ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会造血幹細胞移植委員会)> 第48回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)(2017年5月17日)




2017年5月17日 第48回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会(議事録)

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成29年5月17日(水)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省 専用第12会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1 骨髄バンクドナーコーディネート開始人数増加の影響についてのトライアル事業について(報告)          
2 造血細胞移植患者手帳について(報告)                     
3 平成29年度造血幹細胞移植対策関係予算の概要について(報告)
4 「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」の施行後の状況等について
5 過去の造血幹細胞移植委員会における主な審議内容及び決定事項について
6 その他

○議事

○瀬戸室長補佐 ただいまから、第48回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。約1年ぶりの委員会開催となり、委員、事務局に異動がありましたので、紹介いたします。委員長については、厚生科学審議会疾病対策部会運営細則第3条の規定に基づき、疾病対策部会長より、引き続き東京大学医科学研究所附属病院長の小澤先生が指名されております。小澤委員長、よろしくお願いいたします。

○小澤委員長 委員長を務めております、東大医科学研究所の小澤でございます。よろしくお願いいたします。今お話がありましたように、今日は久しぶりの会議、委員会なのです。別の資料を見ますと、前回の47回は平成28226日に開催ということで、そこからしばらく空いております。これについては、本当は昨年も委員会を開催する予定がありまして、日程調整は行ったのですが、皆様、大変お忙しいということで成立しませんで、結局、今日になってしまいました。それは1つには今日の議題にもありますように、移植法が制定されて、施行後3年たったということで、もともとその時点で議論をしようということになっておりましたので、今日がちょうどその良いタイミングであろうということで、今日、開催ということになりました。

 また、今お話がありましたように、何名かの委員の先生は異動で交代になっております。前から委員を務められていた方は大体御存じかと思いますが、この委員会で議論されたことが、かなり実際の移植医療に反映されてきますので、そういった意味合いでは是非、積極的にこの委員会で発言していただき、また良い御提案を頂ければと考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 続きをよろしくお願いします。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。また、任期満了に伴う異動で、新たに委員になられました方の御紹介をさせていただきます。サントリープロダクツ株式会社顧問の垣見吉彦委員、自治医科大学内科学講座血液学部門教授の神田善伸委員、東京大学大学院法学部政治学研究科教授の山本隆司委員、以上3名の委員の方に新たに御参画いただいております。

 本日の委員の皆様の出欠状況ですが、辰井委員から欠席の御連絡、山本委員から遅れて出席する旨の御連絡を頂いております。

 次に、昨年の委員会開催以降、事務局の異動がありましたので、御紹介いたします。移植医療対策推進室長の井内努ですが、本日、国会対応で遅れており、後でまいります。また、移植医療対策推進室長補佐の大比良祐子です。同じく、移植医療対策推進室室長補佐の瀬戸愛花です。

 続きまして、資料の確認をいたします。お手元の議事次第にある配布資料一覧を御参照ください。2枚目に委員名簿がありますが、垣見吉彦委員の所が「サントリープロダクツ株式会社代表取締役社長」となっておりますが、「顧問」と修正させていただきます。また、資料1「骨髄バンクドナーコーディネート開始人数増加の影響についてのトライアル事業について」、資料2「造血細胞移植患者手帳について」、資料3「平成29年度造血幹細胞移植対策関係予算の概要について」、資料4「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」の施行後の状況等について、資料5「過去の造血幹細胞移植委員会における主な審議内容及び決定事項について」、資料6「今後の検討課題について」、以上の6点となっておりますので、不足等ありましたら事務局までお伝えください。

 これより、議事進行を小澤委員長にお願いいたします。

○小澤委員長 議事に入ります。番号順のとおり、(1)が現在、日本骨髄バンクが取り組んでいるコーディネート開始人数を増やすトライアル事業、2番目が造血細胞移植患者手帳、3番目が本年度の予算について、まず事務局より報告していただいて、その後、先ほども申し上げましたが、正確には移植に用いる造血幹細胞移植の適切な提供の推進に関する法律、この法律の施行から3年経過したということで、この3年の振り返りを資料45を用いて行って、その後に時間を取って、今後の造血幹細胞移植の適切な提供の推進についてのディスカッションに入りたいと思います。それでは、議題(1)日本骨髄バンクを介してドナー候補者を選定する際の期間短縮に向けた取組について、事務局から報告をお願いします。

○瀬戸室長補佐 資料1を御確認ください。1ページ目は骨髄バンクにおける骨髄・末梢血幹細胞移植におけるコーディネート期間の中央値の推移を示したものになります。(1)1人のドナー候補がコーディネート開始となってから採取に至るまでの期間で、ここ3年は中央値が120日前後であり、(2)は患者が登録してから移植に至るまでの期間の中央値が145日強となっております。

2 ページですが、グラフは1ページの確認検査までの日程を抽出したものになります。この(1)(2)の約20日間の違いについては、右の問題点2にあるように、1人の患者がドナーの選定までに中央値で約11名のドナー候補者に対しコーディネートを行っているためと考えられます。

3 ページが現行の骨髄バンクのコーディネートの流れを示したものになります。最初に患者が登録を行った際には、最大5人までドナー候補者を選択可能となっております。多くの方が最大5人まで登録されております。そして、コーディネートを開始して1人選定するまでは、ドナー候補者が途中で終了となるたびに1人補充可能となっております。しかし、新たに補充されたドナー候補者は、一からコーディネート開始になりますので、そのドナー候補者が選定された場合には、開始時期の遅れの分だけコーディネート期間が延長することになります。

 そのため、4ページのように、最初のドナー登録者が5人から10人に増やした場合には、開始からドナー選定まで、タイムラグなく進む候補者に当たる可能性が高くなります。そこで、今回、骨髄バンクにおいて、ドナーコーディネート開始人数を5人から10人へ増やすトライアル事業を開始することとなりました。

5 ページですが、今回のトライアルは今後、全国展開することも視野に入れた上で、実際に登録人数の開始を10人に増やしたところで、業務上、運用上、課題や問題点がないかどうかを確認することを目的としております。実施施設は、拠点病院9施設と、結果の評価なども行っていただくこととなっております福田班の国立がん研究センターを合わせて10施設で行う予定です。登録時期は、今年の41日から531日までの2か月とし、トライアル施設にてバンク登録を行い、移植を行う予定の迅速コースの患者さんで、トライアルについて説明を受け、同意を得た場合のみを対象としております。また、今回のトライアルでは、10人のドナー候補者を選択することになりますので、トライアルに参加していない患者さんに不利益を与えないために、HLAでは8/8アリルフルマッチで45名以上のドナー候補者がいる患者を対象とすることといたしました。当室の試算では、2か月で約20名弱の登録を見込んでおり、人数としては多くありませんが、今回は運用上の問題点の抽出を目標としており、コーディネート期間の日数の比較も検討は行っていく予定となります。こちらが1つ目の報告になります。

○小澤委員長 ただいま御説明いただきましたが、登録は順調にスタートしているという理解でよろしいですね。

○瀬戸室長補佐 はい。今、10名以上の参加が行われております。

○小澤委員長 何か御意見はありますか。

○梅田委員 コーディネート期間の短縮は、前々からの大きな課題になっていて、患者さんの立場からすると、これは非常に大きなメリットがあります。また、一方でドナーの立場でも、非常に大きな前進になると思いますね。4月、5月でまずテストということですが、できるだけ早めにまとめていただいて、更に発展させる方向で前向きに検討いただければと思います。

○小澤委員長 今の梅田委員の御発言で、できるだけ早く結果を出してスタートさせたいということですが、その辺の見通し、めどというのはどうなっていますか。

○瀬戸室長補佐 まず、2か月やったところで、バンクと実施施設にも意見を聴取してからになりますので、その意見をまとめて、私たちとしてもなるべく早く開始したいとは考えております。

○小澤委員長 それで、良い結果が出た場合に、大体いつ頃。

○瀬戸室長補佐 ちょっと今の段階では確定した時期は言えないのですが、今年度中には始めたいという目標は考えております。

○坂巻委員長代理 とても良い取組だと思うのですが、バンクの事務局の負荷という面では、いかがでしょうか。

○瀬戸室長補佐 もともと調整している中央値は11人になりますので、10人のコーディネート自体に関して、ものすごく増えるわけではないのですが、やはり初回の段階で、一気に通知をしたりしますので、幾分、仕事量が増えるとはお聞きしておりますが、今のところ大きな問題となることはないとお聞きしております。

○野村委員 知識不足で間違ったらあれなのですが、もちろん進めばいいと思うのですが、例えば11人の検査費用を患者さんが負担するという形になった場合に、負担できる人だけやれて、そうでない人はやれないみたいな形になってくる可能性が出てくることがあるのでしょうか。それだったら、それを避けるような形の何かをというのをどのようにお考えなのかと思いました。

○瀬戸室長補佐 確認検査まで行っているドナーさんがいなくて増やしている形になりますので、確認検査に行く人数は変わりがないと思いますので、そこの患者さんの負担が増えるわけではないです。

○山口委員 多分、今、小スケールでやっておられるので問題ないということで、そのまま問題なく進めば、もちろんこのまま進めていただいたほうがいいと思うのですが、スケールを拡大したときに、競合が起きないか心配です。登録できる競合が今45人で想定されていて、それでうまくいけば、もちろんそれでいいだろうと思うのですが、拡大したときにその辺の見積りというか、どのように考えられるのでしょうか。

○瀬戸室長補佐 現在の5人の段階でも、競合している患者さんはいらっしゃいますので、トライアルになりますと、できる施設とできていない施設がありますので、そこが問題になってきますが、全国展開すれば、全施設がそのように登録することになるということになりますので、一応、今の段階ではドナーの人数のところで限定するというようには考えておりません。

○神田委員 今の競合の点と、これがどのぐらい短縮効果が得られるかというのは、恐らくコンピューターシミュレーションすれば、おおよそのことは分かると思いますので、事前に進められるといいのではないかと思います。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。検討させていただきます。

○岡本委員 1つ確認なのですが、バンクのワークロードが増えることを懸念する一方で、10人に増やしたときに、移植施設においても、10人のドナーをというところのハンドリングといいますか、そういったことが問題になると思うので、同時に移植施設に、例えばサポートするHCTCとか、そういったものを充実させていくという方向性も一緒に考えながら、このプロジェクトを進めていくべきかなと思いました。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。

○小澤委員長 ほかにはよろしいでしょうか。いろいろ意見を出していただきまして、ありがとうございました。次に移りますが、議題2として、このたび完成した造血細胞移植患者手帳について、事務局から報告をお願いいたします。

○瀬戸室長補佐 資料2に移ります。1ページ目ですが、もともと数施設において患者手帳が独自に発行されておりましたが、その内容や目的が少し異なっていたこともあり、手帳の内容と日本造血細胞移植学会のガイドラインとの整合性を図り、またその内容を統一・充実させるために、2015年に造血幹細胞移植患者手帳作成委員会が学会にて設置されました。20174月に、患者手帳作成委員会にて造血細胞移植患者手帳の第一版が完成し、学会から当室へ御提出いただきました。この手帳を造血幹細胞移植推進拠点病院事業の1つとして、情報の共有と手帳の配布を行うこととなったため、今回、報告いたします。

2 ページですが、一般的に造血細胞移植の患者の多くは、移植後早期は移植を行った施設にてフォローが行われており、GVHDや、その他合併症が落ち着き、通院頻度が減ると、地元の中小規模の医療機関や、もともとのかかりつけ医であった診療所などへ転医する方が一定数認められます。そのため、移植施設でフォローが行われる際には、晩期合併症の予防やスクリーニング、早期治療を行うことは可能ですが、地域の医療機関に転医した場合にも、同様のフォローが行われるシステムの構築が必要と考えられます。その患者の地域医療全体へフォローを移行する場合には、この患者手帳を有効利用していただきたいと考えております。そこで、今回の患者手帳においては、移植患者の情報と医学的な注意事項について、シンプルに分かりやすく示すとともに、何か起きた場合の連携がうまくできることを目的としてまとめられております。

 資料の最後に、患者手帳の内容について把握できるものを添付しておりますが、実物はこのぐらいの大きさになります。患者手帳の5ページ、6ページですが、移植後、患者診療における感染症のリスク分類を示しており、どのような場合に移植施設に連絡するべきかなども記載しております。また、10ページから11ページには、移植施設の連絡先を記入する欄を設けておりますし、13ページ、あるいは30ページには、移植施設が患者さんの医学的な留意点を記載することになっております。また、42ページには、移植施設からワクチンの接種依頼を記載するページもあります。

 少し戻りますが、24ページには移植後患者で発症しやすい生活習慣病などを記載するページがあり、その中でも重篤な脳血管障害や肝疾患、二次がんなどが発症した場合には、移植施設も把握すべき事項となりますので、御連絡いただくように記載もしてあります。これがこの患者手帳の概要になります。

 最初のほうの3ページに戻って、このような患者手帳の内容と目的をある程度、周知徹底してから配布を行わなければ、地域連携のツールとして有効利用されないままになるおそれがあると思われます。4ページに患者手帳を用いた造血細胞移植後患者のフォロー体制を示しております。まず、拠点病院から拠点病院以外の移植施設に対して、患者手帳を配布する前に情報提供をお願いしたいと考えております。実施施設の移植後患者を地域の医療機関へ紹介する際には、連絡先を手帳に記載して、医療機関から問合せがあった場合には適切な対応を取っていただくこと。また、実施施設から送る患者にも情報の共有がされた医療機関でなければ、この患者手帳を持参しても対応は難しいと思われるということをお伝えいただくようお願いいたします。また、地域の医療機関においては、移植後患者の診療方法や留意すべき点、接種を依頼されたワクチンについて、手帳に記載されていること。また、診療で問題があった際には、記載されている連絡先に御照会いただければ対応できるようにしていること。また、晩期合併症で注意すべき疾患は記載されていますので、その中でも重篤なものや二次がんを発症した場合には、移植施設へフィードバックしてほしいということをお伝えいただくようお願いしていく予定となっております。

5 ページですが、患者手帳の今後の流れとしては、これまでの患者手帳の方向性や周知方法について、4月に学会と拠点病院の地域連携担当と当室とで相談をして、協議を行っております。また、5月以降には当室及び拠点病院より、医師会へ患者手帳に関しての情報提供を行わせていただく予定です。また、配布準備ができた施設から、患者手帳の発行及び患者手帳の患者さんへの配布を開始していただきます。学会においては、患者手帳の運用状況の把握とともに、患者手帳作成委員会にて、患者や医療機関へアンケート調査を行い、今後の患者手帳の改訂の必要性などを検討していくとのことです。拠点病院でも、引き続き患者手帳を活用しながら、移植施設、また移植施設以外の医療機関とのネットワークの構築も図っていただくこととなります。以上になります。

○小澤委員長 ただいま患者手帳について御説明いただきましたが、これは学会との共同作業で作成されたということもありますが、学会のほうから、岡本委員、何か追加発言はありますか。

○岡本委員 今の瀬戸補佐のコメントで結構です。全部網羅されております。

○小澤委員長 何か御意見、御質問はいかがでしょうか。

○今村委員 5ページの5月以降の取組として、厚生労働省と拠点病院から医師会のほうへ情報提供すると書いてありますが、これは厚生労働省と拠点病院から日本医師会のほうに情報提供があって、それを日医のほうから都道府県医師会のほうに通知をして、都道府県医師会から郡市区医師会にまた通知をしてもらうという流れで考えていいのですか。

○瀬戸室長補佐 そうです。まず、当室から日本医師会に患者手帳と、このような内容で準備ができて、配布を予定しておりますという御連絡をさせていただいて、そこから都道府県の医師会のほうに御通知いただければと考えております。

○今村委員 実際の手帳は、どこにいくのですか。

○瀬戸室長補佐 都道府県の医師会に10部ずつぐらい送らせていただこうと考えております。

○今村委員 分かりました。

○野村委員 こういう形で医療側が情報を共有してくださるというのは、とてもすばらしいなと思っています。ただ、更に生きたような、要は私たち一般にはおくすり手帳などが知られていますが、持ったまま使っていないとかいうことは結構多かったりして、取材した方や知人などでも、20年以上たってから晩期合併症で苦しんで、いろいろな病院をわたり歩いているという方もいらっしゃいます。ただ、健康な間という言い方も変ですが、その症状がない間というのは、つい手帳の存在などを忘れがちだったりして、要は患者さんも持っていることが自分の安心やメリットという言い方も変ですが、すごく支えられているということが感じられるような手帳になっていったらすごくいいなと思っています。

 もちろんそれは患者さんの自主的なことでもありますが、最初のうち、まだホットな、患者さんが手帳をちゃんと持って治療に当たっている段階で、ネットを通しての登録をしていくとかいう形で、登録した患者さんたちに対しては定期的に患者手帳のことについての情報提供などがいったりして、フォローされているような感覚があっていくと、逆に言うと自分が手帳を持って医療機関に行かなくても、必ず医療機関のどこかとつながっていられるというような患者さんとの関係もできていきますので、もちろん自主的なことによりますが。ということがフォローと体制として、それは私が1つ考えているだけで、ほかの方法があると思うのですが、ただ手帳を持ってアナログに手帳を、なくしてしまった場合のこともありますし、ある中で、そういったネットを使った登録やフォローという形も同時並行でやっていければ、ずっとつながっていけたりすることができたり、患者さんがずっと支えられているのだな、困ったらこうすればいいのだなということが、10年、20年、30年にわたることなものですから、あるといいのかもしれないなと思ったりしました。

○鎌田委員 私もこの手帳の存在は、患者にとって非常に有意義であるし、有り難いと思います。これから患者になる場合には行き渡るようになっていくことと思いますが、かつて移植をした患者で、前の時代に移植した患者ほど、後のフォローについて、どういったことをフォローしていかなければいけないかとか、二次がんのこととか、後にどういうことに気を付けなければいけないかという知識がなかったり、何かあったときにどうしたらいいかというのが分かっていない患者が多いので、そういった患者にも、こういったものの存在が知られるようになる工夫をしていただけると有り難いなと思います。

○小澤委員長 移植医に周知徹底すれば、だんだん主治医から患者さんには情報は伝わっていくと思います。それから、先ほどの野村委員のこういったインターネット社会ですから、うまくそういうシステムも活用できればという話もありますが、それはそれでまた個人情報としてかなり微妙な内容になってきますので、かなり大変は大変な作業になるかと思いますが、その辺は何か構想とかあるのですか。あるいは、電子カルテと一部、情報を共有する方向とか。

○瀬戸室長補佐 現時点ではまだそこまで、やはり情報管理は難しいので、一括したネットワークの構築というのは難しいとは考えていますが、いずれ手帳もホームページ等からダウンロードできるといったことも、学会とお話させてもらったりはしております。

○岡本委員 学会で患者手帳を作成する委員会がありまして、その中でもこの時代に手帳という形がいいのか、それともWebでしっかりとやっていくことがいいのかという議論はありました。欧米のようにID、パスワードで入っていけば、自分のカルテが全部見られるようなシステムが、移植だけではなくて広く普及していく流れの中に、こういったこともうまく応用できていくのだと思います。現時点においては、誰が責任を持ってデータを記入するか等々のこと、いろいろなデータの管理ということが難しいので、今回はレトロではありますが、まず手帳という媒体を使って、それがどのように活用されるかということ、不具合等をうまく吸い上げていって、次のステップでの情報提供を検討したいと考えています。それから移植推進拠点病院との連携によって、この手帳はこれから移植を受ける方たちに配られるわけですが、すでに移植を受けていらっしゃる方には、その地域の中で、こういった情報提供をするようなサイトを作って、対応できるのではないかと考えています。

○坂巻委員長代理 この患者手帳というのは、私どもの病院でも患者さんのフォローアップをしていくシステムの中で、こういう手帳が絶対必要だということになって、必要に応じて出てきたということがあるので、まずはフォローアップ体制を作るというのが一番大切だと思うのです。そういうフォローアップ体制があれば、新しい患者さんだけではなくて、ずっと前の患者さんも、そこのフォローアップ外来に入ってきます。その中で、手帳を基に、きちんとしたフォローアップがなされるという体制が自然とできるので、患者のフォローアップ体制を構築していく事がとても重要なことだと思います。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。

○野村委員 要は医療データまで全部をデジタルということではなく、いわゆる企業のお客様管理みたいな感じで、手帳を取った人が自分さえよければ登録。手帳をもらいましたよと登録を入れておくと、定期的に例えば「手帳をなくされたりされていませんか」、「お加減はいかがですか」みたいなことが届くと、何となく気にしてもらっているなとかそういうふうで、手帳をなくしたりする方も、ここに行けばいいのだと、そのような気軽な感じの登録のつもりでおります。

○武藤委員 今、野村委員はそこまでではないとおっしゃっていただきましたが、私はデータヘルス改革の一環の中に、ちゃんとこれも入れて、将来は今、一生懸命、大臣のほうでもやられていますが、医療介護のデータ等を結び付けつつ、フォローアップの外来の中で、余り移植に詳しくない先生、それからちょっと忘れてしまった患者さんが、どっちもカルテを見たら、「あっ、手帳あったよね」というように、2人で思い出すみたいになるといいかなと思います。なので、それは今後もその枠組みで議論されるときに、是非ねじ込む、忘れないで進めていただきたいなということが1点です。

 それから、私はちょっと不勉強で分からないのですが、以前ドナー手帳も学会で作られていましたか。骨髄バンクのドナーさんの手帳というのがありませんでしたか。2010年ぐらいのPDFが今出てきて、ドナーさんの手帳というのは運用を同じようにか。それはどうしたのかなと思ったのですが、専門の皆さんがみんな御存じないというのは。骨髄末梢血幹細胞ドナー手帳見本というのがあって、造血細胞移植学会と骨髄移植推進財団の。

○瀬戸室長補佐 紙で運用している、バンクのものですか。

○岡本委員 これはパンフレットみたいなものです。これは私が理事長になる前の話なので、よく理解していないのですけれども。

○梅田委員 今ここで出ているような手帳のイメージではありません。

○武藤委員 御案内のようなものなのですね。分かりました。ドナーさんのほうの事後のフォローアップとか健康管理とかも気になったなと思ったので、すみません。ありがとうございます。

○垣見委員 これは私はドナーとしていただきましたが、御説明いただいたときも、自分の登録だとかそういうことではなくて、基本的に何か情報提供ということで。ただ、個人の情報を書き込めるページもありますので、先生とのコミュニケーションに使うときにこれを使えるという御説明は受けました。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。

○今村委員 全国統一的なフォローアップ体制を構築するのだということですが、今まで余りうまくいっていない事例が、ある程度あったということなのですね。

○瀬戸室長補佐 患者手帳を作成する上でのアンケートでも、手帳があれば、他の医療機関を受診する際には少し便利になったという意見もありますし、手帳があっても、やはり移植後の患者さんというだけで、ほかの移植施設以外の医療機関ですと、ちょっとうちではという形で、断られている患者さんの数も多かったと聞いております。

○今村委員 重大な問題は、そんなには発生していなかったと。

○瀬戸室長補佐 そうですね。そういった患者さんは結局、移植施設へ戻られたりはしていますので、そこで何か大きな命の問題があったとは報告があったわけではないです。

○今村委員 これによって、割合便利になるだろうということなのですね。

○瀬戸室長補佐 そうです。患者さんにとっても、結局、今までずっと移植施設でフォローされていたところが、地域の医療機関でも受診が可能になれば、通院もしやすくなりますし、そういったことで患者さんの生活の質は上がると考えております。

○今村委員 というのも全国の医療機関に通知をするということになれば、その医療機関にとって相当の負担があるということになれば、日本医師会としてもちょっと考えなければいけませんが、先ほど言われたような程度のものであれば大丈夫かなと思って、お聞きいたしました。

○瀬戸室長補佐 ありがとうございます。

○小澤委員長 そのほか、よろしいでしょうか。これについてもいろいろな意見を出されましたので、可能なところから少し検討を始めていただいて、また将来もにらんだ、更にバージョンアップしたものも検討していただければと思います。よろしくお願いします。

 議題(3)平成29年度造血幹細胞移植対策関係予算の概要について、事務局から報告をお願いします。

○林室長補佐 それでは、資料3「平成29年度造血幹細胞移植医療対策関係予算()」の概要について御説明いたします。まず一番上の数字を御覧ください。平成27年度予算としましては、22.8億、平成29年度予算で22.7億と、0.1億の減で、対前年比99.5%となっております。おおむね、前年度と同額の予算を確保しているところです。本日は、お時間の関係もありますので、造血幹細胞移植医療対策予算の中の主なもの3点について、説明いたします。まずこの資料の見方です。()、骨髄移植対策事業費(骨髄バンク運営費)のところで言いますと、平成29年度予算については45,600万円となりまして、平成28年度の予算が括弧の中の数字です。39,500万円ということで、6,100万円の増となっております。この予算につきましては、骨髄バンクの運営費の予算でして、バンクの安定的な運営を引き続き支援することと、先ほども御説明いたしましたコーディネート期間の短縮のための必要な経費の連絡体制等を強化するための経費です。

 次の()、造血幹細胞移植医療体制整備事業費です。こちらの経費については、造血幹細胞移植推進拠点病院に対する補助金です。平成29年度予算においては、24,200万円になっております。

 次の()となっておりますさい帯血移植対策事業費(さい帯血バンク運営費)となっております。かっこに書いてあるとおり、さい帯血バンクに対する運営費です。58,200万円を確保しているところです。ポイントの事項のみですが、平成29年度の予算について、簡単ではありますが事務局からの説明は以上です。

○小澤委員長 平成28年度から平成29年度、若干の減にはなっていますが、最初の骨髄バンク運営費は増えているのです。この骨髄バンクの運営は大変な状況になってきていて、赤字がかなり膨らんできて運営が大変だということですが、今回、それに合わせて少し増額をして、今後の見通しとか何かありますでしょうか。

○林室長補佐 予算の見通しということであれば、毎年、シーリングが大体10%ぐらいかかっており、非常に財政上は厳しくなっている中で、今年度の予算は前年度並となっておりますが、来年度の要求については、非常に厳しい交渉になるのではないかと推測されます。

○小澤委員長 このように予算を確保しながら、また別の形で財政の健全化を図るとか、いろいろ複合的な対策が必要になるかとは思います。何か御意見はいかがでしょうか。

○山口委員 骨髄バンク運営費とかさい帯血バンク運営費が少し増額されたのは喜ばしいと思うのですが、多分今、おっしゃったようにシーリングがかかるのはよく分かるのですが、やはり、他の競争的研究費というか、造血幹細胞の競争的研究費などの中で結構運営費を念出している所があると思うのです。こういった基盤的な費用を増額していかないと、増額というか、黒字になる必要はないのですが、赤字にならないような維持をしていただく必要があるのではないかという気がいたします。

○小澤委員長 何か回答を頂けますでしょうか。

○林室長補佐 来年度概算要求に向けて、しっかりと検討し、また必要な経費については要求させていただけるよう努力していきたいと思っております。

○小澤委員長 そのほか御意見を。

○坂巻委員 造血幹細胞移植関連情報システム一元化経費なのですが、これについては、移植に関する法律にのっとって、このデータを一元化するためのシステムを構築するための経費なのですか。それとも、それを運営するための費用なのですか。

○林室長補佐 こちらの経費は、現在ある日赤のシステムと、骨髄バンクのシステムはそれぞれ別個になっていたシステムを一元化するための経費でして、予算としては、平成26年度補正予算から計画的に予算を付けているものです。

○坂巻委員 そうすると、そのシステムが出来上がると、この経費というのは減らせるわけですね。

○林室長補佐 はい、おっしゃるとおりです。

○坂巻委員 そうすると、その分を別なところに回せるということですか。

○林室長補佐 テクニカル的にはそのようになるかと思います。

○坂巻委員 ありがとうございます。

○小澤委員長 そのほか、御意見、御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。これでもまだまだ若干赤字であるというお話ではありますが、また、次年度以降もよろしくお願いします。

 その次は大きなテーマになります。先ほど最初にもお話ししましたが、移植法が施行されて3年経過したところです。「移植に用いる造血幹細胞移植の適切な提供の推進に関する法律」において、「この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案して、必要があると認められるときは検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」と、そのように書かれているわけです。ちょうど3年経過したことになりますので、この委員会においても、見直すべき事項を検討していくに当たり、まずは法施行後の状況等、その次に、過去の委員会において審議決定された事項について事務局から説明いただき、その後、資料6「今後の検討課題」についてディスカッションをしていただきたいと思います。それではよろしくお願いします。

○瀬戸室長補佐 ではまず、資料4から資料6を私どもで説明しまして、これらに関連すること、しないことを、トータルで資料6に沿って議論を行っていきたいと考えております。まず資料4を御覧ください。「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」の制定までの経緯になります。今までこの法律ができる前は、骨髄移植、末梢血幹細胞移植を行うためには、HLAが一致する者を探して、その者を患者と結び付けるあっせんが必要であったということと、また、さい帯血移植を行うためには、採取したさい帯血の調整や凍結保存等が必要ということで、バンク制度は不可欠でありますが、根拠法がない中、厚生労働省や日本赤十字社の支援を受けながら、骨髄バンクやさい帯血バンクが業務を実施しておりました。根拠法の必要性として、治療成績の向上や、高齢化に伴って移植の数が増えてきているということで、安定したドナーの供給が必要であるということがあります。また、バンクに関する規制が存在しないため、質の担保等を確保していくためには規制が必要と考えております。また、バンクの運営が財政的に不安定ですと供給にも影響が出てきますので、法律で規定することが必要ということです。

2 ページです。平成249月に公布されて、平成2611日に全面施行となりました。目的としては、「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進を図り、もって造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資する」ということになります。

 主な内容として、造血幹細胞の適切な提供の推進に関し、基本理念、国やバンク等の責務、国の施策を規定しております。また、骨髄バンク、さい帯血バンクを許可制としまして、骨髄バンクに対してはドナーの健康の保護、さい帯血バンクに対しては品質の確保に関する基準の遵守など、必要な業務を課しております。また、骨髄バンク、さい帯血バンクに対する補助の規定も設けております。また、骨髄バンク、さい帯血バンクに対する支援を行う支援機関を全国で1個に限り指定しておりまして、こちらが日本赤十字社となっております。

3 4ページです。こちらに、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の附則として、第5条のほうに、先ほど小澤委員長からもありましたが、法の施行後3年を経過した場合において、必要があれば検討を加える形になっております。4ページには告示を示しております。

 現在の移植の状況をこれから御説明します。5ページ、こちらが、非血縁者間の造血幹細胞移植実績の推移となります。折れ線グラフは全体の数になります。非血縁者の数に関しては、大体横ばいとなってきております。また、下の棒グラフになりますが、赤いグラフがさい帯血移植になります。青が骨髄移植等となります。平成27年に初めてさい帯血移植の数が骨髄移植等の数を抜いております。平成28年も同様の状況となっております。

6 ページ、骨髄バンクドナーの登録者数の推移です。現在、平成28年度で47万人を超えております。ただ、新規の登録数は一旦、平成26年度のところで26,000人まで減りましたが、その後、少しずつまた増えてきまして、平成28年度で3万を超えております。現在も、バンクのドナー登録者数の増加を、当室としても課題と考えております。

7 ページ、当室における法公布後の主な取組としまして、以下の4つを挙げております。1つ目に、国民の理解の増進ということで、普及・啓発の資料を作成し、小学校等においては授業等で活用されており、中高生を対象とした漫画冊子等も、イベントや関係団体等で配布しております。

 また2つ目が、移植に用いる造血幹細胞に関する情報の一体的な提供であります。1つ目が、平成25年度から、患者の治療内容やドナーの健康情報並びに造血幹細胞移植の治療成績を収集・分析し、医療機関や研究機関、国民に提供するための、造血幹細胞移植患者・ドナー情報登録新事業を開始しております。2つ目として、先ほどもありましたが、平成26年の補正予算から、造血幹細胞移植関連システムの一体化を図るために、骨髄等移植とさい帯血移植が連携しシステム構築を開始し、新システムを構築中です。3つ目として、平成25年度から、造血幹細胞移植の医療提供体制整備を図るために、造血幹細胞移植推進拠点病院を設置しております。

4 つ目に、バンクの安定的な事業運営の確保について述べさせていただきます。89ページに造血幹細胞移植の普及・啓発資料を載せており、次のページの「チャンス」もお配りしております。

 また、10ページに移り、移植に用いる造血幹細胞に関する情報の一体的な提供ということで、造血幹細胞移植の国内での実施状況の正確な把握と、幹細胞提供ドナー及び造血幹細胞移植患者のアウトカムに関する分析を行い、移植医療の更なる発展に寄与するということで、2006年から一元化した登録システムが行われております。その中心となるのが、こちらの図に示しておりますように、日本造血細胞移植データセンターとなっております。現在も、諸外国の造血細胞移植グループと連携した国際共同研究の推進も行っておりますし、国際ガイドライン構築への参画に向けた研究も行っております。また、データ収集の効率化と質の向上、医療センター等からのデータへのアクセス向上、薬剤の適応拡大への造血細胞移植レジストリデータの活用なども行っております。

11 ページでは、先ほども申し上げましたシステムの一元化を示しています。現在、造血幹細胞移植に係る患者やドナーの情報に関しては、骨髄移植とさい帯血移植は、日本骨髄バンクや日本赤十字社が持つシステムごとに別々に管理をされており、効率的な運用ができておりません。骨髄・末梢血幹細胞移植かさい帯血移植かの選択によって、各情報へのアクセス方法が異なっており、主治医と利用者側には不便なものとなっております。このようなことから、平成26年の補正予算より、主治医やバンクが適切に対応できるよう、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植を問わず一体的な患者登録を行うようにしております。骨髄ドナー登録、またさい帯血の保存状況など、造血幹細胞移植に関わる情報を統一的に把握できるシステムの開発を実施しております。

 実際にこのシステムが完成すれば、主治医は造血幹細胞適合検索システムで患者登録に必要な一連の検索を行いまして、その後、患者さんの状況において、日本骨髄バンクや日本赤十字社のさい帯血バンクシステムに入ります。今までですと、例えば患者さんが日本骨髄バンクで登録をしていましたが、ドナーが現れずに途中でさい帯血バンクのほうに改めて申込みをしていたところの流れが追えませんでしたが、このシステムを使うことによって、患者さんのそのような流れも追うことができるようになっております。日本造血細胞移植データセンターともシステム連携を進めております。

12 ページは、造血幹細胞移植推進拠点病院事業についてです。事業の目的としましては、造血幹細胞移植を必要としている患者に対して、患者の病状に応じて適切な時期に適切な造血幹細胞移植、つまり、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植が実施できる体制を確保するために、平成25年から各地域に造血幹細胞移植推進拠点病院を設置しております。当初は、医療従事者の育成や、骨髄等の早期採取に向けた各地域における連絡体制の強化を図ることで、どこの地域にいても適切な診断に基づき、造血幹細胞移植を受けることができる体制を整備し、移植後患者に対しては、長期フォローアップ体制を確保し、移植後のQOLの向上を図ることになっています。最近では、移植後の長期のフォロー体制の確立も重要な課題と考えております。大きな課題としては、人材育成事業、コーディネート支援事業、地域連携事業の3つに分けて対応を考えております。

13 ページ、現在の選定状況になります。全国8ブロックで9施設を選定しております。また、こちらの拠点病院につきましては、過去の審議内容でも挙げています課題になりますので、後ほど説明します。

14 ページ、こちらは日本骨髄バンクになります。事業内容としては、移植のために患者に適合したHLAを持つドナーをあっせんすることとなります。平成264月から移植推進法に基づき、骨髄・末梢血幹細胞提供あっせん事業者として許可されております。財政状況について先ほども申し上げましたが、現状として、日本骨髄バンクの主な収入は、診療報酬収入、補助金、患者負担金、寄付金の4点があり、移植件数に応じた診療報酬収入や寄付金の増減により収支が変動する特徴があり、平成26年度、平成27年度で収支が赤字となっております。このような状況を踏まえ、平成29年度予算においては、移植件数を増加させるために、骨髄移植等に係るコーディネート期間を短縮させるための取組を行うこととし、骨髄バンクに対する国庫補助金額を約6,100万円増額し補助を行っております。

15 ページ、さい帯血バンクの事業内容になります。こちらは平成11年から開始しております。国の補助基準に適合しているさい帯血バンクが、それぞれの提供施設で採取されたさい帯血の検査、分離、保存及び公開を行うとともに、さい帯血バンクの事業が安全かつ公平、適正に実施されるために、日本さい帯血バンクネットワークにおいて、HLA情報の共有化等の共同事業を実施してきました。こちらのネットワークに関しては、日本赤十字社が必要な連絡調整業務等を引き継いで実施しております。平成261月の移植推進法の施行に伴いまして、全国6つのさい帯血バンクがさい帯血供給事業者として許可されております。こちらの2番に6つのバンクが記載されております。以上になります。

 続いて、資料5に移ります。過去の造血幹細胞移植委員会における主な審議内容及び決定事項について、御説明します。

1 ページ目に書いてあるのは、過去の審議内容になります。法が施行されてから3回行っております。主な議題としては、造血幹細胞移植推進拠点病院について、また、研究目的では、さい帯血の利用、提供基準について。また、非血縁者間末梢血幹細胞移植の扱い、基準について議論を行っております。あとは、第47回では、骨髄バンクドナー新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼について行っておりますので、そちらについて御説明します。

2 ページ、造血幹細胞移植推進拠点病院事業について、改めて御説明します。第45回から第47回の委員会における主な御意見として、病院間での連絡体制、連携体制が必要であるということ。また、人材育成の面では、日本造血細胞移植学会との連携が重要であるということ。移植医のための体制作りも意識していく必要があること。医師以外の移植関連の医療従事者の育成も重要であるということ。HCTCの育成のみではなく、HCTCを周知させるための普及・啓発活動が必要と思われるということ。

 また、そういったHCTCの雇用体制の整備も検討していく必要があるということがありました。また、地域連携やコーディネート期間短縮に向けた骨髄バンクとの連携体制の構築が必要であるという御意見も頂いております。また、地域によって、人口や移植施設数に大きな差があるため、拠点病院の数の見直しも必要ではないか。地域ブロックの必要性の検討や適正化が必要ではないかという御意見を頂いております。

3 4ページ目は先ほどの資料と重なりますので割愛させていただきまして、5ページに移ります。今までは、造血幹細胞移植推進拠点病院連絡会議というものを9病院が集まって、年に12回開催して、今後の拠点病院事業について協議、検討を重ねてきましたが、少ない回数ですと業績が分かりにくいということもありましたので、今年の1月ぐらいから、9病院を事業担当ごとに3病院ずつで分けました。この3病院ずつというのは、この3病院がこの仕事のみをやるという訳ではなくて、主にこのコーディネート支援であれば、都立駒込病院や愛媛県立中央病院、九州大学病院、人材育成であれば、東海大学病院や名古屋第一赤十字病院、岡山大学病院、地域連携では北海道大学病院や東北大学病院、大阪市立大学医学部附属病院等が担当しまして、そこで、コーディネート支援であれば骨髄バンクと連携し、人材育成であれば学会と連携し、地域連携であれば地域の医療機関と連携して、そういった事業を円滑に進めていくためにはどういったことをすべきかを協議して、その後、9病院に、協議した内容を説明して、また意見を集約して検討していただき、また3病院と各連携をしている機関と相談をしていただくという形にすることで、密な連絡を取って、事業に関する方向性を決めていただくことを考えております。実際に、幾つかのグループでは話合いが進んでおりまして、事業の方向性を決めていっております。

 次に、先ほどもありましたが、推進拠点病院の数や、あるいは実績評価をどうしていくかに関しての御意見も頂きました。ただ、この9病院ですが、認定期間がそれぞれ、最初の第一期、第二期、第三期に分かれて認定されておりますので、時期がばらばらですと評価も行いにくいということがありましたので、一旦、平成30年度に全ての病院の認定を行う形にしまして、平成30年度末の評価の方法について、実績評価方法や、あるいは数等の公募要領等も、この審議会で、この2年の間に改めて再検討していきたいと考えております。

7 ページ、非血縁者間末梢血幹細胞提供あっせん業務の一部変更について御説明します。背景としては、非血縁者間末梢血幹細胞移植は、世界に比べて日本は非常に少ない状況です。20108月に、第31回審議会で、こちらの非血縁者間末梢血幹細胞移植の導入を了承いただきました。ただし、安全性を確認しながら段階的に導入することとし、まずは、ドナーが非血縁者間での骨髄提供があること、また、ドナーと患者のHLAの遺伝子型が8/8マッチであること、ドナーが採取施設に1時間以内で通院可能であること、また、採取中は医師の常時監視を要すること、この4つの条件を基に運用を開始しております。そして、20113月に、この「骨髄提供履歴があり」というドナーの条件を撤廃しております。20153月に100例目の実施が行われております。

8 ページ、まだトータル100例ということで、数がなかなか増えないということと、ドナーの安全性を確認することができましたので、第46回造血細胞移植委員会で、非血縁者間末梢血幹細胞提供の条件緩和を了承いただきました。条件緩和につきましては、まず1つ目として、非血縁者間骨髄移植での条件と同様に、「1抗原不適合」の移植実施も可としました。また、緊急の副作用も見られなかったことから、採取施設に1時間以内で通院可能であるという条件を撤廃しました。また、こちらも副作用が見られなかったことから、医師の常時監視を要するという条件を緩和し、看護師も常時監視は可ということにしました。こちらは平成2712月から運用を開始しまして、2015年度の非血縁者間末梢血幹細胞移植数は58件でしたが、2016年度に123件と倍増しておりますので、条件緩和の効果はあったと考えております。

9 ページ、研究目的でのさい帯血の利用提供基準について御説明します。平成256月に、第42回の審議会において、提供可能な研究目的の考え方についても確認し、さい帯血を臨床研究に用いるときの手順等も確認をしましたが、実際に、再生医療等へのさい帯血の供給はまだ詳しい手続等が不明であるということもありますし、提供者の再同意等をどうするかというところの考え方が、共有ができていなかったこともありましたので、平成2710月の第46回の審議会にて、改めて具体的な内容について確認をしました。それが、こちらの下に書いてあります14になります。

 1「研究の考え方」についてです。一般診療として行われる再生医療等や、製造販売の承認を受けた医薬品等の原料等などとする場合など、研究ではなく、実用化、商業化されるものに利用することを目的とする場合には、移植推進法第35条に基づくさい帯血の提供はできないことを確認しました。2さい帯血バンクが設置する倫理審査委員会等の審査項目について、改めてこちらを決定しております。3医療機関、研究機関がさい帯血提供者の同意を得ることの必要性につきましては、医療機関、研究機関が研究内容について一律に再同意を求めるのではなく、当該機関の倫理審査委員会等で、研究内容に応じて適用される関係法令や指針に基づいて判断された場合のみに再同意を取るという形になりました。4医療機関、研究機関の研究成果及び残余献体につきましては、遡及検査に用いる量を除いて適切に廃棄することを確認しました。先ほど述べましたこの4つの確認事項については、次の、平成27 2 24日付けのガイドラインでその内容を一部改正しております。10ページ、先ほどお話した内容を図に示したものです。参考として付けております。

 また11ページには、参考資料として、研究目的でのさい帯血への利用・提供基準についても付けておりますし、12ページには、もともとの研究目的のさい帯血の利用提供基準についても添付しております。

13 ページ、骨髄バンクドナーの新規登録者への再生医療用iPS細胞ストック協力依頼についてです。第47回造血細胞移植審議会までの経緯についてお話させていただきます。もともと京都大学iPS研究所、以下CiRAと呼ばせていただきます。日本赤十字社及び日本骨髄バンクにて、骨髄バンクドナー登録、新規登録者を対象として、再生医療用iPS細胞ストック構築に対する協力依頼をすることについて、当室に確認を頂きました。なお、それまでに、CiRAにおいては、さい帯血、血小板献血者の末梢血、過去の骨髄等提供者の末梢血、京都大学医学附属病院で既にHLA検査を実施された方の末梢血に関しては、再生医療用のiPSストック構築を進めておりました。

CiRA にて幾つかのストックはできておりましたが、日本人の大半をカバーする再生医療用細胞ストックを構築するために、さらに多くのドナーが必要としていました。年間約3万人の登録があり、全ての登録者において登録時の採血でHLA型の検査をしている骨髄バンクドナー登録者から協力を得ることにより、より迅速かつ効率的にストック構築のために必要なHLAホモ結合体の接合体のドナーをピックアップし、再生医療用iPS細胞ストックを構築するのに有効であると考えられました。

 審議内容としまして14ページです。骨髄バンクドナー登録のしおり「チャンス」の改定版を作成して説明し、再生医療用iPS細胞ストック構築の協力のために個人情報を利用するということ、日本赤十字社よりその協力依頼文を送付することについての了解を得ております。日本赤十字社からの協力依頼文の送付の同意が得られ、また、特定のHLAホモ接合体を持つドナー登録者の場合に限り、日本赤十字社よりiPS細胞ストックの協力依頼文を送付することとなっております。同意を得た場合でも、個人情報につきましては、日本赤十字社が協力依頼文を送付するための利用にとどめておりまして、CiRAに直接個人情報が渡ることがないことは確認しております。具体的に、平成284月以降の新規登録者から協力依頼を行っております。

16 17ページに、「チャンス」とその同意書の改定した部分を添付しております。こちらの「チャンス」を改定し、ドナー登録申込みと同時に、再生医療用iPS細胞ストック構築の協力のために個人情報を利用することの同意を取得することとしております。日本赤十字社から同意を得られている方に対して、そのうち、特定のHLAホモ接合体を持つドナー登録者を検索して、対象者に協力依頼文を送付し、その対象者からCiRAに直接連絡をしていただいて、研究内容についての説明を受け、研究への同意が得られた場合にのみ、CiRAにてiPS細胞ストック構築の行程へと進みます。実際にもう、この末梢血からiPS細胞の作成のほうに進まれているとお聞きしております。以上になります。このように、これまでに、移植法の施行後の状況と、過去の審議内容及び決定事項について御説明をしました。

 資料6、こちらも「今後の検討課題につきまして」ということで、3年後見直しのこともありますので、今後、委員の皆様方におきましては、この移植医療にまつわる様々な課題につきまして、ここで御議論を頂けたらと思っております。

○小澤委員長 以上ですか。

○瀬戸室長補佐 はい。

○小澤委員長 膨大な資料をありがとうございました。いきなり議論を始めるのではなく、かなり量が多かったものですから、最初に内容の確認をしたいと思います。いかがでしょうか。内容について確認しておきたいという点がありましたら御発言いただければと思います。

 もう議論に入ってもよろしいでしょうか。そうしましたら、一応順番を決めてはありますので、資料6の今後の検討課題についてということで、1番から4番のその他まで、ですが、まずは1番の「非血縁者間の骨髄末梢血幹細胞移植について」このテーマに関して、委員の皆さんの御意見をお願いしたいと思います。3年後の見直しという、そういう観点も含めて御発言よろしくお願いいたします。簡単に、もし3年たってみて、ようやくみたいなものですが、こういうところが移植法を制定して非常によくなったというのをまとめていただくとどのような感じになりますか。一元管理のところが一番重要なところかと思いますが。

○瀬戸室長補佐 そうですね、情報の一体的な提供でシステムが進んでいることは、患者さんにとっても医療者側にとっても、よりよい情報の共有ができやすいのではないかと考えております。

○小澤委員長 この3年後の見直しと言いますか、移植法の評価に当たって、各移植施設にアンケートを取るとかそのようなことはやられたのでしょうか。

○瀬戸室長補佐 3年後の見直しということで、各団体からこういうところを改善していただきたいという要望は頂いております。その要望につきましては各団体からのヒアリングを、次回以降の審議会では行っていきたいと考えております。

○小澤委員長 そうすると大体どのようなタイムスケジュールでこの3年後の見直しを終えて、そして改正すべきところがあれば、こういうところの見直しをしていただきたいという提案は、今後の目処としてはどういう感じになるのでしょうか。

○瀬戸室長補佐 まず、今までの審議会におきましては、1年に1回のような頻度で行っておりましたが、ここで3年後の見直しを行いたいので、最後にお話しようと思っていたのですが、次回の審議会を7月下旬から8月ぐらいにさせていただいて、そこでヒアリングができればと考えております。さらにそのヒアリングを踏まえた上で、改めて課題の抽出と、それに関して見直しということで改定するべきなのかを話し合って、その次の段階で、必要があれば改定したものの案をこちらで出させていただく形になると思います。あと年内に2回ほどは審議会を行わせていただいて、形になっていければいいなと思っております。

○小澤委員長 そうすると年内中に、一応の結論を出すというような感じでよろしいのですね。

○瀬戸室長補佐 要望等の量にもよりますが、今後のヒアリングの状況次第で、ヒアリングを2回に分けるかもしれませんので、そこは今日の課題も挙がったところで検討したいと思っております。

○小澤委員長 いかがでしょうか。まず、1番の非血縁者間の骨髄末梢血幹細胞移植について。

○山口委員 資料5のページ8ですか、基準を緩和することによってかなり増えてきているということで、これは非常にいいことだなと思っております。少し気になる点が、ドナーの安全性を確保する上では、その末梢血造血幹細胞移植というのが欧米並みになっていくことがいいのかなと思ってはいるのですけれども、一方で、移植医が割とGVHDが起きにくいということで、骨髄移植のほうを選択されるのではないか。あるいは、ドナーをされる方もそれでいいという方が多いと聞いています。ただ一方で、海外ではやはり末梢血が結構多いというそこの理由、もしGVHDが多く起きるのだったら海外もそれを止めるはずなのに、ちゃんと海外はそれをやられているのと、日本でそれがなかなか進展していないというところ。これは多分、岡本先生が研究されている内容の範囲だろうと思うのですが、是非その辺を明らかにして、末梢血のほうを増やす方向にいっていただければなと思っております。

○小澤委員長 そうですね、日本と世界の違いが余りにも大きいですので、その辺について岡本委員、お願いします。

○岡本委員 一言で言うとシステムの違いだと思います。単純に考えてお分かりになるように、末梢血のドネーションのほうが明らかに骨髄よりも楽は楽です。今、安全性ということでいろいろなハードルを設けていますけれども、これを緩和していくことによって、やはりドナーは、提供する側としては末梢血に流れていくのは間違いない事実で、世界の趨勢だと思います。例えば今後、非末梢血の採取を導入して、よりドナーに負担の少ない採取を進めていくことによって、コーディネーション期間が短縮をし、それによって多くの人に移植に到達できるチャンスを増やすということであれば、ドナーのG-CSFの投与とかそうしたものを外来で行うとか、いろいろなことが考えられるので、間違いなくその方向にいくと思います。

 御指摘があった慢性移植片対宿主病が起こることは事実であって、海外でもこれはやはり短期の成績は改善するけれども、56年たってきた成績は必ずしも改善しないということも確認されています。でも、決してもうこれはそうなった時点で元に戻ることは多分できないと思います。やはりドナーの利便性を考えた場合、これを推進するという一方で、学会、それから医療側としては、そういう合併症に対する対策をどう立てていくか、それから先ほどの移植のフォローアップもそうですけれども、後期にいろいろな問題が起こってくることを十分考慮して、それに対応する体制をつくっていくことがやはり必要ではないかと思います。

○小澤委員長 ありがとうございます。これまでも移植医療の1つの問題点として、骨髄採取がなかなかスムーズに進まないというところがありましたので、これが末梢血のほうへ流れていくと、そういう問題も解決するかなとは思うのですけれども、お聞きした感じでは、ドナーのほうもまだそんなに、末梢血がいいのだと、そういう感じにもなっていないようですけれども、また広報活動とかその辺がまだ不十分だと。

○梅田委員 私の方はドナー登録会を、去年1年間で190回ぐらい千葉県内でやりました。今日本広告機構の広報でもありますがドナー定年を迎える方が大変多くなっています。そこで新たなドナー登録を増やさないといけません。こういうこともありまして、3年ぐらい前は年間50回ぐらいだったのですが、これを今、3倍以上に増やしているところです。実際、登録の場では、骨髄の提供と末梢血の提供の両方ともOKですかというような説明を登録者にするのですけれども、ここのところ、やはり末梢血の方がドナーとしては全身麻酔や何かがないだけ楽なので、そちらのほうを御希望される方も結構おられるのですね。両方説明して、最終的には納得いただけるのですが、やはり末梢血のほうが楽ですよねというような話は、前より多くなっているのは事実です。

○小澤委員長 そのようにしっかり説明をすると段々シフトしていくということですね。

○梅田委員 はい、そうです。

○小澤委員長 それはまだ完全に全国に広まっているわけではないかもしれないと。

○梅田委員 やっぱり、末梢血は体制とか、採取施設とかまだ若干不便な所が見受けられます。こういうところも充実させていただくと、ドナーの立場だけを単純に考えていくと、希望がもっと増えてくるというのは間違いないのではないかと思っております。

○小澤委員長 アフェレーシスの機器の予算もあることはあるのですよね。

○瀬戸室長補佐 はい。

○小澤委員長 あとは一方で、移植医のほうは、先ほどの御発言とも関係しますけれども、やはり骨髄のほうがいいやとか、そういうのはまだありますか、どうでしょう。

○岡本委員 あると思います。

○小澤委員長 その辺は今後変わってくる可能性は。

○岡本委員 リクエストはしても、なかなかそのリクエストに応えられなくなっていくのが将来の像ではないかと私は思っています。本来であればこれによってリクルートの期間、ドナーコーディネーションの期間が短くなって、当初の理想としては7080日になってくると末梢血、骨髄採取いずれも多分同等に選択できて、医療サイドから見た理想の造血幹細胞ソースにアクセスできるということをイメージしたわけですけれども、なかなかドナーの方にそうしたことを御理解いただいて、骨髄、末梢血いずれでもいいですよとはなかなかいえなくなり、末梢血を推進すればするだけ、それが難しくなってきているのが現状ではないでしょうか。

○坂巻委員長代理 説明会などに来る方は、末梢血提供に関しても理解されている方が多いと思うのですけれども、いわゆる一般の国民、市民は、末梢血で提供できるということ自体が、まだ十分周知されていないということがあるのではないでしょうか。

○梅田委員 そこはもう間違いないと思います。私どもは献血併行登録会をやっていますから、献血に来られる方は、かなり知識を持っておられ、この方がドナーの登録に回って来られるのですね。あらかじめ勉強している方も結構多いです。一方、一般の方となるとそもそも末梢血って何ですかという世界になってしまうのだろうと思います。

○小澤委員長 そのほかいかがでしょうか。

○張替委員 先ほどありましたけれども、末梢血採取施設のキャパというのがあって、病院の自家移植の採取もしなければいけないとなると、これを増やしたからといって完全にその骨髄プラス末梢血で倍になるというのはなかなか難しいので、その辺のキャパを増やすような、同時に努力もしていかないといけないのかなと思います。

○小澤委員長 そのほかいかがでしょうか。資料45ページ目、非血縁者間の移植の総数など書いてありますけれども、ここ数年は伸び悩みと言いますか、プラトーみたいになってきていますけれども、ここにいわゆるハプロ移植で、その場合には血縁者間になりますけれども、それを上乗せすると多分これは伸びてくるのではないかなと思いますけれども、ここで扱っているのはみんな非血縁者間のデータですので、いかにも移植の伸びが止まっているように見えるのですが、血縁者も含めた全部一体化したデータは学会のほうではあるのですね。そうするとやはりこれは伸びてくる感じですか。

○岡本委員 はい、そのとおりです。

○小澤委員長 今後その辺の血縁者間の、特にハプロの移植はどのような位置付けになってきますか。

○岡本委員 HLAがかなり違う2つのハプロの1つが合っている、息子さんとかいとこの方まで広がっている場合もありますけれども、そうした方の移植はこれから段々増えていくと思います。事実、データセンターで把握をしているところにおいても、ハプロということではなくて、HLA2座以上の不適合の移植という血縁者間移植の数は、少しずつですが着実に増加をしてきています。高齢化しているので、恐らくハプロのドナーに高齢な患者さんのドナーがなり得ることはまず有り得ないので、やはりお子さんとかそういうところになると思います。でも、少子化が進んでおりますので、そのハプロが日本の中でどれぐらい進んでいくかというのは、これはまたちゃんと試算をしていかなければいけないことかなと思います。

○野村委員 梅田委員もおっしゃっていたように、私も万が一自分に話がきたら、この会議で勉強させてもらったときに、やはり末梢血のほうが何となく受けやすいなと思っていたのに、なぜあれかなと思ったところは、体制とかほかの施設の予定とかで、要は今まで骨髄バンクの方たちのいろいろな御尽力もメディアを利用して、ドラマで使ったり、何かというときに相当メディア露出でかなり広げてきた方たちの中で、末梢血というのが正直一般の方は知られていないというのは、メディアにそこまで大々的にプッシュできない理由があるのかなと思ったりしていたところがあったのです。なので、そういう体制づくりと、あと成績のことで、学会の流れは戻らないとおっしゃっているので、時期が整ってくれば一時期バンクがガーッと周知したときのようなメディア利用でやっていけば、恐らく、最終的には家族の反対とかは骨髄に針を指すことへの抵抗だったりして、家族が最終的に反対されるという方たちが多いと聞きます。そうしたときにこそメディアを利用していただいて、ガーッと周知すれば、相当数を増やせるようになるのではないかと思います。

○小澤委員長 日本の場合には随分慎重に始めたというところがありますから、まだそういう傾向を引きずっているような感じがありますけれども、段々条件を緩和していく方向になるのでしょうね。

○岡本委員 海外では末梢血に関してはかなり説明も、お互い同様にリスクはありますという言い方はしていなくて、楽ですというところまでは言いませんけれど、それに近い説明がいくわけです。日本はそこまでいってないと思うのです。きちんとリスクからものが入っていくので。そうなってくると選ぶところに少しハードルができてしまうということです。説明の仕方だと思います。

 それから張替委員がおっしゃったキャパの問題ですけれども、1つ末梢血の採取に関しては同じスタッフがやるとしても、少なくても外科と競合をして、手術室を取らなくて済むというところのメリットはあるかなと思います。でも、だからといってみんな流れるわけではなくて、今までだと骨髄のキャパもあるわけですから、それとうまくバランスさせるような形で、効率よい造血幹細胞提供を図るようなことを検討する必要があるかなと思いました。

○小澤委員長 そのほか御意見はどうでしょうか。では、取りあえずさい帯血のほうに移ってよろしいでしょうか。1番も含めて結構ですけれども、さい帯血移植について、これは特に日本独特と言いますか、特徴的な移植で、相当件数が多いわけです。ここにきて若干先ほどのハプロの関係もあって、プラトーに近くなってはいますけれども。現状と今後について何か御意見、いかがでしょうか。今回の法律の関係で、このさい帯血バンクも一本化するというような形になったわけですけれども、その結果として、メリット、デメリットこの辺はどうなるでしょうか。事務局からお願いします。

○井内移植医療対策推進室長 さい帯血のほうが一本化されたことで、基本的にはデメリットというよりメリットが大きいと我々は考えております。まずは品質の担保ということで、ガイドライン上で、かなり質の担保ということを法律を根拠に明記することができたと。それを守っていただくということで、各バンクはそれまでそれぞれの御努力で品質の担保はされていたのですが、それをオールジャパンで一元化できたということで、今後より安心、安全にさい帯血移植をやっていただける基礎になったのではないかと考えております。

 またこの法律ができたことで、説明にもあったかと思いますが、情報の一元化ということも進めておりますので、骨髄、さい帯血が合わさった形で進められていくということで、体制が整いつつあると思っております。実際この実施件数も今はさい帯血のほうがかなり増えてきて、骨髄移植のほうは非血縁間で、ほぼ同じですけれども少し上回ったということもあります。これから必要なさい帯血のニーズというのが出てくると思っております。そうした基礎的なことはこの法律ができて、バンクがこういう形になったことで達成できたのではないかと思っております。

 今後はこの質をさらに、いかに担保してよくしていくか、臨床現場で患者さんのために、より使いやすいさい帯血をプールしてためていくために、より充実させていくためにどういうことできるのかというようなことが、我々が今後考えていかなければいけない課題というように認識をしております。

○小澤委員長 ありがとうございました。ほかにさい帯血移植に関係して、何か御意見はいかがでしょうか。

○神田委員 この審議会の検討事項とは少しずれるかもしれないですけれども、適切な幹細胞提供の観点から言いますと、今さい帯血は、例えば体の小さい方にはどれだけいっぱい細胞をもらってもいいわけです。ただ実際には移植成績を見ていくと、ある程度以上の細胞数以上は、それ以上増やしても成績は上がっていないという状況です。実際のさい帯血ユニットを見てみると、細胞の多いユニットでは全国で取り合いになっている状況ですから、例えば体の小さい方でものすごい大きいユニットと、ある程度のユニットがある場合には、大きいユニットを体の大きな人に譲ってあげられるようなシステム、つまり上限を設けるとかそうしたことも、今後適切な提供という点ではやっていかなくてはいけないのかと思っております。

○小澤委員長 その辺については、バンクからの調整と言いますか、そういうことは入らないのですね、現状では。移植医の希望したものがもう使える形で、多いものから取り合いになって使われてしまうというところで。その辺も調整したほうがいいというような御意見ですね。

○神田委員 はい、そのとおりです。

○小澤委員長 その辺もまた検討していただいて、そのほか御意見はいかがでしょうか。ちょっとまた1番に戻ってしまいますが、先ほどの移植総数のグラフの次の6ページは、骨髄バンクドナー登録者数の推移とありますけれども、何となく最近、新規の登録者数が少し減ってきているような、この辺については何か問題点、あるいは対策はどうなのでしょうか。

○梅田委員 これは先ほど少し触れましたけれども、ドナー登録がピークのところの登録者がドナー定年を迎えている影響を結構大きく受けているのですね。それから日本広告機構の宣伝と言いますか、ラジオ、テレビでの広告が昔ほど露出度があると思えないのです。この辺の影響もあってここ数年登録者が下がってきています。これは全国的にそうなのですが、私がボランティアをやっている千葉も、全く同じような傾向です。そこを少し盛り返すために、先ほども少し申し上げましたけれども、年間50回程度だったドナー登録会を、千葉では三者会と言って、薬務課さんと日赤さんと私どもボランティアで力を合わせていて、登録会を増やして、盛り返しています。ここ27年のところは盛り返しているのですが、28年のところも同じような傾向だろうと思っています。全国的にもそういう努力等々があって、盛り返す傾向なのです。ただ、ドナー定年の方はどんどん減る傾向もまた同じなので、そんなに昔ほどは戻らないかなと思っています。

○小澤委員長 ほかにさい帯血移植等、いかがでしょうか。

○武藤委員 ちょっと早く失礼しなくてはいけないので、発言させていただきます。さい帯血バンクからのCiRAの研究開発のためのサンプルと情報提供の件で、御存じだと思いますが、今月末から研究倫理指針が改正になって、個情報も改正施行されますので、今個人情報は移転しないとか書いてある所は、そうではなくなるということと、それからトレーサビリティーの観点で記録作成、保管の義務、あと情報公開なども全部追加されて、それが提供元機関と提供先機関の両方でやらなければいけませんので、皆さんで足並揃えて、どういうものをトレーサビリティーの手段とするかとか、通知公開の手段とするかを確認していただきたいと、事務局にお伝えしておきたいと思います。今日は御説明がなかったので、よろしくお願いします。

○小澤委員長 それはこの新しい個人情報保護法への対応というのは、作業は開始されているのでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 今、我々、すみません、ちょっと細かいところまでは分からないのですが、また調べて御報告させていただきます。特に各さい帯血バンク、日赤におきましても、新しい個人情報保護法に合わせた倫理委員会であったり、そのSOPであったりというものを作成していると、それもあって少し実施段階が遅れているというように聞いております。また本日御指摘あった部分について、具体的に提供する日赤と、その提供されたさい帯血を使うCiRA等々、ほかの研究機関でどのような形になっているかを我々のほうでも調べさせていただいて、また報告させていただきます。

○坂巻委員長代理 今の件に関係することですが、CiRAから依頼があったのは随分前の話ですね。実際にCiRAのほうに何らかの検体提供が行われたのは末梢血だけですか、さい帯血はまだ1件も行っていないのですか。

○井内移植医療対策推進室長 はい、そのとおりです。

○坂巻委員長代理 ただ、ニュースなどでCiRAはスーパードナーを使ったiPS細胞バンクが作り始めたということも聞いたのですが、非血縁の骨髄バンクやさい帯血バンクの検体ではないのですね。

○井内移植医療対策推進室長 過去に東海さい帯血バンクがなくなったときのさい帯血で、1つ行っているものがあります。

○坂巻委員長代理 1つというのは、1検体ですか。

○井内移植医療対策推進室長 1検体です。それは、法律の前の段階です。

○坂巻委員長代理 法律ができる前に提供していた。

○井内移植医療対策推進室長 新たに法律が変わると、委員会の中でルールを決めていただいた形に沿ってのさい帯血の提供というのはまだないということで、我々のほうも日赤のほうと協力して、できるだけ早くできるようにということで、今、努力しているところです。

○坂巻委員長代理 はい。分かりました。

○小澤委員長 結構いろいろと何か時間が掛かるのですね、実際の運用は。

○井内移植医療対策推進室長 そうですね、例えば、適正なコストを決めるのはどうするかとか、先ほどあったルールをどうするか、具体的に、特に日赤などは大きな組織ですので、中で一定のルールを決めていかないといけないのと、それに関わる職員の教育というようなプロセスで、なかなか1回でマニュアル等も決まらなくて、我々が聞いている範囲では、何度も決めては現場で運用をやろうとして、直してということを繰り返してといったことを聞いております。我々としても、端的に言いますと、この委員会でせっかく決めていただいたものなので、できるだけ早くということはあるのですが、ただ手続上、瑕疵があるようなものでは困ると思っておりますので、瑕疵のない形でできるだけ早くやっていただけるようお願いをしております。今後とも、我々がしっかりフォローしたいと思っております。

○小澤委員長 このCiRAiPS細胞を作製、製造用以外に、研究目的で利用したいというそういう要望は何かあるのでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 もともと造血幹細胞移植の治療効果や、新しいやり方等々のどちらにしても、かなりクラシカルな造血幹細胞移植の研究としてのさい帯血を使われた研究というのは過去からありまして、それは過去、さい帯血バンクが個別に、それぞれのルールで提供していたものが今回この委員会で決めて、一定になりましたので、また、今後出すときはそのルールにのっとるということなので、そういった研究もあるとは聞いております。

○小澤委員長 この移植法が制定されてからそういう研究も実際に動いているのですか。

○井内移植医療対策推進室長 どちらかというと、最近、新しく入ったというので、やはり皆さんCiRAで、あとは、過去からいろいろな大学とか、研究機関でさい帯血を使った研究をされていると聞いています。

○小澤委員長 ほかにいかがでしょうか。

○梅田委員 今、CiRAについてお話が出ていたので、私が最近聞いたところで、iPS細胞を提供する場合手紙が来て、いいですよと言うと、京都大学病院のほうへ出向くということなのですが、そのほかに東京でもできるという話がありました。確認したら、東京海上グループの関連の海上ビル診療所という所で提供が、できるらしいのです。

 例えば、提供するということで、関東にいらっしゃる方が、京都までわざわざ行かなくても、東京でできてしまうということであれば、大変便利です。CiRAの権限なのだろうと思いますが、名古屋とか利便性のためにもっと増やすような方向にできるといいなと単純に思ったのですが、この辺はいかがでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 すみません、我々も正確に情報を持ち得ていないので、また、CiRAがどういったスタンスでおられるかを聞いていきたいと思います。

○小澤委員長 ほかにいかがでしょうか。さい帯血移植の関係はよろしいでしょうか。

 それでは、3番目の移植後患者のフォローについてですが、移植後の長期生存される方も段々増えてきているでしょうから、新しい問題も出てくるかという感じもしますが、何か御意見はいかがでしょうか。

○鎌田委員 移植後患者のフォローは、患者にとってとても重要な問題ですが、先ほど坂巻先生もおっしゃっていたように、本当に拠点病院を中心として、今、フォローの体制はすごく充実してきていると思いますし、それは本当に有り難く思っています。例えば、移植施設でずっとフォローの機会があった患者とかはその実感ができるのですけれども、一方で、移植後しばらく問題がなくて病院から離れてしまっていた患者とか、あるいは、問題はあるのですが、地元に一旦戻って、もともとの移植施設から離れてしまって、そこで具合が悪くなってしまったけれども、移植施設には距離的な問題とか、いろいろな問題で戻れない患者とかの話を聞いたりすると、地域差とか、あるいは地域の中でも医療機関による差というのが非常に大きくて、実際に何か問題が起こったときに、移植から時間がたった患者において、とても困っている患者というのが個人的に知っている範囲でも結構います。ですので、そういった患者を含め、これだけフォローの体制というのは非常に充実してきているので、あらゆる患者というか、今、恩恵を受けられずにいる患者にも、どうやったらそのフォローを受ける体制というのをつくっていけるかというところにも、御配慮というか、考えを及ぼしていっていただけたらと思います。

○小澤委員長 何年もたつと当初の担当医が辞めて、ほかの病院に行ってしまったりとかそういうのも難しくなるかと思います。御意見をどうぞ。

○岡本委員 移植のフォローアップに関しては、大きく2つに分かれまして、移植施設でずっとフォローするという体制はあるのですけれども、もう1つは、今、おっしゃったように移植施設から、移植後の合併症、いわゆる移植に直接関連する合併症がなくなった後に、一般の診療に移り、そこでその後のフォローをしていただくという大きく2つに分かれると思います。

 これまでは移植施設は、どうしても患者さんをずっと診ていきたいという施設が、やはり思い入れが強くて多かったのですが、これだけ移植の数も増加してきて、多様になってきたので、やはり移植施設だけでやっていくということに関しては、移植医の負担増加を考える必要があります。移植医は移植をしっかりと行い合併症がある方にフォーカスしていただきたい。それがない人たちは、是非、ほかのリソースを使って、その方々にこのチームの中に入っていただいてフォローアップに加わっていただき負担軽減を図るという事が大切と思います。正に患者手帳が1つのプロジェクトになるわけです。患者手帳が最終的な完成品だとは全く思っておりませんので、これを使って、フォローアップ体制を地域と連携してつくっていくかというところの、一つのトライアルと考えています。その中で学んできたものを反映して、移植後フォローアップ体制を作るのが、最終的な目標と考えております。ですから、考えている方向は、そちらのほうに行くというように御理解いただいていいと思います。

○小澤委員長 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員 今のお話はよく分かりました。恐らく数が増えてくると、移植医だけでは診切れないところがあるのだと思います。

 もう1つは、そうするときに、そのための移植手帳だと思うのですが、いわゆる移植医との連携というか、大本のデータはそこにあったりするわけです、いろいろな移植のときの。それが必要かどうかは別問題でして、そういうところのコミュニケーションというのも、この中の移植手帳の中にインクルードされて、運用されていくという考え方でよろしいのでしょうか。

○岡本委員 長期にわたったときに、どのような合併症が出ていくかという問題が1つあると思います。この患者手帳の場合に、1つ強調したのは、常に元に戻れるコミュニケーションのパイプをしっかり作るということが大切だと思います。ただ、移植後、ずっと進んでいったときに、非常に重篤な慢性片対宿主病に伴う合併症を持っていらっしゃる方は、それは多分、移植施設がずっと診ていくと思いますが、多くの場合は、二次がんとか、あるいは高血圧とかそういったところから出てくる心血管障害とかそういう問題で、正直言って、移植医がそれのプロだとは、私はとても思えません。それはむしろ、一般の開業医の先生方、病院の先生方、そういった高齢者を診ている先生方のほうがプロフェショナルなのです。そのプロフェショナルとうまくパイプをつなぐことによって、そして、そこでこれは移植を受けた患者さんという何か変なレッテルが貼られないようにすることによって、より良いケアが受けられると思いますし、私たちが移植の患者さんに向かって、例えば生活習慣病の指導をすることができるか、できるはずがないと。プロではないし、実際に患者さんが治ってくると、私たちもうれしくて、食べてはいけないとは言いますが、お互いに糖尿病の先生と移植医が、糖尿病の指導をするレベルは違うわけですね。そういうところのうまくメリハリを付けて、うまくリソースをしっかり使っていくことが、今後の高齢化社会が進んでいく中での、造血幹細胞移植の患者さんのフォローアップになるのだと思います。

○小澤委員長 鎌田委員、どうぞ。

○鎌田委員 今、おっしゃっていただいたことは、そのとおりだと思います。フォローアップと言うと、血液の面だけではなくて、移植に由来するいろいろな疾病というのが生じてくると思います。そういう意味でも、例えば、移植施設でフォローアップを受け続けられると、血液内科だけではなくて、ほかの科もやはり移植患者に対する対応というのができるようになっているので、他の診療科との連携もよく取れているのが本当に有り難いと思います。地元に戻った患者とか、そういった人たちが困っているのは、今、先生がおっしゃっていたような、二次がん、肺の問題とか、慢性GVHDの問題とかそういったことに対する対応という面で、やはり移植を前提とした症状を持っている患者に対しての対応というのに慣れていないとか、そういうところで困っているという患者が実際にたくさん出てきています。先生が先ほどおっしゃっていたように、そのパイプをつなぐという役割も含めて、そのフォローの体制というのを、移植施設はほかの科との連携という意味でもすごくよく取られていると思いますので、そうではない病院にかかることになってしまった移植患者に対しても、どのようにフォローしていけるかという方法を考えていただけたらと思いました。

○小澤委員長 何年もたつと住んでいる場所も変わったりしているでしょうから、現在の主治医と昔の移植医とうまく連携できるように、この患者手帳が活用されるとよろしいのかと思います。

○岡本委員 自分たちが経験している、問題がある患者さんがどれぐらいの割合を占めるか、どういった問題を持っているか、多分、今後、これをやることによって明らかになってくると思います。こういった合併症があればそれは移植医が診たほうがいいかもしれないし、こういったものであれば必ずしも移植医が診る必要がないものは当然あるわけで、それを全て移植医施設で診ていくことを逆に義務付けていくことが、相当な負担がかかることであって、それをしっかりとやはり役割分担をしていく方向性を考えていかないと。まず、移植医の数もしっかりと担保していかなければいけないという問題もありますし、課題だと思います。

○野村委員 鎌田委員、岡本委員のおっしゃることは、正しくそのとおりで、今、本当に移行期だと思っていて、今からもっていく方たちは多分フォローしていける。先ほど、鎌田委員がおっしゃっていた過去の方たちが、岡本委員も多分、専門医が診たほうが絶対いいような心疾患の方たちも、取材した人たちや知人などは、普通の町医者に症状ごとにかかると、過去に悪性リンパ腫の経験があると言うと、やはり引かれてしまうというか、怖くてやはり診られないみたいな。かといって、おっしゃったように大学病院に戻ってしまって、主自医がいない病院にはやはり行きにくいということで、結局、患者さんたちも晩期合併症に向き合う怖さというのもあって、治療からどんどん逃げて逃げて、最終的には心停止で手術しなければいけない状況になった知人もいました。

 そういう形で、今、移植医の負担がかかりすぎるとおっしゃるのですが、今、ちょっと多少負担になるかもしれませんが、やはり学会や何か情報提供をいろいろ利用して、いわゆる心疾患なり、普通の専門医が診られるほうの学会に大丈夫なのだと、移植の合併症でも、きちんとこのように診ていただきたいということの、やはり情報提供し合い、交流をしながら安心して移植後の患者さんたちの合併症も、普通の専門医が診られるということを医師同士でも、その間移植医の方たちが大変にはなると思いますが、是非、その辺を頑張っていただくと、そういった形で。その人たちが乗っていき、また患者手帳でフォローができていく間のことだとは思いますが、是非、その辺りを医師同士の形のコミュニケーションで、少し頑張っていただけると有り難いと思っています。

○小澤委員長 その辺は移植学会とほかの学会とのジョイントをプログラムで、いろいろ検討していただければと思います。内科学会だけでは足らないかもしれませんけれども。

○岡本委員 恐らく、この手帳の中に一番重要な点は、この患者さんは移植を受けたから特殊な患者さんではないということはかなり強調されているのです。学会としては、どういった情報提供が必要があるかということを、このプロジェクトを使ってしっかりと把握して、例えば、それを学会のWeb、広報のページを充実させているので、その中に一般の先生方向けのサイトにしっかりアクセスできるようなそういったところも作っていくという、それが正に、こちらが頑張っていかなければいけないことではないかと思います。

○小澤委員長 少し関係するかもしれませんが、拠点病院は順調に動いているかどうか、拠点病院というのは必ずしも先端的な移植のトップの所というのではなくて、まんべんなくというか、ある意味で移植の教育機関めいた感じの位置付けの拠点病院なのですが、それがうまく機能しているかどうかということについてはいかがでしょうか。

○張替委員 拠点病院から御報告させていただきます。1つは、今、フォローアップにしても、手帳を作る上で、拠点病院事業というのは役に立っていますし、この事業が後ろ立てになっているので、医師会とか、歯科医師会にもお願いしやすいと、連携が取りやすくなるだろうと思います。実際に我々の拠点病院にもこの後ろ立てで、支援センターというのを立ち上げられましたので、そういう意味で、フォローアップという意味でも結構この事業は貢献しているかと思います。

 あとは、東北地方ですと、各県に中核病院があって、その周りに関連病院があり階層性があるのですが、そこを集めることで、情報共有とか、教育も可能になってきて、実際に移植までの期間も随分短縮できています。そういったミッションは果たせているかと。

 ただ、人材育成という意味では、それも大きなミッションだったのですけれども、コーディネーターの育成は結構苦労しています。それは先ほどありましたように、出口、要するに、どういうポジションを与えるかというところも、1つ大きいのと、やってみて、結構大きかったのは、コーディネーターの職種は非常に限られた領域なので、要するに看護師の中で研修するのではないので、場合によっては、11の教育になってしまうのです。

 移植学会のコーディネーターの資格を取るまでの期間を、その限られた濃い中でずっと続けていって教育して、立ち上げるというか、人材を作るというのが結構大変で、実際のところ雇用しても、コンプリートする前に、もうギブアップしてしまったり、人材育成という意味では、ちょっと苦労しています。その点は、岡本先生がいろいろお考えになっていると思いますが、コーディネーターのそのハードルを少し下げる形で、教育期間を少し短くして少し増やしていくとか、そういう教育のシステムを少し考えるべきかと思っております。報告を兼ねまして。

○小澤委員長 移植医の養成、確保という観点からはいかがでしょうか。

○張替委員 これは、粛々としか言いようがありません。ただ、先ほどの自分の所に戻って患者さんがフォローされるという意味では、拠点病院から地域の病院に非常勤で行って、そちらでその患者さんをフォローするという形もできますので、そういう意味では、東北地方は医者がいない中でやっていますから、モデルケースができるのかもしれません。そういう工夫はしています。

○小澤委員長 何かほかに御意見はいかがでしょうか。拠点病院へのリクエスト、要望でもいいですし、いろいろな注文ばかりたくさん拠点病院に言い合ってきて、引き受けるのも大変かなと思いますけれども。

○岡本委員 先生がおっしゃったように、患者手帳のことも含めて人材育成、かなり地域のネットワークの中心に置かれるような施設が拠点病院となって学会等と連携してということは、非常にいろいろな意味でメリットがあったように思います。このチームも是非存続していって、それを基に一番のアウトカムとしては、しっかりとしたネットワークが作られるというところと思います。それから、全国のアクティビティとしての学会ではなくて、やはり地域の中でのこれから移植医、コーディネーターなどを担っていくシードを育成するミッションは、むしろ地域のこういった病院が中心となってやっていくことがすごく大切だと思います。この連携の仕方等々について、今後、議論を建設的に進めていくことが大切かと思います。

○小澤委員長 8ブロック、9施設という所は妥当なのでしょうか。

○岡本委員 これは議論があったことだと思いますが、このブロックが決まったときは、これは行政のブロックが1つモデルになっていると思いますが、移植のところは、例えば張替先生の所では、東北という非常によくまとまった、ネットワークがもともと存在しているブロックです。そういった地域はほかにもあると思いますが、例えば、関東などの場合は、そういったネットワークは必ずしも整っていなかったと思います。関東甲信越になると、なかなかそこで連携の、中核となるような病院は、何をすべきかという視点から、最初の段階では、選定されていなかったと理解しています。ですから、今後の拠点病院の事業で、最終的に何を目指すかというところのネットワーク、構築ということから考えて、どの病院がそこの全体と地域を結ぶところに立ってくれるかという視点から、今後の配置というものを決めていくのが大切かなと思います。行政のブロックなのでなかなか難しいと思いますが、ブロックもある程度見直しを図っていくことが大切かと思います。

○小澤委員長 ブロックによっては広すぎる所もありますし、カバーしきれないようなところがある。何かありますでしょうか。

○坂巻委員長代理 拠点病院というのは、移植をたくさんやっているからというよりは、本当に地域の移植の推進を助け、支援するためのタスクが多いのです。そのために、拠点病院としてはそれにかなりエネルギーを使っています。ただ、新しい法律ができたおかげで、このようにフォローアップ体制もかなり良くなってきたし、それから、先ほど、山口委員や張替委員がおっしゃったように、相談窓口もできてきたり、ネットワークというものを重要視されてきて、この3年間ぐらいで、移植医療の環境は良くなってきていると思っております。

 まだまだ不十分なところはあります。例えば、ドナー全体を増やすということに関しては、拠点病院としてやれることというのはかなり限られていることはあるかもしれませんので、それは全体の話になるかもしれませんけれども、やはり推進法に伴う拠点病院は大変なのですけれども、私はそれなりの全体的な効果は出ているのではないかと思っております。

○小澤委員長 拠点病院の連絡会議なども動き始めているようですし、ますます連携、ネットワークの活動が活発になっていくといいかなと思います。ほかにいかがでしょうか。

○野村委員 私は素人で恥ずかしながら、拠点病院の評価委員をさせていただいて、先日、全ブロックのいろいろな取組などについての資料を拝見させていただいて、感じたのは、特にHCTCの教育で、他科への教育のような形で、非常に熱心にいろいろなプログラムを各病院でやっていらして、逆に言うとそれはすばらしいのですが、皆さんお忙しい中でやっている中で、このようにいいプログラムがそれぞれ個別に出来上がっているのだったら、本当に統一プログラムにして、もちろん動画配信などで広く手間なくやれば、全部がゼロから考える必要はなくていいなと外から見ていると思ったりして、それは厚労省の役割でもある部分もあると思ったのです。本当に共有できるものはどんどん良いものは共有していって、無駄を廃していくような取り組みができたらいいのではないかという意見も書いたりしたのですが、今年度から3グループごとに分かれてというように、多少、そういう形の集約が進んでいると思いますが、本当に各病院の方々が一生懸命やっていらっしゃるところのリソースを、本当に効率よく上手に使えたらすばらしいのになというのは全資料を見ていてそう思いました。

 評価基準については、どうしても差があるというのは致し方ないなというのは、読んでいても東京と四国、九州等の差というのは本当に致し方なくて、ずっと評価委員をやらせていただいた中で思うのは、やはり拠点病院の関係でもチューター的役割の拠点病院があったりとか、まだ今は途上ですといったような形で、でも、拠点病院として育っていかなければいけない役割を地方に必ずもっているというところについての評価については、別の物差しがあるということは、これから議論になっていくということが必要なのだろうという形で、資料を拝見させていただいて感じました。

○小澤委員長 いろいろなサポートもしっかりしてもらってというところですね。

○坂巻委員長代理 今、野村委員のお話にもありましたように、HCTCですが、実際これは移植医療にとってものすごく重要な人たちなのです。これをもっと、あまねく、広げ充実させていく必要があると思います。そのためにはある程度それに対する何かインセンティブがあれば、もっといいのではないかと思います。インセンティブとして診療報酬に反映させるというのはいかがでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 厚生労働省で言いますと診療報酬については保険局で決めておりまして、その中で、いわゆる「中医協」と言われる中で議論されて、点数が決められるということになります。

 その中で、医療課などが中医協の中に議題として出していくものを、各学会から網羅的に聞き出しているという中で、造血幹細胞移植学会のほうで、HCTCが重要だというような話をしていただいていると認識しています。

 我々としては、拠点病院での育成等々、あと、実際、その患者さん、ドナーの安心につながっているという認識もありますので、何らかの形でプッシュしていきたいし、応援していきたいというのはあるのですが、健康局に診療報酬を決定する権限はなく、所管部署ではないですし、この委員会で上げると決めても上がるものでもないので、我々としては拠点病院事業の中でしっかりとその基礎を作っていくという中で、学会等から診療報酬のほうは、また別のところで決まってまいりますので、そのプロセスの中でしっかりと効果があるということを主張していただいて、我々としても、そういう認識であることは間違いございませんので、我々としてもしっかりとサポートしたいと考えております。

○小澤委員長 非常に活発な御議論を頂いているところでありますが、本日の予定の時刻が過ぎようとしております。特に大きな、是非という御意見がなければこの辺にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、事務局のほうで本日の議論を踏まえて、次回以降の委員会で行う検討内容を整理していただければと思います。

 最後に議題(7)その他です。委員の先生方から何か御発言がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の議題は以上となりますが、そのほか事務局から何かありますか。

○瀬戸室長補佐 本日は、活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。先ほども申し上げましたが、次回開催は、7月下旬から8月を予定しております。追って調整の御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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