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2022年3月18日 患者申出療養評価会議議事録

○日時
令和4年3月18日(金)16:00~
 
○場所
オンライン開催
 
○出席者

【構成員等】   
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 井上構成員 一色構成員
新谷構成員  辻構成員 手良向構成員  成川構成員 上村構成員松井構成員
宮川構成員 山口構成員 山崎構成員 寺田構成員 大門構成員 磯部技術専門員
 
【事務局】
 医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発
 戦略専門官 医療機器審査管理課長 研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他
 
○議題
1 患者申出療養の総括報告書に関する評価について
(患-1)(参考資料)
2 患者申出療養の試験実施計画の変更について
(患-2)
3 患者申出療養の取下げについて
(患-3)
4 その他
(患-4)(参考資料)

○議事
16:00開会
 
○福井座長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
本日は、先生方、お忙しいところ御出席ありがとうございます。
最初に先生方の出欠状況ですが、本日は、田島構成員、直江構成員より御欠席との連絡をいただいております。
また、総括報告書の事前評価をいただいた磯部先生には技術専門員として出席していただいております。
本日欠席されます構成員からは委任状の提出がありまして、議事決定につきましては座長に一任するとされております。
それでは、資料の確認を事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、構成員名簿に続きまして、患-1「患者申出療養総括報告書に関する評価表」という資料がございます。こちらには参考資料がついてございます。
続きまして、患-2「患者申出療養の試験実施計画の変更について」としている資料がございます。
続きまして、患-3「患者申出療養の取下げについて」としている資料でございます。
最後に、患-4「患者申出療養の実施医療機関における新規症例登録の再開について」としている資料がございます。こちらには参考資料がついてございます。
資料の確認は以上でございますが、資料につきまして不足、誤り等がございましたら、事務局のほうまで御連絡をいただけますと幸いでございます。
また、今回の患者申出療養評価会議におきましては、ウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前にお送りさせていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただければ幸いでございます。御発言される先生方におかれましては、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言をいただけますと、議事の進行上助かりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○福井座長
資料等について特に御不明な点はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、続きまして、今回検討対象となります技術等に関しまして、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告をいたします。
上村構成員、松井構成員より、「患-2」について御報告がございました。
上村構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円を超えておりましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないこととなってございます。
松井構成員におかれましては、自らが所属する保険医療機関による意見書の作成に係る医療技術であることから、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該医療技術に関する検討に加わることはできますが、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価には加わらないこととなります。
事務局からは以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
そのほか、出席されている構成員の先生方におかれましては、利益相反に関してこのような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。本日は、「その他」を加えまして4つの議題が用意されております。最初の議題「患者申出療養の総括報告書に関する評価について」の資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、患-1を御覧いただければと思います。こちらは「患者申出療養総括報告書に関する評価表」でございます。今回患者申出療養告示番号旧2番。耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法について総括報告書が提出されましたので、その評価の主担当を五十嵐構成員、副担当を大門構成員、磯部技術専門員にお願いしてございます。
総括報告書の本体につきましては、送付のみの資料としてお送りさせていただいておりますので、適宜そちらも御参照いただければ幸いでございます。
それでは、まず事務局より技術の概要につきまして御説明をさせていただきます。同じく患-1の8ページ目を御覧いただけますでしょうか。本技術の対象でございますが、既存の内科的・外科的治療によっても改善が認められない重症心不全の方で、心臓移植及びDestination Therapy(人工心臓の永久使用)治験から除外された方が対象となってございます。
こちらはJarvik2000植込み型補助人工心臓システム耳介後部モデルということで、本邦においては未承認の耳介後部コネクターを有する植込み型補助人工心臓を用いる技術となってございまして、主要評価項目としてはドライブライン感染の有無、副次的評価項目としては脳合併症、全生存率、QOL等を評価することとなってございました。
事務局からの技術の概要の説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、本技術の評価結果について、五十嵐先生から御説明をお願いいたします。
○五十嵐座長代理
ありがとうございます。
ただいま事務局から御説明いただきましたけれども、改めて簡単に御説明させていただきたいと思います。この植込み型補助人工心臓、Left Venticular Assist Device(LVAD)は、左心室にポンプを装着することにより、著しく低下した左室機能の改善を図るための重症の心不全患者さんへの治療機器であります。心臓移植が必要な重症心不全患者さんに対して、我が国でもこの治療法は広く普及しているところであります。
御存じのように、植込み型の補助人工心臓というのは、左心室に装着された補助ポンプを駆動させるためのバッテリーが必要です。バッテリーを体内に埋め込むことは可能ですけれども、充電量が限られていますので、通常はバッテリーは体の外に設置することになります。そのため、ポンプとバッテリーを接続する導線、ドライブラインとかケーブルが必要になります。
従来のタイプはドライブラインが左の脇腹から体外に出ているものが多く、実際入浴などの際に障害になったり、あるいは下腹部出口部の皮膚からの感染の機会が多いということが指摘をされていました。こうした問題を改善するために、本申出療養では、ドライブラインを体内で上のほうに持ってきまして、左の耳介後部からドライブラインを体外に出す。そのための耳介後部コネクターを用いて、植込み術実施後6か月間の安全性を確認することを目的として行われました。
患-1を御覧いただきたいと思います。この試験結果を見ますと、安全性の評価結果ですけれども、主要評価項目の植込み後6か月時点までのドライブライン感染の有無及び有害事象の発生状況についてですが、この研究における評価可能な症例につきましては、ドライブライン感染が確認された割合は1例中の0ということでした。
この研究に組み入れられた被験者は3名いらっしゃるのですが、有害事象は全て合わせますと18件ございました。そのうち転帰が死亡となったものが1件、被験者の死亡等により未回復となった事例が4件でありまして、内訳を見ますと、重篤と判断されたものが4件、重症度が高度と判断されたものが5件ありました。複数回確認された事象としましては、主要な感染。これは装置以外の局所感染が1件。体内ポンプ部品及び体内ケーブルでの感染が1件。神経機能障害が2件。不整脈が2件。呼吸不全が2件ありました。また、植込み後6か月間の間に研究機器の不具合は認められませんでした。
副次評価項目の1番といたしまして、手術後の副作用が3件ございまして、うち2件は呼吸不全でありました。重症度が高度と判断された副作用は、呼吸不全の1件でした。植込み後6か月の時点における脳卒中及び生存の評価ですが、脳卒中の発生がない状態の発生割合は0%。1例中の0ということで、発生したということだと思います。血液ポンプの修理または交換等のための再手術がない状態での生存症例の割合は3例中の1例、33%でありました。生存症例の割合も同じく33%でした。
次に、有効性の評価結果ですけれども、心不全の評価につきましては改善しています。身体活動能力も、いずれも1例しかないわけですが、改善をしています。6分間の歩行試験につきましても歩行距離が伸びています。QOLにつきましても健康状態のスコアも上昇しましたし、健康状態の改善も見られました。心理状態につきましては、術後変動はしましたけれども、満足度は上昇したということになっています。
結論といたしましては、この研究に組み入れられた被験者のうち1例が死亡し、1例が研究中止後に死亡となったことから、本治療を行う患者の適格性の判断及び術後のリスク管理について、より厳格に行う必要があると示唆されました。
また、評価可能な症例においてはドライブライン感染が認められず、各測定値に改善の傾向が見られ、QOLも日常生活レベルまで改善したことから、この植込み型LVADと耳介後部コネクターを用いた本治療は、植込み後の患者のQOLの向上について一定の意義があることが示唆されました。
4ページを御覧ください。実施症例における有効性につきましては、術後6か月間に2例が死亡し、本研究が中止されたことから、有効性について評価することができないと判断し、Dの「その他」といたします。
実施症例における安全性は、先ほど御報告したとおり、重い副作用や合併症が発生しておりますので、Cの「問題あり」といたしました。
技術的成熟度につきましては、Cの「当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制をとっていないと実施できないもの」と判断いたします。
5ページを御覧ください。技術妥当性、社会的妥当性等についてのコメントといたしましては、本治療法は既に海外では承認されている医療技術であります。したがいまして、技術的な妥当性の点で我が国においても導入があり得る技術と判断されます。しかし、今回の研究で本治療を実施した3例中2例が亡くなり、治療後の重篤な合併症の発生も少なくなく、その結果として研究も中止をされたということから、本治療を現時点で導入することについては、医学的にも社会的にも妥当性があるとは言えないと考えられます。
将来的な薬事承認及び保険導入に係る有効性、安全性の評価につきましては、薬事承認を得て保険導入するには、本技術の有効性や安全性を担保することが不可欠であると判断いたしました。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、大門構成員から御説明をお願いいたします。
○大門構成員
大門でございます。
ただ今、五十嵐構成員に非常に丁寧に御説明いただき、私の評価結果も全く同じものになっているのですけれども、詳細をコメント欄とともにお伝えいたします。3名中の1名におかれましては、有効性評価項目に関しまして改善が認められています。しかしながら、一方で、他の2名の方におかれましては、お一方は術後早い段階の24日目で研究の中止となっています。この中止理由を見ますと、本研究機器の血液ポンプの摘出または交換ということで報告がなされていました。その後、亡くなられておられます。
もう一方は、術後17日目で死亡されているということでした。当然ながら有効性に関する副次評価項目は観測されませんでした。
これらの結果を踏まえまして、重症心不全患者さんということなので、恐らく患者背景、術後のリスク管理の影響もあるのではと感じますが、Dということで評価いたしました。あくまでこれは今回の試験にエントリーされた被験者様における有効性の観点からの評価結果としてお伝えしております。
次に安全性に関しましては6ページ目をご覧ください。評価結果としましてはCと評価しました。これも有害事象が18件生じていますが、DL感染に関しましては、どの方も評価可能であった期間内において発生しませんでした。ただし、その有害事象の中で重篤と判定された3件、高度と判定された5件というのは、研究機器との因果関係はなかったのですけれども、研究そのものとの因果関係は否定できないという判断でありました。残念ながら2名の方が亡くなられております。
これらの結果を踏まえまして、患者背景、術後のリスク管理の影響もあるのではと感じますが、上記のとおり評価いたしました。
技術的成熟度に関しましてはCと評価いたしました。
以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、技術専門員として御参加いただいております磯部先生から御説明をお願いいたします。
○磯部技術専門員
榊原記念病院の磯部でございます。
私は、心不全あるいは重症心不全管理をしています専門の立場から技術的なことも含めて御説明、コメントを申し上げたいと思います。植込み型人工心臓は非常に件数が増えてきているところです。種類が幾つかございまして、その中でもJarvikというのは軸流型という非常に小型の、ちょうど人の親指ぐらいのサイズの人工心臓でございまして、パワフルな人工心臓でございます。
ほかにもタイプがいろいろございまして、HeartMateというのが今、一番主流になってございますが、HeartMate、あるいはJarvikを含めて、人工心臓の合併症率が極めて高くて、2年間の合併症の回避率は2割ぐらい。8割の方は2年間のうちに合併症等によって入院します。主に脳卒中、ドライブラインの感染、あるいは多臓器の感染、一部機械の故障等がございます。そういった中で、Jarvikというのは小型であるというメリットがございまして、従来、腹部から径が5~6ミリぐらいのドライブラインが出て、そこから電源の供給をするのですが、当然のことながら入浴とか水泳などのQOLに難があります。感染の問題を回避するということで、今回の技術の評価の対象になりました耳介後部にドライブラインを出すタイプが開発されています。欧米では実用化されて使用されているわけでありますが、今回機器について患者の申出に基づく臨床研究という形になったのが背景でございます。
評価につきましては、五十嵐構成員、大門構成員のおっしゃることと大きく変わるところはございません。
6ページにございますけれども、何より3名の対象になったこと。もともと組入れ予定数が6例だったと思いますが、結局、評価の対象になるのが3名で、うち1例が中止で、後に死亡。有効性、安全性の評価に足る観察ができましたのが1例ということであります。
感染に関する安全性とQOL等に関する効果を見るということだったと思うのですが、1例で効果があったという報告がございましたが、当然のことながら1例の経験で有効性について評価をすることは現実的には難しいと思います。
従って、実施症例における有効性は、「その他」のDにさせていただきました。ほかの構成員と同じ理由でございます。
安全性につきましても、御説明がありましたように、非常に多い頻度の軽いものから重いものまで、3例の中で18件の報告がございましたが、もとより、先ほども申し上げましたように、この技術そのものが従来型の腹部からドライブラインを出している、既に承認されているJarvikにおきましても合併症は決して少なくありません。もとより、重症心不全の方に使っておりますので、心不全そのもの、あるいは全身状態の悪化によるもの、あるいは人工心臓そのものの問題ということに関連した合併症も多々あるものと思いますが、今回の新しい技術がその安全性の評価をするには、やはり症例数が少ないこともございますが、必ずしも安全について担保できるという状況ではないということで、Cの「問題あり」とさせていただきました。
技術的成熟度もほかの構成員と同じように、これだけ合併症の多い機器でございますし、もとから重症の心不全患者さんに使用するということもございまして、判定としてはC「かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制をとっていないと実施できない」という評価をさせていただきました。
私からは以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの3人の先生方からの御説明について、構成員の先生方から何か御質問がございましたらお願いしたいと思います。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
御説明ありがとうございました。
1点確認させてください。安全性の部分についてということですけれども、安全性の部分については、もちろん今、評価が非常に難しいと。もともと重症の患者さんを対象としているということもありますし、また、患者さんの数も少ないということもあるかと思いますが、一方で、コメントの中で「患者背景及び術後のリスク管理の影響も考えられる」などのコメントもあったかと思います。海外では承認されているにもかかわらず、今回こういった重い副作用、合併症が発生してしまっている。今回このような結果になったことについて、その原因を示唆するようなものについて分かっているような点があるのでしょうか。もし分かれば教えていただければと思います。
○福井座長
いかがでしょうか。因果関係が分かっていないものも全て有害事象として扱うというフォーマットに則って上げてこられたもので、必ずしも明確に因果関係が分かっているものばかりではないと思います。今の天野構成員の御質問について、何かお答えしていただければありがたいのですけれども。よろしくお願いします。
○五十嵐座長代理
五十嵐です。
資料を拝見する限りにおきましては、この技術はコネクター、ドライブラインが出てくる場所だけの違いですので、従来の技術と大きな差はないと思っておりました。結果的に患者さんの状態が大変重たかったのか、あるいは私たちが書類からでは読み取れない何かがあったのかもしれませんけれども、結果的にこれだけいろいろ合併症を起こされて、不幸な転帰を取られたということで、ドライブラインを首から耳の後ろのほうまで持っていったということが大きな障害になったとは思えないのです。ですから、書類から、それから理論的に考えましても特段のものはないのではないか。たまたま不幸な結果が続いたために試験が中止になったのではないかと推察いたしました。
○磯部技術専門員
磯部です。私からも一言申し上げます。
五十嵐先生がおっしゃったとおりで、1例ですので断定的なことはもちろん言えません。首から出すだけということにおいてはそうなのですけれども、手術のときに胸腔内をドライブラインを通すという操作が、従来型のJarvikとは異なった点ではないかと思います。手術に関連した合併症ということであれば、この技術そのものに起因する問題点ということが言えるのかもしれませんが、今回の書類からそれが原因であるということは必ずしも読み取れませんで、使用された対象となった患者さんを拝見すると、書類上は非常に重篤な、心不全以外にも合併症をお持ちの方でいらっしゃいまして、そういうことが大きな原因であったのだろうと推測いたしますけれども、この手術手技の違いということが全く無関係であったかどうかについては、推測の域は出ません。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。山口先生、どうぞ。
○山口構成員
磯部先生にちょっと教えていただきたいのですけれども、外国で承認されて広く使われているということですが、移植への橋渡し以外に重篤な状態の方にも実際にこういう耳介を通したものは安全に広く使われているのでしょうか。
○磯部技術専門員
実例がどの程度あるか分かりませんけれども、日本でも始まりましたが、欧米ではデスティネーションユースと言いまして、移植を前提とせずに、この人工心臓だけで、移植しないで生を全うすると。そういう治療がかなり広く行われておりまして、その中でJarvikは使われているものと思います。
○山口構成員
Jarvikは使われていると思うのですが、ルートとして耳介のものもかなり症例数はあるのですか。
○磯部技術専門員
申し訳ありません。知識がございません。数字を承知しておりません。
○山口構成員
技術的なことは関係ないと言いますけれども、やはり可能性はあるわけで、外国でも実は耳介のほうが合併症が多くて、行われていないのではないかとちょっと疑問が湧きました。その辺りの事情が分かったらと思って御質問しました。
○磯部技術専門員
すみません。知識を持ち合わせていません。
○山口構成員
ありがとうございました。
○福井座長
ありがとうございます。
もしカテーテルを体内で長い距離を通すという手技に関係するものであれば、術後比較的早期に合併症が起こるように思います。その期間がどのくらいかは分かりませんけれども、数週間とか何か月もたって何ともなければ、そのカテーテルの部分についてはあまり問題ないのではないかと思いますが、我々が全く知らない、予測できないようなことが起こっている可能性もゼロではないわけで、必ずしも合理的な推論だけでは結論を出せないというのが臨床試験をやる理由でもありますので、なかなか難しいですね。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
日本医師会の宮川でございます。
今、3先生からのお話を伺って、このデバイスの特性、いわゆるJarvikを使ってそれを腹部から出すということと耳介後部から出すことの決定的な差はどこにあるかということを先ほど磯部技術専門員がお話しになりました。カテーテルの距離が問題なのか。あるいは腹部から出すあるいは耳介後部から出すというルートの問題かということを整理しなければなりません。実際に脱落している症例は、3例の中の1つはポンプという話になりますから、そうすると、従来型と同じように腹部のときに起こっているような事例という形になるので、もちろん今の結果というのは非常に冷静に3先生が評価されているのですけれども、耳介後部のメリットというものがどのようにあるのかということをもう一回考えていくということも必要です。これをどういうふうに取り扱うのか不明なのですけれども、今後の展開として、今後どういう形であればいいのか検討しなければなりません。これは施設の要件の問題があるのか、患者さんの要件の問題があるのか。教えていただければと思うのですが。
○福井座長
どうぞ。
○磯部技術専門員
磯部でございます。
基本的には耳の後ろから出ているということで、患者さんの腹部に出ていることと比べてQOLが上がることは間違いないと思います。例えば外国などの会社のプロモーションビデオで患者さんが水泳をしているという絵を見たことがございますが、耳の後ろから出ているということで、そういった日常のQOLが向上するということは確かで、私も随分腹部からJarvikのドライブラインが出ている患者さんを、自分の患者さんで置いてもらったことがございますけれども、非常にストレスがあることは確かです。そこに包帯を当てて常にケアをしながらシャワーを浴びたりなさっていますから。そういったことで、首から出すことの患者さんへのメリットは非常に大きいと思います。
もう一つは感染です。腹部より耳介後部のほうが感染は少ないだろうと一般的には思われると思います。主にそういった2つのメリットがあるのだろうと思いますし、もしこれが腹部と同じような安全性を持って使えるのであれば、こちらの技術のほうが優れている点であることも事実でございます。
以上です。
○宮川構成員
磯部先生、そうすると、この方式を導入した患者さんの重症度というのがかなり影響されていると思うので、磯部技術専門員がおっしゃったように、外国などだと、耳介後部で水泳をされたりして、つまり、その手術を導入した心不全のグレードというのがかなり効いてくるような感じなので、どういうものがそういうふうに影響しているのか。つまり、先ほど言った例えば心臓の移植を前提としているのか、デスティネーションユースみたいな形でやっているのかということによっても随分違いがあるのだろうと思うのですが、その中で組み入れた症例の重症度にかなり効いてくると理解するのがよろしいのかどうかということについて、ちょっと言いにくいかもしれませんが、教えていただければと思います。
○磯部技術専門員
磯部ですけれども、この3例を拝見いたしましたけれども、人工心臓をやる方は、HeartMateにせよ、Jarvikにしろ、つい最近Destination Therapyが認められましたが、それにしても基本的に移植以外には救命の道がないという方が対象になる技術でございますので、そういった意味でこの3例は非常に重篤な例だったのであろうなと推測しております。
心臓移植が必要とされる方は、心臓よりも全身状態のほうがその予後に関係する部分がありますが、そういった全身的な条件のいい方についてはJarvik、あるいはほかのHeartMateを植えて、日常の生活と同等の生活ができるというのは日常経験するところでありますので、もう少し多様な重症度を持った患者さんを治験に多く組み入れていただいて評価すれば、いい結果が出たのではないかなという気もいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
松井先生、どうぞ。
○松井構成員
国立がん研究センターの松井です。
今の話にも関連するのですけれども、これを臨床研究の計画として見たときに、Jarvikの本体そのものは承認を受けていて、今回はドライブラインが出るところが違うというところで、そこの評価を考えている割には、例えば主要評価項目の安全性評価に関してドライブラインの感染ということを言っているのですが、副次評価項目の有効性で生存の評価とか心不全の評価とか、ドライブラインと関係のないところの副次評価を真っ先に挙げてきていて、肝心の術後のラインを通した胸部への問題とか、そこから生じるであろう問題を副次評価項目としてきちっと定めていないということで、研究計画としての問題がそもそもあるのではないかなと思います。
あと、対象の話も、このドライブラインを耳介後部から出す人の適用を考えたときに、どういう人をそもそもこの対象とすべきかという観点から対象者をきちっと考えられていないように思うので、この3例で中止になったということの背景には、臨床研究として考えたときに、きちっと何を検討すべきで、既存のもので承認を受けているところに関しては、本来ここで検討すべきでなかったと思うのですけれども、それを検討項目に入れているがゆえにこういう中止に至ったのではないかなと思いますので、患者申出療養とはいえ、きちっと研究として評価すべきものを評価するということを考えた計画にすべきだったのではないかなと思います。
これは磯部先生から見ても、この臨床研究の計画として本来見るべきものがずれているのではないかというような視点がもしかしたら見えてくるかもしれませんが、ここの委員会としてもそういう視点、臨床研究としての患者申出療養の在り方ということをもう一度考え直してみてはどうかなと思います。
以上です。
○福井座長
どうぞ。
○磯部技術専門員
ありがとうございます。
今の松井構成員の御指摘には賛成いたします。入れた3名の方が、ひいき目に見ても重症が多かったと思います。合併症のある方もいて。Jarvikはもう既に相当の数が臨床に使われて、2年間の再入院率80%という治療法でそれは原疾患によるところもございます。そういった中で使用されているデバイスでございますので、もう少し多くの症例、かつ全身状態に問題が少ない方を組み入れていけば、ドライブラインが耳介から出るというメリットを生かしたような結果が出るのではないかと当初期待していたところですけれども、残念ながらそういう結果にはなりませんでした。今、御指摘があったとおり、組入れの問題、エンドポイントの問題で反省点があったのではないかと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはございますか。宮川先生。
○宮川構成員
宮川でございます。
松井構成員がそのものずばり、問題点を言っていただいたので、私、先ほど今後どうすればいいのですかと曖昧な言い方で振ってしまったわけですけれども、ドライブラインを耳介後部に出すということ自体は特に問題がありそうではないということで、問題としては患者さんの組入れの問題とか、Jarvikそのものが悪いわけではないので、そういうことで改善して患者さんをお救いするような方向に持っていけるのかどうかということで、座長にお戻ししたいと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
我々が臨床研究を考える場合には全体を見る形になっていますので、このようなスタディーデザインを了承してやっていただいたわけです。しかし、松井先生がおっしゃったように、Jarvik、HeartMateなど、本体から離れ、見ようとしているところ以外の影響が大き過ぎて、評価が難しかったのではないかとも思われます。
この評価結果は、本日これで承認とさせていただいて、今後、ドライブラインを耳介後部から出すことについて、研究者の先生方に本日のこの会議での御意見を伝えて考えていただき、患者さんのクオリティ・オブ・ライフ向上のために、医学的にもう一回追求する必要があると判断されれば、何らかの形でもう一度取り掛かっていただくということでいいのではないかと考える次第です。
山口先生、どうぞ。
○山口構成員
宮川先生の御指摘とちょっと関係あるのですけれども、結局、研究者たちが今回技術的に問題が全くなかったと明言できるのかどうかということと、もう一つは、今後どうしようと思っているのかということをお示しいただきたいです。報告書を読むと、これは有効性が期待できると書いてあるので、どんどんやるのかなというふうにも読めますし、その辺り、ここでの評価を受けてどうするかということをはっきりしていただきたいと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
それは事務局を通して確認しながら、次のステップを相談してもらえればと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
○山口構成員
はい。
○福井座長
それでは、構成員の先生方、技術専門員の磯部先生からの評価につきましては、評価結果どおりとしたいと思います。
どうもありがとうございます。
磯部先生、ありがとうございました。
○磯部技術専門員
どうもありがとうございました。
○福井座長
それでは、続きまして、「患者申出療養の試験実施計画の変更について」の資料が提出されておりますので、まず事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
先ほど御説明をさせていただきましたとおり、上村構成員は当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになりますので、大変申し訳ございませんが、御退席いただきますようお願い申し上げます。
(上村構成員 退席)
○先進・再生医療開発戦略専門官
それでは、改めて資料について御説明をさせていただきます。資料患-2を御覧いただけますでしょうか。今回変更申請があった技術につきましては、告示番号6番「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」でございまして、適応症は我が国で保険適用済み、あるいは評価療養として実施された遺伝子パネル検査で、actionableな遺伝子異常を有する固形腫瘍となってございます。
試験の概要につきましては、1ページ目の中ほどに記載をさせていただいているとおりでございます。
2ページ目にお進みいただきまして、今回の変更内容でございます。変更内容は4つございます。まず、1つ目は薬剤追加に伴う医薬品リスト更新でございまして、具体的にはアベマシクリブという薬剤が追加されるというものでございます。
2つ目は対象となる遺伝子パネル検査の追加でございまして、プロトコルの規定にのっとり、京都大学医学部附属病院が申請医療機関として、先進医療Bとして実施しているものを対象に含めるというものでございます。
3つ目は治療開始前7日以内に再確認を行うほうが望ましい検査を追記するというものでございまして、本試験登録から初回試験薬投与まで、時間が空いている症例に対して、適切に患者の状態を把握するために、臨床的な判断に基づいて追加で検査を行うことが望ましいと判断したためというところでございます。
最後に4つ目は説明同意文書の改訂でございまして、本試験において発生したSAEを受け、CRBからの助言もあり、文言を追記したとのことでございます。
なお、これまでの当会議における御議論を踏まえまして、特に①の医薬品の追加につきまして、どのような起点があって今回変更申請に至ったのかというところを事務局から確認を行ってございます。
国立がん研究センター中央病院によりますと、今回の薬剤追加に係る変更申請につきましては、実際に患者さんから実施医療機関、研究協力医療機関の医師のほうにもアベマシクリブの投与に係るそういった要望もあったということを起点としているということでございまして、こういった声を踏まえて今回変更申請に至ったということでございます。
また、送付のみの資料といたしまして、各医薬品の登録数についてもお送りさせていただいておりますので、併せて御確認をいただけますと幸いでございます。
事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、ただいま説明されました患者申出療養の実施計画の変更につきまして、何か御質問、御意見がございましたらお願いしたいと思います。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
1点細かいことで確認ですけれども、公開資料のほうでは施設別の登録数が公開されているかと思うのですが、薬剤別の登録数が公開資料に入っていないのは何か理由があるのでしょうか。患者さんとかがもしかしたら知りたい情報かなと思ったので、確認でした。
○先進・再生医療開発戦略専門官
それでは、事務局からお答えさせていただきます。非常に貴重な御指摘をいただきましてありがとうございます。薬剤ごとの登録状況の公開につきまして、国立がん研究センターにも確認を行っておりまして、現在公開できない理由といたしましては、薬剤を無償提供していただいている企業に対して、登録数を公開することについて現在確認を行っているところとのことでございまして、今後企業との公開についての相談を進めていくというお返事をいただいているところでございます。
○福井座長
そういう理由とのことです。
ほかにはいかがでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
宮川でございます。
今の天野構成員が言ったことはすごく大事なことで、薬剤別の登録数が分からなければ、何の意味もありません。こうやって新しくアベマシクリブが出て、それを何例までやって、どのような形になっているのか。今までの状況が全く見えていないという状況があります。今後も新しい薬剤が出てくれば、それをまた追加という形で、際限なく追加されます。では、大体50例やられるということは当初の予定になるわけですけれども、では、50例やって、また新しい薬剤が出てくれば、それをまた50例やって、これは際限なくずっと続いていくわけです。新規薬剤というのは今後もたくさん出ます。そうすると、これは追加で行くのか、一つ一つの薬剤を個別に私たちは承認していいのかどうかということが一番問題です。
患者申出療養がしっかりと適用されるということで私たちが見守るべき話なのに、それが企業秘密のような形で出せないというのであれば、それは問題です。
そして、その中間解析の時点でこれが有効なのか、有効でないのか。それは患者さんに対しても公表されるべきもので、それでなければこれは適用になりません。患者さんに対して妥当性があるということで申出の療養が成立するのに、医療機関の研究のほう先行してしまっては、この療養が使われるということにならないと私は最初から申し上げております。問題点がここにありますので、ご配慮いただきたいのです。以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
特定の薬剤について、ある例数を達成したところで解析をするということになっておりますので、その後データを出していただくということになると思います。
事務局のほうからその進捗状況をお願いします。もし出せないデータがありましたら仕方ないですけれども、分かっているところまでお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
非常に貴重な御指摘をいただきましてありがとうございます。ご指摘を2点いただいたと理解しておりまして、1つ目が出口論のところかと理解しております。先ほど宮川構成員から御指摘いただいた、次々と薬剤が入ってきて、これがいつになったら次のステップに進むのかという御指摘かと捉えておりまして、こちらは令和3年10月の会議でも御報告をさせていただきましたが、一部その症例数が、登録した薬剤のコホートにつきましては、既にこれから解析を行うというフェーズに進んでおりまして、こちらはあくまで薬剤ごとに解析を行って、それを次の薬事承認に向けたステップにつなげていくものと認識をしているところでございます。
2つ目の論点といたしましては、御指摘いただいた現在の薬剤の組入れ状況につきまして、天野構成員と宮川構成員から御指摘をいただいたと認識しておりまして、今回会議としてこういった御意見が強く出たというところは、事務局のほうからもまた改めてお伝えさせていただこうと考えているところでございます。
以上でございます。
○福井座長
どうぞ。
○宮川構成員
宮川です。
わかっている限りの成果、中間報告の成果というのを出さなければ、新規の薬剤が次から次へと研究の枠組みに入っていきます。このシステムというか、研究のやり方が患者申出療養に本当にふさわしいのかどうかを考えなければなりません。患者さんに成果が見えて、その薬が使えるか使えないか、それが出るまでは全くの秘密なのでしょうか。患者申出療養の適用というものを考えなければいけないのだろうなと思っています。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
事務局から何かありますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局から補足の説明というところで、先ほど中間解析のお話がございましたが、送付のみの資料のほうに研究計画書の本体を入れさせていただいてございます。研究計画書本体の40ページのところに中間解析に係る規定もございまして、15例以上登録された時点であらかじめ設定した基準に基づきまして、無効中止や有効中止などの必要性を検討するということになってございます。
補足は以上でございます。
○福井座長
どうぞ。
○宮川構成員
例えば15症例、達したやつは、もちろん薬剤名も含めて公表されるべきだろうと思いますが、いかがなのでしょうか。これでは患者さんのためにはならないと考えます。研究者の研究欲だけでなされていることになってしまうのではないでしょうか。
○福井座長
解析は今、やってくれているわけですね。症例数を達成した薬剤について。
○先進・再生医療開発戦略専門官
はい。
○福井座長
その結果を見て、このスタイルの研究デザインが患者申出療養にふさわしくないかどうかについて検討していただければと思います。このデザインで研究を行うことを認めておりますので、解析結果を見た上でということにお願いできればと思います。
手良向先生、どうぞ。
○手良向構成員
手良向です。
配付資料の729ページにその薬剤別の症例数が載っているように思いますけれども、それを確認していただければと思います。
○福井座長
皆さん、ご覧いただいていますでしょうか。729ページです。
○宮川構成員
宮川です。
今、御指摘があったように、60症例に達したのはいいというわけではないのですが、では、2症例とか8症例、療養開始時期からどういう進捗状況にあるのか分からなければ、患者さんとしては参加できるか、できないかということが理解できません。この療養は研究者から始まるのではなくて、患者さんの申出という形から始まっているので、ここの原則というのはちゃんと守らなければいけないわけです。だから、2例が効くものなのか、効かないものなのかとか、そういう状況も見れなければ患者さんは参加できないではないですか。それがもともと問題だということを私は先ほどから申し上げているのです。
従来言っているのは、ある病態にさまざまな新規の薬剤が投入するということを是認してしまうのはおかしいのだろうと思います。進捗状況が分からなければ、患者さんとしてはこれに参加できるのかどうかということが見てとれないことだろうと思うので、患者さんの不利益というものがここで出てきてしまってはならないのだろうと思っております。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
ただ、それぞれの薬につきましては、遺伝子パネル検査の結果に基づいて適用が決まるわけですので、ある病態の患者さんに複数の薬が適用があって、それを自由に研究者のほうで選んでいるというタイプのものとはちょっと違うように思うのです。適用になった薬しか使えない、そういう遺伝子パネルの結果があって初めてなものですから、患者さんが自由に選ぶとかそういうことはできないですね。
○宮川構成員
私もその原則は分かっていますけれども、そうすると、これは永久に薬剤がどんどん入ってくるということになります。そのシステムとして認めたという形で最初からやられているわけですけれども、そうすると、新規薬剤が出てくれば、これを申請されれば自動的に認めざるを得ないという形になってしまうのはどうなのかということでお尋ねしているわけです。
○福井座長
事務局、よろしいですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
非常に重要な御指摘をいただきましてありがとうございます。今、宮川構成員から御指摘いただいた自動的にという部分が1つ重要な点かと考えておりまして、少し繰り返しになってしまって恐縮でございますが、今回の申請もあくまでその医療機関がというわけではなくて、患者さんが起点となって、そういったニーズがあって今回行われたというところは明示的に確認をさせていただいたというところでございまして、そういった点が、例えば今後薬剤の追加が出てくる際に1つ確認すべき重要な点になっていくのではないかというふうに、制度の趣旨も鑑みて考えているところでございます。
○福井座長
ただ、医療者側から何ら説明なく、患者さんのほうから特定の薬をということはあまり考えられないですね。恐らく受診している医師が最新の情報を説明した上で、患者さんが申し出るという形が多いと思いますので、そのところはなかなか微妙ではないかと思います。
山口先生、どうぞ。
○山口構成員
今、入っている薬について迅速に評価していくということはもちろん重要ですけれども、だからといって新しい薬が入るのがまずいというのはおかしいと思うのです。これは常に日進月歩の世界で、新しい薬が候補として入ってくるということは、きちっと評価した上でそれを入れるかどうか決めていったらいいわけで、むしろそういうものが入ってくることにみんな魅力があるわけで、そこはあまり抑え込む必要はないと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
○宮川構成員
宮川です。
山口構成員のおっしゃるとおりなので、ただ、起点がどこなのかということがしっかりと明確にならないといけないのではないかなということで、患者さんにとって情報開示が全くないという形になってしまうといけないので、その辺のところはしっかりと約束事が守られなければいけないのだなということで御提案しました。やり方について疑問を挟んだということで、新規の薬剤に対しては私も決して否定するものではありません。
○福井座長
天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
先ほど冒頭で質問させていただいた趣旨は、先ほど手良向構成員が御指摘のように、本日の非公開の資料には載っているのですけれども、公開資料になっていない。今、厚生労働省のホームページを見ると本日の会議資料が全て公開されていますが、施設別の症例数、登録状況は載っていますが、薬剤別の登録数は公開資料になっていないので、これはなぜですかという趣旨で質問させていただいたのですが、先ほど座長から既に薬剤別の登録数の読み上げをいただいているような状態なので、公開してはいけない理由があるのであれば分かるのですけれども、特段ないのであれば公開していただきたいなという趣旨で質問したということでございます。
以上です。
○福井座長
それは相談の上、公開の方向に持っていければと思います。
事務局、どうでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
非常に貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。今回、その公開の点につきまして様々な先生方からいただいたというところもございますので、そういった御意見が会議のほうでも多く出たというところは、改めて国立がん研究センターにもお伝えさせていただきまして、引き続き公開できる方向に相談を進めていければと考えているところでございます。
○福井座長
新谷先生、どうぞ。
○新谷構成員
先ほど施行中の研究中の結果を知った上で患者様が入るべきだという議論が少しあったのですが、統計的な観点から言うと、研究がまだ終了していないうちの結果を開示するということは非常に問題がございます。ですので、どの情報を中間解析の時点で開始すべきかどうかということはきちんと議論した上で、しかるべき委員会で決めるべき話だと思います。ですので、従来やっている臨床試験は、あくまでも将来的な患者様の恩恵のために入ってくださいということをお願いしているのであって、実際の研究中のデータを被験者の方に開示して、その方たちにメリットがある上でというたてつけで臨床試験が行われているわけではありませんので、結果の開示に関しては慎重に扱っていただきたいと思います。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
そういうこともあって、ある症例数を超えないと解析をしないということでして、一人一人の患者さんの結果について、その都度開示するというスタディーデザインにはなっておりません。御了解いただければと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと存じます。
大変申し訳ありませんけれども、松井先生は一時御退席ということになります。よろしくお願いします。
(松井構成員 退席)
○福井座長
それでは、ただいまの変更につきまして、この時点におきましては実施計画のとおり認めるということにさせていただいてよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○福井座長
それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
上村構成員と松井構成員はお戻りいただいてよろしいでしょうか。
(上村構成員、松井構成員 着席)
○福井座長
それでは、議題の3番目「患者申出療養の取下げについて」。事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、患-3に従いまして説明をさせていただきます。今回取下げの届出があった技術は告示番号8番、エヌトレクチニブ経口投与療法でございます。こちらは令和2年7月21日に告示適用された技術でございまして、臨床研究中核病院及び実施医療機関は名古屋大学医学部附属病院となってございました。
取下げ理由のところでございますが、患者さんの希望によりエヌトレクチニブの投与を終了し、研究終了となったため、今回取り下げるとのことでございます。なお、総括報告書につきましては、提出準備中であるということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、取下げを認めることにしたいと思います。
議題の4「その他」ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局より1件御報告させていただきたい案件がございまして、第27回患者申出療養評価会議において御報告をさせていただきました「患者申出療養の実施医療機関における新規症例登録の一時停止について」に係る御報告でございます。
患-4の参考資料は第27回の患者申出療養評価会議における会議資料でございます。まず、こちらで前回の経緯について簡単に御説明をさせていただければと思います。こちらは告示番号6番「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」の実施医療機関であります大阪大学医学部附属病院より、当該患者申出療養の新規症例登録の一時停止を行う旨の申出があり、臨床研究中核病院である国立がん研究センター中央病院を経由して報告があったというものでございました。
理由のところにございますように、プロトコル治療中であった症例におきまして、有害事象に係る情報伝達に時間を要した事例があったとのことでございまして、具体的には大阪大学医学部附属病院と訪問診療を行っている医療機関との間で患者さんが亡くなられたという情報の伝達が遅れたというものでございます。
本件につきまして、大阪大学医学部附属病院と国立がん研究センター中央病院が協議いたしまして、実施医療機関のほうより施設全体として臨床試験実施体制の改善を行う旨の申出があり、体制が整うまで新規症例登録を一時停止する旨の申出があったとのことでございます。
こちらにありますように、今後の対応につきましては、臨床試験実施体制の改善策・再発防止策を検討し、効果安全性評価委員会、国立がん研究センター臨床研究審査委員会及び国立がん研究センター患者申出療養委員会で再開の可否について審議される予定である旨を前回御報告させていただきました。今回再開の可否に係る判断が参りましたので、御報告をさせていただきたいというところでございます。
続いて、患-4のほうにお移りいただけますでしょうか。こちらは大阪大学医学部附属病院において臨床試験実施体制の改善策・再発防止策が講じられ、国立がん研究センター中央病院において内容の確認を行い、新規症例登録の再開を可と判断した旨の御報告でございます。具体的には、訪問診療など連携している医療機関に対して改めて文書で当該試験の周知を行うとともに、チェックリストや手順書等の作成を行ったというものでございます。こちらについて、効果安全性評価委員会、国立がん研究センター臨床研究審査委員会及び国立がん研究センター患者申出療養委員会において確認を行い、承認が得られたため、令和4年2月28日より登録が再開されたというところでございます。
なお、理由のところの後段にございますように、登録再開から3か月をめどに臨床実施体制の改善策が徹底され、適切な体制が維持されているか、代表医師及び事務局においてフォローアップを行う予定とのことでございます。
御報告は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして御質問、御意見はございますでしょうか。改善ための手続が十分取られて再開ということです。報告を承ったということにしたいと思います。
ありがとうございます。
以上で本日の議題は終了ということになります。構成員の先生方から御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、事務局から次回の日程についてお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
次回は日程調整の上、後日連絡のほうをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○福井座長
それでは、これで第31回「患者申出療養評価会議」を終了といたします。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
 

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