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2018年8月23日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

平成30年8月23日(木)13:28~14:34

 

○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)

○出席者

【構成員等】
福井座長 天野構成員 石川構成員 一色構成員 上村構成員 新谷構成員 
成川構成員 原田構成員 山口構成員 高橋技術専門員
 
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他

○議題

1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
  (患-1)(別紙1)
  (参考資料1)(参考資料2)
 
2 患者申出療養の実施医療機関の取下げについて
  (患-2)
 ○議事

13:28開会

○福井座長
定刻より少し早いですけれども、本日御出席の予定の構成員の先生方は皆様おそろいですので、第10回「患者申出療養評価会議」を始めたいと思います。
先生方の出欠状況ですが、本日は五十嵐構成員、大門構成員、田島構成員、田代構成員、寺田構成員、手良向構成員、直江構成員、松井構成員、山口構成員、山崎構成員より御欠席との連絡をいただいております。
また、技術専門員の出欠状況ですが、本日の審議案件に関しまして消化器内科の高橋技術専門員に出席していただいております。よろしくお願いします。
本日、欠席されます田島構成員からは意見書を御提出いただいております。
患者申出療養会議開催要綱の規定に基づきまして、構成員の出席は構成員の総数の2分の1以上となっております。また、欠席されます構成員からは委任状の提出があり、議事決定につきましては私、座長に一任するとされております。
構成員全員18名のうち、9名になります。委任状の提出によりまして、届け出をいただいております。
次に、事務局の異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。それでは、7月31日及び8月1日付の事務局の異動がございましたので御紹介させていただきます。
山本麻里審議官でございます。
森光敬子医療課長でございます。
伯野春彦研究開発振興課長でございます。
樋口俊宏保険医療企画調査室長は、本日欠席でございます。
田宮憲一薬剤管理官でございます。
木下栄作医療技術評価推進室長でございます。
櫻本恭司医療技術評価推進室長補佐でございます。
佐藤晋平先進・再生医療迅速評価専門官でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、資料の確認を事務局からお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第、座席表、構成員名簿をおめくりいただきまして、患-1、患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等についてとしている横紙の資料がございます。こちらには、別紙1、参考資料1、参考資料2がついてございます。
続きまして、患-2としまして「患者申出療養の実施医療機関の取下げについて」としている横紙の資料が1枚ございます。
資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら事務局まで御連絡くださいませ。
また、本日もタブレットを使用していただきたいと思います。申請書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容が異なっておりますので、発言者は会議資料のページ、またはタブレットのページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上、助かりますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○福井座長
資料等については、よろしいでしょうか。
それでは、今回患者申出療養の新規申し出がございまして、検討対象となる技術等に関しましては事前に利益相反の確認をしております。その結果につきまして、事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
上村構成員より、今回評価を行う整理番号5の技術について報告がございました。利益相反についてはありませんが、自らが所属する保険医療機関からの届け出に係る医療技術であるということから、患者申出療養評価会議運営細則第4条の規定に基づき、当該技術に関する検討結果の取りまとめ及び事前評価には加わらないことになります。以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。そのほか、出席されている構成員の先生方におかれましては、利益相反に関しましてこのような事例はないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
続きまして事務局から「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等」についての資料の説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。先ほども申し上げましたとおり、整理番号5の技術については、上村構成員は当該技術に関する検討結果の取りまとめには加わらないことになりますので、大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
それでは、資料患-1をごらんください。患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等についてでございます。こちらに、申し出のあった技術の概要をお示ししております。
今回申し出のあった技術は「Genotype1型C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変患者に対するレジパスビル・ソホスブビル療法」で、適応症はGenotype1型C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変となっております。
受理日は平成30年8月6日、臨床研究中核病院は大阪大学医学部附属病院でございます。
かかる費用につきましては、資料のとおりの金額でございます。
審査の担当構成員ですが、主担当を成川構成員、副担当を新谷構成員、田島構成員に御担当いただき、技術専門員として高橋専門員にも審査を御担当いただきました。
総評としては、適との御評価をいただいております。
審議に先立ちまして、まず整理番号5の患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より説明いたします。
別紙1の最後のページ、34ページをごらんください。この療養を実施可能とする実施責任医師の考え方といたしまして、診療科としては消化器内科であること、また資格として肝臓専門医を要するとしております。
当該診療科の経験年数及び当該医療技術の経験症例数は要件として設定されておりませんが、当該医療技術の経験年数は2年以上を要するとされております。
次に医療機関の考え方でございますけれども、診療科では消化器内科、あるいは肝臓内科を要する。実施診療科の医師数として、1名以上の肝臓専門医が常勤医師として勤務していることが必要となってございます。
その他の要件としましては、臨床研究中核病院もしくは肝疾患診療連携拠点病院であることとしております。
次に、別紙1の6ページをごらんください。こちらに、本技術が治験・拡大治験、先進医療等の既存の制度で実施できなかった理由につき、事前に事務局より医療機関に確認しております。
治験を実施できない理由としましては、C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変に対する抗ウイルス治療を目的とした治験は既に終了したもの以外にはなく、また今後予定されている治験もないとのことです。
また、拡大治験を含め、既に終了した治験で用いられた新薬について、企業からの提供は困難とのことでございます。
また、先進医療については該当する先行治験がなく、金額の面や新薬の承認状況いかんによっては十分な参加希望者は見込めないために実施は困難とのことでございます。
今回の申請については、当初、予定症例数も含めた臨床研究としての申請が検討されていたところでございますが、1症例を対象とした申請となっております。この背景並びに考え方について、事務局より補足の説明をさせていただきます。
平成28年4月に創設されました患者申出療養制度については、困難な病気と闘う患者の思いに応えると同時に、臨床研究としての妥当性も考慮しながら、これまで4つの技術について承認していただきました。
今回の申請については、非代償性肝硬変の患者さんが既に承認された医薬品の適応外使用を希望されているものであります。
同時に、今回の申請については非代償性肝硬変に対する新薬が現在薬事承認手続中であること、またこの患者さんは本新薬の治験の組み入れ基準に該当しなかったという背景もございます。
また、そもそも患者申出療養制度には組み入れ基準に該当しないなどの理由により、治験の対象とならない患者さんにもその新薬を届けることができないかという点がございます。
こうした状況を踏まえますと、今後同様の非代償性肝硬変の患者さんが患者申出療養制度を希望した場合にどのような治療を行うことが適当なのか、さらなる議論が必要であると考えられました。
そこで、今回はまず申請された患者さんの思いに応えるという点に重きを置きまして、速やかに治療を届けることができるよう、1症例を対象とした申請の審査をお願いしたいと考えております。
その上で、事務局としましても今後必要に応じて企業側との意見交換も行いながら、どのような方策が望ましいのか、検討してまいりたいと思います。
以上、補足とさせていただきます。
なお、当初の予定症例数も含めた臨床研究としての申請があった際から事前評価をしていただきました構成員の先生方には、この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。
事務局の説明は、以上でございます。御審議をよろしくお願いいたします。
○福井座長
事前評価につきまして主担当の成川構成員、副担当を田島構成員と新谷構成員にお願いしております。加えて、先ほど事務局からも御説明がございましたように、技術専門員として消化器内科の高橋専門員にも事前評価をお願いしております。順を追って説明をしていただければと思います。
最初に、成川構成員より概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。
○成川構成員
成川です。今回、主担当を担当いたしました。この別紙の1に沿いまして、評価の結果の御報告を申し上げたいと思います。
技術の内容については今、事務局から御説明があったとおりでございまして、薬としてはレジパスビル・ソホスブビルという、日本ですとハーボニー配合錠という薬で約3年前、2015年に承認をされた薬でございます。それで、現在の効能がC型慢性肝炎と、それから代償性の肝硬変というところまででございまして、今回の対象患者さんというのはさらに進んだ非代償性の肝硬変ということの内容でございます。Genotype1型の非代償性肝硬変ということでございます。
それで、1ページ目でございますが、適応症につきましては現在、非代償性の肝硬変に適応を有する抗ウイルス薬はございません。そういう意味では、妥当であるというふうに判断をしています。
それから、有効性でございますが、海外で幾つか試験がされておりまして、論文もパブリッシュされております。その中で、本技術の有効性の示唆というのはされていると判断しています。
それから、本療法につきましてはアメリカで2016年の2月に承認をされております。ただ、このハーボニー錠とリバビリンを併用するというレジメンで承認をされて、ちょっと今回と違う内容でございますが、基本的にはこの技術で有効性が期待されるという判断をしております。
ページをおめくりいただきまして、2ページ目でございます。安全性につきましては、既にC型慢性肝炎あるいは代償性のほうの肝硬変でかなりの症例数の経験もございますし、問題なしというふうに判断をします。
技術的成熟度につきましては、この分野を専門として数多く経験を積んだ医師、または医師の指導下であれば行えるという判断とさせていただきました。
倫理的問題等については、なしということでございます。
最後の保険収載の必要性のところですけれども、冒頭に事務局の方からも御紹介いただきましたように、私もこの資料を拝見してまず思ったのが、やはり別の薬ではあるのですけれども、この配合剤ですが、1剤は共通でもう一剤、別の薬を配合したお薬が同じギリアド社から非代償性肝硬変を申請効能の一つとして承認申請を今されておりまして、今年の5月に承認申請がされております。ですから、しばらく審査にはかかると思うんですけれども、本来であればそのお薬について拡大治験なりをやっていただくというのが一番の筋だろうとは思いました。
ただ、そこは先ほど事務局からも御報告いただいたように、現実的にはすぐにはそれが無理だというふうなことがありますし、待っている患者さんもいらっしゃるということであれば、この患者申出療養という枠組みを使って、過渡的かもしれませんけれども、対応するのも一つの考え方ではないかと考えております。
もう一点は、括弧の中に書きましたけれども、アメリカですとリバビリンとの併用で承認されているんです。それから、公表されている論文ではほとんどの両方がリバビリンと併用の療法でデータが出ています。ですから、このハーボニー錠だけのエビデンスというのは相対的に小さいんです。
その点については申請者にも確認をいたしまして、資料でいきますと10ページをごらんいただきますと、リバビリンと併用すべきか、すべきでないかということについての意見を聞いたところ、現行のリバビリンについては添付文書の禁忌事項に重篤な肝機能障害患者の方は禁忌になっているとか、あるいは非代償性肝硬変患者を対象としたリバビリンの使用経験が非常に国内だと限られている、あるいは国内では高齢の患者さんが多いということで、安全性のことも考える、そこは非併用のほうをとりたいという御意見がありました。これは一長一短あると思うのですが、そこは申請者の方の御意見を尊重して、それでいいんじゃないかというふうに判断をいたしました。
そういうことで2ページ目にお戻りいただきまして、将来の保険収載の必要性については妥当ということで判断をいたしました。
それから、その下の2番の下のほうですね。実施責任医師についての考え方、医療機関についての考え方、そのあたりですけれども、今回、阪大の病院1施設でやるということでございますし、一応プロトコルの中にはいろんな医療機関についての条件が定められておりまして、それについてはその範囲でやるのであれば適切であるというふうに判断をしております。
とりあえず、私の担当のところは以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、実施体制の評価の結果につき、技術専門員の立場から高橋専門員より説明をお願いします。
○高橋技術専門員
高橋でございます。この非代償型の肝硬変の治療というのは非常に難しくて、対処的なもの、保存的な治療、腹水があれば利尿剤を使う、感染脳症があればそれなりの治療をするということですが、その根本にあるC型肝炎の感染を防止することによってそれまでの肝機能が改善するというデータが出てまいりました。それで、大阪大学の消化器内科は非常にこの肝臓のほうも一生懸命やっていらっしゃいますし、数多くのデータも出されております。
したがって、本研究というか、本1例の実施については何ら問題ないというふうに判断いたしました。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
続きまして、本日御欠席の田島構成員から倫理的観点からの評価をしていただいております。事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。田島構成員の倫理的観点からの評価は、資料別紙1の4ページをごらんください。4の「同意に係る手続き、同意文書」、5の「補償内容」、いずれも適の御評価をいただいております。
コメントとしまして、事前の指摘に従い、説明文書の修正がなされ問題点が解消したので、適とした。補償については保険加入し、必要な場合適切な補償金が支払われ、また患者相談の対応も整備されているとのコメントをいただいております。
以上です。よろしくお願いいたします。
○福井座長
続きまして、試験実施計画書等の評価につきまして、新谷構成員から説明をお願いします。
○新谷構成員
こちらについては何回かやりとりをしておりますので、文章量はかなり多いですので、特出した部分のみ御説明させていただきます。
まず、研究仮説において主要評価項目の安全性、SAEが40%を超えないという想定で10例という例数設計がされていたわけなんですけれども、この40%の根拠が少し曖昧ですということで、先行研究から15%、26%等の数値は記載されていたのですが、今回に限り40%まで許容するというところの妥当性について説明を求めました。
そして、同時に40%の仮説が仮に正しいとした場合、SAEが2例起こった時点であと8例に起こらなくても、その時点で仮説が達成できないということが統計的には決定してしまいますので、2例起こった時点で早期終了というものを考えていただきたいということで、早期終了についてという、この2点についてやりとりをさせていただきまして、主要評価項目の仮説40%についてはまだ科学的妥当的がありませんので、今回は探索的に進めさせていただきたい。統計的仮説は置かず、1例ごとに評価をしますということで、1例SAEが出た時点で研究の中止を念頭に置いて委員会で評価していただくというところでプロトコル不適から適に変えさせていただきました。
同時に、有効性の評価項目なんですけれども、有効性については10%という研究仮説について、有効性が10%以上であるということでしたら、仮に4例起こった時点で仮説が達成されてしまいますというコメントをさせていただきました。それにつきましても、4例有効性が見られた時点で中止かどうかの判断をしますということで、プロトコルを修正していただきました。これをもって、適ということで評価をさせていただきました。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、構成員の皆様から御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。統計学的な評価につきましては1例だけということですので、先生には大変御苦労をかけましたけれども、少し違う見方で今回は評価するということになると思いますが、いかがでしょうか。何かございますか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
先ほどの事務局からの御説明で、もう一回全体のこの申請の状況だとか、そこら辺から少し御説明をいただきたいところがございます。
先ほど、6ページ目の回答のところを読み上げていただいたんですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
はい。
○石川構成員
そうですね。ここで、拡大治験も含めというふうなことがあって、これはギリアド社に問い合わせしたところ、拡大治験も含めて治験が既に終了している。だから、ちょっとこれは答えられないというふうなお答えだったと思うんです。
それで、現状では別紙1の26ページ目ですか。「今後のプラン 保険収載までのロードマップ」というポンチ絵の中で、右上の「治験」というふうなことで現在行われている治験があるわけです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
この治験が終了しているということです。
○石川構成員
これが終わっているということですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
そうでございます。
○石川構成員
左側の「臨床研究」のスキームではなくて、こちらが終わっているということですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
そうでございます。
○石川構成員
わかりました。
○福井座長
先生、よろしいですか。
○石川構成員
今はそれなんですけれども、これは患者さんの最初の話ですと、この右上のところに希望していたというふうなお話も聞いたのですけれども、これはそういう事実があったわけですね。
○先進・再生医療開発戦略専門官
はい。そのように医療機関より聞いております。
○石川構成員
ところが、治験が終わっているということと、それからこの薬の提供がこの会社はできないというお答えだったと思うんですけれども、今回これは8月8日に申請というふうな日付になっていて、非常に早く対応したと思うのですが、やはりこの文言の中に拡大治験の方向についてはどうなのかということについてもっと追求すべきなのではないかと、私たちの役員会の中ではそういう話になりました。
特に、患-1の参考資料2というポンチ絵のものが別刷りであると思うんですけれども、「保険外併用療養費制度について」という題で書かれている3ページ目に、「患者申出療養の対象となる医療のイメージ」という横書きのものでございますけれども、「対象を拡大」という一番下のレーンのところに現行の治験の対象とならないものとか、こういったものも患者申出療養の対象となるというふうなイメージが最初のときから語られているわけなので、ここのところですよね。ここのところで、なぜ最初の右上のところもできなかったかとか、いろいろなことがあると思うんです。その辺を少し、なぜ企業が薬を使えないのかとか、そういった理由についても明らかにしていただきたいと考えております。その辺はどうでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。拡大治験に関しましては、患者申出療養としての使用も含め、企業に問い合わせをしたところ、既に終了した治験薬については提供できないといった回答を得ておりまして、その詳細な理由については得られておりません。以上でございます。
○福井座長
何か法律があるとか、何か規則があって提供できないと言っているでしょうか。それとも、これは全く会社のほうの一存で、またはそういう決まりがないところでこういう判断をしているということなのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。一般的に既に治験で実施されている医薬品につきましては、その対象とならない患者さんに対して拡大治験及び患者申出療養のために企業から医薬品を提供していただくことに関しては、あくまでも企業の好意に基づくとのことでございます。
一方で、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるために、患者負担を減らしつつ、希望される治療の実現に向けて企業に協力していただくことは重要であるとも考えてはおります。引き続き、制度の趣旨について周知に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○石川構成員
先ほどの3ページ目のイメージの図でございますけれども、この患者申出療養ということについては大変困難な患者さんの状況の中で、要するに終了したものであってもいろんなこういう枠組みでその可能性を追求していただけるということでつくった制度でございますので、その辺は企業の方たちに十分な理解をしていただくということは必要なんじゃないかと思います。
特に、海外の企業の方にもこの日本の制度について十分に示していただくといいますか、英文の説明書だとか、そういったものも含めてやっていただきたいというふうに強く思うわけでございます。その辺はどうでしょうか。
○福井座長
いかがでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
その点も含めまして、周知に努めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。
○福井座長
非常に官僚的な答えですけれども、先生、よろしいでしょうか。
○石川構成員
幾つもこの間いろいろやりとりしておりますので、この患者申出療養につきましては日本の困難な病状の患者さんに対しての非常に大事な制度ということで、我々としては十分に育てていきたい。それで、誰でも理解できるようにして制度を持っていきたいということと、やはり海外の製薬会社の方たちも日本で薬を売るわけですから、そういった制度にのっとってこのことについても十分に理解を示して提供していただきたいというふうに強く思うわけでございます。
○福井座長
ありがとうございます。
天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
ありがとうございます。今の質疑にもありましたが、企業が拡大治験に協力いただけないということは大変残念でございますので、周知にとどまらず、可能な限り厚生労働省から働きかけなどをしていただければと願う次第でございますが、別紙1の資料の中の8ページにある記載について質問でございます。3番の項目で、ソホスブビルとレジパスビル配合錠について適用拡大のための薬事承認申請を行う予定はないというふうな記載があります。この部分について、2点質問があります。
まず、先ほども一部御説明いただいたかと思いますが、海外での承認状況やガイドラインの記載等はどうなっているのかという点が1点です。
もう一点が、そもそも国内で適用拡大の薬事承認申請をギリアド社が行う予定がないという理由についてもう一度御説明いただけますでしょうか。以上、2点でございます。
○福井座長
成川構成員、どうぞ。
○成川構成員
私から申請者のほうに確認をした質問ですので、わかる範囲でまずお答えしたいと思います。
1点目、海外での承認状況ですけれども、米国ではこのハーボニー錠が3年前に非代償性の肝硬変についても効能追加をして承認されております。それで、EUのほうはそこの部分は未承認という状況でございます。
2つ目の御質問のなぜハーボニーのほうについて効能追加の申請が行われていないかということについては私も承知していないので、もし事務局の方が御存じだったらお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。同じギリアド社が新薬の承認申請を行っているということでございまして、今回のギリアド社からの回答としては、ハーボニーにつきましては非代償性肝硬変の適用拡大のための薬事承認申請を行う予定はないというふうに聞いております。
それで、現在審査中の新薬につきまして承認されなかった場合には、本試験を先進医療等の症例数をふやした研究に組みかえて症例蓄積を進めていく予定とも聞いております。
また、新薬が承認された場合には海外承認データ等を含めて未承認薬検討会議を経て薬事承認の申請を目指すというロードマップになっております。以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
せっかくのこの議論ですけれども、今回成川先生は非常に薬剤に精通されておりますし、幾つかのやりとりをされたと思いますし、高橋先生におかれましても同じようにやりとりしていると思います。
それで、先ほど製薬会社が提供できないというようなことについて、何か御存じだったら教えていただきたいと思います。我々はいろいろ調べたんですけれども、その辺はわからないので教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○成川構成員
私もこれは推測が入ってしまうのですけれども、直接はそれはやはりわかりません。それで、1つは企業のほうが承認申請のための治験を終了してしまっており、かつ申請をして審査中だということもありまして、新たな治験を拡大治験としてやるとなると、またプロトコルをつくって、治験届を出して、それで海外からその治験薬を輸入してと、恐らくいろいろな手続があると思うんです。
その時間的なことなど、手間とか費用も含めてですけれども、そのあたりも含めた判断なのではないか。これはあくまでも推測ですけれども、そう思います。
○高橋技術専門員
私も過去に新しい新薬の申請を待っているときに患者さんに早く使いたい方がいて、会社のほうに使わせてくれということを申し上げたことはあります。2~3年前で難治性の胃潰瘍だったのですが、そのときも今、申請中なので申請が通るまで待ってほしいというふうに言われた経験がございます。
ちょっと待ってくれというようなことなのですが、今回の場合は非代償性の肝硬変で時間的な余裕が私はないと思うんです。ですから、1例に限って今回のこれはよろしいのではないかというふうに判断しております。
○福井座長
では、原田構成員どうぞ。
○原田構成員
関連でお話をさせていただきたいと思います。事務局のほうからお配りいただいた先生方用の資料の中に、併用した場合わずか数%ですけれども、効果的だというような数字が出ていたと思うのですが、患者さんへの説明のところには一切そういう記載がない。阪大は、患者さんに説明をしているのかどうかです。
患者の安全性のところから考えますと、いずれこのデータが患者さんや家族に伝わったときに、これだけの費用を投下してるわけですので、確率のよい併用という考え方にいくと思うのです。事前に患者さんのほうに話をされているのかどうか。気になったところです。
○福井座長
事務局のほうで、何かこの点についてやりとりはございましたか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。今、御指摘いただいた点も含めて今後よりよい患者説明となるように、事務局としても努めてまいりたいと思います。
○福井座長
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
今、拡大治験のほうが時間がかかると先生はおっしゃいましたけれども、もちろんそうだと思うんです。
それから、これは先進医療Bの枠だとか、そういったところの申請はどうだとか、いろいろな検討があったと思うんですけれども、確かに非代償性ということもあって時間がないということもありますし、申請まで日本は非常に複雑で安全な方法をとっておりますので大変だということはわかります。
ですけれども、このことについてやはり企業にきちんと申出療養があるんだということについて説明していただかないといけなかったんじゃないかと思います。これは、事務局のほうはいかがでしょうか。
企業の方に、確かに拡大治験は今の先生のお話ですと申請だとか、そういうことに時間がかかるということもあるだろう。だけど、一応日本の制度ではこういう申出療養があるので何か提供していただけないかということの交渉はしたかどうかということです。
○福井座長
事務局、お願いします。
○医療課企画官
ありがとうございます。本日の御指摘、また今回の申請を受けまして、やはり企業側にもこういった仕組みがあるんだということをしっかり周知をしていく。これは、ポジティブに周知をしていくことは重要だという御指摘はごもっともだと思っておりますので、取り組んでまいりたいと思っております。
○福井座長
申請中に違うルートでその薬を使って何か事故があった場合、申請自体にも影響を与えるとか、そういう心配を企業はするものなのでしょうか。全く違う条件の人に使って何か事故があると、バイアスがかかってしまうのではないかと心配されるかもしれないと思いますが、どちらかというと倫理的な側面からこの申出療養制度が作られていますので、そこのところを十分理解していただいて、話し合いをしていただければと思います。ほかには何かございますか。
上村構成員、どうぞ。
○上村構成員
企業経験がありますので、補足といいますか、今、先生がおっしゃられたとおりで、申請中に新しい、特に安全性に関するデータが出てくると、もう一回、そこが問題になってくる可能性もありますので、企業はそこを敬遠するのではないかと思います。
一般論として、いい薬に関しては、治験が終わった後も、使わせてくださいという申し出がものすごくたくさんあります。ですから、原則として、お断りしているというのが、現状ではないかと思います。それは世界的なレベルでそうだと思います。
ただ、患者申出に関していうと、わざわざ国が制度としてつくったものですから、そこがグローバルなレベルでよく知られていないというのは、確かだと思います。なので、こういったことが日本のプロセスの中で、法律の枠組みの中で、しっかりとした制度として運用されているということを知っていただくことは、重要だと思います。
○福井座長
お金とか、人手とか、それ以外の要因がもしあるようでしたら、そこについて、十分に納得してもらわないと企業は協力してくれないかもわかりません。十分に理由を伺った上で、話し合って、製薬会社をプロテクトするような仕組みも必要かもわかりません。別ルートで使う場合はということですけれどもね。
何かほかにございますか。原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
今の併用の話と同じなのですけれども、今回のものは、12週間ということで、7日間の入院と、通うことによって1日1回の投与というお話しです。これも12週間と24週間というデータがあって、24週間のほうが、ポイント的には、6ポイントとか、数ポイントの差だったと思うのですけれども、10ポイントの差というのは、誤差の範囲かもしれませんが、こういうデータが一方である中で、24週間ということになると、患者申出は6週間のところで完結するみたいな1つのルールがあるので、そこにこだわりがあって、こうしたのかもしれません。
もう一つは、できるだけ費用を抑えるということで、12週間という区切りをしたのかもしれませんけれども、その辺のことはよくわからないのですが、この患者さんの場合は、もう我慢できない状態の患者さんだとお見受けするのですけれども、そういったことを鑑みて、いろいろ考えていくと、今回の阪大から出ている目的も、いわゆる治療効果というところにポイントを置いていると思うので、薬も含めて、そういうさまざまな観点から見ると、患者申出6週間というところにこだわることはなくて、患者本位のところで、現場の運用のところで、この辺をクリアしていくというか、患者さんに納得してもらう筋というのは、手続を置いていったほうがいいのではないかという感じがします。
○福井座長
それについては、いかがですか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
12週間の投与方法につきましては、現在のハーボニー錠の添付文書上も12週間投与となっておりますので、安全性を重視しまして、12週間投与にしたとのことでございます。
以上でございます。
○原田構成員
関連ですが、出ているデータを見ると、12週間より24週間のほうがより効果的だという数値的に6ポイントぐらいの差だったと思うのですが。先ほどの併用の話ではないですが、患者さんやその家族にとっては、24週間のほうが良いのではというこだわりが出てくるのではないかと思いますので、事前に患者さんにはよく説明されておいたほうがいいと思います。
○福井座長
それはまた伝えていただくということで、お願いします。
一色構成員、どうぞ。
○一色構成員
当初、10例だったものが、何で1例のみになったかということについて、もう一度、御説明いただきたいのと、先ほど申し上げたように、あと1人、2人、御要望が強い方がおられたときに、どう対応されるのかということについても、御説明いただければと思います。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
繰り返しの説明になってしまうかもしれませんが、今回の申請に関しましては、非代償性肝硬変に対する新薬が、現在、承認手続中であること、また、この患者さんが新薬の治験の組み入れ基準に該当しなかったという背景がございます。また、そもそも患者申出療養制度には、組み入れ基準に該当しないなどの理由で、治験の対象とならない患者さんにも新薬を届けるといった理念がございますので、そういったものを踏まえまして、今回は1症例を対象とした申請の審査といったことで考えております。
今後2例目、3例目の同様の非代償性肝硬変の患者さんが患者申出療養制度を希望した場合には、どのような治療を行うことが適当なのか改めて当会議で検討していただくことになると考えております。
以上でございます。
○福井座長
どうぞ。
○一色構成員
結局、承認までに時間がかかるということですけれども、どうして2例、3例が出なかったのか、しつこいようですが、何で1例限りになったということについて、はっきりした御説明はあるのでしょうか。
○福井座長
どうぞ。
○医療課企画官
ありがとうございます。
御指摘の点につきましては、今回、御希望のあった患者さんに、1日でも早く治療をお届けするという、もともとの制度の趣旨から、まずお認めをいただければということでございます。そうした中で、本日、御指摘いただきましたように、未承認薬の提供の可否、また、今回の治療との比較、そういったものをしっかりと検証しながら、後に続く患者さんへの対応を検討していくことが必要ではないかということで、今回は1例ということで、お諮りを申し上げてございます。そのように御理解いただければ、ありがたいです。
○福井座長
とりあえずニーズがはっきりしているこの1人の患者さんが使う間に、他の制度が使えないかどうかも同時に検討するための時間を少しいただきたいということもございますので、御理解いただければと思います。
原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
ロードマップのところですが、右上のところは、治験が終わって、承認か、非承認かという結論を待っている状態。今、患者申出のほうは、待てない状態の患者さんで治験のほうで承認されればいいですけれども、仮に非承認になった場合、先進医療のほうに持っていく。そこで仮に承認されれば、未承認薬・適応外薬検討会議に諮るという流れだと思います。一方、治験で仮に非承認になったときに、患者申出療養評価会議では、適でいきましょうといったときに、このことはどういうふうに考えればいいのでしょうか。治験のほうが非承認ということになれば、先進医療のほうに持ってきて、100例のところでまたやりなおすということになると思うのですが、患者申出のほうが適でやりましょうということになったときに、未承認のほうへ持っていけるものなのですか。待てない患者さんが一緒に先進医療をやるとなると、また時間がかかります。ロードマップ上、この辺をどう考えるのか、ちょっと気になるところです。
○福井座長
よろしいですか。
○医療課企画官
恐れ入ります。
今回、御申請のあった患者さんというわけではなくて、全体の流れとしての御質問ということで、よろしいかと思いますけれども、こちらのロードマップにございますように、仮に新薬が非承認なった場合の先進医療、これもまだプロトコル、対象患者さんをどうするとか、そういったところが確定をしているわけではございませんので、ここで確としたお返事はなかなかできないのですが、基本的な考え方といたしましては、希望する治療を、どのような制度を用いることによって、安全により早く提供できるかということを検討していくということで、御回答とさせていただければ、ありがたいと思っております。
○福井座長
よろしいでしょうか。ほかには何かございませんでしょうか。上村構成員、どうぞ。
○上村構成員
内容についての確認です。もともと持っていた仮説のところなのですが、新谷先生にお伺いしたいのですけれども、先ほど4人になったらというお話しがありました。それは4人やるという意味ではないのですね。
○新谷構成員
有効性のところは、ウイルス除去率が40%を超えるというのが仮説なので、その場合、10名やって4名有効であったということがわかった時点で、あと6例、やっても、やらなくても、仮説には到達するということです。ウイルス除去が4名、事実として起こった時点で、最後までいかなくても、終了していいのではないかということです。
○上村構成員
ただ、今回は1名しかいないので、今の段階でそれはないということですね。
○新谷構成員
1名ということでは、統計的な議論は全くいりません。
○上村構成員
ただ、もともとプロトコルが書いてある、有効性の仮説のところを見ると、SVRでの信頼区間の下限が10%を超えると書かれているのです。10%というのは非常に低いと思うのですけれども、普通はもうちょっと高目の仮説を設定してしかるべきではないかと思ったのですが、今回は1例なので、既に関係なくなってしまったのですけれども、いかがでしょうか。
○新谷構成員
そこは私も聞いたんですけれども、臨床的には1%ぐらいなのでということで、10%で置きましたという説明でした。
○上村構成員
何もしなければ0%なので、10%でもということですね。
○新谷構成員
そうです。全く起こらないだろうと、それが現場では感じていることなのでということでした。
○上村構成員
あとは、先行論文の中では海外の治験、非代償性の肝硬変患者さんでの成績が出ていますけれども、これはSVRの話をしていると思います。今回もSVRでの話だと理解しているのですが、主要評価項目のところの説明でいくと、プロトコルの中に、主要評価項目として、12.2.1というのがあります。「治療終了時(投与開始12週後)C型肝炎ウイルス排除率」となっているのですが、これは終了直後のウイルスの除去率であって、SVRとはまた違うのではないかと思うのですが、そこはどうでしょうか。
○福井座長
6カ月間とか、12週とか、普通は期間で見るのではないでしょうか。
○上村構成員
終了してから12週、終了してから24週を、SVR12、24と規定しているのですか。
○高橋技術専門員
期間をもって、有効率、排除率を計算します。
○上村構成員
今回も12週のトリートメントがあって、そこから追いかけていって、ウイルスがいなくなっている期間が続いていくことが、重要だということでよろしいのですか。
○高橋技術専門員
ウイルスだけではなくて、ウイルス排除による肝機能、肝予備能の改善、そこも見ていると思います。
○上村構成員
いずれにしても、ここの記載は、SVR12ということであれば、それでいいと思うのですけれども、12だけしか書いていないのですが、24とか、48というところのウイルスが除去されたことが続いていくということも、きちんとプロトコルの中に書かれていたほうがよかったと思いました。
○高橋技術専門員
おっしゃるとおりだと思います。ただ、この患者さんは、うまくいかなければ、長期の評価は難しいという判断だと思います。
○上村構成員
今回は1例なので、0か100みたいな話になってしまうと思います。
もう一点なのですけれども、海外では、Child-Pugh Cという方が入った治験が行われているということで、承認もしているということですが、日本人にこの薬剤を投与したときのリスクは、通常の非代償性でない方は、既に治験も行われているということだと思うのですけれども、非代償性の肝硬変患者さんで、この薬剤に関しては、データが少ない、多分ないという状況の中で、リスクの評価というのは、それなりにしておく必要があると思いました。
特に薬物動態的な観点からすると、非代償性の肝硬変がある方というのは、血中の暴露量がかなり上がってくるだろうというのは、容易に想像がつきます。海外データと日本人のデータが混在している中で、やろうと思えばですけれども、いわゆるモデルの中から、日本人での非代償性の肝硬変患者さんでの暴露量の推定というのは、多分できるだろうし、もともと製造販売されている会社のほうで、そういったことはできるのではないかと思っています。暴露量でもある程度安全性は確保できるということを、プロトコルの中で書くのは難しいと思いますけれども、同時進行でもいいので、考察はされておかれたほうがいいと思いました。
○福井座長
そのことも、阪大のグループに伝えていただけないでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○新谷構成員
今、おっしゃったとおり、やりとりのときに、有効性の40%の妥当性はということで聞いたのですが、15ページに1回目の回答があります。「本試験薬を投与しない場合の重篤な有害事象の発生割合は50%を上回ると考えております。そのため、本試験薬に起因する重篤な有害事象発生割合が40%であったとしても本試験薬の意義はあると考え設定しました」ということで、科学的根拠が何もない上で、つじつま合わせのような回答でしたので、今、上村先生がおっしゃった点を研究者がよく理解しているのかというところは、私も心配になりましたので、そこはしっかり確認をしていただけましたらと思います。
○福井座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
もともと患者申出の制度の中で、統計学的にどれぐらい厳密性を求めるかというのは、非常に難しい話で、当初から、そこのところを綱渡りしているような感じがしています。議論を重ねても、全員がクリアカットに納得するのは難しくて、曖昧さを残したままきているのも事実です。しかしながら、できる範囲内で、統計学的にもクリアにしていくという作業は、ぜひ続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
よろしいでしょうか。
それでは、検討結果の取りまとめを行いたいと思います。
恐縮ですけれども、上村先生は、退席していただければと思います。
(上村構成員退室)
○福井座長
それでは、ただいまの御議論を踏まえまして、最終的な取りまとめを行いたいと思いますが、いかがでしょうか。当初、事務局から御提案がありましたような方向で結論を出してよろしいでしょうか。1例の方については、プロポーザルのとおり、治療を行うということをお認めして、その間、事務局も含めまして、また、製薬会社も含めまして、それ以外の制度を使えるかどうか、検討を続けていただくという結論としたいと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そのようにしたいと思います。
上村構成員に入室していただいてください。
(上村構成員入室)
○福井座長
それでは、議題の2に移りたいと思います。
事務局から、患者申出療養の実施医療機関からの取り下げについての資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
患者申出療養の取り下げ実施医療機関について、患-2に従って、御説明申し上げます。
以下、御報告になりますが、患-2に示しておりますものは、患者申出療養告示番号1番のパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療養の技術につきまして、当該医療機関において登録された全ての対象患者の治療期間及び追跡期間が終了したために、それぞれの実施医療機関の取り下げについて、東京大学医学部附属病院による審査を受けております。
資料には、取り下げを認められた施設名をお示ししております。
以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
この患者申出療養につきましては、報告書が新たに出てくるのでしょうか。これから先、この結果についての報告書はどうなるのでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
定期的な報告書については1年ごとに出てまいりますが、総括報告書については、全症例の観察期間が終わった後になると思います。
○福井座長
よろしいでしょうか。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
今の座長からの御指摘に関連してですが、前回の会議において、この患者申出療養の技術について、今、事務局から御説明いただいたように、総括報告書は当然観察期間等が終了しないと出てこないということは、理解はしているのですが、非常に多くの患者さんが希望されていて、一部、入れなかった患者さんもいらっしゃり、今も希望されている患者さんがいらっしゃるように聞いておりますし、また、この技術については、既にフェーズ3の結果がある程度出ていて、かつネガティブであったと聞き及んでおりますので、総括報告書はまだ出せないにしても、中間報告などは出していただいて、この会議で御提示いただくことをお願いできないかということを、重ねて申し上げたいと思います。
私からは、以上でございます。
○福井座長
どうしましょうか。話し合いをしていただければと思います。
医療課長、どうぞ。
○医療課長
おっしゃることは、そのとおりだと思いますので、申請機関に対しては、その旨を伝えて、要請をしたいと思います。
○福井座長
よろしくお願いします。
ほかには何かございませんでしょうか。
それでは、議題の3としてその他が挙がっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局からは、特段ございません。
○福井座長
それでは、構成員の先生方から、全体のお話しでも結構ですけれども、何かございますでしょうか。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
ありがとうございます。
患者申出療養制度が始まって、ある程度年数が経過していると理解しておりまして、当初、始まった際には、安全性や有効性などに十分配慮していて、それは今も変わらないわけですが、しっかりとした枠組みで行っていくということで、慎重に行ってきたという経緯があると承知しております。
一方で、患者さんが患者申出療養制度を希望した場合、しっかり有効性、安全性などについて評価しつつも、可能な範囲で、手続等を簡略化する、省略できるなどをしていただくことによって、より早く患者さんが患者申出療養制度を使えるようになるという方向性を御検討いただけないかということを考えておりまして、ある程度患者申出療養制度について経験が積まれてきた段階で、手続き等の簡略化の方向について、事務局で検討していただけないかということを申し上げたいと思います。
○福井座長
この点につきましては、いかがでしょうか。
○医療課長
その点については、正直、実際の運用で、今日のようなケースもあるということも、我々は理解してきましたので、患者さんにとって何がベストなのか、何が迅速に対応できるのかということも含めて、少し検討させていただきたいと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
それに関連してなのですが、例えば患者申出療養制度のホームページも、もう少しわかりやすく、つくり直しをご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局から、次回の日程について、お願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
事務局でございます。
次回は、日程調整の上、後日、連絡させていただきます。
以上でございます。
○福井座長
それでは、第10回「患者申出療養評価会議」を終了いたします。本日は、お忙しい中、また、暑い中、御出席ありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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