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2017年3月29日 女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議

医政局医事課

○日時

2017年3月29日


○場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)


○議事

 

○櫻本専門官 それでは、定刻より少し早いですが、先生方皆様おそろいになりましたので、ただいまより「平成28年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」を開始させていただきます。よろしくお願いいたします。

 最初に、もともと座長予定でございました日本女医会の山本先生が先日御逝去されたということでございまして、今年度、大変臨時的で恐縮ではございますが、進行に関しましては事務局で行わせていただけたらと思いますので、御了承いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、資料の確認をさせていただきます。お手元に「平成28年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」というもので議事次第があります。ページをおめくりいただきまして、構成員の名簿がございます。

 続いて、岡山大学の片岡先生の資料が1つ目。

 次に、東京女子医科大学の横田先生の資料。その次に、久留米大学の守屋先生の資料。最後に、参考資料としまして、女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会ということで、こちらはこのモデル事業の前に国で開かせていただいた懇談会の資料及び報告書を参考までに載せさせていただいております。

 それから、別にお配りした資料が3部ございまして、冊子になっているものが2つございますが、1つ目が、岡山県のMUSCATプロジェクト、平成27年度の事業報告書。2つ目が、東京女子医科大学の平成28年度の報告書の冊子。3つ目が、こちらは冊子ではなくて紙のほうですけれども、久留米大学の守屋先生の「事業のまとめと今後の課題」といった資料がございますので、御確認ください。

 資料の不足等ございましたら、事務局までおっしゃってください。

 続いて、出席者の御紹介をさせていただきます。

 今回、評価委員の先生方6名にいらしていただいております。

 まず、日本女医会会長の前田佳子先生。

 続きまして、日本医師会常任理事の今村定臣先生。

 全日本病院協会会長の西澤寛俊先生。

 佼成病院病院長の甲能直幸先生。

 日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長の木戸道子先生。

 岡山大学大学院地域医療人材育成講座教授の片岡仁美先生でございます。

 反対側が、今年度の事業を取り組まれている報告者でございますが、東京女子医科大学の横田仁子先生。

 久留米大学、守屋普久子先生。

 同じく久留米大学、岡松由記先生。

 同じく久留米大学、深水亜子先生。

 同じく久留米大学、満尾美穂先生でございます。

 本日の進め方でございますが、まず、平成27年度、昨年度の事業の岡山大学からの事業報告をしていただいた後、今回、2つの東京女子医科大学と久留米大学の各団体のプレゼンテーション及びディスカッションをしていただきまして、評価委員の先生方には、各団体の評価を実施していただきたいと思います。後日、各団体にフィードバックをさせていただく予定です。そして、これは公開でございますので、議事録、資料は後日公表とさせていただきたいと思います。

 お手元に評価票を委員の先生方には配らせていただいておりますので、御記載をお願いいたします。なお、評価票は、本日ではなくても後日お送りいただいても問題ありませんので、書く量にしたがって御検討いただけたらと思います。

 それでは、議事に移らせていただきます。議事次第の1「平成27年度の岡山大学における女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の実施状況について」、岡山大学の片岡先生より発表をお願いいたします。

○片岡委員 本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、資料をこのスライドの印刷したものと、昨年度の報告書と両方ごらんいただきながら、お聞きいただければと思います。

 まず、MUSCATの報告書のほうは御参考いただきまして、こちらが平成27年度の御報告をまとめたものとなります。横長のスライドの資料のほうは、平成27年度の本事業の取り組みだけでなく、我々が過去に10年間行ってきました全てが入っておりますので、背景も含めてお話ししたいと思います。

 お手持ちの資料を1枚めくっていただきまして、1枚目になります「岡山大学女性医師キャリア支援の概要」というところから御説明をさせていただきたいと思います。

 我々は、平成19年度から21年度の文部科学省の医療人GPに採択されまして、女性を生かすキャリア支援計画ということで、初めて大学病院を挙げて女性医師のキャリア支援に取り組むことになりました。この3年間の期間が終わりまして、平成22年度からは、岡山県の委託事業としてMUSCATプロジェクトということで、大学病院のみならず、岡山県下にそういった取り組みを広げていくということをミッションとして活動を継続しております。平成27年度には、厚生労働省の女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に採択をいただきまして、さらに、そのモデル事業としての活動を平成27年度においては拡充したということになります。

 実施体制ですけれども、この右下の図にありますように、我々はかなり、大学内だけではなくて、医師会あるいは岡山県といった県内の各種団体と連携しながら取り組みを進めているという特徴がございます。

 次のページです。「岡山大学女性医師キャリア支援の取り組み」ということで、こちらは1、2、3、4番としておりますけれども、まず1番としては、現状把握をするということでアンケートを行いました。2番、離職防止と復職支援の取り組みを行っています。3番、次世代育成支援を行っています。4番で地域連携と新たな取り組みということで、新たな取り組みに関しても積極的に行っております。

 めくっていただきまして、その次が、厚生労働省平成27年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業のこの1年間に新たに行った取り組みということで、まとめて記載しております。活動の柱としては、こちらに挙げた5つとなります。職場の理解度アップとしては、リーダー研修会とワーク・ライフ・バランス・ミーティングを行いました。ワーク・ライフ・バランス・ミーティングに関しましては、特に地域での活動に重点を置きまして、医師不足地域でワーク・ライフ・バランス・ミーティングを開催しております。

 続いて、相談窓口の拡充です。こちらはもともと存在しておりましたコーディネーターをこの27年度に関しては増員いたしました。また、キャリアラボの開設、キャリア相談室の実施を行っております。

 3番目の診療体制改善で、こちらは地域医療機関へのキャリア支援制度の導入支援を行いました。キャリア支援制度に関しましては、また別途、御説明をさせていただきます。また、ワーキングシェアコースを岡山大学病院において導入しております。

 次の復職支援に関しまして、インテンシブコースの開講、保育支援の拡充、遠隔学習システムの導入、OJTコースの導入といったことが新しい取り組みとして行われました。

 また、次の地域貢献に関しましては、サテライトオフィスの設立、出張シミュレーショントレーニングの実施といったあたりが新しい取り組み、全て平成27年の取り組みとして行いました。

 次のページになります。これはバックグラウンドのデータとなりますけれども、アンケートによる現状分析とニーズ調査ということで、我々の取り組みがどういったことを根拠に行っているかということを少し述べたいと思います。

 平成19年度と21年度に1,400名に対してアンケートを行っておりますが、こちらでわかったデータとしましては、医師会等のデータと同じなのですけれども、離職経験がある方は4割を超えているということ。また、離職の時期は卒後10年目ぐらいに集中しているということ。また、復職を果たした方へのアンケートになりますけれども、復職の際に必要だったものということで、多くを占めているのが保育所ですとか、そういったハード面ももちろんあるのですけれども、それよりももっと大事だという回答が集まったのが、家族や上司の理解やサポート、あるいは同僚の理解といったソフト面が非常に重要とされているという結果でございました。

 次のページです。離職防止と復職支援ということで、こちらは平成20年から岡山大学病院に導入しましたキャリア支援制度に関しての説明になります。我々、これは平成20年度より始めまして、現在ではもう10年を数えておりますけれども、この制度を利用した方が100名を超えているということで、非常に成功している取り組みと言っていいと思います。こちらは、育児支援としては子供1人につき3年間、介護に関しては介護の対象者1人に対して3年間利用可能といったことで運用しております。

 1日の勤務時間あるいは週当たりの勤務日数を全てオーダーメードで決めることができるのが特徴となってございます。

 次のページですけれども、離職防止と復職支援ということで、我々はもともとこのキャリア支援制度を構築して既に実績がありましたので、平成27年度に関しましては、1年間で新たにできることということで、ワークシェアコースを開始いたしました。キャリア支援制度は個人で申し込む制度だったのですけれども、ワークシェアコースに関しましてはペアで申し込むということ。たまたまペアになるということも余り、たまたまといいますか、2人があらかじめ相談してペアになることが難しい場合は、申し込みがあった中から、この2人がペアになるといいのではないかということをキャリアセンターのほうでコーディネートしてペアをつくっていただいたということもございました。ワークシェアコースは平成27年度よりスタートいたしております。

 こちらに関しましては、実際に使われた方の感想などは冊子体の報告書にございますので御参照いただいたらと思うのですけれども、柔軟な働き方ができるという点で、非常に復帰しやすいという意見はもともとあったのですが、やはりほかの人に迷惑をかけているという思いがどうしてもあるという声もあった中で、ワークシェアコースに関しましては、2人がペアになることによって非常にモチベーションが上がるとか、あるいはいわゆる常勤で働いているほかの人に迷惑をかけないで済むといったような声が聞かれました。

 次のページです。離職防止と復職支援に関しまして、これは現在、我々が行っている復帰までのステップとコーディネーターがどのようにかかわるかという流れを示しております。平成27年度には、コーディネーターの増員ということをさせていただくことができたので、こういったことがより一層充実して行うことができたということが言えます。

 次のページです。離職防止と復職支援に関して、こういった制度があることでどのようなメリットがあったかということを、制度の利用者あるいは上司・同僚へアンケートという形でお示ししています。これは実際にキャリア支援制度があってどのようによかったかという点がこの左上のグラフになります。また、キャリア支援制度がなかったらどのように働いたかということに関して、利用者66名のうち、こういった制度がなかったら働いていなかったであろうという方も12名おられるので、そういう意味では意味のある制度と考えております。

 また、上司・同僚へのアンケートに関しましては、下のグラフ「キャリア支援制度は制度利用者にとって有用であるか」という問いに関しては、9割近く、上司・同僚とも有用であるといった評価をしております。

 次のページです。離職防止と復帰支援ということで、従来、我々はトレーニングによるスキルアップということでシミュレーショントレーニングや各種ハンズオンの講習会等を行ってきておりました。平成26年度までに1,374名の方の参加があったような実績がございます。

 その次のページです。平成27年度キャリア支援モデルに採択いただきまして、さらにどういったところによりニーズがあるかということを考えて、新たなコースをつくりました。外来診療を復帰の足がかりにしたいけれども、そこに自信が持てないといった意見も多くございましたので、外来診療でひとり立ちできるということを目的とした外来診療マスターというのを始めました。こちらはeラーニングにも対応するということを行っております。また、こちらについては、冊子体のほうには全て自己評価についてももっと詳しく載せているのですけれども、実際にこれをこういったレクチャーあるいはハンズオンを受けて、講義前と講義後でどのように変わったかという本人の自己評価に関してもきちんとデータを集めたということになります。平成27年度モデル事業で9回のコースを行いました。

 続きまして、離職防止と復職支援で、緩やかなネットワークの構築ということで過去に行ってきたことをスライドで載せていますけれども、その次のページです。離職防止と復職支援で、平成27年度モデル事業で行ったことに関してスライドで写真を中心に書いておりますけれども、我々は岡山大学病院でこういったネットワークをつくること、あるいはシミュレーショントレーニングが重要であるということはわかっておりましたので、これを医師不足地域で展開できるかということを平成27年度のモデル事業で行いました。

 左上に岡山県の地図がありますけれども、こちらは矢印がずれているのですが、岡山大学がある岡山市と、岡山県内でも最も医師不足地域とされている新見市で、この2つをつなぐような活動を行いました。新見市に関しては、新見公立大学というところがございましたので、そこにサテライトオフィスを設置しました。サテライトオフィスに勤務する先生、岡山大学に週3回、サテライトオフィスあるいは医師不足地域の医療機関に週2回という形で勤務をしながら、両者をつなぐような働きをしていただきました。ですので、ワーク・ライフ・バランス・ミーティングに関しましては医師不足地域で行いましたし、多職種合同のシミュレーショントレーニングなども、いろいろな機材や講師は岡山大学から現地に行って、多職種合同のシミュレーショントレーニングなども非常に積極的に行いました。また、岡山大学とつないでリアルタイムの遠隔講義なども平成27年度から始めました。

 キャリア支援制度につきましても、要するに柔軟な働き方ができるシステムの導入に関しましても、これまで岡山大学病院で行っていたことを医師不足地域の病院で行うということで、導入事例としては1病院ですけれども、こちらも実際にそこに女性医師が復職したという実績もありましたので、成功事例と言っていいかと思います。

 この医師不足地域での活動の展開は非常に成功しまして、こちらはできればもっと別の地域でも展開できたらと、今後の展望としては考えております。

 その次に関しましては、次世代育成支援、こちらは特に27年度に新たに大きく拡大するということがなかなか難しかったのでございますが、保育士の拡充という形で、27年度に基礎をつくりまして、現在、28年度に関しては、新たに拡充した保育士さんの力をかりて一時預かりの制度を拡充しているということになります。

 済みません、これは1枚ちょっとコメントがそのままになっているので、これは飛ばしていただいて、その次のスライドです。これは次世代育成支援で行っているということで、一時預かりに関しましては、こちらのスライドにも書いてあるのですけれども、この時点ではまだ外注をするとかそういったような状況でありましたが、もっとこれを利用しやすいものにするという形で現在動いています。

 次のスライドですけれども、地域への発信と連携ということで、こちらはどのように県内のほかの団体と連携しているかということをあらわす図になります。

 その次のページ、地域への発信と連携ということで、実際にどのような医療機関と連携を組んでいるか、あるいはどのように地域で報道されているかといった資料になります。

 その次ですけれども、キャリア支援のアウトカムということで、こちらはグラフになります。左のグラフが岡山大学病院における医師の割合ということで、こういった制度を導入したのが平成20年ですけれども、制度導入前、女性医師数18.4%でありましたが、現在では、これはグラフが25年のところまでしかございませんが、平成27年度時点で26%程度ということで、女性医師の割合はかなりふえているということになります。また、職位別の女性医師の人数に関しましても、特に増加したのが助教でありまして、平成19年度には助教の人数は十数名だったのですが、現在では助教の人数は30名程度、そのうち3分の1がこういったキャリア支援制度の卒業生ということで、アカデミックキャリアの構築という点にも、こういったキャリア支援は役に立っていると考えます。

 また、右下のグラフ、支援枠修了後の働き方ということで、こちらは岡山大学にそのまま勤務される方が25%で、地域の医療機関に勤務される方が56%ということで、3年間の支援制度の利用の後、やはり地域に人材が循環しているということが1つの大きなアウトカムであろうと考えています。

 その次のページです。平成27年度、女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の評価ということで、こちらは昨年、内部評価及び外部評価という形でお願いしまして、外部評価委員会、こちらはちょうど岡山大学でシンポジウムを開催させていただきましたので、そのときにおいでいただいた先生方に御評価をいただきました。評価の詳細については、この右のグラフをごらんいただければと思います。

 最後のスライドです。これはまとめになりますけれども、やはりこういった取り組みによって、女性が働きやすいというだけではなくて、男性も働きやすくということはもちろんですし、特にまた地域の医療機関に還元できるといったことを目指していきたいと我々は考えております。

 以上です。

○櫻本専門官 片岡委員、ありがとうございました。

 ただいまの岡山大学における女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の実施状況についての御説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。

 甲能委員、お願いします。

○甲能委員 先生のところは非常に早くからたくさんの取り組みをされていて、実績も上げているということで非常に進んでいるなという印象を受けたのですけれども、この2番目の「離職防止と復職支援」というところで、キャリア支援制度を今まで100人以上利用されているというお話でしたね。これはその次のアンケートにあるnの154というのが、それを利用した人の実数なのですか。制度利用者のアンケート、今のスライドの3つ後ですね。

○片岡委員 ありがとうございます。

 これはn=154が、恐らく人数ではなくて回答数になっていると思うのですけれども、実際の人数は、このアンケートの右にあるn=66で、この時点で100名弱の人がおられたのですけれども、回答率が100%ではなかったので。

○甲能委員 私がお伺いしたいのは、100人以上利用されていて、実際に復職されたのがどのぐらいだったかということ。それから、最後のほうに、年度によって利用者の数や何かが少し変わってきていますね。年度がかわることによって、利用した人の中の復職率も上がってきているのか、下がっているのかということをお聞きしたかったのです。

○片岡委員 わかりました。

 まず、年度についてなのですけれども、これは特に一定の傾向がなくて、時々ぐっと上がる年と、そうではない年があったりするのですけれども、かなりこの制度を利用される方は、実際に制度を利用しながら、もう一度、第1子のときに制度を利用して、その途中でまた次のお子さんが生まれたりといった形で、割と出入りが多いということがあって、ですので、この出入りする理由としては、産休、育休ということでかなり変動が大きい数字になっているということはあると思います。

 あとは、制度を利用された方がどのように継続されているかということについてなのですけれども、フォローアップのデータはずっととっておりまして、実際にはほとんどの方が継続されているのですけれども、継続されていない方もわずか、多分2割以下だと思うのですが、就業されていない方もいらっしゃって、その就業されていない理由として、やはり育休中、産休中という方がかなりおられます。そういった方はまた戻ってこられる候補者ではありますので、本当に逸脱してしまう方はほとんどいないという状況があります。

○甲能委員 ありがとうございます。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 木戸委員、お願いいたします。

○木戸委員 拝見して、私も、再研修システムも非常によくできていて、横展開できる可能性があると思っています。あとはコメントなのですけれども、職場の理解度アップのためにもう一工夫あったほうがいいかなということで、片岡先生にはこのたび4月に開催されます日本産科婦人科学会でイクボスというテーマでシンポジウムがございますが、そちらにも出ていただいて、職場の理解に関して御講演いただくのですけれども、非常にこれは大きな問題で、アンケートでも上司の理解、同僚の理解、これが職場復帰のときに大変必要なものということでかなり上位に上がっています。事業の様子を見ると、リーダー研修会、参加者33人ということで非常に少ないので、参加してくれない人にどうやって働きかけをするかというところをもう一工夫していただいて、より多くの上司の方に参加していただければと思いました。

 それから、助教はふえていますけれども、今後、やはり講師、准教授、教授、そこにさらにアップしていくことがさらなる活躍には必要かと思います。それには日常業務とか外来業務だけではなくて、もう少し管理業務にもきちんと出られるような支援対策が必要だと思いますから、一時預かりなど会議がどうしても時間外になってしまいますので、そこでちゃんと預かってもらって、院内の委員会などに出られるような体制とか、そういったことも整備していただくと、より支援が充実するのではないかと考えます。

 以上です。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

○片岡委員 ありがとうございます。

 甲能先生の御質問に関して、データを示したほうがよかったので、こちらのグラフが3つ載っている後ろから2枚目のページになるのですけれども、こちらは横断データがきちんととれているのが平成25年のデータしかなくて恐縮なのですが、これが例えばn=48ですから、今までの全利用者の回答ではなく、回答率が低いので恐縮なのですけれども、これが修了した人のフォローアップデータの一つとしてごらんいただけたらと思います。いわゆる不明という、働いていない可能性がある方が3名、留学・休職者が13%、そのうち休職で産休・育休が11%で、留学2%というのが現在、働いていない方ということになります。ですので、不明者と合わせて19%ということで、先ほどざっくり20%未満ですと言ったことと大体一致しているデータかと思います。ありがとうございます。

 先ほど木戸委員から御指摘がありました、よりキャリアアップをするための管理業務に関するサポート、そういったスキルを身につけるためのさまざまな仕掛けは今後も本当に必要になってくると思います。

 あと、一時預かりに関しましては、私も昨年出産をして、一時預かりは非常に重要なのだなということを実感として持っております。そのときに柔軟に、例えばあした預かってほしいとか、この時間急にお願いしたいみたいなところを、今は大学病院の中に託児室を用意しておりまして、そこでかなり柔軟に対応できるようにつくっているのですけれども、そうしたことがないと、いろいろな求められるタスクを全てこなすことはなかなか難しいのではないかと考えております。ありがとうございます。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 今村委員、お願いいたします。

○今村委員 私、この会議に初めて参加させていただくのですけれども、ちょっと的外れかもしれませんが、今の岡山大学のこの事業は、厚労省の事業の委託ということになるのですか。この事業のいろいろな予算とか何とかを執行するのは全部、厚労省の委託事業からのものということになるのですか。

○櫻本専門官 平成27年度におきましては、厚労省の委託事業でやらせていただいております。ただ、岡山大学は平成26年度や平成28年度も恐らく継続的にやられているので、その部分については、このモデル事業の予算ではやっておりません。

○今村委員 27年度だけが厚労省。

○櫻本専門官 おっしゃるとおりです。

○今村委員 そのほかにもこれを委託された大学なり医療機関があるのですか。

○櫻本専門官 27年度は名古屋大学と岡山大学、28年度は、今日いらっしゃっていただいている久留米大学と東京女子医科大学に委託させていただいております。

○今村委員 では、男性医師も利用できる制度というのは、これはまた別個のところの事業ということになるのですね。

○片岡委員 ありがとうございます。

 もともと当初は3年間、文科省の事業としてスタートして、その後は岡山県からの委託事業として始めていた制度がございまして、さらに平成27年度に関しましては厚労省から委託事業という形で予算をいただきまして、27年度の取り組みとしては、もともとあったものに加えて、ワークシェアですとか、地域の医療機関での展開とか、そういった新しい取り組みを行った次第でございます。

○今村委員 ワークシェア制度というのは非常に興味深くお聞きしたのですけれども、手挙げ方式で、そして、マッチングはこの事業体の中でやるということになるのですか。

○片岡委員 そうですね。岡山大学病院の中でしかまだトライアルはできていないのですけれども、実際にこの制度を利用したいという方の申込用紙が全て我々のところに集まってくるので、そのときに同じ診療科で、経験年数が大体同じでという方がそろった場合にマッチアップして、2人でペアになってはどうかとうことでこちらからお勧めしているような次第です。

○今村委員 なかなかおもしろいなと思ってお聞きしたのですけれども、そんなにニーズがありますか。

○片岡委員 実際にやってみて、もともとキャリア支援制度を1人で利用していた方が、27年度はペアになったという事例がありましたけれども、やはり1人でやっているときよりすごくモチベーションが湧いた。要するに、誰かの補助的な仕事ではなくて、2人でペアで自分たちの責任で仕事をしているという感覚が非常によかったという意見は出ております。

○今村委員 性格とかがきちんと合う人だったらいいのだろうけれども、全くこの人とはちょっととかいう感じだったら、そのマッチングがどうなのかなと思って。

○片岡委員 そうですね。ですので、多数ペアがつくれるというのは、なかなかそこまでは至っておりませんで、全く知らない人同士というのはかなり難しくて、同じ診療科で年齢が近い人という形で、顔が見える関係の中で行わないと、実際には難しいと思います。

○今村委員 ありがとうございました。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 西澤委員、お願いいたします。

○西澤委員 岡山大学のこの取り組みは前回も評価していたのですが、今回、アンケートをしていますが、2の「離職防止と復職支援」というところで、上司・同僚へのアンケートの項目があり、この制度の周知度と、制度利用者にとって有用であるかということは聞いているのですが、制度利用者以外に上司あるいは同僚にとって、この制度がどのような影響を与えたかというアンケートとか何かのデータはあるのでしょうか。

○片岡委員 ありがとうございます。

 これは上司・同僚にとってという質問の仕方はしなかったのですが、医局や診療チームにとってどうかという聞き方をしておりまして、それは意味があるという意見が非常に多かったです。ただ、個人にとってメリットがあるか、あるいは個人にとって負担があるかという聞き方をしていないので、それについては必要な項目と考えております。

○西澤委員 ありがとうございます。

 それは今回の報告書の中に入っていますか。

○片岡委員 今回の報告書には入っていないと思うので、また別途、何らかの形で御報告させていただきたいと思います。

○西澤委員 よろしくお願いします。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。

 前田委員、お願いします。

○前田委員 日本女医会の前田でございます。今回、私もこの会に初めて参加させていただきましたけれども、以前から片岡先生のお仕事はほかの会でも拝見していまして、大変先進的な取り組みで期待されるところであると思うのですが、岡山大学の場合は、多分、女性医師が全て岡山の方ではないと思うのです。支援枠終了後の働き方についても、岡山でない地域の方がその後、これを利用した後にどうされているとか、あとは家庭の事情とかもあると思うのですけれども、御主人が医師であるかどうかによっても多分働き方が変わってくるのではないかと思うのですが、その辺のデータがもしあれば、教えていただければと思います。

○片岡委員 ありがとうございます。

 今回お示しできていないのですけれども、終了後どの地域で働いているかというのも調べておりまして、やはり県内が多いことは確かなのですが、広島県あるいは兵庫県、四国の県といった近県で継続されている方がかなり多いという状況がございます。

 我々の課題としましては、御主人の転勤で、近県ではなくて、例えば関東に転勤されるとか、そういった方も時々いらっしゃって、そういう方にうまくその先のキャリア支援の継続ということができたらいいなと思っているのですけれども、なかなかそこが非常にスムーズにいっているとまでは言えない状況がありまして、今後の課題だと思っています。

○前田委員 ありがとうございました。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、後半また全体的にこの事業を横展開していく課題ややり方について、フリーディスカッションしていただく時間を設けさせていただきたいと思いますので、ほかにありましたら、またそのときにお願いできたらと思います。

 では、次の議事に移らせていただきます。「各実施団体からのプレゼンテーション」ということで、最初に、東京女子医科大学から発表をお願いいたします。

○東京女子医科大学横田仁子 東京女子医科大学女性医療人キャリア形成センター女性医師再研修部門一般内科プロジェクトチーフの横田です。よろしくお願いいたします。

 今、ちょっとスライドを準備しますので、お待ちください。

 きょうの御報告のことに関しては、こちらの報告書を作成させていただきまして、そちらに詳しく書いてあるのですけれども、今回はその概略をお話したいと思います。ちょっとリハーサルをしてみまして、私、20分ぐらいかかってしまったので、ちょっとまた飛ばさせていただきます。

PP

 今回、厚生労働省からの課題ということで、6つ挙げていただいたのですけれども、等部門がやっているものが相談窓口、復職支援ですので、そちらを中心にお話しさせていただくことを御了承ください。

PP

 こちらの概要ですけれども、女性医療人キャリア形成センターの女性医師再研修部門の概要と運営の御報告。全国の女性医師の現状と本学の女性医師支援の歴史を少しお話しして、相談窓口、復職支援、その他の環境整備、普及事業、報告書配布、総括を今後の課題をお話しします。

PP

 当大学ですと、女性医療人キャリア形成センターが2009年1月、ことしの1月に組織編成をされて、組織改編ということで新しいセンターが開設されました。

 その中では5部門ありまして、より大学の院内で働いている人向けの女性医師・研究者支援部門、外部向け女性医師再研修部門、看護職キャリア開発支援部門、彌生塾、これはリーダー形成のほうです。リーダー形成をするための彌生塾。それから、ダイバーシティといいまして、働き方が多様化していますので、働き方の多様性を考える委員会がつくられております。私はこちら女性医師再研修部門に入っておりまして、より外向きのほうに再研修支援を行っております。

PP

 実施体制ですけれども、女性医師再研修部門のほうは、一応eラーニングは行っておりましたが、ことしからはキャリア形成センターのほうに入っていってしまいました。ということで、主に2つ柱があります。女性医師再研修-復職プロジェクト、一般内科プロジェクトです。女性医師再研修-復職プロジェクトのほうは、東京女子医科大学、日本赤十字社、済生会、メディカル・プリンシプル社とともにやっております。一般内科プロジェクトのほうは、プロジェクトチームを組みまして、こちらのメンバーは報告書に明記してあります。

PP

 こちらのほう、10年たつのですけれども、平成18年ぐらいに女性医師再教育センターが設立されました。これのきっかけとしましては、医師不足は女性医師がふえるせいだということで、このころから女性医師支援が必要だろうと言われてきたのですけれども、女子医大の某前センター長は、そんなことはない、私たちは一生懸命頑張ってキャリアを継続するように、キャリアをアップするように、一時的にキャリアを中断してもそれを継続するようにしている。なぜならば、卒業生はみんな働き続けていて、やめている人なんてほとんどいないではないかということで、では、なぜそういうことだったのかということで、一応ノウハウみたいなものがあるのではないかということで、女性医師再教育センターを設立して、女性医師の再教育-復職プロジェクトを開始したのですけれども、それがだんだんたってきますと、女性医師の相談者の中で、一般病院で一般内科外来を担当することをしたいのですというのですけれども、大学側は、一般内科とは一体何ということになってきて、平成22年から一般内科プロジェクトが始まっております。

PP

 最初、研修ありきということで相談窓口を設置していたのですけれども、ここを最近は、どこに相談すればいいかわからない、一旦離職してしまった女性医師が、また何から始めればいいのかわからないということがありましたので、相談のほうも割と重点的に置くようにしております。

PP

 現在までの状況になります。相談者の状況ですが、昨年まで233名の相談があり、研修修了した方が93名、相談のみで終了した方が93名、約半数は相談のみで終了します。また、こちらから非常勤等を紹介したり、就職先は紹介しないのですけれども、就職先をあっせんする会社、メディカル・プリンシプル社などを紹介したりしております。相談に、現在、進行中の方がいらっしゃいます。

 その研修先の内容ですが、内科系が約5割です。その後、小児科、眼科になっております。

PP

 実際、外向きということですので、どなたでも、全国どの大学の出身の方でも受け入れますということでやっておりましたところ、当大学からの相談は17%、他大学から83%でございました。一応こちらに明記した五十数大学の出身の大学の女性医師からの相談がありました。

PP

 全国の女性医師の現状なのですけれども、これは感覚的なもので申しわけないのですが、医局制度時代、私たちが育った時代は女子医大の学生さんも8割ぐらいは医療関係者の家族でありましたので、地方からやってきたとしても地方に帰って、地元がありますと地元の医師会というのがありまして、そこのサポートが得られていました。大学のほうも、大学では卒業しますと同窓会、至誠会のサポートがありました。また、医局に入れば、地元に帰ったとしても医局に入れますので、そこで医局から勤務先を紹介されたり、学会にきちんと入らなければいけないということで教育体制が整っていて、そこの中で知識、技能、コミュニケーション能力、医者としての能力を育んでいったと思うのですけれども、ちょっと最近感じますことは、新臨床研修制度時代になりますと、女子医大もそうですが、家族が医療関係者ではない場合がある。大学とのつながりはすぐ卒業して切ってしまう。同窓会で細々。医局に余り所属しなかったりとか、研修先で終わってしまう。そこで結婚とか出産してしまうと、そうすると根づいていない、ネットワークがないところで、根なし草のまま離職してしまうというところがあるようです。これは傾向で、データとかはありませんが、相談者からの言葉で感覚的に感じているものでございます。

PP

 それで平成18年、そのころから、新臨床研修制度時代から女性医師はふえているということで、やはりここは大きな問題ではないだろうか。それに厚労省は10年前から気づかれておりまして、私たちに女性医師支援をさせていただいておるのだと思います。

PP

 本学は100年以上の歴史がありまして、1万人に近い卒業生で、約4,000人から5,000人が何らかの形で医療に従事しておりまして、何が一番すごいかというと、至誠会という同窓会がございまして、同窓会の支援は大きいものではないかと思います。同窓会の会員が大学の理事運営にもかかわっておりますし、それから、全国に支部がありまして、その支部会長からの報告があったりとか、地元に帰ったとしても、医師会に入るとは思うのですけれども、医師会に入れない方たちは、その支部会で、最寄り会といって情報交換会を行っております。

 そして、これは女性の一生及び女性医師の一生を考えていただきますと、卒後10年、20年、30年、40年、50年、75歳でも同窓会に出られる方は70%ぐらい医者を続けておりますので、こういう感じでやっているのですけれども、皆さん大学では一緒に過ごした。初期研修、後期研修のあたりは上の先生たちの支援がきちんとある。監視があるというのですか。そういうのがあるということで、その後、10年ぐらいたつ。

10年ぐらいはきちんとやって、一人前になりなさいという感じで教育を受けて、地方に戻ったり開業したりするのですけれども、ここの横軸でもわかるのです。同窓会で誰それさんは何をしているというのがわかったりもしますので、こういう横軸、あるいは縦の流れで先輩方の姿を見て、ロールモデルがこれだけたくさんいますので、こういう働き方の多様性があるのだ。あるいは生き方の多様性です。女性医師の3分の1と言われているのはシングルキャリアでいかれる方、両立する方、DINKSでいる方など、そういったものもありますので、女性医師の多様性と職場の多様性に対して対応できるように、いろいろなものがあることを知っているというのが特徴的ではないでしょうか。そして、困ったときに相談できる場所、至誠会があるというのが一番の強みなのではないかと思われます。

PP

 ということで、そういったノウハウを使いまして、相談窓口、復職支援を他大学卒業生の方に対してやっております。まず相談なのですけれども、相談をメールで受け付けしていただいて、それで対応を検討します。フォーマットなどはこちらの報告書に書いてありますので、参照してください。

PP

 メールでアドバイスして、面談を実施することになります。そして、研修を御希望であれば、私にとって何かが必要なので、これを何日だけどうしてみたいのですけれどもということに対して、事務員がまず相談を受け付けまして、再研修部門での部門員が申請者の検討をいたしまして、そこから、誰に相談したらいいかというのをピックアップしまして、マッチングですね。性格は、この先生はこういうキャリアをお持ちだし、お子さんも何人育てて、何とかだから、この先生に相談してみるといいのではないというのを、ある意味、ロールモデルとメンターになる人の候補を挙げて相談していただいて研修していますし、あるいは項目が決まっていれば、リウマチ内科の何とか先生にお願いしなければいけないから、何とか先生にお願いしましょうという感じでやって、そういうことを決めていって、3カ月間の研修を実施して、復職。研修内容はどんなものですかというと、いわゆる初期研修に似たようなものの短時間タイプと考えていただければよろしいかと思います。

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 相談者の傾向なのですけれども、このようにさまざまありまして、ちゃんと専門医を持っているにもかかわらず、離職期間が長いのでちょっと不安だという方もいらっしゃいますし、専門医がないけれども、責任感が強くて、あれもしなければ、これもしなければという感じでやっている方もいらっしゃいますし、キャリアアップとしてここを求めている方もいらっしゃいますし、非常勤で細々とやっているのだけれども、今これではいけないということで、何かしなければということで、道を変えたいということで相談される方もいらっしゃいますし、過去の職場でちょっと合わなかったということで、どうしましょうという相談などもあって、それに対してそれぞれ対応しております。

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 こちらの相談窓口は何をしているかということになるのですけれども、面談してキャリアカウンセリングをしつつ、ロールモデルを挙げまして、研修をしてもらって、自身のお手本となるロールモデルです。専門領域の働き方が、この人、こういう方がいいわというのを見つけていただいて、そうしながら自分がキャリアを積んで、自身が後輩のロールモデルになっていただくような感じで行っているのが現状です。

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 昨年行いましたアンケート調査ですけれども、利用者で連絡のとれた162名連絡をとりまして、71名から回答を得られました。

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 ちょっとここは飛ばしますが、関東地方が8割で、東京都からが5割になっています。何例は35から39歳にピークはあるのですけれども、どの年齢の方も相談にいらしています。

 お子様の人数やお子様の年齢というのは特にないです。

 当部門に相談されたときは、一応離職した女性医師のための復職支援となっているのですけれども、休職中だった方は5割程度、非常勤や常勤で勤務している方はさまざまです。

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 当部門での相談、研修がきっかけとなって、離職中の75%が復職できたということになっております。

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 また、非常勤勤務だった方の場合ですと、約4割が常勤勤務に入り、さらに4割は非常勤勤務を継続しています。この常勤、非常勤というのはちょっと判定が難しいのですけれども、皆さん、働き続けているということです。

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 ここで相談したときの、やめてしまったとか仕事の体制が変わったきっかけは何ですかと。出産、育児は5割なのですけれども、それ以外に、夫の留学や転勤、御自身の体調不良などの原因もありました。

 相談された目的は何ですか。こちらは再研修部門ですよということでやっていますけれども、臨床技術や知識に不安があるため、研修で取り戻したいという人が7割程度なのですが、スキルアップするために相談している人が2割、あるいは転科希望の人もいらっしゃいました。

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 相談時に一番不安に思っていることは何ですかと聞くと、診療技術などの実力への不安が最も多く、あとは両立や復職の手段や方法が分からないということも同時に不安に思っていて、御自身の力に対する不安というもののほうが強いようです。

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 そうしますと、一番不安に思っていたことが解消したかどうかを聞いてみますと、6割ぐらいの方は解消した。相談だけで解消したという人が4割近くいて、相談と研修全てをすると9割近くが解消されたということになっております。

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 ただ、やはりふつふつとした不安感とか問題をずっと持ち続けている方はいらっしゃいまして、御自身の事情で就職先が未定だったり、体調不良だったり、経験不足からなかなか不安感が拭えない場合があって、自身の現状と目標が見合っていないケースも見受けられました。

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 次に、専門医なのですけれども、専門医を取得していた人は4割ぐらいなのですが、残り6割は専門医を取得しておりませんが、研修を行った後に10名、2割の方が専門医を取得され、残りの14名の方が取得を目指しているということなので、相談や研修などは復職だけではなく、専門医取得の後押しになっているのではないかと思われます。

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 こちらのほうですが、平成25年にやった調査でも、休職中が12名だったものが10名になりました。

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 こちらはアンケート調査のまとめです。

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 もう一つ、一般内科プロジェクトなのですけれども、女性医師の再就職先、復帰先として、御本人たちも地元で働ける一般病院での一般内科外来をやりたいと言っているのですが、この一般内科とは一体何ということになってしまいまして、一般内科科というのはないですので、一般内科というのは何でしょうということで、一応ある程度定義を決めまして、年齢、性別、臓器、症状を問わない成人内因性疾患の診断と治療を行うこと。症候からの鑑別診断能力が必要でしょうということだったのですが、では、一般病院の一般内科にはどんな症状を持った人が来るのでしょうというのを調べましたところ、なかなかデータがなかったということで、データをとりましょうということでプロジェクトを組みました。

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 その中で、多施設共同研究ということで横断研究を行い、今、縦断研究中でございます。

 それから、中小病院です。実は200床以下の病院の外来で一般内科の外来。外来の点数が高いですから、一般内科外来か何かをやれるようになれるといいなと。あるいは後々は開業とかを考えている方もいらっしゃると思うのですけれども、そういうことをどのように。中小病院は一番医師不足ですから、そこを研修先にするわけにはいかないのですけれども、研修システムみたいなものがつくれないかどうか、今、画策しております。

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 女性医師が地域医療で活躍する相乗効果は何なのかといいますと、一般内科を考えてみると、医学部教育と初期臨床研修で習得した知識と技能で行えるはずです。経験が足りないだけです。外来初診時間帯での短時間勤務や曜日別のワークシェアが可能である。女性医師の特性を生かせる。私たちがなぜこう考えるかというと、先輩方がそれをやってきたからで、たくさん開業されている先輩方からのお話を伺うと、これこれが大事なのではないかということがわかってきましたし、女性医師が研修するには内科の常勤医がいてくれるとか、相談できる人がいてくれたりとか、重症患者を診て、入院患者を診るということで経験値が積める。患者さんにとってみれば、外来の担当医が1人いれば待ち時間が少なくて済みますし、大方の女の先生は時間をかけて訴えを聞いてもらえたりもしますので、優しく指導してもらえたり、細かいところまで気づいてもらえる、いわゆる家庭医タイプですね。いいのではないかということになります。

 地域にとっても、一般内科の外来の初診外来を担当する医師が確保できれば、歩いて来る人です。救急ではないのでウオークインの人ですけれども、悩みを持った人が来てくれれば、専門外来とか外科の先生が御自分の診察や診療、手術などに集中できるだろう、軽症患者の待ち時間の短縮になるのではないかということで、利点が多いのではないかと考えられております。

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 このプロジェクトなのですけれども、プロジェクトの詳細はまた別個の報告書を作成中なので、重要なのは、結局コモンディジーズを学びなれることで、症候の鑑別診断と初期対応が必要。特に、せき、発熱、咽頭症状、頭痛からでした。

 女性医師が再研修するにはサポート体制が充実していなければいけない。

 また、一般内科には急変する患者さんが含まれていますので、重症例を経験する必要があるだろうということが抽出されてきまして、今後、復職する女性医師が一般内科を担当するにはメンター、キャリアカウンセリングも含んで、あと教育コーディネーターです。どこの部分が不足しているかということを相談して、研修病院の確保と指導医の指導内容の交渉。また、その後の就職先の確保などが必要になってくると考えております。

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 今、東京女子医科大学で東医療センター、400床規模の内科で一般内科研修を実施して、まだ一、二名なのですけれども、御自身のキャリアとの関係になりますので、やっていただいているという状況になっていますが、やはりまだいわゆる普通の診療所とか、地域でどうやっていくかというのは、今後の課題になっています。

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 それ以外、東京女子医科大学における環境整備は、既に行われているものは、職場の理解に関しては、所属長の意識改革ということで、これからなのですけれども、所属長に関してのアンケート調査を行って、リーダー教育を行おうとしております。

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 勤務体制のサポートでは、短時間勤務などは制度がもうつくられております。保育のほうも、大学に隣接して至誠会保育園というのがありますけれども、大学内に女子医大の附属保育所や、早朝、体調が悪いときは小児科ですぐ診察してもらえるシステムもでき上がっていますし、近隣の御家族の方に保育ママさん、保育パパさんになっていただいて、お預けできるようなシステムもできております。

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 ということで、女子医大で取り組んでいる女性医師支援の報告書を、こちらに明記しているところに、何かお力になれればということで配布させていただきました。

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 今、考えているのですけれども、岡山のように全てが一体化できるところですと、県の保健施設がついてくるとかそういうのがあるというのですけれども、東京ですので大学もたくさんありますし、東京発地方戻りみたいな女性医師もいらっしゃいますので、できれば女性医師のキャリア支援センターみたいな出身大学を問わない全ての進路相談受付窓口みたいなものがあって、キャリアカウンセリングもできて、研修先も紹介できて、復職支援ができて、その後の就職先のあっせんもできながら、働き続けるにはということで、別に施設にそういった保育施設がなくても、保育園とかベビーシッター会社とか家事手伝いを頼めばいいので、アウトソーシングも都内ですので多いですから、そういうものを使ってみたらどうですかということで、就職先あっせん、医師バンク制度、生涯教育ということで、いろいろなところの学会とか先生方の会でやっておられると思うのですけれども、その辺がうまく連絡とれるようになって、大学で研修したい人は大学や基幹病院で研修しながら、でも、ここまでできましたよといったときに、こちらのほうで就職させてくださいとかやっていただいたりできると非常に働きやすくなるのではないかと考えられました。

 今後の課題なのですけれども、大学での研修は女子医大でできるようになっているのですが、高度研修施設ということと、中小病院での研修みたいなものはシステムがまだでき上がっていなくて、一般内科の外来だけでもいいのですけれども、こういうところで研修できたりとか、就職できたりすると、女性医師の復職の最初の一歩として、いいのではないかと考えておりますが、まだ道半ばでありますということです。

 以上です。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ただいまの東京女子医科大学からのプレゼンテーションについて、御意見、御質問当がありましたら、よろしくお願いいたします。

 甲能委員、お願いいたします。

○甲能委員 詳細な御説明をありがとうございました。

 先生のところは、どちらかというと卒業生はほとんど女性なわけですね。同窓会、同門会の至誠会の影響が非常に強いと思うのですけれども、このような働きかけ、それから研究モデルに対しての至誠会の役割はどのぐらい関与があるのですか。余り関係ないのですか。

○東京女子医科大学横田仁子 今の組織としての至誠会の役割ですか。一応、至誠会はこちらのほうで書いてあるのですけれども、同窓会の支援としましては、第二病院もありますし、研究助成金も出してくださったりとか、あとは就職先あっせんとか、そういうのは至誠会員だけに向けてなのですけれども、あるということがあります。

 今後、そこで、至誠会員の何割ぐらいかわからないですけれども、家庭医になっている方がいらっしゃると思いますので、至誠会で支部がありますので、支部や医師会に所属されている方の連絡をとりたいと、アプローチしたいと思っております。

○甲能委員 至誠会の中にそういう窓口があるわけではないのですか。

○東京女子医科大学横田仁子 再就職相談窓口はあります。卒業生だけに対してできます。研究支援、助成金、研究助成に関しては、オープンにどなたでも受けられるようになっています。

○甲能委員 もう一つ、この8番目のスライドで相談件数があって、その内容が分析されていて、研修先診療科の割合がいろいろ書かれていますけれども、内科プロジェクトの役割は、内科系に研修先を希望した人をそちらにあっせんするというわけではなくて、相談の中に内科系プロジェクトという相談の窓口みたいなものがあって、そちらに行くようになっているのですか。

○東京女子医科大学横田仁子 これはデータが現在までということになって、内科系というのだったのですけれども、実は最初のころ、5年ぐらいたったときに、一般病院で一般内科をやりたいと言われたときにどうすればいいのといって、実はお断りしてしまったり、王子生協病院とかほかの病院を御紹介したりしたことがありましたので、それはやはりおかしいのではないかということで、女子医大でもシステムができるといいのではないかということで集まっております。

 現在は、一般内科研修用の窓口と、いわゆる本当に再研修とかに関する相談窓口は2つに分かれて、一般内科を御希望されている方に関しても対応できるようにしております。

○甲能委員 私は内科でないものですから、余りそのような形で内科に特化したものがあると、ほかの科からクレームが来たり、ほかの科の先生に文句を言われたり。例えば私は耳鼻科ですから、これでいくと耳鼻科の研修は2名希望者がいますね。こういう人たちは、別にそこにあっせんされるというシステムではないのですね。

○東京女子医科大学横田仁子 耳鼻科の方は相談が少ないというのがまずあると思います。やはりすぐ専門医をとれるということと、働き場所がきっとあるのだと思うのですけれども、相談件数自体が少ないので、研修先も少なくなっているという状況になって、全てを反映してはいませんけれども、相談する方のもとの科と思っていただければ、このデータはよろしいかと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 そのほか何か御質問等。

 木戸委員、お願いいたします。

○木戸委員 スライドの5枚目、6枚目を見ながら2点ほどコメントさせていただきますが、女子医大は女性の医療人を育てるということで古くから歴史があって、こういったキャリア支援に関しても10年間の長い歴史があることを、今、お話を伺ってよくわかりました。

 ただ、今回のキャリア支援モデル、採択されたということで普及推進事業というけれども、この事業でどれだけ新しいことが得られたか。これまでの取り組みを横展開していく上で先生のところで行っていくことで何が問題か。そういったところに関して、もう少し詰めたところがあるといいなと思いました。

 それから、上の一般内科プロジェクトですけれども、今、今村先生もいらっしゃいますが、日本医師会で女性医師バンクが非常に活発に行われているので、やはり中小病院への就職とか研修などにつきましても、もう少しそこと連携をしていただくと、就職先とか勉強する場所もふえるのではないかと考えました。

 あと、日本医師会のかかりつけ医制度も、いろいろ研修の仕組みとかもできているようですので、やはり医師会と連携しながら、よりよいシステムに向けて整備が進んでいくとよいなと考えました。

 以上です。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 女子医科大学から何か御返答ございますでしょうか。

○東京女子医科大学横田仁子 ありがとうございます。

 そこが問題なところでございまして、医師会との連携ということと、私は医師会員ですので、毎月毎月雑誌とか広報が送られてくるのですけれども、ここに相談してくる方が実は医師会員でない場合が多く、医師会員になれない場合が多く、そこで何か差し伸べる手は。女性医師バンクはあるのですけれども、相談だけではなくて情報をとるのに、インターネット行きなさい、ホームページ行きなさいと言われるとそうなのですけれども、どうすればいいのかという感じが受けられているのが実情かと思います。医師会に相談窓口はあるけれども、医師会員ではない、医師会員にはなれないということになると、医者ではないとは考えないですけれども、そういうことがもうもうちょっと取り組んでいただけると、いいなと思っている次第でございます。

○櫻本専門官 今村委員、お願いします。

○今村委員 ありがとうございます。

 本当に興味深く聞かせていただきました。私どももアクティブにコンタクトをとって一緒にやらせていただかないといかぬなと思いました。

 相談窓口がこれだけで、そのうちの研修をしているのがこれだけということで、研修している方が相当多い。相談件数233名のうち、実際に相談だけではなくて女子医大のほうで研修をしている方が96名もいらっしゃる。

 実は私どもの厚労省からの委託事業でも女性医師バンクをやっているのですけれども、その中の再研修事業というのもあるのですが、極めて少ないのです。年間数名という感じで、女子医大のほうでその研修を受け入れていただいているということなので、御紹介させていただいているのですけれども、女子医大自体ではこれだけの方をやっているのだなということで、ちょっと驚きの数字だと思います。ぜひ、そういう意味では、一緒にやらせていただきたいと思います。

 ただ、外科系の研修が相当少ないなと。私自身は産婦人科ですけれども、自分自身、何年か臨床から離れていますと、もう一遍リカバリーするのに不安がありますが、そういう意味で、いわゆる外科系の部分のものが相当ここでは受け入れが少ないのだな。あるいはニーズが少ないのか知りませんけれども、そういったようなところについては、もう少し女性医師のサポートの先輩であります女子医大と一緒に緊密な連絡をとっていきたいと思って聞かせていただきました。

 特に私ども、女性医師バンクというのが一番メーンの委託事業でございますので、その登録であるとか求人の問題については、今、先生からもプレゼンがありましたように、一緒になってやらせていただければと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 西澤委員、お願いいたします。

○西澤委員 今、取り組みで相談と、支援をかなりされているということはよくわかりました。ただ、ほとんど相談というか、話を聞いてやるだけでも復職する方がいるというのは、今回、なるほどなと思いました。なかなかそのようなシステムも日本全体を見ると意外となくて、こういうことだけでも女性は働くということは非常に参考になったと思います。

 あと1つ、一般内科プロジェクト。一般内科というのは、なかなか今はないですね。内科も専門化している。一般内科というよりも、もう少しその中の役割を考えると、日本医師会の言うかかりつけ医のようなものだとか、あるいは総合診療医とか、そういうことだと思います。そういうあたりを、一般内科ではなくて少し切り込んで、やっていただければなという気がいたしました。

 それと、この一般内科プロジェクトですが、もう少し前向きでもいいのかなと。何となく女性医師、当然出産とかいろいろなことがあるので、なかなか積極的にできないのかはわかるのですけれども、特に病院に勤めても、その病院の補完的な役割みたいに見えてしまうのですね。そうではなくて、もっと積極的にと思います。

 同じ医師免許を持っていて、別に女性医師だから特別だということはないと思います。男性医師も同じだと思うので、そのあたりはもっと自分たちが積極的に、例えば病院に勤めても、その中心となるぐらいの感覚でこういうことを考えていただければありがたいと思っています。

 もう一点ですが、特に今、言ったように、私は今病院団体で出ておりますが、医師会は決して会員ではないからどうこうではなくて、いろいろなことをやっています。それは今回、お互いに知らなかったのだなと思うので、協力しながらやっていければなと思っています。

 1つだけ気になったのですが、「1.女性医療人キャリア形成センターと女性医師再研修部門の概要と運営」のところです。女性医師再研修-復職プロジェクトの中にある会社が入っています。ここを通して紹介という事ですが、ここで紹介した場合どうなっているかわかりませんが、一般的に紹介会社、私たちがそういう会社から紹介いただくときにかなり高額な紹介料を取られます。ですから、そこを通すということが本当にいいのか。このあたりは疑問を持っています。

 例えばこういう会社を通さなくても、今、医師会もそういう事業をやっていますし、都道府県には地域医療センターとか地域医療対策協議会というのがあって、本当に医者がいなくて困っています。そういうところにぜひ声をかけていただくと、喜んでいろいろな病院を紹介していただけると思います。少しこのあたりは考えていただければなと思います。

 以上。印象でした。

○東京女子医科大学横田仁子 ちょっとお答えしていいですか。一般内科ということに関しては、いろいろなところで専門医制度とかかかりつけ医制度等、いろいろあるので、皆さんがやっているところがあるのですけれども、そこの最初の突破口。家庭医になる方でしたらば、プライマリ・ケア連合学会とか医師会に入っていただいて内科医になっていただくし、総合診療科がどうなるかわからないですけれども、そういうものは本当の突破口なので、突破口として、ここから入ってみたらどうですか、その後は皆さん、行政に行っていただいても構いませんし、いろいろな道を考えてくださいという意味であります。

 もう一つは、女性医師だからというよりも、専門医を持っていないからという専門医の壁があるように感じます。別に専門医を持っていなくても開業できますし、保険医を申請すれば保険医もできますし、いわゆる外来は大学で教育を受けていますので、初期研修で受けていますので、できるのですが、世の中がそれでは受け入れてくれない部分があるのか、あるいは専門医機構が今、出ているからということなのかなと感じております。

 私たち大学側、受け入れ側も、専門医で尺度というか見てしまったりはするので、専門医イコール経験数みたいに考えてしまったりしているのですけれども、専門医がなくても、医師国家試験を受けて、初期研修を受けて、2回目の医籍登録をしたら、これだけのことができるのですよということをもう少し知らしめて、厚労省のほうとかいろいろなところでやらせてくださるのかわからないですけれども、そのような感じで自信を持ってやっていければと思っています。ちょうどとらなければいけない時期が出産、子育ての時期になっているので、専門医制度はちょっと壁になっていますけれども、壁を乗り越えてやっている人もいますので、その辺で、本当に先生方から職場の上司というか、お国の上の方々の理解と支援みたいなものですけれども、声かけで全然構わないので、やっていただけると全然違うのかなと感じております。

 それは自分自身もいろいろな人たちからの声かけで、今は子育てとかいろいろなことで大変だろうけれども、期待しているよとか、待っているよという感じで言われた経験もございますので、先生方にも御協力いただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○櫻本専門官 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 専門医の件は必ずしもとる必要はないというのは、これは病院団体も同じ考えです。ですから、専門医ではなくても当然それは構わないと思っています。

 私が先ほど言ったのは総合診療医と言ったので、総合診療専門医とは私は言わなかったはずです。ですから、決して専門医ではなくて、私が言ったかかりつけ医も専門医とは違います。そういうことで、専門医ではなくても、きちんとこれから活躍できると思いますので、そのあたりは同じ考えでございます。

○東京女子医科大学横田仁子 まさにそうだと思うのですけれども、今、専門医ができそうになっていますので、そこがまたハードルになっているようでございます。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 前田先生、お願いいたします。

○前田委員 短く確認だけ。相談状況、研修状況と、これは今回のプロジェクトのということではなくて、今までの10年間の積み重ねということですね。この中で新しく今回このプロジェクトに参加されて行われたのは、この相談窓口の中のどの部分になるのですか。

○東京女子医科大学横田仁子 相談窓口の中では、継続している部分を認められたということになっていて、ここに関しては、実は10年の報告書をつくるというか、報告書をつくって女子医大のノウハウを全国に配布するというのが最大限のプロジェクトと考えておりまして、報告書を作成して、いろいろな団体に配布したというのが大体の概要になっていますので、一般内科プロジェクトだけですと、相談件数に関して言えばごく数名で、東医療センターで研修が始まった程度ですので、相談者含めて5名程度のものになっています。

○前田委員 もう一つだけ。女子医大本院のほうにたしか総合診療科が既にあると思うのですけれども、この内科プロジェクトに関しては、そことの連携はまだやっていらっしゃらないということなのでしょうか。

○東京女子医科大学横田仁子 既に相談に行っております。実は総合診療科自身も、卒業生などは直接そちらのほうに相談に行ってしまって、こちらの女性医療人キャリア形成センターを通さずに研修なさっている人もいますし、研修の受け入れはいつでも可と言っておりますが、ニーズがない状況になっていて、今度、5月に1人お願いすることになっていると思います。

○前田委員 ありがとうございました。

○櫻本専門官 ありがとうございました.

 片岡先生、お願いします。

○片岡委員 ありがとうございました。

 私も前田先生と同じところをお聞きしたかったので、それに関しては、これは累積で231人という理解でいいということですね。ありがとうございます。

 私は1個お聞きしたかったのが、この冊子体のほうで、御説明はいただかなかった部分なのですけれども、参考資料ということで、スキルチェックリストというのがあるのを非常に興味深く見たのです。これは実際に研修をされる方、これからやろうと思っている方の現時点での到達度を見るという目的かと思うのですけれども、実際にこれはどれぐらいデータが集まっているのかということと、このスキルチェックリストに書かれてある項目です。これは何かを参考にされて作成されたのか、オリジナルなのか。あるいはこういったものはほかの施設で利用させていただいてもいいのか。そのあたりを教えてください。

○櫻本専門官 これは86ページのところでよろしかったでしょうか。

○片岡委員 そうです。

○櫻本専門官 86ページを御参照ください。

 女子医科大学からお願いします。

○東京女子医科大学横田仁子 こちらはスキルチェックリストをつくったのですけれども、これはどなたでも利用できるようにオープンにしてあります。ということで、今、30名ぐらいの方に利用があって、研修を希望しなくてただ単に自分の実力を知りたいわという感じの方も使うことができます。

 このスキルチェックリストの元ネタは、臨床研修制度が始まった某、言ってしまって丈夫だと思うのですけれども、旧国立横浜病院、横浜医療センターで、内科研修で初期研修医を受け入れるに当たって何が必要かというのが1つ。それから、プライマリ・ケア連合学会、心身医学会、日本医師会がそれぞれつくられていると思うのですけれども、自分たちの経験から最低限どこが必要かなと思うようなところをピックアップさせていただいたのと、もう一つ、コモンディジーズ編というのは医師会から出されていると思うのですけれども、プライマリ・ケア連合学会の自己チェックリストみたいなものと、総合臨床か何かで一度、10年ぐらい前にコモンディジーズ編というのがありましたので、そこでの疾患が出ておりましたので、そこでレビューして考えさせていただいて、人によってはこれでは多過ぎるという方もいらっしゃいますし、ちょっとこれでは足りないということで、あと、重複している部分もあるので、そのようになっているものなので、半分はオリジナルですけれども、もとはそこからとっております。

○片岡委員 どうもありがとうございました。

○東京女子医科大学横田仁子 誰でも使えますので、どうぞ利用してください。

○片岡委員 ありがとうございます。

○櫻本専門官 それでは、久留米大学のほうも関連する事項がございますので、これから久留米大学のほうのプレゼンテーションに移らせていいただきたいと思います。

 横田先生、どうもありがとうございました。

 では、久留米大学の守屋先生、準備をお願いいたします。

PP

○久留米大学守屋普久子 よろしくお願いします。久留米大学病院男女共同参画委員会の守屋と申します。

 岡山大学さんや東京女子医大さんは、もう10年以上かけて女性医師のキャリア支援を続けていらっしゃるということなのですが、実は我々の委員会は平成26年4月にできたばかりで、まだ3年目の委員会でございます。まだまだよちよち歩きなのですけれども、今回、厚生労働省のこのような推進事業をさせていただきましたので、その報告を兼ねて、皆さんに御紹介したいと思います。

 今回、「事業のまとめと今後の課題」というところを中心に御紹介いたしますので、御準備をお願いいたします。

PP

 まず、久留米大学病院なのですけれども、福岡県の県南にあります。人口10万人当たりの医師数を全国平均が今245人なのですけれども、久留米医療圏は500人と倍ぐらいあるのですが、そのほかの6医療圏に関しましては、有明医療圏を除きますとほとんどが全国平均を下回っている、そのような状況の医療圏を抱えております。

PP

 当院の医師数ですけれども、全体の医師数は640人ぐらいおりまして、女性の医師率は大体4分の1です。ただ、初期研修医になりますと、やはり女性の医師ががんとふえまして、4割近くが女性医師という状況になっております。

PP

 当院で今回行いました女性医師キャリア支援の内容について御説明をしますが、「新」と赤い字で書いてあるのは、今回新規で行わせてもらった事業になります。

 まず1つ目、職場の理解に係る取り組みですけれども、これは一つが診療部長会での継続的な議事内容の報告。もう一つが、新しい事業なのですが、たこ焼きランチョンの開催を行いました。たこ焼きランチョンというのは、名前でわかりますように、たこ焼きを食べながら男女共同参画を語るというコーナーで、年間通して3回させていただくことができました。

 2番目の相談窓口などに係る取り組みですけれども、これはつながろカフェと言うものを行っています。これは臨床科の枠を超えて、女性の医師と、女性医師とともに働く医療従事者が一緒にコミュニケーションをとる会で、これも年間2回開催することができました。

 3番目の勤務体制に係る取り組みですけれども、これは2つとも、半分新しい事業もありますが、出産・育児に関する学内支援の広報活動を進めていったりとか、パート医師制度の充実をしております。当院では、平成27年の4月からパート医師制度を導入しておりまして、それによってパート医師の方々が常勤に復職するという過程をつくっております。

 4番目の診療体制に係る取り組みですけれども、これは病院内のカンファレンス時間の調査であるとか、小児科で制度によってライフ・ワーク・バランスを取り組んでいくこととか、あとは病院内の各診療科での診療体制のアンケートを行っております。

 5番目が保育環境に係る取り組みです。これも2つとも新しい取り組みですが、育児ハンドブック、まだ仮称ですけれども、これを現在作成中であります。また、看護部の子育て支援ニュースというのは、看護部はもう2年前からつくっていたのですけれども、それを医師にも配信できるように手配しております。

 最後の6番目の復職支援に係る取り組み、これは当院では特に新しく取り組んだものです。これは3つ新しいものをやったのですけれども、1つ目が、女性医師復職支援モデル開発に関するアンケート。1つ飛ばしまして3番目のところに、到達目標習熟表作成、これはアレルギー専門医用ということで、実はこれは先ほど東京女子医大さんが報告されたものと似たようなものになっております。

 今、御説明したものは、きょう全てを御説明することは難しいので、事前に配付させていただいておりますこの中に少し書いておりますので、御参考にしていただければと思います。

 今回、一番目玉として皆さんに御提示したいのが、この2番のママさん医師の仕事への「やる気スイッチグラフ」の作成です。

PP

 まず、やる気スイッチグラフとは何かということですけれども、これは仕事へのやる気と医学への向学心の変化を時系列でグラフ曲線で表現するということです。その変化が上昇したり下降したりするのですけれども、そのきっかけとなった出来事が何かということをグラフの中にも記載してもらうという方法をとりました。

 今回、対象としたのは、久留米大学病院で働くママさん医師で、調査方法としては、ママさん医師の所属する医局から、各自に調査票を配付して、各自に記入してもらって、後で学内便で返却してもらうという方法をとっております。インタビューは、今回は特に使っておりません。

PP

 これは、実際のスイッチグラフの具体例です。ちょっと簡単にいきます。この右上の方のを見ていただきますと、医学部入学と同時に、年次が上がっていくにつれてやる気がどんどん上がっていきます。卒業して、国家試験に受かって、結婚をする。このあたりまではやる気はマックスにあるのですけれども、それが急にがたっと落ちるのです。落ちた原因としては、やはり出産と離職となっています。

 その後、一番低い位置になったところは、ここが育児となっています。さらに、少しこれが上がっていくのですけれども、上がっていくきっかけとなるのが復職であったりとか、専門医をとるとか、あとは学位をとる、こういうことがあります。

 ただ、お子さんの受験が入ってくるのですね。お子さんの受験があって、少し下がるのです。でも、子供さんの受験が終わって、そうすると役職についたりとか、職位も上がってモチベーションもフルになる。大体その年齢が40歳前半か中盤にかけてということになります。

 ちなみに、これは3人とも内科系ではありますが、全て診療科は異なっております。

 左下の方のグラフですけれども、この方も同じように医学部に入学してから徐々に学年が上がるにつれてやる気は、この場合は医学への向学心のグラフを描いてもらっているのですが、だんだん上がっていきます。やはり国家試験に合格するとフルになるのですね。初期研修も終わりました。まだフルです。認定医にも合格した。100%ずっと維持できるのですけれども、第1子を出産して、突然がたっと落ちるのです。

 ただ、この方はすぐ仕事に復帰していますので、また上がるのですが、第2子を出産するときにまたがたっとさがって、今は仕事の復職されているのですけれども、まだモチベーションは100までならずに、40%ぐらいのところを横ばいになっているというのがこのグラフです。

 右下の方の場合には、この方は33歳と書いてありますけれども、この方も同じですね。どんと上がっていくのですけれども、妊娠することで、その後にがたっと、やはり出産で下がるのですね。下がって、またちょっとずつ上がったりして、少しずつ書いてある。上がるのだけれども、お子さんが小さいので、熱が出たりするとやる気が下がる。アップダウンしながら、でも、子供が大きくなると病気にもならないで、だんだん上がる。その中で、論文を作成しないかというようなオファーが来て、今は100%に近くなっているという状況がわかりました。

PP

 実に各人さまざまなやる気スイッチグラフを今回、得ることができました。

 まとめのグラフ、nが20でやってみたのですけれども、やはり皆さん、医学部に入学したときから年次が上がってくるにつれてだんだんとやる気は上がってきます。医学部を卒業して、国家試験に合格するころはピークに達して、やる気まんまんで研修もやるのですけれども、結婚は余り差しさわりになりませんが、やはり妊娠・出産を経験して、がたっとやる気が下がるのです。それから徐々に上がっていくというのが全体的な流れかなと思いました。

PP

 特に医師としてキャリア形成をする、一番医師の磨き上げるところは30代から40代前半だと思いますが、そこにどのようなモチベーションの変化を起こす事象があるかということを列挙させていただきました。

 まず、ここの下降するところは、妊娠や出産、当直続きで疲れる、臨床から研究室へ異動する、そういったこともやる気が下がる原因ということがわかりました。

 また、今度はこの一番低値です。低値になってくるところは、出産・育児や子供の病気、夫の転勤もあるのです。職場が合わない。先ほどもちょっとお話がありました。あと、毎日忙しくて、とても医学どころではない。中には、働かなくてもいいのではないかなというようなことを考える方もおられたということです。

 再度、出産が終わって子育ても一段落して、徐々に上昇カーブに上がっていくのですけれども、さっと上がっていかない原因として、上昇を妨げる原因を右側に書いています。子供の病気とか子供の受験、待遇に対するやっかみや偏見、また、ほかのママさん医師の、甘えなんじゃないみたいな言動や考え方。あと、後輩医師が先に出世することによる焦りがあるということです。あと、後輩への指導も下げイベントとしてあると書いてありました。

PP

 下げるだけではなくて、上げるイベントもあります。上げイベントとしては、育児から少しずつ上昇カーブをとるときには、やはり保育園に入れたということが1つ。あとは、医局から復職しないかの声がかかるということ。あとは、徐々に上がっていくときのやる気が上がっていくイベントとしては、復職そのものや専門医の取得、学会の発表、学位論文をつくったり、あとは同僚のママの存在です。お話をしたりとか、ライバルとして身近に感じるということも重要なことがわかりました。

 あと、お子さんの成長、新しい技術のトレーニングや、周囲が認めてくれるということです。昇進をするとか、いてくれると助かるわというような声があるのもすごく重要ということがわかりました。

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 このやる気スイッチグラフを全体的に考察してみますと、医学生のときはやはりとてもやる気が高いのですね。結婚しても、それ自体はやる気を下げるイベントにはならないようです。復職そのものも上げるイベントになります。専門医の取得とか論文作成など具体的な目標をつくるということも、やる気を上げるイベント。仕事のやる気と医学の向学心はやはり連動しているということがわかりました。

 重要なことは、職場の上司や同僚から認められることだということがわかりました。私は、患者さんから先生に診てもらってよかったとか、患者さんとの関係がやる気を上げるのかなと思っていたのですけれども、実際にはどなたもそういったコメントを書かれている方がおられなくて、職場環境、どのように認められるかということが重要なのだなということを実感したところです。

 また、復職支援とかキャリア支援に必要なモチベーションを上げるイベントを探す有用なツールにもなるだろうと思います。今回、自己の振り返りの機会にもつながったという意見も伺っています。

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 このようにやる気スイッチグラフを中心に我々の事業を皆さんに提示したのですけれども、今回の推進事業によって得られた効果としては、ママさんドクターたちのネットワーク、臨床の科を超えたネットワークづくりが進んだということは大きいと思います。

 パート医師の3名の方が常勤になった。これは2年間なのですけれども、3名が常勤になったのも大きいと思います。

 それから、このやる気スイッチグラフをすることによって、やる気を起こす原因を把握しやすいということもわかったと思います。

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 今後、我々は、このやる気スイッチグラフを横展開につなげる方法に持っていきたいなと思っています。そのために重要なことは、やはり症例を蓄積することだと思うのです。現在は20症例集まっていますが、全て久留米大学病院の中での症例なので、これをもちょっとほかの病院、北部九州の病院でもやる気スイッチグラフをやって、もっとより症例をたくさん集積していきたいと思います。そうすることによって、仕事に対するネガティブな反応をどうやって最小化できるかとか、なるべく100%に近いモチベーションで仕事を続けてもらうためにはどうしたらいいかというような本当の支援策をつくっていく。そういうもとになると思っています。

 そのためには、もうちょっとインタビューも併用してやらないといけないなと思います。というのは、気持ちの小さな揺らぎを書いてもらうだけはなかなか詳細に取り込めませんので、インタビュアーが聞いて、もうちょっと中を詳細に突き進めていくというやり方が必要ではないかと思っています。

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 我々は現在、こういう組織図でやっています。福岡県や久留米市、医師会関連、福岡県の医師会も関連を持っておりますし、福岡大学や佐賀大学病院、九州大学病院とも連携をつなぐことができるようになっています。また、一番下に久留米大学関連医療施設協議会というのがありますが、これは久留米大学病院を中心とした130ぐらいの一般の病院を中心とした会議なのです。こういうところでもやる気スイッチグラフをやっていきたいと思っております。

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 当院が試算したところ、タイムスケジュールでは、この9カ月ぐらいの間にインタビューをして、解析をして、論文を作成できるのではないかと思っております。9カ月間の費用を試算したところ、このような感じになっております。

 なるべく早くやる気スイッチグラフをとって、なるべくリサーチを早くして、リサーチを早く終えることによって、もっともっと女性医師の方々が職場で働いてもらうような、そういう支援策を的確につくることができるのではないかと思っています。これをやって社会に還元できれば、我々の事業にもすごく有益なことではないかと思います。

 もし、今回は28年度をさせていただいたのですが、新しく事業などがあるようでしたらさせていただきたいと思いますし、我々のチーム一丸となってやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で発表を終わります。ありがとうございました。

○櫻本専門官 守屋先生、ありがとうございました。

 資料が2部出ておりますが、これに関連しまして、意見や御質問等がございましたら、お願いいたします。

 木戸委員、お願いいたします。

○木戸委員 やる気スイッチグラフについて詳細に御説明いただいて、ありがとうございました。上昇を妨げる原因とやる気を上げるイベントを挙げられていますけれども、ちょっと手厳しい言い方をしますと、比較的あらかじめわかっていることが多くて、余り新しいことがないように思われるので、これをどう利用するかということはさらに工夫が必要かと思います。自己の振り返りとして、例えばつけながら、このころは非常に頑張るつもりでいたから、今下がっているけれどもまた頑張ろうとか、御本人のセルフアセスメントとして、あるいはそれを上司と共有することで離職を防止するとか、そういうことには使えるかと思うのですけれども、やはり女性医師の離職を防止したり、活躍を推進するための要因を調べるという意味では既知の事柄が多いので、そういった意味での使い方はちょっとどうかなと思っています。

 上昇を妨げる原因の中に後輩への指導というのがあったのですけれども、これも人によってはやる気上昇、むしろよくするようなこともあると思うので、数をふやすのはいいかと思うのですけれども、今後これをどう展開するかはもう一工夫必要かなと思いました。

 ありがとうございました。

○櫻本専門官 ほかにいかがでしょうか。

 甲能委員、お願いいたします。

○甲能委員 多分時間がなくて、久留米大学で取り組んでいる特徴的なことの御説明ということできょうはお話があったのだと思うのですけれども、評価をするということになると、この1年間でいろいろ行ったことに対する評価ということで、一番初めに相談窓口に係る取り組み、つながろカフェの開催とか、職場の理解に係る取り組みでたこ焼きランチョンの開催等、いろいろお話がありましたね。実際にこういういろいろな取り組みが行われて、それによってどういう成果が得られて、例えばそこに参加した人のうちの何人かが復職に向かって前身を始めたとかいうようなことがわかると非常によかったなと思うのです。

 例えば企画書には複数主治医制のことが書かれていたり、患者教育ということも書かれていましたね。だから、そのような取り組みがどのように進んでいるのかということもきょうは知りたかったことの一つであります。

○櫻本専門官 久留米大学から御返答等はございますでしょうか。

○久留米大学守屋普久子 まず、木戸先生のコメントに対するお答えなのですが、やはりそこでもうちょっと、書いてもらうだけではなくてインタビューが必要だなとコメントさせていただきましたが、インタビュアーを介して、それがどういうことだったかということをもうちょっと詳細に詰めていく必要があるなというのを、今回、モチベーショングラフ、やる気スイッチグラフをつくってみて思ったのです。

 1つ、職場が合わないというようなコメントがあったのですけれども、では、職場が合わないということはどういうことなのか。もうちょっと具体的な症例が欲しかったなと思っています。そのためにも、やはりインタビューが必要だなというのを実感しているのです。余りやる気スイッチグラフに出てこなかったところで、もっと本当は心底にある復職とかキャリア支援を妨げている原因があるのではないかと私は思っていまして、それをもうちょっと深く掘り下げて調査していく必要があるなと思いますので、インタビューを使うというのがあると思います。

 あと、使い方なのですけれども、やはりモチベーションをどのようにコントロールするかということは、管理者のほうもすごく重要なことになってくると思いますので、先生がおっしゃったように、管理者とそれを共有することによって、ママさんドクターたちのモチベーションをなるべく高くするような管理方法の一つとしても使えるのではないかと思っています。

 もう一つ、久留米大学病院で複数主治医制の件なのですけれども、実は複数主治医制のことについていろいろとデータをとったりしてやったのですが、実際に当院では23の診療科があるのですが、複数主治医制を約半分のところしかとっていなくて、これは言いわけにしかならないのですけれども、皆さんにいろいろと相談をしてみても、なかなかまだちゃんとしたベースがなくて、医師不足ということもあって、できないということがありましたので、今は棚上げになっている状態です。

 患者教育に対することですけれども、計画表にも書かせていただいたのですが、患者教育に関してはどのようにしたらいいかということ。もともと私も前から思っていまましたので、それはいろいろなところでやる方法を、どのようなものがいいかとうことをリサーチしたいなというのがありました。

 実は今回、3月12日に久留米市内でシンポジウムを開いたのですが、そのときに通常はクローズドというか医師だけでやっているような、医療関係者だけでやるシンポジウムなのですけれども、今回はオープンにして、ある程度関心がある方ならどなたでも入れるという感じにして、そこで一般の方々が女性医師の働く現場についてどういうふうに見られるかというようなこともやってみましたので、そういうシンポジウムをクローズドで医療関係者だけでするのではなくて、オープンにしていろいろな人に聞いてもらうということもこれから重要なことではないかと思っています。

○櫻本専門官 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 ありがとうございます。

 大体こういうことだろうなと予想がついている項目ではありますが、しっかりこのように出てくると、それが再認識できたと思っています。

 ただ、この客体ですが、こちらのとじてある資料を見ますと、久留米大学病院で働く出産経験のある女性医師ということですが、夫の職業の9割が医師というのはかなり特殊ですね。これは、恐らくその夫はほとんどが久留米大学で働いているのではないかとも予想されます。そういうことで、そのあたりのバックグラウンドもつけたほうがいいかなと。

 ほかの大学、その他の医療機関に広げたときには、これはかなり変わってくると思います。そうするとどのようにデータがまた変わってくるか、非常に我々も興味があるところですので、ぜひこれはほかの大学、あるいは大学以外のところにぜひ広げて、さらに、夫がどういう状況かというあたりもあわせて出していただくと、また非常に参考になるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

○久留米大学守屋普久子 ありがとうございます。

○櫻本専門官 ほかにはいかがでしょうか。

 木戸委員、お願いします。

○木戸委員 パート医師制度によるキャリア支援のところで、導入部署が総合検診センターと総合周産期と書いてあるのですけれども、下のところを見ると人間ドックの復帰に関してはあるのですが、一方産婦人科は非常に医師不足が問題になっているところですが、こちらに関しての実績は何かございますでしょうか。

○久留米大学守屋普久子 総合周産期センターも2名枠、パート医師の枠をとりまして、平成27年4月からスタートしたのですけれども、2名の方がそのまま非常勤、パート医師という形で1年目、2年目、今は2年目で継続しているのですが、そのうちのお一人の方は今、第2子の出産に入っていますので、そういう形で今は産休に入っていらっしゃる状況です。その枠に対しての補充は、今のところは考えておりません。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 先ほど甲能委員から御指摘ありました全体のことにつきましては、守屋先生のもう一個の「当院における事業の概要と成果」の25枚目と26枚目に定性的なものがございますので、御参考いただけたらと思います。

 そのほか、先生方、いかがでしょうか。

 前田委員、お願いいたします。

○前田委員 やる気スイッチは大変おもしろくて、いろいろなところで活用できるかなと思ったのですけれども、今回、詳細な御報告はいただいていないところで、診療体制に係る取り組みの成果に関してなのですけれども、特に小児科に関するワーク・ライフ・バランスの取り組みというところは、別の紙でいただいているようなのですが、この辺のところをもうちょっと詳細に御説明いただけると。お願いいたします。

○久留米大学守屋普久子 小児科では、平成2512月から、土日は全て病棟の当直医に任せて、ベッドサイドの患者さんを持っている人も土日は基本的にはオフにしようという取り組みを始められて、制度でそう決めたということです。

16枚目に休日の出勤状況を2013年と比較というところがありますが、これを見ますと、左上は、この制度を取り入れる前の状況です。これを見ますと、小児科の初期研修医の方、後期研修医の方、専攻医、病棟係です。全員が休日なのに出勤をしていたという状況があるのです。これはよくないということで、この制度を取り入れられた結果、制度を取り入れて1カ月目がこの左下のところです。これになりますと、緑の初期研修医の方は2人いるのですが、そのうちの1人しか出勤をしていない。専攻医の方も4名いるのですけれども、そのうち2人しか出勤をしていない。病棟係の人が8名いても、5人しか出勤していない。そういう状況であるということがわかりました。

 制度を入れてすぐだったので、そのときはなっても、二、三年たつとみんな忘れてまたもとに戻るかなというのがありましたので、もう一回、今回の事業をするに当たりましてやってもらったのです。それが右下のところです。201610月にこのデータをとってもらいましたら、緑の初期研修医の人、この人はこのとき1人しかいなので出ていますけれども、後期研修医が6名いるのですが、そのうちの4名しか出ていませんし、あとは専攻医も3名いて、そのうち2人しか出ていない。また、病棟係が8名いるところ、4名しか出ていないということで、3年たっても休日の出勤状況は制度があることによって守られていることがわかったというグラフでございます。

○前田委員 そうすると、この結果を踏まえて、これがどのように実際に女性医師を含めて影響を与えているのかということに関しては、どのように解析をされていますでしょうか。

○久留米大学守屋普久子 やはり女性医師の方の場合は、土曜、日曜に、久留米大学病院では女性医師のママさんドクターが40名ぐらいおられるのですけれども、ほとんどの方は当直はフリーです。1人だけ夜間当直をされています。夜間当直フリーの方の中でも、病棟などを持っている方もおられます。それは小児科には限らないのですけれども、そういう方々に対して、土日をフリーにしてあげるということを進めていく。これは今、小児科でしかやっていないのですけれども、今回、ほかの診療科にもこういう方法をするとこういうふうに変わるのですよというような推進力の一つとすれば、女性医師の方々がもっとベッドサイドに帰りやすくなる。

 やはり女性医師の方も復職するだけならば比較的やりやすいと思うのですけれども、キーになってくるのは、復職をしてからのキャリアパスをどう続けていくかということになりますので、キャリア支援という点で、休日出勤を制度的にもやめるということが使えていくのではないかと考えています。

○前田委員 ありがとうございました。ぜひ推進していただいて、またその結果を教えてください。

○久留米大学守屋普久子 ありがとうございます。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。委員の先生方はほかにございますか。大丈夫ですか。

 では、お願いいたします。

○久留米大学岡松由記 ありがとうございます。小児科の岡松と申します。

 先ほどの守屋先生のお答えに追加として、このいわゆる週末のオンオフ体制の導入の目的として、1つが、ベースとして私たち久留米の地域というのは非常に土地柄もありまして後進的な地域です。非常に男性の強い地域であるというところがベースにあります。そして、非常に主治医制度が根強く、ですので、私たちは当直でなくても毎日患者の顔を見に行くように教育を受けておりました。この制度の目的としては、まずは患者への教育です。主治医でない当直医でも対応できますよ、御理解くださいということが、導入してみて初めて思った以上にスムーズにできたという効果を実感できました。また、それによって常勤医、フルで働いている者と、いわゆる短時間枠で仕事を選択するであろうこれからふえる女性医師との不公平感を埋めていくことができるのだろうかと。そのために取り組みをまず始めましたけれども、効果を実感しましたので、休日だけでなく、今後は平日に関してもそういうのが進めていければと、本当に始まったばかりで、今から頑張りたいと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。

 片岡委員、お願いいたします。

○片岡委員 ありがとうございます。

 やる気スイッチに関してはとてもおもしろいと思ったので、ぜひ研究だけではなくて実践にどうつなげるかというところをこれからしていただけたらと思うのですけれども、1個お聞きしたいのは、このやる気スイッチグラフは先生方のオリジナルの御考案なのか、それこそ何か参考になさったものがあるかどうかというのを1点教えてください。

 それから、先ほどの小児科のお取り組みは本当にすばらしいと思います。これに関しては、小児科ではこれから継続していかれることによって、いろいろなデータだったり、あるいは患者さんからのフィードバックだったりということをもっといろいろな事例だったり、あるいはフィードバックだったりを集めていただけたらと思うのですけれども、ほかの診療科にも導入される御予定があるかどうか。その2点を教えてください。

○櫻本専門官 では、久留米大学からお願いいたします。

○久留米大学守屋普久子 やる気スイッチグラフに関しては、福岡大学の臨床心理センターの方とちょっと私は個人的に知り合いになって、私にそれを書いてくださいと言われたのがもとなのです。それまでママさんドクターたちのアンケートをとってきたのですけれども、そのときに復職に必要なものとして、職場の環境、職場がどういうふうに受け入れてくれるかというのもあったのですが、一個大きいなと思ったのが、自分たちが仕事をやりたい、社会貢献がしたい、そういう気持ちがすごく大きな推進力になっているのがわかったのです。これをどうしたらいいかと考えていたときに、たまたま仕事の満足度ということで書いてくれと言われましたので、それで今回、やる気スイッチグラフという形に変えさせていただいたということです。

○片岡委員 ありがとうございます。

○櫻本専門官 ほかにいかがでしょうか。

 木戸委員、お願いします。

○木戸委員 全体を通じたコメントなのですけれども、やはり女性医師支援事業にも成果ということが求められるようになっていて、投入した資源に応じてそれなりの成果を出さなければ厳しい目が向けられると思います。

 たとえば女子医大にあったスキルチェックとか、いわゆるやる気スイッチグラフのようなもので何か定量化をして、再研修とか何らかの支援をして、その前後でどうそれが変わったかという成果を見ていくのも非常にいいかなと思いました。

 あとは、女性医師がやめずに、細々でも働いてもらう、休んだ場合は再研修していく、そこも大切ですけれども、もっと指導的立場における女性医師をふやす。もっと先の段階になると思いますけれども、そういったところに対する取り組みも、もう少し今後やらなければいけないことかと思いますけれども、今回の場合はまずはやめさせない、離職防止、再研修のところだと思います。

 本日は非常におもしろい取り組みを見せていただいて、ありがとうございました。

 以上です。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 今、ちょうど全体のお話をいただきましたので、最後、もう5分ほどでございますが、今後の課題等の議事に移らせていただきます。

 中身としましては、今、2年間この事業を行わせていただきましたが、来年度もやらせていただく予定でして、まだ指定先がどこになるかわかりませんけれども、評価いただいた上でやる予定でございます。そのために、次年度以降も当事業を実施するに当たりまして、今日全体のお話を受けた中で課題でありますとか、先生方から提言がございましたら、お願いしたいと思います。

 では、評価委員の先生から、何かございますでしょうか。

 木戸委員、お願いします。

○木戸委員 1つ発言させていただきますけれども、やはり一般内科とか比較的日中の業務の多いところが支援をしやすいところなのだと思うのですけれども、今、医師の偏在が非常に大きな問題になっていまして、外科ですとか産科、より勤務のハードな診療科、そこで働く女性医師をどうふやして、どう支援していくか。そこが非常に大きな問題になっていくかと思いますので、もし次年度この事業をするとしましたら、そういった地方ですとか勤務のハードなところ、そこの底上げということ、さらに横展開を含めたところをぜひ取り組んでいただければと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 甲能委員、お願いします。

○甲能委員 今、木戸先生がおっしゃったように、こういう事業をやって、ただやったというだけではなくて、その成果が求められる。まさにそのとおりだと思うのです。したがって、この事業を行って、このようなことが非常に役に立った、これが非常に効率的だった、このようなことはこれからこういう事業に参入する人たちに対して手本になるだろうというようなことを示してもらうことは大切だと思うので、その観点から、このようなことをしたらこういう成果が上がったということをぜひまとめて述べていただきたいと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 今村委員、お願いします。

○今村委員 日医も厚労省からの委託事業を受けておりますので、この事業との連携というものを一つの視点に加えていただければと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。

 前田委員、お願いします。

○前田委員 皆様がおっしゃるように、確かに成果は非常に大事だと思います。今回、岡山大学や東京女子医大のように長年にわたって女性医師支援をしているところは、やはり成果を出しやすいという言い方はおかしいですけれども、継続した経験がございますので、そこから出していくことは比較的容易だと思うのですけれども、久留米大学のようにスタートが遅いところは、なかなか1年間で成果を上げるというのは現実的には難しいかなと思うので、もう少し継続したところでの成果を出していただくのがよろしいのではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 片岡委員、お願いします。

○片岡委員 私も全く同じことを発言しようと思っていたのですけれども、やはり1年間で出せる成果というのは非常に時間的な制約ということで難しいと思いますので、採択された大学においては、2年目、3年目、経時的に、毎年フォローアップする必要もないと思うのですけれども、最初の1年間だけではなくて、その先にどのような成果を続けて出すことができたかという、そういったフォローアップも必要だろうと思います。

 また、申請の段階で1年間でここまでやりますという内容は当然求められると思うのですけれども、それを基盤にして、その先、もうちょっと長いスパンで見てどこまでを予定しているかというあたりも評価の対象にしてもいいのではないかと思いました。

 以上です。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 西澤委員、お願いします。

○西澤委員 ほかの委員と同じような意見ですが、1つは、今回は全て大学の中ですが、やはり大学を飛び出してやっていただきたいということ。

 それから、木戸委員が言いましたように、今は偏在がありまして、特に地域というのがキーワードになっています。今、国では地域医療構想等々でやっています。そういうことで、女性医師だからというだけではなくて、医師としてということで地域医療にどのようにかかわっていくかというあたりの視点も、すぐは無理だと思いますが、少しずつ入れながらやっていっていただければなと思います。

○櫻本専門官 ありがとうございました。

 そのほか先生方、いかがでしょうか。

 本日は長時間にわたり、活発な御議論をいただいてありがとうございました。本日、例えば要望でありますとか、評価すべき点もありましたし、いろいろな課題、来年度以降横展開していく上での課題をたくさんいただいたかと思います。本日いただいた報告については、事務局のほうでまとめさせていただきまして、来年度以降の事業で参考にさせていただきたいと思います。

 また、評価委員の先生方には評価票をお配りしておりますので、本日でも結構ですし、資料がたくさん報告書等もございますので、それを見た後に後日、事務局のほうに送付していただいても結構ですので、そちらのほう御対応をお願いしまして、その後、各団体にフィードバックをさせていただきたいと思います。

 それでは、以上をもちまして「平成28年度女性医師キャリア支援モデル普及推進事業に関する評価会議」を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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