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2017年1月17日 第5回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課

○日時

平成29年1月17日(火)9:30~12:00


○場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室


○議題

1.事業者団体等からのヒアリング
2.討議

○議事

○近藤補佐(事務局) それでは定刻となりましたので、第5回食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会を始めさせていただきます。構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ、本検討会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。前回の検討会で御連絡をしておりますけれども、本日は大前座長が欠席のため、 14 名での開催となっております。このため、本日の座長は堀江構成員に代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。また、事務局側としては、北島生活衛生・食品安全部長、そして橋本大臣官房審議官より欠席との連絡を受けております。また、道野監視安全課長については、遅れての参席となりますので、あらかじめお伝えいたします。

 また、本日の参考人として、合成樹脂工業協会の児嶋事務局次長様、日本カーバイド工業(株)の武田安全・品質・環境管理部長様、三井化学(株)の松江化学品安全センター長様、可塑剤工業会の柳瀬技術部長様、また、森野アジペート部会長様、日本製缶協会の中田専務理事様、日本製紙連合会の佐藤専任調査役様及び中川環境技術部長様に御出席をいただいております。

 続いて配付資料の確認をいたします。本日お配りした資料は、まず裏面に構成員名簿を添付した議事次第と配付資料の一覧、座席表、続いて本日御説明いただく各団体・企業様の説明資料1~資料5までとなっています。また、検討の方向性の案として、資料6を配付しています。さらに机上配付資料として「前回の配付資料の修正について」及び前回までのヒアリング内容を取りまとめておりますので、議論の御参考としてお使いいただけますようお願いします。不足している資料や落丁等がございましたら、事務局までお願いいたします。それでは堀江座長代理に検討会の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○堀江座長代理 皆様、おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。それでは議事を進行させていただきます。まず、前回の検討会で鬼武構成員から資料修正の御指摘がありましたので、机上配付資料に基づき、事務局より御説明をお願いいたします。

○近藤補佐(事務局) 机上配付資料1を御覧ください。こちらに、前回野田構成員から御説明いただいた内容について、構成員からの指摘を踏まえ修正をした内容を記載しております。上欄が正しいもの、下欄が前回御説明して内容に不備等があったものという形で記載しています。

 まず、1枚目「米国への輸出」、2枚目及び3枚目「 EU への輸出」について、正と誤を記載しています。また、4枚目、英語の標題ですが、「 EU Supply Chain  Liability 」ということで、「 Supply 」を追加しています。最後の5枚目、前回の「 Food safe symbol 」から「 Symbol 」に修正しています。内容等については、修正点を赤文字で反映していますので、御確認をいただければと思います。以上です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、御質問等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは続いて、前回の検討会で御説明いただいた合成樹脂工業協会より、前回の説明に加えて、本日御説明いただけるということで、お越しくださっています。資料1に基づいて、合成樹脂工業協会の児嶋参考人、日本カーバイド工業(株)の武田参考人に御説明をお願いしたいと思います。

○児嶋参考人 今御紹介いただきました、合成樹脂工業協会の児嶋と申します。よろしくお願いいたします。資料1について御説明させていただきます。昨年の 12 月に開催された第4回検討会において、熱硬化性樹脂のポジティブリスト化について説明をさせていただきました。その際に、構成員の皆様から質問を承った案件に関して、持ち帰り事項として2つありました。1つ目は、私どもの顧客、あるいは最終の顧客に及ぼすポジティブリストの有効性についてどうなっているか。2つ目は、今後新しいポジティブリストを構築していくに当たっての反映性についてです。これらについて、弊会の会員企業の日本カーバイド工業(株)の武田参考人から報告していただきます。よろしくお願いします。

○武田参考人 日本カーバイド工業(株)の武田でございます。今日はよろしくお願いいたします。では、今ほどの2点について、私から説明させていただきます。まず1つ目、顧客や最終顧客に及ぼすポジティブリストの有効性なのですが、弊会会員企業は、顧客である成形メーカーや最終顧客である食器メーカーいずれからも、現在運用している私どものポジティブリストの有効性に関する情報は、現在のところ残念ながら得られていない状況です。

 2つ目の新しいポジティブリストの反映性に関しては、私どもを含む会員企業の事業に占めるポジティブリストの対象製品、熱硬化性樹脂成形材料は、現時点での売上げ規模は極めて少なく、製品、使用している各種原材料、製品の製造方法等は、もう成熟してきています。2点目は、顧客、成形メーカーからの製品の特性向上や改良等の要求は少なく、今後も需要の拡大は期待できない状況です。そのような事情もあり、3点目には将来的にそのような新規物質の採用の可能性も低くなってきている状況です。

 以上より、添加量とか溶出量の制限等に関する詳細な議論は、私どもの中ではできておらず、従来から使用している材料のみを私どものポジティブリストに掲載するにとどめているのが実態になっております。これについて、若干補足説明させていただきますと、昨年、第1版から第2版に改訂するに当たり、まず第1版において FDA EU 、他の業界のリストに掲載されている物質を第2版にリスト化しています。ただし、掲載されていない物質もあり、第2版作成の時点で使用されている物質に関しては、私どものポジティブリストの中に掲載しているという状況です。もちろん食品衛生法に合格しています。私どものポジティブリスト第2版に掲載されている物質数は約 500 あるのですが、 220 物質は欧米のどちらかのリストに掲載されているものです。加えて 90 物質ぐらいは、ポリ衛協のリストに掲載されているものです。

 このようなこともあって、他の業界で運営されているポジティブリストと同様な試験評価及び判定について、今後を見据えたビジネスに対する費用対効果を考慮すると前向きな検討を行うことは極めて困難であると今のところは判断しております。

 こちらも補足すると、費用ですけれども、材料そのものではなく、最終製品での評価が必須となり、評価の内容はまだ不明なところがあるのですが、公的機関での実施になるかと思いますので、1件当たり1億円程度発生すると聞いています。そこが費用対効果のところになると思います。また、欧米の熱硬化性樹脂と同じ取り組みができるのかと言われていますが、現時点では不明です。

 最後になりますが、可能性は低いですが、新規物質が出てきたときにどうするかです。他の業界での採用状況を考慮した上で使用可否を判断して、状況に応じて随時追記又は改訂しながら対応していきたいと考えています。説明は以上です。

○堀江座長代理 ただいまの御説明に関して、御質問等はありますか。

○重倉構成員 御説明ありがとうございました。おそらく私が(1)について発言させていただいたので、この御回答を頂いたのだろうと思います。今の御回答の中で、有効性に関する情報が得られていないということは、非常に私も残念に思うところであります。合成樹脂工業協会様も、「残念ながら」という言葉を入れていたので、本来は期待しておられるものと思っています。(2)にも費用対効果という言葉があり、何らかの効果を期待しておられるはずと思っています。是非そこを探索していただかなければいけないのかなと思っています。

 その意味で、恐らくポジティブリストを作る期間が短く、バージョンもまだ低く、今お話になられたように、欧米やその他の安全性の基準とどれほど突合しているのかという点について説明し切れていない事情が背景にあり、これならいいねというほどの明確なメッセージがなかなか出てきていないという過渡的な状態にあるということなのかなと理解したのです。得られていないというのが、若干ネガティブなメッセージに聞こえるので、その点を確認させていただければと思います。

 もう1点、これは申し訳ないのですが、御説明の中で私どもの制度との誤認があるようにお聞きしたので、補足させていただきます。私どもポリオレフィン等衛生協議会の自主基準に入っていますポジティブリストの物質群は、熱可塑性樹脂に使って、溶出しないことを確認して、安全性を主張しているものです。その意味で、熱硬化性樹脂に同じ物質を入れて溶出しないかどうかという点については、必ずしも確認をしているわけではありませんので、熱硬化性樹脂でのリストに収載されていることの妥当性の根拠を、私どものリストに載っているとだけ言われてしまいますと無理があります。

 熱硬化性樹脂については、前回の御説明資料にありましたように、熱可塑性樹脂に比べて硬い点、侵されにくい点など様々な性質による何らかの合理的な理由があって、より溶出しにくいはずであるというような補足の情報があった上で、皆様の御判断で大丈夫であろうということでリストされていると思うのです。すみませんが、 FDA ほどの安全性根拠を合成樹脂全体にまで広げて御説明し切れないので、修正というか私が思ったことですが、御確認いただければ幸いです。

○武田参考人 2つ目の誤認という御発言ですが、私どももそのように説明したのではなく、あくまでも参考にさせていただいたということです。 90 というのは物質数であり、内容も先程の説明にもありましたように議論ができていない状況を御理解いただければと思います。おっしゃられていることは理解いたしました。

○堀江座長代理 重倉構成員よろしいでしょうか。他に御質問等いかがでしょうか。

○森田構成員 御説明ありがとうございました。今の御説明の中で、費用対効果というお話がありました。ポジティブリストと同様な試験評価及び評価判定について、1件当たり1億円とお話がありましたが、これはどのような試験評価をどこまでやっているということなのか、それから他の業界で運営されているのが実際に1件当たり1億円ということからその数字が出てきたのか。その根拠を教えていただければと思います。

○武田参考人 こちらに関しては、数年前に厚生労働省やコンサルタントをお呼びして、合成樹脂工業協会で勉強会を行ったときに、新しい物質の毒性評価をするのは1~2億円ぐらいかかるという話を受けていて、それが議事録に載っていました。今回、費用対効果という点について、費用についてはこのぐらいかかりそうだということを含めて御理解いただくために説明したものです。根拠はそのようになります。実際に我々が毒性試験を依頼して、見積りを頂いたのではなく、勉強会の中で指導いただいた金額と聞いています。

○森田構成員 新規物質について、全ての毒性評価をしたということですか。

○武田参考人 そういった意味だと思います。米国等のポジティブリストに載っていない物質に関しては、最大でその程度かかるのではと思います。認識が違っていれば、御指導いただければと思います。

○堀江座長代理 そのような回答ですけれども、よろしいですか。他に御質問等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは本日のヒアリングに移りたいと思います。初めに、今までのヒアリングの中で最も上流となる合成樹脂の製造を行っている三井化学(株)の松江参考人より、資料2に基づいて御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○松江参考人 御紹介ありがとうございます。私、三井化学の松江香織と申します。今日はこのようなお話をする時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、資料に従って、本日の御説明をさせていただきます。

2ページ目になりますけれども、まず三井化学の概要を簡単に御説明して、次に三井化学における製品の安全性評価について御説明をし、最後にポジティブリスト法制化への三井化学からの意見、要望という形でお話を進めさせていただきます。

 3ページ目、まず非常に簡単になりますが、三井化学の概要です。三井化学は、その起源は 1912 年に九州の大牟田の地の石炭化学から始まっています。現在の三井化学は三井石油化学と三井東圧化学が合併した 1997 年を創立として、本社は東京の汐留にあります。一昨年の売上げは、連結ベースで1兆5千億円、グループグローバルで従業員約 15,000 人を持つ企業になっています。

 4ページ目、今御説明しました1兆5千億円の売上げの約半分は、海外市場にあります。北米、中国、これからますます大きくなると思われるアジアといった海外の売上げと、日本国内の売上げが、ほぼ半分ずつになっています。

5ページ目、一昨年、三井化学の事業ポートフォリオを一度整理し直して、「社会に貢献するための、戦略的4領域」という形で、新たにこの4領域を三井化学の事業領域としています。

 1つ目は、この中央にありますオレンジ色の「ヘルスケア」領域で、健康で安心な生活、生活の質を向上するために貢献したいという事業領域。それから左側の青い枠は「モビリティ」領域、これは車であったりエネルギーであったり、ロボットといった動に対し貢献したいといった事業領域。そして今日御説明しますが、「フード & パッケージング」という事業領域で、世界の食糧問題、食の安全・安心ニーズについて、農業やパッケージ材料から貢献したいという事業領域です。それから三井化学がこれまで培ってきた「基盤素材」ですが、あらゆる産業へ素材・技術を提供し、地域と調和した産業基盤を実現していくというところで、以上の4つの事業領域で三井化学は事業を進めています。

 6ページ目、本日はこのフード & パッケージングについて、製品を御紹介します。三井化学のフード & パッケージングの領域には、非常にたくさんの種類の製品があります。例えばこの一番左上の製品を見ていただきますと、ヨーグルトのカップの部分の樹脂も、三井化学の1つの製品です。併せてこのユニストールという製品になりますと、カップと蓋をシールする部分、シールフィルムも、1つの製品です。

 それから少し下になりますが、ペットボトルもありますし、ペットボトルの外側に巻いてあるシュリンクラベルも1つの製品になります。それから、例えば中央の下にありますけれども、レトルトパウチがあります。これはフィルム自体が何層かになっています。食品に接触する面と、アルミの部分の層を接着する接着剤も私どもの1つの製品です。こういう複数の種類の製品の安全性を評価していくのが、私ども川上メーカーとしての仕事になっています。

 7ページ目、三井化学における製品の安全性評価の仕組みと仕事の流れについて、簡単に御説明させていただきます。三井化学においては、企業理念に基づき安全性評価のシステムが社内ルールという形で設定されています。企業理念の下に、レスポンシブル・ケア基本方針をもって、自主的に安全性を評価していくという基本的な考え方のもとに、品質マネジメント規則、環境安全管理規則の中に、製品の安全性を評価していくためのルールが定められています。

 詳細は次のスライドで御説明しますが、製品中に含有する物質はどういうものを使うのか、製造時にはどういう物質を使うのかというルールがあり、また化学品安全管理規則の中で製品中の含有化学物質を特定し、リスク評価をし、自主基準への規格適合を取得し、安全性情報を SDS 又は製品ラベルといった形で、お客様に伝達していくことが、社内ルールで定められています。

 8ページ目、三井化学における食品包装材料の製品設計と安全性評価の流れについてです。まずは製品コンセプトを、研究開発の段階で定めていきます。これはお客様のニーズに従い、お客様と対話しながら決まっていくものですが、製品組成、原料、添加剤等が決まります。それから製造方法も決まります。さらにその製品の用途、例えばどういう食品に使うのか、温度はどういう温度で使うのかといったような、使用条件が決まってきます。それから販売国を決め、その国の法に、日本であれば業界自主基準に適合させていきます。製品設計の過程で、リスク評価すべき物質を選定します。物質が決まったら、それぞれの物質について有害性評価、それからばく露評価をして、最終的には有害性とばく露の関係から、リスクの判定をします。

 このリスク判定の結果、リスクが許容できるという結論であれば、製品のリスク管理をします。このリスク管理の詳細については、例えば新しい物質でしたら新規物質としての申請をします。それから安全性が確認されたものについて、川下にこういう使い方をしてくださいというような、情報伝達をしていきます。

 一方で、青い矢印で示していますけれども、リスク判定の結果、この製品はその製品コンセプトではリスクが許容できないという結論になった場合、幾つかの方法でその先に進んでいきます。1つはリスク評価を更に精緻化して、より詳細にリスクを評価するというやり方。それからもう1度製品のコンセプトを見直すというやり方。場合によっては、これは経済性との関係にもよりますけれども、製品の開発を中止するという流れです。

 9ページ目、リスク評価の精緻化をどのようにやっているかということを、ばく露の推算という面から御説明します。まず1、全量溶出を想定し、製品中から何がどのくらい溶出しているかを推定します。これは添加したものが全て溶出した場合という推定値ですので、基本的には実験を伴わないデスク上の仕事です。最大の溶出量はどのぐらいかということになります。これでリスクが許容できないということであれば、シミュレーションを使って移行量を予測します。これでもリスクが許容できないということであれば、最終的には溶出試験を行います。

 この3つの手法を選択しているのは、開発に関連する時間の関係です。1は机上の計算なので、長くても1日で溶出量を推算できる。3になりますと、実験を伴いますので、早くても2、3か月。化学物質の構造が特定できて、溶出量が決まるのに2~3か月の時間がかかりますので、開発の時間を短縮するために、手法を使い分けています。

10 ページ目、三井化学における食品包装材料の安全性評価の中で、リスク管理に関わる部分です。この図はサプライチェーンを表記していますが、樹脂原料の製造メーカー、樹脂材料製造メーカー、一次加工以下のメーカーと3つに分けています。まずは三井化学がモノマーを製造した場合、このモノマー自体は確認証明書というものがありませんので、納入仕様書、安全情報という形で川下に必要な情報を伝達していきます。

 樹脂材料製造メーカーとしての三井化学は、樹脂ペレット、樹脂製品を製造していますが、これに関してポジティブリストに収載されているものでしたら、ポリオレフィン等衛生協議会に確認証明書の申請をして確認証明書の発行を受けて、川下のメーカーにリスク管理に必要な情報を伝達していきます。三井化学では、安全性評価の結果得られた当社が実施すべきリスク管理項目を、製造管理、品質規格管理といった形で管理していきます。お客様のリスク管理に必要な情報は、確認証明書、納入仕様書、安全性情報という形でその情報を伝達しています。

11 ページ目、残りの時間でポジティブリスト法制化への意見を、幾つかお話させていただきます。この検討会で示されている論点ごとに分けました。論点1.「規制のあり方と目指すべき方向性」に関しては、2つの要望を出させていただきます。1つは業界自主基準に従い、 40 年以上にわたり、食品包装材料の安全性に努めてきました。従って、さらなる新たな負担は、できるだけ避ける方向で規制を設定していただきたいと考えます。もう1つは許認可の迅速化で、製品開発から市場に出すまでの時間は、国際競争力の非常に大きな要素です。認可申請から認可が下りるまでの時間をできるだけ短く設定していただけるというのは、製品開発にとっては非常に有り難いことです。

12 ページ目、続いて「規制のあり方と目指すべき方向性」という点ですが、国内企業のみならず、アウトサイダーに対して、また、海外からの輸入品に対しても同等の規制を設定していただきたいと考えています。これは食品包材のみならず、既に食品を包装している製品に対しても、同様の規制が必要であると考えています。もう1つは自主基準で現在カバーしきれていない対象があります。例えばリサイクル品です。それから機能性フィルムというものがありますが、こういう製品についてもやはり規制の対象としていく必要があると思っています。

13 ページ目、論点2のポジティブリスト制度を導入する場合の課題と対応という点で、これまでの業界の自主基準をベースとした添加量制限と確認証明制度の運用によるサプライチェーンを通じたリスク管理が必要であろうと考えます。ポジティブリスト制度導入に当たっては、安全性評価に基づき、物質ごとに添加量、使用温度、使用する食品などの性質に合わせた制限、ポジティブリストというものが設定されています。情報伝達については、確認証明制度を用いて、サプライチェーンを通じてリスク管理をしていく制度が望ましいと考えています。

14 ページ目、「ポジティブリスト制度を導入する場合の課題と対応」について、ポジティブリストに関連する情報伝達というところで、事業者間の CBI (コンフィデンシャル・ビジネス・インフォメーション)、事業上の秘匿方法が守秘される形で情報伝達をする仕組みが必須であると考えています。私どもモノマー、樹脂メーカーにとっては、その組成情報が事業を継続していく上での重要な秘匿情報になっています。秘匿を守りながら、サプライチェーン全体がリスク管理できるような情報伝達の仕組みを御一考いただけると、非常に有り難く思います。以上です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。樹脂メーカーの立場から、製品に対する安全性確保への取り組みについて御説明いただきました。ただいまの御説明に対して、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。まず、私から松江参考人にお伺いします。

11 ページ目、「ポリティブリスト化への意見・要望1」で、許認可の迅速化について、現在、早い場合には申請より2か月程度でポジティブリストに収載されるという内容がありますが、これは欧米のリストに既に登録されている物質のお話ですか。それとも、欧米に登録がなく、新たに日本で新規にリスク評価をする物質を含めて2か月程度で登録ができるということですか。

○松江参考人 欧米の認可をリファーする場合も含みますし、2つの変異原性試験と毒性試験を提出する場合でも、データが整っていれば2か月で許可が下りる場合があります。これはポリ衛協の場合ですが、 PL 専門委員会で審議いただいて、次の技術委員会で承認いただくという過程で最短の時間です。

○堀江座長代理 そうしますと、欧米等で登録を受けていない新規のものでも、最短の場合では2か月程度で審査が終了する物質もあるということでよろしいですか。

○松江参考人 はい、そのように理解しております。

○堀江座長代理 もう1つ、 13 ページ目、「ポジティブリスト化への意見・要望3」についてですが、最後の所に、「新たに溶出量規制を導入した場合、川下メーカーへの負担が大きい」ということが記載されておりますが、合成樹脂メーカーは、溶出量を基に添加量を管理するので、溶出量規制であっても、川上の合成樹脂メーカーの管理が重要と思います。

 川下への適切な情報が伝達されれば、川下メーカーの負担が必ずしも増えるとは思えませんが、合成樹脂メーカーとして、添加量規制と溶出量規制のメリットとデメリットについて、どのようにお考えですか。

○松江参考人 現在の業界自主基準による添加量制限では、製品のデザインを熟知している製造メーカーが、その使い方を決めていくというやり方になっていると理解しています。

 使い方は、1つはポジティブリストの中で、こういう食品に使ってくださいと、物質ごとに使い方が定められています。また確認証明制度については、使い方が川下に伝達されていく形になっています。製品をよく知る川上がリスクを評価し、管理の項目を決め、川下はそれに合わせてリスクを管理するという流れになっていると理解しています。製品の設計意図が、使い方に反映されていくと、これが添加量制限と考えます。

 一方で、溶出量制限でも、川上側の意図が反映されていきますが、最終的には製品から溶出されないという点で川下側が規制の対象となります。製溶出試験を川下メーカーが実施するケースが増えています。欧州のお客様からは、製品ごとの溶出量を求められるようになってきており、川下メーカー自身が溶出量の試験をしているケースが実際には増えてきています。ですから、川下側への負担は非常に大きくなるだろうと思います。

 サプライチェーンは通常、川下へと裾野が広がっていますので、非常に多くの川下メーカーが溶出量の試験をすることになると思います。併せて、川上メーカーへの情報提供の要求が非常に大きくなっています。何が入っているのか、どのくらい入っているのかといった情報を提供してほしいという要求が大きくなりますので、サプライチェーン間の情報のやり取りが非常に複雑になってきています。ここが今の自主基準の考え方ですと、川上から使い方の情報を流していきますので、非常にスムーズなやり方ではないかと考えます。

○堀江座長代理 ほかにいかがですか。

○伊藤構成員 先ほどの御説明の中に、海外比率が半分という御説明がありました。そのうち、特にアジア圏は 17 %となっておりますが、アジア圏はポジティブリスト制度を持っていない国が多いのではないかと理解しております。その際、ポジティブリストがあるほうが、見える化されているとは思うのですが、逆にポジティブリストがない国について、特段問題点は何かありますか。

○松江参考人 ポジティブリストがない国については、三井化学は先ほど御説明したように、企業理念に従って自ら安全性を評価していくというスタンスで、主にポリ衛協のポジティブリストになりますが、ポジティブリストのある国を参照し、製品の安全性を自ら担保しています。

 当然マーケットでは競争がありますので、自社だけが厳しくやっておりますと、なかなか競争には勝てないということで、やはり規制があることが公平な競争のベースになるのではないかと考えます。

○堀江座長代理 ほかにいかがですか。よろしいですか。

○小野構成員 安全性の評価ですが、添加量規制と溶出量規制で、 EU と米国では違いがあるのですが、三井化学さんの社内の評価は、やはり、 EU 向けと米国向けでは違うのですか。

○松江参考人 同じ製品については、一番厳しい所で合わせていく形にならざるを得ないというのが正直なところです。ですから、1つの製品について販売国をまず決めますので、その販売国に向けた基準に従ってやっていきますが、最終的にはその製品は世界中に展開していきますので、基本的には厳しい所でやらざるを得ない形になっていくと思います。

○小野構成員 分かりました。ありがとうございました。

○堀江座長代理 ほかにいかがですか。

○横田構成員 念のための確認ですが、同じ物質について、販売国を変えたり、使用法が変わる際には、試験をやり直しているのですか。

○松江参考人 変更管理という形でルールを持っております。使い方が変わった場合、原材料が変わった場合、原材料のサプライヤーが変わった場合、それから売る国が変わった場合、もう一度再評価しております。その際には、ゼロから全て始めるということではなく、何を管理していけばいいかという点についての再評価になります。

○堀江座長代理 ほかにどうですか。安全性評価のプロセスに関して重倉構成員にお伺いしたいのですが、ポリオレフィン等衛生協議会で行っている安全性評価というのは、大体、御説明していただいた内容と似たようなものですか。

○重倉構成員 そうですね。ここに三井化学さんで行っておられるように、私どもの評価もリスク評価です。即ちそのものの有害性と、そのものがどれほど人体に作用することになるのか、量とを見比べて、量が少ない場合には判断基準が若干緩いものを使いながら、量が多いものについては有害性についても深刻に見て、 TDI を評価して行うという意味において、リスク評価を行うという点は同じと考えていただいて結構です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。鬼武構成員と小倉構成員にお伺いします。ただいまの御説明で、 12 ページ目、ポジティブリスト化への意見・要望2の御説明がありましたが、アウトサイダーや輸入品にもポジティブリスト制度を適用すべきとの意見でしたが、ポジティブリスト制度を国の制度とすれば、当然、適用され、より安全性も高まると思いますが、国の制度化に対して、消費者側からの御意見等はいかがですか。

○小倉構成員 消費者としても、ポジティブリスト制度を国の制度にしていくということは、国際的に整合性をとるという意味でも重要ですし、当然のことだと考えます。

 前回のアウトサイダーのお話を伺っておりましても、不安に感じるような思いもいたしました。輸出品のみならず、輸入品に対しても、輸入品の安全性を確保するという意味でも、きちんと国の制度として取り組んでいくべきだと思います。

 また、この制度をきちんと進めていく上でも、ポジティブリスト制度を支える製造管理をきちんとやっていただきたいと思います。以上です。

○鬼武構成員  12 ページで今回の要望があります。私どもも後ほどの資料6で全体的な議論が最後にありますので、そこで再度意見を申し上げたいと考えている次第です。当然、現状はいわゆる自主的な業界、いろいろな業界が努力をされていると思います。自主規制から国際化に向けて、リスクアナリシスの原則に基づいて、日本の中にも食品衛生法の中で規制をすべきフレームワークといいますか、枠組みの中でこの規制も出てくるのだと理解しております。現時点は器具容器包装に関して、消費者にしても、いろいろな関係者の関心はそれほど高いものではないのですが、関心も含めてそういうことについて一般の方々へも、厚生労働省が認識して情報提供をした上で、こういう業界への自主規制がアウトサイダーなり、輸入品に対しても必要であることを認識してもらう。輸入品に対しては法規制になりましたら、当然 WTO 通報しますので、日本の法規制はこう変わるという理解の下に、多分海外からも意見が提出されることは当然あるでしょう。そういう国際化の中で、日本も欧米に引けを取らない規制の中で重要な役割があるのだろうと考えています。繰り返しになりますが、アウトサイダーなり、若しくは輸入品に対しても同等の規制が必要だと考えている次第です。以上です。

○堀江座長代理 ほかによろしいですか。続きまして、合成樹脂に機能性等を付与するために必要となる、いわゆる添加剤の製造を行っておられる可塑剤工業会の柳瀬参考人及び森野参考人より、資料3に基づいて御説明をお願いいたします。

○柳瀬参考人 それでは、可塑剤工業会よりヒアリングにお答えいたします。

1ページ目、可塑剤工業会の概要です。 1957 年に設立しております。目的としては、可塑剤工業の健全なる発展と書いてありますが、もっぱら、事業内容としては、ここ 20 年ばかり、(1)可塑剤工業に関する環境、安全に係わる諸問題の調査・研究並びに対策及びその推進を主に行っております。

 2ページ目、私ども JPIA の会員の8社あります。赤色で田岡化学工業株式会社と書いてありますが、食品関連での可塑剤を製造販売しておられますので、後ほど田岡化学工業様からお話があると思います。

 3ページ目、私どもの組織ですが、真ん中の技術部会、フタレート部会、アジペート部会、広報部会が部会として活動しております。月に1回環境委員会を設けて、いろいろな活動の方針を議論しております。

 4ページ目、可塑剤はほとんどがエステル系の化合物です。エステルと申しますのは、各種の酸と、各種のアルコールとの合成でできるものです。どのような酸を使うか、どのようなアルコールを使うかということで多種多用な可塑剤があります。

 5ページ目、これはウィキペディアから引用したのですが、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、これはアマニ油や大豆油等をエポキシ化したものです。こういったものも可塑剤としても使われております。それとセバシン酸エステルということです。この場でお話させていただくのはアジピン酸系、クエン酸エステル、セバシン酸エステルということで、後ほどお話させていただきます。

 6ページ目、可塑剤工業会で最も取扱いが多い可塑剤がフタル酸エステルです。 1955 年からフタル酸エステルの生産量の推移ということで統計資料を出しております。 DOP という炭素数が8個のものが、今、日本で一番よく使われております。下側の濃い青色で示したものです。

 トータルで言いますと、最盛期には 45 万トン生産されておりましたが、現在ではトータルで大体 20 万トンということです。その構成比は年代が変わっても、やはり DOP が大体6割、 DINP 、これは炭素数が9のものですが、大体3割、あとはその他の物質です。

 7ページ目、先ほど申し上げましたが、可塑剤工業会、私どもはヨーロッパで否応ないフタル酸エステルの攻撃がなされておりますので、ほとんどの活動がこの対応に追われております。中国、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカにおいて、フタル酸エステルの安全性を説いて回っております。

 8ページ目、これは 2012 年の VEC さんからの統計資料です。可塑化する樹脂は、ほとんどがポリ塩化ビニルで、 2012 年は国内では 100 万トンのポリ塩化ビニルの市場でしたが、その中の 45 %が可塑剤を入れて柔らかくして使用するというものです。そのときに使用する可塑剤の種類を、右上の円グラフで書いておりますが、8割方がフタル酸エステル、リン酸系のエステルが 12 %、赤で書いてあるアジペート系が6%、エポキシ系は4%ということです。

 9ページ目、1つのフタル酸エステルの用途別使用割合ということで、 2015 年のデータを示しております。これは DEHP DOP )、炭素数が8つのフタル酸エステルについての統計です。一番多いのが、床剤、壁紙、フィルム・シート、電線の被覆用途とか、ホース、ガスケット、塗料、レザー、履物等ありますが、食品用途では、私どもの認識では、現在国内ではほとんど使用されていないということです。

10 ページ目、フタル酸エステルというのは非常に歴史の古い可塑剤です。3年ぐらい前に新規のフタル酸エステルが製造販売されることになり、私どもの会員の新日本理化株式会社から上市されております。その際に、塩ビ食品衛生協議会のポジティブリストの申請を行い、確認証明書まで頂いております。そのときの状況を少し、実際こうであったということをここではまとめております。

 申請から確認証明書と書いておりますが、これは新規のフタル酸エステルですので、ポジティブリストの登録の申請から、ポジティブリストに登録されたところまで、これが大体 11.5 か月ということです。登録がなってから確認証明書を頂くまでが約2週間ということでした。ほぼ1年ということですが、これは実際に行う毒性試験の項目によって異なるものですから、ケースバイケースと考えればいいと思います。この場合はそういうことであったと御理解いただければと思います。費用は塩食協さんに数万円。あとこの場合は毒性試験に約 2,000 万円かかっています。変異原性が2種ありますが、これで 50 万円。これで問題なしということでしたので、 90 日間の亜慢性げっ歯類を使った実験を行い、これが約 1,950 万円かかっております。これは溶出量が 50ppb 以上という塩食協さんのスキームに従って行った安全試験及び費用と期間です。

 実際、この物質を営業マンが売って歩いたわけですが、そのときのつぶやきとして幾つか書いております。1つは、登録時、安全性試験にそれ相応の費用がかかるということですので、かなり腹をくくってやらなければいけないということもあります。

 2番目に、少しわがままですが、諸外国のポジティブリストへのリンクが張ってあれば、いろいろ便利ということがありました。どこに行っても、やはり諸外国の状況を教えてほしいということが言われるようです。

 3番目は、このポジティブリストには CAS ナンバーが書いてありますので、2番目とは裏腹ですが、この CAS ナンバーから各国の状況を調べることができて非常に便利だったということを言っております。

 4番目に、今申し上げたのは塩ビ食品衛生協議会ですが、各協議会の会員のみがポジティブリストを確認したり、また利用したりすることができるということで、 2,000 万円出した企業側からは守られている感があって良かったということを言っております。

 化学物質がポジティブリストに登録されていることで、材料選定について、お客さんから好感を持って選定されやすい環境にあるということです。

 もう1つ、東南アジアのほうにもマーケティングに行っているわけですが、アジア圏では化学物質が日本の業界団体のポジティブリストに掲載されているということで、先方の材料選定上、 JAPAN が優位になる場合があるということを実感したと言っております。

 以下、田岡化学の森野参考人にお願いいたします。

○森野参考人 ここからは私森野が説明させていただきます。

11 ページ目、可塑剤工業会ではホームページにて SDS を公開しております。

12 ページ目、私は可塑剤工業会のアジペート部会長を務めております。所属は田岡化学です。時間がありませんので、非常に簡単に解説、説明させていただきます。

 弊社は、住友化学の子会社です。昨年度の売上は 209 億円です。先ほど三井化学さんが1兆 5,500 億円とありましたが、私どもは2桁低い売り上げになります。

13 ページ目、弊社の紹介ですが、古くからアルキルフェノール、合成フェノールとか合成クレゾールを製造しております。また 1961 年から、瞬間接着剤(シアノボンド ® )を製造・販売しております。世の中で有名なブランドもあり、弊社は、余り名前は売れていないのですが、全く同じ品質の瞬間接着剤を同規模で製造・販売しております。

14 ページ目、詳細説明は省略させていただきます。弊社は現在数多くのマルチプラントを保有しており、ファインケミカルの分野を中心に売り上げが非常に伸びております。

15 ページ目、弊社の可塑剤の歴史ですが、 14 ページにありますように、 2000 年に三建化工と合併しております。三建化工がもともと可塑剤を製造・販売しておりました。その歴史は、簡単には次のとおりです。

1949 年に三建化工にて DOP (ジオクチルフタレート)の国産化検討を行い、当時、オクタノールが入手できない状況があり、自製を試みましたが難航していたところ、現 JNC さんが国産化に成功し、それを使って日本で初めて DOP を上市したというのが田岡化学の可塑剤の歴史です。その後、いろいろバリエーションを増やして参りました。

16 ページ目、これは省略させていただきますが、弊社の化成品部門において可塑剤を販売しております。

17 ページ目、これはホームページのコピーで、ここに記載されているのが弊社が販売している可塑剤の一覧になります。製品名の最後に A が付いているのが、アジピン酸系です。 S が付いているのが、セバシン酸系です。 ATBC と書いておりますのが、クエン酸系です。この3種類が主に食品包装用の可塑剤として使われております。弊社は川上に位置し、可塑剤を作っております。先ほど御発表がありました三井化学様が我々のユーザーの位置付けになります。

18 ページ目、これは省略いたします。

19 ページ目、弊社の食品包装用可塑剤の登録状況を申し上げます。当社製品については、食品包装用に使われている可塑剤は全て一番上の塩ビ食品衛生協議会のポジティブリストに掲載されております。これは当社だけの特殊事情かもしれません。その中で、塩化ビニリデンやオレフィンに使われるものは、個別にまた塩化ビニデン衛生協議会やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されている状況です。

20 ページ目、これは塩ビ食品衛生協議会の自主基準ですが、以前、この検討会で御説明がなされているということで省略させていただきます。

21 ページ目、これも同じく評価方法です。これも塩ビ食品衛生協議会の評価方法ですので、省略させていただきます。ただ、先ほどありましたように、試験を毒性試験に進めるかどうかは、移行量が 50ppb を上回るか下回るかということで決めるというところです。

22 ページ目、これが新規物質の評価方法のフローです。変異原性と毒性試験のフローになっております。先ほど柳瀬参考人からありましたように、変異原性試験を経て、毒性試験を行うというフローにて最終的に適合という形になります。

23 ページ目、最近塩ビ食品衛生協議会に登録された新規の登録品の一部です。これは見ていただければということで説明は省略させていただきます。

24 ページ目、確認証明書です。これも以前の検討会で説明されておりますので省略いたします。

25 ページ目以降は、当社の状況を述べます。

 冒頭でありましたように、可塑剤工業会は8社からなっておりますが、田岡化学のみが主に食品包装用の可塑剤を作っておりまして、私は可塑剤工業会の代表で本日コメントを述べさせていただきますが、私のコメントは田岡化学の状況で業界や可塑剤工業会全体を代表していないことを御理解いただければと思います。

25 ページ目、事業者にとってのメリットです。これは確認証明書を受け取るときに、その製品名でも商品名でも発行できます。新しく開発した配合成分や比率というのは企業秘密で、やはり、川下ユーザーさんには知られたくない事情がありますので、この部分を開示することなく適合証明、確認証明書が受け取れ適合していることが証明できることがメリットです。

26 ページ目、弊社の品質管理の状況を述べさせていただきます。製造ロット毎に工程管理をしております。さらに、製品は出荷ロット毎に規格分析を実施しております。これは顧客様との間に取決めをした規格です。3つ目ですが、食品包装用可塑剤以外の化学品との設備・ライン・輸送ローリの共用は弊社ではしておりません。よって、他の化学品が混合することはないと考えております。このような対応を取って、非常に注意を払って、製造・運搬を行っております。

27 ページ目、品質管理2です。弊社は化学会社ですので、 ISO の基準で管理しております。さらに顧客要望の規格があり、仕様書も締結しております。顧客様からはそれ以上のニーズを求められることがありますので、それは個別に更にプラスという形で受け入れております。特に食品包装材料のユーザー様は査察によく来られ、顧客査察も常時受けておりますので、その都度弊社の品質管理を確認していただいております。

 あと混入防止対策としまして、幸いなことに、弊社の製造している可塑剤は全て常温で液体ですので、充填前にフィルターでろ過できます。よって、細かい異物、固体のものはろ過して取り除いております。

28 ページ目、情報伝達です。確認証明書については、衛生協議会のポジティブリスト収載物質のみしか含有していない証明です。ですので、それ以外のものは、我々の製品には入っていないということを、この1枚で証明できて非常に利便性が高いと思います。ただ、確認証明書は単に証明するのみですので、通常、情報伝達として SDS も用いて情報伝達を行っております。この SDS にはポジティブリストの登録の基準となった安全性データは全て記載しております。 11 ページで可塑剤工業会として、 SDS を公開していると申し上げましたが、その SDS の内容に関しては、可塑剤工業会にて毒性データを独自に審査して、しっかりと評価したものだけを載せております。我々のようなメーカーは、それに準じて SDS を作成しております。さらにプラスアルファとして、当社独自に調査した安全性データも追加して、川下のユーザー様に情報伝達を行っております。

29 ページ目、これが可塑剤工業会のアジペート系可塑剤の SDS です。この中には毒性データ、変異原性、特定標的毒性ばく露値、水生環境毒性値等、非常に詳細な毒性データが記載されております。これはサプライチェーンにも、ホームページ上でも公開しております。

30 ページ目、最後ですが、要望を申し上げたいと思います。1点目はここに書いておらないのですが、三井化学様と同じで、アウトサイダーにも同様の規制をかけていただき、やはり、公平な競争をうながしていただきたいのが、我々メーカーの希望です。2つ目はここに書いてあるように、これも三井化学様と同じですが、添加量での管理が望ましいと考えます。その理由として、製造メーカーとしては、添加量管理ですと、仕込んだ段階でもうこれが基準に達しているということが分かります。そうでないと、お客様、川下ユーザー様のほうで、製品の溶出量試験をしていただかないと、本当に基準をクリアできるかというのは分かりません。また川下ユーザー様の問題かもしれませんが、川下ユーザー様がいろいろ試行錯誤される中で、毎回溶出量試験をされるとなると非常に大変な労力になります。それを入口で管理出来るとなると、非常に経済的で利便性があると思っております。我々製造メーカーにとっても、製造を開始した時点で、全体の中の含有量が分かるということは非常に利便性があります。

 歴史的背景を言いますと、現在添加量規制で基準が決まっている理由は、当時唯一存在した FDA の考え方であった、添加量規制を塩ビ食品衛生協議会が自主規制に採用し、その四半世紀後に EU が溶出量規制を採用という時系列になっております。日本では、添加量規制で約 50 年の運用実績があり、現在の制限値もワーストケースを想定しており、 50 年の間、何の問題もなく運用できていると聞いております。以上です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。限られた時間で、だいぶお急ぎになったと思いますが、ありがとうございました。添加剤製造メーカーの立場から、その種類や用途、安全性確認に関します取り組みについて御説明いただきました。ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○野田構成員 御説明ありがとうございました。柳瀬参考人に1点質問させてください。 10 ページの営業マンさんのつぶやきという中で、「各協議会の会員のみがポジティブリストを確認(利用)できる」ということで、守られている感があるということでしたが、これは会員さんだけが見ることで、何かが守られるということなのでしょうか。それとも、後ほどの確認証明書のところにつながる内容になるのでしょうか。教えてください。

○柳瀬参考人 これは、ポジティブリストに載っている、載っていないというところを言っているわけですが、それが見られる、確認できるというような意味合いです。

○野田構成員 お付き合いのある方がそれを確認できるので、説明が省けるということですか。

○柳瀬参考人 はい、そういうことです。

○野田構成員 ありがとうございました。

○柳瀬参考人 それと、もう1つは、結構投資もしておりますので、そのところも意識しての発言かもしれません。

○野田構成員 例えばポジティブリストが他の方に見られるのが嫌だということではないのですか。

○柳瀬参考人 そうではないです。

○野田構成員 はい、ありがとうございました。

○堀江座長代理 続いて森田構成員、お願いいたします。

○森田構成員 御説明をどうもありがとうございました。やはり 10 ページについて質問させていただきたいのですが、ここで申請から確認証明書の発行の期間まで、約 12 か月とあります。この 12 か月というのは欧米のリストに登録されている物質の場合のお話なのかということを確認させていただきたいのと、先ほどの三井化学さんの御説明だと2か月とございました。随分 12 か月と2か月だとお話も違いますし、ポリオレフィン等衛生協議会のときは2か月で、塩ビ食品衛生協議会だと 12 か月なのか、そこら辺がちょっとよく分からないので教えていただければと思います。

○柳瀬参考人 これは全く新しいフタル酸エステルでしたので、欧米等には登録されていないものです。全く新しい物質です。それと期間ですが、三井化学さんの発表ではデータとかがそろっていればということもおっしゃっておられたと思います。一緒かどうかということよりも、むしろこのケースは変異原性2種と 90 日間の亜慢性試験というのをやりましたので、試験だけでも多分4か月や5か月かかるということでございます。ですから、試験項目にもよるとお考えいただければと思います。試験期間を短くしようと思えば、先ほどおっしゃられましたが、溶出量の程度を想定して、早めに試験をやっておくとかということをすれば、時間の短縮というのはできるのかなと思います。

 これは1例を示しているわけなのです。実際にあった事例を示しているわけなのですが、実際の試験というのは申請してから行っております。試験の内容として安全性試験を行っておりますので、段取りとしてはちょっと悪かったのかもしれません。試験期間を含めてということです。

○森田構成員 ケースバイケースということなのですね。

○重倉構成員 今の点、補足させていただきます。先ほど2か月と申し上げましたのは、全てのデータがそろっている場合のことでして、溶出量の度合いについては既に測定済みであり、その後、それに応じての変異原性試験、亜慢性毒性試験など、全て終えてから申請を行い、そのとおりになっているねということの確認プロセスと、私どもの協議会の中で行っていくスタイルの場合、2か月だという話です。

 もう1つ、これは大変恐縮なのですが、塩ビ食品衛生協議会とポリオレフィン等衛生協議会での若干の差なのです。扱っている樹脂数も多いというようなことがあって、実はポジティブリストの公開が私どもでは毎月のようにありますということをお話していますが、塩ビ食品衛生協議会のポジティブリストの公開はそれほどの頻度ではないという状況があります。そうした作業のスケジューリングの都合などもあって、私どものほうは大変短くなっているというのが実態だろうと思います。作業のサイクルを待たなければならないというような事情もあって、恐らく 12 か月かけられてしまったということなのかなと思います。

○柳瀬参考人 そうですね、塩ビ食品衛生協議会に申請したときに、 PL 委員会で議論していただくわけなのですが、今おっしゃったように、開催頻度が2か月に1回でしたので、それに間に合わないと最短でも2か月延びてしまうことがあります。

○森田構成員 あと、もう1点よろしいでしょうか。フタル酸エステルはやはり消費者の関心がすごく高い物質でありまして、新規のフタル酸エステルがこのように次々と開発されて、今回のようにポジティブリストに収載するためにいろいろと試験をされればいいわけですが、そうではない、これから開発される化学物質、新しい新規フタル酸エステルがまた出てくるのかもしれないのです。新規に開発される物質に関しても、きちんと塩ビ食品衛生協議会でやっておられればいいわけですが、そうではないものが入ってきたときに、ポジティブリスト制度があることは、業界にとってもすごくいいことだと思うのです。消費者ももちろん守られますし、業界にとっても守られると考えるのですが、いかがでしょうか。

○柳瀬参考人 そのとおりだと思います。先ほどおっしゃったように、今はリスクベースで評価されるということですので、 TDI やばく露量との比較で安全に使用できるということが分かって使用する、そういう使用の仕方をしていくことに尽きると思います。

○森田構成員 今、ここに書いてあるような協議会の会員のみがポジティブリストを確認できるとあるので、その安全性が優位性ということで見られるのですが、消費者にとってはやはり全て守られてほしいといいますか、そういう思いがあるということです。

○柳瀬参考人 そうですね。特に国の法律になるのであれば、当然フェアでなければいけませんから、いろいろ知恵を出してやっていかれるのだと確信をしております。

○森田構成員 ありがとうございました。

○堀江座長代理 中嶋構成員、お願いします。

○中嶋構成員 御説明ありがとうございました。 30 ページについて御質問がございます。添加量での管理が望ましいということですが、物質の種類と上限量という形で制限が決まるかと思うのです。その上限が外れた場合に、更に機能の開発が進むとか、より好ましい物性のものができるかといったようなことがあるかと思うのですが、一方でこの上限があるがゆえに、開発に制約を受ける事例があるかどうかについて教えてください。

○森野参考人 まず、私どもの立場は可塑剤を作っているメーカーで、製品の機能ということは我々のユーザー様の方になりますので、それが広がるかどうかというのは分かりませんが、推察するに広がる可能性はあるかと思います。ただ、それは当然ながら、安全性を踏まえてのものですから、上限を外すというのは、よほど議論をされてから外されたほうがいいかと思います。ただ、きっちり議論された中で、問題なく外すのであれば、かなり広がるかと思います。我々も食品ラップ用に出しておりますが、結構制限があり、もう少し入れたいのだけれども、これまでしか入れられない。もう少し入れるともっと柔軟性が付与できるのだけれども、というニーズはございます。よって、自主規制で制限がかかっておりますので、これは私どもではなくて、川下のユーザー様でここまでしか入れられないのでここまでの柔軟性しか付与できないという状況にとどまっている製品はございます。そういう意味では、上限値を適切に上げることができれば、新たな商品展開ができるとは考えられます。

○中嶋構成員 三井化学さんにも同じような状況があるかなと思うのです。もし、制限を溶出量にもってくると、今の上限がクリアできるとか、その用途ごとにリスクに応じて内容物を制限したり、条件に応じて溶出量にしたりすると比較的開発の広がりが出てくる可能性があるかと思うのですが、それを踏まえた上でも、やはり添加量規制が望ましいという理解でよろしいのかどうかを教えてください。

○松江参考人 今の御質問について、上限があるということに関しましては、先ほど田岡化学工業さんから御説明がありましたように、物質を無限大に使えないという点で、使い方に制限が出てくると思います。製品設計の段階で安全性を踏まえることは非常に重要ですので、上限があることは機能にとっての制限という観点では捉えていません。

 溶出量の制限になりますと、最終的には出なければよいという考え方になりますので、開発の幅を広げるのではないかという御意見と思うのですが、実際には川上側で製品設計ができるという点で、添加量制限というのは川上企業にとってはやりやすいと考えています。ある範囲の中でより機能を発揮する添加剤を安全性の基準に基づき作っていくという、我々がイニシアティブを取れる点では非常にやりやすい。溶出量制限になりますと、川下からのリクエストに応えていくという川下側での評価が必ず必要になりますので、製品開発に非常に時間がかかってくるのではないかと考えています。

○中嶋構成員 ありがとうございました。

○堀江座長代理 ありがとうございました。時間に限りがありますので、全ての参考人の御説明が終わった後に、議論の時間を設けさせていただきます。次の議題に移らせていただきます。

 続きまして、本検討会ではポジティブリスト制度を適用する場合、どのような材質を対象とするのかを論点として、いろいろ議論しています。器具・容器包装の材質としまして、金属や紙も使用されています。そこで、本日は日本製缶協会の中田参考人と、日本製紙連合会の佐藤参考人、中川参考人においでいただいておりますので、資料4と5に基づきまして、食品安全上の取り組みやポジティブリスト制度化に対する御意見等について御説明をお願いしたいと思います。説明は連続でお願いし、その後、御質問、御意見をお伺いしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

○中田参考人 御紹介いただきました日本製缶協会の中田でございます。よろしくお願いいたします。お手元の資料4に基づきまして御説明をさせていただきます。内容としましては、私どもの協会の概要、食品安全への取り組み、食品缶詰用金属容器に関する衛生基準、ポジティブリスト法制化への意見・要望という形でお話をさせていただきます。

3ページ目、協会の概要についてです。設立は昭和 33 年です。食品缶詰用空缶を製造する会社が、輸出振興のため及び安心安全の担保のために設立をしております。会員は、正会員である製缶会社7社と賛助会員である鉄鋼鋼材メーカー3社とアルミ缶製缶会社4社からなっております。当協会の設立がスチールの缶詰の時代でしたので、スチールをメインとする正会員から成り立っています。

 活動としましては、後ほどお話申し上げますが、各種連絡会を通じた行政及び各種業界団体との円滑な連携。同じく、業界共通の品質問題・衛生問題・環境問題への対応。各社からの申告を元にした業界動向の把握・発信。缶詰製品の普及・啓蒙活動。業界に関連する法規への対応、例えば食品表示法改定に伴う表示関係の問題ですとか、食品衛生法対応、容器リサイクル法対応等が昨今のお話です。

 4ページ目、続きまして容器包装における 3R の推進が当協会の大きな活動の1つです。スチール缶リサイクル協会による 3R 、主にリサイクルの推進活動への協力、当協会独自に各社のリデュース活動の取りまとめ報告等を行っております。また、金属缶の標準化として、食品缶詰用金属缶 JIS z 1571 の制定及び定期的な見直しを行っております。

 衛生問題への対応としましては、金属缶を製造するための自主基準として、ポジティブリスト及び衛生試験法の制定を行っており、第4版として平成 24 年度に改定を行っております。また、金属缶に関する技術資料の作成ということで、日本缶詰びん詰レトルト食品協会との共著で「缶詰用金属缶と二重巻締」という教本を刊行しております。

 その下が当協会の組織図です。上から業務連絡会、品質連絡会、衛生問題連絡会、環境対応連絡会、アルミ缶連絡会といったような形で、各種の連絡会を随時開催しております。

 5ページ目、統計資料です。統計資料については1と2の2つに分かれておりまして、1が食品缶詰、2が飲料用の缶詰とお考えください。1の食品缶詰の国内生産量と国内消費量の推移です。国内の消費量については横ばいと言いますか、微減で推移しておりますが、国内の生産量については輸出の衰退、国内資源の減少、加工食品は中食に国内原料が回ったことから、原料が減っているということもありまして、輸出が減ってきております。それに伴い、逆転する形で輸入が増大しております。輸入については主に低価格で、皆様のお目に留まる中にありましては、ツナであったり、フルーツの缶詰といったものが、主に東南アジア、中国から輸入されているところです。

 6ページ目、統計資料2です。これについて、飲料の缶詰の市場は主にコーヒーです。コーヒー市場全体は伸びていますが、飲料缶は減っております。と言いますのは、低価格のコーヒーチェーン店ですとか、コンビニのコーヒー、 PET のような他容器への移行等もありまして、ある時期大きく減りまして、その後、微減ということで推移しております。

 7ページ目、食品安全への取り組み、先ほどお話申し上げました「食品缶詰用金属容器に関する衛生基準第4版」を発行しております。こちらにありますのがその原本です。第1版は 1978 年に発行しまして、第4版まで更新を続けてきています。なお、この中にありますポジティブリストの対象としましては、8ページに記載していますので、御覧ください。

 9ページ目、当協会の食品安全への取り組みです。食品缶詰用金属容器に関する衛生基準ということで、趣旨は食品缶詰用金属容器の製造に用いられる原材料を衛生上の見地から自主的に規制し、金属容器としての形態で衛生試験に合格することと定めております。目的としては、食品缶詰用金属容器材料の適正化を図り、食品缶詰の衛生的安定性を保持すること。範囲としては、食品缶詰用金属容器全てです。内容としては、容器は厚生省告示 370 号、乳等省令に適合すること。原材料も同様で、プラスして自主的な制限を加えることです。また、容器としての運用としては、食品衛生法に基づく規格基準の試験を行い、証明書を発行しております。

10 ページ目、原材料の自主的な制限の考え方ですが、金属材に関しましては、スチール、アルミ、はんだ等がありますが、これらは JIS を参照にする形になっておりまして、例えばすず地金のように組成の規格がある場合には、その規格を遵守しております。コーティング、密封材については諸外国の食品容器包装の規格基準、主に米国の連邦規則集ですが、これらを参照しながら、我々はやってきているところです。

11 ページ目、最後にポジティブリスト制度化への意見・要望ですが、合成樹脂のポジティブリスト制度化に関しては、当協会としては従来どおりの国内自主規制や米国 FDA 規制と同様の規制を継続していただくよう、要望いたします。また、缶の金属材料については、現在の告示 370 号、乳等省令では重金属(ヒ素、カドミウム、鉛など)を規制しており、今後も有害な物質を規制するネガティブリスト管理がよろしいのではないかと考えております。以上です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。それでは続きまして日本製紙連合会の佐藤参考人、中川参考人、よろしくお願いいたします。

○中川参考人 日本製紙連合会です。まず、資料の2ページ目を御覧ください。私どもの設立は 1972 年です。この頃、紙、パルプ材、板紙などいろいろ分かれていましたが、板紙を合わせて統合したものが 1972 年です。目的については、紙パルプ製造業の健全な発展を図るということになっていまして、会員相互の意見や情報の交換、それから製造に関わる内外調査や研究、統計の収集や作成、広報活動、官庁や関係団体の連絡並びに交渉、その他の目的ということです。正会員は 33 社、中小の団体会員も6団体あります。それ以外の紙パルプ関係の資材等の会員が 47 社です。

 3ページ目、紙パルプ産業が循環型産業ということを示しております。ここにありますように、植林等もやります。木は御存知のように自然に生えてくる場合もありますが、植林を繰り返すことによって資源としてはとにかく循環します。それから木材も、例えば製材に使ったもので要らなくなったものを持ってきて、紙を作る形になっています。この中で、燃料についても、例えば黒液というような廃液を燃やすことによってエネルギーも循環しています。使い終わった紙も、リサイクルで循環しています。

 4ページ目、木材からその繊維分を取り出すところを図示しています。基本的に紙は木材の木質繊維を取り出して、こういったシート状の紙にするということです。

 5ページ目、紙の生産量の推移を示しています。上のグラフはグリーンのところが薄手の紙、ピンクのところが厚手の板紙です。見ていただくとお分かりのように、 2008 年のリーマンショックを契機に、特に紙については微減傾向が続いています。板紙については一旦減りましたが、どちらかというと堅調に推移しております。これは、例えば宅配便がありますので、物流関係のものとしてはそんなに落ちてないという形になります。

 6ページ目、私どもの原料調達です。特徴的なのは、特に古紙の利用割合が高いところです。ここにありますように、約 64 %が古紙を使う形になっています。

 7ページ目、古紙を使うことによります古紙パルプと、最初から木材の木質繊維から作る機械パルプと化学パルプ、大きく3つの作り方があります。図にありますように、8、9ページに大体のことが書いてありますので御覧ください。

10 ページ目、更に紙という製品にするための工程です。この工程で、例えば薬品を途中で添加する内添と、後から塗布する外添に分かれる形になります。

11 12 ページ目、代表的な紙製容器包装の PCR から取ってきました。これで分かりますように、私どもとしては「紙製容器」と言った場合は、一番川上の素材の提供の形になります。その後、加工工程で、例えばラミネートとか印刷とか打抜きとか、その後の容器加工がありますので、とにかくいろいろな紙製容器があるのを御覧ください。

13 ページ目、先ほどの容器包装のプロセスが複雑多種ありますので、大体まとめるとこのような感じになります。まず、原紙の段階、要するに板や板紙を製造する段階です。それを加工する印刷加工、ラミネートしたり、樹脂を塗ったりします。それを更に容器に成型する形になります。

14 ページ目、紙製食品容器の規模です。データが古いですが、基本的にはそう変わっておりません。容器包装全体が 2,000 万トン強ありますが、その半分以上が紙製容器です。ただし、ここにありますように紙製容器は直接食品に接触する使い方は割と少なく、例えば段ボール包装のような間接包装が圧倒的に多い形になっています。ピンクのところで書いてありますように、牛乳パックなど御家庭であるかと思いますが、これは樹脂をラミネートしていますので、それを除きますと、せいぜい 5,000 トンから2万トン弱ぐらいの量が直接食品に接触する使い方です。

15 ページ目、紙の用途と品質です。紙の一番の特徴としては、先ほど言いましたように、木質繊維ですので結構安価に国内でも入手できます。それから加工がしやすいこともあります。ただ、一方では水に弱いということがありますので、牛乳パックや紙コップなどはラミネートして、水に濡れても大丈夫なように加工しています。関係するところを赤で付けていますが、包装用のものや段ボール、紙器用板紙など、大体紙の中で包装用に使われるものです。

16 ページ目、主な薬品です。中間段階のパルプの工程や抄紙工程、更に環境整備に使うものもあります。紙に機能を持たせるために、はっ水剤や耐油剤といったものがあります。

17 ページ目、これから衛生問題に入ります。紙製容器の衛生問題が出たのは、環境ホルモンの問題があるということで、平成 15 年ぐらいに報道がありました。この頃、古紙を使うこともありますので、ビスフェノールやミヒラーズケトンが検出されたということです。ただし、これについては溶出の恐れはミスリードというか、誤報に近いようなところがありました。試験をしてみれば出たのですが、それが本当に食品に移行することはないと、当時の厚労省から国会等でも出ています。ただし、環境ホルモンの問題が消費者でかなり問題になったのがこの頃であることは間違いありません。

18 ページ目、私どもとしては技術環境部会の中の環境保全委員会で、化学物質のための小委員会を設置し、食品用紙製容器の安全性についての問題を検討しています。厚生労働科学研究もほぼ同時ぐらいに始まっています。私どもの取り組みと厚労省の科学研究はほぼ同じようなことをやっており、市中の紙製容器包装の利用実態やサンプル収集、その実態の調査、海外のポジティブリスト等の状況調査、それから原料の衛生管理状態の調査などです。それもありまして、平成 19 年に自主基準を制定し、同年 10 月から施行しています。

19 ページ目、制定された自主基準の概要です。簡単に申し上げますと、先ほど申し上げたように、食品に接触することを意図していますので、特に古紙を使った場合はいろいろな製造段階でも配慮するという形になります。ただ、自主基準の内容としては、まず汚染の度合いを見るために重金属の鉛の量で表すという形で作っています。基本的にはネガティブリスト管理をするということです。更に詳しい内容が 20 21 ページにあります。アルミやフィルムのものについては除くということです。

22 ページ目、厚労省から出た規格基準です。ここでも、特に古紙について配慮しなければいけないので、紙中の水分又は油分が著しく増加する用途とか、長時間の加熱用途については古紙を使ってはならないという新規格基準が出来ております。

23 ページ目、サンプル調査で、これは毎年やっております。

24 ページ目、化学物質の登録についてです。 2011 年の段階で、全部の化学物質をデーターベースに登録する形になっています。それから新規のものについても有害性やばく露条件を添えて登録申請し、チェックする形になっています。

25 ページ目、その後のポジティブリストについてです。暫定ポジティブリストも、やはり作らなくてはいけないということで、 2015 年ぐらいから作業を開始しました。登録されていたものを少し分類し直さなくてはいけないということで、水性・油性食品と乾燥食品、それ以外の間接接触、使用方法についても、紙に残る可能性のある物と工程で使う物というように分けました。

26 ページ目、その段階で出て来た課題としては、まずポジティブリストを作るための配合量や、サプライヤーの機密事項ためにリスク評価がなかなかできないということもあります。また、化学物質の食品の移行量を把握する手法の検討が必要です。サプライチェーンの情報共有も必要ということを書いています。

27 ページ目、これから意見です。私どもとしては先ほど申し上げましたように、最終製品に近い業界とコミュニケーションし、サプライチェーンで情報共有しなくては管理ができないということ。それから時間をかけてポジティブリスト制度を導入していただきたいということ。私どももこれまでもいろいろな取り組みをしていますが、それをやはり生かすような形にしていただき、過度な負担にならないようにしていただきたい。以上です。

○堀江座長代理 ありがとうございました。金属や紙を材料とする容器製造者の立場から、食品の安全性確保に関することを含めて御説明していただきました。ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 私から松井構成員と小野構成員に伺いたいのですが、合成樹脂加工の金属缶や紙容器は、仮に合成樹脂をポジティブリスト化した場合、使用される合成樹脂が規制の対象となりますが、本体の金属や紙は、現在ネガティブリスト規制です。金属や紙は諸外国でもその規制方法が整合しておりませんが、ポジティブリスト化への優先順位について、どのようにお考えか。松井構成員、小野構成員、御意見をいただければと思います。

○松井構成員 まず、金属缶ですが、日本製缶協会様の説明にありましたように、金属缶というのはコーティングの部分と、金属材、基材の部分とあります。コーティングについては、密封剤も含みますが、既に米国の FDA ベースで作られておりますので、ポジティブリスト化への移行はそれをベースにされるのであればスムーズにいくのかなというところがあります。ただ、金属材料に関しては、日本製缶協会様の資料の最後の要望にありましたように、基本、ネガティブリスト、重金属の規制、ヒ素、カドミウム、鉛の規制になっており、何をもってポジティブリストの優先順位とするのかというのもあるのですが、何を管理するかという意味では、材質によってはポジティブリストではなくて、ネガティブリストといったことも検討しなければいけないかとは考えます。ポジティブリストとネガティブリストを使い分けするか、場合によっては併用するといった考え方も必要になってくるのではないかと思います。

○堀江座長代理 それでは小野構成員、いかがですか。

○小野構成員 乳容器で紙は非常に多く使っているのですが、先ほどの日本製紙連合会さんのお話でもありましたように、紙パックは基本的にコーティングがされております。ですから、どこまで規制するかということで、これは広ければ広いほど安心できると思うのです。優先順位の問題になると思うのですが、差し当たってどこまで管理ということになると、やはり紙よりもプラスチックの管理が優先されるべきだと考えております。金属に関してもやはりコーティングされたものを使っております。金属の詳細については、私は分からないのですが、恐らくリストできっちり組成がある程度決まっていると思いますので、金属の管理に関してはネガティブリストでいいのではないかという意見もありましたが、その方向でもいいのかなと思っております。以上です。

○堀江座長代理 それでは、他の構成員の皆様、いかがですか。よろしいですか。

 本日の事業者団体様からの御説明は、全て終了いたしました。今までの御説明を踏まえて、まとめの議論を行いたいと思います。今までの御議論のときに御意見、御質問ができなかった構成員の皆様、いかがですか。

○横田構成員 ありがとうございました。今日の前半の話で気になったので、確認をしたいのです。事務局では、各自主規制団体における手続フローの整理はされているのですか。すなわち、今日の議論でもありましたとおり、誰が検査を行って、どの段階で申請をするのか、おおむねどれくらいの頻度で開催される検討委員会等において議論がされて、そしてどのくらいの幅で、早いものでこれくらい、遅いものでこれくらいの間隔だ、といった現在運用されている点について、一覧表のようなものを作っていただくと、大変ありがたいと思っています。と言いますのは、法制度化する際に2つの側面で大きな変容があると思うのです。1つは、今日既に話題になっているアウトサイダーとの関係、これも当然必要なことですし、法制度化のメリットだと思います。もう1つは、制度変更後の利用者の意見として、「今までこういうふうにやっていたのに何でこうなってしまったのだろう」という疑念が出るようなことがないように、「今までは大体こういうものでしたよね」ということについて、共通認識を持っておく必要があろうかと思います。多少新しい制度に移行するために時間がかかるとか、問題点が出てくるかと思うのですが、業界によって結構感覚が違うようですので、一度一覧表のような形で整理されるとよろしいのではないかと思いますが、事務局いかがですか。

○山本基準審査課長(事務局) 今横田構成員がおっしゃったような、手続フローや手順については、今業界の皆様が自主規制あるいは自主的な取り組みの中でやっているものまでは情報をまとめてはおりません。御指摘の点は、特に三衛協の自主的な取り組みの話だと理解いたしました。三衛協にも御協力いただきながら、そのような手続フローや手順を少しまとめた資料を作ってみようとは思います。

○横田構成員 この検討会で結論を出すべき事項ではないかもしれないのですが、参考資料という形で、余り優先順位は高くないかもしれませんが、ということでよろしくお願いします。

○堀江座長代理 他にいかがですか。そうしましたら、私のほうから可塑剤関係について、古橋構成員に御意見をお伺いしたいと思います。先ほどの御説明で、添加剤には種々な種類があり、合成樹脂に機能性を付与するために必要な物質と考えられますが、反面食品への溶出を踏まえた場合、その管理は適正に行なわれる必要があります。このため適正な製造規範が重要であり、添加剤の必要性と合わせて、どのようにお考えですか。

○古橋構成員 今、可塑剤という話だったのですが、添加剤という観点で意見を述べさせていただきたいと思います。添加剤使用の必要性、あとは適正な製造管理の重要性ということなのですが、添加剤についてはお客様あるいは川下のメーカー様の用途の特性に見合った樹脂の設計をするという観点で言いますと、樹脂そのものの性能を維持させるあるいは機能を付与するという点では、添加剤の使用は必要不可欠なものと認識しています。その添加剤の種類や量は用途によって異なり、量には多少濃淡はあるのですが、添加剤は樹脂の性能維持や機能を発現するためには必須のものと捉えておりますので、そう考えていただければよいかと思います。

 その意味で、適正量の管理をする観点で、製造の管理は重要なポイントになります。我々は品質規格、製造規格を設定し、製造管理を行っているのですが、その際、添加剤についてはこういう添加剤をこのぐらいきちんと入れましょうという規格を作って、管理するということです。樹脂の性能自体は添加剤の種類や量によって変わるものですので、そこはきちんと管理しないと、お客様の用途に見合ったものができないということもありますので、その管理は非常に重要になっているということです。

 一方で、添加剤は非常にファインケミカルであり、非常に高価であることもあり、あるいは安全性という観点もありますので、樹脂の設計をする段階においては必要最小限で使用するという考え方で添加剤を扱うことも考慮に入れておくことです。以上です。

○堀江座長代理 機能性と溶出量を考えて適正に添加されているということでよろしいわけですね。

○古橋構成員 そのとおりです。

○堀江座長代理 他に御意見等、いかがですか。よろしいですか。

 それでは、本日の最後の議題、検討の方向性(案)に移ります。なお、この資料については、本検討会の第1回目に事務局より説明がありました「主な検討事項」について、現状、主な御意見等を取りまとめたものです。検討会としての方向性を各構成員に御議論いただきたいと考えています。事務局から資料6を使い、御説明をお願いいたします。

○近藤補佐(事務局) それでは資料6に基づき、検討会における主な御意見及び検討の方向性の案について説明いたします。この資料は見出しに記載のとおり、前回までの御意見を第1回目の検討会でお示しをした論点ごとに、構成員とヒアリング者別に事務局で整理し、これまでの議論を踏まえた方向性を示したものです。

 まず、論点としては、ポジティブリスト制度を導入するか否かということがあり、その上で、仮にポジティブリスト制度を導入するとした場合の論点を示しております。各論点としては、制度の対象となる材質、リスク管理すべき物質の種類及び管理手法、事業者間における情報伝達、製造管理、事業者把握、監視指導、その他を掲げていたと思います。これらの論点について、検討会での意見を集約することを目的に本案を作成しました。

 この案は各論点について迅速な理解を得るために現状、主な御意見、方向性の3段構成としております。本日も含め、関係者からのヒアリングを行っている状況から、5ページ目以降の個別論点となります「ポジティブリスト制度を導入する場合の課題と対応」については、現状と主な御意見のみとしています。この部分については、次回の検討会以降で御議論をいただければと考えているところです。

 本日は、2ページ目、最初の論点「規制のあり方と目指すべき方向性」について説明いたします。まず、現状ですが、4点に整理しております。第1点目、現行の器具・容器包装の規制は、食品衛生法第 15 条~第 18 条、そして第 18 条に基づき定められた規格基準で規制されており、この規格基準に適合しない場合、販売等が禁止されています。この規制方式がネガティブリスト制度と呼ばれているものです。

 第2点目として、この第 18 条に基づく規格基準では、蒸発残留物や重金属といった健康影響が顕著な物質の上限規制が主体となっており、使用できる原材料は規定されておらず、第 15 条~第 18 条に抵触しない限り、輸入販売等は規制されておりません。このような状況の中、熱可塑性樹脂に関しては、業界団体による自主基準としてポジティブリストが作成されており、これを確認する方法としての確認証明制度と組み合わせた管理がなされており、これまで大きな健康被害は発生していない状況です。

 第3点目として、現状のネガティブリスト制度では、欧米等が使用を禁止している物質が使用された器具または容器包装であっても、個別にその物質に対して規格基準を設定しない限り、我が国では直ちに規制できない状況にあります。

 第4点目は、欧米では安全性評価を行った物質以外の使用は認めないポジティブリスト制度が既に導入されており、アジア諸国においても中国では既にその制度が導入され、韓国やタイでも導入に向けた検討が行なわれています。以上が現状です。

 次に、3ページ目、主な御意見です。前回までに各構成員の皆様、そしてヒアリングをいただいた説明者の方々の御意見を列記しております。構成員の次にヒアリングという順番で、いただいた御意見を紹介します。

 まず、新たな規制を検討するより、仕組みの制度化を検討していくというのが一番近い考え方なのではないか。次に、リスク分析の考え方や原則に基づき、食品と直接もしくは間接的に接触する物質の管理なり、安全性の評価のあり方について検討するというのが議論の前提ではないか。次に、リスク評価手法を考慮して規制のあり方を検討すべきではないか。ポジティブリストを法制化するべきではないか。国際的な整合性がとれた制度にすべきではないか。輸出及び輸入を見据えたときに、第三者から見た共通のルールが必要ではないか。自主的に賛同している企業で守るべきルールの水準、そして安全確保のために国が関与するルールの水準は当然議論となるべきではないか。仮にポジティブリストを制度化していく方向性になったとき、この位置付けが法的な拘束力を持つものかどうか、あるいは自主的に活用するのか検討するべきではないのか。最後、アウトサイダーの方々がどの程度の規模で存在するのかということが重要ではないか。以上が構成員からいただいた御意見です。

 引き続き、ヒアリングいただいた方々からの御意見です。業界団体の自主規制に従っているが、国の規制があればそれに従う。現在、業界団体の会員でない事業者はどのように管理しているのかは不明である。次に、消費者が安心できるよう規制の権威付け、そして公知をすべきではないか。国際化を考慮した制度とすべきではないか。欧米の規制との互換性に配慮するべきではないか。確認証明書の活用なども含めて、既存の形態を踏襲した制度とすべきではないか。最後になりますが、費用、管理の実情に合ったポジティブリスト制度とするべきではないか。こちらが、いただいております構成員及びヒアリングの方々の御意見です。

 このような現状と主な御意見を踏まえて、取りまとめた方向性を4ページ目に2点お示ししております。第1点目として、現在は国が定めるネガティブリスト方式の規格基準及び業界の自主基準で管理がされているが、アウトサイダーを含めて安全性の確保を図るためには国が共通のルールを定める制度が望ましいこと。また、欧米ではポジティブリスト制度による管理が行われており、諸外国と同等以上のレベルで輸入品も含めた安全性確保を図るためには、国際的整合性を図ることが望ましいこと。これらのことから、ポジティブリスト制度を国の制度として位置付ける必要があるのではないか、ということを方向性の案としてお示しをしております。

 第2点目ですが、具体的な制度設計として、欧米等で使用が可能な物質等の情報収集や分析を行い、輸出入に共通ルールとしても活用できるように、国際整合性を図る必要があるのではないか。また、これまでの業界団体による自主管理により安全性が確保されてきたことを踏まえ、これらの業界団体の取り組等も参考としつつ、制度のあり方を検討するべきではないか、という案を2つ目の方向性としてお示しをしております。事務局からの説明は以上です。なお、資料6の参考として、参考資料も添付しております。この資料も御活用いただき検討会の方向性について御議論いただけますよう、お願い申し上げます。

○堀江座長代理 ただいまの事務局からの御説明ですが、本日は規制のあり方と目指すべき方向性です。特に、4ページ目の規制のあり方と目指すべき方向性を中心に御議論を頂きたいと思います。構成員の皆様、よろしくお願いいたします。

○鬼武構成員 第1回目の検討会で現状の食品衛生法の規制についても説明がありましたし、本日の資料6が、今後の方向性をベースに進められるということで、非常に重要な資料として考えております。その観点から、今回事務局に対する要望と議論の進め方について、繰り返しになりますが少しお話をさせていただければと思っております。これまで、関連する事業者団体から当検討会の討議に資する資料、様々な意見、情報提供及び提言が、それぞれの知見、経験や実績に基づいて提起されてきており、これが資料6にも掲載されておりますし、本日のヒアリングでは次回以降で少し議論もされると認識をしております。

 一方で、食品容器包装の規制においては、最も重要な役割を演じるべきものは、やはり食品行政である厚生労働省事務局あると、私は認識しております。そういう中で、食品容器包装の規制に関するこれまでの歴史と安全性確保における基本的な考え方やその手法、現状の問題点についてもう少しレビューを行い、そういう文書も討議素材として提供していくような方向ではいかがでしょうか。幾つかの団体は、これまでにいろいろな資料や検討会の中で言及しておりますが、これは必ずしも食品安全行政の公式的な見解を代弁するものではないと私は認識をしております。

 現在、同じ食品の分野において、例えば全ての加工食品の原料・原産地の義務化表示について、政府指導による制度化の検討が行われています。この検討においても、規制当局が関係者から意見を聴取するとともに、自らが様々な資料を作成し提案し、検討をリードしていると私は理解しております。例えば、諸外国の加工食品の原料原産地の義務的表示制度の比較表が提示されています。食品容器包装の規制についても、特にいわゆるポジティブリスト制については、一般消費者の大きな関心ではないとは思われますが、同じ食品の分野での制度化の検討においては、加工食品の原料・原産地の義務化の議論とあまりにも大きな落差を感じていることについては驚きと心配をしております。そういうことは、消費者にとっても最終的には好ましくないと思っております。

 今回の検討会は、近い将来ポジティブリスト制度における規制を行うための準備と考えておりますが、当検討会が次のステップに進む前に、食品行政として構成員及び団体からの意見に対して、自らの見解を少し示したり、方向性を論点として出していただくことが必要ではないかと考えております。食品安全行政は、食品容器包装・器具の規制の今後のあり方を検討する上で、基本的な政策のベースは何かを示すべきであり、特に欧米で確立されていると言われているポジティブリスト制度といっても、欧米ではそういう言葉を一切使っておりません。どのような原則に基づいて、またどのような手続きに基づいて食品容器包装の使用が認められる物質のリストの作成が必要かが重要であるということで考えております。「ポジティブリスト制度」という言葉についても、様々な構成員や団体によって用いられているが、それぞれ意味するところが異なると考えられるので、有益な議論のために、またこの言葉についても消費者が理解できるように定義を含めて検討する必要があるのではないかと思っております。

 現在の法律では、食品に用いられる食品添加物、農薬、動物用医薬品のような化学物質や、食品に混入する可能性のある汚染物質の安全性の評価においては、リスクアナリシスの原則を適用することが定められている限り、食品用器具・容器包装においてもリスクアナリシスを適用することが明らかであると考えております。US FDA のウェブサイトの Packaging & Food Contact Substances FCS )において、又は EU DG SANTE はのウェブサイトの Food Contact Materials において、食品用器具・容器包装の規制の詳細について示しておりますし、再度欧米の規制のあり方、物質の規制の基本的な原則、安全性の考え方や物質のリストなどの情報についても精査する必要があると考えております。

 今後の議論の進め方について、もう少しお時間を頂ければと思います。法律に基づく規制と業界団体が作り上げてきた自主規制については、やはり区別して議論すべきであるということです。今回の検討会では、これまで両者の内容が混然一体として議論されているが気にかかっております。特に、食品用器具・容器包装について公式的に使用が認められている物質のリストが現状存在しない限りにおいては、関連団体が欧米の法規制を参照して作ったものであり、法律で担保されたものではなく、したがって係争が生じた場合の法的根拠にもならないと考えております。それゆえ、議論においては、食品容器包装における公式に使用が認められる物質の規制をどのようにするのか、またこのような物質のリストをどのような原則に基づいて作成するかが重要と考えております。食品用器具・容器包装に用いる物質は、食品添加物、農薬、動物用医薬品の物質と比較して、数の上に凌駕していると理解しております。また、食品用器具・容器包装に用いられる物質は、食品の生産、製造、流通、品質保持、技術の進展と相まって著しく技術革新がされ、新規の物質が次々と誕生していると理解しておりますし、法律は一般的に技術革新の早さに対応できるものではなく、これを補足するための業界団体が作成する自主基準が適用されることがあるかもしれませんが、原則は法律に基づく規制が重要であると考えております。

 これまで厚生労働省は、食品流通の一層のグローバル化に備えて、国際的な視点から農薬、動物用医薬品等の物質のポジティブリスト制を作成する上で、 USFDA が食品用器具・容器包装に用いられる物質の許可において用いる Threshold of Regulation の概念を援用してきたと理解しております。したがって、事務局は今回の制度設計を考えていく上でも、食品だけではなく、食品器具・容器包装の国際的な流通が、従前より著しく増大していることを認識して、消費者の健康保護のためにその安全性を確保すると同時に、事業者の活動を支援するために、国際的に認知され、また通用する法制度を作り上げていくことが重要だと考えております。以上です。

○堀江座長代理 だいぶ長い御意見でしたが、基本的に器具・容器包装のポジティブリスト制度は積極的に推進すべきだという御意見でよろしいのでしょうか。他に御意見はいかがですか。

○横田構成員 今の鬼武構成員のお話は、私としてはおおいに賛成です。とりわけ第2点目です。今、要旨は3点御説明いただいたと思うのですが、まず一つ目は厚生労働省側の見解を示していただきたいという点、二つ目は法規制と自主規制にはかなり大きな断絶がありますので、その点についてもう少し議論すべきではないかという点です。三つ目は、グローバル化の状況を踏まえた議論をすべきであるということだと私は受け取りました。この第2点目に関しては、自主規制及び法的規制と自主規制を組み合わせた形での共同規制という概念について、行政法学や情報法政策の分野では、ここ6、7年言われているところです。また、法規制の観点からしますと、行政が策定する行政基準がどのように民事訴訟あるいは行政訴訟において活用されるかの点についても、一定の枠組み、知見があります。もちろんこれらは、どちらかというと割と新しい議論ですので、学会上定まった知見があるというわけでもないのですが、それらで指摘されている事項と今回業界団体等のヒアリングから出てきている事項は、かなりオーバーラップする点があります。ですので、改めてこの点が論点として鬼武構成員から出てきたということは、かなり重要なのではないかと私は思っています。事務局側には、自主規制と法規制についての文献情報はすでに提供しておりますが、もしこの点が論点になるようであれば少し考えたいと思います。差し当たりは以上です。

○堀江座長代理 ただいまの横田構成員のお考えに対して、他の構成員、いかがでしょうか。よろしいですか。

○森田構成員 鬼武構成員からいろいろと意見がありましたが、大体同じような思いです。今まで容器包装に関しては、この資料の中にもありますが、大きな健康被害がなくて、きちんと自主基準が機能してきたといった御説明の中で、今のお話をしていると思います。一方で、もう十数年前ですが、環境ホルモン論争のときに、新しい化学技術に対する消費者の漠然とした不安が問題になったと思います。それに関しては、環境ホルモン論争も収束したのですが、そういった漠然とした不安は依然としてあるのではないかと。今日のこれまでの業界のお話を聞いていますと、私たちの暮らしの中のいろいろな容器包装がより使いやすくなって、たくさんの添加剤が使われるようになって、どんどん便利になって、もっと軟らかく、もっと開けやすくとなっていくといったように、いろいろな添加剤が使われているということも分かりました。そういうものが大きな食品安全の枠組みの中で、例えば添加物、農薬がリスク分析手法の中できちんと収まって説明される中で、容器包装に関してこれだけ数が多くて新しい化学技術が使われている物が、何も法律上ポジティブリストという制度で規制できていなくて、何か新しいことが起きたときに対応が後追いになってしまうということになる。そうなるとまた食の安全全体を脅かすような大きな問題になるのではないかという観点もあるかなと思います。容器包装の十数年前の論争を思い出すと、やはりそういった新しい化学技術への不安もあるかと思いますので、今の時点でとにかくポジティブリスト制度をきちんとその中に導入していただいて、消費者に安全性がトータルできちんと説明できる仕組みが大事なのかなと思います。

 その仕組みを考える上で、例えば自主基準の中にあるものをどのように評価していくのか。それから、先ほどのお話にあった新規フタル酸エステルのようなものに関しては、どこまでやっていくのかというものをきちんと分類して、ロードマップを示していかなければいけないのかなと。そのようなロードマップがあって、その上で今すぐではないけれどもこういうシステムでこれからきちんと安全性を確保していきますよということを言っていく、説明できることが大事なのではないかと思っています。

○堀江座長代理 農薬や動物用医薬品と同様に、積極的にポジティブリスト化へという意見ですか。

○森田構成員 そうなのですが、そのポジティブリスト化も先ほど鬼武構成員がおっしゃったように、ポジティブリスト制度というと、すぐ残留農薬のことで 800 物質で全部のリスク評価をと思い起こすのですが、いろいろなやり方があるのではないかと。食品添加物のようなアプローチ、既存添加物のようなアプローチもあるでしょうし、そういったものも含めてこれからは単にポジティブリスト化と言うのではなくて、どのような仕組みの中でそれを作っていくのかを議論していければと思います。

○堀江座長代理 他に御意見はいかがでしょうか。

○伊藤構成員 私たちは、フランチャイズチェーン協会で、その代表がコンビニ、そしてまた外食も含んでおります。そういった中で、当然のことながら、この食品用の容器包装については、大切な資材と感じております。そして、その資材を通じて食品を販売していますので、そういった意味ではまず何はなくとも安全性が確保できていないといけないというのが第一です。また、先ほど国際性というお話も出ておりましたが、当然コンビニも外食も今は海外への進出ということで、特にアジアを中心に展開をしてきており、恐らくこの動きはもっともっと推進していくことになろうかと思います。この安全性が担保できているということを見ていくとなったときに、やはりこのポジティブリスト化というものが政府としてあるということが一番の近道であって、安全性を担保できているということになろうかと思います。そういった意味でも、私たちの団体から見ていても、このポジティブリスト制度というものが必要ではないかと思っています。

 また、当然私たちはフランチャイズのビジネスですので、相手側、お客様の前にもう1つフランチャイジーという経営者がおられるわけですが、この方たちの安全性も担保できないとなると、このブランドイメージがお互いに毀損してしまうということがありますので、そういった意味からでもやはりきちんとしたポジティブリストというものをもって安全性を担保していくことが今後必要になってくるだろうと思っていますので、当然のことながら皆さんにとっても無理がないようなところで、きちんと検討していければと思っていますので、よろしくお願いします。

○堀江座長代理 他に御意見はいかがでしょうか。

○小野構成員 添加物の規制ということで、プラスチックには添加剤が入っています。これは食品添加物で添加物がないほうがいいというような声があります。ところが、食品添加物がないと、ないリスクもあるわけで、そういうものも認識されていない方もいらっしゃいます。これは、図式は同じだと思うのですね。プラスチックもそのような考えでいくと、添加剤がないほうがいいのではないか。ところが、実際は添加剤があるほうが、やはり機能性や食品の品質期限が長くなるというのがあるので、添加剤が必要だと。でも、安全性が必要なので、こういう対策を取っていますというコミュニケーションがまず必要なのではないかと思います。検討会の方向性からは少し外れるかもしれませんが、消費者とのコミュニケーションでは、まずそのような説明が必要なのではないかと思います。以上です。

○堀江座長代理 そうしますと、無添加の食品が安全だという方がおりますが、使わないデメリットがありますよね。ですから、器具・容器包装もそういう意味で添加剤についてどう議論していくかが重要かと思います。小野構成員にお伺いしたいのですが、合成樹脂に使用される添加剤というのは、企業秘密があるということで、このための川上の合成樹脂メーカーから最終使用者に至る伝達情報が重要となると思いますが、現行の三衛協の確認システムの有効性というのは、どのようにお考えでしょうか。

○小野構成員 乳容器の場合ですと、更に乳等省令の材質試験や溶出試験があるのですが、現状我々が樹脂の選択をする際には当然確認証明があれば設計の段階で安心して使うことができるという意味では、非常にいいシステムだと思っております。具体的に、添加剤にこういうものが入っていますという情報を得たところで、我々はそれに対してどういう解釈もできませんし、それを我々ユーザーの乳業メーカーにこういう添加剤が入っていますと連絡したところで、だからどうなんだということになりますので、一応ある程度きちんと評価されたデータがあると安全ですという形で、そういうシステムを使えばいいのかなと思っております。

 ただし、紙パックで、現在海外から既にポリエチレン等がコーティングされたものが入ってきております。北米や北欧なのですが、当然現地の樹脂を使うわけですね。ですから、大きなメーカーではポリ衛協のメンバーでそういう証明を出されている所もあると思うのですが、確認証明がないものが入ってきている実態があります。ただし、当然 FDA EU の規制に適合していますという宣言を頂いていますので、実際はポリ衛協の証明なしでも動いているという実態はあります。

○堀江座長代理 続いて、一連の質問で、今度は古橋構成員にお伺いいたします。 EU に輸出する場合、事業責任者は適合宣言書を発行する義務付けがなされておりますよね。ただ、現在確認証明ということで非常に有効に働いておりますが、情報というのはある程度秘密になっている。輸出をする場合、一定の開示は必要になるのかなと思うのですが、この点はどのようにお考えでしょうか。

○古橋構成員 欧州に輸出する場合は DOC を発行することになりますが、その中には確かに規則及び制限が適用される物質等は開示しないといけないとなっているかと思います。基本的には、ポジティブリストをどのような形にするかで、川下へ開示する情報は異ってくるかと思っています。欧州の場合は御存知のとおり、溶出量制限を基本としています。各物質には、全てではないのですが、特定移行量制限が設定されています。この適合性を確認するのは、基本的には最終製品で行うことになっていますので、川下のメーカーが最終製品で溶出量などを測って、物質がどの程度溶出しているかを確認するという観点では、やはり川上からその物質が何であるかをお伝えしないと川下のメーカーで分析ができません。そういう面では、欧州のポジティブリストの溶出量制限という形の上では、どうしてもそのような情報を提供しないといけないということになります。これは、川下メーカーが適合宣言をするためには必要な情報ですので、我々は情報を提供しています。そのときは、機密保持の合意書、同意書のようなものを結んで、物質情報を提供することも現実としてやっています。

 一方、 FDA や日本の三衛協の基準のように、添加量制限を基本としている場合は、添加量上限値と使用できる温度や用途、あるいは食品のタイプなどが制限として設定されていますので、我々としてはその添加量上限値以内で設計するということになります。川下に提供する情報は、このような用途に使用できます、このような使用上の制限がありますという情報を確認証明書とともに提供することになります。繰り返しますと、ポジティブリストがどういう形で設定されるかによって、川下に最低限提供しなければならない情報は変わってくるということになるかと思います。以上です。

○堀江座長代理 他に御意見はいかがでしょうか。

○重倉構成員 先ほどの、今後の検討の始め方に関する鬼武構成員の御発言、また法制との関係での横田構成員の御発言、また消費者や食品業界の視点からの皆様の御発言は、いずれもごもっともだと思いますし、私も大変賛同するところです。この場では、先ほど事務局から御説明いただきました方向性に関して、どうしてもより具体をやっている立場ですので、この検討会で1つ検討していただきたいと思うことについて発言させていただければと思います。

 方向性のところには、ポジティブリスト制度を国の制度として位置付ける必要があるのではないかといった記述があるわけですが、これまでこの検討会で様々な団体の自主規制、またポジティブリスト制度の運用についての御説明を頂いてきたわけです。本日の議論にもありましたが、リスク評価を行っています、溶出量を見ています、人体に対する摂取量、ばく露量を見ていますといったようなことが含まれているわけです。現在の法制度に書かれている器具・容器包装のルールには、有毒な、若しくは有害な物質が含まれ付着して、人の健康を損なうおそれがある、とあり、「人の健康を損なうおそれがある」という言葉に概念的に含まれるかとも思うのですが、実はこの法文だけを見た場合には、なかなかこうした溶出量を意識してリスク評価を行ってという概念そのものが明確には示し切れてはいないのかなと。私どものリスト、リストをというのは決して化学物質がただ並んでいるリストという意味ではなくて、どういう視点でこの管理を行っているのかという点について、諸外国あるいは全く私どものルールを知らない方に御説明をするときに、結構苦労し、また重点を置かざるを得ないのがこの点です。 50ppb とかそういう議論についつい飛んでいくのですが、その手前にあるばく露量そのものを見て、またそのリスト整備に当たっては、毒性がないこと、あるいは溶出しないことを狙ってリストを整備しているのだと、こういう方法がこれを管理する方法として有用なのだということをもし国が示してくれていると、随分説明は楽になると思うところはあります。リストアップすることのみならず、そうした理念そのものについて何か示していけないかということも御検討いただければ有り難いと思っております。

○堀江座長代理 重倉構成員からの御要望です。 12 時を少し過ぎましたが、他にもし御意見があれば 10 分程度御議論したいと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、私から西川構成員にお伺いいたします。器具・容器包装の製造事業者の把握は、現在一部の自治体で行われているということで、器具・容器包装には現在も規格基準が設定されておりますので、ポジティブリスト制度の導入を機に、材質によらず製造事業者を把握するというお考えはいかがでしょうか。

○西川構成員 材質によらず把握するということですが、今議論されているポジティブリスト制になると、適切な方法で製品が管理されているかどうかといったものを確認することが、我々自治体などでも必要になってくるわけです。施設の監視というのはそれほど優先度が高くないのでしょうが、きちんとサプライチェーンから情報が伝っているかとか、証明のある適切な原材料を使われているかといったものを知る必要がありますので、やはりもしポジティブリストが法制化されれば、それに関係する合成樹脂関係は何らかの届出などで把握しなければいけないと思うのですが、紙や金属もコーティングなどされていますので、合成樹脂と関係があればそういったものも何らかの形で把握したいです。器具・容器包装のポジティブリストとは関係がなくても、何らかの形で事業者を把握しておきたいなというのは、気持ちの上ではあります。というのは、埼玉県では届出制度を条令で定めていたのですが、食肉製品に何か異常な臭いがあっていろいろ調べていったら、結局は包装材だというようなことがありました。何か食品に異常があり、容器包装が原因だと考えられた場合には、ただちにその施設に連絡を取って必要なデータを入手できるというようなことがありましたので、器具・容器包装の安全性ということからも幅広く考えれば、様々な製造所がどういったものを作っているのかというものは把握してはおきたいなという気持ちはあります。

○堀江座長代理 次に小倉構成員にお伺いいたします。器具・容器包装の安全性を確保するために、サプライチェーン全体の対応が重要だと思われます。その上で、消費者も製品購入後に適切に使用する義務もあろうかと思います。この点、消費者の立場としてどのようにお考えでしょうか。

○小倉構成員 製品購入後に適切に使用するということが義務だとおっしゃったのですが、消費者がその商品、製品を判断する基準というのは、その容器包装に書いてあったりする表示や注意書きをよく読むということになってくるのだと思います。たまたま昨日話題になったのですが、お昼時になり、弊会のメンバーの1人がスーパーで買ってきたお弁当を持ってきて「これってレンジで普通に温めていいかしら」と言うので、みんなが「裏とか表とかに温め方が書いてあるんじゃないの」って言って「書いてないのよ」って。そうすると、「前に蓋が溶けたから蓋を取って温めたほうがいいかしら、いや、今の容器包装はそのままでも大丈夫なんじゃないの」と、侃々諤々と何分間かそういったことで話題になったのですね。そのぐらい、弊会にはこういった情報に関してはたくさん入ってくるほうだと思うのですが、消費者にとってみれば分からないことだらけです。裏を返せば、製品や製造者を信じて使ってきたということだと思います。前提として、製造に関わる方たちがきちんと製造管理をして、正しく正確に、そして見やすい情報提供をしていただけるかということにかかっているかと思います。

 サプライチェーン全体での管理は、川上から川下まできちんと情報が伝達され、トレーサビリティーが確保されることが重要だと思います。どのようなアプローチがいいのかはちょっと私には分かりませんが、国の仕組みとしてのポジティブリスト制度がきちんと確保されていくことが大事であるとともに、消費者にそういったことが周知されていくということも大切だと思います。以上です。

○堀江座長代理 他に御意見はいかがでしょうか。予定時間の 12 時を少し回りましたが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。では、本日の議論はここまでといたします。次回も引き続き、今までの御意見を取りまとめた本検討会の方向性について、論点ごとに議論を進めていきます。事務局には、これまでの検討会で出ましたいろいろな御意見をもとに、本日の資料6のアップデートをよろしくお願いいたします。

 最後に、事務局から何か伝達事項等はありますか。

○近藤補佐(事務局) 次回の第6回検討会については、2月8日(水)に開催の方向で調整をしております。開催日程が決まりましたら、各構成員に御連絡をいたします。また、内容としては、引き続き関係する団体からのヒアリングを行うとともに、論点別の検討会の今後の方向性について御議論を頂ければと考えているところです。事務局からの連絡は以上です。

○堀江座長代理 それでは、本日の検討会はこれをもちまして終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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