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2017年5月12日 第9回重篤副作用総合対策検討会 議事録

医薬・生活衛生局安全対策課

○日時

平成29年5月12日(金)
17:00~19:00


○場所

厚生労働省 専用21会議室


○議事

○事務局 開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと等、開催案内に示した注意事項をお守りくださるようお願いいたします。また、本日の検討会は、従来の取り扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第9回重篤副作用総合対策検討会を開会いたします。構成員の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日15名全ての構成員の先生、御出席の御予定といただいておりますが、お二人の先生については、まだお見えになっておりません。本日は、参考人の先生1名に御参加いただいていますので、紹介させていただきます。昭和大学医学部皮膚科学講座主任教授、末木博彦先生でございます。

○末木参考人 よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、これ以降は議事に入ります。座長の五十嵐先生、よろしくお願いいたします。なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 では、どうぞよろしくお願いいたします。議事をこれから始めたいと思います。初めに事務局から資料の御確認をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、配付資料の確認をいたします。お手元にお配りいたしました資料は、座席表、構成員名簿、議事次第、その裏に配付資料一覧。

 その下に資料としまして資料1-1「マニュアル改定の計画について」。 資料1-2「重篤副作用疾患別対応マニュアル改定・新規作成に係る学会アンケート回答」。 資料2-1スティーヴンス・ジョンソン症候群のマニュアル改定案。 資料2-2中毒性表皮壊死融解症のマニュアル改定案。 配付のものではなく机の上の備えつけとなりますけれども、お手元にこれまで作成された重篤副作用疾患別対応マニュアル、こちらの二分冊のファイルを配付させていただいております。本日の資料は以上です。不足等ございましたら、お申しつけください。

○五十嵐座長 皆さん、資料は大丈夫でしょうか。では、早速、議事に入りたいと思います。

 今日は参考人として末木先生においでいただいております。先生の御都合の関係で、議題2から始めたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、平成28年度のマニュアル改定について、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、まず資料2-1、2-2でございますが、こちらについて御説明を申し上げます。

 スティーヴンス・ジョンソン症候群、それから、中毒性表皮壊死融解症のマニュアルにつきましては、前回、第8回の開催の検討会におきまして、学会のガイドラインが変わっていることから、こちらの疾患別対応マニュアルについても、それを踏まえた改定が必要であるという御指摘をいただいていたところでございます。その御指摘を踏まえまして、皮膚科学会さんと相談をさせていただき、こちらのマニュアルについての改定案を昨年度作成してございます。内容の詳しい点につきましては、末木先生にお願いすることといたしまして、事務局からは、事務的に改定した部分について御説明を申し上げます。

 それぞれマニュアル共通でございますけれども、後ろのほうに参考1というものと参考2というものがございます。参考1につきましては、医薬品医療機器法に基づく副作用の報告件数でございまして、こちらを以前のものから平成26年度、平成27年度の2年分に更新しております。それぞれのマニュアルの最後から3ページ目あたりになります。参考2、一番最後のページになりますが、ICH国際医薬用語集日本語版というものがございまして、こちらのバージョンも前回マニュアル策定時よりバージョンが上がってございますので、バージョンが上がったものを反映させた内容に修正してございます。

 こちらが前回マニュアルからの経時変更を踏まえた変更でございます。

 それと、若干細かい点ではございますが、こちらのマニュアルは患者向けのパートと医療従事者向けのパートから成り立っております。今回の改定を機に患者向けのパートの最後の部分、スティーヴンス・ジョンソン症候群ですと7ページになりますが、こちらにもともと最初の1つ目の米印の医療用医薬品の情報検索についての御案内というものを前回のバージョンから入れてございましたけれども、そこに加えまして、2つ目の米印、副作用被害救済制度についての御案内というものも今回患者向けパートについては追記しておりますので、御報告を申し上げます。事務局からは以上となります。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、今日は皮膚科学会から末木先生に参考人としておいでいただきました。先生から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○末木参考人 それでは、簡単に御説明をさせていただきます。ただいまの御紹介がありましたように、今回の改定は日本皮膚科学会の診療ガイドラインの改定に伴いまして、特に変わった点は、診断基準の改定、それから、治療指針の改定がございました。それにあわせた形で、今回疾患別対応マニュアルの改定をさせていただいたという経緯でございます。

 まず、最初に資料2-1のほうのスティーヴンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)というほうの冊子から御説明いたします。

 このスティーヴンスの「ヴ」をこれまでの「ブ」から「ヴ」に変えておるのですけれども、これは難病情報センターから、各難病の日本語表記の上で、Vの字を統一してこの「ヴ」にしてほしいと。この皮膚科の疾患だけではなくて、全身的な各難病について共通させてほしいという御要望があって、この「ヴ」という表記にしております。その点は行政的なもので、医学的な問題ではございません。

 患者様に対する皆様へというこの説明に関しましては、前回のものとほとんど変わっておりません。Bの医療関係者の皆様という8ページ以降ですけれども、この辺も特に大きな変更はございません。多少の追記などがございますけれども、大きな変更はございません。

 次の11ページの発症機序ですね。この辺は、その後かなり研究が進みまして、病態が明らかになった部分について最新の知見を記載しているというところがございます。

 一番変わった点が、3の副作用の判別基準、判別方法ですね。つまり、スティーヴンス・ジョンソン症候群の診断基準(2016)、ここが一番変わったところがございます。

 主要項目の3と4が新しく追加されました。病理組織学的に表皮の壊死性変化を認めるということで、この病気は表皮の壊死というのが病態の中心なのですが、どうもこのところが明確でないということはないのですが、わかりにくいということで、このスティーヴンス・ジョンソン症候群ではない多形紅斑をスティーヴンス・ジョンソン症候群と過剰診断している症例が非常に多いということで、今回、そういった過剰診断といいましょうか、誤診を避けるという意味で、病理組織学に表皮の壊死性変化を認めるということ、それから、4の多形紅斑重症型を除外できるという項目をつけ加えました。

 その副所見、あるいは参考所見、ここにはあまり書いていないのですけれども、そこのところが新しく加わったところで、紅斑が頸部、体幹優位に全身性に生ずるとか、中心が暗紅色のflat atypical targetsを示すとか、融合傾向を認めるとかという、その辺を少し詳しく記載したということでございます。診断基準がその辺が少し厳密になったということで、大きな根本的な変更ではございません。

 それから、治療方法のほうでは、特に免疫グロブリンの大量療法というのが保険適用されましたので、そこのところが4行ほどですけれども、ヒト免疫グロブリン製剤400 mg/kg/日を5日間連続投与するというような治療法がそこに加わったというところが大きな変更点でございます。その他の治療方針に関しましては、細かい変更もあるかとは思いますけれども、ほとんど大きな変更はございません。

 6の典型的な症例概要、これはかなり古い症例が載っておりましたので、新しい症例にリプレイスしたところでございます。引用文献につきましても、最近の新しい知見を踏まえた参考論文に入れかえたというところでございます。安全性情報につきましても、新しいものに更新していただきまして、そこから先は、20ページ以降は今、御説明があったとおりでございます。

 引き続きまして、資料2-2の中毒性表皮壊死融解症というところなのですけれども、これに関しましても、Toxic epidermal necrolysisという、これの日本語訳が、使われ方がかなり多様でございまして、一般的には、まだ「中毒性表皮壊死症」というのが教科書ですとか成書では一般的には広く使われているようです。日本皮膚科学会の用語集でも「中毒性表皮壊死症」という日本語になっておりますけれども、確かに「necrolysis」というところを訳しますと「融解症」と訳すのが本来はより正確かもしれません。

 先ほど御紹介がありましたように、最後のページのMedDRAのバージョンの更新というところにもありますように、このMedDRAの副作用名としても「中毒性表皮壊死融解症」という言葉が使われておりまして、最近の添付文書ではこれを引用して、この壊死融解症というタームで重篤な副作用という項目に記載されている添付文書もあるようです。

 日本医学会のほうに用語辞典を調べていただきますと、これはまたちょっと違う表記で「中毒性表皮壊死剥離症」という表記になっておりまして、学会あるいはこのMedDRA、あるいは日本医学会、それぞれ表記が異なっておりまして、この辺は、今回は薬剤師会からの御提案では、MedDRAの表記に合わせて「中毒性表皮壊死融解症」を前に持っていって、後に中毒性表皮壊死症ではどうかという御提案もいただいておりますが、この辺は先生方の御意見をまた伺って、改定をいただければと思います。今回の原案では「中毒性表皮壊死融解症」ということで統一していただいているところでございます。

 患者様への説明に関しましては、先ほどの救済制度のことを除きましては、ほとんど変わっておりません。それから「医療関係者の皆様へ」というところも先ほどと同じように大きな違いはなく、発症機序に関しましては、スティーヴンス・ジョンソン症候群とは100%ではございませんが多くの症例が共通しているということで、大体共通した記述になっています。

 それから、副作用の判別方法、診断基準です。ここは、多少の改定をしておりますけれども、主要項目の中で「なお、国際基準に準じて体表面積の1030%の表皮剥離は、SJS/TEN、オーバーラップと診断してもよい」という記載になっております。確かに国際的基準では10%から30%にこういった中間的な枠を設けておりまして、こういった表記をしている英語論文もございますけれども、あまり多くはないです。従来は10%以上を全て中毒性表皮壊死融解症としておりますし、そこのところは、特に変わりはございません。ただ、こういった表記をしても良いという注釈が入っただけですので、あまり大きな変更ではないかなと思います。

 除外診断に関しまして、一番大事なブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群というものがありますけれども、そのほかに幾つか、4疾患をここに加えたというのが今回の改定でございます。副所見も、先ほどのスティーヴンス・ジョンソン症候群と大体同じようなところでございます。この病理組織学的な壊死性変化というところである程度具体的な、200倍視野で10個以上の表皮壊死を確認することが望ましいという記載を加えました。参考所見についても、あまり大きな改定はございません。

 今回そういうことで、鑑別診断がふえましたので、判別が必要な疾患と判別方法ということで、これまでのSSSS、それから、トキシックショック症候群に加えまして、伝染性膿痂疹であるとか、急性汎発性発疹性膿疱症、薬剤性過敏症症候群、自己免疫性水疱症というところについても少し追記したというところが改定したところでございます。

 治療方法につきましても、先ほどと同じようにこの免疫グロブリンの大量静注療法が保険適用になりましたので、これを追加した。血漿交換療法の方法ですね。この辺が少し追記されたところでございます。

 典型的な症例、6ですね。これもかなり昔の症例になりますので、最近の症例に置きかえさせていただきました。写真も新しく、旧来のものは暗くて見にくかったので、写真を少し変えました。それから、病理組織の写真を図4に加えましたというところです。あとは、この引用文献、参考資料、この辺につきましても順次新しいものに置きかえたというところでございます。以上、簡単ではございますが、改定の概略について御説明いたしました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。末木先生から、スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死融解症の対応マニュアル改定版につきまして、御報告、御説明をいただきました。ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告に対しまして、御質問があればお願いしたいと思います。笠原構成員、どうぞ。

○笠原構成員 スティーヴンス・ジョンソン症候群のほうの副作用の判別基準のところです。12ページの主要所見(必須)となっているところが4所見ですね。それで、13ページの診断のところは、「副所見を十分考慮の上、主要所見5項目を全て満たす」ということになっています。これを見ますと、12ページの1のところが、おそらく1と2と分けてあるのだと思います。例えば皮膚粘膜移行部から見られる、その次の皮膚の汎発性の紅斑、これが2になっている。

○末木参考人 そのとおりでございます。ここはミスがございますようです。今、おっしゃるように、初めの2行が1で、「皮膚の汎発性の紅斑に伴って表皮の壊死性障害に基づくびらん・水疱を認め」というのが2になります。大変失礼いたしました。それで発熱が3になって、病理組織が4になり、多形紅斑重症型を除外できるというのが5ということで、これはミスプリントでございます。

○笠原構成員 あと、これはマイナーな問題ですけれども、今のスティーヴンス・ジョンソン症候群もTENのほうもそうなのですが、11ページの発症機序のところで、HLAとの関係が書いてありまして、例えばアロプリノールでHLA-B*58:01、カルバマゼピンの場合にHLA-A*31:01という、こういうHLAは、実際には薬を使うときにもちろん調べるわけではないと思いますけれども、日本人でどのくらい頻度があるのか、分かっていると参考になります。これはここだけではなくてHLAと副作用の関係の場合、そうなのです。例えば、B58の場合には日本人は大体0.65%ぐらいで、A31の場合は8.6%ぐらいあるのですけれども、必ずしも日本人のHLAのタイプのすべてが調べられているわけではないのですが、一応数字はあるものは、それは一つの目安になるのかなと思うので、HLAを書く場合には、日本人でどの程度あるのかということがあると、非常に参考になるかなと思いました。以上です。

○末木参考人 わかりました。一般人における頻度について追記ということで、了解いたしました。

○五十嵐座長 貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。齋藤構成員、どうぞ。

○齋藤構成員 国立医薬品食品衛生研究所の齋藤でございます。大変早くすばらしいお仕事で、感銘を受けました。ありがとうございます。教えていただきたいのですけれども、SJSTENの場合、医薬品との関係で、ALDEN scoreなどのcausalityに関するスコアリングがあると思うのですが、それらはあまり臨床的にはお使いになられないと考えてよろしいでしょうか。

○末木参考人 そうですね。臨床的にはあまり使っていないのが実情かと思います。

○齋藤構成員 ありがとうございます。

○五十嵐座長 そのほか、御意見、御質問はいかがですか。金澤構成員、どうぞ。

○金澤構成員 最初に事務局に確認したいのですけれども、このPMDAの副作用救済制度は、私の理解では、抗がん剤と免疫抑制剤の場合では適用にならないと聞いているのですが、まず、それが正しいのかどうかということ。2番目に、このスティーヴンス・ジョンソン症候群の推定原因医薬品の中に、抗がん剤とか免疫抑制剤は一切含まれないのかどうか、そういう可能性はないかどうかということを末木先生にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○末木参考人 確かに御指摘のとおりで、免疫抑制剤、抗がん剤は救済制度の対象にはならないというのは、御承知のとおりだと思います。ですから、私たちが申請するときに、そういうことを知らないで申請されるドクターなどはいるようですけれども、知っている人はあまりそういうものを救済に申請することはありません。私たちは申請しないのですが、申請された場合はその時点で事務局でこれは対象外だというチェックをしております。

○安全対策課長 事務局でございます。追加でございますけれども、副作用被害救済制度の中の除外医薬品という仕組みがございます。これはいわゆる副作用として受忍する対象になる医薬品ということですけれども、抗がん剤と免疫抑制剤は一般的に受忍ということで除外医薬品になっています。一部抗がん剤でも、ホルモン系の抗がん剤ですとか、そういうものは救済の対象になっているものもございますので、参考のために申し上げます。基本的に除外に当たるようなものが請求された場合につきましては、事務的には除外ということで、給付の判定がされないような形になっています。

○金澤構成員 その場合に、この7ページの患者さん向けのところに、例外があるのだということを記載したほうがいいと思うのですが、いかがですか。

○安全対策課長 ありがとうございます。御指摘のように、丁寧な対応という点では除外医薬品の情報についても問い合わせ先のところに留意事項として書かせていただいたほうがよろしいかと思いますので、検討させてください。

○金澤構成員 もう一点、よろしいですか。このMedDRAの用語集のほうでは、スティーヴンスが「ブ」のままになっているので、マニュアル全体としての整合性がないのですが、おそらく、ICHの用語集に従うと「ブ」になったのかと思われますけれども、今後マニュアルを作成していく上でこの辺の統一性というのはどうされるのか、末木先生というよりは、事務局ですか。お願いします。

○事務局 この点、事務局としても少し悩んだところでございまして、MedDRAに関して、確かにスティーヴンス・ジョンソン症候群の場合は「ブ」になっているということでございます。他方、先ほど末木先生からお話がありましたとおり、このスティーヴンス・ジョンソン症候群について、難病の関係で「ヴ」を使うように話があるということと、添付文書上の表記も少し確認をしたのですが、スティーヴンス・ジョンソン症候群の場合は「皮膚粘膜眼症候群」、その後英語で「Stevens-Johnson症候群」と書いてあるところが実態として多くございまして、それを考えると、今回の場合については、難病の表記でそのようになっているということを優先して「ヴ」を使うことでどうかということを考えまして、このようにさせていただいております。

 なお、MedDRAに関して、この「ブ」と「ヴ」の使い分けには何かルールがあるのかと聞いてみたのですが、必ずしも統一的なルールはないということでございました。

○金澤構成員 できれば統一した方向で御検討いただければいいかと思います。

○五十嵐座長 どうぞ。

○安全対策課長 MedDRAにつきまして、この機会にMedDRAの事務局にも難病のほうの用語の変更に伴って検討する必要があるのではないかという意向についても伝えて、少し検討させてもらえればと思います。

○金澤構成員 ありがとうございます。

○五十嵐座長 飯島構成員、どうぞ。

○飯島構成員 先ほどの救済の話で、もし親切に書くのであればということであれば、実は不支給になるケースというのは今の受忍の問題だけではございませんで、薬剤の適正な使用目的かどうか、薬剤の適正な使用かどうかとか、幾つかの除外規定があります。どこまでやるかは事務局にお任せして、例えば、消費者の立場から考えたらある程度詳しく書いたほうがいいのか、あるいはあっさり書いたほうがいいのかよくわかりませんが、現場にいますと、いろいろとどうしても不支給に、適正使用に問題あり、適正目的に問題ありという事例が結構出てまいりますので、そこまである程度適切な範囲でお書き加えいただいたほうが、受忍に加えて、そのほうがよろしいのではないかと感じますので、追加させていただきます。

○安全対策課長 事務局でございます。今、飯島先生から御指摘をいただいた点、特にスティーヴンス・ジョンソン症候群については、ラモトリギンの不適正使用で実際に救済で不支給になるケースが非常に多いのが現状でございまして、それを受けた発言と私どもは理解してございますけれども、大体そういった事例につきましては、この副作用マニュアル以外にも、医療現場の先生方に不適正使用事例ということで、医薬品・医療機器 安全性情報ですとか、さまざまな媒体で我々も情報提供させていただいている次第でございます。そういった状況から見て、このマニュアルをどこまで複雑にするかどうかというところもございますので、事務局でも検討させていただければと思っています。

○五十嵐座長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。今日はこの2つのマニュアルを先生方の御意見を反映したものとして、できれば御承認いただきたいと思っているのです。例えば、スティーヴンス・ジョンソン症候群につきましては、除外医薬品等があることにつきましては事務局が対応して記載を加えるということ。それから、先ほどの12ページの主要所見の表記ですね。これが1の中に2が埋まっているということで、これを2345と分けるということとか、幾つか御指摘がありましたので、それらは御指摘どおり修正をさせていただきたいと考えております。

 その上で、この2つのマニュアルにつきまして、本日基本的に御承認をしていただけますでしょうか。いかがですか。よろしいですか。
                                                   (賛同)

○五十嵐座長 では、修正がありましたら、事務局が修正しましたら、それをまた皆さんで確認していただく作業をしたいと思いますので、ぜひ事務局、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。では、末木先生、今日はどうもありがとうございました。では、議題2はこれで終了したいと思います。御協力ありがとうございました。続きまして、議題1のマニュアル改定、これは計画について事務局から説明をお願いしたいと思います。

○事務局 それでは、事務局より資料1-1、1-2につきまして、御説明を申し上げます。まず、先ほどまで御議論いただきましたとおり、1の平成28年度のマニュアル改定でございますが、こちらにつきましては、先ほども御議論いただきましたとおり、スティーヴンス・ジョンソン症候群、それから、中毒性表皮壊死融解症の改定検討を実施してございます。

 次に2の平成29年以降のマニュアル改定でございます。こちらにつきましては、前回、第8回での御意見を踏まえまして、各学会に改定の必要性、新規作成の必要性に関するアンケートを実施しております。アンケートにつきましては、これまで作成をいただいた学会に加え、今村先生から御紹介をいただきましたそれ以外の主要な学会につきましてもアンケートを送付いたしまして、回答をお願いしたところでございます。そちらをまとめましたものが、資料1-2になってございます。

 平成29年度以降のマニュアル改定の計画に関しましては、行いましたアンケートの結果を踏まえ、学会ごとにそのマニュアル改定等の作業班を組織するに当たって、改定・新規作成が必要との意見が示されたものについて行っていくこととしまして、その優先順位につきましては(2)にあるようなことを考慮して検討すべきではないかと考えております。

 なお、改定・新規作成が必要とされたものにつきましては、資料1-2では、真ん中あたりにあります「新規作成・改定の要否」というカラムで二重丸(◎)をつけてございます。

 その優先順位の際に検討する事項としましては、まず、マニュアル作成以降、学会のガイダンス・ガイドラインが改定されていて、それと整合を図る必要があるものが、まずあろうかと考えております。これにつきましては、先ほど御検討いただきましたスティーヴンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症がまさにその例でございます。

 このようなケースのほか、マニュアル作成以降、疾患概念が変わっているようなものにつきましても、現在のものとの整合性を図る必要があろうと考えております。これの例としましては「急性腎不全」というものから、現在「急性腎障害」という疾患概念になってきておりますので、こちらを踏まえた対応が必要ではないかと考えております。

 重篤な副作用に対応するための新規のガイドラインとして御提案があったもの、例えば、例として1ページ目は皮膚科学会さんから御提案いただいたものを挙げておりますけれども、多形紅斑型薬疹といったものについて、新しく作っていくものについても優先して検討していくべきではないかと考えております。

 その他の優先順位の改定に際して検討すべき事項としましては、現在、あるいは近い将来に学会のガイダンス・ガイドラインの改定、あるいは、先ほど申し上げたような疾患概念の変更が検討されているようなものについては、改定後のガイダンスと整合化を図る必要がありますので、それを踏まえて実施すべきであろうと考えております。

 また、特段、大きなマニュアルの改定事項が見込まれていないという学会の見解が示されているものもございますので、それについては当然優先順位を考慮する際にもその学会のお考えというものを考慮していく必要があろうと考えております。

 続きまして、3ですが、今回アンケートを行いまして、改定は不要である、あるいは先ほど資料2-1、2-2のマニュアルにおきまして事務局から御説明申し上げました副作用の件数ですとか、そういったものの時点修正のみで事足りるという回答をいただきましたマニュアルもございます。これについては、資料1-2で黒丸(●)をつけてございますが、これにつきましては、事務的に時点修正することとしてはどうかと考えております。

 資料1-1、裏面にお進みいただきまして、今、申し上げましたようなところを踏まえまして、事務局で優先度を4段階に区分してみましたのが、こちら、A、B、C、Dというものがございまして、資料1-2の一番右側のカラムに記載してございますものになります。Aにつきましては、今年度着手予定のもの。Bにつきましては、来年度以降着手するもので、その中でも優先度が高いもの。Cにつきましては、来年度以降着手するもので、優先度がそれよりもちょっと下がって、中程度のもの。Dにつきましては、時点修正を適宜行っていくものというように区分してございます。事務局といたしましては、本日、これについて御意見をいただきまして、区分をベースにマニュアル改定にかかわる学会の体制を考慮しつつ、改定を進めることとしてはどうかと考えております。やはり、実際のマニュアルの改定作業をお願いするに当たりましては、受けていただく学会さんの体制、意向というものもございますので、この優先順位というものをベースにしつつも、あとは個別に学会さんと御相談をさせていただき、進めさせていただくことにしたいと考えております。

 なお、前回第8回の検討会で御指摘をいただきました総論の作成の必要性でございます。こちらにつきましても、各学会へのアンケートにおきまして、総論の作成が必要かどうか、可能かどうかということを伺っております。こちらにつきましては資料1-2の右から3番目のカラムに、各学会の回答を記載してございますが、総論の必要性につきましては、各学会さんの回答がかなり分かれている状況でございまして、作ったほうがよい、必要であるという回答をいただいた学会もあれば、そういったものは特段なくてもよいという回答をいただいているところでございます。

 平成29年につきましては、腎臓分野に着手する御提案を申し上げておりますが、腎臓学会さんからは総論が必要であろうという御意見もいただいておりますので、そちらに試行的な作成をお願いする。それから、神経学会さんからは、資料1-2の5ページになりますけれども、基本的に全て時点修正でよいとコメントはいただいております。総論についてはあってもよいとコメントをいただいておりますので、神経学会さんの分につきましては、時点修正を行いつつ、総論について試行的に作成をお願いすることでどうかと事務局としては考えております。資料1-1、1-2につきましての説明は以上でございます。御審議よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。学会と多少のやりとりをした上で、資料1-1の裏面にある参考という表がまとめられていまして、A、B、C、Dという順になっております。Aについては、今年度中に着手をお願いするという方針で、B、Cと続いているというように理解いたしました。

 何か先生方から御意見あるいは御要望などありますでしょうか。木村構成員、どうぞ。

○木村構成員 木村です。腎臓学会からです。腎臓学会は御説明がありましたように、今年度中に全部改定したいということです。2016年に薬剤性腎障害診療ガイドラインを出していますので、それに基づくということになります。また、慢性腎臓病と急性腎障害のガイドラインが出ましたので、対象副作用疾患名は、今回の改定で概念等を整理して変更させていただくことは構わないですか。

○事務局 アップデートしていただければと考えております。

○木村構成員 特に、対象副作用疾患名としての腎盂腎炎は、免疫抑制薬を使って免疫不全のときに起こるというようなことですので、むしろ感染症学会のほうでやっていただいたほうがいいかとは思っています。

○五十嵐座長 どうもありがとうございます。その他、いかがでしょうか。薄井構成員、どうぞ。

○薄井構成員 薄井でございます。日本血液学会からでお話ししたいのですけれども、3ページのところに、血液学会からの指摘・提案がいろいろありまして、新規提案のところは、免疫チェックポイント阻害剤の治療対象にホジキンリンパ腫が入ってきているものですから、この薬剤に対するアレルギー反応など、さまざまな副作用が出てきているので、それに対するマニュアルを作ったほうがいいのではないかという提案でございます。ただ、これは免疫症候群とか副作用としても非常に多様な疾患・症状が含まれてくるので、それをマニュアル化して書くというのは難しいところもあるのかもしれません。むしろ、こういう薬を使ったときの副作用ということでまず書いてみることになるかと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○事務局 この点につきましては、免疫チェックポイント阻害剤の関係につきましては、血液学会さんのほか、複数の学会さんから御指摘をいただいておるところでございまして、事務局とこの事業全体の取りまとめをお願いしている日本病院薬剤師会さんのほうでも少し話を始めているところです。これについては、少し林先生から補足をお願いしてもよろしいですか。

○林構成員 御指摘のありましたように、既にこの免疫チェックポイント阻害剤については、薬剤ごとに、今、適正使用の取り組みと副作用の重篤化回避の取り組みが、医薬品リスク管理計画書等も含めまして、進んでいるところだと捉えております。

 ですから、そういったものが一定の臨床に寄与してくれると期待している一方で、このマニュアルが患者さん自身にも気づいていただく、あるいは、がんの治療をしてそのお薬を使っているのだけれども、ある時、心筋炎とか脳炎とかということで、神経内科にかかられたり循環器内科にかかられたりしたときに、その治療目的としている臓器あるいは発現機序としているメカニズムを主に扱っていらっしゃる診療科の先生とは違う臨床症状の副作用として他科にかかられるということを想定すると、その他科の先生方から見て副作用を回避されるのに、最初にどこに気づいていただくのがいいかということで、このマニュアル作成意図があり、組み立っているところです。

 そういう意味でいうと、私ども日本病院薬剤師会の検討班でもいろいろ議論したのですが、免疫細胞の活性化という免疫チェックポイント阻害剤特有のメカニズムや病態全体を捉えたほうが医学的に薬学的にわかりやすい一方で、それはおそらくRMPとか医薬品適正使用ガイドとして既に流通しているものがあります。そうした現場の状況をさらに改善していただく取り組みで、このマニュアルは、縦軸というよりは横軸から切り口を入れて、起こった副作用の発現臓器からアプローチする少し従来にないマニュアルとして当初より臨床で貢献してきています。

 こうした観点からいうと、既存の、例えば甲状腺炎が起こって甲状腺機能亢進症あるいは低下症が起こるところは、甲状腺学会が既に作っているマニュアルの中にその甲状腺機能低下症、亢進症が起こるメカニズムの追加をしていただいて、それが患者さんに気づいていただく症状として、従来の記載と少し違うのであればそこを書き足していただくか、患者さんに気づいていただく症状は結局一緒でしょうということであれば、そこの改定はなく、メカニズムだけの追加で医療関係者の認識をさらに他領域の医師の皆さんや薬剤師にも深めていただくというようなアプローチのほうがこのマニュアルらしいのかなということで、提言をさせていただいたところです。

○薄井構成員 わかりました。ありがとうございます。それではもう少しディスカッションが必要ということになりますでしょうか。

○林構成員 その観点を踏まえて、最終的に厚労省の御判断や検討会での確認もいただきたいと思って御提案したものが、この論点整理になっていると認識しております。

○薄井構成員 たしかこの新規の中の2つは、Aランクになっておりますね。Aランクは改定が12で新規が2となっていて、この2のなかに免疫チェックポイント阻害剤についてのことが含まれているのではないかと思ったものですから。

○事務局 こちらの表のとおりでございまして、免疫チェックポイント阻害剤のところは、これは新規のところにカウントしてございます。

○薄井構成員 ですから、学会で新規にマニュアルを作る場合には、各学会の先生方とすり合わせて、林先生がおっしゃったように、所見でいうのであれば多岐にわたるので、そこのところにつけ加えるという形の書き方になりますよね。学会としての対応も少し変わりますものですから、またそこは教えていただければと思います。

○安全対策課長 今、林先生からお話をした構造的な部分もそうなのですけれども、私もこの血液学会様からの御提案を見ていると、こういった、どちらかというと免疫チェックポイント阻害剤系のものについて、割と包括的に副作用を見ていく部分で、早急に作成する必要があるという御意見をいただいているので、これは我々も少し重く受けとめなければいけないかと思っています。

○薄井構成員 治療対象となる個々の疾患については、免疫チェックポイント阻害薬の適正使用ガイドなどが、もう策定に入っているようですので。

○安全対策課長 むしろ、そういう観点からすると、前回も薄井先生から御提案をいただきましたけれども、この領域内に限らず、総論的な部分でこういう免疫チェックポイント阻害剤的なものでお作りいただくほうが全体的に縦横の関係からいうとわかりやすいものになるのかなという気もしますので、双方の学会で御相談をいただければと思います。

○薄井構成員 よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 症状が多岐にわたる場合には、その症状ごとで作るというよりは、全体をまとめるものが1つあったほうがいいかもしれませんね。

○薄井構成員 そのとおりだと思います。

○五十嵐座長 そうしますと、1つの学会ではなくて、多くの関連している学会の先生方を巻き込んでというか、協力をいただいて、例えば林先生のもとでまとめるとか、そういう横断的な対応が必要ということですね。大変貴重な、これはますます薬が使われるようになりますので、そういう対応も早く必要になってくると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。ほかはいかがでしょうか。上野構成員、どうぞ。

○上野構成員 総論について確認させていただきたいのですけれども、このアンケート結果では、学会によって意見が違うところがあるようですが、最終的には総論というのは、全てのもので作るという方向でしょうか。それとも、分野によってはあるものとないものが出てくるというようになるのでしょうか。

○事務局 こちらにつきましては、学会さんによってはなくてもいいというところもありますので、そういったところであれば、なかなかお願いするのは難しいのではないかとは考えてはおりますが、いずれにせよ、まだ総論を作ったことが、これまでこの検討会でございませんので、まずは試行的に、できるとおっしゃっていただいたところに総論を作っていただきまして、その仕上がりを見つつ、また、今後再度御検討いただくことになるのかなと思っております。

○五十嵐座長 犬伏構成員、どうぞ。

○犬伏構成員 わからんちんが変なことをお尋ねするのですけれども、今、林先生がおっしゃったのもそうですし、この会そのものが副作用を重篤にならないうちに早く見つけよう、だから、患者のあなたもちゃんと見つけなさいよということのマニュアルをつくったのだと思うのですね。でも、前に作った分は、残念ながら、どれも全て患者に向かってのものは同じと言っていいものだったのです。先生方にお尋ねして、これでは私は何のあれかわからないですとお尋ねしたときにも、症状としてはそうなってしまうから仕方がないのですよというお話があって、こうなったなという記憶があるのです。

 私たちが少しでも早くに見つけようとするならば、先ほどのあれで見てもそうなのですが、例えば「患者の皆様へ」というところ、これもそうですし、その次の「重篤な」というところの黄色い部分ですね。こういう症状があったと、まず症状が出てきて、こんな症状があって、あなた何か薬を飲んでいますか、それがあったらこういうことが考えられるから、すぐにお医者さんに行ってくださいねという話だと、話はわかりやすいような気がしてしまうのです。拡張とかそういう形で文章を書いてしまうと、読む人にとっては、何か私のことではないわという感じがしてしまう可能性がある気がしています。

 例えば今日出てきた2つのものも、ほとんど症状としては初めのところは変わらないのです。目やにが出るとかまぶたの腫れとか、そういうものがちょっと違っているという感じはありますけれども、ほとんど変わらない。でも、そういう症状というものがあったときに、ちょっとあなた考えてくださいと、あなたどんな薬を飲んでいますか、今、どんなところにかかっていますかという問い合わせのような、患者に対して、患者になるかもしれない人間に対して、そのときは先生に聞いてみましょう、薬剤師さんに聞いてみましょうねという書き方があっていいのかなと思うのです。

 これだけの厚さで1つずつに全部同じことが書いてある。頭が痛いとか、そういうところが少し変わってくるかもしれませんけれども、ほとんど変わらないのですね。そこをこの前も林先生のほうにお願いしますと申し上げたつもりなのですけれども、今回の2件に関して、全然その辺のところが変わっていなかったので、もうちょっと患者にも、あなた考えなさい、気をつけなさい、気がついてかかりつけの先生に相談しなさいというのを、今、林構成員の横のものだということだとするのならば、患者のというところをもう少し力を入れていただいていいのかなという気がしました。各科の先生方が一生懸命やってくださることはすごくよくわかりますし、大変だろうなという気はするのですが、私たちが見つけなければいけないというのだったら、そこをもうちょっとという気がしました。

○五十嵐座長 林構成員、どうぞ。

○林構成員 より良いものにしていこうという主旨でのエールというか、御提案をいただいて、さらにもう一頑張り、もう一工夫できるかなと思いながら、今、聞いていたのです。

 以前より、より患者さんの身に立って書いてくださいということは言われていたところで、改めて今、感じました。相互理解が十分でないとこれからの作業に影響しますし、せっかくできた成果物は、なるべくアップデートすべきところは早めにアップデートして公開したいというこのグループのミッションもあると思います。

 「患者の皆様へ」と書いた下に実はかなり補足説明を書いていて、薬を飲んで皆さん全員に怖がってもらうと困るなというところで、そんなにたくさん起こるものではないのですよと。10万人に1人とか、かなり頻度の低いものなのですよという事実を示して、薬を飲むのが怖くならないように御案内するところから始まって、その後にこんな出来事があります、それはこんな症状ですという構成になっています。

 ちょっと用心めに作って来たところなのですが、今のお話を受けとめさせていただくと、「患者の皆様へ」と、お薬を飲み始めてからの副作用の初期症状、高熱とか、記載した症状がかえってひどくなるようなことを感じたら、次のような副作用を疑って医師、薬剤師に相談してくださいねと記載した、この黄色の枠の下の赤いところがむしろ先に始まって、その下にそれは実はこんな副作用が起こっている可能性があるかもしれないのですと記載した方が良いでしょうか。そして、最後にこの小さい文字で書いてある、でも、全員に起こるわけではないからそんなに心配しないでくださいねという順番的で見せた方がいいという御提案をいただいたという理解でよろしかったでしょうか。

○犬伏構成員 ぜひ、それはお願いしたいです。

○林構成員 これは厚労省の安全対策課の皆さん、少しその向きで今回のマニュアルから順番にこの部分を書きかえるとなると、もし皮膚科学会の先生方の御了解がいただけるのであれば、見た目は大きく変わりますし、読み手の一般国民の皆さんにとっては、おそらくインパクトが変わるのだろうと思いました。

 作業は発生しますが、日病薬のワーキンググループのメンバーも今日何人か来ていますので、1週間から2週間でそういった作り変えをすることももちろん可能だろうと思っているところです。

 これは、多くの構成員の先生方がそうしたほうが国民の皆さんに気づいてもらいやすい見せ方になるのではないかということで、御賛同いただけるようであれば、私どもはごく短期間に作業できる可能性があると思っているところなのですが、従来からの相当歴史のあるフォーマットなので、私どもの国民代表の要請に応えたいという思いだけでここでお返事をして結論はできないことだと思うので、厚労省の事務局の方も含めて、この検討会での国民向けの見せ方の改善を今回取り組む必要があるかご判断いただきたい。結論が出れば、比較的短期間に作業させていただいてこれがアップされることができます。医学的には早く改訂版を公開したほうが、飯島先生や皮膚科学会のご意向に沿うことですので、急ぎの追加作業については対応させていただけるかなとも思います。

 ただ、見せ方という意味では大がかりな改修になります。一方、気づいたときに直すということがないと改善につながらないと思います。その辺を確認させていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○安全対策課長 事務局でございます。非常に重要な御指摘だと思っておりまして、御指摘いただいたように、特に先ほどのマニュアルで言いますと、5ページ目のところですね。ここの部分を含めて体裁を直したほうがいいだろうと思います。作業をお願いしたいと思うのですが、我々も今、判断に悩んでいるところは、これから作業いただいて、またそれをもう一回この検討会で先生方にご覧いただいた上でリリースをしたほうがいいのか、それとも、事務的な確認でおそらく先生方には文書でお回しして見ていただくような形にするのがいいのかというところはございます。

 全体の改定スケジュールなどから、今回Aランクになって優先度が高いところ、これから学会に依頼させていただいて、おそらくこの検討会でフェース・ツー・フェースで先生方とまたお会いするのは今年度の後半くらいになりますので、フェース・ツー・フェースの確認ということになりますと時間が空いてしまう部分になるかもしれません。ということであれば、直していただいたものを文書で先生方に途中で見ていただくような形になるかと思いますけれども、そういう形でよろしければ、皮膚科学会の先生方、病院薬剤師会の先生方にはお手数をおかけするのですけれども、少し見直しをした上で、先ほどの2つのガイドラインのリリースをさせていただくという形をとらせていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

○五十嵐座長 先生方の御意見はいかがですか。金澤構成員、どうぞ。

○金澤構成員 今の御指摘にはすごく大事な点が2つあって、1つ目は、薬は怖いから飲むのをやめてしまおうという患者さんがかなり多数いるので、副作用、副作用とやってしまうと、そういったマイナス、ネガティブな効果を出してしまうという点が第1点だと思います。

 もう一点は、より総論的に薬の副作用なのだということに気づいてもらって協力してもらうのであれば総論的な記載が必要で、例えば私は呼吸器なのですが、呼吸器の場合ですと、肺に何か異常が出たら、こういうときは薬が原因かもしれませんねというような総論的なものは必須だと思います。もっと言うと、領域をさらに超えて、薬の副反応が出た場合、先ほどの免疫チェックポイントではないのですけれども、どんな副作用が出るかわからないわけですが、それでもこういった反応は薬かもしれないということで、全領域を統括するようなマニュアルももしかすると必要になるかもしれない。そういう御指摘を含んでいるなと思って聞いておりました。

 呼吸器に関していうと、個別のマニュアルに分けられるほど、病型が、オーバーラップが非常に多いものですから、肺に何か異常があったらという、そういう総論的なマニュアルは必須だと考えておりまして、できれば、そういったもののさらに上に超総論的なものがあればいいなと。ただし、決してこれは患者さんを怖がらせてはいけない、コンプライアンスからはみ出るようなものではいけないという対立的といいますか、諸刃の剣的な要素がありますので、御意見をいろいろ伺ったらいいと思っています。

○五十嵐座長 ありがとうございます。林構成員、どうぞ。

○林構成員 もう一つだけ確認ですが、このマニュアル、医療従事者向けと国民の皆さん向けがセットになっていて、医療従事者に気づいてもらう、国民の皆さんに気づいてもらうということで、熱が出たときに、それはもともとのお風邪で熱がさらに続いている場合もありますし、抗生物質を飲んだので本当は解熱しているはずのものが、今度はドラッグフィーバーで薬の熱で次の熱のピークが来ている場合もあります。

 これを国民の皆さんに見分けてもらうのは難しいと思っています。目やにが出て、高熱が出てと、ここに書いてある症状がセットで出てくる、あるいは連続性を持って出てくるのは用心しなければいけないことで、組み合わせとして書いてあります。そこのセットになっていることにはセットになっている意味があるところなのですが、もしかしたら今、課長さんあるいは関係の先生からもお話があったように、何かこのマニュアルを上手に使ってもらうための手引のような、一般の国民の皆さん向けの手引があると、書き方順よりはそちらのほうがいいのだろうかということ。

 それは仮に今後作るとしても、ここの並び方を変えた方が、ですから、黄色の枠の黒字の下2行ですね。先ほど私がこういう作り変えの案が一つの案なのでしょうかと伺ったのは、何らかのお薬を服用していて、次のような症状が見られた場合には放置せずに直ちに医師、薬剤師に相談してくださいで、下の症状のセットが来る。その後に、実はそれはこういう薬の副作用概念に該当するのですよ、でも、心配しないでくださいと。

 副作用のことを国民向けにこうやって厚労省からネットで引ける形で公開するというのは我が国では初めてだったので、先ほど御指摘のように、飲まなくなる不利益もあるので、冒頭に、すごく頻度としては稀なことだしそんなに心配しないでくださいねというこの小さい文字から始まる構成をとったのだと記憶しています。すでに御議論があってこういう記載順序になったのだと思っていますので、私の一存で作り変えていいかどうかは検討会として御意見をいただいた上でないと簡単には言えないと思うので、そこが最終的にもう一回確認したい点です。

 それから、今、御提案がありました総論を少し国民の皆さん向けのこのマニュアル利用のポリシーというか、アプローチの仕方を作ったほうが、むしろ馴染みやすい効果が出るのかということもありえると思います。

 もう一つ、少し観点が別なのですけれども、実はこの症状というのは組み合わせとか時系列で起こってくることがとても大事だったりもするのです。高熱だけで、私が高熱だから、この高熱の原因は何だろうと探すような電子的なものをするとその原因薬剤を引けるとかというようなことは作れるのかもしれないのですが、それはかえって医学・薬学の専門家からすると、専門知識のない一般の方にそこまでさせてしまうのは医学・薬学の迷路に迷い込んでしまう恐れも考えられます。時間はかかりますけれども、ナビケーションするような電子的に何か仕掛けがつくれるかもしれないのです。ただ、それは熱が出ただけで、もともとの原疾患の熱なのか、薬の副作用の熱なのか、さらには3種類、4種類飲み始めたお薬のどれが原因なのかというのを探すのは、少し迷路に迷い込んでしまう恐れが大きいと感じます。薬の専門家としてはそこまでお願いしては申しわけないかなという思いもあるので、そういう意味ではなくて、気付いて相談してほしい副作用の初期症状という概念の提示の仕方をもう少し国民にフレンドリーにしてくださいという御意見をいただいたという理解でよかったでしょうか。

○犬伏構成員 絶対的にそうだという気がします。先ほどからお薬に対して何とかとおっしゃるのですが、でき上がったこの本の背表紙は「重篤副作用疾患別対応マニュアル」という名前ですね。これを見たら、絶対に副作用なのです。その副作用というのが、本当に何万分の1ぐらいのものだというのをほぼ大体皆さん御存じ、そう思っていますというところです。

 何かいつまでたっても頭が痛いのが治らないわ、目が変になっているわという方が、たまさか見ない方のほうが多分多いのだと思うのですが、今、早期発見という言葉が世の中をすごくいっぱい歩いているのです。医療費を使わないということのためにも早期発見ということが必要で、患者も重篤な副作用を起こすと医療費も多分かかってしまいます。だから、早く患者さんもわかって、自分のほうから先生、これは大丈夫ですかね、私、ただの風邪ですかねと聞いてくださいねというくらいの軽い感覚でいいと思っているのです。私たちが見る分には、そのくらいのマニュアルではないか。それで、中を見ていくと、その間において、こんなことはこんな対応を先生方はしてくださっているのだ、こんなことを考えてくださっているのだというのが読めるわけです。

 ただ、ちょっと熱っぽいのだけれども、ちょっと目がおかしいのだけれども、それとこれとが重なっているのだけれどもと思ったときに、かかりつけの先生のところに行って、先生、これは大丈夫でしょうかと気楽に聞ける、それが早期発見のもとになるならば、だったら早期発見できるようにする言葉が欲しいという感じです。難しいですか。

○五十嵐座長 飯島構成員、どうぞ。

○飯島構成員 今、先生がおっしゃった部分は、この「患者の皆様へ」の5行に実は凝縮されているのです。ここにあるのです。

 私は皮膚科でございまして、重篤副作用の中をやらせていただいたのですが、結局、医療者向けにはこういう重篤な副作用があるからこういうように注意しなさいという講演はできるのですが、一般の方に講演するときに非常に気を使うのは、結局、医薬品を使うということは、原疾患があって必要があって使っている。ちょっと発疹があったからといってすぐやめてしまうということが結構多い。ですから、私は一般の市民講座みたいなものをやるときに、必ずしも薬品は怖くないと逆説的な講演をするのです。怖いものもあるけれども、実はそれは極めてレアであって、人口100万人当たり1人ぐらい年に起こるぐらいのものですよという講演をするのですが、結局いたずらに怖がらせることもよくない。ただし、重篤なものを早めにきちんとポイントだけ築いていただいて、早く主治医もしくはかかりつけ薬局ですか。そこに早めに相談をする。なぜならば、原疾患になって使っているはずですから、勝手にやめることは逆に不具合が起こる。そういうようなことを申し上げています。

 薬を飲んでいるときはいろいろなことがあります。例えば感染症、ウイルスだとか溶連菌だとかマイコプラズマ、そういった感染症で発疹は結構起こりますから、その辺の鑑別は非常に難しいので、必ず主治医あるいはかかりつけ薬剤師に相談するということを言っているのが、この上の5行だと思うのです。ここをもうちょっと工夫したらいいのではないかということを、私の立場から提言したいと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。確かにこのマニュアルの使い方の問題だとは思うのですが、基本的にはこの疾患の理解を患者さんも医療関係者側も深めていただいて、そして、今の治療法はどういうものがあるのかということを啓発するというのが基本的なこのマニュアルの目的だったのだと思います。ですから、必ずしも早期発見のためにこれを使うというわけではないのではないかと私は理解していたのです。

 改定に当たりましても、最新のエビデンスのある知見をちゃんと盛り込んでいくという、そういう充実したものを作ろうというのが本来の目的だと思っております。

 ですから、構成員の先生方に今、議論していただいている内容につきまして、そこまでカバーできるようなものを作るとなると、また大変な労力と、場合によっては短時間ではできないかもしれないと思うのです。林先生が1週間でとおっしゃいましたけれども、表記法を変えるだけでしたらできるかもしれませんが、早期発見に資するものを本当に作るとなると、また違う立場から検討が必要ではないかと考えております。

 十分御意見は尊重させていただきたいと思いますが、今回はこの疾患の理解、これを患者サイド、医療サイド、両方に向けた新しいものにしていくという、そういうものと理解していただいて御承認いただきたいとは考えているところなのですけれども、それでよろしいでしょうか。必ずしも構成員の先生方の意見を100%反映できていないかもしれませんけれども、どうでしょうか。

○犬伏構成員 しつこく申し上げてしまって申し訳ないと思うのですけれども、もしそうであるならば、今日はこうやって別々なものとして出てきています。ですから、「患者の皆様へ」とそれぞれに書かれていてもわかるのです。

 でも、以前やったのは、何種類かが1冊の本になっていましたね。そういう本にしたときに、同じ文章が出てくるのです。「患者の皆様へ」というのはほぼ同じ。それだったら、先ほど先生からお話があったように、その1冊の本の最初のところに総論という感じで、こういうときはちゃんと考えなさいと、私たちに向けての説明というか、こういうときは気をつけなさい、国民の皆さんも気をつけてくださいね。でも、これは医療従事者の方々、町の先生方にわかるようにしたものですよ、専門のものですよという分だとするのならば、これでわかるという気がする。わざわざどの章にも一つ一つに「患者の皆様へ」と書いて、今、飯島先生がおっしゃった初めの5行は同じものが全部ついていくのです。それはもったいないかなと、総論でいいやという感じがしましたというところなのです。

○五十嵐座長 どうぞ。

○安全対策課長 事務局からよろしいでしょうか。今、先生方と構成員の御発言を、全体聞いていまして、事務局で整理したいと思うのは、この個別のマニュアルごとにこういう記載があるのですけれども、言ってみれば、実際に本を開いてみないとこの部分は見えない部分になってきているので、ここをまた改めて見直すということになってきたときに、先ほどの御指摘もあったように、伝え方の文章でかなり慎重に見ていかなければならない部分もあります。これはこれとして今回御承認をいただいた上で、今年度の作業のスケジュールの中で、腎臓学会さんにお願いする分で総論をまとめて作っていただく中で、おそらく一般と専門と両方書いていただくことになるので、その中の一般のほうで、今、御指摘をいただいたようなところで多少全体の副作用を俯瞰して見えるようなところ、一般の人にもわかりやすいという犬伏先生御指摘の部分が盛り込めるようなものができるかどうか少し試行的に御検討いただいて、それをまたここの検討会で先生方、医学的な部分からも見ていただいてどうかということで進めさせていただくというのも一つの案かなと思うのですが、いかがでございましょうか。

○五十嵐座長 いかがですか。よろしいですか。

○犬伏構成員 はい。

○五十嵐座長 ほかに先生方、よろしいですか。わかりました。では、方針としては、総論でそういうことを十分配慮して作成するということを検討したいと思います。どうもありがとうございました。

 では、ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいですか。これはA、B、C、Dと分類はしたわけですが、これはあくまでも一つの方向性で、実際、各学会の先生方の対応の仕方あるいは余裕とか、こういうことも多少変更があるかもしれませんので、このとおりいくかどうかはわかりませんが、基本的にこのA、B、C、Dの分類どおりでこれから進めたいと考えておりますけれども、きょう御出席の先生方、それで御承認いただけますでしょうか。よろしいですか。
                                                  (賛同)

○五十嵐座長 では、資料1-1の考え方に沿って優先順位を決めて、学会と相談しながら、微調整しながら改定を進めたいと考えております。いろいろとありがとうございました。事務局、いかがですか。それでよろしいでしょうか。

○事務局 おまとめいただきまして、ありがとうございました。それでは、今、五十嵐先生におまとめいただいたような形で進めたいと考えておりますので、進捗については、また次回の検討会において報告をさせていただきたいと考えております。

○五十嵐座長 それでは、この議題1はこれで終了したいと思います。御協力ありがとうございました。

 これで本日予定しておりました事項は全て終了となります。何か特別に御発言はございますでしょうか。事務局からはいかがですか。

○事務局 事務局からの連絡でございます。本日の議事録につきましては、後日、構成員の先生方に送付をさせていただきますので、内容の確認をお願いいたします。修正、御確認いただいた後には、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、これで閉会といたしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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