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2017年5月31日 中央社会保険医療協議会 総会 第352回議事録

○日時

平成29年5月31日(水)11:48~13:03


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 中村洋委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 中川俊男委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
横地常広専門委員 菊池令子専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○診療報酬改定結果検証部会からの報告について
○歯科医療(その1)について

○議事

 

 

 

○田辺会長

 ただいまより第352回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず、委員の出席状況について御報告いたします。

 本日は、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほう、お願いいたします。

(カメラ退室)

○田辺会長

 それでは、議事に入らせていただきます。

 初めに、報告事項でございますけれども「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」を議題といたします。

 診療報酬改定結果検証部会の松原由美部会長より御報告をいただきまして、引き続き、事務局のほうより補足をお願いいたします。

 では、松原由美部会長、よろしくお願いいたします。

○松原(由美)委員

 検証部会長の松原です。

 平成28年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査につきまして、資料検-2にありますとおり、平成28年度に調査を実施した5項目のうち、

(1)夜間の看護要員配置における要件等の見直しの影響及び医療従事者の負担軽減にも資するチーム医療の実施状況調査

(2)かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価等の影響及び紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の実施状況調査

(3)重症度や居住形態に応じた評価の影響調査等を含む在宅医療・訪問看護の実施状況調査

(4)精神疾患患者の地域移行・地域生活支援の推進や適切な向精神薬の使用の推進等を含む精神治療の実施状況調査

の報告書を取りまとめましたので、御報告します。

 それでは、事務局より資料の説明をお願いします。

○田辺会長

 では、保険医療企画調査室長、よろしくお願いします。

○矢田貝保険医療企画調査室長

 それでは、結果のポイントについて御説明させていただきます。

 まず、検-3-1「(1)夜間の看護要員配置における要件等の見直しの影響及び医療従事者の負担軽減にも資するチーム医療の実施状況調査」の結果の概要でございますが、パワーポイントの4ページ目からが「施設調査の結果」でございます。

 6ページを見ていただきますと、28年に改定しました「医師事務作業補助体制加算の届出状況」ということで、加算1の届け出の割合が高くなっているという結果です。

 7ページには、栄養サポートチームへの歯科医師の参加。これも改定で加算がついてきましたが、約2割のところが連携しているという結果でございました。

 8ページには<夜勤時間数別の病棟勤務の看護職員数>ということでございまして、72時間以上の割合を見てみますと、1.6%減っているという結果などが、施設調査の結果で出てございます。

11ページからが「医師調査の結果」でございまして、業務の負担感であったり、他の職種との業務分担の取り組み状況などを聞いているとともに、13ページに<各業務に対する他職種への期待>ということで、「他職種に実施してほしい」割合が高いものとしては「患者の退院に係る調整業務」や「留置針によるルート確保」などが寄せられております。

14ページが<病棟における薬剤師の配置状況>、15ページが<周術期口腔機能管理における歯科医師との連携状況>についての結果でございます。

17ページからが「看護師長調査の結果」でございます。<看護職員1人あたりの月平均夜勤回数>を見てみますと、改定前後ではほぼ変化は見られないという結果でございました。

18ページには、負担軽減策の効果について調査をしてございます。

20ページからが「薬剤部責任者調査の結果」でございまして、28年4月以降、改定を踏まえまして、新たに薬剤師を配置した病棟が11%、そのうち集中治療室等への配置が42.5%という結果でございました。

2223ページは「病棟薬剤師調査の結果」でございまして、実施することの効果であったり、どのような業務に参加しているかということについて、調査をしてございます。

 次に、検-4-1、かかりつけ医・かかりつけ歯科医についての調査と、紹介状なしの大病院受診の定額負担導入の実施状況調査の結果でございます。

 5ページからが「かかりつけ医調査の結果」でございますが、6ページを見ていただきますと、届け出をしていないのは「施設基準の要件を満たせないから」ということで、7ページにどのような厳しいかという結果が出てございます。24時間対応している薬局との連携が難しい、あるいは診療所では、常勤医師2名以上配置というのが厳しいという結果でございました。

 8ページが、地域包括診療料等の今後の届け出意向が、病院で3割、診療所では1割が検討中ということでございました。届け出時期は28年度が多いという結果でございました。

 9ページに、その効果であったり、10ページに算定していない患者に対して行っていることなどの調査をしているところでございます。

13ページからが「小児科調査の結果」でございます。28年改定で小児かかりつけ診療料ができましたので、13ページに参加している地域における活動、14ページに<小児かかりつけ診療料の届出状況>といたしまして、平均70.6名、患者さんの15%でこの診療料を取っているという結果がございました。

18ページからが「大病院調査の結果」でございます。紹介状を持たない患者からの受診時に定額を徴収する制度つきまして、94.2%が5,000円以上6,000円未満としていました。28年4月以降に徴収金額を変更したという病院が72.3%であり、そのうち、94.3%が5,000円以上に引き上げたということでございました。

19ページは、義務化はされていない200床以上500床未満の病院の定額負担の徴収の状況で、徴収しているところが84%ということでございました。

20ページが、紹介状なしの患者さんの数の変化でございますが、500床以上の病院では42.6%から39.7%、200床以上500床未満の病院では60.3%から59.4%という結果でございました。

21ページは、紹介状なしの初診患者のうち、定額負担の対象となる患者の割合ないし実際に徴収した患者さんの割合について調査したものでございます。

22ページは、金額別に紹介状なしの患者さんの割合について、5,000円以上と5,000未満のところで比較したものでございます。

23ページは<義務化への対応で困ったこと>でございます。

24ページは「かかりつけ歯科医機能調査」ということで、か強診をとっているところの状況について、24ページで<歯科訪問診療の体制>、25ページ以降で医療機関、介護保険施設との連携の状況を聞いてございます。

29ページ以降で、創設しました「エナメル質初期う蝕管理加算」「歯周病安定期治療(2)」の算定回数について調査をしてございます。

32ページからは「かかりつけ歯科医機能調査」のうちの患者調査の結果でございまして、33ページを見ていただきますと、安心感につながるという回答が8割、今後とも定期的な管理を受けたいという方が9割という結果でございました。

 続きまして、検-5-1は、在宅医療・訪問看護の調査結果でございます。

 4ページからが「在宅医療調査の結果」でございますが、8ページを見ていただきますと<機能強化型在支診・機能強化型在支病の届出をしていない理由>としては「常勤医師が3人未満であるから」などの回答が多くございました。

 9ページには<在支診の届出をしていない理由>としましては、「24時間往診体制が困難なため」などの結果が多くございました。

14ページからが「訪問看護調査の結果」でございます。

15ページを見ていただきますと、届け出時期ということでは、機能強化型1でございますが、平成28年度は34%だったということで、要件につきましては、右側にありますとおり、28年改定で加えました、超重症児等の利用者数でとっているところもあったという結果が出てございます。

 続きまして、23ページからが、歯科訪問診療の<在宅歯科医療調査の結果>でございます。

25ページを見ていただきますと、歯科訪問診療を行った患者数は「1~4人」というところが一番多くございますが、だんだん減っていって、最後の「80人以上」というところがまた一定数あるという結果が出てございます。

33ページには、在宅歯科医療についての他施設との連携の状況で、医療機関とが33ページ、34ページは介護施設との連携の状況について調査をした結果が出てございます。

 最後に検-6-1、4番目の調査「精神医療の実施状況調査」でございます。

 4ページからが「医療機関調査の結果」でございます。28年度に創設しました<地域移行機能強化病棟入院料の届出状況>は、5ページでございますが、回答があったものでは10施設ということで、届け出の要件を満たせないという結果がございました。

 7ページからが「入院患者調査の結果」でございます。入院期間であったり、通院回数であったり、患者の属性について聞いてございます。

1011ページでは、入院後の処方薬数の変化について、3割ぐらいの方が減ったという回答だったという結果が出てございます。

1213ページには、退院に向けて実施したこと、ないし退院後に必要な支援についても調査をしてございます。

14ページからが「精神科デイ・ケア患者調査の結果」でございます。利用期間は「5年超~」が最も多く、17ページ、長期頻回による減算に該当の患者さんが15%弱いらっしゃったというものでございます。

1819ページには、精神科デイ・ケアを利用している患者さんの処方薬数の変化について、調査結果が出ているものでございます。

 非常に省略して説明いたしましたが、概要は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 検証部会の皆様におかれましては、さらに事務局も含めまして膨大な資料をおまとめいただきありがとうございました。

 今後の議論に資するために、幾つか追加でのまとめ等をお願いしたいと思っております。

 まず、検-3-1の11ページの「医師調査の結果1」でございます。これにつきましては、今回の調査は28年の調査だけでございますが、恐らく前回の調査にも同じような項目があると思いますので、年度での比較というデータもお示しいただきたいと考えております。

 同様の趣旨で、14ページのところの<病棟における薬剤師の配置状況>等についても、可能であればお願いしたいと思っております。

 次の検-5-1の5ページのところでございます。4ページとも関連しまして「在宅医療調査の結果」ということで、届け出状況が書かれてございますが、これまでの改定の議論にもございましたように、在支診以外の診療所についても、例えば、4ページのところでは223の回答をいただいてございますし、その内訳につきましては、5ページの表にありますように、在宅を担当する常勤の医師数が、在支診以外の診療所については0.9人ということでございます。これは、人数もいろいろな診療所が合わさってこのような形になっていると思いますので、従来から申し上げておりますように、在支診以外の診療所につきましても、一定程度の在宅医療にかかわっていただく、あるいはそこを支えていただくという認識でおりますので、この辺のより詳細な状況を、データとしてもし出れば、そこを提示していただきたいと思っております。

 4番目の精神疾患のところでございます。検-6-1ではなくて、検-6-2の資料の64ページのところには「病院における身体合併症治療への対応状況」という表がございます。この概要版には載せられてございませんけれども、この内容を見ますと、具体的には客体となった精神科を中心とするような病院における対応困難な状況として、熱傷であるとか、手術であるとか、劇症肝炎、重症膵炎の比率が70%以上ということで調査結果が出てございます。

 具体的に、こういった患者さんをどのように診るかということが非常に重要だと思いますので、これにつきましても、ほかのデータ、例えば、一般病院でどのように協力して診るのかとか、あるいは精神科を有する一般病院でどのように対応するのかを含めまして、関連してデータをお示しいただければ、こういう患者さんをどのような形で、連携も含めてどのように診るかということの議論の資料になるかと思いますので、ぜひそういう資料を準備いただければと思ってございます。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 事務局、何かコメントはございますか。

○矢田貝保険医療企画調査室長

 それぞれの議論する会の資料に向けて、できる限り準備したいと思います。

○田辺会長

 ほかはいかがですか。安部委員、お願いいたします。

○安部委員

 万代委員からも御指摘がありましたけれども、改定の影響ということでありますので、経年変化とか比較が見られるものについては、適切に対応していただきたいと思っております。

 例えば、検-3-1の22ページに「病棟薬剤師調査の結果1」が出ております。事務局のほうで注目すべき点について、赤い丸でくくっていただいております。この調査は「負担軽減にも資するチーム医療」というテーマですので、負担がどう軽減したかという観点からで、赤い丸を2つつけていただいていると思うのですが、それ以外にもその下の「インシデントの減少」、「薬物治療の質の向上」、「QOLの向上」、「薬剤種類数の減少」などの結果は非常にチーム医療の観点から重要かと思います。個別の議論の際に、赤丸部分だけではなくて、ほかに重要な点も多々あると思いますので、そういった点をしっかり議論して、資料として出していただきたいと思います。これは要望です。

○田辺会長

 ほかはいかがでございましょう。では、猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 検-3-1の6ページなのですが<医師事務作業補助体制加算の届出状況>が出ております。若干ふえてきているのですが、まだまだ小規模のところではとれないし、大規模が非常に有利という結果が出ているのですが、これは病床単位で急性期の患者さんを何人という考え方ではなくて、病院全体になって、それによって取得できるかどうかが決まります。そうすると、結果としては必ず大病院のほうが有利になると思われますので、そこら辺については次回の議論をするときには、十分に資料を提示していただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょう。では、幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 印象に残った点について、コメントいたします。資料の検-4-1の、いわゆるかかりつけ医機能の検証に関して、地域包括診療料の届け出がなかなか進んでいないのが問題だと感じました。また、20ページになりますが、大病院における紹介状なしの患者数が、500床以上の病院で42.6%から39.7%に、2.9%しか減っていないということについて、5,000円という定額負担の効果が余り出ていないのかなという印象を受けました。その理由を考えてみたのですが、21ページにあるように、実際、紹介状なしの患者のうち、定額負担を徴収できた割合が3割にすぎないことがこの原因ではないかと思います。3割程度になっている要因は、その右のグラフにありますように、例外規定が多いからではないかと思いますので、これをもう少し見直した方が良いのではないかと思います。

 また、22ページを見ると、徴収金額が5,000円未満だったのを5,000円以上に増額した医療機関では、定額負担徴収対象患者数が32%減っています。500床未満の医療機関では、費用を徴収していても、金額を5,000円としていないところが多いと聞いたので、例えば400床、300床の医療機関にも5,000円の定額徴収を責務とする方向で見直してはどうかと思います。

 もう一点、500床以上の医療機関のうち、14%程度の医療機関が、患者に説明しても徴収できなかった患者がいると回答したというデータも、21ページに示されています。紹介状なしで大病院に受診した患者から5,000円を徴収することの目的は、病床の機能分化や連携を図り、医療費の適正化にもつなげるためであるということを国民は理解しておらず、病院が経営的な視点から費用を徴収しているのではないかといった憶測によってクレームなどが出ているのではないかと思います。このようなことに関しては、選定療療として費用を徴収することの意味をもっと国民に対して周知徹底すべきではないかと思います。

 以上、意見でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、中川委員、お願いいたします。

○中川委員

 申しわけないですけれども、きょう、個別の議論をするのですか。幸野委員、今のはちょっと違いますよ。一つ一つの項目に具体的なコメントだとか、次の改定にはこうだとかという議論をする場ではないでしょう。それは考えをお直しください。我々がこんなことをやっていたら、時間なんか限りなくかかりますよ。ルール的にもきょうは説明を聞いて、分析の仕方はこのようにしてほしいとか、追加の資料が欲しいとか、今はそういうことを言う場ですよ。そうですね、事務局。

○矢田貝保険医療企画調査室長

 基本的には、今回は検証、調査の結果の御報告でございますので、ただいまお三方から御意見がございましたので、そういうことも踏まえまして、幸野委員の御発言も含めまして、それぞれの議論する回までに、議論に資する資料を準備するように、事務局としてはいたしたいと思っています。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。ほかはいかがでございましょう。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりにしたいと存じます。

 次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「歯科医療(その1)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。

 では、歯科医療管理官、よろしくお願いいたします。

○小椋歯科医療管理官

 歯科医療管理官でございます。

 総-2の資料をごらんください。「歯科医療(その1)」でございます。

 2ページでございますが、こちらに示してありますように、大きく3つのパートに分けて説明をさせていただきます。

 3~4ページ目ですが、こちらは、歯科医療機関数を示してございます。大体歯科の診療所が7万件という形になっております。

 5ページですけれども、こちらは「歯科医師数(医療施設従事者数)の年次推移」を示しております。歯科医師の数は大体10万人となってございます。

 6ページのほうは、歯科診療所の従事者数を示したものでございます。大体、歯科診療所は従事者数が5人以下の小規模事業所となっております。そのうち、歯科医師が大体1.4人で、歯科衛生士が1.4人となっております。

 7ページ以降は、患者の状況を示したものでございます。

 8ページが、歯科診療所の患者の年次推移を示してございます。平成11年から平成26年までの大体15年間は増加してきております。

 次の9ページが「年齢階級別の推計患者数の年次推移」を示したものでございます。右側が割合を示したものでございまして「6574歳」または「75歳以上」という方々を、右側の赤の点線で囲っておりますけれども、このような方々が割合としては増加しているということでございます。

10ページは「年齢階級別の一人平均現在歯数」でございます。一人平均現在歯数は、全体として増加傾向にございますけれども、特に75歳以上の高齢者で顕著となっております。

75歳以上の高齢者で歯が残るようにはなってきておりますけれども、ページの11枚目をごらんください。赤の点線で囲っているところが、歯が20本未満の方々の割合でございます。こちらを見ていただきますと、50歳くらいから大体15%程度は歯がない方がいらっしゃって、70歳以上では大体60%程度は歯が20本未満という形になっております。

 ページの12枚目でございますけれども、3歳児、12歳児の虫歯の数の年次推移でございます。いずれもこちらは減少しております。

 スライドの13枚目ですけれども、これは歯周病でございます。4mm以上の歯周ポケットを有している者の数は、75歳以上で増加が顕著でございます。

14ページですけれども、こちらは「歯科傷病分類別の推計患者数の動向」でございまして、青の棒グラフが平成8年、オレンジの棒グラフが平成26年度を指してございます。青の棒グラフだけを見ていただきますと、一番高いのが一番左側の「う蝕症」、つまり虫歯になっております。オレンジの平成26年を見ていただきますと、「慢性歯周炎」、つまり歯周病が1番となっております。

 これらをもう少し因数分解したものが、ページの15枚目でございます。一番左側の「う蝕症」を見てみますと、虫歯全体としては減ってきておりますが、65歳以上の方々はふえている状況になっております。

 「慢性歯周炎」と「歯の補てつ」ですが、こちらも増加してきておりまして、65歳以上の方々の増加が顕著となっております。

16ページですけれども、こちらは平均診療間隔を示したものでございます。いずれの年齢階級においても延びてております。

17ページですが、外来受療率を示したものでございます。こちらは、う蝕ですとか、歯肉炎、歯周疾患、歯の補てつに関する年齢階級別の受療率を示したものでございます。

18ページですけれども、こちらは、赤の折れ線で示しているものが、歯科診療所の外来受療率でございます。歯科診療所の外来受療率と、青の点線で示しているものが、病院とか医科のほうの診療所の受療率でございます。歯科のほうの診療所では、6574歳をピークに、こちらは減少してきておりますが、医科の病院ですとか診療所はそのまま増加しておりまして、医科と歯科がここら辺で違っております。

 スライドの19枚目をごらんください。では、高齢者になると歯科ニーズが減ってくるのかということですけれども、実際に70歳以上の高齢者の方々の口腔内を診ても、かみにくいとかそういう自覚をされている方は増加傾向にあるということになってございます。

 それと、1点修正でございますが、19ページのグラフの単位は「(千人)」となっておりますけれども、こちらは「(千人)」ではなくて「(人)」に修正をお願いいたします。なお、ホームページにつきましては、修正したものを掲載させていただきたいと思っております。まことに申しわけございませんでした。

 スライドの20ページが参考資料でございますが、要介護高齢者の歯科の口腔内の状況で、左側の円グラフのオレンジ色のところと赤いところを見ていただきますと、大体7割ぐらいが口腔内に何らかの歯科疾患の治療の必要性があるという結果になってございます。

21ページ目以降が、歯科医療費に関する資料でございます。

22ページですけれども、こちらは「歯科診療医療費の年次推移」を示してございます。直近の歯科診療医療費は約2.8兆円となっております。

23ページ目を見ていただきますと、左側のグラフが平成16年、平成21年、平成26年の医療費の年齢階級別を示したものでございますが、「0~14歳」あるいは「65歳以上」で増加している形になってございます。

 右側は「人口の伸び率」ですけれども、高齢者のところで人口が伸びているので、人口は左側の歯科医療費も伸びている形になっていることが推測されます。

24ページですけれども、こちらは「人口1人あたり歯科診療医療費」です。人口1人当たりの歯科診療医療費につきましては、先ほどと同様に「0~14歳」と「65歳以上」で増加傾向が見てとれます。その伸び率を右側に示しておりますが「0~14歳」は、絶対値としては低いですけれども、伸び率としては高くなっている状況になっております。

25ページをごらんください。こちらは「診療報酬点数の推移」になってございます。こちらの左側は、1日当たりの診療報酬点数を年次推移で示したものです。右側が、レセプト1件当たりの診療報酬点数の年次推移を示したものでございます。

 左側は全体的に増加傾向にございます。右側につきましては「一般医療」「後期医療」ともに減少傾向になってございます。

26ページですけれども、こちらは平成17年と平成27年の10年間のレセプトの診療内容の推移を年齢別に示したものでございます。平成17年と平成27年を比較していただきますと、大体の年齢階級層で点数が減少しておりまして、そのうち、「歯冠修復及び欠損補綴」つまり、主に入れ歯の治療やかぶせものの治療等でございますが、こちらの減少が顕著という形になっております。

 また、右側の「85歳以上」の高齢者のところを見ていただきますと、赤の点線で囲ったところですが、こちらは「在宅医療」になっておりまして、かなり増加が顕著という形になってございます。

 スライドの27は、前回の改定のときにも示させていただいた資料でございます。

 スライドの28につきましては、「平成28年度診療報酬改定の概要(歯科)」をお示ししてございます。

 スライドの29枚目以降が「2.地域包括ケアシステムの構築の推進」ということになっておりまして、スライドの30が「かかりつけ歯科医について」をお示ししております。

 スライドの31枚目でございますが、「かかりつけ歯科医がいる割合」を全国の2070代の男女1万人に確認したところ、かかりつけ歯科医がいますという方々は大体65%になっておりまして、右側の横棒のグラフを見ていただきますと、大体男性よりも女性のほうでかかりつけ歯科医がいる割合が多く、年齢が増加するほど、かかりつけ歯科医がいる割合も増加する傾向になっております。

32ページをごらんください。こちらも「歯科医療サービスの提供体制の変化と今後の展望」ということで、前回の改定の際に提示した資料でございます。

 スライドの3334ですけれども、こちらにつきましては、今、医政局で検討会を行っておりまして、その中でかかりつけ歯科医のイメージを議論いただいているという資料でございます。

 スライドの35ですけれども、こちらは「かかりつけ歯科医機能の評価のイメージ」ということで、前回の改定時にお示しした資料でございます。

 スライドの3637ですけれども、こちらは平成28年度の改定で導入した「かかりつけ歯科医機能の評価」ということで、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所について記載したものでございます。

 スライドの38をごらんください。こちらに、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の数が大体7,000施設になっておりまして、歯科診療所の約10%を占めております。下の棒グラフは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所で算定している回数を示してございます。

 スライドの39ですけれども、患者が「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を選んだ理由」でございます。これらの理由の中には、左側の赤の点線で囲っているところがございますが、1番目が「かかりつけの歯科診療所だから」という当たり前の回答なのですけれども、「むし歯や歯周病の定期的な管理をしてくれるから」と回答をした方々も大体50%前後おります。

 ページの40枚目ですけれども、こちらは「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に通院したきっかけ」でございますが、グラフの一番上を見ていただきますと「痛いところがあった」あるいは「歯ぐきが腫れた、歯ぐきから出血があった」という方々よりも「口の中を全体的にみてほしい」という回答が最も多くなっております。

41ページ目をごらんください。こちらは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所と、そうでない歯科診療所の連携の状況を比較したものでございます。一番上が医療機関、真ん中が介護保険施設、一番下が地域の在宅医療・介護等を担う医療機関等との連携という形になっておりまして、いずれにしてもかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のほうが連携の割合が高くなっています。

 一番下の「地域の在宅医療・介護等を担う医療機関・事業所との連携等」がどのような連携をしているかが、42ページ目になってございます。こちらを見てみますと「地域ケア会議、サービス担当者会議などへの参加」が最も多くなっております。

 スライドの43ページ目以降が「(2)周術期口腔機能管理等の医科歯科連携の推進」についてでございます。

 スライドの4445につきましては、平成28年度の改定に係る資料でございます。

46ページにつきましては「周術期における口腔機能管理のイメージ」を示しております。

47ページですけれども、こちらは周術期口腔機能管理の算定状況を示してございまして、年度別に見ますと、年々増加している傾向にありますけれども、下の表を見てみますと、病院併設歯科がほとんどであって、歯科診療所では余り算定されていない状況が見てとれます。

48ページですけれども、こちらは各都道府県別の周術期口腔機能管理を行っている医療機関の数でございます。こちらは各都道府県によって差があるという現状でございます。

49ページですけれども「周術期口腔機能管理における医師と歯科医師の連携」についてで、一番上の横棒のグラフを見ていただきますと、連携しているという施設は全体で大体30%程度となっておりますが、そこから下のほうは病床別に記載しておりまして、病床が多くなるほど連携する割合は増加するということになっております。

50ページですけれども「歯科医師との連携効果として期待していること」につきましては、1番目は「専門的な口腔衛生管理・口腔機能管理」となっておりますが「挿管時の歯に関するトラブルの予防」「口腔内の感染源の除去」も期待されているという回答になっております。

 ページの51枚目につきましては、栄養サポートチームに歯科医師が参加した場合の評価を、前回の平成28年度改定で新たに導入したところでございます。こちらの算定回数を示したものが52ページになっております。

53ページですけれども「栄養サポートチームにおける歯科医師の参加状況」を示したものでございます。一番上が、全体として大体20%程度が、歯科医師と連携している状況になっておりまして、下のほうを見ていきますと、病床別に見ていただきますと、病床が多くなるほど連携する割合はふえております。

 歯科医師と連携効果として期待していることにつきましては、一番多いのが「専門的な口腔衛生管理・口腔機能管理」となっておりますけれども、「口腔内の感染源の除去」でありますとか「咀嚼機能、摂食嚥下機能の評価」も期待されているという回答になっております。

55ページをごらんください。こちらは、現行の診療報酬の項目で、医科との連携を必要とする主な項目を記載したものでございます。

5657ページにつきましては、糖尿病と歯科との連携に関する資料をお示ししてございます。

58ページは、ビスフォスホネートあるいはデノスマブ、これらの骨粗鬆症に関する薬ですけれども、こういう薬を飲んでいる患者は難治性の顎骨壊死になりやすいということがございまして、そういう患者につきましては、さらに医科と歯科との連携が必要になるということでございます。

 スライドの59ですけれども、こちらは「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」でございます。こちらにも、医科歯科連携につきまして記載されている事項がございます。

61ページ目以降につきましては、歯科診療で特別な対応が必要な患者に関する資料でございまして、62ページにつきましては、診療報酬上の主な評価を示してございます。

 視点を若干変えておりまして、次の63ページでございますが、こちらは病院歯科に関する資料でございます。オレンジの折れ線が全部の病院の数でございます。オレンジの病院の数につきましては、年々若干減少傾向にございますが、歯科口腔外科を標榜している病院については若干増加傾向となっております。

64ページですけれども、こちらは、そのような病院歯科の中で、下に示しております【施設基準】を満たしているところに関する評価を示してございます。

65ページですけれども、こちらは、患者にとってより安全で安心できる歯科医療の総合的な環境整備の評価に関する、【歯科外来診療環境体制加算】に関する資料でございます。真ん中に[施設基準]がございますが、この施設基準を満たす歯科診療所に関する評価となっております。届け出の歯科医療機関の数を左側の棒グラフで示しておりますが、経年的にふえてきており、今は歯科診療所の16%程度になっております。

66枚目以降が、口腔機能に関する対応になっております。

67ページですけれども、こちらも前回の改定時に御提示した資料でございます。

68ページにつきましては、「発達期の口腔機能評価マニュアル(案)」となっておりますけれども、日本歯科医学会が今、作成中の小児の口腔機能管理に関するマニュアルの一部を提示しているものでございます。

 次の69ページ目以降は「高齢者の口腔機能の状況」を示しておりまして、一番上の緑の横棒グラフを見ていただきますと、一番下が「何でもかんで食べることができる」という方々ですが、その何でもかんで食べるという方々が大体60%程度で、そうではなくて「一部かめない食べ物がある」とか「かめない食べ物が多い」とか「かんで食べることはできない」という方々が大体40%程度いらっしゃるという形になっております。

 下の横棒グラフにつきましては、「食べ方や食事中の様子」について「はい」「いいえ」で答えていただいたものですが、「口の渇きが気になる」「お茶や汁物等でむせることがある」「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」という方々が大体2530%程度いらっしゃって、それらの方々が咀嚼の状況別に横棒グラフにしたものが70ページでございます。

 「一部かめない食べ物がある」という方と「かめない食べ物が多い」という方々を比べてみますと、下の「かめない食べ物が多い」という方々のほうが、「口の渇きが気になる」「お茶や汁物等でむせることがある」「半年前に比べて固いものが食べにくくなった」という方々が多くなっております。

7172ページにつきましては、診療報酬における「歯科疾患の指導管理等に係る診療報酬の例」をお示ししておりますが、口腔機能に関して評価を行ったものは限られております。

73ページは「平成24年度以降に導入された主な新規技術等」についてお示しした資料でございます。

74ページは、今まで説明させていただいた課題が記載されておりまして、75ページですけれども、矢印の下に「論点」を記載してございます。「論点」といたしまして、

◆地域包括ケアシステムの構築を推進するうえで、かかりつけ歯科医機能やチーム医療の推進等の観点から医科歯科連携等についでどのように考えるか。

◆患者にとって安全で安心でき、より質の高い適切な歯科医療を提供できるよう、患者像の変化や多様性も踏まえ、口腔機能の評価・管理や、口腔疾患の重症化予防や生活の質に配慮した歯科医療の提供のあり方等について、どのように考えるか。

ということでございます。

 説明は以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、遠藤委員、お願いいたします。

○遠藤委員

 ありがとうございます。

 「歯科医療(その1)」ということで、歯科においてのコメントをさせていただきたいと思います。

 歯科においては、これまで同様、生活を支える医療として、口腔機能の維持・向上により、国民健康寿命の延伸とQOLの改善を図る。こういったことを大きな目標としております。今回の「歯科医療(その1)」については、歯科外来の総論としてよく取りまとめられていると感じております。その中で、何点かコメントと意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、スライド1920のところでございますけれども、外来利用率の中の高齢者の部分でございます。高齢者の歯科受診は以前に比べれば増加しているわけでございますけれども、要介護高齢者の7割で歯科治療の必要があるとか、また、高齢者の多くが「かみにくい」という自覚がありながら、高齢者になると通院率が低下する傾向はデータからも見られます。

 ここで、1点だけ質問がございますけれども、このアクセスや通院環境、または意識の問題等によるものと考えられますけれども、調査結果としてこういったことを示すものは何かあるか。ほかのデータ等でも結構です。

 また、要介護高齢者の場合は、本人の意向がなかなか把握しにくいものでございますが、本人と家族の意向に違いがあるか等、データがあれば後ほど教えていただきたいと思っております。

 続いて、スライド9~11のところでございますが、高齢者の残存歯数は、国民の健康意識の向上や「8020運動」を通じてかなり増加しておりますが、まだまだ不十分な状態であります。さらなる対応が必要とは考えております。

 それで、高齢者の受診率向上は、残存歯数の増加や口腔機能の維持が、特に高齢者にとって健康維持に重要であるといった認識が広まった結果と考えておりますが、通院に至らない壁があるようにも思います。これは先ほどの質問と同様で、データとしてどうだろうかということでございます。

 続いて、スライド2426のあたりでございますが、1人当たりの歯科医療費を見ますと、一般成人は低下傾向にありますが、小児と高齢者で増加傾向にある。小児は人口減少の中での増加であり、う蝕の減少の中でも健康意識が高まっているものと感じております。高齢者においては、1日当たりの医療費、俗に言う医療単価は横ばいでありますが、人口増と通院率の改善によって増加しているものと判断しております。

 また、26のスライドのところで、診療行為別調査となっていますが、レセプト1件当たりの医療費は減少傾向が続いております。その減少の多くは、補綴部門、いわゆる入れ歯とかかぶせものの減少によるものが大部分を占めているとみられます。これは、歯を残す治療や継続的な口腔管理による歯科疾患の軽症化によるものと考えておりますが、また、義歯の6カ月規制、補綴物維持管理料の効果、これは、入れ歯をセットしますと6カ月間は管理して、その間、新規のものは算定しない。また、かぶせもの等については2年間管理して、その間の新規の算定はないといった制度があるわけですが、これらの効果も一定程度含まれていると考えております。

 一方、超高齢社会の中で、要介護者や認知症患者の増加などの中では、現在の社会状況に合わせて、これらの規制のあり方についても見直す必要もあるのではないかと考えております。

31のところのスライドですが、かかりつけ歯科医となっております。住民への調査では、6~7割が「かかりつけの歯科医がいる」と認識しております。28年改定では、このかかりつけ歯科医の機能を強化することを評価していただいたわけですが、患者さんからかかりつけと認識されている歯科診療所が、必要な機能を果たしていくことが重要と考えておりますので、そのための環境整備や対応をさらに進めてまいりたいと感じております。

3842にかけてのスライドでございますが、かかりつけ歯科医機能の実施状況ということでございます。専門的にはなりますが「エナメル質初期う蝕加算」は従来型の処置よりも高い実施率となっております。また、歯周病安定期治療のほうも増加傾向にありますが、新規設定された2型がまだ少ないといったことは、これらは新たな包括がされていますが、これにうまく乗れていない面もあるのではないかという感想を持っています。また、患者さんからは継続的管理や信頼性を評価されているものと考えております。

 ただ、これらは通院患者さんのアンケートですので、このほかにかかりつけ歯科医機能としては、もう一つの柱である在宅医療においても、か強診の診療所は積極的に活動しているといったことは、他の調査から出ていると感じております。

 また、地域の医療連携においても、か強診のほうが積極的で、ミールラウンド等の介護関連等の専門的な分野でもその傾向が強くなっております。ただ、まだスタートしたばかりの制度ですので、その機能を果たしつつあると認識しており、さらに推進することが必要と判断しております。

 病院との連携に関しては、4750のスライドのところでございますが、周術期口腔機能管理につきましては、主としてデータにあるとおり、併設の病院歯科で実施されており、地域の歯科診療所の参加できる環境づくりといったものも重要ではないかと考えております。また、300床以上の比較的大きな病院での算定が多いのは、病院歯科の設置の有無が差になっているものと考えております。

 また、都道府県により実施率に差がございますが、これらについては、それぞれの地区の郡市区歯科医師会レベルでの研修会を積極的に実施して、病院との連携を図っている地区が高いようであり、今後の我々の活動の参考にしたいと考えております。

 また、スライド50のところで連携の効果といったことが挙げられておりますが、この中で全身麻酔の挿管時に歯が折れたり、歯が抜けたりといったトラブルは時折、経験することでございますが、これらを防止するためのプロテクター等については、現状では評価されておりませんので、今後の対応が必要と考えております。

 続いて、スライド5254のあたり、栄養サポートチームの課題ですが、低栄養への対応として、口腔機能の改善は重要と考えておりますが、周術期同様、比較的大きな病院で院内の歯科医師との連携で算定されていることが主でございます。周術期ともども、地域の診療所と病院との連携にはまだまだ課題があるので、さらなる対応を検討していく必要があると考えております。

 また、スライドの5558のところで、医科歯科の連携でございますが、医科と歯科とで共同で診ていく必要のある疾患がふえております。対応できる体制づくりが必要であると感じております。また、これらに伴って医科と歯科の間での情報提供のあり方も検討が必要と考えております。

6770のスライドでは、幼児・学童時期における口腔機能の維持・向上の視点で述べられておりますが、幼児・学童時期における、しっかりかめない、食べられないという発達不全や、高齢者における機能低下への対応が求められていると思います。超高齢社会におけるフレイルの概念の普及とともに重要となってくる部門で、低栄養に関しましても、カロリーや栄養素とともに必要とされる食事や食形態が摂食可能となるよう、しっかりかめることを目指すなど、効果的な対応を検討していく必要があると思います。

 最後に「論点」のところですが「論点」の記載内容については同様と感じております。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 初めのほうに若干、御質問がありましたけれども、事務局、お願いいたします。

○小椋歯科医療管理官

 最初に質問がございました、高齢者になって通院しなくなる理由でございますとか、あるいは本人と家族の意識の違いということについてでございますが、通院に至らない理由といたしましては、こちらは現段階で手元にデータは持っておりませんが、基本的には身体的な理由でありますとか、プライオリティーの問題ですとか、そういうことが理由になって通院に至らない形になっているのではないかと思っております。

 それと、本人と家族の意識の差につきましても、通院に至らない理由におきましても、どんなものが御提示できるか、現段階ではわかりませんけれども、どういうものが提示できるかも含めて検討させていただいて「歯科医療(その2)」の中で御提示できればと思っております。

○田辺会長

 ほかはいかがでございましょう。では、吉森委員、お願いいたします。

○吉森委員

 ありがとうございます。

 本日のこの資料総-2を拝見しますと、全体的には年齢階級別の1人の平均、現在歯数において、全ての年齢階級で増加しておりますし、う蝕有病率の減少という傾向も見られまして、これまでの歯科医療の取り組みの効果が見られているのではないかと考えております。

 今後は、こうした効果をさらに高めるために、口腔機能の管理において歯周疾患などの早期発見や治療を行い、歯周疾患の重症化予防、さらには糖尿病など他のさまざまな疾患を引き起こす前に治療して治すことが重要なのだろうと考えます。

 一方、歯科におきましては、医科と違いまして、一般的に個々人で思い入れのある歯科医にかかれば、引き続き同じ医院で治療を続ける。1人が複数の歯科医院で治療するケースは余り考えられないのではないかと考えております。

 もし、事務局でそうした患者行動のデータがおありになれば、次回以降にお示しいただければありがたいと思います。そういった意味で、歯科は本来のかかりつけ医的な役割機能を果たしておりますので、この資料の3334コマには、現在時点での歯科のイメージのたたき台ということで検討が始まっておりますが、先ほども申し上げましたように、歯周病などの早期発見に向けた治療であるとか、他の医師との連携、特に高齢者における評価に力点を置くべきではないかと考えておりまして、かかりつけ医的な機能を明確にするという意味よりは、重点を連携等において、高齢者に対応していくことが喫緊の課題ではないかと考えております。

 特に、49コマ目にございますけれども「周術期口腔機能管理における医師と歯科医師の連携」の表にありますように、こうした連携においては、病床規模が小さいところほど弱い傾向が出ておりまして、その連携体制の整備が必要だという率が高いこともございますので、こうした連携の体制整備等において、重点的な評価をすることもあってもいいと思っております。

 以上、意見です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 ありがとうございます。

 歯科医療の関係で、かかりつけ歯科医のところですけれども、前回の診療報酬改定におけるかかりつけ歯科医機能強化に関する議論は十分ではなかったと思っておりまして、それについては今回、十分な議論を行わせていただきたいと思います。

 その意味で、今さらながらかかりつけ歯科医については後づけの議論のようなイメージがあります。かかりつけ歯科医機能の評価を先にしておいて、後になってかかりつけ歯科医のイメージの議論をしているのは、順番としてどうなのかと思いました。かかりつけ薬局であるとか、その他のかかりつけ医の議論については、それぞれにどういう意義があるのかを議論してから、機能をどう評価しようかという議論がありますけれども、今回の議論の流れは順番が逆ではないのかと思います。もっと言えば、中身も地域包括ケアシステムとどのような関係性で議論しているのかがわからないという面もあります。

 それで質問でありますけれども、かかりつけ歯科医のイメージが、地域包括ケアシステムとの関連性においてどのような形で議論されているのかを教えていただきたいと思います。

○田辺会長

 では、お願いします。

○小椋歯科医療管理官

 かかりつけ歯科医が実際に地域包括ケアシステムの中でどのような活躍をしていただけるかが問題になってくるのだと思いますけれども、実際に連携しているところを見ていただきますと、かかりつけ歯科医機能のほうがそうではないところに比べまして、やはり連携は多くなっております。もともと、今回のかかりつけ歯科医機能の評価をしたときには、かかりつけ歯科医機能の定義とか、そのようなものはございませんでしたが、平川委員がおっしゃるように、順番が逆になってきているのは否めないところはあるのですけれども、実際に地域包括ケアシステムの中でより活躍していただける歯科医機能を持っているクリニックに関して、今回はプラスアルファ的な評価をさせていただいたと考えております。

○田辺会長

 では、平川委員、どうぞ。

○平川委員

 口腔機能の評価であるとか、さっき言った「8020運動」ということで、今は大変重要な課題だと認識はしています。しかし、かかりつけ歯科医の機能の状況を見ると、41ページのように、確かに比較すればかかりつけ歯科医機能強化の診療所のほうが頑張っている感じはありますけれども、それでも30%以上のところについては、地域の在宅医療や介護にある医療機関事業所との連携がない。あったとしても、42ページを見ていただくと「地域ケア会議、サービス担当者会議などへの参加」というところについては38.2%ということで、まだまだ不十分だと思っています。やはり介護を担う事業所との連携については、しっかりと要件にしていくべきではないかと思ってございます。そうでないと、地域包括ケアシステムの中における歯科医の機能が十分に果たされないのではないかと思っているところです。

 以上です。

○田辺会長

 ほかはいかがでございましょうか。では、遠藤委員、お願いいたします。

○遠藤委員

 かかりつけについては、前回の28年改定でもまた議論があったわけでございますけれども、超高齢社会が目の前に迫っている状況の中で、全てが立ち上がってからやる余裕はないと考えておりました。走りながら考えるというと言葉が悪いですけれども、実際には何が必要かといったことを検討しながら、また、それを実施しながら評価していくという対応で現在は進めているということで、確かにスタートして間もないわけで、どういったところが足りないかといったことは今後の議論の中でさらに進めていきたいと思っております。

○田辺会長

 では、丹沢専門委員、お願いいたします。

○丹沢専門委員

 現場のほうのお話を少しさせていただきたいのですけれども、地域包括ケア全体の中でというよりも、病院と歯科の連携という点で、どういう点が実際に困っているかというお話です。

 例えば、栄養サポートチームに参加するというのは、この統計でも大病院で非常に進んできているのに、小さな病院ではないというのは、自分の病院の中に歯科がないからなのです。それで、外部の開業されている歯科医さんが病院に協力しようと思っても、この項目の点数づけでは、点数が実際には歯科のほうは恵まれないというか、できないような点数で、病院にのみ点数がつく形で入ってくるわけです。

 同じようなことで、口腔機能管理に関しても、大きな手術が今は癌ということで絞られていますから、当然、大病院でやられている。それで実際に、例えば、嚥下などを考えたときに、実は食事をさせるのにすごく時間がかかって介護が困るなどというのを、私はフィールドワークで調べたことがあるのですけれども、不随意運動とかで口の中に運び込むのにもすごく時間がかかっているので、内科医とか神経関係の先生が必要です。それから、口の中に入ると、これは歯科が絶対に必要です。

 最後のぐっと飲むところですけれども、皆さんは口をあけて唾をのむと、閉じたときよりも飲みにくいですね。顎を前に飛び出させて飲んでも飲みにくいし、下げても飲みにくい。顎の位置が決まるとか、噛めるということが最後の嚥下のところにも大きな影響があって、その技術というのは歯科の技術がないと定まらないわけです。この辺の認識を、みんなで患者さんを診ようという認識がもう少しあってもいいのかなと思うし、そこの連携の部分に光が当たってもいいのかなとは現場で感じます。これは、現場のお話ということで御理解いただければと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 前回改定で、か強診の議論を行った際も、私は反対の立場でした。なぜなら、国民が持っているかかりつけ歯科医のイメージと、診療報酬上のかかりつけ歯科医にはギャップがあると思うからです。

39ページに、か強診を選んだ理由が示されており、「信頼している医師がいるから」、「通院しやすい場所にあるから」などが高い割合であったなどとされていますが、患者から見てか強診かどうかの見分けはつかないと思いますので、このグラフで最も高い割合を示している、「かかりつけの歯科診療所だから」についても、たまたま通院しているところがか強診だったということではないかと思っています。

 たまたま通院しているところがか強診だった場合でも、例えば37ページにあるように、歯周病の治療を受けると380点、500点のような点数が算定されますが、自分で選択したわけではないのに、自動的に高額な医療費が算定されることや歯科診療所をか強診のように差別化していくことが本当に必要なのかについては疑問に思います。歯科診療所に関しては、重複受診は想定されないと思いますので、か強診などで歯科診療所を差別化し、診療報酬上でも差を設けることについては、もう少し慎重に考えるべきだと思います。

 一方で、高齢化してう蝕が減り、口腔機能の回復が重要になってきていることや、地域包括ケアシステムを推進していく中で、小規模な歯科診療所が活躍していくためには、例えば「論点」にありますように、小規模な歯科診療所でも、医療機関や介護施設と連携が進むような方向に導いていくべきだと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 では、遠藤委員、お願いいたします。

○遠藤委員

 今の幸野委員の中で、若干誤解もあるかと思うのですけれども、37ページに出ている「歯周病安定期治療(2)」というのは、これはか強診でしか算定できない項目です。1のほうは当然、全ての診療所で算定できるのですけれども、この点数の違いはほとんど包括化の違いで、従来のものに検査等を包括化していますので、足せばほとんど同じ点数になるのが現状でございます。

 それから、たまたま行ったところがかかりつけというのはそのとおりで、患者さんにとって施設基準を見ながら行くわけではない。それはそのとおりなのですけれども、行った診療所がそういった機能を果たしていくことが、全体としてプラスになるのではないかとは考えておりますので、よろしくお願いします。

○田辺会長

 ほかはいかがでございましょうか。では、中村委員、お願いします。

○中村委員

 2点質問で、1点目は簡単なもので、19ページの訂正がありましたが、これは「人」ではなくて「率」でしょうか。

○小椋歯科医療管理官

 こちらは、1,000人の中における人数ですので「人」になります。

○中村委員

 「人」になるのですか。わかりました。

 では、率で考えるときは、そこを換算して率に直せばいいわけですね。

○小椋歯科医療管理官

 はい。

○中村委員

 わかりました。

 もう一つはお願いなのですけれども、13ページの歯周病罹患率のデータを見ますと、75歳以上の方がふえているという御指摘がありました。「2080運動」は非常にいい取り組みだと思うのですが、歯がふえたからこそ、逆に罹患率がふえたのか、あるいはほかの理由もあるのか。そのあたりも何かデータ等があれば、今後お出しいただければと思います。こういった罹患率がふえているというのは、今後の一つの取り組まなくてはいけない課題だと思います。

 また、このような調査は6年ごとの実施ということなので、ことし実施されるのですか。もしまだ実施されておらず、そういった要因などの調査が必要であれば、また追加していただければと思います。

 以上です。

○田辺会長

 では、事務局、お願いいたします。

○小椋歯科医療管理官

 こちらは、歯周病のある方々の割合です。その歯周病というのは、歯がないと歯周病にならないのです。歯が抜けてしまうと、歯と骨の間の炎症が起こるのが歯周病ですから、歯がない方は歯周病にならないので、歯が残っているから歯周病がふえたということになると思います。

 それと、新しいデータにつきましては、恐らく1~2週間後には発表されると思いますのでまたあれば追加したいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、間宮委員、お願いいたします。

○間宮委員

 「8020運動」は、歯が残る本数が多くなっているということで、それはいいと思うのですけれども、海外との比較で考えると、日本はまだまだ少ないのではないかと思っていて、比較されるのはスウェーデンで、80歳ぐらいでも20本ぐらい残っている。アメリカでは、1516本残っている。日本では8本ぐらいということで、非常に少ない状態です。ということは、やはりスウェーデンですとかアメリカなどの取り組みについて調べていって、比較する必要があるのではないかと思うのが1つです。

 それから、私の息子の話をすると、私も反対咬合で治療していないのですけれども、息子も反対咬合になるだろうということで、歯科矯正をして、もうすぐ二十歳ですけれども、その管理というか、ずっとケアをしていただいて、治療していただきながら、今は虫歯が一本もない状態ということで、非常にいい状態なのですけれども、矯正ということでいうと、非常にお金がかかるということで、全体的に20年間で4050万ぐらいかかるということがありました。

 それは自由診療の話ではあるのですけれども、それは結局、予防歯科ということなのではないかと思っていて、今後の長いスパンで見たときに、歯の病気にならない人をふやすことが必要なのではないかと思っています。

 もちろん、皆さんも当然、御存じでしょうけれども、口の中の衛生とか、そのまま病気になるということで、いろいろな脳の病気ですとか、子供でしたら、偏食ですとか病気になりやすいとか、高齢の方だと認知症になりやすいですとか、いろいろなリスクがあるわけです。それを回避するために何ができるかということも考えていただきたいと思っています。

 それには、悪くならないようにするケアへの評価というのが、何か方策があれば考えていただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を進めてまいりたいと思います。

 本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集、ありがとうございました。

 

 

 


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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