ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 視覚障害の認定基準に関する検討会> 第3回 視覚障害の認定基準に関する検討会(議事録)(2017年5月31日)




2017年5月31日 第3回 視覚障害の認定基準に関する検討会(議事録)

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年5月31日(木) 17:00~18:30


○場所

労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

石橋達朗構成員、久保田伸枝構成員、竹下義樹構成員、田中雅之構成員、仲泊聡構成員、中村耕三構成員、松本長太構成員、湯澤美都子構成員、高野繁参考人

○議題

(1)視覚障害の認定基準について
(2)その他

○議事

○峯企画課長補佐 
 定刻になりましたので、ただいまから第3回視覚障害の認定基準に関する検討会を開催いたします。皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。私は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課の峯です。
 本日の出席状況についてご報告申し上げます。白井構成員はご欠席で、代理で参考人として、日本眼科医会の高野会長にお越しいただいております。また石橋構成員は、遅れて到着予定と伺っております。事務局より、障害保健福祉部長の堀江も到着が遅れる予定となっております。カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。傍聴される皆様方におかれましては、留意事項の遵守をよろしくお願いいたします。ここからは、中村座長に議事の進行をお願いいたします。


○中村座長 
 本日もどうぞよろしくお願いいたします。はじめに、事務局から資料の確認をお願いいたします。


○峯企画課長補佐
 資料の確認をいたします。議事次第、座席表。資料1は、視覚障害の認定基準の見直しに関する検討事項です。資料2は、合同委員会による改定案です。こちらは、本日参考資料2として後に付けています報告書全体の抜粋で、第1回でお示しした資料と同じものです。資料3は、視力障害の改定案に基づく前後表です。資料4は、合同委員会からの提出資料で、視力に関するものです。資料5は、合同委員会からの提出資料で、視野に関するものです。資料6は、竹下構成員からの提供資料です。最後に参考資料1として、本検討会の開催要綱及び構成員名簿です。参考資料2は、眼科学会と眼科医会の合同委員会の報告書全体で、これも第1回から付けているものと同じです。また資料番号は振っておりませんが、お手元に視覚障害以外も含めた身体障害者障害程度等級表、身体障害者福祉法施行規則別表第5号をお配りしております。以上、お手元にありますか。不足がありましたら、事務局までお知らせください。
 なお、本検討会は公開のため、資料、議事録は厚生労働省のホームページに掲載されますので、あらかじめご了解くださいますようお願いいたします。事務局からは以上です。


○中村座長
 検討会の運営に当たり、構成員の皆様にお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、ご発言をされる場合には発言者は挙手をお願いいたします。そして、挙手をされた発言者に対し、私から指名をいたしますので、指名を受けた発言者はお名前の後に発言を頂くという流れで進行したいと考えておりますので、ご協力のほどお願い申し上げます。
 それでは議事に入ります。1つ目の議事は、視覚障害の認定基準について議論をお願いいたします。第1回、第2回の検討会を踏まえ、事務局で資料1、視覚障害の認定基準の論点を整理いただきましたので、説明をお願いいたします。


○峯企画課長補佐
 事務局から、資料1、また資料2、資料3も交えながら説明いたします。資料1をご覧ください。こちらは、「視覚障害の認定基準の見直しに関する検討事項」です。「1.これまでの経緯」。現行の視覚障害の認定基準として、視力障害に関するものと、視野障害に関するものを付けております。続いて、平成27年度末時点の視覚障害の手帳交付者数です。これは福祉行政報告例に基づく数字となっており、合計34万4,038人。そのあとに括弧書きで、各等級別の人数を示しております。その経緯として、日本眼科学会と日本眼科医会の合同委員会において、現行の視覚障害の認定基準の全般について検討を頂き、厚生労働省に、見直しに関する改定案を含む「視覚障害認定基準の改定に関する取りまとめ報告書」(平成28年8月26日、公益財団法人日本眼科学会視覚障害者との共生委員会、公益財団法人日本眼科医会身体障害認定基準に関する委員会との合同委員会)を報告いただいております。こちらを参考資料2として付けております。平成29年1月、「視覚障害の認定基準に関する検討会」(以下、「本検討会」)が開催されております。これまでの経緯については以上です。
 「2.視覚障害の認定基準の見直しの方向性」。日本眼科学会と日本眼科医会の合同委員会を代表する構成員から、以下の基本的な考え方に基づく改定案が、資料2のとおりご提案いただいたところです。まず視力障害に関しては、現行の視力障害は、両眼の視力の和で認定されることとなっていますが、日常生活は両眼開放で行っていることから、視力の認定も両眼の視力の和ではなく良いほう又は両眼の視力で判定することが望ましい。日常の眼科診療では、通常片眼ずつの視力を測定し、両眼の視力は特別の場合を除き測定しないため、良いほうの眼の視力で認定することとしてはどうかといったことが、改定案の大きな筋となっていました。
 視野障害についてです。現行は、ゴールドマン型視野計による認定基準しかありませんが、ゴールドマン型視野計のオリジナル機器は既に製造を中止されており、現在の眼科診療ではコンピュータ制御された自動視野計が広く普及しているため、自動視野計による認定基準を設けてはどうかといった観点でご提案いただいています。また現行では、周辺の視野狭窄が進み中心部の視野も欠損した場合について、視野を評価する方法が明確にされていませんが、更なる視野判定に進められるように基準を設けてはどうか、こちらの観点も加えてご提案いただきました。
 「3.具体的な検討事項」についてです。(1)良いほうの眼の視力と、等級の対応について。視力の尺度には、日常用いられている「小数視力」、こちらは最小分離角の逆数として示されるものですが、このほかに、最小分離角の常用対数で示される「logMAR視力」というものもあります。改定案では、0.1以下の視力についてより細かく数値的な取扱いを行うために、logMAR視力の0.6~1.7の範囲を0.6、0.7、…1.6、1.7と0.1刻みに計12段階に細分化して、3段階ずつ2~5級の各障害等級に割り当て、その結果を、日常診療で用いられている小数視力に換算したものとなっております。
 3ページの上の表に示しているのが、logMAR視力と、それに対応する小数視力、また改定案による等級を示しています。「この案によると」ということで、こちらは資料3を交えてご覧ください。資料3は視覚障害の障害程度等級表で、上が視力についての現行の基準、下半分の図が眼科学会、眼科医会合同委員会による報告書に含まれている改定案に基づく改正後の案を示しております。この案によると、良いほうの視力が0.04かつ他方の視力が0の場合、現行は2級ですが、改定後に認定を受けると3級となる案となっています。また、良いほうの視力が0.08かつ他方の視力が0の場合、現行は3級ですが、改定後に認定を受けると4級となっています。日常生活の困難度という観点からも、この改定案が妥当であるかという点について、ご議論いただきたいと思います。なお、この問題について、これまでの検討会における主な意見です。logMAR視力を等間隔に分けて2~5級に割り当てることに関しては、我々の感覚がlogMAR視力で等間隔に感じるものだと科学的に証明されているので妥当である。logMAR視力では明確に分けられる。国際基準でもlogMAR視力で等間隔に区切られている。こういったご意見を頂戴しています。また、等級が下がる視力区分がこの改定案では含まれていますが、そのことについては、日常生活の中で視力0.03と0.04は極端に違ってくるというのが視覚障害者の実感としてもあるといった一方で、混乱の回避のためにこれまでに認定された人が同じ等級を取れるような設定をしてほしいといったご要望も頂いているところです。
 4ページの(2)は、いわゆる片眼失明者についてです。改定案でも、現行基準と同様、片眼の視力が0であっても、他方に0.6を超える視力がある場合は認定対象外とされています。このような場合に関して新たに身体障害の対象とする場合、客観的・合理的な根拠が必要となってきますが、示せるかということです。障害認定以外の枠組みによる対応も検討できないかということも併せて検討事項とさせていただきました。これまでの検討会における主な意見としては、交通事故などの被害者で片眼眼球破裂等のため、片眼の視力、眼球を失った方々は、社会生活・日常生活を送る上で様々な不便、困難が生じていると訴えている、両眼で健常者の人が見た遠近感と片眼の人が見る遠近感というものは全く違う、アンケート結果で、階段を踏み外して転びそうになることがあるとか、人や物にぶつかることが多いという回答の割合が高くなっている、偏見の目で見られたり、差別を受けたり、いじめに遭ったりと苦労されている方がたくさんいる、片眼失明に対しても、何らかの救済策が必要ではないかなどのご意見を頂戴しております。
 引き続き(3)良いほうの視力が0.2以上ある場合についてです。改定案でも、現行基準と同様、良いほうの視力が0.2ある場合は、他方の視力が0.02以下でないと認定対象外とされています。このような場合に関して新たに身体障害の対象を拡大する場合、客観的・合理的な根拠が必要となりますが、示せるかということを検討事項としております。こちらに関して、これまでの検討会では、0.2という視力は生活、仕事にかなり不自由を来すが、訓練など一定の支援があれば十分に働けるのではないかといったご意見を頂戴しています。
 5ページの(4)は視野の問題です。周辺の視野狭窄が進まず、中心暗点だけがある場合の視野評価についてです。改定案では、周辺の視野狭窄が進み中心部の視野も欠損した場合については、視能率0、損失率100%と見なすこととされています。周辺の視野狭窄が進まず、中心暗点のみがある場合についても、更なる視野判定に進められるような基準にできないかといったことを検討事項としました。これに関して、これまでの検討会では、錐体ジストロフィのように、求心性視野狭窄が進まず中心暗点が生じる場合もあり、文字を読むなどの日常生活において支障が出るといったご意見を頂戴しています。一方、中心暗点だけがある場合について、視力と中心視野の障害を両方反映させるためには、調整が必要といったご意見も頂戴しています。
 (5)視力障害・視野障害以外に見づらさを来す状態についてです。改定案でも、現行基準と同様、視力障害と視野障害のみを認定対象としていますが、視力・視野以外に新たに視覚障害の認定対象とすべき状態はないかとしています。例えば眼瞼痙攣の重症例ですと、障害年金のうち障害手当金の支給対象となっていますが、「一定以上で永続する」という身体障害の要件に該当する根拠が示せるかどうかを検討事項としています。これに関して、これまでの検討会では、眩しさ、眼瞼下垂、眼瞼痙攣などの障害等を有する者に対しても、何らかの救済策が必要ではないかといったご意見を頂戴しております。
 6ページ、「4.その他の検討事項」として、更に2つ挙げております。1つ目は、視力障害の判定において、視力の測定方法、視標の提示時間などをより詳細に明記する必要性があるか。これまでの検討会における意見では、視力の測定に関して、日常生活では瞬間的に見えるかどうかが問題で、瞬間的に測ることが日常生活の実態を反映した測り方になると思う、そのため、どれぐらいの時間で測るのかという観点を基準に加え、標準化を図るべきといったご意見を頂戴しております。
 2つ目です。視野障害の改定案には、自動視野計での測定で信頼性が担保できないと判断された場合、最終的にはゴールドマン型視野計で確認する旨が既に記載されています。「自動視野計での測定で信頼性が担保できないと判断された場合」のほかに、自動視野計に加えてゴールドマン型視野計による確認を要する場合があるか。これに関して、これまでの検討会では、患者側でも疑義があるときは、ゴールドマン型視野計で測り直すことができるよう、通知指導、講習等、周知徹底を図るべきといったご意見を頂戴しております。以上が、事務局でまとめました検討事項です。


○中村座長
 それでは、資料1の「3.具体的な検討事項」の(1)~(5)までを議論いただきたいと思います。どういう順序でやるかは、どうしたらよろしいでしょうか。


○朝川企画課長
 1つのやり方として考えられるのは、(1)から(3)までが視力に関する議論で、(4)から視野ですので、まず(1)から(3)までを一区切りにとっていただくのがよろしいのではないでしょうか。


○中村座長
 分かりました。それでは、(1)~(3)の視力の内容について進めます。まず竹下構成員より、資料6として、視力に関する意見書を提出していただいております。ご説明をお願いいたします。


○竹下構成員
 日盲連の竹下です。私からは、ごく単純に日盲連の当事者団体としての考え方、あるいは当事者の意見を集約したものを意見書として提出させていただきました。ご覧いただければ分かるように、良いほうの眼を基準として視力判定をすべきだということが、まず大きな柱としてあります。それを徹底するとすれば、本来、6級についても、悪いほうの眼、他眼のほうが0.02以下という要件も外すべきだと思うわけです。後で若干述べますが、ここはそこまで徹底的なものとしても現状ではやむを得ないかなという思いで、5級までを片眼の視力のみを基準とし、他眼の視力についての要件を全て外すべきだという考えで、意見を作りました。
 ご覧いただければ分かるように、1級から5級までのところで大きく特徴的なのは、1級はほぼ眼科医会の先生方の意見書と変わりませんが、2級、3級が極めて大きな違いが出ていると思っております。それは、良いほうの眼の視力を、2級の場合に0.04以下とすべきだということ。3級については、0.08以下とすべきであるということです。結果的に4級については、4級の範囲が0.09以上0.1以下の人となりますが、そのような基準にすべきだと思っております。その根拠は、これまでは両眼の視力の和で認定してきたわけですが、両眼の視力の和によって、生活視力で多少の距離感の測り方であったり、左右の注意の払い方であったり、プラスになる部分はあるわけですが、現実に1つの視力として、生活を成り立たせる、あるいは危険を回避する、あるいは学習をするときに、0.03の人と0.04の人とでは極端な差が出てくることが現実にはあるということを前提にした案です。
 特に、これまで両眼の視力の和で2級が0.02から0.04とされてきたわけですが、しかし現実に片方の視力が0の人で0.04の方は、これまで2級として等級認定されてきたわけです。それは当然のことながら、両眼の視力の和が0.04であろうが、片眼のみで0.04であろうが、その人の社会生活、あるいは日常生活における困難が同じであるということを前提にしてきたはずです。それを、今回の等級変更の検討に当たって、片眼が0の人について、良いほうの眼が0.04の人について、3級に下げる根拠なり裏付けるものは存在しないはずです。それが存在するというのであれば、これまで0.04としてきたことは間違っていたということになるわけです。そんなばかな話はないわけです。したがって、0.04でこれまで2級で認定してきた人について、その人を3級に処遇を変更するということは、今までが不合理だったなら分かるのです。今まで片眼で0.04の人が2級として認定することに合理性、整合性があったからこそ数十年にわたってそうしてきたものを、何の根拠もなしに0.04の人を3級にするということはあり得ないことだと思っております。したがって、従来の等級が一定の合理性があった、良いほうの眼を基準にするという点で今回大きな変更になるわけですが、少なくともこれまで0.04以下を2級、0.08以下を3級としてきたことにおいて、少なくとも、一番分かりやすいのは片眼の人ですが、その人について正当性があったとするならば、今回それを変更する理由はどこにも存在しない。現在のものが妥当であったとするならば、それを変更すべきではないという考え方に立っております。
 次に5級についてですが、これは私どもの中でもいろいろな意見がありました。その中で、0.2以下の人で、もう一方が仮に0.03なり0.04の人の場合に、極めて生活に困難な場面が多いのです。すなわち、良いほうの眼が0.2というのは、視力としてはそれなりに文字を読める視力ではあるのですが、社会生活の中で見えないものはたくさん出てきますし、危険な場面が相当たくさん出てきます。0.3とか0.4に比べると、0.2の方の社会生活、日常生活の困難というものは極めて強いものがあるというのが皆さんの生活実感としてあることから、5級については良いほうの眼の要件だけとして、他眼の0.02の要件は是非外していただきたいという考えに立っております。
 6級については、冒頭に申し上げたように、本来、他眼についても0.02の要件を外すべきだという意見が強いのですが、アバウトな言い方で恐縮ですが、0.3以上ある人については、それなりの困難さは0.2とは大きく違うだろうと。極端な話が、0.6で片眼の人の場合は、ハンディはほとんど小さくなります。それを考えた場合には、6級については他眼の要件は残すとしても、5級については外すべきではないかと思っている次第です。以上です。


○中村座長
 ただいま竹下構成員からご意見がありました。このご意見も踏まえて、ほかにご発言はありますか。


○久保田構成員
 ただいまの竹下先生のお話のように、やはり視力の和で判定しますと、例えば、現行では0と0.04の方が2級なのに、0.02と0.03の方が3級というのが不合理ということになります。そこで、私どもも視力の和を、良いほうの眼の視力に変えたいという考えでやってまいりました。私どもが今回持ってまいりました資料4について、少し説明させて頂きます。
 資料4をご覧ください。第1回の検討会で、竹下構成員から良いほうの眼の視力0.03と、これまで片眼0.04、反対眼0とで、生活上の困難、あるいは社会生活における差があるかを検討したかというご指摘を頂きました。同じ視力であっても生活上の困難差については個人差があって、それを比較することはなかなか困難なのです。極端な例ですが、私がお世話になっています鍼の先生は、両眼義眼で全く見えないのですが、鍼の予約から終わった後の会計までを1人でなさっています。その方は、鍼の診療を1つの部屋の中でやっていらっしゃるときには、何の不自由もないように見えます。また、生活上の困難さは視力と視野との両方を合わせて判断しなければなりません。視力に限って、生活上の困難さを比較することには限界があります。そこで、視力との関係をみるには、使用する文字が点字か普通文字(墨字)かということが、社会生活の困難さを一番表しているのではないかと考えました。私は以前から、我が国で視覚障害の便宜上の分類である盲・準盲・弱視すなわち、視力0.02未満の盲と、0.02以上0.04未満の準盲と、0.04以上0.3未満の弱視という視力の分類に従って、盲は点字、準盲は点字か普通文字(墨字)、弱視は普通文字(墨字)という目安で、都内の視覚特別支援学校の学校医として、失明原因の疾患ごとに長年教育相談を行ってまいりました。
 そこで、今回お示しする資料は、視覚特別支援学校における使用文字の全国規模の調査結果です。この調査研究は、筑波大学を中心として、1970年から5年ごとに行っており、大変精度の高いものです。資料の図は、2015年に調査をした結果が、2016年の報告書の中にある「視覚特別支援学校児童生徒の視力と使用文字の関係」です。上の図1は、6歳以上全体です。6歳以上全体は、2,768名の個人票からのデータからのものです。下の図2は、6歳から12歳の群のものですが、身体障害者手帳は原則18歳以上に交付されますから、図1の6歳以上全体について説明いたします。なお、視覚特別支援学校には、ご存じとは思いますが、専攻科もありますので、6歳以上全体の中には31歳以上の方も25%ぐらいは含まれております。
 図1をご覧いただきますと、点字と普通文字(墨字)の境界視力は、指数弁と0.01との間にあります。普通文字(墨字)は、視力0.02から増加して、0.04以降は80%以上になっています。点字は0.04まで減少し、0.05のところで割合としては少し増加しています。しかし、視力0.03は12名、0.04は8名、0.05は11名と、この辺りの視力は点字使用者が非常に少なくなっておりますので、誤差範囲と考えています。また、点字を選択する場合、視力だけではなく、点字のほうが使いやすいという方や、進行性の視力低下が疑われる疾患では、0.04以上あっても将来のことを考慮して点字を選択しています。
 ここで普通文字(墨字)の使用者の頻度を見ますと、視力0.03は65名で77.38%、0.04は81名で85.26%、0.05は59名で83.10%となっております。文字を使うことによる生活の不自由さは、これまでの片眼0.04・反対眼0は、良いほうの眼の視力0.03より軽く、視力0.05のほうに近いといえます。以上のことから、視力障害だけからみた場合、今回の基準は、生活の不自由さの観点からも妥当と考えました。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。今の久保田構成員のご説明は、改定案が妥当であろうという説明ですが、ご意見や補足などありますか。


○竹下構成員
 竹下です。今、久保田先生から資料4についてご説明いただいてありがとうございます。結論から先に申しますと、この資料4は客観性はないと断定せざるを得ません。3つあります。1つは分母が余りにも小さすぎます。少なくとも全国の視覚障害特別支援学校、今、69校だと思いますが、それを対象にやった結果ではないということ、これが1点目です。
 2点目には、久保田先生もご指摘されたように、指数弁以上のところを見てください。私は今は0ですが、もともとは視力0.2しかなかった人間が剥離を起こして、更に手術後に0.01でしばらく生活し、更に指数弁になって、昔きっちり測っていただきました。50cm指数と30cm指数で測っていただいた時期もあります。それで手動弁になって、0になりました。この私自身が経験もしていますし、ほかでも言えるわけですが、確かに指数弁の私が墨字を使った時期があります。どんなふうにして使うか、先生はご存じでしょうか。例えば私はギターをやっていました。そのときに、音譜を見るときに、小学1年生用の5mm幅の五線譜を用意して、それにサインペンでオタマジャクシを書き直してもらうのです。そのとき、今みたいな拡大文字というのはありませんでしたからね。それをくっつければ見えます。サインペンに書いた平仮名は読めます。
 これをもって、ここで指数弁のところで我々が普通文字というところにいっているとすれば、極めて実態と懸け離れた議論をしているのです。我々の世界、すなわち視覚障害者の世界では、普通文字という言い方はしません。一般に我々は墨字と呼んでいます。これは明治時代から点字に対応する言葉として、墨字があったから墨字にしたのでしょう。我々が墨字を読む場合と言っている、見るというのは、極端な話、全盲でない限り墨字は必ず見ています。しかし、それは文字によって生活しているということと、仮に同視されているのであれば、これは絶対的に断定してもいいほど、このデータはそれに対応するものではありません。何ならこの柿澤先生に聞いていただきたい。これが2点目です。
 3点目ですが、0.03なり0.04、0.05の方の使用文字について、ここで問題視されていません。何が言いたいかと言うと、拡大文字のポイントの問題です。私が今申し上げたように、拡大文字をサインペンとか、私は昔、更に視力が下がったとき、サインペンでない幅2mmほどある太いペンで平仮名を書いたら読めましたよ。そういうことからいきますと、0.03の方が用いている文字は、日常生活にそれを使用するだけに耐え得る視力として評価し得るものなのか。0.04の場合は、そこはどうなのか。そこを見ずして、この表を見るというのは、極めて実態から懸け離れると言わざるを得ません。
 この3点から、この資料4をもって0.03以下を2級とし、0.04以上を3級とするのは、極めて実態にそぐわない。しかも、この表の見方から見ても、分析不十分なものと言わざるを得ないことを、意見として述べさせていただきます。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。


○久保田構成員
 久保田です。今、先生のおっしゃいました人数の点なのですが、これは全国の視覚特別支援学校67校(国立1、公立65、私立1)の合計で、先ほどお話しましたように2千何百名のデータなのですが、最近、重複障害の方が多くなりまして、文字(点字・墨字)を全く使っていない方が400人ぐらい含まれており、それは抜けておりますので、実際は2,268名のデータです。


○竹下構成員
 そうです。分かります。


○久保田構成員
 それから、ほとんど視覚特別支援学校なので、文字は主に拡大教科書を使っています。それから、拡大鏡を使っています。ですから、そういう教科書とか拡大の手段を用いて、文字を使って学校で教育を受けているというデータです。


○竹下構成員
 私の言い方が不十分でした。違います。例えばこの表を見てください。この資料4のグラフは、私は点字しかないので、年齢と点字・墨字・併用のところの表だけ見てものを言っていますが、例えば22歳から30歳の年齢区分のところの点字使用者はどーんと落ちて15%で、81%が墨字になっているでしょう。さらに、31歳以上を見てください。データは点字使用者は6.35%に下がって、墨字使用者が92%に拡大しているのですよ。


○中村座長
 ちょっと待ってください。今、竹下構成員の言っているデータは、皆さんありますか。


○竹下構成員
 私が今言ったのは、資料4の、注、以下、年齢群、点字、普通、併用という表を読んでいるのです。それで一番最初が6~12、次が13~15。


○久保田構成員
 竹下先生の資料は、点訳をする関係で図がないので、私は持っているのですが、皆さんには書いてないと思います。


○中村座長
 事務局からちょっと説明してください。


○峯企画課長補佐
 事務局から資料4として本日ご提示しておりますのは、6歳以上全体のもので、これが上半分にお示ししている図1、下半分は6~12歳群に限ったものとして図2があります。こちらの元データに遡ると、13~15歳群もありますが、本日、墨字としてお配りしているのは、6歳以上全体のものと6~12歳群に限ったものの2つということです。点字のほうで竹下構成員に事前にお示ししているものが、本日の墨字での配布資料以外のものも混在していたようで、何らかの手違いがあったと考えられますので、おわび申し上げます。


○竹下構成員
 やっと分かりました。やっと久保田先生がおっしゃっていることと私が言っていることのずれていることが理解はできました。だから、多分、久保田先生がご説明されたのは、6~12歳の年齢区分に限定した点字と墨字と併用のところを読んでおられると思うのですね。


○久保田構成員
 最初に説明しましたが、身体障害者手帳は原則18歳以上に交付されますから、図1の6歳以上全体について説明いたしました。


○竹下構成員
 そうか。それは私は全く。私が見ているのは、今申し上げたように、6~12歳、13~15歳、ずっとそういう年齢区分がしてあって、その次が16~18歳、19~21歳、22~30歳、30歳以上という、それで見ているので、先生に申し上げたかったのは、6歳以上で、どういう平均値をとっているかというのは、私にはそれは理解できなかったのですが、少なくともこの私が頂いている資料で見る限りは、22~30歳という年齢層の視力を無視した点字と墨字の利用者区分が書いてあります。それには22~30歳の年齢区分における点字使用者は15.79%、普通字使用者が81.58%、併用が2.63%となっております。それに対して、31歳以上で見ますと、点字使用者は6.35%、墨字が92.01%、併用が1.63%になります。これを見て私は申しました。
 すなわち、これだけを見ていると何が分かってくるかというと、先生は学校ということにこだわったから、私は狭いという言い方をしたのは、非常に不十分な指摘だったことはおわびします。要するに、高年齢で分かるように、極端に点字使用が減ってくるわけです。それはなぜかというところの分析も合わせてしないと、というのが1点目です。
 2番目には、盲学校において、なぜ点字ではなくて普通字を強く使用させているかということの教育観点を抜きにされたら、これは全く目的の違うことで使用することになるということを十分にご理解いただきたいと思っております。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。


○朝川企画課長
 企画課長です。少し遡って恐縮ですが、2ページ目の所で合同委員会の先生方のご意見を補足的に確認させていただきたいのですが、2ページ目の2.の最初の所の「視力障害」と書いてある所です。そもそもこの議論は、今、両眼の和で認定の基準が作られていることが不合理で、良いほうの眼で判定することがより妥当であると、そういうところから出発しているわけですが、そこの論拠がより明確にもしお示しいただけるのであれば、お示しいただけないかというのが1点です。あと何点かあるのですが、まずその点について、今、両眼の和で認定することについて、非常に何らかの不都合が生じていて、良いほうの眼でやったほうがいいというお話なのか、それ以外に何か論拠があるのかどうか、その辺を少し補足的にご説明いただけると助かります。


○中村座長
 眼科医会、あるいは眼科学会のほうからご意見を頂きたいと思いますが。


○湯澤座長代理
 湯澤です。片方の眼が0.02で片方の眼が0.02の人と、片方が0.04で片方が0の人では、ADL、日常生活の困難度が違っています。それは良いほうの眼のほうで主に遠くのものを見、生活をするので、そちらのほうがより現実に即していて、ADLがいいということです。QOLは生活の質ですが、そちらも良いほうの眼のスコアが合致しているということが、日本にはあまりないのですが、外国で既に報告があります。それを根拠に、いろいろな国では良いほうの眼の視力を基準に視覚障害の程度を分けようということになっております。ですから、これは日常生活をどのように行っているかという視覚障害の人たちの等級を考えるときに、現実に即しています。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかに眼科医会のほうから高野参考人、お願いできますか。


○高野参考人
 今の湯澤先生のおっしゃったことで異議はありません。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかに眼科の先生方でご意見はありますか。厚生労働省のほうは今のご説明でよろしいでしょうか。


○朝川企画課長
 今のところ良いか悪いかを判断できる立場にはないわけですが、今のご説明ですと、恐らく日常診療をされている日本における診療の感覚からしても、それは良いほうの眼で見たほうが、よりADLとの関係で妥当であるというお話と、あと、諸外国の基準、あるいはいろいろな報告で、良いほうの眼で測ったほうがより妥当であると、そういう論拠であると理解しましたが、そういうことですね。


○湯澤座長代理
 はい、そのとおりです。


○中村座長
 ほかの眼科の先生方でご意見がありましたらお願いします。


○仲泊構成員
 仲泊です。より具体的に考えてみてください。例えば新聞を読むのに、矯正視力が0.4ないし0.5必要というように一般に言われております。両眼が仮に0.4の方がいたとします。新聞が読めます。その方が片眼を失明されたとします。そうすると、新聞が読めるかどうかということを考えると、残っている0.4の眼で新聞は読めます。しかし、両眼が半分の0.2になったとします。合わせて0.4ですが、両眼を使っても新聞は読めません。その点だけ考えても、ADLの低下は、両眼ともに落ちたときに現れる、良いほうの眼の視力が低下したときに、より顕著に現れるということは明らかです。
 しかし、片眼を失った方が、両眼0.4の方と片方だけが0.4で片方は失明されている方は同等であると言っているかというと、そうではないわけです。それについては、きちっとしたデータが出ていないので、それを排除するということはできないのですが、その部分については諸外国の今までのデータから、良いほうの眼で基準を取っている所が多いという事例から、我々はそれを採用しようという話になっているということです。


○中村座長
 今の厚生労働省のほうからのご質問に対して、ほかにご意見はありますか。


○竹下構成員
 視覚障害者、当事者の感覚として、正にADLなり我々の生活の困難に直結している問題なのですが、0.03と0.01ないしは0.02の人。1つに絞りましょう。0.03と他眼が0.02の人と、片眼で0.04の人がいたときに、生活の困難さがどちらが重いかということを理解してほしいです。間違いなく、0.03と0.02の方のほうが生活の困難さがある。なぜならば、その視力は和して0.05になるのですが、それで片眼が0.05の人と同じ生活ができるかと言ったら、絶対できませんから、あり得ませんから。見える範囲、距離、具体的な識別。
 そういうことからしても、基本的に我々は良いほうの眼で生活してきているということ。ときには、0.04と例えば0.01の人がいたときに、この人は0.01の眼はほとんどの場面では使っていません。先生方はプロだから、私が言わなくても分かると思うのです。基本的には見えるほうの0.04で生活しています。例外的に見えない悪いほうの眼の0.01も使うことはあります。それだけの大きな差がある、実態があることを十分ご理解いただいて、良いほうの眼を基準にしていただくことが、ADLという指標だけでなく、視覚障害者の日常生活に感じている実態をも十分にご理解いただければと思います。以上です。


○石橋構成員
 石橋です。竹下構成員も、我々の良いほうの眼を使うということにはご賛成ということでよろしいのですね。


○竹下構成員
 そうです。


○石橋構成員
 そうですね。


○中村座長
 厚生労働省、お願いします。


○朝川企画課長
 企画課長です。ありがとうございます。そうすると、議論の出発点である、良いほうの眼で測る方向に見直していったほうがいいということは、おおむね皆さん同意されているということが確認できました。
 その上で次なのですが、3ページ目の所で、logMAR視力で等間隔に区分を割り振ってみると、こういう表が出来上がるという点なのですが、3ページ目の下のこれまでの議論の中で挙げていただいた主な意見では、等間隔に割り振るということについて、合理性がある、国際基準でもそのようになっているということなのですが、それを日本で当てはめると3つずつ、それぞれ区分になるわけですが、それがなぜ2級に1.7~1.5、なぜ3級に1.4~1.2というように、たまたまそうなるのか、それとも合理的になっているのか、その辺が単に割り振っただけですと、論理的には2級に当たるのが3つ、3級に当たるのが3つ、4級に当たるのが3つとはならないような気がしますが、それはそういう理解でいいのかどうか。言葉を換えて言いますと、まず3つずつ等間隔に割り振った表を作ってみて、その後、2級と3級の境目はlogMAR視力で1.5と1.4である。そこにも合理性が見いだせる。さらに、3級と4級の境目はlogMAR視力で1.2と1.1の間にあるのも合理性が認められる。そういう補足的な説明が付いて、初めてこの表は成立するという理解をしていいのか。その点について、ちょっと教えていただけるとと思います。


○中村座長
 これは眼科の先生方からご意見を頂きたいと思いますが。


○湯澤座長代理
 logMAR視力は等間隔で視力を評価できるという点で非常に公正なものです。ですから、1級はそのままで、これは誰が見ても1級。6級もそれを変えないということになると、小数視力で0.2~0.02の間を均等に分けるのが一番公正で、かつ客観的だというように判断できると思いますが、いかがでしょうか。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかに補足あるいはご意見はありますか。


○田中構成員
 田中です。先ほどちょっと盲学校の話が出ましたが、点字と墨字、普通文字というのがありましたが、もう1つ、うちの訓練などを修了した人たちが使う文字というか、媒体として音というのがあります。中途の人で、盲学校で勉強しようとしたときに、点字で問題を読んだりとか、実際に国家試験を受けられるレベルまで点字を身に付けられる人はほとんどいないので、そうすると、やはり授業だったり、試験を受けるのは音声で聞いて、解答だけ点字でやるとかというパターンの人もいます。
 どこに線引きするのが妥当かを考えたときに、障害者手帳というのが基本的にはどれぐらいのサービスを受けられるかを決めるものなので、一応、墨字を使っているにしても、何らかの道具を使ったり、機器を使ったりして解決していって、それを購入することが必要だとすると、やはりそこには補助が必要になってくると思うのです。拡大読書器は手帳があれば取れるのでいいのですが、例えば音声の場合だと、音声パソコンソフトや録音機器を、訓練を修了した人たちは盲学校に行ってもよく使ったりするのですが、そういうソフトについては2級までしか補助が出ません。あるいは仕事をしようとしたときに、文字を一応見られるのですが、目でやるのはすごく大変なので音を使うとか、拡大を使うとかというようにしてやっている人たちもいるので、そういった方たちが本当にこの割振りでいいのかどうか。必要な機器とかサービスがちゃんと受けられるのかどうかという基準で考えないと、やはり当事者の方たちからは不満が出てしまうのではないかとは思います。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。田中構成員、確認しますと、これは必ずしもその辺の検証は十分ではないかもしれないというご意見なのでしょうか。


○田中構成員
 私自身が具体的な数字を今出せるわけではないのですが、今回のデータで言うと、墨字使用と点字使用という表現しか出ていないのですが、実際、墨字を使っているにしても、機器などどういうものをやっているのかということも踏まえて考えないと根拠にはなり得ないのかなと思います。


○中村座長
 分かりました。ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。厚生労働省、お願いします。


○朝川企画課長
 企画課長です。今、湯澤先生に教えていただきました点を踏まえても、なお、まだちょっと疑問なのですが、日本の身体障害者の等級表は、基本的にはADLの度合いによって、1級から6級まで割振りがされていると理解しております。今日、資料番号なしで横置きの資料をお配りしておりますが、それをご覧いただくと、右側のほうにある内部障害の所に表現が比較的多く出てくるのですが、例えば右側から7つ目にある心臓機能障害の所ですが、1級の所は「心臓の機能の障害により」というのがあった上で、「自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されている者」、3級は「家庭内での日常生活活動が著しく制限されている」、さらに4級は「社会での日常生活活動が著しく制限されている」と、そのように他の障害類型でもADLを基準に、それぞれの等級の割振りがされているわけです。
 そうしますと、それぞれの等級に対応したADLの水準があって、それによって恐らく視覚障害もそれ以外の障害も、割振りが行われていると理解するのが合理的だと思うのですが、それを今回、logMAR視力で等間隔に割り振ると、どうして2級に3つ割り振ると、ちょうどこの2級に相当するADLになるのか、どうして3級に3つ割り振ると、この3つのlogMAR視力の所が3級のADLに相当するのかというのは、直ちには合理性が出てこないように考えられますが、等間隔で割り振ることは、もしかしたら合理性があるかもしれないのですが、それを当てはめた結果、logMAR視力1.4~1.2が3級に相当するというのは、補足的な根拠がないと、ADLとの関係でうまく収まらないような気がしますが、それはそういう理解をしてよろしいかどうかなのですけれども。


○中村座長
 質問を頂きました。


○久保田構成員
 久保田です。先ほども申し上げましたように、視力とADLというのは個人差が非常に大きいということと、いつ視力障害が起きたか、先天性か、中途失明とか、さらに、文字をかなり習ってから視覚障害がきた方とか、文字を全く知らない方では、視力と対応するADLをきっちり分けるのは、なかなか難しいと思うのです。ただ、日本の少数視力は等間隔でないので、例えば3級もlogMARは3段階ですが、対応する小数視力は4、5、6、7と4段階になっています。だから、日本の小数視力ではなくlogMARのほうが、基準を決める上で、自覚検査ではあるのですが、ADLにかなりは対応するとは思います。また、個人差が大きいので、必ずしもADLとは対応しないかも知れません。それだから余計、logMAR視力で均等に分けたほうがいいのではないかと考えております。


○竹下構成員
 竹下です。今の久保田先生の意見に近いものを持っているわけですが、今の朝川課長の指摘は、私は全く的外れだと思っています。確かに等級を考える上でADLが基本になることは何も異論もないし、そのときに日常生活の困難の程度として、それをある意味では抽象的な基準作りをすることに何の異論もないです。しかし、もともと厚生労働省が一番分かっているはずですが、視力障害における1級と、あるいは心臓機能障害における1級と同視するのですか。とんでもない話ですよ。例えば肢体障害の1級と視力障害の1級と、ADLで比べることができるのですか。あり得ないことですよ。例えば肢体障害で両腕、両足に障害があって1級の人、あるいは2級の人、それと視覚障害、視力障害で1級の人、2級の人とで、ADLというのは比較をどうやってするのですか。できるわけないではないですか。それが1点目です。
 もう1つは、ADLは大きな指標になるのですが、それだけではなくて、ほかのことも参考にするからこそ、先ほど資料4で久保田先生が点字と墨字をまた持ち出しているのでしょう。それはどこがADLにつながるのですか。それは逆に資料4を否定していることにもなりかねませんよ。そういう疑問が課長の疑問だとすれば、逆に私は資料4の正当性について、課長にお聞きしたくなります。以上です。


○朝川企画課長
 誤解を生じさせて恐縮なのですが、一つ一つ議論を積み重ねて結論は出すべきだと思いますので、次の論理もあるのですが、前段で今logMAR視力で等間隔に割り振ることの妥当性が本当にあるのかどうかをちょっと確認したかったわけです。logMAR視力でこの4つの等級、2級から5級を3つずつで割り振ると、確かに合同委員会の案の結論になるわけです。
 一方で、竹下委員が今日、ご提案頂いておりますのは、等間隔に割り振ると、竹下先生が今日出していただいた紙の結論にはならないので、いろいろな結論が出てきてしまうときに、本当にこの3つずつ割り振っていくということに、どこまでの合理性・正当性があるのか。そこがどこまで説明できるのかを確認したいというのが今の段階なのです。
 その上で、もし3つずつ等間隔に割り振ることに一定の合理性があって、しかし補強的な論拠があればなおいいので、それが今日お示しいただいた資料4なのだと思うのです。資料4がそれが更に補強材料になっているかどうかというのがもう1つの論点で、先ほど竹下委員は資料4は必ずしも論拠になっていないのではないかというご意見を頂いておりますので、したがって2つロジックが重なって、今、合同委員会に提案頂いている案が妥当であると結論付けられるのかどうか、そこを確認したいところです。
 さらに、もう1つ申し上げますと、3級と4級の区分の所も論点としてあるわけで、等間隔に割り振った場合、小数視力に直すと0.07と0.08の所にラインが引かれますので、一方、竹下委員から今日、もう1つ右側、0.08と0.09の所でラインを引くべきというご提案を頂いておりますので、それでは合同委員会にご提案頂いている小数視力にして0.07と0.08の間にラインを引く、その合理性は何か補強的に説明が可能なのかどうか、そこを確認する必要があると思っております。


○中村座長
 今の厚生労働省からのご質問に対してお答え頂けると有り難いと思いますが、ご意見はありますか。


○竹下構成員
 竹下です。今の課長の疑問点の意味が私は理解できない。確かに1つは0.03と0.04、あるいは0.07と0.08のどちら側に合理性があるか、妥当性があるのかの根拠とおっしゃっているわけですが、それはなぜ理解できないかということなのです。それは現行の等級表でいけば0.04、それは両眼の視力の和と書いていますよ。先ほど私は一番分かりやすい片眼の人の例を挙げました。現在0.04の片眼の人が2級になっているのです。それを否定する根拠があるなら、私は示していただきたい。片眼が0.04の人の等級が2級として現行法がなっているものを、それに不合理性があるという根拠があることが示されて、初めて次の段階としての0.03に合理性があるか、根拠があるかという議論があって然るべきなのです。それを同じように並べて議論するというのは、あえて言いますが、法律的にも理解できない。今の課長の問題提起の仕方は、現行法も不合理だという前提に立って初めての疑問点なのです。そんな疑問点の提示の仕方が役所から出てくるのは、私は全く理解できない。少なくとも現行法における整合性なり妥当性があるからこそ、片眼の人で言うならば0.04は2級であるというのは矛盾していなかった、あるいは不合理でなかったから70年間近く、この基準で来ていると思うのです。それを否定する理由が課長にあるという前提に立つなら、それを先に示していただかないと、議論が先に進まないのではないでしょうか。以上です。


○朝川企画課長
 企画課長です。うまく説明ができていないのかもしれませんが、今この検討会では、見直しをするならばどうしたらいいかという議論をしていただいているつもりです。となると、現行が正しいのだからと言われてしまいますと、一切見直しはできないということになってしまいます。確かに等級が下がるところについては、より合理性が求められると思いますが、等級が上がるところについても合理性は必要で、それを現行が絶対である、現行は誤っていないという立場に立ってしまいますと、それは見直しはできないということになってしまいますので、そこは1つ乗り越えて議論を進めていかないといけないのではないかと思っています。
 その上で、今、良いほうの眼0.04、悪いほうの眼0の方が2級になっている、その方が合同委員会で提案頂いている案だと3級になるという案ですので、その論拠はどこによっているかと言いますと、logMAR視力で3つずつ等間隔に割り振るというのが出発点になっていますから、そこに合理性があるのかどうかというのが1つ重要な論点になるのではないかということで、確認申し上げているということです。


○中村座長
 この点について、ほかに意見はありますか。現状は世界的に見てもそのようになっているというご意見と、それが現実かどうかというご意見、あるいはそこについてもう少し考えたほうがいいのではないかという田中構成員の意見、そこが考慮されたかという意見が今、出ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。


○湯澤座長代理
 湯澤です。2級、3級、4級に関するADLを視力で割って調べたという報告はないと思います。ですが、外国の文献ですと、視力が悪いと、脳梗塞と比べたときにADLが変わらないというのと、うつ病になりやすいという報告があるので、こういう分り方にして問題はないのだと思っています。それでよろしいですか。


○中村座長
 いかがでしょうか。


○朝川企画課長
 よろしいかどうかということを、今、私が判断する立場にはないのですが、もし今、湯澤先生がおっしゃったような根拠が諸外国で示されていると仮定して、問題は日本の等級表に当てはめるときに、片眼、良いほうの眼が0.04の方は、3級が妥当であるという論拠になっているかどうかなのです。
 その論拠は、今日までにお示しいただいている範囲で私が理解しているのは、logMAR視力を3つずつ等間隔に割り振るというのが妥当である、というのが1つの論拠。もう1つは今日、資料4でお示しいただいたものが、補強的な論拠であると理解しているので、そこにどこまでの妥当性があるかということをしっかりご議論いただかないと、我々として自信を持って、これが妥当であるという判断ができないと、そういうことを今、疑問の形で申し上げているわけです。


○竹下構成員
 課長の指摘の中で、先ほど1つ手前の発言の中で、確かに現在2級の人が3級になることの不利益は分かりましたが、逆に片眼、良いほうの視力にしたときに、今まで3級の人が2級になる可能性がある、重くなるというか、それについて合理性があるのかということをおっしゃったけれど、結論から合理性はあるということです。なぜならば、良いほうの眼での視力が基本となって、ADLなりその人の生活の困難があるからです。
 しかも、そのことは湯澤先生も指摘されているように、諸外国でもそうでしょうけれど、私は諸外国のことはよく分かりませんが、少なくとも日本でADLを考えるというよりも、私の場合は視覚障害者の生活の困難から、あるいは学習の困難から、判断するときに良いほうの眼を基準として、一番分かりやすいのは例えば0.03と0.02の方が、今度の基準が0.04になろうが、0.03になろうが、2級になる。それは極めて合理的なわけです。それは、良いほうの眼がその人の生活の困難の基準になっているからです。
 それは何度もお話していることなので、十分にご理解いただきたい。だからこそ、そこでまた課長が議論を混ぜこぜにするかのようにするようだったら、現行法を変更できないかのような、あるいは両眼の視力の和の所も見直しができなくなるかのような、それはまるで議論を混ぜ返すようなことだという、それは不穏当なご発言だと思います。以上です。


○朝川企画課長
 表現が悪ければ謝りますが、私がある意味困っておりますのは、0.03と0.04の間にラインを引くのが妥当であるという合同委員会のご主張があり、もう1つ今日、竹下先生から、いや、そうではなくて、今、良いほうの眼が0.04で、悪いほうの眼が0の人は2級なのだから、それを出発点にして考えれば、0.04と0.05の所にラインを引くべきであるという、2つの意見がこの場でも出ているわけです。
 それはどちらにしたらいいかということを、変えるのであれば決めなければいけないわけですが、では、どちらに合理性があるのかということを、確認をしていく必要があると思いまして、何回も確認をさせていただいているという、そういう趣旨ですので、変えることができなくなってしまうという表現をしたのは不適当だったと思いますが、確認させていただいている趣旨はそういうことです。どこにラインを引くのが妥当なのかということについて、より合理性を求める必要がありますので、そこの確認をさせていただいているということです。


○湯澤座長代理
 ADLやQOLについて言うと、全身疾患用の調査票を眼疾患に当てはめることが難しいです。例えばあなたは歩けますかと言われたら、眼の悪い人は歩けると答えますが、そうすると眼の悪い人のADLはいいのだということになります。
 実際のところは、その人は「眼が見えないけれども、あなたは歩けますか」と言われたら、「歩けない」となるので、今の全身疾患用のQOL、あるいはADLの調査票で、視覚障害の人の的確な、QOL、ADLを測ることはできないのだと思います。
 だから、眼科用の調査票を作り、それを晴眼の視力がいい人と比べないと、ADLとして、ちゃんとした結果を示すことはできないのだと思います。例えば視力障害によるものだったら、「あなたは視力障害によって何々ができますか、何々をすることが困難ですか」と問だったら、視力障害に基づくADLを測れます。
 だから、ADLを疾患特異的な、眼科に特化したものに作りかえないと、眼科疾患の視力障害によるADLは測れないのだと思います。比較ができないということだと思います。


○朝川企画課長
 今、湯澤先生におっしゃっていただいた点は理解したつもりですが、そうしますと、視覚障害者用にADLと対比させて、等級との関連付けをしたデータを模索するということは、論理的には可能であるという理解をしてよろしいのでしょうか。


○湯澤座長代理
 今は視力障害によるADLの調査票がないので、だから困難なのだと思います。一般的なもので使うと、それは視覚障害の人のADLはすごく良くなるのです。それは歩けますか、はい、食事できますか、はいになってしまうので。


○朝川企画課長
 今は調査票がないということは理解するのですが、何らかの形で調査票を開発して、それで何らかの合理的な基準を模索するということは、あり得るという理解で良いですか。


○湯澤座長代理
 ADLに関しても調査票を作るというのはすごく大変なことだと思います。それは妥当性とか信頼性とかいろいろなことを考えて、調査票を作らないといけないので。それを作ってやることは有用ですが、ものすごく時間がかかると思います。


○中村座長
 分かりました。ほかにご意見はありますか。


○田中構成員
 視力だけでADLやQOLを評価するというのは、なかなか難しいと思います。どちらかというと生活の困り事というのは、視野がどこが残っているか、どこが欠けているかということによって全然変わってくるので、視力単体で考えても、どこで線引きをするというのは難しいし、根拠を出すのも大変かもしれない。とすると、現在視力0.04の人が受けられているサービスを剥奪してしまうことが、本当にいいのかどうかというのは慎重に判断が必要だと思います。
 根拠が出せない、出しにくい中で、今受けられているサービスが受けられなくなってしまうのがよいのでしょうかというのが、竹下構成員のご意見なのかなと思います。


○中村座長
 ありがとうございます。ほかにご意見はありますか。厚生労働省はいかがですか。現在、意見がまとまっていない気もしますが、そもそもの合同委員会からの意見と、少し違う田中構成員からの意見もありましたので。


○朝川企画課長
 今日は議論を深めることが目的で、結論を出す回ではないと思っているので、多様な意見を頂いておりますので、それを少し時間を掛けて整理をさせていただいて、次回以降に臨みたいと思いますので、このテーマはこの程度でもよろしいかと思います。


○中村座長
 分かりました。それでは、いろいろご意見を頂きまして、ありがとうございました。
 では、(4)の所に進みたいと思います。(4)周辺の視野狭窄が進まず、中心暗点だけがある場合の視野評価について、こちらは合同委員会の方からご説明いただけますか。松本構成員、お願いします。


○松本構成員
 この中心暗点の問題に関して、資料5として合同委員会から資料を出させていただいております。前回の委員会のときにも問題になりましたが、中心暗点に関してどのように取り扱っていくかという点です。
 従来の改定前の判定基準では、中心暗点そのものは、基本的には視力の方で判定をして、視野では判定しないというのが一般的なルールになっています。これは、中心部分が見えなくなる中心暗点がある方のほとんどが視力も悪くなりますので、そちらで等級判定をするというのが、その趣旨になっていました。
 しかし、前回もご意見があり、我々の方でもすでに報告させていただいているように、幾つかのケースで、中心暗点があっても比較的視力が保たれている場合があり、このような方が等級を申請できないという問題が上がっています。
 また、病期が進行して、中心部分の残余視野が消失してしまった場合に、中心暗点であるとの認識で、視野からは判定できないということになり、逆に等級が下がってしまうという不合理な情況も報告されております。
 これらの点を踏まえ、改定案の中では、大きく分けて2つの対策を盛り込んでまいりました。1つはゴールドマン型視野計の場合に、従来ですと1/4(いちのよん)イソプタで10度以内に残余視野がなくなってしまった場合には、中心暗点という形で視野からは評価できなかったのですが、このような情況でも実際には、まだ視力が保たれていて、かえって等級が下がるというケースありました。改定案では、このような大きな中心暗点に関しては、そのまま視野としても評価を続けることができるようになっております。
 さらに今回から、新たに自動視野計による判定を導入しております。エスターマンによる周辺視野の視認点数が70点以下であれば、10-2のプログラムで中心10度以内の判定に進むわけですが、この場合には中心暗点があるから駄目だという制限はなく、見えている点の数でカウントするという形で対応しております。エスターマンによる周辺視野の視認点数が70点以下であれば中心暗点に関しても、視野として評価できる様になっております。
 ただ、この改定案でもまだ少し問題になっておりますのは、先日の質問の中にもありました、全く周辺視野に異常がなくて、中心10度以内にだけ中心暗点がある、しかし視力はまだ保たれており、等級判定できないケースです。今回の改定案でも、このような患者さんには、対応できておりませんでした。
 その後、この件について多数症例を調査し、合同委員会のほうでも議論させていただきました結果、1つの追加提案を、資料5に呈示させていただいております。追加提案では、従来5級は周辺視野が2分の1以下、あるいはエスターマンで100点以下でしたが、この5級に、周辺視野が規定を満たしていなくても、中心部分の視野が3級以上の、非常に重篤な障害がある場合には、単独で5級相当として評価をするという案です。
 その際に、資料5の2ページ目になりますが、従来はゴールドマン型視野計の場合には、イソプタの視野の広がりだけを評価しておりましたので、中心暗点、傍中心暗点がありましても評価できなかったですが、今回は、中心暗点、傍中心暗点がある方にも考慮しまして、中心視野角度を算出していく過程で、暗点を通っているような所に関しては、その角度は差し引いて、そこは見えていないとして、全体の中心視野角度を算定する方法としました。これにより、ゴールドマン型視野計におきましても、中心暗点、あるいは傍中心暗点を含めた評価を可能とするというのが、追加の提案です。以上になります。


○中村座長
 ありがとうございました。ただいま松本構成員から改正案の追加提案も頂きましたが、その案も含めて、ご意見、補足などがありましたらお願いします。この点はよろしいですか。眼科学会、眼科医会のほうからは、今の追加についてどうですか。石橋構成員はいかがでしょうか。


○石橋構成員
 特にありません。


○中村座長
 高野参考人はいかがでしょうか。


○高野参考人
 特にございません。


○中村座長
 視野の件はよろしいでしょうか。それでは、本日のところは特に追加のご意見はなかったということにしたいと思います。それでは、資料1の5ページの(5)と、6ページの「4.その他の検討事項」の2つについて、ご意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。(5)視力障害・視野障害以外に見づらさを来す状態について、ご意見を頂けますか。


○竹下構成員
 私たちの仲間で、確かに等級に当てはめるとすると、0.6前後ある方で、しかし様々な場面で困っている方に、よく出会います。2つありまして、1つは病名で言いますと色変の方とか、あるいは病名は正確に分かりませんが、広い意味で夜盲症と言うのでしょうか。そういう方で、視力としては0.6以上ある。視野もそんなにまだ狭くなっていない。しかし、現実の生活の中で困難であるがために、免許を自分から返納した友人もおります。
 もう1つは、逆に今度は眩しさで見えない方についてですが、そういう方についても視力検査の場面としていえば、室内では極めて高い視力認定が出る。しかし、太陽の下で仮に視力を測ることがあるとすれば、0.1も出ないのではないかと思うほど見えなくて、困難に遭遇する。こういう方に対して、何らかの支援ができる仕組みを作っていかないと、身体障害者という概念そのものとのずれが出てくるのではないかということを心配しています。
 すなわち身体障害というものを、我々はどうしても日本の制度の上で、視力に関しては1~6級となっているわけですが、この等級に該当しない限りは、一切の福祉サービスの利用ができないし、社会の理解も得られない。それを、例えば自分は目が悪いんだという言い方をしても、仮病のようにさえ言われてしまう。そういう方について社会的な認知と理解、それから本人の日常生活・社会生活における困難等を測れるような1つの枠組みというのは、こういうせっかくの議論の場ですので、今後の課題として是非お願いしたいと思っています。まだ不勉強で名案が出せませんが、その辺は重要な問題点として、今後の検討課題に残していただくことをお願いしたいと思っています。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。


○仲泊構成員
 今お話に上がりました夜盲、羞明とともに、こちらの資料にあります眼瞼痙攣のように、あるときは見えるけれど、あるときは非常に困難になるという事態があります。これに関しては、身体障害者という定義上、一定以上で永続するという所に反しているわけです。
 だから基準と身体障害の要件という意味で考えたときには、それには当てはまらないというのが正しい解釈だと思います。ただ、困っていらっしゃる現状というのは、みんなよく知っています。
 それから総合支援法の、例えば同行援護の基準などを見ますと、身体障害者の永続性ということだけではなくて、夜盲症がある方にもサービスが得られるようになっています。また、難病のほうを考えても、難病の方たちがいいときと悪いときとあって、それによって身体障害者手帳が得られないという方にも、福祉サービスを与えようという発想が出てきています。
 そういった趨勢から考えると、このような現行の身体障害者福祉法の、「一定以上で永続する者を身体障害者とする」という基準には当てはまらないので、現段階でそれを基準の中に組み込むわけにはいかないけれども、将来的に、そういった方たちにも何らかの支援というものが得られるような、そういうシステムというか枠組みが必要ではないかと思います。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。厚生労働省、お願いします。


○朝川企画課長
 6ページの「4.その他の検討事項」について、今はご意見が出ていない状況ですが、これまでの意見の欄を見ていただいて、この論点をどう考えるか、もしご意見を頂ければ助かります。


○中村座長
 6ページの4番についてもご意見を頂けますか。


○湯澤座長代理
 視力検査の件です。視力がすごく悪い人は、網膜の真ん中でものを見ることができません。ものを見る所が、網膜の中心からずれます。そこで日常的にずれた部位を使って視力を得ていて、生活をしているわけです。
 視力検査のときに、一応3秒ルールというのがありますが、それは真ん中の所でものを見ていると良いのですが、低視力者の視力を測るときは、どこでものを見ていらっしゃるかというのを、視力表をいろいろ動かして、探さないといけない。
 そうすると時間がかかりますので、人によって、特に年をとってくると反応も悪くなってきます。時間を決めて測定することが、特に視力が悪くなればなるほど難しいのだと思います。


○中村座長
 今のは明記したほうがよいということですか。


○湯澤座長代理
 明記しないほうがいい。それは人によって、視力によって、障害の程度によって、測定時間が違ってくるのでということです。


○中村座長
 丁寧にということですね。


○湯澤座長代理
 はい。


○中村座長
 どうもありがとうございました。ほかにご意見は頂けますか。6ページの、「その他」の下の段についてはいかがでしょうか。現時点ではゴールドマン型視野計で確認する点のことですが、ご意見はありますか。もし頂けるようでしたら、お願いします。


○松本構成員
 現時点で改定案に、自動視野計の測定で信頼性が担保できない場合には、最終的にゴールドマン型視野計で確認するということを記載させていただいております。
 では、それ以外の場合にどうだろうかというお話だと思うのですが、実際にいろいろなケースがあると考えられます。ゴールドマン型視野計の結果と自動視野計の結果を100%一致させることは困難ですので、頻度としてはまれと考えますが、今までゴールドマン型視野計で判定をしていまして、そして今回は自動視野計で判定して、等級が下がってしまったというケースもあるかもしれません。基本的には担当医が、患者様の視野の状況、測定の精度の状況を判断しながら、最も適切な判断をしていくという形をとるのが、最も公平ではないかと考えています。当然、等級が下がってしまうような場合には、従来通りゴールドマン型視野計を選択されることになると思います。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかに5ページの(4)、6ページの「4.その他の検討事項」についてご意見があれば、今お伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○仲泊構成員
 4.の前半のほうについて、意見を述べさせていただきます。基本的には湯澤先生のお考えと一緒です。ただ、考え方としては、これを提案された方は、視力を測るときに、視野が狭くて見ようとする所がなかなか見つけられない、非常に時間が掛かるという視力と、それからパッと見て分かる視力で、同じ数値であっても意味するところは違うであろうというのが論拠だったと思います。
 もし、この基準に視野の基準がなくて、視力だけで視覚障害を全て判定しようということであれば、それは非常に大事なことになると思います。ですが、視野の基準が別にあって、その中でこれを専門用語では視覚探索という言い方をしますが、目の前のどこにあるかということを、位置を同定するという機能。そして、そこを見てどれだけ細かいものまで見れるかという機能。これは違う話なのです。視力はどれだけ細かいものを見る力があるかという機能ですので、探すというところとは切り離して考えていいと思うのです。
 だから、視野で今回、中心暗点の方や、自動視野計の基準が新しくなったことによって、視覚探索の機能をより正確に反映できるようになっていますので、その辺りを勘案すると、時間を設けてということは、そこまでする必要はないのではないかと。
 実際、臨床の場でも、これを例えば3秒とかに決めたとすると、それを徹底するのが非常に大変な、要するに現実性が低くなってしまうのではないかということが、1つあろうかと思いますので、そういう意味で、全体の中でのこの部分に関しては、特に時間を設定する必要はないと考えます。以上です。


○中村座長
 ご意見ありがとうございました。ほかに委員のほうからありますか。


○久保田構成員
 私どもも、先ほど竹下先生も、両眼の視力の和は駄目で、良いほうの視力で判定したいという切なる願いがあるものですから、それを潰すようなことはしないでいただきたい。
 その上で、0.04と0、0.08と0の人に対して、どのような対策をとるかということを、厚生労働省のほうでも検討して頂きたいと思います。


○中村座長
 厚生労働省、どうでしょうか。


○朝川企画課長
 良いほうの眼で測る基準にしていったほうがいいということは、今日も確認をさせていただきましたので、その点はよく理解したつもりです。ただ、一方でどこにラインを引くかというところは、ご意見が分かれている状況ですので、やはりそこは厚労省が、こっちだと決めるわけにはいきませんので、論拠をより強く出していただく必要が更にあるというのが、私の今の時点での理解です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。今日の全体を通してでも結構ですので、ご意見がありましたらお願いします。


○高野参考人
 今日は参考人として出させていただきまして、ありがとうございました。私がこの会に出させていただくのは今日が初めてなので、いろいろ勉強になりました。そもそもこの合同委員会、眼科医会と眼科学会の合同委員会を立ち上げて、こういう報告書を出させていただいたのは、多くの眼科医から、今の基準はいかがなものかという具体的な意見があったからでございます。
 両眼の視力の和を入れるのはいかがなものか、また、今は自動視野計が普及している中で、ゴールドマン型視野計だけでは非常に不便だねという、そんな単純な意見が出て、委員会を立ち上げて、さきほど竹下構成員も賛成してくれたのですが、やはり両眼の視力の和はおかしいよねということになり、では、良いほうの視力を基準にしようとか、それから、できるだけゴールドマン型の視野計ではなくて、今、多くに普及している自動視野計で何とかできるようにならないかということが出発点だったと思います。今度はやっていくと、今日の議論にあるように、では、0.03と0.04とのちがいはどうなんだというところは、これは非常に難しいところで、だから12回も委員会をやって、何とか現場で眼科医療を行う先生方の、いわゆる学術的な目線で、この報告書ができたわけなのです。
 ですから、いわゆる患者様とか、視力障害者の方とか、国民とかの目線というのは余り議論されていなくて、我々はとにかく学術団体としての報告というか、意見を出させていただいたものがこれでございます。この回はいろいろな方々の意見を聞くということが趣旨だと思いますので、私も今日は十分勉強させていただきました。我々が報告書で出した論点というのは、今日、久保田先生、湯澤先生、松本先生、学会の先生方にお話いただいたとおりで、それがあの時点での一番の眼科医目線で見た、学術団体という目線で見た、プロフェッショナルの報告書だったということはご理解いただきたいと思います。いろいろご意見を頂いて、各人がまた持ち帰って、さらにこれから厚生労働省がまた叩き台を出して、今後もいろいろ話し合っていくと思います。私達の報告書というのは現時点ではそういうものであるのだということをご理解いただければなと思って、一言お礼と意見を言わせていただきました。以上です。


○中村座長
 ありがとうございました。ほかにありますか。ないようです。それでは、今後は、本日までに頂いたご意見を基に、また議論を集約化していくという作業になろうかと思いますが、事務局から何かご意見はありますか。


○峯企画課長補佐
 特にありません。


○中村座長
 分かりました。議事「その他」についてはいかがですか。


○峯企画課長補佐
 「その他」もありません。


○中村座長
 分かりました。それでは、本日の議事はこれで終了とします。次回の日程等について、事務局からお願いします。


○峯企画課長補佐
 本日もご議論いただき、ありがとうございました。次回以降の開催予定ですが、各構成員の皆様の日程の調整をさせていただいた上で、事務局から追ってご連絡差し上げます。事務局からは以上です。


○中村座長
 それでは、本日はこれで閉会とします。どうもありがとうございました。


(了)

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