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2017年5月18日 第58回先進医療技術審査部会
第58回先進医療技術審査部会
(1) 日時:平成29年5月18日(月)16:00~17:35
(2) 場所:中央合同庁舎第5号館専用第15会議室(12階)
(3)出席者:
山口座長、一色座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、関原構成員、
大門構成員、田代構成員、手良向構成員、藤原構成員、
松山構成員、山中構成員
(事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 医療技術評価推進室長補佐
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐
議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規申請技術の評価結果について
3.総括報告書の評価について
4.先進医療の継続の可否について
5.協力医療機関の追加について
6.先進医療の取下げについて
7.総括報告書提出状況について
8.先進医療会議の審査結果等について
9.その他
議事録
○山口座長 定刻となりましたので、第58回先進医療技術審査部会を始めたいと思います。本日は御多忙の折、また大変お足元の悪い中、皆様にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は上村構成員、田島構成員、山本構成員より御欠席の連絡を頂いております。石川構成員からは遅れる旨の御連絡を事前に頂いておりますので、少し順番を変えてやりたいと思います。本日は17名の構成員のうち、現時点で13名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 よろしくお願いいたします。配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、資料1-1から1-5。新規申請技術の評価結果について、資料2-1から2-5。総括報告書の評価について、資料3-1、3-2。先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、資料4-1、4-2。協力医療機関の追加について、資料5-1、5-2。先進医療の取下げについて、資料6-1、6-2。総括報告書提出状況一覧、資料7。先進医療合同会議の審議結果として、資料8。会議資料の最終ページは154ページとなります。本資料につきましては会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1、15ページ及び2-1、39ページに記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業につきまして、事務局から事前確認させていただいております。今回、整理番号74の技術(京都府立医大)につきまして、手良向構成員より申請者と同じ施設に御所属されておられます旨、御報告がありましたので、これらの技術の審議に際し、一時御退席いただきたく存じます。
また整理番号78の技術(横浜市民病院)につきまして、一色構成員、掛江構成員、大門構成員、手良向構成員、山中構成員より御報告がありました。掛江構成員、手良向構成員は50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。一色構成員、大門構成員、山中構成員は500万円以下でしたので、当該医療技術に関する検討に加わることはできますが、議事の取りまとめ及び事前評価には加わらないこととなります。また、山中構成員は、申請医療機関が御自身の所属の関連病院と御申告がありまして、審議時に御退席をいただきます。
事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。では、該当なしということで承知いたしました。
また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等につきましては、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料何番の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
なお、傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○山口座長 では、議事に入りたいと思います。継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1、15ページを御覧ください。再度、御評価を頂く技術は整理番号74「バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生治療」です。申請医療機関は京都府立医科大学附属病院です。なお、手良向構成員におかれましては、申請者と同じ施設に御所属されておりますことから、本技術の審議に際し一時、御退席いただきたく存じます。
(手良向構成員退室)
○医政局研究開発振興課専門官 本件の審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当は掛江構成員、山中構成員、以上となっております。
資料1-5、37ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保健医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、実施責任医師の要件として、診療科が、循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれかです。資格は循環器内科、又は総合内科専門医、又は心臓血管外科専門医のいずれかです。当該診療科の経験年数は5年以上が必要です。当該技術の経験年数は1年以上必要です。当該技術の経験症例数は、実施者として5年以上が必要です。その他の要件として、バージャー病以外の疾患に対する自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の経験が、術者として5例以上あることとあります。
また、医療機関の要件として、診療科が循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれかです。実施診療科の医師数は、実施診療科において、循環器内科又は総合内科専門医又は心臓血管外科専門医が2名以上常勤として配置されていること。また、血管再生治療の経験年数として3年以上有する医師が1名以上いることとあります。他診療科の医師数は、経験年数5年以上の麻酔科医が1名以上いることです。その他医療従事者の配置として、輸血を実施する部門が設置され、常勤の医療従事者が配置されていることとあります。病床数は200床以上が必要です。看護配置に必要な要件はありません。当直体制は循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれかが必要です。
緊急手術の実施体制は必要です。院内検査は24時間の実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制は特に要件はありません。医療機器の保守管理体制は必要です。倫理審査委員会による審査体制は、3か月に1回以上及び必要時開催が可能な施設とあります。医療安全管理委員会の設置は必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数は5症例以上が必要です。自家骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の経験が5例以上あること。バージャー病、閉塞性動脈硬化症、膠原病疾患による重症虚血肢とあります。その他の要件はありません。以上です。
○山口座長 これらの要件につきまして、何か御意見はありますか。当直体制ですけれども、循環器内科、膠原病免疫内科、心臓血管外科のいずれかがいないと駄目ということなのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 そのようになっております。
○山口座長 これでよろしいでしょうか。では、御意見ないようですので、様式9号についてはお認めすることといたします。
次に主担当の真田構成員から概要の説明と実施体制の評価について、御説明をお願いいたします。
○真田構成員 こちら、バージャー病に対する自家骨髄単核球細胞を用いた下肢血管再生治療の技術については、前回継続審議となっておりますが、この継続審議に係る指摘事項が資料1-3、21ページからにまとめられております。主な論点としては、本技術の評価に当たり、1つ目にはSPPという経皮的プローブを用いた灌流圧の測定の不安定性に関する試験のデザインの問題、2つ目には、この技術がバージャー病に対して有効であるという論拠の問題、3つ目には骨髄液を600mL採取することの安全性に係る問題、4つ目にそのほか、掛江構成員から詳細に御評価いただきました同意説明文書についての問題、この4点がありましたが、これらについて適切な回答が得られたと考えられましたので、今回、再評価に至っております。
私のほうからは、資料の30ページにおいて、このSPPという測定方法が経皮的なプローブを用いた、不安定な測定方法であるがゆえに、その複数回の測定に関して、測定方法及び測定値に関する安定性を確保するための測定の具体的手法と、それから例えば複数回測定したときの評価のルール等々を事前に定めておいてくださいということをお願いいたしましたが、それについてもそのようにいたしますということで、適切な回答が得られたと考えましたので、私のほうからは「適」の判断といたしました。
また、解析方法及び同意文書の詳細につきましては、山中先生及び掛江先生から御説明いただけるものと考えております。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、続きまして掛江構成員より、倫理的観点からの御評価について、御説明をお願いします。
○掛江構成員 よろしくお願いいたします。まず、説明文書に関しましては、最初はランダムマイズドスタディだったものがシングルアームに変えられたというところがありましたので、説明文書を大幅に書き直しされました。その上で改めて拝見したのですが、一番気になりましたのは、御本人同意でいいはずの試験なのですけれども、御家族の同意も必要というような書き方になっておりまして、また、同意書の中で公正な立会人とか代諾者とか、いろいろ出てきていて、その辺りでどういった方を対象にするのかというところの再確認等を、ちょっと時間を掛けてさせていただいたようなところです。
結論から申しますと、適正に直していただきましたので、説明文章としては「適」とさせていただきました。補償につきましても簡潔に説明されているので「適」としました。患者の相談の対応につきましても、きちんと整備されていることを確認させていただいて「適」としています。
○山口座長 どうもありがとうございました。掛江委員からかなり細かいことを、きっちりと問い合わせていただいて、しっかり答えられたということだと思います。それでは続いて、山中構成員より試験実施計画書等の評価について、御説明をお願いします。
○山中構成員 前回のときに一番問題になっていたのは、試験デザインのことでした。SPPが30mmHg以下の患者さんを登録するわけなのですが、前回はSPPが30mmHg以上に改善したことをもって、この治療が効いたと評価するという評価尺度でした。ただ、そのときに私が質問したのは、19や20から30以上に改善するのと、29や28が30に改善するのは意味が違いますよねということを申し上げて、前後比較をされたらいいのではないか、つまり治療前のSPPと治療後のSPPを比較して、それが統計的有意に改善すればいいのではないですかということを申し上げました。
そのときに問題になっていたのは、治療前のSPPが検出限界の値となって測定できないと。例えば12か13の可能性はあるのだけれども、今の測定技術ではSPPが20以下ということは分かっても、幾つなのかが正確に決められないので、前後比較ができませんという御回答でした。その辺りをどうすればいいか、検討してくださいということを申し上げて、研究者のほうから出てきた回答というのが、15や16で仮に検出限界で測定できなかった場合、それは20として扱いますという回答を頂きました。
ですので、実際は15や16から、例えば30になっていたとしても、その15や16という値が分からないわけですけれども、それが20から30に変化したということで処理しますと。そうすると、保守的な評価になってしまいますけれども、その保守的な評価をもってしても統計的有意になったら良しとするということなので、いいかなと思います。
あとは、そもそもSPPがきちんと測れるのかという、いわゆる定量性に関しましては、真田先生のほうからいろいろ照会をされて、適切に回答をされていると思います。あとはこの間の議論になりましたけれども、そもそもSPPでいいのかというところは最大の論点だと思います。この治療の良し悪しを何をもって評価するかということに関して、今はSPPを用いているわけなのですけれども、今回に関しては探索的な試験の意味合いがまだ強いと思いますので、SPPで了解しているところです。
ただ、この後、後続の臨床試験をうっていくと思うのですけれども、そのときにもSPPでいいのか、真のエンドポイントが何かということも問題なのですけれども、そこに関してはまだコミュニティの中できちんとした答えがないと思うので、やはり継続して考えていってもらいたい問題だと思います。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは真田構成員より事前のまとめと総合評価をお願いいたします。
○真田構成員 今、山中先生、掛江先生のほうから御説明を頂いた事項に加えまして、私のほうからも、山中先生のほうから御指摘のあった、SPPを用いることについての限界及び代替のエンドポイントの可能性ということも、いろいろと1回目の審議のときから議論させて頂きましたが、一般的に灌流圧を数値として反映できる検査で、SPPをおいてほかに画期的に代替となるものがないという状況でした。
そして、出発点は測定不能を20mmHgとし、終着点は測定不能を0と読むという、かなり保守的な解析方法を取られたということを鑑みますと、これをもって本試験のエンドポイントは妥当性があると考えるに足るだろうということをもって、私のほうからも「適」の判断とさせていただきました。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは皆様、何か御意見ありますでしょうか。
○柴田構成員 ロードマップについて確認したいのですが、先ほどの山中先生のコメントによりますと、資料1-4の36ページですが、この試験の結果がロードマップでは、論文作成して学会要望・保険収載と書いてあります。先ほどの御指摘があったように、このロードマップは、こうは簡単にいかないのではないかという印象を持っていたのですが、山中先生のコメントもそうであったので、この結果、今回はいいと思うのですが、エンドポイントが妥当かという話も含めて、保険収載を狙ったときに、次のステップが必要なのではないかと私は印象を持ったのですが、先生もそのようなお考えですか。
○山中構成員 そのとおりです。
○真田構成員 御指摘の点につきましては、私も1回目の審議のときに指摘をさせていただいて、結構、議論をしたと認識しております。現在、下肢の血流不全に関しては、例えば皮膚の潰瘍や感染、SPPの値なども含めた総合的な評価が近年提唱されたところではあります。しかし、それがいまだ確固たるコンセンサスとして確定していない状況にある中で、この絶対的に測定評価ができる値をもって、エンドポイントとすることを妥当と考えるか否かというところが議論になったかと認識しています。
当然、主要評価項目は、このSPP値なのですけれども、その副次評価項目及び、その測定項目の中には、今、正に、新たに出てきた総合的な評価に対しての、それぞれのパラメーターを拾っていくという試験計画になっていますので、最後、データがそろったところでは探索的に、そのような総合評価ができることも可能なプロトコールになっているのではないかと、私も認識しております。以上です。
○山口座長 ほかにはありませんか。ちょっと申し上げましたように、前回かなり細かく議論して、特に真田先生からは厳しい御指摘がありましたし、掛江先生のほうからもいろいろなことを御指摘いただきました。ただ、1つ、山中先生、これはシングルアームに変更という形でよろしいでしょうか。
○山中構成員 特に問題ないと思います。治療の性質からすると、やはりRCTでは同意が取りにくいのではないかと思いますし、前後比較ということですので、自己対照、インナーコントロールを設けていますので、この段階の試験としては適切かなと思います。
○山口座長 ありがとうございます。あと、600cc取るというところ、私も素人なので、余り専門ではないので、こんなに取れるのかと疑問に思いました。この辺りも27ページで回答がありましたが、このような回答で安全性についてもよろしいということでしょうか。
○真田構成員 こちらについては、今までの症例数の実績等を勘案して、妥当ではないかという判断にいたしました。
○山口座長 ありがとうございました。600ccも骨髄を採られたら大丈夫なのかとちょっと思ったのですが大丈夫なようです。ほかに御議論、何かありますか。
それでは、整理番号74につきましては「適」ということにしたいと思います。では、手良向構成員にお戻りいただくようにお願いします。
(手良向構成員入室)
○山口座長 一色先生は今、おいでいただきましたが、まだ石川先生が到着されていませんので、少し順番をずらしまして、先に医療機関の追加をやりたいと思いますので、事務局のほうから説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 それでは資料5-1、83ページを御覧ください。これまでに大臣告示されている4つの技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。資料5-2、85~88ページを御覧ください。こちら、事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。
○山口座長 いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○山口座長 では次に、先進医療Bの取下げについて、やはり事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、89ページを御覧ください。告示番号35の技術につきまして、先進医療Bの取下げがありました。取下げ理由は、予定していた症例数が終了したためです。こちらも特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 これは症例が終了したということですね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○山口座長 では、手続を進めてください。次に、先進医療Bの協力医療機関取下げについて、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 では、資料6-2、91~92ページを御覧ください。大臣告示されている2つの技術につきまして、先進医療Bの協力医療機関の取下げ申請がありました。取下げ理由は、告示番号25につきましては、試験予定期間が終了し、現在、治療継続中の医療機関以外では、今後、新規の症例登録は行われないための削除です。
また、告示番号55につきましては、実施責任医師退職のためであり、当該医療機関での実施症例はありません。これらも特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 では次に、総括報告書提出状況一覧について、事務局より報告をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 では資料7、93~94ページを御覧ください。こちらは先月の部会におきまして、これまでの技術の総括報告書の提出状況をまとめるよう、御要望を頂きました。94ページ、告示番号43以降が総括報告書を提出することとされております。これらの中で告示削除日から日が浅いものもあり、これから御提出いただけるものもあると存じます。こちらについて、御意見等ありましたらお願いいたします。
○山口座長 93、94ページにまとめられておりますが、43番以降についてはデューティとして、いつまでに報告を出しなさいということを言っているわけですかね。それ以前のものについては報告がなくてもとがめることはできないと理解してよろしいですか。
○医政局研究開発振興課専門官 一応そのようになっております。
○山口座長 ちょっと考えると、報告なしでずっとというのは確かにおかしかったので、43番からきちっと出ているということですね。ここまでで何かコメントなどはありますか。
○柴田構成員 41番より上については、制度上、しょうがないということは分かるのですが、94ページの一番下の備考に、総括報告書が提出されたものの、部会審議されなかったものが書いてあります。保険収載されたとか、他社製品が薬事承認された、治験へ移行したというものは分からないでもないのですが、優越性の有無が評価できない結果だったというものは、総括報告書が提出されたものの、部会審議されなかったということは、結果が世に出ないということなのではないかと思うのですが、それはまずいのではないのですか。いかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 当時の判断で、かなり以前の試験に関しましては、余りプライマリーエンドポイントの結果がはっきりしなかったスタディもあると認識しておりまして、そういったものの総括報告書を提出いただいたときに、なかなか優越性の有無の御判断そのものが難しいものがあったということで、審議に上げるに至らなかったと認識しております。
○柴田構成員 ということは、外から見ると、結局保険収載されていないということをもって、きちんとしたエビデンスが出なかったと解釈してよいということでしょうか。
○医政局研究開発振興課長 先生がおっしゃっているのは、恐らく43番以降の部分ですよね、そこがなしで審議されていないというものについて、告示削除日からまだあまり経っていないものもございますので、今後出していただけるものもございますし、当時の試験計画では、そういう形で出ていないと。その説明がされていないということです。
○柴田構成員 41番より前のものについても、先進医療として実施しました、それで終わりました、でも何年たっても保険収載されていませんということは、その保険収載されていないという事実をもって、やはり十分な有効性、安全性、医療上の有用性を示せる根拠がなかったと解釈してしかるべきということでしょうか。
○医政局研究開発振興課長 今の段階ではそういうことです。
○柴田構成員 分かりました。ここははっきりさせておかないと、先進医療の結果を出さないことで、あるいは結果を論文として公表しないとか曖昧にすることで、本当はネガティブな結果であったにもかかわらず、一旦は先進医療に認められましたよということを活用して、不適切に世の中に広まってしまうようなことがあってはいけないですから。
やはり、きちんと先進医療で認められて実施はしたものの、最終的には保険収載されていないということは、まだまだきちんとした根拠は出されていませんねと解釈しないといけないものだと思うので、ちょっとコメントさせていただきました。
○山口座長 全くごもっともな意見だと思います。先進医療と称して怪しいものも俎上に乗ったときに、それを駄目だということを明確に言う必要があると思うのです。良いものだけが良いのではなくて、そういう役割も、多分ここにはあるのではないかと思うので、柴田委員の言われることはもっともだと思います。ほかにありませんか。
○掛江構成員 すみません、ちょっと分かっていないので教えていただきたいのですが、43以降は全部報告書は出さなければいけないのですか。
○医政局研究開発振興課長 そうです。
○掛江構成員 そうすると、結果が出なくても、結果が出なかったという報告書はきちんと出てくるという理解でよろしいですか。
○医政局研究開発振興課長 そうですね。
○掛江構成員 その前については、これはもちろん制度上ということは理解はしたのですが、お願いすることとかは、やはり難しいのですか。
○医政局研究開発振興課長 一応、お願いをすることはできます。ただ、実際問題、その病院に実施責任者がいらっしゃらないとか、そういう可能性がありますが、それはもちろんお願いすることはできると思います。
○山口座長 提出を命ずることはできないということですね。出さないからといって駄目じゃないかとは言えないということだと思います。あともう1つは、提出を義務付けてからいつまでにという期間などは示しているのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 現状は速やかにということで、期間は設けておりません。
○山口座長 先進的な医療なので、どこまで速やかにすべきかということに関しては、今までの報告書は半年以内に出ている所が多いようですから、半年を1つのめどとしてよいのではないでしょうか。もし特別な事情があるのだったら部会に説明を提出していただいて、認めたら延長とか何かそういう形にしないと、期限なしでは少しまずいような感じがすると思うのですが、いかがでしょうか。
○柴田構成員 実際の43番以降の1つ1つの試験でどうだというのは、ちょっと記憶がないのですが、試験によっては長期フォローをしてから結果が出るものもあります。正当な理由があって出されていないものと、終わっているにもかかわらず速やかに出していないものがあるので、今後そういう事例が増えてきたら区別できるようにされたほうが、きちんとやっておられる先生方にとって不名誉なことにならず、きちんとやらない所にはきちんとやっていないということが世の中に明確になるということです。
例えば、その結果が出るタイミングは計画に書いてありますので、何年頃提出予定というのは、今後、増えてきたら追記したらいいのではないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。
○山口座長 その辺り、是非、検討いただいて決めていただいたほうがいいと思うのですけれども。ほかにありませんか。よろしいでしょうか。それでは次に、先進医療会議の審査結果等について、事務局より御報告をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 それでは資料8、95ページを御覧ください。1件の新規申請技術につきまして、先日5月11日の先進医療合同会議にて審議されました。整理番号112、高齢者進行肺扁平上皮癌に対する初回治療としてのニボルマブ単剤療法、申請医療機関は九州大学病院です。本技術につき、合同会議にて継続審議との評価を受けております。以上です。
○山口座長 何か御質問ありませんか。では、これは御報告ということで、ありがとうございました。それでは元に戻って、新規申請技術の評価結果を始めたいと思います。それでは事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1、39ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号78「既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対するニボルマブ+ドセタキセル併用療法」です。適応症は、既治療の進行・再発非小細胞肺癌。申請医療機関は、横浜市立市民病院となっております。山中構成員におかれましては、御自身の御所属の関連病院との御申請がありましたので、一時御退席いただいております。
(山中構成員退室)
本件、審査の担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当が田島構成員、手良向構成員、以上となっております。
資料2-5の59ページを御覧ください。審議に先立ち先進医療を実施可能とする保険療機関の要件について、事務局より御説明します。実施責任医師の要件として、診療科は呼吸器内科又は腫瘍内科、資格は日本内科学会認定医または日本呼吸器専門医または日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医または日本がん治療認定機構がん治療認定医となっております。当該診療科の経験年数が10年以上必要です。当該技術の経験年数は要件がありません。当該技術の経験症例数も要件はありません。
医療機関の要件として、診療科は呼吸器内科又は腫瘍内科。実施診療科の医師数に要件はありません。他診療科の医師数にも要件はありません。その他医療従事者の配置として、薬剤師が必要となっています。病床数は50床以上。看護配置は10対1看護以上。当直体制は内科の当直が必要です。緊急手術の実施体制は必要。院内検査の24時間実施体制は必要。他の医療機関との連携体制は不要です。医療機器の保守管理体制は必要。倫理審査委員会による審査体制は3か月に1回以上の定期開催が必要です。医療安全管理委員会の設置は必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数は要件がありません。その他の要件は特にありません。以上です。
○山口座長 これらの要件について、何か御意見はありますか。
○藤原構成員 今これを見ていて気付いたのですけれども、今年2月に、厚労省からニボルマブについては非小細胞肺癌は2月に出たのですが、最適使用推進ガイドラインというのが出ていて、最適使用推進ガイドラインの中身に比べると、これは結構、例えば資格の要件とかは緩かったりとか、施設要件も緩かったりするので、ニボルマブについては最適使用推進ガイドラインとそろえておいたほうが、同じ役所から出るものなのでいいかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官 承知しました。
○山口座長 ありがとうございました。
○真田構成員 私もガイドラインは不勉強なので申し訳なく、恐らく藤原先生と重複する所になるのかもしれませんが、この要件を詳細に見ていきますと、例えば診療科としては呼吸器内科又は腫瘍内科と、内科の中でも細分化された診療科が設けられているような施設を想定されていて、緊急手術の実施体制も要となっていますので、恐らくそれなりの規模を持った病院を想定されているのだと思う一方で、病床数は50、看護配置は11で、倫理審査委員会による審査体制が3か月に1回ということになると、病院の規模感としてのイメージがなかなか湧きにくいと思います。小さな病院まで広く包含しようとしているのか、それとも厳しいガイドラインに沿ってやろうとしているのかがわかりにくいという点です。
先進医療の本懐から言いますと、恐らく後者のほうがいいのでしょうし、藤原先生の御指摘からしても、この要件の所からは少し厳しめのほうに振れていくのだろうと解釈していますので、私も藤原先生の御意見に賛成ですし、この要件のことをつまびらかに言いますと、少なくとも倫理審査委員会が3か月に1回しかないというのは、このような医療をやるには不足かという感じはするのですが、いかがですか。
○山口座長 この点に関して何か御意見はありますか。今、ガイドラインの要件がどういうものかは私もよく分かりませんが、それは今、真田先生のおっしゃったこととマッチするかということでしょうか。
○藤原構成員 ガイドラインは、例えば特定機能病院とか、都道府県がん拠点以上の病院になるので、真田先生の要件は全然クリアしていると思います。ただ、倫理審査委員会に関しては、要件の中には確か最適推進ガイドラインの中ではうたっていない。あと、「50床」と書いてあるのは、これは前回も先進医療会議の合同会議のときも20床とかいうのがあったのですが、多分この診療科のベッド数で申請されているのだと思うので、それは病院全体でとリマインドしてあげれば、そこは大丈夫だと思います。
○山口座長 少なくともミニマム、ガイドラインに沿っていけば、真田先生のおっしゃった懸念はある程度取れるのではないかと思います。したがいまして、藤原先生の御指摘のとおりガイドラインを確認していただいて、ここと齟齬がないかをやっておいたほうがよいのではないでしょうか。確かにガイドラインは非常に重要なものなので、照らし合わせておいた方が安全かと思うのですが、いかがですか。
○医政局研究開発振興課長 ありがとうございました。そのようにさせていただきますが、倫理審査委員会の3か月に1回については、どのように変更を。
○田代構成員 これは前も少しお話したのですが、そもそも医療機関の要件としてこれを課すのが適切なのかという問題もあるような気がしていて、倫理委員会の開催頻度がどのぐらいあるのかが、本当に医療機関としての適切性を担保するのかどうかということがあり、今、様々な審査の委託関係などもつくって、どちらかというと、本来の趣旨は、病院から少し離れた目線で中立的にきちんと評価してもらうことなので、例えば本当に倫理委員会の質を確保するのであれば、今、厚労省でされている、例えば認定されている委員会を使うこととかのほうが、実質としては合っていると思うのです。
そうなので、倫理審査委員会の要件については、どのぐらいが適切かは、私もこれはなかなか判断がしかねると思っていて、ここについては、先ほど真田先生からも話はあったのですが、全体として少し厳しめな要件になったときに、実際そこに入ってくるところで大体満たしている要件になっていれば、恐らく、多分2か月に1回は絶対やっていると思いますし、1か月に1回としてしまうと、多分休みで1回欠けたりする所がうまく拾えなくなって、少し変に厳しくなったりするので、そのぐらいの所で収めていただければいいのかと思っています。恐らく全体の要件を寄せた後に適切な形に収めていただくのはいいかと思っています。
○真田構成員 私も田代先生のおっしゃることに同意します。今まで、最近お認めしていた技術の中の記載を振り返ってみますと、恐らく大体2か月に1回ぐらいのレベルになっていたのではないかと認識をしていますし、そこは有害事象等々の審議などもありますので、要事開催、臨時開催規定が加味されていれば、それは最低限満たされるのではないかと思います。こちらには要事開催規定のことが書いていなかったので、私はそこをあえて申し上げた所ですが、その辺りはうまく調整していただければと思います。
○医政局研究開発振興課長 開催の回数等については、そのようにさせていただきます。田代先生からおっしゃられたのは、恐らく医療機関に必ず倫理審査会を置くという規定に関しての部分だろうかと思うのですが、これは臨床研究法が通り、今、来年までに中身を作っていく上で、先進医療ですから基本的には認定の臨床研究審査委員会に掛けていただくことが、法律が施行されると最終的には必要になります。そうした場合には、基本的にはその医療機関とのひも付けというよりは、どの審査委員会に掛かるかと、自分の施設の中ということに限定しなくなってきますので、それに合わせてこの規定については見直そうと課の中では考えておりますので、基本的にはそういう形で施行していきたいと思っています。
○山口座長 ありがとうございました。よろしいですか。確かに回数だけでやると怪しげな倫理委員会を開いたり、3件あったら、毎月1件ずつやるとか、そういうパターンも出てくるので、きっちりその構成要因とか、そういうところで縛らないと、実質的なものではないという御指摘だと思います。法律も変わりますので、新しい要件がまた加わると思いますが、今回余り問わないという形でよろしいでしょうか。ありがとうございました。今のガイドラインに沿って少し変えることを追加して検討していただくということで、様式9号についてはお認めしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございました。
次に、藤原構成員より概要の説明と実施体制の評価について、説明をお願いします。
○藤原構成員 お手元の資料2-4の57ページの概要図を御覧ください。この試験は、既治療の進行・再発非小細胞肺癌に対して、免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブの単剤とそのニボルマブにドセタキセルを加える2剤併用療法、これを比較するというランダム化比較試験です。
これはなぜ試験をやったかというと、後から評価でも少し述べますが、現行のニボルマブの添付文書の中の使用上の注意で、ニボルマブは原則として単剤で使って、他の抗がん剤と併用することについては、エビデンスがないと書いてあるのです。効能効果、あるいは用法・用量の使用上の注意なので、大臣の承認事項とは少しずれるところはありますが、使用上の注意にそう書いてあって、臨床現場では保険の査定のリスクがあって、なかなかスムーズに処方できないというところから、この試験が計画されたものと類推します。
試験のシェーマは、そこに書いてありますように、これは最近の日本肺がん学会のガイドラインとか、海外のNCCNのガイドラインに沿った流れで、ステージ3B/4期の術後の再発された非小細胞肺癌でPSが0から1、つまり外来で通えるような元気な方で、事前治療が2つのタイプの併用療法をこれまで受けたような方で、あと、EGFRとか、これは遺伝子名が書いていますが、様々な遺伝子を最近はチェックした上で、このオプジーボの投与をすることになりますので、適正な内容に組まれています。それでランダム化をして、先ほど申し上げたように、単剤群と2剤併用群に分けて投与すると。
登録期間は、一番下の四角に書いてありますが、この先進医療がもし通れば、告示から3年で追跡期間2年、これも通常のパターンだと思います。各群が175例で、全国30施設でプライマリー・エンド・ポイントは全生存期間であるという中身です。
評価ですが、41ページに戻っていただいて御覧ください。私は主担当で、副担当は田島先生が倫理の所で、デザインについては手良向先生に御担当していただいておりますので、まず田島先生のは事務局から紹介していただいて、手良向先生からはデザイン等についてのコメントを頂いた後に、総評にしたいと思います。
○山口座長 ありがとうございました。田島構成員から倫理的観点からの評価が来ていますので、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、42ページを御覧ください。倫理的観点からの評価は、いずれも「適」との御評価を頂いております。コメントとして、説明文書について、事前の指摘に従い所要の修正がなされ、おおむね問題点が解決したので「適」とした。補償はないが、付保を検討したものの補償対象とならず、また、対象が既治療の進行・再発癌であることからも、やむを得ないと考えて「適」とした。患者相談の対応も整備されている、と頂いております。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。手良向構成員から、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○手良向構成員 この試験は第2/3相試験で、350例が総症例数ですが、試験治療群の最初の50例が登録されたところで、試験治療群だけのデータを評価します。そのときのエンドポイントは6か月の無増悪生存割合とグレード3以上の肺臓炎の発生割合、効果と安全性を50例で評価して、ある基準をクリアすれば第3相に移るという少し複雑なデザインになっています。
私の事前照会事項は、お手元の資料の45~49ページですが、その第2相部分の評価、第1回目の中間解析と呼ばれていますが、そこでどういう評価を行うかについていくつか質問しております。1つは、肺臓炎の発生について、当初8週間以内となっていましたが、それでは短いのではないかということを指摘したところ、12週以内に少し幅を広げるという回答でした。あとは、特に有害事象による試験中止の判断基準をもう少し統計的に明確にしてほしいというコメントについては、その基準を設定していただいたので、適切に改訂されたということで、全て「適」と評価しました。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。藤原構成員から、事前のまとめと総合評価について御説明をお願いします。
○藤原構成員 お手元の資料の41ページを御覧ください。まず、私は実施体制を評価しましたが、責任医師あるいは医療機関、医療技術の有用性等については、問題ありませんでした。
最後の総評ですが、田島委員、手良向委員も全て「適」とされており、内容的にプロトコール、IC文書はきちっと整備されていますし、プロトコールは通常の先進医療技術審査部会にいきなり掛かってくるものの中では、非常に高いレベルのランダム化比較試験のプロトコールだと判定しました。
ただ、少し気になる所が1点だけあり、これはコメント欄に書いております。製薬企業から3年の登録期間、登録終了後2年の追跡期間、総研究期間5年ですが、予定症例数350例のランダム化比較試験に対して3億円弱の資金がTORG、これはこの試験をオーガナイズする臨床試験団体です。多分NPOだったと思いますが、肺がんの領域では関東を中心に多施設臨床試験を多数オーガナイズしている。それほどいかがわしい団体ではありませんが、そのTORGに3億円弱の資金を入れて、CROとかに委託しながら、このランダム化比較試験を先進医療Bでやるものです。
このニボルマブについては、試験が5年で終わるとすると、再審査期間が過ぎたぐらいでこの試験が終わるぐらいなので、通常の製薬企業にとっては再審査期間が近い品目について、新たに企業が治験を組んで多額の資金、このくらいの350例ぐらいの試験だと、多分10億円ぐらいの資金が掛かると思いますが、それを投入して実施し、更に効能追加あるいは使用上の注意の変更まで全部やるのは、なかなか経営判断としては難しいところがあるでしょうから、このくらいのお金を入れてこの先進医療の試験をやりたいという気持ちは分からなくもないのですが、一番引っかかりましたので、最終的に私の指摘、54、55、56ページ、これは5月11日に最終判断をする直前に、申請者の方々に確認させてくださいというので投げたものです。
56ページをめくっていただいて3番、お金をこれだけ入れていますが、適切な内訳ですかということを確認させてくださいと。通常、先進医療の申請資料の中では、試験経費については、積算根拠は余りはっきりしたものはいつも出てこないので、今回は見ておいたほうがいいかと思ってお願いしました。
その中でTORGとの覚書の内容とかが提出されてきました。これは皆さん方の資料、一般の方々には入っていませんが、皆さん方のお手元のタブレットの中の11の1と11の2に契約書と変更覚書が書いてありますので、そこに約3億円、正確には2億9,380万円の内訳、こういうふうに使われますというのが書いてあります。
内容的には非常にバクッとしているので、これは更にもう少し詳細を調べたいと思いますが、私の所属する施設は医療法上の臨床研究中核病院ですので、第3相試験をオーガナイズすることもあるので、当院の中のARO部門には積算のいろいろなメニューがありますから、このぐらいのサンプルサイズとこの試験期間でこのぐらいの値段はどうかを、一応計算させたのですが、それほど外れた値ではなかったので、それほどボッているということではないだろうと恐らくは思いますが、もう一度この精査をして、その上で座長の山口先生に大丈夫かを見ていただいたほうがいいかと考えましたので、私の最終評価は、43ページですが、「条件付き適」にいたした次第です。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは御討議をお願いします。ぎりぎりになってこの資金のことについての詳細な資料が出ましたが、御覧いただくと分かりますが、かなりざっくりしたものではあります。資料の11の一番最後とか、12の一番最後のページを見ると、ざっくりとした表が載っている。ただ、そのざっくりとした額は、藤原先生が専門家に見ていただいたら、額としては妥当なところではないかという感触はあるということです。もう少し詳細に見たいという御意見で、そういう「条件付き適」という形かと思うのですが、何かありますか。
○藤原構成員 追加で。皆さん方が見ていらっしゃる契約書の一番最後のページ、6/6ですが、怪しいものがあるのです。例えばプロトコール作成費用が300万円とか、頭で考えれば、自分で書けばただなのに、それほど300万円も取るのかとか、非常に疑問に思ったので、でも、この症例数のサンプルサイズとか、中央モニタリングでやるとかいうデザインを考えたら、当院の積算根拠でやると、トータルは全然外れた額ではなかったので、内訳の吟味をしたいというのは、個別の項目について少々確認したいという程度です。
○山口座長 ありがとうございました。何かほかにありませんか。これは藤原先生も少し書かれていますが、最初からこれは全て企業主導でやってもいいのではないかと思うのですが、あえてこの試験について、そういう形でやってもよいかという考えるポイントはどこでしょうか。
○藤原構成員 これは実は先週の合同会議でも同じような企業が資金を出資している試験、それは単群試験ですがありました。そこと今回の差別化を自分の中で、両方とも私が主担当をしたので、考えている中で、前回のほうは単群ですが、少し高齢者対応で、本来のガイドラインの治療とは外れた内容を対象群に含めてやっているというところから、資金提供プラス倫理的あるいは臨床試験デザインとしても問題があるかというところで、先ほど事務局から紹介した継続審議になったのです。
今回の場合は、臨床的に意義が非常に高いランダム比較試験であることは間違いないこと。それと、最初、説明のほうでも述べましたが、再審査機関の終了時期が、この試験がちゃんと終わる頃よりも前です。ですから、この試験がきちっと終わって、総括報告書ができる頃には再審査期間が過ぎてしまっているので、企業にとっては開発意欲が非常に下がる時期。ニボルマブは抗体製剤ですので簡単にバイオシミラーは多分出てこないと思いますが、これで余り営業的に再審査期間が過ぎてまでこれに開発経費を傾注するのは、通常の製薬企業の考え方からは外れるところがあるので、製薬企業が全面的に治験をやっていくのは多分抵抗感があるのだろうと思いました。
ただ、それをフリーハンドにそのデータを出して、その企業がどんどんそれを営業などに使われると非常にしゃくなので、このぐらいのしっかりしたお金を出して、治験ではありませんが、ちゃんと先進のBの仕組みの中で比較試験をやってくれて、恐らくこの結果が出れば、もし単剤のほうが併用よりも優れる、あるいは負けないというデータが出てくれば、医療費削減には間違いなく併用療法がガイドラインの記載から外れますので、併用療法はしないということになれば、適正な医療も更に推進できますし、その辺を考えて総合的に余りおかしくないのではないかと考えました。
○山口座長 ありがとうございました。この試験の意義とか、今の開発の中でのシチュエーションとか、そういうことを考え合わせて、これについてはいいのではないかということかと思います。確かにそうでないと、臨床試験、治験を全部やめて、半分ぐらい保険から払ってもらってもいいのではないかという形でどんどんやられると、大変困ると思います。今回もかなり節約できた試験になると思うので、その分薬価には反映させたほうが本当はいいのではないかと思いますが。
○山口座長 ほかに何か御意見はありますか。こういうのが途中で先進医療にどんどん入ってくると、確かになかなか本来の先進医療の意義にのっとったものかどうかは結構疑問が出てくる可能性もあります。今回はこういう感じですが、今後は全て無条件で来てもいいわけではなくて、こういうバックグラウンドがあるものに関しては、今、藤原先生が述べられた理由で認めてもいいのではないかと思うのです。もう1つは、先ほどから言われていますが、もう少し財務の内容については、ざっくりしたところでは大丈夫そうだと言ったけれども、そこは精査した上で御回答する形だと思います。
何か御意見はありますか。臨床家にとっては、魅力的な試験ではあると思うのです。あとは、今、例えば併用が、世の中一般には実際かなり保険内あるいは保険外で行われているのでしょうか。
○藤原構成員 使用上の注意でエビデンスはないと書かれていますので、通常の社保とか国保だったら、余り闇雲にやってくると、削ると思います。
○山口座長 ほかにありませんか。それでは、整理番号78については、「条件付き適」ということでよろしいでしょうか。そういうことで藤原先生、よろしいですか。
○藤原構成員 「条件付き適」でいいと思います。
○山口座長 それでは、先ほど藤原先生から言われた「条件付き適」ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。では、山中委員、どうぞお戻りくさい。
(山中構成員入室)
○山口座長 続きまして、総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、61ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂きますのは、平成26年1月に開始された告示番号25「オクトレオチド皮下注射療法」です。申請医療機関は大阪市立総合医療センターです。審査担当構成員は、主担当が石川構成員、副担当が山中構成員です。試験の概要は、生後2週以後から1歳未満のジアゾキサイド不応性高インスリン血症患者を対象として、オクトレオチド持続皮下注射療法の有効性及び安全性を評価する多施設共同単群試験です。
○山口座長 本技術の評価について主担当の石川構成員、説明をお願いいたします。
○石川構成員 主担当をやらせていただきました石川でございます。この病気自体が3万4,000人の出生に対して1人という、非常にまれな病気ということで、この症例数とか大変苦労しているわけです。実は病因と言いますか、原因も十分に分かっているわけではなくて、この遺伝形式とかそういうのも完全に分かっているというわけではないようです。そうした疾病も難しくまれで、そして治療法も様々あるのですが、外科的な手術も含めて様々あるのですが、そのバラツキも非常にあります。
書いたのを読ませていただきますと、まずはこの有効性について、今回集まった症例の5例中3例について有効だと書いてあるのですが、コメントに書いてありますように、まれで症例数を達成することに非常に困難だったということです。異なる原因で様々なこの病気は病型がありまして、その病型によってその治療効果もバラツキがあります。遺伝形式も様々です。今回集められた症例からしますと、臨床的な有効例は60%となっていますけれども、想定内の不応例もあったためというように考えています。既にセカンドライン治療にしてはこのオクトレオチドについては、諸外国の文献を見ますと、非常に有効ということが見られるわけですけれども、ジアゾキサイド不応性先天性の高インスリン血症患者を対象に行われた今回技術は、症例によってはほぼ予想どおりの効果となっており、今後のセカンドライン治療選択においても、標準的に推奨できるものと考えられます。しかしながら、5例中3例という数であって、今後も症例数を積み重ねる必要があると考えました。
ということで、有効性はあまり十分証明できてはいないということもありまして、従来の医療技術を用いるのと同程度というように判断いたしました。
安全性については、ぜん息で入院例が1つだけあったのですが、ほかは余り問題なしと考えております。レポートを見る限り重篤なものはないということですが、安全性に対して今までのことでは、大きな問題があるとは言えない。しかしながら海外の文献を見ますと、長期にわたって使っている例、それからこのオクトレオチドを長期に使っている例で、幾つかの軽くない肝障害とか副反応も出現していることを考えますと、この期間、そして症例が少ないことを考えますと、これもやはり積み重ねあるいはさらに延長で見ていく必要があるのだろうと考えています。
技術的な問題ですけれども、これは私も1型の糖尿病の重たい患者さんを自分で治療したことがあるのですが、今CSIIの機械が非常に小さく、精密になっておりまして、糖尿病治療は非常に発達しているということで、ここの血糖値のモニタリング、乳児の栄養学、薬剤の持続注入の機器の進歩とか考えますと、オクトレオチドを用いた血糖管理は安全に継続する条件は揃っていると考えられます。現在多くの施設で行われています乳児期の1型糖尿病時の治療経験が十分あれば、実施できると考えられまして、経験を積んだ医師がいれば実施できる「A」というようにしています。
総合的には、多くの施設や学会などの協力をもってしてもこの期間でこの目標症例数というようなことでした。一応、目標症例数は達成したようなことになっておりますが、今後も継続して症例数を重ねるべきであって、治療技術、診断技術は一定の確立が見られているため、この症例を増やすということであれば、セカンドライン治療として有力な手段となり得ると考えます。
今後の保険適用についても、希少疾患との関連性から考慮され、指示されるものと考えております。
○山口座長 続いて、山中構成員から評価をお願いします。
○山中構成員 今、石川先生に大体まとめていただいたとおりなのですが、まず、有効性に関しては、従来の医療技術を用いるのと同程度、「C」と評価しました。先行研究で15例のレトルスペクティブな検討におきましては、かなり著明な効果、ほとんど効いたというようなことが示されたようですけれども、今回はきちんと前向きに研究をしてみると、主要評価項目の短期有効率は20%にとどまっています。ただし、副次評価項目で臨床的有効率というものを定義しているのですが、そちらにおいては、60%、5分の3が効いたということで、過去の海外における同様の研究におきましても似たような成績が得られているということで、研究結果の再現性が5例ながら確認できたという点では本試験を実施した意義はあるだろうと思います。それから長期的には現疾患の治癒によるオクトレオチドからの離脱も可能になる症例があるということも示唆されております。ですのでもう少し症例数の蓄積、症例を積み重ねる必要があるかなというところです。
安全性につきましては、今は重篤な有害事象を観察されておりませんが、ただ、過去の報告では生後1か月未満に、今重篤な有害事象が起こることが確認されています。今回は5例には確認されていないのですが、やはりその点、対象が乳幼児ということもあり、もう少し症例を重ねて、1か月以内に何か重篤なことが起きるか、あるいは長期的に起こり得るかということを見ていく、検討していく必要があるだろうと思います。その意味で安全性につきましても、症例を積み重ねる必要があると思います。
技術的な成熟度につきましては、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できると思いますので、「A」と評価しております。
○山口座長 石川構成員から、事前のまとめをお願いいたします。
○石川構成員 総合的なコメントですが、これはやはり有効だということについては、いろいろ研究のデータを見ますと本当に有効であるなと。有効な症例についてはばっちしうまく治っております。そしてこれは子供の成長を考えて、将来的にはこの薬が減っていく、あるいは病気が治るということもあるのです。この3例の治療が非常に経過がよくていきますし、セカンドラインの治療法としても私は十分支持できるものだと考えています。ただ、やはり多くの症例を、3万4,000に1例のような計算ぐらいになるので、結構1年間の出生としては、早く集めれば何十例かは集まるわけなので、是非そういう点では今後の症例の集まりを期待したいということです。技術的にはいいのではないかと思っております。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、御審議をお願いします。何か御質問はございませんか。ちょっと不勉強で申し訳ないですけれども、短期的な成績についての結果ですけれども、本来この疾患と、長期的な予後というのはどういう感じなのでしょうか。
○石川構成員 まず最初のファーストチョイスの、ジアゾキサイドで、これは効く場合には保険点数としてはうまくいくわけですけれども、効かないでその後のセカンドラインとしてこのオクトレオチドを使ったりするわけですけれども、例えば病気になったベータ細胞が膵臓の全部分に散らばっている場合、なかなかこのセカンドラインの治療が不可能で外科手術をせざるを得ないわけです。外科的手術では悪いベータ細胞を部分的にある場合には核出術みたいなことをやるのですが、その悪い部分が膵頭部にあったりすると、私自身が受けたような膵頭十二指腸切除術に近いような手術をしなければいけなくて、これはまた大変です。それから亜全摘で95%取ってしまう、膵臓を取ってしまうと、やはり長期的な予後は重症の糖尿病で大変悪いというようなことがあります。
ただ、今回のようなオクトレオチドの有効例については、先ほど言いましたように子供の成長で肝臓のほうにグリコーゲンの蓄積とか、代謝の成長によって病気そのものが治ることもあるので、私は時間をかけて、オクトレオチドが有効な例はこれでいくべきだと考えております。
オクトレオチドの不応例については、また外科的な手術等も考えながらやっていくのは非常に大変な状況になるということを聞いております。
○山口座長 新生児、乳幼児期にきちんとコントロールできるということは結構大きな意義があるということですね。
○石川構成員 そうですね。実は新生児の段階では、産まれてすぐ生理的な低血糖というのがあります。これは小児科としては当然あるのですが、それがその後もずうっと起こってくるということで、必ずこの低血糖のモニターというのは新生児の場合はやりますので、そこで発見する例が多いということです。
○山口座長 ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、告示番号25については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告いたします。
続きまして、先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1、71ページを御覧ください。先進医療Bの継続の可否に関わる審議結果の報告について御評価を頂くのは、まず、告示番号42番「ステロイドパルス療法及びリツキシマブ静脈内投与の併用療法」です。申請医療機関は、国立成育医療センターです。本技術は、本申請医療機関が参考資料149ページにてお示ししております臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認、告示されたものです。
適応症は、特発性ネフローゼ症候群(当該疾患の症状が発症した時点における年齢が18歳未満の患者に係るものであって、難治性ステロイド抵抗性のものに限る)となっております。本試験はこの適応症に対し、リツキシマブ投与とステロイドパルスの併用療法を施行し、その有効性と安全性を評価する多施設共同単群試験です。主要評価項目は試験開始6か月後の完全寛解割合、登録予定症例数は20例です。
74ページの下段ですが、初期的に継続の可否の評価に必要な症例数として設定されました2例について、リツキシマブ投与後24時間以内の重篤なinfusion reaction及び治療開始後2か月までの死亡及び重篤な有害事象の発現状況について検討されましたが、それらの事象は全く発現しなかったということで、独立した委員会による評価の結果、継続に問題ない旨の報告がなされております。
○山口座長 最初の2例をやって問題ないという御報告だと思いますが、ただいまの御説明について御質問はありませんか。これは問題ないようですね。それでは告示番号42の技術につきましては、先進医療Bの継続を認めることといたします。
次にもう1件あります。先進医療Bの継続の可否に関わる審議結果の報告について、こちらも本報告に関して、実は違反があったと聞いていますので、その経緯も含めて、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-2、75ページを御覧ください。先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について、御評価頂くのは、告示番号67「ヒドロキシクロロキン療法」です。申請医療機関は慶應義塾大学病院です。本技術は先ほどと同様、臨床使用実績の効率化要件に該当するため、使用実績のない状態で申請され、承認、告示されたものです。
適応症は、関節リウマチ(既存の合成抗リウマチ薬による治療でDAS28が2.6未満を達成できないものに限る)となっております。本試験は、寛解非達成患者を対象とし、ヒドロキシクロロキンの内服を追加併用し、そしてその有効性と安全性を評価する単群試験です。登録予定症例数は60例です。
79ページの付記ですが、初期的に継続可否の評価に必要な症例数として設定された3例について、独立した委員会による評価の結果、継続に問題ない旨の報告が先月4月18日になされましたが、その後本部会の承認を経ることなく、4月22日、24日に4例目、5例目への投与が開始されてしまいました。5月10日にその事実に気付き、新規登録を中断、4例目、5例目の患者様に謝罪と経緯の説明が行われております。その結果、お2人とも投与継続を希望されたとのことで、その後診察の上、安全性評価委員会が患者様のリスクベネフィットを勘案しまして、投与継続のほうが患者様にとって望ましいだろうとの判断で、投与が継続されているということです。
また、81ページに原因や今後の対応策が述べられておりますが、この内容では事務局としては不十分と考えておりまして、発生からまだ日が浅くということもあるかと思いまして、現在対応中かもしれませんが、少なくとも例えば届出書の内容がプロトコールに反映されていなかったと報告を受けているのですが、それに対する御対応とかそういったところが書いてありませんので、そういうところの指導を行ったところです。
本日はこの4例目、5例目の治療継続についてのみ、まず御審議いただきたいと思います。そして6例目以降の実施は現時点では認めずに、追加の御報告に基づいて、再開の可否を次回以降御判断いただくということでいかがでしょうか。御提案させていただきます。
○山口座長 ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。ここに挙げる前に次の例をやってしまったということです。3例やったのでその報告を出して大丈夫ということだったのですが、こちらに出す前にスタートしてしまったということです。それが既に2例スタートしているわけです。それに関してやはりちょっと人道的な問題もありますので、その3例の評価も正しいとして、その2例については継続をここで認めていただきたいということが1つです。
あと、さらにその後のことについては、81ページを御覧いただくと、「以降の投与開始に必要であることを失念していた」というような簡単なことを書いていますけれども、失念していても行われないような仕組みがあるはずで、そういう仕組みがなぜ動かなかったかとか、そういうきちんと踏み込んだところの回答がまだきていません。まだ時間が浅いので向こうでまた追って報告があると思いますので、そちらに関しては追加の報告を待ってから再開の可否を決めたいという事務局の御意見です。この内容について何か御質問ありますか。
○石川構成員 症例数の逸脱が、これは非常にルールとして厳重にするべきだと思うのです。というのは、この間ここではないのですが、申出療養のところで12例ぐらいルール違反みたいな形になったので、あれは本当に、ある面では社会的な影響とかそうしたものも出てくるようなことですので、この決められた症例数のルールがちゃんとあって今までやってきたのを厳守するというのは常識的なことなので、きちんとやっていただきたいと思います。この大学はそういうことをしているのかというようなことになってしまいますので、しっかりと、これは厳重に言っていただいたほうがいいですね。
○山口座長 御指摘のとおりだと思います。しかも予定症例数を超えたというレベルではなくて、これは危険性があるかもしれないから、3例でちゃんと評価して、ここに挙げて承認してからやりなさいということを言っているのに、それを超えたということで罪はもっと重いと思うのです。普通の症例数を超えたよりも、ある意味ではもっとよろしくない。今回大したことはないかとは思いますけれども、何かあったときに責任はもっと重いと思いますので、石川先生の発言はもっともかと思います。何かほかにありますか。
○山中構成員 これは効果安全性評価委員会の審議は終えているわけですよね。それでその後先進医療会議に報告しなかったことが問題になっているわけです。もし、3例で止めていた場合というのは、先進医療会議に報告をされて、それで特に先ほどのリツキシマブの件もそうでしたけれども、特に効果安全性評価委員会において問題ないと認められたからというのがきて、それでここで承認するというステップになるわけです。ただ、それだと単に手続として、部会で審議をかましているというだけになってしまうので、きちんと効果安全性評価委員会のレポートとか議事録とか頂かないと、あるいはその効果安全性評価委員会に出したレポートとかがないと、ここは単に先進医療技術審査部会のワンステップ増えてしまうだけになってしまうので、きちんとここでレビューできるような資料は頂きたいと思います。
○山口座長 その辺り、事務局はいかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課長 一応効果安全性評価委員会の際に、どのような項目を評価するかはもちろん最初のこの委員会で決めていただいておりますので、今回例えば資料の中に、こういう項目について確認をいたしましたということですので、もう少し、何かレポートが必要だということであれば、相談をさせていただきたいと思います。
○山口座長 よろしいでしょうか。
○藤原構成員 臨床的にはそんな大きな問題はないですけれども、医療法上の臨床研究中核病院であり、特定機能病院であり、というところで、従前も先進医療の症例数報告の遅れが確か高知大学か何かでありましたし、あと金沢大学でもそういうことがあって、これは警鐘というか、ヒヤリ・ハットで言えばインシデント、これがもしほかの薬だったらとんでもないことになった可能性もあって、ここの先進医療技術審査部会で従前審査したときには、そういう違反をした病院には非常に厳しい対応で臨んだということを考えると、効安の報告書だけではなくて、恐らく特定機能病院として本来は払出しするときに、ヒドロシキクロロキンは先進医療でやっているのに大丈夫ですかと、薬剤部が気付くとか、様々な間違いを防ぐステップがあるはずですけれども、それらを全部すり抜けて漫然と処方されているので、かなり細かく経過を見直してきて頂かないと、特定機能病院とそれから臨床研究中核病院として、私ども調査を受けていつも厳しく御指導受けているところなので、院内体制がきちんと機能しているのかなと心配になります。結構厳重にいろいろな観点から調査したほうがいいかなと思います。
○医政局研究開発振興課長 その点について、私どもも非常に懸念をしておりますので、御指摘を受けて、しっかりするように指導していきたいと思います。
○山口座長 正論だと思いますが。
○真田構成員 この手の問題は、繰り返し手を替え品を替え起こっているということについては、今までの御発言があったとおりだと思います。私もかつて事務局を経験していた立場から申し上げますと、先進医療そのものの仕組みについて、臨床研究法が決まりましたので、このあとどういう立て付けになっていくかはちょっと分からないのですが、少なくとも今の時点においては、臨床研究としての妥当性は少なくとも倫理審査委員会で担保され、先進医療の会議体で承認されるというシステムなのですが、先進医療に持ってこられたからには、そこは二階建てとして、臨床研究を保険外併用療養でやっていいのかというところに関する付加的な評価判断がここで入ってくるということだと認識していて、そこに関する認識が今ひとつ浸透していなかったようにも記憶していますので、その整理がどうなるかというところはさておき、制度の基本的な趣旨について御啓発いただければと思います。
○山口座長 貴重な御意見ありがとうございました。ほかにございませんか。
○田代構成員 すみません、これは私が研究者ではないので、実務的なところがよく分かっていないのですが、その3例で1回止めて安全性を評価するというデザインでやられているのだと思うのですが、効果安全性評価委員会の結論が出る前に既に9例目まで同様に取得されているのですね。そもそもこういうやり方が適切なのかどうかというのがよく分からなくて、研究者のほうとしては恐らく3例を見てみて、実際に大丈夫だろうという見込みの下で、できるかどうか分からないけれども、同意を得ていて、効安から評価が返ってきたら、一気に投与するというイメージだったのか、ちょっとそこがよく分からないのですが。
○柴田構成員 田代先生の御指摘は大事で、今の情報は具体的に何が起こっていたか分からないのです。通常は同意を取って登録をするというのを臨床試験ではやるので、同意は取ったけれどもまだ登録をしていなければ、登録をしていないので治療開始はできません、というのはプロトコールに書いてあるとおりです。今回の場合は、単施設の研究であるので、そこが曖昧になっていたのかもしれませんけれども、そこはきちんと厳密に管理しておかないと、複数施設から患者さんを登録する場合には同意を取って登録をするその登録をしたときにもう2例超えていますよ、10例超えていますよという話が判明するので、登録をしてから投与をするというのが臨床試験の大原則であるので、当然そうされているとは思うのです。そこの部分が明確に書いてないのが逆に、明確に書いてない時点でちょっと大事なところが抜け落ちていることもミスをされているというところと絡んでいると思います。
可能性としては、同意は取ったけれど登録していない、9例目の方は、ということもあるかもしれないので、何例目の方まで登録されてしまっていたのか。今確認したほうがいいですし、こういう場合には、もう2例登録したときに登録は受け付けないという形にしたほうが誤解は少ないと思います。
ちょっと余計なことですが補足しますと、多施設共同臨床試験の場合には、オーバーショートしてしまうのです。同時に登録をしてしまうので、結果として超えてしまうことはあるのですが、逆にこういう早期のものについては危ない。そういう危なさがあるので単施設でやりましょうということになっているので、逆にやはり厳密にやらないといけないものです。
○山口座長 重要な御指摘だと思いますので、この辺りも是非確認していただければと思います。いかがですか。
○医政局研究開発振興課長 はい、了解しました。その点についてもしっかり調査していただきます。
○山口座長 よろしくお願いします。
○一色座長代理 ちょっとピントがずれているかもしれないですけれども。この安全対策評価委員会でOKが出たものを、厚労省に報告をしてこの会議に出てきて、会議が開かれてそれが報告するまでに、ある程度のタイムスパンが不可避です。これには実際上どのくらいの期間がかかるものなのですか。
○医政局研究開発振興課長 基本的に私どもの会議は1か月に1回開いております。ですので、最長であれば、会議が開かれて報告が挙がってくればちょうど1か月お待たせすることにはなるかと思います。毎月開いていますのでそれに間に合えば。
○一色座長代理 何かの事情でその次に繰り越されてすごく長くかかってしまうということは、現実的にはほとんどないということですか。
○医政局研究開発振興課長 基本的にはそれまでに間に合えば載せます。
○一色座長代理 医療機関は症例数を早く進めたいという思いを持っていらっしゃると思うので、先走りしがちなのだろうと思うのですね。かなりのエネルギーをかけて登録されている研究ですので、円滑に進める努力をこちら側もする必要があると思って、確認させていただきました。
○山口座長 ただ、今の状態では待ちきれなくてやったという感じではなくて、何も知らずにやってしまったというところで、大変お粗末だと思います。ただ、迅速にやっている実態があるということと理解してよろしいですか。大体1か月程度かかるということでよろしいですか。
○医政局研究開発振興課長 はい、そうです。
○山口座長 ほかに御意見はよろしいでしょうか。
それでは、告示番号67の技術については、4例目、5例目の知見継続は認めると。そして6例目以降の実施は、現時点では認めないと、追加の報告に基づき再開の可否を判断するということで、できるだけ早急にきっちり取りまとめてくださいということを要望したいと思います。
一色先生がおっしゃったように、またこんなことのために、結局被害を被るのは患者さんですから、是非迅速に検証を進めていただきたいと思います。この試験自体は大変いい試験だと思うのです。外国で既に使われていて、日本で使われてなくて、しかも安いこともあるので。つまらない手続のことでモタモタするのはよくないと思います。迅速にということも是非加えてやっていただきたいと思います。
それでは、本日の案件は以上です。構成員の皆様、何か特に御意見がなければ終わりたいと思いますが。
○石川構成員 ちょっと戻るのですが、73ページのリツキサンの症例の所で、(15)の除外項目、除外規定があるのですが、これの6)のリツキサンに関してのHBs抗原の書き方です。私の記憶の中では初めて見る記述で、恐らくこの書き方がリツキサンのこれからのいろいろな免疫抑制の形で使われるところで、この書き方は1つは範にしたほうがいいと思っているのです。今回、「HBワクチンの接種歴があり」というような記述が入っていて、これはHBワクチンが定期予防接種の中に入ってきていますので、陽性の例が多くなってきますので、この書き方で除外規定を付けていたほうがいいと思います。これはすごくいいなと、初めて見ましたので、ということです。
○山口座長 石川先生からお褒めの言葉を頂きました。こういう仕切りは適正であるという御意見かと思います。ほかにございませんか。
次回の日程を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回の日程ですが、6月13日(火)午後4時~6時までの予定とさせていただきます。場所については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録につきましては、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第58回先進医療技術審査部会を終了いたします。ありがとうございました。
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