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2017年6月27日 第2回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成29年6月27日(火)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会612会議室(6階)


○出席者

委員

武石委員、池田委員、駒崎委員、佐藤委員、座間委員

参考人

中里英樹氏、中村かおり氏、高村静氏

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本審議官、源河職業生家庭両立課長、六本雇用均等・児童家庭局総務課調査官、土岐職業家庭両立課課長補佐

○議題

1.有識者等からのヒアリング
(1)「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」
  (内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官  中村かおり氏)
  (内閣府経済社会総合研究所客員研究員(成城大学特別任用教授 高村静氏)
(2)「現行育児休業制度の課題と父親の「取得率」の意味:国際比較の視点から」
                 (甲南大学 中里英樹氏)
2.その他

○配布資料

資料1 男性の意休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響(内閣府経済社会総合研究所の調査結果から)
資料2 現行育児休業制度の課題と父親の「取得率」の意味:国際比較の視点から
資料3 本研究会の大きな論点(案)
資料4 第1回研究会 委員の主なご発言(事務局作成・未定稿)
参考資料1 「国際比較から見る日本の育児休業制度の特徴と課題:ノルウェー・スウェーデン・ドイツ・ポルトガル」独立行政法人労働政策研究・研修機構編『ヨーロッパの育児・介護休業制度(JILPT資料シリーズNo186)』独立行政法人労働政策研究・研修機構,1-17
参考資料2  「父親の育児休業取得の条件と意義: 取得期間別の特徴に注目して」独立行政法人労働政策研究・研修機構編『育児・介護と職業キャリア: 女性活躍と男性の家庭生活(労働政策研究報告書 No.192)』独立行政法人労働政策研究・研修機構,169-82

○議事

 
○武石座長 
ただいまから、「第2回仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の中お集まりいただき、どうもありがとうございます。頭撮りはここまでということになりますので、カメラの方は撮影を終了してください。よろしくお願いいたします。
 今回はペーパーレス会議ということですので、初めに事務局から説明をお願いします。

○土岐職業家庭両立課課長補佐 
説明というほどでもないのですが、厚労省としてこういったペーパーレス会議を推進していますので、取り入れさせていただいています。問題がなければ、今後ともこのやり方でやらせていただければと思います。
 スマートフォンやタブレットをお使いになったことのない方はおられますか。やり方はほとんど同じです。スライドしてめくる、二本指を置いて、指の間を広げたり狭めたりして大きくしたり小さくしたりするというやり方で、基本的には操作していただければと思います。
 資料ですが、上部のタブに、01座席表、04資料2、06資料4とありますので、そこをタップしていただくと資料に飛ぶことができますので、そのようにお願いできればと思います。簡単ですが、以上です。

○武石座長 
それでは、議題に入らせていただきます。議題1「有識者等からのヒアリング」についてです。皆様からの御意見を踏まえて、男性の育児休業取得の促進に関連した調査・研究をしている有識者からのヒアリングを予定しております。最初に、内閣府経済社会総合研究所上席主任研究員の中村かおり様、客員研究員で成城大学特任教授の高村静様から、「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」について御説明を頂きます。よろしくお願いします。

○説明者(高村静氏) 
私は内閣府経済社会総合研究所客員研究員の高村と申します。まず、お話を差し上げる前に、経済社会総合研究所について、一言触れさせていただけたらと思います。
 中央省庁再編以前の、経済企画庁経済研究所の機能を受け継ぎ、規模も拡大する形で、2001年に発足しました。現在の内閣府のシンクタンクです。現在も多くの研究員、職員がマクロ経済関係の業務に従事しており、皆様よく御存じのところでは、GDPの速報値、年次推計値の作成、公表のほか、景気動向指数、機械受注統計などのマクロ経済指標なども作っております。マクロ経済以外の研究分野として、いわゆる経済社会の社会の部分ですが、防災、少子化という課題について研究しております。本日は、このうち昨年度実施した「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」の調査結果を御報告させていただきます。資料1です。本日は上席主任研究官の中村と御報告に参っておりますが、報告は高村から行わせていただきます。よろしくお願いいたします。
 資料1を御覧ください。下のほうにURLがありますが、是非Webページに掲載されているワーキングペーパーについても御参照いただけたらと思っています。本日は私のほうでパワーポイントにまとめたものを1から6の順でお話させていただきます。
 2ページ、「調査の目的」です。2点ありまして、まず、男性でどういう方々が育児休業を取得しているかという既定要因について検討するということです。これまでも、男性の育児休業についての研究というのは、どういう場合、あるいはどういう人、どういう条件の下で取得が進むかという、今回の1.男性の育児休業取得を規定する要因の検討に関わるようなところについての研究が行われてきました。
今回の特徴は、目的の2点目にある、第1子を出産した方の出産前後の2時点を比較して、この変化に対して育児休業の取得がどのような影響を与えているかを検討するということでした。皆様御存じのとおり、男性の育児休業の取得は低位にとどまっていますので、この育休取得の効果を検証しようとしても、育休取得した十分なサンプルの確保ができるのかどうかが調査に当たっては問題になっていました。ただ、育児休業取得を進めてから随分時間もたっていますので、5年分ぐらいの期間の幅を取り、育休取得した人ということでデータを取得すれば、分析可能ななサンプル数が集まるのではないかという判断の下、今回は2についても調査、分析をしたということです。
 3ページ、「調査の概要」です。先ほどの目的を達するために、ここにあるような調査を実施しました。調査手法はインターネット調査です。全国を対象に調査し、20~59歳の間の過去5年以内に第1子が生まれた男性を対象にデータを取得しています。過去5年ですので、2011~2015年の間に第1子が生まれた方を対象にしています。第1子が生まれた場合と第2子が生まれた場合というのは、育児休業取得の状況などもかなり変わっておりますので、ここでは第1子が生まれた方のみを対象にしてデータを収集いたしました。それ以外に、第1子出生時に、本人が被雇用者であるということと、第1子が1歳になるまでの間に配偶者及び第1子と同居しているということも条件に加えています。もともと5,000を少し超えるぐらいのサンプルを集めて、うち1割ぐらいは育児休業を取った人を入れたいということで調査したのですが、当初の心配もあったわけですが、結果的には育児休業を取った方が469サンプル集まりました。
 次に、4ページでは、どういう分析をしたかを図でお示しします。調査の中で尋ねたことですが、3つの時点について、この箱の中に入っているようなことを尋ねています。まず、時点1は出生前の状況についてです。出生前というのは、ここでは妊娠判明時です。ここで聞いたのは、職場の要因・働き方、家事の分担、夫婦関係などについてです。時点2はお子さんが生まれたときです。育休を取った方には育休をなぜ取ったのか、何日取ったのか、育休中にどのように過ごしたのかということについても尋ねています。これも今回の調査の1つの特徴で、育休を取ったかどうかだけではなく、なぜ取ったのか、何日取ったのか、どのように過ごしたのかについても効果を見るということをしています。時点3は、お子さんが1歳になった時点での状況です。同じく働き方、今度は家事に加えて育児も生じていますが、その分担について聞いております。それから夫婦関係についても聞いております。
 分析については2つしていて、1つは先ほど申し上げたとおり、第1の時点で、どのような条件にあった人が育児休業を取っているかという分析です。2つ目の分析は、出産前と出産後の変化を見るということで、その変化に対して育休を取ったことがどのように影響しているかを見るという分析です。
 ここで、この調査の特徴あるいは結果のポイントを先に申し上げますと、時点1と時点3は同じ内容で聞いてはいるわけですが、1年半ぐらいの間が開いており、この間の変化が分かったというのは、この調査の新しい点かなと思っています。それから途中で申し上げましたが、育休を取ったことだけではなくて、なぜ取ったか、何日取ったか、あるいは育休中はどのように過ごしたかということの影響が分かったというのも、非常に大きな特徴です。
 後々御説明いたしますが、きっかけというのも結構影響しており、本人の希望に沿った形で取るということ、あるいは配偶者の希望に応じて取れることが重要だということが分かったということと、育休の取得日数については、家事・育児をどのように行うかということに影響を与えているかが分かったということがあります。それから、育休中の過ごし方についても、ここで家事、育児をするとか、夫婦間でコミュニケーションを取るということが後々に影響しているということが分かったということも、非常に特徴だと考えています。
 5ページは、「男性の育児休業取得状況」で、今回の調査の集計結果をまず御説明します。男性の育児休業の取得状況ですが、育休単独で見たとき、4つある箱の左上の箱を御覧いただくと、取得期間で最も多いのが「1~4日」です。ただ、この日数というのは育休単独ですので、前後にそれ以外の休暇を付けて休まれる場合もかなりあり、それらの年休、配偶者特別休暇という休みを付けると、もう少し長くなります。育休単独だと中央値が5日、それ以外の休暇も合わせると中央値が10日となっています。右の育休取得のタイミングとしては、多くの方が出産月に取っているということです。その後、少しずつばらけていきます。右下の最も決め手となった育休取得のきっかけという所を御覧いただくと、自ら希望した方が6割超いることと、配偶者が希望したという方が2割強、育休を会社が勧めたという方が15.9%いるということです。タイミングときっかけを組み合わせてみると、自分で希望された場合というのは出産月であったり、月数では読みにくいのですが、妻の体調に合わせて取ったとか、妻の復職時に取ったというように、少しばらけます。育休を配偶者が希望したという場合には、配偶者の体調に合わせて、復職に合わせてというばらけ方をしています。会社が勧めた場合というのは、会社の都合に合わせてということで、またこれも期間のばらつきが見られました。
 1つここで御留意いただきたいのが、右下のグラフは「最も決め手になった育休取得のきっかけ」ですので、もしかしたら会社が勧めたのかもしれないのですが、最終的に自分が決めたという場合には、会社に勧められたとしても「自ら希望」という所に入っているということです。今後、この「最も決め手になったきっかけ」というのが何度か出てきますが、そのように御理解いただけたらと思います。それから、左下は配偶者の就業状況別の育休取得率をお示ししています。実際には、ここは余り差がないということです。
 6ページでは、同じく男性の育休取得状況ということで、取得して実感したことは何かという問いに対しての答えです。多かったものは、「子育ての大変さが分かった」、「子供と過ごす時間が持てた」、「配偶者とコミュニケーションを取る時間がもてた」ということが多く挙げられています。
 7ページでは、反対に、なぜ育休を取得しなかったのか、育休は取得しなかったけれども、それ以外の休暇を取ったという方がいらっしゃいまして、その方たちに、何で育休を取らなかったのかと、何の休暇も取らなかったという方たちに、どうして休暇を取らなかったのかを聞きまして、その結果をここにお示ししています。多かったのが、仕事が忙しくて休むことができなかったということです。育休以外の休暇は取ったのだけれども、育休は取らなかった方で多かったのが、有給や休暇などの他の休暇で対応できたということでした。
 続いて、8ページ、(4)の育休取得者の業務の引継ぎの状況というのも特徴的でしたので、御紹介いたします。育児休業を取得するに当たっては、同じ部門の正社員に引き継いだという引継ぎが行われているケースが6割ありました。これは何日間育休を取るかということに余り影響を受けていなくて、育休を取るということになると、何らかの形で、ちょっと仕事を前倒しして早く片付けるとか、あるいは同じ部署の中で仕事を共有する、あるいは自分がいない間も若手の方が仕事をできるようにミニ研修会のようなことを事前にやるという形で、何らかの形で引継ぎをするということがありました。今の例は、ヒアリングをしたときに出てきたものなのですが、育児休業というのは、どうも話を聞いていると少しほかの休暇とは違って、何らかのこういった仕事の中でのけじめみたいなものを付けるということが見られるのかなと感じられたところです。
 その後、9ページ、「分析1:男性の育児休業取得の規定要因」の結果を御紹介いたします。男性が育児休業を取得する要因は何かということで、まず会社の制度の有無を見た表になります。これを御覧いただくと、勤務先に様々な制度があるほうが取得が進んでいる状況が御覧いただけると思います。
 続いて、10ページです。こちらでは、制度ではなくて職場の状況、雰囲気、家庭の状況をお示ししています。これまでの先行研究などでは、育児休業を取得するに当たっては、会社での労働時間というものが影響しているということがありました。上のほうの表ですが、今回の調査の結果は、育児休業取得者と非取得者の間で会社にいる時間というものが違うというよりは、上司の雰囲気、職場の雰囲気について、比較的差が大きく見られました。それから、家庭の状況で言うと、育児休業を取られた方というのは非取得者に比べて、もともと家事や育児を時間も長くやっているし、妻との負担割合も多めに負担している、平日担当する家事の数も多いという傾向が見られました。家事の数というのは、下のほうにで説明していますが、洗濯、料理、掃除、ゴミ出し、買い物をそれぞれ1つとカウントして、ここに記載させていただいています。
 制度の話と、職場、家庭での状況が影響しそうだということが分かったのですが、これらの要因を全部1つのモデルに投入し、影響を見たのが、11ページです。モデル4を御覧ください。様々な状況をコントロールした後でも、先ほど御覧いただいた職場の要因が非常に育休の取得に影響を与えているということが分かったということです。同じく、家庭の状況ということで、平日の家事時間が育休の取得に影響を与えていることが分かったということが、結果として示されました。ひとまず分析1はここまでということにします。
 続いて、12ページ、「分析2:男性の育児休業の取得の効果」の結果を御紹介いたします。分析2は、育休取得の前と後の変化を比べるという分析です。この際に一階差分モデルという手法を用いています。どういうことかと申しますと、この後で、育児休業中の家事・育児参加ということが分析の対象になってきますが、育児休業を取得した人は、もともと家児や育児をたくさんやっていた人で、もともとやっていた人がたくさんやるようになるのというのは、すごく関係があるのではないかとなると思うので、もともと家事・育児をやっていたという情報をコントロールして、その影響はなかったという取扱いをして、実際に、本当に前後の比較にどういう影響があるかを見るために、一階差分モデルという手法を使っています。分析の結果を少しずつ御紹介します。
 3つの観点から分析していますが、1点目は、スライドの13ですが、働き方の変化への影響を見たものです。ここで働き方として何を見たかですが、「出勤時間」、「退社時間」、その差として計算される「会社にいる時間」を検討しています。さらに、仕事をする上でどのような工夫をしているかを聞いていて、「行動上の工夫」と「意識面での工夫」も尋ねています。これらで働き方の変化を見ています。この表というのは見にくくて恐縮なのですが、育児休業取得者の第1子出生前、ここでは妊娠が分かった時と、第1子出生後1年たったときです。それから、取っていない方の第1子出生前と、1歳になったときの会社にいる時間、出社時間、退社時間、行動上の工夫としてどのようなことをしているかというのを、比較表で載せています。一べつしたところで、会社にいる時間が短くなっているとか、出社時間については取った方のほうが早くなっているとか、退社時間も早くなっているということが分かるのと、もともと育休を取った方というのは不要なミーティングはやらないとかの人が多いということが分かります。あと、仕事をチームで細分化するとか、仕事をチームで共有することが増えたのも、育休を取った人だということが分かります。意識の面で言うと、定時で帰ることを意識するようになった人が増えたのは育休を取得したということが、この表で分かります。
 これをいろいろな条件をコントロールし計量的に検証しても言えるかというのが、14ページです。こちらを御覧いただくと、いろいろなものをコントロールしたとしても、育児休業を取得するということ自体が、「会社にいる時間」を短くしている、「退社時間」を早めているということが分かりました。早く帰ったり、会社にいる時間が短くなっても、仕事をきちんとやっているかどうかということが気になるところですが、それについては、15ページが一部御説明することになると思っています。先ほども少し御紹介したところですが、育休を取得した方のほうが不要なミーティングを減らすようにしているとか、手順・手続を簡略化しているとか、意識の面で言うと、効率よく仕事をするように心掛けているとか、定時で帰ることを意識するようになったということが高いので、仕事はやりつつ、こういった効率を上げるという面で工夫をして、早く帰るようになったのではないかと考えられるということを御紹介させていただきます。
 続いて、16ページです。取得のきっかけが、仕事のやり方、仕事の変化にどのような影響を与えるかを御覧いただきたいと思います。きっかけとしては、自ら希望した場合、配偶者が希望した場合、会社が勧めた場合で見ています。これは「最も」ですので、冒頭で御紹介したとおり、もしかしたら会社が勧めたのかもしれないのですが、最終的には自分で希望したという場合は一番上に入っているという状況です。
 これを御覧いただくと、自分で希望したり、配偶者が希望した場合には、会社にいる時間は更に短くなっていますし、意識の面での工夫の数も増えている状況が分かります。会社が勧めただけで取っていると、会社にいる時間が若干延びているという状況も見られます。その下の所は、計量分析してもそのことが確められて、やはり希望に応じて取れることが大事だということが分かりました。
 17ページでは、家事・育児への参加にどのような影響があるかを御覧いただきます。上の段が家事・育児に関する時間、割合、どのような家事をしているかについてで、下の所は育児に関する所です。同じく、育児休業取得者の前後、非取得者の前後ということになっていまして、育児については出生前はありませんので、出生後のみ数字が入っています。
 これを御覧いただくと、育児についてはそれほど差がないということがあります。育児については、育休を取っていない方の中にも、それ以外の休暇で取っている方もいて、育休だけでは家事では差が見えるのですが、育児では余り差が見られないという状況があります。
 それを18ページでもう少し細かくお示ししていて、育児は取得者のほうが多いものもあれば、子供と遊ぶことに関すると、取っていない方も頑張っているという状況もあります。一方の家事のほうは、特に、洗濯、料理、掃除に関しては、取得した方のほうがやっている状況になっています。ゴミ出しなどは余り差がないのですが、幾つかの家事では、育児休業を取得している方のほうが多いということです。
 このような状況が計量分析でも確認できるかをお示ししたのが、19ページです。ここでは、お子さんが1歳になったときと、分かったときの変化を、家事・育児時間と実際にやっている割合、個数ということでそれぞれ見ています。やはり、育休を取得したということが、これらのことに対してプラスの影響があることが見られます。これは一階差分モデルですので、先ほど御紹介したとおり、もともとやる人だからということではなくて、もともとやる人だからという情報をコントロールした上でも、育休を取得することがこれらの家事や育児の負担というところにプラスの影響をしていることが分かったということです。
 それから、20ページ、取得のきっかけです。ここでもきっかけというところを見ております。先ほど、働き方に影響するのは自ら取得する場合だったという御説明をしたのですが、ここでも「自ら希望」するということと、「配偶者が希望」したということの影響が見受けられます。
 21ページは、それについて計量分析した結果です。やはり同様の結果が見られております。自ら希望、配偶者が希望することが大事だということです。実は、ここは図表でお示ししていないのですが、きっかけと併せて、今回はタイミングということについても聞いています。タイミングということで言うと、妻の体調に合わせて育休を取得したというところが、家事・育児の時間や個数にプラスの影響を与えているということがありました。
 22ページです。家事・育児をすることが働き方にも影響があるのではないかということで分析したものです。これは育児休業を取った方が、何も取っていない方に比べてどういう変化があるかということで、育児休業中に家事の数をたくさんやるようになった方は、休業取得前後で会社にいる時間が短くなっていると。それから、育児休業中に育児の数をたくさんこなすようになった方は、戻った後に行動で工夫する数が増えているということで、育児休業中に家事や育児をどうするかということが働き方にも影響しているということを、この22ページではお示ししています。
続いて、23ページで休暇中の過ごし方について御説明いたします。これは育児休業中にどう過ごすか、何をするかというところで、育児休業中に家事や育児の時間を長くするとどうなるかということと、いろいろな種類をやるとどうなるかというのを見ています。育児休業中に家事を長くやった人というのは、やはり子供が生まれる前後の家事・育児時間の増加にプラスになっていて、個数にもプラスが見えて、育児・家事の習慣が1年たったときにも続いているということのためには、育児休業中に何をするかということがとても大事で、1歳になったときに家事や育児をするという習慣が付いているということが、夫婦関係の満足に影響があるということがありますので、育児休業中に仕事をしてもいいのだったら育児休業を取るという話も聞いたりしますが、育児休業中には家事や育事をする、あるいは夫婦でコミュニケーションを取ることが大事だということです。
  24ページでは、夫婦関係満足等への影響を見ています。「夫婦関係満足等」の「等」の中身は追加出生意欲です。この育児休業を取得したということだけで夫婦関係満足度とか、出生意欲にプラスがあったかと言うと、そこは残念ながら見ることができませんでした。ただ、家事や育児時間が長いということだとか、あるいは取得日数が夫婦関係満足度には影響しているということが分かっています。取るということだけでは影響はないのだけれども、取ることによって家事や育児の時間が増えているということは、夫婦関係満足度とは関係があるということで、直接的な影響ではないのだけれども、家事や育児が増えることで夫婦関係満足度がプラスになったり、取得日数が増えることで夫婦関係満足度が増えたりということが見られたということです。それなので、やはり休暇中をどのように過ごすかということが非常に大事なわけです。夫婦関係満足度というのは、追加出生意欲にもプラスの相関がみられますので、そういった意味で直線的な関係ではないのですが、相互に影響しているのではないかというのが、24ページになります。
 それから、25ページでは会社に対する感情、キャリアの意識というものを聞いていますので、これについて最後にお示しいたします。育休を取得した方と取得していない方で、会社に対してや、自分のキャリアについてどう考えるかを聞いたところ、「会社への好感度」、「帰属意識」について、取得した方の高まりの度合いが非常に高かったということが分かりました。それから、取得していない方ですと、「転職への関心」は高まったということがありました。この点について、取得した方ではそれほどは高まっていないということが分かりまして、総じて良い効果が見られたのではないかと考えています。以上、分析の結果を御紹介しました。最後に、まとめということでお話させていただきます。
 まず、分析1のどういう人が育児休業を取得しているかについてです。男性の育児休業の取得というのは、職場関係に非常に大きく規定されていることが分かったということです。ですので、職場環境の中身というのは、制度があるということと、職場の状況ということで、上司や同僚が育児休業を取ることに非常に支持的であるということですので、イクメンやイクボスを増やそうということを最近は進めていますが、こういう取組は積極的に進めていくことが大事ではないかということです。
 分析2の結果から分かったことは、男性の育児休業取得ということ自体が、働き方の見直し、家事・育児参加の増加ということにプラスに影響していたということです。そのことを通じて夫婦関係満足度と、直接的ではないのですが、プラスの影響があったということです。会社への好感度、帰属意識にも高まりが見られたということです。さらに取得のきっかけなどを見ていくと、中身を見ていくと、きっかけ、タイミング、育児休業中の過ごし方も非常に重要だということが分かったということです。それらに応じて、働き方の見直し、その後の家事・育児への積極的な参画、夫婦関係の更なる改善にも違いが見られたということですので、希望に沿った取得の仕方ができるようになっていくことが、非常に重要ではないかということです。駆け足ではありましたが、以上で御報告を終わらせていただきます。

○武石座長 
あと20分弱ぐらい、議論をしたいと思うのですけれども、男性の育児休業の取得者がある程度まとまった数が取れたことで、これまでできなかった分析をしていただき、この研究会にとって非常に有意義な御報告を頂いたと思います。御質問、御意見、何でも御自由にどうぞ。

○駒崎委員 
プレゼンテーション、ありがとうございます。少し僕は理解しきれなかったのですけれども、分析2の所で、家事の負担は増えるけど育児のコミットは変わらないというのが出てきているのですけれども、それと、後ろ側の家事・育児の時間数は増えているのは、どういう整合性があるのでしょうか。

○説明者(高村静氏) 
後ろのほうは家事と育児を足しています。家事が入っているということです。

○駒崎委員
 なるほど。では育児は、育休を取っても育児へのコミットは変わらないけど、家事の割合は高まっているから、足すと家事・育児で言えば増えるのですね。

○説明者(高村静氏)
 そうですね。

○駒崎委員
 分かりました。そうすると複雑というか、育休を取って子供と触れ合えるようになりましたみたいなのは、そんなことないという話なのですか。

○説明者(高村静氏)
 いや、でも、ちゃんとやりはしているのですけれども、より重要なのが家事かなということです。

○駒崎委員
 家事かな、なるほど。家事に余裕ができる。

○説明者(高村静氏)
というか多分、お子さんが生まれると育児については多くの方がやるということですかね。

○駒崎委員
 なるほど。自分の経験から言っても家事のほうが大変というか、いろいろ本当にあるので、家事はやるようにはなるとは確かに思いました。そうですね。

○説明者(高村静氏)
 それとあと、どういうときに育休取るかということを見ていったときに。

○駒崎委員
 どんなときに。

○説明者(高村静氏)
 どういうきっかけで取るかといったときに、自分の希望というのもあるのですけれども、配偶者が希望したときとか、あと、この中に直接お示ししていないのですけれども、配偶者の体調に合わせて取るということが影響しているところを見ますと、子供のケアということももちろん大事なのですけれども、夫婦の間でどう役割を見直していくか、コミュニケーションをとっていくかが大事なのかなと感じました。

○駒崎委員
 確かにおむつ替えとか、ミルク、離乳食を食べさせる、これは別にそんなにハードではなく軽タスクなので、どちらかというと差は出ないのかなという感じは、確かにそんな感じはしました。あと、取得日数は何日ぐらいから夫婦関係満足度にいい影響を与えられるみたいな、そのしきい値みたいなものはあるのでしょうか。

○説明者(高村静氏)
途中で日数のお話をしたのですけれども、日数と夫婦関係満足度が影響しています。それは連続値で見てしまっているので、しきい値は見ていないので、直接にはお答えできないのですけれども、日数自体がプラスだということと、あと、日数の2乗という数値を入れていまして、2乗もプラスだということなのです。2乗がプラスとは取得日数が増えれば増えるほど満足が高いという形です。

○駒崎委員
 なるほど。どうなのでしょう、それは直線的な関係なのでしょうか。例えば5日取るのは、10日取るのの半分という直線的な関係が成り立つのか。非線形で。

○説明者(高村静氏)
非線形でより大きく上がっていくということです。

○駒崎委員
 2乗すると多分そういう感じのグラフにはなるとは思うのですけれども、何て言うのでしょうね、階段みたいな感じになっているのではないかという気もしないでもないのです。

○説明者(高村静氏)
 すみません、今ここではその御質問お答えできなくて申し訳ないです。

○駒崎委員
 分からないのですか。承知しました。

○池田委員
 今の点と多分、関係してきていて、この後の中里先生の報告とも関係するのですけれども、今回のデータは先ほどお示しいただいたように、出産月に取得した人が54.8%で取得日数は1~4日が48%ですから、データのマジョリティで言えば、妻の出産月に1~4日取って何をするかという話になると思います。先ほどの育児とか家事の話もその間の家事・育児ということであれば、やはり妻の身の回りの家事ということになると、そういう話なのかなと理解できるのですけれども、そういう理解でよろしいですか。

○武石座長
 まだ病院に入っている時期ですよね。

○池田委員
 そういうことですよね。6か月とか8か月とかになった子供の世話というと、またいろいろやることも増えてきますけれども、出産月に子育てというと、ちょっと抱っこして、ミルクの1つでもあげてみてみたいな。抱っこして一緒に過ごす時間を持つぐらいの。あと、おしめ替えたりして、そういうイメージでいいのですか。

○駒崎委員
 育休取得後の家事育児参加なので、後がどこまでのことを話すのか分らないです。

○説明者(高村静氏)
 「後」というのは1歳になった時点のことを聞いています。

○駒崎委員
 1歳という時点ですよね。なので4日取って、1歳時点で家事・育児時間どうという、そういう話ですよね。

○説明者(高村静氏)
 前に比べてどのぐらい増えているかを聞いているということです。

○駒崎委員
 前から比べて、1歳時点において。

○池田委員
 育児休業中にというわけではないのですか。すみません。

○武石座長
 休業中育児数というのはそれですね。

○駒崎委員
 そう、それです。

○説明者(高村静氏)
 休業中はそれで、影響を見ている先はその変化の状況です。

○駒崎委員
 変化の状況、どこ時点とどこ時点の変化でしたか。

○説明者(高村静氏)
 妊娠が分かった所とお子さんが1歳になった所です。

○駒崎委員
 妊娠が分かった所とお子さんが1歳になった所の差で見てますということですね。

○説明者(高村静氏)
 なので、変化は実は家事と育児を一緒にしないと見れないのです。○駒崎委員 確かにそうですね。子供がいないわけですからね。

○説明者(高村静氏)
 それとあと、先ほど駒崎さんに御質問いただいた18ページ、やっているかやっていないかなのですけれども、本当にやっているかやっていないかなので、どのぐらいちゃんとやっているかということは、ここからは分からないのです。1日に1回なのか、1日に3回ミルクあげているのかというのは分からないです。

○駒崎委員
 それはそうです。でもさっきの話で、何日という話はみんな1~4日なのだったら、逆に言うと1~4日でもそれなりに家事に関しては効果出るということなのですか。

○説明者(高村静氏)
 ただ、1~4日とは申し上げましたけれども、それ以外の休暇も付けているので、もう少し長くは休んでいるのですね。

○駒崎委員
 ああ。

○説明者(高村静氏)
 だから中央値で見るとそれ以外の休暇も足せば、10日ぐらいにはなっているということです。

○駒崎委員
 なるほど。10日ぐらいにはなっていると。

○説明者(高村静氏)
 それと、池田さんのくださった御質問ですけれども、資料に出さなかったので申し訳なかったのですけれども、やはり妻の体調に合わせて取っているということは、出産月ではないことも多いのです。そういうことが影響を持っていることは、やはりまだ妻が病院にいるときに取るということよりも、そうではなくて、妻が家に帰ってきた時に取ることが意味を持っているのかと思います。

○駒崎委員
 なるほど。話が戻るのですけれども、やっていることは4日プラス何か、配偶者特別休暇だとかやって10日ぐらい休んでいます。そうするとそれなりに効果はあることがここから示唆されていますよね。少なくとも家事に関してはそうです。だから休まないよりはいいということは言えるわけで、例えばそれが1か月休むのと10日休むのはどうなのかは分からないということですね。

○説明者(高村静氏)
 そうですね。

○駒崎委員
 サンプルがない、ないというか少ないわけです。

○説明者(高村静氏)
 そうですね、はい。

○駒崎委員
 なるほど。分かりました。

○池田委員
 育休以外の休暇しか取らなかった人と育休を取った人と、全く休暇を取らなかった人の話が前半に少し出てきているのですけれども、この後の育休取得の有無とか育休取得の効果といったときに、育休は取らなかったけれど、他の方法では休んだ人は、どうデータ上処理しているのですか。

○説明者(高村静氏)
実はこの中では分けているところは1か所しかなくて、育休取ってない方はみな非取得者になっています。ですので、先ほどの駒崎さんがおっしゃった育児、みんなやっているじゃないというのの理由の1つは、非取得者の中にそれ以外の休みを取った人が入っていることもあると思います。

○駒崎委員
 隠れ育休者が、育休という制度を使っていないのだけれども、擬似的に育休取っている人が混ざっているから、実力きっ抗するみたいな感じになるという。

○説明者(高村静氏)
 だから中身を問わず、やっているやっていないと聞くと、割とここのところでは差が出にくいのはそういう理由かと思います。

○池田委員
 ただ、でも育休という制度を使う効果というのも見られるわけですね。

○説明者(高村静氏)
 そうですね。やはり働き方というところには育休を取ることの意味があって、少しお話したのですけれども、やはり引き継ぎをしなきゃということのようなのです。引き継ぎをすることに関して言うと、何日取るからという違いは余り見られなかったです。ヒアリングにも行ったのですけれども、5日も続けて休むの初めてだからドキドキするという感じなのです。「でも夏休みは5日休まないのですか」と聞くと、「夏休みは5日取るのですけれども、育休だからドキドキする。5日もいないことにドキドキする。」やはりそうですか。

○座間委員
 そういう生の声はございます。

○説明者(高村静氏)
 夏休みとではやはり違うそうなのです。5日、同じ5日であっても育休で、自分が職場を空けることに対しての心理的な何かを飛び越えるイメージがすごくあって。

○座間委員
 休むことへの抵抗感だと思います。会社はある程度働く条件を整えてから勤務することになるわけなので、その条件を整えられずにプライベートのことを持ち込むことへの抵抗感が背景にはあるのだと思います。

○説明者(高村静氏)
 かなり前から準備しているのですね。取得するということもあらかじめ、やはり届出して。

○池田委員
 つまり育休以外の制度を使って子育てのために休む人は、もう少し、なあなあに休むと言うか、仕事の様子を見ながら休めたら休むとか、要するに休むための準備の仕方が育休とは異なるということでしょうか。

○説明者(高村静氏)
 だから普通の有給と一緒なのだと、普通の有給と一緒だったり、普通の特別休暇と一緒だったりするので、今回は特段な準備は見られなかったのですね。

○池田委員
 なるほど、そこが違うのですね。

○説明者(高村静氏)
育児休業もあらかじめ、前もって取ることも申請しているので、そこに対して自分は万全な準備で望みたいという感じがヒアリングの中ですごく伝わってきました。そこの取組でどんなことをやっているかを聞いていくと、業務を前倒しでやるとか、共有・見える化するなど意味あるなと。数字では出てこないのですけれども、思うところはすごくありました。

○池田委員
 なるほど。おおげさ感がちょっと。

○佐藤委員
 何度も聞いているからあれなのだけれども。5ページの育休の取得期間とタイミングで、報告書にこのクロス表は載っていますか。

○説明者(高村静氏)
 いや、ここには載せていないです。

○佐藤委員
 普通の報告書になかったでしたか。つまり、いわゆる産休後の育休取った人の期間はどうなっているのかと。先ほど駒崎さんが言われたように、同じ4日、5日でも産休だから、産院にいたときの4日と後の4日で、期間でなくてタイミングと関係あると思う。このクロス表で影響を見ると。だから同じ4日でも一般的な産休の後ぐらい、産後6週間、強制休暇、そこの後ぐらいに取った人とそうじゃないから何か分布もあるのかと思ったり。

○説明者(高村静氏)
 クロスでは出してないのです。ただ、ちょっと手元では見ていまして、やはり自分で取りたいという人は出産月が多い傾向もあるのですけれども、出産月かもしくは退院の時か、妻の体調に合わせてとか、復職という感じで。妻の、配偶者の希望で取るというとやはり体調に合わせてとか、復職みたいなところが多くなってくるので。体調に合わせてだと出産月でなかったりとか、復職となるともう少し後ろだったりということはあります。

○佐藤委員
 大概の3か月以降で取る人は何か特別な事情があってなのかな、そうすると。続けて取っているのかも分からない。多くはその辺に分布してしまっているということだね。

○武石座長
 ここがクロス表で見たほうがいいかもしれないですね

○佐藤委員
 そういうことだね。

○説明者(高村静氏)
 クロス表にはしているのですけれども、そこの影響まではちょっと。

○武石座長
 育休取得のタイミングは足すと100になるのですか。

○説明者(高村静氏)
 無回答というのがわずかですがありまして、すみません、ちょっと外しちゃっていますが、それを足して100です。

○吉田局長
 事務局からも質問させてください。非常に興味深い分析を聞かせていただき有難うございました。3、4ページ目、調査設計の基本的なところなのですけれども、サンプルとして要するに育休取得者を469人分集めるという意味で言うと、全体のデータプールが5721あるということですが、この方々の働き方とか、勤め先の属性みたいなのはもともとのインターネットデータをとられるときの提出シートというか、そういう形ではこの調査では把握をされているのですか。

○説明者(高村静氏)
 はい。分析の中ではコントロール変数として使っています。

○吉田局長
 そうすると例えば、もちろん純然たる意味の育休、あるいは先ほど先生がおっしゃった隠れ育休というか育休類似というか、必ずしも休んだ方の影響というのは、そういうのがある意味で関係ないのかもしれませんが、そもそも育休取得した経緯とか、期間というのがこの少なくとも469、あるいはそのコントロールの5252の方の属性とクロスしてある程度分析できる、あるいは、もう既に報告書では分析されているのですか。

○説明者(高村静氏)
 業種について申し上げますと、コントロール変数として使っているのですけれども、その業種の特徴を見ることまではしていないです。やはりおっしゃるとおり、業種の分布は一般的な業種の分布とは、やはり少し偏りがあることはあります。

○吉田局長
 というのは我々、行政の立場から言うと、よく企業規模、その働き方、仕事の内容によってやはり違うのではないか。その違いを越えてどうやって進めるかをよく問われたり、考えたりすることがあります。そういう議論の素材としては、データとしてはその方がある程度、層化してきれいに使えるかどうかは別にして、一情報としてあるということですか。

○説明者(高村静氏)
あります。少しサンプル数がかなり小さめな業種というのは当然あって、反対に一般的な分布よりは大きい業種というのもあります。それはコントロールには使っているという状況です。

○武石座長
 ほかにいかがですか。

○駒崎委員
 追加出生意欲と育休取得が、優位な線、相関関係にあるということですよね。

○説明者(高村静氏)
 はい。

○駒崎委員
 僕が余りアカデミックな素養がなくてあれなのですけれども、これで見ると平日家事数、休日家事数が0.082と0.097なので、追加出生意欲に結構相関があるということを意味しているのかと勝手に思っているのですけれども、どのぐらいそれは意欲をかき立てるものなのかというところで、何か類似の研究とかで何が追加出生意欲をもたらすのか、例えば経済的な所得とか、あるいは自分自身が何人兄弟かということに加えて、例えばこういうものが変数になると思うのですけれども、ほかの変数と比べてどのぐらい効く変数なのかというのが分かるものなのでしょうか。

○説明者(高村静氏)
 ここでは追加出生変数、夫婦関係満足度が追加出生変数にどのぐらい効くかというのは実は分析しています。

○駒崎委員
 育休取得が夫婦関係満足度に影響を与えて、夫婦関係満足度が追加出生意欲に影響を与えるという因果関係ですか。それとも育休取得が直接、追加出生意欲に。

○説明者(高村静氏)
 それは見られなかったのです。

○駒崎委員
 見られなかったのですね。

○武石座長
 見てないではなくて、影響がなかったのですね。

○説明者(高村静氏)
 有意なものとしては見られなかった。

○武石座長
 でも相関係数、そんな高くないので一応、有意にはなってますけれども、余り影響はないと見たほうがいいかもしれないです。

○説明者(高村静氏)
相関係数が0.1にもなっていないので、そうですね。因果関係というところ、特定しきれなかったのでここには紹介してないのですけれども、ワーキングペーパー本体のほうでは夫婦関係満足はやはり効くという話はしているのです。夫婦関係満足が第2子以降の出生意欲に与える影響を固定効果モデルで検討したところ係数も0.18で有意なので、やはり満足を高める、夫婦関係満足に対するところを高めることが大事ということです。

○武石座長
 今のデータは育休取得後、だから育休を取得した人だけのデータですか。
そうですよね、24ページ。だから育休を取得していない人としている人との違いが分からないかもしれないですね。

○駒崎委員
 そうですね。どう違うのかというところですよね。もし育休があってくえなくて、夫婦関係満足度がすごく下がっていると、でもこっちはかろうじて、何とか保っている。あるいは少し上がっているぐらいでも差はすごいじゃんみたいな感じのことが言えるので、なので差分を見れるというのはいい、より見えるのかと。

○佐藤委員
 それ両方入ってないのですか。

○説明者(高村静氏)
 いや、すみません。これは取得者の意味です。

○佐藤委員
 そうだよね。それだと弱い。

○駒崎委員
 なるほどね。

○武石座長
 そろそろ時間なのですけれどもよろしいですか。大変貴重な御報告をいただきました。ありがとうございます。

(中村様、高村様、中里先生移動)

○武石座長
 もうお一方の研究の御報告、ヒアリングを頂きたいと思います。国際比較ということで海外の研究もされている先生ですが、甲南大学文学部教授の中里英樹先生から、「現行育児休業制度の課題と父親の「取得率」の意味:国際比較の視点から」ということで、御報告いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○説明者(中里英樹氏)
甲南大学の中里と申します。家族・社会学が専門で、子育て期の仕事と生活という研究テーマでずっと研究しており、最近では育児休業を取得したお父さんの、先ほど池田委員からお話がありましたように、長期取得、特に妻の就労中に1人で育児休業を1か月以上取得したお父さんのインタビューを基に、国際比較をしている本に1章を執筆しました。最後の参考文献リストに出ている3番目の英語の本で、11か国で今のような条件のお父さんたちの比較をしているという研究で、そこで日本ではなかなか見つけるのが大変で、何とか6人見つけてインタビューをしたという結果を基に、比較の材料を提供したということをしておりました。
 もう1つ、今日の報告とも関係があるのですが、育児休業の制度の国際比較をしている研究グループがあり、そちらに2012年から参加しています。そのグループが毎年出している各国の育児休業制度の詳細な情報と比較したものが参考文献リストの2番目なのですが、そちらのグループに参加して、北欧も含め様々30、40か国ぐらいの国々の育児休業制度を毎年この冊子と、毎回集まるセミナーで、それぞれの国の取組状況等を聞く機会があるものですから、私自身は日本の育児休業制度に中心的な関心はあるのですが、その課題とか特徴を考える手段として、様々な国の育児休業制度を見ているといった経験から、今日の報告をさせていただきます。今日はドイツの制度が割と詳しく紹介されますが、特段ドイツの制度についての専門家というわけではありませんで、その時々で必要なものは、比較の対象として重要なものがどこかという観点から見ております。
 資料ですが、メインの資料はタブレットの04と書いてある資料2で、最初におわびしなければいけないのですが、いつも学生に発表資料にはページ番号を付けろと口を酸っぱく言っているのを、慌ただしく送信したときに見たつもりだったのですが、ページが入っておりませんでした。5ページほどのものですので、それほど見失うことはないだろうと思いますが、どうぞ御容赦ください。
 中身に入ってまいります。まず、1.「父親の「育児休業取得率」の意味」というのをタイトルに入れてあるのですが、その点について、これはよく見る数字ではあるのですが、幾つかの数字を比較しながら背後の意味を考えていきたいと思います。1.1ということで、男性の取得率の変化と制度の変化。今、04の資料2を説明しているのですが、ほかの資料としては、07の参考1は、2年前にこちらの研究会と同様の趣旨でされていた研究会の中で報告したものを基にしており、ドイツ以外にもノルウェー、スウェーデン、ポルトガルも含めた図を使った比較が入っておりますので、後ほど少し触れることがあるか、あるいは質疑応答の中で触れることがあるかと思います。
 もう1つがその右側にある「労働政策」という文字がタブに入っているものですが、先ほどの内閣府の方の研究と似たような設計ですが、特に取得期間の違いに注目した分析で、この一部は今日の報告にも入ってまいります。その2つが参考資料として付いております。
 元の04のタブの資料2に進んでまいります。少しスクロールしてグラフが見えるかと思いますが、御存じのように、最近、発表された速報値で見ますと、2016年の男性の育児休業取得率が3.16となり、新聞等で微増と紹介されることが多いのですが、御覧のようなカーブを見ると、私自身は2014年からの上昇の角度に注目しております。その前、様々な制度の変化のタイミングと関連付けて折れ線グラフが作ってありますが、2007年、育児休業関連給付50%、取得前の賃金の50%となった年が非常に増えていますが、これは給付率ということもあるかもしれませんが、その前が40%でそれほど大きな変化というわけではありませんので、次世代育成支援対策推進法の計画が始まったタイミング、2005年ぐらいからの変化とも関係があるかなとは思います。その後は、2011年の数字がちょっと飛び出していて、いつもこの解釈は難しいのですが、震災の直後でデータの下、出所の下に注があるように、岩手、宮城、福島を除く全国の結果ということで、若干、前後の調査と性格が違うところがあるので、ここは括弧に入れてみたほうがいいのかなと思っております。そういう意味では、ここ最近、特に2012年ぐらいから徐々にカーブが上がってきて、2014年から数字は少ないですが、急上昇といってもいいようなカーブになっていると言えるのではないかと思います。
 ただし、グラフの下にコメントを書いたように、政府の目標値(2020年13%)というものからすると、大きな隔たりがあると言えるかと思います。これが育児休業の取得率の数字なのですが、先ほどの議論の中でもありましたが、その他にも様々な休暇の取り方がありますので、制度上の育児休業制度以外でも、出産の後の時期に休暇を取っているという実態は、この報告の準備をしていて見つけた調査ですが、内閣府の委託調査をされている、「男性配偶者の出産直後の休暇取得に関する実態把握のための調査研究事業」という報告書から取ってきた数字ですが、配偶者の出産後2か月以内の父親の何らかの休暇の取得率は55.9%あると。
 これをさらに細かく見ておられて、出産日の取得、それがどういう種類の休暇であったのかということ、それから翌日から退院までと退院翌日から出産後2か月以内という数字を挙げておられるのですが、出産日には52.3%のお父さんが休暇を取っていると。それはどういう制度を使っているかというと、育休は1.5%、それに対して配偶者出産休暇は43.4%、年休も38.3%、これは52.3%という出産日の取得率を100としたときの内訳になります。そして、出産翌日から退院までは少し少ないですが、48.5%の方が取っていて、育休が少し増えますが、配偶者出産休暇、そして年休、それを超えると配偶者出産休暇が1日とか2日というケースも制度上あると思うので、そういうことで年休の割合が少し増えてくると。そして、退院翌日から出産2か月以内となると、取得者はもう少し減りますが、育休の割合が少し増えて、配偶者出産休暇は大幅に減り、退院翌日になると配偶者出産休暇という制度が使えないこともあって、必要に応じて年休を取っていることが伺える調査結果でした。
 こちらを見ると、配偶者出産休暇を算入すれば、政府の言っている育児休業の目標値は超えているとも言えないことはないということになりますが、目指すところがこれでいいのだろうかということを考えていく必要があるのではないかということで、その背景として、既に第1回目のこちらの研究会の資料もネット上にあるのを見せていただくと、こういった期間の議論はあったようですが、少しデータを抜粋して紹介します。1.3の直前の「何らかの休暇取得者の取得日数:10日以上は9.4%に過ぎない。」これは前の内閣府の調査の結果ですが、50%ほどのお父さんが出産後2か月以内に取っているのですが、そのうち10日以上取っている方は9%程度だということです。
 そして、1.3、カラーの帯グラフ、図2が入っている所を見ますと、男性に関しては取得期間が上の調査と同様に近いですが、5日未満が50%を超えていて、2週間未満で7割以上になると。1か月を超えるものになると、男性の場合は10数パーセントということになります。一方で、右のほうの緑色の幅が相当ありますが、女性のうちの3割以上が12か月を超えて取得しているという、男女の間で非常に期間の格差があるというのが現状としてあります。
 私自身のインタビュー調査、先ほどの本に入っているほかの国のデータも含めて、長期に「単独」で取得することの意味がいろいろ検討されてきているのですが、その中ではやはり長期、特に単独、妻が仕事に行っている間、全ての部分を自身の責任で進めていく、家事・育児全体をコーディネートしていくことに関して、育児・家事の主体としての成長が非常に大きいということが、ほかの国の研究も含めて言われていますし、私自身のインタビューの調査でも、必ずしも配偶者が正社員でずっとそのまま育児休業を取って続けるということだけではなくて、仮に妻が専業主婦であったときに、最初、育児休業を取ると。その間に妻のほうが就職活動をして、夫の育休中に再就職をするというケースもインタビューではあったのですが、そういう再就職も含めて、あるいは夫が家事・育児を十分できるということで安心感を持って、早い時期に次の人生、一旦仕事を辞めた女性であっても次のキャリアを考えられるという意味で、キャリア継続への貢献があるということが長期「単独」取得の育児休業の意味として分かってきているところです。
 その中で、2ということで、「国際比較から見る日本の育児休業」です。育児休業の取得の状況を比較、特に男性の育児休業取得率が関心の中心で、それは日本だけでなくて、ほかの国でもかなり大きなものがあるのですが、それを左右する要素として考えられるものは、(1)制度そのものがどうなっているかということもそうですし、その国々で(2)配偶者の就業状況、どれだけの人たちが子供をもって、女性が就業しているかという割合も大きな差がありますし、(3)保育制度と利用状況、どれだけ制度が整っていて、どれだけ使える権利があって、何歳からそれが始まるかということも非常に大きな要素です。
 もう1つ、ここは切り崩すのが難しいところですが、先ほど5日取るだけでも非常なハードルというお話がありましたが、(4)職場文化と慣行、休暇の権利というものに対してどのように感じるか、あるいはどう見るかということに関しても、男性の育児休業の状況に影響を与える要素だろうと考えられます。(5)ジェンダー観、子育てというのが、男性にとっての子育ての意味、あるいは女性にとっての仕事の意味に関する社会の見方も大きな影響を与えるだろうということで、そういうものをトータルで様々な国の状況と比較していく必要があるのだろうとは思うのですが、今日はまずドイツを例に取って、日本の状況の特徴、あるいは課題を考えてまいりたいと思います。
 なぜここでドイツなのかということですが、先ほどの参考資料では、ほかの国も含めて比べていますが、制度そのものが一番、今の日本の育児休業制度と似ているということと、もともと男性稼ぎ手モデルというものが中心で、そこからどう変わっていくかということが、特に少子化と絡めて社会の中で問題視されていたということです。その2点において比較することが有効なのではないかと感じましたので、今回ドイツを中心に据えております。これは育児休業制度を研究している人ではよく知られていることで、ドイツでは2007年に育児休業制度の改革がなされました。それは非常に大きなもので、それ以降に急速に男性の育児休業取得率が高まったということで注目を集めている改変でした。1つは、もともとは2年間育児休業給付が得られたのですが、それはフラット・レートというか、誰にとっても定額の給付だったのですが、それを休業期間の所得の補償という観点に休業給付の意味を変えて、かつ短期間にして、女性の就労継続について、ブランクをなるべく短くするという観点から、休業給付の期間を1年に短くして、定額から休業前賃金の67%という選択肢に変えました。ただ、半額の給付で期間を倍にするという選択も可能は可能ということで、無給であれば3年間取れるというのも併せてあります。ただ、給付に関しては1年ということ。かつ、父親が取得するためのインセンティブとして、父親ボーナス。日本のパパ・ママ育休プラスと正にそっくりなのですが、もともとは北欧の真似というか、北欧の制度を参考に12か月という取れる期間のうち、2か月だけは父親でなければいけないというようなクオータの案が出たようなのですが、それは家族の選択に介入するという批判を受け入れて、期間を減らす、つまり母親の取れない期間を減らすのではなくて、父親の取れる期間、取ったら期間が増えるという心理的なボーナス。結局、一部は父親しか取れないというのは変わらないのですが、本来と思われている期間よりも短くするのではなくて、プラス分として父親のインセンティブを作ったと。この点においても日本のパパ・ママ育休プラスと似ている制度になっています。
 こういった改変があり、2006年に3.3%だった今の日本の状況ぐらいの父親の育休取得率が、2008年前半には15.4%になったという変化がありました。並行して保育の改革もされたということで、特に女性の優秀な労働力率、それとあいまって非常に少子化が進んでいるという問題意識から、女性の就業継続の必要性ということで、保育とフルタイム小学校、これについては私自身もまだ詳しく調べられていないのですが、整備に予算を付けることが行われました。
 最初の段階では、3歳以上になった段階で保育園に入園できる権利がどの子供にも与えられるということで、制度が始まりました。ただ、これは時間的には必ずしもフルタイムではなくて、短時間の保育園の場合も、特に元西ドイツの地域に関してはそういうものがあると言われていますが、3年以上。そして、2013年からは、1歳以上の子供たちに保育園に入る権利が付与されるというような改変がありました。ですので、2013年の改変の段階の影響ということではないのですが、2013年に生まれた子供の父親のうち、休業給付を受けた比率は32%、先ほどの2008年の15.4%から更に倍になって、32%が育児休業給付を受けていると。
 かつ、注目したいのは、給付を受けた父親の平均期間は3.1か月。多くの人がボーナス期間の2か月は取ると。それ以上取るのは余り多くないという形で、批判というか、平等ではないということが言われる段階になっています。ですので、取得率、取得期間ともに、日本の父親よりもはるかに高水準という状況になっています。ですので、ドイツの経験は保育制度改革と女性の就業中断を少なくして、男性の取得インセンティブを高める。このインセンティブというのは、金銭的なという意味だけではなくて、様々な要素で男性が取らないとという、あるいは取ったほうがいいという方向に進める制度改革を行った結果として、父親の長期育児休業取得率が上がったのが特徴かと言えます。
 ただ、保育改革等は権利が与えられたということなのですが、よくよく数字を見てみると、日本のほうで言うと、「保育所等関連状況取りまとめ」という報告を基に数字を比べてみたのですが、0~2歳児の保育所利用率は、ちょっと細かく言うと大体同じぐらいと見ていいと思うのですが、きっ抗した数字で、1~2歳児は日本では2016年で41.2%利用率がありますが、ドイツのほうのその数字が今のところ見付けられていないので、0~2歳で比べているのですが、ほぼ同じぐらいと見ていいと思います。
 ですので、ドイツの場合は0~2歳児で30何パーセントが保育所を利用していて、男性の育休取得率もそのぐらいの数字になりますが、日本の場合は同じぐらい保育所を利用しているのに、男性の取得率は10分の1以下であるし、更に1か月以上というところで比較すると、さらにその4分の1とか、もっと下ぐらいになるだろうと思います。
 では、なぜこういう差が出てくるのかということです。ドイツと比較した場合の特徴としては、これは前回6月1日の研究会で池田委員が資料に入れてくださっていた事柄ですが、保育園に入れない場合などの延長期間が、母親だけで通常、育休期間とパパ・ママ育休プラス、つまり1歳2か月までを超えるところも母親だけで取得できるというのが今の日本の制度になっていて、その結果として先ほどの1年を超えて取得するお母さんの割合が非常に高いということが言えると思います。
 それから、休業給付が労働者個人単位になっていて、日本は非常に寛大な制度という形で、どちらも並行してフルに休業給付が受けられるのですが、ドイツの場合は両方合わせてボーナス分を含めた12か月+2か月分までで、同時取得はやろうと思えばできるのですが、その分もらえる期間が短くなり、子供の年齢で言えば低い年齢までしかもらえないことになります。
 保育の開始年齢なのですが、今ドイツは1歳から入れるようになって、それがどう影響するかというのは、私自身はまだ知らないのですが、当初3歳以上からの権利ですので、子供に対して少しでも長く育休期間を取ろうと思うと、交代で取ったほうが長い期間取れるということになるのがドイツの制度でした。
 これだけで変わるかというのが非常に疑問があって、制度以外の違いの可能性としては、休業の「権利」としての認識、お金ももらえて取れるのだったら取らないと損ではないかという感覚に関しては、かなり違いがあるのではないかと感じております。
 そこで、3.「今後の課題」ということですが、ここまでお話してきた様々な点から、長期の育児休業、できればどこかの期間は単独で、全部が単独でなくてもいいと思うのですが、取得の割合を高めることを考えていく必要があるのではないかということが様々な研究から感じております。
 どうしたら高まるかということなのですが、配偶者の就業形態と父親の育児休業取得で、先ほどの研究でも配偶者の就業状態と取得率はそんなに関係がないという結果があって、私もJILPTの調査の分析をさせていただいたところでも、取得率自体には差はなかったのですが、長期の取得の人、もともと少ないのは少ないのですが、妻が仕事をしていない父親で長期取得した人は非常に少なかったのに対して、常勤フルタイムとか非常勤、パートタイムでも、これは1人ですので、割合は余り意味がないのですが、多少違いがあるのではないかということが伺えました。ですので、長期に単独でということになると、妻が就業しているという、あるいは非常に就業意欲が高いことが重要になってくるだろうということはあります。
 ですので、想定される方向性としては、そうは言ってもやはり専業主婦の割合が高い。これはドイツでも母親の就業率50%ぐらいという数字がありますので、大きな違いがないかもしれないのですが、専業主婦向け対策としては分割取得というか、産休中の期間に相当する産後8週の部分は、もともと男性も取得できるということなのですが、余り認識されていないところもありますので、この部分を周知していくと。このことによって、更に期間を長く取ることもできますので、配偶者の就業再開の可能性を高めていけるだろうと。これは今の2010年からの制度ですと、産休期間を過ぎた時期でも男性は取れますので、その時期に取得することで、先ほど言いましたように配偶者の就業活動というのが、1回辞めた方でも再開できる可能性があるだろうと。
 共働き家庭向け、この部分がドイツと非常に違う。たくさんの方が保育園を利用して、妻の就業継続も増えてきているわけですが、男性の取得率が非常に低い、特に長期は少ないということで、交代取得のインセンティブや必要性の強化が求められるだろうと思います。先ほども言いましたように、現在では、母親が1年以上取得しているケースが相当数ありまして、パパ・クオータという議論がよくなされるのですが、パパ・クオータという北欧の制度などを詳しく見てみたり、ドイツの制度、あるいはポルトガルの制度を見てみても、父親の割当てがあることというよりも、母親の取得できない期間があることにパパ・クオータの本質がある。父親が取得しないと、母親も取得していないので、例えば子供の行き場がなくなるとか、そういった期間がある程度あるということがパパ・クオータの本質。07というタブに参考1の資料があり、5ページのグラフが一番分かりやすいと思うのです。これが2年前に発表させていただいたものを基に、報告書として書いたものなのですが、大体、各国の一番右の辺りに☆が書いてあって、ここが保育制度が始まるというか、保育の権利が発生する子供の年齢ということです。
 例えばノルウェーの例を取ると、棒が3つあって、家族、母、父とあって、☆、つまり1歳で保育園が始まるまでの間に家族で取れる期間が少し濃い棒の長さだけ、1年分あると。ただし、クオータということで、父親しか取れない期間が右の3か月分ぐらいある。真ん中は選択できる期間、その前は母親の割当てですので、仮に父親が育休を取らないと、あと3か月、保育が始まるまでに子供の行き場がない期間があるというところが特徴的で、スウェーデンに関しても、ほぼそのことが言えます。スウェーデンのほうがもう少し後まで取れるというところはありますが、父親割当ての意味はそのようになっているのと、同時取得ができない、給付ができないということもあります。その辺の細かいところは前のページの表に載っていますので、後で御覧いただければと思います。
 ドイツに関しては、ボーナスの部分は本当にボーナスで、今の制度であればその前に保育園に入れますので、そういう意味ではインセンティブとして、もしかしたら弱いかもしれないので、導入されたときの3歳からしか入れないというのが、もしかすると意味があった可能性もありますが、そこは詳しいところは分からない状態です。
 日本に関して言いますと、1歳6か月までという保育園に入れなかった場合の延長を使わなければ、確かにパパ・ママ育休プラスの2か月は家族にとっての期間を延ばせるという意味を持つわけですが、1歳6か月まで、それから今後2年まで延長が母親だけで可能となると、もちろん取る意義はあるのですが、父親が取らなくても何とかなってしまうと。それでも、待機児童の問題で何とかならなくて辞めざるを得ないということで、2年延ばしたという経緯はあると思うのですが、審議会の議論等でもここを父親しか取れないようにするのかどうかという議論があったようですが、今のところでは母親だけで取れるといった制度になっています。
 資料2に戻ると、それが日本の状況では、そういうインセンティブは少し弱いと。ただし、このままでは制度の批判ばかりしているみたいなことになるので、2014年施行の雇用保険法改正は非常に頭のいいというか、賢いインセンティブ。つまり、母親の取得期間を短くするという反対を受けやすいところには手をつけずに、父親にインセンティブを与えるという意味で、半年を過ぎたら、交代したほうがそれよりも17%分追加される、お父さんに交代したほうが得するという制度に初めてなりました。つまり、交代したほうが家庭にとって経済的に得になるという制度は、この2014年に初めて日本で始まったと思いますので、その変化は非常に大きくて、そのことの意味の周知が必要なのではないかと思います。その点で、このカーブの上昇は非常に注目しているわけです。この影響はタイムラグがありますので、ここ最近の2年間の上昇は大きいのではないかということです。
 最後の点は、先ほど先取りして言った、母親のみでも期間が延長できる仕組み、そこは今の上記の67%である程度の部分解消されて、この方向での改変はあり得るかなと感じました。以上です。

○武石座長
 ドイツと非常に似た制度になっているというところでの問題提起をいただき、本当にありがとうございました。委員の皆さんから、御質問、御意見等あればどうぞ、お願いいたします。
 ドイツの分割ボーナスの部分ですが、この最後の図が分かりやすいんですけれども、保育園に1歳で入れてしまうので、余り実質的には意味がないと言えば意味がないと思うんですが、ただ、おっしゃるように、やはり最初のときには3歳までだったので、何か癖が付いている、そんな感じですか。

○説明者(中里英樹氏)
 2013年以降の最新の数字が実は入手できなかったので、これがどちらの影響、でも一旦取る権利だということがその時期に固まれば、やはり辞めておこうとは余り思わないでしょうし、30%が当たり前のように取っていれば、損しないのであれば、大きな損失がなければ取るということには、それほど急にここで1歳になったからインセンティブが失われるっていうことは少ないのかなとは感じますが、そこはちょっと推測でしかないという。

○武石座長
 1歳に保育園に入った後に、お父さんがそこで保育園に入れながら取っているという、そんなイメージなのでしょうか。

○説明者(中里英樹氏)
 保育園が、これは全員が1歳になったから、では入りましょうということではないですし、全員が行っているわけではないので、多分、細かい事情の違いはあると思うのですが、取ってる間は入れずに、両方の育児休業期間、有給の育児休業が終わったら入るパターンがやはりあるのではないかと。小学校で義務教育で行くというように、一斉にその時期から1歳になったから行き始めるということではないだろうと思います。

○武石座長
 なるほど、分かりました。

○駒崎委員
 ということは、結局保育園に入れないから、夫婦で分担して育休取っているのだよねということですよね、ドイツの場合は。違いますか。

○説明者(中里英樹氏)
 最初の動機付けとしては、その部分、インセンティブとしては在り得たんではないか。

○駒崎委員
 大きく在り得た。

○説明者(中里英樹氏)
 北欧ほどきっちりと、タイミングを計算してなってはいないので、どこまで本当にその期間が父親取得のそのギャップが、どれだけ父親取得のインセンティブになったかというのは、北欧ほど明確ではないかと思うのですが、ただ、取らなければ、それだけ親のどちらかが子供といる期間が失われる。給付をもらいながら、親が近くにいられる期間というのが短くなるという点では、日本の制度とは大きく違って、日本は保育園に入れたら……、入れなければ1歳半、あるいは2歳までこれから母親が一緒にいられるという制度になっていますので。

○駒崎委員
 そうですよね。厚労省さんに質問なのですが、これって、2歳まで延長したじゃないですか。あれって、あの半年部分を共有するっていうか、夫婦でみたいなように、今だと母親が延ばすって感じでどうしてもなってしまうのですけれども、そうではなくて、父親も取らなきゃいけないみたいなようにクオータすれば男の問題になるので、待期児童問題が、社会運動的にはよいのではないのかと思ったのですが、そういう話は出なかったのですか。

○源河職業家庭両立課長
 そういう議論もございましたが、審議会で色々御議論した末に建議の形になりました。議論としてはいろいろあって、延長分の一部は男性に取っていただくというような話も出たのですが、審議会としてはそこまでまとまらなかったということです。

○駒崎委員
 まとまらなかった。

○源河職業家庭両立課長
 やはり、今回の延長は、本当に保育園に入れない方、入れなくて離職せざるを得ない方を何とか救いたいという趣旨でしたので、白地で議論したらどういう取り方をするかというのはあると思うのですが、今回は何とか救おうと思ったときに、要件を重ねることは考えなかったということです。

○駒崎委員
 余り重ねると駄目だよね。なるほど。

○佐藤委員
 どうも、ありがとうございます。前も言ったかもしれませんが、この図表の1-2なのですが、まず、基本的に多くは同時に育休は取れない、日本と違ってでいいですよね。両方が、夫婦で育休取るというのは、基本的には片方ずつということですよね、ここで挙げている国で言うと。

○説明者(中里英樹氏)
 そうですね。厳密にいうと、ドイツは同時には取れるんですが。

○佐藤委員
 取れるんですか。

○説明者(中里英樹氏)
 同時には取れるのですが、夫婦単位でもらえる給付金には、1歳2か月分までというのが決まっているので、同時に取った場合は、例えば1歳になるまで奥さんが取って、最後の2か月を夫が一緒に取ると、もうそこで終わりで、2か月のボーナス分はもう1歳までで終わってしまうという。

○佐藤委員
 減ってしまう。なるほど。それで、もう1つ、日本は、出産予定日から父は育休をずっと取れるのですが、海外の場合は、例えば、ドイツは基本的に妻が取っているときに、産後休業のときに、ここは育休を取れるのですか、ドイツ。妻が産後休業のときに、育休を。

○説明者(中里英樹氏)
 産後休業のときに父親の育休ですかね。

○佐藤委員
 といいますか、この期間は。産後休業のときに。

○説明者(中里英樹氏)
 それは、通常の育児休業の分担分を取れるということになって、その部分が減るということに。

○佐藤委員
 さっきと同じことになるということですね。そうすると、ちょっとその関係で、ノルウェーとかスウェーデンは、育休と別に父親休業ありますよね。ですから、ここは取れるわけですか。ほかの国で父親休業の取得率は相当高い。日本の場合は、実質は取れるわけですけど、育休でずっといけるわけですけれども、あるいは短期間取って、今2回分けられますから、育休を前半に取って、後でも取れるわけですが、ほかの国で例えばノルウェーだと父親休業がありますよね。それと別に育休別にあるのですが、このスウェーデンもそうですけれど、ここのはじめのここの部分の取得率というのは、あるところは高くなるのですか。

○説明者(中里英樹氏)
 その制度が設けられているところは、多くの国で大半の人は取るというのは、日本に近い。

○佐藤委員
 日本で言うと、特別休暇の配偶者の権利があればそこは大体取ってる。

○武石座長
 この図表1-1がノルウェーが89%、スウェーデン75%、これが育児休業の取得率です。

○説明者(中里英樹氏)
 ありがとうございます。それ載せていました。

○佐藤委員
 それに比べると、あとの育休は取得率が各国低くくなっているということですね。

○説明者(中里英樹氏)
 ただ、ノルウェー、スウェーデンに関していうと、ほぼ取ります。つまり、クオータ部分はほぼみんなが取る。つまり2か月なり、3か月は取って、どっちでも取って、父親でも母親でもいいという部分が母親に片寄っているということが議論の対象になっていて、3か月ぐらい取る、父親のクオータ部分は取るのが当たり前で、それ以上、どちらでも取れる部分をいかに対当に持っていくかということの工夫をここに載せた部分はしている。

○佐藤委員
 あと、前伺ったのと、北欧は妻が専業主婦だと男性は取れない。

○説明者(中里英樹氏)
 そうなるはずですが、率がほぼ働いているという。

○佐藤委員
 多いと考えている。働いている。そういうことですよね。前提なので。

○説明者(中里英樹氏)
 そうですね。なので働いていることが前提として、議論が生じているということですね。

○駒崎委員
 ここの会で、男性が育休を取ることの意味や効果のような話が度々出てくるのですが、諸外国の研究で例えばドイツとかで、フランスは男性産休取るとその後の育児・家事コミットが、高くなるような相関関係出ましたと。ドイツでそういう話はないわけでしょうか。

○説明者(中里英樹氏)
 その効果を数字的にというのは研究はあるかもしれないのですが、私自身がフォローしてないのですけれども、もう少し質的な研究で言うと、やはり特に、余り父親の取得がもともと進まなかった、男性稼ぎ手モデルが中心だった国では、取っても親任せであったり、例えばポルトガルの例で言うと、4つぐらいのタイプに分けて見ているのですが、ある部分の父親たちは取得したとしてもお昼の間、朝御飯食べさせたら、自分の親のところに行って、要するにお祖母さんに相当する人に見てもらってという形で育児休業を過ごしている人もいるという批判がポルトガルで出ていたり、ドイツでも第2のケアラー、プライマリ・ケアラーはあくまでもお母親であって、セカンダリにしかならないというようなことが言われていたり、ドイツ、ポルトガルについては、そういう研究を見ますけれども、ただ一方で、根本的に平等に考え方を変える人もいるというのもあるので、どこにも多様なお父さんはいて、私自身が日本では数少ない1か月以上、多い人は3か月とか5か月とかというのを育児休業取得して、そのうちかなりの期間を日昼は1人で見てるという方たちにうかがうと、もともと男性の育児というものに非常に強い感心があったり、先駆者的な位置の人なので、日本の数少ない事例で言うと、相当な割合を自分で担っていると。つまり、ほぼ主婦がやっていると思われる家事、育児の責任を担っているという印象の方たちが多かったので、もう少し誰が当たり前に取るようになってくると、いっときはそういう人任せという人も増えてくる可能性はありますけれども、現段階では先駆者的にやっている人たちは、非常に先ほどの調査にもありましたけれども、もともと長期に取る人というのはもともと家事の分担を相当やっていて、ある程度家事を任せられるから妻も安心して、1人で育児休業を任せられるとしてもおりますし。

○駒崎委員
 分かりました。ありがとうございます。この「労働政策研究報告No.192」は、中里先生が書かれてらっしゃるんですよね。

○説明者(中里英樹氏)
 はい。

○駒崎委員
 ここの181ページの4のところで、まとめで「父親の長期の育児休業取得は、父親の就業時間を短くし、その後の妻の就業の可能性、特にフルタイムの就業の可能性を高める」とおっしゃっているのですが、その後の妻の就業可能性、特にフルタイム就業の可能性を高めるって、因果関係としては言えなくないですか。つまり、ここで出されているものは、長期で取っている人は妻がフルタイムの人が多いということを意味しているのであって、夫が長期で取ると妻が就業し続けられるようになるっていうような因果関係って成立しているのでしたか。

○説明者(中里英樹氏)
 今おっしゃっているのは、資料2ですか、メインの。

○駒崎委員
 労働政策研究。

○説明者(中里英樹氏)
 調査の方ですね。こちらは、まず、メインの資料に載っている方は、第1子出生児の配偶者就業形態と育休取得なので、最初に妻がどうだったかという話なのですが、参考資料の労働政策研究機構の。

○駒崎委員
 「育児・介護と職業キャリア、女性活躍と男性の家庭生活」という資料においての。

○説明者(中里英樹氏)
 179ページですか。

○駒崎委員
 181ページでまとめの4で書かれているところは。

○説明者(中里英樹氏)
 そちらは、179ページの第8-5-7から第8-5-8。

○駒崎委員
 そうですね、第8-5-7の話だと思うのですが。

○説明者(中里英樹氏)
 これは、確かに厳密に因果関係は特定できないとは思います。先ほどのデータと違って、配偶者の現在の就業形態と父親の取得期間を見ていて、現在働いている人が多いということは言えるのですけれども、それがもともと働いていた人なのか、だから働き続けているのかということは分からない。

○駒崎委員
 そうですよね。

○説明者(中里英樹氏)
 ですが、ただし、現在の段階で、父親が育児休業を取得した家庭では、配偶者が就業しているケースが多いということだけは分かるということですね。

○駒崎委員
 そうですよね。だから、因果関係が成り立たないなと思って。もし、因果関係が成り立つのだったらすごくうれしくて、こうだよというような感じて言えたのだなというところで、男性育休いいのだよを押したい我々としては、武器のデータがほしいと思いつつ。

○池田委員
 統計的なデータの解釈として「可能性を高める」と言っているだけですので、はっきりと確率が高まるとまではここでは言えないですけれども、ただ、やはり、全体として見ると、やはり妻のフルタイム就業と男性の長期単独取得ということ、妻の就業、特にフルタイム就業と、男性がやはり1か月以上取るということの間には、どうも関連性があるようだということです。

○駒崎委員
 そうですね。

○説明者(中里英樹氏)
 どちらかというと、この統計よりも、私のそのインタビューの質的なもので、その男性が取っていることで任せられるようになって、その後、早期に子供が小さいうちに就業を始めるというケースが、どうもそこに結び付いているようだという感触もある。

○駒崎委員
 そうですね。僕も取っているので感触はすごくあるのですが、裏付けするデータが今は不足していて。

○説明者(中里英樹氏)
 統計は難しいのです。その数自体が少ないので、統計でそこが取れると思ったら、やはり1か月以上の人が非常に少なかったものですから、大きなサンプルであっても少ないので、その事例というのは、少しずつ積み上げるしか効果に関してはなかなか証明しづらいかなと。

○駒崎委員
 さっきの話に戻るのですが、長期は確かに少ないのですが、5日から10日の方がいるわけではないですか。この人たちがどの程度ましになったか、よい効果を持たらしたかというのを、もう少し深掘りすると、多分世の中的に説得性が高いデータが。

○佐藤委員
 割合、取った人というのは、もともと生れる前の夫婦関係が違うのですよね、形態で見ると。だから、取る前のコミュニケーションが結構大事で、夫婦で、つまり結婚する前から家事はあるわけですよね。それをやっていない人が、突然育児休業を取って変わるわけではない。

○駒崎委員
 もちろん。

○佐藤委員
 だから、そういう意味では、前の取組がすごく大事で。

○佐藤委員
 そうですよね。先ほどの1つ目の研究で1階差分何とかで、一応、そこは調整して、それでもなおというようなところはあるのではないかという感じですけど、もう一押しのような。

○説明者(中里英樹氏)
 同時取得期間があるので、そこを活用するのは大きい。今、取れるので、そこで家事を叩き込んでおいて、その間に妻が就業できる環境というか、安心して任せられる環境を整えるというのはあり得るのではないかと思います。

○駒崎委員
 そうですよね。

○佐藤委員
 取るだけではなくて、何をするかなのだよね。

○駒崎委員
 そうですね。

○佐藤委員
 同時取得だと、逆にやらなくなってしまう可能性もあるので。

○駒崎委員
 ああ、そうですね。

○佐藤委員
 だから、同時取得をやらせるように取らせればいいのだけども。

○説明者(中里英樹氏)
 インタビューをしたケースでも、最初、休暇ぐらいの感覚で一緒に取っていたら、あんた、何の為に取ったと言われて、怒られて、そこから心を改めて。家事の部分と上の子の世話は全部自分がと決めて、同時取得期間をしばらく乗り切って、慣れた頃に妻が復帰して、1か月は自分でというケースが。

○駒崎委員
 そのマインドセットの変容効果のようなものはある気がするのですね。

○佐藤委員
 分かるよね。

○駒崎委員
 それが、10日だとどうで、1か月でどうで、半年だとどうだというようなのが分かると、少なくともこのぐらい取ろうよとかが分かりますよね。期間との相関関係みたいなものが深掘りできるといいのかというのと、先ほど先生がおっしゃった、タイミングですね。生まれた直後は産後うつの発生があるので、一番いいのか、いや、実は復帰前のほうが効果が高いなど、タイミング効果でどの程度差があるのかということと、育休中の家事分担の度合いによって、家事分担が4割を超さなければ無意味であるみたいなことなのかとかが分かると、ありうべき男性育休のモデルケースが取れますよね。ビリーンスベースト育休ができるわけですね。そこがもう一押し研究があるといいと思いますが、ないですか。

○佐藤委員
 内閣府の調査をもう少し見直していただくと、達成できるかもしれないです。

○駒崎委員
 そうですね。

○説明者(中村かおり氏)
 今回のケースは大変サンプルを集めるのに苦労いたしまして、そこまで分けてしまうと有意な結果が検証出にくいという事情もありました。

○駒崎委員
 そうか。難しいということね。

○武石座長
 ただ、育休を取っている人と、配偶者出産休暇のみの人と、何も取っていない人の、3つの区分はできそうですよね。そこの違いを見ていただけると、育休の効果がわかるのではないでしょうか。

○駒崎委員
 そうね。

○座間委員
 今の議論に加えてなのですけども、日本の現状から、里帰り出産の影響が大きいと思います。今のお話は全てすごく納得できるのですが、現状の習慣が入ってくると、いろいろなことがリセットされてしまうというか、別の軸で切られてしまって、話がうまくつながらないような感覚を持っております。里帰り出産はそれはそれでメリットはあると思いますが、前半の高村先生の御統計の所でそのような習慣を考慮に入れていらっしゃるかどうかお尋ねします。すみません。後になって気づきまして。


○説明者(高村静氏)
 調書の中身では聞いているのですけども、里帰り出産をしたかしないか。あと、里帰り出産はちょっと違うのですが、これには入っていないです、ペーパーのほうには。


○説明者(高村静氏)
 家事を分担するとかということが生じないですよね。

○駒崎委員
 里帰り出産は悪影響があると思って。それって出せないですね。里帰り出産をしたら、もう母親の仕事だよねみたいな感じになってしまうわけです。里帰り出産で、実家にいる期間が長ければ長いほど、夫がお客さん化するという感覚があって、ありましたよね。

○池田委員
 家事分担を考えるときに、ヨーロッパの研究は、基本的に世代内分業、つまり夫婦で家事・育児をシェアするという、夫婦の協力関係で考えるのですけれども、日本を含め、私が先日行って話を聞いてきた中国もそうですが、東アジアには世代間の協力関係、つまり成人親子の助け合いの中で、育児支援と、老親扶養、介護をするという関係があって、その習慣自体は否定しづらい部分があると思います。

○座間委員
 正直、日本の育児する環境のところで、例えば、専業主婦のほうが育児の面で孤立化するという問題を一般的に聞きますので、その話をし出すとほかの要素もいろいろ関わるのかなと。なので、恐らくいろいろな質問が来ると思いますが、ケースに分けた形できちんと、ある程度メリットなり、それぞれの説明ができて、かつ総合的に、これはそれぞれこういうメリットがあるけどこうだみたいな、そういう結論を出せると。個人的には、いろいろな疑問に対しても納得性が得られるような気がします。

○武石座長
 すみません。ドイツと日本とで制度がすごく似ているのですが、決定的に違う、取得率も違う要因としては、要は女性1人で取っても、最後におっしゃったパパ・クオータの意味は、母親が取得できない期間があることが日本はそこが明瞭でなく、女性1人で取れる。でも、ドイツは1年プラス2か月が母親の取得できない期間なので、それが決定的に違うと考えていいでしょうか。

○説明者(中里英樹氏)
 制度としてはそうですが、ここまでの取得率に差とか、期間に差が出る要因として、それがどれだけ大きいかは、もしかすると、取得の権利の意識とかもともとの労働時間の考え方のほうが大きいかもしれない。そこは制度だけでは言えない要因かと思いますが。

○池田委員
 育児休業給付67%との関係でお聞きしたいのですが、妻がフルタイム就業していることにはいろいろな意味が含まれていると思います。妻にまとまった収入があるという意味もあるし、時間制約説と家族社会学でいうところの、妻にいろいろと時間制約があるから家事を分担しなければいけないのもあるし、あと、家族社会学でいう相対資源説というか、夫婦のパワーバランスが均等に近いといった、いろいろな意味があると思いますが、ドイツの夫婦はどうですか。ドイツの場合、要するに、夫婦の所得格差は大きいのか小さいのか、あるいは、そこを何か補正するような制度的なものがあるかどうか。知らなかったら、あるいは、中里先生がインタビューを伺った、長期単独取得をしている場合の夫婦の収入とか、いろいろな面の実態はどうなっているか。つまり、67%で、半分ずつ取ればいいというのは、いろいろな部分で夫婦の持っている資源のバランスが均等であれば、理論的にはそうなるのですが、現実的には夫婦の間で所得格差や、いろいろなアンバランスがあると、なかなか理論どおりにはいかないのではないかという部分もあると思うので、御存じの範囲で教えていただければと思うのです。

○説明者(中里英樹氏)
 ドイツの男女の賃金格差については、数字はすぐぱっと分からないのですが、日本の、長期に取得したケースでいうと、多くの場合はある程度の蓄えがあるということで、多少の期間、自分の収入が減っても安心であることと、あとは、全部が全部そうではなくて、妻がどうしても仕事を続けるためには、それは逆に、非正規なので育児休暇が取りづらいために、自分が取得しないと妻が辞めざるを得ないというケースもあって、その場合も、皆さん比較的年齢が高く、30代半ばぐらいで子供を持たれたケースが多くて、ある程度ポジションを作っている。仕事のポジションがあるか、もう1つのケースは、辞める覚悟ができている男性のケースです。それは、奥さんの収入がある程度安定していて、そういう意味では、会社によっては問題なく取れる所もありますが、多くの場合に、辞める覚悟ということは、そのときの金額、そのことだけではなくて、先のキャリアを棒に振るような感覚が男性にあるのも非常に大きいのかと感じます。だから、みんながその辺を当たり前に取れば、全員をそれで罰し始めたら、誰も昇進させられなくなってしまうので。1人だけ取ると、自分だけが昇進を棒に振ることになって、プレッシャーがかかるわけですね。そこの点では鶏と卵になりますが、その短期的な経済的損失だけでなく将来への不安があると。奥さんの収入であったりで、そこをクリアできている方たちが取得に至った少数者であるという感触を、インタビューでは持ちました。

○武石座長
 ありがとうございます。まだまだ御質問あると思いますが、時間になってしまいました。中里先生、お忙しい中、ありがとうございます。

(中里先生移動)

○武石座長
 最後に、その他について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○土岐職業家庭両立課課長補佐
 では、簡潔に説明させていただきます。タブ05資料3を御覧ください。「本研究会の大きな論点(案)」ということで書いています。いわゆる論点と言えるほどの具体的なものではないのですが、今後の議論の大枠という趣旨で示させていただいています。1「仕事と育児の両立のあり方」、2「上記に照らした男性の育児休業の取得促進の考え方」、それから、3「両立支援策を推進していくための方策」、4「その他」ということで考えています。
 タブ06資料4も御覧ください。こちらのほうで、前回にいただいた指摘とか御提案をまとめています。前回の議論から時間も経っていることもあって、記憶の整理も含めてですが、先ほどの、かなり漠然とした総論的な論点に、ここにある御発言が確論的なイメージになって、関連するところで議論していくことになるのかと思います。いろいろと海外の話ですとか、イギリスの制度とかフランスの制度とか、前回に御提案いただきましたが、今後、そういったものも適時適切なタイミングで、論点の中で議論させていただければと思います。簡単ですが、以上です。

○武石座長
 ありがとうございます。それでは、併せて次回の説明もお願いします。

○土岐職業家庭両立課課長補佐
 次回ですが、非公開で企業ヒアリングを考えておりますので、詳細については追って連絡します。あと、タブレットの関係でアンケートをお願いしたいと思います。すみません。時間のない中、お願いします。

○武石座長
 ありがとうございました。時間が超過してしまいました。すみません。本日の研究会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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