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2017年1月18日 第50回医療部会

医政局総務課

○日時

平成29年1月18日(水)15:00 ~ 17:30


○場所

全国都市会館 第2会議室


○議事

○医療政策企画官 それでは、ただいまから、第50回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいましてまことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数は24名で、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、田中部会長代理、井上委員、大西委員、尾形委員、菊池委員、樋口委員から御欠席との御連絡をいただいております。

18名の委員の皆様が御出席ないし御出席予定ということですので、定足数に達しているということをまず御報告申し上げます。

 また、所用により相澤委員は途中で御退席との御連絡をいただいております。

 次に、議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、資料2、資料3、参考資料をお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 では、以降の進行は永井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 では、最初に欠席の菊池令子委員の代理としまして、公益社団法人日本看護協会常任理事の福井トシ子参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、議題に入ります。前々回の医療部会で事務局から、医療計画の見直し等に関する検討会における検討状況について経過報告がございました。そして、昨年末に当該検討会で医療計画の見直し等に関する意見のとりまとめがなされましたので、最初に事務局から御説明をお願いいたします。

○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。資料1に基づきまして御説明をさせていただきます。

 昨年の1226日に医療計画見直し等に関する検討会として、その時点までの議論のとりまとめというものを出させていただいております。

 内容でございますけれども、まずは1ページ目、「医療計画全体に関する事項」ということで、30年度からの第7次医療計画の検討ということと、地域医療構想との関連を踏まえるとしておりまして、医療連携体制に関しては、対象となる疾病・事業でございますが、医療連携体制に関する事項は従来の5疾病・5事業、それから在宅としていくわけでございますけれども、その他のロコモティブシンドロームなどについても、他の関連施策との調和をとりながら、対策を講じることが重要としております。

 2ページ目をお願いいたします。医療機関と関係機関の連携をここからは記載しておりますが、地域包括ケアシステムの構築を進めていく上でも連携が重要ということで、病病連携及び病診連携、それから歯科医療機関、薬局、訪問看護ステーションの役割について記載しております。

 3ページ目をお願いいたします。3ページ目の3でございますが、医療従事者の確保等の記載事項については、現在ビジョン検討会、それから「医療従事者の需給に関する検討会」等での議論が続いている状況でございますので、それらを踏まえて必要な見直しをするとしております。

 また、医療安全の確保等ということで、医療機器の安全管理等にも触れております。

 そして、中段あたりの5ですが、基準病床数及び特定の病床等に係る特例等についてでございます。

 「(1)二次医療圏の設定」に関しましては、前回第6次と同様の考え方ですが、二次医療圏を適正な形で見直しをしていただくということを書いておりまして、人口規模でありますとか流入入院患者割合、流出入患者割合などの要件は、前回と同じ数字でございますが、考慮して見直しをしていただきたいとなっております。

 また、地域医療構想ガイドラインによる構想区域と二次医療圏を一致させるよう二次医療圏を見直すということも記載しております。

 (2)の「基準病床数」のところでございます。これは病床利用率に関してですが、地域医療構想が現在一定の値を用いていることを踏まえて、4ページ目に入っていただきまして、この医療計画の病床利用率に関しても一定の値を使うとしております。平均在院日数に関しても、従来と同様な取り扱いを基本としつつ、変化率というものを考慮して地域ごとに定めていくというやり方にしております。

 介護施設対応数に関しては、在宅医療等対応可能数へ見直す。具体的な内容は、まだ療養病床の在り方等の議論が続いておりますので、今後お示ししていくとしております。

 それから、4ページの下の(3)でございますが、構想区域における基準病床数の対応というところで、5ページにまいりますけれども、これは将来の医療需要の推移を踏まえた病床の必要量は人口推移の影響を大きく受けるということで、それに向けまして基準病床数というものとの差が生じる場合にどのような形で調整するかということを書かせていただいております。

 それで、その基準病床数に関しては医療法30条の4の第7項の規定で、病床の必要量が将来において既存病床数を大きく上回ると見込まれた場合には見直しをするというような規定がございますので、それを明らかにするということ。その際には病院の機能区分であるとか、病床の機能区分、それから高齢者のピークアウト後の医療需要などを考慮するようにということも書いております。

 それから、有床診療所に関しても届け出の方法について見直しをするということに触れております。

 また、5ページ目の6の既存病床数に関してでございますが、「放射線治療病室等の取扱い」に関しては全国で対応について少しばらつき等がございましたので、今回統一したルールというものをつくるということを書いておるところでございます。

 6ページ目をお願いいたします。既存病床数における老人保健施設等の取り扱いに関しては、これも従来の取り扱いをそのまま維持するとしております。

 また、7の「医療計画の作成手順等について」でございますが、これは従来から都道府県の医療審議会で議論していただいておりますが、それに保険者協議会を加えることとしております。

 また、前回の計画指針以降に成立した法律の規定による計画として、アレルギー疾患対策基本法を追加しております。

 「計画期間」は従来から御説明しておりますが、現行5年を6年とするということでございます。

 また、「協議の場」としては在宅等での連携ということもありますので、都道府県、市町村関係者の協議の場ということも記載をさせていただいております。

 6ページ目から7ページ目にかけまして、地域医療構想調整会議の議論の進め方について記載をしております。主には7ページでございますけれども、医療機能の役割分担に関して、これはいろいろな議論の仕方があるわけでございますが、まずは救急、災害というような医療機関の医療機能に関して議論を進めていってはどうかということを書いております。

 また、それ以外のところにつきましても特定の領域といいますか、他の医療機関が担わないような機能も議論していくとしております。

 それから、その構想調整会議では将来の病床機能の転換について、地域医療構想と整合性があるかという議論をしていただくでありますとか、8ページ目に入っていただきまして、その地域医療構想の調整会議における検討結果というものを踏まえて、関係者間での方向性を共有するというようなことも書いております。

 それで、8ページの8でございますが、医療計画の推進ということで、各種指標の見直しということにも触れております。これは、5疾病・5事業及び在宅に関しましてさまざまな指標を提案して各都道府県の計画で取り込んでいただいているところでございますが、現行ストラクチャー指標に偏っているというような議論もありましたので、プロセスやアウトカム指標について、可能なものは設定していくというようなことを主として記載をしております。

 具体的には9ページからでございますけれども、5疾病に関しては、検討に関しては担当する関係部局の検討会の意見も聞いておりますが、がんは、拠点病院のこと、それから均てん化ということで進めてまいりましたけれども、物によっては集約化も必要ではないかというようなことも触れております。

 指標に関しても例と出ておりますが、こういうものを追加してはどうかということでございます。

10ページ目が、脳卒中に関してでございます。急性期から慢性期を通じて一貫した体制の構築ということに触れておりまして、rt-PAの治療指針のことでありますとか、誤嚥性肺炎の予防というようなことにも触れております。

 また、10ページの下の(3)でございます。これは、従来は心筋梗塞分類でございましたが、心筋梗塞等の心血管疾患と見直しをしておりまして、他の心不全の合併症や大動脈解離なども含めた内容ということに変えておるところであります。

11ページにいっていただきまして、こちらも治療ということもあるわけですが、回復期や慢性期の体制整備のことも触れているところであります。

11ページの(4)糖尿病に関してでございますけれども、これも重症化予防ということを中心に記載しておりまして、地域での連携体制の構築ということが書かれております。

12ページでございますけれども、(5)で精神疾患に関してでございます。これに関しては、障害福祉計画等との整合的な計画ということ、長期入院患者の地域移行への課題について触れておるところでございまして、多様な精神疾患に対応できるようにというような内容も出ております。

13ページは「5事業」でございますが、救急医療ということで、見直しとしてはメディカルコントロール協議会等をさらに活用するということであるとか、出口問題等の対応ということを書いておりまして、そのために地域連携の取り組みであるとか、救急医療機関の機能の充実というようなことが書かれております。

13ページの下側、(2)で「災害時における医療」に関しましては直近では熊本などの地震等も踏まえまして内容の見直しをしておりまして、コーディネーター体制、それから事業継続計画をきちんと立てていただくというようなことも書かれているところでございます。

14ページの(3)、下のほうでございますが、「へき地の医療」ということで、これは従来はへき地保健医療計画を別につくっていただいておりましたが、この医療計画に一本化して推進するということが書かれているところでございます。

15ページにいっていただきまして、拠点病院の機能の充実であるとか、従来のへき地の保健医療計画に記載したことを書いているということでございます。

15ページの(4)の「周産期医療」でございます。こちらも「周産期医療体制整備計画」を別につくっていただいておりましたが、これも「医療計画」に一本化して推進するということになっておりまして、災害時の対応でありますとか、精神疾患の合併した妊婦さんの診療への対応ということも書かれております。

16ページにいっていただきまして、「(5)小児医療」でございます。こちらは、小児の病院体系というものを見直しするようなことを書かせていただいておりまして、既存の枠組みの中で見直しをしていくというような内容でございます。

17ページでございます。「在宅医療」でございますが、これは地域包括ケアシステムの不可欠の構成要素ということで大変重視しておるところでございまして、特に介護保険事業計画の整備目標との整合的な目標の検討ということが書かれております。また、先ほども申し上げましたが、都道府県と市町村の協議ということを通じて進めていくということも書かせていただいているところでございます。

18ページに指標の例示も出ております。全体としては以上のような内容でございますが、今後のスケジュールといたしましては、とりまとめの内容をまとめたものをパブリックコメントにかけさせていただきまして、最終的には年度内に指針の改定という形で作業を進めてまいりたいと思っているところでございます。

 御説明は、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に質問、御意見がございましたら御発言ください。いかがでしょうか。

 では、邉見委員どうぞ。

○邉見委員 初めの医療計画5疾病・5事業はこれでいいと思うのですが、今は呼吸器疾患がどんどんふえて肺がんが胃がんよりも多くなったり、あるいは脳卒中に関係する死因かもわかりませんが、誤嚥性肺炎も3位でしょうか。または、今度はたばこ病、慢性閉塞性肺疾患も2020年のオリンピックに向けて受動喫煙を減らそうとか、いろいろなことをしているので、本当は私は6疾病にしてほしいか、あるいは脳血管障害と心臓血管障害と心筋梗塞を一緒にして5疾病にするかということを思っていたのですけれども、この会議のメンバーでなかったので余り言う機会もなかったので、次のときには少しそういうことも考えてほしいと思います。まず、疾病のことです。

 それから、事業のほうですが、私は在宅はこれから5事業プラス在宅でなく6事業にすべきじゃないかと思っています。田舎では在宅のほうが病院の医療よりも大事なところがありますので、ぜひもう少し重視して事業に次回くらいは取り入れてほしいと思っています。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。今の点について、事務局いかがでしょうか。

○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。今の御指摘に関しましては、検討会でも疾病を追加するかどうかという議論もあったわけでございますけれども、結果的に現状の5疾病・5事業、在宅という形で、ということとなりました。

 ただし、御指摘のとおり、今後疾病の動向等も変化してまいると思いますので、今後の検討の中ではそういった状況を踏まえて検討していくということで、ご理解いただければと思っております。

○永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 では、西澤委員どうぞ。

○西澤委員 ただいま課長の説明で、これはパブリックコメントをかけて、そして年度内にはガイドラインを出したいというお話だったと思いますが、3ページの上の3のところで「医療従事者の確保等の記載事項について」という欄があります。ここは書いてありますように、今のビジョン検討会と、それから医療従事者の需給に関する検討会での議論を踏まえ必要な見直しとなっていますが、たしか前回スケジュールではビジョン検討会の報告が出るのが2月で、その後さらに需給に関する検討会で議論と聞いたような気がします。

 そうだとすれば、3月までにガイドラインは書けるのでしょうか。

○地域医療計画課長 御質問に関してでございますが、先ほど3ページの説明のところでも申し上げましたが、医療従事者の確保等につきましては、ビジョン検討会、医療従事者の需給に関する検討会で、今検討を続けておるところであります。指針の策定のスケジュール的には年度内を目途に進めておりますので、間に合うようであれば、記載するということもあり得ると思うのですが、場合によっては2段階でということもあり得るかと思っております。

 現状、検討が進んだところについて、パブリックコメントにかけさせていただいて、それを踏まえてまた作業をすすめ、その時点で判断させていただこうと思っているところでございます。

○西澤委員 わかりました。4月からは都道府県が医療計画を策定するわけですが、この医療従事者の確保のあたりがしっかりしないと都道府県で本当に医療計画がきちんと立てられるか疑問を感じますので、できるだけ早くこれは結論を出して、都道府県がきちんとした医療計画を策定できるようにしていただきたいと思います。以上です。

○永井部会長 ほかにいかがですか。

 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員 この医療計画のスコープというか、範囲に入るかどうかわからないんですけれども、日本の医療支援の海外貢献というのはどこで議論されてこれから役割を果たそうとされているのかということであります。

 海外貢献というのは、日本の社会インフラ制度だけではなしにいろいろな高齢化の中で先進的取り組みをしているように思われるわけですけれども、とりわけ北東アジア、あるいは南東アジアにおいて、日本人が出かけて医療の分野で貢献されるお医者さん、看護師さんがおられたり、あるいは交流の中で向こうの医療支援、介護、看護支援が入ってきたりということが良い方向で発生する可能性があります。

 ですから、どこかで議論をして国としての方向性をもう少し表示していただければいいと思っていますが、この医療計画は国内だけの医療計画のようにも思うので、海外も視野に入れた医療支援の活用という意味で国のどこかで、とりわけ近隣との交流、連携というものを視野に入れた何かとりまとめを、今回入れてくださいということではなく、今後検討していただく余地はないものかどうかということを質問ないしお願いをしたいと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 総務課長さん、お願いします。

○総務課長 総務課長でございます。今、知事から御指摘がございました点は、非常に大事な政策分野として政府としても取り組みを進めている分野でございます。医療の国際展開という観点では、日本にいらっしゃる外国人の方に適切な医療をどうやって提供するかというインバウンドの観点と、海外、特に東南アジアを中心とする新興国等に対して日本の優れた医療の技術、あるいは仕組みなどをどのように普及、定着をさせていくかという両面から取り組みを進めていく必要があるだろうということで、政府を挙げて取り組みを今、進めているような次第でございますので、また機会があれば個別に今の取り組み状況等も知事に御説明をさせていただきたいと思います。

○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ちょっと蒸し返すようで申しわけないですけれども、先ほどの西澤委員の御意見についての回答をもう少し具体化していただきたいのですが、先ほど御説明の中で医療従事者の需給に関する検討会が続いているとおっしゃいましたが、実際には10月を最後に中止したままになっているのが現状です。

 続いているとご説明いただくと、中断していることを知らない方は議論が継続していると思われることを懸念致しました。そのうえで、パブコメはいつから始められていつを締め切りにされるのでしょうか。どう考えても2月末までにこの需給検討会が再開することはあり得ないと思いますので、そのあたりのスケジュールと、もしこれが間に合わなかった場合に、この項目についてはどのようにする御予定でいらっしゃるのかということをもう少し明確に教えていただきたいと思います。

○地域医療計画課長 お答えいたします。先ほど申し上げましたパブリックコメントに関しましては、今月から来月にかけまして基本的には2月中には終わるような形で実施する予定でございます。

 それで、もう一つ、3ページ目の医療従事者の確保等の記載に関しましては、そのビジョン検討会などの議論を踏まえてということとしておりますので、先ほど申し上げましたが、2段階で都道府県のほうにお示しをするような形になると考えているところでございます。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 今の山口委員の意見に関連してですけれども、今の3ページの3の「医療従事者の確保等の記載事項について」の2行半の書きぶりですが、ビジョン検討会と医療従事者の需給に関する検討会が同格もしくはビジョン検討会のほうが優位に見えるのですけれども、この辺の位置づけはどうなるのでしょうか。

 まして、医療従事者の需給に関する検討会が封印、凍結されていて、それでビジョン検討会だけが動いているという状況の中で、「等での議論を踏まえ、必要な見直しを行うこととする」というのは非常に違和感を覚えます。事務局自体も違和感を覚えていたはずなのですが、最近は違和感が薄れているような気がします。いかがでしょうか。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

 では、総務課長お願いします。

○総務課長 御指摘のように今、医療従事者の需給に関する検討会のほうにつきましては少しお待ちいただいている状況になってございます。ビジョン検討会では年度内に報告書のとりまとめをお願いして、議論を進めていただいているという状況がございます。

 それを受けて、さらに需給検討会のほうでの御議論をお願いしたいと、私ども事務局は考えている次第でございます。ここの順番については、他意はないということを申し上げたいと思います。

○中川委員 ビジョン検討会の報告書を受けないと、医療従事者の需給に関する検討会の議論は始められないという意味ですか。

○総務課長 新たな需給推計は、昨年の6月に中間まとめをしていただいたときよりもさらに実態を調べた上で次の需給推計に生かしていきたいということで、今ビジョン検討会での御議論もお願いしてございますので、私どもとしてはその成果を得てまた需給に関する検討会での御議論をお願いできればと考えている次第でございます。

○中川委員 ビジョン検討会は、今どういう議論をしているのですか。随分対象者が多いアンケート調査をしているようですが、その進捗状況はどうなのかということと、どういう取り扱いをするのかということと、分析に当たってどういう方針でやるのか。恣意的な分析、検討はしないとは思いますが、非常に屋上屋を重ねた非公開の検討会をつくったということを考えると、そのアンケート結果の分析のスタンスが非常に不安です。医療従事者の需給に関する検討会をこのように塩漬けにしていて、ビジョン検討会だけが動いているという相変わらずの異常事態に平然としているというようなことでは困ると思うのです。

 本当に異常事態なのです。事務局の説明は、だんだん異常事態という感じがしなくなってきているんです。ビジョン検討会に馴染んできているじゃないですか。これは馴染んじゃいけないと思うのですが、いかがですか。

○永井部会長 医事課長、お願いします。

○医事課長 御質問いただき、ありがとうございます。

 まず初めに今、御質問がありました10万人のアンケート調査なのですけれども、これは昨年末に回収をスタートしまして、まだ少しずつ戻ってきているような状況です。ですので、集計をしてなるべく早くその結果をビジョン検討会のほうにフィードバックして、一度その御議論をいただきたいと考えております。現在、集計中です。

 それで、その方法なんですけれども、当然科学的な分析で客観的に見ていくということで、決して恣意的にはならないと考えているところです。

 それから、先生が御指摘になり、山口委員からも御指摘になったビジョン検討会と需給分科会の関係性ですとか、今後の方向性について、やはり前回のビジョン検討会でも議論になりました。この点に関しては、なるべく早くビジョン検討会をとりまとめて次の議論につなげていくということですので、事務局としてもなるべく早く次の議論につながるように準備を進めているところでございます。

○永井部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。何点か質問がございます。

 最初に、1ページの「医療連携体制について」の2段落目のロコモティブシンドローム以下のところです。これは、計画に記載しなくてもいいと言いながらも、総合的な対策を講じることが重要であると記載されておりますけれども、この辺の書きぶりがよくわからなくて、どのように記載されていくのかということについてのイメージがございましたら、事務局としての考え方を示していただければと思っています。

 それから、3ページ目の「医療の安全の確保等について」であります。確かにこういう問題がいろいろあるのだろうと思っておりますけれども、医療機器の配置のあり方であるとか、保守点検を含めた定期的な報告というところでいうと、CTMRIは全国にどのくらいあるか、今、手元に資料がないのでよくわかりませんけれども、この報告を求めるということと配置のあり方について研究を行うということでありましたが、これはどういう議論経過があったのかということについて教えていただければと思います。

 それから、5ページの上のほうの過剰病床地域で急激な人口増加が見込まれるので、それについては特例で配慮しますというような形になっておりますけれども、この急激な人口増加が見込まれる場合とは何ぞやというところがどうも不明確でありまして、この辺をしっかりと明確にしていかないと曖昧になっていく危険性があるのではないかと思います。これについてどういう考え方を持っているのかということでお聞きをしたいと思います。

 以上、質問ということでお願いします。

○永井部会長 よろしいでしょうか。では、事務局からお願いします。

○地域医療計画課長 お答えいたします。

 まず1つ目は1ページ目のところでございますけれども、5疾病・5事業・在宅というのは必ず記載していただく内容でございますが、このロコモティブシンドローム以下の部分につきましては他施策で取り組みを進めているところもございますので、そういうことを踏まえながら、記載ぶりについては各都道府県での議論にお任せするというようなイメージでございます。

 また、3ページ目の医療安全の部分のところでございます。こちらの議論に関しましては、もともと事務局のほうから、最初に提示をした際は、世界的にも日本はCTMRIの保有台数に関しては非常に多いということ、診断、治療の機器も、保守点検をして使用していただくということが医療安全上も重要ということで、ご議論いただきました。その結果として、保守点検につきましては報告の仕組みというものが要るのではないかということになりました。

 また、医療機器の配置の部分につきましては、多いというようなデータの見方もある一方で、検討会の委員の中からは、多く配置されている結果として早期に診断ができ、治療につながっているという見方もできるので、一概に多いという一面だけを捉えて評価をするということについては慎重であるべきだというような御意見もありました。ですので、まずは配置についていろいろな調査というか、研究をしながら実際にどういう形であるべきなのかという議論をしていただくということになりました。そういう段階が違うということで書き分けているというようなところでございます。

 それから、5ページ目のところでございます。急激にという言い方では非常に抽象的でどういうものが該当するのかというようなことでございますけれども、念頭にありますのは地域医療構想の2025年の時点での病床の必要量と、新しい基準病床の計算式で出てきた病床の値に差があるというときに、現行ですと医療計画の見直しの際に基準病床数を見直すというようなルールになっておりますけれども、必要な場合には計算をし直すことができることを明らかにしておくということで記載しているところでございまして、何の根拠もなく多いというようなことをもって各地域で病床をふやすということを検討していただくということを考えているわけではございません。

 ですので、例えばピークアウト後の医療需要であるとか、さまざまな状況もきちんと検討した上で議論するようにということも、あわせて書かせていただいているところでございます。以上でございます。

○平川委員 1ページのところですけれども、そういうことで書いても書かなくてもいいという話になれば、多分都道府県はどう考えるかと思うと、積極的にロコモティブシンドロームを記載することについては余り期待が持てないかと思いますので、もう少しその重要性がわかるような、解説をするときにはこの辺もしっかり重要ですよということが伝わるような方向が重要ではないかと思っているところであります。

 あとは、3ページの医療機器の配置のあり方についてはそういう意見があったということでありますので、ぜひとも研究について推進をお願いしていただければと思いました。

 それから、5ページの急激人口増加のところでありますけれども、口頭で説明するのはなかなか難しいと思いますので、ある程度、一定の基準というものがわかるような形で今後説明をしていく必要があるのではないかと思ったところであります。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 阿真委員、どうぞ。

○阿真委員 見直しが必要と考えられる事項を中心にとりまとめてあるということで、そもそもの計画に入っていることかもしれないので確認となるのですけれども、それぞれの取り組みですとか、それぞれの見直しについて、地域住民ですとか国民とか患者とかに対しての普及啓発が必要であるという項目をなかなか見つけることができなくて、そもそもの計画に入っているのかもしれないんですけれども、11ページの(4)の最後の「○」のところには、日常生活に近い場でもこういう機会を創出するとありますので、これは一般の人が知る機会になると思います。

 また、17ページの在宅の(2)の4つ目の「○」の1つ目の「・」にも「地域住民に対する普及啓発」というものがあるので、これをもし全てに入れるのであれば小児のところにも周産期のところにも、その他ほかの事業のところにも必要かと思いますし、大本にそこにあるのであれば不要ではないですけれども、それがあるのかどうかということだけ確認いただきたいと思いました。

○地域医療計画課長 お答えいたします。

 今、御指摘の点は大変重要なことでございまして、今回お示ししているとりまとめでは個別の分野で書いているところと書いていないところがございますが、全般的には地域医療構想もそうですし、医療計画もそうですが、やはり地域住民の方に十分御理解いただいてということが必要だと思っております。今後、通知などにより周知をする際にきちんと明確にして出していきたいと思っているところでございます。

○永井部会長 ほかによろしいでしょうか。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員 7ページのところで、1の「医療機能の役割分担について」の「ア 構想区域における将来の医療提供体制を構築していくための方向性の共有」というところの(ア)です。ここで前回も申し上げましたが、最初の「○」の「・」の3つの真ん中のところの「公立病院の担う医療機能については、新公立病院改革ガイドラインに基づき検討すること」とあります。それで、欄外の注のところに「新公立病院改革ガイドライン」が示されていますが、3つ目の「○」の「新改革プラン策定後に、地域医療構想調整会議の合意事項と齟齬が生じた場合には、速やかに改革プランを修正すべきである」ということも前に申し上げました。

 その上で、17ページの「在宅医療」のところで、(1)の「見直しの方向性」で最初の「○」に「地域包括ケアシステムの不可欠の構成要素である在宅医療の提供体制が着実に整備されるよう、その整備目標等についての考え方を記載する」ということがあります。その上でちょっと確認しますが、きょうの資料にはありませんが、新公立病院改革ガイドラインの中に地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割という項目があります。そこに、こういう記載があります。特に中小規模の公立病院に当たっては、介護保険事業との整合性を確保しつつ、例えば在宅医療に関する当該公立病院の役割を示すと書いてあるんです。

 そこでお聞きしますが、公立病院までが在宅医療に積極的にかかわる、参入するということに関しては病床機能だけではなくて全ての医療機能に関係することですが、特に地域医療構想の中の4つの機能、高度急性期、急性期、回復期の4つ目、慢性期と在宅医療、ここのところに公立病院がかかわるのかどうか。むしろ、この在宅医療は地域包括ケアシステムの単位よりも大きい構想区域というものを対象範囲にしていますが、ちらほら公立病院、さらには大学病院までが在宅医療に参入しようとしているという情報が目立ち始めているんです。ここで、実態はどうなのか把握していますか。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○地域医療計画課長 状況に関しましては、一つの情報としては病床機能報告制度で見ていくということがあると思いますし、あとは診療報酬の点数の算定状況、例えば地域包括ケア病棟の算定をしているかどうかとか、そういうものを組み合わせればある程度状況というのはわかると思いますが、現時点でお答えできるものは持っておりません。

○中川委員 把握していないということですから、その上で申し上げますが、大病院はもとより中小の公立病院であっても、例えばその地域に在宅医療を担うのが中小の公立病院しかないと、そういうところ以外は公立病院が在宅医療に積極的にかかわるということは避けるべきだと思います。

 そういうことも含めて、新公立病院改革ガイドラインにある地域医療構想調整会議でその構想区域の在宅医療をどうするのかという結論、そこの調整会議でうちの構想区域は公立病院がある程度かかわらないと在宅医療がうまくいかないというところを除いては、結果としてそこの構想区域の在宅医療は公立病院以外でやるんだというような調整会議の結論が出た場合には、これは公立病院が在宅医療に積極的にかかわるということは慎重にするべきだというような書きぶりをここに加えていただきたいと思っています。いかがですか。まず、事務局から答えてください。

○永井部会長 では、関連で荒井委員どうぞ。

○荒井委員 反対です。ここに書き加えることには反対です。

○中川委員 知事、ちょっと待ってください。事務局が答えてから、知事にしてください。

○荒井委員 その質問に答えやすいように言っているんです。永井(部会長)さんに任せます。

○永井部会長 では、まず手短に言われてその後でということで、簡単にお答えください。

○荒井委員 そのような地域の実情に応じて違うと思うんです。ここで予断を与えるのには反対で、地域の実情に応じて地域医療構想をやろうというのが基本的なことだから、具体的には、地域で在宅医療をしていただく開業医がおられるところはいいのですけれども、おられないところが多いので、ではどうするかということを地域医療構想調整会議でまず医師会に諮っているわけでありますので、ここで予断を与えるのには反対ですが、その意見を踏まえてお答えくださいということです。

○永井部会長 では、邉見委員から手短にお願いします。

○邉見委員 今の意見に、ほぼ賛成です。先生もおっしゃったように、地域、地域で中央とか上が決めるのではなくて、その調整会議にお任せするということですから、そのように先生の持論に従ってやっていただきたいと思います。

○中川委員 荒井知事のおっしゃったことと私と、そんなに齟齬はないのです。同じことを言っているんです。その調整会議でそこの公立病院が在宅医療に関与しなければうまくいかないというときは、それはいいと言っているのです。全部だめだと言っているわけではないんです。

 ただ、調整会議を混乱させるような公立病院が在宅医療を積極的にやるんだということは控えるべきだということを書き加えるべきだと申し上げているんですが、事務局どうですか。

○永井部会長 事務局、どうぞ。

○地域医療計画課長 全体を通して、まずは先ほどの積極的にやるというのは公立病院ガイドラインの中の記載でございますので、その部分については総務省にそういう御意見があったということは伝えるということになりますが、私としての公立病院ガイドラインの理解としては当然地域医療構想会議の議論を踏まえて、例えば公立病院が何かをやるんだと言っても、地域の状況によって、それはやらなくていいよということになれば、それをやらないということもあるというふうに書かれていると思います。

 ですから、まさに地域のお話し合いの中で各公立病院がどういう役割を担うのかということだと思っておりますので、在宅も含め話し合いをしていただくということで理解しているところでございます。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 この新公立病院改革ガイドラインの1つ目のところに、「究極の目的は公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で公立病院が安定した経営の下でへき地医療・不採算医療や高度・先進医療等を提供する重要な役割」という形で記載されています。やはり公と民の役割という形では知事がおっしゃるとおり、もし民ができないようなところであれば在宅を含めて公がやるべきということは起こります。しかし、本来は公と民とのあり方がちゃんと明確になっていればこういう議論をしなくていいのですが、今、中川委員が指摘されたところは、やはりうっかりしますと例えば大都市においても今、地域包括ケア病棟を持ったり、慢性期の病棟を持ったりと公がやっていきます。その中で、やはり民間が競争するには税制面や繰入金などのいろいろな問題も含めてなかなかイコールフッティングではないところもありますので、明らかに民が圧迫されるということが現状で起こってきているということの中で、中川委員での発言じゃないかと私は思います。

 ですから、ここはある程度その点について地域医療構想において協議の場で議論するに当たっても、何か指標的な形で明確にそこら辺を仕分けするようなことを書いておかなければ、えてしてそういう事象が今、起こっているわけです。やはり懸念されたことが起こっているということで、何とか書いていただく方向はどうであろうかということですから、私もそれは賛成だということで発言させていただいています。

○永井部会長 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員 懸念があるというのは、普通はテイクノートすることはあり得ると思うのですが、方針として書くというのは反対ですということで、その点が違うと思います。

 地域の実情で現状を申し上げますと、医師会が在宅医療に手を出してくれるとありがたいんです。それを促しているのが地域医療構想調整会議の実情なのです。大概のところはそうじゃないかと思うんですけれども、なかなかへき地では高齢者の開業医が多くてとても行けない。臨時でも行けない。たまには行けるけれども、いざというときに行けないというようなことも在宅であるわけで、そのときの出方を今、研究しているところですので、そもそも余り邪魔してはいけないよという書き方は現場の知恵を阻害するという観点で、私は大反対でございます。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 知事の発言の結論として、大反対というのはちょっと違います。言っていることはそんなに変わらないのですから。

 それを申し上げた上で、なぜこういうことを私はお願いするかというと、一部大学病院自体が在宅、もしくは大学病院の分院自体が在宅をしようとか、それから地域の基幹病院、大病院が在宅までやろうとか、情報としてそういう動きが出始めているのです。だから、言っているのです。

 病床機能、医療機能の機能分化、連携ということを考えると、これはどう考えても役割が違うでしょう。何でもかんでも草刈り場のように在宅まで全てやるのだということでは、地域医療、医療提供体制、地域包括ケアシステムの構築する流れに私は逆行する動きだと思うので、その懸念を強く表明しているのです。

○永井部会長 時間が大分押してきたのですが、この「公・民の適切な役割分担の下」と、この辺をうまく書く、あるいは理解するということで何か対応をとれないでしょうか。

○地域医療計画課長 これ自体は検討会のとりまとめでございまして、今いただいた御意見などは最終的な指針なり通知でどこまで示すかという面もございます。指針は進捗してまいりましたら御報告するということでございます。それが1点です。

 それから、やはり何か指針に書き込むという場合には当然エビデンスといいますか、データが必要だと思います。本日、宿題に答えられるようなデータを出せるかということはありますが、病床機能報告などを用いて、御懸念のようなことが出てきていないかということを分析した上で、また御議論していただけるように準備したいと思っているところでございます。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 では、最後に平川委員どうぞ。

○平川委員 被保険者の立場で言わせていただきますと、例えば在宅医療についてはどういう経営形態であろうと、しっかりと提供されるということが重要だと思います。

 逆に変なバイアスがかかるような文章が入ってしまいますと、本来は提供すべきところが提供するのに躊躇してしまうことになってしまってはだめなので、ぜひともそういうところについても配慮をお願いしたいと思います。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。まだいろいろ御意見があればまた後でお寄せいただくことにいたしまして、本日の議論を踏まえて事務局では必要な対応をお願いしたいと思います。

 では、2つ目の議題にまいります。制度改正に向けて、昨年の9月から医療部会で御議論いただいておりますが、まだ議論していない幾つかのテーマについて御議論いただきたいということでございます。これまで取り上げたテーマのその後の進捗状況とあわせて、事務局から説明をお願いいたします。

○総務課長 総務課長でございます。本日、2つ目の議題でございますけれども、前回に引き続きまして制度改正に向けた議論をお願いできればと思います。

 お手元に資料2を取っていただいて、めくってお開きいただければと思います。

 1ページに本日御議論いただきたいテーマをつけておりますけれども、新たにここに掲げております4点についてあわせて御説明申し上げたい。それから、今、部会長からもお話いただきましたけれども、これまでに御議論いただいたテーマにつきまして、医療部会の場における委員の先生方の御指摘等を踏まえて、その後の検討をした結果等について御報告を申し上げたいと思っている次第でございます。

 まず2ページ以下でございますが、「持分なし医療法人への移行促進策の延長について」でございます。

 開いていただいて、3ページをごらんください。この移行計画の認定制度につきましては、もともと現状と対応のところに書いてございますように、平成18年の医療法改正におきまして「持分あり医療法人」についてはそれ以降、新設を認めず、「持分なし医療法人」への移行を進めてきているという経過の中で、「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」へ移行される場合の移行計画を国が認定する制度を設けて、もしその移行計画の間に相続が発生したというような場合であっても、その計画期間中であれば相続税の猶予等の措置を行うということを講じてきているものでございます。

 それで、この措置が本年の9月末までという期限になってございますので、これの延長が必要と考えているような次第でございます。

 具体的なイメージを、2のところに書かせていただいています。左側に持分あり医療法人が移行計画の認定を大臣に申請していただく。それで、大臣のほうで認定をすると今、申し上げたような相続税等の猶予免除措置が講じられるわけでございますが、この期限が繰り返しですが本年9月末で切れますので、これにつきましてまず3年間の延長措置を講じる予定でございます。

 その認定につきましては、今、大臣認定の下に「♦」の認定要件ということで3つ「・」がついてございますが、現在大臣がこの移行計画を認定する上ではこの3つの内容を見させていただいているところでございます。

 それで、実は右下のほうに書いてございますけれども、持分を放棄される場合に認定を受けられると、その相続税等については免除措置があるわけでございますが、放棄された持分について法人に対してのみなし贈与税が場合によっては発生するというのが現状としてございます。

 この点につきましてはちょっと小さな字で書いてございますが、今、各税務署のほうで幾つかの非課税基準によりまして個別の判断をされているという実情があるわけでございますが、今回、昨年の暮れに税制改正要望で一定の要件のもとにこの贈与税について課税をしないという措置を認めていただくということになりましたので、この点についてあわせて今回の制度の中で取り込んでいく予定でございます。

 具体的には、左下のほうに赤い字で書かせていただいてございますが、現行の認定要件に加えて、これまで税務署が個別に判断していた要件の中から幾つかの要件、法人関係者に利益供与しないとか、役員報酬について不当に高額にならない等々の要件を追加し、そうしたことも含めて大臣が認定を行う。それで、認定を行った暁には、その法人に対するいわゆる贈与税の課税が生じないというような仕組みに切りかえていきたいと考えてございます。

 今、この贈与税の非課税の判断につきましては右下の中に書いてございますけれども、理事の数でございますとか、役員の親族要件でございますとか、あるいは医療計画の記載でございますとか、現実的な問題として非常にハードルを越すのが難しい要件もあるわけでございまして、今回の見直しの中でそうした要件は緩和をし、先ほど申し上げたような要件のみで大臣が判断していくということによりまして、非課税の範囲が相当大幅に広がるものと考えているような次第でございます。

 4ページにこれまでの移行の状況を書いてございますが、これまでの実績として移行法人が513です。この認定制度を活用されている件数が下の2つ目の「○」に書いてございますが、これまでの認定が61件、うち移行を完了された件数が13件というのが実績になっているような次第でございます。以上、認定制度の延長の関係でございます。

 それから、6ページでございます。「医療機関を開設する者に対する監督規定の整備について」でございまして、開いていただいて7ページ、8ページに御説明の資料をつけてございます。医療機関につきましては御案内のように開設主体はさまざまでございますが、医療法人に関しましては下の紫色のところに書いてございますけれども、医療機関本体の立入検査のほかにも、開設者である医療法人の事務所等への立ち入り、それから不適切な運営等があった場合の改善命令等の措置の規定が整備されているわけでございますが、そのほかの開設者に関しましてはそこの部分が欠けていたり、あるいは限定的になっているという事情がございます。

 そうした中で8ページをごらんいただければと思いますが、赤い字で書かせていただきましたのが今回医療法を改正して監督規定を置かせていただこうと考えているものでございますけれども、今ちょうど左の欄の25条1項というところにございますが、必要がある場合には行政として病院等への立入検査を行うという仕組みがあるわけでございます。

 それから、その下でございますが、例えば病院等の運営に著しい不適正な疑いがあるという場合には、開設者に対して物件の提出命令があるわけでございますが、その他、一番下に書いてございますような医療法人に関する立入検査でございますとか改善命令等々の措置については今、法令上の規定がないという状況の中で、右の上のところに書いてございますが、もし問題があった場合に行政としてとり得る措置は、病院等の開設許可の取り消し、あるいは閉鎖命令というような相当厳しい処分のみが法令上、可能であるというような状況です。

 こうしたことを踏まえまして、今回開設者の事務所等に対する立ち入り検査、あるいはその結果、判明したことを踏まえた改善命令措置、業務停止命令措置等の規定を新設した上で、こうした業務停止命令等に違反があった場合には、現状ございます病院等の開設許可の取り消し等につなげていく。こうした段階を追った行政的な対応が可能な仕組みということを構築していきたいと考えている次第でございます。

 次の3点目でございますが、9ページ以下でございまして、「妊産婦の異常の対応等に関する説明の義務化について」ということでございます。これは、最近実際に起こったケースでございますが、分娩時における急変があった場合に助産所から医師・医療機関への適切な連絡がなかったということで、不幸にも母児がお亡くなりになるというケースがあったわけでございます。

 助産師会の調査によりますと、事前に何かあったときにその医療機関との連携等につきまして説明文書等の作成が行われているかどうかということでございますが、3つ目の「○」で「例えば」のところに書いてございますように、異常や合併症について文書を作成されているところは大体半分程度、それから医療機関との連携について文書を作成しているところは7割弱ということで、必ずしも十分な状況ではないのではないかという認識をしているわけでございます。

 そうしたことを踏まえまして、「制度改正のポイント」のところでございますが、妊産婦のさらなる安全の確保を図るために、助産所の管理者に対して妊産婦の異常に対応する医療機関名等について、担当の助産師から妊産婦へ書面で説明するということを義務づけたいということで提案をさせていただく次第でございます。

 4点目でございます。「看護師等に対する行政処分に関する調査規定の創設について」ということでございまして、12ページをごらんいただきたいと思います。現在、看護師、保健師、助産師に関して行政処分の必要性等について判断をしなければならないという事情が出てきた場合には、その事実関係をどう把握しているかということでございますが、刑事罰が科された場合には刑事判決を入手いたしまして、それによって判断をいたしてございます。

 それから、刑事罰が科せられない場合につきましては任意の協力、あるいは都道府県からの報告を得て行政庁としてその把握をし、確認をしているという状況でございますが、現行の法律では事実関係を把握するための調査権限に関する規定が欠けているという状況がございますので、万一、任意の協力を拒否されたような場合には事実関係の把握に困難を来しているという事情がございます。

 この点につきましては「※」のところに書かせていただいておりますように、医師、歯科医師につきましては、既にここでは医師法第7条の3を参考として載せさせていただいておりますが、必要な場合に厚生労働大臣が関係者から事情や報告を聴取したり、あるいは検査、立ち入りを行う等々の権限があるわけでございます。

 それで、今回の改正でございますが、この医師、歯科医師と同様に看護師等についても行政処分をすべきか否か、調査する必要があるというような場合に、それに相当する厚生労働大臣の調査権限を創設いたしたいということで考えている次第でございます。これは医療法でなく、保健師助産師看護師法の改正を想定しているということでございます。

 以上が、これまでまだ御議論を十分いただいていなかったテーマでございます。

 次に14ページ以下でございますが、昨年の秋以来、御議論いただいたテーマに関して御説明を申し上げたいと思います。

 まず、「遺伝子関連検査等の品質・精度の確保について」でございまして、昨年の10月に御議論をお願いしたところでございます。15ページ、16ページに提案させていただいた内容が書いてございますが、「対応方針」のところで申し上げますと、院内で委託業者に委託されて検査が行われているようなブランチラボ、あるいは外部の衛生検査所に委託をされるような検体検査について、品質・精度管理に係る基準を省令で定めることを明確化するような改正の内容、あるいは次の16ページにございますように今、法定されてございます検体検査の分類について、時代に即した検査の分類が可能となりますように、その部分について省令委任という仕組みに切りかえていくという改正内容につきましては、昨年秋の段階でおおむね方向性については御了承いただいているものと認識をしてございます。

 それで、当時御指摘がございましたのが、15ページに戻っていただきますと「対応方針」の1点目でございまして、医療機関がみずから検査を実施されているケースで、今でも医療機関は直接みずから検査をされるケースはあるわけでございますが、その部分について現在医療法上、品質・精度管理の基準について法律上の規定が何もないという中で、そうした基準を定めるための根拠規定を創設させていただきたいということで提案をさせていただきました。この部分につきまして、現状に照らして過度な負担となるのではないか等の観点からの懸念をお示しいただいたということでございます。

 この点につきましては、15ページの下の注のところに書かせていただきましたけれども、具体的な基準につきましては現在私どものほうで厚労科研の特別研究を組んで研究班で御議論いただいている最中でございますが、研究班でございますので、懸念を多くの委員からも御指摘いただいてございますので、その成果を踏まえてさらに関係の委員にも入っていただくような検討会で御議論をいただきたいと考えているような次第でございます。

 検討会では、医療機関の現状を踏まえながらその特性でございますとか、実際に実施されている検査の内容等を踏まえて、それに応じた基準となるように御議論をお願いしたいと考えておりますので、ぜひこうした改正を行うことにつきまして御理解、御了承を賜ればありがたいということでございます。以上、検体検査の関係でございます。

 それから、17ページが「特定機能病院のガバナンス改革について」でございまして、昨年の12月に御議論をいただいた部分でございます。前回、特にこの場で御指摘がございましたのが、18ページに改正内容を3つ書いてございますが、真ん中でございます。前回は特定機能病院のガバナンスに関する検討会の議論を踏まえて、特定機能病院に限らず医療機関全体について管理者が医療機関の管理運営権限を有するということを、医療法を改正して明記してはどうかというご提案を申し上げました。。

 そういう御提案をしたわけでございますが、その点につきましては、ある意味当たり前の規定であり必要性があるのか、必ずしも全ての医療機関に妥当するかどうかといった御指摘、さらには特定機能病院についての議論を進めてきた中で、唐突ではないかというような御指摘等、厳しい御指摘をいただいたという状況がございます。

 今回の御提案でございますけれども、特定機能病院の開設者に対して、管理者が有しております管理運営業務を遂行するために必要な権限を明確化していただくということを義務づけることにしてはどうだろうかということで、提案内容を修正させていただいてございますので御審議をいただければと思います。

 最後でございますが、「医療機関のウェブサイト等の取扱いについて」でございまして、10月にお諮りをして現在、広告規制の対象になっている部分に加えて、ウェブサイト等の表示も含めて虚偽・誇大な内容等について不適切な表示を禁止し、広告と同様の罰則なり、あるいは行政上の措置が可能な仕組みにしていくということの御提案をし、この点についてはおおむね御了承いただいているというふうに認識しているような次第でございます。

 以上でございますけれども、本日御議論いただいて御了承が得られれば、それを踏まえて政府部内、あるいは与党との調整を経て、次期通常国会への関連法案の提出を目指していきたいと考えている次第でございます。

 私からは、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、どこからでも結構ですので御質問をどうぞ。

 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 3ページの持分なしの法人制度の質問なんですけれども、3ページの右下のマスで囲まれている条件というのは、相続税法の66条の4項の条件だったと思うんです。それで、左側に書かれているのは社会医療法人なりの条件から救急万対2.5とか、災害とか、へき地の条件を抜いた条件だったと思うんです。

 そうすると、今回の改正で相続税法は66条の4項の右側の条件を満たしていなくても、左側の従来は社会医療法人なりの条件の万対2.5とか、救急の患者の条件とか、そういうものをクリアしていなくてもみなし譲渡課税をかけないという改正なんですか。

○医療経営支援課長 医療経営支援課長でございます。

 ただいまの御質問ですが、従前は持分なしになった際に個別に課税があるかどうかということを税務署が判断をしていた。それで、その税務署の判断の中に、例えば役員数とか、役員の親族の3分の1、それに加えて法人関係者に利益供与をしないとか、そういうものが全て入っている。

 それで、今回の税制改正要望で、法律を改正いたせばそこの役員数等については緩和をされて、それ以外のところで厚生労働省が判断基準をつくれば、その判断基準に合致をしていれば非課税になる制度になるということでございます。

○山崎委員 相続税法の66条の4項というのは全ての医療法人を対象にしているわけですね。そうすると、その66条の4項から医療法人はこの限りではないという条項をつけなければ、そちらの相続税法のほうが優先だったと思うんですけれども。

○医政局長 まさにおっしゃるようなことを租税特別措置法上で手当をして、認定を受けた医療法人に関しては66条の4項を適用しないという明文の規定を置くようにするということで、租税特別措置法上、明文で手当する。

 従前のものはあくまでも運用でしたので、先ほど言ったような通達等による基準で今、申し上げたようなことがハードルになって、なかなかみなし贈与税が非課税扱いにならなかったということで、それを明文の認定の要件にした上で、税法上もしっかり手当をする。まさにおっしゃるようなことをしっかり手当するということです。

○山崎委員 この件は私も十何年やっていたんだけれども、財務省が医療法人だけに特別にそういう手当はできないというのが去年までの見解だったんです。したがって、医療法人だけを特別に除外するという話は、財務省とも話はついていてこういうことを提案しているということで理解していいんですね。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 山崎委員が今、確認していただきましたし、この持分なし医療法人への移行計画における相続税法第6条の4項より医療法を重視してという今回の措置に関しましては、本当に我々病院団体、または日本医師会とともども、ずっと毎年お願いしていたことでありましたし、そういう意味では今の確認の上で画期的な前進だと思っております。これは確かに我々も頑張りましたけれども、本当に医政局に頑張っていただいた結果かと、久し振りに厚労省に感謝する次第であります。

 あとは、適正性の要件等もせっかくここまできましたので、移行しやすいような内容等でぜひとも最後にまとめていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。それが1点でございます。

 それから、15ページです。検体検査の品質等で、もともとはこれはゲノムの医療の話からずっと移行してきて、我々医療現場のそれぞれの病院における検査の品質・精度管理という話になってきたわけです。しかし本来生業とする業者に対するいろいろな制度というのは、多くのお客様からちゃんと選ばれてやる制度の中での品質管理と、我々が病院内の一部としてやる業務の中での管理では、おのずともともと状況が違うということです。

 今回、その中において15ページで先ほど説明がありましたように、別途検討会でしっかりと現状に合わせた形での議論をさせていただくということですので、これもそういう中でしっかりと議論させていただきたいと思います。

 やはり絶対違うものであると私は認識しておりますし、またそれはそれで検討会の中で議論して決めていくということで認識してよろしいのですね。ありがとうございます。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 では、釜萢委員どうぞ。

○釜萢委員 今の加納委員の関連でありますが、少し繰り返しになりますけれども、この遺伝子関連検査の品質・精度管理は大事だということは誰も異論がないわけなのですが、突然対象が拡大されて院内での臨床検査全てにかかるということが前回の医療部会で出てきたものですから、ちょっとびっくりしたという経緯がございました。

 今後、検討会が設けられて現状に即した形で検討が行われるということですが、例えばインフルエンザなどの抗原の迅速検査というのは、医療現場でさんざん行われるわけですが、あれの精度管理と言われても、もともとのキットのほうの精度管理がしっかりしていればよいわけなので、ここに書いてありますように医療機関の現状を踏まえつつ、あるいは実施されている検査の内容等に応じた基準ということで、そのあたりがしっかり議論されればよろしいと思いますが、くれぐれも医療機関の現場に新たな大きな負担がかからないような形で整理がなされることを強く希望いたします。以上です。

○永井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 18ページの、特定機能病院のガバナンス改革のところです。前回、この2番目のところだけが特定機能病院ではなくて医療機関ということが唐突に出てきたということで問題になりましたが、このガバナンス検討会に私も参加しておりまして、特に一部の特定機能病院の中で管理者がきちんとした権限を持っていないということが問題になってここに出てきたということを考えますと、今回この特定機能病院というふうに逆に特化して書いていただいたことで、実際に権限を持っていない管理者の方がこういったことでちゃんと権限を持たないといけないんだということが明確になると思いますので、私はここを特定機能病院というふうに特記していただいたのはよかったことじゃないかと思っております。以上です。

○永井部会長 そのほか、いかがでしょうか。

 では、参考人どうぞ。

○福井参考人 資料の10ページをお願いいたします。「妊産婦の異常の対応等に関する説明の義務化」について、助産所の患者さんに対し妊産婦の異常に対応する医療機関名等について、書面での説明を義務化するということは、安全で安心な出産環境提供体制の整備という観点で非常に重要であると考えております。

 その上で3点、質問と意見を述べさせていただきます。

 まず1点、質問ですが、「制度改正のポイント」に「妊産婦の異常に対応する医療機関名等について、担当助産師が妊産婦へ書面で説明することを義務付ける」とありますけれども、助産所が連携すべき医療機関は嘱託医師や嘱託医療機関だけではなく、周産期母子医療センター等の高次医療機関もございますので、この医療機関名には当然周産期母子医療センターが含まれると考えますけれども、その理解でよろしいでしょうか。

 2点目は意見と質問ですけれども、助産所からの救急搬送の実態把握について、これは国が指導をして実態把握に取り組んでいただきたいということでありまして、周産期医療体制のあり方検討会におきましても、助産所からの緊急搬送件数が全体のどのくらいなのか。その搬送体制は適切だったのかどうかといったような実態が把握されていないということが明らかになっており、この検討会の意見とりまとめにおきましては、まずは関係団体の協力のもと、搬送の実態把握に努めることが必要であると記載されました。

 ですけれども、どこが実態把握をするのか明確ではありません。母子の安全にかかわる重要なことですので、国が対応して実態把握等に努めていただきたいと思います。

 また、緊急時であっても嘱託医を一度通してからでないと高次医療機関に搬送することができないケースがあるということが、第7回の周産期医療体制のあり方検討会において日本助産師会の山本詩子構成員から御発言があったところでございます。

 この誤解を解くために、国は既に2回、助産所からの搬送に関する通知を発出されていますが、現状の改善は進んでいないように思います。このような実態把握と対策の検討について、国が対応して取り組んでいただきたいと考えますが、この件につきましてはどのようにお考えでしょうか。

 3点目は意見ですけれども、助産所が異常に対応する医療機関名等を書面で説明する前提として、各地域で異常児の対応や緊急搬送に関するネットワークの構築が不可欠でありますが、そのために各都道府県の周産期医療協議会や周産期医療ネットワークを効果的に活用すべきと考えます。周産期母子医療センター、産科医療機関だけではなくて、助産所も含めて日ごろから連携のあり方を検討、整備していく必要があると考えます。

 そこで、周産期医療協議会や周産期ネットワークに都道府県助産師会や総合周産期母子医療センターの看護職を必須の構成員として、その機能が維持されるように推進していただきたいと思います。以上です。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 今の点について、事務局からお願いします。

○看護課長 看護課長でございます。御質問いただきました最初の2点についてお答えしたいと思います。

 まず、医療機関名に高次医療機関もという理解でいいかということでしたけれども、まずは医療法で定められている嘱託医療機関について説明いただくことを考えております。さらに、救急搬送に応じるような高次医療機関については、嘱託医療機関がその役割を担っているところもありますし、そうでない場合、いろいろございますので、それぞれの助産所が存在する地域の実情に応じて、その説明も必要になると考えているところでございます。

 2点目ですけれども、搬送をより円滑にするためには日ごろからの嘱託医、または嘱託医療機関、連携する医療機関の関係性が非常に重要だと考えています。これについては、検討会でも同様の意見がございました。日ごろ情報共有を通して見える関係の中で、周産期医療協議会に参加できているか。参加できていないのであれば、それはなぜなのかというような状況についての把握も必要だと思っております。

 まずは助産師会、関係機関でと報告書で書かれておりますけれども、助産師会や看護協会などで、実態について把握をしていただいて、客観性のある数値や資料を積み上げていただき、必要に応じ周産期医療協議会で検討いただきたいと思っているところでございます。

 ただ、どこがというところで今、助産師会などと思っておりますけれども、調査を進めるに当たっての調整というのは私どもでもさせていただきたいと思っております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 では、平川委員どうぞ。

○平川委員 今の関係で意見を申し上げたいと思いますけれども、やはり安心して助産所で分娩できるということが重要で、連絡がなかったことによって死亡するケースが発生したというのはかなり深刻な問題だと思っています。

 今、発言があったように嘱託医などを経由しないとだめだということも、母子の安全にとって深刻な問題だと思いますので、医療法を見ますと特にその辺は必ず経由しなければならないとは何も書いてありませんので、母子の安全最優先でしっかりと運用できるようにというお願いをしたいと考えておりますし、「制度改正のポイント」は「書面で説明することを義務付ける」だけになっているものですから、本当はここだけではないと思いますので、運用を含めてよりよい方向で改善できるようにお願いしておきたいと思います。以上です。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 では、楠岡委員どうぞ。

○楠岡委員 先ほど看護課長がおっしゃられた、医療法が改正され、嘱託医、嘱託医療機関を選定するというとき、医療機関側になかなか浸透せずに時間がかかったり、トラブルが生じた事例がございます。今回、それがさらに一歩踏み込んだ形になるかと思いますので、ぜひ嘱託医療機関側にも十分な説明をして了解をとっていただくように助産所のほうにもしっかりお願いするよう徹底していただきたいと思っております。

○永井部会長 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員 7ページ、8ページ目でございます医療機関に対する監督規定の整備で、内容についてはこの方向で異議はないのですが、その権限行使、運用を適切なものにするための検討を一緒にさせていただきたいというお願いでございます。

 といいますのは、この医療法の開設許可取り消しまでに続く手続と、医師法の関係、それから保険医療機関の取り消し、開設許可の取り消しの判断、その関係をうまく整理する。医師が大変ひどいことをしたけれども病院は残るというケースと、この医療法ではそういう場合、医師法との関連をどうするのか。ある程度以上の刑事罰を受けると医師免許の資格停止や取り消し等の処分を科されることがあるわけですけれども、病院長が医師である場合、嘱託医が医師である場合、いろいろありますので、どのような場合を適用するのかといったような運用のことを研究させていただきたい。

 それともう一つは、病院開設許可の取り消しにまで至るときに、奈良県でケースがあったのですが、配分病床を売り抜けるという風習がございました。病院は保険の指定が取り消しになって、その病院では維持できないわけですけれども、病院の医療資源を売り抜けるから、病床のキャップは改めてそのまま認めてくれというようなことでございます。

 私は、廃止は廃止だから、廃止を実行して新しい病院を公募したわけでございます。その病院自身も、もう一度公募に応じてもいいということにしたわけでございますが、訴訟が起こりまして、このような訴訟は大概負けるんだと言われて、ぞっとしたのですが、幸い勝ちましたけれども、そのような慣行を踏まえますと開設許可の取り消しというのは本当に実行できるのかどうか、ちょっと不明なところがございますので、その点もこの際調整といいますか、お聞きした上で法の運用の仕方を知事会の中でお伝えさせていただきたいということでございます。

○永井部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。

 では、安部委員どうぞ。

○安部委員 20ページのウェブサイト等における虚偽・誇大表示規制の創設ということで、新たな規制をこのような形でやっていただくことは非常に良いと思っておりますので進めていただきたいと思うのですが、虚偽・誇大という評価をどのようにするかということは非常に難しいところでありますし、そのボーダーライン上にある事例などもあろうかと思います。

 そういった場合に、さまざまな消費者トラブルや健康被害が起きてから対応ということにならないように、できればそのチェックのあり方や、どこまでそういうリスクが伴うのだという観点もあわせて継続的に議論をしないと、起きてから規制するという追いかけばかりになってしまっては困る。そういった事前の配慮も必要だと思いますので、意見として申し上げたいと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

阿真委員、どうぞ。

○阿真委員 先ほどの「妊産婦の異常の対応等に関する説明の義務化」にちょっと戻るのですけれども、私も母親としては助産所が嘱託医療機関と連携してほしいというのはもちろん思うところなのですが、一方で助産所の話を聞くと、嘱託医療機関が見つからないということをかなり聞いております。

 嘱託医療機関がなくて周産期母子医療センターも含まれないとなってしまうと、結果的には医師や医療機関への連絡をとらない助産所が出てくるほうが恐いと思って、わずかな助産所のような気がするのですけれども、その場合を考えると嘱託医療機関に対して地域ですとか、そういったところで嘱託医になってくださいという依頼が助産所からだけだとなかなか通らないというお話なので、そこでもう少し大きな調整会議などで調整していただくような仕組みになるといいかと思います。

 嘱託医療機関を通すというのは当然のこととして思うところはあるのですけれども、私も委員ですが、実態としては周産期の検討会で嘱託自体がそもそもなり手がいないというような話もありましたので、そこはもう一度、本当に母子の安全を守るためにどういうことが必要なのかということを考えないといけないかと思います。

○永井部会長 邊見委員、どうぞ。

○邊見委員 自治体病院協議会では、できるだけ地域、地元でお産ができるように、産婦人科があるところは全部嘱託医になってくださいという通知を出しております。参考までに。

○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、また事務局におきましては、ただいまの議論を踏まえながら制度改正に向けて御検討をお願いしたいと思います。

 では、最後の議題にまいります。前回の医療部会で、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会の状況等につきまして説明があったところでございます。昨年末に中間的な議論の整理がまとまったということでございますので、事務局から御説明をお願いいたします。

○医師・看護師等働き方改革推進官 事務局でございます。資料の3をごらんいただければと思います。

 今、座長からもございましたように、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会につきましては、昨年の10月に第1回目を開催しまして、昨年の1222日まで合計7回開催をいたしました。そして、1222日に中間的な議論の整理ということで中間まとめがとりまとめられましたので、本日その内容を御説明いたします。

 お手元の資料3でございますけれども、1番のまず「問題意識」というところでございます。この検討会における問題意識でございますけれども、最初の柱書きの最後のほうにございますように、我が国の医療・介護といいますのが「現場従事者の負担とモラール」に過度に依存して成り立っているのではないかということで、上から2つ目の「○」でございます。疾病構造の変化や多死社会・人口減少といった構造的な変化に対応した専門的分野の確立や医療従事者の育成、働き方への対応というのが急務であるということ。

 それから4つ目の「○」でございますけれども、一方で患者さんの視点から見た場合に、速いスピードで多様化・複雑化するニーズに応えて、真に価値ある医療を提供できているのかどうか。費用対効果の高いサービス提供となっているかどうかという点に疑念が生じている。このような問題意識のもとで基本哲学、ビジョンを描き出すということが中間的な議論の整理における問題意識でございます。

 1ページ目の下のほう、2番目の「目指すべき基本哲学」ということでございますけれども、この中間まとめにおきましては次の2ページをお開きいただきまして、基本哲学として3点整理をしていただいているところでございます。

 (1)にありますように、まず1点目が「医療従事者を貴重な社会の資産ととらえ、その様々な可能性が最大限に発揮できる環境を目指す」ということです。

 2点目が、均一化・規格化されたサービスを大量に提供するモデル、「プッシュ型」モデルというふうにありますけれども、そちらから脱却をして住民・患者の能動的な関与とニーズに併せてサービスを設計、創造する。これは「プル型」モデルとありますけれども、そのモデルの確立を目指すということです。

 3点目が、医療従事者の役割や機能というものが社会的・経済的・技術的な時代の変化に柔軟かつ迅速に適応し、進化できるシステムを目指すということで、以上申し上げました3つの基本哲学ということで整理をされております。

 その実現のためのパラダイム転換ということで、ここには5点ほど挙げて整理をされているということでございます。

 それから、2ページ目の下寄りで大きな3番目の「目指すべきビジョン」というところでございますけれども、ここでもこの中間まとめにおきましては3つのビジョンの提案ということで整理がされているところでございます。

 1点目が(1)でございますけれども、地域主導で医療と介護と生活を支えるということでございます。

 ちょうど2ページ目の最後の行でございますけれども、「地域医療構想を踏まえ、地域が中心となり」、3ページ目にまいりまして「リソースたる医師や看護師等の医療従事者の需給や偏在対策を決定する」。それで、国はそのためにさまざまな支援を行うということでございます。

 上から3つ目の「○」でございますけれども、従来の細分化された専門診療科による役割分担のみでは多様なニーズに対応できないのではないかということで、我が国の医療の基本領域としてプライマリ・ケアを確立するととともに、医師のみならず看護師、介護職等を含めたプライマリ・ケア人材の育成と確保を地域内の多様なリソースを活用しながら行うということ。

 それから、その下の「○」、上から4つ目の「○」にございますように、看護師や薬剤師、介護人材等の業務範囲の拡大等による柔軟なタスク・シフティング、タスク・シェアリングの推進であるということ。さらには同じ段落でございますけれども、医療と介護の幅広い分野で職種横断的に活躍できる人材の育成といったことを進めていくということ。

 それから、その下の「○」にありますように、「医療供給側のみならず、住民・患者も予防・治療に積極的に参画していくことができるよう、情報技術の活用やインセンティブ付与等の枠組みといった環境整備が必要である」というふうに整理をされております。

 大きな2つ目のビジョンでございますけれども、3ページ目の一番下の(2)で、「個人の能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方を実現する」ということでございます。ここは一番下の「○」のところでございますけれども、多様な生き方や働き方を阻害する制度的制約を取り除き、4ページ目にまいりまして上から2行目あたりからでございます、グループ診療でありますとか、3行目にまいりまして医療機関の管理者の意識改革を初めとした医療機関における人材マネジメントシステムの確立、あるいは勤務時間等の労働環境の見える化・改善などを初めとしました制度的対応の実践を行うというようなことで、提言をしていただいているところでございます。

 大きな3点目のビジョンが真ん中あたりの(3)でございますけれども、「高い生産性と付加価値を生み出す」ということでございまして、ここは(3)の上から3つ目の「○」のあたりでございます。AIやビッグデータ等の新たな情報技術の活用などによりまして、医療従事者の生産性の向上や医療需給ギャップの是正を図るなどというふうにここでは提言をしていただいているところでございます。

 以上が、大きな3つのビジョンということでございます。

 5ページ目にまいりまして大きな4番目の柱、この「ビジョンを踏まえた医師の需給・偏在対策についての考え方」というのを整理していただいているところでございます。

 1つ目の「○」にありますように、従来から指摘される偏在の発生というのが、個々の医師の意向や選択に基づく一種の調整作用の結果の側面、あるいは大学医局等の人為的な資源配分の帰結である側面、あるいは地域の医師確保の取り組みみの差異による側面といったようなところがあるのですけれども、これらを今後の医師が望むキャリアや働き方の実現と整合的に解決するためには、経済的インセンティブや物理的な移転の強制手段に依存することなく、地域主体となって医師の意欲や能力を喚起して能動的なかかわりの結果として是正される方策を模索することが必要ということで、この3つ目の「○」でございますけれども、こうした観点から医師の意向や考え方を確実に把握・分析した上で、医療の機能の存在状況の「見える化」を進めるということ。

 それから、その下の「○」にありますように、都道府県等が主導して大学医局や関係団体等々のプロフェッショナルと協議しながら、効果的に取り組みを進められるような医師養成、確保に係る制度的な環境整備を進めるということ。

 そして、その下の「○」にありますように、それらに加えてプライマリ・ケアのより一層の活用、あるいは専門職のワークライフバランスが十分に考慮されたグループ診療の推進やサービス提供体制の強化、さらには情報技術の活用の促進や、ここにありますような経済的手法、規制的手法の効果を精査した上で活用することをどう組み合わせるべきかの検討が必要であるというふうに提言をいただいています。

 「その際」ということで一番下でございますけれども、偏在が発生している理由、要因について、地域や医療機関ごとの要因を精査した上で、都道府県等の地方自治体が地域の状況に応じて自律的にこれらの対策を組み合わせて活用できるようにするということでございます。

 6ページ目にまいりまして、そういった取り組みみのために国が、ここにありますように人的・財政的・制度的な支援策を講じることが重要というふうに提言をいただいているところでございます。

 最後に大きな5番の「今後の進め方」ということで、この1222日の中間的な議論の整理はその名のとおり中間まとめ、中間的な議論の整理でございますので、引き続きここにございますように、個々の医療従事者の意向や希望を十分に踏まえる必要があることから、働き方調査の結果でございますとか、現場の医師や医療従事者の御意見、職能団体さんの御意見、自治体の御意見等も踏まえまして、さらに議論を深めるということにしておりまして、具体的にスケジュールとしましては、年度内に最終的なとりまとめを行う方向で、引き続きこの検討会で御議論いただくというような流れになっているところでございます。

 ビジョン検討会の中間的な議論の整理の説明については、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、邊見委員からどうぞ。

○邊見委員 これを読ませていただきまして、私は全体の医療従事者の検討委員会でほとんど出てきていることばかりで、医師に関しましては夏にもう中間報告が出ているんです。これを立ちどまって考えると、偉い人達のことですから、プッシュ型であるとか、プル型とか、難しい言葉もいっぱい出てきますけれども、中味はほとんど変わっていないです。

 ですから、並行的にいかないといけないだろうと思います。これを待っていてするよりも、医師需給検討会とか、医療従事者の検討会を並行して、井元さんを呼んで、今どうなっているかということを聞きながらいかないと、根本的に厚生省の審議会の意味がなくなると、先ほどの中川委員と同じ意見です。

○永井部会長 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員 このドキュメントは、大変優れたドキュメントのように感じました。とても読みやすくていい、すっと落ちるような気がいたします。今まで医療部会で見たドキュメントの中で、私にとっては割と最良のドキュメントのように思います。

 邊見さんが、前からこのようなことを言っていたということであれば、そうなのですかということなのですが、やはりここの問題意識は医療従事者で頑張っている人がたくさんおられるのですけれども、しわ寄せがどんどん出て、産業としてやはりきつくなっているのではないかと思います。できるだけ頑張っている人をうまくアレンジして能力を発揮してもらうということで、地域医療構想の人材育成と、そういう方向での人材配置というのは最大の課題だと思います。

 その上で、ここで多少欠けていると思いますのは学問のほうです。これは権限が違う省ですので遠慮されているかもしれないのですけれども、時々、ぽっぽっと入っているわけですが、学職接続ということをする必要があるのではないか。医学教育がどうなのか。

 例えば、自治医大の卒業生はへき地にどんどん定住してくれるのですけれども、奈良県立医大の卒業生は定住してくれない。どうして違うのかということを県立医大に問いかけていまして、教え方が違うのかと思ったりもするのですが、それで県立医大の医学教育の内容を精査して勉強を始めています。それで、精神的な理念がないということがわかりました。

 何のために、どんな人を養成しようとしているのかというビジョンもなかったというので、年度内を目標につくりかけておりますが、アンケートを出すとすごくよく返ってきて関心は高い。そういうコミュニケーションが学内でなかったということでもあります。

 その中で、ここにも出ていますように、医者の能力は医学技術だけではないということを何度も言っていますが、資格取得を専らとしていたような印象が失礼ですけれどもあります。そのためには、プラスアルファの能力を大学でももっと前からどのようにやるかという中で、アンケートで出てきておりますのと一致するのですけれども、社会的能力とかコミュニケーション能力、患者の悩みを積極的に聴取できて答えられる人格的能力といったような答えで返ってきている。学校で、そのようなものをどのように教えるか研究しようという段階に入っています。

 それと、学校でこの辺を教えないと、あとは働き方の現場にも影響する。厚労省の会議ですので医学教育の中に踏み込まないですが、もっと踏み込んでもいいのではないかと思うのですけれども、文科省の医学教育に実は現場としては余り期待していません。本当に期待していません。「古いことばかり残してくれるな。」という感じであります。

ICTにしろ、新しい人格にしろ、新しい方向での医学教育はできるかどうかというようなことを、県立大学ですので現場は多少聞いてくれますので議論しておりますが、都道府県知事は、国立大学が主流のところと、私立大学が主流のところとありますので、教育まではなかなか入り込めないのが実情でありますけれども、この医療構想の中での入り込みと、人材育成の入り込みと、教育振興大綱という文科省の法律で、教育振興大綱も都道府県知事がつくれますということになって、その中で医学教育ということに踏み込んで研究しよう。これは、医大との研究の成果をそちらにはめ込もうということまでしておりますが、厚労省のほうでももう少し医学教育のほうへ踏み込んで、何をやっているんだというふうに多少言っていただきたいという思いが、こういうドキュメントが出ておりますので、ぜひというお願いでございます。

○永井部会長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 私はこれを読んでいまして、何を言っているのか全然わかりません。

 というのは、現場でやっている人というのは、こんなことはとうにわかっている話で、今さら指摘をされなくても当然だと思っています。

 一番ここで欠けている点は、幾ら政策論だけ言っても財源論が全く書いていないことです。お金がつかない政策を幾ら言っても政策というのは実現しないわけで、この次の診療報酬改定、介護報酬改定の中で、国としてどのように財源を振りますよということが書いてあってこういう政策を展開していきますというのであればわかりますが、具体的な政策が全然書いていないで、こうあるべきだとか、こうしたほうが望ましいとか、総論的なことばかり書かれても問題は何も解決しないと思います。

○山口委員 私も、この中間とりまとめの文章は耳障りはいいかもしれませんけれども、非常に総論的で、例えば偏在の問題にしてもずっと需給問題検討会で話し合われてきた内容を少し総論的に書いたらこういう内容になったのではないかという印象を受けています。ですので、この議論を踏まえて需給の問題を今度再開するときに、では何か新しいことを、これまで待った意味があるのですかというようなことが出てくるのかということを考えると、非常に心細い気がしております。

 その開始する時期ということも先ほど邊見委員からございましたけれども、待っている意味があるのか疑問です。医師需給分科会の委員には今、全く発言の機会が与えられておりませんので、なぜ待っているのかということもわからない状況になっています。そのあたりのところはしっかりと説明できない部分もあるかもしれませんけれども、本当に間に合うように議論をしていかないと、実際問題もう目の前にきているのにこんなことでいいのかというのが正直なところです。

○永井部会長 釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員 先ほど荒井知事さんからお話がありました、医学部における教育については知事さんの立場からすると非常にもどかしい、ちっとも昔と変わらないではないかという御認識かと思いますが、実はそうではございませんで、医学部における教育はどんどん変化してきています。

 それは国際的な基準に適合して、これからの新しい医師を育てなければならないという外的要因もありますけれども、限られた18歳人口が減っていく中で、その中からよく優れた医師を育てるという医学部における教育的な取り組みみは、私は昔とは大違いでどんどんよくなってきていると思います。モデルカリキュラムなどもつくられて、それが更新されて、5年、6年における医学部の参加型の臨床実習、そして臨床研修、その後の専攻医、また生涯教育にわたって一貫していかに優れた医師を養成するかという取り組みみは今、全国を挙げて行われておりますので、ぜひその点の最近の進捗状況を知事さんに御理解いただきたいと強く思います。

○永井部会長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 私は医学教育は、いい方向に向いているとは思えません。というのは、優れた医師とかというのは何の尺度で決めるのでしょうか。患者さんというか、国民は、急変したときにすぐにかかれて心配してくて、ある程度標準的な医療を提供してくれるお医者さんが欲しいわけです。

 ところが、今の教育でどんどん専門化していって、その一方で、国家試験対策で6年はほとんど臨床から離れてしまって、受験勉強を1年間ずっとしなければ合格しないような国家試験をしているわけです。それで、国家試験に通ったと同時に研修医になって、現場に入ってきてうつ病になってしまう生徒が2割とか3割いるという報道もあるわけですけれども、それがそんなにいい教育だと先生は考えていますか。

○釜萢委員 今、山崎委員が言われたような問題意識は、医師養成の大学における問題意識としては皆さん共通に持っておられて、それを何とかしなければいけないという思いは非常に共通の認識であって、そしてそれにどう対応するかという中で、私は着実に改善の方向にあるというふうに認識をしております。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 話を資料3に戻しますが、私は荒井知事が教育者だったということを知りませんでした。

 この資料3に関しては、邊見委員、山口委員、山崎委員の御意見に全面的に賛成です。この中間的な議論の整理を出すために需給検討会を塩漬けにしたということであれば、これはあきれます。こんなものを出すために、こんなことをやっていたのか。本当に異常事態だと思います。

 山口委員がおっしゃったように、需給検討会の議論を総論的にぼやかしたと私は思いますし、総論的にぼやかすというのは実は危険なのです。この紙の最後にありますように、10万人規模の調査の結果を総論的にぼやかしたことによって、逆の方向に結論を持っていくという可能性があるのです。そういう意味では、簡単にこれはこれでもう既に出た意見だと片づけることはできないと思っています。

 医事課長と今、説明した方は、すばらしい中間報告のように力を込めて歯切れよく説明されましたが、ここに書いてあることは全てビジョン検討会の委員の意見をそのまま書いたのですか。それとも、あなた方がまとめを手伝ったのでしょうから、これはすばらしい御意見だと思っているのかどうか聞かせてください。仕事としてやっただけですというのであれば、それで私は了解しますけれども、これがすばらしいと思っているのであれば一言、二言、三言、言うことがあるのですけれども、どうですか。

○医事課長 中川先生、ありがとうございます。

 事務局としては、いろいろな面でサポートをしてこの報告書、中間まとめはできております。これがいいかどうかという直接的な判断は、やはり事務局としてはなかなか難しいと思っておりますが、きょう中川先生、それから邊見先生、荒井知事、山口委員、山崎委員からいただいた御意見は、我々事務局としても真摯に受けとめております。

 それから、ここから先は先ほどの繰り返しになって恐縮なのですけれども、ビジョン検討会でもなるべく早く次の議論につなげたいということでございますし、きょう御指摘があったような内容で申し上げますと、今までと重なっている部分ですとか、表現は違うけれども方向性が似ているということは確かに多々入っているかと思うのですが、違う方が議論をして同じ方向性というのは、その議論の最終的な方向性としては合っている部分があるとも思います。

 それから、今回総論的に整理したということに関しては今後打ち手といいますとか、方向性について議論をさらに進めて、対策の部分については年度内にまとめていくというお話が先ほどあったかと思うのですけれども、そういうスケジュール感で進めているところです。

 中川先生の質問には直接的に答えられていない部分があるかと思いますが、現状は以上です。

○中川委員 課長、答弁が長過ぎます。

 今の答えは、事務局としての仕事をしたという理解でいいですか。

○医事課長 はい。事務局として適切に対応したということです。

○中川委員 適切。

○医事課長 事務局として、求められる業務をしたというふうに考えております。

○中川委員 ありがとうございます。

 年度内にまとめると言いますが、年度内に仮にまとまったとして、その後、需給の検討会が再開されるのですか。

○医事課長 はい。おっしゃるとおりです。

○中川委員 再開されて、その偏在対策が中心の検討会になると思いますけれども、その結論が出るのはいつになるのですか。

○医事課長 今のことは、ビジョンのほうですか。それとも、需給のほうですか。

○中川委員 需給のほうです。

○医事課長 需給のほうはまだ時期的には決まっておりませんので、それはビジョンの検討会の委員や座長のメンバーの方とよくよく今後相談させていただきたいと思っております。

○中川委員 事務局として、どういうスケジュールを描いているのですか。

○医事課長 事務局としては前の部会でも一度申し上げたのですけれども、直近の直面している課題については今から来年度にかけて議論を進めていく。

 それで、中長期の問題は、今後の大幅な医師需給の節目というのが平成32年に来るのですけれども、それに向けての議論も今後していくということで、何月何日というところは決まっておりませんが、大まかなスケジュール感としてはそのような方向性を考えております。

○中川委員 医療従事者の需給に関する検討会を設置したのは、我々の要請を何年も何年も置いておいてやっと開催して、早急に医師偏在対策をとりまとめる約束だったですね。今の医事課長の説明だと、できるのは東京オリンピックの開催より遅いのではないですか。そんなことをやっている間に、医学部の新設がどんどんできてきたのですよ。そもそもの根本の危機感をこの医療部会で共有しなければだめでしょう。違いますか。

○医事課長 先生のおっしゃることはもっともなのですけれども、早急に短期的に決めるべき内容というのは、平成29年までに切れるものがありましたので、そこについてすぐにでも決める必要があったことと、それは暫定的に延長されるという結論が出されたわけですけれども、次の大きな節目が平成32年にまいります。

 ですので、短期的にすぐやることと、それから平成32年に向けてやること、これは両方考えているところでございます。

○中川委員 極めて、不満です。本当にそれであれば、典型的な悪い意味での役所ではないですか。医事課長だけの責任とは言いません。あなたの立場もあるし、事務局の立場もある。

 ですけれども、苦渋の結論として、こういう資料3をつくったということをにじませてくださいよ。我々は、あなたたちを応援しているのです。以上です。

○永井部会長 ほかにいかがですか。

 木戸委員、どうぞ。

○木戸委員 先ほどの委員の皆さんのご意見に基本的に賛成です。私も現場で実際に当直をして過重労働に苦しんでいる臨床医の一人として、やはりもっとスピード感を持って対応していただきませんと困ります。本当にどんどん現場で辞めてしまったり、うつ病で場合によっては自殺をする勤務医もおります。患者さんにとっても、医療の安全性がここに書いてあるとおり脅かされています。

 このような問題意識が既にあるのであれば、今さら調査をしている段階ではないと思います。ビジョン検討会というからには、どうやったらいいかという具体策がもう少しあるべきで、こういった総論的な項目ではなくて、やはり具体的にどうすべきかということがもう少し記載があるのではないかということで期待していたのですけれども、とても残念に思っています。

○永井部会長 では、西澤委員、それから平川委員どうぞ。

○西澤委員 大体、皆さんと同じですが、最初の議題にあったとおり、医療計画の見直し等がされ、国のガイドラインが3月にできる。一方、このビジョン案が3月にまとまる。それから需給検討会が始まるということでは、都道府県はどうしたらいいのでしょうか。

 私は北海道ですが、北海道で医療計画を立てる時、医療圏ごとに提供体制の検討をやっていきます。一番困るのは、人です。人がいないんです。だから、その人をどう手当するかということを書かないで医療計画策定はできません。ですから、都道府県が医療計画を立てるためには、やはりここのところを早く都道府県に示さないとできません。我々も、計画が策定されなければどう協力したらいいのかわかりません。

 そういうことで、このビジョン検討会が勝手にやるのはいいですから、3月までに何とかこの需給検討会の報告をまとめて、偏在対策を取り入れて、都道府県が人材が少ない中でどのように計画を立てるかをきちんと示すことが大事だと思います。そういうことをこの医療部会を中心としてぜひ厚労省のほうで考えていただければと思います。以上です。

○永井部会長 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。これは働き方ビジョンという名称になっておりまして、その中でも2ページ目の四角の枠の一番上に3つ「・」がありますが、その3つ目の「自己犠牲を伴う伝統的な労働慣行の是正」、これはそうだというふうに思わせるところはあるのですが、木戸先生がおっしゃったように、3ページ以降の具体的な話になると何をどう変えていくべきかというのが全く見えないので、ぜひともこの議論を早急にお願いして、働き方が改革されるようなものをつくっていく必要があるかと思います。

 ただ、医師の偏在対策等々を含めて、これからもう議論は始まるかと思いますけれども、この働き方ビジョンで出された考え方が今後具体的にどこで反映されていくのかということについて一つお聞きをしたいと思います。多分、現場では期待する面もあるかと思いますけれども、その辺はどうなっているのかをお聞きしたいと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか、事務局。

○医師・看護師等働き方改革推進官 まずこの中間とりまとめにつきましては、年度内のとりまとめに向けまして引き続き具体策を入れていくということになっております。

 それから、働き方の部分につきましても、いろいろな働き方調査の結果なども踏まえまして、今後この中に具体策も入れ込んでいきまして施策に反映させていくことになろうかと考えております。

○平川委員 その場合、医政局だけではなくて、労働関係部局も含めてしっかりと検討していただくことも重要かと思っておりますし、ある意味、そういうふうな検討をする場も必要かと考えておりますので、意見として申し上げさせていただきたいと思います。以上です。

○永井部会長 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員 せっかく褒めたのに、みんなにけなされてちょっとかわいそうだと思って申しますが、確かに具体論が続かないではないか。現場の医師偏在対策にどう寄与するのかという点で御議論があったと思いますが、私は医師偏在対策を中央でこうすればできるというのはなかなかできないのではないかという感じを持っています。

 これは、いいドキュメントだと褒めた、エンカレッジングなんですね。とりわけ現場で働いている人が大事な社会資本だ、あなたたちは大事だということから始まらないと、大事にしない地域からは去っていかれるように感じております。

 その上で、需要に合って働いてもらうにはどのようにすればいいか、なかなか現場では難しいです。医局みたいに昔のように派遣もできないし、経済的なインセンティブだけでもいけないし、いろいろなことを考えながら今、実行しながら、中央も医師偏在の知恵のクリエイトに参加してほしいという思いでございますが、ドキュメントでいいものを書いてこうやれと言ったらできるような類では、人の話ですのでとても難しいという実感でございます。

 それは地域の工夫と、国の工夫と、国の中でもいろいろな工夫と、これこそ総合的に解決しなくてはいけない最も大事なポイントだと思います。完結的ではないという意味ではそのとおりかもしれないと思いますけれども、これから埋めなければいけないと思いますので、改めて一応褒めさせていただきたいと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか。ほかに、よろしいでしょうか。

 いろいろ御意見はございましたけれども、ただいまの御意見を踏まえてさらに対応をお願いしたいと思います。

 では、最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、改めて御連絡させていただきます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 


(了)

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