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2019年3月14日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

平成31年3月14日(木)14:00~

 

○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13B (13階)

○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 石川構成員 寺田構成員 
直江構成員 原田構成員 山口構成員 山崎構成員 磯部技術専門員
 
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官 先進・再生医療迅速評価専門官
研究開発振興課長 先進医療専門官 他

○議題

1 総括報告書の評価について
  (患-1)(別紙)
 
2 試験実施計画の変更について
  (患-2―1)(参考資料)(患-2―2)
 
3 患者申出療養制度下での新たな薬剤アクセススキームについて(案)
  (患-3)(参考資料1)(参考資料2)
 
4 がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養について
  (患-4)(参考資料)

5  その他
 

○議事

14:00開会


 

○福井座長
 それでは、ただいまより「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 先生方の出欠状況ですが、本日は、一色構成員、上村構成員、新谷構成員、大門構成員、田島構成員、田代構成員、手良向構成員、成川構成員、松井構成員よりご欠席との連絡をいただいております。また、本日の審議案件に関しまして、循環器内科の技術専門員の磯部先生にご出席していただいております。よろしくお願いします。
 欠席されます構成員からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされています。
 それでは、資料の確認を事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。頭撮りについては、ここまでとさせていただきます。
 それでは、まず資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席表、構成員名簿をおめくりいただきまして、患-1「患者申出療養 総括報告書に関する評価表」としておりますホチキスどめの資料がございます。こちらには別紙がついてございます。
 患-2-1「患者申出療養の研究実施計画の変更について」としておりますホチキスどめの資料がございます。こちらには参考資料がついてございます。また、同様に「患者申出療養の試験実施計画の変更について」としております患2-2の資料がございます。
 患-3「患者申出療養制度下での新たな薬剤アクセススキームについて(案)」としている一枚紙がございます。こちらには参考資料1と参考資料2がついてございます。
 最後に、患-4「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養について」としております一枚紙がございます。こちらには参考資料がついてございます。
 資料については以上でございます。
 資料について、不足、誤り等がございましたら事務局までご連絡ください。
 あと、本日もタブレットを使用していただきたいと思います。申請書類等につきましてはタブレットから閲覧していただきますので、会議資料とタブレットの内容が異なっておるため、発言者は会議資料のページまたはタブレットのページとあらかじめご発言いただけますと、議事の進行上助かりますのでよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○福井座長
 資料等についてはよろしいでしょうか。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反についてご報告いたします。
 寺田構成員、直江構成員、原田構成員に関しまして、患者申出療養として評価を行う告示番号4の技術について報告がございました。寺田構成員、直江構成員、原田構成員におかれましては、評価対象技術に含まれる医薬品または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることが可能でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 そのほかの出席されている構成員におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、議題1「総括報告書の評価について」に移りたいと思います。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料患-1をご覧ください。「患者申出療養 総括報告書に関する評価表」でございます。
 今回、患者申出療養告示番号4番「チオテパ静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びエトポシド静脈内投与並びに自家末梢血幹細胞移植術の併用療法」についての総括報告書が提出されましたので、その評価の主担当を直江構成員、副担当を新谷構成員にお願いしております。
 技術の概要につきまして、別紙を用いて説明いたします。別紙をご覧いただけますでしょうか。カラーの一枚紙になってございます。
 本技術は、19歳以下の再発難治性の髄芽腫、PNET、ATRTを対象としておりまして、チオテパを含む大量化学療法とともに自己末梢血幹細胞移植を行いまして、その安全性と効果を検討するといった試験デザインでございます。
 「治療レジメン」については、図にお示ししたとおりでございまして、「主要評価項目」が自己末梢血幹細胞移植100日以内の全死亡率となっております。
 症例登録期間が2017年8月までと設定されておりまして、結果的に当初申し出のあった患者さん1名のみがエントリーしまして、観察期間も終了したために、今回総括報告書が提出されました。
 事務局から説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 それでは、本技術の評価結果について、直江構成員からご説明をお願いします。
○直江構成員
 資料患-1をご覧ください。本技術は名称が「チオテパ静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びエトポシド静脈内投与並びに自家末梢血幹細胞移植術の併用療法」となっておりまして、難治性であります髄芽腫等の治療として、未承認でありますチオテパを用いた自家末梢血幹細胞を行いまして、その効果と安全性を検討するというものでございます。
 この概要のところでございますけれども、今申し上げましたように自家末梢血幹細胞移植を行って、中ほどにございますが、輸注日より28日時点でプロトコール治療を完了としまして、50日目、100日目に治療効果判定を行いまして、移植の翌年同日まで経過を追うということになっております。
 この量でございますけれども、そこの下に書いてありますように、血中濃度-時間曲面下面積に基づきまして、あるいはCulvertの式から用いました投与量をそれぞれ定めまして、自家末梢血肝細胞移植としましては、CD34陽性幹細胞を少なくとも2掛ける10の6乗個/kgを輸注するということになっております。
 主要評価項目は、自家末梢血幹細胞移植後100日以内の全死亡率とされております。副次評価項目は有害事象の発生件数、治療関連死の件数、治療効果判定、無増悪生存期間、全生存期間を検討するとなっております。
 次のページでございます。「医療技術の試験結果」でありますけれども、安全性の評価結果としましては重篤な有害事象はなし、有効性の評価結果としましては、移植後172日の頭部MRIで原病の再発が確認されたということでございます。
 発生した有害事象としましては、そこにありますようなgrade3の有害事象、あるいは白血球減少等の血液毒性としましてはgrade4、口腔粘膜はgrade3等が出ておりますが、全て非重篤な有害事象で、回復または軽快していると記載してございます。
 結論でございますが「予期される非重篤な有害事象のみで、重篤な有害事象は認めなかった。本治療法の安全性については担保されていると考える。ただし、移植後172日で再発をしており、1例ではあるが有効性は限定的と考える」と結論されております。
 主担当の評価のほうも言っていいでしょうか。今日は副担当がご欠席です。
○福井座長
 新谷先生は後ほど。
○直江構成員
 事務局から言っていただけますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 本日、新谷先生はご欠席でございまして、新谷先生のご評価につきましては事務局から代読させていただきます。
○直江構成員
 では、主担当のほうの有効性、3ページでございます。
 有効性につきましては、「E.その他」とさせていただきました。
 本試験計画書に従ってチオテパ・カルボプラチン・エトポシドを組み合わせた大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植が1例に対して施行された。移植後172日目に再発を認めており、本症例での効果は限定的であった。
 結論、本症例のみで有効性の判断を行うことは不可能と考える。
 安全性につきましても、「D.その他」とさせていただきました。
 大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植によって、CTCAE grade4の血液毒性、並びにgrade3の非血液毒性が認められた。全て回復または軽快しており、想定内の有害事象と考えられる。難治性の腫瘍に対する救援療法という状況であるので許容範囲であろう。
 結論、本症例での安全性については問題がなかったが、これをもって本治療法の安全性を論じることは不可能と考える。
 「技術的成熟度」は「B.当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」とさせていただきました。
 コメントでございます。「手技としては自家末梢血幹細胞移植であり、自家造血細胞の採取・保存・輸注に関して数多くの経験のある医療機関・医師によれば実施可能である」とさせていただきました。
 ここまででいいですか。
○福井座長
 直江先生のところをお願いします。
○直江構成員
 では、全部行きます。
 総合的なコメントは、「本症例のみで本治療法の安全性・有効性を論じるのは早計である」というコメントでございます。
 「薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言欄」ということでございますけれども、本来は助言であるかどうかというのは難しい。1例ですので、なかなか何を書くべきか悩んだのですけれども、情報提供といたしまして、現在メーカーによって自家造血幹細胞移植の前治療を対象としたチオテパの承認申請が行われていると聞いております。これによって、患者さんに対する治療の選択肢というものが広がるのではないかと書かせていただきました。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございました。
 続きまして、先ほどお話に出ていましたけれども、本日ご欠席の新谷構成員からの評価結果につきましては、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、ご欠席の新谷構成員にかわりまして、評価結果について代読させていただきます。
 まず、5ページ目の「有効性」でございますが、「E.その他」でございまして、コメント欄には、「有効性は限定的」との結論であるが、有効であったとする根拠は自明ではなく、症例数も1例であったことから本試験の結果をして本治療法に関する有効無効の評価を行うことは極めて困難である。今後の本治療に関連する試験結果の評価を経た上で、治療として適切か否かが判断されるとコメントされております。
 また、安全性につきましては、同様に「D.その他」とされておりまして、本試験で生じた有害事象は、いずれも予期された範囲内であり、主要評価項目に規定した安全性評価基準「自家末梢血幹細胞移植後100日以内の全死亡率」に関しても死亡症例を認めず個別治療の評価としては望ましい結果である。しかし、これらは1症例の結果を要約したものであり、本結果をして「安全である」と結論付けられるものではなく、複数症例での検討が必須であるとされております。
 最後に技術的成熟度のところでございますが、「C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中心とした体制をとっていないと実施できない」とされておりまして、
 コメントとしまして、現時点では、有効性・安全性ともに本試験結果からは結論が得られないため、十分に経験と技術を有する体制下にて実施されるべき内容と考えられるとされております。
 説明は以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、何かご質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 もしないようでしたら、先ほど直江先生がおっしゃったような総合的なコメントなどを含めまして、ただいまの評価結果どおりということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 (「はい」と声あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 議題の2に移りたいと思います。「試験実施計画の変更について」の資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、まず資料患-2-1に基づきまして説明いたします。
 今回、変更申請のあった技術は、大阪大学医学部附属病院から申請された、患者申出療養告示番号2の「耳介後部コネクターを用いた植込型左心補助人工心臓治療」でございます。
 適応症は、重症心不全でありまして、試験の概要としましては、従来電源接続部を腹部コネクターとしていたシステムに対しまして、本技術ではQOLの改善を目的として、電源接続部を耳介後部コネクターにしたということで、植え込み後の6カ月までの安全姓を確認する試験デザインとなってございます。
 実施予定期間ですが、2017年2月から2021年12月31日までとなっておりまして、予定症例数は6例、おめくりいただきまして、これまでに3例が実施されました。
 今回の主な変更内容につきましては、人事異動に伴う実施体制の変更、重篤な有害事象の発生を受けての除外基準の追加、そして、臨床研究法対応のための記載整備となっております。
 重篤な有害事象につきましては、既に昨年第9回の患者申出療養評価会議におきましてご討議いただいております。当時の資料については、参考資料としてつけさせていただきました。
 今回の変更では、効果安全性評価委員会の指摘を受けまして、真ん中にポツが2つありますが、
  ・右室機能が重度に低下しており、術後右心不全のため退院困難なことが予測される患者
  ・1年以内にステロイドを1カ月以上内服した既往がある、またはステロイドを内服中の患者
が除外基準として新たに設定されております。
 以上の変更につきまして、ご審議いただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 3例について行って、患-2-1(参考資料)の1枚目の裏をご覧いただきたいと思いますが、1例目、2例目、3例目で、このような事象が起こったということで、3例続いたということです。
 このことにつきまして、今、事務局から説明がございましたように、患-2-1の2ページの【主な変更内容において申請する理由】のマル2のところが変更の申請ということになります。この点が主な検討事項ということになります。
 技術専門員の磯部先生に、ご専門の観点から追加でコメントをお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○磯部技術専門員
 今回の変更に係る昨年来の経過を少し振り返ってみますと、3例行われて2例が死亡しているということで、特に3例目の経過について前回議論がされて、それに対して、患者選択についての修正をするようにという条件が付されたものと理解しています。
 3例目につきましては、詳細な臨床経過を報告いただいておりますけれども、好酸球増多性疾患がある患者さんでHESだったかと思いますが、それに対してプレドニン、ステロイドが投与されている時期が長くて、かつ、全身的に抵抗力が恐らく低下しているだろうという患者さんにこの手術をした後死亡されています。それが直接の死因ではないということであったと思いますけれども、結腸の穿孔等の非常に重篤な合併症を来して、かつ、それと死亡との因果関係が全くなしとは言えないという判定であったと思います。
 2ページの表にもありますように条件として、元々の選択条件として、患者選択をより厳密、適切に行うというコメントが書いてございます。一つは極端な右室機能低下のある患者、もう一つはステロイド投与が必要な患者等の全身状態に問題がある患者を除外することなどを書いてあり、それに対して、今回は修正の除外基準の追加があったということであります。
 一つ目の右室機能が重度に低下しておりという条件につきましては、私は特に異論がございません。
 もう一つのステロイドに関する最後の新しい除外基準を拝見しますと、「1年以内にステロイドを1カ月以上内服した既往がある、またはステロイドを内服中の患者」という基準になっておりまして、確かに3例目のHESの患者さんを除外することはできると思いますけれども、このときにつけられた条件として「ステロイド投与が必要な患者等の全身状態に問題がある」ということは、ステロイド投与のほうに重きを置かれているのではなくて、全身状態に問題がある患者を除外するということがこの条件のポイントではなかったかと思います。
 ステロイドを使って、免疫抑制状態にあるということは大きな抵抗力の低下に結びつきますけれども、ステロイドを使っていない患者さんであっても、慢性の炎症性疾患でプレドニンを使わない疾患は幾らもございますし、リウマチあるいは潰瘍性大腸炎とか、安動脈炎といった、一旦ステロイドを使っていても、やめていて再燃を繰り返す疾患も多々ございますし、最近はプレドニンを減らして、バイオ製剤に置きかえる治療法が非常に普及しております。私がよく拝見する高安動脈炎でもプレドニンフリーで、トシリズマブだけで様子を見られるという医師はたくさんいらっしゃいます。
 そういうことを勘案しますと、このステロイドを内服したあるいは内服中の患者さんだけを除外するというのは、この会から指摘された条件をクリアしていると私は判断できません。適切ではないと思います。もう少し広い観点から慢性疾患、あるいは炎症性疾患を含めて、全身の状態に問題があるという患者を適切に除外できるような表現、あるいは基準にしていただきませんと、私はこちらから出したリクエストに応えているような修正がなされていると私は判断できません。
 特に人工心臓のJarvikは比較的大きいデバイスが体内に植え込まれますし、新しい申出療養の手術は腹部から頸部にコードといいますか、リードを出して行うという非常に領域の広い手術でございますし、かつ、それが体外に出されるということでより慎重に患者さんの選択をいたしませんといけないという観点で、最後のステロイドを1カ月あるいは内服中という基準では、本来こちらから出したリクエストに対するきちんとした回答、あるいは修正がなされたと私は判断できませんので、そのあたりをご勘案いただいて、この修正内容についてご検討いただければと思います。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます
 ただいまの磯部先生のコメントを含めまして、この案件について、もしご意見、ご質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 患-2-1の資料の最後のページのところにつけ加えられているということだと思います。4ページの除外基準の16番目、17番目が今回新たにつけ加えられた除外基準ということになります。
○磯部技術専門員
 さらにコメントを追加させていただきますと、その除外基準は1から新しく17までございますけれども、3番の除外基準が「移植適応とならない他の疾患がある場合、専門家によりその疾患による平均余命が3年未満」という基準がございますが、平均余命が3年ではなくても、もう少し長いスパンを見込める患者さんであっても、抵抗力が非常に低下した患者さんというのがいらっしゃいますので、それを適切に除外することが必要だと思うのです。14番の「その他、研究責任者または研究分担者が不適当と判断した」というところで該当して、きちんとルールアウトできればよろしいのでしょうけれども、これがうまく機能しなかったというのが今回の有害事象の一つのポイントではないかと思います。
 加えて、17番は非常に限定的な、今回の症例だけをルールアウトするような基準をつけ加えられたということで、正直に言って、私はこの基準そのものが適切によく練られて、広い範囲の患者さんを適切に除外するということを念頭に置いて検討されたのだろうかということを疑問に思わないわけではございません。
○福井座長
 いかがでしょうか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 今の技術専門員のご説明に関連して質問がありまして、今の技術専門員のご指摘は私もよく理解するところでして、その方向で検討すべきではないかと考えるのですが、タブレット資料で効果安全性評価委員会の議事録が提示されていまして、その中の記載として、ステロイドにより組織の治癒が遅延している可能性が指摘されているとの記載が見受けられました。
 そうすると、技術専門員のご見解を伺いたいのがステロイドに関する項目を入れつつ、かつ、患者さんの安全に資するような除外基準を入れるべきとお考えなのか、それとも、ステロイドの部分は不要とお考えなのか。もしよろしければ、その部分について教えていただけますでしょうか。
○磯部技術専門員
 それは判断だと思うのですけれども、ステロイドを使っているということの弊害は免疫抑制に加えて、組織の脆弱性とか、さまざまな抵抗力の低下ということがありますが、それだけではないということですので、両方の記述があればベターだとは思います。あるいはステロイドのことはあえて述べなくても、適切な医学的判断をされるのであれば、ステロイドも含めた形で除外できると思いますので、一つの項目でもいいと思いますし、両方あっても問題はないと考えます。
○福井座長
 ほかにはいかがでしょうか。
 もしないようでしたら、今回の3つの点の変更申請でございまして、残りの1番目と3番目についてはお認めいただいた上で、2番について、適切な対応がなされることが確認されるまでは試験の実施を認めないということでよろしいでしょうか。
 事務局のほうから何かございますか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。事務局でございます。
 福井座長がおっしゃられるように、本臨床研究は臨床研究法における特定臨床研究に該当しますので、本年度中に臨床研究法へのかけかえを完了しておく必要がございます。可能であれば臨床研究法への対応についての部分につきましては、お認めいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。よろしいですね。
 (「はい」と声あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 磯部先生、どうもありがとうございました。
 (磯部技術専門員退室)
○福井座長
 それでは、「試験実施計画の変更について」でもう一件提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料患-2-2に基づきまして、説明いたします。
 本技術は、慶應義塾大学病院から申請がありました、患者申出療養告示番号3番の「リツキシマブ静脈内投与療法」でございます。
 適応症は、難治性天疱瘡となっておりまして、試験の概要としましては、リツキシマブを2週間隔で2回投与いたしまして、投与後、半年間の安全姓評価とともに、副次的に有効性評価も行うといった試験デザインとなっております。
 下のほうの実施予定期間ですが、2017年5月から2023年3月までとなっておりまして、現在、予定症例数10例のうち6例が登録されているといった状況でございます。
 裏面に参りまして、今回の主な変更点につきましては、臨床研究保険についての補償内容の概要を明記したこと。疾病等が発生した場合の対応手順について、研究計画書の記載を追記したこと。そして、認定臨床研究審査委員会への移行申請のための記載整備や書類作成ということになっておりまして、いずれも臨床研究法対応に伴う変更とのことでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 かなり事務的な側面についての変更でございますが、ただいまの説明について、何かご質問等はございますでしょうか。
 特に問題はないと私も考えますが、この変更について認めるということでよろしいでしょうか。
 (「はい」と声あり)
○福井座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 次に、議題3「患者申出療養制度下での新たな薬剤アクセススキームについて(案)」、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、「患者申出療養制度下での新たな薬剤アクセススキームについて(案)」を資料患-3に従いまして、説明いたします。
 まず、背景でございますが、未承認薬や適応外の薬剤を用いる患者申出療養を実施する際には、適宜製薬企業に医薬品手配についてご協力をいただいているところでございます。しかしながら、この手配に係る製薬企業との交渉手続につきましては、基本的に医療機関に委ねられておりまして、医療機関への負担が大きく、また、その交渉に長期間を要してしまったり、結果的に薬剤入手がかなわなかった事例もこれまでにございました。このような状況を踏まえまして、2つ目の○ですけれども、第10回患者申出療養評価会議におきまして、製薬企業に対して、薬剤の手配協力のために国としても何らかの対応が必要との指摘があったところでございます。
 そこで「2.対応策(案)」といたしまして、製薬企業に対して薬剤の手配の交渉をする際の交渉手続のルールを整備し、この際の手続のための書類を定型化した上で、患者申出療養会議において、交渉の経緯等の確認や検討ができるようにしてはどうかと考えてございます。具体的には、いわゆる拡大治験制度における拡大治験の要望スキームに倣いまして、患者申出療養制度下での薬剤アクセススキームを新設したいと考えております。
 参考資料1をごらんいただけますでしょうか。こちらのカラーの資料に本スキームの全体的な流れが示されております。左上から適応外薬または未承認薬による治療が候補となった場合には、その後、治験または臨床試験への参加というものが検討されるかと思いますが、これらに参加できない場合には、既存治療の継続をするか、あるいは患者申出療養の制度の利用が検討されることになろうかと思います。この黒塗りのところでございますが、その際には、主治医あるいは意見書を作成する臨床研究中核病院等から企業に対して薬剤手配の要望がなされ、一番右のところですけれども、その場合に企業でその可否について検討がなされることになるわけですが、もし薬剤の手配ができない場合には、左側に向かう赤い矢印のところになりまして、必ず様式1を用いて正式な企業の見解を出していただきます。
 その様式1といいますのが、参考資料2におつけしておる1ページ目になっております。こちらをごらんいただきますと、「2.手配できない理由等」というところがございまして、こちらに「制度該当性事由」「絶対事由」「時期的事由」「個別事由」「その他」という項目がありますので、該当するものにチェックをいただきまして、「マル2理由」のところで詳細についてわかりやすく述べていただくということになろうかと思います。
 参考資料1、カラーの資料に戻っていただきまして、その企業見解に対しまして何らかの不服があった場合、当該薬剤を用いて患者申出療養を行う必要性があると考える場合には、今度は、先ほどの参考資料2の裏側になりますが、臨床研究中核病院等から保険局医療課を通じて、患者申出療養評価会議に様式2を提出いただくことになります。その様式2についてですが、「2.当該治療薬を用いた患者申出療養を行う必要があるとする根拠」をお示しいただきまして、企業から提出された様式1とともに提出いただきたいと考えております。
 カラーの資料に戻っておりますけれども、様式2が会議に出された場合には、提出資料等をもとに患者申出療養制度下での当該薬剤の使用の妥当性等についてご検討をいただきまして妥当性ありとご判断いただいた場合には右側に進みまして、薬剤手配についての再検討を企業に要請をするといったことになります。
 最後に患-3の資料にお戻りいただきまして、最後の期待される効果のところでございますが、まず本スキームによって、患者さんの未承認薬等へのアクセスの改善が期待されること。企業との交渉が円滑化し、医療機関の事務的な負担が軽減されること。そして、製薬企業にとっても正式な企業見解を述べる機会が確保されるのではないかと期待しております。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見はございませんでしょうか。
 天野構成員。
○天野構成員
 ご説明ありがとうございました。
 一点確認がございます。冒頭の部分で拡大治験における取り組みやスキーム等をもとにしつつ、新たなスキームを構築いただいたということで、このスキーム自体に私は賛成でございまして、患者さんがこういったスキームを通じて、新規治療薬へより適切かつ早期にアクセスすることが可能になるという点においては重要なスキームだとは思います。
 一方で既に行われている拡大治験においてでございますが、例えば患者さんが治療薬を希望して、主治医に相談するというスキームになっていて、主治医から企業に対して照会等が行われるものと承知していますが、現状では、例えば一主治医が企業に対して照会をかけても、しばしば私が聞いている事例では、企業から絶対事由、薬剤耐性を言わない等の返答が返ってきて、もうそこで終わってしまっているという事例が幾つかあるように聞いております。
 今回のスキームが、医師だけに企業との交渉であるとか折衝を負わせるのではなく、可能であれば厚生労働省が介在することで薬剤手配の可能性を高めていただき、有効性があり、かつ、安全性も一定程度担保される可能性のある新規の治療薬に患者さんがアクセス可能になるようなスキームとしていただきたいと考えているところでございますが、厚生労働省は具体的にどの程度まで介在していただけるのかという点について教えていただければと思います。
○福井座長
 いかがでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ご指摘ありがとうございます。事務局でございます。
 おっしゃられるように、拡大治験のスキームにおきましては、まずは主治医あるいは患者さんから拡大治験の要望がなされるといったスキームになっていたかと思いますが、今回の患者申出療養につきましては、最終的に意見書等につきまして臨床研究中核病院に作成いただくということもありますので、この表にお示しさせていただいたとおり真ん中の黒枠にありますように、その企業との交渉については、臨床研究中核病院が代行することも可能と考えております。そうすることによって、企業との交渉についても幾らかはスムーズになるのではないかと考えております。
 また、2点目の企業の実施できない理由についてでございますが、拡大治験の場合には、制度該当性事由として、ほかに有効な治療法が存在する場合でありますとか、そういった事由が示された場合には、不服を申し立てることができると設定されておりますが、今回患者申出療養につきましては、そういった制度該当性事由以外にも絶対事由、あるいはそれ以外の事由につきましても、弾力的に対応できる可能性もあると考えておりますので、その事由については限定せず、どういった理由にあっても根拠があれば、会議には様式2を提出できるとさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○天野構成員
 ありがとうございました。
 まさに今ご指摘いただいたように、主治医のみに負わせるのではなく、臨床研究中核病院であるとか、場合によっては厚生労働省が介在する形で、この制度が着実に機能するようにぜひ運用をお願いしたいと思います。
○福井座長
 ありがとうございます。
 原田構成員。
○原田構成員
 この件は、私どもとしてもぜひお願いしたいと思います。ドラッグラグとかいろいろなものを経験してきておりますけれども、今まで自分たちの力でやっていまして、いつも思ったのは厚労省の後ろ盾が欲しかったのです。なかなかできてくれないし、臨床研究中核病院をかませているとはいうものの、実際にそこで成就するかというのはまた疑問な点があるのです。企業にとっては、反対給付というかメリットがないと、ここに応じられないというケースがある。実際ミトコンドリアもそうですし、私どものライソゾーム病のムコ多糖症、そういう国内の未承認の薬も含めてなかなか引き受け手がいない。結局企業が失敗していて、成立しないというケースも多々見受けられます。
 そういう状況の中で考えていきますと、やはり企業にとってのメリットがないと、ここは成就しない話なのです。だからアクセスはこういう形になると思いますけれども、製薬会社のところで可否について検討してもらおうという要望を出したとしても、そこに見合うものがなければ成就しない話になってしまいますので、これは絵に描いた餅になってしまうと思いますので、そこを具体的にどうするかということは、検討する段階で実際に企業と一回お話しされたほうかいいかと思います。そうしないと、これは絵に描いた餅になってしまうような気がします。
 以上であります。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 直江構成員、どうぞ。
○直江構成員
 これは「患者申出療養制度下」というタイトルがついておりまして、今のお話を聞いていると必要な制度かなと思いますが、一方で例えば未承認薬を使った臨床試験を、複数の患者さんで同時に試験として行うという場合に、治験になるのか、あるいは先進Bという枠を使っていくということになると思うのですが、これと同じような話が出てくる。ただ、それが患者さんを起点としているのか、それとも研究者を起点としているのか、いずれにしてもアンメットニーズに応えるということで同じだろうと思いますし、今、患者さんもそういう意味での悔しい思いというのがあるとすれば、研究者のほうもなかなか企業が乗ってくれないということもあると思うのです。そういう場合に、メーカー側からしてみれば、これは私の想像ですけれども、1例だけの患者さんでやってみるというよりも臨床試験として患者さんを複数リクルートして、治験につながるような枠組みのほうが、ひょっとしてメーカーは乗りやすい場合もあるかもしれないのです。なので、これはこれとしても、そういう枠をもう少し弾力的にやっていく仕組みというのが将来的には必要ではないかというのが1点目です。
 2点目は、今委員からご指摘があったように、これはオープンに交渉というものが進むわけではないですよね。今言ったようにメーカーさんにメリットがないといけないということで言うと、いきなり紙に書いて、メーカーさんに送れば、それでやってくれるかというとそうでもないと思うのです。事前にいろいろネゴシエーションがあったりということを実際問題厚労省がやってくれるのかどうか。どういうふうに厚労省の威を借りるほうが進みやすいのか。ここら辺は個々の例で相当の経験と努力を積まないと、そんなに簡単に行くものではないだろうという気がいたします。2番目は私のコメントです。
○福井座長
 ありがとうございます。
 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
 企業のほうから来る返事といいますか、参考資料2の企業見解というところですけれども、この場合に「2.手配できない理由等」のマル1の「時期的事由」ということについては変えることができるのではないかなと思うのですが、ほかのものについては、やはり患者さんの危険性ということがあると相当議論しなければいけない。「時期的事由」ということについては、それなりに企業のほうも考えていただかないと、時間が少ない患者さんが多いと思いますので、そういう点では、ここにチェックがあったら十分スピーディーにすることができるのではないかと思う。それは、かなり前の段階から患者申出療養評価会議に持ってくるのかどうなのかという前で、もっと検討できるのではないかと思うのですけれども、そういうところでもしあれでしたら、「時期的事由」のところで努力いただくということであれば、厚生労働省のほうの努力というところでできることになりますでしょうか。
○福井座長
 どうぞ。
○医療課企画官
 ありがとうございます。
 これは、理由がさまざまある中でご指摘いただいた、例えば「個別事由」で非常にリスクが高いといったものに比べますと、やはり時期的なものといったところは、一旦新しいスキームで行きますと、こちらの評価会議に一旦上がってきて、さらにこれをお願いしていくかどうかという話をまたご判断いただくに当たっても、相対的にはより対応しやすい項目ではないかと思います。ご指摘のとおりだと思います。
○福井座長
 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員
 用語がなかなかわかりにくいと思うのですけれども、「絶対事由」で薬剤を手配する余裕がないというのは無償で提供できないという意味なのですか。あるいは物がないからという意味なのでしょうか。どちらなのか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 今回は、有償、無償に関しては特に定めておりませんで、物がないということでご理解いただければと思います。
○山口構成員
 確かに物すごく高額なものがあれば、企業の存亡にかかわるものがあるかもしれませんけれども、比較的安い薬剤も時々あるので、例えばそういうものだったら自費でできるとか、そういう判断が企業のほうでもできると思うので、これは両方を合わせているということですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 そのとおりでございます。
○福井座長
 ほかにはいかがでしょうか。
 少なくとも今回のスキームでは、患者申出療養評価会議のディスカッションを踏まえて、厚生労働省がかかわるということが担保されることだと思いますけれども、原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
 先ほどちょっと申し上げましたように、私どもはこれまで単独で行動してきて、研究者と一緒になってやっても、あるいは医療機関とやってもなかなかうまくいかない。患者自ら努力をしてやって、うまくいっているケースも出てきていますが、それまで見ていて今座長が言っていたように、厚労省がやはりバックアップするということで非常に担保になると思うのですけれども、私はこれを心配として申し上げたのですが、とにかくやってみないとわからないみたいなところはあると思うのです。だから厚労省が担保に入って、本当にどうなのかというところを見きわめていきたいなと思います。
○福井座長
 どうぞ。
○山口構成員
 これはこういうことを問い合わせて、企業がこう答えたということはオープンになるのでしょうか。
○福井座長
 どうでしょうか。この書類のやりとりをするだけでも、公開されるものなのかどうなのかということともかかわると思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それは、技術によっても違ってくるかと思います。様式1で実施ができないとされた場合であっても、医療機関がその回答が妥当であると判断された場合はそこで結論が出るかと思いますし、それに関しては公開ということにはならないかと思います。しかしながら、その後で様式2が患者申出療養評価会議に提出された際には、様式1も同様に提出されることになりますので、企業の機密情報等に関しましては非公開ということになろうかと思いますけれども、基本的には、公開会議の場でご検討いただくということになろうかと思います。
○山口構成員
 基本的に企業が何かすることに関して、国が強制的にやるというのはなかなか難しいのですけれども、オープンにすることで、この企業はこういうことさえちゃんと協力していないのかということがわかれば大きな圧力になるので、ぜひそういうことはオープンにして、各企業がどういうスタンスでやっているかということがわかるようにしていただきたいと思います。
○福井座長
 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、このスキームについては、この会議としては認めるということで、進めていただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございます。
 その次が議題4でございまして、「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養について」資料の説明を事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養について」を資料患-4に従いまして説明いたします。
 現在、がん遺伝子パネル検査としましては、2種類の製品が薬事承認を得ておりまして、また、先進医療としても別途2種類の遺伝子パネルが実施されてございます。がん遺伝子パネル検査の結果、何らかの遺伝子異常が見つかったがん患者さんでは、治験または臨床試験等が実施される場合にその紹介を各医療機関で行っているところでございますが、そういった対応が行われておりましても、パネル検査の結果、効果が期待できる治療薬が見つかりながら治療が受けられないといった患者さんが、例えば稀少がんでありますとか、そういった臨床試験の適格基準を満たさない患者様というものが一定程度生じてくるかと思います。そういった患者様に関しましては、患者申出療養として申請をされる可能性があると考えています。
 こうした患者様の申請に対して、迅速に対応を行うために、平成30年11月の患者申出療養評価会議の協議結果を踏まえまして、健康局がん・疾病対策課から臨床研究中核病院であり、かつ、がんゲノム医療中核拠点病院である国立がん研究センター中央病院にプロトコール等の作成をあらかじめ依頼したところでございます。今回、その後の進捗状況につきましての説明を健康局がん・疾病対策課からさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐
 よろしくお願いします。がん・疾病対策課の向井でございます。
 がん遺伝子パネル検査後の患者申出療養について、ご説明させていただきます。
 先ほど、説明にありましたように国立がん研究センター中央病院に研究計画書の作成を依頼しているところでございますが、研究計画書の詳細については実際に患者さんの申し出がなされてから、具体的には本会議にお諮りさせていただくことになろうかと思いますけれども、現状で検討が進んでいる内容についてご説明させていただきます。
 患-4の参考資料をごらんください。このうち1~3枚目につきましては前回資料になっておりますので、こちらの最後のページ、4枚目をごらんください。
 こちらに当該患者申出療養の具体的なイメージを載せております。まず4枚目の左側の列をごらんください。「がんゲノム医療中核拠点病院」の11施設で実施することを現在想定しております。この調整事務局として、国立がん研究センター中央病院が担当いたしまして取りまとめることになります。さらに今回の技術は適応外薬品を対象とした、遺伝子異常に基づいたバスケット型の臨床研究となりますが、候補となる医薬品の手配について、あらかじめ調整事務局が包括的に製薬企業と相談する予定となっておりますが、この医薬品の手配の相談につきましては、先ほどの患-3で説明いただきました、今回の患者申出療養の医薬品手配制度とは関係なく、予定していたものであることをつけ加えさせていただきます。
 続いて、真ん中の列をごらんください。患者が患者申出療養を希望した場合、あらかじめ研究計画書を作成しておくことで、迅速に患者申出療養を解消できるため、これが今回のスキームによって既存の制度よりも改善された点になります。今回の研究計画では一つの申出療養として、医薬品ごとの複数の療養が実施されることを想定しております。
 さらに、一番右側の流れですが、今回の患者申出療養を実施した結果、良好な治療効果を得た医薬品に関しては、そのデータをもとに企業に開発の相談をすること、学会等から医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に提案してもらうことなどを将来の流れとして想定しております。
 ご説明は以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。
 どうぞ。
○山口構成員
 これは、具体的にどれぐらいの患者申出療養の遺伝子パネル検査が行われるかということにかかわると思うのですけれども、今の状態でも、がんゲノム医療中核拠点がたくさんの関連病院を指導しながらいろいろやっていて、結構不備も起きていますし、そういう状態の中で例えばエキスパートパネルのパワーも限りがありますから、そういうものがどんどん入ってくると、結構全体としての質の低下というものがどうしても危惧されるわけです。
 今、30病院が将来の拠点病院として整備されるということであれば、少なくとも拠点病院を整備された後でないと、私はそういう余裕が現場にはないのではないかということを強く思います。そもそものスキームはまたクオリティーが悪くなってしまって、そこにいろいろなものが入ってきて、ぐちゃぐちゃになってしまうと、余りこれが広がるとまずいと思うのです。
 これの一つ一つは、必ずしも非常に緊急的なものではないと思うのです。ですからきちんと整備して、患者さんの個人情報の問題とかいろいろなことが絡んできますから、整備された状態でこういうものを促進しないといけないのではないでしょうか。むしろ先取りして、用意していますよとやると、みんなが我も我もと来ると、結構大変なことになるのではないかとちょっと心配しています。
○福井座長
 いかがでしょうか。
 課長からどうぞ。
○医療課長
 山口先生のご指摘はごもっともだと思っております。ただ、パネル検査を実際に受けた患者さんのほうの視点から見ると、検査結果が出て、使えるお薬が適応外だといった場合に、自分に使ってほしいと言われたときに、それを使おうとするとなると、全部自由診療になってしまうという状況からは、この制度を使って何とか救ってあげる方策はないかということで、このような受け皿を考えていただいたということでございますので、実際にパネル検査の質が落ちてしまうというのは本末転倒でございますけれども、そういう受け皿が何らかないといけないということですので、先生がおっしゃるとおり、そこからすぐに治療にというところはうまくいかない部分が若干あるかもしれませんけれども、少しずつ整備していただきたいと思っておりますし、その旨をがんセンターですとか、臨床研究中核病院、がんゲノム医療中核拠点の病院にはお伝えをさせていただきたいと思っております。
○福井座長
 どれぐらいオーバーフローをする、またはしているのかとか、何かそういうことがわかればディスカッションを具体的にできるかもわからないのですが、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
 この検査の話は、昨日もテレビのほうでがんセンターの院内で大きな会議が持たれたというのが大々的に出ていて、かなり知れ渡ってきていると思うのです。そうすると、今お示しいただいた図柄で、マル2とマル3の方というのは相当ふえてくると思うのです。そうすると、先ほど患-3で議論したような企業の中では、いろいろな理由で提供できないということが出てくると思うのですけれども、とにかく時間がないという患者さんもいっぱいいると思いますので、こういうところを少しでもスムーズに、余り混乱なくやるためには、先ほど言ったような手配できない理由のところで、ショートカットできるところは厚労省の中でどんどんやっていただかないと。
 このアクセススキームで見ると、私たちのところで2回会議をやるのですよ。患者さんが使えるまでの間には2回会議があるわけでしょう。ここでも1回会議があって、お断りが来たときにここでも会議があるわけです。ですから、そうするとますます混乱もするので、いろいろと厚生労働省の中で判断して、ショートカットできるというところは早くしないと、患者さんには時間がないというところで、せっかくつくった制度に乗れなかったということだと困るのではないかなと思うので、私としてはなるべく厚生労働省のほうでいろいろショートカットをやってもらって、こういう評価会議は1回ぐらいで済ませていただくようなスキームでやっていただいたほうがいいのではないかなと思います。
 がんのパネル検査での結果を踏まえて、これはこれからすごく出てくると思うのです。ぜひお願いしたいと思います。
○福井座長
 もともとこの会議は3カ月以内に結論を出すとか、かなりタイムフレームを決めて行う会議ということにはなっていますので、理由なく長くなるようなことは恐らくないのではないかと思っています。
 どうぞ。
○天野構成員
 ありがとうございます。
 今の石川構成員のご指摘に同感でございまして、患者さんが迅速にアクセスできるようにお願いしたいという点がございますが、一点、これは先日のがんゲノム医療推進コンソーシアムでも同様のことを申し上げたのですけれども、まずパネル検査自体も今は整備しながら推進しているという部分がありますので、なかなか患者さんが対応に追いついていない部分も既に先進医療のところで出てきていて、例えばがんゲノム医療中核拠点病院においても患者さんが主治医に相談したところ、主治医からは先進医療でのパネル検査は難しい、無理だということを言われて、相談窓口に相談したところ、主治医が無理だと言うのであれば無理ですと言われて終わってしまったという状況があります。
 私が危惧するのが、今後患者申出療養を用いたスキーム自体はぜひ進めていただきたいと思うのですが、これは患者申出療養制度自体とも関連しますけれども、患者さんはどこへ相談しに行ったらいいのかという部分が極めて重要だと考えておりまして、例えばがんの領域においては、がん診療連携拠点病院等に相談支援センターが整備されているわけですが、相談支援センターは必ずしもこういった専門的な相談に対応できるわけでは当然ないわけでして、このスキームについての相談で患者申出療養制度と同様にこの窓口に行けば、ある程度は対応してもらえるのだという窓口を明確にしていただくことが重要と考えますので、その部分に特段の配慮をお願いしたいと思います。
○福井座長
 ありがとうございます。
 エキスパートパネルのところでのウェイティングリストがどれぐらいあるか、または問い合わせをしたのに、ちゃんと対応されなかったという具体的な事例とか数というものは知ることができるのでしょうか。
○がん・疾病対策課長補佐
 がん・疾病対策課でございます。
 まだがんの遺伝子パネル検査というものが実際に行われているわけではありませんので、そのエキスパートパネルで行われる開催数というのは、11の中核拠点病院にアンケートを行ったところ、初年度の年間で合計して4,000~5,000件程度が想定されるという回答を得ております。実際に受検される患者様の数であったりということはわかりませんので、そちらについては発言ができない状況となっています。
○福井座長
 その点に十分な配慮が必要だというご意見ばかりですので、ぜひそこのところは具体的に把握できるようにしていただければと思います。
 一応考え方としては、現在このような方向で準備が進んでいるということで、この会議としてはこの件につきましてお認めいただくといいますか、引き続き準備をしていただくということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 本日の議題の5には「その他」がございますが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 事務局からは特段ございません。ありがとうございます。
○福井座長
 それでは、構成員の先生方から何か。
 石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
 ちょっと前のがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議に出ている中で、FoundationOne CDxという米国のものがあります。これは2018年12月に承認されているということで、ここでの検査というのが、例えば私たちの先進医療のところで出てきているスキームがありますよね。3つぐらいの拠点で出てきた結果によって会議をして、最適なものがあるかどうかとやるのですけれども、このことについては、これがあるということを聞いて、12月に承認されるというのは聞いたのですが、そのスキームはまだできていないのですよね。これは三百二十幾つなので、また先ほどのマル2とマル3に該当するものがもっと多く出てくるのではないかと思って心配しているわけですよ。きちんと今までの先進医療で出てきている3つについてはちゃんと通っているのですけれども、これについて私は会議していないのでよくわからないのですが、そこのところではそういう準備をされているということでよろしいですか。
○がん・疾病対策課長補佐
 薬事承認を得ている遺伝子パネル検査につきましては、ご指摘のFoundation MedicineとNCCオンコパネルの両方ともありますが、その治療薬に結びつくスキームにつきましては両方とも同じでございまして、11の中核拠点病院で開催されるエキスパートパネルにかけて、患者さんが主治医のもとに帰るというスキームになっているので、そこのスキーム自体は同じです。
○石川構成員
 そうすると、これもいずれはやられる。そういうベルトに乗るわけですよね。ただ、先ほど言った、何人かがことしは考えられるというよりもっとふえるということですか。これも含めてですか。
○がん・疾病対策課長補佐
 そうです。先ほど述べさせていただいたのは、エキスパートパネルの開催の患者さんが4,000~5,000人程度を想定しておるということでございますので、全てを含めてということでございます。
○福井座長
 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回は日程調整の上、後日連絡させていただきます。本日もありがとうございました。
○福井座長
 それでは、第15回「患者申出療養評価会議」を終了いたします。
 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
 
 

 

 

 

 

 

 

(了)

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