ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第127回議事録(2017年2月22日)




2017年2月22日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第127回議事録

○日時

平成29年2月22日(水)11:50~12:31


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

西村万里子部会長 野口晴子部会長代理 田辺国昭委員 印南一路委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
中川俊男委員 松原謙二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 吉村恭彰専門委員 上出厚志専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 薬価制度の抜本改革について

○議事

○西村部会長

 ただいまより、第127回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は全員が御出席です。

 では議事に入らせていただきます。

 今回は「薬価制度の抜本改革について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

 中山薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 御説明します。

 はじめに、最後についています薬-1参考2という横の資料をごらんいただければと思います。

 今年に入りまして薬価制度抜本改革の個別の検討項目について議論いたしております。

 1の効能追加等に伴う市場拡大への対応を行いまして、その次に3に飛びますが、外国平均価格調整のあり方を議論いたしました。

 さらに前回は4の前半部分の中間年の薬価調査について議論したということになっております。今回は残りましたテーマの中で、類似薬効比較方式の部分についての議論をさせていただきたいと思っております。

 最初の資料の薬-1に戻っていただきまして、まず背景でございます。

 類似薬効比較方式につきましては、類似薬効比較方式(I)と(II)がありますが、まず(I)につきましては、効能及び効果、薬理作用などから類似性が最も高いものを比較薬として1日薬価が同一となるように算定ということでございます。また、新規性に乏しい新薬につきましては、類似薬効比較方式(II)を適用いたしまして、過去数年間の類似薬の薬価と比較して最も低い価格と1日薬価が同一となるように薬価を算定しているということでございます。

 こうした中で、これまでの議論の中でも化学合成品である新規収載品の比較薬が抗体医薬品となる場合があって、抗体医薬品は一般的にということですけれども、化学合成品に比べて高価であることから、このような算定は不適切ではないかという御意見もあります。

 4つ目の○ですけれども、透明性の部分につきまして、薬価の算定・収載につきましては、平成9年以前は厚生労働省事務局が薬価算定・収載を行った上で事後的に算定薬価のみを中医協に報告という状況でございましたが、それ以降、平成9年6月には、新薬算定根拠の一部でありますけれども、比較薬とか算定方式などを公開するようにしたとか、さらには平成1210月には薬価算定組織を設置して、算定結果については中医協の承認を得た上で薬価収載するようにしたこと、さらには、その後も新薬算定の根拠として最類似薬選定の妥当性、補正加算の理由、市場規模などについて順次公開してきたというところで薬価算定の透明性の向上を図ってきた状況でございます。

 薬価算定透明性のさらなる向上のためということで、どのような対応をすべきかを検討する必要があることになります。

 2ページ目につきましては、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針や中医協において示された課題においても薬価算定方式の正確性・透明性といった点は指摘されていることを挙げております。

 3の現行制度でございます。

 類似薬効比較方式(I)につきましては、先ほど申し上げたところを除きますと、2の比較薬のところで類似薬とはということで(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の4つの事項から見て類似性があると認められるものを類似薬としております。それぞれ効能及び効果、薬理作用、組成及び化学構造式、投与形態、剤形区分、剤形及び用法ということで、その4点から見て類似性を判断しているということであります。その中でも、最類似薬につきましては、汎用規格の類似薬のうち類似薬を定める際に勘案する事項、つまり(イ)(ロ)(ハ)(ニ)ですけれども、そこから総合的に判断してということで類似性が高いものを最類似薬としております。

 ただし、複数の類似薬を組み合わせた場合が最も類似性が高いと認められるときは当該類似薬の組み合わせを最類似薬とするとしているということであります。類似薬効比較方式(I)における比較薬は最類似薬とするということです。

 3ページ目に行っていただきますが、類似薬効比較方式(II)についてということで、先ほど述べたところを省略しますと、新規性に乏しい新薬では2つの条件がございます。補正加算の対象外であること、さらには薬理作用類似薬が3つ以上存在することであります。

 (3)の薬価算定の透明性についてです。

 薬価算定については、薬価算定組織を設置しまして、そこで類似薬の妥当性などについて専門的な検討を行った上で類似薬選定の妥当性とか補正加算の理由、不服の有無とか内容、それに対する見解といった内容を公開しまして、中医協で承認を得た上で薬価収載することとしております。

 なお、補正加算については、公開した基準によるポイント制により定量的に算出した加算率を参考に決定ということとしております。また、類似薬効比較方式に係る類似薬選定の透明化を図るために類似薬選定のための薬剤分類を策定し、順次改定し公開しているということでございます。

 4の今後の検討課題です。

 類似薬効比較方式について、まずどう考えていくかであります。特に化学合成品や抗体医薬品など製造コストの異なる医薬品が存在する中、比較薬の選定の考え方についてどう考えるかです。

 さらに、外国平均価格調整でも課題として挙げさせていただきましたけれども、類似薬効比較方式(I)については、市場での公正な競争を確保する観点から、同じ効能効果を持つ類似薬の1日薬価を合わせている中、外国平均価格調整による価格調整についてどう考えるかであります。

 なお、加算ルールの部分もあるのですけれども、これについては別途イノベーションの評価の議論を行う際に総合的、俯瞰的に見て議論を行いたいと考えているということでございます。

 次に参考資料の説明をさせていただきますが、中医協薬-1参考1をごらんください。類似薬効比較方式(I)につきましては、基本的に1日薬価を合わせる形での算定を行うこと、さらには各種加算がありますということがまとめられています。

 3コマ目につきましても、これまで述べたことを除きますと、類似薬効比較方式(II)につきましては、原則としてということで過去10年間に収載された類似薬の1日薬価の平均価格か2の過去6年間に収載された類似薬の最も安い1日薬価のいずれか低い額とすることとしていることをつけ加えさせていただきます。

 さらに組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定で、既に成分が同じで投与形態も同じということで、既にそういった既収載品がある場合にまた別の効能効果を持つものが出てきたという場合に、類似薬と合わせることによって既収載品と薬価が非常に異なる場合があったことを踏まえまして、実際は新しく薬価収載すべきものについてはまず原価で計算してみる。それと類似薬効比較方式で計算した場合と比べてみて低い額を薬価とするルールもつけ加わっているということであります。

 次の5ページ目につきましては、これまでも議論があったということですけれども、ソバルディに関しての薬価算定の資料をおつけしております。このときは、比較薬の部分が、1~3の3種類の薬剤の全体でかかる部分につきまして、下の矢印の先の四角囲みになっている部分は当時の資料につけ加えて説明した部分ですけれども、比較薬の1治療期間薬価ということで一通り1~3の薬剤にかかる費用を出しまして、そこから比較薬の※3にあるようにソバルディがリバビリンも併用するということで、その部分を差し引きまして、これがソバルディの12週間投与分ということでその額を割った価格をベースとして薬価を出しましたということです。さらに画期性加算や外国平均価格調整がかかりまして、最終的には61,799.3円という薬価となったということですが、これについては皆様御承知のとおり特例の再算定を受けて現在は薬価が下がっている状況でございます。

 次の6ページにつきましては、薬剤の構造式ですとか画期性加算の理由についてまとめられているということかと思います。

 7ページにつきましては、ハーボニー配合錠であります。これにつきましては比較薬をダクルインザとソバルディを合わせる形をとっております。当時の薬価算定のルールでは、ダクルインザにつきましては24週間投与でハーボニーが12週間投与なので、24週間分でかかる薬価を12週間に戻す形で、ダクルインザの1日薬価を2倍した形で、足し合わせる形で薬価を算定するということで、中医協でもその点に関してはいろいろ御議論があったということでございます。その後の昨年の平成28年薬価制度改革におきましては、そうしたダクルインザとソバルディという形で臨床上併用されない2剤についてはそのままの1日薬価を12週間分ということで足し合わせるルールに現状としては変更になっているということになろうかと思います。

 次に9コマ目をごらんいただきます。

 化学合成品と抗体医薬品を1日薬価合わせすることで算定した例ということで、化学合成品の比較薬を抗体医薬品とした場合が左の2つです。右の2つが抗体医薬品の比較薬を化学合成品とした例で、一応、直近の2例ずつということで参考までにお示しさせていただいております。

10コマ目と11コマ目が類似薬効比較方式の経緯で、補正加算についてはイノベーションの評価という観点から画期性加算についても高く評価できる形で変遷があるということなどがあります。あとは、算定方式についても毎回の薬価制度改革の部分で細かいルール改正が行われてきた経緯がまとめられています。

 先ほど述べました11コマ目の右の欄の算定方式の最後に臨床上併用されない単剤を組み合わせて比較薬とする配合剤の特例が書いてありますけれども、これはハーボニーの件で対応したルール変更の部分であります。

12コマ目の新薬品の薬価算定プロセスにつきましては、このように第1回の薬価算定組織、不服があった場合には、第2回薬価算定組織を経た上で中医協に算定案の報告を行い、了承を得た上で薬価収載を年4回実施しているということで、右にあるように期間は原則60日以内、遅くても90日以内でやる形で進めているということであります。

 最後に13コマ目ですが、薬価算定の透明化の経緯で、平成9年6月に新薬算定の根拠を公開するようになりましたということで、右の備考欄にありますように当時の公開項目としては幾つかありますけれども、算定方式とか比較薬、補正加算区分などについて公開したということであります。

 その後、平成9年6月以降、現在ではこれに加えて以下の項目等を順次公開しているということで、市場規模予測とか薬価算定組織による検討結果、類似薬の妥当性とか不服の有無とかその内容、それに対する見解といったものも公開するようにしてきたということであります。

 あとは、平成12年3月には薬価算定ルールを文書により明確化することといたしました。以降、薬価改定ごとに改定しております。平成1210月には薬価算定組織を設置しておりまして、専門的な検討を行うこととしたということで、不服があった場合には第2回の薬価算定組織で企業が不服意見を陳述する機会を設けております。右の備考欄に行っていただきますと、平成18年薬価制度改革におきましては、第1回目の薬価算定組織においても補正加算を希望する企業が直接意見を陳述する機会を設けるとか平成20年においては補正加算の希望がない場合でも企業が希望する場合には比較薬の選定などに係る意見陳述を認めることとしたという経緯がございます。

 最後に平成1310月には薬剤分類表の作成を行いまして、右の備考欄にありますとおり、現在は、毎年、新規収載等を踏まえて更新・公開をしているということで、こうした点で透明性の向上に努めてきた経緯がございます。

 資料の説明は以上です。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して御質問等がありましたらお願いします。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 薬-1参考1の5ページと書いてあるもののソバルディの比較薬に1、2、3とあります。それの2のペグイントロン皮下注とあります。これが生物由来製品なのですね。これが入っているために化学合成品であるソバルディの薬価が高くなったのだと理解しているのですが、それでよろしいですか。

○西村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 算定については、ここで数式も示させていただいておりますとおりでありまして、下の比較薬の1治療期間の薬価という観点で言えば、1、2、3それぞれ1治療期間の薬価がありますので、必ずしも2だけが高いからという形ではなかったかと思いますが、それなりに高い価格であったことは事実かと思います。最終的には補正加算とか外国平均価格調整という部分で薬価が引き上げられた形になったところも影響しているかと思います。

○西村部会長

 続けてどうぞ。

○中川委員

 そうすると1の1治療期間薬価は108万円ですか。一番高くなっていますね。1は化学合成品ですね。

○西村部会長

 薬剤管理官。

○中山薬剤管理官

 そうです。

○中川委員

 こんなに高いのでしょうか。

○西村部会長

 説明をお願いします。

○中山薬剤管理官

 いろいろと薬価の算定におきましては、まず原価計算から始まった場合に非常に対象患者が少ないということで薬価が高めに出る計算がされる場合もありますし、どういった形で比較薬をとったかによって、たんぱく質であっても化学物質であっても薬価にはさまざまな場合があることが言えるのではないかと思います。

○中川委員

 追加はないですか。

○西村部会長

 まだ説明がありますか。中川委員。

○中川委員

 7ページですが、そうやってついたソバルディがハーボニーの比較薬になっているわけです。そうするとソバルディとダクルインザの併用が比較薬になるわけですけれども、こういうふうにソバルディの高額な薬価がついたためにハーボニーもこうなってしまうわけです。そうなると、対象患者と今おっしゃったけれども、この薬価基準収載の時点で対象患者は非常に多いものになっていますね。そうすると、こういう方式は限界が見えているのではないですか。比較薬だからということで高額な薬価がこういうふうについていく。管理官の説明では必ずしもとおっしゃるけれども、そうすると今まで生物由来製品はコストがかかって化学合成品は余りかからないというニュアンスはこれだとなくなりますね。先ほどお聞きした5ページの1のテラビック錠がどうしてこんなに高いのかは説明できますか。

○西村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 先ほど一般論として患者数の話で申し上げましたけれども、今回のテラビックの場合は、そういった観点よりは当時の比較薬としたリバビリンなのですけれども、これに比べて有用性加算という意味で高く評価されて、それまでよりも薬価が高くなったところがあることは言えるかと思います。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 有用性加算がある比較薬があって、それを比較薬にして次の化成品の薬価を決めるのが問題ではないですか。有用性加算を次の新薬に持ち越すことになりますね。新薬創出加算もそうだと思うのです。新薬創出加算の対象薬価の薬が比較薬になっている場合に次の新薬にもそれを持ち越すわけですね。スライドして持ってくるわけですね。それ自体を抜本的に見直す必要がありませんか。

○西村部会長

 薬剤管理官。

○中山薬剤管理官

 一つのといいますか、医薬品の価値として有用性加算をつけて算定された医薬品がそれと同等ないしは同等以上と考えられる薬剤が出てきた場合に、その薬価を合わせることについては一定の合理性はあると考えています。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 問題ないということですか。画期性加算は最初の医薬品に与えられるもので、それと同じだからと言って、それもスライドしてくるのは変な話ではないですか。非常に違和感があるのです。

○西村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 ちょっと繰り返しになってしまって申し訳ないのですけれども、基本的には医薬品の価値として評価したものとその後出てくるものが同等であれば、それに見合った価格とそろえることになると思いますし、もしそこが加算する前の薬剤と類似性が高いと評価されるならば、後から出てきたものは当然低いほうを比較薬として評価されることになるかと思いますし、そういったことかと考えます。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 ちょっとお答えがすっきりしないのです。例えばダクルインザとソバルディ、ハーボニーの薬価を算定するときに、先ほどの薬-1の資料の3ページの類似薬効比較方式(II)の薬理作用類似薬が3つ以上存在というところに引っかかりませんか。それ以前のC型肝炎治療剤はまだほかにもありますね。ダクルインザが出てきたときに幾つか出ていますね。そうすると3つ以上存在に引っかかりませんか。

○西村部会長

 今わかりますか。3ページの(2)の2つ目の○です。薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 C型肝炎治療薬は種々ありますけれども、作用機序で見た際にウイルスの複製に関与するたんぱく質を阻害する作用で幾つかございますけれども、ちょっと細かいですけれども、その中のNS5Aを阻害するC型肝炎治療薬を含む治療法が、それまでについてはスンベプラとダクルインザの併用療法1つだったことから、ハーボニーのときは類似薬効比較方式(I)を採用したことになろうかと思います。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 併用した場合にはダクルインザとスンベプラと併用するのだから、それは1つの薬と考えるのですか。

○西村部会長

 薬剤管理官。

○中山薬剤管理官

 1つの治療薬と同等とみなすことになるかと思います。

○中川委員

 ハーボニーの薬価算定の時点では薬理作用類似薬が2つしかないと考えたのですね。

○西村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 はい。繰り返しになりますけれども、NS5Aを阻害する作用機序によるC型肝炎治療薬については2番目だったということで算定しております。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 これまではそうなのでしょうけれども、それを見直す意思はありますか。こういう類似薬効比較方式の比較薬をこういうふうに扱っていくと、このままでは高いままです。抜本的な見直しにはならないと思います。

○西村部会長

 今の3剤でしょうか。薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 基本的には全く作用機序が同一であるものが複数出てきた場合には、先ほども申し上げた類似薬効比較方式(II)という形の考え方でやることは考え得ると思いますけれども、ちょっとこの後にC型肝炎治療薬についても作用機序について異なるものがいろいろ出てきますので、それぞれの個別の状況において判断しながら薬価算定していくことになろうかと思います。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 ハーボニーの薬価算定の時点で類似薬効比較方式(II)にすべきだったとは思いませんが、専門委員にちょっとお聞きしたいのですが、化学合成品のコストと生物由来製品のコストは、生物由来製品のコストが非常に高いのだからしようがないのだという一定の理解を私はしてきたわけですけれども、出された9番目の資料を見ると、そうでもないという資料も出ているわけです。一体これはどう理解したらいいのでしょうか。教えてください。

○西村部会長

 加茂谷専門委員、お願いします。

○加茂谷専門委員

 今の中川委員の御質問に対して回答になるかどうかはわかりませんが、類似薬効比較方式の原則、即ち、新薬の薬価を市場で置きかわる品目の1日薬価に合わせること、さらに新薬の医療上の位置づけや有用性等の評価に基づいて加算適用の有無等を判断するというスキームにつきまして、現行の類似薬効比較方式は理にかなっている方式であると認識しております。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 専門委員の立場としてのお答えはわかりました。

○西村部会長

 よろしいですか。

 ほかにございますか。幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 資料薬-1の3ページにある、外国平均価格調整の適用についてですが、類似薬効比較方式(I)で薬価が算定された場合は、これを適用する必要はないという趣旨でしょうか。

○西村部会長

 この内容について、薬剤管理官。

○中山薬剤管理官

 そういった点についていろいろと御意見があると認識しておりますので、そこで皆様方の御意見をお聞きしながら考えていきたいという状況です。

○西村部会長

 吉森委員、どうぞ。

○吉森委員

 そうすると、今の類似薬効(I)で、そもそも1日薬価で合わせている国内の価格に対し、わざわざ外国平均価格調整を入れてきた歴史的背景を、おわかりになれば教えていただきたい。

○西村部会長

 導入の理由についてお願いします。

○中山薬剤管理官

 あくまで算定方式に限らずということで、外国価格との価格差を埋める趣旨だと思いますけれども、その際に平均価格を類似薬効比較方式で合わせたものとどう整理したかについては、ちょっと今そのときの状況はわかりませんので、次回この議論をさせていただくときにはお示ししたいと思います。

○西村部会長

 今のは、宿題として調べていただくということですね。

 続けて、幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 私は類似薬効比較方式(I)で薬価が算定された場合でも、外国平均価格調整を適用することは妥当だと思います。薬価を決めるには2つぐらいの物差しは必要です。あくまで医薬品は流通価格で競争していくわけですから、外国平均価格調整を適用したことによって公正な競争が阻害されるとは思っておりません。

○西村部会長

 御意見でした。今のことに関連して、加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 外国平均価格調整につきましては、今後、委員の御議論を待ちたいと思っておりますけれども、前回の当部会でも申し上げましたように、この調整ルールは算定薬価と欧米主要国との価格との間で著しい乖離が生じた場合の補正と認識しております。外国価格をもって算定するということではないわけでますので、適用範囲がある程度限定的になるルールの検討もお願いしたいと思います。

 具体的には、薬理作用類似薬がある場合にそれとの比較で薬価を算定しつつ、外国価格との関係によって類似薬とかなりの価格差が発生することについては、私自身、その妥当性は低いのではないかと認識しております。意見でございます。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 加茂谷専門委員、今のお話だとそうすると、そうおっしゃる意味では外国価格参照価格からアメリカのリストプライスを外すのは理にかなっています。どうですか。

○西村部会長

 加茂谷専門委員。

○加茂谷専門委員

 外国価格調整の参照国からアメリカを外すべきかどうかについては、また御議論いただければと思いますが、今の話は外国価格からアメリカを外せという趣旨ではありません。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 この点に関して製薬協の皆さんは急に歯切れが非常に悪くなるのです。いろいろなほかの要素もあるかもしれませんが、今の加茂谷専門委員がおっしゃったリストプライスを参照価格に入れることとは矛盾しています。

 それから先ほどの幸野委員の発言ですが、今の薬価制度の見直しを議論しているのは国民医療費の伸びの大半が薬剤料だということから出発しているのです。市場で競争してという話ではないのです。公的医療保険制度下の国民皆保険のもとで薬剤費をいかに適正に抑えるべきかという議論をしているので、平等な競争をしていただくことではないのです。違いますか。

○西村部会長

 今の中川委員の御意見に対して、幸野委員、ございましたら。

○幸野委員

 先ほどの私の発言の趣旨は、資料に、市場での公正な競争を確保する観点から、類似薬と1日薬価を合わせる中、さらに外国平均価格調整による価格の調整についてどう考えるかと書いてあることについて、外国平均価格調整を適用しても公正な競争を阻害することにはならないのではないかということです。

○西村部会長

 中川委員。

○中川委員

 幸野委員にお聞きしますけれども、参照価格からアメリカのリストプライスを外すのはどう思いますか。

○西村部会長

 幸野委員。

○幸野委員

 アメリカと日本では医療保険制度が異なるので、中川委員の御意見に賛成でございます。

○中川委員

 ありがとうございます。

○幸野委員

 ただ、アメリカの政権も変わったので、医薬品の流通に弊害がないかなども検証した上で、判断する必要があると思います。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 中川委員。

○中川委員

 そうなると、もちろん2国間協議になってくるだろうということは誰もが予想するわけですけれども、そういう要素を考えて議論し出すと、薬価制度の抜本的な見直しの議論は全く違う方向に行ってしまうのです。前回も申し上げたように、2011年2月の日米経済調和対話のあのレベルの議論に戻る可能性があるわけですから、それを全部考えたら、例えば市場拡大再算定は廃止とまで言っているわけです。メーカーの最も成功した製品を下げるなどはけしからんという論調なのです。そういうものを考慮しながら議論することではないと思いますけれども、違いますか。

○西村部会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 アメリカを参照国から除外することに反対しているわけではなく、除外するのであれば、それによる弊害がないことを確認した上で、判断する必要があるという趣旨で、申し上げました。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 アメリカのリストプライスを外すことでかえって強硬な何か圧力が来る心配があるから慎重にしましょうという意味ですか。御意見はわかりました。

○西村部会長

 加茂谷専門委員。

○加茂谷専門委員

 今の御議論に割って入るつもりはございませんけれども、確かに今のAWP、アメリカのリスト価格をそのまま参照することについては私自身も問題があると認識しております。実際にアメリカで取引されている価格の代表値としてきちんとしたものがあるかどうかにつきましては、我々も検討したいと思っておりますので、今この場ですぐにアメリカの価格を外すべきという結論を導き出すことについては、慎重にお願いしたいと思っております。

 専門委員の立場でいいますと、アメリカは世界最大の新薬の開発国であることは紛れもない事実であります。そしてまた、世界最大の医薬品マーケットを有している国でもあります。そういった観点から、新薬の薬価算定において米国価格を全く無視するような取り扱いが妥当なのかどうかにつきましては、慎重な御検討をお願いしたいと思います。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 無視するとは言っていないのです。外国平均価格調整の参照価格から外しましょうと言っているのです。無視などできるわけはないのです。

 これは報道レベルの話ですけれども、製薬業界等とトランプ大統領がお話し合いになって、アメリカでは安い薬価で外国では高い薬価でなどという報道もされていますから、そういうことも加味すると、スピード感を持って我々は議論しなければいけないと思っているわけです。その上で申し上げているのです。

○西村部会長

 御意見ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 ありがとうございました。

 本日いただきました御指摘、いろいろ出されましたので、本件について、引き続き議論を行いたいと思います。

 本日の予定された議題は以上です。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 また、先ほど御挨拶させていただきましたけれども、薬価部会の部会長も6年間務めさせていただきました。その都度の課題と想定しなかった課題も出ておりまして、さまざまな検討をしていったと思います。抜本改革が本格化する時期に当たっておりますので、節目になるような検討の時期にあるのではないかと思います。今後の検討を外から見させていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

 では、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第127回議事録(2017年2月22日)

ページの先頭へ戻る