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2021年8月20日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

令和3年8月20日(金)16:00~

 

○場所

オンライン開催
 

○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 一色構成員 井上構成員 上村構成員 
新谷構成員 大門構成員 田島構成員 辻構成員 寺田構成員 手良向構成員
直江構成員 成川構成員 松井構成員 宮川構成員 山口構成員 山崎構成員
 
【事務局】
医療課長 医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
医療課主査
研究開発振興課長 研究開発振興課長補佐 他

○議題

1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
  (患-1)(別紙1)
  (参考資料1)(参考資料2)
 
2 患者申出療養の中間報告について
  (患-2)(別紙2)
 
3 その他
  (患-3)

○議事

16:00開会


 


○福井座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 お忙しいところ御出席ありがとうございます。また、本日もオンラインでちょっともどかしいところがございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、先生方の出欠状況でございますが、本日は全員御出席いただいております。
 次に、事務局の異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
○医療課主査
 それでは、8月1日付で事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 中田勝己医療技術評価推進室長でございます。本日は遅れて出席予定でございます。
○福井座長
 それでは、資料の確認を事務局からお願いします。
○医療課主査
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りにつきましては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お送りさせていただきました資料ですが、議事次第、構成員名簿となります。
 まず、患-1「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている一枚紙の資料がございます。こちらには別紙1、参考資料1、参考資料2がついてございます。
 続きまして、患-2「患者申出療養の中間報告について」という一枚紙の資料がございまして、こちらには別紙2がついてございます。
 最後に、追加でお送りさせていただきました患-3「患者申出療養の実施医療機関における新規症例登録の一時停止について」という一枚紙の資料がございます。
 資料の確認は以上でございますけれども、資料について不足・誤り等がございましたら、お申し出いただければと思います。
 今回の患者申出療養評価会議におきましては、Web上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等につきましては、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。御発言いただく場合は、会議資料のページまたは送付のみの資料のページと、あらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。資料等につきまして、よろしいでしょうか。何か先生方から御発言がなければ、次に進みたいと思います。
 今回、検討対象となります技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をさせていただいております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○医療課主査
 それでは、今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 一色構成員、成川構成員より、今回評価を行う「BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫を有する小児を対象としたダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法に関する患者申出療養」について報告がありました。
 一色構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能です。
 成川構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が500万円以下でありましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討に加わることはできますが、検討結果の取りまとめ及び事前評価に加わることはできません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか出席されている構成員の先生方におかれましては、このような利益相反に関する事例はないということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等」について審議をお願いしたいと思います。
 まず最初に、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○医療課主査
 資料「患-1」を御覧いただければと思います。「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等」についてでございます。
 今回、申し出のあった技術は、BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫を有する小児を対象としたダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法に関する患者申出療養でございます。
 適応症につきましては進行性神経膠腫となっておりまして、係る費用につきましては資料にお示ししたとおりでございます。
 申請医療機関は、九州大学病院でございます。
 審査の担当構成員でございますけれども、主担当を五十嵐座長代理、副担当を山崎構成員と手良向構成員に御担当いただきました。
 総評といたしましては、「適」との御評価をいただいております。
 続きまして、患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明させていただきます。別紙1の21ページを御覧いただければと思います。
 保険医療機関の要件として考えられるものを記載していただいておりますけれども、まず、実施責任医師の考え方といたしましては、診療科として小児科。資格は、小児血液、がん学会専門医。当該診療科の経験年数が10年以上。当該医療技術の経験年数は不要。当該医療技術の経験症例数は不要となってございます。
 続きまして、医療機関の考え方でございますけれども、診療科としまして、小児科及び眼科。実施診療科の医師数が、治験、臨床研究を含む分子標的治療薬の治療経験を5例以上有する常勤医師2名以上。小児眼科の診療経験を5年以上有する常勤医師1名以上が勤務していること。他診療科の要件は不要。その他の医療従事者の配置といたしまして、薬剤師、看護師となってございます。規模としましては、病床数400床以上、7対1看護以上となっておりまして、その他の条件といたしまして、厚生労働省が指定するがんゲノム医療中核拠点病院かつ小児がん拠点病院であること。重篤な有害事象が発生した際、24時間、365日適切に対応できる体制が確保されていることとされております。
 その他の考え方としまして、頻回の実績報告は不要となってございます。
 続きまして、別紙1の5ページにお戻りいただければと思います。
 本技術が、治験・拡大治験や先進医療等の既存の制度で実施できなかった理由につきまして、事前に事務局より医療機関に確認しております。回答でございますが、BRAFV600変異陽性の低悪性度神経膠腫もしくは再発または難治性高悪性度神経膠腫を有する小児を対象としたダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法の効果を評価する第II相試験が、日本を含む国際共同治験として実施されているとのことですが、登録期間が終了し、現在は新規患者が参加することができないとのことです。また、前述の治験を実施している企業からは、拡大治験を実施する予定はないとの回答を得ているとのことでございます。前述の企業治験で有用な結果が得られれば、適応拡大につながると考えているとのことで、現時点で新たな先進医療を実施する意義が乏しいと思われているとのことでございます。保険適用済みの遺伝子パネル検査でBRAFV600変異が見つかり、ほかに標準治療がない小児患者と家族の思いに応える形で実施するものであることから、患者申出療養制度を用いて実施することが適していると考えているとのことでございます。
 以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいま事務局から説明していただいた整理番号12の技術につきまして、事前評価について主担当を五十嵐先生、副担当を山崎先生と手良向先生にお願いしております。
 それでは、五十嵐座長代理より、概要の説明と実施体制等の評価をお願いいたします。
○五十嵐座長代理
 ありがとうございます。
 それでは、まず初めに、概要についてお話をさせていただきます。
 グリオーマには高悪性度のものと低悪性度のものがございます。高悪性度のグリオーマに対しては、従来はデモゾロミドという、代謝後にメチル化の薬剤に変化する薬ですけれどもこの単独療法と、デモゾロミドをベースとする応用化学療法、高用量の化学療法に自家幹細胞移植、こういう3つの治療法で今対応しているわけですけれども、5年生存率は悪いものは10%ぐらい、よくても35%ぐらいというデータが出ています。
 もう一つ、低悪性度の神経膠腫があるのですけれども、これは高悪性度に比べると予後はいいのですが、その中にBRAFV600変異を有するものがありまして、このタイプだと低悪性度とはいえ10年後のProgression-Free Survival(PFS)が27%ということで、BRAFV600変異のないタイプはPFSが60%と言われていますので、それに比べると予後が悪いと言われています。
 BRAFV600変異陽性の神経膠腫というのは小児全体のグリオーマの2割ぐらいと言われていますけれども、これにBRAFキナーゼの選択的阻害薬であるダブラフェニブと、もう一つMAP kinase経路の一部ですけれども、MEK1とMEK2を疎外する薬であるトラメチニブを併用することによって、それぞれ単独で用いた場合よりも腫瘍の増殖速度を抑制することを狙った併用療法を今回計画しているところです。
 この併用療法につきましては、既にBRAF変異を有する悪性黒色腫、患者さん全体の3割ぐらいがこの変異を有すると言われていますけれども、そのほかに同じ変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する治療薬として既に承認はされています。したがいまして、BRAF変異を有する神経膠腫にもこの併用療法をすることによって、より強い効果が得られるのではないかと期待されているところです。
 既に成人のBRAFV600変異陽性に対して、これは再発あるいは難治性の高悪性度グリオーマの患者さんですから、いろいろ治療しても従来だと亡くなってしまうことがほとんどなわけですけれども、第II相試験の中間解析が行われていまして、overall response rateは27%で有用と判定されています。
 一方、小児については幾つかスタディーがありまして、小児3例での経験で、2例でStable Disease、1例で85%以上腫瘍サイズが縮小したという結果が得られておりますし、同じく小児のBRAFV600変異陽性の36例に対して行われたレトロスペクティブな第I相、第II相Aの試験36例の評価でもoverall response rateは25%、Stable Diseaseは92%ということで、小児においても有効性が期待されるという結果になっています。
 それから、先ほど事務局がお話しになりましたように、現在、国際治験がBRAFV600変異陽性のグリオーマの患者さんと低悪性度神経膠腫の患者さんに行われているわけですけれども、既に登録期間が終了しておりまして、そこに入ることができないという状況になっております。
 以上のような概要の状況を踏まえまして、実施体制等を評価させていただきました。
 まず医療技術の評価ですが、別紙1の2ページを御覧いただきたいと思いますが、適応症は妥当だと思います。
 有効性も先ほど御説明したように、従来の技術よりも有効であることが期待されると思います。
 安全性に関しましては、問題なしとはちょっと言えないと思います。心障害、肝機能障害、脳血管障害などが起こるとされていますので、やはり注意が必要だと思います。
 技術的な成熟度に関しましては、当該分野を専門として経験を積んだ医師または医師の指導下であれば行えると思います。小児の血液、がん治療の専門医と、できれば小児眼科だといいと思いますけれども、眼科の先生の参画も必要だと思います。
社会的妥当性に関しましては、倫理的な問題等はないと考えました。
 現時点での普及性は、今治験中ですので「C.罹患率、有病率から勘案して、普及していない」と判断いたしました。
 将来の保険収載の必要性に関しましては「A.将来的に保険収載を行うことが妥当。なお、保険導入等の評価に関しては、以下の事項について検討する必要がある」ということで、BRAFV600変異陽性の高悪性度神経膠腫及び低悪性度難治性神経膠腫に対する両剤併用による現在実施中の第II相試験の結果、有効性・安全性が確認されることが前提だと付記させていただきました。
 2番目の患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の考え方の評価につきましては、I、II、IIIとも「適」といたしました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、倫理的観点からの評価につきまして、山崎先生から説明をお願いいたします。
○山崎構成員
 山崎でございます。
 今御覧になっていただいている別紙1の6~8ページに、研究者への問い合わせが載っております。こういったことを問い合わせいたしました。
 特にクリティカルな問題はなかったと思っておりますけれども、1は、同意文書とアセント文書がA、B、Cと3つ用意されているのですが、その位置付け・使い分けについての記載が計画書の中にございませんでしたので、それを加筆いただきました。
 2に関しましては、同意文書についての幾つかの指摘でございまして、特に問題はないのですけれども、マル2の医薬品副作用被害救済制度への言及がありまして、これは間違った言及でございましたので、これを改めていただいております。
 3と4は、アセント文書のA、Cについての微細な修正をいただきました。
 こういったところから、3ページに戻りますけれども、倫理的観点からの評価といたしましては、同意に係る手続、同意文書、補償内容いずれも「適」といたしました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、試験実施計画書等の評価について、手良向先生から説明をお願いいたします。
○手良向構成員
 手良向です。試験実施計画書等の評価を行いました。
 この試験の計画ですが、登録期間を18か月、2年間追跡ということで、症例数としましては、その18か月に見込まれる4例ということで、目標というよりは予定症例数だと思いますが、特に統計的根拠はありませんけれども、そのように記載されています。
 それ以外の実施体制等についても評価いたしましたが、特に大きな問題はないと思いますので、「適」と評価しました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、評価の最後の総合評価につきまして、主担当の五十嵐先生からお願いいたします。
○五十嵐座長代理
 ただいまのお二人の倫理的観点、試験実施計画書等の評価の結果も踏まえまして、最終的に総合評価は「適」とさせていただきました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、構成員の先生方から何か御質問等ございますか。
 どうぞ。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。1点確認です。
 実施可能とした保険医療機関の考え方についてですが、厚労省が指定するがんゲノム医療中核拠点病院かつ小児がん拠点病院であることという要件が定められていたと思うのですが、例えば、小児がん拠点病院ではあってもゲノム医療中核拠点病院ではない病院が幾つかあって、関東であれば関東の小児がん拠点病院はほとんどそうなっていて、成育医療研究センターも都立小児も埼玉県立小児医療センターも神奈川県立こども医療センターも、全てゲノム医療中核拠点病院ではないので対象から外れることにはなると思うのですが、これは外れても構わないという理解でよろしいのでしょうか。それとも、やはりゲノム医療中核拠点病院でないと実施できないというお考えなのでしょうか、そこだけ確認したく思いました。
○福井座長
 それでは、事務局お願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 天野先生に御指摘いただいたのは別紙1の21ページかと存じますが、こちらにつきましては、こういった考え方を参考としていただき、実際、実施医療機関を追加する場合には、臨床研究中核拠点病院である九州大学病院で審査いただくこととなっておりますので、こちらを考え方として参考にしつつ決めていただくことになってございます。
○福井座長
 よろしいでしょうか。
○天野構成員
 遠方にいらっしゃる小児の患者さんは経済的な負担等も大きいので、可能であれば、もちろん質を下げない範囲内で幅広に御考慮いただいたほうがいいのかなと考えた次第です。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 先ほどの事務局の回答は、がんゲノム医療中核拠点病院であって小児がん拠点病院でないような病院は、場合によれば「かつ」ではなくて「または」ということで対応ができるということでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 先生方の御意見といたしまして、今回の患者申出療養につきまして「または」という形でも、こちらの質・要件として担保されるのではないかという御意見でありましたら、そのような形で会議終了後に事務局から医療機関にお伝えさせていただきまして、可能であれば修正等を御検討いただくことはできますので、もし先生方の御意見といたしまして、そのほうがよろしいということでございましたら、そのようにさせていただければと考えております。
○松井構成員
 松井ですけれども、1点よろしいでしょうか。
 「または」にしますと、小児がん拠点ではないけれども、がんゲノム医療中核拠点病院だったらいいという話になって、小児を扱っていない可能性のあるところでもいいという話になるので、そういうことではないのではないかという気がしたのですが。むしろ小児がん拠点病院のほうが優先されるべきであって、それであれば別にがんゲノム医療中核拠点病院であることは要らない条件になるような気がするのですけれども、そこを御議論いただければと思います。
○福井座長
 もし、よろしければ五十嵐先生の御意見をぜひ伺いたいのですが。
○五十嵐座長代理
 ありがとうございます。プラクティカルな面からいたしますと、まず、小児がん拠点病院を優先してお認めいただくのが患者さんのためになるのではないかと思います。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、その方向にしていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○福井座長
 それでは、この文章をそのように変更していただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、宮川先生どうぞ。
○宮川構成員
 ありがとうございます。
 別紙1の14ページの「薬事承認までのロードマップ」の赤枠の中の試験期間、いわゆる国際共同試験の中での試験期間で、2025年10月が登録期間の終了と書いてございます。そして、5ページに戻りますけれども、治験・拡大治験や先進医療といった他の制度が利用できない件ということを両方鑑みますと、もう一回ロードマップに戻りまして、患者申出療養で予定期間として登録期間が18か月と。追跡は初回投与から少なくとも2年間というのは分かるのですが、登録期間が18か月といいますと、いわゆる国際共同の締め切りまでに届かないわけですよね。5ページには、小児患者さんと家族の思いに応える形で実施したいと、それを患者申出療養制度を用いて実施したいという形になりますと、期間として18か月が妥当なのかどうか、短いのか、もう少し延ばすのか、18か月と定めた理由は何なのかを教えていただければと思います。
○福井座長
 事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 予定の試験期間及び症例数の設定根拠につきましては、別紙1の19ページに記載させていただいております。下のほうに「治験データに加え、当該患者申出療養の結果を、参考データとして、申請時に用いることを想定し、本試験の完了時期を、上記治験の完了時期に合わせた。したがって、登録期間18ヶ月、追跡期間を少なくとも2年間とし、試験期間を2021年9月~2025年8月と設定した」と記載がございまして、医療機関はこちらを理由にして設定いただいたところでございます。
○宮川構成員
 では、いわゆる患者申出療養の期間としては、国際共同試験の終わるところまではちゃんと保障できていると考えてよろしいのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 実際に患者さんの登録自体は18か月となってございますので、その後に患者さんがもし来られた場合は、また試験実施計画の変更や、あるいは別の患者申出療養になるか、それはそのときの状況によるかと思いますが、その際は御相談という形になろうかと思います。
○宮川構成員
 またそこで患者申出療養をもう一回条件を設定し直すということを最初から想定して、患者申出療養を行うのはどうなのかなと思ったので、患者さんを救いたい、御家族の思いをしっかり届けたいということであるならば、なぜ国際共同の試験期間まで合わせなかったのかという理由がここに書いていないので、お聞きしたわけです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 御意見いただきまして、ありがとうございます。
 今回、医療機関といたしましては、保険収載を目指すものとしてそういった参考データを用いることを想定しというところではございますが、実際に先生から本日いただいた御意見もお伝えさせていただきまして、そういった場合に例えば、さらに追加で実施することが検討されるのかといったことを確認させていただくことは可能でございます。
○宮川構成員
 分かりましたけれども、5ページで回答された趣旨が明確に生かされていない形になるわけですよね。またそこで御都合よくという言い方は悪いのですけれども、そこでもう一回そういう患者さんがいらっしゃったのだからそうしましたというのは理解します。よく分かるのですが、患者さんと家族の思いを届けたいというのであれば、しっかりと設定期間を最初からつくるべきだと私は思うのですが、それに対して18か月で4名を最初から設定する意味が私は理解できないのです。患者さんは、ある程度想定されて毎年毎年出てこられるわけですね。それに対しての有効な治療手段はなかなかないということであるならば、最初から国際共同試験の終了時期までに申出医療をしっかりと定めて、そこで結果を出していくということが最初から想定されるべきだろうと思うので、中途半端な時期設定をしたことが私にはよく理解できないので、そこはしっかり正していかなければならないのだろうなと思った次第です。
 つまり、患者申出療養が軽視されているような気がするのです。そこでまた延長すればいいだろう、また追加して申請すればいいだろう、そういうことで患者申出療養があるわけではないので、最初からしっかりとした中で設定することが非常に重要なことだろうと思うので、御質問させていただきました。
 以上でございます。
○福井座長
 メインのスタディーは一応登録が終了していて、恐らく解析が出るまでの期間がこれくらいではないかと当初考えて18か月としたのではないかと、私は最初に読んでそのように理解したのですが。
○宮川構成員
 私もそうであれば一番いいと思うのですが、それがちゃんと明記されていないので。いわゆる登録がどうなのかとか、解析結果までどうなっているのかということがちゃんと設定されて、そのような意味合いでということを説明されないといけないのだと思います。
○福井座長
 解析結果につきましては、恐らくオープンにできないのではないでしょうか。登録が終わって、今そのプロセスにあるということではないかと私は理解いたしましたが。
○宮川構成員
 座長の御意見はもっともだと思いますので、それは別に逆らうわけではないので、患者さんや患者さんの家族をお救いになると5ページにしっかり書いてあるので、時期設定としてはしっかりと整えていただきたいと思います。
○福井座長
 ありがとうございます。
 松井先生、挙手していただきましたが。
○松井構成員
 今の宮川構成員の指摘していただいたところに関連するのですけれども、もともと患者申出療養の結果も治験のデータにある意味参考資料として出すことを想定しておられるわけですよね。本来、患者申出療養というのは前回も申し上げましたとおり、もともとの発想がコンパッショネート・ユースから来ているものであるはずなので、例えば、治験のインクルージョンが既に終わっているとしても、治療として欲する人に治験薬を無償で提供して、治験が完了してデータが出る、それから承認になるのかどうかは分からないですけれども、治験に入っていない人に対しても、少数例ですから特に希望する人たちに提供していくというのが本来あるべき姿ではないのかなと思います。
 そういう意味では、今、患者申出療養の研究としてのトラックだけを考えてやっておられるところに無理があって、本来、患者申出療養には臨床の診療トラックも用意はされていて稼働していない状態ですけれども、こういう方にこそまさに診療トラックのほうで治験薬を無償で提供する。それは治験の結果が承認になるかどうかが明らかになるまで提供していくというのが本来あるべき姿ではないかと思いますので、そういう意味では、患者申出療養とコンパッショネート・ユースと、もう一個パラレルで走る治験や先進医療との関係を厚労省でももう一度見直すことをしていかれないと、この問題はずっと続くような気がしますので、御検討いただければと思います。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。事務局どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 こういった制度の位置付けというのは、我々のほうでも日々整理して、また先生方に分かりやすくお示しさせていただければと考えておりますが、試験実施期間や症例数といったものは、医療機関で今回の計画の中で、これであれば実施できるという形で計画されているものですので、実際に例えば薬剤の提供といった観点から、どこまで医療機関に御対応いただけるかは御相談だとは思っておりますが、先生方からいただいた貴重な御意見につきましては、事務局から医療機関にもお伝えさせていただきたいと考えております。
○松井構成員
 医療機関だけではなくて企業そのものへ、治験薬をコンパッショネート・ユースの枠組みでどう提供していけるのかということを企業自体に考えてもらう必要があると思いますので、これは医療機関に求めても仕方がない部分だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○福井座長
 宮川先生どうぞ。
○宮川構成員
 今、松井構成員からすごく核心を突いた御意見をいただいたので、それに関して私は松井構成員の御意見に賛同します。
 この中で臨床試験に入ることができない、でもそのデータを実際に使わせてください、患者申出療養の中のデータを使わせてください。ですから、薬に関して無償提供しますということが書いてあるわけです。それは患者申出療養に反するという形で今、松井構成員がおっしゃいました。これはまさしく患者申出療養の趣旨に反することなのだということを前々から私は申し上げているのです。ですから、医療機関は明確に理解していなければなりません。なおかつ、企業に対して安易に患者申出療養を使って治験もどきをすることはあってはなりません。これはあくまでも患者さんと患者さんの家族を救うためにある制度であるということを再認識しないと、厚生労働省はそういう企業に使わされてしまう、安易に利用されてしまう形になるのだということをよく御理解いただければと思います。
 私が先ほど言ったのは、試験登録期間の意味が分からないということです。つまり、それを利用するために、ある程度区切ってそれを試験の中に入れ込むという期間があるからこそ、ブランクの期間が出てきているのだということを先ほど申し上げたのです。つまり、療養制度が理解されているのであれば、全ての試験結果が出て、そこでこれは保険適用できるのだから保険適用でしましょうねというところに持っていくべきなので、試験の中に入れ込んでそれと混同されることは、決してあるべき姿ではないと私は理解しています。ぜひ、そのような形で整えていただければと思います。
 以上です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 先生方から非常に貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。今、先生方からいただいた御意見も踏まえまして、また厚生労働省で引き続き検討させていただきたいと考えております。
○福井座長
 ありがとうございます。患者申出療養の制度自体がかなりコンパッショネート・ユース、いわゆる混合診療を無制限に認めない形で行うにはどうしたらいいかということで考えられたものでして、先生方おっしゃるように非常にピュアに、科学的に考えると、どうかなと思われる点が時々上がってきているのも事実でございまして、これは制度そのもののことでございますので、今後とも話し合いはしていきたいと思います。
 宮川先生どうぞ
○宮川構成員
 資料として患-1の参考資料2を出していただいているのですけれども、患者申出療養の意味合いが1ページに書いてあるわけですが、2ページに先進医療A・B、いろいろな治験というところで流れが書いてあります。私たちはそれをよく理解しなければいけないと考えます。もちろん理解しているから、この会議に出ているわけですけれども、その内容を明確にした形で参加する研究者、企業の方たちにしっかりと周知していただいて、この患者申出療養の中身・趣旨をしっかり理解していただくことが重要です。その中で形が整って、こういう形で患者申出療養の実施計画が出てこなければなりません。申出療養は整ってから申請を出させるという形にしなければ、中途半端な形で申請されても私たちはそれを承認するわけにはいかないということになります。それは企業、ノバルティスファーマに対しても、九州大学病院に対しても、実施の体裁をしっかり整えなければ承認するわけにはいかないと思いますので、整えてからもう一回出していただくという形が一番適切ではなかろうかと思います。そうでなければ、松井構成員のお尋ねになった回答にもなっていないと思います。
 以上でございます。
○福井座長
 恐縮ですけれども、五十嵐先生、何か御意見ございますか。
○五十嵐座長代理
 確かに、今の御指摘はごもっともなのですが、改めてまた出し直すことになりますと、待っている患者さんが4人ほどいらっしゃるかもしれないということなので、その対応が遅れてしまうことになりますので、私は今回の申し出、確かに不備はあるのかもしれませんけれども、その点については具体的に修正案をお示しして出していただくという方向にして、今回はこれで基本的にはお認めいただく形をこの委員会の方針として取っていただきたいと思いました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。山口先生。
○山口構成員
 私も五十嵐先生の案に賛成です。といいますのは、企業との交渉は結構大変だと思います。また時間がかかると大変まずいと思います。ただし、皆さんの御指摘がありましたので、延長に備えて今からちゃんと交渉を進めてくれということを伝えて、そのときには迅速にできる体制さえ整えていただければ、今回はこの案をお認めしたほうが実際的だと思います。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 直江先生どうぞ。
○直江構成員
 私も、この実施計画書はこれで認めた上で、宮川構成員がおっしゃるように、次の患者さんで空白期間が出た場合は、現実的な対応策としてはプロトコルの延長ということで対応せざるを得ないのではないかと思います。
 そこで質問なのですけれども、今回は九州大学から出ているのですが、中核病院としてこの情報は共有化する仕組みはもうあると。つまり、関東地区や東北地区などほかの地区で患者さんが出たときに、すかさず協力機関として参加して、すぐ対応できるような仕組みになっているということでいいのですねということが1点目。
 2点目は、今、山口構成員もおっしゃったように、この計画書は恐らくフェーズ2の治験の実施計画書そのものだと思うのですけれども、そういう意味では、薬剤提供だけではなくて実施計画書も含めて、メーカーから多大な情報を得た上で実施するということで、結構大変だったのではないかと思うのですが、今、中核病院の情報をメーカーに出すということが話されていますけれども、同時に走っているフェーズ2の結果で、例えば、安全性情報などをリアルタイムで中核病院に入れるという、つまりメーカーとのやりとりがプロトコルを見てもよく分からなかったのですが、それについてはどうなっているか。その2点も質問として併せてお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 大変貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 まず、1つ目の今後ほかの地域や、ほかの医療機関に患者さんが来られた場合等の対応についてでございますが、患者申出療養はこれまでもそうでございますが、実際にそういったことを希望される患者さんが来られましたら、まずは患者申出療養の相談窓口に御相談いただくことになってございまして、具体的には参考資料2の1ページの右側のスキームとなってございます。相談窓口の方は、今、実際にどういった患者申出療養が実施されているか等を把握していただいているところですので、そこから臨床研究中核拠点病院に御相談が行くというスキームになってございます。
 2点目のメーカーとの情報のやりとりにつきましては、事務局としましても詳細な情報は現時点で把握していないところでございます。
○直江構成員
 メーカーとの協力がないとうまくいかないスタディーですし、メーカーも最終的にはこのデータを申請のときに一緒につけるということでございますので、そこはメーカーとしっかり連携をとって、プロトコルを読むとメーカーは薬だけ出して一切何も出さないよという書きぶりなのですけれども、実際はそんなことは全くないわけですよね。メーカーのプロトコルをそのまま、例えば、原料規定とか用法・用量というのは恐らく治験そのものだと思うんです。そういう意味で、例えば世界で行われて有害事象などがあったら、いち早く中核にも知らせてもらわなければいけないというところの連携体制をしっかりとっていただくように、厚労省からもひとつよろしくお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。そういった形で確認してまいりたいと考えております。
○福井座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 私も五十嵐先生の御意見に賛成で、このケースにつきましては恐らく時間のこともございまして、コンパッショネート・ユースという側面が当初からこの制度にはございまして、論理だけでなかなか割り切れないところも時々ある制度だということは理解した上でこの制度を運営していると理解しておりますので、今回のことにつきましては恐縮ですけれども認めるということで、今回いただきましたいろいろな御意見につきましては、事務局とも相談いたしまして、それを取り込むというか、対応できるような体制を整えていくということにさせていただければと思いますが、宮川先生どうぞ。
○宮川構成員
 私も意固地になって言っているわけではないので、あくまでも患者さんと患者さんの家族を守るための療養制度なので、そのことをちゃんと基本として考えていただけるのであれば、今の五十嵐構成員のおっしゃるとおりだろうと私も思っています。ただ、これはもちろんデータなどある程度提供するというのは全然問題ないのですが、それがありきでこれが利用されるのはいけないことだと思います。先ほど言った期間もギリギリまで設定していただく、18か月よりはもっと長い可能性があるので、そういう形でつくっていくのが一番好ましいのではないかと思っておりますので、ぜひ趣旨だけはお守りいただけるように、厚労省もしっかりと目を光らせていただければ幸いかなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございます。
 ○福井座長
 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
 それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと考えます。大変申し訳ありませんが、利益相反の関係で、成川構成員は一次御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 (成川構成員 退席)
○福井座長
 それでは、事前評価結果どおりに決定するということでよろしいでしょうか。
 (首肯する委員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。並行して本日いただきました御意見につきまして、また事務局と対応していくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、事前評価結果どおりに決定することにさせていただきます。
成川構成員にお戻りいただいてよろしいでしょうか。
 (成川構成員 着席)
○福井座長
 この制度の性格上、申請があってから6週間以内に結論を出して告示するということになっておりまして、五十嵐先生、手良向先生、山崎先生には非常に短い時間に評価していただきまして、本当にありがとうございました。
 それでは、次に、事務局から「患者申出療養の中間報告について」の資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○医療課主査
 資料患-2につきまして、御説明させていただきます。「患者申出療養『パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法』に係る検討における指摘事項及びそれに対する回答について」としている一枚紙を御覧ください。
 まず、1つ目でございますが、本技術につきましては、先行して先進医療Bとして実施されたランダム化比較試験におきまして、標準治療に対する優越性が示されなかったことを受けまして、本患者申出療養につきましても中間報告を求めるべきだという指摘がございました。こちらを受けまして、第16回患者申出療養評価会議におきまして、東京大学医学部附属病院より中間報告書が提出されております。
 また、2つ目でございますが、第23回患者申出療養評価会議におきまして、再度、現時点での中間報告を求めるべきだという指摘をいただきました。
 3つ目でございますが、第25回患者申出療養評価会議において中間報告書が提出され、その際に多くの患者さんに適切なエビデンスを提供する観点から、この試験自体の現時点の結果について早期に示すことを検討するべきではないか。試験治療継続中の8例においては、腫瘍増悪を認めていないとのことだが、この方々がどういう症例であったのかを示していただきたいという指摘がございました。
 4つ目でございますが、この指摘を踏まえ、医療機関に指摘事項について照会を行い、今般その回答が提出されたため御確認いただければと考えております。
続きまして、資料別紙2につきまして御説明させていただきます。「患者申出療養評価会議事務局からの照会事項」としている一枚紙を御覧ください。
 まず、1つ目の指摘事項に対する回答でございますが、本試験では、全症例において試験治療が終了した時点で、安全性及び有効性の解析を行う計画としているとのことでございます。しかし、早期に適切なエビデンスを提供するという観点から、解析を繰り上げる変更案を作成し、臨床研究審査委員会に諮る方針としたとのことでございます。変更案では、主要評価項目(有害事象発現状況)及び副次評価項目(全生存期間、奏効割合、腹水細胞診陰性化割合)に関する解析を繰り上げて実施し、試験終了後に改めて有害事象発現状況と全生存期間の最終解析を行う計画とする予定としているとの回答をいただいております。
 また、2つ目の指摘事項に対する回答でございますが、治療継続中の8名の患者背景を示していただいております。また、先行研究の結果と同様に、治療成功期間が長い症例はPSが良好であり、腹膜播種の程度は軽い症例が多い傾向を認めましたと回答をいただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、構成員の先生方から何か御意見・御質問等ございませんでしょうか。
 どうぞお願いします。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。私から2点ございます。
 まず、1点目ですが、別紙2で回答いただきました。1点目は、私からの前回の指摘だったと記憶しておりますが、私からの指摘の趣旨としましては、奏効している患者さんがいらっしゃる限りはこの試験を終えることはできないとなりますと、もちろん奏効している患者さんがいらっしゃることは喜ばしいことなのですが、一方で、試験の結果がいつまでたっても解析できないことになってしまいますと、結果として多くの患者さんにとって不利益となりかねませんので、早期にできないかと御提案申し上げました。それに対して東大から解析を繰り上げて実施するという御回答をいただきましたので、ぜひ、その方向で進めていただければというのが、私からの1点目の指摘でございます。
 2点目の指摘についてですが、本患者申出療養について、東京大学の病院で自由診療を行っていることがホームページで公開されているのを私のほうで見つけました。また、同様の御指摘を東大病院でセカンドオピニオンを受けている患者さんからも伺っています。
 ホームページの内容を御紹介しますと、東大病院では腹膜播種を伴う胃がんを対象として、自由診療としてパクリタキセル腹腔内投与と全身化学療法を併用する治療を実施していますと。治療の内容は、これまで先進医療や患者申出療養として実施してきたS-1、パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法と同じですということが書かれていまして、治療に係る費用の項では、パクリタキセル腹腔内投与は健康保険が適用されない治療ですので、その他の薬剤、検査や診察などを含めて保険を使用することができず、費用は患者さんの10割負担となりますという記載がございまして、費用総額は約15~18万円という記載がホームページでなされていました。
 こちらのホームページは、東大の化学療法部のホームページからリンクが張られていて閲覧できるようになっていたページです。このページついて、実は私のほうから本日の会議の前に、厚生労働省に対してこのようなページがあるのだと指摘させていただいたのですが、本日このページを閲覧しようとしたら閲覧できないようになっていました。昨日までは閲覧できたのですが、なぜだか今日は突然閲覧できないような形になっていまして、大変驚いております。
 私からの意見としましては、この治療法自体は先ほど事務局からも御説明があったとおりになるかと思いますけれども、今までの臨床試験等では十分なエビデンスが示されていないばかりか、標準治療に対する優越性が示されていない治療になります。だからこそ先進医療として行われ、患者申出療養として行われ、臨床試験として行われることによって、有効性と安全性が確かめられているものと理解しています。
 一方で、東大病院が全く同じ治療を全額負担で自由診療で行っているというのは、どう理解したらよいのかと考えます。患者さんの立場から見れば、もちろんがんの患者さんはわらにもすがる気持ちですので、東大病院が自由診療として行っているのであれば、何らかの有効性が自分にも期待できるかもしれないと考えて、たとえ全額負担であっても治療を受けたいという気持ちになられるのではないかと。むしろそういう気持ちになられるのは当然だと私は思います。
 一方で、医療者の倫理として考えた場合、有効性が必ずしも示されていない治療を、臨床試験を行っていたはずの医療機関が全額負担、10割負担で自由診療として行う際は、一体患者さんにどういう説明を行っているのだろうかと思います。また、聞き及ぶところによりますと、セカンドオピニオンを東大病院に受けに来た患者さんに対して、医師がこの治療法を勧めているとも聞いております。
 本日私から指摘申し上げたいのは、東大病院がこのような自由診療を患者申出療養制度または先進医療で臨床試験が行われている状態であるにもかかわらず、全く同じ治療を10割負担で自由診療として行っているのは事実なのかの確認です。もし事実であれば、なぜこのような自由診療を東大病院は行っているのか、どのようなお考えで行っているのかを、厚生労働省から東大病院に照会していただきたいと考えています。
 私からは以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 このことにつきまして事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 非常に貴重な御意見、また厳しい御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 今、天野先生からいただきました旨につきましては、事務局から東大病院に伝えさせていただきます。加えまして、今御指摘がございました事実関係につきましても、併せて確認させていただきたいと考えております。
○福井座長
 構成員の先生方、いかがでしょうか。今までこういう事例はなかったように思いますが。
 宮川先生どうぞ。
○宮川構成員
 前回天野構成員がおっしゃったときに、私も賛同して漫然とこのような状況を続けていくのはあってはならないので、しっかりとした方向性を出して報告してくださいと申し添えたというのは議事録を見れば分かるはずなのですが、それがこの回答には示されていません。ですから、それが非常に問題だろうと考えます。そして今のような事象が起こっていることが問題です。ですから、しっかりとした方向性を出していただけないと意味のない形になってしまいます。今のような自由診療のところにはね返っているという状況が説明されていません。その方向性がどうなっているのか説明がありません。いたずらに患者さんに対して期待を抱かせるようなことをしながら、そういう療法を推し進めることはあってはならないことだろうと思います。天野構成員が言っていただいたことが全てなので、それをしっかりと守っていただけないと、患者申出療養を踏みにじる形になります。
 ですから、私は参考資料を出してくださいと何回もお話ししているとおり、患-1の参考資料2の1ページにありますけれども、国内未承認の医薬品等を迅速に保険外併用療法として使用したいという患者の思いに応えるために、患者からの申し出を起点とする新たな保険外併用療法の仕組みとして患者申出療養を創設した。つまり、情報は患者さんにあるべきなんです。起点は医療機関ではないんです。ですから、医療機関・医師がそういうものを研究の材料として用いるのではなくて、いろいろな情報の中で、患者さんがこういうものはどうだろうかと医療機関の医師ないし研究者なりに訪ねて、それを申出療養の中に生かしていくというのが、この考え方の根本なんです。ですから、天野構成員がおっしゃったとおり、情報は患者さんに提示できるようにしていかないと間違いが起こるんです。ですから、東大病院の今のような在り方になってしまったのだということで、改めるべきところは改めていただくことが患者さんのためになるのだということを、ぜひ構成員の方にも御理解いただいて、情報はしっかりと開示していただきたいと思います。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 いずれにしましても、解析を繰り上げて実施してもらって、その結果をまずこの会議に出していただくことが次の手段ではないかと思いますし、自由診療の現状につきましてはもう一回事務局から確認していただいた上で、次回、このテーマについてのディスカッションを続けたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 辻先生どうぞ。
○辻構成員
 日本難病・疾病団体協議会の辻でございます。
 今、天野先生の御指摘を受けて大変ショックを受けています。患-1についても、臨床研究の情報ポータルサイトが患者側からアクセスできる治験情報となっていますが、実は患-1の治験情報については現在も募集中と表示されているんです。情報が非常に古くて2019年に更新ということで、実際は先生方がおっしゃるように、募集はもう終わっていると思うのです。患者が知ることのできる情報はそんな状況にあるということを御認識いただいて、患-1でも患者について御理解ある発言があったのですごく喜ばしかったのですけれども、多分、臨床研究の情報ポータルサイトにつきましても、参加コーディネートモデル事業みたいなものを厚労省で進めているところもあると思いますが、実態はそのような状況で、患者置いてけぼりの状況も出ていると考えておりますので、ぜひ今後も今回のことを契機に議論していただければと思っております。よろしくお願いします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次回の会議のときには事務局から進捗の報告をお願いいたします。東大病院とのやりとりもあると思いますので。
 それでは、「その他」に移りたいと思います。本日の議題「その他」が3番目に挙げられておりますが、事務局から何かございますか。
○医療課主査
 事務局より追加がございました患-3としてお送りさせていただきました資料を御覧いただけますでしょうか。
 こちらは告示番号6番、マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療の実施医療機関であります大阪大学医学部附属病院より、当該患者申出療養の新規症例登録の一時停止を行う旨の申し出があり、臨床研究中核病院である国立がん研究センター中央病院を経由して報告が参りましたので、御報告させていただきます。
 理由でございますが、プロトコル治療中であった症例におきまして、有害事象に係る情報伝達に時間を要した事例があったとのことでございます。具体的には、大阪大学医学部附属病院と訪問診療を行っている医療機関との間で、患者さんが亡くなられたという情報の伝達が遅れたというものでございます。
 本件につきましては、大阪大学医学部附属病院と国立がん研究センター中央病院が協議し、実施医療機関より施設全体として臨床試験実施体制の改善を行う旨の申し出があり、体制が整うまで新規症例登録を一時停止する旨の申し出があったとのことでございます。
 なお、本件の発生及び対応状況につきましては、国立がん研究センター臨床研究審査委員会及び国立がん研究センター患者申出療養委員会に報告し、了承されたとのことでございます。
 今後の対応につきましては、臨床試験実施体制の改善策、再発防止策を検討し、効果安全性評価委員会、国立がん研究センター臨床研究審査委員会及び国立がん研究センター患者申出療養委員会で再開の可否について審議される予定とのことでございまして、こちらにつきましては改めて御報告いただくこととなってございます。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、構成員の先生方から何か御質問・御意見ございますか。また報告があるということですよね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 今後につきましては、再発防止策などを先ほど申し上げた会議等で御検討いただきまして結論が出ましたら、またこちらに御報告いただくこととなってございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 もしないようでしたら、本日の議題はこれで終了となりますので、事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○医療課主査
 次回は、日程調整の上、後日連絡させていただきます。
○福井座長
 それでは、第27回目になりますが患者申出療養評価会議を終了いたします。
 本日は、大変お忙しい中ありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

(了)

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