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2017年5月24日  (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第1回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成29年5月24日(水)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第4号館108会議室(1階)


○出席者

佐藤座長
大塚座長代理
北岡構成員
小林構成員
佐々木構成員
千葉構成員
太田参考人(菊地構成員)
遠藤オブザーバー

○議題

(1)(独)国立のぞみの園の在り方検討会の開催について
(2)(独)国立のぞみの園の現状と特色について
(3) その他

○議事

○渥美施設管理室長補佐 
定刻になりましたので、ただいまから、第1回(独)国立のぞみの園の在り方検討会を開催いたします。本日は御多忙中のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
検討会の座長が選出されるまでの間、事務局にて進行させていただきます。私は進行役を努めさせていただきます厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室で国立のぞみの園を担当しております室長補佐の渥美でございます。
議事に先立ちまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長の堀江より御挨拶申し上げます。

○堀江社会・援護局障害保健福祉部長 
皆様、ありがとうございます。障害保健福祉部長の堀江でございます。検討会におきまして、国立のぞみの園の中長期的なビジョン、あるいは今後の在り方についての方針を少しずつ示すことができればと思っているところでございます。いろいろありましょうが、ついこの間もある県の方とお話したら、その地域において強度行動障害の方がお見えになって、どうにも県の中で対応ができませんということで、のぞみの園にすがる思いでお願いしたところ、取りあえず2年間であればということでお受けいただいて、またその間も丁寧に対応していただいて、またその振り返りなどもやっていたただいているというようなこともお受けしているところでございます。この国立という名前の付く意味というのが、本当にどこにあるのか、あるいは相当な部分をそれぞれの自治体で対応できるのかというところが、自治体といいますか、その地域で対応できる機能が本当にレベルアップしてきているのかというようなところがポイントになるのだろうと思うわけでございます。
この国全体として見ますと、今年の3月に第5期障害福祉計画にかかる国の基本方針を作成し、あるいは第1期に当たります障害児福祉計画の基本方針を作成して、施設入所者の地域生活への移行あるいは、地域生活の継続の支援、就労支援等の課題に対応したサービス提供体制の整備を進めることとしており、それぞれのパーツでは、例えば昨日も、児童発達支援のガイドラインを大塚先生のところでまとめていただいたりしているところです。そうした中で、来年の4月には、改正障害者総合支援法の施行を控えまして、また、障害者の望む地域生活の支援などを進めていくことといたしておりますとともに、今年は、3年に一度の障害福祉サービスの報酬改定の時期にもあたっているところでございます。
そうした中で、のぞみの園は、昭和46年に、特殊法人心身障害者福祉協会が運営する国立コロニーのぞみの園として開設されまして、平成15年の10月から独立行政法人になったわけですが、その前進である「国立コロニーのぞみの園」から入所者、及び施設設備、組織を継承していますことから、相当部分の制約を受けて、中でも事業展開を、本日は遠藤理事長にオブザーバーで来ていただいていますけれども、お願いしているところでございます。国の障害者施設の一翼を担います独立行政法人としまして、これまで入所者への支援だけでなくて、障害者施策の課題となっています重度の高齢知的障害者への支援等のモデル的な実践を図り、そのフィールドを生かした調査研究、養成研修の実施、地域で生活する重度障害児・者への支援など、多角的な業務を担ってきていただいているところでございます。そういう中で近年、地域移行の困難な入所利用者の処遇のことが問題にありますし、それから今後の事業展開、財政の問題、それからたくさんの施設を運営していただいていますので、その中で老朽化といった課題も出てきているということでございまして、のぞみの園自体は、来年4月から次の中期計画に入るわけですが、この会議においては、より中長期的な課題について、忌憚のない御意見、御議論をお願いしたいというふうに考えてございます。始めに当りましての挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 

○渥美施設管理室長補佐 
ありがとうございました。それでは議事の前に、構成員及びオブザーバーの皆様方を御紹介させていただきます。お手元の資料1の裏面に、構成員及びオブザーバーの名簿を添付させていただいておりますので、お名前のみの御紹介とさせていただきます。大塚構成員、小林構成員、佐々木構成員、佐藤構成員、千葉構成員、遠藤オブザーバーです。石渡構成員、菊地構成員におかれましては、本日は所用のため欠席と承っております。なお、菊地構成員の代理として、太田参考人に御参加いただいております。また、北岡構成員におかれましては、所用のため時間に遅れまして14時頃から参加予定です。
続いて事務局の紹介です。障害保健福祉部長の堀江、障害保健福祉部企画課長の朝川、企画課施設管理室長の池田、同じく施設管理室長補佐の品川です。それでは、検討会の立ち上げに際して、座長の選出をお願いいたします。どなたか御推薦はございますか。

○大塚構成員 
よろしいですか。佐藤先生を座長に推薦したいと思います。佐藤先生は、この分野に関する知識も豊富であり、現場を切り開いてきた実践家であります。各種検討会、あるいは委員会の座長や委員長も歴任されて、本検討会の座長として適任だと思います。改めて佐藤先生を座長として推薦したいと思います。

○千葉構成員 
私も大塚先生と同じように佐藤先生を推薦させていただければと思っております。

○渥美施設管理室長補佐 
ありがとうございます。ただいま、両名から佐藤構成員ということで御推薦がありました。皆様方はいかがでございますか。よろしいでしょうか。それでは、佐藤座長、よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 
よろしいでしょうか。ただいま御指名いただきました佐藤です。よろしくお願いいたします。先ほど部長の御挨拶にもありましたけれども、今後の在り方を、どういうふうに考えていくのか、あるいは具体的にどのように、いわゆる改革をしていくのか、皆様の御意見を伺いたいと思います。円滑な議事進行に努めたいと思いますので、皆様の御協力をよろしくお願いいたします。それから、開催要綱に基づきまして座長代理を指名することになっております、座長代理の指名は、座長が行うということになっておりますので、この種の会議で御一緒してきました大塚構成員に座長代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。皆さん、いかがでしょうか。よろしければ。

○大塚座長代理 
よろしくお願いいたします。

○佐藤座長 
では、よろしくお願いいたします。では、会議を進めてまいります。事務局から資料の確認をお願いいたします。

○渥美施設管理室長補佐 
表紙の議事次第に続き、資料1「(独)国立のぞみの園の在り方検討会開催要綱」、裏面に構成員名簿が付いています。資料2「(独)国立のぞみの園の現状について」、資料3「(独)国立のぞみの園の特色について」、資料4「(独)国立のぞみの園の建物の状況について」、最後に、のぞみの園のパンフレットも付けています。不足がありましたら、事務局にお申し出ください。
なお、本検討会は公開のため、資料、議事録は厚生労働省のホームページに後日掲載されますので、あらかじめ御了承ください。
また、検討会の運営に当たり、構成員及びオブザーバーの皆様にお願いがございます。視覚障害、聴覚障害のある方などへの情報保障の観点から、御発言される場合には挙手をお願いいたします。挙手された発言者に対し座長から御指名いただき、指名を受けた発言者は名前の後に発言いただくという流れで進行したいと考えておりますので、御協力のほどお願いいたします。事務局からは以上です。

○佐藤座長 
具体的な議事を進めます。資料1の開催要綱について、何かございますか。

○朝川企画課長 
ほぼ御説明済みですが、念のために見ていただきますと、資料1の「趣旨」にあるとおり、近年の国立のぞみの園を取り巻く状況の変化を踏まえて、中長期的な運営方針を検討する場として、この検討会を開催させていただければと思っております。したがって、検討事項は中長期的な運営方針ということで、3つ挙げており、これは部長の挨拶の中にもありました。構成のところは、既に座長も御選出いただいていますので、(2)(3)(4)の辺りは、そういうことです。(1)にあるとおり、この検討会は障害保健福祉部長による検討会とし、社会・援護局障害保健福祉部長が開催するということです。4.その他で、庶務は施設管理室が行うということです。構成員のメンバーについては、裏面を参照ということです。

○佐藤座長 
この開催要綱について御意見、御質問がありましたらお願いします。

○大塚座長代理 
開催要綱の2番の検討事項は、中長期的な運営方針を検討するということだと思っております。そして、地域移行が困難な入所利用者の処遇ということで、困難な人がいらっしゃるということは重々分かるということなのですが、こういう書きぶりでいいのかどうか、「困難」というのは支援者側の考えを基に困難という判断ということなので、困難な方がいらっしゃることは確かなのですが、視点を変えるようなことも必要なのではないか。最初から困難ということを前提に考えるというのは、今の時代における障害者本意ということから考えると、言葉として適切ではないと考えます。

○佐藤座長 
私も、今の大塚座長代理の御意見に意を強くして、前回も同じようなことを申し上げたかもしれませんが、検討事項の中に出てくるように現実の問題として、非常に障害が重いとか、厳しい行動障害を持っておられるとか、利用者自身が高齢化してしまい現実的に地域移行が難しいという方々がおられるのは分かりますが、中長期的な運営方針というように考えたときに、障害の状態が加齢とともにどんどん難しくなっていくということになると、これはずっとそうだという話になってしまうので、今、大塚座長代理がおっしゃった視点を第一に考えて、もう1つの視点として、議論のめどをどのぐらいに考えていくかということです。5年先はこういう姿になりたいというのはあり得たとしても、10年先になると利用者の状態自体がえらく変わっていると思うのです。
だから、やるべきことは手際よくやらなければいけないと思いますので、漠然とした中長期というのが一体どれぐらいのことを見通しているのか、これはこの事業をどのようにするかという専ら役所のほうのスタンスの問題だと思います。この議論の中でも我々は議論をしていきたいと思いますが、事務局側からも、積極的にそういうことについての見通しを出していただいて、いたずらに時間を掛けるということが、現状ののぞみの園の状況から見ても適切ではないと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。そのほかについてはよろしいでしょうか。では、このようなことを頭に置いていただきながら、議論を進めていきたいと思います。
では、今日提出いただいた資料について、資料2から資料4の説明をお願いいたします。

○朝川企画課長 
企画課長です。今、座長から御指摘いただき、大塚先生からも御指摘いただきましたが、まず「地域移行が困難な」というところについては、表現も考えさせていただき、次回には改めさせていただきます。
資料2です。1枚おめくりいただき、現状についてです。1ページ目は、概要を1枚で大きく整理しているものです。設立については、昭和46年に国立コロニーのぞみの園という形で開園した施設です。その後、平成15年10月に法人の形態を変え、(独)国立重度知的障害者総合施設のぞみの園に移行しています。その際、※にあるとおり、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供が目的とされています。
今年の4月1日現在の役職員、入所利用者の状況です。役員は理事長、理事、監事のほか、職員が195名おり、非常勤の職員が147名です。入所利用者は239人で、支援区分で見ると平均5.9ということで、最重度の方々がいらっしゃるという施設です。
事業についてです。中心の事業は施設入所支援の239名ですが、これは後ほど申し上げますが、括弧書きで(内有期15名)となっているのは、有期入所の方がここの数に含まれています。それ以外に、左から2つ目に共同生活援助、グループホームの事業や、就労継続支援B型、短期入所で地域の方を受入れて事業を行ったり、児童発達支援、放課後等デイサービスということで子供の障害者支援も行っています。
現在動いている第3期の中期目標です。これは平成25年4月から今年度いっぱい、平成30年3月31日までのもので、その主な内容です。1つ目は、重度知的障害者のモデル的な支援を行い地域移行を引き続き推進していく。その結果、施設入所利用者数を16%縮減していきます。2つ目は、行動障害等を有するなど、著しく支援が困難な者に対する支援も行っていきます。3つ目は、重度あるいは高齢の知的障害者の地域生活支援、著しく支援が困難な者への支援等についての調査研究を行います。4つ目は、そういうノウハウを生かし、いろいろな施設などに対し援助・助言をするというものです。独立行政法人ですので、業務運営の効率化も目標に掲げられており、常勤職員数の13%削減、運営費交付金の額を16%以上節減という目標が、この5年間で定められています。
2ページ目を御覧ください。沿革が整理されています。昭和46年4月に開園した施設ですが、平成14年8月から1年間かけ、独立行政法人化についての検討委員会を開催し、その結果、独立行政法人化しているということです。ここを見ていただきますと、独法化に伴い、国が法人に対して指示すべき中期目標の内容等について検討を行い、新たな入所者を受け入れないということを基本とし、入所者の地域移行を進めるということ、運営費交付金の節減などにより、運営の合理化・効率化を図るといったことが、この検討会の意見としてとりまとめられています。それを踏まえて、平成15年10月に法律が施行され、平成15年から第1期の中期目標期間、平成20年度から第2期、平成25年度から第3期ということで、現在に至っているという沿革です。
3ページは組織図です。左に役員がおり、その真ん中の辺りですが、局としては事業企画局と施設事業局の2つに分かれており、入所者の支援については、このうちの施設事業局生活支援部で行われています。上の事業企画局の所を見ていただくと、そのうちの事業企画部でサービスの管理統括もやっていますが、それ以外に地域移行、相談支援、援助・助言もしており、さらに研究部では調査・研究をやっています。施設事業局では、生活支援部で施設の入所支援のほか、短期入所、生活介護、日中一時支援を行っています。その下の地域支援部では、それ以外のサービスとして地域生活支援、共同生活援助、グループホームや就労関係のサービスなどを行っています。それとは別に診療部というのがあり、のぞみの園に診療所が設置されており、診療を行うとともに機能訓練であるとか、関連するような事業もここで行っているということです。
ここで、資料3の6ページを併せて御覧ください。今見ていただいた3ページには、小さな字でそれぞれの職員の人数が書かれていますが、資料3の6ページに、職員の状況を整理した表を付けています。下のほうの表に、今見ていただいたものに対応するものとして、それぞれの組織ごとに常勤と非常勤の職員がどれぐらいいるかといったことが書かれています。上のほうを見ていただくと、職種別に人数が書かれており、中核の福祉職は左から2つ目の欄ですが、常勤137人に対し非常勤が120人で、若干常勤のほうが多いですが、非常勤の方が多くいる状況です。医師・歯科医師が常勤で4名いらっしゃるというのも1つの特色かと思っています。それ以外に、理学療法士、作業療法士、看護師が、常勤を主体としていらっしゃるという状況です。
資料2に戻り、4ページは、入所利用者の概況です。1番として、独法化される以前の時代からの入所利用者の概況です。現在の入所利用者は224名、平均年齢は65.4歳と高齢化してきております。年齢の分布を見ても、65歳から69歳を主体に、70代、80代の方も多くいらっしゃるという年齢分布になっています。平均入所期間は40.7年で、これもかなり長くなっていますが、表の見方としては、1回退所された方が再入所するケースもあり、そういった方は再入所の時点から計算していますので、10年未満という方も2人いらっしゃるという感じになっています。障害支援区分については、平均すると5.9ということで、最重度の区分6に205名います。その右側に出身都道府県がありますが、38都道府県から入所されているので、今の入所者は全国各地から入所されているというのが1つです。上位の都県を見ると関東近県から多く入所されており、特に東京は57名で非常に多く入所されているのが見て取れます。ちなみに、施設が所在する群馬県は12名です。
2.有期入所利用者の概況です。上のほうは、旧法人時代からずっと入所されている方の支援ですが、近年、有期入所ということで、強度行動障害の方と矯正施設等を退所された方を対象に、期間を2年なら2年と区切って、新たに入所させ、そこで支援の仕方を個々人に確立し、地域に戻していくサービスを新たに展開してきており、その状況です。現在は入所利用者数が15名、平均入所期間は1.3年、平均年齢は29.5歳と比較的低くなっています。表を見ていただくと、重い行動障害が合計10名、矯正施設から退所された方は合計5名です。その障害支援区分については、平均して5.2、支援区分6の最重度の方は9名です。出身都道府県は、神奈川、東京、群馬が比較的多いですが、福島、新潟、滋賀と関東以外の県からも利用されている状況が見て取れます。
5ページは、入所利用者数の推移を独立行政法人化以降で見たものです。独立行政法人化した平成15年は入所利用者数496名でしたが、その後、退所される方が順次出てきて、平成28年には合計238名が入所されています。下の表を見ていただくと、新規入所は先ほど申し上げたように、この法人の性格から基本的には新規入所はないということですが、例外として1つは再入所の方がいらっしゃるということと、あとは有期入所の方がいらっしゃるので、新規入所の数字が上がっているのはそういうことです。一方、退所者数については、近年は20人台というオーダーで退所されているという状況です。そのうち地域に移行して退所された方は、平成20年代前半ぐらいまでは、毎年20人ぐらいずつ地域移行されておりますが、近年は5人ずつという状況になっています。
6ページは、財務状況の推移です。表の見方は、一番上の緑色の破線が、事業経費全体の時系列の折れ線グラフです。その下の紫色の折れ線グラフは、施設整備が単年度ごとに大分違うので、それを除いた事業経費の推移です。平成23年と平成24年は、緑のラインと紫のラインに乖離がありますが、これは施設整備の関係で乖離があるということです。紫のラインを見ていただくと、基本的には右肩下がりということで、入所者数が減ってきているので、それに応じて基本的には事業経費は減ってきているという傾向です。一方、収入面を見ると、一番下のほうにあるブルーの点線が事業収入の推移ですが、基本的にはフラットというのが状況です。それに対して、国からの補助金の運営費交付金は赤い実線のラインで、基本的な傾向は独立行政法人あるいは運営費交付金の性格からきているものでもありますが、右肩下がりで運営費交付金については毎年減っていく傾向にあるということです。
なお、このラインが平成27年で止まっていて、運営費交付金は平成27年の時点で14億です。この運営費交付金を細かく申し上げますと、下の※ですが、退職手当支給額が除かれているものです。退職者が出る年は余計に交付金が出ますので、その傾向を排除して見るということで、このような計上の仕方をしています。平成27年度で14億、表の上の文字の所を見ていただくと、平成28年度は12億円、平成29年度は約9億円という形で、かなり減ってきていることが見て取れると思います。ただ、今年度の平成29年度の予算額が非常に少なくなっているのは、5年サイクルの事業運営をしているので、この第3期については平成25年度、平成26年度と、前半は収支が黒で、そこで積み立てていたお金が若干あるので、それも活用するということで平成29年度の運営費交付金の額は減っているという事情もあります。
一番上の文字の所の2つ目の○です。運営費交付金について、第1期、第2期の中期目標の節減目標は達成しており、第3期についても達成する見込みです。平成28年度から運営費交付金については節減目標を上回る減額となっているというのが現在の状況です。
一番下の破線の四角囲みを御覧ください。第1期、第2期の中期目標の交付金の節減目標は達成しており、第3期も達成する見込みです。平成28年度、平成29年度の交付金は、節減目標を上回る減額となっておりますが、次の中期計画期間の平成30年度以降は、第3期と同様の削減率を仮に設定した場合、自然体で考えると、交付金節減目標を達成することが難しいという見込みです。
7ページは、事業ごとに財務状況がどのようになっているかを分解したものです。横に並んでいるのは、一番左が中核業務の施設運営で入所者の支援の部分です。それから右に、調査・研究、情報提供と並んでいます。内訳の特徴的なところを申し上げると、表の下から2つ目の「計(B)」を御覧ください。支出の合計ですが、規模感でみると、施設運営が24億、その次に大きいのは附帯業務の7億7,000万ほどで、施設運営と附帯業務が大きな事業規模を占めていることが見て取れます。それに応じて、一番上の欄は運営費交付金を事業ごとに分解してみたものです。施設運営に8億8,000万、附帯業務に5億3,000万ほどの運営費交付金が充てられています。なお、この附帯業務とは、下の「注1」の上から5つ目に「附帯業務」と書いてあります。この中に、サービスとして展開している就労移行支援・就労継続B型、グループホームとか、この中には診療所の診療業務、障害児の通所支援も入っています。この附帯業務の中に、この法人の専門性を生かしたサービスメニューが入っているということです。
8ページは、セグメント別に、常勤職員、非常勤職員がどれぐらいいるのか、あるいは収入と支出がどのぐらいあるのかを分解してみたものです。左側の施設運営の所が中核業務です。常勤の職員が124人、非常勤の職員が90人おります。これはサービスそのものを提供する部門が主体ではありますが、総務系統、事業企画系統の職員も入っています。附帯業務を見ていただくと、障害福祉サービス業務、地域生活支援業務、診療業務、障害児通所支援とあります。右から2つ目の診療業務は、常勤が31人、非常勤が6人ということで、医師、歯科医師、看護師という医療関係職種が、ここに属しています。
資料3を御覧ください。この資料は、のぞみの園の特色を整理したものです。1ページです。特色の1つ目は、この法人の性格を大きく規定している条件として、新規入所を停止していることです。先ほども見ていただいたとおり、独立行政法人化する際に検討会を開いたときの報告書において、そういう政策目標を定めて、それに則って法律化し、この法人が始まったところに所以があるわけです。2つ目の○にあるとおり、報告書の中では「のぞみの園の運営については、今後、新たな入所者を受け入れないことを基本とし、現在の入所者については、地域への移行を進めていかなければならない」とされております。
特色の2つ目は、地域移行の推進です。これは独立行政法人化した当時、これはその当時に限りませんが、知的障害者の地域生活を支援して知的障害者の自立や社会参加を促進していくという方向性が政策の大きな方向性ですので、それに則った法人運営をしようという特色を持っています。2つ目の○にあるとおり、この法人は重度知的障害者の支援を行うということで、その中で重度障害者の地域移行のモデル的な処遇を行うということで、国立のぞみの園の入所利用者の地域への移行を積極的に推進するということです。
2ページも地域移行の推進の続きですが、どのような実績になっているかです。第1期の中期目標の期間においては、3割~4割を地域移行させるという目標でした。結論としては、この5年間で44名が地域移行されました。第2期については3割の縮減を目標とし、それを実現するために移行候補先の事業所の見学や宿泊体験、あるいは高崎市内にある地域生活体験ホームへの入居による地域生活の疑似体験を実施するなどの工夫を行い、スピードアップを図りました。現在の第3期は16%の縮減目標を立てておりますが、高齢・重度化が進み非常に困難な状況の中、引き続き粘り強く地域移行に努めるということです。
「非常に困難な状況」というのは、どのような困難があるかです。高齢化されている関係で、常時医療的ケアの必要な利用者が増えていること、あるいは車椅子利用者が100名を超えていることから、地域移行を進めていく上での制約条件も大きくなってきているということです。
地域移行を進めるということで立てている基本的方針をその下に5つほど書いています。1つ目は、入所利用者全員を対象とします。2つ目は、本人の意向を尊重すること、さらに保護者の意向を丁寧に聞いて納得を得る。3つ目は、保護者・家族には負担を強いない。4つ目は、出身地の自治体等との協議調整により、支援体制を整えた上で移行すること。5つ目は、移行先で生活の継続が困難となった場合は、再入所も対応方法の1つに含めること。このような基本方針の下、地域移行を進めてきている状況です。
結果の実績を最後に整理しています。第1期は44名、第2期は106名、第3期はまだ途上ですが、20名ということで、地域移行のペースは大分落ちているというのが実績から見て取れる状況で、合計では170名が地域移行されたということです。
3ページは特色の3つ目です。支援の著しく困難な者の受入れです。冒頭の部長の挨拶にもありましたが、のぞみの園の特色、専門性を生かしながら事業展開をするということで、従来から、旧法人時代からの入所者以外の方の受入れを積極的に進める取組をしてきています。2つ目の○にあるように、具体的には2つの類型の方を受け入れており、1つ目は著しい行動障害等を有する者の支援、2つ目は矯正施設等を退所した知的障害者等への支援を行うことです。
その下です。著しい行動障害等への支援ということで、第2期の中期目標期間において、平成21年度からそのような方の受入れを始め、第3期も継続し、表にあるとおり、受入合計15名という実績です。矯正施設退所者の支援も第2期から取組を始め、平成23年1月から自活訓練ホームの運営を試行的に行い、現在は累計で延べ32名の方の受入れをしてきており、その中で退所された方が27名という状況です。こちらは、入所期間は有期ということで、基本的には2年というように期間を区切って入所していただきます。その後は、個々人の支援の仕方を確立し、地域にお戻ししていくというものです。
4ページは特色の4つ目で、診療所の機能を生かした支援です。のぞみの園には診療所が設置されており、医師と歯科医師が常勤で4名おり、さらに看護師をはじめとするメディカルの方がいるわけです。この機能について、まず第一義的には施設入所利用者に対する医療を行うことですが、それ以外にも、地域で生活する知的障害者、発達障害児・者に対する医療機関としてのサービス提供を行っているものです。具体的には、施設利用者も大分高齢化が進み機能低下されている方が多くなっていますので、それに対応した適切な医療を施設の中で行うという形です。さらに、地域の知的障害者、発達障害児・者にも診療を行っております。この診療所は有床診療所で、13床の病床を活用しながら医療を提供しています。
入所利用者を含めてですが、入所利用者以外への支援として、3つ書いています。1つは「発達障害児・者への支援」ということで、ここの診療所と同じく、のぞみの園が運営している「れいんぼ~」という、児童発達支援と放課後等デイサービスの事業を行っている場所がありますが、その2つが連携しながら、一人一人の個性や能力に応じた支援を展開しています。その際に医師や臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどの専門職とともに、民間事業所では受入れの困難な児童へのきめ細かい支援について的確に対応しております。ここに通っているお子さんも、ここで支援を受けることにより、例えば地域の保育所に通える日数を増やすというような、先駆的な取組をここで進めています。
それ以外に、強度行動障害の方への支援、有期の入所者支援があります。その中で、自傷行為や肥満症といった医療的ケアを必要とする場合があるので、そういったところへの支援も行っています。さらに、施設入所者自身の平均年齢も上がってきているので、疾病、胃瘻、痰の吸引、運動機能や嚥下機能の低下などにより、医療的ケアが必要な利用者が増加してきています。また、その入所利用者の中には、自らの症状や不調を訴えることが困難な者が多く、自覚症状のない方もいらっしゃいますので、医師の指導の下、きめ細やかな健康管理を実施しています。
5ページは特色の5つ目です。このような様々な支援の実践をしているわけですが、それも踏まえた調査・研究というのも、この法人の役割の1つです。1つ目の○にあるとおり、のぞみの園のフィールドを生かした実践結果をまとめた調査・研究を実施しています。
具体的には、外部有識者から構成される「国立のぞみの園研究会議」において協議されており、知的障害者の地域移行、行動障害を有する著しく支援が困難な者への支援、矯正施設等退所者への支援、発達障害児・者への支援、知的障害者の健康管理、医療と福祉の連携など、国の政策課題となっているようなテーマや、全国の知的障害関係施設の関心の高いテーマを取り上げ、調査・研究をしています。その成果については、研修事業あるいは養成事業なども活用しながら、全国にその成果等を情報発信しています。
資料4を御覧ください。施設の老朽化も1つの課題ですので、その状況です。1枚目の縦の表はそれぞれの棟について、建物ごとに、いつ造られて耐用年数としてどのぐらい経過してきているかを表にしたものです。次のページの地図を御覧ください。赤く塗ってある所が、耐用年数を超過していたり、残っている耐用年数が5年未満で建替えの必要性が非常に高い施設です。その次に必要性の高い建物がピンク色、黄色については改修が必要となっている施設です。色が塗られていない施設は比較的少ない状況です。赤やピンクが結構あり、黄色もかなりあるという状況です。次のページです。更に奥のほうにいくと、既に役割を終えている施設があり、解体する必要がある施設も幾つかあるという状況です。説明は以上です。

○佐藤座長 
特に、今日提出されました資料2、3、4について説明していただきました。それでは、どこからでもというよりも、少し整理して、まず、最初の資料2の財務の前ぐらいまでの所で、現状の報告について御意見や御質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小林構成員 
6ページの「財務状況の推移」の所を確認させてもらってもよろしいでしょうか。

○佐藤座長 
いいですよ。

○小林構成員 
平成23年、平成24年に施設整備が多くなっていると書いてあるのですが、これは、私、地元でいろいろ、東日本大震災のときに福島県の施設が、のぞみの園さんにお世話になったという状況を承知しておりまして、そのときに施設整備、のぞみの園さんの施設を使った受入れということで、かなり行っていただいたのでしょう。それを伺いたいと思いまして。

○池田施設管理室長 
よろしいでしょうか。

○佐藤座長 
どうぞ。

○池田施設管理室長 
施設管理室の池田です。平成23年度と平成24年度の、具体的にどういった整備をされたかという御説明でよろしいですか。
平成23年度は確かに、平成23年度の3月11日に東日本大震災が発生いたしまして、その後、福島の方を受け入れたということもやっておりました。具体的に平成23年度では、特に寮舎の空調とか給湯設備の改修工事とか、当時もありましたが、被災地において自家発電が非常に不足しているというようなこともあったので、自家発電の設置の工事をさせていただいております。平成24年度は、やはり震災関連になろうかと思いますが、耐震補強の工事などをさせていただいております。平成23年度で7億7,800万円ほど、平成24年度で6億8,600万円ほど、施設整備ということで整備させていただいております。以上です。

○佐藤座長 
よろしいですか。

○小林構成員 
はい。

○佐藤座長 
何かコメントがありましたらどうぞ。

○小林構成員 
被災者の受入れというだけでなくて、実際に入所していらっしゃる方の生活もありますので、防災上の問題とか、緊急発電とか、いろいろ、私どもも大変お金が掛かった記憶がありますので、そのような必要な施設整備だったと思われました。ありがとうございました。

○太田参考人(菊地構成員) 
質問ですが、地域移行の捉え方をどう捉えておられるか。以前、所沢の施設で施設長をさせていただいていて、国立施設でしたので、そのときも加齢児の問題で、特に国立施設の場合、現状としては関東近辺から入っておられる方が多くて、そのときの、地域移行と言ったときに、状態が重い方々でしたので、まずはその出身の地元に戻って入所施設で受け止めていただいて、さらに、それからグループホームというような流れを模索していたのですが、コロニーで地域移行と言った場合にどのような状態を指すのか、実際の話を伺えればと思います。

○佐藤座長
そこら辺は遠藤さんがよろしいでしょうか。では、遠藤理事長からお願いします。

○遠藤オブザーバー 
オブザーバーの遠藤です。のぞみの園で地域移行に取り組んだときは、まだ全国的に地域における受皿作りと言うのでしょうか、あるいは、地域生活支援の基盤作りというのが十分でなかったということもありまして、我々としてはグループホームを目指して地域移行のいろいろな調整をやったのですが、実際、グループホームということで直接移行された方は、むしろ少ないということです。
他方、グループホームということで調整する中で、相手方の事業所は大体、入所施設を運営していますので入所施設の利用者もいるので、まずは入所施設に入って順番を待ってくださいとか、あるいは、とにかく御家族の希望あるいは御本人の希望で、家族の近くに帰りたい、地元に帰りたいと、そのような希望も多くあったりしました。
そういう意味で、第一目標はグループホームですが、次の選択肢としては、まずは入所施設、地元の入所施設、家族の近くの入所施設に戻ってそういったグループホームの空きを待つ、そのようなことを事前に受入先の入所施設といろいろ協議させていただいて、いずれグループホーム、そのようなことで移行していただいた方もかなりございます。また、一部、御自宅に戻られた方もございまして、先ほど170名というような御紹介がございましたが、この中で、直接グループホームに移った方は半分以下です。また、まずは入所施設に入って次の段階としてグループホームへと、そのような協議をさせていただいた中で実際にグループホームに移られた方は、数は比較的少なかったと、このような結果です。

○太田参考人(菊地構成員) 
もう1点、関連でよろしいですか。

○佐藤座長 
どうぞ。

○太田参考人(菊地構成員) 
地域移行の数がここ数年、5人で推移してきているという状況が読み取れるわけですが。日本知的障害者福祉協会の関連で申し上げますと、関東地区に限って言えば、一昨年のデータですが、在宅で施設入所の待機をされている方々が埼玉県で1,350名いらっしゃった。同じように東京でも、具体的な数は教えていただけなかったのですが1,000人とか2,000人とか、また神奈川県でも700~800人いらっしゃるとかという状況がありました。その中で所沢の国立の施設の加齢児の地域移行を進めてきたのですが、関東から北、青森を除いて岩手までは成人施設は満杯の状態で、空きを待ってもなかなか難しいという状態がありましたので、地域移行が鈍化しているという状況の中で、まず入所施設で受け止めるキャパが今のところないという状況もあるのではないかと思っております。すみません、余分な話。
もう1つ余分な話。あと、部長が挨拶で申されたように、我々の協会の中に6つの部会と9つの特別委員会があって、結構、頻繁に会議があるのですが、その1つの施設入所支援部会の中で意見として出された話ですが。具体的に、行動障害がある方で他の利用者に他害行為をしたということで、その他害行為を受けた御家族から退所を迫られるということが結構、何箇所かで起きている。実際、施設は契約を解除できないのですが、いたたまれなくなった他害行為をした行動障害のある方が退所してしまうということがあちこちで起きている、中には、大阪ではそれが訴訟になったという話も伺っていますが。
何を言いたいかといいますと、行動障害がある方が、今は契約の時代ですので退所せざるを得なくなって、その後、我々の関与施設から抜けてしまいましたのでどうされたかは分からないのですが、行動障害がある方は、そういった所でもなかなか生活しづらいという状況も一方で生まれているというところがあると聞いております。以上です。

○佐藤座長 
私、今、初めて、この地域移行の中には。そういうことなのですね、グループホームに移行したということだけではなくて、むしろその人は50%以下で、地元の施設に帰られたとか、自宅に帰られたとかという方も含めてという意味ですね。分かりました。
では、今の議論もですが、続いて現状について。先ほど少し話も出ましたが、財務状況について、この段階でのコメントがありましたらお願いします。

○千葉構成員 
今、財務の話ということでありまして、特に、私もそうなのですが、私の所属している所も独立行政法人ということで、中期目標期間ごとに運営費交付金の縮減を求められ続けているという、これは非常に、痛みというか、その苦しみは同じだなというところは感じました。
その中で私が感じるのは、独立行政法人という立て付けの中で国が、ある一定の関与の下で事業を進めていくということがこの事業のスキームになっているわけですが、極端に言えば、それをなくしてしまって、民間の社会福祉法人なり、いろいろな社会福祉施設が全部受けてしまっていいではないかという極端な考え方の構図もあると思うのです。その中で、あえて今の立て付けを維持しているというのは、やはり、それなりの政策的な意味があるのではないかと。よく陥りがちなのは、こういう運営費交付金の話は縮減がありきの話で、やり出すと何が起きるかというと、無限ループに入っていって、どんどん縮減させていく。極端に言えば、最後はゼロになるまで落としていくということをやり兼ねない論理が存在するわけです。
ただ、そこで出ていく運営費交付金というのは、見方を変えれば、その政策コストであると。ある一定の政策目標を達成するためのコストだということであれば、それは別に、何も目くじらを立てて減らすものではなくて、その政策に意味があるのであれば、それは、むしろ胸を張って支出すべきものではないかということを感じるわけです。
ということで考えると、削減ありきというのが多分、今度は第4期になるのですか、そのときにまた財務省との交渉の中で出てくるとは思うのですが、それ以前の段階で、やはり、のぞみの園が果たしている機能とか政策的な役割とか、全体の福祉、施設とかサービスの体系の中における位置付けがしっかり位置付けられないと、多分、単なる金の計算だけの議論に陥ってしまうのではないか、だからこそ中長期的なビジョンとか方針がとても重要なのではないかというのは非常によく分かったと思います。そういう意味では、お金ということも当然、必要なのですが、やはり、ここでやることの意味を明確に、この着地点としてこの検討会で1つ、何か出てくればいいのかなと期待しているところです。以上です。

○佐藤座長 
ありがとうございます。先ほど、約10年前に報告書が出て、そのときに、具体的な事業の運営としては3割ないし4割の入所者の縮減と決めたときは、その見通しというのは、何年ぐらいでとか、そういうものも議論されたのでしょうか。その当時、委員だった北岡さん、覚えていますか、これは何年ぐらいで達成するのか。

○北岡構成員 
それはどうですかね、多分、何年ということはなかったような気がしますけれども。いや、それこそ厚生労働省のほうがお詳しい。

○佐藤座長 
記録は残っていますか、今、答えていただける方。

○北岡構成員
何年間でという議論はなかったように思いますが。

○佐藤座長 
少なくとも、ざっくり言えば、それは、3期の15年間を経て外形的には達成しているというように見られるわけですよね。一方、この財務のことに関しては、節減目標は達成されているというお話が何度か出ましたが、これは私の見方があれなのかもしれませんが、運営費交付金が、資料2の6ページを見ると、この途中までだと減ったり増えたりしているプロセス、ずっと緩やかに減少しつつも平成24年から。つまり、当期の中期目標期間については、13億円から10億円になって、15億円になって、14億円になってと。これは、前年の取崩分を乗せるからこうなるという意味なのでしょうか、それともその該当年度の予算でこのように動いてということなのか、教えていただきたいのです。

○朝川企画課長 
この「当期」について見ますと、平成25年度から始まっているわけですが、この数字が27で終わってしまっているので上の数字も見ていただく必要がありますが、平成25年度と平成26年度が15億円台で高くて、平成27年度が少し減って、さらに、平成28年度は大分減って、平成29年度もかなり減っている。なぜこういう凸凹があるかと言えば、最初の2、3年間は、結果としては決算上余裕が出てその分が積み立てられていて、それを平成28年度、特に平成29年度に使うことにしているので運営費交付金が大きく減っている、そういう要素はあります、その結果、目標を大きく上回って減額になっているわけですが。したがって、凸凹があるのは、5年ごとに少し見ていただく必要があるということなのです。

○佐藤座長 
5年間で余った分が。

○朝川企画課長 
ええ、5年間で使い切る感じになりますね。

○佐藤座長 
その中期計画が終わったら、その次に繰り越しても。

○朝川企画課長 
繰り越さないのです。
○佐藤座長 
使い切るわけですね。

○朝川企画課長 
ええ。

○佐藤座長 
その年度ごとの。

○朝川企画課長 
5年ごとです。

○佐藤座長 
いや、各年度ごとは、前年度の決算で今年はこれだけ剰余が出ましたと。それは。

○朝川企画課長 
繰り越す。

○佐藤座長 
取り崩していけない。

○朝川企画課長 
いや、いいのです。

○佐藤座長 
いいのですか。

○朝川企画課長 
いいのです。ただ、5年ごとに。

○佐藤座長 
具体的に施設利用費で取り崩しても構わないわけですね。

○朝川企画課長 
ええ、それが5年ごとで区切れてしまうので、次の平成30年度にはゼロからスタートになります。

○佐藤座長 
そうですね。

○朝川企画課長 
はい。

○佐藤座長 
ということは、その余ったお金を使い切るということで、この見かけ、平成24年度には13億円だったものが15億円というのは、この平成24年度までに。でも、これは年度を超えて繰り越してはいけないわけですよね。

○朝川企画課長
ええ、だからこそ平成25年度がちょっと高くなる必要があるということだと思うのです。

○佐藤座長 
意味が分からない。

○朝川企画課長
前から繰り越せないですから。

○佐藤座長 
そうですね。

○朝川企画課長 
ええ。

○佐藤座長 
だから、あらかじめ予算も少し多めに付けておく。5年間でそれをずっと減らして、例えば平成29年度は89億円になっている。

○朝川企画課長 
8億9,000万円。

○佐藤座長 
今年度は8億9,000万円ということですね。

○朝川企画課長 
ええ。

○佐藤座長 
そうすると平成25年度始まりの、今の第3期の始まりは、15億円だったものが第3期の終わりには約9億円。というと、ものすごい超過達成ということですかね。どういう読み方をしたらいいのでしょうか。

○池田施設管理室長 
今、企画課長から御説明させていただきましたが、平成25年度から平成29年度までの5年間ということで、その予算のセットの関係は、過去で言えば、平成25年度から平成29年度までの計画額を平成25年度当初に計画を立てさせていただきまして、しかし、5年間で運営費交付金の精算ですので、5年間の繰越しはできるので、最終年度に余れば、当然、国庫に返納するのですが。ですので、平成24年度から平成25年度に増えたというのは、正しく平成24年度中に、もう翌年度に繰り越すものがないので必要な計画額を御説明させていただいて、そこからスタートしているというようなことなのですが、よろしいですか。

○佐藤座長 
分かりました。

○千葉構成員 
そういう意味では、運営費交付金の削減状況を見るのは年々のものも必要なのですが、5年ごとの、最後に返納した額を控除した交付金額総額を、それぞれ足し上げてくると、徐々に、第1期、第2期、第3期と階段的に下がっていると、こういうことでよろしいですよね。

○池田施設管理室長 
この平成25年度から平成29年度、資料には提出させていただいておりませんが、いわゆる運営費交付債務という勘定科目で法人のほうで5年間で繰り越していくのですが、おっしゃるように、運営費交付金としての予算措置は年々減って。特に最終年の4年目、5年目ぐらいを迎えるというところになりますと、いわゆる繰越金的なものがあるので、運営費交付金はそこから削減されているというような状況になってございます。

○千葉構成員
続きですが。そういう意味では、この独立行政法人のお金の回し方というのは、ある意味、今もお話があったように、非常に特殊なものではないかと思います。ですから、そういう意味では、幾つかの手枷足枷の制約があっての事業運営をしなければいけないということは、特に財務については確認しなければいけないのかなと思います。というのは、1つは、その前提として、中期目標の中で新規を受け入れないというのをやっている。ただ、これは実際、事業体として考えたときに、これは別に、独立行政法人だから、何とかだからではなくて、障害福祉サービスを実施する実施主体としての事業体として新規を受け入れずにどんどん先細りしていけというのは、事業体としての継続、ゴーイング・コンサーンにならない。ある意味、事業経営からしたら、ナンセンスな前提この上ないと思うのです。
では、新規を受け入れるのをやってしまうとどういうことが起きるかというと、こちらの事業の特性から言うと、施設入所支援が中心になっている以上、施策の方向と逆行すると。多分、そういうジレンマがあると思うのです。ただ、そうは言っても、では、世の中から全部、今の段階で、民間の社会福祉法人も全部含めて、施設入所支援全廃というのは一気にできるかと言うと無理なわけですから、やはり、それなりに必要な施設入所支援というのはありますし、また逆に、こういう組織でなければできないような施設入所支援というのもあるはずなのです。そういう意味で考えると、何も新規はゼロでなければいけないというテーゼをいまだに金科玉条に持っているべきなのかどうか、これは、あえて有識者の方に刃向かうような言い方になるかもしれませんが、事業経営者として考えたときにはそういうことがあってもいいのではないのかなという気がしています。
もう1つは、独法会計基準のそもそもの特性から言って、今のように、5年間、売上げで来るものが一旦、負債に上がって、それを収益化していって、最後に余ったところで精算していくという形の特性があるのが1点。もう1つは、施設整備費の補助金というのは、また別の扱いにされてきますから、老朽化施設を多数抱えている施設にとっては非常に致命的な会計構造なのです。何かと言うと、普通の社会福祉法人の場合は事業経営の中で生じてくる、例えば施設整備に投資をしたら、それを今年度の減価償却という形で投資回収していきます。それで、ある程度耐用年数が来たら、それがきちんと現預金の形で戻っているから次の投資ができると、こういう構造になっています。この事業体を、もし将来やめるということで、着地させるための経営を図るのだったら超えてもいいのかもしれませんが、やはり政策的な意義があるという、先ほど申し上げた前提を置くのであれば、そこも、やはりゴーイング・コンサーンであるような仕組み、考え方を入れておかないと。さりとて、独法会計基準というのは独立行政法人を標榜している所には遍く適用されてしまいますから、ここだけお目こぼしをというわけにはいかなくなってしまうわけです。
いずれにしても、何が言いたいかというと、普通の事業体では考えられないような前提条件が置かれている中での、この中期構造なのだということをまず認識した上で、それが本当に必要なのか。逆に言うと、そこまでして独立行政法人という立てつけの中でしがみついている必要があるのか、もう少し緩やかな形で国の関与の中でもっと民営化を進めるべきなのか、もっと、逆に国立のほうに引き戻してしまうのかという、それは、多分ないとは思うのですが、そういうことも含めてゼロベースで、ものごとを考えるべきなのではないかと私は思いました。以上です。

○佐藤座長 
ありがとうございました。正に今、どういう方向を考えるかということの議論の端緒に付いているわけです。でも考えてみたら、これは10年も前から議論されてきているわけで、ずるずるとこのまま、冒頭で申し上げましたが、少なくとも時間を掛け過ぎることだけは避けないといけないと思います。今日は1回目ですから、いろいろ、今日出された資料に基づいて皆さんから御意見を頂いて、今後、どういう方向で議論を進めていくか、更に煮詰めていければと思っていますが、いかがでしょうか。まだ残された時間は大分ありますので、皆様の基本的な認識も含めてお話していただければと思いますが。大塚さん、お願いします。

○大塚座長代理 
千葉構成員から本質的な問題提起があったということで、私もどのような意見を自分自身でまとめていくかは、そこまで行かないのですが。ただ、国立のぞみの園という国がつくった所における施設と、国がやるべき機能も含めて考えると、先ほど政策コストのお話が出てきました。交付金が出ているということは、国でしかやれないことがあるのではないかと。これはどう考えるかというのは、もちろん根本的な問題です。その前提において考えないと、のぞみの園というものの今後の将来という姿はないのではないかと私は思っております。
そのときにモデル的な実践は、1つの抽象的な言葉で、非常に曖昧で、どこまでモデル的だったのだということの今までの評価も含めて考えなければならないけれども、このモデル的な実践というのは意味深長であって、シンボリック的な意味もあって、これなくしては成り立たないところもあると思っています。つまり、一社会福祉法人としての仕事をやったら、別にそれを国はやらなくてもいいわけだし、例えば、群馬県には大変申し訳ないのですが、 群馬県の人のことのためをやったら、これは別に必要ないということなので、そういうことも含めて国がやるべきことは、全国の知的障害の方の支援のためという前提がなければならないということ。そのとき、もちろん強度行動障害、高齢者や障害者の方の支援、あるいは児童の方の支援も大切だけれども、これは別に近くの市民のためにやるわけではないので、これをやるという意味は、正にモデル的な実践を通して、ここで難しい人の支援の実践をすることによって、その情報を提供することによって、我が知的障害者分野において貢献するのだと、そのことがあって初めて成り立つものだと思っています。
その意味ではいろいろ議論はありましょうが、地域移行も私は同じ課題だと思っています。地域移行は、国の政策としては、もちろん国の政策を変えることがあれば別ですが、入所者の削減、地域移行の推進という障害福祉計画を国が作ってる限りは、どのような重い障害の方も引き続いて地域移行を前提にしなければ、前提としては成り立たないので、必要という判断だと私は思っています。
もちろん、そういう意味では私は削減になっていくのだと思っています。ただ、国としてやるべき、難しい人たちの最低のフィールドをもって、その人たちの支援の方法論や、そういうことの、その数はどのぐらいかよく分かりませんが、そういうものは確保すべきだし、それを調査・研究と一緒にしながら全国のために発信していくと、この機能をどうするかは私は残っている。それに向かっては、入所者はどんどん減らすべきだと考えています。

○佐藤座長 
ありがとうございます。

○佐々木構成員 
今、大塚先生がおっしゃったように、私は親の立場でありますので、のぞみの園の研究成果は、私どもの親の会では皆さんは大変評価しております。ただ、これが地域移行が始まった当時と今では大分年月もたっておりますので、そういった中でコロニーの国立のぞみの園があったからやり始めたのか、それともあそこの場を使わなくてもこの研究がまたできるのかというところは、私たちが大いに関心を持っているところでして、2、3回、高崎にも伺いましたが、あれだけの広大な土地、そして建物、それから老朽化した建物を維持していくことだけでも、かなりのお金が掛かるのではないかということを考えると、地域移行をなるべく早く。
最初に大塚先生と佐藤先生のお話にもありましたが、御本人が重度だから地域移行できないのではなくて、受皿の社会資源がないからという考え方が正しいのかと思うのですが、あの方たちがいなくなるのを待って閉鎖とかということではなくて、前向きに地域生活ができるよう行政で支援していただきたいということと、今後、のぞみの園という名前の上であっても、あそこの場でなければできない研究なのかということも合わせて、今回考えていただきたいというか、私たちも考えていかなければいけないと思っております。

○小林構成員 
先ほど施設の整備の話を伺ったのは、のぞみの園の在り方の考えることも意識して伺いました。例えば、一自治体で、他県からの施設の丸々を受け入れることは、それほどのキャパはありません。ただし、のぞみの園という広大な施設を管理しながら余裕の施設を、日本国中の危機管理の意味でそういった施設があったということは、これは非常に日本の財産だと思っておりました。
そういった危機管理面の施設入所者の受入れ、福島から避難した方々は群馬県と千葉県の房総のほうに避難したということも伺っておりますが、房総のほうの施設はなかなか対応が難しかったというお話を伺っております。
今回、私どもは参加させていただいて本当に有り難いと思っております。群馬県は地元ではありますが、地元の話だけではなくて、今回は自治体としての考えも申し上げたいと思って参加させていただきました。群馬県の場合にも、児童福祉施設を直営で持っております。知的障害児の施設ですが、そこも民間の施設では受入れが困難な子供をあえて受け入れております。そういった自治体として地元の社会福祉法人と切っても切れない縁があり、県の役割は何なのだと日頃から言われている中でのそういった立ち位置です。
国においても、例えば先ほど入所者の重度の区分がありましたが、この人は軽いから駄目だというぐらい、重たい人を是非紹介してくれというぐらいの対応を取ると。今、実際そうだとは思いますが、今後も自治体の指導も含めてそういった実践的な行動もしていただきたいということです。あと、短期の入所も、どうしたら地域に帰れるかと、当事者を交じえながら、こうすればいいのだということも含めて、私は現場もなかなか承知できていないのですが、そのような2年間という限られた中で本当に濃密にやらなくてはいけないことも、ノウハウとして伝授していただくことがあると思いますが、そこら辺も引き続きお願いしたいと思っております。
ただ、短期の入所を受け入れる場合に、2年間たった後の受入れ先を約束しろということもあるように伺っております。そこら辺は先々のことが見えない中で、何とか国立のぞみの園に御指導していただきたいというところで御相談しているときに、先々のことも分からない中での受入れは厳しいかもしれませんが、そこら辺もいろいろ実際の相談に乗るという意味で受入れを少し配慮していただければと思っています。今後とも、のぞみの園に御活躍いただけることを私としては希望して御意見を申し上げました。よろしくお願いします。

○佐藤座長 
のぞみの園は今後どうあるべきかは、いろいろな角度からいろいろな御意見があるのは当然だと思います。ただ、ここだけは、はっきりさせておきたいのですが、別にかつての検討会の報告書は、新たな入所者を受け入れない、あるいは、現在いる方々の地域移行を促進して入所者の縮減を図っていくことは、別に、のぞみの園だけをターゲットにして議論したわけではなくて、既に厚生労働省としては、障害施設の新規のものについては補助を行わないことを含めて、つまり新たにオープンしないことは国の方針として決めたわけです。ただ、であるならば、現在あるいは将来において、地域で生活をしていく障害のある人たちに対して、十分な地域支援の体系をつくり、社会事業をつくっていくことについて、残念ながら人も金も足りなかった。しかし、だからといって、もう作らない、これからは地域で支えていこうという基本的な理念の大きな転換を図ったことをなかったことにして、昔に戻ることはあり得ないと思うのです。それは、ここの議論の前提にしないといけないことだということが1つです。
もう1つ、私がずっと考えているのは、地域福祉、地域で支えていくことの政策の方向感が、ともすれば「地域移行」という言葉に置き換えられるわけですが、実際に施設で生活している人よりも、はるかに多数の人たちが、これは障害の重い人も含めて現実に地域で暮らしているわけです。
この人たちをどう支えるかということを視野に入れた上で、施設からの地域移行を議論しないと、結局、今、グループホームの現状を見ても、社会福祉法人系のグループホームはかなり手詰まり感が多くて、つまりタマがいないということです。それから、依然としてグループホームに対し、主に財政的な支援状況が悪い。
しかし、グループホームは増え続けて、今や利用者は10万人に達する。最近できたものの多くは、株式会社、経営企業のチェーン展開なのです。どういうビジネスモデルでやっているかと言うと、生保ビジネスです。生活保護ビジネスで、都市部の比較的軽い障害のある人たちに生活保護を付けてもらって、であるならば受け入れますという形でどんどん増えている。
だから社会福祉法人系、あるいは、のぞみの園を含めて、広い意味で障害福祉の中心を進んできた舞台が、ちゃんと今の時代の要請に応えられるような方向転換で、それは全国の多くの民間施設にとっていろいろな問題、同じような問題を抱えている所が、「のぞみ」が今後どう変わっていくのかは非常にインパクトがあると思いますので、そういうことも含めて単に地域移行の話だけではなくて、地域を支えていく上での仕事を含めて検討していく必要がある。これは「のぞみ」のことも、その中の一部だと思いますが、せっかくあるもので莫大なお金を掛けて維持されてきているものだから、いろいろなことを背負ってもらいたいとか、背負わせないと、間尺に合わないとかいう議論は、ここで整理しておかないといけないのではないかと思うのです。役所も、それなりに決意を持ってこの問題の方向を検討していただきたいと思います。

○千葉構成員 
今の座長の話は、非常にそうだなと、全面的に賛意を表しつつも、私は1点だけ、視点として置いておきたいのが、国全体の福祉政策、特に障害福祉政策の方向性、これは、今、座長のおっしゃった方向であることは間違いないと思います。それを国全体が支えている事業主体が、みな同じ方向で、同じように実施するのであれば、何ものぞみの園という独立行政法人が特別に担うべきものは、その中でここだというのは出てこないはずなのです。要は、みんな社会福祉法人でも何でも同じことをすればいいわけなので。そうではなくて、その中での役割の濃淡が、同じ方向を向きつつも、その中での支える新たな時代の中での役割があるのではないかという気もしているので、そういう意味では国全体の方向と、場合によってはのぞみの園とが瞬間風速かもしれませんが、向きが違っているかもしれないし、それは全体の中でこういうふうに整合しているのだということが論証できれば、むしろ、それはそれで必要なのかもしれません。
先ほど佐々木さんの話もありましたが、ここでなければできない研究、研究というのは、ここの大きなメルクマールだとは思うのですが、それは別にほかの研究主体でも何でもできるのではないかと。これはここである必要性はなくなってしまうわけですから、やはりここでなくてはいけないことに、今回どう、どれぐらいあぶり出されるのか。その中でそれが国全体の流れと同じような地域移行なり地域生活を同じ形でほかの主体と同じようにやっていくことがいいのか、ここではなくてはできない何か特別なことをそれに盛り込んでいくのか、その辺の色付けをしていけばいいのかという気がしている。決して今の話は座長の今の話を否定するものではなくて、むしろそれに賛意を示しながらも、その視点を入れるべきではないかということで申し上げました。以上です。

○北岡構成員
議論として、のぞみの園を残すという前提での議論としての在り方なのか、全くフリーハンドで議論をするということなのかによって、恐らく私自身も発言の中身が大きく左右されるのかとは思うのですが、前回の準備会のときに申し上げましたが、厚生労働省としてのスタンスというか、方向観を示していただいた中での議論を積み上げていくというか、そういうことでないと幅広すぎる議論になってしまって、民間でもできるのではないのとか、でも、これはここでやるべき、例えば研究事業、今いろいろなお話がありましたが、これはのぞみでやってもらうための研究事業として整理をしていく必要があるのではないかとか、残すという立場で議論するのか、それは完全に自由に議論してよいという立場なのか、その辺りが非常に難しいと思いますので、何かこういういろいろな現状の資料を出されて、それでどう思うかと言われたときに、こう思うみたいなことを申し上げても、実はこういう背景もありましてみたいなことが、どんどん出てくるのではないかということを思いました。
例えば入所部門については、わざわざ国がやっていくことがなくてもいいのではないかというスタンスで、この立場に、のぞみの園の入所、施設サービスの提供ということにおいては、他の社会福祉法人でも、その役割を十分担える状況に、今は社会福祉法人も実力を付けている所が結構あるので、できるのではないかということを私は思っています。
研究については、本当に現場を抱えた研究と、言わば大学の研究室で何かおやりになる研究はもちろんリアリティーが違ってくるのだろうとは思うのすが、今、のぞみの園で暮らしていらっしゃる人たちと、これから担うべき研究の中身みたいなものが本当に利用者の実態とマッチングする研究は何なのだろうということも思いました。例えば、研究部門だけ切り離して独立行政法人として引き続きやっていくのも1つのアイディアなのかもしれないと思いました。でも、このようなことを言っても、本当に残すという前提なのか、完全に自由に議論しましょうという話なのか、自由になったら、本当にたくさん意見が出てきてしまって、これはどうやって収拾するのかと。だから、是非、何か方向感を、もう少し漠とした感じでもいいので示していただくと有り難いと思います。

○佐藤座長 
その件に関してどうですか。

○朝川企画課長 
この検討会をどのスパンでやっていくかということもあると思うのですが、少なくとも今日の1回目はフリートーキングですので、まだ何か方向観を出せる状況ではありません。恐らく、まだ後、何回かは御辛抱いただくことだと思うのですが、基本的にはこのスタートの時点では、別に何かを持って、こういう方向を持ってやりたいということではなくて、むしろフリーにいろいろな発想で、専門家の皆様方から御意見を頂いたほうがいいかと思っているわけです。
ある段階まで来たら、ある程度の方向観をもった議論をしないと、集約化されていきませんので、それはそういう段階が来ると思いますが、少なくとも何回かは少し自由な御議論を頂いてというふうに思っています。しかし、今日はさすがにフリートーキングですが、全く自由だと確かに意見が拡散してしまいますので、今後、事務局として心していかなければいけないと思いますのは、何か論点ふうみたいなものをお示しながら、こういう考え方みたいなものをお示ししながら、構成員の皆様方が議論しやすい環境を作りながら議論を進めていく必要があると思っています。
もう1つは、背景事情ですが、実は平成30年度から新しい第4期の期間が始まるわけですが、こちらの中期目標づくりも、並行して今年度、我々はやっていかなければいけませんで、この検討会との関係でいきますと、独立行政法人の中期目標をつくるのは別の場がありますので、そちらで、どこかの時点で今年度、第4期の議論が進んでいくことになります。したがって、こちらは5年先の議論をどちらかというと中心にやっていただくイメージですが、5年先の話と、直近の足元のこれからの5年の話が整合していないといけないと思っていますので、そういう意味で少しこちらでも足元の5年に影響を与える議論がもし出てくれば、1つはそちらの議論につなげていけるので有り難いと思っています。
ということで、この法人を残すのか残さないのかというところについて、最初の段階で我々が、残します、残しませんという方向観を少し示せるような段階には今はないのも実情ですので、少しいろいろな視点からの御議論を頂きたいのが前半です。

○佐藤座長 
皆さんはいろいろ意見を言われましたので、ついでと言うと何なのですが、遠藤理事長からも御意見を頂ければと思います。

○遠藤オブザーバー 
オブザーバーの遠藤です。今日はいろいろ御意見いただきましてありがとうございました。必ずしも私として、えーと思うようなものも入っていて、いろいろと考えさせられるところがありました。ただ私、理事長として実はもう14年目に入っていますので、どうやってこれまで、この法人の事業を展開してきたかと、そこだけはこの場で早い時期に申し上げたいなと思ったら、幸い座長のほうから振っていただいてありがとうございます。
私ども、のぞみでなければできるとかできないとか、そういうことで事業はやってないんですね。障害福祉の世界というのは、やはりこれまで大変いろいろな実績を重ねられた方がいるし、いわばレジェンドというんですかね、あるいはスーパーマンというんでしょうか、そういう方たちが、本当に血のにじむような取組をして地域生活支援という方向性を出して、それをここまでもってきたと。そういう中で、のぞみの園として何をやるかといったときですね、のぞみでなければできない、そんな難しい事例をのぞみでやるのだと、そんなつもりで事業をしているわけではありません。
私どもが考えているのは、日本全国に数千に及ぶ施設事業所がありますので、そこにおけるサービスとか支援の質をいかに確保するか、底上げしていくかと。そのためにのぞみの園として何ができるか、そしてそのことは、実は障害福祉行政を進めていく上で、のぞみの園として担う役割ではないかと、そのような前提で行っているわけです。
そしてもう一つ言えば、全国の施設・事業所で本当に大変で困っているような事例、最後に頼れるような場所があれば、皆さんはもう一頑張りできるんじゃないかと。そういう意味で、もちろんその地域、あるいは都道府県レベルで困難事例の解決に全力で取組んでおられるのだと思いますけれども、最後に本当に困ったので一時的に頼むという拠り所として、のぞみの園というのはあってもいいのではないかと思っております。私どもとしては、先ほどモデル的支援というお話もでましたけれども、そのような考え方で、いわば障害福祉行政の課題についていろいろ取り上げて、そのフィールドを活用して実績を積み上げて、それを全国に発信しているということをやっておりますし、調査・研究についても別に大学の研究室でやるような研究ではなくて、全国の支援の現場で役に立つような研究の成果を提供しようと。実は研究のテーマはかなり厚生労働省から依頼があるようなものもありまして、恐らくかつては行政自らやっていた調査・研究を独立行政法人のほうでやれと、そのようなことで依頼がある調査・研究も多いわけですし、そして私どもとしては、その調査・研究の成果というのを、実は養成研修事業みたいな人材育成の事業と併せてやって全国に普及していこうという取組もしているわけです。そういう意味で、のぞみの園でなければできない事業は何か、できないような難しい事案は何かということではなくて、あくまでも全国的にのぞみの園としてどういう貢献ができるのか、それは独立行政法人として公共的な見地から、民間に任せておいたら実施されないかもしれないというものについて、障害福祉行政を進めていく上で国立のぞみの園が担う役割があるのだといういわば自負を持ってやっているわけです。そういう意味で、いろいろ御意見あろうかと思いますけれども、のぞみの園としてこういうことでやっているのだということは一応、皆様方の頭の中に置いて御議論いただけたらと思います。ありがとうございました。

○佐藤座長 
ありがとうございました。実は今日、いろいろな資料の説明もいただきまして、事前に施設管理室と打合せをしたときに、いろいろ資料をもっと細かく作っていきたい。しかし率直に言ってそういうノウハウを十分に持たないし、いろいろといろんな業務に追われて、ここに提出すべき資料についても必ずしも十分と思っていないということで、できればこの検討会の下にワーキンググループのようなものを作って、より詳細な資料の検討等をして、ここの議論に資したいという相談がありました。私はそのことで、また議論が先送り先送りになる結果になることについては同意できないので、できるだけ迅速にその作業をして、あるいは検討会とワーキンググループがキャッチボールをしながらいろいろと調査をして、分析をするというようなことでどうだろうとお話を申し上げました。そこでそれらの点について、現在の事務局の考えについて提案をしていただければと思うのですけれどもいかがでしょうか。

○池田施設管理室長 
池田でございます。本日は現状の説明という資料を作らせていただきました。経営だけではないというところもございますけれども、やはりこの検討会に資料を提出する上におきまして、調査・分析をしていただきたいということがございますので、いかがでしょうかということで申し上げた次第です。
○佐藤座長
もうちょっと具体的にどういう段取りでどういうふうにしたいかということですね。

○池田施設管理室長 
例えば財政の関係等がございますけれども、会計書類、いろいろございますけれども、財務諸表の分析ですとか、それからどういった結果を、今まで運営費交付金を入れて、どういった成果が出ているかということにつきましては一定の制限もあるものですから、その辺について、まずは現状の分析をしていただき、その調査・研究が出た段階でこの検討会でこういったことがありますということを報告し、そのことについて御議論をいただきたいと思います。

○北岡構成員 
ちょっと質問です。調査・研究の期間はどのくらいをイメージされていらっしゃいますか。

○池田施設管理室長 
本日、第1回を開催して、3か月ぐらいかと思っておりますが、そこで経営の分析等々につきましては調査・研究をした上で、その資料を元に御議論をいただければありがたいと思っています。

○北岡構成員 
もう一つ、ではその調査・研究される中身は経営の分析と、利用者とか、そういう福祉サービスに関する中身も調査・研究しようということですか。

○掘江社会・援護局障害保健福祉部長 
すみません。多分いろいろ企画課のほうでシナリオもあるんだと思うのですけれども、調査・研究とかいって、余り腰をすえて何かしましょうという感じでもなくて、ただ何となくこの役所の施設管理室で出してくると言いますか、作ってくる資料も既存の資料の中でやっていることになるので、それよりかは例えば大塚先生とか、千葉先生とか、よく話を聞きながら、この会議の例えば次というわけにもいかないかもしれませんが、次の次の回には何か、もう少し複眼的な検討ができるような資料を少し準備するのをお手伝いいただいたらどうかぐらいの感じの調査・研究だと思います。
調査・研究というと1か年かけましたとかいうイメージになったり、あるいは、今はもう3か月とか言っていましたけれど、いや、3か月が4か月になりましたよとか言っているうちにちょっとあれなものですから、調査報告書とかと言うよりも何か、こういう視点でちょっと見てみると意義がどうでてくるかとか。もう、もとより法律のほうにはこののぞみの園の目的が重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、それから支援に関する調査・研究を行うことで知的障害者の福祉の向上を図るということで、理事長がおっしゃったのと、ある意味そのとおりのことをやっていただいているのだけれども、それがいろいろ発揮できる状況がどれだけきちんとあるかとか。
それから北岡先生がおっしゃっていただいたように、どこの施設でもできるような人が来ているのか、いやそうでないというのがかなり言えるのかというあたりも含めて、もうちょっと現場に行っていただくとかも含めましてやったらどうかなと思いますがどうでしょう。

○佐藤座長 
ちょっといいですか。北岡さんがね、どのぐらいかけるのですかというのは、私も実は、嫌がらせみたいな言い方になるけれども、そもそもこの検討会をやろうと思っているという話で内々にどうだって、協力してもらえないかって言われてほぼ1年放置されていて、やっと始まった。私は今年が第3期の最終年だということをもう聞いていましたし、次の中期計画に反映するためにそういうスケジュールでやりたいのだろうという推測をしていたわけですけれども、これが1年、さっき課長がおっしゃったように同時並行で、ここの検討と次の中期計画を作ることとが同時並行のように行われる、これは普通はここのいろいろな検討を終えて、それらを踏まえて中期計画を作るというのが当たり前のやり方だと思うのだけれども、ここでまたいろいろと時間がかかって、検討会としてのいろいろなことをはっきりできないままに、中期計画は中期計画で、これはもう始まるわけですから作らなくてはいけないということになると。
結局この間の懸案は先送りされたまま、ある意味で言えば金の問題だけで、何%切りますよという話だけで、そもそも誰が頼んだわけでもなく特殊法人ができたときから、こういう職員の配置でやらないと全国からの要望に応えられないという自分たちで作っておいたものをいろいろな状況の変化の中で、いわゆる16%だ何%だというふうに、その論理だけが残っていって中身の議論が何もされてないという話になると困るので、せっかく検討会のメンバーになった以上きちんと議論に加わりたいと、これは私だけではなくて皆さんそうだと思います。ですから、ワーキンググループあるいは調査・研究をすることについて、より実質的な材料を提供していただくことについては歓迎ですけれども余り時間をかけて先延ばしにして議論に反映できない、十分に議論に反映できる時間がないとか、また生煮えのままに終わってしまうと。できれば私、前回の準備会のときにも申し上げたと思うけれど、今年中に急ぎましょうというふうに思っていますから、あと何回これが設定できるか分かりませんけれども、調査・研究と、本当にパラレルに進んでいくことが望ましいと思っているのです。

○掘江社会・援護局障害保健福祉部長 
もう北岡委員の顔に、1年の遅れについての苦笑いが出ているのですけれども、申し訳ないのですが、多分、去年の春ぐらいに相談した頃からいろいろございまして、少し遅れているのは間違いがございません。そこにかなりフラストレーションが貯まる話になっているのもよく受止めて、今の調査・研究はその会議を延ばすためじゃなくて充実させるために、その間をやりませんとかじゃなくて並行しながら進めていきたいと思うのです。しっかり進めていくことはお約束しますので、佐藤先生、進めさせていただいてもよろしいでしょうか。

○佐藤座長
分かりました。では今の部長の意向を担保にして、調査・研究で、よりここの議論が深まるような資料や意見を提案していただくということで、さっき私がお願いする前に大塚先生という御意見がありましたので、私も事前にやるとすれば彼だろうというふうに思っていましたので、もし皆さんの同意が得られれば、先ほど部長の話があったような立て付けで、ワーキンググループないしは研究グループを置いて議論を進めていくと、それが皆さん全体としてOKであれば大塚さんにお願いをしたいと。あとは大塚さんと事務局で相談をしてメンバー等を決めていただければと思います。皆さんいかがでしょうか。

(異議なし)

○佐藤座長  
はい、ありがとうございます。では、大塚さん、よろしくお願いします。

○大塚座長代理 
はい。

○佐藤座長 
では、ちょうど時間も3時になりましたので、まるで図ったようにちょうどよい時間になりましたので、特に皆さんのほうから御意見がなければこれで今日の検討会は終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。では事務局にお返しします。

○渥美施設管理室長補佐
本日は御多忙の中、御議論いただきましてありがとうございました。次回の開催は日程調整の上、追って御連絡をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。


(了)

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