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2017年7月31日 第15回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

子ども家庭局家庭福祉課

○日時

平成29年7月31日(月)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第4号館全省庁1208特別会議室(12階)


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 井上構成員 加賀美構成員
上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員 藤林構成員

事務局

吉田子ども家庭局長 山本内閣官房内閣審議官 長田総務課長
成松家庭福祉課長 宮腰虐待対策推進室長

○議題

(1)とりまとめに向けた議論
(2)その他

○議事

○田野家庭福祉課課長補佐

 定刻となりましたので、ただいまから「第15回新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、相澤構成員、西澤構成員、林構成員、山縣構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付資料といたしまして、右上に番号を付してございますけれども、資料1「新しい社会的養育ビジョン(案)」を配付させていただいております。あとは机上配付ということで、西澤構成員からいただいた御意見を1枚配らせていただいております。

 藤林構成員から資料を事前に送っていただいたようなのですが、こちらの不手際で印刷ができておりません。追って配布させていただきます。大変申しわけございません。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。大丈夫でしょうか。

 それでは、これより先の議事は奥山座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○奥山座長

  ありがとうございました。

 きょうは2時間という短い時間でございますので、さくさくと進めていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 一つ、前回、14回の検討会が5月26日でございまして、この間、構成員の間で報告書案の編集をずっと行ってきたわけでございますけれども、その工程について少し御説明させていただきたいと思います。

 前回、夏に向けて報告書を作成するという、それこそ期限を切った緊張感あふれる目標を立てて、構成員の間で、まず分担をさせていただきまして、その分担について皆さんにこれまでの議論に基づいて御執筆いただきました。皆さん非常に思い入れが強い御執筆でございまして、かなり長くなってしまいました。ここにあります報告書案でも五十何ページという長さなのですけれども、最初はそれ以上に非常に長いものができ上がってしまいました。それをそれぞれに短くしていく作業をしてまいりました。

 ただ、短くしていく作業の間で、幾つか矛盾点があったり、あるいは細かいところで、ここはきちんと細かいことを書き込んだほうがいいのではないかというようなところが出てまいりましたので、そのことについては後ほど議論をしたいと思っております。

 最後に、サマリーを抜いた本文、資料でいいますと6ページ以降が本文になるわけですけれども、本文ができ上がり、皆様と一緒にこれを最終案にしていこうという段階で、もう一度私のほうで過去からの経緯を見直してまいりました。サマリーの最初にも書いてございますように、専門委員会の報告書が出まして、それに基づいて国会で議論がなされた。国会で、全会一致でこれが認められた。つまり、国民の代表である議員たちによって、全会一致の中でこの法律ができたということは、非常に重みのあることだということをまずは考えておかなければならないだろうと考えます。その国会で、いろいろ議論もなされ、厚労省として、厚労大臣あるいは厚労省の方々が答弁をされてお約束をなさったこともございますし、その文言もございます。そういうことを踏まえなければならいと思いました。

 もう一つは、実は、本文の中をごらんいただければわかると思うのですけれども、期限に関しては明確にしておりましたが、数値目標は余り入れ込んでおりませんでした。例えば代替養育のところでは、原則家庭養護とか原則里親養育を達成するというような書き方になっております。これまでの報告書を少し考えてみますと、原則家庭養護とか原則里親委託とは、一体どのぐらいのことを指しているのだというのが全くわからない段階で報告書を出すのは非常に無責任ではないかという考え方もございました。余りに長い五十何ページの報告書ではメッセージ性も少ないということで、サマリーをつくり、そこに数値目標を入れたという形で出させていただいております。

 ですので、このサマリーに関しては構成員の皆様もきょうが初めてでございますので、サマリーについてまずは検討させていただいて、その上で、先ほど申しましたように、こういう公開の場で議論してきたものに加えて、みんなで報告書(案)を執筆した中で、細かい点が出てきたというところは、最後に少しお示ししていきたいと思っております。

 ということで、まずはサマリーのほうをあけていただきたいと思います。1ページからでございます。そこに書いてありますように、サマリーが全会一致で通ったということ。国会でも繰り返し大臣がおっしゃっておりましたし、この委員会の最初の目的、要綱の中にもありました「社会的養護の課題と将来像」を見直して「新しい社会的養育ビジョン」を立てることを明確に書くということで、最初に「1.新しい社会的養育ビジョンの意義」ということで書かせていただいております。

 「2.新しい社会的養育ビジョンの骨格」は、今まで皆様とお話ししてきたことのおおむねのまとめになると思います。

 「3.新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」という中で年限を、本文の最後をごらんいただければと思います。何ページになるのか・・・。

 

○吉田子ども家庭局長

45ページです。

 

○奥山座長

45ページですね。ありがとうございました。

45ページの「新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」で、ここは報告書をつくるに当たって何らかの工程表を出そうということで、表にしようかあるいは文章にしようかということで、報告書をつくる段階でかなり考えてきたわけですけれども、なかなか表にするのも難しいということもございまして、こういう形で責任が国、あるいは責任が都道府県という形で、期限を設けて、いつまでに何をということを書いてございます。ただ、ここを見ていただいておわかりいただけるのは、先ほど申しましたような数値目標はこの中には入れていなかったということでございますが、サマリーを書いていく段階で入れた形で書かせていただきました。

 きょう、サマリーを御議論いただいて、この数値が妥当であるということであれば、本文の中に盛り込んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、本文を開いていただいて、3ページです。「パーマネンシー保障のための家庭復帰計画、それが困難な時の養子縁組推進を図るソーシャルワークを行える十分な人材の確保を概ね5年以内に実現する」で、児童相談所の問題でございますけれども、これに関して何か御意見はございますでしょうか。

 事務局のほうもよろしいですか。

 では、これはそのままで行きたいと思います。

 「(4)永続的解決(パーマネンシー)保障としての特別養子縁組の推進」は「概ね5年以内に、現状の約2倍である年間1000人以上の特別養子縁組成立を目指し」という書き方になってございますが、きょうは林構成員がお休みなのですけれども、藤林構成員から何かこれに関して御意見はございますでしょうか。

 すみません。一つ言い忘れました。本文のほうも、実はこの検討会で綿密な議論をしていない場所が幾つかあります。それはワーキンググループのほうでお詰めいただいているところです。ですので、市町村のところもどちらかというと市町村のワーキンググループでお話しされたことを受けておりますし、司法関与、特別養子縁組に関する検討会でのことはこちらで余り議論していませんけれども、それに関しても、その結果を推進することということで書かせていただいております。

 もう一つは、人材育成のワーキンググループですけれども、人材育成に関してはカリキュラムあるいは到達目標をつくりましたので、それをきちんと遂行して、その効果をきちんと見ていくということが書かれております。ただ、児童相談所の改革に関しては、ワーキンググループのほうで結論がまだ出ていないところでございます。したがいまして、そこは新たな子ども家庭福祉に関する専門委員会の報告書を踏襲した形で書かせていただいております。それからは前に余り進んでいないということで、専門委員会のことを踏襲して、なるべく早くそれを前へ進めるようにという書き方になっております。それはお話をするのを忘れましたので、つけ加えさせていただきます。

 藤林先生、1,000人というあたりはいかがでしょうか。

 

○藤林構成員

 ここの1,000人、現在が大体500人。年間の成立件数が500人で、それが1,000人というのは可能な数字なのかどうか。妥当なのかどうかということなのですけれども、昨年、この検討会とは別に開催されていた特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会がありまして、そこで厚生労働省が全国の児童相談所と民間あっせん機関を全国調査したものがあります。この検討会では配られたことがあるのではないかと、ちょっと記憶は定かでないのですが、その中で、現在の法制度または民間機関と児童相談所の連携といった問題のために、検討したけれども特別養子縁組に至らなかったもの、そもそも年齢要件などのために検討さえできなかったが本来特別養子縁組になるべきもの。そういったものの全国調査の数字があります。

 それを今、紹介しますと、検討したものの成立に至らなかった件数が平成27年度で120件。これは児童相談所とあっせん団体の両方を合わせた数字です。そもそも検討にさえ至らなかったけれども特別養子縁組になるべきものだったという件数が155件。両方を合わせますと270件ぐらいなのです。プラス、児童相談所によって特別養子縁組に至る件数も全国的にばらつきがあるわけですから、例えば大阪市などは十数件ありますし、福岡市でも6件、8件ぐらいです。けれども、ゼロ件の児童相談所もあるということから考えていきますと、こういった法制度改革がなくても増えていくことも考えると、大体倍増というのはできる数字ではないかと思っています。

 ただ、これができるためには、ここにも書いていますように、年齢要件の引き上げであるとか、実親の不同意のため、それをクリアしていくためには手続の二段階化であるとか、児童相談所長の申し立て権といった問題を解決していくという、一つは、の法改正を実現していくという問題と、もう一つはなかなか適当な養親候補者がいらっしゃらないという問題もありまして、それは以前から林先生が主張されていた、民間あっせん機関と児童相談所との連携といった問題を解決していくことで、倍増は可能ではないかと思っております。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。何か御意見はございますでしょうか。

 

○加賀美構成員

 今回のサマリーで、施設の在所の期間、滞在期間を原則1年。

 

○奥山座長

 すみません。それは一つ一つやっておりますので、今は特別養子縁組のところをやっております。

 

○加賀美構成員

 それと関連しているのです。そのようなことをうたっていますね。そうなると、当然短い期間で家庭へ帰す、あるいはそれがかなわない場合に特別養子縁組という構造で考えようということだろうと思うのですが、そういうことを進めていく上での1,000人というのが、果たして対応できる数なのかどうかということに、余りこれまでなかった話なので、実態がどうなのか私どもとしては不安がある。こういうことでございます。

 

○奥山座長

 要するに、1,000人では足りないのではないかと。

 

○藤林構成員

 そういう意味ですか。

 

○加賀美構成員

 そうです。

 

○奥山座長

 つまり、こちら側で1,000人はできるだろうというのはある。加賀美先生がおっしゃっていることは、片側で、代替養育をできるだけ短くして永続的解決を図ろうとしたときにどのぐらい必要なのかという問題があるだろうということですね。

 

○加賀美構成員

 そうです。

 

○奥山座長

 そうすると、本当に1,000人で代替養育からの永続的解決が図れるかというところの御質問だと思うのです。

 

○藤林構成員

 答えは難しいのですけれども、この1,000人という数字は、先ほどの全国の特別養子縁組の実態調査の中で、児童相談所の意識の中、または民間あっせん機関の意識の中で270人ぐらいは現在でもいろいろな条件が解決すればできる数字だということを言いましたが、そもそも、実親のもとに帰れない子どもは、現在の社会的養護、代替養育の中にもっと多くいらっしゃるわけなのです。

 そこまでを視野に入れると、多分、1,000人ではなくてもうちょっと多い数字ではないかと思いますが、その部分まで意識を改革していくとか、または年齢の高い子どもも特別養子縁組の対象にしていく。年齢要件が引き上げられたとして、そうすると、年齢の高い子どもが特別養子縁組になるためには、その成立前後のサポートも十分に必要になっていきますから、長いスパンで考えていくべき課題ではないかと思います。倍増というのは、当面の目標としては必要な数字として妥当ではないかと私は思っています。

 

○奥山座長

 つまり、5年後に倍増を一応目標にはする。ただ、それで足りるかどうかというところは見ていかなければいけない。

 

○藤林構成員

 そうです。多分、それ以上に必要な子どもはいらっしゃると私は思っておりますけれども、5年でそれ以上というのは難しいのではないかと思います。

 

○奥山座長

 そこら辺は、何らかの形で、つまり、今まで家庭復帰計画をきちんと立てて、家庭復帰に向けた努力をし、その上で養子縁組という永続的解決を図ることを余り徹底してこなかったということがございますので、徹底したらどのぐらいの数字になるのかをきちんと見きわめなければいけないというのを、どこかに本文で担保しておいたほうがいいのではないかと思います。どこに入れたらいいかは、こちらで考えさせていただきます。

 

○藤林構成員

 福岡市で昨年度、施設に長期入所している子どもの実態調査を行ったのです。各担当児童福祉司が、この中で特別養子縁組が必要と判断できる子どもは何人かという調査を行ったら、46人という数字が出たので、それで考えると、多分、倍増以上とは思うのです。現在措置している子どもの個別のニーズをしっかり調べていくことが、必要なパーマネンシープランを考えていくということにおいては重要ではないかと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 パーマネンシープランを徹底した場合にどうなるのかの継続的な調査というようなことをどこかで入れておく必要があるかなと思います。ほかはよろしいでしょうか。

 井上先生。

 

○井上構成員

 それに関係するのですけれども、データを集めるときに、現在、周産期医療関係の学会で、周産期センターのデータがきちんと出ています。特に長期にわたって周産期センターで見ていかなければいけないような子どもになればなるほど、私たちの対象になる可能性が強いので、大まかな数字を把握していく上にその辺の数字も使っていくのが大事だと思いますが、いかがでしょうか。

 

○奥山座長

 特別養子縁組に関してということですね。

 

○井上構成員

 特別養子縁組の対象となるような方たちの調査も、そこの母集団をはっきりした上で、そのうちの何%かを見ていったらいいかと思います。

 

○奥山座長

 特別養子縁組に関しては、代替養育を経由する群と経由しない群があるので、両方を見ていく必要があるかとは思います。ほかはよろしいでしょうか。

 

○藤林構成員

 ついでに言いますと、井上先生が言われたように、児童相談所を経由しないケースとか、または妊娠時から、特別養子縁組という選択肢があるということを情報提供していくことも重要なことです。今回、厚労省はとてもいいポスターや、医療機関向けのリーフレットもつくられているので、これも活用していくことが重要ではないかと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 次へ行きたいと思います。(5)ですけれども、まずは一番上ですが、就学前の子どもに関して「原則として施設への新規措置入所を停止する。このため、遅くとも平成32年度までに全国で行われるフォスタリング機関事業の整備を確実に完了する」という書き方がなされております。これに関して、先ほど申しましたように、国会でのお約束も含めてこういう書きぶりになっておりますが、いかがでしょうか。

 井上先生。

 

○井上構成員

 私は「原則として施設への新規措置入所を停止する」のところの文章なのですが、平成28年度の改正児童福祉法の観点から、施策の方向性から考えますと、停止するというのは非常に重要で、かつ、適正と考えています。

 しかしながら、先ほども言いました周産期医療の現状を申しますと、例えば性的虐待とかその他の虐待を受けた子どもの間違った行動化の問題の結果として生じた十代半ばの若年妊婦による出産とか、ある種の奇形症候群の子どもなどの場合で、呼吸器、循環器、栄養などの生命維持における重篤な問題がない新生児、特に未熟児などでは、このような子どもたちの代替養育の環境が整っていない現時点では、このような子どもたちが生きていく場所がなくなるのではないかという可能性が不安として残ります。

 私としては、停止を前提に準備が整ったところから、一時保護の必要のある子どもやケアニーズの高い子どもを除いて新規入所を原則停止とする。ただし、準備期間の区切りについては現場の意見も聞きながらできるだけ早急に行うようにするというような、そういった考え方、文章はいかがかと思いました。

 

○吉田子ども家庭局長

 恐縮ですが、ゆっくり教えていただけませんでしょうか。

 

○井上構成員

 文章のところを言っていいですか。停止を前提に準備が整ったところから、一時保護の必要のある子どもやケアニーズの高い子どもを除いて新規入所を原則停止とする。ただし、準備期間の区切りについては、現場の意見も聞きながら、できるだけ早急に行えるようにするという形です。理由のところはよろしいですね。

 

○奥山座長

 申しわけありません。ここは措置入所なので、一時保護は含まれない問題です。もう一つは、原則停止ということは、先ほど言いましたように国会でも出た言葉でございまして、原則的にそれだということは入れざるを得ないのだろうと思います。

 

○井上構成員

 わかりました。

 

○奥山座長

 伊達先生。

 

○伊達構成員

 この場合の施設への新規措置入所を停止するというのは、誰に対して停止させるというようになるのですか。児童相談所がこれを停止するというように、児童相談所に対する改革の指示みたいなものを出そうとしていることになるのですか。

 

○奥山座長

 そうなると思います。

 藤林先生。

 

○藤林構成員

 これを読んだときに、児童相談所にそう言われているのだなと思うので、児童相談所は大変だと思うのです。けれども、この大変という気持ちは、今回の平成28年法改正の公布通知の中にも原則と書いてありますから、少なくとも我々は、今、その準備段階に入っているわけなのです。これが全面的にできるのはいつになるかまだわかりませんが、こういうマインドは各児童相談所が持っているのではないかと思っています。

 

○奥山座長

 原則ということですね。

 

○伊達構成員

 ただ、現実的には児童相談所が施設に入所を依頼してくるときには、一時保護所が満杯なので入れてくださいということで、アセスメントがちゃんとできて入れているわけではないわけですから、一時保護所が今後、満杯になっていき、一時保護所が満杯になったときにはアセスメントがうまくなされないまま施設入所になっていくという、そういうまずい流れは払拭できないと思うのです。本当は児童相談所がきちんとアセスメントをして、本当に子どものニードに応じた形でこれは親から分離して、永続的解決を図らなくてはいけないというところをちゃんと決めて、そして運んでいくという結果が、この特別養子縁組あるいは里親委託がふえていくということにつながればいいわけですけれども、そこがこの数値目標の中では見えないのです。

 

○奥山座長

 それが先ほどのお話、これでいいですかと言った「パーマネンシー保障のための家庭復帰計画、それが困難な時の養子縁組を図るソーシャルワークを行える十分な人材の確保」というところにもつながる話だろうと思うのです。児童相談所が強化されないとここがうまくいかないというのはそのとおりではないかと思います。

 井上先生。

 

○井上構成員

 それもあるのですが、特に小さい子どもの分のアセスメントに関しては、私たちは医療、保健師たちのかかわりが絶対に必要だと思うのです。私たちが経験していたものは、入院している間に児童相談所のケースワーカーの方が病院のほうにちゃんと来てくださって、そこできちんと医療者と看護師とその他のことを話し合って、その中での看護師とお母さんたち、あるいは先生と御両親との関係とか、そういったことも全部含めた上で判断していくような柔軟な考え方を持っていかないと、病院を退院してから児童相談所に来て、そこから話をしますなどというやり方をやっている限りはうまくいかないのではないかと強く思っているのです。

 

○奥山座長

 その辺は、本文のほうで結構一時保護のところあるいはアセスメントのところで書き込ませていただいたところなので、今はサマリーに集中して議論を続けさせていただきたいと思います。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 ここはあくまでも一時保護は除くという意味で理解していいのですね。わかりました。

 

○奥山座長

 はい、その通りです。

 

○上鹿渡構成員 今議論されている、原則停止という部分の原則の意味が次の行の「具体的には」というところに書かれています。乳児院では75%ということで具体的な数字として挙げられています。ですので、こちらもセットで議論するほうがよいかと思います。

 

○奥山座長

 では、一緒にやりましょうか。先生のおっしゃるとおりでございます。

 そうしましたら、4ページも一緒にあわせて議論したいと思います。前から行きますね。「具体的には、実親支援や養子縁組の利用促進を進めた上で、愛着形成等子どもの発達ニーズから考え、乳幼児期を最優先にしつつ、フォスタリング機関の整備と合わせ、全年齢層にわたって代替養育としての里親委託率(代替養育を受けている子どものうち里親に委託されている子どもの割合)の向上に向けた取組を今から開始する。これにより、愛着形成に最も重要な時期である3歳未満については概ね5年以内に、それ以外の就学前の子どもについては概ね7年以内に里親委託率75%以上を実現し、学童期以降は概ね10年以内を目途に里親委託率50%以上を実現する」で、現在、平成27年度末の里親委託率は全年齢で17.5%でございます。これについて、上鹿渡先生がおっしゃっておられますように、あわせて議論をしていきたいと思います。

 藤林先生。

 

○藤林構成員

75%以上を実現していくというのは、児童相談所の役割が非常に大きいところがあるわけなのです。けれども、具体的にどういうことを意味するのか、反対に言えばどれぐらいの里親を確保するのかということで、昨日の晩にシミュレーションをつくってみました。皆さんの手元にあると思いますので、説明したいと思います。これはまだわからない数字がありまして、推計のようなものですから、もし厚労省のほうで数字があれば埋められるかなと思うのですけれども、とりあえず試案ということで、こういう計算式があると参考にしていただければいいかと思います。

 まず、現状ですけれども、平成25年2月1日の年齢別の措置児童数が、平成25年の表しか見つけられなかったものですから、これで見ますと、ゼロから6歳の子どもは1万367人いまして、この中で里親委託率は15.2%というのが現状の数字と思います。

 2ページ目を開いていただきますと、次に入所期間がありまして、乳児院の場合には、1年未満が約48%、1年以上が52%というのが入所期間です。1年以上入所している子どもが半数以上ということです。児童養護施設はゼロから6歳の子どもの入所期間がないのです。これがもしあれば御準備いただけるととてもありがたいのですけれども、全体しかないので、これは今後のシミュレーションには使いにくいところです。(3)がとても重要な数字と思っているのですけれども、乳児院から児童養護施設に措置変更になる児童数が705人。里親に措置変更になる子どもが260人、ファミリーホームも25人。要するに、家庭養育になる子どもの2倍以上の子どもが児童養護施設に措置変更になっているというのが現状と思います。

 養育ビジョンの方針を考えますと、新規措置は原則家庭養育。なかなか難しい。すぐにはできないところです。長期入所の抑制とか、家庭養育の措置変更とかは本文に書いているところなのです。当面児童相談所として、この3カ月、6カ月というのは私が想像した数字なのですけれども、少なくとも6カ月以上の子ども、児童養護施設については1年以上になる場合には、もう長期になってしまうので、里親委託すると仮定した場合に、どういう数字になっていくのかが、この下の表のシミュレーションです。

 わかっている数字は乳児院の場合ですけれども、1年以上の子どもが52%ですから1,636人。半年以上の子どもは統計上わかりませんので、ざっくりと1年以下の子どもの半分ということで255人です。児童養護施設の1年以上のゼロから6歳の子どもの数字がないものですから、これも推計で、特に乳児院から措置変更した子どもが各年度700人いらっしゃると考えると、700掛ける4なのですけれども、福岡市の調査では、15%はその間に家庭復帰しているという数字がありましたので、家庭復帰できないで小学生までいる子どもを推計して85%の約600としました。600掛ける4ですから2,400人が乳児院から措置変更した子どもです。

1,622人というのは、家庭から幼児期に児童養護施設に措置された子どもで1年以上入所している子どもですが、これは既存の公表された資料では数字は不明、わからないのです。わからないので、児童養護施設に入所している0~6歳の子どもの人数5,645から2,400を引きましたら3,245人、その約半数が1年以上入所していると仮定して1,622人と推計を出しました。黄色の数字を合わせると、合計6,413人になります。要するに、乳児院が6カ月以上、児童養護施設に1年以上、乳児院から措置変更した子どもたちを里親委託にした。それだけの数字でこれぐらいになります。ということは、この人数分、新たな養育里親の確保が必要になっていくわけです。全員が里親委託に措置変更できたとした場合の推計ですけれども、それが下の表にありますように、里親委託率は77%になります。なお、特別養子縁組に500人が移行したと仮定すると75.8%ぐらいになるかなと思います。

 次は最後のページになりますけれども、要するに、5年後には6,413人の養育里親を確保しておかないといけない。5年後でありますと、年間1,282人。毎年1,200人ずつの養育里親をずっと積み上げていって、5年後には6,400人となるわけです。

 下の表は、これも厚労省のホームページからとってきたのですけれども、平成26年度末までしか見つけ切れなかったのですが、年間200から300人ぐらいです。この年間200から300人の養育里親を年間1,200人にふやすというのは、なかなか大変だと。そうだとは思うのですけれども、人口120万人の都道府県・政令市で換算すると年間13人。年間13人の養育里親の確保は、そんなに非現実的な数字ではないと思っていまして、でも、今まで年間2人、3人の養育里親しか確保できていなかった実態が年間13人になるためには、一つはフォスタリング機関、児童相談所そのものまたは民間フォスタリング機関の整備が欠かせないということと、リクルート手法です。福岡市も昨年度から民間機関に委託して、専任のリクルーターがエリアを絞ってリクルートするのですけれども、確実に養育里親が確保できていることを考えますと、リクルートの今まで行ってきた手法の質的転換も必要ではないかと思います。

 福岡市の取り組みが全国共通に当てはまるかどうかはわからないのですけれども、過去10年間の里親制度の普及啓発という土壌の上で、リクルートの効果があるのかなと思うのです。リクルート手法やフォスタリング機関の整備という十分なコストをかけていけば実現可能ではないかと思います。

 以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 フォスタリング機関の整備ということがこの文章の中にも2回入ってきておりますので、そこが非常に重要だということは強調されているのだろうと思うのですけれども、ほかにいかがでしょうか。

 西澤先生から、きょうは御欠席なのですけれども、サマリーを見ての御意見をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。

 「資料を拝見しました。意見は明日の会議でということですが、明日の会議に出席できないので、メールで意見を述べさせていただきます。すみません。

 日本語として如何なものかと思われる記述が散見されますが、それは本質的なことではないと思いますので、ここではスルーします。

 数値目標の設定は、行政が緊張感を持って仕事に取り組む要因になると思いますので、是非、数値目標を入れ込んで下さい。ただ、社会科学を専攻するものとしては、その数値目標が妥当であることを示す必要があると思っています。ですので、制度が整った段階でも、その辺りしっかりと維持できるエビデンスを収集する姿勢が必要ではないかと思っています。

 明日の会議に欠席で申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

西澤」

ということでございました。

 数値目標は必要だろうと。ただ、その根拠をしっかり提示できるほうがいいのではないかということです。一番、ここの5年で75%というのが厳しいというところを今、藤林先生がお話しくださったのです。

 

○松本座長代理

 ここの下線部の「停止する」というような書き方と、その後の75%云々という目標と、今、両方をやっているわけですね。4ページ目の2つ目のパラグラフで、下線部のすぐ後のパラグラフです。「ただし、ケアニーズが非常に高く、施設等における十分なケアが不可欠な場合は、高度専門的な手厚いケアの集中的提供を前提に、小規模・地域分散化された養育環境を整え、その滞在期間は、原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とする」と。この1年以内云々はまた後で議論になると思いますけれども、乳幼児は数カ月以内とある。そうすると、ただし書きの後は、数カ月施設で措置されて暮らすことがあるということですね。そうすると、前の原則停止のところと、どうこれが関係するかは確認しておいたほうがよくて、原則停止とする。このため、平成32年までに全国でお金やフォスタリング機関の整備を確実に完了するというようにして、ただし書きはここと直接つながるのかなと思ったのです。里親はたくさんつくりましょうと。それでただしというように来るだけではなくて、原則停止とする。ただし、必要な場合はというようにも読めるわけで、そこは整理をしておくべきかなと思いました。

 

○奥山座長

 恐らく原則の中身になるのだろうと思うのです。いかがでしょうか。

 藤林先生。

 

○藤林構成員

 話を戻っていいですか。先ほどのペーパーに、重大な間違いに気がつきまして、私のお配りしたシミュレーション試案の2ページ目の張りつけた表ですが、これは別の表を張りつけてしまっています。在籍児童の措置時の年齢を張りつけてしまったのです。ですから、物すごく、0から6歳が多い数字なのですけれども、これはまた後で、次回にでも差しかえます。入所児童の年齢の表がありますので、それと差しかえてもらう。この下の数字は変わらないのです。

 

○奥山座長

 数字は変わらないですね。表が変わるということですね。

 

○藤林構成員

 表が変わります。ついでに、これは間違えて張ってしまった表なので、これを見ていただくと、児童養護施設の措置時の年齢なのです。ですけれども、現在、0から6歳までに措置された子どもは、児童養護施設にざっと計算すると1万6,000人ぐらいいらっしゃいます。

 

○奥山座長

 ちょっと待ってください。どこの数字ですか。

 

○藤林構成員

 1ページ目です。

 

○奥山座長

 1ページ目ですね。了解です。

 

○藤林構成員

 これは私が間違えて張ってしまった表なのですけれども、せっかく張ったので、これもとても重要な表だと思うのですが、要するに、何歳に措置された子どもが今、児童養護施設にいらっしゃるのかという数字なのです。0から6歳に児童養護施設に措置された子どもが、現在1万6,000人いらっしゃる。その中にはもう17歳とか16歳というような子どももいるわけですけれども、乳幼児、要するに、就学前の子どもが原則家庭養育となっていくということは、将来的に児童養護施設の、措置時0から6歳の子どもの数字はなくなっていくことになります。

 加賀美先生、計算で推測するとそれでいいですね。要するに、乳幼児を家庭養育原則にするだけで、自動的に児童養護施設の入所児童数は半分になる。それは10年後ぐらいになると思うのです。10年後、15年後のことになりますけれども、そういうこともちょっと言っておきたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 数字上の問題なので、この先にどうなっていくかは、先ほど申しましたように、統計をきちんととり続けることが必要になってくるだろうと思います。従来、加賀美先生が強調されておりまして、サマリーにも書かれておりますけれども、市区町村が頑張り出したら、潜在ニーズを掘り起こしてしまうということがあるので、一時的にでも代替養育を必要とする子どもは増加する可能性が結構高いだろうと考えておく必要はあるだろうと思います。

 

○藤林構成員

 私ばかりで恐縮なのですけれども、実は、林先生と別に話し合うことがあって、ちょっと意見交換をしていたのです。里親委託率の考え方なのですけれども、代替養育を受けている子どものうち里親委託されている子どもの割合となっているわけなので、従来代替養育に障害児入所施設に入所している子どもは含まれていなかった。ですから、今後、本文の方で提示している、障害児入所施設も代替養育に含むということを考えると、今後の数字はここも含めた里親委託率として考えていく必要があります。それを明記することで、障害児入所施設の子どもも例外ではないのだということも含めて、家庭養育を進めていくのだということを多くの人が意識する必要があるのではないかと思います。

 

○奥山座長

 それは本文のほうにどこかで入れるという感じですか。

 

○藤林構成員

 本文に書いてあります。

 

○奥山座長

 書いてありますね。

 

○藤林構成員

 本文に書いてあります。ただ、サマリーですからそこまで書いていないのですけれども、意識の中で里親委託率には、代替養育には当然障害児施設も入っているのだということも必要ではないかと思うのです。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 先ほど伊達委員からのお話にもあったのですが、児童相談所から一時保護、児相の一時保護所がいっぱいだという話とは別に、乳児に関しては、ほとんどの子どもが一時保護を乳児院がしております。一つには、乳児院がアセスメントも含めてそういう機能を発揮してきたという流れがあるわけです。そのことを考えると、これからもそういう状況は、里親エージェンシーがどう形成するかとのかかわりもあると思いますけれども当面続くだろうし、そのような構造を考えるときに、果たして先ほど座長が触れていただいた、一方で市町村の機能が本格的に在宅支援に向き始めていくと、多分、我々の想像以上にこれからニーズが拡大せざるを得ないだろうと。そういう方向で考えておいたほうがいいだろう。

 だから、パーセンテージの問題というよりは、将来的には全体として、恐らく半分ぐらいは構造として一時保護、里親委託をせざるを得ない、あるいは養子縁組というような構造になっていくとしても、その母数は、恐らく現在の4万というレベルの倍あるいは3倍というような数字にならざるを得ないかもしれないということまで想定しておいたほうがいいと私は思っているということを申し上げておきたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 2倍、3倍になるとかなり大変なことになりそうです。

 伊達先生。

 

○伊達構成員

 今の加賀美先生のお話は何回か出ていると思うのですけれども、要するに、里親中心の欧米と施設中心の日本を比べているという話の中で一番見落とされているのは、社会的養護の子どもの子ども人口に対する割合は、欧米と日本は4倍以上違うのです。そうすると、その違いは一体何だということがちゃんと押さえられていないといけない。その難しさは、児童虐待対応にあるのだろうと思います。

 そうすると、課題と将来像の中で里親委託率がかなりクローズアップされて、グラフになって出てきているわけですけれども、その後に法律が改正されて、新しい社会的養育のビジョンは、従来の社会的養護という枠組みをフォーカスしてさらに在宅措置だとか通所措置だとか、そういうところをきちんと押さえていくということで、社会的養育を充実させていこうではないかというのが趣旨だろうと思うのです。そうすると、分母に当たるものも従来の社会的養護だけではなくて、例えば在宅措置だとか通所措置だとか、そういうことを考えてくると、分母そのもの、母数そのものが違ってくると思うし、分子そのものも変わってくるのだというあたりをどのように方向としてつくり上げていくかは大事だと思うのです。

 そこで、本当にそれがどのように数値的に生かすことができるかは、先ほどの藤林先生の出されたところも一つだろうと思っていますけれども、もう一つ言わせてもらうと、本当にヒアリングの中でもそうでしたが、婦人保護施設の方が、子どもたちが中学が終わっておうちに帰ってしまうと、新しい養父との間で性的な虐待が起こったり、いろいろきつい問題があって、その人たちが結局、中学を卒業するときに、本当はどこに住み続けたかったのかという話をしたら、もとの養護施設だという話だったのです。

 そうすると、年齢が高い子どもは精神医療の中に精神病院を解体していくときに、住みなれて、そこで自分の居場所というようなアイデンティティーを持った場合に、そこから切り離さないということもやったわけですから、そういう意味では児童養護においても、子どもたちの本当のそのときのニーズがどこにあるのか。アイデンティティーがどこにあるのかを考えたときに、そこら辺は乱暴なことはできないだろうと思うので、特に中学卒業以降は一日でも長く養護施設に子どもたちがとどまり続けて、自分の安全をきちんとしてそこを使っていくことができるという方向は大事だと思うので、そういう年齢になった子どもの在所期間はむしろ長くていいのではないか。そこの統計の数値まで全体の中に押し入れてしまうと、ちょっと無理があるのかなと。年齢による違いは非常に大事なのではないかと思うのですけれども、そこら辺の議論は余りされていないように思いました。

 

○奥山座長

 年齢による違いは少し後で、1年、3年というところでも議論したいと思うのですけれども、非常にマクロなおおむねの数字に関しては、これはどうなのだという御意見があったら、先にお伺いしておきたいと思います。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 言葉が足りなかった部分があるのでちょっと補足すると、つまり、ふえていくという分について、里親のキャパをどれだけふやせるかにかかると理解しておいたほうがいいと思っている。今、社会的養護施設分が4万だとすると、それと同じぐらいの数は恐らく十数年後に里親が占めているという構造になる可能性もあるので、大急ぎで里親のリクルートの事業も含めて整備が必要だろう。かなり大きな財政的な支援をしながら、そういう構造をつくっていく必要があるだろう。そのように思っています。以上です。

 

○奥山座長

 藤林先生。

 

○藤林構成員

 後半の議論にも関係すると思うのですけれども、里親委託率が乳幼児で75%、または学齢児童で50%といった場合に、フォスタリング機関の整備とあわせて、施設機能が十分高機能で、大変なときに短期間でもケアできるような、そういったものもないと里親は大変ではないか。ある程度安定した状態で家庭養育、つまり里親なりファミリーホームに委託するけれども、思春期年齢になって非常に大変になってくるということも多く経験するわけです。そのときに一定期間でも、半年でも1年でも施設でしっかりとケアされて、また里親家庭に戻っていくといったことが保障されないと、今度はストレスを里親のほうが抱え込んでしまうことになります。これは言わずもがなですが、里親養育体制の整備と施設の高機能化は両輪で50%ではないかと思います。

 

○奥山座長

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 そのとおりだと思います。一方で施設の高度化というか、難しい子どもたちを、現状で4対1みたいな仕組みでは到底できるわけがないので、サマリーにも書いてありますし、本文にも十分そのことが記入されていますが、どれだけ施設の高度化が図れるか。そのための財政的な負担も含めて、これから、思い切った改革をしていくというのは、両方の里親のリクルートの問題も含めて里親支援の制度も含めて、施設の改革というようなことが大急ぎで臨まれなければいけないと私は思っています。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 この数字を変えるべきだという御意見が出ていないので、このままで先へまずは進めさせていただきたいと思います。

 その次の「ただし、ケアニーズが非常に高く、施設等における十分なケアが不可欠な場合は、高度専門的な手厚いケアの集中的提供を前提に、小規模・地域分散化された養育環境を整え、その滞在期間は、原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とする。また、特別なケアが必要な学童期以降の子どもであっても3年以内を原則とする」で、これに関しましては、従来3条の2をどう解釈するかという話し合いの中で、当面里親が少ない中で、本来は里親に行ったほうがいいお子さんだけれども、里親が見つからないので施設にお願いするという場合は当面3年。その後は1年にするというような書き方になっていたと思うのですけれども、ここでは1年。これはちょっとニュアンスが違うのです。そのときだけではなくて、少し難しいお子さんで施設に入ったとしてもというような言い方になっていますけれども、このあたりのことについていかがでしょうか。

 松本先生から、その次に塩田先生。

 

○松本座長代理

 なるべく短くという方向は、それはそれということで、大きな方向としていいと思いますけれども、子どもが実際に、子どもの側から見たときに、子どもの意向に反して措置変更されるようなことが逆に起こってはいけないと思うわけです。特に、学齢児、学校に行って以降は、学校での友達とか部活とか、地域のいろいろな活動とか、そういうことがきちんと安定的に継続していくのは大きいことでもありますので、機械的に何年と切ってしまうのは若干危惧があります。

 最初から本当に一時的にここだということはあり得ると思うのですけれども、子どもの意向に反して措置変更が行われることをどう避けるかがもう一つ大変大きな問題として残るというときに、一つは、入所の時点からきちんとしたソーシャルワーク計画のようなものがどのように立てられているかということの見通しです。それが大きなことだろうと思います。

 どこに書くかどうかは別にして、そういう観点が一つと、もう一つは子どもの意向を尊重するというような書き方がどこかに入れられないかと思います。ただ、ここは大変難しい。議論のあるところだと思いますので、大きな方向としては、なるべく短くということはあり得るということ。大きな方向としては承認ということですけれども、子どもの意向に反するあるいは子どもの生活の連続性を切るようなことをどう避けるかが、もう一点重要な配慮かと思います。

 

○奥山座長

 今のことは非常に大切なことだと思いますので、例えばなのですけれども、「原則とする」という後に、ただし、生活の場を変更するに当たっては、子どもに対する丁寧な説明と子どもの意向の尊重することが必要だということと、移行期ケアをきちんとするということをここに入れ込むのは必要なことではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○加賀美構成員

 重要なポイントだと思います。

 

○塩田構成員

 近年の入所ケースを見ていると、どのケースもケアニーズは非常に高い。そのようなケースは非常に多いと感じています。ましてや児相のアセスメントの能力が上がってくると、もっと潜在化された問題点がどんどん出てくる中で、1年から3年で問題が解決するとは考えづらいと思える子どもやその家族がたくさんいる。

 当然、家族の問題が解決されないと家に帰すことができないので、里親の受け手を探す。でも、それだけの重篤な問題を抱えた子どもたちを里親が受けてくれるかというと、それもすごく難しい問題になっていき、そうなると、そのように3年ぐらいと原則で決めていくと、行く先のない子どもたちの対応に困ってしまうということも考えていかなくてはいけない。多くのケースがケアニーズの高いお子さんであるということを意識して、今後の方針をきちんと考えていかなくてはいけないと私は考えます。3年あっても難しいのではないかと思います。

 

○奥山座長

 藤林先生。

 

○藤林構成員

 児童相談所として1年の縛りとか3年の縛りは、これもやはりきついという気がするのですけれども、例えば1年とか3年の縛りがあるからこそ十分なリソースを開拓していくというモチベーションにつながっていくのではないかと塩田さんの意見を聞きながら思ったのです。これも先のほうの目標になっていくと思うのですが、現在の専門里親制度をより実効性のあるものに変えていって、施設を1年なり3年で退所した子どもが受け入れられるような専門里親を多く配置していくとか、もう一つ考えられるのは、家庭に帰った場合も里親に帰った場合でも、どこか本文に書いていたと思うのですが、より高度専門的なケアを行った施設がその後の通所的なサポートも行う。要するに、退所した施設はそこで終わりではなくて、その後も何か継続的なフォローがあって、家庭養育環境も整えていくということで、3年というのは可能な数字ではないか。1年も可能な数字ではないかと思います。

 松本先生の言われた生活圏の不連続性という問題も、現在、児童心理治療施設は大体県とかに1カ所しかなくて、生活圏は完全に離れてしまうわけなのですけれども、可能であれば、ここには分散化と書いていますが、十分なケアができる小規模な施設ケアが政令市または都道府県内で分散して配置されておれば、そう大きな生活圏の変更もなくいけるのではないかと思います。ここにはもう書いてあるからいいと思うのですけれども、分散化される意味は、地域の中で生活していく意味もあると思うのですが、子どもの文化、生活圏の変更を少なくするという意味でも重要かなと思いました。

 以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 松本先生。

 

○松本座長代理

 そういう意味では、代替的養育のリソースが地域に分散化していくことは決定的に大きな意味があると思っているのです。現状、例えば北海道の例などを見ても、かなり地域的に集中しているあるいは偏在している、遠いということがあって、それは北海道だけではないと思うのです。そこの中で、一方で家庭的な養育の原則を守り、なるべく施設の利用を短期間に抑えながら、一方で子どもの生活の連続性をどのように担保するか。これはすごく難問だと思うのですけれども、そこはかなり難問にきちんと取り組むという観点が大事だと思うのです。

 そのときに、最初、子どもにどう説明されているかが大きいと思います。代替的養育の場に移るときにどのような説明が、特に学齢以降の子どもにされているかという観点から、ソーシャルワーク計画をきちんと立てる、あるいはそれを子どもと一緒に見直していくというような動き方をしないと、どのようにしても子どもの側からすると、あちらに動かされた、こちらに動かされた、あるいはいつまでもここにいろと言われる。そのような観点になるだろう。そういう意味では、地域の分散化あるいはソーシャルワーク計画のきちんとした立案と遂行あるいは子どもへの説明とセットでないとまずいだろう、あるいはセットで有効になるという原則だと考えています。

 

○奥山座長

 加賀美先生、井上先生。

 

○加賀美構成員

 乳幼児は原則数カ月以内、学童期は1年以内。特別な支援を必要とする子どもについて3年以内という年限を切ったメッセージは、逆に言うと、次の(6)に挙げているケアニーズに応じた措置費・委託費の加算制度をできるだけ早くということと、さらに、高度のケアニーズに対して迅速な専門職が対応できる高機能化というようなこととかかわってくる問題だと理解しています。つまり、それをなし遂げるメッセージとしては、今の時点で期間を挙げておくのは非常に重要だろうと思います。それだけの取り組みを国としてやっていく必要がある子どもたちなのだと私は理解をしています。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 井上先生。

 

○井上構成員

 繰り返しになるかもしれませんが、子どもたちにとって必要なことは、松本先生が言われたように、最初の段階で、とりあえず1年間ここで頑張る。その間にいろいろなところを一緒に探していこうという話し合いを区切って話を受けた子どもと、それをしないで入れられて、様子を見ながらというので全然違うのです。ですから、1年とか3年とかある程度の目安を区切ってという言葉を入れることはとても重要で、私は意識的に必ずしていったほうがいいと思っています。

 もう一点、これは藤林先生も何度も言われているのですけれども、里親のところと施設養護です。これは2つとも子どもにとっては必要なものなのです。ですから、不調があった場合に施設でお願いする。施設で頑張ったのだけれども里親に行きたいというような格好になったときにそこに行く。その2つが、里親は施設について知らない、施設は里親に関してはお願いしたらあとは知らないというような、そんな雰囲気になっているのは絶対におかしいと思いますので、子どもにとって大事なものは両方である。だから、その2つは協働で、両輪というよりも一緒にやっていくものですということを強く意識するような言葉が必要ではないかと思っています。

 以上です。

 

○奥山座長

 松本先生。

 

○松本座長代理

 今のこととかかわって、現実に家庭復帰を進める等というときに、オール・オア・ナッシングでなかなかいかない。例えばウイークデーは施設から学校に通って、週末あるいはちょっと御家族の調子がいいときにうちに帰っていくというような、そういう手だてを既にとっておられるところはいっぱいあると思うのですけれども、そういう形で両方で子どもが暮らす。子どものアイデンティティーなどは家族にあるのですが、現実のサポートは施設のほうにあるとか、そのような形がむしろ望ましいと考えたときに、これは統計上どちらに入るかという問題もあるわけです。

 こういう形は、例えば施設で措置されながら家族との関係をきちんと、家族でも生活の場をつくっていくというような、あるいはそれは里親もあり得るかと思うのですけれども、そこも含めて考えていかないと、ざっくばらんに言うと、子どもが追い出される形になる。それはうちから追い出されたり里親から追い出されたり、施設から追い出されたりという形に結果として受け取られることは絶対に避けなければいけないことで、そのために大人は何ができるかということが一番原則かなと思っている。これは機械的にやると数字合わせでそういうことが起こりかねない。

 

○奥山座長

 それに関してはかなり本文にも書き込んだはずだと思います。ここでは、先ほど言いましたように、子どもの意向を無視して移動させることはないということを1行入れなければいけないのと、もし皆さんの意向が強いようであれば、子どもへの初期からの説明の重要性も文章の中に入れ込むということでいかがでしょうか?代替養育初期からの子どもへの説明及び生活の場の変更に関する子どもへの説明。そういったことをきちんとするのだということを入れる。

 本来であればここが永続的解決に向けたソーシャルワークがきちんとして、それが子どもに伝えられるという本文に書いてあることが、永続的解決に向けたソーシャルワークと養育計画と両方が相まって、子どもたちに伝えられていくことが必要なのだということが本文には書かれているのですけれども、ここではどうしても短くするためにそこまで入ってきていないので、そういう意味で1行担保しておくことが必要かも知れません。要するに、子どもが振り回されるようなことがないようにということは入れておくということでいかがでしょうか。

 あとは、1年、3年というのを全くなしにしてしまうと、前に藤林先生からも資料が出たと思うのですが、10年も施設にいる子が余りに多くいて、しっかりした永続的解決に向けての努力がなされていない子どもたちが結構いるのだということに関しての歯どめがかからないことも出てくるのではないかと思うので、数値目標は必要だと思います。それに関して、1年、3年というものが適切かどうかはあるかと思うのですけれども、原則としてということで、どこかで区切りをつけておくことは必要なのかなと思いますが、いかがでしょうか。

 井上先生。

 

○井上構成員

 先ほど伊達先生が言われていた施設の方がいいと言われる子どもたちの多くは、そういう格好で長い期間過ごして、3年を超えてくるとそこになじんでしまって、そのほうがいいという言葉しか言いようがなくなってしまう子どもたちも本当にたくさんいるという気が今の段階だったらするのです。ですので、やはり1年とか3年という区切りを区切った中でかかわって、それでも、そちらがいいという格好で子どもも思うしみんなも思うという格好になったときに、それの対象になる子どもがいるという、そういう考え方のほうが私はいいのではないかと思ったのですけれども、先生、どうでしょうか。

 

○奥山座長

 伊達先生、いかがですか。

 

○伊達構成員

 現在は、入所したときになるべく早く家庭に復帰させるプログラムがどのようになされているかは、そんなに追求されていないのです。例えば、これが本当に半年とか1年ぐらいの見通しの中で、毎週、親が嫌がっても家まで送り届けるようなことをやりますから、そういうことだってあるわけです。それでもつながっていかないとか、それでも危なっかしさは避けられないとか、そういうすれすれのことが現実にはいっぱいあるわけです。それを丁寧に解いて、子どもの利益になるように持って行くソーシャルワークみたいなものが高まっていかない限り、子どもたちの居場所の形の問題だけでその問題を解決しようとしても、それは無理だろうと思うので、まずはそのことをきちんと押さえてほしい。子どもの居場所について里親を使っていったり、小規模なものにしていったり、家庭的な環境がだめだというようなことを言っているわけではないのです。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 やはり最後は児相に帰ってくるということになるかもしれないですね。

 

○藤林構成員

 これは全部ワンセットなので、ここだけということではなくて、1年、3年という期限があることでケースワーカーも家庭調整であるとか、その次の里親を探すとかいうようなことも頑張っていくので、期限がないとそこのモチベーションが低くなってしまうのかなと思いました。

 例えば我々福岡市の児童相談所で、一番スペシャルニーズが高い子どもの行く先は国立児童自立支援施設なのです。きぬ川、武蔵野には毎年1人くらいの子どもが行くのですけれども、あそこは確実に1年半とか1年と決まっていますので、その間に退所先を準備しておかないといけないというように、期限が決められるから一生懸命頑張るというのもある。さすが国立だなと思うのですけれども、非常にシビアで大変な子どもが1年なり1年半の中で、また社会内でやっていけるだけ改善していくということを考えると、施設の高機能化を図っていくのは、この下に書いてあるように、職員の配置数だけではなくて、職員の専門性ももっと高めていくということも両方必要かなと思います。

 以上です。

 

○奥山座長

 ここで数か月、1年、3年と書いてあることで、それに向かって努力すると同時に、そこでもう一度アセスメントをきちんとするということなのだろうと思います。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 井上先生の話と絡むところですが、私の考え方からすれば、基本的に今は子どもたちが安心して安全で自由である。そういう保障が大事だろう。それが子どもの未来展望につながるというような考え方で、もちろん日常的に子どものニーズをどれだけ酌み取っているか。そういうことも含めての社会的養護の施設の高度化。そこも含めての話だろうと思います。そのことがないと、子どもが未来展望を持てないというところだと思いますので、そういう上でそのことを考えていくような1年であり3年であるというような理解の中で、どれだけ高度化した養育の機関を持てるかということが重要だと考えています。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 ここでは1行を加えるということで、先へ行きたいと思うのですけれども(7)をごらんいただきまして、ケア・リーバーという言葉なのですが、これが非常にわかりにくいといいますか、我々はケア・リーバーというとピンと来たりするのですけれども、社会的にはピンと来ないだろうというのがあって「ケア・リーバー(社会的養護経験者)」という書き方をさせていただきました。これは在宅措置も含めての社会的養護という意味ですけれども、そういうくくりでいいのかどうかを御議論いただきたいと思います。

 松本先生、いかがでしょうか。

 

○松本座長代理

 特にこういう括弧書きで異論はないです。暫定的にケア・リーバーという言葉を私のメモの中では使っていましたので、適切な言葉に置きかえていくことは大事なことですし、この言葉で特に誤解はないかと思います。

 

○奥山座長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それ以上広げなくていいですか。社会的養護、これは措置という形である程度公的な機関がかかわったお子さんに関してのケアという考え方で、ケア・リーバーへのケアを考えていくということでよろしいですね。では、この括弧内はこのまま行かせていただきたいと思います。

 これまでの本文とは異なるところがサマリーに出てきたところを御議論いただきました。本文に関してなのですけれども、本文に関して今までの議論を報告書の中に落としてきたのですが、その中で少し細かいところあるいは多少やはりこのままではまずいのではないかということで、まとめるに当たって少し加えたところがございますので、そこをもう一度確認していきたいと思います。

 まず、一時保護なのですけれども、一時保護を行う場についてというのが(2)にございます。23ページに「2)一時保護を行う場」というところがございますが、ここでずっと議論してきましたように、一時保護は緊急一時保護とアセスメントのための一時保護に分け、緊急一時保護の子どもの自由を束縛するような形での一時保護は数日に限るべきであるという議論がありました。

 それに関して、海外では、大体司法が何日ということを言うわけですけれども、日本ではそれがないので、それをどのように担保するかということで、藤林先生から、上から8行目で、なお、現行法でも、児童福祉法第27条の3による強制措置の申し立てができるようになっているのですが、通知では司法への申し立ては不要という形になっているということがございますので、そこを藤林先生から御説明いただけますでしょうか。

 

○藤林構成員

 ここの部分は、多くの委員も多くの方も余り御存じない分野で、私も深く十分理解していなかったものですから、今日に合わせてうちの久保弁護士と大分話し合ってきました。

 そもそも一時保護中の子どもの行動自由の制限がどのように法律上定められているのかというところから、時間をとりますけれども説明したいと思います。皆さんのお手元にお配りしていますけれども、児童福祉法上にはどう書いてあるのかを、一時保護中の子どもの行動自由の制限と権利保障という題名でお配りしておりますので、それを見ていただければと思います。ありますか。

 

○松本座長代理

 後から来たメモですね。

 

○藤林構成員

 後から来たものです。これです。

 児童福祉法の27条の3にこのように書いていまして、要するに、児童の行動の自由を制限し、自由を奪うような強制的措置を必要とするときには、家庭裁判所に送致しなければならないと書いてあります。一見、司法手続を踏んでいるように見えますけれども、ただ、「場合を除く」とあります。33条、33条の2、47条の規定により認める場合は除きということですから、認められる場合には司法手続を踏まなくてもいいようになっております。33条とか33条の2とか47条の2は何が書いてあるかといいますと、主に書いてあるのが33条の2で、一時保護を行った児童については、「監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができる」と書いてありまして、具体的にどんな場合を除くのかは法文上には書いていません。

 児童相談所運営指針を読みますと、ここには明確に書いてあります。「(1)行動自由の制限」または「(3)制限の程度」ということで書いてありまして、特に具体的なことは「(1)行動自由の制限」のところには、無断外出が頻繁である等の理由により行動自由の制限を行う場合においても、できるだけ短期間の制限、と書いています。これが実際に行われているかどうかは置くとして、「(3)制限の程度」は、自由に出入りのできない建物内に子どもを置くという程度までであり、子どもの身体の自由を直接的に拘束すること、子どもを一人ずつ鍵をかけた個室に置くことはできないと書いていますから、要するに、自由に出入りのできない建物の中に置くということについては、児童相談所長の権限で行ってもいい。ただし、それは短期間である。反対に、体を束縛、拘束する、鍵をかけた個室に置く場合には、これは司法手続が必要ですと解釈することができます。

 この運営指針の「(4)その他」に、行動自由の制限については、本指針で定めるほか、昭和25年通知文、昭和24年通知文によると書いていますから、要するに、24年、25年通知という60年以上前の通知文が今も生きているということになります。

 では、24年通知、25年通知には何が書いてあるのかということで、その次のページにずっと24年通知、25年通知を見つけてきて、皆さんにお配りしています。24年通知は、時間があればじっくり読んでもらうといいのですけれども、時間がありませんので、5の3ページの一番上を見ていただければいいかと思います。

 これは児童に対する強制力の行使について書かれた部分です。(1)で、都道府県知事または児童相談所長が一時保護所中、要するに、児童の行動の自由を制限し、またはその自由を奪うような強制措置をとることが必要であると認定したときには送致しなければならないということが書いています。要するに、一時保護中の子どもであっても、必要があるときは、家庭裁判所に送致しなければならないと書いてあるわけです。

 多分、今はほとんどされていないと思うのです。国立児童自立支援施設に送致する場合に、我々は年に1回ぐらいやっていますけれども、一時保護中で鍵をかける場合に送致するというケースは、私は15年間所長をやっていまして、一回も経験はありません。

 (2)の強制的措置が必要とされる場合とは、この文を見ますと、主として児童がほしいままに出られないような設備のある特定の場所に収容し、その行動の自由を制限し、または奪うことが必要とされる場合が考えられるのであるが、具体的な事例につき疑問が生じたときには、当省に照会すること。24年通知については、特定の場所に収容し、自由を制限すると抽象的に書かれています。これは一時保護所全体を指すのか、部屋を指すのかがよくわからない文章なのです。

25年通知を見ていただきます。その次の次のページを開いてまいりますと、児童福祉法において児童に対し強制的措置をとる場合についてということで、ここに具体的に書いているわけなのです。今、言っているペーパーはわかりますか。ここの(2)に、一時保護を加えようとする児童が過去において繰り返し逃走した経歴を有する等の事情のために云々と書いて、この種の児童に対しては、これを窓に格子を用い、扉に鍵をかけることのできる特別な一時保護室において保護を加えることができること。だから、これは司法手続を経ずに児童相談所長はこれができると解釈されます。今どき格子を用いなくて強化ガラスですから、格子などは一時保護所に全然ないと思うのですけれども。

 (2)の(ハ)に、児童を1人ずつ鍵をかけた個室におくことは不可であってと書いています。ですから、扉に自由にできないように鍵をかけることはいいというのは、25年当時の考え方で、これに沿ったものが児童相談所運営指針に書かれ、これに沿って全国の児童相談所は一時保護所に自由に出入りできないような構造をつくっているところが非常に多い。現在の解釈としては、これは法令違反になっていないということになります。

 これが果たして本当にいいのかどうか。逃走するおそれのない子どもも一緒くたに鍵のかかるまたは自由に出入りできない環境にいるということが果たしていいのかどうかが、ここの本文の23ページに書かれているわけなので、本来自由に行動できる子どもはより開放的な空間に移すべきではないかとか、または自由に出入りできない環境が必要な子どもは、それは最低限にするべきというところに、原則に戻るべきではないだろうかとか、本来個室に鍵をかけないまでも、保護所全体に自由に出入りできない子どもをそこに置くこと自体に司法手続が必要か、必要ではないのかということは十分議論する必要があるのかなと思います。

 私のペーパーの1ページ目にまた戻っていただきますと、子どもの権利条約37条が書いてあります。37条は専ら少年法とか刑事手続を念頭に書かれているものなのですけれども、ここに書かれているものは(b)で児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いると書いています。(d)に、自由を奪われた全ての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、そういうことを受ける権利を有すると書いてあります。

 ここは解釈です。子どもの権利条約37条の(b)の児童の抑留または拘禁が、児童福祉法上の一時保護の、自由に出入りできない空間にいることに当てはまるのかどうか。それは解釈というか、議論の余地があるのかなと思うのですけれども、一応子どもの権利条約37条にはこのように書いてあるということも踏まえながら、今後のこういう自由に出入りできない空間で子どもを保護することのあり方について検討するべきではないか。うちの久保弁護士に言わせると、本文に3日以内と書いていますけれども、3日というのは、本来は3日ではないのではないか。本来子どもの行動の自由を制限するのであれば、その日からとなるのではないかという意見も言っておりましたけれども、それは今後、考えるべきではないかと思います。

 ちなみに医療保護入院は個室に鍵をかけなくても病棟に鍵をかけておれば、当然手続を踏んでいるわけなので、子どもが医療保護入院になる場合でも手続を踏み、精神医療審査会という外部の審査を得るわけなのですけれども、子どもが精神病院に医療保護入院になって閉鎖病棟に入る場合と一時保護所に入る場合と、子どもからすると同じではないかという気もしますが、その辺はまた今後も話し合っていくべき課題ではないかと思います。

 以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 一時保護されて親から切り離されるということ自体が行政の判断だけでいいのかという子どもの権利条約上の問題も一方であることはあるのですけれども、現状でも問題があるということですね。法文を読むのが苦手なものですから、今、藤林先生に解説していただいてわかりました。つまり、一時保護を加えようとする児童が過去において繰り返し逃走した経歴を有する等の事情のために、十分な監視をもってしても、その逃亡を防止することができないと認められるような場合ということなのですね。自由を非常に制限したところに置くことができる。自由ではないところに置かれた子どもがこれに当たるかどうかは、どこが判断するということになるのですか。

 

○藤林構成員

 だんだん説明しながら、自分に向かって唾を吐いているような感じがするのですけれども、児童相談所が判断するのです。一時保護が必要であるという判断とは別に、この子どもは自由を制限する必要があるのかということも、児童相談所が判断することになるわけです。児童相談所長が判断するわけです。

 

○奥山座長

 そういうことを考えると、先ほどお話しした緊急一時保護の場合とアセスメント一時保護の場合は違う。緊急一時保護で必要だということに関して、少なくとも児童福祉審議会にかけるとか、そういった手続も必要なのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○藤林構成員

 私がこれに答えていくのがだんだんつらくなってくるのですけれども、そういう手続も必要かなと。要するに、24年通知、25年通知を変えていくというプロセスもあるかと思いますし、この通知文を変えずに児童福祉審議会に、それも一つのオプションでしょうね。

 

○奥山座長

 ほかに何か御意見はありますか。そこを本文に少し書き込んでいくかどうかですね。

 

○藤林構成員

 ここの3日は本当にいいのかなというのはちょっとひっかかるところがあって、本文のどこかに3日と書いていましたね。

 

○吉田子ども家庭局長

23ページの(1)の上から3行目です。

 

○藤林構成員

 3日間程度に限られるべきである。では、3日間はいいのかというのも、論理的な整合性がどうなのかというのがあって、今日に間に合っていないのですけれども、このままでいいのかどうかは、もうちょっと考えないといけないのかなと。

 逃亡のおそれのない子どもはいいのです。おそれのない子どもは、要するに、一時保護をしたい、してくれと言って来る子どもをここに置いておくのはいいわけなのです。そういう子どもは、鍵のかかる一時保護所でも、外に出たいのだと言ったら、どうぞ出ていいよとしていいわけなのですけれども、一時保護などはされたくない。いわゆる非行系、虞犯の子どもがいて、私はすぐにでも家に帰りたいのだという子どもを制限する場合に、3日間は児童相談所長の権限でしていいと認めていいのかどうかは、ちょっとひっかかるところがあります。

 

○奥山座長

 緊急一時保護の自由を制限する状況、期間等に関しては、児童福祉審議会にかけるとか何かを前提としておくのも一つなのではないかと思うのです。

 

○藤林構成員

 児童福祉審議会は、毎月1回とかしか開催されていなくて、事後審査になってしまうわけです。それでいいのかというのはあります。

 

○奥山座長

 事後審査でもやって、だめだということになれば、次からはできないですね。

 

○藤林構成員

 本文にどう書くのか、ここに書いてある司法関与を行わないまでも、どこかにありましたね、「福祉制度としての基準と手続を定めるべき」であるところのオプションとして児福審の活用はあるのかなと思いますけれども、ここは実行可能性という観点からどうなのかというのはあると思います。

 精神医療審査会はそうなのです。事後審査で1カ月以降審査しているわけなので、それと同じような制度設計もあり得るかもしれません。

 

○奥山座長

 3日間というのを、先生のアイデアとしてはどのように変えたらいいと思われますか。

 

○藤林構成員

 3日程度に限られるべきという言葉がおかしい。子どもの権利制限に当たるので、そこに何らかのチェックなり手続保障が必要というような言い方になるのかなと思うのです。

 

○奥山座長

 最低の期間とし、権利保障のためのチェック制度が必要であるということをここに入れる。

 

○藤林構成員

 子どもの権利制限に当たる場合はという感じです。要するに、同意の場合はいいのですけれども、同意ではなくて、意に反して自由を制限する場合には、何らかの手続保障があるべきではないかという見方になるかなと思うのです。

 

○奥山座長

 ただ、割と小さい子どもで、来て同意したことにされてしまう。

 

○藤林構成員

 ですから、今すぐ文言は思い浮かばないのです。

 

○奥山座長

 少し次回までに文言を考えていただいて。

 

○藤林構成員

 ちょっと考えてきます。

 

○奥山座長

 この部分の御説明に関して、それでよろしいでしょうか。

 では、次へ行きたいと思います。次なのですけれども、24ページです。「3)一時保護時の養育及びケア」のところで、一番下に当たります。和田先生のヒアリングを行ったときに、一時保護になったときに適切な生活用品が与えられていないではないかという話が出ました。

 それをどのようにしたらいいだろうということで、今の制度がどうなっているかということを教えていただいた結果、30日間いると3万幾らのお金が支払われるようになる。ところが、それを日割りにしているものですから、数日しかいないと数千円のお金しか出てこない。1日目に入ったら千幾らしかないのだと。そうなると、いつまでいるかもわからないから、着の身着のままで最初に入ったときに生活必需品を買うお金がないのだという話があって、それはあり得ないだろうということで、ここでは入所した際に子どもにとって必要な生活用品がきちんと与えられるような制度に変えてくださいということを具体的に書き込んだところでございます。これはいいですね。特に御議論は、これから制度を考えていくということになります。

 もう一つ大きいのは、29ページです。先ほどもお話が出ていましたように、代替養育に関しては小規模化・地域分散化を前提に、養育の内容に関しては個別化を前提に、議論を進めてまいりました。ただ、議論の中で、非常に難しいお子さんたちの場合、全部分散化で逆に難しくなるケースもあるのではないかということが書いているうちにだんだんわかってきたところがあって、これに関しては今、ここで少し議論をしたいと思うのですけれども、生活単位を集合させる。つまり、イメージとしては敷地内に幾つかのコテージがあるというイメージですけれども、生活の単位は小規模化するのですが、幾つかの生活単位を集合させる必要がある場合ということで、そういうカテゴリーを今までの議論に加えてここに一つ入れるという提案をさせていただいたということになります。

 それをその次の文章の中にも反映いたしました。まず、生活単位といったときに、例えば部屋は少人数なのだけれども、食事をするときは別の食堂で大人数でしてしまうというような形ではないと。生活単位は、食事、入浴、余暇活動、全てが一つの単位としてそこの中で終結できるのだということの定義づけをしていませす。その上で、それに対して非常に高度なケアが必要となる、あるいは専門職が即時対応しなければならない程度のものであるという場合には、地域に分散させずに敷地内で行うというほうがメリットがある場合があるだろうということで、こういう書き方になっています。

 これは前回の5月の時点まででは、この話が余り出てきていませんでしたので、こういう御提案をさせていただくということでよろしいでしょうか。皆さんから何か御意見はありますでしょうか。

 

○吉田子ども家庭局長

 事務局が横から口を挟んですみません。

 きょうは公開ということで、メディアの方を含めて聞いておられる中でありますので、少し言葉を足させていただきます。今、奥山先生がおっしゃっていただいたように、また、冒頭のお話がありましたように、5月24日の会議のときにない提案ということで御紹介いただきましたが、その後、先ほど冒頭にありましたように、委員の方々が分担執筆をされ、その分担執筆をもとに何回かの御議論、意見交換を積み重ねてこられ、あるいは場合によってはメールでやりとりをされた中で、きょうの文章をこれまでの先生方の一定の方向性としていただいた上で、改めて確認をされていると私ども事務局としては理解させていただいています。横から余分な口を出しましたのは、急にきょう、この文章がぽんと出たということではないということだけ、少し横から口を挟ませていただきました。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。サマリーはある意味、今日急に出たものです。それ以外のところは、意見はある程度交換をいたしております。よろしいでしょうか。

 ここはそういう形で進む形とさせていただきたいと思います。

 もう一つなのですけれども、これは突然のことで申しわけないのですが、私のほうから提案で、35ページです。「6)代替養育における養育の質の確保」というところで、一気に人材育成とかそういう話になっているのですけれども、実は、一時保護のケアのあり方も一つパラグラフを設けさせていただいて、記入させていただいております。ですので、代替養育、特に施設における養育の質とは何を言っているのかについて、少し文章を足したいと思います。これは全体を何回か読み直してみて、そこをまとめて書く方が良いのではないかと思いました。これは実を言うと前のほうを読んでいただければ、かなりのところに書いてあることは書いてある、特に四角の中を読んでいただければ、3条の2における家庭における養育環境と同様の養育環境の機能、要件、できる限り良好な家庭的環境の機能、要件ということが書かれておりますので、かなりの部分に踏み込んではいると思うのですけれども、ここでは代替養育としての質を上げるためには、代替養育として施設養育は何を目指すべきなのかについて、少し文章を加えさせていただきたいと思います。

 次回までに文章を用意していきたいと思うのですけれども、それを皆さんの、今までも出てきた個別化ということを中心にした丁寧な説明とか移行期ケアも含めて、質の高いケアとは何なのだということを少し入れ込ませていただきたい。いかがでしょうか。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 大事なポイントだと認識しています。

 

○奥山座長

 では、それに関して、次回までに文章を作成してお見せしたいと思います。

 あともう一つが、我々の意見交換の最後のほうで、今までもデータベースであるとか統計であるとか、そういう話はワーキングなどでもしてきたのですが、今も申し上げたような養育の内容に関してのあり方に関しての調査研究が必要ではないかということで、これが45ページです。

 「新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」の上に、調査研究に関してはデータベースだけではないので、そういうソフト面に関する研究も行っていく体制を整えてほしいということは入れました。これも最後の段階で、林先生からの御提案をもとに入れたところなので、皆さん御存じと思います。

また、前回以降でなかった点というと、45ページの4の「新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」というところが報告書を書く上で書かれたものであるということになります。

46ページの上のほうに下線が引かれておりますけれども、ここは先ほどサマリーのところで議論した形に修正するということでよろしいでしょうか。

47ページの「都道府県等は」というところに関しても、フォスタリング機関事業を平成31年度としたのですけれども、完成するということがございますので、平成32年度までに完成するという形になると思います。それから、乳幼児の、ここも原則家庭養育しか書いていないのですが、これも先ほどのサマリーの書き方に従って修正させていただく。

 同様に48ページ、49ページの下線部分もそういう形で考えております。よろしいでしょうか。ただ、ここの書きぶりに関しては、修正をするときに、例えば「原則家庭養育(概ね50%)」という形になるかと思います。

 あとは50ページ、養子縁組の推進というところも数字を入れた形で出させていただく。どこかに先ほどありましたように、統計のところは結構書いてはあるのですけれども、統計のところに代替養育の必要度とか社会的養護の必要度とか、そういうものをきちんとフォローしていって、どのぐらいの里親が必要なのか、どのぐらいの養親が必要なのかを明確に出していくことをしなければいけないということを入れていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 あと15分ほどとなりましたので、そこも含めて全体として何か御意見はございますでしょうか。

 上鹿渡先生。

 

○上鹿渡構成員

 ありがとうございます。今、御説明いただいた工程についてですけれども、冒頭、サマリーの内容が追加されましたので、47ページの乳幼児の代替養育と乳児院の改革について項目の追加があってもいいのではと思いまして、75%とか50%という明確な数値目標が出るということで、これはあくまで里親委託率の話で、本来的には里親委託で終わる話ではなくて、家庭復帰とか、それ以前の予防とか、そういった対応を前提に、代替養育としては、乳幼児は75%を里親とするのだというのことを忘れてはならないと思います。

 工程表の中にも数値目標が入るのだとすれば、その数字をしっかり子どもにとって最善の利益を提供する契機とするためには、かなり具体的な方法とか、あとはここでも乳児院の多機能化や機能転換が具体的に書かれているのですが、それを実際にどう展開していくのか検討する必要があると思います。システムの移行に当たってはその移行期間にはシングルトン卿がヒアリングでも示されたように、「ハンプ」というこの間余分に必要になる費用をどう工面するのかなど、課題が幾つもあるところで、そういったことについてしっかりと実現に向けて課題を議論していくような場が必要だと思います。

 「2)の里親制度」のほうも、かなり大きな変革で、それについてはフォスタリング事業実施のためのプロジェクトチームを発足させてガイドラインを作成して、補助金事業として実施するというところまでかなり具体的に書かれているのですけれども「3)乳幼児(就学前)の代替養育と乳児院の改革」についても、それと同レベルか若干異なるとしても、これをしっかり実現すべく話し合いを続けていく必要があると思います。現場の方々にも参加していただきながら、この75%という数値目標が単に数字合わせに終わらないようにしていく仕組み、仕掛けを作っておかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 そのとおりだと思います。そこが抜けていましたね。そうしましたら、「3)乳幼児(就学前)の代替養育と乳児院の改革」に、どういう形になるのかはわからないのですけれども、プロジェクトチームがいいのか、それとも、検討会的なところがいいのか。プロジェクトチームのほうが先に進むイメージがあるかもしれませんね。文言だけかもしれませんが。

 

○上鹿渡構成員

 施設はもちろん都道府県で県全体の計画を立てる必要があるわけですけれども、具体的にどうしたらいいのかが皆さんわからない中で、今まで誰も本格的に取り組んだことがないことなので、これから取り組もうとするところが集まってアイデアを出しあったり、いろいろな意味で全体をけん引していくような仕組みが必要だと思います。名前は何がいいかはわからないのですが、そのような場を国のほうでしっかり用意していただく必要があると思います。

 

○奥山座長

 こちらもフォスタリング機関事業と同様に、プロジェクトチームをつくって、フォスタリング機関事業のプロジェクトチームとも連携しつつ進めていくことを1行入れるということでよろしいですか。いかがでしょうか。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 賛成です。

 

○奥山座長

 プロジェクトチームをつくるのは、事務局、どのぐらいがいいですか。30年度、29年度。

 

○吉田子ども家庭局長

 きょうの提案ですので、私どもの中でも頭の整理をしたいと思います。2930か、具体的な数字を今、この段階で自信を持って申し上げるには至りませんが、サマリーの後ろにも書いてございますように、大きなプロジェクトは全部連関していますので、一緒に動かしていかないと動かないということと、実務的にはこれを都道府県のレベルに、今の「課題と将来像」をもとにつくっていただいている計画を見直すという作業をお願いするというのが次になります。これ自身、正直、事務方からすると、都道府県の方々に十分御理解いただかなければいけませんし、そのために必要な作業の前提を明らかにすることも必要だと思いますので、すぐかどうかは別として、余り時間を置かずに、少なくとも立ち上げをし、議論を進め、まとまったところからお示ししたいと思います。具体的な数字をどうするかについては、きょうのところは留保させていただければありがたいです。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 今、おっしゃっていただいたように、都道府県がやっていく上で、フォスタリング機関事業とか乳幼児からの改革に関してサポートするようなチームという意味ですので、なるべく早くサポーターはつくっておいて、都道府県がいろいろ困ったときにはサポーターと連携できるような形にしておくのがいいのではないか。そういう意味ですね。

 加賀美先生。

 

○加賀美構成員

 今のことに加えて、2と3というところがあるのですが、4も当然かかわってくると思いますので、そこも含めてもプロジェクトと理解してよろしいですか。

 

○奥山座長

 2と3とはどういう意味ですか。

 

○加賀美構成員

 つまり「4)学童期以上の代替養育と児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設・障害児入所施設・自立援助ホームの改革」も含めてのあり方についての、今後のあり方についての議論を同時にしておく必要があるだろうと理解しています。

 

○奥山座長

 どうでしょうか。

 

○吉田子ども家庭局長

 委員の皆様方の御意見をより整理していただいたものを、私ども事務局は受けとめるというのが基本だと思います。若干事務局ののりを越えて個人的なコメントを申し上げますと、加賀美先生がおっしゃったことは、実務的には非常に理解できるものである一方で、今回、こういう時間をかけて、奥山先生のもとでの一定の方向性をまさにレポートとしてまとめていただいているという段階でもございますので、余り次から次へと検討課題が残るというよりも、もちろん実務的に詰めていくという意味では、どんどん深まっていくのだと思いますが、器のつくり方については、私どもとしては今回の検討会をもって一定の方向性をいただき、それを深めさせていただく、あるいは専門的に詰めていくワーキングあるいはプロジェクトを立てさせていただくようなことを基本に考えたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 ということで、幅広いプロジェクトチームの中で、さらに細かいプロジェクトチームを立てるという案もあるかもしれないですし、一つのプロジェクトチームとして代替養育全体を考えるプロジェクトチームをつくり、その中で里親のことを専門にするチーム、乳児院と里親の関係も含めたことをサポートする、学童期のことに関してもサポートするというような、一つでやるという手もあるかもしれないですね。それらを含めて御検討いただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 

○藤林構成員

 全体に最初の5ページ分のサマリーと本文とに、文言の使い方も大分違いもあるので、これはまた本文のほうでまとめていくと思うのですけれども、その中で特に気になっているのが、3ページの「(4)永続的解決(パーマネンシー)保障としての特別養子縁組の推進」で、これはとてもいい言葉だと思っています。本文は、「代替養育を必要とする子どもと特別養子縁組」なので、サマリーのほうに合わせてもらっていいと思うのです。本文のところは、全体的に「養子縁組」という言葉が多くあって、パーマネンシー保障という点でいくと特別養子縁組が本来なので、本文の養子縁組のところをどういうネーミングにしていくのか。またはここでいう養子縁組は、基本的にはパーマネンシー保障なので、特別養子縁組なのだというところを最初のほうに書いておくとか。そこの書きぶりはまた事務局にお願いしたいと思うのです。けれども、これはとても重要なことで、たまたま昨日、特別養子縁組を専門にしている法学者の方と話していて、外国、英米、ヨーロッパ諸国でも、日本でいう特別養子縁組が普通なのだと。日本は特別養子縁組を特別に思っているけれども、欧米ではそれがスタンダードというか普通というようなことを話し合っていたのです。ぜひそういう意味で、養子縁組と書くと両方のイメージになってしまいますから、誤解のないようにパーマネンシー保障は特別養子縁組なのだというところがわかるような書きぶりをお願いしたいと思います。

 

○奥山座長

 はい。

 

○吉田子ども家庭局長

 今、事務局という名前が出ましたので、余分なことをまた発言させていただきます。これまでの委員の方々の受けとめをずっと横で同席させていただいた私としては、本文のところでおっしゃっていただいているのは、もちろん特別養子に対して今、おっしゃっていただいたパーマネンシー保障という意味で、特に日本において進めなければいけないという認識。そのために、まさにここにも書いていただいているような法的な課題も含めて取り組むべきという問題というのは、もちろんスペシャルなものがあるとして受けとめながらも、後ろの本文で書いていただいたのは、まさに特別養子縁組だけではなく、我が国の現状からすると、全て養子縁組というものを視野に入れていろいろ取り組むべきではないかという御提案あるいは御意見を整理していただいていると思っています。藤林構成員のおっしゃっていることを私は誤解しているつもりはないのですけれども、本文のところを全部置きかえろとおっしゃっているわけではないので、全体として養子縁組についての本文と、その中で特にサマリーとしてフレームアップした前段のところが、両方ワーディングあるいは流れとしてもそごのないように、もう一工夫するのを事務局として手伝えという御趣旨だと思っておりますので、そういう理解でよろしいですか。

 

○藤林構成員

 そのとおりです。

 

○吉田子ども家庭局長

 そうさせていただきたいと思います。

 

○奥山座長

 藤林先生と林先生にもそこのところは御協力いただいて、どこまでを特別養子縁組という言葉に置きかえたほうがいいのかどうか。ここでも代替養育と特別養子縁組という書き方にもなっておりますので、代替養育を必要とする子どもと特別養子縁組ですか。37ページの一番下にございますけれども、一応特別養子のことも書かれてはいるのです。ただ、今、おっしゃったように養子縁組という流れも一つありますので、そこを放っておくのかという話にもなるので、その辺は藤林先生と林先生とでもう少し御相談いただき、事務局に御連絡いただいて、訂正するべき箇所があったら御連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。

 では、時間になりましたので、事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○田野家庭福祉課課長補佐

 本日は、ありがとうございました。

 次回の日程については追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。


(了)

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