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2017年6月7日 第140回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年6月7日(水)9:30~12:40


○場所

ベルサール飯田橋ファースト ホール(地下1階)


○出席者

安部、井口、石田、伊藤、稲葉、井上、及川、亀井、河村、小林、齋藤(訓)(沼田参考人)、齊藤(秀)、佐藤、鈴木、鷲見、瀬戸、武久、田中、田部井、東、福田(福田貢参考人)、堀田、本多(松本参考人)、松田(敬称略)

○議題

(1)平成30年度介護報酬改定に向けて(訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、口腔・栄養関係)
(2)平成29年度介護従事者処遇状況等調査の実施について
(3)その他

○議事

○鈴木老人保健課長 定刻となりましたので、第140回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 分科会の開催に当たりまして、委員の変更がございましたので、御紹介をさせていただきます。

 公益社団法人日本歯科医師会副会長の佐藤保委員でございます。

○佐藤委員 よろしくお願いします。

○鈴木老人保健課長 本日の委員の出席状況ですが、大西委員より御欠席の連絡をいただいております。また、亀井委員、河村委員はおくれるとの連絡をいただいております。

 本日ですが、齋藤委員にかわり沼田参考人、福田富一委員にかわりまして福田貢参考人、本多委員にかわりまして松本参考人に御出席いただいております。

 以上により、本日は21名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。

 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収の方、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 では、以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。

○田中分科会長 皆さん、おはようございます。

 本日は、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、口腔・栄養関係などの平成30年度介護報酬改定に向けた対応と、平成29年度介護従事者処遇状況等調査の実施などを議題として御議論をお願いいたします。

 資料の確認に先立って、冒頭に蒲原老健局長より介護保険法改正法案の関係について、委員の皆様方へ御連絡がございますのでお願いいたします。

○蒲原老健局長 おはようございます。

 審議に先立ちまして、一言、御報告申し上げたいと思います。

 4月26日のこの分科会でも御紹介させていただきました、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法の改正案でございます。この件について、これまで国会で審議をいただいておりましたけれども、去る5月26日に成立いたしましたので、御報告申し上げたいと思います。

 この法案の中身につきましては、これからまだまだ法律以外の事項もありますので、そうした事項について丁寧に整理をして、自治体あるいは関係の方々に御説明をしていきたいと思っております。また、その中には介護医療院の基準等について、この分科会で御審議いただく事項もございますので、その点につきましても、これからどうかよろしくお願いしたいと思います。

 以上、簡単でございますが、御報告申し上げます。

○田中分科会長 説明ありがとうございました。

 次に、事務局より資料の確認をお願いします。

○鈴木老人保健課長 お手元の資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と委員名簿がございます。

 その次に、資料1「訪問リハビリテーション」。

 資料2「居宅療養管理指導」。

 資料3「口腔・栄養関係」。

 資料4-1「平成29年度介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」。

 資料4-2「平成29年度介護従事者処遇状況等調査の調査票(案)」があります。

 それから、資料5「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成29年度調査)のスケジュールについて(案)」。

 参考資料につきましては、参考資料1「訪問リハビリテーション」。

 参考資料2「居宅療養管理指導」。

 参考資料3「口腔・栄養関係」。

 参考資料4-1「平成29年度介護報酬改定について」。

 参考資料4-2「平成29年度介護報酬改定に関する審議報告」。

 それから、参考資料5、齋藤委員からの提出資料がございます。

 資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ここから議事次第に沿って進めてまいります。3時間の長丁場ですから、途中、適宜休憩を挟む予定です。

 早速、議題1のうち「訪問リハビリテーション」について議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、訪問リハビリテーションにつきましての御説明をさせていただきます。資料につきましては、資料1「訪問リハビリテーション」、それから参考資料「訪問リハビリテーション(参考資料)」という2つございますので、適宜両方見ながら御説明させていただきたいと思います。

 まず、本体資料でございますが、1ページ目にございます訪問リハビリテーションの現状でございます。訪問リハビリテーションにつきましては、居宅において、心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法等のことでございまして、訪問リハビリテーション費は、通院が困難な者に対して、理学療法士等が計画的な医学管理を行っている医師の指示に基づき、指定訪問リハビリテーションを行った場合に算定されるということになっております。

 訪問リハビリテーション費でございますが、「通院が困難な者」に対して給付することとされておりますが、通所リハビリテーションのみでは家屋内におけるADLの自立が困難である場合の家屋状況の確認を含め、そういった訪問リハビリテーションが提供される場合については提供できることとなっていますが、通院により同様のサービスが担保されるのであれば、通所系サービスを優先すべきとの取り扱いになっております。

 それから3ポツ目でございますが、訪問リハビリテーション事業所数でございますが、平成28年度4月審査分におきまして、請求事業所は3,871になっております。利用者数については、9万2,000人に変更をお願いいたします。9万2,000人となっております。

 次の4ポツ目でございますが、利用者1人当たりに対します平均の訪問回数、これは参考資料1の14ページに上げさせていただいておりますが、平均は大体7.1回ということになっていまして、要支援1が5.3回、要支援2が6.6回、以降、要介護が1から5につきましては、大体7回前後ということになっております。

 続きまして、1回の訪問時間につきましては、基本的には40分でございます。これにつきましては、もともとの訪問リハビリテーションの算定の方法というのが、1回20分以上で、40分連続した場合につきましては、2回として算定できるという取り決めになっているところから、40分程度というのが一番多いというようになっております。

 訪問リハビリテーションが必要となった原因について、これにつきましては17ページをごらんいただければと思いますが、一番多いのが脳卒中でございまして、大体40%弱、39%が最も多くなっております。続きまして、骨折が22%、それから廃用症候群が20%というのが順に多くなっているところでございます。

 利用期間につきましては、利用開始からの平均日数は758.2日使われているという状況でございます。

 訪問リハビリテーション利用者のうち、通所リハビリテーションも併用している者の数ですが、これについては19ページに通リハというところがありますけれども、要支援ですと訪リハと通リハを併用しているのが9%、要介護3から5につきましては17%という状況になっております。

 訪問リハビリテーション計画におけます日常生活の課題といたしましては、20ページに表をつけさせていただいておりますが、「歩行・移動」が最も多く、続いて「姿勢保持」「移乗」となっております。これらの課題に関しましては、基本的動作訓練及び機能回復訓練が最も多く実施されております。

 本体資料の2ページ、先ほどの現状の続きになりますが、訪問リハビリテーションの終了時の利用期間でございます。

23ページをごらんいただければと思います。訪問リハビリテーションを終了した利用者の利用開始から終了までの期間、いわゆる訪問リハがどれだけ提供されたかという利用期間になりますけれども、それにつきましては、左側の図になりますが、3カ月未満が25.7%、一方で、2年以上という長期の者も20.5%いらっしゃいます。

 それから、介護予防訪問リハビリテーションにつきましては、24ページに書かれておりますが、3カ月未満という者が28.3%、一方、2年以上という者が17.6%になっています。

 これらの方々の多くにつきましては、それぞれ23ページ、24ページの右側に訪問リハビリテーション終了者の転帰と書かせていただいておりますが、やはり一番多いのが訪問リハの継続、続きまして、通リハに移行というのも多いという状況になっております。

 本体資料の2ページの2番目、早期の訪問リハビリテーションサービスの導入についてになります。これにつきましての参考資料は、26ページをごらんいただければと思います。退院後に訪問リハビリテーションの利用を開始した者の32%は、退院から訪問リハビリテーションの利用開始までが2週間以上かかっています。退院後2週間以内で訪問リハビリテーションを開始したのが68%、23.5%の方々が4週間以上かかっているという状況になっております。

27ページをごらんいただきまして、退院から訪問リハビリテーションの利用を開始するまでの期間が、14日未満の方々のグループと14日以上のグループ、いわゆるバーセルインデックスの改善ぐあいにつきまして評価をしたところ、14日未満のグループでは14日以上のグループに比べ、より大きな機能回復が見られたという結果になっています。

 続きまして、本体資料の2ページの3ポツ目になりますが、医療保険の回復期リハビリテーション病棟を退院した後、医療保険のリハビリテーションを経ずに介護保険の訪問リハビリテーションに移行する者につきましては、FIMの運動項目の30点以上70点未満の方々では17%、30点未満の方々では20%という状況になっております。

 最後のポツになりますが、入院でリハビリテーションを受けている患者に対しまして、退院後に通所または訪問リハビリテーションを行う予定の理学療法士等が訪問することについて、早期にリハビリテーションを導入するために、効果的な取り組みであるとの意見がございます。これにつきましては、参考資料の2930ページに載せさせていただいておりますが、平成28年度の老人保健健康増進等事業におきまして、そういった御意見がされているところでございます。

 また、介護支援専門員がリハビリテーションを適時に導入しやすくするよう、リハビリテーション導入の要否をかかりつけ医に相談すべきかの判断のときの材料となるものがあるとよいのではないかとの意見も一方でございました。

 本体資料の3ページ、3番目の訪問リハビリテーションにおける医師の関与についてでございます。

 これの資料につきましては、参考資料の31ページ、訪問リハビリテーションの医師の関与につきましてですが、そもそも訪問リハビリテーションの実施に当たっては、医師及び理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が当該医師の診療に基づき、訪問リハビリテーションの計画を作成することとなっております。

 また、別の医療機関の計画的な医学的管理を行っている医師、いわゆるかかりつけ医のドクターですとか、そういった方々から情報提供を受けて、訪問リハビリテーションを実施する場合でも、事業所の医師及び理学療法士等が計画を作成する。そのために、当該事業所の医師が患者を診察する必要があるとなっております。

 ただし、この場合ですけれども、当該事業所の医師につきましては、訪問リハビリテーション計画を作成する過程で行う利用者の診療について、別途、訪問診療料等を請求することが可能な場合、つまり、かかりつけ医が訪問診療を算定していないケースであれば、当該医師が訪問診療料等を請求することが可能になっているところでございます。

 2ポツ目になりますが、訪問リハビリテーションを受けている利用者のうち、訪問リハビリテーション事業所を行う病院または診療所を通院している者は、全体の35%。これにつきましては、参考資料32ページで、自院にきちんと通院されているのが35%、自院から訪問診療等を行っているという方につきましては、大体20%の方々が訪リハを行っている病院との関係で関与されているという状況になっております。

 本体資料の3ページ、平成27年度の介護報酬改定におきまして、いわゆるリハビリテーション会議の開催ですとか、医師による訪問リハビリテーション計画の説明等を要件としました、リハビリテーションマネジメント加算(2)というものを前回の改定でつくらせていただいております。

 改定の具体的な中身につきましては、33ページに添付させていただいております。この加算でございますが、届け出を行っている事業所は全体の約14%、実際に算定している利用者は、要支援から要介護まで平均しますと6.2%から6.8%程度ということになっています。

 算定しない理由といたしましては、34ページの右側にその理由についての回答結果を載せておりますが、多いところですと「医師の会議への参加が困難」「医師からの説明時間が確保できない」「毎月のリハ会議が負担である」というところが算定ができない理由となっております。

 本体資料の4ページ、訪問リハビリテーションにおける医師の関与についての続きでございます。訪問リハビリテーション事業所におきましては、医師が理学療法士、作業療法士、言語聴覚士にリハビリテーションの指示を行っています。

 その指示内容ですが、参考資料の35ページ、左側の図にありますけれども、まず一つは、リハビリテーションの有無の指示のみ。行うか行わないかというそれだけの指示ということになりますと、全体の17%。それ以外の指示として、訓練開始前の留意事項ですとか、運動負荷量、それから訓練中の留意事項、中止基準、リハビリテーション目的、そういったきちんとした明確な指示が出ている場合は、それぞれのパーセンテージで行われているという状況になっております。

 なお、35ページの右側をごらんいただきたいのですが、リハビリテーションの有無の指示のみをされている方々に対するバーセルインデックスの改善状況と、左側のそれ以外の1項目もしくは複数項目の指示がきちんと出ている方々のバーセルインデックスの改善状況等について比べたところ、やはり詳細な指示が含まれているものについては、リハビリテーションの有無のみよりも高い改善度が見込まれたという結果が出ているところでございます。

 本体資料の4ページの4番目、訪問リハビリテーションにおける社会参加支援加算の関係でございます。

 社会参加支援加算につきましては、参考資料の36ページに上げさせていただいておりますが、平成27年度の介護報酬改定におきまして、質の高いリハビリテーションの実施等を評価する観点から、社会参加への移行状況ですとか、訪問リハビリテーションの利用の回転率等を要件といたしました同加算が新設されたところでございます。

 この加算の届け出数及び算定率でございますが、37ページをごらんいただければと思います。届け出数につきましては、全体の事業所の約19%が届け出ているという状況でございまして、実際に算定している患者につきましては、大体16%強というのが実情でございます。社会参加支援加算を届け出ない理由といたしましては、右側にその理由がありますけれども、一番多い理由につきましては「利用者のリハビリテーションのゴールが社会参加になっていない」、次に「利用者のADLIADLの向上が進まず通所介護等に移行できない」という割合が高くなっています。

 続きまして、本体資料の5ページ、医療・介護におけるリハビリテーションに係る計画書等というものでございます。

 参考資料につきましては、38ページをごらんいただければと思います。現在でございますが、リハビリテーションの実施やそれに関する加算の算定に当たりましては、医療保険、介護保険とも計画書の文書の作成が求められております。38ページに例で示しておりますが、医療保険の疾患別リハビリテーションですと、今回平成28年度に新たにつくられました、目標設定等支援・管理料の中で「目標設定等支援・管理シート」というものをつくることになっております。

 一方で、介護保険の訪問リハビリテーション、これは通所リハビリも一緒なのですけれども、リハビリテーションマネジメント加算を算定する場合については「リハビリテーション計画書」というものを作成することになっておりまして、それぞれ文書内容が似たようなものをつくるということになっております。

 ということがございますので、本体資料の5ページでございますが、これについて計画書等の互換性を高め、情報の引き継ぎが円滑にいくように検討すべきとの意見もございました。これにつきましては、これまで行いました医療保険と介護保険のリハビリテーションに係る計画書ということで、医療と介護の連携に関する意見交換会の中でも、こういった計画書につきましての互換性というものを高めるべきだというような意見もございました。

 こういったことを踏まえまして、本日の論点でございますが、6ページをごらんいただければと思います。

 まず、論点1といたしましては、訪問リハビリテーションの効果的・効率的な実施を促す観点から、訪問リハビリテーションの実施状況についてどのように考えるのか。

 2点目でございます。退院後の利用者や状態の悪化している利用者等について、必要に応じて早期に訪問リハビリテーションが導入できるようにしていくことが重要と考えられるが、どのような方策が考えられるか。

 3点目が、訪問リハビリテーション計画に沿ってリハビリテーションを提供していくに当たり、その質を担保・向上する観点から、訪問リハビリテーションの作成及び実施にかかる医師の関与のさらなる促進についてどのように考えるか。

 4点目、訪問リハビリテーションの質を担保・向上する観点から、訪問リハビリテーションの実施にかかる社会参加のさらなる促進についてどのように考えるか。

 5点目、医療と介護の連携を円滑にする観点から、医療保険、介護保険においてリハビリテーションに係る計画書等のあり方についてどう考えるか。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問がありましたらお願いします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 それでは、資料1の6ページの論点に沿ってお話をさせていただきます。が5つありますが、まず、1番上の○でございますけれども、訪リハの対象は参考資料を見ますと、通院が困難な者であり、通所系のサービスが優先となっているわけですが、参考資料1の8ページを見ますと、要支援1、2の伸びが最も大きくなっております。

 一方、同じく参考資料1の24ページを見ますと、介護予防の訪問リハにおいて、17.6%が2年以上実施されているというデータが出ております。

 さらに、参考資料1の13ページを見ますと、訪問リハビリテーションに比べて、訪問看護のリハビリ専門職訪問のほうが、申請中を除いて1カ月当たりの平均訪問回数が明らかに大きくなっている資料があります。

 これについて、質問がございます。まず、要支援1、2は軽度者ということになるわけですけれども、その方に2年以上訪問リハビリが実施されているのは、どういう場合なのか、わかれば教えていただきたいと思います。

 もう一つは、訪問リハと訪問看護のリハ専門職訪問、これは同じような内容ではないかと思っていたのですが、明らかに訪問回数が訪看リハの専門職訪問のほうが多いわけですが、その理由についてもわかれば教えていただきたいと思います。

 その上で意見でございますが、もしそうした内容の中に軽度者への不適切な長期実施とか、あるいは要介護度にかかわらず、特に訪看リハの専門職訪問に関して不適切な頻回訪問があれば、抑制すべきだろうと思います。

 また、退院後などには通所リハ、通所介護などが有効な場合もあると思いますけれども、それと訪問リハの併用が有効ですので、訪問リハでの問題点を通所リハ等でも改善できるように、両者の連携を図る必要があるのではないかと考えます。

 2つ目のでございますが、早期の訪問リハの導入のためには、参考資料の2930ページにありますように、入院中に訪問リハの職員が訪問したり、介護支援専門員がかかりつけ医に相談する目安、基準のようなものが明確になっているとよいと思います。

 3つ目のについてですが、訪問リハの計画の作成にはかかりつけ医が別にいる場合でも、参考資料の31ページにありますように、省令により訪問リハ事業所の医師が患者を診療する必要があることが確認されたと思います。

 参考資料1の1ページを見ますと、訪問リハ事業所として、運営上、医師の関与が前提とされているが、医師の配置は規定されていないとあります。医師の位置づけが不明確ではないかと思いますので、実態としてはいるということなのでしょうけれども、訪問リハ事業所には医師の配置として常勤の専任医師、もちろん専任医師でいいと思いますが、その配置が必要であるということを明確にする必要があると思います。

 4つ目のでございます。参考資料36ページを見ますと、左側に社会参加に資する取り組み等という内容が記載されておりますけれども、この中に予防通所リハや予防通所介護、さらには就労移行支援などの就労なども含める必要があるのではないかと考えます。

 最後の○でございます。計画書の共通化は必要ではありますけれども、意見交換のときにもお話しいたしましたが、脳卒中や大腿骨頸部骨折では既存の地域連携パスがございますので、これが介護分野では、老健にしかつながっていないという状況もありますので、これを介護支援専門員とつなぐなど、この連携パスが介護分野でも活用できるようにするのも有効な方策ではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 質問が2つございましたので、お答えください。

○鈴木老人保健課長 まず第1点目でございますが、軽度者、特に要支援で2年以上の方々がどういう方々なのかということについては、まだそこまでの分析はしていないので、そこを分析させていただいて報告させていただきます。

 あと、訪問リハの回数よりも訪問看護におけますPTOT訪問のほうが伸びている理由ですけれども、これについてもまだ分析し切れていないので、そこについても後日分析をさせていただいて、御報告をさせていただければと思います。

○鈴木委員 ぜひそこは大事なところではないかと思って、後半も基本的には同じサービスなので、同じような回数になるはずなのにかなり違っており、もしかしたら母体の違いが影響しているのかもしれないという気もするので、もう少し詳しく調べて、いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○田中分科会長 武久委員、お願いします。

○武久委員 私は慢性期医療の立場から参加させていただいております。介護保険というのは、どちらかというとほとんどが慢性期医療の担当する分野でございますけれども、慢性期というのは急性期以外のものを慢性期と言いますから、介護保険も含めて慢性期という概念からいきますと、どうもリハビリをする側が急性期の治療が終わったら、早く回復期なりのリハビリに来てくださいというような姿勢で今まではいたのではないかと思います。私は、リハビリというのは、病気が始まったときからするのがリハビリであって、結局1カ月過ぎてきても、その間に関節硬直が既に起こっていますから、やはり急性期リハビリをきちんとすることが、後々の介護保険のサービスの利用や後々の診療に対しての効率化というものに非常に重要だと思うのです。

 訪問リハの論点のところのポツ1、2くらいですけれども、とにかく病院なりで入院していておうちへ帰るというときには、当然のことながら、帰る前におうちの状態を見に行く。これは多少は評価をしてくれていますけれども、担当医が見に行って、PTOTも見に行って、この部屋に置いておいて、こういうようにベッドを置いて、デバイスはこういうように使って、では、この方が帰ってきたときにはこのようにしようということをある程度心づもりをしてから、帰るときにも一緒についていって、そこからもう既に訪問リハを開始する。訪問リハとして2週間以上過ぎてから行っても、その2週間の間で家に帰って何をしているのですか。転んでしまいますよ。どうして2週間以上かかっているのかが理解できないというところです。

 お医者さんもリハビリが得意な先生もいれば、得意でない先生もいますし、病院の先生は得意でもかかりつけ医の先生は得意でない先生もいらっしゃいます。そうであってもやはりおうちへ行って状況を見て、リハの専門のPTOTSTと一緒に考えながら、こういうようにしようということ、これは老健局もこのようなスケジュールでいくように、ちゃんと計画を立てろとも言っているし、それに対しては報酬もつけると言っているわけですけれども、現実としては進んでいない。ここが問題なので、退院して、居宅に戻るあたりのいろいろなことを行ったことに対しての評価をもう少しつけてあげたらどうかと思います。やはり最初が肝心で、リハビリは起こったときにすぐ始めるということですから、結局訪問リハというのは、訪問リハが始まる前から動くということを主体としていただきたいと思いますので、そのように評価をさらに強めていただけたらと思います。これは要望でございます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 リハ開始時期のおくれが大問題であるというのは、私も共有する意識です。

 東委員、お願いします。

東委員 ありがとうございます。

 資料1の6ページ、訪問リハビリテーションの「論点」の2つ目「退院後の利用者や、状態の悪化している利用者等について、必要に応じて早期に訪問リハビリテーションが導入できるようにしていくことが重要」とあります。今、武久委員もおっしゃったように、早期に急性期の頃からかかわることが必要というご指摘は、そのとおりだと思います。在宅に帰る場合、病院からの退院後もあるのですが、老健施設からの退所後というのも当然あります。その場合、老健施設ではどうしているかといいますと、入所中からご自宅へ医者が行く場合や、リハ職や看護職やケアマネ等が行って、退所する前にカンファレンスも開いて、「ご自宅がこのような状態で利用者の回復力がこうだから、こういうサービスを入れましょう」ということをケアマネと共同で、退所後のサービスを速やかに入れている現実がございます。そういう意味では、退院後の訪問リハが14日以内は効果的、14日を過ぎると落ちるというのは当たり前でありまして、入院時から退院に向けたかかわりをもつというようなことを老健施設だけでなく医療機関でもやるということが大変重要だと思っております。

 同じく「論点」の一番最後の○に、「医療と介護の連携を円滑にする観点」とあって、そのひとつ前のに「社会参加の更なる促進」とあります。介護保険制度では、前回の介護報酬改定で通所リハビリや訪問リハビリにこういう「社会参加」の考え方が入ったのは、皆さん御存じだと思います。やはり医療保険においてもそういう「社会参加」の考え方をきちんと入れていただいて、その観点から早期にご自宅を訪問し、どういう状況かということを見て、ICFの考え方に基づいてリハビリを提供するとか、そういう情報提供を介護保険の方に回していただくということが大事です。現在では介護保険の方で、このような「社会参加」ということが言われていますが、医療保険の方ではまだそこまでそういう意識が少なく、どちらかというとスパルタリハビリというか筋肉リハビリに重きを置いていると思います。是非、医療保険の方からご自宅へ帰ってからのリハビリというところの情報を入れていただけると助かると思います。

 以上です。

○田中分科会長 瀬戸委員、お願いします。

○瀬戸委員 まず、論点の1つ目、2つ目に関してです。今、武久先生、東先生からもありましたように、27ページによると、退院から訪問リハを開始するまでの期間が14日未満である場合には、回復が著しいといったことがありますので、こうした部分についての評価をするなどを伸ばしていくことが必要だと思います。

 一方で、18ページの平均の利用日数ですが、中央値で462日、月数でいえば15カ月、平均値だと758日で、約2年ということになっています。国連の障害者に関する世界行動計画でも、リハビリテーションについては、時間を限定したプロセスであるということも定義の中に含まれていまして、こういう現状では、時間を限定したプロセスというのは難しいと思いますので、一定程度適正化していくことが必要ではないかと思います。

 3つ目と4つ目に関してですが、リハビリテーションマネジメント加算(2)の計画作成に係る医師の関与について、医師の会議への参加が困難なことなどが挙げられていますので、会議等をICT化するなどして、そういうことも開催として認めることを可能とすることで、加算がよりとりやすくなるのではないかと思います。

 社会参加支援の加算については、リハビリテーションの概念を広く進めていく上でも重要であると思いますので、より従事していくことが必要だと思います。

 最後のについてですが、医療と介護の連携に関する意見交換会でも述べさせていただきましたけれども、互換性を持たせて一貫した計画にすべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。

 総論的に申し上げますと、まず一つは、医療と介護の連携をしっかり図っていただきたいということです。医療から介護へうまくつなげ、切れ目のない、全体として効率的な制度にしていただきたい。そうした観点からも、医療の外来リハ、訪問リハ、通所リハ、全部含めて、リハビリテーションがどうあるべきなのかということを考えるべきではないかと思います。

 そういう前提のもとでこの論点ですけれども、先ほども御指摘ありましたが、論点の1つ目につきましては、やはりサービスの平均利用期間が758.2日というのは非常に長いと思っておりまして、しかも7割以上の方が75歳以上のご高齢の方ということですから、2年以上訪問リハを続けていくことの効果をしっかり見ていかなくてはいけないと思います。

 質問ですけれども、訪問リハの利用期間について、経年的にどういうように日数が変化しているのか、もしわかれば、また後で教えていただきたいと思います。

 もう一つ、1つ目の○に関して、参考資料の25ページですけれども、長期目標というものがございますが、この長期目標というのがどういう位置づけなのかというのがよくわからないのです。25ページによると、長期目標達成後のサービス移行について、訪問リハを継続するという回答が一番多くなっております。これだけを見ると、目標が達成をされていないような印象を受けますが、しっかり自立支援に向けた目標を設定することが必要ではないかと思います。

 論点の2つ目でございますけれども、これは先ほども御指摘ございましたが、3割の方が、退院後訪問リハの利用開始まで2週間以上かかっているということにつきましては、この理由がよくわからないのですが、介護保険を新たに利用するという申請に時間がかかっているのか、あるいは先ほどあったように、理学療法士が訪問するケースが少ないからなのか、この辺は原因を明らかにして改善をしていただきたいと思います。

 論点の3つ目のですけれども、先ほど申し上げたとおりなのですが、参考資料の28ページで、医療と介護の役割分担で医療保険のリハと介護保険のリハで、現状でどのようなすみ分けになっているのかというのもよくわからないので、この辺は連携を図っていただきたいと思います。

 論点の4つ目でございますが、参考資料の35ページで医師の指示書内容の充実について書かれておりますけれども、医師の指示書の内容が充実すればするほどADLの向上に資するということでございますので、もし本当にそういう評価があるのであれば、ぜひ詳細に指示をするということを義務づけるなり、徹底するなりしていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 質問が1つ含まれていましたので、お答えください。

○鈴木老人保健課長 御質問はいわゆる利用期間に関して、経年的な変化が見られるようなデータがあるのかということなのですが、今回の利用期間につきましては、平成27年度介護報酬改定検証調査で行っておりまして、今回初めてとったデータですから、経年変化については今のところ不明でございます。

○田中分科会長 及川委員、お願いします。

○及川委員 ありがとうございます。

 まず、論点のところでいえば、4つ目に関連することかと思うのですが、参考資料の37ページにあります、社会参加支援加算届け出をしていない理由が「利用者のリハビリテーションのゴールが社会参加になっていない」のほかに、「利用者が通所リハビリテーションの継続希望が強い」「家族が通所リハビリテーションの継続希望が強い」と書いてあります。リハビリをすること、受けることが目的となってしまっていると捉えられるのではないかと思うのですが、サービス利用者がより一層社会参加できるように、サービスを充実させることが必要です。そのためには、生活場面を理解して支える観点から、訪問リハのセラピストと訪問介護のサービスが連携して、サービス利用者の暮らしぶりに応じた支援を行うことなども重要ではないでしょうか。

 一つ質問でありますが、現在でも訪問介護サービスに訪問リハ等のセラピストと連携する生活機能向上連携加算があります。この加算の請求状況のデータがあれば、お示しいただけないでしょうか。

 以上でございます。

○田中分科会長 請求状況についてお答えください。

○鈴木老人保健課長 訪問介護の加算になっております生活機能向上連携加算でございますが、算定につきましては、初回の月以降3カ月の間に1回算定が可能という状況になっております。この加算の算定状況でございますが、平成29年3月末の介護給付費実態調査においては、加算の件数については、全体で200件。このときの同月の訪問介護利用者が約100万人いらっしゃいますので、100万人に対して200件しか算定されていないという現状になっています。

○田中分科会長 たくさん手が挙がりました。

 手を挙げていた順に、稲葉委員、小林委員、それから沼田参考人の順でお願いいたします。

○稲葉委員 ありがとうございます。

 2点、意見を申し上げたいと思います。

 1点目は今、及川委員のお話からもありましたように、今回載ってはいませんでしたけれども、生活機能向上連携加算について算定の状況の説明がありました。まだ、実績が少ないということですけれども、これもかなりリハビリには有効なサービスではないかと思われますので、今後効果の検証も含めまして、データなどをお示しいただきたいと思います。

 続きまして、資料1の3ページにありますように、訪問リハビリテーション計画作成における医師の関与についてです。これも複数の方から御意見がありましたけれど、場合によっては、2人の医師が別々に訪問して診療をしなければいけないということで、それに見合うだけの訪問リハビリテーションの効果がある場合を除きまして、多忙な医師がわざわざ訪問に行く必要はないケースもあるのではないかと思います。それによって、訪問リハビリテーションの計画作成であったり、サービスの開始がおくれることがあってはいけないと感じます。そこで、連携方法の工夫、例えば多種多様な情報の連携を考えますと、ICTなどを活用して、その情報を関係者間で共有する仕組みが作られると、効率的に進むのではないかということを意見として述べさせていただきます。

 以上です。

○田中分科会長 小林委員、お願いします。

○小林委員 訪問リハビリテーションについての大きな課題は、今回の介護報酬改定は2025年に向けた重要な同時改定となることから、医療との連携をいかに効率的かつスムーズに行うか、さらにリハビリを受ける方の自立度を高めるために、早期かつ集中的な支援をいかに行うかということだと考えます。

 そのような観点から、論点の順番が前後いたしますけれども、論点の最後の5つ目の、医療と介護のリハビリに係る計画書については、記載すべき事項を両者で統一し、標準的なフォーマットをつくるなど互換性を持たせるとともに、できる限りICTを活用したデータの移行が効率的に進むようにしていくべきだと考えます。

 また、論点の○の1つ目と2つ目についてですが、これは武久先生から先ほど御意見がありまして、ほかの委員の方からも御意見がありましたように、私も同意見です。早期のリハビリ開始と自立度の向上を目指して、退院前からケアマネだけではなくてPTOTの方の力もかりて、リハビリに移行できるような体制を整備するとともに、早い時期から通所のリハビリテーションを組み合わせられるよう、報酬上の手当をしていくべきではないかと思います。

 さらに論点の3つ目の訪問リハに係る医師の関与については、別の医療機関の計画的な医学管理を行っている医師から情報提供を受ける訪問リハを実施する場合などについては、特段の事情がなければそれを活用することで足りるのではないかと思います。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 沼田参考人、お願いします。

○沼田参考人 論点の2つ目の退院後の利用者が早期に訪問リハビリテーションを導入できるようにするということについてですが、やはり最初の急性期のリハビリの段階で、患者の在宅復帰、在宅療養に向けての目標やそれを実現するための維持期リハのリハビリ、維持期リハのあり方も見据えた中長期的な視点での計画作成が必要だと考えます。急性期リハビリの段階で、介護保険のリハビリに携わる他職種も集まってのカンファレンスを開催し、目標や課題を情報共有して取り組むことが有効だと考えられます。

 また、今後は在宅療養の重度化、多様化が進み、ケアマネジャーがリハビリテーションを含めた医療的サービスの導入を判断するケースがふえることが予想されます。在宅で状態が悪化した場合にもケアマネジャーが早期に対応し、医療的なアセスメントに基づいてリハビリテーションの導入等を検討するために、ケアマネジャーが必要時、適宜医療職に相談し、情報や助言を得られる仕組みを次回改定に向けて検討すべきと考えます。

○田中分科会長 田部井委員、お願いします。

○田部井委員 認知症の人と家族の会です。

 先ほど3割負担を含む法律が成立したという御報告をいただいたのですけれども、私どもは2割負担がまず問題だとずっと思っていまして、決まったことは仕方がないということではなくて、やはり2割負担は大変だという声はかなりありますので、少なくとも2割負担がどういう影響を与えているかという検証については、引き続き十分行っていただきたいということをぜひお願いしたいと思います。

 それから、きょうの訪問リハビリとの関係なのですけれども、認知症という立場からしますと、訪問リハビリというのは余り縁がないという感じで受けとめていたところがあるのですが、今回の資料を見せていただきまして、例えば参考資料の11ページの利用者の認知症自立度調査によれば、2a以上が4割、半数近くを占めているというデータがあります。

17ページの訪問リハビリが必要だと認められる原因疾患として、認知症というのが10%を占めていると。これは、小さいように受け取られるかもしれませんけれども、通所できるリハのほうがいいという方はここに入ってきていないわけですから、あえて訪問リハの原因に認知症が挙がっているということの10%というのは、決して数字としては少なくないのではないかと思われます。そうしますと、認知症の人に対して、訪問リハというのがそれなりの役割を果たしている。その役割は意外に大きいのかなと気づかされました。

 認知症の人に対する訪問リハビリとして、お医者さんからどのような指示書が作成されて、具体的にそれを受けて、ケアマネジャーさんがどのようなプランを作成し、療法士の方であるとか看護師さんであるとかが具体的なメニューを提供するわけですけれども、そのときにどのようなメニューが提供されているのかがもしわかりましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

 それから、そのことがどれだけ効果があったか、ないかということについて、認知症という観点から何らかの評価があるようでしたら、教えていただきたいと思います。

 もう一つ、訪問リハビリと訪問介護の関係です。参考資料の2122ページを見ますと、訪問リハの中で生活上の課題で列挙している中で一番高いのは、移動ということであるのは当たり前だと思うのですけれども、歩行・移動が最も高い順位というのも当然だと思うのです。

 具体的な生活上の課題でいきますと、食事の用意や洗濯、掃除でありますとか、そういう家事の優先順位というのは、それほど高くはないという資料があるのですけれども、生活援助が、初期の認知症の人にはかなり有用であると認識をしております。身体上に何か問題が出てきていれば、とりわけ認知症があるとすれば、生活上の援助というのはその必要性も高くなってくるのではないかと思われるのです。割合が要支援、あるいは要介護1、2でもそれほど高くないというのは、訪問リハビリを利用している認知症のある人、あるいは全般でもいいのですけれども、やはり家族が誰かいて、そこは補ってくれているので、そういうサービスが余り必要ないのか。家族構成であるとか、どのような人が訪問リハを利用されているのか。その辺についても資料がもしありましたら、教えていただきたいと思います。

 もう一つ、社会参加支援加算の点なのですけれども、これはやはり社会参加に資する取り組みというのは、認知症の人にとってもとても意味の大きいことですから、ありがたいと思うのです。この加算も重要だと思うのですけれども、その割に加算の取得は決して多くないというのは、残念だと思うのです。社会参加支援というのを具体的にどう評価するかということですと、通所介護であるとか通所リハビリに移行して、3カ月きちんと通所し続けていることで評価があったときに算定されるということで、そのことがなかなか難しいということになっているのかなという気がするわけです。具体的にどのようなサービスが提供されて、そういうことに結びついているのか。

 もう一つは、なかなか算定の届け出がないというのは、公式な理由はここに出ているのですけれども、本当はひょっとしたら成果を上げて通所リハや通所介護に移行したら、ある意味利用者を手渡す、手渡すという表現はちょっと変ですが、ほかの事業所に移っていただくことになる。そこに対するちゅうちょみたいなものがあるのかなという気もしないでもないので、それでなかなかとりにくいのかなということ。

 それまで全く運動音痴だった認知症の初期の人がいろいろな試みによって、例えばテニスという新しい社会参加の場を得て、元気に活動するようになっているなどというように、訪問リハを利用し、特に別のサービスに移行しなくてもそういう成果がきちんとあれば、こういう加算がとれるような道がもし開けるようであれば、もう少し名前に値する加算が広がっていくのではないかと思うのですけれども、この辺については、このような考えはちょっと成立しないということなのか、もしお答えをいただければいただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 3項目にわたって質問がありましたので、お答えください。

○鈴木老人保健課長 第1点目でございますが、認知症の方々に対して訪リハの関係でどのような指示がされ、どういうプランが立てられ、そしてどのようなメニューが提供されているのか、もしくはその効果はという御指摘でございますが、今回の調査の分析におきましては、認知症とそれ以外と分けた分析はまだ行っておりませんので、今のところデータはございません。

 2点目の家族構成等のバックグラウンドの関係につきましても、調査票の中でそういったバックグラウンドについては余り聞いていないので、そこについても今のところはデータがないということになります。

 それから、社会参加の関係でございますが、今回の調査でこういう結果が出ておりますけれども、これ以上細かいところにおきましては突っ込んだ調査をしていないので、これ以上どうなっているかというのは、不明になっているところでございます。

 なお、先ほど参考資料の21ページで、訪問リハビリテーション計画におけます最も優先順位が高い日常生活の課題領域のところで説明をされておりましたが、20ページが複数回答になっているほうでございます。そうしますと、この中ではいわゆる食事ですとかそういったコミュニケーションの関係、洗濯、掃除というのが、第1選択ではないのですけれども、割と使われているというデータがございますので、そういったところを含めまして、今回どういうように訪問リハビリテーションの提供について考えるかというのを御議論していただければと思っております。

○田中分科会長 鷲見委員、次に松本参考人でお願いします。

○鷲見委員 退院後のリハビリについて、病院主治医が御本人に対して退院時カンファレンスに説明すると有効であり、積極的に早期から在宅リハにつなげられるようにすることが重要であることは、多くの委員から指摘されているところだと思いますし、我々もきちんとかかわっていきたいと思うところです。

 その中で、通所リハと訪問リハをどういうように使い分けるかという目安の一つに、座位の保持というのがあると思います。といいますのは、通所リハを使うときに、提供時間を通じて座っていられるかどうか一つの目安になっていますので、御指示をいただくときに、この方は適しているのかどうなのかということをお伝えいただけるとありがたいと思いました。

 また、退院時カンファレンスなどに本人が同席する際にリハビリテーションの目的とどのくらい必要なのかということと留意点とともに、卒業目標といいますか、今回のリハビリテーションをこのくらいするとこのようなところまでいけるということを、具体的に参加者で共有させていただくと導入もしやすいですし、その後の経過もスムーズにいくかと思っておりますので、お願いしたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 松本参考人、お願いします。

○松本参考人 ありがとうございます。

 保険者の立場で、3点ほど申し上げたいと思います。論点の1つめについて、23ページに「訪問リハの終了者の利用期間及び転帰」とありますが、3カ月未満の方が25.7%となっており、短期間で利用者への効果をあげることができ、現場の努力に対して評価をいたしますとともに、感謝申し上げます。

 一方、2年以上という方が20.5%もあるということ、さらには、参考資料の18ページを見ていただきますと、利用期間の平均が758.2日とあります。訪問リハビリは、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるのが目的ということ。また、家屋状況の確認を含めて、訪問リハビリが行われていると思いますが、なかなか成果が見られないという感じがいたします。

 さらに、25ページで長期目標達成後のサービス移行の予定が、訪問リハの継続が30%以上と最も多くなっております。どのような計画目標を持って実際やっているのかということがよくわからない。利用者にとって真に機能の維持、回復を図るためのサービスが提供されているか、いささか疑問を持たざるを得ません。厳しい言い方になりますが、長期漫然としたサービスになっている場合には減算対象とする、あるいは訪問リハ以外のより適切なサービスを提供するなど、利用者の視点に立ったメリハリのある報酬体系にすべきだと考えています。

 次に、論点の3つめの、訪問リハビリ実施における医師の関与についてになります。参考資料の35ページにありますように、リハビリの有無のみを指示した場合と訓練中の留意事項を指示した場合とで比べますと、2倍以上の開きがあり、医師が詳細な指示を行った方が成果が上がっているということです。以上のことにより、機能回復した利用者の割合をアウトカムとするなど、算定要件に含めることを検討すべきではないかと考えています。

 論点の最後ですが、医療と介護の連携を円滑にするという観点から、リハビリに係る計画書の様式につきましては、平仄を合わせるということを検討すべきだと思います。

 また、他の委員からも意見がありましたように、その中でICTを活用するということも考えて、円滑な移行ができるようにしていただければと思います。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員、お願いします。

○武久委員 論点の初め2つと5つ目に関係しますけれども、先ほど私が2週間は遅過ぎると、退院前後に介入してやったらいいと言いながら、これには理由があると。ここの理由を改善しない限りは、なかなか2週間は短くならない。普通に考えて、お年寄りでも元気に日常暮らしている人が急に脳卒中になると、高度急性期病院へ行く。それから、回復期を含む、慢性期医療の現場に入ってリハビリテーションをする。それから、退院する。元気ですから当然のことながら、要介護認定をもらっているわけでもないのです。だから、いつ要介護認定申請をするかということが重要です。とにかく、要介護認定を出してから時間がかかり過ぎるのです。それが出ていないと、居宅介護サービス事業者としての訪問リハビリテーションは、一体どのくらい行っていいかもわからないし、いろいろなことで苦労する。

 最後の論点の医療と介護の連携ですけれども、特に慢性期の病院、ポストアキュートの病院の地域連携室は、入院したときから要介護認定を申請する。それから、受け持ちのケアマネジャーは当然いないから、その段階から既にある程度お願いをしておくなどもしないといけない。昨年の診療報酬の改定で、病院にケアマネジャーが来ていただいたら、病院側が評価されて、行くケアマネジャーは評価されない。こういうおかしな理屈になっております。ケアマネジャーは患者さんが今、いる病院にしょっちゅう出向いて、在宅や帰る準備をできやすいようなシステムにしていただかないと、医療と介護のところを結びつけるのは、どう考えてもケアマネジャーなので、非常に重要です。

 もう一つ、要介護認定で何が出るかわからないので、どんなサービスを最初に言っても削られてしまう可能性があるとなると、どうしても事業所としてはちゅうちょするかと思います。一次判定でこういう結果が出ましたということが通知できないかというのは、私もずっと介護認定審査会をやっていますけれども、30件あって、現在で大体二、三件しか一次判定を覆すことはありません。それも、2段階覆すことはまずほとんどないです。だから、一次判定はこうなっています、ただ介護認定審査会はまだやっていませんから確定はしませんが、この程度の一次判定ですと言われると、大体そのくらいのプランを立てればいいのかということが非常に早期にわかるわけです。だから、入院中から要介護認定の調査員が病院に来てやっていただく。どうしても、今は退院しておうちに帰ってから調査員をお願いしてと、タイムラグが非常に大きなものになるのです。この最後のポイントは老健局の局長を初めとして、もうちょっと短くして連携がうまくいくようにしていただけるとありがたい。というのは、給付管理票をつくらないといけないということもありますし、やはり医療との連携をいろいろと言っても、現実に進んでいないところは、このシステム上のタイムラグというのが、本人の回復に大きく影響するようなことがあっては、ゆゆしきことだと思いますので、改善をお願いしたいと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 齊藤秀樹委員、お願いします。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 論点の2の退院後の訪リハの利用開始でありますけれども、利用者からすると、訪リハ開始がおくれることによって、ADLの本来向上すべきもののレベルが下がるということは、大変残念なことであります。

 もう既に何人もの委員からお話がありましたように、早期のリハにつなげるためには、さまざまな今、ある課題を克服していただくということが大事でありまして、武久先生からお話がありましたように、現場サイドで非常に複雑な手続があることによって、なかなかつながりにくいのだというお話。これも重要な指摘でありますし、また既に入院されておられる現状からすれば、予後がどういうようになっていくかというのは、ある程度の予測はつくのだろうと思いますので、そのことを医療関係者の専門性を有効に発揮していただいて、病院におられるときから予後のことについて予見していただくということは極めて大事なことだろうと思いますので、ぜひそういう意味での効果的な改善に努めていただきたいと思います。

 また、ケアマネの関与というのも非常に大事でありますので、先ほど鷲見委員からもお話がありましたが、判断基準や目安ということが少しあると、取り組みの仕方が違うという指摘もありますので、余り複雑な話にするとまた使いにくくなるということもあるのだろうとは思いますが、ある程度多くのケアマネの皆様が判断できる材料の提供をしていくということが、リハビリの適時導入につながる有効な手立てではないかと思います。

 医師の関与についてでありますが、これも何人も委員から御指摘がありました。35ページにありますように、指示だけをしたケースとさらに関与の度合いが深まることによって改善に差異があるというデータになっております。これは大変興味深いデータでありますし、医師の関与というだけではなくて、関与の質が問われているということだろうと思いますので、評価のあり方として、ただ指示という言い方は適切ではないかもしれませんけれども、関与の仕方が評価につながるようなものでなければいけないのではないか。これはぜひ専門職ではないとできないことでありますので、自分がこういう状態になったときに、指示だけなのか、非常にきめ細かく説明をしていただいているのかわからないわけでありますので、ぜひ信頼を高める上でも、指示のみということのあり方というのは、問われるべきではないかと思います。

 以上であります。

○田中分科会長 伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 リハビリテーションについては、きょうも他の委員から数多く御指摘があったように、スピードと質の両面から強化していく必要があると思っています。スピードについては、資料で御提示いただいたように、一つはリハ専門職に早い段階から関与していただく、入院中段階から情報交換などしていくことはとても大事だと思いますし、計画書等の書類の医療保険との共通化も、実務上の課題等をぜひ検討していってもらえればと思います。

 一方の質なのですが、今も御指摘があったように、35ページを見ても医師の関与の度合いが高いほど、ADL向上があることもわかりました。そういう意味ではリハマネ加算(2)の取得が大変だからとりやすくするというより、医師が関与しやすくするよう、実務的な対応がとれないのかを検討したらどうかと思います。なかなか医師に時間がないということが34ページにあるものですから、積極的関与を求めれば求めるほど時間がかかってしまうということにならないような取り組みがされるよう検討していければと思います。

 それから、社会参加支援加算のところですが、これはとてもいい視点の加算だと思っていますが、社会参加というにはやや羊頭狗肉というか、訪リハからの出口という観点に今のところ留まっています。もう少し積極的な意義づけをこの加算にしていくことも考えていくべきだと思います。出口のところは、通所リハや通所介護に行くということにとどまらない、就労など、さらに進んだ社会参加も考えていくことができると思っています。もちろん、37ページにあるように、現時点の社会参加支援加算すら届け出ができないと言っているところもあるわけですが、積極的な意義づけを一つ考えることも重要ではないかということを提起させていただきます。

 以上です。

○田中分科会長 石田委員、お願いします。

○石田委員 ありがとうございます。

 何度も済みません。今まで本当にずっと繰り返されてきているところですが、論点の2の早期訪問リハの導入ということですが、最初にこのテーマを拝見しまして本当に一番ショックを受けたのがこれで、退院後の2週間以内に訪問リハが受けられる人は少ない。人によっては、1カ月以上待たされている。退院してすぐにリハを受けられるとばかり利用者としては思っていたのですが、こんなにも待たされるのは驚きです。今、多くの委員の皆さんからのご意見や、武久先生の御指摘がありましたが、仕組みというか制度そのものが早期の訪問リハサービスの提供を阻んでいるのではないかと思います。例えば骨折して入院し、すぐに介護申請をしても、退院は割と早く、1日や2日で退院ということもあります。その後に認定がおりるまで1カ月近く待たされてしまうわけで、その間、自費で介護サービスを利用できる人はともかく、データからも多くの人がサービス利用を待たされているわけで、ここが一番問題です。いよいよ、介護認定制度等の簡素化を検討する必要が出てきているのかなと思いますので、ぜひそれはお願いしたいと思っております。

 3点目の医師の関与というところで、医師の関与のさらなる促進というのは絶対必要ではありますけれども、関与の方法はさまざまにあるのではないかと思います。先ほどほかの委員の方からもございましたけれども、ドクターの物理的な時間が限られておりますので、何でもかんでも会議に必ず参加しなければいけないということではなしに、いろいろな方法でICTをフルに使うなり、指示書等のものでほかのスタッフがちゃんと動けるというような仕組みの中で、多様な方式で効率を上げられる方法をぜひ考えていただければいいのかなと思います。医師の関与の方法について、具体的にいろいろと考えていただいたほうがいいと思っております。

 最後に、「社会参加」という用語の意味です。社会参加というイメージの中で、私も何度もこの資料を拝見して、現場では「リハビリテーションのゴールが社会参加になっていない」と回答している点に非常に違和感があります。意欲を持ってリハビリに取り組み、状態を悪化させず、少しでも体が動かせるようになれば、これは立派な社会参加の一歩ではないかというイメージです。社会参加というところの要件をいま一度見直していく必要があると思います。そうでないと現場が戸惑ってしまうのではないか、社会参加そのもののイメージもそれぞれさまざまで、なかなか共通していないのではないかというところもありますので、ここはぜひ再検討していただければと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 松田委員、お願いします。

○松田委員 意見を3つだけ話したいと思います。

 1つは、今、長期に訪問リハが終了した後も訪問リハを継続するなど、そういうことが若干問題視されている感じですけれども、参考資料の20ページを見ていただいたらわかると思うのですが、要介護3から5の方たちの日常生活上の課題というのは、姿勢の保持だったり、移乗だったり、トイレ動作だったりということで、今の機能をいかに維持するかということが、在宅での生活を維持することで一番重要なのだろうと思います。そして、そういう方に対して訪問リハが入っているということは、当然目的としては、現状を維持するということが目的となっているはずなので、終了後も訪問リハが継続されるというのは、ある意味当然だろうと思います。その中で社会参加をどういうように考えるかというのは、また別の問題だと思うのですけれども、そういうことで要介護度別の統計をもう少し出していただけるといいのかなと思いました。

 医療と介護の連携ということで考えると、既存の情報が十分活用し切れていないだろうと思います。その中の最たるものが主治医意見書だろうと思います。左側のページですけれども、主治医意見書のところの最後に今後発生が予測される病態というものがありまして、その中に例えば機能低下などもう少し細かい内容のものが入ってくれば、そこを対象として訪問リハなりそういうものを設定するということが、多分ケアマネジャーさんは可能になってくるのだろうと思います。そういう意味では、主治医意見書を活用するという観点から、少し主治医意見書の見直しが必要な時期に来ているのではないかと思いますし、また、その主治医意見書をケアマネさんが活用する、あるいはそのサービスにかかわっている関係者の方が十分に共有して活用できるというところをICTでちゃんとやっていくという仕組みが必要なのではないかと思います。

 早期に介入するというところでいうと、大体病院の先生が最初に主治医意見書を書かれると思うのですけれども、そこできちんとした情報が提供されれば、早期の介入につながっていくと思いますので、そういう意味では、主治医意見書の見直しとそこに書かれた情報の、ICT等を使っていくのが重要になってくるのだろうと思います。そういう意味では、既存の仕組みでいうと、担当者会議、ケアカンファレンスがきちんと開かれるということが一番重要なのだろうと思います。ただ、そこのところはいろいろな物理的な問題で、時間的な問題もあってやれないということであれば、そこをICTを使ってやっていくような仕組みというものを、多分国が標準的なものを示していただいてやっていくということが、現状では一番実現性の高い解決策ではないかと思いました。

 以上でございます。

○田中分科会長 具体的な方策をありがとうございました。

 東委員、お願いします。

○東委員 今の松田委員の意見と同じなのですが、長期にやっている方、2年以上やっているのは何でなのだという意見が多い中で、参考資料1の25ページ「長期目標達成後のサービス移行の予定」を見ていただきますと、長期目標を達成後、訪問リハを継続するという方は、明らかに重度の方が多いのです。軽度の方に漫然と訪問リハをだらだらやるというのは私もよくないと思いますが、在宅生活を維持するために、特に重度の方で訪問リハがあるために継続できているという例もあるので、ただただ2年以上は悪だと言うのはちょっとおかしいと思います。そこは私も松田先生の考えと一緒でございます。

 もう一点だけ。先ほどから委員の皆さんの御意見を聞いていますと、今回は医療と介護の同時改定なので、医療と介護の連携という観点で、どちらかというと医療機関に対する要望とかこうあってほしいという意見がたくさん出ております。しかし、ここはあくまで介護給付費分科会の場でございますので、そういう貴重な御意見を中医協という診療報酬を議論する場に情報が届くよう、ぜひともお願いをしたいと思います。

○田中分科会長 当然の要望ですね。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 最後の意見で私も1つ追加させていただきたいのですけれども、医療と介護の意見交換が2回開かれて、私は非常に有意義だったと思うのですが、そこでの議論がきちんと医療に伝わるように、しっかりそれが受けとめられるような医療機関が地域に必要だと思うのです。それが中小病院や有床診療所などです。そうした医療機関を診療報酬できちんと確立していただくことをぜひ行っていただきたいので、中医協にもお伝えいただきたいと思います。

○田中分科会長 議題1のトピック1はここまでといたしましょうか。

 では、11時まで休憩をとります。

 

(休  憩)

 

○田中分科会長 予定の時刻になりましたので、再開いたします。

 次に、議題1のうち居宅療養管理指導及び口腔・栄養関係について、一括して議論を行います。

 事務局から資料の説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、まず居宅療養管理指導につきまして、御説明させていただきます。資料につきましては、資料2「居宅療養管理指導」と参考資料の「居宅療養管理指導(参考資料)」、両方見比べていただければと思います。

 まず、本体資料「居宅療養管理指導」でございますが、1ページ目でございます。そもそも居宅療養管理指導についてですけれども、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医師、歯科医師、薬剤師、看護職員、歯科衛生士または管理栄養士が、通院が困難な利用者に対して、療養上の管理及び指導を行うことということでございます。

 2ポツ目にございますが、居宅療養管理指導につきましては、請求事業所数は1.6万事業所から2.9万事業所、受給者数につきましては22.7万人から60.4万人に増加傾向にあるというところでございます。

 それぞれの種別ごとの算定状況でございますが、参考資料の3ページをごらんいただければと思います。掲載していますとおり、それぞれの職種ごとの平成28年4月審査分のデータでございますが、医師が約78万件、歯科医師が31万件、薬剤師が59万件、そのうちのいわゆる病院・診療所の薬剤師につきましては0.7万件、薬局薬剤師につきましては58万件となっております。管理栄養士が0.5万件、歯科衛生士が43.6万件、看護師が0.0万件となっております。

 その次に、本体資料の2番目になりますが、平成28年度診療報酬改定における在宅時医学総合管理料等の見直しについてということでございます。これにつきましては、参考資料10ページをごらんいただければと思います。

 居宅療養管理指導におきましても、利用者の居宅の場所等における報酬上の評価について、適宜、その評価を導入しておりますが、今回28年度の診療報酬改定におきまして、参考資料の9ページをごらんいただければと思いますが、大きく介護の関係ですと2つの見直しが行われております。

 1つ目は、現行の特定施設入居時医学総合管理料につきまして、算定対象となる施設の見直しを行っておりまして、在宅時医学総合管理料、いわゆる在総管ですが、これについては、これ以外の施設入居時等医学総合管理料、いわゆる施設総管と呼んでいるものです。施設総管の対象施設につきまして、これまで養護老人ホーム、軽費老人ホーム、特別養護老人ホーム、特定施設の4施設だけだったものを、28年度報酬改定におきまして、有料老人ホーム、サービスつき高齢者住宅、いわゆるサ高住、それと認知症グループホームを追加したところでございます。それ以外のところにつきましては、従前の在総管が使えるということになります。

 参考資料の10ページをごらんいただければと思います。医療のほうにおきましては、これまでですと4にありますが、同一日に診療した人数においてその点数が変わっておりましたが、今回の改定におきましては、同一日に診療した人数にかかわらず、当該建築物において医学管理を行っている人数に応じて評価ということになっております。下のほうを見ていただくとわかるとおり、下の方の1というところにございますが、従前は医師が同一日に訪問診療を行う場合に、こういった点数が分けられているところでございましたが、今回の改定におきまして、2にありますが、当該建物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在総管を行っている者の数ということで、同時ではなくて、そもそもそこにどれだけの患者さんがいるかというところの人数に応じて、今回の改定が行われているというところでございます。

11ページにつきましては、いわゆる特医総管の関係で、今回そういった同様の見直しが行われているところでございます。そういったところが、こういった診療報酬におきましては、いわゆる建物ですとか人数等に応じたきめ細やかな評価が行われているという状況になっております。

 それを踏まえまして、本体資料の2ページにありますが、今回の論点でございます。利用者の居住場所に応じた評価について、平成28年度診療報酬改定では、いわゆる在総管等の算定要件を見直し、居住場所や単一建物での診療人数等に応じたきめ細やかな評価等が行われたことを踏まえ、報酬体系の簡素化にも配慮しつつ、医療保険と介護保険の整合性の観点から、今回の在宅療養管理指導についてどのように考えるのかというのが論点になっております。

 居宅療養管理指導については、以上でございます。

 続きまして、口腔・栄養関係についての御説明をさせていただきます。資料は「口腔・栄養関係」という資料3のものと、参考資料3「口腔・栄養関係(参考資料)」の2つで御説明させていただきます。

 まず、本体資料をあけていただきまして1ページ、口腔の関係の御説明になります。口腔関係ですが、現在、要介護高齢者に対する口腔衛生管理につきましては、大きく居宅サービスにおきましては居宅療養管理指導、それから、口腔機能向上加算が算定されておるところでございます。そのほか、施設サービスにおきましては、いわゆる施設全体の口腔ケアに関する介護職員への助言指導等を行うという口腔衛生管理体制加算、それと、入所者個人に対して歯科衛生士による口腔衛生を評価する口腔衛生管理加算というものが、今、報酬で評価をされているところでございます。

 本体資料の2ポツ目になりますが、介護保険施設におきます協力歯科医療機関の指定につきましては、運営基準上、努力義務になっているところではございますが、特養、老健におきましては、約9割が指定しているところでございます。ただし、介護施設側から協力歯科医療機関に対して定期的なカンファレンスへの参加という希望があるというような実態にもなっております。

 3ポツ目でございますが、まず、口腔衛生管理の評価の関係で、口腔衛生管理体制加算の関係でございますが、これにつきましては、参考資料の5ページをごらんいただければと思います。上のほうで模式図で書いておりますが、歯科医師から指示をされた歯科衛生士、もしくは歯科医師が施設内の介護職員に対して技術的助言もしくは指導を月1回以上行った場合について算定できるというものでございます。これにつきましては、21年から導入されております。

 続きまして、参考資料の6ページ、歯科口腔衛生の管理加算の関係でございます。管理加算につきましては、歯科医師から指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対して月4回以上の口腔ケアを行った場合ということでございまして、この歯科医師につきましては、外部の歯科医師もしくは内部の歯科医師、どちらでも構わないということになっているところでございます。

 これらの算定状況になりますけれども、算定状況につきましては7ページにございますが、全体的には、口腔衛生管理体制加算につきましては約半数、口腔衛生管理加算につきましては約1割の方々の施設について算定している状況でございます。

 算定が困難な理由ですけれども、それが8ページにございますが、歯科衛生士の不在が最も多いような状況になっております。

 ただし、その配置状況につきましては9ページをごらんいただければと思いますが、介護保険施設における歯科衛生士の配置の割合ということになっております。これにつきまして、表で示しているとおり、特養におきましては約4.6%、老健におきましては約1割の方の施設において歯科衛生士が配置されているという現状になっております。

 また、老健施設におきます歯科衛生士は、近年就業が増加しているということで、これにつきましては10ページでその動向を示させていただいております。

 続きまして、本体資料の1ページの4ポツ目でございますが、要介護高齢者の約7割の高齢者に歯科治療の必要性が認められております。また、歯科医師もしくは歯科衛生士による適切な口腔衛生管理により誤嚥性肺炎の減少ですとか、そしゃく機能の維持により低栄養のリスクの改善等の効果が報告されておりまして、これにつきましては、参考資料の11ページから15ページに添付させていただいているので、後でごらんいただければと思います。

 本体資料の2ページになります。続きまして、栄養の関係でございます。栄養の現状についてまず御説明させていただきますが、栄養につきましては、施設サービスにおいては「栄養マネジメント加算」「経口移行加算」「経口維持加算」「療養食加算」が導入されております。また、居宅サービスにおきましては「栄養改善加算」「居宅療養管理指導」が導入されている状況になっております。

 2番目の介護保険施設におきます栄養管理についてでございますが、現在、栄養マネジメント加算、これの説明につきましては、参考資料の19ページをごらんいただければと思います。栄養マネジメント加算につきましては、今、特養、老健、介護療養型医療施設、地域密着型特養で算定できるようになっておりまして、概要のところにありますが、常勤の管理栄養士を1名以上配置するということが要件になっているところでございます。

 そういった中で、ただ、例外規定がございまして、それにつきましては20ページにございます。例外規定といたしまして、同一敷地内で介護老人福祉施設と地域密着型の介護老人福祉施設が併設している場合、もしくは本体施設プラスサテライト施設の場合、そういった場合につきましては、双方の入所者数の合計が管理栄養士の配置規定上1未満である場合、または本体施設に常勤管理栄養士を2名以上配置している場合につきましては、いわゆる兼務が可能となっているところでございます。

 本体の資料の2ページになります。最後のポツですが、管理栄養士を2名配置している施設の状況でございますけれども、管理栄養士を1名配置している施設に比べて給食管理等の比重が小さくなっているということ。それから、個々の栄養管理に重要なミールラウンドを週5回以上行う施設の割合は、2名のほうが2倍以上の頻度として行われているということ。それから、介護老人福祉施設におけます医療施設への入院率、介護老人福祉施設におきます在宅復帰率、ともに2名以上配置施設のほうが1名以上配置施設よりも有意によくなってきているという状況になっておりまして、それにつきましては、参考資料の21ページ、22ページ、23ページでつけさせていただいております。

 本体資料の3ページになります。医療と介護の施設間における栄養管理の連携についてというところでございます。参考資料の24ページをごらんいただければと思います。地域包括ケアシステムを構築していく中で、医療と介護の施設間におきます切れ目ない栄養管理が受けられるようにするということについては、重要だと考えております。その中で、現行の介護報酬におきましては、医療と介護の施設間における管理栄養士の連携に関する仕組みは現在ございません。医療施設から高齢者を受け入れることについて、栄養管理上の理由から難渋または断念している介護保険施設があります。

24ページにつきましては、いわゆる医療施設から再入所の患者がいるかいないかということで、左側「いる」という施設が大体98%います。その中で、右側の図になりますが、医療機関からの再入所のうち、高度な栄養管理が必要となった者が1名以上いた施設ということで、大体77%のところが、再入所したときに栄養状況の管理が必要な方々が多く戻ってこられるという結果になっております。

 参考資料25ページになりますが、再入所の状況になりますと、左側の図になりますけれども、再入所時に必要となった高度な栄養管理ということで、どういうものが多かったのかというと、摂食嚥下機能の低下に伴う嚥下調整食の導入ですとか、いわゆる経腸栄養の導入によるものということで、栄養管理が必要になったものが多くなっております。

 また、参考資料25ページの右上の図になりますけれども、栄養管理の面が問題となり、自院の受け入れについて難渋または断念したことがあるということを回答したのが3割ぐらいございます。その理由につきましては、その下になりますけれども、人的余裕がないですとか対応が困難という理由で受け入れを断念したという結果になっているところでございます。

 続きまして、本体資料の3ページの療養食加算についての説明になります。療養食加算でございますが、現在は医療保険におきます入院中の食事につきましては、入退院時ですとか外泊時、手術の翌日など、3食全てが提供されないケースがございますので、18年度の診療報酬改定において1日当たりから1食当たりの算定としているところでございます。この関係の資料が参考資料の28ページになりますけれども、18年改定におきまして、必ずしも3食提供されないケースに鑑みまして、1食当たりの見直しとしたところでございます。しかしながら、現在介護保険の介護報酬の療養食加算につきましては、1日当たりの算定ということになっている状況にはなっております。

 本体資料の3ページの(3)居宅における栄養管理でございます。在宅要介護者の自立支援につきましても、いわゆる低栄養の予防が重要になっておりますが、参考資料の30ページを見ていただきますと、通所サービス利用者のうち、栄養改善が必要とされる者についての統計をとっておりますが、左側の図につきましては、通所の中で、いわゆるBMIの比率を見ているもので、BMI18.5、いわゆる痩せ過ぎの方々が全体の25%弱いらっしゃいます。その中で、右側にありますけれども、通所利用要介護者の栄養状態で、低栄養もしくは低栄養のリスクがあると言われている人たちが30%弱いらっしゃるという状況にもなっております。

 続きまして、参考資料の31ページをごらんいただければと思います。栄養改善加算を算定している通所の事業所の割合は1.8%となっているところでございまして、また、サービス利用者に占める栄養改善加算の算定者の割合については3%ということで、栄養改善加算による栄養改善サービスは余り行われていないという状況にもなっているところでございます。

 できない理由につきましては32ページに挙げておりますが、こういった算定をしない理由といたしましては「栄養改善サービスが必要と思われる利用者がいないため」もしくは「必要な専門職が人材不足で配置できないため」というようなところが算定しない理由になっておりまして、低栄養によるリスクアセスメントですとか、栄養改善の取り組みが適切に行われていない可能性があるのではないかと考えております。

 そういったことを踏まえまして、本体資料の4ページになりますが、今回の口腔・栄養関係の論点について3つ挙げさせていただいています。まずは、口腔の関係の論点でございますけれども、介護保険施設における適切な口腔衛生管理の普及、充実を図るため、歯科医師、歯科衛生士の活用や歯科医療との連携についてどのように考えるのか。

 栄養関係についてでございますが、まず1点目が、施設における栄養管理体制についてどのように考えるか。例えば、入院率の低下や在宅復帰率の向上に資する栄養ケア・マネジメントの推進、それから、医療・介護の施設間における栄養管理の連携の推進等を図るための方策として、どのような仕組みが考えられるのか。

 2点目が、在宅要介護者の自立支援には低栄養予防が重要であり、低栄養傾向の者も一定数存在する中、通所サービスとして栄養改善サービスを推進するには、どのような仕組みが考えられるのか。

 説明については、以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して質問、意見があればお願いします。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 それでは、幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず居宅療養管理指導です。参考資料2のほうでございます。最初は3ページの看護職員の居宅療養管理指導が0.0千回というのはどうしてかと思って質問しようと思ったのですけれども、齋藤訓子委員の参考資料5にある程度説明があるようですので、省略させていただきたいと思います。

 まず、居宅療養管理指導の論点についてでございますけれども、これは私は何回も発言させていただいておりますが、公的保険で賄われている在宅分野の健全な発展を図るためには、不適切事例の是正が必要だと考えております。本日、診療報酬のほうの資料も提出されておりますけれども、診療報酬では、平成26年度の改定でまず是正し、同一建物の複数訪問を4分の1と大幅に引き下げました。また、平成28年度の改定では、資料にもございますけれども、訪問診療において人数や重症度、回数によってさらに精緻化が行われたという状況にあります。介護報酬においても、以前からお話しさせていただいておりますけれども、サ高住などにおいて見られる不適切事例の是正は、喫緊の課題だと思います。そのためには、事実上、青天井となっている居宅療養管理指導に対して、1日当たり保険給付の対象とする上限時間を設定するなどの思い切った見直しが必要であると思います。しかも、それらは居宅療養管理指導だけでなく、訪問介護や訪問看護など他の訪問系サービスにも同様に適用すべきと考えます。

 次に、資料3の口腔・栄養関係というところでございます。まず、口腔関係のところでございますけれども、歯科医師や歯科衛生士の活用や歯科医療との連携の推進は必要だと思いますが、前回の改定で議論になったように、医療機関と介護保険施設において異なった取り組みが行われることがないように、両者の取り組みの整合性を図る必要があると思います。

 栄養関係でございますけれども、上のほうのポツでございますが、栄養ケア・マネジメントの推進のためには、管理栄養士の2名以上、複数の配置が望ましいと思いますけれども、一律ではなくて、入所者数に応じた配置が必要であると思います。

 また、医療・介護施設間で病態や既往歴、食事内容や食形態の情報を共有して、適切な食事を提供することは重要でありますので、医療機関と介護施設における管理栄養士の連携を評価する必要があると思います。

 それから、次のポツでございますけれども、現在の通所サービスの栄養改善加算の対象者の基準は、参考資料3の29ページにもありますように、現実的ではなくて、通所介護で、例えば血清アルブミン値を知ることは困難でありますし、BMIのみでは加算算定を認めないという市町村もございます。具体的には、MNASFと呼ばれる簡易栄養状態評価表がありまして、それが非常に有効であると言われておりますので、それらを用いて対象者のスクリーニングを行った上で、かかりつけ医や管理栄養士につなぐことが必要であると思います。この低栄養については、現場では原因疾患がないかどうか、かかりつけ医に相談することも多いということもございますので、まず、かかりつけ医に相談して、そこから管理栄養士につなぐことが現実的ではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。

 まず、資料2の居宅療養管理指導、今回の論点にございます利用者の居住場所に応じた評価について、医療保険と介護保険との整合性の観点からどのように考えるかという論点でございますが、整合性をとっていただきたいということを意見として申し上げたいと思います。歯科医師、歯科衛生士といった場合に、特に歯科衛生士の居宅療養管理指導につきましては、文書提供とか記載内容が医療保険に比して多くて、煩雑になっております。医療におきます訪問歯科衛生指導との要件とここは整合性をとっていただきまして、質の担保をもちろんしつつも、簡素化するなどの改善が必要ではないかと考えております。

 次の口腔・栄養関係、資料3でございますが、まず、前回の139回の本介護給付費分科会で、委員の皆様から多く多職種で実施できる口腔ケアについて意見がございました。その意見を伺っておりますと、いわゆる多職種で実施できる口腔ケアが、介護現場で広く、かつ、多くの職種で実施されているということは非常に口腔ケアが介護現場でその有用性を果たしていると考えており、それは評価できると思っております。

 一方で、本日参考資料の14ページに、いわゆる口腔衛生管理に関します参考資料が提示されておりますが、専門性の活用によってより効果が高まるということももう一つでございます。裾野が広がってまいりますと、当然質の担保というものも重要でございますので、専門性の活用をさらに幅広くさまざまな場面で生かしていただきたいと思っております。

 もう一点、介護施設におきます歯科医師のカンファレンスの参加が必要だというニーズがあるということは、実態として不十分なところがあると認識しておりますので、これは改善に向けての体制も検討していかなければいけないと思っております。ただ、かつて先行事例があったのも事実でございまして、例えば平成22年だったと思いますが、リハのマネジメントに特化して口腔機能向上、栄養改善のテキストをつくると、老健局からそういうテキスト作成があった際に、関係者がこれを必要性、それから、さまざまな内容について検討したという事実がございました。そのときには、そのさまざまな距離の中では例えば言語聴覚士の方たちは口腔は見られないという業務上の課題等もあった。したがって、さまざまに課題もあり、その中で必要性は何か、可能性は何かという検討があったと考えております。このような取り組みは、その後どういう評価があったのか、今後そういうものがあればあわせてお伺いしたい点ではございますが、そういう取り組みが必要であろうと思っております。

 最後に質問が、今の点で、このようなかつて多職種による取り組みをどう捉えて、どうテキスト化していくか等の実例があるのですが、今後、そのような取り組みをどう考えているか、事務方から、もし方向性がおありであればお示しいただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 質問にお答えいただけますか。

○鈴木老人保健課長 今の御質問でございますが、平成22年度に多職種連携の関係でテキストをつくられて、その方向性を事務局として今後どう考えるかということでございますが、そういったテキストが有用なものであれば、こういった報酬の中の要件なり、もしくは、運営の中の一つの基準なり、そういったもので活用していくということはあるとは思います。

 ただ、今のところ、そういったテキスト化というものは余り聞いたことがないというのが現状でございますし、国でというよりも、関係者の中でいろいろと使われている、さまざまなテキストがあるとは思いますので、そういったところの中で、実行上やられているのであれば、そういったところをきちんとやっていただくのが必然性があるのかなと考えているところでございます。

○田中分科会長 安部委員、お願いします。

○安部委員 資料2の居宅療養管理指導について意見を述べさせていただきます。

 論点にもありますように、報酬体系の簡素化でありますとか、医療保険と介護保険の整合性というものは同時改定でやりますので、しっかりと議論して進めていかなければいけないところだと考えております。

 また、過去の議論でも文書作成等の事務負担が大きいという問題もありますので、あわせて議論する必要があるのではないかと思っております。

 薬剤師にかかわる居宅療養管理指導でありますけれども、薬剤師の訪問薬剤管理指導につきましては、そのサービスや業務の内容の違いということではなく、介護保険で要介護認定等を受けている方は介護保険が優先、それ以外は医療保険という仕分けになってございます。業務に大きな基本的な差はないわけでありますが、介護保険と医療保険の議論のタイムラグがあり、基本的な点数や単位数設計、それから、居住形態にかかわる評価のあり方、訪問回数に関する制限、そういったものが医療保険と介護保険の中で違っており、一物二価のような形になっているところがあります。そこもあわせて整理していく必要があると思っておりますので、そこはきちんと議論させていただきたいと思っております。

○田中分科会長 稲葉委員、お願いします。

○稲葉委員 口腔・栄養関係の栄養改善の点に関しまして、意見を申し上げたいと思います。参考資料3の30ページ、栄養改善加算にかかわる状況というところがありますけれど、ここで現状が示されているわけでありますが、低栄養状態に陥った原因、例えば、それが口腔上の問題で食べられないということなのか、食べたいという意欲が減退しているのか、疾患によるものなのかなどが特に示されているわけではありません。この原因が明確にわからないと、具体的な対策を立てることが難しいのではないかと思います。どういった原因で低栄養状態になっているのか、というデータがあるのならばお示しいただきたいということと、無ければ調査を行っていただきたいと思います。

 また、例えば訪問介護のヘルパーが訪問して調理をするなどの生活援助については、高齢者の食事の確保によって低栄養状態の予防または改善という点に関して有効なサービスであると思います。また、生活援助であっても、身体介護であっても、訪問介護のサービスや通所介護サービスなどが施設や病院の中にいるようなことと同様に、継続的な視点を持って観察、連携対応をしていくということが、在宅の高齢者の栄養を確保するという点では重要ではないかという点をつけ加えておきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 データの存在については質問ですか。

○稲葉委員 もしあればお示しいただきたいことと、なければ、今後調査などを行っていただきたいということです。

○鈴木老人保健課長 この調査におきまして、低栄養の原因があるかないかという御質問でございますが、それについては、調査の中では原因まで突き詰められてはおりません。ただ、低栄養になる状態、状況になる原因は1つではないと思われますので、そういったところも踏まえてきちんと、先ほど鈴木委員がおっしゃったようなかかりつけ医との関係も含めて議論するべきではないかと思っているところでございます。

○田中分科会長 東委員、お願いします。

○東委員 ありがとうございます。

 参考資料3に基づいて少しお話しさせていただきます。老健施設の場合、歯科医師、歯科衛生士との連携は非常に進んでおります。例えば3ページにありますように、ほとんどの老健施設において協力歯科医療機関との連携が大変濃密であるということがわかると思います。

 9ページの歯科衛生士の配置割合は、他の施設に比べ老健施設の割合が高くなっております。そして次の10ページでわかりますように、老健施設単独で見ても、歯科衛生士の雇用割合が急激に増えていることがわかります。このように老健施設においては歯科医師、歯科衛生士との連携は十分に進んでいると考えられます。

 一方で、実は老健施設では言語聴覚士、STと言わせていただきますけれども、STの雇用も大変進んでおります。平成24年度に全老健で実施した老人保健健康増進等事業「介護老人保健施設における協力歯科医療機関等との連携状況に応じた口腔関連サービスの提供実態に関する調査 研究事業」によりますと、n数は1,200の老健施設でございますが、今から4、5年前にもかかわらず、約43%の老健施設でSTが勤務しているという実態がございます。同時に歯科衛生士との割合も見ているのですが、STと歯科衛生士の両方がいるという老健施設も約20%弱ございます。今回の資料を見ますと、歯科医師、歯科衛生士との関連だけが取り上げられて、残念ながら、このSTとの関連がデータとしては少ないと思います。

14ページは特養のデータでございますけれども、歯科関連が入ったほうが肺炎の発症率が少ない、23ページは老健施設のデータでございますが、管理栄養士が1名より2名いた方が、在宅復帰率が高いというデータが出ております。しかし先ほども申しましたように、老健施設ではSTの配置が進んでおります。資料の21ページに管理栄養士2名だとミールラウンド等が進むと書いてありますが、食事の観察や嚥下機能の判断は、管理栄養士に比べてSTの方がよほど能力か高いと思っております。管理栄養士2名よりも管理栄養士とSTという組み合わせの方が、老健施設では肺炎の発症は少ないのではないか、在宅復帰率も高いのではないかと思っています。ぜひ、今後そういうSTのデータも入れた実態をお示しいただきたいとお願いをしておきます。

 最後ですが、25ページに、いわゆる入院をして嚥下の状態が悪くなって、なかなか再入所が厳しい状況があるというデータが出ています。こういうこともあるとは思いますが、これは出典を見ますと、実は特養でnが114、老健施設でnが101と、大変nが少ないのです。もう少しnが信憑性のあるデータでこういうものを出していただかないと、老健施設も特養も少し嚥下が悪くなると入所を断っているような印象を与えますので、ここは御注意願いたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 鷲見委員、それから、武久委員、お願いします。

○鷲見委員 居宅療養管理指導の論点には入っていないのですが、発言させていただきます。居宅療養管理指導が定着して、在宅療養をしていらっしゃる方々が御自身の健康やお薬に対しての意識が高まっているということを実感しております。在宅での生活を継続する上では、多職種の視点が入ることは重度化の予防や課題の発見には必要なことだと思います。

 しかしながら、居宅療養管理指導は、区分支給限度基準額外の位置づけであり、利用者に交付するサービス利用表に利用の頻度と実施内容、負担金などの記載が入ってきませんので、月々に算定される費用が利用者に十分説明できていないのが現状でございます。

 多職種の視点が入るということは本当に重要なことだと思うのですが、指導の時期が重なったり長期間になりますと、利用者の生活のリズムに影響が出てきたり、費用面から他のサービスの圧縮をするようなケースも出てくることが考えられます。医療につきましては、かかりつけ医などとの連携をしながら、介護支援専門員が生活全体から効果的なあり方を相談する機会が必要だと考えておりますので、ぜひお願いしたいと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 武久委員、お願いします。

○武久委員 居宅療養管理指導の参考資料の3ページを見ると、居宅療養管理指導というのは支給限度額に入らないサービスですから、私はもっともっとたくさんやっているのかと思っていたら、管理栄養士さんが非常に少ないのですね。これはうちの管理栄養士のことを言っても恥ずかしいのですけれども、管理栄養士さんはどちらかというと栄養室に閉じこもって献立を立てたり、カロリー計算を立てたりするのが得意なようで、病棟に行って患者さんの栄養状態を見てこいとか、検査をちゃんとチェックして栄養状態を表にしてこいなどと言っても、余り喜ばないといいますかね。栄養指導はするのです。外来の患者さんの栄養指導はするのですけれども、入院患者さんとなると途端に動きが悪くなる。ましてや在宅療養患者にとってはという感じになってきてしまう。ぜひ、ここはもうちょっとふやしていただけたらと思うのです。

 もう一つ、在総管のような場合と、これは一生懸命書いてくれているのですけれども、こういう患者さんと本当の自宅へ行っている患者さんの数の統計はとられていますでしょうか。そういう集合施設がメーンになっているような資料の書き方ですけれども、自分の自宅に行ってもらうのが本来のことなので、この数の割合がもしわかっていたら、教えていただけたらと思います。

 もう一つ、口腔のところですけれども、先ほど稲葉さんがおっしゃったのか、参考資料の24ページで見ると、介護施設からちょっと悪くなって病院へ入院して治療して、帰ってくると栄養状態が悪くなっている。一体病院で何をしてきたのかと。先ほども御質問されておりましたように、私は医者ですけれども、自虐的な医者ですので、申しわけないのですけれども、医師としてはメーンに出ている臓器別専門医の悪いところに目がいって、それを治そうということに一生懸命の余り、栄養や水分についての処置がどうしてもおくれがちになる。これは私も急性期から慢性期に変わってきて、初めて臓器の病気を治すことも重要だけれども、生きていくための水分、栄養をとることのほうがもっと重要だということにやっと気づくというようなレベルです。だから、これは医学教育の問題があるのか知らないけれども、目に見える病気を早く治そうとする余り、熱も出ている、そうするとカロリーを消化する、水分も消化するのに、十分な栄養や水分を投与しない。その結果が、ずっと介護保険から在宅へ引きずるのです。

 要するに、もともとの元凶は医療の現場にあるのですね。と言うと、多分うんとうなずく老健局の人は多いと思うのですけれども、残念ながらそれも事実です。だから、もともとの急性期医療なり、臓器別専門医が治療する段階で、栄養や水分のこともよく考えていただくと、我々のところに来る患者さんが大分減るのではないかということを考えます。そういうことになりますと、論点の中の栄養関係の1番目のポツですね。これを介護保険側と医療保険の中医協との話もありましたけれども、もともとからこういう人をつくらないというような強い姿勢を出してくれないと、もう悪いものは全部我々で引き受けるから、どうぞ好きなように治療してくださいという姿勢だったら、いつまでたっても治らない。私は医師の立場として両方わかるので、申しわけない。こういうことを言うからみんなに嫌われるのですね。どうもありがとうございます。

○田中分科会長 リハに続いて、栄養についても厳しい急性期医療に対する注文がありました。統計についての質問にお答えください。

○鈴木老人保健課長 居宅療養管理指導についてのいわゆる集合住宅系と在宅とのデータでございますが、実は現在手元にございませんので、また集計できるかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。

○田中分科会長 及川委員、お願いします。

○及川委員 ありがとうございます。

 資料3の口腔・栄養関係のほうの論点の1つ目なのでございますが、介護保険施設における適切な口腔衛生の普及充実を図るためにということで、歯科医師、歯科衛生士の活用や連携についてでございますが、口腔衛生管理は介護予防や重症化予防に大変効果的であることは、現場感覚でも十分理解されているところであります。このことを踏まえれば、例えば歯科衛生士や東委員のお話もありましたSTなどを専任で配置している施設には加算をつけるなどの評価を検討してはいかがでしょうか。

 また、これに関連してですが、居宅管理指導のほうで、施設に限らず、在宅要介護者にも口腔や栄養関係の管理指導は極めて重要だと考えております。例えば通所介護サービスを利用されている方の場合、週に数回とした限定的なかかわりの中で、口腔や栄養機能が向上することを考えるよりも、歯科衛生士さんや管理栄養士さんたちが自宅へ足を運び、その居宅の環境のもとで具体的な指導等を行うほうが有効であると考えます。

 居宅管理指導においても、参考資料3ページにありますが、歯科衛生士や管理栄養士等の数字は本当に極めて少なくて、この歯科衛生士や管理栄養士が在宅に足を運ぶ機会をふやす方法をもう少し検討する価値があるのではないでしょうか。

 以上でございます。

○田中分科会長 齊藤秀樹委員、お願いします。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 口腔ケアに関して申し上げたいと思います。データで9割近くの施設で協力歯科医療機関を努力されて持たれているということは大変すばらしいと思いますが、そうだとすれば、この技術的助言・指導を行う管理体制加算がもっと算定されていなければならないのではないかと思います。現状5割ということですので、もっとこれを広げていくということが必要なわけですが、参考資料の8ページに体制加算をとらない、算定しない理由として、一番多いのが、歯科衛生士や歯科医師がいないと答えている。協力医療体制が整っているのに専門職がいないというのが少し理解しにくい部分でありまして、ただ協力しているというタイトルだけではなくて、協力のあり方というものが課題になっているデータではないかと思います。ぜひ、先ほど及川委員から専門職の配置による加算というお話もありましたが、その前に、こういうような管理体制加算があるわけでありますから、これをまずしっかりととることが大前提ではないかと思います。

 その上で、口腔ケアの効果というのは、資料にあるとおりでありますので、歯科医師や衛生師不足を補うという意味でも、介護現場における管理体制加算を通じてのスキルアップをぜひともしていただきたいと思います。

 次に、低栄養についてですが、ここの論点と少し離れますけれども、低栄養についての概念が私はまだ一般化されていないのではないかと思います。要介護状態になってからということではなくて、要介護状態になる以前から、高齢者に栄養改善ということの大事さということを普及啓発するということをしていきませんと、ちゃんと御飯は食べているよ、量もそんなに減っていないよ、だけれども、低栄養と言われる。そういうことが現実にあるわけでありますから、これの考え方といいますか、実態の普及啓発というものは必要なことではないかと考えております。

 以上であります。

○田中分科会長 小林委員、沼田参考人の順でお願いします。

○小林委員 居宅療養管理指導についてです。まず、事務局にお願いですが、実態として同一建物の居住者に対して、別の日に指導を行うことによって報酬も別に得ているような事業者がどの程度あるのか、データがあれば次回以降お示しいただけたらと思います。その結果、そうした事業者が多いということであれば、平成28年度の診療報酬改定において、在宅時医学総合管理料等で対応したように、介護報酬においても、同一日に指導した人数にかかわらず、同一建物内で指導を実施した人数で評価していくことで、サービス提供側の効率的なサービス提供につながっていくと考えます。

 次に、口腔・栄養関係についてですが、本日の資料に示されておりますように、適切な口腔管理によって誤嚥性肺炎やそしゃく機能の低下による栄養リスクの改善に資することは、データ上も明らかになってきておりますので、こうした取組はぜひ強化していっていただきたいと思います。

 また、栄養管理については、現在常勤管理栄養士の数には連動しない形での評価になっておりますが、一定の条件は設けるとして、より手厚い体制をしいている事業所を報酬上も評価していくべきであろうと考えます。

 以上です。

○沼田参考人 居宅療養管理指導についてでございます。参考資料5に、本日欠席いたしました齋藤委員からの意見がありますので、2番目をごらんください。平成21年度に創設された看護職員による居宅療養管理指導は、算定可能なタイミングや期間が要介護認定の新規・更新または区分変更の際に作成された居宅サービス計画に基づく居宅サービス提供開始から6カ月の間に2回までと極めて限定され、加えて、サービス担当者会議において必要性が認められることが課されているため、実質的にほとんど機能しづらいサービスとなり、利用が全く伸びていません。

 本サービスの創設趣旨である退院時の在宅移行支援、重度化予防、利用者本人や家族の療養相談、ケアマネジャーへのケアプラン策定に必要な情報提供など、要介護・要支援者の安定した在宅療養継続を支援するサービスとして機能するためには、本来、サービス担当者会議を経て、居宅サービス提供開始日のタイミングでは遅いと考えます。また、6カ月間に2回という回数制限では、利用者の状態変化に伴う相談支援や、医師、ケアマネジャー等への情報提供を、時期を逃さず行うことは困難です。

 本サービスの創設趣旨に応じた機能を果たすためには、算定要件や単価の大幅な見直しが必要だと考えられますが、次回改定に向けては、現行の居宅療養管理指導のあり方全体について、医療保険で同等の機能を果たしているサービスとのすみ分けや、地域支援事業における予防事業への移行可能性など、抜本的な整理検討が必要ではないかと考えます。

 以上でございます。

○田中分科会長 まず、松本参考人、それから、瀬戸委員の順でお願いします。

○松本参考人 ありがとうございます。

 居宅療養管理指導料と口腔・栄養について、意見を申し上げます。

 まず、居宅療養管理指導ですが、診療報酬で同一建物についての訪問診療で不適切な事例が見られたことから、平成26年の改定、平成28年の改定と、2回にわたりまして是正された経緯があります。居宅療養管理指導における参考資料の7ページにありますように、平成24年度の介護報酬改定で見直されましたが、この状態が平成24年度以降変わっておりません。公的なサービスですので、不適切事例を排除する必要があると思いますので、診療報酬とあわせてきめ細やかな体制に見直すべきだということが意見でございます。

 次に、口腔関係ですが、口腔管理が非常に利用者のQOLを改善するということについては我々として大変理解しておりますし、先月31日の中医協でも、口腔管理の重要性が説明されたところです。この口腔管理については何も評価されていないのであれば問題ですが、評価されているにも関わらず、算定状況が1割に至っておりません。算定が困難な理由として、歯科衛生士の不在が最も多くなっておりますが、先ほど、老人保健施設では雇用が非常に伸びているということですので、いましばらく見守っていってはどうかと考えています。

 次に、栄養ケア・マネジメントですが、参考資料の23ページに、管理栄養士を2名配置している施設のほうが1名配置に比べて在宅復帰率が高いというデータがございます。ただ、具体的にどのようなことをやることによってこのような差が出てくるのかということがいま一つ理解しづらいところがございますので、管理栄養士の複数配置と期待される効果等の関係について、わかりやすい根拠となるデータを示していただければと思います。

 以上です。

○田中分科会長 瀬戸委員、お願いします。

○瀬戸委員 まず、在宅療養管理指導についてですけれども、在医総管における28年度の診療報酬改定の内容と同様に、訪問回数と単一・同一建物の診療患者の人数によっても整理することがよいと考えております。

 口腔・栄養関係でございますが、管理栄養士や歯科衛生士といった多様な職種との連携については重要なことと理解しております。ただ、有資格者の確保も難しいですし、地域偏在もあります。限られた人材で有効に活用していかなければいけないですし、サービス全体の底上げを考えれば、多職種協働のもとでやることが必要だと思います。専門職種から現場でのケアに当たる職員にノウハウを広げられるかが重要ですので、その体制をより一層評価していくことが重要だと思います。

 また、参考資料の21ページから23ページで、管理栄養士を2名配置する場合と1名配置のさまざまな比較が出ていますが、先ほど東委員からもありましたが、n数が少ないということもありますし、2名配置自体は規模によっても変わってきます。さらに管理栄養士以外の要因の状況もありますので、管理栄養士の数と低栄養リスクを並べて比較するのは違和感があります。

 また、何名配置しているのかという結果がどういう結果になっているかというよりも、先ほども話がありましたように、どういった介入があったから低栄養リスクが下がっているといったプロセスの評価が重要だと思います。適正な介入の結果、低栄養のリスクが回避できれば、管理栄養士が1人でも2人でも結果として問題はないかと思いますので、人数だけによる評価は違和感が非常にあります。

 また、論点の3つ目のところで、通所サービスに対しての管理栄養加算に関してですが、配置がこの要件に入っていますので、算定が非常に難しいのが現状です。管理栄養士そのものの配置よりは、栄養、食事の相談等、管理栄養の情報提供を行う体制を敷いていくことに対する評価をしていくことが必要だと思います。

 また、ここの論点そのものが、在宅の要介護者の自立支援の考えの中で通所サービスに限定しての論点になっていますが、むしろ高齢者世帯全体の低栄養リスクをどう考えるかということも議論すべきではないかと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 堀田委員、お願いします。

○堀田委員 3点申し上げたいと思います。1つ目は、きょうの議題1というのは、先ほどの訪問リハビリテーションも含めてですけれども、基本的に医師もしくは歯科医師などの指示に基づいて行われるものだろうと思います。先ほど訪問リハのときに松田委員が意見書の話をされましたけれども、実際には適切なときに、予防的な意味も含めて、導入がそれぞれできるということを考えると、ケアマネや医師から依頼があり、医師もしくは歯科医師が指示を出してくださらないといけないということがあります。先ほど訪問リハのときに、退院時のカンファレンスの話などがありましたが、今回の3つ議題で上がっているものを通じて、適切なタイミングで導入できていることに貢献している仕組みというのは、退院時カンファみたいなことなのか、それとも、例えば後半の口腔・栄養ですと、ようやく以前よりは例えばオーラルフレイルの概念などが広がってきたと思いますが、もっと地域全体としてこういった概念あるいはそれに基づくケアの効果が共有されていないと依頼や指示にはつながっていないのかわからないのですけれども、適切なタイミングでの依頼・指示に貢献している仕組みや取組みについて、もし調査などがあれば、きょうお答えいただければということではなくて、それに基づいてそれが広がるような評価をしていくということもありうると思います。

 2点目、口腔・栄養関係の論点のところですが、前回の報酬改定のときに、施設については一歩前進があり、その際にも、今回は施設への評価だったけれども、実際は口腔・栄養関係の取組みが必要なのは地域全体なので、居場所にかかわらず、必要なタイミングで必要なケアが受けられるように広げていくことが求められると申し上げていたように記憶しています。口腔・栄養関係の論点の4ページのところ、口腔関係のところで「介護保険施設における」と書いてくださっているのですが、もう少し施設以外のところも含めて議論をしていく、広がりを阻害している要因を含めて検討を急がないといけないのではないかと思っています。

 そうなってくると、居宅療養管理指導をどのように使っていくかということが重要になってくるのだと思いますが、実際には、この口腔・栄養関係、とりわけ栄養ですね。先ほど武久委員の御指摘もありましたけれども、十分に利用されておらず、そのことの背景は、もちろん御指摘のあったような栄養士さんたちがまだまだ出ていかれていないということもありますが、他方で、フリーランスなどの働き方を通じても、地域で活発に早い段階から食を通じて人生を支えるということをやっていらっしゃる管理栄養士さんたちもいらして、その方々が折々おっしゃるのは、ケアマネや医師の理解がまだ進んでいない、雇用契約を結んでくれる介護報酬を請求する診療所等が少ないというようなことでもありますので、栄養士の人材を育てていくという側面もそうですが、1つ目の論点にも通じて、いかに居宅療養管理指導というものを使って、それに結びつけていくかということの基盤を考えていく必要があるのではないかとも思います。

 もう一つ、居宅療養管理指導については、たしか2013年度に老健事業で実態調査が行われていたと思いますが、先ほどの鷲見委員の御指摘に近いのかもしれないのですけれども、居宅療養管理指導がなかなか導入できないということの理由の中には、利用者や御家族が、この居宅療養管理指導なる、これだけ聞くとよくわからないものですね。それに対する金銭負担が承服しかねるとか、指導内容を理解いただけないとか、そういったようなこともあったのだと思います。

 ですから、依頼・指示を得る、雇用契約をしていただくこともそうなのですが、御本人、御家族に理解をいただくという意味でも、口腔・栄養関係の取組みを充実させる意義を、専門職の中でもですが、地域全体で普及していく方策も論点に含めていくべきところではないかと思います。もちろん報酬だけで対応すべきことではないと思います。

 最後の3つ目なのですけれども、論点の栄養関係の1つ目のまるの2つ目のポツのところ、「医療・介護の施設間における栄養管理の連携の推進」と書かれています。これは先日もある勉強会のときにある方が指摘されていたのですが、実際に食形態のカンファレンスなどを退院時に多職種でやって、次なる場所の方々にもつないでいかれようとされるのだけれども、食形態の呼称が医療機関、介護機関、そして、配食のサービス、さまざまなところで、違うことによって、カンファをやってもなかなかつながりにくい地域も多いというようなことがあるとも伺いましたので、これも財源は別として、こういった連携を進めていく上で、地域全体としてのベースをどう整えるかということも重要ではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 特別な食事の呼び名については、私も出席していた勉強会でしたけれども、中とろではだめになったから大とろをお願いしますという、ほとんど笑い話のような。

○堀田委員 今のは、マグロではなくて、とろみの話です。

○田中分科会長 そういう状態ではいかんという御指摘でした。ありがとうございます。

 井上委員、お願いします。

○井上委員 居宅療養管理指導に関しましては、この論点にございますとおり、報酬体系の簡素化にも配慮しつつ、医療保険と介護保険との整合性を図っていただきたいと思います。

 口腔衛生関係で、これは質問になりますけれども、先ほども御意見が出ていましたが、参考資料の8ページで、加算を算定しない理由で、歯科衛生士がいないというのが一番多いのですけれども、この「いない」という意味は、人材が集めようとしてもいないのか、あるいは何かコストの面で見合わなくて来ないのか、そのあたりが何か情報としてわかっていれば教えていただきたいと思います。

○田中分科会長 御質問にお答えいただけますか。

○鈴木老人保健課長 ここの解釈については、今、手元に資料がないので、また後日調べさせていただいて、回答させていただければと思います。

○田中分科会長 石田委員、お願いします。

○石田委員 いろいろ出尽くされたのですけれども、先ほどの居宅療養管理指導のところで、資料の3ページで、極端に管理栄養士さんの関与が少ないというのと、薬剤師さんの場合にも、薬局の薬剤師さんは大変多いのですが、病院または診療所に所属する薬剤師さんが少ない。この理由がどういう理由なのか知りたいと思っております。

 なぜかというと、例えば栄養士さんや薬剤師さんに家に来ていただけるというのは、もちろんコストの面もありますけれども、非常に利用者としては心強いところがありまして、いろいろな方からいろいろな形の分野の専門の領域で御指導していただき、アドバイスもいただける。在宅で生活している人には、これはとても心強いのではないかと思って、そういったサービスは充実していくほうがいいなと思います。

 口腔・栄養関係のほうの管理栄養士さんの現状と課題ということで、3ページなのですけれども、医療・介護の施設間における管理栄養士の連携を評価する仕組みがないというところで、管理栄養士さんの今後の評価の方法といいますか、その辺はすごく重要になってくるのかなと。

 さらに、この施設間におけるということを超えて、訪問という形での管理栄養士さんの役割が結構大事になってくるのではないかと思っております。先ほども人材の不足という話が出ましたけれども、管理栄養士の国家資格を取得して卒業する学生は、年々非常に大人数の学生が卒業しているのですけれども、では、そういった人材はどこでどのような活躍をしているのか。逆にこういった領域の中に、そういった人材や潜在的なマンパワーを引き込む方法というものを、こちらが仕組みをちゃんとつくらないと、なかなかそういった有能な有資格の人材が流れてこないのかなとも思いますので、その辺のところは一つ意見として述べさせていただきたいと思います。

 最初のところだけ、お願いします。

○田中分科会長 質問にお答えください。

○鈴木老人保健課長 管理栄養士の関係で、居宅療養管理指導の算定計数が少ない理由だと思いますが、実は、この居宅療養管理指導を行う管理栄養士につきましては、病院・診療所の管理栄養士でなければならないという規定になっておりまして、そもそも病院・診療所の管理栄養士さんというのが、病院の診療所にいらっしゃる他の職種と比べてかなり少ないということと、病院の中の業務というものもきちんとやらなければいけないと、そういう二重のことがあって算定が少ないのではないかという推測を立てているところでございます。

○田中分科会長 たまには私から質問してもいいですか。鷲見委員に質問したいのですけれども、この居宅療養管理指導なる名称はすごい言葉ですね。あなたの居宅療養生活を管理し指導するとは、何か中学や高校の生徒指導の先生が来そうな名前です。栄養管理とか医学管理なら対象が人ではないからわかりやすいけれども、あなたのところに管理指導を送りますと伝えるときに、ケアマネジャーとしては在宅の方に何と説明するのですか。

○鷲見委員 現在、皆さんが使っているサービス以外に、医師や医療の方々がおうちにいらっしゃって、あなたの健康について御相談に乗っていただいたり、また、病気や薬などについて御指導いただいたりするサービスがあるのですがという形で、やわらかく。

○田中分科会長 やわらかく言われるのですね。先ほど堀田委員も言っておられましたが、名前としてはかたいですね。感想です。

 よろしいですか。

 では、議題1については、ここまでといたします。

 次に、議題2の平成29年度介護従事者処遇状況等調査の実施について議論を行います。

 これについては、今月2日に介護事業経営調査委員会が開催され、委員会において了承されております。

 事務局から、説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、御説明させていただきます。

 資料につきましては、資料4-1と資料4-2になりますが、資料4-1が「平成29年度介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」となっているものでございます。今回、29年度介護従事者の処遇状況調査を行うこととしてございますが、1番の目的にございますとおり、平成29年度におきましては、介護人材の処遇改善を図るために、29年4月から臨時に介護報酬改定を行わせていただきまして、介護職員の処遇改善加算を拡充し月約1万円相当の処遇改善を実施したところでございます。これを踏まえまして、通常であれば今年度は同調査については行う予定ではないのですが、臨時に本調査を実施し、この処遇改善の効果を把握することとしたいということで提案をさせていただいているところでございます。

 調査時期と公表の関係でございますが、まず調査時期に関しましては、平成28年度に行いました調査と同様、平成29年度の10月を対象としたいと思っております。

 また、公表につきましては、例年同様でございますが、この給付費分科会の下にあります介護事業経営調査委員会におきます調査の結果公表時期につきましては、平成30年の3月を予定しておりまして、その後、給付費分科会に報告をさせていただくということで、これも例年どおりのスケジュールと考えているところでございます。

 大きく違うところが、次のページの5番のところにございます。「調査項目等の変更について」というところでございます。今回、29年度の調査におきましては、29年度に介護報酬改定を行って拡充しました、いわゆる介護職員処遇改善加算(1)、新しい加算ですけれども、これに関しまして、以下の内容を把握するために調査項目を新たに追加したいと思っております。

 具体的な調査項目につきましては、資料4-2にありますが、3ページをごらんいただければと思います。黄色のマーカーがついているところが今回の新しい項目になります。まず、一番下、問2のところでございますが、そもそもの介護職員処遇改善加算の届け出を行っているところに対しまして、どの加算を届け出ているのかということで、従前ですと、左側のほうにありますが、加算(1)から(4)になりますけれども、今回新たに加算(1)が加わりまして、旧加算(1)が新加算(2)に、それから、以下順番が繰り下がっておりますけれども、この5つの処遇改善加算(1)から(5)について、どれを届け出ているのかということについて、まず選択肢をふやしているというところでございます。

 続きまして、4ページ、問2(4)で平成29年度に「1」と答えた方に聞きますということになっておりますけれども、それについて、いわゆる処遇改善加算(1)で今回設定しましたキャリアパス要件の3、これは3つございまして、経験に応じて昇給する仕組みですとか、資格に応じて昇給する仕組み、もしくは一定の基準によって定期的に昇給を判断する仕組み、この3つの要件を付しておりますけれども、この仕組みについて、どれを採用しているのか、どれを選択しているのかということについて、複数回答で聞くものになっております。

 次が(6)になりますが、平成29年度に「2」、つまり、旧加算(1)のまま新しい加算を算定していない人たち、事業所への質問になりまして、今後、新しい処遇改善加算(1)について届け出の予定があるのかないのかということをまず聞いてみたいと思っておりまして、これについて、届け出をする予定があるか、もしくは届け出をする予定がないのかということになります。

 そういった方々に対してそういうことはまず聞くことと、(7)になりますが、処遇改善加算(1)の届け出を行っていない理由について、どういう理由で届け出を行っていないのかということについても広く聞きたいと思っておりまして、それは全部で6項目ございますが、まず第1項目といたしまして、昇給の仕組みをどのようにして定めたらよいのかわからない。いわゆる昇給の仕組みを定める知識・経験を有する職員がいないという場合も含みますが、やり方がわからないので、どうしたらいいかわからないのでやりませんということがまず第1です。

 第2項目が、昇給の仕組みを設けるための事務作業が繁雑であるため、申請書を書く云々等々の事務が繁雑なので、今回行わないという理由なのかということが第2です。

 第3項目が、介護職員の昇給の仕組みを設けることより、賃金管理を行うことが今後難しくなるため。今回新しく、いわゆる経験ですとか資格ですとか一定の基準、それに基づいて定期的に昇給する仕組みをつくっていただきますが、今後のことを考えると、そういった賃金管理ができなくなるのが難しくなるということで、今回断念しているのかというのが第3になります。

 第4項目が、介護職員の昇給の仕組みを設けることにより、いわゆる職種間・事業所間の賃金のバランスがとれなくなることが懸念されるということなので、今回新たにまた1万円を付加することによって、そういったバランスの問題から届け出をしないという理由なのかというのが第4になります。

 第5項目につきましては、介護職員の昇給の仕組みについて、法人内または施設・事業所内で合意形成することが難しい。3番、4番以外による場合を除いて、そういった合意形成ができないのでやらないのか。

 第6項目にその他ということで、具体的に記載していただくということになります。

 こういった、今、御説明させていただきましたものにつきまして、新たに今回調査を行いたいと思っております。

 なお、これまで旧加算(1)におきまして、加算を取得しない理由に関する具体的な事業を把握するための調査項目がございましたが、これにつきましては今回は削除させていただいて、質問数をある程度絞らせていただいて、記入者負担というものも考慮しながら、今回こういった形で調査させていただければ思っているところでございます。

 その他調査項目につきましては、調査年度の修正と形式的な変更を除き、28年度からの調査からは変更は行っておりません。こういったことで調査をするということについて御議論していただければと考えているところでございます。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御質問、御意見があれば、お願いいたします。

 伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 本年度から処遇改善加算がさらについたということは、非常によかったことだと思っております。その効果を見るための調査というのは重要なものでして、臨時ということで、事業所には負担をかけることになるのだとは思いますけれども、きちんと調査を行う必要があると思っています。

 直近の雇用情勢を見れば、さらに介護サービス分野の雇用が逼迫してきていまして、全産業平均からすると、もう2倍を超える有効求人倍率になって、毎月月次ベースで伸びているのです。その乖離が広がっているということですので、この処遇改善というのは、今回にとどまることなく引き続きやっていかなくてはいけないということを、ぜひ共有してもらいたいと思います。

 この調査票ですが、余り項目も増やせないと思うのですが、昨年の6月のこの場で指摘させていただいた点について、どのように経営調査委員会で議論されたのかということもお聞きしたいと思っています。

 手当のところのとり方について、前回指摘をさせていただきました。調査票の1ページの問1の(3)というところで手当を選ぶようになっているのですけれども、この点についても、夜勤手当と時間外手当というのは、これは労働時間に応じて他律的に決まってくるものでして、問の(2)では「各種手当の引き上げまたは新設(予定)」というものが3なわけですけれども、事業所が引き上げるという、事業所が意識して行うものとは違うものが入っているわけです。(3)の9は「処遇改善手当」ということで、加算をそのまま手当という形で充てるもの。残りの3から8と10は、そういうものとは大分違う性格の手当。ここについて、全部(2)の3で、手当の引き上げとか新設という形で集計されるということについては、適切ではないと思っています。少なくとも集計の段階で、この部分は性格が違うということから、集計で対応していただくということはやっていただきたいと思います。

 あと、事務職員の給与がいつも非常に高く出るという点について、この場で御説明いただいたのは、管理職が多く入っていますのでというお答えでした。そうであれば、管理職とそれ以外の事務職というように出していただくべきだと思います。経営調査委員会でもn数のことなどが議論になっていたようですけれども、調査結果に対する信頼性、納得性という点からも重要だと思っています。前に指摘したことですから、こういったところはどのように配慮されるのかをお聞きしたいと思います。

 最後ですけれども、これはもう加算の仕組みのところでずっと言ってきていることですが、キャリアパス要件3は、あくまでも昇給する仕組みさえあればいいということで、該当する労働者がどれだけいたのかについて、ぜひ把握してほしいと思っているわけです。何らかの形で仕組みだけを設けて、実際にそういうキャリアパスにつながる社内制度に該当している人がどれぐらいいるのかということを、ぜひ把握してもらいたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 事務局、お答えください。

○鈴木老人保健課長 まず第1点目のお答えでございますが、調査票の中で管理職ですとか、そういった手当の関係についても個別にとるようになっておりますので、集計の段階でそういったところを少し加味しながら、今後集計させていただければと思っております。

 2点目の対象者の人数についての把握というところでございますが、今回につきましては、いわゆる昇給の仕組みというものは3つありますけれども、昇給については、やり方につきましては事業者によってさまざまだということもございますし、また、昇給の対象者も相当なばらつきが生じると思っております。また、昇給の状況につきましても、今回は調査対象期間が4月から9月の半年間ということになっておりますので、そういった中で、この期間の中の対象ではあるけれども、その時期によっては実際には昇給はなかった、ただ、この調査時期以外にはきちんと昇給される予定になっているとか、そういった条件もございます。なおかつ、また今回は記入者負担ということも考えて、なるべく必要最小限の内容とする必要性もあるということがございますので、こういった形で行わせていただければと考えているところでございます。

○田中分科会長 伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 その作業の負担のことはわかりますので、限界はあるのだろうとは思っております。今回、大分これまでの処遇改善(2)以降の部分の算定ができない理由のところの設問が6個ぐらい削除されているのです。そういうことも考えますと、大分調査が形式的というか、実質的な処遇改善効果があるのかということを把握する機能がだんだん弱くなっている。もともと弱いとは思っているのですけれども、そういう気がするので、この調査以外でも、先ほどから言っているとおり、本当にこの仕組みが労働者へ当たっているのかということをきちんと把握をしてもらいたいと切に思います。よろしくお願いします。

○田中分科会長 松本参考人、お願いします。

○松本参考人 今回の調査についてですが、臨時に介護報酬が改定され、各健保組合において29年度の予算編成後に組み直すということになりまして大変難渋しました。以前も申し上げましたが、今回の改定による財源が本当に処遇改善に使われたのかどうか、内部留保に使われたということがないかということをきちんと確認していただくために、ぜひこの調査をやっていただきたいと思います。

 また、調査については、回収率を上げるためにもできるだけ調査に協力してくれるところの負担を減らすということにつきまして、調査項目を絞ってやることが大事だと思いますし、事務局の提案のような形でやっていただければと思います。

 伊藤委員が言われたようなことは本質的なところで大変重要なことですが、臨時でやるには負担が重いのではないかという気がします。そういう点からすると、改定が終わった後に必ず調査をやりますので、そのときに十分考慮してまた考えられればいいのではないかと思います。

 とにかく保険者としては、処遇改善にしっかり使われているのかということを確認するためにも、ぜひともこの調査をやっていただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 瀬戸委員、お願いします。

○瀬戸委員 今回の調査のスケジュール的には仕方がないと思うのですけれども、結果の公表が30年の3月となっていますが、本来的にこの調査結果はこの分科会での報酬の議論にもかなり影響してくると思いますので、途中で速報値なりの中間報告等があれば、この分科会で報告をしていただくことを検討していただきたいと思います。

 また、今回加算の届け出を行わない理由の具体的な事情の項目が削除されていますが、調査の数を上げるためには仕方がないのかもしれませんけれども、議論をする中では過年度分で調査していますので、それをしっかりと踏まえた形で、今後のこの要件をどうするのかということをしていくような議論をしていただければと思います。

 以上です。

○田中分科会長 松田委員、お願いします。

○松田委員 伊藤委員が指摘されたとおり、施策の効果を見ていくというのは非常に大事なことだと思います。その上で、今、対象人数まで調べるということに関しては、少し危惧をしております。それは必要ではないと言っていることではなくて、先ほどの中とろ、大とろの話ではないのですけれども、例えば主任・班長・一般という用語の一般性とか、今回引き上げが予定も入っていますので、そうすると、実際に起こったことなのか、これから起こることなのかという区別の問題とか、そういうことがあります。非常に大切な視点だと思いますので、いろいろな用語のことなど、もう少し制度が安定して状態が落ちついてから改めてこの調査の設計をしたほうが、よりいい結果が出るのではないかと思います。そういう観点で、調査そのものを継続的に見直していただきたいと思います。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 伊藤委員の御指摘の点、先ほど課長が言われたようにまとめの段階で反映できるところは反映していくことになると思います。

 議題2については、基本的に本日提示させていただいた内容で進めさせていただきますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中分科会長 ありがとうございます。

 最後に議題3のその他として、平成29年度改定検証調査のスケジュールについて議論を行います。

 事務局から、説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、御説明させていただきます。資料5になりますが、「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成29年度調査)のスケジュールについて(案)」ということになっております。3月31日にも御説明をさせていただいたのですが、本年度は改定の議論を行うということがございますので、今回の改定の議論に間に合わせるために、今年度に行われます効果検証調査にかかわるスケジュールについては、なるべく前倒しをさせていただきたいという提案をさせていただいたところでございます。

 ただし、一度提案させていただいたときには、いわゆる介護給付費分科会の事前のかかわりをどうするかというところで御議論があったと思っておりまして、今回6月から7月のところの印と2ポツ目にありますが、今回は、調査票につきましては介護報酬改定検証・研究委員会のほうでつくっていただくことになりますけれども、その結果、でき上がった調査票(案)につきまして、きちんと介護給付費分科会の意見を求めて、適宜修正を行って、調査票を確定させていただきたいと思っております。

 ただし、今回給付費分科会そのものを開催するというのは時間的にも余裕がないということがございますので、7月中旬から下旬に限りまして、調査票(案)をメール等で送付させていただいて、そこで意見をいただく。最終的には委員長に御一任していただいて、調査票を確定させていただくということで、きちんと給付費分科会にも報告をさせていただきながら、やらせていただけないかということで提案をさせていただいているところです。

 以上です。

○田中分科会長 ただいまの説明に関して、いかがでしょうか。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 私からお願いした話でございますが、本来であれば介護給付費分科会で議論すべきだろうと思います。ただし、時間がないというのがどういう意味なのかわからないのですけれども、今回は止むを得ないのではないかと思います。速報値が10月のいつごろになるのかわかりませんが、しっかりデータを出していただいて、議論に反映できるようにしていただきたいと思います。

 中医協の議論を見ても、速報値だけは出るのですが、最終報告は次の、要するに改定が終わった後に出てくるのです。気が抜けたビールみたいな感じで、今更何なのだという感じなのですが、事務局は調査結果をしっかり改定に使っているのです。中医協でも我々だけさわりの部分のみ知らされて、実態を知らないまま議論をさせられるということも起きていますので、そういうことのないように、しっかりデータは出していただきたいと思います。

○田中分科会長 御注文はありましたけれども、議題3については提示させていただいた内容で進めていくことにいたします。よろしゅうございますでしょうか。

 田部井委員、お願いします。

○田部井委員 内容的なことではないのですけれども、効果検証と今後の議論について、資料をお願いしたいと思うのです。2015年から要支援認定者の訪問介護と通所介護は総合事業の対象ということになりましたけれども、その後、例えば事業所の数であるとか利用者の数であるとか、その利用者の状況はどうなのか。要支援という結論が出た人が総合事業に行く場合もあるわけですけれども、チェックリストだけで総合事業に行く人もいるわけで、人数はすぐ出ると思うのですけれども、例えば自立度とか、そういうような形で、何らかその人たちの内容というものがわかるようなデータも可能な限り示していただければと思います。次回が通所介護ということになるようですので。

 もう一つ、2016年度から小規模の事業所というのは地域密着型サービスに移行したわけですけれども、これについても事業所数でありますとか利用者の数、利用者の状況等、例えば小規模ができた前と後のような形で比較ができるような資料も可能であれば出していただきたいと思います。

 それから、特別養護老人ホームについてなのですけれども、要介護3以上が原則ということになりまして、特例入所はあるのですけれども、聞くところでは、A市とB市では、なるべく状況に応じて認めるという市と、ある市はほとんど認めないという市があるとか、非常に極端な差が出ていると思います。その実態についても、できれば何か資料があれば出していただきたいと思いますし、日常生活継続支援加算というものが4、5でないととれないので、要介護3でも受け入れていただけないとか、そのようなケースもあるやに聞いておりますけれども、その辺についてももし実態を把握されていれば、可能な限り資料として提出をしていただければとお願いしたいと思います。

○田中分科会長 時間になりましたが、稲葉委員と亀井委員から一言ぜひということでありますので、もう2分ずつお願いします。

○稲葉委員 先ほど処遇改善の話がありましたが、調査票のこととは直接関係はないのですけれども、訪問介護サービスや通所介護サービスなど幾つかのサービスにつきましては、軽度の利用者は地域支援事業に移行されました。事業者はみなし指定をされて取り組んでいるところでありますが、保険者ごとにサービスの報酬が設定されております。この現状なのですが、もともと処遇改善加算の対象であったサービスでありますので、地域支援事業に移行された後でも、その加算が考慮された中で地域支援事業の報酬が設定されているものと考えてはおりますが、保険者によって対応に差があるような意見も伺っております。国として、実態の把握をされているのでしょうか。もしされていなければ、今後、実態の把握をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 以上です。

○田中分科会長 質問でした。いかがですか。

○三浦振興課長 振興課長でございます。どうもありがとうございます。

 お尋ねの総合事業の件でございますけれども、この4月から全ての自治体で開始をいたしております。平成27年度から順次各市町村では実施をいただいておりまして、私どものほうでは、直近では平成28年4月時点で実施をされている514の保険者の状況を調べております。

 その中で、御指摘をいただきました総合事業に移行したサービスに関して、特に従前相当と私どもは呼んでおりますけれども、総合事業に移行した給付であって、そのころの基準をそのまま使っているようなサービスについての報酬の設定状況というものを確認しております。特にこれに関しては、私どもからも従前から保険者に対しまして専門的なサービスであるということを踏まえた単価設定ということをお願いしている状況でございますけれども、実際に調べましたところ、514の保険者に対して照会をかけて、回答いただいたのは501でありました。その中で、99%程度のところでは処遇改善加算という形で設けておるということでございました。

 設定がないという御回答をいただいたところは、全て自治体に連絡をしまして確認をしましたけれども、例えば市の職員がサービス提供しておって、報酬水準というものを処遇改善加算のような形で切りかえることはなかなか難しいといったようなところ、あるいは、もともと処遇改善加算を算定していた事業者がうちの自治体にはおりませんでしたといった、恐らく小規模なところだと思いますけれども、そのような御回答をいただいておるところでございます。

 先ほど田部井委員からも御指摘をいただきましたけれども、御懸念等ございましたら、誤解の解消の観点からも、ぜひ保険者への照会確認等をお願いしたいということと、また、この会、あるいはこの会の開催を待つことなく、直接私どものほうに御懸念点等をお伝えいただければ、仮に問題等が起きていたとしても、一日一刻も早い事態の解消ということにつながるかと思いますし、結果、国民に対する影響も最小にとどめることができるのではないかと思いますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 最後に亀井委員、お願いします。

○亀井委員 座長のお許しをいただいて、当方から蒲原局長にお願いをいたしておきたいと思います。

 これは2025年に向けた取り組みの件ですけれども、2025年は3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上、700万人の独居老人。一方において、現在でも介護職を募集しても来てくれない。100%稼働する施設もだんだん減ってきている。そういう状況で、2025年には介護職だけでも38万人から40万人が不足する。だから、これはどういう状況になるかというと、2025年には制度があってもサービスが提供できない、こういう地域ができてくるわけです。

 これは誰が悪いのか。責任は国にもないのです。これは施設の皆さん、設置者にもないのです。これの責めは何かというと、保険者にあります。というか、要するに保険者は放っておけないわけです。これで平成30年度から要支援1、2が外れます。その3年後になったら要介護1、2、その次になったら3、4と、こういう施設の入所が、2025年になったらもう要介護5しか入れないのではないか、こういう状況もできかねないと思っているのです。その方々をどうするかといったら、地域で受けとめざるを得ないのです。我々は放っておけないわけです。ですから、それが地域包括ケアシステムです。地域包括ケアシステムというのは、要するに、地域づくりです。互助共生社会をつくっていく。こういうことになるわけです。

 これは地域包括ケアシステムと言う以上、地域包括予算というものがあってもいいのではないかと思っているのです。これは地域によって課題が全然異なるわけですから、丸ごと予算というか、そういうものがあってもいいのではないか。それはもうこの介護保険からもずれてしまうわけです。生活支援だけではなく移送手段はどうするのですかとか、お住まいはどうするのですかとか、健康づくりはどうするのですかとか、こういうことになってくるわけです。

 この保険外サービスになってくる、先般も言わせていただいたのですが、この充実を図っていかなければならないということになるのですが、この丸ごと予算というのは、もしつくっていくのならば、厚労がいいのか、地方創生がいいのか、あるいはまた一億総活躍がいいのか、これはみんな関係してきます。ですから、これは3人で心合わせしておいてもらって、蒲原さんと唐澤さんと木下さんです。これはKKKトリオになるのですが、このKKKがタッグを組んだら、2025年の介護の環境、子育ての環境等、変えることができていく。このスリートップでこのようなことを考えていってほしいと思っています。

 以上です。

○田中分科会長 応援演説でした。ありがとうございました。

○井口分科会長代理 亀井のKですね。

○田中分科会長 亀井委員もKですか。

○亀井委員 私もKです。4Kでいきます。

○田中分科会長 最後に応援演説をいただきました。

 これにて本日の分科会を終了いたします。御議論をありがとうございました。

 次回についての説明はありますか。

○鈴木老人保健課長 本日はどうもありがとうございました。

 次回の日程につきましては、事務局からまた追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日はこれで閉会とさせていただきます。

 お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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