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2018年3月14日 女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議

医政局医事課

○日時

2018年3月14日

 

○場所

航空会館 201会議室(2階)

○議事

○櫻本専門官 それでは、定刻より少し早いですが、全員お集まりになっていただきましたので、ただいまより「平成29年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、大変御多忙のところ、本会議に御出席を賜り、まことにありがとうございます。
私は、医政局医事課の櫻本と申します。よろしくお願いいたします。本日議事進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の資料を確認させていただきます。
次第に資料1、2、3とありますけれども、最初の資料1が、ことしのモデル事業の対象病院でございますが、広島大学病院からの提出資料。
資料2が、同じくモデル事業の対象となりました佐賀大学の発表資料。
資料3が、こちらは厚生労働省で準備させていただきました女性キャリア支援モデル普及事業の今までの経緯でございますとかデータ等、それから、今後の取り組みについての資料を出させていただいております。
参考資料が幾つか入っておりまして、参考資料1が、こちらの前身でありました「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」の資料。
参考資料2-1、2-2、2-3、2-4とございますが、これがこれまで、本日も御出席いただいておりますが、モデル事業の対象となられた4病院の取りまとめの資料となります。
資料は以上でございます。何か不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、本日御出席の皆様の御紹介をさせていただきます。「平成29年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」ということで、構成員名簿がございますので、上から順番に御紹介をさせていただきます。
日本医師会の今村定臣先生です。
社会医療法人恵和会の西澤先生です。
佼成病院の甲能先生です。
日本赤十字社医療センターの木戸先生です。
岡山大学の片岡先生です。
本日の報告者としまして、広島大学から、石田先生です。
佐賀大学から、城戸先生です。
本日、参考人としまして、前年度事業の実施機関としまして、東京女子医科大学の横田先生です。
久留米大学の守屋先生です。
以上でございます。
本日の進め方でございますが、まず、今年度の事業実施機関でございます広島大学病院と佐賀大学の2大学のプレゼンテーション及びディスカッションをしていただき、それを踏まえまして、評価委員の先生方におかれましては、各団体の評価を実施していただきたいと思います。評価票は、昨年同様、本日でなくても書く量におきまして、後日お送りいただいても問題ございませんので、御検討いただけたらと思います。なお、こちらの評価につきましては、後日各団体にフィードバックさせていただく予定です。それから、当会議は公開での実施となりますので、議事録と資料は後日公表とさせていただきます。
それでは、議事に移らせていただきます。
まずは、広島大学病院様より発表をお願いいたします。
○広島大学病院 おはようございます。広島大学病院の女性医師支援センターの石田と申します。よろしくお願いいたします。
きょうは平成29年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業を実施した成果を発表いたします。
広島大学病院と広島大学の教育関連施設を合わせた女性医師の数を示します。女性の比率はここにある「皮膚科」を筆頭にこの順で、実人数はここにあります「麻酔科」や「小児科」「呼吸器内科」などに多いことがわかります。
このような多くの女性医師の働きやすい効率のよい職場環境の整備、働き続けられる職場、離職しても復帰しやすい職場、また、女性医師のキャリア継続支援を目指して、平成29年4月に、広島大学病院に女性医師支援センターが設置されました。男性が9名と、女性が5名の委員で構成されまして、仕事と家庭の両立を念頭に、女性医師のキャリア継続を支援しています。
ここに示しますのが、今年度提案した女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の内容です。これに従いまして、それぞれの成果を述べさせていただきます。
まず、職場の理解に係る取り組みです。広島大学の女性医師支援センターは、地域の医療機関や各団体と連携体制をとって活動していますが、特にここにあります広島県医師会女性医師部会や、広島県の地域医療支援センターと密に連絡をとって活動をしています。
地域の医療機関や関係団体との連携体制を構築して、連携して、女性医師のワークライフバランス、女性医師キャリア形成をテーマとした懇談会や講演会を行いました。これは11月に行いました講演会ですけれども、「結婚と出産のタイミング」というテーマで行ったものです。男性医師を含みます多くの参加者を、ことしは得ることができました。
また、県医師会と連携しまして、ロールモデルの提示やキャリアに関するディスカッションを気軽にできる「女子医学生と女性医師のお茶会」というものを開催していますが、これも今年度は、初めて研修医を含む多くの学生に参加していただき、その満足度も高いものでした。
その様子です。子育て世代の医師の参加も得られまして、女性医師のロールモデルを提示したり、ディスカッションを行いました。
以上のように、広島大学病院の女性医師支援センターが、地域の医療機関、関係団体と連携し、懇談会や講演会を行うことによる成果は、男性医師や医局長を含む参加者の増加。女性医師キャリア支援に対する問題点の共有と、それに対する解決策の議論ができたこと。また、女子学生や研修医に対する早期からの問題認識をしてもらい、ロールモデルを提示できたことと考えられます。
センター運営会議は、今年度、これまでに5回開催し、女性医師懇談会や講演会や相談窓口からの相談事項を共有したり、女性医師のキャリア支援や復職支援における問題点の提起を行い、その解決策を話し合ったり、総合会議の開催に向け、準備を行いました。
その話し合いの中から、現在、センターが特に力を入れるべきは、ここに示しますように、各診療科からの女性医師支援のための提案を受けること、女性医師を含めた医局との連絡網の充実、勤務条件に制約のある女性医師の医局人事外での就職のサポート、保育所や病児保育に関する情報収集とその伝達、医学部学生時代からのキャリア形成紹介とその教育であると、目標を定めることができました。
さて、今回の普及事業で最も力を入れたセンター総合会議についてですが、県内の病院や各診療科、また、各団体が一堂に会しまして、医局に属する女性医師が、通常の派遣人事外の枠で、関連病院での勤務が可能となるようマッチングすべく、平成29年11月17日に開催いたしました。
今回は初めての開催でしたけれども、大学病院の19の診療科と教育関連病院13施設から人事担当者に参加いただきまして、県や県医師会、市医師会等の関係団体が一堂に会しまして、本会議の趣旨の説明、各医局、病院からの現状や御意見、御要望などを伺うことができました。
そのときに出た意見ですけれども、教育関連病院からは、女性医師に対して短時間勤務や当直免除等の柔軟な対応をしていること。それによる他の医師への負担が増加していること。小規模病院では、当直可能医師の確保が大変であること。また、今回提案したような定員枠外での女性医師の雇用を望む声が見られました。
対して、大学の医局サイドからも、同様の意見が見られました。
以上、センター総合会議を開催しまして、教育関連病院の現状や取り組みについての情報を収集でき、対して、派遣元である大学病院各医局の現状も明らかとなりました。勤務条件に制約のある女性医師の定員枠外での雇用の可能性や、その重要性が明らかとなりました。
女性医師のキャリア継続に対する共通の意識が確認され、そのために、女性医師支援センターのマッチング窓口としての重要性を再確認することができました。
相談窓口に係る取り組みです。
大学病院内に相談窓口を設けまして、ことしは副センター長が相談に応じました。計13件の相談がありました。
勤務体制、診療体制に係る取り組みです。
本事業では、定員外の増員分の「女性支援枠」を設けました。5名の女性医師の申請がありまして、うち3名は育休と産休からの復帰で、特に1名は復職の予定はなかったものの、この支援枠を知っての復職でした。他の2名は非常勤の継続のための雇用となりました。そのうちの2名は、来年度から関連病院に短時間勤務ながら、常勤医として就職することが決まっております。
この「女性支援枠」を導入することにより、自由な短時間勤務というオーダーメードキャリア支援を実施することができ、育児中の女性医師の復職が実現しました。これにより診療科の負担が減少しまして、女性医師のモチベーションが上昇したと考えております。
次に、複数主治医制の導入・推進についてです。複数主治医制については、現在、大学病院では、多くの診療科でこの制度を導入しています。特にうまくいっている小児科などの診療科では、このチーム内に女性医師を分散させて配置し、緊急時のチーム医療のチームとしての対応を可能にしており、このシステムを各診療科に紹介し、導入を促していきたいと思っております。
保育に関する取り組みは、院内の各診療科や、女性医師からの最も強い要望の一つでした。情報を要望する声が多かったので、この支援センターのホームページ上で、保育に関する情報提供をまとめて行うこととし、また、女性医師のメーリングリストを作成して、直接その情報を送付するようにいたしました。また、これまでも行っておりました小学生の長期休暇中の学童保育は、大学内で実施しました。
マタニティ白衣のレンタルも行いました。
以上、保育に関する取り組みにより、保育園の申し込み時期を逸しなくなり、保育内容の周知が広く行えるようになりました。
今後の取り組みとして、妊娠・出産を控えた女性医師の行動準備、情報を提示し、病児保育の充実と常時の保育園との連携、院内保育だけでなく、市内や周辺の保育所情報へのリンクの構築や、広島県医師会子育て支援事業と連携した保育サポーター事業を開始し、ベビーシッターのあっせんを行っていきたいと思っております。
復職支援に関しましては、復職先の各診療科において、復職者の要望や能力に応じたきめ細かな指導を実施したほか、先行して実施されている各大学のeラーニングシステムを活用させていただきました。
また、模擬病棟やシミュレーターの常時使用を可能にしました。
本事業から、今後の支援策を示します。基本的に、今年度の事業内容を継続しますが、中でも、地域の医療機関、関係団体との関係については、広島県や県医師会との連携をさらに強化し、財源確保に努めてまいりたいと思います。
また、勤務体制に関しましては、定員外の増員分の「女性支援枠」をさらに普及させ、保育に関しては、保育サポーター事業への参入と、その普及に努めます。3月28日に外部評価委員会を実施し、評価いただき、今後の重点目標を定めたいと思います。また、全ての点において、PDCAサイクルを実行し、より有効性の高いものをさらに継続していく予定です。
最後に、本事業として、当初から計画していたものではありませんけれども、厚労省からのリクエストにより、女性医師のキャリアモデル化のため、ロールモデルの収集を実施しました。現在、各診療科から35名の協力を得ることができております。
広島大学からの報告は以上です。ありがとうございました。
○櫻本専門官 御発表ありがとうございました。
ただいま、参考資料1にもあるのですけれども、「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」においてまとめられた6つの項目に沿ってプレゼンテーションをいただきました。こちらにつきまして、御質問や何かコメント等がございましたら、お願いいたします。
甲能構成員、お願いします。
○甲能構成員 非常にわかりやすく説明をいただきまして、ありがとうございました。
昨年に設置された女性医師の支援センター、これが短期間の間に非常に有効にいろいろな取り組みをなされているというのはよくわかったのですけれども、一番力を入れているというセンター総合会議ですか。これについてちょっとお尋ねしたいのですが、これはかなり大がかりな組織ですね。そうすると、なかなか参加を呼びかけても参加してくれないというのが実情ではないかと思うのですが、いろいろな施設に集まってもらうためにかなりの努力がいったと思うのだけれども、どのような声かけをしたかということをお尋ねしたいです。
○広島大学病院 実情は、それほどかなりの労力といいますか、手紙でこういった会議を開きたいと。その上で、女性医師の働き場所あるいはサポート体制として、先ほどありましたように、当直医師とか短時間勤務による他への余波をカバーするための女性医師の働き方を話し合いたいということを伝えましたところ、先ほど示しましたように、全部で19施設なのですけれども、13施設が院長を含め、人事担当者に参加いただいたということで、恐らく各病院で人が足りないといいますか、医師の不足を感じている、特に当直等の医師の不足を感じているという現状があったために、皆さん、このように参集してくださったのではないかと思います。
○甲能構成員 大学の中の診療科は、デューティーみたいにしたのですか。診療科はなかなか言うことを聞かないですね。
○広島大学病院 そうですが、デューティーではなかったです。そのような感じはこちらとしては持っておりませんでしたが、それぞれお互いにここのデータで示しますように、特にこの産婦人科などは、現在医師不足で診療科を閉鎖するところも出てきたりなどしておりますので、何らかの解決策はないかという気持ちが強いというのが現状ではないかと思っております。
○甲能構成員 その中で、定員枠外での女性医師の雇用、これが非常にニーズが確認されたということで、その次の相談窓口に係る取り組みとも関連するのですけれども、定員外の増員、「女性支援枠」ですか。こういうものを設けて、非常にこれも有効であったということなのですけれども、心配なのは、費用はどのように捻出されたのですか。
○広島大学病院 費用は、正直なところ、今回この事業をいただけたということで費用を捻出することができました。ですから、最後の今後の計画に申しましたように、県や医師会からの補助が今後あれば、そこのところをふやしていけるのではないかと思っております。
○甲能構成員 ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
お願いします。
○木戸構成員 私から何点か御質問させていただきます。
まず1点目は、地域の連携体制の構築のところにあるお茶会なのですけれども、女性医師の人数がかなり多い割には、当事者の参加が非常に少ないように思われます。医師12人ぐらいでしょうか。この設定が平日の夕方16時30から18時30分というところもあると思うのですけれども、何か広報とか呼びかけに工夫されたことはありますか。
○広島大学病院 確かにこれは開催時間に関しましては、今後の課題ではあります。このお茶会の最初の意図としましては、女子医学生に対するお茶会ということを念頭に置いています。そのために、ランチを行ったこともありますし、このように夕方にお茶会を行っているというときもあります。
なぜ女子医学生かといいますと、彼女たちがこれから医師になって、その大学病院内に相談をできる窓口がある、あるいはこういう取り組みをしている場所があるということを学生のときから知ってもらうということと、先ほども提示しましたように、ロールモデルを提示して、こういう生き方があるよということを学生のときから知ってもらうということが念頭にありました。少しこの前の講演会とは違いまして、学生を中心にして学生が出やすいところ、そこに女性医師が来て助言を与えるというか、話し合うというところで、実際には女性医師同士の議論もありますけれども、医学生を中心としたために今回はこの時間で設定させていただきました。
○木戸構成員 ありがとうございました。
あと、センター総合会議に関しての質問なのですけれども、13ページでございます。女性医師もこの総合会議に参加しているということですが、子育て中の当事者もここには参加されていますでしょうか。
○広島大学病院 今回は第1回目で、まだマッチングすべき人員がありませんでしたので、実際の当事者はいらっしゃいません。しかしながら、委員の中に子育て世代がたくさんありますし、それ以外にも、各医局からの人事に関係する先生方ですね。医局長等が出席をしてくださっておりますので、そこにはこの内容が伝わるとは思っております。今後、実際の女性医師に参加していただきたいと思います。
○木戸構成員 有効な取り組みには、当事者がどのような問題を抱えているかということをきちんと踏まえた対策が必要かと思いますので、当事者の参加が非常に重要かと思います。
あとは、定員外の「女性支援枠」のところなのですけれども、これは何か募集をするときにお知らせとか、何人かあったときは選考したり、そういうことはございましたか。
○広島大学病院 これは各診療科のほうにメールで募集をいたしました。問い合わせ等がありまして、それにお答えして、5名ありました。今回は最初に3名ありまして、その後2~3カ月して2名がありまして、5名であれば今回の事業の中でできるということでしたので、選考は行っておりません。
○木戸構成員 最後なのですけれども、この相談窓口に関してなのですが、相談が女性医師から5件、医局から8件あったということですけれども、対応して回答されたと思うのですが、対応に関して、そのノウハウをどこかで蓄積して、ほかのところからも見られるとか、そういった工夫は何かされておられますか。
○広島大学病院 現在はそのことはしておりません。大変貴重な御意見ですので、今後そのようにいたしたいと思います。ありがとうございます。
○木戸構成員 ありがとうございました。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 質問なのですけれども、派遣人事の枠外という言葉と定員枠外と出てくるのですが、派遣人事、あるいは定員というものを、より具体的にお教え願います。
○広島大学病院 ここに挙げました教育関連施設には、各医局から各診療科何名派遣するということが決まっております。例えば1名が開業したとか、他の病院に移るというときには、医局からもう1名そこに派遣をするという形になっているのが定員であり、派遣枠となります。それ以外のところで、なかなかこれまでは、医局から1人、女性医師が復職したいからお願いしたいというようなことはできておりませんでしたので、そういったところのマッチングを各病院から私たちセンターが御要望を伺い、医局にも伺いという、間を取り持つ役割として、窓口として働きたいということでございます。
○西澤構成員 であれば、派遣ということと、この定員ということはイコールと考えてよろしい。
○広島大学病院 ほぼイコールです。関連病院は派遣であり、大学病院内は助教などの定員がありますので、言葉が2つになっている部分がありますが、もともと決まっている枠内外ということであります。
○西澤構成員 わかりました。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
片岡先生、お願いします。
○片岡構成員 大変意欲的な取り組みであり、わかりやすい御発表ありがとうございました。
私もセンター総合会議とマッチング窓口についてお聞きしたいのですけれども、医局派遣外の医局派遣の定数に加えての派遣ということで非常にすばらしいと思うのですが、実際にマッチング窓口はどの程度実効性を持ってそういう働きができるかというのはこれから課題だと思うのですけれども、医局人事とうまくコラボレーションできたら理想的だと思うのですが、コンフリクトが起こることも想定されると思うのですが、そのあたりはどのように御対応されるおつもりでしょうか。
○広島大学病院 それはおっしゃるとおり、大変難しいところですけれども、医局あるいは教育関連施設においては、何とかこの診療科を存続させたいという気持ちと、医局側もそこをできるだけ残したいということがあれば、定員枠外で女性医師を大学に置くのではなく、病院に派遣するということも考えていただけるのではないかと思います。今回始まったばかりで、実際のマッチングはまだしておりませんので、不確定な部分もありますけれども、センターが一丸となって、そこら辺はうまく話し合いの場を設けて、女性医師が少しでも復職できるように、また、教育関連病院のサポートになるように働きたいと思います。
○片岡構成員 ありがとうございます。
もう一つ質問なのですが、そういったマッチングがうまくいくようになると、今度は、例えば最近医局に入っていない方などもいらっしゃると思うのですけれども、そういう方が医局ではなくセンターに直接復職を願い出てくるということも起こると思うのですが、そうなると喜ばしいけれども、それこそ医局とのコンフリクトが起こると思うのですが、そういったことに対しても、今後実際に行っていきながら方策を考えていくということでよろしいですか。
○広島大学病院 最初は医局に属する方のみと考えておりましたけれども、実際にことし1件ありましたのは、医局に属さない方が県北で働きたいということがありまして、そこは医局の側としては医局に属してもらいたい、関連病院側も医局に属してきてほしいということがありましたので、どれぐらい人員を要望されているかということにもよると思います。そこは調整役の手腕だと思っておりますので、きちんとそこの制度を決めつつ、どのようなところで医局に属するのを進めていくかとか、それなしでいけるかというところを検討してまいりたいと思います。
○片岡構成員 ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 今の関連で、大体派遣というのは医局でしていると考えています。今回の場合は、今、言ったセンター等では別だと。そうすると、この派遣人事の枠外、あるいは定員の枠外といったときに、それぞれの医局の場合、枠外の場合、医局が派遣を出している病院に限っているのか。それとも、そのときにはほかの派遣していない病院まで広げてやっているのか、そのあたりはどうでしょうか。
○広島大学病院 現在のところは、関連病院のみを考えております。ただし、今後軌道に乗った場合に、そうではない個人の病院等に派遣することも拡大していけたらとセンターとしては思っております。
○櫻本専門官 甲能構成員、お願いします。
○甲能構成員 今、お話を伺っていて、ちょっとわからなくなったのですけれども、センター総合会議というものは、誰がイニシアチブをとって、どういう組織で運営されているのですか。
○広島大学病院 センターがイニシアチブをとっております。
○甲能構成員 センターがというのは。
○広島大学病院 女性医師支援センターが。
○甲能構成員 いつも議長というか、プロモートする人は決まっているわけですか。
○広島大学病院 センター長が取り仕切ってくださっております。
○広島大学病院 私が行っています。
○甲能構成員 先生がいろいろ挙がってきたものを調整するという組織系になるわけですか。
○広島大学病院 調整は支援センター全体で行うのですけれども、広島大学の病院の女性医師支援センターが中心となって、各医局、それから、各教育関連病院に声をかけて、その調整役をしていくというスタンスでおります。
○甲能構成員 そうすると、先生がいろいろ挙がってきた事例で、この人はどこどこに派遣するのがいいだろうというような決定権があるわけですか。
○広島大学病院 そこまでの具体的なことは、まだ事例はございませんけれども、もしそういう例があったとすれば、診療科と希望する病院との間で調整をしていただくような橋渡しをするというのが、このセンターの役割だと私は思っております。
○甲能構成員 立ち上がったばかりだから、まだファジーなところもあると思うのですけれども、今後それがどうなるかというのが、心配なところもあるし、また、そこが重要なところではないかと感じました。
○広島大学病院 あくまでも橋渡しと考えていただければと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 これは希望なのですけれども、当然派遣等は関連病院に限られるのは、医局の場合わかるのですが、できれば今後センターを中心にして、県内全ての病院を対象にこの事業を広げていっていただいたほうがいいかと。これから、今、地域医療構想等やっていますけれども、かなり地域ごとできちんと守るということになれば、その中でいろいろな連携とか協力というものが非常に大事だと思いますので、そのあたりを考えていただければと思います。
○広島大学病院 ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
今村構成員、お願いします。
○今村構成員 センター会議の中でマッチングというのは、結局センター長の先生が差配されることになるわけですね。
○広島大学病院 あくまでもそういう事例が挙がってきた場合に、橋渡しとして、例えばとある病院で皮膚科の医師が1人いればいいな、それは定員外でもとりたいという希望がもしあった場合、それがセンターに来て、センター側としては、うちの皮膚科はどうでしょうかということで、皮膚科の。
○今村構成員 診療科の医局長か何かで。
○広島大学病院 それで交渉していただくようになるだろうと思います。
○今村構成員 そういうことになるわけですね。
○広島大学病院 はい。だから、あくまでもセンターが牛耳るというと言葉は悪いのですけれども、そういう役割ではなくて、橋渡しをしていくというスタンスだと。
○今村構成員 その橋渡しというのは、関連病院だけではないと。
○広島大学病院 現在は、お声をかけているのが関連病院ということになりますけれども、最後に示しましたが、今後の方向性としては、プライベートのホスピタルであったり、診療所であったりというところまでも広げていけるようになれば、これは多分今度は県の医師会との調整が必要になってくるだろうと思うのですけれども、そこまで拡大できれば、もっともっと働ける女性医師の活躍の場が広がるのではないかと考えております。
○今村構成員 キャリアアドバイザーとコーディネーターが窓口に置かれておりますけれども、これはどういう資格の方なのですか。
○広島大学病院 今はまだそこが充足できておりませんので、センターのメンバーだけでそれを対応している状況です。
○今村構成員 病児保育の問題ですけれども、充実と書いてありますが、そこの人員配置であるとか運営はどういう形になっておるのでしょうか。
○広島大学病院 今、広島大学病院の院内の中に病児保育を一応つくっておりますので、そこへのアプローチということになるだろうと思います。
○今村構成員 小児科のお医者さんがかかわってくる。
○広島大学病院 必要な場合には、小児科が行くことにはしております。
○今村構成員 ナースが配置されている。
○広島大学病院 ナースは独自でおります。
○今村構成員 ナースは常時配置されておって、小児科のお医者さんは時々。
○広島大学病院 要求があればというところですね。
○今村構成員 わかりました。ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございます。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 本事業はモデル事業ということで、ほかの施設への横展開を考えていくというところで、今回の事業で非常によかったのが、「女性支援枠」が20ページにありますように、もともと5人のチームにプラスの方が入って5.何人かになるわけですけれども、通常ですと、この方が戻るとマイナスの戦力のように考えられてしまうので、ぜひこういったプラスアルファの支援枠にして、ほかの方の働き方を改善する。例えば、この方が入ることによって誰か一人当直明けで早く帰れるとか、そういったことに活用していただくとともに、この方本人もだんだん働けるようになったら、この方自身が当直にも入っていただけるということが非常に重要かと思います。
広島大学さんのほうは、今、病児保育があると伺ったのですけれども、夜間保育とか時間外ですね。土日などはどうなっているのでしょうか。
○広島大学病院 病院の保育園に関しまして、夜間はありませんが、土日はあります。
○木戸構成員 なるほど。これからは当直免除ということよりも、むしろ時間外や当直にも担当できるような支援も重要かと思いますので、例えば週1回とか2回だけでもいいから夜間を対応することによって、いろいろな診療科の当直をやってみたいという方ができるようにしていく支援も重要かと思います。
この最後のロールモデルのところですけれども、これは立候補とか、あるいは医局の推薦とか、どのような方法で集められたのでしょうか。
○広島大学病院 これはこういうモデルを募集していますということで、各医局の人事担当者にメールを送りまして、必要なところは個人的にメールをお送りして募集しましたら、これだけ集まったということです。
○木戸構成員 これをぜひデータベースにしていただいて、こういう働き方もできるということを医学生とか研修医の方が見られるようにするとか、今後は支援された方が自分がロールモデルになって、そういった方がデータベースに加わっていくということで、好循環に持っていけるような取り組みになっていく可能性を秘めていると思います。ありがとうございました。
○広島大学病院 ありがとうございます。
このプラスアルファの支援枠に関しましては、岡山大学の取り組みを見せていただいて、非常にいい支援策だと思いまして、導入してみました。本当にすぐに3名応募してくださって、働きたいと思う女性医師がいらっしゃったのだということがわかりましたので、継続できたらと思っております。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
関連で一つお聞きしたいのですが、ロールモデルの関係で、国のほうでも今、働き方改革などの議論をしていく中、今までの中で一つ、視点として追加すべき項目としてよく言われていたのが、診療科ごとで違うのではないかということがよく言われておりました。
例えばこのセンター総合会議といったものは全体として機能するようなものであるかと思うのですけれども、外科系、内科系、あるいは皮膚科系とか、そういったもので違うのではないかというような指摘を受けまして、本日28ページでございますとか、あるいは参考資料の33ページ以降で、いろいろな科ごとの特徴をお示しいただいているかと思うのですけれども、今回支援をいただいている中で、科ごとの特徴とかアプローチの仕方、あるいは難しさみたいなものがあれば共有いただけないでしょうか。よろしくお願いします。
○広島大学病院 確かに診療科ごとの特徴がありまして、センター総合会議は、この全体としては動きますけれども、個別の案件で仲介をしていくことになりますので、診療科ごとのサポートということになります。
また、実際、女性医師キャリア支援ということでやっておりますけれども、支援策そのものは診療科ごとに違うべきだとセンター長も私も思っております。ですから、今回のようなロールモデルを見ながら、どこが必要なのか、あるいは例えば途中で示しましたチーム制、複数主治医制などは、救急でありますとか小児科は非常にうまくいっているところが多いのです。ですから、それをほかの内科や外科は知らない可能性がありますので、そこら辺を紹介していくことで、全体に広まっていくことが必要ではないかと思っています。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
守屋参考人、お願いします。
○守屋参考人 今後、広島大学が中心になって支援を進めていくときに、女性医師支援センターの今後の運営方針とかポリシーなどがすごく重要になってくると思うのですけれども、これを拝見すると比較的男性のドクターの方々が委員に入っていらっしゃって、私もお伺いしたいのは、委員で入られた先生たちはどう集め、命令というか、ボランティアで入っていらっしゃるのか、上からの指示だったのかということ。あと、こういうセンターをされる場合に、医師の情報のシェアをどういうスタイルでされていらっしゃるかとか、それを大学病院全体に広めるための方法などの工夫を伺いたいというのがあります。
先ほども櫻本先生のお話がありましたが、各診療科で温度差があると思いますので、それをある程度平均化して、我々がやっていることはこういうことですということを共有して、共感してもらうための今後の取り組みについて、何か御教示いただければと思うのですが。
○広島大学病院 男性医師の委員が多いのは、まず、委員の選定ですけれども、これは比較的女性医師の多い科から特に人事担当等の先生方にお集まりいただきました。それは先ほど言われたこちらからの指名ですけれども、先生方、皆さん、気持ちよく受けてくださって、委員会にもきちんと定期的に参加をしてくださっております。
男性医師が入っていることは非常に大切で、当センターはセンター長も小児科の教授でいらっしゃる小林先生で男性ということが、女性側から何かをしてほしいというだけではなく、これがあったらいいなと思うだけでなく、男性医師の側からも、こういうことがあると男性医師も助かるとか、そういった意見も伺えるということから、男性医師が多いことを、これは私はいいことだと思って運営しております。
これからの私たちの運営方針といいますか、考えているのは、重要なのは、男性医師からの意見と、男性の家族からの意見と、医学生の教育だと思っています。資料の中には個人情報があるので入れてはいないのですけれども、女性医師の夫へのアンケートというものをしておりまして、本当にいろいろな意見がありまして、見ると、ここに今、やっている家事のことが書いてあるのですが、たくさんのことを夫はやってくれている。本人の思い込みも一部ありますけれども、中にはこれ以上は無理というようなものもありまして、こういうサポート体制があって初めてできる。こういうことを旦那さんにはやってもらえるよということを女性医師や学生にも示すということで、今回のお茶会にはこれも出しております。こういう男性を巻き込んで男性の意見を聞くということも重要ではないかと思っております。
○櫻本専門官 横田参考人、お願いします。
○横田参考人 とてもいい取り組みで、ありがとうございました。
一つ御参考までというか、資料の34ページのところで、診療科を退職後の勤務形態のほうを拝見しますと、私はすごくびっくりしたのですが、男性と女性とでこんなにも差があるのか。開業なさる女性医師が少ない。時短勤務というのはよろしいと思うのですけれども、不明の方と休職の方がいらっしゃるので、働き続けるためにはいろいろな働き方があるのだと。大学のサポートも必要でしょうし、キャリア支援のほうで自信を持って開業できるように腕を磨いて開業していただくとか、キャリアの10年目、20年目、今後でも構いませんので、女性医師の自覚、そこをきちんと教育していただかない限り、サポートも必要ですけれども、私がやりたいのだということを言わない限り誰も協力してくれないと思います。その辺をもう少しこちらのほうで、そういった先輩の先生方がサポートしていただいて構わないのですけれども、そういうものでどんどん引っ張っていっていただきたいと思います。
私は自分の中のイメージは、女性医師も男性と同じように診療科を退職したらほかのところの常勤につくとか、開業するものだと思っていたのですけれども、この結果はびっくりいたしましたので、この結果にならないような、もしそこに障害があるのであれば、そこを乗り越えられるような対策を今後とっていただきたいと思いました。意見です。
○櫻本専門官 大変貴重な御意見ありがとうございました。
もし可能でありましたら、先ほどのアンケートも大変参考になるかと思いますので、また個人情報のない範囲で教えていただけたらと思います。
どうも広島大学の皆様、本日は御多忙の中、プレゼンテーションありがとうございました。
続きまして、2つ目の選定先であります佐賀大学より御発表をお願いいたします。
○佐賀大学 おはようございます。佐賀大学医学部の城戸と申します。このたびは厚生労働省の女性医師キャリア支援モデル普及推進事業をさせていただいて、大変貴重な機会をいただきましたことを、心よりお礼申し上げます。
私たちの取り組みについてお話をさせていただきます。
佐賀大学の医学部附属病院は、佐賀市にあるのですけれども、604床ぐらいの病院で、医師の女性比率を見ていただきますと、ここに38.8%と書かせていただいているのですけれども、女性が比較的多い。
佐賀県における女性医師支援と申しますと、佐賀県の女性医師就労支援事業というものが平成22年から走っておりました。それでいろいろな取り組みというものが、ここにお示ししているようにされてきたのですけれども、その県に対する就労支援というのが厚労省の分も終わってしまったということで、27年で終わってしまった。28年はその継続の部分があったのですが、それも完全に終わってしまったという形で、29年度は、今、地域医療支援センターというところに集約されたという形になっていますが、はっきり見える形かといいますと、その辺は少しあれかと思いました。
そういうこともありまして、私は佐賀大学に着任してちょうど2年たったところなのですけれども、前職でも少し女性医師、歯科医師の支援をやっておりましたこともありまして、伺いましたら、それぞれの組織でやっていらっしゃるのだけれどもというお話だったので、佐賀大学の医学部で、まずダイバーシティ推進ということで、女性医師研究者の支援の委員会というものを去年の9月に立ち上げました。その後で、この事業にも応募させていただくことで、女性医師の就労支援ということをもっと強めたいということを考えました。
先ほども御紹介がありました、この事業の取り組みの順番で少しお話をさせていただきます。
まず、現状の把握ということで、佐賀県は女性医師の割合ですね。ここにお示ししている、これはトータルで100%という形でお示しをしておりますが、特に若手のところを見ていただきますと、全国平均よりもかなり高い。
これは次の図を見ていただきますと、このブルーでお示ししておりますのが全国の平均なのです。佐賀県、久留米、福岡と連携がありますので一緒に載せさせていただいているのですが、例えば40代よりも年齢を重ねられた先生方は全国平均よりも低いのですけれども、若手で見ますと、特に佐賀とか久留米などは全国平均よりも若手医師が多いというのが、私たちはそういうものが出ているというのが特徴かと考えております。
実際に佐賀大学医学部の学生の男女比率なのですが、女性の比率が45%とかで、入学者だけ見ると50%を超えた年があるというぐらい、全国の国立大学医学部の中で最も女子学生が多いという大学になります。
こちら側は教員になっている人数なのですが、これはどこの大学でも見られるのですが、助教というか、比較的下位の職は女性の比率が高いのですけれども、上位になるとしゅっとなくなるということで、私は医学科で今、1人の女性教授という立場にあります。
現状をきちんと把握したいということで、平成29年の12月から医師の勤務実態及び両立支援ということを知りたいということで調査をいたしました。佐賀大学医学部附属病院と、いわゆる公的病院と言われるところですけれども、研修医がお世話になっている9施設にお願いをいたしまして、923部お配りして回収率58.3ということで、ある程度の方のお答えをいただけたと考えております。
属性はこのような感じで、男女比はこういう形なのですけれども、中を少しかいつまんでお示ししたいのですけれども、男女で勤務体制というところは少し差が出ているのですが、専門医の取得ということで見てみますと、実は比率としては男女ともほぼ同等で、女性の先生方の専門医もしっかりとっていただいています。
それから、これはいろいろ問題にもなるところですけれども、当直のことがということなので、大学病院とほかの公的病院で比較をしておりますと、大学病院の先生方のほうが当直勤務が多いということと、ほとんどの先生方が当直の翌日も通常勤務をしているという御回答をいただいております。
現場の疲弊感もありますので、皆さんの負担感という形でお聞きをしたのですけれども、ここにお示ししているような診療そのものというよりも、いろいろなそれ以外のものが御負担であると考えられている先生方が多い。
それから、もっとやりたいことがありますかという聞き方を今回しましたら、スキルアップはもっとしたいという方が結構いらっしゃるというところがありました。
それから、この育児休暇に関してですけれども、男女で見ていただきますと、気になりますのは離職というところですね。「取得せず離職した」というところがある程度あるということかなと思いますし、男性でも休暇をという方も少しいらっしゃいました。
これは未就学児、就学児両方、小学生以下のお子さんもほぼ同じだったので、こちらだけお出ししていますが、子供を育てている間の勤務の状態ということで、この「当直あり」「当直なし」で、女性のほうがもちろん当直がない勤務を選ばれている方が多いのですけれども、「当局あり」を選ばれている方も4分の1いらっしゃる。あるいは、男性でも「当直なし」を選んでいらっしゃる方がいらっしゃるということが、今回見える化できたなと考えました。
そのときに、御自分の希望とどうだったかということを伺いましたら、希望どおりだったという方と、もっと負担を軽くしたかったという方と、本当はもっと働きたかったのだというミスマッチがあるということが今回の調査で少しわかったかと思います。
では、皆さん何を御希望されているかというと、まずどの調査でも、先生方、もう既にごらんになっていらっしゃるものばかりかと思うのですが、まず医師をふやしてほしいと。それから、もちろん医師以外もふやしてほしいというのが一番に来るのですが、ここの働き方にかかわる項目、それから、社会が医師の働き方を理解してほしいというものが挙がってきておりました。
介護に関しても、社会資本的なところ、それから、職場の理解というものが挙がってきているのです。
そういったことも踏まえまして、職場の理解ということで、例えば教授という立場ですので、教授会で先ほどのようなことを少しお話ししたり、男女でいろいろな差があるのだけれども、もっと活用したほうがいいというお話を差し上げたりということを、少しずつ折を見てやっていったりしました。
それから、皆様御存じのJCHOの清野佳紀先生に来ていただきまして、働き方改革を女性医師支援から始めてというお話をいただいて、佐賀県特有の状況とか、今、残念ながら医師の流出県となっておりますので、そのあたりに対して大変いい御提案などをいただきました。診療科長などにも一生懸命来ていただきまして、これだけのメンバーが来てくださった。
実際に、この講演会自体のアンケートなのですけれども、皆さん、内容は大変よかったと言ってくださって、少しほっとしましたのと、ダイバーシティという人材の多様化ということに対しても、その前年度も片岡先生に講演に来ていただいて本当によかったのですけれども、そのときとほぼ同じアンケートをしましたところ、ダイバーシティについて「知っている」という方がふえたりとか、多様な働き方についてということで、否定的な御意見が減って「とても良い」という方がふえたということは、少し数値であらわせたことかと思います。
相談窓口に関するところですけれども、ホームページを開設したり、マタニティ白衣をしたり、それから、病院に少しお部屋をいただきましたので、そこを問い合わせ窓口として本当にやっとスタートできるというところではあるのです。
あとは周知ということで、芸術学部の先生にデザインをつくっていただきまして、こういうマークをつくって、こういうものでバッジをつけてこういう活動をしますということを、今、やっているところです。
学生教育などにかかわるとか、あるいは相談窓口にかかわるところで、学部生にPBL教育というものをやっているのですけれども、それをやったタイミングで医師会とも連携しまして、医師の先生方に自分たちの、男性も女性もこんな働き方とか、実際に医師はこうだとか、留学したらどうだったとかというお話を聞かせていただくということをやりました。
そのときに、百二十数名来てくれまして、これを昼休みに開催したのですけれども、セミナーの前と後ということなのですが、お配りした資料が間違っておりまして、私どもの学生の名誉にかかわるところなのですが、セミナーの前は常勤で働きたいという女性の学生さんたちは50%だったのですが、私が間違った資料を出してしまいました。申しわけありません。差しかえを後ほどさせていただこうと思います。女子学生も、例えば子供ができたら非常勤とかパートを選んでいたという子たちが、セミナーの後は常勤を選んだりする子がふえていますとか、こちらは男の子たちなのですけれども、ここで子供ができたら奥さんには仕事はやめてもらうと思っていたけれども、そうではなくてパートナーに任せようという子がふえてくれたというので、これに関しては数字として少し今回の教育といった形でお示しできたかと考えています。
次は勤務体制にかかわるところです。平成22年から「SAGAJOY」というものが始まっているのとほぼ似た時期、23年度から育児期の女性、特に産婦人科、小児科などをメーンということで、復帰医制度という短時間勤務の制度が、うちの病院にあります。ここに示しているような週19時間の上限とか、定員の枠外で採用が可能ということなのですけれども、そちらの左側にお示ししているような年次推移をとっています。こういう方々に聞き取り調査とアンケートを行ったところ、この勤務ができたことで、みんな継続できたということと、復帰医のときよりもその後に専門医が取得できたということで、臨床力の向上とか継続になっているということがわかったのです。
これは実際に短時間勤務をしたことがある先生方に書いていただいた、これは久留米大学の守屋先生が論文発表もされているスタイルで、それを同じようなスタイルで実際に書いていただいたのですけれども、横軸が年齢で、学生時代から始まってという形なのですけれども、一番やる気があったところを100として書いてくださいということをしますと、入局してどんどん仕事ができて楽しくなるよとここで上がっているのです。こちらですね。ところが、結婚してというところはいいのですけれども、専門医を取得しましたというのもいいのですが、その後、お子さんができたといったら、女性の短時間勤務をした先生方はぐっと下がって、またその後少しなれてきたら上がるのですけれども、また第2子出産でもっと下がってしまう傾向が、これは人数が書いていませんが、協力してくださった先生方のまとめという形で、典型的なスタイルということで書かせていただいています。結局、その後上がってくる先生もあるのだけれども、下がってしまって、その後にやめてしまわれる方も少しあるようなことが見えてきました。短時間勤務をした後とか、出産後に戻るポストがないということが、皆さん御不安ですということもあるかと思います。
男性の先生方に、これは本当に試行的に周りの先生方に御協力いただいたのですが、男性はほとんどの方がどんどん上がっていると書かれる方が多くて、もちろん男女の表現の仕方に違いはあると思うので一概には言えないのですけれども、お子さんとか、もちろんいろいろな御事情で下がることはあるのですが、女性の先ほどの短時間勤務の先生方で見られたような下がる部分は見られなかったということで、今後もこれについては、守屋先生ともお話しして進めていこうということにしております。
短時間勤務された方々が、実際にどのようなことにお困りでしたかということを伺いましたところ、「収入」というところが一番で、左のグラフに挙がっていますけれども、そうなっております。それから、社会保障がちゃんと受けられないということになります。
それから、勤務医の復帰医という短時間勤務をされた後に何になられているかという調査なのですが、もちろんここで助教とか、次の出産につながったりとか、関連病院に行って活躍されている先生もおられる中で、「非常勤勤務のまま」ですとか「辞職」という形になられている先生があるということで、現場の御意見としては、自分の診療科の特徴とか経験とか家庭の状況などに合わせた柔軟な勤務体制がしたいというお声は、大変強いものがございました。
今度は一方、診療体制に係るという取り組みとして入れさせていただいているのですが、医局長ですね。実際に人事担当をやっていらっしゃる先生方に、例えばカンファレンスの時間帯とかチーム主治医制とか、そういうものを伺いました。8時半から5時半の勤務時間として伺ったところ、カンファレンスの時間は比較的時間内にやっていらっしゃるところが多くなっているということと、チーム主治医制という一応メンバーで見られるという体制を、入院に関してはやっているところが半分ぐらいありました。もちろん病気のときは何とかしてみんなでしているよというお答えをいただきました。
育児中の先生方に、医局長として対応がうまくいっていますかというような御質問をしますと、もちろんとてもうまくいっているのですとおっしゃっているところもあるのですけれども、このブルーの15機関のところは「どちらともいえない」。それから、医局として育児中の先生方にもっと活躍してほしいですかということを聞くと、もっとしてほしいですという医局長が多い。女性の先生方で育児中の人は期待されるぐらい仕事ができていますかということを聞くと、これも「どちらともいえない」ということで、ここら辺のところが今後支援しなければいけないところで、皆さん、問題意識があるのだということがわかりました。
男性ももっと短時間勤務が気兼ねなく使えたほうがいいでしょうかということだと、男性も使えたほうがいいとお考えということが少しわかったかと思います。
次に、育児・介護に係る取り組みですけれども、この佐賀大学附属病院には平成23年から保育園があって、そのときに病児・病後児保育というものもありますので、医師の利用者も、ブルーが医師の利用者で、ほかの看護師などは外して医師だけの分を出させていただいているのですが、増加傾向にありまして、病児保育は本当に医師が一番たくさん登録しているのですけれども、こういう形で登録をされている状況になります。
先ほどの実態調査のときに、育児・介護で、仕事との両立で最も御不安に思われることは何ですかということを聞きますと、ここにお示ししているピンクが女性でブルーが男性なのですけれども、女性の場合は「出産」「育児」と来るのです。これは予想どおりかと思うのですが、特に若い世代はあれなのですが、男性も気にされている先生方が多い。
「介護」に行きますと、今度は男性の先生方も40歳以上だと30%以上の方が、介護のことが心配だと。
「自身の病気」というところです。特に40歳以上の方は、60%以上が、今、自分の病気が心配ですと。ですから、医師の先生方は、もちろんほかのライフイベントもなのですが、御自身の体調とか、いろいろな状況で厳しいところでしょうか。そういうものがあらわれているのかなと思いました。
いろいろな支援を御存じないことが多いということは、皆さん御存じでいらっしゃるかと思うのですけれども、今回「ライフイベントのしおり」というものをつくらせていただいて、育児・出産だけだと私は見ないで捨てるよとかという先生がいらしたので、先ほどの皆さんの御不安というところもあるので、最初のところは、病気になったときに何日休暇がとれますということを入れさせていただいたものをつくって、今、まさに印刷をしているところとなってしまっているのですが、そういう形の支援のしおりをつくらせていただいております。
あとは、相談窓口・復職支援ということで、佐賀県内の女性の先生方が、それは当事者の先生方の意見交換でできる場として、会をやらせていただいたりもしました。
ロールモデルとしては、佐賀大学と久留米大学と九州大学と連携した形で「医師のためのライフデザインガイド」という形で、ここに書いてあるような項目の本を、今、つくっております。
こういうことで、今、お示ししたようなネットワークですとか実態調査の現状把握とか、幾つかのことはできましたし、実は計画していたけれども、ちょっとできなかったということもありました。
課題としては、柔軟な働き方なので、例えば先ほどの私どものところにある短時間勤務制度を少し変えていくようなことというものに大変強い、それが医局長クラス、それから現場の実際の女性の先生方などにもあるということがわかりました。
それから、特に女性が多い診療科では、大変課題認識とか当事者意識は強いということなのですが、それが女性が少ないところでは全然そうではないということがありましたし、現場では、本当にみんな大変苦労しながらやっていらっしゃるということが伝わってきました。
継続的な支援、先ほど広島大学でもお示しになったり、全県スタイルでということを当初もちろん考えてはいたのですけれども、そこまで持っていくことは残念ながらできなくて、継続的な医師確保なども見据えた機関横断的とか、全県スタイルというものが必要ですというのはどこでもおっしゃることなのですけれども、そこを構築するというところはまだ私たちにとっては課題として残っています。
世代間で育ってきたとか、自分が教育を受けてきたとかの理解とか、考え方にも少しずつ違いがあって、そこも配慮しながら働きかけをしないと難しいことが起こってしまったりするなということを経験しました。
いろいろなことをやっていくときに、人員削減ということが実はありまして、大学病院としても運営ということで、特に今、大学の運営交付金が削減されているということもあって、人数自体が減っているので、そこに女性のことという形になると、なかなか皆さんお忙しいので、難しいと感じてしまわれるというような課題が感じられました。人が少なくなって、非常にそういう先生方の対応もしなければいけないということで、疲弊感があるとか、規則や制度にきちんと残していきたいのだけれども、そこに行くにはいろいろなところの調整が必要で、そこについてはまた今後も課題だということがわかりました。
こういった形で、私たちの事業としては展開をさせていただきました。
以上です。どうもありがとうございました。
○櫻本専門官 どうもありがとうございました。
ただいまの佐賀大学からの発表につきまして、御質問や御意見等がございましたら、お願いいたします。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 このスライドで言うと15ページに当たるところなのですけれども、働き方が希望に添うものかどうかということで、「希望どおり」というのが女性ですと半数程度しかない。働き方の選択肢が非常に狭いということもあると思うのですけれども、非常に興味深かったのは、より負担が重い業務を希望していた方も一定数はいるということで、こういった方に免除ではなくて、もう少しちょっとした負荷をかけた業務で成長を促すような取り組みができるのではないかと考えます。
非常におもしろかったのは、スライドで言うと22ページなのですけれども、短時間勤務というものが原則週19時間というような、正規雇用にならない、社会保険が発生しないためにということですね。これを20時間以上にして、パートや非常勤ではなくて常勤ということで、社会保険や年金がきちんとつくようにする身分にすれば、もう少し効果が高いと思います。
スライドの25ページにありますように、収入、社会保障が低い。そうしますと、ほかのもう少し割がよいお仕事に流れてしまいますので、きちんと大学でキャリアをアップして、しかも、こういった身分がきちんとしているポスト、そういった働き方の選択肢がないと、せっかくパートの身分をつくっても利用がなかったり、その右側にあるようにやめたり、非常勤のままでずっとキャリアアップしないことになってしまうことがありますので、短時間正規雇用ということを今後きちんと考えなければいけないという非常に貴重なデータになったかと思います。ありがとうございました。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
甲能構成員、お願いします。
○甲能構成員 これはどちらかというと感想なのですけれども、平成22年にいろいろな取り組みがスタートして約8年が経過して、今回それの経過を踏まえて、少し発展させたいろいろな取り組みを行ったということだと思うのですけれども、一番最後の事業の成果というところで、例えば職場の理解、いろいろ挙げておられますが、こういうものを一歩進めて、それがどのような取り組みにつながったかということが提示されるとよかったかなと思いました。
それから、課題のところで一番重要だということを述べられていたのは、継続的な支援を可能にする組織体制の構築ということを挙げておられましたけれども、これもそれに対してどのようなプランがあるのかということを示していただくと、よりよかったのではないかと感じました。
以上です。
○佐賀大学 ありがとうございます。
先ほど広島大学でもされておられましたように、佐賀県ですとか、医師会ですとか、関連の病院でということで、働きかけなどの話には行くのですけれども、後で広島大学にも伺いたいと思ったのですが、それをどう動かしましょうというところまでは持っていくことができていないということが現状でして、逆に私から、先生方からアドバイスをいただきたいと考えております。ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 この事業は女性医師のキャリア支援なのですけれども、実際に見ると、データ全てが男性、女性関係なくとっているというのがすごいなと思いました。女性だけの支援とやっていても、それはどこかに負担がかかるとうまくいかないということでは、全て男性医師にもどのような負担がかかっているかということを同時にやっている。それをやることによって女性医師の支援がより進んでいくのかなということで、データを見ながらすごく考えさせられるものがありました。
もう一つは、どうしても女性医師と限ってしまうと出産・育児に限られてしまうのですけれども、見てなるほどと思ったのは、本人の病気あるいは今後介護という問題が入ってきて、これは男女関係ないと思うのですが、なってくる。そうしたときには、本当に女性医師、男性医師関係なく起きてくる問題だと思いました。
そういうことで、今まで22年からの歴史の中で非常に段階的にうまくやっているなと。今後、そういうことも含めてぜひ進めていっていただきたいと思います。
感想です。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
片岡構成員、お願いします。
○片岡構成員 すばらしいお取り組みと御発表、とてもわかりやすく御発表をいただきまして、ありがとうございます。現状把握を男性も含めて取り組みをきちんとされている点が、非常に基礎データとして貴重なものであると思いました。
私も木戸構成員の御指摘のところとほぼ同じところが気になったのですけれども、短時間勤務は、これは定員といいますか、人数制限があるのですか。
○佐賀大学 人数制限はなくて、希望されたら、病院長が枠としてという形にはなっているのです。ただ、先ほどもお示ししたように制限があるので、いろいろな条件でこちらではないほうがいいといって選ばれている方もいらっしゃいますし、先ほどのお困りということについて、本当に木戸先生に御指摘いただいたようなことが起こっているのです。男性や女性も含めたキャリア支援枠などの新しいものの提案をして委員会にかけているというところなのですが、先ほど申し上げた病院の経営とか、そこでこれがプラスに働く、それがウイン・ウインになるのですというところには、こういったデータですとか、ほかの大学でうまくやっていらっしゃってとかということだけでは、実際に説得が難しいという課題に、私たち自身が今、対面しているというところにはあります。
○片岡構成員 ありがとうございます。
恐らく、例えばもう少し長時間に働けるとか、短時間正規雇用であれば本当にとてもニーズはあると思うのです。ただ、現場としてはいろいろ経済的な面も含めてとても困難があるということで、どのように打破するのかは難しい、各施設によって違う面があると思うのですけれども、そこが超えられたら本当にすごく大きい一歩になるのではないかと思います。
それから、ほかの構成員の先生も言われたのですけれども、男性に関するところで、確かに佐賀大学病院は女性の割合が多いのですが、男性に関してもかなりしっかりデータをとっていらっしゃって、本人の病気の対応も含めた「ライフイベントのしおり」というのはとても有用だと思います。恐らくそういう形で、男性で短時間常勤をしたいとか、そういった個別事例が本当に出てきたときに、そこがブレークスルーになる可能性もあると思うので、むしろ男女問わずという形で今後取り組んでいかれたらいいのかなと思いました。
あとは、学生に対するPBLの授業の時間を利用した教育はとてもいいと思いました。教育効果も非常にあるのではないかと思いました。
それから、診療体制に関する聞き取り調査、これに関しては、まだ活動が完全に周知されていない段階での調査になると思うので、そこまでうまくいっていない、各医局での取り組みが十分でないという意見もあったかと思うのですけれども、これも今がスタートのデータなので、ぜひフォローアップデータをとっていただいたら、恐らく確実にいい方向に変わっていくと思うので、フォローアップもしていただいたらよろしいではないかと思いました。
以上です。
○佐賀大学 ありがとうございました。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
守屋参考人、お願いします。
○守屋参考人 城戸先生、いろいろとありがとうございます。うちのほうも一緒にやってくださって、とてもありがたかった事業だと思います。
我々久留米大学病院でも現在4年目で委員会を立ち上げてやっているのですけれども、時間がかかるのと、皆さん御存じのように病院収益が決してよくはなく、久留米大学病院も決してよくはなく、しかも労基が入ったりして、いろいろと問題が起こっているところなのです。
我々がこれからやろうと思っているのは、コンサルティング事業をしようかなと思っているのです。こういう事業をすることによって、よい取り組みをしているところ、小児科や循環器内科などはいいことをやっているので、それを標準化することによって、ほかのところでいろいろと困っているところがあるので、そこにこうやりませんかというようなコンサルティング事業をしていくということが、一つ組織体制の構築の将来像としてあったほうがいいのではないかと最近考えているのです。
我々も個々の細かい対応を迫られることがあって、それをやっていると、だんだんともう嫌だなと思うときが結構あるのですけれども、それはノウハウの構築の一つ、蓄積の一つと考えて、最終的な目標というところを、それに向かってやっているというようなことにすると、比較的ほかの委員の方々もついてきてくださる感じがありますので、それを一つの将来目標とされたらいいのではないかと思いました。コメントです。
○佐賀大学 ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 この学生教育というのは非常に効果が高くて、聞いた後と前でこんなに意識が変わるというのは非常に重要なことかと思います。しかも、佐賀大学さんはこんなに女性の医学生さんも多いということで、きちんと就業意欲を学生のうちから高めて、キャリア意識をアップさせることは、非常に重要な使命があるかと思います。一度だけでなくて、ぜひ繰り返しいろいろな局面で、研修医になるときとか、研修医になったときとか、若い世代にきちんと働きかけて、途中で離職などはなるべくしないように働きかけをすることが非常に重要かと思います。
先ほどの広島大学さんのなさった取り組みのような、例えばロールモデルとか、そういったことに関しては、何かされていらっしゃることはございますか。
○佐賀大学 この会の中でも何名かの男性、女性の先生方からお話をしてもらったので、そのときに実際に先生たちはこう働いていらっしゃるのだとか、子供を育てながらこうしているとかというお話をしていただいています。ロールモデル集も今回つくっておりますし、佐賀県の中の先生方の交流会というものをさせていただいたのですけれども、このときにも大変シニアな先生とまさに子育て中の世代が話をして、二十数名集まって、実際にいろいろな医局で子供ができたけれども、こんな問題があったとか、こうしたらいいよという話を情報交換するという場をやりましたので、こういうものを、今回これは医師会の支援の分でもありますので、連携してという形で来年度も計画して、そのままできるかと考えております。
○櫻本専門官 御指摘ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
私から2点お聞きしたいのですけれども、1点目が、今、女性医師の方に対するキャリア支援という形で、いろいろなデータや具体的な成果、課題等について御議論をいただいておりますが、この議論をするときに、大体いつも2点話が出てきまして、一つは、女性医師本人のキャリア支援。もう一つが、要するに管理職といいますか、意思決定者に女性をどうやってふやしていくか。それは別に単にふやせばいいだけではもちろんないのですけれども、当然ダイバーシティという立場であったり、意思決定者に女性が入ることによるそういった作用を期待するといったことが背景にあるかと思うのです。先生の資料の中で、教授は1名で、准教授、講師、助教といった割合のことも書いていただいております。それを単に上げていくというよりはいい意味で上げていくという観点から、先生、何か御提言や、あるいは課題等があったらというところが1点目です。
2点目が、これもまた別のあれなのですけれども、診療形態などで6個の項目について先生方に御議論いただいている中で、どちらかというと来年度以降の未来志向の話なのですけれども、例えば働き方改革などですと、今はないICTの利用をしていこうとか、そういった新しい取り組みがございます。わからないですけれども、例えばカルテを家で書けるとか、いろいろな事務負担をもっと人へのタスクシフティングというのもありますし、コンピューターに何かタスクシフティングしていくということもあり得るかと思うのですが、そういった点でeラーニングでありますとか、何かいい事例があったりとか、こういうものがあったらいいのではないかという御意見があったらお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○佐賀大学 ありがとうございます。
まず、私が実は佐賀大学の医学部医学科の教授として2年前に着任したということを申し上げのですが、2月に着任して4月に佐賀大学全体のダイバーシティ推進室長もやりなさいと言われたという立場なのです。ですから、佐賀大学全体のダイバーシティ推進、医学部のもちろん教授としての教育とかいろいろな業務、それから、こういうものもという形で、今、やっている立場から回答させていただきたいと思います。
もちろん女性の先生たちの比率をふやしたほうがいいということは、例えば経産省のいろいろなデータなどで、女性がたくさんいるほうが組織としてのパフォーマンスが上がりますというデータはもういろいろなところで出ているので、多分もう皆さん、御存じだと思うのです。そういう形で、いわゆるマネジメントとして女性の比率をふやしたほうがいいですよという観点が一つあるかと思うのです。
医師という仕事の特殊性ですとか、先ほども出てきた診療科ごとのとか、細かいいろいろな事情をどこまで酌んでそういうものに落とし込んでいくかというと、例えばこういうデータが出たら、文科省の「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」なども走っていますので、数値目標をとにかく、JSTさんとか文科省も数値を上げなさいということを大変おっしゃっているので、数値を上げるのでしょうとかという話が出てきてしまった。今までは看護学科と医学科が一緒だったので、女性の比率としては見えてこなかったのだけれども、最近は医学科としてだけ上げなさいということは、もうそこがわかられたので、出しなさいというので、こういうデータを出さないといけないという状況になって、そこで見えてきているというのがあるかと思います。
もちろん学生さんもそうです。幾つかのスタイルで段階的に上位職、中堅、若い方、学生さんということで、それぞれに対して働きかけをしないといけないと思うのですが、先ほどの、結局女性医師だけではなくて、例えば男性も含めて、いろいろなスタイルで働くということに対して、それに対する理解をいただくということに対しては、上位職の方の理解があるとトップダウンでぱっと変わるとは思います。その先生方に御理解をいただくということは重要ではあると思いますし、そこに私どももとにかく、病院自体が大変厳しい状況で、大変たくさんの業務の中で厳しい決断を迫られている先生方に持っていきますと、それどころではないと思われてしまわれるのも理解はできるのです。ですから、結局経営が安定するとか、本当に病院経営に詳しい方に本当のきちんとした経営をというような、私ごときが申し上げることではないのですが、そこら辺がしっかりしますと、もっと劇的に変わるというか、もっと早く変えることができるということになるのではないかと思います。
佐賀県としても、人口も減っていますけれども、医師の数も減っている状況ですので、とにかく早く手を打たなければいけないという現状ではあるということに関しては、皆さんの意識はあられると思うのですけれども、そこに連携するとか、いろいろなことをやっていく上にはダイバーシティマネジメントといいますか、どういう言葉を使っていいかわからないのですが、どういう属性とかどういう立場であっても、この時間きっちり働いてもらいます、その分にきちんとお給料が出ますとなればいいと思うのです。今回、お示しはきちんとしてはいないのですが、大学病院と公的病院ではサラリーの水準が違ったりしますね。もちろん専任か兼任かなどはあるのですが、その辺は若い人たちから見たら、そこに差がありますという形になってしまいますので、そのあたりのことをどうしていくかということで、行政的にもお考えいただきたいとも思いますし、そこが私たちが直面している課題とは考えております。
後半の御質問は、新しい取り組みに関して、それは大学にいる立場として、新しいものが出てきたら大変いいと思いますけれども、それが例えば新しい施策が出てこうですといったときに、現場の人たちが必ずしもそれの本当の意図を理解してうまく取り入れられるかというと、それは現場の施策を受ける担当者によって違いは出ると思います。私どものところで、今、実際の病院の診療業務に対して、例えばそういう新しいものがぽんと入ったときにどうかということは、今、私の立場ではお答えできないかなと思いますし、逆に先生方のほうがよく御存じではないかと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございます。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 今、ICTの活用のお話があったのですけれども、この遠隔医療が今後非常に重要になってくるのですが、先ほど広島大学さんの20ページにあります「女性支援枠」の5番目の方なのですけれども、放射線診断科で非常勤をされているということですが、この方はもちろんセキュリティーの担保などが前提にはなりますけれども、在宅で放射線診断をする。ですから、何かその方が常勤として、かなり業務量もできるようになるとなりますと、さらに働き方の選択肢が広がってくるかと思います。この女性医師の活用、どうやって働いていただくかというのは、今、片岡先生も構成員をされておられます国のほうの医師の働き方改革に関する検討会の先日出されました緊急取り組みの中で、一つの項目に挙がっている非常に重要なところですので、女性医師がどうやって働くかというのは、今後の医療提供体制に大きくかかわってくる問題かと思うのです。その中でこのICTの利用とか、働き方の選択肢の問題とか、非常に重要なところだと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございます。
片岡構成員、お願いします。
○片岡構成員 ちょうど在宅勤務のお話をしていただいたので、岡山大学病院もこうした定員外の短時間勤務、柔軟な勤務体制というのも10年前からしているのですけれども、なかなか在宅勤務ができるようにという働きかけはしていても進んでいなかったのですが、つい本当にこの2~3カ月の間で在宅勤務をできるということが病院の規約で決まって、これはもしかすると病院長が放射線科なので御理解があったのかもしれないのですけれども、病理診断科と放射線科で可能になりました。ですから、そのあたり、結局のところトップダウンといいますか、トップの意識はすごく大きいと思っておりますが、できるところから本当に少しずつでも変わっていくと、すごく全体に対する影響は大きいのかなと思っています。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
甲能構成員、お願いします。
○甲能構成員 先ほど意思決定者に女性が非常に少ない、女性がもう少しふえないかということでお話が出たと思うのですけれども、この上で一番重要なのは、論文作成のことだと思うのです。よく聞く話だと、姓がかわることによって論文がなかなかキャリアとしてつかまりにくいということがある。この辺の改善をしてほしいというようなことがよく提言されていますけれども、そのようなシステムを構築するとか、このような問題は行政のほうで対応のしようは全くないのですか。
実際に私もその辺は正確に把握しているわけではないのですけれども、よくそういう話を聞きますね。姓がかわることによって論文の検索がなかなか難しくなるとか、キャリアの中の論文が把握されにくいとは、先生は余り感じられませんか。
○佐賀大学 多くの先生方が名前を、そこを考えてされている先生が今、ふえてはいると思うのですけれども、ただ検索しただけでは出てきにくいという現状はあるかと思います。個々の先生方のお考えとか、伝統的な姓に関する考え方があるとは思うので、そこについてはあれかなと思います。
一方、論文という観点としては、それは大学全体もそうなのですけれども、女性医師支援事業もそうで、女性支援の仕事をしていることが業績と思っていただけない現状はあるかと思うのです。かなりいろいろなことに取り組んでいますし、いろいろな調査もやったりしているのです。我々ももっときちんと論文化しなければいけないと思うのですが、例えば私自身のことだけ申し上げますと、私は基礎研究をする研究者で基礎生物学をやっておりますので、そちらの仕事とこちらの仕事とやっているということで、これを頑張れば頑張るほど、そちらの教育はどうしても時間が足りないというようになるという現状もあります。
それは担当してもらった先生方の、逆に押し上げるのではなくて押し下げるようになってしまうのではないかといういつも不安がありますし、ですから、私が教授職になったから私が頑張らなくてはというか、自分が准教授のときに、実は九州大学病院で10年間「きらめきプロジェクト」という歯科医師支援をやってきましたので、そのときに、自分もいろいろな課題があるなということを感じました。そういう意味でも、教授職をいただいたので私自身はやるべきことだと思ってはやっているのですが、それに対して世の中の評価がきちんと定まってはいないと思うのです。そこも課題かなということは、私自身の小さい経験で恐縮ですが、お伝えしたいと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
姓がかわったときの問題というのは、多分行政が関与すると医籍登録がどうとか、そういったところが出てくるかと思うのですけれども、研究のPubMedなどで引いたときに旧姓と両方やらないとわからないとか、インパクトファクターの計算の仕方がというところになると、行政なのかどうかということも含めて検討させていただきたいと思います。
私の記憶の範囲ですと、そこはそれぞれの研究者、男性も姓がかわるときがありますので、何かしらの対応はしているものと認識しておりますけれども、行政で何かできるかというのは検討させていただきたいと思います。
引き続き、お願いします。
○甲能構成員 もう一つ、参考のために紹介させてもらいますけれども、私が前職の杏林大学の病院長のときに、女性の医師、それから、研究者に対して、研究支援員制度というものをつくったのです。これは学生が主なのですけれども、高学年の学生にそういう意思のある人を募集して、余暇に例えばパソコンに打ち込むとか、いろいろな仕事を手伝うということをさせて、結構学生の間からも早期にいろいろなことを経験できてよかったという感想もありました。また、補助されたほうの研究者も非常に助かったということがあって、こういう取り組みも一つの助けになるのではないかと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
ただいまの御指摘、恐らく文部科学省等で対応していただいているMD-PhDで、たしか岡山大学でもつくられていた研究医養成枠というものを各大学の取り組みでつくっていただいているかと思いますので、そういったところとも連携しながら進めていきたいと思います。
○横田参考人 先ほど放射線科のほうが遠隔医療になればいいであろうということがあったと思うのですけれども、私もそれは賛成で、割と新たに専門医制度でどこを選ぶかというときには、それを将来そうなるからということで選んでいただいています。
12ページ、業務の負担感ということで負担に感じていること、時間外受診に関してはシフト制みたいなものをすれば大丈夫だと思うのですけれども、それ以外に関しても可能であれば、遠隔ではないのですが、ICTの利用とかオンライン化などをしていただければ全然大丈夫だと思います。複数主治医制を行っていてカルテを共有できれば、診断書・書類の作成等なども時間を選ばずに書けるということもあるので、そういうところをシェアしながら、非常に働き方改革の中で入れやすい。どうしても医師の名前でないと難しい診断書というものはございますので、それをきちんと書けるようにしておく。特に医学部教育で、健康診断での、どうしても心電図とレントゲン写真のほうは読めなければいけないにもかかわらず、医学部で習ってこなかったから健診業務ができないという問い合わせもあるということだったので、そういうところをきちんとあなたたちが医者になったときに最低限やらなければいけないことはこれとこれとこれですということを入れていただけるといいと思いましたので、今後の厚労省の企画に期待いたします。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
そのほか、佐賀大学に対する御質問やコメント等、ございますでしょうか。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 資料の「SAGAJOY」のところなのですけれども、平成22年からいろいろな取り組みをされていて、その中にeラーニングというものがあるのですが、これは東京女子医大さんもやっていると思うのですが、eラーニングは今も続けていらっしゃるのですか。
○佐賀大学 「SAGAJOY」のときの、これは大学の中で県からのということで受け入れられていたようなので、今は継続性という意味では残念ながらクリアではない状況になっております。ですから、そこがとても残念だと思いますし、この「SAGAJOY」をされていた先生の御尽力というものがもっと生きてくると、さらにいいのだろうとは考えております。
○木戸構成員 ぜひ今後、在宅のこともありましたけれども、eラーニングとか、おうちにいる方にいろいろな就職情報を例えばスマホで届けるとか、いろいろな働きかけができるようなITを使った取り組みが進むといいなと思っております。ありがとうございます。
○佐賀大学 ありがとうございます。
それに関しては、九州大学の「きらめきプロジェクト」の中に実はeラーニングのコンテンツがたくさんありまして、今、ホームページがきちんと整備できていないのですが、今後そこにリンクして、九大病院の「きらめきプロジェクト」に登録してもらうとeラーニングが見られるというものを連携してやるということでお話を進めております。ありがとうございます。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
貴重な御意見ありがとうございました。それでは、佐賀大学の発表は以上とさせていただきます。大変お忙しい中こちらにいらしていただきまして、御発表いただいて、どうもありがとうございました。
引き続きまして、今回、評価自体はこれで終わるのですけれども、モデル事業を3カ年でやらせていただいて、今回が3年目の終わりとなりますので、その総括と今後の取り組みについて厚労省から御発表させていただいた後、先生方から御意見等をいただければと思います。
それでは、次の議題としまして、今後の取り組み等について御議論いただきたく思います。資料3「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の成果と今後の取組について」をごらんください。
こちらはこれまでのデータと取り組み、それから、過去のモデル事業の成果といいますか、やっていただけたこと、それから、今後の取り組みについて資料を載せておりまして、特に過去のことにつきましては、きょうは過去モデル事業で担当いただいた先生方にも来ていただいておりますので、補足がございましたら後ほど御発言いただけたらと思います。
資料3、2ページ目、1.女性医師に係る現状ということで、3、4、5、6とございますけれども、こちらはもう先生方御存じのデータかと思いますが、簡単に御説明させていただきます。
今、全医師に占める女性医師の割合は増加傾向で、平成26年では20.4と。この間出た最新の調査、28年度時点では21%を超えていて、ふえておりまして、医学部入学者に占める女性の割合は約3分の1と、先ほど佐賀ではもう4割を超えている状況でした。
OECDの女性医師の割合ですけれども、こちらは見ていただいてわかるように、大体こういうものをやると日本と韓国がよく競るのですが、韓国よりも下の、日本はOECD加盟国では一番下の割合となっております。
5ページ目、年代別ですと、大体60歳以上の方になりますと10%以下の割合になりますけれども、特に20代、30代の方になりますと3割を超える方が女性医師となっております。
6ページ目、診療科別の女性医師の割合を単純に推計しますと、皮膚科が46.1%ということで、皮膚科や小児科、産婦人科が女性医師の割合が占めるものが多く、一番右の整形や脳外などが少なくなっている。
これを簡単に7ページ、8ページで分析をしますと、7ページ目が全数で、8ページ目がいわゆる若い人の臨床研修修了者のみで見ているのですけれども、これは何かというと、男性医師に比べて女性医師がどのくらいなりやすいかというのを統計的に比較をしたものなのです。見ていただきますと、皮膚科ですと全数ですと3.34倍なりやすい。女性医師と男性医師で母数が違うので割合を見てもわからないので、こうやって見ていただくと、整形外科や脳神経外科は余り男性医師と比べてならない傾向があるというのが見てとれるかと思います。7ページ、8ページは母集団が違いますので数字が違いますけれども、大体見ていただくと、傾向は一緒かと思います。箱ひげ図といいますか、上と下は95%ileを出しております。
9ページ目、いわゆるM字カーブ曲線でして、男性医師と女性医師の就業率の推移を出しておりまして、大体卒後12年目、一般的に言うと38歳ぐらいという方で推定年齢で出しておりますけれども、そこで就業率が一番低くなって、その後、だんだん上がっていく傾向が出ております。
10ページ目、仕事を中断した、あるいは休職、離職した理由を聞くと、やはり女性医師に関しては「出産」「子育て」が多いというデータでございます。
11ページ目、病院に勤務する女性医師に対して仕事を中断した場合の期間ですけれども、1カ月未満とか半年未満というのはこれぐらいの割合でして、6カ月以上、あるいは長期にわたる休職等をされる方も一定程度いらっしゃるということ。
12ページ目、両立するために必要なもので、臨床研修修了者ですので、卒後2年目の終わりの人に聞いているものですけれども、「職場の雰囲気・理解」「勤務先に託児施設がある」「子どもの急病等の際に休暇がとりやすい」「当直や時間外勤務の免除」「配偶者や家族の支援」といったものが多いのですけれども、下側を見ていただくと、男性と女性で若干求めているものが違って、職場の理解などはみんなそうなのですけれども、託児所などといったものは女性の割合が多く、フレックスタイム制度はどちらかというと男性のほうが求めているということが出ております。
13ページ目以降、こちらはデータが違いまして、医師の働き方改革に関する検討会で出させていただいている資料でございまして、病院常勤勤務医の週当たりの勤務時間を見ていただくと、病院の常勤勤務医の勤務時間は     男性は41%、女性は28%の医師が週60時間以上というようなものとなっております。
14ページ目、週当たりの勤務時間なのですけれども、病院常勤勤務医の勤務時間については、男性は年齢が上がるにつれて減少する一方、女性は二峰性になっておりまして、40代はむしろ減っておりますが、50代になるとちょっとふえるといった傾向がございます。
15ページ目、病院常勤勤務医の週当たり勤務時間の家族構成で出しているのですけれども、こちらは男性医師と女性医師で全く違った傾向がございまして、お子様がいらっしゃる場合といない場合とを比較して、既婚の女性の常勤勤務医は勤務時間が短くなる傾向がある一方、既婚の男性の常勤勤務医は勤務時間が長くなる傾向があるということで、子供が生まれると女性は短くなって、男性は長くなるといった傾向がございます。
16ページ目、こちらは年代別、男女別の週当たりの勤務時間60時間以上の病院常勤医師の割合でして、いずれの年代においても男性の割合が女性よりも多い。20代では週当たり勤務時間60時間以上の割合は男女差は余りないのですけれども、30代以降になりますと、30代から50代ですと男女差での割合が多くなり、60代以降では差が小さくなるといった傾向があるということ。
17ページ目、20代から40代の子供のいる女性医師の勤務時間は、ほかと比較して短いのですけれども、50代以降はそのほかの区分と同程度の勤務時間となる。子供のいらっしゃる女性は50代から勤務時間が増加するのですけれども、そのほかの区分は年齢が上がるにつれて勤務時間は短くなるといったことで、色で言いますと青いところだけ特殊といいますか、ほかと違う傾向があるというところでございます。
以上がデータでして、18ページ目以降がこれまでの経緯です。こちらも先生方御存じかと思いますが、19、20、21は、平成26年の6月の閣議決定ということで、下にあります「女性医師が働きやすい環境の整備」の赤字のところで、女性医師による懇談会の設置、復職支援、勤務環境改善等の具体的取り組みを一体的に推進するといったような取りまとめがされまして、これを受けて、次のページの「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」ということで、厚生労働事務次官のもとに、こちらの構成員の先生方にも入っていただいた形で、平成27年の1月に報告書を公表していただいている。
その内容をまとめたものが、次の21ページ目、こちらに女性医師を取り巻く状況や視点、それから、環境整備ということで6つ、職場の理解、相談窓口、勤務体制、診療体制、保育環境、復職支援と、こういった総合的な取り組みを推進していくといったことで報告書をまとめていただいております。
22ページ目、女性医師支援に係る主な取り組みを3つ並べさせていただいております。1つ目が、いわゆる地域医療介護総合確保基金、基金でやられている、都道府県ごとの対応をしていただいているものですけれども、女性医師等就労支援事業というものが1つ目。下に書いてあるような内容をやっていただいている。
2つ目につきましては、本日評価会議をいただいております女性医師キャリア支援モデル普及推進事業ということで、平成27年度には岡山大学と名古屋大学、平成28年度には東京女子医科大学と久留米大学に事業を担当していただいておりまして、下にありますような先駆的な取り組みを行っていただいている。
きょう、日本医師会からも御出席をいただいておりますが、最後のところは女性医師支援センター事業ということで、下にございますような内容を担当いただいているということでございます。
次のページが、その3つの中の真ん中の女性医師キャリア支援モデル普及推進事業、こちらの事業自体ですけれども、事業内容の赤字のところにございますように「女性医師キャリア支援モデル推進医療機関」として位置づけまして、地域の医療機関に普及可能な「効果的支援策モデル」の構築といったことをやっていただく。絵にございますように、こういったものを他医療機関に普及推進をしていくということも目的としておりまして、具体的な先駆的取り組みとして、出産・育児等からの復職支援であったり、育児支援であったり、キャリア教育、勤務環境改善、スタッフの配置、こういったものを出させていただいているということです。
3.女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の成果についてということで、25ページ目以降は、過去、モデル普及推進事業を行っていただいた取り組みを、それぞれ1~2枚でまとめていただいたものでございます。25ページ目が、平成27年の岡山大学の取り組みでして、黒丸が6つございますように、職場の理解に係る取り組みから下のシンポジウムの開催までございまして、具体的には26ページ目にございますように、これはかなり細かくございますけれども、こちらに関しましては去年までに御発表いただいておりますので、項目の御紹介だけさせていただきます。リーダー研修会、キャリアラボ、コーディネーターによる研修、コミュニティーで考えるミーティング等、こういった項目について事業を行っていただいております。
同じように、27ページ目、名古屋大学での取り組みということでございまして、こちらに女性医師の意識向上、男女ともに働く職場の雰囲気醸成ということで、こちらに書いてあるような取り組みをしていただいている。
28ページ目、久留米大学、去年の評価会議で出していただいたものですけれども、やる気スイッチグラフの御紹介でございますとか、29ページ目にございますように、具体的な内容等、効果・実績について、一覧をおつくりいただいているものでございます。
30ページ目、28年度の東京女子医科大学での取り組みでございまして、卒前教育から生涯教育への流れでの支援策を包括的に書いていただいているところでございます。
こういった今までの取り組みを踏まえまして、31ページ目以降ですけれども、32ページ目にございますように、こちら30年度の予算案として出させていただいているものでして、真ん中にある女性医師等キャリア支援事業につきましては、3カ年、27年度から29年度に行わせていただいたものです。
次のページを見ていただきますと、来年度、別立ての事業とはなりますけれども、本日特に意見が多かったもので、例えば男性医師への対応というものもしていかないと女性医師支援にならないのではないかというところもございました。今まではどちらかというと女性医師支援という形で出させていただいていたのですけれども「女性医師等キャリア支援事業」としました。真ん中の赤字、背景は当然御存じのところだと思うのですけれども、現状と課題の4つ目ですけれども、女性医師の夫の職業は医師であることが多く、出産・育児等の支援には男性医師や医師以外の医療従事者も含めた勤務環境改善等の支援が必要である。そういったことの経費の支援ということが1つ目。
「また」以降ですけれども、モデル事業等の各機関の取り組みをさらに展開するために全都道府県で「先進的な女性医師等キャリア支援連絡協議会」を開催するということで、これがいわゆる横展開となります。全国展開事業となります。それを対応案として出しておりますのが、モデル普及推進事業と先進的な女性医師及び介護・育児を行う男性医師等キャリア支援策全国展開事業として、今回までの取り組みについて横展開をする連絡協議会というものをつくっていったらどうかということで、事業の案を出させていただいております。
こちら、厚生労働省の今後の取り組みについても含めて出させていただきましたが、それも含めて当資料への質疑応答でございますとか、効果的な支援策を今後普及していくための課題や方法論等について、御意見がございましたら、いただけたらと思います。
以上です。
それでは、何か御意見やコメント等がございましたら、よろしくお願いいたします。
今村先生、お願いします。
○今村構成員 今後の取り組みということで、女性医師支援センター事業、私ども受託しておりますけれども、きょうの発表でもありましたが、女性医師支援といった場合には、女性医師だけに限らないというのは常識になってきておりますね。私どもが受託しておりますバンク事業についても、女性医師だけの就労をあっせんするというのは、それはそれで意義はあるとは思いますけれども、別の観点から見ますと、この職業紹介のために非常に医療機関というものは大きな費用を払っている。ナースについてもそうですけれども、医師についても同じようなことが言われる。年俸の2割から3割くらいをその紹介料としてとられるのだと。この原資というのは当然のことながら診療報酬の中で賄われるもので、こういう公的な保険料並びに税金でやられているような診療報酬の支払いというものを、そのような紹介業のために相当の部分を支払うというのは、非常に社会正義の面から見てもおかしいということになる。
そういう意味からいうと、この女性医師のバンク事業というものをぜひとも男性のほうにも広げていただいて、30年度については既に予算化もされているということで、ある程度しようがないということもありますけれども、少なくとも次年度に向けた取り組みの中で、男性医師に係るバンク事業もお考えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○櫻本専門官 御指摘いただき、ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
片岡先生、お願いします。
○片岡構成員 ありがとうございます。
今後の見通しについて、非常に横展開をしつつ、女性だけではなく全体を見た取り組みということで、非常にすばらしい内容であると考えました。
対応案として、(1)と(2)ということで、(1)については、過去3年間と同じ取り組みを30年度も大体募集されるということでよろしいのかということと、(2)というのが新事業ということになりますでしょうか。
○櫻本専門官 基本的にはどちらも新事業なのですけれども、確かに似ているようにも見えるのですが、中身的に、要するに、男性医師というものを全面的に出していますので、女性医師だけだとむしろだめになりますので、男性医師も含めた新事業として出させていただいております。
2つ目も同じように、全国展開事業の中で、全都道府県で連絡協議会などを開催するといった取り組みは初めてでございますので、基本的にはどちらも新規というものでございます。
○片岡構成員 わかりました。例えば(1)は各病院、あるいは大学病院レベルでのアプライということになるのかなと思うのですけれども、(2)はどういう形で募集がなされるのか教えていただきたいです。
○櫻本専門官 細かいところは要項等で今後お示しさせていただきたいとは思いますけれども、念頭に置いていますのは、必ずしも大学とか一部だけではなくて、いろいろな団体でございますとか、医療機関でございますとか、あるいは行政機関等、いろいろあるかと思いますので、そういったところでこういった一任をやっていただけるところがございましたら、こういった事業を進めていきたいと考えております。
○片岡構成員 ありがとうございます。
○櫻本専門官 そのほか、資料や中身、あるいはもしほかのところでも御意見等がございましたら、お願いいたします。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 医師の働き方改革に関する検討会資料3というところの、右下に17と書いてある、子供の有無別の年代別週当たり勤務時間で、50代になりますと子供がある人が上がっていくように見えるのですけれども、これは非常に注意をして見なければいけなくて、同じ方が初めから勤務時間が少ない方がずっと上がってきているわけではなくて、この50代の方がもともといわゆる均等法第一世代という方で意識が高くてやめていなくて残っているということもありますので、今、勤務時間が短い人が将来的にはこうやって上がってくるのだと期待するのは難しいかもしれないので、注意が必要かと思います。
最後のキャリア支援事業のところの、男性医師も含めた、あと、ほかの医療従事者も含めたという勤務環境改善の支援ですけれども、これは非常に重要なところで、政府も仕事と家庭の調和ということを働き方改革で目指しているということがありますので、家族一丸となってうまくやっている方、そういった家族の好事例ですね。旦那さんだけではなくて、大きくなると子供も家事とかいろいろなことに参加したり、私のところも上の子が下の子の保育園を迎えに行ったりとかしながら家族一丸となってやってきたところもありますので、そういった何らかの好事例を若い世代にうまく伝える。多様なロールモデル、こんなに大変なものは自分はしたくないといったものはあるかもしれませんけれども、このぐらいだったらできるというような等身大のロールモデルも含めて、多様なものを提示しながら、若い世代が情報を選んで就業を継続できるような取り組みになるといいのではないかと思います。
○櫻本専門官 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
甲能構成員、お願いします。
○甲能構成員 主題がずれてしまうかもしれないのですけれども、これまで3年間やってきて、いろいろな発表を聞かせてもらって、かなりなるほどと思うようなこともたくさんあったと思うのです。したがって、各所で行われた取り組みで非常に有効だったもの、聞いていた評価委員、構成員が共感を得たような事例を集積して、それを周知できるような方法を考えていただく。それから、ロールモデルに皆さん非常に興味を持っているようなので、そういうものもうまい形でまとめると参考になるのではないかと感じた。
eラーニングに関しても、これは学会主導でやるところもあると思うのですけれども、各病院、大学でそれぞれつくるというのもあれですが、いいようなプログラムを共通してつくって、それを配信するというようなことも非常に有効な方法ではないかと感じました。
いろいろな組織があちこちで組まれていて、それぞれ活動しているわけですけれども、最終的にはこれは全国展開しないと、なかなかうまく機能しないと思うのです。ですから、全国展開をするためにはどのような組織編制をするとか、これはまた医師会などが中心になるところもあるかもしれないのですけれども、そのような組織の構築ということも考えていく必要があるのではないかと感じました。
以上です。
○櫻本専門官 大変貴重な御意見、ありがとうございました。
西澤構成員、お願いします。
○西澤構成員 新しい事業がこういうように発展していくのはいいことだと思います。ただ、今回男性医師等も含めるということになるのですが、いろいろな職種とか男性、女性全部入ると、焦点がだんだんぼけてくることがあるのです。そのあたりは注意して、そもそも始まったのは女性医師から始まっているということで、そのことを頭に置きながら、女性医師の3年間できちんと対応できたかというと、そうではないということで、まずしなければならないということも大事だと思います。それを根底に置いて、そこに加えてということだと思いますので、そのあたりはきちんとやっていただければと思います。
都道府県にどのような協議会をつくって活動するかというのがありますが、なかなかただ投げて、やれと言ってもできないので、全国で3年間やってきたことの、先生の言ったようなきちんとした事例集等とか、あるいはきちんと先進的にやられている先生方を活用するといいましょうか。そういうことも考えて全国展開をしていっていただければと思います。
以上です。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
今、2点いただいて、まずは甲能構成員からいただいた、今までいろいろとやっていただいた中で、確かに6項目あったのですけれども、どれがよくてどれがよくないかといった検証とかeラーニングの開発のようなことは、恐らく事業というよりは研究としてやらせていただくべき事項かと我々も認識しておりますので、そういったことも含めて検討させていただきたいと思います。
それから、西澤先生から御意見がございました、当然焦点は女性医師の支援だということ、それから、都道府県になったときにどのような形でやっていくかということも含めて、よく検討させていただきたいと思いました。ありがとうございました。
片岡先生、お願いします。
○片岡構成員 私もeラーニングに関しては、佐賀大学さんから九州大学にアクセスできるようにといったお話もあると思うのですけれども、そういう形でのローカルなコラボレーションもいいと思うのですが、できたら標準化というか、厚労省などにある程度ルールをしていただいて、共通のコンテンツをみんなが利用できるようにといった考え方もあるのかなと。先ほどの御意見と同じ意見です。
もう一つ、これも先ほど城戸先生がおっしゃった、本業といいますか、御自分の本務をする中で女性医師支援の仕事というものが、それが業績にどうつながるのかという御意見があったと思うのです。例えば大学に在籍している人であれば、これが研究業績につながるということがすごく大きいと思っていて、いろいろなデータを各施設でとられているので、それはその一つの施設のデータとして論文化するというのはもちろんありだと思うのですけれども、結構共通項目といいますか、同じようなことをばらばらにデータをとられている部分があると思うので、それを多施設共同研究のような形で、何らかの形で一緒に研究成果として上げることができたら、こういったことに参画している人全員にアカデミックな面でもメリットがあるのではないかと思いました。意見です。
○櫻本専門官 ありがとうございました。
ただいま御指摘いただいた特に研究事業につきまして、例えば国主導であるとか、我々はいろいろ手段はございますので、どういったやり方でどういったことを研究していくかということも含めて、もしそれが特に女性医師の支援になるということであれば、より積極的に我々も検討させていただきたいと思います。
先ほど、今後これを横展開していくとか、eラーニングも一緒なのですけれども、していただく際には、御意見をいただきましたように、ぜひこの場で参加していただいた先生方にも御協力をいただきながら、国としても、この事業のみではなくて別事業になるかもしれませんが、そういったところで進めていくよう検討していきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでしょうか。
木戸構成員、お願いします。
○木戸構成員 こうした取り組みが、予算がなくなってモデルに選ばれなくなると中断してしまったり、終わってしまうのは非常にもったいないところですので、こういった事業が継続できる取り組みが、行政のほうから支援が必要かと思います。
さらなる活躍というのは、細々と働くということ、やめないということももちろん大事なのですけれども、やはりこの「202030」という管理職、リーダーの養成というところをもう少してこ入れしなくてはいけなくて、これまでの3年間の事業ですと、就業継続のところに力点を置いた取り組みがほとんどだったと思いますが、管理職をどう引き上げていくか。そこの取り組みが今後の課題になっていくかと思いますので、次年度はそこを期待したいと思います。
○櫻本専門官 大変貴重な御意見、本当にありがとうございました。
ちょうど時間になりましたので、これまでとさせていただきます。
本日は長時間にわたり、活発な御議論をいただいて、本当にありがとうございました。
本日いただいた御報告につきましては、事務局のほうでまとめさせていただきまして、来年度以降の事業でございますとか、先ほど御意見がありました研究事業でありますとか、そういったものの参考にさせていただきたいと思います。
それでは、以上をもちまして「平成29年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」を終了させていただきます。長時間、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)

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