃったように、地域でなかなか指導医を確保できないという場合にも関連施設というものをつくって、そこで育成するのである。そこで専門医がふえてくれば指導医もとれるということで、先生のおっしゃったことは本当に大事なことなので、我々は真摯にやりたいと思いますが、その方向で検討中ということをお知らせしたいと思います。

 もう一つだけよろしいですか。先ほどの地域医療のことに関して林先生の資料と押淵先生のお話、簡単に言います。結局、林先生の資料の山形県というところが大学にふえているということの言いわけをしているわけではありませんけれども、実はこの3034歳というのは専門研修が終わった後です。専門研修をやっているのは大体2729歳であります。我々のところでこの10年ぐらいの間に、医師が特にいわゆる市町村立の県内の病院の常勤医というのが8%ぐらいふえております。90人ぐらいふえておりますけれども、そのうちのほとんどが山形大学出身ということで、地域医療に貢献するような医師をどんどん輩出している。何を言いたいかというと、いろいろな医師を大学がキープして、それを循環しているんだということで、林先生のこの資料は非常に興味深いのですが、ぜひこれを発展させていただいて、この会で大学はどういうふうにして、例えば山梨県だとどのようにしてその医師を循環させているか。ウインドウでこれだけで見るとふえているかもしれませんが、その次のステップとか、その前のステップでは循環している可能性が十分にあると思います。山形ではそうなっていますというのが1つ。

 もう一つは、専門医制度は確かに医師の偏在に対して非常に重要なのですけれども、山形県の市町村立、規模が県立病院などより小さいところの常勤医の10%ぐらいが専門研修をやっている2729歳のところです。要するに専門研修をやっている人たち以外の90%の人たちが地域医療を支えているということがありますので、もちろん専門研修は非常に重要なのですけれども、それを終わった人たちが地域医療を支えている。山形県の場合には市町村立のうちの90%は専門研修を終わった人、10%が専門研修をやりながらオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしている人というふうに、我々としては蔵王協議会がありますのでうまく回しているというふうに自負しておりますけれども、そういうきめ細かな、県によって少し違うかもしれません。ですからこういう資料というものをぜひより深めていただいて、大学病院にただ単に集中しているのではなくて、循環しているんだというような発想で地域医療をどうやって支えるかというのもこの会の目的だと思っておりますので、ぜひ御検討をお願いしたい。この2つです。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。新井構成員、どうぞ。

○新井構成員 今の山下参考人の補足ですけれども、かなり県によって違いはございますが、大学が地方自治体と協力しながら地域医療を支えているという、山形県は非常によくできた県だと思います。ですからこの会でぜひ今後、非常にうまくいっている県の実例を御紹介するようなことをお願いして、議論を深めていただければと思っております。

 追加です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、続きまして3番目の議題でございます都道府県協議会について、これは事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○星臨床研修指導官 資料3をごらんください。都道府県協議会につきましては、前回の検討会で御意見をいただいておりますし、また、整備指針に記載もございますので、都道府県協議会について簡単に御説明させていただきます。

 まず「1 位置付け」でございますが、都道府県協議会は、新たな専門医の仕組みに関し、地域医療に配慮した研修体制を形成するための、地域の関係者が協議する場として、平成28年1月の厚生労働省医事課長通知により各都道府県に設置をお願いしたものでございます。

 2でございますが、その構成員は、専門研修を行う基幹施設及び連携施設、大学、医師会、病院団体、都道府県等の関係者としております。

 3でございますが、これまで47都道府県全てで設置されておるということでございます。

 4でございますが、厚生労働省としましても地域医療への配慮は重要と考えておりますので、その開催を支援する観点から、開催経費を補助することとしております。この予算額につきましては平成29年度で3,100万円を確保しておりまして、こうした予算を確保して都道府県協議会の活動を支援してまいりたいと思います。

 「5 今後の予定」でございますが、来月にでも専門医に関する最近の動向や都道府県協議会の目的・構成・進め方等を含む内容につきまして、改めて厚生労働省から通知したいと考えております。その上で、その内容等の詳細につきまして、専門医機構の協力を得て都道府県等を対象とした説明会を開催したいと思っております。

 厚生労働省としましても、今後必要な対応を行い、都道府県協議会に十分に機能を果たしていただけるようにしていきたいと考えております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 既に先ほど林参考人からこの件については御意見がございましたけれども、引き続きお願いします。

 今村構成員、お願いいたします。

○今村構成員 ただいまの御説明で、昨年1月15日に厚生労働省からこの通知が発出された。もう1年半経とうとしておりますが、その間この都道府県協議会がどのような構成員で、どのように開催されて、何が議論されたかという御報告は、1年ほど前に1回あったきりであります。都道府県協議会の役割というのは非常に重要なものだという認識をしておりますが、ただいまの御説明では、これから通知を発出して、そして説明会を開くというようなお話です。

 先ほどの資料2-1にございますように、専門医機構に対して論点として4つ目、都道府県協議会に市町村を含めるというような、これは機構に投げられているわけですけれども、そもそも専門医機構に都道府県協議会がどのような構成団体で、どのように行われるかなどということを決める権限はおそらくないと思われます。これは厚生労働省のほうでしっかりと、今回6月から発出をしていただくということですが、現状がどうなっているのかということをきちんとどこかで出していただかないと、我々も議論ができないのではないか。機構としても困ると思うのです。

 ですから今、各都道府県、今日は奈良県から林部長が出ておられますけれども、実際にどのように開催されて、どのような議論がされているのか。1年半も前の発出ですから、当然ながら県はある程度のことをやっているということを前提に私はしているのですけれども、もしそうでないのだとしたら早急に対応していただきたい。6月の発出の中でこの市町村を加えるかどうかというようなことも改めて通知が出されるのかどうか、その点も含めて教えていただければと思います。

○遠藤座長 それでは、厚労省の立場として事務局、お返事をお願いいたします。医事課長、どうぞ。

○武井医事課長 御質問ありがとうございました。

 順にお答えしたいのですけれども、まず今後発出する通知の中で、協議会の中に市町村をしっかりとメンバーに加えていただきたい。やはりこれは厚生労働省のほうから都道府県にお願いするのが必要なプロセスかと思いますので、そこはしっかりやっていきたいと思います。

 あわせて今どのような取り組みがなされているかという活動実績についても、各都道府県に確認をしておりますので、多いところは数回ですとか活発に議論を重ねているところもあります。実は昨年度1年間、開始が延期されましたので、そうした背景も踏まえて次の開催を待っているようなところもございます。

 ただし、今後、今、議論していただいた内容ですとか、機構から発出される文書も多くなってきましたので、この状況を都道府県の担当者にお伝えする必要があると考えております。実は今年に入ってから市長会、町村会、都道府県会を通じて一度情報提供をさせていただいたのですけれども、全体を示していただくような会を設けてほしいという御要望もいただいておりますので、その点についてはしっかり厚生労働省として対応してまいりたいと考えております。

○今村構成員 ぜひともよろしくお願いいたします。ぜひこの会にもどのような状況になっているのか、47都道府県の実態が知りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。今、調査していただいているということですので、その調査結果をよろしくお願いいたします。

 以上です。

○遠藤座長 では、よろしくお願いします。

 立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 この議論を始めてから、都道府県協議会で機構がどのような形で推移しているか。当然フィードバックというものがありますから、その際に都道府県協議会の果たす役割という説明を私は受けてきたのです。

 ですが、今回、私はこの議論をするに当たって数県、6~7人の知事さんと話をしました。大抵の知事さんは、この専門医制度のことについてまずわかっていない。全然知らないわけです。市町村長もわかっていない人がほとんど。それが実態。そういうところで都道府県協議会がどこまで任務を果たせるのかということに対して疑問に思っています。各都道府県の中だけでの議論では私は足りないと思います。

 先ほど山内構成員からチェックの話が出てまいりました。加納構成員からも出てきました。私はそういう役割を果たすべきものは、実際に機構に対して地域医療担当者も含めた全体の国民医療を代表するような組織になるのではないかと思う。それを都道府県単位でやっていいのかという気がするのです。したがいまして、この都道府県協議会の連合体のようなものをつくって、全国的な議論としてやらないといけないのではないか。それは都道府県協議会連合体という名前でいいのかどうかわかりませんが、PDCAとかチェック・アンド・バランスとかフィードバックとか、いろいろな意味でこの機構に対して国民を代表して協議する機関というのは必要だろう。それは県単位であっては仕方がない。ですから全国レベルでの組織をつくる必要があるのではないかと思いますので、この数カ月間の議論も踏まえて御提案申し上げたいと思います。

○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。

 本日、知事の構成員が出席されているとよろしかったのですけれども、御意見として承りました。

 それでは、尾身構成員、どうぞ。

○尾身構成員 各都道府県が地域の実情に合わせ、責任をもって地域の医療に取り組むことは当然だと思います。その上で、都道府県の協議会が一生懸命議論することもまた当然です。その上で今の立谷構成員の提案は、都道府県の枠を越えた全国的なレベルでの議論が必要ではないかという点だと思います。私はその意見に賛成です。なぜならば、そうした全国的な仕組みが無ければ、各都道府県間のいわば綱引きが起きてしまうからです。またそうした全国的な場を通して、各都道府県の成功事例を全都道府県に共有することもできるし、全国的統一感のあるポリシーも考えられるt思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 山内構成員、お願いいたします。

○山内構成員 言葉のあれの確認というか、私はビジョン検討会を渋谷座長と一緒に尾身構成員とも一緒にやらせていただいたものがありまして、参考資料5にビジョン検討会の報告書が後ろのほうについていると思うのですけれども、ビジョン検討会でも14番目のスライドに報告書の専門医関係2であるのですが、地域医療支援センターは大学病院などと連携し、基幹病院において経験できる症例などを見ていくこともこちらのほうで提言はしているのです。そういった意味で都道府県協議会と地域医療支援センターと、もう一つビジョン検討会のほうで後ろのほうもめくっていただきますと、18ページのところに地域が主導で医療・介護の人材などを住民の生活を支えたり、これからの医療は地域の中でのニーズなどをきちんとその地域によって検討してやっていくというものの中に、この専門医も入ってくると思うのです。今、出されている資料3の都道府県協議会のところの位置づけが、新たな専門医の仕組みに関してということだけが挙げられているので、これはあくまでも専門医だけの都道府県協議会なのでしょうか。そうではなくてということで、その地域における医療を包括した都道府県協議会の中で、専門医に関しても検討されるということで考えてよろしいのでしょうか。

○遠藤座長 事務局いかがでしょう。医事課長、どうぞ。

○武井医事課長 この都道府県協議会なのですけれども、当然地域医療支援センターですとか、既存の仕組みと連携をしながら進めていくという前提のもとにつくられておりまして、例えば、以前つくられている組織として地域医療対策協議会という既存の仕組みがあります。そういったものも活用しながら協議会の中で専門医、専攻医について御議論をお願いするために、昨年、厚生労働省から各都道府県に通知を出しました。ということで、先生御懸念のこれが全てをやるというわけではないですけれども、既存のセンターですとか、都道府県協議会が連携をしながら地域の医療をしっかり考えていくという方向で考えております。

○山内構成員 地域を本当に包括して医療を考えていかなければいけないというのが私どもビジョン検討会で非常に考えたもので、ダブルスタンダードになってしまってはいけないと思うのです。地域包括センターと地域の都道府県の協議会のダブルスタンダードができてはいけないと思いますので、その辺もまたそういった意味を、大きなそういった形での取り組みをしていただければなと思っております。

○武井医事課長 先生御指摘のように包括的、効率的に進めていくという考えでございます。

○遠藤座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 1つは兵庫県の専門医機構の理事でもあります井戸知事がトップですが、それから、大阪厚生局におられた方が健康福祉部長ということで、本当であったらたくさん開かれなくてはいけない。私も構成員なのですけれども、地域医療協議会は昨年夏に1回開かれただけでございます。県立病院も15ぐらいありますし、本来はもっともっとやらなくてはいけないのですけれども、なかなか開かれない。私は自治体病院協議会というものを預かっていますので調べてみますとほとんどのところが、余り開かれていないというのが先ほど今村先生がおっしゃったとおりでございます。

 地域医療支援センターと地域医療協議会の成功例、やはり一番成功したものは山下先生のところの山形県の蔵王協議会だと思います。続いてそこにおられます堀岡さんの山梨県。隠岐の島のお産ができないというので始まった自治体病院議員連盟の細田博之先生の選挙区であります島根1区ですけれども、島根県が物すご自治医大と協力しまして非常にうまくいっている。あと鶴田さんという衛生協議会の会長がおられます静岡県。この4つぐらいがPDCAを回したら回っているところだと思います。ほかの地域医療支援センターはPDCAで本当は廃止するべきだと私は思っております。それから、北海道の一部、空知地方とかその辺が産婦人科中心にまあまあいっている。ほとんどが予算食い倒れというか、食い逃げというか、ほとんど動いておりません。

 それから、やはり大事なのは市町村とか一番現場に近い人が意見を出さないと、これはうまく回らないだろうと思っております。だから国保診療所とかかかりつけ医とかも含めて、地域医療を担っている人たちが参加してやっていかないといけないのではないかというのが私の率直な意見です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。今村構成員、山下参考人、どうぞ。

○今村構成員 先ほど立谷構成員、尾身構成員からもいただいた全体を包括するような議論ができる場というのはあってもいいと思うのですけれども、今、邉見委員からもお話があったように、に地域医療をいかに守るかという視点で議論をしている中で、その都道府県内の地域がいかにちゃんと回っているかどうかの確認をできるような会も開かれないのに、全体の話をしても何も生まれてこないという思いはあるので、邉見先生が非常に詳しく4県ぐらいの具体的なお名前をいただいたのですけれども、実態がどうなっているかということを議論する場がこの検討会の本来のミッションだと思っておりまして、それを踏まえて専門医機構がどのように仕組みをつくるかという議論をしていただく。そういう構図の中で、必要があれば全体が集まって議論をするという場があってもいいと思うのですけれども、順番からしてまずやるべきことはしっかりと都道府県協議会を機能させる。地域の中をきちんと実施ができるようにしていくことが大事かなと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 立谷構成員、どうぞ。

○立谷構成員 私が都道府県協議会について申し上げたのは、医療総論ではないのです。今日のこのレジュメの中に都道府県協議会についてという4番があるわけです。この4番には研修プログラム承認後も地域医療云々と書いてある。この議論の延長に都道府県協議会が出てきているのです。この議論の延長に出てきている都道府県協議会が各県ごとにやっても仕方がないと思います。これは全国的な問題になるわけです。機構がどうなのかということに対しては。だとしたらこれは全国レベルでやらなければ、これだけでは意味がないだろうというのが私の意見の趣旨です。

○遠藤座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 十分そこは踏まえた上で、そもそもの都道府県協議会が機能していなければ地域の実態がわからないということなので、これは市町村も入っていただいて、しっかりとまずはそこをやっていただく。そのことの確認はこの会でやったほうがいいのではないかということを申し上げたわけです。その先に県だけではなくて、さらに今おっしゃったような論点が出てくるのかなと思っています。

○遠藤座長 それでは、尾身構成員。

○尾身構成員 今の今村構成員まずは情報がないとやったってしようがないということ、私も大賛成です。同時に立谷構成員、邉見構成員が仰るように全国レベルの協議には地域医療の現場を経験している人の声がフィードバックされることが極めて重要です。その場がこの地域医療に対する検討会なのか、あるいは別のメカニズムはまた皆で考えれば良いと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。山下参考人、どうぞ。

○山下参考人 邉見先生から言っていただいたのは非常にうれしかったのですけれども、山内先生がおっしゃったことが私にとっては一番腑に落ちるといいますか、非常に大事なポイントかと思います。邉見先生もおっしゃっていただいたのですが、要するに蔵王協議会を山形大学で12年ぐらい前につくりました。嘉山先生という当時の医学部長がつくって、大学がもちろん音頭をとりましたけれども、医師会、県内の病院、もちろん行政、そのほか歯科医師会とか看護協会とか全部入っています。

 その会で何をやっているかというと、教育のことだけではないのです。医療とか、今度は医療事故調をつくるとか、要するに医療、教育、研究に関しても実はお世話になっています。総合的なことをやる。いろいろな部会があって、今回、専門研修部会をつくりました。要するにいろいろなことをやっている中で出てくることなので、教育だけということになるとオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやっているので人はどうなんだという話、先生がおっしゃった指導医の問題とかいっぱい出てくるわけで、全部そこまでやらなければいけないということになると、要するに今村先生もおっしゃっていただいたように多層的な組織をまずつくって、そこで機能させた上で情報交換というのがいいのではないか。要するにうまくいっていると自負しておりますが、それに関してなぜうまくいっているかというと、いろいろなことを全部やっていて、医療関係者が全部そこに参加している。毎年総会は1回ですけれども、そのほかに臨時総会を何回かやっております。みんなで情報共有をする。そういうことの中で教育をやったり医療事故調をつくろうとか、専門研修をやろう、医学部の広域連携実習をやろう、そういうものも全部その場でディスカッションしています。そこに出てきている中小の病院の先生、開業の先生、みんな参加していただいているので、自分の問題として捉えていただいています。その中から専門研修も出てくるので、みんながスムーズにあれの延長線、卒前、初期臨床の延長線だなということですっと入りました。だからそのような組織を、ほかにもいろいろとお考えはあるかもしれませんけれども、やはり私は山内先生がおっしゃったような総体的な組織というものが今後長続きする秘訣ではないかということで御紹介いたします。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 大体予定されていた時間になりましたが、よろしゅうございますか。

 それでは、1つお諮りするといいましょうか、まず吉村構成員から出されております専門医制度の新整備指針でございますけれども、これはあくまでもまだ案という状態でありますので、これからの専門医制度の理事会でこれを確定していかなければならないということでありますが、前回のさまざまな御意見を反映した形で今回、案が出されております。ということで、また本日も幾つか御意見もありましたので、そういった御意見に特段の御配慮をしていただくということを条件として、日本専門医機構とされましては直近の理事会で新整備指針の改正をお願いするということを皆さんと合意をするということでよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○遠藤座長 ありがとうございます。それでは、そのような対応をぜひしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、地域医療への配慮に関する学会の取り組みにつきましては、本日は日本内科学会から非常に御丁寧な説明がありました。次回も専攻医の数が多くて地域医療への影響が多いだろうと思われる7つの学会が予定されているようなのですが、その7つの学会からも御説明を承りたいと思いますので、また御意見等々をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に次回の日程等について事務局から何か連絡はありますか。

○堀岡医事課長補佐 本検討会の今後の進め方につきましては、また座長と御相談して進めさせていただければと思います。学会の皆様方からの御説明を伺いたいと思っておりますので、本日、基幹病院と大学病院との割合など、いろいろな御指摘を議論の中でもいただきましたので、そういった資料もそろえていただくことをお願いして、次回の検討会に臨みたいと考えております。

 次回の検討会の日程は、事務局の調整の上、改めて御連絡させていただこうと思っております。

 本日はありがとうございます。

○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の会議はこれにて終了させていただきたいと思います。構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中どうもありがとうございました。また、日本内科学会の皆様方も御丁寧にありがとうございました。それでは、終了いたします。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会> 第2回今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会(2017年5月25日)

ページの先頭へ戻る