ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第143回社会保障審議会介護給付費分科会議事録(2017年7月19日)




2017年7月19日 第143回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年7月19日(水)15:00~17:54


○場所

ベルサール半蔵門 ホールA(2階)


○出席者

安部、井口、石田、伊藤、稲葉、井上、及川、大西、小原、亀井、河村、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、鈴木、瀬戸、武久、田中、田部井、東、福田(福田貢参考人)、堀田、本多、松田(敬称略)

○議題

(1)平成30年度介護報酬改定に向けて(居宅介護支援、介護老人福祉施設、特定施設入居者生活介護)
(2)その他

○議事

○鈴木老人保健課長 定刻となりましたので、第143回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、福田富一委員にかわり、福田貢参考人に御出席いただいております。松田委員は、ただいまおくれているという状況でございます。

 以上により、本日は24名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを報告いたします。

 続きまして、事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。

 老健局長の濱谷浩樹です。

○濱谷老健局長 よろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 大臣官房審議官(老健担当)の谷内繁です。

○谷内審議官 よろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人です。

○伊原審議官 伊原です。よろしくお願いします。

○鈴木老人保健課長 総務課長の北波孝です。

○北波総務課長 北波です。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 介護保険計画課長の橋本敬史です。

○橋本介護保険計画課長 橋本です。よろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 高齢者支援課長の武井佐代里です。

○武井高齢者支援課長 武井と申します。よろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 振興課長の込山愛郎です。

○込山振興課長 込山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 認知症施策推進室長の田中規倫です。

○田中認知症施策推進室長 田中です。よろしくお願いいたします。

○鈴木老人保健課長 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収方、御協力をよろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○鈴木老人保健局長 では、以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。

○田中分科会長 皆さん、こんにちは。

 本日は、「平成30年度介護報酬改定に向けて」、前回積み残しになりました「居宅介護支援」に始まり、「介護老人福祉施設」「特定施設入居者生活介護」を議題として議論をお願いします。

 事務局より資料の確認をお願いします。

○鈴木老人保健課長 お手元の資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と委員名簿がございます。

 その後ろに、資料1「居宅介護支援」、資料2「介護老人福祉施設」、資料3「特定施設入居者生活介護」、それぞれ参考資料1「居宅介護支援(参考資料)」、参考資料2「介護老人福祉施設(参考資料)」、参考資料3「特定施設入居者生活介護(参考資料)」の6冊がございます。

 資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 初めに、議題1のうち「居宅介護支援」について議論を行います。資料の説明をお願いいたします。

○込山振興課長 振興課長でございます。

 早速でございますが、資料1と参考資料1に基づきまして、居宅介護支援に関する御説明を申し上げます。ただいま分科会長からお話ございましたように、前回の7月5日の積み残しの案件でございまして、7月5日にお配りした資料と内容は同一でございます。

 では、早速恐縮ですが、資料1をおめくりいただきたいと思います。居宅介護支援に関する現状と課題という形でまとめさせていただいております。

 最初に、居宅介護支援・介護予防支援の現状等ということで書かせていただいております。参考資料につきましては、1ページから12ページにかけて関係する資料を添付させていただいております。

 まず、最初の1ページ目の○でございますけれども、居宅介護支援につきましては、事業所数・利用者数ともに増加いたしておりまして、平成28年4月の審査分を見ますと、事業所の数が3万9,471、利用者の方が252万人となっている状況でございます。

 また、参考資料の3ページから9ページにつけてございますが、介護報酬の内容を添付してございます。その中で、平成27年度の介護報酬改定、資料では10ページでございますが、認知症加算及び独居高齢者加算を基本報酬に包括化した。また、特定事業所集中減算の適用割合の引下げ、またその対象となるサービスの範囲の限定を外すといった改定を行ってございます。あわせて、特定事業所加算の人員配置要件の強化、人材育成に関する協力体制を整備している場合を算定要件に追加させていただいたところでございます。

 あわせて、介護予防支援でございますが、こちらも請求事業所数・利用者数ともに増加しておりまして、同様に28年4月の審査分では、事業所数が4,704事業所、利用者数が約107万人となっている状況でございます。

 一番下の○でございますけれども、こういった業務に従事してくださるケアマネジャーさんの数も増加傾向にございます。平成2710月時点では約10万人でございまして、また、1事業所当たりのケアマネジャーの方の人数も増加して、現在、平均で約3.2人という状況になっております。

 先ほど申し上げたように、関連する資料につきましては参考資料の1ページから12ページにつけさせていただいております。

 2ページ目でございますが、居宅介護支援等の現状の続きでございます。参考資料の13ページに、昨年の介護保険部会から頂戴いたしました「介護保険制度の見直しに関する意見」のうち、居宅介護支援に関するものを添付しております。

 大きなテーマといたしまして、まず1つとして、居宅介護支援事業所における管理者の役割の明確化。2点目といたしまして、特定事業所集中減算の見直しも含めた公正中立なケアマネジメントの確保、そして3点目といたしまして、入退院時における医療・介護連携の強化、こういった観点から運営基準の見直し等を平成30年改定にあわせて検討することが適当であるといった御意見を頂戴しているところでございます。

 今、申し上げたテーマの1番目でございますけれども、居宅介護支援事業所の管理者の役割の明確化ということが続いて記載してございます。2ページの中ほどでございます。

 最初の○でございますけれども、居宅介護支援事業所の管理者は、常勤のケアマネジャーとされております。一方で、ケアマネジャーさんに対する人材育成の取組ということが非常に重要になっているところでございますけれども、事業所の管理者の方の中には、人材育成やケアマネジャーの業務の実施状況の把握に課題を抱えているといったアンケート結果等の実態が見られるところでございます。この内容につきましては、参考資料の16ページにつけさせていただいております。

 また、こういった管理者の方の役割と主任ケアマネジャーさんとの位置づけといった問題がございます。次の○でございますけれども、居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーである割合が現在44.9%、半分弱という状況になっております。そして、その中でアンケート等を見るに、管理者が主任ケアマネジャーでない場合、ある場合での比較をさせていただきますと、他のケアマネジャーさんに対する関与といったところで若干違いがございまして、例えば同行訪問による支援の実施とか、他のケアマネジャーさんに対するケアマネジメントに関する相談の時間を設けている割合について違いが見られるところでございます。こちらも恐縮ですが、参考資料18ページにつけさせていただいております。

 一番下の※でございますが、主任ケアマネジャーさんの役割といたしまして、今、申し上げたように、他のケアマネジャーさんに対する助言・指導の役割を担っているということでございまして、そういった趣旨での研修の見直しも平成28年度には行ったところでございます。

 資料1の3ページに移らせていただきます。大きなテーマの2点目でございますが、公正中立なケアマネジメントの確保というテーマでございます。

 御案内のとおりで恐縮ですが、ケアマネジャーは、その担当する要介護者等の人格を尊重し、常に当該要介護者等の立場に立って、提供されるもろもろのサービス、事業が特定の種類又は特定の事業者若しくは施設に不当に偏ることのないよう、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないという旨が介護保険法の法律上、規定されているところでございます。

 そういった公正中立性を確保するための具体的な取組といたしまして、大きなものといたしまして、まず1つが、報酬算定上の特定事業所集中減算、2点目の運営基準での担保、また、3点目ですが、保険者によるケアプランの点検といったものがあるところでございます。

 特定事業所集中減算の仕組みに関しましては、御案内のとおりで恐縮ですが、参考資料21ページから22ページにかけて、その概要を書かせていただいております。前回の報酬改定の折に、参考資料の22ページにございますが、その集中割合の見直しであったり、また対象となるサービスの拡大ということが行われたことは御案内のとおりでございます。

 資料1にお戻りいただきまして、3ページの下から2番目の○でございます。今、申し上げた特定事業所集中減算につきましては、平成28年3月に会計検査院から指摘をいただいております。内容といたしまして、この減算につきましては、必ずしも合理的で有効な施策であると考えられないなどといった指摘を頂戴しているところ。さらに、参議院決算委員会からも決議といたしまして、「ケアマネジメントの公正・中立の確保に向け、現行施策の抜本的見直しも含め、その在り方を十分に検討すべき」との決議を頂戴しているところでございます。また、先ほど御紹介しましたが、介護保険部会におきましても、その実効性が乏しく、見直しをすべきとの御意見も頂戴していたところでございます。

 なお、一番下の○でございますが、特定のサービス事業所への集中割合が80%以上となっている事業所の割合は、それぞれのサービスごとに見ますと、訪問入浴介護では44.8%、短期入所療養介護は41.2%、訪問リハが39.2%といった状況が見てとれるところでございます。こちらは、正当な理由かどうかということ以前の数字としての把握でございますので、正当な理由等ということで、この減算の対象にならないものを除きますと、現在、下から3つ目の○ですが、28年5月審査分で約7.6%の事業所がこの減算の適用を受けているという状況でございます。

 続きまして、4ページでございますが、公正中立性の担保といたしまして、御案内のとおり、居宅介護支援の運営基準で、ここに掲げてあるような旨が規定されているところでございます。参考資料には29ページにつけさせていただいております。

 さらに、3点目でございます。そういった公正中立の担保の取組の一環といたしまして、保険者によるケアプランの点検がございます。

 最初の○でございますが、保険者によるケアプラン点検は、実際のケアプランを保険者等の第三者が点検・支援することであるということであります。これを地域支援事業、任意事業でございますが、この介護給付等費用適正化事業に位置づけられているところでございます。実際にこの点検に取り組んでいただいている保険者さんの数は、全体で約6割という状況でございます。

 次の○でございますけれども、そういった関連する最近の指摘などでございますが、特に近年増加傾向にある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の高齢者向け住まいにおきまして、特に適切なケアマネジメントを求めるといった御意見。また、訪問介護の生活援助の適正利用の観点から、生活援助の提供がどのように重度化の防止や自立支援につながるのかといったことをケアプランに明記するべきではないかといった御指摘が、例えば財政審議会等からいただいているところであり、また大阪府の事例がテーマになりましたので、大阪府さんの調査もあったところでございます。こちらにつきましては、参考資料の3235ページにつけさせていただいております。

 一番下でございますけれども、集合住宅等の関連でございます。居宅介護支援事業所には集合住宅の訪問に係る減算の仕組みは現在ありませんが、係る所用時間等について調べたデータがございます。こちらは、参考資料の37ページでございますが、居宅介護支援事業所さんが利用者宅を訪問されるに当たっての移動時間でございます。こちらに掲げてあるデータのとおり、比較で見ますと、例えばサービス付き高齢者向け住宅などに向かう移動時間が比較的短いといった状況も見てとれるところでございます。

 恐れ入ります、5ページでございます。3点目の大きなテーマでございます入退院時における医療・介護連携の強化でございます。こちらも先生方、御案内のとおり、大きな課題ではございますけれども、今後、医療・介護連携の強化を進めていくに当たって、ケアマネジャーさんにどういった働き等をしていただくか、大きなテーマになってございます。

 一番上の○にございますけれども、今後、医療との連携が重要である。例えば、医療機関へ入院した人が退院後に円滑に在宅生活に移行するために、入退院時にケアマネジャーと医療機関が連携を図ることが重要といったテーマでございます。

 具体的なお話で、先に下の○の2番目の段落をお目通しいただきたいのですが、診療報酬では、入院早期より退院困難な要因を有する患者さんを抽出し、それに向けた取組を直ちに進めるといった取組で「退院支援加算」といったものが設けられてございますが、例えば退院支援加算1では、入院3日以内には患者さんの状況を把握し、困難な要因を有している患者さんを抽出する等々が算定要件となっているところでございます。

 一方で、1段上にお戻りいただいて、介護報酬では、例えば患者さんが入院した場合に、ケアマネジャーが有する情報を医療機関に提供するといったことを評価しておりますが、これにつきましては「入院時情報連携加算」がございます。利用者さんが入院してから遅くとも7日以内に情報提供した場合に算定が可能となっているところでございます。

 続きまして、6ページでございます。今、申し上げたケアマネジャーさんによる医療機関への情報の提供ということですが、多く提供されている情報といたしましては、認知症の有無、問題行動の有無、また疾患・病歴・病状、さらには家族構成・生活歴・職歴といった内容が多くを占めているところでございます。

 一方で、そういった情報提供において問題と感じる点につきまして、御意見といたしましては、医療機関から情報提供を求められる機会がないこと、コミュニケーションがうまくとりづらいということ、また機会・タイミングの確保が難しいといったことを感じているケアマネジャーさんが多いというデータもございます。こちらは参考資料の48ページに掲げてございます。

 一方で、退院時の連携でございますが、退院時に当たって、これまた医療機関との連携を強化するという趣旨で、介護報酬におきましては「退院・退所加算」がございます。入院期間中3回まで算定することができますが、その要件といたしまして、3回のうち1回は入院中の担当医等とのカンファレンスに参加するといったことが条件となってございます。

 また、そのカンファレンスの内容等につきましては、次の○で簡単にまとめさせていただいているところでございます。

 関連しまして、7ページをごらんいただきたいのでございますが、こちらは若干具体的なテーマでございますが、末期の悪性腫瘍の患者さんに対するサービス提供に関するテーマでございます。御案内のとおり、末期がんの患者さんの場合には、一定期間までは身体機能が安定に推移するのですが、恐縮ですけれども、お亡くなりになる直前あたりから様態が急変するといった状態がございます。そういった中で、迅速に必要なサービスを提供するという趣旨で、このケアプランの変更であったり、策定に当たって、どういった目配せが必要になるかといったこともテーマとなろうかと思います。

 そういったことを踏まえた上で、8ページに論点ということでまとめさせていただいております。4点ございます。

 1つは、冒頭から申し上げましたが、管理者のテーマでございます。居宅介護支援事業所における人材育成の取組を促進する観点から、管理者のあり方について、どのように考えるか。

 2点目でございますけれども、公正中立なケアマネジメントを確保する観点から、集中減算のあり方、またケアプランの内容に対しまして、家族の方に対する説明・同意プロセス等について、どう考えるか。

 3点目でございますが、退院後に円滑に必要なサービスを受けられるようにするための医療機関とのさらなる連携に向けた取組について、どう考えるか。

 また、末期のがん患者さんに係るケアマネジメントについて、どう考えるかという形で論点を提示させていただいております。

 若干雑駁でございますが、以上でございます。

○田中分科会長 説明ありがとうございました。

 ただいまの事項について御意見、御質問があればお願いいたします。

 専門員協会からいきましょうか。小原委員、どうぞ。

○小原委員 ケアマネ協会の小原です。よろしくお願いします。

 論点の話の前に、まずは大前提として申し上げたいんですが、介護保険法第1条第1項に、利用者の尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うとあります。我々介護支援専門員は、この法の目的・義務を果たすために利用者の日常生活全般を支援する観点から、ケアマネジメントプロセスにおいてさまざまなサービスを活用して自立支援をしてきましたし、これからも行っていきます。この1丁目1番地を大前提として、論点について意見を述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、論点の1つ目、居宅介護支援事業所の管理者についてです。平成28年度から主任介護支援専門員の研修カリキュラムが見直されましたが、その検討過程において、主任介護支援専門員、イコール管理者とはなっていないことから、管理者研修については別建てにするべきという意見もございます。研修内容から外れていると聞いています。居宅介護支援事業所全体で、主任介護支援専門員が占める割合が4割強である現状も踏まえまして、当面は約3年以上の経験者が対象となる法定研修専門課程IIをもって受講要件として、管理者研修を受講するのが妥当であると思います。

 グループホームとか小規模多機能では、一定の経験と厚生労働大臣の定める研修の受講が要件となっていますので、これと同様に、管理者となるべき研修の受講とその受講要件とで整理すべきと考えます。また、規模の小さい事業所についての指摘も、特定事業所加算を算定する事業所等のサテライト化やネットワーク化、共同事業化などによって、ある程度の事業所規模となることで収れんしていくのではないかと考えております。

 論点の2つ目についてですが、公正中立な事業所運営とケアマネジメントを継続的に実施していく上では、事業所の環境や基盤が重要になってきます。少なくとも一定以上の事業規模であり、特定事業所加算が算定でき、経営基盤が安定することが必須だと考えます。本来は、意図的であるかないかにかかわらず、経営的なプレッシャーのかかりにくい環境、専門性が担保できる環境として独立型事業所が望ましいと思います。

 特定事業所集中減算については、居宅介護支援事業所の置かれている状況を踏まえて、居宅介護支援事業所側への減算は効果的であるとは言えません。リハビリテーションマネジメントなど、医師の関与があって、利用者や介護支援専門員を含むカンファレンス等が実施され、当該サービスの利用が計画的に実施されているなど、多職種共同が担保されている場合は特定事業所集中減算の対象から除外するなどの見直しを行うべきと考えます。また、訪問看護とか居宅療養管理指導等においても準用すべきではないかなと考えております。

 なお、診療報酬側の機能強化型訪問看護管理療養費の算定要件では、同一敷地内に設置された居宅介護支援事業所によるケアプラン作成が一定程度以上であることを求められていますが、これは介護保険側の集中減算の考え方と相反していますので、整合性を図っていただきたいと思います。

 次に、サ高住とか有料老人ホームについてのケアマネジメントについてですが、住宅と居宅サービス事業所等が一体的に運用される構造的な問題に触れずに、単にケアマネジメントの問題として議論を進めるには無理があるのかなと思います。特定の事業所にサービスが集まる要因や背景として、利用者が特定のサービスを利用することを前提に居宅介護支援事業所を選択している場合や、集合住宅等入居等に際して特定のサービス等を使うことが暗黙の前提となっている場合、またサービス選定時にほかのサービス種別や事業所が紹介されずに誘導されている場合などが考えられます。

 いわゆる囲い込みの場合は、1つの、あるいは極めて限定的な居宅介護支援事業所や介護支援専門員によるサービス種別、事業所の選定となり、1人当たりの利用回数が多いケースが相当数を占め、それが継続的であるのではないでしょうか。一部の不適切な事例をもってケアマネジャー全体の信頼が揺らいでいることを残念に思いますが、不適切ということは、居宅介護支援事業所としての適切な指導ができていない状態であり、先ほど申し上げた管理者の役割とかが重要になると思います。

 また、参考資料の3334項にある大阪府による利用状況の実態調査の結果を全国にならして考えるのも、いかがなものかと思います。少なくとも、同様の調査をほかの複数の地域で実施した上で実態把握とすべきではないでしょうか。

 一方で、集合住宅の利用者、特にサ高住などの利用者は、生活上の課題や不安などから相応の介護サービスを活用できることを期待して入居されてくると思いますので、そうした特性も理解して進める必要があります。例えば、入居時の契約や重要事項の説明において、利用できる介護サービスの種類や事業所、その他の社会資源の概要を説明することなどは、保険者に届け出るという方法も有効ではないでしょうか。集合住宅のケアマネジメントに関する減算は、介護支援専門員のタイムスタディー等での移動の時間が業務に占める割合から見ても、アセスメントや計画立案等の状況が変わるわけではございませんので、有効な手だてとは言えません。

 利用者にとって、よいサービス事業所は、基本的に多くの居宅介護支援事業所や介護支援専門員から支持されていますので、依頼先が多彩であると言えます。また、取扱人数も多く、1人当たりの利用回数も特別な状況になりにくいと思います。

 次に、論点の3つ目についてですが、まずは参考資料44項の入院時情報連携加算についてです。入院時の介護支援専門員からの情報提供は、約6割が2日以内で行っています。実態に合わせた算定要件にという指摘もあるようですが、そもそもスムーズな入退院に向けた情報提供と連携促進のための加算でもありますので、現行要件のままでよいと考えます。これは一つの事例としての提案ですが、介護保険証には居宅介護支援事業所名が記載されていますので、緊急入院の場合などは病院の医療連携室等から連絡をいただけるスキームができるとありがたいです。

 また、平成30年度は診療報酬と介護報酬のインセンティブを相対的な形とする機会でもあります。診療報酬側のことではございますが、例えば回復期リハビリテーション病棟において、介護支援連携指導料の算定を可能にすることなども考えられるのではないでしょうか。

 続いて、平時における連携です。

○田中分科会長 小原委員、ちょっと長いので。これはみんなの場所です。紙を提出することも許されています。原稿を全部読むと時間をとりすぎるので、もう少し短くしてください。

○小原委員 済みません、ちょっと急いでやります。

 平時についての連携ですが、かかりつけ医との連携は非常に重要でありますので、居宅サービス計画の第1表にかかりつけ医の連絡先を記載することになっていますので、かかりつけ医の情報活用をする以上、作成した計画については、かかりつけ医に提出することで平時からの連携が深まると考えます。

 あとは、いわゆる同行診療についてですが、これは訪問介護の通院介助とは異なって、本人・家族の適切な自己決定を促すとともに、本人が言いあらわせない心情を代弁する意味でも意義が大きいと思います。特に、医師の求めがあって、このような支援を行う際には、適切な評価をしていただけるようにお願いいたします。

 そして、ターミナル期における医療・介護連携について、終末期において医療の必要性は当然のことですが、状況が変化する中で見ると、利用者家族にはさまざまな思いが錯綜し、揺れ動きます。また、亡くなってからの手続とか、実際にサポートしていることは多岐にわたります。利用者や家族も適切な判断・選択が行えるように、介護支援専門員を含む、チームによる総合的な支援が必要になります。

 論点の4つ目ですけれども、済みません、これだけお願いします。失礼します。末期がん患者については、退院当初は要介護度認定が低く出ることもあるので、必要なサービスが導入しにくい場合が見られます。円滑な支援ができるよう、医師がターミナル期と判断した段階から、要介護認定の簡素化や短い期間でケアプランを変えていく場合の柔軟な対応、ICTの活用などによるサービス担当者会議の柔軟な運用が可能となるよう、基準の緩和をお願いいたします。

 本当に長くなっていて申しわけないのですけれども、最後の最後です。今回の論点ではないんですが、2点お願いがあります。

 1つは、インフォーマルサポートによるケアマネジメントの評価の検討です。現行では、ケアマネジメントを行った結果として、保険外サービスとかインフォーマルサービスのみを利用されるケース、途中で死亡、再入院になったケースなど、介護保険サービスを使わなければ報酬が全く算定できない仕組みとなっています。地域包括ケアの互助の段階で、あるいは保険給付以外の社会資源の活用で、その方らしい生活が営めるのであれば有意義であることは間違いないと思います。

 2つ目です。権限移譲に関してですが、参考資料14項に、平成30年度から居宅介護支援事業所への指定権限を市町村に移譲するとありますが、これにあわせて介護支援専門員に関する指導権限も政令市に限って移譲されることになっています。介護支援専門員の資格は都道府県が認定していますので、介護支援専門員個人に対する指導権限を有して、その責務を果たしていただくべきと考えています。

 このたびの九州の大雨被害の支援活動を行う中で、自治体の受援体制に大きなばらつきや課題があることがわかり、平時の地域包括ケアシステムの構築や実践状況についても相応の違いがあるものと感じております。政令市ではこのような状況はないと思いますが、権限移譲に当たっては地域包括ケアシステムの取組状況などを都道府県が評価した上で支援計画を明確にするなど、そもそも保険者機能が果たされているのか、何らかの形で担保をとっていただければと思います。ケアマネジメント理解以前の問題ですので、よろしくお願いいたします。

 本当に長くなって申しわけございませんでしたが、以上でございます。ありがとうございます。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 小原委員の発言を聞きますと、ケアマネ協会の役員がかわって、随分論調も変わってきたような気がしますが、少なくとも独立型ケアマネ事業所にすれば問題が解決するということには全くならないと思います。その上で、8ページの論点に沿ってお話しをさせていただきます。

 まず、1つ目の○でございます。居宅支援事業所の管理者を主任ケアマネジャーにすることは、私はいいと思います。ただし、十分な猶予期間が必要であると思います。また、現行では、ケアマネジャーは資格を取ったらすぐに開業ができ、一定の要件を満たせば誰でも主任ケアマネジャーになれるなど、質の担保ができていません。特に、主任ケアマネジャーは、資質のない人や技能がない人を排除する仕組みが必要だと思います。

 2つ目の○でございます。特定事業所集中減算は大幅な見直しが必要であり、少なくとも医療系のサービスと事業所が少ないサービス、これは3ページに訪問入浴介護、短期入所療養介護、訪問リハとありますけれども、こうしたところを除外する必要があります。

 その上で、現行では特定の介護サービス事業所にケアプランを集中させていることのみを想定してチェックする仕組みとなっておりますが、これは不合理かつ不十分であるため、さらにみずからの法人の介護サービスのみでプランを立てる場合、及びサービスの必要性を超えて区分支給限度額まで給付管理をしている場合の3項目のうち、複数項目が基準以上の場合、保険者によるケアプラン点検を実施するのがよいと考えられます。さらに、居宅介護支援事業所にも集合住宅における減算を適用する必要があります。

 3つ目の○であります。ケアマネジャーに少なくとも入院後3日以内の情報提供を義務づけることともに、退院時にはケアプランを医療機関にも配付する必要があります。

 4つ目の○です。病状の変化に迅速に対応できるように、利用者の同意が得られれば、サービス担当者会議を開かなくても、医師の指示ですぐにサービスが入れられるようにする必要があります。

 以上です。

○田中分科会長 本多委員、お願いします。

○本多委員 論点の2つ目ですが、参考資料32ページの財政審の資料等にある実態調査について、先ほど大阪だけでなく、他の地域でも実施すべきというご意見もありましたが、必要以上のサービス提供の実態が一部でもあるのであれば是正していくべきだと思います。利用者が、意に反した不要なサービスを受けることのないようにしなければいけないと思います。

 特定事業所集中減算については、鈴木委員とも共通しますが、地域に利用できる事業所が少数であるサービスや、一般的に主治医等の指示がある場合に利用可能な医療系サービスにおいて、割合が高くなっているといった状況を踏まえ、サービスごとに減算割合を設定するなど、より実効性が高まるような見直しを行うべきだと思います。

 また、参考資料の31ページに、保険者によるケアプラン点検の実施について、実施している保険者が平成25年度で60.8%とありますが、ケアプランの質の向上や適正化の観点からも、保険者間で好事例を共有するなど、実施率が向上するように検討していただきたいと思います。

 さらに、居宅介護支援事業所における集合住宅の訪問に係る減算の仕組みは現状設けられていませんが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の集合住宅と併設している居宅介護支援事業所では平均移動時間が短い傾向にあることを踏まえると、他のサービスと整合ある形で減算の仕組みを設ける必要があると思います。

 あわせて、高齢者の集合住宅への介護サービスの全般の適正化は必須ですが、全体として整合性のある評価体系となるように、しかるべきタイミングで、「集合住宅への介護サービス」として、改めて整理・検討できるようにしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 安部委員、お願いします。

○安部委員 先ほどの小原委員の御発言に関連して発言させていただきます。

 先ほどの発言の中で、平時の連携が非常に重要であるということについては、私も同意しております。以前にも発言させていただいたことがありますけれども、入院・退院というイベントが起きる前の平時の段階から、ケアマネジャーの方と医療が連携しているということが非常に重要でございます。そういった意味では、現在、薬剤師もかかりつけ機能を充実させておりますし、それから薬の手帳をほとんどの方が持っています。これまでは患者さんが入院する、もしくは退院するといったときに、初めてケアマネジャーさんと薬局もしくは薬剤師の関係をどうするのだということで議論になっていたわけであります。

 平時という意味では、入退院時にかかわらず、その方が要支援・要介護の認定を受けた際にそのケアマネジャーさんの名前、要介護度、それから介護支援事業所の情報といったものを薬の手帳に記載していただければ、我々は患者さんの生活に対して薬学的な問題が見られたときには、ケアマネジャーの方に連絡することができます。

 仮にケアマネジャーの方が利用者宅でお薬がぐちゃぐちゃになっていて管理できていない。どこに相談しようというときに、その薬の手帳に記載された薬局・薬剤師、もしくはかかりつけ薬剤師の名前を見れば連絡をすることもできる。患者さんの同意や確認が必要でございますけれども、平時の連携というものは大きな手間も費用もかけずにできると私は考えておりますし、以前からケアマネ協会の役員の方ともそんな話を続けておりますので、介護報酬とは直接関係ないことかもしれませんが、工夫を重ねて連携を進めていくことが必要かと感じております。意見として申し上げておきます。

○田中分科会長 井上委員、どうぞ。

○井上委員 必要なサービスを持続可能な形で提供するという観点から発言させていただきます。6月9日に閣議決定されました骨太の方針でも、介護給付費の伸びの抑制や、国民のニーズに適合した効果的なサービスの効率的な提供ということが盛り込まれたところでございます。介護保険制度で公正性や効率性を保つためには、要介護認定の段階とケアプランの作成の段階の2つが非常に重要なステップであると思っております。

 地域によって事情が異なりますが、国全体でのケアプランの内容・レベルの公平性というのも保障されなければならないと思いますので、昨年の介護保険部会の意見書にもありましたけれども、ケアマネジメント手法の標準化ということも進める必要があると思います。

 もとより居宅介護支援事業は、参考資料29ページにもありますとおり、効率性への配慮も求められているわけでございまして、制度の中に点検とかチェックをするという制度が必要なのではないかなと思っております。先ほどもございましたけれども、ケアプランの点検につきましては、実施状況はまだ6割程度ということで、これはケアプランの質の向上を図るためにも、さらに取組を強化する必要があると思います。

 特定事業所集中減算につきましては、地域の特殊事情等への一定の配慮は必要であり、現行の減算制度の見直しも必要かと思います。けれども、特定事業所集中減算の考え方そのものは公正中立という観点から重要なものであり、仕組み自体は必要であると思います。その意味でも、ケアプランの作成にあたっては、先ほど申し上げたような点検、チェックやピアレビューといった取組が必要になってくるのではないかと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 大西委員、齋藤委員の順番でお願いします。

○大西委員 ありがとうございます。

 居宅介護支援につきまして、まず総論的な観点から1点お話しをさせていただきたいと思いますけれども、この居宅介護支援事業所の指定権限ですけれども、来年4月、平成30年4月から都道府県から市町村に全面的に移譲されるということでございます。この指定権限の移譲に伴いまして、事業所開設に伴う事前相談とか新規指定、または指定の更新等の事務をやっていかなきゃならないということでございますが、当然、事務負担が増大し、財政的な負担が生じる。

 特に、今までは中核市までは指定権限を移譲されているのですけれども、それ以外の市あるいは町村というのは初めて指定権限を持つようになりますので、その辺の対応が、特に小規模市町村では困難な団体も出てくるのではないかというのが危惧されております。

 市長会のほうでも、これにつきまして国のほうにしっかりとした支援・措置を講じるよう要望を出しているところでございますけれども、この権限移譲に当たりまして、円滑な保険者機能の強化を図る観点から、指定や実地指導への技術的支援など、財政措置を含めまして、国のほうで十分な支援・措置をお願いしたいということが1点でございます。

 それから、個別の論点で、特に2つ目の○にございます特定事業所集中減算について、1つ意見を出させていただきたいと思っております。集中減算につきましては、正当な理由がある場合は適用しないということにされております。今日の参考資料1の23ページですか、正当な理由の範囲ということが書かれておりますが、それぞれある程度具体的な基準がずっと並んでいるんですが、最後の6において、その他正当な理由と都道府県知事、あるいは指定都市、中核市の市長が認めた場合ということになりまして、それだったら集中減算しないでもいいよということになっているわけです。

前回の制度改正によりまして、今まで集中割合が90%以上だったのが80%以上で全居宅サービスがこの集中減算の対象となったんですが、本市、高松市における現状を見てみますと、全体で指定事業所数が150から160あるんですけれども、そのうち90%以上のときに割合超過というのは10事業所前後だったんですが、それが80%に引き下げられますと、80から100事業所ぐらいになってきます。ただ、最終的に減算が適用となった数というのは、5事業所程度だったものが、増えても7事業所ぐらいということになっていまして、それだけ手間が大きく増えた割には、結局減算している事業所というのは、あまり変わっていないという状況になります。

 したがいまして、会計検査院等の指摘もございますけれども、何らかの集中排除的なものは必要だと思いますので、有効な仕組みを抜本的に検討していただかなければならないのではないかと思いますし、ある程度集中減算の制度を残すとしても、先ほど言いましたように、全市町村がこれから指定権限の対象となるわけでございますので、市町村がきちんと適正な運用がなされるように、より具体的・客観的な正当な理由の基準というものを きちんと示していただきたい。できれば、私の個人的な意見ですけれども、正当な理由がある場合には除外するというのを原則として、例外的に減算を行うといった形の基準がつくれないのかなと思っております。

 以上でございます。

○田中分科会長 齋藤委員。

○齋藤(訓)委員 論点に沿って発言させていただきます。

 1点目の管理者のあり方につきましては、主任ケアマネの研修内容を見ますと、人材育成等については3時間ぐらいの内容しか入っていないので、そういった内容でこの管理者に期待されている役割が果たせるのかどうかというのは、検証が必要だと思いました。実際に受講している研修の中身と主任ケアマネに期待される内容が合致しているのかどうかといった観点で、少し検証されるべきではないかと思います。

 2点目の特定事業所集中減算のあり方につきましては、介護保険部会のほうでも、当初の趣旨を達成するものにはなっていないという意見もありましたし、減算がかえって良質なサービスを提供する事業所への依頼を阻んだり、あるいは集中割合の調整等でむしろケアマネジャーの業務負担をもたらしている面もあると思いますので、減算については廃止の方向で検討すべきだと思います。

 ただ一方で、公正中立の確保が必要になりますので、それにつきましては、ケアプランの点検状況が資料でも出ておりまして、6割程度というところです。1点、これは事務局に質問ですが、本当に目的を達成したのかどうか、本日でなくても結構ですが、そのあたりは何かデータがあれば教えていただきたいと思います。こういった点検によって効果があるということが期待できるのであれば、全ての保険者に実施を促していく方策を考えるべきですが、時間と労力を要する作業でもありますから、事業の効果としては検証しておく必要があるのではないかと思います。

 それから、入退院時を含めたさらなる連携の取組ということで、情報提供のことが挙がっておりますけれども、参考資料48ページや47ページの医療に係る情報については、病院にとってはすぐ欲しい情報、すぐ使える情報になっていないと、情報提供していただいても紙がふえるだけということになりかねません。ケアマネジャーからきちんと一元化して伝えられればよいと思いますけれども、中身の問題、情報の早さあるいは正確さといったものは病院にとっては非常に重要になりますので、医療系のサービス、特に訪問看護等を使っている場合は、そこの事業所からダイレクトに情報提供するというルートもあるべきではないかなと思います。内容の確認の電話なども入りますので、そういったルートもあったほうがいいと考えています。

 それから、4点目の末期の患者に係るケアマネジメントにつきましては、資料の最後のほうに、末期がんの事例でどのぐらいケアプランが変更されたのかといった例が挙げられておりますけれども、今後、末期がんに限らず、ケアマネジャーが医療的サービスの導入を迷われるケースというのは非常に増えてくるのではないかと思います。現状のADLや病状がどうであるかということに加えて、今後どういう病状の変化があるのか。状態がどんなふうに悪くなっていくのか。こういった医療的なアセスメントをケアプランの作成変更時に適時入れること、その情報に基づいて全体のプランニングが必要になりますので、必要時に医療職に相談あるいは助言が得られるような仕組みを、同時改定ではしっかり検討すべきではないかと思います。

○田中分科会長 振興課長、質問にお答えになりますか。

○込山振興課長 集中減算の仕組みがどういった効果を上げているか、目的を達成しているか、具体的に検証しているかというお尋ねだったと存じますが、この仕組みによって、不適正や偏りとか集中というものを牽制するような効果というのはもちろんあろうかと思います。ただ、定量的にどうかという形での把握というのは、そこにはまだ至っていないところでございます。

○齋藤(訓)委員 先ほどの質問は、ケアプラン点検の実施状況では6割が実施しており、実施の目的はケアプランの質の向上であったり、ケアマネジャーのスキルアップだということなんですけれども、これらの目的がケアプランの点検によって果たされているのかどうかのデータがあるのかという質問です。

○込山振興課長 失礼しました。そういった形での具体的なデータというのは、今のところ、まだ得られていないところでございます。

○田中分科会長 東委員、佐藤委員、齊藤委員、及川委員、たくさん手が挙がっています。時計回りでお願いします。

○東委員 「前提として~」というお話が冒頭にございましたけれども、現状ではケアマネジャーのケアプランにおいて、いろいろと問題が多いということで、資料1の8ページにあるような論点の構成になっていると思います。ですので、まずそういうことをやっているということを前提とされても、私どもはちょっと議論しにくいと思いますので冒頭で申し上げておきます。

 その上で論点の2つ目。特にここが先ほどから複数の委員からも御意見が出ているところでございます。3ページの○の2つ目に、ケアマネジメントの公正中立を確保するための取組として3つございます。1つ目が特定事業所集中減算、2つ目が運営基準、3つ目が保険者によるケアプラン点検。

 この1つ目の特定事業所集中減算もたくさん御意見が出ましたが、私は今のままでは実効性が担保できていないと思いますので、これを存続するなら実効性があるように存続させる。あるいは全く違う形で、公正中立を確保するために、例えば特定事業所にサービスが集中するような、お世話型の不適切なケアプランを防止できるようなものに、きちんと変えていく必要があると思います。

 3つ目のケアプラン点検。今、齋藤委員もおっしゃっていましたが、私も全く同感です。参考資料1の31ページにケアプラン点検の実施状況(平成25年度)があります。実施している保険者が60%、マニュアルを活用している保険者が66%。それから実施の目的の調査結果しか示されていません。これは、実施しているところが6割もあるわけですから、例えば、集合住宅において、こういう事例にどのような効果があったのかとか、そういうデータがないと議論になりません。この3つのうちの2つ、特定事業所も余り効果的じゃない、ケアプラン点検も余り効果的じゃないということになると、では、公正中立を守るためにどういうふうにしたらいいんだということになるので、データがないということでは済まないと思います。

 ぜひこのケアプラン点検の実施状況というものをもう少しきちんとしたデータを出していただきたいと思います。また、これは市町村に権限が入ると余計難しいという御意見もございましたので、そこは国の方できちんとしたことをやらないと、いつまでたっても無駄なケアプランというものが横行するのを防げないと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員 論点の入退院時の連携についてですが、これはもちろん退院時カンファレンスは関係者の相互理解とか関係者間の情報提供の意味から非常に重要な役割を果たしていると思っています。一方で、参考資料の50ページを見ますと、日程調整を含めて多くの問題点がありまして、多くの関係者が必要なときに集まれるというだけの方策で十分なのかということが考えられます。特に、ICTの活用につきましては、今後可能性が大きいのではないかと思いますので、今後の検討を望みます。

 以上です。

○田中分科会長 齊藤委員。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 まず、論点1の管理者のあり方でありますが、きょうの資料の18ページの実態調査を見ますと、管理者が主任ケアマネであることによって、期待される結果が出ているなと思っております。これから医療との連携が大変重要になるわけですので、ページ20にあるように、主任ケアマネの研修カリキュラムがその点に配慮した見直し。先ほど不十分だというお話がありましたが、その見直しや更新制度が創設されたということは評価されるべきだと思います。今後を考えますと、一定の経過措置は必要だと思いますけれども、管理者、イコール主任ケアマネ、そのような方向が妥当ではないかと考えます。

 論点2の集中減算のことについてでありますが、質の高い事業所の利用など正当な理由が損なわれるような実態があるとすれば、これは是正することは当然だと思いますが、本来減算は、利用者本位ではなくて、事業者本位で不適切な利用に対するペナルティーとして考えられたものと理解しております。いずれにしても、何らかのチェック機能は必要だと思いますが、会計検査院が求める十分な検証を行った上で、今後、妥当性のある、また有効な方策を考えるべきだと思います。

 なお、介護保険制度が創設されてから17年になるわけでありますが、制度のかなめと言われるケアマネジメントの公正中立は非常に大事なポイントであります。一部において経営者の意向をそんたくしなければならないような現状があるとすれば、この公正中立の限界にあるわけでありまして、私はそろそろ独立の事業所を視野に入れた検討も始めていい時期ではないかということを申し上げておきたいと思います。

 論点3でありますが、医療機関との連携のいろいろな資料を拝見させていただきますと、利用者の家族が同行できない、また本人の把握能力に不安がある場合などにおいて、医師の要請で同行を求めた場合の加算ということは、利用者としてもよく理解できます。

 また、がん末のケアマネジメントについても、資料にあるように、亡くなる期間との関係で切羽詰まった状況の中では、柔軟な対応が求められることが多いんだなということを資料としてはよく理解できますので、これに見合う報酬というものも考える必要があるのだろうと思います。

 最後でありますけれども、論点にはないのでございますが、集合住宅の不適正なサービス利用について申し上げたいと思います。大阪の事例が紹介されておりますが、このような事例がそもそも集合住宅の実態をあらわしたものなのかどうかということが、よくわからないわけでありますので、まずは集合住宅に関する検証をしっかりとしていただきたいと思います。その上で、主任ケアマネの配置を配置条件として、より適切なケアマネジメントや生活支援の適正利用へつなげていくということが、むしろ大事なポイントではないかと思っておりますので、そのような方向でお進めいただければありがたいと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 では、及川委員。

○及川委員 ありがとうございます。

 まず、論点の1つ目でございますが、質の高いケアマネジメントを提供するためには、主任ケアマネを管理者として位置づけることも考えられると思います。その際、例えば主任ケアマネを管理者として位置づけることを特定事業所加算の要件に入れる等が考えられるのではないでしょうか。

 論点2つ目でございますが、介護保険の原則を踏まえれば、利用者がサービスを選ぶことを保障することが重要でございます。集中減算が不要な囲い込みを減らす趣旨であることは承知しておりますが、集中減算が利用者のサービス選択の足かせになっていることも、また事実であります。このことを考えれば、例えば不必要な生活援助が行われないようにするためにも、また介護サービスの質を担保するためにも、資料4ページの○の3つ目に書いてありますが、生活援助の提供がどのように重度化の防止や自立支援につながったかを、ケアプランに明示することを義務づけることについては、一定の合理性があるのではないでしょうか。そして、この対応はほかのサービスにおいても有効ではないかと考えます。

 以上でございます。

○田中分科会長 稲葉委員、それから小林委員、お願いします。

○稲葉委員 2点、意見を申し上げたいと思います。

 まず、論点の上から2つ目の特定事業所集中減算についてであります。介護保険部会などでも廃止を検討すべきではないかという意見も出ていたと思いますが、これは廃止の方向でよいと思います。ただし、廃止した際にはどういった影響が出るのか考慮した上で、新たな方策を考えるべきではないかと思います。また同時に、参考資料にありますように、特定事業所集中減算の適用を受けている7.6%の事業所については、例えば地域の事情などの問題はないのかなど、その実態を把握すべきだと考えます。

 そもそも利用者の利益につながる公正中立とは何なのか、ということが問われている問題だと思います。今、利用者の利益というと、質の高い事業所のサービスを受けるということだと思います。しかし、実態としては、どこの事業所の質が高いのかということが不明瞭な中で行われていたりしておりますので、質の高い事業所が選ばれるような仕組み、また選ばれるために事業所が質を高める競い合いをするようなインセンティブを持てるような仕組みがあわせて求められると思います。

 それから、2点目としましては、退院・退所加算、これは参考資料の8ページに書かれております。この中で、初回加算を算定する場合は算定しない、と書かれております。この初回加算と退院・退所加算は、ケアマネジャーの業務行動は違ったものとなりますので、それぞれに対して評価をするべきではないかと考えます。

 また、同じく退院・退所加算においては、例えば、利用者が在宅に戻ると思いケアマネジャーは居宅サービス計画を作成するなどしたが、結果的には退院とならなかったり、転院となったりする場合には算定ができるのか、という問題です。在宅に戻れるかどうかわからなくても利用者を支援していくということがケアマネジャーの仕事であると思いますし、ケアマネジャーが積極的にかかわって連携したものの、結果的には在宅に戻らなかった場合であっても、同等の仕事をしていれば同じように評価されるべきではないかと思います。そして、ケアマネジャーにおける積極的関与を評価し、そのモチベーションを支える制度上の仕組みこそが、これからの医療・介護連携に必要なことであると考えます。

 以上です。

○田中分科会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 ありがとうございます。

 居宅介護支援については、在宅の要介護者のケアプランの作成や、サービス事業者等との連絡調整を通じて、高齢者が住みなれた場所で安心して生活し続けるための環境を整備することから、今後その果たすべき役割はより一層重要になってくると考えます。その際には、ケアマネジャーの資質の向上と、公正中立なケアプランの作成の2点が特に重要になってくると考えており、ケアマネジャーの資質の向上については、論点の1つ目の○にも関係しますが、先ほど主任ケアマネジャーの研修カリキュラムについて御指摘がありましたが、まずは居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーの資格を保有する者となるように進めていくべきだと思います。

 また、2つ目の論点になりますが、公正中立なケアプラン作成という観点からは、特定事業所集中減算という形がよいかどうかは議論があるところですが、少なくとも特定の事業所にサービスが合理的な理由なく偏るようなことのないよう、抑止力を働かせていくべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 論点に関連しましては、皆さんのお話を伺っていまして、結局、集合住宅が今のような形でどんどんふえていくということをそのままにして、何か解決策を図ろうとしても無理なんじゃないかと考えますけれども、その点については厚生労働省としてはどんなふうに、今のような状態でいいと考えておられるのかどうか、もしお考えが伺えたら伺いたいと思います。

 それから、居宅介護支援のことについてですけれども、認知症という観点からと、そもそも論で御質問と御意見を伺いたいんですけれども、7月5日の関係省庁連絡会議で新オレンジプランの見直しが発表されまして、それは私どもとしては配慮していただいていることはありがたいと考えておりますけれどもね。

 それが介護保険上にどの程度反映されるのかという視点で見たときに、認知症初期の支援が重視される中で、特に施策が充実するという方向の展開ではなくて、むしろケアマネさんの増強で課題となっていることを解決するという側面が大きくて、よりケアマネさんに積極的に役割を果たしていただいて、認知症の人が生活していけるようにという視点が余りうかがえないのは残念なことだなと考えています。

 それで、1つ伺いたいんですけれども、参考資料の10ページで、27年度の改正で認知症加算は基本報酬の中に包摂されたわけですけれども、このことはケアマネさんの間でどの程度評価されて、むしろモチベーションとしてプラスに作用しているのか、あるいは余り効果はなかったのか、その辺について、もし何か把握していることがありましたら教えていただきたいと思います。

 それと、もう一つ、これは前回にも紹介しました、私どもで調査した認知症初期の暮らしと支援に関する提言に基づいて、そこで認知症あるいはMCIと判明したときから、本人と家族に寄り添い、伴走支援を行うスコットランドのリンクワーカーのような支援者を置いてほしいと提言しています。今、初期の支援ということで、認知症初期集中支援チームが全市町村に配置されて動き出そうとしているわけですけれども、そもそも認知症初期集中支援チームは、このリンクワーカーの考え方をベースにして出発したものではないかと思うんですね。

 そこの欠ける点もカバーする意味で、認知症初期集中支援チームが誕生したと思うんですが、今の段階になって、きょう見ました「文藝春秋」でもリンクワーカーという言葉が出てきて、今の段階でそういう先祖帰りのような形で言葉が出てくるということは、認知症初期集中支援チームが早期支援について、どれだけきちんと役割を果たしているかということを検証していただく時期に来ているということではないかと思うんですけれども、その点について、もしお考えがありましたら伺いたいと思います。

 それと、もう一つ、私どもとしては、従来から、先ほど小原委員もおっしゃっていましたけれども、ケアマネさんのサービスに結びつかない早期の相談支援にも報酬を認めてほしいと考えているんですけれども、それによって、認知症初期集中支援チームで動き得ないところをカバーしていくことも可能なのではないかという考えも持っています。それは、決まった人に責任を持つということ。それから、機動的に動けるということ。それから、継続的に支援ができるという要素を持った、それを本来の仕事にしているケアマネさんに、その仕事をやっていただくということは意味があるのではないか。

 ただ、今のケアマネさんには、ちょっと失礼かもしれませんが、認知症についての研修は必ずしも十分ではないと考えますので、何らかきちんとした研修を経た人について、認知症の初期相談支援について報酬を認めるということをぜひ御検討、これは委員の皆さんにもぜひお考えいただきたいと思うんですけれども、これについてももし現時点で何か厚生労働省のほうとしてお話しをしていただけるところがあれば、お話を伺いたいと思います。

○田中分科会長 集合住宅に関してと、認知症に関する一連の質問、最後、インフォーマルケアについてですが、お答えになれますか。

○込山振興課長 私の所管をちょっと超えているところは恐縮でございますけれども、集合住宅等のあり方については、今後2025年問題を初めとして、高齢者の方も、後期高齢者の方を初めとして急増するという現実の中で、どういった住まいの仕方があるかという問題というのはもちろんあろうかと思います。なので、一概にそういったものが良い・悪いという話はできないと思います。ニーズに応じた住まいのあり方というのは、大きな点だと思います。

 ただ、その際に、介護サービスの提供のあり方として、そういった住宅について不適正なあり方があるとすれば、そういったことについては制度上もきちんと担保していかなきゃいけないというのは当然のことだと思っております。

 あと、認知症の加算につきまして、今回、包括したという件でございますけれども、その包括化の効果につきまして、現段階では検証等はできておりませんので、今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。

 一番最後のお尋ねのインフォーマルサービスであったり、最終的にサービスに結びつかなかった場合のケアプランに対する報酬のあり方でございますけれども、この問題は、報酬の問題だけではなくて、また介護保険法の法制度上の問題にもつながってくるところで、非常に難しい問題だと思いますけれども、ここは引き続きの検討ということかと思っております。

○田中分科会長 室長。

○田中認知症施策推進室長 御指摘のありました認知症の初期集中支援チームにつきましては、必ずしもスコットランドのリンクワーカーというものだけではなくて、例えばイギリスのメモリーチームとかも参考にして出てきたものと承知しております。

 また、御指摘の検証の段階ではないかというところにつきましては、老健事業などを活用しながら進めているところでありまして、引き続きやっていきたいと考えております。

○田中分科会長 鈴木委員、関連してですか。

○鈴木委員 特定事業所集中減算についてですけれども、これは、その問題点は3年前にさんざん議論しており、今回は見直しをどうするかというのが本当は論点になるべき話なのに、また3年前の議論を蒸し返すような話をしています。特定事業所集中減算を受けても、目いっぱいサービスを入れてもうける事業者がいることが問題であって、これがもう機能を果たしていないということはわかっているわけですから、それをどうしますかと、3年前と同じ議論をするのは時間の無駄だと思います。

 特定事業所集中減算は、サービス事業所の質が一定であるという前提がないと成り立たない話です。ですから、今回見直すことになったのです。見直しをどうするかという議論に早く移るべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 瀬戸委員。

○瀬戸委員 1つ目の論点ですが、居宅のケアマネの質を高めていくという観点から、管理者として主任ケアマネを配置している場合にプラスアルファの評価というのは考えてもいいのではないかと思います。

 2つ目の論点の特定集中減算、今、鈴木委員からおっしゃられたので、ちょっと話しづらいですが、基本的には廃止の方向でいいと思います。ただ、公正中立の観点から考えれば、むしろ囲い込みを防止することのほうが重要ではないかと思いますので、例えば同一敷地内のサービスへの紹介は、訪問等に係るコスト分を本体報酬から引き下げるとか、同一法人、グループの場合に9割にするとか、幾つか区分を設けながら囲い込みを防止するほうが有効ではないかと思います。ただし、その場合は、地域に利用できる事業所が少数である場合は除くという条件は必要かと思います。

 それから、大阪府の事例がたくさん出てきていますが、集合住宅におけるケアプランの監視・監督については、各サービスの同一建物に関する報酬上の減算とあわせて、適切な給付を担保していく観点から、厳格に位置づけていく必要があると思います。実態として、生活保護受給者等は自己負担が補塡されるため、利用額が高くなっている可能性もありますので、こうした方々への給付実態が過剰な給付となっていないかチェックする必要があると思います。

 これらを踏まえての提案ですが、一度、大阪府さんをお招きして、この調査結果の内容や悪質と思われる事例に関してヒアリングをしてみてはいかがでしょうか。その内容を踏まえて、報酬の適正化と行政指導を検討していけば、より実効性の高いものになるんじゃないかと思います。

 3つ目の論点ですが、入退院時のケアマネに関してですが、ある程度退院の見込みがある段階でケアマネが積極的にかかわる体制を整えることは重要だと思います。この意味で、退院・退所加算の回数の限定を取り除くか、あるいは本体報酬に包括化して基準上も位置づけるといったことが必要なのかもしれません。

 以上です。

○田中分科会長 石田委員、どうぞ。

○石田委員 ありがとうございます。

 論点の3つ目の部分です。退院後に円滑に必要な居宅サービスを受けられるようにするため、医療機関と居宅介護支援事業所とのさらなる連携というところ。これは、患者といいますか、利用者にしてみればとても大事なことで、ここがきっちり連携されていないと、入院中にその後のことも心配でならないわけですね。ですが、参考資料の48とか50を見ますと、ケアマネジャーさんが医療機関との連携に非常に苦慮していらっしゃるような状態が多々あるということです。患者としてはその辺が一番心配なところで、退院した後、本当に在宅での療養生活を安心しておくれるのだろうか、不安でしょうがないわけです。

 そこで、医療機関とケアマネジャーさんとの連携を促進していくための一つの方法として提案したいのですが、多くの医療機関では、地域連携室といった機能を持っていらっしゃると思います。この連携室の専門スタッフとケアマネジャーさんとの関係性を密にして、連携のシステムを確立することができれば、少しでも改善のほうに向かうのではないかと思っております。

 地域連携室の中身というのは、各病院によって違うと思いますけれども、地域連携というその名の通り、病院が地域とつながる、つまり入院・治療・退院という一方通行のラインだけではなくて、その後の在宅療養から、またさらに再入院といった循環的なラインをカバーする機能も持っているのではないかと思います。そうした地域連携を担当する部門が医療機関にあるということを、患者や利用者に示していただき、そうなると、医療機関とケアマネジャーさんとの連携というのも、利用者にとってきちんと見えてくるんじゃないかと思います。

 意見でございます。

○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 では、論点の2つ目と4つ目に限って意見を言わせていただきます。

 2つ目の特定事業所集中減算につきましては、これが設けられた当時の、独立性の確保と、サービス事業者が不当に偏することがないように公正中立に行うという趣旨は、今日でも正しいものだと思っています。確かに、良質なサービスが提供される事業所に集中することまで否定されるということになれば、それはおかしいということにもなりますので、見直しは必要だと思います。

 ただ、公正中立という観点は重要だと思っていますので、まず1つの提案としましては、独立型のケアマネ事業所に対しては減算を適用しないということがあり得るのではないかと思います。また、この見直しに当たっては、御指摘もたしかあったと思うのですけれども、同一法人だけでなくて、同一グループ内にサービスを集中させているとか、必要以上のケアプランを作成しているということも含めて、チェックできる仕組みに何とかしていければと考えているところであります。

 あと、最後の末期がんのところですけれども、資料から、確かに死亡前の一定期間のプラン変更というのは多くなっているということから見ますと、その評価ということも考えられるのではないかと思いました。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員。

○武久委員 慢性期医療協会の武久でございますけれども、慢性期医療というと、ちょうど医療と介護の接点のところをずっと担当してきたわけでございます。それで、1998年の第1回のケアマネ試験を設けて、それ以前の社会福祉事業だったときから継続して足かけ約20年、ケアマネもやったし、介護事業もやったし、居宅介護支援もやったし、鈴木先生と同じようにずっと継続してやってきているような委員もいてもいいかなということで、多分参加させていただいているんだろうと思います。

 その継続的な流れから言いますと、1番の論点ですけれども、主任ケアマネはある程度の年限、ケアマネをしていた人が、ある程度お金があって、時間に余裕がある人が研修を受けに来る。研修を受ければ、試験もない。ただ受ければいいんだということでは、主任ケアマネの担保というものがなかなか難しい。いい人もいるし、そうでない人もいる。現実問題として、ケアマネの経験年数というのは必要かと思いますけれども、例えば地域連携室に長年いた社会福祉士がケアマネの試験を受けて、去年からやっている。また、訪問看護ステーションで訪問看護していた看護師さんがケアマネの試験を受けて、ことしからやっている。

 どちらがどうかというと、何とも言えないので、経験年数だけがひとり歩きするという自体もおかしいかなと思っています。いい人が管理者になっていただけるほうが、私はいいかなと思っています。

 ケアマネについては、ずっと経過を見ていますと、要望される項目がだんだんふえてきて、報酬とのアンバランスがどんどん広がっていって、これもしていない、あれもしていないじゃないかと言われながら、こういう記録も残せ、ああいう記録も残せと強要される。非常に厳しい業界になっているわけです。

 この特定事業所減算は、最初、一体何のためにできたんですか。これは、矛盾しているんです。独立ケアマネを居宅支援事業所を認めるか、認めないか。これは経済的にも含めてということと。そうでなければ、いわゆる事業所に併設するのが多いのは当たり前の話であって、そこのケアマネジャーは経営者の顔色をうかがうというのは、これはたしかそんたくと言うんですね。今、非常に有名になっていますけれどもね。

 ある意味当然であって、自分のところの関連の事業所をわざと外して、よその事業所のヘルパーを頼むとか、よそのデイケアに行きなさいというのは、逆に言うとおかしなことであって、一体どうしてこんなものが入ってきたのか。これが入ってきたころは、たしかこの辺にいらっしゃる皆さんの中では、鈴木課長が筆頭補佐でおられたころかなと思いますけれども、違いますか。どうも。長年の経過の中で、今までおった方はなかなか少ないので言えるんですけれども、はっきりさせたほうがいい。

 独立ケアマネを認めるなら、事業所減算というのは意味がないし、認めたら認めたでいいですけれども、経済的な理由でなかなか認められにくいんじゃないですか。それであれば、1つの事業体の中の居宅介護支援事業所が自分たちのサービスがいいと思ってプランに入れる場合は、当然認めてもいいんじゃないか。

 それよりも、病院に行けと言われています。病院に行くのはいいんですけれども、皆さんのそれぞれの県で地方のほうで、病院は県立中央病院とか県庁所在地の病院に行くんですね。地方のケアマネは、車で2時間もかかって行くのかと。アクセス時間をどう見ているのか。例えば、ヘルパーでもそうです。20分間のサービスをもらうのに、行くのに1時間、帰るのに1時間。2時間半もかかるんです。例えば、集合住宅だったらあっという間ですね。このアクセス時間というのもほとんど見てくれていないんです。このアクセス時間を見なければ、経営的にはアクセスが短いほうのサービスを選択するというのは、経済原則として当たり前の話です。ここをどうするか。

 これをしないと、過疎地はますます過疎地化するんです。町役場の近くに集合住宅をつくって、みんな山の上の人はここへ集まってくださという形になるし、そこに集合的にサービスが行くのは当たり前のことで、経済原則としては余りにも常識的なことだと思います。

 これをどうすればいいかということですけれども、私は鈴木先生と同じように、特定事業所集中減算というのはいっそやめたほうがいい。むしろ、いいケアプランをつくって早く在宅に帰す。公正中立というのは、併設のケアマネジャーの仕事は何かというと、自分のところの介護サービス事業のレベルアップを図るということのほうがやるべき仕事です。自分のところが悪いのに自分のところのサービスを選ぶというのは、ケアマネジャーとしてはじくじたるものがあると思いますので、そちらのほうに私は力を注いでいただいたほうかいいんじゃないかと思います。

 ケアマネジャーについては、私が最初に言ったように、要求されることが多過ぎて、できていないと集中的に非難されて、非常に気の毒な業種だと私は思っております。

 以上です。

○田中分科会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 1つ目の論点についてだけ簡単に申し上げたいと思います。

 今、武久委員がおっしゃったことと、目的というか、論点はもしかして共通かもしれないんですけれども、何を目的にこの論点が出されているかということが大事で、結局はケアマネジメントあるいはケアマネジメントプロセスをいかに充実させていって、最初に小原さんがおっしゃってくださったように、御本人の自立と尊厳化というところに行けばいいということだと思いますので、これからの社会情勢を考えたときに、ストラクチャーのある管理者が何らかの、今回だと主任ケアマネなりを持っていることのみをもって評価するといったことは、ある程度慎重になったほうがいいんではないかと思います。

 例えば、今、参考資料で出されている18ページに当たるものがこの論点に該当しているんだと思いますけれども、まずはここに出されている3つ。定期的に検討会が開催されているかとか、同行訪問が行われているか、相談の時間を設けているか。恐らく、これらが行われていればケアマネジメントの質が高まっているんじゃあるまいかということのもとに、こういったものがピックアップされているんだと思います。

 そして、これもほかの要因がいろいろとあるんだけれども、このグラフというのは、管理者が主任ケアマネなのか、そうじゃないのかということだけの要因に絞った比較をしてあるということで、きょう、ほかのところでも既にさらわれていたと思いますけれども、このケアマネジメントの質を高めようというときに、事業所ごとのこういったさまざまな取組による質の向上ということももちろんあり得ますけれども、保険者によるケアプラン点検もそのツールになり得ているでしょうし、ほかに地域ケア会議を通じても、このケアマネジメントの質の向上を図られているところもあるでしょうし、もちろん職能団体がスーパーバイザーをやっているところもあると思うんですね。

 なので、少なくとも18ページにあるエビデンスだけに基づいて、この時代に特定の人が張りついたらというストラクチャーだけに評価しようということは慎重に考えたほうがいいのではないかと思います。

 この後、議論が出るかもしれませんけれども、この居宅介護支援事業所に対する報酬をどうするかという視点だけではなくて、ケアの質をどう評価するのかとか、あるいはこの会ではないと思いますが、保険者機能をどう評価するかとか、そういった論点とも関連してくるところだと思いますので、その総合的なバランスの中で考えていったほうがいいと思います。もちろん、2つ目の論点も結局同じことで、どこに向かっていきたいのかということで、ケアマネジメントの質の向上が図られていればいいという観点であれば、どのような事業所でそれを組み合わせているかとかいうことだけが見られるべきではないのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ストラクチャーよりも質の観点が重要であると。大切な御指摘ですね。

 居宅介護支援については、ひと当たりよろしゅうございますか。前回の残りの時間では、とても済まなかったですね。今回に持ってきてよかったと思います。

 では、ここで35分まで休憩いたします。

 

(休  憩)

 

○田中分科会長 次に、議題1のうち「介護老人福祉施設」についてを取り上げます。事務局から説明をお願いします。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。お手元に資料2、参考資料2の御用意をお願いいたします。

 まず、本体資料2の表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。介護老人福祉施設の現状でございます。

 介護老人福祉施設につきましては、計画に基づきまして、介護、日常生活の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行うものでございますが、2つ目の○でございます。施設数、サービス受給者数につきましては、9,72657.7万人となっている状況でございます。

 3つ目の○でございます。介護老人福祉施設につきましては、27年4月から、原則、新規入居者を要介護3以上の高齢者の方とし、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化しております。一方で、要介護1・2の方につきましても、やむを得ない事情により、居宅での生活が困難であると認められる方につきましては、市町村の適切な関与のもと、特例的に、入所することが可能となっております。

 4つ目の○でございます。入所者の要介護度につきましては、重度化が進んでおりまして、平均要介護度は、平成12年の3.35に対しまして、平成27年には3.87と上昇しております。

 5つ目の○でございます。全国の入所申込者数につきましては、ことしの3月集計で、要介護3~5の申込者が29.5万人、うち在宅の方が12.3万人となっているところでございます。

 2ページ目でございます。介護老人福祉施設の居室とケアについてでございます。こちらに関しましては、参考資料の16ページ、17ページに関連した資料がございますので、御確認をお願いいたします。

 まず、1つ目の○でございます。入所者の生活の場である居室類型でございますけれども、多床室・従来型個室・ユニット型準個室・ユニット型個室の4種類が存在しております。

 2つ目の○でございます。また、平均在所日数は1,400日程度でございまして、ほかの介護保険施設よりも長くなっているなど、生活施設としての性格を有しているところでございます。

 3つ目の○でございます。生活施設として、個別的なケアを実現するための代表的な手法として、ユニットケアがございます。ユニットケアにつきましては、ユニット型個室というハード面と個別的なケアというソフト面から成り立っている性格のものでございます。

 4つ目の○でございます。ユニットケアにつきましては、ユニット型個室またユニット型準個室で実施するということでございますけれども、例えば多床室でも、居宅における生活に近い環境の中で個別的なケアを実現する。また、プライバシーを確保するための手段をとるといったことなどを算定要件といたしまして、準ユニットケア加算というものを設けているのが現在の制度でございます。

 本体資料の3ページ目をお願いいたします。

 介護老人福祉施設における看取りや医療の対応でございますけれども、介護老人福祉施設の人員基準につきまして、配置医は必要な数を置くこととされております。健康管理や療養上の指導を行うこととなっておりますけれども、人数や勤務時間、回数などの規定はございません。

 2つ目の○でございます。配置医の95%以上が非常勤での勤務となっておりまして、また配置医の90%以上は勤務日以外でも電話等により対応しているということでございますけれども、特に夜間や休日などの緊急時の対応について負担感が大きいと指摘がございます。一方、40%の施設では、配置医が対応困難な際に訪問を依頼することが可能な医師がいないという現状がございます。

 3つ目の○でございますけれども、こちらは配置医以外からの医療の提供につきまして、可能となっているケースについて列記しておりますので、御確認をお願いいたします。

 続きまして、4つ目でございます。看取りや医療対応の続きの項目でございますけれども、看護職員についてでございます。

 人員基準、入所者人数に応じてございますけれども、現在の平均配置数は常勤換算で3.8人でございます。ほとんどの施設で、夜間はオンコール体制がとられている状況でございます。

 2つ目の○でございます。こちらは、外部からの看護の提供につきまして、制度上、対応しているものについて記載しております。

 3つ目の○でございますけれども、訪問看護ステーションの看護職員による入所者の対応があると答えた施設が1.7%でございまして、訪問看護ステーションとの連携により対応の充実を図ることができると思う医療処置について、特にないと答えた施設は47%となっているところでございます。

 4つ目の○でございます。施設内で対応可能な処置として挙げられたものは、「褥瘡の処置」「胃ろう・腸ろう」「カテーテルの管理」「血糖測定」「喀痰吸引」が多くなってございます。看護職員また認定を受けた介護職員によって、夜間・休日を通じて、たんの吸引ができる体制にある施設は41.1%となっております。こちらにつきましては、参考資料34ページに関連データがございますので、御確認をいただければと思います。

 本体資料の5ページ目をお願いいたします。こちらも看取りや医療の関係の現状・課題の続きでございます。

 1つ目の○でございますけれども、施設として、看取りを行うことは必須となっているわけではございませんが、約8割の施設では希望があれば看取りを行うこととしておりますので、今後も看取りへの対応を進めていくことが必要であると認識しております。

 2つ目の○でございます。平成27年度の介護報酬改定では、施設での看取りをより推進する観点から、看取り看護加算について、医師その他の職種による協議の上、看取りの実績等を踏まえて指針の見直しをPDCAサイクルで実施することを新たに要件としまして、死亡日以前4日以上30日以下の期間における単位数の引き上げを行っているところでございます。

 3つ目の○でございます。「希望があれば施設内で看取る」という施設では、夜間・休日を通じてたんの吸引ができる体制である割合が高くなっております。

 4つ目の○でございます。特養での看取りは、看取り看護加算で評価されておりますけれども、医師の配置のない認知症グループホームや特定施設入居者生活介護と報酬は同額となっているのが今の制度でございます。

 5つ目の○でございます。入所者の夜間の緊急時、これは看取りの場合に限らないデータでございますけれども、医師との連携方法について、「救急車を呼ぶ」ことだけを選択した施設は16.0%でございます。

 こちらは参考資料の30ページでございますけれども、左上のグラフに入所者の夜間の緊急時の医師との連携方法とありまして、「配置医に連絡する」「協力病院に連絡する」「救急車を呼ぶ」とありまして、それぞれ複数回答でデータ、割合が掲げられておりますけれども、先ほど御紹介しましたものは、この中で「救急車を呼ぶ」のみを選択した施設が16%ということでございます。また、「救急車を呼ぶ」のみ選択することについては、看取りに関連したデータで、「原則病院等に移す」としている施設よりも、「希望があれば施設内で看取る」としている施設のほうが割合が低いという状況がございます。

 本体資料の6ページをお願いいたします。こちらは、身体的拘束に関する状況でございます。

 1つ目の○でございますけれども、高齢者に関して、法律に基づきまして身体的拘束は原則として禁止されております。また、介護老人福祉施設などの運営基準につきましては、入所者の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除いて、身体的拘束を行ってはならない旨を規定しているところでございます。

 2つ目の○でございます。平成12年6月には、この身体的拘束廃止の趣旨を徹底しまして、その実効性を担保するため、「身体的拘束ゼロ作戦推進会議」を発足。また、「身体拘束ゼロへの手引き」の作成などが行われております。

 3つ目の○でございます。施設の運営基準におきましては、事業者は、緊急やむを得ない場合に身体的拘束を行った場合、記録をしなければいけないとされておりまして、特に施設サービスにおいて、これを行っていない場合には、身体拘束廃止未実施減算として、1日につき5単位を所定単位数から減算することとされております。一方で、身体的拘束が適正に行われたかどうかの確認というのは、各施設に委ねられているというのが現状でございます。

 本体資料7ページをお願いいたします。次に、障害者支援についてでございます。

 高齢の障害者の方々は、いずれも増加傾向にありますけれども、2つ目の○でございます。指定介護老人福祉施設におきましては、障害者生活支援加算という制度を設けておりまして、そちらに列挙されていますような要件を満たした場合に、この加算を得ることができるという仕組みになっております。

 3つ目の○でございます。障害者生活支援体制加算につきましては、介護保険制度創設時より存在しておりましたけれども、平成27年度の改定におきましては、入所者の要件に「精神障害者」を追加するという拡充を行ったところでございます。

 以上が現状・課題についてでございます。

 本体資料の8ページを御確認ください。論点を4つに整理しております。

 1つ目でございます。介護老人福祉施設の入所者のプライバシーに配慮した上で、一人ひとりのニーズに即したケアを実現するために、どのような方策が考えられるかということでございます。

 2つ目です。介護老人福祉施設等における看取りや医療ニーズの対応をさらに進めるために、どのような方策が考えられるか。

 3つ目の論点でございます。施設等における身体的拘束廃止に向けた取組をさらに進めるために、どのような方策が考えられるか。

 4つ目の○でございます。介護老人福祉施設における障害者支援について、どのように考えるかということでございます。

 御説明、以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問ありましたらお願いします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 それでは、8ページの論点に沿ってお話しをさせていただきたいと思います。

 まず、1つ目の○でございますが、ユニットケアは重要な手法ではありますが、ハード面とソフト面から構成されており、ソフト面であるケアの考え方がより重要なので、地価の高い大都市部での今後の需要の増加や、低所得者でも利用できるようにするためには、ユニットケアの考え方を反映させた多床室や従来型個室の整備も必要であると考えます。

 2つ目の○でございますが、介護施設にも医療機関と同様に機能分化が必要であると考えます。今後、医療ニーズのある中重度者や看取りへの対応が求められておりますが、外部サービスを入れて機能を一元化するのではなく、人材の効率化と包括性を維持して、全体のコストが上昇するのをできるだけ抑制するためにも、医師と看護師の配置と夜間対応の状況により機能分化を行いつつ、一定までの医療ニーズや老衰型の看取りには対応できるように、喀たん吸引ができる認定特定行為実施介護職員を養成するとともに、不足する場合に外部サービスが利用できるようにする必要があります。

 一定以上の医療ニーズへの対応については、老健や今後整備される介護医療院の利用とともに、地域の中小病院や有床診療所という地域包括ケアを支える医療機関との役割分担も進めて、不足する医療・介護従事者の効率的な活用を図ることが必要であると考えます。

 介護福祉施設については、非常勤医である配置医の役割と処遇を明確にして、老衰型の看取りには対応できるように、配置医では足りない部分は協力医療機関を活用することが考えられます。

 なお、看取り介護加算については、さらなる充実が必要であると思います。先ほど担当課長は看取り看護加算と何度かおっしゃいましたけれども、看取り介護加算ですので、よろしくお願いいたします。

 3つ目の○でございます。現行では、身体拘束が緊急やむを得ない場合にのみ行われているかどうかを検証する仕組みがないため、例えば配置医が毎月現場を巡回した上で、多職種が参加する委員会を開催して状況を確認する仕組みなどが必要であると思います。また、医療ニーズのある中重度者が増加しているため、医療機関の取組を参考にした、事故防止の対策が必要です。私のところでは医療法人と介護法人が一緒にミーティングをしておりますが、介護施設においても転倒・転落などの介護事故などが起きております。ヒヤリ・ハット報告を収集するような活動が必要だと思います。

 それから、感染対策です。これは、毎年のように流行するインフルエンザやノロウイルスの対策なども含めてです。さらに近年、介護施設従事者による高齢者虐待が大幅に増加しているというデータもございますので、倫理教育や虐待防止策を強化する必要があると思います。

 4つ目の○でございますが、介護福祉施設においては、障害者支援の役割も果たしており、これは引き続きそうしたニーズに対応していくということが必要だと思いますが、福祉サービスとの基準の違いについては調整する必要があると思います。

 ここで質問でございますけれども、介護老人福祉施設における障害者支援には、背景として障害福祉サービスを介護保険サービスに移行させようという方針があるのかどうか。さらに、平成27年の改定で精神障害者が追加されておりますが、精神病院からの大量の移行も想定しているのかどうか、それについて御回答をいただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 質問にお答えください。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 今、御指摘のありました障害者の方をこちらに移行させる方針なのかということにつきましては、そういったことは想定しておりませんで、あくまで介護老人福祉施設にお住まいである障害者の方が、しっかりした体制のもとでケアを受けることができるということについて評価をしているというものでございます。

○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 論点の2点目と3点目についてです。

 資料にありますように、医療ニーズが非常に高まっていることと、より重度化しているという傾向が出ているわけですが、ある程度の医療ニーズに対応できる体制のためには、医療従事者の雇用あるいは看護職員の配置の充実をというのが35ページに出ていますけれども、現行の特養でさまざまな医療職を雇用するのは実質的に難しいという状況はあると思いますので、鈴木委員もおっしゃっておられましたけれども、必要に応じて外から入る仕組みをあわせて検討していくべきではないかと思っています。

 ただ、ほとんどの特養では、最低基準を上回って看護職員を配置しておりまして、問題になるのは、特に夜間体制だと思います。夜間の看護はほとんどがオンコール対応という状況で、現行の夜勤の職員配置加算というのは、夜勤配置の最低基準に介護か看護を1名以上配置した場合の評価になっていますから、施設が夜間の看護体制を充実するインセンティブとしては非常に影響が小さいと思っております。重度者の割合、あるいは看取りの実施率が高い特養で、看護職員の夜間配置の強化を行った場合については、新たに評価が必要ではないかと考えております。

 また、医療ニーズの対応については、安全性の担保が不可欠になります。参考資料に認定特定行為従事者の介護職員などの配置状況と、医療ニーズ対応や看取り対応との関連が示されているわけですが、単にたんの吸引ができる介護職員がいるから看取れるというよりは、実質的に介護職と医療職が連携して安全な体制をとっているということであり、そういった施設は看取りにも積極的であると見てとれます。ですので、たんの吸引ができる人の有無で評価をするのではなく、その施設が吸引等を安全に実施できる体制であるということについて、評価はあってもいいのかなと考えます。

 それから、医師の役割につきましては、配置医が往診できれば特養で対応可能なケースであっても、例えば夜間、死亡診断だけのために医療機関に搬送するといったことが散見されるような状況になっております。死亡診断のためだけに医療機関に搬送する、あるいは早晩亡くなることを予測して医療機関に搬送するということは、最期まで施設でお願いしたいという本人や家族の意向であったり、安らかな看取りということから考えると、なるべく避けていくべきだと考えます。ですので、配置医と密に連携して施設内での看取りに積極的に取り組む施設に対しては、看取り介護加算等でより高い評価を設けるということも考えてはどうかと思います。

 それから、医療ニーズの対応については、何も重度化した、あるいは状態が急に悪化したときの対応だけではないと考えます。施設内で行われる医療処置の種類が幾つか書かれておりますけれども、例えばふだんからの重症化予防の観点から考えて、褥瘡あるいは認知症、糖尿病、摂食・嚥下障害、感染症といった、適切な対応がなければ、特養での療養継続に困難を生じるような疾患については、各領域の専門知識あるいは技術を有する外部の看護師等が特養に訪問して、施設スタッフに指導・助言をする。このことによって、特養での医療安全やケア技術の向上が図られ、入居者の療養継続に寄与することが期待できると思います。

 既に、外部の歯科衛生士が施設へ訪問して介護職員に技術指導をすることへの評価があるので、同じようなスキームで、先ほどの感染症対策あるいは褥瘡のケアといった医療安全やケアの質の向上に資する仕組みができるのではないかと考えています。

 それから、身体拘束につきましては、職員への教育が非常に重要ですので、44ページに書かれてあります施設長や看護職員の研修の普及については力を入れていくべきだと思います。私ども日本看護協会では、各都道府県から平成17年から委託を受けて各県で指導者にあたる看護職員の研修を実施していますが、都道府県によっては、この特養のリーダー研修に全く参加しない都道府県や、受講に対する支援がない都道府県もありますので、少し地域格差が出てくるのではないかと懸念しております。

 ですので、身体拘束廃止未実施減算については適用の厳格化をすることと、それから、こうした施設内の管理者、スタッフの研修受講も運営基準にきちんと明記して、これらについては全国的な取組をより促進していく方向で検討していただきたいと思います。

○田中分科会長 佐藤委員から。

○佐藤委員 ありがとうございます。

 医療ニーズへの対応について、お伺いしたいのですが、口から食べるという生活の質の確保、それから栄養確保、食支援などを考える上で、必要な口腔機能の状態の把握というのはもちろん重要であって、そのための歯科医療ニーズの把握も必要だと考えています。

 今回、参考資料の24ページに入所者の有している疾患という調査がございました。この調査において、歯科医療ニーズは把握されているのか、お伺いしたいと思います。

○武井高齢者支援課長 24ページの資料の入所者の有している疾患について、歯科関係の項目が入っているかどうかということにつきましては、この調査の中では取り扱いをしておりませんでした。ですので、今後、介護老人福祉施設の中の医療に関する調査を実施する場合には、歯科に関する項目を追加するなど、検討してまいりたいと思っております。

○m委員 ありがとうございます。ぜひ御対応をよろしくお願いしたいと思います。

140回の給付費分科会で口腔・栄養でも示されましたけれども、介護施設における協力歯科医の配置が9割ぐらいだというデータが示されています。口腔衛生管理体制加算も含めて、充実されている割合に比して、そういう取組が少ないという指摘もあったりします。したがいまして、協力歯科医がより機能を発揮するというのも大きな役割だと思っておりますので、今、お話がありましたニーズの把握も含めて、御対応をよろしくお願いしたいと思います。

 要望です。

○田中分科会長 齊藤委員、それから及川委員、お願いします。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 論点1について、申し上げたいと思います。現在、介護老人福祉施設は4類型あるわけでありますが、参考資料の20ページにユニット型個室の整備の方針にありますように、徐々に個室のユニット化率が高まっている現状がございます。これは、方向性としては私は支持したいと思います。ただし、下にありますように、地方によっていろいろな実態、条件がありますので、これらについて、ユニットケア、絶対ではなくて、柔軟に対応することも必要なのだろうと思っております。

 その上で、ユニットケアというのは、個別のケアのあり方としては、利用者にとってとてもメリットの大きいものだと考えます。しかも、さまざまなこれに準ずるような居室類型がありましても、ケアのあり方の充実にこのユニットケアという手法が非常に大きく貢献しているということは事実でございますので、全体の方向性はこの方向性で支持しながら、充実した整備に努めていただければと思います。

 以上であります。

○田中分科会長 及川委員、どうぞ。

○及川委員 ありがとうございます。

 論点に沿って意見を述べさせていただきます。

 まず1つ目でございますが、質の高い介護を担保するためには、個室で丁寧な個別ケアを実践するのが望ましいと考えております。例えば、QOLのことを考えると、においとか音とか光に関しては、個室という考え方が望ましいのではないかと考えております。しかし、利用者によっては、個室ではなく、多床室を希望される方がいらっしゃるのも事実でありますので、多床室を完全に否定する必要はないのではないかとも考えております。これを踏まえれば、利用者のニーズに合わせた施設整備を進めるべきだと考えます。

 2つ目でございますが、看取り加算は看取りの30日前から算定とされておりますが、日数で設定するのではなく、ターミナル期がやってきた際に適切に看取り対応できる体制を評価することとしてはいかがでしょうか。つまり、体制加算にすることは考えられないでしょうか。その際、対応する職員側に不安があるのであれば、職員側の不安を払拭するためのターミナル期の対応にかかわる研修実施等を体制評価の要件とすることとしてはどうかと提案いたします。

 3つ目でございますが、利用者の権利を守るという視点から考えれば、身体拘束は当然廃止すべきでございます。そのためには、業界全体で取り組むしかございません。その際、なぜ身体拘束に至ったのか、その経緯や理由について、まずは丁寧に分析・整理する必要があるのではないでしょうか。

 最後の論点でございますが。

○田中分科会長 後でまた見つかったら言いましょう。

○及川委員 申しわけございません。以上でございます。

○田中分科会長 東委員、どうぞ。

○東委員 まず、資料2の8ページ、論点の2つ目でございますが、看取りや医療ニーズへの対応は、次の議題の特定施設にも共通したことです。最期の看取りの場合には、医師の死亡診断書が必ず必要なわけで、特養(介護老人福祉施設)や特定施設がどこで医療を担保しているのかという問題があります。

 特定施設の場合はそういう制度はございませんが、特養の場合は配置医師がおり、それが開業医なのか、例えば開業医であっても、無床診療所なのか、有床診療所なのか、あるいは、中小の病院と連携しているのか。どういう医療機関とどのように連携しているのかというデータがないと、特養や特定施設における看取りの議論ができないのではないのでしょうか。医師の負担というものも含めた検討をしていく上で、このデータが必要なのかなと思います。ですので、これはお願いでございますが、そういうデータがありましたら、また出していただければと思います。

 それから、3番目の身体拘束ですが、これについては、先ほど鈴木委員からもお言葉がございましたが、施設における身体拘束だけではなくて、虐待とか転倒・転落等の事故、それから最近はインフルエンザとかノロウイルスのパンデミックによる死亡事例なども見られております。そういうことを含めたトータルのリスクマネジメントの取組が必要ではないでしょうか。内部だけではなくて、外部からの目も含めたリスクマネジメントというものをやらないと、国民からの評価は、なかなか難しいかなと思いますので、そういう御提言もしたいと思います。

 以上でございます。

 ○田中分科会長 リスクマネジメントの視点が重要で、身体拘束はその手段だから、それよりもっと上位概念で書いたほうがいいとのご指摘ですね。ありがとうございます。

 本多委員、どうぞ。                 

○本多委員 論点の2つ目に関連して、特養の人員配置基準において配置医については、必要な人員を置くこととされており、人数や勤務時間、回数等は規定されていませんが、参考資料の27ページでは、配置医の95%以上が非常勤となっており、非常勤の配置医の平均的な1週間の勤務時間が4時間以下の施設が約7割となっています。

 また、29ページでは、約4割の施設で、配置医が対応困難な際に訪問を依頼することが可能な医師がいないという調査結果となっております。このような医師が不在の時間が多い状況では、特養において医療ニーズに応じた対応や看取り対応が進まないのではないかと危惧します。

 参考資料の13ページの介護保険部会のとりまとめも踏まえると、配置医の人員基準を強化するなど役割を明確にしていただいて、医師が対応できる時間を確保することが先決ではないかと思います。

 また、看取りに関しては、医療と介護の意見交換会でも指摘されておりますが、本人や家族の意思に反して医療機関に搬送され、望まない医療を受けることが問題だと思います。前回、看取り加算について、算定要件等の見直しが行われましたが、現行のプロセス評価になる看取り加算に加えて、今後は看取った結果を算定要件に含めるなど、アウトカムによる加算も検討すべきと思います。

○田中分科会長 安部委員。

○安部委員 先ほどの小原委員の御発言に関連して発言させていただきます。

 先ほどの発言の中で、平時の連携が非常に重要であるということについては、私も同意しております。以前にも発言させていただいたことがありますけれども、入院・退院というイベントが起きる前の平時の段階から、ケアマネジャーの方と医療が連携しているということが非常に重要でございます。そういった意味では、現在、薬剤師もかかりつけ機能を充実させておりますし、それから薬の手帳をほとんどの方が持っています。これまでは患者さんが入院する、もしくは退院するといったときに、初めてケアマネジャーさんと薬局もしくは薬剤師の関係をどうするのだということで議論になっていたわけであります。

 平時という意味では、入退院時にかかわらず、その方が要支援・要介護の認定を受けた際にそのケアマネジャーさんの名前、要介護度、それから介護支援事業所の情報といったものを薬の手帳に記載していただければ、我々は患者さんの生活に対して薬学的な問題が見られたときには、ケアマネジャーの方に連絡することができます。

 仮にケアマネジャーの方が利用者宅でお薬がぐちゃぐちゃになっていて管理できていない。どこに相談しようというときに、その薬の手帳に記載された薬局・薬剤師、もしくはかかりつけ薬剤師の名前を見れば連絡をすることもできる。、患者さんの同意や確認が必要でございますけれども、平時の連携というものは大きな手間も費用もかけずにできると私は考えておりますし、以前からケアマネ協会の役員の方ともそんな話を続けておりますので、介護報酬とは直接関係ないことかもしれませんが、工夫を重ねて連携を進めていくことが必要かと感じております。意見として申し上げておきます。

○伊藤委員 では、論点の上3つについて、意見と質問をさせていただきます。

 まず、1つ目ですが、ユニット型の推進ということについては、引き続き進めていくべきと考えています。ソフト・ハード両面からの手厚い看護環境が提供されることによって、高齢者の尊厳ある生活の場がきちんと提供されていくことが必要だと思っていますので、ユニット化率70%という今の目標がございますが、まだ道半ばという状況だと思いますので、ぜひ引き続き進めていってほしいと思っています。

 その際、問題になるのが、低所得者の入居の問題だと思います。現状では、補足給付では十分な自己負担の軽減ということにならず、ユニット型にはなかなか入れないという事情があるということはわかっております。この点、低所得者なら多床室でいいというのは、それは平等じゃないと思っていますので、この点は、この介護給付費分科会の所掌を超えることにもなりますけれども、住宅補助制度のようなものをきちんと創設していくという、住宅扶助の単給化ということも含めて、新たな制度も視野に検討していく必要があると連合として考えているところであります。

 それから、2つ目の特養での看取り・医療ニーズへの対応ということですが、これはいわゆる重度者の入居を基本とするように変わってきているということからしまして、長く特養で暮らしていた人が最期を迎えるという時に、またその場所を見つけるという必要がないように、看取りを行うことまで進めていく必要があると思っています。そのためには、医療を含めた的確な対応が必要で、その体制が必要になるわけですけれども、今回の資料を見ますと、27ページで非常勤医師が95%、非常勤医師の稼働状況を見ると4時間以下が7割ということで、これでは不十分だと思っています。

 しかも、連携可能な医師はいないというのが、29ページの資料で見ますと41.6%、約4割ということです。なぜ連携できないのかということについて、ぜひもう少し深掘りした資料提供もいただきたいと思います。医療提供体制が不十分な地域で、そういった連携といったことが難しいということなのか、医師が忙しいということなのかといった分析をぜひしていただき、議論を進めていければと思います。

 2ページにもありますように、現状の人員基準というのは、医師は必要な数とされているだけですので、何人と決まっていないわけですが、もしそういう配置が難しいということであれば、少なくとも医師数に加えて、医療との連携を含めた必要な体制の確保ということを要件化すべきだと思います。こういった医療の充実とあわせて、看取り・介護加算の検討もしていく必要があると思います。

 一つ質問ですが、次の身体拘束のところですけれども、身体拘束廃止未実施減算のボリューム感がわからないので、算定数を教えていただきたいと思います。

○田中分科会長 質問にお答えください。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 身体的拘束廃止未実施減算の算定実績についてのお尋ねでございますけれども、平成29年4月審査分での計算によりますと、その算定件数は6,000件となっているところでございます。

○伊藤委員 6,000件ということですね。そうすると、特養のことだと思うのですけれども、6ページにあります特養の施設は9,645ですね。月次ベースで6,000ということは、3分の2以上が身体拘束、報告が出せないような状況で未実施減算が行われているということなのでしょうか。

○武井高齢者支援課長 今、申し上げました6,000件につきましては、受給者数をベースにしているところでございます。

○伊藤委員 資料の41ページの一番下の留意事項と書いてあるところ、入所者全員について所定単位数から減算することとすると書いてあるのですけれども、これとの関係で。

○武井高齢者支援課長 6,000件と受給者数のベースで申し上げましたけれども、分母が57万余りということになりますので、いわゆる算定率という概念で数値を出しますと、0.04%ということになります。

○田中分科会長 瀬戸委員、お待たせしました。

○瀬戸委員 論点に沿って幾つか述べさせていただきます。

 まず、論点1ですが、プライバシーの重要性は大変重要なところですが、古くからある施設を、例えば居室面積を広げてユニットに建てかえるということは、土地面積・容積率・建蔽率等の限界もあるので非常に難しいのが現状です。

 それから、参考資料の18ページにありますけれども、個別ケアを実現するためには、先ほど鈴木委員もおっしゃっておりましたが、ユニットというハードだけでやるわけでは決してなく、利用者それぞれの尊厳の保持や自立支援、日常ケアの取組に至るまで、いわゆるソフト面も含めて個別ケアを提供しています。

 一方で、低所得の方はユニットを避ける傾向があります。そこで、ユニットとしてハード面を行う難しさの一方、プライバシーの確保と、既に提供されているケアの提供を担保していく上では、準ユニットケア加算の算定要件を少し緩やかにすることで、ユニットのような形でのケアがふえていくのではないかなと思います。

 また、プライバシーに配慮した個室のしつらえや増床について係る費用について、医療介護総合確保基金で対応できるように都道府県への指導等を配慮していただければなと思っております。

 それから、論点の2つ目でございますが、まず基本的に、今後ここでも議論になりますが、新しく介護医療院というものの創設が決まっております。それとの兼ね合いも含めて、特別養護老人ホームでの医療ニーズをどこまでやっていくのかということを、ちゃんと役割分担する議論をしないといけないのではないかと思います。何もかも全て特養でというのではないと思います。ただ、医療と介護の連携というのは非常にキーワードになっていますので、特養において自然な形での最期を迎えるに当たっての体制を整えていくことを 評価すべきだと思います。

 それで、幾つか提案がございまして、例えば看取り加算の充実、2つ目が配置医師として勤務する非常勤医師の体制に対する報酬上の評価、3つ目が死亡診断に係る柔軟な運用の実現が考えられると思います。

 看取り加算に関しましては、前回も加算をしていただいておりますけれども、看護師の精神的な負担増や配置に係るローテーション等を踏まえて、4日から30日の体制についてさらなる増額をお願いしたいと思います。

 それから、特養配置医師に関しましては、日ごろの利用者の状態の変化等を何でも相談でき、必要なときには専門医あるいは専門医療機関につなぐことや、地域医療や保健福祉を担う総合的な役割を担っていただいています。こういうことから、配置医師が特養において積極的にかかわっていけるような評価を検討していただけるのではないかと思います。そうすることで、より特養での医療体制が充実していくと考えます。

 また、死亡診断に関しましては、規制改革実施計画で、ICTの活用により医師が死亡診断書を交付できる仕組みのあり方を検討いただいているようです。そこではICT等活用による死亡診断の交付が進むように、法医学に関する看護師等への研修の機会の充実等が検討されているようですが、施設に従事する看護師がこの研修を受けやすいような仕組みにすることも必要だと思っております。

 それから、論点の3つ目でございます。当然、身体拘束のみならず、尊厳の保持に取り組むことが重要です。当然のことながら身体拘束をなくしていくことが必要だと思いますので、身体拘束の未実施減算の減算率をより高くすることや、身体拘束に関する委員会等の開催を情報公開で義務づけることによって、施設内の取り組みが外部へのわかるような仕組みをつくることがよいのではないかと思います。

 それから、論点の4つ目の障害者支援に関してです。実際に障害をお持ちの方を積極的に受け入れることを評価する観点は重要だと思いますが、一方で、算定率の低さを考えれば、より受け入れの裾野が広がるような方策が必要だと思います。

 最後に、論点にはなっておりませんが、食費と居住費の基準費用額について、3つ見直しをしていただきたいと思っています。

 1つは、物価高騰に伴い、食費の基準費用額の増額が必要であるということ。

 2つ目は、食費の基準費用額の根拠について、介護保険3施設の平均ではなく、特養・老健・療養型、それぞれで算出していただきたいこと。

 3つ目は、居住費に当たる基準費用額相当の水光熱費は、従来型個室、ユニット型個室についても上昇しており、基準費用額の増額が不可欠だと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員、小林委員の順でお願いいたします。

○武久委員 論点2の看取りや医療ニーズというところですけれども、私も長年医者をやっておりまして、私のモットーというか、どういうふうにやってきたかというと、治る病院は治してさしあげる。患者さん本人の御希望を第1に考える。御家族の希望よりは、患者本人の希望を当然第1に考える。この2点は守って、ずっと医師をやってまいりました。

 特養での看取りというのは、がんの場合とか、本当にだんだん老衰になってきて、何をやっても受け付けないという状態になったときの看取りというのは、特養で行おうと、在宅で行おうと、病院で行おうと、あり得るんですけれども、一番は、そういう場合、本人が苦しくないようにする。QOLを保つ。要するに、たんが詰まって苦しかったらたんをとってさしあげる。呼吸回数が多くて苦しそうであれば、せめて酸素ぐらいはしてさしあげる。それとか、体位変換もしてあげないといけないし、あちこち痛くなるし、いろいろあります。非常に手間がかかる。

 さらには、栄養とか水分の投与も当然ある程度しないといけないということもありますけれども、この特養でのターミナルをみるということが進められておりますけれども、今、特養側の委員の瀬戸さんがおっしゃったように、介護医療院というものができる。特養に看取りを強制ではないけれども、できるだけしてほしいというのはわかりますけれども、夜は介護職員しかいないのです。その中で瀕死の方を、介護職員が幾ら喀たん吸引の訓練をしていても心細いことこの上ないということでございます。

 そういうこともありまして、特養での看取りにはいろいろな要因がある。すなわち、病院へ送るとベッドがあく。あいたベッドは、一定期間は帰ってくるということで空床のままにしておかないといけない。そうすると、そういう人が10人いると施設の収支はマイナスになる。こういう経済的な理由もありますし、また家族は、病院へ行くと高いから、ここにいると安いから、ここで何とか終わらせてくれという希望を出される場合も現実にあります。そうしたときに非常に苦悶するわけでございますけれども、特養に関しては、お医者さんが行っても再診料も取れないし、要するに診療費が非常に安く抑えられております。

 逆に言うと、御家族にとってはその状態でしていただければ、こんなありがたいことはないと。しかし、治る病気は治してさしあげるという基本でもあるし、またターミナル、終末期というものの定義。いろいろあると思います。私は日本医師会に属していますので、日本医師会の終末期の定義を申し上げますけれども、医師及び医療チームが最善の治療を施したとしても、病気の進行を食いとめられず終末に至る場合とはっきりと書いてあります。最善の治療というのが非常に大きいですね。では、どこにおける最善の治療か。最善の治療をしてもだめというのは、ほとんど厳しいと思います。だから、そういう定義が一方であるわけですね。我々、どうしたらいいのかということを考えるわけでございます。

 私も特養の嘱託医をしていましたけれども、必ずいつも行けるわけでもなし、また週一遍程度行って、全員を回診することもできないし、確かに医療的なヘルプは十分できていない。血液検査をすると、かなり悪い方もいらっしゃいます。病院に入院して治療を受けたら、もっとよくなると思われる例でも、御家族の反対によって、そのままになって、施設側も困惑する。いろいろな場合があるわけです。したがって、この場合にどうしたらいいのかと。

 また、特養の中に診療所をつくれという法律もありまして、その診療所には診療所長を設けろと言われる場合もありまして、実態に即さない。これは、もうちょっと実態に即した施設への医療提供というものを考えていただかないと、顧問料はもらっているけれども、何回行っても再診料は取れない。これは、昔、いろいろ問題になったんだと思いますけれども、そろそろ変えていただかないと、病院でも特養でも重症者がどんどんふえているんですね。だから、そのあたりをもうちょっと考えていただいて、特養における医療についての抜本的な改革というのをお願いしたいと思います。

 また、特養は終のすみかですと定義されたら、一回入ったら出たらいけないのか。しかし、特養の中に入っていろいろ支援していただいて、サービスを受けてよくなる。よくなったら帰っていただいてもいいんじゃないかと私は思います。ただし、また悪くなったときは帰れる権利はある程度おつけして、在宅ほどいいところはないので帰っていただくとしないと、終のすみかだから、何もかもここで全部するということがターミナルということの延長になっていると思います。

 この9月か10月に介護医療院というものが多分出てくると思いますけれども、新しい施設は病院の中でありまして、お医者さんも病院の中にはいつもいるという意味では、少なくとも特養よりはターミナルをみるにふさわしい施設かなと思います。

 それから、論点マル1ですけれども、このあたりは実は私、ユニットケアもやっていますし、リハビリ病院もやっていますけれども、ユニットケアだと普通、毎月15万円要るんです。これは、もともとは特養は低所得者に資するような施設として始まったものの、個室料をある程度個人負担にしなさいということですから、大変に負担は大きいということです。したがって、ここをどういうふうにしていくか。

 私は、ユニットケアにならない程度の個室で全部個室にして特養をつくった例があります。そうすると、ユニットケアの点数ではなく、非常に安い入所費用になるという、制度がちょうど変わる境界のところでありましたので、そういう施設がございます。

 ユニットケアができたころは、日本も上り調子で人口もふえて、今、2008年から人口がどんどん減ってきていますから、だんだん経済的にも厳しくなってきて、全部の特養をユニットケアにしようといっても非常に厳しいような感じがしますので、法律的な方針とか、特養に対しての考え方、方針、昔からいろいろ経過してきていますけれども、どこかでちょっと見直さないといけない時期が来たかなと、私は長年ずっとやっておりますと感じておりますけれども、関連の担当の方はどう考えているか、聞かなくて結構ですけれども、今後よろしくお願いしたいと思います。

○田中分科会長 今後、考えよとの意味ですかね。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 ありがとうございます。

 介護老人福祉施設については、一般的に終のすみかと言われておりますが、そのような前提に立てば、個人のプライバシーに配慮しつつ、できる限り居宅に近いような生活環境を整備することが重要であると考えます。そうした観点から、引き続きユニット型個室の整備を促進しつつ、特に都市部などでは面積上の制約も多いと思いますので、ユニットケアとしてどのような居室類型が適切であるのか、先進事例なども踏まえながら検討していくべきだと思います。

 また、終のすみかという観点からは、最期は特養で迎えたいというニーズも多いと思われますし、論点の2つ目の○にありますように、看取りや医療ニーズへの対応が最大の課題であると考えます。その意味では、既に御意見がありましたように、また今、武久先生から看取り・医療ニーズへの対応について詳細な御説明をいただいた後で、なかなか申し上げづらいのですが、配置医に対して、勤務日以外の連携を強化していくことに加えて、配置医以外の医師との連携が広がるような環境を整備していくべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 稲葉委員、それから小原委員、鈴木委員の順でお願いします。

○稲葉委員 論点にはありませんが、手短に1点申し上げたいと思います。他の委員の方々の御意見にもありましたように、終の棲家ということで機能を果たしていると思いますが、介護保険部会の意見にもありましたように、特別養護老人ホームの在宅復帰に対する支援を検討すべきであると考えます。具体的には、要介護度が軽減して在宅に復帰することや、要介護度の維持・改善のような支援に対しての評価をすべきという視点が必要ではないかと考えます。

 以上です。

○田中分科会長 はい。

○小原委員 利用者さん側の立場から言いますと、特養というのはそもそもセーフティーネットの重要な役割を担っておりますので、在宅生活の限界点との兼ね合いも考えながら、中重度への対応とか看取りへの対応、地域との関係性などを踏まえて、適切なケアマネジメントとともに機能していくことが必要であると思いますので、意見として述べさせていただきます。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 特養での看取りにおける死亡診断の話ですが、瀬戸委員からは看護師もという話がありましたけれども、特養には基本的に配置医がいて、協力医療機関もあるわけですから、我々としては死亡診断は医師がやるべき仕事だと考えております。

○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 特別養護老人ホームにつきましては、論点1のところですけれども、なるべくプライバシーとよいケアということで、準ユニットケア加算というのがあるということで、事前にそれがどれくらいとられているのかということで伺いましたところ、0.4%というお答えをいただきましたので、私は年金上、特別養護老人ホームの多床室にしか施設としては選択の余地はありませんので、なかなか厳しいなと思うんですけれども、準ユニットケア加算というのは5単位/日ということなのですけれども、この単位数が少ないゆえに余りとられていないのか、それとも条件が厳しくてなかなかとられていないのか。

 その辺はよくわからないんですけれども、もし改善の余地があるのであれば、こういう措置がもう少しとられるような。単位数がもうちょっとふえても、何とか負担できるかなと思うんですけれども、よい道を探っていただければと思います。

 ちょっとそれとは外れるんですけれども、資料の1ページの現状と課題のところで、要介護3以上という原則、入所制限ができたわけですけれども、これについては、市町村の適切な関与のもとでということでありますので、果たしてどれくらい特例入所があったのかということで事前にお伺いしましたところ、調査に回答してくださった1,400施設において、240人。新規入所者数1万1,000人のうちの2.2%であるということで、具体的には特例入所は狭き門であるなと思わざるを得ないと思うんですね。家族の会は、従来から特別養護老人ホーム、要介護3以上の入所制限は撤廃すべきであると要望しておりますけれどもね。

 群馬県などでは特養をめぐる状況というのも大分変わりつつありますし、低所得の人に対する役割ということを考えていくと、これから介護度だけで選別するんではなくて、必要な人に必要なサービスを提供する施設という形に戻すのが妥当ではないかと考えていますので、よろしくお願いいたします。

○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 ICTによる死亡診断書の取り扱いについて、少し意見が出ましたので。

 私も研究班に入って、どういった運用ができるのかということを検討しましたけれども、かなり厳格的な運用になるということ。それから、医師が不在で死後診察に来られないケースはどうしても発生しますので、この仕組みは必要だと思いますけれども、死亡に事件性がないということを法医学等の知識をもって判断しなければいけないという状況になりますので、ぜひ特養の看護職員に積極的に研修を受講していただきたい。そのときには、施設長が看護職員の役割をきちんと理解して研修に出すことを決断していただかないと難しいと思いますので、老施協さんにはぜひ御協力をお願いしたいと思います。

m○田中分科会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 論点の2つ目ですけれども、看取りや医療ニーズへの対応というところで、最初に齋藤委員がおっしゃっていたところと関連するかもしれないですけれども、これを考えるときに、特養の中に配置する看護職をもっと手厚くという方向で安易に進めないでいただけるといいなと願っています。実際には、初期の段階から重症化予防で、そして健康管理で看取りまでということのプロセスを考えたときに、看護の機能が十分なのかという視点はもちろん重要です。

 ただ、とても限られた資源ですので、1つの箱、事業所の中に張りつけるということを増すという考え方ではなくて、既にこの資料2の4ページのところで、外部からの看護の提供についてはということで、現状で可能になっている医療保険と介護保険のものが整理されていますけれども、こういった外部からの看護の提供、その機能を中に閉じ込めるのではなくて、地域全体として、この機能を確保するという視点から、不十分なところは風を通すという視点で進められたほうが、これは実は論点の3つ目のリスクマネジメントを充実させるということにもつながるのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 松田委員、お願いします。

○松田委員 御参考までということで。

 多分、こういう議論をするときは、東委員が言われたようにデータが必要だと思うんですけれども、御参考までに、7,500人ぐらいの特養入所者を4年間追いかけてみました。当初いた7,500人ぐらいの5%ぐらいの方が毎月、一般病院に入院しています。それ以外のところにはほとんど入院していません。死亡が毎月1%ぐらい、0.7から2%ぐらいであります。

 ほとんどの人が外来のレセプトが出ています。多分、配置医以外の方で、配置医の先生の診療科以外のところで診られている方も多いと思います。そうすると、例えば死亡診断書のことに関しても、1人の配置医だけでやるのがいいのか。もし診療科以外の先生も診ているのであれば、チームで管理するという考え方もあるんじゃないかと思います。いずれにしても、データを見ていくと、それほど深刻な状態で医療が足りないという状態でもないと思います。実際に死亡というものも1%ぐらいの発生ですので。

 実は、入院する方はどういうものが原因で入院しているかというのも見ているんですけれども、かなりの部分が肺炎と骨折です。そう考えていくと、こういうデータから、看取りのあり方とか、特養における医学的管理のあり方というのは、もう少し具体的な議論ができるのではないかと思います。一つ一つの記述を見ていくと、いろいろなものが足りないように見えてしまうんですけれども、実際にはかなりの程度のことができていると思います。あと、一般病院に入院しなければいけないような状況のところをどういうふうに考えていくのかということを考えていけば、老人福祉施設における医療の問題、看取りの問題というのは、もう少し具体的な提案ができるのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 データに基づく冷静な意見、ありがとうございました。

 瀬戸委員、どうぞ。

○瀬戸委員 先ほど看護のことが出ていましたけれども、確かに限られた人材を有効活用していくという視点はすごく大事なことだと思いますが、参考資料の32ページで、改定検証事業のほうで、特養の医療的ケアの現状についての調査研究の中で、訪問看護ステーションとの連携により、入所者の対応の充実を図ることができると思いますかという医療処置で、特にないというのが一番多くて47%。その理由として、自施設で対応が可能が70%ということで、特養の看護職員のレベルがかなり高いと。実は、これは看護協会さんが中心に、特養の看護職員の研修を非常に充実していただいておりまして、そういう意味も含めて、かなり現状としては自分たちでできるというのが結論となっていると思います。

 むしろ、先ほど施設長が研修に出せとおっしゃっていましたけれども、こういう研修会により積極的に参加できるような支援を今後検討していただければなと思います。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 河村委員、お願いします。

○河村委員 今回、論点と違う角度から意見を申し上げたいと思います。

 従来から、中山間地、小さな町村の実態を何回かここでお話しをさせていただきました。それで、平成25年度の制度改正によって、介護度3以上でなければだめだ。介護1については、それぞれの市町村長が判断したときにということで、それはそれとして、私どもの在宅サービスセンターが、さっき武久先生がおっしゃったように、採算に合わないから入ってこないんですというお話しをさせてもらいました。1・2をとってもらい、実際には特養はその役割を担っているというのが実態でございました。

 しかし、1・2をとらなくなったことによって、今、私どもに4つ特養がありますけれども、1割空きができちゃったんです。こういう実態をちゃんと捉えているのかどうか。それから、そのことによって、施設運営が非常に窮屈になりました。

 もう一つは、介護職員の確保でございますけれども、これも地域手当の問題で何回もしつこくお話しをさせてもらいました。私どもの町はもうゼロに近いわけですから、そうじゃないところに介護職員が流れちゃうんです。こういうトータル的な問題を一体どうするのか。片方では23区に聞いてみますと、600人から700人の3以上の待機者がいる。片方では、私どもの施設は4つありますけれども、その4つの施設の1割があいている。

 前はそういう状態ではなかったんです。そういうことが何で起こったのかということもきちんとやっていただいて、施設を利用する。あるいは、在宅サービスもそうでございますけれども、そういうものが有機的にうまく動くということも、トータルとして私は必要ではないかなと思っております。

 いずれにいたしましても、これから先も在宅サービスの事業者は、多分うちの町では入ってきません。したがって、町独自でデイサービスセンターを2カ所設けて、そこに町費を入れて実際に対応している。こういうところが小さな町村の実態でございますので、それぞれの議論している部分は非常に大事なことなので、それも私は聞かせていただいておりますけれども、片一方では、こういう大きな問題を抱えているところが928の町村の中にあるんだという実態。

 それから、東京都の中においても、2326市の人が私たちの4つの施設を利用しておりますけれども、今、1・2がだめになったことによって、その空きが起こってきて、施設経営そのものがどうなんだというところまで来ているという実態を皆さんに知っていただくと同時に、この議論もしていただき、報酬の改定に向かってきちんと整理していただければありがたいなと思います。

 以上です。

○田中分科会長 問題提起、ありがとうございました。

 時間になってまいりましたけれども、次の議題の「特定施設」について説明だけ伺って、本日は終わることにいたします。説明だけ、今回お願いいたします。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 お手元に資料3、参考資料3を御用意、お願いいたします。

 本体資料3、表紙をめくっていただきます。特定施設入居者生活介護の現状でございます。

 こちらは、サービスとしまして、特定施設に入居している要介護者を対象として、介護、日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話をしているという性格のサービスでございます。

 2つ目の○でございます。特定施設の対象は、有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームでございます。

 3つ目の○でございます。有料老人ホームにつきましては、入居定員数は約46万人、施設数は約1万2,000施設となっております。そのうち、特定施設入居者生活介護の多くを占めます介護付き有料老人ホームにつきましては、入居定員数が23万人、施設数が4,000となっているところでございます。

 4つ目の○でございます。特定施設入居者生活介護は、要支援から要介護5まで。また、認知症の方も含め、幅広い状態の方が利用をされておりまして、その中で、要介護3から5までの要介護の割合は4割を超えているところでございます。こちらに関しましては、参考資料の7ページにデータを掲載しておりますので、確認をお願いいたします。

 本体資料の2ページをお願いいたします。特定施設入居者生活介護の看取りや医療対応についてでございます。

 近年は、在宅医療が推進される中、特定施設入居者生活介護におきましては、医療処置を要する入居者数は1施設当たり平均5.4人となっているところでございます。

 2つ目の○でございます。終のすみかとして、退去理由のうち半分以上が死亡による契約終了となっているところでございます。また、看取り介護加算の算定日数も増加傾向にあるなど、看取りに積極的に取り組む特定施設入居者生活介護は増加傾向にございます。

 3つ目の○でございます。看取りにつきましては、職員体制が手厚い施設ほど看取りに取り組んでいる傾向が見られるところでございます。

 本体資料の3ページ目でございます。短期利用型特定施設入居者生活介護でございます。

 1つ目の○、平成24年度の介護報酬改定におきまして、特定施設入居者生活介護におけるショートステイ利用が可能となりました。その算定に当たりまして、利用者が特定施設の定員の10%以内とするという基準が設けられたところでございます。

 2つ目の○でございます。それまで定員の80%が利用されているとの要件を設定しておりましたけれども、27年度の改定で廃止いたしました。また、27年度改定の際には、利用者を定員の10%以内とする基準は、そのまま残されたところでございます。

 3つ目の○でございます。その後、規制改革実施計画におきまして、特定施設のショートステイ利用者率に関する基準のあり方について検討し、結論を得ることとされているところでございます。

 本体資料4ページ目をお願いいたします。これら現状・課題を踏まえまして、論点でございます。2つ挙げております。

 1つ目は、特定施設入居者生活介護は、幅広い状態の入居者を受け入れられる住まいサービスでございます。要支援者から中重度の要介護者や、医療ニーズがある方、看取り対応が必要な方までさまざまな状態の利用者を受け入れているという実態を踏まえて、介護報酬上の評価のあり方について、どのように考えるか。

 2点目でございます。特定施設入居者生活介護におけるショートステイにつきまして、有効なサービス利用を図るために、「短期利用の入居者の数は、特定施設入居者生活介護の入居定員の10%以下」としている要件のあり方について、どのように考えるかということでございます。

 説明は以上でございます。

○田中分科会長 ちょうど時間内に説明、ありがとうございました。

 本日も熱い議論があって、予定していた最後のところの皆さんの意見を伺う時間がなくなりました。いつも積み残していくと終わらなくなってしまうので、どこかで調整が必要になりますが、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 では、次回の予定について、事務局より説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 本日はどうもありがとうございました。

 次回の日程等につきましては、事務局からまた追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれで閉会させていただきます。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

○田中分科会長 ありがとうございました。


(了)

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