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2017年3月23日 第23回政策評価に関する有識者会議 議事録

○日時

平成29年3月23日(木)16:00~18:02


○場所

中央労働委員会講堂(7階)


○出席者

高橋座長、阿部委員、井部委員、遠藤委員、菊池委員、篠原委員、野川委員、本田委員、森田委員、安永委員、山田委員

○議事

(以下、議事録)

○高橋座長

 定刻になりましたので、ただいまから「第23回政策評価に関する有識者会議」を開催いたします。年度末の大変お忙しい時期ですが、お集まりいただきまして大変ありがとうございました。

 このリストによりますと、御欠席の委員は、梅田委員、河北委員、掘田委員が御欠席です。阿部委員は御出席いただいています。山田委員は早めに退席されると伺っています、よろしくお願いいたします。

 それでは、今日の議事について事務局より説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日は議事次第にありますとおり、初めに第4期の厚生労働省における基本計画()、平成29年度実施計画()及び実施要領()について、前回との変更点を中心として事務局より御説明し、委員の皆様から、これらに関する御意見を頂戴したいと考えております。

 その後に、平成29年度実施施策の事前分析表()のうち、平成30年夏に各ワーキンググループにおいて御議論いただく予定としております13の施策目標について御意見をいただきたいと考えております。事務局からは以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございました、それでは議事に入らせていただきます。厚生労働省における第4期の基本計画()、それから平成29年度の実施計画()及び実施要領()について事務局より説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 政策評価官の玉川です。ただいまの議題にありました厚生労働省における政策評価に関する第4期の基本計画、厚生労働省における平成29年度の事後評価の実施に関する計画、それから厚生労働省における政策評価実施要領につきましては、本日それぞれの案を資料1-21-31-4として配布しております。これら基本計画、実施計画、実施要領の案につきましては、第3期の期間における有識者会議やそのワーキンググループでの御指摘も踏まえ、政策評価官室で省内の各部局と調整しながら準備をさせていただいたものです。御覧いただきますと分かりますように、かなり大部な資料と文書です。また基本計画の策定につきましても、5年ぶりとなっておりますことから、初めに資料1-1で、制度の概要と第4期基本計画のポイントについて御説明させていただきます。

 まず政策評価の枠組みとしては、参考資料1に抜粋を付けてありますが、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づき、この政策評価は実施されております。この法律は政策評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果は政策への適切な反映を図るという、PDCAサイクルを実現していくことで効率的で質の高い行政、成果重視の行政を推進するとともに、国民に対する行政の説明責任を徹底しようとするものです。

 そのための取組ですが、政府全体では法律の第5条に基づいて政策評価に関する基本方針が策定され、閣議決定されているものです。他方、法律の第6条に基づいて、各府省では3年以上5年以下の期間ごとに政策評価に関する基本計画を定めることとされております。この基本計画に定める事項も法律で規定されており、計画期間、政策評価の実施方針、政策効果の把握に関する事項、事前評価や事後評価に関する事項等が挙げられております。各府省では、この基本計画に基づき、一定の規模以上の公共事業等の事前評価や、施策目標ごとに行う実績評価を実施して評価書を作成し、その評価書をホームページ上で公表するという流れになっているところです。

 これまで、厚生労働省では、3回にわたり基本計画を策定してまいりました。第3期の基本計画の計画期間は、平成28年度、つまり今月末までとなっております。このため来年度、平成29年度から平成33年度までの5年間を計画期間とする第4期の基本計画を今般新たに作成しようとしております。

 資料1-1の右側を御覧ください。それでは、第4期の基本計画では、これまでの計画と比較してどのような点が異なっているのかについて簡単に御説明したいと思います。実は、第3期の基本計画策定後の5年間につきましては、先ほど御説明いたしました根拠法である「行政機関が行う政策の評価に関する法律」、これに基づく政策評価に関する基本方針においては、大きな変更はありません。このため、基本計画等についても基本的な構造といったところでは大きな変更はございません。

 それでは、今般どこを見直そうとするのか。簡潔に申し上げますと、この有識者会議における御意見等も踏まえ、具体的な評価プロセスの質の向上を図ろうとするものです。第1に、ロジックモデルを活用した評価を考えております。これまでの有識者会議やワーキンググループでは、評価すべき施策目標に対し、関連がありそうで何とか測定可能と思われるものを指標として漫然と並べているだけではないのか、その指標が達成されることが施策目標の達成にどのように寄与していくのか、実績評価書の記載からは分からないといった御意見を毎年度いただいていたところです。

 このため、今般、施策目標とこれを実現するため、よりブレイクダウンした複数の達成目標、更にはそれぞれの達成目標ごとの測定指標を設定することにより、その間のプロセスや因果関係を明らかにして評価しよう、その関係性を見える化しようとしているものです。

 第2に、政策効果の把握についてです。これまでの実績評価書の様式では、単にアウトプット又はアウトカムの記載となっており、各部局では何を効果に関して図ろうとしているのか、意識が統一されていないのではないかというところがありました。このため、各種の行政事業の直接の利用状況といったアウトプットの指標だけではなく、国民生活や経済社会の変化、影響といったアウトカム指標についても効果の把握として設定をして、施策の達成目標・達成状況がより適切に把握できるようにしたいと考えております。

 また、一つの施策目標に対して多くの指標が掲げられているものが少なくないのですが、そのうち予め主要な指標は何かを明示するようにしたいと考えております。

 この第2の点にも関わるものですが、第3は、多様な実施主体が関与する施策の評価方法についてです。厚生労働省の施策は、実は厚生労働省単独でできるものというのは限られており、その多くは地方自治体といった実施主体が関与しております。こうした施策についての政策効果を把握しようとしても、指標によって見ることができるのはどの主体のどういうパフォーマンスなのか把握し難いといった御意見をいただくこともよくありました。このため、最終的なアウトカム指標に至る前段階として、アウトプット指標や短期的あるいは中間的なアウトカム指標を合わせて設定をすることといたしました。

 これら3点についてですが、具体的にこの後の御議論でも使用いたします事前分析表の様式で御確認いただきたいと思います。資料1-4、厚生労働省における施策評価実施要領()というものがありますけれども、この16ページ、後ろから4枚目ほどになるのですが、赤字や青字の含まれておりますA4横の表を御覧ください。この表を見ますと、一番左の上に施策目標として、この後の体系のところでも御説明いたしますけれども、個別の目標が掲げられております。この目標を達成するにあたり、よりブレイクダウンした「各課題に対応した達成目標」を4つ下の欄に作っております。ここでは目標1、目標2を例示で挙げておりますが、これが34など場合によっては出てくることもございます。こうしたものを実現することによって、最終的な政策目標を実現していこうというものです。その下に、達成目標1、達成目標2ごとに測定指標を書いております。この16ページにありますのは、達成目標1についての測定指標ということで、2つほどの指標と参考指標が書いてあります。達成目標1を実現するに当たって、測定指標を2つ掲げておりますが、丸1に主要な指標ということで○を付けております。ページ番号が下のほうで見えづらいのですが、同様に17ページには、達成目標2についての測定指標が45、更には参考指標6として掲げられております。4番に主要な指標ということで丸4を掲げております。こうした形で見える化を少しでも進めていこうと考えております。

 また、こうしたロジックと申しますか、流れを考えることによって各部局の説明や整理も分かりやすいものを心がけられるようにということを外形的に考えているところです。以上が事前分析表における具体的な対応です。

 こうした同様の見直しにつきましては本日、参考資料6として実績評価書の様式を付けさせていただいております。こちらについても同じような対応をしておりますので、合わせて御確認いただければと思います。

 また、基本計画に関しては、別紙で定められている施策体系、基本目標・施策大目標・施策目標についても関係がありますので御説明したいと思います。資料1-212ページを御覧いただければと思います。資料1-2、厚生労働省における施策評価に関する基本計画第4()、その12ページ以下に、別紙として施策体系、基本目標、施策大目標、施策目標というものが並んでおります。毎年度、先生方にお願いしております事後評価につきましては、こちらに掲げておりますように、例えば1-12-1という施策目標ごとに実施しているところです。このうち基本目標、施策大目標、施策目標につきましては、この5年間における厚生労働行政の進展、例えば新規に法律が定められたり、あるいは法律の改正がなされたりといった変化を踏まえ、施策目標の領域のくくりを見直したり、あるいは用語を最近のものに改めたりといった作業をしております。これまでの有識者会議から御意見を頂いた関連としては、高齢者施策の関係で地域包括ケアが明示されていないのではないかという御意見を何度か頂いているところです。これにつきましては、基本目標1の中の1-2に、地域包括ケアシステムという文言が入るとともに、ちょっと先になりますが、17ページの基本目標10の中の「施策大目標」に地域包括ケアシステムを構築することという文言が入っているところです。こうしたことにより、医療と介護の連携を意識して位置づけているところです。引続き2つに分かれているという意味では、各施策目標の中での建て方というところで分立しているところもあるのですが、相互に医療と介護の連携が進むようにという観点からこのような取扱いをさせていただいているところです。

 また、現在、政府を挙げて取り組んでおります働き方改革についてですが、14ページの基本目標3で位置づけております。これまで具体化した施策に合わせて、基本目標3の中で今回再整理して各目標項目を書いているところです。ここについては来年度、関係部局の再編が予定されておりますので、その結果、更なる見直しが必要となった場合には、改めて今回策定いたします第4期の基本計画の一部改正を行う可能性もあるということを申し添えさせていただきます。

 これらの見直しについては、形式的には第4期の基本計画について第3期の基本計画の一部改正によるのではなく、今般、改めて策定するという整理になっておりますけれども、具体的にどのような政策領域に関して新たな表現ぶりが多く入ったのかといったことが分かるように席上に「政策体系新旧対照表」(3)(4)という、全部でA4縦の資料を3枚ほど御用意させていただいております。参考までに御参照いただければと思っております。政策評価官室からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。事務局からの説明は以上ですが、ただいま説明いただいた内容について何か御意見・御質問はありますか。施策目標については新旧対照表が付いているのでこれで確認していただければよろしいかと思いますが、そのほかに何かございますでしょうか。

 

○篠原委員

PDCAに関してお伺いします。大分本やいろいろなもので企業でも普及しているのですが、シリコンバレーでは1週間で回している。そうすると、例えば厚生労働省では1年で回すというのは何となく、政策や施策によってはもうちょっと、半年で回すとか、そういう検討をやっているかどうか。黙っていればPDCA1年かなという感じになってしまうので、もうちょっと早く回したほうがいいのではないかという点があると思われます。その辺の検討をされているかどうか、どうでしょうか。

 

○政策評価官

 お答えいたします。日々の行政の実務の中で、その殺那ごとの対応はしているわけですが、やはりある程度の一定期間を測定のための期間として取って、それに基づいて、当事者でなく、第三者の方も入った形で、もう少しきちんとチェックをして、それをアクションにつなげていくという営みが非常に大事だろうと思っております。

 そういう意味では、行政機関が行う政策の評価に関する法律というのは、その期間が3年から5年が適当であろうということで国会で定めているところです。もちろん、これ以前の段階で、個別の事務事業の進行の中で振り返りをすることは非常に重要なのですが、統一のルールでやっていこうというのは3年から5年の期間を考えています。

 実は厚生労働行政というのは非常に変化が激しいところで、本来であれば、なるべくその期間を短くしてその時々の課題に対応して、それが次のアクションにつなげられるようにという要請もあるのだろうと思います。ただ一方で、厚生労働行政の場合、非常に施策目標の数が多いということがあります。70ぐらいあります。事後評価の枠組みは各省共通なのですが、内閣府の外庁などですと、手元にはありませんが施策目標の数が一桁といったところもあります。こうしたところでは、非常に短いスパンで、1通りの分野を見ることも可能なのですが、70の分野をそれなりに凝縮した密度で見ていただくということになると、正直、5年ぐらいかけて見ることも仕方ないのかなという点もございます。

 非常に短い時間で見ることも確かに大事ではあるのですが、一方で行政の施策等で測ったようなことと言いますと、介護の計画などでも3年ぐらいのスパンで立てているものがあります。ものによっては中期計画で5年ぐらいというものもありますので、そうしたところからいたしますと、3年から5年程度で実績が上がったところを見て、それについて中長期的な観点から次になすべき点について御意見を頂く場というのも重要なのかなと考えております。以上です。

 

○高橋座長

 ほかに何かありますか。

 

○菊池委員

 今の御質問と少し関わるのですが、今回、地域包括ケア、私も前に申し上げたことがあったのでそれを取り込んでくださってありがとうございます。

 ただ、今、お話がありましたように、最近は政策の展開が非常に早くなっている中で、例えば地域包括ケアを超えて「我が事・丸ごと」というキャッチフレーズ、要するに縦割りの施策やサービス体系ではいけない、いろいろなニーズを丸ごと受け止めて対応していくという改革工程が2月に示されているところです。縦割りを打破するという政策目標を厚生労働省自体が立てて推進しようとしているところで、まさに5年間の立ち上げのところではあるのですが、そこをすくい取っていけるのかという懸念があります。

 例えば、縦割りを打破するという方向で行きますと、新しく立てられております計画では、16ページ、基本目標6、施策大目標2-2に、地域におけるニーズに応じた子育て支援等施策の推進を図ることがあります。あるいは基本目標71-1、生活困窮者等に対する地域共生社会の実現に向けた体制づくりの推進。基本目標8-1-1、障害者の地域における生活の総合的支援のための支援体制の整備、あるいは基本目標101-2、高齢者の在宅生活云々、多分これらの従来の縦割りを丸ごと地域で推進していくという流れを推進しようという方向性。今回の計画の立て方に反対するものではありませんが、そこのところを意識しながら、まさに縦割りにならないように、連携しながら目標設定等、あるいは評価に当たっても留意していただきたいです。先ほど5年というお話がありましたが、5年後には「丸ごと」云々も一段落して、もう次の段階に進んでいる可能性もあるわけです。もう少し、そのようなスピードに対する感度というか、それを踏まえられるような期間設定も含めて御検討いただくのも将来に向けて課題なのかなという気がいたします。以上です。

 

○政策評価官

 先生の御指摘、もっともだと思います。ただ、こちらの検討会といいますか、有識者会議につきましては先ほどのPDCAのところで行きますと、主にCheckActionにつなげるところあたりがメインの役割かと思っております。まずはプランニングのところで、各局がプランとしてどういうことを実行できるかという施策づくりをまずいたします。それについて、この会議では、どうやって指標を立てて測っていけるかという、具体的な施策がある程度固まったところで、それに対してどういう測定をしていくかが役割だろうと思っております。したがって、具体化すればそれが当然政策目標の中に取り込まれて、それを測るべきことが次になってきますので、1段階進んでくると思います。

 各局に対しては、今のような問題意識についてお伝えさせていただきたいと思いますし、個別の測定指標を説明する際にもそうしたことに留意して説明できるようにしたいと思っております。

 

○遠藤委員

 資料1-2、基本目標についてお尋ねと、意見を申し上げたく思います。まず14ページの基本目標3の施策大目標5、あるいは5-1の部分、安定した労使関係等の形成を促進すること、安定した良好な労使関係は日本的経営の強みですから今後とも維持すべきものであるという立場に立ってお尋ねをさせていただきます。5-1、集団的労使関係のルールの確立と書いてあります。将来にわたり安定的に推移するよう確立を図っていくということですから、何か新しい視点が現段階でおありになるのであれば教えていただきたいというのが1点目です。

2点目は15ページ、基本目標4に関わるところです。施策大目標4の「失業給付等の支給により、求職活動中の生活の保障等を行うこと」ということで、求職中の生活をどう補っていくのかということも大変大きな目標ですが、一方で、同じレベルの大切な目標として再就職支援ということがあるわけです。この目標は「等」の中で読むのではなくて、再就職支援という言葉が目標の中に明示される必要があると思っております。これは意見として申し上げたく思っております。

 それから、些末なことで大変恐縮ですが、17ページの基本目標8と基本目標9のところでワーディングとしては同じものが置かれていると理解はしております。ただ、8-1-2のところは雇用を促進すること、9のところでは施策大目標2で、雇用就業を促進することと書かれております。これが何か、意味のある違いがあるのであれば、このワードでもいいかとは思うのですが、そういうことでないのであれば統一すべきではないかと思っております。以上です。

 

○高橋座長

 具体的な御指摘をいただきました。

 

○政策評価官室長補佐

 今、3点御質問をいただいたかと思います。1点目の集団的労使関係ですが、ちょっと担当部局に確認しないと、こちらから正確にお答えできませんので追ってお答えさせていただきます。

2点目、再就職支援という言葉を明示すべきということに関しては恐らく受け入れ可能だと思います。担当部局に伝えた上で修正する方向で検討したいと思っております。

3点目、障害者の雇用を促進することと高齢者の雇用・就業を促進することとなっておりますが、これも一応担当部局と協議した上でとなりますが、恐らく余り意味のない違いだろうと思っております。先生の御指摘を反映できるような形で調整したいと思っております。いずれにしても担当部局に意見を伝えて確認した上で、できる限り反映したような方向で対応したいと考えております。以上です。

 

○総合政策・政策評価審議官

 最後のところですけれども、恐らく障害者の場合は雇用率を念頭に置いているので雇用の部分を書いているのだと思います。実際には障害者も雇用ではない、例えばそれこそクラウドワーキングで働くような働き方も推進をしているので、入れても別に問題ないかと思うのですが、主に障害者の雇用を推進するという雇用率を達成する趣旨から、これが書いてあると思います。

 高齢者の場合、これは遠藤委員のほうがずっとよく御存じですけれども、歴史的に雇用以外にも、典型的にはシルバー人材センターのような形で働いている働き方も施策の重要な柱になっているので多分、就業を柱の一つとして出しているのだろうと思っています。その違いだろうと思います。だからといって、障害者のほうも就業を推進していないというわけではありませんので、それは担当部局とも相談して対応したいと思います。

 

○高橋座長

 いろいろな御意見が出ました、よろしゅうございますか。

 

○安永委員

 同じ資料の14ページ、基本目標31-2「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援をすること」と記載されています。これは最低賃金について、中小企業の生産性向上のために支援するということが基本的な考え方にあると思います。ただ、それを略し過ぎて、直接的に最低賃金を上げるための費用を出すような表現に見えてしまいます。あくまでも生産性を上げることへの支援というようなことが分かるようにしたほうがいいと思います。

 

○高橋座長

 いろいろな御意見がありました。これらを踏まえ、施策評価というのは、ある意味では非常にニュートラルでなければならないという側面もあるし、現状きちんとした政策の方向づけという側面もあります。そこら辺は調整していただいて、より大方の納得をいただけるような政策目標の精査を引続きお願いすることということで、この件はよろしゅうございますか。

 今日は引続き、後幾つかのテーマが残っております。これからに関しては、第4期の基本計画、実施計画及び実施要領を、このような御意見も踏まえながら策定をいただければと思います。

 引続き、平成29年度実施計画に係る政策評価の事前分析表()について御議論をお願いいたします。具体的な進め方についての説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 資料2-1を御覧ください。政策評価実施予定のローテーション表です。この表は、5か年の基本計画期間中の評価実施時期を示したものです。表中にマル印が付いている年度に、各施策目標に係る実績評価書を作成し、毎年夏に開催される各WGにお諮りする予定としております。ローテーション表の作成に当たっては、測定指標の実績測定が可能な時期や前回の評価からの期間について考慮いたしました。本日は「平成29年度実施施策の事前分析表()」のうち、平成30年度の夏に各WGにおいて御議論いただく施策目標について、御意見を頂きたいと考えております。

 具体的には、表で黄色いセルになっている13の施策目標を各WGごとに区切り、医療・衛生WG、労働・子育てWG、福祉・年金WGの順番で、グループごとに担当部局の入替えを行います。1グループごとの時間は約30分とし、目標の達成度合いを測るため、施策目標ごとに設定している達成目標や測定指標の妥当性を中心として、委員の皆様方から御意見を頂く手順で進めさせていただければと考えております。

 

○高橋座長

 それでは事務局から提示いただいた手順に従い、「事前分析表()」について御議論いただきたいと思います。宿題が出ているのは、施策目標ごとに設定している測定指標の妥当性を中心に議論をしていただきたいという注文が付いております。その視点で、これから非常に多くのテーマを質疑いただきますので、ひとつよろしくお願いいたします。まず、第1番目の医療・衛生WGから始めさせていただきます。所管部局の皆様、どうぞテーブルにお着きいただきますように。

(所管部局入室)

 

○高橋座長

 事前分析表の医療・衛生WGに関連する施策についての質疑です。対象施策目標は、資料2-2にある5つの施策目標です。1-4-1「政策医療を向上・均てん化させること」、1-5-4「原子爆弾被弾者等を援護すること」、1-7-1「健康な献血者の確保を図り、血液製剤の国内自給、使用適正化を推進し、安全性の向上を図ること」、2-2-1「安全で質が高く災害に強い持続的な水道を確保すること」、2-4-1「化学物質の適正な評価・管理を推進し、安全性を確保すること」の5つです。これはどういう手順でやったらいいですか。説明をいただきますか。

 

○政策評価官室長補佐

 いいえ、先生方のほうから随時、御意見を頂き、それに対して担当部局がお答えするという形です。

 

○高橋座長

 それでは順序からいって1-4-1について、何か御意見はありますか。「政策医療を向上・均てん化させること」ということで、測定値についてはそれぞれの研究開発法人がズラッと並んでおり、最後に予算等が記載されております。こういう場では、なかなかサッと御発言を頂きにくいテーマではあるのですが、いかがでしょうか。

 またお気付きのことがありましたら遡っていただくというやり方で、一応順番にやらせていただきたいと思います。その次は施策目標1-5-4、「原子爆弾被弾者等を援護すること」です。達成目標。

 

○山田委員

 冒頭に事務局からいただいた説明とも関わるのですけれども、施策効果の把握として、なるべくアウトカム指標を入れるということですので、まず確認します。この資料2以降というのは、一応それを踏まえてという理解でよろしいですか。

 

○政策評価官室長補佐

 各局に作業依頼をする際には、その旨お伝えしております。

 

○山田委員

 教えていただきたいのは、これをどういうように分類するかという問題はありますが、1-4-11-5-4というのは、アウトプット指標しか出てこないようです。アウトカム指標は入ってないのですが、この第4期基本計画のポイントに合致した測定指標の設定と考えてよろしいのですか。その辺が分からないので、まず整理していただければと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 まず、事務局から御説明いたします。全ての施策目標について、アウトカム指標の設定をしていただくことが望ましいと考えており、原局にはそのような方向で作業をお願いしております。ただ、原局からのそれぞれの御説明もあると思いますので、なぜアウトカムを立てていないのか、1-4-1、及び次の原爆のほうについて、それぞれ担当部局から御説明をお願いしたいと思います。

 

○政策評価官

 若干、補足をいたします。先ほど達成目標として、複数のものを立てることに留意していただくということで併せてお願いしておりますが、実は施策目標自体が、比較的幅の広い分野と、ほかのものと束ねるにはなじまず、単独で立っていて非常に狭い分野もあり、ものによっては達成目標を複数立てづらいといったものもあります。ただ、そうした事情については各部局のほうで、こういう理由なので今回はこういう整理にしましたということを、併せて説明するようにお願いしているところです。

 

○医政局

 医政局の医療経営支援課です。丸11-4-1の政策医療に関しての担当部局になっております。アウトカム指標に関しても検討していきたいと考えてはおりますが、政策の内容に関して言いますと、医療の提供、臨床研究等ということで、それそのものを実施すること自体が、ある程度施策の目標の中心であるというところもありますので、そういったものでアウトカムがなかなか難しいところはあるかと思っております。一方で現在、個別に検討しているものの中には、件数等で出しているものがあります。そういったものをどのような形で調査をしていくかということも含めて考えていくというのは、今後の課題にさせていただきたいと思っております。したがって、現時点ではこれで設定したいと思いますけれども、今後それをやっていく中で必要なアウトカム等が出せそうであれば、そういったものも検討させていただきたいと思っております。

 

○健康局

 健康局総務課の原子爆弾被爆者援護対策室です。丸21-5-4は、施策自体が原子爆弾被爆者に対する援護ということで、放射能の影響により被爆された方に対する医療費と手当を、法律に基づいて支給するという施策になっております。そういう意味ではまず、この事業の性格自体、正に医療費と手当を法律に基づいて適正に執行するという内容のもので、アウトカム指標の設定はなかなか難しいところです。

 例えば、この施策によって被爆者がどの程度満足されているかということも考えて、実態調査なども10年に1回やったりしてはいますが、では、それが客観的な評価になるかというと、なかなか難しいのです。また、対象者もかなり多いので、今申し上げたように、やるとしても10年に一度やる調査ですから、毎年の目標設定なり把握というのは難しいというのが正直なところです。施策の性格的に、適切なアウトカム指標自体の設定が、なかなか難しいというのが実情です。

 ちなみに、アウトプット指標としては健康診断の受診率というのを定めておりますが、むしろ予算的には法律に基づいて、いわゆる公費負担医療とか、医療等の状況が必要な方に対する所定の手当というのが予算額の対象です。法律に基づいて支給要件に該当した方に支給するもので、それらについて目標なり評価をするというのは、なかなか難しゅうございます。そういった中で被爆者の健康診断というのは、やはり健康診断をできるだけ多くの方に受診していただくことによって、被爆者の健康の確保につながる、早期発見・早期治療につながるということで、従来からこれを指標として定めさせていただいています。

 ただ、現状として被爆者は平均年齢が80歳で、非常に高齢化しており、実施率も実はだんだん下がっております。背景としては当然、高齢化に伴って入院・入所される方が非常に増えているということです。これを増やすというのはなかなか難しいところですが、トレンドに対してトレンド以上の形で、実施率の確保をしていくということを目標に定めて、お元気な方でできるだけ受けられる方は受けられるような施策を進めることによって、被爆者の健診受診率を1つのアウトプット指標として、図っていければということで設定させていただいています。

 

○高橋座長

 総論ではアウトカム指標をということですが、各論にいくとなかなか難しいと。それぞれの事業の性質もあるというのは、御指摘のとおりかと思います。これはまたいろいろな議論が行われるかと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。

 引き続き、次の施策目標1-7-1、「健康な献血者の確保を図り、血液製剤の国内自給使用適正化を推進し、安全性の向上を図ること」についていかがでしょうか。これはアウトカム指標として2本提示されています。よろしいでしょうか。

 それでは引き続き次のテーマである基本目標2-2-1、「安全で質が高く災害に強い持続的な水道を確保すること」という水道事業です。これも幾つかアウトカム指標とアウトプット指標があります。ビジョンの策定がアウトプットで、水質基準とか、耐震適合率という様々なパフォーマンスを図るものがアウトカムとしてあります。これは比較的、そういう構造化がやりやすい指標かと思いながら拝見しておりますが、よろしいでしょうか。

 それでは2-4-1、「化学物質の適正な評価・管理を推進し、安全性を確保すること」です。よろしいでしょうか。

 では、全体として何かお気付きのことがなければ、医療・衛生WGについては、これで終了ということでよろしいでしょうか。

 

○森田委員

 拝見させていただいての印象です。政策評価がなかなか難しいのはそのとおりだと思いますけれども、考え方として、あるアウトプットを出す施策が、そのアウトカムの結果にどのように論理的に結び付いているか、そこが評価の1つのポイントになるかと思っております。私たちも評価をする場合に、なるほど、こういう施策を講じているからこういう結果になるのだと、それが理解されるようなペーパーがありますと、「ああ、なるほど」と言いますし、それでどれぐらい進んでいるのか、何が問題であるかなどが分かるのです。しかし、その辺が正直申し上げて、少し分かりにくいという気がいたします。

 考え方の問題ですが、例えば政策医療もそうですし、原爆被爆者もそうです。もし、この施策がなかったらどういう状態が起こり得るのか。ある意味、政策評価の場合は「ベースライン」と言いますけれども、それに対してこの施策を実施しているために、どういう状態で改善が行われているのか、それが例えば過去から比べてこれだけ良くなっているとか、ほかの比較例も含めてどういう状態かというのが分かるような、指標と言うとちょっと難しいところがあるかもしれませんが、そういう御説明をどこかに入れていただくと言いましょうか、それが現れていると非常に分かりやすくなってくるのではないかと思います。

 一例を申し上げますと、最初の政策医療もそうです。なぜ政策医療が必要なのか。政策医療を実施しなければならないとしたときに、やっていらっしゃることがどういうように結び付いてくるのか。恐らく政策医療の場合、例えば希少な疾病の場合の薬の開発とか、そういうものがあるかと思うのです。そのためには製薬メーカーなり何なりに開発を促さなければいけない。それは政策として予算的にやられていると思うのですけれども、その結果、どれくらい治験が増えてくるのか、そしてどれくらい新薬が開発されているのか。さらに言いますと、そうした疾病に対して患者の状態が良くなっているという最終的なアウトカムが、そこまで数値的に出るかどうかは分かりませんけれども、できればそうしたプロセスが分かるような指標の設定と、先ほど4期の概要でありましたように、ロジックモデルというのは、そこが表わされていることを期待していたのです。その辺は夏にもう一度やるわけですよね。そのときに是非、その辺についてもう少し明確にしていただければと思います。

 

○高橋座長

 これは全体に関わる御指摘ですが、今のもので何かサンプルというか、この領域についてはこういうロジックで、こういうやり方をすると、なかりせばという議論ですよね。そのロジックが明らかになるような、何か事例みたいなものを提供できれば、それぞれの作業の役に立つのかなと思ったりするのです。そこら辺はどうでしょうか。

 

○森田委員

 私自身、実は総務省の政策評価審議にも関わっているのです。ほかの府省においても同じように困っていらっしゃるケースがあります。そこをもう少し明確な形で、例えばこういう形で評価書を作成していただきたいということで、今、検討し始めたところです。私は審議会を代表する立場ではありませんから、「こうします」ということは明言しかねますが、厚生労働省のほうも御協力いただいていると思っておりますので、そういう意味で言いますと、正に評価担当の方に御相談していただいて、いろいろと知恵を出していただければと思います。

 

○高橋座長

 評価官室のほうもいろいろな評価作業に当たって、アドバイス的なものがあるとよろしいかと思いました。どうもありがとうございました。

(所管部局入替え)

 

○高橋座長

 それでは引き続き、次の丸2労働・子育てWGに。よろしいでしょうか。資料2-3に記載されている5つの施策目標について御議論を頂きます。それぞれ順番に御指摘を頂くという形にしたいと思います。まず初めに3-1-2、「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援をすること」です。これについては達成目標が4本あって、事業としては手段が1本という割とシンプルな構造ですが、いかがでしょうか。

 

○山田委員

 ほかの指標と異なっていて、測定指標の所で、アウトカムなのかアウトプットなのかがちょっと。括弧書きがないので、それを教えていただきたいというのが1点です。

 もう1点は、達成目標としては生産性向上となっているのですが、測定指標の中の一体どれを見れば、生産性の向上が測定できるのかという御説明を頂ければと思います。

 

○労働基準局

 労働基準局賃金課の伊勢と申します。アウトカムとアウトプットの別ですけれども、1番、2番、4番がアウトプットです。3番がアウトカムです。

 もう1つお尋ねのあったのは、生産性向上の実績が分かる所という御質問だったと思うのです。実際にどれだけ上がったのかが分かるものというのは、この中では3番の「時間給以外の労働者について賃金引上げを行った割合」ぐらいしか出ません。実際に助成金を支給した件数であれば、助成金を支給した所は生産性向上の機械を入れたり、何らかの対応を取ったということで件数として分かるのですが、それ以外の部分については、どれだけ発給があったのかといったものまでは分からないという状況になっております。

 

○高橋座長

 よろしいですか。ほかに施策目標について御指摘がなければ、次に進みます。

 施策目標3-3-1「被災労働者等の迅速かつ公正な保護を図るため、必要な保険給付を行うこと」です。

 

○野川委員

 施策目標は、被災労働者等の迅速かつ公正な保護を図るために必要な保険給付を行うということですね。必要な保険給付を行うのは、迅速かつ公正な保護を図るためですが、達成目標はアウトプットだけ測定指標が出ていて、それをみますと、労災保険給付の請求から決定までの所要日数、精神障害事案についての請求から決定までの所要日数ということですが、この点につき、この施策目標の「公正な保護」という部分にも関わって、実際には労災保険給付の請求から決定までの日数が短くなることと、その内容が果たして適正なものとなっているかということは、必ずしも結び付かないと思います。

 と申しますのは御案内のとおり、取消訴訟において、裁判所で引っ繰り返される例が珍しくないわけです。ということは逆に申しますと、迅速な決定が拙速な決定にならないことが、実は施策の「公正な保護」というところに関わって重要になってくるということになるのであって、請求から決定までの所要日数は重要なアウトプットではありますが、これだけが掲げられていて、今申し上げたような観点からの対応が、この施策の目標あるいは指標の中に入ってこないということになると、施策全体の信頼性に関わってくると思いますが、その点についてのお考えをお伺いできればと思います。

 

○労働基準局

 基準局補償課の三浦と申します。先生がおっしゃったのはごもっともなことなのですが、上から2番目の「施策の概要」を見ていただければ分かるのですが、労災保険法の第1条の中に目的が書かれておりまして、その中には「労働者災害補償保険は業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対し、迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこととする」と第1条に書かれています。

 確かに、裁判などで長期にわたっていろいろなケースがあります。ただ単に早ければいいのではなくて、確かに適正な給付ということも書かれていますのでおっしゃるとおりなのですが、もめるところについてはほとんど疾病なのです。3行目にも書いていますが、労災は新規受給者で年間に大体60万人の方が出ています。これはほとんどが建設とかの怪我なのです。特に、最近話題になっている過労死、過労自殺という問題は全て疾病部類になって、特に疾病については、今回は精神障害の関係を上げていますが、非常に調査が複雑で時間がかかります。ただ、それが今は社会的に非常に問題になってきているところで、ここをどうにか早くしてあげようというところで、1つ目標に立てています。

 実は、前回の目標は、これと脳・心臓疾患のほうも上げたのですが、そちらは大分請求件数も減ってきており、処理期間も大分短くなっているということで、そこは今回は外して、全体の保険給付の中で新しく1番を立てさせていただいたということです。

 先生がおっしゃるように分かるのですが、全体の労災保険給付の目標からすると、60万件あるうちの、例えば精神障害ですと年間に1,000件もないのです。その辺との兼ね合いがあって、全体から見ればアウトカム指標として迅速かつ適正に払うというところがあって、そこをやっていくと労災保険全体の給付の適正化につながっていくということで、こういう目標を立てさせていただいています。

 

○野川委員

 それはよく分かりますが、今おっしゃったようなことはこの中に反映されていないですね。つまり、疾病ではなくてほとんどが傷害であると。そこで、今回の施策の目標の立て方としてはそうなのだということになっていないので、私が申し上げたような点が解明できない。

 

○労働基準局

1番に「労災保険給付の請求から決定までの所用日数」を書いていますが、こういう書き方はしていますが、実はここは休業補償と遺族給付を中に入れることにしているのです。ですから、例えば字面上はそういうのは見えてきませんが、ここの目標の中には今言った休業補償給付、先ほど言った怪我の部分と、あとは遺族給付などの処理期間を短くしようということで設定させていただいていますので、文章上は見づらいかもしれませんが、そういう目標は立てているということで御理解いただきたいと思います。

 

○野川委員

 少し検討してください。

 

○遠藤委員

 ただ今、野川委員がおっしゃったこととかなりの部分が重なると思うのですが、端的にお尋ねしたい。第1条の条文は見ていますので、よく存じ上げています。

 ここでいう「公正な」というものの意味合いは、行政としてどういう場合が公正であると御判断されるのでしょうかということです。

 その中身がはっきりしているのであれば、今回「公正な」を目的として、どのような施策が次にあるのかという部分が出てきますが、野川先生と同様に、次の施策がない中で、「公正な」というのはどういう場合を意図しているのかということに戻ってきてしまうものですから、お尋ねさせていただいています。

 

○労働基準局

 非常に難しい質問だと思っています。「公正」というものを何をもって公正かと言われると、おっしゃられたように裁判事案がたくさんあり、負けたり勝ったりするのですが、今裁判を年間で170180件ぐらいの判決が出ています。それをもって、全て国が勝っているわけではありませんし、当然負けているパターンもあります。それをもって、100%公正かどうかと言われると、確かにそこは何とも言えません。

 ただ、行政としてやっていることについては、当然、公正な立場というのは、認定でも認定基準をきちんと示しながら、それに合った形で判断しています。その結果については、不服があれば不服申立てで、審査官、審査会という二審制を取って、その上で裁判という形でやっております。

 そういうことを取りながら、適正な処理をしているというところで、そこは公正かなとは理解しておりますが、結果として裁判では負けている事案も当然ありますし、いろいろなところで100%でないわけですから、それを公正と言われるかどうかというと難しいのですが、そういう手続をきちんと踏みながらやっているというところで、そこは我々としては、公正かつ迅速にやっていると理解しております。

 

○遠藤委員

 全体に関わる説明を一番最初の議題のときにしていただいたと理解しているのですが、多くの方がこれを見たときに、意図するものが何なのかが分かるようなものを計画の中に立てましょうというところがあったと理解しております。

 ただ今の御説明を聞くと、「公正な」というより「適正な」給付という形の御説明と考えられ、何をもって公正なのかというのが分からないまま、ここに書かれたままで、「それは第1条にあります」というだけの御説明で終わってしまう。だとすると、この計画を立てて国民に何を示していくのかという元々のところに戻ってしまうのではないか。今なおクエスチョンが付くというところかと、これは感想です。

 

○高橋座長

 では、引き続き次の施策目標は、4-2-1「地域、中小企業、産業特性に応じ、雇用の創出及び雇用の安定を図ること」です。いかがでしょうか。

 

○山田委員

 測定指標5について教えてください。建設労働者確保育成助成金を利用したにもかかわらず、教育訓練や若年労働者の確保育成に資する取組を一切実施していないケースというのは、助成金を受けながらそういうことが発生するケースというのは、一体どういうケースですか。

 

○職業安定局

 職業安定局建設・港湾対策室の谷と申します。こちらは助成金を使った事業主が、助成金自体が教育訓練なり、各雇用改善のための取組を事業主が行った場合に助成するというものです。これをアンケート調査でやっております。実際にこの助成金によって、そういう取組が促進されたかどうかを事業主に聞いており、その結果としてこういう率が出ているということです。

 実質、ないケースというのはあるのですが、具体的には促進されたかどうかという事業主のアンケート結果の答えということです。

 

○山田委員

 実施を条件に助成金を出されているのではないですか。もしそうだとすると、この5%というのは、むしろ促進の効果と見ていいのかどうか。要するに、助成金がうまくいっていないパーセンテージを100から引くと、単に要件通りに実施している企業の割合を出しているだけで、アウトカム指標と言えるかどうかというがよく分からないので、その点について御説明いただければと思います。

 

○職業安定局

 そうですね。そこは厳密にどう判断するかというのはあるとは思うのですが、うまくいっていないケースということで御理解いただければいいと思います。

 アウトカム指標かどうかというのですが、効果があったということを事業主の方に聞いているということで、そこでアウトカムということで整理させていただいているということで御理解いただければと思います。

 

○山田委員

 今のお答えが全てだとは思うのですが、質問のポイントは助成金利用というのは、そもそもこれを目的にして助成金を申請しているわけで、それをやっていないことをアウトカム指標に持ってくるのは問題があるのではないかということで考えています。そういう意見です。

 

○高橋座長

 これは非常に複雑なアウトカム指標が並んでいて、各課題の達成目標も相当細かくて、これこそ、それこそロジックが非常に。要するに、事務方としてはそれぞれの事業に対応したものなのだけれども、施策評価という視点から見ると、非常に見えにくい並び方になっているので、そこら辺は、これは国民に対して出す情報ですから、見えやすくするためにはどうしたらいいか。これは先ほどのロジックモデルの問題の応用問題のような話だと思います。そこら辺を含めて、少し研究していただいたほうがいいのかなという気はします。

 それぞれの施策のファセットごとのアウトカム指標が出ているから、それと、ここにある達成目標との関係を、ある程度分かりやすく提示するという配慮が必要なのかなという。そこら辺は協議していただいて、よりいいものにしていただく努力は必要かもしれないと、私も拝見していて思ったところです。

 

○総合政策・政策評価審議官

 今、山田委員と座長からの御意見を頂きましたので。一応この指標を設定していますが、今の御意見を踏まえて新しい、もう少し分かりやすい施策目標と達成目標が分かりやすい関係になっているかをもう一回精査して、新しい指標を作れるかどうか原局の皆さんと相談してみたいと思います。

 

○高橋座長

 具体的な分析は、またこれ以降で、どのようになるかは我々は任期が余っていませんので、どうなるかは分かりませんが、また利用させていただくことになると思います。

 次は、5-3-1の技能継承と振興のための施策の推進です。いかがでしょうか。

 

○安永委員

 「達成目標1」の2に、「技能五輪全国大会の来場者の若者層のうち、大会をきっかけに職業能力の習得に意欲を持った割合」が示されています。そもそも、この大会に来られているということは、かなり関心を持っている層が集まっていることになるわけで、高い数値が出るのは必然的だと思います。

 厚生労働省で、「技能五輪国際大会誘致に向けた検討会」を設置されていると聞いていますが、それらの取組との関連で言うと、一般の方の関心度をどう高めていくかということが必要なのではないかと思います。そういった指標を検討していただきたいと思います。

 それから、3に、「3級技能検定の受検者数」が出されていますが、直近6年の数字を見ると、1年前よりは上がっているけれども全体的には減少傾向にあると思っていますので、3級だけではなくて全体の受検申込者数も取り上げてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○職業能力開発局

 能力評価課課長事務代理の搆です。達成目標の23は、いずれも若年者本人たちに関することです。協議大会については、トップレベルの技能を上から引っ張るような形のことを考えていますが、大会として開催しますので、おっしゃるとおりで、周りのもともと関心がそれほどない層をどれぐらい取り込めるか、そのための大会であると考えています。

 過去、関係者だけの大会でうまくやるということをやってきた時期もありますが、今は少なくとも、外の関心を、一般の人たちにより関心を持ってもらうということに重点を置いています。

 したがって、2の所の前回の目標は8085にしていますが、90まではちょっとどうかと思ったのは、結果的に外部の人たちをできるだけ集めると、集めた人にそれぞれ積極的にアンケート調査を働き掛けているものですから、結果的に薄まるのではないかということも少し考えております。それでも上昇させないと施策の効果がないということですので、85といたしました。

 今後も、関係者が技能を競うということはもちろんですが、それを外に発信して、どれだけほかの人に関心を持ってもらうかということに重点を置きたいと思っています。国際大会の誘致は、2007年の静岡以来ですので、そろそろ頑張ってもいいということで議論しているところですが、その中の議論においても、確かに10年前の国際大会は関係者が中心だったけれども、周りの県、隣接県でそれほど記憶がないという意見もあるので、そこをいかに変えていけるかということに重点を置いております。

 当面はそういったことで、目標も薄まることを前提にして、それでも頑張る85%と設定しております。

1-3の技能検定についてですが、全体のパイが減少傾向にあることもありますが、その中でも若者はそれほど減らないように措置しておりますし、製造業、建設業の人材不足が顕著ですので、ここを何とか盛り返さないといけないということで頑張りどころだと思っています。

 この3級の受検者については、企業、業界は、即戦力は2級以上、いわゆる2級あるいは本当のベテランの1級がほしいというのが現状ですが、そこだけを頑張ると、結局関係者の技能が上がるだけでパイが広がりませんので、本来、こういう分野に入ろうかどうかを迷っている人たちを積極的に受けさせて、あるいは自分の専門があっても、もう1つ隣の職種も受けてみようではないかと、これを広げることが一番大事だということで、あえて3級の目標設定にしているところです。

 短期的にはここで効果が出てくれないと困ると。3級の受検者が広がることで、その中の何割かは2級を受けて、2級に合格するレベルになると企業が是非ほしいというところにいくということで設定していますので、1級、2級、3級としますと、施策の効果がなかなか見えにくいのではないかということで、あえて3級にさせていただきました。以上です。

 

○高橋座長

 よろしいですか。

 

○安永委員

 はい。

 

○高橋座長

 それでは、次のトピックスが、基本目標6-2-1「保育の受皿を拡大するとともに、それを支える保育人材の確保を図ること」です。

 

○野川委員

 施策目標の一番最初に「保育の受け皿を拡大する」とあって、施策大目標2には、「多様な保育サービスなどの子育て支援事業提供」とあります。

 一般の国民がこれを見ると、当然具体的な指標の中には、保育所がどのぐらい多くなるのかということになるだろうと、保育所の造設が当然出てくると考えると思いますが、ここではそうではなくて、定員数がアウトカムとして出てくるわけです。

 もちろん保育所の数が多くなれば定員も多くなるという意味で関連しているとは思いますが、これを目標として、こういう形で構成するのは、2つほどの点で気に掛かるのです。1つは、今、正に話題になっている例の保育所で、定員オーバーで、実際には40人ほどを預るところを70人預っていた。あれは保育所の数が少ないので、ある所に集中していくわけです。そういうことを一般の国民、特に子育てをしておられる親は大変心配になって、もっとたくさんいろいろな所に保育所があれば、ああいう問題は起こらないのではないかということがあります。

 もう1点は、例えば定員が非常に多い保育所が、散在的に幾つかの所にあって、それで定員を全部満たせば一定の数を受け入れられるというのと、定員は少ないけれども、小振りな保育所が様々な所に満遍なくあって、そこに近くの方、職場の近くあるいは住居の近くの方が預けられるというのとでは、明らかに後者のほうを国民は望んでいるし、そういう施策を考えておられると思うのです。

 そうすると、この施策内容を見ると、ちゃんと施策目標の所には「保育の受け皿の拡大」「多様な保育サービスの」とありますから、それはアウトカムあるいはアウトプットでも、保育所の造設という形で出てくると思うのです。かなり大きな定員の保育所もあれば、小さな定員の所、いろいろな所に満遍なくといったことがあると思います。その辺に施策としてはミスマッチを感じさせる部分があるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

 

○高橋座長

 今の質問に加えて気になっているのですが、確か、これは新しい施策目標で、今までは保育の受入人数、児童数を拡大しようと思い、多様なニーズに対応できる保育サービスを確保することだったのが、保育の受け皿の拡大という、「受け皿というのは何ですか」という議論。これは政治用語というか、いろいろな質問とか表現の中で「受け皿」という言い方をするのは承知しているのですが、施策として「保育の受け皿」という言葉遣いというのは、保育の立場の方から見ると相当な批判を受けるような語感のある表現ではありませんか。多分、保育所というものに収斂した対応だけでは難しいという気持ちが、その表現に現れたのだろうと忖度はするのだけれども、「受け皿」というのは私の語感で言うと、余りいい語感ではないのです。少なくとも施策目標に挙げるような日本語表現だとは、私の日本語の感覚では思えないのですが、いかがでしょうか。

 

○政策評価官

 最後の点だけ申し上げますと、この表現ぶりについては、13ページの最後に書いてある「施政方針演説等の名称」という所で、日本一億総活躍プランの中で閣議決定された文書の中に「受け皿」というのは出ておりますので、そういう意味では政府の施策のキーワードのタームとして使っているというのが現状です。そうした捉え方で施策を表現するのがいいのかどうかというのはあると思いますが、現状で走っている施策はそういうことになります。

 

○阿部委員

 野川委員の質問に触発されたのですが、目標1の達成測定指標について、そもそも「目標1」が「待機児童解消に向けた保育園等の整備の推進」で、その前に「背景・課題」は、「都市部を中心に待機児童が多く発生しており、うんぬん」と書いてあります。

 そうしたら、測定指標は通常は、何人定員を増やすではなくて、待機児童は何箇所起こっているかとか、待機児童ゼロを目指すというのが、本来の測定指標ではないのかというのが、私の質問です。

 

○高橋座長

 野川委員、阿部委員のコメントも含めて。なかなか難しい答えが大変な点ですが。

 

○雇用均等・児童家庭局

 雇用均等・児童家庭局保育課の加藤と申します。最初の野川委員からの御指摘ですが、「定員ではなくて保育所で」という話でありましたが、考え方としては、今は待機児童であったり、その方が保育所に入れるようにということで、一人一人に着目して、その人たちがしっかりと入れるようにという形で考えていますので、定員ベースで議論をしてきたのですが、保育所ベースで考えるかどうかは確かに議論としてありますが、保育所は着実に増やしていますし、増えている状態です。

 ただ、保育所というのはいろいろな定員規模があるので、もしかしたら保育所の数を目標にしたら、10人規模の保育所を何個も作れば目標は達成なのかという議論にもなりますので、実際にその人が本当に入れるかどうかというところでの指標ということで、昔から定員で考えております。

 あと、「大きな保育所とか、小さな保育所で、地域間でばらばらではないか」とい話もありましたが、この目標もそうなのですが、平成25年度からは「待機児童解消加速化プラン」ということで政府が打ち出して、5年間で、最初は40万人の受け皿を確保、今は50万人と嵩上げしたところを目指して、実現すれば待機児童解消という形でしてきたのですが、40万とか50万というのはあるのですが、その背景としては、各地域ごとの保育ニーズを捉えて、どれだけのニーズがあるから40万だったり50万という規模観として必要だというところがありますので、待機児童解消とか、保育の受け皿整備というのは、市区町村単位で考えております。自治体がその地域内で、どれだけ確保すれば解消できるかという概念ですので、県単位ではないという意味では、より小さな単位でニーズに応じて定員数を自治体も踏まえながら設定しているという形で、ミスマッチはあるかもしれませんが、お考えよりは小さな感じでミスマッチなのかなと思っております。

 それと、「受け皿」という言葉の話です。これは確かに、この御意見はよくあります。「保育所」「保育定員」と言えばいいではないかという話はあると思いますが、特に平成27年度から子供・子育て支援の新制度が始まり、保育所だけでなくて小規模保育、家庭的な保育いわゆる保育ママ、更には認定子供園というのもありますので、保育所だけではなくて、いろいろな形で受け皿と言っているのですが、そういう保育の受け皿で待機児童を総合的に解消するというように考えております。

 「受け皿」というのは、確かに閣議決定文書等で使われているので、整合性で使っていますが、よく言うのは「受入枠」とか、言葉を少し軟かくして言うこともありますので、そういうところで気を付けていきたいと思っています。

 最後の阿部委員からの御指摘ですが、そのとおりだとは思うのですが、確かに最終的な政府の目標は待機児童ゼロを目指しています。それを実現する形を目標にしていて、そういうのを指標で、いかに定員枠を確保するかという形で設定しておりましたので、そこは施策評価のやり方でまずいということであれば、御指摘を踏まえて検討したいと思います。

 

○阿部委員

 結局、保育所を作りやすい所、定員枠を作りやすい所に作ることはないと思うのですが、それをやって政策目標を達成したと言われると、これは駄目なわけです。あくまでも待機児童がなくなるところを目指していかないと駄目なので、定員が277万人が目標で、277万人を達成しましたが、待機児童はたくさんいるという世界は望ましくないのです。そこを何とかしてほしいということです。

 

○雇用均等・児童家庭局

 おっしゃるとおりだと思います。背景として、よく国会でも議論されているのですが、受入枠は50万人と言っているのですが、今のところは53万人の見込みなのです。今のところは目標は実現しそうなのです。ですけれども、待機児童はまだ2万人以上いるということなので、なかなかリンクしないところはありますので、待機児童の指標というのは御指摘のとおりだと思いますので、やり方として踏まえて考えたいと思います。

 

○野川委員

 保育所の数も、正に阿部委員の言ったことと関わっているのです。きちんと多彩な保育所がいろいろな所にあれば、待機児童の減る方向に促進する大きな効果になるので、その点は是非検討していただきたいと思いますし、先ほどの受け皿の問題もそうですが、最初に大綱を作った政府の中枢のセンスがよくないというのが、今の御説明を聞いても非常によく分かります。その点は御同情申し上げますが、それを何とか具体的施策の中で適正なものにしていただきたいと思います。

 

○高橋座長

 いろいろ宿題が出ました。

 

○菊池委員

 受け皿もそうなのですが、量的な拡大に政府の目が向いているのは分かるのですが、この目標はそれを支える保育人材の確保を図ることとなっていまして、量的な拡大に前のめりになりすぎていて、サービスの質の確保の面が目標にも入っていませんし、そこが危惧されるというか、サービスの質とか、人材育成、それは先ほど野川委員がおっしゃった関西の例にも関わってくるのですが、そちらの指標を立てられるというお考えはないのでしょうか。

 

○雇用均等・児童家庭局

 そこも検討したのですが、保育人材については、保育所は子供何人当たりに保育士1人という配置基準が決まっていますので、受け皿の数を決めていれば、保育士は何人必要かという計算ができるため、保育人材の指標は「平日昼間の保育サービス(認可保育所等の定員)」の中で読み込めると考え、指標設定はしませんでした。

 質の確保については、もちろん配置基準が決まっているので、例えば1歳児なら6:1とありますので、そういう形で必ず保育士がいないと運営できません。100%保育士でないと保育園の場合はできませんので、そういう形での質の確保というのは、受け皿拡大とともになされると思います。

 

○高橋座長

 これは、いろいろな議論のあるテーマであると思いますし、首相の公約でもあるので、なかなか議論もあると思いますが。

 

○山田委員

 これは事務局にお伺いしたいのですが、こういう保育でも、介護、労働でも、緊急の施策というのがあって、先ほど5年に1度のローテーションということで、1歳の子供が小学校間際ぐらいに次がくるというのが、果たして。もう少しローテーションの方法を検討していただけないかというのが、私からのお願いです。

 このように加速プランという形でやっているものについては、5年に1度という間隔で本当にいいのかというのは、もう一回検討する余地があるのではないかと思うので、検討していただければと思います。

 

○遠藤委員

 せっかくお越しいただいているので、お願い事を2つ、端的に発言させていただきます。

 資料2-31ページ目です。施策の目標の後に「施策の概要」項目の中に「名目GDPの成長率に配慮しつつ」という言葉が抜けていますので、丁寧に書き加えるようにお願いしたいと思います。

2つ目は、5ページ、6ページの部分です。施策の目標自体が雇用の創出、雇用の安定、したがって、その中身として丸1から丸4を書いているのは十分に理解しているのですが、昨今、雇用失業情勢を端的に示すキーワードは何かと問われれば、人手不足対策だと思います。人手不足の文字が出てくるのは、目標1(3)にあるのですが、私はむしろ、概要の中心的な施策として人手不足対策があるのではないかと思いますので、この点については御検討いただくということでお願いできればと思っています。

 したがって、そこが中心になるのだとすれば、達成目標1に関わる測定指標における行政の事業の中身も変わってくるのではないかと思います。以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございます。御指摘を踏まえて御検討いただきますようにということで、このワーキンググループは終わらせていただきます。ありがとうございました。

 最後は福祉年金です。入替えをお願いいたします。

(所管部局入替)

 

○高橋座長

 福祉・年金ワーキングは3つのテーマです。初めに、施策目標の7-2-1「社会福祉に関する事業に従事する人材の養成確保を推進するとともに、福祉サービスの質の向上を図ること」ということで、13ページに、非常に多岐にわたる達成手段等が並んでおりますので、これに関して議論をお願いします。

 

○安永委員

 「達成目標1」の1、介護職員数のことについて申し上げます。介護職員の処遇改善加算が予算に計上されたことは評価できると思いますが、実際の加算の使われ方が、新しく採用する人に対して重点的に配分をされていて、人材の定着というところにはなかなか寄与していないという実情があるのではないかと思っています。このまま推移すると、231万人の達成はかなり難しいのではないかと思います。塩崎大臣が「一億総活躍国民会議」の中で、まずは競合する他産業との賃金格差を解消するという観点を踏まえ、更なる処遇改善を実施すると宣言されております。そういった意味でも、各年ごとの目標設定を検討すべきではないかと思っております。

 その達成手段ですが、「達成手段1」の(4)(5)に、EPAに基づく介護福祉士や介護の技能実習生の受入れと書かれていますが、これは入れてはいけないのではないかと思います。EPAは、「労働力不足への対応として行うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果」であり、技能実習は、「開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」が目的であって、両方とも労働力不足を目的としていないということでありますので、これは少し本音の出しすぎではないかと思います。今後、EPAの在り方や技能実習の在り方を議論するときに、こういう資料が使われることを非常に危惧しておりますので、是非御検討いただきたいと思います。

 

○高橋座長

 大事な御指摘を頂きましたが、いかがでしょうか。

 

○社会・援護局

 社会・援護局福祉基盤課です。介護職員についてですが、私どもは確保のところをやっているとともに、定着の促進や離職の防止については、雇用管理の改善の推進ということで、職業安定局などとも協力をして事業主に対する助成金制度等も設けております。私どもは直接の所管ではありませんが、そういった省内のいろいろな施策を組み合わせた中で、御指摘いただいているように定着促進も大事だと思っておりますので、そういったことにも取り組んでいきたいと考えております。

 介護職員の数についてですが、平成32年度までに231万人を目標にしております。これは御案内かもしれませんが、自然に増えていくトレンドから見ても25万人足りないということで、政府の経済財政諮問会議などでも書かれている工程表の中で目標ということで行っており、その途中の年度となると、いろいろな要素で一直線に増えていくような状況でもないので、大きな目標として立てて、そこに向けて努力をしていくということで考えております。

EPAと外国人介護福祉士の候補ということで、技能実習の関係ですが、御指摘のとおり、制度の趣旨として、EPAは経済連携の進化の一環ですし、技能実習は、これも御指摘のとおり、技能を学んだ後に母国に戻って貢献をするという趣旨です。関連のいろいろな施策の中で、特に人手不足対応ということでそういう制度を考えているわけではないので、今後このような資料を作成するときには十分注意をしていきたいと思っております。

 

○高橋座長

 私はこの領域がフィールドの1つなので、1つコメントさせていただきます。測定指標は全部マンパワー対策です。しかし、施策目標は「人材の養成確保を推進するとともに、福祉サービスの向上を図る」と書いてあるのです。なぜ、こういう質問をするかというと、後のほうの施策は、マンパワー対策と同時に質の向上を維持するとか、福祉基盤課で所管しているものがざっと並んでいる印象なので、その辺りと、測定指標1との達成手段の並べ方に、ひと工夫する余地があると。福祉サービスの質の向上をなぜ測定するのかという話はあると思いますが、アウトカムで言えば第三者評価の達成状況といったものは質を上げられるので、マンパワー対策の側面と福祉サービスの質の向上という2つの側面があるのに、測定指標はマンパワー対策だけで書いてある。事業の中には、むしろ質の向上に関わる予算措置をしているものがリストに混ぜ込まれている。そういう意味で、構造化していないという印象があって、その辺りは精査していただいたほうが、施策目標との関係でいいかと思います。場合によっては、全てを網羅的に挙げる必要はないのかもしれないという感じもしないではない。

 民生委員関連経費は、必ずしもマンパワー対策というよりは、もちろん人材であることは間違いないのですが、ボランティアとは言いませんが、官制ボランティアとか、地域のいろいろな人材、そういうものに関わると、確保という話とトーンが若干違うとか、いろいろ性格の違う事業が混ざっているので、少し分かりやすく整理をし直しておく必要があるのではないかと。福祉基盤課はたくさん所管しているだけに、全部リストが挙がっているのはよく分かるのですが、少し整理をしたほうがいいかもしれないという印象を持ったので、お答えいただく必要はありませんが、御検討ください。

 

○社会・援護局

 御指摘も踏まえて、見直すべき所は、事業の並べ方、整理の仕方、御説明の仕方はよく考えていきたいと思います。

 達成目標については、座長の御指摘のとおり、人の質の向上と頭数の所は併せて書いております。測定指標も、1は頭数ですが、23の地域医療介護総合確保基金の事業の中には、選定理由の所にも書いているように研修や人材育成のような事業を各地で行われているものが多くなっています。トータルで言うと、こういうまとめ方になってしまいますが、達成手段のところで、これがばらばらになったり、関連が薄そうに見えるものも入っていると思いますので、そこはよく工夫して考えていきたいと思います。

 

○高橋座長

 この項目について、ほかに何かありますか。よろしいですか。

 それでは、次の項目に移ります。4ページ、「戦傷病者、戦没者遺族等に対して援護年金の支給・療養の給付等の援護を行うこと」です。これは非常にフォーカスがはっきりした施策ですので、余り議論はないかと思います。次に進みます。

 次は、「高齢期の所得保障の重層化を図るため、私的年金制度の適切な整備及び運営を図ること」。これは先ほどの統括官の発言で言えば、アクターが多様なものの1つであるわけですが、この項目について議論はありますか。

 

○安永委員

 企業年金は、退職給付であると同時に、老後の生活保障というところでは非常に重要な機能で、普及促進の抜本的な強化が必要だと思っております。その中で、達成目標の12において、どちらも加入数のみを指標とされているのですが、加入数だけ見ると、例えば1つの企業でDCDBを併用している所はダブルカウントになりますし、その会社で従業員が個人型DCに加入しているとトリプルカウントになってしまいます。加入者数だけではなくて、達成状況を評価するためにも、実施企業割合なども追加の測定指標とすることを是非御検討いただきたいと思います。特に実施割合の低下が著しいと聞いている中小・零細企業で働く労働者の問題や、普及が遅れている非正規労働者に対する促進といったことも考えると、それらも併せて御検討いただければと思っております。

 

○年金局

 年金局企業年金・個人年金課です。確かに、この加入者数というのは企業年金、企業がやっている年金の掛け金が掛けられている従業員の数と、個人型年金といって、企業を介さずに個人が直接やっているものや、自営業者がやっている国民年金基金の加入者数も入っております。企業がやっている年金も含め年金の対象になる人全体で見ています。

 どのような立場であれ、公的年金を補完するものとして自助努力で行う年金が重要なので、企業の支援を受ける人であれ、雇用されていない人も含めて全体を見たいという思いでやっていたので、加入者数全体で見るというのが基本かと思っております。他方、企業に対しても、もっと企業年金を促進していただきたい気持ちは同じです。今後どのような指標で図るのか、今、にわかには思い付きませんが、我々はデータ上、加入者数で見てしまっている部分があるので、そこは研究の余地があるかと思います。

 

○高橋座長

 よろしいですか。

 

○菊池委員

1点、これは事務局へのお願いでもありますが、前年度以上という目標値というのは、余りちゃんと考えていないのではないかと思わざるを得ないというか、特に今回、個人型を大幅に拡大して、国民年金3号の方や公務員等も含めて大幅に拡大した中で、前年度以上になるのはほぼ確実に見込まれるわけです。この政策に対する思いがおありであるならば、明確な目標を立てて、それを国民に示していくというのも1つの政策評価の役割ではないかと思いますので、御検討いただければと思います。

 

○年金局

 前年度以上ということで、明確でなくて恐縮ですが、個人型年金も含めて企業年金、個人型の私的な年金については、公的年金という全ての人が入る年金に上乗せする部分です。老後の所得確保を全体で見た場合、釈迦に説法になりますが、公的年金が柱だというのは年金行政として変わらない上で、公的年金の給付状況も踏まえて、私的年金の重要性が増しているので、私的年金もちゃんと認識してもらって、自助努力の中で考えてほしいという思いで進めております。

 そうした中で、多くの方にやってもらいたいというのはあるのですが、公的年金が足りないという判断をして、自助努力で自分の可能な範囲で3階建ての部分を積むのが、どれだけなければいけないのかというところが、老後の所得確保をどれだけのレベルでしようという個人の選択とも関わるので、どれだけいれば満足なのかというのが難しいものだというのが、この行政をやっていて思うところです。確かに、ときどき目標がないのではないかと言われますが、幾らであればいいのかとか、幾らでないと少ないのかが難しいというのが正直なところです。

 公的年金も今いろいろ変化がある中で、公的年金がどこまでの役割を果たし、私的年金がどこまでの役割を果たすという公私の分担の問題も背後にあるのかなと思い、その辺りを総合的に考えるとますます難しい課題で、なかなか定め切れずにいるというのが正直なところです。今後の検討課題としては、おっしゃることはごもっともですし、個人型は対象を大幅に広げています。増えてはほしいのですが、これも結局、自己判断の世界でもあるので、所得に応じてやっていただく中で、最低限、選択肢としては考えてほしいと思っています。認知度は限りなく広がってほしいのですが、本当にやるかどうかは、価値感とも絡むので難しくて、決め切れずにいるという実情があることだけ申し上げておきます。

 

○阿部委員

 今のに関連して、前年度以上となったときに、1人でもよかったら目標達成なのかどうかという議論が出てくると思うのです。事後評価したときに、何をもって良しとするのか、駄目とするのかといったところを、もう少し明らかにしておくべきではないかと思うのです。そうでなければ、行政側でPDCAを回す際に、チェックした後、その先どうするかが見えにくいのではないかと思うのです。そういう意味では、前年度を上回るという置き方もやむを得ないとしても、どれぐらいなのかというのは、ある程度持っておかないと、PDCAサイクルを回す際には難しくなるのではないかと思います。そこは少し御検討いただいたほうがいいかと思います。

 

○年金局

 ありがとうございます。少し悩みたいと思います。

 

○高橋座長

 非常に重要な論点です。評価官室でも、今の御指摘を踏まえてそれぞれ対応する必要のあるトピックスがあるかもしれないと思います。ほかに御意見がなければ、このワーキンググループはこれで終わりたいと思いますが、いろいろな御意見が出ましたので、これから作業に。いかがでしょうか。

 

○野川委員

 この70項にわたる政策評価の事前分析表は、内部資料ではなく全部サイトに載って、全国民に公表されます。そうすると、多くの分析表でそうなのですが、こういう施策目標を掲げたら、こういう達成目標になるはずではないかとか、こういう指標になるのではないかという御質問があったときのお答えに、なるほどと思うところもありますが、共通して懸念されるのは、でも、これは内輪では通じている話なのです、という印象があるのです。つまり、内部では確かにこれはこういうことだと納得しておられるでしょうが、それは公表された資料には出てこない。そして、これを一般国民が、先ほどの例で言えば、保育所が増えるのかというときにそうではないという説明も、内部で完結的に納得していても、国民に十分に納得性のあるものとして表われるのでなければ意味がないので、内輪では通じている話なのです、というお答えのないように、是非今後お願いしたいと思います。

 

○高橋座長

 これは、ある意味では政策評価の原点の議論でもあります。ちょうど一区切りになりますので、在り方という議論もやりながら具体的な計画を回していただくように、よろしくお願いします。全体に関わる御指摘と受け止めさせていただきます。御苦労さまでした。

(所管部局退出)

 

○高橋座長

 それでは、これで3つのワーキングに関わる検討を終えました。予定していた案件はこれで終わりですが、ちょうど一区切りの時期でもありますので、事務局にお戻しし、最後に審議官からお話があるかと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 長時間に渡る御議論ありがとうございました。第4期の厚生労働省における基本計画等につきましては、本日の御議論を踏まえて手続を進めさせていただきます。委員の皆様方の任期につきましては、本年331日をもって満了となりますので、この件については改めて御相談させていただきます。本有識者会議の閉会に当たり、総合政策・政策評価審議官の酒光よりお礼の御挨拶をいたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 本日もそうですが、これまでも大変長い間いろいろとお世話になりまして、ありがとうございます。

 本日も基本計画、あるいは事前分析の関係等、大部の資料でしたが、短時間で御覧いただいて建設的な御意見を頂きましてありがとうございます。基本計画は、政策評価の柱となるものですので、これを踏まえて今後やっていきたいと思います。また、今日は事前分析の関係も、特に指標の妥当性についていろいろと御意見を頂きましたので、担当部局等とも相談しながら、できるものは改善していきたいと思っております。この政策評価の大事なことは、評価のための評価になってはいけないので、厚生労働行政も、厚生というか、社会保障、社会福祉、労働などいろいろな分野がありますが、いずれも国民からの政策ニーズが大変多いものですが、その一方で予算や人員は非常に厳しい状況が続いております。そういうことであれば、評価をしながら適切な所に重点的に資源配分をしていかなければいけないと思いますので、戦略的に政策評価も使っていかなければいけないと思っています。

 指標も、取りやすい指標をどうしても取ってしまうところもあるだろうと思いますが、政策評価をするという前提で、施策の効果を把握するという意味で、前向きにどういう指標を取ったらいいか、今後考えていかなければいけないのかもしれないと、今日の議論を聞きながら思いました。すぐに改善できる部分と改善に時間が掛かる部分があるかと思いますが、今日の議論を参考にしながら、良い政策評価、あるいは良い行政ができるように工夫していきたいと思います。ロジックモデルを作ったといっても、今日の御意見をお聞きしているとまだ不十分なところがあるかと思いますので、今後もいろいろと御指導いただきながら改善に努めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

○高橋座長

 どうもありがとうございました。


(了)

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