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2018年5月31日 第10回重篤副作用総合対策検討会 議事録

医薬・生活衛生局医薬安全対策課

○日時

平成30年5月31日(木)
17:00~

 

○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)
 

○議事

○医薬安全対策課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第10回重篤副作用総合対策検討会を開催いたします。本日御出席の構成員、参考人の先生方におかれましてはお忙しい中、また、遅い時間にかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為は行わないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど留意事項の遵守をお願いいたします。
本日の構成員の出欠状況は、薄井構成員、滝川構成員、森田構成員より欠席との御連絡を頂いております。また、黒岩構成員は、少し早めに御退席されるとの御連絡を頂いております。
また、本日、参考人の先生方として、日本整形外科学会より、山陰労災病院整形外科の岡野先生、日本口腔外科学会より、東海大学医学部外科学系口腔外科学の太田先生、日本腎臓学会より、新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学の成田先生、日本糖尿病学会より、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の綿田先生に御出席いただいております。参考人の先生方、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
また、前回の検討会以降、事務局に人事異動がありましたので、始めに御報告させていただきます。昨年9月1日付けで医薬安全対策課安全使用推進室長に江野が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。以後の議事進行は、五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 では、早速議事を始めたいと思いますので、始めに、今日はペーパーレスということで、タブレットが用意されています。この使い方と、配布資料の確認をお願いします。
○事務局 御説明いたします。本検討会より試行的にペーパーレス化を実施しており、各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。今回、初めてのタブレットの導入となります。始めにタブレット端末の操作方法について説明させていただきます。ペーパーレス審議会と、タブレット操作説明書をお手元に御用意いただきまして併せて御確認ください。
タブレット操作説明書の1ページ目を御覧ください。タブレット側面にある電源ボタンを押して電源を入れていただき、画面が表示されましたら、画面を上にスライドしてください。サインインのボタンが表示されたらタップしていただきロックを解除して、議事次第が表示されることを御確認ください。表示されない場合は、事務局にお声掛けください。
続いて、資料の切替え方法について御説明いたします。操作説明書の2ページ目を御覧ください。資料を切り替える際は、まず、画面下の黄色いフォルダーアイコンをタップしてください。資料一覧が表示されます。参照したい資料をタップすることで資料が表示されます。
続いて、資料の閲覧方法です。資料を指でスライドすることで資料をめくることが可能です。また、その他の操作方法については、操作説明書に記載しておりますので、皆様、御参照ください。また、スタンド、タブレット用のペンについても御利用ください。
なお、セキュリティの関係上、一定時間操作しておりませんと画面がスリープになるよう設定しております。スリープ状態になりましたら、再度、1ページの起動の操作をしていただくようお願いいたします。御不明な点、不具合等がありましたら、事務局員にお申し出ください。また、メモ用紙が必要な方はお申し付けください。
机上に、審議会のペーパーレスに関するアンケートを配布させていただいております。議事が終了しましたら、事務局が回収させていただきますので、お手数をおかけしますが、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
続いて、配布資料の御説明をいたします。構成員、参考人の皆様におかれましては、画面下の黄色いフォルダーアイコンをタップし、資料一覧を御覧ください。傍聴の皆様におかれましては、議事次第、資料一覧の2ページ目を御覧ください。上から順に、資料0-1 議事次第・資料一覧、資料0-2 開催要綱、名簿、資料1-1 重篤副作用疾患別対応マニュアル改訂・新規作成の進捗について、資料1-2 重篤副作用疾患別対応マニュアル別の進捗状況、資料2-1 多形紅斑から資料2-12 骨粗鬆症までです。また、机上に座席表、タブレット操作説明書、ペーパーレス開催に係るアンケートを配布しております。不足資料がありましたら、事務局までお申し出ください。御説明は以上でございます。
○五十嵐座長 何か御質問とか、トラブルや困ったことなどありますでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは、議題1のマニュアル改訂・新規作成の進捗について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料1-1について御説明申し上げます。資料1-1を御覧ください。
前回、第9回検討会においては、各学会に対して行いましたマニュアル改訂に関するアンケートを基に、マニュアル改訂の優先順位を作成いたしました。その中で、平成29年度に着手する優先順位「A」とされたものについて、各学会にお願いをし、マニュアルの作成・改訂を御検討いただきました。その結果、資料の表にあります作成又は改訂されたマニュアルが、本日の検討会で御検討いただく資料2-1から資料2-12までのマニュアルとなります。こちらの詳細については、本日の議題2で御議論いただきます。
引き続き検討を継続中のマニュアルは、同ページの下の表にあるものになりまして、新生児薬物離脱症候群、手足症候群、免疫チェックポイント阻害薬による重篤副作用(総論)、腎臓領域における総論、神経・筋骨格系領域における総論となります。
続いて、マニュアル改訂の全体の状況についてです。2ページを御覧ください。改訂スケジュールAのうち、着手をしましたが検討継続中のマニュアルについては、引き続き改訂検討を実施する予定としております。
こちらを含む改訂全体の状況としましては、マル2の下に書いてあるような状況となっております。今年度は改訂スケジュールでBとしたマニュアルについて着手する予定としておりまして、可能な範囲で時点修正を行う改訂スケジュールDのマニュアルについても着手していく予定です。それぞれのマニュアル数については、この表中でお示ししておりますが、Bの改訂が22、新規が6、時点修正のものが全部で23あります。
こちらが全体の状況ですが、各マニュアルごとの状況については、資料1-2を御覧いただくと、領域、マニュアルごとの状況の詳細をこちらに記載しております。資料1-2では、昨年に御覧いただいた資料を基に、右側のカラムに2016、2017、2018というものを設けておりまして、それぞれの年の進捗状況がどういった状況であるかというところを示しております。一番上にあるスティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症については、2016年に終了しておりますので作成終了と書いてあります。また、本日御議論いただく多形紅斑型薬疹については、2017年で作成終了という形で書いております。このような形式で、以下、その他の領域についても、同様に記載をしております。
資料1-1に戻っていただきまして、3の総論です。こちらは、各領域の総論について、平成29年度は、腎臓領域、神経領域、免疫チェックポイント阻害剤の総論について着手しております。こちらについては引き続き作業が継続しておりますので、次回検討会にて検討をお願いする予定としております。資料1-1、資料1-2については以上でございます。
○五十嵐座長 ただいま説明いただいた点について、何か御質問、御意見はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、これは引き続いて御指導というか、御依頼しているわけですね、各学会に。そのマネージメントをよろしくお願いしたいと思います。
続いて、議題2に移ります。平成29年度のマニュアル改訂についてです。まず、資料2-1を御覧いただきまして、多形紅斑のマニュアル(案)について事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料2-1を御覧ください。資料2-1、多形紅斑については、日本皮膚科学会より新規に作成されましたマニュアルです。本日、皮膚科学会の参考人の先生におかれましては、御都合のため出席できない旨を御連絡いただいております。そのため、皮膚科学会より事前にマニュアル作成のポイントについてお送りいただいておりますので、それについて事務局よりまず御紹介させていただきます。
今回、マニュアル作成に至った背景です。多形紅斑型薬疹は、こちら播種状紅斑丘疹型薬疹に次いで頻度の高い病系で、時に発熱や粘膜疹を伴いスティーヴンス・ジョンソン症候群との鑑別が問題となります。治療法が異なるために、別途、多形紅斑型薬疹についてのマニュアルを作成する必要があるということで、作成に至ったという御説明を頂いております。
マニュアルのポイントです。多形紅斑型薬疹は、重症薬疹であるスティーヴンス・ジョンソン症候群とは異なり、ステロイドの大量投与や免疫グロブリンの大量投与などの強力な治療を必要としない疾患です。しかし、重症型では、発熱や粘膜疹を伴うことからスティーヴンス・ジョンソン症候群との鑑別が必要であり、それについて、臨床的、病理組織学的に分かりやすく解説していただいており、多形紅斑型薬疹では、粘膜疹が見られても充血であり、粘膜の壊死や出血性糜爛がなく、病理組織学的にも表皮の壊死度の程度は軽いということがマニュアル上明記されております。また、同じく粘膜疹を伴うことがある固定薬疹や感染症、膠原病といった薬剤以外の原因による多形紅斑、自己免疫性水疱症との鑑別も必要であり、それについても解説を頂いています。治療については、多くは中用量ステロイドの全身投与で十分であるとのことです。
こちらは、作成の経緯とも関係いたしますが、既存マニュアルとの関係についても解説を頂いております。スティーヴンス・ジョンソン症候群のマニュアルについては多形紅斑型薬疹との皮膚の病理組織的な違いが記載されておりますが、多形紅斑型薬疹の臨床症状についての詳細な記載や組織像がありませんでした。また、多形紅斑型薬疹の治療についても既存マニュアルには記載がありませんので、今回、こちらの新しいマニュアルで御対応いただいたというところです。
皮膚科学会より頂いたマニュアルのポイントについては以上ですが、今回、改訂又は新規作成されたマニュアルについては共通の変更事項がありますので、こちらも併せて事務局より御説明させていただきます。
まず、マニュアルの構成です。各マニュアルには参考1として、医薬品医療機器等法に基づく副作用報告件数を記載しております。多形紅斑型のマニュアルですと、17ページ、多形紅斑は新規のマニュアルですのでこちらのデータは新規に作成しておりますが、改訂のマニュアルについても、平成27年度と平成28年度のデータで更新しております。
19ページの参考2です。こちらはICH、国際医薬品用語集日本語版における関連用語を記載したものですが、こちらについても新しいバージョンである「20.1」で作成しております。改訂マニュアルについてはこちらのバージョンアップを図りまして、20.1で記載をしております。
なお、今回のマニュアル改訂に合わせ、医薬品副作用被害救済制度に関する記載も追加しております。参考3、4についてです。参考3については、医薬品副作用被害救済制度の過去5年の給付件数、参考4は、副作用被害救済制度の開設について記載しております。
副作用被害救済の関係で追記した箇所は他にもあり、最初にお戻りいただいて、3ページ目の「本マニュアルについて」の一番最後のパラグラフですが、記載事項の説明という緑色の枠の上にも副作用被害救済についての説明を追記しております。事務局からの説明は以上です。
○五十嵐座長 ただいまの説明に対して、何か御質問等がありましたらお願いしたいと思います。飯島先生、何か追加とかありますでしょうか。
○飯島構成員 皮膚科の飯島でございます。これを作成に至る背景の説明も十分ありましたように、これはスティーヴンス・ジョンソン、and、or TENですが、これらとの鑑別で常に問題になるのが多形紅斑で、実は多形紅斑のマニュアルはなかったというのは、前回のときに作っておりませんので、新しくこしらえさせていただきました。これは発症機序も、重症度も、治療法も全く違う別の疾患ですが、時々誤解されます。ですから、非常に鑑別、判別が難しい疾患ですので、学会の現役の諸君たちは非常によく書いてくれているなと思います。
事前に私は見させていただきました。1箇所について、9ページの一番下のフレーズを御覧いただきたいのですが、他覚症状の所で、下から5行目の「raised」の位置が違うので、通常は「typical targets」又は「raised atypical target」と表現します。typicalにはraisedもflatもないのです。実はflat atypical targetというのがスティーヴンス・ジョンソン/TENのときの皮膚症状でして、typical target並びにraised atypical target、これが多形紅斑の発疹だというように、ただ、これで我々は分かりますが、皆さんが分かるかどうかについては皆さんに御議論いただきたいところなのです。実はこれを書き出しますと、多分、ものすごく長くなるので、このところは多分、現役の諸君たちは苦労したのだろうと思いますけれども、これについては皆さんの御意見を聞いて、この総意として、もうちょっと噛み砕いて言えと言えば、またお知恵も出していただけると思いますが、そこは御議論をよろしくお願いいたします。私は分かります、皮膚科医は分かりますけれども、恐縮でございます。それは見ていただきますと、raised atypical targetは11ページの下から5行目の所に、「典型的には中心部の発赤はうんぬん」と書いてあります。これがtypical targetsという発疹です。
それから、13ページの写真の上から典型症例の5行目に、raised atypical targetという使い方をしております。これが何となく怪しい発疹で、これがflatだと、どうもSJS/TENのほうではないかと考えるのですが、この判別は非常に専門家でも結構難しいので、これを言葉にするのはもっと難しいのだと思います。使い方の問題で、raised atypical targetsと typical targetsいう用語で我々はいいのですが、よろしいかどうか皆さんの御意見を聞いていただいたらと思います。もっと噛み砕いて言えと言えば、これは医科向けの話の部分ですから、一般向けの話ではありませんので、よろしくお願いします。
○五十嵐座長 飯島先生から我々皮膚科ではない者に質問されても、逆に答えられないのですけれども、9ページの、原本ではraised typical targets又はatypical targetsと表現されるというこの文章において、「raised」の位置を1つ下にもっていっていただきたいということですね。
○飯島構成員 それのほうが正解です。それは間違いない。
○五十嵐座長 先生の御指摘は恐らく正しいと思います。ただし、そこまで変更を要するかどうかについては、すぐに即答はできないかもしれません。
○飯島構成員 これについては、林先生の御意見を聞きたいと思っております。
○五十嵐座長 では、林先生の御意見はどうですか。
○林構成員 御指名ありがとうございます。このマニュアルの主旨を飯島先生に以前にも教えていただいたことがあります。放っといてはいけない状況を把握する。そして、皮膚科の専門医への受診を、薬剤師あるいは他科の先生方が促せるようなことが一番主眼になると思います。このtypical targetか、raised atypical targetかというところの解説に力点を置くよりは、むしろそれ以外のところの気付いてほしい症状に、十分書いていただいておりますので、これで臨床では防ぐことの一助になるのではないかと私自身は受け止めました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかに特別何か御意見はありますでしょうか。
○金澤構成員 呼吸器を担当する金澤です。たまたま11ページの所でマイコプラズマ肺炎の鑑別のところが出てきまして、マイコプラズマ特異的IgM抗体を確認するというのは、IgM抗体が陽性であったらマイコプラズマ肺炎だから検査をしなさいという意味で書かれたのでしょうか。小児科は別として、成人の場合はIgM抗体の感度、特異度ともに全くないとなっていまして、最近は抗原検査が保険収載になっているので、抗原検査のほうがまだいいかと思いますが、それにしても成人での感度が十分でないということが言われているので、記載が「マイコプラズマ肺炎の診断を確認する」といった程度の、ざっくりとした記載にしていただいたほうがよろしいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○五十嵐座長 ありがとうございます。11、12ページにかけてですね。
○金澤構成員 そうです。
○五十嵐座長 12ページの1行目のIgM抗体を確認するという記載があるのだけれども、必ずしもIgM抗体では診断できないことがあるという御指摘ですね。
○金澤構成員 そうですね、特に成人の場合はそれが多いものですから。
○五十嵐座長 分かりました。これについてはいかがでしょうか。では、これももう一度確認させていただきたいと思います。斎藤先生、どうぞ。
○斎藤構成員 国立衛研の斎藤でございます。専門であることから少し気になってしまったというところでございますが、飯島先生、恐縮ですけれども、11ページの遺伝子多形の記載があります。アロブリノールによる重症薬疹、多形紅斑を含めた薬疹についてHLA-B*58:01の記載がありますが、カルパゼピンの多形紅斑、また、皮膚的軽症の薬疹についてもA*3101が、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症A*3101に追加して関連するという報告が、理化学研究所と皮膚科学会の先生方との共同で出されていたかと思いますが、こちらのほうは記載は不要でしょうか。
○飯島構成員 私が承知しているのはカルパマゼピンは多形紅斑ではなくて、あれはスティーヴンス・ジョンソン/TENで、台湾から出ているデータ。
○斎藤構成員 日本からの論文が公開されていると承知しております。
○飯島構成員 あれはA*3101ではなかったかと思いますが。
○斎藤構成員 記憶しているところでは、A*31:01と存じます。
○飯島構成員 スティーヴンス・ジョンソン/TENも全部、多形紅斑も含めてA*3101はカルパマゼピンで、そう関連があるだろうと言われています。では、その項目については追加で御指摘いただければ、A*3101です。私どもやらせていただきました。
○斎藤構成員 本日、論文を持ってきましたので、事務局にお渡しさせていただきます。ありがとうございます。
○飯島構成員 御確認をお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。1つ追加したほうがいいという御指摘ですので、これも後ほど検討させていただきます。ほかにいかがでしょうか。
そうすると、3つ修正というか、追加も含めまして御指摘いただきました。その他については、基本的にこれでいいという御判断をしてもよろしいでしょうか。では、今日の御意見については、座長に御一任いただきまして、事務局と一緒に修正あるいは追加することを検討したいと思います。基本的にはこのマニュアルを改訂版として了承するということで御異義はありませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、そのようにしたいと思います。どうもありがとうございます。
では、今後の進め方については事務局、最後にまとめてお伺いしますので、次の資料2-2から資料2-8、これは腎臓領域で大変たくさんありますけれども、今日は日本腎臓学会から参考人として、成田先生にお越しいただきました。御説明をお願いしたいと思います。
○成田参考人 腎臓学会の成田です。五十嵐先生、複数のマニュアルがございますが、まとめてでよろしいですか。
○五十嵐座長 はい、どうぞ。
○成田参考人 胆道排泄、便排泄以外の薬は腎臓から排泄されるということで、腎機能が低下している症例が、国内で増えていることはご存じの通りです。薬剤性による腎障害も、単独の病態であるかどうかは別として、非常に増えてきています。そういった状況の中で腎臓関連の副作用マニュアルは大変数が多くなっているものと思います。
それらを、資料1-2に一覧表として呈示していただきました。平成19年から平成23年にかけて6つのマニュアルが既に発刊されておりました。昨年、これを改訂せよという御指示を頂きまして取り組んでまいりました。いくつかの重要なポイントがございます。1つは、「急性腎不全」という言葉が「急性腎障害(AKI)」、Acute Kidney Injuryという国際的な疾患名と言いますか、概念に変わりましたので、それに本副作用報告マニュアルを合わせるということ。それから、間質性腎炎も病態によって急性と慢性の場合があるので、それをマニュアルの中で分けて記述するということです。それから、ネフローゼ症候群に関しては、原因となる薬剤が、私共が行った調査で頻度が高いものが幾つか分かりましたので、それについて少し各論を述べるということです。
急性腎盂炎腎炎については、この疾患名自体がどちらかというと薬剤性というよりは、感染による腎盂腎炎というのが一般的な理解ですので、副作用として臨床的に問題となることは少ないと判断し、なくしました。これに変えて、頻度的に高い血管炎による腎障害をに取り上げることと致しました。腎性尿崩症、腫瘍崩壊症候群は、余り変えておりません。発行された年月日も割と新しいものです。
新規の項目として、電解質異常の中で、低カリウム血症を特に取り上げました。これは腎疾患治療において、多様な薬剤性電解質異常が起こるわけですが、特に低カリウムは見逃されやすく、気付かれにくく、しかも慢性に経過することによって腎障害を促進することがありますので、注意を喚起したいということで、新規に低カリウム血症に限ってマニュアルを作成いたしました。以上、7つのマニュアルを作成させていただきました。比較的短期間で書くことができたのは、実は薬剤による腎障害の全体調査による分類、診断、対策などをまとめたガイドラインを、たまたま2016年に発刊しております。そのガイドラインを作成する過程において各委員の方々に協力していただいていましたので、比較的短期間で作成することができたということです。
資料2-2、11名の委員の方々に作成していただき、今年に入ってから学会のホームページで、パブリックコメントとしてこれをPDFで発表して、学会委員の方々からも一応意見を頂いております。全体としての説明をさせて頂きました。どうぞよろしくお願いします。
○五十嵐座長 それでは、成田先生からの御説明に対して、何か御質問や御意見はありますか。
○金澤構成員 少しほかの領域との関係もありますのでお伺いします。kidney injuryというinjuryという言葉に、障害という言葉を当てているのですが、呼吸器の類型ですと損傷とか、障害と言っても傷害を使うことが多くて、これは恐らく、いろいろな領域でinjuryという英語をいろいろな言葉で使っておられるのではないかと思いますので、これは全体の部会としてどういうふうに持っていったらいいかということとも関わるものですから御意見をお願いします。
○成田参考人 私どもが参考にしたのは国際的な用語です。kidney injuryというのは、2つの項目だけで決めるものであって、病理学的な組織障害は別にして、尿量の低下とクレアチニンの上昇だけで診断する、ざっくりした診断基準なのです。それをここに適用しました。念のために(急性尿細管壊死)も、一応、マニュアルの中では語句として挙げております。
○金澤構成員 この障害という場合は、機能的な、生理的な障害の場合に使われるのですね。
○成田参考人 そうですね。尿量の低下とクレアチニンの上昇です。
○金澤構成員 ですから、今の定義ですと確かにおっしゃるとおり、うなづけるところがありますが。
○成田参考人 ほかの臓器と合わせたほうがいいということであれば、また御議論を頂ければと思います。
○金澤構成員 それが腎臓病学会の中で、異論が出るようだと困るなということがあったものですから。
○成田参考人 そうですね。
○木村構成員 この腎障害という言葉は、腎臓学会で作ったガイド、ガイドラインでも、最初にこの言葉を使うと決めてしまったのです。ですから、これからこれを変えていくのは難しいかと思いますが。
○成田参考人 この用語を変えてしまうと、逆に腎学会のほうから、異論が出る可能性があります。
○木村構成員 大変申し訳ないのですが。
○笠原構成員 専門ではないので的外れかもしれませんが、このマニュアルを読ませていただくと、一番始めの急性腎障害(急性尿細管壊死)と尿細管間質性腎炎というこの2つについて、資料2-2の11ページの始めの所ですが、「医療関係者への皆様」ということで、1.早期発見と早期対応マニュアル、この1行目の所に「本マニュアルでは、医薬品による急性腎障害を扱ったため、尿細管間質障害による急性腎障害を主体に記載している」と、「尿細管間質障害」という言葉を使っておりますが、実はこのマニュアルで書かれていることが資料2-2の13ページ、「2-1NSAIDs、レニン・アンギオテンシン急性腎障害の概要」で説明されております。
資料2-2の19ページには、「2-2尿細管上皮細胞障害性医薬品による…」についてで、ここは尿細管間質というよりは尿細管そのものです。尿細管の間質性腎炎については、次のマニュアルに載っておりますが、ここが非常に混乱しやすいのですが、私の理解がおかしいのでしょうか。
○成田参考人 おっしゃるとおりで、腎臓局所で起こっている病態としてはかなり重複があります。それを完全に分類することは困難だと思います。例えば急性の尿細管の炎症で起こってくる急性尿細管壊死というのは当然ありますので、どちらの方に分類すべきかというのは、困難な症例が確かに存在します。
○笠原構成員 恐らく尿細管の間質性腎炎のほうは病理的な診断であると思いますが、間質が一番始めに入っているものですから、ここの所が分かりにくい。実際に医薬品の副作用のMedDRAのほうでは、資料2-2の32ページ、ここの副作用の報告件数では「急性腎障害」と「腎尿細管壊死」ということで集計されています。資料2-3の21ページには同じように集計されておりますが、こちらは「尿細管間質性腎炎」ということで、副作用がまとめられておりまして、これを見たときに、先ほどの資料2-2の1ページの「尿細管の間質障害」というのがちょっと理解しにくいところですが。
○成田参考人 おっしゃるとおりだと思います。最初の文章の中に、急性腎障害のほうはどちらかというと、機能と尿量で決める概念であって、間質障害、間質性腎炎のほうは、病理学的な観点で決めた副作用であって、両方の病態が当然混在することを最初に断ったほうがよろしいですか。
○笠原構成員 実は恐らくそういうこともあって、腎臓領域における総論というのは後でまとめられると思いますが、このマニュアルで資料2-2の8ページから3ページにわたって、「詳しく知りたい方へ」ということで、一応説明が載っているのですが、この説明と、今の本文との整合性がうまくないのです。どちらかというと、2016年のガイドラインを中心にしたほうが分かりやすいと思いますが、ここの説明と少し用語が一致しないような所があると思いますが。
○成田参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 木村先生、何かそれについて御意見をお願いします。
○木村構成員 この「急性腎障害」というところに、恐らくこれは成田先生がおっしゃったように、急性腎障害という生理的な働きとしての定義と、実際に病理学的な急性尿細管壊死というのが混在しているのではないかと思います。ですから、おっしゃるように混乱していると思いますので、この辺は「総論」で少し整理したらどうかなと思います。
○成田参考人 それでは、そのようにいたします。
○五十嵐座長 そうしますと、各マニュアルにおいては何か補足などはいりませんか。
○木村構成員 最初の所で説明したらどうかなと思いますが。
○成田参考人 イントロダクションの所で。11ページの最初のほうに、先ほど御指摘いただいたようなことが、割と分かりやすく書いておられるので。
○五十嵐座長 それでよろしいですか。
○成田参考人 はい。
○五十嵐座長 ありがとうございます。確かに機能的な診断名と、病理を中心とする診断名がありまして、ヒストリカルにずっと両者が別々に歩んできて、特に最近、AKIが新しい概念として出てきているので、それをどうやって融合するかという点で、問題が生じてきています。重要な御指摘だと思います。できるだけ混乱しないように、ただ完璧には区別することは難しいかもしれませんが、できるだけ誤解がないような説明を、多少加えるということをしていただきますよう考えますので、よろしくお願いします。そのほかはいかがですか。よろしいですか。非常にたくさんのマニュアルを作っていただきましたので大変だったと思います。今回、御指摘いただいたAKIに関しての生理学的なアプローチと、病理学的なアプローチが混乱しないように、少し簡単な説明を入れる事を検討したいと考えます。総論はまたあとで出てきますので、これについては総論において詳しく説明するという方向にしたいと思います。これまでの議論を踏まえた上で、このマニュアル(案)を改訂版として御了解いただけますか。
ありがとうございます。今、御指摘いただいた点は、成田先生と事務局とで相談して修正をさせていただきたいと思います。成田先生、どうぞよろしくお願いします。
○成田参考人 ありがとうございました。
○五十嵐座長 よろしいですか。それでは、成田先生はここまで貴重な御意見を頂きました。本当にありがとうございました。以降の議題については、特に御意見を求める予定はございませんので、このままおいでいただいても結構ですし、御退席いただいても結構ですので、御自由にお願いいたします。ありがとうございました。
○成田参考人 ありがとうございました。
                              (成田参考人退室)
○五十嵐座長 続きまして、資料2-9と資料2-10の高血糖、低血糖のマニュアル(案)について、日本糖尿病学会から参考人として、綿田先生にお越しいただきました。先生から御説明をお願いします。よろしくお願いします。
○綿田参考人 よろしくお願いいたします。資料2-9の高血糖です。高血糖に関しては、最近抗がん薬として、免疫チェックポイント阻害薬が出てくることによりまして、非常にまれではありますが、劇症1型糖尿病が発症すると。劇症1型糖尿病というのは、ヘモグロビンICが上がらない間に血糖が上がって、急激にケトアシドーシスに陥るという病態ですので、この薬剤を入れ込んで、実際に喚起を促すということのためがメインということで、高血糖のマニュアル改定のポイントとしては、まず最初の対象者の区分で、「患者の皆様へ」「医療関係者の皆様へ」とありますが、糖尿病で高血糖を起こすような人は、高齢者の方が多く、どちらかというと、家族あるいは介護者に対するメッセージを加えるべきだということで、「患者の皆様へ」の所を、そちらの目線にも立って書き加えております。その他は、新しい薬剤、あるいはなくなった薬剤等を変更するとともに、実際、症例を提示する中で、16ページ、PD-1阻害薬投与により発症した劇症1型糖尿病の症例などを加えております。
資料2-10、低血糖に関しては、糖尿病学会のほうでここ2年、重症低血糖がどのような背景で起きているか全国調査を行いましたので、その結果を反映し、国民に広くその危険性に関して十分に周知する必要があると考え、これに取り組もうということで改訂の必要があるとお返事させていただきました。この低血糖のマニュアルに関しても、今回の調査によって分かったのは、重症低血糖が起こる背景は、高齢者であること、血糖コントロールが良すぎること、さらにSU剤、過インスリンを使っていることが大きなリスクファクターです。ですから、「患者の皆様へ」の所に、やはり、家族あるいは介護者に関するメッセージを加えるとともに、なるべく分かりやすい図を加えたりすること。さらに症例に関しては、17、18ページにありますが、インスリンによる低血糖、SU薬による重症低血糖を加えております。あとは実際低血糖を引き起こす薬剤のアップデートを行いました。以上が主な改訂のポイントです。
○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、御説明について御質問、御意見はありますか。
○笠原構成員 マイナーなことですが、高血糖を起こす重大な副作用として高血糖、あるいは糖尿病について記載されている薬品のリストが、何ページにもわたってたくさんありまして、いずれも重大な副作用ということで、それぞれ添付文書で書かれております。実際に、28ページにJADERの自主報告で、副作用報告件数で高血糖に平成27年度で一番多いのが、アビラテロン酢酸エステル、これは前立腺がん治療薬ザイティガ錠ですが、この膨大なリストの中には載っていないのです。よく調べてみますと、添付文書では、重大な副作用は5つ、心障害とかいろいろあるのですが、その他の重大ではない副作用に高血圧が、頻度的には5%ぐらいですが、載っています。実際に報告件数としては、これは自主報告ですから、実際の重症度では分からないのですが、たまたまこれを見ましたら、これが膨大なリストに載っていなかったものですから、重大なという意味ではなくていいのですが、こういうことというのは、実際問題むしろあり得ることで、普通に起きることなのか、その辺が奇異に写ったものですから、もし何かコメントがありましたらお願いします。
○綿田参考人 これらのリストは基本的には日本病院薬剤師会と共同でリストを作ったのですが、各薬剤の添付文書は主には治験での有害事象、市販後の有害事象に基づいて必要であれば高血糖を有害事象として挙げており、本リストは完全に添付文書にのっとってリストを作っています。それ以上のことはよくわかりません。
○笠原構成員 恐らく自発報告の場合には、重症であるとかどうかは全く情報は分からないと思いますので、それは数だけの問題で、次の28年度は下位のほうにいっていますから、たまたまこういうことはあり得るかどうかというだけのこと。
○綿田参考人 すみません、薬剤師会の方何か御意見はありますか。
○五十嵐座長 林先生、いかがですか。
○林構成員 今、御指摘のように、実際にはそれぞれの作業を丹念にした中で、結果として数字を出すとこういうことであったということが1つと、恐らくアビラテロンを臨床で使う場合には、プレドニゾロンと併用する側面がありますので、併用して高血糖が起こったときに、むしろプレドニゾロン側のファクターもあることも考慮して、添付文書上の取り上げ方が少し違っているが、クリニカルなデータは、両方被疑薬として出てくるとこういう形に集計されるような側面もあることは少し考えてもいいかなと思いました。ありがとうございました。
○五十嵐座長 確かにそうですね。併用した場合には、どちらかというのがなかなか言いにくいことがありますので、その結果としてこういうふうになっている可能性は確かにあるかもしれません。これは非常に重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。ほかはいかがですか。
○斎藤参考人 教えていただきたいのですが、高血糖、低血糖については、高血糖のほうは恐らく糖尿病の診断基準でそのものだと思いますが、国際的には薬剤による高血糖、低血糖の診断基準などには何か統一的なものはあるのですか。
○綿田参考人 国際的には、薬剤による高血糖の診断基準というのは特にはないと思います。ただおそらくは、重篤ということになると、一般的にはある程度の症状があり、放置しておくと意識状態が低下するような状態を指すと思われます。
一方、低血糖に関しては、重篤な低血糖というのは定義があって、他者の介助を必要とする低血糖であるということになっております。
○斉藤参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 以前、新生児では30mg/dL以下を低血糖と定義する時代がありました。最近は低血糖の定義は大きく変わってきています。ここには新生児のことは書いてありませんが、一般に脳の保護のためには新生児であっても血糖値を50とか60を切ることがないようにしたいとする医学界の考え方の変化を反映していると思われます。ほかはいかがですか。
○島田構成員 17ページに「低血糖の予防」がありますが、ここに低血糖を予防するためにブドウ糖や砂糖、ジュースというようなものを携行させるべきというのは、このとおりですが、一部の調査によりますと、案外こういった方の6割ぐらいしかお持ちでは、ないという結果があるようです。そういうときには薬局とか病院とかに駆け込むようにとか、そういったような少し具体的な、次の行動もお書きいただいたらいいのではないかと思いました。
○綿田参考人 実際には薬局に駆け込むことはほぼなくて、恐らく、すぐに自動販売機でジュースを買うとか、そういうことをやっておられる方が多いです。糖分を携帯していないときは何らかの方法で摂取するとしか書きようがないのですが、薬局へ行ったら本当にブドウ糖をくれるのかという保証もないと思いますが、その辺は追加したほうがよろしければ追加しますが。
○島田構成員 ブドウ糖、砂糖、ジュースというのは典型的な形ではあるのですが、なかなか持参していることが少ないのです。もちろん、自動販売機でも結構だと思います。
○綿田参考人 それはブドウ糖という意味ですか、そういう意味ではなくて。
○島田構成員 持ち合わせていない時、という意味で。
○綿田参考人 そうですね。何らかの方法で取るべきであるということですね。
○島田構成員 そうですね。
○綿田参考人 分かりました。それを追加するということにします。
○五十嵐座長 具体的にはどういう文章になりますか。
○島田構成員 実際には、自動販売機ということはもちろんあるのでしょうが、それを求めて救援を頼むとか、他の方法も少し書いておいたほうがよろしいのかと思います。
○林構成員 このマニュアルの特徴ですが、国民の皆様向けには「患者の皆様へ」で書いていただいて、低血糖という診断を、血糖値を計る前に、ボーっとしたらとにかく対処ということが書いてあるので、島田先生、いかがでしょうか。御本人には、恐らく糖尿病チームは飴を持ったりとか、いざとなったら、自動販売機でコーラを飲んでとかということは一応指導していると思います。後半は医療従事者向けの部分になりますので、そこはその指導を徹底するということで学会でお書きいただいた内容でも、島田先生がおっしゃっている意味も含めて、伝わっているのかという印象を持ちました。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○島田構成員 それで結構です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。そのほかはよろしいですか。特に高血糖、低血糖に関しては、大きな修正はしなくてもいいということになると思いますので、このマニュアルを改訂版として了解していただけますか。
ありがとうございます。それでは、そのようにしたいと思います。綿田先生におかれましては、貴重な御意見を頂きまして、本当にありがとうございました。これ以降の議題は、特に先生に御意見を求める予定はありませんので、御自由にしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
                              (綿田参考人退室)
○五十嵐座長 続きまして、資料2-11に移ります。骨吸収抑制薬に関連する顎骨壊死、顎骨骨髄炎のマニュアル(案)について、本日は日本口腔外科学会から太田先生に参考人としておいでいただきました。御説明をお願いします。
○太田参考人 よろしくお願いします。骨吸収抑制剤、具体的にはビスホスホネートとデノスマブになります。適応は、骨粗鬆症と悪性腫瘍の骨転移です。これを投与したときに顎の骨が腐ってしまう顎骨壊死が出るというようなことがあり、第1版のマニュアルが平成21年5月に作られました。今回デノスマブが出たときには、まだビスホスホネートしかなかったものですから、ビスホスホネートと書かれていたのですが、デノスマブが追加になりました。そして、ここの領域でまだ病態が明らかではないので、ガイドラインがなく、ポジションペーパーが出ていました。2010年に最初のポジションペーパーが出まして、その次にデノスマブの記載を一応してある改編が2012年に行われましたが、そこでは名前が入っただけでした。その後、デノスマブでも最終的には破骨細胞のアポドーシスを誘導するということでは、BPもデノスマブも同様ですので、結果として同様の顎骨壊死が出てまいりました。そこで、これらのものを一緒にして、2016年に新しいポジションペーパーが出ました。そこの考え方を反映して、今回の改訂に至ったというのが改訂の趣旨です。
具体的には、5ページの一番上の欄を御覧ください。今まではBisphosphonate-related osteonecrosis of jawということで、BRONJということでしたが、今回はそこがAntiresorptive agents-relatedONJということで、BRONJからARONJに名称の変更をしたのが第一です。
10ページの最上段です。これも名称の変更になります。12ページは、この10年ぐらいの間にいろいろな考えが分かってきたところがあります。薬剤に関するリスク因子で、今までは骨粗鬆症に対しては経口薬、悪性腫瘍の骨転移に対しては注射が剤形でした。最近では、骨粗鬆症に対しても注射薬が出てまいりましたので、そこでの実態に即した書き替えになります。骨への侵襲的歯科治療が最大のリスクファクターになると書いてありますが、抜歯以外のものに関しては特にリスクファクターにならないと明記した点が、改正点です。1)に戻ります。累積投与量が重要であるという点も、新たな知見としてここに書き加えております。
13ページは、不適合義歯をリスクファクターの所に明記しております。下から5行目は、細菌感染を伴わなく、これは必ず細菌感染を伴うという発想でしたが、ここ数年の間に細菌感染を伴わなくてもステージ0のARONJが出てくることが分かってまいりましたので、これを明記しております。
14ページのARONJの概要の所に、実際の発症患者数のペーパーレビューを追加して、リファレンスにも付けております。17ページは、BPとデノスマブの骨吸収抑制作用の差がないという点を追加しました。それから、経口剤と静注剤についても、力価が同じであれば同じようなことになるということが書いてあります。
20ページは文言の追加です。骨痛の所にskeletal related eventということで、SREという文言を付けました。21ページ以降は典型症例の文言の修正です。これは、例えば今までは右下の6番など、いわゆる歯科的な分かりにくい言葉であったものを、正式な言葉で、右下顎第一大臼歯というような文言の修正を行いました。以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問、御意見はいかがでしょうか。特にありませんか。
○林構成員 質問ではなくてお礼のような発言になるかと思います。このマニュアルの作成をサポートさせていただいている中で、イラストをどのように入れるかは、いろいろとリアリティーをもって作るのはなかなか大変なのです。今回医療従事者向けも一般の方向けも、ちょっと一般の方がドキッとしないといいなとは思いつつも、この顎骨壊死という言葉は何かものすごく怖い言葉に伝わり兼ねないのです。早めに気付いてほしいのは、歯肉の所に白に骨が見えてしまっている所だという写真をたくさん御用意いただいたので、これはきっと気付きにつながるのではないかと思いました。今まで、皮膚領域はいろいろと写真をお願いしていたのですが、目で見て分かるものを追加していただけたのは、先生方は写真を集めるのが大変だったのかなと思うのですが、このマニュアルにとってはビジュアライズされて有り難い改訂かなと、もう一点気付きましたので添えさせていただきました。
○五十嵐座長 おっしゃっているのは、6ページの所ですね。分かりやすい、そんなにグロテスクには見えないと思いますが、写真1はちょっとそういう感じもなきにしもあらずです。しかし、大変分かりやすいですね。ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。それでは、このマニュアルについては、このままで改訂版として了承するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、そのようにいたします。太田先生におかれましては、貴重な御意見を頂きまして本当にありがとうございました。以後の議題については特に御意見を求める予定はありませんので、御自由にしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○太田参考人 勉強させていただきました。
                                (太田参考人退室)
○五十嵐座長 では、資料2-12に移ります。骨粗鬆症のマニュアル(案)です。本日は、日本整形外科学会から、参考人として岡野先生においでいただきました。御説明をお願いいたします。
○岡野参考人 よろしくお願いします。まず、1ページの「患者の皆様へ」を御覧ください。この骨粗鬆症は、骨密度が減ったり、骨の量が減って骨が折れやすくなる状態を言います。平成21年5月に、第1回目が作成されています。そのときの主な薬剤は、ほぼ経口ステロイドを中心に記載をしておりました。「患者の皆様へ」に、各種薬剤が書いてあります。主には、経口ステロイド、そして乳癌、又は前立腺癌に対する性ホルモン低下療法(アロマターゼ阻害薬、アンドロゲン遮断療法)が書かれています。他には、糖尿病薬のチアゾリジン、抗うつ薬SSRI、それから昔から言われている抗がん剤のメトトレキサート、ヘパリン製剤、ワルファリン、利尿薬、プロトンポンプ阻害薬、抗けいれん、抗不安薬、睡眠薬があることを記載しております。前回は経口ステロイドを中心に記載したと言いましたが、その後海外において性ホルモン低下療法として、アロマターゼ阻害薬、アンドロゲン遮断療法に伴う骨量減少に対するガイドライン、ポジションステートメントが出されました。それについて、加筆を行っております。
次に主な改正ポイントは、4ページを御覧ください。1.早期発見と早期対応のポイントの一番下に、LHRHアゴニスト投与と、アロマターゼ阻害薬の海外におけるエビデンスを記載しております。
次の主な改訂項目は、8ページを御覧ください。3.副作用の判別基準の中に、主にステロイド骨粗鬆症の判別基準を書いております。その方法としては、11ページを御覧ください。5.治療方法に、日本骨代謝学会が2014年度に、ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインを改訂しました。そこに、経口ステロイド薬を3か月以上飲む予定の患者さんの場合には、この図のようにスコア付けをして、ある程度スコアが3以上あれば、薬物療法を開始したほうがいいというのが、主なところです。
12ページに、ステロイド性骨粗鬆症に対する薬物療法のエビデンスがかなり蓄積されてきましたので、前回の対応マニュアルに、大幅に加筆をしております。12ページの下のほうの性ホルモンの所に、性ホルモン低下療法に伴う骨粗鬆症に関するエビデンス等を加えております。特に我が国では、診断基準やガイドラインはまだ作成されておりませんので、海外での報告、若しくは推奨されている治療方法を記載しております。以上です。
○五十嵐座長 ありがとうどいました。それでは、岡野先生の御説明のマニュアル改訂(案)について、何か御質問、御意見はありますか。特にありませんか。よろしいですか。ということは、大きな修正は要らないということになります。このマニュアルを改訂版として御了承いただけますか。
ありがとうございました。では、そのようにいたします。岡野先生、ありがとうございました。
                                (岡野参考人退室)
○五十嵐座長 それでは、一応平成29年度作成のマニュアル(案)については、これで議論が終了いたしました。事務局から、今後の進め方について説明をお願いいたします。
○事務局 マニュアルの改訂版として御了承いただいたマニュアルについては、本日の御指摘を踏まえ事務局でマニュアルの修正を行い、座長に確認の上、ホームページに掲載するなど、改訂マニュアルの周知を行います。
○五十嵐座長 では、今日予定している事項はこれで終了いたします。先生方から何か御意見、御質問等はありますか。
○上野構成員 事務局に確認ですが、このマニュアルの改訂作業については、先生方の御努力で非常に順調に進んでいるかと思います。当初の予定では、平成28年から5年計画で一応全て見直すという計画だったと思うのですが、進捗状況としては順調に進んでいると考えてよろしいでしょうか。
○事務局 本日資料1-1で御説明しましたような進捗状況になっております。初年度の作成が2マニュアルということで若干少なかったものの、本日は12マニュアルを御審議いただきました。まだ残りはありますが、残り期間も本年を含めて3年の予定がありますので、引き続きこのペースで進めていければと思っております。
○五十嵐座長 よろしいですか。ほかに何か事務局からありますか。
○事務局 本日の議事録については後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。なお御修正、御確認を頂いた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。またお手数ですが、ペーパーレス開催に係るアンケートに御協力のほどお願いいたします。御記入いただけましたら机の上に置いたままにしていただいて構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 では、これで本日の検討会は閉会といたします。御協力、どうもありがとうございました。
 

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