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2017年5月12日 第138回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

○日時

平成29年5月12日(金)9:30~12:27


○場所

ベルサール半蔵門 ホールA ( 2 階)


○出席者

安部、石田、伊藤、稲葉、井上(間利子参考人)、及川、亀井、河村、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、鈴木、鷲見、瀬戸、高野、武久(清水参考人)、田中、田部井、東、福田(小川参考人)、堀田、本多、松田(敬称略)

○議題

(1)平成30年度介護報酬改定に向けて
   (定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護)
(2)その他

○議事

○鈴木老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、第138回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、井口委員、大西委員より御欠席の連絡をいただいております。なお、鷲見委員、松田委員からはおくれるとの御連絡もいただいております。

 また、井上委員にかわりまして間利子参考人、武久委員にかわりまして清水参考人、福田委員にかわりまして小川参考人に御出席いただいております。

 以上により、本日は20名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。

 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収の方、御協力をよろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○鈴木老人保健課長 以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。

○田中分科会長 皆さん、おはようございます。

 本日は、平成30年度介護報酬改定に向けて、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護などについて御議論いただきます。

 初めに、事務局より資料の確認をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と委員名簿がございます。

 その後ろに、資料1「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護」という資料。

 資料2「小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護」。

 参考資料1としまして、定期巡回の参考資料。

 参考資料2といたしまして、小規模多機能の参考資料の4部がございます。

 資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ここから議事次第に沿って進めてまいります。

 議題1のうち「定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護」について議論を行います。

 事務局から説明をお願いします。

○三浦振興課長 老健局振興課長でございます。

 お手元の資料1、参考資料1と右肩に振ってございます資料を御用意いただけますでしょうか。こちらに基づきまして御説明申し上げたいと思います。定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護についてでございます。

 まず、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、現状あるいは課題を整理させていただきたいと思います。

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護につきましては、平成24年度に制度を創設しております。創設以後、請求事業所数、利用者数ともに増加は見ておるところでございます。

 お手元の参考資料1は仕組みの概要などがございます。1ページ目の色刷りになっておりますものがサービスの概要でございまして、イメージといたしましては、定期巡回型の訪問介護を行う、あるいは利用者からの通報によりまして、電話あるいはICT機器などによって対応する、あるいは必要があれば訪問、随時の対応をしていくといったものを組み合わせたサービスであると制度設計をされております。

 サービス提供の例として、参考資料1の2ページでございますけれども、時間帯別に生活のリズムに合った形でのサービス提供、介入をするといった形で制度設計をされておる。また、御不安といたしまして、2ページ目右側にございますけれども、例えば夜間、深夜といった24時間の対応をいたしますのでコールが多いのではないか、あるいは随時の対応が多いのではないかというイメージが強いといったこともございましたけれども、調べましたところ、実際日中と比べれば少なく、利用者からのコールも少ないといった実態もある。このようなことを研究しながら普及に努めてきたところでございます。

 参考資料1で申し上げますと、3ページ目、4ページ目に基準ですとか人員配置の例などがついております。御確認いただければと思います。

 資料1にお戻りいただきまして、これまでの取り組みでございます。2行目でありますけれども、平成27年度、前回の介護報酬改定におきましては、利用者の生活全般に着目をして、主治医あるいは看護師などの多様な主体との意思疎通を図り、適切に連携をするための体制構築に取り組んでいただいているようなところにつきまして、総合マネジメント体制強化加算というものを新設しております。また、現状といたしまして、平成28年4月の審査分では、請求事業所数は633カ所、利用者数が13,800人となっておるところでございます。

 一方、サービスの給付実績のない保険者もまだ残っておるというところで御紹介をしたいと思います。平成2810月時点の数字でございますけれども、全国の保険者は1,579ございますが、そのうちの1,023の保険者、約65%が給付実績がない、利用者さんがいらっしゃらないような保険者であるということでございます。また、給付実績のない保険者の第1号被保険者数は約943万人、28%ということになってございます。裏を返せば、7割のところでは給付実績は被保険者ベースで見ればある。保険者ベースでいけば3分の2がないところでありますけれども、人数で見れば7割のところはある。そんな感じで都市型のサービスであることも透けて見えるかなと思います。この給付実績のある保険者につきましては、地域ごとにばらつきがございまして、自治体が開設前後の支援などを行うことによりまして、事業所数の実質増加を見ているといったところもございます。

 お手元の参考資料1のほうに移っていただきたいと思います。9ページ以降、新しく資料を御用意いたしましたので御説明申し上げたいと思います。

 9ページ目、棒グラフが並んでおります。こちらは私どもで、在宅生活、居宅生活を送っていらっしゃる訪問系のサービスの利用者さんの中で、通常の訪問介護、あるいは今申し上げている定期巡回・随時対応型の訪問介護看護、あるいは小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護といった、訪問型のサービスを持っておるような、それを利用されている方を分母に置きまして、分子に定期巡回・随時対応型の訪問介護看護の受給者の人数を置いたものでございます。すなわち在宅生活を送っていらして、訪問サービスを受けている方の中で、定期巡回サービスを使っていらっしゃる方の割合はどれぐらいですかという質問をした結果と受けとめていただければと思います。

 これをごらんいただきますと、和光市が23.7%とずば抜けて多くございまして、それ以降は大和、郡山、函館といった数字でございます。全国平均が1.4でございますので、ばらつきが多いところが見てとれるというのが9ページ目でございます。

10ページ目にお進みいただければと思います。こちらは第6期の介護保険事業計画のおさらいをさせていただきました。定期巡回・随時対応型の訪問介護看護の利用者見込みがあるかないかということについて保険者単位で見たものであります。先ほど数字で約3分の2と申し上げましたけれども、棒グラフが立っておるほうが見込みがない保険者でございます。平均で約3分の2と申し上げましたが、右端の66%はその数字でございます。ごらんいただきますとおり、でこぼこが非常に大きくあるところが見てとれます。また、都市型であるところも推測できるところでありまして、へこんでいるところを見ますと、三大都市圏プラスアルファというところは確認できるかと思います。また、確認ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、人口カバー率で申し上げれば、逆になりまして77%、約4分の3のところでは人口はカバーされているといったところでございます。

11ページ以降は、都道府県あるいは市町村でどんなサポートをしているかというものを調べましたものがこちらになります。都道府県の取り組みで一つ例をとりますと埼玉県でございますけれども、計画の中に施策として重要なものであるという位置づけをするとか、あるいは11ページ右側の「取組内容」でございますけれども、モデル事業を実施したり、あるいは開設・経営に関するノウハウを盛り込みました「定期巡回・随時対応サービス 開設・経営の手引き」といったものを作成されていると承知をしております。

12ページをごらんいただきますれば、この手引きについて、どんなことを示しながら事業者に対してアピールをされているかということが見てとれます。例えば12ページの第1章「事業理解のために」というところでは、今後の展望というところで需要がこれぐらいふえることが見込まれますよといったお話ですとか、第2章では開設の準備としてのリードタイムですとか、お金がこれぐらいかかりますと。あるいは2番ですけれども、地域性で移動時間は片道15分ぐらいが一般的ですよということも具体的に示しながら、事業者さんの不安を解消されている。

 3番では、事業形態別の収支モデルということで、さまざまな組み合わせによって事業運営をこなしていくといったようなイメージを示されておる。また、事業の継続経営のポイントとして、人員確保としてはこれぐらいの規模感がいいですよといったことを示されていることが見てとれます。

13ページ以降は、収支モデルとして示されているものの一つの例でありまして、訪問介護の併設はこんな感じでされたらどうですか、14ページ、15ページでは、収入の見込みですとか日課表、あるいは勤務表、人員構成、このように具体的な事業運営のモデルをイメージしやすくお示しをされていらっしゃいます。

 また、保険者といたしましては16ページでございますけれども、例えば川崎市の例をとれば、取り組み内容として書いてございますけれども、地域のつながりとか保険外サービスなども生かしながら、しっかりと視点を持てるような研修教材を作成して展開をしている。このようなことをされていると承知をしております。その他、福岡、大牟田などでもしっからやられている。これは平成28年度の老健事業の結果でわかったことでございます。

17ページでは、事業所でのアンケートもとらせていただいております。例えば上のほうにあります事業者さんでは、事業者として利用者がこんな感じでふえていって1年間はなかなかつらかったけれども、1年たったところで一定の利用者が確保できて、単月の黒字化が達成できました。このような事業イメージが具体的にわかるような形になっております。

18ページ、19ページ以降では、サービス導入後の評価ということで、どんな利用者さんがどんな形で使われて、使われた結果がこんな感じですよといった個別の事例を幾つか調べた結果をお示ししております。

 例えば、事例1をごらんいただきますと、86歳の男性の方で、要支援の配偶者の方と2人暮らしをされているといった方につきまして、利用の結果、緊急コールが減りましたですとか、あるいはケアマネさんとのコラボレーションでケアがうまくいっていますといったお話もございます。

19ページ、事例3をごらんいただきますと、24時間型のサービスということで、これまで見えなかった生活パターン、あるいは昼間と夜間の本人の精神状態の違い、あるいは全体の生活リズムがわかったことによって、身体状況の悪化あるいは発熱の減少を見ることができましたという効果も見られたことも確認をされておるところでございます。

 資料1にお戻りいただけますでしょうか。1ページ目でございます。

 1つ目の○の3つ目のパラグラフの手前のところであります。ばらつきがあることは先ほどグラフで確認いただきましたけれども、事業所のサービス参入の理由としては「法人の方針のため」というのが8割ということで大宗を占めております。また、保険者の要望も1割程度あったということでございます。

 夜間対応型訪問介護は、2つ目の○に書いてございます。

 請求事業所数は制度創設以降、微増傾向にございましたけれども、近年は微減を見ております。直近の平成28年4月の審査分では、請求事業所数は約182カ所、利用者数がおおむね横ばいで約8,000人となっておるところでございます。

 資料は2ページにお進みいただけますでしょうか。「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業経営」に関してでございます。

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護につきまして、サービスの参入の障壁・課題として伺いましたところ、6割の事業所さんから、利用者が集中する時間帯の職員体制の構築が課題であるというお答えをいただいております。また、オペレーターの基準・兼務要件に関する要望といたしまして、7割の事業所さんから、日中においても随時訪問介護員との兼務を認めてほしいといったお声をいただいているところでございます。

 2つ目の○でございます。サービス提供に関しまして、ICT機器の活用をしておる事業所というのが約6割ということでございました。また、具体の活用につきましては、利用者さんからの連絡用のコール端末として使っておりますというのが8割という形になっております。このあたりのデータも参考資料1についておりますので御確認いただければと思います。

 2ページ目、3ポツに進みたいと思います。集合住宅に居住する定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者の状況でございます。1事業所当たりの利用者のうち、集合住宅に居住する方というのがすなわち事業所に併設をしている集合住宅が約4割、非併設でありますけれども集合住宅という場合が約2割となっておるところでございます。特に集合住宅に併設した事業所における利用者の1日、あるいは1人当たりのサービス提供回数を見ますと、定期あるいは随時、またはコールのいずれにおいても、他の場合よりも上回っておるといった実績が確認をできておるところでございます。

 以上が現状・課題でございます。

 これを踏まえまして、論点を挙げさせていただいております。3ページ目をごらんいただければと思います。○が2つ書いてございます。

 定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護について、請求事業者数や利用者数の現状を踏まえると、さらなる普及が課題であると考えられます。サービス供給量をふやす観点や機能強化・効率化を図る観点から、人員基準や資格要件などのあり方についてどのように考えるか。

 特に、事業者からは、日中のオペレーターについて兼務を求める要望があるが、経営の効率化を図る観点から、オペレーターなどの役割や実態を詳細に調査した上で、ICTの活用なども含めた人員基準や資格要件のあり方について検討をしてはどうか。

 2つ目でございます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、そのサービス提供の多くが集合住宅に居住する利用者に対して行われております。地域全体への必要なサービスが行き届くようにするためにはどのような方策が考えられるか。

 この2つの論点などについて御議論いただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○田中分科会長 以上ですね、ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 それでは、3ページの論点に沿いまして、意見と質問をさせていただきたいと思います。

 まず、上のほうの○でございますけれども、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の名称が非常に長くて、しかも、介護が看護より前に来ているということで、私はこれを何回も呼んでいると、落語に出て来る長い名前を思い出すような感じがするのでもっと短くならないのかと思います。定期巡回と言ってもいいようですけれども、それはサービスの内容を正しくあらわすものではないので、どうしてこういう長い名称ばかりを次々と考えるのかと思っております。

 それはさておき、これは少しずつふえているということですけれども、これを見ますと、さらにふやしたいという意図があるようですが、まず定期巡回・随時対応型訪問介護看護を無理やりふやそうとするのではなくて、なぜふえないかということを考える必要があると思います。特に人口の少ない地方では、私のところもそうですけれども、点在する自宅を回ることは非常に非効率的であり、地域密着型であるので対象人数が少ないという現状があります。また、地方では、夜中に家に他人に入られることを嫌う人もいますし、そもそも日が暮れると間もなく寝てしまって、朝明るくなるまで起きない人もいらっしゃるので、深夜帯のニーズがないこともあると思います。

 主な対象となる要介護3以上の方は、家族の介護負担を軽減するために既に日中は通所介護に通っている方が多く、一日複数回の訪問の必要性がそもそもないという状況にあります。また、利用者が希望する時間に訪問できないために利用できないこともあります。ICTの活用は必要だと思いますけれども、日中もオペレーターの兼務を認めれば、通常の訪問介護との違いがますますなくなってしまうと考えられます。

 ここで質問ですけれども、訪問看護などもそうですが、オンコール体制のサービスについて、医療では医師を含めた従事者の労働時間の規制という話が起きておりますけれども、こうしたオンコール体制のサービスには、持続可能性があるのかどうかも考える必要があるのではないかと思います。これについて、現時点で事務局がどのように考えているのか、お考えを伺いたいと思います。例えば海外では、デンマークでは訪問看護、訪問介護は3交代です。フランスでは、8時~16時と12時~20時の2交代で、夜間は対応しないということで、労働時間の規制が守られていると私は見てきましたけれども、事務局の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 2つ目の○でございますが、そのような状況の中で定期巡回・随時対応型訪問介護看護で採算をとるためには、サ高住を併設して、軽度者も含めて全員登録させるようなビジネスモデルしか成り立たなくなっているのではないかと考えられますが、それこそが問題であって、まずその是正を図る必要があると考えられます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護をさらに整備して地域全体に広げるためには、まずそうした不適切事例の是正を通したサービスのあり方の見直しが必要であると思います。私のところも一部やっているのですが、ほかのサービスを利用されるので、どうしても利用者が数名しかいないのですよ。ですから、そういう中でもやれるようなやり方にするとか、やはり見直しが必要ではないかと思いますので、無理やりしようとしても問題がさらに大きくなるのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 質問が1つ含まれておりましたのでお答えください。

○三浦振興課長 ありがとうございます。

 御質問は、オンコール体制をとるようなサービス自体が持続可能なのかどうかという御指摘かと思います。このたび、先ほど御紹介したような事例などを見ておりましても、利用者の安心というものとサービスの供給の持続可能性というものをどのように両立させていくかというのが大きな課題ではないかと思っております。先生、おっしゃるとおり、あるいは私どもも含めて、働き方改革ということが世の中の大きな流れになっておる中で、その折り合いをどうやってつけていくかということは、ここでこれから御議論をしっかりさせていきたいと思っております。

○田中分科会長 東委員、お願いします。

○東委員 ありがとうございます。

 参考資料1の2ページに定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、「重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みが不足している」ために平成24年に創設されたものとございます。これは皆さん御存じのとおりだと思いますが、一方、参考資料1の8ページを見ていただきますと、この4年で事業所数が増えているというグラフがございますが、4年で全国で633しか事業所がないのです。もし本当に最初の概念でできたものであれば、もっと増えてもよいはずですが、なぜ4年もかかってこれしかないのか。

 参考資料1の26ページを見ますと、一番上の表に平均要介護度が示されていますが、全て平均要介護度が2点台なのがわかります。当初は「重度者を始めとした」というもので創設されたはずなのに、事業所も少ないですし、その事業所においても比較的軽い人を見ているという実態があります。また、その下のグラフを見ますと、一般の居宅というよりは集合住宅の方にほとんど多くのサービスが使われています。これは最初に創設されたときの重度者の御自宅の生活を支えるという概念が、現状では変わってきているのではないかと私は見ております。

 先ほど鈴木委員もおっしゃいましたが、悪用とまでは言いませんが、当初創設された目的と違った形で、利用されていてはやはり困ります。介護サービス事業者は、そもそもニーズがあって、そのニーズに対応してサービスを提供するわけです。ニーズがないところにサービスを提供してもこれは成り立たないわけでございます。創設から4年経ったわけですので、集合住宅ではない居宅の重度の要介護者の方がこういうサービスを必要としているのかどうかをきちんと検証すべきだと思います。資料1の3ページにある論点には、『サービス供給量を増やす観点』からと書かれておりますが、24時間定期巡回・随時対応型サービスを本当に増やす必要があるのかということをぜひ検討していただきたいと思います。

○田中分科会長 始まりに立ち返って考えることも指摘いただきました。ありがとうございます。

 瀬戸委員、どうぞ。

○瀬戸委員 ありがとうございます。

 私も今、鈴木委員、東委員と同じような観点ですが、論点に沿ってお話しさせていただきます。1つ目の○ですが、請求事業所数や利用者数の現状を踏まえると、さらなる普及が課題であり、サービスの供給量をふやすと明言されていますけれども、地方分権の試金石とも言われる介護保険制度において、本当に全国的にサービス提供量をふやすことが必要なのかどうかを見きわめる必要があると思います。

 参考資料1の10ページによりますと、利用者見込みのない保険者数の割合が66%とあります。一方、富山県のように広域連合との兼ね合いもあるかもしれませんが、利用者の見込みが高い、つまり、このグラフで言えば棒が短い都道府県では、比較的都市部に限定されているように思いますので、それ以外の地域では、既に高齢者人口もピークを過ぎているところもあるでしょうし、他のサービスによってカバーできている可能性も否定できないので、それらの検証を行うことが必要だと思います。この資料だけでは、本当に全国的にさらなる普及を進めていく必要があるかどうかは不明瞭ですので、それらが必要だという補足資料を求めていきたいと思います。あと、論点の1つ目の後段の日中オペレーターの配置緩和や兼務等についてのICTの活用については、業界として望ましいと思いますので、進めていければよいのではないかと思っています。

 2つ目の○についてですが、集合住宅以外にどのようにサービスを展開していけるのかということであれば、併設事業所に対する報酬を今以上に減額しつつ、集合住宅以外に居住する方への報酬を高く設定する方法も考えられると思います。給付費が平均的な費用の額であることを考えると、集合住宅併設の場合は、本来移動にかかるコストが縮減できているものと考えられます。集合住宅の減算分は、参考資料にあるとおり、利用者平均からすると年額でも50万円程度ですので、この減額幅が集合住宅以外に居住している方々と同程度になるまで下げつつ、集合住宅以外に居住する報酬を高目に設定すれば、地域に居住する高齢者に対してサービス提供が進むのではないかと思います。また、報酬の差ではなく、地域へのサービス提供について一定割合を義務づける方法も考えられるのではないかと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 田部井委員からお願いします。

○田部井委員 ありがとうございます。

 最初に、この会議とは直接関係ないのですけれども、私どもで4月26日から4月29日まで京都で国際アルツハイマー病協会の国際会議を実施しまして、皆さんの御協力によりまして、盛会のうちに終えることができました。大変ありがとうございました。御寄附をいただいたりした皆さんもいらっしゃいますし、厚生労働省からは開会式に宮腰室長、閉会式に蒲原局長に出ていただきまして大変ありがとうございました。心からお礼を申し上げます。

 きょうの議題なのですけれども、定期巡回・随時対応型サービスにつきましては3人の方から御発言をいただきましたが、基本的にそういうことがどうなのだろうかという懸念といいますか、実情が一体どうなっているのか、よくわからないというのが率直なところです。

 幾つか質問とお願いをしたいのですけれども、私は家族の会ですので利用者の立場からいきますと、資料1の最初の○の下のところに、サービスに参入した理由というのが法人の方針のためというのが8割で、保険者の要望があったためというのが1割と出ています。参考資料1の28ページを見ますと、参入した理由の中に法人の方針のためという項目もありますけれども、本人や家族の要望があったため、あるいは地域からの要望があったため、あるいは保険者の要望があったためという項目もあるのですけれども、にもかかわらず、法人の方針のためというのが断トツで高いということですと、利用者あるいは家族は定期巡回・随時対応型について、どういった評価あるいは声を持っているかということにつきまして、もし今わかることがありましたら、利用者の声というものを教えていただけるとありがたいと思います。あるけれども、今は出せないということであれば、後ほど示していただけるとありがたいと思います。

 先ほども参考資料1の10ページに出たことですけれども、7割の保険者が利用者の見込みがないとしている。7割の保険者は利用者に対して何らかの要望を聞いて、その結果、要望がないという結果を得ているのか。もしそういうことでしたら、それも教えていただけるとありがたいと思います。

 参考資料1の9ページで、このことについては和光市がよく出るわけですけれども、利用率が24%と断トツで高いわけです。そうすると、和光市では利用者の方の4分の1は定期巡回・随時対応型を利用していると理解をしていいわけでしょうか。そうすると、ほかのサービスの利用との兼ね合いというのは、当然ほかが少なくなっていくのかなという気もしますけれども、その辺を御説明いただけるとありがたいと思います。

 参考資料1の25ページ、26ページのところで、どういう方がこのサービスを利用されているかという資料が出てきているのですけれども、定期巡回・随時対応型サービスの利用者の方というのは、アパートやマンションなどの集合住宅でひとり暮らしをしている人が多いというのが、利用者の典型としてはあるのだと理解して間違いはないでしょうか。集合住宅というときには、サービスつき高齢者住宅も含んでいるのかどうか。これは細かいことになるかと思うのですけれども、資料として出ていますので、集合住宅併設型、非併設型、地域型、混合型と言われても、利用者の私どもにはそれがどういうことを意味しているのかがよくわからないということがありますので、簡単で結構ですので、こう違うのですよと教えていただけるとありがたいと思います。

 利用の状況なのですけれども、併設型集合住宅では、利用者1日当たりの随時訪問回数は26ページの資料では0.5回となっているのですが、毎日定期巡回はしています、しかし、そのほかに随時訪問で行くのは0.5回ですよという理解でよろしいでしょうか。

 もう一つ、参考資料1の28ページで、利用が集中する時間帯があるということなのですけれども、その時間は大体何時から何時ぐらいまでに集中しているというデータがありましたら教えていただきたいと思います。いろいろ言いまして済みません。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 質問がたくさんありましたのでお答えください。

○三浦振興課長 振興課長でございます。抜けておりましたらまた御指摘いただければと思います。

 まず、ニーズとしてどんなものが利用者からあるのかということについてのお尋ねでしょうか、利用者さんについてというお話でございますけれども、先ほども少し御説明させていただきました、参考資料1の18ページ、19ページあたりで少し透けて見えるかなと思ってこのたび御用意をさせていただいたものでございます。利用した結果といたしまして、緊急コールが減っておるということは、生の声ではないのですけれども、ある意味では安心感が広がった、あるいは実際にコールをする必要がなくなったというあたりは、恐らく利用者さんあるいは御家族の方にとってはポジティブな影響が出ていると私どもは見ております。また、申しわけないのですが、例えばアンケートをして何割の人が満足していますかみたいなものを私は手元に持っておりません。今回も調べたのですけれども、そういうものはございませんでした。

 一方、各論の中で、利用されている方で非常によかったですよといったお話、あるいは報道ぶりも含めてですけれども、とある日本の公共放送の番組の中でこのサービスが取り上げられて、テーマとしては介護離職を防ぐという観点で取り上げられたのですけれども、利用者さん、家族さんから見ても、満足度が高かったといった話はいただいておるところでございます。

 保険者が計画を位置づける際に、利用者の声を聞いているのかというお話が2点目にあったと思います。これに関しましては、通常の計画策定のプロセスの中で、被保険者も含めた協議体の中で議論がされておると承知はしておるところでございますけれども、それももしかしたら濃淡があるのかもしれないと、私は伺っていて思いました。

 データで幾つかお尋ねがあったかと思います。集合住宅というのは何だというお話ですが、集合住宅の定義としては、参考資料1の25ページの※1のところに書いてございます。この建物というのは、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービスつき高齢者向け住宅に限ると書いてございまして、そういう聞き方をしておりまして、一般のマンション、アパートではございません。御質問の中にもサービスつき高齢者住宅が入っているのかというお尋ねがあったかと思いますけれども、こういう定義でアンケートをした結果となっております。

26ページ、地域型、混合型ですか、はっきりした定義は私もクエスチョネアを見ないと正しいことは言えないのですけれども、地域を中心としているサービス事業体と、その利用者の中で、例えば集合住宅が半分、地域が半分みたいなものを混合型と呼んで、そういう分類をしてお見せしているといったところでございます。また、真ん中にある2段目の右側のグラフの中の0.5の意味は何かというお尋ねがあったかと思いますが、これは御指摘のとおり1人・1日当たり、集合住宅の場合には定期に加えて、2人に1人ぐらいの確率で行っているといった読み方になろうかなと思います。

 とりあえず以上です。

○田中分科会長 和光市についての御質問がございましたね。

○三浦振興課長 和光市の数字の読み方は御指摘のとおりでありまして、在宅で訪問系サービス、通常のホームヘルプサービス、定期巡回を使っている人、看護小規模多機能の訪問を利用されている方というデータのとり方ができませんので、それに登録されている方を分母に置いて、それから定期巡回を使われている方というのを分子に置いた結果でございます。ですので、ほかのサービスがどうなっているかということはさておき、利用者として見れば今申し上げたような定義になろうかなと思います。

○田中分科会長 私のメモだともう一つ、利用が集中する時間帯に関してあります。

○三浦振興課長 大変失礼しました。

 時間帯も各事業所さんからこんなデータがありますよというのはありますので、また個別に御紹介できればと思います。御案内のとおり、朝とか夕方、整理の関係でサービスなどが集中する時間帯だと承知はしております。

○田中分科会長 田部井委員、よろしゅうございますか。

○田部井委員 ありがとうございました。

○田中分科会長 本多委員、どうぞ。

○本多委員 先ほど東委員から、サービス設立当初の目的と違っているのではないかというご意見がありましたが、現状、サービス受給者が都市部に集中していることから、恐らく都市部では施設等の不足によって、このようなサービスが必要になっている実態はあるかと思います。

 そういった観点で、論点の1つ目にある日中のオペレーターについては、経営の効率化を図る観点から兼務できるようにすべきとは思いますが、一方では、兼務によってサービスの質の低下につながるという懸念もあるかと思います。論点に書かれているように、オペレーター等の役割や実態を詳細に調査していただき、ICTの活用や質の確保も踏まえて、基準や要件のあり方を検討すべきではないかと思います。

 参考資料1の26ページに、集合住宅型の1人・1日当たりのサービス提供回数は定期訪問、随時訪問、コール件数のいずれにおいても他の住宅型を上回っていると、書かれておりますが、利用者の要介護度も低い中で過剰なサービスの給付になっているという懸念もあるかと思います。経営実態調査等の結果を踏まえて最終的な判断を行う必要があるかと思いますが、減算割合の見直しや、利用者の状態に応じて評価に差を設けるなど、適正化についても検討すべきではないかと思います。

 都市部では建物が密集しており、他の建物にも容易に訪問しやすい現状はあるかと思いますので、同一建物だけで減算するのではなく、例えば、事業所と同一敷地内の集合住宅や、道路を隔てて隣接するような集合住宅についても減算の対象とすべきではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 小林委員、お願いします。

○小林委員 定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、その名称のとおり、定期的な巡回に加え、随時の対応を行うことによって、要介護高齢者の在宅生活を切れ目なく支える重要なサービスだと考えております。このため、今後このサービスの一層の普及を図る必要がありますが、その際には、人材の確保や利用者が集中する時間帯の職員体制の構築といった課題を解消するための方策が必要であると考えております。

 今回の論点として掲げられております、日中のオペレーターの訪問業務との兼務については、その解決の一方策となる可能性はありますが、ただいま本多委員からも御意見がありましたが、サービスの質を維持しながらどのような基準のあり方が適当であるのか、今後はオペレーターの実態に係るデータも分析しつつ、検討していくべきではないかと思います。

 また、集合住宅に居住する利用者に対して行われるサービスについては、訪問にかかるコストがどの程度効率化されているのかなどのデータも踏まえて、よりサービスの普及につながるような報酬設定を検討していくべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 齋藤委員、及川委員の順にお願いします。

○齋藤(訓)委員 定期巡回・随時対応型サービスにつきましては、実態としてはまだまだ広がっていないのですけれども、特にこれから地域医療構想との絡みで在宅医療の充実が求められていくことを踏まえると、このサービスももう少し広げていく必要があるのではないかと思います。これから医療依存度が高い重度者が在宅で暮らすことを支えるためには、このサービスは一定程度の効果を上げているのではないかというのが事例の中でも出てきていると思っております。

 ただ、現状のデータとしては、サービス創設時の理念とは若干かけ離れているような状況があり、要介護度の軽い利用者が多いという状態なので、オペレーター等の業務量の実態を今の利用者で把握しても、それが定期巡回の本来のあるべき姿の資料として適切かどうかというところで難しいなと思っております。

 今後のニーズ予測等をふまえますと、論点の1つ目のオペレーターの兼務につきましては、私は慎重に検討するべきだと考えています。結果として、そんなに昼間に随時訪問がないので兼務は可能ではないかというデータだと思いますけれども、定期巡回は24時間、365日の対応をうたっているサービスですから、日ごろからコールが多くても少なくても、いつでも応需体制があるのだということが非常に重要な機能だと思います。ですので、事業所としてオペレーター機能に支障がない体制が確保できるかどうかが問題であって、ここは慎重な検討を要するのではないかと思っております。

ICTの活用も含めてですけれども、仮に兼務を認めるとしても、スピーディーな情報伝達や情報共有の仕組みをきちんと確保した上でやっていかないと、ほかの委員も御指摘のように、サービスの質が担保できないということは懸念されるかなと思います。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 及川委員。

○及川委員 ありがとうございます。

 そもそも地域包括ケアシステムを構築するためには、こういう地域密着型のサービスを充実させることが極めて重要だと思っております。何より、サービスを利用者に当てはめるのではなくて、利用者のニーズに応じたサービスをコーディネートするということを志向すべきです。

 私は実践者でもあるのですが、このサービスについては柔軟性があって、利用者にとって使い勝手がよいサービスだと感じているところであります。言うなれば、在宅にありながら特養のような機能を担保するサービスだと考えています。135番地の鈴木さんが緊急コールを押しました。ヘルパーがすぐそこに向かっていく。もちろん食事のときや入浴のときもきちんとそこのお宅にお訪ねすることを考えていくと、特養的なサービスがその圏域に充足するサービスだと考えていますので、本当に進めてほしいところなのですが、この実態調査の中で、数が全然ふえていかないところについては私は別の視点を持っておりまして、要するに、保険者や事業所がまだまだ理解していないと考えています。もう少し理解があれば、もっとこのサービスを使っていただけるのではないかと思っています。

 資料集の中の21ページに利用者の世帯状況というものが書いてあります。68.5%が単身世帯、18.6%が高齢者のみの世帯、私の事業所で行っているところもほとんどが単身と高齢者だけの世帯です。高齢者だけの世帯で本当に肩を寄せ合って生活をしていて、ヘルパーが夜中に行っても特に拒否されることはありません。私のところでは、特養の男性職員が夜勤者としてオペレーターを兼務しているのですが、その男性職員が夜間のおむつ交換に行っても拒否されることはありません。それよりも、本当によく来てくれたねと喜んでいただいているような状況です。これを圏域ごとにきちんと位置づければ、在宅サービスの継続にはとても有意義なものだと思います。あわせて、後半で小多機、看多機のお話があると思いますが、そのサービスについても在宅を継続するためには本当に必要なものだと思っています。

 定期巡回なのですが、看護師が必ず月に1回以上のマネジメントを行うことになっています。本当に特養と同じで、看護職員がバイタルチェック等を1カ月に1回以上は行うわけです。そこで体調を確認していく、体調を管理していくというサービスです。

 私は、地域のこのサービスを充足させていくべきだと思いますので、周知の課題を取り上げていただけたらなと思っています。

 そこで、質問としてはどのような周知方法を考えていらっしゃるのか、また、どのように実践されていらっしゃるのか、そこを教えていただきたいなと思います。

続きまして、ICTの活用なのですが、ものにもよると思いますが、本当にすぐに使えるものもございます。例えばシフトを組んでいただけるところがもう少し上手にできたらいいかなという感想もありますけれども、これはどんどん進めていただきたいなというところでございます。

 以上です。

○田中分科会長 質問にお答えください。

○三浦振興課長 ありがとうございます。振興課長でございます。

 周知の方法は、まさに及川委員がおっしゃっていただいたとおり、これまでは保険者あるいは実際にサービスを利用するに当たってはケアマネジャーさんが知っていただいて、サービスとして位置づけていただくといった流れができないと、このサービスというのは広がっていかない。在宅サービス一般に言われることだと思いますけれども、平成24年と新しいサービスでありますし、どんなサービスかということも含めて、余り周知がこれまで至っていなかったのではないかなという反省は持っておるところでございます。

 現在、何ができておるのかと非常に厳しい御指摘でございまして、例えば3月の各都道府県の担当課長会議の中でも、ケアマネの新しい研修が昨年度から始まっております。その中で実例として、定期巡回を使ったもので講習をしてくださいといった形でケアマネさんへのアプローチ、あるいは自治体へのアプローチに少しずつ取り組んでおるところでございます。さらにどんなことができるか、研究してまいりたいと思っております。

○田中分科会長 齊藤秀樹委員と間利子参考人の順で、鈴木先生はその後でお願いします。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 定期巡回・随時対応については厳し目の意見も出ているわけですが、4年を経過しまして、利用者の半数は参考資料1の8ページにありますように中重度であること。少し物足りないという意見もありますが、私はまずまず評価できるものではないかなと思っております。単身世帯も約7割。高齢者の世帯としても8割以上になっていることを考えますと、都市型のサービスとしては評価できるものと思っております。

 その中で、日中のオペレーター兼務についてでありますが、夜間の兼務もこれまでしてきているわけでありますので、夜間の兼務の実態というものをしっかりともう一度捉え直していただくことと、利用者情報の把握方法等、ICTの活用もあるわけですが、無理のないものであり、かつ、利用者にマイナス影響がないのかという観点から事務局も調査をされるということでありますので、ぜひ精査をお願いしたいと思っております。

 集合住宅の関係でありますが、集合住宅の利用者、特にデータに出ているわけですが、相対的に要介護度が低いのに反比例してサービス提供回数は多いことを見ますと、果たしてこれが必要適切なサービスなのか、または過剰なサービスなのかというのはこの資料からはなかなか判断しにくいと思います。しかし、今後集合住宅が増加することを考えますと、集合住宅におけるサービス提供の適正化というものは考えていかざるを得ないことでありますので、評価に差を設けるという考え方もありますが、ガイドラインを示すことも含めて、今後検討が必要ではないかと考えております。

 以上であります。

○田中分科会長 ありがとうございます。

○間利子参考人 論点の部分、最初の○のところなのですけれども、さらなる普及という課題について今後検討するに際して、一つのお願いとして、定期巡回ですとか随時対応型サービスを活用することによって介護給付の効率化にどの程度寄与するのか、そういった視点での分析を可能であれば示していただきたい。こういった点が見えてくれば、さらなる普及というところにもつながっていくのではないかと思います。

 2点目の集合住宅の部分につきましても、これは既に多くの委員の方からも御指摘があるように、実態をさらに精査をしていただいた上で、議論していくことがよろしいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 定期巡回については、私が先ほど申し上げたのはサービスがいい悪いということではなくて、要は伸びない理由をまず検証すべきではないかということを言っているのです。例えば私のところも行っていますけれども、2~3人しか利用者がいないです。ほかのサービスでみんな足りています。別に不満というわけではないのです。使っている人はそれなりにいいとおっしゃいます。ですから、その人たちにとってはいいと思うのです。でも、地方では、ほかのサービスも利用されていたり、高くなることなど、いろいろな理由がありますが、利用者が少ないのです。なぜその利用が進まないのかをしっかり検証してからではないと、利用を促進するといっても、ただPRすればいいという問題ではないと思います。

 例えば、私のところのサービスつき高齢者向け住宅に入居した人全員にこのサービスを登録させれば、たちまち経営は改善します。でも、それでいいのですか。そういうビジネスモデルになってしまっているのです。そういうことでいいのですか。それをまず言いたいのであって、それを改善せずして、ただ利用をふやしましょう、行政に働きかけましょうということでは問題は解決しないということです。

 自治体を見ても、和光市は断トツに高いですけれども、あそこはかなり特異的というか特殊なところです。ある意味で行政が全部仕切っている。市役所に強力な一人の方がいらっしゃって成り立っている。そういう特殊な地域です。それではモデルにならないし、次の場所を見ても、ここは特定の事業所が浮かぶようなところですね。そういうサービスでは普遍性がないのではないですか。ですから、まずは定期巡回がなぜふえないのか、もし適切にふやすとするのであれば、どうすればいいのかを考えないと問題は解決しないと思います。

○田中分科会長 伊藤委員、稲葉委員の順でお願いします。

○伊藤委員 ありがとうございます。

 定期巡回・随時対応型サービスについては、先ほどから御指摘がありますが、単身・高齢者のみで9割のサービスということも踏まえると、一定の役割は果たしていると思っております。普及が課題ですが、そもそもが都市型サービスであり地域ごとで事業所数にばらつきがあるという資料も出ておりますけれども、ある程度は当然と受けとめているところであります。普及に向けた対応として本日論点として、職員の兼務とか、専門職でなくてもと読めるようなアプローチが書かれているわけですけれども、それはこれから申し上げる点でやや問題があるという心配をしております。

 まず、オペレーターの兼務についてですけれども、随時サービスのほうは定期よりは緊急性が高い事案で通報が来ることが考えられます。夜間は現在も兼務をしているところがあるとは言え、その点は十分留意する必要があると思っています。

 あと、オペレーターの業務ですが、これは運営基準にもありますが、通報を受け、その内容をもとに相談援助を行うことが役割としてあると思っています。もちろんオペレーターが全ての相談援助を行うわけではないと思いますけれども、その第一次的な情報に基づいて対応できる部分は対応する必要があると思っております。ですので、こういったオペレーターの業務について、ぜひ実態を注意深く調査して、検討していきたいと思います。オペレーターの対応の内容やどんな事案なのかはもちろん、それがリスクにつながっていないかということも含めて調査していただきたいと思います。

 参考資料1の18ページのところに利用者の導入後の評価ということで、利用者の事例が出ている中にも事例2というところで、ちょうど真ん中辺なのですけれども、「コール端末を押すことでいつでも相談でき、必要なときは随時対応が利用できることで、安心感を得ることができた」という御指摘もありますので、そういったことが損なわれないようにしていきたいと思っております。

ICTの活用という論点ですが、これが人員基準や資格要件のあり方という形で検討してはどうかとあります。今、申し上げていることと関連するわけですけれども、定期巡回・随時対応は在宅限界を上げていくという機能をもともと考えられていると思いますし、きょうも利用者がやや軽度者に偏っているのではないかという指摘もある中で、それをより重度者にも利用してもらうのであれば、専門職による相談援助機能というのはより重要になると思います。そういった役割とあわせて検討していくことが重要でして、人員基準、資格要件というのは十分慎重に検討していく必要があると思っています。

 最後に集合住宅の問題ですけれども、事業者には一定程度地域に開放するといいましょうか、一定程度の割合はその地域の人も利用できるようにすることを原則とすることもあり得るのではないかと考えます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 稲葉委員、どうぞ。

○稲葉委員 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、そして、夜間対応型訪問介護サービスということですが、この次のテーマになっております小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護のいずれにも同じようなことが言えると思いますので、あわせて申し上げたいと思います。いずれのサービスについても、さらなる普及が課題であると考えられると論点に示されております。他の委員の方々からの御意見にもありましたけれど病院から退院をした後、あるいは看取り期において、医療と連携をとりながら在宅生活を支える有効なサービスであると考えられます。

 今、地域の中で施設のような安全性を高めるところで有効ではないかというところからも、利用者が増えることが望ましいと感じます。特に集合住宅以外の利用も増えるといいと思います。ところで、参考資料などを見ますと、自治体によるばらつきの差が結構あるように見てとれます。国としては、引き続きこれらのサービスの特性や効果などについて浸透させていく努力を続けていただきたいと思います。また、これらのサービスは地域密着型サービスなので、自治体の政策によるところが大きいと思います。したがって、事業所の数や利用者の数が増加している自治体も実際にあるので、これは都市部に限らないとは思いますが、好事例などを国として示し普及をさせる。また、基金を活用するなどして、第7期事業計画において積極的に取り組めるような対策をとるべきではないかと考えます。

 人口密度が少ない地方におきましても、重度の在宅の高齢者のニーズというのは少なからずあるわけです。ですので、小規模の事業所であっても、そういったニーズに対応することが取り組めるような兼務ということが実現可能となる方法で普及を求めるというのも一つの方法ではないかと思います。

 意見です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 石田委員。

○石田委員 よろしくお願いします。

 まず、論点の2つ目の○ですけれども、後半のところの「地域全体へ必要なサービスが行き届くようにするためにはどのような方策が考えられるか」という点につきましては、この中で集合住宅を踏まえた自宅とか、地域に点在して暮らしていらっしゃる方々へのサービスにも行き届かせるためということになろうかと思います。

 その中で、参考資料1の20ページですけれども、その中の○の3つ目です。これから地域密着型サービスについてはということの真ん中あたりですが、人員要件や利用定員等の見直しを平成30年度介護報酬改定に合わせて検討するとなっていますので、やはり地域全体でサービスを広げるということを前提にするためには、人員の増大であったり、要件については人員要件の緩和であったり、利用定員数の拡大ということがきちんと今後検討されていくのかどうかということをしっかりお聞きしたいと思っております。もし人員要件等の緩和ということが検討されるのであれば、訪問については一人で訪問することの困難さといいますか、責任の重大さという現場からの声が上がっているので、例えば今後それをどのように拡大していくかということも検討の余地があるのかどうか、お尋ねしたいので、その点をよろしくお願いします。

○田中分科会長 お答えいただけますか。

○三浦振興課長 振興課長でございます。

 まさにこの場で、今後どのような議論をお願いするかというお話になろうかと思います。現状をおさらいさせていただきますと、参考資料1の3ページ、4ページに人員配置の例などがございます。緩和をするということは、事業者サイドから見ると2人でいいところを1人でいいというふうにいうイメージ、例えば先ほどから議論をいただいておりますオペレーターのようなものが典型例になろうかと思います。1人で行くことに対する不安に応えるために2人で行くというのは、逆に規制をある程度プラスアルファしていくようなイメージになってしまうかなというふうに思ってしまいました。

 いずれにしろ、基準の具体的な中身につきましては、これからしっかり御指導いただきながら御議論をお願いできればと思っております。

○田中分科会長 清水参考人、どうぞ。

○清水参考人 ありがとうございます。

 1つ目の論点ですけれども、人員基準や資格要件等のあり方については、随時訪問介護の頻度を日中、夜間に区分して調査するなど、実際の業務内容を把握した上で、検討することが望ましいと考えます。

 2つ目の論点ですが、地域全体へ必要なサービスが行き届くためには、実施している事業所の数がまだまだ多いとは言えない現状です。そして、地域のマネジメントを行う介護支援専門員の理解が十分でないこともその要因ではないかと考えております。それは通所系、短期入所系サービス利用を組み合わせて利用する場合の限度額管理などが非常に複雑であることなどが原因かと考えられます。

 現在、既に見直しの声もありますけれども、居宅介護支援事業所の特定事業所集中減算の制度によって、自由かつ適切なケアマネジメントを行うことができず、全体的にサービス供給量の少ないサービスに対するマネジメントに介護支援専門員が躊躇し、中正公平なマネジメントを行いにくいという現状もあると言われております。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 3点あります。

 1点目は、今までの皆様のお話をお伺いしていましても、きょう挙げられている論点の定期巡回・随時対応型のサービスをそもそも広げていきたいという立場で、これからの議論を、私自身は広げていく必要があると思っていますけれども、そういう方向性でいいのかということをこの場である程度合意するためにも、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスというものがまず利用者家族、専門職、事業者、そして保険者にとって、どのようなメリットがあるのかということを3方面から整理されたような資料が次のラウンドでは加わるといいのではないかなと思います。

 その上で、このサービスをこちらに書かれているように、今後も地域包括ケアの基盤としても広げていくという立場に立ったときに、これは鈴木委員が再三おっしゃったことだと思いますけれども、そのボトルネックがどこにあるかということも、1点目も、2点目も既にこれまでの老健事業ですとか検証・検討委員会の中でも幾つか調査が行われていると思いますので、それをもう一度レビューをいただくという形で、それが地域性なのか、それとも人員配置のことなのか。それとも、今回の参考資料1の12ページの埼玉県のところなどでは、事業形態別という事業体のモデル、経営のモデルが十分に伝わっていないみたいなことなのか、アカウンタビリティーなのか、どこにあるのかということが、これも結構いろいろな調査が既に行われていると思いますので、ボトルネックを一定程度幅広にどのようなことが上がっているのかということも出していただくという前提があると、ここで出されている論点が網羅されたものになっているのか、それとも、どうなのかということ自体が議論できるのではないかなと思います。

 しかし、とりあえずきょう出された論点については、この2つですけれども、1つ目は詳細に調査した上でということであれば、調査に基づいた検討に異論はございません。

 2つ目ですけれども、集合住宅に居住する利用者に対してということについては、きょうお出しくださった参考資料1の26ページを拝見しますと、これは先ほどの御説明もありましたけれども、集合住宅型ですと、平均要介護度で見ると、集合住宅の併設型で平均要介護度は2.55なのだけれども、定期が5.9回で、他方で地域型のほうが若干平均要介護度は高いのだが、定期訪問回数が2.0と、結構な差があるなと思いました。この集合住宅で定期も随時も合わせて、平均要介護度から見ても今までのさまざまな調査の中でも、地域型と比べて大分多く行っていらっしゃるという中身がどのようなものになっているのかというのは、途中でも不適切な事例という話もありましたが、不適切と言うことができるのか、それとも、この利用のされ方はどのようなものなのかということをもう一度検証する余地があるのではないかなと思っています。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 定期巡回が全てすばらしくて、ほかのサービスがすばらしくないということでは全くないと思うので、データを出す際には定期巡回のメリット、デメリット、それ以外のサービスのメリット、デメリットも平等に扱っていただいて、地域では、別に利用者が定期巡回を使いたいのだけれども使えないといっているわけではないのですから、その辺はミスリードにならないようにしていただきたいと思います。

○田中分科会長 御指摘ありがとうございます。

 定期巡回については、ほかによろしゅうございますか。

 東委員、どうぞ。

○東委員 1点だけ。定期巡回・随時対応型サービスを否定するものでは全然ないのですが、先ほどの発言でも言いましたように、4年もたってサービスの認知が進んでいないというのはおかしいと思います。行政でも認知はしているはずです。でも増えない。それは様々なところに問題があるのだと思います。鈴木委員、堀田委員がおっしゃったものもあると思いますし、支払い側の方ももっと増やす必要があるとおっしゃるのですが、このサービスを提供する際には、24時間随時対応しなければいけないので、サービス提供側は大変です。これは以前の介護給付費分科会でも申し上げていることですが、今ある社会資源、例えば特養とか老健施設をもう少し規制緩和することによって、施設サービスとともに定期巡回・随時対応のようなサービスを提供できるように考えていくべきだと思います。財政的にも厳しいときに、新しい箱物をどんどん増やすことが正しいのか、そういう機能をほかで補えるのではないかということも考えていく必要があると思います。

 以上です。

○田中分科会長 総合的に考えるとの御指摘でした。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今の東委員の御指摘は、先ほど申し上げた参考資料1の12ページのところで、埼玉県の経営の手引の中に、事業形態別収支モデルで、まさに介護老人保健施設との併設モデルというものがありますが、結局定期巡回・随時対応というものも地域の中で介護、看護さまざまな機能を同時に、より現場の利用者、事業者の裁量のもとで展開していける、そのことによって在宅での限界点を上げていこうということですので、機能がより自由に展開される今の方向性に見合ったものであれば、さまざまな事業形態の中で、こうした目標が達成されることもあわせて考えられることは非常にいいことではないかなと思います。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 利用者の立場からして、私たちは簡潔でわかりやすい制度にしてほしい。わかりにくい制度はやはり使われないです。わけのわからないものを積極的に利用しようとは思えないです。どんどんどんどん制度が複雑になっていっている感じがしますので、基本は、決まった通所介護、訪問介護それぞれがどうしても必要なときに柔軟に動けるような形をつくっていくことでカバーできる余地があるのではないかということも、繰り返しになりますけれども、私もそういう方向の検討というのも並行して進めるべきではないかと思っております。

○田中分科会長 制度のみならず、名前もわかりにくいと最初に鈴木委員がおっしゃっていましたから、それも影響するかもしれません。

 どうぞ。

○鈴木委員 今、まさに田部井先生がおっしゃっているようなことに応えるものは、私は次のところに出てくる小規模多機能だと思います。これをもっと柔軟に使いやすくすることが問題を解決する日本型の方法ではないかと思います。北欧のような定期巡回にしたらいいのではないかというイメージがありますけれども、そもそも向こうは3交代制です。こちらは看護はオンコールでしょう。レベルが違うのです。我が国はほかの制度も入っていますし、無理があるのです。定期巡回は机上の理論なのです。まだその域を出ていないのです。ですから、それを現実的なものにするにはまだまだ見直す必要があるのです。もっと少数の利用者でも対応できるようなものにする必要がある。私はそれが小規模多機能の役割ではないかと思うのです。

 次でまた議論したいと思います。

○田中分科会長 それぞれよく考えられた意見をありがとうございました。

 ほかにないようでしたら、ここで10分ほど休憩をとりたいと存じます。1055分に開始いたします。

(休  憩)

○田中分科会長 では、再開いたします。

 後半は、議題1のうち「小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護」について議論を行います。

 事務局から説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 老健課長でございます。

 それでは「小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護」についての御説明をさせていただきます。

 資料につきましては、資料2と参考資料2をあわせてごらんいただければと思います。

 まず、小規模多機能型居宅介護の現状を御説明させていただきます。

 参考資料につきましては2ページになりますが、御存じのとおり、小規模多機能型居宅介護、いわゆる「小多機」と言われているものにつきましては「通い」と「泊まり」それから「訪問」の3つのサービスを合わせて提供することによって、在宅生活の支援を行うサービスになっております。

 3ページが、それぞれ小多機の本体のほうの基準となっておりまして、代表者、管理者、それから日中と夜間のそれぞれの職員の数、それと看護職員が必ず1名以上いることと、本体につきましては、いわゆる登録定員が29名まで登録することができます。

 それに附属して、いわゆる「サテライト」と呼ばれるものもできるようになっておりまして、これは登録定員が18名までで、本体施設がある場合については、一部本体との兼務が可能というサービスが提供できるようになっているところでございます。

 資料のほうの1ページの最初の○でございますが、小多機につきましては、制度創設以降、請求事業所数・利用者数ともに増加しているところでございまして、これの参考資料が5ページになります。事業所数につきましては4,984、1事業者当たりの利用者数については17.2名というのが現状になっております。

 なお、前回の平成27年度の介護報酬改定におきましては、利用者の生活全般に着目し、主治医や看護師等の多様な主体との意思疎通を図り、適切に連携するための体制構築に取り組むなど、積極的な体制整備を評価する総合マネジメント体制加算につきましては、参考資料の4ページになりますが、右の加算のところに書いております、右側の上から3番目「包括サービスとしての総合マネジメント(1,000単位/月)」。もう一つは、在宅生活を継続するために支援をさらに強化する観点から、訪問サービスを積極的に提供することなどを評価する訪問体制強化加算。これがその上になりますが「訪問サービスの提供体制の強化」ということで、こういった加算を新設したところでございます。

 全体的には、先ほど申しましたとおり、4月審査分で請求事業所数は4,984、利用者数は85,200人となっているところでございます。

 平成27年度の報酬改定ではさらに、先ほど申しました、登録定員の上限を25名から29名まで引き上げたことになってございます。4月審査分では、先ほど申しましたとおり、1事業者当たり平均17.2名の登録がなされているところでございます。

 それから、参考資料1ページの2番目の○でございますが、平成27年度4月以降になりますけれども、登録定員を変更した事業所につきましては、平成28年1月時点で34.8%(529事業所)になります。これにつきましては、参考資料7ページの一番上段に書いておりますが、全体調査の対象である1,522事業所に調査したところ、529事業所、割合としては34.8%が登録定員を変更したところでございます。登録定員の変更につきましては、変更前の平均値が24.5名だったものが、変更後になりますと28.1名になっているところでございます。

 戻っていただきまして、参考資料の一番下のところになりますが、加算の取得状況についてでございます。新設した加算の取得状況につきましては、総合マネジメント体制強化加算を取得している事業所の割合が79.8%、訪問体制強化加算を取得している割合は27.4%になっております。

 資料の2ページになりますが、小多機の続きでございます。職員の総数の平均値でございますが、参考資料につきましては8ページになります。職員総数の平均値につきましては14.23人で、そのうち常勤が8.61人、非常勤が5.83人。常勤換算に直しますと、11.28人というのが現在の職員の数になっているところでございます。また、職員の充足状況については、足りていないと回答している事業所が約4割になっております。

 資料のポツの2番目になりますが、小規模多機能型居宅介護、いわゆる小多機の利用者の中には、訪問リハビリテーション等のサービスを受けている者も一定程度存在しております。それにつきましては参考資料の11ページになりますが、訪問看護ステーションのサービスを受けている者が全体の割合の中の23.4%、いわゆるリハビリを踏まえた訪問看護ステーションを行っている者が18.1%、訪問リハビリテーションが17.0%という数字になっているところでございます。

 続きまして、本体の資料の3ポツ目になります。小多機のケアマネジメントについてでございます。

 小多機の利用に当たりましては、居宅介護支援事業所の介護支援専門員ではなく、小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成することとなっております。これにつきましては、先ほど御説明しました、3ページの基準の中にありますが、本体の事業所の中には、一番下にありますけれども、居宅介護支援専門員につきまして1名以上配置することになっておりまして、この方が小多機の居宅サービス計画を作成することになっております。

 この点におきまして、利用者の日々の状態に応じたケアマネジメントを臨機応変に行うという観点から、こういった介護支援専門員を配置しているところでございますけれども、平成26年度の「社会保障審議会介護給付費分科会」におきましては、小多機の利用を促進する観点からケアマネジメントのあり方についての議論をしたところでございますが、現時点では見直しを行わないという結論に至っているところでございます。

 その後、「平成28年の地方からの提案等に関する対応方針」につきましては、参考資料の12ページになりますが、この中で「小規模多機能型居宅介護に係る居宅サービス計画を指定小規模多機能型居宅介護事業所に置かれる介護支援専門員以外の介護支援専門員が作成した場合における居宅介護支援費の算定については、議論の必要性も含めてその在り方について検討し、平成30年度介護報酬改定に向けて結論を得る。その結果に基づいて必要が措置を講ずる」とされておりますので、今回はこういったことも議題とさせていただいているところでございます。

 なお、1315ページにつきましては、前回、鈴木委員のほうから「新型多機能サービス」という御発言がございましたので、参考までにつけさせていただいているところでございます。

 本体資料に戻りまして、3ページになりますが、次からは看多機についての御説明をさせていただきます。

 看多機の現状でございますが、参考資料の17ページが全体像になります。看多機につきましては、いわゆる小多機のサービスに訪問看護がつけ加わったということになります。そういったサービスで地域の在宅の方々を支えるということと、もう一つは、訪問看護を提供して、利用者以外への訪問看護も行えるサービスになっているところでございます。これに関する基準につきましては、1819ページにありますので、後でごらんいただければと思います。

 今回の27年度改定におきましては、小多機と同じように、総合マネジメント体制強化加算の新設ですとか、登録定員の上限の引き上げなどを行ったところでございます。両者の重度化に伴いまして、今後、訪問看護の重要性が高まることを鑑みまして、さらに訪問看護体制強化加算というものも新設しているところでございます。

 これにつきましては、20ページの右側が加算一覧になっておりますけれども、右側のボックスの中の左側の上から3番目「医療ニーズに重点的に対応する体制を評価」ということで、訪問看護体制強化加算を新たにつけ加えるということでございます。

 全体的な看多機につきましての請求事業所数の問題でございますが、それにつきましては21ページをごらんいただければと思います。事業所数につきましては、左側のグラフにありますが、現在は318事業所が看多機を行っているところでございます。

 また、右側にありますとおり、看多機を行っている事業者がある保険者の割合につきましては、保険者数全体の11.3%の保険者の中においては看多機が行われている状況になっています。

22ページがその一覧ということで、それぞれ看多機の所在地別の指定事業所数ということで、一覧として挙げさせていただいております。

 また、看多機につきましては、23ページをごらんいただければと思いますが、要介護度につきましては、要介護度が高いものが多くなっているということと、1事業所当たりの利用定員の数につきましては、現在は19名が定員数となっております。

 また、前回、平成27年に登録定員を25から29に引き上げたわけでございますけれども、同じように定員を引き上げたところが、ここで言いますと、全体157のうち73、約半数のところが定員を引き上げている状況になっております。

 続きまして、本体資料の3ページ、2番目のポツでございますが、参考資料につきましては24ページからでございます。看多機の開始前の事業といたしまして、いわゆる小多機から今回の小多機に移行するケースが41%、訪問看護から看多機に移行するケースが32%ということで、これらの2つのサービスからの移行が多くなっております。

 事業開始の困難な理由につきましては、参考資料の31ページをごらんいただければと思います。一番上に「複合型サービスの開設予定」ということで、小多機の方々が複合サービス、いわゆる看多機を行うのか、もしくは訪問看護ステーションから看多機を行うことを考えているのかということについて、左側で示しておりますが、それぞれ95.2%、94%の方々については、いわゆる看多機の開設の予定はないと回答されています。

 予定がないという回答をされた中で、その下にあります、検討したか、検討していないのかということになりますと、検討したというところが、小多機の場合ですと約24%、訪問看護ステーションの場合は15%になります。ただし、検討したけれどもやらなかった理由が、赤の矢印で示している先のところでございますが、検討ありの場合の検討した理由ですけれども、なぜ検討したかというと「法人内利用者の医療ニーズが高いため」「地域の医療ニーズに対応するため」ということで、一応、検討したけれども、結局は開設しなかったという状況になっています。

 もう一方は、検討はしていないということで、検討しない理由、もしくは検討したのだけれども、検討の結果、開設しなかった理由ということで右側に書いておりますが、検討はあるのだけれども、検討の結果、開設しなかった理由で一番多いのが「看護職員の新規確保が難しい」で約66%、3分の2になっております。その次に多いのが「事業採算の見通しが立たなかった」というところで、この辺が開設を断念した理由となっているところでございます。

 それから、サテライトの関係でございますが、これにつきましては、戻っていただきまして、資料の28ページをごらんいただければと思います。サテライト型の事業所の取り扱いにつきましては、看多機と小多機では取り扱いが異なっております。看多機につきましては、本体事業所として設置する場合につきましては、基本的には小多機のサテライトをつくっていただくという仕組みになっているということで、看多機のサテライトという制度については現在はないという状況でございます。

 続きまして、本体資料の4ページになります。「医療ニーズの高い利用者やターミナル期の利用者等への対応」になります。参考資料につきましては、32ページをごらんいただければと思います。

 看多機の利用者につきましては、要介護3以上が約6割ということで、小多機に比べまして要介護度が高い方々を多く受け入れているという現状になります。

 特に、開始前の事業所が訪問看護ステーションの場合になりますと、参考資料の34ページになりますが、訪問看護体制強化加算等の算定率が高いなど、比較的高い機能を有している結果にもなってございます。

 また、看多機に従事する介護職員のうち、喀たん吸引等の業務の登録認定を受けた事業者、いわゆる認定特定行為事業者が行っている割合でございますが、これにつきましては、参考資料の38ページになりますけれども、ほかの地域密着型サービスと比べまして、従業者に占める割合が4.9%、比較的高い割合の方々が従事しているという結果になっているところでございます。

 続きまして、看多機における過去1年の利用終了者のうちの転機でございますが、参考資料につきましては39ページをごらんいただければと思います。利用終了で多いのがやはり入院ですが、それ以外に施設や入院の利用者は半数以上いますけれども、在宅死亡が8%、事業所内でのみとりにつきましては16%、過去1年に在宅死亡があった事業所、これは一番下のグラフになりますが、これにつきましては、約66%の事業所で在宅死亡のみとりを行った経験があるという結果が出ております。

 本体資料の4つ目の○でございますが、事業開始時の一定期間における経営の安定化を図るための評価ということで、参考資料につきましては40ページになります。小多機及び看多機につきましては、事業開始後の一定期間において経営の安定化を図るための評価といたしまして、27年度までの時限措置として事業開始時支援加算が設けられておりました。27年度の介護報酬改定の際には、小多機につきましては予定どおり同加算を廃止したということでございますが、看多機につきましては、加算の算定状況ですとか収支状況等を踏まえ、今後もさらなる整備促進を図るという観点から、平成29年度末まで延長することとしております。

 それにつきまして、事業開始加算を算定している割合でございますが、次の41ページになりますけれども、平成28年4月時点では16%になっております。また平成28年度介護事業経営概況調査の結果でございますが、これは42ページになります。看多機につきましては、集計事業所数が少ないために参考値扱いになっておりますけれども、収支差率は、平成26年の1.4%から、平成27年度は6.3%に改善しているという結果になってございます。

 こういったことを踏まえまして、本体資料の5ページに論点を挙げさせていただいております。

 まず、共通の論点といたしまして、

 小多機や看多機について、請求事業所数や利用者数の現状を踏まえると、更なる普及が課題であると考えられるが、サービス供給量を増やす観点や機能強化・効率化を図る観点から、人員基準や利用定員の在り方についてどう考えるか。

○ 小多機や看多機について、看護職員の雇用が難しいという声があるがどう考えるか。

続きまして、小多機に関する論点になります。

 小規模多機能型居宅介護事業所に置かれる介護支援専門員以外の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成した場合の取扱いについてどう考えるか。

○ 小規模多機能型居宅介護と他のサービスとの併用についてどう考えるか。

6ページになります。今度は看多機に関する論点になります。

○ 看多機と小多機におけるサテライト型事業所に関する取り扱いが異なる点についてどのように考えるか。

○ 看多機のサービス(「通い」「泊まり」「訪問(介護)・訪問(看護)」)の特性を踏まえて、医療ニーズが高く看取りまで対応する体制のあり方についてどのように考えるか。

○ 事業開始時支援加算は平成29年度末までの時限措置となっているが、サービスの普及状況や経営状況を踏まえてどのように考えるか。特に経営状況については、平成29年度介護事業経営実態調査の結果も踏まえて検討してはどうか。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御質問、御意見があればお願いします。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 それでは、論点に沿ってお話をさせていただきます。

 意見と質問がありますが、まず5ページの「共通の論点」の部分でございます。上のほうのでございますが、前回の改定で登録定員を25から29名に増加したわけであります。なぜ29名なのかを質問しましたところ、そのときの説明では、地域密着型特養の定員を見ても、小規模の上限は29名だという説明でありましたので29名以上に人数が多い小多機はない、小規模の地域密着型サービスはないのだと理解したわけであります。

 ですから、それは29名でよろしいと思いますけれども、その議論の中では、登録者のサービスは包括的ですから、内部はより柔軟にしてもいいのではないかという話をしました。例えば「通い」の人数を18よりもう少しふやしてもいいのではないかと考えております。前回もそういうお話をさせていただいております。

 それから、2つ目のにつきましては、小多機につきましては外部の看護職員の活用も可能だと思われます。ただし、きちんと看護師を確保しているところとの整合性を図る場合には、減算という措置が必要になると思います。

 看多機につきましては、そもそも看護職員が集められないということであれば、看多機をやる資格はないと思います。看護職員の雇用ができない、でも看多機をやりたいといっても、それは無理な話だと思います。

 次の小多機のところでございますけれども、この小多機のケアマネは外のケアマネでもいいのではないかということは昔から議論がありまして、もう事実上決着している話でございます。ケアマネが内包されているために、サービスの柔軟性が担保されておりますので、外部のケアマネが計画を作成した時点でそれは小多機ではないと考えられます。これはもう終わった議論だと思います。

 それから、小多機と他のサービスについてということですが、これは具体的に何を考えているのかを質問したいと思います。例えば、訪問看護が必要な場合はありますので、小多機の看護職員が重度者の自宅へ訪問看護を行った場合には加算があってもいいと思いますけれども、それ以外に何かお考えがあるのか。看多機ができましたので、それ以上の場合は看多機ということになると思いますが、例えば、ADLが低下した人に対して、リハビリを強化するためにリハビリ専門職をもっと入れることを考えているのか。前回も小多機の多様化ということで、小規模の範囲の中で看多機もできたということですので、そういう意味ではリハ多機のようなのを考えているのかどうか、事務局のお考えを伺いたいと思います。

 続いて、6ページの論点でございます。サテライトの扱いでございますが、看多機は小多機よりも機能が重いので、サテライトは小多機なら可能ということですが、基準を緩和した看多機のサテライトというのは矛盾があると思うのです。もし、さらにそのニーズがあるということであれば、新たに看多機を新設すべきであって、サテライトは小多機のままとすべきではないかと思います。

 2つ目のです。看多機で看取りを行いたいということでありますが、そのためには医師の関与が必要でありますので、かかりつけ医が定期的に訪問診療を行っていることを含めた要件の設定が前提になると思います。

 3つ目の事業開始時支援加算でございますけれども、これは看多機のみが残っていたわけですが、資料にもありますけれども、平成27年度の収支差率を見ても大幅に改善しておりますので、参考値とはいえ、平成29年度末で廃止していいと思います。

 それから、新型多機能サービスの資料も出していただきましたので、それについての意見を改めて申し上げさせていただきたいと思います。新型多機能サービスは、そもそも小多機の一類型ではありません。それにもかかわらず、新類型を小多機の一類型とする理由、根拠について事務局より説明をしていただきたいと思います。小多機は宅老所の実践を踏まえて、我が国が独自に生み出した先進的な認知症ケアの制度で、認知症ケアの有効な手法である地域密着、小規模、多機能を制度に反映させているものです。新型多機能は、そうした認知症ケアの標準を否定するものであり、小多機の制度のあり方そのものを破壊するものであります。また、世界の認知症ケアの常識にも反する机上の空論であるばかりか、今後の在宅サービスの制度改革の中心である中重度者対応の強化や、認知症対応強化にも逆行するものと考えられます。

 また、先ほどもお話しさせていただきましたが、サ高住や定期巡回の不適切事例の是正を行わないまま、新型多機能サービスが大規模なサ高住に併設された場合、サービスの質の低下した粗悪な介護サービス併設型住宅ができるばかりか、財政的にも介護保険財源を食い潰しかねないと考えられます。中重度者の対応を図るのであれば、既存の通所介護を機能強化し、複合化を推進したほうが有効であり、財源的にも効率的であると考えます。

 新型多機能サービスと、今回の図から外されておりますが、同時に提案されている特定圏域生活支援拠点は圏域独占となり、利用者によるケアマネ事業所の自由な選択の可能性を奪うものとなります。競争のない独占的なサービスの提供体制は、サービスの質の低下を招く可能性が非常に高いと思われます。地域独占の推進ではなく、まず現状のアセスメントやケアマネジメントの問題点を抽出し、その解決を議論すべきであると考えます。

 今から新たなサービスである、新型多機能サービスや特定圏域生活支援拠点という机上の理論を無理やり制度化するのではなく、せっかく定着してきている小多機の整備、サテライトの柔軟な活用を含めて、既存のサービスがたくさんあるわけですから、これらの組み合わせによる多機能化・複合化を推進すべきであると考えます。

 以上です。

○田中分科会長 御質問についてお答えください。

○三浦振興課長 ありがとうございました。

 まず1点目は「論点」の中にある「他のサービスとの併用」に関して「リハ多機」という単語で御質問をいただいたかと思いますけれども、基本的に、今の参考資料の11ページでもお示しをいたしましたとおり、小規模多機能型居宅介護サービスを利用されている方も、ほかのサービスとの組み合わせをニーズに応じてされている現状があるということを踏まえて、必要に応じてどのようなことが対策として考えられるかといったようなことを、これから御議論をお願いできればと考えているところでございまして、新類型のサービスをつくる、つくらないということを今、手元に持ち合わせているわけではございません。

 2点目が、最後に新型多機能の中で、これは小規模の一類型なのかどうかという御質問があったかと思います。少しテクニカルなので、それが一類型かどうかというより、同じものとして見るべきかどうか、単に定員が大きいと見るべきかどうかといったところはまさに御議論かとは思いますけれども、利用定員のみならず、幾つか既存の小規模多機能とは違う性格を持っているのは事実かと思います。

○田中分科会長 東委員、どうぞ。

○東委員 ありがとうございます。

 この小規模多機能型居宅介護サービスが創設されて約10年になるわけですが、私は全老健の会長として、この小規模多機能型居宅介護サービスが創設されたときに、老健施設がもう少し在宅支援をきちんとやっており、大規模多機能という老健施設の与えられた使命を果たしていれば、もしかしたらこの小規模多機能型居宅介護サービスというものも生まれなかったかもしれないと反省もしておりますし、忸怩たる思いでおります。

 それを踏まえまして、この10年で老健施設も大分変化しております。在宅強化型老健等もできましたし、その数も随分増えておりますので、既存の施設サービスである老健施設が、いわゆる多機能性を果たしている状況も皆さんに御理解いただきたいとまず申し上げておきます。

 その上で「論点」のところでも述べられていることを申し上げます。

 まず、この小規模多機能型居宅介護サービスでございますが、参考資料2の11ページに、小規模多機能型居宅介護サービスの場合に、リハビリが使われている割合が大変少なく、2割以下という表がございます。老健施設の在宅支援の場合は、ショートでも、通所でも、入所でもしっかりリハビリを提供していますので、そこが小規模多機能型居宅介護サービスの場合は少し弱いのではないかと思っております。ただ、制度上、これもなかなか難しいことなのかもしれませんが、そこは課題ではないかと思います。

 それから、参考資料2の13ページに「新型多機能サービスの創設について」とあって、今、鈴木委員も言及しておられましたけれども、地域包括ケア推進研究会というところからこの考え方が出されているようですが、私どもこの介護給付費分科会の委員としてこれは初めて聞くことでございます。地域包括ケア推進研究会にどのような方がいらしてこういうことをおっしゃっているのかはわかりませんが、この趣旨を見ますと「介護専門職の処遇向上と在宅中重度者を最期まで地域で看取ることを可能にするため」と書いてあります。先程、田部井委員も利用者の立場からいくと非常に制度が複雑だとおっしゃっておりました。24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護サービス、看護小規模多機能型居宅介護があるなか、そこへさらに新型多機能サービスの創設。私は、日本は幾つこういう箱物をつくったらいいのかと。今でさえサービスがたくさんあるわけですから、そろそろこういうのは、やめませんか。先程、鈴木委員もおっしゃいましたが、既存のサービスをいかに効率よく使うか。もし使いにくければ、規制をどのように緩和するかを日本は考えるべきであって、こういうものをつくってますます財政的に負担が増えるのでは、日本の将来的にこれは合わないと思います。

 ですから、この新型多機能サービスについては、さらっと見ただけですが、私は反対でございます。

 それから、看護小規模多機能型居宅介護についてですが、創設されてから4年で318事業所とこれもかなり少ないと思います。必要な地域では必要なのでしょうけれども、先程24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護のときも申し上げましたが、看護小規模多機能型居宅介護のニーズがどれぐらいあるのか。4年でこれだけしか増えないというのは、それほどニーズがないのか。それとも、ニーズがあるけれどもできないのか。そういうところをきちんとエビデンスを踏まえた上で、今後この看護小規模多機能型居宅介護も増やしていくのかどうかを議論していただきたいと思います。

 資料2の6ページに看護小規模多機能型居宅介護の論点として、『医療ニーズが高く看取りまで対応する体制のあり方』が挙げられていますが、参考資料2の39ページのグラフでは、看取りの対応が24%と意外に少ないですし、医療ニーズについては、今回の資料に出ておりません。私が手に入れた資料によりますと、看護小規模多機能型居宅介護の医療ニーズとしては、服薬管理、摘便、かん腸、そういうものが多くございます。先程も申しましたように、そのような医療ニーズであれば、老健施設でも十分対応できるわけでございまして、地域によっては老健施設がそういう機能を果たしていないから看護小規模多機能型居宅介護が必要だということもあるかもしれません。いずれにしましても、看護小規模多機能型居宅介護の場合も、必要なニーズに沿った整備を考えるべきであると考えております。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 安部委員、どうぞ。

○安部委員 参考資料22ページを見させていただきまして、相当ばらつきがあるという印象がございます。小多機は約5,000、看多機は318、請求事業所数は330。この表を見せていただくと、私は東京都板橋区に住んでおりますが、板橋区には看多機が1件もないことが示されています。北海道を見ますと札幌市には20あって、これは公募ではなくて事業者が自主的に看多機をつくったということでしょうし、右側の佐賀県唐津市ですと、公募が4件で、事業者数が4件ということですから、恐らく唐津市が何らかの対応をして、こういった施設をつくったということかと思います。

 私が申し上げたいのは、看多機の機能は、私は板橋区に住んでいますから一度も見たことがございませんし、必要な機能かとは思いますけれども、必要な機能であれば、こういう各地のばらつきがあることについては大きな問題があろうかと思っておりますし、必要なところに必要な数ができないようであれば問題だと思っております。

 また、現在その機能がないところでは、一体どうやってそういうサービスを提供していて、医療・介護を提供しているのだというところも踏まえなければいけませんし、例えば、札幌市のようにこの機能が充実しているところとその他ではどう違うのかも評価する必要があろうかと思っております。

 もう一点ですけれども、イメージが浮かばないというか、わからないので教えていただきたいのですが、30ページに「サテライト型小規模多機能型居宅介護事業所の設備・運営基準」がございます。前改定で、本体事業を29までふやしたことを御説明いただきましたが、登録人数ですとか、通い・泊まりの人数が6~8割のところでサテライトを2カ所までつくってよろしいということでありますが、私のイメージだと、サテライトが本来の3分の2の大きさがあって、それが2件できるということになりますと、本体よりもサテライトの総計が大きくなる可能性もあります。地域の実情から、どうしてもそういう配慮が必要なのかもしれませんが、この際にはしっかり本体のほうの管理者、管理体制が全体として2倍以上になる可能性があるわけですので、そこについてもしっかり管理をしておかないといけないと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 鷲見委員、どうぞ。

○鷲見委員 ありがとうございます。

 ケアマネジメントについても、ここでも課題に挙げられていますので、現状を踏まえてお話をしたいと思います。

 基本的には、ケアマネジメントは外づけであるべきだと、当協会としてはずっとお話ししてきているわけでして、その意味はやはり第三者としてケアマネジメントができるところにあると思います。しかし、小規模多機能のケアマネジメントのよさというのは、サービスの特性に合っているということなのだろうと思います。

 しかし、設定した理念が崩れてしまわないように、ケアマネジメントを内包している全体のサービスをも同時に考えていかないと、ねじれていってしまうのではないかと思っているところです。

 特に、利用者さんと密接に関係していくわけですので、利用者の要望に安易に応えるサービス提供をしてしまいますと、そもそもの介護保険の理念である、自立支援に資することへの、サービスの中ででもケアマネジャーとしてもジレンマを抱えていく結果になっていくと思っています。

 小規模多機能では、認知症に特に重点的に対応していくところがありますので、その対応が大変な方や不安定な方に柔軟に対応できるために、ケアマネジャーが当事者をよく知っていたり、24時間きちんと見られたり、ニーズの変化に迅速に対応できるというよさが確実にあると思っております。

 一方、先ほども申し上げましたが、利用者や家族との関係が近過ぎること。そして、ケアマネジャーが、認知症などの理解やケアマネジメントの力がそういった意味でも必要であると思っています。

 現場のケアマネジャーといたしますと、多分、小規模の中にいらっしゃる人たちはよさを非常に感じているという結果も出ていることも事実です。ケアマネジメントをしていることのよさを感じているところもありますが、兼務状態であるというのが、当協会のアンケートでも約8割の人が、介護職とケアマネジャーを兼務している状況があり、その中でしっかりとしたケアマネジメントができる体制にないことに課題を感じていることが言われています。

 特に、例えば外のほうで、外づけのケアマネジャーさんはどうですかというお話を伺ってみますと、小規模の方々は、毎日ケアマネジャーが訪問するぐらいの覚悟がないとできないと、本当にしっかり頑張っていらっしゃる小規模のところでございますが、そのようなお答えもあったとのことです。

 一方で、一旦小規模に入ってしまいますと、包括払いであるために、法人の姿勢にかかわっているところもあります。例えば、社会資源の活用や医療的なサービスの導入が適切にされていないケースや、このデータでもありますが、人材の確保が難しいために、利用制限を言ってくる事業所も出ています。また、ショートステイは必要というものをとっていらっしゃいますので、ここが利用者にとってみると負担だというお話もありますし、長期ショートステイ化しているところがあるということも聞いています。

 こういった実態を踏まえて、先ほどからケアマネジャーが24時間にしても、小規模にしても紹介していないとか、そこを理解していないというお話があるわけですが、実態をよく知っているケアマネジャーだからこそ、この点についてきちんと利用者家族と話した上で、最終的には選択している結果が、今のこの数字になっていると我々は認識しているところです。

 そういった中で、今後、特に本来の理念に基づくケアをしていただくためにも、地域密着型のよさからも、保険者の責任としても、限りある社会資源を利用者同士で考えていくとか、第三者機能を持たせるために運営推進会議の強化などをぜひ進めていっていただきたいことや、小規模機能内での自立支援を推進していくために、職員の教育や認知症ケアの教育を強化していただきたいこと。それから、小規模多機能への紹介率を上げるためにも、紹介することで、利用者さんにとってこんないいことがあるのだという広報をしていっていただきたいと思います。

 それから、利用者の方が小規模多機能に移管されたのですけれども、戻ってきたケースもかなりあると思いますので、こういったケースの改善もぜひ検討していただければと思います。

 以上です。

○田中分科会長 御指摘ありがとうございました。

 及川委員、どうぞ。

○及川委員 ありがとうございます。

 先ほどの定期巡回や小多機、看多機については、本当に在宅生活を継続したいと思われている方にとってはとても大切なサービスであり、必要であると思っております。ただ、いかんせん数がふえていかないことが問題でありますから、この状況を踏まえれば、各事業所の共同運営とか、サテライト展開のあり方を整理すべきだというところであります。この意味合いにおいては、新型多機能というものが示されておりますけれども、そのコンセプトについては理解はできると思います。ただ、大切なのは、やはり現在ある施設、事業所をどのように活用して、その環境を整備していくかを考えることだと思います。

 もう一つは、5ページの論点のケアマネジメントの件ですけれども、以前からお話しされているように、小多機、看多機のよさは、随時の状況に合わせたサービス提供ができることでございますので、その機能を最大限発揮させるためには、利用者に最も近い事業所内のケアマネとすることが望ましいと考えます。もし外マネを活用するとした場合にあっては、介護福祉士の実践力が担保されている介護福祉等を、きちんとサービス提供の管理者としてその役割を担うべき対応も担保していかなければいけないのではないかと考えます。

 以上でございます。

○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 私もケアマネジャーの外づけあるいは内づけの問題につきましては、鈴木委員やほかの方がおっしゃったとおり、内付けによる柔軟性が最大のメリットだと思いますし、これをまた外付けにしていきますと、案外、間接業務が非常にふえて、より一層煩雑になることは懸念されると思っております。

 それから、看護職員の確保が非常に難しいという論点が上がっているのですけれども、看護小規模多機能を開始するときに、もともと訪問看護をやっていたというところが事業参入する場合、看護職員の雇用はそんなにハードルは高くないですけれども、小規模多機能から看多機に参入する際に、新規の採用が難しいということなのだろうと思います。しかしながら、看多機の創設の趣旨を考えていきますと、確保が難しいからといって、基準を下げるということにはならないと思っております。

39ページにありますように、事業所内や御自宅でのみとりにきちんと対応するとか、あるいはたんの吸引なども介護職と密度の濃い連携をしながら、適切で安全な管理体制の中でやれていると事業所があります。看多機につきましては「論点」のの2つ目にありますように、サービスの特性を踏まえた体制のあり方の一環として、看護職員の配置を考えていくべきだと思います。介護職とタッグを組んで連携しながら、みとりや医療依存度の高い方へのサービスをやろうとすると、恐らく看護職員はとても2.5では間に合っておらず、もう少し人材を集めて展開しているのが実態ではないかと思います。むしろ、そういった事業所をきちんと評価して、インセンティブを与えていくほうが、私は看多機の広がりを出すにしても有効な方策ではないかと思っております。

 それから、サテライトにつきましては、小多機の並びで考えていくことをぜひ検討していただきたいと思っております。サテライトの設置を認めれば、看多機に参入してくるのかというと、なかなかそこも期待は薄いかもしれないですけれども、資料20ページにありますように、割と規模の大きな自治体でも事業所数としてはまだ少ない状況ですので、ニーズがあってもサービスの利用ができない自治体もあるかと思います。サテライト設置を認めることによって、地域の看多機のサービス拠点が少しでもふえる、あるいは事業者にとっても効率的な運営体制で供給量をふやすことが期待できるのではないかと思っております。

 事業開始時支援加算につきましては、確かに経営状況は改善しているというデータは、参考値ながら出ていますが、42ページの下のグラフですと、やはり事業所をつくった後、利用者がある程度定員を満たすまでには相当収支的にはマイナスも覚悟しなければいけない状況になります。ですので、少しでも看多機への参入をふやすことを考えますと、加算の期間延長も視野に入れた検討が必要だと思いますし、正直、第6期の介護保険事業計画には間に合わなかった自治体もあろうかと思います。設置はこれからの課題なのだということが多くの自治体の実情でもあろうかと思いますので、ぜひ延長の方向で検討していただきたいと思います。

○田中分科会長 瀬戸委員、どうぞ。

○瀬戸委員 まず、5ページの論点についてですけれども、先ほども申し上げましたが、サービス提供量をふやす観点からどう考えるかということですが、事業所、利用者、他のサービスの提供の実態等も含めて考えるべきで、単に数をふやすということではないと考えています。その意味では、先ほど東委員からも出ていましたけれども、現にある人材とか設備といった資源を有効活用していく観点が必要だと思います。

 特養においては、専門職を含めて多くの人材が働いていますし、この意味では特養の空床や通所介護といった施設に、既にある設備を利用して、小規模多機能的な事業者としてみなす運用があってもよいと思います。そうすることで、特養の職員も地域により積極的に出かけるようなスタイルをとることもできると思いますので、検討していただければと思います。また、デイサービスの機能強化も必要だと思います。

 2つ目ので「看護職員の雇用が難しい」という論点がありますけれども、これは介護の世界だけではなくて、地域の看護職員の全体の数も含めて考えなければいけないと思います。2006年の診療報酬改定での7対1が創設されて以来、地域の看護師さんが一気に減った感がありますので、これはここの議論ではありませんけれども、地域全体を見た中での影響も含めて審議するべきだと考えております。

 次に、6ページの論点ですけれども、1つ目のに関しましては、特段取り扱いを分ける意義はないかと思いますので、どちらかにそろえた形で差し支えないのではないかと思っております。

 3つ目のに関してですが、時限措置になっていることと収支差率を考えてみれば、あくまでも参考値ということでございましたが、延長の必要性はないと考えております。

 それから、論点ではないですが、先ほど、鈴木委員、東委員からもありました、新型多機能サービスに関してですが、私もこれに関しては反対の意見を述べたいと思います。

 理論的に言えば、小規模多機能をつくった厚労省の提唱した意図に反しているものだと思いますし、先ほど鈴木委員もおっしゃられたように、小規模は認知症ケアに有効だということ、多機能は、生活環境、人間関係の変化によるBPSDの悪化や、リロケーションダメージを軽減するという考え方があったもので、定員を拡大し地域に広げるというのは全ての理念に反すると思います。前回、意見を述べさせていただきましたが、定員50名というのは小規模としてはあり得ないと思います。

 また、中重度のサービス提供と言っていますが、今回の資料ではちゃんと出ていませんけれども、さまざまな調査で比較してみると、小規模多機能の平均介護度は2.3、看護小規模多機能でも3.0であるほか、障害高齢者の自立度や認知症自立度を比較しても比較的軽い方がいますが、このような実態なのになぜ新型多機能を提供することで中重度対応ができるのか、理解に苦しむところです。

 また、先ほども出ていましたが、地域偏在のこともありまして、小規模多機能事業所は確かにふえていますが、看護小規模多機能は22ページにあるように、都道府県に1つあるか、多くても30ですので、こういうことを改善するのが先であり、新たなサービスを創設する意図がわからないと思います。

 ということで、この提案自体は全く整合性のない、利用者不在の仕組みであると思いますので、検討の余地はないと考えています。

 以上です。

○田中分科会長 本多委員、どうぞ。

○本多委員 5ページの4つ目の論点、小規模多機能型居宅介護と他のサービスとの併用についてですが、参考資料の11ページを見ますと、訪問リハビリ等が多いことが示されています。質問になりますが、「医療保険」の枠に「訪問看護ステーション」とありますが、これは具体的にどういったサービスを受けているものが多いのでしょうか。

○三浦振興課長 ありがとうございます。振興課長でございます。

 医療保険のほうの訪問看護は使えるという前提になっておりますが、例えば、がんの末期ですとか、短期的に集中的に医療依存度が高まるような場合に医療保険の訪問看護が、通常であれば御案内のとおり65歳を超えておりますので、在宅サービスは介護のほうの訪問看護が優先となります。それの例外としての医療保険を御利用いただいていると考えるとすれば、具体的な措置内容ですとか、どのサービスが提供されているかというものは今は手元にないのですけれども、御利用者像の典型例としては、がん末期の患者さんといった方が考えられるかと思います。

○本多委員 今回、同時改定ということで、医療と介護の連携が非常に大きなテーマにある中で、看多機は医療と介護が両方提供できるサービスとなっていますが、実際としては看護師が不足して設置も少ない状況となっており、今までどおりに介護のほうで訪問看護を行うのがいいのか、そのような点を踏まえ、医療と介護の連携をいかに効率的にやるのかということを考えていくべきなのではないかと思います。こういう一つ一つのサービスを見ていくと、そこの論点だけで終わってしまいますが、地域において医療と介護を無駄のないような形で効率的にどのようにすみ分けをしていくのかという観点が必要ではないかと思います。

 あわせて、6ページの論点の2つ目の、看多機の看取りについてですが、資料を見ますと、看取りの割合は正直に言って少ないと感じています。本来は医療職がいて、介護のほうでもきっちり看取りを行うのであれば、中医協との意見交換会でも非常に重要な課題になっていたと思いますが、しっかり評価していかなければいけないと思っております。

 あと、小多機に関連しますが、参考資料の4ページに「看取り期の連携体制の構築」ということで加算が設けられておりますが、これは具体的にどういった要件で加算されているのですか。

○田中分科会長 振興課長、お願いします。

○三浦振興課長 ありがとうございます。振興課長でございます。

 たしか前回の改定で新しく設けられた仕組みでございまして、要件は通知の中で細かく規定しております。典型的なのは、例えば24時間の連絡がつく体制をきちんととってほしいですとか、あるいは管理者を中心として、みとり期における対応方針を事業所内でしっかり決めておいていただく。その中には、医師あるいは医療機関との連絡体制をどうするかですとか、あるいは登録されている利用者との話し合いによる同意、意思確認をどのようにやっていくかですとか、そういうプロセスも含めて作成し、徹底している。あるいはケアカンファレンスなどをしっかりしている。このような要件は幾つか定めているところでございます。

○本多委員 わかりました。

以前から申し上げておりますが、看取りを行ったときに、当然プロセスやストラクチャー評価はあるかと思いますが、今後は、アウトカムで評価していくことを考えていかないと、介護の看取りも進んでいかないのではないかと思います。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 伊藤委員、石田委員の順でお願いします。

○伊藤委員 伊藤です。

 小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護について、両方共通する意見ですけれども、資料2の5ページ「共通の論点」というところ、請求事業所数や利用者数の現状を踏まえると、サービス供給量を増やすといった検討が必要という話ですが、この請求事業所数や利用者数はあくまで結果であって、今、これを供給している事業所がこれだけあるということでしかありません。どれだけニーズがあるのか、他のサービスが代替しそれで済んでいるのか、という先ほど来からの議論に対しては情報が足りないと思います。

 このニーズが全国でどのくらいあるのかという点と、利用者や家族が現在、看護小規模多機能を利用されるに当たってどう受けとめているのか。満足度がそれなりに高いのだろうとは思うのですけれども、先ほどの定期巡回のほうは少し例示としてありましたが、こちらについても利用者家族の情報を少し提供していただいた上での検討が必要だと思います。単にサービス供給量を増やす観点では、登録上限を増やすとか、効率化という話が論点になっていて、そうすると、人員配置基準の引き下げも企図されているのかと考えます。この間の登録上限の引き上げの影響にも留意すべきと思っておりますので、利用者家族の満足度的なものも出していただきたいと思います。人員配置基準の引き下げということはないとは思いますけれども、安全面、サービスの質という観点から極めて慎重に扱うべきだと思っています。

 ケアマネジメントの点ですけれども、実際に事業所内でプラン変更がどれぐらいされているのか。確かに柔軟に、臨機応変に事業所内でのサービス提供を行うことでのケアマネジメントの考え方が小規模多機能にはあるのだと思いますが、そういう意味では、どれぐらいプラン変更などをされているのかという情報がありましたら提供してほしいと思います。もし、そういった外のケアプラン、ケアマネによる利用を認めるかどうかを検討するのであれば、小規模多機能事業所のサービスの提供状況を、リアルタイムで共有する必要があると思います。いずれにしても、検討のための材料をもっと提供していただきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

○鈴木委員 今の話に少しいいですか。

○田中分科会長 関連してですか。

○鈴木委員 はい。

○田中分科会長 どうぞ。

○鈴木委員 小多機がなぜ外部のケアマネジャーではまずいかということで、実例を挙げさせていただきますと、例えば、小多機の利用者で、その日は通いの予定だったけれども、体調が悪くてキャンセルになった場合、内部にケアマネがいますから、直ちに通いから体調確認のための訪問に切りかえたり、独居世帯であれば病院の手配が必要になる場合、病院の送迎はどうするのか、病院内の付き添いはどうするのか、薬の受け取りはどうするのか、病院から帰った後に見守りをどうするのかといった判断が直ちに求められます。職員に余裕がある場合は訪問で対応し、もしくはその日の他の利用者の訪問予定を調整し、時間等を変えて訪問したり、どうしても調整できない場合には家族に対応を依頼したりします。

 このように、小多機は、内部にケアマネがいるからこそ柔軟にその日のうちに対応ができるのであって、それが外部のケアマネでできるのであれば、それも検討する余地があるかもしれないけれども、私はもうそれは決着がついている話だと思います。これをまた議論するのは無駄だと思いますし、もっと別の議論をしたほうがいいと思います。

○石田委員 ちょっと補足で、先ほど、論点の5ページ目の最後なのですけれども、小規模多機能と他のサービスとの併用ということで、これは今、鈴木委員が冒頭に御質問されて、御回答があったのですけれども、もう一度、具体的にどのような併用の形があるかを教えていただきたいと思います。なぜかといいますと、先ほどから現にあるいろいろな資源を有効にすり合わせる、もしくは組み合わせる形で、もっといろいろな普及が進むのではないかという御意見もたくさんあって、それは本当にそのように思いますので、具体的な併用の形を少し教えていただければと思います。

○三浦振興課長 ありがとうございます。振興課長でございます。

 恐らく手元で何か資料を整理してお示しをしたほうがよろしいかと、伺いながら思いました。基本的には、鈴木委員のほうにも冒頭で申し上げましたとおり、今、さまざまな形での併用も認められているものもあり、その運用改善の中で利用者像に応じて求められる場合に円滑に利用できるようにというのが根っこの発想でありまして、何かしら新しいものを大きくがらがらと変えてといったようなことが今、手元にあるわけではないというところでございます。

○田中分科会長 清水参考人、お願いします。

○清水参考人 ありがとうございます。

 まず、新型多機能サービスの創設については、先ほどの鈴木委員、東委員の御意見に賛成です。

 5ページの「共通の論点」の1つ目ですけれども、サービス供給量をふやす観点でいえば、既に事業を実施している事業所がサテライト型を運営することも一つの方法と考えられますし、人材の効率的活用にもつながる可能性もあります。そのためにも、看多機におけるサテライト型看多機につきましては、さらなる検証が必要と考えられます。サービスをふやすことが正しいとは限らないと思います。

 それから、訪問サービスをより一層充実させる必要があります。訪問体制強化加算の算定率も思うように上がっていない要因には、訪問の所要時間が影響していると思われます。服薬の促し、水分補給、排せつの確認や介助など、比較的短時間の援助は可能ですけれども、買い物や調理、自宅での入浴介助など、時間を要する内容には対応してもらいにくいのが現状であります。この点からも、独居高齢者には必要な支援が十分提供できないため、家族と同居している人が利用しやすい状況になっていると考えられます。

 小多機も看多機もですが、訪問サービスの実態について今後調査をした上で、本来の趣旨である認知症高齢者が利用しやすい制度に見直していく必要があると思います。

 次に、小多機に関する論点の1つ目ですが、介護支援専門員の配置におきましては、現状の制度に加えて、いわゆる外マネを導入することが共通論点のサービス供給量をふやすことにもつながるのではないかと考えられます。現状、一般在宅サービスから小多機にスムーズに移行できない理由の一つに、介護支援専門員の交代が、利用者から見れば大きな問題になっております。外マネを導入することで、利用者のサービス導入がスムーズに行えるのではないでしょうか。外マネにすることで、サービスの内容にも確認の目が入り、いわゆる事業者都合によるサービス提供を防止することもできます。サービスの柔軟性への対応について、小多機のサービスの範疇であれば、ある程度小多機の事業所に裁量権を持たせ、軽微な変更をすることは可能だと考えられます。

 つまり、全体のケアプランは外マネがつくり、個別援助計画の一つとして、小多機援助計画書を作成し、その実績管理、モニタリングは外マネが行うということで、柔軟性も確保され、利用者へのサービスの質も担保されるのではないでしょうか。

 マネジメント費に関しましては、外マネの場合、事業所が総合マネジメント加算を算定しない。つまり、この部分の報酬を外マネに給付することで、給付費の膨らみは防止できると考えられます。

 次に、2つ目の論点です。ほかに併用するとすれば、実績の多いリハビリか、このサービスではカバーし切れない夜間対応型訪問介護などと考えます。しかし、田部井委員もおっしゃいましたけれども、現状のサービスでも必要な方は組み合わせで利用できるために、これ以上の新たなサービスの種類をふやすことは利用者にとってわかりにくくなると考えられます。

 看多機に関する論点ですが、最初の論点は、サテライト型看多機が必要かとも思いますけれども、共通論点で述べましたように、さらなる検証が必要かと思います。

 医療依存度の高い利用者への対応や、みとりまでの対応ができる体制を整えることが求められていると思います。論点1のサテライト型とも関連して、看護師の現状のサービス提供量は、看多機内と一般在宅にそれぞれ分けて、その提供量、医療ニーズや処置などの実態把握が絶対に必要だと考えます。

 3つ目の論点は、事業開始時支援加算の500単位は、利用者負担にも反映されます。限度額対象外になり、サービス料により自己負担との関係がなくなったことは評価できます。今後も、看多機をふやしていく方向であれば、ある程度のサービス供給量が整うまでの間、継続してもよいのではないかと考えます。また、この加算の目的を考え、定員の一定割合、例えば9割などを達成するまでの間、または開始から1年以内とするなど、利用者数や期間を限定する方法も一つかと考えられます。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 稲葉委員、どうぞ。

○稲葉委員 ありがとうございます。

 しつこいようですけれども、小規模多機能型居宅介護の外マネの話を少しさせていただきたいのですが、以前からこの話は出ておりまして、私が記憶するところですと、9年前の給付費分科会でもかなり議論はされておりました。そのときは、小規模多機能型居宅介護がなかなか普及せず、何とか普及させるためにはどうすればいいかということでした。利用される方の多くは、外マネがまず就いて在宅のサービスを利用しているので、小規模多機能型居宅介護に替わると関係が全く切れてしまうため紹介しづらいのではないかという議論もあったわけです。ですので、外マネにすると、利用者との関係が継続されるので紹介しやすくなるという話もありました。

 ただ、今となりましては、事業所の数も相当ふえましたし、そこまで切実な事業所を増やすために普及をさせるべきだという課題はないようにも思っておりますので、今、外マネを導入することを特に賛成しているわけではありませんが、外マネが関わるメリットは他の委員も言われておりましたように、外マネが継続して利用者に関わることによってチェック機能が働くこともあります。そして、医療機関との連携などにおきましても、小規模多機能型居宅介護を利用する以前からの連携も調整できるのではないかと考えます。

 実際、に小規模多機能型居宅介護のケアマネジャーは介護職も兼務している方がかなり多いと思いますけれど、介護職が将来不足してきたときには、介護職に専念してもらうために外マネが計画を作ることもメリットとしてあるのではないかと思っております。

 あとは、緊急時の対応であるとか、日々のサービスの調整については、中の機能として持てばよく、機能を分けることについてはいろいろやりようがあるのではないかと思っております。ですので、今すぐそういったものが必要とは思いませんけれども、将来、状況が変わった中では、また見直しについて検討する必要もあるかもしれないことを意見とさせていただきます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 東委員、どうぞ。

○東委員 今日は定期巡回・随時対応型訪問介護看護、それから小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護が議題なのですが、全てに共通することとして、先ほどニーズというお話をしましたし、ほかの何人かの委員からもニーズという言葉が出ておりました。これらのサービスの今後の提供体制について、『サービス供給量を増やす観点から』と論点に書いてありますが、何度も言いますけれども、本当にそのニーズがあるのかをきちんと精査した上で、こういうサービスの供給量を増やさないと、介護保険料はどんどん増えてしまいます。

 厚労省にお願いしたいのは、ニーズ調査をするときに、例えば、定期巡回・随時対応型訪問介護看護で、「24時間連絡がつくといいですか?」と聞けば、誰だって「いい」と答えるに決まっています。そういう調査をするのではなくて、例えば、ケアマネにケアマネジメントをしていて、「今使っているデイケアやデイサービスのサービスでは限界がありますか?」、「この近くに看護小規模多機能型居宅介護があれば、この方の場合は非常にいいですか?」とか、「この地域に小規模多機能型居宅介護事業所が必要ですか?」とか、「定期巡回、随時対応型訪問介護看護があればこういう方の場合は助かった。」とか、現場を一番良くわかっているケアマネに詳しいニーズ調査をして、これらのサービスについて、どのようなニーズが今の日本の中にあるのかをきちんと整理していただきたい。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 新型多機能についてなのですけれども、これを提唱した地域包括ケア推進研究会について、ネットで見ればわかることだというのであれば回答は結構なのですが、もしネットに載っていないようでしたら、代表者の方と、厚生労働省の方も加わっておられるのか、もしお答えをいただけるようでしたら、お答えいただきたいと思います。

○田中分科会長 お答えできますか。

○三浦振興課長 振興課長でございます。

 厚生労働省自身が関与しているかと言われると、答えはネガティブでありまして、直接関与していることではありません。繰り返しになりますけれども、私どもは先日、分科会でこの議論があった中で、委員の方から御議論が提起されて、具体的に何が議論の対象になっているかがわからないのではないかと思って、このたび、アプローチして資料を取り寄せておつけしたものでございます。

 組織体としては、資料に書いてございますが、「地域包括ケア推進研究会」という名称で、24人の委員の方あるいはその顧問、オブザーバー、事務局の担当の方という形で構成されていることは承知しており、顧問の方で厚生労働省に過去に在籍された方がいらっしゃることは確認しております。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 少し話が切れているのならお話しさせていただきたいのですが、きょうはいろいろなサービスの名前が出てきたのですけれども、定期巡回も長いので省略しますが、サ高住あるいは看多機、小多機が出てきたのですけれども、類似点と同じようで違うというところを少し整理してみたのでお話しさせていただきます。

 まず、定期巡回とサ高住が似ているところは、どちらも不適切事例があるのに、まだ全く是正されていないことです。ただ、定期巡回のほうは余りふえていませんからまだ罪は軽いのですが、サ高住はふえていますから、これは前回、蒲原局長も次の改定で是正しますというお約束をいただいたので、それを期待したいと思います。

 次に、定期巡回、小多機、看多機の類似点は、伸びが少ないということですが、定期巡回は私は机上の理論をそのまま全国展開しようとしたところに問題があると思います。北欧では確かにやっているわけですけれども、先ほども言いましたように、それは三交代です。それをオンコール体制でやろうというところに問題があるし、日本にはほかのサービスもいろいろあるわけですから、これは建て付けに問題があると思います。ヨーロッパを見ても、イギリスやドイツやフランスにこういうサービスはありません。大陸側から見ると、北欧は地方の特殊なところというか、より社会主義国に近いイメージがあると聞いております。日本型という意味では、小多機は日本で生まれたすぐれたサービスだと思いますので、これを伸ばすべきではないかと思います。

 小多機や看多機がなぜ伸びないのかという話ですけれども、これについては、小多機を創られた方が、つい最近まで厚労省にいらしたわけですけれども、グループホームの二の舞にはしないとして、赤字になってもやる気があるところにやってもらえばいいのだとおっしゃったのです。そういう気骨のある方が少し前まではいらしたことを懐かしく思い出しますけれども、いいも悪いもなくただ増やせということではなくて、きちんと問題点を是正しながら、適切なサービスが伸びるようにすることがどうしてできないのか。診療報酬なら必ず批判が出ますから、在宅医療は26年度に改定で是正が入ったのです。介護報酬も30年度改定でに是正が入らなければ、次はその3年後ですから今から4年後になります。その間にサ高住がどれだけふえてしまうか。もう取り返しのつかないことになりますし、財源も本当に食い潰しかねない。それをやらないのであれば、私は改定をやる意味がないと思います。ぜひ今回きちんと対応していただきたいと思います。

 最後に看取りについてですけれども、介護分野でも看取りを行うということで、看多機の話が出ておりますが、だからといって介護や看護だけで看取るのではなくて、看取りというのは人が亡くなるわけですから、当然、かかりつけ医の関与が重要になってきます。これはぜひ医療と介護の連携という視点で、かかりつけ医の役割として訪問診療をしっかり入れることを前提にしていただきたいと思います。

 以上です

○田中分科会長 現役の方にも気骨がある方はおられると信じましょう。

○鈴木委員 期待したいと思います。

○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 先ほど、本多委員から、資料39ページの看多機のみとりについては、少ないのではないかという評価でしたけれども、私は66%というのは結構やっていると思っています。資料39ページで、利用の終了理由として、約2割弱が「ほかの介護保険サービスに移行」とあります。私どもが看多機のモデル事業を実施したときに、医療機関から在宅に戻るために、退院後に一旦看護小規模多機能を使って、多職種が関わって、嚥下や食事のトレーニングをしながら薬の調整などを経て、看護小規模多機能ではなくても在宅のほかのサービスで過ごせるまでに自立する、いわゆる看多機卒業のパターンがあったのです。この19%にはそれが含まれているのではないかと思っておりますので、次回以降の資料で結構ですが、どういったサービスに移行していったのかもお示しいただければと思います。

○田中分科会長 間利子参考人、お願いします。

○間利子参考人 6ページの最後の事業開始時支援加算ですが、これは経営実態調査の結果や、政策的な効果なども踏まえて検討するということでよろしいかと思うのですが、もともと29年度末までの時限措置だというところを基本に、廃止も選択肢から排除せずに検討していただければと思います。

○田中分科会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 きょうの定期巡回も小多機、看多機のほうも共通で包括報酬のサービスだと思っていますが、こうした多機能で、特に後半の小多機、看多機の場合は多形態のサービスを本人の状況に応じて柔軟に組み合わせるというものを包括報酬でというのは、裁量度が高まり得ると思います。ただ、諸外国の例を見ていても、包括型の報酬のサービスを普及していく上では、アカウンタビリティーをどれだけ担保していくかが並行して問われているというのがよく挙げられる論点でもありまして、今回は特段は挙がっていませんけれども、どういう目的に基づいて、どういうアセスメントをして、どういう介入をしたらどんな成果が得られたのか。それに向けた御本人、御家族と専門職の役割がある程度見えていないと、事業者側は出し控えるとか、御本人は過剰に必要とすることが起き得ると思いますので、この後、これからずっとやっていく中で、ケアマネジメントの質の見える化についても議論があるかと思いますけれども、今回のような2つのサービスの想定で普及を考えるときにも、アカウンタビリティーは論点のセットとして考える必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 単なる事業種別の違いだけではなくて、支払い方式の違いが含まれているので、プラスしてアカウンタビリティーも考えるべきだということですね。ありがとうございます。

 小林委員、どうぞ。

○小林委員 看護小規模多機能について意見を2点申し上げたいと思います。

 サテライト型事業所について看多機と小多機で異なる取扱いとなったのはそもそもどういう理由なのか。もし、小多機と別に解する特段の理由がないのであれば、サテライト型事業所として設置することも許容されるのではないかというのが1点目です。

 2点目ですが、事業開始時支援加算については、既に小多機では廃止されており、今後、介護事業経営実態調査における看多機の収支差率も踏まえ、そのあり方を検討していくべきではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 前段は御質問ですか。看多機にサテライトがないのはなぜか。

○小林委員 はい。改めてお聞きします。

○鈴木老人保健課長 老健課長でございます。

 看多機のサテライトについてでございますが、もともと小多機のほうが先につくられていて、小多機についてはサテライトができたのですが、看多機はできたばかりということもありましたので、そのときにはまだサテライトの導入がなかったのです。まずは本体をつくってから、今後はどうするかということもありました。そういった経緯がございまして、看多機についてはサテライトの概念が入っていない状態になっています。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 看多機のサテライトということは、本体よりも要件を緩和するわけですよね。小多機のサテライトは小多機の要件を緩和したのだからそのようになるのでしょうが、そうすると、看多機のサテライトと小多機の本体の関係はどうなるのか。徐々に要件を緩和していくのかもしれませんけれども、そのような議論は、小多機と看多機の機能の違いを余り捉えていない見方ではないかと思います。

 私は看多機は機能が非常に重いと思うのです。ですから、単にサテライトをつくって増やせばいいということではなくて、まず看多機の本体をしっかり運営し、小多機の要件のサテライトで医療ニーズの高い方がいたら本体に移して看ることを考えるべきではないかと思います。

○田中分科会長 松田委員、お願いします。

○松田委員 きょう出てきた定期巡回、随時にしても、小多機も看多機も本来は在宅でできる限り長い間過ごすことができることを目的に導入された制度だと思うのですけれども、きょういただいた資料だけだと、実際にこの制度を導入したことによって、どのくらい在宅で過ごせる時間が長くなっているのかが見えにくいのだろうと思います。多分、そういう観点からデータを一回つくっていただいて、本来の目的を果たしているのかどうかの検討が必要かと思います。

 特に、看多機の場合には、データをきちんと分析してからまたお話ししたいと思っていますけれども、かなり在宅確率を高めているのかと思っています。入院の終了もかなりあるのですけれども、恐らく入院のほうに行ってかなり早い時期に亡くなっている方が多いのだろうと思います。ぎりぎりまで在宅や看多機にいらっしゃって、入院で亡くなっている方が多いということであれば、本来の目的を果たしていることになりますので、ケアのパスがどうなっているかを含めて一度データをつくっていただくと、もう少し踏み込んだ議論ができるのではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 一わたりよろしゅうございますか。

○亀井委員 その他よろしいですか。

○田中分科会長 では、ただいまの議論については終わったようですので、どうぞ。

○亀井委員 2000年に介護保険制度がスタートして、もう15年以上経過するのですが、これは国民運動となってこないのが非常に残念だと思っているのです。こんな状況で2025年以降の山というか、供給体制がきっちりなっていくのかという心配をいたしていて、その中で2014年に確保法がスタートしましたが、この法律が期待しているのが医療、介護への住民参加でございます。これは御当地医療であったり、御当地介護であったり、御当地地域包括ケアであったりするのですが、これは地域づくりと一体的なものでございまして、ソーシャルキャピタルの醸成を図っていかなければならない。その意識づけのためには、保険外サービスをもっと充実していかなければならないと思っていまして、それはここで議論する問題ではないのですけれども、それがあって初めて共生社会の意識へとつながっていくのではないかと思っているのです。

 実は、介護保険の新規の認定の中で、いきなり要介護4とか5があるというのです。この統計の資料は中央会議で持っていられるのですけれども、今まで健診を受けられていないとか、医師にかかったことがないとか、これはどのような地域なのだろうと思ったりするわけです。コミュニティーがしっかりされていないというか、そういう状況にあるのかなと思いました。こういう状況を避けるのに地域づくりはきっちりしていかなければならないと思っていまして、そのためには保険外サービスを我々としてももっともっと取り組んでいかなければ、そこから入っていかなければできてこない。こんな思いをしています。

 本多委員がいみじくも申されましたが、医療と介護の重複給付ですけれども、これは相当数あるわけです。これをチェックしていこうと思ったら大変です。これはレセプトが何十万とあるわけでして、そこに印は打ってあります。この方は医療ですが、介護も使われていますよと。これは手作業です。何百人と雇ってこんなことはやっていられないのです。そういうことがありますから、これをID等の利用の促進を進める、マイナンバーで個人が医療と介護を結びつけるものを開発してやっていかないといけない。手作業で突合をやっていたのではもたない。このような大きな課題があるということです。これは感想です。

○田中分科会長 御指摘ありがとうございました。

 本日の審議は、ここまでとしたいと存じます。

 次回の予定について、事務局から説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 次回につきましては、また追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○田中分科会長 本日は、これにて閉会いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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