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2017年3月28日 第15回 児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成29年3月28日(火)17:00~19:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用22会議室(18階)


○出席者

吉田(恒)座長 岩崎構成員 金子構成員 上鹿渡構成員 久保構成員
久保野構成員 杉山構成員 床谷構成員 林構成員 藤林構成員
峯本構成員 森口構成員 山田構成員 横田構成員 吉田(彩)構成員

○議事

○林補佐 定刻となりましたので、ただいまから第15回「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様にはお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、山本構成員から御欠席の連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付しておりますが、資料1-1、資料1-2、資料2を配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本検討会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。

 それでは、これより先の議事は吉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉田(恒)座長 皆さん、こんにちは。

 それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。

 恐れ入りますがカメラの撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

(カメラ退室)

○吉田(恒)座長 本日の議事についてでありますが、前回の検討会での議論を踏まえ、事務局からたたき台を修正いたしました資料1-1「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について(案)」、資料1-2「参考資料」が提出されておりますので、それをもとに意見交換をしたいと思います。

 まずは事務局から、資料の説明をお願いします。

○林補佐 それでは、事務局から御説明いたします。

 資料1-1「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について(案)」は、前回の御議論などを踏まえまして修正したものでございます。資料1-2「参考資料」は、これまで個別の論点について構成員の方々の御意見や関係者のヒアリングでお聞きした主な内容をまとめたもので、参考資料としてセットで取りまとめるものとなります。

 資料1-1に基づき、前回のたたき台から修正された点を中心に御説明いたします。大きく1から4に分かれており「1.はじめに」「2.基本的な考え方」「3.議論の整理」「4.今後に向けて」で構成しております。

 1ページ目でございますが「1.はじめに」において、昨年3月の「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告(提言)」などを踏まえ、特別養子縁組制度の利用促進のあり方を提言することを目指すものとしています。

 具体的には、年齢要件、審判の申立権、実父母の同意等の成立要件、子どもの出自を知る権利、養子縁組成立前後の養親や子どもに対する支援、行政と民間あっせん団体の支援体制の強化・連携・協働、養親候補者情報の共有の論点について検討を進めたところでございます。

 2ページ目の「2.基本的な考え方」においては、(1)のまる2でございますが、昨年の改正児童福祉法の趣旨に「子どもの最善の利益を優先して考慮し、児童の年齢及び発達の程度に応じて、子どもの意見を尊重するよう努めることとされたこと」を加えまして、(2)でございますが「国連の「児童の代替的養護に関する指針」(平成211218日国連総会採択決議)では、「児童が家族の養護を受け続けられるようにするための活動、又は児童を家族の養護のもとに戻すための活動を支援し、それに失敗した場合は、養子縁組(中略)などの適当な永続的解決策を探ること。」とされている」とされております。

 (5)でございますが、また、特別養子縁組と普通養子縁組の違いなどを背景に、できる限り多くの子どもが永続的な家庭において養育されるよう、子どもの福祉の増進を図る観点から、特別養子縁組制度の利用促進のあり方を検討するとしています。

 3ページ目の「3.議論の整理」において、先ほど申し上げた5つの論点について整理してございます。1つ目は「(1)年齢要件について」です。4ページ目になりますが、主な議論でございます。アですが、実父母の家庭で養育することが難しい子どもに永続的な家庭で養育される機会をより広く与えることができるようにするため、現行制度の年齢要件を引き上げることが考えられるとしています。

 ウですが、養子の上限年齢の引き上げの方向性として、例えば、原則の6歳未満及び例外の8歳未満の要件を区別しないで引き上げることが考えられる。具体的には、全ての子どもに永続的な家庭養育の機会を与えることができるよう、児童福祉法上の児童の範囲と同じ18歳未満とすることなどが考えられます。

 エでございます。また、養子の上限年齢を一律に引き上げるのではなく、原則6歳未満の要件を基本的に維持し、例外の8歳未満の要件を引き上げることも考えられるとしています。

 オは、あわせて、引き上げる場合、現行の養親の下限年齢や試験養育期間の規定についても検討が必要としています。

 続いて「(2)審判の申立権・実父母の同意等の成立要件について」です。現状と課題として、イの3つ目のポツですが、厚生労働省の調査によると、特別養子縁組を検討したものの成立に至らなかった事案において、養親候補者が見つかったが試験養育期間に至らなかった事案のうち、実親の同意が不明または実親が不同意であり、縁組の成立が不確定のため、断念した事案が2年間で31件、約6割ありました。このことなどの結果が示されております。

 なお、以上の調査結果は、特別養子縁組の手続を進めようと具体的に検討に入った児童相談所におけるものでありますが、児童相談所の取り組みに地域差がある現状を踏まえれば、さらに潜在的なニーズがあるのではないかとの指摘があるとしています。

 主な議論についてです。アについてですが、実父母の同意がない場合に民法第817条の6ただし書きに該当するか否かが見通せない中では、試験養育期間が順調に終わっても裁判所でその要件が認められず養親候補者の養育環境から引き離されるおそれがあるため、養親候補者による養子となる者の養育が不安定になる。実父母の同意が特別養子縁組の成立前に撤回される場合についても同様の状況としています。

 さらに、イでございますが、特別養子縁組の手続の中で実親に養親候補者の情報が開示される可能性があり、実親が子どもを取り戻しにくるのではないかなどの不安を養親候補者に引き起こしていること、子どもと実親との法的関係を解消するための申立てを養親候補者が行う必要があることなど、養親候補者にとって負担が大きければ大きいほど、養親候補者になろうとする者が限定され、特別養子縁組が抑制されてしまうおそれがあること。このため、特別養子縁組をさらに促進するためには、養親候補者の負担の軽減を図ることが必要と考えられるとしています。

 ウで、これらの観点に立って、当事者である養親候補者のみに申立権がある趣旨が、養親候補者が特定の子どもを特別養子として養育する意思表示を確実に担保することにあることを踏まえる必要があるとしています。

 一方で、民法が婚姻・普通養子縁組と親権喪失・特別養子縁組で異なる手続を定めていることから、特別養子縁組について身分関係と成立手続を区別すべきであり、必ずしも申立てが養子縁組の当事者に限られなければならないものではないとの考え方もあることも踏まえると、特別養子縁組の成立について、児童相談所長を申立権者に加える方法も考えられるとしています。

 8ページ目のエでございます。実父母の同意の撤回を制限する仕組みを入れる方向性については、例えば実父母の同意を書面による慎重な手続により得た上で、一定期間経過後は同意を撤回できない仕組みを設けることが考えられる。この同意に係る手続は公正証書によることが妥当であるとの意見がある一方、公正証書による手続とした場合、負担が重く逆に利用が抑制されてしまうのではないかとの指摘があるとしています。

 オですが、主に、実父母の確定的な同意が得られないようなケースに関しては、特別養子縁組の成立の手続を2つに分け、1段階目では子どもについて特別養子縁組を適当と判断する手続と、2段階目では特定の養親候補者の間の特別養子縁組の適否を判断する手続とすることが考えられる。加えて、第1段階の申立てをする者を養親候補者の負担を軽減するため児童相談所長とし、第2段階の申立てをする者を身分関係の形成をする養親候補者とした上で、第1段階で特別養子縁組が適当と判断された場合には、実父母の同意撤回を以後制限したり、実父母の権限を停止したりすることが考えられる。この場合、実父母の同意が翻されるなどして、試験養育期間が順調に終わっても、特別養子縁組の成立が裁判所で認められないことを懸念して、養親候補者が申立てを躊躇する事態を改善することにつながるというメリットがある。

 他方、第1段階で特別養子縁組が適当と判断されたにもかかわらず、第2段階で養親候補者が不在になるなどの理由によって特別養子縁組が成立しない場合もあり得るところ、第1段階以降の法律関係について、親権喪失・停止制度との違いなどの明確化を図り、子どもに不利益が生じないような制度設計にすべきという課題があるとしています。

 9ページ目、「(3)子どもの出自を知る権利について」です。現状と課題についてですが、今後、特別養子縁組の養子で成人になる者が増えるに従い、出自に関する情報を求める者の数は増えるものと考えられる。しかしながら、出自を知る権利については法律上規定がないために、国・自治体・民間において保障する情報の範囲が必ずしも明確になっているとは言えないとしています。

10ページ目の主な議論といたしまして、アでございます。戸籍・裁判所の記録・児童相談所の記録・民間あっせん団体の記録など、それぞれの個人情報保護の法令が存在することに留意しつつ、まずは出自を知る権利を守るために必要な情報の範囲についてコンセンサスを得る必要がある。その上でこうした必要な情報の収集及び管理について、現行制度においても、できることは早急に対応することが必要であるとしています。

 「(4)養子縁組成立前後の養親や子どもに対する支援について」です。現状と課題についてですが、11ページのウでございますけれども、昨年の児童福祉法の改正において、児童相談所の業務として養子縁組に関する相談・支援が位置づけられたことも踏まえ、特別養子縁組に関する広報・啓発や相談について、積極的に取り組むことが求められているとしています。

 主な議論についてですが、特別養子縁組は、社会的養護を必要とする子どもに対して適切な養育環境を法的安定性を確保した上で提供し得る制度であるため、このような視点から特別養子縁組家庭に対して、必要な継続的支援を検討する必要があるとしています。特に今後、仮に年齢要件の見直し等が行われた場合、新生・乳幼児ではない子どもの養子縁組が増えることも予想され、また養親が子どもとの関係構築や対応に困難を伴うことはこれまで以上に多くなることも想定されるため、養親が安心して子どもを養育し、子どもが十分に家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育される権利が保障されるよう、養親への研修や支援を充実させることが必要であるとしています。

12ページ、「(5)行政と民間あっせん団体の支援体制の強化・連携・協働・養親候補者情報の共有」についてです。

 現状と課題についてですが、ウの2つ目のポツですが、厚生労働省の調査によると、特別養子縁組が成立した事案のうち、特別養子縁組成立までに養親候補者に打診する際に生じた困難の中に、希望する養親候補者が1組しかおらず、複数の養親候補者から最善の候補者を選ぶことができなかったこと、里親に適合する者がいなかったこと等の意見があったとしています。

 主な議論についてですが、特別養子縁組に関する行政機関の体制について、各地方自治体における中央児童相談所等の単位で可能な限り一元化することが適当である。具体的には児童相談所と民間あっせん団体の養親候補者の情報について、民間あっせん団体の意向も踏まえ、可能な限り中央児童相談所等の単位で集約することが考えられるとしています。

13ページ、「4.今後に向けて」についてですが、本検討会の提言を踏まえ、特別養子縁組の利用の促進のあり方については、政府内の関係部局においてさらに検討を進め、結論を出すことを求めたいとしています。

 説明は以上になります。

吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 本日は、この検討会として、特別養子縁組制度の利用促進のあり方を取りまとめるための意見交換を進めたいと思っております。

 この資料1-1「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について(案)」は、前回、それぞれの構成員の先生方から各論点について御議論いただいた内容、また、これに加えて各先生方のお考えを反映しているものだと思います。

 ただいま御説明のありましたこの案につきまして、御意見がございましたら、御意見の対象である文言について個別に言及していただいて、具体的な案とそのお考えを示していただく。そして、意見交換をしたいと思います。また、取りまとめ案の参考資料となる資料1-2についても、御意見がございましたらお願いいたします。

 それでは、ただいまの資料1-1を中心にして、それぞれ先生方から御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 久保野先生、お願いします。

久保野構成員 1点は文言の修正ではなくて確認で、もう一点は文言に関して意見させていただきます。

 1点は、2ページ目の「2.基本的な考え方」の(1)なのですけれども、これは昨年の児童福祉法改正の趣旨を挙げているところで、まさに基本的な考え方ということですが、同じ部分が途中で取りまとめられました司法関与のあり方についてのこれまでの議論の整理にもありまして、そちらには、今回、新しく加えました2の子どもの最善の利益を優先、子どもの意見を尊重といったことが書かれていません。そこのバランスが悪いのが気になりまして、確認しておきたいのは、特に特別養子との関係で、これが重要だというよりは、むしろ振り返ってみれば、司法関与のほうでもこれは重要なこととして当然の前提になっていたのだということを確認させていただきたいということでした。

 とりわけ28条審判との関係で子どもをどう扱うかということは、少し議論が出つつも、それほど重点を置いてここで扱えなかったと思いますので、同じぐらい重要であるということを念のため確認のために発言させていただきました。

 もう一つよろしいですか。

吉田(恒)座長 続けてお願いします。

久保野構成員 もう一つは細かいところなのですが、4ページ目の年齢の要件のところなのですけれども、ウの2行目に「区別をしないで引き上げることが考えられる」となっていまして、以前はこれが「いずれも引き上げる」となっていたようなのですが、区別をしないで引き上げる案も一つあり、また、エで例外だけ引き上げるという案があり、恐らくもう一つ、両方をそれぞれ引き上げるという案があり得るというのが議論で出てきたところではないかと思いますので「例えば」とありますが、できれば区別をしないで「または、いずれも」でよいのかどうかわかりませんが、いずれもそれぞれ引き上げるという選択肢もあり得るというのは、ここは挙げたほうがいいと思いました。

 以上です。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 それでは、最初の2ページの(1)です。子どもの意見のところですけれども、特にこちらのほうについてだけ子どもの意見を尊重しようという趣旨なのかどうかということですが、事務局のほうではいかがでしょうか。

林補佐 司法関与と特別養子縁組でこの点について差異を設けるという意図はございません。

吉田(恒)座長 ということでよろしいですね。そういう確認をここでするということで、議事録にもそういう形で残していただくようにいたします。

 久保野先生、よろしいでしょうか。

 2点目の年齢のところですけれども、今、お話にありましたようなところで、ここに限定するかどうか。もう一度久保野先生のほうで修正案としての文言をいただけますか。例えばどこをどのようにという形で。

久保野構成員 もしかすると、本当はウが区別しない引き上げる案で、エとの間にそれぞれ引き上げる案と書くのがより正確なのかもしれませんが、もし差し支えないようであれば区別をしないで、「または」「それぞれ」、かつての表現は「それぞれ」でしたか。かつての表現と並べてはいかがかと差し当たり、「区別をしないで、または、いずれも」というのがあり得るかと思いました。

吉田(恒)座長 ウの2行目ですね。「例えば、原則6歳未満及び例外の8歳未満の要件を区別しないで、または、いずれも引き上げることが考えられる」で「いずれも」ということは、6歳、8歳、いずれも引き上げるという趣旨でよろしいのですね。いかがでしょうか。

 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 このいずれもというところは私が修正の御意見を申し上げたところなのですが、もともとの文章を見ていると、15歳に上げるとか18歳に上げるかという形でずっと文章が並んでいて、それぞれを引き上げるという形にはなっていませんでしたので、これは両方上げる案だろうということで、このような形で提案させていただきました。

 今の久保野先生の御意見は、むしろその次のエに、上限年齢を一律に引き上げるのではなくて、原則を置いたまま例外を上げるということと比べて、さらに、原則も上げて例外も上げるという形にむしろなるのではないかということで、エの後ろに、むしろ原則を上げる、例外も上げるというパターンもあるという形で併記してはどうかと思いました。

吉田(恒)座長 エの後ろということは、エの文章の最後につける。それとも、エとオの間にもう一つ入れるということですか。

床谷構成員 それはどちらでもと思いますけれども、エは原則6歳未満の要件を基本的に維持し、例外の8歳未満の要件を引き上げることも考えられるということで、「例えば」で話をしますので、そこの次の段階で、さらには、その原則6歳未満も、例えば8歳未満を原則に引き上げて、例外を15歳とか18歳まで引き上げるという考え方もあり得るというふうに並べるのが自然な流れではないかという気がします。

吉田(恒)座長 床谷先生、今のはエとオの間にということで、もう一度お願いします。

床谷構成員 エとオの間に、原則6歳未満を引き上げる。かつ、例外の8歳未満も引き上げるという案で、例えば原則を8歳未満とし、例外を15歳未満あるいは18歳未満とするという考え方もあり得る。

吉田(恒)座長 そういう御提案ですね。

床谷構成員 ただし、その場合、その上に「物心がつく前に」云々という部分との並び方が不自然ではないかというような、今、自分で申し上げてからその辺を思いつきましたけれども、そのあたりは整理する必要があるのかなとは思いました。

吉田(恒)座長 引き続き、この点につきまして御意見をいただきたいと思います。

 金子先生、お願いします。

金子構成員 確認なのですが、要するに、今、床谷先生がおっしゃったのは、ウというのは原則例外構造をそもそもやめるという案の話だと。エのほうは原則例外構造を維持しつつ、どちらか一方あるいは両方を上げるという案だという整理だということですか。ありがとうございます。

吉田(恒)座長 久保野先生、いかがでしょうか。

久保野構成員 私は途中に欠席させていただいていたことも多くて余り意見の分布を正確に把握しておりませんので、それほど強いこだわりはないのですが、今、金子構成員から御指摘があったような形で、原則と例外の区別をなくすということが適切かといった観点から議論がされて、その意見が割と強かったと見えるような書き方になると思いますので、そういう議論だったのかというのがちょっと気になるところです。

床谷構成員 そういう議論だったと思います。

久保野構成員 そうであれば構わないと思いますが、もし別立てで書くのであれば、ウとエの間、細かいところは後での調整になるかと思いますけれども、それ自体にそれほど意見として強いこだわりがあるということはございません。ただ、いろいろな選択肢があり得るという議論が出たのだということが正確に反映されるべきというだけの意見でございます。

吉田(恒)座長 それでは、今、床谷先生が御提案になったように、エとオの間に、原則6才未満を上げる。例外も上げていく。こういう文言をここに入れるという御提案ですけれども、御意見はございますか。よろしいですか。

 それでは、事務局でその案を入れていただくという形で、これによってよりわかりやすくなると思いますので、細かい文言はまた後ほど御提案いたしますけれども、まずは事務局で取りまとめということで御了解いただいたものといたします。

 ほかに御意見はございますでしょうか。今のところではなくて、ほかで結構です。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 用語の統一なのですけれども、養親候補者という言葉です。

吉田(恒)座長 例えば何ページのどこになりますか。

岩崎構成員 (2)の審判の現状と課題の中に「特別養子縁組の審判の申立ては、養親候補者によることとされている」というところから始まって、今回、この説明書は全部養親候補者が使われているのです。

 私の現場感覚で言いましたら、養親候補者は、我々は養子里親として登録されたあるいは認定された不特定な人たちの集団を養親候補者と普通は呼びます。だから、例えば、太郎君の養親としてどの養親候補者とマッチングするのかというとき、そこにオファーされたのがAさんとBさんとCさんだった。この段階は養親候補者でもいいと思うのですが、結果として、Bさんにこの子を託そうということになり、後に試験養育期間に入ると、これは養親となる者というふうに区別したほうがいいのではないかと思っているのです。

 なぜなら、養親候補者が申し立てるのではなく、養親となる者が特定の子どもの養親になりたいとして申し立てるわけで、候補者という言葉のニュアンスには、余り特定されない名称になるのではいかと思います。その子どもの養親となる者が申し立てるということだと思いますので、文章のありようによってちょっと微妙なニュアンスなのですけれども、できれば申立てにかかわるところは養親となる者に変えていただけるとありがたいと思います。

吉田(恒)座長 この点はいかがでしょうか。

 横田先生、お願いします。

横田構成員 今の御提案でいうと、民法の規定だと養親となるべき者です。

岩崎構成員 なるべき者ですね。

吉田(恒)座長 その言葉、要は、申立てをする者ですね。それがそういう文言として使われているという御提案かと思います。

岩崎構成員 さらに言えば、特定されることだと思いますので、私たちは養親となる者と言っていたものですから、確かに法文がどうなっていたのか・・・。

吉田(恒)座長 どうぞ。

大谷法務省民事局参事官 民法上、養親となる者になっていると思います。

吉田(恒)座長 なる者ですか。それでは、ほかのところにも同じように使われているところがあるかと思いますので、それらを区別するという意味で、また、条文に合わせるということで、養親となる者と。特に申立てをする者はその表記に改めるということで、お願いいたします。よろしいですね。ほかにいかがでしょうか。

 林先生からお願いします。

林構成員 最初の基本的考え方の2ページの(4)で、まず「社会的養護の選択肢の一つとして養子縁組制度があるが」という記載なのですけれども、現状では、普通養子縁組が社会的養護の選択肢としての認識がなくて、法制度上もそうした認識に基づいて、例えば統計上の出し方とかも、縁組に関しては除外していますし、事務局にお伺いしたいのは、今後、社会的養護の選択肢として、法改正あるいは統計の出し方等も含め、今後は社会的養護としての認識をより実体化させていくという理解でいいのでしょうかということがまずは1点目です。

 些末なことなのですけれども、(3)の最後に、認容件数は平成27年で542件と記載されているのですが、(3)の最初の文面は、社会的養護の場で暮らしている子どもたちの数がこれだけ多いのだと。それに対して縁組がそれだけ少ないのだということを論じているわけなので、そういうことでいうと、厚労省が行われた調査の単年度の児相を介して行われた認容件数に限定して約306件であり、1児相を平均1.5というふうにすると、もっと少ないという感覚が読めるのではないかと思いました。

吉田(恒)座長 そのような修正の御提案ですね。

林構成員 あとは年齢要件とか。

吉田(恒)座長 まずはここを先にやってしまいましょう。

 最初は、普通養子縁組を社会的養護の選択肢の一つとしてという表記でありますけれども、果たしてそういう捉え方でよろしいのかどうかと。修正するとどういう形が考えられますか。

林構成員 全く削除するのか、今後のことを含めて、こういう認識は我々が非常に主張してきたことでもありますので、それをより実体のあるものにしていただけるということを含めての記載なのかということです。

吉田(恒)座長 厚生労働省としてどういう方向かというよりも、この検討委員会としての見解でもあると思いますので、皆様方の御意見を伺いたいと思います。

 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 これは普通養子縁組の位置づけの問題だと思うのですけれども、私自身は社会的養護という言葉の中身がいま一つわかっていないこともありますが、例えば施設にいる子どもの家庭的養育が必要だという場面を私なりに考えますと、現行法では、年齢制限のために特別養子ができない場合には普通養子でその子を保護するということはあるわけですし、特別養子制度ができる前から普通養子は子の利益のために戦後に新しく生まれ変わったという形で、ずっとうたわれてきておりました。もちろん、実態は途中で税金の話も出てきましたように、違う使われ方がされているということはそのとおりですけれども、ここでは社会的養護の選択肢の一つとして普通養子縁組も利用できるという、本来はむしろそちらのための、子のための制度なので、普通養子制度があるということは残していただいても現状に即しているのではないかと考えます。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 この点はほかにいかがでしょうか。

 藤林先生、お願いします。

藤林構成員 前回もお話ししましたように、改正児童福祉法3条2の、いわゆる「家庭における養育環境と同様の養育環境」の中に、厚労省の方も、ここに養子縁組という形で書いているわけなので、当然、普通養子縁組と特別養子縁組を含んでいると理解していいわけです。ですから、今回の改正児童福祉法でここが明確になったと私は理解しています。

 ですから、厚労省の最新の統計を見ますと、「社会的養護の現状と課題」というよく出される統計の中にも、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」というふうにあえて2つの類型で分類されているというのが、考え方がより明確になって、普通養子縁組を一つの選択肢として活用していこう、というように明確になったあらわれとして書かれたのではないかと私は理解しています。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 この検討会としても、また、厚労省のこれまでの扱いというところからしても、この表記で矛盾はないのではないかという御意見ですね。ほかにいかがですか。

 岩崎先生。

岩崎構成員 矛盾がないと言えばそのとおりなのですけれども、せめて「普通養子縁組もある」と。「が」ではなくて「も」ぐらいにしてほしいと思います。

吉田(恒)座長 どうでしょうか。

 床谷先生、よろしいですか。

 「も」という言い方は、それほど普通養子縁組に社会的養護としての重きを置かない。

岩崎構成員 これから先のことを考えた場合に、普通養子で、私たちは五百何件やっていますので無視はできないのですけれども、だから普通養子縁組がというよりは、もうちょっと特別養子縁組に近づけられるような意味合いを普通養子の中でいかに持たせられるかというところも考えていただくために、あえて「も」ぐらいにしていただけるとありがたいというぐらいのことです。余り強くは主張いたしません。

吉田(恒)座長 よろしいでしょうか。よろしいでしょうかというのも変ですけれども、後で当然特別養子の話に移っていきますし、そちらのほうに記述としても重きが置かれておりますので、意味合いとしては「も」という位置づけも当然この中に含まれていると思いますので、ここは「が」にさせていただきます。

 それでは、林先生から御提案をいただきましたけれども、検討会として。

 久保野先生、お願いします。

久保野構成員 細かいことで申しわけないのですが、今、問題になっていた(4)の部分が、何か読んでいったときにつながりというか、具体的な文言の書きかえを直ちに言えないのですけれども、少し間で文章を切るなどしたほうがすっきりするかなと思いましたので、余計なことかもしれませんが、一言発言させていただきました。

吉田(恒)座長 特に具体的な御提案ということではないのですね。

久保野構成員 本当は提案したほうがいいと思いつつ、例えば制度がある。普通養子縁組と特別養子縁組を対比していると思うので「離縁も可能である。これに対して」とするとか、そのようなイメージです。

吉田(恒)座長 「離縁も可能である」で切ってもいいのでしょうね。次に、すぐに特別養子縁組と出てきますからね。ありがとうございます。

 では「可能である」で切って、明確にしましょう。

林構成員 今のこと、社会的養護としての認識ということで、こういう記載で私はいいわけですけれども、床谷先生の意見なども含めると、社会的養護そのものの定義というか、その辺も曖昧で、むしろ「要保護児童に提供する一つの選択肢として」というほうが、現状としてはより正確なのかなと思いました。

 でも、思いとしては、社会的養護をきちんと定義した上で、それを社会的養護として実体化させていくという今後の検討課題も含めてこういう書き方を、私としてはしてほしいという思いがあるのですけれども、事務局側の思いとしてこれを残されたということは、どういう思いでというのをちょっと確認させていただきたい。

吉田(恒)座長 事務局、御説明がありますか。

林補佐 この検討会でも社会的養護という用語が使われておりますけれども、この文章の中でもその延長線上として使っていると認識しています。

吉田(恒)座長 通常の意味での社会的養護の意味合いということですね。

林補佐 そうです。

吉田(恒)座長 よろしいですか。

 山田先生、お願いします。

山田構成員 ちょっと議論についていけていないのですけれども、先ほどの「可能である。」で「。」をつけてのところですが、久保野先生は、これに対して「特別養子縁組は」と対比させたほうがいいとおっしゃったのですが、座長は「可能である。」で「。」をつけておしまいという話だったのですが、接続詞は入れるのでしょうか。入れないのでしょうか。

吉田(恒)座長 入れなくて、私は、すぐ特別養子という言葉が伝わってくるので、文章の流れとしては、これに対してという意味合いも含まれますよねという意味です。

山田構成員 私は「これに対して」とか「一方」とか、対比する接続詞が必要だと思います。

吉田(恒)座長 特に私はこだわりませんので、そのほうがよろしいということであれば、皆さんもよろしいですか。では、それでよりはっきりさせるようにいたしましょう。ありがとうございます。

 ほかにございますか。別の点でまた御指摘がございましたらお願いいたします。

 先ほどもう一つありましたよね。失礼しました。2ページの(3)の一番下のほうで、数字のところの表記ですね。ここの数字よりももっと認容件数の表記の仕方で、対比ができるような表記があるのではないかと。もう一度お願いできますか。

林構成員 厚労省で行われた平成26年度、平成27年度のそれぞれ単年度の件数が304件と306件、児相を介して行われている。これを単純に二百何カ所かで割ると1.5ぐらいになるわけです。そういう記載をすると、より進んでいない実態が鮮明になるのではないかという御提案です。

吉田(恒)座長 ここでは、施設に3人以上措置されている子どもと、認容件数ですけれども、今の御提案だと、児童相談所がかかわった件数が。

林構成員 要するに「里親、児童養護施設等に3年以上措置されている子ども」と児相を介したケースに限られている記載なので、その整合性を考えると、児相ケースのみに後半もしたほうがいいのではないかということ。

吉田(恒)座長 両方とも児童福祉の場面での話としたほうが、より明確になるということですけれども、事務局、いかがですか。

林補佐 そういたしますと「一方で」と書かれているところの件数については、厚生労働省が調査したところによると、平成26年度、平成27年度の2年間で、児童相談所があっせんした件数が○○件数、1児相当たり何件であるというような数字を記載する。このように修正するという理解でよろしいのでしょうか。

吉田(恒)座長 よろしいですか。

林構成員 そのとおりでございます。

吉田(恒)座長 皆さんもよろしいでしょうか。

 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 司法統計を見て特別養子がこれだけ少ないということは、この検討会の最初からずっと言ってきたことなので、今の点を主とするにしても、この部分は削らないでいただきたいなと思います。

吉田(恒)座長 そうすると、今の床谷先生の御提案であれば、例えば「一方で、司法統計によれば542件であり、児童相談所での」という、今お話しになったものをこれにつけ加えるという御提案になるのでしょうか。

床谷構成員 つけ加えるというか、今、御提案いただいた児童相談所を介しての件数はこれだけであるとした上で「ちなみに」というか「なお」というか、全体で司法統計ではこれだけにとどまるというようにしていただいたらと思います。

吉田(恒)座長 司法統計を残すという点ではどうでしょうか。

 林先生。

林構成員 いいと思うのですけれども、根拠を一貫させて、厚労省が行った調査で公民合わせて各年度499492件というのがあるので、それに合わせたらいかがですか。司法統計でも構わないのです。

吉田(恒)座長 床谷先生の御意見としては、司法統計でこれだけの数しかないのだということをここに載せる。その目的というか、その御意図はどの辺にあるのですか。

床谷構成員 全体として、特別養子制度に対する利用の促進という点ですとか、児童相談所の体制づくりとか、そういうことも中心ですけれども、それ以外のことも含めて制度全体の見直しをしていくということがありますので、現行制度ではこの程度にとどまっているという形で、全体として示しておいたほうがよいのではないかと考えた次第です。

吉田(恒)座長 わかりました。

 それでは、ただいまの床谷先生の御提案も入れて、先ほどの林先生の児童相談所云々と。

 新たな提案でしょうか。

 森口先生、お願いします。

森口構成員 つけ加えたいのですけれども、この司法統計で把握されている542件というのも、実は、厳密には特別養子縁組の成立件数とは違って、恐らく過大で、本当はもう少し少ないのです。

 ですから、私は床谷先生の意見に賛成で、確実には把握できていないのだけれども、今のところ司法統計によるとおよそ542件。これは十分少ない件数なのですけれども、さらに林さんが御指摘になったように、はっきりと社会的養護だとわかる児相を通じて出てくる養子縁組ではもっと少ないのだということを、書く方がいいと思います。500件という数字は知っている人も多いと思うのですが、300件の方は知らないというのもあるので、両方書いていただくのは非常に重要だと思います。

吉田(恒)座長 林先生の御提案はこの後に入れたほうがよろしいですか。

森口構成員 それはニュアンス次第で。

吉田(恒)座長 どうでしょうか。

林構成員 どうですか。

吉田(恒)座長 藤林先生、お願いします。

藤林構成員 多分、司法統計による、全体として542件というのがあって、一方、児童相談所が扱っている件数が300件という流れの方がいいのかなとも思うのです。そうすると、「里親や児童養護施設に3年以上措置されている子ども」という部分を分けて書いた方がいいのでは。一緒に記載されていると、全然この事情を知らない人は、542件と300件の意味しているところがわかりにくいのです。特に、542から300を引いたら242件というのは民間あっせん機関が主に携わっているもので、児童相談所が関与していない部分がこの中に含まれてくるという説明がないと、一般の市民はわかりにくいのだろうなという気もするのです。これを1つの(3)の中に当てはめるのはどうかなという気がします。

吉田(恒)座長 この点に関しまして、ほかにいかがでしょうか。

 要は、実態として特別養子縁組、特に児童相談所が関与するものが少ないのだというのを際立たせる表記としては、この後のほうに児童相談所の件数をつけたほうがよろしいのでしょうか。それでは、事務局のほうで、先ほど林先生の御提案がありました内容を「平成27年で542件である」の後につけていただくという形で、修正をお願いいたします。

 ほかに今回の案につきまして、修正の御提案はございますか。

 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 まずは質問になるのですけれども、3ページの「3.議論の整理」のイの中の「また、養親は、原則として成立の審判時25歳以上でなければならないが、夫婦の一方が25歳以上の場合は、もう一方は20歳以上であれば足りる。養親となる者と養子となる者の間には、原則12歳以上(養親となる者の他方とは原則17歳以上)」で、これはどこに書いてあるものなのでしょうか。

 私は、特別養子法を何回も読んだと思うのですけれども、その中にはこの文言はなかったような気がしているのですが、ここはどこから引っ張り出されたものなのか、御説明いただければと思います。

吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 この部分は私が提案した部分ですけれども、これは条文に書いてあるというわけではなくて、子どもとなる者の年齢と養親となる者の年齢を足し引きすると、実質的にはこの年齢差を民法は保障している。明確に何歳以上という規定は置いていないのだけれども、実質的に6歳、8歳の高いほうと20歳、25歳の低いほうを足し引きすると、少なくともこれだけという形で提案させていただきました。

 これは年齢差を15歳置くかどうかという議論がこの検討会の中にありましたので、それの参考のために、ここで現状ということで提案させていただきました。

吉田(恒)座長 岩崎先生、いかがでしょうか。

岩崎構成員 余りに唐突だったので、正直ちょっとびっくりしました。衝撃です。12歳も17歳も余り納得はできないですよね。

吉田(恒)座長 でも、条文の組み合わせでこういうこと。

岩崎構成員 確かに条文で足し引きしたら、このように書かれてあったのかとちょっと思ったものですから、どこにこんなものが書いてあったのだと思っていたのですけれども、そういう操作をして、これを書き入れる必要性がありますか、床谷先生。

吉田(恒)座長 これを書き入れる必要性ですか。

岩崎構成員 15歳も私は余りピンと来ていないのです。15歳あいていればいいというものでもないような気がするのですけれども、例えば、50歳に0歳が養子として認められているのと、30歳の人が15歳の子どもを養子にするというのはどうだと。どちらの案も余り子どもにとっては、望ましい年齢差ではありません。そうしなければならなかった関係性の問題もあるかもしれないのですけれども、50歳に0歳が特別養子になっている例も実際にはあるのです。

 私は、それを是正するような形の親子の最大年齢差という文言を本当は入れたいのですけれども、これは本当に現実的なマッチングの中では、決められてしまうとすごく邪魔になるときがあるので、歯を食いしばって人間の常識に任せたいと、通常、裁判官も含めて我々の常識に準拠したいと思うので、そうすると、12歳や17歳、15歳という年齢を具体例化することが、余り意味があるのかなと思うのです。本当に書いてほしいのは親子の最大年齢差で、例えば40歳ぐらいが適当であるというものを本当は入れたいのです。

 親子の最大で、最大ですから最低としたら15歳もあり得るということになるのかもしれないですし、17歳もあり得るということになるのかもしれないのですが、そういうことになると、余り年齢を数字で入れ込むことに余り意味合いがなくて、書かれてしまうとそれにすごく振り回されそうな、ぎりぎりのときに、実際にマッチングするときに、通常、原則は12歳でいいらしいとか、17歳ならいいらしいとか、そうしたら、4550もいいかなとかいうような、数字で示されるということが、どのように我々の仕事の中にかぶり込んでくるのかなというのが気になってはいます。

吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 最初のたたき台では、最後の主な議論のアイウエオといったところに、養親の年齢や養親子間の年齢差のあり方について検討が必要だと書いてありましたので、年齢差のあり方については、最小と最大とがあると思うのですが、検討会の議論では、ヒアリングにもありましたように、年齢差のようなものは置いてほしいという意見は確かにありまして、最初はここに、現行法はちなみにこうなっているということを入れてはどうかとも思ったのです。これは議論ではありませんので、現状として実際にこうなっているということを参考までにということで置いてはどうかということで、これは子どもの年齢を18歳に上げるというところまで含めた案ですので、現行の、例えば20歳と18歳ということはあり得ないということをあえて示しておく必要があるのではないかと考えて、現行法も、少なくとも一回りの年齢差は置いているということぐらいの配慮は、法はしているということを暗示しておきたいということです。

 岩崎さんがおっしゃるように最大の差は、ドイツ法のように、親子関係にふさわしいという形の規定の仕方を置いている国もありますけれども、何歳以上であれば、例えば親子関係ではなくて、むしろ祖父母関係ではないかとわかるようなものは裁判所が排除するというような形は、条文に明確に置かなくても、現行法でも裁判所が配慮していることだろうと思いましたので、むしろ下のほうのことは書いておくほうがいいのではないかと思った次第です。

吉田(恒)座長 林先生、お願いします。

林構成員 今の年齢の下限と上限がちょっと混乱しているような部分もあって、5ページのオの「なお、仮に養子の上限年齢を引き上げることとする場合には、現行の養親の下限年齢の在り方や試験養育期間についても検討が必要である」で、多分、ここに相当する。岩崎構成員が言われているのは、問題としては上限のほうだと思うのです。

 下限を、原則12歳以上のところを20歳以上であればというのは、もうちょっと説明書きを入れて、基本はここを残しておく必要があるのではないか。それはオに対応する上でです。

吉田(恒)座長 今はここの部分だけで、先ほど床谷先生が御説明いただいた、現行法のところですよね。何歳以上の年齢差が保障されている。これは主な議論というよりも、現状はこうなっているという説明のところですから、ここは直しようがないのです。

岩崎構成員 何というか、こういう条文があったのかとちょっと思ったので、計算するとこうなるとか。

吉田(恒)座長 もしここをわかりやすくするのであれば「民法何条及び何条によれば」という表現にすると、唐突感はなくなるかもしれない。そういう修正でよろしいですか。

岩崎構成員 結構です。

吉田(恒)座長 久保野先生、お願いします。

久保野構成員 修正するときに、今、気になりましたのが、原則12歳以上というのは、最低12歳以上かなと思いまして、原則としては養親25歳の養子6歳で19歳となっているのではないかと思うので、最低ということかなと思いましたが、いかがでしょうか。

吉田(恒)座長 床谷先生、よろしいですか。

 大谷参事官。

大谷法務省民事局参事官 それであるとすると、括弧内も最低17歳ですね。

吉田(恒)座長 事務局、よろしいでしょうか。根拠条文何条ということ。

 森口先生、お願いします。

森口構成員 年齢の数字についてではなくて、その次の「実親子関係同様の年齢差が保障されている」という、この「実親子関係同様」という表現は必要かという質問です。12歳とか17歳は実親子関係同様の年齢差かと言われると、同様ではないし、もし同様だとすると、15歳から50歳までという、いわゆる女性が出産できる年齢が適当かと思うのですが、この表現が必要なのかどうかお伺いしていいでしょうか。

吉田(恒)座長 ここの部分を削除してはどうかという御提案と受けとめてよろしいですね。

 床谷先生、いかがでしょうか。

床谷構成員 参考までにまだ書いたらどうかということ。

岩崎構成員 12歳でも産むことはあるのですけれどもね。子どもが生まれることは現実にね。

吉田(恒)座長 ありますよね。

 床谷先生。

床谷構成員 私が事務局に送りました案は「現行法では、養親となる者と養子となる者との間には、15歳以上(養親となる者の他方とは17歳以上)の年齢差が保障されている」ということで、先ほどの原則もその後の親子関係云々もありません。

吉田(恒)座長 それでは、今、いただいた修正案で「原則」を「最低」として、実親子関係同様の部分は削除する。

 大谷参事官、お願いします。

大谷法務省民事局参事官 この実親子関係同様の年齢差というところが必ずしも適当ではないという御意見で、ただ、事前にいただいていた案で、主な議論のところで、現行法が実親子関係同様の関係を形成するためにという指摘が幾つかあったところが全て削られているものがございますので、現状のところで、現行法の趣旨は確認していただくべきではないかと思います。

 例えばですけれども、イの「現行制度は」の後に「実親子関係と同様の親子関係の形成を確保するため」という言葉を入れていただいてはどうかと思うのです。

吉田(恒)座長 それでいかがでしょうか。

 横田先生、お願いします。

横田構成員 むしろ2番目の段落の最初のほうにその言葉を入れたほうがいいような気がします。

吉田(恒)座長 「また」のところですか。

横田構成員 はい。

吉田(恒)座長 「また」の段落のどのあたりですか。

横田構成員 だから、6歳未満ということ自体が実親子関係同様という趣旨を込めたいということですか。

大谷法務省民事局参事官 少なくとも前のバージョンでは、6歳の上限が定められていることについても、そのような趣旨で書かれていたというのがございましたので、全体に係るという意味では、最初のほうに限っていただいたほうがいいのかなと思うのです。

横田構成員 でも、多分、6歳未満という趣旨は、また別の意図がありますよね。むしろ実親子関係同様という趣旨が一番よくあらわれるのは、この2段落目こそではないかと思うのです。

大谷法務省民事局参事官 それは特にこだわりません。

吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 この実親子関係同様のということで、先ほど12歳の親子がというような声もあったかと思うのですけれども、ここの規定は、少なくとも養親となる夫婦の一方が17歳離れているということで、例えば連れ子養子のような場合で、他方が、例えば実母の婚外子を特別養子にするようなケースですと、年齢差がある程度、産んだことが差だと思うのですが、そうではない年が離れた夫婦の場合とかでも、夫婦の一方との年齢差は、少なくとも実親子関係と同様の年齢差は17歳で保障されているというふうにも考えられなくはないと思うのです。ですから、先ほどあったような、実子関係同様の年齢差は、法律の趣旨としては置かれているはずなので、御提案があったような形で残すことに賛成します。

吉田(恒)座長 今、大谷参事官の御提案内容ですか。最初のところですか。「また」のところですか。「また、実親子関係同様の」のところですか。どこに入れるのですか。

床谷構成員 私の提案は、事務局の提案のところに残すという案です。「また」のところですと、25歳とか20歳ということなので、これはむしろ25歳にしているのは、普通養子の成人で足りるということを否定しているために、25歳というのを置いている条文ですので、ここに置くことは違うのではないかと思います。

吉田(恒)座長 そうすると、この事務局の原案どおりのところでよろしいということ。横田先生もそういう御趣旨ですか。

横田構成員 了解いたしました。

吉田(恒)座長 大谷参事官はいかがでしょうか。よろしいですか。

 久保野先生もよろしいですか。

 それでは、最初に御提案がありましたように、原則のところを最低と直し、実親子関係同様の年齢差の部分は残すということでよろしいですね。ありがとうございます。

 ほかの箇所で御提案いただきたいと思います。

 峯本先生からお願いします。

峯本構成員 7ページのウの、主として2段目の「一方で」以下のところなのですけれども、結論としては、児童相談所長を申立権者に加える方法も考えられるというところなのですが、この内容自体は結構かと思うのですが、1点、きょうもちょっと議論がありました、この特別養子縁組制度が社会的養護の子どもの支援を目的とするという観点からも、児童相談所長に申立権を認めていいのではないかという積極的理由としての部分を挙げておいていただいたらいいかなと思います。

 ここは身分関係の形成については当事者のみという観点と、それに対して一方はということで挙げられて、そういう意味では、需要的理由といいますか、御要望は挙げられているのですが、もう一個、私は積極的な理由として、社会的養護の子どもの支援という観点から、児相所長に積極的に申立権を認める必要があるのではないかという観点を入れていただいたら「一方で」以下に2つ理由を並べて挙げていただく形で、それは満たされるのではないかと思います。

吉田(恒)座長 例えば、考え方もあることを踏まえると、先ほどの言葉を使えば、社会的養護の選択肢の一つとしての特別養子縁組の成立についてというような文言でもいいわけですね。

峯本構成員 もしくは今、先生におっしゃっていただいた「考え方もあること」で「、」で並列的に並べる理由として「特別養子縁組制度が社会的養護を必要とする子どもに対する支援の提供という目的を有することから」とか、並列的に書くことで理由を2つ並べて。

吉田(恒)座長 児童相談所長の申立権を認める理由がより明確になるということですね。

峯本構成員 明確に、積極的な理由がありますということ。

吉田(恒)座長 ただいまの御提案はいかがでしょうか。よろしいですね。ありがとうございます。

 事務局は今の御提案で修正をお願いします。

 ほかに、横田先生、お願いします。

横田構成員 そこに関係しているところなのですけれども、それで言うと、その前の段落で、要するに、従来の考え方が紹介されていますが、ここで意思表示という表現があります。これは、次の私が提案したところに対して、いや、そういう考え方ではなかったのだという意味を込めたいという意図だと思いますけれども、ただ、日本語としてわかりづらい気がします。むしろ2つの考え方がどう違うかを明確にする上では、この意思表示という言葉はその3行上の養親子関係という身分関係の形成についての後に持ってきた方が、これはやはり意思表示なのだ。だから、その当事者のみが申立権を有するという論理が明確になり、わかりやすくなるような気がしたのですけれども、どうでしょうか。

吉田(恒)座長 例えばどういう文章になりますか。

横田構成員 私の意見ではないので。

吉田(恒)座長 修正の提案でお願いします。

横田構成員 養親子関係という身分関係の形成については、当事者の意思表示が求められ、その当事者のみが申立権を有する。もうちょっと何かいい表現があるかもしれませんけれども、私が思いつくのはそんな感じです。

吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 私は、そこの「養育する意思表示」は、もともとは表示がなかったと思うのです。意思だけだったと思うのです。

 これは、子育てをする、自分の子どもとするという、その確固たる意思の確認といいますか、それの担保という趣旨で文章は書かれていたはずなので、むしろ意思表示と言われると、法律行為の要素で意思表示ということを思い浮かべてしまうし、特別養子の場合は、いわゆる身分行為ではありませんので、普通養子とそこは違うということでありますから、ここはむしろ「意思表示」の「表示」は落としていただいて「養育する意思」という法律行為的なものではなくて、事実的な意思として、養育意思というふうにむしろしたほうがいいのではないかと考えます。

吉田(恒)座長 横田先生、いかがでしょうか。

横田構成員 賛成です。

吉田(恒)座長 よろしいですか。ほかに御意見はございますか。

横田構成員 そこに関係して。

吉田(恒)座長 まずは先にここで片づけてしまいますね。

横田構成員 ウのことについては。

吉田(恒)座長 そこは今の床谷先生の御提案のように、養親となる者が特定の子どもを特別養子として養育する意思を確実に担保するという形で修正することでよろしいですか。

 横田先生、お願いします。

横田構成員 その前の上のイですけれども、これは今ごろになって単なる純粋な質問なのですが、特別養子縁組の手続の中で、実親に養親候補者の情報を開示される可能性があるということで検討会の議論が進んできましたけれども、その中に、申立書が実親に送付されるという話があったように記憶しています。

岩崎構成員 審判書です。

横田構成員 審判書ですか。申立書は行かない。

岩崎構成員 行かないです。

横田構成員 わかりました。では、結構です。

吉田(恒)座長 いいですか。ほかに修正の御意見をいただけますでしょうか。

 金子先生、お願いします。

金子構成員 今さらですが、先ほどの3ページの年齢差の話なのですけれども、厳密なことを言うと、子どものほうは申立時が基準で、親のほうは審判時が基準なので、余り具体的な数字は書かないほうがいいのではないかと。「実親子関係同様の一定の年齢差」とか、そのようにぼかしたほうがいいのではないかと思いました。

吉田(恒)座長 もう一度。

金子構成員 原則12歳以上のところは、17歳以上の括弧とじまでは削除して、「実親子関係同様の一定の年齢差が保障されている」とかにして、具体的な数字は出さないほうがいいのではないかと。それは計算すればわかる話なので。

吉田(恒)座長 厳密に言えばということですね。

 床谷先生、いかがでしょうか。よろしいですか。

 では、再度の修正で、もう一回確認します。金子先生、今の3ページの(1)の1のイの2段落目に「また」とありますけれども、ずっと読んで、もう一方は20歳以上あれば足りると。養親となる者と養子となる者との間には、実親子関係同様の一定の年齢差が保障されているということですね。

金子構成員 はい。

吉田(恒)座長 よろしいですか。ありがとうございます。

 ほかに修正の御提案はございますか。

 山田先生、お願いします。

山田構成員 修正というのか、8ページのオなのですけれども、「また」の次の途中に「加えて」というのがあって「加えて、第1段階の申立てをする者を養親候補者の」で、これは「養親となる者」ですよね。「養親となる者の負担を軽減するため児童相談所長とし」となっているのですが、このように書くと、養親は第1段階申立てができない人になってしまうように誤読されないかなという懸念を感じたのですが、いかがでしょうか。

吉田(恒)座長 山田先生のお考えでは、養親となる者に加えて児童相談所長もというニュアンスにしたいということですね。

山田構成員 そのほうが正確ではないかと思います。

吉田(恒)座長 いかがでしょうか。

 林先生、お願いします。

林構成員 オの最初のところで限定しているわけです。「主に、実父母の確定的な同意が得られないようなケースに関しては」ということで、そのままでいいのではないかと。

吉田(恒)座長 前にそのように言及されているので、それに加えてという流れになっていますよね。

 山田先生、いかがでしょうか。

山田構成員 現実にはあり得ないということでよろしいのですか。あり得ないというか、つまり、実父母の確定的な同意が得られないようなケースで、第1段階目を養親となる人が申し立てるというケースはあり得ないということなのでしょうか。こう書くと、結局児童相談所長しかできないことになってしまうのではないかという懸念を感じると言っているわけです。

吉田(恒)座長 林先生、どうですか。

林構成員 久保委員いかがでしょうか。

吉田(恒)座長 久保先生ですか。この点についての御意見です。

久保構成員 私が想定しているのは、児童相談所長のみが申立権を有すると考えていたのですけれども、それはもちろん、先ほど林構成員からお話がありましたように、実父母の同意が得られないようなケースですので、基本的に養親が申し立てるというのは考えにくいのかなと思っていました。

吉田(恒)座長 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 実の親のほうが同意をして、積極的に養子に出してくれと言っている場合でも、同意の撤回が今の制度であればあり得ますので、確定するまでは翻すことができる。それを裁判官が認めるかどうかは別として即時抗告ができるわけですから、特に社会的養護の子どもについては、児童相談所長が、この人が同意をしています。そして、この人は翻りませんという意味で申し立ててほしいと私は思うのです。

 ただ、その都度1人の子どもと、何というか、上がってきた子どもで先に実の親のほうの同意がとれているから、先にそれを裁判所に出しておこうとする場合と、それがとれたから改めてマッチングをどの人にするかを考える場合と、両方あるかもしれませんけれども、社会的養護の子どもについては、要するに、児童相談所長と養子里親とが並行して申し立てる。対象時期がずれることはあったとしても、そのほうがある意味ではっきりする。明確にはなるという気はしますけれどもね。

吉田(恒)座長 並行してというのは、どういうことですか。

岩崎構成員 要するに、児童相談所長から、実父母の同意は得られないが、児相は特別養子縁組が望ましいとの方針を持っているケースだけを出すのであれば、実親のほうが、この子どもを養子に出したいとと同意をしている場合で児相の方針と実父母の意向が特に対立していなければ、今までどおり養親となる者が申し立てることによって、審議されるということになります。この場合の、実親の同意は児相への同意がとれているということであって、実親の同意は、もちろん裁判所がもう一回再確認しますからね。その再確認で翻るケースは何ケースかあるのです。

 同意がとれているつもりで養親となる者が申立てしたのですが、我々が確認した同意は法的な同意ではありませんので、裁判所が改めて親を呼び出して、もう一度確認した。そのときに署名したものが法的な同意であって、それでも、なおかつ、審判が出て2週間の即時抗告期間を置くわけですから、そこまでして実の親の同意が翻されることがみとめられているということに対して、私はずっと抗議をしてきたところがあります。少なくとも社会的養護の、既に施設に入っている子どもの親が、この子どもを養子に出しますと言った段階で、相談所長が、それをちゃんと確認し、家庭裁判所に養子縁組が必要で親の同意が翻されない子どもとして申立てましょうという形をとっていただくほうが、安心して養親となる者のほうは申立てられると思っているのです。

山田構成員 ごめんなさい。私が理解できていないのかもしれないのですけれども、実親が養子に出していいですよと初めに同意をしました。だから、養親となる人が申立てをしました。それは撤回があったときに、養親の申立ては一回おろして、児童相談所長が第1段階を踏み直すという形なのですか。

岩崎構成員 そのときは、取り下げるか、例えば申立人は養親となる者ですから、翻されたら大体裁判所は取り下げ勧告をします。もう一回調整してきてくださいと、同意が翻っていますので、もう一度同意の翻りについてちゃんと調整をして、翻らない状況でもう一回再度申立ててこいということなのです。調整が出来なければ養親となる者は縁組を諦めるしかありません。その再度申し立てるのを児童相談所長にするというのであれば、最初から相談所長がやったほうがいいと思うのです。

吉田(恒)座長 ここのところは、中身にかかわるところなので、もう一度確認したいと思うのです。久保先生の御意図は、まずはここですよね。児童相談所長の申立てと、養親となる者の申立てとの関係です。

久保構成員 岩崎構成員が今、申し上げられたことは、ここのエで同意の撤回の手当てをするというところが出ていますので、オは先ほど言いましたように、同意が得られないようなケースです。エで同意がとれた場合、書面でとるなり、床谷先生から御提案いただいた公正証書とか、そういうものでいって、同意の撤回が制限できないかということでエにありますので、エの場合は養親が申立てをする。今までどおりと同じような形で構わないと思っていますので、そこは分けて議論していただいたらと思うのです。

吉田(恒)座長 エとオとはもう場合が違うので、オのほうの状況において申立てをする者は児童相談所長に限っているのだという御趣旨ですよね。

 山田先生、いかがですか。

山田構成員 そうであれば、オの「主に」という言葉をとらないと「主に」と入ってしまうと、何かいろいろなケースがあり得るのに児童相談所長となってしまっているから、本当にこのように書いてしまって、例外的なケースは出てこないのかなという心配があるのです。限定するなら限定するで「主に」はとってしまったほうがいいと思います。

吉田(恒)座長 久保先生、いかがですか。

久保構成員 結構です。

吉田(恒)座長 床谷先生。

床谷構成員 私は、この点は事務局とのやりとりの中で、エとオは別のものだということなので、一応エについては、私の考え方が反映されておりますけれども、オについてはあえて異論は申し上げないつもりでしたが、私自身は、ここは岩崎構成員と同じで「社会的養護を必要とする子どもについては」というような提案をたたき台に対してはさせていただきました。

 しかし、それが採用されずにこの形になりましたので、こちらの意見が構成員から、久保構成員以下の方々の意見が採用されたのだろうと思います。ただ、私自身は「確定的な同意」という言葉の「確定的な」という部分を削るべきではないかということです。先ほど久保構成員も同意がない場合とおっしゃいましたので「確定的な」と言いますと、先ほど岩崎構成員がおっしゃったように、現行法上撤回がある以上は「確定的な」というのはあり得ないので、ここは実父母の同意がない場合に限定する形にするのが自然なのではないかと思います。

吉田(恒)座長 ただいまいただきました御意見では、オの「確定的な」という部分を削除する。また、山田先生のほうは「主に」を削除するということですけれども、この2つの修正案につきまして、いかがでしょうか。よろしいですか。御異論がないようですから、この「主に」という点と。

 事務局、お願いします。

林補佐 そういたしますと、具体的な修文については「また、実父母の同意が得られないようなケース」というふうにしてよろしいでしょうか。

床谷構成員 「ような」はとる。

吉田(恒)座長 「ような」もとる。そうですね。はっきりしますね。「得られないケース」です。

林補佐 「得られないケースに関して」でよろしいでしょうか。

吉田(恒)座長 そういうことでお願いします。よろしいですか。それぞれ御意見がおありかと思います。

岩崎構成員 そうすると、エの実父母の同意の撤回を制限する仕組みを入れる方向性については、公正証書等を検討していくということになりますか。でも、ここには「公正証書による手続とした場合、負担が重く逆に利用が抑制されてしまうのではないかとの指摘がある」と書かれていて、なおかつ、今までどおり養親となる者からの申立てに従って、実親のほうの同意が裁判所によって確かめられて、その上でも即時抗告を認めるという形をとるということですね。

 床谷先生、このままでいけばそういうことですね。私はそれが嫌です。

吉田(恒)座長 金子先生から先にお願いします。

金子構成員 何度か同じような議論が過去にもあったような気がしますが、多分、岩崎先生がおっしゃる方向で考えるのだったら、エで公正証書とは別の方式として、同意を取るのは普通のやり方、これまでどおりのやり方でやるけれども、裁判に行こうかという段階のときに、同意が撤回できないようにする裁判を一回するという提案になるかと思うので、そこを具体的に書いていただくほかないのではないかと思います。

岩崎構成員 そもそもこの特別養子法が即時抗告をしなければならない裁判であるというところが、私たちにとっては余り考えていなかった。現場の人間にとっては、即時抗告とは何ぞやというところがありまして、確かに、逆に養親となる者が却下された場合に、却下の審判が出てしまえば、即時抗告したいことはあるわけですよね。

 それはそうなのですけれども、認容の裁判が出たにもかかわらず実の親にとっては即時抗告ができるという、この法律のそのあたりが何ともしゃくぜんとしないのです。我々は少なくとも親の同意があるケースについては、あるからこそ探すわけで、探すときに、社会的養護の子どもですから児童相談所がかかわっていて、場合によっては、あなたはずっと3年も面会に来ていないと。引き取る見通しも何もないではないかと。どうするのか。養子に出すという方法もあるのだと説明して、養子に出しますと同意がとれたケースが、例えば半年以上、小一年かかって審判となり、裁判所からも呼び出されたときに、たまたまいい男に出会って、おまえの子どもだったら俺が育ててやるみたいな言葉を言われて、撤回しますなどということは、結局時折あるケースなのです。

 そうすると、今まで一生懸命育ててきた養親はどうなるのかというところがあるので、何とか親が同意しましたということを、児童相談所長が確かなものとして担保するために、児童相談所長は、あなたの同意を確認しました。ゆえに、相談所長から裁判所にそれを申し立て、あなたの同意したものは翻せないことになりますよというための申立てをするようなシステムをつくってもらえたらいいなとは思っているのです。

 そういう意味で児童相談所長だと。社会的養護の子どもですからね。確かに民間団体のケースについては、養親となる者から申立てるしかあり得ないのです。民間のあっせん団体が申し立てる権限は、この議論の中にはありませんので、社会的養護の子どもについては、確かに相談所長が確認し、例えば、翻る期間をそこに設定しても結構なのですけれども、あなたが養子に出しますと言ってから、とりあえず2カ月間はあなたの気持ちが変わらないことを確認した上で再度確認し、あなたが同意したということであれば、それを家庭裁判所に申し立てておいて担保しますと。翻せないというシステムはつくれないものでしょうか。

吉田(恒)座長 中身にわたる部分になりますと、時間の関係もありますので、最初にお願いしたように、この部分のここをこういう文章にするということで、岩崎先生のお気持ちがどこかに伝わるようにできればと思うのです。

岩崎構成員 ちょっと考えます。

吉田(恒)座長 床谷先生、いかがでしょうか。

床谷構成員 私は何を聞かれたのですか。

吉田(恒)座長 趣旨は大変わかりましたけれども。はい。

横田構成員 即時抗告の件についてだけですけれども、これは同意以外にも成立の要件はありますよね。例えば、この養親は嫌だという実親のほうの文句があり得るので、そのためにも即時抗告自体は残す。要するに、認容の場合。

岩崎構成員 認容されてからですからね。

横田構成員 認容の場合に、ほかの要件の観点で、やはり成立がおかしいということを言う余地は残しておく必要があると思っています。

岩崎構成員 それがあるということはわからないわけではないのですけれども、そうすると、子どもが一番迷惑なのです。子どもが一番。そういうことによって親子関係が今までできたのがもう一回御破算にされるということです。そういう意味で、裁判所がちゃんと認容したという事実に対して、それほど重みがないのかと思うので、ただ、これが裁判官の審判によって成立するものなので、裁判官の審判に対する裁判を申し立てた者の、要は、抗告する権利が認められなければならないというところなのですけれども、それが特別養子でやられると、一番の犠牲者は子どもなのですと言いたいのです。

吉田(恒)座長 金子先生、お願いします。

金子構成員 岩崎先生がおっしゃっているのは、8ページのエの2行目の、実父母の同意を書面による慎重な手続によって得た上で、一定期間は同意を撤回できない仕組みを設ける、というのでいいのではないですか。それでは、だめなのですか。

岩崎構成員 これがちゃんとやられれば確かに先生がおっしゃるとおりです。ここで妥協します。

吉田(恒)座長 申しわけございません。金子先生、おまとめいただきまして、ありがとうございます。

 ほかに修正点は、杉山先生、お願いします。

杉山構成員 修正というよりも確認なのですが、7ページのウの2段落目とかかわる問題なのですけれども、審判の申立権者が現行のままでいくのか、児相の所長を加えるか、所長だけにするのかという話と審理を2段階にするかという話は別だったはずです。オにあるのは実際に出された提案なのでいいのですが、それとは別に、審理は1段階のままでも児相の所長を申立権者に加えるという考え方もあるので、ウもそのような趣旨に解していいのかです。先ほどエの方は、養親のみが申し立てることができる見解が示されましたが、そうではなくて、ウの考え方はエにも係ってきて、エの法制をつくるときでも、児相の申立権を認めることができるか、そのように読んで正しいのかを1点確認させていただきたいと思います。

 あとは些末なことなのですが、先ほど7ページのイで、実親には審判書が送られてくるというご意見が出ましたが、そうであれば、養親候補者ではなくて、養親の情報が開示されるということでしょうか。もしかしたら「養親候補者」を「養子となる者」に一括変換するとおかしい箇所も出てくるかもしれず、その一つがこのイなのではないかと思います。

吉田(恒)座長 そこは一つ注意を要するところだということで、杉山先生の御提案で。

杉山構成員 エの方で、特に養親のみの申立権について何も触れないので、このままであればいいと思うのですが。

吉田(恒)座長 峯本先生、お願いします。

峯本構成員 前回、私がお話しさせてもらったことを踏まえてこれが入っているかなと思うのです。私が申し上げさせていただいた趣旨は、2段階説は2段階説でいいのですけれども、現行の枠組みの制度、2段階説をとらないで、現行制度の中で申立権者に児相所長を加えて、同意の撤回期間の制限を設けるという制度でいけるのではないかという提案をさせていただいたという趣旨なのです。

 ウで申立権のことに触れていただいて、エで撤回期間の制限について触れていただいたという形になっているので、これでもいいかなと思うのですけれども、私が提案させていただいたのは、ある意味セットで申立権者に児童相談所長を加えて、同意権の期間制限を設ける。そのかわり、もちろん慎重なきちんと同意したということが、最初は児相のあれでもいいのですが、裁判所において確認されるという慎重な手続が必要になるだろうというのは、そう思うという意味で、今、おっしゃっていただいたあれから言うと、ウとエがセットの提案なのですが、制度としては選択肢がいろいろあるかなと思いますので、別々に書いていただいてもいいかなと考えているという趣旨です。

吉田(恒)座長 杉山先生、いかがでしょうか。

杉山構成員 このままの文言で、例えばエの方に養親のみが申立権を有するとか、そういう言葉を入れないのであればよいと思います。

吉田(恒)座長 わかりました。

 それでは、このままということでよろしいですね。そういう理解ということで議事録に残します。ほかにございますでしょうか。

 峯本先生、お願いします。

峯本構成員 確認なのですけれども、11ページの最後の一番下のイなのですが、これは恐らくアで養親に対する必要な継続的支援を検討する必要があるということが書かれていて、もう少し具体的にその支援のことで研修、助言等のサポート、経済的支援等の支援を受けられるということで、その次に「つながりが持てる仕組み」という表現になっているのですが、この「つながりが持てる仕組み」というのは何か具体的なあれがあったのか。

 単純にどちらでもいいと言えばあれなのですけれども、支援を受けられる仕組みとか制度とかいうことでもいいのかなと。

吉田(恒)座長 ちょっとつながりというのがね。

峯本構成員 つながりが何を指しているのか。特別な意味がどうなのかというところがあって、何かそういう議論があったのですか。ちょっと記憶がなかったのです。

吉田(恒)座長 もう一度、イの2行目の「経済的支援等の支援を受けられる仕組み」でいいのですか。

峯本構成員 仕組みとか制度が必要であるということで、何か議論があったのですよね。

吉田(恒)座長 事務局は何かございますか。

林補佐 これは山田構成員から、経済的支援を受けられる制度があれば、経済的支援を受ける以上、つながりを保ち続けることができるという御趣旨の発言があったというところを反映しているものでございます。

吉田(恒)座長 山田先生、この部分は「経済的支援等の支援を受けられる仕組み」でよろしいですね。

山田構成員 そのほうが意味は通ると思います。

吉田(恒)座長 岩崎先生、お願いします。

岩崎構成員 ぜひそこに、育児休業を入れていただきたいと思います。年齢制限なしの育児休業です。

吉田(恒)座長 「経済的支援等」ではいけない。具体的にそれを入れてほしいということですか。

岩崎構成員 最初の「ニッポン一億総活躍プラン」にひっかければ、絶対育児休業がなければ、養子縁組の場合は難しい。養育里親もそうなのですけれども、引き取った当初の他人の子どもと親子関係をつくるというのは、並大抵の努力では済みませんし、そこでしっかりと手を抜かないでやらないといけない。それのために一番効果があるのが、一緒にいるということなのです。親にとっては、それが地獄みたいにしんどいことなのですけれども、でも、そのために育児休業を認めてもらうということは、ぜひ入れて、今後、検討していただきたいと思っております。

吉田(恒)座長 ほかの方はよろしいですか。

 藤林先生、お願いします。

藤林構成員 私も同意見で、今回、育児休業法が改正されましたけれども、基本的には2歳までなのですが、5歳でも6歳でも、どうしてもそれまでの環境から考えると、主たる養育者が一緒にいる時間を保障するという意味では、例示の中に「継続的支援や育児休業」というのを入れてもいいのではないかと思います。

 もう一点、この受けられる、「つながり」が持てるというのは、私は残していていいのではないかと思うのです。それは議論の中で、今までの特別養子縁組が成立した後、「つながり」がなくなってしまう、その「つながり」がなくなってしまうことによって支援を受けられない養親、養子がいらっしゃるということから、「つながり」というのをどのように保障するのかは今後、検討していかないといけないのですが、「つながり」が持てる仕組みというのは残しておきたいというのが私の思いです。

吉田(恒)座長 まず、育児休業の点はいかがでしょうか。

 峯本先生、お願いします。

峯本構成員 それは私も賛成なのですが、具体的なところが一個だけ出るように「育児休業等の養育支援」とかいう表現にしたほうがいいのではないかということと、今、岩崎先生が言ってくださったところで言うと、ここは支援を受けられる、つながりが持てる仕組みというと間接的なものになってしまう可能性があるので、今、藤林先生が言われた趣旨で言うと、従前の支援関係を引き継げるような、そういうもう一本別立てでそのことを表現したほうがいいのではないかという意味なのです。つながりを持てるというと、何か、つまり、何となく間接的な制度が想定されているような感じがするので、ここは支援を受けられる仕組みもしくは制度としておいた上で、つながりについては違う表現をすることがいいのではないか。何というか、従前の支援関係を継続させてとか。

山田構成員 そうであれば、例えば「経済支援や子の年齢制限のない育児休業等の養育支援等の支援を継続して受けられる仕組み」とかはどうですか。

吉田(恒)座長 継続してですか。

山田構成員 継続ではないのですか。

吉田(恒)座長 まず、経済的支援のところで先ほど育児休業という言葉がありましたけれども、それに加えて、育児休業等の養育支援ですか。そうすると「等」が2つになってしまう。

岩崎構成員 「年齢の制限がない」と加えてくださったところはとてもすてきです。

吉田(恒)座長 床谷先生、お願いします。

床谷構成員 私もその点を加えることについて反対ではないのですけれども、ただ、この後の文章の「この場合」以下のところで支援されることを拒否する話が出てくるので、ここにうまくつながるかどうかが聞いていて少し気になりました。育児休業等を拒否するということも想定の中に入ってくるということは、ないとは思うのですけれども、この文章の流れが少し気になったところです。

岩崎構成員 育児休業は特に委託当初のことですので、大体社会的養護の子どもの場合には、里親委託中のことになりますから、そういう意味で、里親委託中が認められるのであれば、養育里親にも波及できる可能性が出てくるので、ぜひ養子のところでこれが確保できたらありがたいと思います。

吉田(恒)座長 それでは、まず、育児休業のところは「年齢制限のない」というところまで入れるかどうか。お気持ちはわかりますけれども、制度との関係がありますので、少し広目にとって「育児休業や経済的支援等」ということで広目にとるようにします。

 つながりの部分は、先ほど御指摘があったように、ちょっと中身、内容がよくつかめないので、何らかの言葉を補うということは、そのとおりだと思います。

 ですので、もう一度峯本先生の御提案は、どういうあれでしたか。

峯本構成員 私は「育児休業等の養育支援」としておいたほうがいいのではないかと。「経済的支援、育児休業等の養育支援」を足せばいいかなと。

吉田(恒)座長 「経済的支援、育児休業等の養育支援」で、でも、それだとすると、経済的支援と育児休業だけになってしまうのですよね。

峯本構成員 「育児休業等の養育支援などの支援を」とかですか。

吉田(恒)座長 「等」が2つ入る。

峯本構成員 その後にまた支援で「等」が重なりますけれども、そのほうがいいのではないか。経済的支援はここに入っていますよね。

吉田(恒)座長 ちょっとくどいけれども「等」を2つ入れるようにしましょう。

 つながりのところをお願いします。

峯本構成員 つながりが難しいのですね。言葉が、一言で表現するのが苦手で、従前の。

山田構成員 道筋とかはどうですか。

吉田(恒)座長 道筋と仕組みはどのようにつながってくるのですか。

山田構成員 難しいですね。

吉田(恒)座長 先ほどの藤林先生のつながりのニュアンスからすると、支援を受けられる関係なのですか。関係が維持される仕組み。

藤林構成員 そういうものですよね。以前、上鹿渡先生が紹介された、イギリスでは3年間必須みたいな、そんなものなのです。

吉田(恒)座長 上鹿渡先生、お願いします。

上鹿渡構成員 支援を受けるということと、そのつながりを保ち続けるということの両方が必要なのだというような言い方で、一つにしてしまわないで「受け、また、つながりを保ち続ける」というような表現はどうでしょうか。

吉田(恒)座長 つながりというのは、誰と誰とのつながりなのですか。

上鹿渡構成員 現時点で具体的な支援が不要であったとしても支援する者が支援する側と支援される側としてずっとつながっているという意味合いで私は理解していました。必要な場合に養親や養子が支援される者から外れてしまっているということにならないようにということだと思うのです。

吉田(恒)座長 受けられて切るのですか。受けられることが続けられるという趣旨ではないのですか。

 藤林先生。

藤林構成員 多分、こういった支援を受けられるということと、継続的に支援者との関係が持続される仕組みというものだと思うのですけれども、何かすぐ言葉が浮かばないのです。

金子構成員 今の議論は、多分、成立後のことを考えていると思うのですけれども、イの最初は成立前の研修のことが書いてあって、そこが浮く感じがしますので、何とかしていただければと思います。

横田構成員 それぞれの別の価値がありますよね。だから、それは別途書く必要があると思うのです。

吉田(恒)座長 先ほど申し上げましたニュアンスとして適切かどうかは疑問が残りますけれども「支援を受けられる関係が維持される仕組み」でよろしいでしょうか。それでちょっと具体的なイメージが湧いてくるかと思います。「受けられる関係が維持される仕組み」ということで、修正します。

 ほかにございますか。よろしいですか。

 床谷先生からお願いします。

床谷構成員 これは技術的なことなので、最後に時間があればと思っていたのですが、どこだったか、3ページの3の(1)の1のアに、民法817条の7という条文が追加されたのですけれども、ここだけ追加されていて非常に違和感がございまして、ないなら全部ない、あるなら全部あるほうが私どもとしては非常に落ちつきがよくて、イの年齢のところとか、同意のところとか、それぞれ該当条文を入れるなら入れていただきたいというところがございます。

吉田(恒)座長 その点は私も同意見で、法律をやっている人間からすると、根拠条文がないのがどうも落ちつかないというので、可能であれば入れていただいたほうが、特に、今後、法律の話に発展していく可能性がありますので、入れていただいたほうが私もよろしいと思いますので、事務局にお願いします。

床谷構成員 もう一点、6ページなのですが、上から3つ目のポツで、「養親となる者が申し立てを行う時点で」ということなのですけれども、これは「特別養子縁組成立審判の申立てを行う」としておいたほうがいい。

吉田(恒)座長 言葉を補うということですね。

床谷構成員 「申し立て」の「し」は要らないと思いますけれども、補ったほうがよいのではないかと思いました。

吉田(恒)座長 林先生、お願いいたします。

林構成員 簡潔に、4ページの一番下の行に、年齢を引き上げることによって、縁組成立が遅滞化する。その理由として、養親候補者のみが申立権者とされている現行制度のままではという記載があるのですけれども、先ほどの手続の二分化の中で、同意が得られないケースにのみ限定しているということなので、これは現行制度のままということであり、だから、ここは削除して、その他の方法で考えるということが妥当ではないかというのが1点です。

吉田(恒)座長 そうすると、どういう修正になりますか。

林構成員 そのまま削除です。

吉田(恒)座長 どこからどこまでになるのか。

林構成員 「養親候補者」の後の「ままでは」までを、削除すべきではないでしょうかということです。

吉田(恒)座長 「メリットがある一方で、かえって」ということですか。

林構成員 はい。

吉田(恒)座長 文章のつながりはどうですか。

林構成員 文章のつながりは後で考えていただいて。

吉田(恒)座長 この部分は要らないということです。まずはこの部分について御意見をいただきたいと思います。4ページの一番下の行の「養親候補者のみが申立権者とされている現行制度のままでは」の部分を削除するということ。

林構成員 要するに、これは試験養育期間を過ぎて縁組を申し立てないというケースを想定しているのです。そのケースに対しては、従前どおりの方法でいくというのがここでの合意だったと思うのです。

 だから「ままでは」というのは、意味がなくなってくるのではないか。もしこれを提案するなら、そのことも含めて後の二分化のところで提案する必要があるのではないかと。

吉田(恒)座長 先ほどの議論と関係してくるわけですよね。

林構成員 同意を得て試験養育に至って、終わって、なかなか申し立てないことから遅滞化が起こっているという実態も児相ケースの場合はあるわけで、そういうケースについては対応を考える必要があるということなので、この一文は想定されていないのではないでしょうかということです。

吉田(恒)座長 いかがでしょうか。「かえって」は要らないのですね。メリットがある一方で、デメリットとして養子縁組の成立時期がおくれるということですよね。ですから、ここはなくても文意は通るのではないか。あるとかえってよくないですか。先ほどの部分との整合性が欠ける。

林構成員 そういうことです。

吉田(恒)座長 そういう御趣旨ですね。いかがでしょうか。

山田構成員 基本的な質問なのですけれども、ここの養子縁組の成立時期がおくれるという意味は、高年齢の子どもだからという意味なのですか。それとも、養親となる人が引き受けてから、養子縁組が成立するまでの時間が長くなるという意味なのですか。

林構成員 以前に調査結果をお示ししたように、0歳で委託を受けていても、その成立が6歳以降になるケースがあるわけです。その背景にはいろいろな要因があって、養親の申立てを促すようなアプローチが児相側として必要であるということなのです。

山田構成員 そうであれば、養子縁組の成立に至るまでの時間が長期化するとか、そういう意味ではないのでしょうか。もともと高年齢なので、年齢の話でやってしまうと意味が通じなくなると思います。

吉田(恒)座長 今の山田先生の御指摘でいうと、養子縁組の成立時期がおくれるというよりも、養親組の成立までに時間を要するおそれがある。趣旨は同じですか。そういう趣旨ですか。成立時期がおくれるというのがよくわからないのです。

林構成員 山田構成員が言われている高年齢の子どもは全然別で、関係ないわけです。この申立てがおくれるというのは、高年齢の子どもではなくて、むしろ新生児とか乳児のケースです。

吉田(恒)座長 林先生は、この箇所はそのままでよろしいと。

林構成員 ただ、読み手がそのようにつながっていると。

山田構成員 だから、高年齢まで制限を上げてしまうと、そこまで成立しない子どもがふえてしまうという意味ですよね。やはり最初に引き受けてから成立するまでの時間が長くなるという意味だと思うのです。違いますでしょうか。

林構成員 そのとおりです。

吉田(恒)座長 そうすると、成立までに時間を要するという文言でいいわけですか。

 森口先生、お願いします。

森口構成員 時間を要するのではなくて、ぎりぎりまでなかなか申し立てないというオプションができると、それを悪用というか、子どもの利益にはならないけれども、それを濫用してしまう場合があるということ。

林構成員 だから、15歳にしたら15歳駆け込み申立てみたいなものがふえるのではないかという話。

森口構成員 その間はずっと里親でいます、みたいな。

吉田(恒)座長 文章でどうするか。

森口構成員 林さんは年齢引き上げに反対されているわけではないのですよね。ここを強く書き過ぎると、年齢を引き上げるべきではない理由になってしまうので、気をつけたほうがいいように思います。いろいろ説明を省いてしまうと、年齢引き上げイコールそういう悪いことが起こる、みたいに読めるので、こういう状況も生まれ得るのでそれについては別の対策が必要、という風に明確に書かれないと、反対意見のように読まれるのではないでしょうか。

林構成員 そのとおりです。

吉田(恒)座長 どうしますか。

 林先生の御提案は。

峯本構成員 この場合、メリットをここで、そもそも書くかどうかというところは、議論の趣旨で書くかどうかはあるのかなと思うのです。引き上げについて反対方向の意見があって、これが割と大きな理由ですということであれば、ここの議論として書く必要があると思うのですけれども、その点がどうなのか。

吉田(恒)座長 林先生、どうですか。

藤林構成員 ですから、年齢を引き上げた場合のいろいろな問題点の中の、この申立てがずっとずれ込んでいくというのは、ちょっと別に扱ったほうがいいのではないかと思うのです。こういった濫用というか、子どもの利益にならない場合があるということを新たなエかオにするとか。もう一つ言いたいのは、「留意」だけではだめなのではないかと思って、そこには何らかの「対応」とか「対策」も必要というのは、林先生の従前からの意見なのではないかと思います。

○吉田(恒)座長 そうですが、ここであらたにエを設ける。その文章をどうするかというところまでがないと。

林構成員 もうちょっと具体的に表現したほうがいいのではないか。

吉田(恒)座長 どこをどのようにですか。

金子構成員 林先生がおっしゃっていることは、多分、ウの最後の5ページの3行目からに対応しているのではないかと思うので、早期の対応を図るべきであるというのがいまいち何を言いたいのかはっきりしませんけれども、そこをもうちょっと具体的に直す感じで何とかできないのですか。

吉田(恒)座長 では、もう一回確認ですけれども、4ページの一番下の「養親候補者のみが」という部分は、特になくてもよろしいということですね。

 「養子縁組の成立時期が遅れるおそれがあることや」という部分に関しては、印象としてのお言葉はいただいていますけれども、特に具体的な提案というところまでは至っていないというところかと思います。

 最後の「できるだけ早期の対応」は、金子先生、具体的に何か例示を入れるような。

金子構成員 私は、何でもいいのですけれども、もし最小限見直すとか、独立のデメリットとして見られないようにするとかということを考えつつ直すのであれば、最後のところを直すのがいいのではないかと感想を言ったという、ただ、それだけの話です。

吉田(恒)座長 何か具体的な例があると、事務局も助かるのだと思うのです。

金子構成員 それはむしろ林先生にお伺いしたいところなのです。

林構成員 試験養育期間後、即申し立てるということの同意を児童相談所として最初にとっておくとか、でも、そこまで具体的な記述が必要なのか。

藤林構成員 何らかの「対応」なり「対策」という言葉でいいと思うのですけれども、この文章の中に、どこにどう入れるのかということですよね。

吉田(恒)座長 わかりました。

 ここの部分に関しましては、最後の早期の対応を図るべきであるということで。

藤林構成員 それは文脈が違うと思うのです。年齢を引き上げた場合に「早期の対応」ということと、今、言っている申立てに対してだらだらと申立てが遅れていくことに対して「早期に対応する」というのは文脈が違うので、そこは一本にならないと思うのです。

峯本構成員 今、藤林先生が言われているところなのですが、趣旨からいうとウに入れるのではなくて、むしろオの後に上限年齢を引き上げることになった場合には、こういう点に、それゆえに結果として申立てがおくれるようなことにならないように配慮する必要があるとかいう、引き上げに対する消極意見として書くのではなくて、引き上げた場合の注意事項というか、配慮事項として表現をしたほうがいいのではないかということなのかなと思うのです。

 そうなると、今のところからすぽっと抜いて、オの後、次とか最後に、オは仮に上限年齢を引き上げることとする場合には、こういうことを検討することが必要だということが書かれていますので、同じような並びで引き上げることになった場合には、それによって逆に申立時期がずれ込むことがないような制度的な配慮、担保が必要であるとかいうような表現で、引き上げを前提としたときの注意事項という表現にすればいいのではないか。

吉田(恒)座長 今の峯本先生のお話だと、ウの最後の文章ですか。

峯本構成員 その部分をすぽっととって、「このように」のところからをとってしまって、最後にちょっと表現を、引き上げることとなった場合にはこういう点に注意する必要があるという、引き上げを前提とした配慮事項の形に書きかえてしまうと、今、言われている趣旨が表現されるのではないかということです。

吉田(恒)座長 わかりました。

 よろしいですか。それでは、予定の時間が近づいてきました。

横田構成員 今の点に関係して、これは形式的な話ですけれども、ウの2行目に意思表示とありますが、これは多分、15歳以上の場合の自己決定の趣旨を込めたのだと思うのですが、先ほどの議論があるので、ここも意思表示ではなくて、ただ単に同意ということ。

吉田(恒)座長 もう一度お願いします。

横田構成員 5ページの2行目です。

吉田(恒)座長 同意でいいですね。わかりました。

林構成員 今のオのところで、なお、仮に上限を引き上げることによる場合の養親の下限年齢のあり方を検討する必要があるということと、後半部分に書かれている一番下の「体力等を踏まえて検討する」というのは、上限年齢に関することだと思うので、だから、前半部分は下限年齢ということを考えた年齢差を強調したいのだったら「現状の年齢差を考慮して」とか、そのほうがいいのではないですか。体力等をというと、年をとった養親と子どもとの年齢差を、これは先ほど岩崎構成員が先ほど言われていたことだと思うのですが、上限に関しては、ここでは議論になっていないと思うのです。

吉田(恒)座長 そうすると、林先生の御提案では。

林構成員 「養子を養育するために必要となる現状の年齢差を踏まえて検討することが」とかいうことでしかないのかなと。

吉田(恒)座長 現状の年齢差。

○林構成員 下限年齢を体力を踏まえてというのは、矛盾するのではないでしょうか。

吉田(恒)座長 わかりました。よろしいですか。どうもありがとうございました。

 若干細かいところもまだあろうかと思いますので、あとは私どもと事務局で個々の細かいところは修正し、内容にわたるようなものがその中で出てくることはまずないと思いますけれども、そのときには万が一相談に乗っていただくことがあろうかと思います。

林構成員 内容を加筆するということは。

吉田(恒)座長 ないです。

林構成員 一点だけいいですか。

吉田(恒)座長 この期に及んでということは、なしでお願いします。

林構成員 1つ出ていなかったのが、民間機関を通して、産院から養親に行くまでの養育場所に関するデータとして、ベビーシッターが4割を占めると。大体そういう場における養育期間は20日未満であり、届け出も必要ない中で、非常に不安定な状況に置かれているということを(5)のエに入れて。

吉田(恒)座長 そこまでの文章をこれから議論するとなると、ちょっと厳しいと思います。

林構成員 厳しいとは思うのですけれども、主な議論のエに、児相と連携した里親への一時保護委託等を考慮するとか、連携・協働というところを踏まえて加筆したほうがいいのではないかと思ったのです。

吉田(恒)座長 御意見として承っておきます。

 それでは、本日はいろいろと御意見をいただきまして、最終的な利用促進のあり方についてという形で、事務局でまとめていただきたいと思います。今後、細かいところは私のほうで預からせていただいて、事務局と相談して微調整をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ということで、最後になりましたけれども、今回をもってこの検討会は終了としたいと思います。

山田構成員 一言だけ、もう法案が提出された司法関与の部分で資料を提出させていただいているので、それだけコメントさせていただきたいのです。山田資料が最後についていますので、ごらんください。

 今国会で提出された法律の検討事項で3年後の見直しが入っているわけですけれども、それについて早急な体制を組んでほしいということなのです。特に今回の検討会で、ペンディングになっているというか、コンセンサスが得られなかった部分が何カ所かあって、それをきちんと詰めないと次のステップに行けないと思います。

 特に申し上げたいのは、1ページの「1.実効性の高い保護者指導について」ということで、今回、都道府県への勧告は、28条を申し立てれば承認が出る前であっても家庭裁判所が都道府県に対して勧告できるという新しい制度ができることになって、これは評価できるとは思うのですが、28条が前提となっていることとか、結局、直接保護者への家裁からの指導は制度化できなかったわけで、これについて憲法の要請に反するのではないかという御意見もあったところではあるのです。それに対して、立命館大学の二宮先生のコメントをいただいて、以前にも資料として出させていただいたのですが、そのときに私が欠席で御説明できなかったので、その点について説明させてください。2ページ目の上から6行目です。

 保護者への指導は、28条審判や親権停止・喪失のように、親子分離や親権の制限をし得るものではないと。ですので、私人間の生活関係介入の程度は大きくないという御指摘とか、その2行下ですけれども、司法による行政指導のチェックであるので、司法が福祉機関の役割を代替するものではないし、憲法上の問題も何ら生じないというような御意見をお持ちの法学者もいらっしゃるということを1点御指摘させていただきたいということです。

 一時保護の司法審査は2カ月の延長審査ということでしたけれども、これでは結局、一番議論をした同意のない父母に対しての手続保障にはならなかったわけで、この点についても、もっと詰めた議論を今後、していかないといけないということを2点加えさせていただきます。

吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 それでは、山田先生の資料をごらんください。

 最後ですけれども、昨年の7月から15回にわたりまして、児童虐待対応における司法関与、特別養子縁組の利用促進のあり方について御議論いただいた。この検討会が始まるときには、大臣から秋口にはというお言葉をいただきましたけれども、年を越え、桜の花も咲いてしまったというところで、大変内容の充実した議論がなされたと思います。

 今後、この問題、さらには、また、別のところで議論になるかもしれませんし、国会での議論の非常に重要な御指摘をいただいたと私は思っております。司法関与につきましては、皆さん方の御議論を踏まえて、1月16日の検討会での議論の整理の取りまとめができ、それを踏まえて国会に法案が提出されたところであります。特別養子縁組の利用に関しましては、皆さん方はもちろんのこと、関係者の方から大変貴重な御意見もいただいて、この検討会に反映することができたと思っております。皆さん方の御協力に感謝を申し上げたいと思います。

 特に特別養子縁組の利用に関しましては、民法に関することでありますので、今後、法制審議会などしかるべく政府内の部局においてさらに検討を進めていただき、議論を終えていただくようにお願いしたいと思います。その際には、この検討会での議論もぜひもう一度見直していただいて、これを踏まえた検討がなされればということを私からお願いしたいと思います。

 皆さん方の大変熱のこもった議論で、とても有益な検討会を持つことができました。御協力に感謝申し上げます。

 それでは、事務局からも御挨拶ということで、吉田局長からお願いいたします。

吉田雇用均等・児童家庭局長 今、座長からお話がございましたように、昨年7月にお願いを申し上げてから、大変お忙しい中お時間をいただき、これはもうぎりぎりまでやらせていただきましたし、頻度高く御議論いただく機会に御参加いただきまして、本当にありがとうございました。

 司法関与も特別養子の促進も、非常にそれぞれの業界の関係者の方々が長らく御議論をいただいてきたことであり、直接的には昨年3月の専門委員会報告があり、また、昨年の児童福祉法の改正における宿題、検討項目ということもあり、直接的な経緯はそれぞれでありますけれども、非常に長いこれまでの経緯のある話をこういう形で御議論をいただきましたことを本当にありがたく思います。

 本日の議論もそうでありますが、先ほど来まとめていただいた文言も、もちろんそれが大事なものとして我々は受けとめさせていただきますが、その文言の後ろに込められた背景事実であるとか、いろいろな思いであるとかもきちんと議事録に残る。公開の形で議論をさせていただいたことは、この後、私ども政府の中で次につなげるあるいは先ほど座長からお話がございましたように、政府の中でも次の検討組織に議論の場を移してお願いする項目もあろうかと思います。そういうときに非常に貴重な積み重ねとして、私どもは十分にそれを踏まえた上で対応させていただければという思いでございます。

 まだまだこの問題はいろいろと出てこようかと思いますけれども、私どももいただきました御議論を踏まえて、きちんと一つ一つ前に進めるように取り組ませていただきたいと思いますので、そういう意味では、また大所高所からの御支援、御指導をいただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 本当にありがとうございました。

吉田(恒)座長 ありがとうございました。

 それでは、最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いします。

林補佐 事務的なことでございますが、構成員の皆様方に配付させていただいている大きなファイルにつきましては、後日郵送させていただきます。

吉田(恒)座長 御希望があればということですね。

林補佐 希望に応じてお送りさせていただきます。

吉田(恒)座長 ありがとうございます。

 皆さん方、長い時間どうもありがとうございました。


(了)

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