ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会> 第2回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会議事録(2017年4月21日)




2017年4月21日 第2回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成29年4月21日(金)10:00~12:00


○場所

労働委員会会館7階講堂
(東京都港区芝公園1丁目5-32)


○議事

○辺見総務課長 それでは、開会2分ぐらい前でございますので、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に際しましては、既に御案内しております注意事項をお守りいただきますよう、改めてお願いを申し上げます。

 本日、会場の都合で、大変申しわけないのですけれども、マイクの数が限られておりまして、おおむね1テーブルに1つずつの配置になっております。あと、今、私がしゃべっている状況で申しわけないですけれども、マイクの向きによってハウリングしますので、ちょっと向きを変えていただく等の御配慮をいただけますと幸いでございます。

 それでは、構成員の皆様がおそろいでございます。定刻になりましたので、ただいまから第2回「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、御礼申し上げます。本日、現時点で16名中15名の皆様の御出席をいただいております。三村構成員からは御欠席との連絡をいただいております。

 なお、医薬・生活衛生局長でございますが、他の用務がございまして、遅れての到着となります。御容赦いただきたいと思います。

 まず、お配りしております資料の確認をさせていただきたいと存じますが、議事次第の後ろに、資料1、日薬連、松本構成員からの資料でございます。

 資料2、一條構成員御提出の資料でございます。

 資料3、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会連名で御提出の資料でございます。

 資料4、検討の視点(案)という1枚紙の事務局提出資料を用意させていただいております。

 最後に、参考資料として、1枚、JGSPの構成についての資料をお配りさせていただいております。

 資料に過不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、これより議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、以後の進行につきましては、赤池座長にお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

○赤池座長 それでは、議事進行を務めさせていただきます、赤池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、議題1に入ります。偽造医薬品の流通防止のための取り組みを、製造販売業、卸売販売業、薬局のそれぞれの団体・業界の立場から御紹介いただきます。

 各団体・業界から15分程度でお話をいただきまして、それぞれ5分程度の質疑の時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、松本構成員よりお願いいたします。

松本構成員 日薬連の松本でございます。

 お手元の資料1をごらんください。演題としては、「偽造医薬品対策-製薬業界の立場から-」ということで、説明をさせていただきたいと思います。

 次のページをお願いします。

 発表内容としましては3つございます。1番目に海外の偽造防止対策、2番目に製薬業界の偽造防止対策、3番目に国内製薬会社の対策例、最後にまとめという形で進めさせていただきます。

 次のページをお願いします。

 ここに示しておりますのは、世界のGDPのガイドラインの実施状況を示してございます。

 真ん中の上を見ていただきますと、国際的なガイドラインとしましては、WHO、ヨーロッパ、PIC/S、こういう団体がGDPのガイドラインを持っております。

 真ん中を見ていただきますと、アジア地域各国のGDPのガイドラインの実施状況をお示ししてございますけれども、主立ったアジアの諸国はGDP関連のガイドラインを持っております。ただ、日本の場合はJGSP、卸連さんの自主基準を除きまして、それに該当するものはないということがここで示されていることでございます。

 次のページをお願いいたします。

 先進国、アジア諸国のほとんどがGDP関連ガイドラインを持っているということでございます。

 あと、GDPは基本的には製造業者で生産されてから、流通・保管を通して顧客、患者さんに届けられるまで、医薬品の有効性、安全性を維持するということがメインのガイダンスでございます。

 品質保証の一環としまして、偽造医薬品や改ざんされた製品の取り扱い、供給ルートの中で混入することを防止するための項目もGDP記載されているということでございます。

 次をお願いします。

 2番目としましては、シリアルナンバリングというものがございます。基本的には大きく2つございまして、上に書いてある「Track Trace」、これは製造から物流センター、卸売販売業という流通拠点のどこを通ったかというデータ全てを記録していくというシステムでございます。

 一方、下に書いてあるのが「Unit Serialization」といいまして、主にヨーロッパが今後導入していくものでございますけれども、製造業者から物流センターにはいるところと、最後、薬局から患者さんに渡るところの2カ所、入口で記録し出口で真贋判定するものでございます。

 あと、ヨーロッパとしましては、シリアルナンバーに加え「Tamper Evidence」の封緘を強化するということで、現在、作業が進められているところでございます。

 次のページをお願いします。

 シリアルナンバリングとしましては、Track Trace Unit Serializationの2つのタイプがあり、最低限、2次包装に導入されている、もしくはもう既に導入されているということでございます。

EUの場合は、2019年から運用を開始するということ、US2017年から番号を割り当てて、2023年から運用を開始すると聞いております。

 シリアル番号を導入するに当たりましては、番号の発番システム、登録データベース、入力と読み取りの装置、端末が必要だということで、相当のプラットホームの準備が必要ということでございます。

 日本のGS1のコードでございますが、これはもともと取り違え防止ということで導入を開始されましたが、シリアル番号は含まれておりません。ただ、流通の効率化、例えばロット管理とかトレーサビリティ等にも活用はされているということで、卸連さんのほうで活用されているという事を聞いております。

 次のページをお願いいたします。

 ここからは日本の製薬業界の活動状況でございます。

 まず、製薬協の偽造防止対策の活動状況についてお話しさせていただきたいと思います。

 違法インターネット薬局等からもたらされる偽造医薬品の取り締まり強化に向けた共同声明を、IFPMAは国際製薬団体ですね。PhRMAはアメリカのいわゆる製薬協、EFPIAはヨーロッパの製薬協ですけれども、これらとともに共同声明を出しております。

2014年には「偽造医薬品の現状と対策に向けた産官学の取り組み」をテーマとしまして、メディアフォーラムを開催しております。

 偽造医薬品に関する会員会社に対してアンケートをとっておりまして、これは2012年と2014年にやっております。この後で概要を説明させていただきたいと思います。

 これ以外にも、例えば厚労省の監麻課、経産省の模倣品対策室、財務省の関税局、金沢大学等と意見交換を行ったり、会員限定ではございますけれども、定期的に偽造対策のセミナー等を実施しているということでございます。

 次のページをお願いします。

 ここに示しておりますのは、2014年に製薬協で実施いたしました偽造医薬品対策に対するアンケートの概要でございます。72社の加盟会社のうち、53社から回答を得たものでございます。

 まず、最初に偽造医薬品対策に取り組む組織体制があるかどうかというところでございますけれども、お答えいただきました53社中20社がそれなりの組織体制を維持しているということでございます。

 2番目としまして、偽造医薬品が確認されたかどうかということを、過去2年間にわたってお話しいただきましたところ、53社中4社が何らかの偽造品が見つかった。これはほとんど物がED、性機能改善薬であったということでございます。

 偽造医薬品に関しまして健康被害があったかという質問でございますけれども、4社中2社が重篤な副作用を引き起こしたという報告がございました。

 それ以外にも、偽造医薬品に対する取り組みとしまして、製品に偽造品対策の目的で何らかの対応をしているという企業が53社中19社。何らかの対応といいますのは、偽造品対策技術等の導入です。ホログラムであったり、封緘テープであったり、いろいろな技術を入れていると思うのですけれども、こういうことをやっているところが19社ございます。他の製薬企業、業界団体と連携しているというのが10社。その他情報収集活動をしているのが9社ということでございます。

 次のページをお願いいたします。

 ここに示しておりますのは、いろいろな取り組み事例ということでございますけれども、大きく3つございまして、インターポール、国際刑事警察機構に資金の助成を行いまして、偽造医薬品撲滅活動の支援をしているということでございます。

 その次は同じくインターポールとの協働による、偽造医薬品撲滅活動、パンゲアナインという作戦にも参加しているということでございます。

 最後に、製薬防護研究所(PSI)という団体がございます。これは世界の製薬会社33社で共同出資をしてつくったものでございますけれども、ここにも日本企業6社が参加しております。

 次のページをお願いします。

 ここから、国内製薬会社の対策例ということで、御説明させていただきます。

 以後弊社の例を簡単に御説明させていただきたいと思います。活動としましては、大きく2つございまして、偽造医薬品の発見と、偽造医薬品発生の未然防止と、大きく2つの活動をやっております。

 発見活動としましては、市場サンプリングとか、インターネットから物を買ったり、インターネットファーマシーの掲載されている写真等を見て、自社製品が売られているかどうかというモニタリングも行っております。

 一方、未然発生活動のほうでございますけれども、組織体制としては、社内に偽薬防止委員会をつくっておりますし、専門部門としまして、アメリカにプロダクトセキュリティ部門を置いております。その他偽造防止技術とか、流通経路のセキュリティーの確保等もやっております。

 次のページをお願いします。

 組織体制としましては、偽薬防止委員会は、社内15部門から構成しておりまして、2007年に設置しております。

 一方、プロダクトセキュリティ部門につきましては、2009年に設置しております。アメリカには専任者を、ヨーロッパ、アジア地域にそれぞれの担当者を置いているということでございます。

 次のページをお願いします。

 これが社内体制と社外組織との連携を示した図でございます。基本的には、社内は偽薬防止委員会がございまして、そこのメンバーがPSIにも参加しているということと、一方で、製薬企業団体間での情報交換会も密にやっているということでございます。

 次のページをお願いします。

 偽造医薬品の発見時の対応でございますけれども、万が一弊社製品の偽造医薬品が発見された場合は、当然、手順書もつくられてございますし、いろいろな基準もつくられており、基本的にはここに示したような流れで対応していくということでございます。

 基本的に、一番多いのは、お客様からの苦情で、これが本物かどうか、パッケージがちょっとおかしいという苦情から発生いたしますので、まず、サンプルを入手して、パッケージが本物かどうか、その中身が本物かどうか等総合的な判断をした上で、真贋判定しているということでございます。

 次のページをお願いします。

 入れている技術でございますが、具体的には、基本的に目に見える技術と目に見えない技術の組み合わせが行われております。それを示しているのが下の表でございまして、目に見える技術といいますと、例えばホログラムシールであったり、カラーシフティングインクといいまして、例えば米国の紙幣を見ていただきますと、黄色の部分があると思うのですけれども、角度を変えると緑色に変わったりするような特殊なインクのことでございます。

 あと、Covert、目に見えない技術としましては、マイクロ文字とか、UVインクとか、特殊な識別物質をまぜるということも想定しております。

 次のページをお願いします。

 どのような製品に防止技術を適用しているかということでございますけれども、弊社の中で基準を設けておりまして、それぞれの製品のリスクに応じた技術を導入するということで、適応症、発売エリア、薬価、剤形。例えば弊社の場合ですと、臓器移植用の免疫抑制剤などを発売しておりますので、万が一有効成分が入っていないものが出ると、患者様の命にかかわるということで、それぞれ適応症とか、薬価、剤形に対してスコアリングをして、一定以上のリスクを有する製品に対して順次偽造防止技術を導入しているということでございます。

 次のページをお願いします。

 ここに示しているのが、偽造防止技術の一例でございます。ここに示しているということは、もう古い技術でございまして、今は使われておりません。現在はもっと進歩した技術を導入しているということです。

 左上に示しておりますのが免疫抑制剤でございまして、当時はホログラムシールとタンパーエビデントの封緘シール、いわゆる剥がすと糊や印刷物が残るという技術を入れてございました。

 ヨーロッパに関しましては、右上ですけれども、シリアルナンバリングを入れております。

 ブリスターなどに関しては、過去にUV発光インクを検討したり、アメリカ向けのボトルに関しては、チャイルドプルーフリングとか、キャップリングを入れて、開けたことがわかるようなことを、国の規制やユーザーの要求等に従い、様々な技術を入れているところでございます。

 まとめます。

 日本のGS1は、当初、現場での取り違え防止用で導入が開始されましたけれども、シリアル番号は含まれていないということです。現在は、流通の効率化とか、特にロット管理、トレーサビリティ等には卸様を中心に活用されているということでございます。

GDPガイドラインは流通・保管中の医薬品品質を保証するための基準ですが、偽造医薬品や改ざんされた製品が供給ルート中で混在することを防止するための項目も記載されております。製造から販売に至る一貫した体制整備を行うために、我が国でもGDPを検討する必要があるのではないかと考えております。

 製薬企業は、製品のリスクに応じて偽造医薬品対策技術、例えば組織とか技術を実施・強化する必要があると考えております。

 以上でございます。

○赤池座長 どうもありがとうございました。

 製薬業界の立場からということで、偽造医薬品対策につきまして、説明いただきました。

 ただいまのプレゼンの内容につきまして、時間の関係もありますので、5分程度質疑の時間をとりたいと思いますが、もし何か御質問、コメント等ございましたら。

 どうぞ。

○木村構成員 金沢大学の木村です。

 非常に貴重な御発表をありがとうございます。

 1つ伺います。10ページで、偽造医薬品の発見というのは市場サンプリングをしたり、インターネットとか写真からというお話がございました。13ページでは、お客様から怪しいと言われることがきっかけだというお話があったのですけれども、つまり、今、御社の製品の話をされていると思うのですが、御社の製品で国内で偽造品が出ているのでしょうか。

○松本構成員 今の質問に対するお答えですが、偽造品は出ておりません。

木村構成員 そうすると、今のお話は何のことですか。

松本構成員 これは日本国内ではなくて、グローバルで見ますと、よくあるのがアジアの地域ですが、実際には薬局から買わずにどこかインターネット等から買ったけれども、これが本物かどうかわからないので見てくれということで、持ち込みが結構あるのです。そういう場合のお話です。

○木村構成員 国外の話。

○松本構成員 そうです。国内では一切そういう偽造薬品は発見されておりません。

木村構成員 国外ではあるということですね。

○松本構成員 外国では、疑わしきものはあるのですけれども、弊社の場合は偽造医薬品というのは過去にはほとんど例はございません。

○赤池座長 よろしいでしょうか。

 ほかに御質問はございますでしょうか。

 どうぞ。

羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。アンケート調査で、偽造医薬品で健康被害が出ている。全ての製薬会社が対策をとっていない、53分の19しかないということに関しては、製薬協としては今後何らかの強制力を行使出来るでしょうか。何らかの対策をとるべきだという規制をする指導力はあるのでしょうか。

松本構成員 指導力はございません。各社扱っている製品にはいろいろな種類がございますので、その製品特性に合わせたリスクに応じて、各社が判断いただくと考えております。

○羽鳥構成員 そうすると、製薬会社に任せるということですね。一流の会社は一生懸命やるかもしれないけれども、余力がない会社はやらないところもあるという意味ですね。

松本構成員 グローバル企業のリスクは上がるのですけれども、国内専業メーカーの場合は現時点ではそんなにリスクはないということですので、海外の活動も含めてお答えいただいたと理解いただけたらと思います。

赤池座長 どうもありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 どうぞ。

○杉山構成員 日本歯科医師会の杉山でございます。

 お尋ねさせていただきたいと思いますが、今、羽鳥構成員からお話しいただいた8ページですが、偽造医薬品による健康被害、ここに重篤な副作用を引き起こした報告もあるということなので、ここでおっしゃらなくて結構なのですが、具体的に重篤な症状そのもの、その後の経過等を把握してはいらっしゃるのですか。

松本構成員 それぞれのメーカーさんのほうで把握はされておりますし、この事例に関しては新聞でも報告をされていたと記憶しております。

杉山構成員 ありがとうございました。

赤池座長 どうぞ。

○森構成員 松本先生、ありがとうございました。

 1つは、8ページのところで、今、お話がありましたけれども、2つ目のところの確認された偽造医薬品の実態で「国内は大半が個人輸入等」なので、「等」の部分にほかに何があるのかというのが1点。

 それから、今までの製薬協の取り組みということでお話をいただいたのですけれども、今回のハーボニーの件を踏まえて、現状で何か新たな取り組みを少し協議したようなことがあるのであれば、教えていただきたいのですが。

松本構成員 まず、1点目に関してのお答えでございますが、1つ、薬として考えていいかどうかわからないのですけれども、ダイエット用の商品ですが、その中にダイエットに関する有効成分の入ったものが見つかったと記憶しております。

 あと、ハーボニー以降ということでございますが、製薬協の中で、偽造対策検討会というのがございまして、その中で順次お話をさせていただいているところでございます。

○赤池座長 ありがとうございます。

 ほかによろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。質問はここまでとさせていただきます。またほかにも御質問がありましたら、次の機会にあわせてお願いいたしたいと思います。

 それでは。次に一條構成員から説明をお願いいたします。

一條構成員 日本医薬品卸売業連合会の一條でございます。きょうは、医薬品の適正管理の現状、実態の説明と、GDPへの対応、卸連合会でどういう対応を考えているか。不適切な流通をなくすためにはどういう対策が必要かと、この3点に絞ってお話をしたいと思っております。

 それでは、1ページをあけていただきたいと思います。

 特に副題に「JGSPによる統制と啓発」と入れましたので、ガイドラインに基づいてどういう統制をしているかということをこれから説明させていただきたいと思います。

 まず、日本医薬品卸売業連合会というのは、昭和16年にできた全国組織で、各県に支部が全部でき上がっています。したがって、卸連合会の理事会で決められたことは、そこを通じて各社に伝達されるという流れになっている。特に流通過程における品質管理の強化とか徹底を図るために、そういう組織を使って各県に通達し、各社がそれを守るという形がとられているということです。

 薬制委員会は、その中で、卸連合会の会長の企画部門という位置づけです。特にJGSPの管理に関してどういう管理をしたらいいかということを検討しながら、理事会等に案を出していく。さらに、例えば厚労省さんとか、日薬連さんとか、薬剤師会さんとか、関係の団体との品質管理にかかわる調整を行っているというところです。

 卸連合会の中には、後で話しますが、約2,000人の薬剤師が勤務しています。薬剤師の仕事のあり方、そういうことも実は薬制委員会で規定しているということです。

 3ページ目、日本医薬品卸売業連合会の現状をちょっと説明したいと思います。

 卸連合会に加盟している卸売販売業者というのは、実は直近のデータで72社です。

72社で取り扱っているのが8兆9,300億ということで、国内医療用医薬品の流通の97%がこの卸売業連合会に加盟している企業から流通している。今回のハーボニーの事件は実は残りの3%のところで起きたというところです。残りの3%のところには、例えばジェネリックメーカーさんが持っている直販の販売会社、今回のハーボニーのようなところで流れた部分が入っているということです。

 卸連合会としましては、トレーサビリティのデータの完全性を確立したいということしで、製薬メーカーさんから仕入れ、薬局さん、医療機関等に販売するまでのデータを共有できるような仕組みを現在、持っているということです。

 卸連合会加盟の従業員の数は5万3,875人で、そのうち約2,000人が薬剤師、営業担当者が1万7,600人となっております。

 また、日本の医薬品流通の特徴としまして、毛細血管型流通。薬局を含めた医療機関さんの拠点が非常に多い。それから、薬価収載で収載されている品目が非常に多いということで、毛細血管型流通、たすきがけでそういうものが実態として出ている。流通関係はそういう意味では非常に高度化した対応が求められるような状況になってきているということです。

 4ページを見ていただきたいと思います。先ほどちょっと説明させていただきました、2,000人の薬剤師がどういう仕事をしているか。ほとんどが営業拠点、ストックポイントにいる、管理を行っている薬剤師ですので、1つは営業担当者、物流担当者に必要な医薬品の情報を伝達する。そして、適正販売の徹底を図っているということです。

 そのほか、例えば倉庫内の温度の管理とか、品質の管理の確認を管理薬剤師が行っているということです。さらに、管理薬剤師の重要な仕事というのは、実は医薬品によってどういうものをどの医療機関さんに売れるか。例えば麻薬免許を持っているかとか、持っていないかとか、そういうことを確認しながら、販売の資格確認をして流通をさせているということです。副作用とか何かがあれば、そういうものに関しても確認するという作業もありますが、最後に、教育研修の資料とか何かをつくって、その日、薬事管理簿を管理薬剤師は必ず記載することになっていまして、薬事管理簿というのは各社が管理の手順書を持っていますので、管理簿を書くことによって、手順書に合った管理ができる。その手順書は、後で御説明しますが、JGSP、連合会でつくっているガイドラインに沿ったものと、JGSPは、法律の中にある適正管理に準拠したものという流れになっているということです。

 5ページになりますが、JGSPの内容を説明させていただきます。きょうの資料のほうにも、JGSPの内容に関しての資料がありますが、JGSPに関してこれから説明させていただきます。

JGSPは、昭和50年に策定されていますので、かれこれ40年ということになっています。この中身というのは、医薬品卸売業が取り扱う商品というのは、医薬品ということで、生命関連商品だということで、一般の商品とは違う。そういうことを働く人たちに認識してもらうために、医薬品の製品特性に基づいてつくられたものです。

 会社の経営をする上で前提となる、医療用医薬品を扱っているということを確認させるということで、JGSPはでき上がっているということです。

 6ページにありますが、JGSPといいますのは、薬事関連法規の適正管理、業務指針の作成、従業員の研修の実施、事故報告体制の確立、手順書の作成と実施、適正管理の情報収集と改善策の対応、これに連動した業界のガイドラインとして運用しているということです。

 7ページ、JGSPの内容です。JGSPは全体で第5章まででできております。第1章は「JGSPの意義と役割」、第2章「組織と任務」、第3章が「医薬品の供給と品質管理」、第4章が「安全管理業務」、第5章が「教育訓練」。

JGSPは昭和50年にできて、その後、薬事関連法規が変わるたびにその内容を見直して、改訂してきた。薬事関係の法律が変われば、現場の作業の仕方とか、そういうものも変わってきますので、それにあわせてつくってきたということです。

 第1章は「JGSPの意義と役割」ということで、基本理念ですね。医療用医薬品というのは、安定供給と安全な品質管理が絶対に必要だと、これは各会社のコーポレートミッションの上位に来る概念だということをここに入れてあります。特に、卸売企業は普通の事業ですので、営利追求または過大な経営効率化を求めることがありますが、その前提として守らなければいけないのは、法令遵守と、医薬品の品質を確保して流通させるのだというのが前提にあるということを、この第1章の中で述べているということです。

 第2章に関しては「組織と任務」ということで、この中で一番多く書いてあるのは、実は組織と任務ということは、牽制機能をいかに持つべきか。卸売業連合会としては、薬事管理部門というものは社長直轄の組織にして、牽制機能が発揮できるようにということをここの中で推奨しています。営業系の組織とか、そういうところには絶対入れないようにと。さらに、現場で働く薬剤師の位置づけもそこで規定しているということです。

 9ページになります。

 第3章は「医薬品の供給と品質管理」ということで、第1節は構造設備規則ということで、それに準拠しているか、法律に合っているかどうかということです。

 第2節は供給と品質管理ということで、入出荷業務、配送業務、返品、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料の取り扱い、管理品目・リタリンとかサリドマイドなどの特別に管理しなければいけないもの、医薬品の廃棄、医薬品の記録、不正流通の防止のやり方についてこの中で規定しているこれに基づいて手順書を作成し管理してくださいということになっているということです。

10ページは、その中で第3節、特に「トレーサビリティ」ということで、トレーサビリティは、医薬品卸売業にかかわっている企業はこのデータの完全な持ち方は絶対しなくてはいけない。何かあった場合には、このデータに基づいていろいろな対応ができるということですので、トレーサビリティで流通履歴を管理することは各会社に強くお願いしているところです。

 特に、生物由来に関しては、製薬メーカーさんにどの医療機関にどういうものを納品したかという報告をしている。これは決まっていますので、当然のことです。

 全ての医薬品に識別・製造番号・有効期限を表示してほしいということで、メーカーさんのほうにお願いして、先ほどもグローバル・スタンダード1の表示が現在どんどん進んできているということです。このグローバル・スタンダード1の推奨で、今まで、過去にはJANコードによる識別だけの管理だったものが、製造番号とか有効期限が違うというものであれば、これは別物として管理ができるという実態ができ上がっています。

11ページをご覧ください。参考事例を入れております。

 従来の倉庫では、識別のみで管理をしておりましたが、現在は個体情報、製造番号とか、有効期限が違えば、それは違うものとして管理する。昔は手作業で記入しながらやっていたのですが、例えば数字の0とアルファベットのOの識別ができないとか、Iと1の区別がつかないとか、そういうことがありまして、このグローバル・スタンダード1、GS1が大分普及してきたことによって、実はこういう管理ができるようになりました。

 写真も入れておきましたが、最近、メーカーさんのほうではGS1表示をかなり商品に入れていただいています。もう少しすれば、ほぼ全体にこれが普及する。それから、在庫の管理の仕方としては、同じ製品でも使用期限とか、ロットが違えば、別の場所に置いて管理するという形が今、でき上がってきているということです。

12ページになります。第5章「教育訓練」ということで、これは特に供給管理業務、品質管理業務、安全管理業務を行う社員に関しては、導入で60時間、継続で20時間の研修を義務づけています。これに関しては、管理薬剤師が中心になって教育しますが、当然、研修の記録を残すということで、卸連合会としてはこれを義務づけているということです。

 以上がJGSPに基づいた管理の現状ということで、説明させていただきました。

13ページは、JGSPに対してGDPの対応がどうなっているかということです。先ほども、松本さんからGDPの話がありましたが、JGSPに関しては、医薬品流通における品質管理のガイドラインということでつくっていましたが、GDPに関しては、品質管理にプラスして、品質を証明するという要素が入ってきていると理解しております。最終的には、患者さんに届くまで、患者さんが服用するまでの流通過程を一貫して品質確保できる、それを証明できる体制をこれから整備していかなければいけないのかなと思っています。

 その方向性としては、JGSPの中にPIC/SGDPのガイドラインの要素を織り込んで、なじませていくというのが、これから卸連合会の中でもこの作業をしようということで、今、進めているところです。

14ページになりますが、JGSPPIC/SGDPの項目を比較しております。比較したものに関してはできておりますので、それに基づいてGDPの対応のJGSPを現在検討している。特に、赤字で書いている第1章の「品質マネジメント」、第4章の「文書化」、第6章の「偽造医薬品」、第7章の「外部委託」。最後にちょっと日本だけ特別ですけれども、第9章の「災害対策」もこの中に織り込みたいということで、現在、この赤字のところの追補をつくって、第1段階として対応させたいと思っています。その過程で、厚労省さんからGDPの素案とどの程度までの対応ということが求められるのかということが出てきますので、それにあわせてJGSPの全面的な改定に入りたいというのが今の流れでございます。

 最後になりますが、不適切な流通をなくすためには、一番大切なのは、品質が保証できない、出所が不明な医薬品を流通させない、仕入れない、買ってはいけないという環境を整えることが一番大事だと思います。そういうところが、不正流通の温床になっていますので、ここをなくすことが非常に大切なことかなと。

 先般、厚労省さんから、譲渡記録の正確性の確保ということで、通知を出していただいていますが、私たちとしてはその厳格化をぜひお願いしたいと思っています。特に、卸売販売業の許可は、一回取りますと6年更新という流れになっています。一回取れば6年間生きますが、私としては、その間に出所不明なものを仕入れたり、そういうものを販売した場合には、厳格な対応をお願いしたいというのがお願いです。

 それから、この間の通知の2番目に、管理薬剤師による医薬品の品質管理の徹底ということもありましたので、ここに関しても厳格化が必要かと思っております。場合によっては、品質の管理に関して紙面による確認等が必要な場合も出てくるのかなと思っております。

 そのほか、流通の問題、特に品質にかかわる問題では、先ほどちょっと松本さんからお話が出ていましたが、封緘、包装の問題ですね。これも昭和35年にできた法律がもとになって、その後通知も出ていますが、今回のハーボニーも一回開けた商品が各卸売業者を転々としたということなので、開けたということが明確にわかるというようなものが必要なのかなと思います。

 返品の際も、品質をどのように確保するかというのが一つ課題で、この辺に関しては、メーカーさんとか、薬局さんとか、関係者がこれから連携をとって対応していくことが求められているのかなと思っています。

 以上が日本医薬品卸売業連合会の適正管理の現状とGDPへの対応ということで、説明させていただきました。

 以上です。

赤池座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明の内容につきまして、御質問等がございましたら。

 どうぞ。

○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。

 このJGSPというのは努力義務であって、すべての会社が守らなくてはいけない義務ではないのですか。

一條構成員 JGSPはガイドライン。

羽鳥構成員 ガイドラインであるという事は守らなくても、罰せられるものではない。

一條構成員 卸連合会では、理事会でこれを守って各社でやってくださいと言っていますので、それを守らないというのは余り考えられないことだと思っています。特に罰則とか、そういうことはありません。

○羽鳥構成員 わかりました。

 3%が卸連合会に入っていないということですが、今回のハーボニーのことを含めて、ジェネリックメーカーが直販することが問題だという認識ですか。

一條構成員 そうではなくて、3%の中に、今までの流れとしては、ジェネリックメーカーさんはもともと卸を使わないで直接販売するということで、自分のところで販売会社を持っているのです。したがって、ジェネリックメーカーさんの販社もJGSPと同じような管理をしていれば、別に大きい問題はないと思います。

羽鳥構成員 一條さんがおっしゃられた5ページの、GSPは人の命を預かる医薬品を扱うという発想が一番大事だと思うので、ほかの価格の安さを競うような商品とは違うのだという意識をやはりみんなに持ってほしいと思うということが一つ。

 先ほどの8ページ目の第1章「JGSPの意義と役割基本理念」というところで、3行目の、「営利主義・過大な経営効率化に対してきちんと対処する」という、高い理念をうたってほしいと思います。

一條構成員 JGSPの中には、これはきちっと入っていますので、しっかり啓発していきたいと思います。

○赤池座長 どうぞ。

○花井構成員 御説明ありがとうございます。

 実態がよくわからないので教えてほしいのですけれども、3ページの、3%の中に、ジェネリックの直販のところは何となくわかるのですけれども、まず、残り何社ぐらいがあるか。

一條構成員 そこは私たちの組織の外側ですので、私たちとしてはその実態を把握していません

花井構成員 それが結構あるのだということだと思うのですが。

一條構成員 この間の厚生労働省さんの発表で聞きますと、卸売販売業の許可を取っているのが1万5,000程度あるという発表がありました。卸連合会の72社は大体営業拠点が1,5001,600の数なのです。ということは、残っているところで、例えば薬局さんが卸売販売業の許可を取ったりしていますので、そういうところがそこに入っているのかなと思っています。

花井構成員 この8兆9,300億というのは薬価ベースではなく売り上げということですね。

一條構成員 そうです。

花井構成員そうすると、残りで3,000億ぐらいあって、利益ベースでいくと結構それを分け合っているということなので、相当零細なところがたくさんあるように想像がつくのですが、基本的にこちらに加盟されているところはメーカー以外からは買っていないという理解。

一條構成員 メーカーさんからだけの仕入れになっています。

○花井構成員 ということは、残りの部分の何千億円か分け合っている、多分、利益ベースにしたら一軒当たり1,000万とか、1,500万とか、そんなレベルの、もしかしたらもっと低いレベルのお店があって、そこがメーカー以外から買っているという実態認識でよろしいでしょうか。

一條構成員 そうですね。

○花井構成員 ありがとうございます。

○赤池座長 ありがとうございます。

 ほかに御質問、コメント等ございますでしょうか。よろしいですか。

 ありがとうございました。質問は一旦ここまでということにさせていただきます。先ほどと同様ですけれども、ほかにも御質問の方が出てまいりましたら、この後の機会にあわせてお願いいたします。

 それでは、最後ですけれども、森構成員からプレゼンをお願いいたします。

森構成員 日本薬剤師会の森でございます。

 資料3をご覧いただければと思います。今回、ハーボニーの事件を受けたという形で、日本薬剤師会と日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会合同で、薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドラインを作成しました。このガイドラインですけれども、1つは、適正な流通が行われること。そして、品質を確保するとともに、譲受・譲渡に係る記録及び管理を徹底するために、作成をしたものになります。傍聴の人を含めても、薬局間での譲渡・譲受について御存じない方もいらっしゃると思いますので、最初に簡単に説明をさせていただければと思います。

 まず、薬局間で医薬品を譲渡・譲受することが認められております。例えばあるAという薬、100錠包装のものを、私の薬局から原先生のところに譲渡することができます。また、分割販売といって、例えば私の薬局である薬が急に12錠必要になったということで、原先生のところにお願いをして、原先生から12錠を譲っていただくこと。そういうこともできるようになっています。

 そこで、今までのルールですけれども、資料3の9ページをごらんいただければと思います。全てを御説明するのは難しいので、ある程度ポイントだけを御説明させていただきます。後できちんとお読みいただければと思います。

 薬局間での譲受・譲渡時にやらなければいけないことなのですけれどもまず、(5)医薬品の譲受・譲渡に関する記録を残すことになっております。これは薬局開設者が行わなければならないことになります。そのときに、記録を残すものが、そこにあります、一から四までの品名、数量、譲り受けまたは販売もしくは授受の年月日、譲渡人または譲受人の氏名、こういう記録をきちんと書類で残して、それを薬局開設者は記載の日から3年間保存しているということになります。

 その下の(6)では、譲り渡す医薬品に関してですけれども、そこには医薬品の直接の容器等へ記載しなければならない事項が決められております。そこにありますように、一から十五までのものに関して、きちんと記載があるものを譲り渡すというルールになっております。わかりやすく言えば、医薬品の箱に書いてある、先ほど製薬協のほうから箱の写真が出ていましたけれども、あそこに書いてあるものが直接の容器、被包に必要になります。

11ページまで飛んでいただければと思います。一番上の(9)そうした医薬品を譲渡・譲受するときに、添付する文書が必要なります。当該医薬品に関して最新の論文その他より得られた知見に基づいて、次に掲げる事項が記載されているものということで、添付文書が医薬品にはついていると思いますけれども、添付文書が要件を満たしていますが、そこに記載してあります一から五までの事項が書いてある文書を添付しなければならないとなっています。

 その上で、(10)、先ほどお話ししましたように、分割販売というものができます。薬局間で、販売包装単位での譲渡・譲受というのは正直多くないと思います。行われているものは、分割したものを販売する調剤で必要な量に関して譲っていただくことになると思いますけれども、そのときに、調剤専用医薬品に関する表示の特例ということで、下にあるように「調剤専用」、分割販売を行う者の氏名、または名称、分割販売を行う薬局または営業所の名称及び所在地を、記載をした上で、譲受・譲渡を行うことが求められています。

 このようなことを踏まえて、きちんとした流通が行われるために、今回、ガイドラインを作成させていただきました。

 1ページ目に戻っていただければ思います。目的に関しては、今、お話ししましたので、まずは、用語の整理について説明させていただきます。今回のガイドラインの中の医療用医薬品ですが、特段の規制が求められている医薬品、麻薬とか覚醒剤原料がありますけれども、そういうものを除いたもの、麻薬に関しても薬局間の譲渡・譲受が一定のルールのもとで認められていますけれども、そういうものを除いております。それ以外のものに関してのガイドラインを定めたということになります。

 2つ下がっていただいて、言葉の整理で「譲渡」と「譲受」ということを整理させていただいています。ちょっとここはわかりにくいという話もありましたので、整理させていただいています。

 「譲受」というのは、いわゆる医薬品を購入することです。「譲受人」は医薬品を購入する薬局になります。

 「譲渡」は何かといったら、医薬品を販売・授与すること。譲渡人は医薬品を販売する薬局になります。

 次に、本ガイドラインの位置づけですけれども、まず、本ガイドラインの中で最初に整理させていただいたのは、適正な流通及び品質の確保に係る記録及び管理を徹底するために、開設者は何をしなければいけないのか。管理薬剤師は何をするのか。薬局薬剤師は何をやるのかということを、まず整理をさせていただいております。

 今回、先ほど卸のほうでもありましたけれども、これはマニュアルではなくて、ガイドラインを作成させていただきました。このガイドラインに従った中で、各薬局は、きちんとした手順書をつくって取り組んでいただきたいと思っております。

 2ページ目にいっていただきまして、本ガイドラインを作成するに当たっては、2月16日に厚労省から「卸売販売業者及び薬局における記録及び管理の徹底について」という通知が出されております。それを参考にしたことと、もう一つは、その通知が出たことによって、卸と薬局間に関してはきちんとした流通体制をとる指針が示されましたので、その後の流通、薬局間でどうするかということに主眼を置いて、今回、作成しました。

 その下に行きまして、まず、整理したところで、薬局開設者、管理薬剤師、薬局の薬剤師としての責務、義務は何なのかということを整理させていただいています。

 細かいことは御説明しませんけれども、薬局の開設者は、薬局を開設しているということ、医薬品を取り扱っているということをしっかり自覚して上で、体制を整備すること。

 管理薬剤師等から何か意見があったときには耳を傾けること。管理薬剤師が責任を果たせるように、また、薬局薬剤師が仕事ができる環境を整えるのが薬局開設者の役割ではないかと思います。

 一方、管理薬剤師ですけれども、法8条第1項の中で、管理薬剤師の義務というものが定められております。保健衛生上支障を生ずることがないように、従業員を監督すること、医薬品の管理等を行うこととあります。きちんと管理薬剤師としての義務を果たしていただきたいと思います。

 次の3ページに行っていただいて、薬局薬剤師の責務ですけれども、患者のために品質の確保された医薬品を、異常がないことを確認して、供給すること。医薬品の品質、有効性、安全性を確保すること。

 その上で、4番、記録及び管理の徹底ということで、まず何をやるのかといったら、相手の薬局、譲渡人、譲受人を確認します。

 下の表ですが、左側が譲受人が行うこと。右側が譲渡人が行うことになっています。ある意味では、表裏になっています。

 まずは、譲受人、医薬品を購入する薬局が行うことは、譲渡人が、譲受人が薬局であるということが認識できるように、初めての取引のときには薬局開設許可証の写しを持っていくこと。そして、譲渡人は譲受人が薬局開設の許可を受けているか。どこにでも売っていいわけではありませんので、相手を確認するということをしていただきたい。

 さらに、取りに来た者が薬局の者であること確認するためにきちんと身分証明書等をもっていき、譲渡薬局側に提示していただく。譲渡する薬局側では、どこの薬局の誰が来たのかということを確認した上で、記録を残します。

 4ページ、(2)医薬品の確認ということで、それぞれ譲受側、譲渡側が行うことがそこに書いてあります。

 下の表の中ですけれども、譲り受ける医薬品が次の事項について問題ないこと、また、必要な書類等が添付されていることを確認します。製造販売業者名、医薬品名、規格、数量、製造番号・記号、使用期限、直接の容器または直接の被包に必要な記載事項。包装状態に関しても確認して、例えば封があいていないかとか、そういうことも確認をします。それから、添付する文書がついているかということを確認します。

 さらに、分割販売を行うときには、5ページの3)にありますように、調剤専用の文字であったり、2、3にあるように分割販売を行う者の名前、薬局名等を記載をします。

 6ページ目、そうして被包必要事項記載して医薬品の譲受・譲渡が行われた後に、書面へ必要事項を記載し、3年間保存する必要があります。そのために、譲受薬局、譲渡薬局としての必要な事項を整理しております。

 書面への記載事項ですけれども、製造販売業者の名前、医薬品名、次の7ページに行っていただきまして規格、数量、製造番号・記号、使用期限。譲受日、譲渡人等に関する記録としては、譲受年月日、薬局名、薬局の連絡先、医薬品を渡した者、譲受薬局は譲渡薬局の誰から渡されたのかということ。または、薬局によっては、その医薬品を準備した薬剤師の氏名が記載されていますので、その薬剤師の記録を残しておくということ。

 逆に、譲渡薬局側は、どこの薬局に売ったのか、そこの薬局の開設許可番号、受け取りに来た者の名前、誰が来たのかということをきちんと記録して、それを3年間残します。

 (4)譲受・譲渡の手段、場所ですけれども、薬局間における医薬品の譲受・譲渡については、当該薬局の従事者が対面により譲渡側の薬局で行います。

 (5)その他留意事項について記載しています。薬局間の譲受・譲渡ですが、まずは相手を確認すること。きちんとした薬局から購入する。薬局に販売をする。誰が取りに来たのか、誰から受け取ったのかということを確認する。流通する医薬品に関しては、医薬品そのものもしっかりと確認し、被包に必要事項が記載されているか、添付する書類があるか確認して譲渡・譲受を行い、そういう一連の取引があったことを記録して3年間残すということ。このことを徹底して、卸から薬局に入ってきた後も適正な流通及び品質の管理ができるように、このガイドラインを徹底していきたいと思っております。

 私からは以上です。

○赤池座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明の内容につきまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ。

一條構成員 同一法人の中で流通させる場合の流通履歴、例えば今回のハーボニーの事件も本部で買って、それを何カ所か同一法人の中で流通させたということですので、例えば同一法人の中で流通履歴の管理に関してはどのようにお考えでしょうか。

森構成員 7ページ目をごらんいただければと思います。「(5)その他の留意事項」の一番上のところに「薬局間における医薬品の譲受・譲渡にあたっては、同一法人(開設者が同一)の薬局であるか否かにかかわらず」ガイドラインを遵守することになっていますので、当然そこでもこのようなことをやっていただきたいと思っています。

赤池座長 どうもありがとうございます。

どうぞ。

○木村構成員 きちんとしたものをつくられて、安心だなと思うのですが、これは薬局間の譲渡・譲受ですけれども、薬局側が現金問屋に売られる場合は適用されるのでしょうか。

森構成員 これは薬局間でのものですので、想定していません。

赤池座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○羽鳥構成員 森先生にお伺いしたいのですけれども、薬局の場合は、医療法人と違っていて、管理者が薬剤師でない場合がありますね。薬剤師さんでない人が社長をしている時に管理薬剤師さんが薬局開設者に対して、姿勢を正すべきと具申するような文句を言うことはできるのでしょうか。

森構成員 先生がおっしゃるように、薬局の開設者は薬剤師だけに限られているものではございません。薬局が適切に機能するためには、もちろん開設者の責任というのも非常に重いと思います。その上で、管理薬剤師は開設者に対して必要な意見は述べていると思っております。

羽鳥構成員 監査法人の様に、不正について指摘できる仕組みをつくるべきです。東芝の監査法人がサインするのは嫌だと言ったように、もう少し管理薬剤師さんに権限を与えて、社長さんに物申すことができることを担保してあげることはできないのでしょうか。

森構成員 基本的には薬局のその店舗の責任は管理薬剤師が担っていますので、きちんとやっていただけていると思っております。そういうことがあってはならないということだと思います。

赤池座長 よろしいですか。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、議題1につきましてはここで終了いたしまして、議題2に移りたいと思います。

 まだ御質問あるかもしれませんけれども、これまでの内容に関しまして、ほかに質問がございます方は、議題2のところでまた意見交換の時間を設けますので、そちらであわせてお願いしたいと思います。

 それでは、議題2「偽造品流通防止に向けた検討事項」にはいります。

 偽造医薬品の流通防止に向けた今後の検討の視点を事務局より説明をお願いいたします。

紀平医薬情報室長 お手元の資料4の1枚紙をごらんください。前回の会議で、今回のハーボニーの事案の概況の説明、現在の制度の御説明をさせていただきました。それから、木村先生から、世界での海外の状況とか、GDPの検討に関する御説明、今回、製薬企業、卸、薬局、それぞれの取り組みについて御紹介いただいたところです。

 前回お配りしました本検討会の開催要綱にも書いてあったのですけれども、検討事項としましては、製造から販売に至る一貫した偽造品流通防止のための方策を御検討いただく。もう一点が、偽造医薬品の流通防止のための卸売販売業者、薬局などにおける医療用医薬品の管理に関する事項を御検討いただくというのが本検討会でお願いしているものでございます。そこで、御意見をいただきまして、今後の論点を整理していきたいと考えているものでございます。

 御意見をいただくに当たりまして、検討の視点を挙げさせていただいたのが、この資料4でございます。

 まず、1点目が「製造から販売に至る一貫した偽造品流通防止を進めるにあたって、講じるべき方策は何か」という全体のものでございます。

 そして、2点目としましては、そのうち「今回の「ハーボニー配合錠」の偽造品の事案を踏まえ、直ちに対応すべき事項は何か」というものでございます。

 また、そういった取り組み、方策の内容とあわせまして、3点目としまして「製造販売業者、卸売販売業者、薬局、行政などに、それぞれ求められる役割は何か」といったものを視点として挙げさせていただきましたので、それにあわせて御意見をいただければと考えております。

 以上でございます。

○赤池座長 ありがとうございます。

 ただいま、偽造品流通防止に向けた検討の視点ということで、3つの視点につきまして、柱立てということで御説明をいただきましたけれども、こういった3つの柱立てで検討するということにつきまして、御意見、御質問等がございましたら、まず、そちらから行きたいと思いますが、いかがでしょうか。

 この点はよろしいでしょうか。

 特に御意見がなければ、ここでいろいろ議論をしても始まりませんので、この3つの視点で本日、これからの意見、検討を行わせていただきたいと思います。よろしいですね。どうもありがとうございます。

 それでは、意見交換に移ります。事務局から、ただいま提示がございました資料4に沿って、構成員の皆様に御議論をいただければと思います。

 必要でしたら、先ほどの議題1の内容につきましても、追加の御質問がありましたら、あわせて御質問いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 お願いいたします。

○河野構成員 都庁の薬事監視担当の河野でございます。

 今回の件、東京都の許可を持たれている卸売業者さんから流通ルートに投入されたということで、私も非常に立場上、複雑なところがございますけれども、前回と今回、いろいろお聞きしまして、製造販売業者さん、あるいは卸さん、薬局さんのところで、製品に対する安全確保対策ですとか、あるいは管理対策、いろいろ御検討されているところだと思います。

 これによって、正規品の流通はかなり厳格にできていくのだろうと思うのですけれども、今回、ハーボニーの件で、流通させたいわゆる現金問屋さんは、報道にも出ていますけれども、個人から買っているのですが、記録は架空の卸売業者を書いていた。これはなかなか監視しても、それが本当なのか、個人なのかはわからないところですが、結局、現金問屋さんは、最近はあの一件で広告等はかなり減ってきたかもしれませんが、いわゆる現金問屋さんとしては、現金買い入れと秘密厳守というのが売りだったのです。秘密厳守が売りで、現金問屋さんがずっと存続してきたというのは、そういうニーズがあるというのが一つ大きな背景にあるのかなと。

 逆に言うと、売ってきた方の記録をするのは、定められているのはわかっているのですが、記録できない方から買っているので、偽造すると。そういうことを考えると、一部には、現金問屋さんのようなところは不要なのではないかという議論もいろいろ出てはおりますけれども、そういったところに医薬品を売りたい方がいる以上、単に現金問屋さんがなくなると、そういった取引が水面下に潜っていくことになりますと、さらに潜在化して、品質管理が難しくなるのかなと思います。

 具体的には、いろいろ場合によっては法改正も必要になってくるかもしれませんが、偽造品を売るというのはもってのほかですし、社員の方とか、医療機関のスタッフがお小遣い欲しさに在庫を持ち出して売りに行くと。これは犯罪ですので、全くもってそこを確保する必要はないのですけれども、そうではない、薬局とか医療機関とかの余剰在庫のようなものが発生している以上、どこかに売ってというのは、どうしてもサイクルとして出てくるのかなと。そうすると、余剰在庫が発生しないようなシステム、あるいは、例えば医療機関などは今、医薬品を患者さんに投薬する以外は売りようも渡しようもないのですけれども、そういったものを、ある程度一定の品質が担保されているについては、正規の流通で、ちゃんと記録して、取引ができるような環境の整備というのも、この検討の場であわせて考えていったほうがよろしいのかなという気がいたします。

赤池座長 ありがとうございます。皮切りに非常に重要な御提案をいただいたと思います。

 今の点は非常に重要でございまして、先ほども出ていましたけれども、御説明にございましたが、97%が実際に大きな卸のほうで管理を受けて、流通しているということで、あと残りの3%という問題がございます。

 両方につきまして、多分、今回検討する内容というのはかかわってくると理解いたします。これ以外に何か、1番~3番まで一応視点を厚生労働省の事務局側で分けていただきましたけれども、それぞれにつきまして、あるいは全体でも結構ですけれども、先生方の御意見あるいはコメントでも結構ですけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○花井構成員 今の河野構成員の意見が非常に具体的で、そうだろうなと思いました。

 2つあって、国内での流通における今回のケースへの対応もあるのですが、先ほどグローバルな内容のプレゼンテーションがあったのですが、今後、ある意味混合診療的なところに高価な医薬品が絡んできて、患者申出療養など、いろいろできるのだけれども、相当高価なものになったときに、恐らくネットで個人輸入とか、そういうニーズが今後出てくる可能性があって、今回のケースとは別に、先ほどEDのような形の偽薬の流通の隙というのは今後、広がっていく可能性があるので、その視点と、今回のケースのような、割と日本固有の流通における対策というのは分けて考えるべきだろうと一つ思います。

 もう一つは、それぞれのステークホルダーがおられるわけですけれども、それを具体的にどうするか。今回のケースで、素朴に思ったのは、そもそも薬剤師さんという制度自体が、市中に出回っている怪しい薬がある中で、120年前、そこは余り信用できないと、だけれども、薬剤師さんが最終段階でチェックするというたてつけだったはずなので、今やメーカーが昔と違うので、メーカーの信頼性に依存しているところが多いと思うのですけれども、例えば押し回しのチャイルドプルーフでも、持って軽く回せば、開いているか、開いていないかたやすく判別できたとも思います。今回、患者さんが薬を見てわかったわけですね。その程度のことは本来は渡すときにわかりそうなものということで、今の制度下での調剤権を持つ薬剤師さんの仕事ぶりをもうちょっとちゃんとしてほしいというのは、感想として思いました。

 一方で、先ほどあったように、いわゆる業務命令、社長のほうが偉くて、業務命令をされた側が管理薬剤師である場合に、先ほど、尊重しなければいけないという条文では、業務命令とコンフリクトするわけですね。だから、開設者は従う義務がなかったら、本来、制度的に難しいとか、その辺は法律改正も必要なのかもしれませんが、そういうところがちょっと、薬剤師さんの部分の規制として思いますし、卸さんに関しましては、やはり業界団体はちゃんとやっておられて、結局現金問屋さんというお話ですので、規制当局が6年ほったらかしみたいなことではこういうことは起こるだろうと思うので、そこも何か現状は難しいかなと思いました。あと、メーカーさんにおかれましては、先ほどのグローバルなことも含めての話においては、全てのプロダクトがそうですね。偽物が出回って、そのとき、やはりメーカーさんはこういうにせものとの見分け方などというのと、それから、それに対するリスクという情報提供をしていただくみたいなことは、メーカーさんにお願いしたいことですし、その辺は多分、現行下でもできるのだと思うのですが、そういう感じで、各ステークホルダーで見直すべき点はあるかなと思いました。

 以上です。

○赤池座長 どうもありがとうございます。

 どうぞ。

○羽鳥構成員 今の花井さんの意見は大変大事だと思います。この資料4の視点の3番の、卸、販売、薬局、行政とありますけれども、薬局の中には先ほど言いましたように、社長さんと管理薬剤師、薬局薬剤師、この3つのステークホルダーがいると思うので、3つに分けてきちんと何をすべきかをしっかり書き込んだほうがいいのではないかと思います。薬局と書いても、先ほど言ったように、社長さんは雇っているから、管理薬剤師だろうが何だろうがやらせようということがあるわけですので、そういうことではなくて、ある程度薬剤師さんにもいろいろなことが言えるような仕組みをつくってあげなければだめだろうと思います。

 もう一つ、これからのグローバル化を目指して、いろいろ言われることとしては、最初に松本さんが出された資料のスライド7にある、グローバルレベルでのインターネットを通じた偽造品がこれから出てくる可能性も大きいと思うので、その辺に関しても何か示唆をつくっていかなければいけないのではないかと思います。例外的に、医師が個人輸入して治療を行う場合というのは、これから混合診療を日本医師会が認めているわけではありませんけれども、混合診療が出てきたときには大変なことになると思いますので、インターネットでの個人輸入、偽造品防止をしっかりとどこかで書き込んでいただきたいと思います。

 先ほどの森さんが示された資料、7ページ、対面で物をやりとりするという、それはきっちり書き込んでいただいて、顔を見て、署名をもらってという作業はやっていただきたいと思います。

 以上です。

○赤池座長 どうもありがとうございます。

 どうぞ。

○森構成員 ありがとうございます。

 花井構成員からも指摘を受けましたけれども、薬剤師には、医薬品の流通管理、品質管理を担う責務があります。そして、一連の医療が行われたときに、最後に会うのが薬局の薬剤師ではないかと思います。そういう意味では、最後のとりでとしての安全な薬物治療が行われるように、偽薬が流通しないように役割をきちっと発揮していかなければいけませんし、今までもそうしてきたつもりです。

 そうした中で、羽鳥構成員からもありましたけれども、薬局が機能するためには、開設者もきちんとしなければいけません。管理薬剤師には役割がありますし薬局の薬剤師にもやらなければいけないことがあり、今回、ガイドラインの中にもそれぞれの義務、責務を示させていただきましたので、それぞれの3者がきちっと役割、義務を果たしていっていただきたいと思いおります。また、先ほど権限という話はありましたけれども、薬局開設者に関しては、法の第9条の中で、薬局の管理者の意見を尊重しなければならないとなっていますので、現状でも尊重していると思いますし、そもそも管理薬剤師は法の8条、8条の2の中で、薬局の中を管理して、何か保健衛生上支障が生じることがあれば、薬局開設に対して必要な意見を述べなければならないとなっています。これからもきちんと責務、義務を果たしてただきたいと思います。

○赤池座長 ありがとうございます。

 ほかに、今、御質問あるいは御意見も含めて、ございますでしょうか。

 どうぞ。

○木村構成員 金沢大学の木村です。

 今、河野構成員から始まって、皆様の言われることはどれも非常にもっともで、大事だと思うのですが、日本で偽造品の事件が二度とか、当分起こらないようにするためには、今、一番大事なことは、今回の犯人を捕まえて、どうやって流したかということを明らかにすることです。それは、日本の医療体制の弱点をついているのです。私はこうかなと勝手に妄想を抱いて、こういう人だろうなと思っているのですけれども、それをきちんとして、そこを閉じないとまた起こります。やった人は、お小遣いを稼いで、今、とてもいい思いをしていると思うので、これはいい話だと気がついた人も大勢いると思うのです。生活に困っている方とか。なので、まずは捕まえること。簡単にそういうことができないようなシステムをつくることです。いかがでしょう。

 厚労省の方に申し上げると、それは警察庁の話ですと言われるのですけれども、そこは余り縦割りを発揮しないで、ぜひ一緒に力をあわせてやっていただきたいし、この会議に警察庁の方は見えていますか。人の健康に即影響する非常に大事な話をしているので、来てほしいと思うのです。

 警察庁の方はこの事件の重要性、要は、医療とか保険制度の根幹を覆すような問題ということを認識して、たった1人だか数名の犯人がちょっとやったマイナーな事件という取り扱いをしないで、国民全体の命にかかわる話なのだという認識をしていただきたいので、今後、ぜひ、警察庁の方もインバイトしていただきたいと思います。

赤池座長 どうぞ。

○武田医薬・生活衛生局長 御理解をいただきたいのは、これは縦割りの問題という役所間の問題ではなく、犯罪捜査と行政の政策の問題なので、そこは明確に分けて御議論いただきたいと思います。

 本件につきましては、捜査に関しては、私どもも万全の協力をしていきたいと思っておりますし、東京都庁も含めまして協力をしているところでございますが、個別の捜査にかかわりますので、これ以上の言及はちょっと難しいということを御理解いただきたい。

 それから、政策論と個別の捜査は別なので、本件に関して警察当局の御出席をいただくことも必要はないと思います。

 今、お話がありました、犯人を捕まえない限り政策議論ができないということもなくて、要するに、政策的に流通にいかに偽造品が乗らないかということをしっかり議論し、それが制度上ある程度担保されていけば、再発防止ということについて、行政として必要な対応をしたということになるのではないかと思っております。

○赤池座長 どうぞ。

○伊澤監視指導・麻薬対策課長 失礼いたします。

 実際にハーボニーの件で陣頭指揮をとった一人の監視指導・麻薬対策課長でございます。

 少し補足させていただきます。

 河野構成員から何かフォローしていただければと思うのですが、木村構成員がおっしゃっていた現行の構造上の穴といいますか、弱い部分を現地にまで実際赴いて、その目で見てこられたのが河野構成員御自身でございますので、河野構成員に御指摘いただいたところが、まさに木村構成員がおっしゃっていた構造問題の穴の部分であると私どもは今、受けとめておりまして、そういう意味では、河野構成員の先程の御指摘は非常に重い御指摘だと私自身、担当課長として受けとめております。もし更に何かあれば、河野構成員からもう少し、構造上の穴といいますか、構造問題についての指摘をフォローしていただければと思います。

赤池座長 河野先生、何か追加でございますでしょうか。

○河野構成員 御指名をいただきましたので。

 冒頭申し上げましたように、木村先生御指摘のとおり、今回のケースというのは、まさに完璧であるはずの流通ルートの隙をつかれたところなのだろうと思います。その隙をつかれるというのは、いわゆる現金問屋さんがあるからである。現金問屋さんというのは秘密厳守をし、相手が誰であるのか、どういう流通経緯で品物を持ってきたのか。その辺を聞き取らずに黙って買い取ってくれるという、それはもってのほかだという御指摘がいろいろされているところだと思うのです。実際にそのとおり、混入されてしまった。

 先ほど、警察のお話もありましたけれども、捜査のほうは捜査機関でいろいろ進めているようですけれども、記録を残さないというところ、実際、記録が残っていないところは、そういった面でも難しいところなのかなと思うのです。

 ただ、現金問屋さんと言われているところも、必ずしも怪しい人ばかりを相手にしているということでもなく、通常の医薬品の流通ルートも持っています。あるいは、先ほど申しましたように、犯罪性があるわけではない、要するに、正規の医薬品も取り扱っているところですので、逆に言うと、先ほど申しましたように、例えばPIC/SGDPみたいなものを、もちろん日本卸連さんの会員以外の方にも適用できるように、例えばそれを義務づける。やるのだったらしっかりそれを守ってやっていただく。それができないようであれば、やめていただくという、言葉は悪いですけれども、そういう淘汰というのも一つ必要かもしれませんが、ああいう立ち位置の卸売販売業者さんは、今の医薬品流通ルートの中で、言葉はとても悪いですけれども、必要悪としてもし残っているのだとすれば、そこは、しっかりと品質が管理できているものが入るように、それ以外のものは遮断できるように、そういった対応が必要なのかなと。ですから、封もいろいろやられていますけれども、現状、法律の中では、封を施さなければならないと、義務づけられているのは製造販売業者さん、メーカーさんだけであって、そこから先は封の規定はない。例えばこれを最終的に患者さんに渡る前の薬局まで原則論として封を義務づける。ただし、分割販売をされるようなときには、それなりにこういった対応をしてという、そのような改正も必要になってくるのかなという気はします。

 いずれにしても、今回のような、ハーボニーを持ち込んだのは個人なのですけれども、同じように偽造品がいわゆる現金問屋さんを通じて流通したというのは、昭和の時代にさかのぼりますと何件かあった。同じパターンだと思いますので、逆に言うと、個人でも、正規に記録に残せる個人からの買い取りに限定して認めるような対策も必要なのかなという気がします。

○赤池座長 ありがとうございます。

 視点の中の2番になりますけれども、今回の偽造事件の事案が含まれて、直ちに対応すべき事項ということになるのだろうと思いますが、御意見をいろいろいただきまして、この点につきまして、さらにいかがでしょうか。

 木村構成員からまず。

木村構成員 先ほど申し上げたことで、すぐ反論されたので、補足をさせていただきますと、このテーブルに警察庁の方に座ってほしいと言っているのではなくて、勉強に後ろのほうでオブザーバーで来てほしいという意味です。それもだめかどうかはお任せします。

 確かに河野構成員が言われたような、余剰在庫をどうするかとか、きちんとノートをつけるとか、記録をつけるとか、それは大事なのですけれども、言っていいかわからないですが、新聞に出ていた話なのですけれども、ソバルディが、生活保護の方からある人が買って、それを流してもうけたという話があって、それは今のお話の外のことですね。そこをふさがないと、やはり同じようなことが、そこが日本のある意味で、これだけ卸なり薬局なりが、あるいは、もちろん製造者はそうですけれども、きちんとやっていらっしゃる中で、そこだけきちんとされていない。流れてしまっているところがあって、そこも視野に入れてちゃんと閉じないと、幾らきちんとした体制をつくっても、やはり起こると思います。そこが日本の独特かどうかはわからないのですけれども、弱点かなと思っています。

○赤池座長 いわゆるトレーサビリティの徹底といいますか、可能であれば100%きちっとトレースできるようにすると。抽象的な言い方かもしれませんけれども、そういうことなのでしょうか。

 つまり、今、製造企業まできちっとフォローできるような。

○木村構成員 それはどこから流れているかということははっきりすると思いますけれども、流れてしまうこと自体はとめられないです。

○赤池座長 一條構成員。

一條構成員 今、河野構成員からお話があった部分ですが、当然、日本医薬品卸売業連合会以外のところで、例えばGDPの適用範囲というところで運用するということもありかなと思っています。さらに、もう一つ、今のほうの中で卸売販売業者以外は業として医薬品を販売してはならないと。この業の考え方を明確にするというのは必要なことではないのかと。業として医薬品を販売してはならないというのは、業でなければやってもいいのかという解釈をするような人も出てくるのかなと思うのです。だから、そこに関しては、業というのはこういう部分だということを明確に規定していくということが多分必要なことなのかなと思っています。

赤池座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○羽鳥構成員 私は内科系の診療所の開業医ですが、昔は院内処方をしていましたが、そうすると5%ぐらいは期限切れとかになって、封を切らないまま廃棄するという事もあります。それは損失として自動的に廃棄しています。また、封を切ったものは問屋さんは期限内であっても引き取ってはくれないですね。それは最低限のルールだと思いますから、先ほど木村構成員がおっしゃったように、ソバルディを生活保護の人が買って、そのまま横流ししているということが起こるのだったら、現金問屋も含めて、市中に出回った薬剤を買い取りは不可とするぐらい強くしなければいけないのではないかということもあると思います。

 もう一つは、先ほど卸連の方、3%が卸連合会を通らないという事ならば、GDPに関しても、卸連がやるということではなくて、厚労省がなど行政が管理する事にしなくても3%の抜けを防ぐことをきちんと考えていかないと、この問題は解決できないのではないでしょうか。

 監視状況、卸売業者に対する監視が十分できているのか。例えば監査や何かに行くにしても、地域によってはあらかじめ来週行くと言ってから行くようなこともあると聞いていますから、それではだめで、不意に突然行くような、監視能力をアップしていかなければいけないのではないでしょうか。その辺をぜひお願いしたい。

 あと、今回、業務停止が5日間とか、12日間とか、非常に短いと思います。最低限、半年とか、その店が潰れるぐらいの意気込みでやらないとだめではないのでしょうか。

 以上です。

○赤池座長 ありがとうございます。

 制度について考えるということと、制度の運用の面での監視あるいは監査体制の強化、さらに、破られた場合の罰則をどうするかという3つの論点だったと思います。それは確かにそうなっております。

 どうぞ。

○土屋構成員 前回も申し上げましたように、今回、少なくとも患者さんに渡ってしまったことについて、やはり薬剤師の役割というものをもう一回再確認する必要があるということで、きょうの視点の3番のところに「薬局、行政などに」と「など」に入れていいかどうかは別として、私は薬剤師の役割ということについては、きちっと明記をしたほうがいいのだろうという気がするのです。先ほどもございましたし、前回も言いましたように、本当にこの国は、製薬企業が余りに完璧な形での供給の仕方をしているがために、現場がどんどんそれを監視しなければいけないという意識が薄れてしまって、安心しきっているところに対して、もう一度薬剤師が最後の砦としての役割をきちんと明記しておくことは必要かなという気がいたします。

 ここで先ほど、いわゆるトレーサビリティの問題といったときに、必ず出てくるのが、シリアルナンバーとか、きょうの松本構成員の話でも、5ページにございますが、例えばヨーロッパとアメリカとの違いは何かといいますと、結局これは箱渡しかどうかということなのです。箱渡しであると、同じシリアルナンバーであっても、本来、シリアルナンバーは通過した時点でそれぞれデータをアップロードするということがすごく大きな負担になるわけで、シリアルナンバーをつけること自体は全然問題なくても、それはアップロードして、常にやっていくことがすごく大きな負担になって、データベースの運用というのがかなり現実としてはすごく大変ですが、そこがなぜ省略してもいいかというと、箱渡しということをやっているので、中間のところよりは、むしろ最後の薬局、病院から患者のところのデータ確認を行うという、要するに、基本的にそういうやり方の違いといいますか、そこを考慮しておかないと、先ほどからありますように、日本は、ベースとしては製薬会社でパッケージされたものは、病院から薬局までの間はあけてはいけないというのは、原理原則としてはあるわけでございますが、現実として、先ほど河野構成員が言われたように、それは薬局だけではなくて、医療機関だって、ある薬を買って、100錠買ったけれども、10錠を使ったところで患者さんがお亡くなりになって、残り90錠が事実上デッドストックになってしまうことは現実にあるのです。そうすると、そういうものを有効活用することができるのかどうかということについて、私はやはり、薬局間の譲渡は、先ほどのような話があって、これを遵守していくみたいな形もあるのだと思いますけれども、そこをきれいごとで済ませるのか、先ほど河野構成員が言われたように、そこのところもはっきりとこの際、認めるのだったら、認めるけれども、このことをきちんと守るというルールを決めるということは一つ必要なのかなという気がいたします。

 ですから、我々は病院にいて、いつも期限切れの物を捨てるということはやっているわけでありますが、本当に最近、だんだん高価な薬も出てきますと、その額はばかにならなくて、なおかつ、同一法人内とか、そういうことも薬局と同じように、いろいろ病院を持っているということもあったりして、そこら辺で何かうまくできないのかということは、常に話題としてはありますので、そういったところもきちんとルール化しておくということは、本当はこういうことを防止するために、現金問屋の存在はなくしていくし、ただし、必要なことをやっていくということが大事だろうと思います。

 その中で、一つ、どうしても現場で気になるのが、製品の識別のコードと製造番号はすごく大事なのですが、有効期限については、実はあの箱に書いてある有効期限は未開封時の有効期限なのです。開封したときの有効期限ではないので、それをもし譲渡するとなったとき有効期限というのは、未開封時の有効期限を書くしかなくて、有効期限が、開封したときの有効期限はデータがある薬もあれば、それはシートにも書いてあるものもありますけれども、それがどれぐらいなのかというのはさっぱりわからないです。ですから、箱をあけた後は、早く使ってくださいというのがあって、だから、箱渡しのときにはそのことは気にしなくていいというのがあるのですが、箱渡しではない、日本の場合は、医療用医薬品は箱渡しではないし、一般用医薬品は箱渡しであるということからいくと、日本の場合、医療用医薬品と一般用医薬品で、流通の形態が違うのです。だから、そういったところをどう見ていくのかということを、この際考えて、あと、使用期限についての、なんとか開封時にどうするかというところについては、製薬企業の方は、あそこに書いてあるのは未開封時の期限というのは常識だとおっしゃるのですけれども、世の中で果たしてそれが本当に常識かどうかということからいきますと、やはりそこら辺について、もう少し今後、今すぐということはないですけれども、考えていかなければいけないのかなという気はいたします。

 それを含めて、ただ、使用期限のことを、我々がよく言うのは、患者さんに例えば3カ月分の薬をもし出すとしたら、そのときには3カ月以上の有効期限があるものを、調剤時に確保しているというデータであって、渡してしまったものがどうなのかということについての、有効期限ではないものですから、そこは本当は現場としてはいつも悩みながら、箱に書いてあるものを早く使おうということでやっておりますが、使用期限、有効期限のあり方ということについて、今後、考えていくということは必要かなということを思います。

赤池座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

原構成員 今、いろいろなお話が出ましたけれども、基本的には、今回は偽薬の防止というところが一番重要な課題であって、その中に流通の問題が出てきて、トレーサビリティの話も一緒に出てきましたけれども、非常に密接しているところで、トレーサビリティが完全に一致してしまえば、偽薬が入り込まないのではないかと、先ほどの「Track Trace」、こういうことが行われてしまえば、しかも、箱出し調剤まで行ってしまえば、患者さんにシリアルで箱が行ったら、それがどこから流れて、どの患者さんが流れたかというのが全部わかってしまう。これが非常に費用がかからずに導入されるなら、先々を見た上で、非常に重要なものかなと思って、きょうは考えました。

 あと、今すぐできることは、薬局間のガイドラインを森先生たちと一緒につくりましたけれども、とにかく怪しい人から怪しいものを買わないという、ただそれだけなのですよ。ということは、何かというと、先ほど河野構成員から出たように、記録ができないものを買わないということで、記録がちゃんとあるものをみんなが堂々と買っていれば、どこから物が流れても、売ることができとも、今度は買うことができなくしてしまえば、買った現金問屋さんが損するだけなので、変わらないということであれば、記録をちゃんと持つ。これはトレーサビリティの観点で非常に大事で、今回、エピペンがいろいろ不具合があって回収が起きたのですけれども、もうメーカーさんも、卸さんも、薬局さんもすぐ対処できて、メーカーさんも卸さんも、うちの薬局に何ぼ入っていますねと。うちはうちで、この患者さんに渡っているに違いないということが全部わかっているので、すぐ電話して、交換とかできたのですけれども、記録ができないものを買っていると、メーカーさんも追えないですし、みんな追えなくなってしまうということで、この記録をしなければならないということは、非常に重要な課題であって、これを怠った者に対する罰則的なものが、先生からもかなり言われましたけれども、ここが一番ここの偽薬のポイントになるのかなと自分はきょう、感じましたので、それについて、また今後、検討会の中でお話ししていければいいかなと感じた次第でございます。

○赤池座長 どうもありがとうございます。

 今の記録ができないものは買わないというのは、薬局を含めて医療機関側が買わないということでよろしいでしょうか。

 ただ、木村先生の前回の説明でもございましたけれども、例えばバーコードの偽造などもあるということで、極端な言い方をすると、記録自体が偽造されてくるというケースも、日本ではまだないのかもしれませんが、世界的にあるようなことを伺っていますが、いかがでしょうか。

○木村構成員 今の原構成員の御発言は大変大事です。ただ、偽造医薬品を需要側が買ってしまうということをとめるには、記録とか罰則を強めるという、需要側に対するものがありますが、偽造医薬品の一番の弱点は、供給した人が誰かわからなくて、世界中に偽造医薬品が広まっている。供給源をとめないと、偽造薬というのはとまらないのです。今回は多分供給源が国内でしょうし、そんなに大々的になされているわけでもないし、日本の警察も厚労省もいい仕事をなさっているので、きっと捕まるのだろうと期待しているのですけれども、供給をとめないとだめです。日本ではこういう供給はできないのだということを示さないと続きます。

 意外と今回の場合は、簡単にと言ったらあれかもしれないですけれども、できるのかなと私は期待している。いつ新聞で捕まったというのが出るのだろうと毎日楽しみに新聞を見ていて、全然出ないのですけれども、ですから、需要だけではないのです。供給もとめる努力をしてくださいという意味で、例えば生活保護者がいただいた高い薬をあらぬ人に売ってしまったというのが実際にあって、向精神薬もそれで流れていますから、そのルートが、一つ日本の場合は弱点ですね。ほかにどういう弱点があるのかあれですけれども、供給側をとめる努力をしましょう。これが私のメッセージです。

○赤池座長 当然、原先生がおっしゃったように、受ける側がまず、トレーサビリティの観点で記録がないと、これは非常に重要なことで、そこは今度、GDPもつくられていくのでしょうけれども、そういったところに書き込まれないといけないと思いますけれども、もう一つは、供給する側に対してどのような網をかけていくかということも重要な視点だということでございます。

○原構成員 そういう意味では、この前の木村先生から、総合戦略で全部やらなければいけないのだ、そうでないと偽薬は防止できないのだと、トレーサビリティだけではだめだというお話を前回のときも聞きまして、とりあえずやれることを各段階でそれぞれやっていくしかないのだなと自分は思っておりますので、皆さんができるところの、薬局のほうでは、法令のところをがっちりしていきましょうという話は、森先生たちと一緒に決めてきましたし、いろいろなメーカーさんも、皆さんの中でやっていて、その上で、最後は悪い人たちを捕まえる。なかなかこの席にいると、我々はそちら側ではないものですから、我々ができることで工夫していくことを今からやっていけばいいのかなと、私は思っております。

赤池座長 どうぞ。

○森構成員 ありがとうございます。

 もちろん、供給をとめるべきだと思うのですけれども、多分、そういうものを売りたい人はなかなかそれをやめないのではないかと思います。

 重要なのは、そういうものが、正規のルートに入らないようにどうするのかということが一つと、正規以外のところに国民がアクセスしないようにきちんと教育しなければいけないという、2つのことをやっていかなければだめだと思います。

 正規のルートのほうは、まず、直ちにやるべきことといえば、2月16日に厚労省体している通知、あれで卸と薬局間に関してはきちんとした取引、そして流通管理ができます。それから、今回の薬局間のガイドラインを徹底して、流通管理を確保することだと思います。

 それから、一点、厚労省に質問ですけれども、ハーボニーが現金問屋に入ったときですけれども、現金問屋としては、秘密厳守という話がありましたけれども、法的には一般の人からも購入してだめだということにはなっていなかったので、ああいう形が行われたのか。それとも、そういうところから現金問屋が無視して買ってしまったのでしょうか。

○辺見総務課長 個別の事案に当てはめてどう評価するのかというのは、ちょっと難しいところがございますが、個人からの購入について、法律的にどうなっているかというと、先ほど、一條構成員からもお話がありましたように、業として販売をすることについて許可が必要、ひっくりかえして言うと、業として販売することが一般的に禁止をされていてということになっておりますので、単回、単発で販売するというのは、いわゆる業としては当たらないということになるとは思いますが、一方で、今回のケース、先ほどの河野構成員からの説明がありましたように、書かれていたのは架空の業者ということで、形としては業者からの購入を取り繕っているわけで、それがどうだったのかということを個別事案で評価するというのは、また別の次元の話があるかと思います。

森構成員 そのことも含めて、一回きちんと整理をしていくべきだと思っています。

○赤池座長 ほかにいかがでしょうか。

 今後の進め方ということで。

○土屋構成員 これは直接偽造とは関係ないのですけれども、どうせ偽造防止をかねていろいろなことがこれから仕組みがいろいろつくられるときに、品質保証という概念を考えると、実は流通の段階での、例えば温度に関する規定が、途中のトラックは本当に温度規定が大丈夫だったのだろうねとか、そういうことを含めて見ていかないといけないということは、一方で、どうしても偽造防止という話になると忘れられてしまうのですけれども、品質を保証するということからいくと、医薬品の場合の品質保証、昔あったのが、宅配便でクールなのだけれども、温度管理がきちんとされていなかったみたいなこともありましたので、トラックとか、そういうものまでの、輸送段階のことまでも含めてきちんと追っていかないと、品質というものの保証を証明することにはならないものですから、そこら辺を、今回のことと関係ないかもしれませんけれども、やはりこういうITを使ったいろいろなことの仕組みを考えるときに、どこまでのどれをどうやって行くのかということは、フォーカスとしては入れていかないといけないのかなという気がいたします。

赤池座長 これから流通のガイドラインを考えていくということになるわけですけれども、そこには偽造に対する対応ということもありますけれども、それ以外に当然、いわゆる輸送における適正な搬送条件とか、そういったことも盛り込まれてくるのだろうと理解していますけれども、それは厚労省、事務局側もそういった理解でよろしいでしょうか。

辺見総務課長 恐れ入ります。

 御指摘のとおりでございまして、PIC/SGDPのガイドラインの中には、偽造品の混入防止と品質保証に関する部分は、ある意味一体のものとして規定されていると考えております。どういう優先順位づけで実行に移していくのかというところについては、御議論があるところかと思いますけれども、長期的にはそのように考えております。

赤池座長 ありがとうございます。

 ほかによろしいでしょうか。

 どうぞ。

○辺見総務課長 事務局からで大変申しわけないのですけれども、松本構成員が御発表された資料の14ページで、偽造品の防止で、Overt 技術とCovert 技術というのがあるという話があって、恐らくこの間ぐらいに、限られた人にしかわからない技術みたいなものがあると思うのですが、12ページで、こうしたセキュリティー対策について、製薬企業、団体間で情報交換されるというところがございましたが、製薬企業の手を離れて流通していく卸売の段階ですとか、薬局の段階の方と、こういった技術について、情報交換なりされるという機会はあるかどうかについて、教えていただけますか。

松本構成員 製薬メーカー間での情報交換会をやっているのですけれども、流通関係の卸売関係の方とかとの情報交換会は今はやっておりません。

 といいますのも、この技術というのも、余りオープンにすると、意味がなくなるというのもありまして、Overtの部分、目に見える部分については情報共有してもいいと思うのですけれども、ただ、余り情報共有し過ぎますと、定期的に改良、改定していきますのでそれが逆に苦情につながる可能性もあるということがありますので、余りその辺はオープンにはしていないです。

赤池座長 どうもありがとうございます。

 ほかによろしいでしょうか。

 いろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 論点整理というところまではもちろん行きませんけれども、1~3までの視点につきまして、大体御議論いただいたのではないかと考えます。

 そろそろ終了の時間も近づいてまいりましたので、本日は、この2番目の議題につきましてもここまでということにさせていただきたいと思います。

 構成員の皆様からさまざまな御意見をいただきましたので、次回は事務局から、本日出されました意見を整理した資料を提出していただきたいと思いますけれども、事務局のほうはそれでよろしいでしょうか。

○辺見総務課長 そのように準備をさせていただきたいと思います。

赤池座長 ありがとうございます。

 それでは、次回は本日の議論を踏まえて、さらに検討を進めるということにさせていただきたいと思います。

 それでは、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項等はございますでしょうか。

辺見総務課長 次回第3回の日程でございますけれども、5月の連休が明けた翌週ぐらいの中旬で、第3週ぐらいを中心に日程調整をさせていただきたいと思っております。改めて、決まりましたら、御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

赤池座長 どうもありがとうございます。

 それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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