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2017年5月22日 平成29年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会

○日時

平成29年5月22日(月)15:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第1回化学物質のリスク評価企画検討会を開催させていただきます。本日の委員の出席状況ですが、全員出席となっております。また、この度事務局に異動がありましたので、出席者について紹介させていただきます。化学物質国際動向分析官の吉澤です。化学物質対策課長補佐の土井です。化学物質審査専門官の磯崎です。なお、本日は平成29年度の第1回でございますので、化学物質対策課長の奥村から御挨拶を申し上げます。

○奥村化学物質対策課長 本日はお忙しいところ御参集いただきましてどうもありがとうございます。年度の初めの化学物質のリスク評価企画検討会ですので一言御挨拶を申し上げます。この委員会は、国が行うリスク評価全体のコントロールをするという役目を持って作られております。平成181月から、国によりリスク評価制度が始まり、これまでに幾つかの物質を特化則に入れるなどの改正を行ってきました。数えたところ、特別有機溶剤も入れると28物質がこれまでに追加されました。

 その間、国としては労働者のばく露をするであろう有害なハザードの持っている物質をいかに規制で押さえ込むかということに注力してきました。その間に、残念ながら胆管がんとか膀胱がんのような事案があり、更に一層この国のリスク評価でのリスクスクリーニングというようなものの精度が求められるような状態になっております。新しくは、膀胱がんでは経皮吸収がクローズアップされましたので、経皮吸収においても、このリスク評価の中でばく露実態を今まで以上に詳細に調査するというような対応が求められました。このように、リスク評価の制度を我々もどんどん改善しているところです。そういう方向で、また各委員の先生方には審議していただければ有り難いと考えております。以上、冒頭御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、櫻井先生に座長をお願いすることにいたします。早速ですが、以降の議事進行をお願いいたします。

○櫻井座長 櫻井です。議事進行を務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。最初に、事務局から資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料の確認をさせていただきます。議事次第については表紙にあるとおり、(1)平成29年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針()について、(2)リスク評価対象物質・案件選定の考え方()について、 (3)その他ということで予定しております。

 次に資料の説明に入ります。1ページから3ページが資料1-15ページと6ページが資料1-27ページが資料2。資料2の別紙として、IARCのグループ1から2A2Bで分類されている作用因子について、9ページから35ページまでにまとめております。以上が資料です。

 次に参考資料です。37ページと38ページは参考資料1で、企画検討会開催要綱・参集者名簿です。39ページから44ページは参考資料2-1です。参考資料2-2A3判縦の資料で別配付としております。45ページから52ページが参考資料3で、平成28年度のリスク評価の実績について(平成28年度第5回企画検討会後修正)です。53ページと54ページは参考資料4で、平成29年度中期発がん性試験の実施予定物質です。55ページは参考資料5で、職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化(詳細)です。57ページから98ページが参考資料6で、労働者の有害物によるばく露評価ガイドラインとなっております。。

 資料に不備等がありましたら、事務局までお申し出いただきますようにお願いいたします。

○櫻井座長 それでは本日の議事に入ります。最初は「平成29年度リスク評価方針()について」です。事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 年度の頭ということですので、リスク評価方針()、その後の議題でリスク評価対象物質案件選定の考え方を御議論いただきます。リスク評価方針(案)につきましては、資料1-1でまとめておりますが、冒頭課長からありましたように、このリスク評価制度については平成18年度から行っています。最近の問題ということでいいますと、オルト—トルイジンが経皮吸収されたことによると見られる膀胱がん発生事案の教訓も踏まえ、化学物質の経皮吸収等についても反映したリスク評価を今後行っていく必要があるということを昨年度打ち出しました。

 そういう状況等を踏まえ、平成29年度においては以下の方針により、化学物質リスク評価を実施することとさせていただきます。1(1)のマル1リスク評価に係る方針の策定、ここは従来どおりです。1のマル2は、リスク評価対象物質の選定です。ここについては大きく表現ぶりを変えさせていただきました。これまでのリスク評価における問題点等を精査し、選定の方法等について方向性を新たに打ち出させていただくものです。物質選定の優先順位について整理し、明確化するとともに、過年度選定した物質について、測定手法開発の困難性、ばく露実態調査対象実施事業場数の不足、有害性情報の不足等がみられることから、選定に当たっての対応策を明記するため、次の議題となっております「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」も修正することといたしました。

 マル3は従来と同じです。平成30年度に実施予定の中期発がん性試験の候補物質を選定する。さらに、昨年度はマル4に、長期発がん性試験の選定ということで入れておりましたけれども、前回の企画検討会で申し上げました状況のとおり、当面の間は長期発がん性試験は実施できないという状況もありますので、昨年度のマル4は削除し、それ以降のものを繰上げております。

 マル4はリスクコミュニケーションの推進ということで、リスク評価に関する関係者間の相互理解を促進するため、労働分野におけるリスクコミュニケーションの実施について検討する。マル5では、労働安全衛生法施行令別表第9に追加する化学物質等の検討を行うとしているところです。

2ページの(2)は、化学物質のリスク評価検討会です。一昨年度顕在化したオルト—トルイジンの経皮吸収によると示唆された膀胱がん発生事案の教訓を踏まえ、平成29年度においては、経皮吸収について定量的な評価方法が定められるまでの間のリスク判定方法を確立するため、検討し結論を得るとしております。また、化学物質のリスク評価の加速化を図るため、事業場におけるばく露実態調査を年間通じて実施し、前半は、これまでと同様、経気道ばく露を踏まえたリスク評価を行いますが、後半は経気道ばく露を踏まえたリスク評価のほか、経皮吸収も踏まえたリスク評価を実施する方向としたいと考えております。平成29年度にまとめられたリスク評価については、評価結果を化学物質のリスク評価検討会報告書として取りまとめるとしております。

 また、化学物質のリスク評価検討会に2つある小検討会においては、以下の検討を行うこととしております。マル1の有害性評価小検討会については、従来同様リスク評価を行う物質の有害性評価を行うとともに、評価値についての検討を行います。さらに、国によるがん原性試験(吸入試験)の結果について評価を実施するとしております。一方、有害性評価小検討会の下に設置しております「発がん性評価ワーキンググループ」と「遺伝毒性評価ワーキンググループ」においては、発がん性に重点を置いた化学物質の有害性評価の加速化を図るため、既存の情報に基づく発がん性評価及び遺伝毒性評価を行うとともに、各種の発がん性スクリーニング試験として、中期肝発がん性試験、遺伝子改変動物による発がん性試験、微生物を用いる変異原性試験、Bhas42細胞を用いる形質転換試験の対象物質の選定と、試験結果の評価を行うとしております。

 マル2はばく露評価小検討会です。ばく露評価小検討会においては、労働者の有害物によるばく露評価ガイドラインに沿い、化学物質の経皮吸収等にも配慮しつつ、平成28年度までにばく露実態調査を終了したものの中から評価を実施します。また、経皮吸収のリスクの判定方法について、経皮吸収の勧告がなされている化学物質のばく露評価を通じて検討を進め、原案を作成し、リスク評価検討会に上程をする方向で進めてまいりたいと考えております。今後、リスク評価を行う物質の測定方法についても、従来どおり検討を行うことといたします。

(3)は、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会です。この検討会においては、リスク評価の結果、健康障害防止措置の検討が必要だとされた化学物質について、関係事業者、保護具メーカー等からヒアリングを行うなどして、最新の技術開発動向や規制の導入にあたって考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行ってまいります。本年度においては、リスク評価検討会において取りまとめられる「化学物質のリスク評価検討会報告書」を踏まえ、健康障害防止措置の検討を行うことが必要とされたものについて、検討結果がまとまりましたら「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」に取りまとめることといたします。

 また、有害性評価小検討会において行われる国のがん原性試験結果の評価を踏まえ、必要に応じ、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針に関連する技術的検討を行うとしております。

 最後は次の資料にも関係しますけれども、リスク評価に係るリスクコミュニケーションの推進です。ここでは規制措置の導入に際し、パブリックコメントを通じて、国民の意見を積極的に募集するとともに、リスク評価の節目に意見交換会を実施し、意見交換を行うことといたします。また、パンフレットの作成やホームページへの掲載を通じて、国民に分かりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えております。このほかに、ばく露実態調査のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供し、事業者自らのリスク管理などの導入を支援してまいりたいと考えております。以上が資料1-1です。

 次は資料1-2です。資料1-1(2)と関連しますが、平成29年度のリスクコミュニケーションの進め方です。この内容については、平成28年度第1回検討会で御意見をいただきました内容を、反映させたものとなっております。実施すべき内容の大枠で申しますと、パブリックコメントの実施とともに、意見交換会を行います。この意見交換会は年間3回開催することとし、内容はリスク評価結果、健康障害防止措置の検討結果、労働安全衛生法施行令別表第9の追加に関し、行う予定です。

 2の(2)の開催要領ですが、平成28年度に行いました3回の会合では、国のリスク評価全般の説明を目的とする、一般募集型のリスクコミュニケーションとして、講演者の説明の後、当日参加者から募集した質問・意見に応える形でパネルディスカッションを行いました。

 平成29年度においては、以下の点に留意し、効率的かつ効果的な開催に努めることといたします。まず参加者の募集です。地方開催については、特に参加者への周知が必要であり、「全国産業安全衛生学会」や「日本産業衛生学会」等に開催情報を提供するとともに、化学物質に関わる者に幅広な情報提供を行うことに留意する。また、開催地及びテーマの設定については、テーマごとに参加者の利便性を考慮した開催地を選定することが重要。平成29年度においても、東京のほか主要地方都市での開催を検討すること。関係事業者の参集しやすい場所、機会に開催することに考慮することとしております。

 会合の持ち方については、従来どおりの予定で、全体を3時間、意見交換1.5時間という予定です。意見交換の方式としては、参加者から募集した質問・意見に応える形での現行方式が有効と考えるため、出席者から意見・質問が出しやすいよう、あらかじめ質問・意見提出用紙等を配布する方式とします。参加者については、100名程度の会合を目標にしております。

(3)その他です。リスクコミュニケーションの普及促進の観点から、国は事業者、業界団体にリスクコミュニケーションの開催を呼びかけるとともに、事業者等の主催するリスクコミュニケーションへの講師派遣、資料提供等を行うなどして、連携の強化を図ることといたします。また、国はリスクコミュニケーションに係るPDCAサイクルを成立させるため、リスコミの事業評価を行う必要がある。評価手法の1つとして、リスクコミュニケーション会合参加者へのアンケートを行っておりますが、次の年度においてもアンケートやパネラーへのインタビュー等の結果を踏まえ、ニーズにマッチした効率的・効果的な開催を行うこととする。このようにリスクコミュニケーションを進めることを予定しております。

 項目3はパンフレットについての記載です。項目4はホームページにおいてリスク評価に係る最新の情報を、事業者、労働者に分かりやすく、見やすい形で一層充実させ、提供することが必要であるということで、それを踏まえた対応をしてまいりたいと考えております。議題1の説明は以上です。

○櫻井座長 今年度のリスク評価方針()について、資料1-1と資料1-2の内容の説明がありました。御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。

○堀口委員 資料1-2なのですけれども、資料1-1と関係すると、資料1-11ページに、リスクコミュニケーションの推進ということで、1(1)のマル4に「検討する」というように記述されています。進め方として、資料1-2が位置付けられていると考えています。資料1-23行目に、「リスク評価の開始からリスク低減措置の導入に至る各段階において」という文言があります。こういうことから、資料1-21枚目、5ページになりますけれども2の意見交換会の(1)のマル1マル2の部分ですけれども、各段階で、実際に結果が出ましたということも意見交換会でやっておりますが、措置が出る前に、意見交換会になっていたりもします。あえてマル1マル2の所に「結果」という2文字を入れなくてもいいのではないか。その段階でやっているということからすると、結果の後しかやっていないというように思われる表現になっているかと思いますので、「結果」の2文字を除いてはいかがなものかと思います。

2点目は、資料1-22ページ目になります。これまでもアンケートを当日会場で配っているのは私も目にしていますし、回収しているのも分かっています。実際そのアンケートの結果を見たことがなくて、この検討会で検討するというようになっているので、毎回出せとかそういう意味ではないのですけれども、アンケートの結果がどうなっているのかというのは、分かる範囲内で、例えば最後の企画の検討会のときにでも、集計の途中でも結構だと思うのですけれども、出てくると参加されていない委員の方々からも、貴重な御意見が出るのではないかと思います。今後、アンケートの結果についてはよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 2点の御意見がありました。最初は、5ページのリスク評価結果、その次は検討結果の「結果」は要らないと。除いてもよろしいでしょうか。確かにそれ以外の段階でも実施しているし、そうしようとしているということで、これは除くということで結論を出させていただきます。アンケートのほうは、事務局方では御覧になっているのですか。

○平川化学物質評価室長補佐 また、内容等を整理し、適切に報告をさせていただきます。

○櫻井座長 よろしくお願いします。

○宮川委員 資料1-13ページの一番最後です。「このほか、ばく露実態調査のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供し、事業者のリスク管理の導入を支援する」ということで、国はこういう方法でリスク評価をしていますよ、ということはリスクコミュニケーションで今まで説明をしていたわけです。この部分については、事業者が自主的にやる場合にも活用できることなので、そこを使ってくださいというところをここに書いていただいたのかと思います。その部分の具体的なところが、資料1-2のほうには抜けているという気がいたしますので、その辺りを御検討いただき、この文章を作り直すということではなく、実際に事業者支援をやるときに考えていただければと思います。

 なぜこういうことを申したかと言いますと、今、事業者の間でリスクアセスメントをしなければいけないということで、いろいろと負担になっているわけです。国のこのリスク評価では、現場で濃度を実測する前の段階でコントロールバンディング的な方法で予備調査をしているはずなのです。今回の資料の一番最後の96ページにありますけれども、これはドイツの連邦労働安全衛生研究所が出しているもので、コントロールバンディングに非常に似ています。一番違うところは、最後のところがばく露の濃度の推定になっています。そうすると、これでもってある程度ばく露濃度が推定できる可能性があり、その場合は国のリスク評価でやっているのと同じように、最終的には許容濃度等と比較して判断をするという、本来の健康リスク評価のあるべき姿で、ある程度のことができる。

 しかもこのドイツの方式で、どの程度正確にばく露レベルが予想されていたかどうかというデータが、もしこれで今までやっているのだとすると、実測値と合わせると相当程度データがたまっていて、その辺を解析して提供すると非常に有効に使える、あるいはこういう方法が有効だということを示す根拠になると思います。ただ、ただバンドでもって判断するというものよりは、許容濃度と比べるようなやり方、準定量的なリスク評価方法をここで実際に使っているのだとすると、そこをもうちょっと丁寧に説明をして、事業者の皆さんがリスクアセスメントをする場合に、こういうことができますよというところをうまく説明することを考えるのが非常に有効かと思いますので、一言申し上げました。

○櫻井座長 ただいまの御意見はいかがでしょうか。

○穴井化学物質評価室長 委託に出している事業者の方法等について、こちらでどのような形で出したらいいのかということを整理し、また分からないところは先生方に御相談するなどして、出し方を考えたいと思います。

○櫻井座長 検討されて、その段階で確立した方法は、いろいろな所でそれを利用したいという話は既に聞いております。

○宮川委員 あと一点は、厚生労働省が出しているリスクアセスメント方法のパンフレットなどに、多分このドイツのやり方に相当するものが今の状況では抜けているのではないかと思いますので、そこも次回新しいバージョンを出す場合には検討していただければと思います。

○櫻井座長 コントロールバンディング・プラスアルファになってくるわけですね。

○宮川委員 はい。

○櫻井座長 大変意義のあるデータが集積される可能性もあるということですので、積極的に情報提供というところの、方法等については皆さんの御意見等も聞いてくださるということですので、そういう方向で進めていただきたいということでよろしいでしょうか。その他に何かありますか。

○丸田委員 2点あります。1点目は、通し番号の2ページの経皮吸収に関連してです。「ばく露評価小委員会で原案を作成し、リスク評価検討会に上程する」とあります。同じページの一番上に行くと、「平成29年度は経皮吸収について、定量的な評価が定められるまでの間のリスクの判定方法を確立するため、検討し」とあります。あくまで定量的な評価がいつ定まるか分からないとしても、中間的なものを平成29年度で確定させるというように、終わりを示したということでよろしいでしょうか。

○穴井化学物質評価室長 可能な限り今年度で、経皮吸収についてリスクが高い、あるいは低いというような判定ができるようにしたいと考えております。

○丸田委員 2点目は、通し番号の6ページです。リスクコミュニケーションに関してです。そのページの上のほうに、「関係事業者が参集しやすい場所、機会に開催することを考慮」とあります。当然、どういう事業者を対象にするかによって、また地域によって違うかと思うのですが、どういうことを想定されているのか、草案めいたものがあったら聞かせてください。

○平川化学物質評価室長補佐 現時点でリスク評価の結論が出ているものとして、詳細評価については酸化チタン(ローマ数字4)の結論が出ていますので、リスクコミュニケーションのテーマとして考えられるかと思います。リスク評価が継続中のものについては、参考資料2-2にございますように、詳細リスク評価を行うとしているものが10物質ほどあります。こういうものについてもテーマの一つとして考えられるかというところです。あとは、毎年リスク評価報告書を出しておりますので、そういうものも対象になってくるのではないか。順次出せるものから出していくということになろうかと思います。

○丸田委員 場所についても教えていただけますか。

○平川化学物質評価室長補佐 場所については、一番人が集まりやすいということで、やはり東京が第1候補ということになろうかと思います。あとは主要地方都市での開催についても、基本的にその次に人口の多い所ということで、これまでずっと大阪で行っております。従来どおり東京と大阪というのが基本的な整理になってこようかと思います。どうしても東京、大阪以外の場所での必要性が出てくれば、それ以外の場所も検討の1つとして挙がってこようかと思います。今のところは東京と大阪の開催ということで、従来やっている所を中心に進めていくことになろうかと思います。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。他に何かありますか。特にないようですので、小さな修正はありましたが、それを入れて現在の案を、平成29年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質リスク評価方針とする、という結論になろうかと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、そのように進めていただきたいと思います。

 続いて、今年度のリスク評価対象物質案件選定の考え方について、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 「リスク評価対象物質・案件選定の考え方()」ということで、資料2に沿って説明いたします。従来までは、これまでは部分的な修正でしたが、先ほども申しましたとおり、リスク評価をめぐる状況も変わってきておりますので、今年度は表現ぶりを簡潔にまとめたということです。

 順番に申し上げます。項目1のリスク評価対象物質・案件の選定については、これまで国際がん研究機関(IARC)の発がん性指標の高いグループ12A2Bの順に物質を選定するとともに、最近では、生殖毒性や神経毒性の高い物質についても選定をしてきたところです。今後もハザード(特に発がん性)の高い物質を優先的に選定する原則は変更する必要がないと考えますが、リスク評価の現状を見ると、過年度選定した物質について、測定手法の確立が困難なこと、ばく露実態調査対象事業場の確保ができないこと、必要な有害性情報が不足していること等のため、リスク評価が進まない物質がかなり見られるところです。

 現在の進捗状況については、参考資料2-1、参考資料2-2に書いてあります。初期リスク評価の結論が出ていない物質がかなりあるという状況にあります。項番2に移って、このため、今後の選定に当たっては以下のように進めることとしたいと考えております。(1)優先順位は、発がん性についてはIARCグループ12A2Bの別紙リスト参照ということで、後ろのほうにIARCのグループ12A2Bのリストということでまとめております。発がん性の次に生殖毒性その他の毒性の高い物質を優先するということにするものです。

(2)測定手法の開発について、(1)の優先度の高い物質順に委託事業等であらかじめ開発を実施し、開発が困難な物質については、有害物ばく露作業報告物質の選定を猶予するということで、今回打ち出すものです。

(3)再告示してもばく露作業報告対象事業場がなく、打ち切りとなったものが、かなりの頻度に見られることから、(1)のリストと同じグループの中では一定程度の数量又は広い用途があるものを優先するということです。

(4)モデルSDSがない等有害性情報が不足している物質についても選定を猶予するという形で、今回進めてまいりたいと考えております。下のなお書きですが、国際機関における発がん性評価等の変更があった場合、がん等の重篤な健康障害を生じさせた化学物質に関する情報が得られた場合、生産量・輸入量が急増・急減している場合等については、優先順位を適時変更することとしたいと考えております。

 さらに、経皮吸収のところですが、今年度経皮吸収の評価方法について、検討することとしておりますが、その結論が出たのちには、過去にリスクが低いと評価された化学物質のうち、経皮吸収の勧告のあるものについては、再リスク評価を行うことも含め出された結論に従って取り扱うこととするということで、今回そのような形でリスク評価対象物質・案件の選定の考え方ということで出しています。したがって、2(2)にあるように、今後、委託事業等も活用して選定していくという考え方を入れていきたいというところで、資料2をまとめました。事務局からは以上です。よろしくお願いします。

○櫻井座長 ただいま資料2についての説明がありました。その内容について、御質問、御意見がありましたらどうぞ。

○名古屋委員 選定の方法は、今までどおりでいいのだと思うのです。ただ、その選定した物質が出てきたときに、物質のCASNo.を見れば、分析ができるかどうか分かっているので、そこを付けてもらえれば、選定の参考になると思います。CAS番号の所に分析がなかったら外しましょうという形の選定はできるのではないかと思います。多分、委託されている所も、CAS番号を見て、そこに記載された分析法をトレースして日本版分析法に落とし込んでいますので、もともとそこがなかったら、新たに分析方法を開発するのは1分析機関では無理です。分析に関しても委託事業場で全て分析しているわけではなくて、各測定機関に依頼して分析させているので、CAS番号の無い物質の分析を各測定機関で行うのはなかなか無理なので、優先すべきはCAS番号があることではないかと。

 あと、事業場数は今までも、取扱い量の多い事業場と作業者が多い所を選定していますので、そこはそれほど今までと変わらなくても大丈夫かなと。やはり分析を優先すべきところは入れていただければ、ここで選定するときには役に立つのかと、思います。

○平川化学物質評価室長補佐 今後選定する際には、分析方法について、例えばNIOSHを検索するなどして情報を集めていくことも検討する方法もあるということでしょうか。

○名古屋委員 分析検索の結果情報も記載してもらえばと思うのです。

○平川化学物質評価室長補佐 それで、あるものについては落とさずにそのまま進めることができるのではないかという理解で。

○名古屋委員 当然、有害性が優先するのですが、どんなに有害性が高くても、分析ができないのはつらい部分があるので、そこのところに合わせて、分析の情報も入れていただいてということで、選定のときに優先順位で選ばれたものの中で分析できるかどうかという形のものも、今まではそれは入っていなかったので、そこを入れて選定する資料にしたらどうでしょうかということです。

○穴井化学物質評価室長 リストを見ていただくと分かるのですが、IARC1についてはCAS番号があるものはほとんど終わっていて、今後はないものをどうするかというのは我々も非常に苦労しているので、そういったところも含めて分析方法がなかったりとか、有害情報がなかったりすると、なかなか難しいというのはありますが、それをまず調べてからということで。

○名古屋委員 そうですね。だから、NIOSHから始めてOSHA、イギリス、ドイツのところの文献の中に、当然、動物実験を行うときにも、疫学調査をするにしても、分析しないと結果が出てきませんので、動物実験や疫学調査のところのどこかには分析方法の記載があるはずですので、そういう情報が入っていればいいなという。

○櫻井座長 今回、「一定程度の数量又は広い用途」という考え方も入れていただいているのですね。

○平川化学物質評価室長補佐 それを入れている理由は、参考資料2-1を御覧いただきますでしょうか。平成18年度から平成20年度、平成21年度までは、結論はほぼ出ているということになるのですが、平成23年度以降の物質を御覧いただくと、一部には報告事業場が2のものでも詳細評価まで行っているということはありますものの、それ以外の1桁台の物質は、結論が出ておらず、網掛けが入っておりません。その他、2桁の報告を受けている化学物質でも、なかなか調査が進んでいないところです。ばく露評価ガイドラインなどを見ると全数調査と書かれており、条件に当てはめようとするあまり、リスク評価の結論を得るのがなかなか難しいところもあろうかと思います。そういったところも今後、行政のほうで改めて整理した上で、また対応を御相談させていただきたいというところです。

○名古屋委員 今までの例だと、例えば選定物質が決まって、1年間使った所の事業場から報告書が出てきますよね。その数に応じて、ガイドラインに従って、例えば10件出てきたとしたら、最低10件、統計処理して、必要件数が出てきますよね。4件だったら全部とか出てきますよね。事業場が多いか、少ないかという選定はなかなかむずかしいように思います。次年度の1月と3月に報告書が上がってきて初めて数が把握できるのに、そこをこのリスクのところから盛り込むというのは難しいような気はするのですが。

○平川化学物質評価室長補佐 ばく露評価ガイドラインの68ページですか。

○名古屋委員 そうです。

○平川化学物質評価室長補佐 これは1次調査から2次調査に至るところの内容だと思いますが、1次調査対象事業場数が、例えば表4だと5以下の場合は2次調査対象が全部と。あと、その下のほうの表5の選定事業場の数というと、また全数という形で、本当に少ない所だと全数、全数というところになっているのですが、そこで全数調査を行おうとした際に調査の受入れが難しいという情報も入ってきていますので、正にそこのところを今後どのような形で。今までそういったものをどういった形でというのが、行政のほうでもまだ方針が決められていなかったので、今後そういったものについても方向性をしっかり決めていく必要があるのではないかということで考えているところです。

○名古屋委員 例えばそのときに2社しかないですとなった時、2社だと、例えば要因分析したときに、共通性のある場合については、行政がリスク低減措置を検討します。多分2社だと、個別の事案で大丈夫だとしたら、あえてリスク評価しない。でも、2社だけちゃんとやりなさいという指導・監督を行うという形で考えていいのですか。そこはどうなのですか。本来的な要因分析というのは、エチルベンゼンみたいに、要するに塗装だけが問題だから、塗装以外についてはいいですよとしました。要因分析は、ある程度の事業者数のあるところで特定事業上の問題か工程共通の問題かで要因分析を行うのですが、事業者数の少ないところはそこだけの問題なのですが、リスクを見逃すおそれを避けるためにも、その辺は少なくともばく露調査を行って、リスクがある場合は、やはりそれは規制を掛けるよと。でも、リスクが掛かってくるのはそこだけですので、指導・監督を行うという、その辺のところをこれからやるというように考えていいですか。

○穴井化学物質評価室長 このばく露評価ガイドラインのルールだと全数やりなさいと書いてあるだけなので、そこは我々の判断が非常に難しいところになると思います。

○名古屋委員 全くそうなのです。これを作ったときは、まだ物質が多かったときだったので、今度は化学物質の扱いが少なくなってくるので、我々がガイドラインを作った平成18年はそこまではまだ考えていなかったのですが、200何十種類やってくると、だんだんそういうことが起こってくるし、分析のことも起こってくるのかなと思うので。

○穴井化学物質評価室長 1件とか2件とかの件数の少ない場合のルール化をしないといけないのかなとは思っています。

○名古屋委員 分かりました。

○吉田委員 それに関連して、ばく露の評価の小検討会のほうで、その辺は今年度、実際に議論されて、ガイドライン改訂に向けて作業をされていかれますか。

○穴井化学物質評価室長補佐 今の議論ですか。

○吉田委員 はい。

○穴井化学物質評価室長 数の問題についてとか。

○吉田委員 平成21年度ぐらいにガイドラインができていますから、その後の実際での運用において、ちょっと実態と合わないとか、改良したほうがいいなということは幾つかあるのかもしれません。そういったところを小検討会のほうで議論して、ガイドラインを更新していくことは考えておられますでしょうか。ガイドラインはバイブルみたいなもので変えませんという性格のものではないとは思うのですけれども。

○穴井化学物質評価室長 絶対変えないということはありません。より良いものにできれば一番いいと思っていますので、判断する材料をこちらの事務局でそろえないといけないので、それができればやっていきたいと思います。

○櫻井座長 皮膚吸収が、ばく露評価委員会のテーマになっているわけですか。

○平川化学物質評価室長補佐 経皮吸収のほうもテーマということで入れておりますし、今のばく露作業報告で事業場が上がってきていないところの今後の対応についても、今後の取組課題の1つとして、行政としては考えています。

○櫻井座長 分かりました。2度やっても全然出てこないというのは、全て必要ないという処理で今まできていたけれども、1社とか2社とかだけの場合に、どう取り扱うかという問題ですね。

○平川化学物質評価室長補佐 はい、そうです。

○名古屋委員 難しいのは8社もあるのですが、事情によって受けてくれない所が結構いっぱいありますよね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。

○名古屋委員 要するに10社あるのですが、受けてくれるのは2社しかない、結果的に2社しかできないというばく露評価をしていることがありますね。その辺はちょっとつらい、要するにリスクの数がどうなるかということですね。

○平川化学物質評価室長補佐 実際に一つ一つの物質、それぞれの状況がありますので、そういった状況も見ながら、適切なやり方をまた御提案しながら、各検討会等の委員の皆様とも相談してということになるのではないかと思います。

○名古屋委員 そのときは例えばリフラクトリーセラミックファイバーのように、製造業だけ扱っていて、8社とか9社ぐらいしかなかった。でも、実際に製品として取り扱っている所は、川下のほうでいっぱい使っているということがあったとき、それを入れると結構大きな数になりますということもあり得るわけですね。今まではそれはなくて、多くの場合は製造業だけだったのですが、リフラクトリーを扱っている作業場などを見ていると、リフラクトリーは圧倒的に多い数が川下にあったので、そこはリスク評価しなければいけないということだったから、そこもひっくるめて数を考えましょうということです。

○平川化学物質評価室長補佐 有害物ばく露作業報告は、年間500kg以上の製造・取扱事業場からの報告となっておりまして、それより低い量の生産とか取扱いということですと、現行の制度ではそれが上がってきていないというところの課題は確かにあるかと思います。

○櫻井座長 しかし、IARCのリストに上がっているもので、まだ手を付けねばならないものの数が多いという点からいくと、まずそういう量の多いものから優先順位でやっていくという合理性はあると考えておりますけれども。

○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。

○櫻井座長 そのほか、特によろしいでしょうか。資料2のリスク評価対象物質・案件の選定の考え方()は、このとおりでやっていくという結論とさせていただきます。ありがとうございました。

 議事、その他ですが、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 その他ということでの説明です。参考資料3からですが、前回、平成28年度の第5回の企画検討会で御意見等いただいた内容について修正して、最終版ということにさせていただければと存じます。

○櫻井座長 何ページですか。

○平川化学物質評価室長補佐 参考資料345ページです。まず、平成28年度のリスク評価の実績ということです。御意見の中で、「中期発がん性試験の評価」ということで書いていたところについて、「中期発がん性試験結果の評価」ではないかという御意見を頂きましたので、「試験の評価」といったところを全部、「試験結果の評価」ということにしました。

 さらに、2点目ですが、50ページ以降になります。2「リスク評価にかかる情報提供等の推進」ということで、(1)意見交換会のイのところに共通ですが、(事例発表を含む)というのを全部削除とさせていただきました。これらの修正を行ったものを、平成28年度のリスク評価の実績ということで、最終版とさせていただければというのがまず1点目です。

 参考資料4については、同じく平成28年度の第5回において、中期発がん性試験の実施予定物質についての御議論をいただきました。その後、発がん性評価ワーキンググループの各委員の先生にも御意見をいただくとともに、試薬の状況等も調査して、最終的な物質の実施の予定ということで取りまとめました。資料の53ページの所に○が付いている1物質、54ページの所に○が付いている5物質、この合計6物質を今年度の実施予定物質として考えております。

 参考資料5、職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化(詳細)についても、「短期発がん性試験」などの表現がありましたので、表現の整合性を図るということで、今回、修正版を作成しております。その修正の部分ですが、網掛けが5か所あるうちの真ん中の列の網掛けの所です。修正箇所は、左側の(肝臓標的性)ということで、2段階発がんモデルによる肝発がん試験(ラット肝中期発がん性試験)を実施ということ。その右側、(多臓器標的性)ということで、遺伝子改変動物による発がん性試験、(rasH2p53ヘテロ欠損マウス)ということで、資料の表現の整合性ということから、このような形に修正いたしました。以上3点の報告です。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 何か御質問、御指摘はありますか。参考資料4の○が付いている6物質、今年度実施予定となりましたということですが、先日9つ選んだ中からこの6つということですか。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。

○櫻井座長 「補」というのは、補欠という意味ですね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。もしこの6物質がどうしても試験ができないという状況ができてまいりましたら、補という所に移りますけれども。

○櫻井座長 もしできなければ、そちらへ移りますという意味ですね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。基本的には○の付いている6物質についてやらせていただく予定です。

○櫻井座長 分かりました。特にないようですね。ただいま御報告いただいたような修正で、そのとおりでお願い申し上げます。これで今日の予定はほぼ終了しております。最後に、今後の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 次回の平成29年度第2回企画検討会ですが、改めて日程調整をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 改めて日程調整ということですので、今日はこれで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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