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2017年4月13日 患者申出療養評価会議議事録

○日時

平成29年4月13日(木)13:59~15:43


○場所

TKPガーデンシティ-PREMIUM神保町プレミアムルーム(3階)


○出席者

【構成員等】
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 石川構成員 一色構成員 上村構成員 
新谷構成員 大門構成員 田島構成員 田代構成員  寺田構成員 直江構成員 
成川構成員 原田構成員 松井構成員 山口構成員 山崎構成員 五十嵐技術専門員
【事務局】
医療課長 医療課企画官 医療技術評価推進室長 医療技術評価推進室長補佐 医療課長補佐
医政局研究開発振興課長 医政局先進医療専門官 他

○議題

1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
   患-1   新規届出技術に対する事前評価結果等について
   別紙1   患者申出療養 実施計画等評価表(整理番号003)
   別紙2   患者申出療養 実施計画等評価表(整理番号004)
   (参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)

2 患者申出療養の追加実施医療機関について
   患-2   患者申出療養の追加実施医療機関について

3 患者申出療養に係るモニタリング報告結果について
   患-3   患者申出療養告示番号1に係るモニタリング報告結果について

4 患者申出療養の実施計画の変更について
   患-4   患者申出療養の実施計画の変更について
   (参考資料1)(参考資料2)(参考資料3)(参考資料4)

5 その他
   患-5   患者申出療養評価会議における議論

○議事

13:59開会



 

 

 

 

○福井座長

 それでは、ちょうど2時になりましたので、ただいまより「患者申出療養評価会議」を開催いたします。

 先生方の出欠状況ですが、本日は手良向構成員より御欠席との連絡をいただいております。また、技術専門員の出席状況ですが、本日の審議案件に関しましては、皮膚科の五十嵐技術専門員に出席していただく予定としており、2時半ごろに来られる予定とのことです。

 構成員の出席は、構成員の総数の2分の1以上となっております。欠席されます手良向構成員からは委任状の提出があり、議事決定につきましては、私、座長に一任するとされております。

 次に、事務局の異動がございましたので事務局より紹介をお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 それでは、4月1日付の事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。

 木内哲平医療技術評価推進室長補佐でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○福井座長

 ありがとうございます。

 それでは、資料の確認を事務局からお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 頭撮りについてはここまでにさせていただきます。

(報道関係者退室)

○先進・再生医療迅速評価専門官

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず議事次第。

 座席表。

 続きまして、構成員名簿をおめくりいただきまして、患-1「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」としている横紙の資料がございます。こちらには別紙1、別紙2、また参考資料1~3がついてございます。

 続きまして、患-2として「患者申出療養の追加実施医療機関について」としている横紙の資料がございます。

 その次に、患-3「患者申出療養告示番号1に係るモニタリング報告結果について」としている左上ホチキスどめの資料がございます。

 次に、患-4「患者申出療養の実施計画の変更について」としている左上ホチキスどめの資料がございます。こちらには参考資料1~4がついてございます。

 最後に、患-5としまして「患者申出療養評価会議における議論」としている1枚紙の資料がございます。

 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら事務局まで御連絡いただければと思います。

 また、本日もタブレットを使用していただきたいと思います。最新の届出書類等についてはタブレットから閲覧していただけますので、会議資料とタブレットの内容は異なっております。発言者の方は、会議資料のページまたはタブレットのページをあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上、助かりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○福井座長

 資料等につきましてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、今回、患者申出療養の新規申出がございました。検討対象となる技術等に関しましては、事前に利益相反の確認をしております。その結果について事務局から報告をお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。

 今回、検討対象となる技術等に関しての利益相反については特にございません。よろしくお願いいたします。

○福井座長

 ありがとうございます。

 続きまして、事務局から患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 患-1をごらんください。「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。こちらに申し出のあった技術等の概要をお示ししてございます。

 今回、申し出のあった技術は2件ございまして、整理番号3は難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療で、適応症は難治性天疱瘡となっております。

 受理日は平成29年3月21日、臨床研究中核病院は慶應義塾大学病院でございます。

 整理番号4は、チオテパを用いた自家末梢血幹細胞移植療法で、適応症は再発または難治性の髄芽腫、PNETATRTとなっております。

 受理日はこちらも3月21日で、臨床研究中核病院は名古屋大学医学部附属病院でございます。

 かかる費用につきましては資料にお示しのとおりの金額でございます。

 審査の担当構成員ですが、整理番号3は主担当を上村構成員、副担当を大門構成員、山崎構成員に御担当いただき、技術専門員として五十嵐専門員にも審査を御担当いただきました。

 総評としては「適」との御評価をいただいております。

 整理番号4は、主担当を直江構成員、副担当を新谷構成員、田代構成員に御担当いただき、こちらも総表としては「適」との御評価をいただいております。

 本日は、整理番号4の事前評価を担当していただきました田代構成員が、時間の都合上、会議途中で退席される可能性がございますので、まずは整理番号4の技術より御審議いただきますようよろしくお願いいたします。

 審議に先立ち、整理番号4の患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明させていたただきます。

 別紙2の最後のページ、28ページをごらんください。この療養を実施可能とする実施責任医師の考え方としまして、診療科としては小児科であること、また、資格として日本造血細胞移植学会認定医を要するとしております。当該診療科の経験年数は10年以上を要するとしておりますが、当該医療技術の経験年数、経験症例数はいずれも不要としております。

 次に、医療機関の考え方でございます。診療科では小児科を要する。実施診療科の医師数として、2名以上の造血細胞移植学会認定医が常勤医師として勤務していることが必要。他診療科の医師数として、2名以上のがん薬物療法専門医が常勤職員として勤務していることが必要。その他の医療従事者の配置として、薬剤師、看護師が必要。医療機関の規模は、病床数が300床以上、7対1看護以上が必要となってございます。そのほかの要件としまして、医療法上の臨床研究中核病院もしくは厚生労働省が選定した造血幹細胞移植推進拠点病院であること、重篤な有害事象が発生した場合、24時間365日適切に対応できる体制が確保されていること、倫理審査委員会が定期的に開催されていることとしております。

 続きまして、別紙2の5ページをごらんください。本技術が治験、拡大治験、先進医療等の既存の制度で実施できない理由につき、事前に事務局より医療機関に確認をさせていただいております。

 治験を実施できない理由としては、再発後に使用している治療薬の影響などから腎機能に問題があり、治験の参加が難しいとのことです。

 また、拡大治験についての詳細が現時点では不明であり、申し出た患者様が再発後であること、現在は病勢のコントロールができているものの、いつ悪化してもおかしくない状態であることから、一刻も早い治療の実施が必要と考え、詳細が不明な拡大治験の開始を待つことが難しいと考えておられるそうです。

 また、先進医療については、以前、本邦でも保険収載されていたチオテパという薬剤が存在し、日常診療で使用されていたもので、研究者側に臨床的な疑問はなく、研究者主導の臨床研究としては成立しない状態が長期間にわたり続いていたとのことです。

 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ここまでの御説明につきましてよろしいでしょうか。

 それでは、この議題1の別紙2につきまして、整理番号4になりますけれども、事前評価について主担当を直江構成員、副担当を田代構成員と新谷構成員にお願いしております。

 最初に、直江構成員より概要の説明と実施体制の評価についての御説明をお願いします。

○直江構成員

 別紙2の1ページをごらんください。チオテパを用いた自家末梢血幹細胞移植療法ということで名古屋大学医学部附属病院から出ております。

 対象となる疾患は、ここに0歳以上19歳以下の再発または難治性の髄芽腫、PNETATRTというちょっと聞きなれない疾患が並んでおりますけれども、基本的には中枢神経系の腫瘍でございまして、非常に難治性とされておりますが、特に再発や従来の科学療法抵抗性のものについては標準療法がないということでございます。これにチオテパを用いて、その後、自家の末梢血幹細胞移植をやることで造血機能をレスキューしようという治療法でございます。

 主要評価項目は、この移植後100日以内の全死亡率としまして、副次評価項目としましては、有害事象、それから治療関連死、治療効果、無増悪生存期間、全生存期間を検討するというふうになっておりまして、プロトコル等はそこに書いてあるとおりでございます。

 この治療は、先ほど事務局から説明がありました5ページに患者申出療養としてやる背景説明がございますけれども、6ページ、7ページに当該機関から既に実施の実績がある旨が書いてございます。

 ということで、実施体制のほうに行ってよろしいでしょうか。ここまでで一旦切ったほうがいいですか。

○福井座長

 どうぞ。

○直江構成員

 それでは、私が担当しました実施体制等の評価に移らせていただきます。

 まず、適応症としましては、今、説明したとおりでございまして、これは妥当であると判断をいたしました。

 有効性に関しましては、先ほどの当該施設からの報告、6ページ、7ページのほかに文献が幾つか海外論文に出ておりまして、ほかにもいろいろな治療法が開発途上でございますけれども、本治療法は一定の有効性が示されているというふうなことを確認して、これも従来の技術よりも有効であるということで考えました。

 2ページ目でございます。安全性ですけれども、報告では特段の問題はないと。現在、当該施設でも死亡例は報告されておりませんし、大量化学療法に伴う自家移植には一定の副作用等がございますけれども、それらは想定の範囲内だろうということでございます。したがって、問題なし。

 技術的成熟度としましては、自家末梢血幹細胞移植そのものは現在既に移植の施設では数多く行われておりますので、この分野を専門として経験を積んだ医師であれば十分行えるだろうということでございます。

 また、倫理的な問題等も特にない。

 それから、現時点で普及率がどうかということを考えますと、これは非常に希少疾患でございまして、またこのような自家移植まで行っている施設というのは極めて少ないと思います。

 将来の保険収載の必要性というのは、患者申出療養からしますと、ここまで踏み込むかどうかというのは多分議論のあるところだと思いますけれども、この方法がもしも積み上がっていけば収載を行うことは妥当だろうと思います。申請の段階で、申請医療機関としては、先ほど見ましたところ若干変わっているようでございます。たしか私が見た資料では、中核病院、あるいは造血細胞移植の推進拠点病院ということが要件になっていたのですけれども、先ほど言いましたように、技術的成熟度としましてそんなに特殊な施設でないとできないというわけではないので、保険収載の暁にはもう少し広めてもいいのではないかということでございます。

 これは本質的な話とはちょっと違うと思いますが、以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 続きまして、倫理的観点からの評価の結果につきまして田代構成員から説明をお願いします。

○田代構成員

 お手元の別紙2の3ページをごらんください。倫理的観点からの評価を担当しました田代です。

 同意に係る手続、同意文書及び補償内容に関してですけれども、そこに記載していますように、基本的には十分検討されており、大きな修正が必要だと思われる点はないというふうに判断いたしました。

 また、患者申出療養として実施する意義も明確であって、健康被害に関する補償については今回ないということになっておりますが、本試験治療に関してはそもそも補償保険の設定は困難だということは理解できますので、やむを得ないと考えております。

 なお、私からは、事前の質問事項としまして、お手元の別紙2の8ページのところで適格基準について少し質問をしております。今回、腎機能に問題がある患者さんを組み入れるということで、その部分を既存の治験等と少し変えておるということですけれども、それについても十分な配慮がされているということを一応確認しております。

 以上です。

○福井座長

 ありがとうございます。

 それでは、試験実施計画書等の評価につき新谷構成員からの説明をお願いします。

○新谷構成員

 試験実施計画等の評価をさせていただきました新谷です。よろしくお願いいたします。お手元の資料の同じ3ページをごらんください。

 私のほうは、こちらに記載されております6番から16番の項目について評価を行いましたが、特に医学的知見が必要とされる項目に関しては、私、専門が医療統計ということもありまして、評価に相当する医学の知識を持っていないということで、「6.期待される適応症、効能及び効果」と「7.予測される安全性情報」に関しましては直江構成員に評価をお願いしております。その他の項目につきまして評価を行わせていただきました。

 その下の枠の「有効性及び安全性の評価方法」という点と、次ページの「試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法」「個人情報の保護と患者識別」「モニタリング体制及び実施方法」「監査」の5点に対して少しコメントをさせていただいております。

 3ページに戻っていただきまして一点一点コメントを紹介させていただきたいと思います。

 申しわけありません。9ページのほうにそのコメントについての回答もあわせて記載させていただいております。3ページよりもそちらのほうがわかりやすいかと思いますので、ごらんください。

 最初ですけれども、こちらは有効性及び安全性の評価方法についてです。本研究は、症例数も少ないことから検証的な評価は行わず探索的な評価のみにとどめるということで、それは妥当と考えております。しかしながら、統計的な検証、95%の信頼区間を使った検証は主の評価項目では記載があったのですが、有害事象のほうではなかったので、例えば重篤な有害事象で腎機能障害が最大20%程度発生するかもしれないということで、仮に5例のうち2例の40%が起きたときに、これを妥当とするのかどうかという議論が後で出た場合に、これが想定内であるか想定外かというところである程度の統計的な治験も必要かということで、有害事象についても信頼区間の計算をしてみてはいかがですかというコメントをさせていただきました。これは統計的な検証という意味での計算ではございません。20%ではなく、たとえ40%であっても、60%であっても、統計的に十分起こり得るということであれば、それで結果の評価の仕方が変わってくるのではないかということで提案させていただいております。

 回答のほうは「副次評価項目の有害事象についても信頼区間の計算を行うこととし、研究実施計画書の記載を変更いたしました」ということで対応していただきました。

 2は、4ページの「試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法」についてのコメントでございます。「全体を通して記録の保存についての記載がありません。『誰が何をいつまで保存するのか』等を記載して下さい」ということで、回答のほうで詳細を記載していただきました。

 「研究実施計画書に13.11記録の保管の項目を追加し、研究責任者が当該施設における本試験の記録を試験終了について報告された日から5年を経過した日又は試験の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間適切に管理する」ということで記載をしていただきました。臨床研究のガイドライン上、この記載で妥当であるということで、きちんと対応していただいたと考えております。

 次に「個人情報の保護と患者識別」ということで、個人情報をどのように管理しますかということでコメントさせていただきました。施設内で責任を持って管理すると書いてありましたが、どのような管理体制で、例えば責任者を立てて管理するか、または物理的な施錠のかかる保管庫などで管理するかなど具体的な案を示してくださいとお願いをいたしまして、回答をいただきました。

 これは9ページにございます。「試験責任医師が指名する管理者が施設内の鍵のかかるキャビネット内で保管する旨を追記いたしました」ということで対応をいただきました。

 あと2点です。

 次に「モニタリング体制及び実施方法」についてコメントさせていただきました。これは10ページに記載がございますので、ごらんください。

 モニタリングに際して試験責任医師が指定したモニターが行うと記載しておりましたけれども、詳細が書かれておりませんでしたので、例えばその担当者はCROなどの外部なのか内部なのか記載していただきたい、内部の場合は、どのような選考基準でモニタリング担当者を選考されたのか記載をしてくださいという旨をお伝えしました。また、モニタリングもどの程度するかということでいろいろやり方があると思いました。例えば全症例確認するのか、抽出した項目についての確認かなど、詳細についても記載してくださいということ。

 次に、モニタリング項目に、研究に関する文書または記録の保存状況、試験薬の管理法、試験機器等の管理状況、倫理委員会等の各手続についての確認等を加えたほうがよいと思われる項目がございましたので、追記していただけるようにコメントいたしました。

 モニタリングに関しましては、各大学病院等で既に定められたルール、手順等があると思いますので、もしそういうものがございましたら、そちらに沿って行うなどの文言を加えていただけませんでしょうかということでコメントさせていただきました。ちょっと長くなりますので省略しますけれども、その下にお願いした内容につきまして全てきちんと対応していただきました。変更点も記載していただいております。

 変更点に関しては、11ページ、12ページに変更前のもの、変更後のもので記載をいただいております。

 最後になりますけれども、監査についてどのように行うか記載されておりませんでしたので、監査はモニタリングとは独立して行うということを記載ください、また、監査は何に従ってどのように行うのか詳細を記載してくださいということで、これは時間の関係上、読んでいただきましたら。そこの下にある監査についての詳細ということで記載していただきました。

 全ての質問項目に対して科学的な妥当性も担保して回答されたという評価でございます。よろしくお願いいたします。

○福井座長

 ありがとうございます。

 総合評価としては「適」という御判断を、評価された先生方からいただきました。

 ただいまの説明について構成員の皆様方から何か御質問、御意見等ございましたら、お願いします。

 原田構成員、どうぞ。

○原田構成員

 事務局からの確認事項に対する回答で、保険外併用療養が可能となったことで治療が出来ることはよかったなと思っております。2点お尋ねします。

 腎機能障害があったために企業治験に参加出来なかったようですが、患者申出療養制度後、拡大治験、先進医療に移行するということはあるのかどうか。

 もう一点は、研究者主導の臨床研究として成立しない状態が長期間続いていたということは、臨床試験として費用が発生するのです。研究者が負担するということを回避したためになったのかどうか。お聞かせいただければと思います。

○福井座長

 これにつきましていかがでしょう。

 では、事務局からお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 まず、原田構成員からいただいた1点目の拡大治験についてという点についてです。企業治験の実施機関に名古屋大学医学部附属病院がなっていなかったということで、拡大治験につては企業に問い合わせをしたということなのですけれども、その時点では拡大治験をする予定がなかったと聞いております。今後、もし拡大治験がされることがあれば、制度上は、その際には入り得ると考えております。もし拡大治験がされるということであれば、拡大治験のほうで別の患者さんが受けたいという場合にはなるのではないかと考えられますけれども、拡大治験の状況にもよるとは思いますので、一概には言えないとも考えます。

 申しわけございませんけれども、2点目の御質問をもう一度お願いしてもよろしいですか。

○原田構成員

 研究者主導の臨床研究としては成立しない状態が長期間にわたって続いたということが書いてあります。これはどのような理由だったのかということです。

○福井座長

 どうぞ。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 こちらは、以前、日本国内でも一般臨床で使用されていたお薬ということで、さらに新たな知見を得るために臨床研究を行うということが研究者側というか臨床医側からは特に意味をなさなかったので、実施していなかったと。また、国内で製造販売されていなかったということで実施できなかったということと理解しております。

○福井座長

 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。

 それでは、構成員の評価結果どおりに決定したいと思いますが、これでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○福井座長

 ありがとうございます。

 それでは、そのようにさせていただきます。

 続きまして、整理番号3でございます。

 最初に、事務局より説明をお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 では、審議に先立ちまして、整理番号3番の患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明させていただきます。

 別紙1の最後のページ、38ページをごらんください。この療養を実施可能とする実施責任医師の考え方といたしまして、診療科としては皮膚科であること、また、資格として日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を要するとしております。当該診療科の経験年数及び当該医療技術の経験年数、経験症例数はいずれも不要としております。

 次に、医療機関の考え方でございます。診療科では皮膚科を要する。実施診療科の医師数として5名以上が必要。他診療科の医師数として50名以上とし、血液内科、呼吸器内科等お示ししている医師数が必要となってございます。その他の医療従事者の配置としまして薬剤師が必要。また、医療機関の規模は、病床数は500床以上、7対1看護以上が必要となってございます。

 そのほかの要件としまして、倫理審査委員会による審査体制が年11回以上開催できる体制であることとなっております。

 続きまして、別紙1の6ページをごらんください。整理番号4番と同じように、本技術が治験、拡大治験、先進医療等の既存の制度で実施できない理由につき事前に事務局より確認をさせていただいております。

 今回申し出た患者様が難治性かつ重症の天疱瘡でございまして、当初の申し出時にはステロイド以外に複数の免疫抑制剤を要し、血漿交換や大量ガンマグロブリン投与を要する状態で、ステロイドの減量が難しいこと。また、間欠的にステロイドパルスを実施している状態ということで、治験では主要評価項目が寛解率ということですので、今回申し出た患者様のような最重症例を対象としていないということから、参加基準を満たしていないとのことです。

 拡大治験につきましては、新規患者組み入れ期間中ですので、現時点では実施が困難と伺っております。

 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○福井座長

 ありがとうございます。

 それでは、事前評価につきまして、主担当を上村構成員、副担当を山崎構成員と大門構成員にお願いしております。また、技術専門員として皮膚科の五十嵐専門員にも事前評価をお願いしております。

 それでは、最初に、上村構成員より概要の説明と実施体制の評価をお願いいたします。

○上村構成員

 よろしくお願いいたします。

 難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療ということで慶應大学から出ている案件です。天疱瘡は皮膚や粘膜に水泡を形成していく非常に厄介な病気で、患者さんのQOLを保つことが非常に困難な状況も多々見られると聞いております。

 現在、特定疾患医療ということで、全国で6,000人ぐらいの患者さんが非常にお困りであるということです。研究者からのコメントによりますと、その中の10%から20%の患者さんが既存の治療に抵抗性を示すということで、現在、ステロイドであるとか血漿交換、ガンマグロブリン、免疫抑制剤等を使ってコントロールしていくという治療が標準的だということのようです。

 ただ、この疾患に関しましては、投与する薬剤、治療法が保険収載されているものが少ないという状況の中で、免疫抑制剤等についても保険収載がされていないという状況だということ。このような状況の中でそれらの治療を行っても、なお治療抵抗性の患者さんに対して、本邦では現時点では対応策がなく、長期間に及ぶ高用量のステロイド内服を余儀なくされているということでございます。

 そのような中で、海外では追加治療として第1選択薬としてリツキシマブが使用されている現状があり、その有効性、安全性についても報告されているということであります。研究者らのグループは既に臨床研究また医師主導治験という形でこのリツキシマブの治療の経験を踏まれております。

 別紙1の31ページにコメントがございます。先行研究におきましては用量が異なるケースもあったということのようですけれども、難治性の天疱瘡患者9例中の9名で有効性が確認されているということ、また5名が寛解するということ。この経験値につきましては、海外でのシステマティックレビューでの値とほぼ一致していると理解しております。

 ということで、このリツキシマブ療法が非常に期待されているということで理解しておりますけれども、この試験は、現在、医師主導治験が走っている中で、その治験には入れない患者さんというのが実際いらっしゃるということで、オープンラベルのシングルアームスタディとして実施されるということです。治療としてはそういったステロイド治療、抵抗性かつ難治性というふうに理解しておりますけれども、天疱瘡の患者さんに対しましてステロイドやほかの併用療法を継続した状態で、リツキシマブ1,000ミリグラム/body、患者さん1人当たりに1gということで、2週間間隔で2回、点滴静脈内投与を行うということ。その後、外来治療を継続し、プレドニゾロン、また、ほかの併用薬については医師の判断で減らすことが可能だということです。最初の投与日から数えまして168日目まで、もしくは中止時まで有害事象及び有効性について観察するということでございます。

 概略のスキームにつきましては28ページ目、ロードマップに関しましては29ページ目に載っております。

 評価項目としては安全性のところが主要評価ということになっています。

 実施体制につきましては、技術に関しては適応症としては妥当なところがあると考えています。

 有効性につきましても、海外文献、研究者のこれまでの経験からもある程度の有効性が期待されるという案件だと思います。

 安全性につきましては、具体的には、このリツキシマブはいろいろな副作用情報がもう既に報告されております。例えばInfusion Reactionであったり、スティーブンス・ジョンソン症候群のような重大な副作用も報告されておりますので、リスクを上回る臨床的なベネフィットがあるという前提においては、本試験を実施することは許容されると考えています。進行中の医師主導治験がありますので、そちらの情報も含めて慎重に進めていかれたらよろしいかと思っております。

 技術的な成熟度としては、これは実施医師の体制とか、実施医療機関についての考え方とかかわってまいる問題ですけれども、当該分野、要するに皮膚科ということですが、皮膚科の先生を中心として、この疾患についての経験を積んだ先生方を中心としてやっていかれることについては問題ないと思っております。社会的にも妥当であるということ。まだ始まったばかりですので、国内においてはこの普及性ということはまだ十分なものはございませんけれども、これから保険収載に向けていろいろなことをされていくというふうに理解しております。

 実施医療機関については、診療科では本邦でこの天疱瘡患者を主導的に診察してこられた実績があるということでありまして、今回提案のあったリツキシマブについても自主臨床研究、医師主導治験における使用経験があり、実施責任医師また実施者らはこの治療法また副作用の発現時の対応にも精通していると考えております。天疱瘡の治療に関しての本治療の有効性、安全性はまだ確立していないというのもまた事実ですので、特有の重大な副作用の報告もありますので、十分な知識・経験を持つ医師、皮膚科以外の診療科の先生方の協力も得ながら進めていかれることに関しては問題ないのではないかと考えています。

 特に日本を代表するような病院ですので、この治療法に関しては他科の先生方との連携も非常に重要だと思っております。全身管理が必要な状態で行われているということが確認できましたので、実施責任医師についての考え方、また実施医療機関についての考え方、その他の考え方で、いずれも「適」とさせていただきました。

○福井座長

 ありがとうございます。

 続きまして、実施体制の評価の結果につきまして、技術専門員の立場から五十嵐専門員から説明をお願いいたします。

○五十嵐(敦)専門員

 恐れ入ります。この会議は初めて出席させていただく者でございます。よろしくお願いいたします。

 皮膚科の専門医の立場からちょっと検討させていただきましたけれども、先ほどお話がございましたように、天疱瘡は保険収載されている薬剤がある程度限られている。実際の現場では、11ページの下に書いてございますけれども、最小限の補助療法というものが天疱瘡診療ガイドラインの表に少し入っているのですが、基本的にこれらは保険的には収載されていないものなのです。要するにオフラベルなのですけれども、実際はこういった薬が使われることが結構あります。それでも重症というか難治性の患者さんの場合にはうまくいかないケースがあって、生命にかかわるような疾患になってございますので、ここにリツキシマブの存在意義があるのではないかなと思います。

 リツキシマブに関しては、世界的に見て2002年ごろから報告例がございまして、約300を超す症例の報告があります。本邦でも、御存じのとおり、難治性皮膚疾患の調査研究班において臨床試験が行われておりますし、現在でも医師主導治験が行われているということです。特に慶應大学は、この天疱瘡の経験が非常に豊富というか、日本でもナンバーワンの医療施設でございますので、治療経験がかなりあると思います。そういうところで行われるという意味では、当然この薬は、先ほどもお話がありましたように、Infusion Reactionとかスティーブンス・ジョンソンとか、あと、B型肝炎ウイルスによるデノボ肝炎のリスクがございますので、そういったことに十分注意する必要がございますけれども、やはり慶應大学ですので、その辺は安全に施行していただけるのではないかと判断いたしました。

 そういう意味で、この実施体制については妥当というふうに私は判断いたしますけれども、将来的な面で申し上げますと、保険収載されるのが妥当とは思うのですが、治療抵抗性のものに使われるわけですので、そういった定義をはっきりさせておく必要があるのかなと。

 ほかの疾患でもそうなのです。既存治療抵抗性とか、そういった文言がつくような保険収載のお薬があるのですけれども、そのときそれをどこまでするかといった定義というか、明確にしておかれればよろしいのではないかと思います。ということで、私としてはこの申し出に関しては「可」というふうに判断いたしました。

 以上です。

○福井座長

 ありがとうございます。

 続きまして、倫理的観点からの評価の結果につき山崎構成員から説明をお願いします。

○山崎構成員

 御説明申し上げます。

 別紙1の資料の4ページに私のコメントが書かれております。そして、申請者からの回答が16ページ、17ページに記載されておりますので、それに基づいて御説明申し上げたいと思います。

 私、倫理的な視点からということで大きく2つ申し上げました。

 1つは用量の問題でございます。1回当たりの用量が多いので、そのあたりのことをきちっと同意書等々に御説明が必要ではないかという視点でございます。

 もう一点は、その同意書を中心とした文書の記載について御指摘申し上げました。それについては、それぞれ16ページ、17ページに申請者からの回答がございます。用量についてはトータルとしてはむしろ少ないのだという御回答をいただいておりますし、記載についても丁寧に整理をしていただいておりますので、最終的にはこの訂正していただいたことをもって私は「適」というふうに判断いたしました。

 以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 続きまして、試験実施計画書等の評価につき大門構成員から説明をお願いします。

○大門構成員

  試験実施計画書等の評価を担当させていただきました大門でございます。

 まず、机上配付資料の別紙1の7ページから10ページをご覧いただけますでしょうか。申請者とのやりとりを簡単にお伝えしたいと思います。

 机上配布資料に示されておりますように、改善されるべき幾つかの事項がありました。例えば、被験者登録やデータ管理についてです。申請医療機関は中核病院であるわけですけれども、臨床研究推進センターによる第三者的な関与がないまま診療科でこれらのことが行われるということが計画されていました。データの管理上、これはよろしくないだろうと考え、当該センターが関与するということで対応していただいております。

 それから、当該疾患の評価スコアであるPDAIに基づく評価方法、リツキシマブの投与方法に関する記載が不足していたこと等がございました。これらについても事前に照会をかけさせていただきまして、回答とともに改善されたと考えております。

 そのほか、同じ別紙1の11ページから12ページ、18ページから19ページに示されておりますように、本試験の位置づけ、対象集団、組み入れ時のPDAIのスコア、先ほど五十嵐専門員からも御指摘がありましたように、ステロイド治療抵抗性および難治性の定義が記載がしっかりしていないところがありましたので、そういったところを説明もしくは実施計画書に明確に記載していただいております。

 また、いわゆる進行中の医師主導治験の対象集団との違い、リツキシマブ既知療例で病勢再燃のある患者さんを組み入れることの妥当性についても実施計画書に余り記載がなかったので、ご回答いただきました。これらは医師主導治験の臨床試験の登録情報と照らし合わせてようやく確認できるところであったのですけれども、今回、適切に回答され、実施計画書においても対応されたと考えております。

 ただし、少し気になりましたのは独立データモニタリング委員会のことです。別紙1の7ページをご覧いただくとよいのですけれども、本試験は、雑駁に言いますと、現在実施中の医師主導治験よりもさらに縛りを緩くした対象集団と、併用治療等の制限を緩めた治験治療でその治療の安全性を評価することを目的として実施される立てつけになっています。これは上村構成員に御指摘いただいたように安全かどうかわからない状態で試験が実施される、ということを踏まえますと、既承認薬とはいえ、試験の安全な実施や患者さんの保護の観点から第三者的な独立データモニタリング委員会を設置した方がいいのではないかと思い、そのように御指摘させていただきました。それに対する申請者からの回答としては、少数例で単施設であること、この申請者の施設には患者申出療養検討会議というものがありましてそこで議論されるとのことでして、そういった院内の体制でカバーできるという理由で委員会は必要ないとご回答いただいております。これに関しましては、それでよしとしてよいのか是非他の構成員の先生方からもご意見いただければと思っております。

 もう一点、今回、コメントのところに記載していないのですけれども、先ほどの004案件と今回の案件とを対比的に見ておりましたところ、この案件では監査を実施しない予定であると申請者は計画書に記載しております。これはいろいろな考え方があるとは思います。実際、倫理指針では監査は必須であるとはしていませんので、この記載でよしとするような考え方もあるでしょう。あるいは、この臨床試験のリスク、データの質をどこまで追い求めるか、とくに、この患者申出療養制度としてそれらをどこまで求めるのかということを踏まえますと、監査をすべきなのではと今感じた次第です。このあたりも是非構成員の先生方にご意見いただければと思っております。

 以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ただいまの、特に大門構成員からの疑問といいますか、この会議で構成員の先生方の御意見を伺いたいという点も含めまして、いかがでしょうか。特に独立データモニタリング委員会のこと、それから監査のことにつきましては必要でないと慶應義塾大学のほうでは考えているということですが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○上村構成員

 済みません。主担当の上村です。

 確かに、慶應大学の先生方がおっしゃっていますように、研究自体の規模はそんなに大きくない。少数例の患者さん、恐らく研究者の先生方の中にはもう既に何人か具体的な患者さんがいるということだと思うのですけれども、その中で、これは単施設であるということもありますので、いわゆる委員会というところまで規模を上げる必要があるのかなという、どちらかというと個人的には研究者寄りの意見を持っております。ただ、第三者的な判断であるとか、いろいろな安全性に関するアドバイス等を得るということも非常に必要だと思いますので、例えば医学専門家のような方を研究者とは独立した形で置かれて、最終的な安全性の評価についても、医学専門家との間の協議を経た上で最終化するとかいうようなことでも対応できるのではないかと思っています。

○福井座長

 例えば、患者申出療養検討会議というのを設置するということなのですけれども、そこにこの研究に携わっていない第三者的な立場の医師がいればいいというふうなことでしょうか。

○上村構成員

 そうですね。プロトコルの中でそういった医学専門家のような方を置かれるという形でも可能かと思います。

○福井座長

 上村構成員の御意見を伺いましたが、いかがでしょうか。立てつけとして、これで安全性を確保できるということでお認めしてよろしいでしょうか。

 それでは、上村先生の御意見を併記した上でということではいかがでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員

 建前から言えば、煩雑であろうとつくるべきだというのが正論だと思うのです。しかし今、上村先生がおっしゃったように、その目的が達成できたら、別に委員会形式でなくても、例えば患者さんの代表者とか、その研究にかかわっていない人を参加させることを条件とするというのは、現実的な対応なので賛成です。

○福井座長

 それでは、何らかの形で第三者的な立場で評価してもらえる構成にしていただくということでよろしいでしょうか。

 それでは、基本的には構成員の評価結果どおりということで決定したいと思います。ありがとうございます。

 どうぞ。

○大門構成員

 済みません。もう一点、監査のほうは。

○福井座長

 監査につきましてはどうしましょうか。

 例えば、今までの第1例目の東大のケースなどでは監査はしっかりやられていたのでしたか。

 たしか、やられていますね。

○医療課企画官

 モニタリングだけかどうか確認します。少々お待ちください。

○山崎構成員

 済みません、当事者でないので。薬価の監査は入っております。

○福井座長

 やられていますね。

○山崎構成員

 はい。

○上村構成員

 先生、それはどのぐらいの規模の監査でやられていたのですか。

○山崎構成員

 済みません。詳細は、私、記憶しておりませんけれども、うちに監査担当の専門家が3名おりますので、たしかその3名に担当してもらうような記載になっていたかと思います。もしかしたら外注になっていたかもしれません。私の記憶が曖昧で申しわけありません。

○福井座長

 事務局からは特にコメントございませんか。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 済みません。2例目のほうはあるとは思うのですけれども、正確な情報ではないので確認はさせていただきます。すぐには確認できません。申しわけございません。

○福井座長

 基本的には監査はやったほうがいいと思います。ただ、それを行うことでのデメリットがあって、あえてやめた方がよいなど、そういう理由がなければ形としては監査を行ったほうが安全ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員

 臨床研究の中核病院であればそういう体制は当然あるはずですから、要求してもいいと思います。

○福井座長

 事務局、どうぞ。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 医療機関からは、一応コメントとしては、モニタリング監査等にかかる費用というのが患者様の負担になるということも一つ理由ではあるかなと。可能な限りモニタリング等による質の管理のプロセスを最小限にすることがいいのではないかというふうな御判断もあったようです。

 また、モニタリングに関してのことになるのですけれども、申出療養を申請された時点、あるいは申請書手続前に十分な説明、同意を実施しておりまして、過程については届け出書類にも添付していて、モニタリングによるタイムリーな確認が不要である、あるいは先ほども出ました患者申出療養検討会議で、1例ずつ院内でしっかり検討されるためにモニタリングでの確認は不要であるとか。あるいは、安全性情報管理については、研究者が既に再生医療を初めとする多数の臨床試験の経験をお持ちで、適切な管理がなされているのが他試験のモニタリングで確認されていること。また、データの信頼性については、対象が希少疾患であり、また多施設少数例の臨床試験であることを踏まえて、研究者自身による適切な臨床研究の管理のもと、奨励報告書に基づく通常のデータマネジメント業務と、SDVを含む必要最低限のオンサイトモニタリングにより、患者申出療養として実施する本臨床試験の質の管理は可能と判断したと。

 監査の部分についてはお答えになっていないとは思うのですけれども、そういった御意見があるということをお伝えさせていただきます。

○福井座長

 いかがですか。

 どうぞ。

○山口構成員

 今、いろいろな理由を言ったようですけれども、臨床研究中核病院には臨床研究に関してそういう監査をする仕組みがちゃんとあるはずであって、それを使えばいいだけのことであって、お金が云々という話とはちょっと違うと思うのです。

○福井座長

 いかがでしょうか。

 それでは、この会議としましては、監査はやっていただくということで、そのような仕組みを書き込んでいただくことを条件にしたいと思います。よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 承知しました。確認をさせていただければと思います。まず、モニタリングについては、院内に設置している患者申出療養検討会議というものの中に第三者の方を入れていただく、また、監査は実施していただくということを会議からの指摘事項としてお伝えするという形でよろしいでしょうか。

○福井座長

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○医療課企画官

 済みません。「適」または条件つきの「適」ということで理解をしておったのですが、整理としてどうするか。どちらでもあり得ると思っているのですけれども、「適」なのか「条件付き適」なのか。「適」の場合も、恐らくコメントつきでやっていただけるであろうということであれば「適」で結構ですし、いやいや、絶対これはと。そこまでのものでもないとは思うのですけれども、条件つきにすべきであれば「条件付き適」とさせていただきます。今のお話ですと、コメントつきの「適」のような形かなというふうに事務局では受け取りましたが、いかがでございましょうか。

○福井座長

 それでは、コメントのほうでということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○福井座長

 それでは、コメントしてある「適」ということでお願いしたいと思います。

○医療課企画官

 承知しました。

○福井座長

 それでは、議題の2に進みたいと思います。

 「患者申出療養の追加実施医療機関について」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 「患者申出療養の追加実施医療機関について」でございます。資料患-2に従って御説明申し上げます。

 患-2にお示ししているものは、患者申出療養告示番号1のパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法の技術について、新たな医療機関において実施したいと申し出された患者様がおられ、それぞれの医療機関が当該技術を実施するに当たって、その適格性につき東京大学医学部附属病院による審査を受けております。資料には、東京大学医学部附属病院が届け出を受理した日と実施医療機関として認められた施設名をお示ししております。

 なお、最下段の群馬大学医学部附属病院に関しましては、もともと既に別の実施医療機関で患者申出療養として実施されていた患者様が群馬大学医学部附属病院で治療を受けたいと希望され、同院に申し出たことにより、追加医療機関として認められたもので、患者数の増加はありません。また、大阪府立病院機構大阪国際がんセンターに関しましては、既に実施医療機関として認められていました大阪府立成人病センターがほかの医療機関と合併したことにより新たな保険医療機関として指定される予定ということで、改めて臨床研究中核病院において審査をされたもので、実質的な医療機関数としては増えておりません。

 事務局からの説明は以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして何か御質問等ございますでしょうか。

 これにつきましてはよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○福井座長

 ありがとうございます。

 次に、議題の「3 患者申出療養に係るモニタリング報告結果について」。

 資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 患者申出療養に係るモニタリング報告結果について、患-3に従って御説明申し上げます。

 患者申出療養告示番号1の「パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法」については、第3回患者申出療養評価会議において指摘事項を受け、その際に「最初の20例が登録され3コースの治療が終了した時点のモニタリングの報告を行う」と回答されておりまして、今回、その報告があったものでございます。

 2ページ目以降のモニタリング報告書に関しまして、東京大学医学部附属病院 先進医療・患者申出療養委員会で審議され、結果としては、一部、試験実施計画書からの逸脱が認められたものの、全体としては当該試験が安全に実施され、データが正確に収集されていることを確認したと報告されております。

 具体的には患-3の5ページにプロトコル逸脱例の詳細が記載されておりますが、5症例で尿検査、血液検査の一部欠測が認められているということです。

 また、6ページにお示ししておりますが、重篤な有害事象としては、2症例において原病の悪化に伴う死亡が、また3症例において好中球減少や下痢による入院処置が認められたものの、安全性につき、先進医療実施時と異なるものではないと判断したとのことです。

 御説明は以上です。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ただいまの説明につきまして何か御質問ございますでしょうか。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員

 ありがとうございます。

 今、御説明いただいた資料の6ページにGrade5の有害事象ということで、原病が進行されて亡くなれた患者さんの症例の詳細が書かれているかと思いますが、お二方とも患者申出療養に先立ち自費診療で本療法を施行されていると記載があるかと思います。本試験に関して、もちろんお二方ともプロトコル上は問題なく組み入れされているものと想像いたしますが、先進医療で治療を受けた患者さんはこの患者申出療養に組み込まれる可能性はあるのかという議論は以前のこの検討会議でもあったかと思うのです。東京大学が実施している自費診療かと思うのですが、自費診療で治療を受けられた患者さんが患者申出療養に組み入れられて、重篤な副作用は認められなかったものの、原病の進行により亡くなられているという状況を拝見しまして、患者さんの患者申出療養への組み入れ基準として自費診療を受けた患者さんも許容されていたのかどうか、私自身も理解が不確かなところがありまして、確認させていただきたく発言いたしました。

 以上でございます。

 

○福井座長

 この点につきまして事務局お願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 第1例目が認められた際に患者適格基準にいろいろと記載があったと思うのですけれども、そこに自費診療、先進医療という言葉はなかったと記憶しております。前化学療法を受けている、あるいは以前先進医療で当該治療を受けていた患者さんも組み入れる可能性があるということは議論の場でもあったように、それが自費診療である、あるいは先進医療で受けていたという区別はなされていなかったと記憶しております。

 また、ほかの適格基準できちんと組み入れ基準に入っているのであれば、その患者さんも組み入れ可能と考えております。

○福井座長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでしょうか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員

 この2例というのは治療を開始してどれぐらいで亡くなっているのですか。およそ何日間ぐらいでしょうか。こういうので問題になるのは、到底できそうもない人にやってしまうことであり、それは大変まずいと思うのです。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 申しわけございません。そちらは確認できておりません。

○山口構成員

 もしわかれば、後でまた教えてください。

○福井座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○福井座長

 それでは、議題の4に移りたいと思います。

 ここで、山崎構成員が所属施設の件で利益相反に該当されますので、御退席いただくことになります。

(山崎構成員退室)

○福井座長

 資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 では、患-4「患者申出療養の実施計画の変更について」をごらんください。患者申出療養告示番号1のパクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法ですが、このたび東京大学医学部附属病院より実施計画の変更の申請がございましたので、御審議をお願いいたします。

 こちらの試験の概要ですが、本技術は審査腹腔鏡により腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性を確認し、腹腔ポートを留置して21日間を1コースとしてS-1を14日間内服、また7日間休薬。第1、8日にパクリタキセルの経静脈内投与、腹腔内投与を実施する技術でございます。本療法は、腫瘍の進行が確認されるか、有害事象により継続困難となるまで反復することとしており、主要評価項目は有害事象発現状況、副次評価項目は全生存期間、奏効割合及び腹腔洗浄細胞診陰性化率としております。

 実施期間は201610月から201710月までで、予定症例数は100例となっております。

 2ページ目をごらんください。今回の変更内容としましては、予定症例数を100例から121例に変更するというものです。

 変更申請する理由でございますが、「多施設共同試験として実施していることから、予定症例数の100例が本登録された時点で、既に説明、同意取得や仮登録が行われていた症例があり、個々の症例に対する対応について検討した結果、21例を追加登録の対象とする方針となったため」としております。

 実施計画書、説明文書、届け出書のそれぞれの新旧対照表につきましては、参考資料1~3として添付してございます。

 変更承認状況としては、2017年4月10日に東京大学医学部附属病院特定臨床研究倫理委員会において承認済みであるということでございます。

 また、参考資料4としまして、変更申請に至るまでの経緯を簡単にお示ししております。御参照いただければと思います。

 事務局からの説明は以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 実施症例数を100例から121例にふやすという変更についてでございます。いかがでしょうか。構成員の皆様方の御意見を伺えればと思います。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員

 ありがとうございます。

 今、事務局から御説明いただいた資料について何点か確認がございます。

 まず1点目でございます。患-4の2ページ目で【変更申請する理由】の部分でございますが、「予定症例数の100例が本登録された時点で、既に説明、同意取得や仮登録が行われていた症例があり」という記述があります。患者申出療養制度は、申し上げるまでもなく、患者さん自身の申し出、また切なる希望を基点とするものでありますから、患者さん自身の希望は可能な限りかなえていただきたいという思いはあります。一方で、施設間の時間差等は一定程度あるかと思いますが、100例を超えて同意取得や仮登録が行われているという記載について、東京大学その他を初め、本研究において患者さんに対して適切な説明がなされていたのかということを確認申し上げたいと思います。

 2点目でございます。もちろん、患者さん自身の申し出を起点とするということはあり得るかと思いますが、一方で、有効性、安全性の評価という視点も患者申出療養制度では求められておりまして、東京大学が先進医療を開始し、かつ、患者申出療養制度も実施し、今後、公知申請等も検討されていると聞き及んでおります。それについて東京大学はどのような見通しを持って、今回こういった実施計画の変更を申し出ているのかということについて、もし把握できていれば教えていただきたいと思います。

 以上、2点でございます。

○福井座長

 事務局、どうぞ。

○医療課企画官

 事務局でございます。

 2点の重要な御質問をいただいたと思っております。

 まず、適切な説明がなされていたかということでございます。私どもが聞いておりますのは、今回の患者申出療養としての同意書、お認めいただいたものがございますけれども、それに沿いまして説明を丁寧にし、同意を得ていたということでございます。その適切な症例の管理という観点で、今回、この例に関しましては、最後の数日間で非常に多くの登録あるいは説明がなされていたこともございまして、このような状態になったということでございます。

 そういうことから、東京大学附属病院からは、今回の事例に鑑みまして、症例の管理、今回もリアルタイムというか毎日ちゃんと行っていたということでございましたが、より的確にきちんと行うということで、当初の計画に沿ったようなことに取り組みたいというコメントをいただいているところでございます。

 2点目の有効性、安全性を確認するための臨床試験として行うということがこの患者申出療養においても求められているところでございます。ここで得られましたエビデンス、あるいは先進医療のエビデンスなどがございますけれども、今後それをどのように公知申請等、あるいは保険適用に持っていくかというところに関しては、まだ厚生労働省の他部局とも相談している状況と伺っているところでございます。

○福井座長

 どうぞ。

○天野構成員

 ありがとうございます。

 1点目の点について、今後しっかり進捗を見ていただけるということで理解いたしました。患者さんとしてみれば、当然、わらにもすがる思いでこの試験に参加されている患者さんは多数いらっしゃるかと思いますが、これに対して東京大学からは、情報提供をしっかり行っていただくように望みます。本療法の進捗に関して一部の情報が東京大学より、患者団体等を通じて情報提供されていたと聞き及んでおりますが、希望する患者さんが適切に患者申出療養にアクセスできるように、広く、ホームページ等を通じて誰もがアクセスしやすいような情報提供の体制等を御検討いただきたいと願っております。

 以上でございます。

 

○福井座長

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 直江構成員、どうぞ。

○直江構成員

 一応121例に目標を変えるということで、これは患者申出の仕組みをつくったプロトコルといいますか、計画はここで一旦終了ということなのですか。

○福井座長

 事務局、どうぞ。

○医療課企画官

 昨年9月お認めいただきました時点では100例と言っておりまして、この経緯にございますとおり、2月20日に100例というのは登録が終了しております。ただ、その時点で同意をしていらした患者さんがいらして、この21というのはもう名前が決まった21名でございます。その方々に対して追加で実施をさせていただきたい。別の言い方をしますれば、この121例でこの研究を終了し、総括報告書をつくっていただくということになると思っております。

○福井座長

 どうぞ。

○直江構成員

 今、安全性、有効性を再評価して、それで出口の議論ということになりますと。今後は、例えばこういう患者さんが申し出らたれときにどのような取り扱いになるのかということを教えてほしいのです。悩ましいところで済みません。

○福井座長

 どうぞ。

○医療課企画官

 まずは、臨床研究というスタイルで私どもは患者申出療養を進めておりますので、評価をすることが適切で、この状態できちんと評価を行うことが適切だろうと思っております。

 この後、同様の治療を希望される方に、もし新しい視点での、あるいは新しい仮説でのプロトコルをかける、臨床研究作成ができるということであれば、それはそういう新しい形での患者申出になる可能性はなくはないと思いますけれども、まずは、私どもとしてはこの計画終了時点で評価を行うことが適切かなと思っております。

○福井座長

 評価の結果がいつごろ出るのか。先ほどの御質問ともかかわりますけれども、先が見えないというその期間、同じような患者さんに現場ではどう対応したらいいのかというのが実際のところ非常に悩ましいのは事実だと思います。

 いかがでしょうか。ほかに何か。

 どうぞ。

○新谷構成員

 済みません、1点よろしいでしょうか。今後の症例数をどう決めるかということで、今回のことでなく今後について御質問させていただきたいのです。

 本登録が予定症例数に到達した時点でとめるかどうかという判断がなされたということで、最終時点に近づいたときにかなり多くの患者さんが本研究に入りたいという希望を表明されたということで、ふだんよりも多く急に入られたのでという御説明だったのですけれども、患者さんのエンロールメントに関して、もうちょっと早期の段階で予測ですね。例えば90名本登録をした時点で既に何名の人に説明、同意取得、仮登録が行われていたかなどの検討がもしできたとすれば、そこからも、もう少し患者さんの受け入れを緩やかにスピードを落として行っていくなどの対応ができたのではないかと考えます。ですので、今回、この方法が認められたときに、次回から、それでは最終的に研究をとめるというタイミングが本登録の人数が予定症例数に達したときということになってしまいますと、やはり10%、20%の患者さんは予定症例数よりは多くほかの研究にも入ってくることになります。それでもいいという御判断でしたらいいかとは思うのですけれども、その点、ほかの評価委員の皆さんの御意見をお聞きしたいと思いましてコメントさせていただいております。

○福井座長

 先に事務局からございますか。

○医療課企画官

 済みません。構成員のコメントをと言われておきながら、事務局からで大変恐縮でございますが、私ども、計画としてここでお認めいただいた以上、症例数というのはきちっと守っていただくべきものだろうと思っております。その点で、今回、最後の数日での申し込みが予想を超えていたということで、そこに関しては実施機関である臨床研究中核病院である東大医学部附属病院からも、途中で御紹介申し上げましたが、今後そういう管理にきちんと取り組むというコメントをいただいているところでございます。そういう意味では、臨床研究としての正確性というか、大事なところをちゃんと遵守していくということは私どもも共有させていただきたいと思っております。

○福井座長

 ほかにはいかがでしょうか。

 原田構成員、どうぞ。

○原田構成員

 天野構成員からお話があったように、変更申請する理由として、適切なる説明や、今後の管理をしていくだけでいいのかというのがちょっと気になるところです。あと、ホームページを通じて具体的に情報提供していけばなおさらであります。今後増えると思います。、今後ふやしたくないという考えもあります。以前の会議体でも石川委員から話がありましたように、やはり一人一人と向き合っていくというところが大事だと思うのです。果たして適切なる説明や管理が徹底できるのかちょっと心配です。

○福井座長

 山口構成員。

○山口構成員

 これは統計の専門の先生に伺いたいのですけれども、100例という設定がされましたね。これが80例で終わるとちょっと困ると思うのですけれども、20例ふえても、ちゃんとしたクオリティーで行われることにより質が上がるのではないでしょうか。こういう現象は今後も多分起きると思うのです。そのときに2割ぐらいまでは認めるかどうかという議論ですが、そこは私は認めてあげてもいいのではないかと思います。でないと、どこかで急に締め切るというのは、この制度の趣旨からすると非常に厳しい状況です。そのあたりを統計の専門の先生に聞きたい。

○新谷構成員

 新谷です。

 サンプル数の計算に関しましては、科学性の立場、より正確を期してという面からいきますと、統計家の立場でいくと多ければ多いほうがいいということになるのですけれども、患者さんのために有害であるかもしれないような治療を必要以上の数の患者さんにしてしまっていいのかとか、費用の面とか、倫理面なども考えまして、必要最低ということで計算して進めているところです。統計家の立場としては、ふえることは科学的には問題でないと思うのですけれども、これはまた大門先生の御意見も後でお伺いしたいと思います。ただ、これぐらいの効果が出るだろうという見込み対して、それで有意差が出るということで症例数を計算しておりますので、多ければ多いほど臨床的に意味のない差までも有意差があることになってしまいます。ですので、最終的に御判断をされるときに、統計的有意差のみではなく、臨床的な目からもそこを評価していただければ、何%ふえればいいかというのはまた別の議論になりますけれども、問題はないのではないかと、私、個人的には考えます。

 大門先生、いかがですか。

○大門構成員

 新谷先生と同じ意見を持っていまして、統計的な観点からは、もちろん標本サイズが大きいことにこしたことはないと思っています。しかしながら、たしかこの案件はスタートの時点で有効性を評価できるような試験で計画されたものではなかったと思いますし、安全性も確固たるものとして何か言えるようなものでもなく、要はデータを広く収集して柔軟に検討しましょうよというスタンスでおそらく開始されたと記憶しております。そのことを踏まえて、かつ、山口構成員がおっしゃられたように、この治療に患者さんが柔軟にアクセスできるようにするという観点からいきますと、当初の目的がそれぐらい柔らかい形で組まれていた以上は、多少こういったイレギュラーがあっても仕方ないのかなとも、私はここでの議論を聞いていて感じました。ただ、決め事は決め事として守るべきだろうとは思っています。

 以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。

 石川構成員、どうぞ。

○石川構成員

 これは最初にすごく心配していたようなことなのだと思うのです。実は、今回、この100例がオーバーしてしまったというこの後に、この病気と同じような方はいっぱいいるわけですから、同じような病気の方がこの話を聞いて、国の制度としてこういうのがあるのだったら、先生、私もやってくださいよと新たに申し出てくる患者さんはいないわけではないと思うのです。そのときに、これは一応締め切りしましたので、後は全部自費でやっていただくことになりますとか、この制度は研究が十分に終わっていないので、リスクがわからないからまだやめておいたほうがいいですよとか、どういうお話をするのかというのは、臨床的には非常に大変なことになると思うのです。私が今、皆さんのいろいろな意見を聞いていても、どういうふうに説明したらいいかというのはなかなか難しいなと思います。

 先ほどのサイオテパの症例のように、非常に予後不良で希少な病気だったらいいのですけれども、今の対象の病気というのはこれ以上の数が出てくるのですね。それに対しての対応をちゃんとしておかないと、ブームのように、みんなあちこち申し出る患者さんがいらっしゃると。これは同じ病気の患者さんには自分がどういう治療をしているのか同じ病棟にいてもわかるのです。あの治療をやっているとか、私は違う治療をやっているみたいだというのはもちろんわかりますし、口コミでわかりますので、どういうふうに対応するのかということをしておかないと大変なことになってしまう。ちょっとブレークみたいな感じになってしまう可能性があるのですね。

○福井座長

 いつまでたっても結論が出ないというのはまずいと思います。やる価値があるかどうかという判断をどこかでしないと、現場も困るし、患者さんも困りますので、結論を出す方向でお願いしたいと思います。テンポラリーでもいいと思います。さらに症例数をふやして、もう一段精度の高いデータに基づいて判断をするから、どれくらいやってほしいとか、そういうことも含めて、現場に明確なメッセージが伝わるようにできればありがたいです。

 どうぞ。

○医療課企画官

 この御議論前回の最後に、患者申出療養として思いに応えるという観点と、その臨床研究としての統制とどういうバランスをとるかというふうな御議論のほうにつながっていっている話かと思っております。そのように聞いておりました。

 今回、この東大の第1例目に関して、まず21をお認めいただけるかどうかということでお話を聞いておりまして、そこに関しては余り認めるべきではないという御意見はなかったような感じで受けとめております。その上で、今後、今いただいた御意見は、きょうお認めいただけましたものを含めてまだ4つでございますので、私どもの事務局としてもう少し経験を積ませていただいて、そしてまた、終わった後の患者さんの御意見とかも踏まえて、現場の御意見なども踏まえて制度設計に生かしていただきたいと思っております。そういう意味で、前回の議論はそういうところでまだ相場観がきちんと定まっていないから出てくる御議論だと思っておりますので、そこはまた今後私どもも検討させていただきたいと思っております。

○福井座長

 ほかには何かございませんでしょうか。

 全くテクニカルなことで、単なる私のアイデアですけれども、例えばこのケースですと、同意書を発行するたびにシリーズの番号が出るようにしておいて、施設は違っていても、今、目の前の患者さんに出した同意書は全体の中の80番目になるとか、そういう数値がわかるようにコンピュータで簡単にできるのではないかと思います。そうすると、何番目の患者さんということが誰でもわかるのではないかと思いますがそれはできませんでしょうか。

 新谷先生、何かありますか。

○新谷構成員

EDCを使うことで、本登録された人だけをデータベースに入れるのではなく、どこの時点から入れるかというところを変えれば、今、おっしゃいましたことは既存のEDCを使ってかなり簡単にできるかとは思います。

○福井座長

 単なるアイデアです。

○新谷構成員

 でも、大変すばらしい御意見だと思っています。紙ではそういうことはできませんので、電子化を進めていくという点でも貴重な御意見だったと思います。ありがとうございます。

○福井座長

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員

 ありがとうございました。

 今、議論があったように、21例追加登録というのはもちろん問題ないと思うのですが、1点、患者の立場からすると非常に悩ましいところがあって、この患者申出療養が終わった後、結局、この患者申出療養を希望する患者さんはどのような対応をすればいいのだというところが問題として残っていると思います。当然、患者としてみれば、少しでも希望があるものであれば受けたいという心理になるのは切実な思いではありますが、一方で、有効性が不確かだからこそそれを確かめるために試験をやっているわけであります。何かしらの形で、有効性、安全性等に関する追加的なデータがあれば、この療法に関して患者申出療養制度を継続する意味があるのかどうかを判断できないかと考えておりまして、次回の会議がいつになるかわからないのですが、次回の会議までに有効性や安全性に関する追加的なデータで出していただくことが可能なものがあれば出していただいて、改めて検討する必要があるのではないかと考えます。もし、この療法の検討のためにさらなるデータの追加が必要だという合理的な理由があるのであれば、プロトコルを若干変えるであるとか計画を変えるなどしてしっかりと評価していくことが必要ではないかと考えます。

○福井座長

 いかがでしょうか。難しいですよね。科学的に考えて、こちらがすぐれていると決定的には言えないデータを目の前にして、患者さんに説明せざるを得ない場面では、その時点でわかっている範囲内のベストのものでやりましょうというふうに現場では説明せざるを得ないと思います。なかなか悩ましいところだと思います。

 結論は出なくても、今まで集積されたデータでは恐らくこちらだろうと言う専門家が多い、でもバイアスがかかっているかもしれない、そこのところは難しい判断だと思います。エキスパートの先生にもバイアスがかかることがありますので、エキスパートの先生方のほとんどがこちらがいいに違いないと思っていても最終的には誤っていたという事例は幾らでもあるわけですので、なかなか難しいですね。

 では、新谷構成員。

○新谷構成員

 済みません。今後のことで御質問です。

 この後のデータの評価に関しましては、何カ月以内でやらなければいけないなどの取り決めはあるのでしょうか。できるだけ早くということで患者さんのためにもやっていただきたいなと。その結果もこの評価会議のほうで検討させていただくという理解でよろしいですか。

○福井座長

 どうぞ。

○医療課企画官

 特段何カ月以内にとか、最終予定組み入れが終わりまして、その後、いわゆる臨床研究が終了してどのぐらいという明確な規定があるわけではございませんが、私どもとしてはなるべく早く評価いただいて出していただくようにと思っております。

○福井座長

 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。恐らくこの議論は会議を開くたびに出てくるテーマだと思います。なかなか悩ましい問題です。

 それでは、山崎構成員に入室をお願いします。

(山崎構成員入室)

○福井座長

 それでは、議題「5 その他」となっておりますが、事務局からは何かございますでしょうか。

○医療課企画官

 患-5を用いまして、前回の患者申出療養評価会議における議論を整理させていただいて、御報告させていただいたものを御説明させていただきたいと思います。

 1例目の経緯を1ページの前半に、そして、その下に患者申出療養評価会議における議論をお示ししております。ポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。

 裏のページの上の○でありますけれども、当面の運用として事務局から御提案させていただきましてこのようにさせていただきたいということでおまとめいただいたものをマル1、マル2、マル3というふうにお示しさせていただきました。その後、中医協のほうにも、その下のマル1、マル2にあるようなことがまた議論として出たということを御報告したのですが、ここを御説明させていただきます。

 上の○のマル1、マル2、マル3、今後の運用ですけれども、申し出た患者さんの状態に応じた適格基準を可能な限り設定するということで、患者申出療養評価会議でそれを御審議いただくということでございます。この患者申出療養評価会議で承認されました適格基準内の患者さんについては実施施設の判断で当該臨床研究に組み入れ可能とすると。もちろん、一例一例ちゃんと丁寧に見ていただくという前提ですけれども、実施施設の判断で当該臨床研究に組み入れ可能とすると。

 そして、マル3といたしまして予定症例数の考え方です。きょうも御議論に出ましたけれども、私どもとしては、事務局から説明させていただいた言葉どおりです。何らかの目標値の設定は必要と考えますが、今後、予想される適格基準該当患者数を勘案した上での目安としての位置づけとしてはどうかということでございます。

 こういうことを御紹介いたしまして、その上でもう一つ、前回の患者申出療養評価会議で出ました今後の患者申出療養のあり方に関する御議論も御紹介させていただいたところでございます。マル1、マル2とございますけれども、マル1は、困難な病気と闘う患者の思いに応えると同時に、一定のエビデンスの水準を保つための症例を集積するという臨床研究としての妥当性も考慮し、両者のバランスをどのようにとっていくのか。本日も議論があったところでございます。

 それから、マル2といたしましては、有効性の評価が困難な場合が多い、安全性の評価が中心となるために予定実施機関のみ設定し、症例数については設定しない方法を検討してもよいのではないかと。こういう御議論も前回この場ではあったところであります。

 こういう前回の議論をこの紙を用いまして中医協に御報告させていただきました。中医協のほうでは、2ページの下の予定実施機関のみ設定し、症例数については設定しない方法も検討してよいのではないかということについて、こういうやり方もあるのではないかという念押しというか、そういうふうな御指摘もいただいたところでございます。

 こういうふうなことで御議論いただきましたけれども、私どもとしては、先ほどの議論の続きで、もう少し予定症例数を重ねる中で当該バランスや今後のあり方については事務局としても考えさせていただきたい、検討させていただきたいと思っております。

 御説明は以上でございます。

○福井座長

 ありがとうございます。このような事柄を頭に置いて議論を進めていきたいと思います。

 構成員の先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。

 原田構成員、どうぞ。

○原田構成員

 症例数、期間、この会議の目的いかに早く保険適用するかその観点に立って、スピードを上げることをしていきたいと思っております。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 成川構成員。

○成川構成員

 先ほど議論に出た症例数のことですけれども、それらのプロトコルに沿うような患者さんがその施設で今後同じような状況の中でどれくらい見込まれるかという意味では、書いていただくのは参考になると思います。ただ、表現として「目標症例数」と言うとちょっと抵抗があります。つまり、一生懸命集めないといけないというふうに理解してしまうのです。むしろ「見込み」ですとか「予定」ですとか、そういう趣旨かなというふうに私自身は理解をしております。

 以上です。

○福井座長

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 石川構成員、どうぞ。

○石川構成員

 先ほどもこれからの懸念のお話をちょっとしたのですけれども、例えばここで議論して申出療養として認められた、今回の東大の例も百二十何例認められたというと、それだけで、ある面では患者さんにとってはお墨つきみたいな感じになると思うのです。そうすると、現場でどういうことが起こるのかということを想像してもらいたいと思うのです。同じような患者さんであれば、自分もどうなのかということを聞きに来るだろうし、そのことを自分のところで判断できなければ、例えば山口先生のところに行ってもらったり、さまざま出てくると思うのです。私は、この会議の重要性を考えれば考えるほど現場に対して重たい課題を押しつけてきているのではないかと思います。

 特に今回、この121例というのは、100例ではなくて121例にしたことはよかったのかどうなのかということです。122例目の人はどうするのですかというふうなことも出てくるでしょう。これは大変困った判断なので、事務局としてもきちんとした案を提示していただきたいと思います。これは難しいと思うのです。難しいから大変なのですけれども、そういった点ではぜひルールづくりをする。今回みたいにこうやって症例をはみ出してしまうということは、基本的には、中央の管理している責任病院というのはやはりちゃんとしてもらいたいという思いは強いです。そこは座長が言ったような方法も含めてきちんとした管理をやっていただかないと、101例目とか102例目をどうするのだとかいう話が必ず出てきます。ということで、その辺はすごく要望したいと思います。ルールづくりですね。そうではないときはどうするのか。

 今回はまだ4例、5例目ぐらいしかやっていませんけれども、これからもう少し症例数の多い病気で同じようなことが出てきますので、それを今から予想して考えていただきたいと思います。

 それからサイオテパの話です。これはチオテパとか言っているものです。倫理的にこの子たちは大変ミゼラブルだというのがわかっていますので、あえて何も言いませんでしたけれども、何でサイオテパを使わなければいけないのかということについては詳しく出ていないのです。移植する前は、何でほかの薬がだめなのかとかわからないので、こういうものを挙げるときにはその辺の違いをもう少し明確に。事務局もおっしゃられたと思うのですけれども、既存の標準的な治療とどこがどう違うのかということを明確にやってもらったほうがいいと思います。それでないと、子どもたちの緊急性だとか大変さということを考えると、ちょっとでも可能性があればいいかという感じになってしまうのだと思うのです。実は1回承認を取り下げて、新たに同じ薬でやるというのは結構大変なことだと思いますが、どういう原因があってだめになったのかとか、何でまたすぐに承認されないのかとか、そういうことも含めてわからないといけないと思います。今までのデータでは足りないと思うのです。そういうことも含めて、これは事務局は大変だと思うのですけれども、きちっとやっていただきたいと思います。

○福井座長

 事務局、よろしくお願いいたします。

 ほかにはいかがでしょうか。

 それでは、事務局から次回の日程についてお願いします。

○先進・再生医療迅速評価専門官

 事務局でございます。

 次回は、日程調整の上、後日御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○福井座長

 それでは、第5回「患者申出療養評価会議」を終了します。

 本日はたくさんの貴重な御意見をありがとうございました。これで閉会といたします。

 


(了)

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