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2017年3月16日 第55回先進医療技術審査部会

(了)


第55回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成29年3月16日(木)16:00~17:50

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館専用第22会議室(18階)

(3)出席者:
山口座長、一色座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
真田構成員、柴田構成員、関原構成員、田島構成員、
田代構成員、藤原構成員、松山構成員、斎藤技術専門委員、
福田先進医療会議構成員、本田技術専門委員

  (事務局)
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 再生医療等研究推進室長補佐
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 医療技術評価推進室長
保険局医療課 課長補佐
保険局医療課 専門官
医薬・生活衛生局審査管理課 課長補佐

議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.新規申請技術の評価結果について
3.試験実施計画の変更について
4.協力医療機関の追加について
5.先進医療の取下げについて
6.先進医療会議の審査結果等について
7.その他

議事録
○山口座長 定刻となりましたので、第55回先進医療技術審査部会を始めさせていただきたいと思います。御多忙の折、お集まりいただき誠にありがとうございます。本日は、上村構成員、掛江構成員、大門構成員、手良向構成員、山中構成員、山本構成員より御欠席の連絡を頂いております。本日は17名の構成員のうち、11名の構成員にお集まりいただいていることから、本会議が成立しているということを申し添えます。また、技術専門委員及び有識者として、斎藤委員、小原先生に継続審議案件を、それから本田委員、福田先生に新規申請技術案件の御審査をお願いしております。なお、小原先生は本日御欠席の連絡を頂いております。それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 配布資料につきまして確認させていただきます。議事次第から座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に、【継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について】、資料1-1から1-5、【新規申請技術の評価結果について】、資料2-1から2-9、【試験実施計画の変更について】、資料3-1、3-2、【協力医療機関の追加について】、資料4-1、4-2、【先進医療の取下げについて】、資料5、【先進医療合同会議の審議結果】として資料6-1、6-2、会議資料の最終ページは196ページとなっています。また、構成員の先生方のお手許に机上配布資料として、継続審議案件にかかる事前照会事項に対する申請者からの回答のうち、評価表を御作成以降分の回答、新旧対照表及び参考資料をお配りしています。本資料につきましては会議終了後、厚生労働省ホームページにて閲覧可能となりますことを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上でございます。乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、利益相反の御確認です。申請医療機関との関係や、対象となる医薬品・医療機器及び再生医療等製品の企業等について、資料1-1(p.15)及び2-1(p.51)に記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器・再生医療等製品情報を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業につきまして、事務局から事前確認させていただいております。今回、整理番号75の技術(国がん中央)につきまして、藤原構成員・柴田構成員・田代構成員より申請者と同じ施設に御所属されておられます旨、御報告がございましたので、これらの技術の審議に際し一時御退席いただきたく存じます。また、整理番号76の技術(福島医大)につきまして、石川構成員・真田構成員・藤原構成員より御報告がございました。皆様、50万円以下でございましたので、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
(確認)
○医政局研究開発振興課専門官 該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もタブレットを使用いたします。届出書類等につきましてはタブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、またはタブレットの何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、今回、御出席者のスケジュールの都合から、御審議いただく技術の順番につきまして一部変更させていただきたく、最初に、新規申請技術の1件目、整理番号75(根治切除可能肝細胞癌に対する陽子線治療)、続いて、継続審議案件である整理番号68(病気腎を用いた修復腎移植術)、最後に、新規申請技術の2件目、整理番号76(胃癌に対するWT-1樹状細胞ワクチン療法)、以上の順番で御審議いただきますようお願い申し上げます。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。では、議事に入りたいと思います。まず、「新規申請技術の評価結果」につきまして、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 御説明させていただきます。なお、傍聴の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 資料2-1、51ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術の1件目は、整理番号75「根治切除可能な初発・単発・結節型肝細胞癌に対する陽子線治療」です。申請医療機関は、国立がん研究センター東病院です。審査担当構成員は、主担当が一色座長代理、副担当は掛江構成員、山中構成員、技術専門委員として、本田委員、有識者として、福田先生、以上となっております。なお、藤原構成員・柴田構成員・田代構成員におかれましては本技術申請者と同じ施設に御所属されておられますことから、本技術の審議に際し一時御退席いただきたく存じます。誠に恐縮ながら、御協力のほどよろしくお願いいたします。
(藤原構成員、柴田構成員、田代構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 では、資料2-5、83ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。
 1.実施責任医師の要件として、陽子線治療の要件は、診療科として放射線治療科またはそれに該当する科であること。資格については放射線治療専門医であること。当該診療科の経験年数は10年以上であること。当該技術の経験年数は陽子線治療について2年以上。但し放射線治療(4門以上の照射、運動照射、原体照射または強度変調放射線治療(IMRT)による体外照射に限る)による療養について1年以上の経験を有するものは陽子線治療についての経験は1年以上であること。当該技術の経験症例数は術者として5例以上。
 2.医療機関の要件として、陽子線治療を行う施設と外科的治療を行う施設に分けて記載がございます。まず診療科につきまして、陽子線治療に関しては放射線治療科またはそれに相当する科および外科または内科であること。外科的治療を行う施設に関しては、肝胆膵外科または相当する科であること。実施診療科の医師数については、陽子線治療施設は放射線治療専従の常勤医師が2名以上配置されていること、うち1名は放射線治療専門医であること。
 外科施設に関しては手術担当責任医を以下のように規定します。1.開腹手術担当責任医は、a)日本肝胆膵外科学会高度技能指導医であること。b)日本肝胆膵外科学会高度技能専門医であること。c)開腹肝切除の経験を20例以上有する消化器外科専門医であること。以上の3つのうちのいずれかを満たすこと。2.腹腔鏡下手術担当責任医としては、a)腹腔鏡下肝切除の経験を10例以上、かつ開腹肝切除術の経験を20例以上有する消化器外科専門医となっています。
 他診療科の医師数については特に要件はございません。その他医療従事者の配置について、陽子線治療施設においては医学物理士、診療放射線技師、1.病院内に日本放射線治療専門放射線技師認定機構の定める放射線治療専門技師を含む専従の診療放射線技師が3名以上配置されていること。2.陽子線治療室1室あたり2名以上の診療放射線技師が配置されていること。3.放射線治療に専従する常勤の医学物理士認定機構認定医学物理士が1名以上配置されていること。外科的治療施設に関しては特に要件はございません。
 病床数については、外科的治療施設に関して100床以上であること。看護配置について、陽子線治療施設においては、放射線治療に専従する看護師が配置されている(がん放射線療法看護認定看護師、またはがん看護専門看護師であることが望ましい)。外科的治療施設に関しましては10対1看護以上となっています。
 当直体制については、外科的治療施設については診療科は問わないが当直体制を要する。緊急手術の実施体制は、外科的治療施設で要する。院内検査(24時間実施体制)は、外科的治療施設について夜間帯はオンコール体制可とする。
 他の医療機関との連携体制については、陽子線治療施設は連携の具体的内容として、自施設で「がん診療連携拠点病院等の整備について」に準拠した複数の診療科で構成されるキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にてその機能を果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文書にて示せること。外科診療施設に関しては、自施設で「がん診療連携拠点病院等の整備について」に準拠した複数の診療科で構成されるキャンサーボードの設置が困難な場合は、がん診療連携拠点病院等との連携にてその機能を果たすことができるように対応すること。また、病院間の連携が可能であることを文書にて示せること。以上となっています。
 医療機器の保守管理体制については、両施設とも要件としています。倫理審査委員会による審査体制については、陽子線治療、外科的治療施設のどちらも2か月に1回以上、及び随時審査の体制有を要件とします。医療安全管理委員会の設置については、陽子線治療、外科的治療施設とも要件といたします。医療機関としての当該技術の実施症例数は、陽子線治療としては10症例以上、外科的治療施設に要件はありません。その他、陽子線治療施設の要件として「がん診療連携拠点病院等の整備について」に準拠した、肝胆膵外科、肝胆膵内科、放射線治療科、放射線診断科を含む複数の診療科で構成されるキャンサーボードを設置すること。(注)キャンサーボードの目的、方針、業務、構成メンバー、開催日程、記録の作成、保管法などを指針若しくは規定として文書化していること。外科的治療施設に関しても同じ要件となっています。その他の要件として、陽子線治療施設に関しては、日本放射線腫瘍学会指定のデータベースへの全例登録を行い、当該学会調査・指導(治療方針遵守、安全管理体制説明同意書等)に応じること。日本放射線腫瘍学会が作成した疾患・病態ごとの統一治療方針に準拠した治療を行い、日本放射線腫瘍学会への定期的な実施報告(有効性、安全性、キャンサーボード開催歴等)を行うこと。以上となっています。
○山口座長 ありがとうございました。根治切除可能な肝細胞癌に対して、全生存期間における非劣性を非ランダム化同時対照試験で検討するという試験ですが、今の施設要件に関しまして何か御意見はありますか。どっちもかなり厳しい厳格な基準になっているかと思いますけれども。特にございませんでしたら、様式第9号につきましてはこれでお認めすることにいたします。次に、主担当の一色座長代理のほうから概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いします。
○一色座長代理 この陽子線治療については前回、非常に時間をかけた議論が行われまして、その議論が非常に参考になりました。本研究は先進医療Aとして実施されてきたものを先進医療Bが引き継ぐ形で、改めてプロトコールを組み直したものと理解しています。肝臓癌の予後は非常に不良でありまして、外科手術で切除可能と判断されても5年生存率が50%台という現状があると思います。一方、より低侵襲である陽子線治療を行った場合でも、5年生存率が、標準治療とされている外科手術と遜色のないレベルにあることが示唆されています。これを踏まえて、本研究は切除可能と判断される肝臓癌に対する陽子線治療の有用性を、外科手術と比較検討することを目的としています。
 このプロトコールのポイントは3つあると考えています。まず第1に、ランダム化はされていないものの、比較対照が設定されたことです。第2に、非劣性試験の形で行われることです。第3に、この非劣性試験の条件と関連するのですが、新しい試みとして医療経済学的検討が導入されていることです。
 第1の比較対照の件につきましては、陽子線治療に関する先進Bの在り方についての前回の議論で比較対照を置くべきだという意見が強く出されていたと理解しています。本研究では標準治療である外科手術が比較対照に設定されている点で、しっかりと配慮がされたものと思います。
 2つ目の非劣性試験については、前回の会議で4つの条件が示されました。1つは有効性において優越性試験を計画することが困難な技術であると。この点は該当すると理解します。2番目は、保険収載されている標準治療と比較して、副次評価項目において臨床的有用性を示しうる試験計画であることが示されたと思います。この低侵襲であることの臨床的有用性の指標を、どう評価するかというところが問題になろうかと思いますが、タブレットの938ページに4つの指標が明記されています。これを全部読み上げることは避けさせていただきますけれども、ここには低侵襲であることの指標としてかなり厳しい条件が明記されています。これらを考慮すると非劣性試験の条件はクリアできるものと判断しました。3番目として、先進医療部分に係る費用が保険収載されている標準治療の費用と比較して、おおむね同水準以下であること。ここに先ほど申し上げた医療経済学的データ解析の指標が入ってくるわけですけれども、これにつきましては後ほど福田先生のほうからコメントを頂きます。4番目として非劣性マージンの妥当性についてです。ここには多くの資料が挙げられていますが、これらは本試験における非劣性マージンの設定が十分可能であるという根拠は示されていると思われますので、非劣性試験の条件はすべて満たしているものと解釈させていただきました。私からの説明はここまでとし、担当の先生方からコメントを頂いた後でまとめさせていただきたいと思います。
 私の担当の実施体制の評価についてですが、比較対照を設定したことで、陽子線治療と外科手術の2つの実施責任医師と実施施設の要件が、それぞれ別に示されています。これらは細かく設定されており、1番、2番、いずれも「適」と評価させていただきました。
 医療技術の有用性については、一定の実績が示されているということですので、一応、「適」としましたが、これは、本来今回のエンドポイントになっている項目ですので、この試験の結果を得て最終的には有用性の判断が示されるものと考えています。私からは以上です
○山口座長 ありがとうございました。続いて、本田委員より実施体制の評価について御説明をお願いします。
○本田技術専門委員 実施体制につきまして特に大きな問題はないと思います。何点か気付いたところがございますが、非ランダム化試験が行われますので、外科医、放射線科医が独立して説明を行うべきではないか。現在は、外科的治療の場合は外科担当医が、陽子線治療の場合は陽子線治療担当医が、外科、陽子線の両方を説明して同意を得ることになっていますので、できればこれは独立してそれぞれに説明して、最終的に患者さんが選択するという立て付けにしたほうがよろしいのではないかということが1点です。
 先ほど、1から4のかなり厳しい点という御説明がありました。試験治療群と標準治療群を統計的に有意に上回るということでしたが、これが果たして本当に統計的に有意差を求める必要があるのか。それから、もし陽子線が生存期間において有意性を示した場合には、必ずしもこの1から4を満たさなくてもポジティブと解釈してよろしいのではないか。そういう点が気付いたところです。そのほかに関しては特に問題ないと思っています。
○山口座長 ありがとうございました。続いて、本日、御欠席の掛江構成員より倫理的観点からの御評価について、事務局より御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、54ページを御覧ください。倫理的観点からの御評価は、いずれも「適」との評価を頂いています。コメントといたしまして、御指摘させていただきました箇所を全て適切に修正いただけましたので、「適」と判断させていただきました。また、補償の内容も確認させていただきましたので、こちらも「適」とさせていただきます。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。続いて、本日、御欠席の山中構成員より試験実施計画書等の評価について、これも事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-2、54ページを御覧ください。試験実施計画書等の評価は、いずれも「適」との御評価を頂いています。コメントといたしまして、プロトコールの骨子となる患者対象、介入治療、対照群、エンドポイント、解析方法である傾向スコア解析の設計等、いずれもよく練られていると思います。データの管理や有害事象の報告方法、COI管理についても恒常的なグループとしての方法論を有していますので、特に問題はありません。完成度の高いプロトコールと思います、ということです。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。最後に、福田先生より試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○福田先進医療会議構成員 福田でございます。私は特に医療経済性の評価に関する所について拝見させていただきました。コメントさせていただきます。全体としては、このような技術に関して費用対効果を検討するというのは、今後、必要とされるところだと考えますので非常に有意義なプロトコールになっていると考えます。特に最初に一色先生からもありましたけれども、比較対照を置くことは妥当だと思います。今回、プロトコール上は質調整生存年、QALYをアウトカムにするということですが、例えば生存年数ですとヒストリカルコントロールでも分析ができますが、QOLについては調査をしていかないと分かりませんから、今回、比較対照を置いて調査をしていくということで適切であると考えます。
 その上で、まだ先進医療の対象技術に関しては、どういう形で費用対効果の分析をするか確立したものはないと認識していますが、中医協のほうでは費用効果分析のガイドラインを策定して運用していますので、プロトコールでもそれが参照されているところから、そこに沿って若干の確認をさせていただいたということです。
 主な点としましては、まず分析自体は「公的医療の立場」と言っていますが、公的医療保険で行われる医療を想定し、その範囲での医療費を考えるということで、特に生産性損失は含まないという確認いたしました。一番気になったのが分析のための期間ですが、医療費データの収集は2病院から1年間、QOLの値については5年間フォローすることになっています。これは少し食い違っているので、どの部分で解析するのかを確認させていただきましたが、基本的にはデータ収集を実際にどのくらいできるかを考慮するのと、1年以降はほぼ差がない見通しということで、1年と5年と両方やる御回答と理解しています。1年を基本としつつ、5年間のものも医療費資源消費量等から推計するということで、それは適切ではないかと考えます。また、医療費は2病院でということですけれども、比較対照と両方の技術をできるということで適切であると考えます。
 最後に、詳細な解析方法に関して、どういう解析を行うかということですが、非劣性が証明された後に実施する費用対効果評価の解析時点で、別途作成する統計解析計画書に含めるということで、これから作られる統計解析計画書の中に経済性の評価についても含めるということだと思いますから、その時点で指摘させていただいた事項を反映していただければと思います。それに関しては是非、費用対効果の分析に関する専門家のアドバイスも受けてくださいとコメントさせていただき、そのように対応されるということですので適切であると考えます。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは討議に入りたいと思います。何か御意見、御質問はございませんか。今の点ですが、これは肝硬変のある方が多いのでこういう侵襲を加えたときに、その後、5年間にどっちかが良い効果があるかもしれないというので、1年間だけでは不適切なので両方やるということですか。
○福田先進医療会議構成員 私はそのように理解いたしました。1年だけだと問題があるので、1年と5年間で消費量から推計すると理解しました。
○山口座長 ほかに何か、どうぞ。
○一色座長代理 福田先生にお伺いします。比較試験で有意差を評価する場合は一定のICER値を基準にしてその妥当性の検討がされるのだと思いますけれども、今回は非劣性試験です。非劣性試験の場合は有効性は同等ということになりますので、コストがかかったほうが不利になることになるように思います。このような非劣性試験の場合、ICERの値がどの程度であれば「おおむね水準以下」と判断することができるのかについてご意見をお聞かせください。また、この非劣性試験における水準をどの程度と考えているのか事務局からも意見を伺いたいと思います。
○福田先進医療会議構成員 まず、御指摘のとおり非劣性試験ですので、プライマリーエンドポイントとして、全生存期間については差がないという前提だと理解しています。一方で、侵襲性の違いによって治療中あるいはその後のQOLが違う可能性があるということだと思います。ですから、QALYというのは指標で見たときには陽子線治療のほうが優れる可能性があると理解しています。その上では、従来の外科的処置と比べて追加的なQALYが得られることになりますから、それに対して追加的にかかる費用を検討することになります。追加的にQALYが得られて費用が削減になれば理想ですけれども、そうでなくて追加で費用がかかるとすれば、通常のICER増分費用効果比が算出できますので、通常の判断になると思います。日本ではまだその明確な基準はありませんけれども、特に非劣性だからということで変える必要はないのではないかと思います。一方で、QOLも含めて同等だということであれば御指摘のとおりで、原則としては費用が削減になるとかでないと効率的というのは難しいのではないかと考えます。
○一色座長代理 EQ-5DのようなQOLのデータが、QALYにどのくらいのインパクトがあるものなのでしょうか。かなり鋭敏に反映してきて、QALY自体がかなり良くなってくる可能性は十分あるという理解でよろしいのでしょうか。
○福田先進医療会議構成員 少なくとも、手術するかどうかのような大きなところでは差が出てくるのではないかと思います。侵襲の大きさがだいぶ違いますのでそういうふうに思います。ただ、確かに1年以降とかでほぼ状態が変わらないのであれば変わらないので、その処置をした少し後でその差が続いていきますけれども、それが何年も続くようなものではないということであれば、得られる増分のQALYは限定的なものになるかなと思います。EQ-5Dを使うのは適切だと思いますが、そこでどのくらいの差が出るかはやってみないと分からないという段階です。
○一色座長代理 最終値を測るコストの差を、そのQALYがカバーできるかどうかというのが、今回の非劣性試験の規定の「おおむね同水準を下回る」という所に引っ掛かるかと思ったのですが、そういう理解でよろしいですか
○山口座長 事務局のほうでいかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 こちらは今回、非劣性試験にかかる費用の設定に関しては、実はQALYを踏まえた議論は想定していません。有効性が標準治療と同等であるにも関わらず、あまりにも高額である治療技術の存在意義に問題意識を持ち、目安としてこういった形で費用設定の目安を立てさせていただいたと理解しています。
○一色座長代理 これは予測の段階なので分からないですが、ICER値をどう評価するのか曖昧なままスタートしてしまって、そこそこの値が出てきたときに、この議論を蒸し返すことにならならないかということを危惧してしています。
○山口座長 ありがとうございました。ほかに今のことに関して何か御意見はありますか。
○関原構成員 今の費用対効果の点ですが、前回の前立腺の陽子線治療の案件ではIMRTと陽子線機器における費用対効果評価は比較的容易ですが、肝臓の切除手術と陽子線の比較は、厄介だと思います。私自身2回肝切除の経験がありますが、切除傷跡がすごく大きく、外見も含めQOLは劣ります。女性が乳がんで全摘をしたとき温泉に行けないなどの精神的ダメージが出ていますが、男の私自身でもゴルフに行って風呂に入るのも抵抗が大きいとかも含めて、このQOLの評価では、傷も残らない陽子線治療の痕跡との比較評価が大変難しい。費用対効果はQOLを金銭に算出換算するわけですから、そのところが私は厄介だなと思います。特に肝切除の傷が大きいだけにそこが気になるところです。
○山口座長 ありがとうございました。手術を避けられるというのは一言で大きなメリットですね。ただ、それをどういう具合に評価するかというのはまた難しいかと思います。
○福田先進医療会議構成員 御指摘のとおりだと思いますので、もしそうであれば手術をしたこと自体が、1年間だけでなく今回5年間、QOLを調査していきますので、その間で精神的なものまで含んでEQ-5Dですので、評価されますから、5年くらいの期間を取って分析をすべきだと思います。1年としてしまうと費用も1年ですが、アウトカム、QALYの計算も1年だけでやることになります。要は費用の計算期間とアウトカムの計算期間をそろえるのが原則ですから、少し長めのことも一緒にされるべきだと思います。
○山口座長 スタートの時点でその辺りをはっきりしなければいけないのですが、恐らく循環器の疾患の場合と、例えば整形みたいなものとまた違うので、この1例でこれから全てこうしましょうというのはなかなか難しいのではないかと思います。福田先生は難しい宿題を与えられて困っているのではないかと思います。
○関原構成員 もう1つ、この同意書を見ますと、先ほど一色先生の説明がありましたように第1期の肝臓癌の場合の5年生存率は50数パーセント、これは日本全国レベルの平均でそういうことになっていますけど、この治療ができる施設は非常に限られているわけです。肝臓の腹腔京手術で、この間、どこかの大学で無謀手術がありましたけれども、これは全国レベルと極めて限られた施設でやる手術の生存率と、今回の施設ではイコールなのかというのが私は1つ疑問です。更にこの患者は最初に外科医の先生に掛かるわけですが、外科医の先生が50%なんていうことは普通は言わず、これは初期のがんだから手術しましょうと言うでしょう。その説明と陽子線治療の説明の仕方はすごく違うと思います。私が30年前に受けたときは、主治医は「全く大丈夫です。心配ありません」と言って、手術になった時代は昔話として今回手術の5年生存率50何パーセントというのと、陽子線でも同程度の数字が出ていますという話になって、「患者さん、あなたの選択です」という話になると、これは患者にとって非常に選択は難しくなってきます。外科手術のイメージが一昔前の怖い、危険なものとか、自分の親が手術で酷い目にあったことがにあったことがトラウマになっていて最近の手術は安全で確実といったことが十分理解されないまま陽子線の選択にいくという説明のプロセスになるのは、実は一番困ることだと思います。
○山口座長 ありがとうございました。ほかに何かございませんか。
○伊藤構成員 肝臓の癌というのは最終的には多発してきますけど、5年間で評価をすると事後の治療法とかで最終的に差が縮んでしまうのではないかという気がしますが、一色先生が御評価されるに当たって、そこら辺をどういうふうにお考えになられたのでしょうか。
○一色座長代理 伊藤先生のご指摘は非劣性のマージンが追跡期間が長期になるほど広がってしまうのではないかということかと思います。この点は私も懸念したところです。肝臓がんの死因は先生がおっしゃった再発もありますが、肝硬変を背景とした出血性合併症などのインシデントによるものが多く、初期の治療選択以外の要素が係わってくることが問題かと思いました。そこで、中間解析もしたほうがいいのではないかということも問い合わせたのですが、データクリーニング等の作業の面で中間解析はできないという、当初の実施計画書の記載以上の返事は得られませんでした。これらのことなどが係わって非劣性のマージンが広がることで非劣性が出やすくなるリスクは十分にあるのではないかとは考えます。リスクと言っていいかどうか分かりませんが。
○伊藤構成員 優越性であれば差が縮む方向は、有意差が出しにくくなるというので正しいのでしょうが、長くなればなるほど事後の治療に引っ張られるはずなので、そうすると非劣性というか同等性が言いやすくなってしまうデザインかなと思って、そこがちゃんと評価されているかどうか気になったのです。
○一色座長代理 先生がおっしゃるとおりだと思います。この点はむしろ統計の先生方からご意見を頂きたいところです。
○山口座長 何か御意見ありますか。これは、今までの例えば照射した症例とか、手術である程度レベルの高いところをやった成績の差は、恐らくないと研究者は考えていると思います。あるとしてもほんのわずかな差だろうと考えているので、非劣性を見ようとするのです。ただ、そのわずかな差をどのように評価するかということで、放射線治療の先生は手術を避けられることが何と言ってもいいだろうと考えるわけです。例えば肝硬変に対して手術がものすごくダメージがあるから、そういうものは予後を悪くする可能性だって、ひょっとしたらあるかもしれないと思ってこういう計画を組んでいるのです。一方、外科の先生は、この施設要件から言ったら相当レベルが高くて、良いクオリティの治療がやれるわけですからチャンピオンデータ同士が当たって、ある程度非劣性かどうかは判断できる仕組みになっているように思います。肝臓癌の方は、結構、肝硬変で亡くなる方のほうが多くて、肝臓がんがどんどん大きくなってという方はもちろんいますが、むしろそっちのほうの予後に及ぼす影響が大きいように思います。何か御意見はありますか。非劣性は初めてなので、いろいろ議論いただきましたけれども、そろそろ座長代理より、まとめと総合評価をお願いします。
○一色座長代理 いろいろ御意見のあるところだと思いますが、対象疾患の治療に関する必要十分な資料を御提示いただいていることと、プロトコール自体の作り込みが非常に丁寧にされていることに加え、御担当の先生方の御評価も「適」と頂いていますので、私としては総括的に「適」としたいと考えます。
○山口座長 ありがとうございました。何か御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、整理番号75については、「適」ということにいたします。藤原構成員、柴田構成員、田代構成員にはお戻りいただくことといたします。
(藤原構成員、柴田構成員、田代構成員着席)
○山口座長 続いて、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1の15ページです。再度御評価を頂く技術は、整理番号68、「腎摘出手術による病気腎(小径腎腫瘍)を用いた修復腎移植術」です。適応症は末期慢性腎不全。申請医療機関は東京西徳洲会病院。協力医療機関は宇和島徳洲会病院となっています。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当は田島構成員、柴田構成員。技術専門委員として斎藤委員、有識者として小原先生。以上となっています。
 資料1-5の49ページです。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明します。1.実施責任医師の要件として、診療科としては移植実施機関として泌尿器科、移植外科または腎臓専門診療科であること。腎摘実施機関としては泌尿器科または腎臓専門診療科であること。資格ですが、移植実施機関については、泌尿器科医、移植外科医または腎臓専門医。腎摘実施機関については、泌尿器科医または腎臓専門医であること。当該診療科の経験年数については、どちらとも10年以上であること。当該技術の経験年数については、移植実施機関について、腎移植術の経験が5年以上であること。腎摘実施機関については、腎摘術の経験が5年以上であること。当該技術の経験症例数については、移植実施機関が術者として腎移植経験10例以上であること。腎摘実施機関については、術者として腎摘出術経験が5例以上であることとなっております。
 2.医療機関の要件です。診療科については、移植実施機関は泌尿器科、移植外科または腎臓専門診療科であること。腎摘実施機関については、泌尿器科または腎臓専門診療科であること。実施診療科の医師数については、移植実施機関については、日本臨床腎移植学会の認定医、または腎移植の実施者としての経験10例以上の実績を有する医師が2名以上であること(非常勤も可)。腎摘実施機関については、泌尿器科または腎臓専門診療科の医師が2名以上(術者1名、助手1名)(非常勤も可)。他診療科の医師数については、どちらとも内科、外科、麻酔科など3名以上とすること(非常勤も可)。
 次のページです。その他医療従事者の配置としては、どちらとも臨床工学技士、臨床検査技師を要件とします。病床数についても、移植実施機関、腎摘実施機関どちらとも100床以上であること。看護配置については、どちらとも10対1看護以上であること。当直体制は、移植実施機関については、外科系医師または内科系医師が1名以上であること。腎摘実施機関については、当直医師が1名以上であること。緊急手術の実施体制については、両機関とも緊急手術が可能であること。院内検査については、両施設とも常時可能であること。他の医療機関との連携体制は、どちらも要件はありません。医療機器の保守管理体制は、どちらも要件とします。倫理審査委員会による審査体制は、移植実施機関としては月1回以上、これは腎摘実施機関も同じです。医療安全管理委員会の設置は、どちらも要件とします。医療機関としての当該技術の実施症例数については、移植実施機関は腎移植10症例以上かつ外科系手術年間80症例以上であること。腎摘実施機関は、外科系手術年間80症例以上であることとなっております。その他、要件は特にありません。以上です。
○山口座長 これらの要件について御意見はありますか。特にないでしょうか。では、要件について、様式第9号についてはお認めすることといたします。
 次に、藤原構成員より、概要の説明と実施体制の評価について御説明をお願いします。
○藤原構成員 17ページ、資料1-2です。実際に私は全体評価を担当しておりまして、倫理のところは田島先生、プロトコールの内容等の生物統計学的な試験のデザインなどは柴田先生、腎臓の移植の御専門として、今日来ていただいている斎藤先生と小原先生に見ていただいていますので、私は全般の話をまずさせていただきたいと思います。
 23ページです。今日の審議に上げるに当たっての当初の経過を少し振り返ってみたいのですが、これは私が2月21日付けで指摘させていただいたものです。上から4行目です。この病気腎移植は、もともと2012年8月23日開催の第67回先進医療専門家会議、これは今の先進医療会議よりも前のときにこういう名前だったのですが、そこで一旦審議されて、継続審議になって、長年、4年ぐらいの間を置いてリファインされたということで、2016年8月25日開催の第46回先進医療技術審査部会での審議に上がってきたというのが今回の前の経緯です。
 ただ、この2016年8月25日の技術審査部会でも、先進医療専門家会議、2012年当時とほとんどプロトコールの内容やIC文書を変えずに、そのまま申請がなされており、これでは議論にならないだろうというので、そのときに一番問題になったのは、例えばIC文書の中で、この申請者の方々は、病気腎の、本来この腎腫瘍に対しては小径腎腫瘍、小さなものに関しては腎の部分摘除術というものが現行の様々な診療ガイドライン等、あるいは診療の基準から考えて第1選択になっているにもかかわらず、腎の部分切除と、それから、腎全体を取ってしまう腎摘除、これが病気腎移植に使われる手術なのですが、部分切除と腎全摘切除を同じように標準として患者さんに説明するというところが、私としては一番おかしいなと思いました。それ以外も様々な、プロトコール上やIC文書の問題はありましたが、そこが解決しないと前に進まないと考えたのですが、今回、今年の始めに再提出された資料の中では、明確に小径腎腫瘍に対しては第1選択は腎部分切除ですよということをIC文書の中に書き込まれたので、ようやく門戸が開かれたかなというところで、審査を再開してきたという経緯があります。
 あとは、それぞれ斎藤先生、小原先生、田島先生、柴田先生の御意見を聞いた上で、最終的なコメントをしたいと思います。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、順番は変わりますが、柴田先生が早く退席されなくてはならないので、先に柴田先生のほうから、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いします。
○柴田構成員 お手元の資料の18、19ページを御覧ください。試験実施計画書等の評価についてですが、前回のときよりも少し「不適」の所は減らしましたが、10番、11番、有効性及び安全性の評価方法、モニタリング体制及び実施方法の所については、まだ「不適」とせざるを得ないような状況です。
 事前に幾つか照会事項をお送りして御回答を頂いておりますが、まず、資料の26ページを御覧ください。先ほど藤原構成員からも御説明がありましたが、2012年に先進医療専門家会議にて指摘された事項について、前回提出されたときにおいても十分な変更がなされていなかったというのが大きな問題です。これを、改めて年明けに出していただいたものについて拝見した場合においても、試験実施計画書の記載においては、まだ曖昧なところがあり、腎摘しか適応がない方に絞っているのか、そうでない方にその方の善意に基づいて腎摘をするのか、その両者が混在しているのか否かが明確ではなかったので、まずそこを明らかにしていただく必要があると考えまして、この26ページの照会をいたしました。
 これに対しまして、基本的には、腎摘しか選択がない方に絞られるという御回答だと判断しまして、その後の審査を進めることができるのではないかと判断したという次第です。
 構成員の先生方には机上配布資料として「回答9」というものが3月16日付けで出ているのですが、そこに、先ほどの評価表に書いた17項目の指摘に対する回答を一応頂いております。幾つか問題点があります。1つは、これは前向きの研究、臨床試験として計画されているにもかかわらず、主要評価項目の定義が曖昧である。あるいは、ケースレポートフォーム、症例報告書の中に記載された情報から主要評価項目を集計・解析をするためのデータが抽出できない。あるいは、がんが発生したであるとか、重要な副次評価項目のデータをいつ誰が判断するのか、どのデータに基づいて判断するのかというのが計画書に書かれていないという問題がありまして、先進医療Bの下で実施する臨床試験として十分な規定がなされていないと判断しております。
 それに対する御回答は、「回答9」の中にいろいろ記してあるのですが、それでもやはり曖昧にされているところが多く、現状では試験実施計画書の内容としましては、この内容に基づいてこの医療技術の評価をしたとしても、評価をする段階で混乱が生じるとか、研究の途中で速やかに一旦研究を止めなければならないというような状況が起こった場合に、その対応ができないのではないかということが危惧されますので、現時点では、このものを「適」とすることは困難であると考えております。
 時間の都合もありますので、お手元の資料の中に今申し上げたことの細かなことが書いてあるというふうに御理解いただければと思います。
 1つ例として挙げておきますが、「回答9」の4/10というページを御覧ください。照会事項5として、前向き研究として主要評価項目が解析できるようには計画が定められていないことを4までに指摘した上で、改めて先行研究で前向き研究としてオープン試験として実施されている研究において、腎機能の廃絶の有無、がんの発生の有無をどのように定義し、どのようにデータを収集し、誰がどのように判断したのか説明されたいという照会を出しましたが、それに対して一定の御回答は頂いているのですが、通常、先進医療Bの下で行っている臨床試験としてこのような定義の仕方は、観察研究としてこのような定義の仕方で研究をすることは多々ありますが、事前に基準を決めて行う臨床試験としてはこの定義では曖昧すぎて問題であろうと考える次第です。
 もう1点、6/10ページです。早期無効中止を検討するための規定を設ける必要がないか、検討されたいという指摘に対しては、修復腎移植は、米国や欧州の腎移植のガイドラインで認められている確立した治療法で、それに追従する形で本研究を計画しておりますので、早期無効中止を想定した中間解析は設定しておりません、と書いてあります。
 もともとこの指摘をした理由は、7/10ページですが、統計解析計画書には中間解析を実施すると書いてあったので、計画書と統計解析計画書との齟齬を確認したところ、このように御回答いただいたということです。
 1つ指摘しておきたいのは、米国や欧州のガイドラインで認められていることと、今回臨床試験を行うに当たって早期無効中止基準を設けなくてよいこととは関係のないことです。ガイドラインで認められているとか、薬事承認されている薬を使った臨床試験であっても、その医療行為を既存の医療行為と比較して有効性が劣るであるとか危険性が増すということが分かる場合には、試験を早期無効中止するということはあり得るので、確立した治療法だったとしても、それを既存の方法と比較するというコンテクストで治療法の評価をしている以上、早期無効中止を検討する必要がないという根拠としてガイドラインに記載されているということのみを挙げられるのは不適切だろうと思います。
 この試験については、一番緩い早期無効中止基準には、主たる解析の時点で25例中何例以上悪いイベントが起こっていた場合には有効性が不十分であると判断する基準がありますので、試験の途中でその何例を超えた場合には、もうそれから1年以上フォローしても、それ以上成績が良くなることはありませんので、その段階で一旦試験を止めるということは、緩い早期無効中止基準として設けることができる具体的な方法だと思います。
 もちろん、全ての先進医療Bの臨床試験で早期無効中止の規定を設けているわけではありませんが、そのようなものを、シングルアームの試験でやっていることを逆に生かして設定をすることは可能であろうと考える次第です。これについては臨床の先生方と御相談しながら、絶対に設けなければならないのか否かというのはディスカッションさせていただきたいと思います。
 全ての項目を読み上げることができませんので、主な所をかいつまんで御紹介しました。
 繰り返しになりますが、現時点では、2012年の先進医療専門家会議で指摘されたにもかかわらず、前回申請時の資料の中では十分に対応されていなかった事項、腎臓の患者さんに絞るのか否かというところについては解決したという意味で、一歩前進したと考えております。一方で、前向きの臨床試験として実施するための計画としては不十分なところが残っており、これをこのまま見切り発車で実施してしまうことは、また評価の段階に禍根を残すことになりますので、現状では「不適」との判断は変えられない。本日提出いただいた回答をもってしても「不適」との判断は変えられないと考えております。私からは以上です。
○山口座長 ありがとうございました。次に、技術専門委員の斎藤委員より、実施体制の評価について御説明をお願いします。
○斎藤技術専門委員 技術専門委員として評価いたしました。実施責任医師等の体制「適」。実施医療機関の体制「適」。医療技術の有用性等に関しても「適」といたしました。
 ただ、前回、経過についてお話もありましたが、かなり問題なところがありましたので、もしこれをゴーとして始めるということになるとすれば、やはり厳しいルールの下にやらなくてはいけないということで、評価体制その他も、先ほど「不適」という、モニタリングなども、要するに外部委員がありませんし、そういう評価に曖昧なところがありますので、例えば5例終わったところで、実際、厚労省の担当者または専門委員がその医療機関に入って、きちんとそういうルールに則った、プロトコールに則った実施体制が行われているかと、そういうことをきちんと評価するということを含めて「適」といたしました。かなり厳しく見ております。
○山口座長 ありがとうございました。次に、本日御欠席の有識者、小原先生の実施体制の評価について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-2の18ページです。本日御欠席の小原先生の実施体制の評価について、全て「適」との御評価を頂いております。コメントに関しては特にありません。以上です。
○山口座長 次に、田島先生から倫理的観点からの評価について説明をお願いします。
○田島構成員 同意に係る手続、同意文書については、本件では同意文書がドナー用2通、レシピエント用1通の合計3通あります。内容的にそれぞれ問題はありましたが、最も問題が多かったのが、ドナー用の、初めにどのような治療方法を選択するかを決定する際に用いられる同意文書の内容でした。机上配布資料1-3の30ページから46ページにかけて指摘した内容が記載されておりますが、藤原先生と小原先生からも御指摘は頂いておりまして、説明文書の中で小径腎腫瘍の治療方法として部分切除術が第1選択であるということがはっきり記載されていない点や、全摘術に誘導するような記載内容になっている点を改めるべしということの御指摘を頂いておりました。
 私からは、説明文書の内容が全体的に専門用語の羅列が多く、なかなか一般の患者さんには理解し難い内容であるという点。それから、図表の説明がなかったり、あるいは間違っていたりというところがあり、患者さんがどのような治療方法を選択するかについて、正しい判断ができにくいような内容になっていましたので、その点を種々訂正していただきました。
 最終的には、一応、指摘した内容については訂正して頂きましたので、全て「適」と判断しておりますが、説明されている内容自体について、私が疑問に感じていることが2点あります。小径腎腫瘍の患者さんの治療の選択に際して、自家腎移植ということがほとんど選択肢とはならないという説明があるのですが、それが正しいのかどうか。全摘腎を提供する前に修復した腎臓を自分に移植して使うということができれば、それに越したことはないと思いますので、もしそういうことが選択肢として大いに考えられるのであれば、その点はちょっと説明内容に間違いがあるということがあります。
 また、全摘術を選択するのが適当であるという事例についても、全摘の際の腎摘と血管の切断の順序について、従来は、がん細胞の播種を防ぐために先に血管を切断して腎摘をするという方法で行われていたのが、その問題は全く考慮しなくてもいい程度に、その順序はどちらでも同じ状況になっているという申請者の御説明で、申請者のほうでは、血管は後から切断するということをおっしゃっているのです。そのことによって、移植する腎臓がよりリフレッシュな状態で保てるという効果があるとすると、そちらに誘導されるということがあってはならないと思いますので、その辺りの手術の順序の適否について、もしこの申請者の説明が誤りであれば、説明文書の内容も訂正の必要があると考えております。
 また、補償内容についてですが、これは保険加入により補償するということでしたので、「適」と評価しております。患者相談等の対応も整備されているということで、全て「適」という判断にいたしました。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。斎藤先生、今の点について、今の時点で何かコメントはありますか。
○斎藤技術専門委員 御指摘のとおりなのです。例えば、泌尿器はこういうふうに、中心から動静脈が入って、また、リンパが入って、臓器がある。例えば腎臓、例えば性巣、そういう種類のものが多いのですが、全ての例において、もし良性腫瘍だと困るので、まず、例えばネラトンなどで、修復できる段階で結わえておく。それで、悪性と判断した時点で結びます。それも、御指摘のとおりに、播種が一番恐いので、静脈から入って動脈に入るということで、それから、実は血管を処理してから腎臓の周りをはがすとか、また、血管を処理してから性巣の周りをはがす。それが基本なのです。御指摘のとおりなのです。
 ところが、この先進技術に入るということは、今までと違ってダ・ヴィンチのオペが入ってきまして、腎部分切除は、保険適用になった途端に非常に症例が増えてきました。また、その技術修復度が上がってきまして、要するに、かなり大きい7cmの腎癌も取れるようになったし、真ん中の、本来一番取る可能性の高い、位置の悪い、また、血管にかかったようなものでも取ることが可能になってきました。腎盂などにかかっていても、そこを縫縮するとか、そういう方法になってきたので、限りなくこれをやる症例は減ってきていると思います。
 それを踏まえて、もし部位が悪い、また、大きいというものに対して、先にもし静脈からクランプすると、実際問題は、その途端に主要血管から大出血を始めるのです。それで、動脈をクランプせざるを得ないというのが実際だと思います。ですから、腎癌の根治性、またはその播種を防ぐためにクランプするというのは基本なのですが、やはり臨床の場では、先に静脈をクランプすることによって、動脈から動脈血が入っていますから、その途端に腎臓がパンパンに腫れてきて出血する。それで、すぐ取らざるを得なくなってしまうというのが現状なので、実際は厳しいかなという印象を持ちながら、この議論は見ておりました。
○山口座長 ありがとうございました。その辺りは難しいけれども、やはり説明が必要だということかと思いますが、田島先生の御指摘のとおりではないかと思います。
 続いて、藤原構成員から、事前のまとめと総合評価について御説明をお願いします。
○藤原構成員 まず、私の実施体制の評価の17ページを御覧ください。私が「不適」を付けたのは、実施医療機関の体制のところです。これは、今日、3月16日直前まで申請者の方々とのいろいろなやり取りをしていますので、最終的にコメントをした後に、また回答などをもらったりしておりますので、本日の最終判断はまた少し後で述べさせていただきたいと思いますが、このときにまとめたものでは、倫理指針の中で、通常、医療機関の倫理審査委員会が登録されていて、その登録された倫理審査委員会が審査をするというのが通常だったのですが、まず、AMEDの研究倫理審査委員会の登録サイトで、この東京西徳洲会と宇和島の徳洲会などをザッと見たら、最初はその倫理審査委員会の名前が出ていなかったので、大丈夫かなと思って、これを確認する意味でこういう指摘をさせていただきました。
 その後、昨夜、申請者のほうから回答がありまして、徳洲会の場合は中央倫理審査委員会で全てのプロトコール、臨床研究の審査はしますという御回答は頂いていますので、ここの指摘したところに関しての回答は出ているのですが、今回、昨夜から今朝にかけていろいろな資料が提出されました。まずそこで一番気になったのは、今の徳洲会の中央倫理審査委員会の委員のお一人が、今回のプロトコールの生物統計の解析の担当者になっていまして、お手盛り審査になっていたのではないかというのが心配になりました。で、やはりこれは第三者評価、特にドナーとレシピエントの存在する移植医療においては厳密な中立性というものが要求される中で、プロトコールの担当者と倫理審査委員会の中の担当者が同じというのは不自然なような気がしますので、ここは「不適」のままかなと考えております。
 皆様方、今いろいろ聞かれて、様々な問題があることはおわかりになったと思います。IC文書は大分直りましたが、特に臨床研究としてのプロトコールの適正性についてはかなりまだ直っていないところがあります。22ページの総合評価を見ていただきたいのですが、ここは途中過程で「条件付き適」まで行くかなと思ったのですが、結局、今日のお話を皆さんに聞いていただいても「不適」のものが続いていますので、継続審議とせざるを得ないかなと思います。
 実施条件の所に少し書きましたが、臨床研究に関する各病院における第三者評価の体制整備がなされて、稼働状況の確認を当該部会等ができた時点でと。これは先ほど斎藤先生もおっしゃったように、本当にちゃんと審査しているのだろうかと。例えば、この継続審議、今日の会議でもそうですが、プロトコールとIC文書をこれだけ直したのですが、申請者のかけた中央倫理審査委員会では、議事要旨などを提出していただきましたが、ほとんど指摘がないのです。プロトコールも悪いところはないとか、IC文書はそのまま素通しなどというと、この中央倫理審査委員会がちゃんと機能しているか非常に疑問ですので、ここはやはりちゃんと確認したいなと。今後、この試験が行われる過程でいろいろな有害事象などが発生したときに、中央倫理審査委員会が適切に対応できるかに関しても非常に疑問に思います。
 まとめますと、プロトコールやIC文書の内容がまだ適切になっていませんので、なかなかこれを「条件付き適」と判断するのは難しいだろうなと思っております。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。それでは御審議をお願いします。いろいろな意見が出ましたが、石川先生、何かありますか。
○石川構成員 今、藤原先生がおっしゃったとおりでいいと思います。継続審議ということでやってもらえばいいと思います。
○山口座長 伊藤先生、いかがですか。
○伊藤構成員 まだ直さなければいけないことがあるのでしたら、時間を掛けてきちんとした形にしたほうがいいのではないかと思います。
○山口座長 今伺っていますと、非常に重要なところで少し曖昧なところがあるということと、中間解析の問題など、やはりこれもこういう医療に関しては重要なポイントがありますし、それから、倫理審査委員会のことに関しては、今ここでにわかに「適」というのはなかなか難しいような感じがします。この回答資料が出てくるのがそもそも遅くて、これはやはり、この時点でこれはもう、すぐに通すことができないと思います。3月15日付けで資料が出てきて、直ちに読んで理解するのはちょっと無理だと思うのです。
 それと、これを見ていますと、やはり医学はどんどん進歩しており、腎の部分切除など、特に最近変化してきています。こんなに時間が掛かるのであれば、最初の時点でもう「不適」にしてしまって仕切り直したほうがよかったかなと感じております。そのほうが、むしろ審査する側にも、提案する側にもよかった可能性もあったのではないかなと思いました。余りに医療の状況が変わってきているので、斎藤先生の御指摘のとおりだと思うのです。現在も変わりつつあるので、なかなか難しい点はあったかと思いますが、ほかに何か御意見はありますか。
 それでは、皆さんの御意見をまとめますと、整理番号68については継続審議ということにしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 続いて、2件目の「新規申請技術の評価結果」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1、51ページを御覧ください。今回、御評価を頂くのは、暫定的に先進医療Aとして実施されている技術で、整理番号76、「切除不能胃癌を対象としたSP療法+WT-1ペプチドパルス樹状細胞ワチチン療法」です。適応症は初発の切除不能胃癌、申請医療機関は福島県立医科大学附属病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当は田代構成員、大門構成員、松山構成員、以上となっております。
 続いて、資料2-9、117ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明します。1.実施責任医師の要件として、診療科は消化器外科または消化器内科または腫瘍内科であること。資格は消化器外科専門医または消化器病専門医または臨床腫瘍専門医であること。当該診療科の経験年数は10年以上であること。当該技術の経験年数は要件がありません。当該技術の経験症例数としては、実施者、術者として1例以上であること。その他、当該技術以外の樹状細胞やリンパ球を用いた癌免疫細胞治療の経験が過去に1年以上、かつ10例以上であること。
 2.医療機関の要件として、診療科としては、消化器外科または消化器内科または臨床腫瘍科のいずれか。実施診療科の医師数につきましては、経験年数10年以上の医師が3名以上であること。他診療科の医師数に要件はありません。その他医療従事者の配置としては、薬剤師を要件とします。病床数は200床以上であること。看護配置は10対1看護以上であること。当直体制は消化器外科または消化器内科または臨床腫瘍科当直を要件とします。緊急手術の実施体制を要件とします。院内検査の24時間実施体制を要件とします。他の医療機関との連携体制について要件はありません。医療機器の保守管理体制を要件とします。倫理審査委員会による審査体制につきましては、1か月に1回以上であること。医療安全管理委員会の設置を要件とします。医療機関としての当該技術の実施は、要件としません。その他、細胞培養施設となっております。
 3.その他の要件。頻回の実績報告は不要となっております。以上です。
○山口座長 これらの要件について何か御意見はありますか。では、特にないようですので、一応、様式第9号についてはお認めすることとします。次に伊藤構成員より概要の説明と実施体制の評価について、説明をお願いします。
○伊藤構成員 本技術は切除不能胃癌を対象とした試験です。山口先生の御専門の領域で、標準治療をしたとしても5年生存率が10数%と言われている状況で、その標準治療に対して、WT-1ペプチドペプチドでパルスした樹状細胞ワクチンを併用して、それが有効であるかどうかということを見たいという試験です。
 WT-1はWilms Tumorの抗原で多くのがんに発現しているということで、WT-1のペプチドワクチン療法については、広く我が国で行われていると認識しておりますが、そのペプチドを使って樹状細胞を刺激することによって、更なる有効性を期待するというコンセプトで作られた試験だと思っております。
 主要評価項目は、1年生存率です。予後が限られている方なので1年生存率で見ていて、副次評価項目は、そこに書かれている全生存期間や無増悪生存期間、奏効率などを見るということになっております。3年間で50例を実施するという計画になっております。実施体制と医療技術そのものについて評価を書かせていただいておりますが、詳細については、大門先生がお書きになられているものを、お読みいただいたほうが分かりやすいのではないかと思いますので、その後で最終的に述べさせていただきたいと思っております。
 大きな問題としては、この全体としてプロトコールは結果が科学的に評価できそうもないプロトコールであるということ。それから、利益相反管理反管理や認定再生医療等委員会での、ここまで上がってくるまでの審査過程が適切性に欠けるのではないかという疑念を取り去ることができなかったということであります。最後は、まとめさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○山口座長 ありがとうございました。次に松山構成員より実施体制の評価について、説明をお願いします。
○松山構成員 まず、細胞培養施設に関してなのですが、東北厚生局のほうから承認を受けているとのことであります。ただ、ちょっと気になるのは、通常、大学の場合、院内施設ということで、厚生局の認可を受ける必要も、査察を受ける必要もないので、なぜこういうことをされたのか、実はちょっとクエスチョンマークです。
 体制に関して、いわゆる施設が空気のリークがないとか、ミニマムなところを彼らは見ているだけであって、実は、あとのプラスアドオンの部分はソフトで対応しないといけない。実際に入退室でどうやって手洗いをするかとか、どうやって無菌を担保するか。その部分が恐らくノウハウなのだろうと思うのですが、今回、大学の当事者の先生方が十二分に御理解されているかということが、この文章からは読み取れなかった。そういうことで、今回、実施医療機関の体制としては「不適」とさせていただいたところです。
 加えまして、先ほど認定再生医療等委員会の話が出ましたが、実はこの中で、テラ株式会社医療事業部の木村さんという方が入っていらっしゃいます。iPadの1,196ページにその記載があるのですが、その1,450ページを見ていただきますと、議事録なのですが、多分議事録が上がってきているのは、この3つだけですよね。そうですよね。追加のものはないですよね。
 この中で、木村さんという方が出席されているのですが、退席がなされたのかどうかということです。ちょっと明確に分からないというところもあって、適切に審議されたのかどうか、これをもうちょっとしっかり見ないといけないのだろうというところもあり、今、伊藤先生がおっしゃったことにアドオンさせていただこうと思います。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。続いて田代構成員より倫理的観点からの評価について御説明をお願いします。
○田代構成員 お手元の資料の86ページから、倫理面での評価を担当させていただきました田代です。結論としましては、同意に関わる手続、同意文書に関しては、「不適」という評価をいたしました。補償内容に関しては「適」としております。コメント欄にも書きましたように、事前照会事項を一度かけまして、細々した点から大きな点まで幾つか指摘をいたしました。その結果、解消したものもありますが、対応が少し不十分で、このままでは難しいのではないかと思いましたので、今回「不適」としております。
 なお、実施条件欄に書いた点に対しても回答が既に来ておりますが、それでもやはり「不適」と判断される点点が幾つかあります。根本的な問題は、1)の現在の標準治療と当該試験治療との関係が、プロトコールを読んでも説明文書を読んでも、よく分からないところがあるという点です。最初に示された説明文書から改善はしているのですが、基本的に樹状細胞ワクチンを使うということの説明文書であって、特定の目的を持った臨床試験に参加してもらうという説明文書になっていないということが最大の問題です。
 とりわけ、切除不能胃癌という対象に対して化学療法を併用することにどういう意義があるのかということが、やはり明確になっていないことが、いちばん根本的な問題かなと感じています。他にもマイナーな点を幾つか指摘していますけれども、今回の回答に関して疑問があるのは、4)の相談窓口のところです。87ページですが、最初に2つ、研究者以外に相談窓口が示され、片方の研究推進課のほうについてどういうフローになっているのかと聞いたところ、機能もなければフローもないという回答で、そちらを削られました。
 その後、4月から、今度はしっかりとした被験者の問合せ窓口を作るというので、それ自体はいいと思うのですが、今回それに併せて「がん相談支援センター」の相談窓口も削除されてしまい、最終的に今上がっている案では、研究者しか相談窓口がないという状況になっています。福島医大は、ほかにも様々な臨床試験をやられていると思いますが、4月からはきちんと再構成されてやられるということで理解はしていますが、少々引っ掛かるところです。
 5番目のところも、既に指摘がありました認定再生医療等委員会と倫理審査委員会の関係ですけれども、これも何度かお尋ねして、利益相反だとかいろいろな問題もあるのですが、一応、法制度上は認定委員会で審査すればいということになっているかと思います。もちろん施設が独自判断で、倫理審査委員会でも審査をしたいということであれば構わないと思うのですが、特に有害事象報告について、特定の報告が倫理審査委員会にだけ行き、特定の報告が認定委員会にだけ行くということで、全体を一体どこが見て継続を考えるのか、少々理解しかねるところがありましたので、この点についても、やはりもう少し整理が必要だろうと考えています。
 あとは細かいところが幾つか残されていますが、以上です。
○山口座長 ありがとうございました。続いて、本日御欠席の大門構成員の試験実施計画書等の評価について、事務局より御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-6、87ページを御覧ください。実施体制の評価につきまして、期待される適応症、効能及び効果、被験者の適格基準及び選定方法、有効性及び安全性の評価方法、被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方法、以上の4項目について「不適」との御評価を頂いております。コメントを読み上げます。
 1.「6.期待される適応症、効能及び効果」、「8.被験者の適格基準及び選定方法」、「10.有効性及び安全性の評価方法」について。WT-1ペプチドの発現の有無/発現量が臨床効果に影響を及ぼし得る点(少なくともWT-1ペプチドを発現していない患者に対しては、WT-1ペプチドに基づく試験治療効果は期待できない点)を踏まえますと、WT-1ペプチドの発現の有無によらず樹状細胞治療自体の治療効果があることを前提とした場合、(1)WT-1が発現していないもとでの樹状細胞治療自体の(SP治療に対する上乗せの)治療効果と、(2)WT-1が発現したもとでの樹状細胞治療の(SP治療に対する上乗せの)治療効果について評価を行うことが必要になります。(これらの2点を個別に扱った評価結果は後続の試験計画または実地での医療にも役立つはずです)。この評価を実現するためには、(WT-1の発現の有無/発現量に関する測定が信頼できるか否かは議論の余地があるかもしれませんが)当然のことながら、WT-1に関する測定を行うことが必要だろうと思われます。
 また、例えば、WT-1の発現の有無/発現量に関する測定を登録前に実施して、WT-1を発現していないと考えられる患者さんを除外する(樹状細胞治療自体に治療効果がないものであればなおさら)ような患者選択、登録手順、その他の諸種のデザインも視野に入るのではないかと思われます。さらには、本試験のコンセプトである「WT-1ペプチド」が効果に寄与するか否かに答えを出そうとするのであれば、WT-1発現有樹状細胞治療+標準治療、WT-1発現無樹状細胞治療+標準治療、標準治療の3者を比較するようなデザインも考えられるのではないかと思います。
 しかしながら、実施計画書において当初よりこれらの点に関する方策、議論や検討の結果、または原案のデザインを採用した根拠は、最も重要な論点にもかかわらず全く記述されていません。さらには、これらの論点に関連する事前照会事項に対しても決して十分といえる回答は得られていないように見受けられます。これらの論点に関する明確な議論や検討の結果が示されないまま、現状の計画でこの試験を実施しても、獲得される知見は限定的になるでしょうし、解釈も困難になってしまうのではないかと危惧されます。
 2.「10.有効性及び安全性の評価方法」。増悪後の2ndラインの治療は主治医の選択で自由に行えると規定しており、主要エンドポイントである1年生存率に影響を及ぼす可能性が否定されないと思います。この観点からは、無増悪生存率/無増悪生存期間を主要エンドポイントに採用することも考えられると思います。もちろん短期的に評価が可能であること、または短期的な評価を意図して1年という時点の全生存率に焦点を当てているのだろうと思われますが、その1年という時点での効果を値踏みしてよいのか気になるところです(免疫療法の遅延効果も考えられるのであれば、それに留意する必要があると思います)。
 また、本試験では、SP療法の過去の成績を史実対照とした単アームの臨床試験を計画されています。閾値の成績はSPIRITS試験のものではあるものの、それは10年前のものであり治療技術も進歩しているはずであること、後治療も当時と現在では異なっていることを踏まえると、当該史実対照の成績が比較対照として適切かも気になるところです。当該対象集団は希少疾患ではないですし、(仮に将来的に大規模な第3相試験を実施する可能性が低いのであればなおさら)ランダム化第2相試験を行うことや、それがどうにも難しければ、SP療法の前向き臨床研究/登録研究を並行させてその成績との比較を行うことも視野に入るのではないかと考えます。
 3.「12.被験者に対して重大な事態が生じた場合の対処方法」。「先進医療審査の事前照会事項に対する回答6」の5の回答内容(認定再生医療等委員会と倫理審査委員会との関係、判断、それに伴う行動)は、被験者保護及び試験の継続の可否とも関係しますので、試験実施計画書内で流れ図などを用いて明文化してください。
 4.「15.起こりうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり」。先進医療審査の事前照会事項に対する回答3の1(テラ社と寄付講座の関係)を他の構成員の先生方にも念のため御確認いただいたほうがよいと思います。以上のコメントを頂いております。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、伊藤構成員から事前のまとめと総合評価について御説明をお願いします。
○伊藤構成員 大門先生にお書きいただいたとおりなのですが、91ページで確認させていただいたとおり、胃癌に対するWT-1蛋白でパルスした樹状細胞ワクチン療法というものは、福島県立医大で実施された3例だけの臨床経験です。本療法の有効性について論じた論文がないということは、申請者のほうにも確認をさせていただいております。
 胃癌細胞が全てWT-1を発現するものではないので、WT-1が発現していない症例に対して、WT-1でパルスした樹状細胞療法の意味があるのか、それがまず不明です。それから、本試験は、WT-1の発現についても検討しないといわれているオープン試験で、結果の科学的な評価は、このままではとても難しいということ。
 それから、テラという会社の寄付講座が主たる診療科になっている状況下で、しかも認定再生医療等委員会の委員もテラという会社の方が入られていて、その方の関与について今のところ確認ができていないような状況ですので、今の段階で「適」とするのは、なかなか難しいと思ったので、「不適」とさせていただきました。
○山口座長 ありがとうございました。それでは御審議をお願いします。何か御意見はありませんか。今、伊藤先生にまとめていただいたとおりで、そもそも有効例は余りなく、3例しかやっていません。先進医療としておこなう必然性が示されておらず、しかも科学的な合理性が示されないままに計画が立てられています。
 もう1つは、やはり利益相反の点で少し疑念があるということで、些細な形式の問題ではなくて、根本的にこの研究計画における妥当性というものは、疑問の点は皆さん共通して指摘されていたと思いますので、私もこれは「不適」ということでいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。何か、御意見がありましたらお願いします。
 それでは、皆さんに十分に述べていただきましたので、整理番号76につきましては「不適」ということにいたします。ありがとうございました。
 続いて、「試験実施計画の変更」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 先進医療Bの試験実施計画の変更について2件の申請がありました。資料3-1の119ページを御覧ください。1件目、東京大学医学部附属病院からの申請で、告示番号13、「ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法」です。本試験は、非小細胞肺癌に対するγδT細胞治療の有効性・安全性を評価する単群試験となっております。予定症例数は85例、今回の申請時点で登録は17例となっております。
 御審議いただく変更内容は、特定細胞加工物に関連する安全性情報の追記です。本変更の経緯ですが、申請医療機関において、非臨床試験の予備検討として、細胞加工施設外で本特定細胞加工物と同様の培養法で得られた細胞を用いて核型分析試験を行ったところ、核型異常を認めました。
 安全性に関わる事象と判断し、認定再生医療等専門委員会へ報告後、本特定細胞加工物を用いた先進医療を自主的に一時中断され、安全性検証試験を実施されております。
 平成29年2月の同委員会にて、安全性検証結果を報告し、委員会より「現在自主的に中断している再生医療等の提供を再開することは妥当である」との判断を受け、試験実施計画書、説明文書等について、今回の変更申請に至っております。
 追記内容としては、安全性検証試験の結果及び培養細胞に核型異常が生じうるリスクを明記すること。投与細胞及び患者の末梢血を用いた当該治療の安全性について、定期的な染色体検査を含む評価を継続して実施すること。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見、御質問はございませんか。
○真田構成員 私は細胞治療の専門家ではないので分からないのですが、この概要を拝見したときに研究者が自主的に研究を中止され、再生医療等委員会にかけられて安全性の検証の結果、可と判断されたということが書いてあります。その詳細がよく分からなかったために、資料へ戻ってみました。97ページから対応の経緯が書いてあって、自主的に止められて、研究者が細胞の造腫瘍性検査を実施したとあります。
 その結果を踏まえて東大の委員会が外部に意見を求め、外部の先生からの意見書がタブレットの1,600~1,602ページに付いております。これを要約するとそのリスクは分かりませんということだと認識しました。それについては幾つかの対策は施されたようなのですが、まず、そもそもプロトコールが造腫瘍性、あるいは染色体の異常等を確認する前にもう試験が始まってしまっているというところがあり、意見書には、そのリスクはなるべく減らすような努力をしなさいと書いてあります。
 後から異常が見つかったところで、その後異常の評価を行い続けるのはいいのですが、そこでその異常を事前に最小限にとどめられるプロトコールが考えられないのだろうかという考えで立ち戻ってみると、1つは、理解が間違っていたらすみませんが、凍結した細胞で染色体異常が認められたときには生の細胞を使ってやりますと書いてあったと認識しており、そのような事前の対策を含んだプロトコールの変更等の対策ができないものなのかということ、あとは、自主的に止められたのはよかったのですが、画一的なgo/no-goの基準が今一つはっきりしないのではないかという2点の疑問があります。その点は専門の先生にお伺いしたいと思いました。
○松山構成員 真田構成員のお話は、かなり難しいお話です。森尾先生がお書きになったのは最も誠実な御返答で、正直言って核型異常があるから必ずがんになるわけではなく、核型異常がないからがんにならないというわけでもない。コリレーションに関しては正直言って世界中で誰も知らないというところです。
 実際このプロトコールに関しては、恐らく、本来調べなくてもいいものを薬事とかへ持っていく過程で非臨床試験で見つけてしまって、さてどうしようかというときに、誠実に対応されて一旦止めて襟を正されたというところで、これは、臨床研究の在り方として正しいスタンスであっただろうと。外部の森尾先生は癌免疫療法では非常に大家でいらっしゃるので実際にこの部分のお話を伺って、もともとのカルチャーのほうではなくて、凍結によってシアストレスシアストレスとかがかかって、核型異常が出たのだろうという結論に達しています。
 加えて、γδTγδT細胞治療が世界中でも1,000例ぐらい行われていて、これに伴う白血病がないというのは、かなりベースとして強いということがあって、ここで止めるという判断はしなくてもいいのではないかと私は考えました。ただ、真田構成員がおっしゃるようにgo/no-goをどのようにするのかということはかなり深い問題ではあるので、進めていただく分にはいいと思うのですが、今後どのようにされるのかということは、また次回の評価会議で御報告いただいたらいいのではないかと思います。よろしいでしょうか。
○山口座長 真田先生、いかがでしょうか。
○真田構成員 御説明はよく分かりました。
○山口座長 進めるにしても、そういうことに関しての見解は伺っておくということで、よろしいでしょうか。
○松山構成員 そうですね。今後どのように対応していくのか、スタートはいいけれど、その後、これだけで本当にいいのか先方のお考えを聞いていただいたらいいのではないかと思います。
○山口座長 ほかに何かございますか。それでは、告示番号13の変更については認めて、そういう問合せをするということで、いかがでしょうか。では、後ほど事務局からお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、2件目の「試験実施計画の変更」について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-2、123ページを御覧ください。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号48、「骨髄由来間葉系細胞による顎骨再生療法」です。本試験は顎骨欠損を有する患者に対する骨髄由来間葉系細胞及び多血血小板血漿による顎骨再生の有効性・安全性について標準治療群を対照とした非盲検ランダム化比較試験です。
 予定症例数は29例、今回の申請時点で登録は1例となっております。御審議いただく内容は、変更内容の3.間葉系細胞の製造工程における検査項目及び検査工程の変更に伴い、血清の原料となる血液を800mLから1,200mLへ増加するという変更です。資料3-2、126~129ページを御覧ください。前回の変更申請について御審議いただいた際、本変更内容について照会事項と申請者からの回答を頂いております。このような回答を踏まえて改めて御審議をお願いいたします。
○山口座長 これに関して、何か御意見はございますか。
○松山構成員 前回の会議のときに私が御指摘いたしました。そもそも論として血清を増やすこと、患者さんにかなり侵襲になりますので、それが適切であったのかという議論と、もしどうしても血液を大量に採らないといけないのであれば、どのように間隔を空けることにより患者さんに対してデメリットが少なくなるのか、この2点だけです。
 まず、血液に関しては400ccを1週間置きで3回ぐらい抜いても、そんなに貧血は進行しないのですが、その後、貧血が進行してくるというところがあります。そう考えると、ここに通常少なくとも4週間程度以上の間隔を空けることを想定しているという御回答を129ページで頂いているので、4週間空けるということをプロトコール上に明記していただければ、この点はいいと思います。
 もう1つは、本当にこれだけ大量の血液、血清が必要なのかということに関しては、特定認定委員会の科学的な御判断なので、委員会でどこまで言うのかは正直言って悩ましいところです。これに対しては1つ再生医療のサポーターとしてアドバイスをすると、拡大培養後のマイコプラズマの検査に関して、別のフラスコを御用意されるとおっしゃっております。これは、正直言って再生医療の考え方から言うとナンセンスです。なぜかというと、マイコプラズマの汚染に関しては2つルートがあって、1つは原材料の骨髄由来の場合と、もう1つは培養者、術者が持ち込む場合です。
 持ち込むことを見る場合には同じ培養フラスコで見る必要性があります。そこの培養液の上にマイコプラズマに感染してダメージを受けて浮いてくる細胞がかなりあるので、そのペレットを収集するだけでマイコプラズマの検査は十分可能で、PMDAでも別のフラスコを用意しなさいということを求めていません。
 この部分は、だからといって増やしてはいけないというわけではなく、申請者の日比先生の所にそういう御意見もありましたということを科学的ベースで、やはり患者さんのデメリットを少なくするために情報提供をしていただければと思います。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に何かございますか。進めていただいてもいいのですが、こういうやり方でもいいのではないのですかという問合せをするということ。
○松山構成員 4週間を明記していただく。
○山口座長 4週間を明記するということで、安全性は担保できるのではないかということ、この2つの点、条件付きということでお認めしてもよろしいでしょうか。いかがでしょうか。それでは、今の2つの条件のもとにお認めするということにしたいと思います。
 次に、「協力医療機関の追加」の説明を事務局よりお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-1、131、132ページを御覧ください。これまで大臣告示されている7つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料4-2、133~141ページを御覧ください。事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として御了承いただきたく存じます。
○山口座長 特に何かございますか。
○医政局研究開発振興課専門官 特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○山口座長 次に、「先進医療Bの取下げ」について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、143ページを御覧ください。大臣告示されている3つの技術について先進医療Bの取下げ申請がありました。取下げ理由はそれぞれ、試験期間終了、投薬期間終了、観察期間終了による予定どおりの取下げとなっております。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。
○山口座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、手続を進めてください。
 次に、「先進医療会議の審査結果等」について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、149ページを御覧ください。1件の新規申請技術について、本年3月9日に開催された先進医療合同会議にて審議されております。整理番号110番、「腹膜播種を伴う胃癌に対するS-1/シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法」です。申請医療機関は名古屋大学医学部附属病院です。本技術について、合同会議にて「適」との評価を受けております。
 次に、資料6-2、189ページを御覧ください。前回、2月部会で御審議いただいた御意見をもとに修正いたしました「いわゆる非劣性試験の先進医療Bにおける取扱いについて」の取決め内容が先進医療会議にて了承されましたので御報告いたします。
○山口座長 よろしいでしょうか。何か御質問はございますか。本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、何か御意見、御質問はございますか。
 今回3月15日付けの回答資料が出てくるわけですが、締切りはないのでしょうか。例えば、今朝来たものはどのようにするのかという話になってしまうので、これは、ある程度締切りを設けた方が良いのではないでしょうか。余りに複雑なところで更に複雑になってくるとなかなか判断が難しくなってきて、是非、せめて1週間前までには出してくれということを要求しても、決して理不尽ではないと思うのですが、皆さん、いかがでしょうか。今までは直前まで受け付けていたわけですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 こちらは、事前照会事項として構成員の先生方から頂いた御質問を受けて、いつまでに御回答いただくというところは、実は申請者に対して明確なデッドラインを今の時点では設けておらず、あやふやな点がありますので、今後、余り急に議論が進んでいかないように、しっかり整えていきたいと考えております。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 会議も、先生方は非常にお忙しい中、御参集いただいており、通るものであれば、例えば記載の整備等、指摘事項を全てそのまま受け入れたものを確認するだけと、非常に軽微な確認行為を伴う場合等もありましたので、可能な限り事務局としては拾いたいということで、このように至りました。
 今回、非常に多くの御指摘を当日配布の資料で頂きました。内容に応じて非常に軽微なものであれば、当日のものも妨げないことも道を残したいと思いますが、ただ、先生方の過度な御負担にならないように、今後、事務局で考えていきたいと思います。よろしいでしょうか。
○山口座長 何日までにこれを答えなさいというのは、答えるほうとしては大変だと思います。例えば、今月の会議には何日前までに出さないと間に合いませんよということを言ってもいいのではないかと思います。例えば、今朝来たものはどのようにするのだという話になります。
○医政局研究開発振興課治験推進室長 趣旨はよく分かりました。
○一色座長代理 逆の意見かもしれないのですが、担当になると資料に目を通して問題点をピックアップして、それを御指摘するのにそれなりの時間が掛かるので、こちらから指摘事項を出すのが少し遅れたりすることがあり、これが原因で回答が遅くなることもありますので、あまり厳しくすることは難しい部分もあるかと思っております。
○山口座長 我々も、できるだけ迅速に問合せする、その代わりに迅速に答えてほしいということですか。ほかに何かございますか。
 今日は大変スムーズな審議で本当にありがとうございました。それでは、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 次回は4月17日(月)の16~18時までの開催といたします。場所については、別途、御連絡いたします。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いして、その後公開いたしますので併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第55回先進医療技術審査部会を終了いたします。本日は、どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

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