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2021年10月18日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

令和3年10月18日(月)13:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 一色構成員 井上構成員 上村構成員 
新谷構成員 大門構成員 辻構成員 手良向構成員 直江構成員 成川構成員
松井構成員 宮川構成員 山口構成員 山崎構成員
 
【事務局】
審議官 医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発
戦略専門官 医療機器審査管理課長 研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他


○議題

1 患者申出療養の試験実施計画の変更について
  (患-1)
 
2 患者申出療養の症例登録数に係る報告について
  (患-2)(別紙1)(別紙2)(参考資料)

3 患者申出療養の取下げについて
  (患-3)
 
4 その他
  

○議事

13:00開会





○五十嵐座長代理
それでは、突然の御指名ですけれども、よろしくお願いします。
それでは、時間になりましたので、「患者申出療養評価会議」を開催いたします。お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
まず、先生方の出欠状況ですが、本日は、田島構成員、寺田構成員より御欠席との連絡をいただいております。
また、一色構成員から遅れて御出席される予定という連絡をいただいております。
欠席される構成員からは委任状の提出があり、議事決定につきましては、座長に一任するとされております。
続きまして、事務局の異動がありましたので、事務局から紹介をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、9月14日及び10月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
間隆一郎審議官でございます。
○審議官
間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
続きまして、関野秀人医療機器審査管理課長でございます。
○医療機器審査管理課長
関野でございます。よろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局からは以上でございます。
今、福井座長が到着されました。
○五十嵐座長代理
よかったです。よろしくお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
よろしくお願いいたします。
○福井座長
よろしいでしょうか。どうもすみません、御迷惑をかけました。
それでは、今回、検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
まず、五十嵐座長代理、新谷構成員、手良向構成員、宮川構成員より、「患-1」について報告がございました。
五十嵐座長代理、手良向構成員、宮川構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。
新谷構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でございましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることはできますが、検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることができません。
また、一色構成員、新谷構成員、大門構成員、宮川構成員より、「患-2」について報告がございました。
一色構成員、新谷構成員、宮川構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でございましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能でございます。
大門構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でございましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることはできますが、検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。
また、松井構成員より、「患-1」及び「患-2」について報告がございました。
松井構成員におかれましては、みずからが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術であることから、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価には加わらないこととなります。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございました。
そのほかの出席されている構成員の先生方におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
ありがとうございます。
申し訳ありません。最初に資料の確認をする必要がございますので、よろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
すみません、御案内できておりませんでしたが、頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、委員名簿に続きまして、まず、患-1「患者申出療養の試験実施計画の変更について」としている1枚紙の資料がございます。
続きまして、患-2は「患者申出療養の症例登録数に係る報告について」でございますけれども、こちらには別紙1、別紙2及び参考資料がついてございます。
続きまして、患-3「患者申出療養の取下げについて」としている1枚紙の資料がございます。
資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。
なお、今回の患者申出療養評価会議におきましては、Web上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は、会議資料のページまたは送付のみの資料のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○福井座長
資料等につきまして、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、議題1に入りたいと思います。「患者申出療養の試験実施計画の変更について」でございます。
資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。資料「患-1」に基づきまして御説明をさせていただきます。
今回、変更申請がございました技術につきましては、告示番号6番「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」でございまして、適応症が、我が国で保険適用済みあるいは評価療養として実施された遺伝子パネル検査で、actionableな遺伝子異常を有する固形腫瘍となってございます。
試験の概要につきましては、1ページ目の中ほどに記載させていただいたとおりでございます。
続きまして、2ページ目にお進みいただきまして、今回の変更内容のところでございます。
変更内容は2つございまして、まず1点目でございますが、対象遺伝子パネル検査の追加に伴う研究計画書改訂でございまして、Foundation One Liquid CDx がんゲノムプロファイルを追加するというものでございます。
続きまして、2点目につきましては、説明同意文書の改訂でございまして、説明文書に補足説明を追記するというものでございます。
変更申請する理由につきましては、御覧いただきますとおり、1点目につきましては、Foundation One Liquid CDx がんゲノムプロファイルが新たに保険適用されたため、試験の対象遺伝子パネル検査として追加するため、2点目につきましては、本試験において発生した有害事象を受けて、説明・同意取得時の説明事項を追記したというものでございます。
事務局からは以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
本患者申出療養の実施計画の変更につきまして、御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。2点ございますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特に問題ないということで取りまとめを行いたいと思いますが、その前に申し訳ありません。新谷構成員、松井構成員は一時御退席いただきますよう、よろしくお願いします。
(新谷構成員、松井構成員 退席)
○福井座長
よろしいですか。
それでは、この変更につきましての取りまとめということになりますが、実施計画の変更を本会議として認めるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきます。
新谷構成員と松井構成員にお戻りいただきたいと思います。
(新谷構成員、松井構成員 着席)
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、議題2に移りたいと思います。「患者申出療養の症例登録数に係る報告について」でございまして、資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、患-2に基づきまして御説明させていただきます。
まず、「1.背景」の1マル目からでございますが、本療養は、遺伝子パネル検査を受け、actionableな遺伝子異常を有することが判明した患者に対して、それぞれの遺伝子異常に対応する医薬品(適応外薬)の投与を行う患者申出療養となってございます。
続きまして、2マル目でございますが、本療養におきましては、現在、18種類の医薬品(2種類の併用療法を含む)が対象となっているところでございまして、別紙1として、現在対象となっております医薬品のリストを添付しているところでございます。
続きまして、3マル目のところでございますが、本療法における症例登録数につきましては、研究実施計画書におきまして、1ポツ、医薬品ごとに登録数に一定の上限を設ける、2ポツ目、この上限は、医薬品ごとにある程度の探索的な検討が可能になると考えられる50例を目安とする、3ポツ目、登録数に達した時点で、患者申出療養評価会議に諮り、計画変更の要否を検討する、とされているところでございます。
続きまして、「2.報告の概要」のところでございますが、本療養の対象となっている医薬品のうち、こちらに記載しております医薬品につきましては、症例登録数が、事前に設定した登録数上限の50例に達した旨について、別紙2のとおり報告がございました。こちらの薬剤名といたしましては、タフィンラーカプセル/メキニスト錠の併用療法。それから、オプジーボ点滴静注の2つでございます。
なお、2マル目のところでございますが、当該医薬品のコホートにつきましては、新規登録を停止し、今後追跡を行った上で、統計解析を実施する予定とのことでございます。
最後に、「3.今後の対応について」のところでございますが、登録数上限に達した医薬品について、新規登録を停止し、予定どおり統計解析を進めることとして問題がないか、御確認いただきたいというものでございます。
なお、参考資料といたしまして、本療養の薬事承認に向けたロードマップを添付しておりますので、併せて再確認いただけますと幸いでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。
50症例という数に達した医薬品につきましては、予定どおり統計解析を進めることについての、何か疑問点なり問題、よろしいでしょうか。
どうぞ。
○天野構成員
今、お示しいただいたとおりだと思うのですけれども、念のため確認です。50症例に達した薬剤については、今後、薬事承認もしくは保険適用等については、ロードマップというか、そういったプロセスに自動的に進むというものになるのでしょうか。それとも、個々の薬剤に応じて個別に検討されるようなものなのでしょうか。ロードマップ的なものがもしあれば、教えていただければと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。御質問いただきまして、ありがとうございます。
参考資料のほうにつけさせていただきましたロードマップにもございますように、医薬品ごとにこういった道筋に沿って進めていくこととなってございまして、中ほどに「高い有効性が認められた医薬品の場合」ということがございますが、仮に今回の解析結果で有効な結果が得られましたら、こちらのロードマップの図の上のほうに示しておりますように、物によりましては「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」等で開発要請をかけたり、公知申請を行ったり、あるいは治験につなげたり、そこは薬剤ごとに状況が異なってくるものと理解しておりますが、こういった道筋に進むところでございます。
○福井座長
いかがでしょうか。天野構成員、よろしいでしょうか。
○天野構成員
分かりました。ありがとうございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
直江先生、どうぞ。
○直江構成員
直江です。ありがとうございます。
2点あるのですが、今回、新規登録を中止するBRAF阻害剤、プラスMEK阻害剤の併用療法ですが、がん種というものについて、例えばメラノーマとか肺がんとか、どんな内訳だったのかということがもし分かれば教えてほしいのが1点と。
それから、2点目は、この治療法は新規登録がこれで中止にされるのですが、申出をこれからしようと思っていた患者さんへのデメリットがあると思うのですが、今後の見通しですね。つまり、新規登録がなくて、これから解析して、その結果をもってロードマップのとおりに動くとすれば、相当な期間、登録ができなくなってしまうと思うのですが、その辺はどういうふうに考えればいいですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。御質問いただきまして、ありがとうございます。
まず、1点目のがん種に係る情報でございますが、こちらはもともと先生方も御存じのように、遺伝子異常に対する分子標的治療薬を投与するといったプロトコルになってございまして、現時点でがん種がどういったものが入っているかというのは、事務局としては承知していないという状況でございます。例えば、今後、解析結果等が出てくる中で、そこは一定程度明らかになってくるのではないか、ということも考えられるところでございます。
続きまして、2点目の御質問でございますが、これからまさしく新たに患者さんが出てきた場合にどうするのかという重要な御指摘かと理解しております。こちらにつきましては、もともと第1回「患者申出療養評価会議」でもお示ししております「患者申出療養の制度設計について」という資料、今回なくて恐縮ですが、こちらの資料に記載がございますように、患者申出療養の実施計画対象外の患者への対応というものに準じることになるものと想定しております。
具体的には、患者申出療養として定められました医療につきまして、実施計画の対象外の患者さんから相談があった場合の対応につきましては、まず、1つ目といたしましては、既存の実施計画を変更することによって対応できるのではないかという点、2つ目につきましては、新たな実施計画を作成することによって対応を求める場合があると記載されておりますので、実際にそういった患者さんからの申出があった場合につきましては、まずは、例えば既存の実施計画を変更するという形でもって対応できないか、御検討いただくものと理解しております。
以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
ありがとうございます。
今、天野構成員、直江構成員が指摘されたことは非常に重要で、このロードマップに従って、しっかりやっていくということが、患者さんをしっかりとお守りするという形になるわけです。そういう意味では、いたずらに症例数を増やさない。それから、不確実な治療が今後ずっと続くようなことがないようにという形の、当初からのロードマップであるべきです。このようなパネル検査による分子標的治療というのは、もともとパネル検査を用い、そして個々の薬剤をプロファイリングに基づいて分子標的治療を行うという形です。
薬剤がこのように18種類ある場合、そちらが先に語られないと、今のような不確かな感覚に私たちが陥ってしまいます。まずは薬剤ありきで、それでパネル検査を用いて、分子標的治療を行うという審議のあるべき順序を守るべきではないかと考えます。
ですから、今、直江構成員がおっしゃったように、50症例という決まりの中で、途中でも中間解析をしっかり行っていただいて、方向性をある程度出していくということをしない限り、私たちには情報がないので、打ち切りか継続か、患者さんに対して良好な方向性を示すことができません。
ですから、患者申出療養を継続なのか、打ち切って未承認に行くのか、公知申請に行くのか、しっかりとした道筋を決めていくというのが、このロードマップとして非常に重要なことなので、それを私たちは認識していかなければいけないのではないかなと思います。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと思います。大変申し訳ありませんが、大門先生と松井先生には、一時御退席ということになりますので、よろしくお願いいたします。
(大門構成員、松井構成員 退席)
○福井座長
それでは、今後の対応を本会議として決めたいと思います。ただいまのプロポーザルのままということで進めたいと思いますが、よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
大門先生と松井先生にお戻りいただきますようお願いします。
(大門構成員、松井構成員、着席)
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、議題3「患者申出療養の取下げについて」に移ります。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
それでは、患-3に従いまして説明させていただきます。今回、取下げの届出があった技術は、告示番号2番「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」でございます。こちらは、平成29年3月3日に告示適用された技術でございまして、臨床研究中核病院及び実施医療機関は、大阪大学医学部附属病院となってございました。
中ほどに記載がございます取下げ理由のところでございますが、全ての症例、具体的には3例とのことでございますが、登録及びプロトコル治療が終了し、データ固定が完了したため、取り下げるとのことでございます。
また、なお書きにございますように、総括報告書につきましては、提出準備中であるとのことでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。ありませんようでしたら、計画どおりに進めていただくということで、総括報告書につきましては、できるだけ時間を置かずに提出をお願いするということで進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
本日の議題4は「その他」となっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局より御報告が1件ございます。第27回「患者申出療養評価会議」における患者申出療養「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与及びS-1内服併用療法」に係る御議論の際に、東京大学医学部附属病院において、自由診療としてパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法を実施しているのかどうか、事実確認を行うことと会議より御指摘をいただいたところでございます。
こちらにつきまして、事務局のほうから東京大学医学部附属病院に確認させていただきましたところ、自由診療として実施しているとの回答がありました旨を御報告させていただきます。
なお、第27回「患者申出療養評価会議」の際に、当該自由診療に係るホームページが閲覧不可能となっているとの御指摘もございましたが、こちらの理由につきましては、ネットワークの障害のため、閲覧しにくい状態であったとのことでございまして、現在は復旧し、閲覧可能になっているとのことでございます。
事務局からの報告は以上でございます。
○福井座長
この件につきまして、何か御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。
天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
御報告ありがとうございます。
前回の会議でも指摘したことと同様になりますが、治療法が限られた状態、特にわらにもすがるようなお気持ちのがん患者さんであれば、たとえ自由診療であっても、大学病院が新規の治療を行っていれば、自分にとって何らかの効果があるのではないかと考えられて、全額自己負担でも受けてみたいというお気持ちになられるのは当然のお気持ちではないかと思います。
しかし、一方で、今回のこの治療自体は、今までの臨床試験では標準治療への優位性が示されていないばかりか、現時点では残念ながら有効性に関して、臨床試験においてネガティブな結果すら出ている治療となっています。なので、今回の事案で医療機関に求められていることは、臨床試験では現時点では有効性が示されていない、この治療について、どのような患者さんであれば有効性が期待できるのかを科学的に検証することではないかと思います。
一方で、このように自由診療を行うということになりますと、むしろ逆行していて、例えば薬事承認や保険適用を目指すという観点であるとか、有効性・安全性を科学的根拠に基づいて示すという立場を仮に放棄してしまえば、自由診療として行うことで、科学的根拠が示されていない治療を漫然と継続できてしまうことになりかねません。
そもそも患者申出療養制度が、今般、大きな人的・経済的負担を臨床研究中核病院とかに強いながらも、このように臨床試験として行われているのは、1つには、有効性が示されていない治療が野放図に行われることを防ぐ面もあったと理解していますが、今回のような自由診療を行うことを許容することになりますと、そもそも何のために患者申出療養を行っているのかという話にもなりかねないと危惧します。
厚生労働省に改めてお尋ねしたいのは、例えば先進医療や患者申出療養として有効性が検証中である保険適用外の治療を、その傘下施設が同時に並行して自由診療として行うということは、法的、または倫理的に許容できるとお考えなのでしょうかということです。よろしければ、御見解をお聞かせいただければと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
事務局からよろしいですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
非常に重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。天野先生からの御指摘、非常に重要と受け止めております。
まず最初に、いただいたコメントの中で、どのような患者さんに有効性が示されるのかというのを明らかにするべきというのは、御指摘のとおりかと存じますし、まさしく、第27回の会議のほうでも、なるべく速やかに中間解析を行って結果を出していただきたいというところにも合致しているものと思いますので、そちらは引き続き、速やかに提出いただくよう、お願いしてまいりたいと考えております。
また、患者申出療養等で実施しているものを自由診療として実施することについて、どうなのかという御指摘につきましては、自由診療として実施されているものに係る御指摘でもございますし、こういった対応につきましては、自由診療に係る規制等を所管している部局ともしっかり相談させていただいた上で、今後の対応も含めて検討させていただく必要があると考えておりますので、そのようにお返事させていただきます。
○福井座長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
宮川でございます。
私もずっと申し上げているように、天野構成員と同じような意見を持っております。これは、断じて許すべきではありません。厚労省の方、大変御苦労されていると思いますけれども、できるだけ速やかにとか、各局と打ち合わせて次回までに必ず結論を出していただかないと延び延びになってしまいます。これは、東大病院なのにあるまじき所作だと私、考えております。患者さんをお救いする病院が、そのような自己の判断で2つのことを並行して行うということは、許すべきではないと思いますので、早速行動に移していただいて結論を出していただきたいと思います。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
事務局のほうは何かございますか。次回までに何かしら結論を出せますように。
山口先生、どうぞ。
○山口構成員
基本的には天野さんのおっしゃったとおりだと思うのですけれども、恐らく現場としては、何か悪いことをしているという感覚は決してなくて、恐らく希望者がたくさんいて、やむを得ずやっているという面もあるかと思います。実際、この試験、よく見ると結構有望な部分もあって、私も専門家ですけれども、ちょっと捨て切れないところがあって、その気持ちも分かるので、言語道断とはちょっと違った面があると思います。
ただ、こういうことをずっと続けていることは確かに矛盾がありますので、その辺りをぜひ施設として自覚していただいて、再検討して、そういう患者さんの要望をどうやって生かせるかということをむしろ前向きに考えていただくのがいいのではないかと思います。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
科学的な臨床試験で有効性が示されていない場合でも、本当は有効だったということも今までなきにしもあらずです。研究者のかなり思い入れもあるでしょうけれども、有効な可能性を、この患者申出療養で探っているという状況でして、その結果を出してもらうということが、最も早期に必要なことではないかと考えます。
もし先生方、よろしければ、解析結果を早期に出してもらうということを、事務局を介して東京大学のほうにお願いして、それを見るということをまずやりたいと思いますが、よろしいでしょうか。私もできるだけ短期間でということを重ね重ねお願いしたいと思います。なかなか微妙な問題だと理解しております。
よろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、それ以外に「その他」で何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
事務局からは、追加の点は特段ございません。
○福井座長
ほかに構成員の先生方から何かございませんでしょうか。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
これは教えていただきたいことなのですが、先ほどのマルチプレックス遺伝子パネル検査によるプロファイリングに基づく分子標的治療ですが、今、18種類の薬剤を受け付けているわけですけれども、これは今後増えるとするとどういうことになるのかどうか。それから、今までどういう経緯で、このような18種類がだんだん増えてきたのかどうかということです。
問題なのは、こういう枠組みを用いて分子標的治療が行われていることです。
先ほど申し上げたように、薬から始まれば、どのような枠組みで行くのかというのはある程度判明します。そうでないと、永久に分からないまま継続されてしまいます。私は現状の枠組みが理解できないので、再考いただければと思います。
以上です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。御質問いただきまして、ありがとうございます。
まず、本療養の経緯でございますけれども、最初の50例という設定も含めまして、最初に患者申出療養とお認めいただく際に先生方に御確認いただいてお認めいただいたものと理解しております。
また、現在の18種類の医薬品の点につきましても、これまで医薬品の追加につきましては、実施計画の変更という形で先生方に御確認いただいた上で進めさせていただいたところでございまして、今後、仮に、例えば医薬品の追加の提案がございましたら、またその際も先生方にしっかり御確認いただいた上で、その適否を判断いただくというふうに認識しております。
○福井座長
ありがとうございます。
直江先生、どうぞ。
○直江構成員
今、宮川先生が御指摘された点は、恐らく構成員の方々も、患者申出療養制度にこういうゲノム検査と標的薬が乗ってきたということは、患者さんにとって希望が出てきたということで、非常にうれしい反面、薬剤はどんどん広がるし、がん種も広がるのだけれども、その出口、先ほど来、出ていますロードマップを見ても、これで50例がまとまったとして、また新たに治験になるのか、公知申請になるのか、どんなふうに患者さんにつなぐ実診療に入れられるのかということが、まだはっきり分からない段階で、何となくちょっともやもやしたものを抱えていらっしゃるだろうと思いますし、私も本当にこれからが重要だなと思うのですが。
今日の会議そのものとは直接関係ないかもしれませんけれども、患者さんの申出というか、思いに応える形でこういう制度があるのですけれども、ステークホルダーとしては、薬剤を供給していただく製薬メーカーの方、それから、実際問題、それで承認できるかどうかということを決めるPMDAを含めて、当局者の方々がこの場にいらっしゃらないのですね。だから、ここの話では、患者さんの思いに応えて薬を提供してくれる人がいるなら、どんどん広がると思うのです。それはそれでいいのですけれども、いつまでこういう宙ぶらりんの状態が続くのかという今の宮川先生の御指摘については、この場では解決できないのですね。
なので、これは厚労省の上のほうとかが音頭を取ってステークホルダーを集めて、日本の医療の隙間になってしまった希少がんとか遺伝子標的薬をどう出口に持っていくのか。つまり、50例でほぼ効けば、取りあえずいいとしようとか、その辺の見通しも含めて話し合うような会議みたいな、つまり、出口戦略会議みたいなものがどこかで要るだろうと思います。だから、ここで話し合っていては解決できない問題だと思います。ぜひそういうことを厚労省のほうにお願いしたいなと、私の意見です。
よろしくお願いします。
○福井座長
ありがとうございます。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
直江先生、ありがとうございます。私も分かっていて言ったつもりでありまして、このような出口が見えないような形になってしまうということは、最終的には患者さんにとって不都合なことがたくさん生じてくる形になりかねないということで、道筋を立てていくことを何らかのところでお示しいただけるとありがたいなと考えます。今、直江構成員がおっしゃったように、どこかの出口を見つけるような会議というか、そういう別枠をつくらないと、これは先の道筋が明確にならないと考えます。私たちは、その間口をきちんと定めて、どのようにそれをロードマップに乗せていくのかというというところが肝要です。
そのロードマップでは、未承認、治験、公知申請のいずれにも行けないような間のところをどうやって整理していくのかということが非常に重要なことだろうと思いますので、今後、国としては、そういう討議する場所を、整理する場所をつくっていただくとありがたいと思います。これはPMDAも含めてですけれども、議論していかなければいけない場所だろうと思います。私も未承認薬と公知申請、両方に関与しているので、この患者申出療養から来るものなのか、どこから来るものなのか、きちんと整理していかないといけないと申し上げている最中なので、ぜひともその辺の整理は国と一緒にしていきたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○福井座長
ありがとうございます。
50症例のうち何人の患者さんで効いたのか、その数値によって随分スピード感も違ってくるのではないかという感触は持っています。いずれにしても、そろそろ解析結果を出してもらう案件が出てきましたので、出口戦略について事務局のほうでさらに詰めてもらうようにお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
ほかにはございませんでしょうか。いろいろな意味ではざまに入っている案件があることを承知でスタートした会議ですから、すっきりしないことが続いていて、本当に恐縮ですけれども、少しでも患者さんのためになる制度になるようやってきているものだと思います。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員
先ほどから言っているように、薬剤を主役という形で考えていかないと、次から次へと新たに審議していく形で整理しにくいだろうと思います。ですから、これは薬剤がありきで、そして、パネルはあくまでも用いた技術であるということをもう少し理解しながら整理していかないといけないだろうと考えます。枠組みを考えていただかないと、これは議論が進まないのではないかと思います。
よろしくお願い申し上げます。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局から次回の日程についてお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
次回は、日程調整の上、後日連絡させていただきます。よろしくお願いします。
○福井座長
ありがとうございます。
本日は、大変御迷惑をかけました。特に、五十嵐先生には余分なストレスをかけまして、大変申し訳ありませんでした。
○五十嵐座長代理
とんでもございません。
○福井座長
常磐線が遅れて、先生方に御迷惑をかけました。
これで第29回目「患者申出療養評価会議」を終了といたします。
本日は、大変お忙しい中、本当にありがとうございました。
 


 

 

 

 

 

 

 

(了)

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