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2018年4月12日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

平成30年4月12日(木)9:57~11:07

 

○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール14A(14階)

○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 石川構成員 一色構成員 田島構成員 
田代構成員 寺田構成員 直江構成員 成川構成員 原田構成員 松井構成員
山口構成員 山崎構成員 磯部技術専門員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐 先進・再生医療開発戦略専門官
医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他

○議題

1 患者申出療養に係る安全性報告について
  (患-1) (別紙1) (別紙2)
  (参考資料1) (参考資料2) (参考資料3)

2 患者申出療養の実績報告について
  (患-2) (参考資料1) (参考資料2)

3 臨床研究法施行に伴う患者申出療養に係る審議における認定臨床研究審査委員会の位置づけについて(案)
  (患-3) 

4 臨床研究中核病院の追加指定について
  (患-4)

○議事

9:57開会


 

○福井座長
それでは、定刻より少々早いですけれども、出席予定の構成員の先生方が揃われ、技術専門員の磯部先生にも御出席いただいておりますので、ただいまから第9回「患者申出療養評価会議」を開催したいと思います。
まず、構成員の出欠状況ですが、本日は上村構成員、新谷構成員、大門構成員、手良向構成員より御欠席との連絡をいただいております。また、石川構成員は、所用により途中で退席される予定です。どうぞよろしくお願いします。
また、本日は4つの報告の議題が挙げられております。1つ目の議題の安全性報告の確認をお願いしております技術専門員の磯部先生にも御出席をいただいております。どうもありがとうございます。
構成員の出席は、総数の2分の1以上となっております。また、欠席されます上村構成員、新谷構成員、大門構成員、手良向構成員からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、座長に一任するとされております。
次に、事務局の異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
それでは、4月1日付に事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
まず、治験推進室長の吉田でございます。
○治験推進室長
よろしくお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
先進・再生医療開発戦略専門官の横川文彬でございます。
○先進・再生医療開発戦略専門官
よろしくお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
課長補佐の大島和輝でございます。
○医療課長補佐
よろしくお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
どうぞよろしくお願いいたします。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
資料の確認をさせていただきます。
冊子になっているところですけれども、まず第9回患者申出療養評価会議の議事次第でございます。
その下に座席表。
そして、構成員名簿がございます。
その下に資料がございまして、まず患-1としまして、「患者申出療養に係る安全性報告について」という1枚の紙。その下が患-1(別紙1)、横になっております表形式の1枚の紙でございます。その下の患-1(別紙2)は、実施医療機関からの照会事項に対する回答としまして表裏の紙が1枚。患-1(参考資料1)としまして通知の抜粋、1枚の紙です。患-1(参考資料2)といたしまして、カラー刷りの横の表「患者申出療養 第2例目」の概要となっております。その下がステープルでとめております患-1(参考資料3)「保険外併用療養費制度について」という資料でございます。ここまでが安全性報告についての資料。
その下に、患-2といたしまして「患者申出療養の実績報告について」という表裏の紙がございます。患-2(参考資料1)、患-2(参考資料2)としまして横の1枚紙がそれぞれございます。
患-3といたしまして、「臨床研究法施行に伴う患者申出療養に係る審議における認定臨床研究審査委員会の位置づけについて(案)」という1枚の紙がございます。その下に患-3(参考資料1)といたしまして「臨床研究法について」、横で、ステープルでとめている冊子がございます。その下は患-3(参考資料2)といたしまして、横のカラーの「患者申出療養に係る審議の流れ」という1枚の紙でございます。
その下が患-4としまして「臨床研究中核病院の追加指定について」という資料がございます。
配付資料は以上でございます。
また、お手元にタブレットを配付させていただいております。届出書類等につきましてはタブレットのほうから閲覧ができるということになっております。配付資料が横となっておりますので、御発言の際に該当箇所、配付資料であるのか、タブレットのページなのかというところを御発言いただきますと助かります。よろしくお願いいたします。
資料の確認は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
資料等についてはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、利益相反の結果について、事務局から報告をお願いします。
○医療技術評価推進室長補佐
報告対象となる議題等に関しての利益相反でございますが、今回御報告いただいた中で報告対象になる議題等に関しては利益相反については特にございませんでしたので、御報告いたします。
○福井座長
ありがとうございます。
本日の議題は4つございますが、最初の「患者申出療養に係る安全性報告について」、資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○医療技術評価推進室長補佐
それでは、資料の患-1「患者申出療養に係る安全性報告について」、御説明します。患者申出療養の実施に当たりまして、実施医療機関に安全性報告というものを課しております。実施に伴いまして、下記に掲げる症例が発生したものということでございますが、その下にポツが2つございます。死に至る又は生命を脅かす症例であるとか、別の入院又は入院期間の延長が必要になった症例であって、その発生等が計画からは予測できなかったというものにつきまして、それぞれ規定の期間内に厚生労働省のほうに報告をするということを求めております。
患者申出療養の第2例目として、平成29年4月1日より大阪大学医学部附属病院で実施されております「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」という技術につきまして、これまで3例に対して実施をされております。その3列それぞれにつきまして安全性報告がなされております。それらの報告内容とその後の実施医療機関及び国における対応につきまして、今回この会議のほうに御報告をさせていただきたいということでございます。
なお、後ほども出てきますけれども、本技術につきましては、現在、実施医療機関である大阪大学医学部附属病院の判断で実施計画の見直しが検討されております。見直しが行われまでの間、新規の組み入れは中止されているという状況でございます。
見直された実施計画が反映された患者申出療養実施届出書というものが今後出てまいりますことから、この届出書が出てきた段階で、当該技術をその後さらに継続できるかどうかというところにつきましては、別途この会議で御審議をいただく予定としております。今回はまず現時点での報告ということで御議論いただきたいと考えております。
その次の「患-1(別紙1)」というところに概要をまとめております。こちらで御説明したいと思います。3例ございますが、1例目は、50代男性、療養の実施が平成29年5月ということでございます。その2カ月後、29年7月に膀胱がんの再発ということで報告がございました。これにつきましては、切除術が行われまして、同年10月には当該事象、再発膀胱がんについては軽快と医療機関のほうで判断されております。
その隣にその因果関係につきましての実施医療機関からの報告というものがございます。既存の合併症の再発でありますことから、疾患の性質上、再発を繰り返すということが想定されるということでありまして、当該療養、植込み型人工心臓の植え込みとの因果関係は否定できるという判断でございます。
療養継続についての可否というところも、医療機関のほうで可ということで報告がございました。
その右に厚生労働省におけます対応を記載しておりますけれども、評価会議の座長に報告をした上で、療養は継続可とし、この会議での審議は行わないということとしております。
その下、2例目は30代男性で、29年6月にこの植込み術を行った方ですが、術後3日目、5日目にそれぞれ脳梗塞と呼吸不全を認めたということでございます。
経過でございますが、脳梗塞の欄にありますとおり、減圧術等が施行されましたけれども、同月、脳腫脹の悪化により死亡ということになっております。その隣、脳梗塞につきまして、塞栓源が心室内・人工心臓内あるいは大動脈基部内と推定されるということでありまして、当該療養、手術との因果関係は否定できないという判断でございます。
その下、呼吸不全につきましても、術中の長時間の分離肺換気による左肺の虚脱後の再灌流障害というものが原因と推定されるということで、この手術との因果関係は否定できないということとなっております。
療養継続の可否でありますが、実施医療機関の判断で実施届出書に規定されておりました効果安全性評価委員会でこの経過について審議をされておりますが、その結果といたしまして、今回の事象、脳梗塞と呼吸不全は補助人工心臓の植込み術では一般的に想定される合併症であるということであります。ただ、今後の適格性確認時において、術後リスク評価については慎重に適格性の判断をするよう指摘がございまして、継続の可否については可という報告がございました。
この時点におきましても、会議の座長及び関連する技術専門員に御報告いたしまして、この時点で会議での審議は行わないということで進めております。
その下、3例目は29年10月に手術を実施された60代の男性ということになります。術後20日目に横行結腸穿孔が確認されたということでございます。ドレナージ、人工肛門造設術が施行されておりますが、その後、補助人工心臓のポンプ内感染がございまして、体外式の植込み型補助人工心臓への交換が実施されております。その後、11月になりまして、横行結腸穿孔については軽快という判断がなされておりますけれども、原疾患であります肥大型心筋症の悪化に伴う心不全のため、1月に死亡されたということでございます。
因果関係でございます。横行結腸穿孔につきまして、まず医療機器との関係では、穿孔部位が機器の植え込まれた場所とは離れているということから、医療機器であるとか手術手技との直接的な因果関係は低いのではないかということでございます。
また、右心機能の低下に伴う腸管の血流低下や浮腫、また、術前から存在が疑われておりました特発性好酸球性心筋症に対しまして、術後にステロイド投与を行っておりまして、これらが横行結腸穿孔の原因ではないかと推定されたということでございます。ただし、経過中に発生しました事象であるということで、手術との因果関係は否定できないという判断となっております。
その右、効果安全性評価委員会の判断で、極端な右室機能低下のある患者であるとか、またステロイド投与が必要な患者等、全身状態の悪い患者についてはこれを除外するなど、より厳格な患者選択をするための実施計画の修正をして、修正された届出書が倫理審査委員会で承認されるまでの間、新規組み入れは中止するという条件つきで継続可という判断となっております。
この件につきましても座長及び関連の技術専門員に報告をしておりますけれども、医療機関に対する質問事項の指示がございまして、別紙2のとおり医療機関から回答を得ております。現在、実施計画の見直しを反映した実施届出書というものを医療機関のほうで作成中で、この報告待ちということでございますが、現時点の状況報告というかたちでこの会議にご報告させていただくということでございます。
続きまして、別紙2は3例目、横行結腸穿孔の事例につきまして、専門員からの指摘事項に対する医療機関から回答を得たものでございます。有害事象報告につきまして、横行結腸穿孔と植込み手術との因果関係について見解を詳しく説明してくださいという指摘をしております。回答ですけれども、横行結腸穿孔の発現時期は、第1報のときには不明として報告を行っているということでございます。その後、病理組織の検査も行っておりますが、悪性腫瘍や塞栓、虚血性腸炎あるいは壊死の所見は認められなかったということでございます。
また、当該医療機関におけますこれまでの使用経験、あるいは製造元の企業の確認をした中でも同様の合併症は起きていなかったということから、この機器と横行結腸穿孔の因果関係はないという判断をしたということでございます。
横行結腸穿孔の原因としましては、同時期に食道部位にも潰瘍が出現していたということがありまして、術前・術後にステロイドを使用した影響で多発性に消化管潰瘍が合併したのではないかということがございまして、本研究との因果関係は否定できないということでございます。ステロイドの使用の影響による消化管潰瘍の合併というものが考えられますけれども、本研究の中で起きた事象であることから、全体として否定まではできないという結論に至ったということでございます。
また、先ほども御説明しましたが、効果安全性評価委員会におきましてこの症例の除外について判断することという条件がついたということで、現在計画の変更を検討しているということでございます。
その裏に経過について報告というものを求めた指摘事項がございます。まず、剖検の結果についてです。これは御家族の同意が得られなかったために、解剖は行っていないという回答を得ております。
また、本イベントの経過につきましては、タブレットの35ページ以下に別紙1という形で提出されております。また、全経緯ということにつきましては、37ページ以下に別紙2といった形で提出されておりますので、こちらのほうでご覧いただければと思います。
効果安全性評価委員会の議事録につきましては、タブレットのほうの28ページ以下に提出されております。これらの資料につきましては個別症例の詳細情報となりますので、恐縮ですが、タブレットにおける机上配付ということで、委員限りとさせていただきます。
その後ろにありますのは参考資料でございまして、安全性報告、既に御説明をした既存の規定の抜粋を参考資料1として、また、この技術の概要につきまして参考資料2、この制度の基礎的な資料としまして参考資料3を添付しております。
説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、技術専門員の磯部先生から、御専門の観点から追加でコメントがございましたらお願いしたいと思います。
○磯部技術専門員
磯部でございます。
本申出診療の3件目の合併症、死亡事例と、Jarvik2000の耳介型の機種との関連ということで検討させていただきました。資料は先方からのものと、第三者を入れた効果安全性評価委員会の議事録を参照させていただきました。
まず、Jarvik2000という機種、人工心臓そのものは既に保険診療で認められているものでございまして、今使われておりますのはドライブラインを腹部から体外に出して駆動するというタイプです。今回患者申出療養で検討されているものは、ドライブラインを縦隔を通して、頸部を通して耳の後ろから出すというタイプのものです。より患者さんの感染対策あるいはQOLに効果が高いであろうと理解しております。
この患者さんですけれども、心臓移植の適用にならない患者さんでございまして、いわゆるDestination Therapy、移植を前提としない人工心臓の使用という形で、現在まで3例の患者さんの申し出に基づいて行われたものでございます。
3例目の患者さんは、結果として横行結腸の穿孔、付随して食道の潰瘍があったということで、直接的には手術後の経過がそれに伴って悪化して亡くなったという全体的な経過だと思います。横行結腸の穿孔がなぜ起きたかということについて検討を依頼したわけです。回答を拝見しますと、手術に伴って直接機械が穿孔に関わったということではなさそうである。それから、手術が未熟である、あるいは何らかのミスがあったということでもなさそうでありまして、Jarvikという機械は、心臓に直接人工心臓の本体が刺さるような形で装着されるものでありますけれども、申請者の申し出を見ますと、機械の本体と穿孔した部位が離れているという判断であります。しかし評価委員会の議事録にもありますけれども、横隔膜と腹膜を介して機械は腸管に接している、そういう判定がなされておりまして、機械が直接当たって横行結腸を損傷した、あるいは潰瘍ができ、あるいは穿孔ができたということではないのだと思いますが、少なくとも人工心臓が入ったことと穿孔が起きたということの因果関係を否定できるものではないと思います。
一般的にはJarvik2000に伴って起きたそういった合併症の報告事例は全世界的にもないということですけれども、問題はこの患者さんの背景であります。この患者さんは、今、御説明にはありませんでしたが、HES(hypereosinophilic syndrome)、特発性好酸球増多症という疾患を持っている患者さんで、直前まで好酸球が5000を超える経過表がございますけれども、そこでステロイドパルスが行われて、10月の段階でステロイドパルスをやって、5000あった好酸球が減って、ステロイド治療中にゼロになっておりますが、その直後に人工心臓の装着をしたということであります。
かつ、心不全が非常に強い症例で、患者さんを見たわけではありませんが、るいそうが進んだ極めて重症の合併症を持った方であったことが推測されます。かつ高用量のステロイドパルス療法をやった後、比較的早期に人工心臓の装着を行ったということです。サルコペニアが進んでいたと思いますし、横隔膜も筋肉ですので、薄くなっていたかもしれませんし、また、右心不全によって横行結腸、その他、腸管の高度の浮腫が進んでいたのではないかと思います。
また、横行結腸の穿孔の理由についてはわからないという判定をいただいておりますけれども、特発性好酸球増多症という疾患は腸管にしばしば合併症を来す疾患として有名でございます。ですから、その原疾患との関連も疑われると思いますし、また、高度のステロイド治療に伴って起きた腸管の穿孔であるという申請者たちの推論に加えて、そういった要素があるのではないか。ということで、原疾患そのものが非常に重症で、HESの状態と右心不全、サルコペニアということで、手術後、一度も意識を回復することなく人工肛門を造設して、機械を植えかえたりしていますが、最終的に亡くなっているという経過です。
ですから、最初に申し上げましたように、直接の手技、あるいはこの療養制度に基づいて行われた手技、機械に伴って直接に起きた合併症でないとは推測されますけれども、余りにも重症な患者にこの機械が装着されて、Destination Therapyユースで使われたということです。その結果として合併症を起こし、意識を回復することなく亡くなったというふうに判断されます。そもそも患者選択そのものが適切であったかという疑問が残ります。
この患者申出の制度は、患者さんの申し出があって行われることでありますけれども、研究の要素が多い治療法で、安全性と効果を判定するという目的もございますし、やはり適正な医療として今後発展を目指すために、診療、治療を進めるということであれば、適切な症例のもとで、適切な判断ができるような患者さんに使うべきではないかと私は考えます。
実際大阪大学で行われた効果安全性評価委員会の判定としても、より適正な患者さんの選択をすべきであるということが言われておりますし、また、術者御自身からも、術式についてリスクの高い患者には予防的に腹膜の上に防御するような対策を考えているということで、症例によっては手技上の問題をもう一遍再検討しなければいけないのではないかということも効果判定委員会で披露され、また判定を受けているというところでございます。
私、専門員としましては、その効果評価委員会で言われておりますように、より慎重な患者選択をもう一度再考していただいた上で、この研究を続けるかどうか、再度検討すべきではないかと考えますし、効果判定評価委員会の結論を支持するものであります。
私からは以上でございます。
○福井座長
いかがでしょうか。ただいまの御説明について、質問なり御意見。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
御説明いただきましてありがとうございました。
患者申出療養制度は、申し上げるまでもなく患者さん御自身の希望を起点として実施されているものですが、臨床試験の形をとって実施されているのは有効性と安全性について可能な限り評価していただくということ。特に安全性と倫理性の部分はしっかり見ていかなければならないからだと理解しています。
今回御報告いただいた患者さんの例に関して申し上げるならば、参考資料1を拝見しますと、今回のこの技術に関しては、患者さん御自身のお一人当たりの自己負担の額がおよそ1,600万円程度ある。当然高度な医療技術だからという金額になるかと思いますが、患者さん御自身の希望はあったと申し上げるとしても、あくまで外形だけ、そして結果だけを見ますと、患者さん御自身が1,600万円程度自己負担された後に、患者さんは比較的短期間で亡くなられているという例があります。極めて重症の患者さんであり、リスクが高く、また、患者さん御自身の希望があったとはいえ、この部分は後に続く患者さんのためにしっかり見ていかなければいけないと考えています。
基本的な質問で恐縮なのですが、3点。特に2例目と3例目の患者さんについて教えていただきたいのですが、まず1点目、今回の耳介型コネクターではない既存の技術を使った場合、今回2例目と3例目の患者さんに起きた事象というのは、どの程度の頻度で起きるものなのでしょうか。まれなものなのか、時々起きるのか、しばしば起きるものなのかということについて教えていただければと思います。
2点目が、今回の耳介型コネクター、もちろん新しい技術であるわけですが、事前にこういった事象が発生し得るリスクというのは想定し得るものなのかということをもしわかれば教えていただきたいと思います。
最後、3点目になりますが、1点目、2点目の質問の事項に関連して、こういったリスクというのは、事前に患者さんに説明可能なものなのでしょうか。特にこういった事象というのは全て予見できないというのは、もちろん申し上げるまでもないと思うのですが、可能な限りこういったリスクを患者さんが認識し、そのリスクを受容した上で患者申出療養制度に進まれることが重要と考えますので、基本的な質問で恐縮ですが、質問させていただいた次第です。よろしくお願いします。
○福井座長
これにつきましてはいかがでしょうか。耳介後部から出すものではなくて、従来のもので、しかもDestination Therapyかどうかにもよるもので、データがなくて恐縮ですけれども、事務局のほうはいかがですか。
○医療技術評価推進室長補佐
直接の御説明になっているかどうかわかりませんが、タブレットの94ページをごらんいただくと、この技術の届け出の際にございました患者さん向けの説明文書がございます。予想される利益と不利益というところの中で、DTと書いてあるのが今、御説明のありましたDestination Therapyでございます。また、BTTとありますのは心臓移植を前提とした補助人工心臓植込み治療ということでございますが、米国での腹部ケーブルを用いたDestination臨床試験の結果では133名の方の生存率が、1年70%、2年58%であったということであるとか、日本におけます心臓移植を前提としたブリッジの使用、372名の患者さんの調査で1年生存率93%、2年生存率89%ということが記載されておるということがございます。
95ページ、予想される不利益というところを書いておりますけれども、Destination Therapyは本邦では確立というところまでは言えないというところ。米国のブリッジのときの臨床試験で重篤な有害事象はこの表のとおりであったということが報告されておりまして、この点につきましては、この会議でお認めいただいた際にも議論があったところだと理解しております。
○福井座長
最初申し出があったときの計画にはリスクについての説明はすると書いてあったと思いますが。磯部先生、どうぞ。
○磯部技術専門員
補足させていただきますけれども、御質問の趣旨の1点目は、Jarvikあるいは人工心臓に伴って脳梗塞の発生頻度がいかがかということだと思いますが、数字は今、手元にございませんけれども、米国、それから日本でJ-MACSという登録システムがございまして、現在六百数十例の人工心臓ほぼ全てがBTTユース、心臓移植を前提とした使用でありますが、2年間のフォローで生存率は、今、御説明があったように非常に高いのですけれども、再入院率は2年間で80%です。非入院率が20%。その大半はドライブライン等々からの感染症と脳合併症と聞いております。ですから、決して低くない頻度で脳梗塞あるいは脳合併症は起きますので、その一環として起きたという説明は納得がいくものであります。
Destination Therapyにつきましては、日本では非常に少ない数の治験が行われた段階ですので、経験は集積されていないと思います。
3例目で起きた消化管の穿孔ということにつきましては、恐らく報告はないと思いますので、一般的に起きる合併症ではない。2番目の御質問で予見可能性がいかがかということなのですけれども、脳梗塞については十分説明をされていたと思いますし、一定の頻度で起きるということは言えると思いますが、この患者さんは非常に状況の悪い全身合併症を持った患者さんですので、穿孔そのものを予見できたかと言われると難しいかと思いますけれども、状況としては重い合併症が生じてもおかしくないとの御説明をすべきではないかと思います。
これを患者さんに十分理解していただいた上で治療が行われたかについては、現実のところはよくわかりませんが、特に3例目につきましては、状況として非常に厳しいという説明はすべきものであろうと思います。
以上です。
○福井座長
今おっしゃったことは、実施届け出の申請を新たにされるということですので、そのときのディスカッションで先生がおっしゃったような点について問い合わせをしていただいて、出していただければと思います。
○医療技術評価推進室長補佐
はい。
○福井座長
ほかには。石川構成員、どうぞ。
○石川構成員
患-1の別紙1で教えていただきたいのですけれども、2例目の症例でございます。療養継続の可否という欄に「人工心臓植込み術で想定される一般的な合併症であるものの」と書いてありますが、「一般的」という言い方が非常に多数を想起するような書き方なのですけれども、このことについて教えていただきたいということ。
「今後の適格性確認時において術後リスク評価について慎重に判断をする」ということがあるのですけれども、このところを具体的に教えていただきたいと思います。
○福井座長
一般的な合併症のところは、磯部先生が先ほどおっしゃった従来のものでもかなり血栓・塞栓関係の合併症があるという意味ではないかと私は理解したのですけれども。
○磯部技術専門員
恐らく一番多いのが感染症による合併症入院と脳血管合併症だと思いますが、それをもって一般的という表現なのだと思います。
○福井座長
どうぞ。
○一色構成員
耳介に回すということの特殊性があるかどうかという考察が必要かなと思っていて、腹部のデータはそれなりの頻度であるということは先ほど磯部技術専門員からありましたが、手術的に腹部に出すということと、縦隔を通して上に上げていくということでコネクターの部分が変わることで、血流のパターンがどのくらい変わるのか、私、専門でないのでわからないのですけれども、コネクターの場所が変わるということとそういうリスクの関係が、もし今までのデータ等で示されているのであれば、そういうことも考慮した上で今後の対策を立てていただくということかなと考えました。
○磯部技術専門員
私もその点が一番の懸念で、そういった質問を最初からさせていただいております。それで得られた結論が、今回コネクター、そのコードを通す部位と人工心臓を置いてある部位、そのコネクションの部位と離れた場所に起きた穿孔であるという判定ですので、それをもって、直接の因果関係については、可能性はあるけれども薄いという判定でしたので、従来型のものに加えて、耳介型であるからこの合併症が発生したという判定ではないと思います。
○福井座長
直江先生、どうぞ。
○直江構成員
3例目の好酸球増多のことでちょっとお聞きしたいのですが、資料を見る限り、今、磯部専門員から、もともと特発性の好酸球増多症があったのだという御説明で納得したのですが、患-1(別紙1)には「術前より存在が疑われた特発性好酸球性心筋症に対する」と書いてあるのです。本当は実施機関からの報告書の既往歴の中に書いてあるべきだと思うのですが、見ましても、別紙2にもHESとは書いてございませんし、患-1(別紙1)には「心筋症」と書いてあるので、これは実施機関としてHESをきちっと認識されていたのかどうか。それから、HESであったのか、HESの心筋障害であったのか、それとももともと心筋症であったのか。ちょっと専門的な話になるかもしれませんけれども、そこがちょっと曖昧だなというのが私の印象です。
これは非常に難しい症例でやむを得なかったとしても、もしHESだとすれば、HESとしてどのぐらい検査をされていたのかということが2点目です。そうすると、遺伝子検査とかいろいろありますけれども、例えばイマチニブのようなものを使うこともできたのではないか。術前にもう少しコントロールをする可能性はなかったのかということがちょっと気になったところです。オーバーオールの結果としては大変難しい症例で、御説明で大変よくわかりましたが、そこだけちょっと気になりました。
○福井座長
ありがとうございます。実は私もそう考えて、今、まさに先生がおっしゃったような言葉で事務局から問い合わせをしております。術前に好酸球増多について、特に炎症所見がどれぐらい続いていたのかも含めまして、もう少し詳しくワークアップの状況なども含めて報告が欲しいと事務局にお願いしたと思います。
○医療技術評価推進室長補佐
御指摘いただいた件につきましては、医療機関のほうに今、照会中で、まだ回答待ちの状態でございます。
○福井座長
磯部先生。
○磯部技術専門員
私もその点は非常に疑問でして、この疾患の原疾患は拡張相肥大型心筋症ということで申請されております。その一つの根拠は、この家族の長女が肥大型心筋症であると。遺伝子の検査をされているかどうかについてはわかりませんけれども、そういう背景、心機能をもって拡張相肥大型心筋症ということなのだと思いますが、一方、別紙2「全経過について」を拝見しますと、転院時より好酸球増多を認め、薬剤性が疑われたため、薬剤を変えたという記載がございまして、3例をまとめた横長の表の3例目を見ますと、いきなり特発性、HESであると書いてありますので、私もその辺が疑問でありまして、もしHESということであれば、これは慢性の再発性の疾患ですので、そういった観点からJarvikの植え込みそのものの適用がどうだったかということについて、もう少し慎重に検討すべきであったのではないかと思います。
○福井座長
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、今、挙がってきた幾つかの疑問点と実施届出書が出た時点でこの場で御検討いただくということでよろしいでしょうか。事務局のほうは、その予定でよろしいですか。
○医療技術評価推進室長補佐
今いただいております照会事項の回答等が医療機関から返ってまいりまして、届け出が出てまいりましてから再度御議論いただきたいと考えております。
○福井座長
それでは、この件につきましては、引き続き事務局において実施医療機関との連絡を進めていただくということでお願いしたいと思います。
技術専門員の磯部先生、どうも御出席ありがとうございました。
(磯部技術専門員退室)
○福井座長
それでは、議題2「患者申出療養の実績報告について」、資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
患者申出療養の実績の御報告でございます。時点は平成28年7月1日から29年6月30日。昨年のものになっておりますけれども、昨年6月30日時点で実施されていた患者申出療養につきまして、技術数は4種類。実施の医療機関が21施設。これは1医療機関で2つ実施しているというところもありますが、実の医療機関数としまして21施設でございます。金額は、保険外併用療養費、つまり、保険から給付される分がトータルで1.6億円。また、患者さん御自身の御負担となる分、これは保険診療分の自己負担とは別に、患者申出療養に係る費用として御負担される分がトータルで0.6億円となっております。1.6億円と0.6億円の合計は約2.2億円でございまして、2.2億円に占める0.6億円。自己負担分といいますか、患者申出療養費用分というものが26.1%ということでございます。
その裏は数の移動を示すものでございますが、これまで保険収載、実施取り下げ等はございませんので、4種類のままということでございます。
その後ろ、参考資料1と2としまして、技術ごとの詳細を示しておりますけれども、例えば実施件数につきましては、4つの技術でそれぞれ107件、2件、1件、1件。また、1件当たりの患者申出療養費、先ほど天野委員からも御指摘がありましたとおり、2件目の技術につきましては1,613万円余となっておるという状況でございます。
御報告は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして御質問等ございますでしょうか。天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
御説明ありがとうございました。
今、御説明いただいた中で、今回患者申出療養として4つの技術が進行中と理解しておりますが、先ほど安全性に関する情報を御説明いただいた件以外もそれぞれ進行中だと思います。もちろん、最終的な報告書等が出てくるまでには一定の期間がかかるかと思うのですが、中間的な進捗状況等について、より詳しい状況等は医療機関から提出があるものなのでしょうか。また、それについてこの会議の場で出していただくことは可能なのかということについて質問させていただければと思います。
○福井座長
事務局、いかがでしょうか。
○医療技術評価推進室長補佐
参考資料2の右、計画患者数あるいは年間の実施件数というところでお示ししております。現時点におけます計画の患者数は121、6、10、5となってございます。
年間実施件数といった形で、これは29年6月まででございますが、済んでいるものと済んでいないものがあるということでございまして、今、御指摘のありました実施後のものにつきましては、評価でございますので、当初計画で予定された症例の集まった時点でなされるものと理解をしております。
○福井座長
途中での報告という天野構成員がおっしゃったことについては、特によろしいですか。
○医療技術評価推進室長補佐
恐らく計画の段階で中間解析をするということを定めていない場合には、そのようなものは行われないと理解をしております。
○天野構成員
計画の段階で中間解析が想定されていないものは、恐らくそういうふうになると理解していますが、特に今回4つの技術の中で1つ目のいわゆる腹腔内投与については、この検討会での議論の経緯等もあって、当初の計画を上回る患者さんが組み込まれていて、かつ医療機関の説明では、これを希望されている患者さんも一定数いらっしゃったと理解していますので、もし可能であれば、中間評価の段階でもいいので、何らかの安全性や有効性等に関するデータが出てくることが望ましいかと考えて質問させていただいた次第でございます。
○先進・再生医療開発戦略専門官 よろしいでしょうか。補足ですけれども、まず1例目の療養に関しましては、患者計画数が増えたことによりまして、終了予定日が平成30年10月14日に伸びております。修正させていただきます。それに伴いまして、総括報告に関してはそれ以降となるわけでございますが、天野構成員のご指摘されるような中間報告書といたしまして、現在、当該医療機関でレポートを作成中ということでありますので、近々それが提出されてくるのではないかと思っております。
以上です。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
もしないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。議題3「臨床研究法施行に伴う患者申出療養に係る審議における認定臨床研究審査委員会の位置づけについて」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
患-3と付番しております「臨床研究法施行に伴う患者申出療養に審議における認定臨床研究審査委員会の位置づけについて(案)」でございます。背景でございますけれども、本年4月1日から臨床研究法が施行されております。この法律におきまして臨床研究法上の臨床研究に該当するもののうち、下に書いております特定臨床研究に該当するものについては、法律に定められた基準の遵守が義務となるということでございます。
1枚下に入っております「臨床研究法について」と題したスライドの8ページをごらんいただければと思います。「医療における規制の区分について」という表の「特定臨床研究」というところでございます。未承認適用外の医薬品等に係る臨床研究または製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究につきましては、この基準の遵守の義務が課せられるということでございます。
その中身は、1枚戻りまして6ページに概要を記載しております。モニタリング・監査の実施、インフォームド・コンセントの取得、情報の保護、記録の保存等の義務があるというところの下、(1)のマル2特定臨床研究を実施する者が、実施計画による実施の適否等について、厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会の意見を聞いた上で、さらに厚生労働大臣に提出をするということが義務づけられているということでございます。
1枚目の最初の紙に戻りますけれども、このことを踏まえまして、患者申出療養に係る審議における委員会の位置づけというところを明確化したいということでございます。
対応方針に参りますが、今ごらんいただいたスライドのさらにもう一枚下に患-3(参考資料2)という1枚の紙を用意してございます。この図の左側が平成30年3月以前の患者申出療養に係る審議の流れ、あるいは法施行後にこの法律の議論の対象にならない技術についての流れでございますが、まず各実施医療機関の院内の倫理審査委員会、学内IRBとしておりますけれども、ここで審査を受けて承認をされた後に患者申出療養として厚生労働省に申請をしていただくこととしております。
その後、本会議において審議をするわけでありますが、この会議におきまして指摘がありまして、修正をした場合には、その後、再度学内のIRBでの審査を受けて承認されるということが必要だということでございます。
右側は、4月以降、臨床研究法において特定臨床研究というものに該当した場合の流れでございます。学内のIRBにかわりまして認定臨床研究審査委員会において審査が行われ、承認されたものが申請をされてくる。これまで同様、本会議での審議後にも修正がありました場合には、再度認定臨床研究審査委員会において審査をしていただくということとしてはどうかということでございます。
なお、これらの審査の後に、先ほど法律の義務にございました厚生労働大臣への実施計画の提出ということも行われるということでございます。
御説明は以上でございます。
○福井座長
ありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお願いします。原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
認定臨床研究審査委員会というのは、厚労大臣の認定にあるという話なのですが、この審査委員会そのもの自体は、医療機関内に置くものなのか、あるいは外出しされて置くものなのか、あれば。それから厚生のところであれば教えていただければと。
○福井座長
よろしくお願いします。
○研究開発振興課長
研究開発振興課でございます。
認定臨床研究審査委員会は厚生労働大臣の認定ということで、4月1日現在、49の認定の臨床研究審査委員会が認められております。これは医療機関であれば設置ができるということになっておりますが、それ以外の例えば学会とかそういうところであれば申請ができるということになっております。ですので、学内もしくは学外、やりたいと思っていらっしゃるところにあるかどうかというのはわかりません。
実際今、患者申出療養ということであれば、臨床研究中核病院が基本的に研究をつくるということになっているかと思いますが、臨床研究中核病院にはこの認定の臨床研究審査委員会を持っていただくということに今度の医療法が改正になっておりまして、現在申請をしていただいておりますので、12の臨床研究中核病院のうち今、11が認定臨床研究審査委員会を持っておりまして、残り1病院についても速やかに申請していただくという状況になっております。
○福井座長
よろしいでしょうか。
○原田構成員
はい。
○福井座長
ほかには。天野構成員。
○天野構成員
御説明ありがとうございました。基本的な質問で恐縮なのですが、患-3(参考資料2)を拝見いたしますと、臨床研究法の対象となる技術と対象とならない技術ということで、それぞれフローチャートが示されていると思うのですが、基本的に患者申出療養制度に出てくる案件というのは、介入があり、かつ未承認であったり、適用外である医薬品等のものが多いと理解しているのですが、臨床研究法の対象とならない技術というのは、具体的にどういったものがあり得るのか、もしわかれば教えていただけますでしょうか。
○福井座長
どうぞ。
○研究開発振興課長
基本的に臨床研究法自身は臨床研究全てをカバーしているものではございません。一番明確にわかるのは、手術手技については臨床研究法の対象外になっております。医薬品・医療機器の評価を行うために実施するということでございますので、そういうものが外れております。若干患者申出療養のような患者さんを起点として行うものに関して、全く医療機器とか医薬品の効果と関係ないというのは変ですが、その評価と位置づけが非常に少ないものであると、この臨床研究法の対象からは外れるかと思います。
○福井座長
加えるところはございますか。よろしいですか。
○医療技術評価推進室長補佐
はい。
○福井座長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。松井構成員。
○松井構成員
認定の臨床研究審査委員会のほうは、内外に関して公平に扱えということを省令でもうたっていると思いますが、この患者申出療養の対象になるというのは、結構急ぐ患者さんが多い。もともとの制度の設計上、そういう方を対象にしているということを考えているので、この審査に関して、認定の審査委員会というのは、書類の量も今までのものよりも多い。利益相反の書類とかも、分担もしくは入れば、非常に集めないといけないということで、今まで以上に時間がかかると思っています。
質問としては、何らかの優先審査、患者申出療養に関しての臨床研究という計画が出てきたときには、優先した審査をしてこの評価会議のほうに上げるということを考えておられるかどうかということをお聞きしたいです。
○福井座長
お願いします。
○研究開発振興課長
委員御指摘のように、認定の臨床研究審査委員会については、公平性、中立性をしっかり保っていただきたい。その際に順番とか料金等に関しても厳しく見るということを規定しております。おっしゃる御懸念については、患者申出療養についてできるだけ迅速に審査をしていくという趣旨があるので、それと相反しないかということだと思うのですが、そこについては、これから臨床研究中核病院のその委員会について、どれぐらいその審査の状況になっているのかということについては、それぞれの委員会が明らかにするということをさらに義務づけております。そういうことを見て、実際の状況をそれぞれ認定臨床研究審査委員会を持つ臨床研究中核病院と少し話し合いながらやっていきたいと思っています。
この患者申出療養だから特別にというところを最初からお話をするというのは、一方で、まさに審査の順とかについて厳しく学内の審査だけを優先してやることによって弊害が出るのではないかという心配をしているところもありますので、そこもバランスを少し見させていただいて、必要であれば適切に指導していきたいと思っています。
○福井座長
松井構成員、どうぞ。
○松井構成員
患者申出療養というのは、コンパッショネート・ユース的な話で、研究というところに落とし込まずに、適用外であったり、未承認のものが使える制度にしようというのがもともとの出発点だったのが、データをとるというところで臨床研究の計画をつくってという、研究のカテゴリーの中に落とし込んだことが非常に大きなひずみを生んでいるのだと思うのです。最初のときに申し上げましたけれども、これは結局、二重審査体制が結果としてできてしまっているということで、急ぐものに対して二重審査をかける。しかも、認定の委員会という時間がかかるようなところで、優先順位とか患者申出制度にのっとったものについてはどう扱うかということを最初にきちっと考えた上で、残りの部分は公平な扱いというのはわかりますけれども、この制度の趣旨を考えたときに、こちらに関しては優先事項であるということは、厚労省として本来きちっと示すと。中核病院のほうに判断を任すというよりも、これは制度を設計した側の責任なので、そこはきちっと考えていただきたいと思います。
○福井座長
いかがでしょうか。認定臨床研究審査委員会のアクティビティーをモニタリングしながら、特に急ぐものについては少しプッシュできるようなことはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○研究開発振興課長
判断を任せるということではございませんで、基本的には、今、例えば認定の臨床研究審査委員会にどれぐらい審査待ちがあるのかとか、それに患者申出療養を希望される研究が今どれぐらいかかっていて、どれぐらいの状況になっているのかということを私のほうでまず確認させていただきたいと思っていますし、今、始まったばかりですので、そこについては、御懸念の件はわかりますけれども、今度それぞれ集めてお話をさせていただきますが、そういう状況を見てから考えさせていただきたいと思っております。
○福井座長
それでは、認定臨床研究審査委員会の活動、状況などについては御報告いただくということでよろしいでしょうか。特に患者申出療養関係の申し出があった場合にはどうなっているかということも含めてということでお願いしたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、4つ目の議題「臨床研究中核病院の追加指定について」に移りたいと思います。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○医療技術評価推進室長補佐
患-4の資料になります。今、お話もありました臨床研究中核病院につきまして、平成30年3月23日に医療法の規定に基づきまして新たに北海道大学病院が指定をされたということでございます。結果、臨床研究中核病院は12医療機関になりましたということの御報告でございます。
○福井座長
これについては御意見の述べようがないと思うのですけれども、説明を伺ったということで御了解いただければと思います。
本日の議題は以上となっておりますが、構成員の先生からここで何か。原田構成員、どうぞ。
○原田構成員
この制度をスタートするに当たってはいろんな議論もさせていただいたのですけれども、もっと事例が多く出るだろうと私自身は思っておったのですが、スタートのところから東京大学から出たパクリタキセル腹腔内投与のところからの話で、事例が100を超えるということで、いろんなプロトコルの問題とか、手続上のところで煩雑になるのではないかとか、応需体制がどうだとか、いろんな議論をしたので、その後のところが症例も少なくて、事例も少ない状態で出てきている。私のイメージではもう少し多いのではないかと思っていたのですけれども、意外と少ない。今、松井さんもおっしゃったような手続論が非常に多くて、煩雑になって、患者申出療養というのは、患者が出てくるのは急いで最後の手を打ちたいというところで言ってくるケースが多いわけで、そこのところをすくい上げてあげるような形を本当はとってほしいのですね。そういう面も含めて、もっとふえる、スピードを上げるというところの視点でもう一つ工夫がないのかなといつも思っているところであります。
私どもは患者ですので、患者の安全性というところをポイントに置いております。先ほどの一覧表のところで4事例の報告があったのですが、天野委員からもお話がありましたように、私どもとしては、この評価会議にかかわる患者の安全性というのは大事なポイントですので、事前に予測できる、できないというものはあるかもしれませんけれども、当該のところの方は、そういうところでは事前に話をしたか、していないかというところを1項目多くつくっていただけるとありがたい。こういうまとめのときに判断がしやすいので、そういうところに1項目つくっておいてもらうとありがたいなと思ったのです。
以上であります。
○福井座長
事務局、どうぞ。
○医療企画官
御指摘ありがとうございます。
本制度につきましては、創設開始から約2年が経過いたしました。本日御報告申し上げたとおり、現在までに承認されたケースは4件ということでございます。また、特定機能病院及び臨床研究中核病院には患者様からさまざまな御相談がございます。その件数を各病院から御報告いただいており、現時点で90を超える相談が来ているというのが事実でございます。
また、相談の内容といたしましては、治験として行われている治療であるとか、先進医療のほうで対応できるなど、そういったものも含まれております。我々としては各病院において適切な相談対応を行って頂けるよう、相談員の方の研修を行う等の取組を行っております。そうしたことを含めまして、次回、本制度の全体像を御報告、また御相談させていただきたいと思いますので、御理解いただければと思います。よろしくお願いします。
○福井座長
よろしいでしょうか。
○原田構成員
はい。
○福井座長
それでは、事務局から次回の日程について御報告をお願いします。
○医療技術評価推進室長補佐
次回の日程につきましては、現時点において未定となっております。後日日程調整の上、連絡をさせていただきたいと思います。
○福井座長
ありがとうございます。
それでは、第9回「患者申出療養評価会議」を終了いたします。
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。 

 

 

 

 

 

 

(了)

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