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2017年2月20日 薬事分科会審議参加規程評価委員会 議事録

○日時

平成29年2月20日(月)10:00~


○場所

新橋5A会議室


○出席者

出席委員(5名) 五十音順

曽 根 三 郎、 田 島 優 子、 花 井 十 伍、 ◎樋 口 範 雄
安 原 眞 人
(注)◎座長

欠席委員(1名)

本 田 麻由美

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
辺 見    聡 (総務課長)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
磯 部 総一郎 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
一 瀬    篤 (血液対策課長)
紀 平 哲 也 (医薬情報室長)

○議事

○事務局 おはようございます。ただいまから、「平成 28 年度第1回薬事分科 会審議参加規程評価委員会」を開催いたします。本日、委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。

 委員に変更がありますので、まず初めに御紹介いたします。杉浦委員に変わり東京医科歯科大学の安原眞人委員に今回から御出席いただいております。安原委員、一言お願いいたします。

○安原委員 はじめまして、東京医科歯科大学の安原です。杉浦委員の後任ということで務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。本日は、本田委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、田島委員より少し遅れるとの御連絡を頂いております。本委員会については、薬事分科会審議参加規程に関して、少なくとも年に1回、特例的な取扱いを含めた運用状況の評価等を行っていただくものです。薬事分科会の審議のより一層の中立性、公平性、透明性の確保に資するものと考えております。前回の会議の開催が平成 28 年2月でしたので約1年ぶりの開催です。本日も委員の皆様に忌憚のない御意見を頂ければと存じます。

 それでは、人事異動がありましたので紹介いたします。医薬・生活衛生局長の武田です。医薬・生活衛生局総務課長の辺見です。安全対策課長の佐藤です。血液対策課長の一瀬です。医薬情報室長の紀平です。最後に、私は医薬・生活衛生局総務課課長補佐の勝山です。また、本日、大臣官房審議官 ( 医薬担当 ) の森は公務のため欠席です。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが、以降の進行については樋口座長にお願いいたします。

○樋口座長 事務局から資料の確認をお願いします。

○事務局 カメラ撮りについて、これ以降は御遠慮いただければと思います。まず、議事次第に沿って資料の確認をいたします。座席表及び議事次第に続いて、資料1「薬事分科会各部会等における審議参加規程の運用状況」、資料2「委員申告の申請企業及び競合企業への確認結果について」、参考資料1「薬事分科会審議参加規程評価委員会開催要綱」、参考資料2「薬事分科会規程」、参考資料3「薬事分科会審議参加規程」、参考資料4「審議参加に関する確認事項」、参考資料5「薬事分科会審議参加規程・運用の見直しに係る意見」、参考資料6「薬事分科会及び各部会等における審議参加規程の運用状況」は昨年のもの、以上です。資料の落丁や過不足がある場合は事務局までお願いします。

○樋口座長 議事に入ります。今日の議事は、これは定例の会議なので薬事分科会審議参加規程の現状、運用状況について御報告いただき、それについて御意見を伺うことになっております。あとはその他になっております。各委員からの寄附金・契約金等の報告をお願いします。

○事務局 毎年度確認をしておりますが、本委員会は、薬事分科会からは独立している委員会という位置付けになっており、本来は薬事分科会の審議参加規程の適用対象ではありませんが、これまでと同様に、各委員の製薬企業等からの過去3年度分における寄附金等の受取状況について、御申告を頂いております。その中で曽根委員、樋口委員からは受取の実績があるという御報告を頂いておりますが、本委員会の議題については、個別の医薬品等の審査や安全対策に係る審議ではないため、受領の有無にかかわらず全ての委員に審議及び議決に参加いただくことになっております。以上です。

○樋口座長 前回の会議を受けて、審議参加に関する確認事項の変更がありましたので、事務局から説明をお願いします。

○事務局 参考資料4及び参考資料5について、昨年度の会議の状況について説明いたします。参考資料5を御覧ください。こちらは昨年の会議で委員の皆様にまとめていただいた薬事分科会審議参加規程運用の見直しに係る意見です。第 11 条関係として、当時、委員からの申告について製薬企業等に確認をするという仕組みを試行的に導入しておりましたが、こちらについて本格的に導入すること、さらに、その対象を申請企業だけではなくて競合企業にまで拡大することという御意見を評価委員会としてまとめていただきました。

 参考資料4を御覧ください。この御意見を受けて、昨年の3月 25 日に開催された薬事分科会において、審議参加に関する確認事項を修正いただいております。修正箇所については1ページの一番下の5の項目です。本日は簡単に説明いたしますが、先ほどの意見に従って各部会等の参加委員から頂いた寄附金等の自己申告について、委員からの申告に加えて当該企業に対して、その金額が合っているのかどうかの相互確認を導入する。こちらについては、競合企業に関しても同様に導入することということで修正を加えております。以上です。

○樋口座長 今の説明について、何か御意見や御質問はございますか。各企業から情報公開が進んできたので照らし合わせてみようという趣旨だったと思います。

 それでは、議題1という今日の一番重要な所へ入ろうと思います。薬事分科会審議参加規程の実際の運用状況等について説明をお願いします。

○事務局 薬事分科会審議参加規程の運用状況について説明いたします。資料1及び資料2を御覧ください。まず、資料1です。現在の薬事・食品衛生審議会の各部会の審議参加の運用状況について説明いたします。この資料は、昨年度までと同様に従来出しているものですが、審議に御参加いただいている委員から申告を頂いた部会等についてリスト化したものです。

 1枚目について大きく2つのポイントを例年説明しております。まず、1ページの表の一番下の段です。特例的な取扱いにより参加した委員数の部分です。資料の作成に関与しておられる委員、あるいは 500 万円を超える受領がある委員については、当該品目の審議及び議決が行われている間は、審議会場から退出いただくことになっております。その際に、特例的に審議会が当該委員の意見が必要だという決定がなされた場合には、当該委員の参加を認めるという扱いをしております。

 この特例的な扱いがなされたケースが昨年度あったかどうかということが、こちらの一番下の段です。昨年1年間の実績ですが、医薬品第一部会で1名、資料関与委員であるために本来であれば退室扱いとなっておられる委員について、当該委員の専門分野からの知見が必要ということで、特例的な扱いとして審議に御参加いただいているという実績があります。こちらがポイントの一つ目です。

 二つ目は、その上の段です。議決にどれぐらいの委員が直接参加しているのかという割合を示しております。この直接参加しているという意味ですが、委員から申告いただいた寄附金等の額が 50 万円以下の場合には、直接、議決に参加していただいておりますが、 50 万円以上 500 万円以下の方については、※1に書かれておりますように、分科会長に議決権を一任するという形で議決に加わっていただいております。議決権を委任していない直接議決権を行使した委員の割合を、下から2段目に書いております。

 こちらについては会議によって多少ばらつきがありますが、主に 90 %前後というところで、昨年度と比較しても極端に悪くなったということはない状況かと思っております。また、この1年間については、委員の退席等を理由として出席委員の定足数に達せず審議ができなかったという事例はありませんでした。しかし、現行の基準に照らして行っていく中で、審議の開催に関して非常に日程取りが困難になる、あるいは委員に一時御退席いただいた場合に定足数ぎりぎりになるという状況で運用を行っているという現状もあります。事務局としては、現在の規程の中で何とか会議の運営をしている状況です。

 先ほど説明したとおり、審議参加に関する確認事項が昨年から変更となっております。申請企業と競合企業に対して、各委員から申告された金額との齟齬について確認した結果をまとめたものが資料2です。申請企業については一昨年から試行的に導入しておりましたので1年分の結果を、競合企業については3月 25 日の分科会で規程を見直した後のものとなりますので4月からのデータということで、結果をまとめております。

 左から3番目の列です。委員から競合企業や申請企業との寄附金等の金額の関係の申告を頂いた延べ委員数については、各部会ごとにそれぞれ数十人から、多い部会ですと 1,000 人弱の委員に御申告を頂いているという状況です。この中で、委員が御申告なさった金額と比較して、本当は企業からもう少し委員にお渡ししているのではないかということで、委員の御申告が過少になっているという御指摘があったものが、申請企業、競合企業のそれぞれ左側の列です。

 そうした御指摘を受けて各委員に、再度、御申告内容を確認していただいた結果、委員から申告内容の変更の申し出があった委員数をその右側の列に記載しております。この左側と右側の列について、必ずしも人数が一致していないという部分があります。こちらについては昨年度もありましたが、企業が委員に大学等を通じてお支払いしており、企業としては個別の委員にお支払いしていたという認識でしたが、実際には大学側が間接経費等を受け取っていた場合、あるいは委員が単純に確認漏れをしていたというケースもあり様々なものがあります。必ずしも委員の方で一律に過少申告であったというわけではないため、一部数値にずれが出てきております。こちらの報告は以上です。

○樋口座長 現状について、一番重要な点の報告だったと思います。委員から何か御意見、御質問を伺いたいと思います。

○曽根委員 資料2の「委員の自己申告額と企業から受け取った総額との間に少し違いがあるということですが、昨年もこの件については問題となり、かなり議論があったと思います。特に議論があったのは、委員御本人の認識と企業が把握している額、それから、今言われたように大学や病院を介して提供された場合、間接経費などが差し引かれたということから齟齬があったわけです。

 問題となったのは、変更の申告をした委員名と所属がWEB上にて全て公開された点です。昨年度には、確か 10 人か、 20 人の委員が、こういう審査にボランティア的に参画されているのに、何か悪いことをしたという印象を与えたのではないかと、私も懸念を持って聞いていました。今回も同じように申告額を変更された委員の方は、所属と名前がWEBに公開されているという理解でよろしいでしょうか。

○事務局 昨年度に委員のお名前を公表した事案は、既に審議が終わった後に当該委員の御申告内容が間違っていたということが分かった事案であったため、そういう対応を取りました。今回のものについては、会議の開催以前にこういう形で委員と申請企業あるいは競合企業の間で金額の確認をして、審議自体は適切な申告額の中で行われておりますので、委員のお名前の公表という措置は取っておりません。

○曽根委員 それであればよろしいです。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

○花井委員 一つは、企業の協力によって突合して制度運用の精度が上がったということで、少しずつですが進捗しているという印象を持ちます。今、議論された件ですが、これも全部企業が情報公開を進めてくれたお陰で、様々にいい方向に向いていると思います。いまだに企業のお金の出し方について、そもそもその組織に入れたいのであればきちんと学部とかに寄附すればそれで済む話で、依然として個人名ということで企業が誤解するということは、企業内の整備でそうなっているということなので、そこも今後、企業への協力をお願いして、やはりそういう組織に出す。極論すれば、疑われたくないのならば学部に入れればいいと思います。

 そこはいろいろ事情があるということで、それは一般の感覚から言えば奨学寄附金とか、そういうものが現実には、それ自体が悪いということではなくて必要なお金であるということもあるのですが、問題なのは、それによって政府の意思決定がゆがめられるということが問題なのです。したがって、透明性の確保は企業においても利益になることなので、より企業に対して協力していただいて、こういう誤解を招くような出し方をしているのは、もらうほうではなくて企業に協力していただかないと難しいと思うので、そうしていただくように要請をしてほしいです。

 もう一点は、その他に入ってしまうのかもしれませんが、まとめて発言してしまいますと、名寄せですね。結局、薬食審の薬事分科会においては、薬機法に基づく割と厳密な手続の中でのルールなので、おおむね、このように精度を上げてくれば医薬品の審査や安全対策にバイアスが掛かり、損なわれるということはなくなっているようにも思います。

 一方で、医薬・生活衛生局が率先してやっているルールがデファクトスタンダードになっており、ほかの審議会もそうなっている。それはいいことなのですが、そうすると、今までいろいろなものを見てきますと、行政官は法律に基づいて行動しているので、法に基づいて適正にやるということなのですが、その意思決定において専門家の意見を聞く。それがゆがめられると、結局、行政官の意思決定にバイアスが掛かるということになります。

 そういう事例は見受けられるので、理想は委員にお願いする段階で、別にお金をもらっている人を全て排除する必要はないわけですが、そもそも委員を選考する段階では分からないわけです。この委員に頼もうかと思ったときに、この委員がどういう企業との関係性を持つというのが、委員を選ぶ段階の事務局当局も情報がないから分からないわけで、そうすると一般的に今までの業績とか、何となくこの委員の後でやっている委員ですから引き続きとかという形にもなりやすく、それが結局のところ、行政の仕事の足を引っ張るということになるので、私は再三お願いしているのです。できれば名寄せできることが理想だと思います。検討候補に挙がったときに各企業からこういう関係でお金が動いているということが分かれば、この委員を選ぶのは今回はやめておこうかということができるのです。その委員が悪いということではなくて、政治的にも案件ごとに少しまずいということが何となく分かると思います。

 なかなか難しいと聞いているのですが、こちらからも業界団体にお願いして、その方が、結局、業界にとっても国民にとってもプラスになるということで、是非、説得をお願いしたいと思います。確かに名前を寄せると新聞などでベストテンみたいなことができてしまうので、それは非常に抵抗感があるかもしれませんが、逆に言えば、それを勲章と思っている委員もおりますし、事実勲章でもあるわけです。それは、そういう問題ではなくて、利益相反性という問題の本質を皆さんに理解いただくことによって、そういうことを実現してほしいと強く業界団体に働き掛けていただきたいと思います。以上です。

○樋口座長 今の花井委員のお話について、事務局から何かありますか。

○事務局 ありがとうございました。1点確認いたします。委員も御承知のとおり、現在、委員に御就任いただく際に個別の企業の顧問等に就任されている場合には、委員に就任できないとなっております。今の委員の御指摘は、そういうものに限らず、例えば、 10 社から幾ら寄附金をもらっているという傾向をあらかじめ名寄せで把握することによって、委員就任の際に何か一定の判断をすべきではないかという御指摘でしょうか。

○花井委員 そうなのです。ルールとしてそうするという話以前に、そういう意味で言えば委員を選任するときにどういう基準で選んでいるのですかというのは、事務局が案件や委員会ごとにふさわしいとか、いろいろなことで選んでいると思うので、参考にはなるだろうということです。私は医薬審査に限って言えばそれほど心配していなくて、基準がここで決まると、大体その基準を今や厚生科学審議会や保険局の利益相反の問題についても援用しており、事実上このルールを使っているわけです。

 逆に言えば、これを守ればいいのだというところもあるので、ここをきちんとしていくことによって厚労行政全体の意思決定にバイアスが掛からないということになるので、単に薬事だけの問題ではないのだということが私の考えで、そうであれば委員選任は、この件はこの委員だなということで、みんな一生懸命に考えて選んでいるのです。最終的に責任は誰が取るのかというと厚生大臣が取るわけです。そういう意味では厚労省にとってもいいことなので、業界の方に協力いただき、また、専門家がそういうことが恥だとかどうとかそういうことではなくて、やはり適正性がいかに大事かということを理解いただければ、そのうち理解いただけるという趣旨です。ですから、参考にしたらどうかということで、それをルールにしてくださいということではありません。

○事務局 ありがとうございます。

○樋口座長 ほかにいかがですか。私から3点、簡単な確認のもあるのですが、例えば資料2で企業側からの報告とそれぞれの委員の方の報告を比較したものが出ていますが、1番目は簡単な質問で、この過小申告というのは、私はとにかく企業からもらっていませんよというので0、しかし、ここでいう過小というのは0ではないですねということですか。つまり 48 100 もらっていたのが普通の意味の過小ですけれども、この過小申告には、その委員は0と言っていたけれども、実は企業報告の方からは0ではなかった、という例もありますか。

○事務局 そうですね、0と当初は御申告されており、 50 万未満であった委員もおられますし、あるいは 50 万円から 500 万円の間だと御申告を頂いており、 500 万円以上であったという場合もあります。逆にこの表の中には現れておりませんが、委員から頂いた御報告金額よりも企業からの報告金額が低くて、区分を下げたようなものも実態としてはございます。委員の方が、多めに申告というか丁寧めにというか、そうした形でされていた例もありますので、正にこのダブルチェックによってより適正な金額が示されているのではないかと思います。

○樋口座長 先取りされたのですが、二つ目がその質問で、逆のケースもあったのかという質問で、やはりそれがあるのですね。

○事務局 はい、ございます。

○樋口座長 そうすると三つ目になって、この数字でも過小申告が報告された委員数が例えば9名、これは医薬品第二部会ですか、それで申告を変更したのが4人で、これはなぜ変更しないのかというと、それは今日の説明から伺っていると、結局個人的に認識しているものと企業が認識しているものとの間のギャップがあるということですね。

○事務局 そうですね。

○樋口座長 そうすると9と4の差異の原因としては、個人としては頂いてないから、これは大学の方でちゃんと入っているものなので、私の個人としてという話ではないのですよという解釈で一方は届け出るが、他方はそう解釈していないという話で、つまり何らかの形でギャップが出てくるから、突合するとどっちの方向へでも修正の力があるけれども、しかしこれはこういう趣旨ではないとあくまで主張すれば修正もしないという話でしょうか。この差を何らかの、今のは花井さんの話とも関係すると思うのですが、結局申請企業なるものも、企業の発し方も完全に一律なのですか。基準というのはこちらで規制しているわけでも何でもないから、ただ企業の業界団体で、できるだけ歩調を合わせてという話は聞いているわけですね。そこの間にも本当はギャップというか基準の差みたいなものがあって、これをどこまで統一したらいいのかというのがよく分からないけれども、これがむしろ自然な姿というのならそれはそれでいいのですが、どのように事務局としてはお考えですか。

○事務局 まず、こちらの医薬品第二部会につきましては、申請企業に対する寄附金額に関して、委員からの御申告とずれていたものが9、それに対して実際に直したものが4で、少し開きがあるように思われるのですが、こちらの詳細を確認したところ、その差分の5のうちの3件については、企業自身がこの審議参加規程の理解を間違っておりまして、 50 万円ちょうどの事例を、本来であれば審議には参加できるけれども議決に参加できない区分なのではないかというような指摘をしていたもので、企業自身がこの運用を間違ってしまっていたというものでございます。

 ですので、委員に今御指摘頂いたとおり、このずれに関しても、どういう理由かは様々ありまして、それが企業側がどのようなルールで委員に寄附金等をお渡ししているのかによって多少混乱を生じている部分が、花井委員御指摘のとおり、一面としてはあるのかなと感じております。委員から先ほど御意見を頂きましたとおり、何か業界として取り組めることがないのかは、本日の御意見も踏まえ、少し企業の業界団体側にも御相談をさせていただきたいと思います。

○樋口座長 これは一般論として、こういうものの基準というのは、本来は、やはり同じほうが望ましいのでしょうね。そう思ってよろしいですか。

○事務局 基本的には、当然渡している側ともらっている側の認識は一致すべきものだと私も思います。

○樋口座長 いやいや、その実態と、こうして調べるときの基準の作り方ですから、こういうものについて報告してくださいという、企業は企業で自主的にという話なので、これが一致して、特に突合するという話になったら基準が一緒でないと本当は突合する意味がないので、こちらでファクトになっているのかどうかはちょっと私にも本当は分からないけれども、ここの基準で突合をさせてもらっているので、できればこちらの解釈基準、それに合わせてもらいたいというようなことは言っていいものなのですか。あるいは言うべきことなのでしょうか。

○医薬情報室長 当初の説明でも申し上げましたし、前回もその話は出たと思うのですが、企業側はこれだけ出しているという認識の下で、所属機関に払った場合に、委員の所にはその一部が減額された形で手元に届いている。それを相互に認識できていれば、その作業はできると思うのですが、企業が支払った金額のうち委員に幾ら渡ったか、所属機関の事務局でどれだけ間接経費として取られているかが把握できていないので、企業と委員とでの申告のずれが現状は出てしまうという話かと聞いています。ですので、企業側と委員だけではなくて、その所属機関、大学にも、何かお願いをしなければいけないことがあるのかもしれないと思います。

○樋口座長 そうですね。

○曽根委員 今の点についてですが、説明があったように、企業が寄附金を 100 万円出したとしても、例えば大学の間接経費として、大学の学部で 10 %、病院で 15 %とか設定しており、その率は大学によって違うことが多い。この参加規程の場合は、委員が実質的に裁量を持って使途できる額を申告となっていますが、企業がその額を詳細に把握できるかというと、私は現実的に把握できないと思うのです。ですから両者からこういう形で受け入れ額と提供額に関する情報を取って確認をしている限り、常に誤解を招く原因になるのでは。抜本的にその仕組みを変えていくべきでしょう。

 例えば所属している研究機関に、企業からのお金がどれだけ本人に配分されているのかとを確かめれば、必ず申告額の精度が上がると思うのです。企業の提供総額はあくまで参考にしかならない。そこはやはり工夫が要るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。この議論を続けても、恐らく毎年毎年同じ問題点が指摘され、一向に解決にならないのではないかと思いますが。

○樋口座長 現行の仕組みの中で、こういう齟齬が出てくるのは仕方がない面があるということですね。

○曽根委員 そういうことです。先ほど委員長が言われたように、過小申告か過大申告かと言われれば、私は日本医学会関係での講演で、分からない場合が結構多いのです。申告の時、本当に何のお金だったのかが、そのときには分からなければ、自分が得た利益として申告してくださいと言っています。評価するのは第三者であって、自分で評価すべきではない。もし疑義があれば、過大申告していての説明は過小よりはしやすいのではないかというように思って、そのように皆さんには啓発的にしています。

 この資料2の表の作り方ですが、是非次回からお願いしたい点は、申告を変更した委員数と書いてありますが、 50 万以下の人が 50 万以上にしたのか、 500 万以下の人が何人いたとか、その内容がもっと重要だと思うのです。そうした情報も次回から是非提供していただくと、議論がもっと違った形で進められるのではないかと思います。

○樋口座長 この資料2などは公表されるのでしょうね。

○事務局 今回の資料に関しては全て公表予定です。

○樋口座長 そうですね。ですからそのときに、この数字だけが一人歩きするというか、普通に私もパッと見て、医薬品第二部会という所に目が行くわけです。それで勝手な判断するわけですね。ですからやはり何か「注」ぐらいは付けてもらわないと、今、金額の多寡のどの程度の話でこういうのが出ているのかということがあるのですが、齟齬が起こっている理由というのは具体例に基づいたほうがいいとは思うんですけれども、ちょっと「注」を付けていただいたほうが丁寧というか、余計な誤解はないのかなと思います。

○事務局 御確認をさせていただきたいのですが、今の御意見としてはまず、金額の区分の変更がどういう内訳なのかという点と。それから先ほど、恐らく過大の方がいいとおっしゃっている影響もあって、過大申告をしている委員もどちらかというと、実はかなりいらっしゃいまして、そうした両面があることもお示ししたほうがよろしいという御意見でしょうか。

○樋口座長 やはり実態を明らかにするのがこういう調査ですから。花井委員、どうですか。

○花井委員 今、言っているのは、委員が「実質的に使途を決定し得る」という読みなのですが、先ほどの話だと、例えば 500 万の研究、半分委託研究のような研究だとしても、事務局に入れて 25 %事務局が事務費と取ったら、 500 万から 25 %以外がその研究者が自由に使えるので、そういう形で 500 万を切っているというように申告されているというイメージもあるということですね。それをいうと大学によって相当違うのです。ですから今年ということではないですけれど、この「実質的に使途を決定し得る」という所をもっとクリティカルにするようなことを考えるとすれば、今、言った実態をちょっと調べて、多分事務手数も相当なものになると思うのです。

 日程調整が大変だと言っているのですが、このことによる事務の負荷もあるので、こういう話は割りと出と入りがあるから明らかなので、本来は公表データがあっても機械的にやれればそれで済む話なのです。だけど今は、例えば現状では委員本人宛てであっても学部長、施設長の立場でと書いているではないですか。これが学部に入れたら学部宛てに寄附すればいいのであって、それをあえて委員本人宛てにしている理由が、企業側にあるのかというところがあると思うのです。これはどの程度あるのかとか、最初導入する段階で実態を合わせてこの書きぶりになっているので、大分これは変わってきていますから、実態が変わったのに合わせて、ここは分かりやすくしていいと思うのです。

 はっきり言って、学部宛てとか施設宛てだったら、その宛て先に寄附すればいいだけの話で、そうすれば分かりやすいわけです。それが事実上は、個人の名前になっていて、学部だと言いながら、そうするともちろん政治力という問題があるのです。これだけのお金を引っ張ってくれる委員とか。そこまで言ってもあれなのですが、事実上何らかの、その口座に関しては便宜が図られるとか、一般市民感覚としてはありそうな話と思うのです。それでしたら、ちゃんと組織に出したいのだったら、組織に出す形でできないのかというのを業界に聞いて、それで統一してもらうとか。明らかに個人宛てであれば、今言ったように何%かを施設が取っているけれど、何パーセントは口座の例えば教育とかに使えるようになっていますとか、そういう実態が多分あるかもしれないと、私たちみたいな立場だと思うわけです。そういうところにまたそれが悪いわけではないけれど、それでまた何か隠して利益があるのではないかとか、そういう要らぬ詮索もそこで生み出すので、ここのいわゆる第 11 条の書きぶりについては、もう少しきれいにできないのかということを、この1年間その事例を検討して考えるというのはどうですか。ちょっと状況が変わってきていると思うのです。企業のお金の出し方が相当変わっていると思うので、それに合わせてこの条文も見直し得ると思うのですが、いかがでしょうか。具体的にそれはあるのですか。 25 %を引かない人もいるでしょう。 500 万でもらっていたら 500 万で申告する人と、事務経費を引いて申告する人と2種類あるのではないですか。もしかして恐らく、想像するにそう思うのですけれど、どうですか。

○事務局 基本的に我々の方からは、委員が御自身で正に決められるものとしておりますので、例えば企業から 500 万円が大学の委員名で振り込まれた場合であっても、委員の方で大学との契約というかお約束の中でそのうちの何%かが除かれているのであれば、実際に委員がお使いになる金額を申告されているものと理解しております。ただ、今、御指摘頂きましたように、事務局としても各企業がどういった形で委員にお金をお渡しをしている、あるいは委員がどのようにそれを判断して申告なさっているのか、あとはこうした申告に際してどのような点で御苦労をされているのかというのは、なかなか正式に広くお伺いしているわけではありませんので、先ほど少し企業の業界団体ともお話をしたいという話もさせていただきましたけれども、そうした中で、実態把握のところでどういうことができるのか、少し宿題とさせていただければと思います。

○樋口座長 ありがとうございます。そのほかはどうでしょうか。

○曽根委員 少しお聞きしたいのですが、各部会の委員候補の選考は、どういう考え方とどういう仕組みでされているのでしょうか。

 第三者的な意見は全く入っていないという理解でよろしいですか。厚労省の担当部署の中でいろいろ検討されて候補者が決められているわけですね。そのときの考え方とか何か基準、特に第一、第二部会については、この委員の選考はなかなか大変だと思うのです。専門性とか地域性とか、どういう経験を持っているとかを考えられて選考されていると思いますが、そこに何らかの考え方と言いますか、何か基準みたいなものがあるのかどうかについて教えていただけたらと思うのです。

○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長でございます。医薬品第一部会、第二部会は私の所で所管していますので申し上げますけれども、なかなか統一的にこうだという基準をお示しするのはちょっと難しいです。医薬品の部会、これは新薬の承認審査を行っている部会ですので、基本的には新薬の承認申請に必要な資料を御覧いただける方ということになります。したがいまして、専門分野として基礎であれば、品質の専門家、あるいは基礎薬理の専門家、毒性の専門家と、そういった方を選びます。臨床の専門につきましては、第一部会と第二部会でそれぞれ担当する疾患領域がありますので、その疾患領域の専門の方を選ばせていただきます。それに加えて、一般の患者視点の御意見を代表される方として、必ずしも医学、薬学の専門でない方を選びます。委員の構成としてはそうした方々をお選びするということにしております。

 ただあと、個別の方をどのように候補に挙げるかについては、それぞれ様々なケースがありますので、なかなか統一的にその基準があるというわけではありませんが、一つは今、PMDAで専門協議をやって専門委員をお願いしていますので、そうした専門協議などで、どういった発言をされているのかをPMDAにお聞きするというようなことをして参考にさせていただいているようなところです。

○曽根委員 そうすると、議決は参加委員数、資料1で数が多いわけですが、この方たちは、当然臨床のそれぞれの疾患に専門的な方がほとんどであるという理解でよろしいですね。

○医薬品審査管理課長 必ずしも御自分の専門でないところも、企業がかぶったりしていることもあります。

○曽根委員 多くは臨床経験が豊富な方ですね。

○医薬品審査管理課長 そうですね。逆に言いますと、そうした委員でないと新薬の審査とかは難しいと思います。

○曽根委員 私が質問したのは、第一、第二ともに、良い医薬品をできるだけ早く審査をして患者に届けるという大きなミッションがありますので、臨床をやっている医師であれば、医薬品開発、臨床開発というのは、医師と企業が一緒にやらなければ駄目だとの理解は当然持っているわけで、問題はそういう人たちが委員候補に選ばれても不参加とか、あるいは直接議決に参加できないという話が多い現状を、どのように改善したらいいのか、そういった意味で質問させていただいたわけです。直接議決委員の割合については、第一が 87 %、第二が 92 %で、血液事業が 87 %、これも昨年と大体同じだったと思うのです。先ほど事務局からは 90 %ぐらいが目標で、大体そのぐらいにあるからということですが、目標値は 90 %でよろしいのですか。

○事務局 すみません、目標と言ったつもりはないのですが、大体平均して 90 %ぐらいになっているという事実として御説明をいたしました。当然、直接議決の数というのは向上すればするほどよいものだとは認識しております。

○曽根委員 そうした意味でも、臨床試験とか臨床研究にできる限り熟知した方が多く参加して、議決もできるような方向でいつも検討をお願いしたいと、毎年同じことを言っていますが、よろしくお願いします。

○樋口座長 重要なことです。利益相反はちょっとこれは発言の仕方を気をつけないといけないけれど、利益相反のチェックだけやって、肝心の審議ができないような状態になるのは本末転倒なのです。

○曽根委員 やはり審議のクオリティをまず確保し、そして信頼性確保のために利益相反のマネジメントをする必要があります。

○樋口座長 そうですね、それを公表するというのはいいことに決まっているのです。

○曽根委員 日本では、逆に行っているような気がしてならないという気がします。米国FDAが、アドバザリーコミッティーメンバーの選び方の指針を出していますね。医薬品審査の場合はグローバルに動いていることから、日本の厚労省の取組も当然に整合性を諮っていると思うのですね。米国FDAと比べた場合、日本はほとんど同じという理解でよろしいのですか。あるいは違いはここにあるというような点があれば、教えていただけませんか。

○事務局 数年前の会議の場で、欧米と日本との審議の参加規程の比較というものを出させていただいたこともあります。例えば、FDAにおいてもこの寄附金額に関しては5万ドルを超える場合とか5万ドル以下ということで、ちょっとレートが違いますけれども、約 500 万円です。そこの場合で、一定額で審議の参加の可、不可を決めているというのが同様かと思います。

 ただ一方、日本の場合には 50 万円超で 500 万円以下の場合には審議には参加できるが、議決に参加できないというようになっている部分が、FDAに比べると多少厳しいのかなと思っております。

○曽根委員 米国のFDAのポリシーは、原則として 50 万円以下というのはパーソナルインカムと書かれており、個人的収入が 5,000 ドルというようになっていると思います。日本の場合は、寄附金が入ってきたから申告額はずっと上がってしまって、基準の 50 万円以内の委員候補者を探すのが、なかなか難しいと私は思うのです。

 ですから、これについても昨年少し意見は言ったのですが、個人的なインカムというのは講演料とか執筆料です。私からすれば、講演料、執筆料が 50 万円以下という内容にすれば、かなり米国の考え方に近付くのではないかと思います。大体 200 億円ぐらいの寄附金が製薬企業から研究機関へ流れていますので、寄附金まで申告額に入れてしまうと、特に臨床系の場合はほとんどの医師が委員候補になれない。日本の場合、 10 年でかなり利益相反に対する研究者の考え方も変わってきていますのでもう少し検討されてはと思います。

 製薬企業も透明性ガイドラインで、昨年の1月には医師主導の臨床研究に対する支援の指針が公表されまして、いわゆる研究支援のために寄附金は出さないと明確にしているわけです。この参加規程が作られてから、恐らく7年、8年ぐらいなりますね。その当時とはかなり状況は違っているのではないか。あのときはタミフルの問題があって、寄附金が社会問題になったということで、寄附金を対象項目に入れたと思うのです。

 今は、先ほども委員長が言われたように、審査のクオリティをいかに高めていくか、それから迅速性とか、そのためには専門家を委員として迎え入れて、その人の企業との関わりについては透明性を確保していくという形で運営していかないと、本来の目的である「良い薬を早く」という審査が進んでいかないのではないかと、ここの委員として懸念しています。

 ですから、是非事務局の方で、米国の方の動きも含めて、もう一回見直し、それから改善していただけたらと希望しておきます。

○樋口座長 今、曽根委員がおっしゃったのは、こういう制度の原理的、基礎的な課題ですね。一方で産官学共同で、やはり、この場合だったら新薬、しかも良い薬を早めにという大きな要請があって、しかしながら、余りに仲良くし過ぎると、ちょっと客観的な審査という点では問題が出てくるという利益相反の話は常に出てきます。

 でも、産官学で共同すれば利益相反問題は絶対出てくるというか、逃げられない話なのです。それをできるだけ公表するという話になのですが、公表の程度とかその辺についてはいろいろな程度の問題があって、どの程度でバランスを取るのがいいのか。最大の目的を阻害しないで副作用は取り除くという話をどういう形でやっていくかというのは、結局ずっと難題なのです。

 一つの基準を参考資料3で、ちょっと私も昔の記憶が全くないのであれですが、平成 20 年という話になっていて、今年は平成 29 年ですかね、やはりこういう時代ですから、5年 10 年たつと、やはり毎年、少なくとも一度はこういう会議を開いていて、毎年毎年現状を把握して見直す機会はあるのですが、そもそも根本に立ち返って、ある一定の時期のところではやはり基準自体を考え、それでまた同じルールという話になるのなら、それはそれですけれども、そういう必要があるのではないかという御示唆だと受け止めました。

○花井委員 今、座長がおっしゃったとおり、このルールについて、先ほど 11 条のことを申し上げましたが、もう一回見直していい時期だと思います。ただ一つは、質を上げるということ、それは私も同意なのですが、もうちょっと視点を広く見ると、基本的には審議には参加しているが、議決できないだけというのがあって、ルールがこれ以上緩和するというのは、ちょっとよろしくないと私は思っています。

 それは一つは、今、アメリカの大統領が替わりまして、医薬品の評価の仕方についても、より市場で評価するみたいな話が出ている中で、日本におけるこの薬食審での第一部会、第二部会というのはとても重要で、ここが底抜けてしまうと、今も医薬品の評価というのが、価格の話が先行して出ていますけれども、結局何が良い薬かという、その「良い」ということの評価が、いわゆるこれは有効性と有用性という概念で分けるかどうかは別として、それがないと結局、医薬品自体が医薬品なのかどうか分からなくなるという構造になっています。

 その意味において、この第一部会、第二部会が底抜けると、本当に全部底抜けてしまう。いろいろな医薬品の偽薬とか出てきて、流通にあのような穴があるとは思わなかったのですが、やはり、そういう意味では、正にアメリカの動向が今、緩い方向に行きかねないところなので、そういう世界的動向を見ながら、やはりここはきちっと作っていくようにしたらいいのではないかと思います。

 ですので、別に緩和しろという趣旨ではなかったと思うのですけれども、しかし、この半年の間、国民がどこに拠りどころがあるのか分からなくなるという、そういう危険性もありますので、やはり有効性ということをここで判断するというのは非常に重要な仕組みだと思います。ですから資料3の見直しは着手していいのではないかとは思います。よろしくお願いします。

○樋口座長 他の委員の方、いかがですか。安原委員、どうですか。指名するのは本当はいけないみたいですが。

○安原委員 今日、参加させていただいて、この委員会の役割もよく分かってきたのですが、参考資料3というものについては、今までほかの所でこれに従って、私自身も申請させていただいたこともあります。第 11 条のところで言いますと、例えば私たちが学会などを主催して、その講演をお願いしたときの講演謝金を払うときには、領収書を書いていただくのですが、そのときは税金も含めた形で書くわけですね。当然税金は受け取った方は使えない。自分では自由に使えないわけですけれども、それを含めた形で書いていただいています。

 一方で、大学などの場合の奨学寄附金というときには、確かに入ってきた金額の中から、学部や病院などで天引き的な部分があるのですが、少なくとも最初にそれも含めて幾らの金額で奨学寄附金を提供しますというお話は当然提供者側からあるわけで、総額というのは提供者からすれば分かるような気がするのです。

 そういう意味で、ここで「実質的に使途を決定し得る」と書いてあるところ、本当はいろいろな解釈が出てくるわけですけれども、今、花井委員の御指摘があったように、それぞれの部会で頑張ってやっていらっしゃって、決して金額の多寡ではないと思います。ですから、やはりそれをしっかりやっているので、そのためにも透明性を保つことが大事です。

 そこで資料2の形で若干数が違っていたりすると、やはり知らない人から見ると気になるというのは、先ほどから御指摘があるところだと思いますから、これの委員を務められる方については、やはりお忙しいとは思うけれども、できるだけそこの総額というものをしっかり理解されて申請していただけるような形でルールを統一していくことが、透明性を高めることにつながるのではないかと感じました。

○樋口座長 そうですね。ありがとうございます。私は余りほかの大学の委員は務めていないので、たまたまなのですが、これは個人的な話なので、気にされなくても、いや、しかし発言しているのですから、気にしてもらわないといけないのかもしれないのですが。

 ある大学で利益相反委員会というものを作ったというので、今頃作ったのかという感じもしたのですけれども、私の方の事情もあったり日程も合わなかったりして従来は参加できなかったのですが、とにかく初めて参加したのです。

 初めて参加してみて、その規程についてというので、割に原初的な議論が行われていて、多分、余り歴史がないということなのです。それで、委員の方の一人が、今、日本医学会であれ、それぞれの学会であれ、この利益相反に係るところの申告というのは、ありとあらゆる所で求められていて、例えば金額とか基準が違うのですね。デファクトで一緒になっているというのは、ある部分は、きっとここが指導して、厚生労働省関係などでは割に同じ基準で行えるのかもしれませんけれども、ほかの医療の世界はもっと広いわけで、いろいろな所で別の基準が、 100 万円であれ、 200 万円であれ基準が微妙に異なる。一つ資料を作ってしまえば、それをほかの所ですぐ使えるかというと、そういう話はないというのです。非常に手間暇が掛かって、本当に困ったというのを声高に大声で発言されている委員の方がおられました。教授の方なのですけれども、そういうのは分からないでもない。それぞれ別々の話でやって来ると、本当にきちんとやろうと思うと、全部自分の所の秘書がいれば、きっといるのだと思いますけれども、なかなか一つ一つが違うというのが困ったことだという話は、他方ではあるのです。

 この利益相反ルールというものは、ある意味でさっきも言ったように、バランスとか程度とか、そういう種類の問題なので、これだという正解がどこかにあるわけでもない。特に金額の価値というものは、今の日本では、この 10 数年このような形なのでしょうけれども、普通はこのようになっていくものですから、どっちみちインフレになれば当然、見直しは本当は必要になりますね。あるいはデフレの場合もそうかもしれないのですけれども。

 ですから、ここの会議の難しさというのは、ある基準を定めて透明性を高めるというところでは一致できても、具体的な基準を作るときに、それはどこかに本当に正しい答えがあるわけではない。このような具合かなという話になっているだけなので、それが余りに厳しいルールを作ってしまうと、肝心の定足数が難しくなり、元の委員会を開かせないことにもなりかねないというのは、一番初めから懸念されていたことで、それもまた、なかなか困った課題です。

 ですからみんなが抱えている悩みというのを、ただ私も共有しているというだけの話なのです。しかし、悩んでいるだけでは駄目なので、今より少しでも、何をもっていい方向にするかは、それこそ考えをできるだけ共有して、少し改善できるものならという話で、こういう現状報告も頂いているということだと思います。

 それで突合みたいな話は花井さんを含めて、やはり非常にいいことで、それで業界自身がちゃんと考えてくださっているということなので、この傾向を推し進めて、ただ、こうやって突合するからには、少し基準を合わせるような話で、お互いに努力もしていただくのがいいと思います。

 ただ、その基準なるものが、さっきから言っているように、ここが正解だということはない話なので、しかし協力してくださる方に迷わせるような曖昧な基準というのは、やはりよくないですね。これはこういう趣旨ですから、こういうことでという話を、もう少し明確なルールにしたほうがいい部分があれば、それはそれで考えないといけないというようなことが私の感想です。

○曽根委員 今の委員の発言に対してですが、どこの大学の利益相反委員会に参加されたか知りませんが、その大学は余りにもお粗末だと私は思います。実は私も利益相反については、国立大学医学部長会議の中に研究小倫理委員会があって、そこの委員長をたまたましたときに、日本で医学関係の利益相反のマネジメントに関する取組がほとんどないということでしたので、そこで初めて文科省の支援を得て 2006 年に医科大学を対象に、利益相反指針策定のためのガイドラインを公表しました。

 ですから、もう 12 、3年たっているわけですね。そのガイドラインには開示すべき基準額も項目別に具体的に出しております。その後 2008 年だったと思うのですが、厚生労働省が厚生科学研究費をもらった研究者は企業と利害関係を申告するようになったのですが、ガイドラインとほとんど同じ開示基準額となっております。

 利益相反の申告は研究機関だけでは駄目で、研究者は成果を各専門会で発表しますし、特に問題は論文なのですが、成果発表の時に利益相反の開示が重要となります。そういうことで、がん治療学会などで利益相反指針づくりをして、そして 2011 年に日本医学会が、傘下である 100 以上の学会に対して、利益相反の指針をちゃんと作るためのガイドラインを公表をしています。そのときの開示額というのは、項目別に医科系大学に出したものと内容的に全く一緒です。このように、整合性は取っているのです。

 このような取組も国立大学だけでは駄目で、私学は、まあ問題を起こすとは言わないけれども、企業との連携が非常に活発です。そういうこともあって、私立も国立も公立も全部、医学部長、病院長全てがメンバーになっている全国医学部長・病院長会議からCOI管理のガイドラインを 2015 年に公表しています。そういう形で整合性を図っています。いろいろな学会とか大学で開示の項目や基準が異なれば、これは大変なことなので、そういうことにならないように、我々はずっと努力しています。

 唯一、変わったのは研究費の申告基準額がディオバン事件を契機に、 200 万以上ではちょっと良くないということで、 100 万以上受け入れた場合、申告してくださいと変えました。ですから、あちこちで申告の内容や基準が違うと言うのは、それは言っている人の不勉強といいますか、それが利益相反委員会で言われているのであれば、やはり努力が足りないのではないかと私は思いますね。

○樋口座長 分かりました。

○曽根委員 追加です。もう一つ、医薬品審査と同じ程度か、あるいはもっと大きなインパクトがあり重要なのは、診療ガイドラインの策定です。診療ガイドラインの策定については、厚生労働省が 1990 年代の終わりぐらいに、各学会がそれぞれ医薬品などの適正使用に向けてガイドラインを策定すべきということを促したために、多くの臨床系学会が取り組み始めたわけですね。

 今、日本医療機能評価機構に、MINDSガイドラインセンターというものがあって、厚生労働省が支援をしていると思います。そこでは、過去4、5年で各学会から公表されたガイドラインを全部集めてきて、クオリティと信頼性について検証をしています。クオリティの評価は、国際的なアグリー2という基準があって、質の面で国際的な基準に達しているかどうかを調べた結果、達していたのが 47 %、半分も診療ガイドラインのクオリティを保証するような仕組みになっていないということを聞き、驚きました。

 しかし、第一線の現場のドクターは、みんなそれを信じて使っているわけです。ガイドラインは、この病気だったらこれをファーストチョイスで使いなさいと示している。もちろん患者団体からあらゆる人が使っているのですが、国際基準に5割も満たしていないというのが現状です。

 それからもう一つ、今、我々が関心をもっているのは信頼性の問題、すなわち利益相反の問題です。これは多分同じで、診療ガイドラインを作っている委員とかがいますが、そういう人をどういう基準で選ぶかという指針がないのが現状です。ですから、それについても、日本医学会の方で先日、診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンスというものを作って、ほぼ承認は頂いているのが、質だけではなしに、信頼性も確保し、エビデンスに基づく医療ができるようなガイドラインを作ってほしいということで、取り組んでいます。

 言いたいのは、以前よりはかなり、利益相反関係のマネジメント、要するに透明性を基本にマネジメントが進んでいっているというのは確かです。最近、外国から出ている報告を見ても、診療ガイドラインの参加資格規程というのは、欧米も非常に関心があって、厳しい策定参加規程を作っています。それは、効かない薬をガイドラインで効くと書いたら、どんどん使われるわけで、医療費の無駄をできるだけ少なくしようと、策定に関わる者の資格基準は非常に厳しくなっているのが現状です。

 がん領域ですが、ある論文が、検証をした報告があります。要するに、診療ガイドラインを作ったメンバーの利益相反開示がどのぐらいできているか、それからバイアスがどのぐらい掛かっているかというのを慎重に検討した結果によると、以前は有効性を過剰に、それから副作用は過小にというのが多かったのですが、最近はその傾向がぐっと改善しているとの報告でした。やはり、企業との利害関係の透明性を図るとか、それを適切に管理するような仕組みを、厚生労働省も常に見直したり、改善していってほしい。

 クオリティをいかに保つかの仕組み作りは、また次の課題だと思います。私は日本の医学系研究も利益相反管理という点でかなりいい方向に動いているのではないかと思っています。先程の大学のケースも、内容はともあれ、利益相反関係の問題が議論され始めたという事実は、改善に向けて効果があったのではないかと思います。指針がなければ議論もありませんので。

○樋口座長 ありがとうございます。

○花井委員 正に臨床研究などの話をし出すと、言いたいことは山ほどあるわけです。結局ここは医薬品審査なので、ある医薬品を医薬品と呼んでいいかどうか、これで決まるということです。ここで駄目と言われたら医薬品と言えなくなるという場であって、つまりそれは、やはり薬事行政の根幹としてあるから、ここは厳しくても厳し過ぎることはないのです。もっとほかに、世の利益相反という言葉に包含する世界の中では、これは極めて限定的なところだと思うのです。

 ですから、さっきの臨床研究なんてCOI委員会があって当たり前で、もうガイドラインが出てガイドラインどおりやっていれば、今頃そんな議論あり得ないのだけれども、そういうことがあるわけです。ここは医薬品たり得るか否かという狭き門の番人たちが、どういう利益相反性をチェックするかという所なので、ここはこれで、ある種、厳しくていいのだと思います。

 むしろここはきっちりすることによって、臨床研究でも今は治験のGCPといわゆるガイドラインの2本立てで走っていて、本来は研究施設毎の必要な機能が確かならば、それで臨床研究も治験もやれるのだという保証があればいいわけですから、そうなってはいないわけですけれど。やはりそういうところに波及する話で、ですから、ここがかっちりするということに本当に価値があると思うので、そういう視点で考えていただきたいと思います。以上です。

○樋口座長 今日の議題としては、別にその他の規程事項は何か用意はないですね。

○事務局 はい。

○樋口座長 ここまでの話、あるいは何かあれば御意見を伺ってと思っておりますが、せっかくですから、田島委員にも一言お願いします。

○田島委員 部会に参加させていただいている立場で拝見しておりますと、審議に参加できず退席なさる委員の数というのは、このデータの1年前よりも少なくなったと思います。つまり議決に参加できない委員の方はある程度いらっしゃいますけれども、この制度を作ったことによって、企業側も病院なり組織に寄附をするというような立場で、個人に対しての寄附ということではない形に方向転換していったという状況があっての成果だと思います。

 いろいろこの制度を作っていくことに、大きな成果が出ていることは実感しております。ただ、これがあるために、この方が委員として適任だと思われるのに、御就任いただけないというケースがあるのかどうかというところまでは、ちょっと承知していないのですけれども、部会の場ではいろいろ専門のお立場の委員の御意見を伺うなりして、きちんとした判断をしているものと思っております。

 申告についての委員本人と、それから企業の突合ですが、申告内容と企業のチェックと食い違うものも確かにありますけれど、全体から見ますと、ごく小数になっていると思いますし、競合企業も含めて、こういう突合をすることにした成果というのは大きいと思います。

 もちろんいろいろな点で不十分なところはありますので、各委員から御指摘のあった方向で、できる限りの改善をしていくことは、まだ必要だとは思いますけれども、このような形で継続していくということで問題はないと思いますし、いろいろな変化が起きますので、毎年これを検討して、必要な見直しをしていこうという、この体制でよろしいのではないかと思っております。

○樋口座長 ありがとうございました。それでは、いろいろな御意見を伺いましたが、この会としては薬事分科会審議参加規程と、それに伴う細則の実態としての運用を見守っていくと。それについての改善を図るところがあれば、改善を図っていくことを今後も続けるということだと思います。もし御意見がなければ、そろそろお開きにしようと思いますが、今後のことについて何か事務局はありませんか。

○事務局 本日は、委員の皆様から大変に様々な視点から御意見を頂きまして、ありがとうございました。今後も引き続き、少なくとも1年に1回はこの会議を開くことにさせていただいております。通常どおりですと来年のこの時期にということになっております。また、今回の会議の中で、具体的にその規程自体の見直しに関する御意見は現段階ではありませんでしたので、今年度に何か規程を変えることは、今は考えておりません。

 その上で、本日頂いた資料の作り方、あるいは企業の方からもう少し情報公開の取組ですとか、寄附等の支払方法の工夫ができないのかといったようなところについて、どのような話合いができるのか、事務局の方で来年度に向けて議論を進め、また来年度の会の際に、この規程の見直し案も含めて、皆様に御報告したいと考えておりますがいかがでしょうか。

○樋口座長 よろしくお願いします。

○事務局 ありがとうございます。

○樋口座長 それでは、よろしいですか。特になければ、今日の会議はここまでにしたいと思います。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)

備  考
本委員会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局総務課 課長補佐 勝山(内線2710)

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