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2017年4月21日 第3回脳卒中に係るワーキンググループ 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年4月21日(金) 15:00~17:00


○場所

三田共用会議所 3F 大会議室(A~E会議室)


○議事

○岡田がん・疾病対策課長補佐 ただいまから、「第3回脳卒中に係るワーキンググループ」を開催します。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐の岡田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は12名の構成員に御参画いただいております。日本看護協会常任理事の川本利恵子構成員からは、欠席の御連絡を頂いております。なお、私どものがん・疾病対策課長の渡辺については、別の公務のため、後ほどこちらに参る予定です。

 資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、脳卒中に係るワーキンググループ構成員名簿、資料1、急性期の診療提供体制構築に向けた考え方()、参考資料1、日本脳卒中学会「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針第二版」における治療を行う施設の推奨項目の変更点、参考資料2、現状の脳卒中急性期診療に関係する医療資源、参考資料3、急性期の専門的医療を行う施設が担う医療機能のイメージ、参考資料4、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成29331日厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)別表より抜粋、脳卒中の医療提供体制構築に係る現状把握のための指標例。また、貸出資料として、第1回検討会及び第1回・第2回ワーキンググループの資料を配布させていただいております。こちらは、会議終了後、机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。資料の不足・落丁等がありましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして、撮影を終了し、カメラを収めていただきますようお願いします。これからの進行は、小川座長にお願いします。

○小川()座長 大分時間もたってしまい、間が空いてしまいましたが、第3回脳卒中に係るワーキンググループを開催させていただきます。本日の主題は、脳卒中急性期の診療供給体制を構築する際の考え方の方向性についてで、これを御議論いただくということになっておりますので、資料1に基づいて、まず事務局から説明をお願いします。

○石上がん・疾病対策課長補佐 事務局です。資料1、急性期の診療提供体制構築に向けた考え方()を御覧ください。急性期診療提供体制構築の検討の方向性を御説明します。前回までに出されました主な意見ですが、t-PA療法の普及が不十分であり、まずはt-PA療法を安全かつ確実に実施する医療施設を均てん化することが必要ではないか。2番目として、t-PA療法を含めた急性期脳卒中診療を実施する医療施設でも、脳卒中患者を受け入れる体制を24時間確保することは困難な場合があるのではないか。急性期の診療提供体制を確保するためには、医療資源等、地域ごとの臨床現場の現状に即した検討が必要ではないか、という御議論を頂いております。これらの御意見を踏まえ、今回の検討の方向性として、まずはt-PA療法の均てん化の推進を目指し、地域で急性期脳卒中診療を提供するための体制の構築について検討してはどうか、という案を挙げております。

 急性期の診療提供体制の現状ですが、まず、t-PA療法は、現在、全国において実施率が約5%とされておりますが、t-PA療法の施行実績には、地域によって差がある可能性があります。例えば、山口県の平成24-25年のデータから、医療圏ごとのt-PA療法の実施率をお示しいただきましたところ、御覧のように、医療圏によって実施率にばらつきが見られております。また、御意見としてありました、医療施設が24時間体制でt-PA療法を実施することは困難ではないかということに関しては、座長のご活躍の岩手県と、前回の参考人でお越しくださいました横田先生の東京でお調べいただきましたところ、両地域とも24時間体制でt-PA療法を行える体制を組んでいらっしゃる医療施設は、脳卒中診療を行う施設の約6割という結果が出ております。

 スライド5を御覧ください。どのような病院でt-PA療法が実施されているかということですが、こちらは日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本神経学会の教育訓練施設で行われた調査です。CSCスコアと申しますのは、包括的な脳卒中ケアの能力を、米国の包括的脳卒中センターの推奨要件25項目の充足率によってスコア化したものです。1項目を充足すれば1点として25点満点で評価するものですが、右にありますグラフは、CSCスコア4分位別のt-PA療法の実施数を示したものです。CSCスコアが高い施設、つまりある程度条件が整っている施設でのt-PA療法の実施が多いことが示されております。

 このような現状を踏まえ、まずは急性期診療提供のためのネットワーク構築に関する検討の方向性()をお示しします。前回までに頂きました主な御意見としては、1つ目、地域内において、24時間適切な治療を受けることができる体制を確保できればよいのではないか。2つ目、施設間ネットワーク体制の中で診療可能な施設を、日中、夜間に分けて整理してはどうか。3つ目、地域内の連携の手段として、遠隔医療(遠隔画像診断等)を活用することや、drip and ship、これは遠隔医療を用いること等で、脳卒中を診療する医師の指示の下に行われるt-PA療法を開始した上での病院間搬送を申しますが、これらを行うことが有効ではないかという御意見を頂いております。

 これを踏まえまして、検討の方向性()としては、地域の医療資源を効率的に利用した、24時間対応可能な急性期診療ネットワーク体制の在り方を検討してはどうか。また、地域の医療資源が限られる場合には、それを補完する手段について検討してはどうか、という案を挙げさせていただいております。

 以降は、構成員及び第1回ワーキンググループの参考人の先生にお調べいただきました、それぞれの地域の現状や取組の例の抜粋です。24時間体制確保をどのようにされておられるかに関し、長谷川構成員からの御提供資料の中から、川崎脳卒中ネットワークにおけるt-PA療法カレンダーの例を提示させていただきました。地域内の各医療施設が受入れ可能な日付や時間帯を明確にして、提示されているということです。また、東京におかれましては、参加医療施設全体で24時間体制の受入体制を確保されていて、地域内の病床の状況を明確にされているということです。

 こちらは施設間連携の方法の例です。山口県、鈴木先生提供の資料ですが、山口県では、Telesaと呼ばれる遠隔画像診断治療補助システムを活用されております。これは、Telesaが配備された地域医療施設で撮像された脳の画像を山口大学医学部附属病院に転送して、そちらで脳卒中の専門の医師が画像を読影され、診断の補助を行うシステムです。地域の医療施設は、その診断の補助を受けてt-PA療法を実施した上で、症例によっては大学病院に患者を転院させたり、また引き続き同じ病院で診療を行ったりということをされていると伺っております。

 次のスライドは、そのシステムを用いられている山口県の体制のマップです。脳卒中診療が行われている施設であり、施設の判断ではt-PA療法が行えないような施設では、この遠隔画像診断治療補助システムを導入されて、連携が行われております。また、近年、脳梗塞診療には血管内治療に対するエビデンスが出てきておりますが、血管内治療が行われる施設は赤丸の所になり、まだまだ限られている状況です。必要に応じて血管内治療が実施できない施設から、実施できる施設に患者さんを転院させるという連携もとられております。

 スライド10が、岩手県の現状です。岩手県においては、t-PA療法が実施できる施設が地域に置かれているものの、土地が広大、かつ、冬場の天候の影響等もあり、地域の基幹病院から更に患者さんを搬送するのは、難しい状況があるとお伺いしております。

 これらを踏まえ、急性期診療提供のためのネットワーク構築の考え方()を次に述べさせていただきます。1つ目、それぞれの医療施設が受入れ可能な日や時間帯を明確にすることにより、地域において24時間体制を確保することが可能ではないか。2つ目、遠隔医療を用いて診断の補助を行ったり、drip and ship等を活用することが、現状の医療資源を効率的に運用する手段の1つとなるのではないか。3つ目、このような手段を活用し、地域の救急搬送圏の状況等を踏まえて、それぞれの地域に適した施設間ネットワークを構築する必要があるのではないか、という案を挙げさせていただきました。

 これらの考え方をイメージに示したものが、次のスライドです。医療資源の乏しい地域において、例えば平均的な救急搬送圏内に、補助があればt-PA療法が実施可能な施設が1つあるという場合には、t-PA療法に加えて血管内治療、外科的治療が可能な圏外の施設と、drip and shipや遠隔医療を用いた診断の補助等によって連携する体制のイメージを提示しております。

 また、平均的な搬送圏内に複数の施設がある場合には、各施設が診療可能な時間帯を明確にして、t-PA療法に加えて血管内治療や外科的治療が可能な施設や、t-PA療法に加えて外科的治療が可能な施設が、drip and shipや遠隔医療を用いて診療の補助を行うという体制をイメージしております。

 次に、急性期の医療を行う施設がネットワークの中でどのような医療機能を担うべきかという検討の方向性をお示ししております。前回までに医療機能に関して頂きました主な意見としては、1つ目、地域の中にどのような機能を持った医療施設があれば、患者さんのアウトカムを改善できるかという視点で検討すべきではないか。2つ目、「高度な専門的医療を行う施設」と「専門的医療を行う施設」に分けて、それぞれの医療施設の基準を明確にすると、臨床現場に混乱を招く恐れがあるのではないか。3つ目、施設の役割分担を考える際には、臨床現場の現状に即した検討が必要ではないか。4つ目、日本脳卒中学会「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針第二版」における、「治療を行う施設」の基準が厳格過ぎることが、t-PA療法が普及しない一因ではないか。このような御意見を頂いております。

 これらを踏まえ検討の方向性としては、急性期の診療ネットワーク内で脳卒中診療を行っている医療施設が、臨床現場の現状に応じてどのような医療を担えばよいかについて検討する、という案を記載しております。

 急性期の専門的医療を行う施設が担う医療機能に関して、考え方()を示しております。ネットワーク内で各々の施設が提供する医療機能は、地域の状況や医療施設の医療資源に応じて、柔軟に設定される必要があるのではないか。t-PA療法を含めた急性期脳卒中診療を均てん化させるために、ネットワーク内で支援する医療施設と支援される医療施設が、各々どのような医療機能を担うとよいかを検討する必要があるのではないか。また、t-PA療法を含めた急性期の脳卒中診療の均てん化は、安全性を担保しながら進めるべきではないか、という考え方を示させていただきました。

 これらの考え方をふまえ、分担のイメージを示しました。急性期の医療を行う施設が担うべき医療機能は、地域のネットワークを構成している医療施設において分担する必要があるのではないか、ということで図をお示ししております。脳卒中の急性期の専門的医療を行う施設には、t-PA療法に加えて、血管内治療や外科的治療を行うことができるというイメージの専門的医療を包括的に行う施設と、t-PA療法を含めた急性期の脳卒中に対する一般的な診療を行うというイメージの専門的医療を行う施設とがあり、これらが治療適応に応じて適切に連携する必要があるのではないかと考えます。

 また、主にかかりつけ医などを想定しておりますが、初期対応が行われる施設においては、脳卒中の診療が行えなければ、脳卒中を疑った場合には、専門的医療を行う施設と適応に応じて適切に連携することを記載しています。

 以上のような内容を踏まえ、最終的な発症~急性期の診療提供体制のイメージをスライド16に載せております。まず、発症後は、救急搬送、もしくは直接受診によって患者さんが医療施設に受診されますが、その過程においては、まず脳卒中の疑い例の判別と医療施設の選定が必要になります。脳卒中が疑われず、主に初期対応を行う施設に患者さんがいらっしゃった場合には、専門的医療を行う施設と連携して適切に転院することが必要になります。

 脳卒中の急性期の専門的医療を行う施設に搬送された場合には、専門的医療を包括的に行う施設と専門的医療を行う施設が、治療適応に応じて適切かつ円滑に連携することが必要と考えます。これらを併せて発症~急性期の診療提供体制の構築に当たっては、地域の現状を踏まえる必要ではないか、また急性期の治療の安全性が担保されていることも必要ではないかと考えております。

 最後に、急性期診療提供体制の評価指標の考え方について、お示しします。このような急性期の診療提供体制が構築された場合には、適切に運用していくために体制の評価が必要になると考えます。

 急性期の診療提供体制の評価は、地域全体の評価に加えて、各医療施設の役割が果たせているかの観点も必要なため、地域の評価指標に加えて、各施設に対する評価指標も必要ではないかと考えます。また、各施設が担うべき医療機能は地域により異なるため、各施設の評価指標は地域の実状を踏まえて設定する必要があるのではないか。具体的な指標を含め、評価指標については、引き続き検討していく必要があるのではないかということをお示ししております。事務局からは以上です。

○小川()座長 ありがとうございました。今まで2回の本ワーキンググループの議論を非常に簡潔にまとめていただきまして、本当にありがとうございます。この中で構成員にお願いをして、岩手県、山口県、東京の状況を調査しましたので、補足があれば御発言いただきたいと思いますが、山口県はいかがですか。

○鈴木構成員 医療資源の乏しい地域、あるいは、ある程度充足している所で分けていただいて、少しイメージが湧いていただけると思います。あとは、地域によって施設の果たす役割も異なるので、一律の評価基準を付けるのがなかなか難しいところも理解しております。これを2つの類型として、また更に議論を深めていただければ幸いです。ありがとうございました。

○小川()座長 ありがとうございます。スライド4を御覧いただきますと、これは山口県でも岩手県でも東京でも、大体、24時間体制で完全に対応できるという施設は3分の2、都市圏でもあるいは地方でも、やはり3分の2ぐらいであるということです。岩手県の状況を少しお話させていただきますが、スライド10を御覧いただきますと、岩手県は地方自治体として北海道に次いで面積が広い地域です。四国4県とほぼ同じ面積を持っているということで、南北約200km、東西に150kmほどの広さがあるわけでして、スライド10にありますように9つの二次医療圏があります。盛岡医療圏と内陸部の一部を除きますと、二次医療圏の中で基幹病院として脳外科も神経内科も大体いるという所は、1医療圏に1施設しかないわけです。

 したがいまして、脳卒中を発症すると、地域の開業医が御覧になって、あるいは小さな病院にまず行って、そして二次医療圏の県立病院にまずは運ばれる。そこで手術等々の治療ができる所は、そこで完結をするわけですが、そこで完結しない所に関しては、盛岡地区に搬送して治療を行う形になっており、この体制そのものはかなり出来上がってはいるわけです。しかし、何分にも内陸部の一部を除きますと、二次医療圏1つについて大体10万人弱ぐらいの住民がいて、そこに総合病院は1つずつしかないという状況ですから、そういう体制の中で体制を組まなければならないということです。今度、冬場になりますとヘリも飛ばなくなりますし、地上をはって盛岡医療圏まで患者さんを搬送するのはかなり困難を伴うことですし、盛岡から一番遠い医療圏まで救急車で地上をはって行きますと、片道約3時間ぐらい掛かる状況ですから、こういう地理的な状況をお考えいただかないと、なかなか大変だということです。

 東京地区については、24時間体制の確保の例ということで、スライド7の資料におまとめいただいておりますが、長谷川先生、何か追加で。

○長谷川構成員 やはり都会と地方といいますか、医療資源によって大分違いますので、今回まとめていただいたので、前回よりかなり明確になってきたなという感じがします。

○小川()座長 ありがとうございます。したがいまして、例えば東京であれば、6割の病院が24時間体制でできるのだけれどもというところに関しては、複数の医療機関がネットワークを組んで連携をすれば24時間に近づくということで、24時間の受入体制が確保されると、これが横田参考人からのデータ、長谷川先生からのデータで明確に示されているわけです。この辺は、施設が整っている地域と地方では大分状況が違うのだということを前提にして、御議論いただかなければならないということになろうかと思います。

 ただいまの事務局説明に対して、全体を通じて何か御質問等がありましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがですか。非常によくまとめていただいたので、頭の中が随分整理されたと。状況も違う状況があるということが整理されたのではないかと思いますが、よろしゅうございますか。

○長谷川構成員 スライド14ですが、非常に分かりやすいのですが、地域の医療状況に応じて、医療資源に応じて柔軟に設定すると。地域の医療資源等々を評価するのは、いったい誰かというこの主語は、今後どうなるのかということが、恐らくこれから考えるとき重要だと思いますが、これは都道府県がということですか。t-PAの空白地帯がどこにあるかとか、この病院は24時間できるのかというのを調べるのは、いったい誰かということになります。

○石上がん・疾病対策課長補佐 今、お示ししているのは考え方の例ですから、具体的にどこが評価すべきと設定しているわけではありませんが、都道府県などが医療計画を作られていく中で、その地域の中にどのような施設等の資源があるか等は考えられているのではないかと思っております。

○荒木構成員 岡山県保健福祉部長の荒木と申します。このワーキンググループは初めての参加になり、恐縮です。議事録等を拝見させていただきまして、今の長谷川構成員の御質問は、都道府県という立場でお答えしたほうがいいのかということで発言させていただきます。最初、事務局から説明のありましたように、参考資料4で、地域医療計画の中の脳卒中の医療提供体制の現状把握の指標例があります。各都道府県では、こういう指標例を基に、大体、保健医療計画を作っております。その中のストラクチャー、一番上のカラムの急性期という所に、例えば神経内科医師数・脳神経外科医師数、3つ目に、脳梗塞に対するt-PAによる血栓溶解療法の実施可能な病院数が、例として挙げられていますので、この例を大体参考にして、各都道府県ではいろいろな関係者、医師会とか医療機関にお話を伺って、類別化していくことをしています。

 岡山県は、そういう中でたまたま急性期、本日は急性期の話ですが、急性期だけでも専門的な診療はできるABC3つに分けており、その実績を毎年聞いているのです。その3つはどう分けているかと言うと、At-PA24時間可能な所、Bt-PAの適応の判定が24時間可能な所、Cとして、t-PAの適応の判定等が診療時間内に可能な所と、それぞれ各医療機関に手上げ方式で機能を頂いて、それを公表する形にしております。更に言うと、前年、どういう実績でt-PAをやったのかとか、血管内治療をやったかという形で調査をさせていただいております。

 ですので、先ほど事務局で説明いただいたように、地域の実状に応じて、我々岡山も南部と北部で実状が全然違いますので、それに合わせた形での二次医療圏ごとの医療資源の確認とともに、それを公表していくのが、多分、24時間治療を受けたいというのが、県民あるいは地域の住民の願いですので、それを一応反映させて頑張っているというところです。すみません、長くなりました。

○小川()座長 ありがとうございました。岡山県でも南と北では大分違うという状況で、その中で柔軟に設定しつつ、できる限り住民にベストな治療を提供するという体制がどうしても必要になってくるということだろうと思います。そのほか、ありませんか。

○馬場構成員 日本医療法人協会の馬場です。大阪から参りました。医療資源の乏しい地域で、t-PA24時間可能にするためにネットワークをするということに関しては、全然反対はないのですが、スライド15、スライド16の医療機関の分担イメージとか、診療提供体制のイメージにおいて、専門的医療を行う施設がt-PA療法を含め、うんぬんと書いてある中に、24時間対応的な文言がない、これはネットワークで乗り切ろうということで、個々の医療施設については、そこが入っていないということでそれは納得できるのです。しかし、専門的医療を包括的に行う施設と、「包括的に」という言葉が付いた場合には、ここにはやはり、ストリクトではなくてもいいと思いますが、24時間対応的な要素が、やはり本来入るべきではないのかと感じています。

 何でかというと、大阪では、急性期の血栓回収術はやっていない、だけれども、脳血管内治療をできる脳外科医が1人という医療施設が結構散在しているのです。そういった所が、果たして本当に包括的に専門的医療を行う施設であって、例えば、片や24時間脳血管内治療はしないけれども、t-PA療法ができる施設があってというときに、この図が本当にイメージどおりなのかということに疑問を感じるのです。

○小川()座長 この辺に関しては、一番根幹に関わるところですので、後ほど集中的に御議論いただきたいと思います。当面は事務局でまとめていただいた、そして御説明いただいたものに関して、現時点で何か御発言がある方はいらっしゃいますか。

○今村構成員 先ほどの長谷川構成員、荒木構成員の話の関係で、参考資料4の指標のことです。このワーキンググループが立ち上がったときに、実はこの指標に何を載せるかということを決めていただくということが、1つ大きな目的だったと思いますが、議論が間に合わなかったので、医療計画のこの指標の通知が331日付けで1度出てしまっているという経緯があります。指標を作る研究班を、私が承っておりまして、この議論を踏まえて、この研究班として、ストラクチャー指標にしろ、プロセス指標にしろ拾い上げていくという作業をやっていく予定でしたが、その部分が途中で止まって、今、整理できる範囲でこちらの指標が世の中に出ていったという状況です。

 今から恐らく行われる議論と、この検討会の結論から、ここに新たな管理指標、こういったところを見ていったほうがいいですということを入れていくべきだと思うので、今後、議論いただく際には、ここにいったい何を加えたら都道府県で進行管理ができて、この議論を反映させるような医療体制ができるのかということを考えてもらうためのきっかけになると思いますし、それが、今、NDBなどから分かるものは、大概拾ってきていると思います。例えば、学会のほうからこういう数字なら出せるとか、運営委員会からこういう数字なら出せるということを言っていただければ、ここに載せることができるのです。それを県庁のほうから、各病院にこういう数字を出してくださいと言っても、それは余計な作業になってしまって、普通なら、なかなか数字ができない。でも、学会なりを通じて、共通のこのような数字をみんなで作りましょうと考えていただけると、都道府県もその数字を集めて進行管理に使っていけるという状況があると思います。これ、恐らく中間見直しをすると思いますので、331日には間に合いませんでしたけれども、次の機会には挙げていくべき項目を、是非、この検討会から提示していただければと思います。以上です。

○小川()座長 先生、例えば、具体的にはどういうような項目をお考えでしょうか。

○今村構成員 例えばt-PAの実施率とかで出していますが、本当は適応でしたが、病院に着いたけれども、時間的に間に合わなかったとか。もし、そのような数字が出せれば。

○小川()座長 そういうデータですね。

○今村構成員 そうですね。各病院では把握している可能性が高い数字で、進行管理に必要な数字というものがあればということです。

○美原構成員 スライド14のことですが、先ほど、ネットワークでそれぞれの施設が提供する医療機能に関して、きちんとデータがあるのかと。恐らく現時点において、もう脳卒中協会を中心にしっかりとしたデータがあるのだろうと思います。我々はそれを毎回、脳卒中協会のほうに出していき、ただ、脳卒中協会が公的な機関と見るかどうかといろいろ議論になるところですが、少なくとも、そういうものはあるだろうと。

 そういうようなことを見ると、山口県、岩手県のように非常に広くて特殊な地域はともかくとして、群馬県程度の地方と言うか、そう言ったらちょっと語弊がありますが、地方都市においては、ある程度ネットワークそのもの自体は、もう、できているのだろうと思います。できているけれども、それが機能しているかどうかということがとても問題なのだろうと思います。

 例えば、我々の二次医療圏の中には、t-PAのできる病院が、24時間体制、あるいは24時間体制でなくても、あって、そのときに、t-PAができなくて困るというような印象は、余り持っていません。しかしながら、血管内治療にもっていこう、すなわち、drip and shipというようなことを考えたときに、我々の地域では、昨年度は1例だけでした。つまり、それは、そこの病院でそれをしようとしないわけです。

 それから、もう1つ重要なことは、スライド14に「安全性を担保しながら」という言葉がありますが、そこに「適切性」という言葉も一緒に入れるべきであるように思います。というのは、t-PAは、本当に全部必要なものにやられているのか。本来は適応がないものにもやられているのではないかということを私は危惧する場合があります。

 例えば、PIAであったら、もうやらないわけです。でも、封を切ったからやってしまおうとか、そういうことがあっていいのか分かりませんが。あるいは、今、看護必要度の問題とかは、t-PAはやるかやらないかで大分変わってきてしまいますし、その辺の適切に行われているかというところも、性善説で見れば、もちろんきちんと適切に行われているのでしょうが、果たしてそうなのだろうか。

 例えば、ある病院では、非常に実施率が多いということも、何でこのように多いのだろうと思う所がないわけではないのです。ですから、その辺の意味で、安全性及び適切性ということも何らかの形で入れていいのではないかと思いました。以上です。

○小川()座長 ありがとうございます。                          

○長谷川構成員 ただいまの御意見とも重なりますが、先ほどのインディケーターの件ですけれども、これは、今から56年前でしょうか、峰松一夫先生が、急性期脳卒中のインディケーター班を立ち上げられまして、多分あのときは14ぐらいのインディケーターだったと思います。分母と分子もきちんと決められておりまして、現在、ちょっと時間がkmたっていますので、少し改訂しなければいけないかと思いますが、あのときはヨーロッパのインディケーター、米国のインディケーター、その他全部検討をして、どうやれば現在の医療の中からでも取り上げられるかという形で検討しております。恐らくそれを少し御議論いただいたら、全国でできるようなものが何か拾われるのではないかと思います。

 もう1つ、この会の一番最初のとき、がんの対策においては、がんの5年生存率というのが、徹底的に重要なインディケーターになっていますけれども、脳卒中の分野で本当のことを申しますと、90日後のmodified Rankin Scaleなのです。ところが、なかなかこれは今の医療体制の中だけで議論してしまいますと、つまり急性から次の回復期にいってしまったときに、なかなか90日後のmodified Rankin Scaleは拾えないという、世界的にも、ちょっと非常に困った状況があります。その辺をどうするかという議論も本当のことを申しますと、必要かなと思っております。

○小川()座長 そうですね、その辺は非常に重要なポイントです。ほかにありませんでしょうか。

○川勝構成員 川勝です。この間、この資料を頂いて、ずっと読んでいて、根っこの問題で恐縮ですが、私は脳梗塞の経験者です。これは何ら違和感なくずっと読み切ったのですけれども、これ、「脳出血の急性期診療体制」という読み込みはできるのですか、これで。脳出血の患者さんへの治療は、私はどういう治療をするのか知りませんが、それがこの中に織り込めているのですか。

○鈴木構成員 山口県では、Tele-Stroke Advanceは、ストローク全般に関わりますので、もちろん脳出血でも同じ方法です。専門医がいない所では、脳出血の画像が送られてきて、診断して、では「stay」、そこで診てくださいということもありますし、「ship」、送ってくださいということもあります。山口県の体制では、先生の御心配はない。ただ、ほかの施設では、まだ、いろいろ御意見があると思います。

○小川()座長 どうですか、それはそういう形にはなっていないということはありますか。

○長谷川構成員 t-PAというのは日本で議論されていますが、そのもっと根底には、多職種で治療することによって、全ての脳卒中患者が良くなるという。例えば、11人に多職種医療を行うと、1人の脳卒中患者を助けられるというエビデンスがあります。それはt-PAに限らず、脳卒中を受ける全ての病院がもつべきだと思います。手術をするしないにかかわらず、多職種医療、それは、医師と看護師とリハビリ、この、コアな3つさえ居れば、どんな地方でもできるのです。それは脳出血で、手術適応がない人でも危険性がなくなったら、すぐリハビリを始めるといったような体制なのです。それが当然ありながら、更にt-PAもできるという議論を今しているので、t-PAができる所は当然、脳出血もコントロールができる所でなければいけない、あるはずだという議論になっていると思います。

○小川()座長 今の意見についていかがでしょうか。

 私も長谷川先生と同じ考えですが、岩手県の状況を見ても、脳出血にしても、くも膜下出血にしても、脳梗塞にしても、結局、患者さんの動きというのはほとんど同じで、9つの二次医療圏にある総合病院に必ず集まるという形で、そこで、余り難しい動脈瘤でなければ、そこの脳外科医が手術をして、そのままそこのあれで完結します。それから、非常に難しい動脈瘤であれば、岩手医大の高度救命救急センターのほうへ必ず移されるという形になっています。基本的には、t-PAの診療体制と、脳出血、くも膜下出血の診療体制は同じだと理解しております。よろしいですか。ほかにありますでしょうか。

 それでは、本日は非常に大事な議論をしなければなりません。急性期の診療供給体制に向けた考え方を、この中に入れ込んでいかなければならないわけです。その辺について、資料、スライド1217まであります。この辺のところ、先ほど、問題点も御指摘されましたけれども、そこで、最終的な形としては、スライド12にあるように、医療資源が乏しい地域ではどのようにすればいいか。医療資源が豊富な地域ではどういう体制を構築できるかということで、これを支えるベースが、その後にいろいろありますが、この辺について、御議論いただければと思います。いかがでしょうか。

○宮崎構成員 日本病院会の宮崎です。スライド12の要点はやはり双方が矢印で結ばれている「連携」だと思います。連携ということは、患者さんを送るということですが、送るためには、それに先立って、その情報が行っていないと、急に送られても困る。当然仲がいい病院であれば、すぐに連携がつくようになっているのでいいのですが、ネットワークは今、ITを使ったものができていますけれども、例えば、群馬県の前橋の例などを見ても、NECID-Linkと、富士通のHumanBridgeでしたか、お互いに病院同士は仲がいいのですが、急なときに役に立たないような。ですから、これを矢印で連携しなさいというのはいいのですが、その手段をもう少し明確にして、そして、そこで情報のやり取りを先にできれば、それはそちらでもう少し診ていてもいいのではないかとか、それは、すぐに送ってくださいということも言えますし、そのまた状態によっては、では、こちらがすぐに手術の準備を始めておく、今の脳出血などもそうだと思いますが、ある程度切迫していれば、手術の準備、麻酔医を呼んでおくとかそういうことも可能ですから。やはり患者さんの移動の前に情報をきちんとやり取りする仕組みをしっかり作らないといけないと思います。

 それを作るために、一時、総務省もいろいろお金も出したりして、いろいろな所にネットワークを作ったわけですが、補助金が終わると、維持費が無くて、ネットワークが機能していないという例が随分あります。これをもうちょっと実用的な、余りお金を掛けるということではなくて、あるいは、メーカーのほうにもしっかりした情報の伝達ができるような、そういう企画を、DICOMのような。今、DICOMになって、随分画像はみんなできるようになりましたけれども、そういう仕組みを浸透させていく、国として、ある程度指導していく必要があるかと思います。以上です。

○小川()座長 大変重要な御指摘ですが、この件に関して何かありますでしょうか。

 実は、これに手を着けると、とんでもないことになるのです。というのは、20年、30年も、ITの連携システムに関しては、国が膨大なお金を出して、今まで各県で作ってきたのですが、実際には、現在どういう状況になっているのかというと、埃にまみれて、その辺にぶん投げられているという状況です。

 もう1つは、病院内のITのシステムに関しては、例えば、NEC、富士通、GEとか様々な企業が入っています。そして、自分たちの権益を守るために、データにバリアを張ってあるわけです。したがって例えば、NECの電子カルテを使った所は、次もNECを使わないとうまくいかないという状況が生じていて、大変この辺に関しては、こういう小さな1つの委員会だけで解決するものではなくて、ほとんど日本全体で解決しないとできないような状況だと思います。

 一方で、非常にITの高性能化が進んできていますので、別にそれほど大きなお金を掛けなくても、例えば画像の転送とか、そういうものに関しては非常に簡単になってきたということも事実です。今までとんでもないお金を使って、倉庫に眠っているような連携システムを再構させる必要は、かえってないし、それを再構させると、かえってお金が掛かるというジレンマにもなっていますので。この辺は、これも先ほどどこかで出てきた地域における特殊性というところに、結局くくられると思います。

 というのは、要するに、この地域では、A病院とB病院を結ぶときに、現在は大変ですが、こういう簡単な、すごく安いシステムを少しいじれば可能になるとか、そういうことではないかと私は思っております。何か御意見はありますでしょうか。

○長谷川構成員 遠隔医療については、10年ぐらい日本は遅れていまして、ネットで「Tele-stroke」という名前で入れていただいたら、もう全部各国のものが出てくるようになっております。テレビ会議システムでいいので、して、HISをつなげる必要がないと。ですから、現在の日本のテレビ会議システムそのものを入れても、十分、患者さんの診察もできますし、それから、相手方のMRIのデータも見ることができる。値段的に言うと、今、80万円ぐらいを1つの施設で掛ければ、十分できるのです。何でできないかというと、それにお金が付いていないからです。お金さえ少し付けば、恐らく海外のシンガホールでも、アメリカ、ヨーロッパでもやっていますので、当然できることだと思っております。

○小川()座長 美原構成員、どうぞ。

○美原構成員 スライド12のどちらもですけれども、「補助があれば、t-PA療法が可能な施設」の「補助」というのは一体何を示しているかというところかと思います。今、ITを使って画像を専門家が見る。あるいは、大動脈の解離がないかCTを見るとか。これらは、相談するとか相談しないとかではなくて、t-PAを実施するにはその講習会を受けるべきだとあるのであれば、そこのところでがっちり教育しておいて、やるやらないというところ、まず、t-PAを打つか打たないか、必要であればなるべく早くやるべきことで、そこのところで「必要な補助」というのは一体何だろうかということを、もう一度議論すべきだと思います。

 そして、t-PAを打った、打ってすぐに次のdripが必要であるといったときに、初めて先とお話をするのかもしれないし、例えば、ICが詰まっていたときに、t-PAを打たないでいきますかという話をするのかしないのか私は分かりませんが、少なくとも、補助というものが明確にならないと、これから先の議論というのがいかないように思います。その後に、今の情報伝達という話がくるのかもしれないと思います。

○小川()座長 ありがとうございます。

○鈴木構成員 この議論は、今までの検討会で言った、先生が御覧になっているスライド12の、例えば、医療資源の乏しい地域であれば、遠隔医療を用いた診断の補助というのが、1つのカテゴリーですし、こういうことを指していると思います。ですから、少なくとも、それは画像に一応慣れた、それも経験のある者が診断の補助をして、なるべくt-PAの講習会を受けた神経系以外の医師でも打てるようなシステムというのが大事だろうと感じております。

○美原構成員 ということは、いわゆる補助があればというところでは、t-PAを打つドクターは、CTMRIが読めなくてもいいということになってしまうのでしょうか。

○鈴木構成員 それは極端な議論でして。

○美原構成員 それは非常にリスキー。

○鈴木構成員 もちろんその施設でいつも見ていらっしゃる方なので、慎重を期すならば、なるべくそのリスクを避けるためには相談していただいて、包括的なそういうストロークセンターの人間が診断の補助をさせていただくという考えではないでしょうか。

○長谷川構成員 今のSCU、脳卒中ケアユニット加算が、1年半ぐらい前に変わりましたが、その中にも実は、遠隔医療をしてよいという形で書き込まれています、それは、ただし、「その施設の人が家に居ながら自分の病院を」、というところまでなのですけれども。恐らくそれがもう少し、学会などから本当のことを言えば、どういう人がやるべきかとか、先生のおっしゃったような基準でやるとか、そういうことをやはり作らなければいけないというところに、もうそろそろきているのかなと思います。

○小川()座長 この辺に関しては、参考資料1を御覧いただくと、これは実は第1回の、このワーキンググループのときに議論が出ました。817日のワーキンググループですが、これを受けまして、要するに、t-PAの静注療法の適正治療指針がかなり厳しいのではないかという御指摘があったわけです。

t-PAがスタートしたときに、出血性の合併症が非常に多いのではないかという危惧がありまして、t-PAに関しては、初期全例調査までやりました。ところが、その結果、それほど出血性の合併症で致死的なものが多くないということが明確になって、これを受けまして、脳卒中学会のほうに申入れを行いまして、20169月、ですから、例の第1回のワーキンググループの後で、速やかに、1か月ぐらいで脳卒中学会に対応していただいたのです。

 参考資料1にあるように、脳卒中診療担当医は、脳卒中学会の承認する講習を受講することが望ましいということになっていて、ここでやはりトレーニングはしてくださいと。ただ、診療担当医が救急搬送後、可及的速やかに診療が開始できるようなあれがあればいいということでして、前にあったようなストロークケアユニットレベルの非常に高い施設でなくても、t-PAを使用してよろしいということ。

 それから、脳神経外科的処置が迅速に行える体制が整備されているということは、一番始めの条件だったのですが、これも一応、脳神経外科処置については、2時間以内に脳外科医が来て、あるいは患者さんを動かして、きちんと処置ができればよろしいということに、これで変わったわけです。したがって、24時間体制で体制を組まなければならないという縛りがあったわけですが、この24時間体制というのも、一応、治療指針の中からは消えたということになります。そういう意味では、やれる施設は大幅に広がったと。これは、安全性を無視してやったわけではありません。今までt-PAがスタートしてから、今までのエビデンスをこの委員会で十分に検討して、このぐらいのあれであれば、出血性の合併症、致死的な出血性の合併症を増やすことはないということから、こういうような改訂を行ったわけです。したがって、この改訂の中で、改訂の内容に沿って、更に体制をどうするかということを御議論いただければよろしいかと思います。よろしいですか。どなたかありますでしょうか。

○小川()構成員 私は心臓が専門ですが、t-PAは言ったように20年以上前に治療して、その場合は、循環器内科医以外でも打って、結構効果は上がっていたのです。

1つ、提案です。今、私もt-PAは余りやっていませんので分かりませんが、診断を付けるのは、脳卒中専門医以外に、結構、放射線科医がこの頃多いのですが、放射線科医の存在というのはどうなっているのでしょうか。治療を許可するか、許可しないかの放射線科医の診断というのはどうなっているのでしょうか。

○小川()座長 どうでしょうか。

○長谷川構成員 t-PA静注で一番重要なのは、もう画像診断ではないのです。NIH Stroke Scaleが取れるかどうかです。すなわち、重症な患者さんに打つと、出血性の合併症を起こすということです。ですから、NIH Stroke Scaleというのは、きちんと取り方があります。そうすると、年に12例しかt-PAをやらないような所では、あっ、NIH Stroke Scaleはどうだったかなと、もう忘れてしまうのです。だから、テレビ会議システムで、先生、こうやりましょうね、あっ、ここですよと、それだけ言えばいいわけです。静注するのはそこの人が当然やるわけですが、ただ、それだけしか使っていません、海外でも。ですから、遠くからt-PAを打っていいという指示をする必要もないわけです。要は、NIH Stroke Scaleがとても重要ですから、だから、スマホでは無理なのです。スマホはスマホなりの、別の意義でいろいろ使っている方がありますが、NIH Stroke Scaleが必要だというのは、米国も、あるいはヨーロッパのTele-SCUという形になっています。

○小川()構成員 分かりました。

○小川()座長 長谷川先生、Teleでやったときに、現地に居なくてもNIH Stroke Scaleは、いろいろお話をすればチェックはできますよね。

○長谷川構成員 はい。

○小川()座長 ということは、先生のおっしゃっているのは、例えば遠隔でやる場合に、現地には若い医師しかいないのだけれども、画像のデータをその所管の病院に送って、そして、そこの専門医といろいろな意味でお話して、患者さんの状態をお伝えして、NIH Stroke Scaleはこのぐらいだから、これはいいでしょうということで、やってもいいという考えですね。

○長谷川構成員 そうです。

○小川()座長 ということになると、t-PA静注そのものは、別にこれはドクターでなくても、看護師が注射するのでも構わないわけです。ただ、静注するだけですから。静注にテクニックが必要なわけではないので、要するに、t-PAを使用する場合に、静注をするという医療行為が非常に難しいわけではなくて、これは非常に簡単な、一番基本的なものですから、どなたでもできるということ。ただ、問題は、先ほどお話になったように、NIH Stroke Scaleとか、患者さんの状態を正確に把握して、そして、画像診断を正確に把握して、これは適応で使ってもいい症例なのかどうかということを選別するということ。ここが一番重要なわけです。というような基本的な考えの下に、そのネットワークを含めた、どのようなt-PAを使うルールを決めていけばいいのかということを御議論いただければよろしいかと思います。

○宮崎構成員 現実には、今の若いドクターの考え方は専門医になっていますので、自分がある程度、脳卒中専門医であると、神経内科、あるいは脳外科でもいいのですが。他の科でもある程度しっかりやっている救急医ならば大丈夫だと思うのですが、他の科の先生に頼もうとしても、多分これをやったために自分に責任が来てしまうのではないかというようなことがありますので、過度に専門医になり過ぎていて駄目なので、やはり総合医的な意識で、自分も脳卒中が必要ならば、入り口ぐらいまでは診てもいいですよという気持ちのある医師が、特に今の病院ではなかなかおりません。ですので、これを推奨しても実際問題として難しいのではないかと。経営者は皆そうしてくれれば有り難いと思うのでしょうが、実際の現場の担当医はなかなかそうはいかない、むしろ送ることを考えてしまうと。そうすると、送る場合は先ほどのように、経過や新規症状も加えて相談ができること。ITシステムは画像だけではもちろん駄目で、脳外科の画像は極端なことを言うとそれほど詳しい画像ではないと思うのです、低吸収域だとか、白か黒かみたいなところで、ある程度いきますので。画像は、インターネットのJPEG程度の画像でも十分役に立つわけです。むしろそのときに、先生がおっしゃったように、これはどうなのだというようなことを、テレビ会議システムで双方向で相談できて、専門医に相談をした相手のドクターがある程度確信を持って言ってくれれば、手伝えると思います。そうでないと、内科や他の科の担当医はなかなかそれをする勇気がないのではないかと、現実的にはそう思います。

○長谷川構成員 おっしゃるとおりで、スライドの4番で、24時間体制で脳卒中を受け入れられない所が、やはり各県に4割ぐらいはあるわけですね。逆に言うと、24時間はできないけれども、昼間にある脳外科の先生がいたら、そこはt-PAをやっているわけなのです。ですから、夜中であったり、その専門医がいないところを、今は家に専門医がいるときにはTele-strokeをやってもいいよというところまではOKなのです。これを、今度は大きな総包括的なところからエンドースしてあげるということで、恐らく24時間体制でなかった所が24時間体制になりますから、かなりの部分がt-PAができるようになるという試算から始めるといいのではないかと思っていますが。

○小川()座長 宮崎先生のお話も少し極端なので。というのは、例えば耳鼻科の当直医に、ではこれをさせるかということになると、そうではないとは思うのですよ。やはり、少なくとも脳卒中を診たことがあるような先生方が担当せざるを得ないのだろうと思います。その中で、NIH Stroke Scale、患者さんの状態を把握するにしても、全く脳卒中も診たこともないし、そういう評価もしたことのないような方が電話で相談しても、なかなか正確な情報をお手伝えすることはできないわけです。そういう方々までt-PAの静注をしてもいいですよということには、基本的にはならないと思います。

 ですから、少なくともほとんどの基幹病院には脳卒中専門医はいらっしゃるわけです。それから、岩手県ですと、かなりのパーセンテージで神経内科の専門医はいるわけです。ただ、夜間などでそういう方々が自宅に帰っているときにどうするか、というようなことだろうと思うのです。

 スライド12に戻りますが、例えばこのようなネットワーク構築のイメージが妥当性のあるものなのかどうか。あるいは、この中に更に付け加えて、何か入れておくべきようなものがあるのかどうかを、少し御議論いただければと思いますが。

○美原構成員 今の長谷川先生のお話で、ああ、なるほどと思ったことは、うちは単科病院ですので、神経内科と脳外科のドクターしかいませんので、そのようなこと、耳鼻科の先生がやるということを想定していませんでした。24時間やるということで、例えばそこに耳鼻科の先生が当直していて、院内、院外に脳卒中の専門家の先生がいて、電話でやると、非常に上がるだろうなとは思います。そうすると、病院対病院ではなくて、病院の中のドクター同士、今はうちでもドクターが家に帰るときにはパソコンを持って行って画像を見たりしてやっていますので、そういうことは院内でもう既にできています。それを更に、例えばスライド12の医療資源の乏しい所において、院内に脳外科や神経内科のドクターがいないような中核病院において、もっと大きな病院の神経内科や脳神経外科の先生と相談するような体制を整えるという意味と捉えてよろしいのでしょうか。

○長谷川構成員 これは、2つのステップがあります。t-PA24時間体制ではできないけれどもという所では、割と簡単に24時間体制にできます。ところが、それを除いても実は空白地帯、一切専門家がいない、t-PAもやったことがないという所に住んでおられる日本の国民がいるわけです。それは、島しょ地区かもしれないし、いろいろな所におられます。では、その所をどうするかということですが、実はt-PAというのは打つのは簡単なのですが、その後の24時間以上の観察、それから麻痺が起こったときのリハビリテーションが、非常に重要になってきます。このときのキーワードが、米国、あるいはヨーロッパではdrip and shipになっているわけです。すなわち、そこではキープできないから、その後の急性期のリハビリテーションも含めて、どこかに運ばなければと。

 このdrip and shipの体制を米国が取るのにも、56年掛かっていますので、少なくとも日本では先ほど言った24時間体制でない所は遠隔医療で早く24時間体制にしなさいというところから始めて、さらにdrip and shipというのは3つの病院が関係してきます。そこの病院と送られる病院、この3つというのは非常に難しいのです。米国でも、ここにお金をどう付けるかというので、数年間DPCを見ながら決めていますので、日本はもう少し時間が掛かるのかなという感じがします。

○美原構成員 もう1つ、t-PAを打つか打たないかに関しては、チェックリストがあるので、それを完璧に埋めなければどうにもならないわけです。ですから、画像も血液のデータも既往歴も、それからNIHSSスコアも、全部書かないといけないのです。それがなければ、あとでそれがチェックできないので、とても怖いです。ですから、そこのやる、やらないということは、これを埋めなさい、それを埋められるドクターがいれば、あるいは埋めることができれば打てるということが、重要なのだろうと思います。そうしたときに、この補助というのは、やっていいよというスコアが埋められるということの手助けというように絞ってやると、話は楽なのかもしれないなと思いました。以上です。

○小川()座長 そのほか、いかがでしょうか。

○今村構成員 先ほどの長谷川先生の後者のほうのパターンですごく問題だと思うのは、例えば山口県を見させていただいても、脳卒中を受け入れていただいている病院がたくさんあるのですが、t-PAをやっていない所があります。ですから、その病院に運び込まれた人は、多分t-PAを打つことができない環境にあるのだと思います。そういったところを、どうやってt-PAを打ってもらうことができるようにするかが、先ほどの学会の基準を少し緩めてはどうかということだと思うのです。

 ステップとしては、まず施設そのものが施設認定を受けて、t-PAを打ってもいいですよというところに持ち上げてあげるというステップ、その第1段階がこの学会の基準を緩めるということだと思うのですね。しかし、これをきちんと厚生労働省の施設基準の認定に反映させてもらって、それを周知していかないといけないと思うのですが、その辺りのステップはまだ進んでないように思います。せっかくここまで進めていただいているのだから、それはやはりやっていってもらいたいと思いますし、それを周知して、まずできる、やっても構わないという環境ができて、そこから実際に打つ先生が決断をするために何が必要かと、そういうステップに分けて、議論をしていただく必要があると思います。

○長谷川構成員 これは、実は第1回目のこの会議でも議論がありました。2005年にt-PAを始めたときに、非常に危険性があるのではないかということで、SCUという基準を非常に高くし過ぎたということがありました。そのために、現在SCUという名前の付いた所は、日本には134施設しかなく、ない所がたくさんあります。ですから、これを緩めたというのが去年の9月の学会で大きく風呂敷を広げましたと。では、これからt-PAをやれる所はどこですかという議論が、ここで始まってしまったわけですね。今までは、SCUイコールt-PA静注施設という、このSCUt-PA静注施設をイコールで結んでいたのですが、これからはそうはいかなくなってしまいます。

 ということで、今は循環器病、脳卒中の5カ年計画などで議論がある、脳卒中センターという形にきちんと指定していただけないかということになります。すなわち、遠隔医療で24時間t-PAも、先ほどの脳出血も急性期のリハビリテーションもきちんとできますよという所。あるいは、遠隔医療は要らなくて、自分できちんと自立して24時間できるという脳卒中センター。あるいは、それらを遠隔医療で補助するような包括的な所、こういった所を、恐らくこれからは考えなければいけないです。今までのt-PA静注施設イコールSCU加算病棟というのもなくなったと考えていかなければいけません。そのために、Primary Stroke CenterComprehensive Stroke Centerはどうするのかという議論にならないといけないのだろうと思います。

○小川()座長 そうなったときに、ではそこを認定する主体はどこになるのですか。

○長谷川構成員 これは、厚労省のお金が付かないと絶対に動きませんから、例えば脳卒中ケアユニット加算というものを作っていただければ、それなりに動いているわけです。ですから、今度は遠隔医療を含めて、今までの脳卒中ケアユニットと同じような医療レベルをもった所を、同じようなお金で付けるのか、それとも遠隔医療側に少しお金を付けるのかという辺りをきちんと議論していかないといけないので、次の診療報酬改定ぐらいに考えていただかなければいけないと思っています。

○美原構成員 今の遠隔医療の問題なのですが、そのようにして遠隔医療をやると、コストが付く、付けばいいと思いますが、そうすると、必要がない所まで取りに行くわけです。これは、私はすごく大きな問題だと思います。例えば、都会においては遠隔医療なんかは要らないわけです。ここに出ているような医療資源の乏しい地域においては遠隔医療が必要であろうと思いますが、東京のど真ん中でそんなものは必要ないかもしれないし、地方都市でももしかしたら必要でもないかもしれません。ただ、それを一律に診療報酬上で認めると、要らなくても皆取りに行くわけです。そのようなことがないような配慮も、とても重要だと思います。

○小川()座長 今、長谷川先生がおっしゃったように、国が脳卒中センターを作ったときに、それにある程度の政策誘導をするのであれば、何らかの診療報酬上の加算も必要で、そして、それを脳卒中センターとして認めるか認めないかは、国がやるべきだというお考えもあるわけですが、この辺に関しては厚生労働省としてはいかがですか。

○石上がん・疾病対策課長補佐 今のところ今回の検討に関しては、直接診療報酬と結びつくものとは考えておりませんので、まずは考え方について御議論いただければと思っております。

○鈴木構成員 例えば、私たちが導入しているものは、もちろん画像や動画で神経症状も分かるシステムです。これは薬事が通っているシステムで、これを導入すると1,000万円以上掛かるわけです。これを、t-PAの均てん化のために必要だということで進めていくならば、必ず保険診療上インセンティブのようなバックアップがないと、これはなかなか進まないと感じています。

○宮崎構成員 この議論が始まってからずっと思っていたのですが、ここで議論をして、いずれ報告書ができるのだろうと思います。これを、どのように政策にしていくのかは、今はまだ具体的には決まっていないということですが、そこをある程度スケジュール感なり何なりして、どのように反映していくかをもう少し明確にしないと、議論をして良い報告書はできたけれども、それで終わってしまったねということでは困るのではないかと。331日に既に指標も出ており、一応の計画が出てしまいましたよね。そうすると、次にこのような機会がいつになるのか。何をもって政策を進めていくのか。それは、ここで議論するべきなのかどうかはよく分かりませんが、それをしていただかないと議論のしがいがないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○小川()座長 その辺りはいかがですか。

○石上がん・疾病対策課長補佐 御指摘いただきましたように、当初はこの3月の医療計画の通知なども視野には入れておりましたが、すでに時期がずれております。現在は、ここで御議論いただいたような内容を、例えば都道府県が医療計画を考えるに当たって、どのように考えていったらよいかのヒントになるようなものにできればと考えております。第2回の脳卒中に係るワーキンググループでお示しいたしましたとおり、6月を目処に議論を整理、報告する予定です。

○小川()座長 ですから報告書を作るときに、例えばインセンティブをつけるためには、どうしても診療報酬と連動しなければ駄目だというような書きぶりは、幾らでも書けるとは思うのです。ただ、それが現実に診療報酬に反映するかどうかはまた別な問題ですし、この委員会の責任で決められる問題ではありませんので、これは致し方ないことだと思います。

○今村構成員 多分、厚生労働省は言いにくいと思うので私が代わりに言わせていただくと、やはりここでこうするべきだということを言っていかない限り、なかなか出発点として様々な制度を変えていくことができないと思うのですね。医療計画が間に合わなかったのは大変残念なことなのですが、しかしこれは定期的に変わっていくのですね。例えば、これは3年後には恐らく中間の見直しは必ずやると思います。その時点で、このように変えるべきだという根幹があれば、その時点ではそちらに反映させていくことができると。

 実際に施策に反映させていくとすれば、まずは医療計画のように医政局がやっているような部分にどう乗せていくか。もう1つは、保険局がやっているような診療報酬にどう乗せていくかです。両方に乗せていかないと、施策は出ていかないのですね。しかし、疾病ごとにどのように対策を取るのかを考えられる場所としては、疾病単位の検討会しかないと思うので、やはりここでこうあるべきだと。診療報酬に事細かに書くと多分こちらがしんどいと思うので、診療報酬上に配慮が必要なパーツと、医療計画上に配慮が必要なパーツという考え方で、施策に何を反映させていくのかということは整理をして書いていったほうがいいと思います。それがすぐに反映できるかどうかは保証の限りではないのですが、今後の議論の際にこれがありますというものがあれば、多分他にベースになるものがないので、それを基に様々な施策を立てていきやすくなると思うのです。

 例えば診断基準も、t-PAの施設認定の基準は今まではこれでされてきたわけですから、この本体が変われば必然的に向こうは前の基準でやり続けることが難しくなるのですね。ですから、どう、いつのタイミングで反映させることができるかということにまで追い込むことができているわけです。そういう意味では、施策に反映できるような対策を、この検討会の成果としては上げつつあると思います。

 では、いかにこれから先の議論を、そのような施策につなげやすいものとして持ち上げるかということを考えていただくと、やりやすいのではないかと思います。

○小川()座長 今の今村先生のお話は、非常に重要なポイントでした。せっかく、急性期の診療供給体制の議論をしていますので、このような体制になるべきだと。そのときに、先ほど鈴木構成員からも御指摘がありましたように、ある程度の診療報酬のバックアップがなければ、なかなか均てん化することは難しいということは、正しくそのとおりです。いずれ、医療計画にも楔を打ち込んでその中に入っていかないと、実際には絵に描いた餅だけになってしまい、報告書で終わってしまうということになります。当然政策に反映をしていくためには、医療計画の中にも書き込んでいただく必要がありますし、診療報酬上の何らかのバックアップも必要だと思います。そういうことを含めて、御議論いただければと思います。

○田村構成員 長谷川先生から、脳卒中の治療はチームでということですので、私は看護職の立場から。このネットワークの中に看護職で、特に脳卒中リハビリテーション看護認定看護師がおります。この方たちは、NIHSSの判定の学習を必ず45時間取ります。それから、頭頚部の観察を何時間ごとにどれだけしなければいけないかなど、疾患に関することやその後の機能障害と看護も含めて630時間、6か月を掛けてストロークのみの学習をしますので、そういう人的資源をまず使っていただきたいという部分を、ネットワークの構築の中でも考えていただきたいということをお願いします。

○荒木構成員 都道府県の行政、地域医療の立場で申し上げますと、正にこの検討会は非常に重要です。何かといいますと、先ほども申し上げましたように、都道府県では地域保健医療計画を作る中で、各県の医療体制の整備目標を示していきます。例えば、先ほどの参考資料4は既に出ている、あくまでも指標例ですので、これを基に先ほど申し上げましたように、急性期の指標の中でも、例えば岡山では24時間t-PAができる所、あるいはt-PAを判断できる所、診療時間内でできる所ということで、都道府県の実状に合わせて、指標も少しモディファイして作っております。

 本検討会で、最先端、あるいは先ほどの山口のようなサクセスモデルのようなものを頂けますと、我々としても非常に助かります。そういうことで、あるべき姿、あるいは今の最先端の技術や最先端の医療現場においては、ここまでできるので、このようなものが望ましいという議論を是非進めていただくと、私も構成員ですが、県としては大変有り難いというのが1点です。

 もう一点は、16ページの診療体制のお話をする際に、先ほど医療機関間の事前の情報共有も必要だという議論があったと思います。救急の一部になりますので、やはり病院前救護の部分の搬送体制ということで、例えばMC協議会のような消防と医療機関がきちんと綿密に連絡を取ることも都道府県で主催はしているのですが、病院前救護の段階における啓発をしたり、最近ですと救急救命士も指導救命士のような、ある程度レベルの高い救命士をつくろうとしています。その中に、例えば脳卒中教育もしっかり入れていくことも重要かなと思いましたので、まずは病院前救護との情報共有もしっかり果たしてほしいです。あとは、消防とも更にきちんと理解を進めていければと思っています。以上です。

○小川()座長 今のことも、大変重要です。オールジャパンの診療供給体制を構築しても、現実には動きません、地域地域によって全く状況が違いますから。したがって、きめ細かい診療供給体制を確立するということになりますと、各地域地域の実状に合わせてそれを変えていかなければ、実際にはうまくいかないのだろうと思います。ですから、本当は金太郎飴みたいに、きちんとしたシステムを、オールジャパンのシステムはこうあるべきだということでポンと出して、それが各地区で実施できれば、こんなにいいことはありませんが、それは到底不可能ですから、地域地域にどういう病院があるか、あるいはそこにどういう医師がいるのかということも全部入った上での診療供給体制になります。そういう意味では、かなり地域を取り込んで、きめ細かい供給体制を作っていかなければならないのだろうと思います。

○羽鳥構成員 脳卒中が医療費に与える影響はものすごく大きいので、やはり本気でやらなければいけないと思います。ここでの目的は、やはりこの参考資料4の指標をきちんと作っていくことだと思います。おっしゃるように、都会と医療資源が乏しい所などの3つぐらいに恐らく類型化はできると思いますので、それに従ってやっていくことだろうと思います。

 参考資料1にあるように、t-PAの第二版が出ましたので、これに基づいて指標を作ることが、かなり可能になってきます。少なくともこの会では、参考資料4をきちんと書き加えていくことを先生に指導していただければと思います。

○鈴木構成員 今村先生にお伺いとお願いなのですが、将来にわたる私たちの努力が正確に反映されるためには、今後t-PAがどのように普及していったか、そのデータの推移が必要だと思います。しかし、現状ではオールジャパンのt-PA使用総数とか、二次医療圏での使用頻度の差等を把握できていないと感じます。私、山口県でt-PAの状況を調査する際に非常に苦労して、DPCから拾ったデータを基本にページ4に挙げさせていただきました。ただ、DPC施設がない所はできません。さらにdrip and shipで外来で投与するとDPCから外れますので、把握されません。従って石上先生も日本のt-PA均霑化の状況を、把握されるのにご苦労されたと思います。

 ですから、まず、それをどのようにして把握するか。現状はこうだというところからスタートして、これからこの検討会でいろいろなアイディアが出されてそれが地方に普及したときに、従いまして、tPA投与を少なくとも2次医療圏できっちり把握して時系列で検討可能となれば政策の評価も可能となるだろうし、国民に向けて発信する非常に大きなツールになるのではないかと思うのです。何か先生、そこら辺のアイディアはございますか。

○今村構成員 今、先生に御指摘いただいたのが本当に重要なところで、悩ましいところです。例えば、これ、●の付いているt-PAの実施件数って、今医政局から、各都道府県にはデータとしては渡っているのですね。それを都道府県がどんな形で各県内に提示するかというのは、各都道府県に任されているという状況で、国としてこういう数字は持っているのですね。でも、医療計画を作るために作った数字なので、ではこの検討会に出していいのですかといったら、またもう一遍、許可を取り直さなければいけないというややこしいステップがあって。

 それともう1つ、NDBの分析は、10人を切ったら全部マスクしなきゃいけないという問題があって、小さな区域になるともう表に出せなくなってしまうということがあります。ですので、数字としては、例えば日本全体でどれぐらいこれがいるかというような数字は出せると思うのですが、それを小さな県になってすると、多分二次医療圏単位でいくと数字が出せないような現象が起きます。ですから、数字の出し方で、そういう問題があるということ。

 あと、例えばNDBから数えるとしたら、これ数えているのは超急性期加算の数を数えています。それとt-PAの打たれている件数とは合わない。打たれているといいますか、請求されているt-PAの本数とは合わないわけですね。だから、施設基準に満たして打たれた件数は把握できるのですが、ちょっと施設基準と投与基準を超えてしまったということに対して、打っている数というのはまた別次元で数字があって、それを今集めて出すということはしてないのです。今、このここに出てくる数字というのは、恐らく超急性期加算の件数だけでして、今それだけならば数字としては出せるところまできているのですか。これは、厚生労働省の状況にもよると思うのですが。例えば、この前のフジモリ先生のデータならばもう公表されてるから出せると思う。ああいうのは出せると思うのですが。

○石上がん・疾病対策課長補佐 今、今村先生にも御指摘いただきましたが、確かに先日内閣府のホームページに、NDBのデータをもとにした都道府県ごとの年齢調整されたt-PA実施率が公表になっております。ただし、実際の実施件数については、今村先生のご指摘のとおり、把握が困難と考えております。

○鈴木構成員 実際、出荷ベースで見ると、山口県のDPCデータと違う印象を持ちました。是非そういう実状に即したデータをお見せいただくと、またいろいろな考えができるのかもしれないと思います。

○長谷川構成員 川崎市や横浜市でも、全部データが実は取れていまして、それは血管内治療ができる所、それからt-PAができる所というのは、どこに救急隊が運ぶか決められているから、なのですね。そこに、かならず半期ごとにデータを出しなさいと言って出させていますから、全部データが出ております。もう半期ごとに、それはPDCAサイクルを回すためにやっておりますから。

 そうなると結局、今何が問題かというと、脳卒中の治療をするのは、いったいどこの施設かという決まりが今日本にない、ですから、やはり脳卒中センターという何らかの形で作っていただいて、そのセンターであるからには、必ずデータを定期的に出しなさいと。そうすると、一遍で答えは出てきて、PDCAサイクルの、いわゆるプランを立てて実行するというのは、地域ごとに、どうぞ御自由に戸を立てませんから自由にやってくださいと。ただし、アウトカムだけは、みんな同じように、生きたか死んだか、3か月後に御飯を食べているのか、あるいはプロセスだったら24時間以内にCTを撮られたか、嚥下機能評価はきちんとされたかとかという。これは世界中、大体似たようなものですから、それさえ取っておけばよくなってくるのではないかと思うので、そうするとやはり脳卒中センターという定義をきちんと決めていただかないといけないのではないかという気がしています。

○今村構成員 今出せる数字と将来あるべき数字というのは、やはり分けて考えていただく必要があって、今出せる数字というのは、今、多分、先生の地域で救急隊と連携して取れているデータというのは、恐らく先生の地域でしかできていないことなのですね。それをでは、全国に適応できるかと言ったらできなくて、各救急隊と都道府県との関係や大学との関係が、それぞれ微妙に違っていて、集まり方もデータの種類も定義も恐らく違うという状況なのです。全国で同じ数字が集められるというものに関して言えば、NDB、レセプトの分析の部分と、病床期の報告というのが2年ほど前から出ていますが、その2つは恐らく同じ基準で数字として集められるものであろうと。

 それで、NDBはどういう状況かといいますと、あれはものすごく大きなデータで、分析にすごく時間が掛かるのですね。だから、1回、回すのに3か月などと掛かってしまうので、ポンポン新しいデータを出していくということがなかなかやりにくい問題です。病床機能報告のほうは、各病院に報告をしてもらうものなので、医政局から項目として増えていくということをお願いできれば、各病院から数字を出してもらうことができる。

 ただ、その際には、一番最初の私の意見の1つなのですが、各病院が作れる数字でないと、載せたものの、そんなもの作れるかと言って怒られて終わりという状況になってしまうので、それが学会なりセンターなりが作るときに、この数字を必ず作りましょうということを言ってもらっていて、みんなが作ろうという状態があったらそれを載せられるという、そんな関係だと思うのです。だから、こちらでこの数字を作って、報告しなさいと言っても、多分うまくいかなくて、センターなり、施設基準なりがこうあるべきだということを各学会から周知してもらって、それを各病院が、この数字を作るべきだという土壌ができないと、なかなか進まないだろうなと思います。ですので、データとして、今出せる数字というのはかなり限られると思うので、その範囲の中でどういう数字を作るべきかということを議論していただくのがいいのではと思うのです。

○小川()座長 そうすると、脳卒中学会辺りが、かなり頑張らないと駄目だということになりますね。大分、高度なレベルまで議論が進んでしまったので、なかなかまとめるのが大変なのですが。とりあえず、事務局で作っていただいたスライドの12以降のところに関して、このような形で今日、これの上に乗っかる部分に関してもかなり議論されたので、これだけでは、当然まだ不十分なのですけれども、一応事務局で案として作っていただいたので、121314151617につきましては、このような方向で進めさせていただいてもよろしいかどうか、御議論いただければと思います。修正が必要だ、あるいは、これに更にプラスアルファも必要だというようなことがありましたら、御指摘いだければと思いますが。

○長谷川構成員 17番のスライドの「各施設の評価指標は地域の実状を踏まえて設定する必要がある」ということについては、できればこれは全国大体、アウトカムからすれば、同じアウトカムでなければ地域比較ができないのではないかと思うのですが。あるいは、世界共通でも指標というのはあるわけですが、この地域によりどうでもいいという書き方ではないのだろうと思いますけれども、この辺のニュアンスはどうですか。

○石上がん・疾病対策課長補佐 御指摘のように、目標とするアウトカムに関しましては、全国で異なるとは考えておりません。ただし、そこに至るプロセスであるとか、有しているストラクチャーに関しては、それぞれの地域によって、様々であってよいのではないかと思っております。

○小川()座長 先生、評価は、この部分ですよね。ちょっとよく分からないのだけれども、このここで言っている評価というのは、何に対する評価ですか。

○石上がん・疾病対策課長補佐 診療の提供体制の全体の評価というのがまず、地域としてこれだけのことがなされなければならないということを示す指標です。その他に、それぞれのプレーヤーがそれぞれの役割を果たせているのかということを示す評価指標も必要ではないかということです。

○小川()座長 これは、あくまでも診療供給体制がどの程度のレベルでちゃんとされているのかという評価、そういう理解ですね。

○石上がん・疾病対策課長補佐 そのようなイメージです。

○小川()座長 そのほか、いかがでしょうか。今日、この出していただいたスライドの12から17のところをベースに、その更に上に乗っかる部分の議論を大分やっていただいたので、大変結構なことだったと思います。最終的には、報告書の中には、やはり将来に向けて、きちんと脳卒中センターにするのかどうかということもありますが、医療計画とか診療報酬との連動ということも当然、書き込んでいかなくてはならないとは思いますけれども、そのほか何か、全体を通じて御意見はありますか。かなり皆さんから大変すばらしい御意見を頂いて、そして、かなりレベルの高いところまで今日予定をしていただいて、準備をしていただいた現時点での診療供給体制のイメージというものに関しては、こういうような方向で、一応基本はこういう方向でやるということですが、それの更に上に上がっているようなレベルの高いところまで御議論いただいたので、そこを含めてまとめていくということが必要になっていくのだろうと思います。どうぞ、まだもう少し時間がありますので、もし御意見等ありましたら、御発言いただければと思いますが。

○今村構成員 この医療計画のストラクチャーとプロセスとアウトカムの数字は、今、国が集められるデータから作れそうなものは何ですかという観点で作っているので、本当に必要なものがここに載っているとはちょっと思えていないのですね。ただ、実際に数字を集められなければ、指標を作っても意味がないので、国から計算して都道府県に出せるものはここに載っていると。でも、これで、では、地域全体の医療、特に脳卒中を評価できますかと言ったら、まだまだ足りないと思っていますので。では、本当に例えばアウトカムに当たるような数字をどうやって集めるのですかというところが、指標を作る側からすると、これはこんな指標はあってほしいけれど、それは集めようがないから作れないという話にしかならないので、こういう数字が作れるからいいのではないですかということを言ってもらうと、厚労も有り難いと思うし、実際計画を作る側もそういう数字が欲しいのだと思うのですね。今は国から出すタイミングが間に合わなかったですけれど、まだ今から県が。

○小川()座長 これから作るのですか。

○今村構成員 今年中に作りますので。

○小川()座長 ですよね。

○今村構成員 だから、まだまだ間に合うというステップにあって、協力体制ができれば、その数字は計画に載っていく可能性はまだまだあるという状況だと思うのですね。ですので、そういう切り口で、この会のアウトカムの1つとしては考えていただけると成果は目に見える形になるのではないかと思います。

○小川()座長 ですから、地方自治体としては、医療計画をどうしても作らなければならない状況にあって、そういう状況の中でここのワーキンググループでの議論も非常に責任ある重要なものになってまいりますので、是非先生方には知恵を絞っていただいて、いろいろなアイディアをこの中に盛り込んでいっていただければと思います。

○羽鳥構成員 心臓の場合だと、国循の小川久雄先生のように、心筋梗塞の書類は、もうほとんど全てケースアップできていると思うのですが、脳卒中の場合は脳卒中協会でしかデータが集まらないということなのでしょうか。全症例を集める手法はないのでしょうか。長谷川先生がおっしゃったように、データをきちんと分析して、どのような治療がベストなのか?などを知るためにはデータベースがないと議論もしにくいと。今回の短期的な第7次医療計画にはもちろん間に合わないかもしれませんが、その次のことを目指して、データベースを作るというのはやはり重要な観点だと思うのですけれども、何か仕組みとしてできないものなのでしょうか。

○小川()座長 これが非常に難しくて、岩手県ではもう既に20年以上前から岩手県脳卒中登録事業というのがあって、それを現在もなおやっているのですが、なかなかそこに悉皆性というのは難しいのですよ。ということは、要するに、忙しい日常診療の中で、こういう脳卒中の患者さんが来ましたということを各病院に登録をしていただけるわけで、それに悉皆性を求めるというのは、かなり難しいわけです。これをでは今度全国レベルでやるというのは、本当は、全国レベルで脳卒中学会辺りが全部やればいいのでしょうが、ただ、実際にはなかなかものすごい。脳卒中そのものの発症者の数は、その発症者の数すら実は把握されていない。ものすごい数なわけです。恐らく日本の疾病の3分の1は脳卒中ですから、その脳卒中もどこまで範囲を、TIAまで含めるのかとか、あるいは重症のものに関してはどうなっているのかということまでやるというのは、もうほとんど不可能なのですね。本当はこれをやらないと将来に向かってきちんとしたエビデンスを出していくことができないのですが、これをどういう形で実現をできるかということは、もう一回考えてみますけれども、なかなか難しいのではと思っております。

○渡辺がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。今の話にも関連するのですが、データ収集に関しては、その重要性はすごく認識しておりまして、健康局長の福島からもしっかり取り組んでいくようにと指示は頂いているところです。でも、今すぐこのタイミングでというのはちょっと難しいと思いますので、今後しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

 それで、今回のこの検討会でのお話について言いますと、17ページのところでもう一度御確認いただきたいと思いますが、今村構成員の話とも合うのではないかと思うのですけれども、現時点で各県内で取り得るデータ等々がありますので、その辺りにつきましては、県の独自のデータを使っていただく等々しながら、医療計画でしっかりと進めていっていただければというような思いでいるところです。繰り返し最後ですが、この17ページの最後のポツでして、「具体的な指標を含め、評価指標については、引き続き検討していく必要がある」というような……で事務局はいるところです。

○小川()座長 ありがとうございます。

○小川()構成員 その件に関しては、川勝さんがいらっしゃいますが、やはり法律で絞るしかないのではないかと思うのですね。やはりずっと山口武典先生からやられてきた脳卒中対策基本法、それから、それだけでは範囲が狭いと言われまして、脳卒中・循環器病対策基本法の制定をお願いしています。がんは、がん対策基本法がありますので、登録は割と順調にいっています。脳卒中・循環器疾患対策基本法ができれば、登録の充実可能になるのではないかと思います。その事についてもコメントに入れていただきたいと思います。

○小川()座長 これは、鋭意頑張っているところでありまして、今国会でどうにかなってほしいのですが。今までずっと何回も廃案になって復活させてきたという経緯で、やっとここまできたということですので、どうにか今国会辺りで決着を付けていただければと思っています。

 ほかにございませんか。ほかに特に御発言がないようでしたら、今日のこの資料1、非常に重要な急性期における医療供給体制の議論ですし、これの上に上がる問題も提起をされましたので、これをお持ち帰りいただいて、もう一回咀嚼をしていただいて、またよろしくお願いをしたいと思います。特に御発言がないようですので、時間はまだもう少しありますが、次回は、回復期~維持期の診療供給体制の在り方の詳細に関する検討を行う予定です。事務局から何か事務連絡はありますか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 事務局です。次回のワーキンググループの日程につきましては、また事務局より追って御連絡いたします。お忙しい中、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○小川()座長 本日は、構成員の皆様には、大変貴重な御意見をたくさん頂きまして、大変有意義なワーキンググループだったと思います。長時間にわたりまして、御協力いただきましたことを感謝を申し上げまして、これをもちまして、本日のワーキンググループを終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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