ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 新たな社会的養育の在り方に関する検討会> 第11回新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2017年2月24日)




2017年3月30日 第11回新たな社会的養育の在り方に関する検討会

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成29年3月30日(木)14:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第21会議室(17階)


○出席者

構成員

奥山座長 松本座長代理 相澤構成員 井上構成員 加賀美構成員
上鹿渡構成員 塩田構成員 伊達構成員 林構成員 藤林構成員
山縣構成員

事務局

山本内閣官房内閣審議官 川鍋家庭福祉課長 竹内虐待防止対策推進室長

○議題

(1)各検討会・ワーキンググループの開催状況等及び法改正後の進捗状況の報告について
(2)関係者からのヒアリング(社会福祉法人慈愛会)
(3)自立支援に関する議論
(4)その他

○議事

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第11回「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、西澤構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 まず、資料の確認をさせていただきます。

 配付資料は右上に番号を付してございますけれども、資料は、1~7まで、最初に横長のものが続きまして、最後はヒアリングにお越しいただいた団体の資料ということで資料7がございます。

 参考資料は、1~3までお配りしております。

 本日はヒアリングということで慈愛寮から御出席をいただきましたので、机上配付資料としてパンフレットをいただきましたので、構成員の先生方に机上配付ということで一番下に配らせていただいております。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、これより先の議事は奥山座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 少しずつ桜が咲き始めるころになりまして、昨年夏から始まったこの会議も大分進んできたと思います。

 では、早速議事に入ってまいりたいと思いますが、本日はいつもどおり各検討会・ワーキンググループの開催状況及び法改正後の進捗状況について事務局から御報告を受け、その後、先ほど事務局からお話しがありましたように婦人保護施設慈愛寮の方に来ていただいておりますのでヒアリングをさせていただきます。どうもお忙しいところ、ありがとうございました。いろいろお聞かせいただいて、参考にさせていただきたいと思っております。

 3番目に、前回に引き続き、自立支援の議論をしたいと思っています。今回、自立支援の議論をできるだけまとめ、次回はできれば一時保護所等の議論をしていきたいと考えておりますので、万が一時間が余ったら少し一時保護所に関する皆さんの御意見を聞ければうれしいと思います。

 まず、事務局のほうから今までの検討会ワーキンググループの開催状況と、「特別養子縁組の利用促進の在り方について」ということで報告書がまとまっておられるようですのでそれについて、そして進捗状況についてまとめて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 事務局でございます。

 資料1をごらんください。左から2番目が「児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会」の開催状況でございます。

 1枚おめくりいただきまして、裏側に直近の状況を書かせていただいております。2月28日に第13回を開催しておりまして、その際に特別養子縁組について個別の論点ごとに意見交換を行っていただきました。3月13日開催の第14回ではとりまとめのたたき台について御議論をいただきました。3月28日の第15回で司法関与・特別養子縁組利用促進検討会にお出しした資料をそのままおつけしております。「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について(案)」についてとりまとめに向けた議論を行っていただきました。

 第15回の際に幾つか御意見をいただきましたので、その修正については座長預かりということなってございまして、今後必要な修正を行うということで現在とりまとめに向けた作業をしている状況でございます。

 その次に、「子ども家庭福祉人材の専門性確保WG」の開催状況でございます。3月14日開催の第6回につきまして、中核市で児童相談所を設置している金沢市にお越しいただき、中核市の児童相談所の実情についてヒアリングを行いました。その後、児童相談所業務の在り方、要保護児童の通告の在り方等の課題について意見交換を行ってございます。次回は第7回でございますけれども、4月に開催予定ということで日程調整しておりまして、引き続き児童相談所の体制強化について検討を深めていく予定にしてございます。

 その次に右の欄、「市区町村の支援業務のあり方に関する検討WG」でございます。これにつきましては3月1日に第7回を開催しておりまして、市町村子ども家庭支援指針のガイドラインの素案について意見交換を行いました。直近では昨日、3月29日でございますけれども、第8回を開催しておりまして、市町村子ども家庭支援指針のガイドライン案について御議論いただき、文言修正等について座長、座長代理に一任をいただいて一定の取りまとめをしていただいた状況でございます。

 あわせて、児童虐待に係る児童相談所と市町村の共通リスクアセスメントツールの通知案についても御議論いただき、これについても事務局で整理をして、座長に御確認いただいて通知として発出するという段取りになっております。

 また、これに関連しまして、要保護児童対策地域協議会の設置・運営指針の改正案についても同様に御議論いただきまして、文言修正等は事務局で整理の上、座長、座長代理に確認をいただいて発出するという予定にしております。次回の開催については、引き続き調整をするという状況になってございます。

 資料の2をごらんください。法改正後の進捗状況の資料でございます。29年度の予算が3月27日に国会で成立してございますので、これまで予算案ということで記述していたものを予算が成立したということで記述の変更をしております。それと、年度末にかけまして多くの省令や告示ですとか通知等が3月末を目途に発出される予定としておりますので、それについて同じような記述をしてございます。明日も含めまして、3月末日に発出した通知については御用意できませんでしたので、それについてはまた別途お送りするなり、御報告したいと思います。予算ですとか、告示の発出とか、同じ書き方をしておりますので、そこを飛ばしましてそれ以外の記述している部分について御説明いたします。

 1ページ目の3番の1)、2)のところでアセスメントツールにつきましては、先ほど申し上げましたように市区町村の支援業務のあり方ワーキンググループで御議論いただきましたので、ガイドラインと共通リスクアセスメントツールの通知を、3月末を目途に発出する予定ということで記述をしております。

 1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。2ページ目の下のほうで5番の(1)の2)と3)でございます。これにつきましては、要保護児童対策地域協議会の設置ですとか、あるいは専門職の配置の状況について調査をしていますということで書いていた部分でございます。これについて、3月末を目途に厚生労働省のホームページに結果を公表する予定ということで記述を追記しております。

 その次の3ページ目でございます。5番の(4)の4)の部分でございます。これにつきましても、乳児家庭全戸訪問事業ですとか養育支援訪問事業についての実施状況を調査していますと言っていた部分を、年度末を目途にホームページで結果を公表する予定ということで記述をしております。

 次に、4ページ目でございます。5番の(7)でございますが、児童相談所の機能の部分で、これにつきましては下の3)で「「189」の利便性の改善」ということで29年度の予算が成立しましたので、「189」については「コールセンター方式を導入し」という部分については29年の秋を目途に導入予定ということで追記をしています。

 5ページ目でございます。5の「新たな子ども家庭支援体制の整備」のところです。(7)の3)でございますが、「一時保護所の第三者評価の在り方」について、一番下に今後、本検討会でまた御議論をいただければということで記述をしております。

 その下の4)の基準の見直しについては、前回お出ししたときに実態調査を今後やりますと書いていましたのを、29年度中に実施ということで記述をし直しています。

 (8)の司法関与の部分については、1)のところでございます。司法関与の検討会で御議論いただきましたとりまとめにつきましては、3月7日に今国会に法案を提出しておりますので、それについて記述を追記してございます。

 1枚おめくりいただきまして、ちょっと飛びますけれども、7ページ目の「社会的養護の充実強化」の部分でございます。(3)の「特別養子縁組制度」の3)でございます。利用促進の在り方についての検討ということで、先ほど少し御報告しましたけれども、3月28日に特別養子縁組制度の利用促進について、(案)が抜けていますが、これについてとりまとめについての議論をしていただいて、今とりまとめの作業をしているということでございます。

 新たに記述を加えました部分についての説明は、以上でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。どなたか御質問ございますでしょうか。

 でき立ての特別養子縁組の取りまとめの案が出てきています。詳しく読んでいる時間はないのですが、私のほうから1つだけ質問です。例えば年齢の引き上げに関しては、これを読むといろいろ書いてありますが、年齢を引き上げるという点では大体その方向なのだけれども、それに幾つかの方法があるという考え方が書かれていると解釈してよろしいですか。

 

○奥山座長

 わかりました。

 ほかにどなたか御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 これは幾つかの微修正があって、取りまとめ案として検討会の報告書のような形になるということでいいですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 先ほど申し上げましたが、今の状態というのは座長預かりという形で修正をしていまして、それを検討会の構成員の方々に最終的に確認をいただくというスケジュールになっています。

 

○奥山座長

 わかりました。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 進捗状況のほうですけれども、3月末というと明日までなのですが、そこまでに発出する通知とか、そのときまでにホームページに上げますとか、そういうものがたくさんありました。お忙しいと思いますのでそんなに急ぎませんが、発出したもの、それからホームページに上がったものは、ホームページのほうはアドレスだけでも結構ですので、ぜひ構成員の方々にお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。急に出されても質問がまとまらないかもしれないのですけれども、また何か御質問がありましたら事務局に御連絡をいただきたいと思います。

 では、次にヒアリングに入っていきたいと思います。産前産後の支援というのが今回非常に重要なテーマになっているわけですけれども、そこについての御示唆をいただくということで婦人保護施設慈愛寮のほうから熊谷施設長さんと前施設長の細金さんに来ていただいております。慈愛寮さんのほうから簡単に10分程度で御説明をいただいた後、またこちらのほうからいろいろお伺いしたいことについて御意見をいただければと思います。

 では、よろしくお願いいたします。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 婦人保護施設慈愛寮施設長の熊谷と申します。

 最初に私のほうから慈愛寮の支援の概略等を述べさせていただいて、前施設長の細金から今後の地域へ向けての課題等を10分以内でお話させていただきます。レジュメも用意いたしまして、あとは机上配付資料で慈愛寮のパンフレットと、それから『月刊福祉』に掲載されたもの、これは公開されているものなのですが、そこに詳しく慈愛寮の支援の内容が記されておりますのでお読みください。そもそも、婦人保護施設自体が1956年成立の売春防止法 根拠法としているために 福祉の施設としては大変認知度が低いと私ども現場では実感しております。

 社会的養護の乳児院から児童養護施設、あるいは児童福祉法根拠の母子生活支援施設はかなり知られてはおりますが、何せ婦人保護施設は全国に48しかございませんし、売春防止法ということで趣旨が「売春をするおそれのある女子を収容保護する」というかなり古い価値観に基づいたところで設置されている施設です。

 ただ、今回私ども慈愛寮がこの検討会でお話させていただけますのは、婦人保護施設も母子の支援に携わっているということでヒアリングに招かれたと認識しております。

特に、慈愛寮が呼ばれましたのは、特定妊婦を含めた周産期女性の支援に特化された全国でも唯一の婦人保護施設 である からだ 理解しております。

 慈愛寮は、定員が母子あわせて40人、20部屋ございます。慈愛寮が行っている支援の具体的な中身、マンパワーや費用、建物の構造につきましては、レジュメに簡単に書かせていただいております。

20世帯なのですが、妊娠第36週、つまり臨月の妊婦さんから産後おおむね6カ月以内という本当に周産期の支援の施設ですので、長くても6~7カ月の入所期間になります。実際の平均入所期間は3~4カ月です。支援の現場としては大変期間が短いと実感しておりますけれども、一番お伝えしたいのは、社会的養育のあり方としてまずはなぜ慈愛寮に入所される女性の多くが特定妊婦になるのかというところです。

 レジュメでも、慈愛寮の利用者はどんな人が入所してくるのかをデータをもとに示させていただいております。ほぼ幼少期からの虐待経験、特に性虐待歴、暴力被害で、特筆すべきは御自分自身が社会的養護歴があるということです。乳児院、児童養護施設 育ちという方が2、3割です。でも、実感としてはもっと最近増えています。年度末になりまして、17歳から20歳の女性が妊婦として相次いで入所されました。今回第2子出産のための入所で、第1子は15歳で出産したという人もいらっしゃいます。御自分自身が児童相談所の管轄の入所であり、御自分も児童養護施設経験があるのです。施設退所後の生活がうまく行かずに望まぬ妊娠をして、困窮し、特定妊婦になる若年女性が多いのです。

 そういうことがたくさんございまして、どの方も障害を抱えていたり、生活困窮という成育歴を負っていらっしゃいますので、特定妊婦にならざるを得ない。社会的な制度になじまず 困ったときにどこに相談に行くのかということを余り知らされていない 従って、生活困窮で女性が生きていくために簡便な方法は性風俗の世界に行き、何とか生きていくという方が大変多うございます。しかし、そこでもうまく行かずお金もない、相談する窓口も知ってはいてもなかなか自己表現が苦手で、社会的な知識も学歴も持たされていませんので、窓口に行ってもうまく説明できなくて、そこで諦めてしまう。結局、未受診妊婦となってしまうのです。結果、飛び込み出産です。私も慈愛寮に勤めて初めて墜落分娩という言葉を知りました。とても悲しく思いました。

 そういうふうに未受診で飛び込み出産が多いということは大変ハイリスクの妊婦さんなので、生まれていらっしゃる赤ちゃん、新生児も大変リスクが多いです。レジュメの2ページにも載せさせていただきましたが、低体重、低血糖は当然多いのですが、スリーピングベビー、御自身が精神科薬を飲んでいるのですが、うまく適切な精神科治療につながっていなくてドクターショッピングをなさるものですから、お薬をうまくくれるお医者さんのところを転々としてちゃんと服薬していない。ですから、まとめて飲んだり中断したりということで、赤ちゃん自身が離脱症状で眠っている。

 あとは、ハイリスクのお母さんなので、最近立て続けに新生児一過性多呼吸という診断名なのですが、赤ちゃんは入院したままでお母さんが先に退院なさる例が続いております。それから、新生児黄疸症も大変多いです。そういう特定妊婦の方が慈愛寮には多くいらっしゃいます。

 それで、感じますのは、何で福祉の窓口になかなかつながらないのかというと、先ほどの繰り返しになりますが、トラウマが多い。言ったけれども、うまく伝えられなくて諦めてしまったという方が大変多いんです。

 慈愛寮 支援は命を守るために健康回復への支援を基盤にはやっております。国基準で看護師、栄養士、支援員が配置されています。常勤の看護師、栄養士の支援のもとでかなり健康回復には力をいれることができます。これは、例えば同じ母子が入所する母子生活支援施設と違うところです。母子生活支援施設は看護師、栄養士の配置はございません。

 もう一つ、支援員は婦人保護施設は国基準では資格指定はないのですけれども、施設努力で、福祉の資格を持っている専門職として採用している婦人保護施設が多いです。ということは、例えば新生児ケアの病院と違いまして福祉の視点でその特定妊婦の支援ができる利点がございます。福祉の視点と医療栄養ケアが同時にできるのが婦人保護施設だと、私どもは考えて支援しております。

 それで、費用的なことをレジュメの4ページに書かせていただいております。婦人保護施設は現物支給の措置施設なので、医療が必要な人でお金がない方はそこだけ医療単給の生活の保護を使っておりますが、生活自体は食事も出て、最低限の寝具や衣料も出るのですが、妊婦さんは日額200円、産婦さんは日額800円、その中でやりくりをしていただくようになっています。

 ただ、一番大事なのは、産むときに入院助産の制度が使える病院でないと大変な事態がございますので、私どもとしては入院助産の制度を拡充していただきたいと思っているところです。

 あとは、産前からの支援を行うときのメリットと産前産後の支援の意義や、地域にこれからつなげる機関に求めるものということの概略を話させていただきます。

 産前から支援を行うときのメリットというのは、やはりハイリスクの妊婦さんですから、まず命の安全と無事の出産を応援するのですが、一番はその妊婦さん自身の心の安定です。精神疾患障害だけではなくて、ここの慈愛寮に来る道筋そのもので大変精神的に苦境に立たされていますので、子どもを産む状態としては不安定でいらっしゃいます。それは生活苦だけではなくて、御自分の人生そのものをこれから産む赤ちゃん、新しい命を育むに当たって、自分はどうやって育てられてきたのだろうかということを振り返ると不安が増す方が多いです。愛されたことがない。

 象徴的なのは、職員が赤ちゃんを抱っこするとママが寄ってきて、私も抱っこしてほしいと本当に言うんです。それで、泣くんです。不安なのは、自分はこの子を愛することができるのだろうかということなので、やはりその人自身の人生を振り返りながら愛されること、助けを求めること、そこで支え合って生きていくことがどんなに養育には大事かということを妊婦の間から体験してもらうことが産後の養育にとても役立つということを実感しております。

 レジュメの4ページの真ん中にも書かせていただきましたけれども、支援者自身も産前の妊婦さんの様子を知ることで今後の育児の困難度を予測するということは、社会的養育をどう行うかの見通し、見立てができるということです。はっきり申し上げて、なかなか養育が困難だと思われるお母さんに関しては、今はあなた自身の回復を第一にして、ベビーは乳児院にお願いしよう。そこで親子が断絶するのではなくて、面会交流しながらとか、赤ちゃんと新しい出会いをしていこうというふうに妊婦の間からアドバイスすることができます。

 そうでないと、児相に赤ちゃんを取られたという思い込みで来た方が大変多いので、私たちは児童相談所はあなたたちの赤ちゃんを取り上げるところではないというふうに意識の転換と実体験をしていただきたいと思って、そこは大変苦慮するところです。これは、今後の社会的養育のあり方としては大事なことと思っています。

 それと、支援者側ではなくて一番大事なのはお母さん自身、女性自身がやはりその先に歩んでいる同じ立場の女性と赤ちゃんを見ることで、支援者が幾ら言葉で伝えてもわからないところを、本当に感性の深みから実体験で、こうやって人は人を育てるのだというのを風景として見ていくんです。先に進んでいる赤ちゃんを見るということと、ママたちを見ることでやっていける。

 多分、これは一般家庭で核家族で一人で育てている新米ママよりは恵まれているかもしれません。やはり人は人の中で育つというのは、養育は母性ではなくて学習して得るものですから、そういう点では慈愛寮はお母さん自身が自分の今後の自立への気持ちを育む環境としてはとても大事な実践をしていると思っております。

 産後の支援に関しまして、私が一番言いたいところなのですが、産後はまず生後5日でほとんど退院していらっしゃいますので、沐浴、授乳、夜中も3時間置きにミルクか母乳をやるのですが、私はきょう初めて知りましたけれども、産前産後ケアの母子生活支援施設のモデル事業ということなのか、母子生活支援施設の都内や他県からの方の見学が慈愛寮に相次いでいるんです。

 それで真っ先に聞かれるのは、夜中の3時間置きの授乳は夜勤でやっているんですかということです。今は宿直体制なのですが、このサービスを始めたら夜勤にしなければいけないのでしょうかと、それが最初の質問ですかと思うのですが、慈愛寮はしません。育児の主体はお母さん自身です。

 もちろん緊急対応で宿直していますので、夜中に赤ちゃんがぐずって眠れないとか、どうしたらいいかわからないといったら、宿直者はインターホンで連絡があればお部屋に飛んで行きますけれども、慌てないでママのそばにいて、今は何で泣いているか、おなかが空いているか、おしめがどうかというのは寄り添いながら、ママがやれるように支援します。

 でも、入所されるときから、産んだら夜中の育児はママが主体ですよとお伝えしながら、優しく寄り添って行います。もちろん夜間対応は多いですが、原則夜勤体制をしくということなどはしない方向でお話ししてやっています。

 だから、私どもが一番言いたかったのがレジュメの3ページの一番下です。慈愛寮は横にいます細金前施設長の時代に改築したときのコンセプトが、「ここで暮らすことで、傷が癒えていく場に」、癒される場に、ママへのメッセージなのです。ですから、沐浴や授乳の支援はいたしますけれども、サービス産業ではなくて福祉の視点でママたちの人生の回復を支援することに一番重きを置いております。

 では、課題のほうを細金さんからよろしくお願いします。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 昨年の6月まで慈愛寮で施設長をしておりました細金と申します。

 今、熊谷のほうから慈愛寮での支援についてお話しいたしましたので、私のほうから余り補足することもございませんけれども、熊谷がお話ししましたように支援の切り口といいますか、慈愛寮では、福祉的な側面、医療的な側面、あるいは母子保健的な側面、心理的な側面、いろいろな形で専門職がかかわりながら支援をしています。来年度、産前産後ケアのモデル事業をお考えいただいているそうですが、その産婦人科でのモデル、あるいは母子生活支援施設でのモデルということを考えますと、多分それぞれの施設の得意分野、不得意分野というのがあろうかと思います。それをどう補いながら、全国の中でどこででも産前産後のケアを受けることができるようにしていくかということだと思います。

 そして、私どもの婦人保護施設というのも大変小さな施設種別ではございますけれども、妊産婦支援をしてきている実績がある施設が、書きましたように多うございます。29施設、

6割方の施設で妊産婦の受け入れをしてきておりますので、そういったところを強化して、基本的な配置基準などが整備され、慈愛寮で置いているような保育士や心理職なども置くことができるようになれば、一つの選択肢にもなろうかと思っております。

 また、今、政府与党の性犯罪、性暴力被害者の支援体制に関するプロジェクトチームでも婦人保護事業の抜本的見直しということや、性暴力被害者のための中長期的な支援体制ということを御提言いただいたりしておりますので、そういった観点でもぜひ婦人保護事業を活用していただく方向に充実が図られればありがたいと思っております。

 やはり性暴力被害の方、小さいときから性虐待を受けてきた方の支援というのは私たちは本当に大切だと思っておりまして、またお子さんを育てていく上でいろいろな困難に直面しながら、しかし、お子さんを育てていくことで回復していくという面も見ております。

 例えば、お風呂に入れないとか、布団で寝られないという方は、単に生活ができない、だらしないというふうに見られがちなのですけれども、よくよくその背景を見ていきますと、実父から性虐待を受けてきたので怖くて布団で寝られないとか、お風呂場で虐待されてお風呂が真っ赤になるほど出血したりした経験があってお風呂に怖くて入れないとか、そういったことに心を寄せながら支援をしていくということが大切ではないかと思っています。

 ポピュレーションアプローチとして広く多くの方に利用していただく産前産後ケアがされる場合に、その中に慈愛寮に来られるような複合的な重い課題を持っている方も混じって多分来るのだろうと私は思います。そういうときに、そういったお母さん自身が抱えてきた生きづらさ、苦しさというようなことに着目していくためには相応な期間も必要だと思いますし、職員との関係性も必要だと思います。

 そして、そういうハイリスクの方たちを発見する指標といいますか、聖マリアンナ医科大学の水主川 純先生は慈愛寮のすぐ近くの国立国際医療センターにいらしたときに慈愛寮のお母さんたちをずっと診ながら、どういった方がハイリスク出産になるのか。そして、そういう方たちの支援を必要とする生活背景の特徴をどういう指標で見ていったらいいかというようなことを御研究されたりしていらっしゃいましたけれども、そういったアセスメントがされる中で、単にレスパイトで疲れた方はどうぞ産後お休みくださいということではなくて、困難を抱えた方をきちんと捕捉していけるといいますか、そういった視点が必要ではないかと思ったりしております。

 どうもありがとうございます。長くなりまして申しわけございません、御質問等があればお受けしたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。非常に現場の感覚がよみがえるようなお話をしていただきました。ありがとうございました。

 いかがでしょうか、いろいろ伺いたいことがある方がおられるかと思うのですけれども、御質問をどうぞ。

 では、皆さんが考えておられる間に、私からの質問です。出産される病院とかは大体、慈愛寮さんだとこの病院というふうに決まっておられるのでしょうか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 前は、ほとんど国立国際医療センターが受けてくださっていたのですが、独立行政法人になられたときに、入院助産でない病院、みなし入院助産で診ていただいていたものですから一切受けていただけなくなりまして、今は都立病院を中心に入院助産の指定病院を区市町村の女性相談が探すのですけれども、本当に苦労して探していただいている状態です。

 ですから、産前産後ケアというのはそういう貧困な状態にある方も、お子さんの福祉の観点から入院助産の制度を使えるということは大前提だと思うのですが、実際には数も少ないですし、地方ではなかなか入院助産の指定病院がないと聞きます。慈愛寮などでも飛び込み出産で大学病院などに行かれると入院助産の指定病院ではないので、生活保護の出産扶助ですから本当に安いわけですね。そうすると、本当に1日か2日で退院させられてしまうということもあったりして、こういったハイリスクなお子さんである可能性もあるのに、お子さんの福祉の観点からなかなか診ていただける病院が少ないのが実情でございます。

 

○奥山座長

 多分、これは管轄が違うので事務局に伺ってもわからないかもしれないのですけれども、入院助産の施設になっている病院というのは何割ぐらいあるのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 すみません。ちょっと今はわからないので。

 

○奥山座長

 もし次回までにわかったら教えていただきたいと思います。そんなに多いものではないということですね。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 そうですね。東京は33か所かと思いますが、その中でも、予定日間際のハイリスクな妊婦を受けてくれる病院はさらに少ないのです。

 

○奥山座長

 東京全体で33か所ですか。少ないですね。

 ありがとうございました。ほかに御質問とかいかがでしょうか。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 福岡市の藤林と申します。

 慈愛寮の対象となるような妊婦さん、産婦さんというのは福岡市にも毎年何人もいらっしゃって、我々もやむなく子どもさんを乳児院に無理やり保護したりとか、または非常にリスクも感じながら在宅で一生懸命支援しながら、やはりうまくいかなくて乳児院で保護するといったケースが年間何人もいらっしゃるわけで、慈愛寮のような施設が福岡市にあれば多分いろいろな意味で子どももお母さんも幸せな人生が保障されるのではないかと思っております。

 そこで、お尋ねなのですけれども、このような慈愛寮の特定妊産婦さんを心身ともに、健康面からも福祉面からもケアされる施設がなぜ1カ所にとどまっているのか。なぜこれが全国に広がっていかないのかということで、もしお考えがあれば1点お教えいただきたいということです。

 もう一つは、本当にきめ細かなケアをされるということは十分なマンパワーというか、コストがとてもかかるのではないかと思うのですけれども、それは公的に東京都なりから委託というのでしょうか、措置費というのでしょうか、そういった公的な資金だけで運営が可能なものなのか。本来はどのようなコスト、または費用が必要なのかということについてお考えをお知らせいただければと思います。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 多分、需要はたくさんあるのだと思うのです。

 というのは、全国からお問い合わせがきます。慈愛寮に入れないのかと、全国の婦人相談員さんが今、相談所の一時保護に入っている妊婦さんは生まれてから行くところがないのだけれども、慈愛寮に入れないでしょうかというお問い合わせはくるんです。

 ただ、産後まで診ることができる婦人保護施設もありますし、婦人相談所併設で比較的短期間だけの支援をしている婦人保護施設もありますので、その県によってお考え方はいろいろでありまして、もともと数が少ないですから、東京でなぜこういう産前産後に特化した婦人保護施設ができたかというと、東京には5カ所婦人保護施設があるわけです。

 それで、当然慈愛寮も売防法施行当初には単身女性だけの施設だったわけですけれども、お子さんがこれから生まれるのに行くところがない方を診るところが欲しいという婦人相談員さんたちの現場の声で、その5カ所のうちの一つがこういう形になったということですので、それぞれの地域でのニーズにどういう施策で応えていかれるかということが多分いろいろ県によって違う。県によっては、一つの婦人保護施設で妊婦さんも来れば、母子も来れば、単身の方も来ればという形でなさっているところもあるということだと思います。

 費用的には、今ここで職員配置を書きましたのは、婦人保護施設の職員配置を私どもは本当にフルに使わせていただいている形です。それで、法人からの持ち出しもあります。フルに使えないところも県によってはたくさんありまして、基本的な配置基準を満たしていないと心理職や保育士などは置けなかったり、いろいろその補助事業によっては使い勝手がなかなかよくなくて、使い切れていない施設も多うございますので、そういったところが改善されていけば基本的には国や県の費用で賄えるところはふえてくるだろうと思います。

 

○奥山座長

 ほかにいかがでしょうか。

 では、井上先生どうぞ。

 

○井上構成員

 井上です。どうもありがとうございました。

 私は職員さんのことについてちょっとお聞きしたいのですけれども、今お話にありましたような大変な背景を持ったお母さんたちが来られていますと、どうしても1番目のお話だけでも普通の人たちにとってみたらぎょっとする内容で、私たちは社会的養護をやっていますとそういうふうな背景を持ったお母さんたちが口を開いたときに、それを受ける側の経験が全然ないと非常に驚いてしまって、その話が出たところでふたをしてしまったりとか、知らない顔をしてしまったりとか、逆に傷つけてしまうようなことなどもよくあって困るなということがあるんです。

 今のお話を聞きますと、そういった背景を持っている方が多いようですので、そういったことを今の職員さんたちにどのようなトレーニングとか、どういうふうな対応でしているのかというようなことと、年齢構成等ももしわかったら、若い方たちは今、本当にそういう経験がなくて職員として入る方たちは困っていることが多いので教えていただけたらと思います。どうぞお願いします。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 支援員は6名おりまして、看護師、栄養士は1名ずつ、それと非常勤ですが心理職が3名おります。それと非常勤ですが、同伴児童対応指導員というのですが、保育士資格を持ったものが今年度は週4日の非常勤が2名ということです。

 福祉の経験がある人が大半ですが、20代から職員は60歳定年ですが、20代から再雇用の非常勤の職員65歳までまんべんなくおります。ただ、保育士の資格を持って保育園で働いた経験のある保育士も、要は生後5日目で退院してくる赤ちゃんのケアはしたことがないわけですね。御自分に体験があったとしても、職業としてはない。それで、支援員はプライベートではそういうことはない。

 そうすると、ここで看護師に沐浴とかを教わりながら現場でそれは獲得していくのですが、一番大きなことはやはり福祉の現場で働くモチベーションのある職員ですね。バーンアウトせず、共依存せず、適度な距離で人の人生に伴走できる。それは、福祉職の基本だと思います。

 ですから、そこはしっかり研修もやりますし、心理職と支援員と保育と多職種で住み分けてお互いにチームでやることをしています。それが利用者さんにとっても、この話は支援にしないけれどもこころ室でしようとか、この話は看護師さんだけでなく保育士さんにしようとか、そういう一つの中で多職種が協同する現場でやっているのが人生模様としては大事と考えております。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。よろしいですか。

 では、山縣先生どうぞ。

 

○山縣構成員

 貴重な勉強の機会を与えていただいて、ありがとうございました。

 大きく2点教えていただきたいのですが、1点はこの資料にもありますように慈愛寮の目的からするとどうしても短期ケア、短期入所にもならざるを得ないということなのですけれども、そうすると自立支援といいますか、退所に向けての準備が非常に重要になると思うんですね。幾つかデータが入っているのですけれども、食事づくりの話とか、いろいろな講座の話が入っていますが、今、現場においてその中で非常に重視しているもの、あるいは利用者の方々を考えたときにこの部分が非常に困難だなとか、そういうものがあれば教えていただきたいというのが1点です。

 それからもう一つは、乳児院とか母子生活支援施設等のその後の社会的なケアの枠組みによれば、恐らく多くはその施設の方々が中心で対応されるということになると思うのですが、一般のアパートに住みますとか、そういう例があって、たまに帰ってきますよというお話がありますけれども、そこらあたりのアフターケアといいますか、退所の部分でどういうところが非常に困難であったり、課題が多いと思われているのでしょうか。その2点をお願いいたします。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 課題ばかりです。私どもは余りにも短期なので、願わくば母子生活支援施設に入所できるように頑張っているのですが、これも制度の壁でして、本人が支援を受けている実施機関(自治体)の母子生活支援施設に入るのが第一義で、広域では入れないとか、いろいろな壁がございますので苦慮しております。

 慈愛寮を出て生後6カ月前後でアパートに行けるぐらいだったら、最初から慈愛寮に来ないでアパートで地域の資源を使ってやればいいことです。それができないから慈愛寮に来ているので、一番は母子生活支援施設にもうちょっとみんなが入れて、もう少し長期的スパンで支援を受けられるようにということなのですが、ただ、退所者支援は細金前施設長の時代から「たんぽぽ」という形で持ち出しで支援はしています。国の退所者支援制度なのですが、持ち出しのほうが多いぐらいで、毎月1回食事会を開いてお子さんといらっしゃいというのと、月1回アパートに訪問して、1年継続的に支援するのは何とかやっております。

 

○山縣構成員

 2つ目の質問に対してのお答えで、その枠組みに乗ってこられる方というのは何割ぐらいですか。毎月の会にお見えになる方ですが、これぐらい来てほしいよねとか。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 定員10名です。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 退所者訪問なども契約的な関係にしてしまうと、例えば退所者訪問してほしいですかと言って、してほしいという方だけにすると、これは全然成立しません。どんな生活をしているか私も行ってみたいなと言って担当の支援員が行く日を決めたりして、何となくずるっとしたおつき合いを続けていく中でその制度に乗れるようになっていくという部分も大事かと思っています。自分には支援が必要だと認識し、支援を求めることが出来るようになるための、支援が必要なわけです。

 ただ、なかなかその枠組みに乗れない方がいらっしゃるのは事実でございますので、それは本当に困って飛び込んでくるとか、何だかわからないけれども電話してきて、どうも何かありそうだとか、そういうことをキャッチしながらやっていくしかない部分もありますし、うまくいっていると思っていたら母子生活支援施設で母子分離になってお母さんは行方がわからいそうだということを後から聞いたりということも現実にはございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 相澤先生、どうぞ。

 

○相澤構成員

 きょうは、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。

 私は3つ聞きたいのですけれども、1つは社会的養護出身者が多いということでございますが、そうなると社会的養護をしている間に、乳児院や児童養護施設などに入っている間に何を彼女たちに提供していくというか、支援をしていったらいいかという、その課題は何かというのが1点です。

 それからもう一つは、福祉相談窓口への敷居が高いということで、なかなか相談しても言語化できずに実際に相談につながらないことが多いということでございますけれども、どういう相談体制を組めば、そういう方が相談しやすくなるのかということが2点目です。

 それから3点目は、実際に今そういう方々の支援をしていく上で、具体的にどのような制度施策というか、一番優先的にやるべき事業なり、施策はなにか。その辺のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 社会的養護を出た後、住み込み就労でうまくいかなくなったときに仕事と住まいと同時に失うということで、女性の場合はそこで寮つきのキャバクラとか、寮つきの風俗につながることになってしまうことが大変多いということが1つです。

 それから、私が例として随分多いと感じましたのは、中学卒業時ぐらいに家庭統合された方がうまくいかないということです。児童養護施設も児童自立支援施設もそうなのですけれども、中学校を卒業したときにおうちに帰っても、そこにお母様の新しいパートナーの方などがいらっしゃると、そこで性虐待が生じたりということでおうちにいられなくなって飛び出すとか、お母さんとも関係性がうまく修復できないで飛び出すということが多い。

 そういう場合も、多くはそういう違法風俗店などを転々とするような感じで、援デリと言われるような違法風俗グループのようなところに所属するしかなくなったりするので、そういう意味ではなるべく長く見てほしい。社会的養護の中でなるべくちゃんと安心できるまで、18歳と言わず二十何歳まででもずっとつながりをつくっておいていただければ随分違うだろうなと思うことはよくございます。

 やはり、窓口ということで言えば、とても児童養護施設と関係のよかった方は、妊娠したときに児童養護施設に相談に行って、児童養護施設の方が福祉に御一緒に同行されてという例もありますので、やはりそういう中で人間関係がちゃんと継続できて、その職員さんがまだずっといてという中で社会的養護されていくということは、施設であってもすごく安定的な場合もあると思います。そうではなくて里親さんのような形で継続性があるということもあると思いますし、里親さんでも不調になった方、特別養子で不調になってとても大変な状態でいらした方もいますので、どのような社会的養育の形であっても、そこでうまくいかないときにフォローされるといいますか、そういうことの中でもうちょっと違ってくる可能性があるといいなと思います。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 あとは、窓口のことは、これも売春防止法の中にある3本柱の一つの婦人相談員さん、地域の相談窓口の方は窓口だけにいないでアウトリーチしてほしい。もっと出かけて行って実態を見て相談できる、そういうアウトリーチ型の相談が大事だと思うので、それは保健師さんもそうだと思います。そこを変えていかないと、発掘できないと考えております。

 それと、社会的養護の方も慈愛寮に見学にいらっしゃるのですが、性教育をどうしましょうという質問が多いです。私たちは、性教育というのは性の教育ではなくて生きる教育だけれども、まず望まぬ妊娠をしない。そこが大事かということと、性別問わずやはり性の問題をちゃんとどうやって伝えていくかは思春期から大事だと思っています。皆さん望まぬ妊娠で苦労していますし、あとは性を商売の道具にしないという根本的な問題でしょうか。売春防止法にかかわりますけれども、やはり性売をしてはならない。買ってはならない。性は商売ではないという文化をつくるしかないと思っています。

 

○奥山座長

 よろしいですか。

 

○相澤構成員

 あとは、制度施策について、これがあればいいのにと思えるような優先的に取り組むべき事業や施策があれば教えていただきたいです。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 私どもは、今は困難を抱えた女性のための包括的な支援の仕組みができるといいと思っておりまして、女性自立支援法をつくってくださいということを国にもお願いしているところでございますけれども、やはりいろいろな面で損なわれてきたものを回復するために、その人生のステージ、ステージでできることができたことによって今の大変さがあるとも思います。

 そういう意味で、私ども婦人保護施設としては女性の自立に向けた支援ということで、小さいときから女性がどういうふうに守られて、性的な搾取や性暴力なども受けないで守られてくる仕組みをちゃんとつくっていきたいということはあります。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 貴重なお話、ありがとうございました。

 私のところにも母子生活支援施設があり、乳児院があり、児童養護施設があります。そういう意味で、社会的養護とつながる社会的養護のケアリーバーたちの問題に非常に心が痛んだわけでございますけれども、そういう意味だけではなく今、社会的養護全般の問題のかなり多くは母子の問題が占めているという現実があります。

 私どもの乳児院にやってくるお母さんと子どもも、今のこのケースとかなりかぶっているケースが多く、最近ゼロ期で入ってくる飛び込み出産を始め、性被害、そういう意味で慈愛寮さんが今後、今の制度の在り方について何か御意見があればという中で、一点はせっかく引き受けた母子を未熟な状態で、また短期間で何らかの形で手放さなければならない仕組みについて何かお考えがあるでしょうか。

 今後、少なくとも3~4カ月という発達年齢で子どもとお母さんが、しかも大変未熟なお母さんたちが多いという状況でほかへ移さざるを得ないということについて、何か別の仕組みをつくることができれば、あるいは慈愛寮さんが今後仕組みを変えて、そのまま継続的にある程度支援ができるというような仕組みがつくれたとしたら、いかがですか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 まず、私どもの施設は本当に施設の交差点にあるような施設でございまして、乳児院や児童養護で育った方もいらっしゃいますし、それから私どもの施設から出た後、乳児院にお子さんを預けたり、母子生活支援施設で母子で生活する方もいます。慈愛寮だけで完結する支援などということは本当にありませんので、母子生活支援施設につながって、それも母子生活支援施設の支援だけでも足りなくて要対協を開いていただいて、では母子生活支援施設にプラスアルファの地域支援をどうやってつけていくかとか、児童福祉司さんの訪問も入れてとか、保健師さんの訪問も入れてとか、そうしながらやっと支えている方たちも現にいらっしゃいますし、それでもうまくいかない方たちもいらっしゃるわけです。

 ですから、ある意味で一つのことで絶対に完結はしないと思うんですね。そういういろいろな機関や施設がどうちゃんとつながっていけるかというところをつなぐ仕組みというのでしょうか、その辺がすごく大事な気がしまして、塩田先生の施設にもうちで生まれた赤ちゃんだったお子さんがお世話になっています。お母さんも一生懸命世光寮さんに通われながら、養育を託されている。でもお母さん自身が抱えている課題が余りに大きくて、まだまだ大変だと思います。私どもも時折お母さんの話も聞きながら、お正月などにはお子さんを連れておせち料理を食べにきたりという関わりが続いています。やはりそういういろいろな支援者がかかわりながら母子分離後の母親を支える仕組みがもっとつくられるようになれば、違ってくる部分が多いのではないかと思います。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 あとは、今ある制度の中で変えていけるとしたら、もう少し母子生活支援施設の引き受けですね。あいている施設がいっぱいあるけれども、そこに入れないのを変えていくことと、障害者総合支援法はその人の支援ですが、グループホームも親子で使えないので、それを母子で使えるようになればと思います。

 その突破口を開きたい。そうしたら、もしかしたら父も来られるかもしれない。そうなれば、家族統合ができるかもしれない。障害者総合支援法のグループホームだから、やはり住むところが大事じゃないですか。子どもを育てる、赤ちゃんをその地域で育てる拠点、居住先をどこに定めるかの制度をまずしっかりさせたいというふうに慈愛寮は考えています。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

10代の母親とお子さんを親子で見てくださる里親さんもあるといいなと思うことがあります。というのは、母自身が被虐待児である1617歳の方の、養育の課題が大変重いからです。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。先ほどの連携のところで伺いたかったのですけれども、特定妊婦さんということになれば本来、要保護児童対策地域協議会が支援する。それで、慈愛寮さんにお願いをしている間、その方たちが適度に訪ねて来て、そのまままた地域に戻ったとき、支援が継続されるという形は多くの場合とられていると考えてよろしいでしょうかということが1つです。

 それからもう一つ、もしかしたら特定妊婦さんという形で捉えられていなかったけれども、先ほどの飛び込み出産で慈愛寮さんのほうにお世話になった方々に関して、多分1カ月健診は産科医療機関でしょうけれども、4カ月健診だと地域の保健所になりますね。曽於関係を含めて、地域の保健師さんに来てもらって、いい関係をつくって地域に帰るというような形で保健師さんが協力してくれるとか、地域の要対協とか保健師さん、母子保健との関係性について少し教えていただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 要対協ができたことはとてもよかったことだと思っているのですけれども、実際には妊婦のときから開かれることはすごく少ないです。まず慈愛寮に入る前に、私どもも慈愛寮に入る可能性もあるかもしれないということで呼んでいただくこともなくはないですけれども、大変に少ないです。

 むしろ施設に入るんだからいいという形で、施設に入ってみて本当にできなかったらそのときに考えましょうということになりがちで、私どものほうから一生懸命、とてもこの後が心配な方ですということを発信して要対協を開いていただくような形に持っていくといいますか、そういう方のほうが多いでしょうか。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 要対協は、お子さん中心ですからね。

 

○奥山座長

 一応、児童福祉法の中に特定妊婦として妊婦さんも対象にすると書いてあるので、本来妊婦さんも対象のはずです。今、市町村の支援指針をつくっていますけれども、やはり特定妊婦さんをどう支援するかということは市町村のテーマでもあり、要対協のテーマでもあります。非常に大きなテーマだと思うんですけれども、なかなかそこまでいっていないと考えていいですか。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 そうですね、出産後の要対協開催のほうが多いです。それでも今年度は様々な地域で出産し、育てきれずにお子さんを手放してしまって、今度こそ東京に来て今お腹にいるこの子を産んで育てたいという特定妊婦の方の 要対協が 出産前から 開かれて 出産後もフォローし、ご本人も過去に手放した子どもの振り返りもでき、人生の再出発ができたケースがありました。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 さっきお聞きすればよかったのですけれども、母子生活支援施設の入所がなかなか思うようにいかないというのは、東京都でも同じような状況が起こっていますか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 特に、東京に顕著ではないかと思っています。東京の23区は自区内の母子生活支援施設しか入れませんので、他区にあいているところがあっても入れないということがあります。

 

○加賀美構成員

 このことは前回の検討会でもちょっと触れたのですが、母子生活支援施設は全国市町村が窓口になっていますが、財政的な問題があるようでございまして、締め出してしまうというか、本来、母子生活支援施設入所のニードのこういうケースが受け入れられなくて、いつの間にかDVの避難場所というふうな構造だけで扱っているケースがあるので、そういったことは東京でも同じようなことが起こっていますか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 はい。私たちは、母子生活支援施設に入れたい。母子生活支援施設のほうも、あいているのだから受け入れたい。だけど、なぜか入れないということが現状としてはたくさんあると思います。

 

○加賀美構成員

 わかりました。ありがとうございました。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 関連で事務局のほうに伺いたいのですけれども、産前産後母子支援事業の実施要綱のほうです。これは、おおむね何カ月までということは一切書いていないですね。そうすると、ずっと母子生活支援施設だったらそのまま入れるというふうに解釈していいのか。それとも、産科医療機関が中心になる場合はこの事業の後のことがどういうふうに考えられてこの要綱ができているのか。その辺について、教えていただければと思うのですけれども。

 

○川鍋家庭福祉課長

 今お話の何カ月までとか期限とか期間を区切っていないのはケースによって違うということと、これは例えば産科医療機関の場合ですと、さっきのお話にもありましたような特定妊婦さんというのはいろいろな問題を抱えているので、支援というものは1つではない、幾つかの支援が必要になるということなので、そこで関係機関を巻き込んでいって、ケースによるでしょうけれども、短い人もあれば、ちょっとかかる人もいるかもしれませんが、その次の支援につなげていく。そのための自立支援計画をつくっていくというイメージで考えています。

 それで、産科医療機関とそうでない場合を書き分けているのは、やはり産科医療機関というのはそこで出産をされるわけですね、そういうことからちょっと書き分けて、産科医療機関以外の場合のイメージとしては、母子生活支援施設とか乳児院から婦人保護施設というようなイメージではありますけれども、そこではやはりその施設のそれぞれの職種の方がどのくらいおられているということはあると思うので、例えば婦人保護施設であればそこの施設の人たちがチームを組んで、さっき申し上げたような関係医療機関と出産をした産科医療機関ともチームを組んでもらって自立支援計画をつくっていただくということなので、特段その人の期限というか、有期で一律に区切ることはできないと思って考えています。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。それで、この事業のカバーする範囲というのは、その入所している生活費とお産の費用というふうに考えていいのですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 このモデル事業の費用は、基本的には人件費、コーディネーターを置いて自立支援計画をつくっていただいて、関係機関と調整をしていただくためのお金がかかると思っているので、基本的には人件費と、あとは連絡調整費とかもろもろの諸経費を考えているわけです。

 ですから、産科医療機関であれば本体の診療報酬というのはその人にかかるもの、それから施設であればその施設の措置費なり何なりでカバーすると。

 

○奥山座長

 すみません。お産は違います。お産は診療報酬ではございませんので。

 

○川鍋家庭福祉課長

 すみません。ちょっと間違えましたが、お産の場合はさっき言った入院助産とか出産費用については、例えば生活保護の中での対応ということになります。

 

○奥山座長

 ということは、この事業をやるのは先ほどの入院助産の施設ではないとなかなか難しいということですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 実質的には難しいかもしれませんが、実際に産科医療機関であれば先駆的にやっているところもあるので、そういったところをイメージしてつくっています。

 

○奥山座長

 というのは、例えば産科機関で入院助産を使ったとしても、本来退院になったらそれでおしまいですよね。その後、確かに支援をするためのコーディネーターと言っても、それは今でもやっていることであって、これをやってもそんなにプラスにならない気がします。

 いまひとつよくわからないのですが、母子生活支援施設は生活施設ですから、母子生活支援施設に入所という形で医療機関と連携しながらお産の前から、お産をして、後にというのは、それはわかります。それはずっと入所ということで、措置費ではないですけれども、入所のためのお金でやっていくわけですね。

 でも、産科の医療機関は出産が終わった退院ですよね。本来は出産の入院費でやってくださいということだったら、5日で退院するわけです。その間に何とかしろということでしょうか。よくその辺がわからないので、すみませんが、教えてください。

 

○川鍋家庭福祉課長

 その間も含めてなのですが、例えば一つの選択肢としてイメージしているのは、産科医療機関であれば生まれたお子さんにとって例えば特別養子縁組という道があるかもしれないわけですね。そうすると、それがふさわしいということであれば児童相談所も入ってそういう道を考えていくということも含めてのイメージでいます。

 

○奥山座長

 でも、それは今でもやっているのではないですか。うちの病院などではやっていますけれども。

 

○川鍋家庭福祉課長

 今は、社会福祉法上の届け出をすれば産科医療機関でもできますけれども、全ての産科医療機関がそれをやっているわけではないので、

 

○奥山座長

 児童相談所につなぐことはやっているわけでしょう。

 

○川鍋家庭福祉課長

 その児童相談所のつなぎ方というか、それが十分かどうかということをこのモデル事業で検証していくということです。

 

○奥山座長

 ということは、ここのモデル事業分というのは産科医療機関の場合はどのプラス分がモデル事業分になるのですか。さっきのコーディネーターさんは置きますという、そこだけですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 経費としては、そうなんです。言い方をかえれば、現にやっているところと、実際にコーディネーターをやっている人の人件費というのは現に持ち出しになっているわけです。それを、その部分のモデル事業の事業費として入れるのと、さっき言った関係機関を巻き込んでいただいてやっていただくという諸経費ということです。

 

○奥山座長

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 要するに、今度始まるこのモデル事業というのはコーディネーターですから、コーディネーターの人件費なので、具体的にどこの施設につなげていくのかといったソーシャルワーク、ケースワークの部分にお金がついていて、慈愛寮さんがお話されたような実質的な数カ月にわたる母子支援ではないということですね。

 そう考えますと、専門委員会報告書にあるような産前産後母子ホームのモデルではない。それはまた新たにその慈愛寮さんの実践を一つのモデルとして、この場で考えていくということではないかと私は思います。

 

○山縣構成員

 すみません。これも事務局のほうに、不勉強で教えてほしいのですけれども、2点あります。

 1点は、婦人保護施設と生活保護の出産扶助ではなくて、いわゆる児童福祉法の助産施設ですね。助産施設と婦人保護施設は、同時に女性は利用可能なのかどうか。出産の時期ですね、少なくとも婦人保護施設には1週間くらい、5日前後は恐らくいらっしゃらない。その部分がどうなるのかというのを教えてください。

 2点目は記憶が定かではないのですが、1516年前だったと思うのですけれども、母子生活支援施設の広域入所促進のための通知を出されたんですね。あれは義務ではなくて調整、お互い認め合ったのか、いろいろな条件がついていたと思うのですけれども、その調査というのはありますか。いわゆる東京の場合は拒否しているというか、広域入所をしませんよと区が宣言しているということなのだけれども、積極的にやっているところとやっていないところの緩やかな数でもいいから、調査というのはあるのかどうか。あれば、教えてほしいという2点です。

 

○川鍋家庭福祉課長

 最初の婦人保護施設と入院助産ですか。

 

○山縣構成員

 入院助産ではなくて、助産施設です。生活保護の出産扶助は併用できると思いますので。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 一回、退所となります。入院退所で5日後にまた再入所です。

 

○川鍋家庭福祉課長

 制度上は別々なので、整理としては一旦退所になると思います。

 

○山縣構成員

 結構面倒くさいですね。わかりました。

 もう一点のほうの広域入所のイメージは、その後どんな状況なのかわかりますか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 今、手元の資料がないので、確認してまたお答えしたいと思います。

 

○山縣構成員

 実態としては、現地の利用者が動いたりイメージできるんだけれども、拒否しているかどうかということが今、議論になっていたと思いますので、ありがとうございました。

 

○奥山座長

 先ほどの議論に戻るのですけれども、そうすると恐らくこの進捗状況について3ページにあります特定妊婦への支援で産前産後ホームに関するモデル事業の実施と書いてありますが、この産前産後母子支援事業は本来の目的とは違うものと考えたほうがいいですね。産前産後母子ホームということで以前の審議会で提言されたことと全く違う事業ですね。そこは、認識しておかないといけないと思います。

 

○川鍋家庭福祉課長

 すみません。そもそもお考えになっていた産前産後母子ホームですか、さっきおっしゃっていた部分というのはどういうものですか。

 

○奥山座長

 審議会で話されて、報告書に書いてある問題です。それに関してはやはり生活の場です。基本は生活の支援であり、生活の場が必要なのです。ですから、「産前産後母子ホーム」なのです。それが産前産後母子支援事業だと、これは全く違った話なので、コーディネーターがいるだけで生活の場がないということは、提言で言う「産前産後母子ホーム」とは切り離して考えなければいけない、つまり、提言実現のためのモデル事業とは考えられないという整理でよろしゅうございますね。

 

○川鍋家庭福祉課長

 わかりました。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 先生方に議論していただいた産前産後母子ホームは、恐らく新しい施設体系をつくるようなイメージのものになるのかなと思っています。

 ただ、母子生活支援施設できちんと住む場所も確保しながら妊婦さんを受け入れてという形態もこのモデル事業の中では考えています。

 ただ、お金が別に出ないじゃないかということについては確かにおっしゃるとおりで、今回はそのコーディネーターの費用しかモデル事業としては用意していないということになります。そういう母子生活支援施設でやるような形態も含めて考えているという意味では、産前産後母子ホームの考え方に近いものをモデル的に少しやってみたいということで考えています。

 

○奥山座長

 もしそうだとしたら、本来は産前に母子生活支援施設で、出産は医療機関、そして産後の母子生活支援施設という生活の場があって初めて産前産後のケアだと思いますが、コーディネーターの存在する機関でのタイプ分けになってしまっています。医療機関側はまさにコーディネーターしかいないのだったら、今ソーシャルワーカーがいる病院での出産と何ら変わりがないことができるだけの話になってしまうと思います。

 

○慈愛寮(熊谷施設長)

 今はっきりわかったのですが、母子生活支援施設の方々が心配して見学にいらっしゃったときに、要は予算はつかないけれども夜勤体制でやらなければとか、離乳食を調理しなければとか、仕事がふえるという感覚だったので、それは趣旨としては違うのではないかと思ったのが、今よくわかりました。

 そうではなく、本当に特定妊婦の支援として根幹にある軸は何かということを、この事業をやるときに母子生活支援施設の方に言わないと、労働が過重になるだけというと本末転倒なことになるかなと思ってしまいました。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 藤林先生、どうぞ。

 

○藤林構成員

 このモデル事業はコーディネーター1人なので、実際にコーディネーターを置いていろいろな特定妊婦さんに対して具体的なケースを蓄積していって、その上で本格的な産前産後母子ホームを、例えば乳児院とか、母子生活支援施設とか、NPOとかが行っていく場合に、どのようなコストが必要なのか。どういう人件費が必要なのかということを出していくのであれば、モデル事業としての十分な意味があるのではないかと思います。

 

○奥山座長

 そういう方向性なのですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 そういったものも含めて考えたいと思いますし、母子生活支援施設でやる場合、産まれるまでは婦人相談所からの一時保護委託という形になりますので、その間は一時保護委託としてのお金は出るのですけれども、産んだ後は母子生活支援施設を母子として利用するということになるので、このモデル事業としてのお金は出ないのですが、既存のものも活用して、どんなことにお金がかかるのかとか、どんな支援が必要なのかとか、あるいはどういう人が必要なのかというのをモデル的に確認していくということかと思います。

 

○奥山座長

 それができるのは、この2つの形の中で、これから何が必要かというのがわかるのは母子生活支援施設型のほうで、医療機関型だとわからないですよね。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 医療機関だけでやろうとするともちろんできないと思います。コーディネーターをどこに置くかということで書き分けていますので、医療機関でやる場合も母子生活支援施設なり、住むところを確保してやっていただくということをしないと、確かに意味のない事業になってしまうと思います。そこはちょっと注意したいと思います。

 

○奥山座長

 手を挙げてくれるところはありそうなのですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 1つは、産科医療機関については、実は産婦人科医会の御協力を得てこの事業については周知していくということを今、進めつつあるのと、施設のほうはそれぞれの施設協がありますので、そこを通じて去年の段階からこの事業については説明をしています。

 慈愛寮さんについて言えば中長期になるかもしれませんけれども、先ほどのいろいろな新法の話の中の打ち合わせのときも含めてうちのほうの担当職員が行ってお話をさせていただいていると思います。

 あとは、おっしゃっていた産前産後ホームの話については御指摘のとおり、今後そこに向けてどうなっていくかという議論が出てくると思うのですけれども、この事業は多分産科医療機関の話と施設型の話とはやはり違って整理をしていくことになるかと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 ただ、産前産後母子ホームの形、あり方はこの事業と関係なく議論していかなければいけないと思います。

 

○松本座長代理

 このモデル事業のことに関してですけれども、産前産後母子ホームということをにらみながら、どういうことが必要かということを考えていくことの一つのステップだと考えたときに、出していただく報告書の中でもう少しそういう点を、これは報告書という形がいいのか、それとも最初からそういうことをにらんでこういうことについても検討してくれというふうに示しておくのがよいのかというのは御検討いただくことかと思うのですけれども、ここを含んでモデル事業をしていただくというふうな形のフォームにしたほうがよいのではないかと思いました。これは、意見です。

 

○奥山座長

 これは、報告書では22ページですか。

 

○松本座長代理

21ページから22ページです。特に22ページのところで、いろいろとどういうことがよかったかとか、困難であったかというふうに書くようなところですね。

 

○川鍋家庭福祉課長

 ありがとうございます。御指摘の点についてまだ発出しておりません段階なので、できるだけここは御意見に沿うような形でもうちょっと肉づけができればと思います。

 

○松本座長代理

 そのときに1つは生活の場が必要だということと、もう一つは今の慈愛寮さんの御報告でもあったように、やはり特定妊婦さん特有の支援の形なり必要なところというのがあると思います。単に住居ということと、もう一つは個別的な支援で個別的な困難にかかわってサポートしていくような支援と、多分その両方のことをいろいろ見ていただくというのが大事かと思います。

 

○川鍋家庭福祉課長

 わかりました。ちょっと書き加えるように中で検討して、もう少し詰めて出したいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 伊達先生、どうぞ。

 

○伊達構成員

 先ほど先生のほうから、中卒で養護施設から家に帰った後、うまくいかなくてそちらのほうに結びついてくるケースが結構いる。それが社会的養護歴の中にカウントされているということをお聞きしたのですけれども、そういうケースのお母さんの場合、皆さんのほうに養護施設に対する恨みごとを話されるのか、あるいはその後に戻った家の恨みごとを話されるのか。本当はどうしてほしかったのかということをどのように話されていますでしょうか。それを教えてください。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 もっと施設にいたかったという方が、比較的多いかと思います。家に帰りたくなかった。施設で不調だった方もいますから、とにかくどこにも居場所がなかったという感じの方ももちろんいるんですけれども、せっかく施設で落ち着いていたのに家に帰りたくなかったという方は何人か聞きました。

 ただ、その後のフォローは多分なかったのだろうと思いますので、そういう調整役がなかなか不足だったかもしれないし、どういう家庭かということに対してのアセスメントもどうだったのかと思うこともあります。児童自立支援施設の場合は(その辺の事実はどうなのかわからないのですが、)「私が高校に入れなかったのだから仕方ないけれども」とか、そういうふうに言っていた人もいました。

 

○伊達構成員

 そこら辺の問題なのですけれども、例えばこういう母子に出会ったときに前にいた養護施設に連絡をとると養護施設の人が来てくれて、そしてその子どもがどういう生活をしていたとか、どういう思いをしていたとか、あるいはその後の相談にどうつなげていくかとか、そういうふうな話でつながっていくものなのでしょうか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 関係のよかった方は、施設の職員の方がお祝いに来てくださいます。それで、ある施設の職員の方は中学で家庭に返すことは、やはりその子のことがあったのでそれ以降やめたという施設があって、それぐらい思いを込めて何回も、

 

○伊達構成員

 その人が施設をやめたんですね。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 いえ、施設が中学卒業の時点で親元に統合することをやめたんです。退所後妊娠して慈愛寮に来ることになった子のことを支援上教訓的に考えて、やはりちゃんと長く見守らなければいけない、あるいは18歳を超えても見守りたいと思われた施設がありました。この子は中学卒業時に不本意に返してしまったためにお父さんから性虐待を受けてこんなことになってというふうに思って、何回も来てくださったりした施設の方もいますし、自立援助ホームの方などもよくお祝いに来てくださいます。赤ちゃんが生まれておめでとういう形でかかわってくださるような、良好な社会的養護との関係があった方は自分から出産を知らせています。

 ただ、絶対に知らせてほしくないし、連絡をとりたくないという方ももちろんいらっしゃいます。

 

○伊達構成員

 ありがとうございました。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 

○山縣構成員

 別件でいいですか。質問ではなくて、意見です。

 この検討会でいつか言おうか言うまいか、ずっと迷っていた部分なのですが、きょうの話にもあったことと、この1カ月間私が振り回されたことの1つが、神戸のこうのとりゆりかご問題でして、国は今ずっと静観状態で都道府県のほうに任せている状態ですが、匿名型の預けとかの問題についてここのテーマかと思って、きょうはそのぎりぎりのラインのところだったと思うのですね。安全な婦人保護施設につながることでそれなりに安全な出産が確保できたけれども、そうではないパターンで神戸は今回は取り下げられたが、あのグループは京都、大阪、兵庫で3カ所でつくるのだという宣言をしておられるから再度また出てくると思うんです。

 その辺について、例えばドイツのような仕組みを考えていくのか、基本的にやめるのか、あるいは匿名そのものを認めていくのか。その辺もひょっとしたらここのテーマかなと思ってきょうは一言だけ、特に今すぐ議論してほしいわけではありません。そういう考えがありますよということだけです。

 

○奥山座長

 せっかくなので、こうのとりのゆりかごの預ける形と、それからもともとのドイツの中では・・・、今は匿名とは言わないんですよね。

 

○山縣構成員

 内密出産。

 

○奥山座長

 内密出産という形で産めるということを保障しているドイツの制度があるのですけれども、そういった制度があるといいと思われることはありますでしょうか。

 

○慈愛寮(細金前施設長)

 熊本のこうのとりさんについては、本当に全国から相談が集中していらっしゃるようなので、むしろあそこに預けられることが広く知られることによって、相談ができるんだという気持ちを喚起したのではないかと思います。やはりどこにも言えないことをどう相談するかという課題があらわれたと思っております。

 ただ、本当に匿名で置いていくことが、お子さんにとってはもちろん出自を知る権利の問題ということもあるわけですけれども、一方、お母さんにとってもどうなのだろうか。ほかにどうにも方法を見出せず、こうのとりのゆりかごに託すしかないということもあろうかと思いますので、そうなる前の何らかのフォローというものになぜ繋がらなかったのかという気もいたします。母子分離になったあとの、母親に対する支援の難しさと大切さも日頃感じているところなので、そう思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 

○藤林構成員

 今のことに関連して、要するにきょうお話いただいたような産前産後ホーム、特に妊娠期の生活の保障とかケアの保障ということがあれば、ひょっとすると内密出産という方法を選ばなくてもいいのではないかと思うんです。ですから、本来はこういう特定妊産婦さんだけの非常にきめ細かなたくさんの経験を積んだ施設が東京に1カ所あるのではなくて、やはり全国どこの都道府県にも最低1カ所、政令市に1カ所あるような仕組みを考えていくということが重要であり、それでもなおかつどうしても内密で出産するという方があるかもしれないし、ないかもしれないと考えていくべきではないかと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員

 せっかく言ってくださったので、私もこの女性たちは緊急下の女性で、ドイツでもきちんとこのとおりやっていて、緊急でどうしようもないのでその間お預かりして、できればドイツもゆっくりその子どもさんとお母さんを再統合させていこうという方向の動きが基本にはあると思うのです。

 それが匿名という制度になってしまうと、なかなかそこのところが違ってくるのではないかという気持ちがすごくありますので、この緊急下の女性をサポートするという意識をしっかり持つことが大切なのではないかと思います。以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。

 山縣先生、何かありますか。

 

○山縣構成員

 議論を最初から聞いていないので、とりあえずこの範囲ですよということだけちょっと頭に入れておきます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。よろしいですか。

 そうしましたら、ここで10分ぐらい休憩をとって後を進めていきたいと思います

 慈愛寮の方々、どうもきょうはありがとうございました。とても参考になりました。

 

(休憩)

 

○奥山座長

 それでは、時間になりましたので先に進めたいと思います。

 前回、途中になっておりました「自立支援」のことについて話を続けていきたいと思います。前回、自治体が措置した子どもの自立していくまでの責任という話が理念としては非常に大きく出ていたと思います。

 一方で、今回、4月から始まります事業として幾つかあるのですけれども、その中で「社会的養護自立支援事業等の実施要綱」というのがありまして、前回のこの検討会の後で非公開で詳しくみんなで話をさせていただいたわけですけれども、それに基づきまして多少、要綱の変更をしていただいた部分がありますので、そこを御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 事務局でございます。参考資料2に実施要綱の案を載せておりまして、社会的養護自立支援事業については7ページからになっております。

 前回、意見交換会を開いていただいたときに要綱をお示ししまして、その後、幾つか御助言をいただいたものを踏まえて修正をしております。

 1つが、7ページの2番の「実施主体」の部分でございます。4行目にただし書きを加えております。この事業については委託が可能という書き方をしてございます。いただいた御意見が、基本的にはコーディネーターを配置するは、委託して民間に配置するということではなくて、実施する自治体みずからがコーディネーターを配置してやるというのが適切なのではないかということで、御意見をいただいた部分を少し反映しております。

 自治体がみずからコーディネーターを配置するというのを基本に考えたいとは思っているんですけれども、中には適切に児童相談所もフォローしながら継続支援計画を策定してというやり方で、ただ、コーディネーターについては民間のNPOなりに配置するようにしたいという場合も想定されるのではということで、このただし書きを加えています。

 「ただし」ということで、4の(1)というのが継続支援計画を作成するコーディネーターの配置の部分なんですけれども、都道府県等がみずから実施することを原則とするということで、自治体で配置するのが基本ということをここで強調するようにいたしまして、そうではない場合については計画策定に当たってきちんと児童相談所が会議の出席ですとか、その計画策定に当たって関与をするというのを担保してくださいということを書くようにしました。それが1つ目です。

 2つ目が、同じ7ページ目の3番に「対象となる者」ということで書いておりまして、(1)の「4の(1)から(3)の事業」というところの4行目からただし書きが書いてありまして、その下、6行目になお書きで書いております。ここが、追加した部分でございます。

 これにつきましては、この継続支援計画というのは基本的に対象とされる全てのお子さんについて計画がつくられるべきではないかという御助言をいただきましたので、その部分について少し書き加えたものです。

 「なお」ということで年齢到達、これは「等」とか書いたほうがいいかと思いますけれども、年齢到達により退所、委託解除、援助の実施が解除された全ての者を対象に、この継続支援計画を策定するように努めることということを追記しております。

 3つ目が、次の8ページの4番の「事業内容」の柱書きの部分です。「必須の事業として」ということで、ここでは(1)と(4)の事業が必須ということで、支援コーディネーターを置いて継続支援計画をつくるというのが(1)で、(4)というのが生活相談の事業というのは必須というふうにお示しをしております。

 ただ、これにつきましてはそうではなくて、居住に関する支援ですとか、生活費に対します支援というものだけでもできるようにしないとまずいという御指摘をいただきましたので、それについては留意事項のところでもともと書いてはいたんですけれども、それだとちょっとわかりづらいという御指摘がありましたので、ただし書きを追加しています。

 ただし、速やかに必要な子どもに支援が行われるように、「当分の間」と書かせていただいておりますけれども、(1)と(4)の事業を実施しない場合でも、(2)と(3)の事業による支援を行うことができますということで、コーディネーターの配置ですとか、生活相談の部分をやらない場合でも、居住の支援とか生活費の支援というのは実施できるということを明記したのが3つ目です。

 4つ目が、11ページでございます。6番に「事業の実施にあたっての留意事項」ということで書いております。(1)の部分です。ここを少し書き加えていますのが、なお書きの部分でございます。先ほど申し上げましたコーディネーターの配置とか、生活相談をやらない場合でも、居住支援とか生活費の支給というのはできるということと同じような趣旨で書いている部分ではあるんですけれども、もうちょっと積極的に全ての自治体で実施されるようにというようなお話もありましたので、ここについては積極的に活用するようにということを書き加えるようにしています。

 変更したのは、この4点でございます。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 よろしいですか。まず変更したことを御報告いただきました。その上で松本先生のほうからペーパーが出ておりますのでその御説明をお願いしたいと思います。

 その御説明をいただく前に、井上先生の資料は自立支援のことではないですね。

 では、まず自立支援のことをお話いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○松本座長代理

 松本です。お手元の意見というのは、資料6の構成員提出資料の1ページ目をごらんください。それで、これは前回の意見交換会の後、この要綱案について少し意見を述べたということであります。

 結論から言いますと、ここに述べたことは幾つかこの変更点に反映していただいているということでありますけれども、幾つかここで議論をして確認をしていくということも必要なことがあるかと思いますので、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

 その後、これは恐らくこの要綱だけではなくて、これはやはり出発点だと思いますので、その後のことも含めてどういうふうな形でこれをもっと広げて定着させていくといいのかという観点から議論が必要かと思いますので、そのことについても意見を述べたいと思います。

 前書きはいいにしても、懸念をしたことの1つが評価をするという立場からですけれども、やはり「手挙げ」ですので各自治体でやるところとやらないところが出てくる可能性があるのをどう考えるかということでございます。

 特に子どもさんの側に立ってみると、いろいろ必要に応じて22歳まで里親さんに入れる、あるいは施設で暮らすことができる県とそうではない県があるというのは大変大きな問題ではないかと考えたということが1点であります。

 2点目は、したがってなんですけれども、これは特に一体になっていると支援コーディネーターは人を雇わなければいけませんので、雇わないというところができないので、「居住に関する支援」と「生活費に関する支援」は先行して全国一律で行えるというふうなことは次善の策としていかがかということであります。

 これは、後で要綱の中にはこういう観点で反映していただいているように思うんですけれども、これは自治体のほうが手挙げをしなくても各施設の側が自治体のほうにこういうことでこの子をもうちょっと置きたいと言えば、それで事が進んでいくことなのかどうか、手続の点でもこれは議論なり確認をさせていただければと思います。

 3点目でありますけれども、これは本事業の対象で自立のために支援を継続して行うことが適当なものとなっています。結局、例えばそれは施設を離れる時点でわかるかどうかということがあると思うんですね。あるいは、どの子どもも心配ということがあるかと思うんです。施設を出るときには大変施設の中に適応していい子であっても、出た後でちょっとがたがたくる。あるいは、サポートが必要という場合は経験的には幾らでもあるわけです。

 ですので、やはり施設を措置した自治体がその後どうするかということを責任を持って考える。その上で、大変インテンシブに支援が必要な子どもさんもいれば、例えば半年後にもう一度会おうねとか、半年後、1年後と確認していこうねということが多いかと思うんですけれども、そういうことで濃淡があってもいいと思うんです。

 そうなってくると、やはり支援コーディネーターを置く、あるいは計画を立てるというのは自治体の側がきちんとコミットをして、具体的な支援というのはその子の必要に応じていろいろなところが行うということが適当ではないか。その対象になるのは、計画の策定というのは全ての子どもではないかと考えました。

 それで、先ほどの要綱案のところでは、自治体のほうにコーディネーターを置くことを原則とするとか、あるいは変更点として全ての者を対象にするように努めるということがありますけれども、もう少し強目のほうがいいのかどうか。私は、例えば「努める」ではなくて「全体を対象にする」と言ってしまったほうがいいように思っているんですけれども、それは議論が必要なことかと考えています。

 もう一つは委託をするというのでコーディネーターを、例えばどこかの事業所が受ける、あるいはアフターケアの事業者が受けるというときに、全県を対象に全ての子どもができるかというとやはり難しいですし、どうしても偏りが出ると思うんですね。そこの施設、あるいはそこにかかわっている子どもさんたちを対象にして、いろいろ継続的な支援が行われるということになるような機運があると思いますので、計画の策定は全体の子どもを対象にして自治体が責任を持つ。その上で、支援の必要に応じていろいろなところが支援を行うという形がいいのではないか。

 そうすると、実際に里親さん、あるいはそこで育った施設の人たちが継続的に支えていくということを一番の中心にしながら、自治体のほうでもそこをフォローしていく体制ができるんじゃないかと考えました。

 あとは、私の提出資料の3点目で、「したがって」ということがこの事業に対する意見でありました。したがって、以下の自治体の業務とすること、あるいは云々というようなことが今のところの意見であります。

 それで、もう一つ、この要綱のところ以外に、きょう西澤さんがいたら多分またそのことをおっしゃるかと思いますけれども、ここにいらっしゃる方の多く、あるいは全ての方が学校に行くときの費用、特に高等教育の費用をどうするのかということは大きな関心事だと思いますので、そこも含めて自立ということをどう考えるかというのは、やはり目指すべき制度の方向としてあるかと思います。

 特に、就労したときには貸付制度でも、お金の問題でいうと貸付制度になっていくわけです。それについては幾つかの事業が用意されていますけれども、実際に子どもさんの生活というのは、例えばちょっと気分が落ち込んで、あるいは精神的なサポートが必要で就労したり、しなかったり、就労もフルタイムでなくてパートタイムのものが幾つか断続的に続くようなことが多い生活ですから、そういうことを念頭に置いた無理のない貸し付けの形というのをもう一つ考えていかなければいけないのではないか。教育費の問題と貸し付けの問題です。

 もう一つは、今のここの議論は専門委員会のところで言うと年齢の延長というふうな文脈の中で議論されてきましたので、やはり18歳以降、あるいは20歳以降というところが中心になってくると思うんですけれども、もう一つは先ほどの慈愛寮さんのところでも出ましたように、例えば思春期のあたりで退所した子どもに結構リスクが高いといったことがありますので、それは年齢の延長ということだけではなくて、やはり施設を退所して地域に帰っていくときにどういうふうにフォローするかというふうな措置の施設を退所するときの地域生活のサポートの仕組みというのをもう一個きちんと議論をして、そことセットでこれは考えないと行く行くはまずいかと考えています。以上です。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 1つ、事務局のほうに確認があったと思いますが、県が全体として手を挙げないと全くできない。要するに、さっきのお話だと施設がやりたいからと県に言って、ではこの施設のこの子に関しては県としてもやるから事業としてやりましょうということは可能なのですか。さっきの御質問は、県として全体に関してやらないと事業にならないのですかということですね。

 

○川鍋家庭福祉課長

 この事業の実施主体というのが都道府県、指定都市、児相設置市ということなので、この事業をやる主体というのは今、申し上げた自治体になります。

 ですから、そこで全体としてというか、例えば県がある児童養護施設を運営する法人なりに委託してやるという道はありますけれども、それが県と施設との話し合いの中で、ではやりましょうということになって国に申請すれば、この補助金が交付されるということになります。

 

○松本座長代理

 そのときにその手続を経ないと、例えば居住の支援のところで少し年齢を超えても施設にいていいですよという話ですね。それは、例えば札幌市ならば札幌市、北海道ならば北海道がやりますよと手を挙げて、コーディネーターはまだちょっと雇えないけれども、ここで言うと2とか3の事業だけやりますよというふうに言わないと逆にできないということになりますか。今のお話ですと、そういうことですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 予算事業ということがございますので、あくまでも県のほうで予算化をしていただいて、要は手を挙げていただいてというのが前提にどうしてもなってしまいます。全ての県でやっていただくというのが一番いいとは思います。

 

○松本座長代理

 これは意見ですけれども、そうすると基本的にはこれは全ての県でやっていくようなものだというふうな枠組みをかなり強力にこちらがつくっていくようなことがないと、実際に子どもさんの側から見たときに、この国では何歳まで施設に入れるのかということがかなりまちまちだということに実質的になってしまう。それ自体はとてもまずいんじゃないかと思っているんです。

 ですので、基本的に私の考えでは1でコーディネーターがいて、きちんと計画があって、それに基づいて居住だとか生活費の支援があるということが順序だと思うんですけれども、やはりコーディネーターのところは人を雇わなければいけないので手が挙げづらい。

 ただ、2、3については、基本的にはやっていくんだという形で進めていくことがどういうふうにするとできるのか。もちろん予算事業でということでの性格はわかりましたけれども、どうやったらできるのかということはちょっと議論が必要かと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。基本的に、事業の限界があるのでしょうか。そうすると、事業じゃなくできるようにしてあげるというのが本来なのでしょうか。

 例えば、18歳を超えたら契約として生活できる。そこでの生活費が出るという形が、本来であれば望ましいのかもしれないと思いますが、とりあえずこれは事業でやるという形で一つの限界があるということですね。

 実際に施設の方がお三方おられるわけですけれども、これは使えそうな気がしますか。伊達先生、いかがですか。

 

○伊達構成員

 今これにぴったりのケースを抱えているというよりも、実はファミリーホームが1つ閉鎖になるものですから、そこで大学に進学の予定をしていた子どものフォローアップを弟がいるうちの施設でやろうというふうな形で動き出したんですけれども、そのお兄さんの資金をちょっと調べてみたら、ほとんどが育英会を含めて借り入れになるんですね。そうすると、何百万借りてしまうわけです。

 それで、その返済とかいろいろなことを考えるとこれは大変なことだなということで、できればこの資金を使いたいというふうに私どものほうは考えているわけですけれども、この子はこれまでうちにいた子ではないものですから、どこが申請をしてどこが許可するかという問題が出てきているんですけれども、皆目、誰もわからないんです。

 だけど、本当に一生懸命頑張ってやれた子ですから、短大ですけれども、進学して何とか借金を余り抱えずに出させてやりたいと思いますし、弟とのつながりのこともありますし、うちでできるだけのフォローアップをしようと思っていますけれども、結構そういうケースは多いと思います。

 

○奥山座長

 ファミリーホームがなくなるということですか。

 

○伊達構成員

 閉鎖して、やっている人が地方に帰ってしまうものですから、ファミリーホームはやはり難しいことも抱えていて、うまい具合にいかなくて、つくるよりも横浜では閉じるほうが多いじゃないかというふうな話の議論をしています。

 

○奥山座長

 そのほかのファミリーホームのお子さんたちはどこへ。

 

○伊達構成員

 それぞれ、行き場所は決まりました。たまたま3人、高3の子どもがいたのですが、そのうち1人の子がそういうふうな状況で、うちに弟がいた関係でうちのほうがフォローアップしましょうということで児童相談所を含めて相談を今していますけれども、この制度をどうやったら使えるのか。もし必要であれば、例えば変な話ですけれども、1日だけでもうちに措置して次の日解除してもいいよというふうなウルトラCみたいな話をしましたけれども。

 

○松本座長代理

 これは、例えばどこかの事業者とか、どこかの施設が受けるとして、そこの施設にいた子どもさんが実質的に22歳までいられるということではないですよね。制度の趣旨として、都道府県が実施主体ですから、例えば北海道がやるとなったら北海道内の関係する子どもたち全てが対象だということになりますね。

 そうすると、例えばどこかに委託してやるというときと、例えば北海道には政令市も入れて2425の施設があるんですけれども、どこかの1個が受けたとしますね。そうすると、あとの24はそこの施設に申し込むことになるということですか。そうではないですよね。これを読むと、都道府県にということですね。

 そうすると、それはどこかが受けるか、受けないかは別にしても、それは都道府県で直にその施設と、あるいは里親さんと直の話だということになっていくと思うので、これを読んだときの私の理解では、そんなふうに理解していいのか。そういうふうになると、基本的にはこれをやりますよと各都道府県のほうが言うということがまず第一歩かということなんです。そうすると、理解としては今、伊達先生がおっしゃったことについては、例えばファミリーホームなり里親さんなりと都道府県が直にやってくださいということになっていくということですね。

 

○奥山座長

 それに関しては前回、話が出ていた別の県の大学に入ったときどうするのかというところにもつながる話かと思いますけれども、その辺はいかがですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 もともといたところではないところの施設なりを利用する場合というのも、この事業を使えると考えているんですけれども、余りその趣旨が書けていないかなという気はしました。

 留意事項のところに若干、管外に引っ越した場合の支援の継続の話は、11ページの6の(7)のところに少し書いたんですけれども、ただ、よく読んでみると、引っ越し先の関係機関とも連絡調整を行い、必要な支援対英を確保するようにということだけでちょっと読みづらいかと思いますので、そこはもう一度考えたいと思います。

 

○奥山座長

 山縣構成員、どうぞ。

 

○山縣構成員

 今の部分は、やはりきっちり書いていただいたほうがいいと思います。大学の場合は、恐らく住民票を移動させる可能性が高いと思うんです。そうすると、どこの管轄だということを明示しておかないと結構混乱するかと思います。

 

○奥山座長

 その辺は行った先が事業主体になる。つまり、例えば高知県の施設にいるけれども、大阪府の大学に入りました。そうすると、事業主体は高知県ではなく大阪府になるのですか。

 

○藤林構成員

 本来は措置している都道府県、自治体が、予算を獲得し、転居していった自治体の施設なり、里親さんに支給費を払う。それで、そこの自治体がこの予算事業を予算化していなくても、それはするんだということじゃないかと私は理解しているんですけれども。

 

○奥山座長

 つまり、転居先の自治体がそれを予算化していなくても、例えば福岡市から大阪府の大学に入ったら、大阪府は予算化していなくても福岡市がお金を出せばやれるということですか。

 

○藤林構成員

 そう私は理解をしています。

 

○奥山座長

 了解です。

 

○山縣構成員

 それが決まっていないので、そこをどちらかに決めないといけないという話じゃないですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 整理いたしますけれども、通常の事業といいますか、措置の考え方でいくと、藤林先生がおっしゃるようにもともとの地元で費用なりを負担するというのが基本的な考え方だと思います。

 そうじゃないと、施設なり大学のある自治体が費用を全部負担しなければいけないことになるので、そこはもう一度よく整理したいと思います。

 

○奥山座長

 ただ、そうすると、県外施設とやりとりをしてお金を渡すという形になりますね。

 

○藤林構成員

 快くそこの県外施設が受けていただければ、でも余りあいていないので、多分横浜市などは難しいんじゃないかと思うんですけれども。

 

○奥山座長

 そういう整理で、大体よさそうですか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 この要綱は局長通知でそんなに細かいところまで書けていないんですけれども、今おっしゃったことはどういう形にするかは別にして、もうちょっとわかりやすく、具体的な話をどうするか考えます。

 それで、どちらで持つかという話は考え方が幾つかあって、元で持つか、行った先で持つか、あるいは協議で決めるかというようなやり方があるんですが、この事業自体はもともと措置ではなくなっているので、そこも含めて整理をして示したいと思います。

 

○奥山座長

 ただ、前回ここで出た話の一番根源的な問題は、措置した責任もあるので、やはり措置したというところが大もとになるほうが考えやすいということと、それから大学があるところがどんどん負担が大きくなるということを考えると、元のところがというほうがいいのかなという気はします。

 

○松本座長代理

 もう一つ、大学だけではなくて例えば北海道のことを考えたら、北海道の田舎のほうの施設を出た子の就職先が札幌だという場合とか、そういう移動もあると思うんです。そのときに、例えば北海道はやると言っているけれども、札幌市はやっていないという話になると、一々個別に協議をするかどうするか、もめごとの種が1つふえるみたいな形になっていくような気がするんです。

 ですから、原則的には全国一律でこういうことはやっていく。今年の予算事業の限界は限界としてありますけれども、方向としてそういうものとしてつくっていかないと、これはかなり使い勝手が悪いというか、結局どこか受けたところの情報のあるところが、これに合わせて就職先なり何なりを使うときに使うみたいな形になっていくような気がするので、せっかくつくったものがしぼんでしまうような気がして、それを恐れています。

 

○奥山座長

 伊達先生、よろしいでしょうか。

 

○伊達構成員

 わかりました。

 

○奥山座長

 塩田先生、どうぞ。

 

○塩田構成員

 各県によって措置ではなくなりますが、措置費の単価がやはり違ったりするので、そこは一律にするとか、しないとか、どこが出すかというのは明確にしたほうがいいなと 思っています。

 あとは、予算が決まっている中で、一体どのぐらいの子どもたちがこの制度を利用できるのかというのも私は知りたいです。例えば進路を決めるときはその年、高3になって初めて決めるのではなくて、高1のうちから、高2のうちからということで早いところから職員といろいろな話し合いとか、学校とやりとりをしながら決めていくわけです。その申請の決定というのはどのくらい前からわかって使えるのでしょうか。

 今年度うちの施設であったことなんですけれども、措置延長が可能ならば学校に行く。そうでなければ、私はもう就職します。職員とか施設に守られながら、3年間、学校に通うことはやはり厳しいので、 その 施設の中でこの生活が続けられるんだったら進学したいけれども、そうじゃなかったら働くんだという決め方もあったりするのです。どのくらい前からこの申請ができるのかというのはすごく興味のあるところで、申請しても100%それが通るわけでもないですよね。

 例えば、定員内で行かせるとなった場合は、やはり予算内の子どもたちしか行かせられないわけですから、それはいつくらい前から申請してやっていけるのかということと、これもちょっと本筋から離れているんですけれども、なぜ名称が支援コーディネーターなのでしょうか。支援福祉士とか、支援ソーシャルワーカーでないのはなぜなのかというのがちょっと疑問だったのでお聞きしたかったです。3点です。

 

○奥山座長

 いかがでしょうか。まず、最初のほうですね。

 

○塩田構成員

 予算があるので、大体どれくらいの人数なのか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 確認をする部分は後からお答えするようにいたします。

 決定の時期につきましては、おっしゃるようにお子さんの進路が決まらないというのが前からここの検討会でも言われている部分なので、何か工夫が必要なのかなとは思うんですけれども、この事業はずっと単年度の事業という前提では予算は毎年取っていくということにはなるのですが、1年限りということの事業ではないと考えると、あらかじめ決定してくださいとか、何か留意事項で書くとか、そういうぐらいしか。どれぐらい前にと言われますと、なかなか県のほうでの予算の何年度にどれくらいの人を見込むので、これぐらいの予算を用意するとか、そういうことも考えていただかないといけないのかなと思います。自治体と国との間では毎年の予算なので、申請を受けて決定するというやり方はどうしても変えられないんですけれども、ただ、お子さんのことを考えますと、やはり予算はどうしても年度、年度で区切っていくことになってしまうんですけれども、あらかじめわかっていないと安心して卒業なり進路が決まらないということがありますので、そこは何か要綱の中で工夫して少し書けるかどうか。

 ただ、それは実態が伴ってこないと意味がないので、どういうふうにしたらあらかじめ決定することができるのかというのはすぐに浮かばないんですけれども、問題意識としてはおっしゃるとおりだと思います。措置延長がぎりぎりにならないと決まらないというような話と同じようにならないような何か工夫ができればと思います。

 

○奥山座長

 推薦枠とかということを考えると、大体11月くらいから決まってくるので、そのくらい前には決めていただかないと、自分の進路選択が全くできないことになってくるというのが1つあると思います。

 それから、もう一つはこの話と直接関係する話ではでないのですけれども、措置延長に関してもやはりそこは配慮してほしいと思うし、それから措置延長に関しての20歳というのを、できれば20歳の年の年度末までにしてほしいというのは大きな願いなので、今後是非御検討いただきたいと思います。

 

○藤林構成員

 たしか、この検討会のヒアリングで元ケアリーバーの方が言われていて、なかなか措置延長が決まらないとか、結局は決まらなかったというようなお話があったと記憶するんですけれども、本来、措置延長を決める、決めないというのは多分、高校3年生の年度の一番早い段階とか、またはそのもっと以前の段階で進学を希望するのかどうかがだんだん決まってきたところで、児童相談所としては措置延長を決定するべきであり、またそんなに1年、2年で家庭状況が変わるわけはないですから、早く決めていくということが本来はあるべきじゃないかと思うんです。

 そういった部分が、都道府県によってその措置延長の基準が本当はちゃんとあるわけなんですけれども、ばらつきがあったり、措置延長の決定が遅くなったりというのはやはりおかしいんじゃないかと思うので、そこは児童相談所運営指針か何かに書かれてあるのかどうか、そこは読んでいないんですけれども、明確に書くべきじゃないかと思いました。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 先ほどの塩田先生のもう一つの、支援コーディネーターの話ですね。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 この事業では別に就労の支援ですとか生活相談という事業もありますので、適切じゃないということであればまた考えますけれども、実際に支援するのはまた別の人が担っていくというような事業ですので、コーディネーターとして全体的にこのお子さんについてどういった支援を利用できるときちんと自立につながっていくかということを計画をつくりながら考えていただく人ということで考えたので、コーディネーターという言葉を使ったということです。

 

○塩田構成員

 東京の自立支援コーディネーターからきているのかと思ったんですけれども、それとは違うんですね。わかりました。

 

○奥山座長

 よろしいですか。

 

○藤林構成員

 それに関連して、ちょっと私は席を外していたのでこの議論があったかどうかわからないんですけれども、自立支援コーディネーターの対象者はあくまでもこの事業に関係する18歳で措置解除された方、いわゆる措置解除された方だけが対象なのか。それとも、先ほどヒアリングでありましたし、松本先生の意見にもありましたように、高校中退する方とか、またはその施設での生活がとてもストレスになって、中学卒業と同時に家庭復帰する方もあるんですけれども、もうちょっと幅広く自立支援をソーシャルワークしていく方も含めるのかというのは、この要綱を読む分にはこの事業だけのように読めるんですけれども、そこはいかがでしょうか。

 

○奥山座長

 先ほどの7ページの3の(1)の1の上ですね。「全てのものを対象に策定するよう努めること」というのがあるのですけれども、その前を読むと、「年齢到達により退所、委託解除、援助の実施を解除された全ての」になっているので、一旦、解除の後にまたいろいろな問題が出てきたという人は対象になっていないという形になりますか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 ここの部分はそういうイメージではなかったんですけれども、少なくとも年齢到達で退所したお子さんについてはみんな計画をつくる。家庭に復帰されるお子さんとか、いろいろなパターンがあると思いましたので、少なくとも退所したお子さんについては全部対象という意味合いでここは入れた文章なので、特に一度自立をして戻ってくる場合というのもあるのかなと思います。ちょっと余りうまく書けていないのかもしれないです。

 

○奥山座長

 山縣先生、何かありますか。

 

○山縣構成員

 今のもう一つ前の段落を見たら16歳で出たらやはりだめのような、文章は18歳到達後から22歳までと明記してあるから、この文章だけから言うと難しいのかなという気がします。

 

○奥山座長

 ただ、16歳で出て18歳になった人もいいということですか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 すみません。ちょっとおかしな説明をしたと思いますので、訂正します。

18歳までであれば措置が可能なので、今までの措置のやり方で対応可能なんですけれども、この事業は年齢に到達した後のお子さんについての支援につなげていくということもありますので、基本的には年齢に到達した後のお子さんが対象だということです。

 

○藤林構成員

 要するに、18歳未満の子どもは通常の児童相談所のケースワークの対象なので、あえて支援コーディネーターの対象にならないけれども、18歳以降で措置解除になってしまった子どもは児童相談所としても終結しているので児相のケースになり得ないので、この支援コーディネーターのケースにしていくというふうな整理なんですかね。

 当然、措置中の子ども、または一旦15歳、16歳で解除されて、でもまた支援ニーズがある子どもは児童相談所が積極的にそれを受けて、またどこかに措置をするなり、自立援助ホームの入所にはつなげていくべきですから、そこは児相のエリアですよね。18歳を超えて解除してしまうと、もう児相は受理できないので、そこはこの支援コーディネーターがやっていくという整理ですか。

 

○奥山座長

 松本先生、どうぞ。

 

○松本座長代理

 きっとそうだと思うんです。それで、そこをどこがやるかというときに、どこか個別のところで委託というよりも、例えば児相なり役所の中にその退所後担当の人みたいな人がいて、出た後のことをいろいろコーディネートをする担当者がいるというのが支援コーディネーターのイメージで、例えばことし18歳で出た子ども、例えば20人とか、県で30人とか、あるいはもっと多くいるとしたら、その子たち全部についてどうしましょうかということを、コーディネーターとそれぞれの施設なり里親さんが一緒になって計画を立てる。

 それで、もうちょっと長くいる子については、そこでもう少し長くいてくださいね。そうじゃない子どもについて、就労するとか、いろいろなことで施設から離れる子どもも、では3カ月後にもう一回会いましょうとか、1年後にどうしているか一回相談しましょうね。あるいは、そういうふうにしてください。それをコーディネーターのほうにも報告してくださいねという形で進んでいく。私は、そういうイメージなんです。

 ですから、都道府県なり、児相に置くのかどうかは別にして、そこのところに年齢到達で措置解除後のことを考える担当者がいる。それで、いろいろな支援がコーディネートされるというのが基本系かなというのが、これを読んだときの私のイメージです。

 

○奥山座長

 それでよろしいでしょうか。

 

○川鍋家庭福祉課長

 そうではなくて、もしそうであれば参考資料の2ページの一番左側にあるように都道府県のとるべき措置、要するに仕事として位置づけないとだめなんですよね。それで、この事業というか、そもそも自立援助ホームの進学者だけは法律で書いたわけですが、それ以外のものは法律では書いていないんですね。

 ですから、予算措置をしました。予算手当をしてこういう事業を立てたということなので、全国一律の話とかというのはなかなか今の段階では難しいんですが、御指摘の点については今後の課題ではあるとは思います。

 

○奥山座長

 松本先生、どうぞ。

 

○松本座長代理

 ただ、都道府県の側がそういうふうなものとしてこの事業を使っていくことはできるわけですよね。

 

○川鍋家庭福祉課長

 それは、できます。

 

○松本座長代理

 むしろ目指すべきはそういうところだというふうなことを明確に出して、ただ、予算事業の限界は今の時点で私も承知をした上で、目指すべきところはどうなんだ。そうじゃないと、今ある例えばアフターケア事業所のところをもう少し強化していくという事業にもなっていくので、そこは最初の仕切り方なりはとても大きいかなという立場で発言をしています。

 

○奥山座長

 加賀美先生、どうぞ。

 

○加賀美構成員

 今の話は、基本的には松本案に賛成なんです。そうしないと、恐らく実態的にはさっき都道府県をまたがるというケースのときには、つまり連動しないだろうと思っているんですね。私も、自立援助ホームの利用で3人ぐらいいろいろあの手、この手をやって、施設のほうはあいているから何とかとなっても、送るほうも受けるほうも了解しながら、役所の側が結局こういう状態になったという経験があります。

 だから、公のシステムを使うことなので、やはり公のシステムの中できちんとした仕組みをつくっておかないと、多分実態的に動かないだろうと思っています。以上です。

 

○奥山座長

 いかがでしょうか。そうすると、児童相談所に関しては18歳までなので、この支援コーディネーターの方は児相におられた場合でも、自立支援に対するガイドラインのような考え方をきちんと出したものがないと、この事業だけだとそれぞれの県での考え方が全然違っていってしまう危険性があるという心配がありますね。いかがでしょうか。何か御意見はありますでしょうか。

 本来は、前から松本先生がおっしゃっているように、ケアリーバー法があれば、でいいのでしょうけれども、そういう法律がないので。

 

○藤林構成員

 要するに、ケアリーバーに対するさまざまなリソースとか、またはケースワークのあり方、ソーシャルワークのあり方という全体像があって、その中にこの事業があったり、自立援助ホームにおける事業があったり、またはほかのものがあったりというのがないと、このパーツだけでは十分な理解が深まらないということですね。

 

○奥山座長

 非常に大きな問題です。ほかの国で1つの法律になっているようなことですから、非常に大きな問題だと思いますけれども、松本先生あたりがガイドラインのドラフトを書いてくれるかなと・・・。

 伊達先生、どうぞ。

 

○伊達構成員

 前回の議論でしたか、ちょっと記憶が定かではないんですけれども、要するに施設、あるいは里親さんのやっている養育者というか、担当者が子どもとつながっているということだけではなくて、もっと制度的な意味ではちゃんと児童相談所にその子どものキーパーソンがいて、その人がずっとつなぎとめていくというふうな流れがもう一つないと、やはり子どもたちは途中で切れてしまうというのが今の制度の一番大きな問題だろうと思うんですけれども、そういう認識に立ってそれをどういうふうにつくっていくかということが必要なんだろうと思うんです。

 

○奥山座長

 そういう意味では、さっきの塩田先生のなぜコーディネーターなのだという疑問にもつながりますね。私のソーシャルワーカーさんと言える人がいて、その人が一つの資源としてこちらのコーディネーターが使うとしたらコーディネーターという考え方も一つあるのかもしれないですけれども、ほかにいかがですか。

 

○林構成員

 松本委員の提示された2番目の議論でもいいですか。

 

○奥山座長

 どうぞ。

 

○林構成員

 この事業自体は何をベースに体系的に実施していくかという認識についてですが、松本委員の2の本事業はその居住基盤をきちんと必須とする考え方に思えます。

 つまり、その生活基盤を保障した上で、あとはその他の(1)から(5)の生活基盤以外のところは付加的に考えてということかと思います。でもこの実施要綱はどちらかというと、そのコーディネーターとか相談支援というのをベースに、ほかは付加的に考えていこうという考え方で要綱がつくられているようには思うんですけれども。

 

○奥山座長

 いかがでしょうか。最初にこの要綱をつくられたときには、どちらを主体に考えておられているのでしょうか。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 どちらを主体ということではないんですけれども、もともとアフターケアの事業があって、今、一生懸命やっていただいている事業者の方もいらっしゃってという部分と、あとはたた単にお金を支給するというだけではなくて、その後の支援につながっていくということが大事ということで、コーディネーターの部分を必ずやってもらいたいという思いがあってこういう形にしたんですけれども、どちらがと言われると両方大事なんですけれども。

 

○林構成員

 以前、この検討会でも、その生活基盤というものと、それ以外のサービスというのも分けて考えて、状況に応じて場合によっては生活基盤さえ保障されれば相談支援は要らないという子どもたちもいるわけです。そういう考え方をすると、ベースというのはまず生活基盤かなと、私自身はここの会のそういう見方みたいものはあったのではないかと思っています。

 

○奥山座長

 そうですね。私も、最初にこの事業のことを聞いたときは、一番生活基盤というところを事業として持ってくるという印象はであったのですけれども、それにやはりコーディネーターも実際に生活基盤だけではなくて自立に向けたコーディネートが必要じゃないかという話で入ったような印象ですけれども、いかがでしょうか。

 松本先生、どうぞ。

 

○松本座長代理

 今、林さんがおっしゃったことに関連して、両方あると思うんですけれども、私はこの2のところを書いたのはせめて今いる子どもがぶつっと年齢で切られない。

 例えば、都道府県なりどこかでコーディネーターがまだ未配置の状態でも、そこの施設の職員さんたちと一緒にいろいろ話して、もうちょっとこういうふうにしようかというときに使えるということだけでも、まず確保しないとまずいんじゃないかというふうな形での2の書き方になっているので、そういう意味では生活基盤のことをまず先に考えるということになるかもしれません。

 コーディネーターというのは施設に、あるいは親から分離して別のところで保護下なり養護下で生活をするというときに、やはりいろいろな理由があって、それをどうしていくかという計画があるので、それが終結するときに、ではその後どうつないでいくかというような形でつないでいくことが大事だと思います。

 そういう意味では、読み方は別にして、コーディネーターという仕切り方が必要だろうとは思っていますけれども、それが手挙げ事業ですから、やはり人を雇うというのはひとつハードルがあるので、それがないと、ぶつっと切れてしまう形になることだけは、まず初発の段階で避けるということにして、考え方としてどういうふうな方向を目指しているのかということを共有してこれを使っていくという形にしないとまずいかと思います。

 そういう意味では、都道府県のほうがどういうふうに理解をしてこれを使っていくことにするのかということがとても大きいことかと思っています。

 

○奥山座長

 林先生、いいですか。

 

○林構成員

 はい。

 

○奥山座長

 先ほど伊達先生のほうからお話が出ていたのですけれども、今のこの制度的なものを全て考えると、アフターケアにしても、この自立支援にしても、全部施設に丸投げというか、だから児相は18歳になるともう終わりですのであとは施設でやってくださいといった話になっているような気がします。

 里親さんに関しては、包括的里親養育事業ができれば、そちらのほうでの扱いになるのかもしれないんですけれども、児童相談所が一体どこまで絡むべきなのかというのをもう少し考えないといけないのではないか。

 それに関して言うと、措置をした子どもに関しては、例えば18歳を過ぎても、少なくも相談は受けて、どこに相談に行ったらどうかというようなことが言えるようなところまで対応する必要もあるのではないかと思います。現在の児相は18歳を過ぎたら窓口でシャットアウトしているところがほとんどだと思うのですが、その辺はいかがですか。

 

○藤林構成員

 ですから、言いましたように児童相談所の業務というのは児童福祉法で規定されているので、19歳の方が来ても受理する仕組みになっていないんです。

 それは児童相談所の責務というよりは、その自治体がケアリーバーの方々に責任を持って支援を行っていくという位置づけにしていくべきであって、私はこの要綱を見たときに、その支援コーディネーターを必置にしているというのは、自治体がちゃんと保障する人材を置くのが最低限必要じゃないか。その上で、一つのリソースとしてこれも使いましょうという深い意味があるのかなと思ったんですけれども、深読みなのかどうかよくわからないです。

 ですから、先ほど言いましたように、児童相談所でカバーできない18歳以降の措置解除者は児童福祉法では措置も何もできないわけなんです。自立援助ホームは契約できますけれども、そういった方々をこの事業を使う、使わないは関係なく支援の対象にしていくというのであれば一歩前進になっていくんじゃないかと思います。

 ただ、これを児童相談所の中に置くところもあってもいいし、福祉事務所に置いてもいいし、どこに置いてもいいと思うんですけれども、自治体の責任として置くというのは松本先生の今までの主張の2が効いていくんじゃないかとは思います。

 

○奥山座長

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員

 その辺に関係してくると思うんですけれども、措置をした段階で親子さんを引き離して子どもさんに関しては県が責任を持ったわけですね。だから、市町村からその子どもに関する責任は県のほうにいきました。

 それで、その県のほうで見ていて、私はその分類をあえてもう一回出しているのは、要支援の4とか5という段階になった方たちが、そのまま支援はおしまいと、そんなことはないと思うんです。だから、4とか5になっている方たちが少し状態がよくなったので市町村に戻しますという格好になったときに要支援の3、2というような形になって、その中で生活とか、そういったところを市町村がちゃんと見ていきながら、1になりました、この方はもう解除でいいですねという格好で終結になるのが普通だと思うんです。

 それを一つの市町村だけが考えるんじゃなくて、私は5段階にしているんですけれども、国全体として最低限そういったものを共通認識として持っていて、それでどうやっていくかということを考えていけばある程度整理ができるんじゃないかと思っているんです。

 ですので、さっき藤林さんが言ってくださいましたが、市町村から出ていって、そして県のほうに入ってくる。それで、県のほうは18歳で終わりましたという形になったんだけれども、その人が住んでいる市町村のほうはまたちゃんと見ていきます。それは支援として見ていきますという認識が大事なのではないかと思います。

 

○藤林構成員

 ただ、そうは言いましたけれども、ややこしいのは、都道府県を越えて措置解除をされた人がいってしまうんですね。そこでまたケアリーバーの方のニーズが発生したときに、もともと措置した都道府県と違う都道府県がその人を支援コーディネートするのかとなってくると、またとてもややこしい話になって多分、大都市にはそんな方がいっぱい集まってくる。福岡市もいっぱい集まってくるんですけれども、そこをどう整理していくのかという課題はあるかと思います。

 

○奥山座長

 井上先生、どうぞ。

 

○井上構成員

 私たちの今度の法律では、県だけで考えるんじゃなくて、県が統括したそれほど大事な人たちに関しては、その県の動向をちゃんと見極めるために国がその方たちの状態も把握していて、順当にいっているかというところに責任を持たないといけないという形になっていると思うんです。

 だから、県を越えたところでいったとしても、そこの段階になったら国がその方をどうちゃんとなっているかというのをフォローするのは大事だと思うんです。

 それで、しつこくてごめんなさい。これで大事なことは、ここのケアがうまくいかなくて生活保護を受けるような形になるのか。そこはちゃんとした形で職業を持って税金を納める方になるのか。ここは、えらい違いになってくるんです。

 そういうことがあるので、国のほうもきちんとそういったところのケアも今後やっていきますという格好でやり始めていると思うので、そこのところを認識して、全体をつくっていただくというのが一番大事なんじゃないかと思っています。

 

○奥山座長

 松本先生に質問なのですけれども、海外のケアリーバー法などはどんな形になっているんですか。

 

○松本座長代理

 例えば、私は前にオックスフォードに行ったときに、オックスフォードのソーシャルサービスの中にケアリーバーの担当セクションがあって、そこは民間の団体が委託しているんですけれども、感覚で言うと児相に机があって民間のNPOの人がそこの机で一緒にやっている。そうすると話も早いしというふうなことがあって、そういうこともあると民間の委託というのもありかと思います。

 ただ、机は多分、児相にあったほうが話が早いんですね。そういうふうないろいろなやり方がある。ただ、受けている事業の主体はやはり公的な責任があるというところでやる。それで、児童福祉法みたいな形でのプロテクションの対象ではないけれども、そこに担当者がいて、イメージとしてそういうのは一つのモデルとしてあるから、そこをどういうふうに運営していくかというのを当事者が入った形でいろいろ議論をする。あるいは、自分の計画づくりと言ってもやはり自分がどうしたいかということをサポートしていくのが主だと思うので、プロテクションの観点というより、それはありかと思います。

 それで、多分オックスフォードに住んでいらっしゃるケアリーバーがその対象者になって、ロンドンで措置された方であろうが、マンチェスターであろうが、そこに居住しているケアリーバーが対象になっていると思うんですけれども、どうですか。そこは御存じですか。

 そこは確認をしていません。でも、恐らくそうだというふうに今のところ理解していますけれども、ちゃんと裏づけはとっていません。

 

○井上構成員

 私の知っている限りでは、イングランドはイングランドで、セーフガードでレジスターをとっています。だけど、そのレジスター制をとっている理由というのは、イングランドはその方を認識しました。登録しました。登録するかわりに、あなたはこういうサービスが受けられるんですよという形で、それに対してお金がかかりません。

 そのレジスターを登録するということに関して、約束ごととしてサービスの提供というものが決まっているんですね。だから、そのレジスターの中でフォローしているのは、少なくともイングランドはイングランド、ウェールズはウェールズ、スコットランドはスコットランド、それぞれの範囲の中の動きはそこが責任を持ってやっていると考えています。

 

○奥山座長

 ありがとうございます。レジストレーションしたお子さんがインテンシブな在宅支援を受けていようが、分離されたケアを受けていようが、レジストレーションされた人という認識があって、その方たちに対するケアリーバーへの支援ということになると、その国全体として考えるという形ですね。わかりました。

 

○松本座長代理

 特にケアを委託するリソースですね。それが同じ自治体にあるとは限らないわけですよね。例えば、里親委託するとか、といったときに。

 なので、そういうふうにもうちょっと包括的にしておかないと多分、回らないんだろうと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 だんだん終わりが近づいてきているのですけれども、大きな課題である自立ということを考えると、少なくとも先ほどお話ししましたように、自立支援の制度が次々に小出しに出てきて、それを結局自治体が自分たちの考え方で使ってしまうというのではなくて、自立支援の考え方がきちんとあって、それに応じて制度を使っていけるようなガイドラインという名称がいいのかどうかわからないですけれども、指針があったほうがいいと思います。そこをまとめの段階で考えていきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 

○松本座長代理

 いずれにしても、この事業はこの4月からの事業ですよね。これがスタートするというときに一番恐れるのは、全体の方向が示されないまま、個別のところで幾つかぽこぽこと手が挙がって、そこが既成事実的にやり始めて、基本的に例えば受けたところの周辺の子どもさんたちがこのサービスを受けることができる。

 特に大きな自治体であればそういうことが予想されるというと変ですけれども、そういう形でいろいろ走っていくというのはその後の修正が難しいように思うんです。ですから、むしろ初発の段階できちんと全体の子どもを対象にできるということがやはり委託の条件で、委託するときにその所管の都道府県なり、例えば札幌市なり、あるいは北海道なり、どういうエリアの設定がいいのかは別にして、そこの例えば里親さん、施設、あるいは自立援助ホームにいる子どもで年齢がきた子どもの措置が解除されます。そのときの子ども全体を見られるというのが一番大事なことで、ただ、インテンシブなケアは全員に必要かどうかというのはまた別の話だと思うんです。

 ただ、出た後にいろいろなことが起こり得るので、そこはちゃんとフォローできる。例えば、きょうの慈愛寮のようなところにも何かあったときにつないでいけるような仕組みをとっていくんだという考え方をきちんと出して進めていくということかと思います。

 それで、4月に手が挙がるということではないと思うので、その辺の考え方を整理して説明をしていくということをぜひお願いしたいと思います。せっかくできたいい取り組みだと思うので、これをきちんと広げていくという観点でずっと発言しているんですけれども。

 

○奥山座長

 それにしても、やはり全体像を出さなければならないので、この検討会としても全体像をきちんと見せる。その中の事業の位置づけという形になっていくかと思います。

 時間がきましたが、最後に加賀美先生どうぞ。

 

○加賀美構成員

 すみません。今、奥山座長から提案があった、何らかの形で支援をまとめて出すということはとても重要になってくるだろうと思って、つまりこの事業を4月からスタートしても実際にはかなりばらけるだろう。だから、すぐにそれができないにしても、今後の方向性としてそれを出していかないと根づいていかないのかなと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 ちょうど時間になってまいりましたので、きょうの会議はこれで終了したいと思います。今後についてですが、次回、一時保護所のことについて議論をしたいと考えております。

 ただ、皆さんも年度がかわってもこの会があるのかとすごく疑問に思われていたと思いますけれども、そろそろまとめをきちんと出していかなければならない時期にきていると考えていますの。ですので、これだけは議論をしておきたい、抜けている、是非にというものがあったら早目にお知らせいただきたいと思います。また、一時保護の議論をするのと併行して、私たちが今まで議論してきたこと、それから前の専門委員会の流れも含めて、どういう形でこの検討会のまとめをしていくかということも含めて、次回少し話に入りたいので、お考えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 では、事務局からよろしくお願いいたします。

 その前に、上鹿渡先生どうぞ。

 

○上鹿渡構成員

 最後にすみません。里親委託ガイドラインの改正の案もここに載せられていて、これで発出されるのだと思うのですが、里親支援事業は来年度からよりしっかりした形で実施されるということで、里親養育とその支援にかかわる状況がまたいろいろと変わっていくと思います。

 この里親委託ガイドライン(案)は、本検討会での議論を踏まえて、修正を加えていただき、それについて各構成員からの意見による微調整はできたのですが、ガイドラインについて直接の議論をするという時間をとるのは難しかったという現状がありました。ですので、今後状況が変わっていく中で、2年後くらいを目途に内容をもう一度しっかり見直すことを前提に今回現場に向けて発出出するという形としていただければと思います。これで全部決まりというよりは、状況にあわせて変えていくというようなことを考えていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

 

○奥山座長

 いかがでしょうか、事務局。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 今回は法律改正の内容を主にして、あとはここで議論いただいたものである程度合意いただいた部分を盛り込んだという形になっています。今後包括的な里親支援の話などがありますので、また必要に応じてといいますか、見直しをするということは当然やりたいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。そういうことでございます。

 

○上鹿渡構成員

 ありがとうございます。

 

○奥山座長

 よろしいでしょうか。では、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 どうもありがとうございました。次回につきましては、4月28日の金曜日9時半から12時半を予定しております。改めて御連絡をさせていただきたいと思います。

 次回は、先ほど少しお話がありましたように一時保護の議論をしていただこうということで準備を進めておりますので、また御連絡したいと思います。

 

○奥山座長

 ありがとうございました。

 

○事務局(田野家庭福祉課課長補佐)

 1点だけ、申しわけありません。今日ご説明した実施要綱についてはどうしても新年度に向けて出さなければいけないということがありますので、今の御意見を踏まえて事務局で直しまして新年度に、実施要綱を出させていただきます。

 

○奥山座長

 とりあえず、出す。でも、それに追いかける形でガイドライン的なものが出ていくという考え方で、仕方がないですね。よろしくお願いいたします。

 


(了)

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