ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医師需給分科会> 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第10回)(2017年6月15日)




2017年6月15日 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第10回)

医政局医事課

○日時

平成29年6月15日(木) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

新井 一 (全国医学部長病院長会議会長)
今村 聡 (日本医師会副会長)
小川 彰 (岩手医科大学理事長)
片峰 茂 (長崎大学学長)
北村 聖 (国際医療福祉大学医学部長)
権丈 善一 (慶應義塾大学商学部教授)
鶴田 憲一 (全国衛生部長会会長)
羽鳥 裕 (日本医師会常任理事)
平川 淳一 (日本精神科病院協会常務理事)
平川 博之 (全国老人保健施設協会副会長)
福井 次矢 (聖路加国際大学学長)
本田 麻由美 (読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局次長)
森田 朗 (津田塾大学総合政策学部教授)

○議題

早期に実現可能な医師偏在対策について

○議事

○堀岡医事課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「医療従事者の需給に関する検討会 第10回医師需給分科会」を開催いたします。

 構成員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の御出欠について御連絡させていただきます。

 神野構成員、松田構成員、山口構成員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。また、平川構成員、権丈構成員は御連絡がないのですが、少しおくれるというお話でございます。

 次に、資料の確認をいたします。

 まず、1枚座席表をおめくりいただきまして、資料1と資料2、参考資料としてパワーポイントの資料をつけさせていただいております。また、机上配付資料として、中間取りまとめに掲げられた医師偏在対策一覧、神野構成員からの提出資料を机上に置かせていただいております。

 不足している資料、乱丁・落丁などがございましたら、事務局にお申しつけください。

 ここで、カメラは退室をお願いいたします。

 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。

 では、片峰座長、よろしくお願いいたします。

片峰座長 構成員の皆様、お久しぶりでございます。引き続き座長を当分務めさせていただきます。

 前回、親会のほうは再開されたのですけれども、この検討会は、数えますと8カ月ぶりということで、まさに満を持しての再開でございます。実りの多いプロダクティブな会にしたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 きょうは、議題「早期に実行可能な医師偏在対策について」ということで、資料1を御説明いただきます。ここで、今後のこの会としてのスケジュールとか、あるいは改めてミッションとか、そういったことについても言及があると思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料の説明をお願いいたします。

久米地域医療計画課長補佐 それでは、資料1「早期に実行可能な医師偏在対策について」をご覧ください。まず、座長からのご指示を踏まえ、机上配付資料を準備しております。こちらは昨年こちらの分科会でまとめていただいた中間報告に基づく医師偏在対策の整理ペーパーでございますが、今回の資料は、この机上配布資料の14項目の中の「(5)医師の勤務状況等のデータベース化」、「(6)地域医療支援センターの機能強化」の関連について、考え方を整理したものです。

 さて、資料1につきまして、2ページ目、今後の医師確保対策の検討スケジュール予定でございますが、前回、親会議となります需給検討会の中で、医師需給分科会とほかの医師関係の検討会との整理はどうなっているのかというお話もございましたので、ここでまとめて説明いたします。

 真ん中のところが、こちらの医師需給分科会でございまして、地域医療支援センターの強化等、早期に実行可能な医師偏在対策について夏ごろをめどに整理をしていただくことを予定しております。その後、秋以降に抜本的な医師偏在対策について御検討いただき、法案提出を視野に取りまとめ、その後に、需給推計の議論を進めていければと思っております。

 医師需給分科会の上ですが、医師の働き方改革に関する新たな検討の場についてでございます。先日、「働き方改革実行計画」が政府のもとで取りまとめられております。その中で、医師の労働時間規制をどうしていくかという検討を2年で行うということになっておりますので、今年をめどに中間整理を出し、その後、引き続き検討ということになっております。

 一番下が、今後の医師養成のあり方と地域医療に関する検討会ということで、いわゆる新たに始まる専門医の仕組みについて、平成30年度から円滑に進めることができるようにということで、既にもろもろ検討しているところでございます。

 この3つの検討会は、それぞれ幾つか議題の重複などもあるとは思いますけれども、基本的には、医師需給分科会では、医師偏在対策・医師需給について検討していくということになってございます。

 おめくりいただきまして、医療計画についての資料をつけさせていただいておりますが、都道府県が定める医療計画の中には、右下にあるように、医療従事者の確保に関する事項という項目が含まれてございます。このため、早期に実行可能な偏在対策を整理したものにつきまして、こちらで御了承が得られたものについては、第7次医療計画が平成30年度4月より地域で始まるということになっておりますので、それに入れてもらう方向で検討を進めたいと考えております。

 では、今回の偏在対策の中身について、4ページ以降で御説明させていただきます。4つ大きな議題がございまして、キャリア形成プログラムについて、へき地における医師確保について、若手医師へのアプローチについて、医師の勤務負担軽減についてでございます。

 まず、1つ目のキャリア形成プログラムについてでございますけれども、皆様御承知のとおり、地域医療支援センターが各都道府県に既に設置されておりまして、医師偏在の解消のために、主に地域枠を中心とした医師を派遣調整するといったことを担っております。この地域医療支援センターの運営に当たりましては、右下のほうに運営委員会がございますが、これを設置していただいて、大学とか医療機関、医師会、市町村、保健所等の代表者等が入った上でこれを運営しております。

 この地域医療支援センター、キャリア形成プログラム、地域枠、こういったことを今議論する必要性について、少し御説明させていただきたいと思います。7ページですが、臨床研修を終了した地域枠の医師数は、今後、大きく伸びてくることになってございます。地域枠と申しますと、先日来御議論いただいていた平成20年以降、医学部の定員の臨時増員によって増やしてきたものがメインとなろうかと思いますが、そのほかにも大学のほうで独自に設定されている地域枠なども含めまして、数えますと平成36年度には9,676人ということで、これだけの数の方が全国で地域医療支援センターの医師派遣の対象になり得るということでございます。こういうことがございますので、しっかりとした医師派遣の仕組み、派遣される医師のキャリアにちゃんと配慮されたプログラムをしっかりつくっていかなければならないということでの議題の提案でございます。

 次の8ページを見ていただきますと、既に御説明は不要かと存じますが、キャリア形成プログラムというものを派遣される医師のためにつくってございます。主に地域枠医師を対象にキャリア形成上の不安解消、地域・診療科の偏在の解消を目的として、都道府県が作成しているものでございます。主に専門研修をどうローテーションするかということで、さまざまな病院を選択肢として、これをうまく組み合わせて設定し、派遣される医師とかに選んでもらうということで進めております。

 ただ、さまざまな改善点があるのではないかというところが9ページ以降でございます。9ページの真ん中の「キャリア形成プログラムの策定状況」という円グラフを見ていただきますと、7つの都道府県では、キャリア形成プログラムをそもそも策定していない。要は、場合によっては大きな派遣方針なくバラバラの方針でやっているところがあるということでございます。大学の医局なども医師派遣をやっているわけでございますが、そういうところと十分連携していないところもあるというのを示したのがその右のグラフでございます。その理由などを下のほうに示してございます。

10ページでございますけれども、地域枠と地元出身者の定着割合が、上の表に示されております。これまでも、臨床研修後にどういう人が定着するかというと、地元出身の方だというようなことを数字でお示しさせていただいておりました。しかし、今、奨学金を貸し付けている、いわゆる地域枠の学生について、都道府県内の出身者に限定しているというところは4県しかなく、それ以外が43県ということでございます。右のグラフを見ますと、それでも地域枠の学生は地元県内の出身者が多いということでございますが、4分の1ほどは県外の方が来られて、これが時に、意見などでもいただいていますような、県外に戻ってしまう事例が発生しているという要因になっているのではないか。

 次の11ページ、12ページにつきましては、地域枠の中でどれぐらい地元枠と出身枠を大学ごとに設けているかという表でございますので、こちらは参考とさせていただきます。

13ページでございます。今、申し上げました地元枠と同様に、臨床研修についても、自分自身が学んだ大学のある都道府県で行う場合には、かなり高い割合でその県にそれ以降も残りますということが数字として表れているわけでございますが、右のほうの円グラフを見ていただきますと、そうした都道府県内で臨床研修をやってくださいといった義務づけをしているところが30で、それ以外はそうではありません。

14ページでございますけれども、地域枠の奨学金を貸し付けるに当たって、都道府県内で働いてくれればどこで働いてもいいし、どの診療科で働いてもいいというようなところが13あるということでございます。右側の円グラフにつきましては、都道府県によって地域枠の義務年限が、4年から9年まで、なかなかばらつきがあって、県によっては臨床研修終了後4年間だけ働いてくれればいいことになっているところもあるということでございます。

 おめくりいただきまして15ページでございますが、これまでの地域医療支援センターの派遣実績を地域ごと、二次医療圏ごとに見たものでございます。公立、公的、民間と3つに分けてございまして、例えば公立医療機関の下のグラフを見ていただきますと、横軸にとってございますのが二次医療圏における人口10万人対医師数。つまり、左に行けば行くほど、その二次医療圏では医師が少ないというところでございます。ですので、当然派遣人数もそういったところが多くなるといった傾向にあるわけでございますが、これを見ますと、公立の医療機関が極めて多いといった一方で、公的、民間になるにつれてだんだん少なくなっていくという図でございます。

 当然、下のへき地拠点病院の数などを見てみますと、公立については半分ぐらい公立が占めているわけでございますが、一方で、民間の機関についても112というところもありますので、このあたりのバランスをどのような方針でやっていくのかは、都道府県でしっかり考えていただきたいという課題提起でございます。

 次に、昨年度、医師に対する働き方調査を行ったわけでございますが、この中で、20代の医師の中には、仕事内容とか専門医をとれないのではないかということに不安があり、なかなか地方に行きたがらない方がいるというデータが出ています。

 続きまして、171819ページでございますが、現在、平成30年度からの開始に向けて、日本専門医機構で新たな専門医に関する仕組みの準備を進めているわけでございますけれども、この準備の中で、専門医の仕組みによって医師偏在を助長させないような仕組みにしなければならないという意見がございまして、18ページの中ほどでございますが、都道府県の中では、都道府県協議会を設けまして日本専門医機構と協議をして、どこで研修するのか、どれくらいの研修人数なのかというようなことをちゃんと都道府県でチェックするということになっております。

 こういうことを踏まえまして、20ページに進んでいただきますと、例えば徳島県、こちらは第8回の医師需給分科会でプレゼンをしていただきましたけれども、右側の赤枠で、そういった専門医の仕組みについて協議などもしていただくということもありますので、そういったことに配慮しながら、若手医師のキャリアにつながるプログラムをつくることを徳島県などはやろうとしているということでございます。このページの中の左の赤枠です。1群、2群というのは割と大きな病院でございます。こういったところで研修する一方、3群、これはへき地にある病院でございますが、そういったところでもローテーションしながら、どちらかに偏るといったことがないように配慮して、キャリア形成もしっかりできるよう、プログラムをつくっているところがあるということでございます。

21ページから24ページにかけては、新たなデータベースのお話でございます。これをキャリア形成プログラムの作成でありますとか医師確保に使えないかといったことでございます。データベースにつきましては、本年度予算をとっておりまして、各医師の医学部、臨床研修、専門研修、これまでどこで勤務したかという情報を一元的に管理して、これを都道府県に使っていただけるようにデータベース化するといったことでございます。

22ページ、23ページはどういった情報をとれるかという細かいデータでございますので割愛させていただきますが、24ページを見ていただきますと、例えば活用例1と書いてございますが、各キャリア形成プログラムについて、どこの医学部を出てどこで臨床研修を受けて、どこで専門研修を受けて、その後、どこに勤務したか。こういったことを見ることで、どういったキャリア形成プログラムが実効的であったか、地域定着の観点からちゃんと分析ができるのではないか。

 また、県内の医学部、臨床研修などを受けた方が、現在県外で勤務されている場合に、例えばうちの県の中のここの院長だとか部長のポストがあきますので、そろそろぜひ帰ってこられませんかというリクルーティング活動なども、データベースを活用してできるようになるのではないか。このように思っております。

 戻りまして、キャリア形成プログラムについての論点が25ページ以降でございます。これまで述べましたように、今後、地域医療支援センターが派遣調整を行うことができる地域枠医師が増えるいうことで、そうであるからこそ、実効的な医師派遣でありますとかキャリア形成にちゃんと配慮されたものにしていくことが必要であります。ただ、申し上げましたように、現在のやり方では、いろいろな問題点があったわけでございます。そもそもキャリア形成プログラムを策定していないでありますとか、大学と十分連携していない、奨学金の要件に都道府県出身者でなければならないとか、臨床研修は自分の県でやらなければいけないとか、そういう要件を課していない。県内のどこで働くとかどこの診療科で働くとかいう限定もない。就業年限も短い、長い、いろいろさまざまである。派遣実績としては公立のほうが結構多いというようなことになっているわけでございますので、26ページでございますけれども、ここに書かれているような改善を促してはどうか。

 実は既に、基金から奨学金を出している地域枠の方はそうしてほしいと県に促しているわけでありますが、こうしたことを改めてしっかりお伝えするとともに、修学資金を借りている方だけではなくて、大学や都道府県独自枠の方全てに対しても、こういうことを促していくことが必要ではないかと考えております。

 1につきましては、全都道府県においてキャリア形成プログラムを必ず策定するということであります。2は大学と十分連携する。3については、出身県の方を原則として対象とするということ、臨床研修もその県で行っていただく。4番につきましては、勤務地、診療科を限定する。5番につきましては、就業義務年限を9年程度、自治医科大学では9年でやっておりますので、これに合わせていく。特定の開設主体に派遣先が偏らないようにしていくようなことも重要ではないか。1から6までについて、出産とか育児とか、御家族の介護とか、入学時点では想定されなかったやむを得ない事情がある場合には、当然、プログラムを途中で変更したりとか今申し上げた限定に縛られないということもよいということにしてはどうかということでございます。

27ページでございますけれども、先ほど申しましたような専門医の話、仕事の内容、こういったことが地域に出ていくといったときに、障壁となっているというようなこともございますので、そういったことにもしっかりと配慮したキャリア形成プログラムをつくっていくでありますとか、先ほど申しましたデータベースについても、十分分析等に活用していくべきというようなことを論点として挙げさせていただいております。

 これが1点目のキャリア形成プログラム関係の論点でございます。

 続きまして、28ページ以降は、へき地における医師確保についてでございます。29ページ、30ページを見ていただきますと、特に30ページですが、へき地支援機構というものを予算上の措置として立てていただく形としておりまして、ここから、へき地の拠点病院でありますとかへき地診療所といったところに人の支援、財政支援等を行う場合に、国から支援するといった仕組みがございます。

 しかしながら、29ページに戻っていただきますと、実は、地域医療支援センターが同じような業務を担っておりまして、こういった業務の重複がある中で、この連携がなかなかなされていないようなところがあるといった実態がございます。

31ページを見ていただきますと、設置の状況でございますが、地域医療支援センターは都道府県に基本的に設置されておりまして、地域医療総合確保基金を使ってやっております。これは地域枠の医師を派遣調整するといったところでございますが、へき地医療支援機構のほうは都道府県に設置して補助金で運営している。主にここが一番違いますが、自治医科大学出身の医師を派遣調整している。この調整をしなければならない状況があるということでございます。

 そういうことでありますが、青森、山形、愛知の3県につきましては、この2つを統合して運営しておりまして、そうすることで、両方で整合的に医師派遣調整などをしっかりと行うことができる。業務の重複などもなくなって煩雑さがないということでございます。一方、統合が難しいというような県もございますが、へき地のほうが手薄になってしまうのではないかという御懸念があるということですとか、これは派遣対象の医師が違うということがもとにあるのかもしれませんが、業務命令系統でいろいろ調整が困難になるという意見もありました。

 ただ、34ページを見ていただきますと、青森県の例では、うまく地域医療支援センターの中にへき地支援をやる部署をつくりまして、これで整合的にキャリア形成プログラムをつくったり派遣調整をやっているという、うまくいっている事例もしっかりあるということでございます。

35ページを見ていただきますと、島根県の例でございます。島根県もへき地が多いところでございますが、こうしたところでは、へき地支援機構と統合まではしていないのですけれども、地域医療支援センターがキャリア形成プログラムをつくるときに、一緒に連携して派遣先にちゃんとへき地のところを入れて、それで派遣をしていくというような好事例もあるということでございます。

 したがいまして、36ページのへき地における医師確保についての論点でございますけれども、現状では、地域医療支援センターとへき地医療支援機構とで派遣調整等の連携が行われていないという都道府県があります。統一的・効果的な医師派遣調整を行うためには、これらのセンター、機構の統合も視野に、一体的な医師確保を行っていくことについてどう考えるか。医師確保を一体的に行うに当たっては、へき地を含めたキャリア形成プログラムといったものが必要ではないか。直ちに統合が難しいといったものが県によってはもしかしたらあるかもしれないということですので、少なくともキャリア形成プログラムの策定とか派遣調整に当たっては、十分に連携をしていくことが必要ではないかということを論点として挙げさせていただいております。

37ページ以降は少しライトな論点かもしれませんが、若手医師へのアプローチについてでございます。先ほど申しました調査の中では、地方に勤務する意思がありますかということを全国の医師に調査したところ、地方に行ってもいいという方が44%おりまして、右のグラフを見ていただきますと、若手、20代の医師などは60%ございまして、若手医師のほうがそういう傾向が強いということでございます。

 ただ、こちらにお示ししています調査につきましては、都市、地方、両方に住んでいる方をまとめて聞いてございますので、次のページを見ていただきますと、都市部に住んでいる方に限定してこの調査の集計を行っております。こちらを見ていただきましても、若手の医師を中心に、一定程度地方に行って勤務してもよいという結果があるということでございます。こうした若手医師の意識でありますとか、実際に地域枠として派遣されるような医師は若手でございますので、キャリア形成プログラムをつくるにしても、いかに若者に魅力的にしていくか。そのためには若手の意見を入れるということについてどう考えるかということについてお話しさせていただきたいと思っております。

40ページを見ていただきますと、高知県の事例でございますけれども、高知県では臨床研修連絡協議会というものを設置いたしまして、この中に県とか医師会とか大学、臨床研修病院、こうしたところだけではなくて、研修医とか医学部の学生、こういった若手の方に入っていただきまして、キャリア形成プログラムをつくるに当たって、どういったキャリア形成プログラムにすればよいか、どういった臨床研修のプログラムにすればいいか、こういったことを若手から意見をもらってつくっているということでございます。

 しばらく高知県の事例が続きますけれども、41ページ、地域医療支援センターがイベントを開催するといった際に、若手医師向けのイベントをつくってやっておりまして、FacebookなどいわゆるSNSのページをつくって、若手医師がアクセスしやすいようにし、その中でイベントの周知をしていく。これを見た学生は、シェアというものですが、ページをどんどん拡散して友達に知らせていくということをやっておりまして、平成24年以降、毎年100人とかなり多くの人数がこのようなイベントに参加しているという事例があるということでございます。これは若手自身がページを作成し、運営しているということでございます。

42ページにつきましても、高知県が、他県の医師にも臨床研修を初めとして県内の病院をアピールしようということで、病院見学支援事業というのを地域医療支援センターが支援してやっているということでございますが、左のチラシを見ていただきますと、何といいますか、いわゆる行政が作成したというチラシになっているわけでございます。しかし、右側のポスターのようなものを見ていただきますと、このチラシの裏がこうなっていまして、若者にとってアピールになるような、こういう旅行のパンフレットのようなものをつけて高知県に来てくださいというようなことをアピールしている。最大3万円の補助と書いていますけれども、左の赤線のところをうまく表現して、キャッチーなポスターにしているということでございます。

 次のページを見ていただきますと、レジナビとかに来てくださいと配るティッシュです。こういったもののパッケージなども、これは好き好きがあるかもしれませんけれども、開胸をする絵をポケットティッシュに重ねまして、そういったものを配って、これと先ほどのポスターでも周知しで、レジナビでは、高知県の臨床研修病院群に対するブースの来場者が、平成22年度は102人だったのが平成27年には781人ということで、かなり効果的なものにつながっているということでございます。

 ということで、44ページでございますが、キャリア形成プログラムの主な参加者は、医学部卒業後の若手医師を想定しており、また、若手医師ほど地方勤務の医師があるといった調査結果もあるので、地域医療支援センターによる医師確保の実効性向上のために、SNS等を活用して若手医師の主体的な参画を促すといったこと、今以上に若手医師へのアプローチを強化するといったことについてどう考えるかという論点を挙げさせていただいております。

 最後に、医師の勤務負担軽減についてでございます。46ページでございますが、地方勤務に対する医師の意向と労働環境についてということで、やはり若手医師の中でも労働環境というものが、へき地とか地方に行くに当たって非常に厳しい環境なので行きたくないという意見が出てきているということでございます。

47ページに進んでいただきますと、これは一例というかイメージでございますが、例えば医師の不足している病院においては一つの診療科を2人で回しているという状況にあったりして、当直を週に何回もやって、その次の朝から診療をやったりしているということでございまして、代診医という代替診療を行ってくれる医師も時々来てはくれるのですけれども、なかなかそれが少なかったりしてかなりの負担になっているということでございます。こういうことがありまして、大学医学部で自分が一日研修を受けたいなどといってもできなかったりとか、もしくは家族と過ごす時間がとれないということで、かなり負担になっているということでございます。

48ページにつきましては、こういったことについて、先ほどの調査の自由記載の中で、いろいろ意見をいただいておりまして、少し読ませていただきますと、地域医療では医師偏在があるため呼び出しも多く十分な休日をとれないとか、中山間地域に勤務していると医師不足が深刻だと。かなりきつくなってやめていく方もいらっしゃる。基幹病院に相談できるシステムづくりなども必要だ。オンコールは月に15から16日ある。重症患者なども診なければいけないのでとても大変とか、勤務医2人での産婦人科は非常に過酷だということですとか、36524時間待機といったことになっているので体調を崩してしまったとか、責任感だけで地域医療を担うのは苦しい。モチベーションを保つのは厳しい。学会とかにも全然参加できないので、こんなものは困りますという意見が出ているということでございます。

49ページ、50ページにつきましては、こういった方の支援につきまして、今、国でどういうことをやっているかということでございます。

49ページにつきましては、代替医師を派遣する際に、国から1日6万1,000円の補助を出すという支援制度があるわけでございますが、実は、へき地を支援する病院がへき地の診療所に対して医師を派遣するといった場合に限られているということでございます。実際にこれを使いまして、右下の括弧の中ですが、A県におきましては、特定診療科以外の代診医を派遣することで、非常にそこの医師の負担軽減になっているとか、例えば医師の病気休暇とか大学病院での研修とか、そういったものの場合にも派遣することができて、医師にとってもよい制度だという意見をいただいているところでございます。

50ページに進んでいただきますと、今度は遠隔での支援でございますが、こちらの説明をする際に、ちょっと次の5152を見ていただきますと、こちらも高知県の事例でございますけれども、高知県では、へき地の医療機関を中心にインターネットで広域のブロードバンドを設置いたしまして、それで各医療機関をつないでいる状況でございます。

52ページを見ていただきますと、スカイプのような形でたくさんの同時通話、テレビ電話によって、例えば診療のケースを、こういった場合にはどうしたらいいかということを相談したりとか、どこに搬送したらいいかとか、すぐに対応できますかということをテレビで会話してできるということで、これがへき地の支援につながっているということでございます。

 戻っていただきまして50ページですが、こういったことができるのですけれども、実はこの支援は、こちらもへき地のみに限られているということでございます。へき地以外のところとつなぐ場合には自主的な持ち出しでやっているということでございます。50ページの右下を見ていただきますと、例えば脳出血の患者に対して、専門医が結局その病院は不在でしたので、そういう場合に初期対応とか搬送先の決定とかについて、画像の伝送システムを活用し、遠隔で相談してうまくいった事例があったということでございます。

53ページに進んでいただきますと、へき地以外においても遠隔での診療支援などが活用され始めております。先日、総理が南相馬市で体験した例でございますが、南相馬市で遠隔診療の支援、オンライン診療システムなどを使って、看護師が自宅に行って、そこで遠隔の支援などをやっているというのがありますが、医師が不足している地域においてはこういったことも始められているということでございます。

54ページはちょっと話題が変わりまして、医療勤務環境改善支援センターというものが平成26年の法改正によって設置されまして、これは全国の都道府県にあるわけでございますが、個別の医療機関の勤務環境改善の取組を支援しているという状況にございます。こちらには医療労務管理アドバイザーとか、医療経営アドバイザーとか、そういった方を置いて各種相談に乗っているということになってございます。しかし、先ほど申しました地域医療支援センターと十分連携を図っているかというと、そういったことにはなっていないという現状にあるということでございます。

 進んでいただきまして56ページは医師の勤務負担軽減についての論点でございますが、地方勤務の意思がある医師は一定程度存在しますが、労働環境がその障壁になっているといった調査結果がある。地域における医師確保のためには、その障壁を取り除くための医師の勤務負担軽減が必要ではないか。今後、地域枠の医師がさらに増加して、地域医療支援センターが派遣調整を行うといったことになるわけでございますが、そういった場合でも、少数の医師が厳しい労働環境で勤務している。こういう状況を改善するために、へき地以外についても代替医師の派遣の支援を行うとか、もしくは同一の医療機関に同時に複数の医師を派遣することで、両者が行くということで負担を軽減するような形にしてはどうか。へき地以外であっても遠隔での診療支援についてやってはどうかということで、こういったことを通じて医師の勤務負担軽減に配慮するといったことについてどのように考えるか。

 今は地域医療支援センターからの派遣の場合を申し上げましたが、それ以外についても大変な思いをされている方もいらっしゃるということだと思いますので、その代診医師や遠隔の診療支援について、支援を拡大することについてどのように考えるかという論点。医師の不足している病院における勤務環境改善という観点で、もっと地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターが連携することができるのではないかということでございます。例えば派遣前に勤務環境改善支援センターが派遣先の病院の状況を確認して助言するといったことでありますとか、派遣後も継続的にチェックをして、きつくないですかというようなことをフォローしたりすることも必要ではないかという論点でございます。

 こういったことをやることによりまして、57ページは先ほどの1週間のイメージを少し改善したものでございますが、代診医などが時々入ってくれることによって、もしくは遠隔での診療支援といったものができるようになることで、代診医が来るときには大学等で研修が可能になりますし、家族と過ごす時間もできます。

 こういった派遣などをやる地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターがしっかり連携して、医療勤務環境改善支援センターが勤務環境についての助言などを行うことで、より勤務環境を改善していくのではないかということを挙げさせていただいております。

 資料の説明は以上です。

片峰座長 ありがとうございました。

 きょうは御説明の資料はこれだけですね。あと90分弱ございますので、あとは御自由に御議論いただくということでしょうが、再開後最初の会ですので、最初に御説明があったこと、この検討会のミッションと今後の議論のスケジュール、この8カ月の間にほかの検討会が幾つもできているのです。そことの機能分担とか差別化とか、逆に言うとどう連携するのかという観点とか、あるいはここで議論した結果がどのように社会実装というか、実際の現場に反映されていくのか、法令化の話もありましたけれども、そこら辺の少し大きなところを最初は議論していただいたほうがいいのかなと思いますので、そこからお願いいたします。

 どうぞ。

福井構成員 2ページの、今、片峰座長がまさにおっしゃったことで、ほかの検討会との関連についての質問です。事務局から御説明がございました内容は、ほとんど医師の偏在のうち地域偏在の話でして、それと同じくらい大切なのが専門分野、専門性の偏在だと私は思っています。権丈先生も、数だけふやしてもざるに入れるようなものだということを何回もおっしゃってこられました。私もそう思っていて、専門性の偏在については、一番下の今後の医師養成のあり方と地域医療に関する検討会だけで対応するのか。この医師需給分科会では話し合いはしないのか。まず伺いたい。

片峰座長 これについては、いかがですか。

 どうぞ。

堀岡医事課長補佐 2ページに資料があります。一番下の、今後の医師養成のあり方と地域医療に関する検討会は、医学部教育から専門研修まで一気通貫で地域医療に関する医師養成のあり方を検討する検討会でございまして、今は、まさに地域医療に求められる専門医制度が喫緊の課題でございますので、地域医療への配慮という観点の専門医制度を議論していただいているものでございまして、診療科偏在をどうのこうのという議論をそこでしているわけではございません。まさに言葉どおり、地域医療に関係する部分を議論しているので、診療科偏在をこの下の検討会で議論するということを決めているわけではございません。地域偏在と診療科偏在の両方とも重要な議論でございますので、もちろんさまざまな検討会で連携して議論するものだと思いますけれども、当然医師需給分科会も関係してくる部分だと思っております。

福井構成員 もしそうでしたら専門性の偏在には早急に手をつけるべきだと思います。今、手をつけても、これは10年、20年たってようやく想定した専門性の分布になると思いますので、できるだけ早く、入り口のところであるべき専門性の分布を十分考えて、それが専門医機構だけでできる話かどうかわかりませんけれども、早急に手をつけておくべきです。一旦養成された専門医がほかの専門分野に移るということは考えられませんので、ぜひその点について、地域偏在と同じくらい配慮をしていただきたいと思います。

片峰座長 ほかに、どうぞ。

小川構成員 卓上配付資料で「医師需給分科会」中間取りまとめに挙げられた医師偏在対策一覧があるわけですけれども、これは昨年の夏に中間取りまとめをやったときに、昨年は、昨年中、12月までにこれらに対して結論を出すのだというので、10項目プラス4項目が挙げられているのです。それと今、福井構成員がおっしゃったような、この委員会のミッションとして、きょうの資料にこの3つの委員会があって、ここの整理がされていないのですけれども、どういう整理をすればいいのですか。要するに、医師偏在対策一覧の14のうち、どこまでをこの委員会のミッションとして考えているのか。この辺です。

片峰座長 どうぞ。

久米地域医療計画課長補佐 事務局でございます。文字どおり、こちらはここで書かせていただいていますとおり、医師需給と偏在については医師需給分科会でやりますと書かせていただいておりますので、この14項目に掲げられております内容でありますとか、もしくは追加的にあるものについては、こちらの医師需給分科会でぜひ御議論していただければと思います。

片峰座長 私の理解では、この14項目は生きているのです。きょう議論するのはこの5番と6番である。それ以外のところは、その後にここで議論するという構造で基本的にはいいですね。

久米地域医療計画課長補佐 当然医師需給分科会は、医師偏在に関係することを議論するというでございますので、医学部、臨床研修、専門医の養成でありますとか、地域医療支援センターとか、外来医療供給の話ですとか、そういった医師偏在に関することであれば、ここで御議論していただく。ただ、ほかのところでも、当然偏在と関係するような内容についてはありますので、他の検討会でもそうしたことに触れられたりとか意見が出たりということはありまして、そういったところと当然調整だとか連携とかは図っていかなければならないということは前提となると思います。

片峰座長 どうぞ。

今村構成員 今、議論になっている、どの会議で何を議論するかということで、それぞれの会でいろいろな意見が出るということは当然だとは思うのですけれども、これは厚労省へのお願いなのですが、今日はこの委員からこのようにして整理をしてくださいという御意見が出たのでお答えをいただいたと思うのですが、それぞれの検討会で、まさしくこの会で議論するようなことを議論したいという方たちは当然いるのです。各検討会で議論しなければならない大きなミッションは、一応この前も事務局からはお答えいただいたのですが、もう少し明確に、それぞれの検討会で、他の検討会ではこういうことをやっていますと、この会はこれをやることですというのを、それぞれの会ではっきりわかるようにしていただきたい。

 もちろん重なっていることがあることは認めますけれども、特に3番のところに、生きているというお話がありましたが、以前も私が確認させていただいたように、医療部会の下の専門医養成の在り方に関する専門委員会はもうなくなりましたので、この会で偏在に関する専門医のことはやるということをはっきりと厚労省が明言されていますので、福井先生がおっしゃるようなことをここに書かれているので、まさしくここがやることだと思います。

 ただし、先ほどお話があった機構も大変重要な役割を担っていますので、機構がやることとこちらで議論することは、これは両方あるのだろうと思います。ですから、その辺はぜひ明確にしていただきたいと思っています。

片峰座長 何かございますか。例えばビジョン検討会も終わってしまいましたけれども、そこの結論は、幸いにして大きなところではこの会での結論と余り変わらなかったのでよかったなという話なのですが、例えば複数の検討会で、全然見解が異なるということでも困るわけですね。要するに、そういったところのコントロールというかマネジメントとかいうあたりなのだろうと思うのですけれども、何かございますか。

武井医事課長 今村先生ほか、各委員からの御指摘ありがとうございました。

 役割分担という点に関しては、きょうの資料1のスケジュールに書いてあるとおりでございます。ビジョン検討会の報告書はここには書いていないのですけれども、それは取りまとまったということで、それを踏まえて今後の検討に生かしていくことになろうかと思います。今、ちょうど座長の片峰先生からありましたように、ビジョン検討会で出されている提言を国内医療、今回のこの資料にも入っているところもございますし、相互補完的になっている部分が多々あるということだろうと思います。

 あとは先ほど今村先生から、3つ目にある医師の養成に関する検討会のお話が出ましたので、若干その点についても補足をさせていただきます。この検討会は、実はまだできたばかりでございまして、3回開催したのですけれども、今まで専門医に関することを中心に議論しております。

 当然その中では、専門医機構と連携しながら、また、先日学会からもプレゼンがございましたように、専門医にかなり集中した議論をしているところです。この検討会では、今後、卒前卒後の一貫した医師養成のあり方ということで、シームレスな医師養成という観点から議論を行っていただく予定です。その他の論点については別の検討会でしっかり御議論していただきつつ、この検討会では、ここに書いてありますような14項目とか医師偏在、来年には医師需給という大きな課題がございますので、そういった点についてしっかり御議論いただくということになろうかと思います。

 よろしくお願いいたします。

片峰座長 よろしいですか。

 森田先生、よろしいですか。各論に入っていいですか。

 それでは、早期に実行可能な医師偏在対策ということで、4つの観点で御説明いただきました。そのポイントが地域医療支援センターの強化だと思うのですけれども、ここに関して御議論いただきたいと思いますが、どなたからでもどうぞ。

羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。今、私も専門医機構の理事ですが、専門医機構で、都道府県協議会がこれから大きな役目をしますが、地域医療支援センターを拡充することによって協議会のメンバーも支援センターのメンバーも重なる先生が多いと思いますので、上手に連携していって欲しいと思います。

 幾つかの府県に聞いてみたのですけれども、地域医療支援センター、へき地医療支援センター、あるいは女性医師バンク、それらとあわせて専門医機構の都道府県協議会で議論していただけるような仕組みをぜひ厚労省で仕組みをつくっていただけないでしょうかという意見が出ておりますので検討して欲しいと思います。

片峰座長 どうぞ。

堀岡医事課長補佐 専門医の協議会について、地域医療への影響を配慮するためということを地域医療の養成の検討会のほうでも我々は常々御説明をしておりますけれども、今後、地域医療の検討会で議論されたことなどを、都道府県にきちんと説明して、協議会はどのような形でどのような内容のものを開いていただきたいかということをきちんと説明会、正式な通知を出す予定でございます。

 去年も通知は出したのですが、そのときにも、地域医療対策協議会などとあわせて関係者が同じ場合には開いていただきたいというようなことを書いておりますが、今回、このような意見を多数いただいておりますので、既存の検討会、関係者が非常に近い都道府県が多いと聞いておりますので、そういったものを整理した形で通知を出させていただきたいと思っております。

片峰座長 ほかに、どうぞ。

今村構成員 前向きな議論をしたいと思っているのですけれども、幾つかあるのですが、一つずつ区切ったほうがよろしいですか。

 一つは、データベースの構築を、国を挙げてやられるというのはすごくいいことだと思っていて、これは大賛成なのですけれども、必ずしも地域枠の方たちだけのデータベースではない。全ての医師のデータベースという理解でよろしいですか。

堀岡医事課長補佐 そのとおりです。

今村構成員 それを前提とすると、若干気になる表現があって、今後、ぜひ御修正いただきたいと思うのは、表題が適正配置のためのデータベース構築となっています。例えば地域枠で入られた方たちが県内でどの医療機関に行っていただくかというのは、御本人と相談しながら、ある意味県が配置するということになるわけですけれども、全ての医師を厚労省が適正配置するという表現で書かれるのは、大変誤解を招くのではないかと思っています。なぜかというと、後ほど若い先生たちに対するアプローチとして、魅力的なプログラムをつくってみずから主体的に医師不足地域へ行っていただこうと。つまり、そういう本人たちの意思を尊重して医師不足の地域に入っていただくと言っているのに、一方で配置というような言葉を使うことは、そんな意図はないと思うのですが、極めて誤解を招きやすい表現かなと思っているので、データベースをつくっていく上で、ぜひとも表現を考えていただければと思いました。

 もう一点続けさせていただいて、先ほど羽鳥先生からあった地域医療支援センターをはじめとしたこういう機能を県内で統合的に何か一つやっていただきたいということなのですが、今回、専門医のほうについても調査をされるということですけれども、PDCAサイクルを回していくのに、本当にどういうことをやっているのか、地域医療支援センターについても従来から課題は挙げられているわけです。県ごとにしっかりしているところとそうではないところがある。細かいデータがないと、例えば官民の派遣についても、官が偏重しているのではないかと。そうすると、主体が県がやっているから官が多くなって、そうではない民がやっていたらそうではないのかとか、細かい分析があると思うのですけれども、そういうことが全くこれだと議論できないのです。

 きちんとしたそういう現状を把握するシステムをつくっていただく。そのことがPDCAサイクルを回していくことにつながっていくのではないかと思っていますので、ぜひそこも御検討いただければと思っています。

片峰座長 どうぞ。

北村構成員 データベースのお話が今村先生からあったので、少しデータベースに関して御意見をと思います。

 医学教育では、各医学部でIRInstitutional Researchという制度をつくって、入学生の途中の成績から国家試験の成績、教養試験の成績、場合によっては家庭の経済状況や卒業後のキャリアプランなど、完璧にできている大学はまだ少ないのですが、大学としてのデータベースをつくろうとしています。コアカリキュラムの制度では、臨床実習で経験した症例あるいは臨床実習で指導医から受けた指導内容などをポートフォリオという形で保存して、場合によっては電子ポートフォリオをつくって、大学がそれを管理しようとしています。

 臨床研修の到達目標や、それをEPOCというシステムで管理している部分もあります。これらを統合的に学生時代、研修時代、医師としてのキャリアプラン、それをもちろん本人の許可を得た上でデータベース化することによって、もっと見えないものが見えてきたり、モチベーションというか、学生時代にこういう経験をした人は地域に行きやすいとか、地域に親和性があるとか、いろいろなデータが得られると思うので、非常に小ぢんまりせずに、将来はそういうデータベースと突き合わせることができるようなシステムをお願いしたいと思います。

片峰座長 ちょっと議論を整理するために、最初の今村先生の御質問にも関係するのですけれども、キャリア形成プログラムであったりへき地への医師の派遣等々に関して、地域医療支援センターが重要な役割を担うのでそこを充実という議論だと思うのですが、主に地域枠の学生と書いてあるのです。実際問題長崎県などを見ても、ほとんど地域医療のマジョリティーは地域枠ではない人たちなのです。

 今回の議論は地域枠にある程度限定されているのか、そうではなくて全体を包括する議論なのか。今のデータベースの話もそうだと思いますけれども、ちょっとそこを明確にしていただけますか。

久米地域医療計画課長補佐 今回、地域医療支援センターの強化ということでお示しさせていただいている趣旨は、確かに先生がおっしゃるように、今、地域医療を一生懸命担われている方は地域枠の方はほとんどいないということかもしれませんけれども、今後、地域枠を卒業というか、地域枠で入った方が地域に出ていって、派遣調整とかを経た上で、地域で従事されるという方がどんどん増えていくという中で、先ほど今村先生からも御指摘がございましたが、地域医療支援センターが実効的なものではないのではないかという御指摘もありまして、そこをどのように改善していくかという意味で、今回の資料を作成させていただいております。

 その上で「主に」と書いておりますのは、地域枠の方でなくても、こうした魅力的なプログラムであれば当然参加したいという方もいらっしゃるでしょうし、例えば大学の講座の中で地域医療を担うことを目的とした講座とかもありますので、そういった方が参加されるということは往々にしてあるといったことを想定して、「主に地域枠」ということを書かせていただいております。

 続きまして、先ほど今村先生から、実態がわからなければしっかりとした対策はとれないという御指摘がございました。神野先生からの意見でも、一部の県においては地域枠の方を派遣する先は公的病院に限定しているといったこともありますが、実際、我々はこういった情報を持ち合わせていない現状でございますので、こういった現状をしっかりと把握して、改善すべきところは今回のように改善する案を提示して、御議論をぜひいただきたいと思っております。

小川構成員 地域医療支援センターに関しましては、後でお話をさせていただきたいと思いますけれども、今、今村構成員からデータベースの話が出てしまったので、データベースの話をしたいと思います。

 皆様の卓上にある過去のもので、第2回の医師需給分科会の資料5-1と5-2に「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」というものがございます。これは201512月2日に日本医師会と全国医学部長病院長会議の医師偏在解消対策合同委員会が取りまとめたものでございまして、最初に医師キャリア支援センターの設置というものがございます。これは大学に医師キャリア支援センターを設置して、生涯にわたって、卒業生がどこに行って、今どこで働いていて何をやっているのだと。どういうキャリアを持っているのだということをずっとフォローアップしましょうということだったのです。

 ただ、これからやりますと、これが完成するのには50年ぐらい時間がかかるわけで、このときに私が申し上げたのは、医籍登録をしてあるのだから、そして、2年に一遍医師調査(三師調査)をやっているわけだから、これを医籍登録番号とひもづけすれば出てくるでしょうという、今すぐ大きなデータベースができるでしょうというお話をさせていただきました。しかし、恐らくどこかの議事録の中には載っていると思いますが、「それはできません。国ではできません。そのデータは出せません。」との事務局答弁でした。2年ごとにやっている医師届け出、三師調査のデータは出せませんというお話だったのです。後で議事録を見れば、どなたがどのように答えたか明確になると思いますけれども、今、ここではわかりませんが、要するに、きょう確認をしたいのは、医師の地域的な適正配置のためのデータベースを構築するのだと。この中には医籍情報と三師調査の情報と専門医情報を入れてやるのだという認識だと思うのですが、それでよろしいのですね。これは出していただけるということですね。

堀岡医事課長補佐 以前にどのようなお答えをしたのか、今、すぐに責任を持ってお答えできませんけれども、多分、以前は、例えば私、堀岡伸彦という医師が医籍をとってから、いつ、どこで、どのように働いているかということを大学に直ちにひもづけして開示するということは、それはできません。当然個人情報でございますのでできませんということを申し上げたのかなと思います。

 これはそれとは全く違って、そもそも今、全医師が医籍登録はされておりまして、臨床研修とマッチングもみんな受けていますし、2年に1回みんな三師調査を出しております。今までは、三師調査というものは横断的にしか見られていなくて、そのときにこの二次医療圏に、例えば産婦人科の人は何人というのは見られても、24ページに活用例がございますが、縦軸で見られていないので、順天堂だとちょっと例が悪いのですが、例えば、順天堂大学の医師が初期臨床研修を順天堂でやった後に、専門研修まではどこか地方の大学で出ていたのに、その後、5年目で必ず東京に戻ってしまっているというような、縦の経過が見られるようになるというのがこのデータベースの趣旨でして、先生が今、おっしゃっていた問題意識と合うかわかりませんけれども、三師調査を縦にきちんとつなげて個人がどういう異動をしているのかをちゃんとつくって、それを都道府県なり地域医療支援センターできちんと活用して、適正配置というお言葉はちょっと誤解を招く言い方だったので変えようと思いますが、適切な地域医療を担っていただく医師をスカウトしたり、そういうことに使っていただこうというのが趣旨ですので、そのようなデータベースを構築したいと思っております。

小川構成員 追加で、卓上配付資料の医師偏在対策一覧の中で、非常に重要なのが「(9)フリーランス医師への対応」なのです。要するに、どういうお医者さんがどういうキャリアパス、キャリアを積んで、どのぐらいの診療実力を持ってどこにいるのだということがわからなければ、それはないのと同じです。ですから、フリーランス医師への対応を考える上でも、そういうひもづけをして、この人がどこの大学を出てどこで研修をして、どういうトレーニングをしてどういう学位をとって、どこの病院で勤めてどういう技術を持って専門医になっている、あるいはなっていないということを、系列でデータベース化しなければ、本当に意味がないと思います。

羽鳥構成員 北村先生、小川先生、今村先生がおっしゃったことと同感なのですけれども、今、専門機構で専門医に関するデータベースをつくろうとしています。先ほど北村先生がおっしゃったように大学でIRをつくってやっています。三師調査、IRデータベース、専門医機構のデータベースを組み合わせて徐々に精緻化していけば相当いいものができると思うので、将来的な拡張性のあるデータベース、リレーショナル・データベースをつくって、単なるエクセルの表をつくったのではなくて、将来こういうことが付加されても生かせるようなデータベースの構築をしていけば、小川先生のおっしゃっていることも必ず実現できるのではないかと思います。

 今、大学の同窓会の名簿をとると、今いるところの病院を公表したくない先生もおられます。医師養成には、1人1億円国から国立でも公立でも私立でもいただいているわけですから、最低限の情報開示があるのは仕方ないのではないか、偏在のことはきっちり確保できないのではないでしょうか。

片峰座長 先生、よろしいでしょうか。

 どうぞ。

権丈構成員 関連する話になると思うのですけれども、先ほどから適切とか適正という言葉が使われておりまして、適正というところに対してはいろいろと言葉としては難しいところがあると思うのですが、我々のというか経済学の世界ですと、やはり需要が先にあるのです。需要に見合った資源配分がなされるときに適切あるいは適正、効率と呼び、そこに社会的な目標を加えていって少し修正していくこともありますけれども、利用者側が先に立って、それを基準にして適切、適正と呼んでいくわけです。

 私はそういう考え方になれておりますので、去年のこの会議の最初のほうの運営の仕方は非常にわかりやすかった。地域医療計画というところから長期的ニーズを推計して、そこに見合った形で量を考えていって、その量と兼ね合いを考えていくという議論だったので、非常にわかりやすかったです。

 学生などに話すときには、医師というのは何に似ているかというと、ガス、水道、電気に似ていると。ないとみんな生活できない。だから、これを何とかして生活の場にちゃんと配置できるような政策を考えていかなければいけないけれども、医師がガス、水道、電気と違うところは人なのです。人であるというところでいろいろな特徴が出てくるわけです。だから、地域においての適切性はニーズのほうから換算していくべきであろうし、専門医がどれだけ必要かというのも長期的ニーズのほうから換算していったらわかるわけで、それが、放っておいてもニーズと提供体制がマッチするのであれば政策介入は必要ではないし、そこは自由でいいかもしれないし、大きくギャップが生まれるというのであれば、ガス、水道、電気のような形で政策をしっかりと展開していかないと難しいということになります。アプリオリに規制が必要か、必要ではないかという議論はなかなかできないと思うのです。

 そういう意味で、この会議はこれから先も「適切」とか「最適」とかいうような表現がどうしてもかかわってくるのであれば、当然かかわってくるとは思うのですけれども、この会議とそういうニーズを推計していく、あるいはニーズと提供体制との接点はどういう形で今後、議論が展開されていくのかというのは、私の中で整理しておきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

片峰座長 どうですか。

久米地域医療計画課長補佐 すごく大きな課題ですので、直ちにすぐにやりますということはなかなか申し上げづらいのですけれども、考え方は全くそうだと思っておりますので、どのように進め方、スケジュール感も含めて提示できるかということはひきとって検討したいと思います。

片峰座長 どうぞ。

福井構成員 私も把握、少なくとも患者の数や病気の頻度値が必要だと思います。医療者側の話ばかりで、オートノミーも意味するところは医療者側の一方的な考えのように感じてしまいます。患者の数や病気の頻度、どういう専門の医師が何人必要なのか、大変だとは思いますがぜひそういうデータも出していただきたいと思っています。

片峰座長 どうぞ。

本田構成員 今の御議論は、夏、この中間まとめをするころにも実際に議論したことで、そうあるべきだろうということで、かなりそういう話になっていたような気がしていたのですが、それは全くなくなったということからの議論なのですか。ニーズのない中でつくると、どのようにという結局恣意的な議論になってしまうのかなとすごく感じるのですけれども、その辺の理解をお願いします。

久米地域医療計画課長補佐 基本的には、需給推計の際もそうでしたが、地域医療構想あるいは医療需要をベースにしておりますので、入院に関してはそういった議論がある程度できるものだろうと思います。ただ、今、お話ししていただいている中で、考え方は全くそのとおりだと思うのですが、外来の需要をどのように出すのかといったことが、どういう形でというのが十分に検討できていない部分もありますので、そこはまた引き取って検討させていただければと思います。

片峰座長 はい。

権丈構成員 外来の需要のところの推計は結構難しいところがあるのですが、まず病床はありますし、専門医というのがどういう形でその地域の中で今後、10年、20年後には展開していくというのは人口構成を見ればある程度わかることでありましょうし、そういう意味で、ニーズというものをベースにしないことには議論が難しくなると思います。ほかの分科会とかほかの委員会でこういう議論と重なったとしても、手法をその王道を使いさえすれば、私は別にこの会議は、その手法でいくと言ってくれさえすれば、内容が重なったって別に何でも構わないのですけれども、どうせほかのところでできないだろうと思いますし、だから、その形でやっていただきたいと思います。

 きのうは日本老年医学会のほうに私はいたのですけれども、そこでは、ニーズが変わってきている、ニーズが変わっているのに医学が変わっていない、何事だという恐ろしく強い説得力で議論しているわけです。

 そういうニーズというものが私たちの提供対象の改革というものの、要するに、錦の御旗として、ずっと国民会議のときから言ってきていることです。ニーズと提供体制とのマッチングをデータに基づいて図るために改革を行う。その改革を図った後の形、姿というものを描いていって、そこに医師を配置して、人が住むことができるまちをつくっていく。それがなかなか難しいときには、提供対象のほうに合わせて、人に住んでもらわなければいけなくなるかもしれないから、コンパクト・シティーみたいなものも視野に入ってくることになる。まずはそういうベースをある程度共有した形で議論していただければ助かりますので、よろしくお願いします。

片峰座長 どうぞ。

鶴田構成員 私は都道府県の立場から発言したいと思いますが、今のニーズに関しては、相対的ニーズと絶対的ニーズがあると思います。医療が乏しいところには行きたくてもないから余り行かないのです。だけれども、たくさんあるところはいつでもかかるという観点からすると、ニーズもどのような総計としてのニーズかということを計算しないとニーズは出ないのではないかと思います。

 私が発言したいのはその問題ではなくて別の問題ですけれども、今までの地域医療支援センターの話とかを含めて、各県によって状況が全く違うと思います。一県一医大の県と複数の大学がある県では対応の仕方が違うし、例えば静岡県でいうと、静岡県出身者を地域医療の地域枠のほうに適用すると、本県は全国平均並みにいくと240人ぐらいの初期研修医が欲しいのです。浜松医大だけだと全員来ても120人なのです。したがって、本県では他県の大学と連携しながら、本県の病院に医師を派遣してもらうという政策をとっています。

 毎年120名に奨学金を出して、その人たちに県内に来てもらう。県内の人が県内の大学に行って県内に定着するのは当然高いのですけれども、県外出身者でも初期研修をして県内の病院で勤務すれば医師数は増えるので、県によっては、提案の案のように必ず自分のところの県出身者を県内の大学にということでは、静岡県としては困るのです。したがって、県によって対応は違うだろうとは思います。

 先ほど地域医療支援センターですとか、医療勤務環境改善支援センター、へき地医療支援機構とかいろいろな検討会がありましたけれども、それぞれが具体的などのくらいの予算でどのくらいの人数でどのくらいの業務をしているかの実態を調べると、みんな違うと思います。それが本当に動いているかどうかということも含めて、この統合をしたらうまくいくというのはきっと違うのだろうと思います。案としてはいいけれども、実態は違うのだろうと思います。各県の具体的な取り組みを示して欲しい。今回、示されたのは、どちらかというと人口的には一県一大学の小さな県が多いと思います。そこと大きな県とはまた違ってくるので、画一的な対応は非常に難しいだろうと思います。

 キャリア形成と言われるもの、もしくは地域枠とその他の人の問題を含めて、へき地に行けばキャリア形成ができるのかということ、そこもみんな意見が違うので、言葉を、誰を対象に何をするかを明確にした上での対策を考えないと、みんな発想が違うのではないかというような印象を持ちます。

 今後、地域医療支援センターを中心として都道府県にいろいろな役割を付与される場合は、例えば奨学金とかそういう都道府県のひもがついた人については都道府県がある程度の権限を持って配置できるけれども、ひもがついていない人に対して、どういう権限で都道府県はその人を配置するかについては、全国衛生部長会も、厚労省に対して法的な根拠を示してほしいと言っておりますので、そのことも検討していただきたいと思います。

神田医政局長 先ほどからの適正配置についてニーズを踏まえた議論をしないのかという話ですけれども、本日のテーマそのものが、まずは早期に実行可能な医師偏在対策ということで、地域医療支援センターでございますとかキャリア形成プログラムをどうするのかといったことなどを中心に議論していただくということでそうなっていますが、もともとこの14項目の中でいいますと、専門医について診療領域ごとに地域の人口症例数等に応じた地域ごとの枠の設定を検討するというテーマもありますし、先ほど権丈先生からありました医療計画の中にその目標値を設定してはどうかということも書いている。

 お手元の過去の分科会資料の第9回の分科会というところに、ビジョン検討会報告書が出ています。その中でも、例えば専門医について言いますと、20ページをごらんいただきますと、上から2つ目の黒ポツの2行目の「各地域における診療科ごとの専門医の適正数、適正配置が、病院間の機能連携・役割分担などに関する地域医療の方向性と整合性が図られているか」で、そういうものをちゃんとチェックするべきだということも言われていますし、先ほどの外来医療については25ページの外来医療の適正化ということで、下から2つ目ぐらいの黒ポツの「その際、診療科ごとの医師の配置状況をはじめとして、地域の外来機能の現状の供給体制をデータで把握する仕組みを導入し、その需給ギャップを把握可能とする。そして、都道府県内の一定の区域ごとに医療提供者、保険者、行政等による協議体制を構築し、医療ニーズ・資源の分析と必要な診療科の方向付け等を行うことが必要である」ということで、この場の議論としても先行的にそういうことを言っていただいていますし、ビジョン検討会でも全く同じ議論をしているわけで、需給、利用に応じた適正配置という考え方は、どちらでも一貫してそういう議論はしていきましょうということになっていますので、順次外来の適正化をどうやっていくのかという議論とか、専門医の議論は先ほどの分担でいうと、今後の医師養成のあり方と地域医療に関する検討会でも議論されると思いますが、偏在部分については、この場でも適正数みたいなことについてどう考えるのかという議論の場を設けさせていただきますので、その場でしっかりと御議論いただきたいと思っています。

 全くニーズに応じて適正配置をしていくと、そのやり方がどうか。いろいろなやり方があると思いますので、そこはこの場でしっかり御議論いただきたいと思います。

今村構成員 局長がおっしゃっていることは、私はよくわかるのです。わかりますけれども、あえてまた同じことを言わせていただきます。厚労省が配置、配置という言い方をされることに対する現場のいろいろな、さまざまな意見が出てくる可能性があるので慎重にということを申し上げていて、患者側からすると、きちんとそこに医療があってほしいし、そこに医師がいると。いることが配置という言い方であればそれはそれでわかるのですが、お上が強権的にそこに人を派遣して張りつけるのだというイメージにとられるということは、これからのこういうことを進めていく上で、かえってよくないと思っているので、申し上げています。そこにきちんと医師がいなければ地域が成り立っていかないのはそのとおりだと思うし、どうやってそこに医療を提供していくのかというお話だと思いますので、そこは改めて慎重な発言をしていただければと思っています。

 ビジョン検討会は、もう立ち上げからいろいろな御意見がありましたので、我々は参考にはするつもりですけれども、そこが金科玉条で全てそのとおりにしなければいけないということではないと私は思っていますので、そのことを改めて言わせていただきます。

小川構成員 先生、配置でなければどういう言葉がいいのですか。

今村構成員 そこに適正な医療がどうやってあるかということだと思いますけれども、言葉は今すぐ思いつきません。

小川構成員 配置と同じですか。

今村構成員 ですから、例えば医師個人がそういった約束で、地域枠に参加したと。自分はそれを了解して、そういった県の指示に従いますというのなら、それはもう配置されるのは当たり前のことだと思っているのでいいのですが、全ての医師がそういうわけではありませんので、先ほど申し上げたように、厚労省も、いわゆる医師の自発的な参加を求めるような政策もあわせておっしゃっているので、だとすれば、余り配置ということを申し上げないほうがいいのではないかということです。

神田医政局長 行政が医師を配置するということでは必ずしもなくて、例えば、医療計画の中の参考値として目標値を示すという方法もありますし、参考にして議論していただくことになっているビジョン検討会報告書でも、まずは需給ギャップを把握して、地域で主体的に医療の供給体制の最適化を議論して形成していけるようにしたいと記載されています。例えば地域医療構想調整会議で実施していただいているように、行政が主導するというよりは、医療関係者の方も入っていただき、保険者や市町村、住民の方にも入っていただいて、大きな方向性を議論していくということですので、配置という言葉は十分注意して使うようにはしたいと思います。厚生労働省が強権を持って何とかするというように考えているわけでは全くございません。

今村構成員 私はよくわかっているつもりです。決してそういうことをしようとされているのではないというのは十分承知の上で注意をしていただきたいと申し上げている。聞いていると何度も配置と出てくるので、ちょっと思いましたので、申し上げました。

 もう一点だけ、鶴田先生が都道府県ごとに事情が違うとおっしゃって、私もそのとおりだと思います。今日の議論は、地域医療支援センターをいかに活性化するかという話だと思うので、逆に鶴田先生にぜひ伺いたいのは、県ごとに違うのだとすると、今まで県の主体で任せていたからこんなにばらばらにいろいろ県ごとに差が出てしまっているのでしょうということもあるわけです。

 だから、県の主体性をどこまで尊重しながら、国がどこまでルールを決められて、これは必ずやってくださいという一定のものを厚労省が示さない限りは県も動けない。そのときに県の事情を無視して国が画一的に、斉一的にやるのはだめだというお話だと思うのですけれども、その辺の具体的な制度というか、厚労省として何か県にこういうことを求めたいという案が今の時点であるのでしょうか。それとも、この会でそれを決めてくれというお話なのでしょうか。

久米地域医療計画課長補佐 我々が申し上げられるのは、今、提示したものについてどうですかというところまででして、確かに鶴田構成員がおっしゃられましたように、臨床研修の枠がそもそも県に足りないのだというようなことであれば、当然柔軟なというか例外的な措置も考えるべきではないかと思います。

 ただし、今村構成員からおっしゃっていただきましたように、自由度がかなりある部分もあるので、そこはより地域定着が図られるような形で、我々が今回提示したような形でやってはどうかということについて、ぜひ、今日は御議論いただきたいと思っています。あとは統合の話も、画一的にどうかというお話もございましたが、例えば今回お示しした資料の3233などを見ていただきますと、地域医療支援センターとへき地医療支援機構の業務体制について出させていただいておりますが、委託先が違うといつ引き上げるのかとかいう議論もありますでしょうが、ともに直営であって、かつ、へき地の部分でありますけれども兼業だけでやっているようなところでありますとか、同じような体制でやっているのであれば、こういったところは一緒に直営でやっているようなところとかいうのは、うまくやればすぐにできるようなところもあると思いますので、方向性としてはここで御議論の上、よいという方向で打ち出していただけると、そういうことを我々も県に示しやすいのかなということ。

 最後に鶴田構成員からありました地域枠以外の方の医師派遣みたいなものをどうするかということでございますが、そういうことをするのかどうかも含めて、職業選択の自由とか移動の自由とかいうこととも関連すると思いますし、そういうものであれば、法改正なども必要となると思いますので、そういった議論については、ゼロベースで後半戦の秋以降の抜本改革の中で取り上げていただくものかと思っております。

片峰座長 どうぞ。

鶴田構成員 今、33ページの話が出たので発言しますけれども、例えば静岡県は専任医師3、専従職員3となっています。この人たちが具体的にどの程度の仕事をしているかというと、きっとその一人は私だと思うのですが、数カ月に一回、いわゆる理事会を開くときに参加するとか、もちろんいろいろな相談を受けますけれども、そのレベルです。あとは浜松医大と県立総合病院に1人ずつ配置調整をしてもらうドクターに来てもらっていますけれども、毎日それをやっているわけではない。そのような実態があるので、ここに書いてある専任についても、365日というか、225日かわからないけれども、その期間全部それをやっているわけではなくて、へき地医療支援機構については、実態はまさに年に何回かというレベルの仕事ぶりなのです。

 そういう実態をよく把握された上で、先ほど言われた地域医療支援センター、へき地医療支援機構、もう一つ、医療勤務環境改善支援センターの具体的な仕事量もしくは人の数、予算、そういうものを出して、本当にそれがうまく動くかどうかの提案をしていかないと、文章上はできるのだけれども実態はどうかということを、先ほど疑問を呈したところです。

片峰座長 どうぞ。

新井構成員 今、今村構成員からお話があったとおり、地域医療支援センターの実態で、いい例は幾つか見せていただきましたけれども、うまくいっていない例は何でうまくいっていないのかということで詳細に調べて、それを示していただきたいと思います。ある意味、それが最初の出発点になるのかなという気がいたしました。逆にうまくいっている例は何でうまくいっているのか、その辺の情報をつまびらかに示していただけるのが一つかなと思います。

 今、鶴田構成員からお話がございましたように、結局日常的な医師の派遣業務をどこが担うかということになると、別に大学中心主義ではありませんけれども、大学がある程度そこに強くコミットしないと難しいのではないかと思うのです。実際、一人一人の医師の顔まで見てその医師の資質や家庭の事情などにも配慮して医師を派遣するわけですから、そういう意味では大学が何らかの大きな役割を果たすという仕組みが必要なのかなと思います。

 あとはキャリア形成に関して、長期的な視点が必要だと思います。地域枠の学生は、医師になると、9年間の義務年限が課せられます。ただ、実際には9年後に、できればその地域に定着してくれることが望ましいわけでありますので、そこまで視野に入れたキャリア形成が必要だと思います。さらに言えば、卒前の学生のレベルから地域医療支援センターが大学とともにキャリア形成に関わっているるということを学生たちに明示することも必要でしょう。まさに卒前卒後をシームレスにつなぐことが非常に重要なのではないか、そうなりますと、やはり大学の果たす役割は大きいと考える訳で、別に私が全国医学部長病院長会議の代表でここに来ているからというわけではありませんが、ぜひその点は一つ論点としていただきたいと思います。

 以上です。

片峰座長 新井先生、2年前に医師会と医学部長病院長会議で一緒に出された構想がありますね。大学が中心になっているあの構想は、今回の地域医療支援センターの中で考えることができるものなのですか。それとも、全然違うものですか。

小川構成員 やっと地域医療支援センターの議論になってきたので、岩手県の例を挙げます。岩手県の地域医療支援センターは、岩手医大に完全に委託されています。我々がやっているということでございますので、専従と言われている方々もいらっしゃるのだけれども、委員会の委員長は私がやっています。

 2つ分けて考えないといけないのは、この資料ではキャリア形成プログラムについてとなっているのですけれども、キャリア形成プログラムは、卒業生が出て、義務履行の医師が出たときには完成していなければいけないわけです。したがって、それは完成してあるものです。あとは何をやっているかというと、地域医療支援センターでやっている主なミッションは、そういうルールにのっとって人を適正に配置をしていくという日常の仕事が後で待っているわけです。そちらのほうが重要なのです。

 岩手県では、義務履行は、基本は9年間なのですけれども、その間に6年間、例えば大学院で学位をとったりあるいは専門医のトレーニングをしたりすることができて、最長で15年程度を考えてプログラムをつくってあります。それはいいのですけれども、ここにいらっしゃる構成員の皆様のメンバーを見ますと、医師の配置調整あるいは派遣調整を、実際に自分でおやりになった方々はほとんどいらっしゃらないように思います。

 私が脳外科の主任教授をやっていたときに、これは毎年の話なのですが、毎年、教授と助教授と講師というか医局長で、とんでもないパズルを解くのです。というのは、まずは学位をどの段階でとらせてやったらいいか。専門医試験のための勉強はいつやらせればいいのか。例えば人の問題が重要なことを権丈先生が先ほどおっしゃいました。まさに人の問題なのです。

 皆さんこれは全然わからないと思うのですけれども、A君とB君を同じ病院で働かせたら取っ組み合いのけんかを始めるからAとBは一緒には絶対できないとか、あるいはC君とD君を一緒にペアにしたら診療のレベルが下がるから、そこの地域の住民に迷惑をかける。これはレベルも考えなければいけないということ。E君が例えば課長をやっていて、そこにFをやろうとしたときに、F君のほうが年は上だと。そうするとうまくいかないから、今度は年齢のことも考えてやらなければいけない。G君は、今度は子供が中学校あるいは高校に入るので、できれば都市部に戻してあげたいという問題、あるいはH君は父親が今、脳卒中で寝たきりになっていて、奥さんが一生懸命子供の世話をしながら親の面倒を見ている。こういう家庭の状況だから田舎のほうに旦那だけやるわけにはいかないということです。

 これは一部の例ですけれども、このほかにもっと、たくさんのファクターがあるのです。そのファクターを、パズルを解くようにして配置調整をするわけですから、きょう出てきた資料を見てちょっとがっかりしたのですけれども、要するに、これは頭数をそろえればいいという格好なのです。そんなものは頭数の問題では全くないのです。地域の医療を守るために、医療レベルを維持して本人たちの生涯の幸福も考えながら配置調整をしなければならないのですから、そういう意味ではとんでもないパズルをしているようなもので、ここには申しわけないのですが、きょうの地域医療支援センター運営事業の全体の中には、人間を相手にして頭数ではないのだというファクターが抜けているのです。そこを一番基本にして考えてもらわないと、配置調整は絶対にうまくいかないと思います。

片峰座長 どうぞ。

久米地域医療計画課長補佐 決して頭数でどうこうするというお話を申し上げているのではなくて、実際に地域医療支援センターを運営されている鶴田構成員にもお聞きしたいのですが、当然そういう顔の見える関係でいらっしゃる状況にある大学ともしっかり連携をしてくださいということも申し上げておりますし、もしくは医局に属さない方もいらっしゃいますので、大学で全てそれを行うことができるのかといった議論も恐らくあるとは思います。

 そういうこともありますし、あとは地域枠の方がこれから増えてくる中で、例えば徳島であれば50以上のキャリア形成プログラムをつくった上で、それをちゃんと、そこから地域枠の方に選んでいただくということをやっておりますし、要は、今後、地域枠の方以外の方も含めて、そうした派遣をする方がどんどん増えていくに当たって、恐らく都道府県の業務も増えてくるといったことも踏まえて、へき地支援機構との統合でありますとか、そういうことの支援についても、我々は申し上げているということでございます。そういうことも踏まえて、我々の説明が悪かったのかもしれませんけれども、今回は提案をさせていただいている状況でございますが、提案の中で、先ほどの鶴田構成員から個別の都道府県の事情を踏まえてやるべきだという御意見もございましたが、方向性として、我々が提案している内容に反対なのかどうかというあたりはもう少し御意見をいただければと。

小川構成員 もう一点だけ追加をお願いします。私は地域医療支援委員会の委員長をやっていますが、例えば私は脳外科のことはわかるけれども産婦人科のこととか内科のことは、診療能力もわからないわけです。したがって、県内の各病院の科長の診療能力レベル、派遣されるお医者さんの能力レベル、これを知っている、わかっているのは、やはり教授であり助教授であり、あるいは医局長あたりなのです。ですから、そういう方々がメインに入っていないと、とても動かせないと思います。

 非常にがっくり来たのは、策定に当たっての都道府県と大学医局の連携状況の中で、連携が図られていないと。連携が図られていないで、そんな派遣調整などはできるのかなと。一部連携して策定しているところもあるので、こういうところでちゃんと本当にできているのかなという感じはします。

片峰座長 結局地域医療支援センターを、要するに、ほかのセンター等の機能も含めて機能を拡充して、そこがヘッドクオーターとしてきちんと機能して、配置を適正化するというのはいいのだと思うのです。

 だけれども、それを各県にどうぞやってくださいと、勝手に大学と連携するもよし、どうでもよしというイメージですね。そういったことをもう少し、この場でもいいし厚生労働省としてもいいし、一つの形を示して、そこに権限をきちんと委譲してというあたりのところまでやるか、やらないかという話なのだと思うのです。

久米地域医療計画課長補佐 実態については、今後、今日の御指摘もいただきましたので、先ほど申し上げたかもしれませんが、もう少し把握して、お示しできる部分についてはお示ししたいと思いますが、今回提示させていただいているのは、現時点でこういったことを考えてはどうかということですので、今日はその点について御意見をいただければと思います。

片峰座長 森田先生。

森田構成員 ありがとうございます。

 かなり長期にわたって中断があったものですから、ちょっとウオーミングアップしないとなかなか議論についていけなかったような気がいたします。私自身の認識で言いますと、昨年まで続けてきた議論はどういうことかといいますと、全体としての需給調整の話が出てきて、これは人口動態の観点からいって、総量としては人口がかなり急速に減っていくときに増員はなるべく抑制すべきだということであったと思います。それにもかかわらず、一部の地域においてあるいは診療科においてかなり偏在がある。これをどうするかという話になってきたと思います。

 これまでの議論ですと、中間まとめの場合は、ここにありますような形でのやり方で提示したわけですけれども、その後といいましょうか、そのときの議論に出ていましたのは、こうした一種のインセンティブを提供するか、あるいは情報提供によって解決するというソフトツールではなかなか解決しないのではないか。

 そのため、一部は保険制度の仕組みも考えてですけれども、ハードツールも考えなければいけないのではないかというところまで議論がいったと思っていまして、そこからさらに進めようと思ったときに、雨で中断かどうか知りませんが、ゲームがとまってしまったという気がしています。

 その後、今回はそれをベースに議論を進めるということですけれども、その間ほかの会議で別な見解が示されたということもありまして、今日出ておりますのは、後できちんと考えることにして、当面はその枠の中で、また、ソフトツールを強化する形でいくという議論ではないか。その意味でいいますと、まず、キャリア形成の問題であるとか、地域医療支援センターを強化するという話であるとか、あるいは大学の育成で地元の枠をつくっていくという話だと思いますし、この時点でいいますと、先ほど局長も心配されましたように、早期に実行可能な偏在対策に関しては、御提案あったことについて、さらに意見を言うか、これを当面進めていくということを承認するということではないかと思っております。

 むしろ私自身が伺いたいのは、その後で、抜本的な医師偏在対策ということが書いてありまして、これについてどういう形でどうやるかは、これからの課題かもしれませんけれども、そこが後に控えているときには、先ほどからいろいろ出ておりました論点は議論する。データベースをしてきちんと情報を把握するとか、あるいはさらに、いろいろな形で配置、教育を考えるということではないかと思います。そういう意味でいいますと、きょうは御提案といいましょうか、それについてさらにどうすべきか。これを基本的に現時点でいいますと承認をするということを事務局は期待されているのであると思います。

 ただ、思いとして申し上げますと、ソフトツールがなかなかうまくいかないということで、もう少し議論が進んだときに、またこれはソフトツールなわけですから、その意味でのむなしさが皆さんの発言の中ににじみ出ているのではないかという気がしております。

 そういう意味でいいますと、これをどう考えていくかということは、多分、これからの課題になると思いますけれども、私自身も当面このやり方は重要だと思いますし、地域センターを強化していくことも必要であろうかと思っていますし、統合してやることも必要だと思っておりますし、教育のほうも地域枠のある意味で強化をしていくということだと思いますが、むなしさが伴うといいますのは、なかなか行政のほうの統合は、誰がどういう形でやるのかというのと、国全体の需要予測、人口動態はかなり正確に将来予測できると思いますが、地域の場合には流動性がありますので、いわゆる足による投票のようなことが起こってしまう可能性があるので、それをどのようにコントロールするのかは、このやり方ではなかなか難しいのではないかと思います。一種の地域囲い込み的な方法を考えていらっしゃるようですけれども、難しいのかなという気がしまして、これからどういうことを考えるかについての私の印象でございますが、現時点では、この議論はこういう形で整理することが望ましいのではないかと思います。

片峰座長 次にお願いします。

権丈構成員 私も同じようなことを言おうと思っていたのですけれども、早期に実行可能な医師偏在対策については今日の議題でして、それ以外のことを話している人たちは、本日の議題についてはこれでいいですよという意味だと思います。

 その中で、先ほど神田さんが紹介してくださいましたように、配付資料の中で専門医のところで、長期的にはニーズを考えていくとありました。長期的に考えていくビジョンがあって、それが今、使う日本語にはね返って反映されます。だから、今、使っている日本語に「適正」であるとか「最適」という用語を使うというのは、こういうビジョンがあって初めてその言葉が意味を成しますので確認させていただきました。

 経済学というのは言葉が非常に貧困で、生産をするときに労働、資本、土地という生産要素を生産の現場に置くことはアロケーションという一語しかありません。生産要素を配分という形で、アロケーションしていく。そこに対して、先ほどのガス、水道、電気を、要するに、みんなの生活の中にどう準備していくかとかいうようなところでも、全てこれはアロケーションです。そして、マンパワーとしての医師をどのようにしてみなさんの生活の場、みんなのニーズのところに、経済学全体では需要ですけど、医療の場合はニーズと言ったほうがいいと思うのですが、医療ニーズのところまで医師をアロケーションしていくという意味は、言葉を幾ら変えても変わらないものだと思います。

 医療は対人サービスですから、私たちの指導教授の時代には、医療サービスと言ったら、サービスとは何事だと怒られていたらしいのですけれども、今は大分変わってきて、ただ、医師は人ですから配置という言葉が強く受け止められることがあるかもしれないので、そこから先は類義語辞典の範囲内の話で、そういう配慮のところで変えていくだけであって、意味そのものはアロケーションだと思います。

 先ほども1億円を使っているという話がありましたけれども、使っているからどうのこうのではなくて、ガス、水道、電気のように、医師がいてちゃんと人が住むことができる生活の場を準備するために1億円を出しているんですね。したがって、地域枠の人たちだけが特別というのではなくて、医師という人たちを、そのマンパワーをどうアロケーションしていくかという中で、国策として人的資本のほうに投資しているということですので、地域枠以外の人たちがアロケーションの対象の外にいるということ、要するに、政策の対象の外にいるということは、ちょっとどう考えていけばできるのかなというのがございます。

 余りにもミスマッチが起こっているから、少し適正な政策としてというか、弱い政策、ソフトな政策として地域枠を導入したけれども、これだけではうまくいかなかったら、これでもまだマッチングしないのだったら、全体的なアロケーションも考えていかなければいけないので、地域枠だけが対象になるというのではないと思っております。

 どうもありがとうございました。

片峰座長 先ほどの先生のニーズありきという話は物すごく説得力があるのだけれども、森田先生も言われたように、一つの流れの中で、偏在対策をここでやっているわけです。この場で偏在という問題に関するニーズを定量的かつ定性的に分析したデータをここで出す。そういうイメージですか。

権丈構成員 将来的には、ここの専門医3のところは、そういうベースがないことにはなかなかできないのではないか、あるいは国民会議の報告書の中では、「 適切な場で適切な医療を提供できる人材が確保できるよう、職能団体には、中心となって、計画的に養成・研修することを考えていく責務がある」 という文章や、「医療計画の策定者である都道府県が、これまで以上に地域の医療提供体制に係る責任を積極的かつ主体的に果たすことができるよう、マンパワーの確保を含む都道府県の権限・役割の拡大が具体的に検討されて然るべきである」という文章があるわけなのですけれども、そこはどこがやるのか。ただ、もう専門職集団が自分たちのところでの専門職、専門医というのはこういうものだというような形でやるべきという議論も一方でありますし、あるいは行政のほうでやっていくというようなものもあるでしょうし、ただ、そういう社会的責任を果たす、それは自分たちでやるのだというのがプロフェッショナル・フリーダムとかそのように私は理解していますので、そういう目的そのものは医師の専門職集団も参加してやってくださるのではないかと思っております。

片峰座長 どうぞ。

平川(淳)構成員 私は聞いていてわからなくなっているのですが、最初に今村先生が御質問された今回のこの件については、地域枠の先生たちをどうするかという話でつくられたというように、資料を見ると非常にわかりやすい。9,700人に対してデータベースをつくって、その人たちをどのように振り分けるかという、喫緊、すぐにできる施策であるという御提案がきょうはあったのであって、皆さんは全体的なことばかりをお話しされていますが、決してそういう大きな話ではなく、医師需給分科会はもっと小さな話をするような意図できょうは組まれたのではないかという確認をしたいのです。そこをきちんと明確にお答えいただかないと。

片峰座長 それは先ほど私も確認したのです。

久米地域医療計画課長補佐 説明が悪くて済みません。基本的には御指摘のとおりで、今後、地域枠の方がふえていきます。それに伴って、地域医療支援センターが派遣しなければいけない方もふえていくので、それが実効的になるように、また、派遣される方のキャリア形成に資するようなものにするにはどうしたらいいのかという、これがきょうの大きな議題でございます。

小川構成員 それは違うのではないか。というのは、きょうの参考資料の4ページをごらんいただきますと、これだけ日本の西高東低の医師偏在がある。これは地域枠だけを議論しても解消しません。先ほど福井先生がお話しになっていた診療科間偏在も地域枠の職務だけを議論していたのでは改善しないわけで、この委員会は医療従事者の需給に関する検討会ですから、これはもう全体の、要するに、日本全体の地域偏在と診療科間偏在を解消するような議論をしなければ意味がないと私は思うのです。

堀岡医事課長補佐 先生がおっしゃることはすごくもっともなのですけれども、医師需給全体の議論も平成30年以降にするということはきょうのスケジュールでもお示しさせていただいておりますが、久米補佐が申し上げたのは、今、ここでちゃんと地に足が着いた議論をしないと、結果的に最終的にこれでは伝わらないので、早期に実行可能な議論は、地域医療支援センターを機能強化しないといけないというのは、構成員の皆様方同じ思いでございますので、そのために、例えば26ページはどのようにしようとか、地道に地に足が着いた論点を出させていただいています。ということで申し上げただけなので、それを全然しないということではございませんので、ぜひ建設的な御議論をいただければと思います。

今村構成員 よろしいですか。将来的には当然もっと広い全体の話はするけれども、私は出された事務局の案には基本的に賛成だということをまず申し上げた上で、先ほどソフトパワーというお話があって、確かに今までは機能してこなかったという実態があるのですけれども、よく考えていただきたいのは、医療法の中に位置づけたという意味と、これを運営するための資金は医療介護総合確保基金、いわゆる国民の消費税で運営しているものだということで、それが機能しないからといってそのままにして、それはいいのかという話になると私は思っていて、まずは今ある国民から税金をいただいて運営しなければいけない組織が機能していないのだったら、なぜ機能していないかということを現状把握した上で、しっかりとこれを活用していく。その第一歩が今日のお話だという理解をしています。

 勤務環境改善支援センターも、医療法の中に位置づけて各県につくるとなっているのに、実は病院側の認知率が50%しかないし、こういうものも実際にどこまで機能しているかわからない。今、医師の働き方改革も言われている中で、この国の法律までつくって国民から税金までいただいて運営しているものが機能しないからといってそのまま放置することも、私は大きな問題だと思っているので、まず、やるべきことはしっかりやった上で、できなければ次のことを考えるということをやっていただきたいと思っております。

北村構成員 きょうの目的で、この支援センターを強化するということに賛成であるということを前置きした上で、この制度そのものが、森田先生がおっしゃったソフトツールに入るかもしれませんが、お金で9年間縛るという制度ですから、そんなものがうまくいくわけがないのです。モチベーションからして、お金の9年間が終わったら、みんな都会に戻ります。そう言っているような制度で、本当のソフトの中のソフトは、データにもあったように、若い人が地域で働きたい、そういう人が何%かいるわけで、その人たちをお金ではなくて生活支援とか教育支援とか、あるいはモチベーションアップとか、そういう本当のモチベーションを上げる施策。それが遠回りで遅いように思うけれども、実際は一番効果があると思います。9年間やっても、恐らく年期が明けたらみんな帰ってしまいますので、それくらいのものだと私は思っています。

平川(博)構成員 私は、医療のど真ん中ではない老健施設の立場で出席していますが、たまたま東京の人間で、東京都医師会の仕事もしていますので、その立場でひとこと意見をいわせていただきます。今回話題の地域医療支援センターについては、恥ずかしいながら、その機能をよく良く理解していません。東京は医師数が多く、4万人の医師のうち、3万7,500人ぐらいが臨床で働いていると言われています。人口万単位の比率も高い数値です。東京都内でも足らないところは足らないかもしれませんが、どちらかと言えば、医師の送り出しをする地域と理解しているわけです。

 そう考えた場合、一つお聞きしたいのは、東京都の地域医療支援センターは、東京都の医療を支える医師を確保するためのセンターという、働きだけでいいのか確認したいのです。といいますのは、先ほど北村先生からもお話が出たように、今回の調査の終わりのほうのページに、都内23区の若手医師たちが地方に出たい。出てもいいという意見が掲載されていました。そのような意見を伺うと、ますます東京都は送り出し地域になるのかなと思えます。そうなってくると、東京都の支援センターはこういった若手医師の医師を支援する仕組みや、インセンティブが働くような支援を行っているのでしょうか。

 また、東京都の地域医療支援センターが他地域の支援センターと連携しつつ、最近流行りのふるさと納税ではないですけど、御当地を支援することで、何かおまけがつくようなことができるのではないか。東京都の支援センターではそういった他の地域の情報を提供するような、つまり、地域限定の支援センターではなくて、連携し合いながら運営していく仕組みができるかどうかをお聞きしたい。

 東京都内には、11の大学病院や多数の高機能の病院があります。保水池としては十分水を持っているところなので、これをどう分配するかということも大事だと思います。足りないところを議論することが最も大事ではありますが、足りているところからどう供給していくかという議論も大切だと思います。この点についてもお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

久米地域医療計画課長補佐 現時点のお話をしますと、地域医療支援センターは都道府県内の医師の配置調整をやることとされています。それが他の都道府県と連携ができないかというと、してはならないという法律の規定ではありませんので、することはできるということではありますが、実態としては、そのようなことはなされていないということでございます。

 医師需給分科会の中でも、県を超えた医師派遣とか医師の調整のあり方も、何度か御意見としては出ていると思いますので、地域医療支援センターを活用してそれをやるのかどうかということも含めて、秋以降の議論でやっていただいてはどうかと思います。

片峰座長 あと一つどうぞ。

福井構成員 先ほど今村先生がおっしゃったデータベースの名称の件ですが、私も地域性についても専門性についても、ソフトツールだと効果がないと思っていて、アロケーションが必要な時期だとは思っていますが、データベースそのものはニュートラルな名前でも構わないと思っています。例えば、医師の分布に関するデータベースぐらいにしておけば、これをどのように使うかは全く制限されませんので、いいのではないかと思います。

 以上です。

片峰座長 そろそろいいですか。先ほど今村先生からも出ましたけれども、幾らここでいい議論をしても、地域医療支援センターが各県で機能しなければ意味がないわけです。そのためにどういう政策をとるか。それほど逼迫した状態で、余裕がないわけですから、例えば文部科学省では、内閣府ですか、大学生が首都圏に集まり過ぎだというので、首都圏の大学の定員はふやさないという非常に強い意思を示しているのです。ある程度、そこまでやるのかやらないのかはともかく、それをどう実現していくかというのは非常にポイントだと思います。

 そういった観点も含めて、最後に厚生労働省からまとめていただければと思います。

武井医事課長 今日はいろいろ御意見を賜りまして、大変ありがとうございます。

 今日いただいた意見を次の議論に生かしていきたいと思いますし、今日は早期に着手できるところを中心に御議論いただきました。将来的には、今日の議論に出た中で申し上げれば、ハードなツールとか、もう少しある意味しっかりと現場に根づくようなものをより具体化するような話も、今後はよりはっきりと議論していくような、そういった話題にもなっていくかと思います。

 また、事務局から個々の会については御連絡したいと思います。

 あわせてメンバーについてお願いします。

堀岡医事課長補佐 事務局から1点御報告させていただきたいことがございます。今後、医師偏在対策をさらに深く御議論するに当たって、さまざまな立場の方をさらにつけ加えて御意見を伺いたいと思っておりまして、特に女性医師などに対する対策が非常に重要だと考えておりまして、聖路加国際病院の山内英子先生、勤務医の現場で働く先生からも非常に重要な意見が聞けると考えておりますので、勤務医を代表する方として、国立がん研究センター中央病院の堀之内秀仁先生にこの議論に追加して入っていただきたいと考えております。

片峰座長 今後の予定をお願いいたします。

堀岡医事課長補佐 次回の医師需給分科会の日程につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。

片峰座長 我々は結構いろいろな予定がありますので、日程の確定はできれば1カ月前ぐらいにはお願いしたいと思うのですけれども、よろしくお願いします。

堀岡医事課長補佐 最大限努力をさせていただきます。

片峰座長 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

<照会先>
厚生労働省医政局医事課
(代表) 03(5253)1111(内線4127)
(直通) 03(3595)2196

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医師需給分科会> 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第10回)(2017年6月15日)

ページの先頭へ戻る