ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第56回先進医療技術審査部会(2017年4月17日)




2017年4月17日 第56回先進医療技術審査部会

(了)


第56回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成29年4月17日(月)16:00~17:00

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)

(3)出席者:
山口座長、一色座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
掛江構成員、真田構成員、柴田構成員、関原構成員、
田島構成員、田代構成員、手良向構成員、藤原構成員、
松山構成員、山中構成員、山本構成員、中村技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規申請技術の評価結果について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.その他

議事録
○山口座長 ただいまから、第56回先進医療技術審査部会を開催いたします。御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございます。本日は上村構成員、大門構成員より欠席の御連絡をいただいております。17名の構成員のうち15名の構成員にお集まりいただきましたので、本会議は成立していることを申し添えます。また、技術専門委員として、中村委員に継続審議案件の御審査をお願いしております。配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿。次に、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、資料1-1から資料1-5、新規申請技術の評価結果について資料2-1から資料2-5、試験実施計画の変更について資料3、協力医療機関の追加について資料4-1から資料4-2、先進医療の取下げについて資料5、会議資料の最後のページは74ページとなります。本資料については、会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら事務局までお知らせください。
 続いて利益相反の確認です。申請医療機関との関係や、対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1(15ページ)及び資料2-1(39ページ)に記載しております、申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前確認させていただいております。今回は整理番号77の技術について、一色構成員より御報告がありました。50万円以下でしたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等についてはタブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ又はタブレットのファイル番号何番の何ページとあらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
○山口座長 議事に入ります。継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官  傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。資料1-1(15ページ)を御覧ください。今回、先進医療Bの継続審議として御評価を頂く技術は、整理番号63「骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する治療」です。申請医療機関は北野病院です。審査担当構成員は、主担当が松山構成員、副担当は田代構成員と手良向構成員です。技術専門委員として中村委員です。
 資料1-5(37ページ)を御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明いたします。実施責任医師の要件として、診療科は脳神経外科、整形外科、神経内科、救急科のいずれかです。資格は、日本脳神経外科学会専門医、日本整形外科学会専門医、日本神経学会認定神経内科専門医、日本救急医学会専門医のいずれかです。当該診療科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は要件がありません。当該技術の経験症例数は、実施者(術者)として1例以上を必要とします。またそれに加え、助手又は術者として1例以上を必要としております。その他の要件として、当該技術の術者として5年以上の経験がある医師が、未経験の医師を指導して施術させた場合、施術した医師の経験と数えることが可能であるとのことです。
 医療機関の要件として、診療科は脳神経外科、整形外科、神経内科、救急科のいずれかです。実施診療科の医師数は常勤1名以上であること。他診療科の医師数は特に要件はありません。その他医療従事者の配置は、臨床検査技士が1名以上であること。病床数は60床以上、看護配置は10対1看護以上、当直体制は診療科を問わず医師1名以上の当直が必要です。緊急手術の実施体制は必要。院内検査は24時間実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制は特に要件はありません。医療機器の保守管理体制は必要です。
 特定認定再生医療等委員会による審査体制については、原則として毎月開催することが必要。医療安全管理委員会の設置は要件になっております。また、医療機関としての当該技術の実施症例数は2症例以上であること。その他として、リハビリテーションセンター(理学療法部)あるいはそれと同等の部署が存在し、理学療法士あるいは作業療法士が適切なリハビリテーション指導を行えること。以上です。
○山口座長 これらの要件について御意見はありますか。特にないようですので、様式9号についてはお認めすることといたします。次に主担当の松山構成員から、概要の説明と実施体制の評価について説明をお願いいたします。
○松山構成員 先進医療の名称は「骨髄由来単核球細胞を用いた脊髄損傷に対する治療」です。腸骨から骨髄を採取してウォッシングした後に、残余の単核球細胞を骨髄液、髄腔内に注射するものです。本技術は、重症脊髄損傷患者さんを対象に、自己骨髄液から単離された、先ほど述べました骨髄単核球を脊髄腔内に注入することで、脊髄神経機能の回復を目指すものです。本技術について、有効性をASIA機能障害尺度における介入後6か月時点での変化量として、ヒストリカルデータに対する優越性を単群により検討することになっております。
 今回は、実施体制の評価ということです。まず、実施責任医師ですが、今般は脳脊髄外科、脳神経外科、整形外科、神経内科、救急科の先生ではないということで、これが望ましいのかどうかかなり議論をさせていただいて、今回は「不適」とさせていただきました。
 実施医療体制、機関の体制ですが、先進医療で、しかも脊髄損傷の患者さんということですので、本申請の社会的意義を十分に勘案して、本研究が適切に行われる体制を是非とも医療機関として整えていただきたいということで、今回は「不適」とさせていただきました。
 医療技術の有用性ですが、基礎研究成果から、本申請での被験者への外挿性が明確でなく、医療技術としての有用性の評価に耐えられていないという判断をしております。しかも今回はエビデンスレベルが高くない単群試験にて実施したいということですので、より一層のこと科学的合理性を担保するために強化して、補強して、再度の申請を求めたいということで、「実施体制の評価」とさせていただきました。
○山口座長 続いて中村構成員より、実施体制の評価について説明をお願いいたします。
○中村技術専門委員 私からは3つの点について指摘させていただきます。1つ目は、先進医療の実施診療科及び実施体制の実施責任医師についてです。これは、ただいま松山構成員から説明のあったとおりです。形成外科が該当しておりませんので、「不適」ではないかと判断させていただきました。
 2つ目はリハビリテーションについてです。リハビリテーションの内容、あるいは強さと言いますか強度が重要であるとの指摘をさせていただきました。リハビリテーションの内容、量あるいは時間にも換算できますが、それに関するお答えが不十分ではないかと判断させていただきました。例えば、実施届出書の4ページの、支持療法に関する記載の中に「計画された内容のリハビリテーション量を実施する」など、量に関する記載を検討いただきたいということです。
 また、これは先ほど医療機関の要件の中で、既にお認めになってしまったことではありますけれども、リハビリテーションの記載について、「リハビリテーションセンター(理学療法部)あるいはそれと同等の部署が存在し、理学療法士あるいは作業療法士が適切なリハビリテーション指導を行えること」という文面ですが、例えば、「リハビリテーションセンター(理学療法部)あるいはそれと同等の部署が存在し、理学療法士あるいは作業療法士が適切で計画された量のリハビリテーションを行えること」というふうに明記していただければ有り難いと思いました。
 特に重要な点として、リハビリテーションの実施状況の評価が後に可能になるように、あるいは成績への影響といったことが見られるように、関係する全病院で使用するリハビリテーションの実施書を提示していただきたいということです。
 3つ目は、実施届出書の35ページには、当該診療科の診療体制について記載されていますが、リハビリテーションについて、届出書の4ページに理学療法士、作業療法士の人数のみで、診療体制としての記載がありません。これは記載すべきではないかと思いました。以上です。
○山口座長 続いて田代構成員より、倫理的観点からの評価について説明をお願いいたします。
○田代構成員 倫理的観点からの評価については、既に前回ほぼ決着が付いていて、今回は前回同様、基本的には「適」というように判断いたしました。以上です。
○山口座長 続いて、手良向構成員より、試験実施計画書等の評価について説明をお願いいたします。
○手良向構成員 試験実施計画書については前回、特に統計学的な評価について議論しました。それについては問題ないということで「適」としておりますので、今回も同じように「適」といたしました。以上です。
○山口座長 松山構成員より、事前のまとめと総合評価をお願いいたします。
○松山構成員 実施体制の件並びに病院のサポート、病院からこのプロトコールに対するサポートの件並びに特にリハビリテーションでかなり脊損の患者さんの予後が変わりますので、この点を含めてかなり長い間議論させていただきましたが、どうしてもきれいな落とし所に入っていないということで、今回は「不適」とさせていただきました。これらは、各構成員のコメント欄を参考にしていただいて、もし再度申請されるのであれば、試験申請を練り直して提出していただきたいと思います。以上です。
○山口座長 御討議をお願いいたします。倫理的なことは問題ないようなのですけれども、体制にはかなり問題があるということと、科学的な根拠を、このまま外挿して試験をやってよいのかどうかという2つが大きなポイントかと思います。特にリハビリテーションの体制が、標準化とか、評価の仕組みというものがきちっとしていなくて、そういう形でこのまま試験を進めても、きちっとした答えが出ないという判断かと思いますけれども、何か御意見はありますか。中村先生、何か追加はありますか。
○中村技術専門委員 医療は、例えば投与した薬の量というのが一定で標準化されていなければ、判定はしにくいということはあります。そういう意味では、今回の投与量について、細胞数については訂正をしていただいたのですけれども、リハビリテーションの量が重要だということについては、例えばプロ野球の有名な選手がリハビリテーションを非常にインテンシブにやられて、素晴らしい回復をされたというのは皆さんもよく御存じだと思います。あの件があったからかもしれませんが、各地でリハビリテーションを土日も実施することも、全国的な広がりになっているのは御承知のとおりだと思います。すなわち、量と質がしっかり担保されるとかなり効果が違うのではないかという考え方があるのではないかと思います。
 そうすると、今回の量と質についてどのように実施する予定なのか、あるいは実施したかどうかということが後に検証されないと、効果があった人と、効果がなかった人というところに大きな影響が出る可能性があります。そこが、後での検討がサイエンスレベルでしっかりできるということが大切ではないかと思うのです。もし仮にこれが不首尾に終わっても、あるいはサブ解析で非常に効果があった人については、例えばリハビリテーションのミニマムリクワイアメントはこれだ、ということも言えるという成果にもなり得ますし、その後に続く患者さんが待っている医療について一歩先に進むことが可能になると思うのです。
 そういう観点から言うと、是非その量についてのところはしっかり明記していただいて、実施もしていただいて、検証ができるという方法を採っていただきたいというのが私の意見です。
○山口座長 他に御意見、御質問はありませんか。特に御意見もないようですので、整理番号63については、判定どおり「不適」といたします。続いて、新規申請技術の評価結果に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1(39ページ)を御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号77「重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植」です。適応症は、重症全身性硬化症。申請医療機関は九州大学病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当は田島構成員と山中構成員です。
 資料2-5(63ページ)を御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。実施責任医師の要件ですが、診療科は血液内科あるいはその相当科又は膠原病・免疫・リウマチ内科あるいはその相当科です。資格は血液専門医又はリウマチ専門医です。当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術の経験年数は要件にありません。当該技術の経験症例数も要件ではありません。その他として、九州大学病院において、当該技術に関するトレーニングを行うとなっています。
 医療機関の要件としては、診療科は血液内科かつ膠原病内科です。実施診療科の医師数は、常勤の血液専門医とリウマチ専門医それぞれ1名以上です。他診療科の医師数は、常勤の輸血部医師と皮膚科医師それぞれ1名以上です。その他医療従事者の配置は、薬剤師が必要です。病床数は400床以上、看護配置は10対1看護以上。当直体制は、内科当直が必要です。緊急手術の実施体制が必要です。院内検査は24時間実施体制が必要です。他の医療機関との連携体制は、要件は特にありません。医療機器の保守管理体制は必要です。倫理審査委員会による審査体制は、倫理審査委員会を月1回以上定期開催していることです。医療安全管理委員会の設置は要件とします。医療機関としての当該技術の実施症例数は不要です。その他として、日本血液学会認定の研修施設かつ日本リウマチ学会認定の教育施設であること。加えて造血幹細胞移植の経験が3年以上あること。以上です。
○山口座長 これらの要件について何か御意見はありますか。特にないようですので、様式9号については認めることといたします。次に伊藤構成員より、概要と実施体制の評価について説明をお願いいたします。
○伊藤構成員 タイトルは、「重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植」です。全身性硬化症という病気は、最終的に肺病変などが出てくると致死性のものになるということ。それから標準治療については、記載はあるのですけれども、これといった決まったものがない。肺病変が出たときは、対照とされたシクロフォスファミドの単剤療法が使われる、通常の免疫抑制薬だけではなく、こういうものが使われてきたと思います。
 この技術に関してのエビデンスは既にあると思われております。タブレットの文献10の5枚目をご覧いただくと、シクロフォスファマイド単剤療法に対する本治療法の有効性が示されています。このJAMAのペーパーに基づいて、最終的に先進医療としての評価がされると認識しております。
 主要評価項目は移植12か月後のスキンスコアという皮膚の所見ではありますが、それだけでなくKL-6のような様々なバイオマーカー、それから安全性、無イベント生存期間といったものを調べられるということです。
 実施体制ですが、申請施設の九州大学病院において、2002年から2012年までに既に18例の自己末梢血幹細胞移植が行われております。末梢血の幹細胞移植ですので、当然のこととして感染症のリスクがある。この18例の中の1例が敗血症性ショックを起こして、最終的にそれが引き金になって亡くなられているというところもありますので、軽症の患者さんに適応できる治療法ではないと思いますが、シクロフォスファマイドの静注療法よりも、少なくとも海外では有効な方法があるということ。
 それから、海外での方法とのもう1つの違いは、CD34の陽性細胞を純化することによって、より副作用が少なくなることが期待できることですので、医療技術としては有用なものではないかという判断をいたしました。それ以外の点については山中先生、田島先生のほうから御説明を頂ければと思います。以上です。
○山口座長 続いて田島構成員から、倫理的観点からの評価をお願いいたします。
○田島構成員 説明文書については、机上配布資料の48ページから55ページまでにある、事前の指摘に従って修正がなされ、おおむね問題点が解消したので「適」としております。ただ1つ要望事項があります。本臨床試験は16歳以上の未成年者を対象に含んでいるところ、申請者の話では、十分に同意能力を持つ未成年者を対象として、説明文書をもって同意が得られたものから同意を取ることにしているので、アセント文書を用意する必要がないという考え方でしたけれども、私はアセント文書を用意していただいたほうがよかろうと考えております。
 と申しますのは、未成年者の場合、一般的には同意能力を欠くということを前提に、代諾者の同意が前提になっております。同意能力を持つ未成年者であるかどうかの基準が必ずしも客観的に定まっていない中で、同意能力があるものという判断の下に、必ずしも分かりやすいものとは言えないこの説明文書を用いて説明がなされて、形式的に同意文書が作成されて臨床研究に入るということが危惧されるからです。要件としても、代諾者の同意を求めているのですから、必ずしもその同意能力が完全でない未成年者に対して、臨床試験が行われることに問題ないと思いますので、そういう場合に利用されるアセント文書は用意していただいたほうがいいだろうと考えております。
 次に補償内容ですけれども、これは保険加入により、適格に対応されていると考えて「適」と判断いたしました。以上です。
○山口座長 アセント文書は用意してもらわないと駄目だという結論でよろしいでしょうか。
○田島構成員 一応用意しないという申請者の判断でも、「適」とはしておりますが、用意されるべきだろうというのが私の考え方です。それは、構成員の皆様からの御意見を伺いたいと思います。
○山口座長 山中構成員から、試験実施計画書等の評価について説明をお願いいたします。
○山中構成員 試験実施計画書の審査をしました山中です。評価結果は42ページに記載しているとおり、全て「適」と判断しております。プロトコール自体、研究計画書自体は、九州大学病院のAROが全面的に支援していて、よく練られているという印象を持っております。試験自体は12例の試験なのですけれども、こちらからの要望としては、一例一例のモニタリングの体制、あとは重篤な有害事象が生じたら直ちに効果・安全性評価委員会等で議論していただく体制が必要だと思います。そこに関しても、プロトコールの中で、きちんと定義されているので大丈夫だろうとは思っております。
 一番気になったのは主要評価項目です。主要評価項目は、ロドナンという人が開発したスキンスコアの改良版を用いています。ロドナン先生が開発したスキンスコアというのは、1970年代に開発されて、皮膚の硬化の度合いを、もともとのオリジナルでは50か所以上決めて、それで各部位に0点から3点のスコアを付けて、それで足し合わせるというスコアです。50何箇所という数から見ても、非常に煩雑な方法でした。1990年代にその改良版が開発されて、それは50何箇所だったのが17か所に減りました。17か所を部位決めして、それぞれを触診という形で0点から3点のスコアを付けて、それを足し合わせるというスコアの評価の方法です。
 完全に定量的かと言われると、評価者によってぶれるところがありますので、若干、半定量的なところは否めないかと思います。このスコアを主要評価項目にしているのですけれども、2名評価者がいて、それぞれの平均値を取って、その患者さんのスコアにする、主要評価項目にするというように定義されています。もし食い違った場合に、その平均値を取るのであれば、2名ではなくて、その値を均すという意味でももう少し評価者が多いほうがいいのではないかと思いました。2名の評価者でいくにしても、このスコアの測定経験がある先生たちでないと、今回は12例しか登録しませんので、一例一例のスコアというのが全体の結果に影響を及ぼしますから、スコアの扱いに慣れた先生であるということが必要ではないかということを提案しました。
 それを受けて、申請者のほうから、膠原病内科の先生を2名、皮膚科の先生1名の計3名体制で評価を行うというように方針を変更していただきました。この3名でも多少ずれるかもしれないのですけれども、その3名の間でどれだけ結果が一致しているかという一致度は、統計学的に評価していただけるものだろうと思います。それを踏まえて3名の先生の評価の平均値で各患者さんのスコアを定義するというふうに変更していただきました。そこに関して一番気になったのですけれども、解決されました。全体としては、冒頭に申し上げたように、よく研究計画はできていると思います。以上です。
○山口座長 伊藤構成員から、事前のまとめと総合評価について説明をお願いいたします。
○伊藤構成員 田島先生のアセントの問題は除きまして、この治療法は化学療法でバンバン叩いて骨髄移植をするというのは、1995年に乳がんの試験でフラウドがあった事件を彷彿させるところもあって、本当に大丈夫かなと思っております。JAMAもそうですし、申請者である九州大学でもありましたように、感染症に対する危険は一定程度あるという状況ですので、シクロフォスファマイドの静注療法が適応になるぐらい、生命に危険がある間質性病変を伴う人に対して行ってほしいと思っております。これは適格基準からもそのように読めますので、さらに限定するということではないと思っておりますが、実施されるときに十分注意をして、事故のない先進医療技術の実施をしていただきたいと思いました。そういう状況ではありますが、全体としては「適」という評価をさせていただきました。
○山口座長 それでは御審議をお願いいたします。何か御質問あるいは御意見はありますか。
○関原構成員 大変基本的な質問ですけれども、これは難病中の難病ですし、がんでは末梢血のこれはしょっちゅうやっています。これは、他の病院でこういう治療をなぜやらないのでしょうか。これは2002年から始まって、それなりに成果が出ているということなのですけれども、他で実施はされていないのでしょうかという素朴な質問です。
○伊藤構成員 随分されていると思いますけれども、この技術そのものが確定的に良さそうだと分かったのが2014年の、2年前に出てきたJAMAの結果だろうと思います。この結果をもって、また広がっていく余地はあるのだろうと思います。それから全身性硬化症という病気そのものがそれほど頻度が高い病気ではないので、ある程度施設が集約されて実施されてきたのではないかと思います。ただ、この病気は膠原病の先生が普通は患者さんの診療をされると思いますが、造血幹細胞移植ですので、血液内科と密接な協力がない限りなかなか難しいと思っています。
○関原構成員 400床以上の普通の大病院には、必ずリウマチ・膠原病科というのはありますし、血液内科はあります。他に治療方法が余りないから、もう少し行われてよさそうな気がしたのです。
○山口座長 他にありますか。アセント文書について何か御意見はありますか。
○掛江構成員 指針で、16歳以上の方もインフォームド・コンセントという言葉を使っているというところを理由に、コンセント用説明文書だけでいいという回答なのだと思うのですが、別に指針で成人の方向けに作った文書で、16歳の高校生の方たちからもコンセントを取るようにとは言っていないので、やはり未成年者の方を含む研究であるならば、未成年者でも、特に対象としている年齢の方が十分に理解できるような、もう少しサマライズしたものを準備したほうがいいのではないかと思います。それをアセント文書と呼ぶかどうかはともかくとして、今回拝見している同意説明文書に関しては、丁寧には書かれていますけれども、非常に難しいものになっていますので、実質的にご本人にきちんと理解していただくために、ご本人の意思決定に重要な部分、身体に関わる重要な部分にまずフォーカスをした、サマライズした文書を未成年者用に準備していただく。もちろん、成人の方にもそれを使っていただいて構わないと思うのですけれども、そういう配慮を未成年を含む場合には特にしていただきたいと思いました。
○山口座長 貴重な御意見をありがとうございました。特にこの試験は死亡例も出ているので、簡単な治療ではないので、かなりしっかり理解していただく必要があると思います。16歳とか結構いろいろな人がいますし、お年寄りにも結構いろいろな人がいますので、分かりやすい文章というのは必須だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本構成員 私も、未成年だけではなくて、20歳を超えていても、例えば中卒で社会人になっておられて、もちろん社会でちゃんと働いているけれども、こういう難しい文章については理解が難しいという方もいると思うのです。確かに難しい内容の説明だけれども、日本では中卒以上で普通に社会人になれるわけなので、そういう方にも分かるように、大人に対しても、もうちょっと分かりやすい説明文章のほうが本当はいいかと思うのです。先ほどから田島先生と掛江先生がおっしゃっているように、できたら分かりやすい副読本というか、説明をせめて付けてあげる。
 今見ても、血球の回復検査というのがあって、普通は血球の回復検査と言われても素人は分からないと思うのです。白血球の数が増えてきたかどうかを確認しますとか、そういう言い回しについても何と言うか、見た目は確かにフォントが軟らかくてふりがなが多いと思うのですが、これは我々もそうですけれども、ちょっと内容的にはこれでは普通の成人でもなかなか理解は難しいかと思います。
○山口座長 皆さんの御意見は大体一致しているようですので、この点は条件として付けたいと思います。
○田代構成員 結論は同じなのですけれども、これをどういう文書として位置づけて作成して頂くのか、という判断があると思います。アセント文書という名前にするのか、それとも説明補助資料と位置づけるのか。一般的にこの手の自己造血幹細胞移植の臨床試験は説明が複雑になるので、海外でも長文化しやすいものです。そのため、成人でも理解しにくいところがあり、この場合は特に16歳から19歳が含まれているので、より分かりやすい簡潔な説明補助資料を付けてください、というお願いをするのか、それとも16歳から19歳までの未成年用のアセント文書としてお願いするのかというところは判断の分かれ道があるかと思います。私としては、説明補助資料という位置付けのほうがすっきりするのかなと思います。
○山口座長 田島先生いかがですか。
○田島構成員 説明補助資料という形で全く問題はないと思います。できればこの説明文書全体をもっと分かりやすいものにブラッシュアップしていただきたいという要望を出したいところだったのですけれども、それも時間の問題もありますし、申しかねておりましたので、そのようにしていただければ一番良いと思います。
○山口座長 補助資料としてお願いするというか、そういう条件付きでということかと思います。確かに文章がいろいろやたらと長くなってしまったりするとかえって分からなくなってしまいます。
 もう1つの点ですけれども、伊藤先生のほうから、シクロフォスファミド療法が適応となるような間質性肺病変を伴う全身性硬化症に限定したほうがよいのではないかと。今の計画の中では、このままいけばそういう具合に限定されるのではないかとおっしゃっていましたけれども、それでよろしいですか、あるいは改めてコンファームしておいたほうがよろしいですか。
○伊藤構成員 この大学では多分大丈夫なのだろうと思っています。他の施設に広がるときに大丈夫かという懸念を持っておりました。ただ、伺う限りにおいて当面他の施設で実施するという話ではなかったので、九州大学だけでやるのであれば、このままでもいいのかと考えて、こういう総評にしております。
○山口座長 今のような御意見をお伝えするということでよろしいでしょうか。
○伊藤構成員 はい。
○山口座長 他に何かありますか。
○藤原構成員 ロードマップを見ていたのですけれども、PMDAの事前面談を受けた後で、こういうロードマップを多分書かれたのだと思います。ただ、シクロフォスファマイドの最終的なアウトプットは公知申請で、これは移植前治療をやりますというようなところを申請すると書いてあります。本当にこの領域で公知申請してくれる企業があるのかというのが1つ不安なところです。
 CliniMACSで、これはCD34のセレクションをしているのは、普通の造血幹細胞移植でもやっているので、その適応追加をやってくれるというのは理解できるのですけれども、それだったら直接的に治験をやったほうが早いのではないかと思うのです。なぜわざわざ1段階先進医療を入れなければいけないのかというのが分からなかったのです。PMDAの事前面談の結果等が分かれば教えていただきたいのです。
○山口座長 分かりますか。調べてもらっている間に、他に何か御意見はありますか。これは治験をやるとしても、相当難しいのではないですか。
○藤原構成員 サンプルサイズは小さいし、難治なので、先進医療というステップをわざわざ踏まなくても、さっさと治験をやったほうが。これは九州大学の一内だと移植はしっかりしているので間違いのない組織ですから、何か1ステップ余分のような気がするのです。これは承認の可否ではなくて、進んだ後にちゃんとロードマップが実現可能になるかどうかを検討してくださいというのを付記しておいていただければいいのではないですか。
○山口座長 他に何かありますか。
○山本構成員 PMDAの薬事戦略相談の事前面談の用紙だけは付いていますけれども、タブレットの中で11の1、2、3とあって、11の3の事前面談の用紙を見ると、こちらで使うCliniMACSで分離したCD34陽性細胞そのものは、再生医療製品に当たらないと。これは医療機器なのでということです。だから、シクロフォスファマイドのほうは公知申請が難しいけれども、海外使用実績などの条件があれば可能という質問事項3がありますが、そういうことですか。ただ、これは事前面談までで、本相談に行っていないような感じなのです。恐らくPMDAも議事録を作るところまでは進んでいないのではないかと思います。
○山口座長 そこは念を押して。
○藤原構成員 事前面談はただのメモなのです。ですから、もうちょっと詰めて、早く承認に持っていってということをお願いしていただければと思います。
○山口座長 分かりました。藤原先生のも付記するということでよろしいでしょうか。他にはありませんか。整理番号77については「適」ということですけれども、分かりやすい説明文書を付けるということと、それから適応がちゃんと絞られているということを注意してやってくださいということを伝えるということ。それから、ロードマップの中で公知申請に至る道筋というのは、今後きちっとやってくださいというようなことを付記するということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。整理番号77については、「条件付き適」ということにいたします。続いて試験実施計画の変更に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療Bの試験実施計画の変更について1件の申請がありました。資料3(65ページ)を御覧ください。東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号62「切除支援のための気管支鏡下肺マッピング法」です。本試験は、肺の悪性腫瘍が疑われる微小病変に対し、気管支鏡下に色素注入によるマーキングを行って、これをガイドとして肺切除を行うという単群試験となっております。予定症例数は約160症例、210病変。今回の申請時点で登録は107例となっております。
 御審議いただく変更内容は、実施期間の2か月間の延長です。本変更の経緯ですが、症例集積のペースは順調ですが、試験開始が2か月遅れたため、目標症例数を達成するために2か月延長するというものです。以上です。
○山口座長 本変更内容について御意見はありますか。スタートが2か月遅れたので、2か月延ばしてほしいという要望です。特にないようですので、告示番号62の変更については認めることといたします。次に、協力医療機関の追加に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1(67ページ)を御覧ください。これまでに大臣告示されている2つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料4-2(69~71ページ)を御覧ください。事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○山口座長 ないようですので、手続を進めてください。次に、先進医療Bの取下げについて事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5(73ページ)を御覧ください。大臣告示されている2つの技術について、先進医療Bの取下申請がありました。取下理由はいずれも試験期間終了による予定どおりの取下げとなっております。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○山口座長 よろしいでしょうか。これは特に問題なさそうですけれども、何かありますか。
○真田構成員 私も、取り下げられることには全く問題はないのですが、取り下げ理由の所に2つとも試験期間が終了、満了したためと記載があります。やはり走っている途中の先進医療で大きな問題になるのは、症例の集積状況と、それが計画どおり満了したかどうかということ、つまり登録症例数です。そういうことで、試験期間が終了して取り下げられる技術にあっては、当初の計画のうちどれほどの症例が入り、あるいは満了されたのか否かということも併せて教えていただければ今後参考になるのではないかと思います。
○山口座長 ごもっともな意見だと思います。この2つの試験についてはいかがですか。
○医政局研究開発振興課専門官 全て予定どおり集まって終了しているということです。
○山口座長 是非それも書いておいたほうが、我々としても判断しやすいです。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。
○山口座長 半分ぐらいしか行かなくて終わったのとではえらい違いだと思います。貴重な御意見をありがとうございました。他にありますか。
○柴田構成員 今の件について追加のコメントです。以前、この部会ではなくて、先進医療会議だったかもしれないのですが、既に予定どおり試験が終了して取り下げられたもの、もうやめますではなくて、試験が終了して取り下げられたもので、まだ総括報告書が提出に至っていないものについては、そういう医療技術のリストを作成して公開するという話を以前に本省の方から、先進医療の会議の場でお伺いしていました。そういうものというのは、現状で作る予定はなくなったということでしょうか。つまり、試験の登録が終わりました、いつ頃には結果が出る予定です、総括報告書は後々出てきますなど、制度上は分かっているのですが、今は全く全部水面下に潜ってしまっていて、貴重な情報がいつ出るか分からないと、こういう医療技術が良いのか悪いのかという判断に迷っておられる先生方にとってもデメリットが生ずるかと考えております。
○医政局研究開発振興課長 それについては次回まとめて出させていただきます。
○山口座長 次回よろしくお願いいたします。他にないようでしたら、本日の議題は以上ですけれども、構成員の皆様から何かありますか。ないようでしたら、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回は5月18日(木)の16時から18時までとさせていただきます。場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 これで第56回先進医療技術審査部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 先進医療技術審査部会> 第56回先進医療技術審査部会(2017年4月17日)

ページの先頭へ戻る