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2017年6月26日 第4回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会 議事録

医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室

○日時

平成29年6月26日(月)16:00~18:00


○場所

金融庁9階共用会議室第1


○議題

各項目の進捗状況について

○議事

 

 

○奥田推進係長 ただいまより、「第4回歯科口腔保健の推進に関する専門委員会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の委員の先生の出欠状況ですが、本日は岩崎委員、前田委員から欠席の御連絡を頂いております。また、前田委員の代理として、富山県厚生部健康課の片岡参考人にお越しいただいております。今回の専門委員会は公開となっておりますが、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料は13まで、参考資料は12をお配りしております。また、本日欠席の前田委員より事前に頂いております御意見を、机上配布資料として御用意しております。乱丁・落丁等がありましたら、お知らせいただければと思います。以降の進行につきまして、三浦委員長、お願いいたします。

○三浦委員長 皆様方、お暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。時間も限られていますので、議事に移ります。本日は、「歯科疾患の予防」「生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上」「定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健」「歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備」の4つの領域ごとに、それぞれ各指標の評価を御説明していただいた後、領域の評価について御説明をしていただき、その上で討議を進めていくという流れでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 限られた時間ですので、大体の討議の目安をここである程度決めておきたいと思います。歯科疾患の予防については、やはり指標等が多いということで、御説明、議論の時間を合わせて30分程度を見込んでいます。ほかの3領域については、各々20分程度というところで、また最後、総合的に御質問、御議論を頂くという形で議事を進めていく予定です。各委員より評価について御報告していただく前に、事務局より補足説明をお願いします。

○本田歯科口腔保健専門官 御報告いただく前に、事務局より今回の各指標の評価方法について補足説明をさせていただきます。今回、有意差検定を行っているもの、行っていないものがあり、検定の結果、有意差があり、改善若しくは悪化しているものとして分析されている場合については、その評価を記載しております。検定を行わず、ベースライン値からの変化を見て、変化がない場合若しくは大きな変化が見られない場合は、bの評価の「変わらない」という評価で整理をしております。この整理の仕方については、現在、「健康日本21(第二次)」と合わせる形で評価をしており、現段階では実績値が出ておらず、評価保留のものもありますので、全ての実績値が出ましたら、評価の方法を合わせる形で最終評価とさせていただく予定です。事務局からは以上です。

○三浦委員長 御説明、どうもありがとうございました。今、事務局から御説明がありましたとおり、この基本的事項は、「健康日本21(第二次)」と調和を図って足並をそろえるという必要性があります。今、「健康日本21(第二次)」でも同じような作業をやっているところですが、その検討でも各専門委員の皆様方から出てきた評価については、今、御説明があったとおり有意差検定を掛けたもの、それ以外の方法と、いろいろ混ざっているところなので、今回の討議においても、評価方法について決め打ちをせずに先生方に評価をしていただいたところです。また、「健康日本21(第二次)」の流れに合わせて、修正・収束をしていく形になりますので、その点あらかじめ御承知おきのほどよろしくお願いします。

 「歯科疾患の予防」の領域について、評価の結果を御報告します。本領域は、指標の評価として高野委員、山下委員、森田委員にお願いをし、全体の領域の評価としては、山下委員に評価をしていただいています。「健康日本21(第二次)」と重複している指標を含む8指標を、高野委員に評価していただいていますので、高野委員から指標の評価について御説明をお願いします。

○高野委員 資料番号としては様式1を基に行います。様式1の中の1.歯科疾患の予防における目標の中で、(1)乳幼児期、(1)3歳児でう蝕のない者の割合の増加ですが、目標値は90%でしたが、策定時のベースライン値が77.1%、直近の実績値が平成27年度の厚労省実施状況で3歳児歯科健康診査の結論によると83.0%です。平成27年のデータではまだ目標値を達成しておりませんが、このまま推移すれば平成34年の目標値を達成できると考えられますので、改善しているが、目標値は達成していないということで、評価としてはa2としています。

4ページです。様式1ですが、1.歯科疾患の予防に関するもので、(3)成人期、(1)20歳代における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少です。目標値は25%で、策定時のベースライン値が31.7%、平成26年国民健康・栄養調査によると27.1%です。この結果からすると、改善していますが、目標は達成されていないということで、a2という評価にしています。

5ページ、(3)成人期、(2)40歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少で、目標値は25%、策定時のベースライン値は37.3%、直近の実績値としては平成28年歯科疾患調査でして、4044歳で44.9%、4549歳で44.6%ということで、それを考え合わせると、最新の調査結果の公表を待つ必要があり、現時点では評価困難であると。年齢階級別の直近値から悪化傾向が認められるということで、これは判定ができないということで、()というか評価保留としています。

7ページ、(3)成人期、(4)40歳で喪失歯のない者の割合の増加です。目標値は75%で、策定時のベースライン値は54.1%、直近の実績値(参考値)(平成28年歯科疾患実態調査)によると、3539歳が79.5%、4044歳が68.9%です。そういう意味では、最新の詳細な調査結果の公表を待つ必要があります。ただ、現時点ではそういう意味では評価困難ですので、年齢階級別の直近値から改善傾向は認められますが、一応、評価不能にしています。

9ページです。(4)高齢期、(2)60歳代における進行した歯周炎を有する者の割合の減少です。目標値は45%で、策定時のベースライン値は54.7%、直近の実績値(参考値)(平成28年歯科実態調査)は、6064歳が57.9%、6569歳が60.5%です。ここも最新の詳細な調査結果を待つ必要があります。現時点では評価不能ということで、評価は困難です。直近のデータからすると、悪化傾向があるのではないかと思われています。評価不能ということです。

10ページ、(4)高齢期、(3)60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加ということで、目標値は70%、策定時のベースライン値が60.2%、直近の実績値は平成23年歯科疾患実態調査ですが、65.8%です。これも同様な理由ですが、最新の調査結果の公表を待つ必要があり、現時点では評価困難としています。

11ページ、(4)高齢期、(4)80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合の増加です。目標値は50%ということで、策定時のベースライン値は25%です。直近の実績値といいますと、平成28年歯科疾患実態調査ですが、51.2%になっています。これは少なくとも改善している、目標を達成しているということで、a1としています。

13ページ、(2)成人期及び高齢期、(2)60歳代における咀嚼良好者の割合の増加です。目標値は80%であり、策定時のベースライン値は73.4%、直近の実績値は平成27年国民健康・栄養調査でして、それが72.6%です。値的には横並びという形で、ほぼ変わらないということで、評価としてはbとしています。

16ページ、4.歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備における目標ということで、(1)過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加です。目標値は65%で、策定時のベースライン値は34.1%、直近の実績値は平成24年国民健康・栄養調査によると47.8%ということで、改善は見られますが、目標には達していないということで、a2という評価にしています。

17ページ、(2)3歳児のう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加です。目標値は23都道府県でして、策定時のベースライン値は6都道府県、直近の実績値は平成27年厚労省実施状況における3歳児歯科健診の結果によると26都道府県です。この値から見ても改善しており、目標に達しているということで、a1という評価にしています。

18ページ、(3)12歳児の一人平均う歯数が1.0歯未満である都道府県の増加です。目標値は28都道府県でして、策定時のベースライン値は7都道府県です。直近の実績値は平成28年文科省「学校保健統計調査」によると28都道府県になっています。ベースライン以降、直線回帰が適合がよく、増加傾向にあります。そういう意味では改善しており、目標値に達しているということで、a1という評価にしています。

19ページ、(4)歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加です。目標値は36都道府県でして、策定時のベースライン値は26都道府県、直近の実績値は平成29年厚生労働省歯科保健課調べによると43都道府県です。直近の調査では既に平成34年の目標値を達成しておりますし、平成27年以降43都道府県のまま変化しておりません。大都市では区市町村の条例のほうがきめ細かい対応ができている可能性がありますので、そういう意味では改善しており、目標を達成しているということで、a1という評価にしています。

 駆け足で申し訳ありませんが、資料3のそれぞれのグラフにおいては、後ほどお目通しいただければと思っています。以上です。

○三浦委員長 御説明どうもありがとうございました。今、高野委員から御説明がありましたとおり、平成28年歯科疾患実態調査については、「歯と口の健康週間」でプレスリリースをして、概要を公開したところですが、詳細データについては、まだ公開をしていないというところであり、ただいま、御説明があったとおりに、詳細データを使わないと評価ができない所は保留という形でご対応を頂いたところです。以降、同じような保留という形にならざるを得ないところが幾つか出るかと思いますが、そのような形で御説明をしていただければ幸いです。

 続いて、(1)12歳児でう蝕のない者の割合の増加、(2)中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少の2指標について、山下委員から御説明をお願いします。

○山下委員 様式12ページを御覧ください。()学齢期、(1)12歳でう蝕のない者の割合の増加です。参考としては、資料3の別紙2を御参照ください。策定時のベースライン値は平成23年で54.6%でしたが、直近の平成28年では64.5%で、しかも別紙2の図を見ていただければお分かりのように、毎年、確実に改善してきていることがお分かりになると思います。

 直近の64.5%は、目標値の65%に僅か0.5%足りませんので、まだ達成とは言えませんが、ほぼ目標値に達成間近だと思います。この要因としては、この資料にあるとおり、歯磨剤等や洗口剤等におけるフッ化物配合の割合が増加していることと、まだまだ少ないのですが集団におけるフッ化物洗口実施数が増加傾向にあることが影響しているのではないかと思われます。評価としては、過去5年間で10%増加しており、確実に改善して目標はほぼ達成間近であることから、本当はa1としたいところですが、64.5ということでa2です。ある意味ここまで来ていますので、目標値の改訂も十分考えられるのではないかと思われます。

 次に、(2)学齢期、(2)中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少です。これは策定時のベースライン値、これは歯科疾患実態調査のデータを参考値にしていますが、平成17年で25.1%、平成23年では25.5%、ほとんど変わっていません。平成28年の直近のデータについては、まだ数値が出ていないということで、この評価はできていませんが、実は、平成17年のもう1つ前の平成11年の歯科疾患実態調査結果の42.3%からは大幅に改善しています。

 過去には改善傾向があったのかもしれませんが、近年ではほとんど改善していません。これには受診率の影響が大きいのかもしれません。平成11年から17年においては、サンプル数が大分減っていますので、この改善は実は本当の改善ではなくて、サンプリングバイアスが起こっているのかもしれませんので、その辺を考える必要があると思います。その意味では、う蝕と同様に学校保健統計調査を使うという手もあるのですが、学校保健統計調査では、歯肉に炎症のある所見が5%前後しか報告されていません。

 これは学校保健統計調査では視診で、目だけで診ていますので、本当はサンプル数としては学校保健統計調査を用いるのが望ましいのですが、う蝕のように明確な実態が現れていないという気がします。学校保健統計調査における歯肉の評価方法についても、もう少し改善が行われれば、指標になる可能性があると思われます。いずれにしても評価としては、現段階では評価不能ということです。以上です。

○三浦委員長 引き続き、40歳の未処置歯を有する者の割合の減少及び60歳の未処置歯を有する者の割合の減少の2指標について、森田委員から御説明をお願いします。

○森田委員 まず40歳について、別紙6を御覧ください。策定時が40.3%、目標値10%ということですが、別紙6を見ると、確かに未処置歯を有している者の割合はこれまでずっと減ってきてはおります。ただ、平成23から28年という意味では、傾斜が少し水平になっています。もちろん、数字上、平成17年と比べれば改善はしております。そういう意味ではいいのだろうと思いますが、10%ということに関してはどこまでいくかなと疑問を投げ掛けたということで、a2としております。

60歳における未処置歯を有する者については、別紙8を御覧ください。平成17年度が37.6%、目標値は10%ということで掲げておりますが、これも数字的には策定時に比べれば34.4と下がっております。ただし、これも平成34年度に向けてこのまま10%までいくかというと、グラフ上はどうだろうという気がします。そういう意味で、a2と評価しました。

○三浦委員長 御説明ありがとうございました。ここまでで、歯科疾患の予防についての各指標の御説明は終了しておりますが、これらをまとめた領域の評価について、山下委員から御説明をお願いします。

○山下委員 ただいま各項目について御説明がありましたが、これをまとめて私から御報告します。

 資料2を御覧ください。「歯科疾患の予防」の項目が11項目ありますが、そのうち改善をして目標を達成しているものが1つ、目標は達成していないけれど、改善しているものが5つということで、6つは良い方向に推移しています。また、中間値が明確でないため、判定できないものが5つあります。一方で、中間値が明確でない項目の中で、40歳で喪失歯のない者の割合、60歳で24本以上の歯を有する者の割合は、暫定的な報告ではありますが、増加傾向にありますので、良好に推移していると考えていいと思います。

 また、残りの3項目の中で40歳及び60歳における進行した歯周炎を有する者の割合の2項目に関しては増加傾向にありますが、特に60歳における歯周病のある者の増加は、高齢者における歯が残っている、すなわち残存歯が残っていることを反映していると思われるので、歯周病の増加が必ずしも口腔保健として望ましくないと短絡的に考えづらいと思います。その意味では、この項目に対する評価を少し検討していく余地があると思われます。

3項目の残りの1つは、中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合ですが、この評価は平成28年の歯科疾患実態調査の結果発表を待っている状況です。ただ、先ほども申し上げたように、歯科疾患実態調査の標本数がかなり減ってきているので、この数値だけを信頼していいのかどうかも、今後の課題と思われます。

 以上をまとめると、歯科疾患の予防についての指標は、大まかに良好に推移していると考えていいと思います。ただし、40歳の未処置歯を有する者、60歳の未処置歯を有する者の割合は改善傾向にはありますが、目標値にはほど遠いという状況がありますので、達成はかなり厳しいだろうと思われます。この達成を目指すに当たっては、具体的な行動目標を立てないと、10%という目標に到達するのはかなり難しいのではないでしょうか。関連した取組等の御報告はどうしましょうか。これは紙面にありますので、私がいちいち御紹介することはないのではないかと思いますので、これについては割愛したいと思います。

2ページの下段ですが、今後の課題です。総括として、先ほどから申し上げておりますが、参考値として使われている歯科疾患実態調査に関しては、年々サンプル数が減っております。単純にサンプル数が減るだけというのは、データの信頼性ということもありますが、それよりもっと大事なのは、受診率がどうなのかということです。予算規模等でサンプル数が減るのは仕方がないとしても、実際に受診率が減ると、その受診率の影響によって健康志向のある方が受診されるので、見掛け上、健康状態がよくなるように間違った評価をしてしまうので、実際に受診率がどう変動しているのかを、同時に歯科疾患実態調査で御報告いただければと思います。我々も関係資料の受診率をいろいろ調べるのですが、なかなか明確に出てこないので、そういった数値の公表も含めて検討していく必要があるかなと。

3ページです。40歳以上の方に関しては、歯周疾患検診が実施されております。しかし、平成26年度においては受診率が4%台ということで、これを参考値とするには少し厳しい状態があります。ただ、自治体によっては20%近く受診率が上がっている所もあるようですので、そういう地域をある程度選定して、そういったところを1つのサンプルとする、あるいは我々も久山町コホート研究を行ったり、ほかの大学でもコホート研究を行って、ある地域のかなりの数を調査しているような研究もあります。そういったものも補完的に、もちろん歯科疾患実態調査は使うとしても、そういったものの補完として使えるのではないかと思います。平成34年以降の目標設定に当たっては、そういう方策も今後考えていく必要があるのではないでしょうか。

 各指標についてですが、3歳児、12歳児のう蝕についてはかなり良好な傾向を示しております。一方で、12歳児のほうには書いておりませんが、3歳児、12歳児いずれも二極化という現象が起こっております。う蝕のない人の増加はいいのですが、う蝕が一部の人に限局して発生しているような状況がありますので、こういった状況に対応する意味では、従来の保健対策という考え方では到底追い付かないと思われます。家庭環境等を踏まえた、単純な保健政策では対応しづらい状況に来ているように思いますので、これは福祉というか、その辺りの方策を少し考えていく必要があると思われます。

 中・高生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少については、参考値が信頼できるのかという問題もありますが、かかりつけ歯科医を持つ習慣が20歳以降では年齢が低いほど少ないということもあるようです。若い世代からかかりつけ歯科医を持つため、これは前回、高野委員からも御提案があったと思いますが、学校歯科保健が終わった後に、20歳代からしっかり歯科医院に通って、口腔保健を維持できるような環境作りができるシステムが必要になると思います。

 一方で、先ほども申し上げたように、小児期にう蝕が減少してきているという良好な傾向にはありますが、逆にそのことで歯科に通わなくなるといったことから、適切な口腔衛生手法を学ぶことができず、そのまま成人になっていくことも考えられますので、そういった意味から考えると、かかりつけ歯科医をしっかり利用できるようなシステムを構築することが非常に重要になってくるのではないかと思われます。

4ページです。これは40歳と60歳で各項目を別に示しておりますが、年齢で分けるよりも内容で分けたほうがよろしいかと思います。40歳、60歳の未処置歯を有する者の減少ということで、これは先ほど申し上げたように減少傾向にはありますが、目標値到達にはかなり厳しい状態ですので、こういった未処置歯を放置せず、治療することにインセンティブを持たせられる、医療保険政策的なアイデアがあればいいと思われます。

 次に、40歳、60歳代に進行した歯周炎を有する者の減少です。40歳に関しては若干難しいところもありますが、60歳代に関しては明らかに残存歯、現残歯数が増加しておりますので、この指数についてどう評価するのかということをこれから考えていかないと思われます。一概にこれをただ減らせばいいという訳にはいかないのかもしれません。歯周病は当然減少する方がいいのですが、過渡的には増加していくこともやむを得ないかもしれません。最後に、40歳で喪失歯のない者、60248020等の増加ということで、これは明らかに増加傾向にありますので、これは歯科保健関係者の努力の結果だと思いますが、確実に良好な結果が出ていると言っていいと思います。以上です。

○三浦委員長 ありがとうございました。それでは、今、各担当の委員の皆様方から指標、領域、歯科疾患の予防の領域の全体の評価について御説明を頂きましたので、討議を始めたいと思います。ここの部分について、多分、委員の皆様方の中にも御専門とされている方が多数いらっしゃると思います。御意見等ありましたら、忌憚ない御意見を頂きたいと思います。

 既に指標の報告のところで、目標値の設定について再設定が必要ではないかという御発言を頂いたところもありました。具体的に言うと、様式12ページ目、ほぼ達成できており、今後も達成できる可能性が非常に高い12歳児で、う蝕のない者の割合の増加ということで、これは御担当の山下委員から目標値の引上げも考えてもいいのではないかという御発言がありました。また、19ページの最後ですが、御担当の高野委員から、こちらについても既に目標値を達成しており、この目標値でいいのか、引上げも含めての検討が必要なのではないかという御意見も得ております。

 このようなことを踏まえて、歯の残存状況と歯周病との関連性等々の研究もありました。忌憚のない御意見を頂ければ幸いですが、いかがでしょうか。

○温泉川委員 この目標値うんぬんの話は私も余り分からないのですが、3歳児、12歳児はよくなっているけれども、二極化がというところがありました。これはネグレクト、虐待の問題があると思いますので、そういうことがあったときに、歯科の先生方からどこかに通報というか、体の部分なら結構通報しますよね。歯の場合は、学校に言ってということになるのでしょうか。これはとても重要な問題で、う歯が余り多いときにはネグレクトが多いと。私は産婦人科で、虐待のほうに関わっているものですから。

○三浦委員長 非常に重要な御指摘かと思います。虐待と歯科疾患の関連性については、小児歯科分野でこれまでもいろいろなアプローチをされておりますが、小児歯科学会のほうから、木本委員、何か御意見がありましたらお願いします。

○木本委員 小児歯科学会では、子供の虐待に対する対応ガイドライン、マニュアルを作ってホームページで公開しております。実際に、多数歯のう蝕を放置した例を見付けた場合は、全てではありませんがその可能性を疑うことがあるため、社会に向けてそのマニュアルを提示しております。ただ、昨今、私どもも日々子供の治療をしている上で、当然、家庭環境に踏み込んだ質問を保護者の方に投げ掛けるのですが、結局、保護者の方が意識しているわけではなく、結果として放置せざるを得ない状況を招いている場合の比率のほうが多いのではないかという現状です。

 というのは、昨今、子供の貧困問題に絡んでくると、どうしても一人親世帯の生活のリズムの中で、核家族化が進んでいて、歯科医院に受診できない子供の比率は、歴然とした数が現在もいます。当然、定期的な受診を促しても、社会環境的にも困難な状況、保護者が一人親世帯だと、物理的にも受診できないと明言される方もいらっしゃるのです。ですから、保護者の方が意識しない状態での、我々から見ればネグレクトのような状態を誘発しているのではないかという状況が、歴然としてあるのだということは、私どもも日々の臨床の中で肌で感じております。

 そこは地域の中でどういった形でサポートするのか、子供の部分での、成長発達期の地域包括ケア的なサポート、支援センターのようなものの、行政と絡んできますが、地域の行政との一体化。私どもも近隣の市町村の児童相談所に電話で通報する例は珍しくなくなってきていて、当然、関係する教育機関からそれとなく家庭訪問していただくようなケースは日々あります。そこを入口として、発見して早期に対応するようなケースは、これから作っていくべきであろうと考えております。

○三浦委員長 対応もされているということですね。

○温泉川委員 ただ、指摘したら来なくなる。虐待の疑いがあると、むしろ来なくなるということがあるらしくて、これは小児科に来ても、おかしいのではないかと言うと、それでそこを受診しなくなるから把握しにくくなるということがあるので、その辺りは小児科との連携や、いろいろなことが大切ではないかと思います。

○三浦委員長 そうですね。その辺りを少し書き込めるといいのかもしれません。

○山下委員 それに関しては、学校歯科医会等も取り組んでおられて、う蝕が多い子というのは、歯科保健ではなく学校保健の中で虐待を疑って、担任の先生、あるいは保健の先生等を踏まえて、口腔の保健だけでなく、そういった資料として使っていくべきであろうという話はされています。

 また、もう1つ重要なことは、学校歯科健診は毎年行うのですが、数は少なくても、そのまま治療せずに放置されていることを把握可能です。未治療の歯をそのまま放置することは正に虐待なわけです。そういったことも社会にしっかり理解してもらって、親御さんが自分の子供に、「あなたの子供さんに虫歯があって、痛い状況にありますよ」と言ったことを、翌年までそのまま放置されていることも記録にちゃんと残りますので、そういった意味では学校歯科保健は虐待把握には非常に有効な方法ではないかと思います。

○温泉川委員 ありがとうございます。

○大津委員 県としての取組を少し報告いたします。大分県では、虐待防止のため県産婦人科医会、小児科医会が中心となって「ペリネイタル・ビジット」事業を行っています。これは、育児支援が必要な妊産婦に対して、小児科医と産婦人科医が、お互いに問題があったらいろいろ情報交換をしながら支援する仕組みを作っています。その中に歯科も加えて、県では保健所ごとに「ヘルシー・スタートおおいた」という協議会を設けており、その中で歯科も加わって産婦人科、小児科との関わりを強めております。

 今回、児童福祉法の改正で要支援児童、特定妊婦の把握のため、要保護児童対策地域協議会を活用した支援体制づくりの話が出ており、歯科医師会の会員もこの要対協のメンバー登録について、大分県歯科医師会も進めているという状況です。

○三浦委員長 情報提供、ありがとうございます。

○高野委員 具体的に、歯科健診をしたときに養護の先生が近くにいると、多数歯のう蝕だけではなく、う蝕の段階が、各段階のものが幾つかあると、長期間放置されているということがありますので、この生徒については要注意であるからということで、健診の横にチェックしておいてもらっています。ほかの所からの問合せがあったときに必ずそれを伝えていただくと、双方的に本当にネグレクトであるか、虐待であるかが分かりやすいということでありますので、学校の健診現場ではそのような話をさせていただいております。

 健診の場ではない所として、歯科医院で発見した場合には、通告というよりは情報の提供ということで、本来は子育て世代包括支援センターや児童相談所などの所に直接ということでありますが、身体的に危ないということがなければ、保健所や保健センター等に連絡をして、第一報のイメージで、通告というよりは情報の共有ということでお伝えしている状況が多いかと思います。本当に生命が危ないようなときには適切な対応ができるスタッフがいる、いわゆるCAPSのある病院のほうが多いかと思いますが、歯科の場合は疑いということで、まず情報の共有ということで区市町村や子ども支援センターならびに保健センターなどに連絡する形を取っております。

○温泉川委員 子育て世代包括も一応5歳ぐらいまでということになっています。もう少し延ばしていくように、それのアドバイザーで行っていたものですが、5歳というのはどうかなというところがあります。、関係ないことですが、是非、成育基本法のほうもよろしくお願いしたいと思います。

○三浦委員長 いろいろな情報提供を頂きましてありがとうございます。ほかの疾患も非常に重要なので、ここで議論を別の歯科疾患に移します。今、小児のう蝕のお話がありましたが、歯科の2大疾患というと歯周病です。和泉委員から御発言をお願いします。

○和泉委員 今回、平成28年度歯科疾患実態調査の結果を見て、全ての年代で進行した歯周炎を有する者の割合が上がっているのです。これについて厚労省側はどう考えられ、また実際に加わった歯科医師会の先生方にどのように解釈できるのかをお聞きしたいと思います。

○三浦委員長 最初の御質問に関しては事務局になるかと思いますが、いかがでしょうか。

○本田歯科口腔保健専門官 進行した歯周炎の悪化についてということですが。

○和泉委員 4mm以上の、ポケットを持った進行した歯周炎を有する者の割合が、過去の3回のデータで下がっているのですが、平成28年度では上がっています。

○本田歯科口腔保健専門官 平成23年までは改善しており、その後全ての年代において悪化傾向を示していますので、そこについての原因は先生方から伺った上で、手法の問題なのか別の原因があるのか、ここで御意見を頂戴したいと思います。

○三浦委員長 ありがとうございます。それでは、歯科医師会の高野委員、よろしくお願いします。

○高野委員 非常に感覚的なもので申し訳ないのですが、う蝕が少なくなったということで、フッ化物を塗ったり、ある程度のカリエスに対する対応はある程度出来ているために、逆に言うとカリエスからあたかも解放されたように考えてしまうそういう世代なので、普通にやっていれば大丈夫ではないかと。本邦では18歳以降、歯科健診がない中、放置されていると、口腔清掃する意識が落ちてきて、それによって歯周病が悪化しているということになっているのではないかという感じがするのです。

 見た目的には清涼感があるような歯磨きペーストで磨いているけれど、実際適切な所が磨けていないのではないかとか。また、極力抜かないで残そうということが国民レベルでも認知されて残すことへの意識が進んでいて、厳しい歯も残しているところがあるのではないでしょうか。そういう意味では8020で、80歳で50%超えているところではありますが、結構厳しいところもあると思うと、その前段階である40歳、50歳ぐらいでも、かなり厳しい歯も残されているのではないか、実際には治療もされずに放置されているのではないかということもありますし、その辺りが値的に上がってきているのではないかと考えられます。危険性のある段階になってきているので、今後は危険ではないかと思います。

 北欧においても、う蝕は守られてきていますが、少し気が緩んできていますので、もう少しすると一気に爆発するかもしれないと言われた時代が23年ぐらい前にあったので、口腔衛生的な管理がある程度できてくると、歯周病の問題意識が低くなるといけないのかなと思っております。ウォッシュすればいいのではないかとか、ガムによっても予防できるのではないかとか、製品名は言えませんが、う蝕に対しては大丈夫ですが、歯周病対策としては違うだろうということだと思います。

○三浦委員長 ありがとうございました。今は、皆様方から御意見が出たように、大きく値が下がった背景については、今後分析をしなければいけない段階かと思います。具体的には、詳細な歯科疾患実態調査のデータが公表されてから考えるということですが、和泉委員から御専門の立場として何かありますでしょうか。

○和泉委員 確かに詳細が分からないと分析できませんが、今回、歯石の項目がなくなり、スコアの取り方が少し変わってきました。それに伴って、測定者も測定方法が変わってきます。また、測定する環境が余りよくなく、きちんとユニットに座って検査するような環境ではないので、そういった環境も含めて評価すべきです。新しいスコアを使った調査は今回が初めてなので、5年後、そして、その次の5年後に、測定値がどう変わっていくか、この新しいスコアの中での変化に注意するべきだと思います。

 ただ、この数値を設定する上では今のデータを使わなければいけないので、今の段階での評価を、なぜ上がったかを踏まえて評価をしていただければと思います。

○三浦委員長 御発言ありがとうございました。少し補足をさせていただきます。歯科疾患実態調査は、前はCPIの旧法を用いておりました。歯周病検診のマニュアル改訂で、和泉委員が座長をされた検討会で、CPI-modifiedというスコアがWHOから出されたことをふまえ、それを参考にして歯肉の炎症症状と歯周ポケットの深さ、すなわち炎症所見と炎症の結果としての歯周ポケットの深さという捉え方で、同じ系列ではなく、分けて考えるという方向性が出されております。同じ厚労省がやるものですので、違った方法を使うのはどうだろうということで、完全に計算ができるスコアでしたので、互換性があるということで、歯周病検診の方法を準拠する形で歯科疾患実態調査に入れております。

 この辺りが影響しているのか、もし影響しているのであれば、次どのようにするのかは、また詳細なデータを見てからの検討になろうかと思いますが、こちら側としても想定していなかった傾向であることは確かです。

 そのほかに、何かありますか。

○田中委員 歯周炎について、私も定期的に歯科に通っていますが、毎回必ず歯周ポケットが4mmとか5mmとか言われます。これは10年以上変わりません。今の基準だと、私はちゃんとケアしていないほうに入ってしまうのですが、そういう方はかなり多いのではないかという気がして、この基準だと途方に暮れてしまうな、というところがあります。

○三浦委員長 「進行した」という表現の妥当性はまた考えなければいけませんが、2000年から始まった「健康日本21」でも「進行した」という表現を使っていたので、その表現を踏襲する形で、これまで指標として用いていました。ただし、「健康日本21(第二次)」では、きちんと歯周ポケットの深さで評価しましょうという形に変えています。前の「健康日本21」は、主観的な所見を積み重ねて歯周病を評価していたので、きちんと結果で評価しましょうというのは改善したところでした。

 このような経緯で、前のバージョンからの踏襲で「進行した」という文言を付けていますが、この辺りはこのタームが終わった後、10年間の試みが終わったところで、アプローチしていくときに適切なものに変えていく必要性があるかもしれません。その辺りは、歯周病学会の御意見等を踏まえて設定していきたいと思います。ほかに何かありますか。

○田中委員 未処置の歯がある者の割合を10%にするという目標ですが、これは森田委員の御報告のとおり、かなり難しい目標だと思います。常識的に考えると、世の中、医者嫌い、歯医者嫌いがたくさんいて、そういう人を含めて9割以上が歯科に通って治すという目標ですから、かなり高い目標です。例えばほかの疾患で、高血圧や糖尿病なども健康診断でかなりの数の人が指摘されるわけですが、そのうち実際に通院して治療を受けている人は、大体半分前後です。それに比べると、既に歯科の場合は未処置の割合が345%にまでなっていますから、そういった内科の疾患に比べても、かなりいいところまで来ていると思います。もちろん、もっと努力すればこの数値は下げられると思いますが、10%というのは非常に難しいと思います。ですので、10%の目標を変える必要があるかどうかは別ですが、そんなにこだわらなくてもいいのではないかという気がします。

○三浦委員長 御意見を頂きましてありがとうございました。指標担当の森田委員からも大体同様の御意見を頂いているところですので、この辺りは書きぶりとか考えていきたいと思います。先生方の御協力で予定していた持ち時間のところで、最初の歯科疾患の要望に関する御説明とディスカッションを終えることができました。

 引き続きまして、「生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上」の領域について、評価の結果を御報告いただきます。本領域は指標につきましては、高野委員、森田委員、そして領域につきましては、森田委員に評価を担当していただいております。それではまず、森田委員から、3歳児で不正咬合等が認められる者の割合の減少の指標の評価について御説明をお願いいたします。

○森田委員 資料112ページ及び別紙の、これも12ページになります。別紙12を見ていただけたら、何なんだこれはというぐらいきれいなX軸に並行な直線です。どう解釈していいか分からなかったのですが、少なくとも改善したとも、悪くなったとも言えないなと。この数値だけからの評価です。これは少しどう解釈していいか分からなかったところではありますが、一応、bとしてほぼ変わらないのかなという感じで、書かざるを得なかったところです。案外不正咬合というのが一言で書けば不正咬合なのですが、「何が不正咬合なのか」というのが非常に難しいところではあるにもかかわらず、こういう数字でずっと並んでいるというのが、私にとっては分かったようで、でも、理屈は分からないなと。正確な理屈は言えないけれども、ああこうなんだなということを少し改めて感じさせるデータです。すみません、長くなりました。

○三浦委員長 ありがとうございました。引き続きまして60歳代における咀嚼良好者の割合の増加の指標について、高野委員から御説明をお願いいたします。

○高野委員 別紙13のグラフにありますように、少しなだらかなというか、横ばいと考えるのか、下がりつつあるのかという、ちょっと微妙なところだと思います。平成25年においては75%の増加傾向でしたが、それが、直近では72.6%と減少しています。今後の予想は回帰曲線でいいのか、それ以外のほうがいいのか、まず考えなければいけないと思うのですけれども、感覚的には咀嚼良好者の、先ほど言いましたように、結構歯の本数は残ってきているという中で、咀嚼良好かどうかというところが非常に難しさがあります。かめないものがあると答えた者とかそういうことで、ある意味で主観的なものが入りますので、結構年齢が上がってくるとそんなに問題はないと。いいほうに付けてくれる人と厳しく付ける方もいらっしゃるので、それの割合がサンプル数にもよるかもしれませんけれど、それによって少し上下に移動するので、一概にそれだけをもって喜んだり悲しんだりすることはないようにすべきかと思います。

 ただ、全般的にほかの調査も見ますと、本数は確かに残られていますけれども、しっかりかめなかったりできていないとか、そういうデータも国民健康・栄養調査でも出ております。でありますから、かなり厳しいというか、今まではもしかすると抜かれていたような歯も一生懸命頑張ってなんとか残されているような歯が幾つかあるということで、その歯がかむ側のほうに集中しているとか、本人としては片側だけで済んでいればいいのですが、両側にちょっとまたがったりすると良好ではないと判断すると思います。片側だけだと、そっちは使わないからこっちは良好だと思って、良好という評価をしてしまう人もいるのではないかと思っていますので、この辺りは何回か幾つかのデータを見ていかないと分かりづらいのかなという感覚でいます。

○三浦委員長 御説明ありがとうございました。引き続きまして、領域の評価について、御担当の森田委員から御説明をお願いいたします。

○森田委員 資料25ページになります。具体的な項目が2つということで多くはないのですが、奇しくも両方とも変わらないという評価でまとめさせていただいております。関連した取組は国レベルで、都道府県レベルで、日本歯科医学会レベル、それから小児歯科学会等で取組はこのように書いているとおりです。

 今後の課題です。いずれにしても口腔機能ということなので、やっとこの最近になって機能に注目がされてきたのかなと。機能をきちんと把握しましょうということをやっと歯科医師のほうでも注目が必要だとなってきた時代なのかなと思っております。ただそういうこともあって、口腔機能ではどうやって客観性のある評価があるのかとなると、例えば咀嚼良好にしても、今後の課題の一番上にありますが、最近になって、客観的指標の努力がどんどん明るみにできてきたところなのですが、まだまだ今回の結果はあくまでもアンケートですので、どうしても限界があったのかなという気がします。それを踏まえて今後の取組を客観的な指標での経年的な変化の取組というのを期待されるところかなと思います。

 それから専門学会からしても、例えば私以外の補綴の先生とか、小児歯科の先生などの御意見もお伺いしたいところなのですが、学会としてどこまでそれを客観性を保たせた指標を作り、それを世に広めようとされているのかというのが、必ずしも十分とは言えずと、ちょっと偉そうに書かせてもらいましたけれども、私どもの担当である口腔衛生学会の分野も含めて、これからの課題かなというところであります。

 あとは、具体的にどうしたらいいかということなのですが、これは私の意見なのですが、どうしても子供のみとかお年寄りのみとかというよりも、もう少しいろいろなライフステージでというか、家族ぐるみとか、アプローチできるなら職場でもいいから何でもいいからそういうところにアプローチして、皆さんの家族はどうですか、お孫さんはどうですか、お爺ちゃん、お婆ちゃんはどうですかと言って、いろいろなことで機能という部分をもう少し広める必要があるのかなという感じがいたしました。以上が大体のまとめになります。

○三浦委員長 御説明どうもありがとうございました。この口腔機能の維持・向上の部分について、先生方から忌憚のない御意見を頂きたいと思います。前回の委員会でも申し上げたとおり、前回目標を設定するときに一番困った部分はやはり小児の口腔機能のところをどうするかというところで、その点も含めて御意見を頂きたいと思うのですけれども、木本委員から何かございますか。

○木本委員 森田先生もここに記載されているように、3歳児の不正咬合とか正常咬合の、どこが正常で、ここからが不正咬合ですよという分類を、私ども学会から2015年に提言として出させていただいて、3歳児健診の一つの指標に使っていただければと思って、歯列の写真とかこのような状態がというようなことを学会のホームページに提示させていただきました。実際、健診の場で標準化がなされているかどうかはやはり疑問でございまして、どこからどこまでを、例えばここを叢生という不正咬合の分類のここに当てはめようとか、あとは垂直的なかみ合わせの深さの過蓋咬合というような、専門的になりますけれども、それをどこからがというような、健診の場できちんと全ての健診を行う歯科医師が全て分類できるかというと、なかなかこれは難しいところがありまして、当然歯科医院で時間をかけて検査をすればはっきりすることなのですが、ここの部分がまだ基準が統一化されていないところが大きなところではないかと考えております。

 それとあと、先ほど森田先生もおっしゃられたように、ここで口腔機能の話が出てきたのはこの10年ぐらいではないかと考えております。形態のほうが目で見て当然分かるところでして、口腔機能の部分についてはようやくエビデンスが段々蓄積されつつある状態ではないかというように考えています。特に低年齢の機能の発達のところはデータが少ない状態で、我々日本歯科医学会でも、日本小児歯科学会でもようやくデータを出し始めたところです。こちらに記載されておりますように、子供の成長発達期の口腔機能の発達評価マニュアルというものを、今、日本歯科医学会で着手して作成を始めたところでして、ちょうど学童期までを6つのステージに分けて、哺乳から離乳、離乳完了から咀嚼機能を獲得して習熟していくという過程を6つのステージに分けまして、ちょうどこの時期にこういうことが気付きというのですか、保育関係者、保護者、歯科医療関係者それぞれの視点から、こういう点が達成されていないと、ここは専門家に依頼しましょう、こういう機能を測りましょう、摂食・嚥下機能を詳しく検査しましょうというような、今ちょうどその指標作りを始めたところであります。あと1年かけてそのマニュアルを完成させるという運びを、日本小児歯科学会と日本歯科医学会で、障害者歯科学会も一緒に協力して、そちらのほうで今作成を始めたところでございます。

○三浦委員長 ありがとうございます。小児の口腔機能を評価する際に可視化できる、見える化できるというところを踏まえて、何かこうした調査とかスクリーニングに使えるようなものを提示していただけると、大変こういう指標作りなどに役立つかと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 そのほか何かございませんでしょうか。高齢者のところを赤川委員からもし御発言があったら大変有り難いところです。

○赤川委員 それでは、少しだけコメントさせてください。まず、様式113ページにあるように、直近の実績値とあまり変わらないし、悪化したようにも見えるし、悪化してないようにも見える、これは先ほどから言われているように、この問いが「何でもかんで食べることができるか」なので、極めて主観的、いろいろな状況によって、また残存歯によって随分変わるものだからです。例えば残存歯のデータは増えていますけれども、先ほど議論があった歯周疾患は増加しているという理由があるかもしれません。あるいは、全く関係なく、加齢とか生活の満足しているかどうかというようなこともあるかもしれないので、なかなか判断が難しいと思います。

 この21年と27年度の国民健康・栄養調査の質問が一部異なって変わっています。現在の27年度にある国民健康・栄養調査の3つの質問、半年間の間に堅い物が食べにくくなった、お茶やお汁でむせる、口が渇く、これら3つでもって口腔機能の評価をできるのではないかと思います。27と今度34は同じ質問でされると思いますので、そのデータを補足的に集めておいていただくと、今後の課題の一番最後、様式26ページの最後に書いてある主観的な指標をそのままにするかという検討のときに、随分役に立つかと思っています。今の3つは、例の介護予防の事業のスクリーニングのデータですから、例えば市町村のデータもあるはずです。それも加えていただければ、次はもっとより良く分かるかなと思います。

 それから、先ほど森田先生も言われた様式2の関連学会、あるいはその前の口腔機能の評価のことです。例えば、グミゼリーによる咀嚼機能の評価というのも、義歯のデータですが有歯顎との比較も出ていますが、これらに関する学会の活動は必ずしも十分でないようです。今後各学会が、自分の所属する学会も含めて、主導して、例えば世代別の咀嚼機能のデータとかあるいは介入によってそれがどうなったかとか、そういうサポーティブなデータも是非作って集積してほしい、このことを強く感じています。

○三浦委員長 ありがとうございます。大変示唆に富む御発言を頂きましてお礼申し上げます。国民健康・栄養調査のデータは、咀嚼、摂食・嚥下、咀嚼の問題と低栄養を調べるという意味合いもあって、付け加わっているところなのですが、このような活用の方法とか、あと全体的に言えることですけれども、機能面に関して測定方法についても次のタームに向けてというような意味合いが強くなりますけれども、是非更なる可視化を図るような手法がありましたら、またこの専門委員会の機会等を利用して、情報収集も図っていきたいと考えております。どうもありがとうございました。

 引き続きまして、ほかに何か御意見がございますでしょうか。

○大津委員 この60歳代における咀嚼良好者の割合を大分県の計画におきましては、最上位の目標に定めています。それを増やすためにはどのような数値や行動目標を定めたらよいかということで、他の指標を設定しています。平成28年度に県民健康意識行動調査という調査で約2万人のアンケートを取りました。その結果、72.5%と国の直近値とほとんど変わらない数値が出ております。ここの指標に関しましては、主観的ではありますけれどもやはり重要な指標ではないかと思います。健康寿命の出し方も要介護度から算出していた時期もありますけれども、今は確か、「あなた自身健康ですか」に○をつけた人から健康寿命を算出していることもありますので、もちろん客観的なデータは必要かもしれませんけれども、こうした主観的なものも必要ではないかと思っております。

 それから、3歳児の不正咬合が認められる割合の減少につきましては都道府県の計画の中にはなかなか入れづらいところではあります。というのが計画の中にそうした目標を立てたら、それに関しての対策も記述する必要がある。そこのところがなかなか書きづらいので、全体の方向性を示す国レベルではいいかもしれませんけれども、県レベルでは難しいかなと思っております。

○三浦委員長 ありがとうございます。国の基本的事項を踏まえて、都道府県で基本的事項に相当する計画を作っていただいているというところで、自治体からの貴重な御発言かと思います。自治体で行うこともちょっと踏まえて、国の指標にもある程度反映させていく必要があろうかということ。御指摘のあったとおり、指標を作ると、次に改善するためにどんなアクションを起こすのかというようなところにまで踏まえた設定というものも非常に求められるところなので、その辺りを少し見据えて、今は中間評価なので今すぐというわけではありませんけれども、今後に向けて考えていかなければいけないところが自治体からの報告でも明らかになったのかと思います。

 機能面について、そのほか何か御意見等はございますか、大丈夫でしょうか。そうしましたら、次の領域に移りたいと思います。

 続いて、「定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健」の領域について、評価の結果を御報告頂きます。本領域につきましては、指標、領域とも武井委員に評価をお願いしているところです。武井委員、よろしくお願いをいたします。

○武井委員 様式114ページを御覧ください。(1)障害者・障害児、(1)障害者支援施設及び障害者入所施設での定期的な歯科検診実施率の増加です。目標値が90%、ベースライン値が66.9%。これは厚生労働省の特別研究です。同じく厚生労働省の特別研究で直近の実績値は62.9%と微減しておりますが、統計学的な解析をしますと、有意に差が出ていまして、悪化しているということで、cになります。

 引き続き15ページを御覧ください。様式1(2)要介護高齢者、(1)介護老人福祉施設及び介護老人保健施設での定期的な歯科検診実施率の増加です。目標値が50%、ベースライン値が19.2%です。直近の実績値が同じく厚生労働省特別研究で19.0%です。これは変化がないということで、bになっております。

 引き続きまして、様式2になります。7ページを御覧ください。「定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健」。指標の状況は、b、変わらないが1c、悪化しているが1です。関連した取組については、特記すべきことは○の2つ目、歯科口腔保健の推進に対する条例を制定している都道府県は47のうち43ありました。また3つ目、44都道府県が基金を活用し、「在宅歯科医療連携室整備事業」を実施していたということになります。4つ目、日本歯科衛生士会も老年歯科医学会の協力を得て、全国6ブロックにて歯科訪問診療の認定研修を行っております。これは昨年からです。

8ページ目、今後の課題ですが、障害()者入所施設ですが、この歯科医師・歯科衛生士の配置が個人を対象としていた雇用から、近年は地区の歯科医師会・歯科衛生士会への委託形態に変わってきていることが推察されました。これは特別研究からですが、これを考えますと、今後、都道府県歯科医師会・歯科衛生士会への委託がどのように行われているかということも調査をしていくことが重要ではないかということが書かれております。また2つ目の介護老人福祉施設及び介護老人保健施設ですが、歯科専門職による口腔ケア研修会の開催が定期的な歯科検診の実施に結び付いているというように考えられましたので、この辺を幅広く行っていくことが今後重要ではないかということ。さらに、歯科訪問診療を80%の施設が利用していたことから、この訪問診療に合わせて、歯科検診をもう少し広げていくと、歯科検診の実施率が広がるのではないかと考えられました。以上でございます。

○三浦委員長 御説明どうもありがとうございました。定期的に歯科検診又は歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健の領域について、先生方から御意見あるいは御質問等を受けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 こちらは今、武井委員が報告してくださったとおり、特別研究で国のデータでこれに相当するものがなかったために、特別研究を起こしてデータを集めたというところです。たまたま平成23年、平成28年、私が研究代表者を務めた厚労科研の特別研究で評価をさせていただいたところです。残念なことですけれども、障害者のほうは統計解析をして片側検定かけましたら、有意差が出てしまったので、やはり悪化というように評価をせざるを得ないというところです。一方、介護老人保健施設の調査に関しましては、有意差検定にかけても有意差がないので、このまま変わらないという形になっております。この辺りについて何かありましたら。

○田中委員 この分野は政策的にかなり改善する余地が大きいと思いますので、力を入れることで非常に成果が上がる分野だと思うのです。それで伺いたいのは、介護施設で、歯科の訪問診療を利用している施設は80%ですが、検診しているのは19%ということで、非常に差があるのですが、この訪問診療というのは、虫歯があるとか、歯が痛いとか、入れ歯が悪くなったといったそういうときだけのものということでしょうか。

○武井委員 三浦班の研究報告書を読ませていただきますと、診療については歯科治療が必要であるという状況で、訪問を依頼していると書かれております。その際に、歯科検診も行えば、もう少し歯科検診の実施率が上がるのではないかというような考察が書かれております。

○田中委員 治療が必要なときに来てくれる歯医者さんは、検診もしてくださる可能性は高いのでしょうか。

○武井委員 依頼すれば検診はしていただけるのではないかと、私は読ませていただいたのですが、先生、いかがでしょうか。

○三浦委員長 こちらのデータの基になっている調査は、施設に対して行っているところですので、各訪問歯科診療の段階で各ドクターがしっかりと検診に近いようなことをされているケースは非常に多いかと思います。それが上手く施設側に発信できていないというか、把握できていないところはあったのではないかなというような気がしているところです。あと、定期的な歯科検診なので、これを一応1年以内に歯科検診を受けた者というような形にしているところですけれども、最初に入所したときに歯科検診を受けて、あとはその後歯科治療に移ってしまっているという場合、上手く拾えていない可能性がありますので、その点も含めて、やってきたことの、高齢者施設とか障害者施設担当者からの発信とか、そうしたところはやはり考えるべきことかなと思います。それでほかの調査項目において、確実にこれらの方々に対する歯科的なアプローチは広がりを見せているところなので、田中委員御指摘のとおり、力を入れていけば、更にいい状況でボトムアップできるかなと考えています。ありがとうございました。あと、そのほかございますか。

 そうしましたら引き続きまして、次の項目に移ります。社会環境の整備です。今回4つの領域を挙げているところですけれども、最後の領域ということになります。「歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備」の領域について、指標、領域とも高野委員に評価を担当していただいております。高野委員、よろしくお願いをいたします。

○高野委員 先ほど様式1のほ方ではまとめて説明させていただきましたが、特に様式1の最後のところのものでは、別紙17のグラフに示しますように、改善が見られながら、どちらかというと、それ以降横ばいに近い形に見えているのではないかと思います。そういう意味では、これは今後の推移を見なければいけないのではないかと思っております。

 内容的には様式2に示しますように、改善しており、目的を達している部分が項目数として3がありますし、一応改善しているものの目標を達していないが改善しているものが1ということで、改善という見方をすれば、4つとも入っているということです。

 ただ、課題的には幾つかあろうかと思います。その中で投げられた手法の中で、12歳児の一人平均むし歯数とか、都道府県間の地域格差は継続的に認められるということは、どのものにおいてもよく出てきてしまう格差なのですが、地域の事情に合わせて歯科口腔保健施策の取組状況が幾つか違うということと、それぞれの人口構成とか、社会的資本においても違うことがあるので、一律にできないかもしれませんが、セーフティネットという意味では、ある程度のレベルは維持しなければいけないということだとは思っております。

 あとは最終ページに示しましたように、過去1年間に歯科健診ということで、なかなか歯科健診というのは受けられていないことが多いということで、前回のときも、ちょっと話は違いますけれどということで、18歳以降においては、やはり歯科健診という法的なものがないので、なかなか自主的には受けないのかなと思っております。

 あとは3歳児のう蝕がないのは80%ということで増えているとは思います。本当にう蝕は大部分コントロールができてきているのではないかと思いますし、う歯数が本当に検査しても、1人がすごく悪かったり、小さい市町村ですと、状況が悪い方が1人でも2人でも入ってくると一気にデータ的に悪くなるということもありますので、そういう意味ではう蝕罹患というのは本当に二極化されていて、そのう蝕に対する考え方として経済的なものという要因による傾向も言われていますが、医療費がかからないような小・中学校生徒辺りでも受診されないということがあります。これも先ほどの例ではないですが、母親が気遣っていないということになるかと思うのです。それはそういう意味合いを理解していないというか、リテラシー的な感覚が影響しているのではないかと思います。

 それこそ家では食べるものについては冷蔵庫を開ければ何かあるということで、母親が外出、または勤務していても、食については飽食になるくらいになるかもしれません。そういう意味で口腔の衛生管理というものを徹底するような認識がないのではないか。そういう中で、経済的にかなり厳しくなると、なおさら働きに出ていることも多いので、それが相乗として結果として表れて出てきてしまうのかなと。あるデータによりますと、収入であったりとか、学歴だったりを示した項目と相関するように報告されています。かなり低く出ていると結構う蝕も増えてしまうということがありますので、今後は対策もある意味では考えなければいけないところだと思っております。

 あとは歯科口腔保健の推進の条例ですが、特に大都市圏では条例が個々についてはできるのですが、環境とか自治体自体の裕福というか、そういうことによって対応が随分違うことであるようです。一律にはでないということで、その都道府県レベルではできないところもあります。ただ、一般的には市町村とか、区市町村レベルでは大分条例とかの制定は進んできているのではないかと思っております。

○三浦委員長 御説明をどうもありがとうございました。指標に関しての御説明については、最初の歯科疾患のところで、かなり詳しく御説明していただいているところでしたので、主として様式2を中心とした御説明となっております。ここの部分については、「健康日本21(第二次)」等の連動性を含めて、社会環境の整備というのは非常に重要なファクターというところで、歯科における健康格差の縮小というところに直結するような題材というところです。委員の先生方から忌憚のない御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。目標値設定について、先ほど歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加について、少し御発言があったのですが、ここは高野委員、いかがでしょうか。分析をされて引き上げたほうがいいのか、今、次のステップで市町村のこともちょっとお示しをしていただいているところですが、御意見をよろしくお願いします。

○高野委員 数的には目標値36をもうすでに43ということで超えていますので、上げてしかるべきかなとは思います。ただ全部がなるというイメージはどうしてもないので考えどころですが、目標としてはある程度は上げてもいいのではないかと思っております。

○三浦委員長 ありがとうございました。これが歯科疾患ですと、達成したものを維持していくというのも非常にパワーが要るので、すぐに引上げということを余り検討しなくてもよかったりする例も多いところですが、このような社会環境の整備については、そういった懸念も少ないので、今43まできていますので、全都道府県とか、そういったことも考えてもいいのではないかという御意見というふうに、解釈していますが、いかがでしょうか。この件だけではなく、委員の皆様方から追加で御発言がありましたら、よろしくお願いいたします。

 この辺り、自治体での取組、地域における健康格差の縮小とか、その辺り、指標設定とかはどのようになっていますでしょうか。突然ですが、大津委員、何かありましたらお願いします。

○大津委員 3歳児のう蝕のない者の割合と、12歳児の1人平均う蝕が1.0未満の増加というところに関しましては、大分県は両方ともクリアをしていないどころか、下から数えたほうが本当に早いような状況です。

 先ほどもちょっと申しましたが、そういった状況がありますので全体から見れば、そのような目標値は必要ではないかと思います。それから歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加については、あと幾つ上げるということになりますと、現在作っていない都道府県が、どこがやるのかというような問題もありますので、そこのところはもう全部という指標がよろしいのかなと、個人的には思っております。

○三浦委員長 ありがとうございます。田中委員、よろしくお願いいたします。

○田中委員 いまの条例なのですが、既に43都道府県で制定されていて、残るは4県ということですが、その4県でなぜまだ条例が制定されないのか、何か障害になるような事情があるのでしょうか。

○高野委員 私が以前というか、今もですが、東京都歯科医師会の会員でもあるのでお話をさせていただきますと、東京の場合は目標値以上のものができていることがあるので、わざわざ条例まであえて制定しなくても十分だというところもあるので、申し訳ないです。あとフッ化物の洗口とかいろいろの具体的項目において、その条件をクリアする条例案を考えるときに、そういう条件が要らない所もあったりとか、区市町村で十分に対応できているので、改めてやらなくてもいいのではないかとか、そういうところで必ずしも作らなくても動いているのですから要らないのではないかという考えもあります。東京にはご存知のように特別区がありまして、かつ多摩があるのですが、特別区のほうは23区の場合、都からすると対等の関係ですので、それらが独自にかなり進んでいることを進めていると、都で一律のものを与えたときに、優れている所は下げなければいけないイメージになるし、というところもあります。多摩みたいに都のほうの保健所等の管括で統一的にできる所は割と進めやすいかもしれません。それぞれの行政で結構手当てしている所が予算規模においてもすごく違うものですから、一律にこうしなさいというときに、かなり厳しくなるということです。一般的には大体他で作られている条例以上に条例を作らなくても動いているということで、東京の場合は必要としないというふうに考えているのが以前からありました。言い訳のようになりますが、そのような事情であります。

○温泉川委員 歯科健診の場合、私、分かりませんが、4都道府県、どこなのかは知りませんが、聴覚検査もしていない市があったり、県に言っても市のほうはしないとか、そういうのがあったのですが、それを全部するようにという通達があったはずです。そういう感じで、ここはやって、もういいからという言い方はやはり。36都道府県が目標だから、ここができたからもう43県だからいいという、それはちょっと。むしろあと4県だからやったほうがいいというのは素人の考えでしょうか。

○三浦委員長 条例はあくまでもそこの自治体が自ら作るものなので、議会を通して策定するものですので、強制的にという形はなかなか取りづらいので、目標を提示して、そういう方向へ向かってほしいということを示したところでありましたので、このような目標を設定という形になっています。恐らく各自治体において、それぞれお考えがあって、まだ作っていない所はあるというふうに理解はしていますが、ここまで広まってきたというところで、全体を目指したほうがいいのではないかという御意見が多いかなと思いますので、そのような形で反映させていければなと思います。

 そこで、今、各委員のところに机上配付の資料が配られているかと思います。本日、御欠席の前田委員の代わりとして、片岡参考人がこの委員会に御出席ですので、片岡参考人からこちらの机上配付の資料に従って御説明をお願いします。

○片岡参考人 本日、前田委員が所用のため欠席です。意見をお預かりしていまして、机上配付資料でお配りしているところです。意見については全体的な意見ですが、領域ごとの評価においては、今、目標値の評価の議論をしていただいているところですが、目標値の評価だけではなくて、目標値に関連した取組の寄与を分析していただきたい。前回の専門委員会でも似たような発言をいたしましたが、そのような意見です。具体的には歯科保健に関するものに限らず、歯科医療も含めた幅広い項目の評価を行っていただきまして、こちらの自治体としてはいろいろやるべきことはあると思うのですが、積極的に推進すべき事業とか、関与すべき職種を今回明らかにしていくことで、自治体もいろいろ取組を進めることができないかということで、意見を挙げています。

 個々の項目については(1)~(4)とありますが、まず(1)については、3歳児でう蝕のない者の割合の増加とか、3歳児で不正咬合等の認められる者の割合の減少、う蝕のない者の割合が80%以上である都道府県の増加、これらについては、3歳児は幼児のお話でもありますので、妊産婦とか乳幼児への取組状況が影響している可能性があると考えております。これらの指標については、多くは都道府県別のデータとかもありますので、地域ごとの妊婦歯科健診の実施状況とか、乳幼児への歯科保健指導の実施状況など、こういう取組状況を詳しく評価していただきたいと思っております。

 (2)番です。12歳児でう蝕のない者の増加とか、1人平均う歯数1.0未満である都道府県の増加は、こちらは様式1において、集団応用のフッ化物洗口が寄与していると分析されています。こちらについても都道府県別のデータがありますので、例えばですが、地域ごとのう歯数とフッ化物洗口の実施状況の経年変化など、そちらに関連する取組状況をより詳しく評価していただきたいと考えております。

 (3)、(4)については、診療報酬に関係するところもありますが、(3)は歯周病とか、未処置歯に関する治療については、かかりつけ歯科医とか、そういう定期管理が重要であると考えておりまして、直接分析しづらい面もあるとは思いますが、診療報酬におけるかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出状況とかが参考になるのではないかと考えております。

 また、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設での定期的な歯科検診の実施率についてはこれも直接関係するかどうかというのは分析を見てみないと分からないのですが、診療報酬における在宅療養支援歯科診療所の届出状況も、都道府県別に見ることができるのではないかと思いますし、医療施設調査というのでも、在宅医療サービスの実施状況などというデータがありますので、そういう分析をしていただければいいかなと考えています。

○三浦委員長 ありがとうございました。前田委員からは全体的な包括的な御意見、そして個々の案件について、コメントが寄せられているところです。なかなかすぐに対応できないところもありますが、(3)と(4)につきまして、どうしてもかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出状況は重要ですが、その他の歯科医院でもやっている所もあるので、その辺りをどうしていくのかを検討する必要があろうかと思います。(1)、(2)については同様の御意見を、前回も頂いているところです。この専門委員会でもディスカッションの中でいろいろな学会やいろいろな取組、いろいろな自治体がいろいろな取組をされているということが分かってきましたので、その辺りも少しきめ細やかに書き込んで、いただいた御意見に対応したいと思っております。御意見をいただきましてありがとうございました。片岡参考人、今日はありがとうございました。

 ここまでで先生方の御協力によって、ほぼ予定した形で議事が進んでおりまして、委員長として深く感謝するところです。今、領域ごとに指標も含めて検討させていただきました。全体を通して何かお気付きの点とか、これは次の委員会までに何か調べておいてほしい点とかがございましたら、ここで御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。貴重な御意見は既にいただいているところですが、赤川委員どうぞ。

○赤川委員 3番目のところです。先ほどから出ていた困難な者に対するというところですが、障害者・障害児にしても、要介護高齢者にしても、非常に実績値が悪くて、目標値が非常に高い。当然このままにしていたらクリアできないような気がします。先ほどもあった今後の課題のところの実施する方策を、もう少し具体的にしておかないといけない。このままいくと、34年でもせいぜいの数字しか出てこないのではないかと思い、気になっています。

 というのは、障害者・障害児のほうではやはり快適な口の中だし、要介護高齢者では生命予後に直結するわけですから、是非、お考えいただきたいと思います。

○三浦委員長 貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。先ほどの田中委員からの御指摘もあったとおり、頑張らなければならない所は伸びる余地が大変あるところなので、ここの書き込みとかが、やはり中間評価の段階で、しっかりと対応できることが最終評価のところに結び付いていくというところになろうかと思いますので、この部分について拡充を図って、より具体的なところへ向かっていく形にしたいと思います。御意見ありがとうございました。山下委員、どうぞ。

○山下委員 先ほど条例を制定していない4都道府県の件なのですが、これに関しては高野委員からもいろいろと事情がおありとの御報告もありましたので、厚生労働省のほうから現状で43都道府県が制定しているけれども、制定しておられない都道府県の状況やお考えをお尋ねいただくことはできないのでしょうか。そうしますと、こういった考え方があって、制定されていないところもあるのだということが分かれば、全体的にも納得がいくような気もするので、その辺の御説明みたいなものは求められないのでしょうか。

○三浦委員長 高野委員、お願いします。

○高野委員 先ほどちょっと言い足りなかったことが1個ありまして、東京の場合を例にしますと、それぞれの条件というのは国がいろいろ目指すとか、条例の内容が各地が出している以上のことをすでにやっているので、改めて歯科単独で条例を出す必要がないと。医科と共通の枠の部分において保健政策が行えているので、歯科を切り離した土壌にするよりは、医科と一緒に動いていますのは、そのほうが予算的にも取りやすいということでありまして、歯科単独での条約は出さないという方針になっているという状況であるということをご理解いただければと思います。申し訳ありません、言い足りなかった部分です。

○山下委員 ですからそういう情報を、しっかりいただけると、制定していない都道府県が無視しているわけではなくて、きちんとそういったフィロソフィーで作っていないということが明確になると思われます。そうすれば、基本的には47都道府県のすべてに制定の方向性があるということになると思います。何となく4都道府県が無視しているという状況というのは、余りよろしくないという気がします。

○三浦委員長 御意見を頂きましてありがとうございます。事務局から御意見をどうぞ。

○本田歯科口腔保健専門官 事務局です。先生方からいただきました御意見を基に、現在、取組の概要等御報告いただいている部分もありますので、そこに加えて更に各都道府県の状況を、こちらのほうで確認しまして御報告をさせていただきます。その結果、どのように評価をするか御判断を仰ぎたいと思います。お願いいたします。

○三浦委員長 補足説明をありがとうございます。書きぶりのところを、私が個人的に把握しているところでは、東京都さんと同じような状況の県があるようです。医科歯科連携で進めていきたいという自治体のお考えの下で、そういうふうにあえてしているという所もありますので、この辺りは精査して、その状況を的確に伝えるような形にしたいと思いますので、御意見を頂きましてありがとうございました。ほかに何か全体を通してございますでしょうか。大丈夫でしょうか。

 それではこの辺りで、本日の議論を終了させていただきたいと思います。本当に多くの御意見を頂きまして、ありがとうございました。最後に今後のスケジュールなどについて、事務局からお願いをいたします。

○奥田推進係長 本日はありがとうございました。次回の専門委員会の開催日程については、10月を予定しています。また、今回、評価保留となっている項目については、直近のデータが公表され次第、担当の先生に改めて評価していただきまして、追って先生方に御提示したいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○三浦委員長 では、次回が10月と間が空いてしまいますが、引き続きよろしくお願いいたします。本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 


(了)

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