ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(健康日本21(第二次)推進専門委員会)> 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)(2017年5月30日)




2017年6月29日 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)

○日時

平成29年6月29日(木) 9:00~12:00


○場所

航空会館 地下1階 B101会議室


○議題


1 各項目の進捗状況について
「3.社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」
~「5.栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」

2 その他

○議事

 

 


○知念課長補佐 先生方には本日も朝早くからお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まだお集まりでない先生方もおられますが、定刻になりましたので、ただいまより、第9回健康日本21(第二次)推進専門委員会を開催いたします。本日は、委員の皆様のうち、中板委員、樋口委員の2名から御欠席の連絡を頂いております。全22名中20名の委員の御出席予定ですので、議事が成立することを御報告いたします。

 まず、配布資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の順に、議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1として評価シートの様式1、資料2として評価シートの様式2、資料3は別紙として図表の一覧をお配りしています。また、参考資料1が、中間評価方法について、参考資料2が、目標項目一覧について、参考資料3が、様式1のうち循環器疾患についてを配布しております。参考資料3の循環器疾患の分については、前回の会議にて様式1の評価は頂いておりますが、様式2については本日御発表いただく予定ですので、こちらについても参考として付けさせていただいております。また、委員の先生方の机上には、先般627日に公表された「平成28年国民生活基礎調査の概況」を配布させていただいております。この国民生活基礎調査のうち一部の項目について、今回の中間評価の項目で使う部分ですが、これらの項目については、今回は評価保留とさせていただいておりますが、基礎調査の概況だけを本日お配りさせていただいております。資料の確認は以上ですが、お手元に配られていないもの、あるいは落丁等ありましたら事務局までお申し付けください。

 以降の進行については、辻委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは早速、議題に入ります。本日の議題は、「各項目の進捗状況について」ということです。まず最初に事務局から資料の説明をお願いします。

○知念課長補佐 本日の第9回については、前回第8回と同じように、各項目について、資料1、資料2の、様式1、様式2を中心に、別紙も御参考いただきながら、各委員の先生方に御発表をお願いしたいと思っております。

 また、先ほどの資料の中でも説明いたしましたが、国民生活基礎調査の部分については、今回の資料には反映できておりませんので、こちらについてはお持ち帰りいただいて御覧いただければと思います。こうした国民生活基礎調査や国民健康栄養調査の部分については結果が出次第、また改めて評価させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは、目標の項目数が多いため、前回と同様、前半、後半に分けて御報告いただき、御審議いただきたいと思います。まず前半として、「2.主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防」のうち「循環器疾患」の様式2、それから、「3.社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」の「次世代の健康」、それから、「4.健康を支え、守るための社会環境整備に関する目標」、それから、「5.栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」のうちの「栄養・食生活」についてを前半として、「5」の残りを後半とさせていただきます。

 では、各担当委員から中間評価の説明を頂いた上で、その後、まとめて前半、後半それぞれ議論させていただきます。また、各項目の様式1、様式2の説明時間は、それぞれ510分程度でお願いいたします。それでは、「2.主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防」の「循環器疾患」の様式2について岡村委員から説明をお願いいたします。

○岡村委員 それでは、循環器疾患の様式2のほうの説明をさせていただきます。前回、1のほうの評価だけになりましたのは、この部分は糖尿病と喫煙のほうの評価を見ないと全体の評価ができないということで、今回のほうにこの部分だけを遅らせていただいた経緯があります。

 様式1の指標の概況ですが、改善していると判断されたのが3項目で、目標達成済みなのが1項目、変わらないと判定したのが2項目ということです。改善したと判定されたのは血圧と特定健診等の受診率については改善傾向であろうということで評価しております。達成済みというのは、年齢調整死亡率については、目標も大きく超えて減少しているという状態になります。これはそのとおりではあるのですが、前回この様式1のときに述べましたように、実際は生活習慣の改善効果で死亡率を見ているのですが、間に治療の進歩等が反映していますので、それによって実際に推計したよりもかなり大きく下がっている可能性があるというのが1点、それから、高齢化が進むほど年齢調整のマジックが効いてきて、余計に減ってしまうというのがありまして、その2つの効果で、恐らくかなり実態よりも良く見えているのではないかというようなことを報告させていただいたとおりです。しかし、目標達成済みであることは間違いないので、達成済みということになっております。

 変わらないと評価させていただいたのは、脂質異常症というか、ここは高コレステロール血症の割合ですが、それについてはほぼ不変です。それから、メタボリックシンドローム等の有病率等というものが多分入っていると思うのですが、こちらのほうもほぼ不変ということになります。もちろん悪化はしていないのですが、余り大きな減少は見られない。今の評価は、全体というよりは、全体でも見ていますし、性別、年齢別に分けて見て、傾向は全て同じ方向を示していますので、ほぼそういう評価ができるだろうと考えております。

 関連した取組は、そこに示したとおりですが、当然、主要な危険因子の4つについては対策が行われていますし、たばこ、食塩、身体活動、減酒ということになりますが、これはさらに危険因子の増悪と関連するものになります。それに対しては対策が行われているということが記載されているとおりです。

2ページです。ここもほかと共通ですが、受診率上昇の取組であるとか、普及・啓発ということは○の1つ目、2つ目のところに書いてあります。あと、診療提供体制等についての検討も進めているということと、関連学会については、各学会いろいろなことをやっているので、全部書いたらきりがありませんので、ここでは複数の学会でやっているものと、疾病登録等に関わるようなものだけを挙げさせていただいております。日本脳卒中学会と日本循環器学会で克服計画を立てたことや、心臓病のほうの循環器学会のJROADの登録、日本脳卒中データバンクの登録、これらは学会ベースでやっていたものが、事務局が国立循環器病研究センターのほうに移っているということ。それから、11学会が合同で危険因子の予防・治療関連と。これは11学会に医師会等も加わっていただきまして、オールジャパンの体制で予防を考えましょうということで、共通の危険因子管理についても管理チャートのようなものが出されているということになります。

 最後は今後の課題ですが、今までは、脳と心臓のほうは、関わっている臨床の先生が異なっているので、余り一体的に活動していなかったという経緯がありました。ただ、予防の観点からすれば、危険因子がほぼ重複していますから、そこを一体的な対策をしていく必要があるのではないかと。それから、高齢化するほど、どんどん脳・心血管疾患の比重というものが増えてきますので、そういう意味では非常に大事だということになるかと思います。危険因子を包括的に管理していこうという動きなどもだんだんと出てきますが、この辺りをどういうふうに一体的にやるかというのが、がんの対策などと比べたらかなり遅れておりますので、今後の必要性がここにあるのではないかというのが結論です。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。続きまして、「3.社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」の「次世代の健康」について、山縣委員から説明をお願いいたします。

○山縣委員 資料1の評価シートの様式1から御説明します。目標項目としては、「健康な生活習慣を有する子どもの割合の増加」ということで、指標としては2つあります。まず、ア「朝・昼・夕の3食を必ず食べることに気をつけて食事をしている子どもの割合の増加」です。これに関しては、調査主体が変わりましたが、結果として、小学校5年生で89.4%が89.5%と、特に変わらなかったということですが、サンプリング等が異なることで、この評価については課題がありますが、ほぼ変化なく目標には達していないという結果です。

 イ「運動やスポーツを習慣的にしている子どもの割合の増加」ということで、これは文部科学省の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」で、平成22年度をベースに平成27年度を見ていますが、小学校5年生の男子では10.5%が6.6%へ、女子が24.2%から13.0%へと改善が見られています。評価としては改善しているということになります。

 これに関しては、資料3の別紙1を見ていただくと、平成22年から平成28年までの「運動総時間が60分未満の児童の割合」というのが経年的に示されていますが、このように、平成26年までかなり減少しており、その後、少し横ばいになっているということです。

 資料1に戻ります。2ページです。「適正体重の子どもの増加」という目標項目に関して、これも2つの指標があります。最初が、ア「全出生数中の低出生体重児の割合の減少」です。ベースライン値が9.6%から9.5%とほぼ変わらない。分析としては、0.1ポイント減少しているのですが、この5年間ほぼ横ばいですが、男子が8.4%、女子が10.6%と、性別で見ると女子のほうが多い。要因としては、妊娠週数の短縮というのが明確にはなっています。一方で、妊婦の喫煙率の減少や妊娠中の適正体重に対する啓発指導といったものも、こういった低出生体重を増加させていない要因であろうと考えております。評価としては変わらないということです。

 イ「肥満傾向にある子どもの割合」です。これに関しては、文部科学省の「学校保健統計調査」を使って、中等度・高度肥満傾向の子どもの割合を見ており、男子が4.6%から4.55%、女子が3.39%から3.75%と、女子で若干の増加が見られているということです。これに関しても、図を見ていただくといいので、資料3の別紙の3ページを御覧ください。このように、少し経年的にばらつきがありながらも、緩やかに男女とも減少傾向にあるということが見て取れると思います。ただ、その右側の肥満全体を見てみると、20%以上の者に関しては平成23年度までは緩やかに減少していましたが、その後は横ばいというのが現状です。肥満に関しては以前より地域差が見られているということで、東北、北海道で経年的に中等度の肥満児傾向が多いということがあります。高度肥満傾向についても東北、北海道はその割合が多いのですが、数が少ないために、経年的にしっかりとした同定はできておりません。この辺りは注意すべき点だと思っております。評価としては、変わらないという評価です。

 最後に、資料24ページ、様式2です。指標としては、改善しているが1、変わらないが1ということです。関連した取組に関しては、食については文部科学省でのスーパー食育スクール事業、食育推進事業、食育教材の作成など、かなり精力的に様々なことが展開されているということですし、女子に向けた運動に関しての、運動部活動づくりの実施や複数種目等、多様な運動に向けた指導・工夫などの支援が行われているということです。適正体重の子どもの増加については、「健やか親子21」でも、その指標になっていまして、目標を掲げて実施しているところですし、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画又は第3次食育基本計画においても、この低出生体重児及び肥満の子どもに対する課題に向けた食育の推進に取り組んでおります。

 今後の課題ですが、健康な生活習慣についても、これまでのように引き続き、学校での指導、地域での普及啓発活動を進めていく。一方で、経年的な評価ができるようにしていくことが必要であろうということです。運動・スポーツを習慣にしている子どもに関しても引き続き、今回かなり改善していますので、この取組を続けていくということでありますし、各自治体において、子どもの体力の向上に係るPDCAサイクルを確立して、好事例などを多くの地域・学校で活用できるように促進する。適正体重の子どもの増加に関しても、まだ低出生体重児に関しては、妊娠週数の減少以外に余りはっきりとした要因が必ずしも分かっていないところですが、それについても引き続き検討していくということ。

 最後は6ページです。肥満については、大人への生活習慣病の移行ということもありますので、健康的な発育や生活習慣の形成のために、食生活の改善や外遊びなどの身体を動かす習慣づくりの推進というものが不可欠である。ここには書いていないのですが、ここのところで、きちんと認知していなかったのですが、アクティブ・チャイルド・プログラムというものが始まっていて、かなり遊びを中心としたプログラムとして今後進めていくと。体育協会でしたか。この辺りも一緒にやっていく必要があろうかと思っております。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。続きまして、「4.健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」について、近藤委員から説明をお願いいたします。

○近藤委員 様式13ページが表になっています。「地域のつながりの強化」です。指標としては、「居住地域でお互いに助け合っていると思う国民の割合の増加」というものが設定されていました。基のデータは、「国民健康・栄養調査」の中で、居住地域でお互いに助け合っていると思う国民の割合で、目標値が65%に対し、ベースライン値が50.4%、平成27年の調査結果では55.9%ですので、5.5%の増加が認められています。類似のものとしては内閣府の調査があるのですが、質問の仕方などが違うので比較はできないのではないかと判断しました。

4ページ、目標項目4の(2)です。ボランティア等、健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の割合の増加です。現時点で公表済みのものには、残念ながら同じ調査データがありません。秋に出る見込みと伺っています。参考ということで、違う調査の数字を拝見したのですが、設問の仕方や選択肢が全然違うので、回答も35%の目標に対して3.0%~27.7%で、数字だけ見るとうれしくなるのですが、これはどう見ても質問と選択肢の違いではないかと判断しております。

 様式2のほうに、この間の取組、課題等が書かれています。様式211ページです。「健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」の指標は5項目ありました。そのうち改善しているのが4項目、目標達成は0項目。現時点では評価保留で、今後数値が出てから評価する予定が1項目となっています。関連した取組として、1番目に、地域保健対策の推進に関する基本的な指針の中にソーシャル・キャピタルという言葉が明記されて、この言葉はかなり関係者の間に浸透したように感じています。2番目に、厚労科研費のほうで研究班が組織され、手引やマニュアル等が厚労省のホームページ等で公開され、いろいろな研修会等を通じて普及が図られているということです。

3番目に「健康寿命をのばそう!アワード」を実施して、5回目を迎えています。4番目に、スマート・ライフ・プロジェクトによる情報発信・広報戦略ということで、いろいろなメディア、関連団体の連携イベントの実施、「いきいき健康大使」の活用、スマートライフプロジェクトの企業等の参画誘致等々が行われています。5番目が、健康格差対策に取り組む自治体についての現状把握。6番目は、国民健康・栄養調査等で、地域格差についての分析。7番目が、健康増進計画について、都道府県独自の項目を一覧表で公開。8番目として、国民健康・栄養調査では、拡大調査で都道府県間の格差把握。このようなことが行われています。

 一方で、今後の課題については、まだ幾つかあると考えています。まず、指標の妥当性及び信頼性の検証の必要性です。現在、そこに書いているように、3つの質問で地域のつながりを評価するということになっているのですが、私が持っている高齢者の10万人のデータを使って30市町村で比べてみたり、小学校区の500地域で分析してみると、これらの回答率が高い所で健康指標が良いという関係は弱くて、ほかのソーシャル・キャピタルというと、こういう認知的な項目以外に、社会参加をどれぐらいしているかとか、そういうものについてどれぐらいサポートを受けているかという、やや客観的なというか観察可能な捉え方もあるのですが、そちらのほうが健康指標との関連が強いということが繰り返し観察されています。そのような、どうせ測るのだったら意味のあるといいますか、健康指標と関連の深いものをモニタリングしたほうが望ましいのではないかと考えます。そのような意味で、こういう妥当性や信頼性を今後検証していって、どういう指標でモニタリングするのかというのは検討が必要ではないかと思います。

 それから、「健康づくりを目的とした活動に主体的に関わる国民を増やすための取組」についても、どのようなことをやると増えるのかというようなことについて、更に増やすための支援策を考える上でも、もう少し見ていく必要があるのではないかと思っております。

 例えば最近まとめたもので、私たち自身が驚いたのは、ボランティアをやっている人のIADLと言いますが、独り暮らしをするのに必要な能力がどれぐらいあるかというのを聞いて、当然そういう水準が高い健康な人ほどボランティアをやっていると思っていたのですが、いざ分析してみたら、IADLが少し低下している人が3割もいて、ちょっと驚いてヒアリングなどをしてみると、元気な頃にボランティアを始めていると、少しよぼよぼになっても、私はボランティアだと言って、待っている人がいるからなどと言って、杖をつきながらでも頑張って行っている自称ボランティアの方が結構いるみたいなことが見えてきました。そのようなことが見えてからは、元気なうちにできるだけつないでおくことが、その人たちの外出の機会の保障につながったりするという。その辺りの、ボランティアがどのように育って、続いていくのか、どういうものがきっかけでということを調べると、お友達に誘われたというのや市町村の広報がきっかけだというのが結構多くて、そのようなことを明らかにして、市町村に情報をフィードバックしながらやるようなことがあると、更に期待できないかと考えております。

 モニタリング指標等は、先ほど言いましたように、どんな指標でもいいというわけではなさそうですので吟味が要るのではないかと思います。あとは、企業等の参加を促すような方法。あと、登録されている企業の数だけが増えればいいのかという御意見もあったのですが、そこが実際にどういうことをやっているのかということも、今後、モニタリング等が要るのではないかと思います。あとは全部は読み上げませんが、もう少し詳細に捉えたり、更にそれを進めるためには、どういう手立てが要るのかなど、まだまだやるべきことはいっぱいあるのではないかと感じております。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。続きまして、「5.栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標」のうち「栄養・食生活」について、村山委員から御説明をお願いします。

○村山委員 資料18ページ及び資料3の別紙7を御覧ください。まず、「栄養・食生活」の、(1)「適正体重を維持している者の増加」についてです。2060歳代男性の肥満については変化が見られていません。4060歳代女性の肥満についても変化が見られていません。20歳代女性のやせについては別紙8を御覧ください。こちらも変化はありませんが、移動平均を見ると、近年は低下傾向にあるということも見受けられます。ということで、総合的には「b」という評価にさせていただきました。

 次に、様式19ページと別紙9を御覧ください。(2)「適正な量と質の食事をとる者の増加」です。こちらは3つの指標(ア、イ、ウ)があります。総合して評価のABCを付けております。まず、ア「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」についてです。こちらは別紙9では全体として減少という結果になっていまして、悪化という評価です。イ「食塩摂取量」については、別紙10を御覧ください。こちらは全体としては有意に減少ということですが、現在の減少率がこのまま行っても目標値の8gに達しないということが予想されます。年代別で見ても、20代で改善が見られていないということが課題と考えられます。ウ「野菜と果物」は、別紙11の図とともに御覧ください。野菜については増加、果物については全体として、これは少ないもの(100g未満のもの)の割合が減少ということで、全体としては改善傾向にあるようにも見受けられます。しかし、評価に書いてあるように、年次推移から見ると、野菜についてはこの増加率では目標に達しないと予測できます。果物についても、改善はしましたが、「増加率」と書いてありますが正しくは「減少率」あるいは「変化率」ですが、この減少率では目標に達しないだろうということです。ということで、ア、イ、ウを総合的に評価して、b評価とさせていただきました。

 次に、「栄養・食生活」の(3)「共食の増加」についてです。こちらは図はありません。小学生、中学生の朝食、夕食ともに余り変化は見られないということで、「変わらない」という評価にさせていただきました。課題として、経年的に追える調査がなく、この2点間の比較においても異なる調査によるものですので、留意が必要です。ただし、質問項目は同じ質問で聞いておりますので、今回は比較させていただきました。今後、指標をどう把握していくかの検討が必要です。

 次に、「栄養・食生活」の食環境の中の(4)「食品中の減塩や脂肪の低減に取り組む食品企業及び飲食店の登録数の増加」です。様式112ページと別紙12を御覧ください。食品企業の登録数、飲食店登録数とも増加しています。ということで、評価は「a」です。この理由としては、経年変化から見ても、あと12年で目標達成をする、あるいは5年後には目標達成するだろうという変化のスピードであると判断しました。

 次に、最後の目標で、様式113ページと別紙13を御覧ください。こちらは(5)「利用者に応じた食事の計画、調理及び栄養の評価、改善を実施している特定給食施設の割合の増加」です。こちらの指標は、設定当初は参考値として、管理栄養士・栄養士を配置している施設の割合で捉えていました。こちらについては増加ということで「a」にしておりますが、今後、より適切に、直接的に肥満・やせの改善をしている特定給食施設の状況が捉えられるような指標を把握するということになっています。以上で様式1は終わりになります。

 評価シート様式214ページを御覧ください。以上をまとめますと、指標として「改善している」が2項目、「変わらない」が3項目です。「改善している」の2項目は、主に食環境の項目、「変わらない」というのが、行動、食事内容、体格の内容になっています。

 取組の状況ですが、全て読み上げるのは時間の関係で難しいので、こちらの様式2の「栄養・食生活」の後ろに付いている、別添1パワーポイントで図に整理していただいているものを用いて説明させていただきます。栄養指導室で作成いただいたものです。

17ページです。肥満・メタボリックシンドロームの肥満関係については、人の行動を変えなければいけないということで、左側の「人へのアプローチ」の部分と、右側の「食環境のアプローチ」の部分を組み合わせた取組ということで進んでいます。特に、やはり国が何かやるだけでは不十分で、生活習慣の変容のためには、より身近な場での取組の主体を作っていくことが重要と考え、特に食環境において、より人々の身近な所の事業者や地域の取組、そして、それを国の取組として支援していくという構造になっています。

 同様に、別添2の減塩については、食環境の取組をより強調した最近の展開になっています。特に、企業として減塩食品の開発と販売を行う、あるいは流通で取り組むという所が多くなってきています。その背景として、学会等の取組、あるいは国や自治体の取組が企業の取組をサポートしているという構造です。

18ページです。別添3は、「主食・主菜・副菜等の栄養バランスのとれた食事」に関しても、食環境を中心とした取組になっています。特に、先ほど詳しく説明しませんでしたが、若い世代では、こういった栄養バランスの取れた食事をする人が少ないという現状から、食環境の取組が有効だろうということです。特に給食関係、外食関係、中食関係の取組を推進するため、取組の主体としては「給食事業者等の取組」、もう1つは「自治体の取組」が推進されることです。それを後押しするということで、大学関係、それから国の取組がバックアップするという体制になっています。

 別添4を御覧ください。こちらは、共食を含めた子どもの健やかな食習慣の定着に向けた取組です。こちらも主体としては、学校、保育所の取組、あるいは地域、NPO等の取組が進んでいますが、それをバックアップする形で、国や自治体の実態把握、あるいは政策力の向上、特に国においても、厚生労働省だけではなく、ほかの省庁との連携の下にバックアップするという体制を形成しているということです。

 今後の課題に移ります。様式21516ページになりますが、こちらも要約しますと、今後の課題としては、1つは、取組の加速化が必要ということ。もう1点は、若い年代へのアプローチが必要ということになります。

 最後ですが、こちらの文章には紀載しておりませんが、恐らく他の分野にも共通と考えられることとして、どのような対策に効果があるかについては、いまだに栄養についても不明確な部分が多いということです。昨年度の国民健康調査で都道府県別のデータが把握できると思いますので、それを基に、今後、自治体の改善度と対策との関連を分析する、あるいは、これまでの介入研究として論文に発表されているものの整理などを通して、どのような取組が改善につながるのかということを明らかにしていくことが必要と考えております。以上です。

○辻委員長 前半について御説明いただきましたが、これについて委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。どのテーマからでも結構ですので、よろしくお願いします。

○知念課長補佐 事務局から一部、資料の修正をさせていただきます。資料2、様式211ページの指標の状況の所ですが、事務局の確認が漏れておりました。改善している指標が4、括弧内の目標達成済みが0となっておりますが、こちらを1に修正をお願いします。これは、資料15ページ目のスマート・ライフ・プロジェクトの参画企業数について、目標値3,000社に対して直近の実績値(平成27)で既に3,010社になっており、目標は達成しておりますので、括弧内の(目標達成済み)0から1に変更していただければと思います。失礼しました。

○辻委員長 委員の皆様から何か御質問、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

○津下委員 どの分野でもよろしいでしょうか。まず、次世代のところで、子供の運動習慣が良くなってきた、特に60分未満の子供が減ったという良い結果だったのですが、アクティブ・チャイルドの動きとか、スポーツよりは体づくりとか体を動かすこと自体が大切だという指導方針があったとか、後で運動の分野には記載があるのですが、スポーツ庁の設置やスポーツ基本法などで、省庁が横断的に、運動しやすい環境づくりが進められつつあることも1つの要因として考えられますので、挙げておいたほうがいいのかなと思いました。

 それは近藤先生の所で、地域の健康づくりに関係するボランティアが増加したということについてです。前回の調査のときには保健センターと関連した予防接種とか健診とかのためのボランティアや健康推進委員や食生活改善推進員などを中心に捉えられていたかもしれませんが、今回の調査を見ると、高齢者の男性の割合の参加が3割とか多くなっています。スポーツ関連の方々が健康づくり活動として認知して、○を付けられた可能性もあるのかなとも思います。前回とは質問が違うし、ボランティアの捉え方が少し変容してきていると思われますが。近藤先生の所の4ページ、ボランティア活動の参加の所です。これまでの保健センターに関連する、いわゆる健康推進委員とかと言うと、女性の活動のイメージが多かったのですが、別紙の5ページ、「健康づくりを目的とした活動に主体的に関わっている国民の増加」で、60代、70代は男性の割合のほうが高いということで、地域を見てみるとスポーツ関係の関連で男性が多く参加しているのではないかなと思ったので、以前の調査のときとは捉え方がちょっと変わってきたのではないかと思って聞いていました。

 グラフの4ページなのですが、「自分と地域のつながりが強いほうだと思う割合」が、ほかの年代は上がってきているのですが、70歳以上では減ってきているように見えます。この原因なのですが、1つは都市部の高齢化が進んだ影響はないかとか、就労するようになって、地域よりも職場のつながりがまだ強いとかが考えられ、70歳以上を一括りにしていいのかと思いますがいかがでしょうか。元気な70歳以上の方々が増えて、そういう背景で、こういう地域のつながりという回答が、70歳以上だけちょっと逆の動きになっている可能背もあるのですが、もう少し地域性とか、年代をもうちょっと高めと70代と区切って見てみたりとかしてみると、どうなるのかなと思いました。

 様式17ページ、「健康格差対策に取り組む自治体」が、11都道府県から37都道府県に増えたということで、様々な所がいろいろなデータを分析したり、健康格差の縮小に取り組もうとしていますが、10の都道府県はなぜ実施していないのか、その原因を把握していらっしゃるのであれば、また格差縮小に向けて国からプッシュしてきたのだけれども。都道府県が動いていないのか、その辺りの状況について、考察が必要かなと感じました。保険局の全数調査ではやっていない自治体の名前が公表されています。都道府県としては健康増進計画を作って、健康格差に取り組むことになっていて、それが100%ではないということに対して、考察とか、取組の課題について、もう少し整理する必要があるのかなと思いますが、いかがでしょうか。以上、よろしくお願いします。

○曽根委員 先ほどのソーシャル・キャピタルの様々なステークホルダーという所なのですが、近藤先生にも参加していただいて、昨年度、地域保健総合推進事業で、ソーシャル・キャピタルを活用した地域保健対策の推進についてということで事例をかなり集めました。18名の方からいろいろお話を聞いて、それらをまとめたのです。近藤先生にもおまとめいただいたのですが、今の新しいソーシャル・キャピタルに関わる方々は、健康部門以外の組織がやっている。もちろん、行政の方もいらっしゃいますが、NPOとかコミュニティビジネス、町おこしなどをビジネスとして提供している方々です。それから、健康に特化していない、例えば子供食堂だったり、高齢者の集まる場を作るとか、必ずしも健康に特化しないのだけれども、結果として健康増進につながっているというところが見えてきましたので、その辺りで健康というところから、広がりが出てきているのかなという気がいたします。

○近藤委員 今、曽根先生から御紹介があったように、最近は、コミュニティデザインだとか何々カフェという形で、健康を前面に出さない形の取組がいっぱい増えているというのを感じました。私がとても印象に残った事例で言うと、マンションの管理組合が防災を切り口に、マンションの付加価値を高めるために永住志向が高まっているのも意識して、住民たちに交流しませんかということを販売当時からセットにしているなどという取組とか、そういう所に行っていたことがきっかけで、子供たちのミニ運動会もやろうかなどというのが基盤になって、健康づくりにもプラスになるという、そんな動きがありました。そういうものも広く捉えるという懐の広さがいるのかなという思いが半分、しかし、その一方で、こうやって進捗管理などをするのであれば、本当にそれがどのぐらい波及しているのかをしっかりモニタリングするところはしっかりやらないと、何か雲をつかむような感じになってしまうおそれもあるなという、両面を感じる機会になりました。

○山縣委員 子供の運動の点なのですが、おっしゃるとおりで、本当に非常に重要な点だと思いますが、今少し追い風なのは、宮地先生からもあるかもしれませんが、オリンピックに向けてこういう運動をすることを、例えばレガシーとして残すような、ロンドンなどはそういう結果が出ているようです。そういう取組をしっかりつかまえながら、一緒にやっていくことと、その後も継続できるような仕組みとか、評価もしておく必要があるかなと思いました。ありがとうございました。

○宮地委員 後をどうするかというところですが、多分オリンピック・パラリンピックが終わってしまうと、あっという間に熱が冷めて、子供も大人もということが予想されるのですが、そういうものを支えるのは、保健セクターであったり健康セクターの非常に重要な役割なのではないでしょうか。スポーツの外的な価値というか、健康というものに効果があるのだという価値で、落ち込みを下支えするという発想を持っていくことも、スポーツ庁にも考えていただく必要があると思います。

○吉見たばこ対策専門官 津下先生が御指摘の都道府県が健康格差対策に取り組む自治体の増加の件で、やっていない所の理由ということなのですが、やっている所の詳細な中身もですが、やっていない所の背景であるとか、そういう詳細まで十分把握しきれておりませんので、先生方の研究班などでも、いろいろな面での自治体の事例を集めておられると思うのですが、そういうものを参考にしながら把握してまいりたいと思います。

○宮地委員 先ほどの子供の運動指標が良くなっているということで、アクティブ・チャイルド60minの御紹介もあったのですが、もう1つ、幼児期運動指針と言って、小学校に入る前の子供たちも、どのように体を動かしていったらいいですかという指針を文部科学省が作っております。それが大体56年前にできて、その子供たちがちょうど45年生になってきているというところもあります。ですので、やはり世代、年代を問わず、全ての年代に対して、そういった指針を作っていく、あるいはマニュアルを作っていくことの効果は少しずつ認められるのではないかと思います。

○中村委員 3点あるのですが、近藤先生の先ほどのマンションの話にちょっとインスパイアされたのですが、今、私たちはヘルス・プロモーティング・ホスピタルという取組を始めているのですが、ヘルス・プロモーティング・マンションというがあってもよいかと思い発言しました。保健医療の切り口でヘルス・プロモーションを言っても目新しくはないのですが、マンションというコミュニティで健康を推進する取組をしていくのは、多機関・多部門協働という意味で正にヘルス・プロモーションだし、今マンションについては、受動喫煙で訴訟も起こって問題になっていて、ベランダや廊下等の共有スペースでの禁煙を管理組合の規約に入れるようなところも出てきています。管理組合規則については、確か国土交通省が所管していると思うのですが、その標準規約に将来的に位置づけを検討できるよう、まずは企業の健康経営のように、インセンティブを設定して自発的な取り組みを促していければいいのかなと思いました。

 質問は、岡村先生が発表された様式23ページの今後の課題の所で、「個々の関連学会でガイドライン等が整備されているものの、それが包括的に運用されているとは言い難い」と書いてあるのですが、左側の下を見ると、例えば合同で、リスク管理チャートを作ったというのがあるのです。実際どのように、この問題を解決していったらいいのかを考えることが重要と思います。予防は保険適用の対象外になるのですが、医療費節減の観点から医療の場での重症化予防というのが今後の大きな課題と思います。診療ガイドラインに示してもなかなか実践につながらないというのが常なので、そこを埋めるものとしては、診療報酬等の制度化があると思うのですが、その辺りで何か具体的に考えられているようなことがあれば御紹介いただきたいと思ったことが1つです。

 もう1つは、同じ様式217ページに、今回ポンチ絵が登場しています。取組の今の現状を総覧するのに非常に分かりやすいと思ったのですが、今後これをどのように活用していくのか。ほかの分野でも何か作っていったらいいのかなと思ったのですが、それについて、村山先生のお考えがあれば教えていただきたいと思います。以上、2点お願いします。

○岡村委員 そこは大変難しいところなのですが、各学会等でやっているガイドラインはいっぱいあるのですが、積み上げると、こんなになっています。AIでも使わないと、それを使ってやるなんて多分、臨床の場でほぼ不可能になっているのですね。見て一目で分かるようにという感じで作ったのが先ほどの11学会のものになるのですが、それぞれ認識としては、分かっている人は各学会の方はみんなされているので、恐らくだんだんとミニマム・リクワイアメントは統一していこうという方向になっていくだろうということと、臨床系でも脳と心臓のところが今まで全く没交渉です。予防の人間は一緒なのですが、同じ日に学会をやられたりして、こっちは行ったり来たりしなければいけなくなるというのがよくあるのですが、前よりは垣根が大分取れてきたということはあるかと思います。

1つは、もちろん診療でちゃんとやっていただくのは大事なのですが、例えば糖尿病などは療養指導士とかありますし、高血圧・循環器病予防療養指導士みたいな、要するに医療機関の層で、ある程度補いながら、保健指導等をやっていくような資格もだんだん、それも学会横断で出てきたりしていますので、そういう意味で、だんだん垣根を払っていかないと難しいだろうと。診療報酬うんぬんになると、この局の所管でもないような気がするのですが、そこは私としてはよく分からないのです。ただ、臨床の場がすごい忙しいので、全部、臨床の先生にお願いというのはかなり負担がありますので、療養指導士等を活用して、外でもきちんと、医療の対象にならないところでも、いろいろな知識を取り入れた人がちゃんと保健指導とか生活習慣改善のリコメンドができるような体制は必要だろうと思いますとしか、答えようがないのですけれども。

○辻委員長 村山先生、お願いします。

○村山委員 17ページ、18ページの図についてなのですが、まず栄養・食生活の分野は非常に複雑で、人の行動を変える、あるいは食事の内容を変えることに関して、様々なステークホルダーが関連しています。それを見える化していこうということで作成されております。活用としては、1つは、これによって、全体の構造を関係者で共有することができるかなと思っています。住民にとっては、自分の環境にどういうものがあって、あるいは取組をする側としても自分たちはどういうところに位置付けられているのかということを共有して、一緒に同じ方向を向いて進んでいくことに活用できるというのが1点です。

 もう1つは、まだ余りできていないのですが、この中で数値化できるところがあれば、数値化することによって取組のモニタリング、そしてここがこのぐらい進んだらアウトカムはこのぐらい変わるというようなモニタリングをして、有効な取組を判断するために活用できればと考えています。

○近藤委員 ページで言うと17ページになると思うのですが、企業活動としては減塩しやすい社会環境づくりの推進の所を大変興味深く拝見したのですが、今お話があったように、できるだけ数値でできるものは数値で追いかけるというのが、もっとできるといいなというのを感じております。そういう意味で、こんな数字があるのだと驚いたのが、食品工業用塩の消費量が35,000t減ったというのはすごい量で、多分1人当たりに換算すれば、また何グラムとか出るのでしょうけれども、こんなものをもう少しブレークダウンして示すようなことができると、例えば、きっと食品工業会の中にもいろいろな分野があると思うのですが、「こちらは随分頑張っていますね」とか、「こちらはもう少し何か余地ないですか」とか、あるいは食品の消費量を都道府県別とか市町村別に把握する仕組みが何かあると。よく市町村と一緒にやっていると、「うちは高血圧が多いんです、漬け物が好きなんです」という、観察による経験の話はいっぱい出てくるのですが、それに何か働き掛けたときに、それがどのぐらい動いたのかみたいなものが、手応えのある手法が何もなくて、掛け声だけで終わっているような感じがちょっとありますが、消費量、販売量みたいなものをどこかでモニタリングするみたいなことができたらいいのになと感じていたのですが、そういう隠れた数字とか、どこかにないのですか。

○村山委員 正に御指摘いただいたところが数値化していこうというところの第一歩の部分です。1つは、日本高血圧学会が登録している企業に、学会として、この減塩食品がどのぐらい売れたかを申告してもらう仕組みになっていて、それで把握できるということになっています。そのほかの一般の食品の販売によって、どのぐらい減塩できたかは、多分、既存のデータでは難しいかなと思いますが、また引き続き検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○河野栄養指導室長 今お話があった食品工業用の塩については、味噌であるとか、水産であるとか、漬け物であるとか、そういった内訳の年次推移も見ることはできますので、そういった意味では業界の努力、あるいはそういったものがどのぐらい減少されてきたかというところは分かります。

 また、今、村山委員から御紹介がありましたとおり、左側の日本高血圧学会の減塩食品リスト掲載品は、小売金額、要はどのぐらい販売されているかといったことと、減少している食塩量が分かるような形で、新たな取組としてもっと見える化をしていくということで、高血圧学会での取組が進んでいるという内容になっております。以上です。

○辻委員長 よろしいですか。

○近藤委員 今の味噌、醤油とかいう内訳は、厚生労働省のホームページか何かにいけば見られますか。

○河野栄養指導室長 これは出典の所に書いてありますように、財務省の塩需給実績なので、おそらく、業界団体が出しているホームページに詳しいものがあって、そこで年次推移も見られる形になっております。

○津下委員 今、健康日本21の非常に重要な議論がされているのだなと思います。こういうコアになる健康指標は検討会で公表されるのですが、関連の(生活)データは他省庁等が把握しているのをどれだけ引っ張り出して可視化するかというのは非常に重要なことなので、またこういう議論が更に深まっていくといいなと思います。

 循環器の話なのですが、循環器死亡が減りましたと。医療の改善があったのではないかという話もあるのですが、もう1つ大事なことは、心血管疾患が発症した後のリハビリとか、その後の運動療法などがかなり広がってきて、病気を持った人の健康づくりというか、その部分に対しての取組が進んできた状況もあるのではと思います。高齢化とともに有疾患者が増えて、病気を持ちながら生活習慣改善に取り組む。だから、一次予防だけではなくて、二次予防としての健康づくり活動が進んだ結果として、最終的な循環器死亡とか、そちらへの反映ということも十分に考えられるので、その辺をどう整理して見ていくのか、これからの課題かなとも思いました。

○岡村委員 今の話で、一次予防の評価をしようと思うと、本当は発症登録がいるのです。がん登録みたいなものが全くないので、やむを得ず年齢調整死亡率を使っているということを御理解いただきたいので、年齢調整死亡率を使うと、当然、予防と治療と、要するに一次予防、二次予防、三次予防の効果が全部乗っかってアウトカムが出てくるということになるので、システム上やむを得ないところがあることを御了承いただきたいというのが1点です。

 それから、先ほど消費統計の話が出ていましたが、アルコールの研究をしているときに思ったのですが、消費量から見るのは全体としてはまだいいのですが、都道府県別の比較がまず無理で、アルコール消費量が多いのは東京と大阪になってしまって、その心は周りの人がみんな出てきて飲んでいるからということになるので、消費統計はエリア別の元に戻すのが極めて難しいので、国全体の把握としてはまだいいのですが、地域の比較に使うのはかなり難しいということを、アルコールの例からはこちらのほうで経験しております。

○辻委員長 今の近藤先生の登録のお話ですが、がんと循環器を見ていると、かなり違いがあって、がんは「がん登録」がきっちり法律もできて動いていますが、循環器の登録もお願いできないかなということと、先ほどの津下先生の御意見だと、脳卒中になった後の人たちの健康管理、がんのほうは「がんサバイバー」というのが社会的にもかなりサポートをしていますので、その辺もまた循環器もお願いいたします。ほかにどなたかありますか。

○曽根委員 ソーシャル・キャピタルに若干関係することですが、運動について、将来的に考えなければいけないのは、企業活動をどのように評価していくかというところだと思います。最近、首都圏だと、従来はプールがあって、スタジオがあってというスポーツクラブが多かったのですが、今は24時間オープンで、駅の近くで1フロアか2フロアぐらいで、マシンを中心にやっているスポーツジムが雨後の筍のように増えてきています。それだけ需要があるということだろうと思います。運動の仕方や場というのが少し以前とは変わってきているかなという印象があったり、あるいは企業でも、タニタなどが有名なのですが、健康経営ということで、従業員のパフォーマンスを高めるために従業員の健康に投資をしていくという考え方もあります。本中間評価は従来、自治体単位でいろいろやっていましたが、スマートライフもありますが、将来的にもう少し詳細に企業活動を分析する必要があるのではないかと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。大変重要な御指摘です。ほかにどなたかありますか。

○津下委員 別紙の8と別紙の2なのですが、20代の女性のやせの傾向は、やせ願望の女性が増えてきて、女性のやせがどんどん進行しているという危機感があったのですが、現状のこのデータとしては一旦、若干の改善傾向がみられ、横ばい傾向まできている。やせはいけないよというメッセージが普及してきたと判断するのはまだ早いかどうか。少なくとも、やせの進行については頭打ち傾向が見られます。低出生体重児もいろいろな原因がありますが、女性のやせがどんどん増えていくことへの歯止めの影響なども関連付けて考察するのは厳しいかもしれませんが。策定時が非常に高いポイントを捉えているなというのがありまして、この辺の女性のやせの問題に対してどのぐらいの強いメッセージを出していくのか。栄養・食生活の面等で、何かお考えがあればお聞かせいただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。

○村山委員 統計的には、変わらないということで考えております。移動平均を見ると、若干、減少傾向ですが、もう少し年次を追って把握しないと、最終的に世の中に出していくようなメッセージというのは難しいと考えております。

○辻委員長 よろしいですか。では、最後に全体を通しての議論をもう一回いたしますが、後半に入りたいと思います。栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標について御議論いただきますが、まず、身体活動・運動について、宮地委員と近藤委員から御説明をお願いいたします。

○宮地委員 資料114ページ、資料314ページの別紙14を御覧ください。まず、資料114ページですが、身体活動・運動の分野の歩数の増減についてです。歩数に関しては、まず性別に分けて、更に年齢も65歳未満と65歳以上に分けて、4つの群で推移を比較しております。男性7,8416,88365歳未満。65歳以上が5,628、女性4,584歩という策定時のベースラインデータがどのように変化したのかです。資料3の別紙14のグラフで見ると、上の2つは65歳未満ですが、男女ともほとんど大きな変化はありません。下の段が65歳以上ですが、下に関しては右側の女性が多少、前後しておりますが、300歩ほど増加する傾向が見られております。ところが、目標値は1,000歩増やしましょう。歩く時間に直すと、ほぼ10分、プラス10という目標を持っておりましたが、その1,000歩増やすという目標にはまだ届かない現状です。

 資料115ページ、資料315ページですが、これは30分以上、週に2日以上の軽く汗をかくような運動を1年以上継続している人の割合という、運動習慣者の割合です。これも同じく男女別、年代別に分けております。65歳未満の男性26.3%、女性22.9%と、20%~25%ぐらいの割合の方、それから65歳以上は男性47.6%、女性37.6%、高齢の方は余暇時間がたくさんありますので運動がしやすいわけですが、このベースライン値を10%上げるという目標を掲げております。図を見ていただくと分かるのですが、非常に変動が大きくて、ベースラインの値と今年度の値を比較すると、ほとんど変化していないのです。ところが、今年を含まない過去3年のトレンドを見ると、結構減ってきており、この減少を相当危惧しておりましたら、全く理由が分からないですが、今年度なぜか持ち直した。この結果、これは統計がおかしいのではないかという御指摘をされる方も多いのですが、そうではなくて、スポーツ庁が週に1回の運動習慣者の割合であったりとか、2日でなく3日の運動習慣を持っている人の割合を同様に取っているわけですが、スポーツ庁も同じようなトレンドを示しております。昨年までの過去3年は減っているのですが、今年度の調査で上がっているということで、最初はどうしてこういう変動なのかということだったのですが、複数の調査で、そのような結果が出ておりますので、これを続いて上がっていっていただけるといいなという希望ですが、持っているところです。

 自治体は近藤先生が御紹介ということで、これまでのこの2つの指標ですが、私は今のところ、これは総じて変化なしと評価しております。経時的にこのデータを記録していって、あと5年余りですが、しっかりと取り組んでいきたいと考えているところです。

 関連した取組ですが、資料219ページを御覧ください。身体活動・運動の分野においては、歩数の増加運動習慣者の割合をアクティブガイドの普及啓発やスマートライフプロジェクトによる+10メッセージを広げるということで取り組んできました。また、特定健診、特定保健指導などにおいても、保健師、あるいは管理栄養士、医師の方々に運動の重要性等を啓発していただいて、減量のための運動介入などを推奨していただいております。

 今後の課題ですが、アクティブガイドやスマート・ライフ・プロジェクトについて、より多くの方に知っていただきたいと思うのですが、一般国民への認知度については、辻先生の研究班の調査の結果ですと、アクティブガイドが9.1%、スマート・ライフ・プロジェクトが11.2%ということで、国民の10人に1人しか、私たちが一生懸命取り組んでいることを知っていただけていないという現状がまだあります。こういった取組を少しでも多くの国民に知っていただくような普及啓発活動を進めていく必要があるのではないかと思います。

 身体活動・運動に関するリテラシーの向上等について、運動しやすい、体を動かしやすいまちづくり、運動しやすいまちづくり、あるいは就労環境の整備等が必要だと思います。先ほど曽根委員のほうから、駅前に非常に簡便なフィットネスクラブなどが増えていますということであったり、健康経営であったりというお話がありましたが、近年ではスポーツ庁や経済産業省等による東京オリンピック・パラリンピックや健康経営といった、地域だけではなくて、職域、あるいは特殊な状況における環境整備が進められておりますので、そういった取組との連携も是非、保健・健康セクターのほうも、機を逸せずに取り組んでいけるといいのではないかと考えております。

 その他としてなのですが、総じて歩数も運動習慣も、今のところ高齢者のほうが若干、改善の期待がもてるという現状があります。これは恐らく運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体が確実に増えていて、運動が大事だよというメッセージが高齢者のほうに、より伝わっているということなのではないだろうか。また、その環境も提供されているのではないだろうかと考えます。都道府県や地域をベースに取組をしているところなので、致し方ないところではありますが、働き盛り、子育て世代に対してアプローチをしていくためには、やはり職場・職域であったり、あるいはこれは子供との関連もあろうかと思いますが、学校を通した取組も少し進めていく必要があるのではないかと考えております。以上です。

○辻委員長 ありがとうございます。では、近藤先生、お願いします。

○近藤委員 資料の様式116ページが住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加です。現在は都道府県数で47都道府県を目標に、ベースラインが17都道府県だったものが30都道府県まで増えていると。このまま伸ばせば100%に行くぐらいのスピードで増えていることになります。様式2の所で課題のような面を挙げると、現在は都道府県ですが、これを市町村に落とすと1,700になりますので、スポーツ庁のほうで地方スポーツ振興計画という策定努力義務などがありまして、そうすると今後は市町村のほうでそういうものに取り組むことが課題になったりするのではないかと思います。

 あと、スポーツ庁の会議にも参加させていただいて、少し勉強して感じたのは、例えば公園とか施設のようなハード面を運動しやすい環境と、まず思い浮かべるのですが、実はインストラクターもとても大事だなと感じる機会があり、格好良い若い男のインストラクターが来ると、おばあちゃんたちがお化粧してきたり、それを楽しみに動き出すみたいなこととか、そういうのがエピソードベースでは結構いっぱいあります。もう1つ、今、大学でスポーツ系の学部を作るところがどんどん増えていて、意外に学部力もあったりして、出口問題が問題になったりしているところもあるらしいのですが、そんな人たちに活躍してもらう場を上手にマッチングできると、意外にスポーツというのは文化といいますか、楽しいと言って高齢者が続けたり、そういうスポーツ参加者が多い地域は不眠の高齢者が少ないとか、鬱が少ないとか、そういうのも出てまいりますので、そんなことも支援したり、モニタリングしたりしていくといいのではないかなと感じております。

○辻委員長 ありがとうございました。それでは続きまして「休養」について、谷川委員からお願いします。

○谷川委員 資料117ページ、資料221ページ、そして資料3の別紙1718を御覧ください。まず資料117ページです。睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少ということですが、目標設定値が15%に対し、策定時のベースライン値が18.4%、直近の実積値が20.0%になっております。

 コメントの修正を一部お願いしたいのですが、別紙17を御覧くださると分かるように、18.4%から115.6%に「目標値を下回る」ではなくて、「目標値に近づく」と直してください。15.6%でしたが、調査方法に若干の差があるため、その後、23.0%、20.0%となっております。この傾向から見ると変化は認められなかったと判定しております。また、これは男女差はほとんどありません。

 別紙17の右下、睡眠による休養を十分とれていない者の割合ですが、20代、30代のところは27%から26.4%、4050代では23.8%から29.2%と若干増えております。また先ほどと同様に1回少し下がっておりますが、これも調査方法に若干の差があるということで、この平成21年と平成26年の2回だけで見てみると、やはり40代、50代、また更に60から70代、これは目標値15%よりは低いのですが、9.6%から11.8%に上がっております。

 睡眠時間から考えると、先ほどの国民生活基礎調査もまた、若干やり方は違うにしても、皆さんお分かりのように、定年を迎えてから、睡眠時間が増えてくる。それにもかかわらず、その中でも60代から70代のところで、睡眠による休養を十分とれていない者の割合がジリジリと上がってきているのは恐らく不眠等の問題があるのではないかと考えております。

 もう1つ、次の18ページを御覧ください。睡眠時間に関係するのは、特に働く世代において、非常に大きな問題が残業時間です。そのために週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少を掲げております。平成32年の目標を5%とし、ベースライン値が9.3%、直近の実績値では7.7%となっております。別紙18を御覧いただきたいのですが、9.4%を始めとして7.7%まで毎年下がってきているので、改善しています。ただし、5%の目標達成には、まだ至っていないと考えてよいと思います。

 引き続き、資料2の様式221ページを御覧ください。関連した取組として、平成15年に「健康日本21」の睡眠について設定された目標に向けて具体的な実践を進めていく手立てとして、平成26年に「健康づくりのための睡眠指針2014」が策定されました。これは地域の保健師の方々に、エビデンスに基づく様々な睡眠についての理解を住民の方に示していただくための資料として、非常に良いものとして作成しました。22ページの「今後の課題」にもあるように、ある地域において、どの程度、認知しているかということをお聞きしたら、中高年層で12%ですから、ほとんど国民には認知されていないのが現状です。これも今後、地域で更なる活用をしていただくことが大事です。

21ページに戻ります。他の専門学会・省庁において、ここに書いてあるように、日本睡眠学会では「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」、また日本神経治療学会では「標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害」を発表されております。国土交通省では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に特化し、2003年にひかりの運転手さんが居眠り運転をしたことから対策が始まりました。その改正版が2015年に公表されており、SASによる事故防止等についての啓発は進んでおります。

 また、過重労働や残業への見直しの面については、ここに記載されたように2014年から長時間労働削減推進本部が設置され、更に2015年、2016年、2017年と様々な取組がなされ、今のところ、このように「週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を原則として月45時間かつ年360時間と設定し、単月では休日労働を含め100時間未満とした」というような取組が進んでおります。

 今後の課題ですが、先ほど述べたように、せっかく作った「睡眠指針の認知度の向上」が、まず大事ではないかと思います。また、実施に向けての法整備として、国交省の発表したSAS対策については、残念ながら厚生労働省のほうではSASに関する対策はほとんどされておりません。労働衛生上の施策として、循環器疾患・交通事故のリスク、その改善ということで、更なる取組が必要と思います。

 また、過重労働・残業に関しては、自殺者のことも含めて、これも更なる議論が必要ではないかと考えます。特に研究等に関してですが、今後取り組むべき点として、まず睡眠時間全体、特に就労期における睡眠時間が短いことから、過重労働、残業について取り組んでいかなければならないと考えます。

 更に睡眠障害としてやはり一番多いのは、仕事や勉強、遊びなど様々な活動による睡眠不足ですが、これを睡眠不足症候群と呼んでおります。それが一番大きい問題ではないかと思いますし、不眠症、さらに働く世代においては交代勤務、そして睡眠時無呼吸症候群、ほかにも様々な睡眠障害がありますが、この4つぐらいがその大部分を占めると思います。また、多くの研究により、これらの睡眠障害は、高血圧、糖尿病、更には、脳卒中や心筋梗塞等の循環器疾患、精神疾患、また脳血管性の認知症の発症リスクであることが、疫学的にも報告されております。

 ただ問題は、睡眠障害によって慢性的な睡眠不足状態が起こるときに、もちろん眠気を感じる方もいるのですが、必ずしも自覚的には眠気を感じることがなく、眠気を疲労と考えたり、加齢による症状と誤認している方が多いことが、既に生理学的な研究、疫学研究で明らかにされてきました。

 したがって、本人の自覚が伴わない交通事故、若しくは循環器疾患の高リスク者となることがありますので、本人が体調悪化の理由を比較的自覚しやすい場合、例えば自分自身で睡眠時間が短いことを把握している睡眠不足症候群とか不眠症、交代勤務というものは比較的自分がそういう状態であることを自覚できるのですが、そういうものとは異なり、自覚しにくいもの、例えば睡眠時無呼吸症候群については、眠気を感じないとか、また、その事態を自分が知っている方が少ないということは、これまでの研究でも示されております。それに対する対策が必要ではないかと考えます。様々な疫学研究で血圧等々の関係、健康障害との関係が、断面調査やコホート研究、フォローアップ研究でもされているので、例えば、いびきという問題、『いびきの頻度』とか、「大きないびきをかきますか」、そういうものだけでも、項目として今後の問診に入れていってはどうか、そういうことの妥当性についての検討も必要です。また、睡眠中の呼吸のモニター、今はパルスオキシメーター等が使われておりますが、そういうものが様々な研究、若しくは自治体等における健康診断の中に含まれていくことも大事かなと思います。

 また交代勤務に関しては、先進諸国では労働者の2割から3割とされており、更に多くの労働者が従事することから、この交代勤務の中での休養の取り方、交代勤務による睡眠障害に関する情報の啓発も、一層必要ではないかと考えます。

 これらを通じて起床時の熟睡感不全、日中の疲労、若しくは原因不明の眠気、そういうものによって、「睡眠による休養を十分とれていない者」の数を減らせることが期待できると思います。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。それでは次に喫煙につきまして、中村委員からお願いします。

○中村委員 様式119ページと別紙19を併せて御覧ください。まず成人喫煙率の減少については、201010月に、たばこの値上げがあったのですが、値上げによって大きく低下した19.5%を目標値として設定していることを、もう一度確認しておきたいと思います。その後、男性の喫煙率がリバウンドするなどして、喫煙率としては横ばい傾向にあったのですが、直近の平成27年で、ようやく値上げ時の19.5%よりも低下して18.2%ということになりました。喫煙率は有意に減少したわけですけれども、この図のほうを見ていただければ分かるように、このままの傾向では、まだ目標値に到達しないということです。一応、改善しているということで、「a」と判定しております。

 次、20ページ、別紙のほうも同じ20ページです。「未成年者の喫煙をなくす」です。これを見ていただいたら分かるように、いずれも有意な減少が、中1男女、それから高校3年生男女で見られております。目標値よりカーブが急ですので、このままの傾向が続くと目標値に到達できるということで、「a」と判定しました。

 次は21ページの「妊娠中の喫煙をなくす」ということです。これは妊婦の喫煙率ですが、5%から3.8%まで有意に減少しておりますが、目標が0%という非常にハードルが高い目標を設定しておりますので、このままの傾向では目標値の達成には不十分ですけれども改善が見られているということで、「a」と判定しております。

 最後が、受動喫煙関連の目標です。様式122ページを見てください。「職場」については、評価指標が全面禁煙又は空間分煙を講じている職場の割合なので、これは増えるほうがいいわけですが、ほかは、受動喫煙のばく露状況ですので減るほうがいいということになります。職場については2時点のデータソースが異なるので検定をしておりませんが、それ以外はいずれも有意な減少、改善が見られているということです。特に、行政機関、医療機関については目標にむけて急な減少が見られており、目標達成に向かっています。ただ、職場や家庭、飲食店はこのままの傾向では目標の達成ができないということで、今、国レベルで議論されている法制化の必要性がここからも伺えるということになります。

 まとめとしては、資料2の様式224ページ、25ページです。まず指標の状況としては、今、申し上げたように、改善している項目ばかりです。ただ、すでに目標達成ができているものはありません。それから、関連した取組を書いておりますが、201010月の値上げは、先ほども申し上げたように、ベースライン値にその取組の効果が反映されています。それ以降の取組みとして、幾つかここに掲げたようなものがあるわけですけれども、喫煙率を大きく下げるようなインパクトのある政策が必ずしもできていないということで、成人の喫煙率が足踏み状態にあると考えております。

 今後の課題としては、たばこ規制枠組条約を我が国も批准締結しておりますので、それに基づいた対策として、たばこ税の更なる引上げ、それから受動喫煙の防止、特に法制化です。それから警告表示を多くの国で採用されている画像を取り入れ強化する。メディアキャンペーンが日本ではできていないので、受動喫煙や広告規制と同様、最低レベルの評価を受けていますが、今後、メディアキャンペーンを公的な予算で行い、たばこについての正しい知識やたばこ規制についての正しい認識を高める。あとは広告、販売促進等の包括的禁止です。現状は自主規制にとどまっております。医療や健診等の各種保健事業の場での禁煙支援、禁煙治療の充実、それから禁煙の相談を気軽にできるクイットラインの整備です。こういった対策を複数を組み合せて実施することが重要です。

 今日は資料を示していないのですが、成人の数値目標の12%を達成するために、厚労省がイニシアティブを取ってできる政策を中心としてどういう政策の組合せが必要かという検討を、これまで厚労科研の研究班で2回行ってきました。1回目は策定時の19.5%を12%にするための政策、2回目は昨年度の研究班として、直近の喫煙率である18.2%を12%に減少させる政策の検討です。

 共通する政策は、受動喫煙防止の法制化、それから健診や医療の場での短時間の禁煙介入の普及とやめたい人が気軽に相談できるクイットラインの整備です。更にたばこの値上げ、この4つの政策ミックスで、「健康日本21」の策定時であれば、値上げは200円以上の値上げでしたが、その後喫煙率の下げ止まりがありましたので、2015年の喫煙率に基づくと、500円以上の値上げが必要で、たばこ価格をほぼ1,000円にしないと、この12%には到達できないという試算結果が示されていますので、参考までに御紹介したいと思います。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。では、最後になりますが、歯、口腔の健康について、高野委員から御説明をお願いします。

○高野委員 それでは、資料226ページ、様式25.(6)「歯・口腔の健康について」です。指標についてですが、改善しているとされているものは2つです。1つ、達成されているものは、幼児、学齢期のう蝕治療後の歯数の増加を達成しております。改善しているものについては、過去1年間に歯科健診を受診した者の割合の増加ということです。変わらないものは、口腔機能の維持・向上の60歳における咀嚼良好者の割合の増加ということです。評価が困難とされたものは2つです。歯の喪失防止と歯周病を有する者の割合の減少でした。

 ここで資料1の様式1における23ページ、同じく資料323ページの別紙23に移ってください。口腔の(1)ですが、口腔機能の維持・向上の60歳代における咀嚼良好者の割合の増加ですが、別紙23に示すように、現状では今後の予測は困難ですが、改善規制に当てはめると、平成30年の目標には困難ですが、一応横並びで、ほぼ変わらないということで、「b」にしております。

 次のページ、(2)歯の喪失防止です。年齢ごとに、アは別紙24、イは別紙25、ウについては別紙26です。別紙イについては、平成23年度なので最新の評価ではないということで評価困難としております。

 次の26ページ、(3)歯周病を有する者の割合の減少です。年齢層によって同じように、アは別紙27、イは別紙28、ウについては別紙29です。その中で、アについては平成26年度の国民健康・栄養調査の結果ですので、これも最新の調査結果の公表を待つ必要があるということで評価困難としております。アは一応、改善傾向にありますが、最新ではないということで評価困難です。なお、イとウについては、平成27年に比べて平成28年ではやや増加しております。これは、8020達成者が50%を超えるように、歯が多く残されていることで、多少難のある歯も残される傾向があることと、歯周病の検査方法が変わり、評価手法の一部が変更になった影響であるかと思います。引き続き、動向を分析して対策を考えていきたいと思います。

 次のページは(4)幼児・学齢期のう蝕のない者の増加です。これも年齢ごとに分けております。アについては別紙30、イについては別紙31です。それぞれ改善は示しており、これは目標値を達成しているので、「a」という評価をしております。

 次のページ、(5)過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加です。これも別紙32に改善していることは示しておりますが、残念ながら目標値には達成していないということで、「a」と評価しております。

 ここでまた資料226ページに戻ってください。その中で関連した項目として、26ページの最下段の○ですが、日本歯科医師会では8020運動を加え、オーラルフレイルという新しい考えを加えて、健康長寿をサポートしていくという目標を示しております。

 今後の課題についてですが、1つ目の○の小児期のう蝕歯数は確かに減少傾向にあり、全ての年齢層で現在歯数も増加していることは確認できております。しかしながら母子家庭や父子家庭の世帯も増えており、経済的な影響による小児期う蝕罹患状況の二極化の可能性もあることに留意する必要があるのではないかということもあります。

 また、歯周病に関する状況ですが、残念ながら改善は確認できておりませんので、引き続きの検討課題と考えております。成人では定期的な歯科健診が義務付けられていないことと、気づきの機会が少ないことも要因の1つと考えられるのではないかと思っております。歯周病検診や定期健診による口腔清潔管理を意識してもらうことや、歯周病治療に結び付けることが必要であると思われます。更に、う蝕や歯周病、及び口腔機能の都道府県における地域差までは歯科疾患実態調査では明らかにできないので、今後の検討課題と思われます。

 今後は、各都道府県歯科医師会においても歯や口腔の健診や地域での予防活動に取り組んでいるので、都道府県単位の情報を集約できるような機能も重要になってくると思われます。なお、最大可能……ですが、オーラルフレイルを含め、口腔機能低下に関する関心が近年高まっているので、形態的な歯科疾患だけではなく、咀嚼機能等を含めた口腔機能に関する指標や取組を増やしていく必要があると思われます。以上です。

○辻委員長 ありがとうございました。それでは後半の説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。

○西村委員 北大の西村です。身体活動と運動に関して、先ほども、実は似たような議論があったのですが、いわゆる健康な人の身体活動の向上ということにとどまらず、内臓障害を持った患者さんのリハビリということが、今、大変重要な問題になっています。内臓障害という意味は、いわゆる整形外科的疾患や脳卒中は別として、いわゆる心不全や呼吸不全といった疾患のリハビリに関することです。かつてはそういった内臓機能障害がある患者は家で静かにしていなさいという指導をしていたのが、今は考え方が逆なのです。重症になれば別ですが、例えばCOPDによる呼吸不全、あるいは循環系の心不全も軽症・中等症のうちは、どんどん歩きなさい、どんどん運動しなさいと。そういうことが更なる機能低下を予防するというエビデンスがたくさん出てきているのです。そういう情報をマスコミ等を通じて、国民にどんどん啓発していくことが大変重要ではなかろうかと思います。一方、それを支える医療の仕組みというものも大変大事です。リハビリを支援する医療人材がまだまだ足りなくて、呼吸器学会の調査では、呼吸器系疾患のリハビリを医療行為としてやっている病院が非常に限られています。その理由の1つは医療人材が足りないということですが、もう1つは医療費を保険で適切にサポートしていないということにあります。高齢者社会を迎えてそういった社会的な取組は非常に大事であり、特に厚労省の方々にも状況を知っておいてほしいと思います。

 もう1点ですが、禁煙に関して、まだ電子たばこや加熱タバコのことが全く取り上げられておりません。これも欧米先進国では随分以前から大きな社会問題になっています。一見たばこ煙が出ないので、周りへの間接喫煙という意味では、他人に迷惑を及ぼさないことが強調されています。しかし、電子たばこ自体が肺に障害を起こすという証拠は幾つも報告されております。つまり、電子たばこだから許されるということにはならない。ところが日本では、残念なことに海外資本の喫煙メーカーが、いかにも安全であるかのような宣伝を堂々とやっております。

 自民党を主体とする慢性呼吸器疾患の啓発に関する議員連で、そういった講演が先日されているのです。呼吸器学会の立場からは、大変重大な問題だと思っております。電子たばこについても早く、厚労省や、こういった会議で取り上げて、決して安全なものではないというメッセージを早く出す必要があると思います。

○中村委員 電子タバコの使用の実態について、厚労科研では行っているのですけれども、やはり国レベルでの把握が必要であろうということで、これまでに2つ提案させていただきました。1つは特定健診の問診票に、第3期の制度改定において含める。これについては、残念ながら特定健診の標準問診には入りませんでしたけれども、第3期において示される保健指導を行うための質問票に含めていただける予定になっています。

 もう1つは、国民生活基礎調査で、たばこ使用の実態を把握しているのですけれども、これは別途検討会がありますので、そこでも提案させていただきました。これについては、私どもの研究班で案を作成して、検討会で議論をしていただくという予定になっております。

○辻委員長 他にどなたかありますか。温泉川先生どうぞ。

○温泉川委員 日本医師会です。これはお願いなのですが、受動喫煙防止の署名活動を日本医師会はやっております。これは、日医のホームページから署名のあれがダウンロードできるようになっておりますので、是非御協力いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中村委員 先ほど1点説明が漏れておりました。様式225ページの今後の課題の2つ目に述べた、格差の問題です。御承知のように喫煙、受動喫煙とも所得であるとか、教育歴、それから健康保険の種類といった社会経済要因別に分析すると、社会的弱者で喫煙率が高く、また受動喫煙を受けている割合が高いという結果が出ています。

 その観点からのたばこ対策が今後重要です。例えば、2010年の値上げの影響を世帯の所得別に分析をすると、たばこの値上げというのは、所得の少ない人がより反応して、禁煙率がより増加するのが一般的なのですけれども、2010年の値上げについては、そういう傾向が見られませんでした。女性の場合は、むしろ高所得者で禁煙率が高いという逆の傾向が見られました。これは、絶対価格が所得に割にまだまだ安いことが原因と考えています、格差是正の観点からも、今後大幅な値上げが必要だと考えております。

 教育歴で見ると、子供の受動喫煙のばく露は、教育歴の低い層で高いという結果が出ております。家庭というのは国際的にも受動喫煙防止の法規制の対象にならないことが多いのです。ただ私どもの研究班で、昨年度、自治体レベルで子供の受動喫煙を守るための条例骨子案を検討したところ、豊島区のほうで関心をもっていただき、条例化を年内にする動きがでています。すでにパブリックコメントの段階まできております。家庭内、それから自家用車内が中心になっているのですけれども、いずれも努力義務で罰則はなしです。そういう条例化の動きが出始めていることを御紹介しておきます。

○辻委員長 他にどなたかおりますか。道明委員どうぞ。

○道明委員 薬剤師会です。未成年者の喫煙をなくすということで、別紙20のほうでも、中学生の喫煙率が低下している、高校生の喫煙率が低下しているという部分です。薬剤師会には学校薬剤師という活動があります。その中に、薬物乱用ということで小学校の高学年、また中学校、高校の方に、保健の時間を一部頂いて、薬物乱用教室をやらせていただいています。その中では飲酒、喫煙、ドラッグの害を説明しておりますので、そういう効果も少し出てきているのかと思います。今後は、できるだけ全学校でできるような形で持っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○辻委員長 他にどなたかありますか。若尾先生どうぞ。

○若尾委員 喫煙率について、この基準というか指標の判断とすれば、確かに改善しているのですが、それと現実とのギャップがあると思うのです。このままでは目標値の達成は難しいし、全くたばこ対策が進んでいないような中で、ここでまとめのシートを見ると、改善しているのが4つ。4つ改善しているというのは、何か見え方として非常に違和感を感ずるので、何か別途に留意事項とかを書けるような形で、ここはまだまだ対策が必要だというのが、全体のまとめの表から見えるような形にすることが望ましいのではないかと考えます。

○辻委員長 大変貴重な御意見をありがとうございます。これは、最後に全体討論をもう一回、中間評価のまとめ方ということで御議論いただきます。先生がおっしゃったとおりで、大体ほとんどの項目で改善しているのですけれども、先ほど村山先生のほうで明記されていましたけれども、改善はしているけれども、このペースでは目標に到達できないと明確に書いていました。そのようなところを、きっちり書くことを、全体的にもう一度、意思統一しようかということです。山縣先生も手を挙げておられましたか。

○山縣委員 同じ内容です。

○辻委員長 他にどなたかおられますか。北原先生どうぞ。

○北原委員 職場の受動喫煙防止のところです。平成34年度の目標としては受動喫煙のないという定義ですが、今は6469.4%。この中には全面禁煙又は空間分煙とあります。空間分煙というと、建屋内で場所だけ分けたという所もまだまだあって、場所だけ分けていればいいという問題ではないと思うのです。この辺りは混ぜこぜにしてしまうと、本当の意味での受動喫煙防止につながらないのではないかということを危惧しますけれども、いかがでしょうか。

○中村委員 私が答えるのがいいかどうか分からないのですけれども、私は全面禁煙のみを目標に掲げて評価すべきと策定時に申し上げました。しかし、これは旧労働省側の所管でもあって、健康課だけの判断で決めることができず、こういう形になっているということをお含みおきいただければと思います。

○北原委員 空間分煙と言っても、建屋外とか、その辺りぐらいまでは何か足せたりしないだろうかと思うのです。ちょっと所掌が違うということもあるかもしれませんけれども、意見として申し上げます。

○辻委員長 他にありますか。津下先生どうぞ。

○津下委員 幾つかの分野で御質問を、コメントの記載の所でお願いします。21ページで、妊娠時の喫煙率は下がってはいるけれども十分に下がっていないということです。1つは、初妊婦さんは一生懸命禁煙される方が比較的多いという市町村のデータがあるのですが、再喫煙する方もいます。3か月後健診などで、特に夫が喫煙している場合に、せっかく妊娠中でやめても、出産してから喫煙を始めてしまう方も少なくありません。経産婦になってくると、禁煙へのモチベーションがちょっと落ちているというデータを出している所もあるように、せっかく妊娠を契機に禁煙できた方々が、再喫煙につながらないような対策の強化が必要かと思いますが。例えば市町村の3か月健診とか6か月健診とか、妊娠中だけではなくて産後の健康管理の中でも、もう少し十分にやっていただくと、喫煙率そのものをもう少し下げることができるのではないかと思っております。愛知県知立市など、そういう取組をしている自治体もありますので、広がればいいかと思います。

 それから睡眠についてです。睡眠を取りやすいまちづくりということでは、「働き方」というのがあります。例えば、24時間営業の店が、ひと頃名古屋でも増えたのですけれども、最近は24時間営業をやめましたという所も出てきました。それは、すなわち働き方とも関わりますし、ライフスタイルとも関わると思うのです。今までの24時間営業で働くという町から、ちゃんと睡眠が取れるまちづくりというような、そういう波及効果に向けたメッセージが何か出せないかどうかと思いました。運動しやすいまちづくりとか、食事も食環境が重要だということで、睡眠環境を整えるという意味では、そのような取組が今後推進できるといいかと思いました。

 スポーツで西村委員から御指摘がありましたように、有疾患者に関するスポーツです。保険診療の中のリハビリテーションはかなり進んでいるのですけれども、それが終わった後の方々が、いきなり民間のスポーツクラブに行って運動が継続できるかというと、なかなかそこにつながっていかない部分もあります。リハビリテーション終了後はやめてしまって落ちてしまうということもあります。日本医師会では健康スポーツ医の制度を作っていて、かかりつけ医がその地域の運動施設、健康運動指導士などと連携した、公的医療保険内ではない運動の取組を有疾患者に対して行うという取組が議論されていますが、これが広く広がっていくといいと思います。一部の自治体ではかなり活性化できていますけれども、リハビリテーションの後に、有疾患者が運動しやすく、公的保険外でも運動できる仕掛けづくりが広がっていくと、様々な疾患に対しても有用な影響が与えられるのかと思います。健康スポーツ医の活動や、健康運動指導士、地域連携パスなどを作っている所もありますので、そういう有疾患者も含めて運動しやすい環境づくりというのを記入していただくといいのかと思いました。

 歯科口腔のほうでは、生活保護受給者の健康管理のデータで、生活保護受給者の子供たちには肥満やう歯の問題が大きいことが示されています。う歯が一番、生活習慣への介入として入りやすいところかもしれないという議論もされております。歯科健診などで、子供のう歯の発見があったときなどに対して、その子供たちの歯だけではなくて、衛生や全身の健康管理につなげていくか。福祉事務所とか親の二極化に対してどう対応していくべきかについて、何か踏み込んだ対策の可能性があるかどうか。もしあれば、今後の対策として御検討いただいてもいいのかと思いました。以上、バラバラなのですけれども、よろしくお願いいたします。

○辻委員長 津下先生からいろいろ問題提起がありましたけれども、関係の先生方から何かありますか。高野先生お願いします。

○高野委員 御指摘の歯科についてですが、確かに生活困難ということで、経済的な意味合いからということはあるのですが、その年齢だとほとんど医療費がかからない制度が多いかと思うのです。そういう意味では、母親とか両親の認識度というか、本当にネグレストではないかと思われるような方たちもありますので、その認識不足を解消することが必要ではないか。そういう意味では、就学時、又は小学校のときに、特に兄弟間でも同じように、多歯のう蝕が認められる場合があります。それについては養護の先生を通しながら、要注意ということでチェックしてもらうようにしております。

 それ以外のことですが、予防というか喫煙についてです。歯科としても妊娠を契機とした対応として、歯科からの妊娠婦における母親教室などにおいて、喫煙とか受動喫煙についてお話をさせていただいておりましたが、現在では区市町村の予算の削減で大分減ってきております。そういう意味では、母親は家庭において健康のキーマンですので、それに対する講話等がまた復活できて、大きくできればと思っておりますので、できるだけそういうことについては歯科としても協力していきたいと思います。

○辻委員長 山之内先生お願いします。

○山之内委員 国立精神・神経センターの山之内です。睡眠のところでコメントと、あと運動にもちょっと関係します。1つは画一的な睡眠不足のキャンペーンが果たして有効かどうかということに関してです。老人は、国民生活基礎調査でも比較的睡眠が取れています。それでも、例えば精神科の臨床などでいくと、老人は出られない、寝られないといつも訴えている。暇だから寝られないという感じではあるかと思うのです。寝ているのに、寝ていないと思うのです。

 一方で、若者や中高年は、寝ていないのに余りそれを自覚していないところがあります。あとは、都市部で睡眠不足の傾向が比較的出ているかと思います。そういう地域、年代に向けたプロモーションが必要ではないかと思いました。

 それは運動に関しても同じことを思います。東京だと歩く、地方に行くとみんな車を持っているので全然歩かないというようなこともあります。そういうところの層別に分けたプロモーションというのは必要ではないかと思いました。

○辻委員長 谷川先生、お願いします。

○谷川委員 睡眠の問題に関しては睡眠学会でもよく議論されます。一番大事なことは、社会全体が睡眠に対して非常に無関心と言いますか、何かあれば睡眠を減らせばいいという考えはいまだに続いています。例えば過重労働の問題で、週60時間というような目標値を、それ以下にしろというようにやっています。子供の問題を考えても、例えば中学生、高校生は、朝はクラブ活動の練習から始まり、夕方はクラブ活動が終わって、更に塾に行って、そして宿題をする。どう考えても1日の睡眠時間を7時間確保することは不可能です。それが当たり前のようになっていて、更に土日にクラブの試合があったりする。そういうことから考えると、本来この睡眠を子供の時代から、また教師等も含めて、もっと睡眠の確保を大事にしないといけないというのが欠落しています。

 アメリカの例ですが、アメリカは遠い所から通うので、子供は16歳以上からは自分で自動車を運転して高校に通います。その始業時間を遅らせるだけで事故が減りました。睡眠時間を取るために、始業時間を減らすということを各州でやっているというのがアメリカの睡眠学会では報告されています。

 私は愛媛県に6年間おりましたけれども、とにかく滅茶苦茶子供の睡眠は疎かになっているというか、これはなんぼ言っても駄目なのです。先ほどおっしゃいましたように、逆に田舎の大人の通勤時間は短いのです。しかし、都心部だと1時間以上、中には2時間以上かけて通っています。そうなると、往復4時間の通勤時間で寝られたらいいのですけれども、寝られない場合が多いわけですから、当然その分が睡眠時間として不足していきます。こういう社会の仕組みにおいて、何かあったら睡眠を削ればいいという風潮を改めなければいけないと思います。

 さすがに今のところは、受験で四当五落と言いましたけれども、韓国でいうとそれは違って、実は三当四落だということで、韓国は更に激しい。国民性と言いますか、韓国へ日本の企業が、これは某企業の例ですけれども、機械を導入すると、彼らは徹夜で働いてくれるから自分たちも徹夜で対応しなければいけない。このように韓国の過労問題も相当大きいと思いますが、我が国も睡眠に対して、もっときちっと捉えなければいけないという、国民的な認識がないと思われます。

 もう1つは喫煙です。これも睡眠と非常に関係しています。眠気を押さえるために、ニコチンでカバーする。飲酒の問題で、今度は寝るために飲酒をする。やはり喫煙と飲酒も睡眠不足に非常に関わっています。交代勤務者が、特に夜間の喫煙率が高いというのは前から知られています。

 もう1つは運動です。運動をすると鬱が減るとか、睡眠が改善することがあります。運動をすることによって、睡眠時無呼吸の重症度が下がるというデータがアメリカで出されております。睡眠は、様々な他の生活習慣との絡み合いとして非常に大事です。かつ、歯科の問題でも子供のときの歯の発達と、大人になってからの睡眠障害というのもあります。ですから、睡眠というのは単に睡眠時間だけで捉えるのではなくて、社会の仕組みとか、他の健康習慣との関係から、もう一度この枠組みとして組み直さなければいけないのではないかと思います。

○辻委員長 ありがとうございました。他にどなたかおられますか。高野先生どうぞ。

○高野委員 今の睡眠に関してです。睡眠時間も大事だと思いますが、歯科として問題になるのは睡眠の質のような感じがします。そういう意味では、お休みになるまでの家庭における影響が、口腔顔面痛とか、頭痛や顎関節症などのほか、身体表現性障害や躁鬱状態の方も増えてきておりますので、睡眠時無呼吸症や、先ほど言いました開咬などについても、また課題となるのではないかと思います。

○辻委員長 山縣先生どうぞ。

○山縣委員 妊娠中の喫煙と、その後の再喫煙についてありましたが、本当に重要な問題で、なかなか改善ができないところであります。今年度から、産後健診に女成が出ることになりました。2週目と1か月で、これは産後鬱の予防がメインではあるのですが、何らかの形でそういうものも活用できるようなことも含めて検討していく必要があると思います。

○辻委員長 吉村先生どうぞ。

○吉村委員 歯科口腔の健康についてです。骨粗鬆症の治療薬にビスフォスフォネートというのがあります。希なのですが顎骨壊死の問題があるので、投薬を開始するときに、歯科で一度診ていただくように勧奨しましょうというように、骨粗鬆症学会では推奨しております。骨粗鬆症の患者は1,300万人いると言われていますが、200万人にビスフォスフォネートが投薬されているといわれています。しかしせっかく歯科に紹介をしても、骨粗鬆症の薬をやめておいたほうがいいのではないかと勧められる場合も有り、骨粗鬆症治療医と歯科の間での認識の違いがあるような気がします。歯科にも日本歯科骨粗鬆症学会があると思うのですが、医師と歯科医がうまく連携すれば歯の健康診断のチャンスが増えると思いますので、最終的な歯の健康に結び付けていけたらいいと考えます。

○辻委員長 高野委員どうぞ。

○高野委員 骨粗鬆症について、特にBP製剤の影響が大きくて、最近は抗RANKLのランマークやプラリアの使用も増えてきており、そちらの方では休薬した場合に数週ぐらいで少し改善してくるということがあります。しかし、現段階ではBP製剤を長年使ってから最近になってランマークに移動した人もいるので、ランマークを中止したからといって安心できないという状況です。確かにBP剤の場合は、何年も80%ぐらい残っていることがありますので、かなり深刻だということです。ただ、現在では整形外科の先生を含めて、BP製剤や抗RANKL製剤などの骨修飾剤を投与する辺りで、用意されている製薬会社からの注意書きなどの啓発のカードを歯科の受診については見せてくださいと言っていただけるので、大分改善してきているとは思います。

 例えば、がん等で、どうしても止められない方もいますので、そういう場合はリスクを考えながら対応していかなければいけない。特に、口腔内で感染をしなければ、大分対応できる場合があるので、その辺はちょっと気を付けていきたいと思います。

○辻委員長 他にどなたかありますか。宮地先生どうぞ。

○宮地委員 先ほどから西村先生をはじめ複数の先生から、疾患者の運動指導についての御指摘がありました。健康運動指導士という有資格者が、ハイリスク者のための運動指導をするということで養成されてまいりました。最近では、複数の学会、例えば心臓リハビリテーション指導士であったり、そのような資格取得が健康運動指導士を持っている人を対象として養成されるようなことが増えてきております。学会単位の活動も始まっているところです。もちろん、医師会の健康スポーツ医の先生方がどんどん増えてきていただいて、特にかかりつけ医のレベルの健康スポーツ医の方が増えてきています。治療に来て、診療に来ていただいたおじいちゃん、おばあちゃんたちに、「少し運動をしたほうがいいよ」というような指導もしていただいているところだと思います。

 もう1つ忘れてはいけないのが、健康増進施設という、厚生労働大臣が認定する施設があります。それは広さであったり、施設であったり、人員の配置であったりということで要件を満たすと認定される施設です。その施設が、本来そういうリスクのある方々、疾患を持たれる方の運動をする場です。先ほどの話では、普通のフィットネスクラブだと、安全対策であったり、指導が不十分なのだけれども、ちゃんとそういう要件を満たして、リハビリテーションが終わった後に、そういう方が運動できる場ということで準備されております。残念ながら、制度ができて15年程度たちますけれども、まだ400弱程度しかありません。

 そういうものがあるにもかかわらず、残念ながら国民にも知られておりませんし、お医者さんにも知られておりません。恐らく健康運動指導士も知らないというようなこともあります。そういうことも、今後は少し活用していくことが必要だと思います。さらに、そういう健康増進施設と銘打っているにもかかわらず、どんなレベルの指導をしているのか。本当に安心して、心筋梗塞を起こした方がそこに行って運動ができるのか。そのプログラムの内容について、もう少ししっかり精査をしていくということもしていかなければいけないのではないかと考えております。

○辻委員長 他にどなたかおられますか。吉見専門官どうぞ。

○吉見たばこ対策専門官 ちょっとタイムラグができてしまったのですけれども、2点ほど喫煙関連の御指摘を頂きました。既に中村先生からもお答えを頂いた部分もあります。北原先生御指摘の、職場の受動喫煙に関してです。様式122を御覧いただきますと、ベースライン時と、実績値と、調査が違うので統計的な評価はできないというのは書いてあるとおりです。実は、現在のモニタリングのデータと昔とは違います。現在は、労働部門のほうでは労働安全衛生関係の調査、名前は違いますけれども毎年されている調査の中で、法令事項でもあるので同じ形で聞いていただいているものになります。

 ここは空間分煙というように丸めてしまったのですが、調査票によると、ただ単に分けただけだとか、何もしていないということも含めて把握していただいていて、特にここの中の数字に入っているものについては、喫煙室を設けている、いわゆる空間的に隔離をしているという対策を取っているものまでで止めていただいているものです。中間報告をまとめる中では、この数字の意味というか、解釈でその辺りも補足させていただこうと思います。それが1つです。

 妊産婦の喫煙、再喫煙の問題を御指摘、御議論いただきました。例年、アルコールとたばこ対策の担当者の研修会を厚労省でもやっております。昨年度の実施の中では、母子保健の中で、妊娠をきっかけに、受動喫煙を軸に情報提供したと。それを地域保健の現場でやるのは、分散配置等難しい課題があるので、それを人材育成とか、標準化の観点も入れながらやっているという事例を紹介していただいております。なかなか派手に対策は取りにくい分野でありつつ、すごく重要な分野を御指摘いただいております。しかし、やり方は虐待の問題とか、母子保健のメインの問題もある中で非常に難しいという自治体の声も多々頂いておりますので、先生方の御指摘とか情報を頂きながら、引き続き研修や情報提供の機会を模索してまいりたいと思います。

○辻委員長 御意見は大体よろしいですか。若干まだ時間が残っていますので、中間評価の取りまとめについて、先生方から御意見をいただきたいと思います。

 その前に、今日お配りしている参考資料1を御覧ください。「健康日本21(第二次)の中間評価方法について」ということで、推進専門委員会の中で御議論いただいたことを取りまとめたものです。基本的な考え方として、目標に対する実績や取組の評価を行った後に、その評価を通して値の動きや特徴的な取組について“見える化・魅せる化”する工夫を行うことです。前回と今回で、先生方に取りまとめていただいたのが、1番の目標に対する実績値の評価方法についてです。(1)直近値に係るデーター分析で、グラフを出していただきました。2ページを御覧ください。このようなグラフです。全体の値だけではなくて、性、年齢、地域別などで値に差がみられるものは、それらの特徴を踏まえた分析を行う。これは全体としては改善しているが、年齢とか性で見ると、むしろ悪化しているセブメントもある。そういった議論が前回たくさん出ましたが、そのような性、年齢、地域別での特徴も分析する。

 (2)改善状況についての評価ということで、abcdというような分け方があるわけですが、この2ページの一番下の四角を御覧ください。a「改善している」の中に、※で、目標到達の見込みについて明記と書いてあります。確かに、前回もでしたが、今日も、改善はしているのですが、このペースでいいのかというところが結構出てきましたので、これについてはきっちりと考えなくてはいけないと思っております。

 更に3ページ目が、これからの中間評価の肝になるところだと思うのですが、この各指標の評価を踏まえた領域ごとの取組状況や今後の課題の整理について(様式2)に書いていますが、これをもう少しブラッシュアップする必要があると考えております。(1)領域ごとに、指標の状況として、指標全体の総括評価を行う。(2)関連した取組については、取組の全体が分かるように、また以下の点に留意して整理を行うということで、このようなことを書いています。例えば、具体の取組について、どの程度それが広がったのか。その取組が実際その指標の改善悪化と、どう関連していたのか。更には、数値目標に関して具体的にどういうことに取り組めば、今後その目標が達成されるのか。そういったことを整理する。また、この社会環境の整備は、今回の健康日本21(第二次)では非常に大きなポイントになっています。この社会環境の整備に関する取組については、複合的な取組として連動していますので、その構造が分かるように図で示すなど工夫するというところがあります。(3)今後の課題については、この後半戦をどうするかということです。特に、今日もほとんどの項目がそうですが、改善はしているけれども、今のペースで行くと目標は達成できないのではないかというのが多々見られました。そういう意味では、今後の課題についてきっちりと出す必要があると思っております。

 具体的には、実施した取組と指標の改善悪化などの状況との関連を分析し、今後、更に充実・強化すべき取組を整理する。更に、それの基礎となるような研究についても整理を行う。更に、今後重要になると予測される課題、あるいは要因について、現状把握が必要なもの、特に次期(第三次)の計画に向けて新たに必要なデータがあれば言及する。

 こういったところが、これから先生方にお願いするところになるかと思います。この辺を踏まえて、今後この中間評価の取りまとめについて、どのようなことを留意すべきかについて、御意見をいただきたいと思います。いかがですか。どなたでも結構です。

 前回のまとめとしては、全体として見ることに加え、いろいろな健康指標を全体として見るだけではなく、性、年齢、地方、そのようなセブメント別に見るということで、これは統計によってはサンプル数の関係があります。十分できるものと、もちろんできないものとありますので、そこは全てについてということにはなりませんが、十分な客体数があるものについてはセブメント別にきっちり見て、取組を強化すべきところを明らかにすることは大きな課題だと思います。

 今日御議論いただきましたことの繰り返しになりますが、全体としては、改善はしているのだけれども、このペースでは目標達成は難しいのではないかというところを、かなり具体的に示して、「では、どうするか」ということを先生方にまた御議論いただくことになろうかと思います。取りあえず今までの議論としては、この2点があるかと思います。それ以外に、この中間評価を取りまとめるにあたり、何か留意すべき点とか、御提案とか、先生方からいただければと思いますが、いかがですか。

○横山委員 改善の程度をabcで今は分けています。aの場合には目標到達の見込について明記するとなっているのですが、資料2の様式2で、a「改善している」の括弧の中に「目標達成済みの数」を書くようになっていますが、中間評価なので、むしろ達成済みよりは、「今のペースだと足りない数」をここに入れたほうがいいのではないかと思います。

○辻委員長 はい、そうですね。

○横山委員 それに合わせて、様式1aの所に、それが分かるように、例えば「aマイナス」とかにすれば、どうですか。

○辻委員長 それも是非したいと思います。ほかにどなたかありますか。

○津下委員 この「基本的な考え方」に賛同します。一方、山之内先生がおっしゃったように、格差とか層別化ということがあります。健康課題だけでなく、取組の格差も結構あります。主たる取組と指標の改善・悪化などの状況などとの関連など、できるものはまだ限られているかもしれませんが、示してもよいかもしれません。全体の平均値を上げるということだけではなく、やっていないところや落ちているところを引き上げるための対策を重点化したようなまとめ方も必要ではないかというのが1点です。

 “健康日本21”には各分野様々なものがあるのですが、全体の構成図として健康寿命の延伸、健康格差を減らすということで個人への取組、社会への取組というのがあったわけです。それが全体像としてどう整理できるのか。指標構造の中で動いた項目、動いていない項目というのを一目でオーバービューできるようなものがあると分かりやすいかなと思います。最終ゴールに向けた、この辺りは情報がないので不十分というのも分かるように、最終的に各指標が全体としてどういう方向へ向かっているかと、分野ごとではない「見せ方」というのも、御検討いただけるといいのではないかと思います。

○辻委員長 分かりました。では近藤先生、どうぞ。

○近藤委員 関連した取組のところで1つと、評価で2つ発言したいと思います。まず、関連した取組のところで、初回に中村先生が提示されていた枠組みのことがとても大事だと感じています。いろいろな取組について単発で、何をやっていいのか分からないから取りあえず思いつきでやってみようというような段階のものから、かなり体系化されているものまで、あるいは今回の第二次で言えば、環境へのアプローチというのがしっかり位置づいているもの、そこから更にインセンティブまで考えられているとか、規制も使っているとか、この取組に幾つかのステップがあるのを御提示いただいたと思うのです。何かそういう評価のフレームみたいなものを作って、これについてはまだ第1段階だから、だんだん体系化すべきだとか、これについては一番進んでいるし、かなり行っているのではないかとか。その取組に対する評価みたいなものもして、遅れているところを底上げするような努力というか、まず、そういう認識を共有しないと、その取組が進まないのではないかというのが1点です。

2点目が、評価について、やはりかなり濃淡があるなというのが正直な感想です。ある程度の研究が進んでいるところは、一種ロジックモデルと言うのですか、こういうインプットをすると、こういうアウトプットが生まれ、それによって中途アウトカムが見られた後、アウトカムが生じるはずだというように、それが出来て、その節目節目のキー・パフォーマンス・インディケーターみたいなものが既に見えていてやっている領域と、まだ蓄積がなくて本当に手探りで取りあえず認知度だけを聞いているというところのものから、徐々にロジックモデルに従って、この評価指標を育てていく。また、それをやるためにはそのデーターが要るとか、評価の体系を作っていくのにも実はかなりステップがあるので、それぞれの領域について、できればこの専門委員会の中で、まだこれは努力が必要な領域ですよとか、これがモデルとなるようなかなり進んでいる領域ですよとか、何かそんなものも今のうちから作って、第三次のときには、あらゆる領域についてかなり進んでいるような状況を作るような、残りの5年間にできたらと思いました。

○辻委員長 ほかにどなたか御意見ありますか。

○若尾委員 先ほどの御発言で、2つ目の目標としては格差を縮小するというのが大きな目標となっています。そこの中には都道府県の格差を縮小するということがありますので、これは大変だと思うのですが、やはり取れるものは全部都道府県別のデーターは示して、各項目別に都道府県の状況が見えるような形にしないと、都道府県での問題が可視化できないのではないかと思います。全ての項目を全部都道府県別というのは難しいと思いますが、出せるものはしっかりと出すというような方向性を示してもいいのではないかと思いました。

○辻委員長 ほかに、どなたか。高野先生、それから岡村先生。

○高野委員 今のことと関連するのですが、地域別の評価というのは非常に大変で重要と思いますが、全ての都道府県レベルで強化するのも、全ては難しいかと思っております。例えば、歯科では歯科診療費においても東日本と西日本ではかなり異なり、文化も違う感じがしますから、少なくとも東日本、西日本、あるいはブロック別での評価をしていただければと思っております。都道府県でできることは望ましいのですが、なかなか難しいものはそのようにしていただければと思います。

○岡村委員 評価するときに、記述的な評価に耐えうるもの、例えば都道府県が単位になっているものは統計解析しても、N=47しかないのです。個々の状況がどうなっているかを記述的に、なぜしていないのかどうかというのは、例えば実行されていないとかいうのは、そういうように聞いていって評価するしかない部分があります。数字になるところは、逆に言うと、評価に使う指標のサンプルサイズを見せていただくと、47に分けられるのか、性別に分けるのかは我々のほうで一瞬で分かりますから、こんなものを分けたら無理とか。無理なものをやったって、無理な結果が出るだけなので、元の客体数がそれぞれの指標によってどれだけあるかを見ると大体分かってきます。小分けするのに意味があるのは、全体がたまたまどこか偶然出ていないだけなのかどうかだけなのです。逆に、細かく分けて、方向が全部同じかどうかで確認するときによく使っていて。個別にそれぞれ、例えば有意差見るとか、何かを見るとか、Nが減るだけなので余り意味がなかったりする。チェック用にはもちろん使えるのですが、そのぐらいのところで何か、その数にとどめておかないと、だんだんわけが分からなくなります。議論で、領域を見て、そんなに細かく分けても、このNでは絶体出ないだろうというのは、聞いた瞬間に分かるものが幾つもあります。なかなかそこは難しいので、使える情報量に応じて評価するということになるのだと思います。

○辻委員長 そうですね。やはり一律に作業はできないということは、そのとおりだと思います。

○西村委員 先ほど近藤委員がおっしゃったように、ざっと見ると、評価の項目に非常に濃淡があると思います。十分な歴史があって、これまで使われてきた項目で、ある意味評価方法や目標が確立された項目もあれば、例えば我々が関与しているCOPDの認知率のように初めて組み入れらた項目もあります。それ以外にも、非常に数値目標が漠然とした項目もあり、仮に地域別にやったり、年齢別にやっても、どれだけ興味あるデーターが出るか期待しにくい項目もあります。そこで、まとめるときには、項目ごとに、皆同じような文章量で一律にするのではなく、とりわけこれまでの総括あるいは今後の課題については自由度を高くして、文章量も多少変わってもいいような方針にしておいていただけるとよいと思います。例えば、私どもが関わっているCOPDの認知率みたいな指標は今後の課題のほうがはるかに大きいのです。まとめ方に関して多少の柔軟性を持たせていただきたいと思います。

○辻委員長 分かりました。

○瀧本委員 都道府県格差の件についてです。平成24年、それから昨年の平成28年と、国民健康栄養調査の拡大調査を行いました。県別の集計も前回もさせていただき、今回も予定はしているのですが、横山先生にもいろいろコメントをいただいておりますが、やはり県別データーを、ある意味ランキングのような形で示してしまいますと、都道府県比較ができるような形でサンプリング自体はしていても、やはり誤差率が非常に大きかったりする項目については、1番だからいいとか、最下位だから駄目とか、そういうふうに受け取られないように、うまく伝え方を工夫していかないと、順位だけで一喜一憂されても、本来の目的には添わないのではないかということを若干心配しております。横山先生、補足いただければ幸いです。

○横山委員 都道府県の格差をどうやって表現するかということにも関係すると思うのです。都道府県別の値をランキング形式で示すと、都道府県のばらつきはよく分かるのですが、“健康日本21”で言っているところの格差って、全体の幅が狭まると、それが見えにくいので、健康寿命で分析したような標準偏差で示すというのが1つかと思います。ただ、国民健康栄養調査の場合には誤差が大きいので、あの方式で上手に、その辺の格差を表現できるかというところは、ちょっとやってみないと分からないので、誤差が大きすぎて難しいかもしれないという気はしています。

 でも、そのほかに、例えば死因別の死亡の都道府県のデータであれば、もともと健康寿命で使った方法というのは、都道府県別の死因別死亡の格差を表現するために開発、提案された方法なので、そういう分野では都道府県別で見ることはできるかと思います。

○辻委員長 ほかにどなたか。

○津下委員 市町村や都道府県の取組を見ていると、先ほどのランキングではないですが、ある面マイナス面もあるけれども活動の起爆剤になっている。国民運動の観点で言うと、どうインパクトを持って情報を伝えるかとか、トップの巻き込みということを考えると、学問的評価だけでなく、インパクトを持って健康問題を取り上げられるためにはどう情報を出していくかという戦略も一方では必要かもしれないと思います。それは全ての項目ではなく、大事な項目についてとか、トップを巻き込まないと動かないような項目については、意識的に戦略をしっかりと考えた上で、仕掛けていくことも必要かもしれないと思います。

 もう一方、ベンチマークという考え方です。格差と言うよりは、一番いいところの数字を知りたい。それから平均的な数字も知りたいというニーズがあります。ですから、良い自治体ってどのくらいの数字なのだろう。どこを目標に頑張ったらいいのだろう。自分のところの数字は分かっていますから、良いところの数字はこのぐらいの数字を出している。頑張る目標として、まずは日本一良いところは大体このぐらいの数字まで出しているから、“健康日本21”の目標値よりは、実現可能な目標として、自治体の目標として1番の県がこのくらいだからここまではできるとか、そういうベンチマークという考え方もあるかと思います。政策を都道府県レベル、自治体レベルで動かしやすいための魅せ方ということ、「魅せ方」の魅が魅の字が書いてあったので、あえてこういう発言をしますが、国民運動としてのデーターの使い方を御検討いただくのも必要かと思います。

○岡村委員 結局、その評価に重きを置くのか、推進に重きを置くのかみいなところの使い方があります。都道府県別のものは真面目にしたら、ほとんど信頼区間がかぶっていて、あんなものに意味があるとは恐らくほとんどは思いません。よほどしっかりした指標で、そのNを多くしないと。ただ、津下先生が言われたように、効果はあるのですが、そのプロパガンダ的なものをどこまで本当に入れ込んでいくかどうかは、私どもでは判断できないような気もするのです。あえてコンペティションさせるために出していくというのがあるのですが、全国的に言うと、全部信頼区間がかぶっているので、5年後に適当にもう1回やったら、何もしなくとも半分は良くなりますみたいなという可能性だって指標によったらあります。だから、そこはどこに重きを置くかという話に恐らくなってくると思うのです。プロパガンダをどこまで許容していくのかみたいなところを、本当は議論しなくてはいけないのだと思います。

○辻委員長 かなり深い議論ですね。我々の宮城県の事例を1つだけ御紹介します。宮城県はメタボリックシンドロームの該当率が、4年連続で全国ワースト2位だったのです。それを知った知事がメタボ対策を重視されまして、「スマート宮城県民会議」を新しく作られて、県民全体の目に見える運動を展開しています。知事が議長になって、私が顧問なのですが、それで県全体でいろいろな運動をしておりますが。何と去年、ワースト4位まで上がりました。今の話は、統計学的には有意差のないことではありますが、一方で国民健康づくり運動としては非常に意味のあることかと思います。そういうことも魅せ方の1つとして、健康づくり運動としては大事なのかと思っています。そういった形での「魅せ方」を、網羅的ではなく、メッセージ性があるような出し方を、これから中間評価を最終段階で作っていく上での議論にしたいと思います。

○岡村委員 戦略的に体制を取っておかないと、それぞれ思ったことをあちこちで言って歩いたら、大混乱になるような気がするので、そこは気になったところなのです。宮城県はもともと受診率が高いので、拾い出しができているだけではないですか、そのメタボの話は、余談ですけど。

○辻委員長 全数調査の学校保健統計でも、宮城県は肥満児が多いのです。全国でトップクラスです。脱線しました。大分時間が限られてきました。あとお一人、お二人ぐらい、御意見があればいただけますか。

○村山委員 分野間の関連性の評価、関連性で評価をするということも是非、今回取り組めるとありがたいと思います。特に、栄養・食生活については、循環器疾患との関連においては、数量的に目標設定のときに捉えられていますので、中間評価でどのくらい寄与できているのかできていないのかを出していただけると、ありがたいと思います。よろしくお願いします。

○谷川委員 宮城県のことをおっしゃいましたが、平成23年の東日本大震災の影響を各県、特に福島県とか、やはりその辺を考慮した分析というのは必要ではないかと思うのです。

○曽根委員 ソーシャル・キャピタルのことで、少し申し上げましたが、今現在、そのような社会環境整備に関わる主体がかなり多様化しておりますので、今回の中間評価ということだけではなく、次の第三次に向けて、その辺りで、もう少し詳しい分析が必要なのではないかと思います。今回、18の実施主体の代表の方に話を伺ったのですが、パワーが圧倒的にすごいです。これだったら大丈夫、高齢化社会を乗り切れるかなと思わせる程のパワーを持った方がたくさんいらっしゃることが大変よく分かりましたので、その辺りの分析等も必要かと思いました。

○辻委員長 ありがとうございました。今、委員の先生方から大変貴重な御意見をたくさんいただきましたので、これを基に、また事務局とも相談しながら、中間評価の出し方、単に評価するわけではなく、後半戦に向けてきちんと提言できるような、あるいは国民全体につながるようなメッセージを出していきたいと思っておりますので、またどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 では最後に、今後のスケジュールなどについて事務局から御説明をお願いいたします。

○知念課長補佐 先生方、非常に活発な御議論をいただきまして大変ありがとうございました。今後のスケジュールですが、最後に御議論いただきました中間評価をどのような形で最終的にもっていくのかといったようなところについては、正に次回の会議の中でも扱かっていくことになろうかと考えております。1つは、今回と前回の御議論の中で、先生方相互の御意見の交換もあったかと思いますので、そうしたことを踏まえて、様式1であったり、様式2であったりの修正が恐らく必要な部分があろうかとも思っております。それに加え、その方向性を事務局と委員長、先生方と相談させていただきながら、ある程度、岡村先生おっしゃったように、評価の視点でやるべきところと、また、国民運動の推進という点でやるべきところ、その2つは恐らく公表する段階で分けていないと、また混乱を招くところがあろうかとも思います。そうした魅せ方についての工夫、そういったところについて早目に、先生方にまた必要な作業等をお願いすることになると思いますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。

 日程的なことについては、現在仮日程として幾つかの日程をお知らせさせていただいております。本年9月から10月にかけて、1回または2回ほど、当専門委員会を開催させていただきたいと思います。正式な日定等決まりましたら、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○辻委員長 それでは本日は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。




(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(健康日本21(第二次)推進専門委員会)> 健康日本21(第二次)推進専門委員会(議事録)(2017年5月30日)

ページの先頭へ戻る