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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(医療と介護の連携に関する意見交換)> 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)議事録

 
 

2023年4月19日 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)議事録

○日時

令和5年4月19日(水)15:00~

○場所

オンライン開催

○出席者

小塩会長 田辺分科会長
池端委員 稲葉委員 江澤委員 田中委員 田母神委員 長島委員
濱田委員 林委員  東委員  古谷委員 松本委員  森委員
<事務局>
伊原保険局長 大西老健局長 辺見障害保健福祉部長 森光審議官 斎須審議官 眞鍋医療課長 古元老人保健課長 津曲障害福祉課長 田中参事官他

○議題

○高齢者施設・障害者施設等における医療
○認知症

○議事

 

○田辺分科会長
それでは、定刻となりましたので、ただいまより「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」を開催いたします。
私は、社会保障審議会介護給付費分科会で会長を務めております田辺と申します。本日の議事の進行につきましては、私が務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
本日の会議ですけれども、オンラインによる開催としており、また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告申し上げます。本日は、全ての委員が出席されております。
続いて、前回と引き続きの説明となりますけれども、この意見交換会は、令和6年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定に向けて、中央社会保険医療協議会及び社会保険審議会介護給付費分科会がそれぞれ具体的な検討に入る前に、医療・介護・障害の連携・調整をより一層進める観点から開催するものであります。双方の審議会の委員におかれましては、おのおののお立場からの御意見をいただくとともに、ぜひ双方向で忌憚のない意見を交わしていただければと思っております。
オンラインで御参加の委員の皆様方におかれましては、会議の進行中は、基本的に皆様のマイクを「ミュート」にしていただき、御発言される際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックしていただきたいと思います。順番に私のほうから指名いたしますので、マイクの「ミュート」を解除して御発言いただくようお願い申し上げます。御発言が終わりました後は、再度マイクを「ミュート」にしていただきたいと思います。
それでは、早速でございますけれども、議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。本日は「高齢者施設・障害者施設等における医療」、それから「認知症」の2つのテーマについて意見を交わしていただきます。
まず、テーマ4「高齢者施設・障害者施設等における医療」について、事務局のほうより資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○古元老人保健課長 
ありがとうございます。老人保健課長でございます。
それでは、資料-1に従いまして御説明申し上げます。
資料-1、1ページ目が目次となっております。資料の構成といたしましては、1番「現状」。そして、2番「主な課題」。3番「検討の視点」といった立てつけになってございます。
2ページ目を御覧ください。まず、「現状」の総論について記載しております。
制度の役割分担と見直しの経緯ということで、介護保険施設における医療サービスにつきましては、施設の機能に応じ、介護保険または医療保険から給付することといたしまして、介護保険では日常的な医学的管理を中心に、できるだけ包括化し、給付することとされております。
近年の介護保険施設にかかる主な制度の見直しについては、記載のとおりでございまして、直近の令和3年度介護報酬改定では、施設における医療ニーズへの対応強化、医療と介護の連携推進のため、記載のような見直しが行われたところでございます。
また、障害者施設につきましては、施設に入所する障害者の方に対して、夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援を行うとともに、日中に生活介護等の障害福祉サービスを実施する施設とされております。
近年の見直しについては、記載のとおりでございます。
また、2番、介護保険施設における入退所者の状況でございますが、それぞれの施設の入退所の状況は、記載のとおりの現状でございます。
また、3番、医療ニーズ増加への対応と看取りの推進でございます。施設入所者の高齢化及び平均要介護度の上昇とともに、施設における医療ニーズは近年高まっております。そうした中、医療ニーズへの対応力の向上及び看取りの体制の充実が求められている旨を記載してございます。
続きまして、4ページ目でございます。
4番、高齢者施設・障害者施設等における感染症対策でございます。施設における感染対策につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症への対応の中で、急速な感染拡大時に施設における基本的な感染対策の脆弱さ、そして医療提供機能に限りがあることとともに、協力医療機関との連携不足も明らかとなったところでございます。
その下、大きな(2)からは各論に入ってまいりますが、こちらの記載につきましては、後ほど課題のところで適宜触れさせていただきたいと思いますので、資料、ページを進めていただきまして、9ページの「主な課題」に沿って御説明を申し上げたいと思います。
9ページの2番「主な課題」、1つ目でございます。高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能についてということで、1つ目が、介護医療院における医療提供機能についてでございます。
介護医療院の介護報酬体系ですが、基本的に介護療養型医療施設を継承したということで、基本サービス費で喀痰吸引や経管栄養など基本的な医療提供が評価されている状況でございます。
医療提供が内包されている施設ということで、一定の医療が提供可能であるといった御報告がございます。
一方で、退所者の状況なども拝見いたしますと、施設ごとに対応可能な医療ニーズに差がある可能性がございます。
10ページでございます。今後、想定される入所者や医療の進展を踏まえまして、今後の介護医療院の医療提供の在り方や適切な評価について、引き続き検討していく必要がございます。
2つ目、介護老人保健施設における医療提供機能についてでございます。
介護老人保健施設において提供可能な医療については、記載のとおりでございまして、施設間で医療提供機能にばらつきが見られてございます。
また、入院、医療機関への退所の状況などを踏まえますと、施設ごとで対応可能な利用者の医療ニーズにも差がある可能性があるといったところでございます。
また、給付調整に関連いたしまして、介護老人保健施設の入所に当たり、服用している医薬品が高額であるという理由で施設入所に至らないという事例も報告されてございます。
3つ目、特養における医療提供機能についてでございます。
こちら、退所者のうち69%が死亡によるものであることなど、また、80%以上の特養が施設における看取りに対応していることから、「終の棲家」としての機能は一定程度果たしていると言える状況でございます。
そうした中、特養における配置医師が行う健康管理や療養上の指導は、介護報酬において評価されておりますが、配置医師との契約形態等によりまして、配置医師が不在時において、急変時の対応が難しい状況が発生し得るといった指摘もございます。
また、配置医師緊急時対応加算の算定率が5.9%にとどまっていることなど、医療対応が必要な場合でも、可能な限り施設で生活を送ることができるようにする観点から、さらなる取組が求められるところでございます。
続きまして、4つ目、特定施設における医療提供機能についてでございます。
特定施設におきましては、医師の配置が求められておりません。医師が配置されている施設と比較いたしまして、協力医療機関や入居者の主治医などの外部との連携がより一層必要となります。
特定施設における看取りの推進につきまして、死亡退去率は61.9%ということで、さらなる推進が求められるところでございます。
5つ目、認知症対応型グループホームにおける医療提供体制についてでございます。
入居者の医療ニーズにつきましては、記載のような対応をしているところでございますが、その連携・配置体制の整備を評価する医療連携体制加算につきまして、事務所の職員として看護職員を配置することが難しいといった現場の声がございます。
6つ目、障害者施設における医療提供機能についてでございます。
障害者の方が、その特性や個々の状況に応じて、様々なサービスを円滑に併用しながら生活できる体制、また、緊急時に適切に医療の提供を受けられる体制が求められております。
また、医療・介護・障害福祉サービスにまたがるニーズを有する方への対応が課題であるといった内容でございます。
続きまして、大きな2つ目でございます、医療機関と高齢者施設等との連携について、ページ数12ページでございます。
特定機能病院などの高度な医療を提供し得る医療機関を協力病院としている施設が一定程度ございます。医療機関の持つ医療機能と、緊急時の相談対応・往診等の医療提供などの施設や入所者が求める医療内容が必ずしも一致しない可能性がございます。
要介護者に適した入院医療を提供する観点からは、患者さんの状態に応じた医療機関との連携を進める必要がございます。
また、歯科医療につきましては、介護保険施設に入所していても適切な口腔の管理が行われ、口腔の状態に応じ必要な歯科医療が提供されるよう、協力歯科医療機関や患者のかかりつけ歯科医などの地域の歯科医療機関との連携を推進する必要がございます。
続きまして、高齢者施設等における薬剤管理についてでございます。
ポリファーマシーが懸念される利用者が多くおられ、また、服薬の支援・管理は施設職員の業務の中でも時間や労力を相当程度要するものとなっております。様々な立場の方が協働しながら、ポリファーマシーの解消につながる薬剤管理指導を行うことが求められるということでございます。
また、入所時の持参薬の管理等、利用者の方が様々な療養の場を移り変わる場合の薬剤管理について、薬局と施設などとのさらなる連携が必要でございます。
続きまして、13ページ、感染症対策についてでございます。
コロナ禍における対応を踏まえつつ、平時から、また、施設内で感染が拡大した場合において、対応を適切に行うための医療機関と高齢者施設等の連携について強化していく必要がございます。
また、認知症の方が一般的な感染防止策を実施することが困難な場合もあるといった指摘もございます。高齢者施設特有の課題もございますということを明記してございます。
最後に「検討の視点」、13ページの下段でございます。
まず、1点目、高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能についてということでございます。
常勤の医師及び看護職員が配置されている介護医療院及び介護老人保健施設について、医療院における生活の継続を望む高齢者が、可能な限り施設で生活を送ることができるようにする観点でございますとか、介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能を推進するといった観点から、利用者に対して必要な医療が適切に提供されるよう、どのような対応が考えられるか。
続きまして、必ずしも常勤ではないものの、医師の配置が義務づけられている特養において、医療ニーズへの適切な対応の在り方について、どのように考えるのか。
そして、医師の配置が義務づけられていない特定施設及び認知症対応型グループホームにおける医療ニーズへの対応について、どのように考えるのか。
障害者施設の入所者の高齢化等が進む中で、医療・介護・障害福祉サービスにまたがるニーズを有する方に対応できるよう、障害特性や個々の状況に応じた医療・介護サービスの提供体制や、障害者施設における一定の医療ニーズに対応する体制について、どう考えるか。様々、類型ごとに考えていく必要があるということでございます。
また、2つ目といたしましては、医療機関と高齢者施設等との連携についてということで、入所者の急変時における相談体制でありますとか、往診時の体制を充実する観点、必要な場合に入院医療につなげるといった観点から、協力医療機関等との連携の在り方について、どのように考えるか。
3つ目、高齢者施設等における薬剤管理についてでございます。療養の場が移っても、切れ目なく適切な薬物療法を継続し、ポリファーマシーなどに対して必要な対策を行うため、地域において、どのような連携体制が求められるのか。
最後に、感染症対策でございます。
平時からの感染予防の能力向上を図りつつ、施設内で感染が拡大した場合における対応を適切に行うための医療機関と高齢者施設等の連携についても強化する方策について、どのように考えるか。
今般の感染症法の改正によりまして創設された、自治体や医療関係者、高齢者施設等の関係者が参画する「都道府県連携協議会」において、議論・協議を行うに当たり、どのような観点が重要と考えるか。
以上、医療・介護及び障害の連携・調整をより一層進める観点から御意見をいただけますと幸いでございます。以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺分科会長 
御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。なお、御発言に関しましては、以後の議題を含めまして、時間の都合上、誠に恐縮ではございますけれども、1人3分以内でお願いいたします。なお、3分経過した場合には、事務局より合図がございます。
では、御意見等、お願いいたします。
長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員 
ありがとうございます。日本医師会の長島でございます。
資料からは、高齢者施設等における医療ニーズに対応する必要性が示唆されておりますが、医療ニーズへの適切な対応は、安易に外部からの医療提供に頼るというよりも、まずは、自施設の対応力を高めることが基本であると考えます。その上で、自施設での対応を超える症例については、地域の連携先と協力しつつ、地域全体が面となって高齢者を支える医療提供体制を目指していくべきです。その際、留意すべきことは、形式的な連携ではなく、つまり、特定機能病院と名ばかりの連携をしたり、あるいは、救急搬送を原則とするのではなく、実質的な連携、すなわち地域包括ケア病棟や在宅医療支援病院、有床診療所等と意義のある連携が図られるようにしていくことだと考えます。
また、今回のコロナ禍を踏まえて、日頃からの連携体制構築が重要になります。(4)の感染症対策については、前回の診療報酬改定で新設された感染対策向上加算等では、地域の医療機関が連携して感染対策に取り組む観点から、カンファレンスや訓練を合同で行う等の取組をしておりますが、高齢者施設等においても同様の取組があってもよいのではないかと思います。
私からは以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 
ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
テーマ4は、主に介護保険施設や障害者施設におきまして、医療提供をどのようにしていくかの議論と理解しており、歯科医療提供につきましても、前回のテーマ2でも触れましたが、リハ、口腔、栄養が一体として、多職種との連携の下、提供できる体制が重要であると考えております。ただ、介護保険施設等に歯科衛生士がいる割合は1割程度と、多くはないという資料が前回のテーマ2で示されておりまして、円滑な歯科医療提供には、外部からの連携が重要と考えております。
低栄養や誤嚥性肺炎等の重症化を防ぐには、口腔健康管理や口の機能を維持するための歯科医療と介護サービスが効率よく効果的に連携することが重要です。前回も申しましたが、高齢者施設等で誰でも理解でき、簡単に確認できる口腔アセスメント等が共通化され、施設等の職員と口腔の状況を共有できることが、これら施設等における歯科医療提供には重要と考えております。また、協力歯科医が多くの介護施設等で定められておりますが、入所者にとって、従来のかかりつけ歯科医と異なるといった問題点などもあり、協力歯科医以外の地域の歯科医療機関も含めた歯科医療における地域連携も、今後、引き続きの課題になってくると思います。
日本歯科医師会といたしましても、食べる機能や生活の質を高めるような歯科医療や介護サービスの提供に資するよう、引き続き、研修等にも尽力したいと考えておりますので、ぜひ高齢者施設・障害者施設入所者の口腔の健康への取組がより推進する体制づくりの御検討をお願いしたく思っております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 
ありがとうございます。
検討の視点に沿って、幾つか発言させていただきます。少しお時間をいただきます。
(3)の高齢者施設等における薬剤管理についてです。高齢者施設は、介護保険上の類型のみではなく、利用者の状況やニーズに合わせて多様化しており、それぞれの施設によって、医師・薬剤師・看護師等の配置や医療の提供状況、介護スタッフの配置、入所者の要介護度や生活環境など、様々であり、その施設の特性に応じた対応が必要となります。薬剤師は、施設の関係者と密に連携して入所者の情報を収集し、医師や施設スタッフと連携した服薬支援や薬学的管理を行っています。
参考資料60ページに示されているとおり、高齢者施設等の入居者の多くは多剤服用している状況で、多剤服用による有害事象のリスク増加、アドヒアランスの低下等、いわゆるポリファーマシー等に陥ること等が懸念されているところです。また、施設入所者の高齢化、平均要介護度の上昇等による医療ニーズの高まりにより、薬剤数の多さや服薬時点が細かく分かれているため薬物治療が複雑化し、施設職員による処方薬の保管・配薬・解除などの服薬支援の負担は大きなものとなっております。
それらに対して、61ページで、薬剤師が高齢者施設に訪問し、施設の特性、配置スタッフに合わせた医薬品の管理、予約方法の指導、薬剤管理をすることにより、配薬ミス、予薬ミスの防止、服薬アドヒアランスの確保、有害事象の早期発見等に加え、施設職員の負担軽減にもつながっていることが示されているところです。また、今後は、施設職員とのさらなる連携、入所時の持参薬の管理等の薬剤管理のさらなる推進が期待されているところです。
薬剤師の高齢者施設における服薬支援の具体的な対応の内容は、参考資料62ページから64ページに示されているとおりです。これらの観点から、薬剤師が高齢者施設等における薬剤管理に関与することをさらに推進していくことが重要と考えますが、施設の類型によって、医師や看護師等の配置の義務が異なるなど、様々な特性があります。薬剤師がその施設の特性を的確に把握した上で、適切な薬剤管理ができるような評価や推進策が必要と考えます。特に、切れ目なく適切な薬物療法の継続という視点では、レスパイトケアやショートステイも視野に入れる必要がありますが、ショートステイ入所時の服用薬・服用方法等についての施設への情報提供、利用期間中の薬剤管理等の課題があります。
これらの課題や特性等も含め、参考資料67ページで示されている高齢者施設等の各種施設類型における薬剤管理の現状と検討の視点等について、今回の同時改定において医療保険制度と介護保険制度でより整合的になるように検討すべきですし、薬剤師の配置のない施設での薬局薬剤師の関与の在り方や、施設スタッフとの連携の下で適切な薬剤管理ができるような推進策を検討していくべきと考えます。中医協や介護給付費分科会での改定に向けた議論の中で具体的な検討ができるよう、議題の設定などをお願いしたいと思います。
また、今回のテーマの一つとなっている障害者施設についてですが、障害者施設では、障害者の特性や個々の状況に応じて様々な方法でコミュニケーションを取り、服薬の意義・方法を理解してもらうことや、副作用等を伝えることが求められます。障害特性や個々の状況などに配慮した対応を、薬剤師が施設スタッフと連携し、入居者一人一人について丁寧に検討し、それぞれに合わせ、説明の仕方、薬剤管理の方法など、実際の対応に当たっているところです。障害のある方の高齢化も進展している中、今後も薬剤師の積極的な関与が期待される分野なのではないかと思います。これからの取組が進められるよう、厚生労働省においては、関連の調査を実施する際、この辺りの観点を入れていただければと思います。
最後に、(4)の感染症対策についてですが、施設内で感染が発生し、治療薬を薬局から提供する場合、併用禁忌の確認、適正な指導方法の指導、また、状況によっては、クラスター発生に備えた治療薬の確保などの対応も必要となり、施設においては、医療機関と同様に薬局との連携も重要な視点だと考えます。また、施設で抗原検査ケットを使用する際は、薬局から提供することもあります。具体的な議論を行うに当たっては、薬局とも連携していく視点も忘れずにお願いできればと思います。
私からは以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、田母神委員、よろしくお願いいたします。
○田母神委員 
ありがとうございます。
検討の視点に基づいて意見を申し述べます。
(1)(2)についてでございます。医療・介護の複合的なニーズを有する高齢者の方々が増加する中で、高齢者施設における医療ニーズのある利用者の方や、看取りへの対応について、各施設での取組が進んでおりますけれども、これまでの調査結果におきましては、夜間、看護師が不在であるということが対応困難な理由の一つとして挙げられております。できる限り、高齢者の皆様が望む場所で療養を続けることができるよう、個々の施設の状況に応じ、看護職員の配置や訪問看護との連携などを充実させる仕組みが重要であると考えております。
また、急変時の対応とともに、疾患などが重症化しないための予防的な関わりというのも非常に重要であると考えておりますし、また、日常のケアを継続的に提供いたしますので、それを向上させるという観点からは、専門性の高い看護師ということで、高齢者ケアの領域におきましては、例えば摂食嚥下障害看護、皮膚・排泄ケア、心不全看護など、認定看護師の養成を行っているところでございますので、こうした専門性の高い看護師が高齢者施設へ訪問看護などを実施することを、地域連携の中で推進していくことも重要なのではないかと考えております。
続きまして、(4)の感染症対策についてでございます。感染症対策としましては、平時からの実効性のあるマニュアルの整備でありますとか、職員に対する教育・研修の重要性が指摘されているところでございます。一方で、感染管理認定看護師などの専門職の多くは医療機関に所属しているというのが現状でございます。施設の職員に対する教育・研修は、一度実施すればよいというものではなく、継続的な実施が求められているものでございますので、組織の垣根を越えて、高齢者が入所する施設や障害者の方が入所する施設において、専門人材から支援や助言を受けられる仕組みが重要であると考えております。
新型コロナウイルス感染症下におきましては、厚生労働省の委託事業におきまして、介護施設に、感染症に関する専門性が高い看護師、感染管理認定看護師などが赴きまして教育・研修などを実施した実績がございます。こうした事業が時限的なものではなく恒常的なものとして、感染症対応力向上・強化につながるよう検討いただければと考えております。
最後に、医療機関では、感染対策向上加算などによりまして、医療機関の連携において地域の感染症対応力向上を図る取組が実施されております。同時改定に向けましては、高齢者施設や障害者施設等がこの連携の中に加わり、専門人材を有する医療機関等が支援や助言を行う仕組みが重要であると考えております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、古谷委員、よろしくお願いいたします。
○古谷委員 
説明ありがとうございます。
まず、施設の医療提供体制、また医療機関と高齢者施設の連携についてというところで述べさせていただきます。施設における医療体制につきましては、介護保険の基本指針や人員基準等に示されているとおり、施設種別によって、利用者へどのようなサービスを行うか、施設によって、その体制は異なっております。また、同じ施設種別、例えば同じ特養であっても、現状やこれまでの入所者の医療ニーズによって、配置人員や勤務体制が異なっております。これらの論議においては、今回の課題整理で示された施設種別ごとに整理・検討することを基本として、その上で連携の在り方を検討するプロセスが重要であると、まず考えております。
特養では、参考資料18ページで示されているように、退所者の72%が退所後の居場所として死亡と回答していることから、「終の棲家」として特養での看取りが必要不可欠であり、介護報酬としても、平成18年の報酬改定で看取り加算が創設されて以降、看取りへの取組を充実させる改定が行われています。「終の棲家」としての特別養護老人ホームの入所者像が多様化する中で、配置医師を中心とした様々な医療ニーズにきめ細やかに対応していただけている施設がある一方、入所者にとって必要な医療が提供しづらい状況があるという実態もございます。
参考資料で様々な調査結果を示していただいておりますが、特養の配置医師の多くは非常勤の嘱託医であり、配置医師がどの程度対応してくれるかの個人差が非常に大きく、看取り対応や緊急時の駆けつけ対応などができない例も報告されております。それぞれの地域・事業所によって医療の環境が異なるため、同一に考えることは難しいと思いますけれども、協力医療機関との関係性を含め、要介護者に適した緊急時の対応、入院・医療についてのルール化、医療・介護の連携の制度化を進めていくこと。また、緊急時・看取り時の介護報酬と診療報酬の対応範囲をより明確にすること。オンライン診療なども含め、配置医師以外の医師が柔軟にできる体制の検討が重要であると考えております。
3番の施設等における薬剤管理についてでございます。高齢者施設における薬剤管理については、服薬数が多い入所者が多く、施設職員の負担になっております。ポリファーマシーの解消の観点や、施設における服薬支援や管理の視点からも、施設での業務について、薬剤師へのタスクシフト、また薬剤師との連携は効果があると考えておりますが、役割の明確化、また報酬の評価がそこに伴ってこないと、なかなか進まないと考えております。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、濵田委員、よろしくお願いいたします。
○濵田委員 
よろしくお願いいたします。
資料1の10ページから12ページで、配置上、夜間に医療従事者が不在である介護保険施設や居住系施設等では、医療連携体制加算等は24時間連絡できる体制が確保できるということが要件となっております。しかし、人材確保が年々厳しくなる中、例えば11ページに記載のグループホームをはじめ、職員定員数の少ない施設や事業所では、いわゆるこれらの連絡体制を担当する看護職員等が少数で、連絡体制を構築することの確保が難しいという課題がございます。例えば、同一敷地内や同一法人内の他の施設や事業所、あるいは、近年、コールセンター等もできてきておりますので、こういうところを活用するということも検討してはどうかということでございます。
また、近年、非常に増加してまいっておりますが、高齢者住宅等については、利用するに当たって、主要な協力先医療機関がもしあるのであれば、利用者や介護支援専門員が情報提供を受けられるようにするということも検討してはどうかと考えております。
また、資料-1参考の66ページ、資料-2参考の21ページにありますように、介護支援専門員と薬剤師の情報連携について、課題解決の効果も見られておりますので、引き続き、推進できるようにするべきと考えます。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、稲葉委員、よろしくお願いいたします。
○稲葉委員 
ありがとうございます。民間介護事業推進委員会です。
今日は、2点、意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目は、喀痰の吸引についてでございます。入居施設において吸引の機能が充実することは、当然必要なことであって、介護施設の側も努力しているところであります。その中で、介護福祉士が受講する喀痰吸引研修の機会がニーズに対して十分ではないと感じられている方が多く、施設の中で吸引ができる職員の数が思うように増えていないのではないかという現実があると思います。また、これまで、コロナ禍において実習がやりづらいなどということもあり、研修の実施には大変な面もあったと思うのですけれども、これからは、どうかニーズに対応できるように研修機会を増やすなど、調整をしていただきたいと思います。これが1点目です。
続きまして、2点目は、看取りに関してでございます。施設における看取りのニーズがますます高まっているという中で、そのために介護報酬上のインセンティブがこれまでも設けられてきたところです。ところで、看取り介護加算の要件については、ガイドラインにのっとって、本人・医師・生活相談員の合意取得を行う必要がありますが、その際の関係者の負担が非常に大きく感じております。この制度の趣旨は、みんな理解しているはずではありますので、例えばDX化推進によって合意取得ができるようにするなど、環境を整えていただくことを希望いたします。これがスムーズに進みますと、施設における看取りの充実、施設生活の継続が進むと考えます。
以上、医療対応が必要な場合でも、入院せずに可能な限り施設で生活を送ることができるようにする観点から、2点申し上げました。今後、御検討していただきたく、どうぞよろしくお願いします。以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 
ありがとうございます。池端です。
まず、私は、高齢者施設の医療提供体制について、特に古谷委員からも言及がありましたけれども、特養について、逆に受ける側の医療施設としての意見をちょっとお話しさせていただこうと思います。
その前に質問を1点させていただきます。特養で死亡退所が69から70という数字が出ました。私の理解では、この69%、70%という数字は、最終的に死亡して退所になったということで、それが全て特養施設で看取られている数ではないと理解していますが、それでいいかどうかということと。もしそれでよければ、死亡退所の中で、施設内で看取った死亡退所の数字を示すことができるのかどうかについても、分かれば教えていただければと思います。
その上で、御承知のとおり、介護保険施設、全てそうだと思いますけれども、医療と介護を一体的に提供しなければいけないニーズがどんどん高まっていることは間違いないことかと思います。その中で、特に常勤で配置されていることが、必ずしも施設に義務づけられているわけではないことで、(近年は)配置医師に対する負担が相当増えていることは、医師会等の中でもよくお聞きする話です。現実的に24時間365日の夜間・休日体制も含めて、そこで看取りを1配置医師だけにお願いすることは、かなり厳しい状況ではないかと思います。ではどうするかというと、外から(医師・看護師等を)入れる体制をということになると、現状は、がんの末期等だけは訪問看護・訪問診療が入れるとなっていますけれども、もう少し窓口を広げる方法がないかということを御検討いただきたいと思います。
配置医師の専門外ということで、今でも診られる体制にはあるものの、いわゆる「みだり条項」ということで、必ずしも(施設外からの医師が)入りやすい状況ではないということで、診療報酬上の算定もなかなか難しい状況になっているので、その辺を今回、ぜひ整理していただいて、もう少し連携しやすい体制を組むべきではないかということが1点です。
もう一つが、今ほど田母神委員からも認定看護師さんが出ましたけれども、さらには特定看護師、これは包括的指示の下でかなり医療行為もできる看護師でありますので、そこを生かす方法もあるのではないかということが提案として2点目です。
3点目が、感染に関してですけれども、御承知のとおり、今回、高齢者施設のクラスターが非常に大きな問題になっており、そこに対して外から医療がどれだけ入れるかということで、コロナに対しては、今、特例措置で往診等々が入れるようになっています。これが今後、こういう新興感染症等も含めて、感染対策に対して医療・看護が、指導的なものも含めて、どれだけ(施設外から)入れる体制をつくっていくかということも重要ではないかと思いますので、その辺を提案したいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○田辺分科会長 
1点、御質問がございましたので、お答え、お願いいたします。
○古元老人保健課長 
老人保健課長でございます。
1点、御質問がございましたので、回答申し上げたいと思います。資料-1の参考資料の15ページだと思います。介護保険施設における入所者・退所者の状況ということで、一番上の介護老人福祉施設からの退所先といたしまして、死亡が69%という数字がございます。こちらにつきましては、委員御指摘のとおり、特養の69%の死亡の中には、施設内での死亡と入院先での死亡の両者が含まれてございます。その割合でございますが、この69%を100といたしますと、そのうち施設内での死亡が約65%、入院先での死亡が約35%ということで、おおむね2対1といった状況でございます。
なお、御参考までに、その下の介護老人保健施設、老健での死亡退所が10.6%という数字がございますが、このうち約9割が施設内での死亡ということでございます。また、一番下の介護医療院では、死亡退所が52.2%ございますが、こちらについては、この調査の中では100%が施設内での死亡という状況でございます。こういった点につきましては、委員御指摘のとおり、解釈に当たり、留意が必要であると考えております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
池端委員、よろしゅうございますか。
○池端委員 
ありがとうございました。よく分かりました。
○田辺分科会長 
では、東委員、よろしくお願いいたします。
○東委員 
ありがとうございます。全老健の東でございます。
まず、資料-1の13ページ、検討の視点の「(1)高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能について」です。この中に、「介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能を推進する観点から、利用者に対して必要な医療が適切に提供されるよう」という文面がございます。前回(第1回)のこの意見交換会において、比較的軽度の医療ニーズの在宅高齢者を、老健施設の短期入所療養介護の総合医学管理加算、いわゆる医療ショートで受け入れることができることを紹介いたしました。今後は、この医療ショートで比較的軽度の医療ニーズの在宅高齢者の受入れを積極的に活用すべきという旨の発言もさせていただきました。
そこで、今回のテーマである高齢者施設等の医療提供機能の一つとして、老健施設の医療ショートを広く知っていただきたく、再度、御紹介させていただきます。
私ども全老健では、要介護高齢者の医療ニーズに対応できますよう、日本老年医学会との共催で、平成26年より老健施設の管理医師を対象に老人保健施設管理医師総合診療研修会を開催しております。約19時間の講義に加え、グループワークを丸1日という研修内容で、あらゆる医療ニーズを網羅した内容となっており、習熟問題にも取り組んでいただいています。これまで延べ3000名以上の老健施設の管理医師に受講いただいております。この研修会は、平成28年より診療報酬上の総合機能評価加算の要件にもなっており、平成30年からは介護報酬上の所定疾患施設療養費(Ⅱ)、令和3年からはかかりつけ医連携薬剤調整加算の算定要件にもなっております。したがって、老人保健施設管理医師総合診療研修会の内容と、この研修会に延べ3000名以上の老健管理医師が参加していることを踏まえると、老健施設の医療の質というのは十分に担保されているのではないかと考えております。
次に、資料-1の14ページ「(3)高齢者施設等における薬剤管理について」一言申し上げます。ポリファーマシーの御意見、様々ございましたが、この対応として老健施設では、かかりつけ医連携薬剤調整加算という介護報酬上の評価がございます。しかし、残念ながら、いまだ算定率が低い状況です。老健施設の入所のタイミングは、薬剤を調整するチャンスでもありますので、このかかりつけ医連携薬剤調整加算の算定率が上がるように、研修等の充実を我々も図っていきたいと考えております。また、ポリファーマシーの取組は、老健施設だけでなく、介護医療院や特養の入所者にも取り組んでいただく必要があると考えております。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、田中委員、よろしくお願いいたします。
○田中委員 
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。日慢協の田中でございます。
検討の視点(1)について、高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能について、慢性期・在宅でも特定行為のできる看護師の配置を提案いたします。これは池端委員もおっしゃっていたとおりでございます。高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染など感染症の治療であれば、急性期病棟で治療することが必須とは限らず、私どもの特養では、抗生物質の点滴投与などは、特定行為の看護師が医師との相談や包括指示の下で、病院同等に特養にて実施しています。このことで入院を回避でき、住み慣れた施設内で病院並みの治療ができることで、利用者さんのリロケーションダメージの回避、御家族の入退院に伴う負担を軽減し、大変喜ばれています。こういった好事例の横展開を期待いたします。
 さらに、その仕組みは、広い視点で見れば、医療経済的にも、入院治療に比べ、自己負担と公費負担の軽減をいたしながら治癒に至っています。この仕組みを標準化できるよう、介護・福祉施設における特定行為の看護師の配置を促進すべくインセンティブをつけてはいかがかと提案いたします。評価は、実績報告で担保できると考えます。その際には、現在評価されていない施設での点滴手技なども併せて、診療報酬での評価をしていただく必要もあると思います。
また、老健では薬剤費が包括されているため、説明にもあったように、高額な薬剤を必要とする利用者の薬剤購入費が施設の負担になっています。とはいえ、医学が進歩し、高額だから処方をやめるということができない医療薬が多くなっていることも事実です。例えば、心不全治療薬のトルバプタンなどを使うことで、急性期病棟に入院しなくても老健で治療が可能な方がいます。投薬の包括化について見直す時期と考えます。
2つ目の○、特養の配置医師が特定行為の看護師とうまく連携することで、負担なく医療を提供できる可能性に言及いたします。また、配置医師が高齢者医療に慣れていない場合には、慢性期医療に慣れている医師がサポートに入れる体制を取れるようにすべきと考えます。これは14ページの(2)の内容にも重複いたします。
3つ目の○、配置医師のいない特定施設等については、想定される疾患は必ずしも高度急性期医療を必要とするものばかりではないので、地域包括ケア病棟などを有する高齢者医療が得意で、リハビリ機能を持つ病院と医療連携するよう求めてはいかがかと考えます。
4つ目の○、障害者施設との連携については、障害者の高齢化に伴って認知症を併発される方も増えています。不足する障害者施設を若年の重度障害の方々に利用してもらうためにも、高齢化に伴う症状を発症した時点で介護サービスへ移行する必要があります。現在も介護保険優先のルールがあると思いますが、介護保険施設を利用する方が、自己負担額が増加するため移行が進んでいないケースもあり、障害部門との調整が必要です。
14ページの(3)ポリファーマシーの解消、(4)の感染症対策についても、慢性期部門特定行為を学んだ特定行為の看護師を配置することで、毎日、見ている看護の目からも観察でき、医師や薬剤師と連携し、速やかに様々なことが行われ、薬剤管理が行われるでしょう。別途、介護職員への感染対策の指導なども行われるので、改めて配置を義務づけるとよいと考えます。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、よろしくお願いいたします。
○江澤委員 
ありがとうございます。
幾つか意見を申し上げさせていただきます。
本来、介護施設の利用者や在宅患者の受け皿となる役割を担っている在宅療養支援病院(在支病)や地域包括ケア病棟を有する中小病院あるいは有床診療所と、高齢者施設等あるいは配置医師・在宅医師との平素からの連携が重要であります。顔の見える対面やICTを活用した、例えば毎月の定期的な連携や、必要時に随時連携できる仕組みが重要だと思います。その際、高齢者施設側から、あるいは介護施設側から気軽に相談できる関係性がポイントとなります。現状の協力医療機関が在支病や地域包括ケア病棟を有するような中小病院でない場合には、今、申し上げた連携体制を新たに付加することも検討課題と考えております。
特養の配置医師の仕組みは残すべきと考えておりますが、配置医師が1人で24時間365日対応することを求めることはシステムとはなりませんので、運用可能なシステムをどう構築するかの視点が重要であり、先ほど申し上げた連携により、配置医師のバックアップサポート体制等につなげていくことが大切だと思います。医療においても、在支病等と定期的に症例カンファを行うなどの取組も有効と考えます。
こういった連携体制の構築に当たりましては、中小病院に入院ベッド確保・受入れのための後方支援機能をさらに付加したり、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟の在宅復帰率の分子に老健を組み入れることや、あるいは、連携の支障を来すほどの包括医療における高額薬剤の取扱いの検討も求められると思っております。
障害者施設の医療提供においては、障害者の特性により、診療の順番を待てないことや、医療機関が受け入れづらい状況があることが想定されますので、例えば、特養の配置医師のような仕組みで、外部の医師が障害者施設で診療できるような体制も参考になるのではないかと思っております。特に、特養においては、初再診料の取扱いも障害者施設と同様になっていることもあります。特養の配置医師の確保が困難という声も多々ありますので、各地域の実情に応じて、地域で考えていくことが重要ではないかと思っております。
次に、感染対策においても、これまで述べた医療連携体制が重要となります。前回の診療報酬改定の感染対策向上加算の仕組みを、次回の介護報酬改定でも検討すべきではないかと思っております。
コロナの流行で我が国で7万人以上が亡くなったことは、重く受け止めるべきと考えております。対策のアウトカムは、死者数であります。その視点で2点だけ申し上げます。
1点目は、入所者の感染早期の治療介入を行う医療支援の強化であります。入所者が感染後、臨床検査もしないで経過観察のみで高齢者施設等で診ていた場合に、ある日突然、SpO2、酸素のサチュレーションが低下して緊急入院するようでは、助かる命も助からないと思います。日頃からの地域の連携体制の構築によって、適時・適切に医療支援が担保される仕組みが不可欠でありますので、現在、調査中であります、介護施設が補助金を受けるための連携する医療機関の要件にも、相談あるいは必要時の診療、あるいは入院の必要性の有無調整といったものが入っておりますので、今後の参考となると思います。これらの対応を平素から都道府県の連携協議会で議論することとなるため、期待しているところでございます。
次に、2点目は、要介護者をはじめとする虚弱な高齢者の疾患に対する脆弱性のできる限りの回避であります。治療対象となるような貧血、低栄養、糖尿病、慢性心不全、不整脈、骨粗鬆症等が潜在的に大変多くいらっしゃいます。冒頭に申した連携の仕組みを活用するなどして、日頃からの検体検査などの医学的管理を充実して、重症化を防ぐべく、本人のQOLを高めていくことが必要であります。
最後に、最も必要なことは、利用者さんや患者さん、地域住民に何ら支障がないということでありまして、どこで看取るかではなくて、死の瞬間までのターミナルケアの充実、すなわち看取りの質を高め、本人・家族の満足感や充実感の下、人生最期までの尊厳の保障が極めて重要と認識しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 
ありがとうございます。
それでは、13ページの検討の視点に沿ってコメントしたいと思います。
まず、1つ目の高齢者施設・障害者施設等の医療提供機能についてですけれども、高齢者や障害者が施設で生活しながら、必要な医療を適切なタイミングで受けられるようにすることが重要であることは言うまでもありません。ただ、前回も同様の発言をいたしましたが、2040年に向けて高齢化がさらに進展し、医療ニーズ、業務量がさらに増加する中で、医療も介護も人材が不足し、保険財政もこれまで以上に厳しい状況になります。長島委員からも言及がございましたが、まずは施設に配置されている医師や看護職員が医療機能を最大限に発揮していただき、その上で、施設内で対応できない部分について外部の医療資源を活用する場合でも、効率的な方法を考えるべきだろうと考えます。これについては、一部の委員からも好事例の御紹介があったと記憶しております。
2つ目、医療機関と高齢者施設等との連携についてでございます。急変時の相談や往診、オンライン診療の提供、緊急入院の受入れなど、医療機関が高齢者施設をサポートする必要性は十分理解しております。一方、補足資料の55、56ページ等にありますけれども、地域の診療所や在宅療養支援病院、地域包括ケア病棟が高齢者施設と協力することが望ましく、特定機能病院などの高度な病院と高齢者施設が直接連携するというのは、医療の機能分化の観点からは疑問を感じざるを得ません。
 3つ目、高齢者施設等における薬剤管理でございますが、高齢者のポリファーマシー対策は、かかりつけ医や薬局の薬剤師が貢献すべき領域ではありますが、日常的な服薬支援や医薬品の管理については、施設の職員に一定の役割を担っていただくことが必要ではないかと考えます。私自身も、施設に入っております家族の薬の受理に立ち会っておりますけれども、施設のほうからは、薬を食事ごとにしっかりパッキングしてくださいということが強く要求されております。そうしますと、残薬等よりも、逆に飲んだときの状況とかの情報をしっかり施設の方には見ていただきたいということかと思います。
次に、感染症対策ですけれども、これも何人かの委員の方が言及されておりますけれども、医療機関については、新興感染症や薬剤耐性菌への対応力を高める枠組みが令和4年度から始まっております。高齢者や障害者施設についても、地域全体として感染症対策に取り組むことは必要と考えますが、必要な対策の内容と費用負担の在り方については、慎重に検討すべきと考えます。
私からは以上になります。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
小塩委員、よろしくお願いいたします。
○小塩委員 
すみません、中医協の会長をしている小塩です。今日は意見交換会ということですので、あえて個人的な意見を申し上げます。
既に多くの委員から御発言があったのですが、高齢者施設と医療機関の間で平時から連携を密にするのは非常に重要なことです。これはどのような立場に立っていらっしゃっても、御意見は同じだと思います。特に私が思うのは、高齢者施設から医療機関に移行するときに、現場で非常に多くの混乱が生じているということです。とにかく救急車で運んで急性期の病院に行こうという行動が一部見られます。これは必ずしもよくない。医療資源の使い方から見てもよくないですし、それから、御本人とか御家族にとってもよくないことだろうと思います。
ですから、その移行期にできるだけお医者さんの助言あるいは判断、あるいは場合によっては、特定行為の看護師さんの御判断、アドバイスを、施設で働いている方々が気軽に、リアルタイムで簡単に受けられるような仕組みがあると非常にいいのではないかと思います。最近では、オンライン診療とか、あるいはコミュニケーションの取り方でもオンラインを使ってやることが一般化していますので、昔に比べるとそういう措置はかなり簡単になっているのではないかと思います。そういう点も注意しながら、それぞれの会議体で報酬改定について議論を深めていきたいと思っております。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。それでは、テーマ4に関わる質疑は、この辺りとしたいと存じます。
次に、テーマ5の「認知症」について、事務局より資料が提出されておりますので、御説明のほう、お願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 
認知症施策・地域介護推進課長でございます。資料-2に基づきまして御説明申し上げます。
先ほどのテーマ5と同様に、目次であります。1が「現状」、2が「主な課題」、3が「検討の視点」という構成になってございます。
2ページ目、お開きいただきます。「現状」の総論でございます。
認知症の高齢者数につきましては、2025年には約700万人、これは65歳以上の高齢者の約5人に1人ということでございます。2040年にはさらに増えていくことが見込まれているということ。
2つ目の○にございますように、高齢者がいる世帯では、単独世帯及び夫婦のみ世帯の占める割合が増加し続けておるということで、単独世帯の高齢者の増加は85歳以上で特に顕著であるということでございますので、今後、誰もが認知症とともに生きることになる可能性がございます。また、誰もが介護者等として認知症に関わる可能性があるということでございます。
このため、4つ目の○にございますように、認知症になっても、本人の意思が尊重され、尊厳をもって暮らし続けることができるように、適時・適切な医療や介護を受けられる体制を整備していくことが求められると考えてございます。
政府といたしましては、この下にございますように、これまで様々なプランをつくってまいりました。直近では、令和元年6月に「認知症施策推進大綱」を取りまとめて、政府一体となって、「共生」と「予防」を車の両輪として5本の柱で施策を推進しているところでございます。
とりわけ、医療・ケア・介護サービス・介護者への支援につきましては、早期発見・早期対応、医療体制の整備。医療従事者等の認知症対応力向上の促進。介護サービス基盤整備・介護人材確保・介護従事者の認知症対応力向上の促進。さらに、医療・介護の手法の普及・開発。認知症の人の介護者の負担軽減の推進に取り組むことになってございます。
(2)以降につきましては、こういったコンセプトに基づきまして、医療・介護、それぞれの分野で、報酬改定あるいは予算措置などをしてきたという現状あるいは課題を一部記載させていただいておりますので、大変恐縮でございますけれども、時間の都合上、御説明は省略させていただきます。
11ページ目、下に「主な課題」がございます。こちらから御説明させていただきます。
(1)地域包括ケアシステムにおける認知症の人への対応でございます。
先ほど御説明申し上げたとおり、今後さらに増加が見込まれる認知症高齢者に対して、しっかりと地域の実情に応じて早期発見・早期対応が行えるような体制を進めていくということでございます。
12ページ目の○にございます、このために、日頃からの地域における社会参加活動をはじめとする、ここのポツにございますような連携などを含めた重層的な医療・介護を提供できる体制を構築することが重要であると考えてございます。
次の○にございますように、独居高齢者は、とりわけ情報を入手したり、医療・介護提供を含む必要なサービスにアクセスすることが困難になること、社会的孤立のリスクが高いことなど多くの課題が指摘されているということでございますので、こういった課題にしっかりと対応していく必要があると考えております。
次の○でございます。現在でも、認知症の方に対する服薬の支援・管理や口腔・栄養の管理は、多職種の協働により行っていただいているということでございますけれども、現状では必ずしも十分ではない面があるということでございます。こういった取組をさらに進めることによりまして、介護職員の業務負担の改善にもつながることが期待されると考えてございます。
また、人生の最終段階における医療・介護に関しても、認知症の方は本人による意思決定が困難な場合も多いということでございますので、意思決定支援への対応が求められると考えてございます。
(2)医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応についてでございますが、1つ目の○にございますように、介護サービス事業者における認知症への対応力向上を一層進める必要があるということでございますが、介護従事者が、より簡便にかつ短時間に、認知症の認知機能、生活機能を評価できるような指標が求められているということでございます。こちらにつきましては、令和3年度の介護報酬改定の意見書におきまして、今後の課題ということで宿題をいただいているところでございます。本日の参考資料2に、昨年度の老健事業の成果をつけさせていただいておりますけれども、こういった取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
13ページ目でございます。BPSDへの対応あるいは未然に防ぐケアといったものを一層向上させていくことの必要性。
さらに、入院医療機関においては、とりわけ新型コロナウイルス感染症流行下において、認知症を理由に入院ができないなど、本来提供されるべき医療行為が提供されていない事例が生じていることが報告されているということでございます。
また、認知症の人を含む要介護者等の高齢者に適切な急性期医療が提供されるために、広く医療機関全体での、認知機能を含む高齢者の心身の特性を踏まえた対応といったことが求められると書かせていただいております。
次の○でございますけれども、介護保険施設等におきましては、身体的拘束が原則として禁止されているということでございますが、医療機関における身体的拘束につきましては、主に急性期において必要な医療を提供し、安全を確保するため、緊急やむを得ない場面があることを考慮しても、さらなる身体的拘束の予防・最小化が行える可能性があるのではないかと考えているところでございます。
(3)認知症の人に係る医療・介護の情報連携でございます。
日頃から医療・介護の情報連携を進めていっていただいているということでございます。一方で、例えば認知症の人の診断・治療やケアに必要な、それまでの合併症を含む治療経過や生活背景等の情報共有といった方法は、医療機関や地域により差がございますので、医療・介護間で必要な情報が適切に共有されていない可能性があるということが課題と考えております。
以上の課題を踏まえまして、14ページ目、「検討の視点」をまとめさせていただいております。
(1)でございます。今後、増加が見込まれる認知症の人に対して、認知症になっても、本人の意思が尊重され、尊厳をもって暮らし続けることができるように、早期発見・早期支援、本人の意思決定支援という観点から、その地域の実情に応じて適切に医療・介護を受けられる体制を構築していくための方策、どのようなことが考えられるのかというのが1点目。
2点目が、特に単独世帯の高齢者につきましては、より早期に気づき、社会生活を継続できるように、適時適切に医療・介護に加えまして、服薬支援・生活支援等が提供さるために、どのような方策が考えられるのかとさせていただいています。
(2)医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応につきまして、専門的な医療・介護提供が可能な人材育成とその活用とともに、広く医療機関・介護保険施設等における認知症の人への理解、認知症対応力の向上、さらなる方策として、どのようなことが考えられるのか。
次の○にございますように、BPSDの対応はどのような方策が考えられるのか。
次の○にございますように、認知症の人に適切なケア提供を行う目的で、認知機能・生活機能などを適切に評価するためには、どのような方策が考えられるのか。
医療現場における身体拘束の問題を含め、認知症の人の尊厳を重視した適切な認知症ケア提供をさらに進めていくためには、どのような方策が考えられるのか。
最後、(3)でございますけれども、医療・介護の情報連携につきまして、情報提供の内容、連携の在り方、及び連携を推進するために必要な方策について、どのように考えられるかとさせていただいております。
私からの御説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺分科会長 
御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。なお、再度のお願いで誠に恐縮ではございますけれども、1人3分以内で御発言のほうはお願い申し上げます。なお、3分経過いたしましたら、事務局のほうより合図がございます。
それでは、長島委員、よろしくお願いいたします。
○長島委員 
認知症は、医療と介護の両方が必要な疾患であります。したがって、医療機関や認知症疾患医療センターなどの医療資源と、認知症初期集中支援チームや生活支援体制整備事業などの介護資源との連携が、地域において日頃から構築されていることが重要です。
また、資料にもあるとおり、認知症については、次の2つの取組が求められるものと考えます。
まず、認知症を有する患者に対して求められる取組としては、身体拘束に関わる対応や、認知症ケア加算でも芽出しされているような、ケアに関わる留意すべき点の啓発などの普遍的なものや、認知症に特化した対応を念頭にした治療・ケアが考えられます。
次に、身体疾患が主となり、認知症が必ずしも前景にない場合の取組です。認知症ケア加算に含まれているような普遍的な取組も前提としつつ、認知症は誰もが皆、なり得るものということも踏まえて、医療を提供する観点から認知症と関連性が高いと考えられる身体疾患、例えば大腿骨近位部の骨折などに着目し、これらへの対応力をさらに高めていくことが必要ではないでしょうか。すなわち、こういった認知症を有している可能性が高いと考えられる身体疾患を持つ患者への治療・ケアに対する評価の在り方を検討することがよいのではないかと考えます。
医療・介護の情報連携に関しては、医療DX基盤となるICTの活用が有用とは考えられますが、情報共有で必要となる御本人の理解に基づく同意の確認など、課題もあり、丁寧な検討をすべきと考えます。
私からは以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 
ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
認知症につきましては、高齢社会の進展とともに大きな課題であると考えております。今のところ、特効薬や予防方法が確立していない一方で、誰でも起こり得る疾患であることから、歯科の分野からも貢献できることがあるのではないかとの思いを持ちながら、日々診療しております。
例えば、これまでしっかりお手入れをされていた方の口腔内に急に汚れが目立つようになったり、予約時間を間違えてしまうことが増えたりといった、認知症の初期症状を疑うケースがございます。そのような場合、家族も気づいていなければ、どこにつなげていけばよいのかと、我々、歯科医療機関においても悩むことがあり、認知症の方の支援のためのシステムが地域によって差があるのが現状と感じております。こういった意味でも、テーマ1の地域包括ケアシステムのさらなる推進が非常に重要と考えております。
また、総論部分で共生と予防を両輪とした施策が重要であると記載されております。認知症と歯科領域との関連につきましても、様々な研究が進んでおり、例えば、歯の数と認知症の関連では、4年間の追跡調査や海外からの研究結果をまとめたシステマティックレビューがございます。内容は、6つの研究のメタアナリシスにより、自分の歯が20本以上の者と比較し、20本未満では認知症の発症リスクは1.2倍になると報告されております。これまで、高齢になると歯を失うのは、老化現象なので仕方がないと考える方も多かったですが、歯や口腔の疾患は予防が可能であることから、定期的な口腔健康管理により口腔の健康を保ち、自分の歯を残していくことが非常に重要であると考えております。
また、たとえ歯を喪失しても、歯科治療を行い、しっかりとしたかみ合わせを維持することも重要です。認知症が進行してからでは歯科治療が困難になってしまうケースも多く、できるだけ早期からの介入が重要と考えておりますので、口腔の問題が取り残されないよう、しっかり御検討をお願いしたく思っております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 
ありがとうございます。
検討の視点に沿って、幾つか発言させていただきます。
まず、(1)地域包括ケアシステムにおける認知症の人への対応についてです。認知症になっても、その人らしく社会生活をなるべく長く継続できるようにするためには、早期に気づき、適時・適切に治療を受けることが重要であり、その一環で薬物治療を効果的なものとするための服薬支援を提供されることが求められています。
参考資料1の29ページにありますが、平成28年度から、各都道府県薬剤師会で薬剤師認知症対応力向上研修を実施しております。この研修を通じて、薬剤師が認知症の疑いのある人に早期に気づき、かかりつけ医等と連携して対応するとともに、その後も認知症の人の状況に応じた薬学的管理を適切に行い、認知症の人の支援体制構築の担い手になることを目指しており、現在、4万2000人の薬剤師が受講しております。薬局では処方箋調剤だけでなく、OTC医薬品の購入などで普段から関わりのある患者さんがいらっしゃり、そのような患者さんの中には、言葉のやり取りや毎回同じ物を買いに来てしまうなどの異変に気がつき、医師などにつなげて早期発見できた事例も現場では多々ございます。
参考資料1の21ページでは、認知症の人の薬剤管理上の問題点が示されております。
また、22ページでは、具体的な対応方法が示されています。
23ページでは、認知症の人の生活環境の把握を行った上での適切な服薬管理の重要性が示されており、薬剤師が専門性を発揮して介入していくことの必要性が示されているものと受け止めております。
認知症の方に寄り添ったケアを提供するためには、医師・看護師だけでなく、介護職との連携も必要でありますが、24ページでは、多職種連携によるメリットと同時に、課題として多職種連携している薬局が半数にとどまっている現状が示されております。薬剤師の認知症の患者さんへの薬物治療の取組としては、大きく分けて、患者への支援、家族・介護者に対する支援の2つがあります。
認知症の患者さんは、軽度でもお薬を飲み忘れたり、服用したことを忘れて、決められた量よりも過剰に薬を飲んでしまったりすることがしばしば起こることから、たとえ1種類のお薬でも服薬管理をすることが困難なケースもあります。その上、こういった方には、認知症とは別の重篤な疾患、例えば心不全や血栓塞栓症を抑えるための併用薬を適切に服用できない可能性もあり、これによって疾患を適切にコントロールすることができず、再入院などを繰り返す可能性があります。このような事態を起こさないためには、薬剤師が多職種と連携して、いかに患者さんのフォローを徹底できるかにかかっていると感じています。
次に、(3)認知症の人に係る医療・介護の情報連携についてです。医療・介護間での認知症の人に係る情報連携の推進が求められていますが、参考資料1の24ページでは、有効なものと示されています。特に、認知症の患者さんが単独世帯の場合、しっかりと介入していかないと薬をきちんと服用できませんので、医師との連携はもちろん、ケアマネや訪問看護・訪問介護、生活をサポートする方などとチームによる連携で管理・支援の体制をつくっていくことが重要と考えます。このようなことも次期改定の議論の中でしっかりと検討できるようにお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、田母神委員、よろしくお願いいたします。
○田母神委員 
ありがとうございます。
まず、(1)についてでございます。認知症に対する地域の医療・介護の資源が、住民の方々に分かりやすく周知されることが重要であると考えておりますし、また医療・介護の関係機関・関係者が、横のつながりをもって適切なサービスにアクセスできるようにすることが重要であると考えております。その中では、例えば他疾患で外来等を受診している場合に、医療機関の外来の看護師による相談機能も重視していく必要があると考えております。
また、単独世帯の高齢者の方の認知症対策については、医療・介護の専門職の役割にとどまらず、認知症のサポーターの活用・活躍でありますとか、市町村事業の通いの場における専門職の参加などによりまして、必要な場合に、適切にケアにつなげていくということや、介護サービスでは多機能型のサービスなどもございますので、そういったサービスの活用によって、地域での生活を支えるということも重要であると考えております。
(2)についてでございます。認知症である方へのケアの質向上についてでございますけれども、施設内外の専門的な人材による教育・研修や個別的なケアに関する助言、あるいは支援を受ける機会の確保が重要であると考えております。本会では、令和元年度の老健事業におきまして、医療機関等から、認知症看護認定看護師や専門看護師等が、介護施設・事業所にコンサルテーションや研修に出向くというような事業を実施いたしまして、利用者のBPSDの軽減でありますとか、スタッフの認知症・BPSDに関する知識の向上に対して、有効であったという回答を得ているところでございます。
今後は、認知症ケアの専門人材が地域の施設・事業所に出向く、アウトリーチ型のこうした取組を推進していくことも検討してはどうかと思いますし、また、先ほどのテーマ4に関連しまして、看護師の特定行為研修について御発言がありましたけれども、こうした医師のあらかじめの指示である手順書を用いて看護師が判断していくということは、認知症ケアに関しても、例えば身体的な要因、発熱や脱水ということも、BPSD等に関連し、そういった脱水の改善を図る等の意味でも重要になっております。認知症の方々を全人的に理解し、また、その方々の力を引き出すということを基本として多職種協働で取り組む必要があると考えております。
医療現場等で身体拘束を最小化し、またゼロを目指すという点では、組織として、この課題に取り組むことが重要であると考えておりますが、どのような場合に医療機関で身体拘束をせざるを得ないのかということについて、詳細に分析する必要があると考えております。その上で、具体的な対応を講じることが重要であると考えますし、看護の視点では、治療を受ける過程で患者さんの安楽を保つ看護技術を的確に実施し、また、治療後の早期回復を促すということを総合的・包括的に進めていく必要があると考えております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、古谷委員、よろしくお願いいたします。
○古谷委員 
ありがとうございます。
(1)についてでございます。認知症を早期に気づき、本人の意思を尊重した支援を行うために早期発見するには、具体的なシステムをつくるべきだと考えております。今でも地域包括支援センターが民生委員や郵便局、スーパー、コンビニ等と連携して、こんな様子があったら連絡をお願いしますということをやっていますが、例えば、これをもう少ししっかりとした体制にしていくこと。また、先ほど林委員がおっしゃったことにも関連しますけれども、医療機関と地域包括支援センターの連絡体制の構築を、地域包括ケアシステムの中でしっかり進めていくことが大切だと考えております。
(2)医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応についてでございます。施設種別によって入所者の認知症高齢者日常生活自立度が大きく異なっております。介護医療院や特別養護老人ホームでは、3以上の割合が60%を超えているという状況がございます。特に、特養では、平成27年度以降、入所要件が原則、介護度3以上に重点化され、介護度1・2の方であっても、認知症により在宅生活が困難な状況の方は、特例入所の要件の一つとなった経緯がございます。特養の認知症対応は、より重要度が増していると考えております。
しかしながら、特養の認知症ケアは体制評価のみであり、具体的なケアについての評価はございません。現在、LIFEによって、介護現場におけるケアの評価指標を用いて見える化が行われています。LIFEによる収集・蓄積したデータの活用の標準化やフィードバックについては、今、発展途上でございますが、先駆的な施設では独自の評価尺度を活用するなどして、ケアの質が向上している好事例が出てきているということです。
認知症のケアの推進に当たっては、常時から尊厳を保持した総合的な認知症ケアへの評価とともに、特に介護負担が大きいBPSDへの対応について、BPSDの発症を予防したり、発症後にどのように軽減させるか、この具体的な対応の推進が重要と考えております。在宅であったり、施設であったり、また、その施設種別により具体的な対応は様々でありますが、認知症を適切に評価する尺度の御検討をいただき、その効果が証明されている認知症ケアにおいて介護報酬上の評価をすることは、介護施設・事業所における認知症対応力を一層進めると考えております。ぜひ御検討いただければと思います。
併せて、介護従事者のストレスにも注目していただく必要があり、その軽減を図るための環境の整備、人員の配置等、その検討を進めていただきたいと考えます。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、濵田委員、よろしくお願いいたします。
○濵田委員 
よろしくお願いいたします。
資料-2の7ページでございますが、(2)の医療機関と介護支援専門員等の連携のマル1、在宅療養中の認知症の人に係る取組につきまして、通院時や訪問診療時等、様々な機会を通じて、引き続き円滑な情報連携体制の構築を進めていく必要があると考えております。
また、12ページでは、単独世帯の認知症高齢者割合の今後の増加も見込まれている記載やデータがございますけれども、資料-2参考の4ページから7ページに同じく見込みが示されておりますが、単独世帯以外でも、介護者が要介護状態であったり、あるいは軽度の認知症の方が認知症の方の世話を行うという事例も増加してまいっておりまして、単独世帯以外のこれらの世帯も考慮して、例えば入院が必要な際に生活支援などが行える体制を考慮した支援体制を構築する必要があると考えております。
また、同じく参考の18ページでは、地域包括支援センターの総合相談件数の増加は、様々なこのような対象者からの相談が増加しているという解釈もできるのではないかと考えておりまして、居宅介護支援事業所など地域包括支援センター以外の相談窓口も活用できるよう検討していく必要があると考えております。
なお、同じく資料-2参考の25ページの独居・非独居の認知症高齢者の在宅継続率が示されており、大変参考になる資料でございますが、要介護3以上で重度化するほど、逆に継続率が増加していることも示されております。もちろん、重度でありましても、在宅で暮らしていける地域包括ケア支援体制を構築するということが重要ということは分かりつつも、通常、介護度が重度化するほど、在宅継続が困難になるのではないかということもありまして、これらは、例えば高齢者住宅等の対象者も含んだものなのか、今後、次回以降、また御確認をお願いできればと思っております。
以上でございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 
ありがとうございます。
私のほうから、まず、(1)(3)について、医療と介護の連携ということになります。これは、1回目の意見交換会でもありましたように、非常に重要なテーマだと思いますし、特に認知症というのは、医療だけでも認知症を治し切れないし当然管理もできないが、介護だけでも認知症の対応はなかなか難しい。両方相まって持ち合うことによって、非常にいい成功体験が生まれる疾患でもあると思っています。
その中で、この連携をいかに進めるかという中で、今、認知症サポート医が1万2000人、対応向上研修を受けた医師が7.2万人いると言いますけれども、その人たちがどれだけ活動しているかどうか。その活動を評価していないといけない。ただ研修を受けただけでなく、その方が初期集中支援チームに出たり、あるいはケア担当者会議に出たり、地域ケア会議に出たりという中で成功体験が生まれるので、その活動とかをある程度評価するとか要件化するという方法もあるのではないか。そこから連携のよさを両方が理解できる。医師側にとっても理解できることになるのではないかということで、そういう取組も必要ではないかと感じています。
実は、当県では、全ての認知症サポート医が連絡会をつくって、全てのサポート医に活動していただいて、その活動をポイント制に対して、一定のポイントを年間で取得することを条件化しているということで、かなり活動が進んだこともありますので、そういうことも1つの参考にしていただければと思います。
2点目ですけれども、(2)の身体拘束についてです。これについては、やむを得ないという理由の下に、まだまだ医療機関の現場では、点滴を抜かれては困る云々も含めて、安易にと言っては失礼かもしれませんけれども、縛ったり、手袋、拘束の服を着せたり、あるいは4点柵を設置したりというところがあります。これについては、療養病床も以前は介護療養と医療療養があったときに、介護療養はもう義務化されており、介護保険施設は全て身体拘束ゼロが原則義務化されているわけです。
それに対して(医療療養病床でも)非常に悩んだ時期がありましたけれども、徐々にそれを勉強していくと、療養病床で点滴や採血等々、いろいろな医療行為が必要なところでも、工夫すればかなり身体拘束を外せることが分かって、我々、慢性期医療協会では、これをゼロを目指してやっていて、ごく特別な場合以外はできている。こういうこともぜひ参考にしていただいて、これをさらに一般の医療機関、普通の急性期の医療機関にもどんどん(身体拘束禁止を)落とし込んでいかないと、認知症患者の尊厳を守り切れない。しかも、この縛ることによって、かえって認知症を悪化させたり、せん妄を起こさせたりする現実もありますので、この辺もぜひ今回、この同時改定で対応していただければと思います。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
では、東委員、よろしくお願いいたします。
○東委員 
ありがとうございます。
資料-2の14ページ、検討の視点の「(2)医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応、特に4つ目の〇に、「医療現場等における身体拘束の問題を含め、認知症の人の尊厳を重視した適切な認知症ケアの提供をさらに進めていく」と挙げられております。それから、「(3)認知症の人に係る医療・介護の情報連携」、これも非常に重要だと思っております。この2点につきまして、少しお話しをいたします。
まず、資料-2の11ページに戻っていただきまして、「(5)入院医療機関における対応」の「1)認知症を有する入院患者への対応について」という記載がございます。ポツが4つありますが、1番目は、BPSDが出現した患者に対して「特段の策は講じていない」ことが多いとか、認知症患者への受入れが忌避されやすいとか、「身体拘束をされた」「身体機能が低下して、介護が大変になった」等が書いてございます。これを見ますと、一般病棟が認知症患者の対応に大変難渋しているということが分かると思います。そして、それに対応するために身体拘束をしながら治療を行うことで、今、池端委員もおっしゃいましたけれども、ADLが急速に悪化し、寝たきりになってしまっているということも事実であります。これは非常に問題であると考えております。
このような状況に至るには様々な原因があると思いますが、その1つの原因として、医療機関におきまして、適切な認知機能の評価が行われていないということが挙げられると思います。認知症患者の認知機能を正しく評価することで、一過性のBPSDの出現の予測や対応ができるのではないかと思われます。また、この対応のために、医療現場に介護職員等を配置してはどうかとの意見もお聞きしますが、我々、介護現場における介護職員の不足というのは、喫緊の重要課題です。急性期病棟等に介護職員配置を広げるということは、受け入れがたいと言わざるを得ません。
先ほど申し上げましたように、医療現場におけるADLの悪化や認知機能の悪化は一過性のものであり、早期に介入することで容易に元に戻ります。加療をできるだけ速やかに終了し、早期に老健施設等へ送っていただくことで、それが可能になると思われます。私ども老健施設では、認知症短期集中リハビリが提供できますし、適切な認知症の評価、適切な認知症ケアも提供可能です。本来、老健施設は、医療機関と在宅の間の架け橋、すなわち中間施設として創設されたわけであります。今こそ、この貴重な社会資源をフルに有効活用していただきたいと考えます。
次も関連ですが、資料-2の12ページの一番下に、「(2)医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応について」というところで、「介護従事者が、より簡便にかつ短時間に、認知症の認知機能、生活機能を評価できるような指標が求められている」と書いてございます。これに関しましては、先ほど笹子課長からも御紹介がございましたが、昨年度の老健事業で「認知症の評価尺度のあり方に関する調査研究」事業というものがございました。私も江澤委員も、その委員として検討に加わっておりましたが、その報告書が本日の資料-2参考2に示されております。
その報告書の23ページを見ていただきたいと思います。23ページの図表23に評価者の基本属性というところがございまして、「認知機能評価の経験あり」というものが上から8行目にございます。「認知機能評価の経験あり」という方、その属性は、老健、特養、グループホームの職員で構成された評価者でなされておりますが、4割しかありません。かつ、その下にありますが、8割以上の方が認知機能の評価の必要性を認識していることが分かりました。
この事業でまとまった認知機能・生活機能に関する評価表案というものが、37~39ページに掲載されております。この評価表は、介護現場の職員が簡便かつ短時間で評価できるものを目指してつくられたものでございまして、評価時間も平均7分ぐらいだったことが報告されております。これまでの認知症の評価は、認知症高齢者の日常生活自立度、これはどちらかというと認知症の方の迷惑度を測ったものでございますが、一部の記憶の評価をした長谷川式認知症スケール等が用いられてきましたけれども、認知機能の評価としては十分とは言えません。認知症の方の尊厳を守る上でも、認知機能の残存能力を適切に測る指標が必要と考えております。
今回まとまったこの指標が、まだ完璧ではないものの、かなりよいものができたと感じております。このような指標をまず介護現場で活用し、さらに医療現場でも同じ指標を使って横串が通せるようにすることで、医療と介護の現場での情報共有ができるようになると考えます。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、田中委員、よろしくお願いいたします。
○田中委員 
お願いします。日慢協の田中です。
14ページ、(1)の地域包括ケアシステムにおける認知症の人への対応について、介護保険が生まれてから23年が経過し、認知症の患者像も様変わりしました。当時より、初期の早い時点から診断されるケースや、若年認知症の診断を受ける方も増えています。しかし、診断後支援のサービスが不足しており、その方々が使えるサービスがないのが実情です。現在、支援があれば、まだまだ働ける認知症の方々の働くことに近い活動、生きがいが持てる活動を続けるために、障害サービスの就労訓練を利用できるとされています。
しかしながら、まだまだ市町村の障害担当者等には、この理解が徹底されておらず、認知症の病名がつくと介護保険優先の号令の下、障害サービスの利用・併用を断られるケースも多々見られます。介護給付には訓練という部門がないので、障害サービスにおける就労訓練を利用しやすくするか、時代に合わせて、介護給付の中にも就労訓練や就労的サービスを導入する時期に達したと考えます。このことで、認知症の方や高齢者の方が地域でまだまだ誰かの役に立てる喜びを持ち続けることができます。これこそが地域包括ケアシステムなのではないでしょうか。
(2)の医療機関における認知症の方の対応について、看護師さんに対しては、認知症対応力向上研修が普及していますが、リハビリ職には、まだまだ認知症対応に特化した研修が行われていません。そういった背景もあり、リハビリ病棟では認知症対応に苦慮していると、多くの声を聞きます。看護師さん同様に、リハビリ職における認知症対応力向上研修を設定することを要望します。
また、認知症の人へのリハビリについては、生活行為を向上させるリハビリが主体となります。医療における認知機能訓練と違い、排せつができるようになる生活リハ、着替えができるようになる生活リハなど、10分単位で行える行為があり、現在の20分で1単位という考え方にそぐわないと思います。短時間のリハビリを合算して単位請求できるよう変更するか、1単位の数え方の見直しを要望します。
2つ目の○に対して、BPSDは予防が重要です。環境調整がうまくいかない場合も、症状が強く出現する前に薬物を少量活用すると気分が安定することがあります。医師や薬剤師と連携することで、ここでも特定行為の看護師が機能する可能性があることを指摘します。
また、身体拘束については、根性論のみでは回避できず、具体的な回避のためのケアマニュアルが必要です。私たちは、マニュアルの導入にて、明らかに拘束を回避できたというデータもあるので、具体的なケアマニュアルの普及を提案します。
最後に、認知症の方の情報連携について、認知症の方を診るには、他疾患以上に生活歴や生き方、考え方を知る必要があります。生涯カルテやポートフォリオのようなものをつくり、患者さんにその情報がついて回るような仕組みづくりを提案します。医療DX・介護DXの中に、その部分をぜひ組み込んでください。
以上です。ありがとうございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、よろしくお願いいたします。
○江澤委員 
ありがとうございます。
それでは、意見を述べさせていただきます。
認知症のために、本来必要な医療が受けられないことはあってはならないことであります。今後、医療・介護現場のさらなる認知症対応力向上が求められてきます。そのためには、現場職員の対応力向上もさることながら、経営者・管理者をはじめとする施設全体での組織的な取組が不可欠と考えております。特に、認知症ケアの視点が重要であり、これまで介護現場で蓄積された好事例を医療現場で吸収する連携も方策と考えます。特に、今、研究事業も行っておりますけれども、BPSDを未然に防ぐ適切なケア、あるいはBPSD出現時に早期に対応する適切なケア、こういった良質な認知症ケアをどういうふうに医療・介護現場で普及・実践していくかというのが課題だと思っています。
また、現行の診療報酬の認知症ケア加算と介護報酬の認知症専門ケア加算の要件は、多くはストラクチャー、いわゆる体制要件となっておりますけれども、認知症ケアで最も重要なのは、なじみの関係、なじみの環境の下、本人の人生歴から生きがい、趣味・嗜好、あるいは習慣といったものをひもといた個別のアセスメントとなります。医療・介護現場においてアセスメント力を向上して、個別ケアが実践できる、さらなる研さんが求められると思います。
身体拘束も同様で、組織的な取組が不可欠と考えています。介護の3要件、すなわち、切迫性・非代替性・一時性、これらの3つの要件を全て満たした上でのやむを得ない場合の判断を、担当スタッフや担当チームではなくて施設全体で判断する。こういった取組は、医療機関でも十分実践できるものと思っています。
また、独居高齢者は、住民主体の通いの場やカフェに参加が望ましいですけれども、閉じこもり傾向もあって、なかなかそういうわけにいかない実態もあります。例えば、地域の民生委員さんなどのボランティアの、いわゆる互助の協力もいただきながら、地域ケア会議を通じて地域づくりの視点でアプローチするなど、多様な主体とともに支えていくことが重要と考えます。
認知症は、近似記憶から記憶障害が進行する一方で、感情は保たれていますので、良質なケアの下、自分らしく暮らされている場合は、大変穏やかな表情で過ごされています。医療・介護現場で関わる際は、認知症の方を自分自身あるいは自分の大切な御家族に置き換えて、大切に思う気持ちを持ち合わせることが何よりも大切です。最期の最期には、本人でできることは極めて少なくなります。その方の自立を支援し、尊厳を守ることを念頭に置いて支えるケアの拡大・普及を大変期待しているところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
それでは、松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 
ありがとうございます。
14ページの検討の視点に沿ってコメントしたいと思います。参考資料の13ページ、14ページを開きながら質問したいと思います。
13ページにあります提供の体制が非常によい絵になっているのですけれども、この中の認知症初期集中支援チームが機動的に対応していくためには、患者の生活背景まで知っているかかりつけ医の役割が重要であると考えております。特に、認知症対応力向上研修を修了されたかかりつけ医の方におかれましては、認知症サポート医とも連携して積極的に初期集中支援チームに参画していただきたいと思います。
ここで事務局に1点質問があるのですが、13ページで、医療・介護の提供の中心的な役割を果たすハブは、どの組織になるのか教えていただきたいというのが1点質問です。
2つ目に、医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応でございますけれども、これも一部の専門職を活用するだけではなくて、連携をさらに推進するためには、医療機関や介護保険施設に従事する様々な職種の皆さんが、紹介のありました認知症への対応力を向上させる必要がございます。
また、ほかの委員さんからも言及がございました、医療機関における認知症患者の身体拘束は、患者の尊厳を守るという観点からも問題であり、介護施設の対応を参考としながら、解消に向けた取組を強化すべきであると考えております。
3つ目の認知症の人に係る医療・介護の情報連携ですけれども、これは資料の13ページの一番下に、医療機関や地域により差があり、医療・介護間で必要な情報が適切に共有されていない可能性があると記載がございます。これも事務局に質問ですが、こういうふうに記載されていますけれども、どういった理由から、そうお考えになられているのか。私が想像するものとしては、関係者の皆様方に、残念ながら意識が少し不足している。あるいは、ルール化がされていない。あるいは、様式の共通化がされていない。あるいは、今、話題になっておりますDXへの期待というか、そこでやればいいと思っていらっしゃる。いろいろあると思うのですけれども、それについて教えていただきたいと思います。
それと、これも参考資料の13ページに戻りますが、絵を見ますと「連携」というのが都合5か所出てまいります。皆様方から異口同音に連携が足りないという御発言が多いのですけれども、具体的にどの連携なのでしょうかということをぜひ教えていただきたいのが2つ目の質問です。
3つ目としては、介護DXに関する言及もありましたけれども、前回の意見交換会でも意見があったようですけれども、どれぐらいをターゲットにしているとか、全国医療情報プラットフォームとの関係について、少し御説明いただきたいと思います。
ちょっと長くなりましたが、以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
何点か御質問ございましたので、回答のほう、お願いいたします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 
認知症施策・地域介護推進課長でございます。
13ページ目の図において、どこがハブになるのかというのが最初の御質問だったと存じます。その下に認知症ケアパスというものがございまして、これは認知症施策推進大綱に基づいて全市町村でつくっておりまして、先ほど田母神委員から、こういうものをしっかりと普及するようにという御指摘もいただきましたが、気づき・疑い、診断、症状の悪化というパスの中で、様々な方々がしっかりと関与するということでございますので、どこがというよりは、その地域の状況を応じて、あるいはその方の状況に応じて、ハブになるところが決まってくるのだろうと思います。
とはいえ、とりわけ地域包括支援センターであるとか、あとは、かかりつけ医さん、あるいは通いの場といったところは、認知症の高齢者が接触する可能性が高いということでございますので、そこがハブになってくる可能性は高いのではないかなと思います。
それと、2つ目が、連携が進まないというところに関して、資料の13ページ目ですか、(3)について差異があるというところでございます。私どもとしても、例えば過去の報酬改定などにおいて、参考資料の59ページにあるように、入退院時の情報提供書の標準様式といったものについては、加算を取る際の参考として示させていただいておりますけれども、そういったところが趣旨を踏まえた対応がなかなかできていないところもあるということでございますので、さらなるルール化みたいなものが必要なのかどうかも含めて、また御議論いただければと思います。
○古元老人保健課長 
老人保健課長でございます。
DXの関係、少し御説明申し上げたいと思います。前回、第1回のこの意見交換会でも御指摘いただきましたとおり、全国医療情報プラットフォームなどについての御説明も申し上げたところでございます。現在、介護情報につきましては、特に要介護認定情報とか請求・給付情報、LIFE情報、さらにはケアプランといった情報を中心に情報を共有してはどうかと。共有先といたしましては、利用者の方はもとより、市町村・介護施設・医療機関ということでございます。情報の取扱いを含めまして、慎重な面も必要だと。また、情報の範囲といったことを含めまして、現在、ワーキンググループにおいても検討を進めているところでございます。現状の御報告でございます。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 
すみません、最期にもう一点、13ページ目の連携というものがたくさん出ているけれども、どこが足りないのかということでございました。こちらは、先ほどの回答とも重なりますけれども、地域ごとに違います。地域資源とか、そういったものによっても違いますし、先進的なお取り組みをされているところは本当にうまくいっているところでございますので、そこは地域性があるということで回答に代えさせていただきます。
以上でございます。
○田辺分科会長 
松本委員、よろしゅうございますか。
○松本委員 
御回答ありがとうございました。
1つ目の質問で確認なのですが、私、13ページの絵を見て、ハブという言葉を使いましたけれども、そうではなくて、14ページのバトンリレー方式であると理解したほうがよろしいのでしょうか。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 
14ページ目のパスで、早めに気づき・疑いの段階で気づければ、そのように流れていくのでしょうし、早期発見ができない場合には、その段階において適切な対応をしていくということでございますので、理想的にはおっしゃるとおりでございますけれども、その状況に応じた対応が必要だということでございます。
○松本委員 
どうもありがとうございました。
○田辺分科会長 
では、稲葉委員、よろしくお願いいたします。
○稲葉委員 
ありがとうございます。
例えば、認知症のグループホームであるとかユニット型の施設などにおいて、この中では、生活上の家事とか買い物、ものづくりといったことが認知症ケアに有効とされて、その進行を予防したりすることで認知症ケアが行われてきております。そういったものが求められる施設であるということなのですけれども、最近、人材不足、ぎりぎりの配置などによって、少しゆとりがなくなったりすることで、例えば一緒に買い物に行ったり、外出の機会を持つことで人が薄くなってしまう。
ということで、そういう機会を少し減らしていると。コロナの時期とも重なったこともあったので、現状、どういった形になっているか分かりませんけれども、そういった声が幾つかの施設から聞かれたりしていました。ですけれども、これはグループホームやユニット型の施設にとっては重要な認知症の機能訓練の機会であると思います。
そんな中で、人員に配置や運営に関しては、事業者とともに、ほかの事業所や外部の機関との連携も含めて柔軟に連携対応していくようなことを、これからより一層考えていかなければいけないのではないかと感じております。
これから介護給付費分科会などでもテーマとしては取り上げられてくることだと思いますけれども、その辺のせっかくの認知症機能を維持向上するための機能・施設でありますので、十分に機会が生かせるように研究していければいいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
どうぞ、小塩委員。
○小塩委員 
認知症についても、委員の方々の貴重な御意見を伺うことができました。私は、今回の診療報酬・介護報酬と直接関係がないのですけれども、独居高齢者の問題が、これから非常に深刻になるのではないかと思いますので、その点について簡単にコメントいたします。
私が気にしているのは、就職氷河期の人たちです。一番上が50歳ちょっと出た頃なのですが、この世代の人たちは生涯未婚率も高いのです。それから、非正規雇用にずっととどまっていることも多く、老後の生活保障が十分ではありません。そうなると、独居で所得も低いまま認知症になるというリスクが高まります。そうなると、今回は医療・介護で重層的な対応が必要だという議論を私たちはしてきたのですが、そのほかに所得政策あるいは低所得者政策という、もう一つ違うアプローチでも対処しないと、対応がなかなか難しいのではないかと思います。
今回の改定ではすぐに顕在化する問題ではないのですが、長期的にはそういう貧困の高齢化、それに伴う独居高齢者の認知症の比率の高まりという点についても、長期的に厚生労働省の皆さんに対応を練っておいていただければと思います。
以上です。
○田辺分科会長 
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御質問等も一通り御発言いただいたと思いますので、テーマ5に関わる質疑はこの辺りとしたいと存じます。
本日の議題は、以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、5月18日を予定しております。具体的には、追って事務局のほうより連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日は、これにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。閉会いたします。

 

(了)

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