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2017年4月20日 医療従事者の需給に関する検討会(第4回)
医政局医事課
○日時
平成29年4月20日(木) 12:30~14:30
○場所
経済産業省別館3階 312室
○出席者
今村 聡 (日本医師会副会長) |
荻原 喜茂 (日本作業療法士協会副会長) |
片峰 茂 (長崎大学学長) |
勝又 浜子 (日本看護協会常任理事) |
加納 繁照 (日本医療法人協会会長) |
釜萢 敏 (日本医師会常任理事) |
神野 正博 (全日本病院協会副会長) |
堺 常雄 (日本病院会会長) |
高砂 裕子 (全国訪問看護事業協会常務理事) |
鶴田 憲一 (全国衛生部長会長(静岡県理事)) |
西澤 寛俊 (全日本病院協会会長) |
羽鳥 裕 (日本医師会常任理事) |
林 修一郎 (奈良県医療政策部長(荒井正吾 奈良県知事代理)) |
半田 一登 (日本理学療法士協会会長) |
平川 淳一 (日本精神科病院協会常務理事) |
福井 次矢 (聖路加国際大学学長) |
邉見 公雄 (全国自治体病院協議会会長) |
本田 麻由美 (読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局次長) |
水間 正澄 (昭和大学医学部名誉教授) |
森田 朗 (津田塾大学総合政策学部教授) |
山口 育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長) |
※ 医師需給分科会構成員を含む。 |
○議題
1.新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書及び医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査について
2.医師偏在対策の今後の検討の進め方について
○議事
○堀岡医事課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「医療従事者の需給に関する検討会」、第9回「医師需給分科会」の合同会議を開催いたします。
構成員の先生方におかれましては、本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、本日の御出欠について御連絡させていただきます。
北村構成員、春山構成員、小川構成員、尾形構成員、権丈構成員、野口構成員、伏見構成員、松田構成員、松原構成員、新井構成員、山崎構成員、平川構成員から、所用により御欠席との御連絡をいただいております。また、片峰構成員から若干おくれるという御連絡をいただいております。
次に、構成員の交代について御報告させていただきます。
医師需給分科会の一戸構成員にかわりまして、全国衛生部長会会長の鶴田憲一構成員に御就任いただいております。
○鶴田構成員 よろしくお願いします。
○堀岡医事課長補佐 また、前回の検討会以降、事務局におきまして異動がございましたので、御報告させていただきます。島田看護課長でございます。
○島田看護課長 島田でございます。よろしくお願いいたします。
○堀岡医事課長補佐 文部科学省の森医学教育課長でございます。
○森医学教育課長 森でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○堀岡医事課長補佐 次に、資料の確認をいたします。
まず、名簿がございまして、資料1、資料2、資料3、資料4という形で、資料3は1枚でございますけれども、つけさせていただいております。不足している資料、乱丁・落丁などがございましたら、事務局にお申しつけください。
ここで、カメラは退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○堀岡医事課長補佐 以降の議事運営におきましては、座長にお願いいたします。
では、森田座長、よろしくお願いいたします。
○森田座長 皆様、こんにちは。お久しぶりでございます。
では、早速ですが、議事を進めてまいりたいと思います。
議題1「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書及び医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査について」について御審議いただきたいと思います。
前回「医師需給分科会」が開催されてから約半年経過しております。その間の経緯につきまして、資料1、資料2に関しての説明とあわせて、事務局からお願いしたいと思います。
それでは、事務局は説明をお願いいたします。
○武井医事課長 それでは、事務局のほうから、まず経緯説明について行いたいと思います。医事課長の武井でございます。
まず本検討会でございますけれども、医療従事者の需給の見通しや確保対策等について御検討いただくために、平成27年12月より開催しております。特に「医師需給分科会」に関しましては、医師の偏在対策について検討を進めていただいておりました。
その後、昨年6月に取りまとめた医師需給分科会中間取りまとめにおいて、医師の働き方、勤務状況等の現状を正しく把握するために新たな全国調査を行い、地域医療構想やあるべき医療の姿を踏まえ「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン」を策定し、その上で必要な医師数を検討するとされたことから、医師・看護師等の働き方、確保のあり方について検討するために、昨年10月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」を立ち上げ、今月、報告書を取りまとめていただきました。
また、塩崎大臣からも、医師の需給を予測するに当たって、患者の立場や医療従事者の働き方に対する骨太の基本哲学をもって医師の需給を予測する必要があることから、医療従事者、患者、住民が将来、展望を持てる新たなビジョンを策定するべきであるとの御発言があったところです。「医療従事者の需給に関する検討会」及び各分化会においては、当初は昨年内の取りまとめを目指しておりましたが、ビジョン検討会を開催している間、検討が中断してしまい、構成員の皆様に多大な御迷惑をおかけしましたことを、事務局としておわび申し上げます。
構成員の皆様におかれましては、それぞれの御専門の立場から、医療従事者の需給の見通しや確保等について、引き続き忌憚のない御意見を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○久米地域医療計画課長補佐 続きまして「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書につきまして御説明をさせていただきます。
資料1をごらんください。こちらは4月6日にビジョン検討会で取りまとめられたものでございます。
中の目次を見ていただきますと、「1.新たなビジョンの必要性」から「4.新たなパラダイムと実現すべきビジョン」までは、なぜこういうビジョンが必要かということについて書かれておりまして、その後「5.ビジョンの方向性と具体的方策」の中ではそのビジョンを達成するための対策について書かれています。具体的に実現していくためにどうしていくのかを「6.提言の実現に向けて」では、これらを実現するための工程について書かれているという構成になってございます。
では、次の1ページをお開きください。「1.新たなビジョンの必要性」ということで、この報告書の位置づけについて説明されております。
我が国の社会・経済的基盤として医療は重要であって、介護や生活と連動し、患者や住民との協働していく。「公的財源の制約の高まり、労働力人口の減少、ICT(情報通信技術)の予想を超える速度での進展」などがございますので、このような中で医療をどのように位置づけていくか、どのように変えていくか。こうしたことを踏まえて医療従事者の働き方を検討するのが、このビジョン検討会の必要性でございます。
ここで取りまとめられた報告書は、医療政策の基本哲学として「若手や女性をはじめとして、医療従事者の誰もが将来の展望を持ち、新たな時代に即応した働き方を確保するための指針」として活用していくと書かれております。
次に「2.医療を取り巻く構造的な変化」について述べてございます。
この検討会では、新たな医療のあり方、そしてそれを踏まえた医療従事者の働き方について検討するに当たりまして、どのような変化が起きているかについて、まず検討してございます。
まず「需要側の変化」としましては、人口構成ですとか、疾病構造、それから患者の期待が大きくなっているということ。
また「供給側の変化」としましては「働き方改革」が進んでいるということ、女性医師や高齢医師が進んでいるということ、それから、地域偏在が存在しているといったことがございます。
「テクノロジーの変化等」として、ICTの進歩などがございますし、職種間協働でチーム医療みたいなものも進めていかなければならないということがございますので、こういった変化を踏まえて、どのようなビジョンをつくっていくかを考えていく。
次の5ページを見ていただきますと、我が国の保険医療を「持続可能なシステム」にしていかなければならないということが書かれております。「医療従事者の自己犠牲を伴う負担と士気(モラール)に過度に依存したシステムであってはならない」ということが書かれておりまして、現状はそういった側面が強いということですので「日本の医療をより一層効率的で質の高いものとし、安心・安全かつ国民への価値を最大限生み出すことのできる構造、すなわち『高生産性・高付加価値』構造に転換していく」ということが必要ではないかと言われております。
その際には「『働き方の変革』、『需給・偏在対策』、『医療・介護の連携の深化』、そして、『住民・患者ヘルスケア意識の向上』を一体的に検討する必要がある」ということでございます。
続きまして「3.働き方実態調査の実施と活用」ということで、よく10万人調査と言われている調査を行いましたので、こちらについて述べさせていただいております。
これは、後ほど詳しく御説明させていただきますので、ポイントについて簡単に触れさせていただきますが、調査で明らかになったこととしましては「多くの医師で過重労働や超過勤務が継続している」ということでありますとか、家事・育児負担につきまして、医療従事者で「ジェンダー・バイアス」があるということ。
次のページを見ていただきますと、各医師が行っているタスクのうち、他職種の方に分担していただける部分が多々あるのではないかということ。
それから「地方勤務の意思」を聞いておりまして、勤務の意思があると回答した方は44%、20代ではこれが60%に上るという結果にございます。
9ページを見ていただきますと「4.新たなパラダイムと実現すべきビジョン」ということで、医療の変革に当たってのパラダイム転換が必要ではないかということが書かれてございます。
具体的な話としましては11ページ以降でございます。これは4つございまして「1)働き方」「2)医療の在り方」「3)ガバナンスの在り方」、それから「4)医師等の需給・偏在対策の在り方」ということでございます。
まず「1)働き方」につきましては、従来型の医療提供モデルでは、病院では診療科ごとの縦割り意識が強いところもあり、マネジメントが十分ではない部分もあるということでございますので、負担の重い診療科では、自己犠牲によって診療が確保されてきていると。こういうところを変えていき、個々の可能性が最大限発揮される、チーム医療が進められる、十分なマネジメントが講じられる制度や組織文化を構築していく必要がある。その中では「男性文化」も変えていく必要があるといったことが言われております。
「2)医療の在り方」につきましては、高齢人口が増えていきますので、複数疾患を抱える方が増えていく。そのために、臓器別・支援対象者別に細分化されたスペシャリストが、1人の患者・住民の持つ疾患を別々に診ていくということではなくて、統合的・全人的に判断することができる人材の養成と体制の整備が必要である。それから「情報技術の発展」なども踏まえいく必要があるということが書かれております。
「3)ガバナンスの在り方」は、どのようにマクロ医療政策を進めていくかという話でございますが、こちらは医療・介護の有資格者を資源とみなして全国的にあまねく配置するという発想を転換し、まずは働き方やキャリアがちゃんと確保された上で、定期的に医療・介護従事者の偏在対策などの議論がされて、地域主体的に「まちづくりとも連動した医療・介護の基盤整備」を行っていく。こういうことが大事なのではないか。
そのためには、国は必要な権限委譲でありますとか「地方が求める人的・財政的・制度的支援を行う構造」にしていくべきだということが書かれております。
「4)医師等の需給・偏在対策の在り方」がこちらの検討会と主にかかわってくる部分かと思っております。
13ページになりますが、従来型の議論の中では、国が厳格に医師の養成数を管理する一方で、臓器別診療科に基づく大学医局や学会が、それぞれに独立した方針で、各地域で各診療科の医師確保・養成を行ってきた。これが、バランスを十分に考慮した調整に結びついてこなかったということが書かれております。
今後は「住民・患者にとって必要な機能を地域ごとにどう確保するか」という点に着目し「資源を外形的に均てん化」したり「人材養成数をふやすことで労働力を確保」したり「不足する地域に強制的に人材を振り向ける」という発想に頼るべきではないとされております。
また、今後の医師数の在り方については、先ほど述べました、需要とか供給側の変化といったものがありますので「一概に増減の必要性を判断することが困難」だとされております。この報告書の中でも「タスク・シフティング」、チーム医療を進めるということですとか、診断技術進歩、臨床以外の分野での医療従事者の活躍といったものを考えると、なかなか一概に増減の必要性を判断するのは困難だということです。
むしろ、医療は「高生産性・高付加価値」構造を目指し、「医師が高い専門性をもって本来行うべき業務に注力できる環境整備」を整えることが必要である。今後、労働人口が減少していく中で「報告書の提言を確実に実施し、年齢や性別によらず、医師がその持てる意欲と能力が発揮できる制度・組織としていき、敢えて医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要」ということが書かれております。
それから、今後、具体的方策の達成状況やそれぞれの効果を継続的に検証し、定期的に働き方の実態調査を実施した上で需給推計を行い、必要な医師数や養成数のバランスを図っていくことが必要である。
また、医師偏在につきましても「地方での勤務を希望する」と回答した人が一定程度いたということですので、「規制的手段によって強制的に医療従事者を誘導・配置すれば足りる」でありますとか「へき地等に『当てがう』」という発想に依存すべきではないということが書かれております。
以上が「4.」でございます。
ここからが、具体的な方策についてでございますが、 1つ目が、医療従事者のキャリアと働き方をフル・サポート。
2つ目が、地域による医療マネジメント構造の構築。
3つ目が、医療を高生産性・高付加価値構造にしていくためにどうしていくか、といった3本立ての構造になっております。
まず、1つ目の「キャリアと働き方をフル・サポートする」という中で、まず1つ目が「人材・労務マネジメント」を個々の医療機関で達成していくとことについて、どうしていくかということが書かれております。医療機関の管理者となるためには、マネジメントに関する研修の受講を求めたり、ICTを活用して「勤務時間・労働内容の見える化及び作業の標準化」をしたり、「柔軟な短時間労働制度、時差勤務制度の導入や兼業、在宅労働、施設内保育所の整備等の工夫を支援する」といったことが必要ではないかということが言われております。
17ページには「2 女性医師支援の重点的な強化」ということも述べられておりまして、今、申し上げたような「多様な勤務体制(短時間労働等)の導入」でありますとか「復帰研修の実施」「保育環境の整備等」といったことが重要ではないか。
18ページに行きますと「地域医療支援センター」や「医療勤務環境改善支援センター」の実効性を向上していくべきではないかということが述べられております。
特に「医療勤務環境改善支援センター」につきましては、19ページでございますが「個別の医療機関の取組みの課題事例や成功事例」を情報収集し、分析・検討し、第三者的な評価を行い、よいものには表彰するといったことが必要ではないかと言われております。
19ページにつきましては「医師の柔軟なキャリア選択と専門性の追求」を両立すべきではないかということが書かれております。具体的には「大学病院や都市部の病院のみに研修機関を集約させるのではなく、症例の豊富な地方部の中核的な病院、さらには教育を重視する小規模医療機関も重要な研修機関とし、また、キャリアや家庭事情、働き方等に応じて柔軟に研さんの機会を得られるよう、個別の養成制度において対応することが重要である」。
また、特にこの中で「国際的水準を担保し、評価される専門医制度の確立・運営が喫緊の課題である」とされ、「ガバナンス体制・能力の強化と信頼されるリーダーシップの確立、国際標準を満たす専門医認定の基準づくりと透明性の確保、これらを促進するための制度面を含めた枠組みの整備等を図ることが必要である」とされております。
この専門医制度を構築していくために留意点が書かれておりまして「国際標準に見合った医療の質」を客観的に担保されるような研修体制の確立、それから「各地域における診療科ごとの専門医の適正数、適正配置が、病院間の機能連携・役割分担などに関する地域医療の方向性と整合性が図られているか」。
また「大学病院のみならず都道府県をはじめ各ステークホルダーとの連携によって、専門医の教育プログラムが構築されているか」。「地域医療におけるプライマリ・ケアを確立するため、総合診療専門医の育成」といったことが重要だと言われています。
「5 看護師のキャリアの複線化・多様化」ということで、看護師は「多様かつ複雑な患者の医療・生活ニーズに寄り添い、多職種と連携しながら患者のケアを中心的に担う」という存在として位置づけ「我が国の医療では極めて大きな役割を担い得る職種」と書かれております。
「看護師確保の観点からも育成過程の多様性は確保しつつ、各看護師のキャリア選択に応じた複数の養成システムを維持・発展する」、教育カリキュラムを拡充し、早急にその見直しを開始すべきということです。また、准看護師のキャリア支援策についても書かれています。
「6 医療・介護の潜在スキルのシェアリング促進」ということで「医師の派遣労働」の柔軟化でありますとか、これを看護師にも拡大すること。それから、退職した医療・介護従事者のスキルをどう活用していくかということが書かれております。
2つ目の柱ですが「地域の主導により、医療・介護人材を育み、住民の生活を支える」ということで、まず1つ目が「地域におけるリソース・マネジメント」について書かれてございます。
こちらにつきましては、まず必要な医療を、身近な医療と専門的な高度な医療に分けて、身近な医療については「『プライマリ・ケア』の確保、情報技術の活用やチーム医療の推進、人材育成・配置等」により確保する。高度な医療の機能については「医療機関の機能の集約・拠点化とパフォーマンスのモニタリング」といったことが大事である、と。
このためにどうしていくかというと、地域医療構想など、今進めているものがありますので「医療機能の集約化や機能分化・連携を進める」といったことですとか、次のページに行っていただきますと、それだけではなくて「日本専門医機構との専門研修プログラムの協議の場で、どのように医療機能を最適化するのか」について、県がこういったことを主体的にマネジメントしていく必要がある、とされています。
続きまして、マル2でございますが、こちらは医師偏在の取り組みをどうしていくかということが書いてございます。こちらにつきましては、まず「へき地等の地方勤務に伴う負担や生活、キャリア等に与える障壁を取り除く」には、受け入れ側地域が自助努力で環境整備を整えていくべきである。その上で「地域の医師確保の取組みを補完するため、都道府県間の調整が必要なものについては、国の役割を含め、より広域的な調整の仕組みを検討すべきである」としております。
具体的には、地域医療支援センターが派遣医師と受け入れ医療機関のマッチングを支援したり、週4日勤務制を導入したり、休日代替医師を派遣したり、グループ診療をしたり、遠隔診療支援などを行って「医療勤務環境改善支援センターと協力して、派遣される医師の勤務負担軽減を図る」といったことが大事である。あとは、キャリア形成プログラムを通じたキャリア支援なども重要だと書かれています。
また、こちらの「医師需給分科会」でも議論になっている「医師養成の観点」も重要だとされておりまして「医師がその出身地や研修地で将来勤務する傾向にある」ということを踏まえまして「都道府県が大学医学部に対し、大学医学部入学者数に占める地元出身者枠の創設・拡大を要請することができる」ことですとか、臨床研修は「臨床研修病院の指定、研修定員の決定等の臨床研修に関する権限を国から都道府県に移管する」こと。
専門研修については、都道府県との協議の場を持つでありますとか、都道府県ごとの医療ニーズを踏まえて、診療科ごとの専門医の概数を定めるといったことが大事だと言われております。
25ページに行きますと「外来医療の最適化」の話がございます。
こちらにつきましては「可能なところから段階的に進める」という前置きがあった上で「都道府県ごとに、将来の外来医療の必要量に基づいた供給体制についての指針を策定する」。そのために「地域の外来機能の現状の供給体制」をデータで把握し、その「需給ギャップ」を把握する。そして「協議体制を構築し、医療ニーズ・資源の分析と必要な診療科の方向付け等を行う」。
また、地域における「効率的医療提供体制」をその中で構築していき、診療報酬などでも後押ししてはどうか。また「地域の医療ニーズ・資源と整合的ではないと考えられる医療機関の開設」につきましては、これを最適化する仕組みを導入したり、「自由標榜の仕組み」についても「患者にとって分かりやすく、適切な選択に資する標榜の在り方を検討すべき」とされています。
以上のようなリソース・マネジメントをしていくために、都道府県の権限の強化、そのための人材の育成が重要と書かれております。
27ページに「1 保険医療の基盤としてのプライマリ・ケアの確立」がございまして、こちらにつきましては「住民・患者との強固な信頼関係の下、患者の複数疾患の状況や生活環境、価値観等を理解した上で、総合的な適切な診断・処方や、専門医療への紹介、疫病予防等を行う『プライマリ・ケア』を保険医療の基盤として確立」すべきだと書かれております。
これまでは「病院の勤務医として専門性を身につけた医師が、地域で診療所を開業し、患者・住民との信頼関係を基にかかりつけ医としてその役割を担ってきており、これが我が国の健康長寿に貢献してきた」。しかし今後、高齢化のニーズに伴い、より一層体系化・明確化された形でこうした機能が必要だということです。
このため「かかりつけ医の診療能力を更に向上させるための研修を推進・拡充していく」とともに、今後は、学術的な観点も含めて、総合診療専門医の育成を強化していくべきということが書かれております。
それから「一定期間を経て、人材育成が十分に進んだと考えられる段階に至っては、住民それぞれが、総合診療専門医などのかかりつけ医、すなわちプライマリ・ケアを担う医師(又は医療機関)を定め、日常の健康問題に関する診療は、まずはこれらの医師(又は医療機関)が担い、専門診療を必要とする場合には、その紹介によることや専門診療後の生活復帰への引継ぎを行う」ということが書かれております。そのためにもろもろ必要なチーム医療や人材養成、診療報酬による支援の必要性などが次のページにも書かれています。
29~30ページにつきましては、医師だけでなく、医療・介護従事者、住民などがどのようにチームとして連携していくかということが述べられています。そのために、養成段階から介入して、基礎共通課程、地域ごとの共通カリキュラムなどをつくること、人事交流や共同研修が大事だということですとか、32ページには、ACPなども、患者の価値を中心において進めていくべきだということが書かれております。
32ページの下のほうに行きますと、3本目の柱「高い生産性と付加価値を生み出す」という中で、まず「1 タスク・シフティング/タスク・シェアリングの推進」が書かれています。グループ診療でありますとか、まずは看護師の特定行為研修制度の養成所をふやしたりだとか、より受講しやすいような研修方法・体制の見直しを進めていく中で、「診療看護師(仮称)」のようなものも今後要請していくべき、看護師以外の医療従事者の診療の補助の重要性といったことです。それから、介護従事者の医療的ケアの拡大・必要性なども書かれています。
その後、医科歯科連携の重要性ですとか薬剤師の機能の発揮、それからフィジシャン・アシスタント(PA)の創設等についても述べられています。37ページですが「今後、労働力制約が一層高まっていく我が国において、医師がその高度な医学的専門性を発揮し、本来担うべき業務に精注するため」には「フィジシャン・アシスタント」の資格を新たに設け、簡単な診断や処方、外科手術の助手、術後管理等ができるようにしていくことを重要な選択肢として検討していくべきとされております。
これ以降は、テクノロジーの活用でありますとか、保険医療・介護情報基盤の整備、それから「7 遠隔診療の推進等」ということで、42ページでございますが、遠隔診療を推進していくために、法令上不明確な部分を明確化していくことですとか、診療報酬上の評価を行っていくことが必要だと書かれております。
それ以降は、介護のことが43~44ページに書かれてございます。
最後の45~46ページでございますが「6 提言の実現に向けて」は今後、5~10年程度を基本軸として、順次実現に移すことが大事である。この報告書の内容を関係審議会等で検討し、「ビジョン実行推進本部(仮称)」というものを立ち上げまして、政策の行程表を作成し、内閣としての政府方針に位置づけて進捗管理を行うべきだとされてございます。
そして45ページの下から2段落目でございますが「喫緊の課題として対応が必要な医師偏在については、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、本報告書の内容を踏まえ、その具体化に向けた検討を行い、短期的な方策を精査し必要な制度改正案を速やかに取りまとめるべきである」。「その後、働き方調査に基づく精緻な医師需給推計を行った上で、平成32年度以降の医学部定員の在り方の検討に着手すべき」ということが書かれております。
少し長くなりましたが、以上でございます。
○吉川医事課長補佐 引き続きまして、資料2について御説明させていただきます。
資料2に関しまして「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の報告書でございます。こちらは厚生労働科学研究の「医師の勤務実際及び働き方の意向等に関する調査」研究班にまとめていただいた資料でございます。
まず、2ページ目をごらんください。今回の調査の概要に関して御説明しております。
「調査対象」としましては、全国の医療施設、病院と診療所に勤務する医師を対象として、無作為に抽出して調査票を送付しております。調査対象数は、全国の医師約10万人規模でございまして、最終的な回収数としては15,677人でございます。
「調査内容」に関しまして、次のところで1~4ということでまとめております。
マル1に関しまして「出身地・出身医学部所在地・家族構成・収入等を含む、医師の属性に関する項目」。
マル2は、医師の勤務実態を詳細に把握するための1週間のタイムスタディを実施しております。
マル3は「他職種との役割分担」。報告書に出てきた「タスク・シフティング/タスク・シェアリング」と関連する調査や「キャリア意識等の将来の働き方に関する項目」を調査しております。
マル4は医師の偏在対策とも関連してくるところかと存じますけれども「将来の勤務地に関する意向等」に関して調査を行っております。
続きまして、4ページ目をごらんいただければと思います。今回の調査の「配布・回収方法」に関してでございます。
まず、配布に関しましては、全国の医療施設をランダムに選びまして、調査票と回収用封筒を医療施設に対して送付しております。医療施設において、医師に対して調査票を配布していただいて、回答していただくときは医師から直接回収しております。これは医師のプライバシーを保護するために、こういった回収方法を行っております。
5ページ目以降は、調査の結果の分布を示しております。5ページ目は性別、6ページ目は年齢別でございますけれども、三師調査、国の全国規模の全数調査と合わせまして、おおむね分布を再現していることが示されております。
8ページ目は「地理分布」を示しております。こちらは、御回答いただいた医師の勤務のところをポイントとしたところでございますけれども、北は北海道の稚内市から、南は沖縄県の石垣島まで、全国各地から回答が寄せられていることがご覧いただけるかと思います。
9ページ目の「診療科の分布」に関しても、こちらも三師調査の結果とおおむね一致しています。
10ページ目は「勤務形態」でございまして、御回答いただいた先生方の69.4%が「常勤医師」、12.6%が「非常勤医師」、16.2%が「病院・診療所の開設者」ということでございます。
11ページ目以降は「タイムスタディ」で、1週間の勤務の状況を記録していただいております。こちらのところに矢印を書いた表がありますが、このように何時から何時まで診療の業務、診療外の業務あるいは当直オンコールを行ったということを、一日一日つけていただきまして、1週間の勤務の実態を明らかにしたというのが、今回の調査の一つ大きなポイントでございます。
13ページ目をごらんいただければと思います。こちらは「勤務時間」を性別、年代別及び勤務形態別に示したものでございます。上の表が男性、下の表が女性でございます。これを見ていただきますと、20代の常勤の男性医師は「診療+診療外」が57.3時間、「当直・オンコール」が18.8時間。20代女性で見ますと、それが53.5時間と13.0時間になります。
ここで御注意いただきたいのは「診療+診療外」の時間と「当直・オンコール」の時間をそのまま足すと、一部重複が出てくるというところでございます。といいますのも「当直・オンコール」のうちで「診療+診療外」の時間を実際に行った時間というのは、この57.3時間の中に含まれていることになっております。
ですので、実際に「当直・オンコール」のうち「診療+診療外」の業務を行っていない時間は、待機時間ということで20代男性は「約16時間」、20代女性は「約12時間」と記載させていただいております。こういった形で、医師が長時間勤務している実態がこちらで明らかになったかと思います。
続きまして、14ページ目。こちらは「診療科別勤務時間」でございまして、外科、救急科、臨床研修医を初めとして、長時間の「診療+診療外」の業務をやっていらっしゃる実態がこちらで見えております。
15ページ目は、今まで示されておりましたのは平均時間でございましたけれども、こちらは分布でございます。左側の「男性 勤務医」で見ていただきますと、40~50時間あるいは50~60時間がピークになっておりますけれども、非常に裾野が広くて、それ以上働いていらっしゃる先生方もある一定程度いるところが見てとれるかと思います。
16ページ目は、常勤の先生方の年代別の労働時間を示したものでございます。左が男性、右が女性となります。
男性の先生方ですと、およそ20~40代が50~60時間にピークがあり、50代以降はピークが少しずつ下がってきます。
一方、女性の常勤の先生方ですと、20代は50~60時間にピークがあり、30~50代でピークは一旦下がり、60代でさらにピークは下がる。2回ピークが下がるという傾向が見てとれます。
17ページは、「家族構成と『診療』+『診療外』」にどういった関係があるかを分析していただいたものでございます。
青色の「既婚・子なし」と赤色の「既婚・子あり」のところを比較していただければと思いますけれども、男性の場合ですと、子供さんがいらっしゃる場合は労働時間が長くなる傾向があります。一方、女性の先生ですと、労働時間が子供ありの場合だと短くなる傾向が出ているといったところでございます。
18ページは、「育児中の働き方」に関してでございます。
左が同じく男性、右が女性で、上がどういったことを希望したかという「理想」と書いておりまして、下が実際にどのような勤務を行ったかという「現実」でございます。これを見ますと、男性で一番多いのは、子育て前と変化のない働き方を希望していらっしゃった方で、実際に働いていらっしゃる8割ぐらいが変化のない働き方をしていらっしゃったということです。
一方、女性の先生ですと「時間短縮勤務」であったり「勤務日数減」などを希望している先生がいらっしゃる中で、約3割は子育て前と変化のない働き方をしていらっしゃいます。
また「休職・離職」を選んだ先生方ですけれども、こちらの表では常勤医師の先生を示しておりますが、約1割の女性の常勤医師の先生は「休職・離職」を経験しています。これが非常勤医師ですと、4分の1ほどに増加するといったところでございます。
19ページ目は「育児中の勤務形態と専門医取得(女性)」に関してでございます。
こちらは、どういった勤務形態を育児中にとっていたかというものでございますが、育児中に休職・離職した女性医師は、ほかの勤務形態をとった女性医師と比較して、専門医の資格の取得率が有意に低いところが統計的に示されております。
続きまして、20ページと21ページ目。こちらはセットで見ていただければと思います。医師が1日に行っている5つの業務を選びまして、それぞれ1日にどれくらいの時間を費やしているか。また、費やした時間のうち、何%を他の職種に分担できるかを示したものでございます。
例えば、表の見方としましては「患者への説明・合意形成」に、12月14日の1日間に82分を50代以下の常勤医師の先生は費やしていらっしゃる。そのうち8%がほかの職種に移行できるといったデータが出ております。
この5つを合わせて計算しますと、1日で5つの業務に費やした平均約240分のうち、20%弱、約47分が他業種に分担可能といったデータが出ております。
22ページ目以降は「キャリア意識」のデータが出ております。全年代で見たものでございますけれども、一番多いものは「勤務医」、次が「開業医」、次が「研究教育」を希望していらっしゃる先生方が多いというデータになっております。
こちらをさらに年代別で示したものが23ページ目でございます。
「30代以下」「40代」の先生は、先ほどと同じ「勤務医」「開業医」「研究教育」が多いところでございますけれども、「50代以上」の先生ですと「介護福祉」「産業医」の希望がふえてきて、希望するキャリアが多様化している様子が見てとれるかと思います。
24ページは、地方で勤務する意思があるかどうかを聞いたものでございます。全医師に聞いたところ、全体の44%の医師が「今後、地方で勤務する意思がある」といった御回答をいただいているところでございます。
25ページ目に関しては、地方で勤務するとしたら何年ほど勤務する意思がありますかということを聞いたところでございますけれども、「意思なし」が左のところで約50%ですが、それ以外の先生で見ますと「半年」「1年」といった比較的短期を希望する先生方は少なく「2-4年」あるいは「10年以上」を希望していらっしゃる先生方はある程度多いといった印象でございます。
26ページ目は、年代別に分けたものでございまして、20代の先生で地方に行く意思があると答えた先生は60%。年代が少なくなるにつれて非常にふえてきているというデータが出ております。
また、27~29ページ目は「地方で勤務する意思がない理由」について分析したものでございます。
「地方で勤務する意思がない理由」に関しましては、20代ですと医局に所属しているということと、自分の希望する仕事内容ができないのではないか。あとは、労働環境に対して不安があるといったものが高いところでございますけれども、もう一つ特徴的に高いのが、専門医などの資格を取得することができないのではないかといった不安が20代の先生には多いことがわかります。
28ページでございますけれども、30代、40代になりますと、お子さんの教育であったり、あるいは御家族の理解に関してのものが理由として高くなってきています。一方、専門医に関しての理由は下がってきております。
29ページ目は、50代以上でございますけれども、50代以上の先生方に関しては「子供の教育」という理由が下がってきて「仕事内容」「労働環境」に関するものが依然として高いという形になっております。
30ページ目は、研究班の先生方のメンバーでございます。
少し長くなりましたが、以上でございます。
○森田座長 説明は以上でございますか。ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明に関しまして、御質問、御意見等を賜りたいと思いますが、大体30分くらいを議論時間に充てたいと思います。
それでは、手が挙がっていらっしゃいますので、今村委員と山口委員と邉見委員と、順番でお願いします。
○今村構成員 御説明ありがとうございました。
幾つか申し上げたいことと確認がございます。
最初に、武井課長からビジョン検討会の経緯について御説明をいただいたのですが、納得できない部分がございまして、そもそもどうしてこの検討会ができたかというと「医師需給分科会」の中できちんとしたデータがないので、そういうデータを集めて議論をするという御説明があったように伺いましたが、もともと同分科会中間とりまとめに際しては、エビデンスのない議論がされている。だから、きちんとしたエビデンスに基づいた議論をするために、その前提としてこのビジョン検討会をつくるという説明を私どもは伺っていたと思います。
一つの例が、13ページの下から4行目でしょうか。もともと医師需給検討会は、従来の検討の中でほとんど具体的なエビデンスがない中で議論をされていたのに、今回は地域医療構想であるとか、もちろんいろいろな議論はあるにしても、一定の仮定を置いた形で報告書がまとめられたと理解をしていて、女性医師の働き方についても、やはり男性医師と一緒というわけにはいかないでしょうということで、女医会の研究に基づいて「0.8」という仮置きをして推計した。
それについて、その「0.8」というのは全く根拠のない数字だという大変厳しい御意見があったように私は伺っておりますが、この報告書を見ても結局、1万人調査をやっても「0.8」でしたと、同じ結果なのです。だから、そもそも需給検討会でいろいろな議論をしてきたことが、エビデンスがない議論をしていたという位置づけをされて、このビジョン検討会の報告書に基づいてさらに議論をしなければいけないというのは非常に不満であります。
ここに書かれた報告書というのは、全てこの検討会の中で議論されたことが書かれているのでしょうか。これは確認です。中には、議論がされていないことが入っているのではないかということを懸念しています。
特に専門医のことに関しては、いろいろなところに記載がありますが、私は専門医機構の監事をしており、こちらにも専門医機構に属されている理事の先生もいらっしゃると思いますが、9ページの脚注のところを見ますと、専門医機構は、専門医制度の中で「ガバナンスの構造の不十分さ、大学医局や学会の影響力を強く受けた方向性」であり、「大学医局への専門医の囲い込みを進め、地域の専門医療の格差をより広げかねない」という記載がありますが、このビジョン検討会の委員の中には、機構にかかわる方はいらっしゃらないし、ヒアリングでもそういう方を呼んで聞いたということは、この資料の中にはないのですけれども、こういうことを書く根拠が一体どこにあるのか。重ねて申し上げますが、機構の監事の立場として機構のガバナンスは非常に大事だと思って、機構の中でも常々申し上げているところですが、こうやって公の文書の中に書かれている根拠を教えていただきたい。
もう一点は、大変長くなりますけれども、「医師需給分科会」で私が申し上げて、もともと「社会保障審議会医療部会」で、当時の池田理事長が専門医制度のお話を説明されて、それを受けて、地域医療の影響が非常に大きく出るのではないかという危惧のもとに「社会保障審議会医療部会」のもとに「専門医養成の在り方に関する専門委員会」が設けられて、機構のやるべきこと、都道府県のやること、学会のやること、国がやることの議論が始まったけれども、結局そこは議論の結論が出ないままに「医師需給分科会」の中の偏在対策の一つの項として、専門医の項が挙げられた。そのときに私が確認させていただいたら、もう「社会保障審議会」の部会の下の会は閉じます、需給分科会の中で専門医の議論はしますという話になりましたけれども、結局、このビジョン検討会ができたおかげで、需給分科会の専門医の議論はとまってしまった。専門医の議論をする場所が全くなくなっていたという中で、どうも伺うと、地域医療における医師の養成のあり方という委員会が新たに立ち上がって、そこで専門医の議論をするという話になっているようです。一体、厚労省はどこの場所でどのように専門医のことを議論していかれる御方針でこれをやっておられるのか、その御説明をお願いいたします。
○森田座長 それでは、事務局はお答えください。
○武井医事課長 御質問ありがとうございました。
順を追って幾つかお答えしたいのですけれども、まず、最後にありました、今までの医師養成に関する検討会ですとか、既存の検討会との役割分担、関係性ということなのですけれども、最後にありました新たな検討会は「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」という検討会でございまして、この会においては、地域医療に求められる専門医制度のあり方、2つ目が卒前卒後の一環した医師養成のあり方、3つ目が医師養成の制度における地域医療への配慮という観点から御検討をいただく予定です。
もう一つの「医師需給分科会」においては、中長期的な医師の需給の見通しや、医師の確保策、地域偏在対策等について御議論いただきたいと考えておりまして、端的に申し上げると、専門医については、先ほど申し上げた新たな医師養成の検討会で議論をしつつ、中長期的な医師の需給の見通しですとか、特に医師偏在対策につきましては、「医師需給分科会」が中心に取り扱うことになろうかと思います。
2点目に御指摘いただきました点について、今回のこの報告書に盛り込まれている内容につきましては、当然、委員のメンバーから出された議論ですとか意見に基づいてまとめておりますし、最後のところにございますけれども、かなりの方にヒアリングを行いまして、ヒアリングの場で出された意見という視点も踏まえて議論を行っているところでございます。
ですので、根拠というか出された意見、それから検討会の中で議論された内容について報告書に反映しているということでございますが、これも何度も構成員の先生方には報告書を見ていただきまして、改訂を重ねるたびにいろいろな表現ですとか書きぶり、欄外にするですとか、いろいろな記載上の変化が行われまして、現在のこういった表記になっております。
そのため、あえて根拠と申すと、出された意見ですとか議論があった点ということになろうと思います。
それから、最初に戻りまして、データですとか女性の「0.8」に関する数値についてございますけれども、これについては、以前は限られたデータの中で「0.8」という数値に仮定を置き、それで推計を行っています。
今回の新たな調査に基づいた結果も「0.8」で、正確にいうと0.77なのですが、概数としては0.8ということになろうと思います。
前回、仮定を置いたときの調査と今回の調査の一番大きな違いなのですけれども、やはりサンプル数において大きな違いがございました。今回の新しい調査は約10万人の医師を対象として、最終的には15,677件の回答がございました。
以前の調査と比べたときにこの数値が持つ意味なのですが、平成23年の調査を前回は使用したわけですが、そのときの客対数が3,467人でございまして、それ以外にも参考にした医療需要調査があるのですけれども、それが大体1,489人という規模の調査になっております。
今回の調査の大きなポイントは、先ほどの説明にもございましたように、勤務環境に関する質問ですとかアンケートが非常に大きな特徴になっておりまして、具体的に何時間働いている、当直・オンコールがどれくらいの時間数になっているかですとか、こうした勤務実態に関する調査、それから女性医師の働く阻害要因です。どういったものがボトルネックになっているかという点については詳しく調べられたと考えておりますし、それ以外にも今回の調査で明らかになってきた、特に地域偏在については、地域に行ける人が具体的にどれくらいいるか。もし行けないとすれば何が理由としていけないかという点についても聞けたところが、従来の調査と違うところと思っております。
長くなりまして、失礼いたしました。
○今村構成員 ありがとうございました。
最後の調査につきましては、別にこの調査の内容自体を否定するものではなくて、細かいところはいろいろと意見がございますけれども、それはそれで非常に大きな調査をしたということで、意味があるとは思っております。需給分科会がエビデンスのない議論をしているのだという前提に立っていることが間違いではないかと私は言いたかっただけです。
2点目の、この中に書かれた報告書の中身については、確かに委員の先生方が何度もご覧になったという意味での確認はされているのだと思うのですが、いわゆる会合の中で資料として出されたりヒアリングで出されたものだけが本当に書かれているのですかという確認をしたかった。つまり、それ以外のものは入っていないのですねという確認です。
ですから、今のお答えだと、これは全て議論された。これは非公開だったので、我々は知る由がないわけです。いわゆる資料みたいなものしか見ていないわけで、本当にそういうことが議論されたのだということであれば、それはそれでそのように承っておきますけれども、それでいいですかということです。
最後の専門医の御説明はよく理解ができなかったのです。
というのは、地域医療における専門医の話はまさしく偏在の話にもかかわるわけで、我々がやる需給分科会の議論と新しい会の議論をもうちょっと明確にしていただかないと、結局どこで何を決めているのかがわからない形になりますので、そこをはっきりさせていただきたい。
○武井医事課長 もう一度。前段の点については先生が御指摘のとおりです。
それから、後段の専門医制度については、確かに両方にまたがっている領域であることは事実でございまして、ここをどのように議論の役割を分けて、しっかりそれぞれのテーマごとに議論をしていくかというところでございます。
まず「医師需給分科会」のほうですけれども、中長期的な医師の需給の見通し、医師の確保策、地域偏在対策。特に地域偏在対策がことしの中心的なテーマになろうと考えているところです。今後、御議論があるかと思いますけれども、半年前に議論したところをもう一度、次回以降に振り返っていただいて、それをさらに掘り下げてしっかり議論をしていくというところでございす。昨年も御議論をいただいた中に、あるテーマについては掘り下げていくと、これは法律改正が要るのではないか、政省令改正が必要ではないかということになってくるかと思いますので、地域偏在に関して、より掘り下げた議論をこの「医師需給分科会」でしていただく。
それから、新たな検討会のほうについては、地域医療に対する配慮の点が非常に重要になってきておりまして、特に市町村レベルにおける地域医療の受ける影響ですとか、既にこれは公表されているのですけれども、全国市町村会のほうから要望書が出されておりまして、その中でやはり中小病院に与える影響ですとか、地域にお医者さんが来なくなるのではないかという懸念について、既に専門医機構さんのほうでもいろいろ御検討をされていると聞いております。
そういった点も含めて、今の専門医機構における議論がどうなっているかという点についても、皆さんに御理解をいただきながら議論を進めていって、地域医療にこうした配慮がされていますという点についても御理解、御議論をいただきながら進めるという役割分担を考えております。
○今村構成員 何となく、最初よりはわかったのですけれども、まだ少しすっきりしないところがありまして、この「医師需給分科会」は偏在対策をやると。この11のメニューの中に専門医があるわけですね。だから、その専門医の議論も当然こちらではすることになって、そのことが地域医療に及ぼす影響の御理解を、まさしく今、いろいろなところでいただかなければいけないという話にも直結するのですけれども、武井課長から法改正も必要なものがあるかもしれないというお話がありましたが、そういった議論はこちらの需給分科会のほうでやって、新たな検討会の中では議論しないという理解でいいということですか。新たな検討会はさまざまに今まで、自治体の長などの方が入られた会なので、そういった御理解をいただく会なのだと。つまり、何かを決めていく会ではないのだという理解ですか。
○武井医事課長 現時点でこうだというところまでは言い切れないのですけれども、この分科会、親検討会を含めて、今後、どういう形で検討が進んでいくかが、ある意味で先生が御指摘の質問に対する答えになるかと思います。ここで検討された内容は、将来的には医療部会で議論されて、医療部会で最終的には審議会の意見として取りまとめるという形になると思います。そういった点を踏まえて考えていくというところで、現時点では細かい点ところまではまだ決まっていません。
○今村構成員 わかりました。ありがとうございます。
最後のは非常に大事な点だと思いますけれども、何か大きな法改正等をする場合には、需給分科会、医療部会という流れの中で決めていくことを言っていただいたという理解でよろしいですね。
○武井医事課長 基本的には、先生が大事なポイントを御指摘いただいたと思いますが、個別の事項については、今後の議論を待って、また進めていきたいと思います。
○今村構成員 大変長くなりました。ありがとうございました。
○森田座長 それでは、一応順番ですので、山口委員からお願いいたします。
○山口構成員 ありがとうございました。
私も今村委員と同じで、納得がいかない半年間を送ってまいりまして、ここにいらっしゃる皆さんの中で、先ほど、武井課長から経緯の説明がございましたけれども、ポイントを絞ってでしたので、経緯については理解に非常に温度差があるのではないかと思っています。
私も「医師需給分科会」の構成員ですが、中間取りまとめの中にビジョン検討会のことが入ってきたので、それを踏まえて開催したと、先ほど経緯の御説明がありました。でも、このビジョン検討会が必要だということを「医師需給分科会」の中では一度も話し合われたことがなく、それも案で出されていた中間まとめの中にはずっと入っていなかったのに、その中間まとめを決める直前になって文言が入って、ほとんどの構成員が入ったことに気づかずに同意をしたという経緯があります。その後に、ビジョン検討会が開かれて、その報告だけがあって、何の説明もないまま「医師需給分科会」が中断して半年が経過した。
そういった中で、中断する直前の検討会で、構成員が理解しないままに新たな検討会がつくられることはおかしいので、一度立ちどまって、きちんと説明や議論をしていく必要があるのではないかと、その検討会を私は欠席したので意見書で出させていただきましたけれども、何もないままにこの半年が過ぎてまいりました。
先ほど、今村構成員からもあったように、実際にビジョン検討会の議論が非公開で行われたもとで出された今回の報告書ということで、この報告書を拝見しましても、非常に総論的で具体性に欠くのではないかと私は個人的に感じているのですけれども、この報告書自体が一体どれだけの人のコンセンサスを得た上での内容なのか疑問です。
そういった疑問に覚えるのにもかかわらず、45ページの「6 提言の実現に向けて」というところを見ますと、まるで医療行政の中核的な考え方のように提案の中には書いてありまして、非常に疑問と戸惑いを覚えています。まして、その報告書の内容を踏まえて、この「医師需給分科会」では取りまとめをしろという書きぶりになっていて、このビジョン検討会が上位の検討会のようにどうしても見えてしまうのです。
そこでですけれども、上位であることを踏まえないといけない根拠が何かあるのか。こういったことが書かれることの根拠を私は教えていただきたいと思っています。
先ほど、武井課長のお話の中で、アンケートをしたことによって、地方に行く希望を持った医師数を実際にこのアンケートで見ることができたのが一つの成果とおっしゃったと思いますが、地方で働くことを希望した医師のなかに、実際に今、地方で勤めている方も数の中に入っているのではないか。例えば、意思があるということを40数%の方が答えておられますけれども、実際に地方で今、医師として働いている人だとしたら、このまま継続して働きますという方も入ってくるわけです。これをもって多くの方が地方に行くのだと読むのは誤解が生じるのではないかと思います。
ですので、実際に地方で何年勤務する意思があるか、10年以上というのも、今、働いているとしたらそのまま10年以上というのは当然なわけなので、このあたりをもう少しきちんと分けた数字を出していただきたいということと、今は都市部で働いているけれども、地方に行きたいという方が、なぜ行きたいと希望したのかといったところも出していただくことが、私は偏在対策を考える上では大事なことではないかと思っています。そのあたりも今、あるのかどうかということ、ないとしたら、今後調べていく予定はあるのかもあわせて質問したいと思います。
まず、根拠からお願いします。
○森田座長 では、事務局、お答えいただけますか。
○武井医事課長 45ページのところをもう一度、皆さんにごらんいただければと思いますが、ここの書き方として「本報告書の内容を踏まえ」の後半部分が非常に重要だと思っています。「その具体化に向けた検討を行い、短期的な方策を精査し必要な制度改正案を速やかに取りまとめる」ということが書かれており、要するに、報告書の中にはいろいろなメニューも提言もビジョンも示されております。こうした報告書の中で書かれた内容を見て、具体的にどのように今後、進めていくのだという点についてですとか「短期的な方策」、それからその後も非常に重要だと思うのですけれども「必要な制度改正」を「医師需給分科会」において、取りまとめるべきだということになっているのです。
ですので「医師需給分科会」でこれからさまざまな議論があるかと思います。そのときに使うデータ、報告書、それから参考人やいろいろな方の御意見があろうかと思います。そうしたものについてはしっかりと踏まえて、この「医師需給分科会」で検討していくということであろうと思いますし、今回出されたビジョン検討会の報告書も踏まえて今後、検討していただくということになろうと思います。まず、1点目はそれです。
あわせて、調査についても御説明させていただきたいと思います。
○堀岡医事課長補佐 ありがとうございます。
10万人調査の結果でございますけれども、今、御指摘いただいた点は非常に重要な点でございまして、例えば、現在23区や政令指定都市、県庁所在地といった都市部に住んでいる方とそうでない方で、若干、地方勤務の意思の割合が違うことは事実でございます。
例えば、手元にある数字として、50代以下の勤務医で地方勤務の意思がない人は23区・政令指定都市・県庁所在地に勤務している人は約6割で、それ以外の地域で勤務している人で地方勤務の意思がない人は約4割です。今、御指摘いただいた点も踏まえて、次回以降、すぐにできる集計とできない集計があるのですが、そういた議論に資するようなデータは出させていただこうと思いますので、いろいろな御意見をいただければと思います。せっかく、このような大量のデータがございますので、ぜひ偏在対策に使いたいと思っております。
○山口構成員 ありがとうございます。
武井課長の先ほどのお話に、私の理解で言いますと、ビジョン検討会で、これから私たちが話し合っていくのに、これを話し合う必要があるのではないかと選ぶためのメニューをこの半年間で議論していただいて、報告にまとめてくださったという受けとめでよろしいのでしょうか。
○武井医事課長 メニューという受けとめ方も当然あると思いますし、個々の専門家の先生によって、それぞれの分野において深掘りする部分が異なってくると思います。それぞれの先生方が専門領域において、この報告書をいま一度見ていただいて、こういう論点については、今後、医師偏在に活用できるので、それをさらに深掘りするとか、横を見ながら、ほかの論点についてはこのような書き方をされているので、それも見ながらほかの論文などを持ってきていただいて議論をすることもあろうかと思います。その他、パッケージとして使っていただくのでもいいと思いますし、深掘りするための材料として使っていただく使い方もあろうかと思います。
○森田座長 それでは、邉見委員、どうぞ。
○邉見構成員 今村構成員と山口構成員の今の話は全部同感ですので、それは省きます。
今の最後に武井課長さんがおっしゃった「速やかに」というのは、もう半年おくれていますから、よほど速やかにやらないといけないだろうと思います。私は、この3月末国会に、各論の中からどれか1つか2つは出るだろうと非常に期待していたわけです。だから、それが物すごくおくれてしまったというのは非常に失望しています。地方ではもう待ったなしなのです。
それから、23ページを見ていただきますと、マル2の「都道府県における主体的な医師偏在是正の取組みの促進」は、もう促進なんかはやり切っています。もう何もやれないというぐらい私たちはやっています。医師の官舎も市議会に怒られるぐらい立派なものを建てたり、冠婚葬祭、卒業式、大学へはしょっちゅう行ったり、もう何もかもやって、それでも田舎には人は来ないのです。
先ほどのアンケートの、地方勤務の意思が44%というのは、これは全く世論調査以上にでたらめだと思います。個々の人はそういうことは言わない。お前は行きますかといったらみんな来ないのです。運動部の後輩でも、総論というのはいいかげんなもので、風みたいなもので各論とは全く違うのです。だから、今のような偏在が起こっているわけです。だから、これを信じるほど私はお人よしにはもうなっておりません。
それから、26ページは全くそうなのですけれども「4 都道府県における医療行政能力の強化」は非常に大事だと思うのです。今、1県1医大ありますから、公衆衛生のいろいろなデータとかを利用したらいいのですけれども、なかなか都道府県はできない。鶴田構成員のような、県立病院があって、かつ有能な行政マンがおるところはいけますけれども、普通であれば、きのうまで税務をやっていた人、企画をやっていた人、号泣する県会議員の事務局をやっていた人、そういう人が来るわけです。だから、ICUも知らないとか、ほとんど医療のことがわからない人、国であれば厚生労働省からほかのところへは交流はあるでしょうけれども、一時出向で財務省が急に来たり、国土交通省から来るということは余りないでしょうけれども、県だったらそんなものですから、なかなか大事な医療とか福祉に人が育たないのです。そういうところに行っていたら、王道から外れる、出世街道から外れる。官僚の道ではそういう感じになっております。私は兵庫県とかいろいろタッチしていますので、実際の本人の辞令を3月に見たりしたときの反応なんかでわかりますから。それが2つ目です。
3つ目は、他職種協働とかチーム医療はもう今の日本の国民も認めて、ほぼ定着したと思います。ただ、複数主治医制というのがどこにも書かれていないのですが、これをやらないと田舎の医師はほとんどだめです。私なんかも、こういう会に東京へ中医協時代に来てまして、そうすると、臨終に会えなくて、お葬式の参列者のお礼の言葉の中で、院長はうちの母の臨終に立ち会えってくれなかったと言った。それだけ信頼されていたのだろうと思って私は謝りに行きましたけれども、そういうことを国民とか患者が知り、判らなければ、もう外科はうちは複数主治医制にしておるのです。同じ手術をした人が主治医をする。特に小児科なんかは、その先生でないと泣いてしまってできないとか、難しいところはありますけれども、やはりそういうことも書き込んで、ある程度、国民の理解、社会全体で地域医療を支えるという感じを出していただきたい。
以上です。
○森田座長 ありがとうございます。
では、釜萢さん、よろしいですか。
○釜萢委員 今のお話と関連いたしますが、昨年の10月まで「医療従事者の需給に関する検討会」あるいは「医師需給分科会」で検討していた私どもの役割と、6カ月止まった今日、そして、新たな委員会が立ち上がった状況の中で、当検討会の役割が変わったのでしょうか。それとも、変わらないのでしょうか。変わったとすれば、何を根拠に変えられたのかということを教えてください。
○森田座長 事務局、お願いします。
○武井医事課長 順番が逆で恐縮ですが、釜萢委員のほうから先にお答えさせていただきますと、大きくは変わっておりません。やはり「医師需給分科会」は、医師需給、地域偏在に関する議論をしっかり行っていただくということでございます。
それから、他職種ですとか、先ほど、地域医療行政に関する点について御指摘をいただきましたので、順次お答えしたいのですけれども、お手持ちの資料の33ページをごらんいただければと思います。これは、先生が御指摘のように、地域ではやはり過重労働ですとか、場合によっては医療安全のリスクという観点もあろうかと思いますけれども、これに対応する案といたしまして、グループ診療で地域や病院の患者さんを複数の医師が共同で担当するということです。真ん中辺にあります「グループ診療」というパラグラフでございます。
例えば、「主治医・副主治医制の担当制のほか、在宅等の当直機能を委託によりシェア」していくという方法も行われているということで、まさしくこういう具体的な方策、そういった事例などもシェアしながら、ここで今後、議論していただく。先生がおっしゃった点は、総論はわかった、各論が今後は大事だ、アクションプランはどうしていくのかという点だと思いますので、こうしたベストプラクティスというか、具体的な事例も踏まえながら、今後はこの「医師需給分科会」で各論をしっかり議論していきたいと考えております。
それから、医療行政能力の点については、先生がおっしゃったとおりでございまして、ビジョン検討会でも活発な議論がございました。そこにおける一つの方向性ということで、報告書の中にも書いてあるのですけれども、公衆衛生大学院の活用ですとか、地元の大学の公衆衛生学教室とのタイアップですとか、人材育成のためにこれからどういうことをしていき、具体的なプランとしてどんな方策が効果的であるのかという点も非常に重要になってきていると思いますので、そういった観点からもさらに議論を深めていければと考えている次第です。
御指摘ありがとうございました。
○森田座長 では、片峰先生、どうぞ。
○片峰構成員 半年ぶりの開会ということで、とても喜んでいます。いろいろな経緯があったと思うのですけれども、再開に向けて大変な努力があったと思うので、そこは敬意を表したいと思います。
その上で、先ほどの質問と同じような話なのですけれども、半年間議論がとまって、その間にビジョン検討会ができて、きょうの報告書が出た。今後、我々の検討会で何をやるべきか。
1つは、半年前からの議論の連続性をどう担保していくのか。その中で、今回のビジョン検討会の報告書をどう取り込んでいくのかがポイントだと思うのです。偏在対策に関しては、この後、議論があると思うのですけれども、本来、この会の最大のミッションは需給対策であったわけですよね。今村構成員が先ほど言われましたけれども、ビジョン検討会を設置した最大の理由もそこにあって、要するに働き方のビジョンあるいは医療のあり方のビジョンをもっときちんとやって、もっと詳細な検討をやらないと、将来の需給予測はできませんという議論だったのです。
その上で、今回の報告書を見てみますと、13~14ページあたりに書いてあるのですけれども、1つは「一概に増減の必要性を判断することが困難である」と書いてあるわけです。その中で、幾つか要素が書いてありますけれども、問題はそういった要素が全体の大きなトレンドの中で、その要素がどれくらいの重み、影響力を持つのかをきちんと解析しないと「困難である」とは言えないですよね。
それから、14ページの一番下にあるように「敢えて医師数を増やす必要がない環境」を整えるというのは当たり前です。さらに、ほかのところには要するに、国よりも医師の数あるいは医療従事者の数も地方が責任を持つべきだみたいなことが書いてあるのです。こういった議論を今後この会が取り込んでいくというのは、極めて大変だなというのが正直な感想なのです。だから、需給対策に関するこのビジョン検討会の報告書をどう今後に生かしていくのかという観点が、非常に問題かなという気はしています。
○森田座長 ありがとうございました。
発言を待っている方がいらっしゃいますが、神野構成員、勝又構成員、お願いいたします。
○神野構成員 今、片峰分科会座長からおっしゃったところであります。今回、調査で医師の過重労働の実態が明らかになったわけであります。我々の分科会のミッションとしては、先ほど来、議論があったように、医師の偏在と養成需給の問題ということになっています。そして、今、片峰先生がおっしゃった、14ページの下にある「敢えて医師数を増やす必要がない環境」という前提の上にいっぱいいろいろなものが載っているわけで、そこにはタスク・シフティングあるいはタスク・シェアリング、PAあるいはNPとか、それからリフィル処方とか、あるいはAI、ITといったような、今まで余り私どもが触れてこなかったものが前提条件として上がっている。これを本気でこれから議論する気があるのか。その前提のもとで「敢えて医師数を増やす必要がない環境」をつくるのかどうか。その前提がなかったときには、この環境はどうなるのかということを議論しなければいけないのかなと思います。
先ほど来、各構成員の方がおっしゃっておりますけれども、冒頭のところで「これからの医療政策の基本哲学となるべく」と大きくうたっていて、最後に厚生労働省内に「ビジョン実行推進本部(仮称)」を設置して「政策工程表を作成した上で、内閣としての政府方針に位置付け、進捗管理を行うよう求める」と書いてありますので、これは上位概念のような気がしながら見ておりました。
私がまず一番に言いたいことは、先ほども言いましたように、本当にタスク・シェアリング、タスク・シフティング等々のここにうたっていることを検討する気があるかどうかということが重要な問題になるかと思います。
○森田座長 ありがとうございます。
それでは、勝又構成員、どうぞ。
○勝又構成員 ありがとうございます。
きょうは、第4回「医療従事者の需給に関する検討会」と、第9回「医師需給分科会」ということで、2つの合同の会議ということなのですけれども、先ほどから、医師の需給の検討が半年おくれているというお話でございましたが、きょうは第9回の「医師需給分科会」が開催されて、その医師については中間報告も既に出されておりますし、5月以降の検討内容、さらには第7次医療計画に盛り込む内容等を検討するということになっているのですけれども、看護職の需給の分科会についても同じように6カ月おくれておりますし、さらには医療計画に結びつけていくということで開催された検討会でございます。
今後、看護職の需給分科会についてもすぐに検討を始めていかないといけないと思うのですけれども、そのあたりを今後、どのようにされていく予定なのかをお尋ねしたいと思います。
○森田座長 事務局、1個ずつお答えいただけますか。
○重元医師・看護師等働き方改革推進官 御質問ありがとうございました。
看護師の需給に関してでございますけれども、今般、取りまとめましたこのビジョン検討会の報告書の中におきましても、看護師につきましては、多様かつ複雑な医療ニーズ、生活ニーズに寄り添いながら、幅広い活躍ができる看護師が求められていると指摘されているところでございます。このような課題を整理した上で「看護職員需給分科会」におきましても検討を再開する必要があると認識しております。「看護職員需給分科会」の再開時期などに関しましては、改めて事務局のほうで整理した上で、お示しをさせていただきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○森田座長 よろしいでしょうか。
この件に関して、ほかに御発言はありますか。では、羽鳥構成員と本田構成員、どうぞ。もう予定の時間を過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
○羽鳥構成員 先ほど、神野先生が御指摘になった、この4つのキーワードのこと。そして、一番最後の45ページに書かれている「ビジョン実行推進本部(仮称)」のことは非常に危惧しているものでありますが、それは神野先生のこととかぶりますので省略しますが、
専門医機構のことについて、先ほどの9ページの注記の欄に専門医機構のガバナンスが依然としてないとか、批判が書かれていましたけれども、直接、このビジョン委員会の委員もお聞きしたのですが、ここのところは全く議論されていなかったということです。全然確かめもせずに、こういう文書が出てくるというのは全く納得できません。その辺は非公開であるがゆえに、もっと正確に厳密につくるべきであると思います。
それから、専門医機構のことについて、これからできる新たな委員会で3つのテーマの一つが、専門医のあり方になっているのでありますけれども、来年の4月からスタートするということを前提に今、専門医機構とのスケジュールで動いているということ。これはそのまま進めてよいのですねという確認。それが一つです。
もう一つは、資料2の27ページにあります「地方で勤務する意思がない理由」の一つに「専門医の取得に不安がある」ということでありますが、専門医機構の中で今、議論されていることは、妊娠出産の女性医師、地域枠の方あるいは自治医大出身の方に対して十分配慮するいろいろな仕組みをつくっています。プログラム制だけでなくカリキュラム制も採用して十分な技術・知識を習得出来たら認める仕組みを今、一生懸命つくっているのでありますから、この辺については解決できるのではないかと思います。
以上です。
○森田座長 では、本田さん、どうぞ。
○本田構成員 各構成員の方々がおっしゃったことは、私も全くそのとおりに思っていて、繰り返すことはしませんけれども、一つだけ、意見であり質問であるのですが、幾ら言葉が着飾っても、45ページにあるように「ビジョン実行推進本部(仮称)」等を設置して、今後の方針を決めていくという、その方針になるのがこのビジョン検討会での報告書だと読めますし、それはそれで行政としてそのようにするのだと言えば、ある意味、不服に思っていても、それも行政なのかな、政治なのかなと思いますけれども、そのような大方針を決める大事な議論をなぜ非公開でやったのかが一番納得できないところで、なぜそうなったのか。特に、厚労省は過去のいろいろな問題があった中で、さまざまな議論を公開でやってくることを方針として掲げてこられたのに、そのような大方針を決めることに対してそのようなことをしたことだけがどうしても納得がいかないので、それだけお答えいただきたいと思います。
○森田座長 では、事務局、お願いします。
○武井医事課長 さまざまな御意見をいただきましたので、答えられる範囲で順次、お答えしていきたいと思うのですけれども、最後に御質問いただいた、非公開の理由なのですが、今回の議論については、職場における、ある意味個人情報もわかるような状況の御経験ですとか、病院独自の取り組みを御披露いただきました。その上で、忌憚のない御意見をいただくためということで、非公開にさせていただいておりました。あと、特に参考人も含めまして御本人の了解を得た上で、関連資料については全て公開させていただいておりますし、議事要旨についても公開のプロセスをとっているところでございます。
今後についてなのですけれども、具体的な政策マターですとか、今後の制度に関することについては、本検討会で議論いただきますので、その具体案、具体的な方策については全て公開で議論するということになろうかと思います。
前段、片峰構成員、神野構成員、羽鳥構成員から重要な御指摘をいただきました。タスク・シェアリング、タスク・シフティング、それからPAの扱いですとか、AI、ITをどうやって使っていくかの前提条件の取り扱い、それから推進本部をどのような形で考えていくか。これは今、このようにするのだという成案を持ち得ているわけではございませんので、今後検討した上で、タイムテーブルも含めまして、次回以降、構成員の皆さんに御相談させていただければと考えております。
○森田座長 では、発言を待っていただいております堺構成員と加納構成員、どうぞ。
○堺構成員 政策決定のプロセスについてお伺いしたいのですけれども、非公開、公開と今、議論があったのですが、需給検討会、分科会でいろいろ議論した中で突然出てきたわけですね。そうすると、どこがふぐあいで、なぜこのビジョン検討会ができたかという説明が全くないですよね。その中で、この45ページに書いてあるように、需給検討会、分科会で議論しなさいということなのですけれども、そうしますと、議論の中でどなたかがふぐあいと感じたら、またビジョン検討会が開かれるのですか。その辺の担保がない限り、皆さんが真面目な議論ができにくいのではないかという懸念があるのです。厚労省の方に質問するのは非常に酷なことだとは思っていますが。
○武井医事課長 なかなか難しい御質問をいただきました。
先のことなので、現時点でこうなりますと断定はできないのですけれども、ビジョン検討会の報告書は全部で15回の検討を経て、本当に議論を尽くしていただいた感がございます。ここで取りまとめまして、報告書ができましたので、ここで一旦、一つの区切りになっているところです。この報告書を今、幅広くいろいろな方に読んでいただいて、ホームページにも出ておりますけれども、この最後のところに書かれているように、今後については関係審議会ですとか、しかるべき分科会等で具体的な議論をしていただきます。今後の制度改正案ですとか具体的なプラン、特に医師偏在、医師需給については、「医師需給分科会」が中心になって議論していくという整理であると思います。
○森田座長 よろしいですか。では、どうぞ。
○加納構成員 今のを聞きまして少しは安心したのですが、やはりこれがバイブルみたいな形で、ずっと我々はこれを中心に議論するということではなくて、不具合があれば改めて具体的に議論していくという考えでいいということですか。中に書いてあるいろいろな忌憚のない意見としてまとめられた中には、外来の保健医登録制みたいなことも書いてあって、非常にいろいろなことが書いてあると思うのです。個々の問題点を議論し出すと30分では済まず、もっと皆さんは意見があるかと思うのですが、今後、その検討会等を通して、これは我々として具体案としているものの中で、いろいろ直していけるという認識でよろしいのでしょうか。
○武井医事課長 まさしく今、先生が御指摘いただいた点が45ページに書いてあるところでございまして、具体化に向けた検討ですとか方策、必要な制度改正を、この「医師需給分科会」の場で議論していただくということになると思います。
○森田座長 では、西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 特に今回のアンケートについて、3点ほど疑問を感じています。
まずは、先ほど神野委員が言いました14ページですが「敢えて医師数を増やす必要がない環境」をつくる。将来的には10~20年先には可能かもしれませんが、現在、医師が少ないという現実は、もう待っていられない状況です。先ほど、邉見委員が言いましたが、本当に地方では待ったなしだということで、喫緊の対策というのはぜひやっていただきたいと思います。現状では医師が足りないという認識が必要だと思います。
それから、アンケートですが、女性の勤務時間が大体77%などと言いましたが、このアンケート対象は今、勤務しているドクターですよね。離職中のドクターのアンケートではないですよね。そうであれば、現在離職している女性医師はかなりいることをあわせないと、このパーセントは違うのではないかと思いますので、そのあたりは考慮していただければと思います。
それから、地方に勤務の意思ですが、若い医師のほうが多いということですが、20歳代の医師が行く意思ありと言ったときには、今すぐ行く意思ではなく、将来行きたいということだと思います。そして、年代ごとに下がっていっています。今の20代は行きたいと思ったけれども、だんだんそうではなくなってくる。そういうことも考えなければならないと思います。
今回の調査は、初めてこのような調査をしたということは非常に評価いたします。これからは、もっといろいろな形、例えば、1人の医師が免許を取ってからどのようなキャリアを持っていったか。あるいは医師になる前にどこに住んでいて、どう変わったか。そのようなきめ細かな調査もぜひこれからやっていただければと思います。
以上です。
○森田座長 これは御要望ということでよろしいですね。ありがとうございました。
予定よりも30分くらい時間がオーバーしておりますので、この議論につきましては、これくらいにさせていただきたいと思います。
本日の議題の一番最初は、このビジョン検討会の報告書についての皆さん方の評価ということだったと思いますので、それはさまざまな御意見が提示されたものと思っております。
それを踏まえてということですけれども、この検討会で次に何をするかにつきまして「2.医師偏在対策の今後の検討の進め方について」。今までのビジョン検討会の報告書を踏まえ、さらにここで何をしていくかということで、少しこれから前向きに議論の仕方を御検討いただければと思っております。
そこで、議題2についてですけれども、資料3「医師偏在対策の今後の検討の進め方について(案)」と資料4「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書 医師偏在対策関係の抜粋」に関しまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○吉川医事課長補佐 御説明させていただきます。資料3「医師偏在対策の今後の検討の進め方について(案)」をごらんいただければと思います。
先ほどから御説明を差し上げておりますように、
ビジョン検討会の報告書において、「喫緊の課題として対応が必要な医師偏在については、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、本報告書の内容を踏まえ、その具体化に向けた検討を行い、短期的な方策を精査し必要な制度改正案を速やかに取りまとめるべき」とされており、以下のように検討を進める。
こととしてはどうかと考えております。
まず、本日4月8日、第9回ですけれども「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書について」皆様に御議論をいただいております。
また、次回5月以降でございますけれども「具体的な偏在対策に関して、集中的に議論」いただければと思っております。
最後の※でございますけれども「運用等により早期に実行可能な偏在対策については、平成30年度からの第7次医療計画に都道府県が盛り込むことができるよう検討を進める。また、法改正が必要な項目については、今後の法案提出も視野に入れて検討を行う」といった形で案として出させていただいております。
あわせまして、資料4でございますけれども、資料4に関しましては、先ほど御説明を差し上げました資料1のうち、医師偏在対策に関係する部分を抜粋したものでございます。残り時間も短くなっておりますのと、先ほどの繰り返しになってしまいますので、説明は省略とさせていただきます。
今後の御議論の中で適宜、活用していただければと存じます。
以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
それでは、これからの議論の進め方について、具体的な対策について検討するということですが、提案そのものが必ずしもまだ具体的に出されたわけではございませんけれども、そうした方向でいかがでございましょうか。今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 ありがとうございます。
早急にこの議論を再開しなければいけないのは本当にそのとおりでありがたいと思っていますけれども、先ほどからも御質問の中にあった、前回6カ月前までの検討会の最後の終わりの時点での議論と、今後のこの議論の整合性というか、つながりについて確認させていただきます。資料4を見ますと、あくまでビジョン検討会はこう言っている。だから、この議論をしてくださいと読めるのですけれども、全部合わせると本来やるべき14のメニューが上がっているわけですね。あの時点では、それぞれの一つ一つのメニューに対して、いつまで、どんなことをしていくのかを厚生労働省が整理して出していただいたと理解しています。
したがって、それはもう全部ちゃらにして、ここのビジョン検討会が出してきた資料4のことを行うのか、それとも今まであったメニューと今回の提案の中で、非常に関係のあるものあるいは今までなかったものを整理した上で、改めてまた議論し直すのかという全体図を示していただかないと、今までの議論との関係が明確に見えないです。
それから、法改正が必要なものはどれと考えているのか。そういうことをきちんと示していただいた上で議論を進めさせていただきたいと思っていますけれども、いかがですか。
○森田座長 事務局、お願いいたします。
○武井医事課長 重要な点を御質問いただき、ありがとうございます・
昨年6月の中間取りまとめで、14の項目を取りまとめの中に入れていただきました。大きくざくっと言ってという話にはなるのですけれども、この14のうち13がこの報告書の中にすでに入っております。大半の論点については、その13項目についてはさらに深掘りしていく議論というのが最も妥当だと思いますし、今後どういう順番で何を議論していくかというのも次の回に御相談させていただきたいと思いますので、どういう点から順次深掘りしていくのか、どういう点が制度改正が必要なのかということを次回、お示しできればと考えております。
○森田座長 どうぞ。
○久米地域医療計画課長補佐 補足ですが、税とかそういう話はこのビジョン検討会の中には入っていないので、13ではなくて、14項目のうち主なものは入っているという説明です。
○森田座長 今村構成員、よろしゅうございますか。
○今村構成員 そのようにぜひ整理をして、今までの議論との関係を明確にして出していただいたらありがたいと思います。
○森田座長 この件についてほかにいかがでしょうか。
具体的にこれから進めていくということで、よろしゅうございますか。こちらのほうは時間はまだ大分ありますが。どうぞ。
○今村構成員 先ほどは時間がなかったので伺わなかったのですけれども、先ほどのビジョン検討会の報告書の最初のほうに、調査をした際に、タスク・シフトが可能な5つのタスクというのが書いてあって、これが実現されれば、50代未満の医師の労働時間は2割削減できると、7ページの2つ目のフレーズに書かれています。これは相当にボリューム的にインパクトのある話で、まず、我々がぱっと見ると、この5つのことは今すぐにでもできそうな話で、これを徹底してやれば2割減らせるのだと言っているのに、いわゆる具体的な提案のところのタスク・シフト、タスク・シェアリングには全くそのことが書かれていなくて、フィジシャン・アシスタントであるとか、それはそれで大事な業務だとは思いますけれども、そういう項目だけが挙げられている。なぜ本文のほうに今、先ほどのお話にあったように、こんなに大事なビッグデータの調査がある非常に重いものだというお話なのに、具体的に2割も減らせることについて、具体的な提案の中にないのですか。
○森田座長 事務局、どうぞ。
○吉川医事課長補佐 御質問ありがとうございます。
まずデータに関してなのですけれども、少し私の説明が不明確であったかと思いますので、資料2の20~21ページをもう一度ごらんいただければと存じます。
5つの業務で費やした時間に関してそれぞれ示したものでございますけれども、こちらの2割というのは、この5つの業務に限って費やした240分のうち、約20%の47分が他業種に分担可能というところでございまして、全体の2割というわけではございません。○今村構成員 わかりました。
○吉川医事課長補佐 今回の報告書の中で、具体的な5つの項目に関して調査を行ったわけでございますけれども、これ以外に関しましても、医師あるいは他の職種同士でタスク・シェアあるいはタスク・シフティングができる業務があるかと思いますので、今後、どういった業務がシェアできるかということは、議論が必要かと考えております。
○今村構成員 誤解して御質問してしまって申しわけなかったのですが、実際にこれだけのことをやれば効果があるということを数値で具体的に示しているのは現在はこれだけですね。したがって、今すぐやれることをきちんと取り組んでいくことも非常に大事なのだと思っておりまして、後のほうに全然それが全く触れられていないのでお伺いした次第です。
ありがとうございました。
○森田座長 平川構成員、どうぞ。
○平川(淳)構成員 私は今回の文書を見まして、前回の流れの中に少子化という問題がたしか議論としてあったと思うのですけれども、医師のかわりにいろいろな業種が入ってくるというのを想定していますが、実際にはその人材を確保するのは難しいというのが実際のところで、医師ばかりが足りないわけでもないので、その辺も議論に入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。邉見構成員、どうぞ。
○邉見構成員 医師をふやすのも減らすのも今、必要でないみたいな結論になっていますね。AIをやるとか、タスク・シェアリングをやるとか、タスク・シフティングをやれば減る。しかし、14ページには、それをやるためのAI関連の医師も要る。あるいは、都道府県とかの行政関連の医師も要る。それから、医師を教育する医師も要るとか、いろいろ書いているのですが、減らすためにはたちまちはふやさなければいけないのではないかと私は思うのですけれども、この辺のところを中心に始めていったらどうかと私は思います。
○森田座長 御意見ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。どうぞ。
○片峰構成員 偏在問題も含めまして、今回のビジョン検討会の報告書の極めて大きなメッセージの一つは、権限の都道府県への委譲のところですね。恐らく医療をめぐる情勢は非常に多様で、その中で臨機に対応していくということで、そういった考え方はそれはそれでいいのだと思うのです。
だけれども、権限があるから義務もあるわけです。やはり多様性を俯瞰して、なおかつこの国の形をどうしていくのかという責任は厚生労働省も含めてあるのだろうと思うのです。財政の問題もあるし、国のリソースをどう再配分していくかという根本的な問題もある。そういった観点は物すごく大事で、そこら辺が若干抜けている気もするのです。そういったことも含めて、その会でまた検討していくということでいいのだろうと思うのですけれども、一応確認の意味で。
○森田座長 それでは、神野構成員、どうぞ。
○神野構成員 今の資料3のところで「平成30年度からの第7次医療計画に都道府県が盛り込む」と書いてありますね。私は地方の人でも行政でもないのでわかりませんけれども、これは間に合うのですか。今から議論していることが来年の医療計画に間に合うのですかという話のもっと前の話として、専門医の話もそうですけれども、地域医療の協議会とか、センターの話もここでうたわれているわけです。
これは恐らくここでの議論ではないと思うのですけれども、国のほうで専門医の地域の配慮の御意見番として、あるいはここでうたっている偏在対策として、地域医療協議会の活用をいっぱいうたってあるので、それをきちんとまだできていない都道府県に早くつくっていただくような施策を先にやらなければいけないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○森田座長 どうぞ。
○久米地域医療計画課長補佐 重要な点かと思います。既に第7次医療計画の作成に向けて、他の検討会などで決まっていることは通知などにして発出しております。この医療従事者の部分については、ビジョン検討会なり需給検討会なりでまだ議論が必要かというところで、まだ保留という形になっていますので、その点早急に御検討いただいて、まとまったものについては、できるだけ早く都道府県にお示ししてという形で考えておりまして、我々もそのように努めたいと思っています。
○森田座長 どうぞ。
○今村構成員 今の御回答は、地域医療協議会もこれからですか。それはもう既につくることになっているのですか。
○久米地域医療計画課長補佐 今のは協議会の話ではなくて、計画の話です。協議会は既に基本的に法定でできている話ですので、それをどのように運用していくかという話で、その議論が間に合えば、例えば早めに通知なりで出すことも可能でしょうし、今の県がどういう体制でやっているかということを含めて考えなければならない、改善案をまとめなければいけないということであれば、もうちょっと後にして、全体のその制度改正などとあわせて考えていくこともあると思っています。
○今村構成員 冒頭で私がしつこく専門医のことはどこで議論するのかを伺ったのは、地域医療協議会のことも含めてなのですけれども、もともと地域医療協議会が各県で何回開催されたか、それぞれの診療科についてどういう議論をしているかというデータを集めて、これはなぜこんなにまだ開かれていないのだという議論をしたのが「社会保障審議会医療部会」の下にあった、専門医の養成のあり方の検討会だったのです。それを厚労省は閉じて、需給分科会に専門医のところで議論しますとお答えをいただいた。
その需給分科会も閉じられてしまったために、一体、地域医療協議会がどのように開催されて、各県でどのように今、運用されているかがとても把握できない状況になっているわけです。それを機構のほうで調べてやるということは、もともと権限も何もないことはできないわけです。だから、今すぐやらなければいけないことがいっぱいあるのに、それをやらないままにしておくのは私は問題だと思うのです。
○久米地域医療計画課長補佐 言葉の誤解があるかもしれませんが、私が申し上げたのは、地域医療対策協議会といって、医師確保全体について県で話し合う場についての御質問かと思ってお話ししました。専門医に関しての協議会については、養成の検討会のほうで、どうやって30年度から開始するかという話をしていくかということの中の兼ね合いもあると思いますので、そこについてはよく調整をしなければいけないと思っています。
○森田座長 では、勝又構成員、どうぞ。
○勝又構成員 質問なのですけれども、この「第7次医療計画に都道府県が盛り込むことができるよう検討を進める」ということは、5月以降に開催ということになっていますけれども、いつを目途にこの検討を終えて、医療計画に反映するということなのでしょうか。法改正が必要なことというのは、まだ時間があると思うのですけれども、医療計画に反映させるということであれば、いつまでにやられる予定ですか。
○久米地域医療計画課長補佐 早急にというお答えになるかと思いますが、ほかの地域医療構想などの関係では、夏までに介護計画と医療計画の整合性の話について、我々が方針を示すという形に今はなっておりますので、そういうものも見ながらできるだけ早急にという形にはなると思います。
○勝又構成員 看護のほうはツールも全部示して、推計をやり、12月末には検討を終了するということで始まった分科会だったのですね。なので、都道府県はみんな待っているのです。そうしたら、どうなるのですか。看護のほうはいつから始めますか。
○重元医師・看護師等働き方改革推進官 先ほどお答え申し上げましたように、看護のほうも整理した上で、改めてお示しさせていただければと思っております。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
きょうのこの会議は、親会議の「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」の合同のものですから、親会議のほうの座長である私が司会をしておりますけれども、私自身は実は「医師需給分科会」の一構成員でもあるわけでして、分科会の構成員として、個人的に一言だけ言わせていただきたいと思います。
1つは、半年間の中断がありまして、皆さんいろいろな思いがあるのはよく承知しておりますし、私もいろいろ思っておりますけれども、課題そのものの緊急性を考えますと、余り後ろを見て議論しているよりも、前向きにこの問題をどう取り組んでいくかが重要かと思っております。
その場合に、一つはどこで何を議論するかということが少し錯綜している気がします。これは厚生労働省の責任では必ずしもないと思いますけれども、先ほどから出ておりますように、どこで何を議論するかということを整理しませんと、それぞれ自分のところが一番権威ある場所だというふうに言って、矛盾した結論が出たときにどう調整するかという問題が出てまいります。最終的には「社会保障審議会医療部会」になるのかもしれませんけれども、そちらのほうにきちっと提言していくならば、それぞれのところでの役割分担、ミッションは何であるかということについて、次回、少し明確に厚労省のほうで整理をして戴きたい、ということが1点目でございます。
2点目は、ビジョン検討会の内容面もそうですけれども、私自身、この報告書を読んでみて感じましたのは、これまで「医師需給分科会」等で議論してきたことに対して、正面からこれを否定するとか、異なるような意見はそれほどないと思っております。ほとんど重なるところと少し違うところから違う箇所を強調している気がいたしまして、これを踏まえてどう議論するかということですけれども、それは我々のこの分科会のほうで筋の通った形で整理をしていけば、その中に十分これを反映させることができるのではないか。そういう方向で議論すべきではないかと感じたところでございます。
特にこのビジョン検討会の報告書では、例えば、先ほど片峰先生もおっしゃいましたけれども、都道府県の役割についての議論は、この「医師需給分科会」のほうがもう少し深くしていたような気がいたしますし、特にこの報告書の場合には、財政面の話がほとんど触れられておりませんので、そういうことも踏まえて、これからこちらのほうで検討していけばいいのではないかと思ったところでございます。これは、今度は分科会のほうの片峰先生に進行をお願いしたいと思います。
ということで、勝手なことを言っただけで終わるつもりはございませんけれども、特に御発言がなければ、後半のほうにつきましてはそれほど多くの御発言がなかったように思います。少し時間が今度は早いのでございますが、このくらいでこの会議を閉じさせていただくということでよろしいでしょうか。まだ御発言がございましたらお願いしますが、よろしいでしょうか。
事務局のほうもよろしいですか。
○堀岡医事課長補佐 活発な御議論をありがとうございます。
次回の「医師需給分科会」の日程につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。
それでは、本日はさまざまな御議論、ありがとうございました。
○森田座長 それでは、予定された時間より少し早いようですけれども、これで本日の会議は閉じさせていただきます。どうも長い間ありがとうございました。
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