ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ> 第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価に関するWG(2017年6月26日)




2017年6月26日 第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価に関するWG

○日時

平成29年6月26日(月)
15:30~17:30


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター(ホール1A)1F
東京都港区西新橋1丁目15-1


○議事

○櫻本医師臨床研修専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」を開催いたします。

 本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜り、まことにありがとうございます。

 それでは、マスコミの方々の撮影は、ここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○櫻本医師臨床研修専門官 続きまして、本日の出欠について御連絡させていただきます。

 神野構成員、清水構成員、田中構成員から御欠席との御連絡をいただいております。また、羽鳥構成員に関しましては、おくれての御参加になることと思います。

 また、文部科学省医学教育課からは佐々木企画官にお越しいただいております。

○佐々木文部科学省医学教育課企画官 よろしくお願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 以降の議事運営につきましては座長にお願いいたします。福井先生、よろしくお願いいたします。

○福井座長 大変お忙しいところ、御参集いただき、ありがとうございます。

 それでは、お手元の資料にございますように、本日の議題は1つのですが、多くの御意見をいただければと思います。

 まず初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○櫻本医師臨床研修専門官 それでは、資料の確認をいたします。

 まず、表紙が議事次第。ページをおめくりいただいて座席表。

 資料1が「臨床研修の到達目標、方略及び評価」。

 資料2がA3になりまして「経験すべき症状・病態の対応表(案)」。

 資料3が「経験すべき疾病の対応表(案)」。

 資料4が「研修医評価票(案)」。

 資料5は横になっておりますけれども、こちらも「研修医評価票(案)」。

 資料6はまたA3でございまして「経験すべき診察法・検査・手技(案)」。

 以降が参考資料になります。

 参考資料1が、開催要綱。

 参考資料2が、モデル・コアとの関係。

 参考資料3が、第10回のワーキンググループで御議論いただいた今後の御議論いただきたい事項について。

 参考資料4が、モデル・コア・カリキュラムの「G 臨床実習」部分の抜粋です。

 参考資料5が、これもA3で症候・疾患・病態の分類案。

 参考資料6が、現状の臨床研修の到達目標の資料になります。

 以上です。

 不足する資料、乱丁・落丁がございましたら、事務局にお申しつけください。

○福井座長 ありがとうございます。

 それでは、議事に入りたいと思います。前回までは医師臨床研修制度の到達目標について御議論していただいて、3月の「医道審議会(医師分科会医師臨床研修部会)」で、いただいた案を資料1の1~3ページに示しています。本日は、それ踏まえて方略・評価の部分についての御議論をお願いしたいと考えております。

 研究班で原案作成をしてまいりました。まだまだ不完全ではございますが、何回も研究班の先生方にはお集まりいただいて、大まかな形のものを本日は提示したいと思います。

 最初に、私から研究班で作成した案について説明させていただき、その後、構成員の先生方から方略と評価それぞれの部分について御意見・御質問をいただきたいと思います。このワーキング・グループでは先生方の頭を使って、いい案を出していただければ大変ありがたく存じます。

 最初に、方略の部分についての説明をさせていただきます。

 資料1の4ページからになります。1~3ページの到達目標は3つの部分に分かれていて、医師としての基本的価値観4項目、資質・能力9項目、そして基本的診療業務ではコンサルテーションや医療連携が可能な状況下で単独での診療を任すことができる場面を4つ挙げております。

 これらを踏まえまして、方略についての説明をさせていただきます。

 現在研究班では、研修期間、ローテーションする分野なり診療科、経験を必須とする症候、疾病の4項目を今のところ考えています。

 研修期間については合計2年間以上という、これは現在の省令で決められている期間になりす。研修期間全体の中で何カ月間以上基幹型臨床研修病院で研修を行うべきかについて、現在は、たしか8カ月と思いますが、ここをそのままでいくのか、1年にするのかといった議論も必要になるかもしれません。

 、ローテーションする分野・診療科につきましては、まだ研究班で議論が煮詰まっておりませんので、次回以降に提案させていただきたいと思います。現在のところは内科と救急、地域医療で10カ月ということになっていますけれども、次回以降、案を出して御議論いただければと思います。その部分が一番ヒートアップしそうなものですから、論理構成を十分考えた上で、案を出したいと思っています。恐縮ですけれども、今回は提出しておりません。

 本日御議論いただきたいところ、経験を求める症候と疾病についてです。最初に症候で、4ページに29症候を挙げております。資料2をごらんいただきますと、4つの大きなカラムから成っている表で、臨床研修の到達目標、現状のものが一番左側、その隣に本日提案している「新たな到達目標・方略・評価(案)」29項目です。その右側が、日本医師会の生涯学習の55項目。一番右側がモデル・コア・カリキュラムの37項目となっています。

 本日提案の29項目はこの中で一番数が少ないですが、例えば上気道炎など、あえて入れなくてもいいのではないかと思って削除したものも、頻度からいって全員に求めるのは難しいのではないかと思って削除したものもあります。全ての研修医に経験してほしいものに絞るという方針で議論いたしました。したがって、頻度が高かったり、経験していないと患者さんに重大な結果が起こり得るという視点でということになります。

 これまでに出ていなかった項目として、29項目の一番最後に「終末期の症候」が挙げられています。これは緩和ケアの経験を必須としたいという意図で、終末期の症候を一つ一つを挙げることはしないで、このような書き方で提案したいと思っています。

 それから、経験してほしい疾病についても似たような考え方で、かなり絞ったものになっています。資料3をごらんいただきたいと思います。現在の臨床研修の到達目標を左側に書いて、右側に今回の提案です。かなり疾患名を絞っています。

 全体像の説明を先にさせていただきます。資料1の5ページですが、このような症候や疾病を経験して目標を達成してほしいという流れで、評価の大きな方針を3つのパラグラフに書き出しています。各分野・診療科のローテーション終了時に指導医・上級医・医師以外の医療職が、これから作成しようとしている研修評価票を用いて到達目標の達成度を評価して、それを記録として研修管理委員会に保管してもらうこと。そして、到達目標の達成度については、少なくとも年2回プログラム責任者・研修管理委員会委員による形成的評価(フィードバック)を行う。3つ目が、到達目標C、基本的診療業務については、2年間の研修終了時に研修管理委員会において、コンサルテーションや医療連携が可能な状況下での単独診療を任せることができるかどうか判定する、というものです。その方針のもとに、少なくとも2種類の研修評価票をつくる作業に取りかかっています。

 最初に、Aの医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)に関する観察記録・コメントにつきましては、資料4をごらんください。。4項目社会的使命と公衆衛生への寄与、利他的な態度、人間性の尊重、自らを高める姿勢、4項目それぞれについては3段階評価を行ってはどうか。3段階評価とはいうものの、真ん中は当該テーマについて観察していない、評価できないというボックス、左側が十分これこれの態度を身につけているという意味のボックス、右側はこれこれの態度・言動ではないというボックスになっています。右側これこれの行動規範について当該研修医を注意して観察しなくてはならないという意味のチェック項目です。左側はこれこれの言動・価値観を十分身につけているという意味のボックスです。そして、右側に、それぞれの項目に関して印象に残ったエピソードなどを記載してもらってはどうかという案です。

 資料1の5ページの資質・能力についての評価票の案が、資料5です。ちなみに、資料5も資料4も「日本小児科学会生涯教育・専門医育成委員会」でつくられた評価票を参考につくっております。これは明示しておかなければなりません。

 資料5は内容をしっかり考えたのは1番目の項目でして、大部分はこういう形でつくってはどうかという提案です。

 資料5の1ページ目は、評価レベルの説明です。レベルをAからDまでの4段階で考える。レベルAは、研修医というよりも、一人前の医師として完成されたレベル。レベルBは、これから専門医になるための研修に入る時点で期待されるレベル。レベルDは、かなり頑張ってもらわないと期待されるレベルに到達するのが難しいレベル。レベルCは、順調に進歩しているのだけれども、まだ修了時点に到達していないレベル、といったイメージのレベル分けです。

 2ページを見ていただきますと、資質・能力の「1.医学・医療における倫理性」には5項目挙げられています。下が評価でして、一番左側が観察機会がなくて評価できない。レベルAは、診療、研究、教育に関する倫理的な問題について十分な認識を持ち、適切な対応ができる。レベルBは、診療、研究、教育に関する倫理的な問題について、認識は十分で対応もある程度はできる。レベルCは、認識も対応もある程度はできる。レベルDは、認識も対応の仕方もまだまだ不十分、という評価になっています。

 資料1に戻っていただいて、1ページの下から2行目を見ていただきますと、ここに資質・能力の9項目それぞれについて総論的文章が書いてあり、これをベースに4段階評価ができないかと思っています。ただ、2番目の医学知識と問題対応能力、3番目の診療技能と患者ケアにつきましては、もっと細かい評価が必要になりますので、診療技能のリストも参照して評価できるようなものをつくっていきたいと思っています。

 まだ、大きな枠組みを提案したという状況ですが、最初に方略、特に症候と疾病を絞り込みたいと思っています。方略全体についての御意見でも結構ですので、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 古谷先生。

○古谷構成員 幾つか気になることがありまして、1つは、方略のところで29項目が出ているのですけれども、方略に二十何項目か置くということは、方略に対して評価することになるかなと思います。現状としては、例えば、レポートの評価が評価方法として選択されていると思いますけれども、これらを経験していく、方略としてこれを出すということは、29項目については検証を評価されるということでよろしいのでしょうか。

○福井座長 方略は、経験したかしないか、そして、その結果として、どういう能力が身についたかを評価票を用いて評価していくことになりますけれども、その提案は次の段階でさせてもらいたいと思っています。

○古谷構成員 例えば、日々の業務に関しての評価であるとか、研修態度に関してはこの評価票の評価でいいと私は思うのですけれども、例えば、疾病に対しての知識であるとか、疾病に対しての考え方に関しての評価はここには載っていないので、現状でやっているレポートのようなことを評価方法として明確にしたほうがいいのかなと思ったのですが。

○福井座長 今考えていますのは、先ほど説明した資料5のマイルストーンの、例えば症候については、3ページにある「2.医学知識と問題対応能力」で評価されることになります。これらの主な症候について鑑別診断と初期対応ができるようになったかどうかをここで評価することになります。

 したがって、この評価票だけではなくて、これ以外の別表みたいなものが「2.医学知識と問題対応能力」「3.診療技能と患者ケア」については必要になってくると思っていますが。

○古谷構成員 そうすると、例えば、現状ではレポートで評価していることは、レポートとしての評価は要求されなくなる。

○福井座長 そこまではまだ研究班で話し合いをしていません。私、個人の意見を言うと混乱してきますので、次の会議には研究班の先生方の意見をまとめたものを出したいと思います。

○古谷構成員 実際には、症候や症例を経験しましたということは言えても、それを十分な形で経験しているのか、十分な形で学習しているのかに関しては、積極的に評価していかないとわからないことが非常に多いと思いますので、評価がなくなるのは、やる側としては楽なのですけれども、研修医としては資質を保つ上では困ってしまうのではないかと思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。

○福井座長 明確に分けなくてはならないのは、方略のところは、最低限求められる方略にのっとってやったかどうかが問題であって、資料5の研修医の評価票は、これを経験した上で主な症候についての鑑別診断と初期対応ができるようになったかどうかを評価するものです。つまり経験したかどうかだけでは終わらない話で、それらを経験した上で、こういう能力が身についているかどうかを評価するということです。

○古谷構成員 例えば、レポートでは具体的にそれがどの程度理解されているのかという評価になっていると思うんです。ですので、方略と評価というのは一体だと思いますので、方略でこれを設定したということは、それに対してどう評価するのかということを明確にすべきなのかなと思った次第です。

○福井座長 方略は方略です。その結果として身についた能力を評価したいという意図ですので、今後の提案をいたします。

 伴先生。

○伴構成員 やはり方略と目標と混乱されていると思います。特に、前回までが経験目標という形で目標に位置づけられていて、全部これをやったか、やったかとスタンプラリーみたいになってしまっているところがありましたので、評価するのは方略ではなくて目標が最終的に、しかも今回大きな臨床能力というくくりで評価しようというアウトカムベースの考え方になっていると思います。ですから、その辺の個々のものを評価するのではなくてということで、ここの方略に持ってきていると理解しているのですけれども、そういうことですよね。

○福井座長 それでいいと思います。

 伊野先生。

○伊野構成員 今の伴先生に続けてですけれども、症候・病態に関して単独での診療を任せることができるところまでいくことと考えてよろしいのでしょうか。

○福井座長 いえ、ほとんどのものについてそれは難しいのではないでしょうか。それは求めていないと思います。

○伊野構成員 「C.基本的診療業務」の一般外来、病棟、初期救急、地域医療で、コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で単独での診療を任せることができると書いてあるので、そして方略としてこれらの症候・病態が載っているので、これらについて少なくともそこまで目指してくれということではないのですか。

○福井座長 任せられるというのをどこまでを頭に置いているのかによると思います。29症候は経験した上で鑑別診断を頭に思い浮かべて、自分がそこで最後まで処理できる問題なのか、またはすぐにコンサルテーションしなくてはならないものなのかの判断ができればいいわけですので、最後まで診ることができるということは、ほとんどのものについては無理だと思います。

○伊野構成員 わかりました、ありがとうございます。

○福井座長 前野先生。

○前野構成員 この目標にするか方略にするかは本当に研究班でもめたところではあるのですけれども、私の理解としては、全ての症候にという幅広い言い方だと具体的な目標がわかりにくいので、これは経験してほしいというのは方略のところでしっかり挙げるべきだということでこれを挙げたわけですから、実際には、この症候の出し入れがこれから大きな議論になると思うのですけれども、これは基本的には経験していただくと。そして、経験するのは何のためかというと、目標に書いてある全体的な症候についてのマネジメントができるという整理になっていると理解しています。

○伊野構成員 ありがとうございます。

○福井座長 高橋先生、先に。

○高橋構成員 ここに出されているものではなくて、今後の研究班での議論にちょっと踏み込んでしまうのですけれども、現在出ていないローテーションする分野・診療科について、意見を述べさせていただくと、経験症候とか経験疾病から見ますと、小児で経験するとか、老年期で経験するというくくりはないわけです。ところが、実際の臨床では、小児の患者さんもいれば、成人もいれば、老年期の患者さんもいるということで、ローテーションする分野・診療科を今後検討される場合に、そのあたりを縛りにするのか、あるいは経験症候、経験疾病の中に含むのかは、よく考えて検討していただきたいと思います。私の個人的な意見としましては、内科が非常に重要なとおり小児科も重要だと思いますので、選択必修ではなくて必修診療科の1つにはしてほしいと思います。

○福井座長 私も、個人的にはローテーションの診療科をふやしたいと思っていますが、その場合、経験が必須と考えられる症候と疾病との関連が明確であれば、議論が次の段階としてスムーズにいくと思います。例えば、症候のところで発疹の中でも小児でのウイルス疾患を診るのが必須とされれば、ローテーションする分野・診療科として小児科をうまく組み込めるはずです。妊娠・出産を今回入れましたので、そういう意味ではこれを必須とする以上、産科・婦人科はという議論になっていくと思います。小児科がうまく書き込めていませんので、考えていただければありがたいのですが。

 古谷先生が先に手を挙げられたので、どうぞ。

○古谷構成員 もう一度確認なのですけれども、目標に対しての研修プログラムが本来の方略になるはずなので、研修プログラムに何を盛り込むかが実は方略の核になるということですよね。それに対してどのような評価をするかということで、研修プログラムのつくり方というと、研修プログラムに盛り込むものが方略に入ってくるという考え方でよろしいのでしょうか。

 そうすると、例えば、経験症候がこれだけ入るような研修プログラムをちゃんと組みなさいという方向性で、今後、例えば、各研修病院が研修プログラムをつくっていくという考え方でいいということですか。

○福井座長 そうなります。

○古谷構成員 わかりました。

○福井座長 これこれを経験しないと、列挙した資質・能力は身につかないという図式ですので、これこれの症候・疾病を経験するためには、最低限こういう分野・診療科をローテーションしてほしいというのをここに書き出していきたいわけです。それに基づいて、研修病院がそれぞれのプログラムをつくってもらうということになります。

○古谷構成員 では、実際はプログラムが方略ということになるわけですか。

○福井座長 具体的には、各病院でのプログラムということになると思います。

○古谷構成員 いつも気になっていたのが、プログラムの中で、例えば症候などが科による偏りがすごく多かったんです。実際に、レポートの話ばかりで申しわけないのですけれども、今まで提出されたレポートの傾向を見ると、例えば多くが救急で経験されていたということがあったり、例えば内視鏡科を回る学生は、その間レポートをほとんど書くことがなかったりという、結構指導の中でのばらつきというか濃度差があったり、逆に、救急でいろいろな症候に対してのレポートを書いてしまうと、救急の医師が評価に疲弊してしまったりということが今までもありましたので、例えば、プログラムをつくる際に、それぞれの科でどのように方略にあるコンテンツを満足させながら、2年間のローテーションを計画するのかが明確になるようなプログラムづくりを要求していくということが必要なのかなと常々考えていましたので。

○福井座長 そういう方向で今回の方略や評価もつくりたいと思っています。

 中島先生、興奮とせん妄は入れたのですが。

○中島構成員 ちょっとお尋ねしようかと思ったのは、経験症候、経験疾病と、この両方とも必須の経験を求めるという意味しょうすか。

○福井座長 私は個人的にはそのつもりです。ただ、まだ研究班の先生方全員が明確に、ここに挙げたものを全て必須とすると意見を集約しているわけではございませんが、私はできるなら必須のものだけを挙げたいと思っています。

○中島構成員 私としては、幻覚・妄想と明確に書いていただいたほうがいいと思っていましたけれども、疾病に統合失調症がちゃんと入っていますので、私はこれでいいと思います。多分「いいと思う」と言ったということで、今週末に袋だたきに遭うのではないかと思いますが。

○福井座長 統合失調症についても議論がございましたのは、入院患者さんでなくてもいいのではないかと。中島先生に是非うかがいたいのですが、統合失調症については外来でもいいのではないかということについてどう思われますでしょうか。

○中島構成員 私は、救急の病棟があればいいと思っています。慢性期、何年もたった統合失調症の患者さんだけが入院している精神科の療養病棟に行っても勉強にはならないと思います。どの科に行っても診ることになるのは、救急でいらっしゃる人の中に、総合病院へ救急車で統合失調症の方が合併症で搬送されてくることがあるわけです。統合失調症があるということで、できれば診たくない、あるいは診ないで断るものだから救急車は困ると。あるいは、救急車が乗せるときも困ってしまうということになるわけです。救急を経験し、救急の病棟を経験するということがいいのではないかと思っています。

○福井座長 救急については、ローテーションする分野・診療科の中に、現在でも救急は3カ月ローテーションがマストで入っていますので、当然次回の見直しでも入ると思います。。

○中島構成員 一般の救急と精神科救急とはまた別なんですよね。うちの病院などはパトカーと救急車の比率は同じです。

○福井座長 先に、前野先生。

○前野構成員 今はどういうルールになっているかというと、入院して受け持つことが条件になっています。ですので、外来で診ても経験したことにならないと。極端な話、統合失調症でパトカーで連れられた人を100人診ようと、入院で受け持たなければ2年間の研修が終われないというルールになっているんです。ですから、そこは本質的なものに直していくべきだろうと思います。ですから、大切なことは、将来どの科に行っても必要なものとして経験することなので、入院でなければいけないというところはぜひ外したいなと個人的には思っているところなのですけれども、ただ、今先生がおっしゃったパトカーで来る人を診られたら理想ですけれども、それが例えば全国の研修医が1人残らずできるかというと、それまた難しいと。なので、そこは現実的な落としどころを考えていかなければいけないところかと思います。

○中島構成員 入院というのを考えるときに、初期研修の後、後期研修でいらっしゃった人に話を聞いてみると、やはり精神病院に研修に行ったという人はかったるいというんですよ。その間が休息の期間になっている。やはり急性期をやっているということを前提にしないと、病棟と言っても意味がないとは私は思っています。しかし、病棟を本当に外していいのかどうかというところですね。外来だけ診る、診断だけはつくということでは困ります。

○前野構成員 私も二者択一で申し上げているわけではなくて、もちろん、病棟で診られればそれでもいいかもしれないですけれども、理想的なことを言えば慢性期の病棟はだめと言えればいいのですけれども、それは難しいと思うので、少なくとも外来や救急でちゃんと診たら病棟でなくてもいいというぐらいには広げていただきたいなと思っています。それが1つです。

 それから、将来精神科に行かない人にどこまで知っていてほしいかということを考えた場合、統合失調症であることを疑った場合、最初にやることは専門家へのコンサルトだと思うので、その後どうなるかを診るにこしたことはないですけれども、リクワイアメントとするかどうかところは全体のバランスの中では議論があるのかなと思っています。

○中島構成員 言われていることはわかるのですけれども、ただ、精神科の病棟を経験したことがある初期研修医が後期で入ってきますね。そういう人たちが総合病院にいると、精神科の患者さんが体のことで受診したときの扱いが全く違います。入院で診たことがない人がだんだんふえてくると、やはり余り診たくないというか、診ることの抵抗感のほうが強くなるんです。

 昔、初期研修が始まる前はもっとひどかったんです、総合病院に精神科の患者さんがかかったときは。今はその壁が随分下がってきています。病棟を経験したことの効果があったのと思います。

○前野構成員 これで最後にしますけれども、おっしゃることはよくわかります。そうすると、目標は何かということなんです。統合失調症という病気を経験してほしいのか、それとも精神病院という場を経験してほしいのか、そこを切り分けていかないと。そして、それがもちろん精神科の立場から見て望ましいことはわかるのですけれども、前回統合したときにそれをミニマムにリクワイアメントに入れるかどうかというのはまた別の議論があると思うので、そういう議論がこれから大変になっていくのではないかと思っています。

○中島構成員 やはり、いろいろな人間がいるのだということをきちんと診ておくということは、医者として必須のことですよ。そうでないと、普通に良い患者さんをしてくれる人だけを診ていては研修にならない。

 精神科の病棟は経験しなくてよいと言われると、ますます本音を言いたくなってしまいます。救急・急性期の精神科病棟を経験してもらわないといけないと、言わざるを得なくなりますね。

○福井座長 症候につきましては、総論的には、鑑別診断と初期対応ができるというレベルを初期研修では求めるということになります。

○中島構成員 そのためには、患者さんを診たときに、これはちょっと統合失調症のようなものがあるかなと、それはそれでいいと思うのですけれども、問題はそういう人を嫌うことがなくなるということが大切なことです。

 もう一つは、診断がつくということだけではだめで、そういう方とコミュニケーションがとれるということが大事だと。普通の人とコミュニケーションをとるのは、相手も合わせてくれますから比較的とりやすいでしょう。しかし、合わせる気がない人にうまく合わせていくという技術が医者には要請されているんです。だから、急性期の精神科病棟を必ず経験する必要があると、ここで断言しておきましょう。

○福井座長 ありがとうございます。

 羽鳥先生からお願いします。

○羽鳥構成員 初期研修が終えたら一定の総合診療能力をいる医師を世に出すということが今回求められてくることになるのだと思います。4年生でOSCE試験を受けて、知識としての修得を伝えそれから初期研修をはじめます。総合診療医を出すということで外科、産婦人科、特に産科、小児科、この3つは必修科目にしていただきたく思います。。

 もう一つ、一番大事だと思うのは、資料5の「1.医学・医療における倫理性」でレベルB、C、Dとざっくり書いてあるのですけれども、もうちょっと分けて、例えば研究、診療、最近のいろいろな事件を見ると、医師として人間としてという倫理性も評価対象として必要なのではないかと、その2点を言いたいと思います。

○福井座長 2点目でおっしゃったところは、資料4のプロフェッショナリズムのところに関わるのではないかと思います。

 それから、資料5の1番だけではなくて2番~9番全部にかかわることですが、大ざっぱなレベルA、B、C、Dの評価の前に、もう少し細かい評価票をそれぞれについて作っていくという作業をこれからやらなければいけないと思っています。まだ不完全なものです。

○羽鳥構成員 もちろんそれで結構です。

○福井座長 金丸先生。

○金丸構成員 最初よく理解できなくて発言できなかったのですけれども、今までの発言をお聞きしながら意見を述べさせていただきますが、最初に高橋先生がおっしゃったこと、そして羽鳥先生もおっしゃいましたが、後での議論ということでローテーションする分野・診療科という福井座長のお話がありましたけれども、どうしてもそこで絡まないと、ここの目標を出していくことがなかなか難しい部分があるのかなと。というのは、疾病もそうですけれども、これを見てみると、小児科領域がほとんど疾病に入ってこないです。今まさに高齢社会へ行こうとしていますが、高齢者の分野もここでは経験疾病としては外れているわけです。どれも今、羽鳥先生がおっしゃいましたように、2年間の中で全体に経験していくと。そして、さらにつけ加えれば、中島先生がおっしゃったように、入院で受けもって経験して深めるということが薄らいでいくことが危惧される部分を感じなくもないので、ぜひ、その辺の議論をもう少し加えていただけるといいかなと思いました。

○福井座長 背景にある考え方といいますか、こういうことを身につけてほしいから、こういう診療科・分野をローテーションしたいという論理構成にしたいと思っています。最初に、ローテーションする診療科、ローテーションを決めようとすると議論が発散してしまって、どういう理由でローテーションさせるのかというところに何回も戻ってしまうという議論のを、平成16年の必修科の前にさんざん経験しました。これこれの能力を身につけてほしいという部分を固めた上で、ローテーションすべき分野・診療科のディスカッションに入っていったほうがまとまりやすいと強く信じているものですから、あえて症候や疾病の議論から始めていただきたいと思っている次第です。

○金丸構成員 そういう前提であれば、やはり小児科領域は医師として診ておくことは不可欠ではないかと。同時に産科領域を一度は経験しておくことが、いろいろな場面で医師としての深さ・広さの入り口になりますので。外科領域と産科領域と小児科領域は経験すべき疾患の中に抜けていますので、特に、小児科領域が抜けているのが気になるし、もう一つ言えば、高齢者の問題、終末期ということで入ってはきていますが、高齢者の老年症候群的なことはどこかで入る要素を、経験疾病として検討いただけるとありがたいかなと思います。

○福井座長 私は個人的には、発疹のところに「小児の発疹」と入れるかどうか迷っていて、案では発疹のままにはなってしまっているのですが…。先生方の御意見で、小児を診ることが将来どの分野に行く医師にとっても必須だとの賛同が得られれば、具体的にどういう経験をしてほしいのかというところから書き入れていただければありがたいのですが。例えば、予防接種についての理解も必要だと思っていますけれども、書き方をいかがしましょうか。

 高橋先生が先に手を挙げられたので。

○高橋構成員 小児科専門ではありませんけれども、ふだん診療していて困るのがウイルス感染、特に小児のウイルス感染が結構ありますので、そのあたりの鑑別ができればいいなと。発疹でもいいかもしれませんけれども、ウイルス感染。

○福井座長 ウイルスとなると疾病のところに入りますね。小児のウイルス感染症ということになるのでしょうか。

○高橋構成員 そうです。

○福井座長 伊野先生どうぞ。

○伊野構成員 資料2「経験すべき症状・病態の対応表(案)」の茶色い部分の28番に「成長・発達の障害」がありまして、大人でもあるのですけれども、小児科期に診やすいものではないかと思って見ておりました。

○福井座長 そうですね。

 ほかにはいかがでしょうか。古谷先生。

○古谷構成員 先ほど小児のウイルス感染の話が出たのですけれども、ウイルス感染というよりは、例えば「小児の発熱」のほうが症候としての見方ができるので、いいような気がいたしました。

 それから、経験自体は、経験の長さが必ずしも問題にならないと思います。一瞬でも診ることで理解を強く深めることができる場合もありますので、いかに深く考えるかが担保できれば、それは救急であろうと慢性病棟であろうと、経験したことに対して深く考える機会を与えることに意味があるかと思います。慢性の状態であっても、その人が救急のときはどうなのだろうかということが必要なので、もちろん場へのこだわりが全ての項目にできるといいのですけれども、それをやっていくと2年間という研修期間で研修医が全てを経験していく機会を持つことは不可能になってきますので、細かく場と病態の両方を満足して決めていこうということをし過ぎないほうが、うまくまとまっていくのではないかと感じました。

 それから、先に科を決めてしまうと、例えば、外科では呼吸器外科を回りました、内科では呼吸器内科を回りました、小児科でも呼吸器を中心に診ていましたと。この研修医は確かに内科と外科と小児科を回りましたけれども、例えば、神経系はほとんど診ていませんとか、循環器系のことはよくわかりませんということになってしまいがちですので、先ほど福井座長が言われたように、まずはどういうことを経験すべきなのかを考えて、それをどうそれぞれの科のローテーションで満足していくのかを、最終的にそれぞれの病院がローテーションを決めていくときに考えて、それを明示していくことが必要なのかなと思いました。

○福井座長 症候・疾病を経験することの裏ではどういう能力を身につけてほしいのかが重要になります。これこれの能力を身につけるためにはこれこれ症候と疾病を確実に経験してほしいと。そのためには、どういう診療科・分野をローテーションしてほしいという構造にしたいと思っています。

 羽鳥先生。

○羽鳥構成員 そういう意味だったら、初期研修では総合診療能力を養うことが最もポイントだと思います。診療と言うと語弊があるなら、判断能力でもいいと思います。要するに、今診ている患者さんが救急であるのか、ほかの専門の先生にコンサルトしなくてもいいのか、もう一日様子を見て自分で対処していいのか、その判断ができることが大事だと思います。

 例えば、小児の場合、私も昔ローテーションができる大学にいたので、小児科をローテーションはしたが半年の小児科ローテーションを選んだのですけれども、重症の髄膜炎であれば夜中でも小児科の先生は起きて診療しなければいけないわけです。そういう判断ができるか。今、初期研修で一番問題になっているのは、言い方は悪いですけれども、眼科・耳鼻科の先生が風邪も診てくれないということがあって出てきたことでもあるので、初期診療能力を養うことを第一の目標とするということでいいのではないかと私は思います。

○福井座長 ぜひ、その方針でつくりたいと思っています。

 ほかにはいかがでしょうか。片岡先生。

○片岡構成員 私も総合的な診療能力というところに賛成ですし、その先に続く専門医ということを考えると、総合診療専門医の研修には内科、小児、救急は診療科としては入っていますね。それから、自分は内科ですけれども、併診する可能性が最も少ないのは内科と小児科だと思います。内科と産婦人科とか内科と外科というのは、同じ症候であっても併存し得るけれども、小児科と内科は年齢で分かれてしまうので、同じ症候を診て内科と小児科を両方診られるということは、まず13歳、14歳ぐらいの微妙な年齢でない限り起こりにくいです。症候だけを目標にすると児が外れがちというのは御指摘のとおりだと思います。そういう意味では今の議論のとおり、小児をいかに経験するかを少し留意した内容にするのは重要かと思います。

 以上です。

○福井座長 どの診療科に行っても、小児を診る機会が必ずあると説得できますでしょうか。これから先、医師として40年、50年小児科は絶対に診ない。だからローテーションは要らないと主張する方々をどのように説得するか。全ての研修医にローテーションとしてほしいというときには、必ずそういう意見が出て来ます。。

 高橋先生どうぞ。

○高橋構成員 専門診療科に限定している場合には、小児を診ないという診療科もあると思いますけれども、普通に当直・日直をやっていると、うちの病院の場合は3割近くが小児なんです。ですから、そういった患者さんを断らないで診るためには、小児の経験は必要と思います。ER救急の現場ということです。

○福井座長 どうぞ。

○伊野構成員 最初に初期臨床研修が開始される時に、私がストレート研修の先生方を説得したには、これからは、小児だから診ない、妊婦だから診ない、精神障害者だから診ない、そういう医師はらないということで、皆さんお願いしますと言って回った記憶がございますので、将来どの科に行こうともというところは曲げなくていいのではないかと思います。

○福井座長 構成員の先生方はほぼ同じ考えを持たれているから議論が比較的スムーズなのですけれども、徹底的に反対しようと思う方々もおられます。そういう場合に説得できるかどうかが非常に重要になってきますので、今後、この議論は続けていきたいと思います。

 それから、期間につきましても非常に頭を悩ませるところでして、1カ月だと短いとおっしゃる先生方が大部分です。では、2カ月、3カ月本当に回していいですかと言うと、それも困ると言われる方も多くて、既存のデータをいろいろ解析して、何カ月ぐらいが適切なのか、できることなら何かしらのデータを示しながら議論ができればと思っています。3カ月やっても当該分野で一人立ちできるような医師にならないことはわかっていいますが、1カ月が3カ月と比べて本当にだめなのかということは、数学的に決めることは難しいと思っています。

 ほかにはいかがでしょうか。評価のところについては、このような評価票と、もう少し詳しいチェック項目をつけることになると思っていますけれども、このような方針でつくっていってよろしいでしょうか。特に資料1の5ページの3つの項目は評価の基本方針ということになります。このようなかなり大ざっぱな評価票になりますが、こういうものを用いて研修管理委員会で収集・保持するということになります。2番目が、最低限年2回は各病院でフィードバックをしてはどうかと。3番目が、基本的診療業務の4つの場面での診療業務については、最後に研修管理委員会で決定してはどうかという、評価についての枠組みなのですが、これについてはいかがでしょうか。アイデアがございましたらお願いいたします。

 高橋先生。

○高橋構成員 3つの方針は賛成です。

 話がちょっと変わるのですけれども、先ほど古谷先生がお話しされたレポートについてですが、今までのレポートは数が多過ぎて、やっつけ仕事的なところもあることはあったのですが、ただ、必要最低限の診療科・10疾患を必ず経験することという意味では、非常に役立っているところもあると思うので、レポートという枠をはめるような議論はなかったのでしょうか。

○福井座長 レポートについては、研究班ではまだ具体的に議論しておりません。次のステップでさせていただきたいと思います。形だけのレポートにはならないようにしたいと思っていますし、能力が身についたことをサポートするような何らかの記録・証拠は必要だとも思います。そこの兼ね合いをどうするか。できましたら、今のシステムよりも簡略化した上でそれができないかと思っています。

 古谷先生。

○古谷構成員 現在は剖検に関しても必修というか、レポートを記載しなければいけないのですけれども、剖検に関しては何か御検討されましたでしょうか。

○福井座長 研究班では、まだディスカッションしておりません。

 ほかにはいかがでしょうか。大滝先生どうぞ。

○大滝構成員 研究班でもまだ詰めてはいないことですが、現在の到達目標の特に経験目標のところを中心に、どの程度のことをしたら「経験した」としてよいのかについて、特に指導医側からの疑問が、この研修制度の開始当初から出ていました。それに対するサポートとして、「臨床研修指導ガイドライン」を厚労省の研究班でかなり前作成しました。今回の検討においてどのような形で方略について担保するのかについても、必須の基準ではないにしても、参考資料として、以前は、いろいろな関連学会から担当者を出していただいて、それぞれで参考資料としてつくっていただきましたが、それを再度ブラッシュアップといいますか、アップデートする形で参考資料をつくって、研修医に経験させたと判断していいかどうかを指導医が考えるときの参考になるものが、どこかの段階で求められると思います。以前にも話題になりましたけれども、ここでも申し上げておきます。

 以上です。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。資料4、資料5のローテーションが終わったところで360度評価として指導医あるいは上級医または医師以外の職種の方々による評価をしてもらって、それを端的に言うとポートフォリオとして集積していこうというものではありますけれども、いかがでしょうか。

 片岡先生、先にどうぞ。

○片岡構成員 資料4ですが、これは基本的に形成的評価に使うということだと思いますけれども、もうちょっと項目があったほうが良いのでは、と。三択ですが「観察機会なし」を除くと実際には二択となり、いいか悪いかというのはつけにくいのかなと思いました。資料5ですと観察機会なしを除いて四択ということになりますので、そのほうが実際的ではないかということ。

 もう一点として、例えば、資料4で「心配」がたくさんついた場合とか、あるいは資料5で「D」が一定数以上ついたときは、ローテーションごとに評価を行うということであれば、再履修を求めるのか、どの程度の問題があればDとつけていいのかなど、そのあたりも今後議論されるのでしょうか。

○福井座長 実際はそうなると思います。なかなか難しい話でもあります。例えば、資料4も、研究班の中で時間をかけてこれらの項目についてディスカッションしておりませんので、いい案がありましたら、ぜひ出してもらえればと思います。

 金丸先生どうぞ。

○金丸構成員 質問といいますか、これは医師として成長していくときに、患者さんの診療経験によって成長していく流れがベースにあります。そして、教育指導も、若手を指導することで指導者の資質向上につながっていく流れがありますよね。こういう評価をするときに、指導者自身の評価がある程度並行しながら高まっていくにしても、何か偏った評価にならない歯止めといいますか、仕組みはあるのでしょうか。例えば、360度で多職種であれば、1人の医師ではなく多職種から見て評価されるので、それで希釈されて、ある程度妥当な評価近づいていきますが、ある1人の指導者によって偏った評価がされるということの歯止めはあるのでしょうか。漠然とした質問でわかりにくいのですが。

○福井座長 そういう状況を予防するための360度評価だと思います。

○金丸構成員 最も大事なところが、全体的に360度評価が可能な限りあるほうがいいと思います。変化するものが変化するものを評価できるかという、絶対評価ということはないにしても、経験によって指導者も資質を上げていくにしても、大事な2年間の研修の形成的支援だし、評価がうまくいくような評価の仕組みといいますか、それがあるといいと思います

○福井座長 本当は指導者も指導を受ける者から評価されるべきなんですね。指導医の評価は、最近は多くの病院でやられているようです。今回の見直しで、それも組み込んでいくかどうかですね。

○金丸構成員 そのあたりが並行して組み込んでいけるといいと思います。なかなか緊張感があって大変だと思いますが。

○福井座長 でも、最近は皆さん受け入れているみたいで、授業をすれば評価されますし、臨床研修でも研修医から自分も評価されるというのは当たり前になってきているように思っていますが。

○金丸構成員 研修医からの評価というのはもちろんあるのですが、指導者間の評価ですよね。なかなか難しいところがあるかもしれないのですが。

○福井座長 またディスカッションできればと思います。

 片岡先生、今の話について何かございますか。

○片岡構成員 確かに、先ほどちらっと触れたのですけれども、何をもってAなのか、何をもってBなのかというガイドみたいなものがあったら、評価が揃いやすくなるのではないかと思います。

 あとは、確かに指導医の評価は意識が高い病院ではされていると思うのですけれども、全てでされているかというとそうではないと思うので、ある程度それを推奨するといった方向性はあったほうがいいのかなと思いました。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 中島先生。

○中島構成員 資料5のレベルA「医師として完成されたレベル」とありますが、ここまで言ってしまうとまずいのではないかと思います。

○福井座長 これは全くの案ですので、これからどんどん変えていきたいと思います。良い案がありましたら、教えていただければありがたいです。イメージ的には、研修医のレベルを超えて一人前の医師のレベルだということを言いたいのがレベルAではあります。

 伊野先生。

○伊野構成員 先ほどのレベルのチェックの仕方を含めて、指導医にアセスメントするという教育指導医講習会などで、きちんと盛り込んでいければと思います。

○福井座長 高橋先生。

○高橋構成員 「B.脂質・能力に関するマイルストーン」のレーティングの評価のところですけれども、もし可能であれば、項目によって中身のレベル設定の説明がバラバラなので、このあたり統一できるところは統一していただいたほうが、評価する際はしやすいかなと感じましたので、御検討をお願いします。

○福井座長 ごめんなさい、具体的にどういうところでしょうか。

○高橋構成員 例えば「1.医学・医療における倫理性」と「2.医学知識と問題対応能力」のレベルの中の文言が、ものによって全部違っているとちょっと理解しづらい、もちろん一々全部読まないとつけられないわけですので、なかなかストレスフルかなと感じたということです。

○福井座長 それぞれの項目は、資料1ですと、到達目標の9項目のそれぞれのタイトルの次に書いている文章を主として使って評価できないかとは思った次第です。資料5の1ページの最初の文章を使うと余りにも大ざっぱなものですから、資料5の2ページ以降は、それぞれの項目に特化した内容を書き込まないと評価が難しいように思っていて、本日の案のように不完全な形になってしまいました。研究班でもディスカッションしたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。古谷先生。

○古谷構成員 360度評価なのですけれども、以前うちの病院でも360度評価をやっていたのですが、最終的に看護師からの評価はやめてしまった経緯があります。例えば、臨床研修医が複数の病棟にまたがって患者を受け持っている場合に、どこの病棟でも研修医はいないという評価をされてしまって、非常にネガティブで研修医が落ち込んでしまうようなことがありました。評価者をだれにするかということがすごく難しくて、結局は、ふだんちゃんと見てくれている人を評価者に選定して、360度ではないほぼ一方向か二方向程度のものになるのですけれども、そういった選択肢を考えなければいけないと。すなわち全ての施設で同じように360度ができるわけではないので、もちろんモデルを出していただけるのは非常にいいのですが、そこに余りにも縛られてしまって360度にしなければいけないとか、評価できなくても無理やり評価をしなければいけないということにならないように気を配らなければいけないと感じています。

 それから、看護師が見て見える部分と、医師から見て見える部分、評価できる部分が当然違うので、同じ評価票でいいのか。例えば、同じ評価票を評価者の違いだけで使い分けていくような形でいいのかどうかも検討していく必要があるのかなと思います。

○福井座長 伊野先生。

○伊野構成員 私は今始めたばかりですけれども、多職種からの評価は必要だと思います。病院としてしっかり教育やアセスメントの仕方を多職種の方にも修得していただいて、研修医たちにもそれがあるのだということを周知しています。おっしゃるような問題も出てくるとは思いますけれども、方向性としてはそちらに行くべきではないかと思います。

○福井座長 高橋先生。

○高橋構成員 伊野先生の意見に賛成です。どうしてもつけられないという職種もあるかもしれませんけれども、指導医・上級医・看護師だけでいいかと言われると、それで360度というのは恥ずかしいような気もしますが、いろいろな職種の人たちから評価されてこそ病院の中に研修の風土も育つと思いますし、研修医の態度が変容しますので、望ましいと思います。

○福井座長 当然、職種によって観察できるところは違いますので、それは了解の上で評価してもらうことになると思いますし、実際に観察機会なしとか、ノット・アプリカブルという項目をつけることになると思います。

 実は、職種によって見せる顔が違う医師がいるというのは恐ろしい話でして、そのことを評価しておかないと、後々大変なことになると思います。

 高橋先生。

○高橋構成員 今の補足なのですけれども、看護師からの評価というのは患者さんからの評価と非常に近いものがあって、医学的な知識は確かに指導医のほうがいいかもしれませんけれども、接遇に関しては看護師が非常によく見ていますので、いいと思います。

○福井座長 ほかには何かございませんか。中島先生。

○中島構成員 資料5のマイルストーンなのですけれども、レベルAの「医師として完成されたレベル」というのは何がいいかなと考えていたのですが、「十分なレベル」ではないかと。人間に完成はあり得ないと思いますから。

○福井座長 そういう御意見をいただければ大変ありがたいです。ここも今後幾らでも変えていきたいと思っています。あくまでも、こういうフレームで評価の資料をつくったらどうかという提案ですので。これから10カ月近くかけて、これをブラッシュアップしていくことになります。ぜひ御意見をいただければと思います。

 羽鳥先生どうぞ。

○羽鳥構成員 先生方はたくさんの方法を、欧米で学生さんや若い先生たちの評価方法もいろいろあると思うので、もし事務局で用意できるなら、アメリカ、イギリス、ドイツではどんな評価をつくっているのか、もしわかれば教えていただけたらと思います。

○福井座長 事務局なり、私たち研究班で調べたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。伴先生。

○伴構成員 最初のころ提案していたのですけれども、EPOCとの関連性を何か考えながらやられているのかどうか。ある程度継続性とか記録あるいは全国との比較という意味では非常にいいツールだと思うのですが、その辺はどうですか。

○福井座長 東京医科歯科大学の高橋先生にも加わっていただいていますけれども、具体的にEPOCとの関連でこうしようという議論は今までは出てきておりませんはっきりとは聞いていませんけれども、こちらで作った案を考えようと言われたような記憶がございます。今あるEPOCのシステム、内容を勘案して到達目標、方略・評価を作ろうという考え方にはなっていません。確認します。

○大滝構成員 関連して発言します。福井座長がおっしゃったとおりで、こちらが変わると当然EPOCも今のままでは使えなくなるので、こちらの枠組みが決まり次第、どう変えていくかを検討することになり、EPOCの運営委員会の下にワーキングをつくり、そのリーダーを医科歯科大学の高橋先生が担当されるというところまで決まったと理解しています。

○福井座長 到達目標自体がガラッと変わってしまったので、Webを使ってというシステムは変わらないのでしょうが、内容自体は確かにガラッと変える必要があると思います。

○伴構成員 そちらをガラッと変えないといけないので、どういうふうに進んでいるのかなというのが気になりました。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。

 佐々木先生から何かございませんか。よろしいですか。

 診療技能のところなどは、できましたらモデル・コア・カリキュラムで卒前にこれは幾ら何でもやっているでしょうというものは省きたいと思っています。簡略化するためにはそうしたほうがいいのではないかと思っていますので、また御議論いただければと思います。

 もし、ほかに御意見がないようでしたら。中島先生。

○中島構成員 資料5ですけれども、評価していくところでそれぞれ1、2、3とかありますが、その前に1行説明がついているんですよね。

○福井座長 到達目標のほうはですね。その文章のレベルAのところに、今のことを書き出しています。

○中島構成員 ここは、その最初の1行を書き出しているということですね。

○福井座長 これはあくまでもたたき台です。これから文章を4段階に変えたものをここに書き込みます。ただ、もっと細かく評価する項目については、別紙の形か何かの形で書き出す必要が、特に2番目と3番目については、あると思っています。

○中島構成員 特に、5ページの「4.コミュニケーション能力」もこだわりますけれども、いきなり「適切な身だしなみ」が出てくるんですよね。コミュニケーション能力とは違うところが目に入りますので、これはよくないと思います。やはり患者の思いを適切に理解した上で、ということがベースになるわけですから、それがベースになりますよということが伝わりにくいです。よく読み込んでいけばわかりますけれども、読み込まないとわからない。患者の本当の思いをちゃんと受け取ることが、まず全てのコミュニケーションの出発点だと、それがなかったらだめですよということがかわるようにしていただきたい。

 それから、ほかの項目に挙がっていること全ては、コミュニケーション能力がなかったら成り立たないことなんです。

○福井座長 資料4の3番にも部分的にはかかわってきますし、今先生がおっしゃったのは、いろいろなところにかかわることではあります。

○中島構成員 これは少し重なっているんですよね。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。古谷先生。

○古谷構成員 結局、最終的に研修病院としての認定をしていく段階で、新しい方略や評価方法を決めていくに当たって、それをどのようにして運用していくのかをちゃんと各研修施設が考えて明示して、その上で研修病院としての認定をやっていくというシステムづくりも視野に入れていただけるとありがたいかなと思います。

○福井座長 ほかにはいかがでしょうか。高橋先生。

○高橋構成員 前にもお話ししたことですけれども、これだけ内容が変わってきますと、いわゆる指導医の育成の指導医講習会の開催指針を見直ししないといけないなと思いますので、平成32年の改定のときまでにつくるようにしないと。

○福井座長 ありがとうございます。

 ほかには何かないでしょうか。よろしいですか。

 たくさん貴重な御意見をいただきましたので、また次回以降、方略・評価の議論をさらに深めていきたいと思います。

 もしよろしければ、予定より少々早いのですけれども、本日の議論はここまでとしたいと思います。

 事務局から今後の予定等についてありましたら、お願いします。

○櫻本医師臨床研修専門官 次回の日程は、事務局で調整の上、改めて御連絡させていただきます。

 以上です。

○福井座長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。

 本日は、お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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