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2018年11月22日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

平成30年11月22日(木)13:00~14:32

 

○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)

○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 石川構成員 上村構成員 大門構成員 
田代構成員 寺田構成員 手良向構成員 直江構成員 成川構成員
原田構成員 松井構成員 植木技術専門員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他

○議題

1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
 
 
2 がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養に関する対応策について(案)
 
 
3 パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法について
 

○議事

13:00開会


 

○福井座長
時刻になりましたので、ただいまより第12回「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
先生方の出欠状況ですが、本日は天野構成員、一色構成員、新谷構成員、田島構成員、山口構成員、山崎構成員より御欠席との連絡をいただいております。
また、技術専門員の出欠状況ですが、本日の審議案件に関して、内分泌代謝内科の植木技術専門員に出席していただいております。
本日、欠席されます天野構成員からは意見書を御提出いただいております。
また、その他の欠席されます構成員からは委任状の提出があり、意思決定につきましては座長に一任するとされています。
それでは、資料の確認を事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
議事次第、座席表、そして構成員名簿をおめくりいただきまして、患-1「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」という横紙がございます。こちらには別紙1、そして参考資料1、2がついてございます。
続きまして、患-2「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養に関する対応策について(案)」とした紙がございます。こちらには、参考資料3と参考資料4がついてございます。
最後に患-3「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法について」とする資料がございます。
資料の説明は、以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら事務局までお知らせください。
また、本日もタブレットを使用していただきたいと思っております。申請書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっておりますので、発言者は会議資料のページ、またはタブレットのページとをあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上、大変助かりますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○福井座長
ただいまの説明のように、資料等についてはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、今回患者申出療養の新規届出がありまして、検討対象となる技術等に関しましては事前に利益相反の確認をさせていただいております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
寺田構成員、成川構成員、植木技術専門員に関しまして、患者申出療養として評価を行う整理番号6の技術について報告がございました。寺田構成員、成川構成員、植木技術専門員におきましては、評価対象技術に含まれる医薬品、または医療機器等の製造販売業者等からの受領額が50万円以下でありましたので、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づきまして、当該技術の議事の取りまとめ及び事前評価に加わることは可能であります。以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。そのほか、出席されている構成員の皆様におかれましては、このような事例はないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の議事次第にございますように、その他を含めまして4つの議題が用意されております。
最初に、「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等」について資料が提出されておりますので、まず事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。それでは、資料、患-1をごらんください。「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。こちらに、申出のあった技術の概要をお示ししてございます。
今回、申出のあった技術は、「線維芽細胞増殖因子受容体に変化が認められる進行固形がんを有する日本人患者を対象としたインフィグラチニブ経口投与の長期安全性試験」でして、適応症は線維芽細胞増殖因子受容体に変化が認められる進行固形がんとなっております。
受理日は平成30年11月2日で、臨床研究中核病院は名古屋大学医学部附属病院でございます。
かかる費用については、資料のとおりの金額でございます。
審査の担当構成員ですが、主担当を上村構成員、副担当を田代構成員、手良向構成員に御担当いただきまして、技術専門員として植木専門員にも審査を御担当いただきました。
総評としましては、条件つき適との御評価をいただいております。
審議に先立ちまして、まず整理番号6の患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より説明させていただきます。
別紙1の最後のページ、27ページ目をごらんください。この療養を実施可能とする実施責任医師の考え方としまして、診療科としては化学療法部であること、また資格としてがん薬物療法専門医を要するとしています。当該診療科の経験年数は、10年以上を要するとしております。
次に、医療機関の考え方でございますけれども、診療科では化学療法部を要する。実施診療科の医師数としましては、2名以上のがん薬物療法専門医が常勤医師として勤務していること。また、他診療科の医師数としましては、2名以上の日本がん科学会専門医が常勤医師として勤務していることとされております。
また、薬剤師及び看護師の配置が必要で、病床数は300床以上、7対1看護以上の体制が必要としております。
その他の要件としましては、医療法上の臨床研究中核病院であること、重篤な有害事象が発生した場合には24時間365日、適切に対応できる体制が確保されていることとされております。
続きまして、今回の患者様が患者申出療養を希望した背景について説明させていただきます。別紙1の19ページをごらんください。ちょっとページ番号が見にくくなってございますが、「薬事承認取得・保険収載までのロードマップ」と書かれた横紙でございます。
まず、上の枠に「これまでの治験状況」の記載がございまして、左が<国内PhaseI>、右が<海外PhaseI>となっております。
まず国内治験について1つ目の「・」にありますとおり、6名の日本人の患者が参加しまして、そのうち1名の内分泌腫瘍の患者が50mg、1日1回投与で有効性が認められ、治療が現在も継続されているような状況です。
しかし、3つ目の「・」にございますとおり、治験実施企業の当該治験薬の開発権利が他企業に移行することに伴いまして、平成30年12月をもちましてこの治験が終了となるということでございます。
新たに開発権利を取得した企業が、日本での治験を行う意向を示しており、準備を進めているとのことですが、本患者は当該治療薬以外に有効な治療法が存在せず、また治験開始まで無治療での病勢コントロールは難しいとのことです。
また、既に当該治験薬が投与されております患者が新たな治験や先進医療の対象となる可能性は非常に低いと考えられ、患者申出療養制度下での治療継続が妥当との判断のもと、今回の申請に至ったとのことでございます。
なお、導出先の企業からは、患者申出療養制度での実施を条件に、途切れない薬剤の無償提供の了解を得ているとのことでございます。
なお、右側の<海外PhaseI>の投与継続例については、4つ目の「・」にありますとおり、今後はCompassionate use programに移行予定とのことでございます。
今回の患者が患者申出療養を希望した背景についての説明は以上でございますが、今回の患者につきましては希少疾患であり、詳細な病状については個人特定のおそれがあり、また現在も治験実施中ということから、公開資料以上の情報が提供できない状況にありますこと、また治験薬概要書の関連資料につきましては極秘情報のために非公開資料とさせていただくことについて補足させていただきます。
構成員、技術専門員の皆様におかれましては、この点につきまして十分御配慮いただきますようよろしくお願い申し上げます。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの整理番号6の案件でございます。事前評価について、主担当を上村構成員、副担当を田代構成員と手良向構成員にお願いしております。また、技術専門員として内分泌代謝内科の植木専門員にも事前評価をお願いしております。
それでは、先生方から説明をお願いしたいと思いますが、最初に上村構成員より概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。
○上村構成員
まず、技術の概要ということで、インフィグラチニブは経口投与での生物学的利用が可能な線維芽細胞増殖因子受容体、FGF-Rの強力かつ選択的な阻害薬であります。6カ月以上インフィグラチニブ投与中で、短期の安全性・有効性が確認されている20歳以上のFGF-R1またはFGF-R2遺伝子の増幅、FGF-R3遺伝子の変異もしくは他のFGF-Rの変化が認められる進行固形がん患者に対してインフィグラチニブを連日内服投与し、長期投与における安全性を評価するという御提案であります。
主要評価項目としては、線維芽細胞増殖因子受容体に変化が認められる日本人の進行固形がん患者におけるインフィグラチニブ単独経口投与の長期安全性、特にこれまでの治験で高頻度に認められた高リン酸血症の長期投与における推移及び晩期毒性とする。
副次的評価項目は、固形がんの治療効果判定基準に基づく研究責任医師の評価を用いた無増悪生存期間とするというものであります。
名古屋大学附属病院からの御申請ということなんですけれども、プロトコルに関しましては事前にレビューさせていただきましたが、非常に質の高いものを提出していただいたということであります。物自体が、ノバルティス社が先行研究という形で治験を走らせていたものですけれども、FGF-Rの強力かつ選択的な阻害薬であるということです。
これに関しましては、事前に少し情報が少ない部分がありましたので、研究者に照会させていただきまして、どの程度の選択的な阻害薬であるかといった情報も新たに今回、医薬品の概要書のほうに追記していただくということで、この物自体が選択的阻害薬であるということは確認がとれております。
事務局のほうからも説明がありましたけれども、この薬自体は海外で治験が途中であるということで、海外においても薬事承認はされていないという状況であります。後でこの用量に関しても少し議論が必要かと思いますけれども、現時点では最大対応量125mgということで、海外におきましては推奨用量が125mg、3週間内服して1週間休薬といったレジメンで海外での治験が進行しているという状況であります。
その一方で、この患者申出療養におきましては当該患者さんが使用されています用量であるインフィグラチニブ50mgを1日1回連日経口投与し、投与の施行数を28日間として繰り返していくということであります。そこに関しての長期的な安全性の情報はないということで、今回そこが主要な評価項目ということになっていますけれども、全体的に見て、この医薬品自体がまだ薬事承認されておりませんので、有効性と安全性に関してはまだ確立がされていない状況だということです。
薬剤の入手に関しては、ノバルティス社のほうから途中でライセンス移行するということで導出先ということになるんですけれども、そちらのほうからの供給が約束されているということは、研究者のほうからも確認がとれております。
今回のこの申請に関しまして、1つ議論のポイントになるところとしましては、本来、患者申出療養のスコープにありました一定の安全性・有効性の根拠を有していて、さらに薬事申請保険適用がまだされていないといった案件として扱うことの是非ですね。ここは、少し安全性と有効性というところで議論をいただきたいところかと思っております。何をもって一定の安全性・有効性とするかということが問題になるかと思います。
試験のデザインとしましては、対象となる患者さんが具体的に何名くらいいらっしゃるのかということを事前にお問い合わせをさせていただいたんですけれども、先ほど事務局のほうからも御説明がありましたように1名の患者さんということで、当面この1名の患者さんに対して現在続けている治療法としての50mg毎日連日投与というのを継続していくということで、当然ながらオープンラベルでのN-of-1の研究ということになります。
そういうことで、実際にこの1例の患者さんの安全性のデータをもって薬事承認ということが自動的に起こるということは到底考えにくいわけですけれども、本試験薬が今後国内での治験もしくは医師主導治験も含めてですが、どういった形で評価されていくかというのはこれから見きわめる必要があるわけですけれども、いずれにしても今回のこの患者さんのデータもきちんと評価しながら、企業治験あるいは医師主導治験等を今後進めていただいて、最終的には薬事承認までを目指していただきたい事例かと思います。
今回、Nが1例ということですが、現在安全性というところに関しましては、特に高リン酸血症が見られるということで、実際の臨床試験のデータでもかなりの高率の割合でそういった事象が見られておりますので、そこに関して許容できる範囲での安全性が確認されるということを一応仮説として持っておられるということで、そこも非常に妥当性はあると考えております。
事前にいろんな質問をさせていただいたんですけれども、基本的にはまだ早期の臨床開発の段階にある化合物の話ということで、確定的な有効性と安全性のデータというのは乏しいということでありますが、研究者としてはきちんと対応されて、実施体制に関しても確立されて望まれるというふうに理解いたしました。
1点だけ、この化合物自体が、恐らく高リン酸血症等に関連する事象だと思いますけれども、動物のレベルでは角膜の混濁であるとか、そういったものが見られるということで、恐らく治験においても眼科での安全性の評価というものが求められていたと想像しております。
それで、今回も眼科の先生がきちんと入って、そこに関してはリスクの評価をされてきちんと管理されていくということで、当初、眼科の医師についての要件というのはなかったんですけれども、2名以上の眼科の専門医が常勤として勤務しているということが追加されていたということで、この点についても評価ができると思います。
実際には名古屋大学医学部附属病院ですので、ほぼ全ての診療科がきちんとされている病院だと思いますので、そこに関しては問題ないと思いますが、一応要件としてはそういった条件をつけるということでの申請がありました。
実施体制につきましては、そういうことで私からは「適応症」としては妥当であるということですね。
「有効性」に関しては、先ほど申し上げましたように、有効性に関する十分な情報はないという状態で、「安全性」についても同様でありまして、十分な情報がないということであります。
ただし、この患者さんに関しては本治療を希望されて継続を希望されているということですけれども、安全な範囲で治療が継続しているということが確認をされております。
「技術的成熟度」に関しましては、今回もオンコロジストからの申請ということで専門的にやられている先生方ですので、その体制下にあっては十分適切な管理ができるだろうと考えております。
「社会的妥当性」につきましては、倫理的にはこれは既に治療が始まって継続されている方ですので、継続するのか、ここでストップするのかという選択をここでせざるを得ないんですけれども、継続していくということに関しては倫理的には問題はないだろうと考えました。
現時点では、今回のこの技術の普及性については、普及はしていないということです。
「将来の保険収載の必要性」ですが、これは当然、患者申出に出してこられているわけですので、この評価だけで保険収載ができるとは思いませんけれども、今回特定の患者さんへの救済措置的な意味合いもあるかと思いますが、その中でも有効性と安全性の評価はきちんとしていただいて、それをもとに最終的には治験等での検証的な臨床試験を実施していただいて保険収載を目指していただきたいと思います。
「患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の考え方」としましては、「責任医師についての考え方」は適、「実施医療機関についての考え方」も適、「その他の考え方」も適ということに評価させていただきました。
これは、いろんな議論をさせていただいた後に総合評価というところにまた戻ってきたいと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、実施体制の評価の結果につきまして、技術専門員の立場から植木専門員より説明をお願いします。
○植木技術専門員
この当該患者さんですが、この試験におきましては6名中1名のみが内分泌腫瘍ということでしたので、また患者さんの個人情報の観点からこの腫瘍がどのような腫瘍であるかということもわかりませんけれども、別紙の11ページにございますように、有効性の評価として「腫瘍バイオマーカーの測定に加えて随伴症状の評価を行い」とありますので、この腫瘍が何らかのホルモンを産生し、それに伴う症状があるものというふうに考えております。
一般的に内分泌腫瘍に関しましては、標準治療として手術、そしてもし転移等がある場合は放射線療法、そして化学療法とございますけれども、この患者さんの場合には恐らく標準療法が化学療法も含めて無効になった状態で本治療が施されているというふうに考えております。
一般的に、恐らくは頭蓋内腫瘍や副腎等の腫瘍が考えられると思いますけれども、標準的な化学治療が無効になった場合に、現在用い得る効果的な治療はございませんので、この当該患者さんの腫瘍バイオマーカーは恐らく何らかのホルモンがこの薬物を投与している限りにおいては増加が抑制されている、あるいはそのホルモンによる随伴症状が抑制されているということから考えますと、既存の標準治療が無効になった状態では一定程度の有効性があるというふうに考えるのが妥当ではないかと思われます。
また、さまざまなラボデータ等をモニターされているものと思いますので、現時点においてはこの当該患者さんにおけるという意味になりますけれども、安全性も一定程度は担保されているものと思われますので、この薬剤が持続的に供給されるという前提のもとで、また専門の腫瘍専門医が見ておられるという前提のもとでは、この治療を継続するという妥当性があるのではないかと考えております。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、倫理的観点からの評価の結果を田代構成員より説明をお願いします。
○田代構成員
倫理的観点からの評価を担当いたしました田代と申します。
私のほうでは、同意に係る手続、同意文書、適、補償内容についても適と判断させていただきました。
もう既に先生方から御指摘がありますように、今回の患者申出療養をコメント欄に書かせていただきましたが、既に治験に参加している特定の1名の患者さんの治療継続のための救済措置として実施される試験であり、倫理的には妥当だというふうに判断いたします。
なお、既にもう重々いろいろなところで気をつけられていると思いますし、既に研究機関において十分に検討されているとは思いますが、当該患者が1名ということがありますので、今後報道等によって患者の特定がされないよう、慎重な配慮を望むということが最大の倫理的な懸念かと思っております。以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、試験実施計画書等の評価につきまして、手良向構成員から説明をお願いします。
○手良向構成員
私の評価ですが、資料の11ページからこの試験全体のことで懸念事項がありましたので照会を5点ほどさせていただきました。先ほど上村構成員からお話がありましたとおり、論点は、いわゆる「一定の安全性・有効性等が確認されたもの」に、今回のプロトコル治療が該当するかということに関して、集団に対する有効性の評価は定まっていない、という回答をいただいております。
個人に対する安全性・有効性については特に問題ないと思っておりますけれども、結論は評価のコメント欄に書きましたように、通常有効性、安全性といったときは、その個人に対するものではなく、集団に対してどう考えるかということだと思います。今のところ日本人では6例に投与して1例が投与を継続しているということ、もう一つはこの用量が問題になると思うのですけれども、海外の用量から比べるとかなり低いということ、この用量で保険収載が得られる可能性は低いのではないかと思っております。
したがいまして、6番、8番、9番の項目、この3項目はワンセットだと思いますけれども、それについては現時点では不適ではないかというのが私の意見であります。以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、最後に総合評価につきまして、もう一度、上村構成員から説明をお願いします。
○上村構成員
ただいま諸先生方にまとめていただきましたけれども、やはり問題点としては提案されている治療法の有効性と安全性がまだ現時点では確立はしていないということですね。そこに関して、現在海外で臨床試験が進行中ということですので、少なくともいろんな新しい情報が入ってくるという枠組みをきちんとつくっていただいて、特に最新の情報を持ちながら、この研究を進めていただきたい。
特に、治験薬概要書等については定期的に更新されていくでしょうから、そこについて患者申出療養が国内で走っているという状況の中で、もともとこの薬品を持っておられる企業様に関してもそこは理解をしていただいて、お薬だけではなくて情報も提供していただくということはお願いしたいと思います。
確かに手良向先生の御指摘のとおり、幾つか適かと言われるとちょっと厳しいところもあるかと思いますけれども、全体的に見ると倫理的な背景も含めて、条件つきで適ということにさせていただければと思いました。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見等がございましたらよろしくお願いします。
では、大門先生よろしくお願いします。
○大門委員
主担当、副担当、構成員の先生方から御指摘いただいたとおり、早期の臨床試験の結果から、海外の推奨用量が125mgということまでがわかっている一方、それがOSを伸ばすという意味では有効かどうかはわからないという中で、最適な用量とはいえない50mgという用量を投与するということが気になるところであります。この解決策として個体内増量を認めるデザインのようなものがあってもいいんじゃないかと思われます。
また、本試験のデザインは、50mg単独の用量で治療されるデザインになっておりますが、他の患者さんも組み入れられる可能性があるのであれば、用量探索デザインを採用することもあって良いのではないかと感じました。
さらに、対象集団をインフィグラチニブを既に投与されている患者さんに絞っているということも気にはなるところでして、このような縛りについても必要なのか気になりました。
ただ、恐らく照会事項とそれに対する回答を拝見しますと、主担当の先生方、副担当の先生方は詰められているようですが、これらについて御意見をお伺いできればと思います。
○福井座長
この点につきましては、上村先生お願いします。
○上村構成員
まさにその件に関しましては、関連した質問としまして、別紙1の9ページ目に照会のナンバーとしまして9番目ですね。50mg1日1回投与が最適な用量であるということの根拠が薄い。それは多分、申請された先生方もそこについて十分、御承知なことかと思います。
と申しますのが、幾つかそのほか、いわゆる指摘用量について、その設定された根拠ですね。そこを、例えばvivoでの抗腫瘍活性であるとか、あとは毒性試験のデータとの比較であるとかというのは、実はある程度させていただいているんですけれども、このあたりについては企業さんのほうが持っておられる情報ということで、完全にそこが表に出てくるということになっていませんけれども、ある程度、125mgというところについては、恐らくですが、ノバルティスのほうではそれなりに研究されてきたんじゃないかと思います。
その半分ぐらいか、それよりも少し少ない量で今回は御提案をされているということなんですけれども、そういう意味では、では50mgで本当に効くんですかと言われると、それは本当をいうと答えが出ない。多分、ここでも答えが出ないんじゃないかと思うんですね。
そこに関しては申請者のほうから御回答いただいていますけれども、実際にこの患者さんについてはかなり長い間、この用量で効果が得られているということですね。
それから、植木先生のほうからも先ほど少し御説明がありましたけれども、この患者さんについては短期休薬を休薬基準ということでされているんですが、そのときにバイオマーカー、これが何かというのは置いておいても、少なくとも随伴症状の悪化があったということがありますので、この患者さんについては一定の有効性はやはり認められているのではないか。
ただ、この用量が集団に対してどうかというのは、これはまた別の話にはなると思いますけれども、そういったやりとりが事前に行われているということがございます。
それから、恐らく化合物を提供していただく、その企業との間の取り決めであるとか、何ミリグラムで出してくださいというようなことを多分言われていると思うんですけれども、現時点では用量をふやすということはお考えになっていないということです。
私も、状況に応じて用量を上げるということは許容されるのではないかと個人的には思っていますけれども、これは臨床医のほうの判断で、今のところ50mgで十分だろうという御判断のようですから、それはそれで許容できるのではないかと思いますが、いかがですか。恐らく、それが議論のポイントではあると思いますけれども。
○福井座長
今の点も含めまして、いかがでしょうか。それで、増量についてはこの評価委員会として何かコメントすることが必要かどうかということもあるんですけれども。
○上村構成員
増量については、多分、現在必要性がないということで提案されていないところだと思います。仮に必要性が生じるということであれば、やはり早急にもう一回御相談いただいて、この会にまた諮っていただくということのほうが現実的ではないかと思います。
○福井座長
名古屋大学の先生の回答では、製薬会社との交渉も必要だということですので、幾つかのステップが必要だとは思いますけれども、海外のデータからいうと増量の余地もあるのではないかということだと思います。ほかにはいかがでしょうか。
では、先に寺田構成員からどうぞ。
○寺田構成員
論点になっています、一定の有効性、安全性というのはどういうふうに考えるかということで、配られている参考資料1の「はじめに」を見ると、「困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし」ということで考えると、個人で有効性、安全性が確認されていればいいのではないかということですけれども、3ページの「患者申出療養の対象とする医療について」は、一定の安全性・有効性、ここは恐らく集団に対するというようなことになってくるんだろうと思いますけれども、このところのコンセンサスは申請される内容によってそれぞれ考えていくというような形にならざるを得ないんでしょうか。
評価者の先生から、もしコメントをいただけたらと思います。
○福井座長
いかがでしょうか。
○上村構成員
それはおっしゃるとおりでして、何をもって一定の有効性・安全性とするかというのはちょっと取り決めがない状態です。
ただ、いろいろなレベルがあると思うんですけれども、海外で承認はされているが、国内未承認の例もあるでしょうし、もしくは国内で承認予定だけれども、まだちょっとそこに至っていないというような状況、それが多分一番エビデンスとして高いんでしょうけれども、海外で承認されているけれども国内ではまだ、もしくは海外で臨床試験が実施されているんだけれども、国内でそれができないというような事例ですね。
今回は、海外ではやっていて、国内でやっていたけれども、できなくなったというちょっと特殊な事例です。
そういった中でも、やはりいろいろなレベルがあると思います。
1つは、例えばいわゆるプルーフ・オブ・コンセプトがきちんと得られた上で後期開発に進んでいるような例もあれば、今回のケースに関していくと、ちょっとそこも薄くてまだまだ早期の段階で開発が進んでいるというような状況ですので、そうするといろいろな段階があって、どのレベルからお認めするかというのはこの場でなかなか決められないことだとは思います。
ただ、今回のケースに関しては、先ほどもどなたかからコメントをいただいていますけれども、救済的な措置の意味もありますね。では、それをこれから全てのケースでお認めしていくのかということになると、この事例があるので、例えばPOCが出ていないようなものに対しても患者さんの御希望があれば全部お認めするのか。それはちょっと違う話になると思いますので、やはり出てきた案件に対してどういった安全性の情報があるのか、どの程度の有効性があるのか、その患者さんに対してどうかといったことを、やはり丁寧にレビューしながら進めていくということしかないんじゃないかというふうに、今の時点では考えています。
○福井座長
ほかにはいかがでしょうか。
では、私からの意見ですが、この「一定の」というのが必ずしも私は集団でなくてもいいように思ういます。臨床的には、N-of-1スタディーも科学的に行えるはずです。たまたま臨床のN-of-1スタディーを最初に行ったグループは私が知っている人たちだったのですけれども、良性疾患だったら比較的やり易いように思います。
最初のケースはぜんそく患者で、プラシーボと実薬を何回かオンとオフで繰返して、眼前の患者さんに薬が効くかどうかを証明することができたんです。この患者さんもオフにしたら症状が悪くなっているんですけれども、残念ながらプラシーボを使っていないですから科学的厳密性はかなり下がります。
そういう意味で、良性疾患が対象であれば、この「一定の」という意味は、集団でなくても科学的にコンセンサスが得られる方法であればいいのではないかと、私は個人的には思います。
それで、先生が先ほど指摘されましたように、最初の1ページのところに「困難な病気と闘う患者の思いに応えるため」との文言がございますので、私もここのところは十分確認した上で判断できればと思います。
あとは、大門先生から先ほど手が挙がりましたけれども、よろしいですか。
○大門構成員
上村構成員からも御説明があったように、これまでこの試験だけでは保険収載はやはり難しいというところで、私は手良向先生と同様、統計家ですので、もう少しいろいろな患者さんに試験結果を還元できるようなデザインはできないのかなと考えたくなるところであります。しかしながら、あくまで人道的な救済措置として本試験を行うということであれば、いたし方ないところなのだろうと受けとめております。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、天野構成員から意見書をいただいていますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
ありがとうございます、事務局でございます。では、本日御欠席されております構成員より意見書をいただいていますので、事務局から読み上げさせていただきます。
本件につきまして、国内並びに海外においても未承認の新規治療薬であり、国内では第I相の企業試験が行われている状況であることから、評価者による評価においても指摘があるとおり、患者申出療養における一定の安全性と有効性が確認されたものに該当しない可能性がある。
一方で、一般的に企業治験は厳密な計画に基づいて実施され、当該患者は企業治験において現に治療を受け、一定の奏効が見られている患者であることを鑑み、当該患者が治験薬の投与を中断するとなれば、当該患者に著しい不利益となる可能性があることから、人道的観点に基づき、企業治験と同様の体制が確保されていくことを条件とし、かつ、当該薬剤の有効性と安全性が必ずしも確認されていないことを当該患者に改めて説明し、理解を求めることを条件として適とすべきと考える。
なお、企業治験が試験自体の実施や計画に基づくものではなく、いわば企業都合に基づいて中断せざるを得ない場合の被検者の保護や治験薬の投与継続等については、患者申出療養による救済だけではなく、他の制度等による保護についても今後検討されるべきである。
このように意見が出されております。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
そのほかに、構成員の先生方から何か御意見ございませんでしょうか。
手良向構成員、どうぞ。
○手良向構成員
先ほどから議論になっていますけれども、救済措置という考え方は、天野構成員からありましたように、この制度以外にもそういうものがあってもいいのではないかというのが1つです。
それと、先ほどの一定の安全性・有効性に関しては、個人的には集団でという考え方を持っていないとなかなか今後議論が難しいのではないかという気がします。以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
どうぞ、直江構成員。
○直江構成員
今ありました天野構成員の意見はもっともだと思いますし、一定の集団での安全性・有効性という御意見もよくわかるところで、なかなか悩ましいことですが、私は適とすることで賛成したいと思います。
ただ、1つ確認なんですけれども、このプロトコルを読みますと、この治療法を既に受けている人が対象ということですので、このプロトコルが適用される第2の症例というのは基本的にはないということの理解ですよね。
そうすると、新たに例えば、FR遺伝子の変異を有する固形がん患者さんが治験に乗れない。それから、既に治験は終了したということで、これを希望された場合というのはまた本件とは別扱いという理解でよろしいんでしょうか。それとも、これを何か改変して将来的にはつながるという方向があるんでしょうか。
つまり、そのときには海外データとして有効性・安全性がもうちょっとふえているという条件だと思うんですが、その辺を今、考えるのは時期尚早なんでしょうか。それとも、そういうことは十分スコープの中に入っているんでしょうか。そこを、ちょっとお聞きしたいと思います。
○福井座長
いかがでしょうか。事務局から何か説明はありますか。私は、これにつきましてはこの患者さんだけで、それとは別個にこの薬についての企業治験もしくは医師主導治験が行われる方向で物事が進むんじゃないかと理解したんですけれども、事務局のほうはどのように考えているのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
ありがとうございます。福井座長のおっしゃるとおりでございまして、本患者申出療養については、現在のところはこの患者様1名が想定されております。
一方、導出先の企業からは、今後国内で新たな治験を計画していると聞いておりますので、本薬については今後も開発が進められるというふうに承知しております。以上でございます。
○福井座長
ほかには、いかがでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
この患者申出療養の制度そのものが、非常に個別性が高いものも予想されるとか、それからかなりクリティカルなものも予想されるという中で出てきた問題だと思うんですね。
それで、患者さんのほうは、かかりつけ医との相談の中でこうやって中核病院が1つの計画を出してきたわけですから、ここはある面では一定の安全性と効果が認められれば、こういう申請を出してきたところのことも踏まえて、私は了承していいのではないかと思っております。
ですから、次に保険がとか、そういうことは余りこの段階では、この例についてはほとんど考えなくてもいいと思っております。
○福井座長
ありがとうございます。
寺田構成員、どうぞ。
○寺田構成員
この申請の内容というよりはたてつけについて教えていただきたいんですけれども、タブレットの85ページの一番下に社会的妥当性というところがありまして、本患者申出療養は認定臨床研究審査委員会での臨床研究法における特定臨床研究として実施されるというような旨があります。
これは、ここで承認を受けたものをさらに各施設のこういう臨床研究法に基づいた審査委員会で承認を受けなければいけないという、その2つのダブルスタンダードになるという理解でよろしいでしょうか。
○福井座長
これは、どのように解釈するんでしょうか。
○医療課長
元担当しておりましたのであれですけれども、基本的にこれは臨床研究法に基づく臨床研究として特定認定臨床研究審査会での承認を受けているというだけのことでございまして、ダブルスタンダードですとか、そういうことではないと思われます。
○寺田構成員
先に病院の中で承認を受けて、こちらの患者申出に申請されてきているということですか。
○医療課長
そういうことです。
○寺田構成員
わかりました。
○福井座長
ほかにはいかがでしょうか。
松井構成員、どうぞ。
○松井構成員
この件というわけではないのですけれども、このケースに関して治験にもともと入っておられた患者さんであったということですが、そうすると本来は患者申出療養ではなくて、当初もやはり治験の中でアンシラリーケアとか、たとえフェーズ1であったとしても、治験に入った方が、治験が企業都合で中断なり中止になっているということであれば、その後も治験薬を供給できるようにするというような、天野構成員もおっしゃっていましたけれども、他の救済措置というか、ほかの制度のところで企業が参加してくれた被験者に対する一つのケアとしてきちんと責任を果たすというのが本来的なスキームではないかと思います。
先ほどの50mgの効果の話にもかかわりますけれども、本来、治験の後のアンシラリーケアとして、もしこの患者さんに治験薬をそのまま継続供与するということであれば、本人の病状によってドーズアップであったり、そういうことも本来は可能なはずなのに、これが患者申出療養という研究スキームの中に落とされることで50mgに固定されてしまう。
しかも、費用負担のところで臨床試験としてやるということで、例えばデータモニタリングとか、その部分で本来患者さんにとっては意味がないというか、余り必要のない研究側の都合のコストが上乗せされてそれを負担することになっているというのは、やはりこの患者申出療養と、あとは治験終了後の被験者に対するケアの問題ということがきちんと考えられていない。制度上の非常に大きな問題だということを、ちょっと指摘しておきたいと思います。
○福井座長
私も、全くそのように思います。
ただ、現在そういう制度がないところで、この患者さんにとってベストな選択は、何らかの形で認めてあげることが必要なために恐らくここに入ってきたということだろうと思います。先生がおっしゃったような制度につきましては、厚生労働省として特に治験でこのようなことが起こった場合に、患者さんにデメリットにならないようにするにはどうしたらいいのかを、患者申出療養とはまた別につくっておいたほうがいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
私もそう思います。患者さんは患者申出の制度を使ってきたわけですので、ここで本人には当然説明なされていると思います。保険収載を前提とするとか、全てのことをお話されているわけですので、ここで一定の安全性の確保ができれば、保険収載まで1例でも持っていってあげるという手だてがいいのではないか。
それで、もしそれが無理であれば他の制度を考えるというぐらいの考え方でいいんじゃないかと思います。
私は1例でも考えていってもいいんじゃないかと思います。
○福井座長
今、非常にまれな病気の場合には、そのようなことも考えられるということだろうと思います。
いかがでしょうか。ほかには何か御意見ございませんでしょうか。
ないようでしたら、事前評価していただいた結果どおりということで決定したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(委員 異議なし)
○福井座長
ありがとうございます。上村構成員を初め、評価に当たりました先生方、どうもありがとうございました。
それでは、議題2に移りたいと思います。「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養に関する対応策について」、資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。「がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養に関する対応策について(案)」、まずその背景について健康局がん・疾病対策課より御説明申し上げます。
○がん・疾病対策課長補佐
健康局がん・疾病対策課の上野と申します。今回の議題の前提知識のお話ですので、少し長くなりますが、我が国のがんゲノム医療の推進に関して御説明いたします。
患-2(参考資料3)「がんゲノム医療推進に向けた取組」をごらんください。
こちらは、本年8月1日に行われました第1回のがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議の資料の抜粋でございます。
2コマ目をごらんください。我が国のがんゲノム医療を推進するため、有識者が我が国のがんゲノム医療のあるべき姿を検討し、医療機関、患者、さらに研究機関や企業等の連携とがんゲノム情報の集約について検討がされたところでございます。これらの連携体制を、がんゲノム医療推進コンソーシアムと呼びます。
スライドの中のマル1にございますように、2018年3月にがんゲノム医療と研究を中心的に提供する拠点病院としてがんゲノム医療中核拠点病院を、地域性も考慮しまして11医療機関指定したところでございます。これらの11病院は、臨床研究中核病院でもございます。
3コマ目でございます。真ん中のあたりをごらんいただきたいんですが、がんから抽出されたゲノムを用いる検査として、がん遺伝子パネル検査と呼ばれます検査のことをパネル検査と記載してございます。
このパネル検査とは、1回の検査で100種類を超えるがんの診断にかかわる、または治療にかかわる遺伝子を一括で検索できる検査のことを指しております。現在、先進医療として3種類のパネル検査が実施されております。特に、転移再発のがん患者さんの多くは根治が難しく、治療は抗がん剤のような薬物療法による延命や症状緩和が中心でございます。
パネル検査が対象とするのは、このような転移再発のがん患者さんのうち、特に標準治療がなくなった患者さんでございまして、余命も限られておりますのでパネル検査を行い、治療方法となり得る適応外の薬を発見したり、自分のがんの遺伝子異常の特性を知ることで対象となる新規薬剤の治験を検討したりすることで、症状緩和を行って療養する以外の治療選択を提示し得る検査となっております。
4コマ目をごらんいただきたいと思います。今後のがんゲノム医療の推進に向けた取り組みの要点がまとめられてございます。
特に3番目をごらんいただきたいのですが、ゲノム検査に基づく治療を推進するため、医薬品の医師主導治験・先進医療の推進や患者申出療養等により、患者さんに少しでも多くの治療の選択肢を提示することが重要であると考えております。
ここに関しまして、今回パネル検査後の患者さんに対して、患者申出療養を用いた治療提供の可能性について医療課へ相談をしたところでございます。
がん課からは、以上でございます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
引き続きまして、資料、患-2及び参考資料4に従いまして御説明申し上げます。
まず、参考資料4の1コマ目をごらんください。先ほども説明がありましたとおり、がん遺伝子パネル検査が先進医療として実施されているところでございますが、左の円グラフにありますとおり、これは米国の臨床研究結果になりますが、468遺伝子を対象とするがん遺伝子パネル検査に関するデータにおきまして、①「既承認薬が存在する遺伝子」が見つかる場合が9%、②「既承認薬の適応外使用が候補となる遺伝子」が見つかる方が9%、そして③「未承認薬が候補となる遺伝子」が見つかる方が18%というふうに報告されております。
本邦におきましても同様の結果が想定されるわけでございますが、それらに対しましては右側にありますとおり、①に対しては「保険診療」、②に関しては「既承認薬の臨床試験」、また③に関しては「新薬開発、治験等」が対応として想定されます。
おめくりいただきまして、そういった形で対応がなされて、②及び③の方に関しましては、上の大きな枠にありますとおり、適応外薬または未承認薬の治験や拡大治験、あるいは臨床試験等に参加される方がメインかと思われます。
ただ、一方で、こちらに書かせていただきましたとおり、症例数が少ない疾患のために治験やそういった試験がないということですとか、適格基準を満たさないためにそういった試験に参加できないといった方が一定数出てくることが予想されます。
こうした場合には、患者申出療養を申請されることが想定されるわけでございます。その際には、臨床研究中核病院からの申請に応じまして、個別の患者申出療養の審査を行うことになりますが、申請書類の作成や臨床研究審査委員会等の審査が必要なため、治療開始までには数カ月間が必要となること、また、同様の試験が独立して行われますと個別のデータが散逸しまして、なかなか将来に生かされないといった課題がございます。
そこで、対応方針案としまして、より早く患者に治療を届けるために、あらかじめ研究計画書を作成し、複数のがん種・遺伝子異常の患者に対応できるような治験デザインを考えてはどうかという御提案でございます。
具体的には、3コマ目をごらんください。ポンチ絵にありますとおり、がん遺伝子パネル検査で遺伝子異常が見つかった患者に関しましては、その遺伝子異常に応じて、がん種を問わず、速やかに対応する治験薬により治験を開始することができるというイメージでございます。
ここからは、患-2の資料に戻りまして補足させていただきます。
3の「課題への対応策(案)」というところでございますが、まず、がん遺伝子パネル検査の結果、既承認薬として既に国内で流通しております薬剤の適応外使用を希望して患者申出を申請する患者を想定しまして、臨床研究中核病院との協議の上、複数のがん種や遺伝子異常に対応できる研究計画書をあらかじめ作成し、臨床研究審査委員会等の承認を得る。
また、マル2にありますとおり、臨床研究中核病院でこのプロトコルを共有する。
そして、患者の同意を得た上で、症例データを一括保存して活用するといった仕組みを設けたらどうかという御提案でございます。
このような仕組みにつきましては、本会議で了解を得た上で、がん遺伝子パネル検査を実施する医療機関に周知してはどうかと考えております。
なお、安全性の観点から、本邦未承認薬の薬剤につきましては、従来どおり患者の申出を起点に個別にプロトコルの作成が必要と考えております。
最後に、本仕組みによって「期待される効果」でございますが、従来に比べて患者申出療養の申出から治療開始までの期間が短縮されること。
そして、臨床研究中核病院の研究計画書作成に係る負担が軽減されること。
そして、先行する患者の治療経過等を次の患者の治療に役立てることができ、希少がん等については有効な症例のデータが集約されれば、未承認薬検討会議等への基礎データとすることが可能となると記載しております。
説明は、以上でございます。
○福井座長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見等ございませんでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
パネル検査をやる方の入り口ですけれども、入り口は全て3つのところから入っている先進医療Bがあると思うんですが、その中からこういうふうなことをやるというスキームでしょうか。
○医療課長
今、先進医療Bという形で3つの試験が動いております。それで、そこでこういうことを希望される方が恐らく出てくるということを想定して、これをあらかじめ用意をしておこうということで、そのとおりでございます。
○石川構成員
そうしますと、遺伝子検査については、最初の説明のところで手おくれの既存の治療がなかなか難しいことについてやるというのが前提だとおっしゃいましたよね。
しかし、今の患者さんの中にはパネル検査について、要するにそういうスキームじゃなくて、自分の発見されたがんについてやっていただきたいという希望を出す患者さんが現場にはいるんじゃないかと思うんですけれども、そういうのはどうなんでしょうか。
○医療課長
先生がおっしゃっているのは、今、普通にパネル検査ではなくて、何か違う治療を受けていらっしゃる方がということでございましょうか。
○石川構成員
これだけ、がんのゲノム治療だとか、そういったものについていろいろなところで出てきておりますので、いろいろながん種になった方が自分では最適な治療をやりたいということで、現場ではいろいろな治療を希望されてくると思うんです。このパネル検査も、そういった希望の中に結構出てくるのが実情だと思うんです。そういうのはどうなのかなというふうに思っているんです。先進医療Bが入り口、それだけが入り口なのかどうかということです。
○医療課企画官
先生、御指摘のとおり、今、先進医療Bの中でこのパネル検査の有効性についての検証がまさに行われているところでございます。
当然、将来的にそれ以外の適応症の方にこのパネルをという流れは想定されるところではございますが、本日御提案した段階では、まずは先進医療Bの方をイメージして御検討、御協力をいただければありがたいと思っております。
○石川構成員
オペレーションの問題なんですけれども、例えば患-2の参考資料4の円グラフです。これがあったときに、自分のがん種についてはもしかしたらこの検査をすると、どこかに該当するかもしれないと当然思うわけですね。そうすると、実際に自費の料金で100万を超えてもやってくれという希望は当然出てくるんですよ。
当然出てくるけれども、承認薬でない薬に合致したときに患者さんとしてはどうするのか、あるいは現場でその担当医はどうするのかということも、こういうスキームは恐らくこれから出てくる。そのことについても、きちんと今から準備しておいたほうがいい。
パネル検査が出てきたときから、私は現場のことを考えますとそれをずっと気にしているんです。ぜひ、そういうスキームがあるんだということで御準備をいただいたほうがいいと思います。それは、また患者申出療養のところに出てきちゃいますから。
○福井座長
そうですね。患者さんは、すごく情報を把握されていて、最初からこういうのをやってほしいという患者さんがたくさんいるのは事実ですね。
ほかにはいかがでしょうか。少なくとも今、石川先生が御質問になりましたように、この案件につきましては先進医療が入り口になっている話だということも確認した上で、このようなスキームについていかがでしょうか。
○手良向構成員
質問ですけれども、このプロトコルは患者さんが申し出る前に全部用意しておくという話なのか、患者さんが申し出られたら、そこの施設が中心でつくって共有するというか、参加施設に取り込むという話でしょうか。そこが分からないのですが。
○医療課長
そこは若干、物によっては前後する部分はあるとは思いますが、ただ、こういう仕組みでプロトコルの準備をゲノムの関連の病院の中で議論をしてつくり始めていただきたいというふうに思っております。
そうしたいのですが、今、遺伝子の数だけでも10ぐらいありますので、患者さんのほうが先に申し出られる可能性は当然あると思います。
ただ、今から準備を始めていただきたいというところでございます。
○福井座長
もうそういう患者さんは出てきているんじゃないでしょうか。どうなんでしょうか。まだまだそういう話はないでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。今のところは、承知しておりません。
○福井座長
あらかじめつくって、全ての関係医療機関で共有するというスキームということです。
松井構成員、どうぞ。
○松井構成員
確認したいんですけれども、この提案されている仕組みというのは、資料でいうと患-1の参考資料2の右側の応用編のような仕組みというような理解になるのかと思っているんですが、前例がある医療というふうにありますけれども、患者申出療養として、ここが先進医療として、このパネルに関してはこれをちょっとモディファイしたような形であらかじめ研究計画がつくられていて進めるというふうに理解したんですが、この仕組みというか、この患者申出療養が扱うものの中に第3のパターンとして加えるということですか。
○福井座長
どうぞ。
○医療課長
パターンがふえるというよりは、この同じ図の<患者申出療養としては初めての医療を実施する場合>というのが、恐らくある程度こういう遺伝子異常によっては想定されるので、今、臨床研究中核病院にはその準備をしておいてくれということを今から言っておくということでございまして、まずプロトコルの準備さえしておけばスムーズにこの会議にも上がってきますし、データも1カ所に集めることができるということでございまして、今、新しいパターンとして3つ目のパターンをつくるということではなく、今の制度を少しスムーズに円滑に動かすようなことを考えたいということでございます。
○福井座長
どうぞ。
○松井構成員
もともと制度は、患者が申し出るというところから計画をスタートさせる。それがない形をつくるということですよね。
○福井座長
きっと、患者申出が予測されるということなんですね。
事務局、どうぞ。
○医療課企画官
少し口を変えて補足をさせていただきますと、参考資料2の1ページの左側の初めての医療を実施する場合、これは実際に申請にかかわる上流から、まず患者さんが御相談をされて、やはり相談を実施し、臨床研究中核病院、こちらのほうでいろいろと検討されて、計画書をつくられて、この作業が月単位でどうしても必要になるケースが多うございます。
それで、やはり疾病の特性上、より早く患者さんに治療薬を届けるという観点から、この部分ですね。臨床研究中核病院でやはりどうしても必要であった期間をできるだけ短くしてということですから、患者さんの申出が起点だということは、これは変わりません。
そこを少し運用上、より早くということを工夫としてできないのかなというのが今回の御提案でございます。
○福井座長
寺田構成員、どうぞ。
○寺田構成員
もう少し教えていただきたいんですけれども、数年前、医療法が変わって、各施設で禁忌とか、適用外とか、本邦未承認薬のお薬を患者さんに投与する場合には、各施設の評価委員会で評価すれば投与できるという形になっていますよね。
それは多分、自由診療でやるという形とかになるんですけれども、そういう枠組みですると、結局、保険収載に向かわないから、保険収載を目指すスキームとしてこの患者申出療養の中で枠組みをつくっていくというのが今回の趣旨ですか。違いますか。
○医療課長
今おっしゃられた、病院の中の医療法で求めている未承認薬の会議というのは病院という中で、要するに例えば診療科とかドクターが、これは自分自身、勝手に考えていいだろうといって患者さんに投与するのではなくて、病院の中で一定の医療行為について責任をもってもらうために、未承認薬というようなものを使う場合に関しては、それの有効性・安全性だとか、どういう形で使うのかということを確認していただく。そういう病院の中のスキームというのが、医療法で求めているものでございます。
それで、今回の患者申出療養というのは、いわゆる保険と併用して使えるものとして制度が国全体としてできているもので、基本的には患者さんの申出を起点としてこういうものを使いたいといった場合には、当然患者申出に出していただく。
ただ、医療法で求めている病院の中のしっかりした管理のシステムの中で未承認薬を使うときのルールとして決まっているものについては、ちゃんと遵守はしていただくということにはなると思います。
○寺田構成員
その場合、例えば企業治験であるとか、医師治験とか、ほかのいろいろな枠組みもあるんだけれども、患者申出療養制度でこのパネルでその後に使う抗がん剤を決めていく一番のメリットというのはどういうところにあるんですか。
○医療課長
それは、保険と併用ができるということです。
○福井座長
よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐座長代理
これから起こり得ることに対して準備をしていただくという点で、私は大変いい方針ではないかと思っています。
それで、1つお伺いいたします。がんゲノム医療中核拠点病院が11ございます。先生方が一堂に会してこのプロトコル、研究計画書をつくるのか、あるいは例えばがんセンターが中心になって作るのか、今の時点でのお考えをお知らせください。
○医療課長
これは、基本的にはがん課のほうでもう一度答えていただきたいと思いますが、私どもとしては、今がんゲノムのコンソーシアムという形で動いていますので、そこの中心になっているがんセンターなりが音頭をとってやっていただきたいというふうに期待はしております。
○五十嵐座長代理
わかりました。
○がん・疾病対策課長補佐
がん・疾病対策課から補足をさせていただきます。
今お話がありましたように、既に遺伝子パネル検査の結果に基づいた同様の医師主導治験等を実施中であり、実績を有しております国立がん研究センター中央病院にこの患者申出療養のプロトコルの作成を依頼したいと考えております。
○福井座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。こちらの議題に関しましても、天野構成員から意見をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
現状のゲノム医療にかかわる先進医療では、治療選択に役立つ等の可能性がある遺伝子変異が見出される患者は、がん種によるものの約半数であり、そのうち約20%は患者で治療薬の投与を行うことができる可能性があるという現状である。
今後の研究の進展により、その割合はふえることが期待されているものの、現状では限られた患者に対して候補となる治療薬が提案可能な状況にあり、かつ、未承認薬や適応外薬も含まれる状況にあることから、今回提案されるスキームは、未承認薬や適応外薬へのアクセスの改善につながるものであり、その導入を進めるべきと考える。
ただし、遺伝子変異に基づき提案された治療薬であっても、その有効性や安全性が必ずしも確認されていないことを患者に十分に説明し、理解を求めることが必要である。
また、この患者申出療養に関する枠組みで患者がアクセスした治療薬については、安全性と有効性が検証される必要があり、安全性・有効性が示されたものは、横断的な薬事承認と保険適応の検討が行われるべきである。
このような意見をいただいております。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、事務局が提案されました、がん遺伝子パネル検査に連なる患者申出療養に関する対応策の枠組みを当会議では承認したということで進めさせていただきます。ありがとうございます。
次に、議題の3、「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法について」の資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法について」、患-3の資料に従いまして御説明申し上げます。
本技術につきましては、第10回の患者申出療養評価会議におきまして、先行して行われた先進医療Bとして実施されたランダム化比較試験で標準治療に対する優越性が示されなかったことを受け、本技術についても中間報告を求めるべきとの御指摘があったところでございます。
本技術の概要につきまして、こちらの表にお示ししたとおり、先ほどの先進医療Bに引き続く形で患者申出療養が実施されております。
一番右下のところでございますが、本患者申出療養につきましては、10月時点で40名の方が治療を継続中とのことで、有効性についてはプロトコルにおいて試験終了後に解析することとされております。
そこで、最後の2ではなくて3の「今後の対応(案)」というところでございますが、本会議の御指摘を踏まえまして、申請医療機関である東大病院に有効性の評価も含めた中間解析を行うよう指示をして、その解析結果について本会議に報告するとしてはどうかという御提案でございます。
こちらの議題につきましても、欠席された天野構成員より意見書をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
平成30年7月に改正されました第35回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、S-1+パクリタキセルの静脈内投与及び腹腔内への併用投与による治療法に関する要望について、S-1+シスプラチンの併用投与に対する優越性が示されていないことなどを理由に、医療上の有用性は該当しないとされたことに加え、11月に開催されました第77回先進医療技術審査部会において、FOLFOX6及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法について、その有効性は従来の医療技術を用いるのと同程度であるとの報告が出ている。
一方で、同部会資料では、一部の実施医療機関により提出された資料にて、本試験のポジティブな結果をもって腹腔内投与併用療法を含んだ周術期化学療法の有効性評価のための第3相試験を先進医療として申請すると記載されているが、何をもってポジティブな結果であるかが十分に示されないまま、当該治療が患者に行われている。新規治療に期待を持つのは医療者も患者も当然の気持ちであり、特に患者の意向は、尊重されるべきではあるが、有効性を示す結果が現状では十分でないにもかかわらず、漫然と先進医療や患者申出療養が行われるのは問題であると考える。
患者申出療養で継続して治療を受けている患者に現状を説明し、理解を求めるともに、評価会議に有効性や今後の薬事承認に向けた見解を報告すべきである。
このような意見をいただいております。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきましては、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
手良向構成員どうぞ。
○手良向構成員
中間解析をやっていただくのはいいのですが、通常臨床試験の場合は効果安全性評価委員会というのがあって、そこで評価をするわけですが、そういうふうになっているのでしょうか。そこでの評価なしに、この会議にだけ報告があるということでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
今は把握できておりませんので、確認させていただきます。
○福井座長
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
これは患者申出療養のところで出てきた意見だから、ここで議論するということにするんですか。
先進医療Bの技術部会と、こことの関係というのはどういうふうに考えたらいいでしょうか。もう少し専門家が多いところとか、そういうところで、これは最初の先進医療Bのところが技術部会、それから医療会議と2つの会議を経ていろいろ指摘されているんですけれども、私の希望としては技術部会はいっぱいそろっているので、ここでなくてやったほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。
○福井座長
どうぞ、医療課長。
○医療課長
先進医療の審査と、それから患者申出の会議では一応独立はしています。
ただ、先生がおっしゃるとおり、同じような試験が両方でまたがって動いているということでございますので、向こうの委員会に情報提供するということは必要だと思っています。
それで、先ほど手良向先生がおっしゃられたように、その研究者がまとめたものがそのままここに挙がってくるということに関しては、私も若干の疑問がございますので、基本的にはこれも臨床研究法に基づく研究下にある研究、もしくは今、経過措置期間中ではございますけれども、基本的にはそれに応じて認定臨床研究審査委員会か、もしくはまだ経過措置期間中でありますので、もしかするとかかっている倫理審査委員会、どちらかにしっかりかけて専門家の目を通した上で、東京大学の専門家の先生の目を通した上での報告書としていただきたいというふうに思っております。
○福井座長
これはそもそもコントロールがないんですね。いつ最終解析を行うことになっていたんでしたか。私は資料を見ていなくて申しわけないです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。現状のプロトコルとしましては、有効な方に関しては治療がずっと継続されるといったプロトコルになっておりまして、つまり、治療継続中の方がいなくなった場合に試験が終了となり、解析がされるといったプロトコルになっております。
○福井座長
直江構成員、どうぞ。
○直江構成員
今の話ですけれども、プロトコルでは終了後に解析。ただ、44名の患者さんは継続中なので、プロトコル上はまだ解析ができないわけですよね。
ただ、この会議がその中間解析を行うようにと、外からそういうふうに依頼した場合、これはプロトコル改正になるわけですね。大きな改定になる。そうすると、例えばここに専門家はたくさんいらっしゃいますけれども、その統計というか、コントロールがないのでいいのか、どうなるのか。そのプロトコルを変えて、その途中で一度、中間解析をするということなので、これはあくまでもその計画書の変更なので、これは東京大学病院の中でまず申請をして、そこの委員会が認めないとできないことだと思うんです。
ただ、これを指示するということなんですが、要望するとかはいいと思うんですけれども、指示できるものなのかどうか、そこは事務局としてはどんな感じなんでしょうか。そこがちょっと気になったんです。
意図はわかると思うんです。要するに、統計的に差はないとしたけれども、患者申出療養で継続しているということで、111例という相当大きい患者さんがなされたということについて、その後の経緯について我々は注視していく必要があるだろう。そこは反対される人はいないと思うんですが、こちらが指示できるのかどうか、そこの1点なんですけれども。
○福井座長
先進医療Bで出た結論を覆すだけの科学的厳密性を持った解析というのは、この患者申出療養ではいろいろな意味で恐らく不可能だと思います。ですから、何をもって有効とするかというのは本当に難しい話だと思います。
医療課長、どうぞ。
○医療課長
一応、この患者申出療養の制度の中に、「その他」という部分があります。このタブレットの中の9ページのところにありまして、厚生労働省から指示等があった場合には実施医療機関は当該指示等に従うこととございます。それを用いて指示するということは可能というふうに思っております。
ただ、先生がおっしゃるとおり、解析の中身に関しては確かに十分なものができるかどうかというのは疑問であるのは確かだろうと思います。
○手良向構成員
評価が難しいのはわかっていますけれども、先進の結果と少なくとも同じぐらいとか、それぐらいはわかると思うのですね。ただ、対象が広がっているので、そこをどうするかとか、細かい話はあるとしても、記述はできると思います。
○福井座長
その場合に、このデータをどこまでオープンにするのか。ここだけで把握させてもらうという条件でデータを解析して教えてもらうのかということになりますね。直江先生がおっしゃったことも関連しますけれども、もともとのプロトコルでの枠組みからはみ出たことをお願いするわけですので、それをどういうふうに行うのか研究グループと話し合いをしてもらうのかにもよると思いますが。
○手良向構成員
総括報告書はこの会議で評価することになっていますよね。ですから、それに準じてやるのが一番いいと思いますが、そこは少し考えていただければと思います。
○福井座長
組み入れが終了して患者申出療養制度に乗ってから約2年はたっているわけですね。この2年の時点までのデータを見せてもらえないか。そうなると、この会議で話し合うとデータはオープンということになるんでしょうか。
○医療課長
そこは、基本的には研究者の方との御相談だと思います。その上で、ここで外に漏れることに関してちょっと、ということであれば、クローズの会というのも当然開催できます。
○福井座長
それでは、この点につきましては、研究グループと事務局のほうで相談させていただいて、少なくともデータとして先進医療Bで行ったときよりも明らかに悪いとか、そういうことがないことを確認させてほしいということでよろしいでしょうか。
それでは、そのようにお願いしたいと思います。
ありがとうございます。それでは、議題の4に「その他」が挙がっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局からは、特段ございません。
○福井座長
構成員の先生方から、何かございますか。
どうぞ、石川構成員。
○石川構成員
一応確認なんですけれども、きょう欠席された構成員から意見書ということで出てきましたが、これはきちんと座長のところと相談されて出しているわけですね。
○福井座長
あらかじめ伺いました。
○石川構成員
こういう前例があると、出ないけれども長文の意見が出てきたりということも出てくると思うんです。これはきちんと運営上、座長のほうと相談して、要約していただくとか、きょうは私のところでは3番目のことはちょっとよくわからないんです。正直言って、わからなかった。
だから、やはり議論をしないと伝わらないということもあるので、欠席のときの意見書というのはかなり中途半端になっていると思うし、御本人が出ていたら私は聞いてみたかった内容なので、運営上よろしくお願いしたいと思います。
○福井座長
気をつけたいと思います。済みません。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、事務局から次回の日程についてお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。次回は、日程調整の上、後日御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
それでは、第12回「患者申出療養評価会議」を終了いたします。
本日は、お忙しい中ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

(了)

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