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2017年5月26日 第14回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成29年5月26日(金)15:00~17:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(20階)


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員 加賀美構成員
塩田構成員 伊達構成員 藤林構成員 山縣構成員

事務局

山本内閣官房内閣審議官 川又総務課長 川鍋家庭福祉課長

○議題

(1)施設の在り方に関する議論
(2)子どもの権利擁護に関する取組等
(3)その他

○議事

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 定刻となりましたので、ただいまから「第14回新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、林構成員から御欠席の御連絡をいただいております。西澤構成員からは、若干遅れるとの御連絡をいただいてございます。

 まず資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の下に、資料1から4までございます。資料4は、構成員の先生方の提出資料として、相澤先生と上鹿渡先生の資料と、藤林先生から以前御提出いただいた資料をもう一度つけさせていただいています。参考資料が4つございます。「児童養護施設等について」という基本的なデータの資料と、「子どもの権利擁護に関する取組等について」と、参考資料3はこれまでの主な御意見を事務局でまとめさせていただいたものと、参考資料4は、全国乳児福祉協議会からいただいた意見書を添付させていただいています。

 それと、机上配付の資料がございます。オレンジ色の冊子を一番上に置かせていただいております。加賀美構成員から御提供いただいた調査研究の冊子をお配りさせていただいています。

 それと、机上配付ということで事務局で御用意しましたのが、一番上が、これまで検討会のヒアリングにお越しいただいた関係者の方からの意見書のうち、施設関係についての御意見が書かれたものを添付をしています。それと、その下が、産前・産後母子支援事業の実施要綱を参考におつけしています。

 一番下が、前回、一時保護実施特別加算について御質問をいただきましたので、実施要綱をつけさせていただいています。簡単に御説明しますと、1枚おめくりいただきまして、目的というところで、この一時保護実施特別加算につきましては、児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設において、一時保護児童の受入体制の充実を図るということで、一時保護委託を受ける体制を整えるための委託費となっています。

 対象施設ということで、施設等の敷地内において、一時保護児童に対して、小規模なグループによるケアを実施できる設備、専用の設備を設けてくださいということ。あと、その地域におきまして、一時保護の入所率が高いことなどによりまして、お子さんの適切なケアを確保するのに課題を抱えている場合ということで、一定数の一時保護児童を安定的に受け入れることができる委託先の確保が必要な地域に、実施特別加算は適用することになっています。受入定員が4名から6名以下で、定員に応じましてこの費用をお支払するということになっています。その後は、職員につきましては、専任の職員を置いてくださいということにしています。実施に当たっての留意事項ということで、児童相談所より一時保護の要請があった際には応じなければならないこととか、7では、都道府県知事が指定しますということを実施要綱で書いています。

 前回、これはどういう性格の費用かということがありましたが、これは施設に入所しているお子さんのための費用ではなくて、施設の定員外で一時保護委託を受ける場合の実施体制の充実を図るための費用ですので、一時保護委託のための費用ということになります。

 資料の説明は以上でございます。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 カメラ等を撮影される方がいらっしゃれば、ここまでとさせていただきます。

 それでは、これより先の議事は、奥山座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

〇奥山座長

 ありがとうございました。

 事務局のほうから、一時保護委託のお話、要綱について御説明がありました。また、産後母子支援事業のことについても資料が出ています。この点で、何か御質問がありましたら、事務局にお答えいただこうと思いますが、いかがでしょうか。

 私から質問ですけれども、職員が2名及び管理宿直等職員を配置することというのは、1居室当たりの児童が2名で、その2名に対してということなのですか。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 この一時保護委託のための設備を設けたところに、全体で職員二人をプラスするということです。

 

〇奥山座長

 そうすると、何名に対して2名ということになるのですか。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 定員が4から6人になっています。

 

〇奥山座長

 4から6人の子どもに対して2名。一時保護で分離された子どもにとっては非常に少ない数のような気がしますが、それで十分ということなのでしょうか。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 これと、あと、年齢に応じて加算をつけることになっています。基本の職員配置はこういう配置にしていますので、十分かと言われると。現在はこういう形になっています。

 

〇奥山座長

 基本的に4~6人なので、4:1ぐらいで考えると、確かに2名という形になるという計算ですかね。最低基準から考えてという。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 現在はこうなっています。

 

〇奥山座長

 この前お話ししたように、一時保護の子どもの特殊性を考えると、一般の入所よりは手厚くすべきであるというのが、本来、私たちの思いですので、議論をしていかなければならないところと思います。

 ほかに、どなたか御質問はありますか。

〇藤林構成員

 この一時保護の体制の整備についてですけれども、要するに、定員4人から6人について、月額幾らという事務費が払われて、それにプラス委託した子ども一人一人の事業費が払われるというふうな、そんな考え方なのでしょうか。

 もう一点、原籍校への学籍を残しながら一時保護ということも考えると、この一時保護専用施設から原籍校への送迎とかそういったこともあるのかなと思ったり、短期間の一時保護を繰り返されると、この施設のある小学校とか中学校は、1か月単位で転校、転出を繰り返すというのもちょっと大変かなということを考えます。そうすると、送迎可能な範囲であれば、一時保護施設から送迎というのもあるのかなと思うのですけれども、その辺の費用は入っているのかどうかというのをあわせてお答えいただきたいと思います。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 この一時保護実施特別加算につきましては、先ほど言いました職員の体制のお金のほかに、一般生活費などの事業費についても、この加算の中で一緒にお支払するような形になっています。

 それと、送迎につきましては、特にそのための費用というのは算定してないので、今後、勉強したいと思います。

 

〇奥山座長

 一時保護の委託を受けている施設から原籍校に通うので、送迎で、子どもに付き添って行かなければならないことも多い。親御さんの接触とかのこともあるので、ついて行くということの人件費がかなり厳しいという意見も聞いているということをお伝えしておきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 では、また、御質問等ありましたら、事務局のほうに問い合わせいただくこともできますし、本日の最後のほうで、何か御質問があったら、お手を挙げていただければと思います。

 本日ですけれども、前回の議論の続きで、施設の在り方に対する議論を行って、そして、最後の残りのところで、子どもの権利擁護に関する取組の事例をお調べいただいておりますので、事務局から御説明いただき、次回の子どもの権利擁護のあり方の議論につなげていきたいと思っております。

 施設の在り方に関する議論ですけれども、前回の検討会では、多様性、多様なサービスをということに加えて、子どものニーズに合った多様な小規模の施設の必要性とか、求められる子どもへのケアのレベルに応じた措置費の設定などが必要ではないかというような意見が出ていたかと思います。

 加えまして、幾つか資料もいただいておりますので、まず、構成員からの資料の御説明をいただきたいと思います。相澤先生も、上鹿渡先生も、資料を見させていただくと、乳児院のことについても触れていただいております。今回、参考資料4で、全国乳児福祉協議会のほうから提言を出していただいておりますので、そちらもぜひ参考にしていただければと思います。

 では、相澤先生、相澤先生の資料は多岐にわたっているのですけれども、ポイントがございましたら、できればポイントを絞って御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

〇相澤構成員

 ありがとうございます。

 私のは「ライフサイクルを見据えた社会的養育のあり方」ということで、最初のほうは、「ライフサイクルを見据えた社会的養育のあり方」を整理したような図を作成させていただいたということです。

 3ページ目の円環ですけれども、そこに以前出させていただいたところに、自立支援という矢印をつけさせていただいて、思春期から胎児期までを自立支援の期間として位置づけサポートをするような施策が必要だろうということを加えたということと。

 それから、4ページ目の「支援レベルとその目安」ですけれども、構成員の井上先生がつくられた要支援1から5の上に予防と一般支援というのをつけまして、それを考えて、そして、各発達ステージと各要支援レベルに応じた養育支援のような事業・施策の設置状況というようなことについてまとめたものが5ページでございまして。その5ページをまとめた背景は6ページの「社会的養育の現状」を踏まえてつくらせていただきました。

 社会的養育の領域ですけれども、破線で引いているところが狭義の社会的養育ということと、太線で引いているところが広義の社会的養育と。特に、事業など施策が薄い課題領域というのは、全ての子どもが公平なスタートできる妊娠期の生育施策と親になる準備期の支援施策と、要支援4の補完的機能かなということでございます。

 7ページ以下がライフサイクルシステムを考えた、(相談機能)案というようなこと、それから、8ページ以降、それぞれの要支援レベルに応じた円環ができるような制度・施策をきちっと整備していくということが重要だということで、要支援1レベル、要支援2レベル、要支援3、そして、要支援4、要支援5と。5のほうは家庭養護と、それから、家庭的養護というふうに分けてありますけれども、そして、15ページに「社会的養育システムの構築(要支援機能)案」ということで、このような円環がそれぞれのレベルできちっとできた施策を用意して、整備をして、そして、要支援1から要支援5の円環ができるような、そういう重層的なシステムをつくるということが必要なのではないかと言いたいということです。

17ページ、18ページに権利擁護ですので、これは、また、後で、権利擁護のところで説明しようと思います。

20ページからは、ライフサイクルを見据えた要支援5(要保護)のレベルということで、「社会的養護体制の将来構想」でございますけれども、現在と将来ということで、小規模施設については、前回言いましたように、多機能化するということで、いろいろな形態の小規模ホームをつくるということと、里親さんも職業化する。プロの里親さんをつくったらどうかというようなことでございます。

21ページは、里親登録の推進計画づくりということで、里親さんを中心にした推進をするならば、校区単位ぐらいに里親登録を置くべきではないかというような数値目標を出させていただいたということです。

22ページから26ページまでは、前に出させていただいた資料ですので、これは省きまして、27ページからは、「児童福祉施設の総合センター化構想(案)」ということで、これからの児童福祉施設の持つ機能としては、基本の入所機能に児家セン機能を付加というというイメージですね。特に、措置による在宅支援まできちっと社会的養護として入れていくということであれば、支援の連続性の観点からも、通所機能とか相談機能とか、また、里親支援機能みたいなものは必須機能かなと思います。通所機能をきちっと持つのであれば、入所の措置費はきちっと体系できておりますけれども、通所のほうも措置費の支弁のシステムをきちっとつくっていただいて、通所をやっても、ある程度施設の運営に資することができるようなことも考えていったらどうかということです。

28ページは、いろいろな種別の形態の小規模ホームをつくったらどうか。要するに、子どものニーズに合わせたそういう形態の施設をつくったらどうかと。これからの福祉施設は多機能化ということで、総合センター化ということでございますけれども、そこに母子生活支援施設とか乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障害児施設と、そういう施設については、本来の施設機能にプラス、児家セン機能とか里親支援機能とか、そのような機能をつけてセンター化したらどうかと。

 私は、一番下に書いてある青少年自立支援センターというようなことが、円環を考えたときに、ライフサイクルシステムを考えたときに、親になる準備期としての支援、自立支援を考えたときに不足しているセンターかなと思いまして、提案させていただきました。15歳から30歳程度の方を対象にした、30ページでございますけれども、勤労青少年ホーム+児童家庭支援センター+自立援助ホームということで、以前、札幌市の丸山勤労青少年ホームを若者支援総合センターに変えたというようなことを説明しましたけれども、そういう多様な観点からの活用促進をするということで、24時間365日対応できるような相談機能とか、シェルター機能、生活支援機能といったような、そういうことを持たせて、大阪のアフターケア事業部のような活動みたいなことをできるようなセンターがいいかなと思っています。

 青少年自立支援センターの夜間指導員なんかについては、当事者の方で、社会養護コースの子育て支援員になってもらって、そういう方がスタッフとして活用できたらなと。そういうスタッフがいる中で、社会的養護出身者のための「つどいの場事業」みたいなこともやるような、当事者団体が活動できるような居場所づくりみたいなところにしていったらどうかということでございます。

 それから、31ページからは乳児院のことでございますけれども、そこに課題というようなことが1から6書いてありますけれども、これは9月のときに説明いただいた全国乳児福祉協議会提出資料を参考にしてつくらせていただきました。

 対策としてということで、私としては、32ページに、現在の入所機能、一時保護機能、子育て支援機能にプラスして、相談機能、通所・在宅措置機能とか、里親支援機能、入所機能として乳幼児(病虚弱児・障害児)+妊産婦・母子というふうに書いておりまして。それにプラス、オプションというような形で助産機能みたいなものを持っていただけたらありがたいなと。

 きょうは、お手元に参考資料4で、乳児協から本日付けの意見が出てまいりましたけれども、その中の4ページに(3)で、「特定妊婦の支援の強化」が書かれておりまして、若年の妊婦や精神疾患のある妊婦、内密での出産の妊婦の孤立を防ぐために、乳児院では医療機関と連携してそういう方々の支援に取り組んでいただけるというようなことが書かれております。これは、社会的養護を実践してきた立場からすると、妊娠期からきちっと母子を一体的に支援することは重要でございまして、私としては非常にありがたいことだなと。きょうの乳児協の資料の2ページ目でございますけれども、「意見・提言の説明」の(1)の第一義には「児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない」とあり、その趣旨を最重要視するべきであると。私はそのとおりだと思いまして、そういう意味では、できるだけ母子が一体的に支援を受けられるような、そういう機能をぜひ乳幼児総合支援センターというふうに名称を変更してやっていただきたいなと思います。

 私は、乳児院という言葉は、それが入所施設みたいなイメージを持ちますので、これは早目に名称変更をされて、乳幼児総合支援センターという形で、いかに乳幼児のことを総合的に支援するような、そういうイメージをもられるように考えていただけたらなと思います。

 相談機能みたいなことでは、そこに児童発達支援センターというようなことを書かせていただきましたけれども、乳児院に入っているお子さんは、病虚弱児と障害児の割合が30%を超えたりしておりますので、そういう意味では、児童発達支援センターみたいなものを付設するとか、そういう機能を強化していったらいいのではないかと私は思います。

 乳児院のいいところは、メリットは、家庭復帰のための家庭調整を非常に一生懸命やっておられて、ファミリーソーシャルワーカーを平成11年から乳児院ではつけておりまして。そういう意味では親元に帰る家庭復帰率が45.4%ということで、家庭調整もしっかりやっておられますので、例えば、これからの里親さんに短期で家庭復帰するようなケースを委託をしたときの家庭環境調整とか里親支援を考えたときには、そういう経験のある乳児院、将来の乳幼児総合支援センターのほうと連携して、そういうこともぜひやっていただけたらなと思っております。

 入所機能としては、私としては、乳幼児ホームというようなことで、小規模化することと。里親支援をするのであれば、私は「小舎夫婦制」で子どもたちと生活をしましたけれども、一部夫婦制みたいなもののホームをつくって、家庭的な環境で生活をするようなホームをつくられたらどうかなと考えております。

 次の38ページ、39ページは、児童自立支援施設のセンター化ということでございますけれども、児童自立支援施設についてもセンター化をするということで、通所相談機能を強化して、私は、児童相談所は、今後は虐待相談に専念し、非行相談は、児童自立支援施設で担うような、そういう取り組みをしてもいいのではないかなと思います。国立の児童自立支援施設については、人材養成研修機能の充実強化と、研究機能の充実強化の体制についても考えていっていただきたいということでございます。

40ページはケアマネジメントということで、アセスメント・自立支援計画機能強化ということで、「子ども自立支援計画ガイドライン」の改訂とか、活用とか研修なども、せっかくできておりますので、ガイドラインについては3年に1回見直しているようなことになっておりましたが、全然できておりませんので、そういうものを見直しして活用したらどうかと。

 児童虐待・社会的養護のデータベース、実践的研究の推進ということでありますと、そういうデータベースをきちっとつくっていかなければいけないということで、42ページでございますけれども、児童福祉施設とか児童家庭支援センター等で、社会的養護関係データを収集します。それを都道府県の県立児童自立支援施設に集約し、また、さらには国立児童自立支援施設で集約して、そのデータを蓄積して、調査研究を実施するとか、そういうシステムを作ったらどうかということでございます。

 少し長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。

 

〇奥山座長

 ありがとうございました。

 引き続き、上鹿渡先生のほうから御説明ください。

 

〇上鹿渡構成員

 上鹿渡です。では、説明させていただきます。

 私は、昨年6月から長野県上田市にある定員9名のうえだみなみ乳児院と長野県や上田市もまじえて改正児童福祉法に基づく新たな社会的養育体制の構築に向けた話し合いを重ねてまいりました。この4月より計画が実践に移され始めたこのパイロット・プロジェクトにつきまして説明いたします。国が提示した乳幼児社会的養護の原則に基づいて、子どもにとっての最善を目指して取り組み始めている一つの乳児院について紹介させていただきます。

 最初に、うえだみなみ乳児院のまるやま院長が作成してくださった資料を提示しながら、院長による内容説明を読み上げる形でお伝えいたします。その後で、若干私のほうから補足説明をさせていただきます。

 長野県上田市にありますうえだみなみ乳児院長まるやまと申します。よろしくお願いいたします。

 本院が現在取り組んでいるパイロット・プロジェクトについて御説明させていただきます。このプロジェクトは、昨年6月から上鹿渡教授とともに立案・実践しているものです。このプロジェクトに取り組んだ理由は4つあります。

 まず1ページ目をごらんください。1つ目の理由は、昨年度、児童福祉法の改正があり、子どもの養育環境の優先順位が家庭と同様の養育環境、良好な家庭的環境の順に定められたということです。

 2ページ目、3ページ目をごらんください。2つ目の理由は、平成27年度より、家庭的養護推進計画が始まり、現在、社会的養護を必要とする児童の約9割の施設養護は15年かけて3分の1に減る予定であるということです。長野県家庭養護推進計画でも、県内4つの乳児院全体で、27年度57名の定員を41年度には46名に減らす計画です。ただ、4つの施設それぞれがどの程度定員を減らすのか、また、どのように減らしていくのかについては特に明示されておりません。

 4ページをお願いいたします。3つ目の理由は、長野県における施設養護の充足率の低下です。特に乳児院は2016年4月より70%前後で現在も推移しています。

 5ページ目をごらんください。4つ目の理由としまして、施設のベクトルと子どものニーズのギャップがあります。現在は、措置費の制度上、施設は健全経営を考えると、子どもをふやす、定員充足率を高めることを考えます。しかし、施設では、子どもの数がふえれば養育の質が低下します。さらに、本来の子どものニーズは施設の中にあるのではなく、自分だけの大人との施設を超えたところにある養育の質を求めています。施設が経営のために子どもをふやす児相への働きかけは不要な施設入所のことにつながります。これは、施設が子どものためにあるのではなく、子どもが施設のためにあるといった状態であり、主客転倒です。これからの施設は、施設を超えたところにある子どものニーズに目を向け、子どもの最善の利益を追求していくことが必要であると考えます。

 6ページ目をお願いいたします。以上4つの理由から、うえだみなみ乳児院では、3つの考えられる選択肢のうち、3の子どもの最善の利益を考え、事業が継続する限り、家庭で子どもが暮らせるよう取り組み、事業化するということを選択いたしました。

 7ページをお願いいたします。うえだみなみ乳児院の中期事業計画は、2017年度から19年度の3年間で乳児院の機能転換を図り、元来の乳児院機能の収入を減らす一方、里親支援事業、予防的事業等の新機能の収入をふやしていく計画です。

 8ページをお願いいたします。今年度から機能転換を図る目的で、新たに家庭養育チームを設置し、組織の再編を行いました。

 9ページから14ページまでは、20年度に新たな機能の乳児院として事業運営が行えるよう、現在、長野県と協議中の計画です。

 9ページをお願いいたします。社会的養護を必要とする子どもが家庭で暮らすために、2020年度までに現在の乳児院事業を里親支援事業、産前産後母子支援事業、予防・再統合事業、特別養子縁組(連携)事業、施設ケア事業へ転換を図ります。

10ページをお願いいたします。その事業を実践するために、2020年度は組織を再編し、里親養育チーム、母子支援チーム、施設チームを設置します。

11ページをお願いいたします。2017年度から2019年度までは事業転換の期間とし、自治体・関係機関と協議を行います。2020年度から新機能の乳児院として事業が行えるよう取り組みます。

12ページをお願いいたします。里親のリクルートから登録までについて、県と事業所の共同関係を整理しました。

13ページをお願いいたします。本院が里親支援事業を行うエリアです。県内77市町村、約207万人のうち8市町村、約35万人の人口をカバーします。

14ページをお願いいたします。現在の里親支援体制は十分とは言えません。このことが不調につながる要因の1つと考えられます。そのため、施設が児童相談所及び市町村と連携を図り、里親支援体制を充実させることが必要です。

 うえだみなみ乳児院は、改正児童福祉法が示すところに従い、このような施設事業の移行転換を計画し、長野県や上田市とも話し合い、日本財団からも御支援をいただく形で計画の実現に向けて努力を続けております。

 ほかにもこのプロジェクトに関わってくださっている皆様の御期待と御協力に心から感謝申し上げます。今後も、子どもが県の主体であるという認識を持ち、子どもの最善の利益を追求するパイロット・プロジェクトを実践し、子どもたちにしっかりとした成果を残せるよう取組を続けてまいります。

 以上が、丸山院長が準備してくださったプロジェクト概要説明です。

 続けて、私のほうから、若干補足させていただきます。

 まず、本プロジェクト実施の背景について、院長の説明にもありましたとおり、長野県における乳児院定員充足率の低下という状況が挙げられます。このような状況が長野県だけの特殊な状況なのかはっきりわからなかったため、全国の乳児院の定員充足率の変化についての資料を事務局に作成していただきました。これは別に添えてあります。「乳児院の都道府県別の充足率等」という資料をごらんください。

 うえだみなみの個別データで充足率の低下が明確になった2015年から2016年の間で、全国的にも充足率の大きな低下が見られた地域がいくつかあるようです。ただ、事務局からも示唆していただきましたとおり、このデータは、都道府県別では、定員数そのものが多くなく、乳児院数が少ない自治体においては、数人違っただけでも入所率に大きく影響するため、これだけで判断することはできないかと思います。

 今後、個別の乳児院ごとに進むべき方向性を明確にしていくに際しては、乳幼児の社会的養育状況の都道府県比較も参考になるのではないかと思います。一時保護委託件数やショートステイ件数、または、暫定定員の推移等のデータ、さらに、乳幼児の里親委託と特別養子縁組件数等も加えて、毎年、都道府県ごとに把握することで、法改正後、各自治体で乳幼児家庭養護の原則がどのように実現されていくのか、その評価をしっかりしていくことが必要だと思います。可能であれば、社会的養護の現状として提示される厚労省資料でも、乳幼児の社会的養育の各自治体ごとの状況として取り上げていただけるとよいのではないかと思います。

 また、「パイロット・プロジェクト実践計画書」9ページにありますように、施設ケアを主として提供してきたうえだみなみ乳児院が、パーマネンシー保障に向けて必要な支援を子どもや家族に提供するために、今後どのような制度を活用し、どのような事業を展開できるか、具体的に検討しています。新たな事業につきましては、それぞれの分野で既に経験を積んでいる民間組織、例えば、里親新事業ではキーアセット、産前産後母子支援事業と特別養子縁組事業では全国妊娠SOSネットワークとベアホープの助言・協力を得て、新規事業の計画と実施を検討しています。

 新たな社会的養育具現化のためのシステムづくりに既に携わり、成果も上げているようなこのような組織から実践的な助言を受け、また、その経験を共有させていただくことで、このプロジェクトをしっかり前進させていこうと考えております。

 あと、このような事業展開により、ケアの質が保たれた地域の里親が一貫して関わることで、子どもは家庭を基盤とするより安定した養育環境を継続して得ることができ、早期パーマネンシー保障が可能になると考えています。

 里親意欲の思想を高めるための委託里親研修プログラムであるフォスタリング・チェンジについても、うえだみなみ乳児院と長野県の共同で、今年度9月から実施に向けて準備を進めております。このプログラムの詳細につきましては、福岡市や熊本での実践報告がまとめられた「SOS子どもの村JAPAN」の報告書をごらんください。これも添付してあります。

 子どもが委託されている里親さん6~10人ほどを対象にグループとして、1回3時間毎週1回で約3か月にわたり、二人のファシリテーターによって実施される研修です。英国で活用され、その成果も実証されているプログラムです。日本では、2016年3月に、最初の20人のファシリテーターが養成され、同年、福岡市で日本最初のプログラムが実施され、公表を得ました。報告書の10ページ、18ページに参加された里親さんの声が掲載されております。心配された出席率も97%と非常に高いものでした。その後、熊本でも乳児院を会場に実施されました。2017年2月には、第2回ファシリテーター養成コースが実施され、22人のファシリテーターが誕生し、今年度は全国10か所の地域で、里親にしますと60人以上になると思われます。実施を目指して準備中です。

 この第2回ファシリテーター養成コース受講者のフォローアップをうえだみなみ乳児院が事務局として担当しております。2018年3月には第3回ファシリテーター養成コースも開催予定です。このプログラムに実施前後の里親と子どもの変化を測定するための質問紙もセットされており、これを活用した評価もしっかり取り組んでいく予定でおります。

 福岡市と熊本での試行結果が、報告書の1720ページに掲載されております。本プログラムの日本における効果として、里親支援に関わる方々の専門性向上への寄与、ファシリテーター養成講座参加者からの情報交換の共有が挙げられると思います。本プログラム実施のために、里親支援者は500ページもあるマニュアルテキストを熟読します。さらに、それを里親さんが理解できるよう伝える中で得られた知識や経験は、里親支援者のその後の個別の関わりの中でも生かされるものです。これは既に実施された方々からの御意見でもあります。

 うえだみなみ乳児院としましては、これまで里親支援にはほとんど関わってきませんでしたので、フォスタリングチェンジ・プログラムの準備・実施を通して、里親に関わる職員の専門性向上も期待しているところです。

 フォスタリングチェンジの説明が長くなってしまいましたが、今後、里親支援の必要性が高まる中で、特に不足している委託後の研修について、このような取組が始まりつつあるということもお伝えしたく、つけ加えさせていただきました。

 約10か月を要した計画段階からようやく実践展開を始めたばかりで、まだ成果を上げられていない本プロジェクトについて、今回報告させていただきましたのは、改正児童福祉法が全面施行された今こそ、その具現化に向けた動きを1つでも多く生み出すときだからだと考えたからです。全国各地で、それぞれの乳児院の置かれた状況や、これまで担ってきた役割は地域によりさまざまだと思いますので、うえだみなみ乳児院のような取組が全ての乳児院に当てはまるとは思いません。

 ただ、子どもの最善の利益保障を明示してくれた改正児童福祉法のもと、子どものニーズを第一に考え、それぞれの役割を再検討し、全ての子どもが早期にパーマネンシーを保障されるシステムの再構築に向けた取組を、各乳児院とその置かれた市町村や都道府県が共同し、それぞれの方法で実践し始めることが求められていると思います。昨年6月以来、協議を重ね、何度も計画を練り直しましたが、今後も新しい制度が制定され、法律が施行される中で、子どもの最善の利益を保障するための方法は変わっていくものと思います。そのたびに、それまでの進捗を見直し、成果を確認しながら、目指すべきところへできるだけ早く到達できるよう軌道修正して、このパイロット・プロジェクトの成果を地域の子どもたちに届けられるようにしたいと考えております。

 報告のために貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

 

〇奥山座長

 上鹿渡先生ありがとうございました。

 まず、相澤先生のほうから、かなり総合的なことが出てきました。前回、3条の2に関する議論をかなりやったときに、西澤先生などからも、まず、乳児院からの改革を求められるのではないか。その背景としては、家庭を一番必要としている、つまりアタッチメントが一番必要な乳児を対象にして変えていくことということでお話がありました。せっかく上鹿渡先生からも御意見が出てきましたので、乳幼児に絞って、少し議論をしたいと思いますが、まず、上鹿渡先生、相澤先生に対する御質問が何かありましたら、いかがでしょうか。

 加賀美先生。

 

〇加賀美構成員

 膨大な資料をおつくりになっていただいて、ありがとうございます。大変な作業だったと思います。

 最初のライフサイクル支援の円環の話の中で、自立支援というところで、あえて、自立支援という枠組みを成人期に入るその時期からというふうにやっているのですね。自立支援研究会をかつておやりいただいたときの自立支援の議論をしたときの話でもあったと思うのですが、自立ということについて、この会議でも何回か議論があったところですけれども、基本的として、依存関係をどう形成するかが最も大事な自立の根っこの部分だろうという観点から言うと、ゼロ期から始まってないとおかしいと私は思っているわけです。

 だから、そういう議論でいくと、例えば自立支援計画をどういうふうにするかという議論にもなっていくので、乳児院での自立支援計画といったことも含めて、この自立の観点から言うと、私はゼロ期から始まるものではないのかと思っております。

 以上です。

 

〇相澤構成員

 ありがとうございます。

 私もそういう考えを持っておりますけれども、ただ、ここの場で議論をしている自立支援というと、思春期以降の問題を議論しておられましたので、そういう意味でここの議論の場の自立支援は、私としては思春期以降で、しかも、妊娠する、親になるまでの期間をきちっと考えるべきではないかという意味で、そこに、あえてそういう矢印を引かせていただいたということでございます。

 

〇奥山座長

 私は、恐らくここのところの施策が少ない。支えていく社会資源が少ないという問題があるので、もちろん自立支援というのは全体なのだけれども、社会資源をつくるという意味ではないかと聞いていました。

 

〇加賀美構成員

 その意味はわかります。

 

〇奥山座長

 西澤先生、藤林先生。

 

〇西澤構成員

 すみません。山手線が止まっていたので、来れなくて申しわけないです。

 本当に膨大な資料を相澤さんから出していただいて、暇なのだなと思ったのですけれども、議論の途中から話を聞いているのでわからないですけれども、乳児院の改革をまず進めていくというのは、今、上鹿渡先生の御報告もあって、その方向は一致しているのだろうと思います。

 ベースラインのデータとして、入所機能の部分で、福祉型にしても、医療型にしても、乳幼児の病虚弱児・障害児というのがありますね。まず、病児と虚弱児だと思うのですけれども、この虚弱児という概念はもうないのではないかと思っているのですが、あるとしたら、どういう定義なのかということと。

 それから、乳児院の人たちと話していると、乳児院は絶対必要だと。それはなぜかというと、家庭で見ることができない慢性疾患の子どもや障害児がいるのだと、どれぐらいいるのかと聞くと、いつもごにゃごにゃとお茶を濁されるというか、実際のデータ的には、例えば本当に慢性疾患があって、障害があっても、医療の支援を得ながらも家庭で育っている子どもはいっぱいいるわけですね。その子たちが、それがあるから乳児院が必要なのだという論理構成はよくあるのだけれども、それはどれぐらい実態を反映したものなのか、相澤先生は把握されていますか。

 

〇相澤構成員

 ありがとうございます。

 実は、ここに平成27年度の「全国乳児院入所状況実態調査」がございます。その報告書の中に、入所児童の心身の状況というものが出てまいりまして、健全39.8%、病虚弱児・超低体重・低出生体重児とか、精神神経疾患とか、呼吸器疾患とか、循環器疾患とか、いろいろ書いておられるのですけれども、そのパーセントが小計で27.9%、障害児の重症心身とか、染色体異常とか、脳性マヒとか、そういう方が2.9%、合わせますと30.8%ですね。そのぐらい入所しているというデータはここにございます。

 

〇西澤構成員

 そういう状況だから乳児院が必要だと言えるのか、乳児院にいる社会的養護の子どもたちにそういう障害を持った幼児がいるということなのか。だから、乳児院が必要なのですと言われるというのが。里親ではだめなのですかという話。

 

〇相澤構成員

 里親で見れるような状態の病虚弱児なのか、障害児なのか、そこまで私はきちっと実態を把握しているわけではありませんけれども、当事者の方の意見を聞きますと、里親家庭ではなかなか難しいと。

 例えば、乳児院の場合ですと、15分に1回ぐらい夜勤で子どものチェックをするわけですね。もし、そういうことが必要なお子さん、要するに、治療みたいなものが必要なお子さんがいるとすれば、それはやはり里親家庭では非常に難しいと私は思います。それがどのくらい実際にいるかは、私自身が乳児院でそのお子さんを見てきたわけではございませんので、わかりませんけれども、そういうお子さんがいることは間違いないのではないかというふうに関係者のお話を聞くと思います。

 

〇奥山座長

 藤林先生。

 

〇藤林構成員

 今の議論にちょっとコメントをして、また、改めて、質問をしたいと思うのですけれども、福岡市児童相談所では、医療的ケアが必要な子どもさんを里親委託した経験もあるので、必ずしも乳児院でなければならないということではないと思うのです。ただ、その場合には、里親さんもその養育に専念するということと、十分なバックアップが当然必要になってくるわけですから、乳児院がそのようなバックアップ機能を担えば、家庭養育は可能ではないかなというふうに思います。これが、今の議論に対するコメントです。

 私が質問したかったことはちょっと別の観点ですけれども、相澤さんが書かれている職業里親の創設ということなのですけれども、職業里親という養護が使われながら、イメージはさまざまなのかなと思うのですけれども、職業里親=専門里親ではなくて、多分、里親養育に専念される方というイメージで、今言いましたように、医療的ケアが必要な子どもさんに専念される方もあるのかなと思うのですけれども、相澤さんの書かれているこの文脈で見ますと、親子里親みたいな、多分、若いお母さんとか、精神障害を持っているお母さんと子どもと一緒に受託しながら、親のペアレンティングもサポートするようなことをイメージしていらっしゃるのかなというのが私のイメージですけれども、そうなのかどうなのかということと。

 それは、もう一方で、特定妊婦さんが出産した後の親子支援という観点でいくと、前々回か、慈愛寮の細金さんが話されたようなものをイメージしているわけですけれども、それを職業里親さんが担っていく。または、ここに書いていますように、地域小規模母子ホームが担っていく。場合によれば乳児院が担っていく。そういう場所はさまざまかもしれませんけれども、児童相談所の現場のニーズとしても、特定妊婦さんが産んだ後に親子ともにサポートするような場がぜひとも必要だという観点から、私のイメージと相澤さんの点は同じかどうかというのをちょっと確認したい。

 それと、上鹿渡先生の話されたうえだみなみは産前産後母子支援事業で、相談というイメージなのですけれども、今お話ししたような、親子ホームのようなことは計画されていないのかということも、もし何かありましたらお教えいただきたいと思います。

 

〇奥山座長

 では、相澤先生、上鹿渡先生お願いします。

 

〇相澤構成員

 ありがとうございます。

 藤林先生のプロの里親さんのイメージと私は非常に近いと思いますし、私自身がはっきり言って、小舎夫婦制で、夫婦で施設に勤務しておりましたけれども、そういうふうに夫婦がきちっと専念してお子さんたちを養育するような、そういうシステムの里親を考えております。

 

〇奥山座長

 上鹿渡先生いかがですか。

 

〇上鹿渡構成員

 ありがとうございます。

 ここはまだ県とも協議中のところで、どのぐらいの辺りのところができるかというのは、また、話し合っているところですけれども、相談だけというよりは、産前産後母子支援、特に、妊娠葛藤相談というところが中心的なところになって、本当に産むかどうかわからなくて、産まない場合のところのつなぎですとか、産むと決めた場合に、自分で育てるのか、育てるとすれば、もしかしたら母子生活支援施設を使ったりとか、自宅で過ごしていくとすれば、予防的な事業の辺りの組み込みをしていくですとか、もしも、産めないということになれば、それは、もしかしたら、一旦、里親養育ということになるかもしれませんし、すぐに行けるのであれば、できるだけ早く養子縁組という形でつなげていくということで、うえだみなみが考えている中では入口ですね。特にリスクの高い状況に置かれている方をとらえて、そこを入口にして、ここでこれから準備しようとしているところに振っていくといいますか、そういう形を考えています。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 

〇藤林構成員

 今の相澤さんの里親のイメージは、国立とか県立の夫婦小舎制みたいなものと考えると、専門里親よりも、よりスペシャルな里親さんで、子どもさんのニーズからすると、ほぼ養育に専念するような、そういうレベルかなというふうに考えます。親子里親もその中に入るというふうなイメージでよろしいのでしょうか。

 

〇相澤構成員

 親子里親も入るというイメージで結構です。

 

〇奥山座長

 先ほど、西澤先生の御質問のところで、里親さんでは見れないのかという話があったのですけれども、そういう里親さんが絶対見れないということは恐らくないのだろうと思います。では、そういう里親さんが十分いるのかというと、それは現在のところはいないわけですよね。ですから、まず第一に包括的里親養育機関を機能させて、里親さんをふやしていくということをしていかない限り、いつまでたっても動いていかないのではないのかと思いますが、いかがですか。

 

〇相澤構成員

 ですから、今回一番考えなければいけないのは里親リクルートだと思うのですね。私がプロの里親さんをつくってほしいと言ったのは、今、例えば議論した病虚弱児とか障害のある、そういう小さい乳児を見ることを考えれば、プロフェッショナルな里親さんをつくっていくということが私は必要だと思います。そういう整備をやった上で、そして、乳児院の在り方についても、また、継続的に考えていくことが必要であり、今すぐには里親で病虚弱児や障害のある乳児を養育することはとても難しいと思います。

 

〇奥山座長

 藤林先生。

 

〇藤林構成員

 乳児院に限定して考えますと、乳児院にはいろいろなスタッフもいらっしゃるわけなので、看護師もいらっしゃるわけですし、心理職もいらっしゃるわけですから、乳幼児に関しては、全ての乳児院が持つ必要はないかもしれませんけれども、乳児院がフォスタリングエージェンシーの事業を行い、その中で、プロフェッショナルな里親さんとか、または、プロフェッショナルでない里親さんも含めて、リクルート、養育支援を行いながら、本体施設がバックアップをしていくとか、場合によればレスパイトケアとかショートステイを引き受けていくというのが一番スムーズなプロセスではないかなとは思います。

 

〇相澤構成員

 ですので、今回提案したのは、私は、小舎夫婦制みたいな、一つそういうものの形態をつくって、その方が外で、今度、実際に里親のプロとしてやっていくとか、そういうふうに移行するようなことをきちっと考えていかないといけないのではないかと言っているわけです。

 

〇山縣構成員

 大変貴重な資料をありがとうございました。

 相澤先生のところですが、1つ質問と1つ意見です。

 質問は、乳児院に新しい総合センターというふうなイメージをつくらせて、福祉型であろうとも、医療型であろうとも、助産機能をつけているというのが今までと全く違うところだと思うのですね。質問は、あえて、乳児院に助産機能をつくる。医療機関でなくて、ここにつくる意味合いは何を求めておられるのか、ちょっと教えていただきたいというのが1点です。

 意見のほうは、全ての施設の新しいセンター型構想ですけれども、各種機能がいろいろ書かれていますけれども、私は、どこかの回で主張をしたと思うのですが、ベースは児童家庭支援センター。児童家庭支援センターがあって、そこに乳児を扱うセンター、入所機能を持っているものがあるとか、入所機能のないセンターがあるとか、現在の施設の枠組みを前提にして個別に考えるよりも、まず、児童家庭支援センターをつくって、そこに何の機能を載せていくのか、地域によってとかいう考え方のほうが私はいいのではないか。これは意見ですから、別に答えていただかなくていいです。

 前半のほうですが、なぜここに助産機能をつけられたのかが、匿名で産んでもいいよとか、そんな話なのかどうかをちょっと。

 

〇相澤構成員

 特定妊婦ですかね、そういう方を今回乳児院の方がそこもきちっと扱っていただくようなことを書いてくださいましたけれども、生まれる前から、生まれた後も継続性を持って母子を一緒に支援をするのであれば、そこに助産的な機能があってもいいのかなと思って、だから、最初に説明しましたようにあくまでもオプションでそれをつけたらどうかと考えたということです。

 

〇山縣構成員

 基本の考え方はそんなにずれてないのです。要は、出産機能そのものを持たせるかどうかということなのです。そこが聞きたかったのです。親子のセットの支援とかが必要である、これは全くそのとおりです。

 

〇相澤構成員

 出産機能というか、例えば、病院の併設型であって、そこに産婦人科とかそういうのがあれば、私はそれは一体型でいいと思いますけれども、それがなければ、できればということですので、あえてそこまでつける必要はないかなと思います。

 

〇山縣構成員

 少なくとも福祉型にそれを想定するのは、若干無理があるかなと。医療型であれば、ぎりぎり病院である程度イメージされているはずですから。というふうに思いました。

 

〇奥山座長

 井上先生。

 

〇井上構成員

 今、お産の入院期間は短くなっているのですね。4日とか5日になります。ですから、先生方が多分イメージされているのは、出産される前から社会的養護の関係で見ていた方が、出産のときは産婦人科に行くのですが、出産後すぐ、もう1週間にもならないうちに、その心配なお母さんと子どもだけにするというのは心配なので、もともと前から見ていたところが引き続き見ていけるようなという格好でちょっとひっついているような、そういうイメージになっているのではないかと思います。

 

〇山縣構成員

 それで、私の理解は共通になったと思います。出産部分だけ外部で、母子ケアホームと言っていましたかな。出産前後のケアを行う機能を乳児院が持つということについては、全く異論はないです。

 

〇奥山座長

 産前産後と書いてありました。

 

〇山縣構成員

 あのイメージです。

 

〇藤林構成員

 要するに、今、産後ケア事業が始まって、デイケアもあれば、泊まりもあるわけですけれども、産後すぐというのは、医療スタッフ、助産師、看護師の部分は非常に大事な、母親に対するケアという意味で非常に重要なところで、そこも乳児院が担うというのは、非常に円滑な切れ目のないケアになっていくのではないかなと思っています。それも、今の産後ケアは1週間なのですよね。本来は、特定妊婦さんがペアレンティングを学んでいくためには数か月単位ということが必要になっていきますし。これを、私は措置として、今は、母子生活支援施設は措置制度から離れてしまったのですけれども、また、改めて、母子措置がこの分野についてはあったほうがいいのではないかなというふうには思います。

 

〇奥山座長

 ということは、その母親と子どもを措置として預かるということですか。

 

〇藤林構成員

 私はそれがいいと思うのですよね。いろいろな意見があるとは思います。

 

〇奥山座長

 ほかにいかがでしょうか。

 井上先生。

 

〇井上構成員

 先ほど西澤先生が大事なことを言ってくださったのですが、ポピュレーションのところのデータとしての周産期医療の中で、特に新生児医療の中で、どういう方がそういう気になる方かというのがデータとしては出ています。その中で、さらに、社会的養護にひっかかってくる人たちが、そのベースの中からどれぐらいの方がそちらに行ったのかというのを見れば、多分、先生が言われている必要性というのが見えてくると思いますので、周産期のデータは間違いなく県できちっと出ていますので、それを使っていくのが一番いいのではないかなと思います。

 

〇奥山座長

 私のほうから上鹿渡先生に質問させてください。包括的里親支援事業を組み立てていくのはかなり大変なのではないかと思います。今まで乳児院として、里親支援はやっておられたかとは思うのですけれども、リクルートからのスタートになるので、どういう方法を考えられているのでしょうか。

 

〇上鹿渡構成員

 今回出したプロジェクトも、始まりがそこをまずしっかりやるということで、今回はキーアセットのコンサルテーションを受けるという形をとっています。これは、キーアセットが事務所をふやしていくときに、自分のところでの人材育成なんかをするときにやっているようなことを、乳児院のほうに来ていただいてやるとか、既に、乳児院の職員でリクルーターやソーシャルワーカーとしてこれから担っていくという人に、実際、大阪の現場に行っていただいて、そこで実習といいますか、そんなことをしたり、本当にその辺が専門職としてつくっていくというところは今はない状況なので、コンサルテーションと研修という形で半年ぐらいは実際にそういう形でやって、その後は、スーパーバイズといいますか、コンサルテーションですね。実際自分たちが動き出して相談を受けていけるという体制はこの1年間はつくって、それで、来年度以降か今年度の終わりぐらいから、もしかしたら、里親さんとうまく一緒にやっていけるという状態をつくれるのではないかなということでやっているところです。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 せっかく加賀美先生の研究報告書が皆さんに配られているので、里親さんの開発に関しては何か御意見はございますか。

 

〇加賀美構成員

 全員にお配りしてない資料で、大変申しわけない。机上配布していただいた、22年なので、もう随分古いのですね。その頃は、まだ将来像なんていう話もなかったので、4Sの話もなかった時代ですから。ただ、その時代に、児童家庭支援センターが里親支援の役割は現実には私のところでもやり始めていたので、そういう方向が志向されるであろうということを前提にして、どの程度そういう認識があるかということを全国調査をした。児家セン全部と、乳児院は悉皆調査、それから、里親さんへの抽出調査もして、一番関心が高かったのが乳児院だったかな。里親支援ということに関心を持ったのは、それは当然ゼロ期、乳幼児を扱っていた施設が一番そこに近いということは、当然結果としてそういうふうなデータになったのだろうとは思うのですが、そういう流れは今も変わらないだろう。

 つまり、リクルートの話があったのですが、具体的ニーズを持っている子どもたちを抱えている機関だから、変な話ですが、一番リクルートをしやすいというか、そういう可能性が一番あるわけで。だとするならば、今、全国で130か所ぐらいですか、乳児院。これはその多くがそういう里親支援機関をやるということがあって、リクルートができれば、かなり急速に里親支援の仕組み、それから、里親の包括的な支援のシステムができるかなというふうに私は思っています。そこに一番近いのは、今、乳児院だろうなと思っています。

 ついでに申し上げると、ちょっと流れとは違う話になってしまうかもしれませんけれども、「保護から養育へ」という今回の流れの中で制度改革をして、市町村で全ての子ども家庭への支援という体制をつくったということになるとどういうことが起こるかというと、結果とすれば、虐待通告相談が加速度的にふえる。そういうふうに私は考えているのですね。そうなると、今10万そこそこの虐待通告相談件数が数年のうちに30万、40万という数字にもしなったとすると、今の乳児院の役割も含めて、施設養護の役割というのを急速に家庭養護だけに転換するということは当然不可能で、この間の報告もあったように、一時的に両方の仕組みを堅持しつつ、里親養育、養子縁組というような拡大を考えていくという方向で議論をしていく必要もあるだろうと私は思っています。

 以上です。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 里親支援機関と、先ほど山縣先生から児家センの話が出たのですけれども、乳児院が児家センを持っているところは結構あるのですか。

 

〇山縣構成員

 あんまりないと思います。

 

〇奥山座長

 あんまり聞かないですよね。

 それは、また、調べていただくことにして。なぜそれを考えたかというと、乳児院は県に2か所程度しかないところも多く、里親さんから遠くなるので、包括的な里親支援機関になって、アウトリーチはするにしても、本体施設でいろいろ関わりを持とうとしても遠いことがマイナスになる危険がありますね。支所みたいな形で児家センを持つというのも一つの方法なのかなと思ったものですから、伺ってみました。

 

〇山縣構成員

 先ほどの質問の前提は、あえて、児童家庭支援センターを前にと言ったのは、制度上、独立型も認められているのですね。私は児家センがむしろ社会的養護の入口らの非常に重要な機関に位置づけたその後のフローを考えたほうがいいのではないかというふうな思いがあって、その意見を言ったと思います。

 

〇奥山座長

 山縣先生の御意見が全くわかってないわけではないのですけれども、今の体制からその体制にどういうふうに移行していくのかというのを、先生、何か案があったら教えていただきたいのです。

 

〇山縣構成員

 細かい案は持ち合わせていませんけれども、その圏域で考えていく必要があって、そこの中に児童家庭支援センターと児童養護施設が合体したものもあれば、乳児院が合体したものもあれば、いろいろなものがあって、どの施設にしても、一番多い児童養護施設でさえ、利用者から見たら、ないエリアは結構あるのですね。600ですから、地方に行ったら、郡単位で見ても全くないところはわんさかあるわけで、そういうところに独立型の今言われたようなブランチなり、そういう形でそのエリアを担当する児家センということで、児家センが児童相談所と同じように圏域を持っていくという考え方は、そこに行くのに、それぞれの施設がどこを担うか、あるいは独立的なのかというふうなイメージを私は持っています。

 

〇奥山座長

 そのときに、例えば具体的に考えて、乳児さんのアセスメントを児相ができるかといったらできないですよね。例えば、今度、総合センターになる乳児院が担うとしたら、例えば、里親さんに一時保護した、その一時保護したお子さんのアセスメントを乳児院までとても通い切れないので児家センを使うということになると、全ての児家センがその機能を持てるのか、その辺どうでしょうか。

 

〇山縣構成員

 理想的には、お金さえつければ持てるのですけれども、現実的にはそのお金がありませんから、現実的ではないということです。

 

〇加賀美構成員

 私のところは児家センを持っていて、乳児院があって、児童養護施設があるという、そういう構造になっているので、そういう意味では先の話というよりは、ある程度見えやすくなってはいるのですが、現実的な話とすると、子どももゼロから6歳ぐらいまでの幼児期までの子どもたちの養育のノウハウを持っているのは唯一乳児院しかないです。ここを生かさないとだめだろうと。

 だから、アセスメントの問題も含めて、養育指導も含めて、あらゆるもとになるところのノウハウをある程度持っているわけだから、これは一番わかりやすい話で、あえて、そこに児家センをつけるとかつけないとかというよりも、そういう機能として変革していくという構造を考えていくことで、ある程度できていくだろうと私は思うのです。

 それは、ファミリーソーシャルワーカーがいて、心理職が配置されているという、そういう中で、少しずつそういう考え方が持てるような乳児院がふえてきているのではないのかなというふうに思っています。

 

〇藤林構成員

 乳児の例えば保護機能とか、ショートステイとか、アセスメント機能を、全ての乳児院が担わなければならないということもないのではないかなと思っていまして。県によっては1か所というところもたくさんあるわけですから。例えば大分県は1か所しかないので、上のほうはありませんし、熊本県も少ない。多分、東京特別区の中にはないところもあるわけなので、そういった場合には、例えば児童家庭支援センターがフォスタリングエージェンシー機能を担って、看護職なり心理職なりを雇用すれば、経験知はないにしても、そこのフォスタリングエージェンシーは乳幼児の保護機能、ショートステイ、アセスメント機能は持てるようになっていくのではないかなとは思います。

 

〇奥山座長

 加賀美先生、上鹿渡先生。

 

〇加賀美構成員

 乳児院だけしかそれができないということを申し上げているわけではないのです。乳児院が一番近いところにあるということだということです。だから、全ての乳児院がフォスタリングエージェンシーを持つかどうかというと、これはわかりません。ただ、一番近いところにあるから。

 実は、先ほどの話になりますが、大急ぎで里親を拡大しておかなければ、恐らく社会的保護を必要とする子どもが増大していくということに間に合わないだろうと。そういう意味で一番近いところのものを開発していくというのが、機能が既にあるから可能性が高いと、こういうことで申し上げたわけです。児童家庭支援センターもそのほかのソーシャルエージェンシーがNPOでできてもいいだろうと思います。大急ぎでたくさんつくらなければ間に合わないのではないかという話です。

 

〇上鹿渡構成員

 県によってやり方が本当に違うのだと思うのですよね。例えば長野県の場合は、4か所乳児院がありまして。そのうちの1か所でこういうことを今考えています。本当は、全部の乳児院で県が中心になってこの計画を立てられるともっといいのだと思うのですけれども、そんなことはちょっと難しくて、まずは個別に、うえだみなみ乳児院がある地域でどういうことがとか、それから、今、県にあって、ある市に社会資源や新しい体制、児童福祉法が示す体制になろうとしたら足りてないものは何かというのを考えたときに、その中で、うえだみなみ乳児院が担っていけそうなところ。

 そして、担うためには、先ほど、キーアセットのコンサルテーションがありましたけれども、そこも契約をして、ちゃんと受けるのですが、本当にできるようになっていくのかということまで含めて、できそうなものだったのが、この9ページの2020年度のの事業ということで、産前産後支援も県内に妊娠相談というのはあるのですけれども、実際には、妊娠葛藤相談というところではほとんど受けられていないというか、それは開設の仕方で、そういった方々がそもそも引っかかってこないような相談窓口になってしまっているということもありまして、長野県はそこがないということもあり、また、今年度からこういった事業があって、乳児院でも受けられるということと。

 あと、ここについても、全国SOS妊娠相談ネットワークやベアホープで、既にここと養子縁組のことをセットでやっていらっしゃるところとの話もちょっとしながら、やっていけそうなことではないかなということで、可能性があるところで子どものために必要そうで、うえだみなみ乳児院が新しい事業として展開していけそうなものをこういった形で具体的に考えて、そこに変わっていく手立てを本当に具体的に一個ずつ考えながら本当に行き着けるかどうかというのはわからないところですが、これは行き着かなければと思って、今、取り組んでいるところです。

 それぞれの県が、今ある乳児院の状況とか、医療機関ですよね。医療の必要な子どもがどこにいるかというのは、そこにある医療機関がどれぐらい受けられているかとか、こういう福祉施設以外のいろいろな資源との連携とかバランスもあると思いますので、そういうものを全体で考えた上で、本当に全体が変わっていくということをしていかなければならないのだろうと。その中で、今、乳児院が中心でやれるところに手をつけて、そこを一緒にやっていけないかということで、市や県と話し合いを続けながらいっているということです。

 

〇奥山座長

 先ほど、藤林先生がどこでもできるのではないかという話が出たのですけれども、私は少し意見が違っています。乳児のアセスメントとか、乳児を対象とすることはかなり専門性が高い問題だと思っています。どこかに確実に乳児のアセスメントができ、親子治療ができるところが必要です。乳児のアセスメントというのは、乳児さんの発達のアセスメントもありますけれども、親子関係を見ることができるということが重要で、どこか拠点的に置いて、もしその機能がない児家センがあるのだったら、そこへ巡回指導のような形で行くなどの方法をとらないと難しいと思います。乳児のアセスメントは相当専門性の高い問題ではないかなと思うのです。

 藤林先生に反論があれば、藤林先生。

 

〇藤林構成員

 たしか児童家庭支援センターは医療法人も持てたのではないかなと思うのですよね。だから、NPOだけでなくて、医療法人も含めると、多分どこでもできるのではないかなと、今、奥山先生の意見を聞いて、思いました。

 

〇奥山座長

 ただ、全部医療ができるかというと、なかなか難しいかなというのはあります。

 西澤先生。

 

〇西澤構成員

 いろいろ御意見はあると思うのですよ。とにかくやるしかないというので。だから、初めから全てでやろうとすると無理なので、それこそ偏在しているわけですけれども、その中から、今、上鹿渡先生が提示されたような形でプログラムを組んで、着実に進めていって、里親を開拓していってという実績をまずやって、それを広げていく。

 だから、児家センをやれるところとやれないところはばらばらだと思うのです。僕の知っている児家センというのは、もうほとんどできないタイプの児家センだから。そうなってくると、そこをどうやって底上げしていくかとか、東京都は児家センないですしね。どうなのかという問題もありますけれども、それを底上げしなければとかと考えているうちに、どんどん日数はたっていくと思うので、とにかくやれるところから手をつけて、乳児院の在り方を変えていくというところが一番大きいのと。皆さんもそれは意識されていると思いますけれども、どうやって里親さんをリクルートするのかという、この2点が一番大きなテーマではないですかね。

 

〇奥山座長

 それに当たって、相澤先生と乳児協のほうからのペーパーにもあるのですけれども、名前を変えたほうがいいのではないかというのが出ているのです。

 

〇西澤構成員

 里親も変えたほうがいいと思います。

 

〇奥山座長

 乳児協のペーパーには、里親も変えましょうという話が出ているのですけれども、何かいい名前はありますか。

 相澤先生のほうは、乳幼児総合支援センターですか。

 

〇相澤構成員

 これは、乳児協から出ている名前をそのまま使わせていただいたのですけれども、要は、私が名前を変えたほうがいいというのは、乳児院と言うと、何か入所施設というようなイメージもあって、それを私は払拭することが必要だと考えていて、だから、乳児院がいろいろな機能を持って、いろいろな相談なり、通所なり、治療なり、そういうことができるセンターというようなイメージに変えることが必要ではないかということです。

 

〇奥山座長

 藤林先生。

 

〇藤林構成員

 私は、乳児院に期待する機能は、親支援というか、親子関係支援ということで言うと、特定妊産婦さんだけでなくて、多くの親御さんが乳児院を頼りたいと思うことを考えれば、そこに赤ちゃんだけでない親ということもどこかに入るといいのかなと思います。

 それから、これは福岡市だけなのかもしれないのですけれども、乳児院が担うショートステイ機能は物すごくニーズがあって、実際に、年度末になっていくと、乳児院がいっぱいになって、ショートステイを断らざるを得ないというところもあるのですけれども、ショートステイも、初めて使う人もあるのですけれども、リピーターの方もいらっしゃって、実家のように乳児院にショートステイをされている親御さんということも考えると、それこそ親にとっては実家のような乳児院というふうなイメージもありますので、乳幼児親子支援センターみたいな、そんなのかなと思います。

 

〇加賀美構成員

 同意見です。親子を含めて、あるいは家庭という言葉でもいいとは思うのですね。だから、そういう意味で市町村の支援拠点が機能し始めると、通所支援あるいは通所措置というような形でのニーズも拡大するだろうと。今、ショートステイという話もあったのですが、それも含めて。だから、そういう機能まで含めて考えて家庭を支援していく丸抱えのセンターというようなイメージにしていくことはいいのではないかなと思います。

 

〇奥山座長

 乳幼児親子支援センター以外に、何か案はありますか。

 その辺は公募するなり何なり考えるということになりますか。

 

〇山縣構成員

 名前の問題ではないのですけれども、今、制度上は幼児は相互乗入れとか、乳児院でも児童養護施設でもオーケーだけれども、実態としては児童養護施設なのですよね。というときに、この相澤先生のイメージは、あるいは我々のイメージはこれに近い名称を用いたときに、幼児はむしろ積極的に今の乳児院のほうにシフトして、小学校に入るごろからが児童養護なんだと、そこまでこれは含めているのか。今と同じように相互乗入れで、それぞれの事情でどっちでもいいよというイメージなのか、そこはどっちなのでしょうか。

 

〇相澤構成員

 そこまで私は考えていませんでしたけれども、要は、今回の法改正からすると、乳幼児は基本的には里親さんに委託しましょうというのが考え方だったので、児童養護施設と乳児院の相乗りについてまでは私はちょっと考えてなくて、むしろ、里親さんに委託するときのことを考えたときに、どういうふうに乳幼児支援センターが里親さんとコラボしながらやっていくのかなということを考えてつくったという感じです。

 

〇奥山座長

 どちらかというと、今の乳児院の対象はToddlerまでですよね。つまり、対象はinfant & Toddlerですよね。日本で幼児というと、就学前の6歳までが幼児になってしまうので、分ける言葉がなかなかないのですけれども、私は、まずinfant & Toddlerから始めて、幼児さん全体は乳児院が主体で見ていくべきだとなれば、それでもいいのではないかと思います。

 

〇井上構成員

 自分は、その子どもさんが家族のところに戻れないと考えられる子どもさんになって、かつ、里親さんがないという形であるならば、今までどおりの考え方で、子どものことを一番に考えると、1歳6か月ぐらいまでに場所を変えてあげて、子どもがアタッチメントの対象をしっかりつくった後引き離すという行為だけは避けたい。それは絶対大事だと思うのですね。ですから、先生が言われるような意見でしたら、僕は、今言ったような、子どもさんは1歳6か月ぐらい、見ても2歳ぐらいまでというのを一つの目安にして考えていったほうがいいのではないかなと思います。

 

〇奥山座長

 それは入所の話ですよね。

 

〇山縣構成員

 入所しかない場合の形です。就学前までにそういう家庭養護を探していくという考え方で、継続の場合は、井上先生がおっしゃるような意見。それをどう表現するかが非常に難しいと思います。

 

〇奥山座長

 私は、支援をする対象について考えたのです。だから、里親養育はともかくとしても、アセスメントをするとかそういうことになると、Toddlerまでが今対象になっているなというふうに考えたので。何をやるか、機能によって年齢が違ってくるかもしれませんね。

 ほかにいかがでしょうか。

 井上先生。

 

〇井上構成員

 アセスメントの機能のところと教育のところで話しますと、私たちは、むしろ、大きい子どもさんを持つ方たちよりも、小さい子どもさんを見ている保育士さんとか看護師さんたちとか保健師さん、この方たちのほうが教育しやすい。目標とか、行動のパターンとか、見方をきちんと教えていくと、よく見ているのはその人たちのほうがよく見ていて、理解も結構早いなと思っているのですね。ですから、押さえるべきところをきちんと押さえて教育すれば、思ったよりも早く子どもさんたちをきちんと見ていける芽が育つのは小さいグループではないかなと思っています。これは印象です。

 

〇奥山座長

 それにしても、小さい子を見ていなければだめなのですね。

 

〇井上構成員

 そうです。見てないと。

 

〇加賀美構成員

 ケアがなければだめなのですね。

 

〇井上構成員

 はい。

 

〇奥山座長

 そういう小さい子を見たことがない児家センだと、やはり無理なのではないでしょうか。

 

〇井上構成員

 それはそうです。

 

〇奥山座長

 ほかにいかがでしょうか。

 乳幼児さんのことで、何かほかにつけ加えたいことはありますか。

 きょう、上鹿渡先生のほうからも具体的な取組が出されていました。新しい乳児院は機能としては、妊娠期からの親子をできるだけ見てほしい。それから、ショートステイとかそういう形を含めて乳幼児期の支援、それから、包括的里親養育機関をできるだけ担ってほしいということ。それから、アセスメントの機能、そして、治療の機能ですね。そういった機能も持ってほしいと。何かすごく期待が大き過ぎるような感じもしますけれども、ただ、その中でも、まず包括的里親養育機関がぜひ担ってほしい機能であるというのは大きな期待だろうと思いますので、その辺、政策的にもぜひ事務局のほうもお考えいただけるとありがたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 

〇上鹿渡構成員

 今回、うえだみなみの例を示したのですけれども、報告の中でも言ったのですが、全部がうえだみなみみたいだとは思ってない。先ほど言ったとおり、県によって、施設によって、そこは違ってくる。今回示したことが具体的にいつまでにどういうことを始めて、どういうふうにしていくのだということが、本当にそれができるかどうかはわからないですが、やるつもりで、全てを本当に動かしていくというのが今求められているところで、そこを本気でそれぞれの自治体とか乳児院なんかに一つ一つ。

 乳児院一箇所だけで考えられることでもないなというのはやってみて思うところで、本当に市町村と県とが一緒に話し合いながら進めていかないとならないと思うので、そこができてくると、それぞれの場所でそれぞれの計画ができて、それぞれのやり方で子どもが家庭で過ごす割合がよりふえていくということができるのかなと思うので、さっきの報告にも書いたのですけれども、その辺のフォローを国のほうで、数字上にはなってしまいますけれども、どのぐらい乳幼児の家庭養護というのは進んでいるのかというのを包括的に見るようなこともしていってもらえたらいいなと思います。

 

〇奥山座長

 例えば、各県で、もしくは各児相単位で、県とそこにいる市町村と、それから、乳児院の方々と、それ以外の子育て支援の方もいるかもしれない。それから、里親さんと一緒に、計画を立てるというようなことも少し必要になってくるのかもしれないですよね。何かそういう形のことは、そういう計画を立てるところに、どういう形になるかはわからないですけれども、全国的にそれができるような展開が必要になるのかもしれないと思います。その地域に合った形で。

 よろしいでしょうか。

 そうしましたらば、今、乳幼児さんに話が少しシフトしていたのですけれども、今度は、逆に、先ほど出ました、自立も含めて、施設という形での養護についてご意見を伺いたいと思います。前回、いろいろな形の小規模ができて、その小規模の中で、さらに、いろいろなお子さんを引き受けるということになってくれば、今の施設体系は変わってくるのではないかという話もあったと思うのですけれども、それらを含めて、さらに、自立までのところを考えながら御意見をいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 塩田先生。

 

〇塩田構成員

 相澤先生のこの資料で、もう一つ、施設のことも関係するのかなと思ってわからなかったのが、40ページのケアマネジメントの部分ですけれども、このケアマネジメントを担うのは児童相談所ということなのですか。それとも、児家センとか、あとは里親さんを含めた措置先とか施設とか、どこでこのケアマネジメントを行うというイメージなのかを教えていただきたいと思います。

 

〇相澤構成員

 これは施設の業務なので、私は、施設でやるイメージでこれをつくりましたけれども、ケアマネジメントですから、児童相談所とか相談機関はもちろんのこと、施設できちっとケアマネジメント機能を持ってやるべきだとは思っています。

 

〇塩田構成員

 私も同感で、ただ措置先だけで行うのではなくて、私は児童相談所と里親さんとか、児童相談所と施設というところで、その措置元と一緒にきちっと行わなくては意味がないかなというふうには思っています。

 

〇藤林構成員

 前も別の検討会で言ったかもしれませんけれども、自立支援計画というのは、あくまで18歳または20歳で措置解除になった子どもが家族のもとに帰らずに生活していくイメージにどうしても思ってしまうのですね、私は。家庭に帰るお子さんは自立支援計画ではなくて、家庭復帰計画であるとか、里親家庭に行くことも考えれば、家庭移行支援計画であるとか、永続的解決計画であるとか、何か法改正に沿ったネーミングが必要ではないかなと言いたいのですけれども、この議論は蒸し返しになるからやめたほうがいいのですかね。

 

〇奥山座長

 要するに、本質を考えたときにどういうネーミングがいいかということですよね。何か自立していかなければいけないというイメージになってしまう。

 

〇藤林構成員

 そのイメージは、先ほどの乳児院の言葉と同じ、里親の言葉と同じで、自立支援計画をこのままでいくのかいかないのかというのは、もう一回議論したいなとちょっと思ったということです。

 

〇加賀美構成員

 基本的にはライフサイクルを見据えた意味で自立かどうかということではないですか。だから、全ての子どもは将来社会人として他者と適切につながれる力を持っていくような、そういう育ちを保障していくことを自立支援全体でとらえておかないと、そこは何かぶれてしまわないですか。

 

〇藤林構成員

 それもわかるのですけれども、児童相談所、措置している措置権者が、子どもが家庭に帰れるのであれば、家庭復帰、または、里親委託、養子縁組といった、それも一つのゴールとして意識するためには、そこには自立支援計画だけですと、子どもは18歳解除までおるようなことになりはしないかなという意見です。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 今の加賀美先生がおっしゃる自立支援計画と藤林先生がおっしゃっていることは、何かラインが違うような気がするのですよね。加賀美先生がおっしゃっているのは、子どもと相対するときに、子どもの社会化を助けて、将来的にどこにいようと自立の方向に向けたケアとして、今の時期のケアを考えるというラインですよね。それに対して藤林先生のほうは、どういうふうに対応をしていくのかということを目指した計画なので、ソーシャルワーク計画みたいな感じなのだと思うのですがいかがですか。

 

〇藤林構成員

 そうです。

 

〇奥山座長

 その違いがあるのではないかと思いました。

 

〇藤林構成員

 そうですね。次元が違う話をしているのですけれども、でも、今あるのは自立支援計画だけなので、それでいいのだろうかというのが思うところです。

 

〇奥山座長

 そうですね。

 今のは確かにそうで、自立支援計画の中に家庭復帰の計画まで入ってしまっているのですね。それはおかしいので、将来的な自立を考えた今のケアの在り方は自立支援計画なのだけれども、家庭復帰するのかどうするのかというのは、それはまた別のライン、ソーシャルワーク計画といったものをきちんと立てなければいけないのではないかと思います。

 

〇藤林構成員

 それは、今回の法改正で四十何条にある、家族再構築支援が明確に書かれたわけなので、それも根拠にあるのかなと思うのですよね。ちょっとうろ覚えで申しわけないです。

 

〇西澤構成員

 確かに、最初の自立支援計画というような言葉が出てきたときに、すごい違和感があって、反応としては、それがならされてしまって純化してしまったというか、そもそもソーシャルワークのケースプランニングだったりとか、支援プランというのが正式には正しい。だけど、何か意図的に自立支援計画という言葉に多分誰かが誘導したのだと思うのですね。その辺の違和感を私たちは忘れてしまっているということだと思います。

 

〇奥山座長

 いや、違和感がないわけではまだないのですけれども。

 

〇西澤構成員

 自立支援計画は自立支援計画だと思ってしまっているので。

 

〇奥山座長

 そういう意味で、実を言うと、加賀美先生がおっしゃったようなことならば、なぜケア計画ではいけないのか。

 

〇加賀美構成員

 その心はケア計画なのですね。

 

〇奥山座長

 自立を目指すにしても、今のケアをどうするかが目的なので、ケア計画とソーシャルワーク計画の二本立てが本来なのではないかという気がします。

 

〇西澤構成員

 片仮名が嫌いだったら、社会福祉支援計画ですね。そうなりますよ。訳すとそうなるから。教科書にもそう訳してあるからね。

 

〇山縣構成員

 今の実態は、退所支援計画に近いのではないか。退所に向けてのプロセスとその後の短期間は見ているけれども、かなり長期に見ているわけでは決してなくて、目標が家庭復帰と書いてあったり、自立と書いてあるのは、施設から社会に出て行くというイメージ。だから、退所というところがどういうイメージで、退所に向けてどういうケアをしていくのかというのが実質の計画の中身になっているものが私は多いような気がしています。その言葉は使いませんけれども、中身的にはそういう要素がかなりあるのではないか。

 

〇奥山座長

 相澤先生、子ども自立支援計画ガイドラインなるものではどういうふうになっているのですか。どういうことを計画しろということですか。

 

〇相澤構成員

 計画の中身は、子ども自身の目標ですよね。自立するための課題と目標と、それから、家庭の環境調整の課題と目標と、地域のサポートシステムみたいなものをどうつくるかというようなものが自立支援計画の中で書くような内容になっていますね。

 

〇奥山座長

 井上先生。

 

〇井上構成員

 社会化の発達ということを絶対押さえて考えなければ僕はいけないと思うのですね。そのときに、子どもさんが自立される段階で、その子どもさんが自分の親のことをどのように考えて、どのように整理して、そして、今の自分はどうあるのかということを考えて、次に進んで行くということも含めたのが、僕は自立支援の中に入っていると思うので、その家族に帰れない状態になったとしても、帰れなくなった状態の親のことを、その子はどのようにその時点で整理しているかというところを楽にしてあげる作業も含めて自立支援と僕は思っていますので、藤林先生、その辺はどうでしょうか。

 

〇藤林構成員

 井上先生が言われることはもっともなので、それも含めた計画になるのですけれども、それをネーミングとして、自立支援というネーミングはやはり違和感がある。

 例えば乳児院でも自立支援計画をつくるわけですよ。乳児院の自立支援計画というのは、18歳、20歳を見据えての自立支援計画だと言えばそうなのですけれども、そこに何か違和感があって、単なるケアプラン、ソーシャルワークプランでもいいのではないかなとは思います。

 それは、我々、昨年度から、家庭移行支援係をつくって、長期入所児童のそれこそソーシャルワークプランをつくっていったわけなのです。施設の職員と我々のソーシャルワーカーとが一緒に話し合いながら、家族も呼んで、具体的な家庭復帰プランをつくっていくわけですけれども、ネーミングは大事かなと思っています。

 

〇奥山座長

 自立支援計画というのが余りに広まってしまっているのですね。本当に自立支援計画とは何なんだろうということを考えずにやっているような気もするので、井上先生がおっしゃったような、社会化ということは確かに必要なことなのですけれども、それはケアの1つとして考えることもできなくはないのかもしれない。だから、子どものケア計画と言うのか、発達支援計画と言うのか。

 

〇相澤構成員

 そういう議論もちょっとあって、私は国立にいた最後の年に「子ども育ち・育てプラン」ガイドをつくったのですけれども、その名称を考えたときに、この「育ち・育てプラン」というふうにしたわけですよね。要するに、子ども自身の育ちも、育てるその環境も含めて、プランをつくるというようなイメージで、この「育ち・育てプラン」というふうにしたのです。

 

〇加賀美構成員

 自立支援研究会ということですね。

 

〇奥山座長

 ということは、皆さんの意見としては、どちらかというと、自立支援で一本化で全部やってしまうのはとにかく良くないだろうと。

 

〇西澤構成員

 言葉としての問題ですね。

 

〇奥山座長

 言葉の問題として。ただ、言葉があって、中身がイメージができる状態にする必要もあるでしょう。今のままの自立支援計画で、名前だけ変えるのか。それとも、さっき言ったように、二手に分けて、子どもの発達を支援するケアの在り方を見るケア計画とソーシャルワークの計画というふうに2つに分けるのか。

 

〇西澤構成員

 それは、別に一本でいいのではないですか。

 

〇奥山座長

 1つかもしれないですけれども、両方が入っていることを意識しなければならないと思います。そうだとすれば、それがわかるようにしておいたほうがいいだろうと考えます。

 

〇西澤構成員

 今でさえ、現場は何を書くかわかってないですよ。

 

〇奥山座長

 それでは困るという。

 

〇西澤構成員

 では、自立支援計画に子どもの目標と書いているというのは結構あるからね。支援計画だということが意識化されてない。何をするか、どういう支援をするかということが意識化されてないので、子どもはみんなと仲良くするのが目標みたいなという状況なので、そこをもう一回整理して、こういうふうにやるのですよというのをちゃんと提示するのだったら、そのときにやればいいと思います。

 

〇奥山座長

 藤林先生がさっきおっしゃっていたことを考えると、今、自立支援計画というのは、何か施設の中だけで書かれていて、児相とは共有はしているということにはなっているのですけれども、それをもとにソーシャルワークを児相が考えているというイメージではあまりありません。一致した計画が立てられるようなことは必要なのではないかと思います。

 

〇松本座長代理

 今、奥山先生が御指摘されたことに基本的に賛成という立場です。

 自立支援というふうにまとめてしまうとちょっとわかりにくいと。子どものケア計画だと、育てている施設なり里親さんなりが主体になってどうするかというふうに立てて、それに必要に応じて外部の方に協力をどういうふうにもらうかという形になってくると思うのですね、立て方として。

 全体の退所後も含めて、あるいは家族関係の調整も含めたソーシャルワークという観点で言うと、立てる主体はむしろ児童相談所であり、マネージをするところが主体で、これをやるために養育しているところもどういうふうにこれに協力するか、あるいは、共同するかという観点で立てると思うのですね。

 この2つはかなり考え方なりが違うので、同じシートに張るかどうかは別にしても、ちょっと整理をした上で、どっちが主体になって共同するのかということを考えたときに、これはちょっと整理をしておかないとまずいだろうと思います。

 

〇奥山座長

 伊達先生。

 

〇伊達構成員

 ちょっとわかりにくいところですけれども、基本的には、児童相談所がいろいろな通告を受けたり、いろいろなことで、家庭に出かけて行ったり、介入した後に分離方法をしてくるというところから、ほとんどのケースは、社会的養護や代替養護が始まっていると思うのですね。

 だとすると、分離保護をしなかった問題、分離保護したがゆえに、その後よくわからないようになってしまう問題、この二通りあって、児童相談所ではなくて、施設が支援機能を持ったり、あるいは、児童家庭支援センターが支援機能を持って、そこで書かれる自立支援計画みたいなもので済むということではなくて、その児童相談所の分離保護したということから出てくる、その後の経過についてきちんと児童相談所がソーシャルワークとして押さえてくれないと、措置制度そのものが意味をなさないのではないかなということになってしまうのではないかなと思うのですけれども、そこら辺はどうでしょう。

 それはどんどん曖昧になってきているような感じがするのですね。ある意味、人手が足りないというのもあって、児童相談所がどこかに措置をすればいいということではなくて、措置をした後、一緒にずっと退所まで、あるいは自立まで並行してつき合うというふうな形の仕組みみたいなものが今一番欠けているのではないかと思いますね。

 

〇奥山座長

 毎年なり何なり計画を立てるというのが児相は、藤林先生、そういう形になっていますでしょうか。

 

〇藤林構成員

 なっていますよ、書類上は。

 

〇奥山座長

 「書類上は」なっているのですか。

 

〇藤林構成員

 書類上はなっていると言ってしまいましたけれども、本当に入所児童の個々に対して、家庭復帰の可能性とか、または、里親委託の可能性とかを十分な時間をかけてできているのかどうかというのは、多分、児童相談所によってばらつきはあるのではないかなと思います。

 正直言ってしまいますと、福岡市は、長期入所児童については、そこに十分なマンパワーはかけていなかったというのが今回の反省なのですね。結局、そのまま長期化していた。そういった長期化していた子どもに対して、十分な担当ケースワーカーを配置して、一人一人の計画をもう一回見直していく、アセスメントしていく、交流が途絶えている親に対しての働きかけを行っていくということで、昨年度、15人の子どもが里親委託なり、家庭復帰していったわけです。それは福岡市だけなのかもしれないのですけれども、どこの児童相談所でも、もし、ここにマンパワーをかけるのであれば、社会的養護に措置された子どもに対するマネジメントの仕組みをどこかで明確にしていく。これは里親家庭も同じだと思います。里親委託して、それで、ああ、よかったなということではなくて、里親委託した子どもさんの家庭復帰についても、保護者との交流についても、しっかりと最初に計画を立て、その後、マネジメントしていくことも重要かなと思います。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 「児童相談所運営指針」の中には、どのように書かれているのでしょうか。事務局、何かわかりますか。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 すみません。ちょっと今すぐには応えられません。

 

〇奥山座長

 了解しました。

 

〇相澤構成員

 このガイドラインをつくったときは、児童相談所は施設には援助指針を送ってくるわけですよ。援助指針というのは、ある意味ですごく簡単に書かれているような内容が多いのですね。局内に設置した児童自立支援計画研究会で、このガイドラインをつくったときには、自立支援計画の様式と全く同じ援助指針の様式をつくったわけです。というのは、どうしてかというと、入所したときは、子どもの状態が全然わかりませんから、そこはきちっと児童相談所としてどういうふうに子どもについて支援をするのか、それをきちっと示してほしいという意味で、様式を一緒にしたのです。

 私は、それが入所前からもそうですし、退所した後も継続的に子どもを支援することになるでしょうから、児童相談所、施設で策定するプランの様式としては、ずっと継続できるような同様の内容であり、それを活用してソーシャルワークを進めていくことが必要ではないかと思います。

 

〇奥山座長

 今のお話を伺っていると、家庭復帰は、もしくは、パーマネンシーということを目指したソーシャルワークをやるということになったらば、年1回では少ないと思うのですけれども、児童相談所がその子のソーシャルワークをどうしていくのかという計画を、半年なり1年何なり毎にきちんと立てて、家庭との関わりがどうだとか、そういうことを含めたソーシャルワークプランですよね。それを施設と共有していくということは、当然必要にだ思います。ただし・・・。

 

〇加賀美構成員

 今、相澤構成員からのお話で、一緒に児童自立支援計画研究会で議論をしたときに、児童相談所から自立支援計画という名称にするべきだということを私は強く主張した一人なのです。ところが、児童相談所は、施設と同じ名前では嫌だというのがどこかあったのかもしれないけれども、援助指針という言葉で。でも、中身は一緒。よくわからなかった。つまり、さっき伊達構成員から話があった、措置権者が措置をして、社会的養護をラインに載せていくという責任のその計画書をまず立てると、そういうもともとが立ててなくて、その到達点も、何も、展望もないままに措置をしていく。そういう構造がさっき藤林構成員からあった話。

 つまり、そこまでの見通しを立てたケアをしていくような仕組みとして、今後どうするのかという話は、この自立支援計画なるものと関連するような気がするのですね。児童相談所はきちっとソーシャルワーク計画を立てて、そして、どこまでというようなことであれば、そこまで含めた構造改革をしておく必要があるだろうなと思います。少し横道にそれた話になってしまいまして、恐縮です。

 

〇奥山座長

 重要な点だと思うのですけれども、山縣先生、児童福祉司研修の中に入っていましたか。

 

〇山縣構成員

 援助のほうは入っています。自立支援は入ってなかったような気がします。

 

〇西澤構成員

 入ってなかったと思います。

 

〇山縣構成員

 あくまで、児童相談所の職員研修だから、中身は同じにしても。

 

〇西澤構成員

 今、皆さんのお話というのはよくわかるし、児童相談所は最初のソーシャルワークプランをちゃんと出して、それとケアワークなり、ケアプランと。それがマッチして、やはり児相がやるべきですねと言ったとたんに、何か全国のケアの質ががーんと落ちるような気がして。

 実際上、今までの流れは、児童相談所にはできないと。だから、養護施設に家庭支援専門相談員とか、全体の流れとしてはそっちに来たわけじゃないですか。養護施設の治療機能というか、支援機能を、それまでは本当にケアワークだけだったのが、ソーシャルワークに広げたり、心理士を置いたり、これは要は児童相談所ができないから、仕方ないよねという形で我々は飲み込んできた。実際に優れた支援計画を立てているところはあるじゃないですか。それをもう一回児相に戻しましょうと。原理原則はわかるのですよ。

 

〇奥山座長

 私がさっき「ただし、」と言いかけたのはそこで、児相が本当にできるだけのキャパがあるのかというところなのです。

 

〇西澤構成員

 それは、児相の専門性のワーキングと連動する部分で、実際に、今、スーパーバイザー研修をやってみて、何人もの方々が駆り出されて行ったと思いますけれども、あ、スーパーバイザーという名前の素人さんだったんだとみんな感じたと思うのですよね。この程度の専門性のところからどうやって引き上げるのだろうというのは、現実的には大きな問題ですよね。

 

〇奥山座長

 そういう意味で、児相がそれを本当に全部担えるのかというところは議論しなければならないと思っています。児童相談所は全部抱え込んでいくと、全て大変になることになるので、できるだけアウトソーシングができるところはしていったほうがいいと考えるとすれば、例えば施設に入所している間は、どこかにお願いしてソーシャルワークをやってもらって。

 

〇西澤構成員

 どこかですよね。

 

〇奥山座長

 今は、施設がやることになっているわけですけれども、もしそうでないとしたら、どこかのNPOなのかもしれない。児相との連携が難しくなる可能性はあるのですが、そのときに、全体のまとめをしていくということになると、これは児相以外にできないという事実もありますね。

 相澤先生。

 

〇相澤構成員

 基本的に、国立児童自立支援施設の子は家庭調整がなかなか難しいのですよ。離れちゃうから。それは児相にお願いするわけですね。必ず計画を立てたときに、児相さんにこれでいいですか、児相さんにやってもらいたいことはこういうことなのですということで、公文書を送って、向こうできちっと検討をしてもらって、返してもらう。そうしないと、結局、家庭環境調整なんかはできないわけですよ。そういう意味では、そういう進行管理するのは児相さんなのですよ。そして、出た後は、児相さんが基本的にずっと支援なりケアをしていくわけですので、そこはきちっと児童相談所に担ってもらわないと私はいけないと思います。

 

〇藤林構成員

 私は全く同じで、分離と在宅の継続的な支援ということをここで話し合っているわけですから、そうなると、できるできないはちょっと置いておいて、それはしなければならないと思うのですよね。実際に、国立の場合には、相澤院長の顔が目に浮かびますから一生懸命につくるわけですよ。それでできるわけですよね。では、児童養護施設の場合はできるのかできないのかというと、本当は十分なマンパワーがあって、きちんとしたスーパーバイズがあればできるはずなのですけれども、そこに現実としてはマンパワーがなかったというのはあると思うのですよね。

 

〇松本座長代理

 あと、もう一つ、例えば出た後、サポートするという資源もないし、発想もないから、計画をつくらなくても、18歳まで持っていったらいいわけですよ。

 もう一つは、在宅支援のところも、在宅のところをどういうふうに支援するかというふうな計画そのものが手薄だったり、ばらつきがあるので、出た後、例えば大きくなって、小学校を出たときに、それは大体の場合、在宅支援を継続するわけですね。そうすると、入る前は在宅支援がどうなっているかということと、出た後の在宅支援がどうなるかというのは、これはもう完全に同じ話なわけで。だから、入る前の在宅支援みたいなところの評価という方法を出したときに、それは一時的に代替養育に行って、また、家族に戻るということは連動するわけなので、そこをきちっとしましょうという話だと思うのですね。そうすると、自立支援計画という名称で、例えばこの子どもの獲得目標は何かということだけでいいのかと。そこは本来かなりばらつきがある形で、あんまり意識しないでもそこは何とか制度的に問われなかったところを評価しましょうというのが今回の方向だと考えたときに、もう一度どう考えるかという問題はあります。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 少なくともマネジメントというか、ソーシャルワークの部分は児童相談所がきちんとやる。だけれども、市町村にお願いして、残された家族のケアはその市町村のほうがケアをしているかもしれない。それから、入所をしているお子さんに対しては、もちろん施設との連携をきちんとしていかなければならないのですけれども、中心は施設になる、あるいは里親さんになる。ただ、そのときにいつも思うのは、お子さんが「私のソーシャルワーカーさんは」というのがしっかりとわかって、ソーシャルワーカーさんにお願いしたいことができるのが本来だろうと思うので、そこの業務量というのをどう考えるかというのもあると思います。

例えば児童相談所の担当者は、その子に対して一人ではなくて、例えば非常勤でもいいから心理士さんと必ず二人で行って、困ったことがあったらこっちの人に相談ができる。でも、全体のソーシャルワーク、マネジメントはきちんとソーシャルワーカーが全部担っていくというようなこともできるのかもしれない。その辺の工夫はかかなり必要になってくると思うのですけれども、山縣先生、児童相談所の在り方検討会において、ぜひこの辺のところもご議論いただきたいと思います。

 

〇山縣構成員

 ちょっと滞っておりまして、申しわけありません。

 

〇伊達構成員

 今、議論されているその原則論の部分ですけれども、そのことがきちんとしないまま、里親さんがよくて、その施設だめだというふうな議論の中でずっと進んでしまうとどういうことになっていくかという問題が非常に危惧されるわけですね。私なんかの立場だと、里親さんが例えば1、2週間子どもを預かってくれと言われたまま、その後のソーシャルワークをきちんとしなければ、数年その里親さんが何が何だかわからないけれども、ずっと子どもを抱え込まなくてはいけないというふうなケースだってどんどん出てくるわけです。外国も多かったのですよね。

 それを直していくというのをこの間やられていて、少しはましになっているだろうと思うのですけれども、そういうところを同じように、日本の場合も進んではまずいと思うものですから、その原則論はきちんと押さえておくべきだろうと思います。それがあって初めて次のところに行けるのだろうと思います。

 

〇奥山座長

 それはそのとおりで、2年ぐらいお願いしますと言われて、10年抱えた里親さんもおられます。それは良くない話なので、しっかりとしたソーシャルワークができていることは大前提だろうと思います。山縣先生よろしくお願いいたします。

 

〇藤林構成員

 児童相談所の在り方検討会でも発言しようと思っているのですけれども、児童相談所の児童福祉司の定数化が進んでいって、その場合に、虐待通告件数を加味するという計算式があるのですけれども、本来はその入口の部分だけでなくて、社会的養護に、代替養育に措置された子どもの数も児童福祉司の定数の計算式に当てはめていくべきではないかという意見を言いたかったということです。

 

〇奥山座長

 それは一つの提言ということになりますね。児童相談所の職員の適正な数をどう判断するかというのは、今までは人口何万人に対してという形だったので、前回の専門委員会のほうでは、職員の持っているケース数などのいろいろな考え方があったわけです。ただ、それをどう考えるかというのは非常に難しいところがあるので、今後とも検討をしていかなければいけないことだと思います。

 

〇井上構成員

 せっかくそれが出たので、山縣先生にぜひお願いしたいことは、児童相談所のケースワーカーさんが児童養護施設の担当の方と話をして、児童養護施設の担当の方たちが自分たちよりも子どものことをよく知っていると判断すると、児童相談所の方は足が向かなくなってしまうのですね。足が向かなくなって、次の交代になったときに、前の人は行ってないので、そのままでしたという格好でばたばたと体制が崩れていっていることはよくあるのです。

 僕は、必ず誕生日と新学期4月5月のとき、それから、運動会、文化会のときどちらか、そういうふうな全体の人との交流が見える場面と新しい適応の場面のところと誕生日の意味ということを考えて、それは必ず児童相談所のケースワーカーは行くべきだということを書くというふうにしないと、あと行かないのではないかという感じがするのです。ですから、ちょっと細かいのですけれども、そういう約束事の絶対大切なところを書いていただくのがとても大事ではないかなと思いますので、すみません、一つの意見ですけれども、よろしくお願いします。

 

〇奥山座長

 児童相談所の運営指針の改訂が残されていますので、そのときにはその点に関しても記載するよう、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今まで、施設のことについて議論をしてきました。1つは、小規模・地域化ということに関して、養護施設だけが割とターゲットになってきたのですけれども、心理治療施設も、児童自立支援施設もそういうことをしっかり考えていってほしいと。当然、そこも小規模化、地域化ということを目指すということ。

 それから、今の施設体系にこだわらないような多様な小規模をつくっていきたい。それから、これは将来的な問題になるかもしれないのですけれども、一つの提案として、子どものケア度に応じた措置費の考え方ということもできれば入れていってほしいというのがこちらの提案というような形が以前には出ていましたので、きょうの議論と一緒にして、また、最終的な報告書の中で書いていければと思います。

 どうもありがとうございました。

 

〇西澤構成員

 今のまとめでちょっと気になったのです。2回来れなかったので、小規模化というのは前面に出ていたけれども、個別化がとても大事だと思うのです。

 

〇奥山座長

 そうです。個別化は非常に重要なので、個別化は全てにおいての大前提です。

 

〇西澤構成員

 確認です。すみません。

 

〇奥山座長

 最後、最初に申しましたように、子どもの権利擁護に関する在り方について、事務局のほうから御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

〇事務局(大宮総務課企画法令係長)

 事務局のほうから、「子どもの権利擁護に関する取組等について」ということで、参考資料2になりますけれども、御説明をさせていただきます。過去の提言や附帯決議、それから、各自治体の取組事例について簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。

 参考資料2ですけれども、1ページ目をおめくりください。平成28年3月の社会保障審議会児童部会に置置かれました「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会 報告(提言)」でございまして。こちらで子どもの権利擁護に関する仕組みについて提言がなされております。こちらは、昨年の法改正でも児童福祉法に児童の権利が明記されておりますけれども、自分から声を上げられない子どもの権利が保障されているかというのを監視するために、第三者性を有する機関の設置が求められているとされております。一時保護とか措置に対して親は争う手段を持ちますが、子どもにとってその手段はほとんどない状態ということでございまして。国連の子どもの権利委員会でも、監視機関の設置ということで勧告がなされてきております。自治体レベルでは、後ほど御紹介させていただきますが、子どもオンブズマンなどの設置がありますけれども、国レベルでは、そのような機関の設置はなされていないという状況でございます。

 国レベルですと、省庁横断的な協議が必要になるので、第三者機関はなかなか難しいとなされておりまして、まずは子ども福祉に精通した専門家が集まります都道府県児童福祉審議会を活用して、子どもの権利擁護の役割を担うということをこの提言では構想されております。

 具体的には、子ども本人もしくは要対協などの関係機関からの申入れを契機として、職権で審議すべきケースを取り上げるということで、個別ケースには利害関係を有する者が調査審議に加わらないこととして、必要があれば、助言あるいは勧告を行うことになっております。

 その制度改正の時期についてですけれども、子どもの権利擁護に関する仕組みを創設すると、都道府県児童福祉審議会を活用するというのは直ちに実施すべき事項ということになっております。

 次に2ページ目をおめくりください。こちらは昨年の児童福祉法の改正法のときに附帯決議がなされているものでございます。内容は重複しますけれども、自分から声を上げられない子どもの権利を保障するため、子どもの権利擁護に係る第三者機関の設置を含めた実効的な方策を検討することとされております。

 それから、参考になりますが、昨年の法改正で、児童福祉審議会について制度改正がなされております。具体的なケースについて実情をより正確に把握し、児童自身の権利を擁護していくという観点から、1つ目として、児童福祉審議会は、関係者に対し、必要な報告等を求め、その意見を聴くことができるということになりました。それから、2つ目の改正として、児童福祉審議会の委員の要件に、その権限に属する事項に関し、公平な判断をすることができる者であるということを追加されております。

 次に3ページ目をおめくりください。そもそも都道府県児童福祉審議会はどういったものかということですけれども、都道府県児童福祉審議会は、児童、妊産婦等の福祉に関する事項を調査審議し、都道府県知事の諮問に応え、または関係行政機関に意見を具申するということをされており、特に必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、職員の説明や掲出等を求めることができるとされております。

 所掌事務については多岐にわたっておりまして、出版物の製作者への勧告といったものから、2か月を超えた場合の一時保護の際の意見とか、それから、被措置児童等虐待の通告・届出の受理とか、それから、児童福祉施設の事業停止命令に当たっての意見、里親の認定に当たっての意見、こういった幅広い事務を担っているところでございます。

 児童福祉審議会の構成員ですけれども、各県によって違いますけれども、主に学識経験者、弁護士、小児科医、精神科医、社会福祉法人の施設長等の関係者で構成をいたしまして、20名から30名程度で、それぞれの審議事項に応じて部会を設置して、部会で定期的に議論を重ねていくということが行われております。

 次、4ページ目をおめくりください。次の3枚ですけれども、子どもの権利擁護に関して、既に各自治体においては先進的な事例がございますので、そちらについて御紹介をさせていただきます。

 まず1つ目ですけれども、川西市子どもの人権オンブズパーソン制度でございます。こちらは平成1012月に公的第三者機関として、日本では最初に創設されたものでございます。電話や相談室などで相談活動を行ったりとか、それから、教員や保護者との対話の橋渡し役になる調整活動、それから、人権侵害からの救済を図るために、調査・勧告・意見表明というものを行っております。それから、週1回程度、オンブズパーソン会議、研究協議といったものを行っております。

 それから、同じ兵庫県でありますけれども、宝塚市でも、同様に、子どもの権利サポート委員会ということで、委員会で子どもの権利擁護について議論がなされております。

 それから、一番下ですけれども、県単位でも同様の取組がなされておりまして。埼玉県ですと、子どもの権利擁護委員会(子どもスマイルネット)ということで、平成14年に条例が制定されておりまして、こちらで調査専門員が面接相談を行って、同じように、調査・調整活動を行うということがなされております。

 続きまして、5ページ目をおめくりください。次は北海道札幌市になりますけれども、こちらの子どもアシストセンターというものが設置されております。こちらは電話相談のほかに、例えばメールでの相談を受け付けておりまして、救済委員が必要と判断した場合には、こちらも勧告とか意見表明、是正要請等を行っております。

 それから、下の世田谷区ですけれども、せたがやホッと子どもサポート(せたホッと)でございます。こちらでは、同じように、電話相談のほか、面接、メール等でも対応しておりまして。それから、キャラクターなどを用いまして、広報啓発活動を積極的に行っているというものでございます。

 それから、次のページになりますけれども、福岡県宗像市でも、同じように、むなかた子どもの権利相談室「ハッピークローバー」ということで、こちらも広報活動を積極的に実施しておりまして、具体的には、小中学校の全職員に対して研修を行ったりとか、それから、子どもに対して、毎年、小中学校全校で、権利に関する授業を行っているところでございます。そういった授業のほかにも、アウトリーチ型で相談・援助活動も積極的に行っているということでございます。

 今まで御紹介させていただいたものは、基本的には、いじめとか、学校における問題の相談を主に受付をしているのですけれども、神奈川県の子ども人権審査委員会は主に児童養護施設等における悩みとか、相談を受け付けているものでございます。こちらの神奈川県では、平成1010月から、子どもの人権審査委員会を設置しておりまして、そこで中立的な立場から審査するという取組がなされております。児童福祉施設等に「子どもの権利ノート」を配布いたしまして、それを神奈川県の療育相談センターに送ると、本人もしくは必要に応じて関係者を含めて、聞き取り調査をして、どういった方策が考えられるかということで解決策を相談していくという取組でございます。こちらは、子どもの人権審査委員会は、平成28年8月から、児童福祉審議会の権利擁護部会として、児童福祉審議会の下に位置づけられまして、ここで児童福祉審議会と子どもの人権審査委員会の連携が強化されております。

 以上が、各自治体の主な先進取組事例でございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

 

〇奥山座長

 ありがとうございました。

 いろいろなところの人権擁護委員会、子どもの権利擁護委員会を集めていただいたのですけれども、どちらかというと広い形でやっているところが多いということです。前回の専門委員会の中で出てきたことに関して言いますと、将来的には、そういう全体の子どもの権利ということを守るところは必要だけれども、今回は福祉に関してということで、さらに言うと、長崎でお子さんが保護されなかったということで訴えが起きたり、それから、相模原で保護されなかったことによって自殺が起きたりという事件がございまして、本当に児相が子どもの権利を守っているのかということを、子ども自身もしくは子どもの代弁者になるような関係機関が社会福祉審議会に申請をして、調査をしてもらうということが一つの話だったと思います。ということは、ここに書かれているのは、神奈川が多少福祉に限っているということはありますけれども、子ども側から本当に児相が権利を守ってくれているのかというところを、子どもの代弁者を含めて受け付けているというわけではどうもなさそうなので、新たなものをつくっていくと考えるしかないと思います。そういう意味で、このことについて事務局に余り御質問をしても限界があるという気はするのですけれども、もし、何かどうしてもということがあれば、御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。

 

〇西澤構成員

 1つ教えてもらいたいのです。僕は不勉強で。児童福祉審議会の委員の任命はどういう形でされているのですか。

 

〇奥山座長

 事務局のほうは答えていただけますでしょうか。

 

〇事務局(大宮総務課企画法令係長)

 児童福祉審議会の委員の構成については、県で選任をしております。

 

〇西澤構成員

 ということは、簡単に言ってしまえば、お手盛りのものが可能ですよね。今、今回の法改正では、児童福祉審議会にオンブズパーソン的な役割をある程度持たせようということだったので、そこの例えば人選の第三者性を今よりも上げるためにはどうしたらいいかというのは考えるのが1つ現実的ではないかなと思います。

 

〇奥山座長

 それに関して言うと、委員の要件に、その権限に属する事項に関し公正な判断をすることができる者であることを追加しています。

 

〇西澤構成員

 そうなのですけれども、そんなものは何の役にも立たないので、今のやり方は、都道府県に任せていますだとしたら、その任せ方を考えるとか、最低限こういう条件が必要だとかというのを出すほうが現実的ではないですか。具体的に、今どうすればいいかというのは、ちょっとアイデアが浮かばないので、聞いてみたのです。

 

〇奥山座長

 1つはそれだと思うのですけれども、もう一つは、今は、例えば関係機関、子どもからということを受け付けてないのですね、児童福祉審議会は。調査してくれということを。それを受け付ける方策を考えていかなければならない。

 

〇西澤構成員

 組織を第三者性を持たせるにはどうしたらいいか。まず、そこが一番肝ではないかなと思います。

 

〇奥山座長

 第三者性を持ったとしても、その受け付ける仕組みができてこなかったら、誰もそういうのを上げてこないのだから、第三者性の意味がなくなるのではないですか。

 

〇西澤構成員

 いやいや、そうではなくて、今ここでやっているような内容も全部、これは第三者機関として本来やるべき内容なわけでしょう。ここの書いてある役割。

 

〇奥山座長

 どの部分ですか。

 

〇西澤構成員

 これ全てではないですか。だから、県の意向が今は働き過ぎているので。

 

〇奥山座長

 児童福祉審議会の所掌事務全部という意味ですか。

 

〇西澤構成員

 全般にわたって。

 

〇奥山座長

 そういう意味ですか。

 

〇西澤構成員

 はい。

 

〇奥山座長

 ということは、公平な人を選ぶその手順ということが1つ。それから、子どもあるいは関係機関からの申請を受け付ける道筋をつくると。この2つのことを考えていかなければならないということですね。

 

〇井上構成員

 これは確認ですけれども、いつも国のほうはされているのですけれども、実態調査みたいなものは、この審議会に関してはされていますか。例えば、年間に何回開いているとかですね。

 僕は一番大事なのは、知事の開くものですので、保護されてしまった子どもさん、親子分離されてしまった子どもさんの実際の実名とかそういったものが、いつから入っているのかという、そういう基本的なものをその担当の委員会の先生方が把握してないと、意見を出しようがないのですよね。私は実際行かせてもらうと、児童相談所から、時間が限られていますのでということで、2時間ぐらいの中で、決められたケースが出されて、それ以外のものは大体こんなものですと言われて、「ああ、そうですか」で終わってしまうということが本当の話なのです。

 ですから、それだと、残念だけど、今回、目的としているものでは成り立たないから、そういったところの実態の調査を一回していただいて、それで、改善すべきところ、どういうところを見直さなければいけない、どういう温度差が県によってありますよというところを出していただくと、次に進むのではないかなと思いますので、もし、わかりましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

 

〇奥山座長

 そうですね。この中でも、多分、児童福祉審議会の委員をされている方は結構おられると思うので、何か御意見はありますでしょうか。

 

〇相澤構成員

 私はある都道府県の児童福祉審議会の委員をやっていますけれども、やはり限られた時間の中で、今、井上先生が言ったようなことになるわけですね。ですので、私のペーパーで18ページですけれども、独自に審議会の中に西澤先生が言ったような第三者性が担保できるような人選をした、「子ども家庭」まで入れましたけれども、子ども権利擁護委員会をきちっとつくって、そういうことが対応できるような委員会をつくらないと難しいだろうなというのが1点ですね。

 それから、例えば、この子ども権利擁護センターと上のほうに書いてありますけれども、実際に子どものところへ面接調査に行くような、そういうことをしないとなかなか本当に子どもの権利擁護につながらないので、そういうセンターをつくるべきだろうなと。私は、例えば、NPO等でつくる第三者性が担保できるような、児童家庭支援センターみたいなものをつくって、そこを児童権利擁護センターに指定して、そういうところが訪問調査するような、そういうシステムをつくったらいかがかなというふうに個人的には思います。

 

〇奥山座長

 ありがとうございます。

 ほかに御意見はありますか。

 相澤先生の18ページの図は、入口はどうなるのですか。

 

〇相澤構成員

 子どもから相談をするという、子ども家庭権利擁護委員会に相談するというような絵と、それから、子どもとアドボケイトで、定期的に面接に行くので、そこでやりとりをきちっとするようなシステムという感じでございます。

 

〇奥山座長

 この形で相模原の事例の場合は悲劇を防げたでしょうか?

 それを考えたら、関係機関から上がってこなければ難しいと思います。ただ、関係機関から全部上げてしまうと、それが、また、数が多くなってしまうので、それをどうするかという問題があると思います。

 それを考えるとすれば、1つの案としては、要対協で議論をして、必要なものを児童福祉審議会に上げるというルートを考えるのも1つではないかと思います。例えば、学校が不満に思ったら、全部審査が必要という形になると、かなり大変になってしまうかなと思います。

 そんなことの検討をしていかなければいけない。形を検討していかなければならないのだと思います。

 もう一つ、子ども家庭権利というのはないと思うので、子どもの権利だと思います。弱者を中心に権利は考えるべきなので。

相澤先生の図は確かに、おもしろいアイデアだと思います。これは部会をつくってくれということですよね。

 

〇相澤構成員

 そうですね。中にそういう委員会なり部会をきちっとつくらないと実質的には動かないだろうなと。

 

〇加賀美構成員

 現実的な話とすれば、児童福祉審議会にという方向で一応の議論があったと。となると、それが第三者性を担保できるようなものにするには、別動隊で、しかも、機動性のいいものにしなければいけないだろうという意味で、今の相澤案を練って、そういうものができるのであれば、その選任方法を提言するという方向でいかがでしょうか。

 

〇藤林構成員

 全国の児福審がどうなっているのかわからないのですけれども、多分、どこの都道府県でも政令市でも、被措置児童虐待の審議する部会なり、または、本体があると思うのですよね。大分県も多分そういう部会があると思うのですけれども、そこが、要するに、3号措置の子どもさんだけでなくて、在宅の要保護児童についても受けるというふうにするといけるのではないかなと思うのです。相澤さんの言っている部会というのはそういうことではないのですか。

 

〇相澤構成員

 私、この間会議へ行ってきましたけれども、児童福祉審議会の会議ということで、そのときにも、被措置児童虐待の事案が上がってきました。それも限られた時間の中でやっておりましたので、なかなか難しいなというのが実情であります。

 

〇西澤構成員

 時間を限ったらあかんじゃないですか。それは、事務局が全部仕切っていて、2時間でという、それは第三者性もへったくれも何もないわけでしょう。もう行政的に決めてしまっているわけだから。

 

〇相澤構成員

 おおよその時間が決められているということですので、もちろん延長はありますけれども、でも、基本的には限られた時間です。

 

〇西澤構成員

 事務局がヘゲモニーを持ってしまったらまずいということですよ。

 

〇藤林構成員

 先ほど、井上先生が言われたみたいに、都道府県、政令市の児福審の在り方が多分ばらつきがあって、神奈川県なんかはそうなっていると思うのですけれども、部会があって、小回りが効いて調査できるところから、ざっくりとしているところまであるのかなと。最低ラインを決めていくということではないかなと思うのですよね。

 

〇奥山座長

 まず部会をつくる。その部会の在り方、検討の仕方に関するガイドラインなり、マニュアルなりをつくるということは必要になってくるのと思います。相澤先生が書いてくださった、子どもの権利擁護センター(NPO法人など)という機動性のいいものをつくるというのは非常におもしろい良いアイデアだと思うのですけれども、こういうことをやってくれる人は結構いそうなものですかね。

 

〇相澤構成員

 そこまでは私は掌握していませんけれども、こういうことに関心を持って研究しているような児童福祉関係者はいます。

 

〇奥山座長

 そういう方々にお願いをしてみるということはあるのかもしれない。確かに、都道府県と違う人たちがある程度かむことによって、お手盛り的なことはかなり防げる可能性は出てくるのではないかと思います。これを参考にしながら、検討を加えていく必要はあるかと思います。

 

〇山縣構成員

 先ほど藤林構成員が言われた非措置児童と虐待の部分と、恐らく都道府県で言うと、もう一つこれに近い領域で言うと、援助方針のときの部会のようなものをつくっている審議会もあると思うのですよ。その辺を調整したら、どういう役割分担をしていくかというのを考えていかないといけないのが1点ですね。

 そうすると、次から次へ何かどんどんつくっていくと、「委員はいますか」というと、恐らくいないということになる。地方に行けば行くほど同じ人が出て行かざるを得ない構造になったときに、あんまり複雑につくり過ぎたりするのは、機能しなくなって、西澤構成員が懸念しておられるような事務局主導にどうしてもなるのではないか。その辺をもうちょっと現実的に考えなければいけないのではないかと私は思います。

 地方で委員をされている方は結構いらっしゃると思うのですよ。自分に対してその矢が今いっぱい飛んできていて、第三者性があるのかとか、事務局の傘下になってないかとか、そんな感じの議論も現実にはあるかもしれないけれども、皆さんそういう立場でやっていると私は思ってなくて、委員をやっておられる方にあんまり失礼な発言はここ数回ちょっと気になっていまして、どうなんだろうというふうに思っています。

 

〇奥山座長

 どういう意味ですか。この中でも委員をやっていらっしゃる方がいるので、少し御意見があればと思ったのです。

 

〇山縣構成員

 意見はいいのですけれども、その委員が不適切であると、いうたらそういう表現ですね。そういう言い方をすると、今、私がここに座っていること自体も不適切なわけです。事務局の意向に従って委員を依頼され、その意向がどうなっているかようわからんけれども、それを引き受けた。そのことについて国民一般の方々が、事務局の傘下にある人ではない、非常に中立的で、適正な人が選ばれたと思っているとは私は信じられない。だから、ある程度信頼をしていかないと、全部疑う形で仕組みをつくるというのはいかがなものかと、そういうことなのです。ある程度事務局も公平中立にやろうと努力をしているだろう。しかし、人材不足とかそういう要素もあるのではないかと、その辺のところが。

 

〇奥山座長

 多分、こういう検討会と、今回の権利擁護ということになると、かなり違う話だと思います。1例1例の権利擁護ということですから。そのときの公平性の担保は非常に大きな話ですね。子どもの命のかかる話ですよね。

 

〇山縣構成員

 では、公平性を担保できる委員がどんな人かというふうな話し合いになったときに、極端な言い方をすると、例えばですけれども、その当該県からは出せなくなってしまうということですね。ある程度現実的に考えたほうがいいのではないかと私は思っているという、それだけのことです。

 

〇奥山座長

 実際に法改正にあったように、実際に関わる人は委員に入れないということが1つと。もう一つマニュアルをつくるとしたら、委員会主導であるということだと思います。事務局主導をしないためには、さっきの時間にしてもそうでしょうし、それから、どういう話し合いの方向性を持っていくのか、どこに調査をするのかというようなことに関して、委員会主導でやるということのマニュアルをつくるの必要があると思ったのです。

 

〇山縣構成員

 そのことは全く否定しません。そのとおりでいいです。

 

〇山本内閣官房審議官

 今までの議論も踏まえまして、発言させていただきますと、個別の案件を取り扱うという性格を持つということになるということで、今回、法制的に措置しましたのは、この資料の2ページにありますような、委員の要件に、「公平に判断することができる者を追加する」ということであって、個別の案件を取り扱うときは、利害関係人は基本的にはその議論から外れていただくということになるわけです。そういうところで担保しています。

 あとは、この運営のやり方がすごく大事で、事務局の言いなりでやっているのではなくて、有識者としてそれぞれの委員が見識の高い方に入っていただくということで、具体的にどういう運営をしていくのかというのはマニュアルをつくっていく必要があるかと思います。

 今回、福祉の特に相模原の問題のようなところにきちんと応えていくためにということで議論が始まっておりますので、余り全分野に幅を広げずに、こういうピンポイントで、今問題になっていることを解決していくにはどうしたらいいかということで、幾つかの自治体を挙げてみて、少し違ったタイプのものを挙げてみて、やり方を検証してみて、それは調査事業のようなものになるかもしれませんけれども、先ほど井上先生がおっしゃったように、各県ばらばらなので、実態がどうなっているかというのもあるかと思いますので、そこら辺も調べて整理をしていきたいと思っています。そういうものを集めながら、最終的にはマニュアルづくりにつなげていきたいと思います。

 

〇松本座長代理

 私も児福審に関わっているので、自分が関わっているところを幾つかどうなのかということを考えながらですけれども、日常的にいろいろな意見を具申することと、個別案件のことについて、それでよかったのかどうかという検証をするというのは、大分役割が違うと思いますね。

 個別の案件について議論するというときに、県であれば、ほかの県からの委員も誰か入ってもらうとか、委員会のときに、臨時委員会のようなものをつくると思うのですけれども、そのときの構成のときに、特に田舎のほうへ行けば行くほど同じ人が出て来ざるを得ないということが現実的にあるので、もうちょっと広域に人材を融通し合うと言うと変ですけれども、よそから来ていただくというようなことをどれぐらい積極的に考えるのかということは、1つ第三者性の担保という点では大きいかなとは思っています。

 

〇奥山座長

 ありがとうございました。

 それも一つの案だろうと思います。

 よろしいでしょうか。

 ということで、意見が出てきましたので、それをもとにこれから形をつくっていくということになると思いますので、事務局のほうも御協力いただいて、よろしくお願いいたします。

 少し時間が過ぎてしまいました。申しわけありませんでした。事務局のほうにお返ししたいと思います。

 

〇事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 すみません。1点だけちょっと補足を。

 

○事務局(松崎総務課児童福祉専門官)

 先ほど、自立支援計画の件につきまして、児童相談所の運営指針にどのように書いてあるかという御質問がありましたので、御説明させていただきます。

 児童福祉施設、または里親への措置をする場合は、子どもへの影響指針、里親への措置による場合は、自立支援計画を作成し、それに基づき行われた援助に基づいて定期的に検証を行い、必要に応じて方針等の見直しを行うことと記載されています。

 実際、誰が作成するかということについての記載については、里親等へ措置された子どもの自立支援計画については、児童相談所が作成するとともに、定期的、かつ必要に応じて確認、評価をして、見直しを行う。自立支援計画は事前に子どもや保護者等に対して、児童相談所の案について十分に説明を行い、その意向を踏まえて、作成見直しをすることと書いてあります。

 里親さんについては、児童相談所が作成することになっています。児童福祉施設に対する措置が行われてから、児童福祉施設が子ども等の実態把握評価に基づき自立支援計画を作成するまでの数か月間は、児童相談所の作成した援助指針を自立支援計画として活用することも差し支えないと書いてありますので、児童福祉施設というよりは、措置された後は、児童相談所と話し合いながら施設が作成することになっております。

 

〇奥山座長

 援助計画というのは、どのくらいに一度書き変えられなければいけないのですか。

 

〇事務局(松崎総務課児童福祉専門官)

 定期的と書いてあるだけです。入所してからは短いスパンで評価していくと思います。

 

〇奥山座長

 ありがとうございました。

 では、これで会議を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)

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