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2017年4月25日 第3回がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会(議事録)

大臣官房厚生科学課・健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年4月25日(火)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 9階 省議室


○議題

(1)がんゲノム医療推進コンソーシアムについて
(2)その他

○議事

○間野座長 それでは、定刻になりましたので、第3回「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」を開催させていただきます。

 皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。

 それでは、初めに出欠の確認を事務局からお願いいたします。

○医療イノベーション企画官 本日は、宮園構成員から御欠席するとの連絡をいただいております。

 そのほかの皆様方は出席をいただいております。

 また、厚生労働省からの出席者につきましては、事務局等座席図一覧の記載のとおりでございますので、紹介は省かせていただきます。

 以上でございます。

○間野座長 ありがとうございました。

 では、議事に入る前に資料の確認をいたします。これも事務局からお願いします。

○医療イノベーション企画官 本日の資料は、資料1「がんゲノム医療推進コンソーシアムについての論点(案)」でございます。ホチキスどめの資料でございますが、落丁等ありましたら事務局までお知らせください。

○間野座長 ありがとうございます。

 特に皆様問題はありませんでしょうか。

 それでは、議論に入らせていただきます。前回までの懇談会において皆様から非常に貴重な御意見をいただきました。このがんゲノム医療コンソーシアムに関する論点について、事務局でまとめ資料1をつくってもらっています。きょうはこれに関して議論をさらに深めることになりますけれども、まずは資料1の説明を事務局からお願いします。

○医療イノベーション企画官 資料1をごらんいただけますでしょうか。「がんゲノム医療推進コンソーシアムについての論点(案)」を御説明させていただきます。

 まず検討の前提といたしまして、1つ目の○でございます。厚生労働省では平成29年1月、厚生労働大臣を本部長とするデータヘルス改革推進本部を設置し、ICT等を活用した健康・医療・介護のビッグデータの活用について、戦略的かつ一体的な展開に向け検討を進めている。

 その中で、現在約2人に1人が罹患し、平成28年度の新たな罹患数が約100万人と見込まれるがんの撲滅を目指し、がんゲノム情報の集約・管理・利活用により、より有効・安全な個別化医療を早期に国民に届けるための施策について検討を進めております。

 本懇談会でございますけれども、その事務局は、がんゲノム医療の推進に必要な薬事承認や保険適用等の制度面の対応を検討いたします制度班と、がんゲノム医療の提供体制に係る具体的な計画の検討を担うコンソーシアム班により構成されております。

 制度班では、制度的対応といたしまして遺伝子パネル検査を早期に承認し、一定の要件を満たす医療機関において保険診療として実施すること。

 保険外併用療法を活用した全ゲノム解析を実施することにより、国民にゲノム情報に基づく適切な治療や治験等を提供しながら、条件つき早期承認などによる医薬品の適用拡大の推進を可能とし、さらには革新的新薬の開発やリキッドバイオプシー等を活用した再発の超早期診断、免疫チェックポイント阻害剤などの効果予測因子を踏まえた個別化医療の開発を推進することを検討している。こちらにつきましては本資料1の巻末にございます前回資料としてお示しさせていただいたものを添付しております。別紙というものが抜けておりますが、別紙としてこの資料を考えております。

 また1ページに戻っていただきまして、一番下の○でございます。本懇談会では制度的対応を踏まえ、国内の医療従事者や研究者の力を結集し、コンソーシアムを形成しながら最先端のがんゲノム医療を国民に提供するため、新たに必要となる機能や役割を明らかにするとともに、がんゲノム医療提供体制構築の具体的な進め方を検討するものであるということでございます。

 1枚おめくりいただきまして、次、構成といたしましては「基本的考え方」で、2ページの中ほど下にございます「新たに必要となる機能や役割」。その中に「(1)がんゲノム医療を提供可能な医療機関の整備」。1枚おめくりいただきまして、3ページの下段に「(2)がんゲノム医療情報の集約・管理・利活用推進」。5ページ目に「(3)質を確保した効率的な検査体制」。6ページ目に「(4)がんゲノム知識データベースの構築」。7ページに「(5)治験情報の集約と医師主導治験の支援」「(6)革新的医薬品等の創出を促す仕組み」。8ページの中ほどに「コンソーシアムの運営体制」という構成で記載しております。それぞれの項目について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

 2ページの「基本的な考え方」でございます。

 1つ目、がん撲滅の実現のためには、質が確保されたより多くのがんゲノム情報を効率的に集約・利活用できる仕組みが必要である。そのためには制度的対応を着実に進めて、質の高いがんゲノム医療を国民に提供しながら、研究での情報利活用を促すという仕組みが必要ではないか。情報の集約は、最先端医療であるがんゲノム医療の質を保つという観点からも重要なのではないか。

 我が国は、体制整備の進む米国、英国、フランスの後塵を拝している。このため、新たに構築する体制は、欧米水準のがんゲノム医療をいち早く国民に届けるとともに、各国施策の分析を行い、アジア諸国への貢献など我が国の利点を生かして世界をリードすることも目指したチャレンジングな仕組みとすべきではないか。

 3点目、質の高いがんゲノム医療には、多くの学術領域、職種の参画や発展著しい最先端技術の応用が不可欠である。このためデータの囲い込みを排除し、すぐれた医療を提供する医療機関、すぐれた技術を持つ事業者が既成概念にとらわれないオープンかつフェアな競争を行い、我が国のがんゲノム医療に貢献できる仕組みとすべきではないかということを記載させていただいております。

 新たに必要となる機能や役割の1つ目、医療機関の点でございます。現在、がんゲノム医療は、厚労省が指定するがん診療連携拠点病院を中心とした仕組みにより提供されている。がんゲノム医療の提供体制の構築に当たっては、通常のがん医療とがんゲノム医療とを一体として提供するため、がんゲノム医療を提供する医療機関を拠点病院の仕組みに位置づけることとしてはどうか。

 質の確保されたがんゲノム医療を提供するためには、十分に体制の整ったがんゲノム医療中核拠点病院(仮称)を便宜的に中核病院としまして、指定し、当面は中核病院において医療を提供することが適切ではないか。なお、中核病院の指定に当たっては、以下の観点が重要ではないかということで、1番目から8番目まで記載をさせていただいております。

 1番目、パネル検査を実施できる体制がある(外部機関との委託を含む)

 2番目、パネル検査の結果の医学的解釈可能なエキスパートパネルを有している。

 3番目、遺伝性腫瘍等の患者さんに対して専門的な遺伝カウンセリングが可能である。

 4番目、パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有している。

 5番目、パネル検査結果や臨床情報等についてセキュリティーが担保された適切な方法で収集・管理することができ、必要な情報については後述のがんゲノム情報管理センターに登録することができる。

 6番目、一定数以上の患者さんについては手術検体等を新鮮凍結保存可能である。

 7番目、医師主導治験等の実施について適切な体制を備えている。

 8番目、医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者さんなどにとってわかりやすくアクセスしやすい窓口を有している。

 その次の○でございます。さらに中核病院が提供するがんゲノム医療の状況を踏まえつつ、がんゲノム医療の提供体制を充実させ、新たに要件を策定の上、がんゲノム医療拠点病院(「がんゲノム拠点」という)を整備し、おおむね全ての都道府県でのがんゲノム医療の提供を目指すこととしてはどうか。その際、その前に出てきました中核病院には、このがんゲノム拠点を技術的に支援することが求められるのではないか。これらの取り組みを進める際には、ゲノム関連検査を実施する際に発生する倫理的・法的・社会的課題に適切に対応するため、遺伝カウンセリング等の体制整備が重要であり、計画的な人材育成と医療保険上の適切な評価が必要ではないかということでございます。

 続きまして「(2)情報の集約・管理・利活用推進」でございます。

 がんゲノム情報の集約・管理・利活用を図るためには、その機能を専門的に担う機関として、がんゲノム情報管理センター(仮称)(以下「情報センター」という)を設置する必要があるのではないか。

 この情報センターの運営は、国民の機微情報を永続的に取り扱うため、公的機関が関与した形で行うことが望ましいのではないか。その際、がん診療、がん研究、個人情報の取り扱いについて相応の実績を有する機関が適切ではないか。

 情報センターに集約・管理する情報については、ゲノム情報のみならず、治療薬に対する効果等の臨床情報も重要である。研究機関や製薬企業等のニーズ等を踏まえ、がん関係学会や医療情報関係学会等の協力を得ながら、具体的に収集・管理する情報の種類や方法等の検討を早急に始める必要があるのではないか。

 臨床情報の収集等については、がん登録データベースと連携した解析環境を整備する必要があるのではないか。

 がんゲノム情報は患者・国民から預かる貴重な情報であることから、情報の管理・利活用に当たっては、個人情報保護法等の関係法令を遵守することはもちろんのこと、患者・国民の信頼を得る必要がある。患者ごとへの対応は、がんゲノム医療を提供する医療機関が担うことが想定されますが、情報センターは管理する情報について各患者の同意の範囲、利活用状況等を適時把握し、患者からの照会や医師の変更等にもきめ細かに対応可能な体制を備えるべきではないか。また、各医療機関への技術的支援も情報センターが担うべきではないか。

 きめ細かな同意取得等については、諸外国では電子的な同意取得の取り組みが進められている。我が国においても電子的な同意取得の手法開発に係る取り組みを進める必要があるのではないか。

 情報センターは、クラウド環境を提供する事業者との委託契約等により大量のデータ保全機能を確保することが必要であるが、その際、十分なセキュリティーの確保と個別の契約の場合と比較して有利な契約により費用対効果にすぐれた運営とすることが重要ではないか。なお、蓄積されるデータ量の増加、また、人工知能等の情報通信技術の著しい発展により、電力消費量や通信回線使用量等が増加する可能性があり、予測される電力消費量や必要経費を加味し、維持管理に必要なコストを最小限に抑制できる体制を検討する必要があるのではないか。

 情報センターの運営コストについては、医療上の利用や研究開発利用など、利用目的が明確な部分については受益者に負担を求め、持続可能な仕組みを検討すべきではないか。その際、事業趣旨等に賛同する企業等の参加も模索してはどうか。

 情報収集に当たっては、必要な情報を信頼性の確保された方法で医療従事者に過度な負担をかけずに収集することが重要であり、必要な臨床情報等を電子カルテと連動して収集する技術の開発が必要ではないか。

 続きまして(3)でございます。次世代シークエンサーを用いたゲノム解析技術は目覚ましい発展を遂げているが、検査結果はがんゲノム医療の基盤であり、医療での利用としては黎明期であることから、NGSを用いたゲノム検査については厳格な精度管理のもとで実施すべきではないか。

NGSを用いたゲノム解析機器は、海外資本企業が圧倒的なシェア保持している。国内企業による開発を促しつつ、コストや技術の安定性の観点から現時点では厳格なデータ管理を行うことを前提として、海外企業の機器を用いた解析とすることが妥当なのではないか。

 ゲノム検査の実施に必要な専門技術者や解析に不可欠なバイオインフォマティシャン等の人的資源についても効果的な配置が重要ではないか。現時点においてはパネル検査に供する検体は再発時の生検材料や過去の手術時検体が想定されているが、全ゲノム等の探索的検討を効果的に行うためには、医療機関や学会等の協力も得て、新鮮凍結検体の保管や集約も検討してはどうか。

 がんゲノム医療の検査実施体制については、検査の質の確保、検査結果の厳格な管理、限られた国内リソースの有効活用等の観点から、がんゲノム医療に参画する検査実施機関はコンソーシアムにより認定を受ける必要があるのではないか。その際、ゲノム解析技術は加速度的な進展を遂げており、より低コストで、より信頼性・有用性の高い技術開発がなされる可能性もあることから、こうした技術革新を柔軟に取り込むことができるようにすべきではないか。

 続きまして(4)がん地域データベースでございます。質の高いがんゲノム医療を提供するためには、パネル検査や全ゲノムデータ等の結果を踏まえ、個々の患者さんへの治療方針等を決定する際に参考となるがんゲノム知識データベース(仮称)が不可欠ではないか。現在、主に欧米で構築されている知識データベースには、研究段階のものと情報通信事業者等により大規模な事業として運営されているものがある。後者は安定性や信頼性の点で優位性があるものの、アジア人種の情報は乏しいという課題や高価格化の懸念があり、日本人でのデータに基づく質の高いがんゲノム医療を推進するためには、将来にわたって医師等がリーズナブルなコストでアクセスでき、我が国での診療に活用できるようなデータベースを構築していく必要があるのではないか。

 知識データベースの構築には、癌に関する基礎及び応用、臨床研究等の文献情報のほか、情報センターに集約する情報がより長期的かつ継続的に更新されることが不可欠ではないか。また、文献情報の入力やがんゲノム情報等の分析等においては、自然言語処理等の人工知能を応用することも欠かせないのではないか。

 日本人のデータにより構築された知識データベースは、遺伝的に相同性の高いアジア人種に対しても有効性が高いと考えられ、アジアにおけるがんゲノム医療の提供に貢献することも考えられるのではないか。

 知識データベースの構築及びそれを用いたサービスは、諸外国の動向を踏まえつつ、民間を中心に進められることが望ましいが、その際、パネル検査の適正な実施において質の高い知識データベースへのアクセスが欠かせないことから、医療保険上の評価が検討されるべきではないか。

 知識データベースの構築を担う個別の事業者については、情報センターが管理する国民の機微情報へのアクセスを認める対象であり、事業ポリシー、関連事業での実績、我が国において継続的なサービス提供体制等の観点から、コンソーシアムにより認定を受ける仕組みが必要なのではないか。

 (5)でございます。がんゲノム情報に基づき、個々の患者に適切な治療を提供するためには、治験・臨床試験を含めた治療選択肢をタイムリーに検討可能な体制が重要であることから、どこでどのような治験等が行われているかの情報についても情報センターにおいて一元的に収集・管理し、患者も含めたアクセスできる体制が必要ではないか。

 現在でも臨床試験情報に関する複数のデータベースを一括で検索可能なポータルサイトは存在しているが、ゲノム情報による患者選択の有無が明確でないことから、治験情報の集約をさらに進めると同時に、ゲノム情報による患者選択の有無に関する情報についても集約する必要があるのではないか。

 同時に薬効に関連する遺伝子変異が複数のがんで認められるなど、有効性が期待できる可能性がある対象に対しての適用拡大を検討するためには、積極的に治験等を実施していく必要があり、コンソーシアムにおいて優先的に開発すべき対象の選定や、医師主導治験等を支援する機能が必要ではないか。

 (6)革新的医薬品等の創出を促す仕組み。革新的医薬品等の開発を飛躍的に推進させることは、コンソーシアムの重要な役割の1つであることから、蓄積されたゲノム情報等の利活用が推進される体制の構築が必要ではないか。

 また、情報センターに集積された情報を解析することにより、新たな医学的知見の創出が可能となると考えられることから、情報センターがハブとなり、オープンかつフェアに研究機関や企業等が研究活用できるよう、次の機能を果たすことが期待されるのではないか。

 1つ目でございますが、情報活用を希望する研究者や企業に適切な手続を経た上で公平に共有可能とする仕組み。

 中央倫理審査を行う機能。

 情報センターが管理する情報にアクセスできる研究及び研究者を審査する機能。

 同じくセンターが管理する情報にアクセスできる企業等を審査し、適正なコスト負担を含めた情報活用契約を締結するとともに、事業進捗を把握し、国民等に公表する機能。

 次でございますが、リキッドバイオプシー等を活用したがんの超早期診断を可能とするためには、大規模なコホートを構築する必要があるが、情報センターはこうしたコホート構築に関しても積極的に関与すべきではないか。

 最後、コンソーシアムの運営体制でございます。我が国にがんゲノム医療を普及させ、革新的医薬品等の開発を推進させるためには、関係者が理念を共有し、それぞれの機能や役割が全体として患者や国民の意向に沿ったものとなっているか否かを自律的に確認し、改善させていくことが重要ではないか。

 そのためにはそれぞれの機能や役割を担う機関がコンソーシアムを形成し、それぞれの機能、役割を互いに確認し、関係する事業の財務状況等を公表するとともに、厚労省や情報センターの運営主体に対して意見具申が可能な枠組みを構築してはどうか。

 その際、がんゲノム情報の利活用に同意する患者・国民も主体的に参加することが重要ではないか。

 また、患者・国民が安心して取り組みに参加していただくためには、ゲノム情報の取り扱いに係るセキュリティーに関する規定や、その実効性の確保のあり方について検討が必要ではないかということで、以上でございます。

○間野座長 ありがとうございました。

 いずれも極めて重要なテーマで、かつ、非常に深い議論がこれまでなされてきたことがわかりました。きょうはかなり多くのテーマを扱いますので、順番に沿って皆様に個別に議論をしていただきたいと思います。

 まず初めは1ページ目と2ページ目の「検討の前提」「基本的な考え方」について御意見あるいは御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 最初の1ページ目のところで3つ目の○のマル2ですけれども、保険外併用療法を活用した全ゲノム解析を実施することと書いてあります。これは資料の一番最後のグラフを見ると、一番下のグリーンのところに相当する流れだと思います。これを読むと医学的意義が明らかになった遺伝子は、このゲノムシークエンスから黄色のところに移行して検討されることになります。一方でグリーンのところで検討されるものは医学的意義が明らかでないものであり、これを保険外併用療法に採用するというのは、制度的に無理だと思うのです。例えば先進医療にこれがかかっても、医学的意義の明らかでないものを認めることはあり得ないので、このあたりはどういうぐあいに解釈したらいいのか、私は理解できません。

○間野座長 ありがとうございます。

 私が理解するところでは、遺伝子パネル検査が保険で認められる時代が来ると思われる。医学の進歩の結果、そのときのパネルがその時点での薬の対象となる遺伝子全部が網羅されているとは限らないと思うのです。そうすると、パネル検査で調べられる遺伝子で保険収載されていますけれども、それ以外のものでも実は既に日本で臨床試験が行われて、それに参加することもできるという遺伝子も多分あるのではないかと思われます。そうすると、その時点で臨床的な有用性に該当する遺伝子が全ゲノム解析の結果明らかになることもあるというふうに私は理解したのですが、事務局から。

○医療イノベーション企画官 御指摘ありがとうございます。

 こちらは今、1ページの3つ目の○に記載されておりますように、制度班で制度的対応としてマル1、マル2を検討しているということで、マル2については先生御指摘の課題があることは承知しつつ、そういう制度的な対応も検討しながら、同時に本懇談会での提供の仕組みということもあわせて検討していく必要があると認識して、これは制度的対応の課題として我々認識しているということで記載させていただいております。

○山口構成員 課題として検討しているという段階だったらいいのですけれども、私も先進医療にかかわっているものですから、医学的意義の明らかでない技術は先進医療として出てきたときに、我々に判断できません。門前払いになる可能性があるということを指摘しておきたいと思います。

○保険局医療課長補佐 保険局です。

 山口先生はエキスパートでいらっしゃるので、先生に言われるとそのとおりということもあるのですけれども、恐らく明らかというところの程度の問題で、評価の過程にあるものとして併用するのかなと理解をしております。制度設計の中で検討させていただきます。

○間野座長 ほかにいかがでしょうか。天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 2点ございます。

 まず1ページ目で細かいところでございますが、再発の超早期診断という記載が1ページ目の下のほうにあったかと思いますが、がん患者さんにとっては再発ということももちろん重大な関心ではありますが、特に長期にわたり生存されているがん患者さんもいらっしゃる状況では、再発のみならず2次がん等のリスク等も関係してきますので、可能であれば御検討いただきたいと考えております。

 2点目でございますが、これは全体の構成の中でどこで指摘したらいいかわからなかったので、この場で指摘をさせていただきますが、例えばHBOCの患者さんなどに対しては既に研究もしくは自由診療等の形で予防切除等が行われているという現状がございますので、そういった患者さんに対する予防切除等のあり方や保険適用の可否等も可能であれば御検討いただきたいと考えております。

 以上でございます。

○間野座長 ありがとうございます。

 後者の点は重要なポイントだと思いますけれども、事務局から今のポイントに関して何かありますでしょうか。

○保険局医療課長補佐 これも明らかの度合いと申しましょうか、科学的に有効性や安全性が確立したものとなればだんだん保険のほうに向かっていくということではないかと思っております。重要なご指摘だと思います。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。例えばBRCA遺伝子の異常があって、配列異常が生殖細胞系列のゲノムにあるとしても、それが本当に発がんの要因となる変異なのか、それが不明な変異なのか、もしそれががん関連変異であったとしても、既に乳がんを発症している人の正常の卵巣をとるのと、何もがんを発症していない人で正常な乳房あるいは卵巣をとるというのは、注意深い議論が必要だと思いますので、ぜひ厚労省でも議論を深めていただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、検討の前提と基本的な考え方については、皆様の御理解、同意が得られたと理解します。

 次の項目、2ページの下からですけれども、新たに必要となる機能や役割の各項目につきまして、順番に検討を進めていきたいと思います。

 まず2ページ目の「(1)がんゲノム医療を提供可能な医療機関の整備」につきまして、御意見、御質問をお願いします。北川構成員。

○北川構成員 まず事務局にお伺いするべきことかもしれませんけれども、がん拠点病院がこの記載には3層構造、いわゆるがんゲノム医療中核拠点病院という一番上位のものと、その次に3ページの中ほどに記載してありますがんゲノム医療拠点病院というものと、その他のがん拠点病院という形で分類されています。概略で結構ですが、ゲノム中核拠点病院がどの程度認定されるか。もし構想等ございましたら教えていただければと思います。

○がん対策推進官 こちらに書かせていただきましたのが、まさに仮称ということで検討をこれからしていくものになります。当初、今年度これからがん医療提供体制のあり方の検討会の中でこういったゲノム拠点病院をどう位置づけるかについて、この要件も含めて検討していくわけですけれども、当初は恐らく5ないし10程度で、それがこれからどんどん広げていく、要件を変えることでゲノム医療の現状や医療の状況が変わっていく中で要件をどんどん見直しつつ、最終的にはかなりの数、ここで数まで申し上げられませんけれども、多くのがん診療連携拠点病院が、このがんゲノム医療を実装できるところを最終的に目指していくのかなと考えています。

○北川構成員 確認ですけれども、がんゲノム医療中核拠点病院が5ないし10程度から始まるということですか。

○がん対策推進官 この名称についてはまだ検討段階といいますか、こちらで検討させていただければと思っています。

○医療イノベーション企画官 補足でございますけれども、中核病院の数でありますが、まずどういった機能が必要なのかというところを検討いただいて、拠点病院の仕組みという現行の仕組みがありますし、その中でどれくらいの数に具体的になっていくのかというのは、まさに先生方の御議論いただいた結果、ある程度わかってくるのかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○間野座長 ここは割と重要な項目です。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 今の現在あるがん拠点病院のほかに、全く新しい仕組みとしてこういうゲノムについての病院をつくるという意味ですか。

○医療イノベーション企画官 ゲノム医療というものを最終的には拠点病院の中に位置づけていくべきではないかということで提案をさせていただいております。

○山口構成員 がんのゲノム医療というのは、がんの医療の中では重要なパートになってくることは明らかなのであり、しかも一部は一般の病院で行われているわけです。それを完全に切り分けてやると、制度としては非常にややこしくなります。それよりむしろ今ある拠点病院を整備していって、いずれゲノムがん医療ができるような体制をつくっていくというほうが賢明ではないかと思います。そうでなければ非常にややこしくなってしまって、例えばうちは拠点だけれども、がんゲノムではないとか変なことになってしまうのではないかと心配なのです。

○間野座長 恐らく時間軸みたいなことがそこには関与してくるのだと思うのですけれども、最終的な目指す姿は今、山口構成員がおっしゃったとおりのことであって、ただ、それを例えば2年後とか3年後に全て行うというのは現実的に難しいのではないかと思われます。最初にゲノム医療に必要な要件というものを決めて中核拠点病院というものをつくり、そこで実行して、本当にその要件が正しいのかどうかもあわせて検討しながら、順番に広げていくという体制をとらざるを得ないのかなという気もします。ここのところは割と重要な箇所ですので、ぜひ皆様から御意見を伺いたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。直江構成員、どうぞ。

○直江構成員 これは非常に重要な点だと思うのですけれども、前回も少し発言させていただいたのですが、例えばやはりこういうもので一定程度のエビデンスを出していくことになると、これは漫然と全ての患者さんにがんゲノム情報を提供するというよりは、選択と集中といいますか、どこかのがん種とか、やはり新しい新薬開発が望まれる、あるいはそういう治験が非常に活性化している領域を重点的にやるということも必要ではないかという感じがするのです。ゆくゆくは全てに行き渡るということを前提にしながらも、今お話のあった時間軸はどういうものを最初にやっていくかということが重要だろう。そのためには拠点という考え方と、もう一つはネットワークという考え方というか、例えば臨床試験という考え方もあるのではないかということを少しどのようにこれを盛り込んでいくかということは考えなければいけない。

 つまり、がん種だとか、例えばがん患者さんの年齢とか、そういうものも恐らくファクターになってくるのではないかということです。この案に基本的には賛成いたしますけれども、これだけではないだろうという感じもありますので、つけ加えさせていただきました。

○間野座長 ありがとうございました。重要な御指摘だと思います。

 西田構成員、どうぞ。

○西田構成員 基本的に私も賛成で、特に中核とその次にあるゲノム拠点というものが中心になると思うのですけれども、中核のところで求められるのは、今、ゲノム医療でこの遺伝子にこういった薬あるいはこういった治療というのは、決まっているものがまだそう多くありません。逆につくっていかなければいけない段階です。そうしますとゲノムの中核には、臨床中核のように臨床研究できる病院がうまく入ってこないと、ここのカップリングは難しいのではないかと思います。その意味で臨床実績、臨床研究実績と言うべきでしょうか、ゲノムができるとともに、臨床研究の実績があることが1つ非常に重要なのではないかと思います。

○間野座長 今のは多分、ここで言う中核拠点の要件のことを御指摘いただいたのだと思うのですけれども、3ページ目の上のマル7の医師主導治験等の実施について、適切な体制を備えているというものとは少しまた違いますか。

○西田構成員 体制を整えているということと実績があるということは違います。臨床研究中核病院で我々はアプライしてみてわかったのですけれども、実績と体制整備というのは必ずしもイコールではないと考えています。実績というのは結果ですので、相当整えないと現実にはできないなという印象を私自身は持っています。

○間野座長 ありがとうございます。

 ではその医師主導治験の実施について適切な体制と十分な実績を備えているという表現が適切でしょうか。

 ほかにいかがでしょうか。天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 3ページの下のほうで遺伝カウンセリング等の体制整備が重要であり、計画的な人材育成というくだりがあるかと思います。これは今回の検討会でも委員の先生方からも繰り返し御指摘があったかと思いますが、臨床遺伝専門医であるとか、認定遺伝カウンセラー、家族性腫瘍にかかわる専門職が現在ありますが、こういった職種だけでは明らかに対応が難しい状況があり、喫緊の課題だという指摘があったかと思いますので、そういった従来ある職種による対応に加えて、何らかの別の対応のあり方を検討するなど、何か踏み込んだ記載ができないかということを提案させていただきます。

○間野座長 ありがとうございました。

 今の件に関して、まだ事務局から特にコメントはなくてよろしいですか。

 では加藤構成員。

○加藤構成員 今ご指摘の点は、前回もいろいろ議論した点なので重要と思います。遺伝カウンセリング等だけではなく、普通にがんの診療をしておられる医師の方等へのしっかりとした理解を深めることも重要と思います。それは倫理のこともそうですし、がんゲノム医療に関する理解ということもありますので、そういう意味での人材育成について、少し言葉をふやしていただければと思います。

○間野座長 ありがとうございました。

 確かにその点は重要で、普通の病院でカウンセラーに行くまでの間に最初に患者さんにインフォームドコンセントの説明をするのは恐らく医師になると思いますので、その医師に対してゲノム医療に関する十分なリテラシーを日本の医師が持つことは極めて重要なことだと思いますから、今の御指摘を含めて文言を少し変えていただければと思います。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 今のに関連したことなのですけれども、体制づくりも大事なのですが、体制をきちんとつくるためには人材だと思うのです。そのときに今、遺伝子カウンセリングの人とか、いろいろな職種の人が必要で、ここではどういうことができる人をどこで、どうやって育てて、何年後にはどれぐらいの人が育つんだ、拠点にどれぐらい配置されるかという計画がきちんと立てられていないと実現性がないと思います。むしろ人材の育成という点できちんとタイムスケジュールができたら自然に体制ができてくるのではないかと思うので、そこもぜひ詳しく検討していただきたいと思います。

○間野座長 ありがとうございます。その点も極めて重要で、恐らくこの文章からは、がんゲノム拠点というのは何となく各県には1つはあってほしいというふうにも読めるのですけれども、では今の遺伝カウンセリングのシステムが、ちゃんとどのタイミングでそれだけの数まで到達できるのかというプランニングも重要になってくると思いますので、厚労省の側でも十分検討していただきたいと思います。

 中西構成員、どうぞ。

○中西構成員 私も人材育成のところで発言させていただこうと思っておりましたけれども、先ほどの御発言にもありましたように、どういった職種、技能をお持ちの方をどう育てるかということをきちんと定義しておくことが必要だと思っております。一方でがんプロフェッショナルプランが文科省から次のプロジェクトとして出てくると思いますけれども、そういったものとの連携をすることによって、より有効で、なおかつ過度の資源を消費しない形を考えるのも1つかなと思います。

 もう一つ、中核病院等における要件の中に医師主導治験というのもございましたが、例えば希少がんですとか、あるいは非常に新規性の高い薬の開発については、かなり国際展開も重要になってくるので、特に国際展開は国際共同治験等に関してはこれまた特別な人材あるいは制度、設備等も必要になってくるのではないかと思いますので、そういった視点での中核病院の機能も盛り込んでいただいたほうがいいのではないかと思います。

 以上です。

○間野座長 ありがとうございました。

 ほかにこの1から8まで、中核拠点に関する要件案が書かれていますけれども、ほかに御意見はありませんでしょうか。

○厚生労働省顧問 私が気になっているのは、もともとここで言っている中核病院と医療拠点病院、医療拠点病院が一番現場に近いのだと思うのですけれども、医療拠点病院と中核病院と、さらに情報センターという関係が一応あります。その中で言うと、ITの視点で言うとどこの情報を、一極集中化して必ず情報が行き来するとなると、何らかの治療行為もしくは研究行為に対してストロークが遅くなるというか、実際に必ず真ん中の中央集権的なアーキテクチャーをとろうとすると、そこを通らないと何も答えが出なくなるという問題と抱き合わせで、例えば何か遺伝子に関するアノテーションの負荷をつけようとすると、それができる人が中核病院にしかいませんとなると、わざわざ情報センターにもう一回戻るのかという人材との関係です。

 人の関係と情報の行き来の関係は別々でございまして、現実的に制度的には中核病院があって、さらにセンターがあるという関係がすごいきれいにデザインされているのですけれども、実態としては人材が実はどこどこの地域にいる中核病院の方が何らかのアノテーションの負荷ができますよという、そこに情報が集まってしまうという問題があるので、実態の情報の行き来の分析と、実際に最後、データをストックするのは確かに情報センターでいいのだと思うのですけれども、その実態の情報がどこで行き来されるのかという分析をしないと、正しくこの情報の行き来ができないのではないか。

 もう一個、原因遺伝子の候補を絞り込むみたいな作業をしようとすると、これまたソフトウエアの開発に関係がありまして、原因遺伝子の候補の絞り込みをするソフトウエアというのが必ずセンターにあるとは考えにくくて、中核病院にあると思うのです。つまり先ほど御意見であった研究ができる一定の要素が必要なのではないかということと関係すると思うのですが、中核病院におけるものというのは検査だけではなくて解析機能が一定必要なのではないかというのは気にしております。私もそこはもちろん専門ではないので、皆様の御意見を伺いたいのですけれども。

○間野座長 ありがとうございます。多分、要件の中の2番のパネル検査結果の医学的解釈可能なエキスパートパネルを用意しているということだと思うのですけれども、先生が御指摘のとおり、本当にアノテーションを自分でつけることができるスタッフがどれぐらいいるのかということは、多分判りにくいと思いますので、それはチェックする必要があるのではないかと思います。

 ほかに要件に関してどうでしょうか。加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 私が言うことではないかもしれないのですが一言申し上げます。今の話は2つ別の話があるのではないかと思うのです。VUSとか、まだまだよくわからないバリアントなどを国としてしっかりと解釈して、落とし込んでクリアにして、現場に提示するという活動と、そうやって出た解釈結果をいろいろ見ながら、現場で個々の患者さんの検査の結果を解釈する。

 この2番は後者の話ではないかと思っているのですが、前者については多分参考としてはアメリカのClinGenというプロジェクトがバーチャルワーキンググループを国としてつくって、それに対して別に拠点とかいうことは関係なく、全国からエキスパートを集めてやって、彼らがClinVarに上がってくるバリアントを解釈して、クリニジェンとして提示していくということをやっているので、ナショナルの活動と現場の活動は両方要るのではないかと思うのです。

○間野座長 議論を整理していただいてありがとうございます。そのとおりだと思います。ほかにいかがでしょうか。

○直江構成員 細かいところですが、今のエキスパートパネルを有しているという言い方なのですが、個々の施設でエキスパートの方を擁しているということは必須だと思うのですが、いろいろながん種があって、日本でそれほど人材が多いわけでもないと思うのです。だから先ほどから言っているように中核同士がネットワークを組んで、日本で最高レベルのエキスパートの人たちがパネルを組むという仕組みも考えていいのではないかと思いますので、エキスパートパネルを例えば組織できるとか、何かそういう言い方。つまり個々の病院に全てのがん種の専門家がいるわけでは絶対にないので、ここら辺の書きぶりというのは検討の余地があるのではないかと思います。

○間野座長 ありがとうございます。確かにエキスパートパネルは、実は広い範囲の専門家が必要で、単に各がん種に詳しい臨床家だけではなくて、病理の専門家も必要でしょうし、インフォマティクス・がんゲノムの専門家も必要でしょうし、そういった異なった職種でさまざまながんを扱うということがどうしても実際上、必要になりますので、ネットワークをつくることも選択肢の1つかと思われます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、ありがとうございます。続きまして3ページ目の下の、これも重要ですが、「(2)がんゲノム医療情報の集約・管理・利活用推進」について御意見、御議論をお願いします。

 北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 先ほど来の議論からも出ていますがんゲノム情報管理センターというのは、一応オールジャパンでこういう構想を立ち上げるということで、唯一無二のという意味合いでよろしいですね。そうすると、ここががんゲノムデータベース、後で6ページあたり出てきますけれども、これを保有し、かつ、現在がん関連学会等々が一部運営している臓器別がん登録などとも全部統合して、1つのがんに関する大きなネットワークを形成する。本当にこれ以外のデータベースや管理体制は日本に存在しないぐらいの公的に近いものというイメージなのか、あるいはまた逆に幾つかこういうものが今のように少しコンペティティブに存在することもあり得るのか。これは前者でよろしいでしょうか。

○間野座長 厚労省が答えたほうがいいのかもしれないのですが、多分、保険収載されたパネル診断を医療行為として返すときに使うCKDBというのは1つになると思うのです。それはやはり情報の集約もありますし、よほど費用もかかるものですので、言えば百科事典をつくることなものですから、厚労省側が医療行為の一環として保険医療行為の中で返すのに使うデータベースは1つになるのではないかと私は感じていますけれども、厚労省に振っていいのでしょうか。

○医療イノベーション企画官 この論点案としてお示しさせていただいたのは、集約という意味がありまして、その1つということによってより効果的になるのではないかということで、これも構成員の先生方からお知恵をいただければなという意味でございます。

○北川構成員 非常にコンセンサスが重要なところなので、その方向性でよろしいということですね。わかりました。ありがとうございます。

○間野座長 ほかに(2)について御意見ありますでしょうか。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 5ページの上の部分でございます。「運営コストの部分で医療上の利用や研究開発利用等、利用目的が明確な部分については受益者に負担を求め」という記載がございます。1点目は、この受益者の意味するところでありますが、これは患者等が含まれるのかという点の確認でございます。

 2点目でございますが、もし患者等も含まれるのであればということですが、現在、ゲノム医療にはもちろん期待も大きいですが、限界もまだまだあるという現状を踏まえて、その場合には検査等に関する妥当性と有用性をしっかりと、わかりやすく患者さんに説明していただいて、同意いただくということ。これは自明なことではありますが、このことを明記いただきたいと考えております。

 以上でございます。

○間野座長 ありがとうございます。

 これに関しては、特に事務局からはよろしいですか。

○医療イノベーション企画官 今、御指摘いただいた点は事務局としても重要だと思いますので、そういうわかりやすい記載をしっかりさせていただきたいと思います。

○間野座長 ほかに(2)についていかがでしょうか。加藤構成員、どうぞ。

○加藤構成員 今、患者の視点というものがあったので、セントラルなデータベースをつくった際に、どういうレベルのデータをどなたが、どういう方が使うのか。最終的には最もシンプルな個人同定につながらないものは公開される場合もあると思うのですけれども、その辺の整理は、もちろん一番深いところはかなり大事なものとして、比較的少数の方ですね。何段階かあると思うので、そういう議論は必要なのではないかと思います。

○間野座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、(2)については御同意をいただいたと考えます。

 では、5ページ目の「(3)質を確保した効率的な検査体制」について御議論、御討議をお願いいたします。

 直江構成員、どうぞ。

○直江構成員 5ページ目の下から2つ目の○なのですが、「現時点においては」の文章なのですけれども、がん拠点になりますと、いわゆるがんの未治療の患者さんにこういう情報を提供して、治療の最適化をするとか、いろいろな試みがされると思うのですが、これは何となく再発時の生検や過去の手術検体が想定されているという書き方は、何か私たちがイメージしているものよりも随分後ろ向きといいますか、それだけしか考えていないのという感じがするのですけれども、特に過去の手術検体が想定されているというと、過去の手術検体はあくまでもこれはレトロの研究目的であって、ここで話をしているのは、どちらかというとクリニカルシークエンスの話ではないのか。つまり前向きでやることを話しているのではなかったのという感じなのですが、ここはいかがなのでしょうか。

○間野座長 私も全く同じことを思っていたのですけれども、普通は病院に行って、これはがんが疑われますということで生検して、その一部を使ってパネル検査をして薬を選ぶ、あるいは治療介入を行うことになるので、ここは少し我々が考えている実態に即して直してもらったほうがいいのではないかと思いました。

○医療イノベーション企画官 私どもとしては、パネル検査がどのような対象の患者さんで有効性、安全性が確認できるのかという科学に基づくのかなと考えておりますけれども、ぜひ先生方からどういった患者さんでそういう陽性というか、考えられるのかという御助言をいただければありがたいなと考えております。

○間野座長 この件に関していかがでしょうか。

○直江構成員 もちろん例えば治験中のものであれば、再発難治の一定のがん種というような形、ある遺伝子の変異が認められたという形になるかもしれませんけれども、それは現時点の話であって、ほかに治療法がない患者さんに関しては、例えば一定の要件を満たせば未治療の方も治験に組み込まれることも十分これはあるわけで、余り最初から間口を限局しないほうがいいと私は思います。

○間野座長 今の件に関して皆さん、同じ御意見でしょうか。中西構成員、どうぞ。

○中西構成員 私も全く同じ意見です。実際に例えばドライバー遺伝子等のパネル検査が進むにつれて、最初から同時に複数の遺伝子異常をお持ちの方がおられることもわかってきていますし、そういった方についてある1つの薬剤が効く・効かないという情報も出てきております。そのことも含めて最初から前向きでやる体制があるということが、これを有効に進めていく上では非常に重要だと思いますので、ぜひそこも入れていただきたいと思います。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。西田構成員、どうぞ。

○西田構成員 下から2番目のところの新鮮凍結を保存することというのは非常に重要なことだと思いながらも、同時に凍結検体を、質を担保したまま大量に抱え込むということが、いかにコストがかかるかということを考えなければいけないので、今ある既存のバイオバンク等の協働等を考えたほうが1つはいいのではないか。コストの面で多分、情報を担保するよりも、あるいはDNAを持つよりも新鮮凍結をキープすることは非常に負荷がかかるのではないかと私は少し恐れるところがあるのですけれども、いかがでしょう。

○間野座長 ありがとうございます。

 北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 今の西田構成員がおっしゃったのは、私も同じ意見でございまして、先ほど中核の要件にも一定以上の症例数の検体を新鮮凍結保存可能であるという記載が入っています。これは相当なインフラ整備が必要であるということで、一方でこれを集約するとなると、大量の検体の新鮮凍結保存には相当なコストもかかりますので、このあたりは現実可能な形に少し議論を深めていったほうがいいのではないかと思います。

 ありがとうございます。

 恐らくがんゲノム医療推進のための制度班のほうで、先ほど山口構成員からも議論がありました保険外併用を活用した全ゲノム解析を実施することというものがありましたけれども、多分これに今の新鮮凍結検体が絡んでくると思うのです。多分その中核病院で長期に保存する数というのは、それほど担保されなくてもいいのかなと感じました。現実的には実際に全ゲノム解析をするところに送った後は、そこで保存する必要は必ずしも要求に入っていないのかなと理解しています。それでよろしいですか。これは多分きょうの懇談会で皆さんで決めればいいことだと思うのですけれども、それぐらいでないと現実的ではないのではないかと感じております。

○北川構成員 質を落とさないで一定期間保存できるという、一定のクライテリアを満たすようなファシリティーというイメージでよろしいですか。

○間野座長 私は個人的にはそう思います。そこには多分きっと医療行為の一環として行う以上は最低限のSOP、標準手順書というものは策定して、それに従って処理することは必要だと思いますけれども、極端な負荷は中核病院にかからないほうがいいのではないか。いかがでしょうか。西田構成員、どうぞ。

○西田構成員 現実にはそういうところにいる者としては、質を担保した凍結検体を保存するいう負荷をかけられると大変だと思います。できたら凍結標本そのままよりもDNAであったりRNAであったりとか、ある程度分けさせていただけると比較的確実にいけるかなと思いました。

○間野座長 宮野副座長、どうぞ。

○宮野副座長 この新鮮凍結検体の保管というのは、現場の手術をされる医師の方にとってはアディショナルなことがかかってきておられるようで、それだけでもすごい負担に感じておられると聞いております。そういう観点から、このアクションをとることについてインセンティブが現場に働くような仕組みも同時につくっていかなければ、私は手術で忙しいんだというような形で、必ずしもこれが文言どおりに実行されるようにはならないのではないかという話を多少聞いたりしたことがございます。そういうことも含めてシステムを検討していただきたいなと思っています。

 それと、東大医科学研究所には液体窒素のタンクが100万検体分用意してございます。ただ、その維持はバイオバンクジャパンの経費で何とか細々とやっているという状況ですけれども、世界のレベルは随分と違ってきておりまして、例えば中国のChina oxford center for biomedical researchというところは、検体キャパで1,800万検体、既にことしで900万検体、そして1万弱の病院から電子化されたカルテ情報を全部集積しているそうです。検体についてもFedExの冷蔵して運ぶ便が毎日届いているというような現実があります。そういったことも意識にとめながら、世界に対してちゃんと見せられるものをデザインしていただきたいなと個人的に思っております。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。では、(3)についても御理解、御同意いただけたものだと理解します。

 では「(4)がんゲノム知識データベースの構築」について御議論、御討議をお願いいたします。北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 6ページ目の(4)の2番目の○でございます。これは非常に多くの患者さんのゲノム情報と臨床情報、特に治療情報も含めた貴重な情報のデータベースだと思うのですが、データに基づく質の高いゲノム医療を推進するための日本のデータベースを全世界にオープンにされるようなシステムになると考えてよろしいのでしょうか。

○間野座長 それについても多分ここで御議論いただくことになるのだと思います。先生はどうでしょうか。

○北川構成員 今後海外企業が運営しているようなパネルも保険収載された場合、公開する情報の限定が難しい状況になってきますね。例えば臨床情報、治療情報は海外に出さないとかいったようなレギュレーションはあり得ると思うのですけれども、なかなか線引きは難しくなるのかなと思います。その点、このコンソーシアムでどの範囲をオープンにするかというところはぜひ御議論いただきたいと思っています。私自身まだ結論は持っておりません。

○間野座長 ありがとうございます。重要な点だと思います。これに関して御意見はいかがでしょうか。宮野副座長、どうぞ。

○宮野副座長 参考としての知識ですが、イギリスのSanger InstituteCOSMICという体細胞変異のデータベースをつくっております。遺伝子と変異、それが文献にリンクされているもので、約2万4,000の文献を読んでヒューマンキュレーションによってつくっているものです。これのデータの検索は、今は普通にウエブサイトから誰もができるようになっております。昨年はCOSMICのデータベース全体をダウンロードすることができて、自分のところに置くことができましたが、現在はできなくなっております。そのように国によって全部オープンということが今まではコスト的に維持できていたので、オープンという形でやっていたのでしょうけれども、これからはそういう状況ではなくなってきているという認識をイギリスもそうですし、アメリカのNIHも認識していると私は見ております。

○間野座長 いかがでしょうか。北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 今、宮野先生がおっしゃったように、非常に精度の高いデータベースになり、先ほどの検体の保存なども含めて相当なコストがかかってくる。ここにコントリビュートした方に対して一定の特権が得られるということの仕組みがないと、コストだけは無限に膨らみ、かつ、誰でも利用できるということになると、なかなか運営できないのかなと私も思いますので、合理的なルールづくりといいますか、一定の何かルールがあったほうがまずはいいのではないかと思いました。宮野先生の御意見、ありがとうございます。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。このトータルのシステム全体はかなりコストがかかるので、本当に保険診療で得られる費用だけで賄えるかというと難しいかもしれないので、そうするとこのCKDBなどは、例えば民間の検査会社に対して参照する対価を求めるということは、この情報センターを維持する上では重要な収入源になるのではないかと思います。もちろん患者さんの個人情報がリンクした形ではないですけれども、例えばある検査会社が独自の遺伝子パネルで解析したときに、アノテーションをつけるのはここを参照するとか、あるいはさらにもっと言えば、そこからまとまったデータベースから患者さんの個人情報を省いて、遺伝子変異情報と特定の薬剤が効いたか効かないかという情報をつけた形というのは、それは製薬会社がどうしても知りたい情報になるでしょうし、その活用方法などは最初の段階でよく考えて制度設計をする必要があると思います。

 ほかに御意見いかがでしょうか。直江構成員、どうぞ。

○直江構成員 たしかこれ1回目の会議にたしか間野座長からもお話があったと思うのですが、例えば治験データの臨床情報をこういうものに入れていけるのかとか、現在、試験中の例えば他施設共同で何か研究をやっている、その情報がオンタイムでどんどん入るようになるのかどうかということは、もし入ればすごい皆さん知りたがる情報なのですが、それが最終的結果を待ってからというふうになると、5年後、10年後になると、もはや全然価値のないものになってしまいますね。この辺は本当にこれに価値があるかないか。皆さんこれにアクセスしないと次の研究ができないくらいに有用なものとしていくかどうかというのは、非常にその辺がポイントだと思うのですが、いかがなのでしょうか。

○間野座長 むしろJALSGの中心的ご活躍をされている直江先生、どうでしょうか。医師主導治験と製薬会社の治験とはまた別かもしれませんけれども、いかがでしょうか。

○直江構成員 臨床試験で言いますと、true endpointに係るデータは入れられないと思うのです。ただ、例えばあるがんで白血病で、こういう変異があったということを記述する。記述データを入れることは可能だと思います。ただ、余り価値がそれほど皆さん見たいかというと、そうでもないかもしれない。

○間野座長 御指名で済みませんけれども、WJOGで中心的なご活躍をされている中西構成員。

○中西構成員 やはり直江構成員のおっしゃったとおり、臨床試験のデータに関しては参加する研究者に対しても、アウトカムは試験が完了するまでは出さないということでバイアスが入らないようにしています。ただ、これも考え方だと思うのですけれども、どういう遺伝子情報が一定の患者さんの集団の中にいるとか、そういうことに関しては例えば比較試験であっても安全性情報については全アームまぜ合わせて出したりすることがありますし、そこは少し議論があると思いますけれども、決して不可能ではない。どうすれば研究結果にバイアスがかからないかという議論をきちんとしながら進めていったらいいのではないかと思っています。

 加えて、このような非常に大規模、なおかつコストのかかりそうなものについては、一定の情報が企業とも活用できないと自立化が難しいと思いますので、私はこうすればいいという具体的なアイデアは持ちませんが、その企業が情報提供を受けたがる、そしてそれに対して対価が払えるようなことに持っていく必要があると思っていまして、実際にWJOGでもそのような形のバイオバンクをつくって企業と協議中なのですが、いろいろな知恵、工夫は可能だと思っています。

○間野座長 ありがとうございます。

 これも御指名で悪いのですけれども、JCOGの中心的なご活躍をされている西田構成員。

○西田構成員 基本的には同じなのですけれども、やはり企業のお薬が無償提供とかされていると、まず企業の許可を得ないと企業秘密になりますので、多分途中の治験データの提供は難しいだろうなと思っています。企業治験はまず基本的には結果が出るまではまず出しませんので、無理だと現時点では考えています。

○間野座長 ありがとうございます。このCKDBがダイレクトに関係するわけですけれども、それを含めてシステムが本当に準備を始めるときになれば、企業の意見をごく早期からヒアリングをするというのは、重要なポイントのように思います。

 ほかにいかがでしょうか。

○加藤構成員 確認だけですが、6ページの下から2つ目のアジアのがんゲノム医療に貢献するというのは、どういうことをイメージしていけばいいのでしょうか。

○間野座長 これは多分、がんゲノム医療用の知識データベースが、アジア人が主体となって作られているものがほかにないので、日本でこういうものをつくれば同じモンゴロイドのデータベースとして活用されるのでは、と言う意味だと思います。

○加藤構成員 先ほどの議論とかかわっていまして、いつそれを使っていただける段階になると考えればよいのでしょうか。

○間野座長 先ほどの議論のとおりで、どういう情報にするとどこで出せるということは制度的なことを議論していかないといけないと思います。

○加藤構成員 細かいことですが、「人種」という言葉が今のところともう一カ所出てくるのですが、これはもしこういう文書が英語になったときにはRaceという言葉が出ると非常にまずくて、今、特に欧米では使わない言葉です。だからethnic populationまたは単にpopulationなので、日本人集団とかアジア人集団とかそういう言葉がいいと思います。

○間野座長 重要に御指摘ありがとうございました。

 ほかに御意見どうでしょうか。葛西顧問、どうぞ。

○厚生労働省顧問 7ページ目の一番上のところなのですけれども、私は話を聞いている限り、全くもってこのコンソーシアムの認定を受けるということは全く問題がなく、ぜひともそうするべきだと思っているのですが、少し悩むのが、このインフラだけでもまず1つは今、言ったような治験臨床系のデータベース、それから、先ほどお話された臓器別がん登録とか、全国がん登録のデータベース、もしかすると治療情報、ちょっと先に行くとリアルワールドデータみたいなものの取得、もう一点、解析系で私が先ほどから気にしているような、もともとNCBIがやっているようなアノテーションの情報を取り込むという、実はITの分野からするとそれぞれ全く関係ない人たちを、全く関係ない文脈で、事業部も全く違うグループが1つになってつくっていかないとでき上がらないのです。

 それぞれはそれぞれのドクターの方々と一緒に研究をされているので、それぞれの方は多分何か特殊な意見があるわけではなく、その分野で邁進されてつくられたシステムを全く違う形で1つに持っていかなければいけないんだということを企業さんにお伝えしていかなければいけないというのが1つです。このことが多分IT、厚労省だけでそれをはっきりと声明を出しても、なかなか伝わらないというか、省と皆様のような研究者、それから現場の臨床医の方を含めて全員でこういうシステムが必要なんですと逆にベンダーさん含めて、開発者含めてメッセージをしないと伝わらないというのが1つです。

 それから、現状のITのアーキテクチャーで言うと、これは全くつながらない状況にありまして、何らかインターフェースを開発するか、何かそこの部分だけでもとんでもない開発の労力がかかるのです。その点で言うと、上の条件文のところの7ページのことなのですけれども、すごく今、悩んでいるのが、国内のベンダー、国内の開発企業でぜひやってほしいなと思っていますし、機微情報ですし、海外の企業がやるのは厳しかろうかなと思うのですが、と言いながら国内で後ろを振り返るとほとんど見当たらなくて、私はどういう企業がこれを1つのインフラに集約できるのだろうかと。国内の中ではすごくベンダー間の競争が激しいですから、ところが、海外に行くと比較的アライアンスができていてスムーズなのです。かといって海外の企業をここに何か持ってきて誘致して開発してくれという話をここで判断を求めているわけではないのですが、この条件は具体的に言うと皆様にとってどのような企業さん、事業者であることが求められているかというのは、ぜひお話を伺いたいなと。

 それから、海外のテクノロジーとか海外の技術、海外の開発者ということがここに参加することについてはどのようなお考えを持たれているのかというのは、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

○間野座長 ありがとうございます。

 今の御質問はいかがでしょうか。多分皆さんがそれぞれ御自分のお考えを述べてくださればいいと思うのですけれども、五十嵐構成員、いかがですか。

○五十嵐構成員 非常に難しい課題ではないかと思うのです。本当にデータベースをつくる方によって全く違って、そして全く違うものを統合するとなると、またそれにも問題が出てきますし、相当これは取りまとめをする方としてどなたか強力なリーダーシップを持った方が中心になってやらないと、なかなかできないのではないかと考えています。

○間野座長 北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 ゲノムのデータはさることながら、臨床情報となるとデータ入力において現場負担が大きくなります。

 必要な臨床情報等を電子カルテと連動して収集する技術の開発が必要ではないかとの記載があるのですけれども、これが非常に重要だと考えます。御指摘のあったようなさまざまなベンダーが国内でコンペティションしている中で、共通のシステムを構築する方向でコンソーシアムの中で重点的に取り組んでいただきたいと思います。

○間野座長 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりで、このCKDBという名前のデータベースの、世界のほかのがんゲノム医療知識データベースに無い特徴としては、患者さん転帰情報まで入っていることにあると思いますけれども、そうすると電子カルテのベンダーが幾つもある中で、それをいかに効率よく、しかも品質を担保して情報を集めて、しかも医療現場に負担をかけないというのは、それぞれのメジャーのベンダーでのアドホックな電子カルテのページみたいなものをつくらないと、現実的には難しいのではないかと思います。だからこれをいざスタートするときには、最初に優先して開始するプロジェクトの1つではないかと個人的には思っています。

 ほかにいかがですか。直江構成員、どうぞ。

○直江構成員 全く素人なので厚労省にお聞きしたいのですが、先ほどがんの登録データベースとリンクしてはどうかという御意見がありました。それから、今、外科がやっていらっしゃるClinical Database、それから、レセプトデータというものもありますし、DPC病院はDPCのデータベースもありますし、いろいろなデータベースがあるのです。例えばそういうものが一気通貫で見ることができたら、既に漠然に思うのですが、そういうことは実際に可能なのかどうか。技術的には可能なのか、法律的に可能なのか、ただ、それでどういうものが出るのかわかりませんが、制度的にどのくらいの規模のものを考えられているのか。そうするとすごいイノベーティブなものにつながるのかどうかという可能性も含めて、現在、役所ではどのように考えられているのか教えてほしいのですが。

○間野座長 厚労省側でもいいですし、葛西顧問でもよろしいかと思うのですけれども、葛西先生、お願いします。

○厚生労働省顧問 今のところ、先に結論から言うと、さらっとできるものでは全然ないです。全くもって。技術的にできますかと言われれば、それはお金と時間があればできますという回答になってしまう。一番の問題は、私は厚労省に着任してから感じるのは、比較的まずデータの所在の問題です。所在が電子カルテを含めて臨床の現場で持たれている情報と、レセプトは国が持っているという所在の段階で、それぞれどう利活用するかという法律的なたてつけも含めて、これは整理がまず必要です。

 もう一個が、とは言っても現場で開発者の方々は全く違う言葉でつくってしまっているので、ここで言っている電カル含めて根元から見直していかざるを得なくなる。ただ、見直していかざるを得なくなると現場でせっかくなれてきた、電カルになれてきた皆様の現場のところにかなり影響を与えてしまうということの、その利便性とか使いやすさを含めての問題というのがはるかに大きな課題なのです。なので中核となる例えば新しくつくるCKDBみたいな、こういうものついて新しくつくることであれば、それは今からスタートできるのでいいのですけれども、既につくったものを簡単に言うとリフォームすることがとんでもない労力であるということを御理解いただけるとありがたいかなと思います。もちろんそれに対して本部をつくって解決をしていかなければいないというのは、私がいるデータヘルス改革推進本部で取り扱ってはおりますので、何らか結論を出していかなければいけないということは承知をしておりまして、これは後ろ向きな回答ではないと思います。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかに(4)に関してはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。では(4)に関しては御同意いただいたものと理解いたします。

 「(5)治験情報の集約と医師主導治験の支援」というテーマについて御討議をお願いいたします。いかがでしょうか。天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 2点ございます。

 まず1点目でございますが、7ページの中段で現在も臨床試験情報に関する複数のデータベースを一括で検索可能なポータルサイトは存在するがという記載があり、それを踏まえて治験情報の集約をさらに進めるという記載がございます。現状はUMINJAPIC、また、日本医師会が運営する臨床試験登録システムなど複数ありまして、その中でも企業治験等に関しての情報は十分に提供されていない状況がある。こういった複数のサイトを一括で検索可能ということで国立保健医療科学院のサイトが既にあるとは思うのですが、これはデータベースを機械的に検索して表示するという仕組みになっていて、現状、非常に使いづらくて、例えば国際共同臨床試験等も含めて、日本の患者さんが米国のClinical.gov等の海外のサイトなどにアクセスをして情報を収集しているという状況があります。これをさらに進めるという趣旨で書かれていますが、現状の取り組みをさらに進めるということだけでは余り状況は変わらないのではないかと考えておりますので、米国のClinical.gov等を参考にしつつ、新たな枠組みを検討することはできないのかということが1点目でございます。

 2点目でございますが、その次のポツの部分で、医師主導治験等を支援する機能という記載がありますが、この部分については、この後の部分で指摘申し上げるべきことかもしれませんが、国内においても特に治療薬や治療の選択肢が乏しい希少がん等においては、希少がんの患者団体等が医師の研究グループ等に協力をする形で患者さんのリクルートに協力し、医師主導の治験等を支援するという取り組みは既にありまして、また、前回の懇談会におきましても、加藤構成員より海外では自発的に患者さんがデータを提供するプロジェクト等が始まっているという指摘もありましたので、この部分については患者さんや患者団体等が協力し、協働することができる余地があるのではないかと考えております。

 以上でございます。

○間野座長 ありがとうございました。

 情報の集約のシステムについては、今のは非常に重要な御指摘だと思います。現状の日本の治験の情報データベースですと、例えば治験がどの病院でやられているのかが明らかでない情報もありますし、もちろんゲノム遺伝子系型によるエントリーの有無みたいなことも書かれていませんので、非常に検索が難しいのです。例えばある遺伝子変異がある人はどういう治験が今、日本で走っているのかということがすぐにわかるようなシステムをつくることが、ちょうどこれがいい機会ですので、その体制を整えるべきではないかと考えます。これに関していかがでしょうか。希少がんなんかの場合には、医師主導治験の支援システムみたいなことも必要になるのかもしれませんけれども、五十嵐構成員、小児のがんに関しては何か御希望されることはありますでしょうか。

○五十嵐構成員 どうしても小児の場合は患者さんの数が少ないということがございまして、薬剤一般に関してどうしても小児を対象とした臨床試験がこれまでずっとおくれてきたわけです。米国では小児の治療薬の開発をする場合には、例えば認可の期間を短くするとか、幾つかさらにインセンティブを企業に与えることによって推進する仕組みが法律であるわけですけれども、日本ではまだない状況です。がんに関しても同様でして、状況はもっともっと厳しい状況ではないかと思います。そういうわけで新しい薬はどうしても外国でつくられたものを日本でまた使いたい。しかも使える薬も非常に限られているというのが今までの歴史だったのではないかと思います。ですからぜひ小児のがんに関しても何らかの形で企業が参画できるようなインセンティブを与えるような仕組みを考えていただきたいと考えております。

○間野座長 ありがとうございます。成人では同じように希少がんである肉腫に関して構成員お二人、それぞれエキスパートでいらっしゃいますから、では西田構成員から。

○西田構成員 先ほど五十嵐構成員がおっしゃったのは非常に重要なことで、我々のところでIITをやった。結果は出た。しかし、企業が乗ってこないというのが現実にあります。それはなぜかというと、企業にとって特許が切れているとメリットがないというのがあって、販売する側にも何らかのメリットがないと、ただ単に結果が出て終わってしまうということがあります。それは企業を巻き込んで一緒にやらないと、臨床試験の結果が出ても最終的には患者さんのところにお薬が届かないという現象が起こる。特にNが少ない場合には何らかのいわゆるコモンキャンサーとは違うシステムづくりが要るのではないかと思っています。

○間野座長 ありがとうございます。

 山口構成員、いかがでしょうか。

○山口構成員 基本的には西田先生と同じ意見ですが、天野さんからも御発言がありましたけれども、患者団体からの支援も非常に重要で、それなしにはなかなか進まないと思います。

 それから、(5)のところはゲノム医療に限らず全般の話ではないかと思って見ていたのですけれども、特にこれを取り上げたのは何か理由はあるのでしょうか。ゲノムにかかわらない治験情報も必要なのであって、なぜゲノム医療だけをと限定するのでしょうか。というのは、決してゲノム医療をやりたいといって見るわけではなくて、自分はこういう病気だけれども、どうだろうと見るのが普通だと思うのです。

○間野座長 事務局、いかがでしょうか。

○医療イノベーション企画官 事務局としても御指摘のとおりだと思っておりますが、パネル検査を保険で見ていただくということで、よりこうした希少疾患等の新たな開発を進めていくという観点で、ここで記載させていただいておりますが、全般に係る課題という認識は持っております。

○間野座長 実は希少がんという側面もある血液のがんに関して直江構成員、いかがでしょう。

○直江構成員 今のお話はニワトリと卵の関係になっていて、ゲノムの変異がこのくらいいるというものと、それに対しての開発というのと、現在は逆でして、ある阻害剤ができる。ではそういう人たちはどのくらいいるのか。どの人がそれに相当するのかということで、ゲノムのスクリーニングの必要性が高まっている。今後は両方が足並みをそろえて進歩していくことが必要なのですが、今ネックになっているのは、実は阻害剤が効く人が目の前の人が効くか、そうではないかという情報を皆さんが持っていないということだと思うのです。それでこういう会議が開かれていると思うので、今、御指摘の点は非常に重要な点だと私も思います。

○間野座長 私から直江構成員に質問なのですけれども、例えばある会社のパネル診断キットが保険収載に向けて動いているということがプレスリリースもされていますが、それで見る限りは血液のがんを調べるのに適しているとは思いがたいので、このままでは造血器の腫瘍に関してこういうゲノム医療というものが少し遅れるのではないかと個人的には危惧しています。だから例えばこのシステムができると、例えば血液のがんに対してはどこかのグループあるいは情報センターも入っていいかもしれないですけれども、パネルを作って遺伝子解析に関してはこのシステムがそこを請け負うみたいなこと、つまりシステムを保険収載として使うだけではなくて、そういう臨床性能試験にも支援するような形で使えば、オールジャパンの造血器腫瘍の治験が組みやすいのではないかという気もしているのですけれども、いかがでしょうか。

○直江構成員 ぜひお願いしたいと思います。血液のがんは一般的な固形がん、コモンキャンサーに比べると変異の数が1桁少ないし、いわゆるドライバー的なものという比率はその分、高くなるということで、現在、新薬開発が非常に活発に行われている分野なのですが、先ほど申し上げましたように、スクリーニングシステムはまだ整っていないということで、これは早晩、学会とかいろいろな組織を挙げて取り組んでいきたいという中で、こういうものが立ち上がれば、そういうものに組み入れていただくということが今、座長から温かいお言葉があったので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。ありがとうございます。

○間野座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。西田構成員、どうぞ。

○西田構成員 ちょっと戻りますけれども、先ほど天野構成員がおっしゃった、要するにどこか1カ所で確実に例えばこのゲノムがあればここで治験をやっているという情報の提供の件です。これが1箇所で提供できればいいと思うのですが、それと同時にできればUp To Dateをできるだけ早く対応する必要があると思います。ただ、余り早くすると労力がすごいかかります。企業さん側のこともあったり、IITの場合は医師側のこともあると思うのですけれども、そのサイトがオープンしているかどうかという情報が多分患者さんにとっては非常に重要なのではないかと考えます。治験が本当にあるけれども、動いていない場合が時々ありますので、そういった情報を機微に提供できるようなシステムを最終的にはつくれればいいと思います。ある程度の負荷は免除するにしてもという前提ですが。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では「(5)治験情報の集約と医師主導治験の支援」に関しては御同意いただいたと理解します。

 「(6)革新的医薬品等の創出を促す仕組み」の項目について御議論いただければと思います。いかがでしょうか。北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 まずこの革新的医薬品等を創出するというのは1つの大事なゴールだと思うのですが、先ほど来、話題に出ております情報センターの機能とデータの取り扱いという点で注意が必要です、例えば私どもが外科系学会で運営していますNational Clinical Databaseの事例で言いますと、生データは外部には出さずに、さまざまな委託を受けて、その目的でNCD機構がデータを解析して答えを出すという形をとっております。生データをそのまま出すのではなくて。その形をとりますと、恐らくさまざまな企業や研究機関から非常に似通った同様のリクエストが出てきますね。この優先順位を審査するというのは非常にまた難しい作業になります。情報センターはさまざまに寄せられるリクエストを審査し、公平にジャッジしていく機能という非常に高度な機能を要求されるなという印象を持っております。この辺についての枠組み、構成員の皆様はどうお考えになっているのか伺いたいと思っています。

○間野座長 重要な、全ゲノム情報と臨床情報がこのスケールで集まってくるということは日本にかつてなかったので、それを先進医療として患者さんにレポートするだけではなくて、そこから新しい医薬品創出につなげるというのは、コンソーシアムの大きな使命ではないかと思います。それを実際にどのように運営して可能なのかということについては議論が必要だと思うのですけれども、皆様の御意見を伺えればと思いますが、中西構成員。

○中西構成員 先ほどの持っている情報をどう企業に有効に活用してもらうかにもかかわってくることなのですが、今、私が所属している臨床試験グループでやっているのは、プレスクリーニングのデータをお出ししますというものです。どういうことかというと、事前にサンプルを全部1カ所に集約して、そこでドライバー遺伝子をスクリーニングにかけてしまう。そのデータを私たちは持っています。企業さんのほうは、これをください、あれをくださいではなくて、彼らにとっての市場調査的な形で、これくらいの中にこれくらいパーセンテージのドライバー遺伝子がありますという情報をお出ししましょう。そのことで彼らは山のようにいろいろな薬を持っているのですけれども、開発をどうすればいいのか、どういう規模でやるかについては彼らは正確な情報を持たないのです。そういったものについての予備的なデータになると思っています。

 ただ、非常に苦しいと思っているのは、どなたのデータかは事務局にはわかりますが、そのデータを企業さんにお渡しするに関しては、かなり事前に同意のとり方、ICのとり方を含めて倫理的な手順を明確にしておかないと難しいと思っています。つまり、そういう意味でプレスクリーニングという形のデータを情報提供するのは、対価を十分いただきながら、彼らにも非常にメリットがあると思うのですが、個別の方がどうかということになったときの話は、やはりこれはかなりしっかりとした議論をここでやっていただく。ただ、それは決して不可能とは思っていなくて、実は最近は特にドライバー遺伝子をお持ちの方の薬というのが非常によく効くものですから、むしろ患者さんがそのデータを早く活用して、自分に薬を届けてほしいというお考えもお持ちです。ただ、それでもそこのディスカッションをしっかり踏まえた上でやれば、私は前向きに進むのではないかとは期待をしているところでございます。

 以上です。

○間野座長 ほかにいかがでしょうか。多分ここでは議論はどのような形でICをとるのがいいのかということと、とったデータをどのように現実的に利用していくのかということの2点に分かれると思うのですけれども、これまでインフォームドコンセントに関して議論を余りしてこなかったのですが、イーコンセントなんかもこのシステムでは使えるのではないかと思うのですが、加藤構成員、これ用に将来のゲノムデータを研究に使う、あるいは場合によっては企業に個人情報を切り離してシェアすることを可能にするようなイーコンセントを最初からデザインすることは可能でしょうか。

○加藤構成員 多分まだ私の答えは結論的には出ていなくて、現実に日本の中でAMEDの幾つかのプロジェクトの中で恐らくイーコンセントは要るだろうということで、具体的に言うとそのプロジェクトだけ名前を出すことになりますけれども、いろいろな形で今、医学研究はたくさんの患者さんのサンプルを使っているので、こちらにもイーコンセントでできないですか、あちらだとどうですかという検討はやっていると思います。

 ただ、がんゲノムとしての結論というのはまだ詰めてはやっていないので、多分ここの会議としてはこういうことが重要だというのを書いていただければ、まず我々の仲間のような人間が各省でやっているものをここへ持ってくるということになるかと思います。クリアな答えになっていないのですが、そんな感じです。

○間野座長 私からの質問なのですけれども、例えばアメリカのプレシジョン・メディシン、今はオールオブアスプログラムになっていますが、あれなんかはイーコンセントなのですかね。NIHのコリンズ長官が私に言ったのは、このプログラムで集めたデータは誰にも使えるようにしたいということでした。アカデミアが誰にでも利用できるだけではなくて、企業にも自由に使えるようにして、それで新しい産業をつくっていこうということがコリンズ博士の1つの目標だったように思うのですけれども、あれではイーコンセントが使われているのでしょうか。

○加藤構成員 ちょっと分けさせていただきたいのですけれども、入り口のところでかなり広く、しかし理解していただいて、サインしていただく。日本では今、基本的には文書です。それを電子化するという話は1つ重要なのですけれども、必ずしもそれを電子化しなくても、そこは自著いただいて、それを確認するだけでもいいかもしれないのですが、現実にこういう知識データベースを使ったり、カルテ情報を統合していくときに最初の同意の結果がどういう内容、例えば外国には使わないでくれとか、場合によっては企業はもう少し抑えていてくれというコンセントの内容を電子化して入れていくという議論があるのです。

 私の理解では、どちらかというとコンセントの内容を電子化していく議論のほうが進んでいて、そういう意味でのイーコンセント。メタデータとしてコンセント内容が入っているというほうが私は先に行っていると思います。一番難しいのは、その方を本当に患者だとしっかりオーセンティフィケーション(認証)しないといけないので、そこはなかなかメカニズムは難しいです。偽の登録をどう排除するかという課題です。まだうまく答えられていないのですけれども、そんな感じです。

○間野座長 コンセントに関してほかに御意見ございますか。五十嵐構成員、どうぞ。

○五十嵐構成員 確かに今までICのことは余り議論がなかったわけですけれども、小児の立場から一言だけお願いしたいと思っています。これはコンソーシアムの運営体制の下から2つ目の○にもあるのですけれども、小児の場合も成人と同じようにこうしたゲノム情報を使ったプレシジョン・メディシンに向かって薬剤が開発されて、その恩恵をこうむってもらいたいと考えているところです。しかしながら、何とか参画したいわけですけれども、そのときにインフォームドコンセントあるいはアセントがとれない子供たちがいるわけです。その人たちの同意というものが親の同意で本当にいいのか。あるいは保険診療は親御さんの保険で子供たちが治療を受けるわけですけれども、親御さんたちがお金を出すから、それでオーケーなのかという議論は、少しはしていただきたいと考えている。これが運用面で少し議論が必要ではないかと考えている次第です。

○間野座長 ありがとうございます。ぜひ議論に加えていただければと思います。

 ほかに今のコンセントに関しては。宮野副座長、どうぞ。

○宮野副座長 コンセントという概念と、同意というこれは別の概念にこの6月ぐらいからなるということで、私自身の経験と考えですけれども、こういう研究に参加したいというときには、参加者の人がいますけれども、ただ、この研究には参加したくないという参加者のコントローラビリティーをコミュニケーションによって可能な限り担保していくことが技術的に可能なことだと思いますので、それで全部できるというわけではもちろんないのですが、可能なところで効率よくできるところはどんどん推し進めるようにしていただけたらなと私は思っています。もちろん全部ユニフォームに1つのやり方でできるとは思いませんけれども、1%の人がコミュニケーションをとって、この企業との研究に参加したいと言ってきて、分母が100万人あると1万人の人たちの参加が得られるわけです。それが1週間のうちに参加者のリクルートができる時代がもうアメリカでは来ようとしています。そういうものにキャッチアップできるようにコンセント及び研究開発、企業の2次利用に関しての同意というものをここで議論して、きちんと国民の人に理解していただけるものにしていただけたらなと考えております。

○間野座長 ありがとうございます。

 患者会の立場から天野構成員、今までのコンセントの議論に関してどうでしょうか。

○天野構成員 今、副座長からコントローラビリティーを確保するという指摘があったかと思います。もちろん患者の立場からはそれが担保されることが望ましいと考えております。一方で例えば5年、10年とデータが利活用されていく中で、どこまでそういったものに対して患者が主体的にかかわれるのかという難しい面もあるかと思いますので、やはり同意を得るときにさまざまな可能性があり得ることを患者さんにしっかり説明し、理解していただくことが不可欠だと感じます。

○間野座長 例えばそこでコンセントをとるときに、研究目的ならほかの研究者に使ってもいいですよ。それを超えて企業にシェアしてもいいですよということは、ステップワイズに電子的に患者さんにひもづけするようなカルテシステムをつくったら比較的センターに対する負荷が少なくて、それぞれのデータのどこまでが使用していいかというフラッグづけが割と使いやすいのではないかと思うのですけれども、加藤構成員。

○加藤構成員 言おうか言うまいかと思っていたのですが、ダイナミックコンセントという考えがありまして、本当につながったまま、だから先ほど申し上げたように最初の入り口はともかく、ウエブ上で自分自身のコンセントを途中でも変えていける。実際には皆さん余り変えないみたいなのですが、そういうプロセスがあるのですけれども、そういうものをやるという議論はありまして、多分ここで大事なのは、かなりの数の人がそれでつながっていると、新しい治験をやる、薬の開発で新しい候補が出てきたというときに、こういう方に参加していただきたいのですけれども、参加していただける方は電子レベルでイエスと言っていただけませんかということができるようになるということです。だからコンセントも大事ですし、同時にネットワーク化ということも今、議論されているところがあります。

○間野座長 ただ、その場合は本当に患者さんがそれをクリックしているのかというオーセンティフィケーションは難しくなります。

○加藤構成員 だからそれを先ほど申し上げたので、いろいろしっかりとした仕組みが必要です。ただ、IT時代の新しい考えは、いろいろなところで動きはじめています。

○間野座長 ありがとうございます。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 ただ1点だけ留意いただきたいのは、研究者のグループの中で、医療者や公的研究機関等でシェアされる場合と、一歩踏み込んでさらに企業に出るというのは多分、患者さんや一般の方にとっては心的な印象のレベルが違うと思うのです。実際に個人情報が切り離されているとは言ってもゲノム情報であるのは間違いないことだと思いますので、その部分は慎重に検討し、取り扱うべき点はあると考えております。

○間野座長 確かにそこは十分御理解もいただいた上で始めないといけないと思いますけれども、ただ、一方、薬をつくってもらうことは全体のシステムの非常に重要なテーマでありますので、薬をつくる、あるいはマーカーをつくるというステップが加速するような形であるように配慮すべき気がいたします。

 ほかにいかがでしょうか。もう3時50分になりましたけれども、今、コンセントは少し議論させていただきましたが、集まったデータを使って新しい創薬開発の研究みたいなことに関しては、先ほど少し北川構成員から御意見をいただきましたけれども、ほかに出ていないのですが、これに関してはいかがでしょうか。直江構成員、どうぞ。

○直江構成員 センターがいろいろな例えば研究者の審査であるとか、企業の審査であるとか、相当負担が大きいのかなと感じるのです。だから何かオール日本の仕組みとして、例えば学会の参加とか、患者さんの参加とか、いろいろそういうところでいろいろな人を巻き込む必要もあるのではないか。そうしないとこのくらいの規模のものを特定の企業に出す出さないということをセンターだけでクローズドで決めていると、いろいろな議論が出るのかなという、ここはちょっとケアフルにやったほうがいいのではないかという気がします。

○間野座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。杉山構成員、どうぞ。

○杉山構成員 これは質問というよりお願いなのですが、審査をするときに例えば我々には情報系のバックグラウンドの人もこういうデータにアクセスしたいという人が結構いると思うのですが、そういうときに、なるべくそちら側の分野の人を排他的にしないというか、我々にもちゃんとチャンスを与えるような形にしていただけるとありがたいと思います。

○間野座長 ありがとうございます。むしろ積極的に参画していただくことを願っております。

 ほかにいかがでしょうか。天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 今の直江構成員の御発言に関連してでございますが、次のところになってしまいますが、8ページのところの中でそれぞれの機能や役割を担う機関とのコンソーシアムを形成し、意見具申可能な枠組みを構築してはどうかとあり、その際、患者・国民も主体的に参加することが重要であるという記載がございますが、その枠組み等の中にぜひ患者や家族または患者団体等の立場の方を入れていただいて、オールジャパンで体制を構築できるようなことを御検討いただきたいと思っております。

○間野座長 ありがとうございます。

 では最後の「コンソーシアムの運営体制」自体に議論の場を移らせていただきます。今、天野構成員から患者会とかそういう方々の参画もこのコンソーシアムに入れていただきたいということは、もちろんぜひ御参画いただきたいと思っております。

 ほかにこのコンソーシアムの運営体制について何か御意見ありますでしょうか。患者さんというか、国民参加型のこういうプロジェクトを宮野副座長は以前からおっしゃられていますけれども、宮野先生、何か御意見ありますか。

○宮野副座長 全部皆さんのほうでシェアしていただいていることでよろしいかと思います。それと先ほど間野座長がフランシス・コリンズ博士の発言を引用されておりましたが、まさにそれがこれから私たちが進んでいく方向だと私は思っております。コンソーシアムをその方向に運営していくことが肝要かと思っています。

○間野座長 ありがとうございます。やはりそういう視点がないと、これを永続していくのはなかなか難しいと思いますので、ぜひあるときが来たら離陸できるようなシステムを最初からデザインする。離陸までの期間に果たしてそれが離陸可能かどうかということも結論が出るような体制、検証システムを持ったものを最初からつくる必要があると思います。

 ほかに、加藤先生。

○加藤構成員 ですから先ほどの天野構成員の発言は非常に重要で、機能として前のほうは拠点の機能の話をしたのですけれども、単なる運営の問題というよりは、機能として患者とのかかわりをしっかりと考えた拠点が要るということを私としては特出しするというか、1項目分けないといけないのではないか。前の部分にはそれがないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○間野座長 具体的には例えば中核拠点の要件に。

○加藤構成員 そうですね。ただこの文書では、拠点の要件になっているので、明示的に入らなかったのは理解できつつも、拠点がそういうことができないといけないと思うのです。患者が参加できるような仕組みをつくるとか、もちろん現実的にまずやらないといけないと思うのですけれども、それから、前回議論をした2次的所見等の問題も今回入っていませんが、それもここで何らかの議論が要ると思うのです。今回は考慮せず、横に置くなら置くという議論が要ると思うのです。そういう患者さんとの関係についてのいろいろなものを備えた拠点が要るという、前から後ろまで全部で申しわけないのですが、運営だけではなく。

○間野座長 中西構成員、どうぞ。

○中西構成員 私もそれは感じていたところで、恐らくそれは形を具現する云々ではなくて、例えば基本的な考え方のところに、これは国民全体として取り組む、社会全体として取り組むものができたのだということをしっかり文として入れていただいて、そして、それを具体的にどうするか。そういうものであればいいと私も思っていましたので、大賛成でございます。

○間野座長 では例えば検討の前提、あるいは基本的な考え方のところに国民が取り組む新しい社会システムであるという。

○中西構成員 これを皮切りに国民全体としてがん医療あるいはがんゲノム医療に取り組むんだという宣言的な、先進的なバックグラウンドがあればと思いました。

○加藤構成員 多分、幾つかのキーワードをしっかり入れればいいと思うのです。1つの文でもいいと思うのですが、参加だけではなく、つまり倫理的なところも十分配慮しなければいけないし、恩恵もしっかりもたらさなくてはいけないしという、幾つかのことがあると思うので、我々は今、議論をしてきたと思うのです。それを患者さん、国民という立場でまとめて、それを我々は意識しているという書き方をするのがよいということだと思います。

○間野座長 わかりました。ではそれは基本的な考え方のところに文言として入れていただいて、確かに中西構成員がおっしゃるように、そういう宣言に近いような文はあったほうがいいように私も思います。

 それから、加藤構成員が御指摘の2次的所見なんかに関する文言もどこかに入れておいたほうがいいと思います。

 ほかにコンソーシアムの運営体制について、あるいは全体について何か御議論はありますでしょうか。ではちょうど4時になりましたので、きょうの議論はこの辺で終了させていただきたいと思います。事務局においては、きょうとても深い議論ができたと思いますので、きょうの議論を踏まえて資料の作成をお願いいたします。

 事務局から次回の予定等について御説明をお願いします。

○医療イノベーション企画官 御議論どうもありがとうございました。

 次回の日程につきましては、5月29日の月曜日に開催を予定しております。詳細は追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○間野座長 では、きょうも大変ありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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