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2017年6月1日 第1回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成29年6月1日(木)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会612会議室(6階)


○出席者

委員

武石委員、池添委員、池田委員、駒崎委員、佐藤委員、座間委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、吉本審議官、源河職業家庭両立課長、六本雇用均等・児童家庭局総務課調査官、土岐職業家庭両立課課長補佐

○議題

1 座長及び座長代理の選任について
2 仕事と育児の両立支援に係る現行制度等について
3 その他

○配布資料

1   「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」開催要綱
2   「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」参集者名簿
3   研究会の公開の取扱いについて(案)
4-1 妊娠・出産・育児期の両立支援制度
4-2 各種データ資料
4-3 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 (抄)  
5-1 池添委員提出資料
5-2 池田委員提出資料
5-3 駒崎委員提出資料
5-4 佐藤委員提出資料
5-5 座間委員提出資料

○議事

○源河職業家庭両立課長 

定刻になりましたので、ただいまから第1回仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会を開催させていただきます。皆様方には本日は大変御多忙なところ、御参集いただきまして、ありがとうございます。雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課長を務めております源河と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座長選出までの間、議事進行を務めさせていただきます。

 本日は第1回目ですので、参集いただいた皆様を御紹介させていただきます。後ほど皆様から自己紹介も兼ねて御発言いただきますので、今のところはお名前だけの御紹介とさせていただきます。50音順に御紹介させていただきます。池添弘邦委員、池田心豪委員、駒崎弘樹委員、佐藤博樹委員、座間美都子委員、武石恵美子委員です。どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて事務局を御紹介させていただきます。雇用均等・児童家庭局長の吉田、同じく審議官の吉本、総務課調査官の六本、職業家庭両立課課長補佐の土岐です。議事に先立ちまして、局長の吉田より御挨拶させていただきます。

 

○吉田局長 

おはようございます。改めまして雇用均等・児童家庭局長の吉田でございます。委員の皆様方におかれましては、非常にお忙しい中、バタバタとお願いにまいりまして、大変恐縮でございました。今回仕事と家庭の両立支援に係る総合的研究会という形で会を設けさせていただくに当たって、今日お集まりの皆様方の御意見を忌憚なく頂きたいということで、今般お願い申し上げました。

 今の経済社会情勢の中で、特に片一方で少子高齢化という話があり、片一方で働き方改革という流れがあり、それぞれ女性活躍をどう進めるか、あるいは男女の仕事と家庭の両立を進めるかということについて、改めてその必要性や問題点を申し上げるまでもないかと思います。政府としては、働き方実現会議を踏まえて、働き方改革の実行計画をこの3月に作らせていただきました。その中には、本研究会が関係する部分として、また後ほど事務局から経緯など御説明させていただく機会もあろうかと思いますけれども、ニーズを踏まえた育児休業制度の在り方など、総合的な見直しに着手するという方針が掲げられております。

 御案内のように、育児休業あるいは介護休業につきましては、ここ12年制度改正という形で、現下の課題について関係者の御意見も聞きながら進めさせていただきました。そういう意味では、引き続きという部分もございますけれども、労使において施行に向けた取組が進められている一方で、この法律の御審議いただいた国会には、附帯決議という形で更なる次に向けての意見、要請も頂いております。そういう意味では、この間の改正の経緯、昨今における議論を改めてレビューをする。また、この分野につきましては、関係の研究成果もあると私ども承知しておりますので、それも踏まえていただきながら、今後の在り方について御議論を頂ければと思っております。後ほど全体の進め方を含めて御相談させていただくかと思いますが、非常にこの現下において重要な課題であることを改めて申し上げまして、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

 

○源河職業家庭両立課長 

それではまず、当研究会の開催要綱につきまして私から御説明させていただきます。資料1を御覧ください。この研究会の趣旨ですが、今ほど局長からも申し上げましたとおり、働き方実現会議の決定における働き方改革実行計画において、「女性の就業が進む中で依然として育児・介護の負担が女性に偏っている現状や男性が希望しても実際には育児休業の取得等が進まない実態を踏まえ、男性の育児参加を徹底的に促進するためあらゆる政策を動員する。このため、育児休業の取得時期・期間や取得しづらい職場の雰囲気の改善など、ニーズを踏まえた育児休業制度の在り方について、総合的な見直しの検討に着手し、実行していく」とされているところです。これを踏まえて、このような見直しのために、この検討会を開催させていただいたところです。議論ですが、遅くても年内を目標に何らかの取りまとめを行いたいと考えております。並行して議論の状況については、審議会にも適宜御報告したいと考えております。

2の検討事項と3の運営については、後ほどお読みいただければと思いますが、開催要綱3(3)にございますとおり、座長については互選により選出することとされていますので、選出を行いたいと思います。座長の選出につきましては、事前に事務局より皆様に御相談させていただいており、武石委員に座長をお願いさせていただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

 

○源河職業家庭両立課長 

それでは、武石委員に座長をお願いしたいと思います。早速ですが、以降の議事進行は武石座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○武石座長 

改めまして武石です。どうぞよろしくお願いいたします。座長ということですが、皆様の御協力を頂きながら年内を目処にまとめたいということで、よろしくお願いいたします。座長代理なのですが、駒崎委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

 

○源河職業家庭両立課長 

頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は撮影を終了していただければと思います。

 

○武石座長 

では、まず、資料3、研究会の公開の取扱いについて、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○土岐職業家庭両立課課長補佐 

御説明させていただきます。厚生労働省としての審議会等の公開に対する取扱いにつきましては、資料3、研究会の公開の取扱いについて()にございますとおり、例外的な場合を除きまして、会議を公開することとしております。本研究会におきましても、原則として会議を公開とし、特段の事情により非公開とすることが適当な場合は、座長の判断により非公開とすることとしたいと考えております。また、議事録につきましても原則として公開とし、発言者名を伏して公開することが適当な場合は、座長の判断により発言者名を伏して公開することとしたいと考えております。

 

○武石座長 

ありがとうございます。公開という方向の事務局の提案について御異論がなければ、これで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、公開ということで進めさせていただきます。

 早速ですが、議題に入らせていただきます。議題2、仕事と育児の両立支援に係る現行制度について、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○土岐職業家庭両立課課長補佐 

引き続き、私から失礼いたします。資料4-1を御覧ください。まず妊娠・出産・育児期の両立支援制度ということで、概要として1枚にまとめております。研究会のメンバーの方に御説明するにはちょっと基礎的すぎる内容となっていますが、簡潔にポイントで説明させていただきます。

 妊娠・出産・育児期の両立支援制度ですが、労働基準法と育児・介護休業法、それぞれにおいて規定されておりまして、まず、左上のブルーの部分が労働基準法上の制度となっております。妊娠判明後から、ここに記載のとおり、軽易業務への転換、休日労働、深夜業等々が制限されるようなことが掛かってまいります。産前6週間より産前休業になりまして、出産後は8週間まで産後休業になります。産後8週間以降は、先ほどと同様の記載のとおりの制限までが1歳まで掛かってくるということになっております。

 続きまして、ベージュの部分ですが、育児・介護休業法上の規定になります。一番上が育児休業です。原則は1歳まで取得できることになっていまして、一定の場合、御案内ですが保育園等に入れない場合が主となっておりますが、その場合は現行ですと、最長16か月まで延長です。先の国会で成立しました法案が施行される101日以降は、最大延長期間が2歳まで延びることになっております。

2つ目、3つ目が育児休業以外の両立支援制度になります。まず、若干細かくはなりますが所定労働時間の短縮措置等です。まず、原則である短時間勤務制度です。1日の所定労働時間が6時間以下となりますが、こちらが3歳までの措置義務となっております。短時間勤務制度を講じることが困難と認められる業務の代替措置としまして、以下に書いています4つのポツですが、フレックス、育休に準じる措置、時差出勤といったものを代わりに措置することとなっております。それが3歳までです。3歳以降、これについては措置努力義務となっており、それが就学前まで掛かってくるということになります。

 その下ですが、所定外労働の制限、残業ゼロということになります。こちらは労働者の請求によりまして、形成権と呼んでおりますが、所定労働時間を超える労働を禁止することができることになっています。こちらも3歳まで保障されている形成権ということになっています。3歳以降就学前までは措置努力義務になります。

 その下が子の看護休暇です。子供1人につき年に5日まで、2人以上の場合は10日まで最大で取ることができるということです。こちらは就学前まで、半日単位の利用も可となっております。

 一番下ですが、時間外労働・深夜業の制限が就学前まで掛かっているということになります。以上が概略です。

 資料4-2を御覧ください。まず育児休業関係ですが、駒崎委員の資料と若干かぶっているので、軽くやらせていただきます。

 つい最新のデータを載せておりますが、女性は80%強の前後で安定して推移しています。男性は最新で3.16でして、一応、調査取りはじめ以降最高ではありますが、3%程度に過ぎないというデータとなっております。

 次のページ、取得期間です。下のほうが分かりやすいかと思いますが。女性は大体8か月から18か月未満に集中しており、ここの合計が71.4%、男性は1か月未満までで83.1%、5日未満が一番多い(56.9)という取り方になっております。

 続きまして、育児休業を取得しなかった理由を挙げております。多いのが、会社で制度が整備されていなかった、雰囲気が取得しづらい雰囲気だった、そのようなことになります。すみません、この囲みは、特段意味はありません。消し忘れです。

 続きまして、育児目的休暇関係です。まずは育児参加のための休暇制度の整備状況と利用状況です。上のグラフが、事業所を規模別に分けていますが、育児参加のための独自の休暇制度がある事業所の割合です。事業所全体の平均ですと2割弱ですが、500人以上の所が半分以上です。500人以上の所は結構整備されていますが、小規模の所は、整備が追い付いていないというような状況となっております。実際に育児参加のための休暇制度を利用された方々の割合ということで、以下のとおり、女性20.5、男性35.1、男女計で29.3となっています。

 下は飛ばしまして、右側の上です。育児を目的とした休暇の取得率と取得日数ということで、どういった休業制度を取られているかということです。凡例がグラフによっていろいろ飛ぶのですが、上から、男性・正社員、女性・正社員、女性・非正社員となっています。左側の囲みの男性・正社員を見ていただきますと、育児休業制度ではなくて年次有給休暇制度を利用して育児を目的とした休みに当てられているということが39.0、一番多い割合になっています。続いて、配偶者出産休暇が19.9となっております。

 下は関連です。いろいろありますが、左側の真ん中辺りのものを見ていただければ一番分かります。今言った話が個々に入り込んでいますが、8週間以内に育児のために取得している、中身を問わず取得しているというポイントで80.7です。ほとんどこの8週間以内に、男性は何かしら取られているということになっています。うち年次有給休暇を取っている人が6割以上、そういうデータになっています。

 次のページがパパ・ママ育休プラスですが、こちらはちょっと利用状況が悪いですとか、認知状況が低いですとか、そういったデータになっています。

 続きまして、短時間勤務制度等関係です。その更に次のページをお願いいたします。仕事と育児の両立支援制度の利用状況ということで、左上が時短、その下が残業免除、右上がフレックス、右下が始業・終業の繰下げ・繰上げ、時差ですが、このようにまとめています。左側と右側で項目が違うのですが、右側は、制度があった、なかったがスタートで、その上で、利用したことがある、ない、したかったというような流れになっています。というのはフレックスとか時差は、努力義務といいますか、措置義務になっておりませんで、そもそも、ある、ないというのは問うていないということなので、こういう聞き方になっています。左側の時短とか残業免除は基本的には措置しないといけないことになっていますので、措置されていることを前提とした聞き方になっています。左側の時短も見ていただければ分かりますが、男性は0.5でして、ほとんど使われていません。女性は、正社員で29.2でして、女性は一般的にこちらを使っておられるということが分かります。

 右側のフレックスのほうです。男性のフレックスの利用者が14おられるのです。制度があった会社自体が、その上の14.06.29.3の合計なので3割程度なのですが、制度があれば3割のうちの半分弱の方は取っておられると、そういう状況になっております。

 同じく時差のほうですが、やはり、制度があるという会社でいうと3割弱なのですが、こちらですと6.3%。フレックスほどではないですが、時短と比べると、よほど使われているというような状況にはなっております。

 続きまして、その下の仕事と育児の両立支援制度の整備状況1です。時短と所定外労働免除の整備状況を調査したグラフになります。法定どおりの制度なのか、法定を上回るかという聞き方をしておりますが、大企業、特に301人以上ですと法定を上回る。要は、先ほど申し上げました3歳までとか小学校就学前とか、法律で決まっているものを更に超えた、例えば3歳ではなくて、小学校前までの時短制度がある会社がこの43.2に入っているということになります。同じく残業免除につきましても、法定どおりが78.1、法定を上回る制度がある所が20.4ということになります。

 続きまして、今度はフレックス(時差)です。上も下もフレックス(時差)の関係ですが、まず、上のほうの資料で制度があるかないかを聞いています。全体で1割強しか制度がないことになっています。時差ですと30%程度になっています。その下が、制度がある会社について、では、それは何歳まで取れるフレックス制度ですかとか、時差になっているのかというのを聞いたグラフになります。

 その次が、女性だけにしか聞かれていませんが、時短を取得しなかったという方に理由を聞いたというようなデータになっています。その下が短時間勤務の利用期間です。男性は、先ほど0.5と言いましたが、実数にすると38です。時短を取っている人の中で割るとこの程度というようなデータになります。

 最後、労働者のニーズに関してということです。必要だと考える企業への取組、あと、次のページに、必要だと考える行政の支援ということで2種類付けております。企業に対して求めるというのが、子育てしながら働き続けられる制度や職場環境が圧倒的に高いポイントになっています。行政に対して求める支援ということで、結構平均的ですが、育児に関する金銭的支援、保育サービスの多様化というような受皿整備関係が多いという結果になっております。資料4-2は以上です。

 資料4-3は、先ほど局長も触れておりましたが、先の国会で出された附帯決議を付けさせていただいていますので、適宜、御参照いただければと思います。説明は以上です。

 

○武石座長 

ありがとうございます。ただいまの御説明に関しては、何か御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。また何かありましたら、お願いいたします。

 次に御出席の委員の皆様から、自己紹介も兼ねまして、両立支援に係るお考えということでお述べいただきたいと思います。資料も御用意いただいておりますので、それに沿ってお願いしたいと思います。50音順ということで、では、池添委員からお願いいたします。

 

○池添委員 

改めまして、池添でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、労働政策研究・研修機構という厚労省所管の研究機関で調査研究に20年ぐらい従事しております。私は法律学、労働法を専攻しているのですが、ワーク・ライフ・バランスに関して調査報告書を取りまとめたという経緯がございました。それから、最近では労働時間関係の調査に従事したり、また以前は、テレワーク(在宅勤務)についても国内の調査をしたということもございます。そういう経緯があってこの研究会に呼んでいただいたと思うのですが、特に諸外国のワーク・ライフ・バランスの法律制度、法政策という観点、それから私は子供が二人いるのですが、子育てを実際にしてきたという経験なども踏まえましてお話させていただこうと思います。

 先ほど事務局から御説明がありましたように、働き方改革の中で男性の育休取得が直近では3%ということで、過去最高の水準に達しているわけではあります。そういう状況の中で、またいろいろ、御家庭の問題、お子さんの問題、経済的な問題、様々ある中で、育児休業の取得ということだけではなくて多様なオプションを用意する、制度的あるいは実務的な環境整備をするという幅広い視点から、法政策的なアイデアを提示させていただきたいと思います。

 まず第一に、資料5-11ですが、休業並びに措置関係の(1)です。私は以前、先ほど申し上げたようにワーク・ライフ・バランスの比較、法政策の研究をしたのですが、その中で、イギリスでは2000年代初頭にブレア政権の下で家族に優しい政策というのが推進されました。そういう中でFlexible Workingという制度が導入されたのです。それまでもちろん、母親休暇、あるいは、ブレア政権の下では親休暇が措置されたりしてきたのですが、各御家庭で御事情が様々あり、一方では会社でのお立場とか実際の仕事をどうするかという問題がある中で、個別の事情に応じてオーダーメイドできるような、例えば、お子さんが学校の長期のお休みのときにその期間だけ短時間の勤務ができるようにするとか、あるいは、週5日働いていたところを3日にして1日当たりの労働時間を長くすることができるようにするとか、様々なオーダーメイドでフレキシブルな勤務ができるような制度を取り入れようということで、働いている側、労働者の側に使用者、会社に対して協議する権利を与えたのです。使用者側は、それに対して真摯に応えなければなりません。つまり、話を受けて、では、実際にどのように職場を調整したらその人がうまく柔軟な働き方を確保できるのだろうかということをきちんと受けとめて真摯に考えなければいけないという、そういう柔軟な、いわゆる手続的な権利というものを設定したわけです。

 外国の制度ですから、権利・義務関係が強いのかと思ったら、そういう柔軟な手続的な権利を導入したということで、こういう手法は日本にも使えるのではないかと思ったのです。といいますのは、日本では皆さん、事前の根回しとか下準備ということをきちんとやった上で、育児休業とか柔軟な勤務、育介休法に基づくもの、あるいは会社が措置しているものを利用されると思うのですが、一定期間仕事を抜けてしまうということは、自分のキャリアにとっても問題だけれども、一方で会社に対して、迷惑を掛けると言うと休暇休業の権利性を弱めるような発言で良くないのかもしれませんが、事実上、会社にとっては穴を開けてしまうという負い目を持ってしまうわけです。それを、例えばイギリスのFlexible Workingのような手法を取り入れることで、事前に会社側と協議をして、会社は真摯に受け止めて実際の休業取得に持っていく、あるいは残業をしない、させない、所定外や所定内の時間を短縮するというような、そういう様々なオーダーメイドの措置を推進しやすくなるのではないかというアイデアです。

 法律的観点からは、先ほど事務局からお話がありましたが、育児・介護休業法上の看護休暇あるいは育児休業というのは、一定条件を満たした労働者が申請することによって休業を取得する形成権であると。つまり、法的な効果としては、休業取得イコール労働義務が消滅するという法律構成になっているわけですが、その前の段階での根回しや調整、コンサルテーションという部分が制度上は抜け落ちているので、いきなり「これは形成権ですから私は休業を取得します」と言っても、そこは一足飛びには、実際問題なかなか難しいだろうと思うわけです。ですから、その事前の段階での相互の調整を図るという部分をサポートしてあげるような制度、システムを導入できれば、今、8割ぐらいの女性の休業取得率がもっと高まるかもしれませんし、男性についても、そういう法律上定められた手続を利用するということを促進してあげれば、会社の中でもっと公に、おおっぴらに、いろいろな方に相談したり、上司も真摯に受け止めたりということができるのではないかというようなことを考えています。

 その場合に、事業主はどういう相談を受けて、どういうオーダーメイドの両立支援をしたか、しなかったかという記録をきちんと取って、行政がそこに介入してチェックをするというようなシステムも必要ではないかなと思っています。会社に任せっ放しですと、なかなかうまくいかないかもしれないですし、先ほどお話がありましたように、特に中小規模の企業ですとそういう手続的なものがうまくいかない場合もあるかもしれません。ですので、そういう手続的な権利、最終的には形成権による労働義務の消滅、休業取得ということになるわけですから、その権利性を弱めることは良くないので、その前段階としての手続的な制度を公的介入によって担保するということが必要ではないかということで、記録保存あるいは行政による調査、あるいは既存の助言・指導ということを制度上付加していけば、男性に対しても今まで以上に育休取得あるいはフレキシブルな両立支援が確保できるのではないかと考えております。

 以上が主な意見でして、もう1(2)のほうは育介休法上の労働時間関係の措置ですが、3歳に満たない、あるいは小学校就学の始期に達するまでという要件があります。これは経験上、小学校に入った後も学童に通ったり、あるいは学童に通わなくても、学校の中でいろいろ、子供も環境が変わって、なかなか難しい問題が出てくる場合が考えられるので、そこは年齢とか時期で区切らずに、もう少しフレキシブルにすることを考えても良いのではないかと思います。

 ちなみにですが、例えばADHDだとかLDだとか、15人から20人に1人ぐらいそういうお子さんがいらっしゃるということが社会的に取り上げられている中で、子の養育という視点も両立支援の中に含まれるという考え方を取っても良いのではないかと思っています。親御さんは、働き続けたい、収入も得たい、でも子供もきちんと育てたいということになると、優先順位はやはり子供が一番目にくるわけで、子供のきちんとした養育、教育環境というものを整えることができて初めて、安心して両立支援ということで働き続けることができるのではないかと思いますので、こういう労働時間関係規制の資格要件も議論したらいかがかと思っています。

 それと2番目、経済的な保障関係です。育児休業給付は、従前、賃金の25%であったものが、今、67%が最初の半年間、その後は50%ということになっていますが、欧米と比べると日本は、男女間の賃金格差は3割ぐらいあるわけです。職種とか企業さんによっても違うとは思いますので一概に言えませんが、一般的に言うと、全体的には男女間の賃金格差があるわけです。そういう格差がある中で、従前賃金の67%、50%という雇用保険特会からの給付金が出るとしても、どうしても男性が、では育児休業を取ろうというインセンティブは働かないのではないかと思います。つまり、男性が長期の育休を取って、配偶者である女性が復職しても、家計全体では可処分所得、収入が減ることになりますから、家庭として夫が育休を取るという選択ですとか、男性自身も育休取得のインセンティブが高くはならないのではないかと考えるわけです。この問題は、法律的には、労基法4条、13条、あるいは、民法709条とか、男女間賃金格差の救済の根拠法とも関わりがあるので非常に難しいかとは思うのですが、ある程度時間を掛けてでも男女間賃金格差を縮小していくことによって、男性の育児休業取得のインセンティブを高めていけるのではないかと考えています。

 最後、3番目、その他です。そもそも、3%の育休取得ということは、男性の育児参加は進んでいると評価できるにしても、育児休業の取得はなかなか進んでいないともいえるかもしれない。これは、会社の中での自分の立場とかキャリアとか、そういう心配があるからというのが理由の一つではないかと思います。現行の労基法、特に労働時間の規制は働いている時間を中心に、当然といえば当然なのですが、規制をして労働保護あるいは労働者保護を図っていこうということになっているわけです。しかし、そもそも働くことは手段であって、目的は生活することであると考えますと、そういう発想の転換を将来的には政策的にも図っていく必要がもしかしたらあるのではないかと考えております。育児を含めて家庭・家族責任のための生活時間を確保し得るような政策を検討していくということです。それから、そういう価値感を社会的に広く醸成していくことも必要かもしれないと考えています。

 それから、多様な働き方の追求です。資料では追及となっていますが追求のほうで、誤字で失礼いたしました。例えば在宅勤務で、これは実際に私が過去体験したこともありますし、身近にそういう方をヒアリングしたという経験から考えれば、日々の生活時間と働く時間との柔軟な配分を個人の裁量に任せるということを、もっともっと推進していくということが必要なのではないかと思います。そして、外国の法政策を調査、研究してきた経験から言いますと、先ほどイギリスのFlexible Workingは手掛かりになるのではないかというお話と若干矛盾するかもしれませんが、いいとこ取りで外国の制度、政策、これはいいと言っても、やはり、労使関係とか、企業の文化とか、社会的な価値感とか、様々なものが違う日本とよその国との間で、では、よその国から日本にとって、ああ、これはいいねというようにそのままの形で飛び付くというのではなくて、きちんと腰を落ち着けてその国の法制度の背景にある様々な状況を考慮した上で、日本への導入検討を進めていく必要があるのではないかと考えております。長くなりまして恐縮です。以上です。

 

○武石座長 

ありがとうございます。次に、池田委員、お願いします。

 

○池田委員 

よろしくお願いします。私のペーパーは資料5-2「今後の仕事と育児の両立支援に関する現状認識と問題意識」ということで、A43ページにまとめました。

 私自身は労働政策研究・研修機構の研究員になってからずっと、育児・介護休業に関わる調査研究をしてきたのですが、前々回の平成27年に改正された育児・介護休業法の改正事項を検討する研究会で佐藤先生・武石先生と委員をしたり、その前の改正のときにも、研究会で調査結果を報告したりしてきました。その過程で感じたこと、特に仕事と育児の両立支援がどのような目的を持っているかという問題について思っていることを、お話したいと思います。

育児休業の話が出ると、いろいろな方が、この制度に御自身の考えないしは様々な社会的文脈を当てはめて議論されます。ただ法律上は、それとはまた別のところで限定された目的を持っていますので、今後、政策を考えていく際に、この点をまずきちっと押さえておく必要があるだろうと思っています。前回の改正のときにも、研究会の議論の中で「それは育介法の趣旨に沿うものなのですか」という問題提起などもありました。ですので、この辺を曖昧にしておくと、法改正をした後でいろいろ説明に窮する所が出てくるだろうと思うので、少し確認しておきたいと思っております。

育児休業に関しては、御承知のとおり子育て中の一定期間、仕事を休んで育児に専念して、その後復職するという制度の設計上、どうしても仕事を休んで家庭で子育てに専念するというところに関心を持っている人と、その後の復職してキャリアを継続するほうに関心を持っている人が、両方いらっしゃるのではないかと思います。

 制度上は両面持っているのですが、育児・介護休業法という法律の規程に関しては、ここに第1条を引用していますが、「子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り」ということで、子育てに専念するというよりは、復職してキャリアを継続するという、働くための制度というニュアンスが強いものになっていることを、しっかり押さえていく必要があるだろうと思っています。

 第3条に基本理念とあるのですが、その2項に「子の養育又は家族の介護を行うための休業する労働者は、その休業後における就業を円滑に行うことができるよう必要な努力をするようにしなければならない」とあります。その前文に、「育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすこと」もあるのですが、ベクトルは、どちらかと言えば働くほうに向かっていると思います。

 一方、同じように育児休業とか両立支援について、事業主に取組を求めている次世代育成支援対策推進法はというと、必ずしも働くことに限っていない。これはもともとが少子化対策、働くか働かないにかかわらず、子育てしやすい社会をつくるという発想で作られている法律です。2ページ、第3条の基本理念にありますが、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てを伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない」とあります。育児・介護休業法とは少し問題意識の持ち方が違うようです。

 現状の両立支援をめぐる政策は、一方で雇用均等行政の文脈で女性の就業支援と、他方で就業の有無にかかわらず子育てしやすい社会をつくっていこうというベクトルの両方がちょうど混ざり合っているところで議論がされていますが、政策を考えるときには、どちらの文脈で政策を考えていくか、混線しないようにすることが大事だと思っています。

 何はさておき、女性の育児休業については、先ほども事務局から御説明がありましたとおり、順調に取得率が伸びてきたという経緯があります。ですが、現状においても、取れる人と取れない人、取っている人と取っていない人に、ばらつきがあるところも今なお確認されるところでして、図表1でちょうど最新の速報値が出た2016年の雇用均等基本調査の結果を、10年前の2005年、次世代法が施行された当時と比較してみると、規模にかかわらず女性の育児休業取得率は伸びてはいるのですが、30人未満の529人といったところの取得率が依然として低いです。つまり、規模間隔差は依然として維持されている状況です。このような規模による差については、厚生労働省で中小企業向けの支援をしてきたところですが、より一層何らかの対策が必要になってくることがあるのかという印象を持っています。

 もう1つ、図表2は雇用形態別の結果です。これも御承知のことと思いますが、国立社会保障・人口問題研究所の出生動行基本調査です。19852014年までの第1子出生前後の妻の就業継続率と育休利用率を比較してみると、正規の職員については順調に伸びています。パート・派遣については、近年、若干伸びてきている傾向はあるのですが、依然として低い水準にあります。パート・派遣については、今年1月施行の改正育児・介護休業法で、有期契約労働者の育休の取得対象要件を緩和したところでして、特に、取得後の要件、子が1歳に達した後の要件についての緩和によって、今後増えることが期待されています。

 次に男性の育児休業です。先ほどお話がありましたとおり、男性の育休取得率が3%に乗ったということですが、今後、この政策をより充実していくポイントが何かを考えたときに、1つ目として「パパ・ママ育休プラス」の問題があると思います。「パパ・ママ育休プラス」を取得して夫婦が取れる合計の育休期間が、妻が単独で取れる育休期間よりもたくさん取れるようになっていないのです。それは、保育園に入れなかったときに、1歳半までとか2歳まで、妻が単独で延長できるというふうになっているからです。これは、前々回の改正のときも議論になっているのですが、夫婦の合計育休期間を、妻が単独で取れる期間よりも長くしないと、夫が取ろうというふうにはならないのではないか。この会の中で多分外国の話もまたしていくと思うのですが、海外の場合は、妻が単独で取れる分よりも夫婦で取れるほうが長いから、妻が取った後、残りの分を夫が取りましょうという制度設計になっています。ですので、「パパ・ママ育休プラス」は夫が育休を取る動機付けとして有効かということは1つの論点になるかと思います。

 もう1つ、こちらにもう1回雇用均等基本調査の結果を示していますが、取得者の56.9%が5日未満で、先ほどもありましたように1か月以上取る人は15%ぐらいです。これも海外では、ほぼ1か月以上男性が1人で取る。妻と交代で男性が育休を取るのが一般的なパターンです。その観点からいうと、5日未満の育休を含めて3%というのは、これはいったい何ですかという話になってくると思います。

 短期の育休にどういった意味があるのかという問題については、長いから偉くて、短いから駄目という話ではなくて、現代社会における夫婦の子育ての内実において、男性が育休を取ることにより、どういう役割を期待されて何をしているのか、社会的な合意というか共通イメージの問題だろうと思います。中身によっては短いから駄目だとも言えない側面も多分あると思うので、そこについての議論をもう少ししたほうがいいかと思うところがあります。

そこで、5日未満の育休で何をするのかを、私も調査と実体験を基に考えてみました。後で駒崎委員に補足とかフォローをしていただきたいと思いますが、1つ考えられるのは、妻の産後の入院中にいろいろ足りないものを持っていったりとか、家に持って帰ったりとか、あるいは妻のそばに付いて何かしたりとかということで、入院中の妻のケアと、あと、産院からの帰宅の付添いとか、あるいは名前を決めて出生届を出さなくてはいけないとか、そういった類いのことかという感じがします。

5日~2週間とかになると、妻子が帰宅した後、いろいろ家の住環境を整えたりとか、介護休業に近いイメージですね。体制構築という感じになるのかというイメージです。 2週間~1か月未満というと、一番典型的なのが、産後1か月の間は、妻が安静にしていることになりますので、その間の家事全般をするのが大体2週間~1か月ぐらい取る人かと。もう1つあるのが、子供が保育園に入るときに、妻は先に完全復職して、慣らし保育とか、そこの移行期間のところを夫が担うのがあるのかと。1か月以上になると、典型は妻が先に早期復職して、残りの期間を夫が家事育児全般を担うという形です。

そうすると、1週間取りましたとか、2週間取りましたとか、1か月取りましたというときに、それぞれ過ごしている期間の中身が違うだろうという話になります。それは当然のことながら、夫に対する家庭責任の中身の違いが反映されていることになると思います。海外のような均等が進んでいる国の理想としては、日本でも1か月以上の長期単独取得を推進していくべきだという話になるのかもしれないですが、私の周辺を見渡してみると、女性が妊娠しました、出産を迎えますというときに、まず出てくるのが、実家の親に来てもらえるかとか、里帰り出産するかとか、夫以外の家事・育児の代替者です。それが結構いて、先ほど私が話したような夫の家事・育児の必要性がみんなに生じているわけではないのです。つまり、家庭の事情によって、夫がしなくてはいけないことの中身が変わってきますので、1か月以上単独取得が一律的に良いのだとも、一概になかなか言えない面もあるのかというところで、最低限として5日未満でもいいから、とにかく何らかの形で家事・育児に携わることを推進していく、ということになるかなと思っています。

 その後、先ほど池添委員からも問題提起がありましたが、それを入口にした先に、どういった継続的な男性の家事・育児参加の有り様が期待できるのかというところです。1週間育休が取れましたが、次の異動でいきなり転勤になって単身赴任になりましたとか、復職したら毎日残業で終電で帰宅といって、これでは家事・育児を分担できないので異動願いを出しましたなどという人も、私はお話を聞いたことがあります。

ですので、育休の期間とか、時期とか、そういった数字はもちろん大事ですが、数字の裏にある家事・育児の中身について、社会的な合意というか、イメージの共有が育休を推進していく上で大事ではないかという問題意識を持っています。以上です。

 

○武石座長 

ありがとうございます。次に、駒崎委員、お願いします。

 

○駒崎委員 

認定NPO法人フローレンス代表の駒崎です。資料5-3を使って御説明させていただきます。今、私は厚生労働省イクメンプロジェクト座長をさせていただいているのと、保育事業者であることから内閣府の子ども・子育て会議の委員もやらせていただいています。厚生労働省イクメンプロジェクト座長として、イクメクンプロジェクトをずっとやってきた身としては、男性育休率3%は、敗北以外の何ものでもないという現状認識で、非常に責任を感じている次第です。

 自分自身は、6歳の娘と4歳の息子がいます。2回とも育休を取りました。育休を2か月間取ったのです。もちろん経営者ですので、育休といっても、給付金をもらえてとかいう正規のものではないのですが、2か月間仕事を休んで育児と家事に専念しました。その際に男性も育休を取るべきだというのは、非常に心から思ったのです。というのも、出産時に私の妻が産後うつみたいな形になり、精神的なバランスを崩してしまい、非常につらい時期があったのです。そのときに自分がメインで家事・育児を1人でやっていたのですが、自分がもし休んでいなかったら、これはどうなっていたのかなということで、絶対やらなくては駄目だよなというふうに強く思ったことが、自分を駆り立てるモチベーションになっています。

 個人的なところからマクロの話に移るのですが、先ほど言ったように、右肩上がりで、過去最高とはいうものの3.16%に過ぎないということは、本当に課題を表しているのではないかと思っているのです。阻害要因は何かというところですが、育休の取得しづらい職場の雰囲気が1位だったということがありました。これは以前から指摘されていることでしたので、我々イクメンプロジェクトでも、では雰囲気を変えていこうと。雰囲気を変えるには、上司が「何で取るの」とか「取ったら君に将来はないよね」みたいなコミュニケーションをされると非常に困るので、育児に理解のある、エンカレッジするような上司を増やしていこうということで、「イクボス」という言葉を生み出し、それを推進するために「イクボス企業アワード」などを発表し、啓発活動を主に企業を中心に行ってきました。また、昨今、傍大手広告代理店における過労自殺などの件も重なり、働き方を非常に変えていかなくてはいけないという雰囲気は、最近少しずつ出てきているという追い風も感じているのです。しかしながら、劇的に改善していくという傾向がないというところがあります。

 よって、追加施策を打たなくてはいけないと思っております。そこで、追加施策を考えてみました。提案の1つ目です。「男性産休」の創設です。今まで男性育休をやってきましたが、男性の産休の創設をやったらどうかと思っております。男性育休取得者の取得期間を見てみると、先ほども御説明がありましたが、1か月未満が8割を超えている状況だったわけです。また、池田委員もおっしゃるように、5日未満が56%ということで、ほとんど短期だということが分かっているわけです。

 ということは、男性が長期的に職場を離れることは、心理的な抵抗があることが分かるわけです。やはり男性自身にも職場にも、1か月、2か月離れられたら、あるいは1年などはとんでもない、そのような雰囲気はまだまだあるところかと思っているわけです。これをいきなり育休取ってねというのは、まだハードルが高いかもしれない。そうならば、もう一段階前にスモールステップをつくってあげて、育休に踏み出してあげられるようにしていくのはどうだろうかということで、男性産休になるわけです。そもそも育休というと1年、長いというメッセージ性、パワースペクティブがあるのですが、産休は産まれたときに休むという形なので、そのような長いというイメージをこの言葉自体には持っていないわけです。

 それならば低いハードルとして機能するのではなかろうかと思うのですが、諸外国の事例を調べたところ、フランスでは、2002年に11日間の「父親休暇」という名称になるのですが、実質上の男性産休を法制化しました。2013年、大体10年たったら約7割の対象者が父親休暇を取得した状況です。そのうち95%が、11日間全日数を消化していることになっているわけです。DREES、フランス政府調査評価統計局によると、子育て作業の父母負担に関して、父親産休の取得者数と子育て作業の父母負担の間にクロス調査を行って、両者の間に相関関係があることを報告しています。父親産休を取得した父親は、その後も子供の世話により多く参加しているということだったので、先ほど池田委員がおっしゃった何のために短期の休暇を男性に取らせるのかという問いに対しては、その後の家事・育児参加のコミットメントを引き出せる可能性が高まることになるのではなかろうかと思っております。より抽象的な言い方をするのならば、ある種父親になるときのマインドの切替えみたいなものの機会になっているのではないか、という仮説が成り立つのではないかと思っております。

 その後のグラフはフランス語だったので、知人のフランスに住んでいらっしゃる方に要約してもらったものですが、このようなグラフになっています。父親休暇を取った父親と取らなかった父親で、差があるということが出ております。これを男性産休を推進していくときのエビデンスにしていけばいいかと思っているのですが、育児目的休暇が新設されることを聞いており、間違っていたら正していただきたいのですが、それを男性産休のための制度なのだということでアピールしていくやり方があるのではないかと思っています。

 また、安倍総理が何のきっかけか分からないのですが、「国家公務員の男性は全員産休を」という発言をたまたま昨年12月にされていて、それ以降余りされていないのですが、結構、そういう意味ではやる気もあるのではなかろうかということを感じております。実際、隗より始めよではないですが、国家公務員から始めたらいいのではないのというところでして、厚労省の方にヒアリングしたところ、実は現状として国家公務員には配偶者出産休暇は2日あって、あと育児参加休暇5日というものがあるので、これを組み合わせると、何となく男性産休的な休みの取り方ができるのではないかということだそうです。

 そうなので、もちろん男性産休というより制度や法律はないのですが、既存の制度を組み合わせて、男性産休を取ろうよみたいなキャンペーンに仕立て上げることはできるのではないかと。

 今、そこの2つを組み合わせて休んでいる国家公務員の方が30%ということなので、これを100%にしていくことを言っていくことで、厚労省発のブームメントとして、今若手が大臣にイクボス宣言させたいということでしていますが、「男性産休」という言葉をリリースできるのではないかと思っております。

 そもそもこれは親族が亡くなったりしたときは、皆さんは忌引ということで310日間ぐらい休んでいらっしゃるわけなのです。非常に近しい親族、例えば夫とか妻が亡くなったときは、1週間ぐらい休むというのは普通なわけです。それで「なんで休んいるんだ」とかいうことは言われないわけです。それだったら、要は人が亡くなったときに、愛する人が亡くなったときに休むことは当たり前になっているのですから、では愛する人が生まれたときも休むというのは当たり前なのではないですかと言えるのではないかと思っているのです。よって、この男性産休は日本の文化的風土にも合う形でリリースしていけるのではなかろうかと思っています。というのが提案1です。

 提案2です。こちらは障害者雇用と同様に男性産育休を取らない企業に、ペナルティーをというところです。これは重なる所があって別の提案ですが、実は障害者雇用の文脈、私どもは障害児保育園というか障害児の支援をしているので、障害関係の制度は慣れ親しんでいるわけです。障害児が障害者になって働こうと言ったときに、今、かなり働きやすくなっているのです。というのも、皆さんのお勤めの企業が障害者雇用をしなくてはいけないという法定雇用率が設定されているからなのです。それをクリアしないといけなくて、ではクリアするために、障害者の人に働いてもらおうということで一生懸命採用とかをしていて、実際、今、身体障害者は引く手あまたでして、割と採れないぐらい人気になっていたりするし、我々も実際に自分の団体で障害者雇用をしていますが、結構競争は激しくなっているぐらい、うまくいっている制度です。

 これは、本質はそれを下回るとペナルティーがあることなのです。「障害者雇用納付金」を支払わなくてはいけないということがあるわけなのです。ですから、それを支払うのだったら、ちゃんと雇用しなくてはというふうになっていくわけです。雇用納付金は、いわゆる罰金的な側面があるのですが、罰金という名前にはなっておりませんで、雇用納付金というマイルドな形で名称が付けられていて、さらに納付金が障害者の雇用調整金であるとか、報奨金とか、様々な各種の助成金の財源になっているわけなのです。つまり、アメとムチの「アメ」にちゃんとなっていて、よく頑張っている所は褒められるし、いろいろな助成金が得られるというふうになっているのです。そういった形で、障害者雇用の部分ではムチとアメがきちんと整備されている状況になっています。

 この制度は非常にうまくいっているのではないかと思っていて、平成28年度の民間企業における雇用障害者数は47万人ということで、過去最高を記録しているのです。実際、障害者を企業に人材紹介するというビジネスも、実は激しく広がっていて、先日上場した企業があったぐらいなのです。そういう意味では、1つの人材マーケットをきちっと作っている制度だということで、余り知られていないかもしれないのですが、厚労省がやっている制度の中で非常によく成果を出していると。もちろん、課題も細かくは多々ありますが、よくやっていると思っています。よって、同様に男性の産育休も一定水準以下の場合、余りにも少ないみたいな場合においては、納付金を課し、その財源を企業の子育て支援管理助成金に使っていくことによって、背中を押すことができるのではなかろうかと思っております。以上、提案を2つでした。ありがとうございます。

 

○武石座長 

ありがとうございます。それでは、佐藤委員、お願いいたします。

 

○佐藤委員 

資料5-4で御説明いたします。自己紹介もということなので、男性の子育て参加の育休で思い出してみると、次世代法ができる前に、多分そのときは岩田さんが局長だったのですが、厚労省の委託事業で、ニッセイ基礎研で武石さんが研究員だったときに、男性の育児休業の研究会があって、その後それで中公新書を書いたのです。早過ぎて売れなかったのですが。そういう意味では、かなり前から研究もしていました。それと、次世代法ができたとき、法律はいわゆる厚生のほうでできて、認定基準を作れといったのは労働のほうで、認定基準を作る委員会の委員長を急にやらされて、そういう意味では、男性の育休取得者1人という、今から反省するところもあるのですけれども、短期間でやれというのを、今思い出したところです。

 そんなことで、人事管理をやりながら、そういうことにも関わってきています。今日お話したいのは、厚労省のデータでも男性の育休取得率が低い、問題だという議論があるのですが、それでは育休取得率が上がればいいのか、ここだと思うのですよね。何で男性の育休取得率を促進してきたのか。多分その目的を再認識する必要があるかなと。次世代法ができてから、男性の育休取得が「くるみん」を取るために目的化したことも問題ではないか。そういう意味で取りあえず1人取らせなきゃということで、当初は人事部門にいる社員に取らせる。取る人いないから、しょうがないから、初めの5日間は有給化する。最初は男性だけにしていたが、均等事案だから、男女ともに有給化と。ところが他方で、有給取得で、有給で5日取ると駄目なのですよね。育休を取らないと認定基準にならない。そういう意味でもおかしな話で、本来男性の子育て参加を勧めるのであれば、有給取得でいいはずですよね。そういうことも含めて、やはり男性の育休取得の目的は、基本的にはカップルでの子育てへの転換の契機にしようということだと思うのです。そういう意味では、育休取得というのは、やはり現状で言えば点ですよね、5日ぐらい多い。それがその後のカップルで長い子育てをすることにつながるかどうかがポイントだろうと思います。

 現状で言うと、池田委員が仮説的に定義されましたけれども、フランスの調査で、実際5日あるいは1か月取った男性が、その後どうなったかというのはよく分かっていないんですよね。つまり大事なのは、池田委員は期間だけではないとお話したのですけれども、育休をいつ取って、期間もありますが、何をしているかですよね。取っている間に何をしているか。多分それがその後の夫婦で子育てにおいて、それが分かれば、点をその後の面に広げるために、どのように取ったほうがいいかという情報が得られると思いますので、それをきちんと考えていく必要があるかなと思います。更に言えば、カップルで子育てすることが目的であるとすると、育休取得って違うのですよね。もしかすると、ほかでもやり方があるとすれば、例えは池田委員はお子さん4人いるけれども、育休は1回も取っていないですよね。でも、夫婦で子育てしているわけです。でも育休を取らなければいけないのか、これも結構議論したほうがいいと思います。それが1つです。

2つ目は、男性でお子さんが生まれて育休を取らない。特に正社員の方でいうと、子育てする人がいる。妻が専業主婦の場合です。つまり現状でいうと、妊娠出産、つまり子供が生まれる前、正社員で働いていた女性の中で、妊娠出産で仕事を辞める人はまだ結構多いのです。現状で言うと、企業で働いている女性社員で子育て中の人は、夫はほぼ100%働いているのですが、男性でいうと、配偶者は専業主婦が多いです。この人に育休取得しろというようなことが、でも妻は子育てしたいと言っていて、妻のほうも全員ではないですけれども、もちろん本当は仕事を続けたかったけれども辞めざるを得なかったという人もいますけれども、子育てしたいので辞めたという人もいるわけですよね。こういうカップルに育休取得ということが、つまり自分は子育てに関わるということを否定するわけではないのだけれども、じゃあ、育休取得をしなければいけないのかと言われたときに、説明できるかどうかということはあると思います。現状は、日本の場合はまだまだ妻が専業主婦がいるということを考える必要がある。海外でいうと、国によりますが、妻は専業主婦でいたら男性は育休は取れないのです。日本の場合は両方取れたりしますが、つまり、妻が育休中は夫が取れなかったり、妻が専業主婦だと夫は取れない。なぜかというと、妻が働いているという前提でシステムができているのですよね。ですから、池添さんは海外のをそのまま導入できないというのはそういう話で、そういうことを踏まえた上で議論しないと、やはりおかしなことになるわけです。ですから、妻が専業主婦でも、男性の子育て参加が重要だということを今まで主張してきたかどうかだと思うんです。夫婦で子育てするということは、育休取得とは直接結び付きません。例えば子供が寝てから帰るのではなくて、子供が起きているうちに帰ってということ。つまり、例えば育児ノイローゼになる人というのは、専業主婦のほうが多いのですね。そういうふうになったら、あなたは仕事続けられます、つまり夫婦で子育てするということの重要性を、妻が専業主婦の人も含めてアピールするということをやっていかないと、男性の育休取得も含めて、カップル子育ては進まないかなと。日本の現状を踏まえたほうがいいかなというのが、2つ目です。

3つ目は、ここは、さっきのような論点2のように、企業でいうと、例えば6歳以下の子供を育てる男女で見ると、男性と女性で働いている状況は非対称なんですよね。男性の場合は、特に大企業であればまだまだ専業主婦のほうが結構多い。女性の場合は、夫は普通は働いている。企業からすると、女性活躍の観点からいうと、自社の男性社員よりも、極端な言い方をすると女性社員の夫の子育て参加というのがすごく重要なのです。なので、ここをどうするかというのはなかなか難しいのですが、ここは1つしかないです。現状はどうなっているかというと、大企業なんかで育休を取るとほとんどは短時間勤務を取りますよね。大企業であれば法定を上回るような短時間勤務の制度もあるのですが、短時間勤務を使っている女性にいつまで使うつもりですかというのを調査すると、多くの場合、制度の上限まで使うと思っている人は結構いるのです。法定であれば3歳まで、小学校3年まで使える会社でいうと3年までと答えている。夫が長時間労働ほど、短時間勤務を長く使うという場合があるわけです。そういうわけで、女性の就業が夫の働き方に影響されている。ここをどう働き掛けていくのか。もちろん全部の企業に、男性の子育て参加が進めばいいわけですが、規模間格差とかいろいろありますので、この辺をどうするか。ですから、一部の企業は、女性社員が育休から復帰するときに、従来は三者面談、本人と上司と人事だったのが、それだけではなく女性社員の夫を呼んで四者面談をやるであったり、あるいは女性社員が夫に夫婦で子育てすることは大事ですよと情報提供するというように変わってきていますが、夫婦で子育てのニーズはより高いと思うので、女性社員の夫を変えていくということもすごく大事かなと。なかなかやり方はないのですが。

 論点4ですが、育休取得率は低いです。ただ、先ほどお話しましたように、妊娠出産で、妻が専業主婦になる男性は結構多いのですよね。この状況を考えないと、ヨーロッパの男性の育休取得率と比べて低いという議論が成り立つのかどうかなのです。ですから、海外との比較で言うのであれば、カップルがフルタイムで働いている、つまり女性もフルタイムで働いている男性の育休取得率がどのぐらいか。結構高い。断片的なデータしかないのですが、2割ぐらい。これ、ちょっと違うのです。3パーセントというのはやや低い。これはあくまでも日本の場合も女性の正社員とパート派遣で取得率がありますから、正社員カップルという前提です。ですから、男性の育休取得、多分大企業の方で言えば意外に取っているのではないかということがあるかも分かりません。あるいは、女性社員も結構取っているのではないか。ですから、もう少し育休取得率を、女性の育休取得率も正社員とパート、派遣でかなり違うということで、男性も実はどういう男性、例えば妻が正社員の人はなかなか進まないですね。あるいは有期だったらどうかとか、もう少しきめ細かく見ていくということが大事かなと思います。

 論点5は、かなり広くなってしまうのですが、男性の子育て参加、育休なりをきっかけとして進む。問題なのは、夫婦で子育てしてますというカップルも増えてきていますが、例えば、先ほどフランスも保育園に送りと迎えは別で聞いている、あれは素晴らしいと思ったのですが、保育園に送りに行く男性はすごく増えています。ただ、定期的に保育園に迎えに行く男性は、ちょっと保育園に行って調べてもらったことがあるのですが、例外的ですよね。妻が病気でとか、あるいは自営業の人とか、実は男性はほとんど迎えに行っていないんです。ですから、男性の子育て参加が進んできても、送りは男性です。それもしない男性もいるのですけれども、迎えは女性。そうするとどういうことが起きるかというと、女性は長期に短時間勤務、あるいは残業免除取得とか、女性は一切残業できません。そうすると、いつも残業しているという意味ではなく、必要なときは、事前に、この日、残業をお願いできますかといったときに、女性社員がその日は夫に定時に帰って保育園に迎えに行ってくださいということが進んでいかないと、実は女性の活躍も進まないかな。そういう意味では、どう男性が関わるかも、もう少し進んで、夫婦での子育て参加の在り方みたいなものを変えていくということも、すごく大事かなと思います。

 あと、書かなかったのですが、論点6で、これまで政府の目標というのは、男性の育休取得率は、育休を取りたいと言っている男性が取れるようにというのが目標だったのです。ですから、女性も100パーセント取得ではないですよね。例えばお医者さんなんかで言えば、産休取って育休は取らないで復帰したいという人がいる。これを強制で済むかどうかというのが結構あって、基本的には女性が働くか働かないか。男女ともに結婚するかしないか。子供が持ちたいか持ちたくないか。基本的には国民1人ひとりが、結婚したい、子供を持ちたい、男性も子育てしたい。その希望が実現できるような、職場や社会を目指すということでやってきたわけですよ。そこをどうするかで、現状でいうと、結婚をしても子供を持ちたくないという人もいます。あるいは独身という人もいるわけです。さっきのように子育てには関わるけれども、別に育休を取る必要はないんじゃないというような社員。別に子育てしないわけじゃない。といったときに、育休を取れということを進めるかどうかというのは結構難しいのです。

 昨年度、実際の未婚で働いている人に、結婚を支援、企業が独身社員に結婚につながるような出会いの機会に行きなさいよというのが、パワハラじゃないかという議論があったわけです。僕はそのとおり、やり方次第によってはパワハラになると思います。同じように、男性の子育て参加も、やり方によってはパワハラになるということだと思うのです。ここのところも、きちんと議論する必要がある。基本的には希望する人が取りやすくするということで、取らなきゃいけないというように舵を切るかどうかというのは、なかなか難しい面もある。意外に、婚活支援はパワハラと言いながら、男性の子育て支援をパワハラと言わないのか。私もそこは分からないのだれけれども、やり方次第によっては、両方とも起きる可能性が十分あり得る。そういう意味で、企業はその辺を考えながら、やられているのかなと思います。やはり男性の育休取得は何のためにあるのか、最終的には夫婦で子育てするほうにいく。そのためにはどういう取組かというのをきちんと議論したほうがいいかなと思います。以上です。

 

○武石座長 

ありがとうございます。それでは、座間委員、お願いいたします。

 

○座間委員 

花王の座間です。どうぞよろしくお願いいたします。企業の立場ですと、ちょっと個人の自己紹介はしにくいところがあるのですが、会社の取組は、後で資料の中で説明をさせていただきます。私自身はこの分野に携わりまして10年ぐらい、育児支援、介護支援、女性の活躍、加えて社会の問題も広がっていますので、障害者、LGBTなど、いろいろな所を見ながら、グローバル展開の検討まで、やっているというところです。

 あと、今日の資料なのですが、無断の引用とか、複製、配布等、お断りさせていただきますので、お含みおきください。

 まず、弊社、花王株式会社は、日用品のメーカーでございます。大体売上げの8割が家庭用、そして2割がケミカルということでBtoBのものを取り扱っています。

 弊社はグループ全体ですと男女の割合は約半々です。ところが単体だけ見ますと、男性は約80%、女性の割合は22%と低くなります。理由は、化粧品の販売員の女性が非常に多いところがありまして、そういった意味で割と女性が多いと。つまり、いろいろな職種があり、いろいろな場面があり、日本の国内のいろいろな事業が同じグループの中に入っているようなところもあり、一率の取組が非常にしにくいという悩みがあります。

 p2は今回のテーマ、仕事と育児、仕事と家庭の両立が、どういう位置付けかということをまとめた図で、D&I、ダイバーシティアンドインクリュージョン推進の中の1つになっています。いろいろな社員が活躍することが、企業の事業の発展を支えていて、多くの世の中のお客様、いろいろな方に喜んでいただける製品を提供できることにつながると思っています。そういう意味では、いろいろな社員が活躍する現場があり、一方その社員が活躍しやすい環境づくりを、両輪で進める必要があると思っております。今回の仕事と家庭生活の両立というのは、多様な社員が活躍しやすい環境づくりの1つという位置付けで考えています。

 次の資料ですが、今までいろいろなことをやってきました。本社は日本にありますので、多様性の推進というと、女性の問題から取組を始めました。まず、女性の力を事業にいかすということで、採用して、その人たちが定着をして、当然妊娠出産をして。仕事と家庭の両立に取り組んできたのは、弊社の場合は1990年代です。2000年ぐらいになりますと、かなりいろいろなことが当たり前になってまいりまして、更に多様性推進の取組を広げました。今回、特に男性の育児参加ということですが、こちらに関しても、2000年前後から少しずつ始めまして、本格的に始めましたのは2006年頃からです。

 その次ですが、これは当たり前ということなのですが、いろいろな定義の話がありましたが、企業の立場で言いますと、休んでくださいではなくて、より会社の中で活躍していただくために、上手に両立するための支援制度というように考えております。仕事を進める上で、能力以外の阻害要因はできるだけ取り除いて、社員に活躍していただくための制度環境を整えていくことが企業としての責任かなと思っています。下のポイントに書きましたけれども、詳しい時期は書いていませんが、法定より少し上回る程度のものを入れております。弊社の特徴は、より良い制度があるわけではなくて、制度がきちんと使える、そういった環境整備をするというところに注力していくところが特徴かと思っております。

 次の資料を御覧ください。育児支援の取組についてです。今、弊社の中で、育児支援をどのように考えているかということなのですが、取組方針を2つ立てております。育児で辞めずに仕事を継続してくださいということではなく、どうしても時間制約が出てきますが、能力を発揮して、就業継続していただく環境を作っていくということが、まず取組方針その1です。2つ目、育児というのは、パートナーとともに協力し合うもの、例えば、妻だから、夫だからという形ではなく、2人で一緒にするということが、当然自然なことだろうと。そして、家庭用品のメーカーとして、例えばベビー用のものもいろんなものを出しておりますので、そういう家庭生活を十分に感じるということは、弊社の事業にとっても、非常に意義あることではないかというような方針を立てております。

 ただ、残念ながら日本の中、いろいろ本当に行政のほうでも、自治体も含めて御努力いただいているのですが、なかなか両立するのが厳しい状況もあります。ですので、例えば、自分自身、環境を整えて仕事をするというのが前提なのですが、自助努力が大変だということで、例えば保育園を探すための活動、保活と申しますが、そういったものを促進するためのチラシを育児休職に入る前に配るとか、これは都心だけですが、企業内託児所を作るといったいろいろな支援を行っています。

 それから、当事者のモチベーション向上ということで、制度でもない、けれども、仕事と生活の両立で非常に困る場面がある。例えば朝短い時間で出てくるときに、この時間のやり繰りをどうしたらいいのだとか、帰ってから短い時間、できるだけ早く準備をして子供を寝かさないと、翌朝辛いのは分かっているけれども、そういったときはどうしたらいいのかとか、夏休みどうしたらいいのか、悩みは尽きないのですが、これは本来は会社としては、個人が整えてもらえばいいことで、会社から何か申し上げることではありません。ただ、いろいろなノウハウが足りなくて、非常に困る社員が多い。そういった意味で、真面目な雑談を促進したいと思いまして、ランチミーティングを行っています。今、F&Mミーティングと申しまして、最初はお母さんだけの集まりだったのですが、やはりパートナーとともに協力し合うという意味では父親だってそうだろうということで、父親と母親でF&Mという名前にしました。これはやはりいいなと思ったのですが、男女が両方いると、両方ともの視点で、例えば妻に言いたかったけどとか、夫に言いたかったけどといったことを第三者から言われると、新しい気付きがあったりして、非常におもしろい場になっております。

 それから、育児休職の復職前のセミナー、主に長期で休む方、女性が多いのですが、パートナーとともに参加していただくということで進めております。本人とパートナーが一緒に参加して、父親は父親なりの、母親は母親なりのそれぞれの識者からの話も聞きながら、一緒にディスカッションする場を設けております。これも、本来、社員以外の人を参加させるのはどうなんだという話もあったのですが、先ほど佐藤先生のお話にもありましたが、より良い環境で両立してもらうことが、女性社員にとっても意味がある。そして、パートナーとともに協力し合うという方針を立てているので、社外も含めてするべきだろうということで、これらのことをしております。あとは、細かくラインによる支援、マネージャーへの教育などもしておりまして、2013年、イクメン企業アワードで、お陰さまでグランプリも頂いたというようなところです。

 男性が育児をするということが完全には当たり前になっていないので、男性だけを対象とした識者による講演会等も継続して行っています。

 どうしてこのようなことを始めたのかということを、もう少し整理して、男性育児に特化してお話をさせていただきます。実は1990年代に、女性が仕事と育児を両立するのが当たり前になるような整備をしたということを申しましたが、その頃から、数か月程度の長期で育児休職を取る男性というのは少しはいらっしゃいました。ただ、それは妻が何らかの理由で育児ができないので、自分が代わりにしなきゃいけないという、どちらかというと隠しておきたい、そのようなものでした。それで、取組を一段進めて、男女ともに、活躍しようという2000年ぐらいに取組が始まったときに、育児をして頑張っている人は必ずしも女性ではないよという事例を、社内のイントラネット等で紹介をしたりしました。そして、本格的に取組を始めたものは2006年で、きっかけは次世代育成支援対策推進法です。男性でも育児をするということが必要だということを出してはいましたが、次世代法が出たときに、先ほど佐藤先生からお話がありましたが、やはりくるみんマークが欲しい、しかし、育児休職っていきなり男性が全員長期で休みたいのかなという議論が社内でありました。やはり先ほど佐藤先生がおっしゃったようなことが本当にありまして、企業人事担当者が集まったときに、そちらには新婚の男性がいて本当によかったなという話を実際聞いたことがありました。ただ、正直、そんなふうにあっていいものなのかなと。やはり、こういう家庭用品のメーカーとして我々はどう考えるかというときに、やはり残念ながら現状では、10年前なのですが、長期に休むニーズというのは限定的だろうと。いきなり長く休めと言われても、こんな忙しいのに休めっこないということになるならば、むしろ男性の育児参加意識を促進するために、短期間でもみなが休むというような制度を入れようじゃないかということで、制度を導入しました。

10ページに制度改定ということで、右側に書いているのですが、これもさっき先生がおっしゃったようなところで、育児休職期間の開始5日間を有給化といたしました。土日土日を入れると9日間休めます。短いんじゃないかとか、こんなのはとかいろいろな話もありましたが、正直いろいろな部門がありました。例えば、生産、交代勤務もあるような、男性が中心の職場でいきなり何週間休むというようなことを出しても、どうせ本社は現場のことは分かってていないと言われるに違いないだろうということであれば、まず、手が届きやすいところからやろうじゃないかということで、制度を入れました。もともとの制度でも、男性は育児休職を取ることもできましたので、本当に取りたい方はそちらで取れる、そして風土を入れるということで、このようなものを入れました。

 いろいろ条件はあるのですが、育児休職期間中に無収入となる世帯への給与を補填する制度も入れております。男性の育児参加のメリットですが、やはりいろいろな社員にとっての働きやすさ、社会問題に積極的に取り組みたいということです。いろいろな啓発を行いましたが、本人に対してはリーフレットを作って、こんな制度があります、このような取り方がありますといったようなことを紹介してまいりました。ただ、本人だけでは駄目なんですね。その部門の上司が背中を押してくれないと、応援してくれないと意味がありませんので、いろいろなマネージャーの研修で話をしますが、上司にも送ってしまおうということで、このパンフレット、取り方、取るメリット、申請の仕方などが書いてあるのですが、お宅のグルーブのこういう方がお子さんが生まれまた申請がありました。ついては是非、育児休職を取らせてほしいということで、上司にも同じパンフレットを送っております。

 制度の利用率ですが、10年取組を行ってまいりましたが、実は単体ではなかなか取得率40%の壁を、安定的に超えることができず、残念ながら、直近の2016年、5%ほど取得率が下がって、34.5%になってしまいました。国内でのグループ全体ですと、取得率が伸びておりまして、今26%ぐらいになっております。これも、いろいろな先生がおっしゃったところでお恥ずかしいのですが、平均取得日数は10日弱ぐらいになっておりまして、1か月以上取った方というのは、やはりまだ少なくて4名程度です。

 どうしてこんな状況なのだろうかと。なかなか安定的に制度利用が進まない。正直いろいろな仕組みをしておりましだが、非常に悩ましいところでありまして、隔年で子の生まれた男性社員にアンケートをとっております。2014年から15年の2年間に制度を使った方を対象にした調査なのですが、制度を使いましたよという方が42%、使わなかった方が6割弱でした。その中で取得したかったけれども、できなかったというのが25%、取得の希望もなくて取らなかったということが32%でございました。この理由ですが、一番多かったのが、自分以外に育児できる人がいるからです。やはり首都圏で夫婦だけで育児をしていると、夫婦で育児をしなければいけないというふうに思うでしょうが、詳しく見ていませんが、専業主婦の奥様で、自分がやりたいと言っている方もいるかもしれません。それから、親、きょうだい、いろいろな支援があって、あなたは外で働いてくださいと、家のことは女でやりますというようなところも、全国いろいろ見ると、ひょっとしたらまだそういう現状があるのかもしれないなということを、ここから読み取りました。取得したいけれども取れなかったという方の中に、自分以外に育児できる人がいると回答している人が少なからずいたということは非常に驚きでした。

 雰囲気がなくて取れなかったという割合は少なくて、これは先ほどのいろいろな経過の結果かと思っています。じゃあ、なぜ取りたいのに取れなかったか。まず、一番多いのが仕事が多い、忙しいということでした。そして、その下のところ、職場に迷惑が掛かる。職場の変化に対応ができない。これは、つまり短期でもいいわけなのですが、ちょっとでもいないと職場に迷惑が掛かる、そして、これだけ変化の激しいときに、ついていけないかもしれない、本当に忙しいということも、本人が忙しいと思っているだけなのか、本当に忙しいのか、この辺りも非常に悩ましいところがありまして、こう考えると、どうも男性社員自身の忖度というのでしょうか、何かそのようなものがあるのではないかと推察せざるを得ないデータでした。

 男性が育児休職を取りやすい雰囲気になるためにどんな措置が必要なのかと聞いたところ、ここ数年で一番伸びているのが、本人の意識変化、自分自身が気持ちを変えなければいけないという割合が増えているということ、これはどう解釈したらいいのかと非常に悩ましいところです。よく言われるのが、女性でもそうなのですが、ロールモデルがいない、周りに取っている人がいない、だから取れませんということをよく言うのですが、企業にとっては、どちらかと言えば休むより仕事をしていただいたほうがいいわけで、これだけのことをしているのに、更にどうやって背中を押せばいいのかと。是非、積極的にやりたいのであれば、遠慮せずにやってほしいと、手を挙げてほしいと心から思っているのですが、どうもなっていないこの現状は、どのように解決したらいいのかなという問題意識を持って今日まいりました。恐らく、いろいろな皆様方のお話と非常にマッチするところがあるなと受けとめております。

 本日ここからどうしたらいいのかは、まだ問題提起だけで、私どもの社内でも解決しておりません。いろいろなサポート体制、制度だけではなく、そして、忙しいということもあります。働き方の見直し、短い時間の中でも成果を出していく、こういったことは、この問題だけではありませんが、企業としても一生懸命取り組んでいかなければいけない問題だと思っております。そして、経済的なサポートもありながら、職場全体で、一生の中でいろいろな事情があって、喜ばしい子供が生まれたという状況をみんなで支え合おう、介護の問題があったらみんなでやっていこう、このような企業風土を作っていきたいと思っております。ただ、先ほどのデータから見ると、このグラフにはない外に、本人の自主性とか、ひょっとしたらば社会の要因というのでしょうか、例えば自分の息子には育児休職には取らせたくないと思っているお姑さんがいるのかいないのかとか、そんなような問題とかも、ひょっとしたら絡んでいるのかなと、そのようなことを問題意識として今やっております。ちょっと発散したお話になって申し訳ありません。以上でございます。ありがとうございました。

 

○武石座長 

はい、ありがとうございます。皆様から大変豊富な資料と中身のあるプレゼンをいただき、ありがとうございます。私はあいうえお順で最後ですので自己紹介をしなければいけないのですが、多分このメンバーですと、私が付け加えることはないと思い、プレゼン資料を用意しておりません。さぼっていたわけではありません。すみませんが、言い訳をさせていただきます。

 私は、先ほど佐藤先生からもお話がありましたように、男性の育児に関しては、前職のニッセイ基礎研究所時代に労働省の委託で調査研究をし、2004年に男性の育児休業という本を出しましたが、早過ぎたというような状況でした。ただ、あのときに書いていたことが、今でも結構同じような状況かなと思っています。専門は人事管理ですが、特に女性のキャリアといった観点から人事管理の課題を考えています。

 皆様のお話を聞いて、何も言わなくてもいいかと思いましたが、3点だけ申し上げたいことがありますので、私なりに整理したことを申し上げます。男性の育児休業の本を書いたときに、男性の育児休業は、なぜ必要なのだろうと佐藤先生は目的を考えるべきだとお話がありました。第一に、取りたい人がいるのだから取れないのはおかしいですよという議論をしました。まず、取りたい人が取れるのが大事だと思うのですが、今の状況を見ていると、やはり取りたくない人をもう少しプッシュする政策も必要かと思っています。男性の育児休業は、シングルの方もいらっしゃいますが、前提としてはカップルでどうするかという話だと思います。夫も別に取りたくないし、妻も私が取るから夫には別に取ってもらわなくても構わないという女性たちも結構います。ただ、それを前提に取りたい人が何割だから、この人たちにというのは、この政策を進める上ではちょっと違うのかという気がしています。今の花王さんのお話を聞いていると、やはりいろいろな施策を打っていくと、男性の育児休業のニーズも上がっていくわけです。今、保育所の不足が問題になっていますが、作っても作っても保育所が足りない。潜在的なニーズが掘り起こされているわけですが、男性の育児休業も多分、そのような潜在的なところで、何となく、どっち付かずの人が、いろいろな施策を打っていくと、多分自分も取りたいというふうになっていくのだろうと思うので、そういう意味では全体としての男性の育児に対する雰囲気作りであったり、政策として、そのようなものを進めていくということを、取りたい人がというよりも、もう少し積極的な制度を進めてもいいのかというのが1点です。

2点目として、1992年に育児休業の法律ができ、その後何度も改正があり、新しい法律ができているわけです。その経緯を見ていくと、まず最初は、女性の就業継続を支援するというところが非常に重要で、辞めてしまう女性が辞めないようにということが多かったのですが、ここにきて女性の活躍、これも座間委員からありましたが、女性が活躍できるというようなことを考えると、女性の就業継続から、もう少しキャリアが継続できる、キャリアが形成できる視点で、この育児休業の制度を見直したときに、果たして今の制度が、それにマッチした形になっているかという、制度をもう一回見直す必要があるかと思っています。池田委員がおっしゃったように、女性だけが取って2年間で、パパ・ママ育休を合わせても12か月というのは、やはり何となく違うのかなと。女性の活躍を考えると違う気がします。実体として女性が1年取り、保育園に入れないときに延長、延長と女性が長くしていき、育休から復帰すると、女性がまた短時間勤務を取ってというように、非常に女性に制度利用が偏在しているので、そこでキャリア継続、キャリア形成といってもなかなか難しい問題が現実にあると思います。ですので、これまでの経緯の中で介護に関しては相当実体を把握した上で望ましい制度をということで導入できたと思うのですが、何となく育児は、言い方は悪いですがつぎはぎといいますか、そのときに必要なものを順次入れていき、結果として、それがトータルで見ると望ましい形になっているかというと、何となく現状と齟齬が出てきている実体にないかという観点からの議論は必要かと思っています。

3点目は、池添委員もおっしゃっていましたが、プレキシブルな働き方をもう少し見直してもいいのではないかと思っております。実際に育児のための有給や配偶者出産休暇、フレックスタイム、時差勤務などは男性も結構利用が多い制度ですので、休業も1つの意味はあるかもしれませんが、もっとフレキシブルな働き方のところを充実させるなり、取りやすくする方向性もあるというのを感じました。

 以上、感想として3点述べさせていただきます。皆様のプレゼンが大変充実していましたので、時間もあと15分ぐらいなのですが、ここまで事務局からの御説明、委員の皆様の御発言など、大変多面的な観点から御意見を頂きました。これらは、今後事務局で論点をまとめていただくことになると思います。全体を通して御発言がありましたら、お願いしたいと思います。また、研究会で、今後ヒアリングや先ほどの様々な研究も蓄積されていますので、そういったヒアリング調査なども進めていきたいと思っています。その辺りでも、この方に、あるいはこの企業にということがあれば教えていただければ幸いです。

 

○佐藤委員 

厚労省の確認で、駒崎さんに伺います。いいですか。まず、資料4-1で、育児休業の所得保障は、今、雇用保険で67でいいのですか。

 

○源河職業家庭両立課長 

最初の6か月は67%です。

 

○佐藤委員 

そうですか。で、社会保険料免除がありますから、実質8割ぐらいですね。私はこの実質8割ぐらいと言ったほうがいいと思うのですが。大事なのは、産前産後休業のところは、これは健保組合からですか。

 

○源河職業家庭両立課長 

3分の2出ております。

 

○佐藤委員 

ここが3分の2ですね。そうすると、3分の2ですから。

 

○源河職業家庭両立課長 

大体67%になります。

 

○佐藤委員 

大体そろっているのですね。これは、前後ともに社会保険料免除が入ったので、今、それは所得保障が、そろっているのですね。

 

○源河職業家庭両立課長 

そろっていると認識しております。

 

○佐藤委員 

分かりました。その上で駒崎さんに伺いたいのは、男性の産後休業のところなのですが、4-1にあるように出産日あるいは出産予定日から、既に男性は育休は取れるのですよね。

 

○駒崎委員 

そうです。

 

○佐藤委員 

なので、実際上、男性は短くしか取っていないから、私は長期と思っているわけです。つまり事実上、もう、あるのではないかということです。つまり、多分産後休暇、男性の100%を所得を有給にするのは別ですが、現状で言いますと、男性は出産日あるいは予定日から取れるわけですよね。それで、67%プラスですから、8割ぐらいはカバーされていますから、つまりあるのではないかと。

 

○駒崎委員 

そうそう。

 

○佐藤委員 

ですので、実際は男性育休が産休化しているのではないかという指摘はあり得るんですよ。だって、実際1か月未満が8割ですし、5日が56%なので。ですが、要は隠れ育休の議論で、有給を使って5日休んでいるみたいな人もいるわけですよね。花王さんの事例もあったように。そのようなときも、論理的につながらないですよね。育休を取って、例えばそれを5日にすればいいのに、なぜ有給をつぎはぎして休む行動を取っているかといいますと、育休という制度を取るということに、やはり、そこにハードルがあるということですね。恐らく多分、人事と交渉したり何だり、取るに当たって、どうこうなどがあって、だったら最初から、もっとカジュアルな下手にして、パーセプションとして、もう少し気軽なものにさせたらどうかと。哲学的には有給は上司との関係で済んでしまうので、それは分からなくはないのですが。で、1つは、ですから有給は100%にすることですよね。ですから、そこは変わるのかなという話なのです。既に使えるわけですよね。ですから、制度は既にあるのではないのか。もちろん男性の場合、ここで名前だけ取ったら育休とは言わないというのは単純な話ですが。ですから、駒崎先生の趣旨がよく分からなかったので。

 

○駒崎委員 

新たに男性産休という制度を作るのか、それとも既にある有給や、何か諸々のものを組み合わせて、そういうパッケージの、「いわゆる男性育休」みたいな形にさせていくというようなところでやりようがあって。

 

○佐藤委員 

……配偶者出産休暇を入れている企業がありますよね。それは、もう既に、特別休暇で。これは、特別休暇ですが。

 

○駒崎委員 

なので、実際に安倍総理は国家公務員の男性産休100%と言っているのですが、男性産休という制度はないので、今ある配偶者出産休暇と組み合わせて男性産休というパッケージにしよう、それを100%にしようという言い方をしていて、それが現実的かと思っています。

 

○佐藤委員 

分かりました。

 

○池田委員 

今の男性産休のお話ですが、要するに法改正の経緯で言いますと、産後8週に限り1回取得しても再度取得できるという改正が、正に趣旨としては男性産休に相当する。ですので、法律的に実質措置されている見方もできると思います。そうすると、あとは取りやすさの部分をどう推進していくかという問題意識になると、私としては理解しました。

 あともう1つ、育休取得率が3%で低いですねと言いながら、別名称の休暇がたくさんあり、それで取っている、みなし育休みたいな話をすると、結構取っているのではないかということで、これは呼称が育休でないといけないのかということです。今、企業の人事労務管理でほかの分野を見ると、呼称と実態は必ずしも合っていない。パート労働法とありますが、パートという呼び方はしていない企業がありますよね。要するに、制度の呼称ではなく、就業者の行動として見たときに、育児のために休んだ人は全員育休とみなしてカウントすると、一体何パーセントぐらいの人が休みを取っているのだろうかということは、素朴に思うのです。

 

○駒崎委員 正に、それ先ほどの佐藤先生の話とつながっていて、要は育休というと、割と定義がかっちりしているので、いわゆる休んだときに有給つぎはぎで1週間休んだ人などは入らなかったりするところを、男性産休を噛ませて、それも入れようよみたいなふうにすれば、それなりに広く取れるのではないかというところです。

 

○池田委員 

なるほど。

 

○佐藤委員 

ですから、今で言う育休という制度を使うのが育休ですよね。就業規則上。今の池田委員ので言いますと、まだ発表されていないのかもしれませんが、内閣府の調査で言いますと、出産前後に男性が一定期間取るのは8割を超えている。ですから事実上、もう、かなり取っているというふうに言ったほうがよくて、それは有給であったり、あるいは土日が重なったりするので、そういうことも含めると、取る必要はなかったって思うんですよね。そんなに。出産日が土曜だったとか日曜だったっていう人もいるので。ですから、そういうものも含めると、もっと多くなるのかな。事実上8割超えるぐらいは、そのときに休んでいるっていうのは間違いないです。そのうち公表されると思います。

 

○武石座長 

今のデーターは、資料4-23枚目の下ですよね。育児を目的とした休業の取得が、上の取得した47.6%の内訳ですよね。

 

○駒崎委員 

47.68割。

 

○武石座長 

8割は8週間以内に取っているということなので、47.6×0.8が、産休的な人だということですよね。

 

○駒崎委員 

そうです。

 

○武石座長 

そうですよね。4割弱ぐらいの人が、いわゆる産休を取っているということですよね。

 先ほど駒崎委員の資料に、育児目的休暇の新設があるようですがという話は、ここを御説明いただいたほうが。

 

○源河職業家庭両立課長 

この間の法改正で育児目的休暇を設ける努力義務が規定されました。想定しているのは配偶者出産休暇等ですので、それは努力義務ですが、広がれば同じような効果はあると思っています。若干補足しますと、駒崎委員がおっしゃったように育休といいますと何となく長いイメージがありますので、個人的な感想になりますが「男性産休」というのは、ネーミングとしての方向の転換はあり得るのではないかとは思います。

 

○駒崎委員 

先ほど制度があるのに何で実装されないのというところに、ずっとイクメンプロジェクトでも苦しんでいて、そのために使ってもらうためのパーセプション、イメージは結構こだわっているのですが、そのときに正に佐藤先生がおっしゃったように、なぜ男性産休や男性育休を取らせるだっけというところで、もう少しエビデンスがあると心強いと思っているのです。先ほど言ったのようなフランスで、男性産休を取った人は、それからよりイクメンになっていますよみたいなものがあるのです。ですから、やるんだよと、すごく分かりやすく説明できるのですが、今だと、それが日本ではない。あるのかもしれませんが、私は知らない状況で、そうだとすると、一度何かの調査をして相関関係のデータを取ってもらえると強力に言えるところがありますので、その武器は欲しいと思います。

 

○武石座長 

男性で育児を取った人が、その後どうなったかは、できれば研究をした方がいらっしゃるので、次回か、その次ぐらいに。

 

○佐藤委員 

内閣府で研究しているので、それを報告してもらうといいかもしれない。

 

○駒崎委員 

なるほど。そうなんですね。

 

○武石座長 

時間が合えば、プレゼンしていただければと思います。

 

○駒崎委員 

イクメンプロジェクトをやっていて出てこなかった情報が、ここで。

 

○武石座長 

つい最近。

 

○駒崎委員 

つい最近なんですね。なるほど。よかった。

 

○武石座長 

このようなデーターがあればということも含めて、御意見いただければと思いますが。池添委員は最初の頃の御発言でしたので、皆様の御意見を聞いて、もし何か付け加えることがありましたら。

 

○池添委員 

皆様のお話をうかがって、いろんなメニューを増やして、実際上取れていればいいのではというような大きな流れが確認ができましたので、私の考えもその中に位置付けることができるのかなという印象を持てました。また、議論の中で、外国法や外国の状況、駒崎さんがおっしゃったようにエビデンスが欲しいというのは、そのとおりだと思いますし、池田さんや佐藤先生がおっしゃったように、内実としてどのような目的の休暇を取っているのか、休暇としてどういうものが使われているのだろうかというのは知りたいところです。外国の制度や政策を日本での導入可能性を検討するときに、外国の状況はどう調べるかは悩ましいところです。いろいろな方からお話を聞いていくというお話がありましたので、外国法の研究者や、あるいは外国の状況をよく知っている方に来ていただいてお話いただくかというのを考えてもいいかと思います。

 それから、駒崎さんにお伺いしたかったのは、フランスで父親休暇を法制化して、結構よく使われていますよ、その後も良好ですよ、というお話がありましたが、導入前と導入後で、どういうふうに違うのだろうかというところは知りたいと思いました。導入した後だけを見て効果があったか、なかったかというよりは、もう少し客観的に前後関係をよく見たほうがいいのかなというのと、やはり家族政策や家族関係に対する個々人の価値観、例えば日本でしたら短期の5日未満の男性育休は、実は祖父母がお手伝いしてくれるからというような状況があるというお話がありましたが、フランスではどうなのだろうというところが気になったので、そういうところも含めて、外国のことをよく知っていらっしゃる方にお話を伺える機会があればいいと思いました。以上です。

 

○佐藤委員 

武石さんが言われたように、これはなかなか難しくて、育休を取りたい、あるいは子育てに関わりたい男性が取れるようにということと、やはり、これだけでいいかというのはあって、やはり大事なのは、例えば女性が結婚をし子供を持ってキャリアを続けるときに、カップルを巻き込むことが必要だというふうに、やはり女性に考えてもらうのはすごく大事だと思うのです。その上で、企業のやっている、この女性のキャリア形成支援みたいなところの中に、そのようなものを入れていくと。遠回りですが、もちろん男性が取りたい人は取ればいいのです。やはり一番多いのは、男性が取った契機は妻に言われたっていうのがすごく多いのです。ですから、やはり女性社員が変わるって、特に働いている、ここをどうするかで、カップル、つまり夫を巻き込まないと、あなたが希望するキャリアはやれないですよということを考えてもらえるような仕組みを会社にやってもらうというような、少し時間は掛かりますが。そういうような意味で、私は希望する男性が取れるように。でも、他方で男性が取るように思ってもらえるような工夫に変えていくというのはすごく大事だなと思います。

 

○駒崎委員 

賛成です。私たちも、四者面談をやろうと思いました。実際、本当ブラック夫のお陰で、うちの女性社員の働き方が制限されたり、キャリアが制限されたりがすごくあるので、そこは絶対本当にそうかなと思いました。

 あと座間委員にお伺いしたいのですが、この花王さんですらという感じですが、これだけやっていても取得率がというのは、結構衝撃的で、そうなんだなと勉強になりました。お聞きしたいのですが、例えば花王さんは障害者の雇用みたいな部分というと、法定雇用率は一応満たされていらっしゃるのですか。

 

○座間委員 

当然でございます。

 

○駒崎委員 

そうですよね。

 

○座間委員 

いろいろ苦労はしていますが、2.10%です。法定雇用率が登るのに合わせ上回るようにはやっております。

 

○駒崎委員 

つまり、法定雇用率を設定することにより、このように山を登れるようになるという現実もあるということは、我々は見据えなくてはいけないのではないのではないかと思うんです。

 

○座間委員 

企業の立場で言わせていただくと、やはり家庭の中のことになるので、家庭の中のことは、やはり個人のことであって、そこに対して、こうしろというところを第三者、外からすることということには、必要性等について慎重な議論が必要と思います。障害者雇用率みたいなものがすごく効くということは、企業の中にいて、その対応も苦労していますのでよく分かりますが、そこのところを、少しアンビバレンツな部分がある。

 あと、もう一点よろしいでしょうか。先ほど佐藤先生からカップルで、いわゆる働き方を考えるべきだと。駒崎委員からも、いわゆるブラック夫という話がありましたが、実は女性自身にも、やはり、そのような偏見や思い込みがあって、例えば、いわゆる初めて子供を持ったとすれば親になったのは2人とも一緒のはずなのに、なぜか妻のほうが育児のプロだと思っていて、何か育児をしたときに父親にものすごい駄目出しをして、夫が育児をしたくなくなってしまう。あと、自分がやらなきゃいけないと、自分自身で思い込んでしまいつらくなるなど、やむを得ないところもあるのですが、もう少しフラットに夫婦でやるものだと考えると、夫婦の在り方も変わるのかなと。そう思いますと、いわゆる男性だけではなく、女性自身も、もう少しフラットに考えられるような何かそのようなソフトな情報提供みたいなもの、意識変革もあるのではないかと思います。

 

○駒崎委員 

夫婦の在り方に企業や社会が踏み入れるような視点ですと確かに難しくなるのですが、でも子供は社会で育てるんだというふうな観点から言いますと、これは社会的な問題なのではないかと捉えることもできるのではないかと思います。つまり、夫が長時間労働で妻が負担を抱えて、例えば虐待が起きましたみたいなのですと、夫がある種、社会問題を量産していて、社会にフリーライドをしていることになりますよね。虐待に対応するお金も掛かるし何だりだということで。だとするならば、そこに関しては社会は一歩踏み入れる権利はあるのではないかと捉えたいと思っています。

 

○池添委員 

駒崎さんがおっしゃっていた障害者法定雇用率のアイデアを育休に持ってくるのは、アイデアとしては興味深いと思いました。社会的な子育ての問題は、社会的な価値観を持ってみんなで広く共有すべきという部分には賛同するのです。しかし、法律の視点で見た場合に、障害を持っている人たちの雇用というのは、自由競争のマーケット、市場から排除、分離されていた人たちをインクルージブな包摂的な方向に持っていって、自立を促進するという問題であろうと思います。最近の動向も加えて考えてみますと、ヒューマンライツ、人権の側面とも関係があるわけで、法律の立て付けが全然違っている中で、おっしゃるようなアイデアをどのように理論武装して政策的検討の方向に持っていけるのかということについて、慎重に検討していく必要があると思いました。

 

○武石座長 

はい、ありがとうございます。大変、いろいろなアイデアと御意見が出て時間が足りないくらいなのですが、また次回以降もありますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 先ほどヒアリングなどの御紹介を頂けるところがあればと申し上げましたので、もしお気付きのところがありましたら、事務局にも御連絡いただければと思います。本日の研究会は以上です。最後に、事務局から今後のことについて御説明お願いいたします。

 

○土岐職業家庭両立課課長補佐 

では、本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、62710時から12時の予定です。詳細は、また連絡いたします。次回以降は、本日委員の皆様から頂いた御意見を踏まえ、ヒアリング、論点の整理を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

○武石座長 

では、本日の研究会は、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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