ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(化粧品・医薬部外品部会)> 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録(2018年10月22日)

 
 

2018年10月22日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録

○日時

平成30年10月22日(月)16:00~

 

○場所

厚生労働省共用第6会議室

○出席者

出席委員(11名)五十音順

有 森 和 彦、 伊 藤 清 美、  井 上 和 秀、○小 川 久美子、
神 田 敏 子、 関 東 裕 美、◎木 津 純 子、  栗 原 正 明、
佐 藤    薫、 杉 林 堅 次、  西 村 哲 治
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)

松 永 佳世子
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

 

○医薬品審査管理課長 定刻より早いですが、先生方がおそろいでございますので、薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、また少し遅い時間で恐縮でございますが、御参集いただきありがとうございます。

 本日の会議の始めに、この部会の委員改選が行われまして以降で初めての本部会の開催になりますので、少しお時間を頂きまして、新しく任命されました委員の先生方を御紹介させていただきます。お手元にございます、化粧品・医薬部外品部会委員名簿に沿いまして先生方を御紹介申し上げます。座席表の裏面を御覧いただくと先生方の名簿が記載されています。有森和彦委員、伊藤清美委員、井上和秀委員、小川久美子委員、神田敏子委員、関東裕美委員、木津純子委員、栗原正明委員、佐藤薫委員、西村哲治委員、杉林堅次委員、本日は御欠席ですが、松永佳世子委員お一人でございます。なお、本部会の部会長につきましては、昨年1月に開催されました薬事分科会におきまして、木津純子委員が部会長に選任されていますので御報告申し上げます。

 続きまして、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、部会長代理につきましては、部会長から御指名を頂くことになっております。木津部会長、部会長代理の御指名をよろしくお願い申し上げます。

○木津部会長 それでは、小川久美子委員に部会長代理をお願いしたいと存じますが、皆様、いかがでございますか。

-異議なし-

○木津部会長 ありがとうございます。

○医薬品審査管理課長 それでは、小川委員に部会長代理をお願い申し上げます。小川委員、部会長代理の席に御移動をよろしくお願いいたします。

 現在のところ、当部会委員数12名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 続きまして、現在の事務局のメンバーを紹介させていただきます。まず、厚生労働省でございます。用務でまだ席に着いておりませんが、医薬・生活衛生局長に宮本が着任しております。また、審議官の森でございます。続きまして、医薬品医療機器総合機構でございます。審査センター長の矢守でございます。安全管理監の森口、審議役の坂本、一般薬等審査部長の蛭田、審査マネジメント部長の美上、安全第二部長の近藤でございます。最後でございますが、私、医薬品審査管理課長の山本でございます。よろしくお願いします。

 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。薬事分科会規程第11条に基づきまして、今回、全ての委員の皆様より11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には、この規程に基づきまして会議の都度、書面を御提出いただくことになり、大変御負担をおかけしておりますが、是非、御理解、御協力を賜りますよう、何とぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。

 それでは、以降の進行を木津部会長にお願いしたいと思います。

○木津部会長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての御報告をお願いいたします。

○事務局 事務局より説明申し上げます。資料につきましては、今回の部会より試行的にペーパーレス化を実施しておりまして、各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。タブレットの使用方法について説明させていただきます。お手元に、「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を机上配布させていただいておりますので、併せて御確認いただければと思います。タブレットの操作説明書の1ページを御覧ください。お手元のタブレット端末でございますが、議事次第を画面に表示した状態で置かれているかと思います。他の資料を画面に表示するには、画面左上に「マイプライベートファイル」とある所を指で1回タップしていただきますと、本日の資料としまして資料1-11-5、資料2、資料3、資料4-14-2、それから机上に紙でも配布していますが、議事次第、座席表、委員名簿と表示されているかと思います。資料の閲覧方法ですが、PDFファイルをタップしていただくと中身を閲覧することができます。表示内容の拡大、資料のページめくりにつきましては、このタブレット操作の説明書を御確認いただければと思っております。なお、本部会では、今回が初めてのタブレット使用となっておりますので、資料1につきましては、御参考といたしまして紙資料も机上配布させていただいておりますので、必要に応じて御活用いただければと思います。タブレットの使用方法及び配布資料については以上でございます。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告させていただきます。資料3を御覧ください。各品目の競合品目の選定理由でございます。資料3を御覧いただくと、「4-メトキシケイ皮酸 2-メチルフェニル」でございますが、本成分は化粧品基準への収載が要請されている新規の紫外線吸収剤でございます。同様の使用目的を有する品目を競合品目として選定しているところでございます。以上でございます。

○木津部会長 今の事務局からの御説明に対しまして、委員の先生から特段の御意見等はございますでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たということにさせていただきます。ありがとうございます。次に、委員の皆様からの申し出状況について御報告をお願いいたします。

○事務局 各委員の先生方に事前にお申し出いただきまして、その結果でございますが、議題1、「4-メトキシケイ皮酸 2-メチルフェニル」につきましては、審議における退室委員なし、議決に参加しない委員なしとなっているところでございます。

○木津部会長 今の事務局からの御説明に関して御意見ありますでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとして議題に入らせていただきます。本日は、審議事項が一つのみでございます。それでは、審議事項の議題1に移りたいと思います。まず、化粧品基準の概要について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 本日の議題でございますが、化粧品基準の改正について一部改正ということでございます。事務局から、始めに制度上の立て付けのお話をさせていただきます。化粧品基準の概要について説明させていただきますので、最初に資料4-1、「化粧品基準について」という資料を御覧ください。化粧品ですが、配合成分が化粧品基準を満たしており、全成分を表示している場合には都道府県知事に届けることにより、製造販売が可能な仕組みとなっております。

 化粧品基準の概要ですが、資料4-1の1ページです。この基準は平成13年4月から適用されているものです。中身としましては、1.総則、2.配合禁止・配合制限リスト(ネガティブリスト)、3.特定成分群(防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素)、配合可能なリスト(ポジティブリスト)と呼ばれていますが、こうしたものについて規定しているところです。今回、要望のございました成分につきましては、紫外線吸収剤の新規の収載要望でございまして、基準に示す紫外線吸収剤というのは、リストに記載された成分でなければ配合をしてはいけないこととなっています。

 資料4-2です。資料4-2として化粧品基準を添付しています。こちらの化粧品基準では、紫外線吸収剤のリストについては資料4-2の9ページです。こちらですが、別表第4という形で既に30成分以上が収載されています。

 ここで別表4の配合可能リストについて説明させていただきます。このリストには、1として「全ての化粧品に配合の制限がある成分」と、2の「化粧品の種類により配合の制限がある成分のリスト」に分かれているところです。この2の「化粧品の種類により配合の制限がある成分のリスト」ですが、こちらは3種類の化粧品の分類により基準を設定しているところです。簡単にその違いを説明させていただくと、2の所で三つ分類があるうち一番左の欄の「粘膜に使用されることのない化粧品のうち、洗い流すもの」とございますが、こちらにつきましては例えば洗顔料、シャンプー、リンスなどの洗い流すものが対象です。また、真ん中の「粘膜に使用されることがない化粧品のうち、洗い流さないもの」ですが、クリーム、ファンデーション、ヘアトニックといったところが対象となっています。また、右の欄の「粘膜に使用されることがある化粧品」としては、口紅、アイライナー、口中浄化の洗口液等が対象になってくるところです。各分類に応じて、各成分の配合の量等が示されています。11ページの一番下の欄の注の所にございますが、空欄は配合してはならないことを示し、マル印は配合の上限がないことを示しているところです。

 資料4-1に戻ります。資料4-1の2ページです。ポジティブリストへの収載の手続について説明させていただきます。3ページにポジティブリストへの収載手続のフローを示していますので、併せて御覧いただければと思います。防腐剤、紫外線吸収剤として新規の成分を化粧品に配合するためには、ポジティブリストを改正することが必要となります。この改正を希望する者は、収載要領に従って要請書を厚生労働大臣宛てに提出することとしており、こちらの手続につきましては平成13年に通知でお示ししているところです。要請がありました成分につきましては、提示された資料に基づいて評価を行い、評価終了後は薬事・食品衛生審議会の本部会におきまして、成分に係る基準の改正の可否についてお諮りした上で、必要な改正を行うこととしています。全体の流れとしましては以上でございます。

○木津部会長 引き続き資料1につきまして、医薬品医療機器総合機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、資料1-2、評価報告書1ページ「1.成分の概要」を御覧ください。収載希望成分の成分分類は「紫外線吸収剤」、成分名は「4-メトキシケイ皮酸 2-メチルフェニル」、要請者は「リードケミカル株式会社」です。

 本成分の化粧品製品100g中の最大配合量は、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの及び洗い流さないものについていずれも10.0gとされています。

 2ページ「イ.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」を御覧ください。本成分の紫外線吸収作用は、分子構造中の複数の共役二重結合によるもので、UVA及びUVBの両波長領域において紫外線吸収能を有し、光安定性の高い成分として開発が行われました。なお、現在までに国内外において本成分の化粧品への配合実績はありません。

 続いて、2ページ「ロ.物理的化学的性質等に関する資料」を御覧ください。本成分の安定性について、苛酷試験の結果から光に対して安定であることが確認され、問題ないと判断いたしました。

 続いて、2ページ「ハ.安全性に関する資料」について御説明いたします。本成分の安全性に関する資料として各種毒性試験が実施されました。このうち、生殖発生毒性及び染色体異常試験で認められた細胞毒性については評価の概略の項にて説明いたします。

 6ページを御確認ください。一般的に、紫外線吸収剤のまれな事例として、皮膚刺激性やアレルギー症状が認められることが報告されていますが、本成分の感作性については、モルモットを用いたmaximization testにおいて陰性であることが確認されています。また、ウサギを用いた連続皮膚刺激性試験において軽度の紅斑が認められましたが、10%においては投与期間中に消失し、刺激性の増強は認められないため、問題ないと判断しております。なお、アレルギーについての注意喚起ですが、一般的に、皮膚に適用する化粧品では「肌に異常が生じていないかよく注意して使用してください。お肌に合わないときは、ご使用をおやめください。」との表現で注意喚起がなされているところでございます。

 続いて、11ページの上段を御覧ください。ラットにおける3か月反復経口投与毒性試験の無毒性量(500mg/kg/day)から算出した本成分の安全係数は476であり、100を超える値となっております。

 さらに、11ページからの「評価の概略」について説明いたします。毒性試験の結果から、本成分の安全性について専門協議における専門委員の意見も踏まえ、次のように判断いたしました。

 生殖発生毒性について、12ページの表を御覧ください。ウサギを用いた経皮投与による胚・胎児発生試験において、本成分20%の高用量群に無脳、胸腹壁破裂、無肢、二分脊椎が認められ、また、用量依存的に骨格異常・変異所見の高値が認められました。このため、より高曝露の経口投与試験が実施されましたが、外表、骨格及び内部器官について、対照群を含め、各投与群に散見された所見の出現率には用量依存性はなく、本成分によるものではないと考えられました。この結果から本成分の胚・胎児発生に与える影響には問題ないと判断いたしました。

 また、チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞を用いた染色体異常試験において、細胞増殖抑制が認められましたが、これについてはチャイニーズハムスター臓器由来の培養細胞2種、並びにヒト皮膚由来の細胞3種を用いて、本成分と対照物質であるポジティブリスト収載の紫外線吸収剤による細胞増殖抑制試験を実施し、50%細胞増殖抑制濃度が比較されました。9ページの上段の表を御覧ください。本成分の細胞増殖抑制は、チャイニーズハムスター臓器由来の培養細胞では比較的強いのですが、ヒト皮膚由来細胞では対照物質に比べて特に強いものではないことが確認されました。この結果から、本成分のヒト細胞への細胞毒性は問題ないと判断いたしました。

 最後に、13ページの「3.総合評価」を御覧ください。以上の評価を踏まえ、機構は、本成分を、要請のとおり紫外線吸収剤として化粧品製品100g中の最大配合量を「粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものに10.0g、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに10.0g」とし、化粧品基準のポジティブリストに収載して差し支えないと判断いたしました。

 説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○木津部会長 それでは委員の先生方から、ただいまの御説明に関して御質問、御意見がありましたら、是非よろしくお願いいたします。今までの部会のように、実際の製品についての審議ですと様々な御意見が出てくると思いますが、今回は配合するための成分の一つということで、なかなかイメージするのが難しいとは思いますが、よろしくお願いいたします。

○小川部会長代理 3ページの反復投与毒性試験の経皮の結果についてです。御説明にもありましたが、投与群で若干表皮の肥厚が多いというところが見られていると思うのです。もし追加でディスカッションのようなものがありましたら、もう少し丁寧に教えていただけると有り難いと思います。

○医薬品医療機器総合機構 3ページのラット3か月反復経皮投与毒性試験で認められた表皮の肥厚については、閉塞投与での反復投与による非特異的な刺激作用ではないかと考えられております。機械的刺激による表皮肥厚については、ヒトのかかとの部分でも認められており、その作用機序についても幾つか報告されています。本試験においても、そのような繰り返しの塗布による刺激作用が影響した可能性があると考えております。また、6ページの連続皮膚刺激性試験は、開放塗布による2週間の連続刺激の試験です。この試験では、こうした表皮の肥厚という所見は認められておりませんので、こちらについては本成分によるものではないと判断しております。

○木津部会長 小川委員、いかがでしょうか。

○小川部会長代理 使用ごとのマージンなども考えれば、特に問題のない範囲かと考えております。ありがとうございます。

○木津部会長 そのほかにはいかがでしょうか。

○杉林委員 以前、フマル酸のジエステル体の経皮毒性を調べてみた際に、そのもの自体はほとんどないのですが、エステラーゼか何かで代謝されたものに刺激があったことがあるのです。この化合物はエステル構造体をしているので、実はこういったものを培養細胞で行うと、培養細胞中の酵素活性というのは、ヒトの細胞中の酵素活性より弱いので出てこないことがあるのです。そうしたところは検討されているのでしょうか。

○木津部会長 御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 本成分の代謝についてですが、評価報告書10ページの2)、代謝の項を御覧いただきたいと思います。本成分について、主な代謝物がグルクロン酸抱合体、失礼いたしました。4-メトキシ安息香酸、4-メトキシケイ皮酸及び4-メトキシ安息香酸のグリシン抱合体と推定されております。恐らくエステラーゼで、一部が代謝されるのではないかという御指摘がありますが、そういった可能性は否定できないかとは思います。

○木津部会長 今のお答えだと、私も余りよく理解できなかったのですが。

○杉林委員 エステルが切れるよりも、グルクロン酸抱合といった抱合体の方が先に出るということですか。一般的に皮膚刺激というのは、エステル体は余り出ないのですが、カルボン酸にすると刺激が出やすいのです。もし、これが切れたものでやってみたら刺激が出るかもしれないので、そこのところが少し心配になりました。やはりメトキシ安息香酸と書いてありますよね。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。本成分の代謝について、資料概要の182ページに構造式が載っています。資料1-4の資料概要の182ページの図の御確認をお願いいたします。紙の資料でも同じものがあります。こちらの代謝物プロファイルに示された図で代謝されると推定されています。これは経口投与や経皮投与をされた際に、このように代謝されると考えられています。経皮投与においては、一部経皮から吸収され、全身に入って代謝される可能性があるかと思うのですが、先ほど御説明申し上げたように、連続皮膚刺激性試験において一定の評価はなされているかと考えております。

○木津部会長 この182ページのものは、ヒトに経口投与した際の代謝経路ですか。

○医薬品医療機器総合機構 これはラットやヒト肝細胞の細胞懸濁液に、本成分を反応させた際の代謝物を同定し、その結果から想定したものです。ですから実際の経口投与で見ているわけではないのですが、恐らくこのように代謝されると考えられております。

○木津部会長 では、実際にこの成分を皮膚などに塗布して、どのぐらいの代謝物が得られているという実験はされていないということですか。

○医薬品医療機器総合機構 そこまではされておりません。本成分の皮膚の吸収性は、ラットに経皮で投与した際の全身の分布などが見られています。その結果から、経皮からだと3.5%ぐらい吸収され、尿中や糞中に排泄されるということまでは分かっていまして、恐らくこのような形で代謝されるであろうという推定まではなされているところです。

○木津部会長 杉林委員、いかがですか。

○杉林委員 in vitroでもいいのですが、ヒトや動物でin vivoでやられていて、皮膚刺激がない場合はいいのでしょう。ただ、私が気になっているのは、培養細胞で行っても恐らく、メトキシケイ皮酸はほとんど出てこないと思うのです。もしメトキシケイ皮酸に刺激がある場合は、培養細胞を使ったケースのデータというのは、余り信用できないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 本成分の安全性について、基本的に遺伝毒性以外の試験は、動物を用いたin vivoでの試験で確認されていますので、実際の使用における安全性や刺激性は評価されていると思います。

 また、本成分については類似の成分が、既にポジティブリストに収載されているところです。資料1-4、資料概要の2ページで御確認をお願いいたします。本成分と類似している成分として4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルという成分が既に収載されております。こちらは販売実績が多く、本成分と同様に4-メトキシケイ皮酸骨格を持つ成分です。こちらも恐らく体内に入った際に、エステラーゼでエステルが切れると推測されます。刺激性がある可能性はありますが恐らくは、既に収載されている4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルと同程度ではないかと考えております。

 また、安全性の資料、資料1-2の評価報告書の9ページの御確認をお願いいたします。ヒトにおいても本成分は、パッチテストにおいて経皮で適用した際の安全性が確認されております。この際に特段の皮膚反応は認められていないというのを確認していますので、ヒトでの安全性も評価はなされております。

○木津部会長 実際に化粧品については、今までに様々なことが起こりましたので、この部会においても慎重に議論をしたいと思います。今の杉林先生からの御指摘、培養細胞を使った試験では、なかなか把握できないのではないかという点に関しては、ヒトでのパッチテストを行っているので、安全性に関しては恐らく問題はないのではないかと当局は考えているというお答えでよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。

○木津部会長 杉林先生、いかがでしょうか。

○杉林委員 結構です。

○神田委員 今のヒトパッチテストについてです。9ページにありますように、2155歳までの対象ですが、例えば子供や高齢者、少し皮膚の弱い方も対象に試験をする必要はないのでしょうか。また、この配合量は子供用も同じなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問いただいたパッチテストの対象となる被験者の年齢は、本邦では業界の自主基準で成人を対象に40例程度というのが、決まっております。大体どちらの品目でも成人を対象に試験が実施されています。

 小児への安全性については、資料1-2の評価報告書の11ページ、安全係数の項の御確認をお願いいたします。この中で、本成分の安全係数を説明申し上げています。成人の場合だとこの値になるのですが、小児の場合にどのような値になるかというところは、検討されております。

 安全係数の算出方法ですが、一般的なサンスクリンローション、日焼け止め剤の推定1日曝露量や、成人の体重を60kgと仮定したところから算出していますので、皮膚の表面積や体重の比が影響してくるのです。小児の皮膚表面積や体重の比を考えて新生児の場合や小児の場合の安全係数等、試算された値がありますが、新生児で207程度、10歳で366程度という値になっております。小児の皮膚表面積や体重の比を考えても、ある程度余裕のある安全係数があり、安全性に問題はないのではないかと考えられております。

○木津部会長 皮膚のバリアについては、杉林先生がお詳しいと思うのですが、赤ちゃんや高齢者においては、成人と大きく異なっていると思います。神田委員の御指摘は、その違いを考慮すると、この対象年齢だけで全てを語っていいのか、小児や高齢者における経皮吸収の特殊性を考慮すると安全性をより確認しなくて大丈夫なのかという御指摘のように私は思ったのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 小児について、小児を対象とした安全性の試験というのは別途実施されておりませんのでデータがないところです。小児は、成人とは多少状況が違うのですが、ほかの医薬部外品の製剤や既承認のポジティブリストの収載製品についても本成分と同様に基本的には成人のデータの安全係数で、100以上の値を確保するというところで安全性を担保する考え方がなされていると思います。また、本成分が収載された以降、小児にも成人と同様に使用されるのかについては、小児も成人と同様に使用されることになります。

○神田委員 すみません。余りよく聞き取れなかったのですが、子供用ということで、別に変えないということなのですね。

○医薬品医療機器総合機構 特に変更はありません。

○神田委員 恐らくそうなのだろうなと思ったので、ヒトパッチなどそういう試験についても、それだったら子供もするべきだろうと思ったわけなのですね。少し御説明が聞き取りにくいので、はっきりお願いしたいと思います。

○木津部会長 実際にこの成分を含んだ製品が出たところで、この部会で審議されると思うのですが、そのときに本成分を含んだ実際の製品について、その使い方が非常に重要になってくると思います。この成分は実施された試験から、成人に対する安全性はお認めできると思うのですが、実際に本成分を含んだ製品を使う場合には、例えば小さな子でも大丈夫なのか、小さな子には使わないようにする、目に入らないようにするなどの注意事項は不要なのか、など色々考慮すべき点があると思います。製品の審議時には是非その辺をしっかり見ていただければと思いますので、今後、御対応のほどお願いしたいと思います。そのほか、委員の先生から、よろしくお願いいたします。

○関東委員 製品の刺激を見るのに、ヒトで見るのは24時間の閉鎖パッチだけですよね。よく臨床の現場でこうした検査をして反応が出ないことがあります。そうすると、どうするかというと、リピーテッド・オープン・アプリケーション・テストというように毎日同じ場所に製品を塗って見るということをいたします。最低1週間程、製品を塗るだけの検査ですが、それで、使用テストの前の段階として、その安全性を担保するような検査があることはあるのです。24時間クローズでは健康成人の腕にということで、ヒトの評価としては今それだけになっているように思うのですが、今、御指摘があったとおり、色々なバリア状況の方がお使いにはなる可能性があるので、その辺の安全性の評価として、今のこの検査だけでいいのかが少し疑問に思うことがございます。

○木津部会長 ありがとうございます。この成分に限らず、このような製剤が今行われている試験で十分なものなのかどうかについても、今後、検討を重ねていただければ大変有り難いと思いますし、現場の専門の先生方からの御意見を賜りながら、患者さんに不利益なことが生じないような試験を事前に、しっかり行うような部会にしていければと思っております。そのほか、委員の先生からはいかがでしょうか。お願いいたします。

○佐藤委員 試験をやられている際の溶媒が色々あるのですが、ある程度基準は決まっているのでしょうか。つまり、メチルセルロース液を使っていたり、アセトンを使っていたり、ワセリンを使っていたりと、化合物の物性がそのたびに変わったりしないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 安全性試験の際に使用されている製剤の溶媒についてですが、基本的に各試験によって用いるべきでない溶媒等もあるのですが、そういったところはある程度検討されまして、それぞれの適切な溶媒は選択されているとは思います。その場合の物性についてなのですが、こちらは資料1-4の資料概要の6ページを御確認いただきたいのですが、各種溶媒、アセトンを含めて溶媒に対する溶解性については、安全性試験を実施する際に問題ない程度に溶解するのか、そういったところについては確認されています。

○木津部会長 そうすると、それぞれ使われている溶媒は、こういう試験方法を行う際の一般的な溶媒を使っているということなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 その件に関しましては、毒性担当の方から御説明させていただきます。基本的に一般的に使われている溶剤が今回の試験に使われています。ワセリンを使ったり、あるいはアセトンを使ったりというのは、投与方法によって、多少使い分けているのではないかと推察いたします。例えば密閉塗布する場合は、やはり多少上から押さえてしまうので、すぐ乾かなくていいので、このような白色ワセリンは比較的刺激性も低く、よく使われている成分は使われています。また、オープンで塗布する場合には速乾性が多少求められるので、このアセトンのような溶媒を使っているのではないかと推察しております。

○木津部会長 佐藤委員、いかがでしょうか。よろしいですか。

○佐藤委員 はい、ヒトの所だけコーン油だったので、少し気になりました。

○木津部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかの委員の先生方からいかがでしょうか。

○有森委員 安全性などそうしたことに関しては非臨床試験でかなり詳しくやられているのですが、有効性に関しては従来のものとほぼ同じということですので、有効性に関しては特にヒトで行う必要はなかったのでしょうか。従来のUV吸収剤は一応非臨床試験はやられているのですが、臨床試験ではいわゆる毒性や安全性に関してはやられているのですが、臨床効果は有効性ありという前提の下で判断してよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 効果についての御質問ですが、こちらについてはヒトでの検討はなされてはおりません。ただ、本成分について紫外線の吸収作用があるのかというところですが、資料1-4、資料概要の3ページを御確認いただきたいのですが、既存の紫外線吸収剤と本成分のSPF値を比較したデータは提出されておりまして、既存のものと同等以上の紫外線防御作用があるというところは、説明はされております。

○有森委員 ヒトで行う必要はないということですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。こちらは化粧品に配合する成分なので、基本的に有効性があるわけではないです。本成分について紫外線吸収作用はあるのですが、ヒトに対する有効性を別途試験で確認するという状況にはなっておりません。

○木津部会長 よろしいでしょうか。そのほか、委員の先生方からいかがでしょうか。非常に多くの御意見を頂戴いたしましてありがとうございました。よろしいですか。それでは御議論いただきましたが、この製品が日焼け止めといいますか、紫外線吸収剤の成分として、お認めいただけるかどうかについて、議決に入りたいと思います。本議題について、化粧品基準にこの成分を載せるということで改正を了承してよいかどうかについて、皆さんの御意見を賜りたいと思います。了承してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可といたしまして、薬事分科会の方に報告をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。本日の議題は以上になりますが、事務局から何か御報告はございますか。

○事務局 今後の議論の関係で、一つ報告させていただければと思います。ポーラ化成工業株式会社が製造販売している「ポーラ リンクルショット メディカルセラム」ですが、2年前の平成28年度第1回の化粧品・医薬部外品部会において御審議いただきまして、その後、平成28年7月8日付けで承認したところです。その後、販売が開始されておりまして、承認にあたっての条件といたしまして、2年間の製造販売後調査を求めているところです。その調査終了が本年10月ごろの予定となっておりますので、こちらの調査結果については、本部会においても配付させていただいて各委員の御確認いただきたいと考えているところです。しかし、次回部会の開催日程が現時点で未定ですので調査結果が取りまとまった段階で、委員の先生方にはメールで配付させていただきまして、一度御確認いただきたいと考えておりますので、御承知おきいただければというところです。

○木津部会長 ありがとうございます。この部会は余り開かれないのですが、2年ほど前に開催されました部会では、このしわ取りのクリームについて非常に審議が紛糾いたしました。この2年のまとめというものを委員としてもしっかり見守っていきたいと思いますので、御報告をよろしくお願いいたします。この件に関しまして御意見、御希望等々ございますか。それではその件に関しましても、御了承いただいたものといたします。そのほか、事務局からいかがでしょうか。

○事務局 次回の開催日程については、先ほども申し上げたとおり未定で、品目の審査状況等を見て事務局で調整し、改めて御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○木津部会長 ありがとうございます。それでは本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。その前に局長から一言お願いいたします。

○医薬・生活衛生局長 遅れまして申し訳ございません。昨年7月から医薬・生活衛生局長を担当しております宮本でございます。なかなか部会が開かれないということで、委員の皆様に御挨拶する機会が遅くなり申し訳ございません。また、本日は所用があり、遅れまして大変申し訳なく重ねておわび申し上げます。幅広く使われる製品を御担当していただいておりますので、是非とも、また活発な御議論、御指摘などをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○木津部会長 それでは本日の委員会は終了させていただきます。お忙しい中、ありがとうございました。

( 了 )

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

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